運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1991-03-01 第120回国会 衆議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月一日(金曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長 臼井日出男君    理事 木村 義雄君 理事 北川 正恭君    理事 真鍋 光広君 理事 松田 岩夫君    理事 渡瀬 憲明君 理事 沢藤礼次郎君    理事 吉田 正雄君 理事 鍛冶  清君       岩屋  毅君    狩野  勝君       小坂 憲次君    塩谷  立君       原田 義昭君    船田  元君       増田 敏男君    村田 吉隆君      宇都宮真由美君    輿石  東君       佐藤 泰介君    佐藤 徳雄君       中西 績介君    馬場  昇君       平田 米男君    矢追 秀彦君       山原健二郎君    米沢  隆君  出席国務大臣         文 部 大 臣 井上  裕君  出席政府委員         文部大臣官房長 坂元 弘直君         文部省生涯学習         局長      福田 昭昌君         文部省初等中等         教育局長    菱村 幸彦君         文部省教育助成         局長      菴谷 利夫君         文部省高等教育         局長      前畑 安宏君         文部省学術国際         局長      長谷川善一君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      堀口 一郎君     ───────────── 委員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   逢沢 一郎君     中西 啓介君 同日  辞任         補欠選任   中西 啓介君     逢沢 一郎君 三月一日  辞任         補欠選任   三塚  博君     塩谷  立君   市川 雄一君     平田 米男君 同日  辞任         補欠選任   塩谷  立君     三塚  博君   平田 米男君     市川 雄一君     ───────────── 二月二十六日  国立西が丘競技場一般利用施設廃止計画反対に関する請願渋谷修紹介)(第一四一五号)  私学助成大幅増額、四十人学級実現に関する請願田中昭一紹介)(第一四一六号)  同(田中昭一紹介)(第一四八〇号)  同(田中昭一紹介)(第一五六六号)  私学助成大幅増額高校三十五人以下学級早期実現障害児教育の充実に関する請願外二件(田口健二紹介)(第一四一七号)  同外二件(田口健二紹介)(第一四三四号)  同外五件(田口健二紹介)(第一五六七号)  幼稚園の学級定数改善等に関する請願貝沼次郎紹介)(第一四七九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案内閣提出第二七号)      ────◇─────
  2. 臼井日出男

    臼井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。井上文部大臣。     ─────────────  国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 井上裕

    井上国務大臣 このたび政府から提出いたしました国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、国立学校設置法において国立大学新設短期大学部設置及び廃止並びに学位授与機構新設を行うほか、あわせて学校教育法改正して、学位授与機構の行う学位授与等について規定するものであります。  まず、国立学校設置法改正について御説明申し上げます。  第一は、奈良先端科学技術大学院大学新設についてであります。  これは、近年の先端科学技術分野の急速な進展に対応し、これらの分野に係る基礎研究を積極的に推進するとともに、高度の研究者技術者の組織的な養成及び再教育を行うため、学部を置かない大学院のみの大学として、奈良先端科学技術大学院大学設置しようとするものであります。  なお、奈良先端科学技術大学院大学は、本年十月一日に設置し、平成五年度から学生を入学させることとしております。  第二は、岐阜大学医療技術短期大学部設置についてであります。  これは、同大学医学部附属専修学校転換して医療技術短期大学部を併設することとするものであり、本年十月一日に開学し、平成四年四月から学生を入学させるものであります。  第三は、小樽商科大学短期大学部及び岐阜大学工業短期大学部廃止についてであります。  これは、小樽商科大学及び岐阜大学に併設されている短期大学部廃止し、それぞれ当該大学の商学部及び工学部に統合しようとするものであります。  なお、小樽商科大学短期大学部及び岐阜大学工業短期大学部は、平成四年度から学生募集を停止し、平成五年度限りで廃止することを予定しているものであります。  第四は、学位授与機構新設についてであります。  これは、生涯学習体系への移行及び高等教育機関の多様な発展等観点から、高等教育段階のさまざまな学習の成果を評価して、学校教育法に定めるところにより学位授与を行うほか、これに関し必要な調査研究及び情報提供を行う機関として、学位授与機構を本年七月一日に設置しようとするものであります。  次に、学校教育法改正について御説明申し上げます。  第一は、学士学位とすることについてであります。  これは、現在大学卒業者が称し得る称号として位置づけられている学士を、諸外国と同様に、大学授与する学位として位置づけるものであります。  第二は、学位授与機構が行う学位授与について定めることであります。  これは、大学が行う学位授与について規定を整備するとともに、生涯学習振興等観点から、学位授与機構が、短期大学または高等専門学校卒業者等大学等においてさらに一定学習を 行った者及び大学以外の教育施設において大学または大学院に相当する教育を受けた者に対し、その水準に応じ、学位授与することとするものであります。  その他、この法律におきましては、以上のことと関連して、所要の規定の整備を図ることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
  4. 臼井日出男

    臼井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 臼井日出男

    臼井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。真鍋光広君。
  6. 真鍋光広

    真鍋委員 このたび委員会に付託されました法律案は、日本高等教育全般にわたる問題、その一端がまず出てきたわけでございます。この際ひとつ日本高等教育の現状というものについて、まず最初に伺ってみたいと思うわけでございます。  もちろん、高等教育というのは、もともと国家有為人材、リーダーをつくることを目的とするわけでございまして、この日本の中核をなす人材養成に直接かかわっておるわけでございます。これからの日本を考えていく上で、これが日本社会経済要請に合致をしておるのかどうか。合致してないとしたら、逆に現在の日本社会あるいは経済体制というものの足を引っ張ることになるじゃないかということでございますし、またさらに、国際水準から見て、日本高等教育のあらゆる意味で量なり質、こういったものがどの水準にあるのかということをまず最初に確かめておきたい、このように思うわけでございます。  私、文部省から事前に少し資料をちょうだいいたしました。その中で驚いたのは、大学進学率というのは決して上がってないということでございまして、とりわけ男子低下傾向というのが著しいわけでございます。例えば、一応大学短期大学、この二つを高等教育にとりあえずくくってみますと、昭和五十年度に男子は四三%が大学等進学をいたしたわけでございますけれども、その後、例えば十年後の六十年には四三が四〇・六、そして平成二年では三五・二というふうに、五十年から比べましたら十五年で八ポイントも落ちておるということでございます。一方、女性の方が三二・四から三七・四ということで上げておりますので、男女合わせた計では、五十年度の三七・八から三六・三という微減にはなっておるわけでございますが、このように進学率が落ちておるというのをどのように考えていけばいいのだろうか。  それから、これにかかわる話でございますけれども、一方で、ちょうだいしました過去の推移を見ておりますと、高校新卒の方の大学短大への進学志望率というのは微々たるものでございますけれどもどんどん上がっておるのですね。例えば昭和五十年だと四七でございますけれども、一たん谷がありますが、ここ数年は一つずつ上がって四九というふうに、大学志望率高校新卒志望率志願率は上がっておるのです。一方で、合格率というのは年々一ポイントずつぐらい下がっておるということでございます。  だから、全体として男の進学率が下がっておる。一方で、新卒志願率は上がっているが合格率は下がっている。これを見ますと、何となく大学の数が少ないのかどうか、そのあたりがちょっと懸念されるのですけれども、どのように考えるか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  7. 前畑安宏

    前畑政府委員 今先生指摘のとおりでございまして、近年高等学校卒業者大学に対するいわゆる志願率というのは徐々に高まってきておりまして、平成二年度で申し上げますと四九%というところまでいっております。しかしながら、進学率の方は若干横ばい傾向にあるというのも御指摘のとおりでございまして、トータルとしても横ばい男子低下傾向、これに対して女子進学率は若干上昇傾向、こういうことにございます。  合格率も、御指摘のように、このところ低下をいたしておりまして、これもまた先生今御指摘いただきましたように、志望率志願率上昇をする、それに即応したいわば入れ物の増がないということから、合格率低下をし、進学率横ばいになっておる、こういう状況にあろうかと思います。  基本的にここで私どもとして考えなければいけないのは、大学短期大学といった高等教育機関に対する進学率というのをどのように想定して対処をすべきかという問題でございまして、現在大学審議会の方で高等教育計画ということについての御審議をいただいているところでございます。
  8. 真鍋光広

    真鍋委員 直接のお答えはちょうだいできませんでしたが、感じとしては、やはり大学あり方についてもいろいろ検討していかなければいかぬ点があるように私は感ずるわけでございます。  この法案の中で、例えば奈良先端科学技術大学院大学新設、こういうのがございます。それからまた岐阜大学が、看護学校にかえまして医療技術短期大学部設置する、こういう形で、いろいろな意味社会要請にこたえて前向きに改正していこう、これは本当に結構なことだと思うわけでございますけれども、しかし、全体として日本の若い人たちの向学心というものが上がっておる、底上げをしておるという状況でございまして、これに対して文部省としてはぜひ積極的にこたえていく。人生長寿化いたしまして、文部省としても、あるいはまた日本の基本的な政策としても、生涯教育というものをどんどん推進していかなければいかぬという状況のもとでは、やはり高等教育というものは量的にも質的にもどんどん上げていく必要があると思うわけでございます。  そういう中で、平成四年をピークとして、これから学生、若い者が、十八歳人口が減っていくわけでございますけれども、現在の日本高等教育在学者といいますか、その比率というのは、アメリカその他の先進国と比べて一体どの程度の水準にあるのでしょうか、伺いたい。
  9. 前畑安宏

    前畑政府委員 我が国高等教育の規模というのは、国際的に見てほぼ遜色のないところにいっておろうかと思っています。ただいま先生お尋ねのございました在学率ということで見ますと、日本の場合には三一・九%、こうなっております。これに対しましてアメリカは四三・三%。なお、御参考までにイギリスが二〇・九%、フランスが三五・一%、西ドイツが三三・六%、このような状況でございます。
  10. 真鍋光広

    真鍋委員 今伺いましたら、アメリカの四三に比べまして三二ということですから一〇ポイントくらい低いわけですね。  これから十八歳人口が減ってまいりますけれども、これから二十一世紀を迎えるに当たって大体どのくらい、つまりこうした在学率というのは上がっていくのですか下がっていくのですか。先ほどお話しいたしましたように、男子の方は下がっておる、女子の方は短大その他へどんどん進むので上がっておるわけですが、今後の施策あり方とも関係しますけれども、この在学率というのは一体上がるのですか下がるのですか。
  11. 前畑安宏

    前畑政府委員 高等教育ということを考えます場合に、現在、いわゆる一条学校として大学短期大学高等専門学校というのがございますが、それ以外に、幅広い層の学生を受け入れているものとして、いわゆる専門学校と言われている学校がございます。大学短期大学高等専門学校だけで見ますと進学率は三六・八%という数字でございますが、専門学校まで含めますと、高等教育機関進学率は五三・七%、こういうふうな数字になっております。つまり高等学校を卒業した者の半数以上が高等教育に学んでいる、こういう状況でございます。  この状況を今後どう見るかというのは大変難しい問題がございますが、私どもとしては、半数以上が高等教育を受けているという今の状況が極端にさらに高まっていくというような動向にはないんではなかろうか、このように考えております。
  12. 真鍋光広

    真鍋委員 伺うところによりますれば、アメリカあたりではパートタイムの学生というのは非常に多いと伺っておるわけでございまして、いずれにしましても、高等教育を受けたいという人の数はこれからどんどんふえていく、さらにふえていってもらわなければ困る、このように私は思うわけでございまして、そうした意味合いでの施策を今後長期的にじっくりお願いしたいな、このように思っているわけでございます。  その観点で、先ほど、二月でございましたか、大学審議会が連続して大変膨大な幅広い答申を出されました。私もここへ質問に立たしていただくということになりましたので、しっかり読んでみました。非常にすばらしい答申ではないか、このように感じたわけでございまして、これは、臨教審が六十年から四次にわたってずっと検討していかれたこの流れをくんで、それのいわば具体化した提案、このように考えてよろしいのでしょうか、お伺いします。
  13. 井上裕

    井上国務大臣 御案内のように、大学審、六十二年の九月に設置されまして、十月に諮問をお願いいたしまして、過去一回答申をいただいて、そして二月八日にこの大きい、先生ごらんのような答申が出たわけでございます。
  14. 真鍋光広

    真鍋委員 拝見しまして、この中には、例えば昼夜開講制という制度であるとか夜間主コースというような非常に弾力的な学生需要、要望に合った考え方、こういうことが既に書かれておりまして、そのことがまた、この法案の中で、小樽商科大学短大であるとかあるいは岐阜大学工業短大、これを廃止して夜間主コースに変えていく、こういう前向きのいわば答えとして、政府からの答えが出ておるわけでございます。そのほかにも、コース登録制であるとか科目登録制であるとかいろいろな、つまり教育需要者の立場に立ってできるだけそれにこたえていこうじやないか、それにこたえることによって国民高等教育への願望、そういったものを受け入れ、さらに奨励していこう、こういう姿勢があらわれておりまして、私は実は驚いたわけでございます。  私は、日本文部省というのは、とにかく頑迷固陋とは言いませんけれども義務教育体制のもとでとにかく国民一定の年限になったら必ずもう既にこしらえてある学校に入れ、入ってそれに従わなんだらもう落ちこぼれだ、こういうことでやっていく、つまりサプライサイドの権化みたいに思っておったのですが、このたびの諸答申を拝見いたしますと、これはデマンドサイド教育需要を受けよう、そうした者に対してできる限り幅広くこたえていこうじゃないか、許される限りこたえていこうじゃないか、こういう姿勢が見えまして、これはすばらしい姿勢の、また転換と言ったらなんでございますけれども転換ではなかろうか、このように感じたわけでございます。  その中の一つに、大学カリキュラム枠組みに関して大学設置基準大綱化する、大学設置基準大綱化の中にはいろいろな内容があるのですが、一つは、カリキュラム枠組みを変えていこう、これまで一般教育専門教育それぞれにがっちり枠を入れておったものを少し緩めようじゃないか、こういう話がありました。私もかつて大学教養学部で退屈したなという記憶のある者でございまして、非常に結構なことじゃないかと思うわけでございます。とにかくこれは、私はアメリカから押しつけられた制度であろうと思うわけでございます。ところが、アメリカにとっては、こういう教養学科といいますか教養学部といいますか、一般教育は必要なわけでございます。御承知のように、アメリカは移民でできた国でございます。多人種で構成される国家でございますだけに、アメリカというマルチカルチャーの国を指導者としてやっていくには、広く深く西洋文明の遺産というものをしっかり根底に持っておかなければいかぬ。こういうことで、高等教育最初段階一般教育という意味合いがあったのだろうと思いますけれども日本のようにアイデンティティーが嫌でもしっかりし過ぎておるという国にあって、この一般教育課程というのはどういう意味合いがあったのか。そういう意味で見直すということには、大変ありがたいといいますか、賛成をいたすものでございます。  ただ、これで各大学が個性を豊かにしていくということはありがたいのですが、同時にまた、教養課程一般教育のよさというものもあるわけでございまして、私はやはり国際社会の中で生きていかなければいけない日本、とりわけ豊かな国になりまして世界の目が厳しくなる、世界の目を繊細に受けとめながら行動していかなければいかぬ、そういう日本にとりまして、一般教育の中身というものを、やはり国際関係、諸外国ともうまくやっていく、仲よくやっていく、そういう文化をしっかり教え込む教育にしていただきたいな、そんな気持ちも持っておるのですが、このあたりをひとつお答えいただきたいと思います。
  15. 前畑安宏

    前畑政府委員 先生指摘のとおり、一般教育というのは、戦後の我が国新制大学にとりまして大変大きな理念でございました。大学教育が専門的な知識の修得だけにとどまることのないよう、学生学問を通じ広い知識を身につけさせるとともに、物を見る目や自主的、総合的に考える力を養うというような理念のもとに始められたわけでありますが、これまた御指摘のように、それが必ずしもその理念目標具体実現するようには実施されていないではないかという批判がかねてからございましたところで、今回の大学審議会答申一つの大きな眼目となっております。  その一般教育の中でどのように具体教育内容を取り扱うかということは、これは各大学がそれぞれの大学教育目標あるいは理念に従って考えていくところでありますが、今回の大学審議会の一連の答申でも、御指摘国際化への対応ということは随所に指摘をしてございますので、私どもとしても、その答申趣旨を踏まえながら大学側に対して対処をしてまいりたい、このように考えております。
  16. 真鍋光広

