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1991-04-25 第120回国会 衆議院 本会議 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月二十五日(木曜日)     —————————————  議事日程 第十七号   平成三年四月二十五日     午後一時開議  第一 故李方子女史英親王妃)に由来する服     飾等譲渡に関する日本国政府大韓民     国政府との間の協定締結について承認     を求めるの件  第二 商標法の一部を改正する法律案内閣提     出、参議院送付)  第三 日本放送協会昭和六十一年度財産目録、     貸借対照表及び損益計算書  第四 日本放送協会昭和六十二年度財産目録、     貸借対照表及び損益計算書  第五 日本放送協会昭和六十三年度財産目録、     貸借対照表及び損益計算書  第六 下水道整備緊急措置法の一部を改正する     法律案内閣提出参議院送付)  第七 土地改良法等の一部を改正する法律案     (内閣提出参議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  日程第一 故李方子女史英親王妃)に由来す   る服飾等譲渡に関する日本国政府大韓民   国政府との間の協定締結について承認を求   めるの件  麻薬及び向精神薬不正取引防止に関する国   際連合条約締結について承認を求めるの件  日程第二 商標法の一部を改正する法律案(内   閣提出参議院送付)  日程第三 日本放送協会昭和六十一年度財産目   録、貸借対照表及び損益計算書  日程第四 日本放送協会昭和六十二年度財産目   録、貸借対照表及び損益計算書  日程第五 日本放送協会昭和六十三年度財産目   録、貸借対照表及び損益計算書  日程第六 下水道整備緊急措置法の一部を改正   する法律案内閣提出参議院送付)  日程第七 土地改良法等の一部を改正する法律   案(内閣提出参議院送付)  海部内閣総理大臣自衛隊掃海艇等ペルシャ   湾への派遣に関する報告及び質疑     午後一時二分開議
  2. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 御報告いたすことがあります。  永年在職議員として表彰された元議員上村千一郎君は、去る三月二十日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、議長において昨四月二十四日贈呈いたしました。これを朗読いたします。     〔総員起立〕  衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さき地方行政委員長大蔵委員長法務委員長の要職につき また国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等上村千一郎君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます      ————◇—————  議員請暇の件
  4. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  武藤嘉文君から、海外旅行のため、四月二十六日から五月六日まで十一日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。      ————◇—————
  6. 北村直人

    北村直人君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  日程第一とともに、麻薬及び向精神薬不正取引防止に関する国際連合条約締結について承認を求めるの件を追加して、両件を一括議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  7. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 北村直人君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。     —————————————  日程第一 故李方子女史英親王妃)に由来する服飾等譲渡に関する日本国政府大韓民国政府との間の協定締結について承認を求めるの件  麻薬及び向精神薬不正取引防止に関する国際連合条約締結について承認を求めるの件
  9. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 日程第一、故李方子女史英親王妃)に由来する服飾等譲渡に関する日本国政府大韓民国政府との間の協定締結について承認を求めるの件、麻薬及び向精神薬不正取引防止に関する国際連合条約締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。外務委員長牧野隆守君。     〔牧野隆守登壇
  10. 牧野隆守

    牧野隆守君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、故李方子女史英親王妃)に由来する服飾等譲渡に関する日韓協定について申し上げます。  本協定は、我が国大韓民国との間の友好関係及び諸分野における協力関係発展に資するための特別の措置として、平成元年四月にソウルで逝去された故李方子女史英親王妃)に由来する服飾装身具等東京国立博物館に保管されているもの二百二十七点を大韓民国政府に対して譲渡しようとするものであり、日韓政府間で交渉を行った結果、平成三年四月十五日東京において署名されたものであります。  本協定の主な内容は、我が国政府は、故李方子女史英親王妃)に由来する服飾等をこの協定効力発生後六カ月以内に大韓民国政府に対して対価なしに譲渡すること、大韓民国政府は、譲渡される服飾等が両国間の友好関係及び諸分野における協力関係発展に資することとなるよう適切な措置をとること等について規定しております。  次に、麻薬条約について申し上げます。  本条約は、昭和五十九年の国際連合総会において、近年の麻薬等の薬物の不正取引防止するための国際協力を強化するための法的枠組みを作成する作業を開始する旨の勧告が採択され、これを受けて国連麻薬委員会等を中心に、本条約案作成作業が行われた結果、昭和六十三年十二月にウィーンにおいて開催された条約採択会議において採択されたものであります。  本条約は、麻薬及び向精神薬不正取引防止及び処罰のための国際協力を促進することを目的とするもので、その主な内容は、麻薬及び向精神薬不正取引処罰不正取引による収益等の没収を義務づけ、犯罪人引き渡し等実施自国における条約の運用に関する資料の提出を義務づけるなど、国際的な枠組みを定めております。  故李方子女史英親王妃)に由来する服飾等譲渡に関する日韓協定は去る四月十八日に、また、麻薬条約は同月二十二日に外務委員会に付託され、昨二十四日両件について中山外務大臣から提案理由説明を聴取し、故李方子女史英親王妃)に由来する服飾等譲渡に関する日韓協定について質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。また、本二十五日麻薬条約について質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  11. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 両件を一括して採決いたします。  両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————  日程第二 商標法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  13. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 日程第二、商標法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。商工委員長奥田幹生君。     〔奥田幹生登壇
  14. 奥田幹生

    奥田幹生君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、サービス事業者使用するサービスマークを、商品について使用する商標と同様に、登録制度のもとで保護しようとするものであります。  その主な内容は、  第一に、商標の定義を、商品または役務について使用をする標章に改めること、  第二に、従来から不正競争目的でなくサービスマーク使用している者には、登録をしなくてもそのサービスマークを一定の範囲内で引き院使用できる継続的使用権を認めること、  第三に、経過措置として、先願の特例、重複登録等に関し規定すること等であります。  本案は、去る四月九日参議院から送付され、同日当委員会に付託となり、同月二十二日中尾通商産業大臣から提案理由説明を聴取し、昨二十四日質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  15. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 日本放送協会昭和六十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  日程第四 日本放送協会昭和六十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書  日程第五 日本放送協会昭和六十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書
  17. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 日程第三、日本放送協会昭和六十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書日程第四、日本放送協会昭和六十二年度財産目録貸借対照表及び損益計算書日程第五、日本放送協会昭和六十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書、右三件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。通信委員会理事川崎二郎君。     〔川崎二郎登壇
  18. 川崎二郎

    川崎二郎君 ただいま議題となりました三件について、通信委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本三件は、いずれも放送法第四十条第三項の規定に基づき、会計検査院検査を経て内閣より提出された日本放送協会決算であります。  まず、昭和六十一年度決算について申し上げます。  貸借対照表等によりますと、資産総額三千四百五十七億三千万円に対し、負債総額一千五百八十億七千万円であり、資本総額は一千八百七十六億六千万円であります。  次に、損益計算書によりますと、経常事業収入三千四百六十億六千万円に対し、経常事業支出三千四百七億三千万円で、差し引き経常事業収支差金は五十三億三千万円でありまして、これに経常事業外収支差金等を加えた当期事業収支差金は五十八億円であります。  次に、昭和六十二年度決算について申し上げます。  貸借対照表等によりますと、資産総額三千五百八十億六千万円に対し、負債総額一千六百四十五億九千万円であり、資本総額は一千九百三十四億七千万円であります。  次に、損益計算書によりますと、経常事業収入三千五百十五億一千万円に対し、経常事業支出三千五百二十八億四千万円で、差し引き経常事業収支差金マイナス十三億三千万円でありまして、これに経常事業外収支差金等を加えた当期事業収支差金は五十八億一千万円であります。  最後に、昭和六十三年度決算について申し上げます。  貸借対照表等によりますと、資産総額三千五百六十六億八千万円に対し、負債総額一千七百十二億二千万円であり、資本総額は一千八百五十四億六千万円であります。  次に、損益計算書によりますと、経常事業収入三千五百六十五億二千万円に対し、経常事業支出三千六百七十億四千万円で、差し引き経常事業収支差金マイナス百五億二千万円でありまして、これに経常事業外収支差金等を加えた当期事業収支差金マイナス八十億円であります。  以上三件につきましては、いずれも「検査の結果記述すべき意見はない。」旨の会計検査院検査結果が添付されております。  なお、昭和六十三年度決算には新たに監事の意見書が添付されております。  本委員会におきまして、去る二十四日、三件につきまして政府及び日本放送協会から説明を聴取し、質疑を行い、採決の結果、昭和六十一年度及び六十二年度決算全会一致をもって、昭和六十三年度決算賛成多数をもって、いずれも異議がないものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  19. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) これより採決に入ります。  まず、日程第三及び第四の両件を一括して採決いたします。  両件の委員長報告はいずれも異議がないと決したものであります。両件を委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり決しました。  次に、日程第五につき採決いたします。  本件委員長報告異議がないと決したものであります。本件委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  21. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 起立多数。よって、本件委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第六 下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  22. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 日程第六、下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。建設委員長桜井新君。     〔桜井新登壇
  23. 桜井新

