○
須永徹君 私は、
日本社会党・
護憲共同を代表いたしまして、ただいま
議題となりました
地方交付税法等の一部を
改正する
法律案及び
平成三年度
地方財政計画につきまして御質問いたします。
今、東京一極集中と言われる
過密過疎の問題、また
土地の高騰による
資産格差の問題、
管理社会と
人間疎外、さらに
高齢化社会での
医療と
福祉の
問題等、これらを克服し真に人間らしい
生活を保障する
システムをつくらなければなりません。このことは
地方自治を抜きにしてはできませんし、そのためには参加と分権の
行財政システムの
確立が必要であります。二十一世紀に向かって伸び伸びと自立した
地方自治が求められている今、総理並びに
自治大臣の御所信をお伺いいたします。
さて、
地方交付税における
特例減額の
措置についてお伺いいたします。
過去、国会においては、
地方交付税法第六条の三第二項の
規定の
解釈論が延々と続けられてまいりました。本来、
昭和五十年度以来、恒久的な
財源不足状況において、明確に
制度改正が
実施されておれば問題はなかったのでありますが、国の事情が優先され、あたかも
制度改正のように装い特別会計借り入れを繰り返してきたことは御承知のとおりであります。また、当然、この結果累積した借入金は国が返済すべきであるのに、国と地方との約束を破り、地方にその半額負担をさせてきました。さらに今回は、五千億円の
地方交付税の
特例減額を行おうとしております。
今、地方では下水道の普及率や道路の改良率の低さが指摘をされておりますが、これから
地方団体が負担をしなければならない公共
事業の量は膨大であります。また、
福祉の
充実や地場産業の
振興、子供たちの
教育の拡充など、講ずべき施策は山積しております。交付税は、
地方公共団体共有かつ固有の
財源であり、当然、これを地方に分配し、必要な
事業を
促進すべきであると考えます。この
特例減額を行った理由について大蔵大臣にお伺いいたします。
また、
地方財政には国に交付税を貸すだけの余裕がおるのでしょうか。
自治大臣のお考えをお伺いいたします。
次に、
地方交付税の年度間調整についてお伺いいたします。
地方交付税は、
法律によって法定額が定められており、原則として年度間調整は認められず、過去、政府答弁でも、
特例措置は一般的に言う年度間調整ではないとされてきました。私どもは、法定交付税率に基づく交付税額はすべて
地方団体に配分をし、もし必要なら
地方団体において調整や
基金積み立て等を行うべきであると考えております。
一月二十五日、大蔵大臣は、
地方交付税の年度間調整として
特例減額を行うという
財政演説をなされましたが、大蔵大臣にその演説の
趣旨についてお伺いし、総理に政府としての統一見解をお示しいただきたいと存じます。
政府はまた、
昭和五十九年度において、それまでの借り入れ方式はやめ、不足が生じた場合は
特例加算を行うという
制度改正を行いました。その際政府は、
地方財政の
状況によって、その
中期的健全化を図る
観点から、
法律で定めるところにより減額
措置もあり得ると
説明をされております。この
説明に従えば、減額は
地方財政の
中期的健全化を図るためにのみ考えられるべきであり、今回のような国の一方的な都合による減額は、附則三条からは許されないと思います。
自治大臣の御答弁をお願いします。
さらに、過去の大蔵省、自治省の答弁、
説明に基づき、仮に減額があり得るとした場合も、それは
地方財政健全化のためでありますから、
地方財政の借入金の利子、あるいは拡大解釈をしても元金返済のみが許されるはずであります。それ以外はこの
特例の
適用は当たらないと思われますが、
自治大臣、いかがでしょうか。
また、
昭和五十九年度の
改正に際し、大蔵大臣は、附則三条はあくまでも当分の間の暫定的なもので、本則、すなわち第六条の三第二項は厳然と生きていると
説明をされております。今日においてもこの答弁は生きていると考えてよろしいでしょうか。大蔵大臣の確認を求めます。
さらに自治省は、この五千億円のうち四千五百億円は将来国が返してくれるから、地方にとっては実損がないと言っております。となれば、国は地方に対し四千五百億円の借金をしたことになり、そうであるなら、今回の
措置は借金の振りかえにすぎません。政府は、
平成三年度一般会計において
建設国債を二千五百二億円減額し、
財政の
健全化を進めたと言っておりますが、結局は隠れ借金に振りかえただけだと思います。大蔵大臣にお考えを伺いたいと思います。
総理にお伺いいたしますが、将来、
地方交付税に後年度加算されると約束されている額は本当に加算されるのでしょうか。このようなことを伺うのは、政府が今まで次々と約束を破ってこられたからであります。
平成三年度においても、
地方交付税法附則第四条第四項に定められた
