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1991-07-04 第120回国会 衆議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年七月四日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 大原 一三君    理事 金子徳之介君 理事 東   力君    理事 二田 孝治君 理事 穂積 良行君    理事 宮里 松正君 理事 石橋 大吉君    理事 日野 市朗君 理事 藤原 房雄君       石破  茂君    今津  寛君       岩村卯一郎君    上草 義輝君       久間 章生君    久野統一郎君       田澤 吉郎君    星野 行男君      松岡 利勝君    三ツ林弥太郎君       御法川英文君    柳沢 伯夫君       有川 清次君    佐々木秀典君       志賀 一夫君    田中 恒利君       鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君       前島 秀行君    目黒吉之助君       倉田 栄喜君    西中  清君       藤田 スミ君    山原健二郎君       小平 忠正君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  近藤 元次君  委員外出席者         総務庁長官官房         参事官     松田 隆利君         文部省体育局学         校健康教育課長 富岡 賢治君         農林水産政務次         官       杉浦 正健君         農林水産大臣官         房長      鶴岡 俊彦君         農林水産大臣官         房総務審議官  上野 博史君         農林水産省経済         局長      川合 淳二君         農林水産省経済         局統計情報部長 須田  洵君         農林水産省構造         改善局長    片桐 久雄君         農林水産省農蚕         園芸局長    安橋 隆雄君         食糧庁次長   森元 光保君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ───────────── 委員の異動 七月三日  辞任         補欠選任   倉田 栄喜君     東  順治君 同月四日  辞任         補欠選任   東  順治君     倉田 栄喜君   藤田 スミ君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     藤田 スミ君     ───────────── 五月八日  一、農林水産業振興に関する件  二、農林水産物に関する件  三、農林水産業団体に関する件  四、農林水産金融に関する件  五、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(平成年産米穀政府買価格等)      ────◇─────
  2. 大原一三

    大原委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、平成年産米穀政府買い入れ価格米価審議会への諮問及び平成年産米生産費統計調査結果について政府から説明を聴取いたします。森元食糧庁次長
  3. 森元光保

    森元説明員 平成年産米穀政府買い入れ価格決定に関しまして、その算定方式及び留意すべき事項につきまして去る六月二十七日の米価審議会諮問を行いました。さらに、本日再開をされました米価審議会におきまして、生産者米価試算値をお示しいたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、「諮問」を朗読させていただきます。      諮  問  平成年産米穀政府買価格決定に関し、将来にわたり我が国稲作の健全な発展を図るとの観点に立ち、地域における生産性の高い稲作農家生産費及び所得を考慮して算定すること及びその際留意すべき事項につき、米価審議会意見を求める。   平成三年六月二十七日           農林水産大臣 近藤 元次  次に、「諮問説明」を朗読いたします。      諮問説明   米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式によりその時々の需給事情等に応じて行ってきたところであります。   このような中で、最近の米をめぐる諸情勢にかんがみ、生産性の高い稲作の担い手となる農家生産組織・集団の育成を通じて稲作の一層の生産性の向上を図り、国民の納得の得られる価格での米の安定供給に努めることが重要な課題となっております。   また、消費の減退傾向が続いていること等から、大幅な潜在需給ギャップが存在しており、引き続き水田農業確立後期対策を察施しております。   他方、一般経済情勢面では、引き続き労賃物価等上昇がみられております。   以上の事情総合勘案の上、本年産米穀政府買価格につきましては、全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家をその地域において稲作を実質的に担っている者であるとし、このような生産者生産費基礎とし生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかと考えております。つきましては、このような考え方により政府買価格算定すること及びその際留意すべき事項につきまして米価審議会の御審議を願い御意見を賜りたいと存じます。  続きまして、お手元に御配付してございます「平成年産米穀政府買価格試算」について御説明をいたします。  まず一ページの算式でございますが、これは前三年の評価がえ生産費平均分子とし、前三年の平均収量分母として、六十キログラム当たり価格を求めるものでございます。  この場合の生産費対象農家とり方は、昨年同様いわゆる地域方式に基づいております。この地域方式基本的考え方は、全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家は、その地域において稲作を実質的に担っている生産者であると位置づけ、算定対象とするものであります。  このような基本的考え方のもとに、具体的な対象農家とり方につきましては次のようにいたしております。  まず、全国を九つの農業地域に区分をいたします。次いで地域ごとに六十キログラム当たり平均生産費を求めます。このようにして求めた地域 ごと平均生産費指標として、それ以上の生産性を上げている農家を選定しております。これらの農家が各年の生産費についての算定対象農家となるわけであります。ちなみに、このような手順によって算定対象となる農家戸数シェアは各年産とも四〇%を上回っており、また販売数量シェアは五五ないし六〇%程度となっております。  一ページの分子でございますが、対象農家の十アール当たり平均生産費について、物財雇用労働費など実際に支払う費用につきましては、生産費調査結果を物価修正するとともに、家族労働費については都市均衡労賃評価がえし、実際に支払っていない自己資本利子自作地地代についても、一定の評価方法により算入しております。これらを合計した評価がえ生産費算出し、これを対象農家平均単収、分母でございますが、これで除しまして「求める価格」、米全体の農家庭先価格でございますが、これを算定しております。  次に、二ページでございますが、算定値を示しております。1は「求める価格」でございます。2の「基準価格」は「求める価格」に最寄り検査場所までの運搬費を加算したものでございまして、一方六千百八十九円となっております。3は、基準価格基礎銘柄間格差等級間格差等を前提に三類一等価格算出したものであります。4は、基本米価と呼んでおりますが、ウルチ一—五類、一—二等平均包装込み生産者手取り予定価格でございます。前年と比較いたしますと百八円、〇・六五%のマイナスとなっております。なお、三ページに類別、等級別価格一覧を掲げております。  続きまして、四ページの算定要領でございます。算定要素とり方について整理をしております。本年産政府試算におきます算定要素とり方は、基本的に昨年と同様の考え方に基づいております。  まず家族労働費でございますが、家族労働費につきましては、生産費及び所得補償方式のもとで、都市均衡労賃により評価がえを行っております。都市均衡労賃といたしましては、前年同様、都道府県別米販売数量により加重平均した事業所規模五人以上千人未満事業所製造業賃金を採用しております。四ページの下に一時間当たり労賃を掲げておりますが、このうち男女込み労賃は直接家族労働評価に用いておりますし、男子労賃自給肥料等に係る間接労働評価に用いております。なお、労賃単価は前年に比べ、男女込み労賃で六・〇五%、男子労賃で五・六七%の上昇となっております。五ページのアは、五人以上千人未満規模労賃ですが、現物給与等調整前のものでございます。規模修正及び期間修正は、データの制約から労賃規模期間について修正を行っておりますが、その計算の手続を整理をしております。イは、アの労賃に加算する現物給与相当額加算手法について、ウは、労賃から控除する通勤手当相当額減額手法について整理をしております。  続きまして、六ページでございます。まず物財雇用労働費物価修正手法でございます。物価修正につきましては、生産費調査調査期間暦年ベース、一月から十月でございますが、そうなっていること、できる限り直近までの物価動向を反映させる必要があることから、従来基準期間比較期間とも各年の一月から五月平均物価指数を用いることを基本としております。本年産におきましても、このような従来の考え方を踏襲し、基準期間比較期間とも一—五月をとることといたしました。  続いて、副産物でございます。副産物はわら及びくず米でございまして、生産費から控除されますが、掲げております係数生産費調査にあらわれた各年の副産物物価修正をする係数でございます。  続きまして、七ページの資本利子でございます。資本利子は、借入金自己資金に区分しておりますが、この割合は、三年に一度行っている米生産費補完調査結果によっております。借入金金利は、補完調査にあらわれた借り入れの実態にその後の実勢を織り込んで算出をしております。一方、自己資本利子につきましては、実際には支払いを行っていない部分についての一種の擬制計算であり、従来その利率とり方につきましては、米価水準あり方等とも関連して調整が行われており、必ずしも特段のルールというものが確立しているわけではございません。本年の場合は、去る七月に公定歩合が〇・五%引き下げられるなど金利水準転換点を迎えたと見られる中で、自己資本利子適用利率としてより安定的な手法をとるとの観点から、農協定期預金直近五カ年の平均利率をとることとしたものでございます。なお、前回金利水準転換点にあった昭和六十二年産におきましても、自己資本利子適用利率は五カ年間の平均を採用しております。  次は、物件税及び公課負担でございます。物件税及び公課負担は、収益の有無にかかわらず、稲作を行っていることによって賦課されるものを従来どおり計算をしております。なお、土地に係る固定資産税は別途地代に織り込んでありますので、ここでは除いております。  続きまして、八ページの地代でございます。まず、自作地地代につきましては、生産者が実際に支払うものではございませんが、所得付与部分として従来から価格算入をしてきております。本年産につきましても従来同様土地資本利子考え方により、一般田固定資産税評価額九万八百二十二円、十アール当たりでございますが、前年度が九万六百七十一円に、十年利付国債平均利回り五・五三四%、これを乗じて算出をしておるわけです。また、小作地等地代につきましては、生産費調査実績値をそのまま算入さしていただいております。  次は、企画管理労働でございます。企画管理労働につきましては種々の論議がございますが、本年産につきましては、各地域において創意工夫により高い生産性を実現している稲作農家は、それぞれの地域において稲作を実質的に担っている者であると位置づけ、このような農家生産費基礎米価算定することとしておりますので、前年産と同様十アール当たり企画管理労働時間一・三時間を都市均衡労賃評価がえをして算入をしております。  (8)の算定値は、以上の各要素を積み上げた十アール当たり評価がえ生産費でございまして、平均で十四万四千八百六十三円となっております。これを六十キログラム当たりに引き直しますために、次の十アール当たり平均収量算定しております。十アール当たり平均収量は、三カ年の平均で五百四十三キログラムとなっております。  次に、九ページの運搬費でございます。農家庭先から最寄り政府指定倉庫までの運搬及び受検に要する経費を、米生産費補完調査結査に基づいて算出をしております。  十ページ及び十一ページは、以上の結果を原生産費価格決定年評価がえ生産費ということで整理をしたものでございます。  以上でございます。
  4. 大原一三

  5. 須田洵

    須田説明員 続きまして、平成年産米生産費調査の結果につきまして御説明いたしたいと思います。  お手元に小さな薄い冊子がございますが、平成年産米生産費調査結果でございます。  まず、一ページに一番下にちょっとございます注でございますが、販売農家玄米十俵以上販売平均でございます。ただし、災害農家は除いております。  一ページに総括をしてございますが、まず生産費として、物財費が前年よりも一・四%の上昇労働費につきましては〇・九%、それらを合わせました費用合計といたしましては一・二%の上昇でございます。いずれも十アール当たりでございます。それから、第一次生産費、これは副産物価額費用合計から差し引いたものでございますが、一・五%の上昇、さらにこれに資本利子地代算入した第二次生産費ベースで見まして、十アール当たり〇・八%の上昇という結果になっております。これを六十キログラム当たりに換算するわけでございますが、後ほど十ぺージ後ろの方に単収の動きがございますが、単収は収量五百三十三キログラムということで、対前年に比べまして二・七%の収量アップでございます。その結果が反映されまして、六十キログラム当たりの第二次生産費で見まして、ここに書いてございますように三角一・八%、前年よりも一・八%のマイナスという次第でございます。  下の方に収益性指標といたしまして粗収益、十アール当たりで前年に比べて〇・三%のマイナス、これは価格が下がりまして収量はふえるということで、ほぼ打ち消した結果でございます。その結果、十アール当たり所得といたしましては前年よりも二・五%のマイナスというふうになっております。  以下、費目動きにつきまして、四ページへ飛んでいただきまして御説明をいたしたいと思います。  まず、十アール当たり生産費で見まして、四ページから五ページにかけまして各費目動きが並んでございます。左から参りまして種苗費五・九%の上昇肥料費につきましては一・二%のマイナス、これは施肥量が減少しておるという結果でもございます。農業薬剤費光熱動力費はいずれも三%台の上昇、その他の諸材料費、それからその右にございます水利費でございますが、これはいずれも二%台の上昇賃借料及び料金、これは三・九%ということで、この貸借料料金上昇は、労働時間が一方で減少しておりまして、作業委託がふえるという形でございまして、そのはね返りとしてこの貸借料料金のところの上昇率が高くなるという結果でございます。建物及び土地改良設備費につきましては〇・三%、それから農機具費につきましては〇・七%ということで、償却費が〇・八%ということで、これは主要な農機具更新期に入りまして購入が若干増加しているという結果でございます。  下の方に、また左の方から見ていただきますと労働費でございます。労働費につきましては、労働時間と賃金の掛け合わせたものでございますが、労働時間につきましては後ろの方の十一ページにございますけれども、本年は前年に比べまして五%の減少ということでございます。その形としては作業委託等の形でございます。反面、労賃につきましては、農村雇用賃金でございますが五・九%上昇いたしまして、差し引き〇・九%労働費としては前年よりもプラス、こういうことでございます。それらを全部足し込みました費用合計としては一・二%でございます。  それから第一次生産費副産物価額を差し引きました第一次生産費としては一・五%の上昇、さらに資本利子地代それぞれ若干のマイナスということになりまして、第二次生産費ベースで見ますと〇・八%の上昇、このようになったわけでございます。  次の六ページにはこれを六十キログラム当たりに直したベースで書いてございますが、動き方向は十アール当たりと全く同じでございますので省略いたしますけれども、先ほど申しましたように、単収の二・七%の上昇というような結果、七ページの一番右の下の方に第二次生産費という、六十キログラム当たりの第二次生産費トータルでございます、今申し上げましたその単収増という要素を先ほど申しました十アール当たりベースに織り込みますと、前年よりも一・八%のマイナスという結果になるわけでございます。なおその下に、作付規模別に見ましてどのような第二次生産費になるかということを、一べつしておわかりと思いますけれども、規模が上がるにつれまして生産費が低減していくという傾向が明確に見られるわけでございます。一番コストの高いところと低いところでは倍半分にやや近いという状況でございます。  八ページ以降につきましては、費目別構成比等でいろいろございますが、御参考にしていただきたいと思います。  最後に十二ページに飛んでいただきまして、参考といたしまして平成年産農業生産組織米生産費調査、これは初めてやりましたものですから簡単に御紹介させていただきます。  これまで米価審議会等から、個別農家生産費だけではなくて生産組織もぜひ調べるべしという御指摘もございまして、その準備を進めてまいった結果、平成年産から新たに実施したものでございます。  調査概要としてその下の方の(1)に書いておりますように、生産組織にもいろいろな形態がございます。大きく分けまして協業経営体というものと受託組織、その二つに分かれると思います。その前者の協業経営体につきましては、組織化をして米の生産販売収支決算を共同で行う、それで収益を分配している、そういうものでございます。受託組織の方は、組織化をしましてお互いに農作業の一部を担うということで、生産された米はすべて個別農家に帰属するということで、さらに、主要な作業の全部を受託いたします全作業受託組織と、部分的に作業を受託する部分作業受託組織というふうに分かれるかと思います。  これらについての調査方法につきましては、協業経営体あるいは全作業受託組織、この二つにつきましては個別農家生産費と同じような手法でやったということでございます。また、部分作業受託組織については、組織を構成する農家ごと部分作業コストを一部推計を含めまして調査いたしまして、これをさらに組織全体に積み上げる方式をとったわけでございます。  ただし、この今回の調査の取り扱いでございます。真ん中辺に「しかし、」というところでその上に書いてございますが、今回の調査は、受託組織等につきましては、対象となります米が個別農家のそれと重複する、ダブる面がございますので、今後個別農家調査、先ほど申しました本体調査といいますか、そういうものとの関係で母集団の整備等いろいろ工夫をしていく必要があるのではないかということで、あくまでも参考調査ということで取り扱うべきかというふうに考えております。  結果について、十三ページに並んでおりますけれども、トータルの結果だけ御紹介いたしますと、一番下の方でごらんになっていただきまして、第二次生産費で六十キログラム当たりで見まして、協業経営体が一万四千七百二十七円、受託組織のうち全作業受託というそのタイプでいきますと一万三千三百二十円ということでございます。なお、先ほど申しましたように、個別農家全国平均が六十キログラム当たりで一万九千七百六円でございますので、それから比べますと五、六千円低いというようなものになっております。規模の小さい農家におきましても、こういう組織的な取り組みによって総体としてコストダウンの可能性があるということを示唆するものではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  6. 大原一三

    大原委員長 以上で説明は終了いたしました。     ─────────────
  7. 大原一三

    大原委員長 二田委員に申し上げますが、大臣は今会議を出ましてこちらに向かっておりますけれども、政務次官対応でよろしゅうございますか。はい、それでは——大臣、御苦労さまでございます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二田孝治君。
  8. 二田孝治

    二田委員 大臣におかれましては、諮問案の作成、本当に御苦労さまでございました。ゆうべは恐らく寝ないで頑張ってもらったことだと心から感謝申し上げる次第でございます。  今回は、私どもにとりまして大変残念でございますけれども、〇・六五%、約百八円の米価を値下げする諮問案でございます。これも、今いろいろ米自由化の問題が論議されておりますときに、内外価格差を埋める一つの手段でもある、こう思って納得させてもらうわけでございます。  ところで、我が国農業の主幹であり、そしてまた国民の主食たる米については、国内自給方針を堅持し、市場開放は断じて行うべきではない、私はこう思うわけでございます。しかしながら、過日報道されましたとおり、イーグルバーガー米国務省長官が米の関税化を進めるというような文書大臣に送付した、こういうふうにお伺いもしておるわけでございます。  そこで、やはりぜひこれは堅持してもらわなければいけないことでございますので、まず大臣の御決意のほどをお聞かせいただきたい、こう思います。
  9. 近藤元次

    近藤国務大臣 米の自由化問題につきましては、大変御心配と御協力をいただいておりますことをまずもって御礼を申し上げたいと思います。  かねがね御意見をいただいておるところでありますが、私は、従来申し上げたとおり、日本の米、稲作というものの重要性にかんがみて自給方針を貫いていくということで、方針を従来どおり変える気持ちは全くございませんし、米の国際的な事情からいっても、国内事情からいっても、農業全体を考えて我が国事情からいっても、米、稲作重要性をとりわけ考えたときに、自由化方向自給方針を変更するというようなことがあってはならない、こう考えておりますので、今後とも引き続き御支援、御協力をお願い申し上げたいと思います。
  10. 二田孝治

    二田委員 先ほどもちょっと申しましたけれども、イーグルバーガー米国務省長官が米の関税化を迫る文書政府に送っております。この事実関係や、それに対して大臣がどのように御対処をなさったのか、差し支えがなければお聞かせいただきたい、こう思います。
  11. 近藤元次

    近藤国務大臣 先般、ミニマムアクセスではだめ、関税化対象にして考えておるというようなことがアメリカの在日大使館から我が省の塩飽審議官のところに届いたわけであります。後で私も、不思議だな、政府から政府という話であれば外務省を通してとか、あるいは担当省から担当省といえば私のところへ来るべきものが筋なのに、事務担当者にそういう話が伝わってきたということはどうなのかなと考えておりましたら、少なくともアメリカの国務省からのアメリカ大使館あての電文をメモった形でこういうことが来ておるということを担当者同士伝えに来た、こういうことであるようでありますので、私はそれほど重きを感じておりません。  また、ミニマムアクセスなどということを念頭に置いて今日まで考えたこともございませんし、なかんずく関税化などというものに対応できるということを考えてもおりませんし、とりわけそれはアメリカの考え方であるということで、我が国我が国の従来の方針どおりで対処していくということをいささかも変更するものではございませんので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  12. 二田孝治

    二田委員 次に、米価の問題をお伺いいたしたいと思うのでございますけれども、大臣、まことにもってお疲れのところ恐縮でございますけれども、今農林省は新しい農業を志向していかなければならない、そして安定した、安心できる農政というものを推進していかなければならない。こういうような大臣のお考えのもとで、新しい食料・農業そしてまた農村推進本部というプロジェクトを設けているやにお伺いしております。これは事務次官を本部長とし、七つのプロジェクトに分かれておるわけでございまして、先ほどいろいろ数字の点は御説明いただいたわけでございますけれども、数字の面ばかりではなく、今回の米価諮問案の中に将来の日本の農村をいかにすべきか、こういうような基本理念というものが盛り込まれていなければならない、こう私は思うわけでございます。そういった意味におきまして、単なる数字ではなく、農村の将来を考えた施策までも含めた数字であるのかどうなのか、この点をひとつお伺いいたしたい、こう思います。よろしくお願いいたします。
  13. 近藤元次

    近藤国務大臣 結論から申し上げて、私は昨年末大臣に就任いたしたわけでありますし、生産費調査は既にもう運ばれてきておるわけでありますし、また算定方式についても既に春早々から米審の委員にお集まりをいただいて意見交換もしていただいておるところであります。その後において新しい食料・農業・農村検討本部というものを設置させていただいたわけでありますから、その意味に限って言わせていただければ、米価そのものに私が今回検討本部を設置したものが十分反映しているというふうには私も理解はいたしておりませんけれども、念頭に置いて可能な限りの作業はしていただいたのではないか、実はこう思っているわけであります。  私が就任以来、耕作放棄地が増大をしたり、担い手問題を考えてみても、新卒二千百人という状況を見て、そして農村の実情を見たときに、単に一つの政策をつくり出す、単に一つの政策を変更する、制度を変更するということだけではとても今の農村の実情というものを改善させるわけにはいかないのではないのかな、こんな感じが私はいたしましたので、昭和三十六年につくられた農業基本法をまず個人的にみずからが勉強してみる必要があるということで、その旨発表いたしましたら大変大きな反響になってまいりまして、私も意を強くしながら、またさらに、どの視点から検討していくべきかということをつくり上げるのに若干の時間がかかったわけでありますけれども、今回その検討対象項目を明らかにいたしまして、すべてを検討してみる、そしてその後において新しい制度なり既存の制度なりというものを検討させていただくということにいたしたい、実はこう思っておるわけでございます。  今回の検討本部は、かねがね、従来ですと、新しい制度をつくるときには農政審議会からの御意見、御答申をいただいて、それを制度化していくことがおおむね慣行でありましたけれども、農林水産省みずから、政府みずからが日本の農業のあるべきものをきちっとつくり上げていく。その後に、必要性があれば専門家、それぞれの審議会なり委員会に御検討いただくことがあっても、少なくとも来年の四月という期限を切って私どもみずからがひとつまとめ上げていく、こういう方針で、その間に、私どもだけではなお十分なものができないといけませんので、それぞれいろいろな角度から農業を見ていただいている人、各界各層可能な限り幅を広げて、専門家なり有識者からの御意見をいただく。御意見をいただくだけでその懇談会は意見をまとめていくということではなくて、それぞれの立場で御意見をいただいて、私どもがそれを参考にしながらまとめさせていただきたい、そう考えておりますので、また先生を初め委員の皆さん方からその間の御意見、御指導をいただくようにお願いも申し上げたいと思う次第であります。
  14. 二田孝治

    二田委員 ただいまの大臣農業、農村に対する愛情、御熱意をぜひ政策の中に生かしてもらいたいと心から要望するものでございます。  次に、米の生産費調査結果によりますと、生産費マイナス一・八%と出ております。これは前年より一・八%下がっているわけでございますけれども、一方いろいろな団体の資料を見てみますると、米価試算はプラス四・八%と前年よりも大分高く出ておるわけでございます。一方、地域方式対象は団体と政府の認識はほぼ一致しておるように思われるわけでございます。しかしコストが償える農家の部門を見てみますと、戸数においてカバーできますのは一三%、そしてまた数量においては二七%と低く、政府とは大分違った数字が出ておるわけでございます。どっちも公平な調査をしておると思うのでございますけれども、このような数字の格差が出てくるというのは私は極めて疑問でございますので、当局の御答弁をお願い申し上げたい、こう思います。
  15. 森元光保

    森元説明員 お答えをいたします。  先生のお話は、生産費調査ではマイナス一・八%あるいは今回の米価試算におきましてはマイナス〇・六五%、ところが全中の試算等によりましては四・八%高くなっているのはなぜかという御趣旨の御質問かというふうに思っておりますけれども、まず、農林省で実施しております生産費調査につきましては、全国地域別、作付規模別にバランスのとれますように約三千戸の農家を抽出をしておるわけでございます。そして、その生産のために実際に使用いたしました資材費あるいは建物、農機具等の減価償却費につきまして一定の基準によって計算をし、また、家族労働費あるいは資本利子にさらに地代を加えて算定をしておるというような状況になっておるわけでございます。その結果が、先般公表になりました六十キログラム当たり二次生産費で一万九千七百六円、これが対前年比マイナス一・八というようなことになっておるわけでございます。  全中の試算によりますと、私の方、必ずしも詳細を承知をしておるわけではございませんけれども、全国約千二百戸の農家をとっておるようでございます。いろいろそれは家族労働評価がえの問題とかあるいは物財費評価がえ等を修正をいたしまして、その修正をした結果、六十キログラム当たりが二万二千二百四十三円で対前年比四・八%、こういうような形になっておるようでございまして、統計情報部で調査をしておる数字と全中の数字とでは、そういった対象農家の選定でございますとかあるいは地代の扱いでございますとか、そういう点がかなり食い違っておりますので、必ずしもこれをストレートに比較するのはなかなか困難ではないか、こんなふうに思っております。  それから、今回の試算値につきましては、先ほどもちょっと御説明を申し上げましたように、地域方式によってそれぞれの地域生産費の低い農家だけを対象に取り上げておるというようなこともございまして、もちろんその生産費につきましては、それぞれ物価修正でありますとかあるいは都市均衡労賃評価がえというようなことをやっておるというようなこともございますし、それからまた、それぞれピックアップいたしました農家の単収の差がかなりございますので、そういったことで数字がそれぞれ違うというふうに御理解をいただければよろしいか、こういうふうに思っております。
  16. 二田孝治

    二田委員 御答弁をお伺いしたわけでございますけれども、理解できる点とできない点があるような感じがいたします。  時間がありませんので次の質問に移らせていただきたいわけでございますけれども、毎年毎年米価がある程度下がる、こういうような状態に農家を置くということは、生産者を置くということは、私は、日本農業にとって大変マイナスだ、こう思うわけでございます。  とするならば、ある一定期間価格というものを決めておいたらどうか、こう思うわけでございます。ただし、物価の変動、著しい社会状況の変動がある場合は別でございますけれども、例えば一九九〇年度のアメリカの農業法におきましては、五年間の価格の固定というものをしております。小麦が一トン百五十ドル、そしてまたトウモロコシが百三ドル、米がトン二百三十六ドル、このように目標価格を一定の数値に固定したまま置いておる。そうすると耕作者も安心感を持って次の営農に取り組むことができるのではないか、こう思うわけでございます。  これは私の考えでございますので、いいか悪いかということはこれはまた別の問題でございますけれども、ただ、今のような状態におるよりはよりベターじゃないか、こんな感じがいたしますので、このようなことが可能かどうか、ひとつ御教示をお願い申し上げたい、こう思います。
  17. 森元光保

    森元説明員 先生の御趣旨は、三—五年ぐらいは価格を据え置いたらどうかというお話かと思いますけれども、生産者米価につきましては、食糧管理法上、毎年これを決めることになっておりまして、生産費及び物価その他経済事情を参酌をして米穀の再生産が確保されるように決めなさいということになっておりますので、私どもといたしましては、それぞれの年の生産費事情あるいは需給事情等を十分勘案をいたしまして毎年米価を適正に決めていくことがいいのではないか、このように考えておるわけでございます。
  18. 二田孝治