    桜井新君 ただいま議題となりました下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、下水道の緊急かつ計画的な整備を促進することにより、良好な生活環境確保を図り、豊かな国民生活の実現に資するとともに、公共用水域の水質の汚濁を防止するため、建設大臣は、現行の下水道整備五カ年計画に引き続き、新たに平成三年度を初年度とする五カ年計画の案を作成し、閣議決定を求めなければならないものとするものであります。  本案は、参議院先議に係るものでありますが、去る四月九日本委員会に付託され、四月十二日大塚建設大臣から提案理由説明を聴取し、四月二十四日質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対して四項目の附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  24. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第七 土地改良法等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付
  26. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 日程第七、土地改良法等の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。農林水産委員長大原一三君。     〔大原一三登壇
  27. 大原一三

    大原一三君 ただいま議題となりました土地改良法等の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における農業をめぐる諸情勢の推移にかんがみ、土地改良事業の円滑かつ効果的な推進を図るため、国営及び都道府県営事業等における市町村負担明確化事業実施方式改善等措置を講じようとするものであります。  本案は、去る四月九日参議院より送付され、同日本委員会に付託されました。  委員会におきましては、四月十六日近藤農林水産大臣から提案理由説明を聴取し、四月二十四日質疑を行いました。同日質疑を終了いたしましたところ、日本共産党から修正案提出され、討論の後、採決いたしました結果、修正案は少数をもって否決され、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  28. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  29. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。     —————————————  内閣総理大臣発言自衛隊掃海艇等ペルシャ湾への派遣に関する報告
  30. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 内閣総理大臣から、自衛隊掃海艇等ペルシャ湾への派遣に関する報告のため、発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣海部俊樹君。     〔内閣総理大臣海部俊樹登壇
  31. 海部俊樹

    内閣総理大臣海部俊樹君) 昨日、臨時閣議において、自衛隊掃海艇等ペルシャ湾への派遣決定いたしましたので、御報告を申し上げ、御理解と御協力をいただきたいと存じます。(拍手)  御承知のとおり、昨年八月二日のイラククウェートに対する不法な侵攻及びその併合に始まった湾岸危機については、イラク正式停戦のための国際連合安全保障理事会決議六百八十七を受諾したことに伴い、正式停戦が成立いたしました。  ペルシャ湾には、この湾岸危機の間にイラクにより多数の機雷が敷設され、これがこの海域における我が国のタンカーを含む船舶航行の重大な障害となっております。このため、米国、英国、フランス、ドイツ、ベルギー、サウジアラビア、イタリヤ及びオランダは、掃海艇等派遣し、機雷早期除去に努力しているところでありますが、なお広域に多数の機雷が残存しており、これらの処理を終えるには、相当の日月を要する状況にあります。  ペルシャ湾は、世界の原油の主要な輸送経路一つに当たっており、この海域における船舶航行の安全が一日も早く回復されることが、国際社会の要請となっております。  この海域における船舶航行の安全の確保に努めることは、今般の湾岸危機により災害をこうむった国の復興等に寄与するものであり、同時に、国民生活、ひいては国の存立のために必要不可欠な原油相当部分ペルシャ湾岸地域からの輸入に依存する我が国にとっても、喫緊の課題であります。  こうした状況を踏まえ、政府としては、昨日、安全保障会議及びこれに続く閣議において、自衛隊法第九十九条に基づく措置として、我が国船舶航行の安全を確保するために、ペルシャ湾における機雷除去及びその処理を行わせるため、海上自衛隊掃海艇等をこの海域派遣することを決定いたしました。(拍手)  できるだけ速やかに準備を整え、関係諸国理解協力を得て実行することといたしたいと存じます。  今回の措置は、正式停戦が成立し、湾岸に平和が回復した状況のもとで、我が国船舶航行の安全を確保するため、海上に遺棄されたと認められる機雷除去するものであり、武力行使目的を持つものではなく、これは憲法の禁止する海外派兵に当たるものではありません。  歴史の深い反省に立って誓った「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」という平和国家の理念を将来にわたり堅持する決意に変わりはありません。  国際社会において大きな責任を果たすことが求められている我が国としては、資金物資面での支援のみならず、これらとあわせて人的な支援を行っていくことが必要であることは、広く御理解をいただいておるところでありますが、今回の措置は、船舶航行安全の確保及び被災国復興という平和的、人道的な目的を有する人的貢献策一つとしても意義を有するものと考えます。  重ねて、皆さんの御理解と御協力を切に希望するものであります。(拍手)      ————◇—————  内閣総理大臣発言自衛隊掃海艇等ペルシャ湾への派遣に関する報告)に対する質疑
  32. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。船田元君。     〔船田元登壇
  33. 船田元

    船田元君 私は、自由民主党を代表して、このたびの海上自衛隊掃海艇ペルシャ湾への派遣決定について、総理に対して若干の質問を行います。  昨年八月のイラククウェート侵略以来、我が国は、国際正義に反するイラク行為を批判し、国際社会の中でいかなる貢献ができるかを真剣に模索し、さまざまな貢献策を実現してまいりました。しかしながら、我が党内の外交政策の取りまとめに当たってきた私としては、資金物資の面での貢献のみならず、人的な面でのより積極的な貢献を行っていくことが、我が国の現在と将来にとって極めて重要であると痛感をいたしております。  今回の政府掃海艇派遣決定は、まさに我が国国際社会に対する人的貢献を飛躍的に前進させるものであり、私は断固としてこれを支持するものでありますが、総理としては、具体的にいかなる点を考慮され、今般の決断に至ったのかをまずお尋ねいたしたいと思います。(拍手)  第二に、我が国湾岸地域石油輸入の七割を依存しており、また、ペルシャ湾には常時日本船舶が多数航行しているという現実があります。もし仮に、日本ペルシャ湾機雷除去作業に何らの協力も行わず、ペルシャ湾が安全になった後に我が国の船が商売に出ていくというようなことになったら、日本はやはり汗もかかず、経済的利益にしか関心のない国だと思われても仕方がありません。  このような観点からも、このたびの決定は、我が国国家としての存立国民生活の維持のためにも避けて通れない決断であり、なおかつ、これは他国から要請されているか否かの問題ではなく、我が国が自主的な判断に基づいて決定すべき事柄だと思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。  第三は、掃海艇派遣に関する法的な問題であります。  イラン・イラク戦争の続いていた昭和六十二年に、当時の中曽根内閣において、機雷除去するために我が国掃海艇ペルシャ湾派遣することは、憲法が禁止する海外派兵には当たらず、また、自衛隊法上も支障はないとの見解を明らかにしました。今回の派遣決定に至る政府部内の検討においても、当然この見解を踏まえつつ、さらには、国連安保理決議六百八十七号に基づいて正式停戦が成立したこと、また、ペルシャ湾機雷海上に遺棄されたものとみなされることなど、状況を総合的に判断して決定されたと考えております。ここで改めて、今回の派遣憲法自衛隊法上の規定から見て支障がないのかどうか、総理の御見解をお伺いいたします。  第四に、今回の措置は、自国船舶や船員の安全を自国責任確保するためのものと考えますが、それは同時に、湾岸被災国復興のためにも役立ち、さらには、湾岸諸国との経済関係を有する多くのアジア諸国の経済的安定にも寄与するはずであります。この観点からすれば、このたびの掃海艇派遣については、湾岸諸国も、アジア近隣諸国も、基本的には十分理解をしてくれるものと思います。  しかし一方では、さきの大戦中における我が国アジア諸国での行為が、彼らをして我が国の自衛隊派遣問題に強い関心を抱かしめていることも忘れてはなりません。特に、二十七日からASEAN諸国を訪問される総理には、今回の派遣決定について、誠意を持って説明すべきであると思いますが、総理はいかがお考えでしょうか。また、派遣される掃海艇航続距離関係上、数カ所の港に立ち寄らなければなりませんが、寄港先諸国理解を得ているかどうかもあわせてお伺いいたします。  第五は、国内の世論の問題であります。  最近のマスコミ等による世論調査を見ますと、掃海艇派遣については、国民の過半数が支持しているものと思われます。これは、我々国民が今回の湾岸危機に直面をして、日本のみが一国平和主義の惰眠をむさぼることはもはや許されず、国際社会の枢要な地位を占めるに至った我が国が、その地位にふさわしい責任を果たさなければならないこと、さらには、金や物による貢献だけではなく、人的な貢献、汗を流す貢献をしなければだめだという、健全な意識が多くの国民の間に生まれてきた証拠ではないかと思うのであります。(拍手総理は、このような国民世論の動向をどう見ておられるか、率直な御感想をお聞かせいただきたいと思います。  第六は、掃海作業の実際面であります。  多くの専門家は、我が国掃海艇は国際的にも極めて高い掃海能力を有していると指摘しております。しかし、また一方では、アメリカを初め八カ国の掃海作業が円滑に進んでおり、我が国掃海艇が現場に到着したときにはもはや十分な役割を果たし得ないのではないかと懸念をする向きもあります。こうした点を踏まえ、総理は、我が国掃海艇が現地においてその役割を十分に果たし得ると考えておられるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。  最後に、今回派遣される自衛隊員の処遇の問題について質問いたします。  我が国の掃海能力が大変高いということは、同時に、その作業における安全性も高いということを意味しております。しかしながら、機雷除去という任務の性格上、その危険性をすべて排除することはできません。そこで、政府の自主的な判断によって自衛隊を派遣するからには、当然のことながら、彼らが後顧の憂いなくその任務に取り組めるよう、処遇面についても万全の対策を講ずべきだと思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。  以上、掃海艇派遣に関する若干の質問を行いましたが、私は、憲法の前文にある「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」との崇高な精神を、このたびの決定によって今こそ実現しなければならないと確信をするものであります。  掃海艇とその乗組員が、与えられた任務を十分に達成され、無事に帰還されることを心から祈りつつ、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣海部俊樹登壇
  34. 海部俊樹

