○嶋崎
委員 そのとおりです。
国連憲章では、
戦争を予定しないで、
戦争が起きる
紛争にしては、事前にチェックするための任務を位置づけたのが戦後の
国連憲章の特徴ですから、その限りでは古典的な
意味の
戦争でないことは明らかです。しかし、それをなぜ
戦争と呼ばないでいるかということと、
最初私がお聞きしたことと関係があるのです。つまり、今の多
国籍軍は
国連軍ではないということであります。これは多
国籍軍です。そうおっしゃいましたね。これがまた後で密接不可分になってまいります。したがって、
アメリカはまずこれを新しいタイプの、だから性格づけをやるためにザ・ウオー・イン・ザ・ガルフと言っていますから、
湾岸の
戦争という新しいタイプの言葉で教書でも説明し、それにかかるコストの問題というふうにして位置づけておるということであります。
同時に、そこでもう一遍、今度は
戦争、この九十億ドルの性格に関連して、
アメリカの政府要人はどう言っているか、これをまず
最初に御紹介いたしますが、もう既に我が党の藤田
委員がこの
委員会で
質問をいたした中で提起されました、二十七日、
ベーカー国務長官のまず記者会見が一つあります。
ベーカー国務長官の記者会見では、
我が国が負担することになった九十億ドルについての積算根拠を明確にしつつ、このお金の性格を明らかにいたしております。べーカーはこう言っております。
サウジアラビアからの百三十五億ドルは、
クウェートからの百三十五億ドルと
日本からの九十億ドルを合わせて国際的支援にこれを充てるということを前提にして、一九九一年、当初三カ月と、正確です、非常に。ファースト・スリー・マンセス、だから一月、二月、三月と、三カ月間というその根拠に基づいた経費となりますと。まず、積算根拠はここで三カ月は言っています。四百五十億とは言っていません。後にドイツが五十五億出てきたり韓国が出てきたりしますから、総額はもっとふえてまいりますが、この際、
最初我々九十億ドルということが
日本の判断として伝えられた中で、べーカーさんは、まず、今の
湾岸戦争、一月十七日から始まっていますけれ
ども、一月、二月、三月、この間のファースト・スリー・マンセス、非常に明確な三カ月、今からの当面三カ月、こういうふうにまず期限を付している。
そしてその後に、これは米国の支出に充てるのですかという
質問に対して、この間私はここで申し上げましたが、ジス・イズ・ストリクトリー・フォー・US・コスト、明確に、すべて厳格にこれに充てます、こう
最初に言いました。そして、したがって、米国の支出をこの援助でカバーできますかという
質問に対して、三百六十億ドルは当初三カ月分だと非常に明確に三カ月の積算というものを頭に置いて答えております。
そして、その後に、その後はどうなりますかという
質問をしています。それに対して、より多くの貢献を期待している、これがべーカーの回答であります。
したがいまして、三カ月という期限で積算の一つの根拠だと、そして、その上でより多くの貢献を期待していますですから、さらに追加はあり得るということをサゼスチョンしているのです。これがまずベーカーの発言であります。
しかも、べーカーの方の発言では、非常に明確なのは、
日本が自主的に、
先ほど言いました応分の負担を自分の判断で決めたので、
アメリカからの要請じゃないと答えられていますが、ベーカーさんは、この金は我々が
クウェート並びに
日本に対してアスク、アスクですから、要請したという文書であります。だから、
アメリカ側は
日本に対しては、
ベーカー国務長官は要請して、そして三カ月間という積算根拠をもって、そして当面お願いする。そして、それは全部
アメリカのUS・コストに充てる、こう言って、その上であとの追加ありますかということについて、その含みを残している。これがベーカー発言であります。これが第一。だから
アメリカ側はかなり正確。性格とそれから積算根拠、使途についても割と明確です。
それに続きまして、
我が国で行われているこの
予算委員会が向こうに伝わりました。そこで
アメリカの、今度はマーガレット・タトワイラー
報道官は、二月の四日に至りまして、このベーカー発言はちょっと
日本の国会にとっては大変だと御判
断をされまして、少し修正をされました。修正をされました。ところが──この訳は外務省の訳です。私が訳しないで外務省で訳する方が政府のちゃんとした訳になると思いましたから、外務省の訳をいただきました。このタトワイラー
報道官の二月四日の
アメリカ国務省レポートに対するコメントとして、九十億ドルは平和確立のために使用されるであろうと、そういう
意味では平和のために使われる、こう言っていますね。この論争は、先週
ベーカー国務長官が九十億ドルは真に米国の費用であると述べたことから
日本における国会は大論議が始まった。そして
日本のマスコミの多くは、米国の費用の
意味は、武器、弾薬、航空機、タンクなどの購入費であると報じています。米国の費用の
意味、九十億ドルをどう思いますか、こういう
質問です、記者団の
質問は。それに対して
報道官はこう言っています。我々は
日本政府の九十億ドルの追加拠出の公約を高く評価します。
日本政府はその拠出が
湾岸の我々の軍、アワーフォーシズと言っています、その兵たん支援、ロジスティカルサポートと言っています、兵たん支援に使用されることを望んでいると表明しました。皆さんがですよ。
