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1991-02-22 第120回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年二月二十二日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 臼井日出男君    理事 木村 義雄君 理事 北川 正恭君    理事 真鍋 光広君 理事 松田 岩夫君    理事 渡瀬 憲明君 理事 沢藤礼次郎君    理事 吉田 正雄君 理事 鍛冶  清君       逢沢 一郎君    岩屋  毅君       狩野  勝君    小坂 憲次君       塩谷  立君    福永 信彦君       船田  元君    増田 敏男君      村田 吉隆君    宇都宮真由美君       輿石  東君    佐藤 泰介君       佐藤 徳雄君    中西 績介君       馬場  昇君    平田 米男君       矢追 秀彦君    山原健二郎君       柳田  稔君    米沢  隆君  出席国務大臣         文 部 大 臣 井上  裕君  出席政府委員         文部大臣官房長 坂元 弘直君         文部大臣官房総         務審議官    佐藤 次郎君         文部省生涯学習         局長      福田 昭昌君         文部省初等中等         教育局長    菱村 幸彦君         文部省教育助成         局長      菴谷 利夫君         文部省高等教育         局長      前畑 安宏君         文部省高等教育         局私学部長   逸見 博昌君         文部省学術国際         局長      長谷川善一君         文部省体育局長 野崎  弘君         文化庁次長   遠山 敦子君  委員外出席者         法務省刑事局刑         事課長     松尾 邦弘君         外務省国際連合         局人権難民課長 角崎 利夫君         厚生大臣官房老         人保健福祉部老         人福祉課長   中村 秀一君         厚生省薬務局医         療機器開発課長 澤  宏紀君         労働省職業能力         開発局能力開発         課長      五十畑 明君         建設省住宅局住         宅建設課長   上野 公成君         自治大臣官房企         画室長     黒沢  宥君         自治省行政局公         務員部公務員課         長       金子善次郎君         会計検査院事務         総局第二局文部         検査第二課長  藤田 正二君         文教委員会調査         室長      堀口 一郎君     ───────────── 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任  逢沢 一郎君     小此木彦三郎君   岩屋  毅君     浜田 幸一君 同日  辞任         補欠選任  小此木彦三郎君     逢沢 一郎君   浜田 幸一君     岩屋  毅君 同月二十二日  辞任         補欠選任   岩屋  毅君     福永 信彦君   三塚  博君     塩谷  立君   市川 雄一君     平田 米男君   米沢  隆君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   塩谷  立君     三塚  博君   福永 信彦君     岩屋  毅君   平田 米男君     市川 雄一君   柳田  稔君     米沢  隆君     ───────────── 二月二十二日  国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案内閣提出第二七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 臼井日出男

    臼井委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。輿石東君。
  3. 輿石東

    輿石委員 私は、大臣所信をお聞きし、また昨年度の百十八国会提案をされました生涯学習について御質問をしてまいりたいと思うわけであります。  私自身、昨年、百十八国会におきまして、六月一日に本会議代表質問もさせていただいた経過もありまして、今回言われるところの戦後の最大改革、それは消費税をめぐる税制改革であり、政治改革であり、そして教育改革だなどと言われているわけですけれども、その一番中心であります教育改革について、まさに従来から言われております学歴社会の弊害をなくす、余りに学校中心教育体系であった我が国教育体系を生涯学習体系に移行していこうというのがこの骨子であろうと思うのであります。大臣所信の中にも、今回の文教行政について第一に努力していくところは生涯学習である、こう言われているわけでありますので、その辺につきまして、生涯学習に対する文部大臣としての考え方や決意等について最初にお伺いをいたしたいというふうに思うのであります。
  4. 井上裕

    井上国務大臣 お答えいたします。  まさに先生言われるとおりでありまして、基本的に生涯学習というのは国民一人一人が生涯にわたって行う学習活動のことである、私もそのように思う次第でありまして、まさに今までの学校教育、そして社会教育、その中にあって生涯ひとつこれを勉強しようということでございますので、私もいろいろな問題を今回取り上げてみたいと思いますが、まず一つ、生涯学習を一生懸命努力をいたしたい、こういう所存で私の所見を申し上げた次第でございます。
  5. 輿石東

    輿石委員 ただいま文部大臣の方から、生涯学習必要性と、これから努力をしていかれるという決意をいただきました。  そこで私は、前回国会で取り上げられましたこの生涯学習振興法、正しく言いますと生涯学習振興のための施策推進体制等整備に関する法律というふうに規定をされているわけですけれども、いわゆる生涯学習振興法というふうな表現で使わせていただきたいと思うのであります。これが出てきた経過問題点等については、既に文教委員会等でも論議をされているところでありますけれども、昭和六十三年社会教育局が改組をされ、文部省筆頭局に生涯学習局設置をし、全関係省庁、全省庁的にこれに取り組むという経過もありました。そして、わけても生涯学習局中心推進をしていくでありましょうけれども、今度二月一日に文部大臣がその審議会諮問をされたわけでありますけれども、その諮問をされた経過とその諮問内容について、まずお聞きしたいと思うのであります。
  6. 福田昭昌

    福田政府委員 生涯学習審議会は、今お話しいただきましたように、昨年成立いたしました法律に基づきまして昨年八月二十八日に発足をいたしました。八月二十九日の第一回総会以降これまで五回にわたって総会を開催いたしております。  第一回から第四回までは、文部省の方から、この審議会のもとになりました法律が制定された経緯、つまり中央教育審議会答申、それから今回の法律内容、過去のいろいろな提言、これまでとってきた施策、そういったものを御説明をし、かつそれ以降各委員の生涯学習に関するいろいろな課題意識と申しますか、そういうものについて自由な意見交換をいただきました。そういうことを経まして、それまでの委員各位意見参考にさせていただきまして、二月一日に第五回総会におきまして諮問をいたしたわけでございますが、文部大臣からは「今後の社会の動向に対応した生涯学習振興方策について」ということで諮問をいたしたところでございます。  諮問内容でございますが、総括的には今申し上げたようなことでございますが、当日文部大臣から諮問理由説明をさせていただきまして、その中では、生涯学習については、これまでも中央教育審議会臨時教育審議会等から種々提案がなされ、文部省におきましては、これらの提言を受けて、生涯学習振興のための教育スポーツ文化にわたるさまざまな施策あるいは生涯学習推進のための基盤整備その他に関する施策を展開してきたところであるけれども、このようなこれまでの施策の現状を踏まえ、また、これからの我が国社会変化等にかんがみまして、さらに今後重点的に推進すべき課題について検討する必要があるのではないかということを説明をさせていただいたわけでございます。  そして、私どもの具体的な課題として、一つは、一人一人の学習成果を生かしたボランティア活動推進という課題、第二に、社会人職業人対象とした体系的、継続的なリカレント教育推進という課題、第三に、時代の要請に即応した現代的課題に関する学習機会充実という課題、第四に、青少年学校外活動充実という課題、こういったものが考えられるのではないかと考えておるということで説明をいたしたわけでございます。検討課題としてはこれだけに制限してということではございませんから、審議会自体におきましても、またいろいろ御検討があろうかと思いますが、文部大臣の方から御諮問をいたした経緯等につきましては、以上でございます。
  7. 輿石東

    輿石委員 ただいま諮問に至る若干の経過と、重点的に審議会の中で討議をされるでありましょう具体的課題について御説明をいただいたわけですけれども、私どもは、この中で、前国会の中で、または委員会の中で、この振興法についての問題点等についても論議をしてきたところでありますけれども、この審議会の性格や審議会構成メンバー等についても論議をしてきたところでありますが、最初に、審議会構成メンバー等についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。  また、なお二十七人の委員構成するというふうにはなっておるわけですけれども、どういう視点でその二十七人の委員を選出していったのか。そんな経過も含めてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  8. 福田昭昌

    福田政府委員 委員の選考の視点と申しますのは、これは法律で人格、識見ともに高い方ということでございますので、当然そういう角度から選考させていただいたわけでございますが、同時に、この審議会任務といいますか所掌といいますか、そういう事柄も考える必要があるということで、この審議会任務は、御承知のように、教育文化スポーツにわたる生涯学習に資するための施策について審議をするという、いわば生涯学習振興に関する審議というのが一つございます。  同時に、先ほどちょっとお話が出ました、従来社会教育審議会というものがございまして、社会教育にかかわる審議を行っておりましたが、この生涯学習審議会が発足するに当たりまして、発展的に社会教育審議会がなくなりましたので、この新しくできました法律によりまして、生涯学習審議会は、生涯学習振興に関する施策とあわせて社会教育に関する所掌も行うということで、二つ任務がございます。したがいまして、選考するに当たりましては、その両面をよく考えて選考いたしたということがございます。  それから、構成でございますけれども、今申し上げましたように、生涯学習審議会ということでございますので、学校教育社会教育文化等の各分野、さらには、そういった分野のほかの、例えば労働だとかいろいろな分野からさまざまな意見が十分反映することができるように配慮をいたした、こういうことでございます。
  9. 輿石東

    輿石委員 二十七人のメンバー並びに構成等についてお聞かせをいただいたわけですけれども、今お話がありましたように、この審議会の生涯学習振興に資するための論議、それから、社会教育局を改組し、生涯学習局に変えた、包含をしているということですから、当然の結果として社会教育分野についても論議を深めていく。その二つ任務があるために、この構成メンバーについては、広く各界各層からの声を聞くためにそういう構成をしたというふうに聞き取れるわけでありますけれども、そのように理解してよろしいでしょうか。
  10. 福田昭昌

    福田政府委員 そのとおりでございます。
  11. 輿石東

    輿石委員 私どもは、前回法案の第十条で生涯学習審議会について規定をされる、そこでの論議経過もございます。各界各層から広く声を聞くために構成をされていると言われておりますけれども、私ども前回法案の中で御指摘をいたしましたのは、やはり学習をする立場、一昨日の委員会でも、これからは教育を授ける方の立場からではなくて、教育を受ける子供の主体の側からの声が必要ではないかというお話もありました。そういう点から教育現場とか勤労者、働く者の代表等は入っているのか入っていないのか、その辺についてもお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  12. 福田昭昌

    福田政府委員 例えば働く者というような場合、ある意味ではみんな働くわけでございますが、今先生がおっしゃった趣旨では、労働界の方にお入りをいただく、あるいはまた今直接お子さんを抱えておられるお母さんだとか、あるいはまた学校関係者とか、そういうことにも配慮をいたしたところでございます。
  13. 輿石東

    輿石委員 労働者代表、母親の代表、それから教育現場等代表、当然これには参加をしているというふうにも思いますけれども、この審議会中心に今後生涯学習振興が図られる、その骨格が論議をされるところでありますから、その辺についてはぜひ十分配慮をしていただくと同時に、また先ほどお話がありましたように、この審議会だけでは論議のでき得ない限界があろうというふうに思います。そうした場合にどのような手だてをされるのか、その辺についてもお聞かせをいただきたいと思います。
  14. 福田昭昌

    福田政府委員 今お答えしましたように、できるだけの配慮はしたつもりではございますが、何しろ人数の枠がございますので、万般にわたってというわけにはいかない限界がございます。そこで一つは、これから審議を進め、ある段階には中間的な取りまとめをいただくという段階もあろうかと思いますので、そういう際には広くそれを公表して、各方面からの意見を反映をしながら最終的な答申取りまとめをしていただくというようなこともできようかと思いますし、また審議の過程で、それぞれ審議事項にかかわって、必要な場合に関係方々からヒアリングをして直接御意見をお伺いするということも考えられるのではないかというふうに思っております。
  15. 輿石東

    輿石委員 そのように抽象的なお話をいただいてもちょっとわかりにくい点があるわけでして、前回法案論議の中で、そういう専門的な分野に立ち入って、審議会では限界がある場合には、特別委員会とかそれにかかわる専門委員会等構成をする用意があるというふうな御回答もあったわけですけれども、その点についてはいかがですか。
  16. 福田昭昌

    福田政府委員 このあたりは今後審議会として運営していく上で、また審議会の方の御意向等もお伺いしながら考えていきたいと思いますが、今申し上げましたように、直接関係方々においでいただいて御意見を聞くという方法もあろうかと思います。そういうことも含めて、また先生がおっしゃっていることも含めて、今後審議会の方で十分そのあたりを、どういうように運営していくかということもあわせて御検討されることも踏まえながら対応していきたいというふうに思っております。
  17. 輿石東

    輿石委員 必要があればということですから、例えば専門委員会をつくっても特別委員会をつくっても、その意見はそこで審議会としては参考にする。審議会とそういう特別につくられる委員会といいますか、ヒアリングとか、聞くところとの関係についてはどのようにお考えですか。
  18. 福田昭昌

    福田政府委員 仮に特別委員とか選びますと、これはそれぞれまた所属をどうするかというようなこともございますが、その審議会にあるいは部会に参加して審議参加する、そういうことになるわけでございます。
  19. 輿石東

    輿石委員 ぜひそういう広く現場とか学習者立揚が反映され、まさにいつでもどこでもだれでもが学べる体制、これが生涯学習基本であろうと思いますので、そのような手だてが図られるように、なお一層の文部省としての御努力や御指導をいただきたいと思います。  次に、先ほど、諮問をした具体的課題が四点ほど述べられました。その具体的課題についてお聞かせをいただきたいと思いますが、まず最初に、第一点で出されました一人一人の学習成果を生かしたボランティア活動推進の中身についてお聞かせをいただきたいと思います。
  20. 福田昭昌

    福田政府委員 今回諮問させていただきますに当たって、私ども審議会のこれまでの自由討議をお聞きしながら、今後重点的に審議していただくことがいいのではないかということで挙げたものが今の四つ、例示的に挙げさせていただいたわけでございます。  この中の一つ、このボランティア活動推進ということでございますが、これは御承知のように、長寿社会の到来、自由時間の増大といったものへの対応、また最近強調されております男女参加型社会の形成の重要性といったようなことから、ボランティア活動の精神の育成が大変大事な課題になっておるというふうに考えておるわけでございます。  こういったボランティア活動推進のためには、それぞれの分野に応じた必要な知識、技術を身につけるための学習機会地域に十分用意される必要があると考えられますし、また学習成果ボランティアとして活用できる場の開発といったようなことも課題であろうというふうに思っております。このあたりは、そういう問題意識を持って、審議会においてその充実振興方策について御検討をいただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  21. 輿石東

    輿石委員 この課題につきまして、平成三年度の新規事業として行われます生涯学習ボランティア活動総合推進事業、これは平成三年度に開始される新規事業であり、国の補助事業対象になっていると思うわけでありますけれども、その事業との関連についてもお話しをいただきたいというふうに思います。
  22. 福田昭昌

    福田政府委員 先ほど諮問をいたしましたのは、これから先のことを考えますと、ボランティア活動というものを推進するためにひとつ大きな施策を積極的に考えていただいて、さらに推進したいということでございますが、来年度予算、これはこれで毎年大事な施策というものは充実していくという姿勢で取り組んでおりますので、とりあえず来年は、私ども行政としてとり得る措置として生涯学習ボランティア活動事業推進しよう、こういうことで取り上げたわけでございます。  これは平成三年度から青少年や婦人、高齢者など、あらゆる層の人々対象とするボランティア活動促進する事業を都道府県が広域的、総合的、体系的に行う事業に対して助成をしようというものでございます。具体的にはボランティアを志す人々、各種の社会教育団体、グループなどの参加、協力のもとに、県内のボランティア事業に対する連絡活動の場の開発ボランティアバンク開設等情報提供相談事業、カリキュラム、教材等開発ボランティア養成研修事業、そういったものを行うということでございます。  冒頭に申し上げましたように、これはこれで充実していきますけれども、もっと全体としてこのボランティアの問題は施策として充実する必要があるということで、私ども今まで進めておるものだけでは足りない点もいろいろあろうかと思いますので、いろいろな広い角度からこのボランティアの問題を取り上げていただいて、推進方策検討していただくという意味諮問をさせていただいておるわけでございます。
  23. 輿石東

    輿石委員 私は、一人一人の学習成果を生かすボランティア活動、これは大変重要であり、だからこそ生涯学習振興法で第五条から九条までにわたって民間活力導入ということを前提にこの法案構成をされてあるものであります。そうした観点から見ますと、このボランティア活動拡大していくために、また、この生涯学習成果を具体的に生かせる道というものを求めていくであろうというふうに思いますし、そこは今後審議会論議中心になるとは思うわけですけれども、このボランティア活動拡大するということについては、やはり有給休暇拡大等をしなければ、民間企業支援も十分に得られないであろうというふうに私は考えるのでありますけれども、その辺につきまして、その有給休暇拡大民間企業支援との関係等についてお考えをいただきたいと思うのです。
  24. 福田昭昌

    福田政府委員 有給教育訓練休暇につきましては、職業人としての資質向上、その他職業に関する教育訓練を受ける勤労者に対して与えられる有給休暇ということでございますが、職業人としての資質向上あるいは自己啓発推進する上で大きな役割を果たしていくものというふうに認識をいたしております。  この問題につきましては、既に御承知でございますが、労働省におきましては、この有給教育訓練制度の定着と促進を図るための助成策を講じておられまして、職業能力開発促進法におきましても、重要な方策と位置づけられておるというふうに承知をいたしておるわけでございます。この制度を含めた職業人能力開発施策は、生涯学習のための施策を円滑に実施する上で関係の深い問題であるということでございまして、今後労働省とも連携を一層進めてまいりたいというふうに思っております。  それから、ボランティア民間事業というお話でございましたが、ボランティアの問題は、私どもが取り上げておりますのは、今先生が御指摘ございましたように、いろいろなところでいろいろな方々が盛んに学習をする時代になってきた。そういう時代の中で今非常に求められているのは、自分の生きがいといいますか、そういうもので、単に学習してそれで終わりじゃなくて、学習した成果というものをどこかで生かしたいということが非常に強い要望としてあるというのが、今の審議会でも実はそういう御意見が盛んに出ておりますし、いろいろなところで言われております。したがって、そういう学習成果を生かすことができる場の開発、あるいはこういうことでまず能力を身につけて、そして、また社会参加したいというお気持ちがあるとすれば、そういうことを身につける学習機会充実しなければいけない。そういう意味ボランティアということを考えておるわけでございますので、特に何か民間事業のためにとか、そういう発想で取り上げているわけではございません。
  25. 輿石東

    輿石委員 今お答えの中で、もちろん民間企業、そうした事業をする事業者のためにボランティアだとか、そういう発想でないことは私も十分承知をしているわけですけれども、この民間活力導入民間企業というのは往々にして利潤の追求、営利の目的を主とするという立場からいえば、その民間企業への支援というものがなければ、それに積極的に参加をしてこないという背景もあろうと思うわけであります。そうした措置をするために税制上の優遇措置をするというようなことも法案の中にはされているわけでありまして、その辺の関係についてお聞きしたかったわけでありますので、その辺について触れていただきたいと思うのであります。
  26. 福田昭昌

    福田政府委員 失礼しました。生涯学習振興ということからしますと、非常にいろいろな、多様な学習機会、需要の多様化しておるそういう学習機会というものを充実していくということが基本でございますし、そのためには、社会教育あるいはスポーツ文化にわたりましていろいろな施設、指導者、その他の養成、そういった基本的な充実方策というものはこれまで以上に大事なことであろうと思っております。ただ、それだけではなくて、御承知のように東京など大都市でございますと、そういう公的な事業に加えて民間でもいろいろな事業が盛んに行われる、そういうものがございます。そこで、この先般の法律地域生涯学習振興基本構想というものが書かれたわけでございますが、これは特定の地区において、その周辺の広範囲にわたる住民のために、教育スポーツ文化等に関する高度かつ多様な学習機会を重点的に行おう、こういうことで、その際民間者の能力の活用を行うということでございまして、公的な学習機会の提供では十分カバーし切れているとは言えないような高度かつ多様な学習機会を幅広く準備していく、用意していく、そして学習者の多様なニーズにこたえよう、こういうことも一つのねらいとして取り上げられているものと理解をしておりまして、民間のそれだけで生涯学習振興するということではもちろんないわけでございます。
  27. 輿石東

    輿石委員 民間活力導入を大いに取り入れていくというそういうものがあるわけですけれども、そこでこの問題は、中小民間企業との関係とすれば通産省とのかかわりになるでありましょうし、また、先ほど有給休暇拡大とか労働条件の改善という面から生涯学習を見たときには労働省というふうに、生涯学習局をつくった背景にも、全関係省庁との連絡を密にするという基本が多分にあるわけであります。そうした観点から、この有給休暇拡大、または民間活力導入にかかわる中小民間企業とのかかわりとすれば労働省、通産省というふうにかかわってくるのであります。  そうした点から私は、ここに関係する各省庁の、生涯学習局が昭和六十三年七月発足をしたわけですから、それから二年余りが経過をしております。各省庁の動向等について関係省庁から、労働省——通産省はきょうは見えてないようですけれども、厚生省、それから建設省というふうに一通り、簡単で結構ですから、現在考えられている各省庁の生涯学習に対する考え方と今後の取り組みについて簡単に触れていただければありがたいというふうに思います。
  28. 五十畑明

    ○五十畑説明員 お答えさせていただきます。  労働省におきましては、働く人々が豊かな職業生活を送るという観点から、若年期からの計画的あるいは段階的な能力開発推進していただく、これが非常に重要だというふうに考えているところでございます。こうした生涯能力開発という基本的な理念に基づきまして、私どもとしましては基本的には大きな二つの政策がございます。  一つは、民間企業がその雇用している労働者に対しまして教育訓練を行っているわけでございますが、それを振興あるいは支援をしていく政策でございます。具体的にどういうような政策をしているかということでございますが、先ほど申し上げました若年期からリタイアするまでのその生涯にわたる職業能力開発、これを推進するという観点から、事業職業能力開発計画というのをつくっていただいて、それに基づいて教育訓練を実施していただいているということでございます。それと、もう一つ大きな支援策としまして生涯能力開発給付金制度というのがございます。これにつきましては、先ほどの計画に基づきまして教育訓練を実施された場合に一定の助成措置をとるというようなものでございます。なお、先ほど先生がお触れになりました有給教育訓練休暇関係につきましても、この制度の中で一定の助成策を講じているというものでございます。  それから、第二の柱といたしまして、国及び都道府県におきまして公共訓練施設を設置いたしまして、約四百ございますが、ここにおきまして直接労働者方々職業訓練を行っているというものでございます。その訓練の関係でございますが、私どもとしましては、何といいましても訓練を受ける方々の希望といいますかニーズといいますか、そういうこと、あるいはいずれ訓練が終了した後就職をしていくということでございますので、産業界のニーズ、そういったものを十分踏まえて職業訓練を運営していく必要があるというふうに考えているところでございます。なお、そういう観点から今後ますます地域社会に開かれた訓練の展開ということにも十分配慮してまいりたいというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、労働省といたしましては、先ほど申し上げました生涯能力開発という理念で展開しているわけでございますが、生涯学習という観点との絡みで考えますと、基本的には大きな流れは同じであるというふうに認識しておりますので、文部省とも十分連携をとりまして行政展開を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  29. 中村秀一

    ○中村説明員 厚生省関係施策について御説明させていただきます。  人口が急速な勢いで高齢化をいたしておりまして、特に我が国の場合は世界最長の長寿というものを国民が享受いたしております。また三十年以内には世界の各国の中でも最も高齢化した社会が到来する、こういう状況にございます。  こういう中におきまして、私どもといたしましては、高齢者の方が自立していつまでも健康で生きがいを持って積極的に社会的な活動に参加していただける、こういう体制を整えることが高齢者対策の基本である、こういうふうに考えておりまして、老人福祉法という法律がございますが、その中で特に高齢者の心身の健康の保持、生きがいを持たせる、こういう観点から教養講座、レクリエーションの実施、そういうことがうたわれておりますので、それに沿った施策を展開させていただいております。  具体的には、高齢者の生きがいと健康づくり推進事業、こういうものがございまして、目的といたしましては、高齢者社会活動について国民を啓発していく、これは高齢者御自身、また周りを取り巻く三世代の方々の啓発を図る。それから高齢者方々社会参加活動の推進のための組織づくり、またこれらの活動のためのリーダーの養成等、こういうものが目的となっております。具体的な方法といたしましては、中央レベルに長寿社会開発センターという機構、各都道府県に第三セクターでございます明るい長寿社会づくりのための推進機構、こういったものを整備いたしておりまして、啓発普及活動、健康福祉祭などのイベントの実施、いわゆる老人大学と呼ばれておりますが、そういう各種の文化活動、それから情報の収集、提供、リーダー等の研修、研究事業等を行っております。  なお、この高齢者の生きがいと健康づくり推進事業につきましては、今年度を初年度といたしまして二〇〇〇年までの間に公的な保健福祉施策につきまして整備する目標を定めました「高齢者保健福祉推進十か年戦略」というものを厚生大臣、大蔵大臣、自治大臣の合意によりまして決めていただいております。そして、それに従いまして施策を展開中でございますが、高齢者の生きがい対策の推進ということは、この十カ年戦略の中の七本の柱の一つとして積極的な推進を図っているところでございます。  厚生省といたしましては、このように老人福祉の向上を図るという観点から取り組んでおりますが、これらの事業は、広い意味での生涯学習に当たるものと考えておりまして、文部省の方で実施されております生涯学習振興施策に相まって、我が国の国民の皆様の生涯学習振興に寄与するもの、こういうふうに考えておりますので、文部省とも連携をとりながら厚生省の施策を進めてまいりたいと考えております。
  30. 上野公成

    ○上野説明員 建設省でございますけれども、建設省におきましても、長寿社会におきます自由時間の増大、それからライフスタイルの多様化に対応いたしまして、生涯学習振興とゆとりある住生活の実現を図るために、単に住宅地をつくっていくということだけではございませんで、良好な住環境を備え、かつ、生涯学習の場も備えた住宅地、これを「生涯学習のむら」と呼んでおりますけれども、モデル的に整備する事業を始めております。これは昭和六十三年度から始めたものでございますけれども、今申し上げましたように、良質な住宅の整備とあわせまして、居住者の生涯学習活動の拠点となる生涯学習センターというものを整備していくものでございます。  建設省としましては、この「生涯学習のむら」のための整備計画、これを地方公共団体につくっていただいているわけでございます。公営住宅と一緒に整備されます生涯学習センターの整備については、補助を具体的に行っております。昭和六十三年度から今年度までに四十七地区で整備計画が既にできております。実現したものは、京都市に久我の杜という地区がございます、それ一件だけでございます。しかし、四十七地区で計画ができまして、平成三年度からは具体的な事業にかかるところがございますので、来年度からは良好な住環境を整備するための広場でありますとか緑地でありますとか、そういったものに対する補助を新しく始めますし、それから「生涯学習のむら」の整備計画に適合しました住宅建設につきましては、住宅金融公庫の割り増し融資、これは百万円で、民間の住宅に適用されるわけでございます。それと、地域特別賃貸住宅という、公営住宅より収入の少し上の層に対する住宅がございますけれども、この入居基準を、一般的には全国の収入分位の四〇%のところでございますが、これを五〇%のところまで引き上げるということ、それから居住者の誘致のためのPR活動に対する補助、こういったものを行うことにいたしておりまして、この「生涯学習のむら」の推進になお一層努めてまいりたいと思います。  なお、文部省とは従来からも時々話し合いをしておりますけれども、今後とも連携を深めて推進してまいりたいと思います。
  31. 黒沢宥

