○高島説明員 お答え申し上げます。
私どもも極めて大きな関心を持って昨日のゴルバチョフ大統領の
国会における演説を聞いたわけでございます。その中で、今
先生御
指摘のように、アジア・太平洋の安全保障に関連する幾つかの
考え方が示されております。これらにつきましては、昨日の演説でもございますので、私どもとしてももう少し突っ込んだ分析が必要であろうというふうにとりあえず
考えておりますし、また、要すれば、ソ連側からもう少し詳しい説明を聞いてみる必要があろうかとも
考えておるところでございます。したがいまして、この時点におきましては、とりあえずの私どもの
考え方という点に限って御説明させていただきたいと存じます。
まず、三ヵ国協議あるいは五ヵ国の協議の場といったような
考え方についてでございますが、このような
考え方を拝聴しておりまして、アジア・太平洋におきまして安全保障に関連する対話、協議の場を何らかの形でつくっていこうということがソ連側の
基本的な発想のような印象をとりあえず受けております。これについての日本側の
考え方は既に何度か御説明申し上げているとおりでございますが、私どもとしては、例えばソ連側のこのような発想の背景に、ヨーロッパにおける経験をアジアに適用しようというふうな
基本的な
考え方があるのであれば、必ずしもアジアの現実には合わない面があるのではなかろうかというふうに
考えておるところでございます。特に、ヨーロッパとアジアという点で大きな違いは、安全保障の面に関しましてはアジアの方が非常に複雑であり、NATO、ワルソー条約機構との対立の場というような非常に明確な構造とは非常に違っているという点にもう少し注意を払う必要があるのではなかろうかというふうに
考えているのが第一点でございます。
そしてまた、アジア・太平洋地域におきます各国の主たる関心が経済開発にあり、安全保障という点でも、むしろ軍事的な
意味合いよりは経済開発を通じた安定といった
意味合いにおきまして政治、経済、軍事を含めた総合的なアプローチの方がより重要であるというふうにも
考えておるところでございます。そういう
意味におきましては、もし、安全保障に関連する機構の場をまずつくろうというのがソ連側の発想であるならば、私どもの
考え方と若干の違いがあるということがとりあえずの感想でございます。
それから、環日本海構想につきましても、これが安全保障に関連する発想であるならば、
基本的にはただいま申し上げましたようなことと同じでございますが、同時に、昨日の演説を伺いますと、経済協力という面にも重点が置かれているようでございます。私どもといたしましては、日本海を取り巻く諸国の経済発展について、協力の将来像をあるビジョンを持って
検討し、討議していこうという、そのような
考え方自身は
基本的に結構なことであろうと思っております。ただ、このような協力
関係を現実のものとしていくためには、日本海を取り巻く各国の間で政治的な
関係を安定させることがまず重要であり、このような政治的な
関係の安定が経済協力を進める上での土台になるというふうに
考えているところでございます。そういう
意味では、個々の国の
関係、特に日ソで申しますと平和条約、あるいは朝鮮半島では南北間の
関係の安定、あるいは韓国、中国間の
関係の進展といったものがさし
あたり経済
関係を進める上で非常に重要な要素になってくるというふうに見ておるところでございます。