    内閣総理大臣海部俊樹君) 船田議員にお答えを申し上げます。  私は、去る四月の十二日に国連の安全保障理事会で六百八十七号の決議が正式に発効をしたということ、同時に、ペルシャ湾に千二百個とも言われる多数の機雷を敷設したということを当事者のイラク側が発表をしておるということ、そのペルシャ湾というのは我が国を初め世界の原油の主要な輸送経路に当たっておるということ、この海域航行安全の回復は、国際社会にとっても、湾岸被災国にとっても、また私自身にとっても、日本の国にとっても、これは国民生活に必要不可欠な原油の通商路であるということ、こういう状況を踏まえますと、あの地域における状況の変化の中で、能力を持つ者がすべて国際協力をし合って安全確保を図ることは極めて大切な要素であると確信をいたしております。  また同時に、多国籍軍に参加しておったころからのいろいろな国が既に掃海作業に当たっておるということは、申し上げたとおりでございますけれども、平和が回復されたという状況のもとで、なおこれを黙って見ておるだけではなくて、能力がある者は、そしてまた、我が国にとっても必要不可欠な原油の航海路でありますから、これに対する除去作業を行わなければならないという立場でありました。  法制面においての問題について、議員は二つに分けてお示しになりました。  一つは、どこかから要請があったかということですが、要請はございません。  また、憲法並びに自衛隊法の上からはどのような判断をしたかということでございますが、憲法が第九条において禁止しておりますことは、これは国権の発動である戦争と、武力による威嚇または武力行使目的としていわゆる海外派兵をすることでございます。武力行使目的を持たずして、平和が回復されたところへいわば危険物の除去のつもりで行くわけでありますから、憲法上これは禁止されておる問題ではございませんし、また自衛隊法においては、第三条に本来の国を守るという任務が書いてありますが、第八章の九十九条には、危険物を除去処理することができるという権限がきちっと明記されてあるわけであります。  私は、このような判断に立って、九十九条によって与えられた自衛隊の権限というものに基づいて行い得る行為でありますから、これはやるべきであると考えますし、憲法自衛隊法においてやることが許される以上、これについては、国際社会に対する日本貢献という立場から、積極的に参加をし、協力すべきであると考えた次第でございます。(拍手)  また、アジアの国々に通報をし、おおむねの御理解をいただいており、また、寄港地等からは必要な補給も認めるという好意ある反応を受けておりますが、一部の国に懸念ありとの報告も受けております。この御指摘に対しては、いろいろな問題を通じて、私どもは歴史の反省に立って、海外派兵をしようとするものではない、軍事大国になろうとしておるものではないという平和国家の理念、これを堅持するということを誠意を持って説明をして御理解をいただき、世界の平和と安定のために必要不可欠な物資の通商航海路の安全確保を図るものである、このことを私は誠意を持って説明をしてくる考えでございます。(拍手)  また、我が国の掃海能力につきましても、防衛庁長官を通じて慎重に調査をし、対処を考えましたが、戦後、きょうまでの間に、一説によると七千個とも言われる機雷の実際の掃海をいたしました。あらゆる種類の機雷に対して対処し、処理する経験と技術が国際的にも評価をされておると聞いておりますし、なお、相当の日月をかけてあの地域の航路の安全確保には万全を期さなければなりませんので、私は、隊員の諸君が安全に、しかも能力を発揮して、国際社会のために立派に任務を果たして帰ってくることを強く期待をいたしておる次第であります。  最後に、諸手当、賞じゅつ金等について御議論がございました。それらの問題につきましては、この任務の持っておる危険性とか国際社会における必要性、重要性を考えて、担当の部局において十分な対応をするよう指示がいたしてあります。そのように取り計らいます。(拍手)     —————————————
  35. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 上原康助君。     〔上原康助君登壇
  36. 上原康助

    ○上原康助君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、政府が昨日決定した、ペルシャ湾における機雷除去という美名のもとに海上自衛隊の掃海部隊派遣について、若干の質問をいたします。  まず指摘をし、たださねばならないことは、今回の政府決定は、憲法並びに自衛隊法の許容範囲を著しく超えており、到底容認できるものではないということであります。(拍手)この政府のとらんとする行為は、明らかに超法規的措置であり、我が国の国防の基本方針の転換を意味し、従来政府が主張してきた自衛隊の専守防衛の基本任務とも矛盾し、その行動範囲を地球規模に拡大していこうとする暴挙と断ぜざるを得ません。(拍手)  総理湾岸戦争が終わり、武力行使に巻き込まれるおそれがないからとか、人的国際貢献がたとえ必要ありとしても、十分な国会論議を経ないまま国の基本法を無視した政府独断の越権行為を、法治国家である以上認めることはできません。法的、制度的に未整備のまま自衛隊の海外派兵に道を開く安易な手法は、将来に悔いを残し、我が国の国際的地位をかえって不安定なものにしかねない懸念が持たれております。この件に関する総理の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)  第二の問題点は、昨年秋の国連平和協力法案が廃案になった教訓が生かされていないということであります。  総理、平時であろうが有事であろうが、武力集団である自衛隊を組織的に海外に派遣することは無理があるという答えが出たじゃありませんか。なればこそ、自衛隊によらない国際貢献策を早急に策定するとの自公民合意に至ったものと承知をいたしております。我が党も、文民を主体とする非軍事、民生の協力を柱とする法律案を準備しつつあり、この原則においては、共通の基盤ができつつあるのであります。  しかるに、政府・自民党は、この与野党の共通した考えを反映させて、国際的危機に我が国が対応していくため、法的、制度的裏づけの伴う施策の確立を急ごうとせず、場当たり的に特例政令で自衛隊機を飛ばそうとしたり、今度もまた確たる法的根拠もないまま、自衛隊をはるか一万二、三千キロも離れた中東地域にまで派遣しようとすることは、国民合意の形成よりも、まずは自衛隊の海外派遣の既成事実をつくろうとする意図が見え見えじゃありませんか。(拍手)  政府は、この掃海部隊の派遣を突破口にして、現行法規の無謀な拡大解釈によって、さらには陸、空の海外派兵を恒常化させようと考えているのではないのか。政府の包括的国際貢献策と自衛隊の海外派遣に対する法的歯どめをいかように設けるのか、明確にお答えいただきたいのであります。(拍手)  第三点は、掃海艇派遣が国論を二分し、国内における法的手順や手続さえも不明瞭のままの見切り発車となれば、果たして国際的評価が得られるのかどうかということであります。  特に、アジア近隣諸国は、我が国の自衛隊の海外派遣について強い不快感と懸念を表明しております。米国政府でさえ、掃海艇派遣をもろ手を挙げて歓迎しているのではないのであります。中国や韓国を初めとするアジア近隣諸国の懸念に対し、政府見解を求めておきたいのであります。  次に、具体的な問題について二、三お尋ねしておきたいと存じます。  その一つは、機雷除去が国際的に共通の利益につながるとするならば、なぜ国連または国連安保理がこのことについて協議し、その対策を講じようとしないのか、疑問が持たれます。政府は、国連関係機関から機雷除去作業について相談を受けたことがあるのかないのか、明らかにしていただきたい。  その二つは、周知のとおり、戦時に敷設された機雷などは、戦争終結後は速やかに敷設国が撤去することが国際法の原則となっているはずであります。機雷敷設は、イラクのほかにアメリカによる敷設や、イラン・イラク戦争時の残留もあると言われており、複数国である可能性が強いのであります。したがって、敷設国の特定と、敷設国みずから撤去する責任があると言わなければなりません。その点の確認はされたのか。なぜ日本がこの任務を分担せねばならないのか、その理由を明らかにしていただきたいのであります。また、日本に対して、国連または他の国際機関やいずれかの国から掃海艇派遣の要請があったのかどうかも明らかにしていただきたいのであります。  その三点は、掃海部隊の派遣決定に至るまでに、ペルシャ湾機雷の敷設場所、その性能、その数、掃海水域の特定、掃海水域の諸条件、他国の掃海活動との関係、補給問題等について、いかなる国からどのような情報提供を受けているのか、答弁を求めます。また、機雷は遺棄物と確定されているのか、掃海作業は公海上に限るのか、他国の領海にも及ぶのか、掃海活動の期間、その予算等についても明らかにしていただきたいのであります。  その四点は、ペルシャ湾海域における我が国のタンカーを含む船舶の重大な障害になっているので掃海部隊を派遣するとのことであるが、これは日米両国政府の誇張的な政治宣伝のおそれなしとしないのであります。湾岸戦争中でさえ、我が国への原油輸送にさほどの支障はなかったはずであります。現在具体的にどのような支障があるのか、明確にしていただきたいのであります。  掃海部隊の派遣が真に国際的要請に基づくものでなしに、特定企業の権益保護、あるいは、何が何でも自衛隊の海外派遣の既成事実をつくろうとする政治勢力に押されたものであるとするならば、それこそ平和国家としての我が国の戦後史を傷つけ、今後の指針を誤らしめる結果を招きかねません。総理見解を求めます。  最後に、湾岸地域の戦後処理復興について諸問題が山積していることは、我が党もよく承知をいたしております。油井火災の消火、流出原油の回収、環境の回復、クルド人や被災民の救済対策などについては、日本資金面、物資、技術協力や人的面において、もっと積極的かつ有効な援助をタイミングよく展開すべきであります。  総理、十分な国民合意がないままなし崩し的に自衛隊の海外派遣を急ぐのでなしに、包括的国際貢献策を法的、制度的に確立することこそ、今急務であります。我が党も、そのための合意形成に積極的に参画する用意があることを表明して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣海部俊樹登壇
  37. 海部俊樹