    二田委員 適正な価格をお決めいただくわけでございますけれども、適正な価格が毎年毎年下がりますので、これが上がるか下がるかということになると別になるのでございますけれども、いろいろな内外の問題、こういった問題から、生産者にとりますと極めて不安定になる。やはり安心して営農に取り組むことができる姿勢というのは、ある一定の目標というものを示してやる必要がある。私は、それが温かい政治じゃないか、温かい行政じゃないか、そう思うわけでございますので、ぜひひとつ御検討ができますならば御検討のほどをお願い申し上げたい、こう要望して終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  19. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  日野市朗君。
  20. 日野市朗

    ○日野委員 どうも大臣以下きょうの五時過ぎまで頑張られたようで、本当に大変御苦労さまでございますと言ったらいいか、余計なことをやってくださったというか、名状しがたい思いがいたします。  それに、五時過ぎにこの諮問の数字が決まったにしてはまことに手際のいい話でございますな。もう立派な、数字がぴたっと合うような資料ができ上がった。これは非常に日本の官僚の優秀さを示すものであるか、日本のコンピューターの高性能ぶりを示すというか、これは大変なんですが、私、こういうやり方は本当は賛成できないのです。  米価審議会の皆さんにお諮りするわけでございましょう。ことしの場合は、前段米審を構えて二日間にわたっていろいろこの算定についての諸資料を御検討をいただいたとはいうものの、まだ、きょう米価審議会が開催をされて、そしてそこに諮問がなされるわけだ。ところが、その前にこのような数字をつくり上げて、これはもう決定でございますということですから、これは米価審議会の皆さんに対しても非常に失礼に当たるのではないか、こういうふうに私考えております。  ここに出されたこの諮問の数値ですね、これはさらに動くものですか、いかがでございます。そして、ここで、これは自民党と政府との間で決めた、こういうことですが、それがどういう法的な根拠に基づいて、どういう拘束力を持つものでございますか、お答えをいただきたいと思います。
  21. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生御案内のように、ことしは米審のあり方についても若干検討させていただいて、前広米審、事前米審というようなことがございましたけれども、今回は最初から米審ということで、二十七、二十八日の両日、冒頭に米審に諮問をさせていただきました。算定方式並びに米価決定に当たっての留意すべき事項について御意見をちょうだいをいたしたわけであります。そして米審からも御意見を取りまとめをいただいて、留意すべき事項の点についての御意見をいただいたところでございます。  どちらかというと、従来はそういうことをしないで前広米審ということで、めぐる事情等々の説明をして、それで一応終わりで、そして後半の米審について諮問をするというやり方でありましたけれども、今回、冒頭から諮問をさせていただいたということで、米審会長からも、大変大臣、決断をしていただいて、かねがね私どもが考えているようなやり方にしていただいたということで謝意を表するというようなことでごあいさつをいただいたような経過も、実は今回の場合ございます。  なお、数値については、きょう諮問をさせていただいたわけでありますし、留意すべき点と、並びに算定方式は、前段階の米審で了承いただいておることに基づいて数字を出させていただいたところでございます。
  22. 日野市朗

    ○日野委員 まあ、こういう決め方はあなた方が政権をとっても同じようなことをやるでしょうよと、こういう声もありますが、しかし、もし我々が政権をとってこれを決める場に臨むということになった場合は、やはり米審の委員の皆さんの衆知を集めて決定をするという機構がある以上、それを最大限に尊重する、こう思いますね。そういう政治のあり方というものが、私は本当の民主主義であろう、こう思っているんであります。ことしはことしのこととして、来年あたりはこういう決め方というのはやはり厳に慎んでいただきたい。そして、もっと衆知をより広く集めるという方向で進むべきであるということを私の意見としてまずひとつ申し上げておきたいというふうに思います。  では質問を変えますが、今米作をやっておられる、米づくりをやっていられる農家というのは、本当に不安にさいなまれながら現在農業経営をやっておられると思うのですね。何といっても最大の関心事というのは、外国、特にアメリカからの米についての非常に強い圧力がかかってきているということであります。そして、それに呼応するかのように、日本の国内でもあっちでもこっちでもぽこぽこいろいろなことをおっしゃる方がふえてくる。そしてマスコミあたりの論調を見ても、非常に米の輸入というのは、これは既定の事実であるかのような報道すらする報道機関もございます。私は非常にショックを受けたのは、この間五万人集会というのがドームでありました。それに対するマスコミの取り扱いを見たら、朝日は余り目につかないようなところに載せましたけれども、そのほかの新聞はほとんどこれを取り扱わない。これは驚くべきことですね。五万人の人たちが全国から集まる、こういう事実の重さをどう見るのだろうか、こう考えていきますと、現在の報道のあり方というものに対して私は深い憂慮を払わざるを得ない、こんなふうに考えているわけであります。これは何か大きい政治的な力でも働いていて、それがマスコミにも作用しているのではないか、そんなことも考えざるを得ないような状況であります。  先ほど二田委員の質問に対して大臣は、米については完全に自給していくという方針を堅持するということをお答えになりました。これは間違いありませんね。私からも念を押しておきたいと思います。
  23. 近藤元次

    近藤国務大臣 間違いございません。
  24. 日野市朗

    ○日野委員 どういうことで、そのようにはっきりと完全自給の方針は崩さないと言われる大臣の発言がどんなふうになって日本で結果的にこのような報道になったのかはわかりませんが、大臣が過般ヨーロッパに行かれたときに、そこで米の輸入については政治的決断のタイミングを見なければいかぬというようなことを大臣が発言されたやに報道をされたわけであります。これは私、いろいろ考えてみまして、大臣がそんな発言をされるはずもないのだろうというふうにも思うわけでありますが、あのように報道をされますと、やはり何かそれをうかがわせるような発言をなさったのではないかという危惧を非常に強く持っております。  大臣はそれを取り消すような記者会見、取り消すというのですか、そういうことは言わなかったよという記者会見もされたやに聞いておりますが、ここは委員会という正式の場でございますから、ひとつその間の事実関係、御説明いただけませんか。
  25. 近藤元次

    近藤国務大臣 過般、世界食糧理事会にデンマークに出張いたしました。その機会に、私の幾つかの目的が、アメリカの農務長官にもお会いができる、私の就任とアメリカの農務長官の就任の出会いは御案内のように幕張メッセから始まったものですから、こういう誤解と感情から出てきたようなことで本番に入ることは好ましいことでないな、こう思ったものですから、事前に相手の人柄も知っておきたいし、私の人柄も知っていただきたいし、また、日本の立場も理解をしていただきたい、あわせて、ECの農業改革がどのようにコンセンサスを得られておるのかなということと、また、ECの農業大使、マクシャリー大使がどのような考え方を持っておるのかなということを、しばらくお会いをしていないものですから、そういう三点と、食糧理事会で日本国の立場として発言の機会がありますので、私が出張させていただいたわけであります。  ドイツのキーヒレ大臣にお会いをしたときも、ドイツはやはり輸出補助金をつけてまで輸出するということよりは、日本のように生産調整をして、そして輸出補助金を生産調整に回すべきだというような御発言もありましたし、また、マクシャリーさんにしても、私の方は東ドイツが昨年の暮れ、決裂して以来東ドイツがまたECに入ってきたり、東ヨーロッパの農業とのかかわりも大変深くなってきたので、私どもは非常に昨年暮れよりもむしろ困難な情勢になってきたというような話も実はございました。  アメリカの農務長官は、私たちと農業経営と農業に対する考え方が違っておることは御案内のとおり。アメリカにおける農家の皆さん方は、農業生産には日本の機械を使い、家庭に帰れば日本の工業製品を使って生活しているのですから、そこからできるものは買ったっていいじゃないかという主張がございました。私は、基本的に日本の農業とアメリカの農業と違うことと、工業製品と農産物とは同じテーブルで、同じレベルで交渉することは間違いである、そういう対応はできないということで我が国の主張を述べ合うというような機会も実はございました。  そういう意味合いからして、私は、昨年の暮れから、少なくとも譲歩したり前進をするというようなことは感じられませんでしたから、今委員お話しのように、私が訪欧中に日本の新聞に報道されたようなことを言うはずもない状況で私は認識をいたしておるわけであります。夜中の一時ごろ電話で起こされて、日本の報道がこう出ているが、何を言ったという本省からの話があって、私は比較的淡々と順調に会談も進んでおるし、日本の立場を主張することもできた、こう思っているのに、実はびっくりしてございました。早速ヨーロッパにファックスを送っていただいたわけでありますけれども、少なくともあそこに表現をされておるようなことは単語そのものも一つも私が使っていない単語でございますので、帰国してからプレスセンターで、記者会の二百人くらいおられるところでその話も実は質問がありましたので私はお答えをいたしましたし、そのときに同行していた記者さんもそこの会合にはいたわけでございました。  ただ、政治決断を間違ったとすれば、そのときちょうどOECDの閣僚会議が終わって、八月に前進をして何か政治決断をしなければならぬということがOECDの閣僚会議で出てきたが大臣はどう思うかと言うから、そこに行く過程を私は全く承知をしていない、OECDは農業問題を検討しているとこじゃありませんので、ガット・ウルグアイ・ラウンド全体をどう進めるかということで実はございますから、私はそのことに特に触れることはございませんけれども、いずれにしてもこのガット・ウルグアイ・ラウンドは事務レベルでまとまるような程度の話ではございません、事務レベルがまだ一巡もしていない、そのときまだ輸出補助金の事務レベルの会合も終わっていませんので、今政治的に物を言うことは事務レベルの皆さん方の情熱を失うことにもなるので、政治レベルで話をする必要はありません、しかし、事務レベルで対立することがあれば、いつかは政治的なプッシュというものはガット・ウルグアイ・ラウンドは起きてくることがあるかもわからぬ、こういう話でありました。政治的プッシュということと政治決断ということが連動して書かれたような形で実はございますので、この後の記者会見も、大臣、真意でなかったらもう一度というようなことで数日後にありましたから、私は全面的に否定をいたして、それが報道されたわけであります。  あわせて、皆さん方、政党あるいは政治家や有識者には私がお会いをして説明をする機会がありますけれども、全国多くの農家の農民の皆さん方にこのことで御心配をかけたことはまことに申しわけない、こういうことを二度記者会見で私がお話をしましたけれども、そのことは一つも載せていただけませんでした。  そういう状況であったことで、若干時間をとらせていただいて詳細に報告させていただきました。
  26. 日野市朗

    ○日野委員 よくわかりました。これからもひとつ現在の態度を貫いていただきたいというふうに思うのであります。  ガット・ウルグアイ・ラウンドの話が今大臣からもちょっと出ましたけれども、これは日本のマスコミなんかによりますと、ガット・ウルグアイ・ラウンドで米の問題が話し合われていて、あたかも日米間の米問題が解決しなければこのガット・ウルグアイ・ラウンドがまとまらぬのだみたいな報道がなされたりするわけでありますが、現在のウルグアイ・ラウンドの見通しというものについて、これは事務局で結構でございます、お聞かせをいただきたい。
  27. 川合淳二

    ○川合説明員 ウルグアイ・ラウンドの農業交渉につきましては、三月に技術的会合ということで再開されまして、御承知の国内支持、国境措置あるいは輸出補助金に関する検討が続けられてまいりました。この検討を受けまして、先ごろダンケル議長が各国の主張を、選択肢、オプションという言葉を使っておりますが、併記したダンケル報告が提示されました。したがいまして、これを受けまして今後の交渉が本格化するというふうに考えております。現在の日程では、七月の最後の週に貿易交渉委員会が予定されておりますので、それに向けての議論が精力的に行われていくというふうに予想をしております。  しかしながら、今大臣からもお話がございましたように、アメリカとECとの間のそれぞれの考え方の相違というものはかなり大きいものがございます。オプションペーパーにおきましても、その辺は明確に両方の隔たりが書かれているわけでございまして、ここがどういうふうに埋まっていくかというのは全く予断を許さない、そういう状況でございます。言いかえれば、これからまず本格交渉がスタートするという状況であるのではないかと思っております。  いずれにいたしましても、そういう状況でございますので、我々といたしましては、我が国の立場、従来の立場を踏まえまして取り組んでまいるということを考えておるところでございます。
  28. 日野市朗

    ○日野委員 このウルグアイ・ラウンドが早急に進展するというような見通しは現状ございませんね。いかがですか。
  29. 近藤元次

    近藤国務大臣 お答えしにくいところで、進展をするかしないかといっても、四年半にわたってこの問題がスタートしてから年月が経過をいたしておるわけであります。それぞれの国の主張を述べられて、それぞれの国の困難は那辺にあるかということは大体理解ができておるわけであります。ですから、その問題の譲歩をする国があればまた進展が出ていくということであります。今譲歩するというようなことが私ども感じられないという現況であるわけでありますので、急転直下まとめの方向にどこかのグループが出てくればまた可能性があるということで、私は常にこの推移を緊張して見守っておるというのが現状の私の立場であります。
  30. 日野市朗

    ○日野委員 最近のこれも報道によりますと、アメリカがかなりいら立っているような感じがあります。イーグルバーガーさんが大使館に対してアメリカの米問題についての態度を文書で示された。これはアメリカの大使館に対してですね。そしてそれが日本の方にも伝えられたというような報道、それからきょうの答弁でございますが、これを見ますと、これは正式な外交文書が日本に対して届けられたというものでないということは先ほどの御答弁から理解できるわけなんですが、このアメリカのいら立ちというようなもの、これがまた増幅されたかなというような感じを私持たないわけにはまいりません。  これは私、ここでちょっと念を押しておきたいのですが、リンさん、ヤイターさんとそれから日本との間で、この米については二国間交渉はやらない、ガットで定まるルールによることにいたしましょうというような取り決めがこれは行われているというふうに私は理解しておるのでありますが、私は、アメリカがいら立って二国間交渉を求めてくるというようなこともないわけではなかろう、その可能性ですよ、この可能性がないわけではなかろうというふうにも考えられるわけですが、もし向こうが二国間交渉を求めてきた場合、日本としてはどういうふうに対処されます。私は、これは従来のいきさつからしてしっかりと拒絶すべきものであるというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
  31. 近藤元次

    近藤国務大臣 先生今お話しのとおり、米について二国間でやらないということはもう両国確認をされておることでありますから、そして・ガット・ウルグアイ・ラウンドで農業全体をやるときにお互いが検討しようということになっておるわけですから、ガット・ウルグアイ・ラウンドが進行しておるときに二国間交渉で向こうから来るということは私は考えておりませんし、仮に、もしそういう事態があれば、私はそれに応ずる気持ちはございません。
  32. 日野市朗

    ○日野委員 ぜひそこは頑張っていただきたいわけでありますね。  ところで、そっちからもこっちからもいろいろなことを言う人が多いわけですね、自民党さんの内部。これは海部総理の言葉をかりれば、私の方は自由民主党なものだからいろいろなことを言うのをとめ切れませんというお話でございますが、これはいろいろなことを言う方が自民党の内部にもおられる、経済界の方々の中にもおられる。また、そういう人がひょっと何かの審議会に入ったりされることがあったりするものですから、これは日本の国論がひょっとすると分裂しているのではあるまいかというような、これは外国の人から見ると印象を持たれる場面がないわけではないのだろうというふうに思います。  しかし、私もきょうの大臣の答弁を伺う、それから海部さんなんかともお話をして、彼も、完全自給は守っていきますよ、こうおっしゃっておられるのでありますが、どうも客観的に見ますと、じわじわじわじわ事態が動いているような感じがないわけではありません。ここはひとつ内閣の閣僚間の意見をきちっと大臣に取り仕切っていただいて、内閣がふらふらするようなことのないようにひとり頑張っていただきたいと私思いますね。  今月の十五日からでございますか、サミットがございます。その間にいろいろな首脳交渉なんかも行われるでございましょう。そういうときに海部さんにふらふらされると困るのですね。これはぜひ大臣、海部総理ときちんとした話し合いをなさって、海部さんがそういうところで変なことを言い出したりされると困るわけでございますから、国政の農林水産省の事項については農水大臣が責任者でありますから、そのことについてはしっかりと責任を持って、これはきちんとやっていくということをひとつお約束をいただきたいと思います。いかがでございますか。
  33. 近藤元次

    近藤国務大臣 まだ時間ありますか。——いろいろなところからいろいろな発言があることは、毎国会のたびにいろいろ御意見をいただくところでありますけれども、日本のマスコミの報道を見ておると、全国農家が心配されるように、農業、ウルグアイ・ラウンドで特に御勉強いただいておる方々というのは、今の動きやその他を全部承知をしておるんだろうと私は思うのです。ただ、マスコミの報道を見ていると、えらい日米関係で対立があるように受け取れたり、そういう感情になると日米関係を大切にしようとか、ECとアメリカが一緒になって日本をたたいてきたときにはもっとでかいものが来るぞとか、さまざまな心配を、恐らくそれでガットが壊れたら全体の貿易の自由体制が崩れたときはどうなるのかという心配をされてそれぞれの人たちが実は発言をされるのだろう、私はこう認識をいたしておるわけであります。  私は記者会見のときにも、私の念頭にはでん粉、乳製品その他残された十四品目、米を含めて全部頭の中にあるものですから、単に農業の交渉いかんと言われると、それぞれの十四を念頭に入れて私はお答えすることがあるんですが、それが米と書かれたりするものですから、米のときだけは特別、米とお尋ねをいただきたい、そうでないと、私は乳製品、でん粉もみんな抱えておるものですから、農業と言われると実は全部を念頭に置いてお答えをいたすことが、私の未熟のせいで誤 解が生まれるのかもしれませんので、そういう点で私は発言があるのではないかなと思っているわけであります。  内閣の分野につきましては、先般の閣議でも私の方からそれぞれ、先月ですか、いろんな発言が出てきたときに、少なくとも内閣は、農業問題についてはひとつ個人的な発言とか見解は申し述べないでおいてほしい、ぜひお任せをいただきたいということで閣議は一致をいたしておりますので、そこの方針は変わることはない、私はこう思っておりますし、総理が出かけるときにはもう事務レベルの会議が始まっておりますし、ケアンズ・グループの会議が恐らく八日かそれ前後に行われるわけでありますし、また、変化がありますので、出かける直前には私が今申し上げているようなことを基本にして総理に対応してもらうべく実は私はお伝えをするつもりでございます。
  34. 日野市朗

    ○日野委員 ちょっと質問を変えますが、またこの米価が下がるということになりますと、これは政府米が集まらなくなっちゃうということを私は非常に心配しているのですよ。  日本の国民は、ちゃんと食糧庁が万一のときは大丈夫なようにやっていてくれるはずだ、こう思っているのです。去年も集め切れなくて、そして自主流通米の方からもらってきたりなんかしているわけですね。食糧は絶対大丈夫だ、米は、主食は大丈夫なんだ、こう国民が本当に安心できるような施策を講じてもらわなくちゃいけない。しかし、こう米がずらずらずらずら下げてきますと、政府米が集まらない。それを今のところは何とかかんとかして集めているけれども、それも集め切れないというような事態を私は非常に憂慮をいたします。大丈夫ですか、食糧庁。
  35. 森元光保

    森元説明員 先生御指摘のように、政府米と自主流通米の最近の集荷状況を見ますと、確かに自主流通米の集荷がふえまして、政府米の集荷がやや落ちておるということは事実でございます。私どもの方といたしましては、やはり食糧管理制度の円滑な運営をしていくためには、政府米と自主流通米がバランスのとれた集荷をしていくということが非常に大事ではないかというふうに思っておるわけでございます。  特に最近、自主流通米の急増というのは、先生も御案内のように消費者のニーズが非常に良質米志向になってきておる、これに対応して生産者も上質米、良質米を生産をしたいという意欲が非常に高まっているということもございます。  また、政府米の買い入れ価格と自主流通米との手取り格差というのも、これは確かにあることは否定はできないわけでございます。  いずれにいたしましても、そういった状況でございますので、今後私どもの方といたしましても、集荷につきましては積極的な指導をし、そして政府米と自主流通米がバランスのとれるような集荷対策というものを講じてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  生産者団体の方におきましても、そういった事情を十分認識をしていただいておりますので、集荷団体の方といたしましても十分生産者には理解を求め、そういった集荷対策に協力をしていただくというような手はずを整えておるわけでございますので、今後ともなお一層努力をしてまいりたい、かように考えております。
  36. 日野市朗

    ○日野委員 終わります。
  37. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  目黒吉之助君。
  38. 目黒吉之助

    ○目黒委員 私は、去年もこの同じ席で算定方式についていろいろと質疑をしてまいりました。ことしも最初に算定方式の問題からお伺いをしていきたいと思います。  御案内のとおり、算定方式につきましては先ほど来説明もございましたが、六月二十七日、平成年産米穀政府買い入れ価格決定についての方式米価審議会諮問をいたしました。その内容は昨年とほぼ同じでありますけれども、文言上違っておるところが二つございます。  その一つは、生産性の高い農家対象として算定する際に留意すべき事項について意見を求める、ここが去年なかった点の一つでございます。  それから二つ目は、次の文言が諮問文の中から実は削除されているわけであります。どういう点が削除されているかと申し上げますと、最近の米をめぐる情勢にかんがみ、生産性の高い担い手農家生産組織・集団の育成を通じて稲作の一層の生産性の向上を図り、国民の納得の得られる価格での米の供給に努める、こういうくだりがあるわけでございますが、昨年はこの間に、米は国内産で自給をするということを前提にした文言が入っておるわけであります。それで、この行間に挟まっている文言を正確に申し上げますと、「国内産で自給するとの基本的な方針についての理解を得るためにも、」生産性の高い農家、こうつながっているのですね。これはことし欠落しているのですけれども、時節柄極めてこれは注目をしなければならぬわけでありまして、なぜ米審に諮問する際に国内産で自給をするという肝心のところが落ちたのか、その理由をまず聞かせていただきたい。
  39. 森元光保

    森元説明員 ただいま先生から二点の御質問があったかと思いますけれども、まず第一点の国内産で自給するというような文言が欠落しているのではないかというようなお話だったかと思います。  米価審議会におきましては、農林大臣のあいさつにおきましても国内での自給を基本方針として述べておりまして、米についての基本的な考え方が変更したというふうではございません。六月二十七日に算定方式及び留意すべき事項といたしまして諮問をいたしまして、同日と翌二十八日の二日間にわたりましていろいろ御議論をいただいたわけでございます。いずれにいたしましても、米につきましては国内産で自給するとの基本的な方針で対処することといたしまして、米価審議会におきましても大臣からあいさつで述べていただいたわけでございます。基本的な変更はないというふうに御理解をいただきたいというふうに思っております。  それから、需給事情に留意しつつという文言が入っておるがという御質問かと思いますけれども、この文言につきましては、ことしの需給事情につきましても昨年に引き続きまして大変大きな需給ギャップが存在をしておるわけでございます。基本的には昨年と変化は見られないということでございますが、今年の米価審議会におきましては、前半の米価審議会試算値を示さずに算定方式と留意すべき事項について御審議をいただくということで、殊さら需給事情を特記をしなかった、こういうことで御理解をいただきたいと思っております。
  40. 目黒吉之助

    ○目黒委員 どうも事務当局の作文のような感じを今私は受けたわけでありますが、算定方式諮問するに当たって、わざわざことし国内産で自給をするということを明確にしないで、つまり去年したにもかかわらず、ことしこれは外して諮問をして、そして大臣が言葉で言ったからいいじゃないか、こういうことのようでございますが、少なくとも米の市場開放はしないという決意の一歩後退のように私、受けとめるのですけれども、この点は強く、むしろ反省を求めなければならぬと思っているのですが、いかがですか。
  41. 近藤元次

    近藤国務大臣 昨年、「諮問説明」の中にそれが書かれてあったのが、ことし欠落したということで、諮問文であれば私もよく見て諮問をしたはずですけれども、説明のところで、ちょうどその折、長官から説明をしていただいて私が決算委員会に出席ということでありましたが、今の時期、大変誤解を招くようなことになってまことに御心配かけて申しわけありません。事務当局に私としても厳重に注意をして、この時期このようなものを欠落するということは大変誤解を招くからということで注意をいたしておりますし、また私自身、反省をいたしておりますので、この点、私がまたあいさつできちっと申し上げているということで、不十分でありますけれども御理解をいただきたいと思います。
  42. 目黒吉之助

    ○目黒委員 それでは次に、算定方式は、昨年同様九つのブロックに分けて生産費調査を行って平均生産費を求めて、そして平均生産費よりも高い部分をいわば切り捨てて、残った平均生産費以下の農家のみを対象農家として算定をする。米価算定に用いられる生産費はこの算定対象農家群のさらに平均をとりますから、極めて低く見積もられて、ある意味では非常に低い米価算出される仕組みになっておりますことは去年も御指摘申し上げたとおりでございます。  これまで議論の中でありましたように、これでカバーできるのは全稲作農家戸数のわずか一五%、販売数量の二七%しかコストカバーできない、こういうことが答弁として先ほどもなされております。これで果たして食管法に定める米の再生産を確保できる米価と言えるかどうか、私はこれは大問題だと思っておるわけであります。  算出された米価がこのようなことになってしまったわけでありますが、これについて食管法に照らして御意見ありましょうか。
  43. 森元光保

    森元説明員 たしか昨年も先生からこの点についての御指摘があったかというふうに記憶をしておるわけでございますけれども、食管法の三条におきましては、第一項で米穀生産者に対しまして政府への売り渡し義務を課しており、第二項におきまして、その際の政府買い入れ価格米穀の再生産を確保することを旨として定めるという規定があるわけでございます。第二項におきまして、こういった生産費及び物価その他の経済事情を参酌し米穀の再生産を確保することを旨とするという規定がございますのは、これはあくまでも売り渡し義務の対象となりますすべての米穀生産費を参酌をして、そして売り渡し義務の対象となるすべての米穀の再生産を確保するということを規定をしたものではないというふうに私ども理解をしております。  あくまでも第二項の規定につきましては、政府が買い入れ価格決定いたします際に参酌をすべき基本的な理念を鮮明にしたものであるというふうに考えております。したがいまして、具体的な米価決定あるいはその算定につきましては、その基本的な理念を逸脱をしない範囲内においては政府の裁量においてゆだねられているというふうに理解をしておるわけでございます。
  44. 目黒吉之助

    ○目黒委員 今の話を聞いておりますと、基本理念であって必ずしもその基本理念を完全に実行しなくてもいいんだ、それは政府の裁量行為だ、こういうことになるわけでありますが、そうだとすれば、少し話は飛びますけれども、これからの日本農業をどうするかという観点に立って諮問した米価とは言えないわけでありまして、この点が一つ。  それからもう一つは、今おっしゃった基本理念であって、何か一部分をカバーすればいいんだということでありますが、そういうことでは米の再生産ができない。必要量、少なくとも必要とする米あるいは管理する米全体について、このことが何らかの形で反映されなきゃならぬわけでありまして、お尋ねしますけれども、政府は、食糧管理法第三条に基づく、いわば再生産をカバーするのに売り渡し農家のどのぐらいが対象になっておればいいと考えておるのか、ここをはっきりしていただきたいと思います。
  45. 森元光保

    森元説明員 先ほども申し上げました二項の関係でございますけれども、従来から、個々の農家それぞれについて再生産が確保し得るか否かという問題がよく議論をされておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、国民経済上、国民の食糧を総量として確保して経済の安定を図るために必要な数量というものが再生産されるということであれば、この食管法に言っておりますところの再生産の確保というのは達成されておるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、これまでも米の需給事情等によりまして、米価算定対象とし得る農家につきましてはいろいろ見直しを行って算定をしてきている経過もございます。
  46. 目黒吉之助