    真鍋委員 次に、大学評価システムということも一つ書かれておるわけでございます。この中で、アメリカアクレディテーションシステム、こういうことが書かれていますが、これはどういう仕組みになっておるのでございましょうか。
  17. 前畑安宏

    前畑政府委員 大学がみずからを点検評価をするということは大変大事なことでありますが、その点検評価自己点検自己評価にとどまらず、さらにいわゆる第三者評価といいますか、客観的な評価を受けるということがさらに重要なことである、こういう認識のもとに、アメリカではアクレディテーションという仕組みが行われておるわけであります。概略申し上げますと、各種の技術的な、大学基準協会というのがアメリカの場合学問分野別あるいは地域別にございまして、そこに加入を希望する大学に対しまして、第三者機関としての客観的な評価をし、当該大学高等教育機関として一定水準以上であることを認定するシステム、このように承知をいたしております。  基本的に申しますと、我が国の場合には、大学設置というのは、私どもの方で省令で決めております大学設置基準に基づき、大学設置学校法人審議会審議をいたしまして、文部大臣の認可という手続で行うわけでございますが、アメリカの場合には、基本的にはほぼ自由設立に近い形で大学設置をされる、したがって、それに社会的な一定評価を与えるために、そういったアクレディテーションシステムといったものが発達をした、このように承知をいたしております。
  18. 真鍋光広

    真鍋委員 そういった制度、思想というものを受け継いで、日本でもひとつ大学自己評価というものをてこに、学生にとってもいい、あるいは教育の効果を考える上でもいい仕組みにしていこう、こういうことだと思います。  そういう中で、いただきました答申集の二十六ページを見ておりましたら、「大学自己点検評価項目」というのが例示として挙がっておりますけれども、その中に、「教授方法工夫研究」とされまして、「教員教育活動に対する評価工夫学生による授業評価等)」こういうふうに書いておるわけでございまして、私はやはり、教員というものは聖なる職ではございますけれども、同時にまた聖人ではあり得るわけでないわけでございまして、多くの学生を引きつけるだけの魅力、またそれだけの研さん、工夫というのを常々やっておかなければ、人間のことですからよどんでしまう、こういうことになると思うわけでございます。ぜひひとつこの学生による授業評価、こういったものは、大学の自治という意味合いからいうと大学人にとっては非常に痛みだろうとは思いますが、しかし教授技術というのは決して卑しむべきことではないわけでございまして、わかるように教える、それがやはり教育の原点であります。権威、権がつくのはどうせろくなことがない、権威によって従わしむるというのは絶対いかぬことでございまして、やはりその人柄なり、人に教えようという熱意なり、こういったことで引っ張っていくことが大事であると思うわけでございまして、ぜひひとつ学生による教員評価というものをつけ加えていただきたいがな、こんなふうに思うわけでございますが、もしもこれについて御答弁でもあれば伺いたいと思います。
  19. 前畑安宏

    前畑政府委員 ただいま御指摘の、答申にございます大学自己点検自己評価における評価項目というのは、この答申にも書いてございますように、「例えば、別紙のような項目」さらに「なお、別紙項目例示にすぎず、各大学において実際に自己点検評価を行う際は、」云々と書いておりますように、まずは各大学自己点検自己評価に取り組んでもらうということが最大の眼目ではなかろうか、かように思っております。  その自己点検自己評価を行います際には、各大学設置者の別もありますし、また専門分野別等もございますが、御指摘のように、学生の側における授業評価といったものも、できますれば各大学でお考えいただければというのも、私ども先生と同様に希望いたすところでございます。
  20. 真鍋光広

    真鍋委員 次に、学位制度の改革について伺いたいと思います。  私も大学を出さしていただきましたので学士なんだと思うのですが、学士を称したことは余りないわけでございます。今度は称するのではなくて、学位をやろうということでございまして、これだけ高等教育を受ける方々が多くなった時代に、やや大時代的なという気持ちも片一方でするわけでございます。しかし同時に、国際化といいますか、日本にやってこられた留学生の方々が、ほかの国に留学したら簡単といいますか、比較的、それなりの努力をすれば学位が取れるものが、日本に来るとなかなか取れない、こういうシステムでは困る、肩身が狭い、そしてまた、そのために日本に留学する人の数が少なくなる、こういうことではまずいと思います。そんな意味意味があることかなと思っておるわけでございます。  事実、私は今から十五、六年前にカナダに在勤をいたしておりましたが、ちょうど娘が幼稚園に入るということになりまして、幼稚園の父兄の名簿をもらったとき、愕然とした思いをしたことがあるわけでございます。私とお隣の日本人の海運会社に勤めておる方以外は、みんなドクターとかなんとか全部肩書がありまして、肩書がないのは私と隣の私の友人の船会社の人だけでございました。それぞれ大学を出ておるので、そのころバチェラーということを知っておれば、バチェラーというのは独身とだけ思っておったものですから、知っておればバチェラーと書いたのかもわかりませんが、そういうならわしがございます。したがって、外国へ行けば、日本の方も、日本の駐在員も、やはり肩書が必要だということがわかるので、そういう意味では、広い意味で理解できるわけでございます。  ところで、日本の現状を伺っておりますと、医学部だの工学部だのという理科系では結構博士というのは多いのですけれども、人文・社会科学の分野では余り聞いたことがないので、何となく碩学泰斗という感じでないと禁じられておる、理科系と文科系とえらい違うような気がするのですが、実態はどうなっておるのでございましょうか。
  21. 前畑安宏

    前畑政府委員 御指摘のとおりでございまして、工学系で申し上げますと、博士の学位授与率というのは修士で九七%を占めております。人文・社会系では、博士のレベルになりますと異常に低うございまして、六十三年度で授与率を申し上げますと二・七%、工学の博士は七二・四%、社会科学系も六十三年度の授与率は七・六%というような状況になっております。
  22. 真鍋光広

    真鍋委員 外国から日本に留学においでになる方の中には、理科系もございますが、同時に人文・社会科学系の方もおられるわけでございます。またこっちの方にしっかり入って留学してくれるように奨励をしないことには、理科系の話というのは思想が日本的思想とか日本精神というのをバックにしておるわけではないわけでございまして、人文科学系にこそ日本の精神、そういったものが入ってくるわけです。その分野でぜひひとつ博士号がどんどん出ること、そういうことを通じて留学生がこの分野に流れ込んでくる、それを通じて日本国際社会に理解されるためのかけ橋になる人材養成される、こういうことになると思いますので、ぜひそのようにお願いをしたいと思います。  そういう中で見ておりましたら、学位規則の十条では、学位は与えるのだけれども、「大学名を付記する」というのが書いてあるわけでございます。これは、大学名を出すとなったら、例えを出して悪いのですが、東大は、もう東大の名誉にかけて、ほかのところが出してもおれは出さぬ、こういうことが、今理科系と人文系で分かれておりますが、今度は人文系で出すことになっても、大学によって、東大の名誉にかけておれは出さぬ、こういうことがあっては困るのですが、この「大学名を付記する」というのは、どういういわれで、あるいは積極的な意義があって、こういう規則を省令で定めておるのでしょうか。
  23. 前畑安宏

    前畑政府委員 突然のお尋ねで、大変申しわけございませんが、具体には承知をいたしておりませんけれども、考えますと、やはり学位授与するということについての責任を明らかにする、こういう趣旨ではなかろうかと理解をいたしております。
  24. 真鍋光広

    真鍋委員 それでは、行政指導が大学の自治に合うものかどうかはわかりませんけれども、いずれにしましても、文部省に対しては、「大学名を付記する」ということの結果として、大学によって大変に、かえってこのために制約的に働くということがみだりにあってはならぬと思いますので、御要望だけさせていただきたいと思います。  それから、日本の国内だけとってみましたら、幾ら高等教育を受ける人が数が多くなったといっても、ふえた段階国民の半分、それも専修学校の高等課程まで入れての話でございますから、少なくとも残りの半分は、こういう学位に浴することは絶対ないわけでございます。学位制度というのを導入するからといって、こうしたものが学歴社会を助長することのないように、これまた御注意を賜りたいと要望しておきたいと思うわけでございます。  その次に、法案をちょっと読んでおりましたら、法案の六十八条の二というところで「大学は、文部大臣の定めるところにより、大学を卒業した者に対し学士学位を、大学院の課程を修了した者に対し修士又は博士の学位授与するものとする。」ということで、「授与するものとする。」となっておるのですが、改正前の六十八条を読みますと、「大学は、」「授与することができる。」となっておるわけです。「することができる。」ということを、今度は「するものとする。」これはどういうわけで直すのでございましょうか。
  25. 前畑安宏

    前畑政府委員 御指摘の条文につきまして御指摘のような改正をしよう、こういうことで御提案をさせていただいておりますが、現行の規定によりますと、「大学院を置く大学は、監督庁の定めるところにより、博士、修士その他の学位授与することができる。」こうございまして、そして学位規則の方で「博士の学位は、大学院の博士課程を修了した者に授与するものとする。」「修士の学位は、大学院の修士課程を修了した者に授与するものとする。」こういうふうないわば二段構えになっておるわけでございます。今回御提案いたしております改正案では、学士学位として位置づけるということに伴い、また学位授与機構というものを創設させていただきまして、学校教育法において学位授与機構が与える学位授与の要件といったようなことについて規定をする、こういう構えにいたしておりますので、法律段階までいわば学位授与の要件等を定めるということでお願いいたしておりますところから、「授与するものとする。」というふうに改めさせていただきたいと考えるところでございます。  なお、このことは学位規則が現在規定をしておりますところと相通ずるわけでございますが、先ほど御指摘学位授与状況ということをも念頭に置きますと、新しい課程制の大学院というものは、修士課程を修了させるということは修士の学位授与する、博士課程を修了させるということは博士の学位授与するということに通じるべきものでございまして、そういうことからいたしますと、課程制大学院趣旨法律においても的確に表現をする、こういうことになろうかと考えております。
  26. 真鍋光広

    真鍋委員 ただいまの御答弁である程度理解ができたような気はいたすわけですが、同時にまた、課程制ということになりましたら、この課程が、つまり博士課程に入ったら、逆からいうと博士にならなければ卒業できないということになるわけでございまして、せっかく意気込んで外国の留学生、ここでまた外国の留学生の話をしますけれども、意気込んで入ってきた、もちろんいつまでたってもなかなか学業が進まぬ点はあるかもわかりませんけれども、論文を書くのに手間取ってどうもならぬ。そういう中で卒業ができない。つまり中退みたいな格好。博士になれないと中退になる。博士課程に入った瞬間に、入ったが最後、中退でなければ博士だ。こういう二者択一になる。ここらあたりはもうちょっと柔軟性があってよろしいんじゃないでしょうか。博士課程に入って卒業したけれども、博士課程は履修したけれども、博士号はこれからだというのはまだ救いがあるけれども、何年やっても卒業できない、博士になれぬ以上卒業できない、つまり中退だ。これではせっかく勉強したことに対して何か失礼なような気もするのですが、そのあたりを。
  27. 前畑安宏

    前畑政府委員 御指摘の留学生の問題を含めまして、我が国大学院、特に人文社会系の大学院に対しての御批判として、一つには、教育あるいは研究指導というものが極めて手薄ではないかという御批判がございます。現在大学審議会大学院の問題につきましても御審議をいただいておりますが、そのような留学生の存在ということにももちろん留意をしなければなりませんが、全体として我が国大学院あり方を考えますときには、大学院における教育研究指導体制をもっと充実をするという方向での御審議をちょうだいいたしておるところでございます。  それから、御指摘をいただいております学位制度の改善ということにつきましても、現在ございます文学博士あるいは法学博士というものをそのまま引きずっていきますと、従来のいわば碩学泰斗というイメージをいつまでも引き継ぐということになりますので、この答申でちょうだいいたしております改善案は、博士というのはもう博士だけにしよう、そして学位記では博士ということにして、それに一般的な必要性から専攻をつけるということについては、それぞれの大学院で例えば博士(理学)であるとか博士(文学)であるとかというふうなことで対処をいたしますと、文学博士、法学博士といった従来の碩学泰斗のイメージがそこで払拭できて、新しい博士というのを出せるようになるんではなかろうかということが一つございます。  それから、大学院自己点検自己評価ということについても、答申では評価項目の例をちょうだいいたしておりますが、その中でも学位授与状況というものをそれぞれみずから点検し、評価をすべきではないかという御提言もいただいているところでございます。
  28. 真鍋光広

    真鍋委員 いずれにしましても、ひとつ学位制度というものを弾力的に扱っていこうじゃないか、こういう前向きのことだと考えまして了解いたしたいと思うわけでございます。  次に、学位授与機構の話でございます。  非常に新しい概念だと思うわけでございまして、生涯学習というものを国としてこれからずっと奨励し進めていかなきゃいかぬ。こういう中で学習意欲を継続し達成感を持たせる、そういう観点からも学位授与機構の存立理由というのは出てくるような気が強くするわけでございます。同時にまた、政府高等教育機関でございます大学校、こういったところに学ぶ方々にとって恐らく学士学位をいただくということは本当に夢であろうと思うし、それが誇りになるということだろうと思うわけでございまして、学位授与機構を設立しようという御提案に対しまして心から賛意を表するものでございます。ただ、これは今後どのように設置し、具体的に運用していくのか、そのあたりを伺いたいと思います。
  29. 前畑安宏

    前畑政府委員 御提案いたしております学位授与機構につきましては、国立学校設置法におきまして、これもかねてから御審議をいただきながら設置をしてまいりました大学共同利用機関と同じような性格のものとして設置をさしていただきたい、このように考えております。  と申しますのは、学位授与というのは国際的にも大学でなければできない、こういうことになっておりまして、先年イギリスでCNAAという機関設置をされて学位授与するということを行ってまいっておりますが、これもいわゆる勅許状というものによって大学と同じようなステータスを与えられて学位授与を行うということでございます。  そこで、先ほど申し上げましたように、大学共同利用機関というものは、長年の、これまでの長い経緯の中で大学関係者からはほぼ大学と同様な性格のものだという認知も得ているというふうに考えておりますので、そのような性格のものとして設置をさしていただきたい、このように考えておるわけでございます。  そういたしまして、大学共同利用機関と同じような性格のものというのは、まず一つには、その運営の機構として評議員といったものをお願いをする。さらにその若干下部的なものとして運営協議員といったようなものもお願いをする。さらに機構の長あるいは機構の教授、専任の教員につきましては、教育公務員特例法を大学共同利用機関と同様に準用をいたしまして、大学に準ずる教員の人事の自治というものを認めていく、こういうふうな構えでおるわけでございます。設置をさせていただきますと、そのようなことで自治的に機構の長が選ばれ教員が任用されまして、そこで各専門分野をにらみながら非常勤の専門の委員の方々を、百数十名というふうな予定もいたしておりますが、お願いをいたしまして、具体学位の審査に当たる、このような体制を考えているところでございます。
  30. 真鍋光広

    真鍋委員 法案の附則には経過措置がございまして、改正前の学士の称号は、改正後の規定による学士学位とみなすというふうに書かれておりますが、これは具体的には、例えば私どものようなかつて三十年近く前に大学を出た人間は学士学位を持つことになると考えてよろしいのでしょうか。
  31. 前畑安宏

    前畑政府委員 学士の称号を学位に改めますことに伴いまして、関係の法律でもって、従来でございますと「学士の称号を有する者」というふうに規定している部分について、「学士学位を有する者」と改めるというようなことも出てまいるわけでございます。そういった場合に、例えば教育職員免許法等でございますと、従来は「学士の称号を有する者」とありましたものを「学士学位を有する者」、こういうふうに改めることになりますと、従前の学士の称号を有していて、その資格を持った者が、この法律によりましてなくなるということになりますので、そういう点を救済するために経過措置として措置をいたしたものでございます。
  32. 真鍋光広

    真鍋委員 ということは、教職についてない、つまり一般の既に卒業した方々は、学士学位はいただけないといいますか、あるものとみなされないというふうに考えてよろしゅうございますか。
  33. 前畑安宏