    内閣総理大臣海部俊樹君) 上原議員にお答えをいたします。  私は、国会のきょうまでの長年の御議論の中で、自衛隊問題について、海外派兵と海外派遣と明確に区別をされて議論されてきたという経緯を、議員もよく御承知のことと思います。今回の行為海外派兵に道を開くためのものである、こう言われますけれども、そんなことは全くないわけであって、自衛隊の海外派遣の中で、特に、三条の本来の業務以外に、自衛隊の権限として与えられておる第八章の中の九十九条に、海上自衛隊には機雷除去が任務として権限として与えられておるわけでありますから、これはあくまで武力行使武力行使を伴う武装部隊の海外派兵ではなくて、九十九条に基づく海外派遣であるということを、私の考え方として明確に申し上げておきます。  また、憲法の問題にしても、憲法の認めていないのは、あくまで国権の発動たる戦争と、武力の威嚇、武力行使を認めていないわけでありまして、世界の生活にとって必要不可欠な原油の重要な輸送航海路に遺棄されたと認められる機雷除去して、航路の安全を確保するという行為は、これは武力行使ではありません。武力の威嚇でもありません。したがって、憲法の禁止するものではないのであります。(拍手)  また、あの地域は、イラク政府が千二百個に及ぶさまざまな種類の機雷をあの付近に敷設したとみずから国連に言っておるわけであります。その敷設したものを敷設した人が片づけるべき、それが国際法だとおっしゃいますが、今回の武力行使によってイラク海軍の能力がなくなったという報道が多数なされておりましたし、能力のない者にやれやれと言うのはやらないと同じことであって、やれる能力のある者がみんな力を合わせてやることが大切なのではないでしょうか。  この問題は、皆さん、機雷だけではありません。あの紛争中に原油をたくさん垂れ流した行為、油井を炎上させた行為、それがいかに人類の未来に対して大きな深刻な疑問を抱かせておるかということであります。そういった意味で、原油の回収作業にもできるだけの努力をしております。オイルスキマーも三十台出して、日本は汗を流して回収作業に努めておるのです。やれる能力ある者がみんなでやることが、お互い国際社会のための協力ではないでしょうか。(拍手)  私は、そういう観点に立って、今回憲法上の問題も自衛隊法の問題も、これは法制面には問題はないものと判断をし、また、あの機雷も、敷設をした者がその意思を放棄して、ここに放棄されておる、ここにありますよと言ってあるべき場所を示しておるわけでありますから、これは遺棄された機雷と認めて結構なものであると思うわけであります。そういった意味で、今後その機雷除去作業に私どもが当たるということは、これは常に世界の平和と世界の安定を願うという日本の平和憲法の平和理念、国際協力の理念にも合致するものであると私は信じておるわけであります。  今後とも、あの地域の問題については、でき得る限り許される範囲内で積極的な協力をしていきたい。今回のことは、許される人的貢献一つであり、日本の国の必要不可欠とする原油の輸送路の安全確保と、結果としては周辺国の復興にも協力をし、国際社会に対する貢献にもつながるものであると私は判断をして、閣議決定をした次第でございます。(拍手)     〔国務大臣中山太郎君登壇
  38. 中山太郎

    ○国務大臣(中山太郎君) 上原議員にお答え申し上げます。  まず第一に、機雷除去が国際的に共通の利益につながるとするならば、なぜ国連または国連安保理がこのことについて協議し、またこの対策を講じようとしないのかということでございますが、国連安全保障理事会は、停戦促進を目的とした決議六百八十六第三項におきまして、イラクに対し、イラク領域及び隣接水域におけるイラクの地雷、機雷等に関する情報の提供を要請しております。  なお、国連機雷処理につき、現在までのところ特定の国に依頼したことは承知しておりません。また、我が国政府国連関係機関に対して機雷除去作業について働きかけたこともございません。  第二のお尋ねでございますが、機雷敷設国の特定と、敷設国みずからが撤去する責任があると考えるが確認をしたのかということでございます。  ペルシャ湾には湾岸危機の間にイラクにより敷設された機雷が多数残存をしております。イラクは、これらの機雷をみずから除去をせず、他の国が除去することを当然の前提として、国連安保理決議六百八十六に従ってその敷設状況についてデータを提供しておるのでございまして、これらの機雷イラクにより遺棄されたものと認められるわけであります。機雷除去は、第一義的には敷設国の責任考えられますけれども、船舶航行の安全の確保から第三国がこのような機雷除去協力することが排除されてはおりません。また、このような協力は、人道的な貢献一つとして意義を有するものと考えております。  次に、日本に対し、国連または他の国際機関から、あるいはいずれかの国から掃海艇派遣の要請があったのかというお尋ねでございますが、国連あるいは他の国際機関またはいずれの国からも、掃海艇派遣についての要請は行われておりません。  次に、掃海部隊の派遣決定に至るまでに、ペルシャ湾機雷の敷設場所、その性能、数、掃海水域の特定、掃海水域の諸条件、他国の掃海活動との関係、補給問題等について、いかなる国からどのような情報の提供を受けているかというお尋ねでございます。  掃海艇派遣している各国から外交ルートを通じましていろいろと情報を得ておりますけれども、情報を提供した相手国との関係もあり、得た情報をすべて公表することは差し控えたいと思います。  また、機雷敷設地域は、一部クウェートイラク領海に含まれているが、他は公海上と承知をいたしております。  なお、現在、アメリカ、イギリス、フランス、イタリー、ベルギー、オランダ、ドイツ、サウジアラビアがペルシャ湾掃海艇派遣しており、掃海艇数は二十六隻と承知をいたしております。また、これら諸国との間では、必要な実務的協議、調整等を行う必要があろうが、その際、特定国が特定国を指揮をとるといったことはございません。  次に、イラクが敷設した機雷の数は約千二百個でございまして、場所は、ペルシャ湾北西部の北緯二十八度三十分以北かつ東経四十九度三十分以西の海域に分布していると思われます。現在、各国の掃海艇により掃海作業が進められておりますが、いまだ同海域での触雷の危険はなくなっていないものと認識をいたしております。  他方、同海域沿岸の諸港に至る航路については、クウェート復興原油生産の再開が進むにつれて、クウェートへの復旧物資の輸送、原油の搬出を初めとする通商一般の拡大が予想され、今後我が国船舶が同海域航行する必要性が高まるものと考えられております。  こうした点にかんがみますと、機雷除去作業による航路の安全の確保は、我が国船舶の安全な航行確保する上で極めて重要であると思われます。  なお、これまでのところ、日本関係船舶航行先は、サウジアラビアのジュベイル、ラスタヌラ及びイランのカーグ島までと相なっております。  なお、掃海艇ペルシャ湾まで派遣するには途中何カ国かの港へ寄港する必要があると思われるが、どの港に寄港するのかというお尋ねでございます。  ペルシャ湾には、マラッカ海峡、インド洋、アラビア海を通って入ることになると考えられます。寄港地に関しましては、これまで関係諸国に対し事前の打診を行ってきておりまして、関係諸国よりは好意的な反応を得ておりますが、昨夜の政府決定を受けて、現在、関係諸国に改めて正式の要請を行っているところであります。  これまでのところ、寄港地としては、フィリピン及びシンガポールに入港することにつきましては先方の正式の了解を得ておりますが、その後の寄港地につきましては、相手国との関係もございまして、現時点で明らかにすることは差し控えたいと存じます。(拍手)     〔国務大臣池田行彦君登壇
  39. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 上原議員にお答え申し上げます。  まず、今回の措置の対象となる機雷は遺棄物であるかという点でございますけれども、これは先ほど来、総理、外務大臣からもお触れになりましたけれども、イラクはみずから機雷除去せず、他の国が除去することを当然の前提として、機雷の敷設状況についてのデータを多国籍軍側に既に提供しております。また、イラクが安保理決議六百八十七号を受諾いたしまして、日本時間での四月十二日、安保理議長より正式停戦効力発生の書簡がイラク国連大使に手交され、正式停戦が成立しておる。こういう事情を勘案いたしまして、イラクによる遺棄の意思が推定されますので、遺棄されたものと認められる、このように考えております。  次に、掃海作業海域でございますけれども、ペルシャ湾のどの海域について機雷除去が必要なのか等につきましては、今後さらに情報収集を行い、詰めてまいる必要がございますけれども、一般的な法律論で申しますと、他国の領海におきましても、当該国の同意があれば機雷除去を行うことはできる、このように考えております。  次に、掃海艇等派遣期間でございますけれども、気象条件、機雷の敷設状況あるいは敷設の位置等によりまして動いてまいりますので、現階段においては確定しておりません。  また、経費につきましても、派遣期間について流動的な要素がございますので、現段階においては確たることは申し上げられないところでございます。(拍手)     —————————————
  40. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 山口那津男君。     〔山口那津男君登壇
  41. 山口那津男

