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1991-03-07 第120回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月七日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 村山 富市君    理事 青木 正久君 理事 赤城 徳彦君    理事 岸田 文武君 理事 高橋 一郎君    理事 細田 博之君 理事 小川  信君    理事 武部  文君 理事 倉田 栄喜君       石原 伸晃君    木村 義雄君       佐藤 敬夫君    福田 康夫君       福永 信彦君    穂積 良行君       森  英介君    川島  實君       外口 玉子君    目黒吉之助君       大野由利子君    菅野 悦子君       柳田  稔君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      越智 通雄君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局官房審議         官       矢部丈太郎君         公正取引委員会         事務局取引部長 地頭所五男君         経済企画庁調整         局長      末木凰太郎君         経済企画庁調整         局審議官    土志田征一君         経済企画庁国民         生活局長    加藤  雅君         経済企画庁物価         局長      田中  努君         経済企画庁総合         計画局長    冨金原俊二君         経済企画庁調査         局長      田中 章介君         資源エネルギー         庁石油部長   黒田 直樹君         建設大臣官房会         計課長     小野 邦久君  委員外出席者         人事院事務総局         職員局職員課長 福島  登君         総務庁人事局企         画調整課長   菊池 光興君         経済企画庁物価         局審議官    米村 紀幸君         大蔵大臣官房調         査企画課長   松川 隆志君         大蔵省国際金融         局金融業務課長 内野 正昭君         大蔵省国際金融         局調査課長   豊田  博君         国税庁間税部酒         税課長     宝賀 寿男君         農林水産省農蚕         園芸局農産課長 上杉  健君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      上原 達雄君         農林水産省畜産         局食肉鶏卵課長 中須 勇雄君         農林水産省食品         流通局市場課長 本田 浩次君         農林水産省食品         流通局野菜計画         課長      石原 一郎君         農林水産省食品         流通局野菜振興         課長      佐藤  晉君         農林水産省食品         流通局砂糖類課         長       熊澤 英昭君         食糧庁管理部企         画課長     紀内 祥伯君         通商産業省産業         政策局流通産業         課長      古田  肇君         通商産業省産業         政策局物価対策         課長      岩渕 恒彦君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       岡本  巖君         運輸省航空局監         理部航空事業課         長       荒井 正吾君         労働省婦人局婦         人福祉課長   藤井 龍子君         建設大臣官房技         術調査室長   青山 俊樹君         建設省道路局有         料道路課長   小野和日児君         建設省住宅局住         宅・都市整備公         団監理官    竹本 直一君         建設省住宅局民         間住宅課長   小川 忠男君         自治省行政局公         務員部公務員課         長       金子善次郎君         特別委員会第二         調査室長    岩田  脩君     ───────────── 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ────◇─────
  2. 村山富市

    村山委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
  3. 赤城徳彦

    赤城委員 おはようございます。赤城徳彦でございます。私は、当委員会、ことし二年目になるわけでございますけれども質問させていただくのはこれが初めての機会でございますので、どうかわかりやすい御答弁をいただきますようお願いを申し上げます。  昨年の八月二日、イラククウェートに侵攻して以来の湾岸紛争でございますけれども、これも、本年一月十五日の撤退期限が過ぎて、多国籍軍による武力行使クウェート解放、先ごろはイラク側国連決議を受諾するということでほぼ終息に向かいつつあるようでございます。湾岸紛争が思ったよりも早期に解決した。これはやはり国連加盟各国が結束して侵略を許すまじということで努力をした、また、多国籍軍が非常に迅速かつ果敢な行動をとって事の解決に当たったということが功を奏したのではないかなというふうに感じます。我が国としても、単に平和平和というふうに叫ぶだけではなくて、より積極的に平和回復活動に協力していくということが大変大事なことだというふうに痛感いたしました。  ところで、この湾岸紛争が比較的早期に終結したことによりまして、今後の経済世界経済また日本経済がどういうふうになっていくのかということをお尋ねしたいと思います。特にアメリカでは、近年景気が後退しているというふうに聞いております。生産の低下や雇用の減少、そういった景気指標を見ますと、かなり悪化しているということが言われておりますが、一方で、湾岸復興特需があるというようなことも言われております。そこら辺がどういう影響を及ぼすのか。  また、我が国についても、昭和六十一年十二月以来ずっと好景気が続いているわけですけれども、どうもここに来て経済減速ぎみである。先ごろ日銀の企業短期経済観測調査、短観が出たわけでございますけれども、これによりますと、業況判断指数、DIが、製造業、非製造業とも三ポイント低下している。設備投資計画、これが製造業で一・一%のマイナス、これは四年ぶりのマイナスだそうでございます。そういうことで、どうも経済がここへ来て減速ぎみではないか。  そういうこともあわせまして、この湾岸紛争後のこれからの経済長官はどういうふうに見通しておられるか、お尋ねいたします。
  4. 越智通雄

    越智国務大臣 赤城委員にお答えさせていただきます。  大変幅の広い大きな御質問でございますので、十分お答えになるかどうかわかりませんが、今私の胸のうちにあります考えを概略申し上げさせていただきます。  世界経済は、ここのところ、それぞれ各国ごとの問題はありながらも、総じて好景気が続いておりました。これは、世界経済の中では大変珍しい現象でございまして、普通はどこかがいいとどこかが悪いという傾向になりがちなんでございますが、ここ数年と申しましょうか、三、四年と申しましょうか、そういう傾向でございまして、殊にアメリカが、実はレーガン政権の初期のあたりから約八年、長く見れば約十年好景気を続けております。  そんな中での今度のこの湾岸紛争でございますが、この経済的影響、実は非常に心配しましたのは世界的な物価高を招かないか、あるいは世界的に戦争による不況感が漂わないかということを心配いたしましたが、終わってみればと申しますか、あるいは、二月の初めに経済企画庁審議官を各地に派遣いたしました報告を見ましても、各国経済政策担当者は、この紛争経済的にはマネジャブルであるという答えでございまして、何とかやりくりはつけていけるという認識を持っていたようでございます。結果論としましては、これによって経済的な大きなダメージを受けたということはない。もちろん当事国は別でございまして、サウジとかクウェートとかイラクとかは別でございますが、その周辺でもない、いわば先進各国の間ではそのような受けとめ方がされているのではないか、こんなふうに見ているところでございます。  我が国におきましても、実は八月二日にイラククウェートに侵攻しまして以来十月の上旬にかけまして、石油がどんどん上がっていきました。これを大変心配いたしました。八月一日現在でいえばニューヨーク相場バレル二十ドルぐらいのものが、四十ドルぐらいのところまで、約倍のレベルまで上がったわけでございますが、その後かなり戻してまいりました。実際には、いわゆる武力行使の始まりました一月十七日現在では七月末のレベルまで戻っておりまして、これは非常に我が国としては助かったということでございます。また、その間、日本の円が強くなりまして、円高ということもありまして、こうした事態のときに一番起こりやすい突発的なインフレ的傾向が出ないで済んだ。  それでも、武力行使になりますといろいろ問題が出るものですから大変心配いたしまして、御存じのとおり、政府にも危機対策本部をつくり、私ども経済企画庁にも対策本部をつくって、物価担当官などを集め、万全の措置をとるよう手配をしておいたわけでございます。この武力行使も、おかげさまで景気の足を引っ張ることもなく、一部物価にもちろん影響は出ておりますけれども、大きなダメージ日本経済に与えることなく済んだ。その次の段階地上戦段階でこれまた非常に心配いたしましたが、これもそういう影響なく、結果としては二月末をもって紛争が軍事的には終わったわけでございまして、それから見る限りは何とかなった。  また、我が国のいわゆる九十億ドル支援につきましても、正直言いまして、途中でいろいろ中身が変わるというような事態もございましたけれども日本経済成長物価には大きなダメージを与えることなく、これはのみ込んでいけるもの、これはこれから出てくる話でございますが、のみ込んでいけるものと私どもは認識いたしております。  また、今復興のお話が出ましたけれども、殊にイラクの方はなかなか復興の話までいかないような情勢でございますので、さしあたりはクウェートサウジあるいはイスラエルという戦禍の及びました国の復興でございますが、いずれの国をとりましても実は資金的には大変裕福な国でございまして、それなりの御自分たちのお考えがあっての復興と思われますものですから、まずはそうした国々の御意向をよく確かめてみないとわからない。ただ、いずれにしましてもその復興は、ある意味でどちらかの国には経済的にはプラス要因に働くこともございますけれども、裕福なお国であるだけに、資金の取り崩しの仕方いかんによって国際金融市場の方に影響が出ないように、よくウオッチしていかなければいけないかな、こういうことも今感じているわけでございます。  我が国経済にとりましては、今の政治情勢その他から考えますと、特に、何と申しますか、復興特需と申しますか、そういうプラス要因日本経済に来るということはまず考えなくていいんじゃないだろうか、あえて言えば、当てにしてはいけないんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。  御質問の後段にございました、その湾岸の問題を抜きにして、日本経済は今どうなんだ、こういう御質問だったかと思うのでございますが、御存じのとおり、五十カ月も景気上昇局面が続いておりますと、それなりに成熟してまいります。いわば四十代の体になった日本経済というわけでございますので、常に従前以上に注意深く健康管理をしていかなければならない。景気上昇局面が続いたときに一番早く出やすいのは物価上昇でございますので、何よりも物価上昇考えていかなければならない。また、その意味でも成長が、今までの五%台の成長から私ども考えている三・八ぐらいに持っていった方が、実は全体の運営としてはよりやりやすくなるんじゃないか、こんなふうに思っておりますが、現状におきまして、今お述べになりましたような設備投資とか、あるいは景気の、企業家の見た景気観ですね、これは必ずしもそう今までどおりではございません。しかし、成長率マイナスに立つというような問題ではございませんし、日本成長は大体二%前後に来ますとかなり不況感になります。全国平均が二%というのは、かなりマイナスの立つ地域も出てまいりますし業種も出てまいりますものですから、そこまではいってはいけない。しかし、五%というスピードは、今ずうたいの非常に大きくなった日本経済にとってはちょっと息切れのするスピードだと思いますので、何とか今の状況ならば、我々、巡航速度と呼んでおりますが、三・七五というのが五カ年計画の設定した成長率でございますが、それにほぼ同じの三・八をやっていけるものだという考え方で経済運営に当たっている、こういうことでございます。
  5. 赤城徳彦

    赤城委員 ありがとうございました。  日本経済も四十代ということでございまして、私も三十代に入りまして、まあ二十代がピークだったかなと思いますので、ぜひ日本経済の方も健康管理に気をつけながらこの好景気が続くようにお願いいたしたいと思います。  それで、石油価格の方に入りますけれども、先ほど長官からもお話ありましたように、ほぼ紛争前の段階まで戻ってきたと言えるんじゃないかと思います。階段をずっと上ってきて、またおりてきて、原油価格、いろいろな指標のとり方があると思うのですけれども、ほぼもとフロアまでおりてきたということが言えると思います。  さて、日本石油元売各社の値段はどうなっているのかということでございます。今現在は、過去六回価格改定をやって、まだもとフロアまで来てないんじゃないかなというふうに思いますけれども、その辺はどうなっておりますでしょうか、お尋ねいたします。
  6. 岡本巖

    岡本説明員 御説明させていただきます。  私ども湾岸危機が発生しまして以降、昨年の九月に石油部長名元売各社に対しまして通達を発しまして、各社のいわゆる卸価格仕切り価格と申しておりますが、これの改定については、原油価格なりあるいは輸入する石油製品価格なり、そういうものの変動に伴った各社ごとコスト変動に見合ったその範囲内で改定をするようにという指導をやってまいりました。その結果、昨年の九月と十月にはかなり値上げをするに至りましたが、十一月はほぼ横ばいになりまして、十二月以降、一月、二月と三カ月連続して元売各社仕切り価格かなり値下げを続けてまいりました。その結果、二月の仕切り改定が終わった時点で見ますと、湾岸危機発生前の仕切り価格レベルに対しまして、おおむね三、四円高いというレベルにまで落ちてきております。  私どものヒアリングは、前の月に各社が実際に船積みをした原油なり輸入石油製品についてのコストを翌月の上旬に聞くという形で行ってきておりますが、あすから、二月中に日本元売各社が実際に調達をし船積みをした原油等についてのコスト変動報告を聴取することにいたしておりまして、例えば二月の極東向け原油指標価格でありますドバイ原油価格というのは、前の月に比べまして四ドル八十五セント・パー・バレルぐらい下がっておりますので、こういうものを反映した各社ごとコスト下がりぐあいについて、あす以降、各社ごとに詳細に報告を聴取して、その結果に見合って、多分今月の仕切り改定というのもかなりの下げになろうかと思いますので、そういう結果として、先ほど先生指摘のように、危機前の仕切り水準かなり近づいていくという方向での仕切り改定が行われるものというふうに考えております。
  7. 赤城徳彦

    赤城委員 今月の原油価格といいますか、先月の原油価格が今月に反映されるということでございまして、三月の価格改定、これが非常に期待されるわけでございます。終わりよければすべてよしということで、ぜひ最後まできっちりとチェックし、指導していただきたいというふうに思います。  仕切り価格の方は、ほぼまたもとに戻るということでございましたけれども末端の方の価格ですね、小売価格、これが直接生活に響いてくるわけなんですけれども、これがどういう状況か、お尋ねしたいと思うのです。  私の方でちょっと調べたところによりますと、仕切り価格の方はまあ大体三円ぐらいだと思いますけれども、昨年の八月時点に比べて三円ほど高い水準になっている。小売価格の方は、日本エネルギー経済研究所調査なんですが、去年の八月二十七日にレギュラーリッター当たり百二十一円だったものが、現在、これは二月二十五日ですけれども百二十九円ということで、かなり高い水準でとどまっているのではないかと思います。まあ階段を上がるときはどうも大またで上がっちゃった、おりるときは小またでおりてきて、元売価格かなりもと価格に近づいているんだけれども小売の方はちょっと高いところにあるんじゃないかなというふうに思いますけれども、その原因は何なのか、お尋ねいたします。
  8. 岡本巖

    岡本説明員 御説明申し上げます。  販売業界価格、昨日、先生今御指摘になりました石油情報センターの毎週一回やっております今週月曜日時点での調査の結果を発表いたしましたが、それによりますと、ガソリンのレギュラー価格で百二十八円というレベルに現在至っております。  それで、今の御指摘でございますが、販売業界におきましても、昨年九月以降、毎月、元売各社仕切り価格改定が行われるのを受けまして、末端販売価格改定を行ってきておりますが、個々販売業者について事情を見ますと、元売会社からの仕入れ価格変動のほかに、販売店個々事情として、人手不足に対応するための人件費増高でありますとか、あるいは最近、ガソリンスタンドの改装とか大型化という設備投資かなり行われているわけですが、これに伴います金利償却といったコストアップ要因を抱えているケースも多々ございます。  それからもう一つ、かなり元売会社で、従前販売業者元売会社、間に特約店が入る場合が通例でございますが、元売仕切り価格事後調整という非常にわかりにくい、いわば不明朗な取引慣行というのがあったわけでございますが、これが湾岸危機を契機に急速に是正をされまして、そのことが販売店にとってのコストアップになっているという要因も一つございます。  こういう人件費あるいは償却金利事後調整によるコストアップ、そういったものについて、販売業者においても極力企業努力での吸収ということを私ども期待はしているわけでございますが、先生御存じのように大部分中小企業、しかも一企業ガソリンスタンドという業態のものがほとんどでございますので、おのずからそういったコストアップを吸収するにも限度があるという事情についても御理解を賜りたいと思います。  そういったことを考えてみますと、私どもとしては総体として見ました場合に、末端販売価格につきましてもおおむねコストに見合った元売仕切り改定、それを受けての販売店価格改定ということで、便乗値上げに至らない範囲での末端価格の形成が行われているのではないかというふうに考えております。
  9. 赤城徳彦

    赤城委員 末端ガソリンスタンドというのは、大変営業時間も長いわけですし、冬の間なんかは寒い中で水を使って、いわゆる三Kという、汚い、きつい、また給料も非常に安い給料でやっているという現状だと思います。せめて給料ぐらいは、人件費ぐらいはちゃんと見てやらないと人が来ないというふうな状況なんじゃないかなというふうに推察するわけでございます。  ただ、翻って考えてみますと、元売仕切り価格の方は、原油価格の前月の平均、また金利とか保険料とかそういったものを勘案して決めた。人件費については、これは勘案されてなかったと思うのですね。逆に言うと、そっちの方はかなり大変だったんじゃないかなということを感じるわけです。末端の方についても、ではどこまで人件費を上げたら適正なのか、どこまでいったら便乗なのか、事後調整が一体どのぐらいだったのか、これはかなりわかりにくい部分じゃないかなというふうに思います。その点についてぜひ、人件費、本当にかかったコストはどこまで、どこからが便乗なのか、そういったことをルール化していく、はっきりさせていく、そういうことも必要なんじゃないかというふうに思います。  なお、元売の方は月決めの卸価格決定方式をこれまでやってきたわけですけれども湾岸紛争も終わってこれを廃止するという方向だと聞いておりますけれども、一方で元売の方で自主的にこれを継続するというような話も聞いております。これは新聞報道で出ておりましたけれども、日石がこの改定方式を自主的に続けるという報道がありまして、その中に、従来の検査項目原油価格精製費保険料、そういったものに加えて、人件費とか事務経費、これも加味していくというような話でございましたけれども、今の話からしますと人件費も、これはコストですから、これを正当に転嫁していく、これは当然のことだと思うのですが、人件費が上がったから値上げするのです、何かそういうふうに値上げ理由に使われてしまうのじゃないかなということを心配するわけです。これはけさの新聞に出ておりましたけれども石油化学製品なんですが、三菱油化が石油化学製品値下げしないという報道がありまして、その理由としては、人件費物流費などが以前から未転嫁になっていた部分がある、それが今回のナフサの値下がりより上回るので値下げしない。今まで我慢していたものをここへ来て値上げをするんだ、あるいは値下げをしないんだというふうな動きが出ているのじゃないかと思います。  ですから、価格改定方式をやめるとして、その後どういうふうにこれをチェックしていくのか。また、元売が自主的に価格改定方式をやるということについてどういうふうに考えるのか、お尋ねしたいと思います。
  10. 岡本巖

    岡本説明員 御説明申し上げます。  まず、販売店についての人件費でありますとか、ほかに償却金利というようなコスト事情があろうかと思いますが、これについてのルールづくりという点につきましては、ガソリンスタンドだけで全国五万八千、企業数で三万二千という大変大きな数でございまして、それから、御案内のように、東京と地方といえばかなり人件費を初めとしましてコスト事情に違いがありますものですから、私ども一般的なルールをつくるということには必ずしもなじまないのではないかというふうに考えておりまして、むしろ末端価格について便乗的な動きがないように、それを牽制する意味でも昨年の八月末以降、従前は月一回石油情報センター末端価格調査をやっておりましたが、それを週一回に頻度を高めるということで、末端価格についてのきめ細かな調査というのをやっておりまして、これを続けていくということにいたしたいと考えております。  他方、先生今御指摘の、元売会社についての人件費あるいは物流費ということについても実はかなりコストアップ要素になるのは事実でございます。昨年の九月のコスト変動報告、それを受けての各社仕切り改定の際にこの点についての元売側からの要望があったのも事実でございますが、私ども、こういう状況下でございますので、最大限企業努力でもってコストアップを吸収していただきたいというお願いをしまして、その結果として今日までのところ各社はそういう部分についてはみずからの企業努力で吸収をするという対応をしてくださっているところでございます。  それから、御質問の、今やっております毎月のコスト変動報告をどうするかという点についてでございますが、これは昨年九月の石油部長通達におきましても、今の不安定な国際石油情勢が落ちつくまでの当分の間という、あくまでも時限的な措置としてやりますということで始めたものでございます。したがって、そういう状況に至れば、私どもこれはやめるべきというふうに考えておりますが、現在のところ、湾岸の戦後処理がどういう形で最終的に解決をされるかという点については予断を許さない側面がございますし、それから国際石油情勢についてもなお先行き不透明な部分がございますものですから、いましばらく事態の推移を見きわめました上でこの件についての扱いを決めていきたいというふうに考えております。  それから、元売各社が先週末から今週にかけまして、新聞報道にございますように、その後自主的に、今の毎月コストを見直してその結果に基づいて仕切り価格を改めていくというような考えが一部の会社にあるように、これは話は聞いておりますけれども、例えば先生が引き合いに出されました会社を含めまして具体的にどうするかということは必ずしもまだ決めていない状況でございまして、各社においてもこれからおいおい勉強がなされていくものと思っております。  私どもとしては、いずれにしましても、過去半年続けてまいりましたことの一つの教訓としまして、コスト状況についてできるだけ消費者なり国民の皆様に情報を開示して、どんどんそういうものを提供していく。そういう意味で透明度の高い形で石油製品価格改定が行われるということがこれからにおいても大変大事なことではないかというふうに認識をいたしております。
  11. 赤城徳彦

    赤城委員 時間もございませんので最後の質問にさせていただきたいのですが、今回の湾岸紛争、ずっと経過しまして、石油政策について、指導についておおむねうまくいっていたのではないかなと思います。ただ、今まではお上がずっと目を光らせていたからうまくいったけれども、その目がなくなった途端にまたもとのもくあみになるということのないように引き続き頑張っていただきたいというふうに思います。  なお、中東のこの問題を通じて、我が国がいかに石油に依存しているかということを痛感したわけでございますけれども、今後代替エネルギーの開発とか、中東だけでなく地域的に依存度を分散していくというようなことも必要ではないかな。価格についても透明度を増していく。消費者にもよくわかるような情報システムを構築していくということが必要ではないかなと思いますが、湾岸紛争を経た今後の石油政策についてどのようなお考えか、お尋ねいたします。
  12. 越智通雄

    越智国務大臣 赤城委員指摘のように大変大事な教訓を得たわけでございますので、これを踏まえて頑張っていきたい。  ひとつほかの地域からもっと買ったらどうだというのは、これは今なかなか言い出しにくいいろいろな問題がございますから、慎重にやっていかなければならない。また、では、それのスイッチした先をどこに求めるか。その先が例えば中南米でございますと、依然としてやはり政情不安その他の要素がございますので、スイッチの先が難しい。もう一つは、では石油を少なくとも燃料として使うということをなるべく少なくするために、まずはやはり省エネルギーの政策をしていかなければならない。その場合の代替エネルギー、当然原子力その他の問題が出てくるわけでございますので、このこともよくやっていかないと省エネルギーがいかない。そういう二面からぜひ石油の問題に対処していきたい。  もう一つ、私ども経済企画庁としましては、国民生活を守っていくという立場からいいますと、石油というものは生活の中にいろいろな格好で、石油製品という格好でしみ込んでおりますので、それを大変心配いたしております。  先ほど委員の御質問にも出てまいりましたが、今度のケースで一つ勉強しましたことは、クルードオイルの値段とナフサの値段が背離した、違ったということでございまして、これは戦争行為といいますか、戦闘行為と申しますか、あのために、御存じのように飛行機とか戦闘用の車両が普通のガソリンじゃございません点もございますので、ナフサが高どまりいたしますと化学製品に非常に直接的な影響が出ますものですから、それがまた一番国民生活の中にしみ込んでいるいろいろな要素が入ってくるもので、クウェート御存じのとおりナフサの生産量の非常に高いところなものですから、その意味でこれからはナフサをどういうふうにして取得していくかということも、石油一般じゃなくて、考えなければいけないのじゃないかというふうに考えて、慎重を期していきたい、こう思っております。
  13. 赤城徳彦

    赤城委員 終わります。ありがとうございました。
  14. 村山富市

    村山委員長 細田博之君。
  15. 細田博之

    ○細田委員 私は、以前に通産省の物価対策課長というのを拝命していたことがありまして、ただいま農林省御出身の赤城委員が通産関係物資を質問いたしましたので、私は、最近いろいろ問題のある農林物資について中心に御質問をさせていただきたいと思います。  第一に、最近大変野菜の価格が値上がりをしているわけでございます。これはきょうも大変大きな、後の御質問にもあろうと思いますが、白菜が約二倍、キャベツが二・五倍、ピーマンも二倍弱というふうに大変な高値を呼んでいるわけでございます。他方、安いものは、タマネギとかバレイショとかキュウリとかネギとか、そういうものもあるようではございますが、平均すると非常に高い。しかも、二倍という高値のもののほかにも、大根とかニンジンとかホウレンソウ、レタス、そういったものが二割ないし四割値上がりしているわけでございます。これは対前年比でございますから、大変な消費者に対する圧迫要因でございますが、この辺の現状において認識がどうかということについてお尋ねしたいわけでございます。  そして、あわせて、時間の関係もありますから三つほど同時に答えていただきたいと思いますが、そのような高値で推移した野菜価格が、今後春物が出ることによりまして鎮静化していく見込みがあるのかないのか、あるいはこのまま高値で推移するのか、この辺の今後の見通しについて農林水産省の方から御見解を賜りたい、これが第二点でございます。  それから第三点は、こういう野菜が高騰するのを防ぐために野菜供給安定基金というものがありまして、これは下落のときに大いにいわば補助金、価格差補給金などを出すときに使われるときが多いわけでございますが、やはり高値のために委託栽培のようなことを行ってそれを放出するということも行われているようでございますが、現在どのような品目についてどのぐらいこの安定基金を運用しているのかどうかという点について、この三点手短にお願い申し上げます。
  16. 石原一郎

    石原説明員 御説明させていただきます。  まず、野菜の価格状況でございます。御指摘のとおり、本年産の野菜につきましては高値で推移しております。  まず、その要因といたしましては、本年度の秋冬野菜でございますけれども、夏場に高温で雨が少なかった。その後たび重なりまして台風があった。九月の末から十月にかけて、また十一月の末にも極めてまれな台風があったわけでございます。そういうことがありまして、この秋冬野菜の種まきの時期なり生育の初期段階におきましてかなり影響が生じております。その後、暖秋、秋も暖かかったわけですが、暖秋、暖冬ということで生育も一時好転には向かったわけですけれども、依然としましてキャベツ類の葉菜類を中心に、暖かいということで逆に病害虫が発生したですとか、作柄が前進化した、また、台風の影響が残りまして根の張りが足りないということで、小玉化と申しておりますけれども、サイズが通常ですとL、2LというサイズからMサイズになったというようなことがございまして、二月の野菜の卸価格は御指摘のとおり前年をかなり上回る水準で推移したところでございます。  個別に品目を申し上げますと、東京都中央卸売市場におきます二月の主要野菜の卸売価格は、前年の同月に比較しまして、全体といたしましては約一割高でございますけれども、個別的にはとりわけ収穫量の減少が著しかったキャベツ、白菜、ホウレンソウなどの葉菜類につきまして三割から、おっしゃられたように約二倍。トマト、ナス、ピーマン等の果菜類につきましては一割ないし二割高。なお、逆にキュウリ、ネギ、レタス、タマネギにつきましては一割から四割前年を下回ったというような状況にございます。  次に、春以降、春野菜の見通しの件についてでございます。主な春野菜の作付の動向を見ますと、ほぼ前年並みの作付が行われております。また、春野菜は大体十月の下旬以降種まきなり定植、苗を植えかえるわけですが、定植が行われております。その後の天候は、一時二月の下旬に寒波があったわけですけれども、基本的に暖冬ということで推移してきております。したがいまして、生育はおおむね順調になっております。したがいまして、今後の天候いかんにもよりますけれども、このままの天候が続きますれば、これらの春野菜が出回り始める三月中旬ころからは野菜価格も鎮静化するのではないかというふうに考えております。  なお、この野菜価格の高騰に関しまして、野菜供給安定基金を初め種々対策を講じておるところでございます。このような高騰に対しましては、主産地へ担当官を派遣いたしまして出荷要請をいたしますとか、出荷団体に対しまして出荷の確保の協力方を要請いたしますとか、一月二十五日から野菜供給安定基金によりますキャベツの放出を実施しますとか、また、二月の上旬にはキャベツ、大根につきまして前倒し出荷なりを実施してきたところでございます。とりわけ野菜供給安定基金によりますキャベツの放出につきましては、数次にわたりまして実施してきておりまして、現在も目方百トンの放出を実施中でございます。一月二十五日以降の実施で、昨日の段階までですが、おおむね二千四百トン近く放出しているような状況にございます。今後とも、これら対策なり野菜供給安定基金等の適切な運用によりまして野菜価格の安定には努めてまいりたい、かように存じております。
  17. 細田博之

    ○細田委員 キャベツの野菜供給安定基金からの放出などについて聞きましても、あらかじめ委託生産を九州の方に頼んであって、幾らで引き取るからという話で、それをわざわざ東京まで運んできて売るのだけれども、長期に時間がかかるから品質が劣化してもいけない。そうすると、非常にかたい、傷みにくいキャベツをつくる。そうすると、普通キロ二百円ぐらいのキャベツが小売に出しても百円ぐらいで、豚カツの横につけたり、ちゃんこなべみたいなところに入れないと食べられないぐらいかたいような感じで、値が半値なんだそうでございますが、そういうことでなかなか、安定基金のいわゆる高値対策というのはそううまく機能しないような気もするのです。機能しにくい。  しかし、いろいろな行政指導その他やっていらっしゃるということは、農林省さんもこういう気候やその他いろいろな変化によって上下、乱高下するものについて大変御苦労が多いとは思いますけれども物価全体を見守っていらっしゃる経済企画庁とされて、特に我々国民生活に大きな影響のあるこの野菜の物価高騰問題について、どういう姿勢で、農林省とどういうふうに話し合ってやっておられるか、また、どういう方針であるかということをひとつ御答弁願いたいと思います。
  18. 越智通雄

    越智国務大臣 細田委員にお答え申し上げます。  今お話がございましたように、農林省にお願いいたしまして、大変いろいろ策を打っていただいておりますが、この放出そのもの、二千四百トンないし二千六百トンぐらいあったと思います。前倒しの方だけでもまた別に二千数百トンございますけれども、それでなかなか値を冷やしにくい点もございますけれども、あれをしていなかったらもっとひどい数字になったかもしれない、こう思っております。  ただ、一つ別の観点から申しますと、実は、野菜のお値段がはね上がるのは東京周辺と大阪周辺でございまして、放出もほとんど、そのトン数の七割が東京圏、三割が大阪圏でございました。先生のお国表の島根県と東京とでは野菜のお値段が大分違うわけでございまして、実は、野菜というのは生産費よりも輸送コストと申しますか、こん包したり運んだりする方に金がかかってしまうということでございますので、やはり消費圏の近くから安定的に供給できる体制をつくることが根本的な解決でございまして、その意味では、まさに日本列島の一つの地域の偏重、ゆがみをどうやって直していくかというところが一番の根本じゃないか。農林省の方ではさらに供給安定基金の運用等は御検討いただきますけれども日本経済全体から見れば、そのような観点からも考えていきたい、このように思っておる次第でございます。
  19. 細田博之