    ○目黒委員 私は、経過を聞いているのじゃないのですよ。先ほどいただきましたこの資料によりましても、第一次生産費をカバーする規模平成二年で一町から一町五反、第二次生産費になってまいりますと四町以上、こういうことになります。これが販売数量の二七%をカバーしているとは思いませんけれども、四町以上の農家層の生産費をカバーすれば食糧管理法の第三条の趣旨を満たすのかどうか、ここのところをひとつはっきりしていただきたい。
  47. 森元光保

    森元説明員 三年産生産者米価諮問をしておるわけでございますけれども、これは六十キロ当たり生産費関係がございまして、二年産計算しておりますけれども、一次生産費ではおおむね一ヘクタール以上、それから二次生産費ではおおむね三ヘクタール以上の生産費をカバーするというふうなことになっております。これは若干趣旨があるいは先生の御質問とは違うかと思いますけれども、政府米と自主流通米という関係がございまして、自主流通米の手取り価格というものを加重平均いたしますと、一次生産費ではおおむね〇・五ヘクタール以上層、それから二次生産費ではおおむね一・〇ヘクタール以上の生産費をカバーをするという試算もございます。
  48. 目黒吉之助

    ○目黒委員 算定方式をめぐって米価審議会の「意見のとりまとめ」が、諮問方式について地域性をある程度考慮している点についてはそれなりに評価するけれども、生産性の高い農家だけを算定基礎にするということについては、農家自体の経営努力が全く報われない方式であると同時に、これからの農業基盤強化につながらない一つの方式になっておるところに問題がある。それからもう一つは、今度採用された大方の意見というのは、いろいろ問題があるけれども当面暫定的に採用することはやむを得ないということになっておるのですね。この中には、今までも申し上げましたように、農家の再生産が確保できない現実がこの方式を用いることによって出てしまったわけでありますから、ある意味では、最初申し上げた意見、それから今申し上げました暫定的に採用する、こういうことになったんだろうと思うわけでありますが、この点についてはどのように受けとめてことしの米価諮問になったんでありましょう。どのように理解をすればいいんでありましょうか。
  49. 森元光保

    森元説明員 生産者米価算定におきましては、農政審議会の御報告もございますし、また米価算定委員会から算定方式についての御報告もあったわけでございまして、基本的には生産性の高い稲作の担い手に焦点を当てました算定が必要である、こういうことがあるわけでございます。当時、元年産でございますけれども、地域方式を採用する前には、一・五ヘクタール以上層の農家対象にいたしましたいわゆる新算定方式算定をしたわけでございます。しかし、そういった方式は、いわゆる担い手の指標といたしまして規模全国一律にとるということにつきましては、それぞれの地域の実態を必ずしも反映していないのではないかというような御指摘もいろいろあったわけでございまして、そういった御指摘を踏まえまして、先ほど来から御説明をいたしておりますように、それぞれの地域からまんべんなく、かつまた地域の実態を十分配慮してこの地域方式というものを今回使わせていただいているということでございます。  なお、先般米価審議会でおまとめをいただきました「意見のとりまとめ」の中におきましても、大方の委員は、本年または当面暫定的にこの地域方式を採用することにつきましてはやむを得ないという意見でございました。
  50. 目黒吉之助

    ○目黒委員 時間が二十分しかありませんでどうも終わってしまったようでございますが、最後に大臣算定方式については非常に問題があります。このままいきますれば、再生産どころか、ガットで主張をしておる日本の食糧安全保障にかかわる問題にもつながりかねない実は算定の仕方であるというふうに私は思います。したがいまして、この算定につきましては、それぞれの意見を踏まえて、少なくとも八〇%の米売り渡し農家をカバーするぐらいの算定にしていかなければ、今申し上げました日本農業の再建や米作農家の基盤強化につながっていかない米価を毎年算出することになる、このように思うわけでありますが、ひとつ御意見がありましたらお伺いをして終わりたいと思います。
  51. 近藤元次

    近藤国務大臣 算定方式につきましては、先生先ほど御意見がありましたように、米審の中にも大変さまざまな意見があり、またこの前段階では一・五ヘクタール以上というようなのがあって、それがまた国会の了承も得られないし、団体からも強い反対があったり、実はいろいろな経過がございます。今回も算定方式についてはやむを得ないという了承のされ方をいたしておるわけですが、算定方式とり方についてかなり両極端に分かれておるものですから、なおこの問題は、私が今回生産費調査をもう一度検討してみるということと関連も出てくるわけでありますので、その機会にまた米審の先生方に算定方式については真剣に議論をいただかないと、出てきた結果がまた同じ議論が生まれてくるということでありますので、米審の先生方から来年の米価以前に算定方式については御意見をいただきたい、こう思っております。
  52. 目黒吉之助

    ○目黒委員 終わります。
  53. 大原一三

  54. 倉田栄喜

    倉田委員 大臣お疲れのことと思いますけれども、質問をさせていただきます。  まず私も、先ほど既に質問はありましたけれども、今年度の「諮問」それから「諮問説明」、それと昨年度の「諮問」及びその説明を比較して読ませていただきながら、やはり同じようなことが非常に気になったわけであります。既に質問があり、御答弁がありましたけれども、確認の意味で、「需給事情にも留意しつつ、」ということと「国内産で自給するとの基本的な方針について理解を得るためにも、」、こういう語句がない。それから「留意すべき事項」、これを新たに加えられておる。この点で、今時期が時期でありますだけに、「国内産で自給するとの基本的な方針について理解を得るためにも、」、これが欠落をしてしまったのはどういうことなのか。御答弁いただいておることと水面下でいろいろやっておることと実は違うのではないか、こういうことを、読みながら私も思いましたし、これを読まれる方々もまたそういう気持ちを持たれたのではなかろうかと思うわけです。  この点について大臣は、「諮問説明」についてはよくよく比較しながら見ておらなかったので、先ほどからの大臣自給方針についての強い決意、またこの点については誤解を招くようなことがあって反省をしておる、こういう御答弁をいただきました。しかしながら、先ほどの政府当局の御説明、昨年度と比較しながら、非常に大切な時期だけに、こういう語句を欠落をするということについては、つくられた当局の方々は単に意味なく欠落をされたのか、やはりしかるべき検討があったのだろうと私は推測をするわけですけれども、その点について先ほどの御答弁では、私は聞いておりながらちょっと納得はできませんでしたので、この点をもう一度納得できるようにひとつ御説明をお願いしたいと思います。
  55. 森元光保

    森元説明員 先ほどの大臣の御答弁に尽きるかと思いますけれども、若干事務的なことでございますが御説明をさせていただきたいと思います。 まず、「需給事情にも留意しつつ、」という文言が本年は欠落しているということでございますけれども、昨年の米価審議会におきましては、算定方式とあわせまして試算値も同時にお示しをしたわけでございます。需給事情試算値算定に当たって考慮すべき事項であるということから、「需給事情にも留意しつつ、」という文言を特記をさせていただいたということがございます。ことしの需給事情につきましても、先ほど申し上げましたように依然として大幅な需給ギャップが存在をしておるということで、基本的には昨年と変化はないわけでございます。本年の米価審議会におきましても、前半の米価審議会試算値を示しませんで本日の米価審議会にその試算値を示したということで、「留意すべき事項」につきまして御審議をいただくということで、特に需給事情についても特記をしなかったということで御理解をいただきたいというふうに思っております。  それから、「国内産で自給するとの基本的な方針について」の問題でございますけれども、「国民の納得の得られる価格での米の安定供給に努める」ということで記述を実は「諮問説明」の中にしておるわけでございますが、我々検討の過程におきまして、事務的な検討の中で、国民の納得の得られる価格での安定供給はそれ自体が目的として追求すべきことではないかというような考えもございまして、特に今回そういった記述をしなかったものでございます。先ほど大臣の御答弁にもありましたように、従来の考え方大臣のあいさつの中できちんとさせていただいているということで御理解をいただきたいと思います。
  56. 倉田栄喜

    倉田委員 御答弁、必ずしも納得できているわけではないのですけれども、買い入れ価格の方に移りたいと思います。  買い入れ価格決定についてのいわゆる基本的な方針でございますけれども、食糧管理法第三条第二項、米穀の再生産の確保、こういう趣旨でずっと決められている。これは昭和三十五年以降、生産費及び所得補償方式にされた、こういうふうに理解をしておるわけですけれども、食糧管理法自体は昭和十七年にできておる。昭和三十五年に生産費及び所得補償方式にされた、これはどういうことであったわけでしょうか。
  57. 森元光保

    森元説明員 生産費及び所得補償方式につきましては、昭和三十年代に入りまして、先生御案内のように、我が国の経済の成長に伴います所得水準上昇を背景にいたしまして、農業と工業間のいわゆる所得格差ということが問題になりまして、これを是正をしていかなければならないという議論がいろいろあったわけでございます。したがいまして、米価審議会におきましても、米価算定のあり方につきましていろいろ検討が重ねられました結果、今お話がございましたように、昭和三十五年からの米価算定にこの生産費及び所得補償方式が採用されたということでございます。  この方式基本的な考え方につきましては、稲作農家に対しまして、稲作に要した費用生産費として補償する、それとともに自家労働につきましては、都市均衡労賃を補償しようとする、そういったことで、算定自体に必ずしも米の需給事情が反映をするというような仕組みになっておりませんので、こういったことにつきましては、算定をする際に十分配慮をしていくという考え方で対応をしておるわけでございます。
  58. 倉田栄喜

    倉田委員 昭和三十五年にその生産費及び所得補償方式になって、それからずっとこの方式で来ているわけですけれども、今回もそうですけれども、大体において現行の政府買い入れ価格昭和五十一年の水準にある、変わってない、これは大体どのような理由でこういうことになっているのか。いろいろ難しいことを考えればいろいろあるのでしょうけれども、一言で説明するとどういうことなんでしょうか。
  59. 森元光保

    森元説明員 今申し上げましたように、生産費及び所得補償方式におきましては、家族労働費につきましては都市均衡労賃評価がえをする、あるいは物財・雇用労賃につきましては物価修正をする、さらに、自作地地代等につきましても、一定の評価をいたしましてこれを算入をしておるわけでございます。先生おっしゃいますように、五十一年から現在までの賃金なり物価上昇はかなりのものがあるわけでございますが、同時に、稲作十アール当たりの投下労働時間、これもかなり大幅に減少しておりまして、まさに生産性の向上が農家の皆さんの御努力で達成をされてきているわけでございまして、五十一年と比較いたしますと、労働時間におきましては四五%も減少しておるというような状況もございます。また単収におきましても着実にこれが増加をしている、こういうような状況がございますので、こういったことが今回の米価算定に当たって反映をしてきているというふうにお考えをいただければというふうに思っているわけでございます。
  60. 倉田栄喜

    倉田委員 これは大臣のお言葉だとは思うのですけれども、大臣は、農業に希望と誇りが持てるようにしていきたいとお考えだと思うのですね。農業に希望と誇りが持てるようにしていきたい、それはいわば働きがいのある農業、もっと世間的な言葉で言えばもうかる農業、そういうことではないかと私は思うわけです。そうであれば稲作農家もいわゆるもうかる稲作とすべきではないか、そういうこともいろいろ聞くわけですけれども、大臣、この点について、先ほどの御答弁の中で、昭和五十一年の水準にあるのは生産性の向上、労働時間の減少、単収当たりの増加、それらはいわば稲作をやってこられた方々の本当に必死の努力の結果だと思うのですけれどもね。こういうことがそのまま維持されて、理由になってしまって、いわばもうかる農業みたいな、もうかる稲作になっていないのではないか、こういうふうに素直に疑問として感じるんですが、大臣はこの点についていかがお考えでしょうか。
  61. 近藤元次

    近藤国務大臣 米の今日までの経過を考えれば、農業全体が米を中心にして食糧増産に励んで供給をしてきたわけでありますけれども、急速な工業化に向かった我が国の状況の中ではやっぱり農産物の価格を上げることをもって他産業との、スピードの速いところに所得を近づけていくという努力をしてきた時代がある。あわせて、それだけではだめではないかということで、構造政策を進めてきたわけであります。しかし、現実には条件不利な地域の方々も中山間地で農業、大変な努力をしていただいておるわけでありますし、平場での農業だけに焦点を合わせて国際競争力などということだけでは片づけられないのが今日の事情だろうと思うわけであります。  当然のことながら三Kの対象になっているわけですから、食糧という大変重要なものだとはいいながらも、かなりの利潤が上がらなければなかなか生活ができないわけでありますし、ただ単にそれだけでなく、地域生活においても農業を営むにおいてもこれからの若い人たちの時代に合った農村をつくる、農業をつくるという考え方で今回出されたし、時たまたま条件不利な地域というのはとりわけ社会政策上の大きな役割を特にたくさんしていただいておる地域でなかろうかと思うものですから、地域づくりと環境問題と条件不利なところでも営農していけるような形にしたい、また農村を住みやすくすることによって集落が維持できる、こういうことでありますし、もうからないでというか大変経費のかかる部分、この部分もお互いがわかっておる部分も幾つかあるわけであります。その分がなぜできないか。それがやりやすくするという、これもまた私ども当面急いで考えていかなきゃならぬところだろうと思うわけでありまして、そういう点では基本的には所得が安定をして生活の分野に安定が出てくるということは当然のことでありますが、それ以外のことも考えて新しい食料・農業・農村政策検討本部を設置をさせていただいておるわけでありますから、来年の四月までにはぜひ全般にわたってそういう方向での日本の農業という位置づけを明確にしていきたい、そう考えておるわけであります。
  62. 倉田栄喜

    倉田委員 大臣、端的に、そのもうけ、いわゆる経営者利潤というんでしょうか、そういうのを米価についても算定要素として入れていくことは無理なんでしょうか。この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
  63. 近藤元次

    近藤国務大臣 私も大臣をやる前はこの席に座らせていただいておったわけですし、また、農村にかかわって住んでおるわけですが、一般の農家から農林省の仕事の中で信用の薄いものは何かというと、作況予報と生産費ではないのかな、こう思って実は私も認識をしておるわけですが、作況予報は終わってみれば大体わかってくるわけですけれども、生産費調査というのは価格が終わってもなかなか一般農家にわかりにくい分野でありますし、今回四十余年ぶりに、基本的に生産費調査を来年の価格決定までには間に合うようにひとつ検討してみてほしいということを事務局に実は指示をして作業を始めていただいておるところでもございますので、どうぞまた各般にわたっていろいろな御意見をいただければありがたい、こう思っておるわけです。
  64. 倉田栄喜

    倉田委員 ずっと昭和五十一年の水準にある、そして、引き下げ傾向が続いておるということで、これは大変な問題だろうと思うのですが、その理由として、いわゆる米の価格について内外価格差というものを縮小しなければいけないんだ、あるいは消費者、国民的理解を得なければいけないんだ、こういうことを聞くわけですけれども、内外価格差を縮小しなければいけない、わかるのですけれども、非常に差があることも承知をしております。じゃ、どこまでその内外価格差を縮小すると考えるのか、その目標みたいなのはあるのですか。そういうものをやはりきちっと示していかなければ、稲作をする方々は一生懸命働いて収益を上げても、それが米価の引き下げの材料とされてしまう、内外価格差を埋めるための理由の一つにされてしまう、そういうことではいわば働きがいがないんじゃないか、こういう気もするのですね。内外価格差の縮小についてどこまで縮小すればいいんだ、そういう目標みたいなのはあるのでしょうか。
  65. 森元光保

    森元説明員 内外価格差の問題につきましては大変いろいろ難しい問題もあるわけでございますけれども、特に農産物につきましては為替レートの変動あるいは国際価格の変動でございますとか、さらにまた品質の格差等ございまして、なかなか客観的にこれを比較するということが困難な状況もあるわけでございます。特にまた、我が国におきましては、御案内のように、国土条件の制約もございますし、また、非常に工業の発達、高度な工業化によりまして賃金水準が非常に高いというようなこともございます。したがいまして、どうしても土地利用型の農業につきましては、その農産物が国際価格に比べましてある程度の割高にならざるを得ないのはやむを得ない面があるのではないかというふうに思っておるわけでございます。  こういったことを考慮いたしますと、米につきましても単純に内外価格差ベースにいたしましてその価格目標を設定するということはなかなか困難ではないかというふうに思っておるわけでございまして、今、いずれにいたしましても、引き続き米の内外価格差の是正には努力をしていかなければならない、かように考えておるわけでございます。
  66. 倉田栄喜

    倉田委員 目標を聞いたのですが、必ずしもお答えをいただいているとは思えないのですが、時間が参りましたので、大臣、これは最後の質問ですのでお答えいただきたいと思います。  いわゆる今の米価決定について、生産費の低い稲作の担い手となるべき農家の方々を対象として算定をしておられる。試算によれば、これは私計算したわけでないのですからわかりませんが、今のこの算定方式によってコストが償える農家戸数は全体の一三%ぐらい、あるいは販売量では二七%にすぎないのではないか。少しはずれがあるかもしれませんが、それくらいの計算もされているみたいです。そこで、いわゆるこの対象とならない生産費の高いと見られる農家、この方々の米づくり、稲作づくりについては大臣基本的なお考えとしてどのようにお考えになっておられるのですか。これをお聞きして最後の質問としたいと思います。
  67. 近藤元次

    近藤国務大臣 先ほどの内外価格差の問題でありますが、価格差を縮小することの目標、幾らかというのは立てにくいことで、努力目標でなければならぬと思っているのです。単純に価格は比較はできますけれども、価格を形成するものは品質と、やはり国際的に考えればそこの国民所得との関係というのも出てくるわけでありますので、そういう点は、私は日本の国内の農産物というのは非常に高品質なものだ、実はこう考えているわけであります。しかし、あまねく国民がかかわり合いを持つものですから、やはりよくて安いという努力は続けていくというのは当然のことではなかろうかと思っておるわけであります。  生産費の話が出ましたけれども、全体をカバーをして今の算定方式がなされておるわけでありまして、結果はそこの地域ごとの標準を出していくわけでありますから、これも規模が低くても生産性の向上している人たちというのはそこに当然その平均以上になっていくわけでありますので、私はかなりベターな方式ではないかなと一つは考えておるわけです。もっと低いところからやれという意見と、先般、この前に出された一・五ヘクタール以上という反別で出すというようなことは適当ではないのかな。しかしまた、専門的にできるだけのコンセンサスを得るような努力をして、私は条件不利な地域にいるところの生産をされておる人たちというのをどう酌み取れるかということをやはり米審の専門の委員の先生方に一つの課題として、また御意見もいただきたい、こう思っておるわけであります。
  68. 倉田栄喜

    倉田委員 終わります。
  69. 大原一三

  70. 山原健二郎

    ○山原委員 最近、財界ばかりか政府・与党首脳の間から米の部分開放論が出ています。これについて最初に伺っておきたいのですが、先日、アメリカのイーグルバーガー国務副長官から在日米大使館を通じ、米市場開放部分開放にとどめようとする日本側の対応を批判する、関税化を求める伝達が日本側になされたと報じられております。  私が入手しております文書によりますと、「コメ政策に関する日本の立場について」、イーグルバーガー国務副長官から在日米国大使館あてでございますが、これは1から7までありまして、1は「これは実行を指示する電報である。」こう出ておりまして、その中に「報道や根強い風説によると、日本は国内消費量の三〜一〇%に相当する輸入割当を発表するであろうと言われている。しかし、日本が関税化を受け入れるとか、輸入数量を次第に増加させるという表明は何もなされていない。さらに、日本がコメ生産に関する国内支持を大幅に削減する用意があるという表明もなされていない。」こういうふうに出ております。さらに、「いっそうの市場自由化方向に向かう措置を伴わないまま、三〜一〇%のアクセスを認めても、農業の支持・保護の相当程度の漸進的な削減というウルグアイ・ラウンド中間合意の約束には合致するものではないということを、日本政府高官に認識させておくべきである。このような限定的かつ固定的な市場開放では、肯定的な反応を受けるよりも、むしろ米国コメ業界、米国議会、各国からの批判が強まり、反発を受けることとなろう。」こういうふうに出ておるわけでございます。  要するに、つまり米側の要求は、部分開放では満足しない、関税化を求めるというのがアメリカの一貫したスタンスであると思います。部分開放で全面自由化の圧力をしのげるという論調がありますが、それは全くの楽観にすぎないと思われる文書になっておりますが、これについてまず大臣の認識をお伺いしておきます。
  71. 近藤元次

    近藤国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、大使館の担当から我が省の担当にその話が伝わってきたわけでございまして、私は部分開放するとも言っているわけでもございませんし、関税化や、いわんや対応するというようなことの話は、アメリカが提案をしておることは承知をいたしておるわけであります。ガット・ウルグアイ・ラウンドの場所では、農業分野について関税化で対応するということでアメリカが提案をしておるわけですけれども、我が国としては関税化で残されたわずかな農産物を対応することはできません、こういうことで我が国の立場も主張しておるわけでありますから、そこは御理解をいただきたいと思うわけであります。
  72. 山原健二郎

    ○山原委員 結局、あっさり言えばアメリカの辞書には部分開放という言葉はないわけですね。要するに部分開放とは全面自由化につながるいわば一里塚、一駅といいますか、そういう認識であることはもう間違いないと思います。アメリカが部分開放措置で満足しないという以上、我が国の対応ははっきりしているのではないでしょうか。アメリカが満足するような全面自由化への道の容認か、それともアメリカの要求をきっぱり断って、国内産での完全自給方針を堅持するかどうか、この二つに一つが今求められているわけでございまして、しかもこのどちらを選ぶかは政府の独断で決められる問題ではないわけでございます。  米は国内産で自給するというのは、国会の三たびにわたる決議があるわけです。また、直近の国政選挙において政権与党の自民党も、総選挙政策で、自給方針を堅持すると公約をしております。もう一つは、選挙後の国会においても、政府は国会決議を踏まえ、国内産で自給するとの方針の堅持を繰り返し答弁をいたしております。いわば三点セットで米は国内産で自給するということを国民に約束し、内外に宣言をしておるわけでございますから、部分開放も含め、米の輸入自由化は許さないという我が国の立場は、民主主義のルールにのっとった我が国の最高の意思表明と言えるものであって、財界の意向であるとか行革審の提言とか、いわんや外国の圧力などによってゆるがせにすることのできないものなのであります。  この認識にそごはないと思うのでございますが、大臣はこの点、確認してよろしいでしょうか。
  73. 近藤元次

    近藤国務大臣 もう国会決議があることも承知をしておりますし、また私が、短い未熟な経験でありますけれども、米の重要性というのは十分認識をいたしておりますから、国内産で自給するという方針を堅持をしておるわけであります。まだ何も言う場所は、ガットの場所にはないのです、正直言って。米がどうなるという交渉をする、発言をする場所がないので、日米間では米の話はしない、こういうことでありますから、特別私ども物を言う必要はない、こう思っておるわけであります。
  74. 山原健二郎

    ○山原委員 この文書に、こういうふうに「われわれは、七月十一〜十二日の日米首脳会談において、ウルグアイ・ラウンドが主要な議題になることを期待する。関税化の問題はそこで取り上げられそうである。」というふうにも書いているわけでございますが、要するにこれから日米首脳会談、ロンドン・サミット等続くわけでございまして、もしこれらの場で政府がアメリカの要求に屈してわずかでも妥協するような事態となるならば、一体海部内閣は国民の世論をどう把握しておるのか、あるいは最高決議機関としての国会の意思をどう把握しておるのかということになるわけでございます。  したがって、これら一連の場で海部首相が国民と国会に対して約束した立場を踏み外すようなことは絶対にしないということを海部内閣の担当大臣として言明をすべきであると思いますし、また、私はこの場でそのことを農水大臣からお伺いしたいのでありますが、この点についてお答えをいただきます。
  75. 近藤元次

    近藤国務大臣 関税化の話が日米首脳会談で出てくるかどうかは予測はつきませんが、アメリカは関税化でガットの場所へ提案しておるわけですから、それは話があるかもわかりません。我が国は農産物全体で関税化の対応はできにくい、こういう主張をしておるわけでありますし、米の問題は日米間で話をしない、こう言っているわけです。私は、アメリカの大統領が米の単品について話をするということ自体はないのではないか、そう思っておるわけでありますが、仮に出てきたら、従来の国会での答弁、国民に約束をしている方針で対応していただく、それが海部内閣の統一をした見解であります。
  76. 山原健二郎

    ○山原委員 これは1から6までありますけれども、「われわれは日本政府にコメ輸入自由化の行動を促しているが、日本政府がなんらかの発表を行うとすれば多国間の場が適当であると考えている。輸入アクセスは、単に米国だけの問題ではない。」こう言っておりまして、最後の7、「指令1〜6の情報を踏まえ、大使館の高官は、米国の立場を強化するため、日本政府のしかるべき最高レベルの高官に接触すべし。先方の反応を報告すべし。」こうなっております。  これはアメリカが言っているのだということで済まされる問題ではなくて、私はこの文書を見まして、いかにも高圧的なスタイルといいますか、これを誘発しておるのが今日まで部分開放論を唱える財界代表あるいは政府首脳の中からも出てくる不用意といいますか本音といいますか、そういう発言が誘発をしておるのだということを考えますと、農水大臣として、今お答えがありましたけれども、本当に断固たる姿勢を貫かなければ、どこまでも、一歩退けば二歩攻めてくるというのが今までのアメリカ側のスタイルであるということを考えますと、まことに重大な局面を迎えておると言わざるを得ないのでございます。その点についてもう一回大臣の御見解を伺っておきます。
  77. 近藤元次

    近藤国務大臣 アメリカ政府とアメリカ大使館の内部文書でありますから、私のところへ来ているわけでもありませんので、私はそのことに深くコメントをすることは差し控えたいと思いますが、日本政府は従来の方針で対処していくことに変わりはないということを言明いたしておきたいと思います。
  78. 山原健二郎

    ○山原委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  79. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  小平忠正君。
  80. 小平忠正

    ○小平委員 大臣、連日まことに御苦労さまでございます。先般も私ども党からの申し入れをいたしまして、現下の農業に対する大臣のお考えをお聞きしたわけでありますし、そして今ほど各政党からも質問がありました。私からも党の立場で、限られた短い時間でありますが、何点か質問をさせていただきます。  けさ諮問が出ました。そして、昭和六十二年以降三度にわたる引き下げが行われまして、総計では一一・六%の引き下げですか、これは農家にとっては非常に厳しい内容の連続ですし、非常に農家経営を圧迫している、こういう状況が続いております。しかるに現在の我が国は、戦後最長にもなるいわゆる経済の好況が持続いたしております。そういうところでなぜ農業だけが、なぜ農業者だけが、我々だけがこんな厳しい環境下に置かれなければならないのだという、やりきれないといいますか理解のできない思いで毎日を送られている、これが現在の農業のあり方だと思います。そういうところで、一方では海外から米の市場開放の圧力がますます強くなっておる。それも農家にとってはあすへつながる希望が持てない。こういうところが現在の状況ではないかと思います。  そこで、若い後継者が農業に魅力を持つことができる、そういうふうに言えるでしょうか。そういうことがいみじくも、現在新規就農者がわずか二千百人という惨たんたる状況に追い込まれている、こういう中にあると思います。しかも、その二千百人の若い後継者は、どちらかというと畜産とかあるいは施設園芸とかそういう方向がほとんどである。稲作農家にはまずほとんど後継者がいない。こういうのが現在の実態だと思います。  そこで、大臣に端的にお伺いいたしますけれども、本年産生産者米価の引き下げ、こういう方向諮問がなされましたけれども、これは将来展望を開くことになるのか。特に財界を初めとする一部の識者が言いますように、米価の引き下げが経営規模の拡大を促進し、かつまた稲作農業の体質強化につながっていく、こういうことを言われておりますけれども、大臣として、これについての御所見を含めて生産農家に明快に御答弁いただきたい、こんなふうに思いますのでよろしくお願いします。
  81. 近藤元次

