○松岡
委員 熊本一区の松岡利勝でございます。同僚議員に引き続きまして、幾つかの点について質問させていただきます。
農政をめぐる問題は多くの困難な問題があるわけでありますが、
土地改良事業に係ります
農家負担の軽減の問題は、
農家経営の安定を図り、そして
農業の健全な発展を実現していく上で、また、
水田等の
農地や国内
農業が果たしております社会的
役割をさらに高めていきます上で、極めて重要かつ緊急な問題であると思っております。
この
農家負担の問題のゆえんはいろいろな要因があるわけでありますが、一言で申し上げますならば、
負担の方が当初予定されていた額よりもはるかに大きく膨らんでしまい、そして
負担を支える利益といいますか
負担能力の方は、減反や米価の低迷等のため、低迷というか伸び悩みのため、当初予想に反して余り伸びなかった、このような
状況にあるわけでございます。
こういったことを具体的に事例で見てみますと、私は熊本県の阿蘇町が出身でありますが、私の阿蘇町では、昭和四十五年から県営の
事業といたしまして
圃場整備事業を始めたわけであります。そして約三千四百ヘクタール、その施行
面積がございまして、昭和六十二
年度までにおおむね完了をいたした、このような
状況でございまして、いよいよ
負担金の
償還が始まっておるところでございます。
そこで、この
事業費について見ますと、当初四十五年の時点で予定したものに比べまして完了時点では六倍近い、そういうような
状況になっておる、このようなわけでありまして、当初予定が何と六倍近い、そんな
状況が
負担として覆いかぶさってきておるわけであります。
一方、それに対しまして米価の方は、昭和四十五年と
平成二
年度産米で比較いたしますと、おおむね二倍であります。それに今度は減反率が三〇%を超えておりますから、そういった減反に伴う収入マイナス分といいますか、そういったものを重ね合わせますと、おおむね横ばいか、ちょっと伸びた程度、こんなわけでありまして、減反のマイナス分を差し引けば、米価収入は、今言いましたようなほんのちょっと伸びた程度、こういうわけであります。すなわち、
負担は六倍にふえたにもかかわらず、収入は横ばいないしちょっと伸びた程度、こういうような
状況でございます。
したがいまして、
負担農家の
経営の安定を図り、またこれからも新しく開始する
土地改良事業の円滑な推進を図る上からも、そしてまた、そういう
意味で
負担の軽減、これはまさに喫緊の
課題でありまして、関係の
農家は切なる願いと必死の思いで
負担の軽減を望んでおります。そういうような
状況にあるわけであります。
水田は水を蓄え、そして供給し、さらにまたその働きによって災害を防ぐ、そういう国民生活を根底から支える大変重要な
役割を果たしておる、私はこのように思うわけであります。確かに
水田を初めとする
農地の
整備は、
農家の
経営基盤の強化につながることはこれは間違いありませんけれ
ども、しかしまたそれ以上に、国民生活に不可欠ないろいろな
役割、働きの強化にも実はなっておるわけであります。
私はこのような
観点を強く踏まえて、
土地改良事業に係る
農家負担の抜本的
改善策というものをぜひとも確立しなければならないし、またそうお願いしたい、このように基本的に思っておるところであります。
今回の措置は、今申し上げましたような
観点からすれば、本来目指すものからすればまだまだ一里塚にすぎず、なお道遠しと思うわけでありますけれ
ども、しかし大いなる一歩前進であることは間違いがない、私はこのように思うわけであります。そういった
意味で大いに評価し、関係の皆様の御努力と御理解に心から感謝を申し上げ、
敬意を表する次第でもございます。特に
片桐構造改善局長、私、農林省
時代に上司として仕えさせていただいたわけでもありますし、そういった
意味でも本当に
敬意を表する次第であります。
そこで、抜本的な
対策につきましては今後なお御努力をお願いするといたしまして、今回の措置について
お尋ねをしたいわけでありますけれ
ども、これまでは、言ってみれば
市町村ごとにそれぞれ、それこそ千差万別に
負担が行われておった、このように認識しておるわけであります。したがって、
市町村の違いによりましては同じ
事業なのに
農家負担が異なるという、いわば大変不公平なことにもなっていた点もあったわけであります。
今回の、
市町村の
事業費負担を明確化するという、このことでありますけれ
ども、具体的にはどのような方法で
市町村負担を決定されるのか。また、今回の措置の効果として、これはもう私、一番関心のあるところでありますが、また、関係
農家も一番そこのところをどうなるのだろうかと関心を持っておるところでありますけれ
ども、
市町村負担の明確化によって
農家負担がどの程度軽減されることになるのか、まず、この二つの点についてぜひお伺いしたいと思うのであります。