    ○細田委員 よろしくお願いを申し上げます。  ただ一点、ちょっと認識において違うところというか差がありますので申し上げますが、鳥取県においても広島県においても島根県においても、都会地に比べて野菜は決して安くないんです。所得が低い割に、野菜価格というのは地方においてもほとんど同じでございまして、なぜ我々はこんなに農村圏に住みながら野菜が高いのかといぶかるほど高いわけでございますので、その点はひとつ、東京にお住まいの、東京御選出の大臣にもぜひ御認識を賜りたいと思います。  そうして、次の問題に行きますが、この農林水産統計月報、一番最近号を見て私も大変驚いたのでございますが、野菜の十四品目価格を見ますと、大変西高東低です。これは、小売価格においては東京と大阪を代表的に出しているわけでございますが、大阪の価格が大変に高いわけでございます。例えば、大根においては二割、ニンジンは五%、白菜は四割、これは全部大阪が高いのでございます。ホウレンソウが九%、ネギが八割、レタスが三割、サヤエンドウが一二%、タマネギが二〇%、安いものは里芋ぐらいでございまして、あと、キャベツやキュウリやトマト、ピーマン、バレイショなどは大体似たようなものでございますが、大変に大阪が高くなっているわけでございます。  これはいろいろな事情があると思いますが、かいつまんで、どういう事情によるものかということをちょっと御解説を願いたいと思います。
  20. 石原一郎

    石原説明員 御説明させていただきます。  農林省統計情報部の青果物の価格調査によりますと、野菜の小売価格につきまして東京と大阪を比較いたしますと、品目により若干の上下がございますが、御指摘のとおり大阪の方が高くなっております。また、小売価格に限らず、卸売価格について見ましても、大阪の方が総じて高いものとなっております。そういう意味では、小売価格はこの卸売価格が反映したものだというふうに考えておるわけです。  なぜ、大阪の卸売価格が東京に比し総じて高いかということでございますが、一つは、野菜の主産地が、北海道、茨城、千葉、神奈川といった大産地が基本的に東日本に偏っております。それからまた、東京におけるこのような大産地の立地が、茨城県、千葉県、神奈川県といったように近接して立地しておるわけです。逆に大阪の方への野菜の供給と申しますのは、九州ですとか四国の徳島県といった、距離が離れているところに野菜の産地があるというのが実情でございます。  また、同じ野菜、例えばネギなわけですが、東京と大阪で嗜好の違いがございまして、東京ですと白ネギ、大阪の方では、統計上は同じネギと出るわけですが、青ネギが主体であるといったような違いがございます。  また、白菜なわけですが、大阪の方は段ボール出荷が出荷形態としては主流になっている。それに対しまして、東京の方は束ということで、二個束ねたような形での出荷形態ということで、出荷形態の差異がございます。  個別に具体的に申し上げますと、先ほど御指摘がございましたように、例えば大根、ニンジン、白菜、ネギなんかは大阪の方が高いわけでございますが、大根につきましては、東京への供給というのは千葉県、神奈川県、それに対しまして、大阪の方は徳島県の方が供給している。また、ニンジンなんかを見ましても、東京の方は千葉県、北海道、それから、大阪の場合は北海道、長崎県。また、白菜につきましては、東京へは茨城県、しかも束出荷でやっておる、それから、大阪の方につきましては茨城県から運んだり和歌山県から運んでおる、しかも段ボール出荷であるというような事情がございます。逆に、先ほど里芋というお話もございましたが、里芋以外に例えばキャベツ、ピーマンにつきましても、キャベツは十一月の東京への供給は千葉県でして、大阪へは鳥取県から供給しております、主な産地がです。この時点におきましては大阪の方が高いわけですが、十二月になりますと産地が愛知県になります。十二月の価格を見ますと、上中下旬ででこぼこはありますが、ほぼ同水準ではないかというふうに考えております。また、ピーマンにつきましては、十一月は東京が茨城県が主産地、大阪へは宮崎県でございます。この時点におきましては、東京へは茨城県から供給しているということもございまして、大阪の方が高いわけです。逆に、十二月になりますと東京の方へも宮崎県のピーマンが供給されるという事態になりまして、そういう意味で十二月は東京の方が大阪より値が高くなっております。  そういうことで、基本的には産地のそういう距離なり嗜好及び品質なり出荷形態なりというようなことが原因になっているのではないかというふうに考えております。
  21. 細田博之

    ○細田委員 今御答弁がありましたように、やはり西日本は絶対的に野菜の値段が高いのですよ。委員長もそうでございますが、これは大阪だけの調査しかないから大阪しか出ないのでございまして、西がずっと高い。したがって、全国的な政策ももとよりでございますけれども、農林水産省としては、西日本における野菜の流通対策とか産地対策というものをもっとしっかりとやっていただかないと、所得を単純に計算いたしましても、野菜食料が高いために実質所得が減るという地域格差が発生いたしますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。  次に、牛肉・オレンジの自由化の関連で、簡単にお答え願いたいのですが、もう間もなく四月から自由化されます。これは、特に価格の面で従来大きく問題にされてきたところでございますが、四月に入りましてからの今後の価格の動向で特に大きな変化が見られるかどうか、見通しについてお答えいただきたいと思います。
  22. 中須勇雄

    ○中須説明員 ただいま御指摘のとおり、いよいよこの四月から牛肉の自由化が始まるわけでございます。自由化後、牛肉はだれでも自由に輸入ができるということでありまして、自由化初年度につきましては七〇%の関税が課せられる。したがいまして、海外価格、為替レート、それで日本に到着した段階で七〇%の関税がかかって日本国内に流通するということになりまして、さまざまな変動要因というか、海外相場なり為替レート等不確定な要素がございますので、価格水準について見通しを明確にするということはなかなか難しいというふうに私ども考えております。  ただ、御承知のとおり、この関税水準自体も、当初七〇%でありますが、逐次六〇、五〇というふうに各年低下するということになっておりますし、自由化に伴う流通の合理化等の進展によりまして、牛肉価格については逐次緩やかに低下していくのではないか、こういうふうに一応見通しておるわけでございます。
  23. 上原達雄

    ○上原説明員 オレンジについてお答えいたします。  オレンジにつきましては、近年、輸入割り当て枠の拡大に伴いまして緩やかにふえてきたわけでございまして、九〇年につきましては十四万五千トンの輸入量になって、これは対前年で一三%増でございます。  本年四月の自由化後の見通しについてでございますが、当面は、輸入の大宗を占める、約九〇%以上を占めているカリフォルニアが、昨年十二月に数十年ぶりの大寒波に襲われまして、生産量が前年より六三%も減る、対前年比で三〇%強ぐらいになるというふうに激減する予想でございまして、したがいまして、カリフォルニアにかわるような輸入先も非常に乏しいようなことでございますので、輸入量の減少、価格上昇というのが当面は予想されるわけでございますが、中長期的に見てみますと、この自由化の結果といたしまして輸入量が徐々にふえていくんじゃないかと予想しているところでございます。
  24. 細田博之

    ○細田委員 大体この農林省の政策も大変すばらしいものがありまして、ソフトランディングといいますか、大変に大きな悪影響が予想された問題についても当面は問題がないような感じでございますけれども、ただ、在庫圧力が大分牛肉の方であるようでございますし、また、寒波という異常事態に救われた面もあるようでございますから、これからやはり日本のミカン農家とか牛肉農家に対しまして相当影響の出る可能性のある問題でございます。緊急関税の仕組みだとかいろいろな保護的な仕組みも考えられてはいるようですが、機動的に考えていただき、これは物価面で下がるというのはいいことなんですが、それだけまた農家が悪影響を受けることですから、適正な政策がとられるようによろしくお願い申し上げます。  最後に、米について伺いたいのでございますが、物価という点からいいますと、非常に大きな問題が議論されておりまして、米の価格差が内外で七倍あるというようなことをよくアメリカ指摘をする。したがって、七〇〇%の関税をかければまあ輸入がそれほどふえないで済むから自由化のスケジュールに乗り得るのではないかというような、いわゆる関税化という提案などもあるように聞いているわけでございますし、また、きのうあたりの新聞によりますと、大分この話がもっともっと進んでいるような報道もあるわけでございますが、私は、現状認識からしますと、大変にやはり、アメリカの米あるいはアジアの米と日本の米というのは価格差が大きい。したがって、ある政党などは、消費者対策から少しは輸入自由化して値段が下がった方がいいんじゃないかと言うところもあるようでございますが、農村という立場から見ると、これは大変な大問題になっているわけでございます。  私、アメリカに住んでおるときに、国宝米というのを毎日食べておりましたけれども、あれでも円の今の百三十何円かの為替レートでいうと三分の一ぐらいの値段なわけでございます。これを一農家当たり百七十町歩のアメリカ農場が本格的に生産すれば、やはり相当なことになるだろう。逆に、アジアの諸国、中国とかタイとか、今つくっている米が長粒種で大分違うとか、中国の米も味が違うというようなことを言う人がおりますけれども、これは、例えばああいう種もみを持っていってふやしてみる、改良してみるということで日本の嗜好に合うようにするということは、簡単ではありませんが可能なことでございます。現にこの国宝米の国府田農場というところの鯨岡さんという人が、日本から行った人でございますけれども、大変に品種改良を重ねまして、十分日本人の口に合うお米をカリフォルニアでつくるということも可能なわけでございますから、この価格差というものはやはり非常に重要である。  この点についての農林水産省の基本的な、価格差についてどういう立場で今交渉しているのかということと、それから、関税化というような提案がありますけれども、これについて妥協するような、あるいは応ずるような考えがあるかどうかという点について、お答えを願いたいと思います。
  25. 紀内祥伯

    ○紀内説明員 お答え申し上げます。  今委員御指摘のとおり、内外価格差につきまして、これは為替レートの変動とかあるいは銘柄、品質が違うとか、比較がなかなか困難な面はありますが、一応現時点で比較をいたしますと、アメリカに比べますと大体六倍程度、タイに比べますと九倍程度という数字が一応あります。  それから、御指摘のとおり、日本の米はこのところ良質米生産に力を入れておりまして、品質的にもすぐれたものであるわけでございますが、日本が市場開放するということを仮に宣明するといたしますれば、そういうものに対応した米の生産は当然東南アジア等で行われることも考えられるわけでございまして、今申し上げました内外価格差のもとでは、私どもとしては、米の自由化というものはとてもできないという考えでおるわけでございます。  御指摘アメリカの関税化の提案、これはアメリカは、試算でございますけれども、一応大統領の諮問機関のITCというところで七〇〇%という試算をしておるわけでございますが、このアメリカの関税化提案にしましても、十年後にはこれをゼロに持っていくということが基本にあるわけでございますし、また、内外価格差自体もこれからどうなるかもわからないという意味におきまして、私ども、ウルグアイ・ラウンドの交渉の場におきましても、関税化には到底応じられない、現在の内外価格差を前提として、関税化にはとても応じられないということを主張しているわけでございます。
  26. 細田博之

    ○細田委員 大変心強い御答弁であったわけでございますけれども、農林水産省の一部には、あるいは経済学者の一部には、どんどん農村の方に水を当ててやれば、水をかければ、体が丈夫になって、コストも下がってきて国際競争力がつくんじゃないかというようなことを言う人がいます。  しかし、私もいろいろ産業政策に長く携わってまいりましたけれども、絶対的に体力がなく絶対的に競争力のないものに水を当てれば必ず死んでしまう。まあ日本の石炭産業を例に出すと悪いけれども、これは幾ら頑張ってもだめな面があって今日のような事態になっているわけでございまして、やはり競争力というものは客観的に認識しなきゃいけないのです。今言われた六倍、九倍というのは絶対的なものでございまして、ちょっとやそっと努力することによってこれが是正されるものではないわけでございます。  他方、やはり我々の基礎的食糧としてのお米、これは大変今後も安定供給が必要でございます。フセインといういい例があらわれましたから我々わかりやすくなったわけでございますが、ああいう人がいつ何どき出ないとは限らないわけでございまして、そういう場合に我が国が基本的に食糧に困らないように、ある程度しっかりとした自給化をしなければならない。そのために無理に水を当てて農業というものを殺してしまうような政策はとるべきではないと考えますので、これは物価面でも御努力をいただくということは前提でございますけれども、ぜひ農業政策、特に国際化政策を誤らないようにお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  27. 村山富市

    村山委員長 川島實君。
  28. 川島實

    ○川島委員 物価問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  私は、物価の件につきましては、日々消費者と申しますか、主婦の立場から実感として受けとめております。そういう立場からお伺いをしたい。特にまた、生活者の立場と申しますか、世の中の私たちが生活をする上で日々いろいろな不都合だとか矛盾とかを感じておるわけでございますが、そういう立場から以下お尋ねをいたしたいと思いますので、ひとつわかりやすく御答弁をいただきたいと思います。  まず、私たち働く者の生活が毎年よくなるためには、物価が安定をして、生活にゆとりが持てることが第一だと思います。総務庁が三月一日に発表いたしました二月の東京都区部の消費者物価指数が前月に比べて〇・三%下落したと発表いたしました。この下落は三カ月ぶり、下げ幅は昨年六月以来八カ月ぶりの現状の規模となっている。しかし、国民一人一人の生活の実感は、必ずしも物価が値下がりをしておる、こういう受けとめ方というか、そういう実感が生まれてこないのは一体どこに原因があるのでしょうかと思うわけでございます。  昨年の総理府広報室が発表した国民の意識調査によると、生活費の増加意識は昭和五十九年度以降の中でも最も高く、六三・七%となっております。五十九年以降の調査の最低で四八・四%でございますから、実に一五・三%の開きがあるわけでございます。こうした原因は一体どこに生まれてくるのでしょうかと思うわけでございます。  日米構造協議によって内外価格差の問題が取り上げられまして、多くの点が指摘をされました。政府も内外価格差対策を総合的に推進するため、内外価格差対策推進本部を設置し、内外価格差の是正のために積極的に取り組んでおると伺っております。しかし、私たちの生活の場では、まだまだ多くの矛盾だとか理解のしにくい物価の問題が多く存在しておると思います。そういう立場に立って私はこれからお伺いをしていきたいと思います。  まず一つは、この三月一日に、消費者物価〇・三%下落に対して経済企画庁は、物価が安定基調にあることが数字で裏づけられたと強調しておるのに対しまして、日銀は、人件費物流費のじり高傾向は変わっていないとしておりますが、国民の側からすると一体どちらが本当なのか、こう戸惑いを感ずるわけでございます。ひとつその点で、経済企画庁物価の窓口だから、国民に対して自信を持って私の方が正流だと言うのかどうか、その辺のことについてまずお伺いをしたいと思います。
  29. 越智通雄

    越智国務大臣 川島委員にお答えさせていただきます。  御質問の最初の前段で、物価が上がってくる生活の実感がするとおっしゃっているお気持ちというか、感じ方はよくわかります。その中で、原因は何だろうか、こういうお話をされましたが、先ほど他の委員にお答えしました中で申し上げましたように、五十カ月も続いております。今五十二カ月目ぐらいに入っておるのですが、やはり成長が続いた後一番怖いのは物価に対するプレッシャー、このことでございます。それを非常に心配しておりまして、それに労働力が不足しているのは、これは日本経済の歴史の中で一番きつい状況に今入っているんじゃないか。諸外国の中でも一番きつい状況に入っておりまして、これはやはり物価を押し上げる一つの要因になってくる。その意味では大変心配しながら見ております。  そんな中でございますものですから、物価の基調はどうだかという点につきましては、実は日銀も私も違っておりません。たまたま今のマイナス〇・三という数字の読み方で違っているようにお感じ取りいただいたかと思いますけれども、月々に、実はこの直前がえらい上がっていまして、細かい数字を申し上げますと、これは東京都二十三区の二月中旬の分で、十六日か何か、あそこら辺を基準にとっている数字でございます。かつ、先ほど来議論になりました生鮮食料品を除くといろいろまた数字が違ってくるわけでございまして、一月一月の数字で別に一喜一憂するのじゃなくて、基本的な流れとしては、物価は加速度的に上がっていくという基調ではないと私ども考えております。  ただ、日銀さんの方が、三重野さんの言葉で言えば物流経費と人件費とおっしゃっていますが、物流というのは、しょせんは人件費が上がってきたときに一番生産費の向上でのみ込みにくい面でございます、経済の分野としましては。ですから、人件費上昇がどうしてももろに出てきがちな面という意味でおっしゃっているんだと思いますが、そうした観点からいいますと、物価は月々に一進一退しているけれども、基調としては、私は、平成二年度大体消費者物価で三%ぐらいになるんでしょうと実績見込みを申し上げている政府経済見通しは、その線で何とかいけるんじゃないか、こういうことを申し上げているわけで、日銀さんもそれが、いや、五になっちゃうよという話をしているわけじゃない、こういうふうに思っております。
  30. 川島實

    ○川島委員 次に、物価の問題につきましては、財政金融政策の運営が一番適切だと言われているわけでございますが、政府はこれについて具体的にどのような政策が行われているのか、お伺いをいたします。
  31. 松川隆志

    ○松川説明員 ただいま先生の御指摘の点でございますが、今長官の方からおっしゃったような認識で我々もおりまして、現在のところ、まず予算の面でいきますと、一般歳出の伸びを名目成長率範囲内に抑えるというような、比較的景気に対して中立的な予算編成をしております。  また、金融政策につきましては、昨年八月に公定歩合を引き上げまして、いわゆる物価に対して予防的な引き締め措置を維持しているわけでございますが、こうした効果もありましてマネーサプライも大分低下してきております。我々といたしましては、こういう金融政策の効果の浸透をいま少し見守っていきたいというふうに考えております。すなわち、現在の時点におきましては、やはり財政及び金融政策については、景気がなお底がたい中で、物価の安定をやや重視した運営をしていきたいというふうに考えております。
  32. 川島實

    ○川島委員 次に、昨年の四月に消費税が導入をされまして、これが物価にどのような影響を与えておるかということに対して、政府当局は、物価上昇率のうちどの程度が消費税の導入に当たるのかはっきりわからない、こう言っているわけでございます。  そこで私は、消費税導入のときに既存の間接税の廃止が伴ったわけでございますが、この既存の間接税の各物品のメリットが国民の皆さんには非常にわかりにくい。還元がされてないんじゃないかという気持ちが生まれているわけでございます。例えば車のモデルチェンジだとか、車種がたくさんふえるとか、いろいろな形でその還元がどこかへ消えてしまうという現状もあるわけでありますが、そのようなところをどういうふうにして企画庁の方はお調べになっておるのか、お伺いをしたいと思います。
  33. 田中努

    田中(努)政府委員 お答え申し上げます。  消費税の導入に伴います物品税等の既存の間接税の廃止による消費者物価に対する効果でございますけれども、物品税の対象品目でかつ消費者物価指数の対象品目であるような品目、これが三十三品目ほどございますけれども、これにつきまして当時の動向を調べてみますと、平成元年の四月におきまして、これらの三十三品目平均いたしまして前月比で四・二%の下落という実績になっておりまして、これに続きまして五月におきまして〇・一%の下落、六月にほぼその効果が出尽くしまして横ばいに戻っているというふうな動きがございまして、これを個別の品目について見ますと、例えば大型冷蔵庫につきましては、四月の消費者物価が前月比で七・六%下落をしておるわけでございまして、また、小型乗用自動車につきましては同じく四月の前月比で六・四%の下落、そういうふうな状況になっておりますので、ほぼ価格に適正なコスト変動の反映が行われたというふうに評価をいたしております。
  34. 川島實

    ○川島委員 次に、国際航空運賃の取り扱いについてお伺いをしたいと思います。  きょうの新聞でも、全日空、日航のニューヨーク、ワシントン発の値引き合戦の新聞報道がなされているわけでございますが、過去に例えば東京―ニューヨークの切符といたしますと、日本で買うよりも外国で買った方が安い。東京―ニュージーランドでも、日本で買うよりも外国で買った方が安い。消費者とすれば、少しでも安いところのを買って乗りたいと思う気持ちは、これはもう世知辛い世の中で、賃金が非常に低いわけでございまして、工夫をするわけです。香港から東京経由でアメリカへ行く場合でも、香港の切符を手に入れて東京から乗ろうとしておった。そういう生活の知恵がある日突然排除される。  団体切符で金融の人たちが買い込んで、個々に店頭で金融会社が売ると、それが非常に安いわけでございますから、それを買って行こうとすると、正規の団体でないから乗ることお断り、こういう状況が生まれているわけでございますが、消費者の立場から、生活者の立場からいうと余りにもひど過ぎるじゃないか。少なくとも香港から東京まで乗らないでくれば、それだけ荷重がかからないで、航空の燃料代が安くなりますし、掃除するのだって楽になると思うわけですが、そういうわかりやすい事柄に対して運輸省はどういう指導をなされておるのか、お伺いをしたいと思います。
  35. 荒井正吾

    ○荒井説明員 運輸省でございます。今の先生の御質問に対しまして御説明を申し上げます。  例えば八九年二月当時、香港―ロサンゼルスという切符と東京―ロサンゼルスという切符を比較いたしますと、香港―ロサンゼルスが二十五万六千円、東京―ロサンゼルスが三十一万四千三百円という時代がございました。差額五万八千三百円でございますので、香港―ロサンゼルスの切符を買って、それが東京から使えるとなると安くなっていた時代があるわけでございます。  ちょっとややこしくなりますが、国際運賃は現在、全世界的に発地国の通貨建てでそれぞれ決めるということになっております。御承知のことでございます。先ほど申しました香港―ロサンゼルスの二十五万六千円、実は香港ドルで決められておりますので、そのときの為替レート、それと発地国の通貨でございますので、現地の物価人件費等を反映した運賃になっております。それが時々格差が生じておる事由でございます。  ところで、現在は香港―ロサンゼルスが三十一万七千六百円と、香港の人件費が上がったり為替が変わったりして、そのような円建て、円換算値段になっております。一方、東京―ロサンゼルスは三十万八千七百円ということで、若干下がっております。そのような結果、差が八千九百円と香港―ロサンゼルスの方が若干高くなっておりまして、現在はそういう事態は実態的には発生しておらないわけでございますが、先生の御質問は、ルールとしてそういうことを認められないものかどうかという御趣旨が含まれておるものと思います。  実は、発地国通貨で建てるということが世界的なルールになっておるわけでございますが、経由地の方から発した方が運賃が安くなるケースが、世界的にもある時期あるわけでございますが、それぞれの通貨で発地国から相手国へ行くという運賃をそれぞれ適用するということが全世界を通じたルールになっておりまして、途中降機をしていく、あるいは途中切り離してやる場合には精算をしてもらう。高くても安くても精算をしてもらうというのが国際的なルールになっておりまして、先生指摘のような安い方を使うというルールが、世界的にまたうまく共通なルールができればそういうことは可能でございますが、それぞれ発地国から相手国、例えば香港―ロサンゼルスの運賃につきまして、日本物価御当局あるいは運輸省は関与できない運賃体系になっております。  我が国といたしましては、我が国発の運賃をできるだけ下げるという方向では精いっぱい対処してきております。日本発の運賃は、ニューヨーク、ロサンゼルス、アメリカ方面、ヨーロッパ方面、それぞれ最近、ここ数年間大幅な値下げをしてきておりまして、その方面では精いっぱいのことをしてきております。実態的にはそういうことでございまして、先生の御指摘のやや複雑な国際運賃、国際ルールをどうするかということは、今後各国の運賃当局とも協議しながら検討していきたいと思っておりますが、現状は以上のようなことでございます。
  36. 川島實

    ○川島委員 答弁が一つ漏れておりますが、団体切符で分割で乗るという件についてはどうですか。
  37. 荒井正吾

    ○荒井説明員 失礼いたしました。  先生指摘部分は、格安航空券と言われるような部分じゃないかと思います。例えばハワイとかグアム方面、特に観光地でございますが、一部の季節、特に閑散期について非常に安い運賃が出回っているという御指摘ではないかと思います。  一部の閑散期に非常に安い運賃が出回っておることは、私ども流通の方から聞いてやや知っております。それで、いろいろ原因を探っておりますが、安いこと自体悪いというふうな見方ではございません。理由をいろいろ調べてみますと、旅行代理店が、自分の代理店の手数料が若干ございますが、それを取り崩しましたり、あるいは宣伝の一環として宣伝費をつぎ込んで、言ってみれば出血サービスをする運賃がございます。なぜそのようなことをするかといいますと、目玉商品をつくって弱い代理店が客寄せをする。それで行きますと、その席は十席ありますが、売り切れましたから、その隣はどうですかというようなたぐいにも使われるケースもあります。そのようなケースばかりではございませんが、一般的に非常に安いのは目玉商品じゃないかと聞いております。  運輸省の姿勢はどうかということでございますが、そういう運賃が安いこと自身は大変結構なことだと思っております。ところで、そういう運賃が一部の人にしか回らないとか正規の店で売られないとか、あるいは客寄せや目玉商品として誇大な表示で使われるということにつきましては、利用者の不公平感が発生いたしますので、困ったこともあろうかと思っております。運輸省といたしましては、正規の割引制度をなるべく拡充することによって、そういう安い運賃が正規のものとして出るような努力をしていきたいと思っております。  余り知られていないことかもしれませんが、国内運賃におきましては昨年四月から割引制度を非常に拡充いたしまして、平日にお年寄りが乗られますと一人二五%割引だとか、家族が閑散期に乗られますと二五%、超閑散期に乗られますと三五%割引だというようなことを昨年四月に実施いたしました。  さらに、昨年十二月から太平洋線と欧州線につきましてアペックスという運賃を初めて導入いたしましたが、これはエコノミーの切符に対しまして、太平洋線では約五〇%引き、欧州線につきましては六〇%引きの運賃を実は適用されております。これは余り知られておらないわけでございますが、外国のエアラインの抵抗があったわけでございますが、ぜひこういうふうなのは正規の運賃として認めたいということで、昨年十二月から実施したりしております。  不十分でございますが、そういう方向努力をしてきておるところでございまして、今後もそういう方向で対処していきたいと考えております。
  38. 川島實

    ○川島委員 そういう安い航空運賃ができ上がることについては、割引制度が確立されることについては大いに歓迎をしたいと思いますが、先ほどの外国で買った場合、こちらでそれがルールとして各航空会社、最初の出発地でその通貨にかえる。かえることまでのルールは、これはもうやむを得ないかもわかりませんけれども、私ども考えておりますのは、国々によっていろんな競争があり、今の六〇%や五〇%は割引した切符を手に入れておる旅行者も非常におるわけですね。本当に為替レートの関係だけであれば、そのときの為替レートで日本円に直せば、ここから出発する場合はこれだけの格差のお金を払ってもらわなきゃなりませんよというのが、これが公正な扱いだと思うんですね。今の扱いは、そういう切符は受け付けられませんと排除の関係になっておりますので、その辺今後是正ができるのかどうか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  39. 荒井正吾

    ○荒井説明員 答弁が不十分で失礼申し上げました。  今の先生の御指摘で、いろんな発地の切符は、精算すればどこでも使えるということでございまして、香港からの切符のケースで、一部新聞報道で、拒絶したとか乗せないという事態が発生したと言われておりますが、それは精算をしていただければ、高くても安くても乗れることになっております。その精算をするときに、安い切符を高い切符にただで交換するということは、現実のルールではできないということになっておるわけでございまして、そういう手続を踏んでいただければ、搭乗拒否ということは現実にないわけでございますが、言ってみれば、違う切符で乗っていただくのはお断りしたという事態が発生したというふうに聞いております。
  40. 川島實

    ○川島委員 時間もありませんのでそれ以上追及をしませんけれども、為替レートの関係だけであれば、向こうで買った金額の関係だけをはっきり聞いて、それで証明書でももらって、その格差の配分の分だけ直せばいいと思うわけでございますが、その辺のところはひとつ今後御検討をいただきたいと思います。  次に、野菜の価格差の件についてお伺いをいたしたいと思います。  先ほど質問がございまして、東京都の野菜の高騰についてキャベツ等を放出し、今までに二千四百トン出している。全体で八千トンぐらい今保有をしておって、二千四百トンなくなった、こういうお話でございますが、実は今、東京都近辺だけがこういう形で高騰をしてきている。非常な勢いで、三割、四割というのは非常に大変なことだと思います。  実は、愛知県の例をちょっと申し上げますと、毎年野菜の出荷安定対策という形で、春キャベツを初め十三品目に一億四千六百四万円の補助金。それから、ミツバを初め三十六品目の特定野菜の価格差の補助金として八百十三万九千円。それから、夏と秋のそういう野菜の供給補助金として九千七百四万円。これは大根、キャベツ、ジャガイモ、タマネギ、キュウリ、トマト、レタスの関係でございます。そういうような形をとって県内の野菜の価格の安定のために努力をしているわけです。今年度、愛知県は農協の情報システムに四億ばかり予算措置をいたしておりまして、そういう情報をきちっとしながら、県下のそういう野菜の安定のために資する、こう言ってやっているわけです。  そういう点から考えますと、国の方がもう少し各県の情報を集めていただきまして、いろんな季節的な問題点もあろうかと思いますけれども、上がる前、上がる前にきちっと対応がなされないものだろうかと思うわけですが、その辺についてお伺いをいたしたいと思います。
  41. 石原一郎