    近藤国務大臣 算定される手法、数値についてはまた必要があれば御質問いただいて、事務当局に答弁をさせますけれども、今は農村における環境を考えてみたり後継者を考えてみたり、私は実は深刻に受けとめておるものですから、私が大臣就任以来いろいろなところで、重要法案を先生方の御協力をいただきましたし、将来にわたって期限を切っていろいろな検討を事務当局に、過重になるかなと思うくらい私は前向きに新たな作業をしていただいておるわけであります。  そういう観点でおりますから、私は米価マイナスになることはやはり精神的に一つのいい影響を与えないのではないのかなということを非常に実は心配をしておりましたし、また心配をしてまいりました。しかし一方では、生産費調査あるいは決められたところの米審からいただいた算定方式というものもあって、それを計算してみればこういう数字になります、こういうことでありますが、私はその作業に当たって多少でも念頭に置いていただきたいところは、担い手問題、農村の問題の現状、そして一般農家の心情からすれば、ほかのものが上がるのになぜおれたちのものだけ下がるのかなという率直な心情で見詰めておられるだろう。そしてまた、人手不足で他産業が高賃金傾向に向かうときですから、そういうものを念頭に置いて米価算定をしていただきたいということは私も事務当局にお話をして、その意を体して真剣にやっていただいたと私は理解をいたして、結果出てきた数字が〇・六五という数字になったわけであります。  この後は、国際的な交渉をやっておる折でありますから、国民的なコンセンサスを得るためには、消費者からぜひひとつ理解をいただくためには、消費者米価でこれを反映をさせていく、生産者が努力したことを消費者に反映をさせて、国民的なコンセンサスを得て交渉に当たりたい、こう考えておるわけであります。
  82. 小平忠正

    ○小平委員 大臣算定方式の問題について私も幾つか聞きたいことがありますけれども、また諮問のあり方あるいは米価審議会の答申のあり方等々については時間が許せば聞きたいのでありますけれども、私はその問題よりも、まず最初に数字ありきという形の今のあり方に大きな疑問を持っております。  それはさておいて、今大臣から御答弁いただきましたけれども、今お話があったように担い手の育成あるいは将来に希望の持てる農業、こういうことを盛んに言われております。しかし一方で米価が下がるということは、言ってみたら農家にとって政府買い入れ価格はいわゆる農家の給料です。例えば役所にしてもあるいは民間の企業にしても、そこの従業員が給料が据え置きだったら、あるいは、大体毎年これは上がっていきます。特に今のようなこういう好況な経済の状況下では毎年給料は上がっていきますね。ところが、農業においては据え置きどころか逆に給料が下がる。下がるということは、いわゆる何か悪いことをして減俸とかあるいは据え置きとか、そういうことは言われますけれども、一生懸命この国の大事な基幹産業である農業をしっかりと守ってやっている農家の皆さんが、この国の政府がそういった引き下げということは、これはやはり子供たちに、おまえ跡を継いでやれということは言えないと思うのですね。こういうことでは、幾ら口先で担い手の育成ですとかいわゆる将来の明るい農村、希望、そんなことを言ったって、これは絵そらごとであって、やはり皆さんはそれを受けとめるわけにはいかない。これを私はぜひ、こういう精神的な問題をきちんと踏まえて取り組んでいってもらいたい、こういうふうにお願いしておきたいと思います。  時間も余りないものですから、次にウルグアイ・ラウンドの関係なんですが、先般ああいうデンマークでの発言等ございました。これは今までの皆さんの質問の中でも御答弁がありましたように、これは真意ではないということで、その正確な報道がされてないということ、私はそれもそうであると思います。しかし、ここでひとつ違う角度から御質問したいことは、あの報道が例えばマスコミが誤った報道をしたと仮定しても、もしあのときにこれだけの大きな反応が出なかったら、いわゆるこれについての批判なりあれが出なかったら、大臣、ここまで力を入れてこのように修正なりそういうふうになったでしょうか。そこのところをお聞きしたいと思います。
  83. 近藤元次

    近藤国務大臣 私が大臣に就任して記者さんと話をするなんというのは、未熟なものですからあらゆるところに御迷惑をかけたり御心配をかけたりしておるわけでありますが、もちろん私の真意が伝わっていればこんな特別に反応することもなければ何もないと思うわけでありますけれども、私はお願いをしろということになれば、賛成、反対の意見も、反対もかなりあるわけですから、やはり両方報道していただいて国民から理解を求めてもらいたいな、実はこう思っているわけであります。先ほど日野委員からも、五万人集会の扱い、一個人が何かを話をしたことの扱い方が余りにも差があり過ぎるということがあるものですから、私も今率直に感想を申し上げろと言えば、もう少し、国内産で自給しろというアンケートの比率も高いのですから、そういう意見の報道もひとつぜひお取り上げいただければありがたいな、こう思っているわけであります。
  84. 小平忠正

    ○小平委員 時間も来ましたので終わりますが、とにかく大臣農業に対する哲学とよく言われていますが、大臣の姿勢を政府、特に海部首相に向かって、これから日米首脳会談、サミット等が控えておりますので、ぜひその大臣の哲学を強く訴えて、我が国農業がこれ以上崩壊の道に進んでいかないように、このことは私からも強くお願いをいたしまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  85. 大原一三

    大原委員長 阿部昭吾君。
  86. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今近藤大臣から、共産党の山原議員の質問に対して、海部内閣は今度のアメリカの言い分に対して明快な立場、断じてアメリカの言い分に屈することはない、こういう非常に力強い所見の表明がございました。  実は、先般亡くなられた佐藤隆元農水相、近藤大臣と同じ新潟県であります。私は佐藤隆さんと政審以来個人的な非常なつき合いがございました。当時牛肉・オレンジの非常に厳しいやりとりのときであり、直前まで絶対に屈しない、こういう決意を表明されておりました。私の記憶では、確か竹下内閣だったと思うのでありますが、それが瞬く間にどんでん返しで牛肉・オレンジの自由化というものが取り決められました。  私は今度のサミット、この中でどのようになっていくかということに、実は当時の佐藤農水相、心情としては実は担当大臣として断じて屈しない、この決意を持っておったようでありますが、ちょうどあのときもサミットの地ならしか何かで竹下首相が向こうへ行かれたんだと思うのでありますが、たちまちの間に実は変わったのであります。佐藤農水相、親しかったものでありますから、当時非常に苦衷を言われたことがありました。  今近藤大臣は、断じて屈することはない、海部内閣の方針は一貫しておる、こう言われましたが、改めて近藤大臣の決意を聞いておきたいと思うのであります。
  87. 近藤元次

    近藤国務大臣 日米関係で米の問題は扱わないということになっておりますし、また我が国の農産物が関税で対応するというようなことにはいかないわけでありますし、そういう意味で私は我が国の従来の主張を反映させることに全力を挙げていくべきだ、こう思っておりますし、内閣は一致しておる、こういう考え方を申し上げたわけであります。  先輩の佐藤先生のお話が出ましたけれども、私は牛肉と米の場合には環境が違う、こう理解をいたしておるわけであります。それは、もともと肉は必要量が生産をされないでいる畜産物でありましたけれども、米の場合には三〇%の過剰をして生産調整をしておるというのが基本的に違う部分だ、私はこう思うのです。私は当時佐藤農水大臣に随行してアメリカへ行きましたけれども、少なくともこれはガットに提訴されたときは、輸入が必要なものを制限するということはガットの基本的なルールの問題点として指摘されることでありますし、生産調整をして過剰なものを輸入制限するものとはおのずから立場が違っておる、私はそういう理解に立っておるわけで、全力を挙げていきたい、こう思っておるわけです。
  88. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今私はこの近藤大臣の強いお考えをお聞きして、ぜひひとつ頑張り抜いてもらいたいということを強く強く期待するものであります。  今度の米価諮問でありますが、これは答弁は要りませんけれども、委員長、ゆうべあたりに政府・自民党の間では、マスコミの伝えるところによれば一%下げ、そのあたりが攻防だ、こう伝えておりました。けさのニュースでは、任せられた農林三役、それと政府との折衝だろうと思うのですが、〇・五何ぼかで固まった、こういう報道であります。私は、この〇・五何パーというもの、今の我が国の食糧会計あるいは全体の財政や経済のトータルの中からいえば実は問題にならぬ金額なんですね。問題は、まず下げることありきという認識。御案内のように、この十数年の間に賃金は二倍になった。物価は五〇パー上昇しておる。当然この生産費も相当上昇しておる。こういう環境の中で、今までもお話がございましたように、次の世代は実はみんな農業から足を洗っていこうとしておるのです。その中で一体日本の将来というのはどういう姿になるのかということを、今長い歴史の中、いろいろな中で生き抜いてきた農村の皆さんは、特に戦中世代、長い間こうやってきた皆さんの目から見ると、一体農業と農村の進路ほどうなるかということに対してやはり非常な不安を持っておる。この中で、まず下げることありきというのが今度の諮問の出され方、論議の仕方。こういう国会の議論というのは、始まる前にまず下げありきで決められておるというのは、私はやはり議会政治のあり方としては考え直さなきゃいかぬ点じゃないかということを、これは委員長に申し上げておきます。答弁は要りません。  大臣、私はこれはやはり今の農政、農村、農業社会、この直面しておる現状から見たら、例えば食糧会計がべらぼうに逼迫しておるわけではない、世論も、必ずしも今の農村の現状に対して無理解ではない人々がおる。私も随分このあたりの消費者の集まりに顔を出しておりますけれども、御飯一杯が大体四、五十円だ、高いなどとは言えないというのがほとんどの皆さんの認識である。むしろ問題は、やはり安全な米、安全な食糧というものに最近都市の消費者の関心というのは非常に集まっておる。こういう中で、ほんのわずかでも下げようというこのまず下げることありきという考え方は、ほかの政府部内がどのようにあろうと、農水省はやはり立ちはだかっていかなきゃいかぬところなんじゃないかというふうな私の基本認識でありますが、少なくとも近藤大臣就任以来、私は隣県、同じ農業地帯の出身でありますから、なかなか、近藤大臣というのは相当骨太だなという認識を持ってきました。しかし、今度の諮問はまず下げることありき。いろいろな財政状況その他でがばっといかなきゃならぬというのなら議論も起こってくると私は思います。その意味で、まずほんのちょっぴりでも下げようというこのことに、やはり農水省、農水大臣は断固として立ちはだからなきゃいかぬのじゃないかというのが私の政治的認識であります。このことに対して大臣の所見を聞いて、私の質問を終わります。
  89. 近藤元次

    近藤国務大臣 私も、農村を見、農業を見ておる限り、先生と心情的には全く一致をするものであります。少なくとも今までの価格決定についても、今日の日本の国の財政をとやかく言って農産物の価格を左右するという状況ではないと、これは事務当局に私は幾つかの価格決定の中でもお話を申し上げてきておるところであります。ただ労賃の話では、重要な役割ですが、米価全体が決まるわけでもないということは御案内のとおり。米価全体で農政はすべて解決できるというわけではないが、私は先ほども御答弁申し上げましたように、精神的に与える影響というのが大変大きなものがあるのではないかなということで実は心を痛めておりましたので、引き下げありきということで我が省は対応するというようなことは全く考えておりません。  ただ、御承知のように、私ども農政を担当する行政の立場で、ややともすると信頼関係を失いつつあるかなということをこれまた私は心配しておるものですから、説明のつかないものをまずしてはいけないよ、そして努力をしたものにその努力の何がしかが返っていくようにしてあげたいなという気持ちと、それから今の客観情勢の置かれておる立場というものを算定方式に従って、それを念頭に置いて、算定方式がどんなに動くかというものじゃありませんで、例えば都市労賃よりも今日的には地方労賃の方がかなり上昇率が高いわけであります。これもまた珍しいケースではないだろうか。そういうことも一つは念頭に置いて、米審でやむを得ざるといえども御答申をいただいた算定方式に従って、生産費調査で一つは計算をしてほしいということで事務当局に計算をしていただいた数字がこういうことでありますし、あと先生のお話のあったようなことは私は関連対策で可能な限り、今度は価格ではなくて予算で十分配慮していきたい。  そしてまた自分たちが、引き下げられたもので喜ぶ人がいなければならぬので、私は米価案も、ゆうべから徹夜して考えて、一体だれが喜ぶのかなと思うと、喜ぶ人のない米価ではないかな、こんなことを実は朝方考えてみたりして、まあどちらかというと、みんなが喜ばないのもまたあの結論なのかな。みんなが喜ぶというのはなかなかやりにくいので、喜ぶ人と悲しむ人があってはこれまた困るわけでありますから、あと残された道は、関連対策に十分配慮して、それぞれの事業の負担を軽減するなりして、あとは消費者米価に反映をするように努力をして、消費者と生産者のコンセンサスを得て対外交渉に当たりたい、こう考えておるわけでありますので、ぜひ御支援のほどをお願いいたしたいと思います。
  90. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 時間が参りました。終わります。
  91. 大原一三

    大原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  92. 宮里松正

    ○宮里委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、委員長の指名により理事の私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。目黒吉之助君。
  93. 目黒吉之助

    ○目黒委員 わずかな時間ですが、最初に、午前中ちょっと残しました自主流通米の関係二つほど質問をいたします。  一つは、ことしは七月の半ばに超早場米の入札を行う、こういうことになっております。七月の半ばに行いますと、実際は玉が出ていないという状態の中で行われるわけであります。私どもはどうもちょっとこれは青田買いにつながるのではないかという心配を持っておるわけでありますが、実際に玉がないのに入札が行われるというのはこれが初めてだろうと思うのです。超早場米に限ってということになってまいりますと、それぞれ関係者の意見も聞かれておると思うのでございますが、今後、銘柄米等の玉がまだできないうちに入札が行われるというような事態に発展をする可能性はないのかどうか、その点についてどのように考えておるのかというのが第一点であります。  第二点は、ことしは自主流通米の値幅制限について、第一回取引を行った後決める、こうなっておるわけでありますが、業界からは値幅を広げる要求が出ていると思いますし、生産者の側は、当然のこととして安定生産の立場からも値幅はなるべく少ない方がいい、こういう要求があるわけであります。昨年は初めてでしたから、取引後に決めるというのはそれなりにわかるわけですけれども、ことしは既にやっておりますから、なぜ第一回目取引の後にこの問題を持ち越したのか、この二点についてお伺いしておきます。
  94. 森元光保

    森元説明員 お尋ねの二点につきまして御答弁申し上げます。  まず最初に、超早場米の入札取引をやると何か青田買いになるのではないかというような御趣旨の御質問かと思っておるわけですが、先生御案内のように、昨年は十月の終わりに第一回を開催したというような経過でございまして、早期米の入札取引は実施をしておりません。ことしは早期米の入札取引につきましても、その出回りの特殊性もございますけれども、集荷前の七月中旬に実施をしたいということで現在取り進めております。  青田買いとかあるいは先物取引というお話もございましたけれども、あくまでも現物の受け渡しを前提とするものでございまして、転売でありますとかあるいは買い戻しによりましてその売買差額を清算するというような取引は認めておりませんし、あるいは先物取引のようにリスクヘッジをするというようなことで実施をするわけでございませんので、私どもの方といたしましては、先物取引には該当しないというふうに思っております。  また、集荷前に実施をされるということでございますけれども、ほぼ作柄を見きわめできる段階において行いますものですから、いわゆる青田買いを助長するというようなことは特にないというふうに思っておるわけでございまして、産地、品種、銘柄ごとの需給動向なりあるいは品質評価ができるだけ的確に反映をいたしますように運営をしてまいりたい、かように考えております。  それから、もう一点御質問がございましたなぜ価格が決まらないのかというお話でございますけれども、御案内のように昨年は価格形成の場におきます年間値幅制限につきましては、いわゆる基準価格のプラス・マイナス一〇%の範囲内におきまして、自主流通米価格形成機構の業務規程でこれはやるというふうに決められておるわけでございます。値幅制限の水準につきましては、制度発足当初ということもございまして、しかもまた売り手それから買い手の双方にとりましても大変重要な関心事でございますから、一応業務規程の附則におきまして入札取引の状況等を見ながら毎年運営委員会で検討いたしまして決定をするということになっておるわけでございます。二年産につきましても第一回の入札取引が終わった後運営委員会で議論をされまして、先生御案内のように年間値幅制限につきましてはプラス・マイナス七%というような形で決められておるわけでございます。したがいまして、本年産の年間の値幅制限の水準につきましても、こうした趣旨なりあるいは二年産の入札取引の実績を踏まえまして、去る五月二十四日に開催をされました運営委員会におきまして、三年産の第一回の入札結果あるいは三年産の作柄等を見まして値幅制限について決定をしていきたい、こういうふうな状況でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  95. 目黒吉之助

    ○目黒委員 要望だけしておきます。先物取引にならないように歯どめはやはりきちっとだれが見てもわかるようにかけること、それからもう一つは、値幅制限についてはこのような米価状況も含めましてなるべく小さくするように、二点を要望しておきます。  次に、せっかく総務庁から来ていただきましたので、時間が非常に少なくなりましたが端的にお伺いをしておきたいと思います。  六月十二日に臨時行政改革推進審議会が「行政改革の推進状況に関する意見」というものを総理大臣に提出されました。いろいろな新聞の伝えるところによりますと、この農業に関する部分意見書の提出に当たりまして、鈴木会長が米の部分開放が前提であるかのような報道がなされました。その後総務庁とそれから農林省で事務次官同士で内容について確認をされてまいっております。鈴木さんの発言は各省庁間で確認をしなければならないほど重要な問題であったことは、皆さんも御案内のとおりでございます。  確認された事項につきましては、米の部分開放といった特定の問題には言及していないというのが第一点、第二点は米の市場開放を前提に農政改革を求めたものではないということ、この二点が確認されておるようでございます。しかしながら、財界が米の市場開放について非常に強い発言力あるいは影響力を持っておる中で、政府機関ともいうべきこの臨時行政審議会の会長なる人がそれなりに発言をしたことによってこのような問題を醸し出したことは間違いございません。  私は省庁間のやりとりはそれなりに確認できるところでありますけれども、問題は、鈴木会長がこの意見を提出するに当たって総理大臣と言葉のやりとりをしておるわけでありますね。新聞の伝えるところによりますと、終わってからの記者会見で鈴木会長は、従来からの持ち前の部分開放論を前提にして、米だけでない世界の農業情勢を踏まえて判断すべきだという僕の持論を申し上げ、総理も私の意見とそう違った考えではないという感触を得た、こういう発言をしておるのですね。問題は、記者会見でどう言ったということよりも、答申をするに当たって総理大臣に対して物を言っておる、まさにこれは公私混同でございます。これは非常に遺憾千万なわけでありますが、この点は総務庁はどのように理解していますか。
  96. 松田隆利

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、六月十二日のフォローアップに関する意見書におきましては、先生御指摘のとおりに、やはり一般的にウルグアイ・ラウンドの成功を図るべきではないかということのみを指摘しているところでございます。  御指摘の鈴木会長の個人的な御意見等いろいろあろうかと思いますが、公式の記者会見等における発言におきましては、この行革審の基本的な考え方、ウルグアイ・ラウンドにつきまして一般的に物を申し、米の自由化問題については言及しないという発言をされているところでございます。
  97. 目黒吉之助

    ○目黒委員 時間が参りましたが、以後このようなことのないように皆さんの方からもひとつ厳重に、こういう意見があったことを伝えておいてください。いずれお話しする機会があろうかと思います。  これで終わります。
  98. 宮里松正

