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越智国務大臣 小川委員にお答えさせていただきます。
正直な話、各方面からの御
質問と申しますか御見解の御披瀝ありましたものですから、どこからお答えしていいかわかりませんけれ
ども、まず
湾岸のことから申し上げさせていただきます。
湾岸の
復興につきましては、先ほ
どもちょっとお答えさせていただきましたが、直接的な戦禍の及びました
クウェート、
サウジ、あるいはスカッドミサイルを撃ち込まれましたイスラエルというのは、いずれも大変富裕な国でございまして、
先生御存じのように、
クウェートは外貨準備だけでも
日本の倍近く、
日本が今七百億ドルぐらいでございますが、
クウェートは千二百億ドルは下らないと言われておりますので、
かなりリッチな国でございます。国民所得の一人頭も二万ドルまでいきませんが一万七、八千ドルいっているという国々でございますので、御自分の
復興につきましては、資金的な問題ではなくて技術的なと申しますか、そういうことを求めていらっしゃるんだろうと思いますが、まだ先方のそうしたことについての確たる意思が出てきませんものですから、なかなか対応しにくいと思っております。
イラクそのものにつきましては、これは
政治情勢上私
どもが今ちょっとどうこうするということを
考えると申しますか、言い出すわけにいかないような難しい立場だろうと思っております。
その他の比較的間接的な
影響を受けました、言葉はなんでございますが出稼ぎに行っていた方々が戻ってしまったとか、一時的に
石油の値段が上がったために
経済がショックを受けたとか、そういう国々に対しましての支援というのが
日本の役割に回ってくるのではないか。周辺諸国でも産油国でないところは大変に格差が大きゅうございまして、一人頭国民所得が大体数百ドルのところでございますので、そこら辺に対しましてはどういう格好で私
どもは今後支援していかなきゃならないか。広く
世界を眺め渡してみますと、国際収支で黒字が立っているのは今日のところ
日本とドイツしかございません。そしてドイツが東ドイツを抱え込み、さらに東欧の国々がせっかくペレストロイカ的に立ち上がろうと思ったときにソ連の政治体制が揺らぎ、そしてまた中東
紛争のために油がなかなか入ってこなくなったということで、東欧そのものが大変
経済的に苦しい立場になっている。そっちに向かってドイツが力を出さねばならないとなりますと、中東からこちら、アジアにかけては
日本の方に
かなり期待されてしまうという感じがしております。ただそれは
日本の
経済にとりまして大変厳しいことでございまして、先ごろの一兆一千七百億出すのでも大変苦労したわけでございますので、こうしたものをどういう格好で受けとめていけるか、もう少し先方の出方をよく見ていかなければならない、こう思っております。
その次に
先生が、
アメリカが大変
経済として調子がよくなるんじゃないかという御意見でございましたが、私も今度の
湾岸紛争の終わり方は
アメリカ経済にとってはプラスの格好で終わったと思っております。
もともと十―十二月からリセッションに入っておりまして、向こうの
政府としましては、年央という言葉を使った場合もございますし、アーリーサマーという、六月ごろを頭に置いての発言がございましたが、二月に私
どもの
経済企画庁の
審議官を回しましたときには、
アメリカではやや悲観説がございまして、アーリーサマーじゃなしにアーリーウインターまで行っちゃうんじゃないか、不
景気の底を打つときはいつか、ボトムがいつかという
意味ですが、言っていたのですが、今度の
湾岸紛争の終わり方を見ていますと、大体
政府の見通しどおりに行くのかな、四―六が終われば、夏になれば
景気が持ち直してくるかな、こういうふうに思っておりますが、ちょっと逆に言いますと、この終わり方が大変格好よかったものですから、今円安・ドル高に振れておりますけれ
ども、むしろ反動が怖い。
アメリカ経済のファンダメンタルズがもっと表へ出てきたときにはずっと円安
傾向が続くのじゃなくて、反転して、一転して
円高の
方向へ走り出さないとは限らない。その点を私
ども相当神経質といいますか注意深く見ていかなければならない。そんな中で
日本に対する、もっとこうしろ、ああしろ、あるいはいろいろな規制とかそういうものが強く出てくる危険性は、
先生のおっしゃるとおり、ございます。
もともと日米
経済構造協議の一年たったときの見直しがことしの五月の末でございますので、間もなく事務打ち合わせの日取りも決まるのだと思いますが、五月の末と認識いたしておりますが、そこら辺で
日本は大変よくやったと言ってくれるか、何だまだこんなものかということで出てきますか、
かなり厳しく出てくるのじゃないかなというおそれを私は持っておりますけれ
ども、そんなときに日米間の
経済協力をどういうふうにやっていくか、大変つらいところだと思っております。
それから、今国内的な問題につきましてお話がございまして、
設備投資が伸び悩むのではないか、それからまた消費が伸び悩むのではないか、こういうお話でございまして、だから三・八%は難しいのではないかというお話かと思いますが、
設備投資の方は
もともと、大体ここ六十三年、平成元年、平成二年と十数%、二けたの伸びをしてまいりました。したがいまして、六十一年の年末から今日までの五年間で
設備投資の
レベルは大体倍になっております。あのころがクォーターで、四半期別でございますが、六兆から十兆と言われました。今のクォーターは大体それの倍の
レベルで走っておりまして、年間
設備投資総額が八十兆円から九十兆円になっております。そこでさらにそれが六・八%ぐらい平成三年度中にふえるだろうと私
ども見込んでおりまして、ですから減速感は出てきますけれ
ども、決して
設備投資が、
マイナスが立ったり伸びが急に落ちるというものではない。ただ、最近いろいろ方々で試算をして出してまいりますのは余り高くございません。一・幾つとか二・幾つとかそういう数字ですが、今どきの
調査はどうしても後で上方修正になりまして、甚だしいときにはその上に五、六%、結果から見ると上に上っている場合がございます。今の調子でございますとそのことが三・八%の
成長を妨げるほどに
設備投資が伸び悩むということではあるまい。なぜならば、その後ろに省力化のための
設備投資をしなければいかぬ、それからまた技術革新をさらに進めていかないとすぐ追いつかれる、競争力が落ちるという、
設備投資に対するニーズは非常に高いものですから、
金利その他の条件がかなえばまだまだ
設備投資意欲はあるものと私
ども見ております。
なお、消費に関しましては、おっしゃるように普通の消費は、雇用労働力がふえておりますし、就業者がふえておりますし、一人頭の賃金も
計画の上では四・四%の伸びを見込んでございますけれ
ども、まあまあいいと思いますが、おっしゃるようにその中の住宅建設がどうだと言われると、これはやはりいろいろな規制が効いてきておりますので、今、大体百六十万戸ペースで走ってまいりましたが、やや減少
傾向でございますので、これがどう出てまいりますか、心配しながら住宅建
設の方を見ておりまして、これは新しい制度もいろいろとっておりますので、そうした税制やその他の政策が効いてくれば、また堅調さを取り戻してくれるのじゃないか。
いずれにいたしましても、ちょっと不確定な要素が多うございますが、それを今数量的に見込んで組み込んで見直しをするというところまでは来てないのではないか、このように思っておるわけでございます。