○小沢和秋君 私は、
日本共産党を代表し、
大店法の一部
改正案について、
総理並びに
関係大臣に質問をいたします。
本題に入る前にまずお聞きしたいのは、
日米首脳会談についてであります。
今回の首脳会談で米問題が正式
議題となったことは極めて重大であり、
国民は大きな不安を感じています。ブッシュ大統領の米市場開放
要求に対し、なぜ
総理は
国会決議に従って米輸入自由化はできないと毅然たる態度を示さなかったのですか。明確な答弁を求めます。(
拍手)
さて、今回の
大店法改正は、
我が国の
大店法がトイザラスなどの自由な
出店の障害になっているとの
アメリカの非難に全面的に屈服し、昨年の
日米構造協議で
大店法の
規制緩和を三段階で行うと公約した、その第二段階であります。
既に、昨年五月からの第一段階では、
出店者と
地元商店街の事前の
話し合い、合意を必要ないものとするなどの
規制緩和が
実施されております。続く今回の
改正案では、
法律の
廃止を含む第三段階、つまり二年以内の
見直しまで明記されております。
日米構造協議の当事者である
アメリカ通商代表部次席代表のリン・ウィリアムズ氏は、週刊ダイヤモンド誌のインタビューで、「主権国家が、
日本が今回
約束したような構造改革にかつて合意した例を私は知らない。」、「最も重要なのは、履行とフォローアップについての合意」だ、「これによってプレッシャーをかけ続けることになる。」と述べています。
総理、この発言は、
日米構造協議がいかに不当な
アメリカの内政干渉であるかをずばり示したものではありませんか。このような干渉への屈服は、主権国家として絶対に許されないことではないか、
総理の答弁を求めます。(
拍手)
私は、今回、新潟、千葉、広島、福岡など各地を調査し、改めて
大店法規制緩和の持つ重大な
問題点を痛感いたしました。
第一は、
政府が法
改正の理由に
消費者の利益を挙げていることであります。しかし、まず価格の問題では、生鮮食料品などは中小小売店の方がスーパーより安いことは、東京都その他各地の調査や
政府自身の資料で明らかであります。その上、最近では、どこでも
大型店の
出店で
交通渋滞などが大問題となり、子供の万引き事件の増加など教育上の問題も
指摘されております。高齢者がふえる中で、身近な
商店街がつぶれては買い物ができず、日常生活に事欠くとの声も各地で上がっております。
総理は、値段が高く
環境が悪化し、
商店街がつぶれても、
大型店をどんどんふやしていく方が
消費者の利益になると
考えておられるのか、はっきりした答弁を求めます。(
拍手)
第二は、
商店街が既にこれまでの
大型店進出で大変な打撃を受けていることであります。それは、中心
商店街でも同じことです。どこも客をとられ、通行人さえまばらになっているのであります。どの店も朝早くから夜遅くまで営業し、創意工夫を凝らし、落ち込みをカバーしようと必死になっています。それでもどうにもならず、先祖伝来の店を泣く泣く閉めたという話も数多く聞きました。
トイザラスを初め、十一の
大型店計画がある新潟では、
地元の人たちが
通産省の方式で
大型店出店の影響調査を行ったところ、現在と比べてお客が六割も七割も減るという驚くべき結果が出ております。
総理、六割も七割もお客が減る中で、
業者の皆さんにどのような自助
努力が可能でしょうか。もしあれば教えていただきたいのであります。
通産大臣は、かつてこの点について、生存権の問題だと
委員会で述べられましたが、それならば
業者の生存権を守るためにどう
対応するのか、伺いたいのであります。(
拍手)
第三は、
日米両国大資本の
要求にこたえて、
出店調整期間をさらに一年間に短縮し、
大型店出店を野放しにしようとしていることであります。一九七三年に
大店法が制定されたときは、
大型店の
出店を野放しにするものとして、我が党だけが反対いたしました。その後、実際に
全国で
大型店の
出店ラッシュが起こり、各地でスーパー進出反対運動が大きく広がる中で、事前の合意とかスーパー乱立
地域への
出店抑制などの行政指導が行われるようになりました。それが今日まで中小商店を守る上で一定の役割を果たしてきたのであります。
今回の法
改正は、このような
大型店出店への
規制を一挙に取り払おうとするものであります。既にこれまでの十年間に、従
業者一、二名の零細商店十六万店がつぶされました。九〇年代
流通ビジョンでは、今後十年間にさらに三十万店以上つぶれると予測しています。今回の法
改正がこの予測をも上回るテンポで中小商店をつぶすことになるのは疑いありません。
長年
日本経済と
地域社会
発展の
推進力となってきた中小商店がばたばたつぶされ、
商店街が寂れていくのを承知の上で、あくまでこの
改正を強行するのかどうか、
総理並びに
通産大臣にお尋ねをいたします。(
拍手)
第四は、これまでそれぞれの
地域に設置されていた
商調協を
廃止し、
全国の
出店調整を
通産大臣直属の大
店審に一本化しようとすることであります。
大型店出店の影響は、一件一件の内容、各
地域の
状況によってすべて異なります。だからこそ、これまで各地に置かれた千百余りの
商調協でこれを
調整してきたわけであります。なぜそれをやめて、中央にたった一カ所しかない大
店審に
権限を集中するのか。その方が
実情に合った
調整ができるという根拠を示していただきたい。
なお、従来の
商調協はつぶすが、かわりに各地に
商業問題協議会をつくり、引き続き
地元での
調整を行うとも伝えられております。これは結局、大
店審では
調整が不可能だという
改正案の欠陥を暴露したものではありませんか。法
改正をやめ、今までどおり
地元に
調整の
権限を与えるべきではないか。
通産大臣の明確な答弁を求めます。(
拍手)
第五は、今回の法
改正で、
地方公共団体の
独自規制に対し制限を加えようとしている問題であります。そもそも、
地方公共団体には、憲法第九十四条に基づき条例制定権が保障されております。特に、
出店調整のように
地域によって
実情が全く異なる問題については、それぞれの
地方公共団体が独自の条例や要綱で
規制を行うのは当然であり、これを制限するのは全く不当ではありませんか。それとも、
地方自治体は国の言うとおりにしておけばよいというのがこの問題に対する
政府の基本姿勢なのか、
総理並びに
自治大臣の見解を求めます。(
拍手)
大型店の
出店について、
アメリカなどは
都市環境や住
環境の面から
規制をしています。フランスは許可制で、申請を五割も却下しています。
大型店の
出店規制はその他の国々でも行っており、
日本が
規制を続けても国際的流れと何ら矛盾しません。
私は最後に、
大店法改正案の撤回を断固として
要求するとともに、
地域住民と力を合わせ、中小商店、
商店街の
振興、活気ある
町づくりのために
全力を尽くす決意を表明し、質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣海部俊樹君
登壇〕