    石原説明員 御説明申し上げます。  野菜の価格の安定という件につきまして、主要な野菜につきまして生産、出荷を安定させるということで、出荷協議会というようなものを全国レベルなりまた県の中で持っております。需給均衡を推進するという意味で実施しておるものでございますが、そういうものを含めまして情報の交換なりを作付前に、作付してしまいますと、あとは生育状況を管理しましても、天候等で収穫量がかなり左右されることが多いわけです。そういう意味で、作付前におきまして、ことしはどういう作付をするか、また出荷量はどの程度を見込むかというようなことで打ち合わせ、会議、情報交換等を実施しておるところでございます。  そういう意味で、できる限り供給量、生産量なりの安定を図ってまいってきておるところでございます。ただ、作付面積なりで、例えば前年並みということで作付をいたしましても、作付後の台風ですとか、そういう気象条件によりまして左右される面もかなりございます。ただ、作付前におきまして、そういう生産、出荷の情報交換なりの協議の重要性につきましては、先生おっしゃられるとおりでございまして、今後とも十分努めてまいりたいと思います。  ちなみに、需給均衡推進事業ということで国の予算でやっておりますが、来年度におきまして、その主要野菜の中に従来入ってなかった、例えば地場流通であるけれどもかなりのウエートを占めてきておるような品目については、新たにそういう協議なり情報交換の対象にするというような形での事業の充実も予定しております。今後ともそういう情報交換なり協議には努めてまいりたいと思っております。
  42. 川島實

    ○川島委員 時間がありませんので、次へ進まさせていただきます。  次に、建設関係の物価上昇に対してお伺いをいたしたいわけでございます。  建設物価の標準指数を見ますと、個々の資材の関係についてはさほどひどくないわけでございますけれども、例えばアパート、マンション建設だとか事務所の建設だとか店舗の建設だとか、特に学校の校舎の建設だとか、そういうものは前年対比で一割以上大幅にアップをいたしておるわけでございまして、業界の話を聞きますと、毎年予算が決まった時点で約一六%予算が不足をする。愛知県下でも、ある官公庁では、こんなことは始まって以来だと言われるぐらいに、指名業者が入札前に全員がお断りしますと言って、何にもしないうちにお断りをされたという例も発生しているわけです。そのくらい国の予算の補助の決め方が影響いたしてくるわけでございますが、その辺の見当が、補助割合というのは決まっておるわけですから、一体国はどこの指数をとってそれらをなされておるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  43. 青山俊樹

    ○青山説明員 お答え申し上げます。  まず、建設省の工事積算の基本的な考え方、それと物価上昇に対する考え方を申し上げさせていただきたいと思っておりますが、公共事業を発注するに当たりましては、法令によりまして、取引の実例価格等を考慮して適正に予定価格を定めることとされております。このため、建設省の直轄工事の積算に用いる資材関連につきましては、価格変動に配慮しまして、原則として入札時における市場価格を用いることといたしておりまして、適正な予定価格が得られるように努めているところでございます。  今先生がおっしゃいました非常に変動が大きいと言われますのは、資材もございますが、むしろ労務単価ではなかろうかとも思っておるわけでございます。労務単価につきましても、一般的には農林水産省、運輸省及び建設省が三省合同で毎年行う公共事業の労務費調査に基づいて定めておりまして、平成二年度におきましては、最近の労務賃金が非常に上がっているという状況を勘案いたしまして、通常は年一回十月に実施しているところでございますが、六月にも労務費調査を実施したわけでございます。  また、補助につきましては、各都道府県に対しまして、建設省から事務次官名で、建設労働力、建設資材等につきまして、需要、価格の動向に細心の配慮を行うこと、それから、建設資材等の設計単価について、施行地域の実態に即した実勢単価の把握に努め、適正な単価とすること等について通知をし、その徹底を図っているところでございます。また、県との、それから地方建設局直轄等との意見交換、また本省と県との意見交換等を通じまして、この考え方を地方公共団体にも適用していただくように強く指導しているところでございます。
  44. 川島實

    ○川島委員 実は、物価個々の単価は別にそう動いてないのに、全体で動いている。実際日本のあちこちの官庁でそういう入札不調ができ上がっている。長いこと官庁とのつき合いですから、安くても無理してやる。業界では一つの工事をやった中身についてきちっとデータを出しながら、今コンピューター時代ですから、すべてデータを出しながら上げて陳情をする。しかし、官庁の方は、前年の予算に対してこれだけしか上がらないという仕組みで予算を組まれておる、こういうふうに聞いているわけですね。先ほど言った全国の実質の物価指数を見ながら、事例を見ながら、それらの各県の状況を見ながらきちっと対応がなされておるとは理解がしにくいわけでございますが、私が間違っておれば、その点をひとつ御指摘いただけませんか。
  45. 小野邦久

    小野(邦)政府委員 お答えいたします。  毎年度の予算要求に当たりまして、極力物価上昇等を反映するように努めておるわけでございますけれども、必ずしも要求時点では翌年度の経済情勢がどうなるのかということがはっきりいたしませんので、具体的には、先ほど私の方の技術調査室長からお答えいたしましたとおり、予算執行の過程におきまして極力実例価格等によって、例えば実勢価格を把握した上で積算をし、発注をしていくというようなことで、具体的な事業の執行に当たっては支障のないように配慮しているところでございます。
  46. 川島實

    ○川島委員 次に、住宅・都市整備公団の家賃の値上げの件についてお伺いをしたいわけでございます。  私たち庶民から考えますと、今の公団の家賃というのは非常に高いのですね。家賃というのは大体収入の二割以下になるようにというような話もあるわけでございますけれども、これからいっても、とてもじゃないが高くて普通の人じゃ入れないという気がするわけですが、それが今度また値上げを発表しているわけです。  一体、家賃の中身ですね。土地代にどれだけ、中で一番疑問に思いますのは、解決ができない問題は、修理費というのが非常なウエートでその家賃の構成価格の中に、これはもう県営住宅も全部、国からの補助金の絡みのあるものは建設省がそうやって指導しているようでございますけれども、これらは本当に入っている生活者にきちっと返ってこない例が非常に多いわけですよ、返ってこないうちにすぐ転居しちゃうというような形になるものですから。その辺の配慮がどうなされておるのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  47. 竹本直一

    ○竹本説明員 お答えいたします。  先生仰せのとおり、公団住宅は国の財政援助を伴った施策住宅と我々言っておりますが、そういう住宅でございますので、広く国民全体の財産、そういうことが言えようかと思います。したがいまして、既存の賃貸住宅の家賃を決める場合には、公団住宅相互間の家賃の均衡を図らなければいけない、また維持管理経費の確保も図らなければいけない、そういった観点から、住宅の公共性に配慮しながら、そのときどきの経済上の変動、立地あるいは便益等の変化に即して定期的に見直しまして、適正な家賃額との間にもし差が生じている場合にはこれを改定していく、こういう方法をとっておる次第でございます。  それで、問題の公団の家賃改定における家賃の再評価方法でございますが、我々は公営住宅で通常とっております公営限度額方式に準じた方式に従って算定いたしております。この方式は、まず償却費につきましては、推定再建築費の伸びの三分の一を伸び率として使う。つまり、通常の建築費の三分の一で算定する。あるいは地代の相当額につきましては、時価に比べて相当低額であると一般的に言われております土地の固定資産税評価を基準にしております。こういったことで、家賃が余りに高額化して、その負担に耐えられないようなことにならないように工夫をしておる次第でございます。  それから、継続家賃の改定に当たりましては、居住者の負担が急増しないようにいろいろ配慮しております。一つは、激変緩和措置として、本来引き上げるべき額の二分の一までしか引き上げない。さらに、絶対額でも引き上げ額に限度を設けております。そういった方法で高額化を防止しておるというところでございます。  さらに、生活保護世帯等の生活に困窮すると認められる世帯で一定の要件に該当する世帯、いわゆる社会的弱者と言われている人たちでございますが、こういった方々についても特別措置を講じて減額をしておる、こういうことでございます。  なお、家賃の増収額、家賃改定によって生じました増収額につきましては、先生今仰せのとおり修繕費等に相当割合、大体引き上げ額の七割を使っておる次第でございます。  以上でございます。
  48. 川島實

    ○川島委員 今の修繕費の関係ですが、県営住宅でも問題になるのですけれども、当初から家賃を決めるときに、修繕費が一定割合で、六千円から一万五千円ぐらいの間でちゃんと構成比の中にあるわけですよ。最初から入っている人は全部払っておって、自分たちが修繕の恩恵に全然あわないうちに出てしまう。ところが、今の公団等の方式は、どこかで修繕費、公団自身の合計の会計の中で生じた費用を算出するために、全然恩恵の入ってない棟でもそこから徴収するというような形になっておりますので、もう少しおのおのの、個々の独立採算的な形の配慮をしていただくようにひとつ要望をしておきたいと思います。  次に、東京都等の家賃の契約更新の手数料についてお伺いをいたしたいと思います。  これは東京だけが非常に突出しているような気がするわけでございますが、学生の皆さん等が東京で賃貸住宅を借りますと、大体二年で契約更新になる。その更新時に家賃の値上げを言われるのじゃなくて、手数料として一カ月分取られる、こういうシステムがほとんど東京で行き渡っているわけでございまして、これは実質家賃の値上げじゃないかと思うぐらいなんです。こういう弱い者いじめを何とか是正する方法がとれないものだろうかと思うのでございますが、いかがですか。
  49. 小川忠男

    小川説明員 お答えいたします。  先に全国的な慣行の状況について御説明させていただきたいと思います。  私どもで平成元年に貸し家経営実態調査というのを行いましたが、更新時におきます手数料ないしは更新料でございますけれども、御指摘のように、東京圏では八割弱の家主が徴収しておる実態でございまして、その額は、平均的には家賃の一カ月程度というふうな結果になっております。また、大阪圏では逆に九割以上の家主が徴収していない。あるいはさらに、その他の都市圏ではほとんど徴収していないというふうな実態になっておるわけでございます。  そこで、その性格でございますけれども、今申し上げましたように、東京圏というふうな限られたところでの言うなれば確立された、ないしは定着をしつつある慣行というふうなこと、さらには二年ないしは三年に一度一カ月程度というふうなことから考えますと、直ちに家賃の値上げとイコールというふうに受けとめるべきものではないのではないかというふうな感じはいたしますが、ただ、御指摘のように、家賃の言うなれば補充的な要素というふうな意味合いも持っているということは否定できないというふうに考えております。ただ、実態として確立されておりますので、行政的にはその是正云々というふうなことは現実にはなかなか難しいのではないかというふうな感じはいたしております。  以上でございます。
  50. 川島實

    ○川島委員 次に、都市高速道路の料金の値上げについてお伺いをいたしたいと思います。  有料道路の都市高の不払い運動というのは、値上げのたびにしょっちゅう新聞報道で出てくるわけでございまして、その中で、名古屋の有料道路は全然文句を言ってないというような記事も載っております。私も名古屋に住んでおりまして、あの高速道路は、全部できてないのに当初から非常に高い料金を取られている。中の人たちの考えることと報道とが若干ギャップがあるのではないかと思うわけでございます。  本来、有料道路というのは、国の政策がきちっと行き渡らないために、とりあえず財政的にペイできないから有料にして、何年たったら無料にしますと当初は始まったわけですが、東京みたいにこれだけ人があって、有料道路で高速道路だといっても数珠つなぎで、もうこのごろ朝見ると赤ランプばかりで、ほとんど利用するのが大変だと思うくらいのところでじゃんじゃん値段が上がっていくわけです。一体いつごろつくって、何年計画でペイできて、そのときから何回値上げがされて、実際の計画段階と今はどういうふうな形になっておるのか。そしてまた一つの例で結構ですが、東京の今問題になっておるところだけですが、当初の利用計画の人数が現在までにどのくらいの利用状況があったのか、お伺いをしたいと思います。
  51. 小野和日児

    小野説明員 お答えいたします。  首都高速道路あるいは名古屋の都市高速道路、これは各路線が連結してそれぞれ一体となったネットワークを構成いたしますので、各路線必ずしも独立しているとは言いがたいわけでございまして、各路線の料金設定に際しましては、一体性を持たせる必要があるかと思っております。それから、首都高速道路あるいは名古屋高速道路ともまだ建設の途上でございまして、各路線が同時並行的に建設されるわけではないことから、路線ごとの個別採算制を採用した場合には、建設時の違いによって生じます建設費の差異をそのまま料金に反映させることとなりまして、事業採択の時間的順序の違いだけから料金に大幅な差異が生じることとなり、不適当であると考えております。  このため、名古屋高速道路あるいは首都高速道路につきましてはプール制を採用しているわけでございますが、具体的には新規路線の供用時等に、ネットワークとして整備が拡充する際に、新たに供用する費用を償還対象費用といたしまして、社会経済情勢あるいは交通量の動向等を勘案の上、償還計画を見直しまして、必要があれば所要の料金改定を行っているところでございます。  なお、首都高速道路について申し上げますと、三十七年十二月に、これは一号線の中央区の宝町から港区の海岸まで四・五キロでございますが、そのときに部分供用をいたしております。そのときの料金が五十円でございまして、現在が六百円でございます。  それで、当初の需要予測でございますが、これは年々その都市の移り変わりあるいは交通事情の様相によりまして基本計画を変更いたしまして、ネットワークそのものを大きくしていっておりますので、当初の計画が幾らで、現在幾らかということにつきましては必ずしもつながらないわけでございますが、現在の首都高の利用状況につきましては、大体一日に百十万台ぐらいの車が利用しておるわけでございます。
  52. 川島實

    ○川島委員 最初の国民との約束事が、いつか知らないうちにほごにされてしまっている。本来なら国が無料で道路をつくらなければならないのが有料になっている。このことを理解をさすために、できるだけ早い機会に古い道路はもう無料にしてあげたらいかがでございますか。これから二十一世紀に向かっての新しい道路の建設が必要ならば、きちっと国から予算を取って無料でできるように、できない場合は最初のスタートに立って、どうやるかということをひとつ御検討いただきたいと思うわけでございます。  名古屋高速道路も非常に長いことかかっております。当初は二百円ぐらいで全線やれると言っておいて、四百円になって、今は六百円です。全線開通になるころには恐らく千円以上になるのではないですか。しかし、その間も、計画がうまくいかない間は、愛知県なりが無利子のお金の利子補給、そういう形で安くなるように、独立採算ができるような形の努力が払われているわけでございますから、ひとつ国の方も国民の皆さんに最初の約束と違うというような不信感を抱かれないような形で、古いものは早急に無料化するような御努力を要望しておきたいと思います。  次に、内外価格差の問題についてお伺いさせていただきます。  日米共同の調査が昨年行われました。発表された昨年のこの表によりますと、日本から輸出しておる品物で日本よりアメリカで買った方が安いという品物が、ビールだとか自動車等九品目あるわけでございます。それらが日米協議の対象の一つになっているのですが、今日までどのような是正の対策がなされてどうなっておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  53. 岩渕恒彦

    ○岩渕説明員 御説明いたします。  通産省といたしましては、当省の所管物資につきまして、今御指摘のありました日米共同調査を含め、繰り返し内外価格の比較調査を実施してきております。その調査結果の中に、今御指摘のありました点、もちろんあるわけでございますが、日本銘柄製品につきましては海外の方が高いというのが一般的でありますけれども、一部に、今御指摘がありましたような日本における価格よりもアメリカ価格の方が安いという例があることは事実でございます。  この原因といたしましては、私ども三つほどあるというふうに考えております。  一つは、仕様や品質が多少異なっているものがある。つまり、我が国の消費者の好みというものから、どうしても我が国にある製品の方が高性能であったり、多機能なものが多いというような事情があるケースがございます。二つ目には、日本では余り売られてない、いわば日本では小さな市場であるけれどもアメリカではかなり大きな市場であるということから、日本では割高になっているということがあろうかと思います。三つ目は、一時的な現象としてでありますけれども、急激な為替変動、つまり円高が進みますと、為替レートを計算した上での価格比較でありますので、アメリカの方が安くなるというような事情が出てくるというふうに考えております。  これらの事情の中には、やむを得ないというふうに考えられるものもございますが、一般的に、日本の製品でありながらアメリカでの価格の方が安いということは、一つには我が国の消費者に対する責任という観点から、もう一つは国際協調型の企業活動、企業行動をする必要があるという観点から、望ましいことではないというふうに私ども考えておりまして、このような観点から、産業界に対して適切な価格設定を行うように指導しているところでございます。  そして、現状でございますけれども調査比較、それぞれの時点におきまして為替変動というのがございますし、また対象品目も異なるというような事情がございまして、厳密にどのように変わってきているかということを比較することはなかなか難しいわけでございますが、全般的には改善傾向にあるというふうに私ども考えておりまして、例えば今御指摘のありました日米共同調査では、日本の方が高いというものが今九品目というふうに御指摘になられました。私どもの方の見方では八品目でございますが、その後の調査で、例えば平成二年の三月に行われました調査では二品目に減っております。また最近、一昨日公表しました調査では、また七品目というふうに若干ふえておるわけですけれども、為替レートの影響というものを除外して考えますと、やはり二品目ということで増加していないということでございまして、全般的には改善してきているのではないかというふうに考えているところでございます。
  54. 川島實

    ○川島委員 時間がありませんので、あと要望をいたしておきたいと思います。  米国の対日輸出品が日本において一・五倍以上高くなっている、中間マージンが高いわけでございますけれども、これらの品物も十三品目挙げられております。それから、特に欧州の製品で米国で売られているより日本で売られている、アメリカよりも日本が高いというのが二十品目あるわけですね。それは、ヨーロッパから出ていった同じ品物が、アメリカに行っているのと日本に行っているのとそれだけ格差があるというのも、これまた消費者の立場からいうと非常に問題がある。それらの是正についてひとつ御努力をいただきたいと思います。  それから、特にこの価格差の中で普通言われておりますのが輸入の洋酒ですね。これは関税の税率も落ちておりますし、そういう点もあって、もっと下がらなきゃならないのに下がってない。今市場では洋酒のダンピング、大手がいろいろな通信販売等やっておりまして、それが本来の流通価格じゃないかと思うのですけれども、その辺はどのように受けとめておるのか。それから外車の関係も、仕様によって中身はいろいろあるようでございますけれども、これらが本当に実態どおり値段が下がってきておるのか。それから香水、これらについてもどのようになっておるのか。その単品をひとつお示しをいただきたいと思います。  それから、牛肉、砂糖等、日本が食料品の保護政策として行っている――牛肉の場合は本当はもっとずっとやりたいのですけれども、時間がございませんので一点だけお伺いをしておきますけれども、そういう製品についての価格差というのはどうなっておるのか、まずお答えをお願いいたしたいと思います。
  55. 熊澤英昭

    ○熊澤説明員 お答え申し上げます。  砂糖の内外価格差につきまして、消費者価格ベースあるいは小売価格ベースでの比較を申し上げたいと思います。  数年前の日本の国内の砂糖の小売価格と欧米の主要都市の砂糖の小売価格と比較しますと、大体日本の方が三割から八割ぐらい高いという調査結果がございますが、その後、日本の国内の砂糖の小売価格かなり下がってきておりまして、最近の農林水産省が行いました調査によりますと、日本の砂糖の小売価格は一キログラム当たり二百四十一円でございますけれども、それに対しましてニューヨークはキログラム当たり二百十三円で、日本の方が約一割ぐらい高い。ロンドンを見ますと一キログラム当たり百九十四円でございますので、約二割強日本の方が高いということでございます。かなり内外価格差は縮小してきているというふうに考えております。  これは、主として国内の砂糖生産の合理化の推進が価格に反映されたということでございますけれども、今後ともそういう国内の砂糖生産の合理化の推進をいたしまして、国内の砂糖価格に適正に反映させてまいりたいというふうに考えております。
  56. 中須勇雄

    ○中須説明員 牛肉についてお答えを申し上げます。  牛肉の価格を国際的に比較する場合には、御承知のとおり、かなり内外に品質の格差がございますし、小売店での販売形態がまたかなり異なっているということから、なかなか同じレベルでどういう水準かということを調べるのが難しいという問題がございます。  ただ、その辺をある意味で大胆に割り切ってしまいまして、昨年十一月段階の諸外国主要都市と我が国の牛肉価格を調べたものを私ども物価対策室の方で三月五日に公表いたしておりますが、それを見ますと、牛肉について東京を一〇〇とした場合に、ロンドンとかパリですとか大体五二ないし五八程度、ニューヨークでは三四ぐらい、こういうことになっております。したがいまして、この数字から見る限り、小売段階で大体二倍から三倍の格差がある、こういうような実情にあるということだろうと思います。御承知のとおり、この四月から牛肉については輸入の自由化が行われるということでございまして、牛肉価格は、輸入数量制限が撤廃される、また、関税率も当初は七〇%でございますが、その後各年六〇%、五〇%というふうに段階的に引き下げられるということがございますので、漸次価格は低下していくということが見込まれるわけでございます。  それから、特に国産牛肉につきまして、国土資源の制約というか、アメリカなりオーストラリアと非常に差がございまして、国際水準に比べてある程度割高にならざるを得ない、そういうことは否定できないわけでございますが、この自由化を控えて、国内生産面でも飼料基盤の拡充であるとか規模拡大による生産性の向上等を推進して、できる限り生産性の向上を図ることによって内外価格差の縮小に今後とも努めていきたい、こういうふうに考えております。
  57. 宝賀寿男

    宝賀説明員 輸入洋酒について申し上げます。  酒類の価格は自由価格でございまして、エージェント及び卸、小売の流通の各企業が自主的に決定できることになっておりまして、特に輸入総代理店のプライシングについては、行政指導にも限界はありますが、酒類が嗜好飲料として国民の消費生活に大変関連の深い物資であるということで承知しておりまして、私ども平成元年の酒税法の改正の際には適宜指導して、その指導に応じて価格が引き下げられたというふうに承知しておりますし、最近では内外価格差の調査等を公表しまして、なるべく格差縮小の方向に持っていくように努めているところでございます。最近発表しました内外価格差の調査結果におきましても、昨年度と比べて内外価格差は現実に縮小しているという傾向が出ておりますが、消費者に納得されるような価格であるよう今後とも指導してまいりたいというふうに思っております。
  58. 川島實

    ○川島委員 時間になりましたので、これで終了させていただきます。まだ大分残っておりますので、また次回ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。
  59. 村山富市

    村山委員長 武部文君。
  60. 武部文

    ○武部(文)委員 私は、本会議の関係で少し時間を縮めるようにということでございますから、予定よりも省略することがございますので、御了承いただきたいと思います。  先ほど景気の見通しの問題について同僚議員とやりとりがございました。私もこの問題をちょっとお伺いしたいのでありますが、日本銀行あるいは大蔵省等と経企庁との見通しについての相違点ですね。去年の当委員会の議事録等を見ましても、去年ごろから景気あるいは物価の見通しについて、経企庁と日銀あるいは大蔵省との間に意見の相違がある、こういうような報道もなされておりますし、やりとりもあったようでございます。先ほどもちょっとお話がございましたが、長官としてこの見通しについて、もう一回簡単でいいですから、どうしてそういう相違点があるのか、あなたの方としてはこの景気の見通しについてははっきりと確信を持って、あいさつの中にございましたけれども、そういうお気持ちなのか、ちょっと最初にお伺いしたい。
  61. 越智通雄

    越智国務大臣 当委員会の一番お詳しい武部先生の御質問でございますので、心を込めてお答えをさせていただきたいと思います。  昨年、大蔵省、経企庁、日本銀行の間に何か多少のそごがあったやに私も聞いておりますが、直接的にどういうふうにということもよくわかっておりません。ただ、私の推測でございますけれども、昨年の秋ごろは湾岸紛争の行方がわからない、そして石油の値段がやけに上がってきた、また金融が引き締めに転じまして、それが効き目が出始めた、そこら辺のところから皆様の間に多少の御見解の差異が出たのかもしれないな、こんなふうに推測だけいたしております。  私は、十二月二十九日に着任いたしましたときから、橋本大蔵大臣、中尾通産大臣、そして三重野日銀総裁、私、越智通雄と四人でよく相談していきましょうということを申し合わせまして、ただ定例的に会合を持って会いますと、また何が決まったとかなんとかということになりますものですから、定例はやっておりませんけれども、相互の意見をよくすり合わせましてやっておりますが、その間におきまして特に違った点は出ておりません。  湾岸の問題をいかにうまく乗り切るかというのが最大の課題でございましたが、先ほど申し上げましたように、何とか大きなダメージを受けずにこれを乗り切れたと思っておりますので、基本的な日本経済としては、政府経済見通しで申し上げました三・八%ぐらいの成長物価にすれば、大体卸売物価を横ばいに持っていきたい、消費者物価はまあ二%ちょっとぐらいの、二%台の上昇で平成三年度持っていきたいという線は今変える必要ない、この線で何とかやれるんじゃないか、こういうような思いでやらしていただいております。
  62. 武部文

    ○武部(文)委員 いずれまたこの問題は改めてお伺いすることにいたしまして、当面する物価の数字をまず私申し上げまして、御見解を承りたいのです。  平成二年度の当初予測は一・六%でございました。これを三・一%に上方修正された根拠、理由、それは何なのか、これを聞きたい。
  63. 田中努

    田中(努)政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、消費者物価の当初の見通し一・六%であったわけでございますけれども、この数字は消費税の見直しの効果〇・二%分を含んだものでございました。したがいまして、これを除きますと一・八%に相当する見通しである、こういうことであったわけでございます。  これが三・一%になりましたにつきましては幾つかの要因があったわけでございますが、その一つは、台風あるいはその他の天候要因によりまして生鮮食品の高値が続いた、これが予想を上回る水準になったということが一つございます。それから、八月二日のイラククウェート侵攻以来の原油価格上昇、これが当初の見通しを上回ったという要因がございまして、この二つが主たる要因でございますけれども、それ以外に昨年一年間ほど加工食品の上昇が続いたというようなことがございまして、これらの要因で大体このギャップが説明できるというふうな状況でございます。
  64. 武部文

    ○武部(文)委員 当初の予測よりも約倍に修正されるというようなことは余り例がないんです。それはそれとして修正されたわけでありますが、三・一%におさまる可能性、そういうものは経企庁として自信を持っておっしゃることができますか。
  65. 田中努

    田中(努)政府委員 この三・一%についてでございますが、現在物価指数が、全国の消費者物価につきましては一月、それから東京の速報値につきまして二月までということでございますが、そういった実績を踏まえて考えますと、まあ三・一%にほぼ近い線でおさまるのではないかというふうに思われますけれども、これについては、最近非常に急速に上昇いたしました生鮮食品の今後の動きかなり部分がかかっているというように考えております。     〔委員長退席、小川(信)委員長代理着席〕
  66. 武部文

    ○武部(文)委員 三・一、これよりもちょっと高い数字になると思うのです。今の二月の問題、それから三月、もう今月で終わりますが、その関係から見るとどうも三・一におさまりそうもない。しかし、ほぼこれに近いだろうとは思われますが、それにしても、当初の予測よりも二倍というのは異常な修正だというふうに私は思います。それだけに、この三年度の物価上昇というものは非常に警戒をする必要がある。  したがって、これから三年度の問題についてお伺いをするわけでありますが、三年度を二・四%というふうに見込まれておるわけであります。ことしは、二年度は今言ったように三・一ないし三・三ぐらいになりそうですが、それを一%以上も下がった数字になる。こういうことの根拠は何かありますか。
  67. 田中努

    田中(努)政府委員 幾つかの要因について申し上げたいと思いますけれども、一つは生鮮食品の動向でございます。東京の二月の数字は、前年同月比で申しますと三・八%の上昇となっておりますけれども、これを生鮮食品を除いた数値に直しますと三・四%の上昇となるわけでございまして、先ほど農水省からの御説明にもございましたが、今後三月の中旬以降生鮮食品の動きには落ちつきが出てくるだろう、下落も予想されるというふうなことでございますので、今後この生鮮食品の天候要因によります異常な上昇は次第に解消されていくだろうということが考えられます。  それから原油価格上昇でございますけれども、これも十月あたりをピークといたしまして下落に向かいまして、その後、戦闘状態が始まるに及びまして急落するというようなことで、現在既に戦争開始以前の段階に戻ったわけでございます。これの物価に対する影響も、原油価格上昇に比べますと少しずつおくれまして川上から川下の方に波及をいたしてきておるわけでございますけれども、これもほぼ昨年末からことしの初めにかけまして一巡しつつある状態にあると考えられまして、今後の原油価格の動向にもよりますけれども、一時のような高騰ということは今後は考えにくいわけでございまして、そういう意味で、全体として原油価格としては低下の方向に向かうというふうに考えられるわけでございます。  それから、昨年の前半にはかなり円安が進みまして、四―六月には百五十五円というふうな円安の更新が見られたわけでございますけれども、これも湾岸危機以後むしろ円高に転じまして、昨今百三十五円、六円というふうなところで推移をしているわけでございますけれども、これが起こりましたのが昨年の後半でございます。これが今後消費者物価にいい影響を与えてくるということが期待をされるわけでございます。  それから、四つ目になりますか、物価の全般的な環境といたしまして、経済成長率で示される経済の需給の逼迫あるいはバランスの問題でございます。本年度の経済成長率は五・二%という見込みでございますけれども、来年度の成長率はそれが三・八%に減速をするということが見込まれておりまして、このことに伴いまして、物価の背景をなします需給環境という点ではかなり好転が見られるということではないか。したがいまして、今もう一つの物価上昇の原因として働いております人手不足、それに伴う賃金の上昇あるいは賃金コスト上昇というふうな点につきましても、全般的な需給の緩和を背景といたしまして落ちつきが期待されるのではないか。  こういうふうな幾つかの要因から、今後物価上昇率が減速をしていくということは十分期待ができるのではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  68. 武部文

    ○武部(文)委員 平成二年度から平成三年度に積み残すげたは何%ですか。
  69. 田中努

    田中(努)政府委員 先ほど触れましたが、全国の数字はまだ一月しか出ておりませんので、先生指摘のげたの計算がまだ的確にできない状況でございますけれども、御指摘のように、恐らくげたがかなり高いものになるということは事実であろうと思います。ただ、そのげたの中身を見ますと、一番大きな原因となっておりますのは、やはり生鮮食品の昨年の十月以降の急騰でございまして、これがげたを押し上げている一番大きな要因となっていると思います。  そういたしますと、この部分は今後年度内、さらに三年度に入りましても落ちつきを取り戻してくるということになりますと、一見げたが高まったように見えるわけでございますけれども、この部分が固定されて下がらないということではなくて、一時的な急騰が反転するというようなことになりますと、げたの部分が解消していくということも期待できるわけでございますし、また、もう一つの原因でございました石油価格上昇、これに伴う波及効果、これによるげたの押し上げ分につきましても、やはり今後はむしろそれが消滅していくということでございますので、計算上げたが高まることは間違いないと思いますけれども、今後そのげたが低まっていくことも同時に期待できる、そういうふうな考え方をいたしておるわけでございます。
  70. 武部文