    ○山口那津男君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました自衛隊掃海艇等ペルシャ湾への派遣に関する報告に対して、今回の自衛隊の海外派遣決定に強く反対するとともに、総理、外務大臣並びに防衛庁長官に対し、自衛隊の海外派遣という国家政策の重要問題について政府の基本姿勢をただすものであります。(拍手)  今回の政府決定は、自衛隊の海外派遣に関する国会論議がほとんど行われないまま、現行法の拡大解釈により政府が一方的に決定したこと、また、掃海艇の海外派遣目的が国際貢献にあるのか、我が国船舶航行安全の確保にあるのか不明確であり、法的根拠に大きな疑義があることなど重大な問題を有するものと言わざるを得ません。  自衛隊の組織としての海外派遣は、これまでも幾度となく論議され、そのたびに海外派兵につながりかねないなどとして見送られてきました。特に、昭和六十二年九月の国際緊急援助隊設置に当たっては、わざわざ自衛隊の参加を除外し、さらに昨年の国連平和協力法案は、国民的合意が得られず廃案、そして、自民、公明、民社の三党合意では、国連のPKOに協力する組織として、自衛隊とは別個に新たな組織をつくるものとしたのであります。国の重要な政策の変更を行政府の裁量によって行うことは、到底法治国家として許されるものではありません。  今回の掃海艇派遣決定に当たっては、こうしたこれまでの議論や経緯を無視し、自衛隊発足以来初めての組織的な海外派遣を一方的に決定したのであります。こうした政府の姿勢は、民主主義のルールを無視し、シビリアンコントロールを形骸化させるものであり、将来に重大な禍根を残すものであります。  政府・自民党内においても、堂々と議論して国民理解を得るべきなのにとか、なし崩し的な海外派兵につながらねばよいがなど、拙速な派遣決定を危ぶむ声が出されたことでも明らかなように、十分な論議が尽くされたとは到底考えられないのであります。  総理は、これまで自衛隊の海外派遣問題に対して示されてきた国会の意思というものをどのように理解されておられるのか、基本的な見解を伺いたいのであります。  そもそも、自衛隊設置の目的は、自衛隊法三条に「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」とあるように、あくまで自国の防衛に限定されており、これ以外の目的や領域外での活動は、原則的には想定しておりません。  掃海艇派遣の法的根拠としては、政府自衛隊法九十九条の掃海業務の規定を挙げておりますが、この規定は、第二次大戦後、日本近海に浮遊する機雷処理を行うため置かれた規定であり、領海内と書いていないからよいとか、日本のタンカーの通路だからとの理由で、日本の領土から遠く離れたペルシャ湾へ掃海部隊を派遣できると読むことは、立法の経緯からも拡大解釈と言わざるを得ないのであります。なぜ法改正の手続をとらないのか、なぜ国会で堂々と論議をしないのか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)  ところで、これだけの法的疑義があるにもかかわらず、論議のいとまもなく派遣すべき緊急の必要性があるのか否か、具体的に伺います。  機雷の敷設海域は北緯二十八度三十分以北、東経四十九度三十分以西のクウェート及びイラクの沖合に限られると言われており、ペルシャ湾の深奥部の一部にすぎません。まず、この海域における機雷の種類と残存個数と作業期間を示して、掃海の必要性を説明してください。  政府は、自衛隊法九十九条を根拠とするからには、我が国船舶航行の安全を確保するわけですが、ある海事団体の機関誌によれば、海運会社課長の発言として、クウェートには今のところ配船の予定はなく、仮に配船する場合でも、米軍とクウェート軍がエスコートしてくれる制度があるので、せっぱ詰まった問題ではないと、こういう記載があります。  クウェートではほとんどの油井が炎上中であり、当分の間、日本のタンカーの配船は考えられません。また、一般の商業港については、私が三月十七日、湾岸戦争後、日本の議員として初めてクウェートを訪れた折に、サアド首相らが商業港は三月十三日に開港した旨語っておりまして、自衛隊の掃海作業が始まるころには既に二カ月半を経過するわけですから、相当程度安全は確保されるはずであります。このような状況で、クウェート海域での我が国船舶航行の安全を緊急に確保する必要性が一体どこにあるのか、具体的に御答弁願います。(拍手)  次に、サウジアラビア北東沿岸のカフジには我が国の開発した原油積み出し港がありますが、北緯二十八度三十分の危険ラインからは緯度にして五分余り、距離にして約十キロ南に位置するわけですが、正確な機雷敷設海域の南端からはさらに距離があるものと思われます。総理は昨晩の記者会見で、千二百個もの機雷が浮遊していると明言されましたが、私が四月十六日内閣委員会で質問した際は、政府は、浮遊機雷があるとの報告は受けておらず、触雷事故の報告もない、このような答弁でありました。この距離関係と浮遊の実情からして、カフジ港への航行に関し具体的な危険性が一体あるのでしょうか。  さらに、航行の安全確保のためにはクウェート及びサウジアラビアの領海内の掃海が必要であり、両国の要請がなければできないはずであります。私が三月十六日にサウジアラビアのファハド国防大臣、十七日にクウェートのサアド首相、ナーセル外務大臣との会談で確認したところによれば、掃海作業は基本的には多国籍軍の問題であるとして、いずれも我が国掃海艇派遣について、拒否はしないまでも積極的要請は示さず、他の経済的、技術的支援を強調されました。その後、今日まで両国から明確な要請があったのであればお示しいただきたい。  最近の世論調査では、派遣に肯定的な数字が出ていると言われますが、自衛隊法九十九条を根拠とする限り、以上の点で正確な情報が与えられた上でなければ意味のある数字とは言えないと考えます。  自衛隊を国際協力に使うということは、いまだ国民的なコンセンサスが十分にできているとは到底言えません。そして、自衛隊に国際協力の任務を負わせることは、まさに自衛隊の基本にかかわる重要な問題であり、国民的論議と法改正を含めた民主的な手続が必要であると考えるのでありますが、この点について納得のいく説明をしていただきたいと思います。(拍手)  これまでも政府は、自衛隊輸送機の中東への派遣を、特例政令を制定して派遣しようとして、結局要請がないから取りやめるなど、なし崩し的に海外派遣を行おうとしてきたのであります。今回の掃海艇派遣問題もその延長線上にあるものであり、このような国民無視、国会軽視の政府の姿勢こそ厳しく問われなければなりません。(拍手)  今回の決定によって、自衛隊の海外派遣は、法解釈上の歯どめがなくなることは明らかであります。今後米国などから自衛隊の海外派遣を求められることも十分に予想されるのでありますが、総理は歯どめをどう考えているのか、示していただきたいのであります。  私は、日本の人的国際貢献の必要性を否定するものではありません。しかし、今回の政府のとった措置は拙速に過ぎ、到底納得できるものではありません。ペルシャ湾への掃海艇派遣決定を撤回することを強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣海部俊樹登壇
  42. 海部俊樹

