○坂井弘一君 私は、公明党・
国民会議を代表して、
財政演説及び当面の重要
課題につきまして、
総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。
湾岸情勢は、過日の
国連安全保障理事会での事実上の
武力行使容認
決議と、その直後のブッシュ米大統領の
イラクとの直接交渉提案により新たな局面を迎えております。
武力と話し合いの振り子が和戦の間を時を空費しながら揺れるに任せてはなりません。今回の人質解放の決定を
解決への一歩ととらえ、あくまでも交渉による
平和的解決を目指していくべきであります。もし仮に戦端が開かれた場合、国際経済の混乱はもとより、とりわけ
石油輸入の七割を
中東地域に依存する
我が国経済への
影響ははかり知れません。
政府は、
平和的解決への見通しと、そのための具体的方途をお持ちなのか、まず
総理に伺いたいのであります。
あわせて、今回の
補正予算に含まれている十億ドルの湾岸の平和回復活動に対する
協力費の
目的、
性格、使途について明確にし、
国民の十分な理解を得べきだと思いますが、
総理の御
見解を承っておきたいと存じます。
我が党は、石田
委員長を団長とする第四次訪韓団が今月三日から六日まで韓国を訪れ、精力的な
対話を重ねてまいりました。
海部総理も来年早々には訪韓を予定されておりますが、日韓両国間には
解決すべき
課題がなお多く残されています。殊に、
総理訪韓までに決着が求められている指紋押捺問題、さらには就職、教育面での差別解消、あるいは経済面での技術移転などの問題に対しては、
我が国政府としてどう対処されますか。また、韓国
政府からは、今日の日朝国交正常化の
動きが朝鮮半島における統一を妨げることにならないかとの
懸念が示されております。この点についてはどうお
考えになりますか。
さらに,このたび我が党の石田
委員長は、南北統一への環境づくりの一環として、
日本、韓国、北朝鮮、米国、ソ連、中国による六カ国議員
会議の開催を提唱いたしました。この提案に対する
総理の御
見解を承るとともに、御理解、御
協力をお願い申し上げたい。いかがでしょうか。
現在、ソ連の
国内情勢は、さまざまな要因が指摘されてはいますが、現に食料品、日用品が不足し、これからの厳寒に向けて市民生活は日増しに深刻化しつつあると伝えられております。ヨーロッパ諸国は次々とソ連への食料品などの
援助を決定しており、
我が国も緊急
援助として医療品の
援助を行うこととしております。しかし、
我が国政府の対ソ支援姿勢は必ずしも明確ではありません。私は、緊急的かつ人道的な側面から、食料品
援助などもっと積極的に行うべきであると思うのであります。
政府は、現在のソ連の
国内の実情をどのように認識しておられますか。今後の対ソ支援をどのように
考えているのか、さらに、従来の政経不可分の原則を今後ともとり続けていくのかどうか、
総理に明確にお答えを願いたいと存じます。
さきに我が党石田
委員長は、ゴルバチョフ大統領の来春訪日を踏まえ、日ソ新時代の構築に向け、この際、対ソ問題について
責任ある立場の者による与野党間の
協議、意見交換の場をつくることを提案しました。対ソ問題についてはこれまで
国会において一致した
決議も行われてきており、本格化する日ソ交渉を前に、対ソ
政策について
国民的な合意を進める必要があると
考えるのでありますが、
総理の御所見を承りたいと存じます。次に、
政府が現在策定しようとしている
次期防衛力整備計画についてであります。
公明党は、
国際情勢のこの歴史的な
変化に伴い
防衛計画の
大綱を抜本的に
見直し、新しい時代にふさわしい領域保全に限定した防御的防衛に転換すべきであり、防衛費の大幅削減と
自衛隊の縮小を今こそ決断すべきことを主張してまいりました。今日の
国際情勢の動向、全地球的な
安全保障に取り組むことの重要性の認識の高まり、また
国民世論からも、この主張はますます必然性を持ってきたものと申せましょう。したがって、次期防の策定は、
我が国の
防衛政策の一新紀元を画するがごとき転換点とされなければなりません。
総理は、次期防策定の前提となる
国際情勢、
アジア情勢をどう認識されているのか、
基本方針を明らかにすべきであります。
自衛隊の縮減、防衛費の抑制を行うのかどうか、防衛
大綱は見直すのか、さらに単年度方式に戻すのかどうか、それぞれ
総理の明確な御所見を求めるものであります。
今回の
補正予算では、たとえ
給与改善のためとはいえ、防衛費が対GNP一%枠を突破したことは、
世界的な
軍縮の流れにも逆行するものであり、極めて遺憾と言わざるを得ません。
総理の率直な
見解を求め、再考を促したいと存じます。
次に、経済
財政運営について
お尋ねいたします。
湾岸危機を契機に
世界経済の先行きに暗雲が漂い始め、
我が国の大型景気もここに来て不透明感がとみに高まっております。金利、
原油等の
状況から、来年度は
世界経済、
日本経済とも景気の転換点とたる要素が多いと見なければなりません。湾岸危機が経済にどのような
影響を及ぼすと
考えているか、また先行きをどのように展望されているか、まず
総理に拓伺いするものであります。
我が国経済は、好景気が長期にわたって継続した一方で、インフレ要因が潜在的に進行しており、今後湾岸危機の行方いかんによっては一気に表面化する
懸念を抱かざるを得ません。
総理はどう見ておられますか、またどう対処されようとしておりますか、お答え願いたい。
さて、当面の
課題は来年度
予算編成であります。今、政治には、生産優先から生活優先へとその