    ○黒沢説明員 お答えします。  自治省では、自ら考え自ら行う地域づくり事業、いわゆる一億円事業でございますが、これを推進しておりまして、この事業におきましては、全国の市町村がその地域の歴史、伝統、文化とか産業といった特性を生かしました個性豊かな地域づくり、これを主体的、自主的に進めておるわけでございます。  その中で、生涯学習関係の、生涯教育関係に関連いたします事業もたくさん行われておりまして、ソフト、ハードにかかわるものでございますが、五百十一市町村で取り組みが行われております。これは大変数が多いわけでございまして、中身を見てみますと、例えば地域芸能あるいは文化スポーツ振興、こういうソフト事業でございますけれども、それとか○○市民講座、○○町民講座、老人大学、何とか塾、そういうものとか国際交流のための英会話の講座、青少年の海外派遣あるいは国内交流事業、それとか美術品の購入、図書の購入あるいは楽器等の購入といったようなものがソフト事業としては主なものでございます。それから、ハード事業といたしましては、図書館とか博物館、資料館の建設とか、あるいはそういう住民の方々が集まる多目的ホールというのですか、集会施設等の建設等も行われております。  そういったように、非常にふるさと創生のために生涯学習が生かされておるわけでございまして、自治省といたしましても、今後、一般財源であります交付税の措置を通じまして、文部省ともよく相談しながら、生涯教育に対します財政面の支援措置をこれからも講じてまいりたい、かように考えております。
  32. 輿石東

    輿石委員 大変長い時間を使っていただいて、各省庁にまたがるわけですから時間がかかるのは当然だと思うわけですが、その各省庁で生涯学習にかかわる点について逐一論議をしている時間はなかろうと思いますけれども、ここで私が一通りお聞きをした理由、それから前回法案にかかわって問題点として出てきております、各関係省庁との連携を密にしていくと言われているわけですが、発足しているこの審議会で各省庁との考え方が密になり、同じ方向でいかない限りこの生涯学習の成功もあり得ない、そう理解をしているところであります。  私は、若干そのことについて触れさせていただきたいと思うのでありますが、審議会がそうした、今四つほど関係省庁からお聞きをしたわけですが、この関係行政機関の長に対して建議できるという項があるわけですけれども、その建議できる事項とはどのようなもので、どうした場合にその関係行政機関の長に建議をするのか、その辺についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  33. 福田昭昌

    福田政府委員 法律の第十条で、この生涯学習審議会調査審議の事項として「学校教育社会教育及び文化振興に関し、生涯学習に資するための施策に関する重要事項」というのがこの審議会任務になっておるわけでございます。そこで、これにつきましては審議会は、今申し上げましたその所掌事務を行うために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対して、資料の提出とか意見の開陳とかを求めることができるわけでございますが、そういうことを行うとともに、審議会は、今申し上げました、この審議会所掌に関しまして必要と認める事項を関係行政機関の長に建議することができる、こういうことで、それぞれ行政機関には所掌がございます。したがって、文部省に置かれておりますこの生涯学習審議会が他の行政機関の長に建議できるという範囲は、今申し上げました「学校教育社会教育及び文化振興に関し、生涯学習に資するための施策に関する重要事項」、それに関連して必要な場合に他の行政機関の長に建議ができる、こういうことでございます。
  34. 輿石東

    輿石委員 今お答えいただきましたように、「学校教育社会教育及び文化振興に関し、生涯学習に資するための施策」、それを審議会調査審議をする、そして、それにかかわる関係省庁と必要があればその長に建議をしていくんだというお話でありますけれども、ここで大変重要なことは、今お話をいただきましたような関係行政機関の各種関連事業や施設を常に視野に入れて連携をとっていかない限り、ばらばらで、縦割り行政の弱点といいますか、そういうものも必ず出てくるだろうというふうに思うのであります。それを、体系的な学習機会整備をしていくという観点から、この建議もなされるであろう、そう理解をしております。そのために、関係行政機関の長の協力がぜひ必要になってくるということは、当然だというふうに思うのであります。したがいまして、文部大臣とともに通商産業大臣が、民間活力導入という視点から、そこへかかわる省庁として、やはり所管大臣というふうに位置づけられているというふうにも理解できますし、そのような経過前回国会でも論議をされ、委員会論議をされてきているところでありますけれども、私は一つの事例をとってお答えをいただきたいと思うのであります。  先ほど建設省の方から「生涯学習のむら」構想というのが提起されておりましたけれども、一昨日のこの委員会でも出ました、また文部大臣も強調されました、これからの私たちの全世界的な環境問題が指摘をされ、考えなければならないという大きな課題に向かって、わけても環境教育は重要であるというような御指摘もありました。私もまさにそのとおりであろうと思いますので、生涯学習立場から、環境教育推進に当たって、建設省のやろうとしている「生涯学習のむら」構想とのかかわり、そして環境庁とはどのようにかかわっていくのかについてお話をいただければありがたいというふうに思います。
  35. 福田昭昌

    福田政府委員 環境教育という場合に、学校教育、いわば子供あるいは青年もおりますが、そういうものを通じての教育と、それから社会教育の場で、青少年学校外での活動、さらに成人を対象とする教育機会、そういった場におきまして学習機会を提供する、そのプログラムの中に環境教育というものが積極的に取り上げられていく、こういうことが文部省が進める場合の基本であろう思います。  その際に、例えば子供の学校外活動の中でやっていくとなりますと、いろいろな社会における資源、人的なもの、施設の面、そういった活用の場がいろいろまた必要になってまいります。文部省の中でいいますと、自然の家などに行って自然体験をやるというようなことも一つでございますし、今お話ございましたような、他省庁の施設で勉強するにふさわしいものがございましたらそういうものも積極的に活用していく、そういうふうな関係になるのではないかと思っておりますし、また現にそういう形で進められている部分もございます。
  36. 輿石東

    輿石委員 その問題、生活学習というのは大変範囲が広いものでして、社会教育の場で、また地域で、家庭で、生涯学習という性格上、生涯にわたってみずからの意思に基づいて学びたいときに学べることを保障する、それが生涯学習基本でもあるわけでして、そのことは、私どもは常に胸の中へ衆議院手帳も持って歩いておるわけですけれども、憲法二十六条に、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」というふうに明記をされております。やはりすべての国民が教育を受ける権利という立場から生涯にわたって学習権を保障するというのが生涯学習基本であり、その施策のために今回の法案も出ているし、審議会設置をされていると理解はしておりますけれども、これが学校教育社会教育、家庭教育という広範囲な領域に当然わたってくるわけですから、ここは、学校教育の中の教育課程の中で環境教育を今の例を一つとってみてもどのように行うのか、そして社会教育分野では、家庭教育では、というふうに分かれていくと思うのであります。  まさに生涯学習法案ができてきた背景に、現在の学歴社会の是正、それから生涯にわたって学習権を保障するという立場社会の変化、それから国民の多元的な、高度化した学習需要にどうこたえていくかといういろいろな要素があるというふうにも言われてきているところでありますけれども学校教育の中で環境教育を取り上げる、また社会教育の中でも取り上げるということになりますと、そこの重複とか精選という形の関連が当然出てくるわけでありまして、今の学校教育の中の教育課程を少しでも精選をし、わかりやすい授業の展開というものが保障されなければならない。そういう意味では、この環境教育を、学校教育とかかわって、この分野はどこでというようなことも今後検討される必要があろうと思います。  その辺について、学校教育の中の環境教育の位置づけ、それから生涯学習における環境教育の位置づけ等についての文部省としての考え方をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  37. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 学校教育、とりわけ小学校、中学校におきましては、生涯にわたりまして学ぶ能力といいますか、意欲といいますか、態度、そういうものの基礎・基盤をしっかりと養うというところが一番重要であろうかと存じます。したがいまして、国民として共通に必要な基礎・基本をしっかり教えるという形で学習指導要領等の構成をしているわけでございますが、環境教育に関しましては、初等中等教育段階といたしましては、社会科とか理科とか保健体育の中で、子供たちの発達段階に応じまして、今申し上げましたような生涯にわたって学習を継続する意欲、態度、能力というものを学ばせるということになるわけでございます。  具体的に申し上げますと、小学校社会科では、国土の保全とか水資源の涵養などというためには、例えば森林資源が大切であることに気づかせるとか、それから環境保全のため国民一人一人の協力が必要だということに気づかせるような段階から入っておりますし、理科では、人は食べ物とか水、空気などを通じて他の動物、植物及び周囲の環境とかかわって生きていることに気づかせるというようなことを学習することになっているわけでございます。中学校になりますと、もう少し発達段階が進みますので、環境の保全ということ、そういう事柄も教えますし、理科では、地球と人間の指導におきまして自然環境の保全に関する態度を育成するようなことをいたしております。さらに高等学校になりますと、環境と人間生活という観点から、人間が環境にどうかかわって生きているかを考えさせるとか、それから理科の地学などでは、地球と人間というような項目を取り上げたり、さらには保健体育では環境と健康というようなことも取り上げております。さらに道徳教育におきましては、自然を大切にし愛することというようなことなども心情面からも指導していくというような観点で、環境教育については取り扱っているところでございます。
  38. 輿石東

    輿石委員 私が一番お聞きをしたい点につきましては、小学校、中学校、高校、保健体育でこのようにカリキュラム、教育課程に環境教育問題について入っているということをお聞きするのは当然ですけれども、私がここでぜひ文部省考え方をお聞きしたいというのは、この環境教育一つをとってみても、多岐にわたる指導も必要でしょうし、公教育学校教育として組織的、計画的、科学的にこの知識を与えていくということから、カリキュラムにも位置づいているでありましょうけれども学校五日制、週休二日制を目指して教育課程の抜本的な見直しというものが必要になってくるだろう。それをしない限り、幾ら受け皿の問題、いろいろ論議をされても、年間二百四十日という授業日数の中で、子供たちが悲鳴を上げている、苦しがっている、教師も多忙化に耐えているというこの状況、そうした学校教育中心考え方から、生涯にわたって学ぶのだという生涯学習体系へ移行していくというのが教育改革の大きな理念であり基本だとすれば、この教育課程の精選という意味から、学校教育から外へ取り出せるもの、そういうものも今後考えていかなければならない。とすれば、この審議会とのかかわりや今後そういう視点でこの生涯学習論議さるべきだし、そういう方向にいかなければならないと思うのでありますけれども、その点についての文部省考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  39. 福田昭昌

    福田政府委員 生涯学習という考え方が、いわば生涯にわたって学習する機会、逆に言えばそういう機会があるということもまた大事なことでございます。したがって、子供のときに何でもかんでも教えてしまうという行き過ぎもあれば子供が過密になる。あるいは学校だけではなくて学校の外で、学校外での活動の中で身につけるということも大いに振興しなければいけない。  そういうことで、例えば今回諮問させていただきました中に、私どもとして一つ課題に挙げておりますのは、時代の要請に即応した現代的課題に関する学習機会、これは今先生がおっしゃいました環境教育だとかあるいはまた消費者保護だとか、そういった現代的な課題というものについて学習機会というものを充実していかなければいけない、そういう問題意識でございます。特に、今説明しましたように、学校教育の方では基本的な理解を進めるということで、学習指導要領も改訂がされているところでございますが、同時に成人に対してもそういう機会が提供されるように充実していく必要があろう、こういう考え方でございます。  またあわせて、青少年学校外活動充実ということも課題として取り上げさせていただいておりますのは、学校だけでなくて学校外での青少年の活動というものもこれからは充実していくことが大事だ、そういう考え方に基づいておるわけでございます。
  40. 輿石東

    輿石委員 今のお答えの中にもありました青少年学校外の活動も、この具体的な審議内容課題にもなっているわけですから、その辺についても後で時間があれば触れさせていただきたいと思うのであります。  ここで文部大臣に感想でも結構ですからちょっと御意見をお聞かせいただければありがたいと思いますのは、文部大臣が千葉の御出身で歯医者さんというふうにお聞きもいたしますし、一昨日、沢藤委員の方からなぞなぞみたいな話がありました。「学校」とかけて何と解く、「歯医者さんの待合室」だ、「待合室で待っているときには友達と一緒におしゃべりができて楽しいけれども、時間が来るとつらい思いをしなければならない」、それが今の日本の学校の実態であるというようなことも言われたわけでありますし、また加えて大臣は千葉県の緑化推進委員会委員長もやられておりますし、就任をされた当時、日本教育新聞ですか、そのインタビューに答えて、今の子供たちに何とかこのすばらしい自然、特に専門的な立場からオゾンを十分に吸わせてやりたい。一方では、世界的に温暖化、森林の砂漠化ということから、このオゾン層の破壊、地球的規模で環境を守っていくという、そんなことが世界の課題にもなっておるわけであります。自然に浴する、これからの教育をそういう方向へ持っていってもらわなければいけませんし、そうした立場から、この環境教育または生涯学習についてもう一度どんな決意でおられるのか、専門を超えて、しかもPTAの会長もやられるということですから、私たちの立場からすれば大変期待も大きいわけであります。  しかし、もう一方で大臣は、学校五日制については時期尚早ではないか、いろいろ十二万三千という高校中退者、四万を超える登校拒否児、この状況について一番責任があるのは教師ではないかというふうな御指摘もあったわけであります。その辺も含めて、今後学校五日制も平成三年度には文部省として一定の結論を出すという今までの経過もありますので、学校五日制に向かう、それから教育荒廃と言われる現状に対する考え方、それから環境教育中心とする、子供たちを外へ出してやる、すばらしい自然に触れさせる、そんな点について御感想でも結構ですから、考え方をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  41. 井上裕

    井上国務大臣 今生涯局長先生とのお話を伺っておりまして、その中に出てまいりました学歴社会の是正というお話もありました。実は私もそういう意見を持っておった一人であります。ただ、やはり人々が生涯にわたって随時学習することを尊重して、その学習を正当に評価する生涯学習社会を築きたい。御案内のように、所得水準が今向上しておりますし、またそう言っては大変失礼ですが、自由時間も増大している。そしてまた、長寿社会になっている。一方、この革新技術あるいはまた情報化、国際化の進展の中にぜひ生涯学習を進めてまいりたい、このように思いますし、先ほど五日制の問題がございましたが、私はやはりこの間も考えたのですが、教育は、今子供にできることは、我々社会人が、あるいは教師が、学校が、社会が子供たちに援助をすべきである。それが教育であろうという感じを抱きます。  そういう中で、この週五日制の問題も、この間インタビューに答えたわけでありますが、これは現実に文部省といたしましても既に六十八校、幼稚園、小学校、中学、高校についていろいろ調査をお願いしているわけでありまして、その中の方々が、時期尚早ということよりも、六割ぐらいの方々が、今第二、第四、官公庁閉庁いたしておりますが、またそういうことを言われているということで、時期尚早ということより、社会全般にわたって、そしてやはり今学校を五日制にする、これは時期尚早だということではなく、新聞の記事にいろいろ書いてありましたが、やはりこれは先生方、社会、そしてまたいろいろな方々の御意見をちょうだいして現実に調査しておりますので、そういう段階で決して私は五日制後退ではなく、そういうような方向に向かって、また文部省としてもそういうことに向かって社会一般の、日本は余り働き過ぎるとか、労働省意見もお聞きいたしておりますし、また、この生涯学習振興法は、私自身この委員会で一生懸命勉強した中でございますので、そういう意見でございます。決して尚早というようなことは毛頭考えておりません。  それから、子供たちに、今建設省、また自治省、厚生省の方々お話も承りました。やはり生涯学習そのものは文部省だけではこれはできません。各関係省庁との連絡を密にして、そしていろいろな分野といいますか自分の役割といいますか、そういうものも含めてお話し合いの場を持たなければならない、このように考えます。  また、お話の中にありましたこれからの子供の健康も含めて、これは自然保存を含めるということで、昔私ども子供のころ海水浴に行った、こういうことをひとつ、大きい大自然の中で森林浴といいますか、そういうものを味わわせて子供を健康にいたしたい。今言うように、教育、本当に小学校のうちからの、そしてまた生涯の教育を通して、社会教育を通してそういう健康でありたい、また勉強もしてみたい、こういう気持ちで私のそういう意見だったわけです。五日制の問題も、私自身反対ではなく、そういう意見でございますので、ここで改めて先生にお答えをいたす次第であります。
  42. 輿石東

    輿石委員 ありがとうございました。今大臣お話を聞いて何かほっとしたような気がするわけであります。一日も早く子供の悲鳴や教師の苦悩を解消できる、そして受験戦争などという言葉を教育界から一日も早く取り除きたいと思うのであります。  私は一昨日、大臣が養護学校の子供を訪問し、手を握って、そしてだからこそ、その教師と子供の姿を見て、教師は愛情というものを基本に置きながら教育をしてほしい、そんな言葉もありましたし、大臣自身、その子供がかいたクレヨンの絵を大臣室へかけられた、そうした真心のこもる愛情のある文部行政をこれからやっていただける。しかし文部大臣は半年か一年で交代をしていくという経過もあるわけでして、前回私がいろいろ質問申しました保利前文部大臣はもういないという状況ですから、そういうことは絶え間なく継続的にその精神が生きるような文部行政をぜひお願いをしたいと思うのであります。  また、最後に文部大臣言われました各省庁との連携はこれからも密にしてやっていくということでありますけれども、この点について、一つ問題点が具体的にあるのではないかという点についても触れさせていただきたいと思うのであります。  実はこの問題、ある地方紙ですけれども、このような見出しで書かれているのであります。文部省と通産省にかかわる問題として、町立の図書館建設に向けて「多くて運用も緩やか 通産省補助金で図書館 文部省に一切頼らず」、こういうふうな見出しで大きく取り上げているのであります。図書館といいますと、すぐに関係省庁とすれば文部省だろう、こういうふうにとらえるのが常識的だろうと思うわけですけれども、これが通産省の領域で設立をされたという経過には、その一つは、文部省よりも補助金が高額で支出基準が緩やかだからだというふうなことであります。文部省の補助金を受けるためには、文部省令に定められた基準を満たさなければならない。そして補助金も通産省の方が多いとすれば、建物としての器はそれでできるでしょうけれども、肝心なのはどういう図書館をつくるかという、中身も含めた建物でなければならないという点からいえば、どういう形で通産省のこの図書館がオープンしていったかというような状況も含めて、こういうような問題が関係省庁との連絡を密にしていっているという中にもあるわけでして、この点について最初文部省の方から、図書館を設置するための基準なり省令なりというようなものがありましたらお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  43. 福田昭昌

    福田政府委員 文部省におきましては、地方公共団体に対して図書館の施設費の補助を行っておるわけでございますが、図書館法という法律の上で国庫補助の交付を受けるためには、館長に対し、司書の有資格者であることが義務づけられております。これは法律の上ででございますが、それとともに、公立図書館の設置及び運営上の最低基準を充足することが必要ということで、司書等の専門的職員の数だとか建物の延べ面積等、そういったものの最低の基準というものが定められておるわけでございます。
  44. 輿石東

    輿石委員 今文部省令に定められた設置基準というか図書館にかかわる基準といいますか規定というものが話されまして、そこでは館長の問題、司書でなければ、そういう規定があるようでありますけれども、今言われるこの規定がネックになって、この町では——通産省の基準は文部省の基準に準ずるというふうにされているそうであります。この文部省の館長は、司書か一年以上の実務経験があることというふうに館長になる規定がされている。これがネックになって通産省の補助を受けていく。その通産省の基準は文部省の基準に準ずる。この準ずるというところが、その言葉、日本語は大変難しいものだというふうに思うわけですけれども、この準ずる規定が、私どもの方から見れば、館長が司書であるかないかという大変なところまでかかわるものであります。そうした点につきまして、この基準を今後緩めるとか、通産省の基準との整合性とかというものを考えられるかどうか、またはその辺は通産省との関係の中でどのような経過があるのかというふうにもお聞きしたいのであります。
  45. 福田昭昌

    福田政府委員 今お話がございました点でございますが、図書館法に基づきまして、国庫補助を受ける際には、先ほど申し上げましたような要件をかぶるわけでございます。私どもとしましては、一般的に言えばやはり図書館というのは施設だけをつくればいいというものじゃなくて、それなりの体制を持って初めて住民に対するサービスができるというふうに考えますので、ある程度の今定めているような基準というものはやはり考えていかなければならないだろうと一般的には思うわけでございます。  ただ、今おっしゃいましたように、図書館長に対して、司書資格を取るときに、二、三カ月の講習を受ければ資格は取れるわけでございます。だから、これから館長になる人が司書を持っていないというときに、司書の講習を大学で開きますので受ければ取れるわけでございますが、その際にも、いわば一般の司書としての講習の要件と、それから館長として必要な講習の要件、そこのところはいろいろ考えていくことがあるかもしれない。そのあたりは、そういう問題、つまり館長の司書資格取得のための講習科目要件の緩和といったようなもの等につきまして、いわゆる新行革審におきましても指摘をいただいておりますので、社会教育分科審議会の中で今公立図書館のあり方等についても検討していただいておりますので、そういう中でまた検討していただきたいというふうに思っておりますが、一般的にある程度の何らかの図書館としての機能を持つための基準というものは基本的には必要であろうというふうに思っております。
  46. 輿石東

    輿石委員 私は、現に文部省の、そうした地方の行政者からいえば厄介な基準、面倒な基準。そして、しかも文部省には、そういう簡単に言えば厄介な、面倒な基準をクリアしなければならない。しかも補助金は、この町の例でいいますと、通産省ならばまた建物の規模にもよりましょうけれども六千万、文部省だとその二分の一、三千万しか補助金が来ないとすれば、それは図書館法によって図書館とはどうあるべきかという立場から規定を受けた図書館をつくりたいとは願うでしょうけれども、とにかく早く地域の住民の要望にこたえて図書館をつくりたい、そういうふうに願うのは当然の結果だろうと思うわけであります。だからこそ、そうした点について通産省は、その文部省の基準に準じますよ、しかし、その準じた基準というものについては、館長は司書でなくてもいいというふうに応用されているわけですね。そうすると、これから生涯学習推進していくのに、そうした図書館とか児童館とかいろいろなものをつくっていくわけです。そうすると、文部省の言われる基準とかそういうものが邪魔になって、違う方からそういうものが設立されるというような状況になったときに、本当に関係省庁との連絡を密にとるということを、どうその辺もしていくかということが必要ではないかという指摘であります。  なお、通産省の分野で建てられたこの図書館というのは、東京通産局が補助金を出して建てたということになっておるわけでありまして、これはその通産局の工業再配置促進事業という形での補助金からこの図書館をつくったというふうになっているのであります。そうしますと、この辺の関係もきちんと各省庁間で整理をされないと、このような問題は今後も相当派生をしてくるだろうというふうに思いますので、ぜひ各省庁の長に建議できる事項という問題の中身についても、このような問題も取り入れていく必要があるだろうということを指摘をいたしまして、この問題は終わりたいと思うのであります。  次に、私は、先ほど四項目ほどありました審議の重点課題の中の学校外の青少年の健全育成ということについても触れられましたけれども、この中身について最後にお聞きをしたいというふうに思います。
  47. 福田昭昌

    福田政府委員 青少年学校学習活動充実ということを取り上げておるわけでございますが、これは青少年を取り巻く種々の環境の変化によりまして、青少年の健全な発達のためには、単に学校での活動のみならず家庭や社会での意図的な教育活動が重要であるということは言うまでもないわけでございますが、特に、近年週休二日制の普及だとか夏季休暇のまとめ取りみたいなそういう夏季休暇の拡大、そういった社会の変化に対応しまして、また将来の学校週五日制等を展望いたしまして、青少年学校外活動充実を図るということが、いずれにしてもこれから重要な課題であろうというふうに考えておるわけでございます。そういう角度からこの問題を取り上げておるところでございますが、なお、学校週五日制そのものの調査研究につきましては、別途今専門的な調査会あるいは専門的な調査研究を行っておりますので、そういう調査会の検討結果等ももちろん今後十分参考にさせていただく機会があろうかと思っております。
  48. 輿石東

    輿石委員 この問題については先ほど大臣にもお聞きをしたところでありますが、この青少年学校外活動充実ということになりますと、今お話がありましたように、当然の結果として週休二日制、学校五日制をにらんだテーマでもありましょうし、さらには、今の学校教育の全体像、それから教育課程の見直しということも同時に行われなければ、真に青少年学校外活動充実していく保証はないと思うのでありますけれども、私は今こんな事例をぜひ聞いていただきたいと思うのであります。  学校現場で子供たちの悲鳴や教師の苦悩の声は文部省へは届いていかない、そういう声が大きいのであります。それは、先ほどお話がありましたように、この問題についても教師はまとめ取り方式、四週六休、夏休みに週休二日制という世の中の動きとは逆行するかのように、依然として学校の中では夏休み、冬休みの長期期間に教師は休めばいいというような形で、しかし、現に子供が六日間、土曜日まで登校してくるという状況の中ではやむを得ぬ措置ではないかというような声もあるわけですけれども、そして子供たちは一方で授業が終わる、塾へ直行する。ひどい子供は、両親が車で子供を迎えている、車に入れられて塾へ直行していく。そうした中からはとても心豊かな青少年の育成というのは望むすべもないというふうに思うのであります。どうか文部省といたしましては、労働省と並んで有給教育休暇等の充実や、そのためにリカレント教育推進ということで、今年度大きな予算もつけていただいているわけですから、そういう方向で大いに子供たちが伸び伸び生涯を展望できるような文部行政をお願いしたいと思うのでありますけれども、その点について最後に文部大臣から一言お話をいただければありがたいと思います。
  49. 井上裕

    井上国務大臣 まさに先生の言われたとおりでありまして、実は、登校拒否の問題も質問にあると思いましたが、あれも、私はこの前もちょっと触れましたが、やはり社会、家庭そして学校、特にデータを見ますと、学校という形、学校というと教師になりますが、その中にはいじめの問題もありますし、先生に対する不信もありますし、いろいろな障害がございます。しかし、これはやはりそういう問題も含めて、ひとつ楽しく学校に通える、それには家庭もそして学校も、社会も、私どもも含めて、子供たちが気持ちよく学校へ通える、また先生方もいろいろな面で気持ちよく教育ができるという教育をいたしたい、このように私は考えております。
  50. 輿石東

    輿石委員 それでは、時間も参ったようですから、以上で質問を終わらせていただくわけですけれども、ぜひ今後ともこの生涯学習振興については折に触れてまた質問をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  51. 臼井日出男

    臼井委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時三十二分休憩      ────◇─────     午後一時八分開議
  52. 臼井日出男

    臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山原健二郎君。
  53. 山原健二郎

    ○山原委員 大臣、数点についてお伺いいたします。  まず第一番に、今回の千葉大学の医療機器問題の汚職事件でございます。この十四日に、千葉大学医学部附属病院の医療機器導入をめぐって、東京地検の手によって収賄、贈賄容疑で同大学教授と横河メディカルシステムの東京支社長の二人が逮捕されております。大変遺憾なことでございます。  一九八四年、ちょうど七年前ですが、オリエンタルマシンからパソコンやワープロ購入に当たって同様の汚職事件で、文部省の元会計課長らが逮捕された際、当時の森文部大臣は次のように答弁をいたしております。これは私の質問に対してでありますけれども、「文部行政の責にあります私といたしましても重大な責任を感じております。特に、権威のある国会、しかも神聖なる文教委員会でこうしたことを御究明いただくお立場も、そしてまた、こうしてお答えを申し上げる私にとりましても、まさに残念至極でございますし、断腸の思いでございます。」と答弁しております。そして「今後の新しい方策といいましょうか、物品購入等に対します方策等につきまして、新しいシステムを十分に見出して、国会の前で明らかにさせていただきたいと思っております。いずれにいたしましても、役職員一同一丸となりまして、この不名誉を回復し、国民の信頼をつなぎ得るように不退転の決意努力をしてまいりたい、」改めて深くおわび申し上げたいと述べております。これは議事録を持ってきておりますが。この不退転の決意から七年が経過したわけですが、これはもう忘れられないこの文教委員会としての大きな出来事でございまして、しかしまた、これが起こるわけですね。しかも、この事件が起こりましたのがそれから間もなくです。時期的には七年経過しておりますけれども、この事件が起こった発端のときを見ますと、四年ぐらいでまたこの事件が起こり始めているわけですね。  ここでお尋ねしたいのですが、物品購入の新しいシステムを確立すると森文部大臣は答えたわけでございますが、文部省としてこれに何らかの対応をされたのか、簡単に最初に伺いたいのです。
  54. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 先生指摘のいわゆるワープロ事件につきましては、主として随意契約と申しますか、ある特定の業者と随意に契約してしまった、そこから端を発した事件でございます。  そういうこともございまして、私どもとしましては、五十九年の事件でございますが、六十年の一月に各国立大学に通知を出しました。まず第一点は、物品の調達に当たって取扱業者が一社に限られる場合などを除き安易に随意契約を行わないこと、大学内において可能な限り一括購入によること、これはワープロ事件の場合は、各学部あるいは本部とかそれぞれのセクションで別々に購入しておったという経緯がありますので、ワープロという一般的な機器などにつきましては、極力一括購入を大学全体で行うべきだということ、それから三番目に、随意契約における業者選定について大学内でチェック体制を確立すること、四番目に、随意契約において見積書を可能な限り二人以上、言いかえれば二社以上から徴取すること、それから、大学内における内部監査を厳正かつ適正に実施することなどを中心といたします通知書を出しまして、その後、毎年開催される国立学校経理部課長会議などで今日まで同様の趣旨の指導を徹底してきたところでございます。
  55. 山原健二郎

    ○山原委員 いろいろ措置はとられたと思いますけれども、こういう事件が本当に間もなく起こっているわけですよね。それで、今回の事件は一千葉大学だけの問題ではなく、マスコミもずっと指摘しておりますように、これは氷山の一角だ、大なり小なりどこでもやっているのが常識だとまで書いているのです。やれ学会だ、研究会だといえば、そのたびにアゴ・食事代、アシ・交通費、マクラ・宿泊費は業者持ちという言葉が業者の中で言われている、起こるべくして起きた事件だとマスコミが指摘をしております。  今回の事件は徹底した調査によりまして徹底した解明がなされることが大事でございますが、この事件を契機にして、そのような御決意があるかどうか、伺っておきたいのです。
  56. 井上裕

    井上国務大臣 ただいま先生から貴重な御意見をちょうだいいたしました。私どもかねてから、国立大学の職員の綱紀の厳正な保持、特に物品の購入契約における適正な手続の確保につきましては、指導を徹底してきたところでありますが、国民の信頼を損なうこのような事態が生じたことはまことに遺憾であります。大学当局に厳重に指示し、現在事実関係の究明を行っており、司法当局による捜査の成り行きを注視しつつ、今後文部省としても厳正に対処してまいりたい、このように思っております。  ただいま官房長から細部にわたって報告がありましたが、こういうことのないように、今後物品の購入契約、そういうものも改めなければならないのじゃなかろうか、このように考えております。文教行政の責任者として本当に遺憾であり、また国民の皆さんに申しわけないという気持ちでいっぱいでございます。
  57. 山原健二郎

    ○山原委員 官房長、一昨日鍛冶委員であったかと思いますが、委員に対しましてこういう答弁をしておりますね。千葉大学ではたまたま五名、これは機種の選定体制のことですけれども、たまたま五名、その他は七名ないし十名で、人数的にふやすべきであったとおっしゃっておりますね。ところが、今回これに関連しておりますか、横浜市立大学の教授が辞任をされた事件が起こっておりますが、ここでは機種選定委員会は十四名だというふうに聞いております。したがって、問題は機種選定委員会だけの問題ではなくて、いかにこうした体質を変えていくかということが問題だと思うわけです。そのために問題点をこの際国会に対しましても明らかにすべきだと思いますが、そういう用意があるかどうか、伺っておきたいのです。
  58. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 事実関係につきまして私ども鋭意把握に努めまして、それに基づきましてどういう対応、対策を立てるべきかということにつきましては、関係者意見ども徴しまして改善策を検討してまいりたいというふうに考えております。事実関係が明確になりました段階で、どういう形で国会に御報告するか、形は別といたしましても、国会にその事実関係を明らかにしたいというふうに考えております。
  59. 山原健二郎

    ○山原委員 事実関係を明確にするという点では、司法当局が手を入れているわけですから資料もそちらに行っていると思いますけれども、しかし、これはやはり文部省として相当真剣に取り組まないと、司法当局に任すという態度ではだめだと思うのです。  例えば、横河メディカルシステムの全身用コンピューター断層撮影装置、CTですね、及び核磁気共鳴断層装置、MRIは大学病院ごとに設置されているようですが、大体何台ぐらい現在購入されておりますか。
  60. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 国立大学につきましては、私ども正確な数字をつかんでいるわけでございます。国立大学で昭和五十三年度からエックス線コンピューター断層撮影装置、いわゆるCTスキャナーと言っておりますが、CT装置を入れておりますが、五十三年度から平成二年度までゼネラル・エレクトリック社の製品というのは四十二台購入いたしております。それからMRI、磁気共鳴断層撮影装置というのは比較的新しく開発された装置でございますが、これは五十九年度から国立大学に導入しておりまして、やはりゼネラル・エレクトリック社の製品は二十一台購入いたしております。
  61. 山原健二郎

    ○山原委員 一台五億円もする機械でございますし、それから文部省としては、当然大学側から概算要求を出されて、それに対して文部省がこれを認めて競争入札が行われる、そういうシステムで来ているわけですね。この官報を見ましても、落札結果が出ているわけでございまして、そういう点では事態を明らかにすべきだと思います。  今までは国産御三家と呼ばれて、日立メディコ、東芝メディカル、島津メディカル、これが御三家だったわけですね。そこへ横河が進出してくるわけですが、これは日米合弁会社で、ゼネラル・エレクトリックと横河の合弁会社、これが進出をしてまいりまして採用されるようになるわけですね。その間において採用に当たってのさまざまな工作が行われ、そのシェアはぐっと広がっております。例えば一九八二年にこの会社は設立されまして、これは九年前ですが、六十二年には二百十一億の売り上げが平成元年五百二十二億というふうに大きく伸びているわけでございます。これは本来、一九八五年一月の中曽根・レーガン会談を契機にしまして、貿易摩擦解消のため、エックス線CTなど医療機器やコンピューターなど米国製品や欧州の機械が次々納入されて、国内メーカーとの競争と摩擦を一層増大させていったわけですね。そして、その中で文部省も外国製品の積極的受け入れを奨励してきたはずでございますが、これは間違いありませんか。
  62. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 CTスキャナーで申し上げますと、例えばCTスキャナーを導入しました五十三年の段階では、アメリカのGE社が五台、日立が一台、その他が三台、計九台ということでございます。それから翌年の五十四年には、GE社のものが六台、東芝、日立、その他で計九台ということで、必ずしもGE社が最近伸びてきたということだけではないんじゃないか。五十五、五十六、五十七年ぐらいのところを見ますと、各社、GE、東芝、シーメンス等で三つに分けて大体シェアは同じような数字でございます、例えば一台、一台、二台とか。昭和五十八年段階でも、GE社が四台、東芝、シーメンスが各一台、その他が二台ということでございます。そういう意味で、最近急激にGE社が伸びてきたということではなくて、かなり前からGE社のものが国立大学に購入されてきたということじゃないかと思います。  ただ、先ほど先生が御指摘になりましたアメリカとの貿易摩擦の関係で、国産だけではなくて、米国のものを極力入れるというふうに文部省でも指導しているのではないかという点でございますが、私どもは、その点につきましては、米国のものを積極的に極力入れるという指導ではなくて、外国の製品も入りやすいように、我が国の契約手続等についてはもう少し簡略化する、あるいは官報で公示する期間も長くする、そういうような、いわゆるアクセスがしやすいように契約上の諸手続について考えていく、そういう指導もし、そういう改正はしてきたところでございます。
  63. 山原健二郎

    ○山原委員 貿易摩擦で大学が外国製品について比較的容易に購入できるようになったことを背景にしまして、業績拡大を目指す外国メーカーと購入決定に発言力を持つ教授との癒着が一段と深まったという事実はないのでしょうか。マスコミはこれを指摘しているわけですね。例えば横河メディカルは米大使館の推薦証を利用したというふうに報道されております。国公立大学の有力教授のリストを作成して激しい売り込み攻勢をかけた、こういうふうに出ておりますね。この事実はつかんでおられますか。横河メディカルの納入されている医大の総点検を行うべきではないでしょうか。文部省として実態調査をすべきだと思います。司法の手にあるのは現在は千葉大学だけです。他の大学については司法の手が入っているわけではありませんから、文部省みずから実態を調査すべきだと思いますし、その調査結果を本委員会に報告をしていただきたいと思いますが、この点はいかがですか。
  64. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 まず、ほかの大学の問題はどうかという点でございますが、その点につきましては私ども事実を把握いたしておりません。  それから、一般的に横河メディカルから購入しておる国立大学について実態調査をすべきではないかという御指摘でございますが、その点につきまして私どもでできるのは、横河メディカルだけに限らないわけでございますけれども、そういうMRIあるいはCTスキャナーという数億もする機器をここ数年間に購入してきた大学について、契約手続等においてミスがなかったかどうかという点については、私ども調査することは可能かと思いますが、そこに何らかの、今回の事件と同じような意味での不正な行為があったのかないのかという点について私ども調査することはちょっと不可能だというふうに私ども感じております。
  65. 山原健二郎

    ○山原委員 こういう事件は、この国会でも大問題になりましたリクルート事件を初めさまざまなことが起こっておりますから、こんな問題、比較的小さな問題だというふうにとらえられがちでございますけれども、そうではないのですね。だから私は前のときの森文部大臣の答弁を申し上げたのですが、文部省としては相当決意を固めて、こういうことがないようにという努力をしなければならぬと思うのですよ。だから、一定の時期が過ぎますと次々出てくるのですね。これはもう本当に、特に教育問題が今日大問題になっているときに全く好ましいことではないわけでして、きょうこればかりこだわるわけにいきませんが、その点について文部大臣の方から、これは根絶するという決意を表明していただきたいと思いますが、いかがですか。
  66. 井上裕

    井上国務大臣 先ほど申し上げましたように、この問題については機種選定をめぐっていろいろな問題があると思うのです。そういう点につきまして今官房長が申し上げましたが、ただいま司直の手によりまして糾明をしておるわけでありますが、これは倫理問題も含めて私ども文部省としてひとつ厳正に対応いたしたい、このように考えます。
  67. 山原健二郎

    ○山原委員 次の問題に移ります。  学級定数問題ですが、第五次定数改善計画が九一年度をもって達成することとなりました。達成困難と言われている中でのことでございますから、私は率直に文部省並びに関係の皆さんの努力を多とするものでございます。  これまでの配置率の改善のおくれのために、対前年度で一挙に、去年に比べまして養護教諭約千六百人増、学校栄養職員千三百人増、事務職員同じく三千百人増というように大幅にふやさなければならなくなりました。問題は、このように予算措置として目標は達成されましたが、実際に地方自治体レベルでこの学校栄養職員や養護教諭あるいは事務職員など目標を充足するかどうかという問題でございます。これまで計画どおり順調に伸ばしてくればこのような事態にはならなかったと思いますが、配置率の改善がおくれにおくれて、最後にしわ寄せをするという事態の責任は依然として文部省にあると私は思います。実質的にこの数は達成できるかどうか、この点について文部省はどう把握されておりますか。
  68. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 先生お尋ねのように、平成三年度でこの第五次計画を達成する、これは十二年計画で、途中でいろいろ経緯はございましたが、御指摘のように、国会先生方あるいは都道府県、我々一体となって努力しました結果、幸いにも達成されたわけでございます。理想を言えば、年々似たような数字でというのもありましょうが、途中で第二次石油ショックあるいは財政再建、実際には世の中さまざまな経緯がございまして、ある職種については伸びが必ずしも十分でなかったということもございまして、要するに、平成三年度達成するについては、御指摘のような養護教員、事務職員あるいは学校栄養職員を通常の年より多目に定数措置をするということになりました。この点は既に八月の予算要求のときから、どういう要求をしたか、それから予算案として政府案が決まりました後、それぞれ都道府県に来ていただきまして、こういう状況だということを全部説明してございます。  それと、各県それぞれ個別の特色、事情等ございましょうから、その点を勘案しつつ適切に採用計画を立て採用してもらえるものと思っておりますが、国のこの定数は、要するに、国としてこれだけ用意してできるようにしますよということでございまして、あとは各県において適切に対処していただくように、各県の事情に応じてということで我々は指導しているわけでございます。
  69. 山原健二郎

    ○山原委員 いわば標準法ですから、各自治体の問題もあることはわかりますけれども、自治体の勝手だということではなくして、年度内に一〇〇%採用のために努力すべきでございます。途中採用でもいいし、これからでもこの数を充足するように指導する責任が文部省にあると私は思います。  例えば、京都の場合なんか、島根もそうだと聞いておりますが、学校栄養職員についてこの七年間採用試験を行ってこなかった。昨年採用について検討していながら、例の大蔵省から国庫負担適用除外の検討方向が出されまして、その結果、この推移を見てからでないとということで対応して、結局のところおくれてしまった、こういう県もあるわけですね。これは京都の場合。私の県なんかも、事務職員の場合、定数を満たすためにはことし百十三名採用しなければならないのですが、これまで二十数名採用したのみでございまして、あと九十数名まだ採用しなければならぬというような問題が出ているわけですね。これは十分御承知のことと思います。  大蔵省と文部省のこういう対応の仕方から自治体ではこのように事態がおくれているわけです。したがって、法律で、標準法ではありますが、昭和六十六年、すなわち一九九一年三月三十一日までに達成するということになっているわけですから、指導を強めて、実態的にも目標を達成するように文部省としては最大の努力をすべきだと思いますが、この点よろしいでしょうか。
  70. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 いろいろな県でいろいろな事情とか考え方があると思いますけれども、県によっては、一挙に同じ若い人を採用いたしますと、年齢構成上非常にいびつになるとかいろいろな配慮もあって、一遍退職した人で活用できる人を年齢等を考慮して雇うとか、そういう場合期限つきになるかもしれませんが、いろいろな工夫が凝らされるように感じております。せっかく定数がついておりますので、採用可能な者についてはできるだけ採用する方が望ましいと思いますが、我々としては、無理やり各県の特殊事情その他、計画を何が何でもというよりは、やはりそれぞれで妥当な考え方をして採用を進めていただきたい、そういうふうに指導したいと思っております。
  71. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、次期計画について文部省としてはどういう実施の見通しを持っておるか、これを伺いたいのです。
  72. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 先ほども指摘ありましたように、児童生徒一人一人にきめ細かい教育を行う、こういう目的で第五次改善計画、四十人学級を含む配置改善が行われてきまして、ようやく平成三年度で計画どおりの措置ができるようになりました。したがいまして、今後といいますのは、まず平成三年度に現行計画が完成した時点におけるそのときの学級編制や教職員配置の状況、こういうものを調べ、それからさらにプラスしまして、今後の児童生徒の推移等を調査するということを考えておりまして、その結果等を踏まえまして、引き続き、御承知のように財政事情も厳しいわけでございますが、いろいろなことを勘案して、今お尋ねのような点については慎重に研究、検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  73. 山原健二郎

    ○山原委員 標準法実施に関する臨時調査、これが出ておりますね。予算が出ているわけですが、これは次期計画のためのものですか。また調査はいつまでをめどとしておりますか。そして、その内容と実施期間ですね。大体いつまでにこれを終わらすのか、それを何に使うのかということを聞いておきたいのです。
  74. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 御指摘の標準法実施に関する臨時調査平成三年度予算として二千六百七十三万円を予算案として提出させていただいております。これは予算が成立しませんと使えない経費でございますから、それが成立しましてできるだけ速やかに執行していくということになるわけでございますが、予算としては平成三年度でございます。そして、この日程あるいは内容につきましては現在検討中でございます。今後とも検討いたしまして考えていきたいと思っておりますが、現在どういう内容でいつまでにどうするということを細かく申し上げる段階にはないわけでございます。
  75. 山原健二郎

    ○山原委員 今の教育の実態から見まして、先日来ずっとここで問題になっていますように、十二万人を超す中途退学とか、あるいは不登校、登校拒否の生徒が四万人を超すというような深刻な事態なんですね。そういう中で次期の計画、これはもう当然直ちに取り組むべきでございまして、九二年度概算要求までに次期計画を明らかにして概算要求にのせるべきで、そうでないと九二年度から次期計画が始まらない、また空白ができるということになるわけですね。だから、これはもう文部省の一番大きな仕事としてやっていただきたいと私は思うのです。  この間文部大臣は、日本教育新聞のインタビューに答えて次のように言っておられます。次の計画の予定はという問いに対して、これも難しい問題だが、御存じのように概算要求は八月末に出す、次期計画を出すならもうヒアリングをすぐやるしかない、私どもは、今現在外国の例などあわせて調査している、大蔵省はことしの概算要求で次期計画が出るとたまげてしまうと述べておられます。これは新聞ですから正確かどうかわかりませんが、教育新聞を見る限りそういうふうに述べておられます。  本当に次に引き続いて次期計画を達成して、子供たちに対してゆとりのある教育をやろうとすれば、八月末までに概算要求を出すという態勢のもとに直ちにヒアリングを行うべきであると思いますが、この点については何となく消極的な姿勢に見えるわけですが、どうでしょうか。
  76. 井上裕

    井上国務大臣 お答えいたします。  今局長が答弁したとおりでありまして、確かにヒアリング、私も大蔵政務次官、大蔵委員長をやって、その仕組みはわかっております。しかし、ちょうど十二年かかって先生方の御努力でやっと現在の四十人学級ができた。今後の児童生徒数の推移あるいは実態調査、これは非常に私は大事だと思います。それが平成三年にアバウト二千七百万をつけていただきまして、その結果等を踏まえ、引き続き、この厳しい財政事情を勘案いたしまして、これはやはり早々に申し上げられませんで、慎重に研究、検討してまいる所存であります。
  77. 山原健二郎

    ○山原委員 諸外国のことはもう申し上げなくても、ここの委員会で随分取り上げられてきましたので、きょうは、文部省が出されている「教育指標の国際比較」の平成二年度版、これを見ましても、学級編制は日本の場合、小中学校が四十人、全日制高校で四十五人。フランスは、第一学年で二十五人、第二学年から第五学年まで三十人、リセ第一学年から第二学年まで四十人、第三学年三十五人となっています。西ドイツの場合も、初等教育第一学年から第四学年まで三十人です。第五学年から第十学年まで二十五名。ソ連の場合も、第一学年から第四学年まで二十五人、第五学年から第十一学年まで三十人。いずれにしましても、日本が大きく立ちおくれていることはもう間違いないと思います。一学級当たりの児童数は、日本の場合どうなっていますか。
  78. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 日本の実態についてお尋ねだと思いますが、平成二年に小学校の場合は二十九・七人、中学校では三十五・〇人となっております。
  79. 山原健二郎

    ○山原委員 これを見ますと、日本の小学校三十・二、イギリス二十五・九、フランス二十二・二、西ドイツ二十一・四、いずれも日本より大きく下回っています。これはもう紛れもない事実でして、中学校でもそうでございますが、高校についてはなおさらなのです。学級編制については、日本は確かに欧米諸国に比べますと既に四十年おくれている。経済大国といって今度も九十億ドルの金が出るわけですけれども、こういう基本的な子供の教育の問題についても肝心のところがおくれていることは、文教委員会としても本当に残念な気持ちをみんな持っていると思います。そういう意味で、学級編制規模として少なくとも今世紀中に欧米並みにしてみせるという決意を新しくなられた文部大臣として一遍表明していただきたいのです。いかがでしょうか。
  80. 井上裕

    井上国務大臣 私どももそういうようにしたい気持ちはやまやまなのですが、御案内のように、今実態調査をいたしまして、これから教職員の配置状況、または児童生徒数の推移をよく確かめて、慎重に研究し検討してまいる、こういうことでございます。
  81. 山原健二郎

    ○山原委員 例えば、三十五人以下の学級を九二年度から三カ年で実施しようとする場合にどれくらい予算が要るか、おわかりですか。
  82. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 今の日本の標準法は、もう先生先刻御承知でございますが、最大限を決めております。したがって、もしある数字で改善ということを仮定しますと、個々の学校に当てはめて全部計算しませんと人数が出てまいりませんので、推定をするのが難しいということで、実際上あらゆる仮定を置いて、市町村までおろして計算してみないとなかなか出ないということでございます。
  83. 山原健二郎

    ○山原委員 これは私の方で計算してみたのですが、試算しますと、生徒の減少期でもありますから、三年間で実施しようとすれば大体四百七億円ですよ。あっさり言えば、本当に大した金額ではないわけです。実際に今登校拒否の子供たちあるいは中途退学の数字が大変な問題になっておるときですから、本当にゆとりを持って児童生徒に教育ができるようにするためには惜しいお金ではないわけでして、本当にやろうとすればできないことはないわけです。私は、来年から三十五人以下の学級へ、それから高等学校も四十人学級以下に踏み出すべきだ。これは国際情勢からいっても当然のことでございまして、そういう意味で、私は文部大臣にも、いろいろ困難なことはあると思います。けれども、各党一緒になって、みんなこれに反対する者はないわけですから、ここは文部省が先頭に立って、がちっと腹を構えたらやれぬことはないのですよ。私は、そういう意味で、最後にまた文部大臣決意を伺いたいのですが、臼井委員長にもお願いをしたいのです。  委員長も覚えておられると思いますが、第五次定数改善計画に取り組むときに、文部省が態度がやはり消極的ではないけれども、何となく時期をおくらそうとしましたときに、この委員会に定数問題小委員会設置したわけです。これは藤波孝生さんが委員長ではなかったかと思いますが、藤尾さんが委員長のときこれを設置しました。そして、あのとき二つ委員会ができた。一つ学校災害に対する小委員会。これは社会党の木島喜兵衞さんが委員長になりまして、それから定数問題小委員会はたしか藤波さんだったと私思いますが、間違っているかもしれませんが。そして本委員会で精力的に定数問題の改善について取り組んだわけです。そして、随分紆余曲折はありましたけれども、新たな実施計画をつくりまして、各党一致して、精力的な討議の中で四十人学級へ踏み込んでいった。そして今度これが完成したわけですね。そういう意味で、その間文部省努力されたわけでございますけれども、やはりここで、一応の結論が出たこの段階で新たに踏み込んでいく、小中学校三十五人以下、高等学校四十人以下、これぐらいの決意を固めてやっていただきたいと私は思うのです。  そういう意味で、臼井委員長理事会におかけになっていただきまして、小委員会設置するかどうか、これを御検討いただきたいと思いますが、委員長のお考えを伺いたいと思います。
  84. 臼井日出男

    臼井委員長 ただいまの御意見につきましては、後日理事会において検討させていただきたいと思います。
  85. 山原健二郎

    ○山原委員 次の問題ですが、最近、徳島県、山口県で、教員採用、それから教員異動をめぐる汚職事件が起こりまして、ことしの一月二十二日に徳島地方裁判所は、前の徳島県教育長に懲役一年六カ月の有罪判決を下しまして、これは控訴断念で判決が確定したわけでございます。教員の採用、異動をめぐって、関係者から金品を授受していたという収賄罪が構成されたわけです。  昨年摘発されたこの贈収賄事件は、徳島県教育界を揺るがす汚職事件となりまして、県教育委員会は急遽、県教職員綱紀粛正推進会議設置しております。同会議が二月七日にまとめた報告書案を読みますと、こういうふうに出てくるのですね。「本県は長年、文部省から「教育正常県」として高い評価を受けていただけに、この事件が県内外に与えた衝撃の大きさは、まことに計りしれない」というふうに述べております。言うならば、徳島県は文部省にとりまして最も教育正常な県として評価されてきた県ですね。その中枢にこういう事件が起こったわけでございまして、私の隣の県でございますけれども、本当に大変な騒ぎになったわけです。  また、山口県でも、昨年、教員採用をめぐって関係者から金品を受けていたとして、徳山教育事務所長、元県教育委員会教職員課長補佐らが逮捕されるという事件が起こっております。しかも、この場合は二十数名が書類送検をされるという状態で、これまた山口県の教育界を揺るがすような事件に発展をしていったわけです。  そこで、教員採用、異動をめぐる相次ぐこういう汚職事件は、一地方の事件として見過ごせないことを示しておると思います。これを事件にかかわった個人の倫理の問題だけで片づけるのではなくて、構造的背景、要因をえぐり、再びこうした事件が生じない対策を講じることが文部省に課せられていると思いますが、この点について文部省はどういう御見解を持っておりますか。
  86. 井上裕

    井上国務大臣 徳島県の前教育長が、教員の人事異動、採用をめぐりまして収賄罪で逮捕され、懲役一年六カ月の有罪判決を受けたことは報道で知り、本当に遺憾であります。教員の人事は、もともとこれは厳正、公正にやらなければなりません。まして、県教育行政の最高責任者がこのような事件を起こすようなことは、私どもちょっと考えられないことであります。絶対にあってはならないことでございます。  文部省としては、徳島県の教育委員会がこの事件の反省の上に立ち、綱紀粛正に全力を挙げて取り組むとともに、教育行政に対する信頼の回復に向けて万全の努力を払うよう引き続き私ども文部省から指導してまいりたい、このように考えます。
  87. 山原健二郎

