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鳩山(邦)
委員 ぜひ
お願いをしたいと思います。
たしかエジプトの
外務大臣であったかと思いますが、
日本人は演説は上手で、非常にいい演説をする、しかしそのうち立ちどまってしまって、そのうち消えてしまう、国際政治の舞台で
日本というのはそういう評価を受けていますよ、そういうことを言われて非常に愕然とした思いがいたしましたが、今の
総理の力強い御発言を信じて、これはぜひ実行に移していただきたいと
お願いをする次第であります。
私は、田中角榮先生が
総理大臣になられたころに一番末端の秘書になりました。そのころ、今評論家の早坂茂三先生の運転手を私はやっておったわけですが、
総理公邸の一室に早坂
総理秘書官がおられて、そこに
総理大臣の所信表明演説の原稿が届いていろいろ早坂さんが打ち合わせをしているのを私は聞いておったことがある。そのときに、お役所側がこう言っているのです。この演説の中にある平和の創造という言葉は絶対に困る、削ってもらいたい。いや、平和をつくるというのはだめですか。これはだめだ、今それほど大きな紛争があるわけでない、今平和なのに何で平和をつくる必要があるのか、平和は維持であって創造ではないということを、もう十数年前のことですが、随分激論がなされておって、とうとう平和の創造という文句は
総理演説から削られたという記憶がございます。
私は、そういうふうに何にもしないで平和が維持されるというのは大変な思い誤りであって、間断なき不断の平和の創造という
行為が初めて平和の維持につながると考えるべきで、そういう意味では宗教家の皆様方の方がよほど活発に
行動しておられて、創価学会の皆様方も平和のためにいろいろ国際的な活動をして高く評価されておられると聞いておりますし、立正佼成会の庭野開祖会長先生が
世界宗教者平和
会議を主宰されている、これは平和の創造者としての国際的な評価というのがあるわけでございまして、そういう意味で先般までの、昨日の本
会議を含めて
総理あるいは閣僚の皆様方の御答弁にはまことに頼もしいものは感じますけれ
ども、いま
一つ、もうちょっと前向きであってもいいんじゃないか、もっと平和をつくるために
日本が汗をかくという姿勢がもう一歩あってもいいんではないか、もっとたくましい
海部内閣であってもいいのではないかと思うのは私だけではないと思います。
本日、読売新聞が社説を載せております。「社会党のおかしな「湾岸
見解」」という題でございまして、
国際社会が絶対受け入れられない
国連決議の無効化などを含んだ
ソ連・
イラクの
和平合意、それに対する
ブッシュ大統領の拒否をした
態度とそれを否定した
イラクの
態度が同列に並べられている、すなわち多
国籍軍と
イラクと両方が同じ
責任があって
地上戦に突入してしまったということを言っているのはまことにおかしいと、読売新聞がすぐれた
見解を述べているわけであります。そして、「社会党は、「
国連を中心とした
和平、避難民の救済、停戦監視、
復興のための積極的
協力」を訴えながら、九十億ドルの
支出や避難民輸送のための自衛隊機の派遣には反対している。では、具体的に何を、どうせよというのか。」これは私が社会党に聞いているのではなくて、読売新聞が聞いておられるようでありますが、実際そういう意味で、国会としての
責任とか与党の
責任、野党の
責任というのではなくて、外国人から見れば、
日本という国の
責任、
日本がどれだけ
責任を果たしているか、汗をかいているかというふうに見ていくわけでありますから、どうぞそのような点で内閣にも大胆に
行動をしていただきたいと
お願いをいたします。
そこで、避難民の問題について、昨日、UNHCR、例の緒方貞子さんがなられました
国連難民高等弁務官事務所、それからIOMの最新の数字が、開戦時からそれぞれの周辺国へ、
イラク、
クウェートの周辺国へ流入した被災民の数、これは被災民もあるし
イラク人もいますから難民もあると思いますが、ヨルダンが一万八千人、そのうちほとんどは、これは民間機もベトナムの方を運びましたから、鈴木外務政務次官が乗ってこられて、山口敏夫先生や私
どもがお迎えして、ベトナムの方が帰っていかれましたが、国内には今千六百人しか残っていない。トルコには二千二百五十一人、イランには九千八百三十一人、シリアに七百九十五人、これぐらいが
イラク、
クウェートから被災民として、難民として開戦後に
流出された数の総計でありまして、確かにこれを足しますとそれほどの大きな数にはならない、三万になるかならないかという数だろう。
ところが、昨日の衆議院本
会議での質問の中で、
日本の民間の善意でロイヤル・ジョルダンをチャーターしてアンマンからカイロまで運ぶ、これは大変結構なことで、
日本の評価を高めるためにも大いに役立つわけですが、昨日の本
会議の社会党さんの質問は、もうこれで十分足りるんだ、こういうようなことでありました。これはいわゆる難民学、まあそういう学問があるわけではないでしょうが、難民学の基本というのを全く
理解をしていないことでありまして、少なくともUNHCRは、ヨルダン、トルコ、イラン、シリアにそれぞれ十万人ずつ出てきて、最低四十万人の被災民は出てくるだろうと。今でもその数字は変更はしていないわけでありまして、なぜならば、
戦争が始まったときには、いわばほんの出稼ぎというような方々はすうっと出てくるわけであります。ところが、実際には、
イラクに根をおろして若干の生活基盤を置いて仕事をしている方の方がはるかに多いのですね。
エジプト人は、我々が現地で、エジプトで聞いた話では、
イラクに公式百二十万人、実際には八月二日の時点では恐らく二百万人いただろうと言われているのです。そして現在でも
イラクのパブリックな部門で働いている方が、エジプト人二十五万人はいるでしょう、
イラクで家や土地を持っている人、エジプト人だけで十五万人はいるだろう、こういうふうに言われているわけであります。そういう方たちが、
戦争の末期あるいは
戦争の
状況によって、あるいは
戦争終結と同時にどっと出てくるわけでございますから、被災民の救出とか移送の問題というのは、私
どもが三カ国を回った最大の課題でありましたが、これからまさに本番ということになります。
そこで、ちょっとお尋ねを申し上げたいのは、今後の被災民の
流出については、私はみずからの想定や
見解を述べましたが、外務省はいかがお考えでしょうか。