    前畑政府委員 学士学位が与えられるわけではございませんが、学士学位を取得したと同じような立場に立つ、こういうことでございます。
  34. 真鍋光広

    真鍋委員 ちょっと私には理解できにくいわけでございますけれども、事は政府の各大学校のこれからの卒業生というものは、この法案を通していただければ、これからは卒業生学士ということになっていくわけでございましょう。しかし、その場合に、既に御卒業された方はある一点からぐっと差ができてしまう、それでは寂しいじゃないか。御卒業された方で、まだ二十五、六の方は卒業したばかりです。これから卒業してくる方は学士で、自分たちは学士でないというのも、同じ役所、同じ職場に勤めながら、何か随分差別されたような気がするんではないかとおもんぱかりますので、このあたりについてもひとつしっかり御検討賜るように、私もちょっと理解力が低いものですから、今の話はよくわからなかったので、これ以上この場ではお話ししませんが、そのようにお願いを申しておきたいと思うわけでございます。  次に私は、これから教育需要に即応した教育自由化の一層の推進をお願いしていく上で、ぜひ地方振興の観点からこれを行っていただきたいなと思いまして、御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  アメリカ高等教育機関というのを少し本を見ておりましたら、分け方によるのでございましょうけれども、競争的高等教育機関と選抜的、開放的と、三つに分けておる、便宜機能的に分けた本がございました。競争的というのはハーバード大学であるとかスタンフォード大学、あるいはアメリカ全土から集まってくる、そういう大学をいうのだそうです。これが全体の一〇%ぐらいを占める。一方で選抜的というのは州立大学というようなものでございまして、全体の学校の数でございますけれども、五五%ぐらいある。さらに、開放的というのは公立の短大であるとかコミュニティーカレッジ、こういったものを開放的と分類しておるのですが、これは三五%ぐらいある。こういうことでございまして、この開放的高等教育機関でございます三五%の部分、これが日本においてどのような状況になっておるかというのが私の主たる関心事でございます。  この開放的というのは、納税者の大学ということでオープンアドミッション、フリーアドミッションを原則としておる、このように言われるわけでございます。こういう開放的というものの候補を日本で挙げてみれば、必ずしも開放的かどうかわかりませんけれども一つは地方の短期大学というのが少なくとも選抜的と開放的の間ぐらいではなかろうか。あるいはまた、先ほどちょっとお話がございました専修学校の専門課程、こういったものは比較的開放的な部類に入るのではなかろうか。しかも、この二つの機関がそれぞれ地方に存在しておるということでございまして、これをひとつしっかり充実させる方向でやっていただけないものだろうか、このように私は切にお願いしたいわけでございます。  とりわけ専修学校の場合は私立学校が中心でございます。私は、私立学校にこそ教育需要者を引きつける要因がなければ私立学校は成り立たぬわけですから、やはりこういったものがどんどん教育分野に入っていくことによって、それがてことなって教育自体がお仕着せのサプライサイド教育体制ではなくて、利用者サイド、デマンドサイドに立った教育体制に次第に変わっていく、それがこれからの日本にどうしても必要だと思うわけでございまして、この短大あるいは専修学校、こういったものを地方でどんどんふやせるように、文部省の方に、もしも設置基準とかそういうことできつく縛っておるのだったら、さらにそれを緩めていただきたい、このように思うわけですが、このあたりについて一言お伺いしたいと思います。
  35. 前畑安宏

    前畑政府委員 大学設置につきまして、私どもは、基本的に従来から大都市圏における大学設置を抑制し、地方における大学設置をいわば促進をしていきたい、こういうことで対処をしてまいってきております。  若干数字を申し上げさせていただきますと、昭和五十一年には東京圏の学生の集中度といいますのは、四六%東京圏でございまして、東海が八%、近畿圏が二二%、地方、それ以外のところが二三・九%、こういう状況でございましたが、平成二年を見ますと、東京圏が四六%から四〇%へ、東海圏はほとんど異動がありませんが、近畿圏が二二%から二〇%へ、こういうことで、それ以外の地域が二三・九%から三一・六%へと七・七ポイント上昇をしておる、こういう状況になっております。  基本的な私ども設置認可に当たっての対応としては、ただいま申し上げましたように、大都市圏を抑制し、地方への設置を促進をするということでございますけれども、現実に見てまいりますと、今後十八歳人口の減少ということもございまして、なかなかいわゆる地方に大学を新たに設置するという、設置できるという状況が難しくなってきております。今後は大都市圏抑制を一方で考えながら、地方における中核都市といいますか中枢都市といいますか、いわば政令指定都市ぐらいを念頭に置きながら地方の育成ということを考えなければならないのではなかろうか、このように思っておるところでございます。
  36. 真鍋光広

    真鍋委員 御方針は伺いましたが、さらにまた、もうちょっと地方にぜひひとつ緩めていただきたい、このように御要望申し上げておきます。  今回、大学審議会答申、そしてまた、このような法案を通じまして、私は新しい動きというものを感じ取りまして、非常に高く評価いたしておるのでございますが、こういったデマンドサイドに立った教育自由化の光というものをぜひひとつ義務教育課程に及ぼしていただきたい、このようなことを私最後にお願いをいたしたいと思うわけでございます。  私は長い間浪人をいたしておりましたので、いろいろな人間を選挙の運動の上で使ってまいりました。社会の中でなかなか就職機会がない、ある意味では落ちこぼれに近い方々というのをたくさん使ってまいった。つまり逆から言いましたら、社会では、一たん社会に出ましたら社会の方がうまく人を使って落ちこぼれをつくらぬ時代になっておるわけでございます。ところが義務教育課程では落ちこぼれがいっぱいある、あるいは高等学校へ行くと登校拒否がある、こういう形で、そこに大きな問題があると私は思うわけでございます。  社会が落ちこぼれをつくらないという例を一つ申し上げたいと思うのです。法務省の「矯正統計年報」というのが毎年出ておるのですが、その中で、年末、各年の末ですね、年末の刑務所在所受刑者、これは年齢別にずっとございます。それをちょっと御紹介申し上げますと、今から三十年前、昭和三十五年には六万一千人の受刑者がいたわけでございます。そのうち二十から二十九歳までが五五%いたわけでございます。それが累次下がってまいりまして、五十五年には二五%、半減以下ですね。それから六十四年といいますか、平成元年では二二%に下がっております。一方で、三十代ですね、三十から三十九歳までの受刑者は、昭和三十五年が二八%、五十五年が四一%そして六十四年が二七%、一たん上がって、下がっております。そして、さらに上の四十から五十九歳、ここのところを見てみますと、全体の一五から三二、四六とどんどん上がっておるわけでございます。つまり受刑者の数がどんどん減ってまいります。全体の数を言いませんでしたが、三十五年六万一千人受刑者がいたのが、平成元年では四万二千人に二万人減っておる。五割方減っておるわけです。五割までいきませんか、減っておるわけですね。そういう中で、こぶがどんどん後ろに来ておるのです。若い者、つまり働き盛りはなかなか刑務所に入らぬ。だから、今から一年くらい前ですけれども新聞に出ておりましたのは、受刑者の平均年齢がついに四十二歳になった、若い者が入らぬようになった、刑務所も人手不足です、こういう話になっておるわけでございます。  どうしてこぶができていくかというと、大体累犯者が五割おります。例えばこの平成元年の四万二千六百人の受刑者のうち二万三千人は累犯の方でございますから、ずっと若いときに、つまり職場がなかったり社会が十分受け入れ切れなかったときに犯罪を犯した方が社会不適応でずっときておるわけですね。一方、暴力団の話をしてはなんでございますけれども、暴力団ももう社会に入ったやつはなかなか仲間に引きずり込めぬ。だから暴走族をやっておるとか、まだ生徒のときに喫茶店や何かで、あるいは飲食店でアルバイトした人をどんどん、これが暴力団への、といっても暴力団も一つの組織ですから、すぐ犯罪を犯すわけではございませんが、そういうところがねらわれる。一たん社会経済に入ってしまったらもう犯さないということでございます。  これは私は大変重大なことだと思っておるのです。つまり一般社会デマンドサイドに立った社会でございます。義務教育というのはサプライサイドでございます。私はやはり義務教育に何としても風穴をあけなければ、日本の若い者に対して気の毒じゃないか。必ず世の中には、LDの例でありますように、何%かはやはりお仕着せではやっていけない、しかしいろいろ考えてやれば能力、余力のある方がいっぱいあるわけです。しかし、それに対する温かみといいますか、弾力性、受容性というのは、私はまだまだ十分でないと思うわけでございます。  ここに読売新聞のことしの二月十四日の記事があるのですけれども、荒川区が「登校拒否児に相談室」ということで、相談室を設けて、金はかかるけれども、わずか八十何人のために千四百万円計上したということですが、大変な御努力、過ぎた御努力かもわからぬ御努力をしよう、こういうものは非常に大事であって、この相談室が、そのままおるだけで義務教育課程はどんどん進行しておるんだということにすべきではないかと私は思います。  あるいはまた、これは義務教育ではございませんが、実質義務教育の延長でございます高校に関して、中途退学者が大変多いという話は先般来ずっとここの委員会の議論になっておるわけでございます。そこで、仮進級、ちょっとぐらい単位が足らぬでも仮進級させてやれ、こういう提案もあるわけでございまして、義務教育の課程に対しまして、ひとつぜひそのような教育を受ける者の立場をしっかり頭に置いてお願いしたいな、私はこのように考えるわけでございます。  長い質問になりましたけれども、義務教育という国家国民の皆様、児童に押しつけた、お願いしておる教育の中で、一生のけが人といいますか罪とがをといいますか、傷をつけた人間を国家がっくり出すということは本当に申しわけないことだと思うわけでございまして、このような考え方を持っておるのですが、大臣、いかがでございましょうか。
  37. 井上裕

    井上国務大臣 私も、読売新聞を見せていただきました。  御案内のように、小中学校国民教育機関でございまして、そしてまた学習のおくれがちな子供に対しまして教育内容の精選や指導方法、こういうものを考えて善処いたしたい、このように考えます。
  38. 真鍋光広

    真鍋委員 どうもありがとうございました。終わります。
  39. 臼井日出男

    臼井委員長 次に、佐藤泰介君。
  40. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 では、よろしくお願いを申し上げます。  この委員会でもさまざま論議をされてきましたけれども高等教育の改革については、今各方面で論議がされ、二十一世紀に向けて日本教育改革の大きな課題であろうというふうに私は考えております。大臣もさまざまな点でそんな点を力説されておりますけれども、二月八日の大学審議会答申を踏まえ、大臣の我が国大学改革についての基本的な考え方なり、その推進に当たっての決意のほどをまずお伺いしたいというふうに思います。
  41. 井上裕

    井上国務大臣 我が国が今後一層の発展を遂げ、また国際的に貢献していく上で、高等教育の充実というもの、また改革は極めて重要である、このように考えております。  大学審議会の今回の答申は、高等教育全般にわたりまして改革の方向と方策を幅広く提言したものでありまして、文部省といたしましても、本法案を初め皆さんに今お願いをしてありますが、所要の制度改正を速やかに具体化したい、このように考えております。  同時に、高等教育の改革は、各高等教育機関のおのずからといいますか自主的な改革の努力、これが重要である。大学教育そのものは自主的なみずからの努力が一番重要である。こういうことに関しまして、文部省としては、そのような努力を各大学にそれぞれお願いし、またこの支援をしてまいる、そういう所存であります。あくまでも大学自体でございますから、押しつけるということじゃなく、大学自体が、自治の精神、また大学が自主的な改革、みずからやろうということについて私どもはひとつぜひ奨励をしたい、このように考えております。
  42. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 今押しつけるのではなくて大学が自主的にそういった改革ができるように、そして答申に盛り込まれたことを具体的に実現をしていきたいという強い決意を述べられたことについては、私も十分に理解をさせていただきました。  と同時に、今回のこの二月八日の大学審答申について伺いたいわけですが、今真鍋委員の方からも若干質問がございましたけれども、この大学審議会答申に至るまでの経過なり背景について若干まずお伺いをしたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
  43. 前畑安宏

    前畑政府委員 この大学審議会は、臨時教育審議会の答申指摘されております高等教育の諸課題について、その具体的な改革方策を検討する、さらに我が国高等教育の基本的なあり方を調査審議するというようなことから昭和六十二年に設置をされたものでございます。発足の際に、文部大臣から「大学等における教育研究の高度化、個性化及び活性化等のための具体的方策について」というかなり包括的な諮問をお願いいたしまして、これに対する答申として、高等教育改革の課題が多岐にわたりますことから、各課題ごとに審議の区切りがついた段階で逐次答申を行うように大臣からお願いをしたところでございます。そういうことで、六十三年の十二月には「大学院制度の弾力化について」という答申をちょうだいし、約二年ぶりになりますが、このたび御指摘学部教育短大教育高等専門学校教育学位制度に関する諸問題につきまして、五件の答申をちょうだいしたということになっております。  なお、引き続き大学審議会では平成五年度以降の高等教育の整備のあり方、いわゆる高等教育計画と申しておりますが、その問題、さらには大学院の整備充実方策の問題等々なお御審議をいただいているところでございまして、結論を得次第逐次御答申をいただく、こういう運びになっております。
  44. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 臨教審の答申を踏まえ、そして今回こういう大学審答申に至ったということでございますけれども大学審答申に至る過程の中で、大学改革協議会というものが途中で設置をされているように思うのですけれども、それとの兼ね合いではどんなふうでございましょうか。臨教審、そして大学改革協議会、そして今回の大学審議会設置というふうになってきたというふうに私は理解をするわけですけれども、この大学改革協議会というものの位置づけはどんなような状況だったのでしょうか。
  45. 前畑安宏

    前畑政府委員 御指摘大学改革協議会という ものは、臨教審の第二次答申を踏まえまして、大学改革の推進について研究協議をするということで六十一年五月に発足をいたしたものでございます。発足以来主として緊要の課題とされておりました大学院の改革の問題及び大学設置基準の改革について研究協議を重ねてまいっておりまして、この改革協議会としては、大学院の充実につきまして一応の具体的な方向を取りまとめたということになっております。
  46. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 そうしますと、今御説明いただいたように、臨教審の答申大学改革協議会の話し合われた中身、そして、その過程で大学審議会がつくられて、今回の答申に至ったというふうに理解をさせていただきます。  この答申具体的な中身について次にお伺いをしたいというふうに思うわけですけれども、その前に、大学の問題でございますので、文部省として大学本来の使命というものをどのように把握をしておみえになるかということ、大学教育の本来の使命、このものについてまず説明をしていただけますでしょうか。
  47. 前畑安宏

    前畑政府委員 大学の使命は、高等教育機関として高度の教育を行うとともに、それ自体として研究を行う、こういうふうな機関であるというふうに理解をいたしております。
  48. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 本来の使命は、今お伺いしますと、学術研究の推進と同時に、すぐれた人材養成というような部分もあるというふうに私は思うのですけれども、この二点が中心的な使命であるというふうに理解をさせていただいてよろしいですか。
  49. 前畑安宏

    前畑政府委員 そのとおりでございます。
  50. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 そのことをまず前提として、次に二月八日の大学審の今回の答申の改革提言の具体的な内容についてお伺いします。  先ほどの真鍋委員の質問の中で、五つの提言がされたという答弁がございましたけれども、その中心的なものは大学教育の改善であり、他の四つのものは、その大学教育の改善を進めていく一つの方策といいますか、補完をしていくというように私は理解をしているわけですけれども、その大学教育の改善の中で、今回かなり特色あるカリキュラムの編成ができるように提言をされていますが、その特色あるカリキュラムの編成に当たっての特徴的な事項について、まず簡単に説明をしていただけますか。
  51. 前畑安宏

    前畑政府委員 カリキュラムの問題につきまして、この答申指摘をいたしておりますのは、基本的には、現在の大学設置基準が決めております授業科目の区分と卒業要件の問題でございます。御案内のとおり、現在の大学設置基準では、授業科目を一般教育科目、保健体育科目、外国語科目、そして専門教育科目、このように区分をするということを定めております。さらに卒業の要件としては、一般教育科目を三十六単位、保健体育科目を四単位、そして外国語科目を八単位、専門教育科目は七十六単位、こういうふうな定めをいたしております。さらに、それから出てまいりますことは、教員につきましても、科目ごとの担当教員というものの人数、専任教員の人数を定めております。これをこの答申で御指摘いただいておりますのは、そういった硬直的な科目の区分をすべて廃止するということと、卒業の要件につきましても、科目区分の廃止に伴いまして総必要単位数だけを規定する、こういうふうなことでちょうだいをいたしておるところでございます。
  52. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 私が読ませていただいた中では、現行の大学設置基準を大幅に簡素化するという点、それから、今も説明がありましたが、一般教育専門教育の科目区分を廃止する、そして卒業要件を総単位として百二十四ですか、そんなふうに定めるというような三点に私自身は要約しているわけですけれども、そんな確認でよろしゅうございますでしょうか。
  53. 前畑安宏