    ○山原委員 これは新聞報道もそうですが、教員採用をめぐって情実や不公正な慣行が行われているということは、この二県に限らず多く指摘されている。刑事事件として明らかになった二県の事件は氷山の一角であろう。だから全国的な問題として受けとめ、問題点をえぐり、こうした事件を生じさせない構造的対策を講ずべきであるというのが、これはマスコミを総合して私たちの考えるところでございます。  教員採用をめぐって情実や不公正な慣行を許す一つの問題点としまして、教員採用試験での選考基準、筆記試験の内容が公表もされず、選考作業が極めて閉鎖的に行われているなどの問題が指摘されております。おわかりでしょうね。徳島の事件でも山口の事件でも、試験結果の集計書類を改ざんして依頼者の成績のかさ上げをしたり、あるいは選考に携わるのはわずかな者だけで、公正さを確保するためのチェック機能も働くようになっていないという点が指摘されています。こういう点は当然改善することのできることなんですよね。  それからまた、徳島の場合は、議員など依頼者に対し試験結果を事前に通知する慣行がまかり通り、情実、不正をはびこらせる要因の一つとなっていた。こういうことは即刻改めるべきものだと思いますが、この点はどうお考えですか。
  88. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 徳島県の事件及び山口県の事件、まことに残念でございます。常々これも各都道府県の人事担当主管課長会議等を通じまして、公務員はおよそそうでございますが、特に教員の場合には教育というものに携わるということから、いわゆる綱紀の粛正については一段と留意するようにという指導は重ねてまいったわけでございますが、たまたまこういう事件が起きてまことに残念でございます。  それで、事件の概要及び経過については今先生がおっしゃったような点でございますが、これが起きましてから文部省としても徳島県に事情聴取し、なおかつ指導をしておりまして、県としては、先ほどもお触れになった綱紀粛正会議中心にして、人事管理の適正化あるいは服務規律あるいは教職員の倫理、こういった点を確立すべく十分検討を行っていると聞いております。  特に、教職員人事のあり方につきましては、事務局における体制のあり方も含めて今再検討を行っておりまして、私どもはその検討結果を期待して待っております。なお一層、各都道府県においてもこういうことがないようにあらゆる機会指導していきたい、こう思っております。
  89. 山原健二郎

    ○山原委員 こういう事件が起こる背景には、やはり今の教育の本質があるのですよ。やはり管理主義的な教育の中でこういうことが起こるのですから、これは、きょうはその問題について触れる余地がございませんけれども、この事件が特に臨時教員の間に大きな問題を提起しております。子供たちや父母から慕われて、信頼されていながら、長年にわたって身分の不安定な臨時教員のままに据え置かれている教員がいる一方で、金品やコネの力に依拠した者が正規教員に優先して採用されていく。五年も六年も臨時の教員として本当に実態としてはかわいそうな状態に置かれて、しかも熱心で正規の教師と同じように学級担任もやったりしている先生方が据え置かれて、コネと金を出した者が採用されていくというこんな話は、全く教育界にはふさわしくないことでして、そんな不正がまかり通って子供たちに対する教育が本当にできるか、むしろこれは教育の自殺行為ですよね。  ですから、そういう点から見てみますと、徳島では教員の新規採用に当たって臨時教員としての採用が三分の二に及んでいます。非常に多いのですね。全国の水準に比べても非常に高い割合です。正規教員を定数いっぱい採用しないために、定数内の欠員補充のための臨時教員が多数生じているという状態ですね。この事件を契機にしまして、こういうやり方に対する批判の声も県下に起こっていると聞いているわけでございますが、これはもう改善する必要があります。  臨教の問題につきましては、私もしばしばここで取り上げてきましたけれども、臨時教員の問題は本当に深刻な問題でございます。それは御認識していただいておると思います。臨時教員がどれだけ全国におるか、実態調査をやるということもかつて答弁されたこともあるわけですけれども、何となく事態が明らかにならないままに、不安定なままで置かれている教師がたくさんいる。しかも、それよりも先にそういう不公正な採用が正規に行われるということは、これは当然けしからぬことだと思うのですが、自治省からお見えいただいておりますので、ちょっとこの臨時教師の問題について関連して伺いたいのですが、地方公務員法第二十二条で、地方公務員の臨時的任用について規定しております。そこでは、臨時的任用ができる条件が限定的に規定されております。すなわち、一「緊急の場合」、二「臨時の職に関する場合」、三「任用候補者名簿がない場合」という条件になっているわけでございます。  そこで、この「緊急の場合」とはどういうことを想定しているか、「臨時の職」とはどういう職を指すのか、教職は当然該当しないと思いますが、この点について簡単に御説明をいただきたいのです。
  90. 金子善次郎

    ○金子説明員 お答え申し上げます。  地方公共団体におきましては、行政運営の簡素効率化を図る上、必ずしも常勤職員を配置する必要のない業務につきまして、事務の性質に応じまして臨時職員等につきまして採用することができる、こういうことに相なっているわけでございます。  そこで、どういう職員あるいは職につきまして臨時職員、あるいはその他非常勤の職員ということも考えられると思いますが、どういう職員を採用するかということにつきましては、現場に詳しいと申しますか、それぞれの地方公共団体が業務の性質あるいは勤務内容等を総合的に判断いたしまして、それぞれ任命権者が責任とその判断を持ちまして決定されるべきであろうというふうに考えておるところでございます。ただ、その際には、地方公務員法を初めといたします諸法令に従った適切な任用が行われるべきである、そのように考えておるところでございます。
  91. 山原健二郎

    ○山原委員 人事院局長を歴任した鹿兒重治氏が著した「逐条地方公務員法」をここにちょっと持ってきていますが、この中で同氏は臨時的職員の存在が任用制度上の大きな障害であり、また、これらの職員自身にとっても、身分が不安定であり、給与等の待遇もまちまちであって、常に問題が絶えなかった、したがって、このような職員が存在することのないよう、特に臨時的任用制度の運用を厳格に行う必要があると、本条文の規定の重要な意義を強調しております。  産休代替とか育児休業の教員にかわる代替教員の配置の場合でさえも、この臨時的任用が認められる条件に合致しないため、わざわざ法律でこの規定の適用除外を定めている。いわんや、定数内教員を臨時的任用で済ますなどということは、この法律の条件枠を全く逸脱するものであって、法的にはできない、こういうふうに私は思うのですが、自治省の見解を伺いたいのです。
  92. 金子善次郎

    ○金子説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、自治省といたしましては、先ほども申し上げましたように、地方公務員法上制度として臨時職員制度等につきまして設けられているわけでございまして、具体的にどういう職員を採用していくかという問題につきましては、それぞれの業務 の性質あるいは勤務内容等を総合的に勘案いたしまして、その中で一番いいと責任を持って判断していただく、こういうことではなかろうかと思っているわけでございます。したがいまして、この法律の趣旨を厳格に運用するということは必要だとは思いますが、基本的には、それは地方公共団体の中におきまして適切に判断していただく、こういうことでなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  93. 山原健二郎

    ○山原委員 私、法律のことはよくわからないのでちょっともたもたしておりますけれども、臨時教員というのは、法律上どういう条項、規定によって存在するのでしょうか。
  94. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 ちょっと精査してきませんでしたので、条文だけ申し上げますと、地方公務員法の十七条と二十二条ということで考えております。
  95. 山原健二郎

    ○山原委員 それでは、私が今読み上げたとおり、適用にならないのですよね。「緊急の場合」。緊急というのは、災害などで緊急に職員を配置する必要が生じたけれども、正規採用の手続を踏まえていては間に合わないような場合、これが「緊急の場合」。それから二番目に「臨時の職」、これは恒久的な職に対立する概念であって、例えば地方公共団体の業務が一時的に多忙となる時期に雇用されるいわゆるアルバイトやパートなど。これは教職は該当しない。ただし、産休や育児休業の代替措置としての臨時的任用の場合は、この規定の適用を除外することが、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律及び育児休業法で特例として定められているわけですね。だから、これはこの地方公務員法二十二条の適用外じゃないんですか。枠外。  だから、何によってこの臨時教員というものが存在しているのか。これは地方の人事委員会に聞いても回答ができないのです。私もちょっとわかりませんのでお聞きしているのですが、もう一回明らかにしていただきたいのです。
  96. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 各都道府県におきましては、今もちょっとお述べになりましたが、採用されている臨時教員、育休、産休、それから病休、こういった人たちの代替ということもございます。そのほかに、子供が毎年同じじゃないものでございますから、どうしても問題になっております定数に関しても、きちんと採用時期に決まらない場合があります。そういういろいろな点がございまして、児童生徒の減少等に伴う弾力的対応ということも念頭に入れ、それからいろんな要素を考えまして採用候補者というものを一応具体的に挙げておきまして、それに対して定数が、退職その他の人、いろいろ関係があると思いますが、いわゆる採用候補者の数が採用予定者より不足する場合等において臨時的に任用されるということが行われております。これはやはり各任命権者において毎年の人事管理の適切な運用ということから判断をしていることでございまして、それを今後とも適切にやっていただくようにということを文部省としては考え指導していきたいと思っております。
  97. 山原健二郎

    ○山原委員 もう時間がなくなりましたので、これはおきますが、この問題はまた明らかにしてもらいたいと思っています。定員枠についての正規の教員として任用すべきでして、教育に臨時はないという言葉がありますけれども、このまま放置するということは許されないことだと思います。そういう意味で、今後努力を要請するものでございます。  時間がなくなりましたので、最後に、子供の権利条約の批准について外務省にお聞きをして、その後で文部大臣の御見解を伺いたいと思っております。  一昨年の十一月に国連で採択された子供の権利条約についてでございますが、この子供の権利条約については、実はこの間参議院の本会議で、我が党の沓脱議員に対して海部総理は、「子供の権利条約につきましては、批准できるように現在政府部内での検討作業を急いでおるところであり、最大の努力を重ねてまいります。」と答弁をいたしております。外務省として、批准に向けてどのような検討作業が行われているのかということが第一点です。  それから第二点は、昨年の十二月段階では百三十六カ国が署名を行い、既に六十四カ国が批准を行っています。日本は、昨年海部総理が署名をしておりますが、まだ批准に至っていません。この批准のおくれている理由は何かという問題と、また、この条文の訳文さえ出ていないのはなぜかということですね。そして、いつをめどに批准を行う計画を持って、その法的整備、実効あらしめるための措置をとられようとしておると思いますが、この点についてどういうお考えかを伺いたいと思います。  そして、この権利条約は選挙権、被選挙権を除くすべての権利を子供に保障するものとなっておりまして、いずれにせよ、早期に批准することを求めている国民はもう大多数でございます。子供の権利条約に深くかかわっている文部大臣として、最後に決意をお伺いをいたしたいと思います。
  98. 角崎利夫

    ○角崎説明員 お答え申し上げます。  児童の権利条約につきましては、内容が大変重要かつ広範でございまして、現在できるだけ早期に締結できるよう最大限の努力を行っております。現在、各条文につきまして、国内法との関係、それからほかの条約との整合性等につきまして政府部内で検討を進めておるというところでございます。  それから、仮訳の問題でございますが、仮訳につきましては、一般的に申しまして、確定した日本語訳ができていない段階におきましては、条約の翻訳文を公表しないということになっておりまして、現在まだ訳等につきましては検討を重ねているところでございまして、現段階におきまして公表できる状況に至ってないということでございます。  それから、国内法との関係につきましても、現在条約の各条文の権利義務との、それから関係国内法との関係、鋭意検討中でございまして、申し上げる段階にはございません。
  99. 井上裕

    井上国務大臣 ただいま外務省の課長からお話がございましたが、私どもきのうも予算委員会で答弁申し上げましたが、昨年の九月に本条約に署名をいたしております。この趣旨には賛成をいたしております。批准のために、今各省庁とのいろいろな関係がございまして、そういうことで急いでいるわけでございます。
  100. 山原健二郎

    ○山原委員 時間が来ましたので、終わります。
  101. 臼井日出男

    臼井委員長 次に、柳田稔君。
  102. 柳田稔

    柳田委員 昨年末発表されました中教審の学校制度委員会の報告に関連して、幾つか質問したいと思います。  第十四期中教審の諮問事項は、後期中等教育及びその高等教育との接続のあり方でございます。つまりは、日本の高校教育の改革が主な事項でありましたけれども、この報告書では、現在の高校教育を取り巻く諸問題の背景としての根本原因を考えるに当たり、大学受験の問題を考えざるを得ず、大学受験問題に相当のページ数を充て、そのよって来る歴史的要因から現在の問題を分析し、その改善の方向を示唆しているものと私は受けとめております。もとよりこれは中間報告であり、ことしの四月に本答申がなされるものと聞いておりますけれども、この報告書に関連して、受験生及び父兄にとって最も関心があるであろう大学受験について幾つか御質問をしたいと思います。  現在共通一次試験が終わり、私立大学の試験の真っ最中でありますし、また三月には国公立の第二次試験が始まるわけで、子供を持つ親、子供もそうでありますけれども、いやが上にも関心が高まっている時期ではないかな、こういう時期に大学受験に対する文部省考え方をお聞きするというのは、それなりの意義があると思いますので、御答弁のほどよろしくお願いしたいと思います。  まずは、推薦入学についてでございますが、大学進学の制度考える場合、二つ視点が重要かと思われるわけであります。よくお聞きになっているかというふうに思うのですが、一つは、大学の対応であるかもわかりませんけれども、入るのは難しいけれども出る、卒業するのは易しいタイプ、またもう一つは、入るのは易しいけれども卒業するのは難しいタイプというのが考えられるのではないかというふうに思います。一般にアメリカの大学の場合は、卒業するのは難しいと言われております。それに反して日本の大学は、入るのは難しいけれども出るのは楽だというふうによく聞くわけであります。私も学生生活を通してそういうふうに感じることも多々ございました。大学の授業のやり方にも問題があるかもしれませんけれども、大学に入ったら勉強しなくなったという話もまた聞くというふうに思っております。私は、高校など中等教育の問題を考えるときには、まずこの大学のあり方がはっきりしないとなかなか高校のあり方を論議するのは難しいと思います。  そこで、まず大きく分けて、この二つの分類、入る、出るのことでありますけれども、今後どちらの方向をとるべきか、文部省のお考えをまずお聞きしたいと思います。
  103. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 今御指摘のようなことで、入るのを易しくして卒業を難しくするという方法をとるべきではないかということがかねてからいろいろな方面から御提言なり御注意をいただいているところでありますが、臨時教育審議会以来、この議論につきましては、我が国の風土ということを考えた場合に、大学をいわば自分の意思ではなく大学の成績判定の結果中途退学をせざるを得なくなった人に対する社会の受けとめ方ということに大変難しい問題があるということで、我が国では直ちにそういう制度はとりにくいのではなかろうかということが言われております。また、学校制度として考えました場合にも、当然に入学者よりも卒業者を少なく予定して、教員の配置をやったりあるいは施設設備の配置を行うということも大変難しい問題がございます。そこで基本的に、そういった入るところを易しくし出るところを難しくするというような考え方をとるということは、今私どもが大学審議会に御審議をお願いいたしております今後の大学の改善充実方策の中でも、具体にはあらわれておりません。ただ、私どもが今お願いいたしております大学審議会審議一つの大きな視点といいますか方向としては、大学における教育機能の充実ということが非常に大きく言われております。これも先生既に御案内かと思いますが、我が国の大学では学生の教育指導について余り熱心でないのではないかという批判が前からございました。また、留学生などが我が国の大学に学んだ場合にも、そのような批判を留学生からも聞かされるというようなことがございました。先般ちょうだいいたしました大学審議会答申の中でも、大学の自己点検、自己評価ということを御提言いただいておりますが、その中で例示として掲げられた点検項目、評価項目にも、「教育指導の在り方」あるいは「教授方法の工夫・研究」あるいは「成績評価、単位認定」といったような点について十分に自己点検をし、評価をすべきではないかという提言もちょうだいいたしているところでございます。入りやすく出にくい、そういった理念ではなくて、大学における教育というものを十分重視し、教育機能の充実に努めるように今後とも配慮していきたい、このように考えております。
  104. 柳田稔

    柳田委員 おっしゃることもよくわかります。今の大学というのは、大学卒というレッテルをもらうために存在するような気がしてなりません。入るのは易しく出るのが難しいという意味は、学校においてそれなりの勉強をしてほしい、そういう大学であってほしいという意味でありまして、私も学生のころを思い浮かべますと、入るときまでは必死になって勉強しましたけれども、入ってしまうと、遊びと学問を両立しよう、先輩にも遊びも大事だというふうに言われて卒業した記憶がございます。  ただ、卒業という本来の意味考えてきますと、大学四年間、修士を入れますと六年間あるわけでありますけれども、その年数の中に何を学んだのか。そして何を考え、何を身につけたか。そして、それが個人に結果として返ってきて一人一人にいろいろな意味で身につく。そして初めて卒業ができるというのが本来の大学のあるべき姿ではないかな。そういう観点から、入るのは易しく出るのは難しいというふうなのがそれに一番合致するんではないかなという気が私はいたしているわけでございます。そういう意味から考えますと、先ほど答弁もありましたけれども、中身だということも御指摘がありましたけれども、日本の大学というのは、この卒業の意味というのをもっと真剣に考える時期に来ているんではないかなと私は思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  105. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 御指摘のとおりでございまして、一つには、我が国の大学教育というのが、現在は大学設置基準でかなり教育内容あるいはカリキュラム編成の自由度が抑制をされておるということがございます。例えて申しますと、卒業の要件として、一般教育三十六単位、外国語八単位、保健体育四単位というのが五百の大学についてひとしく課されておる、こういう状況がございまして、各大学がそれぞれの教育理念なり目的に従って個性を発揮したあるいは特色あるカリキュラムを組むということが困難な状況にあります。二月にちょうだいいたしました大学審議会答申では、そこを大きく破って、卒業の要件をそういった授業科目で決めるということを改めて、基本的には、各大学が自分の大学の理念、教育目的に従って自由にカリキュラムを組めるようにしようではないか、こういうことをちょうだいいたしております。  私どもとしては、この答申をいただきまして、早急に大学設置基準の改正の作業に入るわけでございますが、そういうふうになりますと、各大学が自分のところの特色を発揮する教育を行う、そして自分のところの特色というものを広く世間にも知らせて受験生を迎えることになる。そうなれば、ただいま先生指摘のように、大学で何を学んで卒業したかということの意味が世間に問われることになるのではなかろうか、このように考えております。
  106. 柳田稔

    柳田委員 特色ある大学づくり、進めていただきたいと思います。  先ほども少し申したのですが、ならば具体的にという話になるかと思うわけです。いろいろな細かい条件はたくさん出てくるかと思うわけなんですが、ぱっと申し上げまして、勉強しない学生は落第させる、それくらい強い姿勢を持った国公立大学を何カ所か決めて、勉強をしてください、勉強をしろというふうなこともやったらどうかな。私が学生だったら、自分自身だったら余り好まないわけですけれども。ただ、これからの日本の将来の発展の度合いを考えますと、よっぽどやっていかなければならないような気がするわけです。そういう意味からも、特色ある学校をプラスして、本当に勉強をしなければならないという環境をつくって、勉強しない者は落第やむを得ないというくらいの強い姿勢を持った大学運営をしてはという考えについてどのように思われるか。もしそれほど厳しい姿勢はとれないというならば、なぜできないのかお聞かせを願えればと思います。
  107. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 先ほども申し上げました大学審議会答申提言をいたしております各大学の自己点検、自己評価ということは、私どもとしては、さらにこれが進んで、ある大学、団体等による第三者評価というところまでいっていただきたいということを期待いたしておるわけでございます。そういうふうな大学に対する自己点検、自己評価が進んで、あるいは第三者評価という段階までまいりますと、それぞれの大学が成績評価あるいは単位の認定というものをどういう基準でやっているかということが関係方々の目にさらされる、そういう状況が出てくることによってそれぞれの大学の評価というものがまた世間にも広がる、こういうふうなことが期待できるわけであります。  また、既にお聞き及びかと思いますが、ある私立大学において大変厳しい学生の指導を行い、そして今先生提言のようにどんどん退学を勧奨するというようなことが行われているということが伝えられておりますが、そういうものを世間の方で的確に評価していただくということが今後における我が国の大学の改革につながるものではなかろうか、このように考えております。
  108. 柳田稔

    柳田委員 いろいろと御答弁いただいたわけですけれども、今の話の前提として、現在の大学受験について二つの問題があるのではないかなと思うのです。まずその一つは、受験の機会が均等に与えられて公平で公正になっているのかな。もう一つは、公平で公正であると言われても、受験競争が余りにも過熱し、報告書で指摘しているように、子供や親の心理的負担が余りにも大きく、青少年の心身の健全な発達を阻害しているのではないか。また親の経済的負担が余りにも大きくなっていないか。その結果として、一部の経済的に恵まれた親の子供だけがチャンスにめぐり会い、機会の均等を損ねているのではないかなという問題もあるのではないかと私は思うのです。  その問題を考えるといろいろなことがあるわけですけれども、その中でも特に推薦入学について御質問したいと思うのです。  この推薦入学制度については、受験競争の緩和の一手段として私も歓迎をしている一人ではありますけれども、この報告書が指摘しているような事態が事実であればゆゆしき問題も含まれているのではないかなというふうに思うわけであります。つまり、大分これから人口も減るわけでありますけれども、大学の定員の確保のために、全合格者に対する推薦入学者の比率を次第に高めていって、しかも、そのことを公表せずに、推薦入学者が五〇%を超える私立大学、短期大学が数多く出現してきたということであります。その具体的例として四つの大学を挙げているわけでありますけれども、あらかじめ明示した推薦入学定員の人数を相当程度オーバーし、結果として、枠が少なくなるわけでありますから、一般受験生を不利にし、しかも受験生の門戸を狭くするということによって自分の学校の難易度を上げるというふうな利点を享受するというふうな指摘があります。いろいろな学校を見ておりますと、私立大学も含めてですけれども、大分偏差値が上がったというふうな気がしていたのですが、一方では、こういうふうに推薦入学者をふやして一般の入試の方の門戸を減らす、そういうことで偏差値を上げて、難易度を上げていったというからくりもあるのかなというふうに、私はこれを読んで、今の偏差値上昇がこういうこともあるんだなと思った次第でもあります。まずは、このようなここで指摘されていることが事実であるのか、確認をしたいと思います。  その次に、この傾向は近年の傾向というふうに思われるわけですけれども、こういう問題に対して現段階文部省としてはどのように考えているのか。こういう特定の四校の例が挙げられておりますが、具体的な是正措置を施すのか、お伺いをしたいと思います。
  109. 井上裕

    井上国務大臣 大学入試の改善の問題につきましては、御案内のように、大学入試センター試験の円滑な実施、定着を図る、また国立大学における分離分割方式の採用、これを促進いたしたいと思います。  さらに、今先生お聞きの、大学の推薦入学の件でございますが、細部にわたっては局長にお願いをいたしますが、私立大学の推薦入学にあっても、複数の大学を併願する受験生が多いこともあって、大学側では辞退者を見込んで、そして今おっしゃった、募集人員を上回る合格者を発表する、こういうことが通例となっております。その結果として、入学辞退者が予想より少なかった場合、入学者数が募集人員を上回る、こういう例も見られます。このように一般入試に先立って行われる推薦入学におきまして募集人員を上回って入学させること、これは結果として、あらかじめ明示してある一般入試による入学者の枠を狭めることになりますので、私自身もかつて大学の学校経営者であったわけでありますが、そういうことで、この推薦入学においては、従来の実績等を十分に分析して、適切な数の合格者を発表するよう今後一層指導してまいりたい、このように考えます。
  110. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 先生御案内のように、推薦入学というのは、一回限りの学力試験では評価しにくい生徒の在学中の学習成果といったものを出身高校の校長の推薦ということに基づいて評価をしていこう、こういう趣旨で始まったものでありまして、いわゆる学力検査による一点刻みの判定ということから離れて、こういうふうな方法をとることが望ましいということで私どもも推奨して推進をしてまいっております。  ただ、御指摘のように、近年幾つかの状況が現出してまいりまして、一つには、学生の確保という観点から若干早い時期に推薦入学が行われるということが出てまいりました。  それから、さらには、本来大学の入学者の選抜ということからいたしますと、やはり基本的には大学で勉強する、先ほど来先生指摘がございましたように、きちっと勉強するということでありますので、学力検査というのが基本になるべきであって、多様な選抜の方法というのは、やはり学力検査の基本の上に立ってごく一部についてそれぞれ行われるべきものだ、こう考えておりますが、推薦入学の割合が非常に大きくなってきている。これはただいま大臣から御指摘をいただいたところでありますが、そういう問題があるということで、私どもは、大学の学部の増設等の申請が参りますときには、そういう点についてもチェックをして、指導をいたしておるところであります。  ただ、先生指摘の、中央教育審議会審議経過の報告で御指摘のあるようなことが本当にあるのかどうか、私どもとしては、中央教育審議会でそのように御判断いただいたことでありますので、言及は差し控えますが、むしろ私立大学の偏差値が最近高まったというのは、端的に申し上げれば、学生の都会地大学への志向が高まったこと、また学生が大学を受ける、いわば併願の数が多くなったということによるところが大きいのではなかろうか、このように認識をいたしております。
  111. 柳田稔

    柳田委員 今お答えいただいたこともそうであろうというふうに思うのですけれども、推薦入学の割合が非常にふえてきた一番の大きな理由は、今触れられた、これから学生数が減少するであろう、減少して困るのは学校でありますので、できるだけ学生を集めたいという気持ちがこの推薦入学の割合をふやしてきたのではないかというふうに思うわけであります。それとプラスして、だんだん推薦入学の時期も早くなってきて、よく就職で言われます青田買い、この傾向も出てきた。そういうことで、この報告書の中には、特に要請しておきたいという点に、推薦入学を実施する際には、各大学の全面的な情報公開を求めるというふうに書いてあるわけであります。  いろいろと言ってまいりましたけれども、私は推薦入学がすべて悪いというふうには思っておりません。ただ、推薦入学を行うに際してはきちんとしたルールづくりが必要ではないかというふうに思うわけであります。  報告書でも指摘しているように、推薦入学者の人数、割合及びその実績などをきちんと公表させ、一般にもわかるよう指導すべきではないか。また、その推薦入学者の全入学者に占める比率についても、大学任せにするのではなく、社会的に許容される範囲内におさめるべくある程度は調整をする必要があるというふうに思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  112. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 先生指摘のように、入学者の選抜に当たりましては、募集する人員、それから選抜の方法というものを明示するということは、これは申すまでもないことでありまして、一番基本的なところであろうと思っております。したがいまして、私どもの方で各大学にかねてからお願いしておりますことにつきましても、出身学校長の推薦に基づき、学力検査を免除し、調査書を主な資料として判定する場合には、能力、適性等に関する推薦の要件を具体的に定め、これを学校長に提示して、推薦を求めるものとするというふうにきちっと指導をいたしておるところであります。  ただ、先ほど来御指摘のように、若干の問題が起きております。非常に早い時期に行われる、あるいは募集要項に明示した推薦入学の枠を大幅に超えて入学者を受け入れている、あるいは、これは悪いケースでありますが、募集定員すら明示していない、こういうふうな問題もございますので、この点については今後とも指導してまいりたいと思っております。  ただ、全面的な情報公開というのがどの程度まで情報公開すべきか、いろいろな問題があろうかと思いますので、その点についてはなお検討させていただきたい、このように考えております。
  113. 柳田稔