日本政府はこの九十億ドルというのは
湾岸に必要な我々の軍の兵たん支援に使用されることを望んでいることを表明しましたと。その後に、兵たん支援、ロジスティカルサポートの我々のニーズは
日本からの追加資金を超えるものと見込んでおりますので、さらにふえると考えられるので、使途の制限は実際的な問題にはならないと思います、こう言っています。これは我が
日本の
予算委員会で
議論されたのが
報道されて、ベーカーさんは軍事費に使われるという観点だけが
議論されたのではこれは
日本の国会困ろうな、そういう
意味で御援護されたという
意味では日米なかなかいい友情だと私も思います。
ところが、ここで明確なのは、我々の軍の兵たん支援であるということを
日本が望んでいる、皆さんが、
総理が武器弾薬等々、つまり平たく言えば正面装備です、正面装備などにお金を使うのは
我が国の
憲法その他からして一定の限界を超えるので、そうではないとおっしゃった輸送、それから医療、それから生活、消費物資、事務費、こういうものに使うということを
日本は望んでいる。しかし、それはこのタトワイラーさんの表現によれば兵たん支援、これは外務省の訳が兵たん支援なんです、僕は後方支援と訳すべきだと思います。兵たん支援に使用されることを望んでいるということの反映だというのがタトワイラーさんの認識であります。したがって、タトワイラーさんは、
日本が支出するお金は依然として我々の軍の兵たん支援に使用されるということを明確に言っています。
そこでお聞きしますが、もう一つ、ではその後にブレイディさんの発言がありますが、これは外務省にお聞きしましたが、これは正確な
委員会での発言でありますから僕は正確なやつがとれぬかと思ったけれ
ども、
アメリカの議事録がとれないというので
新聞報道でしかつかんでおりませんが、これでも
日本の援助については今後の可能性を秘めておりますし、かなり正確な多
国籍軍に対する後方支援的性格のものということを位置づけているように思います。
さてここで、したがって非常に問題がはっきりしてきました。
日本側の政府の言っている九十億ドルの性格は、今言った
国連決議に基づいて多くの国々が
行動しているその活動の費用です、戦費ではありません、こう言っていますね。ところが向こうは、今度の今起きているのは
国連憲章で言う
戦争概念には当たらない新しい時代に起きたものだが、
湾岸戦争と名づけられる
戦争だと言って、これは戦費の一部で、その戦費の一部は正面装備ではなくて後方支援、兵たんの費用として使われる、こういうふうに言っていますから、兵たん、つまり後方支援のお金であろうが、それから米軍の正規の軍隊の費用であろうが、戦費であることには変わりません。したがって、米軍の方はこれは戦費と理解しなければなりません。
そこで性格が全く違う。
日本は戦費ではない、
戦争ではないから戦費ではない。向こうは戦費である、こういう判断に立って現にミリタリーフォーシズのコストという言葉がちゃんと一般教書に出ていますから、そういう明確な違いが一つあります。
二番目の違いは、向こうは当初三カ月、一、二、三カ月という積算の根拠に基づいて今の米軍のコストの中、
アメリカのコストの中で必要なうちの一定部分という
意味で一つの積算根拠が出ています。三カ月、当面の三カ月。ところが、
我が国の場合はそれは三カ月でもなければ、まして先では支援があるかもわからない。いずれにせよ九十億ドルというお金の額だけは非常に具体的だが、それの積算根拠はちっとも明確でない。ここが違いですね。これが二番目の違いです。
三番目の違いは、大蔵大臣は私がお聞きしたときに、昨年来の二十億ドル、これからの九十億ドル、その延長線上にあり得るかどうかというのは
戦争の状況いかんで決まるといってお答えにならない。しかし、
アメリカはさらなる支援というものを期待している。
日本側の判断がどういう判断か知りませんが、
アメリカの判断とそこが違っている。これが、九十億ドルという問題をめぐってこの
予算委員会で政府側が答弁した
日本の自主的な
世界への、いわば応分の負担という抽象的
原則に基づくところの積算根拠と、
アメリカが提起している少なくとも一定の積算根拠。これでもまだあいまいですよ。しかし、三カ月というのは当初三カ月ですから、その
意味では三カ月の積算根拠があるから、それをサウジが幾ら、
クウェートが幾ら、
日本が幾ら、そしてドイツが幾ら。
アメリカは実際にはそれには直接やらないのですから、国際的ファイナンスでもってその基金をつくる一定の積算の上に立って
日本は九十億ドルぐらいが相当と判断されたものと想定されます。数字は言ってません、おっしゃるように。ところが、一致しているのは九十億ドルに高い評価があって
日本が九十億ドル、結果だけ一致しておるわけです。
つまり、こういう両方の違いがあるということから、私たちはこの九十億ドルについて、もし
アメリカが言っているような
アメリカ軍の兵たん支援という性質の戦費的性格のものであるとすれば、
我が国の
憲法に照らしてみて、そのような戦費というものを公然と出せるのかどうかという疑義があるというのが我が党の和田静夫議員の先般の
質問であります。
さあ、この違いを私は両方浮き彫りにしましたが、皆さんどう、
アメリカ側の
主張が、僕の言っていることがどこが間違っているとか何か御意見があれば、どうぞ大蔵大臣でも
総理大臣でも答えてください。