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1991-04-17 第120回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月十七日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 野中 広務君    理事 川崎 二郎君 理事 園田 博之君    理事 原田 義昭君 理事 前田 武志君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 武部  文君 理事 伏屋 修治君       赤城 徳彦君    小林 興起君       佐藤 守良君    鈴木 恒夫君       長勢 甚遠君    萩山 教嚴君       平田辰一郎君    真鍋 光広君       増田 敏男君    森  英介君       山崎  拓君    秋葉 忠利君       田中 昭一君    山下八洲夫君       坂井 弘一君    鳥居 一雄君       菅野 悦子君    中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 関谷 勝嗣君  出席政府委員         郵政省貯金局長 松野 春樹君  委員外出席者         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ───────────── 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   古賀 一成君     平田辰一郎君   佐田玄一郎君     増田 敏男君   武藤 嘉文君     萩山 教嚴君 同日  辞任         補欠選任   萩山 教嚴君     武藤 嘉文君   平田辰一郎君     古賀 一成君   増田 敏男君     佐田玄一郎君     ───────────── 三月十六日  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第七九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 三月二十二日  NTT一〇四番号案内有料化の撤回に関する陳情書(第七二号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出第六一号)(参議院送付)  郵政官署における外国通貨両替及び旅行小切手売買に関する法律案内閣提出第六二号)(参議院送付)  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第七九号)      ────◇─────
  2. 野中広務

    野中委員長 これより会議を開きます。  郵便貯金法の一部を改正する法律案郵政官署における外国通貨両替及び旅行小切手売買に関する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
  3. 赤城徳彦

    赤城委員 おはようございます。  郵便貯金法の一部を改正する法律案郵政官署における外国通貨両替及び旅行小切手売買に関する法律案、両案につきまして御質問させていただきます。  ここのところ、金融自由化の動きが大変急になっておりまして、今年度MMC限度額がこの四月に五十万円に、また大口定期預金がこの秋に三百万円に引き下げられるという見通しでございます。金融自由化、また金利自由化されるということになりますと、預金者にとっては非常に品ぞろえも豊富になって、また有利になってくるというプラスの面もございますけれども、必ずしもいいことばかりではないのではないかというふうに思います。  例えば、小口預金者がたくさん集まりますと非常に調達コストも上がりますので、どうも採算性が悪くなる。そこで、外国などでは預金残高一定額以下になると手数料を取るというようなこともある。また、採算の合わない店は閉鎖してしまうというような、小口預金者にとって特にマイナスになる場面も出ておるのではないかというふうに思います。  そこで、郵政省としてこの金融自由化にどういうふうに取り組むのか。特にそういったマイナス面民間金融機関ではそういう小口預金者に十分対応できなくなってくる、また地域によっては過疎地では民間が撤退してしまう、そういうところこそ全国あまねく公平にサービスを提供する、また、庶民の身近な金融としての郵便局というものの役割が出てくるのではないか、そういうふうに思います。  これまでとかく民業圧迫というようなことを言われてきましたけれども、これから先、金融自由化が進むにつれて、民間で対応できなかった部分、これを郵便局が対応していく、これは決して民業圧迫とかいう問題ではない。まさに、この部分こそ郵便事業が対応していくべき意義が出てくるのではないか。これから先の金融自由化を見通して郵政省としてどのように対応していくのか、そのお考えを大臣にお尋ねしたいと思います。
  4. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 おはようございます。  赤城先生指摘観点問題点、そしてまた考え方は、私も全くそのとおりだと思うわけでございまして、民間金融機関と我が郵便貯金との関係が、この金利自由化という時点で考えますと本当に実にはっきりと出てきておると思うわけでございまして、先生指摘のように民間におきましては収益が非常に悪化した場合にはそういう店は閉じるということになるでしょう。しかし、逆に私たち郵便貯金の立場におきましては、おっしゃいますように全国あまねく公平にその利便さを享受するということが基本であるわけでございます。  そういうようなことにおきまして、一つのケースですが、民間ではいわゆる手数料を徴収するというようなことになるわけでございましょうが、その点を考えてみましても郵便貯金が持っております小口の、個人の貯金ということを考えますと、私たちはこの手数料を取るかどうかというのは慎重に対処していかなければならないものと考えておるわけでございます。  したがいまして、この民間郵便貯金とのトータルバランスといいましょうか、あらゆる観点からのその違いというものを、それを私はお互いが追求し合っていって切磋琢磨していくということをやっていけば、これはまた決して官の民の圧迫ということには直結をしない。またそういうことをしないような範囲の中において鋭意今回の金利自由化に果敢に挑戦をしていきたいな、そのように考えております。
  5. 赤城徳彦

    赤城委員 ありがとうございました。ぜひ金融自由化の流れを積極的に先取りして、一般利用者がこの自由化メリットを十分に享受できるように頑張っていただきたい、かように思います。  次に、金融自由化、また金利自由化ということが調達コストのアップにつながるわけで、その対策として金融自由化対策資金が設けられたわけです。これがこれから先どういうふうになっていくのか、次にお尋ねしたいと思います。  平成年度までは自由化対策資金累計額で十五兆円ということが決まっておりますけれども、これから先、自由金利商品がどんどんふえていくということになりますと、果たしてこれで足りるのかどうなのか、いろいろな方策が出てくると思うのです。今現在、郵貯MMCのシェアが九%、民間では自由金利商品が六割から八割ということで、民間ではもう自由金利商品が過半を占めるようになっておりまして、これからも郵便貯金MMC割合がどんどんふえてくるのではないか、そうしたときに十五兆円の金融自由化対策資金では足りなくなってくるのではないか。まずその規模の問題、これが一つあると思うのです。  それから、もう一つには、より有利な運用をするということで始まった対策資金ですから、規模の面もそうですが、さらに有利な運用先はないかな、これを考えていかなければいけないのではないかなと思います。昨年の当委員会でも御質問させていただきましたけれども自由化対策資金新規運用額のうちの半分以上を国債に充てなさい、こういうルールになっているわけなんですけれども、必ずしも国債利率がいいわけではありませんので、むしろそういうルールにとらわれずに、もっと有利な運用先があればそれをどんどん取り込んでいく、そういうことが必要ではないかな、そういうふうに考えるわけです。  それから三番目に、自由化対策資金割合がもし自由金利商品割合と同じだけふえていく、例えば民間のように六割から八割になったら、それと同じぐらいの自由化対策資金を積まなければどうしても対応できないというような事態もあるのではないか。そうなったときに、本来の郵便事業目的であります財投を通じて地域に還元していく、そっちの本来の目的がおろそかになってしまう、そういうおそれもあるわけです。  そのような事態にならないためにも、逆に金融自由化対策資金を使って積極的に地域に還元していく、具体的には地方公共団体や第三セクター貸し付けていく、自由化対策資金の中からそういうものに貸し付けていく、これも大事なことになってくるんではないか。この点につきましては年来要求を出されていると思いますけれども、今回認められなかったわけでございます。今後そういった対策をさらに考えていくべきではないか。  それからもう一つは、これは根本的な問題なんですけれども財投預託金利、こっちの方も少し上げてもらわないと間に合わなくなってしまうのではないか、何か財投預託利率の面で改善できる部分があるのではないか、そういうふうにも考えるわけです。  このようないろいろ自由化対策資金をめぐる問題点、今四つばかり申し上げましたけれども、これから先どういうふうに対応していかれるのか、お答えをいただきたいと思います。
  6. 松野春樹

    松野(春)政府委員 先生ただいま御指摘いただきましたように、金融自由化の進展に伴いまして生じます現象といいますか、大きく分けて二点を仮に申し上げますと、一つは御指摘のように調達コストの増加、これは否めない事実であろうと思います。  それから二つ目としまして、やはり預金者の方の金利選択の厳しさというものが反映されまして、預入期間が短くなるという現象が現在も生じつつあるように見受けております。したがいまして、これらのことを考えますと、私どもの収入の一番の源であります資金運用面につきまして、これに適切に対応してまいらないとやはり健全な事業経営を維持していくことにならない、全く仰せのとおりであろうと思います。  その対応策でございますが、第一に、金融自由化対策資金運用規模関係につきまして申し上げたいと思います。  平成年度末の運用残高が十一兆円、それから六十二年度からの五年計画がちょうど本年で終了いたしますが、この本年度末を見通しますと十五兆円に達する、これも御指摘のとおりであります。平成年度以降どうするかということにつきましては、現在政府内部ではまだ白紙の状態でありますが、ことしの夏の平成年度予算概算要求時までに、この運用規模拡大する方向で鋭意具体的に検討していきたいというのが現在のスタンスでございます。  それから御指摘の二点目の、運用対象拡大の問題でありますが、昨年の予算折衝時でも要求しましたが、残念ながら地方公共団体及び第三セクターへの融資が実現しませんでした。しかし私どもはこれを、地域開発に対する御協力と同時に、事業としても有利で確実な資金運用対象というふうに理解しております。今後も頑張っていきたいと思います。  また、最近のマーケットの実際を見てまいりますと、例えば保有債券価格変動リスクをヘッジする手段として認識されておりますいわゆる先物・オプション取引市場も整備されてきております。それから、有利な短期運用対象である、無担保短期約束手形みたいな商品でありますが、いわゆるコマーシャルペーパー市場も整備されてきておりまして、こういう有利な運用への運用対象拡大が必要ではなかろうかということで、これもことしじっくり関係機関といろいろ協議してみたいなと思って、今検討を進めております。  それから三点目の、先生指摘国債運用関係でありますが、御指摘のように、この国債の円滑な消化に政策的に協力するということで、新規運用額の二分の一を新発国債引き受けに充てております。  これに対する考え方ですけれども、確かに国債そのものは他の債券と比べて利回りが比較すれば低いわけでございまして、その意味では運用上の負担となることも事実でございます。ただ、国債の性格からしまして、大変安全性流通性があることもまた事実でありまして、相場動向によりましてはキャピタルゲインを得ることも可能でありますから、全体を見ますと、一概に国債引き受けが不利な債券であるとは言えない面もあろうかと思います。ただ、御指摘のように今後金融自由化が一段と進んでまいります中で、現在のままでいいのかどうかというところは私どももやはり疑問に感じている点がありますので、これも恐らく今年度協議課題になると思いますが、この国債引き受けルールも含めて検討してまいりたいと存じます。  それから最後に、実は私ども資金の大半は、いろいろ自主運用もやっておりますが、やはり資金運用部への預託運用、それから入ってまいります預託利子でございますが、昭和六十二年三月に資金運用部資金法改正されまして、預託期間が七年以上の預託利率につきましては市場金利連動型になっておりまして、これは私ども重宝して使わせてもらっております。しかし、冒頭申し上げましたように、最近預金短期化というものが大変目立っております。この七年以上でなくて七年未満のものでも、いわゆる中期あるいは短期資金運用部への預託利率につきましても、これは最近ほとんど改善されておりません。したがって、私どもこれを今全然利用しておりませんので、何とか利用できるように中短期預託利率の改善について、これも相手のあることでありますが、関係機関と鋭意ことし協議してまいりたいというふうに考えております。  いろいろ課題があって、るる申し上げたわけでありますが、やはりこの資金運用面における私どもの適切な対処、また必要な協議を行うということが、今後の金融自由化を立派に乗り切っていくためにぜひとも必要な課題であるというふうに認識いたしております。
  7. 赤城徳彦

    赤城委員 よくわかりました。ぜひこれからの金融自由化に十分に対応できるように、規模の面や運用先、また資金運用部の面、さまざまな方策をこれからも検討、また実践していただきたいと思います。  次に、給与振り込みの問題についてちょっとお尋ねをいたします。  現在、公務員給与振り込み、これは郵便貯金では利用できない、通常貯金振り込みができないということになっておりまして、昨年予算要求の中でこの給与振り込みもできるようにしてほしいという要求が出されておったと思うのですが、それが認められなかった。そこら辺の経緯などをお伺いしたいと思います。  特にこの給与振り込み、もうほとんどのサラリーマンや公務員職員の方は、給料を封筒でもらって、そのまま家へ帰って奥さんに渡すということは少なくなってきたようで、給与振り込みを利用したいという希望が大変多いんじゃないかと思います。ところがやはり過疎地なんかで、例えば郵便局しかないような地域給与振り込みをやりたいと思ってもできない。これは非常に不便でありますし、またマイナスではないか。  最近では二十四時間営業のストア、あそこへ行きますと電話料金水道料金振り込むことができる。非常に便利になってきております。そういう中で、郵便貯金では給与振り込みができない。これは今までできなかったのが非常におかしいんではないかなと思いまして、いろいろ聞いてみましたら、どうも通常貯金口座振りかえができないというふうな仕組みになっておるということだそうです。ところが、振りかえ口座を別に設けて、そこをバイパスして振り込むとか、郵便局の方が事業者にかわって振り込む、何かテクニカルにいろいろやり方があるそうです。そういうふうなテクニカルな方法を講じるのも一つでありますし、もっと直接に、通常貯金振りかえ機能を設けさせる、普通預金化する、そういう方法で真っ正面から給与振り込みができるようにするのが今の時代に合った、またこれは先ほど申しましたけれども金融自由化でいろいろなサービスを提供していく、その中で郵便局がそういうニーズに対応していくということが大事なのではないか、そういうふうに考えております。  今までどういう経過だったのか、それからこれからどういうふうに対応されるのか、お答えいただきたいと思います。
  8. 松野春樹

    松野(春)政府委員 国営事業である郵便貯金事業通常郵便貯金口座国家公務員給料振り込まれないというのはいかにも不自然ではないかということは、かねてからもちろん郵政省としても実は考えておりまして、事務折衝の形では相当長い折衝経緯があります。  その間、歴史的にいえば、例えば国家公務員の場合には予決令の関係もこれあり、郵便貯金は貯蓄が主であって決済性を持った口座ではないから振り込みは無理であるとかないとかという議論も確かにいろいろ闘わされてまいりました。  当委員会で昨年の第百十八回国会におきましても、給与振り込み等につきまして早期に実現しなさいという御支援の附帯決議をいただいて、鋭意昨年の予算折衝時にも折衝いたしました。しかし残念ながら、先生も今御指摘のように実現をできませんでした。そのときの大蔵省等の意見は、やはり民業圧迫になる、あるいは通常郵便貯金決済性を付与することとなり問題である云々というふうなことを言われておるようであります。  ただ、よく考えてみますと、この給与振り込みの問題はあえて予算折衝時だけのマターでなくて、平時においても合意に達すれば十分解決がかなう問題でありますので、昨年の年末には、今後引き続き両省間で協議を行うという確認をいたしまして、現在も地味ではありますが着々と折衝のやりとりは続けておるわけであります。  大蔵省の主張といたしまして、郵政省として現時点での判断でありますが、現在国家公務員のうち給与振り込みを利用していない方々は給与法適用職員で三十万人にすぎない。したがいまして、郵便局を利用するようになったとしても、民間金融機関圧迫する云々の問題はないであろうというのが一つであります。  それから、私ども通常郵便貯金におきまして、既に自動払い込みでありますとか自動受け取り等決済サービス昭和五十七年から実施して国民生活にも定着してまいってきております。先生も一部ちょっとお触れになりましたが、もし通常郵便貯金口座決済との関係で仮に何がしかの議論があるとしたら、私どもで持っております送金決済手段である郵便振替口座との兼ね合わせで、先生指摘のようにこれは十分対応できる問題でもあります。  私どもの説明があるいは打ち出し方が相手の納得を得られない原因一つにあるのではないかと自分自身でもいろいろ反省しながら、再度いろいろな形で構成をまとめまして、鋭意折衝を続けて、できるだけ早く実現したいという気持ちでいっぱいでございます。ありがとうございました。
  9. 赤城徳彦

    赤城委員 今局長が言われましたように、国の機関である国家公務員給料が国の機関である郵便局振り込めない、これは常識から考えても非常に不自然なことでありますので、ぜひ給与振り込みが実現するようにお願いしたいと思います。  次に、今度の法案に係ります進学積立貯金についてお尋ねします。  進学また教育にかかる資金というのは、今非常に高くなってきている。私立の文科系で入学から授業料全部含めて三百四十万円という数字があるそうですが、学部によっては、例えば医学部なんかではもっと高いのではないか。下宿代予備校生活費、いろいろ教育にかかる資金で月二十万円仕送りをしなければならないという例も多々聞きます。そういう中で進学ローンまた進学積み立て、こういったものが非常に重要になってきている。国民金融公庫進学ローン、これは平成年度限度額を引き上げて五十万円から百八万円にした。その後、どんどん伸びております。現在、十一万件九百八十一億円と大幅に伸びてきた。ところが、郵貯の方の進学積立貯金は五十八年以降減り続けている。五十七年度末で二百四十二億円が平成年度末で五十二億円、こんなに減ってしまった。進学教育にかかる資金はどんどんふえているのに、また国の進学ローンは伸びているのに郵貯の方の積み立てが減ってきた。  これは一体どこに原因があるのか、また、今回の改正でそれがどの程度改善されるのか、お尋ねしたいと思います。
  10. 松野春樹

    松野(春)政府委員 進学積立郵便貯金は、昭和五十三年度に創設された制度でございます。昭和五十八年度を境としまして残念ながら減少傾向をたどりまして、平成年度新規利用件数は七千件、むしろ七千件しか利用されないという言い方の方が正しいと思います。また、平成年度末の口座数は二万一千件という状況になってございます。  この主な原因として私どもいろいろ分析しておるのですが、その一つは、民間金融機関におきましては、国民金融公庫進学資金貸し付けよりも金利が若干高いわけではありますが、しかし、いろいろ多様な教育ローンが提供されるようになってきておるという実態がございます。  それからもう一つは、私ども内部事情でございますが、定額貯金の存在が余りにも大きいために、周知活動の中でどちらかというと定額貯金等周知が偏りがちであったと、今率直に自己批判をいたしております。  それから三点目は、貸付限度額が百八万円と相対的に低い額であった。これは今回、公庫の業務方法書という国民金融公庫サイド内部改正で百五十万円に引き上げるべく今準備を進めております。  それから四点目に、積立期間の問題でありますが、従来は一年以上三年以内の積み立てということで比較的短期であったために、高額の積み立てが、必要とする額の積み立てが困難であったということもあるのではないかと思います。この点につきましては、今回の郵便貯金法施行令改正で対応しようとしておるのですが、五年まで延長することで今考えております。  それから次に、これは今回法律改正でお願いしている点でありますが、従来の進学積立郵便貯金積立目的進学時だけに限っておりましたものを在学時も含めて広く教育全体ということで、在学時全体を対象としたいというふうに目的拡大を今回図ろうとしておりますが、従来は進学だけに限られておったということもあろうかと思います。  また、隠れた事情ですが、対象となる学校が限定されていたという事情もあります。例えばごくわかりやすい例で言いますと、一般予備校等対象になっていなかった。今回はこういう各種学校等対象に加えるべく、国民金融公庫政令レベル改正であろうと思いますが、今対応していただいておるところであります。  こういうふうなことでこの進学積立郵便貯金が低調の一途をたどっておったと認識しておるわけですが、今回のもろもろの改正を契機としまして、今後、第一には、一層のPRをまずひとつやってみようということで考えております。  それから、この制度そのものは、一方では教育のために自己資金を蓄えながら、また貸し付けメリットも受けられるということに特徴があるわけでありまして、この制度特徴そのものも失われておらないというふうに私は認識しております。ぜひとも積極的に利用促進を図ってまいりたいなと思っておるところでございます。
  11. 赤城徳彦

    赤城委員 時間がなくなってまいりましたので、最後質問にさしていただきたいと思います。  進学また教育積立貯金がこれからどんどん伸びるようにお願いしたいと思いますが、一方、国際ボランティア貯金が新しく始まって、これが非常に調子がいい、評判がいいと伺っておりますけれども、今の募集状況、どのぐらい件数や額があるのか、また、これから実際に援助へ向けるわけなんですけれども、配分をどういうふうにやっていくのか、その点をお尋ねして、最後質問とさせていただきます。
  12. 松野春樹