    柳田委員 情報の公開も進めていただきたいと思います。  もう一つなんですけれども、この推薦入学者の比率についてなんですが、私学にも国からの補助が出ておると考えますと、すべての人が公平に受験できて合格できるというふうなことが確保されなければならないのではないかなと思うわけであります。そういう観点からしますと、この推薦入学者の比率というのは、おのずからどれぐらいまでよということがあってもいいのではないかなという気がするわけなんですが、この点について今後どのように考えていかれるか、教えていただきたいと思います。
  114. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 受験機会の平等といいますか公平ということから推薦入学の割合を考えるということではなかろうと思っております。ただ、推薦入学をやります場合に、いわゆる指定校推薦といったようなものを行われる場合には、先生指摘のように、確かに指定校による推薦ということになりますと、受験機会の公平ということについて問題が起こることはあろうかと思います。  私どもとしては、先ほども申し上げましたように、大学の入学者の選抜というのは基本的には学力検査で行われるべきである。ただ、すべてを学力検査でやるというのではなくて、多様な選抜方法を組み合わせる。例えば推薦入学について申し上げますと、私どもが各大学に示しております受験募集のあり方については、一部についてということを申し上げておるところでありまして、国立大学について言いますと、五割を超えないようにやってもらいたいということで指導をいたしております。
  115. 柳田稔

    柳田委員 この推薦入学者の比率ということなんですが、報告書の例に書いてあることなんですけれども、推薦入学者の割合が九〇%を超える学校のことも書いてございます。これは極端な例かもわかりませんけれども、これでは何のための受験かな、基本である学力の試験があるべきなのに、推薦入学が九〇%も超えるというのは、一生懸命勉強してきた子供たち、それを支えてきた親に対しても何かちょっと解せないというふうな気がいたします。これから子供の数が減るということになれば、この推薦入学という手段は大いに利用される可能性もあるわけですので、この比率の問題、受験の公平という点からもいろいろと考えていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。     〔委員長退席、松田委員長代理着席〕
  116. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 募集要項で推薦入学を行います場合に、推薦入学で何人、一般入試で何人、こういうふうに区分をして明示をするというのが私どもが各大学に求めておるところでございます。その場合に、推薦入学で募集要項で明示している数を上回って入学させたということになりますと、ただいま先生指摘のようなことが起こるわけでありまして、一般入試を受けた学生が自分の期待に反する状況がそこに起こるということになろうかと思います。  ただ、推薦入試がどれぐらいの割合でなければならないか。仮に、これは現実にそういう大学もございますが、我が大学はすべてを推薦入試でやりますということをきちっと募集要項に決めて、そして一般の学力検査による入試はやりません、こういうことであれば、それがその大学の方針であるならば、それも一つの行き方ではなかろうか、このように考えております。
  117. 柳田稔

    柳田委員 次に移りたいと思います。  今度は私立中学の入試についてでありますけれども、今回の報告書では、特定の大学の入学者が特定の高校の出身者で占められている、そういう弊害が出てきておると出ておるわけであります。例えば平成二年度でA大学に五十人以上の入学者を出した高校は十五校で、それが入学者全体の三四・四%を占める。つまり高校十五校だけで入学者全部の三分の一、三人に一人を占めるというふうな状況が出ております。また、あるB大学では、特定の九校で入学者全体の二二・六%を占める。しかもこの十年間でこの比率はだんだん高まっているという指摘であります。そして、この矛先は、五十人以上の入学者を出す高校の多くが私立の六年制一貫校と国立の一部附属高校であると指摘しております。これら六年制一貫校には、主として大都市圏に住む一定の収入を保証された家庭の子供以外は入るのが難しく、長期にわたってこのような有利な条件を保持し続けることは、教育機会均等の理念に反する、そういう批判もあり、私立の中高一貫教育を目のかたきにしているようかなと読める雰囲気もあるわけであります。  この中高一貫教育については、昭和六十年の臨教審の第一次答申において、生徒の個性の伸長を継続的、発展的に図ることを目指す新しい学校として六年制中学校設置をうたっているわけでありますけれども、今回の六年制一貫校への批判、先ほど申しましたように、一部の、これは優秀と言ってしまえばそうかもしれませんけれども、大分強い批判も出ているわけでありますが、このことと臨教審の言う六年制中学校というのはどういうふうな関係にあるのか。  私は、現在の中高分離型の教育体系よりは、この中高一貫教育の方がより教育効果があり、ゆとりある教育環境の提供という意味では積極的に推進していかなければならないというふうに考えているのです。ただ、その弊害といいますか、これもほとんど大学入試に直結をするのでありましょうけれども、私立の中高一貫教育への批判は、六年制教育そのものを批判しているような気がしてならない面もございます。それとも、そういう制度ではなくて、現在の私立のやり方が間違っているんだというふうに言えるのかもわかりません。ただ、臨教審の答申以後六年が経過しているわけでありますが、一向に六年制中学の実現の話は聞こえてきておりません。六年制教育推進についてどのように考えているのか。先ほど申しましたような六年制への批判、この辺についても兼ね合いを考えながら教えていただきたいと思います。
  118. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 今回の中教審の審議経過報告では、御指摘のように、六年制の一貫校につきましていろいろな角度から意見が述べられております。そこで、臨教審でも六年制一貫校について提言をしているわけでございますが、この両者の違いからまず申し上げますと、臨教審で提言しましたのは、新しい学校制度としての六年制中等学校でございます。これは高校入試をしないで済む六年制のゆとりのある制度で、人間形成を主眼とする教育を行うことができるという評価から、現在の小学校、中学校、高等学校という学校制度とは別の新しい中等学校制度提言しているわけでございます。それに対しまして、現在あります私立の六年制一貫校というのは、現行制度であります中学校と高等学校を併置している学校、ですから、この場合には正式には何々中学と何々高校が多くの場合は同一の敷地にあって、校長もそれぞれ発令されている場合もありますし、一人の校長が兼務しているというような形がある。しかし、いずれにしましても、制度上は中学校と高等学校があるという形になっている。そこがまず制度としての違いでございます。  そこで、この臨教審の六年制中等学校につきましては、臨教審の答申をいただきまして以来、文部省でこれの具体策につきまして種々検討をしてまいりました。六年制の新しい中等学校制度を制定するに当たりましては、カリキュラムの問題とか学校制度の問題、学校運営の問題、教員等の問題、さまざまな観点から具体的に検討する必要がございますので、文部省に協力者会議等を設けまして検討いたしましたのと、カリキュラムにつきましては、教育課程審議会でもいろいろ御検討いただいたわけでございますが、現在のところ、まだその制度を具体化すると申しますか、制度化するには至っておりません。今中央教育審議会でこの中等教育の改革の問題を議論しておりますので、それの審議経過の推移を見守りながら、この問題については今後考えていきたいというふうに思っているわけでございます。  そこで、それはそれとしまして、現在ある六年制一貫校、これは中学と高校とそれぞれ別の学校ではございますけれども、同じ敷地で同じ教員スタッフが相互に交流したりしてやっておりますので、教育としてはかなり一体化しておりまして、非常に能率的に運営できるという利点はあるわけでございます。しかも、中教審の審議経過報告にもございますように、私立学校でございますので学区制の制約もない、それから私学の自主性ということでカリキュラムの運用上もかなり弾力的な運用ができる、そういうことから広い地区から生徒が集まってまいりまして、かなり習熟度の高い子供が入ってくる学校が多いわけでございます。そういうことで、そこにおきます卒業生等が大学進学等でいい成績、成果を上げるということから、いよいよその学校の評価が高まっていくというようなことがあろうかと思います。  そういうわけで、この六年制一貫校をめぐって中学校ないしはこの中学を受けるわけですから小学校段階まで受験競争が激化しているのではないか。そして、これはやはり先ほど先生も御指摘になりましたように、子供の心の抑圧と申しますか、そういう点で問題があるのではないかというような指摘を今回の審議経過報告がしている、こんな関係であろうと思います。
  119. 柳田稔

    柳田委員 大学入試が大変だ、だからいい大学に入るためにいい中学校、高校に入りたい。その中学校、高校に入りたいがために小学校から勉強する。それもそのいい中学校に入るためにはいい小学校に行かなければならない。その小学校に入るために幼稚園から勉強をしなければならない。それも学校だけで勉強するのではなくて、塾に通って、その塾というのも夕方からあります。小学生でも夜の九時、十時まで塾通いをしているという現状もあるわけであります。そうしますと、よく言われておりますゆとり、豊かさという言葉は聞くわけなのですが、お父さんは仕事で忙しい、子供は塾通いで忙しい。その子供というのも幼稚園から始まっている、こういうふうなのが現状であります。  理由は、先ほども申しましたけれども、中学入試に限って言えば、やはりこの中高一貫教育は非常に受験に有利だ、それがありますでしょうし、塾の方が勉強してここに行きなさいというふうにいろいろと指導されることもあるでしょうし、首都圏のことを特に挙げるのならば、東京ではなくて隣の埼玉、千葉、この辺からたくさん集まってくるということで競争率もふえていく、いろいろと考えられるわけなんですが、やはり一番大きな問題は、なぜ小学生が九時、十時まで塾通いをしなければならないんだ、幼稚園から。こういう国がほかの先進国にあるんだろうかというふうな気がいたします。これが本当の教育なんだろうか。これが本当の勉強なんだろうかという気がしてならないのですけれども、この点については大臣はどのように考えられるか、教えていただきたいと思います。
  120. 井上裕

    井上国務大臣 先生今言われるとおりでありますが、私ども、先ほどもちょっとお答えいたしましたように、学歴偏重をなくするためにいろいろな方策をしております。また、中教審で先ほどから出ておりますこの中高一貫教育、これに対して新聞報道によりますと、私学関係者はすべて悪いんじゃないんだということでありますが、今現在中教審におきまして審議の真っ最中でありますので、ひとつよく答申を見きわめて対応いたしたい、このように考えます。
  121. 柳田稔

    柳田委員 答申を見きわめると同時に、こういう教育環境といいますか、何かゆがんだものを是正するという気持ちも含めていただければというふうに思います。  もう一つ、この入試問題なんですけれども、新聞等で何々中学校の入試問題というのを時々掲載されますので、大臣も多分見たことがあるかもわからないのですけれども、昨年の九月二十八日の日経新聞に「パパに解けるかな?」という表題で、ある中学の、相似の図形、数学ですけれども、問題が載っておりました。レベルからいくと高校入試か大学入試かなというぐらいの感じが私はいたしたわけなんですが、中学校の入試でこんな難しい問題を出す必要があるのかなという気がしないでもないような出題が今大分はやっているような気がいたします。  としますと、学校教育にも関係をしてくるのですが、小学校で教えない問題を入試に出す、それが果たしていいことなのかどうなのか。裏を返せば、そのために塾に通わなければならないということもあるわけですけれども、この入試問題、果たしていいのかどうなのか、どうお考えになっているか、教えていただきたいと思います。
  122. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 ただいま例示をされましたように、かなり難問奇問のたぐいがこの中学校入試に出ているわけでございます。そのため、学校で教えられないことが試験に出るということから、過度の学習塾通いを余儀なくされるという憂慮すべき事態もございます。  私どもは、小学校、中学校とも義務教育として国民共通に必要な基礎・基本は何であるかという観点から教育内容を定めているわけでございますが、その国の基準を逸脱した問題が出ているわけでございまして、これは何としても是正されなければならないと考えております。  そこで、私どもでは一昨年から、これは全部の学校はできませんけれども、通常問題になりますいわゆる有名校といいますか、よくマスコミに話題が上ります一部の国立、私立の中学校、高等学校の入試問題につきまして調査分析を行っております。そして学習指導要領を逸脱していると思われるものにつきましては改善方を要請いたしておるわけでございます。その結果、少しずつは改善されていると思うわけでございますけれども、なお、引き続きこの点については継続して点検し、そして改善の要請を続けようと思っております。平成三年度の予算案では、入試問題の分析を含めまして、入試問題改善のための調査研究を、私ども文部省だけでなくて、都道府県の教育委員会にも、それぞれの地区でやっていただこうと、その委託費を新規に計上いたしております。  今後とも引き続き私どもはこの問題に積極的に取り組みまして、過度の塾通いと申しますか、塾に依存しなければ子供たちの学習がうまくいかないというようなことのないようにしたいと思います。それと同時に、公立学校と申しますか公教育としての国民の信頼性を取り戻すように、そして公立学校教育充実しますように、そちらの面からも努力を重ねていきたい、このように考えております。     〔松田委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 柳田稔

    柳田委員 よろしくお願いしたいと思います。  もう時間もあと十五分ぐらいなので別な質問をしたいと思うのですが、私は理工系といいますか工学部の出身なのですけれども、最近、高校生、いろいろ話を聞きますと、エンジニアというのは余り行きたくないという声を時々聞くわけなんです。日本の経済というのは原料を輸入して加工して製品をつくって輸出して成り立っていると思いますので、物をつくる若い人たちがいなくなる、まあいなくなるということはありませんけれども、だんだん少なくなるということは、日本の将来の経済にとってもゆゆしき事態になるのではないかなという気がしているわけでございます。  それで、科学技術庁の技術政策研究所の調査というのがあるわけです。高校生に聞いているわけなんですが、やはり高校生の中でも理工系離れというのがだんだん進んでいる。その背景といいますか理由というのは、大学生活を楽しみたいとか、待遇のよい会社に就職したいということで、理工系がだんだん薄れてきているのかなという気がするわけなんです。今の教育、物を詰め込むということについては非常にたけているかもわかりませんけれども、物をつくる喜びということについて少し不足しているのではないかなと思います。  特に言いますと、私たちが小さいころは、木を自分で切ってくぎを打って、自分の好きなような本立てをつくっておったわけですが、今は、何か知りませんが、規格品を買ってきて、張りつければできるというふうな、すべて同じ物ですよというふうな教育もされているとちらっと聞いたことがあるのですが、物をつくる楽しみ、そして完成したときの喜びというものが今不足しているような気がするわけです。その辺も一つの原因としてはあるかと思いますし、さらにはいろいろな原因もあるかと思うのです。ただ、理工系に進む人、これは大学だけではありません。高校、高専もありますでしょうし、実際職場に入って技術職として働く人もいらっしゃるわけなんですけれども、何かこれから日本の将来、産業界、危ういという気がするわけなんですが、これについて何か感想がありましたら教えていただきたいと思います。
  124. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 先生の今おっしゃったとおりだと思います。このごろの子供たちは、直接体験といいますかそういうものが非常に少なくなっておりまして、テレビなどを通ずる疑似体験が中心になっています。したがいまして、子供たちが本当に物をつくる喜びとか物を育てる喜び、そういうものが大変少なくなって、これは教育的にやはり問題ではないだろうかという指摘がされているわけでございます。  そこで、私ども学校でなるべくそういう体験をさせよう、工業化が進みまして、都市化になって、少子化、子供が少なくなって、核家族化になってということで、子供たちが自然の中でいろいろ伸び伸びと体験したり、いろいろ直接物にさわったり、つくったり、壊したりというようなことが非常に少なくなっているのであります。そこで、せめて学校教育ではそういうことを充実しようという観点から、今新しい学習指導要領などではそういう点を重視しております。例えば小学校の新しい学習指導要領は来年から始まりますけれども、そこでは小学校の低学年、すなわち一、二年では理科と社会をやめまして生活科というふうに統合いたしました。これは理科と社会といいますと、どうしても知識を与えるような教育になってしまう。しかし、小学校の低学年というのはもっと直接体験をすべきではないかということで、生活科というのは、教室で教科書で授業をするというよりは、むしろ子供たちが自然の中に出て、町に出て、そして物をつくったり、育てたり、そしていろいろ遊びを通して、直接的な体験を通して教育をしていこう、そのことによって物をつくる喜びとか物を育てる喜び、そういうものを成就していく、それがひいては先生のおっしゃいます将来理工系に進む気持ちを培ったり、いろいろそういうことができるのだろうと思います。  これからも、やはり物をつくるということは、日本にとりましても世界にとりましても重要なことでありますし、子供たちがそういう面にも小さいうちから大いに関心とか興味とかないしは能力とか態度とかいうものを育成されていきますように、一層充実を図ってまいりたいと思っております。
  125. 柳田稔

    柳田委員 子供といいますか、まだまだ私も子供の部類かもしれませんけれども、やはり自分のしたいこと、得意なことがあるというふうに思うのです。これは私の個人的な考えなのですが、すべて同じよというのは、人の伸びといいますか芽をつぶしてしまうのじゃないか。やはりこの子が好きだ、したいということは伸ばしてあげるのが教育であろうというふうな気がいたします。物をつくるのは汚い仕事とよく言われるかと思うのですが、例えば、今の大学生でもそうなのですけれども、工学部に学んでおりまして、自分の専門の勉強するわけですが、果たしてその学んだ人たち一〇〇%がその職種に行くかというと、今はそうではない。率まではいろいろな学部・学科によって違うのではっきりは言えませんけれども、製造のエンジニアになった。しかし就職先は金融とか証券会社とか保険とかに行く人が非常に多い。せっかく大学で勉強したのにそういうふうなところに行く。一番大きな理由は、給料が低い、これに尽きるのですが、それにプラスしてよく言われております三K二Y、汚いとか、きついとか、危険とかいう分もあるかと思います。これもさっき申しましたことに戻るのですが、大学を出て自分の好きな仕事に行くのまでは束縛できないのですけれども、何か本当に大学の中でも、先ほどの議論ではないのですが、自分の仕事に誇りが持てるような教育というのも少しあってもいいのではないかなという気がします。  理由はいろいろ申し上げましたけれども、これについて何か感想があれば教えてください。
  126. 前畑安宏

    ○前畑政府委員 御指摘のところは、私どもも大変大きな問題と考えておりまして、先年来、関係の工学部の先生方、さらには企業の人事担当者の方々にも集まっていただきまして御相談をする機会を持ったり、さらには、いわゆる就職協定という問題を通じまして、日経連の方からもそういう問題が提起をされるということもございました。一つには、先生おっしゃるように待遇の問題ということがありますが、もう一つには、先ほど来御議論があっておりますように、いわゆる今御指摘の三Kという問題があろうかと思っております。先般もある雑誌を読んでおりましたら、先ほど御指摘がありましたように、工学部を志望する高校生が今後激減をしていくだろうということが言われております。工学部等を卒業した学生が証券あるいは金融等の職場を選ぶあるいはそういう職場が工学部の学生を欲しているということは、一つには工学部の教育というものが評価をされているということでもありましょうが、そういう方面に進むばかりでメーカーへ行く人が少なくなるということはゆゆしいことでありますので、私どもとしては、今後の対応といたしましては、大学院の充実ということについて、特に理工系の大学院の充実に十分意を払って、我が国の学術研究の基礎を培うということに力を尽くしてまいりたい、このように考えております。
  127. 柳田稔

    柳田委員 もう時間が余りなくなったのですが、高齢化社会が来るとよく聞くわけであります。実際、二十一世紀になりますと四人に一人が六十五歳以上のお年寄りという時代が来ると言われております。政府の方も十カ年戦略でいろいろとその時代を見据えて計画をしているわけなんですが、今の、私も含めてですけれども、物や金、そして自分中心主義というのがはびこり過ぎているのではないかな。人が苦労といいますか苦しんでいるときに、手を差し伸べようという心が大分希薄になってきたのではないかなという気がいたしております。これから高齢者を見なければならない時代がもう目前に来ている。なのに我々の感覚というのは、物、金、自分中心、自分さえよければいい、自分さえもうかればいい。これを変えていかなければならないのではないかなという気がいたしております。先ほども申しましたように、政府の方はいろいろと手を尽くしているようでありますが、最終的に行き着くところは、やはり人の心に訴えて、親は子供がというところに帰り着くような気がしてなりません。予算を組んでいろいろと施策することも必要ではありますけれども教育の面において、この辺の、人の優しさといいますか、心といいますか、育てていっていただければなという気がするわけなんですけれども、このことについて大臣、いかがお考えか、教えてくださいませんか。
  128. 井上裕

    井上国務大臣 わずかな時間でありましたが、先生のすばらしい御意見を伺いまして、まさにこの資源の乏しい日本において教育こそ人づくりであり、また今後日本の発展につながる道ではなかろうか、このように感じます。  さらにまた、この国会に、大学また大学院の充実、高等教育充実ということで、私ども法案も用意しておりますので、よろしくひとつ御審議のほどをお願いをいたしたいと思います。ありがとうございました。
  129. 柳田稔

    柳田委員 初めて文教で質問させていただきまして、やはり日本の根幹は教育だな、物をつくるにしてもいろいろな面においても、やはり教育がしっかりしなければならないなという感想を持ちました。今後とも一生懸命自分なりにも勉強いたしまして、いろいろ教えていただきたいところは参りますので、御指導のほどをよろしくお願いします。本当にどうもありがとうございました。
  130. 臼井日出男

    臼井委員長 次に、中西績介君。
  131. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、時間の関係から焦点を絞りまして、まず平成三年度文部省所管の予算について質問を申し上げたいと思います。  一般会計七十兆三千四百七十四億一千九百万、そして文部省予算は五兆五百五十九億四千四百万となっています。この七十兆三千四百七十四億円の中に占める割合というのは年々下がりまして、今や大変な状況にまで陥ってしまっています。十年前約一〇%近く、正確には九・六%あったものが、現在では七・二%になってしまっておる。しかも逆に人件費の占める割合は、五十六年度が六三・六%であったものが、三年度予算案では七八・五%にまで拡大をされてしまっている。こうなってまいりますと、文部省予算というのは大体可なのかということが大きく問い返されることになりはしないか。ここいらをひとつ十分認識した上で私は論議をしていきたいと思っています。  そこで、大変失礼かと思いますけれども大臣平成三年度文部省予算案は満足されておりますか、どうですか。
  132. 井上裕

    井上国務大臣 今言われましたように、文部省予算は五兆五百五十九億四千四百万でございます。ただ、非常に財政厳しい中にありまして、昨年度の予算から見まして若干なりとも、私ども五・四%ということでございますので、かつて五・七%という時代がございましたけれども先生言われているように、文教予算につきまして非常に厳しい御発言がございましたが、地方交付税交付金あるいは国債費などが増加しておりまして、国の一般会計に占める一般歳出の今おっしゃった割合が減少しておりまして、文部省予算の国全体の予算の中におきます割合も減少している状況にありますが、一般歳出に占める文部省予算の割合は、ここ数年来は一応一三%後半を維持しておるわけであります。御案内のように、私どもいろいろ、四十人学級を初めといたしまして、それぞれ各委員方々にお骨折りをいただきました。しかし、私自身満足する予算とは言いがたいと思いますが、今までにおきまして、幾らかでもこの文部省に関して各先生方の御尽力で、今のこの財政事情においてはまあこのくらいかな、ただしこれはあくまでも皆さんのお骨折りでぜひまたもっともっといろいろな面でひとつ予算をとっていただきたい、このようには感じております。
  133. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は今満足しておるかどうかということをお聞きしたので、昨年度に比べて五・数%伸びたとか、こういうことはもうわかり切った話なんですね。私が一番心配しておるのは、本当に満足しておるかどうか、その衝に立っておる各局長に私聞きたいと思う、本当に。あるいは課長に聞きたいと思うのです。行政が満足に行われておるかどうかということ。これがないとどうなるかといったら、権力で抑えることばかり熱心になるのですよ。豊かさがないですね。ぎすぎすしているから、結局どうなるかといったら権力で抑えるようなことばかりしか発想せぬということになってくるのですよ。これが十分あるとするなら、ゆったりして、そしてみんなの自主性なり主体性を認めて、その上でよりよい状態をどうすればできるかということぐらい考えるのだけれども発想が逆になるのじゃないかということを恐れるから私は聞いているのです。  例えば、これは国立学校の特別会計なんか見ればもう極端じゃないかと思うのですよ。いずれにしましても、大臣の答弁では努力をしたからということを言っていますが、その中にすっぽり埋没してしまうと、それがもうがんじがらめになってしまって、普通になるのです。それから抜け出て新しい事業なり国民が要求しておるそうした面における施策というものをまずすることよりも、自分の予算、そのため文部省内でも奪い合わなくちゃならぬでしょう。これがあるのかないのか具体的に聞けば、ないとは言うでしょう。しかし、実際はそうでしょう。その中で、本当に私たちが期待をするような文部行政が遂行できるかということになってまいりますと、大変困難じゃないかな。ですから、もう細かいというよりも、縮小された中で固まってしまって、脳までいかれるのじゃないかということを私は恐れるからこのことを指摘をしておるわけです。その点の御理解をいただかないと、何か追及ばかりするじゃないかというようなことで聞く耳を持たなくなるから、私はそれが恐ろしいですね。それであってはならぬと私は思うのです。そうした点を十分、この予算面からいたしまして考えなくてはならぬのじゃないかと思っております。  そこで、私は主張したいと思いますのは、最低十年前ですね。一般会計予算に占める割合、文部省予算は、おたくからもらった資料を見ましても、先ほど申し上げましたように、五十六年九・六、そして人件費は六三・六%という、この前にはまだこれより低かった時代があるわけですから、ここまでは確保しないと、我々が要求するような文部行政というのは到底不可能ではないだろうか、私はこう思っています。特に私は、この点から考えますと、もし約一〇%に仮定しますと、一兆九千七百八十七億五千七百九十万円になるのです、その額が。約二兆円になる。この前我々はこの一〇%ということを言ったときに、これは本当かどうか知りませんけれども、私に伝わってきたのでは、約二兆円増額ということになると、文部省の職員の中で、これを笑って何に使うかということを言った人がおるそうですよ。言わなかったら私はいいと思うけれども、それがうわさで聞こえてきたから私はここで言っているのです。私はここが問題だというのです。それがさっき言う、締めつけられ、マイナスシーリングをかけられかけられしてもうがんじがらめになって、それが体質になってしまっている。だから、新しいものを発想するという、あるいは要求するという意欲すらももうなくなってきてこんなことになったのではないか。私はここに今の予算に対する文部省のとらえ方の中に問題が凝縮されているような感じがするのです。これが本当でなければいいけれども、こうした点、大臣、感想はどうですか。
  134. 井上裕

    井上国務大臣 今おっしゃった先生の御意見もっともなところはありますが、私も十四年間文教予算に走り回りまして、例えば私学なども、率は、結局金額はわずか七十億の増加、あるいは問題だと思いますが、この大学教育二千五百六十億、そしてまた高校教育七百九十九億、そして設備費二十一億、装置八十二億、新たな高校の情報教育四億。私学の先生方に聞きまして、私学を上げるよりも、文部省全体の予算を上げるというお話も伺いました。その中で私学も上げてくれ。まさにそうでありますが、今の財政事情の中で、大変身勝手な話ですが、満足はいたしませんが、平成三年度の予算は十何年ぶりの文部省なりに——これはやはり多ければ多いほどいいのですが、事務次官初め局長、また与野党の先生方の御尽力で、私はこの予算——もっともっとこれは財政的に豊かにしなければなりませんが、今の日本の財政事情を見るときに、いろいろなことがありましょうが、私なりには来年はもっと頑張ろうという気持ちはありますが、まあイエスかノーかの満足という大変難しい話でございますが、今後一生懸命この予算獲得に努力をいたしたい、このように考えます。
  135. 中西績介

    ○中西(績)委員 大変失礼ですけれども、さっきも、私伝え聞いた話の中で、二兆円を何に使うかなどということを言った人がいるというけれども大臣はどうなんですか。何に使うかなどということをやはり同じように言いますか。
  136. 井上裕

