○藤原
委員 予約概算金のことや自主流通対策費、これらのこともきょう午前中随分議論がございまして答弁がございましたから、これはまた省きますが、さて私どもは、国際
情勢の中でどういう推移になるか、私どもも非常に危惧を抱いておりますが、何といっても国内対策をしっかり確立することが大事なことであり、この国内対策の強化ということについて、わずかの時間しかございませんが、二、三点申し上げておきたいと思います。
農林省は、皆さん方の立場もございまして先ほど来のようないろんな答弁をなさるわけでございますけれども、答弁は答弁でこの場のことですが、現実
農家の方々は大変な御苦労をいただいていることは、数字やいろいろなことの中でよく御存じのことだと思います。
口を開けば農林省の皆さんは、
生産性の高い
稲作の担い手となる
農家や
生産組織集団を一生懸命育成していくんだ、こういうことを一生懸命おっしゃるわけでありますが、
生産性の高い
稲作とか
規模を拡大するとか、こういうことにつきまして最も理想的な条件にあると言われております北海道の状況等について、これもデータ等でよく御存じのことだと思うのでありますが、「
平成元年北海道離農実態
調査結果」というのがあるのです。去年の十二月にまとめたものですが、
平成元年の北海道の離農戸数というのは千六百戸ございまして、それでこの処分した面積が一万六百四十五ヘクタールということで、一戸
当たりの面積が六・六ヘクタール、これは畑作も含めてですが、畑作は四百二十五戸で二六・五%、水田、
稲作の方が九百四十二戸で五八・八%、六割近い離農はやはり
稲作なんですね。北海道で五ヘクタール
未満の小
規模層の離農戸数が六割を占めておるということですが、しかし
規模が大きかったらいいのかというと、二十ヘクタール以上でも八十二戸、五・一%離農している。こういう実態を見ますと、五ヘクタール
未満が六一・七%、五ヘクタールから十ヘクタールが三百六十四戸で二二・七%、十から二十へクタールが百六十七戸で一〇・四%という、必ずしも大きい
規模で、努力をしながら後継者がいないとかいろいろな理由で離農せざるを得ないという方々も非常に多い、こういう実態が明確になっているわけであります。
しかも世帯主の年齢別に見ますと、離農なさった方々、三十九歳以下は確かに五・一%、低いのですが、六十歳以上の方々が千二十戸で六三・七%という非常に高齢化しておるという。
離農の事由という、どういう理由で離農なさったかというと、後継者問題が七百戸で四三・七%、
労働力不足が四百七十戸で二九・三%、三割ですね。昔は町の人に農繁期のとき、忙しいときにはお手伝いいただくということですが、最近はスーパーとかそういうところにはいらっしゃっても、
農家のきつい仕事、三Kの仕事にはなかなか来ていただけない、こういう実態にあるというふうにデータは出ております。それから負債問題で離農なさった方々が三百三戸で一八・九%、将来に不安を持ってという方も百二十九戸で八・一%いらっしゃる。こういうことを見ますと、そのほかいろいろございますけれども、一時期離農者が非常に少なくなった時期もございますが、最近まただんだん将来の不安や後継者問題とか
労働力不足、こういうことで、せっかく大きな
規模にして理想を描きながら頑張っておりましたものがどうしても行き詰まったという方が多いようであります。
その証拠としまして、離農後の居住地というのは、他町村へ行くよりもやはり同じ町村にいらっしゃる方が千三百六十九戸で八五・五%ということであり、また売買なさる方と賃貸借、お貸しになる方と大体半々ぐらい、こんな状況等を見ますと、やはりこの経営が成り立たぬということだろうと思います。
こういう実態をつぶさに見ますと、しかもこの北海道の最も米どころであります空知、上川、こういうところに離農者が非常に多い。空知が二八・五%、上川が二四・三%というこんな状況になっておりまして、畑作はいろいろな輪作体系がございますから、そういう中で非常に工夫してやっていらっしゃる面もあるのですけれども、
稲作の場合は北海道では半分減反をしなければならぬ。その半分の減反のために
農機具や何かいろいろな施設、資材を買わなければならぬ、こういうことでどうしても負債額、そしてまた人手が続かない、こういう実態をこれらの数字が示していると思うのです。
理想的な、
生産性を上げて
規模を拡大してという、こういう意欲に燃えてやっております北海道の
稲作農家が今大変に行き詰まっておるという現実を、農林省としましては御存じになっていらっしゃるのか、またどう受けとめていらっしゃるのか。北海道でこういう
稲作農家が本当に意欲を持ってやれないようですと、日本の
農業というのはどういうことになるのか。このことについて私は非常に危惧を抱いておるものの一人であります。
それから、最近は耕作放棄地というのが非常にふえておるということも、これは
全国的なことでありますけれども、皆さん方よく御存じのことだろうと思います、詳しいことは一々申し上げる時間もございませんが。きれい
ごとを言っている反面、非常に苦労しながら努力なさり、そしてまたそれを克服するために努力していらっしゃりながら、その努力で克服し得ない足かせ手かせの中での現状で離農しなければならない方々が多くいらっしゃることも決して忘れてはならぬ、こういうようなことにつきまして、農林省としましてはどう受けとめて、今後のことについてのお考えがありましたら、ぜひお聞きしたいと思うのです。