    松野(春)政府委員 私どものコンピューターを操作しまして、最終的な確定数字は今月の下旬になるわけでありますが、三月末現在で締めました平成年度分の国際ボランティア貯金協力をいただきました状況を申し上げますと、件数で二百十二万件、金額にいたしまして、当初の七億二千万を大きく上回りまして約十一億円というふうに把握いたしております。  これを、三月から四月の十五日までという形でNGOの公募を行ったわけであります。ちょうど今週の月曜日が一応十五日になるわけですが、郵送でまだ今届きつつあるものもありますので数は若干変動的ですが、本日の朝現在の状況ですと、団体数で九十三団体が応募されております。最終的には、現在郵送途中のものを入れますと百前後の団体から申請があるのではないかと見込んでございます。  この公募状況を見ますと、申請援助事業のジャンルも各般にわたっておりまして、食糧援助でありますとか医療衛生、教育関係、職業訓練関係あるいは農村開発、生活改善や環境保全それから難民救援と多岐にわたっておりまして、実施地域につきましても、何と申しましても一番多いのはアジアのようでありますが、アフリカ、中南米等も相当数このNGOの事業対象として申請の中に盛り込まれておるようであります。  初年度でありまして、私どもも大変いろいろ苦心しながら、このボランティア貯金に対する御協力をいただくこと、あるいは実際NGOがこれに応募していただけること等につきまして注視してきたわけでありますが、大変皆さん方のお力添えをいただきまして、初回といたしましては予想以上に大変御理解をいただいているな、今後ひとつしっかり心を引き締めてこの扱いに遺漏のないように対処してまいらなければいかぬなということを考えておる次第でございます。
  13. 赤城徳彦

    赤城委員 終わります。ありがとうございました。
  14. 野中広務

    野中委員長 次に、武部文君。
  15. 武部文

    ○武部(文)委員 このたびの法律は限度額の問題が非常に大きく取り上げられておるわけでありますが、我々は今までずっと、限度額の問題を毎回の国会で実情に合ったようにふやすべきだ、そういうことを言い続けてきたわけであります。ようやく一千万円という大台に差しかかってきたわけでありますが、郵政省職員が長年勤めて退職をして、せめて自分の勤めておった郵政省に退職金は全額貯金をしたい、こう思っても、一千万円にようやく今度なったわけですけれども、とてもこれじゃ追いつかぬ、こういう状況であります。地方におればそういう声をよく聞くのです。  そもそもこの貯金限度額というのは、利子がすべて非課税であった、こういうために設けられたものでございまして、我々はそういうことをずっと聞かされてきたわけでありますが、今日この非課税制度というものが我々の主張にもかかわらず廃止になって、郵便貯金すべて課税、こういうことになったわけです。そうなれば当然この限度額というものは無意味なもので必要ないじゃないか、私はそういうふうに主張すべきだし、またそうだと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  16. 松野春樹

    松野(春)政府委員 私ども郵便貯金といわゆる利子税制との絡みは大変長い歴史がありまして、たしか大正八年だったと思いますが、郵便貯金非課税というふうな制度が入ったと思います。そのいろいろな変遷がありますが、民間におきましても、これは昭和三十八年でありましたか、もし間違っておったら訂正させていただきますが、いわゆるマル優制度が採用されまして、私どもの預入限度額とたまたま一致するわけでありますが、この利子非課税制度と私どもの預入限度額というものがいわば歴史的には連動したような形で理解されてきたということは御指摘のとおりであります。  したがいまして、従来、郵便貯金の利子のすべてが非課税であったこととの関連でこの預入限度額が設けられていたわけであるから、御指摘のように利子非課税制度が原則廃止された現在においては、この預入限度額は撤廃されてしかるべきだという考え方は、私は十分あり得る御議論であろうと思います。  ただ、郵便貯金につきましては、私ども国営事業あるいは非営利事業ということでやっておるわけでありますが、専ら個人を相手として簡易で確実な貯蓄手段の提供ということを旨としておるという事情もございまして、私の現在の立場から、今直ちに預入限度額制度を廃止するということにつきまして、よくわかりましたと言うわけには実はまいらないことも御理解いただきたいと思います。  ただ、私自身の気持ちとしては、少なくともこの預入限度額の水準が、日々変わってまいります金融情勢下あるいは国民所得との兼ね合いで適正な水準にぜひとも維持されねばいけないということは、これは身にしみて感じておるつもりでございます。
  17. 武部文

    ○武部(文)委員 それなら、その適正な水準とは郵政省としてはどのくらいに持っておるか、これをちょっと聞かせてください。
  18. 松野春樹

    松野(春)政府委員 これは実は私、答える答弁に大変自信のない問題でありますが、郵政省としましては、そのときどき、いろいろ限度額の引き上げ要求を出しますときに、慣例的と言っては語弊があるかもしれませんが、国民の貯蓄目標額、日銀の調査で毎年出ております。  一体どのような貯蓄目標額をお持ちだろうか、これは一世帯当たりの目標額が出てまいります。昨年のデータでは、一世帯当たり約二千四百万円というふうなデータが出ておったわけであります。したがいまして、概算要求時点では、その二分の一であります、大体二人家族、夫婦二人としてみると一千二百万程度は欲しいなというふうなことを念頭に概算要求したわけでありますが、これは必ずしも方程式的にきっちりした積算ではありませんので、いわば若干腰だめ的な要素もありますが、一千万を超えれば、あるいは一千万の声を聞きますと、現時点では、この預入限度額制度を前提にした限度額としては私はまずまずの水準ではないかというふうに理解いたしております。
  19. 武部文

    ○武部(文)委員 今のところ相手があるわけですからそれ以上のことは言いませんが、千二百万という要求それ自体も私はちょっと低過ぎるような気がします。  いずれにしても、申し上げたように、利子の非課税制度が全廃された、このことは当逓信委員会にとっては大変残念なことで、全体挙げてこの非課税制度の存続をおやりになったわけですが、残念ながら押し切られた、そういう経過があるわけですから、これからもこの限度額の問題については私はずっと主張すべきものはすべきだ、こう思います。  そこで、ちょっと念のためにこの場で聞いておきますが、郵便貯金が非課税制度が廃止になって利子に二〇%の税金がかかるようになったわけです。これは総額として、平成元年か二年ですか、一年間に一兆二千億円も郵便貯金の中から税金が取られておる、こういう資料をもらったのですが、間違いありませんか。
  20. 松野春樹

    松野(春)政府委員 平成年度におきまして一兆二千二十一億円が納税額ということで間違いございません。  ただ、参考までに申し上げますと、平成年度は一千五百五十三億円でありまして、相当大幅に伸びておりますが、恐らく、昨年は御存じの十年前の高金利の時代の定額貯金が三十四兆円、集中満期をいたしておりますが、その影響も平成年度にはあったかと思います。
  21. 武部文

    ○武部(文)委員 それにしても大した金額を税金として召し取られてしまったわけでしょう。我々はここで絶対反対を続けてきたわけですよ。頑張ったけれどもとうとうやられた。その金額が何と一年間に一兆二千億円も取られてしまった。これは大変なことだと思うのですが、今ここでそれを蒸し返したってしようがないので、いずれにしてもあのときの申し合わせどおりこれは平成五年には再検討することになっておるわけですから、そういうときには、郵便貯金の庶民性という実態から、あくまでももとへ戻るような努力は我々としては続けていってほしいし、郵政省としてはぜひそれを貫いて主張は曲げないでやってほしい、こう思います。  税金のことは、ボランティアの問題もありますから後でもう一つ触れておきたいと思いますが、先に進みます。  ゆうゆうローンが非常に評判がいいのですけれども貸付限度額が二百万というのはいかにも少ない、こういう現場の第一線の諸君の声があるわけでございます。したがって、担保の貯金の範囲内ならば二百万を超したっていいじゃないか、こういう意見があるわけですが、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  22. 松野春樹

    松野(春)政府委員 ゆうゆうローンの貸付限度額につきましては、現在、担保とする貯金の現在高の九割相当額以内という縛りが一方であります。と同時に、一人につきまして二百万円までと定められておるわけであります。  そこで、私どもといたしましても、平成年度予算におきまして、予算折衝時におきまして、民間金融機関と同様に、担保とする貯金の範囲内で貸し付けるわけでありますから、この二百万円の制限を撤廃してくれという要求を申しまして鋭意折衝いたしましたが、これもやはり相手との交渉の問題でありますが、大蔵省におきましては、このゆうゆうローンは予期しない出費を一時的にしのぐための制度としてつくられたものであるから、それ以外にもいろいろな議論は交わしたわけでありますが、この貸付限度額の全体を撤廃することについてはその創設趣旨にそぐわないという反対がありまして、残念ながら実現に至らなかったわけであります。  今後のことでありますが、この預金者の利便向上に資するためにも、担保とする貯金があるわけでありますから、その範囲内で二百万円の制限抜きで貸し付けできるように、この改善には機を見て一生懸命取り組んでまいるつもりでおります。御指摘のとおりであろうと思っております。
  23. 武部文

    ○武部(文)委員 相手がわからず屋だから、なかなか難しいと思うのです。しかし、これはやはり努力してもらわなければいけません。現場はそう言っているのですよ、第一線は。評判がいいからやろうと思ったってできないようになっているのだ、この原因は何だろうか、こういうことになるわけです。相手相手ということはさっきから大分何遍も出ますけれども、確かに相手はなかなか強硬かもしれませんが、やはり現業官庁の郵政省としてはあくまでも主張すべきものは主張し続けていく、そういう点でひとつ突破口を開いてもらいたい、こういうことを特に要望しておきます。  もう一つ、次は現金振り込みの問題ですね。相手が総合通帳を持っておってその記号、番号、氏名、これだけわかれば、どこの郵便局でも現金振り込みをすればいいんじゃないか、こういうことが当然私はあってしかるべきだと思うのですが、そういうときには、今は振り込む方が振替貯金口座を持っておらなければだめだ、こういうことになって大変不便だ。  例えば土地の代金とか売買代金とかいうものは相当金額が高いですよ。一千万とかそれに近いような金額も多いわけですが、簡単にそういうことがどうしてできないのか。相手の番号と氏名さえはっきりしておれば、こっちに何も振替貯金口座を持っておらなくたってどこの郵便局へ行ってもぽっと払い込めるようなそういうことはできないものか、この点いかがでしょうか。
  24. 松野春樹

    松野(春)政府委員 ちょっと事務的な説明になって恐縮でありますが申し述べさしていただきます。  現在、私どもの総合通帳を利用してできますサービスは、貯金の預払いはもちろんでありますが、それ以外にゆうゆうローンでありますとか給与預入、さらに郵便貯金と郵便振替を組み合わせた自動払い込みなどの各種のサービスを提供いたしてきておるところでございます。  先生指摘の総合通帳で送金を行うサービスにつきましては、この郵便振替口座を利用する形で、平成元年の八月から総合通帳に郵便振替口座を組み込む形で開始しておりまして、まだ利用としましては約八万人程度でありまして、これは決して十分普及しているとは言いがたいわけでありますが、そういうことで今開始しておるところであります。  その取り扱いを全面的に変えるということにつきましては、システムの更改がもちろん必要でありますために、現在順次提供地域拡大を図っているところでございます。本年五月には、ただいま申し上げました総合通帳に郵便振替口座を組み込む形を御利用いただければ、全国どこの郵便局からでも総合通帳による送金が可能となるような対処はいたしておるわけであります。  さらにつけ加えますと、このATM、自動預払い機によりまして利用者が操作して送金する方法平成四年の一月には全国レベルで可能となるように、今準備中でございます。先生のおっしゃる方向で取り組んでまいりたいと思います。
  25. 武部文

    ○武部(文)委員 もう一つ、国際送金のことをちょっとお伺いしたいのですが、現在は普通局と集配特定局、それから例えば一つの市の中の無集配局で一局ぐらいにしかできないようになっています。全国たくさん局があるわけですから、どこの局でも国際送金ができるように、簡単な手続だと思うのですが、そういうことはできないのですか。
  26. 松野春樹

    松野(春)政府委員 先生も今お触れになりましたが、国際送金の取扱郵便局、今全国で約五千七百局であります。普通郵便局約千三百局でありますが、これは全局対象にしております。それから集配特定郵便局、これは約四千局、丸めて申し上げて恐縮でありますが、約四千局でありますが、これは全局もう既に扱っております。おっしゃいますように、無集配特定局がまだ四百局程度しか扱っておりません。  そこで今後の課題ということになるわけでありますが、従来の考え方ですと、国別に取り扱い条件が異なるなど受け付け手続に若干の難しさがあるということで、取扱局を限定しながら逐次広げてまいってきておるようでございます。ただ、最近の私どもの理解としましても、やはり国際化が進んできております。したがって、国際送金業務に対する利用者の方々のニーズも著しく増加しております。これは日本全国、都市部に限らずそういう現象が見られると私は理解しております。したがって、今後、この利用が見込まれるような都市部の無集配特定局を中心といたしまして、順次と言うと少し私の気合いが表に出てまいりませんが、積極的にこの国際送金の取扱局を拡大してまいりたいと思っております。  当面、私今考えておりますのは、今後二年間で少なくとも三百局程度は広げたい、無集配特定局でありますが広げたいなというふうに考えておるところでございます。
  27. 武部文

    ○武部(文)委員 わかりました。わかりましたが、これは手続はそう難しいことじゃないので、無集配局でも大きな局もあれば小さい局もあるわけで、ぜひその無集配局にもそういう国際送金ができるようにしてほしい、こういう要望は強いようですから、簡単にすぐにはできないかもしれませんが、ふやすような努力は続けてほしいと思います。  今度できました都市型の簡易郵便局ですね、そういうところは全くこれはだめなんですか。
  28. 松野春樹

    松野(春)政府委員 昨年から都市型の、いわゆるシティ・ポストと申しておりますが、簡易郵便局の増置に取り組んでおりますが、現在まだ対象としておりません。
  29. 武部文

    ○武部(文)委員 わかりました。これはひとつ検討していただきたいと思います。都市型の郵便局というのは大変利用率が多うございまして、これはごらんになっていただけばおわかりのとおり、予想以上に利用者が多いわけですから、こういう点もひとつ検討対象にしてほしいと思います。  次に、この郵便貯金の奨励関係、昔は奨励といえば、保険は外務、貯金は奨励、そういうような課があったぐらいですが、今名前は変わりまして営業というようなことになっておるようですけれども、この営業関係、これは大変大事な仕事だと思います。現在貯金業務に携わる者が六万数千人全国におるわけですが、大半が第一線でこの奨励事務に当たっておる。集金ないし奨励事務、こういうことになるわけですから、一つの目標が立てられて今年度はこれぐらいの増強、こういうことはまあ例年のとおりだと思います。  したがって、それを否定するものではございませんが、例えば、ことしの重点目標は何と何と何、こういうふうにして指示をおろされ、計画を本省から郵便局におろされて、郵政局から現場の第一線にそれが行く、こういう過程でいろいろな問題が起きてきます。  例えば、先ほど同僚議員からお話がございましたような給与預入の問題とか、あるいは年金の振替預入の問題とか、いろいろな問題があるわけですが、目標が郵政省の本省から中国郵政局なり近畿郵政局におろされて、それが末端の現業の局に流されるときに次第に目標がふえていくのですよ。例えば百が百二十五になってみたり、百二十五が百三十になってみたり、目標をプラスしながら現場におりていく。そして、最後には個人にそれが大体割り当てられていく。こういう格好はずっと昔からあったわけで、したがってそういう奨励問題をめぐっていろいろなトラブルがあったりしたことを私は記憶しておるわけですが、近年はそういうトラブルがあんまりないというふうには聞いておりました。  例えば、目標が百おりておるのに百五十ぐらいにして現場へおろして目標達成を競争させるという、いわゆる競争ですね。したがって、十なら十の郵政局の中で一番から十番まで、いつも順番が決まっておりますが、競争する。これは今の世の中では私は否定はいたしません。そういうことはあるだろうし、競争によって成績が上がることもこれまた否定できない事実だ、こう思いますが、これが度が過ぎるとちょっと問題になるんです。例えば数字を上げるために件数だけとってくればいいとか、そういうことになって内容がおろそかになってしまう、こういう嫌いが私はないとは言えないと思うのです。そのために、郵政局から示された目標を達成するために、ただ単に件数をふやすために小さな貯金で数をふやしてみたり、こういうような傾向がなきにしもあらずということをよく聞きます。  したがって、あなたの方はこういう奨励の問題について、目標をどういうふうな形にして郵政局に流されるか、郵政局に流されたらそれは郵政局の責任でやるように郵政省としては考えておるのか、その点はどうでしょうか。
  30. 松野春樹

    松野(春)政府委員 これは私ども郵政省の簡易保険事業におきましても郵便貯金事業におきましても、やはり職員の営業努力ということがこの事業の発展を大きく左右することでありますから、職員が本当に自発的に一生懸命頑張っていただいて、事業が発展し、また利用される方々も喜ばれるということが一番望ましいし、また長続きするおつき合いになるというふうに理解いたしております。  今先生指摘の中で、具体的な事例は直接郵便局から耳にしたことは私自身はありませんが、時々私自身も郵政局との会合の中で、留意はしておったのですが、目標が決まりますと件数合わせのために、一件当たりの内容いかんにかかわらず数字合わせのような募集奨励をやるというケースが、数は私は少ないだろうと信じたい気持ちでいっぱいでありますけれども、やはり耳に入ってくるということは、少し営業あるいは目標の達成あるいは営業の推進ということにつきまして認識の点でいかがなものであろうかという感じは、先生のお話を聞いておって率直にいたしたわけであります。  現在、目標設定というのが、従来ですと貯金の募集というのは、一番典型的なのは目標を置いて計画的に募集を推進するということであったわけですが、例えば最近の国際ボランティア貯金のようなケースの場合には、目標になじまないということで、予算的にどのくらいになるのか一定の把握をする必要がありますから一応の目安を本省は持っておりますが、一局あるいは一人当たり幾らというふうなことはもちろんおろしてはおりません。  それから最近は、家計のメイン口座と申しておりますが、先生もお触れになりました給与預入でありますとか年金の振替預入、自動払い込み等でありますが、これらが実はお客様と郵便局との間の関係を取り持つといいますか、深めるために大変有力な商品であります。民間におきましてもこういう基礎的、基盤的な商品のセールスに大変力を入れております。郵政省はどちらかというと少しおくれぎみであったわけですが、ここへ来ましてこの種のものにつきましても一定の目標を置いて郵政局におろしているところであります。  郵政局から先につきまして、確かに郵政局同士でこの目標達成状況について競う、私は、これは円滑に行われるなればむしろいいことであろうと思いますが、何かそこにもし、その順位のみを考える余りに先ほど申し上げましたような件数のみの数字合わせといったような面が出ないような指導をこれからも強めてまいりたいと思います。  本省から郵政局それから郵便局というふうに、本省と郵便局の間には若干の距離があるわけでありますが、できるだけ郵便局のそういう生の声を私自身もよく把握するように、今後努めてまいりたいと思います。
  31. 武部文