基本姿勢を転換することが強く求められております。このことは、各省庁から出された白書、
審議会のビジョン等に見られる共通の特徴として、生活優先へと
政策の路線変更を求めている点からも明らかであります。かかる
現状認識によってそれぞれの省庁がみずから配分割合をどう変更するのか、あるいは省庁を超えて配分シェアをどう転換するか、言いかえれば、縦割り行政のあしき呪縛を断ち切ることができるかどうか、
総理、あなたのリーダーシップが問われている
課題の一つでもありましょう。私は、四百三十兆円の
公共投資との
関連も含め、これまでの配分割合を抜本的に改めるべきであると主張いたしますが、
総理の決断を求めたいと思います。
次に、ガット・ウルグアイ・ラウンドについて伺います。
ウルグアイ・ラウンド閣僚会議は、
農業問題をめぐる米・
EC間の
対立が解けず、七日閉幕いたしました。私は、今回の交渉を通じて改めて
日本の米の置かれている立場の厳しさを実感いたしました。すなわち、最終段階で出された
農業分科会
議長の試案に食糧安保論など
日本の主張が全く取り入れられたかったばかりか、発展
途上国の間でも米にこだわる
日本への批判が強かったことがそのことを如実に示していると思います。さらに警戒しなければならないのほ、米について日米二国間交渉という最悪の
事態の可能性も出てきたということであります。
政府はこのことをどう認識しているのか、伺いたい。
また、米一粒たりともというこれまでの方針を堅持してこの厳しい
事態を乗り切れると確信されておりますか、どうですか。農家に希望的な観測を伝えるのではなくて、率直な見通しをこの際お示しいただきたいと思います。
ウルグアイ・ラウンド閣僚会議が合意できないままに閉幕、越年したことを、ガット体制のもとで最も恩恵を受けてきた
日本として、この
事態は深刻に受けとめたければなりません。米通商法三〇一条など一方的な
措置の封じ込めもしばらくはお預けになります。しかし、
アメリカでは保護貿易派が勢いを増しており、ウルグアイ・ラウンドが来春成功裏に合意しなければ、二国間主義の横行だと、米以外の分野でも
日本は厳しい立場に立たされるであろうことは必至と見なければなりません。よもやそれは杞憂だとは言えますまい。
政府は、保護貿易主義の台頭阻止、二十一世紀に向けて自由貿易体制のルールを維持拡大するためにどのような具体的方途をとるのか、明示していただきたいと思います。
次に、
土地問題の
解決には諸施策を総合的に講じなければなりませんが、中でも
土地税制の対応が重要であります。ところで、新
土地保有税の税率は、当初言われていた税率よりも大幅に後退しており、だれの目にも
土地の有効
利用と
地価の引き下げを促進するために十分なものとは言えません。私は、
実効性を持たせるためには路線価の一%
程度の税率を設定すべきだと
考えますが、
総理のお
考えほいかがでしょうか。
今日の
地価高騰の最大の原因は、金余り現象をてこにした企業の
土地投機であり、それを構造的に助長したのが
法人に有利な現行の
土地税制であります。企業は個人より
土地保有コストが安く済むため、
土地が個人から企業に集中する
事態を招いています。したがって、税率を実効あるものとした上、新
土地保有税の課税対象は
一定条件の
法人に限定すべきだと
考えますが、
総理の御
見解をお述べ願いたいと存じます。
また、個人の長期所有
土地の
譲渡税については、現行の税率をさらに引き上げるとのことでありますが、投機
目的でない一般の
土地売買にも
負担増どたり、宅地供給を妨げる
懸念なしとしません。したがりて、投機
目的の
土地と宅地供給促進のために売買する
土地は明確に区別して
考えるべきだと思いますが、
総理の御
見解を
お尋ねいたします。
建設省は、
平成三年度の
税制改正要求で、昨年に引き続き家賃控除制度の創設を要求いたしております。また、国に先駆けて独自の家賃補助制度を
実施している地方自治体もふえつつあります。所得に占める家賃の割合が年々
上昇を続け、勤労者の生活を圧迫している今日、国に対し家賃補助制度の創設を求める
国民世論はますます高まっております。一刻も早く制度の創設を求めるものでありますが、
総理の御
決意のほどを承りたい。今月発表になる国勢
調査の速報値による現行定数の格差は、最高裁が違憲状態とする三倍を超えることは明らかであります。前回の国勢
調査による抜本的定数
是正の
国会決議があるにもかかわらず、今日まで実行してこたかった
責任の多くは
政府・自民党にあると言わざるを得ません。現行制度における定数の抜本
是正こそ、まず
国会の
責任において政党間の話し合いに基づき緊急に行うべき
課題であり、
国民の政治への信頼を取り戻す第一歩であります。と同時に、政治
改革の前提であると
考えます。
総理は違憲状態にある現行制度の定数
是正は放置されるおつもりでしょうか。
また、自民党が導入を企図している小選挙区比例代表並立制は、あたかも丸い土俵を四角に変えるにも似た、まさに党利と言うべきであり、我が党は断固反対であります。
総理はこの導入を最優先されるのか、伺いたいのであります。論言汗のごとし。政治
改革に内閣の命運をかけるとの
総理の御
決意は、今なお変わっておられませんか。変わっていないというならば、政治
改革の具体的内容と期限を
国民の前に明示すべきではありませんか。明確な御
答弁をいただきたいと存じます。以上、重要事項に絞って
質問いたしましたが、
総理並びに
関係大臣の明快な
答弁を求め、
質問を終わります。(
拍手)
〔内閣
総理大臣海部俊樹君
登壇〕