    前畑政府委員 そのとおりでございます。
  54. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 それでは、その三点についてもう少し触れさせていただきたいと思うわけです。  まず、大学設置基準を大幅に簡素化することによって、結果的に、いろいろな方策がとられるでしょうけれども教育水準低下につながりかねないのではないかというような声も一部では聞かれます。そうした科目区分を廃止することによる教育水準低下そのものを防止していくといいますか、それを保障していく手だてというものは、この答申の中でどう触れられ、文部省としてはどのように考えておみえでしょうか。
  55. 前畑安宏

    前畑政府委員 基準の簡素化ということを提言でちょうだいいたしておりますが、簡素化の一番大きなところは、先ほど先生も御指摘いただきましたカリキュラム編成の部分でございまして、例えば校地あるいは校舎、設備、さらには専任教員の数といったような部分については、現在の設置基準を維持する、こういうふうなことになっております。したがって、教育水準低下ということについての御指摘は、主としてカリキュラム大綱化、簡素化についての御指摘が多うございまして、例えば一般教育科目というものがなくなり、そして一般教育科目の履修を卒業要件としないということによって大学らしからぬ大学ができるのではないかというような御批判もちょうだいをいたしておるところでありますが、基本的には、この大学水準の維持という問題は、先ほど大臣からもお答えを申し上げたところでございますが、何にも増しまして大学自体の自覚によるということでございます。そこで、この答申では、御案内のとおり、そのような大綱化ということとあわせて大学自己点検自己評価ということを提言しておるところでございまして、先ほど御指摘もございましたが、自己点検項目あるいは評価項目というものも例示として掲げて、各大学がこういったことを考えることによって、そして、その結果を公表し、社会に問うことによって大学水準が維持向上される、このように考えているところでございます。
  56. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 その水準低下の防止の手だてとして、自己点検自己評価システムの整備というようなことを今御説明いただいたわけですけれども教育水準低下を防止して、教育研究の活性化を図るために行われる各大学自己評価あるいは自己点検システムの整備については、これまでもいろいろなところで論じられてきたところだというふうに私は思うわけです。今回の答申では、その幾つかの例示がされておりますが、そうしたものを、画一的な評価項目を一方的に大学に押しつけることにならないように、そして、私が冒頭お尋ねをした大学本来の使命である学術研究の推進、すぐれた人材養成が保障されて、大学改革は各大学の自主的な取り組みによって効果が上がるものであるとの発想に立って、大学改革の所期の目的が達成されるような評価システムの整備を今後検討していっていただきたいというふうに私は強く思うわけでございますが、この点について大臣はいかがお考えでございましょうか。
  57. 井上裕

    井上国務大臣 私どもこの大学審議会から出ました答申をよく見せていただきまして、また私どもとしても、こういうものもやっていただきたいというような考えもあったわけでありますが、今回答申で提言された大学自己評価システムといいますか、各大学において教育研究状況をみずから点検して、その評価結果を教育研究活動の向上に資することをねらいとしている、これは今後この高等教育改革を推進する上で極めて重要であろう、私はこのように考えます。したがって、自己評価システムは各大学が、先ほど申し上げましたように、自主的に取り組んでいくことが基本である、こういうことを考えておりまして、文部省といたしましては、各大学答申趣旨を踏まえて自己評価システムの導入に積極的に努力することを期待いたしたい、必要に応じ私どもはその努力を促してまいりたい、このように考えております。
  58. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 今大臣は、あくまで大学が主体で自己評価システムを検討していくんだということで、それに文部省としては支援をしていくというような御答弁の趣旨であったというふうに思います。そんな方向での評価システムといいますか、そんなものを今後検討していっていただきたいというふうに思います。  と同時に、その中で学生評価というようなことも言われているわけです。学習者の側からの評価も提言されているわけですけれども、これは大変難しい問題であろうというふうに私は思うわけですね。学生評価していくという場合については、かなり学生の主観的な部分も入ろうと思いますけれども、このあたりは一体どんなふうに考えて、これが実施をされていく場合にはどんな点に留意をして、どんな点を考えておみえになるのか、そのあたりをちょっと御説明をしていただければありがたいと思います。
  59. 前畑安宏

    前畑政府委員 御指摘の、学生による授業評価というのは、この答申で付されております自己点検評価項目の中で、「教授方法工夫研究」という項目を挙げまして、「教授方法工夫研究のための取り組み」、「教員教育活動に対する評価工夫」、その中で「(学生による授業評価等)」、こういうふうに掲げておるところでありますが、いずれにいたしましても、先ほども大臣から御答弁ございましたように、この自己点検評価項目につきましては、例えばということで別紙を掲げておりますし、また「なお、別紙項目例示にすぎず」と断りまして、「各大学において実際に自己点検評価を行う際は、国公私の別や専門分野の別、新設・既設の別等の実情に応じ、各大学理念・目的をいかに実現するかという観点から、各大学の判断により適切な項目が設定されることが望ましい。」このように述べておるところでございます。したがいまして、学生による授業評価という問題につきましても、どういうふうな項目についてどういう評価を求めるかということにつきましても、先ほど来お答えがございましたように、各大学がそれぞれの大学の自主的な判断において十分検討をして対処されることになる、このように考えております。
  60. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 今御答弁いただいたように、その共通する部分はあくまで大学が自主的に取り組んでいく課題であるというような点が強調されたと思いますので、これからそうした点がいよいよ実現なり実施をしていく場合には、この基本を守って、あくまで大学が自主的に取り組めるような方策を文部省としては対処をしていっていただきたいというふうに要望をしておきます。  では次に、一般教育専門教育との科目区分の廃止についてでございますけれども、この科目区分の廃止によって一般教育が軽視をされるのではないかというような声も今聞かれております。といいますのは、現在高等学校教育以下では、さまざま言われております、入試地獄といいますか、入試とのかかわりで、いわゆる教養的な教育が行われていないという現状から、これまで以上に一般教育を重視する必要があるのではないかというような意見もあります。また、環境破壊が進んで人類が危機的な状況に直面している今日、理科系の人は社会科学的な考え方を、あるいは文科系の人は基本的な科学知識、メカニズムを当然知っておく必要があるのではないか、この環境問題とかかわって。としますと、そういった点から科目区分の廃止は問題点があるのではないかとの指摘もあります。答申の中では、そうした点を払拭して、一般教育をどのような形で保障していくかというような提言が具体的になされているのか、また文部省は、この点についてどのようにお考えになってみえるのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  61. 前畑安宏

    前畑政府委員 御指摘の点は、特に一般教育学会等からも承っておるところでございますが、現在設置基準で授業科目の区分を定め、そしてさらに当該区分に従って、先ほど申し上げましたように、一般教育科目三十六単位を履修しなければ卒業できないと定めておりますが、当初の一般教育理念というものが現在の体制で十分実現されているかということにつきましては、かねてからいわゆる教養部のあり方とも関連をして御批判があるところでございます。  さらに、申し上げますと、私ども大学設置認可を行います際に、申請者の方で出てまいりますカリキュラムを拝見いたしますが、当然のこととして一般教育三十六単位というのをきちっとはめて、その上に専門教育を置くわけでございますので、一般教育科目のところにはほとんど各大学における特色というものが盛り込まれていないというのが多くの事例でございます。一般教育理念目標実現するためには、現在の設置基準のように授業科目区分を決めまして、それを卒業要件として履修を強要するということのほかに、大学の創意工夫によりいろいろな方法が考えられるのではなかろうか、このように考えております。各大学におきましては、授業科目の枠組みにこだわることなく、一般教育理念目標実現のために真剣な努力がなされることを期待し、各大学がそれぞれの大学目標に従いまして多様なカリキュラムを構成することの方が今後の大学あり方としてむしろ望ましい方向ではなかろうか、このように考えております。
  62. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 現実的に一般教育の充実が行われていない、したがって区分を廃止して、各学校で特色あるようなカリキュラムをつくる中で一般教育も重視していくというような答弁のように思うのですけれども、現実的に一般教育が軽視をされている中で、さらにそういう方策をとっていくということは、私自身としては、今の答弁では、逆に一般教育がさらに軽視をされていくような感じを受けるわけでございますけれども、もう少し具体的に、一般教育というものが、各大学の総合的なカリキュラムを考える中で、その部分が十分に保障されていくのだというような点を、私の理解のできるように答弁をしていただけないでしょうか。
  63. 前畑安宏

    前畑政府委員 先ほど大学の本来の目的ということについて御指導を賜りましたが、現在の学校教育法におきましては、大学の目的につきまして、「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させること」、このように規定をいたしております。したがいまして、各大学一般教育内容あるいは専門教育内容といったようなものを含めて全体としてカリキュラムを組みます際にも、当然にこの広く知識を授けるとともに、知的、道徳的、応用的能力を展開するという枠組みの中で考えることになると思っておりますし、新設の場合にも、私どもの方では、この点に十分留意をしてカリキュラム審査を行いたい、このように考えております。
  64. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 大体理解できたような気もいたしますけれども、極端な例でございますが、例えば司法試験あるいはそういう資格を取る場合の合格率を高めるために、カリキュラムを大幅に簡素化することによって極端な大学が出現する。例えば予備校並みのカリキュラムを組んで、そうした資格試験の合格率を高めるための大学も出てくるのではないかというような危惧の声も聞かれております。  そこで、大学設置基準を定めた省令の簡素化に当たっては、今御答弁をいただいたような形で、そのようにならないように、運用の面で十分に、私が今申し上げましたような危惧が払拭できるような方向での対処をしていっていただきたいということを要望をしておきたいと思います。  と同時に、三点目に、先ほど言われました卒業要件を総単位百二十四という総枠にくくることについてのメリットといいますか、それはどんな点でメリットがあるのでしょうか。これは生涯学習ともかかわるかもしれませんけれども、その部分でのお考えがございましたら、お答えをいただけますでしょうか。
  65. 前畑安宏

    前畑政府委員 卒業要件につきましては、現在百二十四単位というのが定められておりまして、これをそのまま維持をすべきであるということによって、大学における総学習量については、現在よりもその内容が、内容といいますか量が低下をしないようにする、こういうことでございます。そして、授業科目の区分を廃止することによりまして、各大学がそれぞれの一般教育あるいは専門教育の有機的関連性に配慮しながら、通常の学部でいいますと四年でございますが、四年間一貫した、調和のとれた、かつ、効果的なカリキュラム編成に取り組むといったようなことで御検討いただければ、このように考えておるところでございます。
  66. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 私は、こういう総単位にすることによって、単位互換等もより一層促進されていくのではないかというふうに思うわけですけれども、そんな点は関係はあるんでしょうか。
  67. 前畑安宏

    前畑政府委員 卒業要件としての総単位数のみを規定し、授業科目の区分を廃止するということが単位の相互互換を促進する作用になるかということになりますと、直接には結びつかないことになるのではなかろうかと思いますが、具体カリキュラムを編成いたしますときに、それぞれの科目に一般教育科目あるいは専門教育科目といういわばくくりを置かないようにするということになりますと、ある大学学生が、A大学学生がB大学の授業科目を履修をする、それをA、B両大学の協定によりまして単位の互換を図るというときに、授業科目の区分から解放されることによって、先生指摘のように、単位互換の促進にあるいは作用する面があるかもしれない、このように感じております。
  68. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 それでは、この問題はこの程度にさしていただいて、次に、この大学審の今回の答申等、提案の中でも、生涯学習の振興との観点にかかわってというような提案理由もあったわけですが、この答申と生涯学習振興とのかかわりについては具体的にどんな部分で提言をされているのか、そのあたりをちょっとお伺いをしたいというふうに思います。
  69. 前畑安宏

    前畑政府委員 この答申一つ眼目として、生涯学習への対応ということが指摘されようと思っております。例えば、従来大学で一般社会人が学びます際には聴講生という形で学ぶのが一般でございますが、現在の制度では、聴講生ということでは正規の単位を修得するということがございませんが、答申では、新たに科目登録の学生、あるいは幾つかの科目をあるコースとしてまとめたコース登録の学生という制度を設ける、そして、そこに正規の大学の単位を出すということも提言がございます。  さらに、昼夜開講制と申しますか、厳密には夜間主コースの設定といったことになろうかと思いますが、現在幾つかの国立大学では、先ほども大臣の提案理由で申し上げましたように、主として夜間あるいは土曜日の午後に学び、そして場合によっては昼間の学習もできるといったような履修形態を国立大学では試行的にやっておりますが、これを国立大学での試行の範囲を超えて、全大学まで広げるように設置基準上きちっと位置づけることにしてはどうかという御提言もございます。  さらには、社会人が大学に入る場合に、一年次から入るということでは、既に大学を卒業したりあるいは中途で退学した人につきましては時間的なむだもございますので、できれば三年次あたりに編入をするということができれば望ましいわけでございますが、現在の設置基準の決め方では、一年次の定員がそのまま二年次、三年次、四年次へと上がっていく、そういう定員設定だけしかできない仕組みになっておりますので、社会人を受け入れるための三年次の編入定員を設定できないことになっておりますが、その点につきましても、この答申では、三年次に編入学のための定員を設定できるような設置基準の定めにするということが提言をされておるところであります。  さらに、申し上げますと、今後におけるいわゆる単位の累積加算という問題の展望ともかかわりますが、大学に生涯学習の関係で社会人が入学した場合において、従前、大学以外のところで学んでいた学習成果といったものを、そのまま大学の正規の単位として認定するといったような方策についても提言をちょうだいいたしておるところでございます。  そのような各般のコース登録による履修、科目登録による履修あるいは大学以外の教育施設による学習成果の単位認定、こういったものをさらに総合して学位授与機構でもって学士学位授与をするというところまで展開を考えておるところでございます。
  70. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 今生涯学習とのかかわりでは三点ほど説明があったと思うのですけれども科目登録制なりコース登録制の導入というのは、現実にはまだ実施がされていないわけですね。昼夜開講制については既に実施がされているように聞き及ぶわけですけれども、その辺の実態といいますか、その点について説明をしていただきたいと思いますが、編入学の定員枠についても、現在これはほとんど行われていないというような状況でございましょうか。
  71. 前畑安宏

    前畑政府委員 国立大学におきます昼夜開講制、これは先ほど申し上げましたように、本来の昼夜開講制を考えますときには、昼間の時間に学んでもあるいは夜間の時間に学んでも選択的に履修できるということでございましょうが、現在行っておりますのは、夜間において主として学ぶということでございます。原則的には夜間あるいは土曜日の午後に開講される授業を履修するということでございますが、現在のような週休二日制というようなこともございますので、一定の範囲内では昼間に開講される授業科目も履修できるようにするということでございまして、このコースにおける入学者の選抜につきましては、コース定員の約半数は推薦選抜により選考することが通常でございます。  現在、この夜間主コースを採用いたしておりますのは、平成二年度で申し上げますと、室蘭工業大学の工学部、山形大学の工学部、福島大学の経済、行政社会学部、群馬大学の工学部、千葉大学学部、電気通信大学の電気通信学部、富山大学経済学部、京都工芸繊維大学の工芸学部、繊維学部、愛媛大学の法文学部、九州工業大学の工学部、計十大学十二学部という状況でございまして、御提案いたしております法律案におきまして、さらに岐阜大学の工学部小樽商科大学の商学部についてお願いをしておるところでございます。
  72. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 そうした場合に、従来夜間部であったものが昼間にも履修ができるということになりますと、その施設設備といいますか、ハードな部分での予算といいますか、施設設備の拡充を図っていくことが一つ問題になるのではないかというふうに思います。ただ、夜間で受けていたものが昼もかかわるということになりますと、従来の形のままの大学設置状況の中では、私は無理が生じてくるのではないかというふうに思いますけれども、そのハードの部分での施設設備の充実というような部分は今後検討されていくのでしょうか。
  73. 前畑安宏