    内閣総理大臣海部俊樹君) 山口議員にお答えをいたします。  私は、国会のいろいろな議論というものを十分踏まえておりますし、また、海外派遣問題に対してとおっしゃるが、海外派遣海外派兵が明確な区別をつけて国会でも議論がされ続けてきた問題であるということを、私はもう一回申し上げさせていただきたいと思います。  そうして、御指摘になったPKOの問題は本件とはこれは別でありますから、三党合意に基づいていろいろな議論をしておるときに、自衛隊とは別個の組織でこれをやって、いかにして新しい国際社会への協力考えていくかという角度から御議論がなされており、そのお話が続いておることは私もよく承知いたしておりますし、政府もまた、そのような形で、許される範囲で日本国際協力のあり方、仕組みというものを国連を中心として考えていきたいと思っておる、その気持ちにいささかの変化もありません。  御指摘になりました自衛隊法の三条の問題は、確かに主たる任務は三条に書かれておるそのものであります。しかし、自衛隊法には第八章があって、その中の九十九条にこの掃海艇機雷処理の問題が出ており、議員は今、日本近海のとおっしゃいましたが、距離の制限は、あの条文にはどう読んでも書いてございません。あれは公海上の問題でございます。したがって、我が国船舶の安全確保のために機雷処理をしなきゃならぬということは考えなくたっていいことなんでしょうか。私はそれを考えなければならないと思っておるのであります。(拍手)  したがいまして、お互いに、国の存立にとっても国民生活にとっても、あの地域の原油は必要不可欠なものであり、世界にとっての重要な通商航海路でありますから、確かに日本が多くを期待しておりますが、あの中東地域の油は、日本に対して約二〇%、その他はそれ以外の国への国際的な重要な通商路でありますから、私は、これに対する貢献は国際貢献という面も確かに持っておる、同時に、あの地域で今油井が炎上中だとおっしゃいましたが、そういった国々の復興のためにも、あの海のあの状況というものは放置できない問題があります。(拍手)  私は、必要性があるのかどうかとおっしゃいますが、千二百個も敷設をしたということを言われれば、これは取り除かなければ危険であって、我が国船舶だけに限ってみても、これは非常に生命の安全に重大な危機があると思います。また、私は、機雷が敷設されておる、こういうことを言いましたが、係留機雷もあります。しかし、浮遊しておる機雷も現にあるから、この間のテレビの画面では、浮遊しておる機雷を爆破しておる作業が画面に映っておったのではありませんか。ですから、係留機雷が浮遊してくることもあるわけであるし、とにかく、どのような状態で、幾つあるかということは私にはわかりませんから、それを厳重に調査をして、念には念を入れて掃海をさせよう、こう思っておるところでございます。私は、そういった意味で、九十九条がなければいけませんが、九十九条に権限として明らかに示されておるわけでありますから、また、これは今回初めて起こった問題ではなくて、大変恐縮ですけれども、きょうの午前中の委員会でも、昭和五十五年の御議論とか昭和六十二年の御議論、これらが全部私との質疑応答で出てきました。今回突如出てきた掃海艇の問題ではございません。また、六十二年の議論のときはイラン・イラク戦争のさなかの問題だったから、その機雷が浮遊機雷なのか遺棄された機雷なのか、あるいは武力行使に当たるのか当たらないのか、いろいろな御議論があったことも、これはよく私も承知しておりますが、国連決議で停戦が成立して平和になりました以上は、その議論はすべて解決をされた、異なった状況国連決議の平和回復によってあらわれておると思いますので、九十九条によって公海上作業もでき得るもの、こう判断をした次第でございます。(拍手)     〔国務大臣中山太郎君登壇
  43. 中山太郎

    ○国務大臣(中山太郎君) 山口議員にお答えを申し上げます。  イラクにより敷設された機雷ペルシャ湾北西部に多数残存をしておりまして、これらがこの海域における我が方のタンカーを含む船舶航行の重大な障害と現在なっております。  各国の掃海部隊は、各海域で掃海作業実施中でありますが、機雷除去し、航路の安全を確保するまでにはなお相当の時間を要すると見込まれております。  ペルシャ湾は世界の原油の主要な輸送経路一つでございまして、この海域における船舶航行の安全が回復されることが国際社会の要請となっているところでございます。  次に、正確な機雷の敷設海域との距離関係と浮遊の実情からして、カフジへの航行に関し具体的な危険性が一体あるのかというお尋ねでございました。  サウジの諸港に至る航路につきましては、一般に機雷の危険はないものと思われますが、同国のカフジ港に至る航路については、直接に機雷で封鎖されていないものの、同港とクウェートが極めて近接していることもあり、浮遊機雷の危険等は排除できないという認識がございます。  第三のお尋ねは、クウェート、サウジの両国政府から事前に我が国掃海艇派遣の要請があったかというお尋ねでございますが、クウェートにつきましては二十四日、我が国決定を受け、一在京のアルシャリフ・クウェート大使が、我が国掃海艇派遣を温かく歓迎する旨表明しておりますし、また、サウジ政府との接触の過程で、同政府よりも好意的な反応を得ております。(拍手)     〔国務大臣池田行彦君登壇
  44. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 山口議員にお答え申し上げます。  まず、機雷の種類と個数でございますけれども、係維機雷及び沈底機雷千二百個程度が敷設され、その地域は北緯二十八度三十分以北かつ東経四十九度三十分以西のペルシャ湾海域、こう言われております。諸国の掃海作業によりまして、三月末の時点で約三百個の機雷処理されたと言われておりますし、その後も除去が進んでおると思いますけれども、現段階におきましても、なお数百個の機雷が残存しておるのではないかと想定される次第でございます。  次に、機雷の敷設海域でございますが、一部はクウェートイラクの領海が含まれておると思われますが、大宗は公海上であると承知しております。  第三に、作業期間につきましては、気象条件、機雷の敷設位置等により異なってまいりますので、現段階においては確たることは申し上げられない次第でございます。  次に、この段階で緊急に掃海を行うことの必要性いかんという点でございましたけれども、ペルシャ湾に敷設されました機雷は、この海域における我が国のタンカーを含め、船舶航行の重大な障害になっているところでございます。このような状況を踏まえまして、政府といたしましては、自衛隊法九十九条に基づく措置として、今回掃海艇等派遣することを決定した次第でございます。  次に、自衛隊に国際協力の任務を負わせるためには、国民的な論議と法改正を含めた民主的な手続が必要ではないか、こういった御指摘がございました。  今回の派遣につきましては、自衛隊法三条とは別個に、自衛隊法第九十九条の規定によりまして自衛隊に与えられた権限、これに基づいて行うものでございます。法的な根拠は明確であると考えております。  また、一般に、それでは自衛隊の国際協力についてどう考えるか、こういう点につきましては、国際協力の推進あるいは平和への貢献といったような観点から、今後広く国民世論や国会における御議論等を踏まえまして検討していくべきもの、このように考えている次第でございます。(拍手)     —————————————
  45. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 東中光雄君。     〔東中光雄君登壇
  46. 東中光雄