    ○武部(文)委員 そのげたの予測をまだはじいてはいないのですか。もう三月ですよ。大体の予測は何%と見ていますか。
  71. 田中努

    田中(努)政府委員 これはまだ二月、三月を残しておりますので不確定なことでございますけれども、仮に、これはあくまでも実績に基づいての試算でございますけれども、四月から一月までの平均値、これに対しまして一月の水準がどれくらい高くなっているか、こういう計算ができるわけでございまして、こういう計算をいたしますとほぼ一・七%程度、こういう計算は一応できるわけでございます。
  72. 武部文

    ○武部(文)委員 一・七とおっしゃいましたね。実は十年前にこの委員会でこのげたが大分問題になって、論争したことを今でも私は思い出すのですが、当時、大変物価が高くなって、六・四%という政府予測だったのです。そのときのげたが実は三・二だったのですね。ちょうど半分げたが予測されるというので、これは大変なことだという論争をここでしたことを思い出します。これはちょうど十年前です、昭和五十五年ですから。十年ちょっと前になりますか。  そこで、そのげた論争というものをやって、これは大変だ、六・四ということを約束されるけれども、半分はもう既に上がっているじゃないか、このときに残りのあと三・二でお約束ができますかという論争をやったのです。そのときのお答えが今のお答えと大体同じなんですよ。季節物の野菜ですね、当時は。この季節野菜が安定すればこのげたの問題は解消する、約束できます、こういう答弁があったのです。私はそのときの議事録をもう一遍読み返してみましたが、そういう答弁でございました。  今、局長の御答弁では、原油をそれにつけ加えておりますけれども、やはり季節の食品ですね。生鮮食品、そういうことをおっしゃっておるわけですが、実は半分というようなことはその後ずっとなかったのです。十年来げたがこういう数字で上がってくるというのはずっとなかった。それが急に一%以上、しかも二・四に対して一・七ということをおっしゃったが、一・七といったら、これは二・四に対して大変な数字ですよ。あと〇・七しか残らぬじゃないですか。そんなことで物価上昇というものをとめられると思ったら大間違いじゃないか、私はそう思うのです。  しかも、日本銀行も、先ほど申し上げるように非常に警戒感を出していますね。大蔵省も二・四ということについてもちょっと問題だと言う。消費者団体もそう言っておる。世論調査をとってみると、非常に物価高の感じがする。こういう中で二・四に対して一・七というげたがどういう重みを持つかということは、今までの十数年来の経過をずっと見ると、これは異常な上昇である、こう思わざるを得ないのですが、そういう危機感はございませんか。
  73. 田中努

    田中(努)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、これはあくまでも一月の時点での仮の計算でございまして、一月というのは、生鮮食品が前年度に比べまして約二割も急騰している時期であるわけでございます。したがいまして、この時期以降、年度内におきましてもこのげたは低まることが想定されるわけでございます。  原油価格につきましても、原油価格の低下が消費者物価の下落につながりましたのは十二月からでございまして、今後この低下の波及が消費者段階でさらに進むであろうというほぼ見通しの立つ動きがございまして、そういう意味におきまして、今回げたは計算上そういうことになるということで、先ほど現時点での計算結果をあえて申し上げましたけれども、これは今後は低下をしてくる、仮の姿であろうというふうに考えている次第でございます。     〔小川(信)委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 武部文

    ○武部(文)委員 このげたの一・七ということは確定的なものじゃないということを今おっしゃったわけですが、二月の東京区部の数字、それを三月に同じようにして引き直してげたを計算すると、大体一・一ちょっとぐらいなところになるように私は計算をしておったのですが、あなたは一・七とおっしゃった。そこに大分開きがあるのですけれども、仮に一・一に落ちついたとしても、これは二・四の半分に近いのですね。十年前と大体同じような傾向になってきておるのですよ。  しかも、じわじわと物価が上がっていくという状況ですから、簡単に二・四ということをおっしゃるけれども、これまた私は疑問もあるし、そこへもってきてげたがそういう状況だとすると、またぞろ上方修正をしなきゃならぬ、そういう事態が目の前に来ておるんじゃないだろうか。二・四ということをおっしゃるけれども、とてもこれは達成不可能な数字ではないだろうか、こういう気がしてならぬのであります。  冒頭申し上げるように、景気物価の問題について、日銀総裁は経企庁の長官の意見とちょっと違ったことを言っていますね。きょうの新聞にも載っておるんですよ。きのうのにも載っておりました。やはり警戒を要するということを日銀は言っておる。国民の側は、物価の番人である経企庁がむしろ逆に物価は大変だということを言って、日銀が、いやそんなことは金融政策で何とかいたしますわいというようなことを言ってくれると思っているのですよ。ところが逆のことを、今のところあなたの方が心配ない、心配ない、日銀の方は心配だ、心配だと。一体これはどういうことだろうか。この点をもう一遍。
  75. 越智通雄

    越智国務大臣 武部委員の御指摘はまことに心にしみるお話でございまして、私ども経済政策の担当者としてよく受けとめて慎重にやっていきたい、このように思っております。  まず、昨年の話でございますけれども、実は成長率は、平成二年度は四%と踏んでいたのが一%以上上がったわけでございまして、景気が思ったよりもよくなったということで、これはやはり物価を引き上げていくファクターでございます。もともとがもう五十二カ月目くらいに入っておりますものですから、経済運営の中で一番物価を心配している。  今、危機感はないかとおっしゃいましたんですが、危機感というまではございませんが、警戒感を持っておりますので、前に私は予算委員会で、青信号が点滅しているようなつもりで運転しますと申し上げたんです。青信号は点滅しないものだそうでございますが、そのくらいの注意は払っているつもりでございます。  ただ、三年度の二・四どうだ、こういうお話でございますが、私の方からいいますと、二年から三年にかけてやはり一番注意しなきゃいかぬなと思っておりますのは、卸売物価が実は割と平静でございます。小売の方がやや乖離してきている。ですから、平成二年度の卸売の見通しも、うまくいけばそんなに高くならずに済むんじゃないか、こんなような見通しでございまして、平成三年度もほぼ卸売は横ばいでいけるんじゃないか、こんなくらいでございます。  そうすると、問題は、その乖離の生じている原因に対して私どもは有効なる何らかの手段をとっていかなきゃならない。それがいわゆる人件費の問題であり、流通コストの問題であろうか、こんなふうに思っておるわけでございまして、そうしたお考えをよく胸にとめまして、今の消費者の方の二・四の問題についてさらに一層慎重に対処してまいりたい、このように思っております。
  76. 武部文

    ○武部(文)委員 私は大変心配なんです。これは今までの例から見て、ちょっとこういう数字で落ちつくとは私は思いませんし、それだけに、経企庁が物価対策について今までよりもより以上の対策を立てていただきたいということを申し上げたいのでありまして、いずれまた機会を見てこの問題については論議をさせていただきたいと思います。  この機会に、去年一年間内外価格差の問題でいろいろやりとりがあって、きょうもございましたが、この間から新聞やなんかに、通産省が財団法人をつくってどうだこうだということが出ておりまして、内外価格差研究所という財団をつくるんだとかいうようなことを検討している。何を血迷って通産省がそんなことを言うのかなと思っておったんですが、案の定きのうですか、反対が強いので断念をした、こういう報道がございました。当たり前のことだと私は思って見ておりましたが、この内外価格差というのは別に通産省の所管の物資だけではございませんので、農林省もあれば建設省もあり、たくさんあるわけです。  問題は、この内外価格差問題というのを、政府が審議会ですかをおつくりになって、与党にもそういうものができて、山口さんが責任者になっておるようですが、そういう問題で党を挙げておやりになっておる。政府もやはり経企庁が窓口になって、この内外価格差という問題は全力を挙げて取り組んでもらわなければならぬ。そういう意味で、何で通産省がそういうことを先走って、財団法人までつくっておやりになるのかなと思っておったんですが、断念されたということですから、それは結構なことで、経企庁はこの内外価格差の問題については、物価レポートにもきちんと載っておりますし、皆さんの方でせっかくおやりになっておるのですから、この問題の解決は、経企庁が率先をして他の省に働きかけをして、そうして対策を立てていただきたい、そう思うのですが、いかがですか。
  77. 越智通雄

    越智国務大臣 武部委員からお励ましをいただきまして、ありがとうございます。  先生も先刻よく御存じのように、物価問題には機関が今三つございまして、公共料金を中心とした物価関係閣僚会議というのをずっとやっております。これは一年間に毎月のように会合かまたは持ち回りで各公共料金の決定をいたしておりまして、十四閣僚が入っております。そのほかに、民間の方にやっていただこうというので、隅谷三喜男東大名誉教授を中心に物価安定政策会議というのがございまして、これは部会の方は毎月のようにやっておりまして、総会は一年に一遍でございますが、民間人の立場から物価問題を検討していただいております。  ただ、この内外価格差の問題は、日米構造協議等を契機といたしまして急速に起きましたものですから、政府とそれから自民党の方で一体となってやらなきゃなるまいということで、実は物価関係閣僚会議にプラス外務大臣等をお入れいたしまして、かつ自民党のいわゆる三役をお入れいたしまして、平成元年の十二月に、私は前に経企庁長官をさせていただいて、やめた後でございましたのですが、発足いたしておりまして、今日までの十四カ月ほどの間に、この三月五日に四回目の会合を開かしていただいた。この場でもって一生懸命やっておりまして、七十二項目適用をいたしましてやってきたのを、この間また二十二項目足しまして、九十四項目の検討をいたしております。  ただ、そうした問題について日米間では、どうも日本政府とか日本の政党がかんでいると調査そのものを多少色眼鏡で見ることになるので、政府とか政党に関係のない人で調べたらどうかという議論もあったようでございまして、そんなところから第三者的な機関をつくろうかというお話が出たやに思われるのでございます。もっとも、こういう内外価格差の問題は、客観的な見方も大事でございますが、政策的な取り組みも対策としては非常に大事でございますので、ぜひ私どもの内外価格対策本部の方で引き続きやらさせていただきたい、このように考えているところでございます。本部長は海部総理でございまして、私が副本部長でございます。この間の三月五日の日には、本部の開催と相時期を同じくいたしまして、通産、農林、それから大蔵と申しますか、国税庁でそれぞれの調査の発表をいたしました。  ただ、先ほど来御質問ございましたように、同一の物品が、日本製が日本で買ったのとアメリカで買ったのでどう違うか、あるいはアメリカ製がアメリカで買ったのと日本で買ったのではどう違うかという調査をされた省もございますし、それぞれの国でできた似たような品目がそれぞれの国でどのくらい違うかという調査をされた省もございます。私ども経企庁としましては、内外価格差というのは、消費者の立場から見ますと、同じ品物がどっちで幾らだったということよりも、生活に対してどういう差がついているかという点から検討していきたい、むしろ生計費という格好でこの問題を深く掘り下げていきたい、このように思って作業をいたしているところでございます。
  78. 武部文

    ○武部(文)委員 はい、わかりました。この内外価格差の問題というのは非常に内容が複雑でございますし、範囲も広うございますから、また個別な問題で論議をさせていただきたいと思います。  それからもう一点、経済企画庁に特にお願いをしたいのは地価の問題であります。御案内のように、現在ある価格というのは、何のことやらわからぬほどややこしい数字が出てくる。しかもこれは後追いの価格でありまして、大変効果がないというふうに思うのです。  例えば、国土庁は公示価格、都道府県は基準地価、国税庁は路線価格、それから地方自治体が資産税評価額、これで四つ、これに実勢価格で五つ。今度あなたの方で地価指数というものを検討しておるというふうな報道をされました。これは私は大変結構なことだと思うのです。今申し上げるように一物五価、今度あなた方がおつくりになれば一物六価になるかもしらぬけれども、てんでんばらばらで、出てくる時期も違うし、評価の時期が遅くなるためにこれが地価抑制に何の役にも立たぬ、こういうことになっておるわけであります。むしろ、ばらばらのやり方というものが地価高騰の一つの口実になっておるのじゃないかとさえ思われるのであります。  したがって、国民から見れば、地価の公示価格とか路線価格とかいろいろなものが出てくるけれども、何のことやらちんぷんかんぷんわからぬ。したがって、あなたの方がまとめた中で、地価指数というものを経済企画庁がつくって、国民に示したらどうだろうかという検討をしておるという報道を見て、これは結構なことだと思っておるのです。これはなかなか難しいと思うのですが、どういう考え方で、今現在どういうような状況になっておるでしょうか。
  79. 越智通雄

    越智国務大臣 作業の中身は、担当者が参っておりますので、追加して説明してもらいたいと思いますが、先生にただいま御賛同いただきました地価インデックスは、私どものこの間来の地価高騰の大きな反省から生まれてきたわけでありまして、率直に申しまして、対策を打つのが遅過ぎたということでございます。  土地基本法を国会を通していただきましたのは一昨年の秋でございまして、それに基づきましていろいろな論議を重ねてまいりまして、最終的に政府としましてはこの一月の二十五日に地価対策要綱を決めたということでございまして、これから税法等が国会に上がってくるという段階でございますが、私ども考えましたのは、これに早く気づくべきではないか。我々経済企画庁は予防医学ではあるまいか。ですから、あなたは糖尿病になる危険性がありますよという兆候をいち早くつかむために、何らかの方法をとりたい。  経済企画庁で発表いたしておりますいろいろな数表の中に、実は地価の問題については数字がない。物価とか自動車の売り上げとか百貨店の売り上げがあって、なぜ地価の数字がなくていいのだろうかという反省から、私、着任後、ぜひそうしたものを出すものをつくりたい。とりあえずは銀行の貸出総額のトレンドの下に、不動産業向けの貸し出しの数値をつけさせました。これも今とりあえずの傾向がわかるわけでございます。  そして、このインデックスは、ほかのものはいわば課税標準の対象になる数字を出すわけですが、私どもは、別にインデックスで課税が行われるわけでも何でもございません。それから、都道府県別に固定資産税の評価額などはばらつきが大変大きゅうございます。そのばらつきをなくすということと、しかし同時に、地価を全国一律の数字で表示することは大変危険でございます。かなり地域別の特性がはっきり出るような格好で何とかさせたい。  そういう意味では、先生御推察のとおり大変作業が難しゅうございまして、プロジェクトチームは既に発足させておりますが、まだ御報告できるところまでいっているかどうかわかりませんが、とりあえずの作業内容を今御説明させていただきたいと思います。
  80. 米村紀幸

    ○米村説明員 御説明させていただきます。  御案内のように、これは大変難しい問題でございまして、私どもといたしましては、先行性あるいは速報性というような観点から何らかの指標ができないかという検討をしているところでございます。現在、各方面の専門家の方々の意見を徴しつつ、地価の動向そのもの、あるいは地価の動向に関連を有すると思われる経済指標をいろいろ分析をしている。ざっと三十そこそこぐらいの指標があるかと思いますが、そういうものを細かく勉強している、こういう状況でございます。
  81. 武部文

    ○武部(文)委員 よくわかりました。この地価の指数というのは大変難しいと思うのですが、せっかく努力をしていただいて、国民の側がわかるようにひとつ御努力をいただきたい。これは一本化して、地域特性を勘案して税率を掛ける、そういうようなことをすれば国民によくわかりやすいという気もしますので、大変困難だと思いますが、御努力願いたいと思います。  では次に、時間の関係で、通産省おいでいただきましたのでお尋ねをいたしますが、その前に、当委員会石油連盟の会長にしばしばここへおいでをいただきまして、原油価格あるいは円高差益、そういう問題でやりとりをいたしました。そのときに、石油業界というのはとかくの評判がある、こういうことが異口同音に言われたのであります。  かつて当委員会で、消費者の団体の参考人から、石油業界というのは経営の実態が消費者から見ると非常に不透明だ、原価の内容も不正確だ、こういう発言があったのです。このときに参考人としてお見えになった元通産省の次官でありました永山さん、この人が当時石連の会長でございました。あなたは石油連盟の、石連の体質をどういうふうに見ておられるか、こういう質問をいたしましたところ、永山さんは、今の石油業界は惨たんたる状況だ、私自身も業界の構造改善をする必要があるということは十分認める、こういう発言があったのです。まさに、我々は石油業界というものが過当競争でいろいろなことがやられて、不透明だというようなことを指摘したことを、このお二人の方が裏づけされたわけです。  これから石油業界の問題を質問いたしますが、今通産省は、私が申し上げた石油業界の体質、こういうようなやりとりを当委員会でやったのですが、現在は体質がどのようになっておるというふうにお考えか、まずそれを一つお伺いしてから質問に入ります。
  82. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 石油業界の体質いかんという御質問でございますけれども、今先生指摘ございましたように、非常に過当競争という状況にあるわけでございまして、御案内のように、石油元売、精製段階、この辺非常に経営基盤も弱いというのが実情でございます。また、石油販売業界におきましても、私どもの最近の調査によりましても大体四割が赤字、こういった報告がなされているわけでございまして、非常に経営基盤が弱い状況にあるわけでございます。  それで、私どもといたしましては、昭和六十一年から二年にかけまして、石油審議会におきまして、規制緩和を中心とした石油業界の体質強化を図っていこうということで、五年のプログラムをもちまして、規制緩和を推進しつつ石油業界の体質強化を図っていきたい、こういう状況にあるわけでございます。
  83. 武部文

    ○武部(文)委員 あなたが当時おられたことを今思い出しました。あなたもその当時その席におられたわけですから、お聞きになったと思うのです。あなたもずっとこの石油関係でしょう。ですから、今あなたのお顔を見て思い出しましたが、私が言っていることは決してうそでも何でもない。そういうやりとりがあったのです、現実に。そういう体質が今も残っておるのではないか。  これから申し上げるあなたの文書ですね、通達、この九月七日付の「石油製品価格の改訂について」という石連の会長に対してお出しになった石油部長の通達、これとその後起きておる状況、そういうものを見ると、あの当時から相当努力されて、過当競争の中で、いろいろな困難の中で改善されてきたことは認めます。それは認めますけれども、やはり他の業界との間に体質の差は依然としてあるように私は思うのです。これはいろいろと扱う商品の問題あるいは末端ガソリンスタンドの数あるいは元売十三社の競争、そういうものがその背景にあることは私は認めます。認めますが、やはり体質上まだ昔のものが残っておるように思うので、ぜひ御努力をいただいて、先ほどのような発言が全面的に解消されるような御指導をぜひお願いをしたいということを冒頭にお願いをしておきたいのであります。  さて、湾岸戦争が八月二日に始まって、この通達は一カ月後の九月七日に出されておりますね。この結果どういう事態が起きたか。これによって石油業界が直ちに値上げをいたしました。このあなたの方の通達は、一カ月前の取引をもとにして値段を決めて報告しろ、こういう内容になっておりますね。今まで私どもはそういうことを知りません。直前の一カ月のものをおやりになったということはどういう理由でしょうか。
  84. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 その通達の中身は、結局、原油価格であるとかあるいは輸入する石油製品我が国の場合には、二割程度が原油という形ではなく石油製品という形で輸入されておりますので、輸入石油製品価格変動、これをもと便乗値上げであるかないかを判断していこう、こういう趣旨であったわけでございます。  そこで、現在の世界のマーケットにおきます原油あるいは輸入石油製品価格の決め方でございますけれども、大宗がいわゆるスポット市場での価格の一月の平均、それに連動するものであるということを勘案いたし、かつ、状況が非常に流動的であるということから、そのときどきの情勢を最近値で把握しておこうという趣旨で一カ月ごと、こういうふうに申し上げたわけであります。
  85. 武部文

    ○武部(文)委員 それではちょっとお伺いいたしますが、確かにこのスポット価格はオマーンとドバイの原油平均をとっておやりになっておるようであります。九月に二十五ドル三十三セントにあなたの方ではお決めになっておるようでありますが、これはどの月と比較をしてこのような数字が出てきたのですか。後の十月とか十一月とかそういうものはみんな先月のものになっておりますが、それならば九月の一番最初の二十五ドル三十三セントという数字は、その前のどの資料に基づいてお入れになったのですか。一カ月前ですか。
  86. 岡本巖

    岡本説明員 御説明させていただきます。  今、日本が輸入する原油というのは、ほとんどがターム契約という形での契約でございまして、そのターム契約原油価格というのは、各油種ごとに、日本石油会社が実際に調達している原油というのは約七十種類に及んでおりますが、今先生が御指摘になられましたのは、極東向け原油指標価格になっておりますドバイあるいはオマーンというものについての価格について言及されたかと思いますが、ドバイについて申しますと、八月積みは二十五ドル六セント・パー・バレルということで、その前七月積みの十五・二八ドル、あるいは六月積みの十三ドル二十二セントということに比べれば大幅に上がったわけでございます。  ただ、私どもが実際に各社からコスト変動報告を受けるに当たりましては、ドバイを実際に調達した会社については、その限りにおいてはドバイ原油価格を押さえますが、先ほども申しました約七十種に及ぶ原油につきまして、実際に各社が調達したもの、それをインボイスを見ながら個別にチェックして、その積み上げでコスト変動幅を押さえるという形をやっておるところでございます。
  87. 武部文

    ○武部(文)委員 私が質問しているのは、二十五ドル三十三セント、これに基づいて各十三社がリッター当たり八円ないし九円、大体八円ですね、リッター当たり八円ずつの値上げを九月にいたしましたね。その九月に値上げしたのは、このあなたの通達からいうと、先月の十一日から当月の十日までの平均レートをやっておるのでしょう、ずっと後は。一月前ですから。一番最初の九月のはどこのものを対象にして――二月じゃないですか、二月。
  88. 岡本巖

    岡本説明員 通達で私どもは、既に確定した原油価格及び輸入石油製品価格変動に伴うコスト変動、これに見合うもので仕切り価格改定はやってくださいということを各社に指導しているところですが、仕切り価格という形で各元売会社が実際に公表しておりましたものが二月の仕切り改定後の仕切りでございますので、私ども比較の変動幅を押さえるに当たりましては、二月仕切りの前提とされました各社の実際の原油の調達コスト、これとの対比で変動幅を押さえた次第でございます。
  89. 武部文

    ○武部(文)委員 二月にしたのはおかしいじゃないですか。二月から七月まではバレル当たり十三ないし十五ドルぐらいが相場なんですよ。何でこのときだけ二月や七月、何でその前の月のものをおとりにならなかったのですか。
  90. 岡本巖

    岡本説明員 会社によって二月仕切りの改定と言われておりますものは、一月に行った会社あるいは二月の一日に行った会社ということで幅がありますけれども、おおむね各社が二月仕切り改定の前提として押さえました原油コストというのは、十二月積みの原油コストでございます。ドバイについて申しますと、そのレベルは十七ドル十一セントというレベルでございます。  今先生指摘の、例えば直前をとるということで七月積みの十五ドルでありますとか、さらには六月積みがさらに低くて十三ドル二十二というのがドバイのレベルでございましたが、これとの対比において二十五ドルという八月積みのものの上げ幅、変動幅を押さえました際には、九月における仕切り改定というのはさらに大きなものになったかと思われます。そういう意味で、石油会社の勝手な都合からいえば、一番低かった六月積みの十三ドル二十二というあたりを押さえて、それとの比較で八月積みの平均価格の乖離というのをとれば、約十二ドルのアップということでございますが、私どもは、九月のヒアリングにおきましては、公表された直近の仕切り改定が行われた二月の仕切り改定の前提となっている十七ドル十一セントというあたりを前提にして変動幅を押さえた次第でございます。
  91. 武部文

    ○武部(文)委員 最初に申し上げたように、きょう本会議がございますので、時間の関係でやりとりできませんが、ちょっと今の説明は私納得できません。これから申し上げることを聞いていただいて、もし反論があればおっしゃってください、これでやめますから。  あなたの方の通達は「原油価格等」というふうになっていますね。「原油価格等の上昇」というこの「等」の中には、ちょっと同僚議員からもお話がございましたけれども、例えば金利とか海上運賃とか保険とかいうようなもののほかに、こういうときに「等」というものを利用して、人件費だとか流通コストとか、そういうものも一緒にして値上げのものとしてやってきておるのではないか。これがいわゆる便乗値上げじゃないかと私は思うのだが、そういうものはあなた方の通達と現実に大幅な価格改定の中に含まれておるかどうか、こういう点をどういうふうにして皆さんは査定しておられるか、これが一つ。  もう一つは為替レートのとり方です。大蔵省の通関は円高で出ておるのに、通産省の設定レートは円安であります。それで、これを採用した石油業界は円安の通産省のレートを使っておる。その間に相当な差があるのです。大蔵省での通関レートでとった円高と通産省の設定レート、あなたの方で指示された円安のレートの差が一円三十九銭出てくるのですよ。これに製品の輸入とそれから原油の輸入分を掛けて半年分を出しますと、円高差益が三百十七億円石油業界の懐に入るようになるのです。そういう計算になるのです。一年分で約六百億円高差益が入ってくる。これはレートのとり方で違うのですよ。円高をとらないで円安をとっておるでしょう。通産省の円安分をとって計算をしておる。これで値上げをしておるのですから。  そういうことをやって、それならば今の業界は現実に一体どれほどの収入を、利益を上げておるかという計算が出ますね。シェル石油は十二月決算で二百十八億円、これは倍増ですよ。日本石油は約四百億円、経常利益で八九%アップです。こういう具体的な事実が数字の上で出てきた。さらに、同じような石油関連の企業の中でも、例えば総合化学あたりはみんな減益です。例えば三菱化成、三菱油化、三井石化、みんな前期に比べて二割以上の減益です。にもかかわらず、今申し上げたように、業界の方は円高差益だけでも年間六百億ぐらい懐に入るようなやり方をしておる。今日こういう情勢になったら、この通達はもう直ちに廃止すべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。全部まとめてひとつ答弁していただきたい。
  92. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 幾つか御質問があったわけでございますけれども、まず第一のこの通達の中の「等」に何が入っているかというこの文言よりも、この通達の中で、原油価格と輸入製品価格変動に伴うコスト変動、その範囲でそれに対応して仕切り価格改定をやってほしいと言っておりまして、したがって、私どもが現実にコスト変動等をチェックし、それと仕切り価格改定をチェックいたします場合に、人件費とかあるいは物流費であるといったようなほかのコスト変動は一切盛り込んでおりません。  それから第二に、為替レートの問題でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、原油価格等はその前の月の一カ月間の平均をとるわけでございますが、その結果が出てくるのが若干その次の月の上旬にかかるわけでございます。それが確定したところで私どもはヒアリングをやっているわけでございますけれども、為替レートにつきましてはできるだけ直近のところまで入れた方がいいだろうということで、九月の段階から既に、大体九月の十日前後に最初のヒアリングというのをやったわけでございますけれども、できるだけ直近の為替レートを反映した方がいいということで、九月について申し上げますと、八月の十一日から九月十日まで、その月以降も同じでございますけれども、そういう形で為替レートの計算は行っているわけでございます。  それから、収益の関係でございますけれども、十二月決算の会社というのは数が少ないわけでございます。それで、先ほど先生から日石が幾らというようなお話もございましたけれども、これは三月が決算の会社でございまして、もちろんまだ決算が出ているわけではございません。それで、十二月決算の会社で上場されております石油関係の会社というのは二社でございますけれども、一社は増益になっておりますが、一社は減益になっているわけでございます。それから、私どもが非上場の関係の会社も含めまして聞き取り調査をいたしておりますところでは、十二月決算の上場、非上場合わせまして全体の状況は、九社ございますけれども、経常利益が元年度は八百六十億円であったものが、二年度は九百九十億円ということになっております。  ただ、一つは、元年度というのは石油産業全体が物すごく経営状況が悪かった年でございまして、ちなみに申し上げますと、六十三年度は今の九社で千五百十四億円の経常利益、六十二年度は千四百十二億円の経常利益となっているわけでございます。そういう意味で、二年は九百九十億であったというのが実情でございます。また、営業利益でとってみますと、要するに石油製品の精製、販売の本業としての利益でございますが、これは今の九社について見ますと、元年は千八十九億円に対しまして二年度は千五十億円ということで、全体として、九社として営業利益は減益になっているのが現状であるわけでございます。  実態的な説明は以上でございますけれども、私どもは、いずれにいたしましても、この通達につきましては、この中で報告の徴収を求める文章といたしまして、国際石油情勢が安定するまでの当分の間というふうに言っているわけでございます。現在のところ、一応戦闘行為は終結したわけでございますけれどもイラククウェートのいろいろな油田あるいは製油所等々の実情もまだ必ずしもはっきりしていなくて、それがまたこれからの国際石油需給にどういう影響が出てくるかといったような点も含めまして、もう少し見きわめていく必要があるのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
  93. 武部文

    ○武部(文)委員 意見を述べる時間がございませんので、これで終わります。
  94. 村山富市

    村山委員長 この際、休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ────◇─────     午後二時二十五分開議
  95. 村山富市