    井上国務大臣 ちょっとその言葉は考えられませんですね。
  137. 中西績介

    ○中西(績)委員 今の予算があらゆるところをぶった切られて少ないということの実感はあるわけですから、こういうことを言ったから、私は以下いろいろな問題について指摘をしたいと思います。  文部省予算の中に占める人件費の割合は、さっきも申し上げましたように七八・五%。このままでいったら私は予算が破産してしまうと思うのです。そこでお聞きしますけれども、これから後、将来、現時点でベア一%したときには幾ら要りますか。必要額は幾らですか。
  138. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 お答えいたします。  約三百五十億ぐらいでございます。
  139. 中西績介

    ○中西(績)委員 今のような好景気がいつまで続くかわかりませんけれども、好景気が続くとすれば一千億に近い金額というのは必ず要るわけでしょう、上下はあったといたしましても。そうすると、この分を予算の中から絞り出さなくちゃならぬという問題等が出てくるわけですね。今調べてみると、法務省が一番多くて八三%が人件費だと言われていますね。しかし、その有名な法務省でも、ここ六、七年を見てみますと、人件費の占める割合が減少してきていますよ。法務省ですら六十一年度八四・四%であったものがわずかだけれども減少してきている。今文部省の場合には、これが増大する一方。しかも、例えば四十人学級だとか、我々が十分な教育をということで定数を確保すれば確保するほどその率というのは上がることは必至でしょう。そのことはわかっているわけです。ですから、このままでいきますと、そのような定数増すらも不可能になってくることにつながってくると私は思うのです。ですから、先ほど申し上げたように、文部省予算は破産するよというのはそこなのです。  ですから、これはもう今の論理とはちょっと別になりますけれども、ベア分は、今まで自民党の諸君が法案との取引で国会の中でやあやあ言うて利用しておったのですけれども、ベア分ぐらいはちゃんと予算化して、推計額を出してでも、それをいつまでも引っ張っていくような前近代的なことはやめたらどうかと思うのですが、これに対しての意見はどうですか、大臣
  140. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 公務員給与の人事院勧告に基づくベア分の予算計上の問題ですが、これは昭和四十四年から五十三年までは給与改善費として各省で五%ずつ計上していたわけでございます。その後、五十四年度がその半分の二・五%、五十五年度が二%、五十六年度から六十年度は、そのベア分の予定として一%、六十一年度から平成二年度までは計上されていないという状況でございます。これは国の財政が大変厳しい。言いかえれば年度当初、暮れに行われる予算編成時に原資が非常に乏しいということもあって、ベア分を計上できなくなってしまったという経緯があろうかと思います。  ちなみに、平成三年度は給与改善予備費としまして一・五%分、これは文部省の予算の中ではなくて、各省共通の予算として千三百五十億を別途計上いたしておりますが、いずれにしましても、そういう経緯であったわけでございます。  この文部省予算の中でベア分の問題というのは二つございまして、第一点の当初に計上すべきであるかどうかという問題が一つございます。これは仮に計上していないとしましても、秋の大体内閣の決定によりまして、ここ数年間人事院勧告を完全実施してきておりますが、その完全実施をするために必要な経費として、当初に例えば五%計上しておれば補正予算を組むときに大変楽なわけでありますけれども、それが計上されていないということで、補正予算の原資をほかから求めなければならない、そういう苦労がございます。これは財政当局の苦労でございます。  それから、もう一つ文部省にとって大きな問題点は、来年度の政府予算案を編成する暮れの段階で、その前年度のベア分が来年度に平年度化した場合にどうしたはね返りがあるか。平成三年度の予算編成時で申し上げますと、二千億の財源をどうするかという問題があったわけでありますが、これも財政状況が今ほど厳しくないときには、大蔵省の方で別途の配慮をして暮れの予算編成をしてきたという経緯がございますが、財政状況が厳しくなりまして、ここ十年間では、その予算編成過程期に本年度のベア分の来年度のはね返り分をどうするかということが頭の痛い大きな問題であることは事実でございます。  それから、ちなみに文教予算が人件費がふえてきておるというのは、まことに先生の御指摘のとおりでありまして、そういう意味では大変硬直的な予算になりつつあると私どもも構造的な問題点として痛感しております。ただこれは、ここ十年間ぐらいにわたる御承知のとおりのマイナスシーリングで、物件費の中で経常部門は対前年度比一〇%、投資部門は五%あるいは対前年度同額。平成三年度の概算要求基準につきましては、物件費は、投資部門はゼロ、私学助成等の経常部門はマイナス一〇%というシーリングがかかっていまして、そのシーリングのかかった中でいろいろなやりくりをして、物件費を文教施策の上で必要な分野にどうやって回すかということで努力をしてきているわけでございます。  ところが人件費の方はシーリングがかけられるような性格のものではございませんので、当然シーリングとしては、来年度の定期昇給分はシーリングで別枠でくれまして、しかもベアがありますので、暮れにそこの部分が膨らんできてしまう、物件費の方は自動的に小さくなってしまう、そういう今の概算要求基準の仕組みそのものが今のまま推移すれば、先生指摘のとおり、文部省の予算というのは人件費のさらに大きな固まりになるのではないか。言いかえれば、今の概算要求基準をどうやって、私どもも何年間にわたっていろいろ先生方にお願いして破ろうと努力はしてきましたが、財政当局の壁がなかなか破れないで、今のような状況の概算要求基準で推移してきているというのが実情でございます。
  141. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、さっき私が言ったように、国会でいろいろな取引をして、そして、それを一本のものが通るとか譲るとすっとこれは通ってしまうとか、こんなばかげたことはもうやめなければいかぬですよ。大体人事院勧告の性格そのものからして、あなたたち一番よく知っているじゃない、ストライキをやれば我々を処分するでしょう。その代償としてつけておるわけですから、するなと言うなら、そういうことを一切先にちゃんと措置して問題がないようにしておけば、これをやりくりしたりいろいろ考えなくちゃならぬと今局長の言っていること、そんな頭を痛めるようなことはいち早くやめさせなくちゃならぬと思うのです。  そうした意味で、後でまたまとめて言いますが、ただ一つ問題は、防衛庁の予算を見てください。この十年間で、二兆五千八百六十一億円だったものが三年度の案では四兆三千八百七十六億円、十六億円今度何かごまかしみたいに修正をして、四兆三千八百六十億円に修正すると言っておるけれども、本当に僕はむちゃくちゃだと思うのです。こういうところでは二兆円近くもふやしてきているでしょう。  だから、口を開けば百年の大計だとかすっと言うけれども、実際に予算案をと言ったときには、全くみんな耳をふさいでしまっているのですよ。今度私たちがいろいろ言うと、口までみんなつぐんでしまうという格好になるでしょう。特に大臣になると、大臣が議員であった時分にはこうすべきだとか言っておっても、今度はそれを逆の立場で守るという、防衛するという格好になるでしょう。これが一番問題なんだよ。  ですから、そういうことがなくなるようにするためには、この前から私が要求しておるのは、別枠で組め、それができぬなら款項目別どこかからでも突破口をつくるようにすべきではないか。これはもう絶対なんだということを一つでもつくらぬとだめだということを言ってきているのですけれども、その点についての考え方はどうですか、大臣
  142. 井上裕

    井上国務大臣 私は議員のうちもこの文教予算に関しては一生懸命やりたいと思いますし、また大臣として文教行政を預かる私といたしましても一生懸命やりたい。何せ先生も御案内のように、限られた財政の中での割り振りでありますので、これは役所、事務次官以下一生懸命やって、ひとつ努力をいたしたい、このように考えておるわけであります。
  143. 中西績介

    ○中西(績)委員 ODAなんか、これは後でまた言おうと思ったのだけれども留学生問題なんかも、もう本当にみみっちい考え方でなしに、この前フィリピン大学の先生にお見えいただいていろいろお話をしました。そうしたら、マルコス時代と変わってないよ、ODAの問題は。私がマルコス時代に、マルコスのやめる半年前に調査に行ったときにはっきりしたのだけれども、とにかく大統領府の数人しか我々が審議して経済援助しているこの分は知らないのだから。議員だって知らないし、他の政府、省庁の人は全然知らぬですよ。今だってその体制というのは変わってないでしょう。その点御存じかどうか知りませんけれども、そういう状況なんですよ。だから、僕らは基本法をつくれということを言っているわけですよ。そうしなければ、我々が突っ込んで介入をするのでなしに、出されたものが正当に使われておるかどうかということは、どんなことがあっても我々はやる義務があるのだ。そのように自由に、むちゃくちゃ使っておるようなことを、これは別枠で組むのですよ、別枠で。防衛費だってそうでしょう、アメリカのあれをどんどんふやしていって、そして今言うように、毎年五%から六%増額していく。こうしたやり方をするんだったら、文教費ぐらいはやるべきだと僕は言っているのですよ。何も根拠がなくて言っているわけじゃない。  ですから、この点はきょうはまだ詰めませんけれども大臣がまだいらっしゃるときに、いよいよ年末に向けて、概算要求をつくる年末に向けては、それくらいのことを言って、腹決めをしてやらなくちゃだめだと私は思いますよ。そのころになったらどうなのか。心境の変化があったかどうか聞きますから、その点をよく覚えておいていただきたいと思うのですね。  そこで、例を挙げましょう。国立学校の特別会計、これはもう御存じのとおりであります。ところが、これの繰入額を見ると、かつて十年前は七二・三%一般会計から特別会計に繰り入れをしておったでしょう。一兆五千六十八億円、いいですか、一兆五千六十八億円繰り入れをしていました。ところが三年度予算案では、六〇・五%になって一兆二千六百五十九億円になっています。十年たってふえるどころか二千四百八億円も減額をされているということを御存じですか。私は、この点を考えると、本当に誤っておると思うのです。  そこで、私答弁をいただきたいのは、今国立学校特別会計だけでも四千億ないし五千億ぐらいのアップが単純に考えると必要だと思います。なぜかと言うと、借入金の問題とか利子の問題、教育研究経費だとか施設費だとかを見ると、前より減っておる、そういう状況があるわけでしょう。この点について、私が言う、極めて単純な物の言い方だけれども、五千億近く必要ではないかということに対してどうなんですか。
  144. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 先生がどの数字を言っているのかちょっとわかりませんが、私どもの持っておる数字ですと、十年前の一般会計からの受け入れ、先生おっしゃるとおり率は下がってきております。現在六〇・五%、かつての八三・五%というピークのときから大体八〇%、七〇%台で推移してきましたが、十年前の一般会計からの繰り入れは一兆七十七億円でございまして、一般会計からの受入額が前年度より減になったという年は国立学校特別会計ではございません。ただ、繰り入れ率は下がっていることは事実でございます。
  145. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は読み違って、読み違うというより理解の仕方が間違っていました。ですから、五十六年の七二・三%を現在の額で引き直すと一兆五千億ぐらいになるだろう、したがって、二千四百八億円くらいその時期の率からすると減額されていると同じだ、こう言えばよかったのだけれども、それを見違えておりましたので修正します。しかし、私が言った五千億くらいは引き上げなければ満足な特別会計にならないのじゃないかということについてはどうなんですか。
  146. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 五千億という数字がどうなのかということでございますが、これについては私どもの積算があるわけじゃありませんので、私どもから言えば、理想的に言えばもっとということになるかもしれませんが、いずれにしましても、ちょっと話がそれますが、公財政から学校教育費に支出している割合が、小学校から大学、高等教育機関まで含めますと、我が国は、対国民所得比ですが、トータルでは世界の先進国とそう遜色はありませんが、高等教育だけで見ますと、諸外国に比べると、我が国の公財政支出の国民所得に対する割合が大体半分ぐらいだというのが現状であります。そういう意味で、国立学校特会だけでなく、私学も含めまして高等教育全体にもっと財政支出をするのが理想的な姿じゃないかというふうに私は考えております。
  147. 中西績介

    ○中西(績)委員 だから、私が言うのは、五千億でも少ないかもしらぬけれども、極めて単純に考えた場合、現在のあの表を見て、借入金をなくしましょう、それから、それに要する費用、利子をなくしましょう、あるいは研究費等についても、十年前の比率と同じ比率で計算したときのあれは何ぼになるか、あるいは授業料、入学検定料、十年前の状況と現在の比率、こうしたこと等を全部あれしていくと、もう簡単にそれくらいの額にはなるのですよ。私学問題はまた別です。これはまた大きいからね。  ですから、こうした点を、先ほどから私が言う、あくまでも二兆円近くをこれに充てないとだめだ、占める割合が単純に言って一〇%程度くらいないと十年くらい前の比率になってこないという状況があるということをもう一度思い起こしていただけばいいと思う。  ですから、そうした点についての、これまた時間がなくなってしまうから、後で細かい、例えば教育研究費がどうだったかとか、授業料だとか、病院収入がどうだったか——病院収入等については、この前の説明では、病院の数が多くなったから多くなってきたのですというような言い方をしていましたけれども、いずれにしても、果たして大学病院が研究機関になり得ておるかどうかという問題等があるわけですから、論議すべきところはある。ですから、こうした問題等を含んで、もう少し私は考え一つの例として挙げておきます。  それからもう一つ、私大あるいは高等学校以下の学校の場合を考えてみますと、経常経費が元年度で私大が一兆六千五百七十五億。ところが元年で一五%しか補助金が出ていませんから、二千四百八十六億円ということになりますと、当初の目標の五〇%からほど遠いわけですから、少なくとも、これの高いときを見ますと約三〇%までいったのですね。二九・五%まで昭和五十五年度にいっています。ところが、それは極端で、今一五%になって、半分になってしまっておるという現状なんです。それで、もしこれが三〇%から三五%だとすると五千億くらいの金額になる。私はこれの増額なしに大学の学費を制限をせよなどということはできないと思うのですね。全部これが我々父母の負担になるという仕組みになっているわけですから、この点を考えなくてはならぬ。  高等学校以下の場合だってそのことがもう明確でしょう。例えば元年度の場合、国の補助が七百五十五億なんですよ。地方交付税がそれに伴って三千三十九億、合計三千七百九十四億になっています。平成二年度で四千二十四億になって、通常経費の率は三一・四%、こういう状況に今なっているのですよ。ここは一応地方交付税がありますから、補助金の額を少し引き上げると地方交付税がふえるわけですから、そうなってくると五〇%近くになる可能性というのは割合に近いわけですね。  このことを考えますと、またもとに返るのですけれども、何としてもこうした問題について、ぜひこの点を、どう国民的な要求として盛り上げていくかということが物すごく今大事なんです。世界で今一番学費が高いのは日本でしょう。この点を何としても、やはり私たちが少なくともこうした点で論議をする以上、その責務があるみたいな感じがするのです。この点、どうですか。一五%などというもうとてつもないところまで来ている。ことしになると、これはまだ落ちるよ。それははっきりしている。
  148. 逸見博昌

    ○逸見政府委員 私立学校に対します経常費助成補助金の推移につきまして、これは先生のおっしゃったとおりでございます。  ただ、私もちょっと申し上げたいと思いますのは、私立学校が現在学校教育制度の中で量的な面でも質的な面でも果たしております重要性、これにかんがみまして、私は、文部省の中では、概算要求のときにも査定の時期にも最重点事項の一つということで全力を投球しておるところでございます。これにつきまして、先ほど官房長の方からシーリングの話がございました。このことにつきましてはぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございますが、概算要求の段階から、実はマイナスシーリングということで、ことしの予算額の一〇%減で要求をしろということで、要求自体を対前年度一〇%下げなくてはいけない。そうしますと、私学の予算、高等学校と大学を合わせまして三百三十億対前年度減額して要求する、こんな状況に迫られておるわけでございます。したがって、前年度よりもたくさんの予算を取りたい。ことしも実は大学の場合には三十九億積み上げておりますが、そのためには穴埋めをして、その上にそのことし取る分を積み上げるということでございます。したがいまして、それで申しますと、ことしの場合には、表向きには実は四百億近い予算を獲得した数字ということでございますが、マイナスシーリングで前年度よりも三百数十億減じて要求するというこの規制があります以上、こういった大変厳しい状況にあるのが毎年度の私学予算の状況でございます。これで見ますと、各省庁予算の中で、この私学予算が単独の事項としてはマイナスシーリングを一番大きくかぶる予算というふうに伺っておりますので、その大変さをぜひ御理解賜りたいと思います。  その上で、これは国の枠でございますが、その中でまた文部省予算全体の枠の中での調整ということもございまして、大変重要な予算ではございますけれども、これだけを突出してということは大変難しい。しかし、こういった限られた枠の中で全力を挙げて努力をして今後ともまいりたい。とりあえずは三〇%を一応到達した時点がございますので、これを目標にしてぜひ全力を挙げたい、かように考えておるところでございます。
  149. 中西績介

    ○中西(績)委員 とにかく、あなたが言われるように、ちょっと上げたくらいでは到底追いつかぬわけですよ、三〇から逆転して半分になっているのだから、一五になっているのだから。だから何らかの新しい方策かなんかでやらぬとだめだと言っているわけですよ。幸い、今総理が文教族ですよ、文教族を外れたかどうか知りませんけれども。以下たくさんおるでしょう。総務会長の西岡さんだってそうだよ。重要なところにみんなおって、もう少し張り切ってやるぐらいにならぬとこれはだめですよ。どこかでやはりアクションを起こすかなんかしなければ。むしろ文部大臣がやめることを覚悟ぐらいして国民に訴える。それぐらいの荒療治をしなければ私はだめだと思っていますよ。その枠の中へはめられて、それががんじがらめになって、少しでもひじが出た、これを評価してくれといったって評価できません。今の状況からすると、ますますそれでは低下するのです。その点をぜひ考えていただきたいと思うのです。  時間がもうありませんから、私学だけちょっと片づけておきますが、特別補助金の問題です。これはいろいろ資料をいただきましたけれども学校別のがわかりませんから、どうしても論議になりません。というのはなぜかというと、大規模校の場合には、ここに出ている特別な挙げてあるものに該当するものがあるでしょう。ところが小規模の場合にはなかなかそういうものが出てこないのですね。ということになってまいりますと、少なくともこれを打ち破る方策として、ここに学習機会の多様化とか生涯学習振興だとかいろいろなものが挙げられていますけれども、これによる年度別のは出ていますが、学校別に出てないから、大きなたくさん補助金をもらっておるところ、補助をしておるところがまたここが大きくなっている可能性だってあるわけですよ。わからぬからなお言えるわけだな、これは。この点を考えますと、私はどうしてもここをもう一度、学校別をぜひ出してもらって再検討し直す。そして、この特別補助は一方が全部抑えられているわけでしょう。シーリングで抑えられて、一定額になれば、さっき言うわずかだけれども増額した分は、これに全部ほうり込んでいますよ、特別補助を。そうすると、小規模でこういうもののないところでは、低いところに抑え込まれたまま救われるあれがないのですね。しようがないのです。だから、こうした問題をこれからどうするかということを本格的に論議を巻き起こす必要があるのではないか、私はそう思いますが、この点どうですか。簡単にやってくれよ。
  150. 逸見博昌

    ○逸見政府委員 お答えいたします。  ただいま特別補助ということで出しておりますもの、対象が九つございます。このうち、例えば大学院の充実、研究所等におきます教育研究装置……(中西(績)委員「それはもうわかっている」と呼ぶ)この九項目のうち、二項目につきましては、大規模大学というふうなところが優先的に配分されているということでございますが、その他の七項目につきましては、小規模大学、短期大学等にも重点的に配分がなされております。表向き見るほど小規模大学あるいは短期大学が冷遇されておるということではございません。ただ、これが対象項目あるいは配分のあり方につきましては、今後逐次その時点、その時点では適正な物のあり方について検討は続けてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  151. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、検討するときに私たちがそういうものが全部もらえて、一目瞭然、こういう点をやはり措置すべきだとかいろいろなものがあるでしょうから、特別補助金というのは委員会設置して公正にやっておるということは答弁いただいていますから、それを信頼はしますけれども、まだまだ多くの問題があるということを指摘しておきたいと思いますので、ぜひ検討したその結果をまたお聞きしたいと思います。  次に、平成三年度に完成する第五次義務教育学校教職員の定数改善につきまして、皆さんが努力なさったことに対しては私は敬意を表したいと思います。しかし、もともとこれが十三年でやられたというところに大変な問題があると私は思います。まず、第四次が切れてから一年間空白期間を置いて、そして今度は十年間でやるといったものを、行政改革と称して二年間延長して十二年間でしょう。こういうことが、結局さっきから言う十年間の一般会計の中に占める割合、予算が低くなってきた、そのために、そこら辺に全部しわ寄せされていったということをもう一度皆さんが再考しなければいかぬと思うのですよ。その上に立って私たちは物を発想しなければいかぬと思うのです。調査費、二千六百五十万だったと思うのですけれども、間違っておったら訂正してください。本年度予算についていますけれども、具体的に何を今度はやるのですか。
  152. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 調査費は二千六百七十三万だったと思います、ちょっと今見てまいりますが。——それを平成三年度に予算案としてお願いしておりますが、それが平成三年度予算として決まりましてから、まず平成三年度における現行計画、標準法上は完成するという構えになりますので、そこにおいて実際に平成三年度における学級編制、それから教職員配置の状況をまず調査させていただく。それが標準学級という、機械的といいますか、そのとおりやればどうなっているか、それに対して実際はどうであるかということ。それから、平成三年度におきます数字等をもとにしまして、いわゆる各市町村における児童生徒の現状及び今後の推移、推計、こういったものも試算してもらうということを含めた実態調査をしたい。  それからさらに、いわゆるよく国際化ということで外国と比較されます。外国の、いわゆる標準法に相当するような物差し、それから運用、こういったものは実はよくわかっておりません。いわゆるパンフレットにして書き物や数字になるといかにも決まったように、わかったように思っていますが、実際にはそんな簡単なものじゃないと思いますので、そういったことも主要国を例にとって調べてみたい、こんなことを思っております。
  153. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうしますと、これは概算要求三千五百五十万だったと思うのですね。三千五百五十万だったと思う。そうすると、それだけに必要な経費というのは、大体今さっきあなたがおっしゃったようなことを推計してこれだけのものが要るということになっておった。ところが二千六百七十三万になったということになりますと、約一千万近く削られたということになりますが、こういう問題についてできるのですか。
  154. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 予算の一つの要求の、もう先生も御存じかもしれません、テクニックというふうに言っていいかもしれませんが、従来よっぽど計算をして、義務的に決まっているような経費は別としまして、これだけのものでやりたいということをしまして、ああわかりましたといって丸々ぽんとくれる経費というのはめったにないわけですね。したがいまして、必要には違いありませんが、十分以上にやりたいような積算をしてきまして、もちろんそれでむだな積算をしたわけではありませんけれども、それを財政当局においてもっとこうやって節約してやってほしいというような観点があったのでございましょう、査定を受けた。したがって、結果としては一千万くらいですか、減りましたが、まあこれで我々のねらっているところは、最小限必要なことはやれるであろうというふうに思っております。
  155. 中西績介

    ○中西(績)委員 そこで聞きますが、できるということを確信をしますが、これを見ると、来年から三十五人学級という第六次を発足させるという、その調査にこれはなるのですか。
  156. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 次の計画をということでナンバーをつければ、それは五次の次ですから六次、高校で言えば四次の次が五次ということになると思いますが、現段階でこの調査費は、まず完成時点において現実どういうようなことになるのか、法律で書いてあるだけじゃなくて、実地にどうなっておるか、そういうことを調べるという基礎的なことをまずあれします。  それから同時に、こういう全国的に調べてもらうものですから、仮に次の教員定数のあり方を考える場合には、子供の数をどう推計するかということと関係しますので、それもやってもらうということで考えておりまして、これですぐ第五次、第六次をどういうふうにやるかということを予算上書き込んであるわけではないということでございます。
  157. 中西績介

    ○中西(績)委員 ちょっと私が心配するのは、第五次に移るときに一年間空白の期間をつくりましたよね。そういうことを考えると、どうも今の答弁からすると空白になりそうな感じがするから。大体この調査はいつごろまでに終わるのですか。
  158. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 調査の項目や仕方、それから都道府県、市町村の段階でどういうふうにやってもらうか等、今後鋭意検討するつもりでございまして、日程的にどうしようかということを、恐縮でございますが、現在の段階で申し上げられない、申し上げられる段階ではないということでございます。
  159. 中西績介

    ○中西(績)委員 これはさっき山原さんも言ったんだけれども文部省、まだ予算が通ってないからということもあるだろうけれども、我々はずっと今までお聞きしても、もう直前になるまでなかなか発表しない、発表しないというよりも答えてくれない。資料を出さぬのですね。だから、どうもやる意思があるかどうかということを私は聞きよるので、そこら辺がもう全然伝わってこないのですね。  ですから問題は、今後十年間の小中高の生徒数の推移はどうかといったら、四年までのものは大体来ていますよね。それから後のものは厚生省の人口問題研究所で推計した数が来ています。これによって、私が本当は聞きたかったのは、この教職員定数の自然減がどれだけ起こってくるかというのを本当は聞きたかったわけですよ。もう予算を出されていますからね。これは我々幾ら反対しても、衆議院で通ったら参議院は一カ月したら通るんだから、今私たちが問題を明らかにして、国民的なものとしてやっていくということはできても、修正までなかなかいかぬのですよ。そういうことになりますと、もう考えるのは、定数で言うなら、来年以降の第六次策をどうするのか。公立高校の場合におきましては、第四次計画が自治省との相談の中で決まったと思いますから、だから今度は第五次のものがどうなるのかということを考えると、今言うようなものを全部我々が手に入れて、これならできるじゃないかということをやはり言わなければいかぬ、我々は。ところが、それを示さぬから、そしていつまでもいつまでもあれしておいて、今度予算を、概算要求の段階でもなかなか出てこぬのですよ。聞くと、研究しているのだろうかと思うような答弁しか出てこぬ。しかし、私は研究はしていると思うから、その点をどうするのかということを今言いよるのです。少なくともこの点について、先ほども言っておりましたように、この前の場合には大変に討論した中身なんですね、この問題は。ですから、少なくともやはりオープンでもってみんなでそれをつくり上げていく。そして、さっき言うように、これだけのものは要るんだということを大臣が堂々と主張して、そして大蔵省に特別枠で、この分だけでも特別枠にすべきだということを提起するくらいの構えを持たぬと、予算というのは取れぬと私は思っています。その決意大臣、どうですか。
  160. 井上裕

    井上国務大臣 今局長から答弁したとおり、私ども平成三年度の予算を審議して、何としても四十人学級をまず終えていただいて、そして今後の教職員定数のあり方を実態調査、二千六百七十三万ついているわけでございますから、これをひとつ勘案し、慎重に研究、検討してまいりたい、このように感じます。
  161. 中西績介

    ○中西(績)委員 検討するだけじゃだめなんで、結論的なものを得て、声明くらいを、井上大臣はこれをやったといって、後世の人にやはり井上大臣だけは違っていたというくらいになってもらわなければだめですよ。そのときに、初めて我々が言う文部行政というものが国民のものになったということになるんじゃないでしょうかね。私はそのことを期待をします。ですから、これを実現するためにもということに最初にまた返るのですよね。ですから、その点をひとつ十分考えておいていただければ、これはもう機会あるたびごとにお聞きしますから、ぜひ検討してください。  あと、留学生問題がありますけれども、これは時間かかりますから、きょうはもう省きます。  文化庁、お聞きしますが、二十七億四千二百万円の増になっております。一般会計の中に占める割合が〇・九一%、もう本当に外国に行って恥ずかしゅうて私たちは説明ができません。四百五十九億七千九百万円です。  そこで、もう時間がありませんから、これだけ聞いておきます。芸術文化振興基金、これが物すごく寄与するようなことを言ったんですけれども、ことしの予算で芸術文化振興基金の国の拠出金はふえましたか。
  162. 遠山敦子