    ○武部(文)委員 時間がちょっと短縮されたのではしょってやりますが、今の目標の件はこのくらいにしておきます。  現場の第一線で課長なり局長が、いわゆる地域郵便局づくりというキャッチフレーズで貯蓄奨励をいろいろと職員に督促をし、頑張らせておるわけですけれども、現実に今の課長あるいは局長という管理者の任期は一年から二年、大体そういうところでかわっておるようですね。よその人が来るわけですからね。その地域の実情がわからぬうちにまたかわってしまうというようなことがあって、第一線の諸君というのは初めからしまいまでそこにおるわけです。いろいろやるけれども、なかなか難しい。  例えば、給与預入の問題にしたって、銀行から会社に圧力がかかるわけですね、そんなことをするなとか。それから年金を郵便局でやろうと思うと、今度は市役所の窓口で担当者は銀行の方を勧める、こういうようなことが随所にあるのですよ。  今おっしゃったような給与預入だとか年金の問題だとか自動振り込みだとかいろいろなことは、少なくともトップクラスが折衝をする。市役所とも折衝したり自治体とも折衝したり会社とも折衝したりするトップのセールスというのは、管理者である局長なり課長が出かけていって一つの突破口を開いて、そこで今度は第一線の諸君が出かけていく、こういうことになっているのですよ。ところが、一年か二年足らずのうちに逃げちゃう、町の名前も順路も何もわからぬうちにかわってしまう、こういうことがあって思うがままにいかないというのが実情のようです。これはどうも昔からそういう傾向があったのです。相も変わらず大体同じような傾向だ。  したがって、管理者の皆さんは大変だろうけれども一つの箇所にはせめて三年くらいおって、そして奨励の問題については、その地域の実情をよく承知をし、職員がそういう突破口の中に入っていける、そういう管理者であってほしいという要望が非常に強い。これは私が自分で全国の郵政局に行って現場を見てそう感じました。  したがって、営業を担当する者はなかなか難しいのですが、管理者の皆さんはせめて三年くらいおって、職員がセールスに、いわゆる営業にもっと身が入るような、そういうことをやってもらえぬだろうかという要望があちこちで大変多いのです。こういう点についてはどうお考えでしょうか。
  32. 松野春樹

    松野(春)政府委員 るる承りました。  まず、貯金局長でありますので、純粋に人事方針いかんということになりますと答える能力を超えるわけでありますが、しかし、御指摘のように最近、従来私どもが一軒一軒の家庭を専らセールス対象にしておりました時代と少し時代が変わりまして、事業所開拓等の分野も相当広がっております。  先ほどの答弁で私申し上げましたように、こういう給与預入でありますとか自動払い込み、年金振替等につきましても、事業所にお邪魔して、いろいろそこの責任者と交渉する、あるいはセールスするという場面が相当多くなっておりまして、いわゆるトップセールスあるいは組織セールスの態様が徐々に大きくなり、したがってその局の管理者の営業に対する意気込みといいますか、あるいは努力、人柄等もあるかもしれませんが、そういうものの影響がやはり無視できない状況に当然のことながらなっておるという点は十分承知いたしております。  先生のおっしゃる点は私も気持ちとしては全く同感でありますが、今後の人事云々ではなくて、営業を担当しておる者としてそういう心構えで今後望んでいきたいというふうに感じております。
  33. 武部文

    ○武部(文)委員 これは貯金だけに限らない問題でありまして、郵便もそうですし、保険もそうですから、郵政三事業ともそうした管理者の在任の期間というものについては、私は郵便のときにも申し上げました。同じことなんですから、ぜひひとつ検討して、第一線の諸君がそういう意味でも成績が上がるように、そういう要望が強いわけですから、お考えをいただきたいことを要望しておきたいと思います  先ほどボランティア貯金の話がございまして、三月末で約二百十二万件、十一億円というお話がございました。そういたしますと、この十一億円というのは税金を取られた後の金だと思うのです、課税されておるわけですから。そうすると、この課税はどのくらいになりますか、税金。
  34. 松野春樹

    松野(春)政府委員 先ほど申し上げました十一億円といいますのは、これは税込みでございます。寄附金額全体でございます。これの二割でございますから、二億七千万円が課税額ではないかというふうに理解いたしております。
  35. 武部文

    ○武部(文)委員 二億七千万円……。
  36. 松野春樹

    松野(春)政府委員 訂正させていただきます。  税金分は二億七千万円で、それを除いた寄附金額が十一億円ということになります。
  37. 武部文

    ○武部(文)委員 わかりました。  先ほど郵便貯金の利子の税金が一年間で一兆二千億円という御答弁をいただきました。その問題は大問題だからなかなかそう簡単に決着はつかぬと思いますが、せめてこのボランティア貯金を非課税にすべきだという意見は、去年のこの委員会であったのですよ。少なくとも今の赤い羽根募金あるいは緑の羽根募金、そういうものと今度のボランティア貯金というのは、私は内容的にはそう変わりはないと思うのです、意味は。ところが、赤も緑も税金はかかったりはしませんよ。何でこれだけ税金まで取るのか、これは非常におかしいという意見は当委員会でもあったのです。ところが、これだけ除外するわけにいかぬから、平成五年の総合課税のときに検討し直したらいいじゃないかということで終わってしまった。現実に二億七千万円というものは税金として大蔵省に取られちゃったのですね。これが加われば十一億と二億七千万で約十四億の金が出るわけでしょう。少なくともこのボランティア貯金に課税するなんということは、今の世の中の常識からいって、これは常軌を逸しておると言っても私はいいと思うのです。  私はここで大臣に申し上げたいのですが、せめてこのボランティア貯金だけは非課税にする努力を、政治的にも折衝してもらいたい。これから努力をしてどんどんふえていくだろう。そして、この配分の希望が今九十何件とおっしゃいましたけれども、たくさん出てくると思うのです。こういう内容を持ったこのボランティア貯金に課税するなんということは、これは通りませんよ。ですから、これだけでも除外するような政治的な決着をつけてもらわなければいかぬというふうに思うのです。難しいことかもしれませんが、この点について大臣、お考えいかがでしょう。
  38. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ボランティア貯金の非課税の問題でございますが、当初、いずれにいたしましても先生おっしゃいます相手方が相手方でございまして、結局、新しい貯金制度をつくるということそのもの自体に大変なアレルギー的な抵抗があったのであろうと思います。  そういうようなことで、平成二年の四月十七日のボランティア貯金についての覚書がございますが、確かにそういうようなことで、平成五年の利子所得課税の見直しに際し、この利子に対しては最良の方法について再検討するものとするということが第三項目に挙がっておるわけでございますが、五年まで待つまでもなく、本当に一刻も早く、これは非課税にするように努力をいたしたい、そのように思っております。
  39. 武部文

    ○武部(文)委員 時間が来ましたので、私はボランティア貯金のことについて、もう一つ最後に申し上げて、これはちょっと聞いておいていただけばいいのです。  先ほどの目標の問題とも関係しますが、郵政省はそういう方針をとっておるかもしれませんが、ずっとおりていって一番下はどうなるかというと、これは件数なんです。二百十二万件という数字がありますね。これは意外に多いと思ったのです。それでいろいろ調べてみると、やはり件数を最重点目標にしておりますね。したがって、件数合わせをするために、十円とか百円とかというようなものをどんどんつくって件数を上げておるのですよ。これじゃ意味をなさぬです。これは調べてみればわかりますから。  そういうことじゃなくて、これはもっと息の長い運動ですから、そういう制度なんですから、何も目の先のことばかり考えて件数を上げたりとかいうような、そういう競争をするような内容を持ったものではないのです。善意によって出てくるものですから、十分納得ずくでやってもらえばふえてくると思うのです。それを、件数件数で競争させるから、十円だ十五円だという貯金通帳をぽっぽぽっぽつくって持ってくるから件数だけ上がっておるのですよ。これは、そういうことではならぬのです。調べてごらんになるとわかりますよ、そうなっておるのですから。こういうことじゃないようにしてほしい。  それからもう一つ。私は、これは信じたくないのですが、参議院の逓信委員会の議事録を読んでみたら、三重県のある局のことが載っておりました。これをずっと読んでみて、こんなことが今ごろあるだろうかと思ってちょっと心配になったのですよ、調べてみておりませんからわかりませんが。  こういうことがもしあるとするなら、これは大変な問題なんですよ。そういう強制的な、何か嫌がらせをやってみたり、体当たりしたとかなんて書いてありましたが、そんなことまでして成績を上げる必要はないのですよ。そんなことが実際にあったのだろうかと思うが、事実、議事録に載っておるのですから。この貯金の法案の審議の中に出てきておりますね。そういうこともひとつ検討を加えてもらわなければなりません。  したがって、このボランティア貯金というのは、まさにここで論議をしたように国民の善意に基づく貯金なんですから、じっくり腰を落ちつけてやる。そして、余り拙速でやるから、一回だけだという話だったのにずっと払わなければいかぬのか、そういうような疑問を持つ加入者がおったようですよ。いや、一回だけですからというようなことを言って募集しておる人もいたようだ。こんなことも、これはちょっと意思の疎通が欠けていますよ。成績は確かに上がっておって私も立派だと思うけれども、その裏をもう少し考えてもらわなければならぬ。そうしないと、これは続きませんわ。そういう点をぜひ郵政省として考えていただきたい。  それから最後に、もう時間が来ましたが、郵政大臣に、シルバー貯金のことです。  どの大臣も、郵政大臣になったら一番先に、シルバー貯金をやります、これが大臣の第一声に入っておったのです。関谷大臣の中にはないのですよ。あなたは、これは難しい、現実的に大変だということをよく認識しておられて避けられたのか、触れられなかったのか。大臣就任にはこれは必ず出ておるのです、どの大臣も。シルバー貯金をやりますと言って、みんなが拍手喝采しておったのですが、一向に実行されない。今日に至るも、十何年たったって全然だめ。このシルバー貯金というのは郵政省として放棄したのか、それともこれからもなおシルバー貯金は必要だから続けて要求していく、こういうお考えなのか。最後にこれを聞いて終わります。
  40. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 意図して入ってなかったというわけではないわけでございます。  確かに五十六年の予算からずっと要求をいたしておるわけでございますが、大蔵省からの民業を圧迫する等々の主張によりまして今日までまだ実現ができてないわけでございます。今後、急速な高齢化社会が進んでいくわけでございますから、これは四十歳以上の方を対象にしてというようなことで、六十一年ごろには三十歳以上の者というふうにしておったわけでございますが、どうも話が進まないということで四十歳に年齢を上げたりもいたしております。こちらもそれはそれなりに商品性もいろいろ考えて努力をしておるわけでございますが、ただ一項目としてきちっと入ってなかったというようなことでございまして、その汚名を挽回するためにもなお頑張ります。
  41. 武部文

    ○武部(文)委員 時間が来ました。終わります。
  42. 野中広務

    野中委員長 次に、上田利正君。
  43. 上田利正

    ○上田(利)委員 今、武部委員最後に申しましたのですけれども、それからちょっと入らせていただきますが、郵政省が今言ったようなシルバー貯金を中心にしながらさまざまな新商品をということでお考えになって大蔵当局に要求をしておりますけれども、シルバー貯金については、もう十年間もやっていても実現をしない、こういう状況にあるわけでして、今大臣からの御答弁もお聞きをいたしました。そのほかに家計ミニ貸付制度であるとか、あるいはさっきお話がございました公務員等への給振りの問題、こういう課題がなかなか進展をしない。大臣も申されましたように民営を圧迫するからという理由だけでは、これは国営事業として行っている郵便貯金、これを何と心得ておるのか、こう思うわけでございます。しかも非営利でございますから。やはり国民のためになっていくといういいことであれば、これはどしどしやっていくべきだと思うわけでございます。  とりわけシルバー貯金などについては、今長寿社会を迎えまして一番重要な、我々国会におきましてもあるいは政府におきましても国民にとっても重要な問題であるのです。これは国民は非常に期待をしているのです。あるいはお年寄りは、これが早く実施されればいいな、こう思っているわけでございます。  そのシルバー貯金などを含めまして、今まで新しい商品といいますか、そういう形で提起したものがなかなか通らないというのは、郵政省に力がないじゃないか、大臣が真剣に取り組まないじゃないか、こういう声もあるやに聞き及んでいるわけでございまして、この点につきましてちょっと大臣の所見をお伺いをしておきたいと思います。
  44. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 同僚の先生方、ずっとけさからるる御質疑そしてまた御指摘をいただいておるわけでございますが、その趣旨、内容は、先ほど先生おっしゃられましたように、私は今日までは、どういたしましても大蔵省といろいろな問題を折衝をいたしますときに、どうもまず第一に向こうが言いますのは、民業を圧迫するんじゃないかというようなことが言われてきておるわけでございますが、今日の金利自由化の問題であるとか、あるいはまた高齢化のこのように急激な進展であるとか、そういうようなことをいろいろ考えますと、郵政が打ち出しておりますいろいろな新しい商品、あるいはまた限度の撤廃あるいはまた運用のもっと自由なやり方等々いろいろ要求いたしておりますことが本当にこの時期に解決をされなければ、今度は私たちの立場が非常に不安定なものになり、逆に言いますと赤字の運営に陥る危険性も非常に大きなものがあると私自身真剣に思っております。  したがいまして、今後、この夏からまた来年度の概算要求を始めますけれども、そのときに、あらゆるそういう環境にのっとってそれに対処をしていくための方策はもっと自信を持って力強く進めていくということをやっていきたいと考えております。したがいまして、郵政省が決して力がないわけでもないわけでございまして、私がサボっておるわけでもございませんので、なお夏休みを返上して頑張りますので、どうぞまた先生の御支援をお願いをいたしたいと思います。
  45. 上田利正

    ○上田(利)委員 関谷大臣から力強い御答弁をいただきましたから、ぜひ大臣を先頭に郵政省一丸となって頑張っていただきたい、こう思います。  そこで、今回の郵貯法の改正案による預金者一人当たりの貯金総額の制限額、預入額でございますけれども、これが七百万円から一千万円ということで先ほどからも御質問がございました。一千万円に引き上げるということになりました。  この額が引き上がることについて反対ではない、大賛成でございますが、問題は、本年の四月一日から例のMMC貯金の最低預入金額が五十万円に引き下げられました。さらに、この前からも本委員会でも論議されておりますように、本年の秋ごろからは三百万円以上の定期郵便貯金金利自由化されるというふうな状況にも相なってまいります。余り言いたくございませんが、アメリカの意思によるか否かというようなことは横に置くといたしましても、全面的な金利自由化という自由競争体制に好むと好まざるとにかかわらず突入していくというのは間違いないと思うのであります。  この金融機関における金利自由化競争というか戦争というか、これによるメリット・デメリットの問題であるとか、あるいは言いかえれば、もっと素直に言えば弱肉強食と申しますか、そういうふうなさまざまな想定し得ないような事態が発生してくることが十分予測されると思うのであります。  既にその前兆といたしまして、大手銀行と地銀、あるいは相互銀行などの第二地銀ですか、あるいは信用金庫、信用組合等々の合併とか吸収が順次随所に進められてきております。経営規模の小さな金融機関金利自由化に立ち向かうことができるのかできないのか非常に難しい段階に実は来ておりまして、利ざやが縮小してまいりますと金利リスクが増大をいたしてまいります、そうすると必然的に採算がとれない、とれないから倒産する、倒産する前に吸収、合併して生き残りを図った方がいいとか、さまざまな状態が出てきております。これはアメリカの実態を見てみれば明白だと思うのであります。  また、農協などにつきましても非常な危機感を持っておりまして、単一農協から、山梨の場合で見ますと都市単位の大型農協になる、あるいは経済圏を一緒にしたその地域の農協が七つなり八つなり十が全部一緒になって一つの大型農協に合併をしていく、こういう傾向がずうっと出てきております。これはすべてこの秋から具体的になってまいります金利自由化に対する防御策と申しますか対応策と申しますか、そういうものの一環としての準備態勢を着々と進めておるわけでございますけれども、これに対して郵政省はどのように対応するのか。大蔵省との折衝の過程の問題、合意事項など私ども承知しておりますけれども、あれだけでは対応できないと思うわけでございまして、基本的にどのように考えているのか、この点をまずお伺いしたい、こう思います。
  46. 松野春樹

    松野(春)政府委員 かいつまんで申し上げますと、定期性預貯金自由化のスケジュールは、ほぼスケジュールに乗って今着々と進められておる段階で、金利自由化の面に限りますと、最終の年度平成年度平成五年の恐らく夏までということで今やっております。  現在問題になっておりますのは、これは民間金融機関におきましても一番有利な商品、コストが低くて収益性が高いということでありますが、流動性預貯金なかんずく普通預金の問題、これの自由化が日米経済問題協議等でも今俎上にのせられまして、今郵政省でも調査研究会で研究を進めておりますし、大蔵省内部でも研究を進められております。恐らくことしの夏ごろまでには、この流動性預貯金自由化のスケジュールをどうするかということにつきまして明確な報告書の形で研究会の報告書があります。  それを見て我々どう対処するかということでありますが、恐らく来年の春ごろにはこの流動性預貯金金利自由化にも取り組まなければいけないんじゃないかということでありまして、こういう点が、これに業務の自由化問題も入りますが、民間の場合には業際問題、銀行と証券会社の垣根の問題も入ると思いますが、こういう問題がもろもろ先生おっしゃいますように今流れを始めておりまして、これで今後の調達コストがアップすることにどう対応するかということでいろいろな動きが見えておることは私も承知しておるところであります。  そこで、郵政省郵便貯金としてどうかということでありますが、この金利自由化を中心とする金融自由化につきましては、私どもの省といたしましては、小口貯金利用者の利益を守るという基本的なスタンスのもとに、この自由化につきましては流動性預貯金も含めて極力早い段階で自由化すべきである、積極的に対応する姿勢を示しております。ただ、かけ声だけではいけませんので、やはり商品開発のある程度の自由化ということも、国営事業の立場ではありますが、私どもこれは十分念頭に置いて対処しなければいけないかと思います。  また、貯金の性格からいって、小口貯金が私どもの主流でありますので、資金調達コストが上がることとの見返りで個々に手数料をどう整備するかということも、やはり確かに金融機関全体の大きな検討課題でありますが、郵便貯金の立場からしますと、大臣からもお答えを申し上げておりますように、やはり慎重な態度で臨むということでおります。実は大蔵省の研究会に私どもの担当課長が呼ばれましたときに、こういう基本的な考え方をるる発言をいたしております。  したがって、郵便貯金としましては、営業面での自由化時代にふさわしい体制と、もう一つは先ほど来御質問のあっております資金運用の面でのこれに対する対応、この出と入りの両面につきましてしっかり対応していかないと、金融自由化の流れにおぼれてしまうおそれが全くないわけではないわけでございます。今から真剣に対策検討していかなければいかぬという心構えでおる次第でございます。
  47. 上田利正

    ○上田(利)委員 今、松野貯金局長からお答えをいただきました。郵政省としても着々と体制を固めながら金融自由化に向けて準備をしておるということで御答弁いただきました。  ただ、今私どもが聞いておる状況によりますと、先ほど局長も申しましたように、流動性預金、通常普通預金ということになりましょうが、流動性の預金につきましてはこれは来年の春あたりから導入しようということで、大蔵省あるいは民間の銀行協会を含めまして、あるいは郵政省も含めてやられてきておる。これはマスコミでもいろいろと、三月の新聞、二月、一月、去年の十二月からさまざまなものが出ている。流動性の預金につきましては三十万円を境にして金利の差をつけていったらどうかとかということで、三十万円以上、三十万円以下、それについて下の方については手数料を取るか取らないかとかいろいろな問題がありまして、郵政省は取るべきじゃないとかいろいろなことを言っているという、こういう新聞、マスコミ報道もあるわけでございますけれども、そういうことで非常にテンポが速くなってきておる。  アメリカとの構造協議関係の中でも、やはり金融の全面自由化金利自由化ということについては一九九三年を目標に、平成年度局長はおっしゃいましたけれども、それで大体そのスケジュールでずうっと動いているんですけれども、どうもそれを一年ぐらい前倒しにしていくべきだという、こういうアメリカの金融界の強い要請などもある、したがって我が国も来年の春から流動性預金問題点についても早くスタートしていかなければならぬ、こんなふうな状況にあると聞いておるんですが、どうでしょうか、前倒しになっていく可能性はありましょうか、ないでしょうか。
  48. 松野春樹