    村山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川信君。
  96. 小川信

    小川(信)委員 それでは、まず最初に、平成三年度の経済見通しを企画庁の方で示しておられますけれども、それとあわせまして、先般長官のごあいさつの中で、いろいろと当面する経済情勢について御所見が述べられておりますので、そのこと等について若干お尋ねをしていきたいというふうに思います。  日本経済、先ほどからお話がございましたように、長期間にわたって景気が非常に続いておること等から見まして、好景気が持続的に進んでおるというようなことは、ある一面から見ますと、やはりインフレ圧力というものも基調的には存在するのではないかというふうに一般的に言われておりますし、またそのような感じがするわけでございます。  それから、湾岸戦争が終結をしたということですけれども、八月二日から今の終結、そして終結後の、終わった後の経済的な、また政治的な混乱、こういうふうなものが平成三年度以降の経済の動向にもいろいろと影響してくるのではないかというようなことが考えられるわけなんです。それは、まず一つは、中東地域において、我々、過去歴史上経験をしたことのないような戦闘が行われた。いわゆるハイテクを駆使して非常に強力な破壊活動が行われたし、また、それに対抗して環境破壊とも言われるような対抗的な措置が講じられてきた。言うなれば、油井の炎上の問題、原油の流出の問題、そういう問題等も含めまして、戦後復興というものに対しては相当の資金を世界じゅうが使わざるを得ないのではないかというふうに考えられます。九十億ドル問題で、大変国会でも問題になりました。戦費かどうかというような問題もありましたけれども、それ以上に、復興して新しい経済的な秩序をつくっていく上では非常に多額の資金的なものが必要になってくるのではなかろうか。我が国に対してもこれらが求められてくると思いますけれども、聞くところによりますと、どうもそういう復興の諸事業というものは、アメリカやイギリスを中心に受注され、復興事業が展開されるのではなかろうか。そういうことを考えますと、アメリカ経済というのは戦後復興受注で急速に回復していくのではないか。そしてドル高が非常に進行していくということが懸念される感じがしております。  それともう一つは、今度の湾岸戦争というのは、国連決議に基づいて多国籍軍ということでありますけれどもアメリカ軍主導的に行われてきた。そして御存じのような結果になったということは、国際的な経済とか貿易交渉等においてもアメリカの発言力が非常に強くなってくるのではなかろうか。例えばガット交渉等においても、日米の貿易交渉等々についても、アメリカの発言力が非常に強くなってくるのではなかろうかというようなこと等も懸念されます。そういう中で相対的に、日本が交渉の中で、我々が、日本が想定した以上の課題を抱え込むことによっての円安ということも片一方では出てくるのではないか。さらには、アメリカが輸出等に対して自主規制を強く求めてくるものを受けざるを得ない、こういう予想しがたい、従来の予想を超えた情勢の変化というものが出てきはしないか。  さらには、九十億ドルの戦費という形、これは何でもいいのですが、日本の金が国内からドルとして向こうに出ていく。さらにそれ以上の支援を、追加を求められるということになりますと、相当の日本の円がドルという形を変えて国外に出ていく。  こういうふうなこと等を考えてみますと、予算編成前に経済見通しを立てられた、三・八%の経済成長、内需が四%、外需がマイナスの〇・二%、こういうふうな問題等、これに対して今申し上げたようなことを一つの新しいファクターとして組み込んで見直す作業をする必要があるのではなかろうかというような感じがするわけです。さらにそれに加えて、設備投資はどちらかというと鈍化の傾向にあるし、それから個人支出の中心である住宅投資等も伸び悩んでおる。こういうふうなこと等を含めて、やはり見直しの作業をすべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございますが、そのあたりで長官、いかがでございましょうか。
  97. 越智通雄

    越智国務大臣 小川委員にお答えさせていただきます。  正直な話、各方面からの御質問と申しますか御見解の御披瀝ありましたものですから、どこからお答えしていいかわかりませんけれども、まず湾岸のことから申し上げさせていただきます。  湾岸復興につきましては、先ほどもちょっとお答えさせていただきましたが、直接的な戦禍の及びましたクウェートサウジ、あるいはスカッドミサイルを撃ち込まれましたイスラエルというのは、いずれも大変富裕な国でございまして、先生御存じのように、クウェートは外貨準備だけでも日本の倍近く、日本が今七百億ドルぐらいでございますが、クウェートは千二百億ドルは下らないと言われておりますので、かなりリッチな国でございます。国民所得の一人頭も二万ドルまでいきませんが一万七、八千ドルいっているという国々でございますので、御自分の復興につきましては、資金的な問題ではなくて技術的なと申しますか、そういうことを求めていらっしゃるんだろうと思いますが、まだ先方のそうしたことについての確たる意思が出てきませんものですから、なかなか対応しにくいと思っております。  イラクそのものにつきましては、これは政治情勢上私どもが今ちょっとどうこうするということを考えると申しますか、言い出すわけにいかないような難しい立場だろうと思っております。  その他の比較的間接的な影響を受けました、言葉はなんでございますが出稼ぎに行っていた方々が戻ってしまったとか、一時的に石油の値段が上がったために経済がショックを受けたとか、そういう国々に対しましての支援というのが日本の役割に回ってくるのではないか。周辺諸国でも産油国でないところは大変に格差が大きゅうございまして、一人頭国民所得が大体数百ドルのところでございますので、そこら辺に対しましてはどういう格好で私どもは今後支援していかなきゃならないか。広く世界を眺め渡してみますと、国際収支で黒字が立っているのは今日のところ日本とドイツしかございません。そしてドイツが東ドイツを抱え込み、さらに東欧の国々がせっかくペレストロイカ的に立ち上がろうと思ったときにソ連の政治体制が揺らぎ、そしてまた中東紛争のために油がなかなか入ってこなくなったということで、東欧そのものが大変経済的に苦しい立場になっている。そっちに向かってドイツが力を出さねばならないとなりますと、中東からこちら、アジアにかけては日本の方にかなり期待されてしまうという感じがしております。ただそれは日本経済にとりまして大変厳しいことでございまして、先ごろの一兆一千七百億出すのでも大変苦労したわけでございますので、こうしたものをどういう格好で受けとめていけるか、もう少し先方の出方をよく見ていかなければならない、こう思っております。  その次に先生が、アメリカが大変経済として調子がよくなるんじゃないかという御意見でございましたが、私も今度の湾岸紛争の終わり方はアメリカ経済にとってはプラスの格好で終わったと思っております。もともと十―十二月からリセッションに入っておりまして、向こうの政府としましては、年央という言葉を使った場合もございますし、アーリーサマーという、六月ごろを頭に置いての発言がございましたが、二月に私ども経済企画庁審議官を回しましたときには、アメリカではやや悲観説がございまして、アーリーサマーじゃなしにアーリーウインターまで行っちゃうんじゃないか、不景気の底を打つときはいつか、ボトムがいつかという意味ですが、言っていたのですが、今度の湾岸紛争の終わり方を見ていますと、大体政府の見通しどおりに行くのかな、四―六が終われば、夏になれば景気が持ち直してくるかな、こういうふうに思っておりますが、ちょっと逆に言いますと、この終わり方が大変格好よかったものですから、今円安・ドル高に振れておりますけれども、むしろ反動が怖い。アメリカ経済のファンダメンタルズがもっと表へ出てきたときにはずっと円安傾向が続くのじゃなくて、反転して、一転して円高方向へ走り出さないとは限らない。その点を私ども相当神経質といいますか注意深く見ていかなければならない。そんな中で日本に対する、もっとこうしろ、ああしろ、あるいはいろいろな規制とかそういうものが強く出てくる危険性は、先生のおっしゃるとおり、ございます。もともと日米経済構造協議の一年たったときの見直しがことしの五月の末でございますので、間もなく事務打ち合わせの日取りも決まるのだと思いますが、五月の末と認識いたしておりますが、そこら辺で日本は大変よくやったと言ってくれるか、何だまだこんなものかということで出てきますか、かなり厳しく出てくるのじゃないかなというおそれを私は持っておりますけれども、そんなときに日米間の経済協力をどういうふうにやっていくか、大変つらいところだと思っております。  それから、今国内的な問題につきましてお話がございまして、設備投資が伸び悩むのではないか、それからまた消費が伸び悩むのではないか、こういうお話でございまして、だから三・八%は難しいのではないかというお話かと思いますが、設備投資の方はもともと、大体ここ六十三年、平成元年、平成二年と十数%、二けたの伸びをしてまいりました。したがいまして、六十一年の年末から今日までの五年間で設備投資レベルは大体倍になっております。あのころがクォーターで、四半期別でございますが、六兆から十兆と言われました。今のクォーターは大体それの倍のレベルで走っておりまして、年間設備投資総額が八十兆円から九十兆円になっております。そこでさらにそれが六・八%ぐらい平成三年度中にふえるだろうと私ども見込んでおりまして、ですから減速感は出てきますけれども、決して設備投資が、マイナスが立ったり伸びが急に落ちるというものではない。ただ、最近いろいろ方々で試算をして出してまいりますのは余り高くございません。一・幾つとか二・幾つとかそういう数字ですが、今どきの調査はどうしても後で上方修正になりまして、甚だしいときにはその上に五、六%、結果から見ると上に上っている場合がございます。今の調子でございますとそのことが三・八%の成長を妨げるほどに設備投資が伸び悩むということではあるまい。なぜならば、その後ろに省力化のための設備投資をしなければいかぬ、それからまた技術革新をさらに進めていかないとすぐ追いつかれる、競争力が落ちるという、設備投資に対するニーズは非常に高いものですから、金利その他の条件がかなえばまだまだ設備投資意欲はあるものと私ども見ております。  なお、消費に関しましては、おっしゃるように普通の消費は、雇用労働力がふえておりますし、就業者がふえておりますし、一人頭の賃金も計画の上では四・四%の伸びを見込んでございますけれども、まあまあいいと思いますが、おっしゃるようにその中の住宅建設がどうだと言われると、これはやはりいろいろな規制が効いてきておりますので、今、大体百六十万戸ペースで走ってまいりましたが、やや減少傾向でございますので、これがどう出てまいりますか、心配しながら住宅建 設の方を見ておりまして、これは新しい制度もいろいろとっておりますので、そうした税制やその他の政策が効いてくれば、また堅調さを取り戻してくれるのじゃないか。  いずれにいたしましても、ちょっと不確定な要素が多うございますが、それを今数量的に見込んで組み込んで見直しをするというところまでは来てないのではないか、このように思っておるわけでございます。
  98. 小川信

    小川(信)委員 ともあれ、端的に言って、今からガットの貿易交渉も今年中には結論を出さなければならない形になっておりますし、その間サミットもあるというようなことの中で、経済問題が非常に重要な課題にやはりセッティングされるだろうと思います。ガットについても、米を初めとしまして十五分野ではまだ未解決なものもございますから、そういうような中でやはりアメリカが覇権の力を背景の交渉に日本が屈するということになると、日本のせっかくの経済の今まで組み立てた組み立て方が崩れ去るというようなことにもなりかねないということで、経済官庁としての企画庁の御尽力をいただきたいと思います。  さて、物価上昇の問題でございますが、見通しの中でまた大臣、二・四%、このことについては先ほど武部委員 各委員の方々からお話がありましたけれども、やはり物価上昇については、いろいろありましょうけれども、二月の十五日に日本銀行が発表いたしました卸売物価統計、これが二・六%上昇だということです。卸売ということは、それから二カ月か三カ月先の消費者物価影響してくるわけでございますので、その中で特に、二・六%の上昇というのが非常に高い十年ぶりの上昇だということと同時に、企業向けサービス価格指数が上昇しておる。ここがじわりじわりと消費者物価が上がってくる原因をつくっていくのではなかろうかというような感じが私はしておるわけなんです。  そういうような中で、二・四%の問題がどうかなということですが、けさほどからいろいろな話の中で物価上昇要注意だ、皆さんがそういうふうに主張されましたけれども、いわゆる人件費コストの問題、それから金利、高金利の問題、それから物流コストですね、これは商品の多頻度配送というような今の流通ニーズにこたえざるを得ないという形で出てくる、それから情報サービスにかかわるいわゆる企業サービスコストというものが上がってくる、こういうふうなことがやはり一つの原因ではないだろうか。それから石油製品原油価格は確かに安定、下落をしてきておりますけれども、ナフサ等の石油製品は必ずしもそうではない。ナフサが、この石油製品を通じて出てくるポリエチレンとかいろいろなものの製品になって、いわゆる製品というよりは商品になって出てくるわけですけれども、こういうふうなものが非常に問題がある。それから季節商品ですね、生鮮食料品。この問題のことを後でちょっとやりますけれども、これらが複合して、単品ごとでは大したことはない、こういうふうになりますけれども、複合した形で相当物価を押し上げていくのではないか。その中で二・四%を再検討をしていく必要があるのではなかろうか、このように思うのですけれども、そのあたり、いかがでございましょう。
  99. 越智通雄

    越智国務大臣 また広い立場から小川委員にいろいろ御指摘を賜りまして、私どもも、経済指標の中で物価を一番心配しながら見ております。消費者で二・四%、そして卸売でマイナスの〇・一%というのが平成三年度の見通しでございますが、何とか守りたい、このように感じておるところでございます。  まず第一点に、先生がおっしゃいました二月の卸売物価大分上がったぞ、こういうお話がございます。実は、ここら辺非常に心配して見ておりますけれども、何でございましたら政府委員から細かく御説明いたしますが、やはり今先生のお触れになりましたナフサの問題が大きく響いているようでございまして、先生御存じのように、八月二日の紛争の始まる直前はナフサとクルードオイルはほぼ値段に差はありませんでした。そして、十月のあのピークのときにかなりナフサの方が余計に上がりました。そして、十一月にもう一遍同じレベルまで収れんしたのでございますが、そこから後のクルードオイルの下がり足に対してナフサが横ばいになってしまいまして、ついにバレルで十ドルぐらいナフサの方がより高いという状態が一月ごろ現出いたしました。日本のプラスチックとかそういうものに対しては十月に上がったのが月おくれで響いてきたし、その後においても、ナフサがそういうやや強いもち合いをしたものですから、石油二次製品等はなかなか値下がりしないということが卸売物価に響いてきているのではないか。だけれども、今度の物価を心配する意味では、もう経済成長が五年も続いたという中で来る、先ほど先生指摘のように物価を押し上げるパワー、それはあるわけですが、どちらかというと、コストが上がってきてコストプッシュ型でいくならばもっと本来卸売物価がはねてくるはずでございますけれどもコストプッシュでない、デマンドプル的な感じで小売物価の方が先行的に上がっていく可能性が高いと私は見ておりまして、その意味では二月の卸売物価はやや一時的な現象で、ナフサの値段自身も二月に入りましてからはかなりクルードオイルに幅は狭まっております。バレル十ドルあったのが私の勘では半値ぐらいまで狭まっているはずだと思っておりますが、そうした意味では、今後はやはり卸売物価平成三年度、大体二年度に横ばいという線は何とか守れるのではないか、あるいは二年度の実績見直しをいたしまして卸売物価二%ぐらいの上昇だと申し上げたのですが、それも下回る程度で抑え込めるのではないか。  問題は、やはりそこから先の消費者物価との間の問題で、今先生指摘のように、人件費はどうだ、金利はどうだ、物流コストはどうだ、情報化サービスのためのコストはどうだ、ここら辺を相当きめ細かくチェックしていかないと難しい問題じゃないか。  ただ、金利はひところは大変低うございまして、二・五というのは日本銀行の歴史の中でも一番低いわけでございますし、それがまた、あれだけ長い間続いたというのもやや歴史的な、記録的な長さでございます。今六%というのは、諸外国に比べますと普通のレベル、日米が今全く一緒になっておりますが、ドイツの方が上回っております。そういうところまで来ておりまして、大変高い水準とは言えないので、どう動かすか、いつ動かすかですけれども方向としては下げる方向で今議論があるわけなんで、全体の経済動きを見ながら、いつ、どういう格好でやるか。実際は公定歩合が動く前に諸般のいろいろな金利、公庫の貸し出し等の金利は実はじりじり下げさしておりまして、むしろ公定歩合が市場追随型で動くような格好になるのではないか、私などはそう思っておりまして、全体を通じて金利の下がっていく環境整備を今やっていきたい。  人件費の方は、これから四月三日と九日と十二日が春闘の山場でございますので、そこら辺もよく見詰めていかなければならない。  そういうことによって何とか、私どもの申し上げております二・四というものを、消費者物価のアップ率は守らせていただきたい。今少なくともそれは到底だめだからもっと変えますという段階までは来ておりませんものですから、ぜひ御理解いただきたいと思っております。
  100. 小川信

    小川(信)委員 先ほど申し上げたように、私は、複合的な要素による値上がりが必至ではないか、それなら、端的に言うと、春闘の前に経済企画庁が修正をしてこのぐらい上がりますよということを言う方が実質的に親切じゃないかというふうに思うわけでございます。現実に日経連の会長が先般長官とお会いになったときに、何か長官が無為無策のようなことをおっしゃったようなことを書いてありますけれども、これは、逆に言いますと、日経連会長が春闘を意識して発言されたわけでしょうから、そんなことはないのだという意味で、何も二・四%にこだわらずに、今も私が申し上げたような複合的な要素でもっと上がる傾向がありますよということをおっしゃってもいいのではなかろうかと思います。これは私の気持ちでございますけれども。  その中で、非常に大きな物価上昇の要素になっておるということで、けさほども細田委員からも皆さんからも出てきておりました生鮮食料品の問題ですけれども、生鮮食料品の価格は、現実大きなぶれはあるが、下方硬直的にぶれながらずっと高値になって推移しておるというのが現状ではなかろうかと思うのです。その中でも、特に主婦の方々の日常的に関心の一番高い生鮮食料品の中でも青果物の話でございます。  青果物の問題について、私、まずお尋ねしたいわけですけれども、毎月出しております消費者物価動向を見ますと、仕分けの仕方が、「総合」と書いて、「生鮮食品」「生鮮魚介」「生鮮野菜」「生鮮果物」、そして「生鮮食品を除く総合」というような形での仕分け分類になる。というのは、生鮮食品が非常に振れが大きいから、それを入れると問題がある、客観的に見られないということでしょうけれども、例えば「生鮮野菜」を見ましても、昭和六十三年が九・五%、元年度は安値になりまして〇・五%、ほとんど上がってない。それから、二年度以降二けた台の上昇になってきておるということですね。  これは、ある意味では野菜が足らないから、ないから高いんだということでしょうけれども経済企画庁がいつもおっしゃるのは、物価の動向のときに、生鮮食料品等の値上がりによって物価が上がったんだから仕方がないと言わんばかりの御説明をされることがよくありますけれども、その辺に対しまして経済企画庁は、生鮮食料品の適正価格による安定のためにどのような対策をお考えなのか。これは経済調整官庁ですから必ずしも具体的なものはないかもわかりませんが、そのあたりをまず私はお尋ねしたいと思います。
  101. 田中努

    田中(努)政府委員 お答え申し上げます。  私どもの発表しております消費者物価には、「総合」とそれから「生鮮食品」と、それから「生鮮食品を除く総合」という、いわば三本立てで常にお目にかけているつもりでございまして、生鮮食料品の部分を常に除外しているというようなことはないのではないかと存じます。それは指標の問題でございますけれども、私どもといたしましても、消費者物価の安定のために、生鮮食品の安定ということも、その一つの極めて重要な要素であるということは認識をしているわけでございまして、その価格動向につきましては日ごろから十分注視をしているつもりでございます。  そういった観点からいたしまして、昨年十一月三十日に年末年始対策というものを慣例によりまして導入、策定をいたしたわけでございますけれども、その中におきましても、年末年始における生鮮食品の供給の確保というふうな対策を盛り込んでございまして、例えば野菜の指定産地の生産出荷協議会によりまして、よりよい需給バランスをとっていこうというふうなことでございますとか、あるいはその後の経緯の中で、野菜供給安定基金の契約栽培キャベツの放出、あるいは生産出荷団体による大根等の野菜の前倒し出荷等の対策を、農林水産省と連携をとりながら実施をしてきているところでございます。農林水産省に対しましては、私どもも日ごろから的確な野菜価格安定対策をとっていただけるよう要請をしているところでございまして、今後とも野菜等の生鮮食品の価格動向を注視しながら、引き続き的確な対策の実施につきまして、農林水産省と密接に連絡をとってまいりたい、こういう考え方でおります。
  102. 小川信

    小川(信)委員 企画庁の対策には、具体的な関係省庁に現実はやっていただかなければならぬということで、非常に難しいかと思いますが、私申し上げるのは、普通物価が上がっていって、経済企画庁にマスコミ等が聞くと、いや、これは生鮮食料品の値上がりだ、それは気象条件等とか、雪が降ったとか天候が悪かったから、そういうふうなことで品不足で上がったので、これは極めて季節変動的な要素だというふうに言われますけれども価格変動の原因が単に自然条件とか気象条件、これによって、最初に申し上げたように生鮮食料品が下方硬直的に上がっていくということでは必ずしもないのではなかろうかというふうなことも考えられておるわけです。ここ数年の青果物の割高、高値傾向というものを企画庁としてはどのように認識し判断しておられるか、その辺企画庁の立場で御答弁いただければと思います。
  103. 田中努

    田中(努)政府委員 ここ数年の動きの中で、昨年十月以来の野菜の動きというのはかなり特異な動きをしておりまして、十月以降急速に上昇し、その後暖冬の時期でございました十一月、十二月ごろには、前進出荷というような形で供給が潤沢に行われたというようなことで、価格が低下をした時期もございました。その後、いわば春野菜への転換の端境期というふうなこともございまして、再び上昇に転ずるというふうな、かなり気候要因に左右された動きを最近はしているのではないかというふうに見ているわけでございますけれども、そういったことを超えまして、もう少し長い目でここ数年間の動向を見ますと、全体としてやや上昇傾向、トレンドとして上昇しているような節も見受けられるわけでございまして、これがどの程度まで構造的な問題であるのか、あるいは景気循環との関係ということも無視はできないという点もございますし、それから野菜そのものの持つ循環的な変動要因価格と供給の間の循環というふうなこともあり得るだろうというふうに思われるわけでございます。  長期的な要因といたしましては、野菜を生産され、それを市場に出しておられる農家の数が、長期的に見ると減少傾向にあるというふうなことも何らかの関係があるのではないかというふうな感じもあるわけでございまして、その辺、少し長期的な観点から勉強してみたいというふうに考えております。しかし、当座の問題としてはやはり天候要因が一番大きいのじゃないか、こういう見方でございます。
  104. 小川信

    小川(信)委員 今局長おっしゃるように、目の前の大きなぶれというのは、確かに価格変動、これは気象条件、作付時点における気象条件とか収穫時期における気象条件、いろいろなことがありましょうけれども、それから野菜出荷の前倒し出荷というのは、本来出荷する時期より早く出荷するわけですから、結果的には、それを適正時期に出荷するときにさらに次に前倒しをしなければならないというような、全国的な生産計画、例えばカンランならカンラン、白菜なら白菜、こういうふうなせっかく計画の中できちんと調整をとらなければいけませんが、それは農水省の方の仕事ですけれども、ですから、足らぬ、とにかく上がったから経済企画庁前倒しで出してくれよということですけれども、生育途中の野菜はそう簡単に出せるものでないものもあるわけでございますから、その辺はなかなか、そういうところが青果物の難しさだろうと思います。  ところで、企画庁としては、物価変動の大きな要因になっておる青果物の問題については今それぞれお話があったようなことですけれども、きょう農水省においでいただいておりますけれども、農水省にお尋ねしたいわけでございます。  これは全国の農業関係の新聞ですけれども、「野菜づくり今がチャンス!? 高値は当分つづきそう」という見出しで書いてありますけれども、サブの見出しで「担い手不足と高齢化」、それから「作付面積は減る一方」というようなことがあるわけです。言うなれば、御存じのように野菜というのは、主に野菜でもカンランとか白菜、大根とかそういうふうなものというのは、生産が一割くらい落ちると価格は三割なり五割上がるというような性格を持っておるものですけれども、この一月の東京中央卸売市場の入荷の平均の卸売価格は、指定野菜十四品目の平均で五割以上の値上がりだ。これは指定野菜ですね。指定野菜というのは少なくとも計画的に生産を期待しておる野菜ですから、そういうふうなものでも五割の値上がりだ。キャベツに至っては三倍近く高騰した、こういうふうになっております。  そこで、これがやはり野菜の生産構造の弱さ、もろさというか後退というのが原因じゃないかということです。野菜の販売農家は、六十年から平成二年の間に一六%も減少したということですね。そして、野菜生産に従事する人たちは年々高齢化をしていく。野菜農家の四十九歳以下の割合は、五十年の五九%から六十年は四六%まで減少している。いわゆる若い人たちが野菜づくりから撤退をしておるということですね。それで、高齢化されたお年寄りの野菜づくりの農家の人たちは、いわゆる重量野菜は重くてやれない、腰が痛くてやれない、こういうふうなことを言われる。そして、若い人たちはハウスとか施設の野菜に転換をされる、花に変わる、こういうふうになってきておるのが現状ではないかと思うのですね。  ですから、青果物の慢性的な高値傾向というのは、生産構造の弱さにまず第一に原因がある。この辺について農水省はどういうお考えなのか。聞くところによると、野菜研究会というのを持っていろいろと検討、研究をされておられるようですけれども、その辺についてどのように対応を考えておられるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  105. 佐藤晉

    佐藤説明員 本年の野菜価格の問題についてお答えを申し上げます。  特に上昇の著しかったキャベツにつきまして申し上げますと、作付面積は昨年とほぼ同水準でございますけれども、入荷量の方は、日々変動はあるものの減少をしております。秋冬野菜の高騰は、したがいまして、やはり夏季の高温、干ばつ、たび重なる台風の襲来、十二月の千葉の降ひょうといった通常では見られない気象条件によるところが大きかったというふうに考えております。  しかしながら、野菜の販売農家数は、ただいま御指摘がございましたように、農業センサスによりましても、昭和五十年には九十万八千戸、販売農家がございましたが、六十年には七十九万戸と一三%減少しておりますし、六十年から平成二年にかけましては一六%さらに減少しております。また、野菜農家の年齢別の従事者数を見ましても、六十歳以上の従事者というのは五十年当時は二一%でしたが、六十年には二九%へと年々高くなっているということでございまして、労働力不足ということに加えまして、高齢化ということが今後の大きな問題だというふうに考えております。  ただいま野菜研究会のお話もございましたが、こういった生産面の問題あるいは消費面でもいろいろ変わった動きがございますので、そういったことも含めまして、昨年の四月から農林水産省の食品流通局で野菜研究会というものを設けていろいろ検討してまいりましたが、こういった労働力不足の問題、高齢化がどんどん進行していくということに対しまして、野菜生産につきましては機械化体系の確立ですとか軽作業化、そういったことによって省力化を進めるということ、あるいは農家負担の大きい育苗ですとか収穫後の作業といったことを農協などの代行体制というものを整備していくということ、さらには今お話がございましたような、高齢者にとっては重量のある野菜はなかなか生産しにくくなってきておりますので、そういった方には軽量野菜をつくっていただき、また、収穫、調製の省力化が比較的しやすい加工用、業務用向けの野菜といったものに取り組んでいただくといったいろいろな対策を講じまして、産地の労働力事情に応じた対策を講じていきたいというふうに考えております。
  106. 小川信

    小川(信)委員 一般的に対応されるということのお話があったと思いますけれども、実は私が住んでいるところは、カンラン、白菜の、小さいですけれども指定産地、県の認定産地地帯ですけれども、今おっしゃるようにだんだん取り組む農家が少なくなってくるわけですよ。そして指定産地要件が欠落する、それから県レベルでやっておる認定産地という要件が欠落してくるというようなことがあるわけなので、やはり産地を守っていくという意味からもその辺の弾力的な対応をしながらフォローアップを徹底的にしていくというようなことも必要ではなかろうか。例えば国の指定産地の要件は欠くけれどもレベルでは重要な産地であるというようなものにも、国の指定産地と同じような対応をしていく、こういうふうなことなんかもある意味では生産の体制で必要だろうし、共同育苗とかそれから肥培管理を共同でやるとかいろいろあると思いますけれども、そういうふうな基本的なフォローアップをして、そして生産者団体なり農業協同組合等々の対応をやっていく。ハードな事業があるからこれでやってくれればやれるはずだという形じゃなくて、もっときめ細かな生産の体制を組んで安定的な生産を、少なくとも生活の、いわゆる食生活の基本になるような生鮮野菜の生産についてはやっぱり国が一方では責任を持つということが、適正な価格を安定的に確保するという意味では必要ではなかろうかと思うのです。  私は、とにかく安ければ安いほどいいんだという主張はしたくないわけですけれども、それともう一つ野菜の問題で考えなければならないのは流通の問題だろうと思うのです。今市場等から要求されるものは、高品質のものだ、そして一定の量を一定の時間に持ってこいとか、それから包装はもっと見ばえのいいものに、もっとこうだということを要求されるわけですけれども、個人の商店なんかへ行くとその包装の箱は全部捨てられておる、店にはそういうようなものは入らずに並んでおるというようなことが現実には各地であるわけなんです。  そういうようなことを考えてみますと、やはり流通、川上の生産者から川下の消費者に至る間の流通の問題というのが非常に大事になってくるだろう。そういうような中でやっぱり一番大きな役割を占めるのは卸売市場だろうというふうに思います。青果物の卸売市場の占める役割というのは、御存じのように今でも非常に大きいものがあるわけです。そういうふうなことを考えてみますと、野菜では八七%が卸売市場を通して出る、さらにそのうちの、全体の中での半分というのは中央卸売市場を通して出るということになりますと、この中央卸売市場の果たす機能というのは非常に重要な役割を持っておるだろう。ここの持っておる機能というものをもう一遍見直してみる必要があるんじゃなかろうかというふうに思うわけです。  実は去年の十二月、年末の生鮮食品の流通問題について物特委員会で大田の市場を見学、視察に行かせていただいていろいろ勉強させていただいたのですけれども、私は、現在、市場の役割というのは、何といっても非常に大きな役割を持っているのはもう言をまたぬと思います。それは、全国各地から多品目の食料品が来て、そしてそれもいろいろな種類であり、等級に分かれたものが一つに集まって、そしてそこで値段をつけられて各地に分散をしていくという、そういうふうな大事な機能を持っているわけですから、いわゆる集中、中継、分散機能といいますか、こういう機能というのは、私は非常に大事な機能だと思います。同時に、卸売市場というのは、そういうふうに雑多なたくさんの品目が集まったものをその日のうちに適正な値段をつけてこれを決定するという役割があるわけですから、そういう意味では非常に大事だろう。それと同時に、出荷した生産者なり、またはそれを受け取った卸、それから買参人の人たちにとってみれば、代金決済が安心してできるという、そういう役割もあるわけでございますね。  そういうふうなことを考えると、卸売市場の機能というのは、中央であろうと地方の卸売市場であろうと、青果物の流通の中では極めて大事な役割を持っているというふうに思っておりますけれども、農水省はいかにその辺を御理解されておられますでしょうか。
  107. 本田浩次

    ○本田説明員 お答えをさせていただきます。  先生指摘のとおり、生鮮食品流通の中では卸売市場、大変大きな役割をしております。確かに流通形態としては、産地直結取引でございますとかいろいろな形態の取引が出てまいっておりますけれども、卸売市場を経由する流通量といたしまして、ここ八年ほどの間、五十五年と六十三年ぐらいを比較してみますと、野菜につきましてはむしろ卸売市場の経由率が高まっております。果物につきましては若干下がっております。それから、花卉、牛肉などにつきましても市場経由率はむしろ上がっている。それから水産物については若干下がっているというようなことで、生鮮食品流通全体の中で流通をめぐる環境条件の変化は大変大きいものがございますけれども、卸売市場を経由する流通については相変わらずそういった状況にございます。  したがいまして、今後生鮮食品流通の合理化を考える上では、卸売市場の整備充実、それから卸売市場における取引の適正化というのが不可欠な課題であるというふうに認識しているところでございます。以上でございます。
  108. 小川信