    ○東中光雄君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる海上自衛隊掃海艇派遣問題について質問をいたします。  湾岸危機以来、海部内閣は、国際貢献の名のもとに一貫して自衛隊の海外派兵に道を開こうとしてきました。今、国民の自衛隊海外派兵反対の声を踏みにじって、掃海部隊の海外派遣という重大な第一歩を踏み出そうとしています。これは結局、昨年来、血を流す貢献をせよと露骨に求めてきたアメリカや、それに呼応した日本の財界の要求にこたえ、そして憲法の平和原則を乱暴に踏みにじろうとするものであります。また、これは日米軍事同盟の世界的規模での発動に道を開くものであって、断じて許すことができません。(拍手)  今回の掃海艇派遣は、日本憲法の平和原則のもとで、戦後の歴史上初めて、紛れもない軍隊である自衛隊を海外に派遣し、軍事活動を行おうとするものであって、違憲、違法の歴史的暴挙と言わなければなりません。(拍手)。私はまず、この海上自衛隊掃海部隊のペルシャ湾派遣決定の撤回とその中止を強く求めるものであります。(拍手)  自衛隊は違憲の軍隊であります。自衛隊法でさえ、自衛隊の任務を定めた第三条で、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務」とすると規定しています。いかなる名目や形をとろうと、自衛隊の部隊を海外に派遣することは、憲法の平和原則に反することはもちろん、この自衛隊法にも明白に違反するものであります。(拍手)  今回派遣する掃海部隊は、掃海艇四隻、掃海母艦と補給艦の計六隻の自衛艦であります。五百人の掃海部隊を湾岸地域派遣するのであります。六隻の艦艇は、自衛艦旗という名の軍艦旗と日章旗を掲げ、艦隊を組み、はるか一万三千キロ離れたペルシャ湾に出動して掃海作戦を行おうとするものであります。  部隊としての自衛隊の海外派遣とその活動が、国際法上、国際的に日本国の軍隊として扱われることは、昨年の国連平和協力法案審議の際に外務大臣答弁で明らかにされています。今回の掃海部隊の派遣と掃海作戦は、国際的には日本の軍隊の海外における軍事作戦行動としての扱いを受けるものであります。日本の軍隊の海外派兵そのものではありませんか。(拍手)  総理並びに外務大臣、防衛庁長官の答弁を求めます。  現在、米軍を中心として行われているペルシャ湾における掃海作戦は、国連安保理の停戦決議と戦時国際法に基づいて、湾岸戦争イラク軍が敷設した機雷除去する軍事作戦であります。戦時国際法、一九〇七年の自動触発海底水雷ノ敷設二関スルヘーグ条約によりますと、戦争武力行使の一環として敷設された機雷は、戦争終了後、機雷を敷設した国が第一義的に除去すること、交戦国の一方が他の交戦国に敷設した機雷の位置を通告し処理することとしております。機雷は交戦当事国が処理するというのが国際法上確立している原則であります。多国籍軍が湾岸戦争武力行使の終末処理作戦として行っているものであり、総理が言うような平和時における遺棄された浮遊機雷除去作業とか、あるいは単なる危険物の除去作業、そういうものではないのであります。  このような多国籍軍の機雷掃海作戦に海上自衛隊が共同して参加することは、結局、湾岸戦争の当事国でない日本武力行使にかかわる武力行動に加担することになるのであって、戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認の日本憲法に照らして断じて許されないところであります。総理見解を求めます。(拍手)  現実のペルシャ湾における掃海作戦は、国連安保理決議六百八十六号に基づいて三月三日、イラク軍から多国籍軍側に通報された敷設機雷の位置、数、種類等の情報に基づいて多国籍軍が行っているものであります。海部首相は三月段階から、ペルシャ湾には約千二百個と言われる機雷が浮遊しているなどと漠然と繰り返し述べられる一方、政府は、ペルシャ湾のどの海域でどのような機雷が敷設されているのか、現地の状況はよくわからない、こういう答弁を重ねてきたのであります。最近、千二百個のうち七百五十個は既に処理されたとも伝えられており、アメリカの戦略研究所のラトワク氏は、自衛隊の掃海艇が現地に到達するころには、ほとんど機雷は残っていないだろうとさえ言っておるのであります。そういう状況下において、防衛庁長官は、今回の派遣部隊に対してどのようなオペレーション、作戦命令を出したのですか、掃海作戦を行う水域、掃海すべき対象についてはどのような命令を発したのですか、答弁を求めます。  総理、掃海対象も水域も明らかにしないままでの掃海部隊の派遣は、航行の安全確保機雷除去目的なのではなくて、自衛隊の海外派遣そのものを目的とした暴挙であります。総理見解を求めます。  政府は、今回の措置自衛隊法九十九条に基づく措置であるとしています。しかし、そもそも自衛隊法九十九条の規定は、第二次世界大戦時に我が国近海に敷設された何万個と言われる機雷除去するために設けられた規定であって、このことは政府も確認してきたところであります。したがって、一九七二年五月二十四日、佐藤総理は、海上自衛隊我が国近海から遠く離れた海外に派遣し、掃海活動に参加させることは「厳に禁止されている」と答弁し、江崎防衛庁長官は「国連からの要請がありましても、それがいかに平和的なものであっても」掃海艇の海外派遣自衛隊法上できないと明確に答弁しているのであります。総理、防衛庁長官は、これらの従来の政府見解を根本的に覆そうというのでありますか、見解を求めます。  総理は、今回の掃海艇派遣は警察権の行使であり、武力行使ではないと述べています。九十九条による活動が武力行使でないのは言うまでもありません。それは、自衛隊法三条一項後段の必要に応じて行う公共の秩序の維持の任務なのであります。自衛隊が行う警察活動、公共の秩序維持の権限の及ぶ範囲は、我が国の領海内におけるものであることが当然の大原則であります。  ところが、八七年九月の政府答弁書では、この範囲を領域内に限定せず、公海に及ぶことがあるとしているのであります。この範囲は領海内に限定せず、拡大するものでありますが、しかしながら、自衛隊の警察活動の権限が公海に及ぶ範囲は我が国近海に限られる、これが従来の政府の確定した見解であります。一万三千キロも離れたペルシャ湾岸での機雷除去日本の警察活動として行うなどというのは、全く言語道断、もってのほかであります。(拍手)これを認めるとすれば、自衛隊は世界の至るところで警察権を行使することができる世界の警察官だということになるではありませんか。総理の答弁を求めます。  以上、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣海部俊樹登壇
  47. 海部俊樹

    内閣総理大臣海部俊樹君) 東中議員にお答えをいたします。  憲法の平和原則、自衛隊法に違反していないと考え政府考えは、昨日の政府声明においても申し上げましたし、ここでも再三申し上げてまいりました。平和回復後の復興協力でありますから、これが武力行使とか憲法違反に当たるものではございません。  また、機雷除去目的ではなくて自衛隊の海外派遣目的だろうと言われましたが、そうではなくて、もっと素直に、我々は掃海艇で本当に掃海をさせようと思って出しておるのでありますから、ごらんをいただきたいと思います。  自衛隊は憲法違反だというお立場の東中議員でありますから、憲法違反ではないという、存在を認めておる我々との議論は、どうしても初めからすれ違うわけでありますけれども、政府は、自衛隊法の九十九条というものが我が国の船の航行の安全確保並びに公海における国民の安全確保我が国船舶の安全を図るための一種の警察活動を定めた規定であると、こう受けとめておりますし、九十九条にそのような規定があります限り、それに従って行動を決定をしたわけでございます。(拍手)     〔国務大臣中山太郎君登壇
  48. 中山太郎

    ○国務大臣(中山太郎君) 東中議員にお答えを申し上げます。  湾岸地域は既に正式停戦が成立をし、平和が回復した状況にございます。また、ペルシャ湾には湾岸危機の間にイラクにより敷設された機雷が多数残存し、これらが重大なこの海域船舶の障害となっております。このような状況を踏まえ、政府としては、自衛隊法第九十九条に基づく措置として、我が国船舶航行の安全を確保するため、この海域における機雷除去及びその処理を行わせるため、海上自衛隊掃海艇等をこの海域派遣することを決定したものであります。  今回のペルシャ湾への掃海艇等派遣は、海上に遺棄されたと認められる機雷除去することを目的とするものであり、武力行使目的を持ったものではないのでありまして、いわゆる海外派兵に当たるものではなく、憲法上何ら問題はないと考えられます。(拍手)     〔国務大臣池田行彦君登壇
  49. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 東中議員にお答え申し上げます。  まず、憲法及び自衛隊法との関連でございますけれども、今回の措置は、武力行使目的を持ったものではございませんので、憲法に禁じるいわゆる海外派兵に当たるものではございません。また、自衛隊法との関係でございますけれども、これは自衛隊法第三条に基づく我が国の防衛等の本来任務とは別個に、同法九十九条で自衛隊に与えられた任務に基づき行うものでございまして、自衛隊法上も明確な根拠を有するものであります。  第二に、私が出しました命令の内容でございますが、これは昨日の安全保障会議及び閣議決定を受けまして、私から海上幕僚長を通じて、自衛艦隊司令官が掃海艇四隻、掃海母艦一隻及び補給艦一隻から成る派遣部隊を四月二十六日に出港させ、我が国船舶航行の安全のために、ペルシャ湾における機雷除去及びその処理実施するよう命じました。  第三に、佐藤総理、江崎長官の答弁に関する御質問でございますが、御指摘の答弁は昭和四十七年当時のことでもございますし、どのような趣旨でそのような答弁が行われたか、必ずしもつまびらかでございません。また、答弁内容にも必ずしも明瞭でない点もございますけれども、いずれにいたしましても、現にベトナム戦争が行われている時点においてなされたものでございます。それに対しまして今回の措置につきましては、既に正式停戦が成立しているという事情や、ペルシャ湾において遺棄されたと認められる機雷船舶航行の重大な障害となっているといった状況にかんがみ、自衛隊法第九十九条の規定に基づいて機雷除去を行うものでございまして、合憲、合法なものであると考えております。(拍手)     —————————————
  50. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 和田一仁君。     〔和田一仁君登壇
  51. 和田一仁