    前畑政府委員 昼夜開講制あるいは夜間主コースといったものを設置基準にのせるということになりますときには、現実具体教員数あるいは校舎面積等の基準につきましては、原則的には両コースの、昼のコースと夜間主コース学生定員を合わせて適用するということになりますが、共同利用の関係に配慮いたしまして、教育研究上の支障のない範囲内で、必要な専任教員の数あるいは校舎面積あるいは校地面積を減ずることができるような配慮をするということが、この答申でも指摘をされております。今後私ども具体設置基準につきまして、この昼夜開講制夜間主コース制の具体の基準を設定いたします際には、この答申の御提言を踏まえて、改めて大学審議会に諮問をし、御審議をいただく、このようなことになっております。
  74. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 教育効果を上げるという意味で、今申されたような方向で十分な対策、検討を進めていっていただきたいというふうに思います。  今この法案社会学習の振興とのかかわりでお伺いをしたわけですが、私はこの部分が本法案学位授与機構の創設とも深くかかわっている部分が多くあるというふうに思いますので、次の質問としては、この学位授与機構の創設について若干の質問をさせていただきたいというふうに思います。  先ほども申し上げましたが、学位授与機構の創設については、「生涯学習振興等観点から、」というような提案理由説明がございましたけれども、今この学位授与機構の創設の必要性について具体的に説明をしていただけますでしょうか。
  75. 前畑安宏

    前畑政府委員 高等教育を受ける層が次第に大きくなっておりまして、先ほども答えをさせていただきましたが、大学短期大学高等専門学校合わせますと三六・八%、こういう状況であります。しかしながら、なおその中でも、四年制大学には行かないで短期大学に行っている層というのが相当部分ございますし、さらには大学を中途で退学したり、あるいは高卒後直ちに大学に行く機会を失して、先ほど来御指摘になっておりますようないろいろな機会に勉強しておるような方たちもございます。そういう人たちに対して学士学位授与をしたいというのが、この機構の一つの目的でありますが、この点につきましては、新聞論調等でも、今さら学士学位でもあるまいというような指摘もないわけではありません。しかし、その新聞論調も、それは現に学士を持っている者がそう言うことであって、学士学位を持っていない者にとっては大変重要なことである、こういうふうな指摘も同時にございました。  そういうことから、ここでは、一つは「短期大学若しくは高等専門学校を卒業した者又はこれに準ずる者」というのを挙げておりますが、特に高等専門学校につきましては、従来から関係者の中で、これは御案内と思いますが、高等専門学校学生というのは、多くの場合、必ずしも経済的には十分でない家庭の子供が多いものでございますから、現に高専を出て大学への編入学という道がございますが、自分の住所を離れて大学に学ぶというのは困難だ、高等専門学校の中でさらに勉強できる方法はないかということもございまして、別途法律案でお願いいたしますが、高等専門学校にも専攻科をつくれるようにするということを検討させていただいておりますが、短大を出、あるいは高等専門学校を出て、その上の専攻科に行く、その子供たちにも学士学位授与をするという道を開くというのが一つございます。これは関係者の側からは大変強く要望されているところであります。  さらに、第二点といたしましては、「学校以外の教育施設学校教育に類する教育を行うもの」というものがございます。これは、例えば各省所管の大学校でございますが、各省所管の大学校の設置の目的に照らしまして、学校教育法に基づく大学にはなれない、したがって、それ自体が学位授与を行うということはできないという立場にありますが、そこで行われておる教育あるいは研究指導の水準というものに着目をいたしまして、大学または大学院に相当する教育を行うものにつきましては、学士、修士または博士の学位を出そう、これも関係方面からかねてから強い要望が寄せられているところでございます。
  76. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 今の説明で、生涯学習の履習単位に即応してさまざまな学習成果を適正に評価をしていくというような点については理解をさせていただきました。  最後に申された大学以外の高等教育施設での組織的、体系的な教育研究の履習の成果の評価を正当に行う、すなわち、ここにいただいた資料によりますと、各省大学がそれに当たるのだろうと思います。今後の問題であろうと思いますけれども、各省大学が申し出をして、そして認定をしていくというような形になっているという説明をいただいたわけですが、これがスタートしていきますと、各省大学、現在具体的にはどんな範囲のものが考えられているのでございましょうか。
  77. 前畑安宏

    前畑政府委員 現在、私どもの方でこのような各省の教育施設の卒業者につきまして大学院入学資格を認めるという制度がございます。具体大学院入学資格を認めます際には、私どもの方で関係の専門家の方にお願いをいたしまして、実地調査をしたりカリキュラムを調べさせていただいたり、あるいは教員についての審査をさせていただいたりして認めておるわけでございますが、それが現在六校ございます。具体に申し上げますと、防衛大学校、防衛医科大学校、水産大学校、海上保安大学校、職業訓練大学校、気象大学校、この六校でございます。これらが当面は審査の対象になるのではなかろうか、このように考えております。
  78. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 ということのようですが、しかし一方では、大学カリキュラムは組織的、体系的に裏づけられた教育の体系であり、授業実施体系から遊離して別途に集めた単位数で学位授与を行うことは、大学教育の体系を破壊し、大学の存在価値そのものが問われるのではないかというような批判も一方ではあるわけでございますので、これに対する配慮、対応というものは一体どのように考えておみえでございましょうか。
  79. 前畑安宏

    前畑政府委員 学位授与機構といったようなものをつくりまして、例えば学士学位を出すということを考えますときに、一番幅広く対象を考えますと、いわゆる単位の累積加算ということになるわけでございます。幾つかの大学で単位を、コース登録あるいは科目登録といったようなことで単位を修得する。あるいはかつて学んだ大学を中途退学した、そこで学んだ部分の単位を考える。あるいは今後の新しい仕組みとして考えております大学以外の高等教育機関専門学校であったり、あるいはさらに申し上げれば技能検定であったりするところのものを大学の単位として認定できる道を開く。こういうふうなことを考えていって、それらで取得した単位を取りまとめて百二十四単位になれば学士学位を出すというようなところまでいきますと、単位の累積加算というところへ行き着くわけでございます。しかし、ただいま御指摘がございましたように、やはり学士学位を出すということになれば、体系的な学問、体系的な教育ということが必要ではないかということから、この大学審議会での答申でちょうだいいたしておりますのは、短期大学高等専門学校、さらには大学の二年次中途退学といった程度の体系的な教育の基礎の上に、さらに一定の単位を体系的に修得をしたということを要件にするという考え方でございまして、若干御批判もないわけではございませんが、当面はこの範囲にとどめて発足をさせていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  80. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 折衷案的なもののような感じがするわけです。ある一定の体系的な学問を積んだ者に限って当面スタートするということですが、生涯学習の振興という観点からすれば、これは今後も拡大されていくことがより生涯学習を振興させて、その生涯学習一つの目的でありました学歴社会の是正を図っていくということにもつながっていくのだろうというふうに思いますけれども答申では、その単位累積加算システム等の高等教育レベルの学習成果の評価あり方については引き続き検討していくことが必要であるというような指摘がされております。  これらの指摘は、私は学位授与の根幹にかかわる問題であり、学位授与機構の創設に当たって、やはり先立って明らかにされるべき課題ではなかろうか。そして、さらに一方では、大学による学位授与という原則は基本的に堅持していくということが言われております。また加えて、大学人の間では、この学位授与機構の創設についての意見も分かれているかに聞いております。こうした機構を創設する時期、これはもう少し高等レベルでの単位累積加算システムでの学習成果のあり方を整備した後に創設していってもいいのではないか、もう少し論議を踏まえた上でこの学位授与機構設置していってもいいのではないか、そのような声も大学人の中からは上がっているように聞いておりますけれども、この点についてはどんなお考えでございましょうか。
  81. 前畑安宏

    前畑政府委員 私ども承知しておる限りでは、大学人の中から単位の累積加算のところまで広げるような体制を整えてから発足すべきであるというような意見は、私としては承知をいたしておりません。むしろ先ほど先生紹介いただきましたように、この学位授与機構による学士学位授与というのは、基本的に体系的な学習の成果ということを踏まえて考えるべきであるので、むしろ学位授与機構による学位授与よりは、そういう希望がある人は大学に編入学すればいいのではないか、そちらの方で対処すべきではないかというような意見は承ったことがございます。  いずれにいたしましても、短期大学卒業者あるいは高等専門学校卒業者、大学の中途退学者といったように、現にこの学位授与機構による学士号の授与というものを期待をしておる人たちがあるわけでございます。単位の累積加算という問題は、これは大学以外の高等教育機関における単位を大学がどう認定していくかというその具体の広がり、さらに申し上げますれば、この学位授与機構による学士号の授与ということが大学関係者、さらには世間に適切に評価をされることがまず発足としては大事でございますので、当面は、先ほど御提案で申し上げましたように、大学短期大学高等専門学校の卒業者、さらには大学の中途退学者といったような一定の体系的な学習の基礎の上に、さらに体系的な学習を積み重ねるということで発足をして、それについての適正な評価というものを確立するということが先決ではなかろうか、このように考えております。
  82. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 大体当面のスタートとしては、私もそんな点でいいのではないかというふうに思いますけれども、今後の課題としては、単位の累積加算の評価あり方を引き続いて検討していく中で、生涯学習の振興という観点から、さらにこれを拡大していくような方針といいますか、考え方といいますか、そんな点は現在の時点ではお持ちになってみえるのか。それとも、当面は今言われたように、ある期間は一定の体系的、組織的な学問教育研究をした者に限ってということでございましょうか。将来的な課題になると思いますけれども、この点についてはどんな考え方をお持ちでございますか。
  83. 前畑安宏

    前畑政府委員 御指摘の単位累積加算制度の導入の問題につきましては、大学審議会答申におきましても引き続き検討していくことが必要であるという御指摘もちょうだいをいたしております。  御提案申し上げております学位授与機構におきましても、必要な調査研究機能というものを持たせていただきたい、このように考えておりますので、学位授与機構具体の業務の展開の状況、さらには大学設置基準改正後における各大学が、そういった生涯学習関係の多様な高等教育機関における学習成果の評価というものにどのように取り組んでいくか、そういった状況をも見定めながら引き続きの検討課題というふうに承知をいたしております。
  84. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 ありがとうございました。そんな方向で十分な検討をしていっていただきたいというふうに思います。そのことが生涯学習を振興していくことであり、先ほど申し上げましたように、生涯学習が言われたときの学歴社会を是正していく一つの方策にもつながっていくのではないかというふうに私は考えますので、十分な検討をされるようにお願いをしておきたいと思います。  次に、大学以外にこうした学位授与機構を創設した場合、私は学位のレベルの低下を生ずるのではないか、また学際化が進む中で、教育研究が細分化していく中で、本当に適切な審査ができるのかどうかという点についての懸念を抱くわけですが、こうした懸念を解決するためには、この機構の運営、組織編制が極めて重要になろうと思います。そこで、この機構の位置づけについて具体的に説明をしていただきたいと思います。
  85. 前畑安宏

    前畑政府委員 御提案申し上げております法律案によりまして、私どもは、この学位授与機構というものを国立学校設置法において大学共同利用機関と同じような性格のもの、つまり大学に準ずる自治を備えた機関として設置をさせていただきたい、このように考えております。  具体的に申し上げますれば、機構の長の人事あるいは専任の教員の人事につきまして、教育公務員特例法を準用いたしまして、教員の人事の自治性というものを保障していく、さらには、その運営につきましては、関係の国公私立大学の学長クラスの人にお願いいたしまして、評議員会というようなものを結成して、大所高所からの運営についての意見を徴する、さらには、教授会に相当するものとして運営協議員会といった制度を設けまして、具体の運営についての意見を徴するというような仕組みを考えております。  なお、御指摘がございました具体学位の審査につきましては、出てまいります学生の専攻分野がかなり多岐にわたることも予想されますので、この機構で専任の教員を抱えるということは到底考えられません。そこで、非常勤の職員として専門委員といったような制度を活用いたしまして、百数十人といったような専門委員をお願いし、具体学位の申請に対する審査については遺漏がないよう対処していきたい、このように考えておるところでございます。
  86. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 ありがとうございました。  その機構で「自律的に学位授与を行う」ということが答申でも述べられているわけです。この機構の教員なり職員の身分保障が不安定なものでは、そういった自律的な学位授与を行うことに支障を来す場合もあると私は考えております。幸い今そうしたところの職員に公務員特例法を適用して十分な身分保障をしていくということで私も安心をしたわけですけれども、この機構そのものの自治というものが具体的に保障をされるのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  87. 前畑安宏

    前畑政府委員 学位授与機構の管理運営の仕組みについて申し上げますと、学位授与機構は、国公私立大学教員等の参画を得て運営を行い、その専門的な判断に基づきまして、自律的に学位授与を行う、こういうことを考えております。  基本的には、大学共同利用機関と同様の運営の仕組みでございます。すなわち、機構長というものをもちろん置くわけでございますが、そのもとに、国公私立大学関係者の参画を得て運営を行うために、評議員会、運営委員会、この二つのものを設けることにしております。評議員会は学位授与機構の事業計画その他の管理運営に関する重要事項について機構長に助言をする、運営委員会は機構の事業の運営実施に関する事項で機構長が必要と認めるものについて諮問に応じる、こういう仕組みであります。  それから、人事について申し上げますと、長の選考につきましては、教育公務員特例法を準用いたしまして、先ほど申し上げました評議員会議が推薦をするわけでございますが、推薦に当たりましては、運営協議員会議の意見を聞くということになります。さらに、教員の選考につきましては、教育公務員特例法の準用によりまして、運営協議員の会議の議を得て長が推薦する、こういう仕組みになるわけでございます。
  88. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 大変重要な部分だと思いますので、この機構のそうした自治なり、そこで構成される職員なり教員の身分が十分に保障される、そのことが正当に学位授与の仕事に当たれるというふうに思いますので、今の答弁のような方向で一層の御努力をいただきたいと思います。  次に、その部分にかかわって、答申の中に「主要な専門分野については、所要の専任の教員等を配置する」というようにされておりますけれども、「主要な専門分野」とは、専門分野が細分化していく中でどのような分野を想定してみえるのか、あるいは「所要」とはどの程度を想定されておるのか、具体的に説明していただけませんか。
  89. 前畑安宏

    前畑政府委員 現在私どもが構想いたしておるところでは、専任の教官は九人というふうに構想をいたしております。この九人の教員によりまして、人文社会、理学、工学、医学といった分野先生をお願いすることになる、このように考えております。
  90. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 そうすると、専門の教員というのは九人でございますが、分野によっては専門委員会設置するということを先ほど言われましたけれども、その専門委員会のメンバーといいますか、その辺の規模といいますか編制というのはどんなふうに考えておみえでしょうか。
  91. 前畑安宏

    前畑政府委員 具体学位授与について申請が出てまいりますと、その専攻分野というものを専任の教員の方で判断していただきまして、その専攻分野に即した専門委員の方をお願いする、こういうことになろうかと思います。私どもとしては、現在、創設調査委員会等で御検討いただいておりますところからいたしますと、常時百数十名の専門委員の方をお願いするということで予定をして、具体学位授与の申請がありましたときに、その専門分野に属する専門委員の方に御参集いただいて審査を行う、こういうふうな体制を考えておるところでございます。
  92. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 この学位授与機構の業務として、学位授与と同時に学習成果の評価あり方調査研究の問題あるいは情報提供等、あと二つの業務が述べられておるわけですが、私は率直に、今お聞きして、それらの多岐にわたる業務を九人の専門の教員で果たしてこなしていけるのかどうか、申請があった場合に学位授与に当たっての論文審査が十分できるのかどうか、大変疑問に思っております。専門委員については百数十名ということでございますが、これは常時ではなくて、その都度その都度お願いして審議をするのだろうと思いますけれども、配置される専門の教員の数が余りにも少ないような気がするわけであります。それでは十分な審議ができなくて、学位授与が形式的、安易に流れるのではなかろうかという点を心配しております。  この点はそれだけ申し上げまして、時間が参りましたので、最後に、いずれにいたしましても、高等教育とりわけ大学の改革の必要性についてはだれも否定するものではありませんし、これからの重要な課題であろう。大臣も事あるごとに、先ほど冒頭でも積極的に推進してまいるという覚悟をお述べになってみえます。しかし、私が冒頭お伺いいたしました大学本来の使命である学術研究の推進、すぐれた人材養成といった使命を抜きにしては大学の改革はあり得ないだろうと思います。したがって、この大学本来の使命が生かされて、さらには生涯学習社会実現にも寄与するものでなければならないと考えております。こうした視点で大学教育の改革が推進されていきますよう強く望むものであります。  この点について大臣に感想なりをお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  93. 井上裕