    小川(信)委員 ところで、中央卸売市場、先ほど基本的な機能を申し上げたし、また今課長からも、重要な位置づけ、役割を占めておるんだ。  同時に、卸売市場法によって、市場の運営の原則的なものは規定されておるということでございます。その原則的なものは、私が申し上げることもないわけでしょうけれども、即日全量上場の原則とか、競りの原則とか、代金即日決済の原則とか、いろいろなものがありますけれども、現実、今我々が聞いておるところによると、そういうふうな法律で求められている原則がきちんと守られておるかどうかという問題もあるわけなんです。  それは、中央卸売市場なりの卸売市場の発生時点現状の物流の変化、それから、生産地、小売店等の業態の変化というものもあるだろうと思います。例えば単一品目を大量に生産する産地、それから大型量販店というものでやって、昔の小売屋、八百屋さんとは違うような形態もある。いろいろございますけれども、少なくとも、卸売市場法というものが現実の市場の中で今守られているかどうかという問題があるわけなんです。  それで、実は私たちがいろいろとこれを調べてみましても、即日全量を処理するということが原則ですけれども、どうしても出てくる残量というものがある。残量は相対取引をしてもいいということを拡大解釈して、それこそ自衛隊機の海外派遣じゃないですけれども拡大解釈をして、相対取引が量販店との間で事実行われておると言われております。競りの前にそれをやってしまう。そして、そのときに決めた値段より競り値の方が安かったら業者は安くさせる、こういうふうなことを量販店等の取引業者がやる。競り値というものが先取りする量販店によって左右されておる現実があるということが言われております。ですから、現実競り値がそのときより安かったらどうなるかというと、先取り量販店は指し値の改ざんを要求する。改ざんという言葉は悪いから、仕切り直しという言葉が業界の中では使われておりますけれども、仕切り直しを要求してやっていく、こういうこともあります。いわゆる先取りとか先づけというのを勝手気ままに量販店がやる。それは、量販店の仕入れ担当の社員にしてみれば、とにかく十時開店のうちの店にその日の野菜をきちんと並べなければならないから、競りが終わるまで待ってはおれぬ、こういう気持ちでしょうけれども、そういうようなことが、大量に取引するということを前提にして現実行われておるわけです。そうすると、卸売市場における競りまたは入札によるという価格決定の方式が本当にきちんと守られて適正な価格でなされておるのかというところに疑問がある、こう思うわけですけれども、その辺、いかがでございましょうか。
  109. 本田浩次

    ○本田説明員 お答えをさせていただきます。  まず量販店の卸売市場における取引でございますけれども、量販店によります青果物の仕入れにつきましては、卸売市場からの仕入れが全体の仕入れ量の、野菜で見まして八二%、それから果実で見ますと八〇%、八割を占めておりまして、卸売市場を通ずる仕入れが重要な地位を占めてございます。同じくこの中で、全体の仕入れ量のうちに中央卸売市場の仲卸の皆様方からの仕入れが、野菜で六九%、果実で見ますと七一%、七割以上を占めております。このほかに地方卸売市場の卸売業者の皆様方からの仕入れが、野菜で二三%、果実で二二%を占めているという状況にございます。卸売市場の運営につきましては、こうした量販店でございますとか外食チェーンなどの大口需要者による市場仕入れの重要性でございますとか、市場利用者がだんだん多様化してきている実態を考慮いたしまして、各中央卸売市場に開設されております、開設者と卸売業者の皆さんと仲卸業者の皆さん、それから買い出し人、買参人の皆様方、それぞれの関係者による開設運営協議会というものがございます。そうした開設運営協議会の場を使いまして、市場本来の機能が十分に発揮されますように従来から指導を行ってきておるところでございますけれども、引き続き今後とも指導に努めてまいりたいと考えているところでございます。  それから、御指摘のございました先取りの問題でございますけれども、特に近年におきましては、先生指摘のとおり、大型量販店などでは開店時間までにできるだけ品ぞろえをしてしまいたいというような要望もございまして、卸売市場の販売開始時刻以前の先取りが増加している実態にございます。卸売市場における取引が公正かつ公平に行われて、出荷者の皆さんと買い手の皆様方から十分信頼されるということは、まさに卸売市場の使命、生命線でございますので、そうしたことができるだけないように、今後例えば大田市場で試験的に実施してございます予約取引のようなものにつきましての工夫を重ねてまいりまして、できるだけルールに則した、基本原則に則した取引が行われるように指導に努めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  110. 小川信

    小川(信)委員 ぜひ御尽力いただきたいと思います。現実に、食料品、青果物等の個人の販売業者、いわゆる八百屋さんがだんだん減っておる。いわゆる相対で消費者と話し合いながら、相談を受けながら売るという八百屋さんが減っておるという現実がございますし、また予約取引についても試験的にやられるけれども、なかなか参加者があらわれぬというような現実もあるわけでございますので、さらに、この卸売市場というのは大事な役割を果たしておる、ある意味では生産者に安定的な生産を求めるときにこの市場というものが大事な役割をしておる、片一方では消費者に適正な価格で安定的に野菜、青果物を供給するため、この両方の大事な役割を持っておるわけでございますので、十分気をつけて取り組みをしていただきたいというふうに思います。  もう一つ、特にこういうことが行われておるというようなことも頭の中に入れてお考えいただきたいと思うのですが、仲卸業者等々を通じて市場外流通がふえておるというようなことも言われております。産直とか、何々産直というような形でやるけれども、実際は、量販店等が主催をして、仲卸を使って荷物を集めさせて、そして仲卸の社員まで動員してやっておる。こういうふうなこと等が現実に行われておる。これは、卸売業者にとっては致命的な問題点ではあるわけですけれども、現実に資本の力、量の力でそういうふうな、中央卸売市場なり地方の卸売市場の本来の機能を崩すような働きかけがされておる。それも、では量販店の野菜、青果物が安いかといったら一つも安くないわけですね。そして、町の八百屋さんの方が親切でよっぽどいい。何か腐ったようなものとか、ちょっと無理があるものをとったら、これはだめですよと言ってくれるのが八百屋さんで、知らぬ顔して売るのが量販店みたいなものですから、パッケージされておるからわからぬ、そういうふうなことからも、もっと市場の機能、運営について気をつけていただきたいと思いますし、さらには押しつけ協賛金なんかを量販店が仲卸なんかに要求するという事実もあるわけなんですね。社員を派遣して協力させる、これは、ある意味では私は独禁法との関連でも問題があるのではないかと思うのです。先ほど言ったように、そういうふうなことが公然と行われておるようなことに対しては、法律もあるわけですから毅然たる態度で臨んでいただくと同時に、今この大型産地、それから現実の量販店というものがあって、物流と消流というものがもう一体化ではやれないような経済状況になっている流通業界での状況だということであれば、もう一遍根本的な見直しをするということがあってもそれはいいかもわかりませんけれども、目の前で行われているこういうものについて、それを黙視するようなことがあってはならないというふうに思います。  何か食品流通問題研究会などで御研究されてその結論がまとまったようですけれども、こういうふうな中でどういうふうなものが、方向づけがされたかと思いますけれども、そういうふうな辺を今度きちんと示していただく。そして、国民全体が生活の中での非常に大きいウエートを持っている生鮮食料品の流通に対して、生産者も消費者もそして流通に携わる人たちもが安心して携われるような、かかわりが持てるようなことにつくっていただきたいと思います。その辺について、最後に農水省のお考えを聞かせてもらいたいと思います。簡単で結構です、決意だけでいいです。
  111. 本田浩次

    ○本田説明員 お答えいたします。  卸売市場の運営につきましては、市場の整備の問題でございますとか取引の問題、それから経営対策などにつきまして、市場運営の基本方針は、卸売市場整備基本方針によって行うことにされているところでございます。平成三年度から五年ごとの見直しのちょうどそうした時期にございますので、平成三年度から十二年度までの十年間、第五次の卸売市場整備基本方針に沿いまして、取引の問題、市場整備の問題に十分に努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  以上でございます。
  112. 小川信

    小川(信)委員 終わります。
  113. 村山富市

    村山委員長 倉田栄喜君。
  114. 倉田栄喜

    ○倉田委員 まず長官に、二つの視点からお伺いをしたいと思います。  一点は、少し漠とした視点で恐縮でございますけれども、これからの九〇年代、いわゆる供給という視点からとらえますと、資源の供給あるいは労働力の供給、そういうものが八〇年代に比べると不足をしてくるんではなかろうか、不足をしてくるというのは、一方で非常な需要がある、その需要の中に、インフラネックもありましょうし、あるいは湾岸とか東欧、こういう部分の再建需要というものもかなり出てくるだろうと思う。そういう中においては、需給の逼迫というのが出てくるような気がいたします。  そういう視点からとらえますと、この九〇年代あるいは二十一世紀というのは、今までみたいに資源の供給というものがある程度自由に考えられた時代とは違ってくるのではなかろうか。そういう意味では供給というものが制約をされてくるような社会になっていくんではなかろうかというふうにも考えられるわけですけれども、まずこの点について、長官、基本的にはどのようにお考えになっておられるのか、お伺いをしてみたいと思います。
  115. 越智通雄

    越智国務大臣 大変ユニークな観点からの御質問でございますが、供給の、まず資源に関しましては、ひところ資源有限論というのがございましたが、今日においては、私ども、それが世界経済の制約要因に直ちになる、向こう見通せる十年間においてそこまでは来ないで済むのではないか、このように思っております。また、労働力に関しましては、委員御存じのとおり、世界の人口が大変な勢いで伸びておりまして、そういう意味では、労働力と申しますか、そういうものは制約要因にならない。一番問題なのは、むしろ世界経済の中におきまして一種の格差の拡大というところが、労働力が余り過ぎているところと大変足りないところと、今先進国の中ですら日本は失業率が二%程度でございますが、高いところでは、たしかフランスが九%ぐらいでございまして、そういう意味では偏差が出ております。にもかかわらず、世界経済がよくなるときも、もしかして悪くなるときも一緒に振れるという傾向が強くなっていますものですから、みんな一緒に風邪引くみたいな話でございますね。そういう点を大変心配しながら見ておりますが、九〇年代の経済についての所見を述べろということかと思いましたので、申し上げさせていただきました。
  116. 倉田栄喜

    ○倉田委員 もう一点、関連でございますが、今まで相当議論も出てまいりましたけれども、いわゆる景気の問題についてでございます。  三・八%という議論、随分なされておりますけれども、五日付の日本銀行が発表しました企業短期経済観測調査、いわゆる短観でございますけれども、これにはかなり厳しい見通し、予測がなされておる。こういう点を踏まえまして、午前中、また今まで御議論ございましたけれども長官といたしましては、内需、これから持続的に景気を支えるために拡大を図っていくための要因としてはどのようなものを考えておられるのか。イザナギ景気というものが五十七カ月続いているわけですけれども、八月まで果たしていけるのだろうかどうか、こういう観測ももっぱら言われておるわけでございます。大丈夫だということだけではなくて、こういう要因があるからまあ何とかなる、そういう内需の拡大要因についてどのようにお考えなのか、またその要因の中に、いわゆる湾岸事情というものがその中に影響が出てくるかどうか、また多国籍軍への追加支援に伴う増税の影響というものがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  117. 越智通雄

    越智国務大臣 これからの景気、三・八%を引っ張っていくファクターといたしましては、まず、従来どおりの設備投資と個人消費だと思っております。GNPの半分は消費でございまして、このもとになります消費者の所得の方は今順調な伸びを示しておりますし、また就労者の伸びも、大変極端な言い方をしますと、ずっとお年寄りの方と学生生徒さん以外はほとんど職についている。常雇いのサラリーマンその他パート、いろいろな格好で皆様が就労されておりまして、それが所得をつくり出しているものですから消費需要というものはかなり高いし、またこの五年間の好景気の間に水準かなり上がっているので、これがことし急に腰折れするということはまず考えられない、このように思っております。それから、もう一つのファクターである設備投資の方も、先ほど来御答弁申し上げましたように大変水準が高くなっておりまして、六十一年当時の倍でございまして、その高いレベルの上での六・八%ぐらいの伸びを見込んでおりますが、今の各企業の答えから見ると、その数字は何とか達成できるのじゃないか。  ただ、第三点の、例えば日銀短観などに出てまいりますディフュージョンインデックス、要するに拡散しているという景気観景気いいと思うか悪いと思うかというこの答え、これはやはり経済にとりましては大変大事なことでございまして、自分の企業あるいは自分の業界に対する確信と申しますか、ことしは何とかいくんだと思うか思わないかが随分景気影響するわけでありまして、そのディフュージョンインデックスがかなり悪化しているんじゃないかということは慎重に受けとめていかなければならない。ただ、あれは湾岸の真っ最中にやっておるものですから、終わりました段階でのいわば三月における、殊に決算期でございますので、各企業経営者たちのそうしたことしの経済に対する確信というものが満ちあふれてくれば、ことしも、イザナギ景気を抜くどころじゃなくて、きちんと成長を続け得るのじゃないか、私はこのように感じているところでございます。
  118. 倉田栄喜

    ○倉田委員 長官ありがとうございました。  続きまして石油税の関連についてお伺いをいたしたいと思います。  午前中、湾岸の問題に絡んで、石油製品が大またで駆け上がるような形で値上がりをしてなかなか下がってはこない、こういう御議論もございました。その中で支援財源の一つとして石油税が実施をされていくわけでしょうけれども、この石油税の実施に伴う便乗値上げ、この点についてどのような対策を考えておられるのか。それから、これは通産省の方でございましょうか、今の状況の中で石油税というものが実施された場合に、ガソリンとか灯油とか国民生活に直接かかわってくる代表的なものの小売価格というのは実際的にどんなふうになってくるのか、これをお尋ねしたいと思います。
  119. 越智通雄

    越智国務大臣 済みません、先ほどの御質問の中でお答えしていなかったのは、そうした増税がどういう影響が出るかという御質問もございました。今一緒にお答えさせていただきます。  石油税は世上よく石油にかかわるすべての税を意味しているように思われますが、石油にかかわるいろいろな、揮発油税その他では税収が全部で三兆円から成るものでございまして、石油税はそのうちの一部でございまして、平年度ベースで四千六百億円程度の収入でございます。これを五割増しをいただくということでございますので、二千二、三百億円の増税を一年に限り行わせていただく、平成三年一年に限り、多少翌年度にずれ込むところはありますけれども、させていただくということでございます。これはリッター一円二銭、バレル一ドルちょっとでございます。御存じのような、石油の値段がバレル二十ドルから四十ドルにいってまた二十ドルになって、今十三ドルぐらいになっていましょうか、そういう激しい値動きの中でのバレル一ドルでございますので、当然そうした価格変動の中で何とかうまく吸収できて、実際問題としては国民生活に大きな圧迫にならないで済むのじゃないか、またぜひそうさせていただきたい、こう思っております。むしろ、今通産の方から御答弁あると思いますが、そうしたことのために実は業者がかぶってしまうのではないか。リッター一円では、普通スタンドでガソリンをお入れになる方は三十リッターがスタンダードで、平均でございまして、三十円というのは大変取りにくいというお話も聞いておりまして、むしろ転嫁がきちんとできるようにという業界指導の方が恐らく議論になるのではないか、こんなふうに思っております。  ついででございますけれども、もう一つの、法人税の増税が景気の足を引っ張らないか、先ほどこういう御質問だったかと思うわけでございます。  法人税の方は付加税方式でいたしまして、二・五というのは、三七・五の法人税基本税率に対しましては〇・八ないしは〇・九%乗っけるということでございますので、三八・三ないし三八・四になるところでございますが、御存じのように法人税は四二%から今段階を追って下げているところでございまして、その下げる中段のところが一年分ちょっと、三段のはずが四段構えになりまして一段ふえたということで、このことのために法人経営者、法人税を払っているということは黒字の法人でございます、黒字の法人の経営者は大変気持ちとして萎縮して自分の業績を縮める、設備投資を見送る、そういうような経営態度の変更までは出なくて済むと私ども思っております。平成三年におきましてこれで約四千四百億円、法人税は全部で十九兆円でございますが、十九兆円の中で四千四百億円、より多くちょうだいいたしますけれども成長の足を引っ張るような事態にはならないで済む、こう見ておるところでございます。
  120. 岡本巖

    岡本説明員 御説明させていただきます。  石油臨時特別税が四月から実施されることになりましたが、御案内のように一円二銭の税率でございます。これにつきましては、石油元売会社なりあるいは販売店で比較的決算のよろしかった年でも、リッター当たりに換算しますと経常利益が一円すれすれというような業界の実情でもございます。それから、今回の税の趣旨から考えましても、私どもとしては適正に転嫁をされてしかるべしというふうに考えております。  その転嫁につきまして、先ほど先生のお尋ねで灯油とかガソリンとかという特定の油種に偏った形で転嫁がなされるということは、これは好ましくないと考えておりまして、私どもとしましては各油種等額を原則としてこの転嫁が適正に行われるべきもの、そういうふうに業界に対しては折に触れて指導してまいりたいと考えております。
  121. 倉田栄喜

    ○倉田委員 次に、さっき流通コストとか物流コストということも随分出てまいりましたけれども日本の現在の流通システムについてちょっとお伺いをしたいと思うのです。  日本の流通機構は非常に多段階制が多くて、その中にいろいろな商業マージンもあるし、結局そのこと自体が物価にはね返ってくるのではないかという指摘も一部あるのだと思うのですね。  そこで、この流通機構の改革といいますか合理化ということに関して、これは通産省でしょうか、どのようにお考えなのか、まずお伺いをしておきたい。それから、この流通機構の改革という観点から見た場合に物価とどんな関連性が出てくるのか、お伺いしたいと思います。
  122. 古田肇

    ○古田説明員 御説明させていただきます。  先生指摘のように、我が国の流通につきましては、多段階であるということが言われておるわけでございます。確かに、例えば卸売業と小売業の売上高比率、WR比率といったようなものをとりますと、日本の方が高くなっておりまして、多段階だということが言えるわけでございますが、統計上の相違等もございまして、実際出てきている数字ほどには差がないのではないかというふうにも見られるわけでございます。  それから、商業マージンの御指摘もございましたが、いろいろな数字がございますが、例えば日米間で比較いたしますと、消費財部門では我が国の方がむしろ商業マージンが低いということも言えるわけでございまして、流通の多段階制によって商業マージンが高くなっているというふうには一概には割り切れないということがあろうかと思います。  ただ、しかしながら、御指摘のように消費者ニーズということを考えまして、低廉かつ良質な商品を供給していくことが流通産業の使命であろうかと思うわけでございまして、そういった観点から、私どもとしては、大店法の改正を初め、流通における規制緩和を着実に推進してまいりまして、流通分野における適切な競争を通じて一層の近代化、合理化といったものを図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  123. 田中努

    田中(努)政府委員 流通と物価との関係につきまして、私からお答え申し上げたいと思います。  流通の改革あるいは流通における規制緩和というふうなことは、物価の安定、さらには内外価格差の是正という点で非常に大きな意味があるというふうに考えているわけでありまして、そのような観点から、私どもの局内におきましても流通問題の研究会を設けまして、物価安定という観点から流通問題の検討を行っておりまして、一昨年でございますが、第七次流通問題研究会報告というものも発表させていただいておりますけれども、その中で、流通の効率化のために必要な政策上のポイントといたしまして、「公的規制の緩和等」、それから「独禁法の厳正な運用」、「国際化に見合った商慣行等の見直し」、「消費者への情報提供の促進等」、こういったふうな点につきまして提言を行ったところでございます。  政府におきましては、昭和六十三年に規制緩和推進要綱、それから平成二年の六月に日本と米国との間で日米構造問題協議最終報告を取りまとめたわけでございますけれども、こういった合意の線に沿いまして、大規模小売店舗法の運用の緩和とかあるいは流通、取引慣行に関する独占禁止法上の指針等の検討が行われ、流通分野での競争促進の方向に向かって進展が見られるところでございます。  こういった流通における規制緩和の施策につきましては、去る三月五日に開催されました第四回の政府・与党内外価格差対策推進本部の会合におきましても、その総合的な対策の一環として、内外価格差の是正という観点からもこの流通問題の改革、なかんずく規制の緩和ということが重要であるという観点でこの施策を総合対策の中に取り入れて了承いただいたところでございます。  そういったことで、物価の安定という観点から、経済企画庁といたしましても、流通問題に今後とも取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
  124. 倉田栄喜

    ○倉田委員 次に、予定では長官のごあいさつの中にありました経済審議会二〇一〇年委員会のことについてお伺いをしたいと思っておったのですが、次の機会に譲らせていただいて、長官のお話の中で、金融市場という御発言もございました。  そこで、国際資金のことについて、これは大蔵省の方になるのだと思いますが、若干お伺いをさせていただきたいと思います。  昨今の新聞紙上でいわゆる資金需要の逼迫ということも、一つ言われているみたいでございます。これが国際資金の流れの中で八〇年代、例えば北から北と言われるような先進諸国間の資本の流れ、それがあるいは西から東へというみたいな、西方から東方みたいなそういう資金の流れ、そういう資金の流れみたいなものが想定され得るかどうか、これがまず一点。  それから、日本はいわゆる債権大国だと非常に言われておって、債権大国だという言葉の意識としてはあるわけですけれども、それが余り国民生活の中に実感はない。その債権大国の現状というものは一体どんなふうになっているのか。例えば各国別にどれくらい日本は債権があるのか、そういう資料、統計があるのかどうか。あるいは統計の仕方として、中南米に幾らがあるのか、そういう資料があったらぜひ御紹介をいただきたい、こういうふうに思うわけです。
  125. 豊田博

    ○豊田説明員 御説明させていただきます。  最初の資金フローについてでございますけれども、御指摘のように八〇年代におきましては、アメリカの経常収支が大幅な赤字になりまして、日本それからドイツがこれに対応するような形で大幅な経常収支の黒字を拡大いたしました。このような主要国、先進国間で経常収支の不均衡が拡大したわけでございますけれども、これをファイナンスするための資金フローというものは、比較的円滑に行ったということでございます。  その理由といたしましては、先進国間の資金移動というものが非常に自由化されたということ、それから、主な借り手が米国ということがございました。他方で、先進国から開発途上国への資金フローにつきましては、その債務問題が顕在化した後、先進国から開発途上国への資金フローが細ったということが八〇年代の特徴でございます。  御質問の九〇年代につきましてどうなるかということの予測は、大変難しいわけでございますけれども、まさにおっしゃられたように、世界経済におきまして、東西ドイツの統合に伴う東ドイツの復興需要、それから東欧諸国、さらに加えまして湾岸復興需要というものがございます。それからまた、アメリカにおきましても、経常収支の赤字は減っておりますけれども、まだ比較的高い水準にあるという状態でございまして、こういった状況の中で、九〇年代は八〇年代に比べて極めて投資需要が高まる。この中でインフレとか高金利を避けつつ、いかにこれらの資金ニーズにこたえるのかというのが極めて重要な課題になろうかと思っております。  それから、御質問の第二でございますが、我が国の対外資産、純資産でございますけれども、八九年の統計で申しまして、我が国の長期純資産が、純資産合計で二千九百三十二億ドルということになっております。  国別の内訳というものはちょっとアベイラブルでございませんので、総額だけにさせていただきます。
  126. 倉田栄喜

    ○倉田委員 二千九百三十二億ドルの中で、例えば財政赤字とかいろいろ言われるようなところでございます。それが中南米諸国であったり、あるいはほかにいろいろあろうかと思いますけれども、そういうところの数字というのは明らかになりますか。  またその場合、そこに行っている債権というのは、将来的にどういう形で担保されていくのだろうか、こういう問題が出てくるだろうかと思います。  また、湾岸戦争の状況の中で、クウェート復興とともにイラク復興という問題もあるだろうと思いますけれどもイラクに対する我が国の債権というのも、これはかなりあるはずだろうと思いますし、その場合、その債権というのはこれから見通し的にはどんな形になっていくのか。例えば湾岸復興政策の一環としてその債権みたいなことで援助をしていくような可能性があるのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  127. 内野正昭

    ○内野説明員 お答えいたします。  先生の御質問の民間債権という範疇、大変難しい概念でございまして、我が国の場合、金融機関の貸付額等につきましては計数を把握しております。さらには有価証券の保有、さらには商業債権等々、非常に広範な債権がそれには含まれているというふうに考えられますが、これらをすべて包括したような統計はないというふうに承知しております。  私どもの主管しております我が国の民間金融機関が個別国ごとにどの程度貸し付けを行っているか等につきましては計数を把握しておりますが、これは借入国であります相手国との関係もございまして、こうした国に対する配慮から、これまでも公表は差し控えさせていただいているという実情にございます。  なお、地域別の民間金融機関の中長期貸付残高といったようなものにつきましては国会の方にも資料を提出させていただいております。例えば累積債務国が非常に多うございます中南米向け、ブラジル、アルゼンチン、メキシコといった累積債務国を含みます中南米向けは、例えば昨年末で三百十二億ドルといった残高になっております。  それからさらに、今質問にございましたイラククウェート向けでございますが、ただいまお答え申し上げましたように、個別国ごとの統計につきましては公表を差し控えさせていただきたいと思っておりますが、イラククウェートについては、先生も御承知のようにクウェートが非常に優良な産油国であったこと、それからイラクについては、産油国でありましたが、イランとかなり長期間戦争を行っておりました関係上、我が国の民間金融機関からの貸し付けは非常に少ない、ごくわずかなものにとどまっているものというふうに承知しております。  なお、中近東向けの中長期貸付残高という地域別で答えさせていただきますと、昨年末で十二億ドルという民間金融機関からの貸付残高になっております。
  128. 倉田栄喜

    ○倉田委員 まだ関連して多少質問させていただきたかったのですけれども、時間がなくなってきましたので、また次の機会にお願いをさせていただきたいと思います。  最後に、長官にお尋ねをしたいと思います。  まず一点は、長官もこのごあいさつの中で述べておられます製造物責任制度についてでございます。公明党も三月二日に製造物責任法推進フォーラムというものを行わせていただきまして、かなり早期に制定をすべきではないかという声も多少ありました。製造物責任法制度のあり方についてはいろいろ御発言もございますけれども、これからどのようなスケジュールで考えておられるのかどうか、このことをまずお伺いしておきたいと思います。  それからもう一点、これはもう一つ別の視点でございますけれども、いわゆる消費者保護基本法というのがございます。これは昭和四十三年に議員立法されてできた法律というふうに承っておりますけれども、非常に画期的な法律であるというふうに私も承知しております。二十数年間たちまして、現在の状況の中ではこの消費者保護基本法というのもひとつ見直してみる必要はないのかどうか。例えばこの法律は保護という視点で一応貫かれておるわけでございますけれども、権利の主体という側面からその内容等々を検討してみたらどうかなというふうに思っておるわけでございますけれども、この点いかがなものでございましょうか。
  129. 越智通雄

    越智国務大臣 最初に製造物責任制度でございますが、これは国民生活審議会でやっていただくことになっておりまして、昨年の十二月十二日に、平成三年と四年の二年を任期とします審議会の委員を、私の前の長官の時代でございますが、総理の方のお名前で任命させていただいております。私になりましてから、この中に二つの部会をつくることにいたしまして、総合政策部会と消費者政策部会で、このそれぞれの部会は既に二月とこの三月のはなに発会いたしました。その中に臨時委員等も新しく追加任命いたしましてスタートいたしました。この消費者政策部会の中にさらにPL関係の、製造物責任制度について審議する小委員会をスタートいたします。ただ、私の方は、この前衆議院の予算委員会でお問い合わせがありましたので、まあ夏ぐらいまでと申し上げたのですけれども、あくまでもこれは委員になられた方々の自主的な判断でやっていくわけでございますので、会合をスタートさせてみましたらやはり二十回以上の会合を開かないとそれぞれのアイテムを検討し尽くせない、したがって夏はかなり厳しいなという感想と申しますか見通しも聞いておりますが、できるだけスピードを上げてその小委員会の作業を完成していただくべくお願いいたしたい。御存じのとおり、無過失責任の制度を取り入れるものですから、法律的な問題点もございますし、消費者団体、製造者代表、学者さん、それからいわゆる有識者、全部臨時委員も任命いたしまして、バランスのとれた検討をスピードを上げてやっていただきたい、このように思っております。  もう一つの消費者保護基本法につきましては、先生指摘のとおり二十年から経過いたしておりまして、こうした問題についてさらに抜本的に、ゆとりを感じる生活をどうしたらいいだろうかという諮問を昨年の十二月に国民生活審議会にいただいておりますので、これは総合政策部会の方で真剣に取り上げてやっていきたい。  なお、経済企画庁としましては、消費者行政を預かるという意味で、平成三年の予算におきましては消費者センターの内容を充実する予算等も特段に計上いたしまして、その方面に意を尽くしているところでございます。
  130. 倉田栄喜

    ○倉田委員 その二つの点、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。  大蔵省の関係でかなり質問を残してしまいましたけれども、また次の機会にさせていただくことにして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  131. 村山富市