平成三年度の加算額二千五百四十五億円すら後年度に送られているのであります。この際、総理から間違いなく将来加算する旨の答弁をいただきたいと思います。
また、このように各年度ごとの
地方交付税総額が不安定では、
地方団体は不安です。国の
財政事情によって一方的に
地方交付税が減額されるようなことは今回限りの
措置がどうか、総理から明快な答弁をいただきたいと思います。
さて、ここで
国庫補助負担率の問題に触れさせていただきます。
私どもは、昨年の
地方交付税法改正案の審議に際し、消費税改廃に当たっての地方
財源確保に関する附則修正及び
委員会における特別決議をもって政府案に
賛成の態度をとりました。私どもが
賛成した理由の一つには、特別決議の中で、公共
事業における補助負担率の
特例の廃止が明記されていたからであります。ところが、この決議もほごにされ、再び三年間の補助金カットが継続されることとなったのです。このように、暫定といいながら、再三再四にわたって約束が破られ、十二年間もこの
暫定措置が続いたわけであります。今後の交付税審議にもかかわりますので、この際、総理から地方に対し、今何限りでこの暫定
特例措置をやめるというお約束をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。(
拍手)
次に、
地方財政計画の
内容についてお伺いします。
まず、新たに創設される
地域福祉基金についてでございますが、第百十八回特別国会において
地方交付税法改正案の
採決に付された特別決議に基づくものであり、実現をしたことを高く評価いたします。
政府の言う
高齢者福祉十カ年戦略といっても、十年間で六兆円、それも施設がほとんどで、ソフト面ではわずかしか計上されておりません。
地域ではホームヘルパー、看護婦、保健婦を初めマンパワーが不足しており、これからの
高齢化社会に対応できる
地域福祉システムにはほど遠い状態であります。この
地域福祉基金は、
平成三年度
都道府県分で七百億円、
市町村分では一千四百億円であり、その
基金から生じる金利で
事業を行うわけでありますから、中途半端に終わることは明らかであります。縦割り行政の枠を超えて
地域福祉を築いていくというそのために、使途は民間への助成に限定せず、官民のマンパワー養成等に使用するとともに、この
基金を今後も育てていくという
自治大臣の決意を伺いたいと思います。
次に、公共投資についてお伺いいたします。
政府は昨年、アメリカに対し、今後十年間で四百三十兆円の公共投資を行うことについて約束しました。
平成三年度はその初年度であります。四百三十兆円は膨大な金額でありますが、これまでの実績から見てそのほとんどが
地方公共団体によって行われることになります。また、地方の実態を見ましても、下水道、
医療、住宅、
高齢者福祉等、
生活に直結した
社会資本の
整備が急がれており、それらに対する地方
財源の
確保が不可欠であります。
そこで、総理並びに
自治大臣にお伺いいたしますが、
平成三年度の
地方財政計画においてこの
経費をどのように
措置されたのか、また、今後の
地方財政の負担に対してどのように対処されるお考えか、お聞かせください。
さらに、
平成三年度の
地方財政計画を見ますと、
地方財政は一見好転しているように見えますが、例えば
地方税収をとってみても、その多くは東京など一部の団体でふえているだけで、大半の市町村は税収の少なさに悩んでいるのであります。
地方財政計画での
地方税収は四六%となっていますが、実際の市町村のうち税収が四〇%を超えているのは、全体の二割でしかありません。逆に、三分の二の団体は税収が三割にも満たない
状況にあり、
地方財政に余裕があるというのはまやかしでしかありません。個別の市町村の
財政状況についてどのように認識しておられるのか。また、このような
財政力の弱い団体に対しての
自治大臣のお考えを伺いたいと思います。
さらに申し上げますと、それぞれの自治体では、
高齢者社会の進行、
地域活性化のための施策や住民ニーズの多様化によって、新しい行政需要や負担が増大をしております。一方で、一般職員の定数削減や
建設事業における維持補修、民間委託などによる安上がり行政の推進によって歳出削減政策が押しつけられ、需要額が抑えられてきたのが実態であります。したがって、
医療、
福祉、
環境整備、公共交通など、本来
地方自治体がその信託にこたえるべき住民の要求は著しく切り詰められております。今こそ、地方の歳出の新しい動向を
地方交付税制度に適切に組み込み、基準
財政需要額の構造に大胆なメスを入れる必要があります。
住民みずからの手でつくり上げる
地方自治を目指すために、政府の発想の転換を求め、海部総理の御理解を促し、私の質問を終わります。(
拍手)
〔内閣総理大臣海部俊樹君
登壇〕