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小森委員 国際化社会との関係において法務省は啓発をやっておる、こういうふうに言われるわけでありますが、しかし、そういう中にあって前の
法務大臣がああいう事件を起こしたのであります。そして私の見るところ、自分のところの
大臣に対してその省内にある人権擁護局が果たしてどれだけのことの取り組みをしたか。それはわからぬことであります、
大臣と
局長の間で、
大臣これはいけませんよ、あなたの考え間違っていますよと言うたか言わぬか、それはわからぬですけれども、外にあらわれたものは、人権擁護局から各地方法務局に通達のようなものが出て、国際化社会だからええようにやりましょうというぐらいの程度でありまして、今回の自分たちの、自分たちというか政府の閣僚の一員が起こした事件でありますから、今回の事件を踏まえてということがやはりないのですね。
その点については、今回の
法案審議に当たって入管局がつくったものについては幾らか出ておるのであります。しかし、そういうことこそ一番に人権擁護局が先頭を切らねばならぬ。その人権擁護局の所管に関して、この前のそういう通達を見ても、ただだれかがどこかで差別事件を起こしたことについてみんなええようにやりましょうという程度の啓発の姿勢、そういう程度の姿勢しか出ていないのであります。これは非常に問題だと私は思います。
つまり、文字を
日本の
植民地支配で取り上げたということについては、例えば朝鮮語の新聞、出版物の刊行を禁止したという事実もあるのです。そういった者がだんだん文字を奪われるのは当たり前なんです。だから、その文字のよくわからない者が、例えば在日
朝鮮人、今日
日本に住んでいて、家を借りようと思ってもうまく断られる。それは違うじゃありませんか、それはちょっと不当じゃありませんかとなかなか対抗できない。入居条件に合いませんと言われても十分に対抗できない。そういうことが一つ一つの人権侵害の事実となって出ておるわけでありますから、格段の精神的構えというものを持って取り組んでもらわなければならぬ。
盧泰愚大統領が言った
歴史の事実を正しく知ってこそ、初めて乗り切れる、これは、被害を受けた側からすればもう最大限の包容力のある物の言い方だと私は思う。あの話は、本
会議場で私はちょっと涙を浮かべながら聞いたのです。差別を事実受けておる者は、それがぴんぴんくるのです。ぜひひとつ人権擁護局の方で、私は毎たび人権擁護局に物を言うようですけれども、ぜひそういう
考え方で人権擁護の任務に当たっていただきたいと思います。答弁はもうよろしいですから。
そこで、先ほど社会党の
小澤委員の方から、
政府案と社会党案のことについての多少の違いというものについて出てまいりました。強制退去事由それから特別再
入国の
許可等について、
大臣の、どういいますか恣意的な権力行使を最大限抑えてあるとは思いますが、我々の方は、この点を可能な限り客観的に、在日朝鮮・韓国人あるいは
台湾人の
生活の安定ということを考えますので、心配をしております。もう一度その点についての、客観的に公正を期すという決意のほどを伺いたいと思います。