  132. 大野由利子

    ○大野(由)委員 独禁法についてお伺いしたいと思います。  企業優先政策を改めまして、公正かつ自由な競争を促進することをもちまして消費者利益を守るために、今ほど独禁法の真価が問われているときはないと思います。今回、独禁法の改正によりまして課徴金が二倍から最高四倍まで引き上げられるような案が近々国会に提出される、そのように伺っておりますが、独禁法違反を取り締まる上で大変大きな前進ではないか、そのように思っております。しかし、これがどこまで抑止効果があるか、さほど期待できないのではないか、そういう声もたくさんあります。日米構造協議のフォローアップに来日されたリル米司法省反トラスト局長も、課徴金の引き上げはまだまだ十分ではない、そのように述べているわけです。課徴金は売上高の最高六%から一%の範囲になったわけですが、値上げのカルテルの場合、普通、カルテルが行われた場合一〇%以上というのはざらじゃないかと思うわけですが、これが六%の課徴金で終わるとなるとまさにもうけものと申しますか、逆に六%と決まったことでもって、値上げカルテルを六%以上にすれば損はしないで済むということを教えているようなものじゃないか、そのように思われますが、カルテルによって不当にもうけたものは、六%などと言わずに全額課徴金として徴収すべきではないか。日本の課徴金の水準が諸外国に比べまして極めて低いのではないか、そのように思いますが、この点について御意見を伺いたいと思います。
  133. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 課徴金につきましては、今委員から御指摘ありましたように、今国会に引き上げにつきましての改正法案を提出させていただいたわけでございますが、課徴金導入の基本的な考え方をまず申し上げたいと思います。  課徴金制度が導入されましたのは昭和五十二年でございますが、その後社会経済情勢の変化が著しいわけでございまして、例えば、我が国企業の経営が多角化しているとか、あるいは事業規模、資産規模が拡大しておりまして、企業の体質が全体として強化されている、こういう中で現在の課徴金の水準というのは、企業に課せる経済的負担の程度というのがかなり弱まっているということが一つございます。  それからもう一つは、企業活動が国際化いたしまして経済がグローバル化しております中で、各種規制が国際的に統一されておるし、また諸外国においても違反に対する抑止措置が高まっているというような状況におきまして、我が国企業の地位その他を考えますと、国際的にアンバランスがないようにする必要があるというようなことから、今回課徴金の引き上げを提出したわけでございます。  六%という課徴金の算定率でございますが、これはカルテルによる経済的利得を徴収するという行政上の措置という性格から、算定が容易であって、しかも透明性、明確性ということが必要でございますので、経済的利得を反映するものとして最も適切な指標は何かということで、売上高営業利益率をとったわけでございます。  それで、じゃ、なぜ営業利益率をとったかということでございますが、カルテルの利得を一つずつ計算するというのは実際には不可能でございまして、やはりカルテル利得に密接した指標を用いざるを得ないわけでございますので、そういう点から六%という率が決まったわけです。  この率を決めるに当たりましては、学識経験者から成ります懇談会を設けまして、その徹底的な御議論をいただきまして、カルテルによる経済的利得の徴収という課徴金制度の性格から見て、合理的な範囲内で、しかもそのカルテル禁止規定の実効性を確保するために十分な水準というようなことで決めていただいたわけでございます。  なお、諸外国との比較でございますが、日本には課徴金とそれから刑事罰と両方の制度を持っているわけですが、その点、アメリカですと刑事罰だけであるし、それからヨーロッパですと刑事罰がなく課徴金のようなものだけになっております。それともう一つ違いますのは、日本の課徴金と申しますのは、六%と決まりますと、カルテルがありますと必ず六%を取るという制度でございます。ところが、ヨーロッパあるいはアメリカの罰金なり課徴金というのは上限でございまして、その中で裁量によって取るということで、国際的に比較をするのは大変難しいのですが、課徴金と刑事罰をあわせて総合的に考えますと、日本の課徴金制度というのは、今回引き上げになりますと、国際的にはかなり遜色のないものではないか、こういうふうに考えております。
  134. 大野由利子

    ○大野(由)委員 算定の容易さ、透明さ、また明確さというようなものから今回の六%というものが決められたというお話がございましたけれども、行政上の公平とか公正さというものについてどのようにお考えかということをお伺いしたいと思いますし、六%という基準が、資本金一億円以上の企業の売上高の営業利益率の平均が五・九%であるというところから、この六%という数が出てきたようでございますが、これは当然赤字企業も含めての平均値でございます。カルテルで違法に、不当に利益を上げているところに、こうした赤字企業平均も含めた五・九をもとにした六%というものを適用をするということがいかがなものかな、そのように思います。  それから、今まで経常利益率であったものが営業利益率に変えられたこと、また今までは期限がなかったものが、今回、課徴金の算定期間が三年間に限定されたこと、この辺の根拠についてお尋ねしたいと思います。
  135. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 先ほど申し上げましたように、行政の措置である、そして透明性の点から六%ということで決めたわけですが、カルテルと申しましてもいろいろあって、非常に、確かに六%を超えるようなカルテルもあることも事実ですし、あるいは価格維持カルテルと申しまして、現在の価格水準を維持するだけのカルテルもあるわけで、それからまたカルテルの値上げ幅がそのままその企業の利得になるかというと、必ずしもそうではなくして、その価格交渉の過程でまた決まってくる、いろいろな事情もあるわけでございますので、そういう意味では若干上にいくところも下にいくところもあるかもしれませんけれども、一応カルテル利得というものを適切に反映する指標として非常に客観的な基準である営業利益率が最も妥当である、こういう結論になったわけでございます。  それから二番目の経常利益率を営業利益率に変えた点でございますが、これは制定当初におきましては、企業は外部から資金を調達する程度が非常に多く、また自己資本比率も低いわけですので、その金融上の収支というのが通常の営業活動にもかなり影響しているわけでございましたので、それを見る必要があったわけでございますが、近時におきましては企業の体質も強化されておりまして、しかも自己資本比率も高まったということから、そういう金融収支をあえて見る必要がない。むしろ売上高営業利益率というのが企業本来の事業活動、生産、販売、仕入れというような実態を直接に反映するのではないかということから、今回営業利益率に変更したものでございます。  それから三番目の、実行期間を三年に限定したという点でございますけれども、課徴金は、カルテルを行った期間についての売上高にこの算定率を掛けて計算するわけでございますが、現在その実行期間の最終についての限定というのは全くなく、ですから極端にいいますと、昭和五十二年に制定されたときからカルテルがもしずっと続いていっていたら、その分も含まれるわけでございますが、これはその法的安定性の点からいって、必ずしも、余り長期にわたるのは適切でないのじゃないかということと、それからもう一つは、売上高を公正取引委員会が計算しなければいけないのですが、その計算のもとになる伝票ですとかそういう帳簿書類が、これはまた長くなるとなくなるわけでございまして、実際には計算できなくなるわけです。そういう意味で、現在帳簿の保存期限というのは大体五年くらいでございますし、それから、これはカルテルの計算と申しますのは、カルテルが終わってから平均一年から二年ぐらいかかるわけでございますので、そういう点を勘案いたしますと、帳簿の保存期限からカルテルが終わってからカルテルのその納付を命じるまでの期間二年を引きまして三年ぐらいに限定するのが妥当であろう、こういう判断で今回の法案では実行期間を三年に限定したわけでございます。
  136. 大野由利子

    ○大野(由)委員 独禁法の二十五条に無過失損害賠償責任が認められているわけでございますが、昭和二十二年に法制定以来、訴訟事件がただの六件あったのみでございます。また、その中で勝訴したものはただの一つもない、そういう状況でございますが、民法は原告立証責任制をとっているわけですが、一般の消費者が損害額を立証するということは、もう本当にこれは非常に困難な状況でございます。これまでの判例をもとにしている限りにおきましては、この現行法の独禁法二十五条によって独禁法違反行為を抑止するということはまず不可能ではないか、そのように思われますが、実効性のあるものにするために公取としてはどのように考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  137. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 独占禁止法二十五条に基づく損害賠償制度というのは、違反行為によって損害を受けた者がその損害を適正、円滑、迅速に回復するために設けられた特別な制度でございまして、公正取引委員会ではこの損害賠償制度をもっと積極的に活用するにはどうしたらいいかということで、現行法の運用面における改善を図るということが実際的な方法であるということから、昨年、有識者から成る研究会で検討していただいたわけでございます。さまざまな角度から改善方策についての提言がございまして、公正取引委員会は現在、この研究会の報告に従いまして被害者の立証負担をできるだけ軽減するための措置ということでいろいろ着実に実施しているところでございます。  具体的には、訴訟が提起されまして裁判所から資料要求があると思いますが、そういう場合には、その事業者の秘密保持の問題あるいは事件処理の問題などにも配慮しながら、必要な範囲で資料を提供していくというようなことによって対応していきたいというのが一点でございます。  それから第二点といたしましては、裁判所から公正取引委員会に損害額についての意見を求める規定になっておりますので、できるだけ詳しく公正取引委員会考え方を示し、またその根拠となる資料も可能な限り添付するということを考えております。  それから三番目に、違反行為の内容をできるだけ具体的、明確に審決の中に書くことによってその被害者が訴訟を提起するのに役に立つようにする、こういうことを考える。  それから最後に、この制度について必ずしも広く一般に知られているとも思われませんので、こういう独禁法違反によって被害者が損害賠償請求できるということの広報活動も必要であろうということから、独禁法の専門雑誌ですとかあるいは弁護士、企業法務担当者向けのもので内容を説明して、あるいは一般の消費者の方々にもこういう制度の趣旨をさらに広く徹底していきたい、こういう措置を現在考えております。
  138. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今までも独禁法の中に、裁判所が資料要求をしたときにはその求めに応じて公取は報告しなければならない、そのような規定があったわけですけれども、それが十分作動してなかったと申しますか、それによって勝訴に至らなかったということはどうしてなのかということについてお尋ねしたいと思います。
  139. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 今までの一般消費者が必ずしも損害賠償を回復できなかった大きな理由として、直接取引していないために、メーカーがカルテルで、流通業者を通って一般消費者に来るという場合に、カルテルによる損害額というのを具体的に把握するのがなかなか難しいという点があったんじゃないかと思うわけで、そういう意味では、公正取引委員会では現在、そういうカルテルの損害額というのは一体どうやって算定するのかというようなことを、内部の研究会ではございますけれども検討しております。  今まで不十分であったということではございませんけれども、これからさらに一層公取の適切な意見というのが出せるように努力したいと考えておるわけでございます。
  140. 大野由利子

    ○大野(由)委員 消費者が裁判を起こしますときに、原告側の求めに応じまして公取に要求があった場合、データを教えていただけるかどうかということについてお尋ねしたいと思います。
  141. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 公正取引委員会は、資料提供につきましては二つの点をはっきり明確にしておきたいと思うのです。  一つは、訴訟が提起されました後、裁判所からの嘱託によって、公正取引委員会が保持しているあるいは審判で使われた記録を閲覧あるいは謄写するというようなことにつきましては、できるわけでございます。  もう一つ、これから損害賠償請求をするというための資料として公正取引委員会に資料要求された場合でございますが、これについては、この制度の趣旨からして、当事者の一方に加担するために行うということではございませんので、あくまでもそういう場合につきましては訴訟を提起した後裁判所から来たものに限って考えておりまして、訴訟を起こすために必要な資料を公正取引委員会からとるということは現在の制度のもとでは可能ではないと思っております。
  142. 大野由利子

    ○大野(由)委員 灯油のやみカルテルの鶴岡訴訟におきまして、当時の島谷最高裁の裁判長が、独禁法に消費者の損害額について何らかの推定規定が合理的な方式で求められれば、同法二十五条に基づく訴訟が容易になって消費者の目的も達成しやすくなるということで、独禁法の改正の立法措置が必要ではないか、現在の独禁法の運用だけでは難しいのではないか、そのように述べているわけですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  143. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 今おっしゃいました法律改正で推定規定を設けるというのは、裁判所の意見というよりも補足意見だったと思いますが、そういう意見を申された裁判官がおられるということは確かに承知しております。  ただ、独禁法違反行為と申しましてもいろいろなパターンというかいろいろな種類がございますので、それについて推定規定を設けるというのは立法技術的にも非常に難しい問題ではないか、そういうように考えております。
  144. 大野由利子

    ○大野(由)委員 これは非常に難しい問題かと思いますが、無過失によります損害賠償責任制が本当に有用に生かされるためにぜひ前向きに検討をいただきたい、そのように思います。  告発によります刑事罰についてお尋ねしたいと思います。  これも昭和二十二年の法制定以来一件のみ、例の昭和四十九年の石油カルテルのときのみ行われて、あとは例がないわけでございますが、今まで審決がたくさん行われていながら一件しか行われてなかったという理由はどうしてなのか。真剣にやろうと思えばできたのではないか、どうしてできなかったのかということについてお尋ねしたいと思います。
  145. 矢部丈太郎

    ○矢部政府委員 まず、石油カルテルの告発以来ないではなかったかということでございますが、刑事告発というのはいろいろ立証問題その他大変難しいわけで、そういうことから昭和五十二年の改正で課徴金制度が設けられたわけでございまして、新しく設けられました課徴金制度の定着を図るということをその中心にして今まで運用してきたわけでございます。  ただ、最近の状況考えますと、やはり独禁法違反に対します抑止効果をさらに強める必要があるということから、執行力の問題ですとか課徴金の引き上げ、それも当然でございますが、さらに刑事告発についてはこれから積極的に図っていくというようなことで、昨年の六月でございますけれども、刑事告発を積極的に行うという政策表明、ポリシーステートメントをいたしたところでございます。それによりますと、競争を実質的に制限するような価格カルテル、供給制限カルテルとか市場分割協定、入札談合それから共同ボイコット、その他違法な行為で国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質重大な事案につきましては積極的に告発を行う方針ということを明らかにしております。  それからまた、具体的にどういう形で告発を進めていくかというようなことで、検察当局との間で違反事件の告発を円滑、適正に行うための告発問題協議会というものをつくりまして、本年初めにできたわけでございますが、そういう所要の体制整備を行ったところでございまして、今後告発対象に値するような事案があれば積極的に告発を行っていくという考えでおります。
  146. 大野由利子

    ○大野(由)委員 独禁法の運用を厳正かつ効果的なものにするために、独禁法の目的とか規制内容とか、また運用の方針を、事業者や消費者、またさまざまな方に十分理解される、また深められるということが非常に大切なことだと思います。  法運用に関しますガイドラインの原案を作成されましたけれども、これが公式に公表されるのがいつごろか、これがどういう形で周知徹底されるのか、広報活動というものが非常に大事になると思いますが、どういう形で広報活動されるのか。また、一般消費者にまでよくPRされることが大事だと思いますし、再販価格維持等でも消費者の協力を得まして、そして独禁法違反しているのではないかという情報の提供等をしてもらうことが必要だと思いますが、こうした窓口はどういうところになるのか、そうしたことについてお尋ねしたいと思います。
  147. 地頭所五男

    ○地頭所政府委員 ガイドラインの公表の時期でございますが、原案を公表いたしましたのが本年の一月十七日でございまして、それで関係各方面に対しましてこの原案を開示いたしまして、六十日間の期間を置いてその意見を聴取する。また海外独禁当局等に対しましても同様に原案を開示したわけでございますが、これが翻訳の都合もございまして、若干おくれました。そういうことがございまして、最終的には四月八日までに各方面からの意見を聴取できるという予定になっております。その意見を十分検討いたしまして成案を得たいという手はずでございますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、五月、六月、その辺のところを目途に、現在準備を進めておるところでございます。  そのガイドラインが完成いたしました場合には、もちろん公表をいたしますし、公正取引委員会の発行するパンフレット等においても記載して、できる限りその事業者のみならず消費者に対しましてもPRが行き届くように図ってまいりたいというふうに考えております。
  148. 大野由利子

    ○大野(由)委員 農林水産省の方に来ていただいておりますので、表示の問題についてお尋ねをしたいと思います。  今、大変本物志向、安全性を志向する消費者のニーズにこたえまして、有機野菜とか無農薬野菜等が出回っておりますが、こうした基準はどういう基準になっているのか、また、この基準はどこでどのようにどういうメンバーで策定をやっていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
  149. 上杉健

    ○上杉説明員 お答え申し上げます。  無農薬野菜とか有機野菜というふうなものでございますが、これはいわゆる有機栽培につきましては、この定義といいましょうか、そういうものにつきましては、食の安全性とか農業、農法のあり方について非常に深く関心を持たれる方々がそれぞれに工夫して実践してこられたという経緯からしまして、現場での取り組みは地域により、また人により多種多様でございまして、その定義自体につきましてもいろいろと議論のあるところでございまして、私どもの理解しておりますところでは、まず無農薬野菜というようなものにつきましては、その栽培過程で全く農薬を使用せずにつくられた野菜、こういうふうに考えております。また、有機栽培ということがございましたが、これにつきましては、堆廐肥などの有機物の土壌還元による土づくりを基本としまして、農薬や化学肥料などの化学合成資材を使用しないなどの栽培方法をとられているもの、そういうことでございます。したがいまして、有機野菜というものにつきましては、こういう有機栽培に基づいてつくられたものだというふうに考えているわけでございます。  その基準について、現在どういうメンバーで取り組んでおるかということでございますが、現在のところこれはそういう委員会というような形のものはございません。農林省には平成元年に有機農業問題を検討する部署を設置いたしまして、目下そこが諸般の調査、情報収集、そういったことを行っているところでございます。
  150. 大野由利子

    ○大野(由)委員 その委員会のメンバーで、全農のメンバーにやっていただいていらっしゃるのじゃないかと思いますが、出荷元であります全農であれば当然基準も甘くなるのではないか、そのように思いますので、農水省が真剣にこの公的な、公平な基準をつくっていただいて、その基準づくりをお願いしたい、そのように思います。  時間がございませんので、最後にもう一つだけお伺いしたいと思いますが、原産国表示で、現在四十四品目が原産国表示を義務づけられておりますが、これをもっと広げるべきではないか。この問題につきまして、例えばウナギ等が台湾から酸素が入った水で輸入をされまして、そのままパッケージごと浜松に送られて、浜松産のウナギになって全国の消費者に出荷されている、そういう現状がございますが、これはどうなんでしょうか、不当景品類及び不当表示防止法に基づく公正競争規約の表示というか、公取の方にお伺いしたいのですが、これは独禁法違反になるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  151. 地頭所五男

    ○地頭所政府委員 原産国表示の問題でございますが、二つに分けて考えることができるのではないかと思っております。一つは、国産のものであるのに外国の国名、地名、事業者名などを書いてあるために、いかにも国産でないかのように、外国産であるかのように受け取られる、誤認される、そういう表示、あるいは外国産であるのにいかにも国産であるように受けとられる表示、つまりミスリーディングな表示でございます。それともう一つは、原産国の表示が書いてないために消費者にとって極めて不十分といいますか、商品選択に対して不十分な表示、そういう二つの問題があると思うわけでございますが、公正取引委員会が所管しております不当景品類及び不当表示防止法、景品表示法と申しておりますが、これではミスリーディングな表示の方を規制するということになっております。  お尋ねのような、台湾産のウナギを例えばかば焼きにいたしまして、「国産ウナギ使用」というふうに表示をして店頭で売るとかいうようなことがございますと、これは景表法に該当、違反するということになるわけでございます。ただ、その台湾産を使ったということを書いてないということ自体については、現在の景表法では規制はできないというふうになっております。
  152. 大野由利子

    ○大野(由)委員 実際には消費者には大変誤認がされて使用されているという現状がございます。こうした問題につきましても、誤認をなくすという方向で公取の皆様にもぜひ御努力お願いしたい、そのように思います。  大変ありがとうございました。
  153. 村山富市

    村山委員長 菅野悦子君。
  154. 菅野悦子

    ○菅野委員 人手不足が大きな問題になっておりますが、これによる企業倒産とかそれから人件費高騰に伴う物価上昇など経済への悪影響が懸念される状況になってきております。しかも中長期的な見通しも一層深刻になるのじゃないかというふうにも思われるわけです。  労働省が、労働政策企画プロジェクトチームというのがございまして、中長期的な労働力需給の試算結果というのを昨年六月十八日に発表されておるのですけれども、今後の実質経済成長率四%を前提にして、労働力の供給量や労働生産性の変化、これを織り込んで試算を行っております。それによりますと、労働力の供給量は二〇〇〇年で六千六百四十万人、二〇一〇年には六千四百五十五万人というふうになる。その結果、労働力不足というのは二〇〇〇年で約二百五十九万人、二〇一〇年では約九百十万人にもなるというふうな数が出ております。この結果、一人当たりの労働生産性に変化がないというふうにすると、経済成長率も急速に低下する。そして、一九九五年から二〇〇〇年にかけてはほぼゼロ成長、そして二〇〇〇年から二〇〇五年にはマイナス〇・八%、二〇〇五年から二〇一〇年にはマイナス一・六%というふうなマイナス成長ということになるという見通しが出ているわけです。  経企庁といたしましても、二〇一〇年委員会というのを設置して検討を始めておられるようですけれども経済政策上からも、この人手不足というのは非常に深刻な問題ではないかというふうに思うわけでございます。  その点で、労働力確保の展望ということが必要になってくるわけですけれども、現在と同率のすべての男性の皆さんに六十四歳まで元気で働き続けていただく、そして女性はどうかといいますと、十五歳から六十四歳までの休職中の女性六百二十万人全員を労働現場に引き出す、働いてもらうというふうに仮定しても、二〇一〇年にはなお百八十七万人の不足が生じるというふうになっているわけです。  そういうふうな試算がこのプロジェクトチームによって報告されているわけなのですけれども、こういうことを考えてみますと、すべての女性が働き続けられる条件整備というのが急務になってきているというふうに思うわけです。その条件の一つとして、今育児休業制度の法制化というのが問題になっておりますけれども、この点でまず大臣に御見解をお伺いしたいというふうに思います。
  155. 冨金原俊二

    ○冨金原政府委員 先生指摘の、将来の我が国の人口の動態とそれをベースにした労働力の推移については、現在経済審議会の二〇一〇年委員会で検討をいろいろ進めている段階でございまして、この場でその数字についてちょっとまだお話しできる状態にないことは御了承いただきたいと思いますが、大きな流れといたしましては、既に先生も御承知のとおり、我が国の人口が恐らく、六十年の国勢調査をベースに考えましても、二〇一〇年ごろには人口のピークを打つだろうということは予想できるわけでございます。  その背景としては、子供の出生率が非常に下がっている。私ども専門的には合計特殊出生率と言っているわけですが、それがかなり下がってきていることが一つの大きな背景にあるわけでございます。そういった人口の動態を踏まえて我が国の労働力人口を考えますと、流れとしましては、一九九五年ごろから急速に労働力人口の伸びが下がるだろうなという感じは持っているわけでございます。その点につきましていろいろな数字が、御指摘のような数字も出ているわけでございますが、私どもとしては二〇一〇年委員会報告の取りまとめを六月ごろ予定しておりまして、その時点で数字をお示しすることができるのじゃないかと考えております。
  156. 菅野悦子

    ○菅野委員 今お話にありましたように出生率の問題、これも大変な状況であるわけで、だから、女性にとっては子供を産め、しかも労働力としても頑張れということになるわけです。だから、そういう点で、先ほども強調しましたけれども、この育児休業制度というものの位置づけが非常に高くなるのじゃないか、相当重視して法制化の問題を検討していかなければいかぬのじゃなかろうかというふうに思うわけなのですね。  それで、三月五日に婦人少年問題審議会から「育児休業制度の確立に向けての法的整備のあり方について」という建議が出されました。建議は、「育児休業制度を今後一層広く、かつ、迅速に普及させるための法制化を早急に図る必要がある。」というふうに指摘しているのですけれども、これを受けて、労働省としては今後どのような日程で作業を進められるという見通しなのか、そのことをお伺いしたいと思います。
  157. 藤井龍子

    ○藤井説明員 育児休業制度は、子供を持って働く労働者、とりわけ女子労働者にとりまして仕事と育児の両立を図るために大変有効な制度でございます。そのため、労働省ではかねてよりその普及促進を図ってまいったところでございますが、近年、法制化の声が大変強まってきている、そういうことを背景に、先生先ほどおっしゃいましたように、私ども昨年十二月に婦人少年問題審議会に法制化のあるべき姿ということで御検討をお願いいたしましたところ、三月五日、育児休業制度を今後一層広く、かつ、迅速に普及させるために法制化を図る必要があるとの御建議をいただいたところでございます。  この建議を受けまして、労働省といたしましては、できるだけ早く法案を取りまとめたいと思っております。具体的には、来週の月曜日、三月十一日に法案要綱を婦人少年問題審議会に諮問することといたしております。その諮問に対しまして審議会から答申が出され次第直ちに法案を国会に提出させていただこうと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
  158. 菅野悦子

    ○菅野委員 その建議では、「男女労働者が育児のために休業することを申し出たときは、子が一歳に達するまでの間を限度としてこれを認めることを事業主の義務とするという基本的な法的枠組みを作る必要がある。」というふうになっております。これはすべての労働者、つまり労働形態に関係なく労働者の権利として保障されるべきだと考えますが、その点どうでしょうか。
  159. 藤井龍子

    ○藤井説明員 今回の審議会の建議では、法制化について基本的部分について明らかにしていただいているところでございまして、お尋ねのパートタイム労働者あるいは派遣労働者の適用等につきまして、こういった細部にわたる具体的な点については今後の検討にゆだねられているというところでございます。したがいまして、先ほど十一日に諮問をいたす予定であると申し上げましたが、その諮問を受けて審議される中でこういった具体的な点も明らかにされていくものと思われます。  そういうことでございますので、現時点で私どもとしての見解を申し述べるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  160. 菅野悦子

    ○菅野委員 その中で、事業規模によって一定の猶予を置くという考え方も示されておるようなのですけれども、権利の付与が事業所によって異なるというふうな考え方は、平等の原則に反するのじゃないかというふうに思うわけです。また、人手不足が最も深刻になっているというのはむしろ中小零細企業だというふうに思うのですね。  日本生産性本部が二月二十二日付で明らかにした労使関係白書では、二〇〇〇年に向けて労働力確保競争が激化し、雇用力の弱い中小零細企業は事業の縮小または廃業に追い込まれるというふうに分析しているわけなんです。  ですから、そういうことになりますと、結局、制度推進に当たってむしろ中小零細企業に対しては助成を強めるというぐらいの姿勢が必要ではなかろうかというふうに思うわけです。育児休業導入奨励金とか利用奨励金の大幅な増額あるいは支給対象期間の延長などの手だて、これなどをとってやはり改善すべきではないかというふうに思うわけです。そういう点で、中小企業同友会、ここも育休制度の適用を要請しています。でなければ、企業イメージのダウンによって人手不足を一層深刻にするということも懸念されるのではないかというふうに思うわけです。  こう考えますと、全事業所に同時に制度を適用するというのが本筋ではないかというふうに思うわけですね。その点では、労働省の姿勢、これは相当大事だというふうに思うわけなんですけれども、そういう点で、どのような理念、哲学を持って法制化するつもりかという点で御見解をお伺いしたいと思います。
  161. 藤井龍子

    ○藤井説明員 今回いただきました建議の中で、「一定範囲の規模の事業に対しては、一定期間上記の規定の」、「上記の規定」と申しますのは事業主に義務づけるという規定でございますが、その規定の「適用を猶予する必要がある。」という内容の御建議をいただいているわけでございます。  これは現在、育児休業制度の普及率というものを見ますと、平成元年の二月の時点でございますが、一九・二%という状況でございます。その後急速に、加速度的に普及は進んできているとはいうものの、そういう実態、とりわけ企業の雇用管理に重大な影響を及ぼすという観点もございますので、こういった実態というものも十分踏まえていかなければならないと思っております。もちろん、二十一世紀に向けて国際的な我が国の地位等も十分踏まえながら、将来に向けて恥ずかしくない、将来の批判に耐え得るような制度をつくってまいりたいと思っておりますが、今申し上げましたような実態を踏まえますと、やはり一定範囲の規模の企業、とりわけ規模の小さいところの企業にとりましてはいろいろ整備をしていかなければならない問題があるかと思います。例えば、就業規則を整備していく、あるいはさまざまな雇用管理を工夫を加えていくといったようなことが必要かと思われますので、育児休業制度を我が国経済社会に真に定着させていくためには、やはりそういった一定規模以下の事業場に対しましてはある程度の猶予期間を設ける必要があるかな、私どもはこの建議の趣旨をそういうふうに受けとめているところでございます。  先生おっしゃいましたところは私ども十分また承って、今後いろいろ法案作業に生かさせていただきたいと思っております。  以上でございます。
  162. 菅野悦子

    ○菅野委員 また、建議の中に、育児と仕事との調和を図る上で現実的かつ有効な制度としての短時間勤務制度などについての指摘もあるわけですが、この乳幼児を有する労働者に対して育児に必要な時間を確保する労働時間短縮型の育児休暇制度というのを保障すべきではないかというふうに思います。また、育児休業の取得を理由とする解雇については、法の趣旨に照らして禁止する、こういう点は明確にすべきだと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  163. 藤井龍子

    ○藤井説明員 まず第一点の、時間を短縮する形での育児休業制度といいますか、育児と仕事の両立を図る策でございますが、これも建議の中に明確にうたわれておりまして、ここでは「短時間勤務制度」という言葉を使ってございます。これは、例えば半日だけ働くとか六時間だけ働くとか、そういったような形のものでございます。これは労使にとってそれぞれ大変有効な制度と思われるので、何らかの形で法律の中に盛り込むことが適当であるということでございますので、私ども、この趣旨を受けて対応してまいりたいと思っております。  第二点目の解雇の問題でございますが、これも建議の中に明確に書いてございまして、「育児休業の取得を理由とする解雇については、」「その旨法律に規定することが適当である。」ということでございますので、この趣旨を踏まえて対応させていただきたいと思っております。
  164. 菅野悦子

    ○菅野委員 では次に、休業期間中の所得保障についてお伺いしたいと思います。  育児休業制度普及のための育児休業導入奨励金というのは、中小企業で百万円、大企業で八十万円、利用奨励金は、三人目以降の利用者一人当たり中小企業で二十万円、それから大企業で十五万円ということで助成が行われています。ところが、この助成金が有効に使われているのかという点で問題があると思うのですね。  八七年度の育児休業制度実態調査の結果というのを見てみますと、実際の休業期間は一年未満が九割以上、うち六カ月未満が約五四%で、過半数を占めているわけです。一方、代替要員も採用しない企業というのが四一・一%あります。復職後の有給休暇の算定における育休期間の取り扱いを見ると、欠勤扱いというのが約五〇%なんですね。だから、有給休暇がゼロになるというふうな状況にあります。社会保険料の労働者負担分を本人負担とする企業が約六〇%という状況になっておりますから、奨励金が丸々企業の懐に入っているというのが少なくとも四〇%程度あるわけですね、この実態から見て。  こういう状態から考えてみますと、最低でも社会保険料はこの奨励金でカバーできるのではないかというふうに思われるのですけれども、この点はどうでしょうか。
  165. 藤井龍子