    ○宮里委員長代理 石橋大吉君。
  99. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 午前中からガットのウルグアイ・ラウンドの問題や米価算定をめぐっては今もかなり突っ込んだ話がありましたし、後でまた同僚議員からの質問もございますので、私は少し趣を変えまして、これからの日本の農政の基本問題について幾つかこの機会に伺っておきたいと思います。全体で二十五分という限られた時間でございまして、答えようによっては一問でも二十分、三十分かかる質問ですから、これはひとつ簡単明瞭にきょうはお答えをいただきたい、こういうことを最初にお願いをしておきたいと思います。  まず第一に、農林水産省は五月二十四日に、中長期的展望に立って食料、農業、農村政策を総合的に見直すための新政策本部なるものを発足させられた、こういうふうに新聞報道で承知をしているわけであります。簡単に言うと、「多様な担い手(農業経営体)の育成、米生産調整など新たな生産体制の確立、新しい地域政策の展開——などを視点に、来春をめどに政策の方向づけを行う。担い手激減などの課題に対応、法人など多様な農業経営体の育成などを機に、活力ある農業、農村をつくり上げていこうというもの。」こういうふうに伝えられているわけですが、そこでこの際、まず最初に、改めて今日段階、農政の見直しをせざるを得ない、こういう問題意識について、一体農林水産省はどういうことをお考えになっているのか、ごく簡単にお答えをいただきたい。
  100. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 御案内のように、本年は基本法が制定されまして三十年目に当たるわけでございますけれども、この間、我が国の食料、農業あるいは農村をめぐります環境は、就業人口が大幅に減少するなど、大きな変貌を遂げております。  そのような中で、今御指摘がありましたように、農業の担い手として重要な役割を果たしておりました農業者が高齢により引退するというようなことで後継者の問題が随所に問題になっている。また、土地利用型農業につきまして、規模の拡大がなかなか容易でない、そういう中で、農山村の過疎化というような問題が深刻になっているというような、国内の農業、農村を取り巻く問題につきまして真剣に考え、問題に対応していく必要があるのではないかというようなことから、そういう見直し、検討をやっていくということにいたしたわけでございます。
  101. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 今官房長からもお話がありましたように、ことしは一九六一年に農業基本法が制定されてちょうど三十年、そういう意味では非常にこの国の農業政策の大きな期を画する年だ。そこでこの年に、場合によっては農業基本法の見直しにつながるような農政の見直しをしなければいけない。  そこでこの際、次にお伺いしておきたいのは、一体この三十年の基本法農政を農林水産省はどういうふうに総括をされているのか。成功と見ておられるのか失敗と見ておられるのか、今後残された問題の最大の焦点は何なのか、そのことについて、次に簡単にお答えをいただきたい。
  102. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 今日時点でいろいろな御論議はあろうかと思いますけれども、私、農業基本法制定以来、その政策というものはおおむね適切であったのではないかというふうな認識をいたしております。  具体的に申し上げると時間もかかるようでございますけれども、畜産あるいは施設園芸の分野での生産性向上は進んできた。土地利用型農業につきましても、全体的な規模拡大というのは必ずしも、問題多々あるわけでございますけれども、各地域でそれぞれ農家なり農業生産組織というようなことでいろいろな工夫が見られる、いろいろな取り組みが見られるというようなことで、大筋においてあの基本法、今読み返してもなかなか立派な法律だというふうに私は思っております。  そういう方向で進めてきたということは大宗において間違いなかった。ただ、環境変化が著しい。当初想定してなかったような環境変化がある。そういう中で一番生産性の向上を図りにくい農業分野でありますだけに今日的な時点から見るといろいろな問題を内包して、先ほど申しましたような検討を進める時期ではないかというふうな認識をいたしております。
  103. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 私は、この三十年間の基本法農政の特徴を端的に申し上げると、それはひたすら経営規模を拡大し、あわせて機械化の導入による省力化の実現によって我が国農業生産性の向上と所得の増大を図り、他産業従事者との所得の均衡を実現する、こういうところにねらいがあったと思うのです。しかし後半、国際化の進展等もあって大幅なコストの切り下げが加わってきたこともあり、ついにこの目的は実現できなかった、そういう点では基本法農政は成功とは言えない、こういうふうに率直に言って言わざるを得ない状況ではないか、私はこういうふうに考えているわけであります。  御承知のとおり、この三十年、農村から都市へ、農業から工業へ劇的な人口の流出が進み、後継者問題に象徴されるように、我が国の水田農業は一部を除いて今や風前のともしび、こういった厳しい状況に直面をしていると私は考えております。  例えば去年、平成元年度の農業白書の分析を見ましても、六十五歳以上の基幹的農業従事者に占める比率、六十四年、全体で三割弱、私の出身地であります山陽地方では五割、山陰地方では四割、こういうふうに高齢者の占める比率が非常に高くなっているわけであります。よく指摘されていますように、昭和一けたのリタイアに伴って後は担い手は全滅、こういうことになりかねない状況ではないか、こう思っているわけであります。  そして集落の状況などを見ましても、全国の一農業集落の平均農家戸数、六十四年の数字で三十戸、うち基幹男子農業専従者のいる農家はたったの五戸、そして基幹男子農業専従者のいる農家の分布状況、北海道、東北、九州等で一農業集落当たり六戸から八戸、北陸、近畿、中国では一戸から三戸。主として農業に従事する後継ぎのいる農家の割合、北海道、東北、九州等を除けば一農業集落当たり三ないし五%、惨たんたる数字。  そして新規学卒就農者の状況を見ると、平成元年の三月で全国でたったの二千百人、三十四歳以下の男子離職就農者が三千四百人、これは六十三年の数字ですが、こういう状況になっているわけであります。私はその意味で、担い手の問題、後継者の問題に今日の日本農業の集中的な問題点があらわれているのではないか、こういうふうに考えているわけであります。  そのほかにも、いわば基本法農政は、規模の拡大やコストの切り下げ、省力化、そういうことを別の観点でいえば、近代化の道を進んできた、しかし今その近代化農政はほかのところでも大きな壁に直面しておると私は思うのです。それは、一つは今申し上げましたように農山村から人口が流出をしている、国土の七割を占める森林地帯があるわけですが、要するに今や農山村で人々がいなくなったことから国土の保全という点で非常に憂慮すべき状況が拡大をした。また、機械化と省力化の農業は、同時に農薬の多投、化学肥料をたくさん使う農業、環境保全という観点で大きな壁に今直面しつつある。同時に、食糧生産という観点からいいましても、農薬や化学肥料を多投した農業によって生産される食物が、国民の命を養う、安全を保障する、一体そういう意味で農業生産の本来の目的にかなった農業なのかどうか、こういうことまで含めて今非常に大きな壁に直面をし、そういう意味でも根本的な検討と転換を求められておるのではないか、こういうふうに考えていますが、この辺、農林水産省はどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  104. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 今先生いろいろな数字を挙げての御指摘、その限りで私どもとしても認識いたしておるところでございます。  ただ、七月一日のあのドームに五万人の方々が集まり、しかも粛々としてああいう大会を持たれたということは、個々の農業の問題を指摘されるとそれまでですけれども、ああいうエネルギーがある。それからまた、私、各地をいろいろ見せていただきましても、それぞれの地域ですぐれた指導者とかすぐれた先達がおるところは産地として栄えておるというような例も多々見せていただいておるわけでございます。  そういうことから、私は、農業の未来について我々農林水産業に直接、間接に携わる者が悪い、悪いということは余り言わなくて、やはりそういう芽を伸ばしていくということに全力を挙げていくべきではないかというふうに考えております。今の御指摘、私は一々否定はいたしません。そういうことを踏まえて、何とかして頑張れる農業ということに全力を挙げていきたいと思いますので、御支援をお願いしたいと思います。
  105. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 今同僚議員からも少しやじがありましたが、全体の認識は官房長の持っている認識とはかなり違うのですよ。ごく部分的にはそういうところがあることは私は否定しませんよ。そしてまた、地方によっては国内の米を自由化しても、例えば産地間競争の中で北海道や東北や、あるいは北陸ぐらいまでは残るかもしれないなとは私は思っていますが、そのほかの地域の米づくり、水田農業は、先ほど私が言いましたように、率直なところ風前のともしびですよ。私はそういう危機的な状況に今直面していると思う。これが大体一致した認識ですよ。恐らく自民党の方だってそうですよ。ぜひひとつその辺までもしっかり腹に入れて、今のようなことを言ってもらったのでは次の農政に期待できないですから、やはりそういう危機感を踏まえてどうするかということを考えてもらわなければいけないと思いますので、ぜひひとつ念を押してお願いをしておきます。  そこで、私は、農村や農業のそういう厳しい現状を考えたときに、今や危機に瀕するこの水田農業を立て直すためには、率直に言って単なる農林水産省の農業政策ではもうだめなところへ来ている、こういう感じがして見ているわけであります。例えば教育政策の面でも、もうちょっと義務教育の場で体験的な農業をさせるとか、農業がいかに重要な産業か、こういうことについてきちんと国民全体に教える。そういう意味でやはり教育政策の面を重視をしなければいかぬ、私はこういうところに来ていると思う。全然、受験勉強一本で、農家の子供でも、子供のときから田んぼへ足を突っ込んだりして仕事をした経験がないですから、後継ぎしないですよ。そういうことも含めて、教育政策の面でもかなり深刻な反省をして見直さないと担い手は確保はできない、こう思っております。  それから、先ほど言いましたように、七割が森林地帯、山岳地帯というかそういうところで、人口が希薄になっているわけですから、やはりそこには一定の、全人口の二割ぐらいは安住させるべきだと私は思っていますが、そういうことを中心にして人口政策の面からのてこ入れも考えなければいかぬ。国土政策、人口政策の面で考えなければいかぬ。それから、環境政策の面でも農業や農村をちゃんと位置づけをして、それに見合った一定の政策的な配慮をしなければいかぬ。  そして同時に、社会政策の面でも今度デカップリングをどういう形でやられるか知りませんが、若干そういう問題意識を持って検討もされるようですけれども、そういうデカップリング、ないしはこれからはもう今の状況だと、伝統的な血縁相続というものが中心的な位置からだんだんなくなっていく、私はこう思っていますよ。そういう点では、大都会で生まれ育っても、農業をやりたい人にやはり農村へ入ってもらって農業をやってもらう、こういうような伝統的な相続とは関係のない新規参入者に対する参入などもかなり大々的に考えていかなければならない。そうなってくると、そういう人たちに対する社会保障政策なども含めて社会政策的な対応が必要になってくる。  そういうことを考えると、先ほど言いましたように、今や単なる農林水産省次元の問題だけでは今日の農業と農村の荒廃を立て直すことは非常に困難なところへ来ている、まさに国の総合政策の中に位置づけてきちっとやらないといけないところに来ている、こういう問題意識を非常に強く持っているのですが、この辺、農林水産省はどういうふうにお考えか、承っておきたい。
  106. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 御指摘がありましたように、私ども、農業それから農村、その活性化等のためには農林水産施策以外の施策の重要性というのは十分認識しています。ただ、農村あるいは山村の振興のためには、私どもが預かっております農林水産業振興あるいはその関連産業の振興が基軸になって全体としてやっていく必要があるのではないかというふうな認識でおりまして、御指摘のようなことでいろいろな各分野の御協力を得ながら対応していきたいというふうに考えております。  それから、今御指摘がありましたヨーロッパにおきますデカップリング、私どもは風味のある仕組みだという認識は十分持っておりますし、従来から勉強をいろいろさせておるところでございますし、また今後の検討の中でもそういう視点での検討はいたしておりますけれども、ただ、単にああいうのではなくて、農林水産業振興、それとの兼ね合いがやはりあった方がベターではないのかという基本的な認識がどうしてもあるものですから、そういう中でいろいろ検討していきたいと思いますので、またいろいろ御指導方をお願いいたしたいと思います。
  107. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 いや、きょうはまだそんな御指導の段階に来ていませんから、率直に言って質問をしているわけです。  今のデカップリングの関係について、官房長は従来からの答弁を繰り返されておるなという感じで率直に言って受けとめたのですが、この問題、きょう初めて質問するわけじゃなくて、今までも何遍かやっているわけですが、それに対する農林水産省の答えは、この日本という国では農業者個人に対する所得援助というような形でのデカップリング政策というのはなじまない。だから、今も農業政策かなんかということを言われましたが、市町村に出すか農業団体に出すか生産団体に出すか、何かそういう、いわば補助金のような形で出すしかない、個人の農家に対する所得援助というようなことはできない、こういうふうなことを言われていましたし、今もはっきりはしていないが大体そういう答弁じゃないかと私は思ったのです。しかし、条件不利地帯の農業に対する、例えばドイツがやっているように牛一頭に対して何マルクだとか豚一頭に対して何マルクだとかあるいは農家一世帯に対して何ぼだとか、ある程度所得補償的なものを考えないと、さっきから言っているように農山村にちゃんと根をおろして頑張ってもらう、そういうことにはならぬと私は思っていますよ。  そういう意味で、最終的には新しい政策検討本部で議論をして結論を出したい、こういうことだろうと思いますが、今の個人に対する補償あるいは都市などから新規に農業に就労しようとする若い人たちに対する就農援助制度を具体化をする、こういうようなことが緊急に必要だと思っていますが、改めてもう一遍、念のためにその辺の考え方を聞いておきたい。
  108. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡説明員 また重複したお答えになって申しわけないかもわかりませんけれども、私どもああいう仕組みについて興味ある仕組みだという認識は十分持っておるわけでございますけれども、従来やってきていました農業政策の路線の上でどういうふうな位置づけになるのか、どういうふうなことになるのか、これは容易なことではないというのが今率直な感じでございまして、なおいろいろ勉強させていただきたいというところでございます。
  109. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 最後に、米の生産調整、減反政策を今後どうするのか、こういうことについて一言伺っておきたいと思いますが、御承知のように、一九七〇年からですからもう二十年間にわたって大幅な減反政策が続けられている。結果、非常に優良な田んぼが荒れていく。田んぼが荒れるだけじゃなくて、この二十年間非常に大きかったのは、農村と農家の情熱が、こっぱみじんにとまで言いませんが、ほぼそれに近いぐらい農業に対する情熱が打ち砕かれたところに、今農村が直面している危機の根本的な原因がある、こういうふうに私は思っているわけです。  そこで、そろそろ新しい農政の見直しに関連をして減反政策そのものを抜本的に見直して転換すべきじゃないか、こう思っているわけです。転換の方向はどうするか。さっきちょっと言いましたように、ゆうべもちょっとテレビでどこかやっていましたが、有機農業で栽培した山形県の高畠町の米は、六十キロ当たり三万何ぼで物すごく高く売れる、直取引で売ると。日本の農村の米づくりを全部有機農業でやるというわけにはなかなかいきませんが、そこまでいかないにしても、ある程度農薬の使用量を落とし、化学肥料の投入量を落として若干収量が減る、減ったものを減反政策を廃止をして面積を広げることによってカバーする。そうすれば田んぼはこれ以上荒れない。農家の皆さんも少し情熱を持って百姓をしようという気になるかもしれない。消費者の皆さんには非常に質のいい米を提供することができる。そういう意味で、やはり環境問題、消費者の皆さんにいい米を提供するということなどいろいろ考えて、この際減反政策は抜本的に大転換すべきだ、こう考えていますが、この点最後にお伺いをして私の質問を終わりたいと思います。
  110. 安橋隆雄

    安橋説明員 環境に配慮した農業ということは、今の情勢といたしましてはやはり農林水産省として大いに推進し考えていかなければならない一つの行き方だと思っております。いわゆる環境保全型農業でございますが、ただ、そういう環境保全型農業を展開するに当たりましても、つくる農家の気持ちから考えますと、やはりつくる以上は単収を落とさない、減農薬、減肥料も結構なんでございますが、落とさない範囲でどの程度減農薬、減肥料をできるかというようなところに重点を置いて環境保全型農業を展開するのがやはりいいのではないか。農家の気持ちでございますとかあるいは生産コストの低減ということになりますと、やはり単収が落ちますと生産コストも上がってまいりますし、そういう生産コストの低減という観点からもあるいは農家経営の安定という観点からも、やはりつくる以上は単収を維持しながら環境保全型の農業を考えていくというのが基本じゃないかと思っているわけでございます。  そういうことにいたしますと、これを米の生産調整の一つの手法として考えるということは、単収は落ちないわけでございますのでなかなか考えにくい点もあるというふうには思いますけれども、今後のポスト後期対策の検討に当たりましては、いろいろな手段が先生の御提案も含めましてあり得るわけでございますので、検討してまいりたいと思っているわけでございます。
  111. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 終わりますけれども、今本気でそういうことを考えられておるとすれば、やはり農林水産省は頭がちょっと古いんじゃないかと私は思いますよ。消費者の方がもう頭を切りかえているわけですから、高くても安全な米を欲しい、こう言っておるわけでしょう。だから現に、さっきも言いましたように、これをなかなか全面的に有機農業というわけにいかぬにしても、少し落として質のいい米を提供する、そういう方向にもう今流れは変わりつつありますから、やはり私は、この点は真剣に検討して減反政策は見直してほしい、これだけ厳しく注文して、時間が来ましたから終わります。
  112. 宮里松正

    ○宮里委員長代理 堀込征雄君。
  113. 堀込征雄

    ○堀込委員 私は、けさ行われました諮問米価を中心にお尋ねをしてまいります。  けさ六十キロ当たり一万六千三百九十二円、前年比百八円下げろと諮問がなされました。ことしの農林省の生産費調査によりますと、十アール当たりの第二次生産費は十七万四千八百九十一円、前年比〇・八%増、六十キロ当たりの第二次生産費は一万九千七百六円で前年比一・八%減、こういう数字が出ているわけであります。  午前中も御説明ございましたけれども、この要因は御存じのとおり、十アール当たりの投下労働時間が二・三時間減少したとか、あるいは収量が二・七%アップした、こういう説明がなされました。しかし、これは今申し上げましたように、六十キロ当たりの第二次生産費が下がった要因を分析をしてみますと、これは生産者が努力をして生産性向上を図った結果そういう数字が出た、こういうわけであります。にもかかわらず、この生産性向上努力の結果をこの政府米価決定に当たって価格下げということでとられてしまっては、これは農家はどうしようもないわけですね。やはり生産性向上の努力をした分は、きちんとその分は農家所得にはね返る、こういう政策をとっていかないと、これは今後農家の努力が報われない、希望が持てない、こういうことになるわけであります。  政府としても、今まで規模拡大だとか生産性向上、こういうことを進めてまいりましたし、今後もそういうことを進めるでありましょう。しかし、努力結果が全部価格下げに使われてしまう、こういうような諮問米価、けさの諮問米価ですね、これはやはり農村の将来にとって、あるいは農林省の進める規模拡大や生産性向上対策にとってよからぬ米価だ、こういうふうに言わざるを得ないというふうに私は思いますけれども、農林省はどう認識していますか。
  114. 森元光保

    森元説明員 お答えをいたします。  稲作農家がこれまで生産性向上に努力をしてきたということにつきましては、先生のお話しのとおりでございます。これをやはり適切に価格算定当たりまして評価をしていくということは極めて重要なことだと思っております。  一方また、最近の米をめぐります諸情勢を考えますと、国民の納得を得られる価格での米の安定供給を図っていくということも非常に重要なわけでございまして、やはり生産性の向上の一部は生産者だけではなくて消費者にもこれを還元をしていくということが求められているのではないかというふうに理解をしているわけでございます。  今回の米価算定当たりましても、これまでと同様、過去三カ年間の平均生産費を用いておるわけでございまして、三年産米価当たりましては、六十三年、元年、二年産生産費を用いております。したがいまして、生産性が向上しているというような状況におきましては、二年分の、少なくとも二年分に相当する生産性の向上の成果というものは生産者に帰属をするというような仕組みになっておるわけでございまして、その点についてひとつ御理解をいただきたいと思っております。
  115. 堀込征雄

    ○堀込委員 今の説明で、生産性向上分はある程度消費者の理解を得られるように消費者にも配分をしていかなければいけない、こういう答弁でありました。  今、米価水準、御存じのとおり、よく五十一年水準だ、こう言われております。政府米価が一番高かったのは昭和五十九年から六十一年、実に一万八千六百六十八円ですね。今度の米価はこのときに比べると実に二千二百七十六円も下がっておるわけです。一二%下がっておる。しかし、こういう政策によって農林省の目指す規模拡大が進んできたか、あるいは担い手農家に農地が集中してきているかというと必ずしもそうではない。かつてある審議会で、米価が高水準に推移することが稲作生産性向上の努力を促進する方向に向かわないという報告が出されたことがありますけれども、私は、米価を下げて、そしてそこから生産できなくなった農家稲作をやめて農地を集積していく、担い手農家に集積していくという方策はとるべきではない、これは基本的考え方として間違っておるのではないか、こう思うわけであります。  そこで、今申し上げましたように、五十一年産水準に下がった、こういうわけでありますけれども、私は今の説明で、それではことしの米価決定算定値基礎にやったのか、それとも消費者の意向を考慮してやったのか、あるいはウルグアイ・ラウンドにある国際価格と対比して、そういうことを考慮してやったのか、この諮問米価米価を下げたという基準の考え方は一体どこにあるのか、もう一度明確に答えてください。
  116. 森元光保

    森元説明員 先ほども申し上げましたように、生産費につきましては三カ年間の平均生産費をとっておるわけでございます。したがいまして、その生産費を、それぞれ労賃でありますれば都市均衡労賃評価がえをする、あるいは物財等につきましてはその直近時点におきます物価修正を行うというような形でやっておりまして、そういったものはすべて算定の中に反映をされておる。一方、労働時間の短縮でありますとか、あるいは単収の増というようなものが反映をいたしまして、けさほど御説明をいたしましたように、今回の算定におきましては〇・六五%のマイナスの数値が出た、こういうことでございます。
  117. 堀込征雄

    ○堀込委員 どうも私の質問をよく御理解いただいてないと思うのです。ちょっと後でまた触れますから、再質問させてもらいます。  そこで、一万六千三百九十二円、百八円下げた。この水準は、午前中も答弁がございましたが、農水省の今度の生産費調査の階層別のデータによると、四ヘクタールから五ヘクタール、五ヘクタール以上の層しか第二次生産費ではカバーしてないわけですね。それから、全国を九ブロックに分けたこの生産費調査によりますと、ブロックの平均値を見ますと、北海道しかカバーしてない、第二次生産費で見ますと、こういうことであります。つまり、四ヘクタール以下の農家、本州、四国、九州の農家生産費をカバーしてない。この農家は、これから土地を集積して担い手農家土地を集めて生産性向上をやりなさい、この層の面倒は農水省としては今後見ていきませんよ、こういうふうに思えるわけですね。この層を、例えば第二次生産費で償えない農家層をどういう考え方でこれから政策を展開していくつもりですか。そこを先に聞かせてください。
  118. 森元光保

    森元説明員 先ほど先生から御指摘のあった点につきましては、地域方式でそれぞれのブロックごとのいわゆる算定対象農家になりました規模計算いたしますと、北海道の場合は四ヘクタールを超える、したがってそれ以外の地域には四ヘクタールという平均規模がないのでこれは対象にならないのではないか、こういうような御趣旨かというふうに受け取ったわけでございますが、全国平均いたしますと、今回の地域方式によりますと、約百十九アールということになっておるわけでございます。そういう意味では、平均的な規模といたしましては、私の方は百十九アールの農家対象になる、平均的に申し上げますと、そういう農家対象になるというふうに思っております。  先ほどもお話がございましたように、確かに生産費の段階で見ますと、第一次生産費、第二次生産費、これは二年産でございますけれども、第一次生産費では一ヘクタール以上それから第二次生産費ではおおむね三ヘクタール以上ということになります。これがそういう状況になっておりますので、私の方といたしましては、いずれにいたしましても、価格政策だけでもってすべてを律していくということはなかなか困難ではないか。したがいまして、価格政策とあわせまして、やはり構造政策なりあるいは生産対策というものを拡充強化しながら、そういった状況の中で生産性がさらに向上し得るような、あるいは規模拡大が実現するような対策を講じていかなければならないのではないか、かように考えておるわけでございます。
  119. 堀込征雄

    ○堀込委員 そこで、生産費以下の農家はこれから構造政策やいろいろで対応を考えている、こういう答弁であります。今度の算定方式は、全国九ブロックの平均生産費以下の農家対象として、今次長から答弁があったとおりであります。これによって対象農家四三%をカバーし、販売数量で五六%カバーしている、こういう説明でございました。しかし、実際に稲作コストが償える農家、第二次生産費コストが償える農家は全体の一五%にすぎない、販売数量は二九%にすぎない、こういう説明がございましたね。つまり、八五%の農家生産費を償えてないわけですね。一五%の農家だけが、米販売農家の一五%の農家の第二次生産費しか償えていない、逆に言えばこういうことであります。そういう米価であるということをきちっと認識しておく必要があると思うのです。  米価、五十一年水準というふうに言いますけれども、昭和五十一年の米価は一万六千五百七十円、当時の第二次生産費は一万五千八十二円だったわけですね。つまり、立派に第二次生産費をカバーしていたわけです。ことしの米価はそれをカバーしてない。八五%の農家はもう切り捨てている、こういうことになっておるわけであります。しかも、五十一年の米価算定方式対象農家は五俵以上の販売農家だ、あるいは労賃も五人から九百九十九人の全国規模賃金平均としていた、自作地地代も統制小作料を使っていた、こういうものでやっていたわけですね。なおかつ、それでこの第二次生産費をカバーして決めていた、こういう歴史があるわけであります。  ことしの米価算定基礎をいろいろ操作をして六十キロ当たり一万九千七百六円、こういうものをはじき出したわけであります。もしこれを五十一年方式でやったら大変なことになるわけでありまして、私はこれはデータを求めましたが簡単にはできないということでありましたけれども、恐らく二万円を大きく超えるだろう、こういうふうに思うのですね。  つまり、私がここで申し上げたいことは、今の米価は、先ほど次長の答弁がありましたように、消費者問題だとかウルグアイ・ラウンドの問題だとか、いろいろ考慮して政治的に決めておる。であるならば、そのことをやむを得ないというふうに仮に考えるとするならば、やはり算定方式をねじ曲げたりつじつま合わせをしたりしないで、率直に第二次生産費というものは公表すべきではないか。つまり、生産農家生産費は、仮に言えば二万円以上かかっていますよ、五十一年方式計算すればかかっていますよ、しかし農家の皆さんに我慢してもらってことしはこの一万六千三百九十二円で決めました、やはりこういうことを言うべきではないか、消費者の理解を得るためにもそういうことを率直にやるべきだ、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  120. 森元光保

    森元説明員 五十一年以降の価格の推移を今先生お話がありまして、今回の平成年産米価諮問値につきましてもその五十一年産とほぼ同じ額ではないか、その間稲作農家生産性向上努力をし頑張っておるのであるから内外にもっと強く訴えるべきだというふうな御趣旨かと思います。  確かに私どもといたしましても、生産者が一生懸命生産努力をしておるということにつきましては、日ごろからその点について感謝をしておるわけでございますけれども、やはり水田稲作につきまして現在構造的な過剰基調にあるという事実もあるわけでございますし、また逆に水田農業自体が大変地域経済あるいは国土保全等に果たしている役割というものもまた無視できない問題があるわけでございますので、今後とも先生のお話のような点につきましては十分国民に理解と納得を得られるように努力はしてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  121. 堀込征雄

    ○堀込委員 理解と納得の得られる努力をしていく、こういうことでありますからやってもらいたいのですけれども、これはやはり米価算定方式を変えるといいますか、見直さなければならない時期に来ているのではないか。算定方式は、農林省の、食糧庁の皆さんは専門家でありますからもう御存じであります。食管法にはそのときどきの経済事情を考慮してというふうに決めてありますが、そういう法律に基づいて決めてきたということに表面上はなっていますが、そうではないのですね、歴史を見ますと。非常に都合よく、米価を下げるために、毎年毎年いろいろな算定値をとられて変えてこられておるわけです。まさに米価を下げるために変えてこられておるんじゃないですか。私は、そういう意味では、この算定方式は非常に権威のない、もうどうしようもないものになっていると思うわけであります。  例えば、かつては、限界農家生産費基礎平均生産費を限界単収で割って出したわけですね。そういう時代がありました。米が余ってきた、米が過剰時代になると平均生産費にそれを変えた。さらには全生産農家対象から必要量生産費方式に変えた、こういうこともありますね。それから労賃とり方昭和五十六年に大改正をやったわけですね。五人以上一千人未満全国平均賃金米販売数量に加重平均をして変えた。  いろいろ歴史的に見ますと、その都度その都度の歴史によって米価を下げるためですよ。まさに私はそういうふうに言いたいのですけれども、都合よく算定値というのが変えられてきておるのです。農林省の皆さんは非常に頭がいいですから、これもそのときどきの経済事情を考慮して、こういうことになるのでしょう。なるのでしょうけれども、しかし、歴史の流れを見るとそういうことになっていない。ですから、米価を下げるためにいろいろそのように歴史的に見て編み出されてきた算定というものは、やはり見直す時期に来ている。これ以上来年また下げるというような事情があったら、また何か数値を合わせるという知恵を出してくるに決まっているのです。やはりそういうことはやめて、抜本的に算定そのものを検討する、それから米価も適当に政治的に決められるという姿を変えていかなければならない、そういう時期に来ているというふうに思うのです。  もっとひどいことがあったのですね。例えば昭和六十二年産米価、このときは、農林省は九・五%の米価引き下げを出した。自民党さんとの政治折衝で五・九五%で決着しました。このときは、最初に出した自己資本利率、農水省の最初の資料は三・五五%、それが折衝によって四・五%に変えられたという経過があります。つまり、どれだけ米価に合わせるために数字なんというものはいじられてきたか、そういう歴史なんですよ、この算定値は。  ですから、これ以上無理して算定の数字のつじつま合わせをやるというような姿はこの際やはり変えるべきだ。無理して全国を九ブロックに分けて平均生産費以下の農家だけ対象にするのではなくて、全農家生産費はこうなっていますということを明確に出して、これは二万幾らかかっています、しかし農家の皆さんに忍んでもらって一万六千三百九十二円に米価はするのですよ、こういうふうにやはりはっきりする時期が来ているのではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  122. 森元光保

    森元説明員 米価の引き下げのためのつじつま合わせをやっているのではないかという大変厳しい御指摘でございましたけれども、食糧庁は決してそういうような考え方でこれまで米価算定をしてきたわけではございません。三十五年以降生産費所得補償方式のもとに、先生も御案内のように、家族労働費につきましては都市均衡労賃評価がえをするとか、あるいは物財・雇用労賃につきましては直近の時点で物価修正をするというようなことで、そのときの経済事情等を十分参酌しながら対応をしてきたというふうに考えていただきたいというふうに思っておるわけでございます。  ただ、生産費及び所得補償方式は、先生も御案内のように、それ自体が需給事情等を反映する方式に実はなっておらないわけでございます。今日のような米をめぐる需給事情等を考えますと、やはりそういったそれぞれのそのときどきの状況に応じまして、算定対象農家とり方の問題あるいは家族労働等の算定要素の改定につきましても、いろいろ検討しながら私ども対応をしてきたわけでございます。  ただ、先生が今お話しのようなことにつきましては、やはり生産性の向上の進展度合いとかあるいは需給状況等を的確に価格に反映していくということを考えますと、むしろ余り固定的に考えるよりもある程度弾力的な対応をしていくことの方が適正な価格決定になるのではないか、かようにも考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、米価算定当たりましては、米価審議会でいろいろ御議論をいただいて、その御答申をいただいた上で決定をしておるわけでございます。
  123. 堀込征雄

    ○堀込委員 そのときどきの経済事情を考慮して適切に決められてきたというふうにおっしゃいますが、私が先ほど申し上げましたように、これはもうどう見ても数字のつじつま合わせをやってきたのですよ。ですから、これはここへ来てまたあれでしょう、全国九ブロックの平均生産費以下の農家対象にするとか、いろいろな手法をやってきているわけですね。来年どうするのですか、来年こうしますということを言えないと思うのですよ。再来年どうしますか、五年後どうしますかと言えないものでしょう。だから、やはり今は生産費は非常に高い、全国平均すると二万円超えているのだ、しかし米価は一万六千円台で決めざるを得ない。これは内外価格差の問題もあります、消費者米価との関連もあります、こういうことを率直にやはり国民に訴えていくということはどうしても大切だというふうに思います。そういう抜本的な米価政策の転換、検討をしてもらいたい、こういうふうに思います。  余り時間がありませんから、次の質問に移ります。  次に、後でちょっと関連させますけれども、政府米の不足が非常に深刻化している。ことしは、御存じのとおり、十万トンを全農の方から回したという経過もあるわけですが、この原因と対策についてちょっと簡潔に考え方を聞かしてください。
  124. 森元光保

    森元説明員 昨年二年産につきましては、元年産が百六十四万トンの政府米の集荷実績に対しまして百七十七万トンということになっておりました。一応これまでの政府米の減少傾向に歯どめがかけられたのではないかというふうに私ども思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、最近のいわゆる消費者の良質米志向でありますとか新米志向でありますとか、あるいは生産者サイドにおきましてもそういったことに対応いたしまして良質米への生産転換がかなり急速に進んでいるというような状況もございますので、やはり政府米と自主流通米とがバランスのとれた集荷というものを今後どうしても推進をしていきたいということで、集荷団体等に対しましても強く御要請を申し上げ、また、集荷団体の方におきましても、それぞれ県段階あるいは市町村段階で今協議をしていただいておるというような状況になっておるわけでございます。
  125. 堀込征雄

    ○堀込委員 政府米の減少に歯どめがかかったという認識がありましたけれども、これは私はちょっと認識違うんですね。必死になって食糧庁がおやりになったけれども、最後この十万トンを自主流通米から回したりして、やはり何とか政府米の不足をしのいだというのが実績じゃないでしょうか。  つまり、今次長はバランスのとれた集荷を集荷団体やいろいろにお願いをしてやる、こういうふうに言ったんですけれども、これは違うのですね。これは限界があるんです。政府米の不足はなぜか、なぜ集まらないか。決まっているじゃないですか、これは米価の引き下げが続いているからなんですよ。つまり、政府米の価格が安いから集まらないだけの非常に単純な話なんです。自主流通米に傾斜することで、日本の生産者はやはり政府に対して対抗手段を今とっているわけであります。これについてはやはり特別の何らかの対策を講じない限り、幾ら集荷団体に努力をお願いしても、場合によれば圧力をかけても、これは私は無理だというふうに思うのです。これはもう米価の相次ぐ引き下げ政策がこういう結果をもたらしているわけでありますから、政府米の集荷についてはぜひそういう認識で真剣な対策をいただきたいと思います。  ちょっと時間がなくなりましたので、先に進みます。  政府の米の管理計画について質問いたします。  六百六十三万トンの全体の管理計画がありますね。政府米が二百十万トン、自主流通米が四百五十三万トン。それで、生産数量の他用途利用米を除いた九百八十五万トンから引きますと、三百二十三万トンが農家消費等ということで食糧庁は片づけていますね。これは農家消費は私はどう見てもそんなにないというふうに思いますが、この中身をどう見ていますか。     〔宮里委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 森元光保