    井上国務大臣 いろいろなお話を承りまして、さっき局長からお話がありましたように、職業訓練大学校あるいは水産大学校、防衛大学校、防衛医科大学校、海上保安大学校、気象大学校、こういうところの要望もありまして、また学位機構というものを、私どもひとつ権威ある学位機構ということで御迷惑のかからないようにやりたい、このように考えております。
  94. 佐藤泰介

    佐藤(泰)委員 どうもありがとうございました。
  95. 臼井日出男

    臼井委員長 次に、鍛冶清君。
  96. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私は、国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、その中で特に学位授与機構、それからさらにこれに関連いたしまして大学評価教員に対する評価の問題、さらには教員の再教育、また任期制等を含めた教員の今後のあり方について御質問を申し上げたいと思います。多少前もってお知らせをいたしておきましたのより、順序やらいろいろな内容が相当多岐にわたりますが、ひとつ的確なる御答弁をお願い申し上げておきます。  私は、この学位授与機構の創設の問題について最初お尋ねするわけでございますが、これは大学審議会の今回の答申を受けて出された、こういうふうに思うわけですけれども、これは先ほど来各委員からもお話がありましたように、大学審議会答申というもの、これが完全に実施されますと、昭和二十四年に新制大学がつくられた、戦後の大学高等教育の大改革であったわけでありますが、それ以来の高等教育の大変な改革になるのだ、私はこういう認識をいたしております。  特に、大学設置基準大綱化。これは一般教育専門教育の垣根を取っ払ったということで先ほどからも議論がございましたが、この問題。さらには学位授与機構の創設。この二つは特に従来の高等教育の中に一つの大きなインパクトを与え得る。今日本教育の中で、初中教育高等学校までは、世界評価というものは大変高いものがあるようでございますけれども高等教育大学教育につきましては、全く認められていないと言えば言い過ぎかもわかりませんが、極めて低い評価になっております。これを、今までの惰性を打ち破って、やはり大きく高等教育を変えていくためには、今申し上げた学位授与機構の創設、それから大学設置基準大綱化等が非常なインパクトを高等教育に与えていくことができる、こういうふうに思っておるわけでございますが、この点につきまして、まず大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  97. 井上裕

    井上国務大臣 今日、生涯学習への意欲の高まりから、大学におけるパートタイムでの学習機構の提供とか、また大学以外の高等教育段階学習の成果を大学の単位として認定すること、さらには、これらの多様な学習の成果の累積による学士学位授与が行い得るような新しいシステムの形成が求められたわけであります。  御案内のように、私どもこの答申を見まして、非常に幅広くかつ奥行きも深いという感じになるわけでありますが、学位機構は、このような社会要請に的確にこたえて高等教育段階のさまざまな学習の成果を評価して学位授与する道を開く、こういう目的であります。また将来は、単位の一つずつの累積のみにより大学の修了者と同様の水準にあると認められる者について広く学士学位授与する制度を導入する、こういう前提としたものであります。そのための調査研究もいたしたい。このような学位授与機構の創設により、生涯学習体系への移行あるいは履修形態の弾力化、柔軟化等、我が国高等教育の活性化に与える影響が大である、このように思いますので、この点につきまして、文部省としても、この答申を受けまして、前向きにひとつ検討し、こういう学位授与機構をつくったわけでございます。
  98. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 今大学教育高等教育の活性化をもたらす大変大きな要素になるというような大臣のお答えがございました。では、実際にこの活性化をもたらすように運営していくということは大変なことだと思いますが、私はこれはぜひやっていただきたい。特に学位授与機構の創設の問題は、恐らく大学側教員の皆さんの反対が大変強かったのではないかというふうな気がいたしておりますが、そういう中を大学審議会、いろいろ御検討願って答申に出たものを、こういう形で法案としてお出しになった、その努力については私は極めて高い評価はしたい、こう思いますが、まだいろいろ問題もあるようでございます。  そこで、まず最初に、今大臣のおっしゃった、これを効果あらしめるため、活性化のためには、具体的にどういった点に留意し、どういうふうな形で運用していけば、これが大学教育高等教育に非常にいい形でのインパクトを与える、こういうように思われるのか。その具体的な内容についてお尋ねをいたしたいと思います。
  99. 前畑安宏

    前畑政府委員 学位授与機構を運営いたしますときに基本的に留意をしていかなければならないと考えておりますことは、当面、この御提案いたしております法律案に掲げておりますように、この学位授与機構授与する学位の範囲というものを適正に守っていくことが必要であろうと考えております。学位授与機構という全く新しいものでございますので、その授与する学位というものが、大学関係者に対しましても、また社会におきましても、適正に評価される必要があります。まず、そこからスタートをしていかなければならないと思っております。  しかしながら、御指摘ございますように、この学位授与機構調査研究機能といったようなものも備えさせていただきたいと考えております。その調査研究機能の中では、学位授与機構具体に業務を進めていく中で、今後においてどういうふうな展開を図るべきかということについても調査をし研究をし、そしてその成果を大学審議会にも提起をいたしまして、大学審議会の方でさらに、大臣からも御答弁ございましたように、単位の累積加算制度といったようなものへの展開といったことについての御審議もいただきたい、このように思っているところでございます。  さらに、学位授与機構具体の業務を通じまして、いろんな機会における多様な高等教育の機会といったものについての情報を収集をいたしまして、これをここで学位を取りたいと考えている多くの方々に的確に紹介をするということを通じまして、世の中の多様な高等教育の機会というものを有機的に連携づけるということが考えられておるところでございます。
  100. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 今局長の御答弁の中で、この機構が適正な評価を受けるというような表現をなさいました。適正な評価というのは、具体的にはどういう形のものをお考えになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  101. 前畑安宏

    前畑政府委員 この学位授与機構の構想につきまして、大学審議会において関係の部会の審議経過の概要の報告といったことがなされ、それを公表して関係団体からの意見聴取といったことを行いましたときに指摘をされましたことは、学位授与という大学卒業資格の認定ということは、単位の細切れの積み重ねであってはならない、やはり大学たるに足る体系的な学習というものを評価すべきである、こういうふうな御指摘があったところであります。そういうことからいたしまして、この答申で取りまとめられておりますところは、短期大学高等専門学校あるいは大学中途退学といった体系的なところの基礎の上に、さらに一定の体系的な学習ということになっておりますが、学位授与機構で留意をすべきことは、例えば短期大学を卒業した方がいろいろな機会に、あるいは大学のコース登録であったり、あるいは短期大学の専攻科であったり、そういったところで学んだ成果を体系的な学習であるというふうに認定をする、そこにおいて十分な留意をしなければならないということを考えております。
  102. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 先ほどの他の委員の御質問の中にも、水準が下がる、普通の大学を出た学士認定、それから修士、博士の授与等と比べると水準が下がるということが心配されているというようなことを言っているわけですけれども、私はむしろ積極的に、下がるのではなくて、この学位授与機構というものの特に学位授与については、権威がある、レベルの高いものとする必要がある。むしろ今までの既成の大学授与しておりましたそういう学位よりは、この授与機構において認定され、また授与された学位は、非常にレベルが高い、すばらしい、こういう評価があるような学位授与機構としての構築に全力を挙げて努力をしていただきたい、こういうふうに私は思うわけです。  ですから、調査研究の情報その他、これはこれでしかるべくやればいいと思いますが、特に学位授与する場合の問題、これはひとつ強くその点を留意してお取り組みをいただきたい。そのためにも、この機構における審査の体制、それからこの学位を認定する審査委員ですね、専門委員とおっしゃいましたが、この委嘱のあり方というものが非常に大切になると私は思います。先ほどからのやりとりの中でも御答弁がございましたが、一歩立ち入って、この審査の体制、委嘱のあり方、まあ通例のお答えではなくて、こういうところをすることによって、力を入れることによって、この機構が生きてくるんだというふうなことについて具体的にお答えをいただければと思います。
  103. 前畑安宏

    前畑政府委員 私どものところに現在大学設置学校法人審議会という審議会がございまして、そこでは大学設置認可の申請がありましたときに、申請されております大学教員の資格審査を行うということで、かなりな数の専門委員先生方をお願いしてございます。この学位授与機構においてお願いをする学位審査に当たる専門委員先生方も、少なくともそれと同等の方をお願いしなければならない、このように考えておるところでございます。
  104. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私なりの考えを申し上げて御参考にしていただければと思いますが、今の大学における学位授与また博士の授与等については、やはり非常になれ合いになっておるといいますか、惰性に流れていろいろな問題点を私は漏れ聞くことが多いのです。したがって、そういうものを打ち破っていくためにも、公平な第三者機関としてこういう授与機構ができたということは大変大切なものだと私は思うのですね。それだけに、特に専門委員の選定というものはひとつ厳しく当たっていただきたい。  具体的に申し上げますと、国立大学等を停年になって退官され、ほかに、私立大学へ行かれておる方等たくさんいらっしゃるわけですが、優秀な先生もたくさんおられることは承知しておりますけれども、原則としてやはりお年の方をこの専門委員に選定するのはいかがか。そんなことを言うと私はおしかりを受けるかもわかりませんが、しかし、日本の将来を考えますと、それくらいのことをやっていいのではないか。やはり今学問というのは日進月歩でございますし、また特に文系にも問題が多いと言われておりますけれども、そういうものの殻を打ち破るためにも、選定に当たっては、特に本務校というどこか大学にちゃんと籍を置いておるということは前提の上で専門委員としての委嘱をなさるということだと思いますけれども、四十代、五十代の非常に優秀な先生方、そして新しいものにも取り組む意欲的な先生方で、十分学力、識見ともにお持ちの方を各専門分野で審査するときにそれぞれに委嘱されるのだと思いますが、ぜひそれはそういう方向でお考えをいただきたいと思います。いろいろ今の大学での学位授与の問題について聞いてみますと、お年の方はどうしても積極性がなくなる、新しい分野のものがやはり何となく身についていらっしゃらないという方も多いようでございまして、やはりそこは意欲的な人たち、本当に実力のある人たちに審査をさせる、こういう方向が私は大変大切だというふうにも思いますが、いかがでございましょうか。
  105. 前畑安宏

    前畑政府委員 御指摘のことは大変大事なことだと受けとめております。学位授与機構において学位の審査をする人がどういう人であるかということが先ほど申し上げました学位授与機構評価にもすぐつながることでございます。具体には、機構発足後学位授与機構の長が運営委員会の意見を聞いて任命をする、こういう運びになりますが、大変貴重な御示唆でございます。現在動いております学位授与機構の創設委員会あるいは創設後の学位授与機構に対しまして十分先生の御趣旨をお伝えしたい、このように考えております。
  106. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私は、この学位授与機構を創設することによって、ある意味日本大学における教員間の弊害と言われておる徒弟制度ですね、私は口が悪いからよく親分子分の関係、こういうようなことを言うのですが、そういう関係はいい方に働くときはいいのですけれども、マイナスに働くことも随分多いわけですね。だから、そういう徒弟制度というものの弊害を打ち破るためにも、私はこういう機構というものを今申し上げたような形で充実をして、そして内容あるものにする、評価の高いものにするというふうにぜひしていただきたい。  そういう意味から、これは今創設室があるのに内容にわたって私どもが申し上げると恐縮かもわかりませんが、あえてきょうは立法府の立場で言わせていただきますと、もう一つ、審査委員には学位を持たない人は委嘱すべきではないのではないかと思います。特に文系の方にそういう方が多いのだと思いますが、そういう方々の中に、学位を持っていらっしゃらない、碩学泰斗といいますかお偉い方の中には、おれは学位などというものは認めないのだというような方もいらっしゃるようです。ところがそういう先生に限って学位の認定のときには自分がやりたい、こういうふうにおっしゃる先生も多いようでございまして、私は、やはりそれは避けた方がいい、権威づけるためにもきちっとした形でそういう点については明確にしながら、この学位授与機構の審査に当たっては公正に公平にやっていただきたい、こういうふうに思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  107. 前畑安宏

    前畑政府委員 御指摘の点は十分留意をしなければならないと思っております。全く新しい仕組みでございますし、特に修士、博士の学位授与につきましては、現在構想されておるところでも、具体学位授与機構において論文の審査をし、そして必要に応じ試験もして認定をしよう、こういうふうな仕組みでございますので、専門委員あり方というのが大変大きな意味を持つところでございます。理工系あるいは医学の分野等では余り問題はないかと思いますが、人文・社会系の分野に限って申し上げますと、博士の学位を持ってなければ排除をするということが果たして完全に行われるかどうかは若干の危惧もございますが、先ほど申し上げましたように、発足後の学位授与機構に対しまして御意向のほどは十分お伝えをさしていただきたい、このように考えております。
  108. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは最初にもちょっと申し上げましたが、この機構は非常に不整合なところがあると思うのですね。先ほど具体的に名前をおっしゃったわけですが、例えば各省庁の大学六校というものは、従来から学位、今までは学位じゃなく称号ですか、学位の認定はしないけれども大学院、要するに修士課程、博士課程に入ることは妨げてなかったと思いますね。今度は新たにそれは学位としてこの授与機構の中で認定をいたしましょう、こういうことになっているわけです。それはそれで私は非常にいいと思うのです。ただ、単位の認定ですね。累積加算といった場合、例えば途中からそれらの大学から一般大学に編入をされた場合、だめなんですね、そこで修得した科目について。単位の認定というのがなされないというふうに伺っておるわけです。そういうふうに御返事をいただきました。学位は認定するけれども単位は認定しないというのは非常に不整合じゃないか、私はこういうふうに思うわけです。例えば防衛大学で兵器なんかのことでやっている単位があったとすれば、そういうものを認めるというのはいけないと思います。しかし、一般的な基礎的なものでちゃんと教わったことというものは、むしろ一般の大学よりはそちらでやった方が内容も深くてきちっとしているという内容のものもあるわけですね。そういうことを考えますと、学士号の学位を認めるのならば、当然単位も認定すべきである、私はこういうふうに思うのですが、この点についてはいかがでございましょうか。
  109. 前畑安宏

    前畑政府委員 各省所管の大学校等に対する対処といたしましては、この学位授与機構におきまして、それらの教育施設の長からの申し出に基づきまして、当該教育施設の課程が大学大学院の課程と同等の水準にあるかどうかといういわば認定の作業をすることになります。その認定の基準は、大学設置基準あるいは大学院設置基準に準じたものになろうと考えておりますが、その具体の認定を経て初めてそこの教育施設の修了者が学位授与機構に対して学位授与を申し出る資格を取得する、こういう仕組みでございます。御指摘のように、そういった認定を受けた施設を中途で退学したといったような方にどのように対処をするかということにつきましては、大学審議会答申でも御提言があります大学以外の教育施設における学習成果の評価という問題になるわけでございまして、今後の検討の課題というふうに受けとめさしていただきます。
  110. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これはひとつぜひ早い機会に認定できるような形をとっていただきたいし、そうした方が整合性があるのじゃないか、こういうふうに思いますので、御要望申し上げておきます。  さらには、僕はこの機構ができたときに、こういうふうなものもできるのかなという一つの夢といいますか、夢と言ったら悪いのですが、この学歴社会ないしは受験競争の激しい中で、多様化の道を図る中で、これがうまく活用されるといいなといういろいろな思いがあったのですが、御説明をお聞きしておると割と制約が多いのですね。特に論文博士については当然審査をして認定をする、授与も行うのだ、こう私は思っておりましたら、それはやらない、こういうふうなことなのですが、これは教育の機会均等という立場、公平という原則からいっても、新しい授与機構の中でちょっとおかしいのじゃないかなというふうな気が私はいたしておるわけでございますが、これについてはいかがでございましょうか。
  111. 前畑安宏