    ○和田一仁君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま総理から報告のありました自衛隊掃海艇等ペルシャ湾への派遣に関して、緊急の質問を行うものであります。  政府は、昨夕、自衛隊の掃海艇ペルシャ湾派遣することを決定いたしました。ホルムズ海峡を通るタンカーの六割以上が我が国及びインド、パキスタン、シンガポール、台湾、韓国等アジア向けの原油を満載しているという状況に見られるように、原油の多くを中東地域に依存する我が国アジアにとって、ペルシャ湾を通過する船舶の安全を確保することは必要不可欠な措置であるばかりでなく、広く国際的にも実のある貢献になるものであります。(拍手)  特に、四月十二日には正式に停戦が実現しており、機雷除去は平時における平和目的そのものに沿う行為であります。この見地から、民社党は、政府決定は当然の措置であると考えるものであります。(拍手)  今世紀末のこの十年というものは、米ソの冷戦構造にかわって、新たなる国際秩序の構築に向かって各国がそれぞれ努力をし、我が国もまたその中で何をなすべきか、その役割と責務が問われる十年となることでありましょう。昨年八月二日、イラククウェート侵攻、併合に端を発した湾岸戦争は、戦争終結後の今日に至るまで、我が国に対してさまざまな新たなる問題を提起してきたのでありますが、この問題への対応はまさにその試金石とも言えるものであります。しかし、我が国政府の対応は極めて不十分なものであったと言わなければなりません。  クウェート解放後の三月十一日、アメリカのワシントン・ポスト紙に、クウェート政府は、「国連に基づく国際協調への感謝」と題して、参加三十カ国の名を挙げて感謝広告を出しました。その中に、ドイツの名はありましたが、我が日本の名前はありませんでした。増税までして百三十億ドルにも上る財政支援をしたにもかかわらず、それが正当に評価されていないのは、金だけ出したけれども、人の面での貢献が不十分であったことにその原因があることは明らかであります。(拍手)  総理は、湾岸危機に際して、医療チームの派遣や難民救済のための自衛隊機派遣について公約をされました。しかし、結果的には、我が国として目に見える何らの貢献もなし得なかったのであります。口先だけの空約束だったととられてもやむを得ないものであり、このことのために、日本の国際的信頼感がまた一段と失われることになりました。総理、あなたは真摯にその責任を痛感すべきであると私は思うのであります。その意味で、今回の掃海艇派遣は、おくればせながらも我が国国際社会の一員としての役割を果たす極めて重要な行動であると認識すべきであります。(拍手)  国際社会への人的貢献の必要性と掃海艇派遣の意義についての総理の御所見をまず求めるものであります。  言うまでもなく、自衛隊の海外派遣は、憲法や国内法の規定の枠内において行われなければなりません。自衛隊法九十九条では、我が国の領海及び公海における機雷除去処理が自衛隊の任務として規定されております。今回の派遣は、はっきりとした法的根拠を持つものであります。このことは、一九八七年八月の内閣委員会における私の質問に対する当時の中曽根総理の答弁によっても、既に明らかにされているところであります。(拍手)  しかし、現行法の枠内で、人道的な目的のものであるとはいいながら、アジアの一部に我が国の軍事大国化を懸念する声もあるなら、これらの不安を払拭するのにやぶさかであってはなりません。このため、政府は最大限の努力を払うべきであります。今回の掃海艇派遣が無原則なものであってはならず、今後これが制限なく拡大することのないように明確な歯どめを設け、これを公にしておくことが重要であると考えるのであります。  第一に、現行法で許される掃海艇派遣は、戦時の掃海作業ではなく、あくまでも平時における平和目的の掃海作業に限られるという点であります。現に戦闘行為が行われている地域への掃海艇派遣には新たなる立法措置が必要であり、現行法では想定されていないと判断すべきであります。  第二に、掃海艇は無原則にどこへでも派遣されていいというものではありません。自衛隊法九十九条に定める「海上」とは、地球上のすべての海域ではなく、日本国民生活の防衛と経済に死活的な影響を及ぼす地域に限定されると理解すべきであると思うのであります。  以上二点の歯どめが必要であると思いますが、これについて海部総理の明確なる御答弁を求めるものであります。  既にアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、ベルギー、サウジアラビア、イタリア及びオランダの各国から掃海艇ペルシャ湾派遣され、掃海作業が行われております。我が国掃海艇派遣する時期としてはぎりぎりの段階に来ているのであります。  今仮に、交通事故が怖ければ、一歩も家を出ないがよい、出れば事故に遭うかもしれないし、事故の加害者になるかもしれないと社会活動を断念した人、また、エラーを犯すのが嫌だから、私のチームはプレーをさせない、ノープレー・ノーエラーが最高だとだけ哲学する監督がもしおったとしたら、庶民は何と見るでありましょうか。(拍手)  各種の世論調査を見ても、掃海艇派遣についての国民合意は、急速に形成されつつあると見るべきであります。(拍手)この段階でなお拙速に過ぎるとか議論が不十分であると言ってこれに反対するならば、世界平和の恩恵を最も受けながら、みずからの手は汚さない国日本とさげすまれても仕方がありません。(拍手)まして、国際社会での名誉ある地位などは望むべくもないものであります。  今回派遣される自衛隊員の皆さんは、我が国の生命線である通商ルートの安全を確保し、各国の国民及び船舶の生命と安全を守るという名誉ある任務を遂行することになるわけであります。私は、この場をかりて、派遣される隊員の皆さんに、民社党を代表し、深く感謝と激励の意を表したいと思います。(拍手)  我が国は世界一流の掃海技術を持つとはいいながら、多くの危険を伴うことは避けられません。戦後、我が国周辺の機雷除去作業では、犠牲者が出ていることを忘れてはなりません。政府は、掃海艇派遣に際しては、隊員の処遇について、過去の実績を踏まえ十分な手当と補償を約束することが極めて大切であり、あわせて事故防止対策に万全を期すべきであると思います。  この点について海部総理の強い決意をお聞かせいただいて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣海部俊樹登壇
  52. 海部俊樹

    内閣総理大臣海部俊樹君) 和田議員にお答えを申し上げます。  国際社会への人的貢献の必要性については、まさに議員おっしゃるとおりであって、新しい世界が、今、冷戦時代の発想を乗り越えて、自由と民主主義と市場経済の価値を求めて、そして平和な世界の枠組みをつくろうと努力をしておるさなかでありますから、日本もその新しい世界の秩序をつくるためにどのような貢献ができるのか積極的に考えていかなければならぬという御指摘は、私もそのとおりと考えます。  そして、従来から、平和のための協力、ODAの拡充、国際文化の交流、この三つを我が国は掲げてまいりましたが、特に平和のための協力については、今回の経緯等も考えて、許される限りの協力はしていくべきであると決意を新たにしておるところでございます。  また、今回の掃海艇派遣の問題に関しまして御意見をいただき、その御激励を含めた御質問にお答えを申し上げますけれども、私は、なぜ派遣したかとおっしゃれば、平和が回復したあの地域に敷設された多数の機雷が残っておることが、それが我が国を含む多くの船舶航行の安全にとって大変な障害になっておりますから、これらの除去及び処理について行おうとしておるところであり、このことに関しましては、近隣諸国に対しては十分な説明を誠意を持って行わなければならないと私も考えております。  そうして、議員がここでお示しになりました九十九条に基づく出動は、紛争地域あるいは戦闘地域への出動ではなく、あくまでも平時における平和目的の掃海作業に限られるということ、もう一つは、日本国民生活の防衛と国の経済に死活的な影響を及ぼす地域に限定するということを確認しろという御指摘でございましたが、その点につきましても私は全く同感でございまして、政府声明におきましても、第四パラグラフにおいてその二点については明らかにしておるところであり、憲法の禁止する海外派兵に当たるようなこと、あるいは歴史の反省に立って誓った平和国家の理念を崩すような行動や地域には出向いていかないということを、今回のこの場において改めて申し上げさしていただきたいと思います。(拍手)  また、掃海艇の今度の派遣につきましては、いろいろ困難な事情が伴うと思います。参加される隊員の皆さんには、昨日も海上幕僚長に私は出会って、十分成果を上げ、任務を果たし、帰国されることを強く期待すると同時に、今御指摘のございました手当、補償その他の問題につきましては、事故防止対策と同時に、個々の隊員に対する政府の率直な、国際貢献についての努力に対する報いとしても十分な対応をしなければならない。このことは関係閣僚に指示をいたしておりますので、御質問の趣旨を十分踏まえて、きちっと対応する決意でございます。(拍手
  53. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
  54. 櫻内義雄

    議長櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時散会