    松野(春)政府委員 御質問の内容が私一人の立場でお答えできる域を超えておる点も含まれておりますが、私の今把握しておる限りでは、来年の春の実施についてさえも、まだ金融機関、特に民間金融機関全体の足並みというものは、いろいろな微妙な違いがやはり生じておると私は思っております。  例えば一例を挙げますと、特にこれは中小金融機関、各地域で活躍されておられる例えば信用金庫あるいは信用組合、農協等も入るかと思いますが、そういう機関におきましては、むしろ流動性預貯金については、できれば定期性預貯金金利自由化の様子をもうちょっと見てから取りついても、計画を進めても遅くないではないか、むしろそうしないと大変なことになるというふうなお考えを依然としてまだお持ちのところもあるようであります。  ただ、そうはいいましても、これはどこかで割り切らないといけないという流れの問題がありまして、そこで来年の春には何とかしたいということで、今関係当局等も話を進めておるようであります。それがことしの例えば年内の秋に前倒しというふうなことは、私の今の認識ではちょっと私、とてもそういう状況にはないと思っておりますし、現に日米関係で話題になりました時点はことしの春でありましたけれども、ことしの春の時点で、むしろ平成三年の四月からというふうな、平成三年の春からというふうな、これはちょっとスケジュール的に全然どうにもならないようなテーマをめぐってのやりとりがあって、これは物別れで、その部分は対立で終わっているようであります。  終わっているようでありますが、しかしこの自由化の実施につきまして、確かに世界全体を見て、自由化という点だけを見ますと、やはり日本は遅い方に入ります。ヨーロッパ諸国はこの自由化につきましてはもう相当前にほぼ完成といいますか、完全な自由化に向かって今詰めが行われておる、あるいは一部の国ではもう終わっておるというふうな状況でありますから、こういう世界の中での日本経済というふうな問題もいろいろ考えながら見てまいりますと、現在進めておる線というのは、いろいろな諸情勢も勘案してやはりぎりぎりのタイミングかなあというふうに私自身は個人として理解しておるところであります。
  49. 上田利正

    ○上田(利)委員 お話しのように、金利自由化はもう国際分野におきましても避けて通れないという中で、アメリカがどう出てまいりましょうか、我が国の金利自由化がおくれておったというその点を突きながら、やはり一年前倒しというようなことにもなる可能性も想定をしながら、郵政当局としても十分対応策を考えておくべきではないか、また、そういうことを要望しておきたい、こう思います。  そこで、先ほどからもいろいろ御指摘されておる問題でございますが、預入制限額が七百万から一千万になりました。この関係でございますけれども、最初に一つお聞きしたいのは、現在郵政省のお預かりしている郵便貯金の残高が、ことしの一月末現在を見ましても約百三十五兆円、こう聞いております。郵貯は御存じのとおり六種類になっておりますけれども、この六種類別に現在高の構成比はどのようになっているか、ちょっとお示しを願いたいと思います。
  50. 松野春樹

    松野(春)政府委員 既に新しい年度に入っておりますけれども、私ども、確定数値として今把握しておる一番しっかりした数字はことしの一月末現在の数字でありまして、先生指摘のように郵便貯金全体の現在高で約百三十四兆六千億円でございます。  この構成比を種類別に見てまいりますと、通常郵便貯金が、少し数字丸めますので約ということで御容赦いただきたいと思いますが、約十一兆円で、八・一五%でございます。それから、積立郵便貯金が約八千億円、〇・五九%でございます。それから、一番中心になっております定額郵便貯金が約百八兆円でございまして、八〇・二五%になります。それから、MMC貯金も含めた意味での定期郵便貯金という分類では約十四兆八千億円、比率で一一・〇〇%でございます。それから、住宅積立と進学積立郵便貯金を合わせました数字が約百二十二億円でございます。これは〇・〇一%であります。ちなみに、先ほど申し上げました定期郵便貯金十四兆八千億円の中のMMC貯金の占める額は十四兆六千億円でございます。
  51. 上田利正

    ○上田(利)委員 一月末現在の状況を今局長からお聞きをいたしました。種類別に見ますと非常に定額郵便貯金の占める割合が圧倒的に八〇%を超えておるということですから、そういう状況になっておることがよくわかりました。  そこで、お尋ねでございますけれども金融自由化によりまして、定額貯金は十年間そのまま据え置きでございますから、にわかにということにはならないでしょうけれども、やはり自由化の波が来ますと、民間の非常に有利なものが出てくると、解約してということは規定上からも多少は難しさがございますけれども民間金融機関の方にシフトしていく、そういう可能性があるのかどうなのか。これは額が百八兆ということですから、大変な額でございますから、民間金融機関の方にシフトしていく可能性があるのかどうなのか。私も実はこれはよくわからないのでございますけれども、非常に有利なものが金利自由化の中で出てきた場合にどうなのか。そうすると、去年のような状態が七年も八年も早く来るというような事態にならないのかどうなのかという、満期ではございませんけれども。  それからもう一つは、MMCが主体になってきておるからそう問題はないと思うのでございますけれども、この定期郵便貯金、これは結局三百万円以上という形になってまいりますと、ことしの秋から自由化されるのですけれども、これに対する影響というものがあるのかどうなのか、あるいはこれに対応するための、自由化に対応するための金利面で利用者の方々にどういうふうな商品郵政省としては考えるのか。  この二点についてちょっとお答えを願いたいと思います。
  52. 松野春樹

    松野(春)政府委員 平成年度は四月から三十四兆円の集中満期が民間にシフトし過ぎないかどうかで大変苦労しましたので、シフトという言葉を聞きますと大変どきっとするわけでございますけれども、定額郵便貯金が八〇・二五%と申し上げました。これはMMCが始まる前ですと恐らく、九九%とはオーバーですが、九〇%以上が定額貯金のシェアでありましたから、やはり金利自由化準備商品であるMMCがその分シェアを占めてきたということは、自由化時代の流れに、民間ほどではありませんが、私ども商品構成も沿ってきておるのではないかという見方をしております。  そこで、この定額貯金でありますけれども、これは規制商品であります。現在公定歩合の変動を見ながらその金利を決めておるという商品でありますが、この商品性につきまして、かねてからいわゆる官民論、民業圧迫の立場で出てくる商品性改善論につきましては、私は大変首をかしげておるわけであります。  しかし、いよいよ金利自由化時代を迎えますと、この定額貯金についてだけ金利自由化のらち外に置くということは、いかにもこれは不自然でありますから、いずれこの定額貯金につきましても、金利自由化にどういうふうに乗せて商品のバラエティー化を図るのか、あるいはもう少し定額貯金の本質的なものにもさわるのかどうかという点は、これは今後の検討課題であります。大変大事な検討課題になると思います。それによりまして、やはり自由金利商品と定額郵便貯金、定額郵便貯金にはすぐれた特性がございます。十年固定金利であるとか、半年複利であるとか、私はこういう特性を生かしながら、その金利自由化に乗せていくことによって、十分定額郵便貯金が国民の皆さん方から利用されるというふうに自信を持っております。また、そういうふうにしなければいけないと思っております。  一方、MMCの方ですが、これは現時点のMMCというのは、三百万以上に限りましてはもちろんなくなります。ことしの十一月からなくなりまして、全く自由金利商品商品競争が新たに始まります。どういう形で出てくるのか、実は大蔵当局も我々も民間金融機関も、だれ一人有権的な分析はできておりませんし、また、それがある意味では当然かと思います。やはり官民共通で助走してまいりましたけれども、さあ金利が自由になったときにどういう商品競争になるか、あるいは金利に加えて別のサービス面でどんな形で商品の付加価値をつけてまいるか、これはわかりません。わかりませんけれども、やはり昨年末いろいろ大蔵当局と話し合いました金利の決定方式につきましては、少なくとも民間商品と対等に私どもの三百万以上のことしの秋以降に予想される自由金利商品も対抗し得るものというふうにそこは考えて対処しておるつもりであります。今後の成り行きがまだ大変不明確ではありますけれども、一生懸命勉強してまいりたいと思います。
  53. 上田利正

    ○上田(利)委員 局長からの説明でよくわかりました。  そこで、金利自由化がどんどん進んでまいるという中で、限度額一千万円に戻るわけでございますけれども、同僚議員が先ほどからも言っております、もう郵貯が非課税のときにこの限度額というものが出てきておるのですけれども、これが課税という形で、今日は非課税制度がなくなってきておる。その時点で郵政省としては、言うならば非課税という形の中で限度額が定められており、しかも全国あまねく公平に、そして簡易で、そしていわゆる小口の人たちにということを主眼にしてこの非課税制度というものが出てきたと思うのです。  大銀行は大口ですから、大口を中心であって、そんな経費のかかるような小口は官業がやってくれれば助かるわという形で非課税制度も出て、そして農村から始まって中小商店の人たち、あるいは働く勤労者、そういう者が郵貯を利用してきた。早く言えば貧乏人を対象にということだったと思うのだな。お大尽を対象に大銀行がやってきた、こういうことだと思うのですけれども。ですから、大口でないから非課税制度が出た。それを取っ払われてしまったのですから、これは武部委員もおっしゃっておりましたようにその時点でなくすことをなぜ強力に郵政省として大臣を先頭としてできなかったのか。こんな弱腰でいいのかどうなのか、これが一つなんです。  もう一つは、もう今度は事態が変わりまして、先ほど局長がおっしゃいましたように金利自由化の中で預入額にたがをはめられるなんということだったら自由化じゃないじゃないか、自由化に逆行していくじゃないか、こう思うのです。日本は金融自由化がおくれていると言いながら、今せっかく取り組んでいる。ところが限度額というこの制度金利自由化に、国際社会に逆行するということにならないかどうか。これも大きな問題だと思うわけでございまして、この点につきまして大臣としてはどうでしょうか。何が何でもこれは取っ払ってもらって、そして青天井とまではいかないにしても実質的に郵政大臣が決められるようなそういうものにしていかなければこれはどうにもならぬじゃないかと思うのですが、この点いかがでございましょうか。
  54. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 先生指摘限度額の撤廃でございますが、確かに、先ほどの委員の御質問にも答弁させていただいたわけでございますが、先生指摘の方向に本来なすべきものであろうと私も思っておるわけでございますが、今までの長い経過がありましてこういうふうになってきたわけでございます。ですが、私自身も正直に申し上げましてこれを極力早く自由にしてやっていくような、そういう金融自由化の体制のもとではその考えが私は正しいと思っておりますので、鋭意その方向に努力をしていきたい、そのように考えております。     〔委員長退席、松浦(昭)委員長代理着席〕
  55. 上田利正

    ○上田(利)委員 大蔵大臣との間あるいは閣議の中で、少し郵政大臣頑張ってもらいたいと思うのでございます。ほかの大臣にも認識を深めていただく意味合いで閣議でも頑張っていただきたい、こう御要望申し上げておきます。  もう一つ、これはうがった見方になるかもしれませんけれども局長にお伺いしますが、どうもアメリカ金融界を初め我が国の民間金融業界は、民業を圧迫する圧迫するというようなことを官業に向かっては言っておるのですけれども、問題は金利自由化、これで、先ほどお答えのございました百三十五兆円の残高があるわけなんですね。これはアメリカにとりましても世界にとりましてもあるいは我が国の民間金融界にとりましても非常に魅力的なものだと思うのです。これを早く自由化して、自由化によって取り崩していく手段はないのかと。  実は各国にも郵便貯金制度というのはあります。調べれば六十カ国か七十カ国くらいあるのですけれども、我が国のようにきちっとした、そして国民に本当に理解され愛用されておるこのような貯金制度というものはないのです。言うなれば世界に類のない模範的な郵便貯金というように言えると思うのでございます。これを何とか、またシフトという言葉がつくと恐ろしいと言いますけれども外国を含めて日本の民間金融機関にシフトさせようという戦略があるのではないか。それがしばしば今度は郵政省の民営、民営にしていいじゃないか、何も官営で貯金などという銀行のまねのようなことをしなくてもいいのじゃないかということで郵政省の民営化論というふうなものがしばしば起こってくるのじゃないか、こう思うわけでございますけれども、そういう危機感は郵政省には、松野貯金局長には、どうですか、ないでしょうか。私はそういうところを非常に懸念をしているのですけれども
  56. 松野春樹

    松野(春)政府委員 今いろいろお述べになられましたが、確かにこれまでもいろいろな場で郵政事業の経営形態問題あるいは自由化の過程の中での郵貯は大丈夫かとかいうふうな形でいろいろな発言等が折に触れてされているのは私も承知しておるところであります。  ただ、私はその都度思いを新たにいたすのでありますが、郵便貯金の役割というのは一体何であろうかということであります。もちろんこれは法律に明文で書いてあるわけでありますが、簡易で確実な貯蓄手段を提供する、それからあまねく公平に行う、それから国民の経済生活の安定それから国民の福祉ということでありますが、実際に私どもが集めました資金はすべて社会資本の整備に投資されておるわけであります。もっとも私どもの自由運用部分もありますが、社会資本の整備に投資されているわけでありまして、約百三十六兆が目の前にぶらぶら置いてあるわけではないのであります。  この役割は一体どなたが今後されるのかということに思いをいたしますと、郵便貯金の役割は今後ともやはり財政投融資の主要原資として、民間金融機関が利を求めてなかなか投資できないこういう公共投資の部面では大きな役割を発揮していくのではなかろうかということを考えるわけであります。その役割がこれから先細りするかといいますと、これはもう先生御存じのように十年間で四百三十兆円計画というような声もあり、むしろ逆にこの部分は今後ますます力を入れていかなければならぬ部分である。しかも世界的には現在いろいろな国際諸情勢もありますけれども、貯蓄の重要性ということが改めて認識されつつあるところでありまして、私ども郵便貯金もその意味ではひとつ大いに意を新たにして頑張っていきたいと思います。  ただ、自由化に対する対応そのものは私どものしっかりした検討あるいは責任のある運営の姿勢ということが大きく影響しますので、これは私どもの責任として大いに努力して、郵便貯金事業の発展に尽くしてまいりたいと思っておるわけであります。
  57. 上田利正

    ○上田(利)委員 時間が短縮されましたのでこれで終わりますが、大臣、郵便貯金に国民が期待しているわけでございますから、その期待にこたえて大臣として全力を挙げてこれから頑張っていただくようにぜひお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  58. 松浦昭

    ○松浦(昭)委員長代理 次に、伏屋修治君。
  59. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今も同僚の上田委員の方からも御質問がございましたけれども、最初に預金者一人当たりの貯金総額の制限額を一千万に引き上げるということについてお尋ねをするわけでございますが、一千万円に引き上げるというその理由、またそれの根拠というのは一体どういう根拠をもってなされるのか。あるいはまた、これからの自由化に向かう流れでございますので、こういうような預入限度額を設けて存続させていくという理由、またその撤廃をするという御意志があるのかないのか。またその間における、この一千万円引き上げにおける過程においてかなり民間金融機関の抵抗が強かったというようなことも聞いておるわけでございますが、具体的にどのような抵抗があって、それにどう対応されてきたのか。  その三点についてお尋ねしたいと思います。
  60. 松野春樹

    松野(春)政府委員 一千万円の引き上げの根拠という第一点目の点でございますが、郵便貯金の預入限度額につきましては、基本的な考えとしましては、例えば国民の貯蓄ニーズの動向でありますとか今後の貯蓄目標額の状況、あるいは金融自由化の進展その他社会経済情勢の変化を総合的に勘案するという建前として持っておりますが、実は、預入限度額の適正な水準につきまして、これをきれいに算出する方程式のような物差しというものは実際には持ち合わせてはございません。  従来から、判断する際の目安といたしましては、いわば慣例的な形ではありますが、日本銀行で発表しております貯蓄に関する世論調査の一世帯当たりの平均貯蓄目標額というふうなものを参考にさせてもらっております。これで見てまいりますと、平成年度の一世帯当たりの平均貯蓄目標額を一人当たりに換算いたしますと、データでは何か一世帯の平均人員が二・九人強というふうに理解しておりますが、そうしますと、平成年度の目標額というのは一人当たり大体八百四十万円。毎年毎年これは実は高まってまいりますが、トレンドで伸ばしてまいりますと大体一千万円前後というのが一人当たりの平均貯蓄目標額であるかな。  ただ、そうなりますと、郵貯でそれを全部限度額として見込むのかと言われますと、これは実はお答えのしようがないわけですが、従来慣例的にそんなことを念頭に置きながら考えますと、この一千万円という額は、ほぼ今日的にはまずまずの額ではないかというふうに思っているわけでございます。もちろんこれは、そのときどきに応じまして適正な水準に引き上げる努力をしてまいりたいということでございます。  それから二点目の、預入限度額の撤廃問題でありますが、これも早朝来いろいろ御指摘が既にありまして、いろいろ御説明申し上げておりますけれども、やはり預入限度額の撤廃ということにつきましては、これは気持ちとしては、もちろん私は心の中では全く感謝といいますか、もうありがたい御指摘なのでございます。また、そういう議論が当然あってしかるべきであるというふうに認識しておりますが、いろいろ過去の経緯、それから現在の郵便貯金の国営機関としての役割等からしまして、今日ただいま私の立場からにわかにこの預入限度額の撤廃推進というふうに断定的には申し上げませんが、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、自由化に向かって郵便貯金の業務サイドの自由度合いというのは果たしていかがであるか、その中の一環として、この預入限度額の問題についていかにあるべきかというテーマにつきましては、これは十分私ども検討させていただきたいと思います。  それから、今回預入限度額改正の中で民間との関係はどうであったかということでありますが、例えば全銀協というふうな立派な組織がございますが、私どもは直接会話を申し上げる場はございませんが、いろいろ関係当局を介しまして、今回はむしろ事務折衝といいますか、現在の経済環境その他を踏まえてのリーズナブルな議論が比較的行われたのではないかというふうに思っています。  早朝来、大蔵省郵政省との関係につきましていろいろな御意見も出ておりますけれども、やはりそのときどきいろいろな場面があって、激動する場面もあるわけでありますが、昨年末のこの交渉につきましては、比較的リーズナブルな形で現状認識をお互い持つことができたのではないかというふうに私は感じております。しかし、十分であるかと言われますと、これはまだまだ私ども今後一層努力しなければいかぬというふうに考えております。
  61. 伏屋修治

    ○伏屋委員 先ほど局長も御答弁になりましたけれども、この百三十六兆円というものが財政投融資のいわゆる大きな原資になっておるのだ。現実には郵政省にはなくて、財投の方の大きな原資である。この財投の原資というのはやはりいろいろな国家事業の中にそれぞれ使われていくものであって、そういう面においては非常に大きな役割を果たしておるわけでございます。この民間企業の抵抗に対して、昨年の局長の発言の中に、日米構造協議の中の公共投資にこれが使われていくのだ、これを大義名分にして抵抗をクリアしようというような内容の記事も散見をしたわけでございます。  そういう意味におきまして、財投の大きな原資であるということから考えましても、先ほど同僚委員からいろいろな御質問があって、シルバーとか公務員給与振り込みとかいろいろな問題について大蔵の大きな抵抗があって、十年もたってもそれがなかなか実現しない、こういうようなことがあるわけでございます。今申し上げたように、財投の大きな原資であり、国家事業に大きく貢献しておるということから、もっともっと胸を張って、こういうようなことが早期に実現できるように強力な働きかけをしていくべきではないか、このことを強く要望しておきたいと思います。  次に、進学積立郵便貯金の問題でございますが、百八万から百五十万に引き上げる、こういうことでございます。非常に結構なことでございますけれども、いろいろな新聞等を見ましても、国民金融公庫はもう既にことしだけでも利用額は一千億を超えた、こういうようなことがございますし、またこの進学ローンを取り扱っておるところは、国金あるいは郵便局あるいは労働金庫、銀行、信用金庫等々いろいろな窓口で扱っておるわけでございますけれども、いただいた資料を見てみますと、どうも郵貯進学の利用率というものは年々非常に減少しておる、金額も減少しておるということで、これは郵政省のPRの不足にあるのかどうなのかということが一つ疑問に思いますし、庶民の窓口である郵便局でございますから、もう少し庶民が使いやすい、利用しやすい方法をもっと考え、それをもっとPRする、そういうようなことを考えてはいかがか、このように私は思うわけでございます。  もっと極端に言えば、これも大蔵省の抵抗があると言われればそれまでですけれども郵政省独自の進学ローン、こういうものを考えてもいいのではないか。いわゆる百五十万の融資は受けられるのですけれども、これは国金を経由して受けられるのであって、その条件としては、郵貯に一年ないし三年の積み立てをしておかなければ融資が受けられない、こういうようなことであるわけですから、国金の方へ行けば、何も自分が定期も何もなくても国金へ行って今回進学のローンを借りたい、手続さえすればすぐに三百万なりの、今は百万ですか、百万はすっと借りられるということですから、どうしても借りやすい方へ行ってしまうということでございますので、庶民の窓口である郵便局というものを考えれば、使いやすい方法をもっともっと検討して、それをPRしてやっていただきたい。郵政省独自でもやれるような方法を寄り寄り検討をしていただきたい、こういうふうに思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  62. 松野春樹

