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秋葉委員 社会党の
秋葉でございます。
今、
鈴木委員の方から、概要について、あるいはその背後にある
科学技術の
利用の態度についてといったような
質問がありましたが、私の方は、そういう
春風駘蕩といったぐあにはまいりませんで、少し細かな点についてお伺いしたいと思います。
主に、
質問をするに当たって、実は二つの大きなことを視野に入れて
考えているつもりです。
一つは、もちろん今回の
電波法の
改正の趣旨、それが、最終的には
海上における
遭難あるいは緊急時の
人命救助ということが最大の
目標ですから、その
目標に照らして
考えるとどうなるか。もちろん、その
視点で今回の
電波法の
改正もなされているわけですけれ
ども、
人命の
救助というところでそごがあってはならない、どんな小さな過失が仮に
法律あるいは
制度をつくる側にあっても、それが最終的に例えば一人の
人間の命にかかわるような場合がある。そういったことを想定しながら、できるだけ
法律面であるいは
制度面でそういった
人命の損失を最小限に図るということで、そういった形でできるだけ私なりの御協力をしたいという立場が
一つでございます。
それからもう
一つは、実はこれは今までの
質問の際にも申し上げたことなんですけれ
ども、やはり法治国としての政治で一番大切なのは、私は、やはり言葉であり、そして言葉の
意味であるというふうに思います。特に、今回の
法律改正の中にも出てくることなんですけれ
ども、
法律と、
法律にある原文と、それから現実との乖離が非常に甚だしい場合、それが非常に大きな問題を生起せしめるんではないかといったことを私は常々感じてまいりました。
例えば、憲法にもそういった問題がございます。公職選挙法にもそういった問題がございます。
郵政省関係では
通信・
放送衛星機構法、これについては何度も意見を申し上げさしていただきましたけれ
ども、そういったこと全体が、例えば法をないがしろにする態度につながったり、あるいは、もっと将来のことを
考えると、特に青少年が政治に対する不信感を非常に強いものにしたりする原因になっているんではないか、そういった危惧を持ってきております。
そういった観点から、さらに
法律そのものが、やはり
法律といって非常に冷たいものではあっても、その
法律の中に、具体的にその
法律をつくる、あるいは
改正する際の、いわば何といいますか情熱であるとか、あるいは政治を具体的に行っている人
たちの崇高な目的であるとか、そういったものが取り込まれるようなことまで
考える必要があるんじゃないか、いわば美しい
法律をつくっていく必要があるんではないか、そういった観点から幾つかの点について
質問したいと思います。
まず最初のことなんですが、この今回の
改正について、緊急あるいは
遭難時の
通信ということですが、簡単に言ってしまうと、どこかで
事故が発生する、その
事故を発見するのは
人間ですけれ
ども、その
人間が
機械を使ってその危険であることを他者に、他者というのは船の場合もありますし、
海岸局の場合もあると思いますが、他者に通報する。そうすると、ほかの船なりあるいは
海岸局なり、そういったところにある
機械がそれを受け取る。その
機械に入ってきた信号を、これもまた
人間が解読することによって、あるいはそれを判断することによって、最終的な責任者にそれを届ける。責任者の判断で、例えば救援を行うといったような判断を行う。それで行動を行うということになると思います。
その基本的な線というのは、
モールス符号を使おうと非常に高度な
技術を使おうと、今申し上げたような大筋というのは変わらないというふうに私は理解しているわけですが、今回の
法律改正をその流れに沿って
考えてみますと、
事故が発生した場合には、それを
遭難通信責任者が
機械を使って、この
GMDSSにある幾つかの
機械を使って通報をする、あるいは、それができない場合にはEPIRBという自動的な発信機が作動をして、作動しない場合もあるということは後でちょっと申し上げたいんですが、それを使って自動的に信号を発せられるということですから、発信側は一応カバーされているというふうに思います。
それから、これも後ほど
質問したいことなんですが、一応
機械が正常に機能するとして、それはもう一方の受信側の
機械に届く。届くところまではいいんですけれ
ども、今回の
改正を見ますと、その
機械に届いてから、例えば船の運航の責任者である船長にどこかで船が
遭難しているというメッセージを伝える、その
機械から具体的に船長までの経路というものが保障されていないというふうに私には読めました。
これは現行法の方を読んでみますと、現行法と言うのはちょっと大変ですので旧法ということに仮に言わしていただきますと、旧法の三十三条を見ますと実はその規定がある。ところが、それに
対応する改定法、新法というふうに仮に呼ばせていただきますが、その新法の
対応する部分にはその項目がない。私が申し上げているのは三十三条の二項のところですね。「
船舶局の
通信室」
通信室というところは受信機、送信機が置かれているところですけれ
ども、それがブリッジ以外の場所にあるときには、ブリッジとの間に「送話管若しくは電話又はこれらに代わる連絡
設備を備えつけなければならない。」
一応ブリッジというのは船長のいるところというふうに簡単に
考えますと、船長のところまできちんと届くような
設備がなくてはいけないということを旧法ではきちんと規定してある。それに
対応する新法の三十三条、三十四条にはその規定がない。
つまり、新しい
法律では、確かに
機械は立派になるし、そしてメッセージも自動的に発信される、そしてそれが幾つかの船に届く、しかしながら、
機械には届くけれ
ども船長まで届かないという
可能性が非常に大きく残ると思われるんですけれ
ども、その点について
郵政省のお
考えを聞かせていただきたいと思います。