    森元説明員 先生のおっしゃいますように、生産量から見まして集荷量を考えますと、確かに最近、農家消費等が増大しているということはあろうかと思います。  したがいまして、私の方といたしましても、集荷については万全を期していかなければいけないと思いますが、ただ、最近の例えば産地段階におきますところの自主流通米のふるい目等がかなり大きくなっているというような実態もございますので、そういうような点につきましては今後とも十分検討をしていきたい、かように思っておるわけであります。
  127. 堀込征雄

    ○堀込委員 時間がありませんから簡潔に申し上げますが、農家消費がふえているということはないのですよ。農家人口は減っていますし、それから、農家の消費量も減っているのですよ。これはどう見ても自由米がふえているのです。そうじゃありませんか。今、自由米の流通が、堂々と取引をされて、そのことが新聞に毎日出ておるじゃないですか。これは今や常識となって堂々と行われているという、そういう実態があるわけであります。  食糧庁の雑誌、例えば食糧管理月報に出ている数字を見ても、大体、農家消費量は毎年減少傾向が続いている。元年産で百六十一万二千トン、こういうふうに食糧庁自身出しているじゃないですか。ふえているなんということを言ってもらっては困るのです。  それで、食糧庁自身承知をしていますけれども、縁故米や贈答米もふえていますけれども、やはり自由米が非常に相当な量になっている。これは六百六十三万トン以外は農家消費等ですなんて片づけられる事態にはなっていないのです。食管法を根底から崩すところまで来ているのですよ。あるいは、最近の雑誌を見ますと、政府米以上にあるのじゃないか、こう言っている学者だって何人もいるじゃないですか。  ですから、これは抜本的な対策が必要なんです。場合によると、これを放置しておきますと、生産調整までおかしくなるような、そういう事態まで今来ているということをはっきり認識をいただきたい、適切な対応と対策をとらないとこれは大変なことになる、こういうふうに思います。  特に、正規流通業者というのは、年間の取引をやるわけですからなかなか難しいわけです。しかし、不正規業者というのは、出来秋に一発勝負やりますから年間のリスクをしょわないで商売できる。こういうこともありまして、これは年々ふえるという傾向があるわけでありますから、適正な集荷対策を、これは集荷団体にお願いするだけじゃなしに、まさに食管法の抜本的な基準になっている、こういうことを踏まえれば、ひいては米価水準を下げるというようなことにもなるわけでありますので、腰を据えて抜本的な対策をする必要がある、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  128. 森元光保

    森元説明員 確かに、不正規流通米の存在というのは米穀の流通秩序を維持していくために大変大きな影響があるわけでございまして、食糧管理制度そのものに対する国民の不信を招くという懸念もございますので、食糧庁といたしましても、全国生産者あるいは生産者団体等に対しまして十分な指導をしながら、もちろん食糧庁といたしましても積極的な集荷対策に取り組んでまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  129. 堀込征雄

    ○堀込委員 いずれにしてもそういう実態になっていますので、真剣な対応をお願いしたい。価格政策、算定値米穀政策はいろいろな歴史的な曲がり角に来ていると思うのですね。真剣に取り組んでいただきたいということをお願いして、時間が来ましたので質問を終わります。
  130. 大原一三

    大原委員長 御苦労さん。  佐々木秀典君。
  131. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 先ほど三番町の方にも行ってまいりましたけれども、もう青空対話ということで、農林水産大臣もお集まりになった生産農家の方の御質問に答えておられました。しかし、本年度のこの米価は、けさほどだそうですけれども、政府と自民党の方々との間で大体打ち合わせが済んで、答申がそれに従って出されるということで、恐らくほどなく正式にそのとおり決まるのだろうと思うと、ここで審議をしていることも何かむなしい感じもするわけであります。しかし、ことしだけで終わる問題ではないということで、委員の皆さんがこうして熱心に議論をされている、このことをお互いに肝に銘じながらやっていかなければならないのだろうと思っております。  そして、この価格については、食管法にも規定のありますように、「生産費物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」定めるという原則が立てられて、これがずっと旨とされてきている。にもかかわらず、いわゆる昭和三十五年以降の生産費及び所得補償方式をこれまた基礎にするとはいいながら、あわせてそのときどきの需給事情、加えて今の堀込委員のお話のように政治的な状況などが加味されながらどうも政治的に決められてきたのではないか、この食管法の本旨とするところが十分生かされているとはいえないのではないか、こういう疑念が私どもとしても払拭できないわけであります。  そんな中で、先ほど来御説明のありましたようなこの本年度の恐らく決まるであろう米価というものが、再生産の確保を図ることに足るものだろうか。先ほど堀込委員の方からは、何とかカバーできるのは北海道くらいじゃないかというお話がありまして、私は北海道の出身ですけれども、しかし、これまた、それじゃ北海道の稲作農家がこれによって生産費をカバーできるのかというと、私は必ずしもそうではないように思えてならないわけであります。そして何よりも、こうした減少傾向をずっと続けているということが稲作生産者生産意欲というものを阻害し、そのことが後継者不足というようなことにもつながっている、これはもう厳然たる事実であろうと思うわけです。  政府は、稲作農家についても生産性を上げ、そして農家収入を高める方策としては、一つは規模拡大の方向ということを言われている。北海道の場合には、確かに内地の山間地域などに比べると、既に稲作規模というものはかなり広くなっている。しかし同時に、今度は価格が減少されるということになると、それによってまた影響が大きいというのも、これは規模の大きいところであるわけでありまして、そういうところから、特に北海道の場合には専業農家が多いわけですけれども、これもまた意欲を失ってきているのではないかということが非常に心配をされるわけであります。  そこで、特に専業農家の再生産の確保、稲作についての再生産の確保というものについて、ことしの生産者米価というものはそれをカバーするのか。この価格だけでカバーできないとすれば、それをまたどういう方法によって補おうとするのか、その辺について政府の意向を、政務次官いらっしゃいますけれども、政務次官、あわせて次長からでもお聞きをしたいと思います。  政務次官も私と同業で本来弁護士でありますから、弁護士なども一生懸命働けばそれなりの収入が上がってくるはずなんですけれども、なかなか農家の方はそうなっていないわけですから、非常に大きな矛盾があると思うのですけれども、これらについてのお考えを示していただきたいと思います。
  132. 森元光保

    森元説明員 先生のお話にございましたように、第一次生産費で見るのか第二次生産費で見るかによってかなりカバーし得る対象農家というのは変わってきておるわけです。第二次生産費につきましては、いわゆる所得付与部分がかなり入っておるわけでございまして、見方につきましてはいろいろ見方があろうかと思います。  私どもの方といたしましては、けさほど来から御説明申し上げておりますように、それぞれの地域稲作農業の実態というものを踏まえまして、そしてその地域規模にかかわりなく生産性の高い農家を取り上げ、そしてその農家生産費ベースにして一定の評価がえをしながら価格を決めさせてきていただいているということでございますので、私どもといたしましては一応適正な米価算定しておるというふうに思っておるわけでございます。  また、具体的な問題につきましては政務次官の方からお答えがあろうかと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  133. 杉浦正健

    ○杉浦説明員 大臣が、米審、それから参議院の方へ参りますので、この時間の質疑、私がかわってやらせていただくことをお許しいただきたいと思います。  答弁に入ります前に、大原委員長を初め委員の各位におかれましては、農政各般にわたりまして、いろいろと御指導、御鞭撻を賜っておりますことをまずもって厚く御礼申し上げる次第でございます。米価問題につきましても、それぞれのお立場から地元農民の御意向を御代弁いただきまして、私どもを叱咤激励いただきまして、いろいろ紆余曲折はございましたけれども、本日米審に米価諮問をさせていただくというような事態になったわけでございまして、諸先生方の御指導、御鞭撻に心から感謝申し上げる次第でございます。今後ともひとつよろしくお願いを申し上げます。  お尋ねの点でございますが、米の場合は、米農家にともかく意欲を持って生産してもらうということが大切なのは御指摘のとおりでございます。今度米価を下げたことによって、自主流通米が七割という事態でありますから、政府米、政府の買い入れ価格を少し下げたということが直接農家所得にどれだけ響くかというのはちょっと別の問題になるわけでありますけれども、しかし開設されております米市場の取引も、この政府価格のいかんによって左右される側面もあるわけでございまして、御指摘のような点が心配される面がないわけじゃございません。  ただ、御質問にお答え申し上げるとすれば、やはり米づくり農家生産意欲を持っていただくということのため、私どもも、農水省も一生懸命努力しておるわけでありますけれども、やはり農業生産性と申しますか農業収益性と申しますか、米なら米の所得が、米をつくることによる所得が、ほかの勤労者の所得に比べてまさるとも劣らないというふうになれば意欲がわいてまいる、こういうことでございまして、私どもも、農政も、各般にわたりましてそういう方向で努力しておるわけであります。  私の地元でございますと、愛知四区でございますが、例えば米の専業農家は大体二十ヘクタール近い集積、これは委託とか請負を含めてでありますが、大体到達いたしております。多い人になりますと、四十町歩ぐらいやっておるという農家もあるわけでありまして、このクラスになりますと、所得も、まあ最近は税務署が入るものですからはっきりしたことを教えてくれないわけでありますけれども、一千万近い所得に達しているんじゃないかというふうに見ておるわけでございます。愛知県の場合、全体としますと、愛知県の二十一世紀計画というのがありまして、その農業部門におきましては、米とか野菜とか花とかいろいろな分野で、二十一世紀を目指してこういう方向で努力しようという目標を具体的に決めておるわけですが、米の専業農家については三十ヘクタール集積を目標にしよう、県下全体で戸数にすると千戸に集約しようという目標で取り組んでおります。野菜ですと、ハウス栽培ですね、五反歩とか、県当局のそれぞれの目標を決めておるわけですが、所得一千万程度を目標にして、目標を決めてやろうということでやっておるわけでありますが、農家の高所得を目指していく、高収益性を目指すというか、そういう面での努力が今後大切なのではなかろうか。  ここから先は個人的意見になるわけでありますけれども、各地で、ほかの県でもいろいろモデルがつくられておるようでありますが、農水省における新しい政策立案と申しますか検討が始まっておるわけでありますが、そういう面でも、生産性を高めるという抽象的な言葉ではなくて、各地域それぞれモデルがいろいろあると思いますけれども、青森であればリンゴと米の組み合わせとか、山形であればサクランボと米の組み合わせ、いろいろな組み合わせがあると思いますけれども、それぞれの地域でやはりそれぞれに即した高収益性のモデルをつくってもらって、その目標に向かって努力していくということが大切ではないか、こう私は思っておりまして、農水省のこれからの一年間の検討の面でも、そういう面での検討を期待しているわけでございます。担い手の育成とか規模拡大とか生産組織の育成とか、あるいは基盤整備、あるいは営農施設の整備、あるいは品種改良等の技術開発等々、さまざまな努力を全省挙げてやっておるわけでありますけれども、そういう努力と、農家が目標を持って経営に取り組むという、目標と結びつけてやっていく必要があるのではないかと私は個人としては思っておる次第でございます。
  134. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 確かにおっしゃるようにいろいろなことをやっておるわけです。北海道の農家の人だって、本当にいろいろなことをやっているんですよね。何しろ水田の減反、五〇%に近いわけですから、それだけで食えれば一番いいんですけれども、きょういただいた統計資料、「平成年産米生産費」でも、三ページに出ておりますように、収益性は、平成年産水稲の十アール当たりの粗収益は十五万九千八百五十八円、前年を〇・三%、五百四十三円下回っているわけですし、それからまた食糧庁の七月の「米価に関する資料」、これでも三十二ページ、三十三ページ、これは北海道の例をとっても家族の人員が平均で四・九人、それで農業収入のうちの水稲収入はわずかに六百三万一千円というのですから、これだけではとても食えるわけないですよ。そして、規模拡大すればそれだけまたコストも大きくなるわけでして、これまた法人化とかあるいは組合化、協同化ということについてもさまざまな人的な問題があるというようなことで、こういうようにいろいろな努力をしながらその努力が実って上がってくるのなら意欲を持てるのだけれども、そうでないところに問題があるからこそ、だんだん稲作農家も減ってくるわけです。  北海道の場合でも、水稲作農家昭和五十年には六万三千五百四十戸あった。それが平成二年には四万一千三百二十八戸、実に三五%も下がっている。こうした例を見ますと、なかなかおっしゃるようなことだけでは抜本的な解決にはならない、これを非常に私どもも恐れます。  そしてまた、そこへ持ってきてこの市場開放の問題です。ここでは大臣以下、絶対に市場開放はしないのだと言って頑張ってくださる、このことは評価します、また期待もいたします。しかし、その片方で、稲作農家の皆さんが米だけつくっていたのではとても食えない、今のような傾向でだんだん稲づくりをやめていくということになると、市場開放を幾ら阻止しても、中でつくる人がなくなってしまうということになるので内部崩壊してしまうことになるのですから、瑞穂の国が内部から壊れてしまうということになればゆゆしい問題。ですから、外との問題とあわせて、中でこういう稲作農家をどうやって守るのかということを米価の問題とあわせてしっかり考えていくというのが、私たち政治の場にいる者の務めではないか、こんなふうに思います。  何しろ時間がないものですから、せっかく文部省お見えでございます。やはりそのためには、一つはお米の消費の拡大をしなければならなかろうと思っています。だんだん米の需要量というか消費量が少なくなってくるという中で、人間、小さなうちに食べ方あるいは食べ物についてのしつけをするということが非常に大事になってくる。ところが、一般の家庭では最近ではなかなかお米を炊いて子供に食べさせるというような奥さん方が減ってくるという中で、私は学校給食の問題というのは非常に重要な問題になってくるだろうと思っております。  データで見ますと、時間もありませんから詳しく申しませんけれども、文部省も御努力いただき、農水省と御協力のもとに米飯給食が非常に盛んになってきているということはわかるのですけれども、何といっても一番消費量の多い大都市ですね、大都市の小中学校でこれを拡大していかなければならないわけで、この現状と、それからこれを一層拡大していく方策、それと、これは時間がありましたらモチ米の問題にちょっと触れたいものですから、モチ米の給食での利用の問題などについても、もしおわかりでしたら簡単で結構ですから、文部省お答えをいただきたいと思います。
  135. 富岡賢治

    ○富岡説明員 先生御指摘のとおり、米飯給食の推進は大事な問題だという認識を持っておりまして、文部省としても推進を図っているものでございます。  御案内かと思いますが、平成二年五月現在では全国平均で週二・五回という状況になりまして、週二・〇回になりましたのが昭和六十一年でございますから、四年で約〇・五回伸びたという状況でございます。  しかし、先生御案内のとおり大都市部では全国平均を下回っているという地域が多少見られます。例えば、東京都でございますと、週二回以下というような状況でございましたが、これも大事な問題だということで指導等お願いをいたしてまいりまして、週一・一回がこの数年で一・八回にまで上がるとか、あるいは大阪も大体〇・台数でございましたが、最近は一回以上にというふうに、少しずつではございますが改善は図られているという認識を持っております。  それで、特に米飯給食の導入のために必要とします炊飯施設設備等の優先的な配分というようなものにつきましては鋭意進めているところでございますし、昨年の十二月にも文部省といたしまして、各県の教育委員会文書によりまして、米飯給食を推進してほしい、特に大都市部につきまして一層推進を図ってほしいというようなことをお願いいたしたりしておりますので、今後とも一層努力してまいりたいと思っております。  モチ米のことにつきましては農水省の方から。
  136. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 地方の方では、割合お母さん方も子供にお米を食べさせるようなことをやっているんですよ。だから、問題は大都市部なんですよ。これはうんと力を入れてやってもらわないといかぬと思うのですね。  それで、モチ米の利用です。ウルチ米だけではなくてモチ米も、利用の仕方によってはそれこそ雑煮だとかお汁粉だとかおはぎだとか子供たちの結構好きそうなものをつくられるわけで、こういうようなものをうんとつくってもらいたいと同時に、これを学校給食用に、自主流通米、モチ米を助成の対象とするようなことができないのかどうか。このことについてはどうです、食糧庁。
  137. 森元光保

    森元説明員 米飯学校給食につきましては、先生御案内のように五十一年度から助成措置を講じておりまして、また地域によりましては、特に生産者団体等において地元の良質米をぜひ児童なり生徒に供給したいということで、米の消費拡大にも寄与するということで、自主流通米につきましても一定の助成措置を講じてきたわけでございます。  今お話のありましたモチ米につきましては、私ども余り詳しいことは承知しておりませんけれども、学校給食で使用されておりますモチ米につきましては、その供給形態がウルチとちょっと違っておりまして、いわゆる赤飯など加工にしたものを供給をしてきているというような状況もございますので、もう少しその辺の実態を十分把握しながら今後検討するべき課題ではないかな、かように考えておりますので、御理解をいただきたいと思っております。
  138. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 私の地元で上川町というところがあります。これは大雪山のふもとなんですけれども、ウルチではなかなかやはり気象状況などもあって、これは完全に全部モチ米団地に切りかえまして、全量モチ米になっているんですよ。ですから、そういう人たちもまた今のようなことでおやりいただき、消費がまた拡大するということになりますと生産意欲もわいてくるだろうということで、ぜひ御検討いただきたい、このように思います。  それから、時間がなくなりましたので確認させていただきますけれども、今度の米審でも問題になりましたいわゆる自主流通米の予約概算金、これは財政当局が大分打ち切ったらどうかというようなことを言っていたということで心配をしておりましたけれども、一応今度は大丈夫そうだということですけれども、これは何といっても今まで米の全量出荷などに大きな大きな役割を果たしているわけですし、何といっても米は秋になってとれて、それでやっと金が入るというような農家の皆さんからすれば、やはり一息つくということでも大変大きな役割を果たしてきたわけですね。ですから、これはぜひ堅持していただきたいと思っているわけですけれども、ことしは大丈夫、そして来年からの見通しというのはどうですか。その点だけ一つ。
  139. 森元光保

    森元説明員 自主流通対策費の取り扱いでございますけれども、今先生も御案内のように、自主流通米につきましては、やはり多様化した消費者のニーズにこたえていくということで、これまで拡大をしてきているわけでございます。  ただ、自主流通米の機能が適切に発揮されますためには、やはり適正かつ計画的な集荷なり流通というものが確保されていかなければいけない、また良品質米の生産なり出荷誘導ということも大変重要なことでございますので、昨年、御案内のように良質米奨励金及び特別自主流通奨励金を自主流通対策費ということに組みかえさせていただいたわけでございます。  平成年産の自主流通対策費の取り扱いにつきましては、そういった実態を踏まえまして、その円滑かつ適正な流通が確保されるよう、現状維持をすることとしたところでございます。
  140. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 財政当局からは法律との絡みでなどということをおっしゃる向きもあるようですけれども、何といってもずっとやってきたわけですからね。先ほど来、私が主張しますように、やはり生産者の意欲をそぐようなことをやられたのでは、ますます米づくりに対する意欲もなくなってしまう。この米価の問題でこうやって下げ傾向がずっと続く中で、さらにそういうところまで財政的な措置もなくなるなんというようなことになると、これは往復びんたみたいなことになってしまうわけですから、決してそういうことのないようにこれからも財政当局と折衝を続けていただきたい、このように思っております。  時間がありませんから、それだけ申し上げて終わりにしたいと思います。ありがとうございました。——いいですか、最後に一言。
  141. 森元光保

    森元説明員 先ほどちょっと自主流通対策費につきましてお答えしたわけでございますが、先生のお話の内容、予約概算金のことも入っていたかと思いますので、ちょっとお答えをさせていただきます。  予約概算金につきましては、政府米の買い入れ代金の一部前払いというような性格で自主流通米になるお米につきましても支払っていたわけでございますが、これは、やはり財政当局等からいろいろ問題があるのではないかという指摘も実は受けておったわけでございます。しかし、農林省といたしましては、予約概算金につきまして、生産者に一定の経済メリットを与えまして、そして適正な集荷を誘導するというようなこともございますし、また支払い時期がちょうど七月から八月ということになりますので、生産農家におきましても資金繰り等の関係から見まして農家経営の安定ということにも貢献することでございますので、六十三年産米におきましては現状維持をするということで対応していきたいと思っております。
  142. 佐々木秀典

    ○佐々木委員 経済的に資するというよりも、そうされないと困るんですよね。だから、今度だけはということではなくて、これからも堅持されるようにぜひやっていただきたいということを主張しておきます。  ありがとうございました。
  143. 大原一三

    大原委員長 鉢呂吉雄君。
  144. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私は、米の市場開放阻止という昨今米価以上の大きな問題になっておりますこの問題について、特にその政治姿勢について、杉浦政務次官を中心に御答弁を求めたいというふうに考えます。  まず最初に、全国各地でこの米問題をめぐる総決起大会、そして七月一日にはあの東京ドームで五万人規模の大集会が持たれたわけであります。私も北海道におりまして、この六月に十六町村を米問題だけで回ってきましたけれども、農家の皆さん、あるいは一部消費者の皆さんも含めてですけれども、政治に対する不信感が大変極度に達していると言わざるを得ないような状況でございました。  また、北海道はこの七月一日以降約千名に上る上京団を組織いたしまして、そのうち二百名は連日にわたり、農水省を初め外務省、首相官邸はもちろんでございますけれども、通産省あるいは経団連、日経連等々に要請を繰り返しております。特にそのうちの七名については、組織委員長を筆頭としてハンガーストライキを六時間余りにわたって行う、やむにやまれぬ行為だということで農家の皆さんは行っておるわけでありまして、こういった六月以降の農家動き、この間の大会あるいはこういう動きについて、政務次官としてどういうお考えをするのか、率直にお伺いをいたしたいというふうに思います。
  145. 杉浦正健

    ○杉浦説明員 私は、立場上集会に参加させていただくことはできませんでしたけれども、私も大臣も、あるいは農水省の関係者も、集まられた方々の気持ちは十分体していろいろ対処をしておることに変わりはないと申し上げられると思います。
  146. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 午前中の大臣の発言にもありましたけれども、あるいは同僚の日野理事からの御質問もありました。今、この問題で一番日本で問われておるのは国内の国論の統一であると思うわけであります。しかしながら、この一カ月を見ますと、特に政府・与党、これは議院内閣制では一体であります。先ほど近藤大臣は、内閣についてはそのとおりやっていくというような発言をしましたけれども、この間の、特に与党の金丸元副総理を初めとする米の部分開放発言は、単にマスコミが増幅をして報道しておるのではなくて、明らかにそのとおりテレビでも報道されておるように、アメリカあっての日本だ、米で部分開放するのは当たり前かのような発言をしておるわけであります。  私は、海部首相が言うように、自民党は自由に意見を述べる党でありますから、派閥の長が言ってもそれはそれで済むのかもわかりませんけれども、昨年二月の選挙公約あるいは国会の三度にわたる決議を踏まえれば、政治家一人一人がこのガット問題に対するきちんとした姿勢を今問われておると考えるわけであります。特に、自民党の総務会長であります西岡武夫氏が盛んに米の部分開放を唱えております。七月二日のエコノミストによっても、長文の対談の中でそのような発言を繰り返しておりますけれども、政府・与党一体の中で、議院内閣制をとる中で、農水省としてこれをどのように受けとめ、内部でこのような発言に対してどのように厳正なる対処をしてきたのか、そのことをまずもってお伺いをいたしたいと思います。
  147. 杉浦正健

    ○杉浦説明員 個人的なことを申して恐縮でございますが、私自身は米の自給論者であることにおいて人後に落ちないと考えておる一人でございますし、また、農産物の輸入額が三百億ドル、林産、水産まで含めますと五百億ドルも輸入をしておる輸入大国であります。一面、日本の農林……(鉢呂委員「時間がないので私の質問に対して、十五分しかなくなっちゃうんだから、この発言に対してどういう対処をしたかということ」と呼ぶ)大いに競争力を高めていかなければいかぬと考えている一人でありますが、もちろん御指摘の点は、政府・与党一体となってガット・ウルグアイ・ラウンドに臨まなければならない。ヨーロッパもアメリカもそれぞれ国益を背負って全力投球しておるわけでありますので、我が国としても日本の国益を害さないように、日本の稲作農業の将来にかかわる重大問題でありますので、腰を据えてやっていかなければならない。個々の人、国内でも野党の間でもいろいろ意見があることは承知しておりますけれども、農水省、政府・与党としては腰を据えて臨んでいかなければならないと考えておりますし、そういうふうに進んでおると思っております。
  148. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 言葉で幾ら腰を据えると言っても、これは国民の皆さんが見ているわけですから、私の質問にちゃんと答えてください。農水省として、政府・与党一体と言うのであれば、この間のものに対して内部でどのような調整をし、毅然たる態度をとってきたのか、その姿がちゃんと見えなかったら、国民はもう不信感を増幅していますよ。これは政務次官として答えてください。
  149. 杉浦正健

    ○杉浦説明員 個人的な発言は別といたしまして、自由民主党としての方針、党の農林部会を初めとする党の正規の機関では、一致して毅然たる方針のもとに臨んでおることは御理解いただきたいと存じます。
  150. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 個人と党を分けたようでありますけれども、私は、党の責任のない方が言うのであればいいのです。総務会長は自民党の三役ですよ。別の意味で今辞任を迫られておるようですけれども、私は、この問題でもっときちんとした態度をとるべきであると考えます。——応援もいただいたのですけれども、さらに、この農水委員会に海部首相も呼ぶようにというお話も実はしてあったのですけれども、なかなか出てこられないということであります。  これも政務次官にお話をお伺いしたいのですが、海部首相は五月二十八日のエコノミストの「戦後日米首脳会談」という、対談を回想して、「コメは今年中には解決に向かう」という表題で雑誌に出ております。これは海部首相が直接述べたことが文章化されております。そこで、私、少し読ませていただきます。  これは最後の方でありますけれども、「僕は担当閣僚には、日本の原則は守らなきゃならない、しかし、多角的自由貿易体制をうちこわすわけにもいかない、そこで共通の認識を得るように努力し なさいと言っている。」少し間を置きますけれども、「しかし、共通の認識を得て、ECのほうも可変課徴金をこうする、米国も九〇年度の農業法案は変えていく、そういう努力のなかで日本も国内を説得しながらやっていこうと。」こういう言い方をしておるわけです。その後、「いろいろな方法があるから、解決するために努力する。おそらく今年中には多角的自由貿易体制の中できちんとされていく。また、しなければならないと考えている。」こう述べておるのですけれども、これに対して政務次官はどのようにお考えになりますか。
  151. 川合淳二