    松野(春)政府委員 進学積立郵便貯金が余り成績が上がっておらないという点の原因は、第一には、もちろん制度内容が魅力が果たしてどうであったか。その点につきましては、今回恐らく抜本的という言葉を使っても差し支えないと思いますが、相当程度改善をしておるつもりであります。貸付限度額の問題でありますとか積立期間の問題でありますとか、あるいは積立目的拡大でありますとか、それから対象学校拡大等であります。しかし、その中で、先ほどもちょっと触れましたが、やはり私どもの主力商品である定額貯金あるいはMMC貯金等にPRの重点が行っておりまして、この進学積立郵便貯金、あるいはもう一つ住宅積立郵便貯金という制度がございますが、この辺に対するきめ細かいPRが果たして十分であったかといったら、むしろ不足しておったということで、私は今回の改正を機にこの点はひとつ反省いたしまして、しっかりPRを、わかりやすいPRを行っていくつもりでありますし、また取扱手続につきまして、若干改善すべき点があればひとつ簡便なものに、少しでも利用しやすいように改善していきたいというふうに思っています。  ただ、これはあくまでも貸し付けでありますから、現在住宅金融公庫に預金者をあっせんして、お金の交付も郵便局を通じてお客さんにやるという点では、私どもの二万四千の店舗を考えますと、その点では私は理解さえ賜れば利用しやすいのではないかと思っておりますし、やはり貸し付けに当たっては、何といいますか何がしかの証拠、証明書等も必要になるわけでありますが、そこら辺が果たして御理解を十分得られるだけのPRをしておったかということを私は第一の原因にむしろ挙げて、今後改善してまいりたいと思います。  それから、国民金融公庫経由でなくて郵政省が直接進学資金貸し付け制度を創設したらどうかという御指摘でありますが、これは実は少しさかのぼって考えますと全く御指摘のとおりの要求から出発したわけでありまして、昭和五十三年度予算要求におきましては、郵政省からの直接融資を行いたいということで要求しました。しかし、これもまた相手方とのいろいろな政府内部折衝の結果でありますが、郵政省国民金融公庫等の融資をあっせんするという現在の制度に落ちついたといういきさつがあるようでございます。  そこで、現時点で考えまして先生の御指摘をどういうふうに進めていくかということでありますが、昭和六十三年度予算要求以降、郵便貯金を担保としない新しい貸付制度、今日では家計ミニ貸付制度と呼んでおりますけれども、これが実は担保としない貸し付けということで、この制度が入りますと、その対象となります中身に何がしかのやはり教育関係資金が当然対象に含まれるわけでありますから、むしろこういう家計ミニ貸付制度的な制度の創設の中で直接貸し付けて、もしその方が利用者の方が大変便利がいい、あるいはこれは周囲の金融機関とのいろいろ折り合いも考えなければいけませんけれども、そこらを考えてみても、やはり現在の時世に合った扱いができるということであれば、私はそちらの方に努力することによって先生の御指摘に対する私どもの今後の努力といいますかにかえたいというふうに考えております。
  63. 伏屋修治

    ○伏屋委員 この家計ミニ貸付制度というものができてくれば、それを補完する意味においては非常に価値があると私は思いますけれども、その家計ミニ貸付制度というものも、向こうさまのかなり抵抗があって、まだ実現ができておらないということでございます。  昨日ですか、私はちょっとテレビを見ておりましたところ、全銀協の会長が、今回の日本のバブル経済の責任の一端は銀行にある、非常にシビアにこれを反省しなければならないというような発言がございました。そういう意味において、郵政省が国営としていろいろイニシアチブをとって、いろいろな商品、庶民に喜ばれるような商品を開拓しようとすると、すべて大蔵省の抵抗を食らう、その抵抗を食らう前段階において民業の、民間金融機関大蔵省への突き上げがある、こういうようなことであるわけでございまして、どちらかといえば悪循環になっておるのではないか、もっと郵政省がイニシアチブをとって、いわゆる家計ミニ貸付制度とか、あるいはシルバー貯金制度とか、こういうようなことを、ボランティア貯金でもそうです。先ほどもボランティア貯金の問題が出ましたけれども件数を上げるために本当にわずかの額でということもありました。それは確かに問題もあるでしょうけれども、今の社会情勢からいいましても、非常にボランティアのマンパワーの不足ということからいいましても、やはりそういうボランティア精神というものをもっともっと広めなければならないということからいうなれば、金額の十円とか十五円というのは問題があろうかとも思いますけれども、広い層がそういうボランティア貯金に参加することによってそういう精神が広められていくということにおいては、郵政省のとった制度というものは非常にすぐれておると私は思うわけでございます。  そういう意味におきまして、全銀協の会長あたりも厳しくシビアに反省をする、こう言っておるのですから、もっと郵政省は自信を持って、胸を張って、どんどんと民間金融、銀行を引っ張っていく、かくあるべきだというような姿勢で臨んでいただきたいな、こういうふうに思いますので、その辺よろしくお願いを申し上げたいと思います。  その次の問題ですが、今回のこの法改正で、いわゆる定期貯金の利子の計算方法が月割りから日割りに変わった、こういうふうになったわけでございますけれども、百三十六兆円という残高の約八〇%、八八%ぐらいに当たる金額というのは、ほとんどが定額貯金であります。その定額貯金の利子計算というものはそのままに据え置かれておると聞いておるわけでございますが、これはなぜこういうふうにしてあるのか。
  64. 松野春樹

    松野(春)政府委員 現在の郵便貯金の利子計算は、通常郵便貯金を除きまして月割り方式によって行われておるところでありますが、今回御審議をお願いしておりますように、このうち定期郵便貯金MMCを含みますが定期郵便貯金につきましては日割り計算に変えたいということであります。  そこで、お示しの定額貯金についてどう考えるかということでございますが、この定額郵便貯金等が、先ほどもちょっと触れましたが、これはまだ規制金利商品であります。むしろ流動性の方の審議の中でどういうふうな金利自由化メリットを取り込んでいくかというふうなことで、検討をこれからしてまいるという現状でございます。したがいまして、この金利自由化に応じてどのように位置づけるのかの商品性の検討を終わった段階で、今の計算方法について改善したいというのが一点であります。  それからもう一つは、これは私ども事情でございますが、定額郵便貯金の利子計算は大変複雑にできておりまして、預入後三年が経過しますと、例えば現在の利率では六・三三%が適用されますが、預入後三年未満の場合には半年ごとに適用利率が変わるわけでございます。これは、半年複利の計算とはまた別に基本利率が変わるわけでありまして、この利子計算が大変複雑になっておりまして、恐らく定期郵便貯金の十倍以上の、量にしますと難易度、難度、難しさがあるというふうにしております。  したがいまして、この利子計算方法の変更に伴いますシステム対応の容易さとの関係と、先ほど申し上げましたこれからの金利自由化に応じてこの定額郵便貯金をどういうふうに改善していくのかなという問題をあわせ考えまして、今回は定額郵便貯金については、ひとまず現行どおりということであります。ただ、今後諸条件が整えば、日割り計算への移行を行ってまいりたいという方向性は自覚いたしております。
  65. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今後、自由化の進む中で、この定額貯金が大きな一つの焦点になってくるのではないかなと思いますし、現在の規制定期預金というものとスーパーMMCとの金利の逆転現象等から考えてみましても、やはりこれが今後大きな焦点になってくると思いますので、その辺はよくお考えをいただきたい、こういうふうに思います。  それから、貸付制度の問題でございますけれども、現在の貸付制度というのは、民間の方は預入金、いわゆる預金の総額の九割までを貸し付けるということですね。CD、キャッシュカードですと二百万ということですけれども、それ以外の融資というのは九割までは貸す。だけれども、この郵貯に関しては、どれだけ貯金しておろうと最高限度額は二百万だということになっておるようでございます。となりますと、庶民の窓口であるところの郵便局としましては、ちょっとこの二百万では金額が少ないのではないか、もう少し幅を持たせて金額を膨らませていく、そういうようなお考えがあるのかないのか。それによってまた利用状況もかなり変わってくるのではないかな、こういう思いがするわけでございますが、利用状況なんかを聞く時間もなかなかございませんので、そういうようなことをやられる考えがあるかないか、お聞きしたいと思います。     〔松浦(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 松野春樹

    松野(春)政府委員 このゆうゆうローンの利用状況でありますが、平成年度新規利用件数が約一千五百万件であります。年間一千五百万件。新規貸付額の合計が約二兆円。相当ゆうゆうローンは利用されておるということが一口に言えようかと思います。  それから、民間預金担保貸付制度の現状と私どもと違う点は、これは先生今御指摘いただきましたように、民間の場合には原則的には制限額は設けておらない、一部には制限額を設けておるケースもあるようでございます。  そこで、私どものこの二百万円の限度額でありますが、端的に申し上げますと、昨年の平成年度予算の政府部内の折衝時に、民間金融機関と同様に担保とする貯金がありさえすればその範囲内で貸し付けられるように、この二百万円の制限の撤廃を要求したところであります。しかし、残念ながら、いろいろな理由を相手方は挙げておるわけでありますが、私どもまた、私どもの主張が理がないとは全く思ってないわけでありますが、残念ながら昨年の折衝では実現をいたしませんでした。今後やはり、御指摘のように貸付限度額拡大を含めまして、この限度額はむしろ必要ないのではないかと撤廃に向けていろいろ折衝を重ねてまいりたいと存じます。
  67. 伏屋修治

    ○伏屋委員 大臣の所信のときにもお話がございましたが、やはりこれだけの郵便局の数でございますから、親しまれる郵便局として、そういういろいろな面での考慮を払っていただきたいと思いますし、今の貸し付けにしましても、やはり庶民が郵便局貸し付けをお願いに行くというような方向をこれからもとるように、積極的に御努力をいただきたいと思います。  次に、外貨の両替方法でございますが、取り扱う郵便局は初年度は大体どれぐらいの郵便局で取り扱おうとお考えになっておられるのか、お聞きしたいと思います。
  68. 松野春樹

    松野(春)政府委員 本年度は、今法案を御審議いただいておるわけでありますが、年度途中からではありますが、百局実施したい。これをまた逐次ふやしてまいりたいという姿勢でございます。
  69. 伏屋修治

    ○伏屋委員 初年度百局で、最終的にはどれぐらいの局数を想定しておられるわけですか。
  70. 松野春樹

    松野(春)政府委員 私ども実は、これはもう明治以来と言ってよろしいかと思いますが、外貨の国際郵便振替あるいは国際郵便為替といったような国際送金につきましては、もう既に現在で約五千七百局になりますけれども、各郵便局で扱っておりまして、非常に国際送金につきましてのノーハウは持っておるつもりであります。  しかし、一度に五千七百局と、当初要求は五千七百局程度を目指したわけでありますが、やはりいろいろな周囲の情勢も判断しなければいけないかと思います。そこで、初年度ではですから百局ということでありますが、今後できる限りふやしてまいりたいと存じますが、やはりこの外貨の両替それから旅行小切手にしましても、それだけ効率的に行いませんと不経済なことに、また為替リスク等の問題もあるいは起こるかもしれません。したがって、私ども実力を蓄えながら着実にふやしていきたいということであります。最終的にはこの五千七百局の現在の国際送金局、これもふやして、これは先ほど他の先生から御指摘がございましたが、ふやしてまいりたいと思いますが、できればそこまでやれればと思いますが、いつになるかはちょっとまだ申し上げかねます。
  71. 伏屋修治

    ○伏屋委員 この条文によりますと、この取扱金額を制限することができるとあるわけですけれども、この辺の制限額というのはどれぐらいの金額を想定しておられるか。
  72. 松野春樹

    松野(春)政府委員 いろいろ民間金融機関の実態等も調べました。やはりそれぞれ銀行ごとに一定の一件当たりの制限額を設けておるようでございますが、私ども旅行小切手それから外貨、売る場合、買う場合それぞれ別に、売る場合には一件について旅行小切手、外貨合わせまして約三百万円を限度にしたい、買う場合にも同じでございます、ということで取り組んでまいりたいと思います。これは一義的に三百万円でなければ絶対いけないかというものではないのですが、ひとまず私どもも効率的な外貨の準備等を考慮しましてそういう数字を念頭に置いています。
  73. 伏屋修治

    ○伏屋委員 取り扱い郵便局が百局でございますけれども、これは制限額大体三百万めどということでございまして、事故のないようにということで当初、初年度は百局ということだと私も解釈しております。それで、この百局というものが、大体どういう考え方で、どういうところで外貨交換額をセットしようとされておるのか、いわゆる大都市型なのか、あるいは地方にそういう局を設けようとするのか、そのあたりはどうですか。
  74. 松野春樹

    松野(春)政府委員 郵便局におきます外貨両替等業務につきましては、郵便局のネットワークを活用した地域分散型サービスとして実施したいなというふうに思ってきております。したがいまして、具体的な実施局の選定に当たりましては、まだ確定いたしておりませんが、当然のことながら、一つには国民のニーズがあるということで、ある程度の利用が見込めるということは一つございます。それから、全国的に配置して、一部地域に偏って配置するようなことを避けよう。特に、最初の百局でありますから数は少ないわけでありますが、そこに心がけたいと思います。したがいまして、都市部と地方部でありますとか、普通局、特定局その他バラエティーに富んだ配置をしたいと思いますが、一番わかりやすく申し上げますと、最初の百局というある意味では小さい数ではありますが、各県漏れなく、漏れる県のないように一応は配置していきたいというふうに考えております。
  75. 伏屋修治

    ○伏屋委員 最後に大臣にお伺いしますけれども、今までの郵政業務の中で事故は皆無であったと言いたいところでございますけれども、残念ながら皆無ではなかったわけでございます。今回外貨の取り扱いというような新しい業務がふえてくるわけでございますので、そういう事故防止に対する郵便局職員の訓練というものも非常に厳しい訓練がなければならないと思いますし、今後この問題に限っても事故防止を絶対避けていかなければならぬ。そういう意味におきまして、大臣の決意をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  76. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 この問題につきましては、米貨のドル紙幣の鑑別機なども設置をいたしますし、また外国通貨の図鑑なども配備をいたしたいと思っております。また、このことだけではなくして、新しい業務を始めますときにはその前に十分に講習会などを行いまして周知徹底をさすということもやっております。今回郵便の百二十年の記念といたしまして、「ポスタルワーズ」という、どう言いましょうか、冊子をつくりまして、郵便関係の英語の辞書というようなものもつくろうとしておるわけでございますが、そういうような角度からもいわゆる国際化に十分に対応していくように、その点では頑張ります。
  77. 伏屋修治

    ○伏屋委員 終わります。
  78. 野中広務

    野中委員長 午後零時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十分休憩      ────◇─────     午後零時十分開議
  79. 野中広務

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭一君。
  80. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 郵便貯金法の一部を改正する法律案でございますが、賛成の立場で、また私も郵便貯金利用者でございまして、その一員として、今後郵便貯金がさらに充実発展をしてもらわなければ困る、こういう立場を前提にいたしまして、今日の郵便貯金をめぐる情勢などについて幾つかお聞きをしたいと思います。  まず、金融自由化ということがよく言われておりまして、かなり厳しいものがあります。銀行の例えば統合であるとか併合であるとか、これはもう御承知のとおり太陽神戸三井銀行などという長い銀行ができてみたり、協和銀行と埼玉銀行の合併あるいは山陰合同とふそうとの合併など幾つか大きな新聞だねになっておるように、金融再編がかなりスピーディーに進んでいると思います。  これは預金金利自由化をされまして金融機関調達コストが上昇している、経営が大変厳しくなってきた、こういうことが基本的な要因であろうと思いますし、大口定期からMMC、そして小口MMC、今後は流動性預金自由化までまっしぐらに進んでいくであろう。こういう情勢の中で、一体郵便貯金はどういうことになっていくのか、利用者の一人として大変心配な点もあります。表向きは平穏だと見られますけれども、しかし郵便貯金小口MMCを導入、民間との同質化がやはり進んでいるわけでして、これは時の流れとして当然だと思っているわけです。  ある週刊誌の中で全国地方銀行協会が、今日の金融自由化の中における情勢などをいろいろ分析をしているわけですが、定期性預金金利自由化に伴って各銀行の業務純益というものにどういう影響を与えるのかということが載っているわけですが、大半が二〇%から四〇%減少している。中には八〇%、九〇%で業務純益がほとんどなくなってしまう、こういう銀行も、数は少ないのですけれども出てきている。また、七〇%から八〇%ぐらい減少している、こういう銀行が幾つか出てきている。  実はこういう分析が載っているわけですが、こういう状況の中で、前半申し上げましたように郵便貯金の将来の見通しというものは一体どうなっていくのかということについて、まず基本的に今後の郵便貯金金融自由化の中における情勢をどのように認識されておるのか、郵政大臣からお聞きをしたいと思います。
  81. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 御指摘郵便貯金を取り巻く環境が大変厳しい状態になってきておる、その反面、今度は郵便貯金に手かせ足かせといいましょうか、そういうものがいろいろ条件づけがなされておるというようなところで、郵便貯金は今後どうなるかというようなことでございますが、まず最初に私たちの方針といたしまして、そのように大きく環境が変わってきておるわけでございますから、私たちは、今回の七百万円を一千万円にするとかそういうような限度額のアップ、あるいはまたその先の撤廃の方向に向かってのいろいろな努力をしていきたいと思っております。  また、午前中の各先生方の御質問でるるございましたが、一つとりましても、郵便の給与振り込みができないなんということも実際におかしな話じゃないか、私どもも全くそのように思うわけでございますが、そういうようないろいろな私たちの努力を阻害するような条件を撤廃するということにまず私たちは努力をしていかなければならないと思います。  そして、国民の皆様方のニーズに十分にこたえていくことができる新商品を出していかなければならないと思っておるわけでございますが、そういうようなことをしつつ、営業力の強化とかあるいは事業運営の効率化を推進することによりまして国民の皆さんのニーズにこたえていかなければならないと思うわけでございまして、先生指摘のようにあらゆる努力をしなければ先生の御心配の方の結果に陥る危険性だってあるわけですから、そういうようなことを起こさないように周知徹底、努力、そしてアイデアを打ち出して十分に対抗をしていきたいと考えております。
  82. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 大臣がおっしゃられる決意などについてはよく理解ができます。そこで今の問題を、これは少し抽象論ではなくて具体的な問題としてお聞きをしてみたいと思います。  郵便貯金小口自由金利商品、いわゆるMMCポスト導入に伴うコスト負担という問題について、これも私、ある資料で見たことがあるのですが、資料はちょっと古くて九〇年の十月末の資料です。数字などについて誤りがあるかもしれません。これは郵政省の方で間違っておれば間違っておるというふうに言われてもらって結構だと思っております。  MMCポスト残高というのは、いわゆる毎月の預金額と払い戻し額の差から推定いたしまして大体十二兆四千億ぐらいではないかというふうに思うのですが、これをベースにしまして、金利が今後も変わらないと仮定をして、今後一年間の支払い利息をMMCポストと定額貯金と比較してみますと、MMCポストの方が二千三百四十億円多い、こういうふうに聞いておるわけです。十二兆四千億円といいますとおおむね郵便貯金全体の残額の大体十分の一程度ではないかな、こう思うのですが、金利自由化の入り口の段階でこの負担増がこれだけあるという問題について、経営の健全性というのは今後このような推移の中で守られていけるのかどうなのかという疑問が素人としてございます。この点について少し郵政省のお考え方をお聞きをしたいと思います。  それからもう一つ、ついでですが、昨年の新聞をにぎわしたわけですが、十年前の高金利定額貯金が満期になったという報道ですね。これは利用者としては大変喜んだわけですが、このときの定額貯金金利は八%だと聞いておるわけです。この十年間の長期プライムレートの平均金利というのは私の知っている限りにおいては七・三%ぐらいということですと、民間ではとてもできないことだと思います。  聞くところによりますと、郵便貯金は八二年度、八七年度は逆ざやで赤字になっている。そして、八九年度は五割を超える大幅減益だ、こういう資料も実は目に入ってくるのですが、民間ではこれはもう大変な問題だと実は思うわけです。定額貯金が温存されたまま自由金利商品が導入されたら、常に高い金利商品資金がシフトし赤字が多く出てくるというのは、これは素人的に考えてもそうだと思うのですが、結局こういう推移がずっと続いておる状況の中で最終的にこのツケというのは国民利用者に回ってくるのではないかという心配が実はあるわけで、間違っておれば間違っておると指摘をしてもらって結構ですが、今後の情勢の中で今日的な郵便貯金の現状を踏まえまして、今申し上げましたことなどについて、抽象論ではなくて具体的に、今後とも郵便貯金の将来性というのは大丈夫だという点などについて、もう少しお聞かせをいただきたいと思います。
  83. 松野春樹