    ○遠山(敦)政府委員 芸術文化振興基金、おかげさまで今年度から配分の仕事も順調に進んでまいっております。来年度に向けて概算要求五億円の出資増ということで要求をいたしましたけれども、全体の非常に厳しい財政状況ということを反映いたしまして、今年度の内示の中では、その増は認められなかったという結果でございます。
  163. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、私たちは五百億というこの金額が、何千億ということであるなら、けたが一つ違うておりはせぬかということを言ったわけですね。ところが今度五億円だってふえていかないでしょう。これをふやさずに、必ず措置をしたということで置き去りにされていくから、僕らは反対したのですよ。その結果がもう既に初年度になって出てきたと言わざるを得ないわけですね。この点ひとつ十分認識をしておいていただきたいと思うのです。  民間からの百億の問題、どうですか。
  164. 遠山敦子

    ○遠山(敦)政府委員 民間からの百億を政府からの出資金五百億に加えまして寄附をいただくということで進捗しております。それで、現在のところ百三十五社から百十三億円の寄附の申し込みがございます。年度内に順次拠出をいただきまして、相当の額を拠出いただく予定になってございます。
  165. 中西績介

    ○中西(績)委員 あとこれの配分だとかいろいろな問題について聞きたいのですけれども、時間がありませんから、この次に回します。  そこで、公立学校施設整備費、ようやく四十一億七千五百万の増になりました。これは五千億を超える額が昨年は二千二百四十六億円に落ち込んでしまったのでしたね。この中身についていろいろ論議がまだたくさんありますけれども、これはきょうは残しまして、ただ一つ私は聞いておかなくてはならぬのは、四十一億を超える増額をしたけれども、その増額をしなければならぬ理由は何だったのですか。
  166. 菴谷利夫

    ○菴谷政府委員 公立文教施設の予算につきましては、これも先生重々御承知でございますが、十一年ぐらい前は非常に多くて五千五百億ぐらいでございました。それが十一年かけて減少してきたわけです。  時々御質問いただいておりますけれども、この理由としては、児童生徒が減少してきている。それと並行した形で事業量が減少してまいっておりまして、それを毎年見ながら減額ができた。それをさらに、こういう厳しい時代ですから、他の文教予算に厳しい枠の中で活用できた、そういう実態で動いてまいりました。ところが、この二年ぐらい前から減少の仕方がちょっと少なくなりまして、ということは事業量が横ばいになってきた。そして来年、といいますのは平成三年度ですが、これは少しふえるだろうといういろいろな要素から見込まれまして、平成三年度向けの予算として増額を要求した、こういうことでございます。
  167. 中西績介

    ○中西(績)委員 そのとまったということ、それからふえるということ等についても、これはまだよほど論議をしておかないと、先ほどから申し上げるように、実は足りないのに我慢をし我慢をししてきておったという過去の私たちの経験があるわけですね。特に、私たち昨年文教委員会で長野に調査に行きましたね。長野県、長野市、そして群馬、栃木と行きましたけれども、そこで出てくるのは、もう全部この分をぜひ増額してほしいということを各県、市の教育委員会から要請をされてきたわけですよ。ですから、そうしたことを考えますと、将来に対する見通しと、これからのこの分についての措置をどうするかということになってくると、今まではこれを減額することによって、シーリング枠をかけられれば、それを全部そこに当て込んでおったものが、逆に増額していくということになりますとどうなるかといったら、これからはよほどどこかに財源を求めないとこれができないということになるでしょう。プラス・マイナスうんと必要になるわけですからね。ですから、こうした点についての論議は残します。  それから、一言だけ言ってください。これはだれですか。子供の権利条約については現状どうなっていますか。一言で答えてください。済みません。
  168. 長谷川善一

    ○長谷川(善)政府委員 お答えいたします。  子供の権利条約の批准に向けまして、現在外務省を中心とする関係省庁の担当者によりまして、逐条ごとに条文の日本語訳、それから意味内容、国内関係法規との関連等々につきまして、鋭意検討が重ねられているという段階でございます。
  169. 中西績介

    ○中西(績)委員 いつも文部省が、例えば週休二日制の問題にしましても何にしても、荷物になるという声が上がっておったから、今度はそのようにならぬように、むしろ推進役くらいになってもらって、これをすることによって本当に人権を、そして一番大事な教育を受ける側の立場に立つ教育推進していく中から初めて生まれてくると私は思うのですよ。だから、むしろ文部省が積極的に取り組むということだけ、大臣決意を。
  170. 井上裕

    井上国務大臣 先ほど申し上げましたように、私どもこれに署名いたしておりますので、批准に向けて各省庁と御連絡の上、私どもは前向きに検討いたしたいと思います。
  171. 中西績介

    ○中西(績)委員 これはもう異常な決意をしてもらって、やってください。  次に、同和対策問題について二点にわたってお聞きをしたいと思います。  一つは、何といっても、部落問題を現代社会における最も深刻な、そして重大な問題と位置づけ、国の責任において抜本的、総合的な取り組みを実施することによって、この問題の早急な解決を達成することを求めた同和対策審議会答申が出ましてから二十五年になるわけですね。これを基軸にいたしまして、特別措置法による対策事業の実施で一定の改善を見ましたけれども、しかし、部落問題の根本解決の目標からは、現状は今日なお多くの課題を残したままになっておる。まずこの認識をしてもらわなければならないと私は思います。その上に立って、教育機会均等を保障する課題も同様であるということよりも、むしろ多くの課題がありますけれども、その中でも教育というのは、その最も中心的な課題だという認識をぜひしておいていただきたいと思います。  そこで、お聞きをしますが、部落の子供たちの低学力の実態把握は文部省はされておるのかどうか。なぜ私はこのことを聞くかといいますと、学力保障がなければ到底ここから脱却はできない。したがって、学力保障のための抜本的な対策等、もし計画があるなら、年次計画でもあれば教えてください。
  172. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 同和地区の児童生徒の学力の実態について文部省が全国的な調査を行ったことはございません。ただ、幾つかの都道府県におきまして、それぞれの実態の把握が行われておりますが、それらの調査につきましては、私どもも拝見をいたしております。
  173. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうしますと、各府県それぞれでやられたこの調査等については、実態については、全部じゃないけれども、一部目を通されておるということは今言われました。ということになりますと、この計画なりはないということですか。
  174. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 私どもは、同和地区の児童生徒の学力水準が一般の水準に比べて低い状況にあるということは、先ほど申し上げました各都道府県等の調査の実態から承知しているわけでございます。  したがいまして、その学力向上のためにいろいろな施策、例えば教員の加配の問題であるとか研究指定校の指定であるとかさまざまな施策をとって努力をしておるところでございます。
  175. 中西績介

    ○中西(績)委員 私はこれを見ますと、総務庁による昭和六十年度地域啓発等実態把握の中の概要からいろいろのものがとられていますね。総務庁でこうしてやられることは、主管の庁だということで当然だとあなたたちは言われるかもしらないけれども、少なくともこの学力が低いという認識を行政の側にある皆さんがどれだけ真につかんでおるかということが極めて重要だと私は思うからこのことを聞いておるわけです。そうしないと、その後の今度は行政施策が出てこないわけですね。それを向上させるとか、その内容充実させるとか、こうしたものが出てこないわけです。ですから、私はこのことを聞いたわけでありますけれども、それじゃ各県から出ておる分については一応見ておるということは私理解してよろしいですね。そして、その実態としては低いということを認識しておるということはよろしいですか。
  176. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 幾つかの県につきまして私ども承知しております実態から見ますと、低いということはそのとおりでございます。
  177. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間の関係で細かい一つずつについてはもう触れませんけれども、そこで、こうしたことが今度はいろいろなところに影響が出てくる。まず高校の進学率がどうなっているか、簡単に答えてください。
  178. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 平成二年度で申し上げますと、全国平均が九五・一%でございます。これに対しまして同和地区の進学率は八九・六%でございますので、その差が五・五%ございます。
  179. 中西績介

    ○中西(績)委員 そのことを一つ確認しておきたいと思います。  では、なぜ低いのか。その原因はおわかりですか。
  180. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 これはさまざまな理由があると思いますが、学習環境等が恵まれないことも大きな理由の一つとしてあろうと思います。(中西(積)委員「ちょっと、その後に言われたことを言ってください、ちょっと聞きにくかったから」と呼ぶ)さまざまな理由があろうと思いますけれども学習環境と申しますか、そういう点で恵まれていない点があろうと思います。
  181. 中西績介

    ○中西(績)委員 一九六五年、同対審が二十五年前に出された中では、家庭の経済的問題だとか、基礎学力が低いのは、今言う学習の環境だとか、今度は就職困難だということが極めて影響している、こういうように言われていますね。ですから、これがどうなったかを討論する時間がございませんから、その次に入りますが、それとあわせて、今度は中退率、例えば高校に入って途中で退学をする人が一般の人よりもうんと多い。どの程度になり、その差はどれくらいになっていますか。
  182. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 全国平均で平成元年度の中退率は二・二%でございますが、奨学金、この同和地区で奨学金の受給者となっております高校生の中退率は三・九%でございますので、その差は一・七%あるということでございます。
  183. 中西績介

    ○中西(績)委員 私たちがいろいろなところの調査なりなんなりを見ますと、甚だしいところでは、もう中退率は五倍にもなっていると言われています。特に大規模地域、こういうところあたり、あるいは都市、こういうところでそれが大きい、こういう結果が出ています。この分についても聞きますが、なぜ多いのか、答えてください。
  184. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 中退率の理由としましては、これはさまざまな理由がございます。学業不振であるとか、経済的理由によるとか、進路変更であるとか、家庭の事情とか、学校生活の不適応とかさまざまな理由がございますが、全国平均に比べまして、この対象地区の奨学金受給者に限って理由で多いのは、これは若干ではございますけれども、学業不振という理由による中退が多いということでございますので、さまざまな理由はあるけれども、やはり学習の状況から見て中退に至るというケースがかなりあるというふうに理解しております。
  185. 中西績介

    ○中西(績)委員 だから、やはり基礎学力あるいは私たちが一番心配をしておるのは、基礎的な生活経験あるいはそうした環境が極めて一般家庭に比べると低い面がある。そうなると、基礎的なものがないわけですから、当然伸びなきゃならぬ子たちが今度は学校で疎外をされる。そうすると、学校がおもしろくないから退学をするということになってしまうでしょう。ですから、やはり先ほど申し上げたように、学力というものが、基礎的な学力というものがいかに重要かということがこのことをもってしても明らかになります。ですから、中退率の多いことの理由というものをもう一度やはり真剣に内容的に精査する必要があるし、行政としてもこのことの把握を十分しておくことが私は大変重要だと思いますが、この点については、そのように御認識をいただきたいと思います。  そこで、もう一つ問題になるのが、こういうような状況があるために、進学率が、高校にしても五・五%の差があるし、大学になると半数しかなっていないわけですよ、半分しか。こういう状況というのは、もう一度皆さんなぜ低いのかということの認識をここでしていただきたいと思います。  というのは、私はこの点について、一つの理由として奨学金問題を今までずっと論議してまいりました。奨学金問題は、同和対策事業特別措置法が設置され、そのころは大学における奨学金等制度ができまして、給付されたわけです。そして自来七年間。ところが、残念ながら地域改善対策特別措置法が設定されましてから大学は貸与に変わったのです。このとき私は随分論議をいたしましたが、この七年間に低かった大学進学が一%ずつずっと上昇してきたのですよ。一般の場合にはそんなに上昇してないときにだって上昇したのです。ところが、貸与をすることによって、これが停滞をする。停滞をしたときにはどうするかということを私は論議をしまして、当時の瀬戸山大臣、必要な教育が阻害されるようなことが現実的にあらわれる、このときには考え直す作業をしなければならないということまで言ったわけであります。ところが、今度は入手する資料がどうだこうだということを理由にいたしまして、その論議の空白期間をつくってしまった。私はこのことを考えると、本当にもう残念でしょうがないのです。当時の局長も、もし悪影響が出る場合には検討しなければならぬということまで言っておったのですけれども、それが全く手つかずになってしまった。  もう一つ、今度は高校の場合は、御存じのとおり、これだけが給付制度であったわけでありますけれども、残念なことにこれまた貸与にされてしまったわけであります。今考えてみますと、大学の進学率はそれから停滞しています。それから、高等学校の場合がどうだったかというと、これまたずっと追いついてきたのですけれども、今申しておりますように、七から六、この辺で伸びなくなり、今言われるように五%台、なかなかこれは追いつくことができておりません。これだってもう御存じのように、最初は倍々ゲームぐらいに伸びていったのですから。三〇%しかなかったのが、このようにして二十年の間に倍々ゲームで伸びて、八九%というところまで来ておるわけです。  そこで、私はお聞きをしますけれども、このような状況になっておる。そのときに今までの各大臣局長が言ってきたことは、全部ソフト面の学力向上、同和教育振興など総合的に努力をしていくということを答弁で私いただいたのです。本当にこうした学力の向上なりあるいは同和教育振興の中におけるこのような奨学金問題等について対策をし、あるいは手をかけてきたのか、この点についてどうなんでしょう。
  186. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 貸与制を大学についてとりましたのは昭和五十七年でございますが、このときの全国平均の進学率は三六・三%でございます。これに対しまして同和地区の進学率は一七・六%でございますので、その差は一八・七%ございました。これが平成二年では全国平均が三〇・五%の進学率に対しまして同和地区は一九・七%でございますので、その差が一〇%というぐあいに縮まってきているわけでございます。  それから、高等学校につきましては、六十二年から御案内のように貸与制をとったわけでございますが、このときの全国平均が九四・三%の進学率でございました。これに対しまして同和地区では八八・三%、その差が六%ございましたので、わずかではございますが、その差が縮小してきているというふうに理解しております。  ただ、いずれにしましても、高等学校も大学も、まだ一般地区に対しまして差があるわけでございますので、私どもとしましては、いろいろな施策を通じまして、この進学率の格差の是正と申しますか、それから子供たちの学力水準が向上するように努力をしておりますし、今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。
  187. 中西績介

    ○中西(績)委員 給付制度のときには急激に伸び、それが今言われる基礎になっていったわけでしょう。それからの伸び率というのはもう遅々たるもので、今私たちが指摘しておるように、高校卒というように、例えば就職のときだってなんだって全部そういうふうに書かれているでしょう。それが基礎になっておるときに、このことは問題だと思いますよ。問題だけれども、そのようにみんなしておるときに、この分がなぜ停滞をするのか、追っつかないのか。ここが私は一番の問題だろうと思うのです。ですから、私は聞いておるように、こうして私は質問を何回かして、六十三年、随分問い詰めてきたわけでありますけれども、こうしたソフト面の向上策が具体的にあったかということを聞いておるのです。どうです。
  188. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 いろいろな施策をとっていることを先ほど少し申し上げましたが、具体的には、これも先生御案内のとおりでございますけれども対象地域を持ちます市町村を指定しまして、地域ぐるみで同和教育推進を図るとか、研究指定校を設けまして、教育水準の向上、学力向上を目指す種々の研究を行い、実践を行うとか、さらにはそうした成果を全国的に持ち寄りまして研究協議会を開催するとか、また私どもで同和資料をつくりましたり、それからただいま議論になっております高等学校等の進学奨励費の補助事業を行うというようなことをやっております。そのほかにも、これも御案内のように、教員の加配をするとか、さまざまな施策によりまして、私どもとしましては、私どもなりにいろいろ努力をしているというふうに考えております。
  189. 中西績介

    ○中西(績)委員 そのようにやったと言うけれども、今言うように、中退者の数が全然パーセントが変わってこぬ。追いつかない。減少度合いというのが非常に鈍い。このように好景気の中ですよ、今。好景気の中でもこうだから、今度これが不景気になったときどうなりますか。経済的な問題とかいろいろなものが全部これに影響するわけですから。だから、やったと言うけれども、ソフト面における健康だとか生活だとか結婚だとか就労だとか就学だとか、こういうものが依然として停滞しておるのですよ。ここをどう私たちが考えるかがこれからの大きな課題なんです。それがさっき私が言いましたように、少なくとも総合的対策ということは、一昨日、同僚の沢藤さんの方から質問をしたときに、文化という問題を論議しましたね。生活、その広さ、深い、こういうことをあれしたわけでありますけれども、この文化的環境に恵まれておらないというこのことをどう我々が補てんをしていくかというのが極めて重要なんです。そのときに、今言われておるソフトという問題が出てくるのですよ。その中に就学問題あり、学力問題ありということになってくる。それに対応するものがどうなっていったか。これがなかったら、最も基本になる学力問題を含めて解決にはならないというのが私たちの見方なんです。  ですから、基礎的な生活経験というものをいかに豊かにしていくか。そのことが文化的な、私たちが言う環境を豊かにすることによって本人が大きく伸びるという基礎をどうつくってやるかということになるわけですから、これは個人給付ということだけで切られていく。じゃ何を目標にして同和対策をやっておるかということを私は問い詰めたいのですよ、大臣。それで効果が上がるなら、ここではやらなくちゃならない。この日本でこのような差別が依然としてあるということ、それをなくす一番基礎になるものを我々はどうするかということが今問われておると思うのですね。時間が来ましたからやめますが、ここをもう一回私は問い直さなくちゃならぬと思うのです。  私はきょうはもう時間がありませんからやめますけれども、この次の機会にまたもう一回論議をしていきたいと思いますが、大臣、この点についてだけでも、大臣はどのようにお考えなのか、お答えください。
  190. 井上裕

    井上国務大臣 今局長から御答弁ありましたが、確かに経済的な問題もありますが、私は基本的人権尊重教育推進、また地域の実態を配慮した教育推進、また教育の中立性、こういうものも守られた中で、今局長の言われたような方策をやりたい、このように感じます。
  191. 中西績介

    ○中西(績)委員 今何と言ったか、私なかなか理解しにくい答弁でありましたが、時間が参りましたので、この次この点についてもお聞きをしたいと思います。以上です。
  192. 臼井日出男

    臼井委員長 次に、平田米男君。
  193. 平田米男

    平田(米)委員 井上大臣所信表明されました中で、第六にスポーツ振興についておっしゃっておいでになるわけでございますが、私、これに関連しまして、昨年十二月十八日の委員会でもスポーツ振興基金の設立に当たりまして質問をさせていただきました。その際に一つ問題になりましたのは、最近の青少年の体力がどんどん落ちているということでございまして、文部省からいただきました資料でも、男子は十歳、十六歳、十八歳、女子は十歳、十三歳、十六歳、十八歳、それぞれの年齢で体力診断テストの合計点を比較いたしましても、この十年間下がりに下がっておりまして、最低点を記録しております。こういう現実に対しまして、私は大変危険感を持っておるわけでございます。いろいろな原因があるかとは思いますけれども、最近の子供たちは栄養がよくなりまして体格は非常によくなりました。学力の点は、大学生においては諸外国とは少し問題があるというお話がございますけれども、それ以外の課程においては、学力の点についても日本は大変優秀である、こういうような結果も出ているようでございます。しかし、この中で一つ体力が極めて低下傾向にある。これは歯どめをしなければいけないといいますか、体力の向上を図っていくことがぜひとも必要ではないかと思うわけであります。最近は子供も少なくなってきたということが言われておりまして、高齢化社会に向けて日本の将来の問題点としていろいろ指摘をされておるわけでございますが、この少ない子供が、まして体力が衰えている。先日、我が党の鍛冶委員は、子供たちの成人病といいますか、この点の質問もいたしましたけれども、この体力の低下という問題がいろいろな面で出ているのではないかと思うわけであります。  そういう観点から、私は、この問題につきまして、文部省として真剣に取り組んで、この原因究明と対策について研究を行うべきではないか、このように申し上げたわけでございます。その当時の大臣及び政府委員からは、それなりの、前向きのといいますか、一応の答弁をいただいたとは思っておるわけでございますけれども、今後文部省としてどのようなお考えで取り組んでいかれるのか、もう一度明確なお考えをお伺いしたいと思います。
  194. 井上裕

    井上国務大臣 昨年の十二月十八日の文教委員会におきまして、平田先生の保利前文部大臣に対します議事録も拝見をさせていただきました。また保利先生のいろいろな御卓見もございました。細かい年齢のお話も今ございましたが、私もまさにそのとおりだと思います。  今児童生徒の体力の向上を図るため、文部省としては、学習指導要領の改訂におきまして、体力の向上の観点を重視するとともに、まず指導者向上、各般の施策を講じております。さらにまた、体力づくり推進校、これは約一県一校という形で今四十五校、それから運動部の活動研究推進校、これは六十三校でございますから一県二校ぐらいになりますか、そういう学校を指定いたしまして、体力の向上に関する実践研究、また研究活動にも努めておるところであります。  今お話がございましたように、子供の成人病といいますか肥満体が多いということで、私的にわたって恐縮ですけれども、うちの孫なども非常に困っておるわけですが、今確かに身長も体重もふえた。しかし、この体力の面においては、私どもとはちょっと違って体力がないじゃないか。これは私なりに考えまして、今いみじくも先生おっしゃったように、余りにも恵まれ過ぎておる。私どもが子供のころは、大体五里の道を学校へ自転車で通いましたし、自動車などはありませんでした。そういう点で、今私は文部省の階段を上がっておりますが、今の子供たちはそういうこともなかなかできないのではないかという感じがいたします。ちょっと恵まれ過ぎておるところへ、ましてクラブ活動などにおきましても、なかなか耐えられないという点もあろうかと思います。  これは、ただ単に学校を指定する、そういうことよりも、体力そのものをすそ野の広い——そういう点でスポーツ振興基金をお願いしたわけでありますが、そういう点につきまして、私どもも、このスポーツ振興、特にこの面について文部行政の中の一端として、このスポーツ振興ということを取り上げておりますので、ひとついろいろ御教示をちょうだいすれば幸いでございます。
  195. 平田米男

    平田(米)委員 体力づくり推進校を指定して長年やっておられるということは了解しておりますし、また運動部の活動研究推進校を指定しておられるということも了解しておるわけでありますが、しかし、やっておられながらどんどん落ちておるということでございますので、この辺で別の観点で何か考えなくちゃいけないのではないか。そのために何をやるべきかということを研究するといいますか、対策を練るといいますか、そのような方向性に文部省として態度を新たにしていただく必要があるのではないかと思うわけであります。  十二月十八日の委員会では、野崎局長が、いろいろな資料をまず集めたい、あるいは専門の学者の意見を聞きたい、あるいはスポーツ振興基金の中でもそういう調査研究活動ができますので、そういうものも活用していきたい、こういうような答弁をされておるわけでありますけれども、具体的にどういう新たな取り組みをされるのか、明らかにしていただきたいのです。
  196. 野崎弘

    ○野崎政府委員 昨年末のスポーツ振興基金創設の際の法案審議で、先生からそういう御指摘があったわけでございまして、現在スポーツ振興基金の運用益をどのような形でそういう中でも使えるかとか、それから体力づくり推進校の従来の実績あたりなんかも十分勘案したい、いろいろなことを検討中でございまして、今大臣の御答弁にもありました趣旨を体しましていろいろな検討を進めてまいりたい、このように思っております。
  197. 平田米男

    平田(米)委員 真剣に取り組んでいただくというふうに理解してよろしいわけですか。
  198. 野崎弘

    ○野崎政府委員 この問題につきましては、教育全般にかかわる問題でございますので、幅広い見地から調査研究が行われますように、さらに真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
  199. 平田米男

    平田(米)委員 それでは、次のテーマでございますが、そのときに同時に、スポーツ振興基金が政府の出資、そして財界からの出資で行われるというふうに御説明いただいたわけでございますけれどもスポーツ振興は国民すべての人たちの協力をもって行っていく、こういう観点から、私は例えば青い羽根のような募金運動をしてはどうかという御提案をしたわけでございます。大臣からは、幅広い国民参加というものが得られるようないろいろな資金の集め方について検討していきたい、こういう趣旨の御答弁をいただきましたが、その後具体的な検討をされておられるのか、御説明いただきたいと思います。
  200. 野崎弘

    ○野崎政府委員 この点につきましては、昨年のスポーツ振興基金の創設後、このスポーツ振興基金に対する寄附金については全額損金算入の指定寄附金の指定などを受けまして、現在のところは企業へのお願いを中心にしておるところでございます。  ただ、その際にも先生から、広く一般の、特に個人の方々からも御協力を仰ぐ、そういうことが国民全体によるスポーツ振興に取り組むというようなことにもなるわけで、そういうことを大変考えるべきではないかという御指摘もございました。私ども全くそのとおり考えておるわけでございます。ただ、その具体のやり方につきましては、先生指摘のような青い羽根募金というような形もあるわけでございますけれども、そのほかいろいろな個人を対象といたしました寄附金募集の方法等も考えられると思いますので、この点につきましては、スポーツ振興基金の寄附金を募集しております日本体育・学校健康センターにおいて現在鋭意検討中でございまして、私どもといたしましても、日本体育・学校健康センターと一緒になって真剣に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  201. 平田米男

    平田(米)委員 青い羽根募金というのは、私は一つの例えとして申し上げたわけでございますので、いろいろな考え方ができるかと思います。ちなみに、赤い羽根募金の現状を伺いましたら、平成元年で募金総額が二百四十二億円だそうでございまして、そのコストが二十三億円、約二百二十億円が募金として有効に運用されておる。こういう現実を見ますと、ぜひとも実現をしていただいて、スポーツ振興を通して、先ほど申し上げました青少年の体力向上に役立てていただきたい、体力の向上のためにもお願いしたいと思うわけでございます。鋭意真剣に検討しておいでになるというふうに伺いましたので、早期の実現を心からお願いをいたしまして、次の質問に移ります。  法務省、おいでになっておるかと思いますが、残念なことに千葉大学で司直の手が入るというような事件が起きました。マスコミ等ではいろいろ報道をされておるわけでございますけれども、この事件の概要について御説明をいただきたいと思います。
  202. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 お答えを申し上げます。  概要といいますか、現在三名を贈収賄罪で逮捕しておりますので、その被疑事実を申し上げることといたします。  千葉大学医学部助教授、助教授と申しますか、被疑事実そのものの日時が昭和六十二年当時でございますので、当時助教授の職にあったということでございますから、助教授兼同大学医学部附属病院中央放射線部部長として、同大学が文部省に予算を申請する際に提出する医療機器導入の申請順位を決定する職務並びに同大学医学部附属病院の技術審査委員会委員として同大学が導入する医療機器の性能等に関する入札仕様の決定及び技術審査を行う職務に従事していた被疑者植松貞夫が、横河メディカルシステム株式会社東部支社東京支店千葉営業所所長をしていた深江秀之ほか一名から、今申し上げました職務に関しましてトラベラーズチェックの供与を受け、あるいは海外旅行費用の銀行振り込み送金を受けるなど、合計約二百二十万相当のわいろを収受したということで、この被疑者植松につきましては収賄罪、これらを贈りました深江ら一名については贈賄罪ということで逮捕、勾留して取り調べをしているところでございます。
  203. 平田米男