    ○藤井説明員 御指摘の問題も建議の中で触れられているわけでございますが、休業期間中の労働者に対する経済的な援助、この問題につきまして、六割相当あるいはそれより下回るというような御意見もございましたが、何らかの所得保障を行うべきであるという御意見がございます一方、そういったものを法律で義務づけるべきではないとか、あるいは、そういった給付を行うとすれば、現在の社会保障制度全体との関連をどうしていくか、全体的な見直しが必要ではないかといったような御意見がございます。この部分が実は審議会の審議の中でも最も意見が対立した部分でございます。したがいまして、建議の中では、「このように様々な意見、見解の違いがみられるなかでは、一定の方向を定めることは」現時点においては「困難な状況にあり、更に、広範、かつ、多角的な観点から論議が深められる必要がある。」というような内容になっているわけでございます。  私ども労働省といたしましても、この趣旨を受けまして、広い範囲でさまざまな場でこの問題について議論が深められ、そういう議論が積み重ねられる中で社会的なコンセンサスがつくられていって何らかの道が見出されていく、これがよろしいのではないかと考えているわけでございます。
  166. 菅野悦子

    ○菅野委員 所得保障の問題が一番論議のあったところだというお話ですけれども、やはり広くかつ迅速にこの制度を普及させ、実効あるものにするという点で、最低の所得保障というのがどうしても必要ではないかというふうに思うわけですね。労働者の多くは賃金の六割あるいは三割程度の保障がなければ休みはとれないというふうに言っているわけです。子供を産み育てる環境の整備としても重要だと思います。子供の養育のために一定の社会的負担が伴うのは当然のことであるわけで、所得保障があれば希望するすべての労働者がとりやすくなるというのが当然あるわけですから、そこのところは、バランス論議などでいつまでも試行錯誤しているのではなく、やはりぜひそこを十分考えていただきたいというふうに思うわけです。  この点で、先ほども外国との問題もちょっとお触れになりましたけれども、EC諸国では九二年の市場統合を前に労働条件や育児・介護休暇制度の統一ルールづくりというのが着々と進められているようです。親休暇及び家族理由による休暇に関するEC指令案、これを見てみましても、休暇中の給与や社会保険料、諸手当、年金取得権などの取り扱いは有給休暇と同じとするという内容ですね。いずれの休暇も制度化していないイギリスを除いて、どの加盟国も無給などという取り扱いをしている国はないわけです。  そういう点で、経済大国を自負する日本にあって、こういう世界の趨勢を踏まえるのは最低の措置だというふうに思うのですけれども、そういう点で、諸外国との比較で考えてみてその点はどうなのか、ぜひお伺いしたいと思います。
  167. 藤井龍子

    ○藤井説明員 先生指摘なさいましたとおり、ヨーロッパ各国、EC加盟国でございますが、イギリスを除いては育児休業制度が普及しております。ただ、EC以外の国でございますが、アメリカではまだ育児休業制度に関する法律はございません。  また、育児休業中の所得保障についてでございますが、これにつきましてはない国もあるわけでございますが、また、育児休業制度がある国におきましても、その支給の目的といいますか、内容あるいは支給対象者といったようなことは国によりましてかなりまちまちでございます。そういうふうに私ども調査の結果受けとめているところでございます。  例えば、スウェーデンあるいはドイツ、これは育児休業制度がございますが、ここの手当につきましては、どちらかといいますと家族政策的な見地が強いのではないかという感じがいたします。名前も、育児休業手当ということではなくて、育児手当というような名前になっております。支給対象者も、雇用労働者のみならず自営業者、家庭の主婦にも支給されるというようでございます。また、フランスでは第一子、第二子には支給されておりませんで、第三子以上を出産した場合にのみ支給されているというような実態にございます。そのほかでは、スペイン、ギリシャでは手当はないといったようなことも、私ども調査いたしました結果判明してございます。  私ども、こういった調査結果、実態を踏まえまして、やはりこういうものはそれぞれの国がそれぞれの国の社会的状況あるいは他の関連制度、とりわけ社会保障制度でございますが、こういったものを十分踏まえてお決めになっているのではないかと思いますので、我が国としましてもそういった対応をしていくのがよろしいのじゃないかと思っているところでございます。
  168. 菅野悦子

    ○菅野委員 休業中の賃金保障の問題を今いろいろとお話しさせていただいたのですけれども、あわせて、代替要員の確保それから原職復帰、休業者に対する不利益扱いの禁止、違反企業に対する罰則規定、これらのものは働く男女が安心して育児に専念するためには最低必要条件だというふうに思うわけで、労働者もそこのところを強く要求しているということです。これらは制度の骨格をなす重要な条件なので、当然法制化される上では位置づけられているというふうに思いますけれども、その点どうでしょうか。
  169. 藤井龍子

    ○藤井説明員 もちろん、こういった制度を法律でつくります以上は、実効性ということは非常に重要な問題かと思われます。そういった意味で、先ほども御紹介いたしましたように、休業取得を理由とする解雇は禁止する、その旨法律に盛り込むべきであるというのが建議の御趣旨でございますので、これに従って対応させていただこうと思っております。  また、そのほかのさまざまな雇用管理あるいは育児休業制度全体につきまして、労働大臣が必要に応じ一般的な指針を定めることが適当であるということになっておりますので、そういう一般的な指針、ガイドラインといいますか、そういったものを定めさせていただいて指導させていただこうかと思っております。  また、さらには行政機関、私どもは出先で各都道府県に婦人少年室というものを持ってございますが、そちらの方で適切な指導あるいは勧告を行っていくことが必要であるというのが建議の趣旨でございますので、そういった方向で対応させていただこうと思っております。
  170. 菅野悦子

    ○菅野委員 では次に、公務員の関係について伺いたいと思うのですけれども、こうした民間労働者に対する育児休暇制度が法制化の段階に入って、今御答弁いただいたようにおおむね三月中旬に法案提出の見通しという御報告があったわけですけれども、こうした状況を受けて、一般を含む公務員関係の法制化についてどのような御検討をいただいているのか、今後の日程、意見申し出のタイミング、あるいは教員とか看護婦等に対する現行法に保証された代替要員の確保あるいは給与法による共済掛金相当額の賃金保障などの既得権の取り扱いについて、その他一般公務員などへの適用、これがどうなるのか、これは人事院の方にお伺いしたいと思います。
  171. 福島登

    ○福島説明員 育児休業の制度化につきましては、労働省で検討されているのは先ほど来御存じのとおりでございます。そして三月五日に婦人少年問題審議会から労働大臣に対しまして建議がなされておりまして、今後はその建議を踏まえて検討されていくことと考えております。  民間部門におきまして労働者を対象にしまして育児休業制度が法的に整備されていくのであれば、公務部門においてもそれに準じた形でやっていかなければならないと考えておりまして、現在は労働省における検討の状況を見きわめながら検討を進めているという状況でございます。そして検討結果の表明でございますけれども、民間部門の育児休業制度の法制化の動向、それも同様にその動向を見きわめながら、それにおくれないような形で意見の申し出という形で検討結果を表明していきたいと現在考えております。  それから二点目でございますけれども、現在の育児休業制度の内容につきましては、御承知のように教育職員または看護婦等一部の職種の方々を対象にしました人材確保を目的として制度化されているわけでございまして、これから検討されていく一般的な育児休業制度とは目的と位置づけが若干異なっておるということからしまして、現行法の内容をそのまま持ち込むことはなかなか難しい問題もあるのではなかろうかというふうに考えております。そして、一般的な育児休業制度ができますれば、それは職員の勤務条件の一つになるわけでございますから、御承知のように勤務条件につきましては情勢適応の原則がございまして、一般社会の情勢の変化に対応して改善していくということを基本としてきておりますので、今後労働省における検討内容がどういう形になるのか、さらには民間における実施状況がどのようになっているのかということを踏まえつつ、さらに検討を進めて成案を得ていきたいと考えております。
  172. 菅野悦子

    ○菅野委員 そういう点で、実際先に頑張っている公務員関係、これの部分というのはある程度代替要員の問題にしろ一定の賃金保障等の問題にしろ既得権としてあるわけですから、そういう点で労働省の方もそれが後退するなんてことのないような中身のものをつくっていただきたいと思いますし、人事院の方もその点をぜひ踏まえてやっていただきたいということをぜひお願いしたいと思います。  総務庁、こうした人事院の意見の申し出の見通しもほぼ明らかにされている段階に来ているのですけれども、法制化に向けてどのような対応をされるのか、それから民間の法律施行日との調整についてはどのようにお考えなのか、それから地方公務員関係で自治省、それぞれ簡単に御答弁いただけたらありがたいのですが……。
  173. 村山富市

    村山委員長 時間の制約がありますから簡単に、要領よく御答弁願います。
  174. 菊池光興

    ○菊池説明員 ただいま人事院の職員課長から御答弁ございましたが、人事院におきまして一般の国家公務員に対する育児休業制度の検討が行われておりますので、その意見の申し出がなされれば、私どもとしてもその意見の申し出を踏まえまして、関係方面と所要の調整を含め法制化に向けての検討を進めてまいりたい、こういうように考えております。  それから施行日についてでございますが、人事院の意見の申し出の中に施行をいつからしろ、こういうことでのお申し出があることもあり得るだろう、こういうふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、民間の労働者を対象とする育児休業法というものの施行期日を十分念頭に置いて対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  175. 金子善次郎

    ○金子説明員 一般の地方公務員を対象とする法制化につきましては、先ほど来から労働省からもお話ございました法制化の状況、さらには国家公務員の法制化、制度の内容等につきましてその動向をよく踏まえまして、地方公務員に対しましても対応していく、検討を進める、こういう方針で臨むつもりでございます。
  176. 菅野悦子

    ○菅野委員 関係者の方たちには大変御苦労いただいているわけなんですけれども、働く女性を主として労働者の大きな期待がかけられているというところです。法制度化の趣旨にふさわしい、真に実効ある制度の実現、そしてその点で労働省の格段の御努力をぜひお願いしておきたいというふうに思います。  また最後に、子供を健やかに産み育てる閣僚会議の大臣として、やはり産み育てたいと願う人々が安心して子育てができるよう環境整備の一環として、働く人々の要求にこたえた実効性のある育児休業法にしていただくように、大臣にもぜひ格段の御努力お願いして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  177. 村山富市

    村山委員長 柳田稔君。
  178. 柳田稔

    ○柳田委員 女性同士の議論とお答えでさわやかな後に、締めが男性ということで恐縮をしておるのですが、手短に的確に御答弁を願いたいと思います。先日、湾岸戦争も終了いたしまして、非常にいいことだというふうに思っております。また、それと同時に、ことしの景気がどうなるのかなという不安も一抹ありますので、その辺を中心にして御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初ですけれども、昨年の長官のごあいさつの中に、見通しは一・六%ですとおっしゃいまして、いかがなものですか、自信ございますかと言ったら、ありますとおっしゃいました。結果、実績見通しを見ますと三・一%ということでございました。どうしてこう狂ったのかなというのをまず御説明を願いたいと思います。
  179. 越智通雄

    越智国務大臣 じゃ、私の方も手短にお答えさせていただきます。  昨年の今ごろかと思いますが、相沢長官が平成二年度の消費者物価の値上がりの見込みを一・六、こう言ったら、次の越智長官が実績見込みでは三・一と、違うじゃないか。先ほど来御説明いたしましたように、一つは昨年上半期の思わない円安傾向、それから下期の石油のアップ、これらが大きく影響しまして、短期的には生鮮食料品も響いてきた。しかし、その後ろ側に非常に大きくといいますか、基本的にございますのは、四%の成長で計算していたのが五%を超える成長になった。成長率物価上昇率とはやはりある程度の相関関係がございますものですから、そうしたものがバックになって三・一という格好になったかと考えております。
  180. 柳田稔

    ○柳田委員 余り追及するつもりはないのです。内的にも外的にもいろいろな要因で消費者物価も動くし、景気動向も変わるというふうなことだろうと思います。  それで、今五%になった、非常に喜ばしいことだということなんですけれども、その一番の原因、個人消費とか設備投資が拡大したから伸びたんだろうというふうにお話しだと思うのですが、その拡大の大きな要因というのは、私はよく言われておりますバブル、株や土地から出てきたお金、そして金利安、この辺がいろいろな関係があって支えてきたのではないかなという気がするのですけれども、いかがでございましょうか。
  181. 越智通雄

    越智国務大臣 手短に申し上げます。  バブルとおっしゃいます土地と株というのは、もう平成二年度ではピークアウトしているというように思いまして、実際には地価がどんどん上がり出したのは昭和六十一年、そして六十二、六十三あたりからいろいろな意味で対策も打たれましてピークアウトしている。株の方は、平成二年は大発会以来一週間ぶっ続けに棒下げしたのですから、昨年の今時分、きょうは三月七日ですか、もう兜町の方はかなり大変なことになったという状況に入っていたと思いますので、平成二年度の点では、バブル経済が押し上げたと私どもの方は認識いたしておりません。
  182. 柳田稔

    ○柳田委員 としますと、その前の年は大きな要因であったというふうに理解をしてよろしいのですか。
  183. 越智通雄

    越智国務大臣 まあそういう場合には、別に反対にひっくり返して裏を見たらそうなるかということでもないかもしれませんが、確かにその前の年、平成元年も五%絡みの成長をいたしておりまして、あのころ私も実は二カ月ほど経企庁長官をさせていただきましたけれども、地価などは大変心配した状態でございました。
  184. 柳田稔

    ○柳田委員 設備投資にしろ何にしろ、仕事をしてから後で金をつくるというのは普通違いまして、めどが立ったり金ができたからということで個人消費なり設備投資に回るというふうに思うのです。としますと、昨年もそういうふうな下降線をたどっている状況なので、それほど大きな要因ではないとお答えでございましたけれども設備投資にしろ、ことしでやりますというのではなくて、何年間かの計画を立てて、ここまで設備投資をしたいというふうな状況下であったと考えますと、特に平成二年度が悪くなったから、じゃすぐ設備投資をやめよう、会社、経営側はそんなことはしないだろう。前もってこれだけ余裕があった、できるということで、数年間かかって設備投資をされたのではないかなというふうに思うわけです。  そういうふうに考えておりまして、昨年からだんだん冷えてきた。ことしも何かもっと冷えそうなのかな、去年と同じ並みぐらいかなという気がするのですが、そうしますと、この冷えた期間が昨年から、その前の年から続いていることを考えますと、ことしはもうバブル、株や土地からの利益や、金利安もあるわけですけれども、逆にもう金利が高くなっているということを考えますと、これから新規に新しい事業を起こそうという人は少なくなるだろう。また、先ほど言いましたように、バブルはもうなくなったよとおっしゃいますと、昨年、おととしの計画もだんだん減ってきているだろうというふうに考えますと、ことしはその影響が大分出てくるのではないかなという気がするのですが、どのようにお考えでございましょうか。
  185. 越智通雄

    越智国務大臣 まず第一に、バブルという言葉は実は正確な言葉ではございませんけれども日本経済活動の中でそれが大半を占めたという状態ではございません。ここでそれは何%という言い方はできないかもしれませんが、そんなに大勢を占める経済現象ではなかった、このように思っております。そして、今のお話の中で、個人消費と設備投資と同様のパターンでお考えになるのはやはりちょっと危険かな。  個人消費の方は、一番大事なことは、今雇用がこれだけ逼迫しておりますので、各消費者にとりましては自分の雇用についての自信がございます。悪いことしなければうちのお父さん首にならない、したがって、いただいているお給料でもボーナスでも一つのめどを持って使っていける。これが雇用が非常に不安になりますと、そうした消費動向が急速に収入とは別のファクターで動いてくるわけですが、現状におきましては雇用人口がふえ、そして所得も何がしか上がっていく中で、そういうコンフィデンスのある消費者というのは消費動向は落ちてこない、私は基本的にはそのように考えております。  そして設備投資の方は、委員御指摘のとおり、長期的な計画でやっていくものでございまして、その設備投資の後ろ側にあるニーズというのは大変強い。設備投資の多くが拡販でございますね。営業はこれからまだ伸びる。それから省力でございますね。これも今の労働力との関係では絶対やっていかなければならない。あるいは省エネルギー、さらには技術革新、これは近所の国との競争もございますし、国内の他の企業との競争もございます。したがいまして、お金ができたからやるというのじゃなくて、極端に言えば、それをやらなければ企業として生き延びていけないという迫られた状況があります。  ただ、それをやったことによって大けがをする場合もあるわけですから、金利とか立地条件とかいろいろなことをお考えになって慎重をきわめていらっしゃいますけれども、ここ三年の、六十三年、平成元年、平成二年の設備投資はいずれも一〇%を超える伸びでございまして、先ほど来御説明しているように、五十何カ月の景気の始まったときの設備投資レベルとこの平成二年度の十―十二月のレベルとでは約倍、倍の高さで動いております。それをさらに平成三年中には六・八%伸びるであろう。今各社設備投資の意向を調査いたしておりますが、新聞社とか銀行とか、マイナスのところはほとんどございません。みんなプラスでございまして、プラスの場合には上方修正が入る可能性が非常に高いものですから、私ども設備投資の伸び率六・八は達成可能な目標じゃないか、そのように考えながら作業をしておるところでございます。
  186. 柳田稔

    ○柳田委員 では、設備投資、個人消費、ことしも順調だろうというふうにお承りをいたしておきます。  次に、アメリカ、イギリスの景気後退、これも大分出ておりますし、ソ連の方でも、先日の政府化以後の国営テレビのインタビューということで記事が載っておりましたけれども危機的現象が増大をしている、緊急措置が必要だということで、ソ連が経済的に非常に厳しい状況にあるというふうな報道もありました。これらのアメリカ、イギリス、ソ連、先進国の中でもトップクラスなのですけれども、この辺の景気後退、また危機状況日本のことしの経済影響するのかしないのか、教えていただきたいと思います。
  187. 越智通雄

    越智国務大臣 まず第一にアメリカでございますが、委員御存じのとおり、十―十二月でリセッションに入ったという宣言がされております。これのボトムを打って脱却できるのが六月ごろと言っていたのが、一時この二月ごろにはちょっとおくれるのじゃないかという見通しがございましたが、湾岸紛争の終わり方が大変アメリカにとって格好よくと申しますか、アメリカ経済にとって都合よく終わっていますので、アメリカ政府の見通しのとおり夏には脱却できるのじゃないか。少し自信にあふれているような感じでやっておりますけれども、そのこと自身はアメリカにプラスであり、同時に経済上の最大のパートナーである日本経済にとってもプラスに動く、このように考えております。  アングロサクソン系統の国々の経済がよくないと言われていたわけでございますが、イギリスの方はついこの間も金利を下げました。ただ、下げたと申しましても一三%という高い段階での金利の下げでございまして、失業率もインフレ率もやはり大変悪い。イタリアよりも悪い、こういうような状況もとでございますので、なかなかにイギリス経済運営はきついだろう。ただ、そのこと自身が日本経済に与えるインパクトというのは、それはアメリカと比べればそれほど大きなものではない、より小さなものであろう、このように思っております。  ソ連の経済につきましては、正直言いまして情報が不足でございまして、私も昨年の九月にモスクワ、レニングラード等を見てまいっております。四、五年ぶりに行ったのですが、前回行ったときよりも経済的には悪いなという感じを受けてまいりました。それが、その後半年ほどになりますが、さらに悪化している、このように聞いております。殊に今度のソ連の中の経済混乱は、農村では物が豊富で都会で悪い、そういう傾向で起こっておりまして、それは流通であり、一種の政治というか行政というか、それの混乱がもたらしている経済混乱、こういうような感じでございまして、それは大変心配な状況でございます。  日本としてソ連にどういう支援をするかという問題がありますけれども世界的に見れば、主としてドイツがその面をもう必死になって支えるという構図になってきているんじゃないかな。世界の中で財政的にと申しますか、国際収支の上で黒字を続けておるのは日本とドイツしかございません。ほかの国はほとんど赤字かひらひらでございますので、ドイツがソ連とその周辺東欧諸国の諸問題、資金不足とか援助とか、そういうことを引き受ける、日本はその他の点でアメリカと組んで世界経済に貢献していく、こんなような大きな意味のストラクチャー、構造になっているんじゃないか、こう考えているわけでございます。
  188. 柳田稔

    ○柳田委員 これも余り影響ないというふうにお聞きいたしておきます。  ウルグアイ・ラウンドですか、何か湾岸戦争でどこに行ったのかなという気がしないでもないのですが、大分深刻になりつつあるのではないかというのも見受けられまして、対外の不均衡というのがごあいさつの中にありました。これも見通すのは非常に難しいかと思うのですが、この点は日本経済に対する影響はどれぐらいだろう、またはないと思っていらっしゃるのか、教えていただければと思います。
  189. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 主要国間の対外不均衡でございます。日本アメリカの間が典型的な例だと思いますけれども、経常収支あるいは貿易収支で見ましても相当大きな不均衡がございます。  もっとも、どのくらいの黒字、赤字があったら不均衡と言うべきかというのは、これはいろいろな議論があろうかと思いますし、私ども昨年来この問題を研究いたしましたときに、やはり収支のバランスというのはグローバルに考えることであって、二国間にこだわるのはおかしい、基本線はそういうことだということを大前提にして議論をしたのですが、それじゃどういうふうに考えるかということになりますと、日米にしても米欧にしましても、あるいは日本、欧州にしましてもその他にしましても、ある程度以上にその数字が大きくなった結果、一つは、為替あるいは国際金融の不安定性が生ずるというような程度になっているときには放置できないだろう。それからもう一つは、保護主義の動きをそれが惹起するというような場合には放置できないだろう、この二つを考えたわけでございます。  日本の黒字について申しますと、だんだん減ってきておりますから、そういう意味でこの二つについての深刻度は年とともにいい方に向かっているとは思いますけれども、なお予断を許さない。特に米国についてはそうであります。  今先生お触れになりましたように、そういったものが例えばウルグアイ・ラウンドの成功を妨げるようなことになるとか、そういう経路を経て日本経済に悪影響を及ぼすおそれがあるということを念頭に置いておかなければいけないということでございます。目下のところは着実に黒字は減ってきておりますし、アメリカの保護主義についてもそれに応じた、一時に比べれば比較的穏やかになりつつある面もあろうかと思いますが、予断は許しませんので、ウルグアイ・ラウンドの先行きも見通しはなかなか難しい状況でございますので、従来の対外不均衡の改善を図って、内需中心のタイプでいくという線は堅持していかなければいけないと思っております。
  190. 柳田稔

    ○柳田委員 これが一つの不安定要素という感じだと思います。できれば仲よくやっていただきたいな、特にアメリカ日本は基軸だと私も思っていますので、仲よくやっていって日本経済にも影響が出ないようにしていただければな、私個人はそう思っております。これがことしの景気を占う一つの柱だと聞いておきます。  そしてもう一つなんですが、湾岸戦争が終結して、やっと九十億ドルも通った。戦争が終わった後通ったと、この辺を突くつもりは一切ありませんけれども、今後の中東の復興、これには金も物も人も含めていろいろな支援をしていかなければならないだろうと思っております。さらには、今回の戦争で発展途上国の人が経済的に大分打撃を受けたのではないか。その辺の御要望も多分政府の方にたくさん行っていらっしゃるだろうと思うわけですが、この辺を含めてことし一年間、この九十億ドル以上に大変な物入りの年になるんではないかな。この辺、額がどうのこうのという質問はしたくはないのですけれども、ただ、相当なことが要るだろう、また、しなければならないだろうというふうに思うのですが、この辺の影響はいかがですか。
  191. 越智通雄

    越智国務大臣 まず、湾岸復興に関しましては、対象国によりまして考え方を整理していかなければならない。直接戦災を受けましたクウェート、それからサウジ、あるいはスカッドミサイルを撃ち込まれたイスラエル等は直ちに復旧を急がれることと思いますけれども、大変富裕な国でございまして、一人当たりの個人所得もかなり高い。資産の蓄積もある産油国でございます。そんなことでございますので、求めてくるものは資金ではなくて、もっと違った格好で日本の協力を求めてくるのではないか。これはやはり先方の出方を見てからじゃないと案が組めない。  それからイラクにつきましては、こっちからの債権もございますし、イラン・イラク戦争の戦時債務もございますし、また今度、自国の壊滅と他国に対する賠償責任というとてつもない経済状態になっておりますので、これをどうするかということは一つの大きな世界政治の課題でございまして、その世界政治の流れ、方向を見定めないと日本もなかなか言いにくいし、そもそもまだ政治情勢といいますか軍事情勢が固まっておりませんので、ちょっと私ども今言及できない。  委員御指摘のように、実はその他の国々が間接的に被害を受けた。原油の値段が少なくとも十月ごろは一時的に非常に高くなっておりましたし、また、リッチな国で戦争したものですから、出稼ぎ人の方がたくさん行っていたことも事実でございまして、私どもも飛行機を四機飛ばして、ベトナムに帰っていくのをお手伝いいたしました。こんなことも大変よかったと思っておりますけれども、そうした国々がこれから立ち上がっていくために、日本にもっと協力してもらえないかという声は出てくると思います。  ただ、それは湾岸紛争のときのように臨時のものあるいは緊急のものというよりは、長期的な視野に立って、どういう格好でどこまで協力するかという構想のもとに行わねばならない。ODAという予算もございまして、約八千八百億ほど平成三年度予算に積んでございます。たしか八%伸ばしてございますが、そうしたものも利用しなければいけないかもしれないし、その他のいろいろお金をお貸しする方法もありますものですから、既存の仕組みもうまく運用しながらそれらの国にやっていきたい。殊にその場合に、中近東というだけじゃなくて、やはり我々はアジアの一員でございます。アジアの諸国の方が率直に言って発展途上国としてはより厳しい状況にある国も多いものですから、それらの国々のことも十分考慮しながら対処していきたい、こう思っております。
  192. 柳田稔

    ○柳田委員 中東に人は要るだろう。人的協力は、医師か輸送かわかりませんが、多分相当な人が行かなければならないような気がするのですが、その予算当てというのはどう考えたらよろしいのでしょうか。例えば、人を派遣した場合に、行くだけでもただでは行けませんので、輸送費も要りますし、人件費も要りますし、補償費も要るでしょうけれども、その辺の手当てというのはどの辺で考えておけばよろしいのでしょうか。
  193. 越智通雄

    越智国務大臣 結論からいいますと、今この段階でなかなかどういう方法とか幾らぐらいということは申し上げられません。お医者様の場合には、行っていただく方に、率直に言ってこういう状況ですから、戦争のときみたいな危険が多いわけじゃございませんが、しかし、もともと大変厳しい自然環境のところでございますので、どういう処遇が必要かということもありますし、ましてそういう方々が出ていった後の、さっきのお産の休暇じゃございませんが、休んでいる間、その本来いらした病院やなんかの後埋めをどうするか、そういうことも含めまして、今どういう仕組みができるか真剣に考えているところでございます。  また、企業の方に対しても、日本がつくった橋とか日本がつくった淡水化装置などが多いものですから、修理してくれ、つくり直してくれ、そういうニーズも起こってきているようですが、これにどう対応するか、大変難しいところでございまして、今この場で幾らぐらい予算がかかるだろうというところまでは申し上げかねますが、お許しをいただきたいと思います。
  194. 柳田稔

    ○柳田委員 額はわからないで結構なんですが、どこから手当てするのかな。また途中からこの三年度予算の補正を組まれるんではないかなという気もせぬでもないのですが、いずれにしても精いっぱいの努力をしていただきたいという気持ちには変わりはありません。  次に用意していたのが、私はいろいろと不安定要因があると思って、そして湾岸戦争も終わった、戦後復興も大変なことだろうということで、長官のごあいさつの中で載っておりました閣議決定が一月だったことを考えますと、やっとこれで世界経済がどう動くかなという見通しが出てきたのではないかな、そういう段階でございますので、見直してもいい時期が今ではないかというふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  195. 越智通雄

    越智国務大臣 委員御指摘のとおり、平成三年度の経済見通しは一月二十五日に閣議決定させていただきました。振り返ってみて、湾岸武力行使というのは、我が国経済にはさほど大きなダメージは与えておりません。また、紛争が終わってみて一番ダメージの少ない格好で、まあうまくいったと言ったらおかしいかもしれませんが、事なきを得てほっとしているというのが状況でございます。  むしろ経済運営については、それによって世界経済がどう動いたか、それが日本経済にどうはね返ってくるかということの方が心配でございますが、そうした湾岸情勢の余波、世界経済に与えた影響日本にさらにはね返ってくるところあたりまではまだ今の段階では十分読めませんし、日本経済運営そのものとしては、今申し上げた経済見通しをこの段階でもう一遍見直すところまでは来ていない。私は、三月、四月、この情勢をもう少し注意深く見守り、また先ほど先生が御指摘いただきましたように、日米間の関係は実は五月ごろにいろんな往復がございまして、国際会議等もございまして、そこら辺が世界経済の本年度におきます動きを認識していくのに大事な時期じゃないか。そこら辺まで注意深く対処していきたい、こう思っております。
  196. 柳田稔

    ○柳田委員 もう少したたないとはっきり読めないということだったと思いますけれども、このGNPの動き景気の後退というのは必ずしも一体となっていないというふうに聞いたことがあるのです。今はまだ昨年より比べれば成長率は下がっているけれども景気はいいということでございます。だから、GNPがどうのこうのというのではないのですけれども、いつどういうときに、何どきに心理的要因も加わって不況になるかもわからない。そういう予兆があるとまでは申しませんが、何か一抹の不安もないわけではないのです。  昭和六十年の初めでしたか、成長率は二・九%くらいあったかと思いますが、それでもあれだけ厳しい円高構造不況が来たということを考えますと、いつ何どき来るかわからない。やっと日本も落ちついてきて、いい生活が少しずつできるようになってきた段階で、またそういうふうなことがあってはならないというふうに思いますので、そう絶対にさせないという決意を長官から最後に伺いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  197. 越智通雄

    越智国務大臣 さすが柳田先生は岡田先生譲りでございまして、大変温かい御質問をいただきまして恐縮いたしておりますけれども、率直に申しまして、日本経済だけがひとり急速にのめっていくという状態はまず考えられない。やはり世界の中の日本でございます。今一番心配しているのは、世界経済が非常に動きにくくなったときにどういうふうにやっていけるか、これが正直言いまして私、越智通雄の頭にここのところずっと一番残っているところでございまして、それだけに、世界情勢に対応してうまく運んでいければ、今の日本経済には、自分の体の中にそういう自分で転げていくような要素は大丈夫だ。それはちゃんと治療しながら、ことしも所定の三・八%、確かに減速感は出ます、減速感は出ますけれども大丈夫だ。平和と幸せは長続きをしますと余り体に感じませんけれども、そうしたものを何とか守り抜いていきたい、このように思っております。
  198. 柳田稔

    ○柳田委員 どうもありがとうございました。
  199. 村山富市

    村山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十二分散会