    松野(春)政府委員 何点か御指摘いただきました。  第一点目のMMCのコストと、MMCがふえることによってコストアップが図られる、これが自由化の進展の中でますます大きな位置を占めるんじゃないかという御指摘でございますが、先生がその際御使用されたデータとは別に私どもで試算してみましたので、お聞き取りいただきたいと思います。  MMC平成二年四月から三年三月まで、いわゆる平成年度一年間でありますが、MMC貯金の中でもいろいろな種類がございます。期間別それから金額別の種類がありますが、三年物の最高利率ということで一つとってみたいと思います。このMMC貯金の最高利率が、この期間で平均が六・五二%でございました。それから、もし一方のMMC貯金がなければ定額貯金であったろうという推定のもとに定額貯金の三年以上のものが、これが最高利率でありますが、平均六・一一%でございます。そうすると、この間の金利差がMMC貯金の方が〇・四一%上回るということになりますから、この限りでその分コストアップになるということは、これは自明でありますが、これを試し算ということで、アバウトな形でという前提で御理解いただいた上で、金額に置き直すとどうなるかという試算もやってまいりました。  コストアップ額を平成年度で試算してみますと、MMC貯金の三年三月末現在の残高の確定値は現在まだ取りまとめ中ではっきりしておりませんが、年間を通しての平均残高を出しますと約九兆四千億円ということに相なります。先ほど利率を申し上げましたが、仮にこれがすべて最高利率MMC貯金であったとして計算しますと、MMC貯金の導入に伴うコストアップ額は、私どもの試算では年間で三百八十億円程度であります。  先生御存じのように、昨年度いわゆる集中満期のちょっと異常な年でありましたので、この数字が果たして平年度化した場合にどうであるかということはまた別にあろうと思いますが、試し算ということで御理解いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、自由化商品の導入が進むにつれて資金調達コストがアップすることは御指摘のとおり間違いのない状態で、これは我々においても民間金融機関においても同じ状態であるし、またそれが利用者に対する競争によるサービスアップということで、当然のことだろうと思います。  そこで、私どもといたしましては、結局、支払い利子率と経費率から一般的に金融機関のコストというものを見るわけでありますが、極力経費の抑制を図ると同時に、一方で営業努力による資金量の増加を図りながら、またもう一面では資金運用面において一層の有利運用に努めるということで対処しなければいけないなということであります。  それから二点目の御指摘の点でありますが、確かに私ども郵便貯金特別会計、年によりまして先生おっしゃいますいわゆる逆ざやが生じまして、その都度一時的に資金運用部資金から借りて決算をしておるという状況であります。しかし、例えば平成年度の決算につきましては、これも現在取りまとめ中でありますけれども、予算上は平成年度は単年度で三千九十四億円の黒字予算を計上しておりますが、現段階では、これは少なくとも二千億円以上黒字が上回るといいますか黒字が加算される、したがって間違いなく五千億強の黒字にはなるであろうという推計を現在しております。この決算の数値を締めますのはもう少し時間がかかりますが、今のところそういう見込みであります。  しかし、それで十分であるかといいますと、今後自由化の進展につれて先ほど申しましたようないろいろな対応の仕方をやってまいらなければいかぬわけでありまして、お示しの定額貯金の問題でありますが、この定額貯金というのは実は郵便貯金固有でありまして、収益性と流動性を兼ねておる、十年間安定的な利回りを得られる、半年複利である、その他いろいろ特徴がありまして大変身近に御利用いただいておりますが、私は、基本的にはこの商品もやはり金利自由化の中で金利自由化対象に組み入れていくべきであろうし、またその方向で検討していきたいということで考えておるわけであります。  したがって、定額郵便貯金がそのままの形で残って、それにMMC貯金が重なることによってこの郵便貯金が赤字になるというふうには私自身は実は思いません。しかし、それに対して、今後の自由化商品をどういうふうに私どもでつくっていくのか、バラエティーをどういうふうにつくっていくのか、どうやって多様化していくのかという私ども事業努力がやはり一に私どもの会計を健全な形で維持していく一番のもとになることであろうというふうに自覚はいたしております。  なお、国民との関係でありますが、これは申すまでもなく、私ども特別会計でありますから、この特別会計の責任は、単年度で見ますと黒字、赤字が出ますのは、これは一つには私どものお客様に払う利子の支払い状況、そのときの金利状況と私どもの一番大きな収入源であります資金運用部の預託収入との間で利率等が間々ミスマッチといいますかタイミングがずれるケースが過去においてもございました。あるいは今後においても予想されるわけでありますが、これを極力、例えば営業の方で金利連動型の商品を発売するのであれば、預託収入の方もできるだけ市場連動型の預託利率に変えてもらいたい、ことしの大きな課題でありますが、そういうこともいろいろ関係機関協議しながらこれに対応してまいりたいなというふうに思っております。  いずれにしても、特別会計を預かっておる郵政省の責任で国民の皆さんにそのしわ寄せが、例えば税金というような形で、これは万々が一にもないと思いますが、あってはならぬことでありますので、十分心得て対応してまいりたいと思っております。
  84. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 具体的な御説明がございましたので、ひとまず安心をいたしました。  そういう意味からさらに努力をしなければいけないと思いますけれども、もう一つ、そういう意味でそういう厳しい状況の中で、やはり郵便貯金を国民のものにしていくという努力をしていく、こういう問題について、一つは業務の拡大といいますか、肥大化といいますか、そういう問題などについても今後配慮をしていくことが必要ではないかなという気が実はするわけです。  郵便貯金の場合は我が国の個人預貯金の三〇%ぐらいを超えておるのではないかなと思いますけれども一つは、やはり国家がやっているわけですから、国家の信用性を背景にしておるということ、あるいはコストという観点については、今日時点では民間のようにシビアに考えることもないという点、あるいは郵便、貯金、保険、三事業全国津々浦々の郵便局でやっておる。民間の場合、これだけの支店を出すということはもう大変なことですから、そういう有利性があって、ある意味では有利な条件に置かれている、こういうふうに思います。そういう意味では、郵便のようにサービスとかコストの勝負ではない点もございますから、今のところそんなに心配する必要はないのではないかな、また頑張っていけばどうかなるんではないかな、こういう点についてもわかるわけです。  金融の場合には、郵便の場合と違いましてある程度高い金利を出せば資金は集まってくるわけですから、そういうことは言われると思うのですが、それにしても、例えばこれも抽象的ではいけませんので、平成年度の予算では、限度額を一千二百万要求をして一千万に落ちついた。昨年の一月に五百万まで上げた、そしてこれを七百万にして今回一千万ということになっているわけですね。これは要らぬことですけれども、郵便年金の場合でも七十二万を九十万に上げた。それから簡保の保険の場合でも、保険の掛金限度額をこれまた拡張した、こういう経過があるわけです。郵便貯金の場合もそういうことですね。  それで、郵便貯金の場合を見てみますと、一世帯当たりの平均預貯金額というのは、私が把握をしておるところによると、大体五百五十万程度だと思うのです。これも先ほど申し上げましたけれども、保険の場合でも、平均保険金額というのは大体二百二十万程度で、八百万から一千万の契約件数というのは三%ぐらいしかいない。年金にしても、七十二万の最高限度額の加入者というのは三・九%しかいない。保険と年金の関係はこれは別の問題ですが、貯金もそれと同じように、郵政省としては貯金とか保険とかこういう競争の中で少し無理をしているのではないか、無理をした業務拡張というものを考えているのではないかなという懸念が実はあるわけです。  そういう意味では、限度額などの引き上げは現実的に民間圧迫するとかいろいろ批判がある、またいろいろ臨調などからも、あるいは総務庁の行政監察などからも指摘のある例えば効率性の問題などを含めまして、今後民間と競争をしていく際に、こういう業務拡大といいますか、こういうものが本当に必要であったのかどうなのか。  ちなみに、六十一年の六月十日に、これは臨調だったと思いますが、「今後における行財政改革の基本方向」という文書が出されておりまして、この中で「行政施策等の改革」の項で「政府事業等」という中で郵便貯金が挙げられておるわけです。郵便貯金の総額制限については、国営による簡易なそして確実な少額貯蓄手段の提供という役割にかんがみて、当面現行の預入限度額の引き上げを行わないということが指摘をされたというのが六十一年にあるわけです。  そういう意味では、今回、限度額を引き上げるというのが貯金改正の中心的な提案になっているわけですけれども、私は、限度額を引き上げたことについて直接的に問題を提起する意味ではございませんけれども郵政省全体として大変厳しい情勢の中で少し無理をしている点があるのではないかな。これが、先ほど申し上げましたように最終的にまた利用者なり国民に返ってくるのじゃないかという指摘どもございますし、逆にまた官業として民業を圧迫しているのではないかという指摘どもございますので、そういう点を含めまして少しお考え方をお聞きをしておきたいと思います。
  85. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 事務的な問題につきましてはまた局長の方から、あるいはまた数字的なことにつきましては局長から答弁をさせていただきたいと思いますが、先生指摘の、無理をしている部分、もあるのではないか、あるいは臨調の答申に沿っていささか違った方向に動いているのではないか、流れているのではないか等々の御指摘がございました。  現実問題として、大変すばらしいといいましょうか、厳しい的確な御指摘をしていただいておると思うわけでございまして、私たちは、何といいましても小口の個人の金融貯金ということが基本のものであるわけでもございましょう、それから、非営利の状態で今日まで行ってきたというようなこともございます。  そういうようないろいろな問題、御指摘のように、また私たちも考えていかなければならないと思うわけでございますが、一つ預入限度額七百万円を千万円に上げたといいますことも、そのような環境の中で対処をしていくのには、これはやはり預入限度額を上げた方が皆様方の一つ方法としていいのではないか、国民のニーズにこたえた形になるのではないかと私は判断をして、今回この法律を提出をさせていただいて御審議をいただいておるというわけでございます。  先般の委員の御意見の中にもございましたが、実際には、それでは一千万円に上げて、今郵便貯金をしている方全員がそれに近いものになるかというと、そういうわけでは決してない事実もございます。しかしまた、先ほど御意見がございましたように、郵便局に長い間勤めていた、退職金をいただいた、自分の苦労した郵便貯金定額貯金にしたい、しかしそれは一千万円では入り切れないものがある、そういうケースもあるわけでございますから、いろいろな角度からその環境に適宜的確に対処をしていく、そして初めて私たちはそれぞれの垣根を認め合って、民間金融機関とあるいは農協とそして我が郵政ということで切磋琢磨をしていくということが、一に郵便貯金をしていただいている方だけに返します利便ではなくして、国民全体に対する利便の返却になってくるのではないかな、また、その方向で進めていきたいと私は思っております。  それでは、数字的なことはまた局長から続いて答弁をさせます。
  86. 松野春樹

    松野(春)政府委員 私ども今回お願いしております一千万円の限度額引き上げに先立ちまして、昨年の政府内部での一千二百万の限度額アップ要求に対しましていろいろな御意見がありましたが、その中で、先生もちょっとお触れになりましたが、平成元年の一月から七百万円に上げたばかりなのに早いのではないかという御指摘も一部の意見に確かにございました。  五百万から七百万円に平成元年の一月に上げましたのは、実は、大蔵当局と郵政省でそのときに一定の合意といいますか共通の認識を持ったわけでありますが、平成二年の四月から始まる、四月から十一月末でありますが、全資産の四分の一にも当たる三十四兆円が集中満期になる、これをもしこのままほかっておったら、郵便貯金、ひいてはそのもとになっておる財投資金の供給という面で大変な事態になるということで、実は五百万から七百万は主として昨年の集中満期対策として置かれたわけでございます。ある意味では緊急事態に備えたということで、いろいろ十分関係の向きから御理解いただいたわけです。  そこで私ども考えましたのは、その間もいろいろ金融経済情勢、あるいは個人のいろいろな貯蓄高、あるい貯蓄目標高、目標額等も変わってきておりますので、基礎的なこの際のあるべき姿としての限度額アップをお願いしたのが実は昨年のいきさつでございました。これはいろいろやりとりがありますので、結果的には一千万ということで折れ合ったわけであります。また、これが足りるのか足りないのかという御意見も立場立場でいろいろあると思いますが、ただ私どもの気持ちからしますと、けさ方からいろいろ申し上げてきておりますが、やはりこの一千万というのは現在の水準としてはまずまずの額ではないか。今後のことはまた今後十分注視しながら対処していきたいというふうに考えております。  それから、私ども郵便貯金事業をやるに当たりまして、当然公共性を持っております。あわせて、特別会計を組みまして企業性を持っておりまして、この公共性と企業性の調和という大変難しいテーマに日々取り組んでおるわけでありますが、民間との比較で有利、不利をいいますと、有利な面と不利な面があろうかと思います。  私ども有利な面は、これも先生指摘いただきましたが、郵政三事業が一体として、例えば同じ郵便局という場を通じて運営しておる、また国の企業でありますから税金等の面では免除されておる。一方、民間との比較で不利な面は、何といっても限度額についてもすぐ言えるのでありますが、民間の場合には別に限度額というふうなものはない、ある意味では青天井のような形になっておるし、それから資金運用におきましても、不動産投資あるいは株の投資というふうなものについては私どもやはり直接はこれはタッチしておりませんが、そういう縛りは民間にはない。もちろん法律等に基づく制約は国営事業の節度として当然受けておる。  いろいろ合わせますと、トータルバランスがいかがであるかという点からしますと、今回の一千万円ということでそこが崩れるということにはならないのではないかというふうに理解をしておる次第でございます。
  87. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 時間もございませんが、今いろいろお聞きをいたしましたけれども事業拡大をしていくわけでありまして、これもまた必要なことなんですが、そうしますと官業だからといって民業と違うということだけではいけないわけで、経営の合理化の問題とかあるいは適正化、省力化などという問題についてもきちんとした対応が必要になってくる、これは当然だと思うんですね。同時にその際、企業性と労働条件との調和という問題、労使関係などについてもやはりこれは今後乗り越えなければいけない問題点だと思います。  私も労働金庫の役員などをいたしまして、具体的にこういう問題に取り組まざるを得ない立場にあった関係から、そういう意味ではその辺などについて今後十分な対応が必要だというふうに思います。そういう意味で、その点については明確に、企業性と労働条件の調和の問題については抽象的ですが御意見として申し上げておきたいと思います。  そこで、前段の経営の合理化、適正化の問題ですが、臨調などからかなりの指摘がございます。もう御承知のとおり郵政事業についても、民業を補完しつつ適切な役割を果たすことを基本にして、官業に伴いがちな非能率を避けて、民間活力を活用することによって徹底して事業運営を合理化、効率化すべきであるという郵政事業に対する臨調からの提起もございますし、また金融自由化に関しても、郵便貯金自由化を阻害することなく配慮をし、金融自由化の展望が得られた段階においては郵便貯金事業の経営形態のあり方などについても再検討すべきであるという、そういう提言も既になされておりますし、それからまた、総務庁による行政監察による指摘の中ではさらにこれをミクロにいたしまして、例えば貯金事務センターの整理再編であるとか要員の合理化であるとか、それから郵便局内勤要員の適正化などについて、行政監察で具体的に指摘がなされておるわけです。  先ほど申し上げましたように、大変厳しい事業運営を今後国民の皆さんにしわ寄せが来ないという立場で行っていくということになれば、こういう問題などについてはやはりきちんと前向きに受けとめなければいけない。官業だからといって緩やかな対応はできない、こういう点が一つあると同時に、そこで働く労働者の労働条件などとの調和というものも非常に重要になってくる、これも当然のことだと思うんですけれども、こういう臨調なりあるいは総務庁による行政監察などから再三にわたって指摘している問題などについて、今後基本的にどういう対応をされていくのか、最後にこの点について少しお考えをお聞きをしておきたいと思います。
  88. 松野春樹

    松野(春)政府委員 先生今御指摘のとおり、臨調、行革審、これは数次にわたる会合が持たれておるわけでありますが、あるいは総務庁の行政監察等で過去においていろいろ御指摘を受けておるところでございます。私ども事業経営をやっていく中で経営の効率化、合理化に努めるべきである、これはもう普遍の、私どもとして当然努力しなければいかぬ問題でございます。ただその中で、私ども事業をやっておりますので、そこから出てくるいろいろな、例えば減員等の形でゆとりが出てくる場合がございます。しかし、片や事業が伸びておりますので、また必要な労働力はこれは絶対に確保しなければいかぬということで、厳しいいろいろな要員情勢の中ではありますが、不要なものから必要なものへ転換させるということを、私ども所管であります人事当局等が中心になりまして過去進めてまいっておるわけでございます。  それから、いわゆる官業、民業問題でございますが、私どもこの官業の民業補完という言葉に若干、意見を申される立場の人によっては少し色がかかったような言い方で申されるケースがありまして、むしろ最近ではトータルバランス民間と保っていかなければいかぬというふうなことを申し上げておるわけでありますが、いずれにいたしましても国営事業としての節度というものは、これは当然今後も十分意識して対処していく必要がありましょうし、また自由化が進展する中で、先ほど来るる先生から御指摘がありますように、私どもがその折々適切なサービスの改善をやっていくに当たりましても、そこを十分念頭に置きながらも、しかも時代はだんだん変わりますので、利用者の方に喜んでいただけるようなサービスは、これは積極的に提案していく姿勢で臨んでまいりたいと思います。  それから、自由化の進展と経営形態の関係についても確かに触れられておりますが、金融自由化と申します中に一つの側面として金利自由化がありまして、これが今積極的に進められておるわけでありますが、いわゆる業務の自由化、業務の規制の完全緩和というテーマは、まだ実は入り口段階であって、これも含めて全体としての金融自由化がいつ来るかという点につきましては、まだ私は見通しは立っておらないというふうな感じがします。  方向としてはその方向での動きはるるあるようでありますが、そこらのことも十分念頭に入れて、私ども一般的な経営形態のいかんということだけでなくて、日常の業務の中でぜひ健全経営に資するような体質に持っていきたいなというふうに考えて取り組んでおるところであります。
  89. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 それじゃ時間も参りましたので、いろいろ御質問さしていただきましたけれども、国民のための郵便貯金事業がさらに発展をすることができますように郵政当局の御努力を切にお願いをいたしまして、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  90. 野中広務

    野中委員長 次に、菅野悦子君。
  91. 菅野悦子

    ○菅野委員 最初に法案に関してお聞きをしたいと思います。  先ほどからの御質問の中で多分重なるかと思いますが、外貨の両替について、これは当面百局ぐらいを予定していらっしゃるということなんですけれども郵便局としては全く新しい業務になるわけですね。そこで、この新しいサービスに必要な準備ということなんですけれども、まずこの要員の配置、これをどのように考えていらっしゃるのか。  また、外貨を準備しておかぬとあかぬということで、計画ではドル、マルク、ポンド、フラン、この四種類の両替をなさるということですけれども、これを該当局へどのようなシステムで送付するのか。当然窓口に外国人が来られるということになると思いますが、この点での対応、例えば職員の研修とかパンフレットなどの用意とかいうふうなことについてはどのようにお考えなのか、まずお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、原田(義)委員長代理着席〕
  92. 松野春樹