    平田(米)委員 そうしますと、収賄側の職務権限といたしましては、予算申請の際の権限と、それから予算が通った後の入札仕様書の決定と、それから技術審査の権限、この三点が職務権限というふうに被疑事実ではなっておると理解をしてよろしいわけでしょうか。
  204. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 職務権限に関しましては、ただいま御質問のとおりでございます。
  205. 平田米男

    平田(米)委員 これはもちろん単純ではなくて請託があった収賄罪、こういう被疑事実になっておる、このように理解してよろしいわけですね。
  206. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 ただいま身柄を拘束しております被疑事実そのものの構成は、いわゆる単純収賄罪というように書いてあるように思いますが、ただ、何せ現在まだ捜査中でございますので、これがどのように構成されていくかは、今後の捜査をまたないとはっきりしたことは申し上げられないわけでございます。
  207. 平田米男

    平田(米)委員 逮捕が二月十四日ということでございますので、勾留期間等考えますと、三月の五、六日ごろには処分が明らかになる、このように理解をしておいてよろしいでしょうか。
  208. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 逮捕しましたのが本年二月十四日でございますので、現在、いつごろ処理されるのかということにつきましては、捜査中のことでございますので、はっきりしたことは申し上げられないわけでございますが、通常は勾留期間というのは原則として十日でございます。必要があれば、さらに十日間延長できることになっておりますので、いずれにしましても、その範囲内で処理されるものと考えられます。
  209. 平田米男

    平田(米)委員 法務省はこれで終わりでございます。ありがとうございました。  これに関連しまして、文部省にお伺いをいたしますが、本件で問題になっております千葉大学のCTの購入手続ですね。予算の申請から納入までどういう手続で行われ、また行われる予定になっておるのか、御説明いただきたいと思います。
  210. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 お答えいたします。  これは平成二年度の予算にかかわるものでございますが、平成二年度の概算要求を私ども文部省として八月末日に大蔵省に出すに当たりまして、各国立大学からの積み上げた概算要求の中身につきまして、大体六月ぐらいにヒアリングをいたします。そのヒアリングをする前の段階、三月、四月ぐらいの段階で、それぞれ各国立大学で文部省を通じて大蔵省に概算要求をしてもらいたいという各国立大学ごとの概算要求の内容を積み重ねてまとめるわけでございます。それで、最終的には、その種の作業を行って、文部省に持ってくる段階の前に、大学全体の意思を決定する場合には、評議員会で意思を決定いたしまして、例えば今話題になりました特別機器、というふうに大型機器を私ども言っておりますが、特別機器の順位や何かを決めるわけでございます。  ちなみに、平成二年度の千葉大学から上がってきました特別機器の順位は、腎結石を破砕する機械が一位でございまして、このCTスキャナーは二位で私どもの方に要求が上がってきております。  そういう形で文部省の方に要求が上がってまいりまして、文部省は各大学の要求を見まして、いろいろな整合性を考え、それから、先ほど来問題になっておりました概算要求基準枠をも勘案いたしまして決定するわけでございますが、私どもとしても、千葉大学のCTスキャナーの購入については、文部省としても購入してもいいのではないかということで大蔵省に要求をしたわけでございます。その結果、平成元年一月末の平成二年度の政府予算案の編成に当たりましてこれが認められたということでございます。それに基づきまして、平成二年六月に予算を千葉大学に示達いたしました。このCTスキャナーの予算を文部省から示達したのを受けまして、仕様策定のための検討委員会平成二年八月に設けております。これは先般の鍛冶先生にもお答えしましたとおり、五名の教官で編成されておりまして、植松教授・放射線部長もその五名の中の一人でございます。  それから、その後、その検討委員会等で各大学の調達実績等を参考にして予定価格を策定するわけでございます。予定価格はちなみに二億三千九百三十三万八千円でございます。それを設定いたしまして、官報に入札公告を九月にいたしまして、その入札説明書を受領したのが横河メディカルシステムと東芝メディカル株式会社でございます。それで平成二年十月二十二日に入札がございまして、応札者は横河メディカルと東芝メディカルでございます。  さらに、その応札が終わった後に技術審査委員会で技術審査をいたしまして、それが十月二十六日でございます。メンバーは先ほどの仕様検討委員会と同じメンバーでございますが、その技術審査の結果、横河メディカルシステムがいいということになりまして、東芝メディカルは技術審査で却下したという形になっております。それで一回の入札を経て横河メディカルシステムが予定価格内に入っておりましたので、ちなみに二億二千九百六十九万という数字でございまして、約一千万ぐらい予定価格よりも下回った額でございます。そして横河メディカルが落札をした。契約年月日は十月三十一日というふうになっております。  以上でございます。
  211. 平田米男

    平田(米)委員 そういたしますと、千葉大学において予算の請求の順位を決めるのは協議会でございますか、協議会というふうに伺っているのですが、評議会ですか。その辺を少し詳しく、どういうメンバーが入っておいでになって、放射線部長もこれに入っておいでになるのか。メンバー構成、人数等、そしてこれがいつ開かれたのか、明らかにしていただけますでしょうか。
  212. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 全学的に決定いたしますのは評議会でございます。これは学長が主宰いたしまして、部局長構成されております。例えば学部長、文学部長、それからもちろん医学部長を含めて各学部長あるいは図書館長、それから附属研究所がありますと附属研究所長とか、そういう部局長構成されております全学的な見地から検討する評議員会で最終的な意思決定を、大学としての意思決定はそこで決められるわけでございます。  それで、その前の段階に、附属病院として評議会にどういうものを持ち込むか、これは病院長も評議員になっておりますが、千葉大学の場合には附属病院運営会議というもの、これは大体全教授会で、ちょっと正確にその構成までは私ども掌握しておりませんが、恐らく全教授で構成されるものだと思いますが、その附属病院の運営会議で附属病院としての評議会に向けての概算要求の内容を最終決定する、そういう仕組みになっております。  日にちにつきましては、平成二年度の概算要求に向けて千葉大学内部の、附属病院の運営会議の開催日にち、あるいは評議員会の開催日にちについては、ちょっと今手元には日にちを持っておりません。
  213. 平田米男

    平田(米)委員 そういたしますと、全学的な評議会には放射線部長は参加をしておいでにならなくて、附属病院の運営会議参加をしておいでになる、このように理解をしてよろしいわけでございますね。  そこで、先ほど法務省に説明をいただきました被疑事実の中での予算申請する際の申請順位の決定の職務があるのではないか、こういう理解をしてよろしいわけでしょうか。
  214. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 その辺になりますと、端的に申し上げますと、刑事事件になっておりまして、被疑事実がそういうものに当たっておりますので私どもとしてはちょっと判断を言うことはお許しいただきたいのです。  先ほど日にちをちょっと持っていないと申し上げましたが、附属病院運営会議の日にちは、概算要求の重点事項を決めた日にちは四月十七日でございます。それから、それが評議会に上がりまして、評議会の決定は、評議会の審議は六月二十二日、概算要求事項を審議決定ということで、重点事項については学長に一任することを了承ということになっておりまして、その学長が評議員会で重点事項の一任を取りつけまして重点事項を決定いたしましたのが六月二十九日、そういう日付になっております。  先ほど私が申し上げました順位の問題でございますが、これは附属病院運営会議において附属病院としての評議会に向けての順位をどうするかということを決められたときに、一位が腎結石破砕機、二位がCTスキャナーであった、そういうことでございます。
  215. 平田米男

    平田(米)委員 経過についてはおおよそ理解をさせていただいたわけでございますが、文部省としてもあるいは大臣としても降ってわいたような事件だという思いでおいでになって、大変な御心労かとは思うわけでございますけれども、おととい我が党の鍛冶委員がこの件について質問をさせていただきましたときに、この問題に対してどのような対処をされるのか、有識者に対しまして機種選定のあり方について諮問をしたいというような御趣旨の答弁があったようにも伺っておるわけでございますが、もう少し具体的に対応策をお示しいただきたいと思います。
  216. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 最終的な事実関係を私どもとしてもかちっとした形で把握しておりませんので、その事実関係を把握し、かつまた各大学で行われております仕様検討委員会なり審査検討委員会の実情も十分把握した後に、問題点があるとすればどういう点であるかということを、これは有識者と申しましたが、医学部関係関係者等を含めましていろいろ検討をしていただき、必要があれば改善策を探ってまいりたいということでございまして、今の段階で具体的にこういう点だということは私ども持ち合わせておりません。  ただ、私は、人数がこの大学が五名でほかの大学に比べると検討委員会の人数がやや少ないのではないか、もう少し大きな人数の方がいいのではないかというようなことをやや感想的に述べましたが、きょう共産党の先生からの質問の過程の中で、横浜市立大学は人数は十四人であった、だから人数だけの問題でもないのじゃないかというようなことを指摘されたところでございますので、改めてそういう人数の問題も含めて、事実関係、それから各大学の実情等を詳細に検討して、必要な改善策を探ってまいりたいというふうに考えております。
  217. 平田米男

    平田(米)委員 おっしゃることは当然かと思います。事実関係調査をし、また他大学についても調査をする、その上で問題点を洗うということは定法でございますが、具体的に、例えばそのための調査委員会文部省内に設置をする、その上で有識者で構成される対策検討諮問機関的な審議会、そういうようなものの設置を、今具体的にはお決めになっておいでにならないかもしれませんが、構想としてはお持ちなのかどうか。もしお持ちならば、その辺を明らかにしていただきたいわけです。
  218. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 今のところ、有識者から御意見を伺いたいという気持ちは持っておりますが、それを調査委員会という形にするのか、あるいは担当の職員、課長以下の職員が有識者と意見交換をするという形でその問題点を探るのか、その点についてはまだ白紙の状態でございます。
  219. 平田米男

    平田(米)委員 そうしますと、その事実関係調査あるいは各大学の調査というのはどのような方法でやられるお考えなのでしょうか。できれば、これは大きな問題でございますので、しかも他大学といいましても大変な数に上るわけでございますので、やはりプロジェクトチーム的な調査委員会というのを文部省内に設置をすることが、国民に対しても、この問題に対する文部省の取り組みの姿勢というものを明らかにする意味でも、大変いいことではないかなというふうに私は思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  220. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 確かに大型機器というのは、単に医療機器だけではございませんで、理工系関係でもかなりの大型機器がございます。したがって、私どもは、これを機会に、単に医学部あるいは病院だけではなくて、大型機器の購入に当たる場合の仕様検討委員会とか機種選定委員会が現実にどういうような機能をしているかというようなことも含めて調査をしたいというふうに考えておりますので、それが調査委員会とか検討委員会という形をとるかどうかは別といたしましても、やはりある程度体制は整えていかなければいけないだろうというふうに感じております。
  221. 平田米男

    平田(米)委員 文部省としては厳正な態度で臨まれるということは、既に大臣も明らかにしておいでになるわけでございまして、その姿勢というのはわかるわけでございます。しかし、それを形にするということが私は道筋の中では非常に大事なことではないかと思うわけでありまして、行政秩序の中でもそれは必要なことだろうというふうに理解をするわけでございます。そういう意味で、ぜひともそういう方向性で国民にわかりやすい文部省のこの問題に対する取り組み姿勢というものを示していただきたい。再度お答えをいただきたいと思います。
  222. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 いずれにしましても、私どもとしましては、この問題の事実を把握することはもとよりのこと、今後二度とこの種の事件が起きないよう最大限の努力をするということで臨みたいというふうに思っております。ただ、その場合にどういう体制づくりでやっていくかどうかというのは、まだこれから検討しなければならない事柄でございますので、何とも言えないわけですが、とにかくそういう姿勢で臨んでまいりたいというふうに思っております。
  223. 平田米男

    平田(米)委員 大臣にお伺いをしたいのですが、今回千葉大学で、まだ捜査段階でございますけれども、こういう事件が持ち上がったというわけでございます。振り返りますと、八三年には東京医科歯科大学とか、あるいは八四年には大阪大学を初めとして幾つかの大学あるいは文部省内、文化庁等で不祥事もありました。また八五年には福島県立医科大学でも事件がある。こういう事実が並んでおります。そして昨年の十一月には東大での職員の空出張というようなものも明らかになった。こういう事実を目の前に並べられますと、国民は一体大学とは何なのだろう、こういう不信感というものを抱くのではないかと思うわけであります。ある新聞の社説などでは、こういう問題は医療機器に限らないんだ、病院とかあるいは医学部に限らなくて、他の学部でも同じような問題があるのではないか。例えばいろいろな実験設備あるいは機器の購入、あるいは委託研究、こういうのに絡んで業者と教官との間に日常的な癒着関係があるというようなことをおっしゃっているところもあるわけです。これは私は事実あってはならないと思うわけでございますが、大新聞社が社説の中でこういうことを堂々と言っている。これは大変ゆゆしきことではないかと思うわけでありまして、学問の府であるべきところが、そこの大学の自治を預かっておられる教授、そういう方々が業者と金銭関係等で黒いうわさを公然と批判をされる。このようなことが繰り返されていくならば、日本の大学に対する国民の信頼というのは崩壊をいたします。また、ひいては学問の自由を守るべきための大学の自治というものもおかしくなっていく。私はそういう意味で、この問題は一つ千葉大学の問題というよりも、大学のあり方あるいは大学自治のあり方という観点からこの事件を見て、そして対策を考えていかなければいけないのではないかと思うわけであります。  今官房長から調査委員会についてそれなりのお話はあったわけでございますけれども、私は、もっともっと文部省としては、この問題に対する高い次元の意識でもって素早い取り組みが国民からは期待されているのではないか、こんなふうに思えてならないわけでございますが、大臣としてはいかなる所見をお持ちいただいているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  224. 井上裕

    井上国務大臣 今官房長が答えましたが、服務規程の中に厳正に、何回も公務員としてのあり方、そういうものを通告また通知しているわけでありますが、このような事件、特に大学のプロフェッサーの問題でございますので、今先生おっしゃるように、非常に国民の信頼を失った、損なった、本当に遺憾のきわみであります。調査委員会を設けるか、あるいはまた大学の中でそのような検討委員会を設けるか、いずれにいたしましても、今捜査中の段階でありますから、私どもとしても省内におきましてひとついろいろなお話を詰めて、二度とこういうことのないように、一人一人の倫理問題もあろうと思いますが、何としても防ぐような方法、そういうものも考えていかなくてはならないのではないかなということを痛切に感じておる次第であります。
  225. 平田米男

    平田(米)委員 やはりもう一歩踏み込んだ御認識をいただきたいなというふうに私は思うのですね。  大学のあり方については、他の委員からもいろいろな御質疑がございました。私も大学には入ったわけでございますけれども、ある意味では失望いたしまして、途中でやめてしまいました。司法試験を目指したわけでございますけれども、やはり今の若者が何を求めて大学に行くのか。少し話がずれるかもしれませんけれども、そういう意味でいろんな問題を今はらんでおるわけです。その根源にあるのは、やはりこのような不祥事が続いておるようでは、教育者たるべき者が、学問の先達者であるべき方々がこういうような非難を大新聞社から受ける、そういうところが私はまず根源的な問題ではないかと思うわけであります。これを改善するために、文部省が強力な権限を持って大学を管理をする、管理の手を強めていく、これはまた学問の自由、大学の自治を侵害をする、そういう危険性も出てくるわけでございます。  そういう意味から、大学関係者の厳しい自己規律といいますか自己反省といいますか、そういうものを強く望みたいわけでございますけれども、やはり文部行政を預かられる大臣といたしましても、大学の自治を守りながら、なおかつまた、このような不祥事を起こさない、というよりも、これはないのが当たり前でございまして、その上で国民の信頼に足る大学をいかにつくっていくか、そういう観点で、この問題を機縁にして新たな、大臣、就任早々で大変かとは思いますけれども、しかし、だからこそ新しい発想でこの問題に取り組む姿勢をぜひともお示しをいただきたいわけでございます。この答弁、直ちにこの場でお答えをいただきたいというような簡単な問題ではないと思います。しかし、文部省として、大臣として、これからの大学の再建といいますか、そういう方向に向けての、また目に見える具体的行動等をぜひともとっていただきたい。もう一度御答弁をお願いします。
  226. 井上裕

    井上国務大臣 私なりには考えておりますので、早速いろいろ文部省内の各、この医療器具のみならずいろいろな業者がおりますので、そういうことも含めて、また大学には大学の自治がございますし、それに干渉ということになるとまたあれでございますので、ひとつ私なりに考えさせていただきたい、このように考えます。
  227. 平田米男

    平田(米)委員 よろしくお願いします。  次に、厚生省にお伺いをいたします。  これは大学病院で起きたことではございますが、しかし、これはまさに医療関係のところで起きたという意味で、ひとり大学の問題ではなくて、医療関係全般の問題ではないかというふうに私は思うわけでございますが、この問題に対しまして厚生省はどのような御認識を持ち、またどのような対応をされるお考えなのか、明らかにしていただきたいと思います。
  228. 澤宏紀

    ○澤説明員 厚生省におきましては、国民に有効で安全な医療機器が提供されるよう、医療機器の研究開発支援開発から品質チェックに至るまでさまざまな措置を講じているところでございます。今回伝えられておりますような不正常な取引があったというようなことは、国民の医療機器、また医療機器産業に対しての信頼感をゆがめるなど、大変遺憾であるというように思っているわけでございます。  そこで、厚生省といたしましても、業界、これは日本放射線機器工業会でございますけれども、業界の代表を呼びまして、業界の全体として取引及び流通等につきましての適正化に取り組むよう指示を行ったところでございます。  今後とも医療機器についての公正な取引が行われますよう、関係業界の適正な指導監督に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  229. 平田米男

    平田(米)委員 もう少し具体的に、どのようなことをされたのか、説明していただけますか。
  230. 澤宏紀

    ○澤説明員 放射線機器工業会を呼びまして指示をしたところでございますけれども、具体的には、この取引及び流通について何か業界としてルールづくりのようなものができないかというような話でございまして、それを受けまして、業界としても検討していただくことになっておるわけでございます。
  231. 平田米男

    平田(米)委員 伺いますところ、医療用医薬品の製造業については、公正競争規約というのがあるそうでございますけれども、放射線機器工業の関係では、医療機器関係ではそういうものがないというふうに伺っておるわけでございますけれども、そういうものをつくるように指導される、そのようなお考えはないのでしょうか。
  232. 澤宏紀

    ○澤説明員 先生おっしゃられますように、医薬品の場合には、そのような規約ができておるわけでございますけれども、医療機器の場合でも、そのような規約をつくるのを考えてみてはどうかというふうには言っております。
  233. 平田米男

    平田(米)委員 つくる方向性にあるというふうに伺ってよろしいわけですか。それによってこのような不祥事が二度と起きないような対応を厚生省としても積極的に考えておいでになる、このように理解してよろしいのでしょうか。
  234. 澤宏紀

    ○澤説明員 そのように理解していただいて結構でございます。
  235. 平田米男

    平田(米)委員 医療業界はいろいろなことを言われておりまして、業界関係者は今回の事件は氷山の一角だなどというふうにも言っておるわけでございまして、先ほども課長がおっしゃったように、やはりこういうような問題は国民の医療に対する信頼を崩していくことになると思うのですよね。国民は、私もそうでございます、皆さんもそうでございますが、ちゃんと健康保険料を払っておるわけでございまして、それがすべてこういうものに変わっていくわけでございます。それがこのような不正な問題に使われていく。一体何のために保険料を払っているんだ、こんなことにもなっていくかと思うわけでございまして、これは一医療機器の問題ではなくて、医療全体のそのような問題解決に積極的な姿勢を示していただきたいと思います。  会計検査院おいでいただいていると思いますが、会計検査院は昭和六十一年度には、やはりこの医療機器の予定価格の問題について指摘をしておいでになるわけでございますけれども、その概要については私も理解をしておりますので、今回の問題につきまして、今後どのようなお考えで取り組まれるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  236. 藤田正二

    ○藤田会計検査院説明員 お答えいたします。  大学病院の検査におきましては、従来から私どもも高価な医療機器については重点を置いて検査をしてまいりました。また指摘もございますが、今回の事態にかんがみまして、また委員の議論も念頭に置きまして、今後なお一層重大な関心を持って検査を実施してまいる所存でございます。
  237. 平田米男

    平田(米)委員 医療機器の場合に値引き率というのが非常に大きくて、六割どころじゃなくて七割、八割引くというような実態がございます。その六十一年度の会計検査院の調査におかれては、そういう調査ではなかったわけでございまして、為替の問題とか関税の問題だったわけでございますが、この六十一年の実態を見ましても、また、今回の問題を見ましても、どうもその値引き率も、民間と公のものと、特に国のものと少し違うんではないかなという印象も私特っておるわけでございます。公的な医療団体の値引き率も、国のものよりも何か値引き率が大きい、こんなような印象もあるわけでございますが、会計検査院としましても、その点の調査もぜひともやっていただきたい、こんなふうに思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  238. 藤田正二

    ○藤田会計検査院説明員 お答えいたします。  値引きの問題につきましては、本来は業界に特に関係がある問題でして、検査院としましても、具体的にどの程度の値引き率がいいかどうか、そういう問題はなかなか難しい問題でございますが、ただいまの御指摘を踏まえまして、今後重大な関心を持って検査してまいる所存でございます。
  239. 平田米男

    平田(米)委員 では、今度は高校生の中退の問題についてお伺いをしたいと思います。  元年度の調査によりますと、六十三年度に比べて人数で六千四百五十二人増加をし、中退率は〇・一ポイント増加をした、こういう状況になっております。文部省もそれなりの問題意識を持って取り組んでおいでになるかと思うわけでございますが、この中退者の人数を各学校平均で出してみますと、全日制の高校では一校当たり年間二十名の中退者が出ておる、定時制では年間二十四名というふうになるわけでございまして、私も高校入試を経験をし、大学入試を経験してきたわけでございますけれども、子供にとりまして高校入試というのがまず最初社会との遭遇といいますか、社会の波をかぶることでございまして、相当精神的に負担の重いものでございます。中退者もやっとこれをくぐり抜けて高校に入ってきたわけでございますが、しかし、さらにそこで中退せざるを得ないような事態に追い込まれてしまった。そういう中退者の心を考えますと、恐らく大変な精神的な負担、苦しみを味わっているというふうに思うわけでございます。もちろん、そういう苦しみに対しましては、家族の方々、特に両親の精神的支えというものが非常に大きいと思います。しかし、調査があるわけではありませんけれども、経験則的に考えますと、そういう中退の事態に至った生徒たちの家庭環境からしますと、必ずしもそういう家族、両親等の精神的支えというものが大きいとは言い切れないと私は思うわけでございます。  そういう観点からいきますと、こういう中退者に対しまして、まず精神的な負担を和らげ、適切なアドバイスをするためのカウンセリングというのが非常に重要になってくるのではないかな、こんなふうに私は思うのですが、その辺文部省はいかがお考えでございましょうか。
  240. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 御指摘のとおり、中途退学する者はいろいろな悩みを持っていて結局退学するというケースが多いわけでございますので、高等学校におきます教師がカウンセリングの技術とかカウンセリングマインドというものを持つのは大変重要であると考えております。  そこで、文部省では、生徒指導講座を全国的な規模でやっております。中央でまずその講習会を、三週間程度でございますがやりまして、その方々が各都道府県にお帰りになりまして、都道府県でそれぞれまた二週間程度の生徒指導の講座を開いて、生徒指導とか教育相談のいろいろな技術とか方法、さらには基本的な考え方等について研修を深めております。そういう中でカウンセリングマインドをなるべく多くの先生に持っていただいて、そういうカウンセリングマインドを持って子供に接していただくということが必要であると考えているわけでございます。  なお、昭和六十三年度の教育職員の免許法の改正によりまして、大学の養成課程においても、そうした生徒指導とか教育相談、進路指導に関する科目を必ず取っていただく、二単位でございますが取っていただくということで、この教員養成課程における必修科目になっております。そういうことで、教員養成の面でも、さらには現職教育の面でも、このカウンセリングということにつきましてはかなり力を入れているつもりでございます。
  241. 平田米男

    平田(米)委員 努力をしておいでになることはわかっておりますが、例えば文部省がやっておいでになります筑波でやられる生徒指導講座は、予算額が平成三年度では百七十五万七千円なんですね。そして各都道府県の生徒指導講座の開催の予算は一千二百四十七万四千円です、これは全国でやる費用、予算が。大変微々たるものでございまして、これでは本当に胸を張ってカウンセリングの指導をきちっとやっています、こんなことは私は、どうでしょう大臣、言えないんじゃないかと思うのです。年間一校で二十人も二十四人も出るわけでございますので、やはり各校に一人は中退者専門のカウンセリングの訓練を受けた教員がいなければいけないと思うわけであります。そして各クラスの担任は、少なくとも自分の高校から中退者が出るということは、その中退者予備軍というのはまだ何倍もいるわけでございますから、そういう方々に対してもカウンセリングをやっていく必要はあるわけでありますから、担任には少なくともそういう中退者に対するカウンセリングの基礎的な訓練というものをしていく必要があると私は思うのです。そういう意味で、ぜひともこれを前向きに取り組んでいただきたいと思うわけであります。  時間がなくなりましたがもう一つだけ御質問しておきますが、今回の中退者の統計を見ますと、私立と公立で問題行動によって中退をされた方の率が倍も違うのですね。問題行動で公立は五%です。そして私立では一〇%でございまして、倍も違うわけでございます。これはどういう原因になるかというのはいろいろあるかもしれませんが、私が自分の体験で、あるいはいろいろな皆さんからの御相談等で伺う限りは、どうも私学の校則が非常に厳しくて、ちょっと校則に反するとすぐ、退学とは言わないけれども退学勧告をされてしまう。そして有無を言わさずやめざるを得ない。子供が反省をして、もう一遍やり直したいと言っても学校側が受け入れない、こういう事態が私はこの数字に出ているのではないかと思うわけであります。どういうやり方がいいのかわかりませんが、例えば教育委員会でそういう相談を受けて、学校とのあっせんをするとか、そういうような制度を私はつくるべきじゃないかなと思うのですが、その二点について、まとめて大臣、お答えをいただけますでしょうか。
  242. 井上裕

    井上国務大臣 十二万人という高校の中退者、大変な数でありまして、これにつきましては、今局長が言われました中学の進学指導、いろいろなこともあろうと思います。しかし、私はやはり社会、家庭、学校、すべてにこれは責任があると思いますが、やはり一人一人温かい気持ちで接していただきたい。  また、今非常に精神的なお話がございましたが、これは小学校の登校拒否とまた違った高校生になって、一人一人自分で精神的に学校へ行きたくないというようなのが、子供と違った、ちょうど青春期になるところであろうと思います。そういう面もよく教育者として理解をしていただいて、そして一人でも中退のないようなことをいたしたい。実は、先生の御質問をいただいて、関係各位の方とも私ども話し合いまして、そして私学の問題、私立高校に対する、ちょっと悪いことしたら退学、そういう指導はしていないそうですが、そういう点につきましても、今後十二分に配慮いたしたい、このように考えます。
  243. 平田米男

    平田(米)委員 どうもありがとうございました。以上で質疑を終わります。
  244. 臼井日出男

    臼井委員長 次回は、来る三月一日金曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十一分散会