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佐藤(
敬治)
委員 この問題はまだ疑義がありますけれども、こればかりやっていてもしようがありませんから
質問を留保させておいていただきます。それで前に進みます。
今までの
審議の中にもたびたび出てきましたが、いろいろな問題がこの中であらわれてきたわけですね。例えば、行
政府と立法府の間で意見の相違が出てきたとき、それをどう解決するか、
委員長さん、盛んに頭を悩まされた問題等がありますので、この際、一言申し上げておきたい、こう思います。
従来の
国会審議の中では、法的な問題が、
法律の問題が起きてきますと、
法制局長官がその
見解を述べれば、
法制局長官が言うんだから間違いなかろう、そのとおりだろうというので、
内閣法制局長官という職務に対する信頼感がありました。
政府と我々の間でいろいろなやりとりがあっても、
最後には
法制局長官が来てこれはこうだという裁断を下せば大抵それにみんな納得しておったのです。しかし、今回の
法制局長官の、何というか対応というものは、この前の
臨時国会等のあれから見て非常に何となくうさん臭い、厳然たるところがない、こういうような感じがします。強弁すればするほど何となく不信感が募ってくる。だから
質問者は、何ぼ
長官が答えてもどうもおかしいというので、繰り返し繰り返し執拗に
質問を繰り返しているのです。新聞には、その
長官の、
政府の姿勢を、従来の慎重姿勢が消えて政治的になったのじゃないか、こういうふうな新聞の批評さえあるぐらいなんです。
法制局長官に求められているのは、
法律解釈については厳正な政治的な中立性であります。これを失えば
法律に対する信頼が失われるからであります。それなのに、十二日の
委員会における私の
質問に対する
答弁はまさに政治的偏向そのものである、こう私は言わざるを得ません。
嶋崎
質問等で明らかになりましたけれども、憲法の問題で
国会と、今言いましたように内閣とが
見解が分かれたとき、
我が国の制度では最高裁でしかこれをけりをつけられない。しかし、最高裁で出すには手続から
審議から大変な時間がかかる。その間にどんどん
事態は進行してしまって、最高裁がどんな判決を下そうが何の価値もない、こういうようなことになりかねないのです。こういう中にあって、わずかにこの
法制局長官というものは、法の
趣旨を厳正に守って、ある
意味では審判の役目をしておった。私はこれは大変大事な役目であった、こういうふうに思います。
さきの
臨時国会で、閣僚の
発言にさえ
工藤長官は厳然として懸念を表明してこれを取り消さしたり、いろいろなことがありました。私どもは、大変尊敬をしておりました。
このことからも、
法制局長官というものの職務は大変大事な職務で、常に政治的偏向がなくて厳正中立でなければならない、こういうふうに考えております。いかなる理由からかわかりませんが、今回の
長官のさま変わりの態度というものは、単に
長官個人に対する信頼感を失わした、こういうことだけではなくて、
内閣法制局長官という名誉ある職務に対する信頼感を失墜させたものだ、こういうふうに思います。
そこで、
総理にお伺いします。
あなたは、余り時間がないからあれですが、今私が申し述べましたように、行
政府と立法府の間で
見解の相違があった、これはしばしばいろいろ問題になりました。これのいい悪いは別にしまして、やはりこの前に私どもの嶋崎
委員が提案しましたように、これに対するやはり何かしら判断するものが、早急に判断するものがないと議論がかみ合わない。今のこういう議論でも、何かそういう即断する、すぐ判断してくれるものがあればこれによってまた黒白がついて
審議がどんどん進行していくんじゃないか、こういうふうに思われます。こういうものに対して何かしらの機関をつくるとか
措置を講ずる、そういうことに対する関心はございませんか。