    ○川合説明員 私の方から、まず事実関係についてお話し申し上げたいと思います。  確かにそういう箇所もございますけれども、全体で読んでいただきますと、総理がこのエコノミストでおっしゃっておられるのは、各国ともに非常に難しい問題がある、それをガットの中でそれぞれ俎上に上げて議論するということを言っておりまして、そこで日本がどうするか。こういう中で日本の方から何かやるというようなことを言っているわけではないというふうに私はこれは読んでおります。  御承知のようにECの課徴金があり、アメリカも農業法案、この農業法案を変えていくといっても、御承知のようにアメリカの農業法案は、九〇年法案はかなり逆の方向のものもあるわけでございます。そういういろいろな中でやっていくということでございますので、「国内を説得しながらやっていこう」というこの箇所だけを取り上げられておっしゃられるとそういうような解釈もあろうかと思いますが、全体としては今私どもが主張している農業の難しい問題、各国の抱えた難しい問題をガット・ウルグアイ・ラウンドで議論していくということをおっしゃっているというふうにお読みいただきたいと思っております。
  152. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大変時間がないので本当にもう論議できないのですけれども、私はそうは読まないわけであります。特に重大なのは、従来の、海部首相が国会答弁で行っております、国内で完全自給をしていく、その原則は変わらないというふうに盛んに言っております。  しかし、ここで述べております、あるいはまた別のところでも言っておるのは、これは局長に聞きたいのですけれども、ECの可変課徴金あるいはアメリカのウェーバーと、これを互いに譲り合いながら結論を出していくというような言い方をこの場でもしておるわけですけれども、このことは、可変課徴金なりウェーバーは、日本の基礎的な食糧の安全保障とは別の次元のことであります。別の次元ということは、平成元年四月のガット・ウルグアイ・ラウンドの貿易委員会の中間合意においても、あの中間合意した時点では、ウェーバーとか可変課徴金等の輸入アクセスについては、これは見直しをしていかなければならない。別の項目を使って、日本が言っているようないわゆる非貿易的な関心事については、そういうものについて食糧の安全保障のような参加国の関心事については考慮が払われるというふうに述べておるわけでありまして、私が言いたいのは、ECとかアメリカのウェーバー、可変課徴金とは、日本の食糧安全保障論は別次元のことであって、EC、アメリカが譲れば日本の米問題は譲らなければならない、そういうことではないということについて、局長はどういうふうに認識していますか。
  153. 川合淳二

    ○川合説明員 今の点でございますが、私どもは一方が譲ったらこちらも譲らなければいけないというふうにこの問題をとらえているわけではございません。すべての非関税措置を俎上に上げて議論しようということになっておりますので、そういう意味では各国の抱えているそうした困難な問題を協議するということになっておりますが、大臣がたびたび申し上げておりますように、米に関する問題は格別の重要性があるということでございますので、今先生がおっしゃったような、譲れば譲るというような脈絡の中で私どもは考えているわけではございません。
  154. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 局長の考えはそういうことで私も聞いています。ただし、首相官邸、あるいは海部首相自体は常々そういう発言を最近になってしております。これは従来の政府の統一見解とも違いますし、一歩踏み出したものというふうに思わざるを得ません。  それはなぜかといいますと、ECの可変課徴金なりアメリカのウェーパーが譲れば日本も譲らなければならないかの発言をしておるわけです。先ほど言ったように、ここでも言っております。九〇年農業法と言っていますけれども、同じたぐいのことであります。私は、そういった意味ではもとに返ってきちんとして、輸入アクセスの問題は、これは別です、それ以外に基礎的な食糧の安全保障というのは、中間合意でもうたわれておるわけでありますから、そういった形できちんとしていただきたいというふうに考えるところであります。  時間がもう終了したという通告が来ましたので、もう一点だけ最後にお伺いします。  午前中にもお話ありました、アメリカのイーグルバーガー国務副長官が大使館を通じたメモを塩飽審議官のところに置いていったというふうに近藤大臣は言いました。メモのような形で伝えられたというイーグルバーガー国務副長官のこのものについて、農水省はどういう取り扱いをし、そしてどういう考えを持っておるのか、またその内容についてお伺いをいたしたいというふうに考えます。
  155. 川合淳二

    ○川合説明員 最初に触れられました総理の御発言の件でございますが、総理は、先ほど私が申し上げました各国の抱えておる問題をすべてウルグアイ・ラウンドで協議するということを申しているにとどまってというのですか、それにすぎないわけでありまして、決して、譲れば譲るというようなことをおっしゃっているわけではございません。それが証拠には、我が国の持つ米の格別の重要性ということを特につけ加えて言っているわけでございますので、今御指摘のような点は私はないというふうに考えておりますし、午前中も大臣からお話し申し上げておりますように、この問題についての政府基本的な方針はいささかも変わっていないということと考えております。  それから文書の点でございますが、これは先ほど大臣からもお話し申し上げましたように、大使館の担当者が私どもの担当者に伝えてきたということでございまして、その中で言っておりますことは、アメリカが望んでいるのは部分的なアクセスの問題ではない、関税化であるということを言っているわけでございますが、これは従来アメリカがガットの場で主張しております、すべての非関税措置を関税化するということを改めて主張しているということでございまして、当然のことながらこれは私ども受け入れられない問題でございますので、私どもは事新しいことを言っているのではない、アメリカにとって当然の主張を言っているというふうに受けとめておりまして、これについては私どもは到底受け入れられる主張ではないというふうに考えております。
  156. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間が来ましたからこれで発言を終わりますけれども、問題は、従来からのアメリカの発言ということとは異なって、アメリカは日本の国内の部分開放論をとらえて、部分開放論、改革を行うことの用意があることを表明することに水を差すものではない、これを歓迎する、しかし、それでは全然話にならない、関税化、いわゆる完全自由化だということを強く言っておるわけであります。  したがって、マスコミ等も、最近のマスコミの発言は、部分開放ではだめだということがわかったわけですから、完全自由化になれば日本農業はつぶれるかの発言を最近し始めました。あるいは財界も言葉を慎むように若干なっております、もちろん農家のいろいろな反発があったことは事実でありますけれども。私は、そういった意味では国内の世論をきちんと統一をして対処することの重要性は今も変わらない、むしろ重要性は増したというふうに思うわけであります。公明党さんも、農業新聞によりますと二見政審会長は、いや、そうではない、一緒にやるつもりだという発言をしておりますから、自民党は与党でありますから、もっと毅然たる態度で、内部をきちんと整理をして、政府を支援する態度でやっていただきたい、このことを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
  157. 大原一三

    大原委員長 藤原房雄君。
  158. 藤原房雄

    ○藤原委員 きょう非常に貴重な時間、そしてまた衆参一日でこの問題が討議されるということであります。米価決定ということは、農民にとりましては一年間の働いた対価というものがこれで決定するという非常に重要な意義を持っております。それだけに、農家の方々につきましては、今後の農政のあり方、それからまた一年間の今後の暮らし向きとともに営農方針、いろいろなことに大きな意義を持つ、こういうことだろうと思います。きょう午前中から同僚委員からいろいろな問題について御提起がございましたが、私も二、三の問題についてぜひこの際お話をしておきたいし、また意見を求めておきたい、こう思うのでございます。  これは同僚委員からもお話がございましたが、米価審議会というものが一体どういう役割を担い、またそこの果たす役割とともに、時代時代の中でいろいろな対応というのはあるわけでありますけれども、それにいたしましても、やはり農家の方々、そしてまた国民の方々に納得のいく形で運営されなければならない、こういうことも今日まで随分議論になってきたところであります。  きょうも何点かの問題がございましたが、この六月二十八日に米価審議会で、「意見のとりまとめ」ということで、いろいろな意見のありましたことをまとめております。  一つは生産者米価算定方式ということで、全委員が一致した意見になるということは望ましいことだろうとは思いますが、限られた時間の中でありますから、そこまでのことはなかなかでき得ないのかもしれません。しかし、これはやはり時間が足りないのであるが、また、資料やいろいろなことでの論議の中である方向性を全員一致で見出すということが何といっても望ましいことだろうと思うわけであります。こういうことについて、まず審議会の運営の方法、運営のあり方ということについて、ひとつお尋ねしておきたいと思います。  この「とりまとめ」の中にございますが、生産者米価算定方式につきまして、生産者の立場からは当然、「生産者の経営努力が報われないので賛成しがたい」、このたびの地域性を加味いたしました算定方式について、生産性の高い者に偏る、こういう方向で賛成しがたいという意見が添えられておるわけであります。この方式は、昨年一・五ヘクタール層でやるということからこの方式になったわけでありますが、そのときにもいろいろな議論がございました。そういう中で、各地域ごと生産性の高いところを定めてということですからそれなりの理由はあったろうと思うのでありますけれども、しかし経営努力というものが、どういう形でそれが報われるのかということになりますと、そういう視点から見ますと、この方式というのは非常に問題点があるのではないか、こういう指摘もあったわけであります。去年は、これは来年まで、ことしの米価審議会までの間に検討するということになっておったわけですが、どういう検討をして再び同じ方式でやることになったのか、この辺のことについて簡単にひとつお聞きしておきます。
  159. 森元光保

    森元説明員 米価算定方式につきましては、農政審議会でいろいろ御議論をいただきまして、ことしの四月に米価審議会委員懇談会を開いていただき、そこでもいろいろ御議論を賜りました。また、六月二十七、二十八日の米価審議会におきましてもかなりいろいろ幅広く御検討をいただいたわけでございます。  昨年、私ども地域方式につきまして算定をいたしました際に、米価審議会の方からも、米価算定対象となる担い手のとらえ方の問題、あるいは稲作地域性に配慮しているという点については評価ができるけれども、将来展望がどうもはっきりしないのではないかというような御意見もあったわけでございます。  私どもいろいろ、その後検討いたしまして、そして担い手のとらえ方につきましては、大規模農家とともに生産組織に参加をしたり、あるいは農作業を委託する等によりまして大変高い生産性を実現をしている小規模農家もこの算定対象の中にかなり入っているということがはっきりしたわけでございます。  また、そういった小規模農家の中におきましても、例えば複合経営をやっておりまして、そして複合経営の中で稲作部門は他の中核的担い手に委託をしているというような形でもって、全体としてはかなり高い生産性を上げているというような実態もございましたものですから、そういったような状況を農政審議会にいろいろ御説明をいたしまして、今回「意見のとりまとめ」ということで大方の御了解をいただいた、かようになっておるわけでございます。
  160. 藤原房雄

    ○藤原委員 二番目に、大方の委員からは、「当面暫定的に採用することはやむを得ない」という意見があったということですが、生産者委員というのは代表者の方は数少ないわけですから、大方の意見というのはそういうことに集約されたのだろうと思うのであります。  ただ、この中でも、今御答弁の中にもございましたが、「担い手に焦点を当てるという観点からみて不明確であり、問題があるという意見が多かった。」というふうに記述されてまとめの中にもございます。  さらにまた、地域性を考慮することは妥当であるとの意見と、それから〇・五ヘクタール未満農家まで算定対象とすることは問題があるという意見もあったということが記されておりますが、こういうことがあったということだけでなくて、これは来年までまた検討せよということにもなっていると聞いておりますけれども、去年も提起があり、今年もまたこれらのことについての提起があるようでございます。そういうこと等で、これは本来の米価算定方式ということにつきましての大事な問題でありますから、あらゆる角度からひとつ御検討いただき、各委員の方々がそれぞれ納得のいくような方向性というものをぜひ見出していただきたいものだと思うのであります。  この中に、(3)で、「諮問方式は種々問題があるので、速やかに再検討」すべし、こうあります。「意見のとりまとめ」でこういう意見があったということですが、これは具体的には、いつまで、何を、どうなさる、そしてどういう形で進められるのか。これは現在もうそういう方向性が出ていればお聞きしたいし、今後また、いろいろどういう場で今後のことについては検討なさるのか。そういう点についてお聞きしておきます。
  161. 森元光保

    森元説明員 米価審議会でお取りまとめいただきました「意見のとりまとめ」の中に、「諮問方式は種々問題があるので、速やかに再検討すべきである。」ということがございます。私ども、こういった「意見のとりまとめ」をいただいておりますので、また米価審議会の方とも十分御相談をさせていただきまして対応していきたいというふうに思っております。とりあえず現在どうするかということをここで申し上げる状況にはございません。
  162. 藤原房雄

    ○藤原委員 今後開かれる米価審議会で検討するということですか。具体的にちょっと言ってくださいよ。
  163. 森元光保

    森元説明員 本日、平成年産米価について御議論いただいておりますので、これが終わりまして、また米価審議会の会長さん等いろいろ御相談をしながら、米価審議会の場合は懇談会という形も時々とってやっておりますので、そういったような中でまた御議論をいただくということだと思っております。
  164. 藤原房雄

    ○藤原委員 二番目として、本年の生産者米価決定に当たっての留意すべき事項として、「生産者の立場に立つ委員は、物価賃金等の上昇、将来に対する農家の不安の払拭等の見地から生産者が納得できる価格とすべきであるとの意見であった。」こういうことが記されております。  現在の方式で、五十一年産と現在の生産者米価と同じだと言われるわけでありますが、このたびの算定方式によりまして価格がはじき出されまして、一万九千七百六円ですか、これは五十一年当時の状況ではじいたらどんなふうになるのか、本当に私ども興味のあることだろうと思います。今その数値を出せとは言いませんが、物価上昇、それから賃金、すべて何十%、何百%になっておる。こういう状況の中で、経済情勢とか政治情勢とかいろいろなことがあることは我々も十分承知いたしておりますけれども、こういう現況の中で本当に農家の方々が意欲を持って農業に取り組める状況であるかどうかということを、これは非常に感覚的な言い方かもしれませんけれども、農林省としましてはどうお考えになっていらっしゃるのか、数字ではじいたんだからそれ以上ないんだというそんな顔をしていますけれども、それじゃちょっとすげない話だと思うので、ちょっとお聞きしておきます。
  165. 森元光保

    森元説明員 元年産米価算定当たりまして、実は米価審議会の小委員会から一・五ヘクタール以上の農家対象農家として算定をするという方式が示されたわけでございます。我々新算定方式と呼んでおりますけれども、そういった算定方式を採用いたします場合には、平均的な規模が非常に大き過ぎるとかあるいは地域の実態が必ずしも反映されてない、あるいは小さな零細農家が切り捨てになるのではないかというようなお話がございましたので、私どもそういった意見を踏まえまして、何かそういった意見に対応するような新しい算定方式をいろいろ検討してまいったわけでございます。  したがいまして、単純に規模の点で切りますと、それ以下の規模農家でありましても稲作に対しまして大変生産意欲を持って農業に取り組んでおる方もあるわけでございます。そういう農家は恐らく生産費もかなり安い、コスト節減ということをやっておるわけでございまして、そういうようなことで今回の地域算定方式につきましては、それぞれの地域の実態ができるだけ反映するような、しかもまた単に規模だけで将来の担い手というものを判断をするのではなくて、意欲のある農家というものが算定対象農家として入ってくるというような考え方でもってこの地域算定方式を採用させていただいたということでございまして、必ずしも今先生がおっしゃったような算定方式を用いることによって、いわゆる意欲のある担い手がなくなるのではないかということについては、私どもそういうふうな状況ではないのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
  166. 藤原房雄

    ○藤原委員 先ほど政務次官からいろいろな地元のお話がございましたが、農家も大変創意工夫をして一生懸命やっておるぞ、三十町、四十町を目指してやっておるんだというお話でございますが、先ほども一生懸命お話しするせいか熱意の余りか、私どもそこに達しない農家は少し工夫が足りないぞというふうに聞き取れないわけでもなかったのでありますが、それは立地条件とかそれから家族労働の状況とか気候条件の違いとか、農業というのは同じ場所で同じ条件で同じ作業をするわけじゃございませんし、そういう異なった中でのことですから、だれかが成功したからといって同じことをして同じようになるということでは決してないだろうと思います。ですから、それぞれ自分の立場で自分の地域での創意工夫、人のまねだけではならない、そういう非常に難しさがあるという一面があるのだろうと私は思うのです。  そういうことからいいまして、生産者の立場からの物価賃金等の上昇云々ということと、もう一つ、また別な委員の方からは、構造改善とか需給均衡とか内外価格差の是正とかに資するような見地に立った価格にすべきだという意見があったというのですが、これは当然のことだろうと思います。米価決定ということと、それに伴います農政、将来に展望の持てるその周辺部分との整合性というものがどうしても相まっていかなければならないということをこれは如実に物語っているのだろうと思います。こういう構造改善とか需給均衡とか云々のことにつきまして、こういう意見があったということだけで、ここに「意見のとりまとめ」で書いているだけじゃなくて、今後やはり具体的にこれらの問題についても御検討いただくのだと思いますし、また予算措置のできることは予算の措置をするような検討もしなければならぬだろうと思うのですが、政務次官、ひとつこれは政治的な御判断でこれらのことについても十分な配慮をお願いしておきたいものだと思うのですが、いかがでしょう。
  167. 安橋隆雄

    安橋説明員 先生御指摘のように、稲作振興というのは価格政策も重要でございますが、逆に申しますと、価格政策だけで稲作振興ということにはなり得ませんわけでございまして、そのような意味で生産対策、基盤整備でございますとか機械化の推進でございますとか、あるいは経営規模の拡大によります生産コストの低減、あるいはカントリーエレベーターその他の生産調製施設を充実することによりまして、コスト削減、あるいは品質の向上といったものも重要でございますし、また日本人の好みに合いました良質の米を生産するための優良品種の開発、普及、あるいは先進的技術の開発といったものも同時に重要でございまして、私ども現在、平成四年度の予算編成期に入っておりまして、そういった対策を今後一層充実強化していくための予算づけについて検討をしておりまして、夏の末の段階で財政当局の方に要求していきたい、このように考えているところでございます。
  168. 藤原房雄

    ○藤原委員 いずれにしましても、このたびの算定方式については、これから米価審議会でもいろんな意見があって速やかに再検討するという、「速やかに」という言葉が入っているのですが、検討しようということであります。このたびの算定方式につきましては、対象農家とり方としまして、実際コストの償える農家というのは農家戸数の全体の一三%であり、販売数量農家の戸数からしまして二七%ということからしますと、食糧管理法、法律にのっとって米価というのは決定すべきことになっているわけでありますけれども、これらのことからいたしましても非常に大きな乖離があるのではないか、こういうことで、米価審議会のあり方、算定方式のあり方、現実に即した形でぜひひとつ御検討をしっかりしていただきたい。これはぜひひとつ政務次官に御答弁いただきたいと思います。
  169. 杉浦正健

    ○杉浦説明員 御趣旨の点、十分体しまして、きちっと対応してまいりたいと思っております。
  170. 藤原房雄

    ○藤原委員 予約概算金のことや自主流通対策費、これらのこともきょう午前中随分議論がございまして答弁がございましたから、これはまた省きますが、さて私どもは、国際情勢の中でどういう推移になるか、私どもも非常に危惧を抱いておりますが、何といっても国内対策をしっかり確立することが大事なことであり、この国内対策の強化ということについて、わずかの時間しかございませんが、二、三点申し上げておきたいと思います。  農林省は、皆さん方の立場もございまして先ほど来のようないろんな答弁をなさるわけでございますけれども、答弁は答弁でこの場のことですが、現実農家の方々は大変な御苦労をいただいていることは、数字やいろいろなことの中でよく御存じのことだと思います。  口を開けば農林省の皆さんは、生産性の高い稲作の担い手となる農家生産組織集団を一生懸命育成していくんだ、こういうことを一生懸命おっしゃるわけでありますが、生産性の高い稲作とか規模を拡大するとか、こういうことにつきまして最も理想的な条件にあると言われております北海道の状況等について、これもデータ等でよく御存じのことだと思うのでありますが、「平成元年北海道離農実態調査結果」というのがあるのです。去年の十二月にまとめたものですが、平成元年の北海道の離農戸数というのは千六百戸ございまして、それでこの処分した面積が一万六百四十五ヘクタールということで、一戸当たりの面積が六・六ヘクタール、これは畑作も含めてですが、畑作は四百二十五戸で二六・五%、水田、稲作の方が九百四十二戸で五八・八%、六割近い離農はやはり稲作なんですね。北海道で五ヘクタール未満の小規模層の離農戸数が六割を占めておるということですが、しかし規模が大きかったらいいのかというと、二十ヘクタール以上でも八十二戸、五・一%離農している。こういう実態を見ますと、五ヘクタール未満が六一・七%、五ヘクタールから十ヘクタールが三百六十四戸で二二・七%、十から二十へクタールが百六十七戸で一〇・四%という、必ずしも大きい規模で、努力をしながら後継者がいないとかいろいろな理由で離農せざるを得ないという方々も非常に多い、こういう実態が明確になっているわけであります。  しかも世帯主の年齢別に見ますと、離農なさった方々、三十九歳以下は確かに五・一%、低いのですが、六十歳以上の方々が千二十戸で六三・七%という非常に高齢化しておるという。  離農の事由という、どういう理由で離農なさったかというと、後継者問題が七百戸で四三・七%、労働力不足が四百七十戸で二九・三%、三割ですね。昔は町の人に農繁期のとき、忙しいときにはお手伝いいただくということですが、最近はスーパーとかそういうところにはいらっしゃっても、農家のきつい仕事、三Kの仕事にはなかなか来ていただけない、こういう実態にあるというふうにデータは出ております。それから負債問題で離農なさった方々が三百三戸で一八・九%、将来に不安を持ってという方も百二十九戸で八・一%いらっしゃる。こういうことを見ますと、そのほかいろいろございますけれども、一時期離農者が非常に少なくなった時期もございますが、最近まただんだん将来の不安や後継者問題とか労働力不足、こういうことで、せっかく大きな規模にして理想を描きながら頑張っておりましたものがどうしても行き詰まったという方が多いようであります。  その証拠としまして、離農後の居住地というのは、他町村へ行くよりもやはり同じ町村にいらっしゃる方が千三百六十九戸で八五・五%ということであり、また売買なさる方と賃貸借、お貸しになる方と大体半々ぐらい、こんな状況等を見ますと、やはりこの経営が成り立たぬということだろうと思います。  こういう実態をつぶさに見ますと、しかもこの北海道の最も米どころであります空知、上川、こういうところに離農者が非常に多い。空知が二八・五%、上川が二四・三%というこんな状況になっておりまして、畑作はいろいろな輪作体系がございますから、そういう中で非常に工夫してやっていらっしゃる面もあるのですけれども、稲作の場合は北海道では半分減反をしなければならぬ。その半分の減反のために農機具や何かいろいろな施設、資材を買わなければならぬ、こういうことでどうしても負債額、そしてまた人手が続かない、こういう実態をこれらの数字が示していると思うのです。  理想的な、生産性を上げて規模を拡大してという、こういう意欲に燃えてやっております北海道の稲作農家が今大変に行き詰まっておるという現実を、農林省としましては御存じになっていらっしゃるのか、またどう受けとめていらっしゃるのか。北海道でこういう稲作農家が本当に意欲を持ってやれないようですと、日本の農業というのはどういうことになるのか。このことについて私は非常に危惧を抱いておるものの一人であります。  それから、最近は耕作放棄地というのが非常にふえておるということも、これは全国的なことでありますけれども、皆さん方よく御存じのことだろうと思います、詳しいことは一々申し上げる時間もございませんが。きれいごとを言っている反面、非常に苦労しながら努力なさり、そしてまたそれを克服するために努力していらっしゃりながら、その努力で克服し得ない足かせ手かせの中での現状で離農しなければならない方々が多くいらっしゃることも決して忘れてはならぬ、こういうようなことにつきまして、農林省としましてはどう受けとめて、今後のことについてのお考えがありましたら、ぜひお聞きしたいと思うのです。
  171. 杉浦正健

    ○杉浦説明員 北海道の農業事情をちょっと十分存じ上げませんので、見当外れのお答えになるかもしれませんですけれども、先ほど申しました私の地元の場合には働き場所が、相当工業の発達した地域でありますので、あったということ。それから、恐らく北海道と比べますと地理、気候条件等いろいろな面で恵まれておったということ。それから、基盤整備の先進地域でございまして、大型圃場整備というのが割合早い時期から進んだといったような条件に恵まれて、ほかの地域に比べますと集積が割合進んでおる、しかもいわゆる離農された方々も働き場所があるということで、比較的スムーズにいったということがあるのではないかと思います。  大規模化、集積をするためには、今働いている方、十戸あるところを例えば五戸に集約しなければならない、あとの五戸の方の仕事をどうするかという問題が起こるのはもう当然のことでございまして、そういった面で、大規模化を図っていく政策をとっておるわけです。そういう意味で、離農されていく方々が困らないような政策を国全体としてとっていかなければいけないと思うわけでございますが、北海道のことはまた藤原先生にいろいろお教えいただきまして、私は私なりに、省としても対応していかなければいかぬというふうに思っております。
  172. 藤原房雄

    ○藤原委員 もう時間もございませんから最後になりますが、謙遜してそうおっしゃっているのだろうと思いますが、この実態等、集積したくても本当に大規模化、そしてまた皆さんの大きな声で唱えていらっしゃる生産性向上ができる条件にある、それが生かされない、こういうことに対しましてぜひひとつ御配慮いただきたいものだと思いますし、これは各農家によりましてはいろいろな問題があろうかと思いますが、農家の方々が一番言うのは、規模拡大しましてもその半分は減反しなければならぬということでありますから、どうしても生産性は上がらない。畑作は輪作体系をとってしなければなりませんから、同じところに同じものを毎年植えるわけにいきません。しかも作物ごとの作付指標によって制約を受ける、足かせ手かせの中で生産性はだんだん落ちていく、こういう現況の中にあるわけであります。  転作面積の「配分要素」というのがございますけれども、北海道が転作がなくなったらどうするんだなどというそんなことは別にしまして、ぜひひとつこれは、水田農業確立対策の中で十項目ぐらい、これは転作面積の「配分要素」というのがありますけれども、これらの一つ一つ、「稲作生産性」とか「担い手のウェイト」とかいろいろな項目を見ますと、かつてはそういうことになったのかもしれませんが、最近はほとんどそう違わない条件の中になりつつある、こういう実態等、そしてまた理想的な生産性の上がる、規模拡大のできている条件の中で、それを生かさないで手かせ足かせで殺してしまうようなことでは、これは本当に農業を守るという農林省のやる政策ではないのではないか、こう声を大にして言わざるを得ないと思います。  また、第三次の土地改良長期計画の進捗状況を見ましても非常に低い。これはいろいろなことがあったことは我々もよく存じておりますけれども、そして、これも金融対策や平準化とかいろいろなことでなさっておりますけれども、やはり生産基盤というのは一番大事なことでありますし、我々も国内対策のこれらの問題をしっかりしなければいかぬ、こういう気持ちで今日までも訴え続けてきたところでありますが、これは国際環境がどうあろうと国内対策を着実に、農業のこの進捗というのは、進捗というか改良、改善というのは五年や三年でできるわけじゃありませんから、長期の計画にのっとって着実に進めていかなければならぬ、こういうことをぜひひとつお進めいただきたい。  そういうことで最近農林省も、新しい食料、農業、農村政策に関する検討ということでいろいろなさっているようでありますが、来年の四月にならなければできないということでありますけれども、かくかくしかじか将来はこうなります、何年たったらこうなりますよ、こういうことですから頑張ってくださいということで、米価も少し下がるかもしれないけれども将来はこうだという、こういうビジョンをきちっとなさる、そうした上でのことならいいのですけれども、下がる方はどんどん下げていく、先になればどうなるのかさっぱりわからぬ、こういうことでは暗中模索、暗やみの中を歩くみたいなもので相ならぬと思います。  立てた計画も国際情勢や経済情勢が非常に大きく変動しておりますからすぐ改善しなければならぬ、こういう状況にあることは私どもよくわかりますけれども、しかし、やはり苦労が報われるようなそういう御努力をぜひひとつしていただきたい。そうでなければ、算定方式で数字がしょっちゅういろいろこねくり回して変えられるだけで、将来に何がどうなるのか、何が残るのか、こういうことの明確でないことにはやはり後継者というのは、若い人たちというのはついてこれぬのではないか、こう思えてならないのであります。ぜひひとつこれを、農林省も本腰を入れて将来性についてしっかりと検討しようというプロジェクトをつくるということでありますが、ここで御審議をいただきまして、農民にひとつ希望を与えていただきたいものだ、具体的なことについてもしっかりひとつ御相談をいただきたいものだ、このことを強く要望しておきたいと思うのであります。  政務次官から、最後に決意のほどをひとつお伺いして、終わりたいと思います。
  173. 杉浦正健