    前畑政府委員 論文博士という制度は、いわば現在の課程制大学院における博士の学位ということからいたしますと若干例外的な制度ということが一つはございます。さらに、この論文博士の扱いにつきましては、大学審議会審議の過程の中でも、さらには学位授与機構創設準備委員会の議論の中でもございましたが、具体の論文博士の審査につきましては、これは先生も御案内かと思いますが、論文を書いた人がいきなり郵便で送りつけて審査をしてもらうというようなことでは全くないようでございまして、現実の姿としては、大学院に通学しているとほとんど同じような形で平素から論文の作成について指導を受け、そしてそのような課程を経て初めて論文が提出され、審査が行われる、このようなことが一般的なように承っております。  そういうことを考えますと、この学位授与機構において論文博士としての審査を行うに必要な体制を整えることは当面困難である、このように考えて、論文博士は対象としないというふうに考えたものでございます。御理解をいただきたいと思います。
  112. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 新しい創設ですからやむを得なかったかなという気はしますが、ぜひそういう方向でお考えをしていただきたいし、機構の充実も図っていただきたい。これは各大学でも、今は大体、課程を経て、それぞれ授与機関に申請するという形になるというお答えでしたが、それはそうであろうと思うのですけれども、いろいろお話を聞いておりますと、こういう例があったと聞きました。  某国立大学の助教授が、四十歳代になる力のある方ですが、論文を書いて出したというのですね。自分の大学で、自分が教わったところを通じて出しちゃった。そうしたら、教わった先生がもういらっしゃらないわけですよ。退官されたか異動されたかわかりませんが、いらっしゃらなかった。それで担当の教授はほかの先生がなっていた。その論文を見て、私はこれは関心がないと言って突き返されたというのですね。ところがほかの博士を持っている先生が読んでみたら立派な論文だというわけですよ。  だから、今の大学の中での授与するという、制度は確かにあって、局長がおっしゃったような形で出てくることが多いんだと思いますが、そういう中でやっていて、課程を経て人で、しかも国立大学で助教授までなっている方が博士号の取得ということで出しちゃったら、そんなことで一遍ではねられちゃった。だから、内容によってそういうものを受け付けるか受け付けぬか、審査しようかしまいかというのを判定するのではなくて、口の悪い言い方をしますと、担当の先生方の好みによってそんなことをやられたんじゃ大変なことになるのじゃないか。案外そういう先生方が随分数多くいらっしゃるというふうに私はお聞きするわけです。  だから、そういう意味を含めて、この授与機構というものがむしろ第三者的機関として、教わったところで出すよりも、新しいこういうところで第三者に公平に認定をしてもらう、そういう道を開いて、ここで認定を受けると高い評価を得る、こういうものが出てくると、私がさっき申し上げたような、今大学教員の中で悪い意味での徒弟制度、親分子分の関係を突き破って新しい芽が出てくるのではないか、こういう意味で私は先ほどから実は申し上げておるわけです。そういう意味で、論文博士の問題も含めてぜひ前向きに取り組んでいただきたい。  さらには、もう一つ、私ができると聞いたときに頭にぽっと思い浮かべたのは、独学で来る人ですね。要するに、大学へは行かれない、行かなかったけれども非常に勉強した。それは、いろいろなところで単位を取られるという方法もあるのでしょうけれども、主として独学で頑張って、仮に審査の対象とした場合に、人格識見ともに、また出てきた内容も、試験など仮に行った場合も非常にいい形で、博士として授与するに全く適格な人であるというような人にもぜひこの機構において受け付けをして審査をしていただきたい。これをすることによって、やはり今創造力の養成日本にはそれが足りないとかいろいろ言われておりますけれども。それから、この方面では非常にすばらしい能力を持っているというような人が、そこに門戸を開くことによって自分自身のやる道について非常に自信を持つ、希望を持つ、そして、よし、あの機構でおれはひとつ審査を受けよう、自分の力量を試してみよう、また、それから後の人生を開く一里塚としたい、こういうようなことを考えてやれるような形で開いておるのかなと思ったら、それは全然、全くだめなようですね。確かに事務的とかいろいろな機構とか運営とか体制とかの中でそこまで一気に行くのは、いろいろお聞きしていて難しいのかなという気もしておりますけれども、私は将来、これがきちんと創設された場合に、そういうものも一つ目標にして、この機構というものを生かしていただきたい。それがまた受験競争の緩和にもなるのじゃないか。無理に大学に行かぬでも、これでやったら認めてくれるぞ、おれの嫌いなものを無理やり勉強して受験戦争でやらなくても、積み重ねていけばちゃんとしたものがここにできてきたぞというのがあると、また違った形でいろいろな今の激しい受験競争の中で新しい一石を投じて、いろいろな方に希望を持たせることができるのではないか。  そういう意味で、この授与機構というものをぜひそういう方向に持っていっていただきたい。これは切なる私のお願いでありますが、これについてはいかがでございましょうか。
  113. 前畑安宏

    前畑政府委員 御指摘ございましたが、いわゆる博士論文の審査についてそのようなことがあれば大変遺憾なことでございます。大学審議会答申でも、学位制度の改善ということが提言されておるところでございますので、今後機会をとらえて関係の大学にも指導してまいりたい、このように考えております。  なお、御提言のお話は大変難しい要素がございます。学位授与機構具体に仕事を進めていきながら、どういうふうな発展が考えられるか、大学関係者の理解も得ながら、今後大学審議会でも一歩一歩どういうステップで展開していくかということについての審議が行われることであろうと思っておりますので、その過程の中で検討させていただきたい、このように考えております。
  114. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 外国でも学位授与機関というものが設置されているところもあるようですが、これについて例がありましたら簡略にお答えいただきたいのと、その授与機関に対する評価にはどういうものがあるのか、こういったものがわかればお答えをいただければと思います。
  115. 前畑安宏

    前畑政府委員 外国の例といたしまして典型的なものは、先生も御案内かと思いますが、英国に、翻訳いたしますと全国学位授与評議会というものがございます。略称CNAAと言っております。これは、イギリスにおきましても日本と同様に、大学だけが学位授与権を有するということになっておりまして、いわゆる勅許状によってつくられた大学ではないもの、ポリテクニク等が学位授与権を持っておりませんので、それに対する、その卒業者に対する学位授与ということで一九六四年に勅許状によって設立された、このように承知をいたしております。CNAAでは、いわゆる第一学位としての学士、修士、さらにはPhDという学位を出しておりますが、PhDについてはCNAAが個別に審査をするという仕組みでございまして、イギリスにおいては一定評価を得ている、このように承っております。  アメリカ合衆国にも若干類似の制度がございますが、これは大学に相当する教育を行っているというものを一定機関が認定をして、それを広く公表することによりまして、それぞれの大学がその機関が認定をしたものを参考にしながら自分のところの大学の単位に認定をする道を開く、こういうものでございまして、直接にはこの学位授与機構あるいはイギリスのCNAAに等しいものではございません。
  116. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ここでちょっと大臣にお尋ねいたしますが、今申し上げた授与機関に対する私の願いを込めていろいろ御質問申し上げました。それについての御所見を簡単にお願いしたいのが一つ。  さらにまた、我が国大学を国際的に高い評価を受けるものとしていくために、教育機能の強化、それから教員の活性化というものが大変必要であるというふうに私は思っているわけでございますが、ひとつこの点についての大臣の御所見を承りたいと思います。
  117. 井上裕

    井上国務大臣 学位機構、御案内のように、局長からいろいろと答弁ありましたが、やはり経験豊かな方々にも専門委員になっていただき、また先生のように、若いのを注入しろ、こういうことでございますが、よく検討してまいりたい、このように考えます。  さらにまた、教員の活性化の問題でありますが、これは私ども、国際的に高い評価を受けるために、教育研究の充実強化を図り、またその水準を高めていくことが一番大切だろう、このように思います。現在、我が国大学について、特にこの教育面が必ずしも十分でないと指摘することは私どもよく聞いております。今後各大学において学生学習の充実を図る観点から、組織的に基礎的に、そしてまた、体系的に教育機能の強化に努めてまいりたい、このようにも考えております。  また、大学教育研究を充実させるためには、まず個々一人一人の教員が不断の努力、みずからの教育研究活動の活性化が一番大切ではなかろうか、私はこのように考えます。私ども、やはり審議会の審議も踏まえ、前向きで検討いたしたい、このように考えております。
  118. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大学の改革というのは、学生自身のあり方やら入試の問題のあり方とか学校のいろいろな制度の問題とか、こういろいろ言われるわけですけれども、私は一番大切なものの一つがやはり大学教員の皆さんのあり方だろうと思っております。やはり個々に何か弊害がいろいろあるんだということを、私もあちこちでお話を伺ったり現地を見たりすることがあるのですが、よくお伺いをするのです。ところがなかなか改革が進まないというようなことがございます。そういう意味で、教員の活性化について今大臣にも御質問申し上げたわけです。  とにかく大学先生方、すばらしい先生方を随分と知っておりましていつもいろいろお話を伺うのですけれども、大抵そういう先生方というのは慨嘆されるのですね。大学先生が、同じ教員でありながら勉強しない人たちが非常に多いと。中にはもう本当に大学教員であろうかという人もいますよと。それから、大学の外に出て何かしゃべってもろたら困るというような先生もいるのですよというようなことを言われることがあるのです。まあそれは恐らく当たらずとも遠からずで、相当おられるのではないか。  随分以前に、私が教育学部大学先生方について、論文や著書なんか研究成果を果たしてどれくらい発表したりしているのかということをお尋ねしたことがあったのです。そのときでも、やはり学会に所属してやっていらっしゃらない先生がおったということも事実ございました。学会に所属していないで、先生方が研究研究というのは何をしていらっしゃるのだろうか。恐らく自分がやれば発表して評価してもらいたいというのは人情だと思うのですけれども、その大学の中での大学紀要等にも何も出さない、書かないという先生もいらしたようであります。また、いろいろな先生にお聞きしますと、優秀な先生なんですが存じ上げているこういう方は、もう著書も書く、いろいろなこともやると活動を随分されているのですけれども、こういう先生方に言わせますと、まあ専門の科目によって違うけれども、いい先生というのは大体一割くらいじゃないかと言うような人もおられますし、いや、私のこっちの分野では三〇%くらいはいるかなというようなお話もあったり、まあ最大限いいところで五〇%切れる、ようやく五〇%を大学先生として認めていいのかなというような話も出てくるわけですね。私はそれを聞いておって非常に寂しい思いがするわけです。大学に一生懸命入って勉強しようという学生に、教えてくださる先生方が勉強の意欲もなければ何もしない。以前に私は、一年を五日で暮らすいい男、大学教授、なんという悪口を申し上げたこともございますけれども、この前もいろいろな先生方とお話ししておりましたら、大学教員ほどいい商売はない、商売と言ってはどうかと思いますが、というようなお話もありました。何かのつてで一遍大学教員になると、自動的に停年まで、それはとにかく楽で、こんないい職業はないというふうなことをおっしゃった方もおられました。その先生は悪い意味でおっしゃったのではなくて、その時間はしっかり研究もできる、あれもできるという意味でおっしゃったようでございますが、そんなのを聞いていると、大学先生方自体にしっかり心構えを入れかえていただいて、昭和二十四年以来の、この大学審議会答申によって、私は最初申し上げたように、大きな高等教育の改革のときだという事実認識をしながら、その中で教員の皆さん自体も、どうか二十一世紀、日本が本当に世界の中でいろいろな貢献もし、生きていくために、繁栄をしていくために、私は、そういう先生方に大きな力を発揮していただかなければなりませんので、その活性化の問題についてもお尋ねをしたわけです。  ちょっと長い前置きになりましたが、この活性化のあり方について、大臣から大枠のお話はございましたが、具体的にはどういう形で取り組んでいくというようなお考え等、もしありましたら、文部省当局のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  119. 前畑安宏

    前畑政府委員 大学をよくするためには教員の活性化ということが大変大事であることは、御指摘のとおりであると思っております。今度の大学審議会答申で、「大学設置基準大綱化」ということがうたわれておりまして、私どもとしては、新しい年度に入りましたらできるだけ早い機会に大学設置基準改正いたしまして、大綱化をした設置基準にしたい、このように考えておりますが、そういたしますと、今までの硬直化したカリキュラム、いわばカリキュラムに対する設置基準の抑制が外れるわけでございますから、各大学がそれぞれの理念に従ったカリキュラムというものを真剣に考えていただくことになろうかと思います。  御案内のとおり、今後平成五年以降は十八歳人口も急激に減少してまいります。国公私立を通じまして、それぞれの大学がいわば厳しい冬の時代に入るわけでございますので、その時代には、各大学はいかに特色を発揮するかということについて、それぞれの大学教員の方が知恵を絞ってもらう。  また、御指摘がございました我が国大学における教育機能の問題というのがございます。大学を挙げて教育機能の充実に努めてもらう、シラバスをつくる、あるいはファカルティー・デベロプメントというようなことにも努めてもらう、こういうことが今後いや応なしに大学教員には求められていくことになろうかと考えております。既に幾つかの大学におきましては、例えば助手の採用について、自大学の出身者からは直ちに採用しないなどの運用上の工夫をしておるところもありますし、また、主として助手についてでありますが、事実上の縛りとして任期制みたいなことで運用しているところもないわけではございません。今後の大学自己点検評価ということを各大学に推奨をいたしておるわけでございますが、この評価項目の中でも、教員組織について申し上げますと、出身大学の構成であるとか、あるいは年齢構成であるとか、さらには研究分野につきましても、構成員による研究成果の発表状況であるとか、こういった問題についてそれぞれ自己点検自己評価をしたらいかがかという提言もなされてるところであります。  以上のような点を踏まえまして、また、さらには教員についての選択任期制というようなこともかねてから臨教審以来の検討課題となっております。全体として、国家公務員の任用が終身雇用ということですべての法体系、給与を含めてそのようになっておる中で、選択的な任期制を導入するについては、関連して検討をしなければならない多くの問題もありますが、今後この大学審議会においても御検討をいただく、こういう運びになっております。
  120. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 いろいろ具体的なお話をお伺いいたしました。そういうものを含めて、私は端的に言いますと、三つぐらい考えていいのではないかな、こう思っておりますが、一つは、今ちょっと御答弁の中にも出ましたし、大学審議会の「高等教育計画部会における審議概要」の中にも触れてありましたような任期制の問題ですね。今回触れておるのは選択的任期制や契約任用制というような形で言っておるようでございますが、この任期制の導入というものをすべきではないかというのが一つです。  それから二番目には、大学教員についての評価、これはきちっとする。これは自己評価という形で大学審議会では答申の中で触れておるわけですけれども、もう少しきちっとした形ですべきではないか。それから資格審査の導入ですね。  三番目には、教員の再教育です。こんなことを言うとしかられるかもしれませんが、私は一番最初に再教育した方がいいのではないか。そう言うと、議員も再教育しろなどというようなことになるわけですけれども、それはさておきまして、それくらいの厳しさでもって事に処してもいいのではないかな。また、それぐらい教員の皆さんの携わっている役目というものは、日本の将来を本当に担っていると言っても過言でないくらいに私は大切だと思いますし、特に世界的に見れば、大学教育システムは先進諸国の中でも一番劣っているのではないかというようなことを言う人すらあるわけでございまして、その中で、結局つまるところ教員の皆さんに厳しさというものがない。要するに、他流試合は嫌がる。評価されるのは嫌がる。公表するのも嫌がる。だから、シラバスのお話もさっきやっておりましたけれども、諸外国では、アメリカあたりでは、こういうものをきちっとつくって、むしろ学生に前もってそういうものを提示をして検討させる、選択もさせるというぐらいのことをやっておるようでありまして、その一事を見ても、日本における大学教員の皆さんが、全部とは私は申し上げませんけれども、事なかれ主義でいっているような気がしてならないわけですね。  そういう意味で、私は、今の任期制の導入、大学それぞれの評価教員評価、それから資格審査の導入、それから教員の再教育を推進していくべきである、こう思っておるわけですが、これについての御所見を伺いたいと思います。
  121. 前畑安宏

