○
金子(一)
委員 この
土地対策としての、
地価対策としての
保有税についていろいろな御
議論がある。特に、骨抜きではないかといったようないろいろな御意見、またこれから野党の
先生方ともこの点についていろいろ我々も
議論していきたいと思っておるのでございますけれども、私も、これは骨抜きという
議論は決して当たらない。また、非常に中長期的にもこの税体系というものは効いてくるというふうに思っております。
内容に詳細に入っておりますと残念ながら時間がなくなってしまうのでございますけれども、いろいろな御批判、骨抜きだという中で
一つ、
二つだけ申し上げますと、控除額が
中小企業が十五億、高過ぎるじゃないか、これがあるのでございますけれども、先般もNHKの
土地スペシャルというので横山町の問屋街がモデルで出ておりました。NHKもこれは大変よく調べてくれたなと思っておるのでございますけれども、五億の控除でいきますと、横山町三十三区画、そのうちの三十三
事業所がまともにかかる。ところが、これが十五億になることによって今度は六
事業所に下がっていくというのが出ておりました。
中小企業はやはりこれは非常に
影響が大きい話でありますし、そういう
意味で、本当に
中小企業の場合、これは転嫁できない、もしくは転嫁すればいわゆる消費者物価にはね返らざるを得ないといったような、消費税
議論と似たような問題というのが当然出てくるのだろう。そういう
意味で、この控除額について私も評価をしております。
もう
一つは、税率が低過ぎるじゃないかということがあるわけでございますけれども、本来この税で地上げ屋さんそのものを捕捉するということはしょせんできない。資産としての有利性を税で減少する。それから、それによって地上げ屋さんの行動というものを少しでも抑制していこう。一〇%の地上げを抑えるために九〇%の国民にも、いわば痛みを分かち合ってもらうということであります。
それだけに
保有税というのは、薬というとらまえ方をしますと大変副作用もある。そういうことで、その副作用というものも我々は十分考慮していく必要があるだろう。よく言われるのですけれども、歯が痛いといったときに、だからといって強い痛みどめを常用していれば、これは胃もやられてしまいますし、体力も失われる。
我が国全体の
経済というものを十分勘案しながらやっていくということが、我々のこういう税、新税を導入する場合の基本的な
姿勢であると思っております。
いわば
保有税というのは、その
土地対策、
地価対策という
意味でのインフラの整備といったような
観点でとらえるべきでありまして、直ちに即効性、これだけでもって
地価を下げてしまうという視点で決して考えるべきではない。そういう
意味で、今
長官からも評価をいただいたわけでございますけれども、私もそれなりの評価というものを中長期的に期待できると思っております。
最後に、いわば
国土庁、建設省への御
要望なんでございますけれども、先ほどちょっと
お話をいただきました
土地政策審議会の
答申に基づいて、いろいろ
土地の
利用計画、
都市計画、遊休地の
利用促進、
建築基準法の
改正、
監視区域の弾力的
発動、それからそれに伴う
土地の
供給策、こういったようなものをこれまでいろいろお取り組みいただいてまいりました。こういう
土地の
利用計画、
供給対策の中で、またこれからさらに
議論をし、そして
検討をしていただかなければならない事項も多いわけなんでございますけれども、基本的には
土地対策として重要なことは私はほぼでき上がっているのではないかと思っているのです。問題は、これをどうやって実行するかというのが問題なんだろうと思っておるのです。
土地政策の総論というのは美しいけれども、各論になると血を流す問題だ、綿貫建設
大臣だったか
佐藤長官だったかと思いますけれどもおっしゃっておられましたけれども、
国土庁、建設省としても、これこれの
制度を用意したから、こういう
仕組みをつくったから、さて、後実行するのは
地方自治体の問題ですよということになりますと、
国土庁、建設省、
政府としてはそれで済むのかもしれませんけれども、我々政治家としては国民に対してその責任というのを果たしていけないだろう。これをどうやって
実現するかというのが一番のこれからの
課題ではないかと思っております。
税制もいい、
金融の
規制もいい。ただやはり基本は
前面に、正面に据えて出ていくのが、まず計画ありきからそれを
実現していくということだろうと思っておるのでございます。
そういう
意味で
長官に、ちょっとその前に西ドイツのBプランとかなんとかというのですか、ケルンの市の職員が大変な苦労をしながら自分のライフワークとして、すき間を何とか高層化してい
きたい、町並み景観をうまくつくっていきたいというプランをつくって、それを
実現する。本当に命がけでライフワークとしてやっておられる。アメリカでもそういう例を私も拝見いたしましたけれども、そういう点、我々も、政治家
佐藤大臣としまして、やはりそこまでそういうものをやるんだという決意を持ってこれを進めていきませんと、なかなか
実現をできないのだろう。
それからもう
一つ、場合によりましては、
国土庁も建設省の役所の人も、プランをつくったら、今度具体的に
地区計画は、自治体に出向させてもらいまして、出向じゃなくてもいいです、派遣をしてもらって、そしてその
地区計画を実際に目鼻がつくまで帰ってこない。目鼻をつけて何とか
実現までこぎつけさせる。人を派遣してしまおうというような決意を持って我々取り組みませんと、加藤政調会長がNHKの
土地スペシャルで、さっきの泉州地区の監視
地域、あれを
実現できなかった、
後手に回ってしまった、我々怒りを覚えているんだというふうにおっしゃられたのです。あれはあれで政調会長としては当然のお立場の発言だったと思うのですけれども、国民としてみますと、政治家に対して、そんなことを言って、あれは
地方自治体の問題じゃないのというところで終わってしまうのですね。やはりそれではいけない。そういう覚悟というものがないとこれはどうしても
実現ができてこないのだろう。そういう覚悟が一番大事だと思っておるのでございますけれども、
大臣として御発言しにくいかもしれませんけれども、政治家
佐藤先生として御所見を承りたいと思います。