    ○杉浦説明員 藤原先生の御高説を拝聴いたしまして、これから農水省としても来春に向けていろいろな検討に入るわけでありますが、大いに参考にさせていただきたいと思っております。  特に構造改善事業、土地改良が大事だ、大いに推進すべしという御意見ございましたが、そのとおりでございまして、農水省も、大規模化あるいは生産性の向上、大土地利用型農業におきましては、基盤の整備はその根幹、基礎でございますので、現在も全力を挙げて進めておりますし、二十一世紀型モデルというような事業も本年度発足させまして今後とも重点的にやっていこうと思っておりますので、また御叱正、御推進を賜りますようにお願い申し上げる次第でございます。
  174. 藤原房雄

    ○藤原委員 以上で終わります。
  175. 大原一三

  176. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 日本共産党は、昨年に引き続いて北海道、東北等の米の主産地を調査してまいりました。そこで私どもがひしひしと感じたことは、米生産が今音を立てて崩れつつあるということです。  そういう中で、政府が今回米価をさらに〇・六五%引き下げる諮問をしたわけですが、私は断固抗議をしておきたいと思います。一体これで政府稲作農家がやっていけるとまじめに考えていらっしゃるのかどうか。  政務次官、六十キロで一万六千五百円、昨年の価格です。十アールで大体十四、五万、四ヘクタール耕して五百万から六百万、トラクター、コンバイン、田植え機など一台三百万、耐用年数五年と見て、その償還だけで年百八十万、それに肥料、農薬、土地改良負担費、借地料などを入れていきますと、四ヘクタール耕しても手取りは幾ら残ると思われますか。およそこれで生産意欲がわくとでも思っていらっしゃるのでしょうか。  生産者は高齢化しています。しかも後継者もいない。いないのは当然でしょう。今回発表されました生産費調査の結果を見ましても、家族労働の報酬は全国平均で一日五千八百二十一円、時間給に直すと七百二十八円です。高校生のアルバイトでもこんなもので来てくれる人はこのごろありません。これで若い人が米づくりに生活を託すことができるでしょうか。  しかも米づくりの多くを支えている兼業農家は職場の労働条件が非常に厳しく、仕事を休んで田んぼに出るということに対する理解も得られなくなり、減らされる手取りは農業で賄えなくなったと多くの兼業農家は訴えています。  専業はどうか。新潟県に参りましてまことに驚きました。新潟県下だけではなく全国的に有名な篤農家、二十二ヘクタール以上の大規模農業をやっていらっしゃる方ですが、最近離農されたというわけです。昨年この方にお会いをしたとき、米価の引き下げは規模が大きいほど影響が厳しいんだと言われていました。家族経営の中でぎりぎりの生産に追い込まれ、過労死という言葉が現実の問題になって語られるような状態になっているこの専業農家の実態は、あなた方が考えていらっしゃるほど生易しいものではありません。  政務次官、結局こういうことじゃないでしょうか。政府米価の引き下げは、多くの農民に米生産をやめるか、それともただ働き、赤字生産で我慢をさせるのか、その選択を迫っているのじゃありませんか。米の自由化をしなくても、このままでは国内の生産は崩されていくでしょう。政府の責任で再生産の保障をという食管制度の基本に立って、米生産で人並みに暮らせる米価にするべきだと考えますが、政務次官はいかがお考えでしょう。
  177. 杉浦正健

    ○杉浦説明員 生産者米価につきましては、けさほど来近藤大臣初め政府委員の方から、委員の先生方の御質問に応じて随時御説明してまいったところでございますけれども、今年度産米価算定当たりましても、最近の米価をめぐる諸情勢にかんがみまして、生産性の高い稲作の担い手となる農家生産組織・集団の育成を図らなければいけない、そういった稲作の一層の生産性の向上を図りまして、国民の皆さんからも納得の得られる価格も必要でございますし、また米を安定的に供給していくというような見地も込めまして決定することが重要な課題だということを再三強調されたところでございます。  こういった形に加えて、最近の米の需給事情あるいは一般経済の動向等を勘案しまして、本年度の生産者米価につきましては全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家を、その地域において稲作を実質的に担っている農家であるといたしまして、このような農家生産費基礎として、生産費及び所得補償方式により算定したわけでございます。いわゆる地域方式と言われておりまして、御説明するまでもございませんが、本日米審で御審議いただいておるところでございます。  いずれにしましても、本年産生産者米価につきましては、米価審議会の答申を踏まえまして適正に決定してまいる考えでございます。
  178. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 今、政務次官も諸情勢をかんがみということをおっしゃいました。言いかえたら、米の自由化の圧力をかわしていくために、内外価格差の縮小をずっと政府生産者米価引き下げの口実にしてきた、それを繰り返して言っていらっしゃるんだと思うのです。  しかし、先日のOECDの発表を見ましても、農業保護の措置となっているPSEを下げたのは日本とニュージーランドだけで、中でも日本が大幅に引き下げているのです。ECも、農業の保護撤廃を主張しているアメリカさえもPSEを大きくふやしています。農産物価格の保証は農業所得に直結するものであり、農業保護政策の柱とも言えるもので、その中でも農産物価格保証の中心が米価であります。各国が自国の農業を大切にし、その発展を進めている中で、我が国生産者米価を七六年の水準に逆戻りさせ、その上さらに引き下げていく、そこがわかりません。  この十五年間に物価は五割上がり、労賃は倍加しているのです。それとも農民だけが日本の物価水準と全く別なところで生活をしていらっしゃると思っていらっしゃるのですか。それならそうと答えてください。私は、これではまさに農水省自身が農業と農村と農民を崩壊に導いていっていると言っても言い過ぎではないと思うわけです。だからこそ、米生産で人並みに暮らせる米価になるよう政策を転換するべきだということを言っているわけですが、もう一度明確にお答えください。
  179. 森元光保

    森元説明員 毎年の政府買い入れ米価につきましては、御案内のように、食糧管理法の規定に基づきまして算定をしてきておるわけでございまして、先ほども御答弁申し上げましたように、五十一年の米価水準にはなっておりますけれども、その間もちろん物価あるいは賃金のアップというのはございますが、単収の増とかあるいは労働時間の減少といったような、いわゆる生産性の向上というものもかなり生産農家の努力によって進んできておるわけでございます。  ただ、私ども米価水準を考えます際に、やはり現在国内産で自給していくという基本的な考え方で進めておるわけでございまして、そういう中で、例えば総理府調査等によりましても、消費者の、一般の方々はやはり国内で生産することにつきましては理解を示しておりますけれども、それに加えまして、やはり国内での生産性の向上ということをかなり期待をしておるわけでございまして、そういう面にもこたえていかなければいけないというような状況もあることについて御理解をいただきたいと思っております。
  180. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は理解できないです。  それから、消費者、国民が納得いくような価格の設定をと、私はその物の考え方自体、食管精神に反している、そういうふうに思うのです。食管制度というのは、生産者には再生産に見合う補償を、そして消費者には生活が安定するように、こういう精神でつくられているのです。だからそこに立ち戻れと言っているのです。あなた方の言いぐさでは、まるで消費者と生産者が常に対立の関係にあるかのようなふうに聞こえますけれども、そういう物の考え方はとんでもありません。  しかも、この低米価政策は政府米の集荷にも多くの矛盾をもたらしているでしょう。皆さんが優良一次集荷業者として農林水産大臣賞まで贈ったある農協の組合長は、政府米の価格が引き下げられるなら政府米の集荷は極めて困難になる、こういうふうに私たちにおっしゃいました。現に、現在政府米の比率は三〇%を切ろうとしています。政府はそれが適正な在庫水準だと言っている百万トン、これも九十五万トンというふうに割り込みました。そして、大きな冷害などがあった場合、四年に一度の確率で在庫の危機的水準があるとされている五十万トンを割り込むことも予測されてきています。こうなりますと、正米市場の設置で価格変動が激しくなっている自主流通米の価格の高騰など、国民生活にさらに深刻な打撃を与えていくことは必至であります。  特に、私が心配しますのは、低米価政策と産地間競争の激化の中で、これまでの政府米の産地が、これからは生き残りをかけて品種改良などを行って自主流通米産地に変わり、政府米をつくる産地が激減する可能性があるということです。こういう心配はありませんか。私は、事実その方向に進んでいっていると思うのです。だからこそ、生産者米価を適切に引き上げることは、政府米の集荷をふやし、ひいては食管制度を国民生活に役立つ機能に戻していくためにも大事なことだというふうに考えますが、いかがですか。
  181. 森元光保

    森元説明員 生産者が消費者のニーズに即して良質米への生産転換を進めていくということにつきましては、米の全体の質を向上させていくということで、我々といたしましても大変好ましいことではないかと思っておるわけでございます。  ただ、今先生のお話がありましたように、そういうことであればすべて全部これが政府米から自主流通米にいくのではないかというような御指摘かと思いますけれども、やはり政府米と自主流通米につきましては、何度も申し上げておりますけれども、食糧管理制度の円滑な運営を図っていくためにもバランスのとれた集荷でなければならないと考えておるわけでございます。したがって、在庫水準につきましても従来から、おおむね百万トン程度の在庫は持ちたいというようなことで、集荷の面につきましてもいろいろ努力をしてまいってきております。  平成年産につきましては、百七十七万トンというような集荷になっておりますので、前年産から比較いたしますと約十三万トン程度ふえておるということもございますので、一応我々としては政府米の集荷に歯どめがかかったのではないかと思っておるわけでございます。
  182. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 時間がありませんので大変残念ですが、最後にお伺いしておきたいのは、一つは、予約概算金の撤廃問題です。もう多くは言いません。制度存続のための決意をここで示してください。  もう一つは、幕張メッセの国際食品展で公然と食管法違反をし、最終日にやっと米展示を撤去したアメリカ政府が、在日アメリカ大使館のパーカー公使を通じて、契約が実行できなかったとして主催者の日本能率協会に対し違約金の支払いを強要し、同協会もこれに応じていたわけであります。この点は私もアメリカ大使館に直接確認をいたしました。みずから日本の法律を破り、さらに違約金の支払いを強要するなど、余りにも理不尽なものであり、私は全く許すことはできないというふうに考えます。  農水省としてはこのようなことを御存じであったのか、また、食管法違反であるとしてアメリカ政府に対してけじめをつけさせた農林水産省としてどのような見解をお持ちなのか、明らかにしていただきたいと思います。
  183. 森元光保

    森元説明員 最初の予約概算金の取り扱いでございますけれども、先ほども御説明をいたしましたように、自主流通米、政府米の買い入れ代金の一部前払いとしてお支払いをしているというようなことでございます。  ただ、財政当局等からこれまでもいろいろ指摘があったわけでございますけれども、予約概算金につきましては、生産者に一定の経済メリットを与える、そして適正な集荷を誘導するというようなこともございますし、支払い時期が七月ないし八月ということでございますので、生産農家におきましても資金繰りが必要なときであるということで、これにつきましては平成年産について現状維持ということで対応してまいりたいと思っております。  それから、幕張メッセのお話でございますが、実は昨年もこういった事件がありました。たしか先生からも御質問があったかと思っておるわけでございますけれども、若干いきさつを申し上げまして食糧庁の考え方を申し上げさせていただきたいのですけれども、米の輸入につきましてはやはり食糧管理法に基づきまして基本的には許可が必要になっているわけです。幕張メッセで行われましたフーデックスのようないわゆる市場開発あるいは商業活動を目的とする展示等のための米の輸入につきましては、許可を要するというのが食糧庁の見解でございます。  この点につきましては、昨年の撤去問題等の経緯もございましたので米国側も承知をしていたというふうに我々は考えておるわけでございまして、フーデックスの主催者でございます日本能率協会から、本年は特に出展契約におきまして、米については食品輸入に関する日本の法令で輸入が認められてないものは展示できないということを明記いたしました。当然この契約書には米国側もサインをしておったわけでございます。また、主催者及び食糧庁からも、事前に十分時間を置きまして、関係者に対しまして、米の展示は行わないようにということで文書等で数次にわたりまして申し入れを行ってきた経緯がございます。実際に展示が行われた後におきましても、主催者及び政府から、規則や約束は当然守られるべきであるということで再三申し入れを行ったわけでございまして、その結果、最終日になりましてようやくこれが自主的に撤去されたということになっております。  御指摘の報道につきましては、私ども新聞報道では承知をしておりますけれども、本件はあくまでも契約当事者間の問題でございますので、コメントにつきましては差し控えさせていただきたいと思っております。
  184. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、ただ、これは契約当事者間の問題ではなく、まさに農林水産省、日本政府もかかわった問題だということを一言申し上げて終わります。ありがとうございました。
  185. 大原一三

    大原委員長 小平忠正君。
  186. 小平忠正

    ○小平委員 私からも何点か質問させていただきます。  今までお聞きしておりましたが、やはり私も算定方式に対して疑問を持っておる一人でございます。今回も昨年同様の算定方式、これはいわゆる生産性の高い農家生産費のみを対象にした、そういうことは果たして食管法の三条に抵触しないのか、そういう法的な問題もあると思うのですが、同様に、米審において生産者委員からもいろいろな反発なり強い反対意見も出ているということも聞いております。私は、これについては昨年もこの時期に同じようなことを同じ観点から質問いたしましたけれども、やはり対象となるのは全稲作農家ですから全農家平均値を、そういうことでいくのが妥当ではないか、そんなふうに思うわけであります。  ちなみに、算定方式全国地域ということでうたっておりますね。しかし、その地域地域でそれぞれ事情が違うと思います。例えば北海道は、いわゆる三分の一の減反ということでございますが、五〇%以上、半分以上、そういう減反を強いられている。そういう中で、いろいろ地域によっても実情が違う。そうなれば、生産性の高い、確かにいい言葉だと思います。しかし、これは言うなれば政府側に都合のいい、いい言葉である、こんなふうに私は感じる次第でございます。こういうことがあるがゆえに、やみ米とかこういう正常でない方法での商行為が行われている、そんなふうに私は懸念をしているわけであります。  そういう中で、特に私は、時間もありませんので幾つか絞ってお伺いいたしますけれども、労賃評価、この問題が生産者米価を不当に安くしているという要因で、これが非常に大きな問題ではないかと思います。すなわち、昭和五十六年産生産者米価算定以降、労賃評価がそれまでの全国製造業賃金から、米の販売量に応じ、地方の製造業賃金で加重平均する方式に改められております。  近年、東京圏を中心に人口の都市への集中、さらにはその反面農村地域の過疎化の進行が大きな社会問題になっておりますが、これの是正が大きな政治課題となっているわけです。この過疎過密という両極端のものを同時に進行させている要因にはいろいろありましょうけれども、都市と地方の賃金格差ということも大きな要因ではないか、こんなふうに思うわけであります。  そういう意味で私は、この労賃評価というものに対して、仕事の対価としての評価が、農業にも都市並みに正しく評価される必要があると思うのです。これについて当局の御見解を、明確な御見解をお聞きしたいと思います。
  187. 森元光保

    森元説明員 家族労働費評価がえにつきましては、これまでも都市均衡労賃によって評価がえをしておるわけでございます。ただ、この都市均衡労賃といたしましては、五十六年以降都道府県別販売数量によりまして加重平均をいたしておりまして、事業所規模五人以上千人未満製造業賃金を採用しているということになっております。もしそういう形でなくて、例えば五人以上の全国規模による賃金評価対象にする、評価がえをするということになりますと、現在相当大幅な潜在需給ギャップがある中で、しかも生産者あるいは地方公共団体が一体となって生産調整をしている状況の中で、いろいろ問題が出てくるということも考えられますし、また、東京や大阪などはほとんど米の生産が行われていないという状況の中で、こういうところの、大都市の地域賃金水準が強く影響するというような形での賃金とり方ということにつきましては、どうかというような考え方もございまして、先ほど申し上げましたようにそれぞれの地域の加重平均を使わせていただいている、こういうことでございます。
  188. 小平忠正

    ○小平委員 加重平均を使わせていただいているとおっしゃいますが、そのことはもうわかっております。だから、私はそれではいかぬじゃないかということを申し上げたいのであって、その御説明を聞くのは、もう既にわかっておりますので、私はこういうことが連綿として続いていることが農業に、こういう状況の中でこれが温かい政治だというふうに言えるか、それについて大きな憤りを持っておるものですからお聞きしたわけであります。  先に進ませてもらいます。  次に、政府米の円滑な需給操作に関連をしてお聞きいたしますが、平成二年の米穀年度末、昨年十月末の政府在庫は九十五万トンであったと私は記憶しております。これは、従来政府が適正在庫として百万トンをそういうふうに位置づけていた、このようになっていたわけですが、なぜ昨年そのような結果になったのか、そういう状態になったのか。それは、政府米が予定どおり、基本計画どおり集荷できなかったからだと言えると思います。このために、平成年産米については、集荷増を図るために自主流通米を無理やり政府米に切りかえるという緊急避難的な措置が講ぜられてきた。  そこで、なぜ政府米が予定どおり集まらないのか。それは、政府米と自主流通米には大きな価格差があるからであります。そこで政府は、昨年、価格形成の場を設置して四回にわたって入札取引を行ってきました。その結果は、御承知のように、総体的には前年価格に比べて値下がりをいたしました。一部、北海道、青森産米については値上がり、これは全般的にそういけばまたよろしいのでしょうけれども、そういう差が生じた。こういう中で、総体的には値下がりしている。  そこで、政府米は今後ますます集荷しにくい環境になっていくと思われます。そこで、円滑な集荷を図るためには、政府米の価格を引き上げる等、何らかの措置を講ずる必要があるのではないか、そういう意見も多々出ているわけでありますが、農水省としては、こういう観点から、政府米の円滑な集荷と安定的需給操作を図るために今後どのような方策を考えておられるのか、お伺いをいたします。
  189. 森元光保

    森元説明員 政府米の集荷につきましては、集荷団体それから県等の御協力をいただきまして、いわゆる集荷についての共通の理解を醸成しているというようなことで、今取り組んでおるわけでございます。  いずれにいたしましても、やはり食糧管理制度の円滑な運営を図っていくためには一定の政府米を集荷をしていかなければならないわけでございまして、そういう点につきましては集荷団体等も御理解をいただいておりまして、バランスのとれた集荷対策をこれから積極的に講じていきたいというような協議もしておるわけでございます。  いろいろ優良事例等を参考にいたしました集荷内容についての啓蒙普及とか、あるいは集荷につきましての市町村段階におきますところのいろいろの御協力をいただくとか、さらには集荷につきましての進行管理を徹底するというような形でもって今後取り組んでいかなければならないというふうに思っておるわけでございまして、政府米につきましては、いずれにいたしましても百万トン程度の持ち越し在庫は安定的な供給を図っていくためにも必要ではないかということで、今後ともそういう方向で対応してまいりたいと思っております。
  190. 小平忠正

    ○小平委員 今御答弁ありましたように、ただそういう予定とか方向だけじゃなくて、実際にそうなるようにぜひ御努力をいただきたい、このように強く要請をいたしておきます。  私は幾つか指摘をしてまいったわけですけれども、今、国際化の進展とも関連して、今後我が国農業のあり方について考えていくならば、今の現状の米価水準をいつまでも維持していくことは難しくもあると思います。特に、内外価格差の縮小努力はぜひとも必要であると言えると思います。しかし、問題は米価水準を引き下げる方向についてであります。  現在、生産農家米価の引き下げに強く抵抗しているのは、規模拡大等農業構造の改善が遅々として進まず、あしたへの展望が開けない中で、米価がここでは無理やり引き下げられている。それは先ほど申しましたように、いろんな、言うなれば政府に都合のいい形でそういう試算がされてきている。そこで、私は先ほど午前中の大臣への質問でも申し上げたのでありますけれども、こういう国際化の中で今のあれを改善せんければならぬということは、今申し上げた観点から必要であるということは繰り返して申しているのですけれども、しかしそういう中でやはりどうしても大事なことは、農家にとっては生産者米価というのは、皆さんならいわゆる給料ということで毎年順調に上がっていきます、給料はアップしていきますね。ところが、農家の給料は年々ダウンしていく。けさも大臣に対してそういうことを申し上げたのでありますけれども、私は今の点で、今後担い手の育成ということにも関連して、若い後継者が納得してもらえるような答弁をこの際お聞きしたい、このように思いますので、よろしくお願いします。
  191. 安橋隆雄

    安橋説明員 先生御指摘のように、農業後継者の確保というのは今非常に重要な問題になってまいりました。もう統計を申すまでもなく、非常に、若い農業者が農業につくというケースが残念ながら少なくなってきているわけでございます。しかし、日本の農業を今後とも一億二千万国民の食糧安定供給のもととして発展させていくには、やはり担い手がいなければならないというのはもう御指摘のとおりでございます。  私どもといたしましては、このために、農業構造の改善を初めといたしまして、基盤整備でございますとか、あるいは農村を住みよいところに変えていくという意味での生活環境整備といったものにつきましても、いろいろな政策を充実させていきたいと思っているわけでございます。  固有の若い農業者の育成確保対策といたしましては、私どもは、農業改良普及事業によります経営の指導でございますとか、あるいは都道府県立の農業者大学校におきます研修教育、あるいは国の内外の先進地の見学研修事業とかそういったもので、新しく農業につこうとする方の支援をしているわけでございます。  さらに平成三年度からは、いわゆる若い農業者の育成確保特別対策事業といたしまして、市町村なりあるいは関係団体が一体となって、新しく農業に入っている方々の支援をしていく事業を新規に組ませていただいて、全国の条件の整ったところでそういう事業を推進しているということで、一人でも多くの若い農業者が農業についていただけるように配慮しているところでございます。
  192. 小平忠正

    ○小平委員 時間が来ましたので最後に一点だけお伺いしたいと思うのですが、去る五月二十四日、農水大臣の指示のもとに新しいプロジェクトチームが発足いたしましたですね。いわゆる新しい食料、農業、農村政策に関する検討を進めていくという趣旨のもとに、これは先般大臣農業基本法の見直しという発言をされたことにも絡んで、私はこのことは高く評価はいたしております。  しかし、このことは農地制度とそれから食管制度の抜本的な改革を意図したものであると言えると思うのですが、これがゆえに、大事な国土、農地が今後これによって適正に利用されるように、これがただいたずらに大資本とかあるいは株式会社的なものによって取得されて、農地がゆがめられて利用されていかないような、そういうことを私は強く懸念していますので、このプロジェクトチームはそんなことはないと思いますけれども、今後これについて、農業振興のために、そして前進のために進めていかれたい、こう願うわけでありますが、これについて、簡単で結構ですからちょっと御答弁を賜りたいと思います。
  193. 杉浦正健

    ○杉浦説明員 おっしゃいました点は、今年が農業基本法が制定されて三十年目という節目の年に当たりますので、この間我が国の食料、農業、農村をめぐる環境は大分変化してまいりました。農業就業人口も大幅に減少しておりますし、高齢化が進んでおります。こういった中で、今後農業の担い手として重要な役割を果たしてまいります高齢者の引退が見込まれることもありますし、耕作放棄地が増大するというような国内の諸問題を今まさに考えてまいらなければならない時期に来ていると考えているところでございます。  そのために、このたび、先ほどお話ございましたように、省内に事務次官を長とする検討本部を設置いたしまして、中長期的展望に立ちまして、我が国経済社会の基盤としての農業、農村の位置づけを明確にしながら、新しい食料、農業、農村政策の検討を進めているところでございます。基本問題についての論点整理方向づけを、来年春を目途に行おうとしているところでございます。  先生のいろいろな御指導を賜れればありがたいと思います。
  194. 小平忠正

    ○小平委員 終わります。
  195. 大原一三

    大原委員長 阿部昭吾君。
  196. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 本委員会におきまして、各委員から今まで非常に真剣な意見が述べられまして、論議を積み重ねてまいりました。  私は、ここで、日本社会党・護憲共同、日本共産党、民社党及び進歩民主連合の四会派が、平成年産生産者米価等に関する問題についての見解をまとめました。そこで、政府に対し、具体的な施策の実施を要求することといたします。  まことに残念でございましたが、全会派一致の賛成を得るわけにはまいりませんでした。そこで、私は、この四会派合意の主張を今から朗読をいたしまして、本委員会の記録にとどめてもらう、我々の意思をこの際明らかにしたいと思います。     平成年産生産者米価決定等に関する四会派合意   今日、水田面積の三〇%に及ぶ非常に困難な生産調整が実施されておる中で、生産者米価は、昭和六十二年度以降三たびにわたり合計一一%を超す引き下げが強行されてきた。本年度さらに引き下げを行うということは、規模の拡大等将来展望が全く開けないままの状態に置かれている中核農家を中心に、その経営を一層窮地に追い込むことは必至である。   加えて、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおける米問題は、財界等の一部から国会決議を無視した市場開放容認論が出るなど、農村社会に大きな不安と動揺をもたらしている。   よって政府は、平成年産生産者米価決定等に当たっては、左記事項の実現に努め、稲作農家が将来に見通しを持って営農にいそしめる米穀政策の確立を図るべきである。       記  一 平成年産生産者米価については、労賃地代企画管理労働費等を適正に評価し、再生産所得を確保できる価格の実現を図ることとし、少なくとも現行価格を維持すること。    また、平均生産費以下層の生産費対象とする算定方式は、米の販売シェアーの大宗を担っている稲作農家コストを償うものでなく、再検討すること。  二 予約概算金及び自主流通対策費にかかる現行制度を維持すること。  三 政府米の役割が十分機能し得るよう、円滑な集荷に必要な措置を講ずるとともに、余裕ある需給操作に必要な在庫の確保を図ること。  四 我が国農業の基幹であり、国民の主食である米については、衆参両院の本会議決議を体し、安定確保のために自給体制を堅持し市場開放を断固阻止すること。  五 稲作生産性の向上と生産コストの低減等を図るため、農業基盤整備の促進と農家負担の一層の軽減、担い手の育成・確保、生産組織の整備、生産資材価格の引き下げ等に努めるとともに、中山間地域の活性化に対する積極的な施策を展開すること。  六 米飯学校給食の一層の拡大、新規用途の開発等米の消費拡大に対する施策の拡充に努めること。 以上が四会派の一致したる主張であります。  以上の主張に対して、政府の見解をひとつ伺いたい。大臣御不在のようでありますが、政務次官の方から、ひとつ誠意ある答弁を期待したいと思います。
  197. 杉浦正健

    ○杉浦説明員 ただいまは十分御意見を拝聴させていただきましたところでありますが、平成三年度米価は現在米価審議会審議中でございますので、その答申を待って適切に決定してまいりたいと存じます。
  198. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 以上で終わります。      ────◇─────
  199. 大原一三

    大原委員長 この際、お諮りいたします。  先般、農林水産業の実情を調査するため、第一班京都府、奈良県、和歌山県、第二班秋田県、山形県、新潟県に委員を派遣いたしました。  派遣委員からそれぞれの報告書が委員長手元に提出されておりますので、これを本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 大原一三

    大原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は本号末尾に掲載〕     ─────────────
  201. 大原一三

    大原委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時九分散会