    前畑政府委員 いずれも大変大事な問題でございますが、なかなかそれを実行に移すということになりますとこれまた難しい問題があるわけでございます。資格審査の問題であったりいたしますと、あるいは任期制の問題であったりいたしますと、いろいろ全体的な制度仕組み我が国の法制全体ともかかわる問題もございます。それを直ちに実行に移すということについては大変難しい問題がありますが、先ほど申し上げましたように、今後における我が国大学あり方としては、十八歳人口の急減、それによる非常に厳しい時代が来る。そこで、各大学が存立するためには、それぞれの特色を生かした、先ほどお話もありましたシラバスの問題であったり、あるいは学生による授業評価という問題であったり、いろいろな問題を抱えながら、それぞれの大学が本気になってカリキュラムを組み、学生の指導に当たるというようなことが求められてくる。その中で、教員についてもきちっとした自覚が求められるようになるのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  122. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大枠についてのお答えはあったのですが、時間がございますので、個々の挙げました問題についてさらに質問させていただきます。  任期制、私は、これはいろいろと調べたりお話を伺うところによりますと、実は戦後、敗戦になりましたときに、直ちに任期制の問題、それから人事の問題等、これは手をつけるはずであったのが、諸般の事情で見送られたというふうにも聞いておるのです。今から思うと、私はそれぐらい大切なことが見送られたのは極めて残念だったなと思うのです。恐らくは民主化教育とかいろいろな流れの中で、混乱の中でしたから、どうしてもここまで手をつけるというわけにはいかなかったのかもわかりませんけれども、しかし、大学社会的使命の重大さというものを考えますと、任期制というのはむしろ取り入れるべきではないかな。そして、これによって教員同士の人事の交流、各大学教員の人事交流、国公立と私学あたり大学と交流ができればなおさらいいのでしょうけれども、そういうような交流というものが行われる、風穴があいていくということによって、よく言われる大学の自治というものが本当の意味で確立をされてくるのではないか。そうしないと、今の形のままいきますと、どうも傾向としては、要するに既得権の擁護という方にむしろ働いている向きが強いように思うのですね。だから、一遍ひとつ殻を打ち破って、自由な伸び伸びとした中で、よし、他流試合来い、おれも一生懸命勉強して評価を受けてみるぞというぐらいの思いがあっていいのじゃないか。  私も、これは伝聞の話ですけれども、パリにある大学の有名な教授が、うちの大学は今度大学評価を受けた、こう言っていた。非常に喜んでおったというのですね。いい結果が出たわけです。その話をしていた人が、私の友人ですが、聞いたというのですよ。それは、大学がいい形で評価というのが出て、あなたたちの給料が上がったのかと言ったら、給料は上がらなかった、しかし、大学評価されることによって、いい学生が我が大学を選択をしてくれるようになった、それを我々は非常に誇りに思っておる、こういうふうに言っておったというのですね。日本大学先生方がそういう評価を進んで受けるというような中で、果たしてそんな形というのはできるのかなというふうに評価の問題を含めて思うのですけれども、そういうものがあって初めて大学の自治とか学問の自由というものが真の意味で確立をされてくるというふうな気も私はするのです。  それで、ちょっと後戻りいたしますが、さっきもちょっと触れました大学審議会の「高等教育計画部会の審議概要」の中の「高等教育の質的充実について」という項目の中で、教育研究環境の高度化を図る手だてとして、大学教員の「選択的任期制や契約任用制を導入することについて、その処遇や研究条件等の在り方を含め、検討する」ということを求めておるわけですね。これはまだ最終答申ではございませんけれども、こういうことを言われておる。  これはもう任期制については、私どもは以前から口が酸っぱくなるほどこういう文教委員会でもいろいろと御提案申し上げ、ぜひということで、この制度導入については申し上げてきたわけですけれども、おくればせながらこういう形で大学審議会で踏み込んできたというのは、それはそれで大変いい形が生まれてきたな、こういうふうに私は思っているのですが、この選択的任期制や契約任用制の導入ということについて、文部省としてはどういうふうに受けとめておられるのか、お尋ねをいたします。
  123. 井上裕

    井上国務大臣 ややもいたしますと、人事が閉鎖的で流れが悪いというようなこと。私的なことを申しますと、ちょうど私は戦後でしたから、私ども大学アメリカのリジレーという少将が当時来まして、日本大学は自分の大学の出身者だけでプロフェッサーを固めている、これでは発展がない、そういうことで、戦後、二十一年でしたが、交換教授というのをやりました。そういうことを味わった学生の一人でございます。先生の言う任期制、確かにそのとおりでありますが、しかし、大学教員の人事のあり方、自治の根幹にかかわることでありますので、局長の答弁にありましたように非常に難しいと思います。確かにそのような安住する場、みずから自分はその学校を出て、その学校で助手から講師になって、助教授教授になって安住の場である、発展がないという今の御指摘、よくわかりますが、さりとて、これを任期制で再教育、それこそ大学の自治で、介入はできませんので、いろいろこれから最終的な答申を見きわめて対応いたしたい、このように考えております。
  124. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 以前お尋ねしたときもそれに似たお答えをいただいたと思うのですが、確かに大学の自治、それから学問の自由ということは大切なことで尊重しなければなりませんけれども、本当の意味でそれを尊重し生かすということは、私は今までの大学等あり方から見て少し方向が間違っていた向きがあるんじゃないかなという認識も多少ございます。そういう意味で、いい意味でやるためには——大学先生方というのは、個人的にお話を伺うと本当にいいお話をなさいますが、全体的に、教授会等になりますと、以前も申し上げたように、何もやらないということに必ず落ちつくようでございまして、私の恩師やらそれから同僚なんかもおりますが、そういうことを自嘲的に言っておった人もおります。ですから、何かの形で、私は外圧とよく言うのですが、やはり少しぐらいは与えた方がいいのではないか。そういう意味では、私が最初申し上げたように、一般教育専門教育の垣根を取っ払う、それからこういう授与機構をつくるということについて、せっかくできるわけですから、それがいい意味で、これが衆参通ってきちっと設置というものが決まってきました場合には、再々申し上げておるように、いい意味でインパクトを与えるように、そして大学先生方もなるほどと納得のいくような形でいけるようにしていただきたいという意味で申し上げておるわけです。  これも私直接行ってみたわけではございませんで、伝聞でございますけれども、ECの諸国の統合というのが近いわけですが、その中でやはり教育というものを大変重視をしておる。特に抜本的改革といいますか大学教育の大きな目玉として、教員の免許システムというものを、具体的に当たっているかどうか知りませんが、大枠で申し上げますと、要するにシステムの統合もちゃんと考えて、そこで免許を取得すると、大学教員はEC諸国内だったらどこの大学に行ってもちゃんと異動ができるし、どこに行ってもそこで教えることができる、こういうようなシステムが今度できるのだというふうにも、できたのか、できるのだというふうに私は伺ったのです、これは正しい認識かどうかわかりませんけれども。ただ、私は、EC諸国がいろいろな意味で力を合わせながら、これからの世界の流れの中で自分自身に大きな力を蓄え、また世界にもいい形で影響を与えていこうという思いの中から教育というものを目指して、教員の異動というものに風穴をあげていくということは、やはり意味があるのだろうと思うのですね。そういうことがある。  任期制と異動の問題というのは、これは難しいとかいろいろな障害があることは十分承知でございますけれども、あえてそれを乗り越えて、ひとつ文部省がリードしながらこういう形を確立する、進めていくというふうにぜひ持っていっていただきたい、こういうふうに思うのですが、再度この点についてお尋ねをいたします。
  125. 前畑安宏

    前畑政府委員 先ほど大臣からお答えがございましたように、今後大学審議会での検討事項ということになっておりますので、御答申をいただきましたら適切に対処させていただきたい、このように考えております。
  126. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 では、次へ行きまして、教員評価の問題でちょっとまたお尋ねをしたいのです。  現在のところ、自己評価、それから自己点検ということを各大学先生方がなさいということになっているわけでございますけれども最初はやはりそこからかなという気もしますけれども、私はいろいろな人に御意見を聞いてみました。大学先生方だけでなくていろいろな方に聞いてみましたけれども、やはり自己評価よりも第三者機関で客観的に評価するというところまでシステムを考えて持っていくべきではないか、有識者の中ではこういう御意見がほとんどでございました。これまでの大学評価というものは、受験産業が打ち出す偏差値による有名企業にどれぐらい入ったかということだけで評価されている向きがどうもあるようです。私は、この際、思い切って、チェックする項目というのはいろいろ真剣に考えなければいかぬのでしょうけれども大学評価というものをきちっとして、ランクづけを行うぐらい、日本においても積極的に取り組んでいいのではないかなというふうに思います。  先日もいろいろ聞いたのですが、例えば一つの例として、学内で教授になるという場合、やはり教授会でいろいろ検討して教授ということにするのでしょうけれども、ある先生が言っておったのは、日本においては、一応認定して教授にするという機構はあるけれども、実質的にはもう順送りだというのですね。教授が退官したら次は大体順送りである、要するにオートマチックプロモーションである、こういうふうなことを言われた先生がありました。したがって、そこに教授としての力量とか人格、識見というものについての厳しいチェックというのはそんなにない。ところがヨーロッパあたりを回ってきた人の、大学関係者の話を聞いてみましたら、西ドイツ、今のドイツですか、そこの話だったそうですが、ある大学では教授になるにも非常に厳しい内規があってチェックをしているのだそうですね。そして、要するに、変にこびへつらうという意味ではなくて、教授、助教授、講師という間にちゃんとした位があって、それがいい意味で機能している。いわゆる気兼ねをしているというのですね。それで厳しさというものもある。その中で、自分が教えるということで一生懸命やる中で、幾つかのチェックを経て初めて教授というものに任用される。それで、教授自体も、なった人は非常に自信を持っていまして、私が教授だという、助教授との格差が、位が違うのですから、あるというのは当然だ、私は助教授よりは三倍ぐらい働くし勉強しているのだというようなことをはっきり言い切るのだそうですね。そういう見識を持っていらっしゃるし、努力もしていらっしゃる。そういうような形が、全世界のいい大学がすべてそういう形かどうかは存じませんけれども、そういう例を聞いてみても、どうも我が大学での教授の選び方一つにしてみても、このままでいいのかな、どうもチェックした評価というものがなかなか入ってこないという気もするわけですね。アメリカの州立大学では、ある州では評価というのはやっているけれども、その項目の中で、これも伝聞ですが、聞いてみましたら、そこの大学教員研究状況とか、それからファンド、基金をどれぐらい集めてきているかとか、それからその大学で各先生著書はどれくらい書いて出ているのかとか、学生評価はどうなっているかとか、大学全体の授業、これはシラバスのことだろうと思いますが、そういうのはどうなっているかとか、いろいろなチェック要素があって、それを州でチェックをした上でランクをちゃんと発表しているというのですね。だから偏差値による、企業に入れるか入れぬかという、そこらあたりでのランクづけじゃなくて、受験産業あたりのランクづけじゃなくて、私はそういう意味での、大学の本当の内容に応じた、実際の力関係といいますか、内容に応じたそういう評価とランクづけなんかももうこの日本においても取り入れる形をしてもいいのではないかなというぐらい実は思っているわけです。  そういう意味で、再度ひとつお尋ねでございますが、そういう意味での大学に対する評価、また先生方に対する評価というもののシステムをつくり上げていく、導入していくということが必要であろうと私は思いますが、この点についてのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  127. 前畑安宏

    前畑政府委員 先生の御指摘はまことにごもっともでございます。ただ、最初先生もおっしゃいましたように、我が国でこの評価システムというものを導入するのは、いわば画期的なことでございまして、この評価システムの導入ということを答申に書くこと自体についても、関係の方面からはいろいろな御意見があって、これは決して押しつけるべきではない、あるいは項目についても各大学に任せるべきであって、これを例示とはいいながら画一的に示すのは適当ではないというような御批判をいただきながらやっとここまで取りまとめてきた、こういう経緯もございます。どうぞ、まずはこれを始めまして、そして各大学に定着をし、そして、さらには今先生御提言のように、アメリカにおけるアクレディテーションシステムのように、関係の団体が成熟をいたしまして、客観的な第三者評価というところまで進むことを期待をしておるところでございます。
  128. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私どもも努力はしていかなければならぬと思っておりますが、そういう形で早い機会に大学自体、先生方自体からむしろ進んでそういう形が出てくるようになると私は大変すばらしいことじゃないかと思います。今大学がよくないと言われておりますし、討論一つあり方にしても、大学先生初め大学学生自体がアメリカやヨーロッパ等に比べると、もう格段に見劣りがするとも言われておりますし、これが続いていけば、最初申し上げたように、二十一世紀の日本というものが大変なアンバランスの国になるし、本当にいい意味で私ども世界に貢献しながら繁栄をしていくということも極めて難しいのではないかな、こういう気がいたしております。そこの教える側の教員自体から、評価の問題についてもきょう申し上げたようなこと、これはもうとっくに文部省の皆さんや大臣も御承知の上のことではあると思いますけれども、そういう下地の中で大学教育をやる教員が年数がたったときにどういう違いが出てくるかというのは、私はちょっと恐ろしいような気がするのですね。  だから、勉強する人は今の制度の中で一生懸命やればいいというような形で置いておくのではなくて、画一的とか押しつけはきかぬというお話もあるかもわかりませんけれども、これからのことを思えば、あえてそういったことも取り入れながらやる必要があるだろう。またいろいろな、再教育と申し上げましたけれども外国研究のための研修とか、場合によったらもう大学先生も、一〇%ぐらいは何とか予算をやりくりして向こうの大学院学位を取らせる、そういう勉強もさせるぐらいあってもいいのではないかな。私はこれから大学へ行くと袋だたきに遭うかもわかりませんが、しかし、そういうことを覚悟の上で今申し上げているぐらい今後の高等教育というのは非常に真剣に取り組んでいかなければならぬ時期に来ているのではないかなということであえて申し上げているわけでございます。したがって、そういう中で外国の教師をこっちの大学へ入れるとか任用していくとか、そのほか初中も含めて、そういった関係のこととかを、今ある法律を弾力的に大いに活用して、そういうものはどんどん進めていっていただきたいし、また外国等に勉強に出ていく、または場合によれば、おれは学位も取りに行くぞというぐらいの方があれば、そういう方にもどんどんそういう機会を与えられるような、少しずつでも結構ですから弾力的な運用をしながら、予算も獲得をしながら進めていって、高等教育というものを本当にいい形で二十一世紀に向かっての体制づくりをひとつやっていただきたい、こういう思いでございます。  時間が参りましたが、最後に、先生の悪口ばかり言っても大変でございまして、先生のお話を聞いていると給料が大変安いのですね。すぐれた人材を確保するためにも、私学並みの給料、私学自体も上がっていかなければいけないのだと思いますが、また外国からの優秀な人材の確保など、教員の待遇改善というものについては、大臣を初め各局長ひとつ真剣に取り組んでやっていただきたい。そういう裏づけがあってまた勢いも出てくると思いますので、この点について最後お尋ねをいたしまして、私の最後の質問にさせていただきます。
  129. 井上裕

    井上国務大臣 先生の大変ありがたいお話も承りまして、私ども教員の、大学人の自覚、本当に大学の一人一人の先生方の自覚にまつ以外ございません。  ただ、給与の面につきましては、今財政厳しい折でございますが、与野党先生方のお力添えをぜひお願いをいたしたい、このように考えております。
  130. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 一分ぐらいありますから、一つ言い忘れたので。  ここに「世界大学ランキング」という表があるのです。これはゴーマン・レポートと言われているのだそうですが、こういうことは各国でいろいろ先生方がやっておられるそうですけれども、この中を見ましたら、私びっくりしたのは、我が東大が、これはアメリカを除いておりますけれども世界の中で六十七位になっているのです。ほかの大学なんかもうちょろっとも出てこない。これはどうなのか。米国のも二枚目にあるのですが、米国のを見ますと、これは五十番目までが出ているのですが、ヨーロッパの世界ランキングが出ている得点と比較しますと、五十番以下になっているから、これをプラスすると百十七位以下に東大が来ている、アメリカが入りますと。恐らく百五十番以下になっているのかもわかりません、具体的には。そういうランキングもあるのですね。これが絶対的に信用できるものかどうか、多少ありますけれども、いろいろこれについて批判なさっている教授の方もいらっしゃるようですが、このゴーマン・レポートというのは、割と広くひとり歩きしてランキングづけに活用されているというお話も伺いました。こういうこともあるということも、文部省特に御承知だとは思いますが、こういうのを見ても、日本大学というものは本当に——これから私たちもできるだけ応援をさせてもらいながらいい方向に持っていきたい、こういうふうにも思っております。これは私の感想を含めて最後に重ねて申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。大変ありがとうございました。
  131. 臼井日出男

    臼井委員長 次回は、来る六日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十一分散会