○小平
委員 大臣、今ここでそういう御答弁であることは私も理解いたしますが、いずれにしても、昨今非常に後継者が少ない。わずか二千人余りの
新規就農者。私も若い
農業青年と接していますと、
農業は厳しくてもいいんだ、でも、将来に向かって
展望が見られればやっていきたい、そういう
意欲のある若い者もたくさんおります。そういう中で、
農業というものは
生産性が低い、そして非効率的である、このことを明確に明示して、そしてこのことを
国民が理解をする、そういうようなことを強く出していくことがこれからにとって大事である、そんなふうに私は現場の中に入っていくと特に感じる次第でありますが、
大臣ひとつ、せっかく勇気ある発言をされました、この
農業基本法をこれから御
検討されて進んでいかれることを私からも期待するものであります。
次に、
ウルグアイ・ラウンドの
関係、けさから当
委員会で
委員の皆さんからもいろいろと質問があったと思いますが、私からも何点かについてお伺いしたいと思います。
まず、私は思うのでありますが、
我が国は、昭和三十年代以降急速な経済成長を遂げて、今日においては
米国に次いで
世界第二位の経済大国になっております。その
発展の原動力は、
日本国民の勤勉と創意工夫にあることはもちろんでありますけれども、加工貿易立国として、ガット体制の恩恵にあずかってきたことも大きな要因であることはもう歴然たる事実であります。そういう意味においては、今後とも自由貿易の一層の
促進を標接するガット体制の維持
強化を図ることは
我が国の国是にかなうものである、そう言えると思います。
しかしながらこういう中で、ともすれば正しい認識がされていないと思われるのが
我が国の
農産物の輸入の実態についてであると思うのです。ということは、この点
我が国の
農産物市場は一部から閉鎖的である、こんなふうに言う意見もあるようであります。これは全くの誤解というか認識不足であって、
我が国ほど
世界に開かれた
農産物市場の国はほかにはないと言い切ってもいいと思います、
大臣。言いかえれば、
農産物の輸入についてもガット規則を忠実に実行しているのが我が
日本である、そう声を大にして言ってもいいと思うのであります。
現在、
我が国は
世界最大の
食糧輸入国であって、この結果、いわゆる
食糧自給率はカロリーベースにして五〇%を切る、四八、四九%ですか、そういう状況で、先進国の中では最低水準の状況にあるわけです。これ以上の
食糧の
海外依存というものは、健全な
我が国の国家体制の維持にも今後大きな不安が持たれるという、もうこれ以上開けないという限界的な状況にきていると言い切ってもいいと思います。このため、ガット・
ウルグアイ・ラウンドの
農業交渉に当たっては、各国が
交渉に臨んでいる意図等がどこにあるのか、またこれが
我が国農業にとってどのようなかかわりを持つのか、これらについて十二分に見きわめる必要があり、さらにこのことを
国民各位に十分に理解してもらっていくことが特に肝要である、こう私は思うのであります。
そこで、この
ウルグアイ・ラウンド交渉再開に向けて、これから臨んでいく
我が国のいわゆる
戦略、戦術といいますか、これについて少しくお伺いいたします。
昨年末の最終
閣僚会議において、これはたしか十二月六日でありましたけれども、ヘルストローム
農業分科
会議長は、
農業交渉の打開を図るために
農業保護削減に関する議長メモ、いわゆるノン
ペーパーなるものを提示いたしました。その
内容は、一言で言えば、アメリカやケアンズ・グループなどの
輸出国側の主張を体したものであって、この中で
我が国に大きなショックを与えたのは、市場アクセスとして輸入量の少ない
農産物の場合は九一穀物年度から
国内消費量の最低五%を輸入する、この項目であったと思います。これに反して、
我が国最大の主張であった
食糧の安全保障、さらには基礎的
食糧に関する事項、あるいはガット十一条二項(c)にかかわる規定の存続と明確化に関する事項は全く盛り込まれていない、そのことだと思います。
政府は、この議長メモに対しては
我が国の主張が全く考慮されていないことを強く抗議するとともに、このメモは今後の
交渉には何らの拘束力を持たない、そのように主張したと私は伺っております。
しかしながら、その後の
動向について見れば、ことしに入って一月十四日ですか、中山外相とブッシュ大統領、ベーカー国務長官、ヒルズ通商代表等々の会談において、アメリカ側がこの今申し上げた議長メモを今後の
交渉の枠組みとして
日本が受け入れるよう強く迫ってきた、そう伝えられております。
また、同じく先月一月末にはアメリカと
ECとの間で
会議が行われ、これはアメリカ側はヤイター、ヒルズ両氏、
EC側はアンドリーセン副
委員長で
会議が行われて、双方が妥協の
方向で動き出した、そんなふうにも私は聞いておるのですが、その動きの一つとして、
ECにおける共通
農業政策の抜本的見直しがあるのではないか。すなわち、
価格による所得補償から農家に対する直接所得補償への転換といういわゆる抜本的見直しがそこで話し合われたのではないか。
こういう中でダンケル・ガット事務
局長は、今月末の大枠合意へ向けてのたたき台を今作成中であるわけですけれども、その意味において、報道されるところによれば依然として
輸出国の論理がまかり通っており、
我が国の主張が十二分に反映されるかどうかについては大きな懸念がされておる。問題は、今後の
ダンケル事務局長のたたき台作成が
日本の頭越しにアメリカと
ECとの主導型で行われていくのではないか、そういう心配であります。
こういう状況の中で、
我が国は、
食糧の安全保障いわゆる非貿易的関心事項についての主張を貫徹するためにいかなる行動をして、またいかなる
戦略、戦術で臨もうとしているのか、ここのところをひとつ
大臣、明確にお答えいただきたいと思います。