    松野(春)政府委員 最初の御指摘の点の要員配置対策の点でございますが、必要な場合には非常勤職員等の雇用によって対処していくということを基本に考えております。平成年度予算の中にも、この外貨両替業務等を始める場合のということで非常勤職員の雇用経費等について若干ではありますが見込んでおるつもりであります。ただ、この問題はやってみないとわからない点もありますので、今後とも事務量の動向を見きわめながら適切な要員措置を講じていきたいということであります。  なお、午前中の質問でも御説明申し上げた経緯がありますが、このほかに紙幣の鑑別機、これは特にUSドルの紙幣の鑑別でありますが、調達も考えてございます。  それから、外貨を準備する仕組みということでありますが、現在考えておりますのは、外貨、外国通貨、それから旅行小切手も同じですが、中央におきまして外国為替公認銀行等から一括購入しまして、そして各取扱郵便局に配備することを考えておりますが、ただ中央から一括して百局に流す形でなくて、百局の中の何局かに、各地域におきまして、例えば東北管内の何々中央局ということで一局ずつ配送拠点局を中間に設けまして、そこを経由して外貨を配送したい。配送する場合には、私ども俗に現金運送便と言っておりますが、日常、郵便のルートを活用した資金過超金の運送を持っておりますので、そのルートで足りるのではないかと思います。  各管内に一局設けますというのは、その管内の局で例えば常備額が不足しそうな場合に、そこにある程度ゆとりを持たせておくことによってなるべくスピーディに対応できる形がとれるのではないかというふうなことも念頭に置いております。  それからもう一つは、外貨両替業務に伴う外国語応対その他のサービス関係でありますが、現在、全国五千七百局の郵便局で既に簡単な語学を必要とする国際送金業務を扱ってきておりますので、私はほぼ大丈夫ではないかとは思っておりますが、ただ今回の業務は全く新しい業務でありますから、例えば現在行っておる研修としまして、郵政研修所において外国為替訓練でありますとか、あるいは郵便局段階でもいろいろな講習会を行っておりますが、国際送金取扱局の中での主な局の講習会の際に、よく外貨両替業務等の新規業務のことも念頭に置きました会話その他を含めた研修の充実に努めてまいりたいと思います。  なお、こういう訓練以外にも窓口で外国語会話が簡単になし得るようなたぐいのテキストあるいは英文パンフレット等を作成することについても十分配慮していきたいと思っております。
  93. 菅野悦子

    ○菅野委員 郵政省が要員配置などの根拠として新しいサービスの件に対して試算をしていらっしゃるのですけれども平成年度で外貨両替のために郵便局の窓口を訪れるのは六千人ぐらいというふうに計算をしていらっしゃる。これは単純に平均すると、百局でやるということですから、一局当たり六十人、半年間に来る、つまり三日に一人、外貨両替のために郵便局に来るということになるわけですね。また、旅行者数というのは、年間九百六十六万人というふうに言われていますから、一日当たりでは約二万五千人になるわけです。ということになると、これは郵政省の試算だと、このうち郵便局の窓口に両替に来るのは三十三人、〇・一%にしかすぎないということですね。  非常に粗っぽい計算なわけですけれども、いずれにしても外貨の両替が必要な人から見ればほんのわずかだという試算になっているわけです。  私は、郵便局で外貨両替をできるようにするという今回の法案、これに反対というわけではないのですけれども郵政省自身が三日に一人しかお客が来ないという程度の利用しかない、そういうふうに試算をしていらっしゃる新しいサービスに、今御答弁いただいたように大変手間暇かけてそれに対する対応、こういうことをやらぬといかぬのかなというのが率直に疑問として残るわけなんですけれども、その点はどんなふうにお考えなんでしょうか。
  94. 松野春樹

    松野(春)政府委員 まず、この業務を行うに当たりまして、日本では既にもちろん民間金融機関あるいは一般両替商が外貨両替業務あるいは旅行小切手の販売に携わっておられます。ただ、その分布状況を見てまいりますと、都市部に圧倒的に偏重しておりまして、やはり地方部等においては非常にネットワークが薄いような感じがいたします。  私ども、もちろんこの外貨両替業務等をやる場合に、これでもってある程度大きな利益を上げようという意味ではありませんで、むしろ私どもの扱っております郵便貯金という金融業務の周辺業務としては、これは大変ふさわしい業務であるし、やはり各地域利用者の方にお喜びいただけるのではないかということに思いをいたしまして案を検討して今日にまで至っておるわけでございます。  したがいまして、一日何件来るかという場合の試算につきましても、これは実はまだ何人がいいのかとはっきり申し上げません。むしろ私、率直に申し上げますと、一日一局一件は想定したいと思っておるわけでありますが、恐らく〇・六人とか五人とかいうふうな積算を事務的にはやっておるかもしれません。三年度、これは十月ごろ実施できればいいなということで、その目途で、もしお認めいただけました場合のことですが、十月ごろ実施するということを前提にしますと、七千件ぐらいがこの百局の扱う件数ということですから、御指摘のように余り多い数ではありませんが、ただ、これは周知が行き渡るにつれて相当御利用いただけるのではないか、量だけでなくて、非常に便利に御利用いただけるという面がまた郵便局の特色になるのではないかということを期待しているわけでございます。     〔原田(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  95. 菅野悦子

    ○菅野委員 郵政省はこのところそういう点で新しいサービス、業務というのをだんだんふやしていくというふうな傾向にあると思うのです。住民票の発行なども新しく始めるということですけれども、これら一つ一つをとってみれば、今も御説明あったように、国民のニーズにこたえるということでそれ自身はいいことだとは思うのですけれども、私が心配をするのは、新しい窓口業務をふやすことによってその窓口が混雑する、その混雑を助長することになるということはないのかどうか。そうなると、国民向けのサービスということで臨んでいるわけですけれども、逆に低下するということになってはこれは大変だというふうに思うわけなんです。  これは昨年の本委員会でも、私も具体的に現場の実情を踏まえてこの問題を取り上げさせていただきましたけれども、率直に言って、郵便局の窓口というのは大変混雑している。二十分、三十分待つということも多いわけで、昨年も例に挙げましたけれども郵政省の調べでも、例えば千代田区のある特定局では、混雑する午後二時半ごろになると、貯金の窓口では受け付けから処理の終了まで平均三十二分かかっているというふうな状況もあるわけですね。  だから、おっしゃっているように、一つ一つ切り離してみると国民のニーズにこたえるということで、そういうものであるわけなんですけれども郵便局の窓口がふえなかったら、あるいは要員などがそれにふさわしくふえなかったら、逆に利用者にとってはサービス低下になるのではないかというふうに思うわけです。  これは貯金の分野だけに限らないことなんですけれども、いろいろな新しいどんどん打ち出していく施策の中には、ニーズがあるからということで手がけていくというふうに、半ば思いつきのような感じを受けるものもあるのですが、その一つ一つ具体的に聞くつもりはありませんが、サービスの種類をふやすこと、新しい業務がふえることが郵便局サービス向上になるのかどうかというふうなことのバランスの問題もよく考えなければならない時期に来ているのではないかなということも率直に思うわけです。その辺はどういうふうにお考えなんでしようか。
  96. 松野春樹

    松野(春)政府委員 外貨の両替問題をやりたいということで、主としてこれは大蔵省の国際金融局との折衝になりましたが、それでは一体お米屋さんまでやるのかなどという意見もちょうだいしました。そんなつもりはないわけで、先ほど申し上げましたように郵便局の特性というものにかんがみました場合に、私ども従来からやっております業務に加えましてこういう周辺業務で非常に便利に御利用いただけるものということで考えますと、今回の外貨あるいは旅行小切手の問題につきましては適切なサービスが提供できる、郵便局が扱うにふさわしいものというふうな観点貯金局長としましては自負しておるところであります。  なお、窓口混雑ですが、これはこれで実は郵政省内でも昨今特に都市部における局、これは小局も含めましていかに窓口の混雑状況を緩和するかというのは大変大きなテーマでございます。昨年来シティ・ポストの設置その他の施策もありますが、貯金関係の窓口におきましても都内の小局等におきましても二つでは足りなくて三つにしているところもありますが、そこのお客さんを待つ姿勢、窓口の仕事の割り振りが果たして適切であるかどうかというふうな点も含めて今検討しておりますが、今回のこの外貨問題との兼ね合いで窓口混雑が助長されるというふうには私は考えてはおりません。窓口混雑そのもの、窓口のサービス改善そのものについては、これは大事な問題としてしっかりまた受けとめていきたいと思います。
  97. 菅野悦子

    ○菅野委員 お米屋さんまでやるのかみたいな、そういう何でも手がけるということに対する皮肉じゃないかななんて思ったりするのですけれども、外貨両替を行うことによって郵便局の窓口がさらに混雑する、かえって利用者へのサービスダウンになるというふうなことにならないように、ぜひその点は万全の体制をとっていただきたいということを強調しておきたいというふうに思います。  次の問題ですが、郵便貯金では目的貯金ということをやっておられるようですけれども、これはどういうものなのか、なぜ郵便貯金でそのようなことをやるのかということについてちょっと簡単に御説明をいただきたいと思います。
  98. 松野春樹

    松野(春)政府委員 目的貯金といいますのは正規の貯金の種類ではなくて俗称でございますが、お客様のニーズに応じましてさまざまな貯蓄の目的あるいは使い道を紹介することによりまして楽しみながら積立貯金であるとか定額貯金等を利用してもらおうというものであります。したがって、基本パターンとしては積立金には利子がつきますから積立金プラス利子でどの目的に使うか、あるいは定額貯金とその利子でどの目的に使うかというふうなパターンが基本的なパターンであろうと思います。場合によればそれをゆうゆうローンの形で資金を引き出して例えば旅行に行くというふうなことだろうと思います。  この目的貯金は、私自身は余りつまびらかにしておりませんが、昭和四十五年ごろ大阪の万博時のときにアイデアとして始まったそうでありまして、これは一定の期間を設けましてその目的を達する企画がほとんどでありますが、現在まで約百五十程度の企画があったのではないかというふうに承知しております。  また、目的の内訳は大部分が旅行でありまして、約九割が旅行目的、それ以外に観劇でありますとか車検費用でありますとか耐久消費財の購入とかいろいろあるようでございます。
  99. 菅野悦子

    ○菅野委員 海外旅行などをするために貯金をするということが大義名分になっているというふうに思うのですが、今東京郵政局がやっているものに「親子で行くオーストラリア体験旅行」というものがあります。この種のものは、例えばソウル・オリンピックのときはソウル・オリンピックを見に行くためのオリンピック貯金というのがあって、今はバルセロナ・オリンピック貯金というのもあるそうなんですけれども、それ以外にもカナダでスキー貯金とか、また海外旅行だけでなくて沖縄旅行とか九州旅行などというものもあるというふうに聞いておりますし、私も現にいただいております。  今御説明があったように貯金という名前がついているわけなんですが、しかし実態は、今言いましたここに東京郵政局がやっている「親子で行くオーストラリア体験旅行」というものがあるのですが、これは宣伝物を見ますと本当に普通の旅行会社の宣伝物と全く変わらないというふうなもので、積み立てる場合もあるようですけれども、このケースは旅行代金である七十万円を一括して貯金するというものなんですね。要は旅行業者である近畿日本ツーリストに払うお金を郵便局に払っているというだけのものだということなんです。  問題なのは、これを郵政職員、特に一番の現場である特定局の職員が募集して回るということになっているのです。だから郵政省職員が近畿日本ツーリストや日本旅行のツアーを募集して歩いているということに実態としてはなっているわけなんですね。貯金という名前がついているけれども、特定の旅行業者のツアーへの参加を郵政省職員が業務として行う、一生懸命募集しているということになっているわけなんですけれども国営事業である郵便貯金としてこういうことは一体どうなんだろうかというふうに率直に疑問に思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  100. 松野春樹

    松野(春)政府委員 今、東京郵政局の事例で具体的な御指摘がありましたが、事例は事例といたしまして、物の考え方でございますが、目的貯金と言います以上、郵便局目的貯金に御加入いただく、これが本来業務でありますから、それはきちっとけじめをつけておく必要があるだろう。したがって、旅行契約そのものは旅行会社が直接お客様と契約を行う、ここはやはり一つの両者のけじめだろうと思います。  その上で考えます場合に、これは民間金融機関の場合も同じでありますが、個人のお客様とのコネクションを深めるというふうなことでいわゆるリテール戦略というのがだんだん活発になってきております。郵便貯金といたしましてもこういうお客さんの貯蓄目的あるいはニーズに応じて楽しみながら貯金ができる商品提供ということは、私はこれ自身はむしろ大変結構な施策であろうと思います。  ただその場合、私どもは旅行の情報を提供する。郵便局が御提供する。私ども貯金にお入りいただくということがこの制度の肝心な点であろうというふうに認識しておる次第でございます。したがいまして、こういう場合には、貯金の使途は常にお客様の任意でございますから、旅行に行くか行かないかも含めて最終的にはそれはお客様の任意でどう判断されるかということで、郵便局の役割は今私が申し上げたようなことを念頭に置いて対処すべきものであろう、またそういう制度であろうというふうに思っております。
  101. 菅野悦子

    ○菅野委員 契約は旅行社とで、あくまで郵便局としては貯金という側面というお答えだったのですけれども、現場の実態というのは郵便局職員が旅行ツアーの募集をしているというのと変わりがない状況があるわけですね。だからツアーの人数が足りなくなると特定局の局長職員が自分のお金と自分の有給休暇を使って行かざるを得ないというふうなこともしばしば出てきているということなんです。  こういうことになりますと、海外旅行のための貯金ということでかなり前からお金を集めているわけなんですけれども、参加人員が少ないから中止というわけにもいかなくて、ついつい必死になって募集もするし、最終的には職員が参加対象になって、悪いけどあんた行ってくれぬかということになって行くということになっているようなんです。しかも、こういう形で旅行に参加した職員というのはどっちかというと募集の側に立っているものですから、主催者側の職員ということで、旅行中はツアー参加者の世話係になってしまう。何で自分のお金と休暇を使って団体旅行の添乗員みたいなことをせぬとあかんのかという率直な訴えがあるわけなんですね。  ですから、こういう実態というのは今おっしゃられた局長さんの話とは大分違うのじゃないかと思うのですが、本省としてはこれをどういうふうに御認識しているのか、率直にお伺いしたいと思います。
  102. 松野春樹

    松野(春)政府委員 先ほどの御説明の中で、過去には百五十件くらいこういう企画があったようである、現在本省でどのくらい承知しているかといいますと、約六件程度、全国レベルのもの、地域管内レベルのもの、いろいろあるようであります。  これをやります場合に、先ほど一部御説明申し上げましたが、例えばタイアップする等の場合に、私ども郵便局側としては、ある特定の業者に偏るのではなくて、やはり公平にといいますか、限定することなく、いい施策があったらそういう意味でタイアップするということは、私は別に施策そのものはぐあいが悪いとは思いません。  ただ、その対応の中で、やはり国営事業でありますから、これはあらゆる場合に言えることでありますが、節度と品位というのを十分意識してやらなければいかぬ。また、この施策をやることによって、逆にそれが自分の、本来といったらおかしいのですが、日常の業務に支障を与えるようなことがあってはならない、これも当然のことでありますが、よく踏まえて推進してまいらなければいかぬというふうには感じております。
  103. 菅野悦子

    ○菅野委員 今もお話があったように、お客様のニーズに合ったことをということで合理化されるということになりがちなわけなのですけれども、ですから、私が先ほど来言っていますように、新しいことをやるということがすべてサービス向上になるのかなというのを率直に疑問に思うわけなんですね。  まして昨年来の論議の中で指摘していますように、特定局の窓口というのは大変混雑しているということがあるわけで、それを横目に団体旅行の募集をしていたり、職員に休暇をとらせて穴埋めに参加をさせるとかというふうなことになりますと、これは一般利用者にとっては甚だしいサービスダウンになるというふうに思うわけです。  しかもこれ片方、職員にとっては労働基準法を初め労働法規にも触れるというふうな問題だと思いますので、もしこういうことがどんどんやられているようであれば、やはりこれはぜひしかるべく調べて報告もしていただきたいし、御指導もよろしくお願いしたいというふうに思うのですが、その点はよろしゅうございますか。
  104. 松野春樹

    松野(春)政府委員 私が認識している限りでは、ただいま私が御説明したようなことで特段の問題はないではないかというような認識でおりますが、せっかく先生のあれでありますので、なおちょっと目配りして私自身で調べてみます。
  105. 菅野悦子

    ○菅野委員 もう一つこれに関する問題があるのですが、それは今も例に出しました親子で行くオーストラリア貯金というものなんですけれども、これは特定局がこのツアーへの参加者を八人集めると五万円の商品券が局にもらえるという仕組みになっているようなんですね。これはどういう性格のお金かなというのを疑問に思うのです。これは商品券ですから、職員に対する正規の手当ではないということは明白だと思うのです。正規の手当だったら局単位で、しかも商品券で出てくるということはないわけで、これはどういう性格のお金で、なぜ商品券なのか、郵政省の予算上はどういうところからこれは出されているものなのか、ぜひ明確にしていただきたいなと思います。
  106. 松野春樹

    松野(春)政府委員 一般に募集活動等を業務としておりますために、正規の予算におきまして、こういう奨励費といいますか営業推進費みたいな形は、額が十分であるかないかは別問題ですが、これは本省で予算をしっかり取って、郵政局、郵便局というふうに配賦しております。  ただいまお示しのケースが、もし業者からの謝礼というふうな形で商品券が個々の職員ということになりますと、ちょっと私は理解に苦しみます。私は、これは事実を調べてみたいと思います。
  107. 菅野悦子

    ○菅野委員 では、大臣にお聞きしたいのですけれども、今までずっと御質問いたしましたように、職員が本来の業務をわきに置いて団体旅行の募集をしたり、ひどいときには自分の費用で、自分の休暇を使って団体旅行の添乗員のようなことをやらされている、こうしたことはあってはならないというように思うのですけれども、こういう事実があるというふうに私ども聞いているわけです。しかも、よく出所がわからないような褒賞金のようなものが、例えば今の例で言えば八人集めたら五万円商品券で出てくるというふうなことがあるわけなんですけれども、これは大臣としても、こういうことについてどうお考えになるのか、このことについてどう対処をしていただけるのか、ぜひお伺いしたいと思います。
  108. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 熱意が行き過ぎますとそういうようなことが出てきたところもあるのかもしれません。また、先生の今までの論旨をずっとお聞きいたしておりまして、私たちは、善意の熱意で努力をしたことが行き過ぎるといいましょうか、また違った角度から見ればいささか行き過ぎではないかというような見方も出てくるということを痛感いたしたわけでございます。したがいまして、そういう角度から、問題点につきましてはるる調べて対処をしていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、先ほど局長が答弁いたしましたように、国の行う事業でございますから、そこにはおのずから範囲というものがありましょうし、品位と節度というものをきちっと守って対処をしていきたいと考えております。
  109. 菅野悦子

    ○菅野委員 もう一つ貯金の現場の話でお聞きしたいのですけれども、これは一月三十一日付の毎日新聞の投書欄に載っておりましたのでお目にとめていらっしゃる方も多いのじゃないかと思うのですけれども、埼玉県の主婦の方の投書なんですね。  この方が書いているのは、「一歳の息子が初めてもらったお年玉を貯金してあげようと郵便局に行った。貯金すると、息子が前から欲しがっていたかわいい動物の貯金箱が郵便局からいただけると聞いていたので、窓口の職員に尋ねたら「大きい子が十万円以上貯金したらあげることになっているので例外は認められない」と言われた。」というふうに書いておりまして、子供の貯金で十万円以上という制限が果たして妥当だろうかみたいな、そんな御指摘もあるわけなんですね。  これを読んで私も心がちょっと寒くなりまして、子供相手郵便局が十万円以上持ってきたら景品をあげるよというふうなことをやっているのかな、えらいことやなと思いました。この点はどうだったのでしょうか、お尋ねをいたします。
  110. 松野春樹

