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元信委員 次に、
食品販売業近代化事業あるいは
卸売市場の
高度化事業と
両方にまたがるかとは思いますが、私は、ここで魚の
小売業、いわゆる
魚屋の営業上、今大変な問題になっております
魚腸骨問題、これについて注意を喚起をし、また農水省としての
対策を承りたいと思うわけであります。
魚腸骨というのはちょっと耳なれぬ言葉ではありますけれ
ども、魚のはらわたと骨、こう書くものでございまして、骨、内臓、皮、頭、
不可食部分ですね、食べられない
部分を
魚腸骨と称するのであります。あらでございます。重量は魚丸ごとの約半分。半分は肉で身で食べられて、あとの半分はどこかへ捨てられる、あるいは資源として再生される、そういうふうになっているものであります。この処分をどうするかというのが現在全国的にあちこちで大問題になっておりまして、特に都市の零細な
魚屋は
魚腸骨処分問題で
経営にも支障が出る、こういうようなことがあるわけであります。
魚腸骨というのは、本来、魚を丸ごと買って
家庭に持って帰れば、
家庭で頭を落として皮を引き骨を外して食べれば
家庭ごみとして発生する性質のものでありますが、今じゃ
家庭で出刃包丁を持っているうちなんか少ない、こういうような事情でございまして、大体
魚屋で下ごしらえをお願いする、刺身にしてあるいは切り身にして持って帰ってあとは食べるだけ、こういうことでありますから、すべての
魚屋でこの
魚腸骨、あらが毎日発生するわけであります。
魚の内臓というのは消化酵素が極めて豊富にございまして、もう冷凍あるいは冷蔵から室温に戻しますと直ちにその時点で分解を始めまして、魚の内臓あるいは骨についた肉、皮、そういうものが液化してくるわけであります。液化してまいりますと、たんぱく質あるいはアミノ酸、そういうようなものの中に含まれる細菌によって腐敗が起こりまして、もともと生臭いものではありますが、それに腐敗臭が加わってたまらぬ悪臭を放つようになるわけであります。したがって、
魚腸骨というのはごみの日にまとめて出すというわけにはいかなくて、これは毎日出さなきゃならぬ、こういうものであります。
鮮魚商から発生しますあらは、かつてはあらかすと申しまして、それを煮て搾って乾燥したものは豚や
畜産、鳥のえさなどとして需要がございまして、魚粉等とまぜて結構売れたものであります。ところが最近、全国的、世界的な規模で魚粉の市況が低迷をいたしておりまして、あらかすよりも
品質がいい、たんぱく含量の高い魚粉がうんと安く買えるようになって、あらかすなんか買わぬでもいい、こういうことであらかす価格がかなり低下をしてきている。それから一方、あらかすを
魚屋さんから集めてきて加工をする、その収集がまず大変なことになりまして、都市が過密になりまして交通事情も極めて悪い。毎日とにかく収集せにゃならぬわけですが、それじゃ一カ所の
魚屋からどれぐ
らい出るかというと、せいぜいバケツに一杯、二十キロく
らいが平均値。こんなものを毎日毎日集めて回るというのは大変な労力でございまして、しかもこれが臭くて、水分が多くて、なかなか集めてくれる労働力が集まらない。こういうことで結果として収集
コストというものが非常に高騰しているわけであります。
しかも、集めてきたあらかす、さっき申しましたように自己消化をし、かつ腐敗が進行しつつあるわけでありますから大変臭い。それをかつては大がまにどぼっと入れて下から重油でたいて、そうして盛大に蒸気を上げて、そのあらかすを搾ってむしろの上に広げて乾かす、こういう製造方法をしておりましたものですから、においたるや物すごいものでありまして、まあ
郊外でやっておったわけでありますが、都市の膨張に伴って
郊外といえ
ども家が立て込んできて、そういうような荒っぽいやり方じゃどうしようもありませんから、今じゃ多段がまで密閉してそのにおいを取り除く、封じ込める、そして出た蒸気も、今までのように大気の中にもうもう出していたのでは臭くて仕方がありませんから、それをまた水に戻す。ところが、この水に含まれるアンモニアその他が物すごく多いものですから、下水には流せない。下水に流す前に前段処理が要る。こういうよう0なあんばいで極めて立地、公害
対策に対して金がかかるようになりまして、結果としては、あらかすメーカーというものは
経営が立ち行きがたい、こういうことになっているわけであります。
かつて
魚屋から出るあらはあらかす回収業者が買っていって工場に納入していったものでありますが、今では買うどころじゃありません、ただでも持っていってくれませんから、
魚屋が、発生する量あるいは
経営規模に応じてお金をつけて持っていってもらう、こういうことをしているわけですが、それでもまだ難しい
状況であります。こういうような
状況で、
魚腸骨問題は鮮魚商の将来を扼する大問題ではないかというふうに思うわけでありますが、この処理をだれがやるのかということについて、行政のエアポケットになっているのではないか、こういうような感じが持たれます。
ごみというふうに見ますと、これは一般廃棄物でありますから、地方自治体の固有事務ということになります。これがごみになって出ますと、今言いましたように、毎日はごみは取りに来てくれませんから二、三日分集めて出す。物すごいにおいがしてごみの
集積所の周りはたまらぬでありましょうし、犬、猫にとってはこれはいいにおいでありますから、これらが集まってきてそこらへ散らかす、大問題になること必定でございます。仮に集めたとしても、水分が多くてとても燃やせるものじゃない。埋め立てへ回せば、だぶだぶでいつまでたっても地盤が固まらない、そこへハエがわく、どうしようもないものでありまして、ごみにはできぬかとも思うわけであります。
まず、厚生省にきょうおいでをいただいておりますが、ごみの所管の厚生省として、この
魚腸骨というのは一体どうすればいいか、ごみにしてお出しなさいとおっしゃるのか、ほかの方法をお考えなのか、まず承りたいと思います。