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不破委員 そのときにも、
日本は賛成しましたよ。ただ一国だけこの決議に反対した国があるのですよ。
アメリカなんです。それはやはり核施設に対する攻撃を予定しているから賛成できないわけですね。しかし、この
イラクの核施設については、国際原子力機関が去年十一月に査察をやったばかりなんですよ。公式査察をやって、それで、四月に査察したときと全く状態は変わりがない、これは軍事目的に転用されている危険はない、その保証を行ったばかりなんですね。ところが、その国際原子力機関が保証した核施設に対して、国連決議を無視して爆撃が行われた。国連側がこの問題を議論したのは随分前からで、イスラエルが
イラクの核施設の攻撃を行った一九八一年から、それからまた八六年には
イラクがイランの核施設の攻撃を行い、そのたびに平和的な核施設を攻撃することが放射能の問題でいかに危険であるかということは随分議論されて、毎年のように決議されている。まさに国連が武力行使容認決議をやったもとでも、これをやっちゃいかぬということが決議されている。ところが、それをあえて
アメリカはやるわけですね。そういうことについて、
日本政府は参画していないわけだから、参画者としての責任は問わないけれども、しかし、無条件で
アメリカが行う軍事的行動のすべてを容認する立場に立つ、そういうことまで被爆国の
日本が連帯する立場に置かれざるを得なくなる、こういう問題だと思うのですよ。
最近特に私
たちが非常に憂慮しているのは、核攻撃の話が何遍も出てくるわけです。それで、例えばつい最近ですが、
アメリカのクエールという副大統領がイギリスのBBC放送に出て、
アメリカはいざという場合に
イラクに対する核攻撃を行う
可能性を排除してないんだということを言いました。その数日後にチェイニー国防
長官は、今のところはそういうことを考えてない、しかし、将来の展開いかんでは、すべての判断は大統領にゆだねられている、私が先立ってそれを言う権限はない、こう言いました。それからまたニューズウイークの一月の号では、
湾岸に
派遣されている最高司令官がもうそろそろ核の攻撃をやりたいということを大統領に提案して、そのときに却下されたという報道がされています。それぐらい今度の
湾岸戦争で核兵器を使うか使わないかという問題は、架空のことじゃなしに、もうリアルな生きた今の問題として、
アメリカの軍政首脳部では日々議論されているのですよ。
それで、もし万が一
イラクが毒ガス兵器なんか使う、それに対抗手段としてイスラエルや
アメリカが核兵器を使う、そんなことになったら、それこそもう我々が考えている最悪の事態が来るわけですけれども、そういう選択を万が一
アメリカがやったとしても、その行動に対して
日本は財政的には二割の責任を負わなければいけなくなる。被爆
日本国民がそういうことになる。
私は、問題は、ただお金を出しているから事は軽いんじゃないのです。そのお金を無条件で出しているために、あなたは
輸送と言われるけれども、核兵器の
輸送だって含まれるのですから、これには。ですから、そのお金を無条件で出しているために、
日本が武力紛争に、武力行使にそこまで連帯の責任を負わなきゃいけない立場に
日本と国民が立たされることになる。そこまで考えて、私は、
日本政府は行動すべきだと思うのです。だからこそ、この多国籍軍への九十億ドルの追加支援という問題、私
たち昨年も反対しましたが、まさに戦争は始まっているわけですね。始まっている戦争に対して、その戦争の、戦っている当事者に戦費を支出するという問題は、それだけのことを負うんだ。そうなったら、
日本が本当に憲法の平和
原則を持った国として、いろいろな時期に、あなたが言うように平和的解決に向かってのイニシアチブをとろうと思っても、もうこれは多国籍軍の、
アメリカの追加
部隊みたいなものですから、それはもう世界から相手にされないですよ。
アメリカの側からいっても金しか出してくれないじゃないかと言う、相手の側からいえば金で
アメリカを応援しているじゃないかと言う。本当に道理を持った国として、この
イラクの侵略に対して、憲法の平和
原則を持ち道理を持った国として堂々と行動して、世界から尊敬される、信頼を得る、そういう道とは全く違った道に立たざるを得ない。
もし万が一核戦争ということになっても、
日本は、
日本政府は、あれだけ
アメリカで熱い議論が行われているのだが、万が一そういう軍事的選択が行われても、それは
イラクが侵略者であり国連決議が背景であるのだからこれは容認できる、そういう立場をとるのですか。