    松野(春)政府委員 その報道、私も読みました。それから、その報道を見て私に対して電話で意見を申されてきた方もおりました。調べましたところ、その局の方針としてそんなものは持っておらないということですが、その方が見えたときに、窓口でそのように誤解を受けてもしようがないような発言をしたという経緯は事実あったようでありますので、そこは厳しく指導しておきました。  それとは別の問題で、ちょっと窓口でいろいろあったようなことが背景にはありましたかとは思いますが、対話の中で、誤解を招くにしては少し、全国郵便局でそんなことを扱っているみたいなふうにとられるということはまことに遺憾なことであります。今後十分留意してまいりたいと思っております。
  111. 菅野悦子

    ○菅野委員 そういうことであったら、その点はいいと思います。  参議院での委員会の審議の中で、ボランティア貯金の強制の話だの、とにかく貯金を集めるという意識が先行してこんなふうな批判を国民から受けるということになっては、事業にとって非常に大きなマイナスになろうかと思いますので、その点を踏まえて今後とも御指導していただきたいということを重ねて強調いたしまして、終わります。
  112. 野中広務

    野中委員長 次に、中井洽君。
  113. 中井洽

    ○中井委員 大臣に最初にお尋ねをいたします。  大蔵省金融制度調査会の方が盛んに議論を重ねまして、銀行と証券あるいは生保と損保の相互参入、大きく前進しようといたしております。また、生保と損保等の金融業務への参入等も議論になっておると聞いております。私が言うまでもなく、郵政省は世界で最大の貯金を持ち、また世界で最大の資金量を持つ保険も持っておりまして、変わった形で国の事業として銀行あるいは保険、こういう業務をおやりになっているわけであります。それをつかさどる大臣として、各銀行、証券、生保、損保、これらの相互参入問題についてどのような御所見をお持ちであるのか、お尋ねをいたします。
  114. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 金融制度調査会で相互乗り入れについての審議が行われているということは伺っておるわけでございまして、中井先生指摘のこの問題と、先ほどまで各先生方が御質疑をされました、環境の変化に対して郵政関係のもろもろの問題がどのように対処していったらいいかというようなことにも関連をしている問題だと私は思うわけでございます。  いずれにいたしましても、業態間の利害の調整に終わるということだけではなくして、この垣根問題をどのようにやっていくか、相互乗り入れをどのようにやっていくか、そして、それを進めた場合に、小口預金者の利益の増進につながるということであれば、私はなおその方向に進めていけばいいのではないだろうか、そのように思っておりますので、もろもろの環境変化も考えつつ、私はやはり前向きで進めていけばいいんではないだろうか、そのように考えております。
  115. 中井洽

    ○中井委員 そういうお考えの中で、二つだけお尋ねをいたしたいと思います。  一つは、今回の法案でも、限度額を引き上げる、あるいは進学ローンの中身も変えていく、同時に旅行小切手販売、両替、こういうことで郵政業務の枠を拡大なさっているわけであります。私どもは、この枠を拡大するということに大いに賛成であり、拡大をした中で多様な国民サービスを行ってくれると同時に、民間の会社と共存共栄をしていただく、そして、よりよいサービスを結果としてもたらしてくれる、このことを望むわけであります。  大臣としては、こういう金融界の大変革期に当たって、郵政省の業務をどんな点で、どんな順番で拡大をしていくのが適切だと頭の中でお考えか、これがまず第一点であります。
  116. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 御指摘の問題は大変難しいところがあると思うわけでございまして、この業務の拡大、そしてまた、今度は時短の問題とか、あるいは週休二日制の問題とか、そういうようなものもまた絡んでくるわけでございまして、非常に難しい問題が今出てきておると思います。ですから今が一番、またそういう意味におきましてどのような方向に私たちが進んでいくか、郵政省がどのような考え方で進めていくかという大変な重要な時期に来ていると思うわけでございまして、そういう点から、先ほどの審議会の答申等々あらゆる角度から意見を集約いたしまして対処していかなければならない、そのように考えております。
  117. 中井洽

    ○中井委員 お考えをお持ちであるのかないのか、さっぱり見えてこない御答弁でありますが、毎年毎年の大蔵省との交渉等大変難しいことは承知いたしております。しかし、どこかで、郵政業務というのはこういうところで国民の支持を得るんだというビジョン等をお持ちいただいて、その方向でまた私どもも御支援をさせていただいて進んでいただく、こういうことが必要ではないかと考えておりますので、御研究をいただきたい、このように思います。  もう一つは、マスコミ等で少し報じられておりますけれども、流動性預金金利自由化問題であります。大体、銀行、大蔵省等話し合いが終わっておりますが、郵政省となかなか難しい問題があって話し合いが続いておると聞かせていただいております。この金利自由化問題、流動性預金金利自由化問題について、大臣はどのように対応なさろうとされておりますか。
  118. 松野春樹

    松野(春)政府委員 最近の経緯につきまして、私の方から御説明させていただきます。  私どもの方でも、通常貯金を初めとしまして流動性預貯金金利の範疇の商品がございます。したがって、私自身の研究会でございますが、郵便貯金に関する調査研究会の中の専門委員会で、今この流動性預貯金金利自由化についてどうあるべきかという研究をしております。それから大蔵省におきましても、俗に金問研と称しておりますが、やはり専門的な権威のある調査会がございまして、ここでも何回かにわたりまして今研究を進めております。恐らくことしの夏ごろまでには両研究会とも何らかの中間報告が出されるであろう。  それを見てまた我々も対処しますが、今の動きからしますと、新聞等で時々、どういうサイドからは別にしまして流れております情報は、今の通常郵便貯金なり普通預金に二段階を設けて、貯蓄性の高いもの、決済性の高いもの、貯蓄性の高いものについては高金利をつけて、ただし一定の決済の限度を設けるというふうなことが流れておりますが、まだ白紙状態であります。今、恐らく、いろいろな各層にわたります民間金融機関の中で、どういうふうに足並みをそろえていくかというところに重点を置いていろいろな調整がされておる中の一こまの状況だろうと思います。  郵便貯金のサイドで考えますと、実は私ども通常貯金に比較的高い金利で、今金利をつけております。これは、私ども貯金は、民間の普通預金に比べて一層滞留性が高い、滞留期間が長いという貯蓄性に着目してかねてから行っております制度です。それに加えて、この定期性預貯金の範疇でまだ議論が終わっていません定額貯金という主力商品を抱えております。流動性と定期性とを両方兼ね備えたような定額貯金についてどうするか、これが今後の大変大きな検討課題であると思います。  いずれにしても、流動性預貯金自由化につきましても、郵政省としては、やはり小口預金者の方々の利益を守るという基本的立場から、積極的に進めるべきであるという基本的なスタンスで臨んでいるところでございます。
  119. 中井洽

    ○中井委員 お話を聞きますと大変難しい段階で、微妙な御答弁でありますが、自由化ということについては賛成、しかし、官民同一商品でいくというのは郵便貯金の特殊性から見てなかなか難しい、郵政は郵政で、別の形でいきたい。  同時に、お話がなかったのですが、口座手数料等についてもちょっと違いがあると聞いておりますが、その点、もう一度御確認で御答弁いただきます。
  120. 松野春樹

    松野(春)政府委員 やはり流動性預貯金が、これは官民問わず一般的に定期性よりも金利は低うございまして、しかし、金利は低くてもある一定の滞留預金額が望めるという商品であれば、当然コストが従来安かったわけでありますが、今後自由化されるに従ってコストがアップしてくるであろう、したがって、経営上の要請もあり、いただくべき手数料はいただきたいという議論の中で、口座維持手数料の問題が、特に今の大蔵省サイドの研究会の中から出てまいっております。  私どものかねてからのスタンスは、口座維持手数料金融機関が取るかどうかにつきましては、私はいいとか悪いとかは申し上げるつもりはないのでございます。やはり自由化でありますから、金利のつけ方と手数料のつけ方とが相関関係にありますから、全体として利用者にどういうサービスを提供するか。場合によればある程度差別化された形でいろいろな商品が出てくることが自由化一つ現象だろうと思うのですが、郵便貯金に限りますと、小口の出し入れが大変多うございますので、その回数を制限して、超えると口座維持手数料をいただくということにつきましては、非常に消極的といいますか慎重に考えざるを得ないというのが現在のスタンスでございます。  ただ、今後、先ほど申し上げましたように双方のいろいろな立場が研究会の報告等をもとにはっきりしてまいりますと、もう少しテーブルを囲んでの話というものが、よりかみ合った議論、結論は別にしてかみ合った議論が進んでいくのではないか、そういうふうにまた努力したいと思います。
  121. 中井洽

    ○中井委員 それでは法案の方に入ります。  限度額を七百万から一千万に今回の法案で引き上げるわけでありますが、この引き上げによりまして預金そのものがどのぐらい伸びを見込まれておるのか、お尋ねをいたします。
  122. 松野春樹

    松野(春)政府委員 実は、ただいまお尋ねの、七百万円から一千万円に限度額が上がったとした場合に残高が幾らふえるかといった計数上の分析は、大変難しいこともありまして、現実に私どもまだ把握はいたしておりません。  ただ、考えてみますとこの限度額に近い、あるいは限度額に到着している預金も相当程度あるはずでありまして、それらの方々には郵便局におきまして再度預入勧奨ができるという点では営業活動上の大きなプラス材料になるであろうと思います。  また、けさ方からるる御説明申し上げておりますが、家計の平均貯蓄目標額というものも年々上がってきておりますので、その意味からも、自由化を目前に控えておりますが、利用される方々と郵便貯金を経営する我々とのサイドで、この限度額の今回の御検討をいただいております一千万円という額につきましては、ほぼ現状においてまずまずの水準ではないかなというふうに考えております。
  123. 中井洽

    ○中井委員 それでは、その七百万円の今の限度額預金をなさっている口座というのはどのぐらいあって、全体の預金量の中でどのぐらいのパーセントを占めておるのか、そういう数量はわかりますか。
  124. 松野春樹

    松野(春)政府委員 これも、実は御説明する前に釈明を申し上げておかないといけないあれなんですが、現在私どもこういう金額段階別の分布状況を把握するシステムを今構築中でございまして、大変膨大な量でありますからオンラインシステムの中に現在まだ組み込んでございません。平成七年までにはこういうシステムを完成する予定です。  ということで、今先生のお示しの数字を、ごくラフな推計でありますが、やるとしたら一部のサンプリング調査の結果の状況で推しはかるしかないわけでありますが、平成二年の十月に無作為で若干のサンプリング調査をやった利用状況調査によりますと、貯金残高のうち預入限度額七百万円に張りついているものが約一二%というのが調査結果であります。しかし、これはサンプリング調査でありますから、この席でもしあえて申し上げますと一〇%前後が限度額に張りついておるのかなというふうに、大変ラフな推計で申しわけありませんが、そういうふうに言えようかと存じております。
  125. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、例えばゆうゆうローンの貸し付け二百万円と限度がございますね。この借り入れたお客さんが、その二百万限度いっぱい借りている人は何割ぐらいだとかどのぐらいの金額だとか、そういうデータもないわけですか、ありますか。
  126. 松野春樹

    松野(春)政府委員 ゆうゆうローンの貸付限度額の張りつき状況につきましても、やはりサンプリング調査結果による推計値を申し上げる以外にございませんが、現在の把握しております数字は約二八%、それでこちらの方が相当高いデータを示しております。ゆうゆうローンの二百万円の貸付限度額の張りつき状況は利用件数の中の約二八%ということでございます。
  127. 中井洽

    ○中井委員 私どもは、郵政省というのは大変細かく計算をなさる、前にもこの委員会でも申し上げたのでありますが、私の本家なんかも切手の販売をやっておりまして、一枚破っても大変なことになる。労働組合の方の議論を聞いておっても、全郵政と全逓の方の議論が一番細かいのであります。非常にきちっきちっと数字を合わされる。しかし、こういうトータルでの統計だとか数値だとかが出てない、あるいはサンプリングしかやってないというのは信じられないのであります。  大蔵省やら金融業界といろいろな折衝をしたり交渉したりするときには、私どもは、そういう数値をきちっとつけておやりになっている、もう限度額なんかでも七百万いっぱいの人はどのぐらいいるんだというようなことも含めて数字を突き詰めて交渉されておるのだ、またそれをもとに法案をおつくりになっておるのだと考えておったのでありますが、びっくりいたしました。大変な金額を運用なさりお預かりなさっておやりになっているところがそういうデータがないというのは、大臣、どうなんですかね。まあ七年までにできるということなんですが、ちょっとこれびっくりしてどう質問していいかわからないような状況でございます。
  128. 松野春樹

    松野(春)政府委員 どうしてもこれまでの経緯の御説明になりますけれども、私ども、今通常郵便貯金口座を約七千三百万口座強と申しますか持っております。それから、それ以外に定額証書等もオンライン化して全国即時にいろいろな計算ができるようにやっております。こういうストレートな業務連行面でのシステム構築に実は大変な時間と労力を費やしてまいりました。  これから必要となりますのは、先生指摘のように経営情報をどうやって把握するかという点が第一であります。と同時に、その数字をいろいろ加工いたしまして営業支援の情報をどうやってシステムから利用できるようにするかということで、それを実は現在基本設計中でありまして、なかなか世帯が大きいものですから時間がかかりますが、あとしばらくお待ちいただければ立派な数字を御用意できるようになると思いますが、少しお時間をかしていただきたいと存じます。
  129. 中井洽

    ○中井委員 もうそういうお答えなら結構ですが、膨大な数量であるだけに余計そういうデータをきちっとプットインをして分析をしていく、このことが逆に大事じゃないか。平成七年と言われておりますが、できる限り早くそういった制度をつくり上げていただきますことを強く要望いたしておきます。  あと、二、三お尋ねをいたします。  進学資金貸し付けの実績を見させていただきますと、いろいろと御議論はあったと思いますが、公庫等はどんどんふえておる、郵政省の窓口でお使いいただくというのはどんどん減っておる、こういう状況であります。今回制度を変えるわけでありますが、これはもう言うまでもなく、貸し付けの複雑さ、あるいは預金をしていかなければ貸してくれない、公庫へ行けばそのまま貸してくれるということですから、だれしもが公庫へ行ってしまうということにもあろうかと思います。そういう制度的な欠陥がある中で改正をやるわけでありますが、この改正の中で貸し付け等をどうやってふやされようとお考えになっておるのか、お尋ねをいたします。
  130. 松野春樹

    松野(春)政府委員 先生ただいま御指摘いただきましたように、私ども五十三年に創設されました進学積立郵便貯金が五十八年をピークとしまして漸減傾向にありまして、平成年度新規利用件数は七千件という数字であります。率直にこれを反省しておるわけでございますが、その原因としていろいろありますものをやはり改善していかなくてはこれに対応できないということでありますが、今回、制度面につきましては法律上お願いしております貸付目的拡大進学時だけでなくて在学時まで含めた拡大ということは大変意味のあることであろうと思います。  それから、国民金融公庫の方からも同時にいろいろな制度改善をやっておりまして、政令レベルだろうと思いますが、貸付対象校の拡大、例えば従来予備校等対象外だったわけですが、これも入れるというふうに各種学校まで幅を広げて範囲を広げるという改善もやっております。また、期間等につきましても改善しておりますし、限度額を、私ども積立貯金の、従来は百八万円までが限度額でありましたが、これを今回百五十万円まで上げました。と同時に、それに見合いまして国民金融公庫の貸付額が、同額で限度額が設定されますので、今度限度額を百五十万にしますと三百万円まで、自己資金が半分、貸し付けが半分ということで、利用しやすくなるのではないかという点が一つ。  しかし何といいましても、けさ方から実はその点につきましていろいろ厳しい御指摘もあるのですが、私どもの日常の定額貯金なりMMC貯金のPRにややかまけまして、この進学積立貯金等の周知あるいは募集等におきまして、やはり少し従来行き届いていない面があるということは十分承知しております。ちょうど今回の改正を機に御審議をいただいて、幸いこれが成立しました場合には、ひとつせっかくのいい機会でありますから、今度こそしっかりその点も踏まえて積極的に対応していきたいと思います。
  131. 中井洽

    ○中井委員 この国金の制度も、最初のころ随分利用者が少なかったのです。私どもの事務所の者なんかも国金へいろいろな御無理をお願いに行きましたら、三月ごろになると向こうから参られまして、後援会の方でお使いいただけぬかと言って随分パンフレットやら置いていったりいたしました。初めのころは随分苦労なさったのを承知をいたしております。制度的にはやりにくさはいろいろありますけれども、せいぜい頑張っていただいて、十分な御利用をいただけるように御努力を賜りたい、このことを要望しておきます。  もう一点だけ。旅行小切手の販売と外国の通貨の両替でありますが、これはお話もあったかと思うのですが、例えばどういう会社を対象としてお選びになろうとされているのか、あるいは幾つぐらいの局で何年間にわたっておやりになろうとしているのか、具体的な準備の計画をお聞かせをいただきます。
  132. 松野春樹

    松野(春)政府委員 年度の途中でありますが、本年度全国百局において実施したいと考えております。その百局もできるだけ各県漏れなく一応配置しておきたいというふうに考えております。 お示しの旅行小切手の場合でありますが、これを今、日本の中で発売されておる機関は九つでございます。邦銀関係が四、それから外銀関係で五でありまして、九種類の旅行小切手が発売になっております。  私どもも、一応契約を結ぶ基準としまして、例えば郵政省との取引を希望しておられる、あるいは小切手の用紙がスムーズに配備できる、あるいは郵政省との連絡体制が確立できる、それから指定した場所及び日時に取引が可能であるかないか、決済郵政省決済方法に合致するものであるかないか、当然のことでありますが、こういう物差しをもとに勘案して選定したいと思いますが、この条件に合致している限り、殊さらに制限的に取引先を考えるつもりはありません。旅行小切手につきましては、いずれにしてもこの九つの種類から選択するということになろうかと存じます。
  133. 中井洽

    ○中井委員 時間ですので、せっかくつくりました新しい制度ですから、十分国民の利用があるように、局の数等、あるいは職員の訓練等御注意いただいておやりをいただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。
  134. 野中広務

    野中委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  135. 野中広務

    野中委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、郵便貯金法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  136. 野中広務

    野中委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  137. 野中広務

    野中委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、園田博之君外三名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。園田博之君。
  138. 園田博之

    ○園田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、この法律の施行に当たり、金融自由化の進展等為替貯金事業を取り巻く激しい環境変化に対応するため、次の各項を実現するよう積極的に努めるべきである。  一 預金者の利益を増進するため、預貯金金利の完全自由化に的確に対応するとともに、郵便貯金金利決定に当たっては、郵便貯金預金者が不利益を被ることのないよう十分配慮すること。  一 豊かな国民生活の基礎となる社会基盤整備に資するため、郵便貯金の増強に積極的に努めること。  一 国民の利便の向上に資するため、家計を支援する新しい貸付サービスや長寿社会に対応した商品の提供、公務員給与振込みの実施など商品サービスの多様化を推進するとともに、家庭でも広汎な金融サービスの利用が可能となるようオンライン・システムの一層の高度化を図ること。  一 健全な事業経営を確保するため、金融自由化対策資金運用規模拡大運用対象の多様化を行うとともに、郵便貯金資金地域の振興等に一層活用できるようにするなど、資金運用制度の改善・充実を図ること。 以上であります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、質疑等を勘案して作成したものでありますから、説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  139. 野中広務

    野中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  140. 野中広務

    野中委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、関谷郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。関谷郵政大臣。
  141. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 ただいま郵便貯金法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて賜りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。     ─────────────
  142. 野中広務

    野中委員長 次に、郵政官署における外国通貨両替及び旅行小切手売買に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  143. 野中広務

    野中委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  145. 野中広務

    野中委員長 電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。関谷郵政大臣。     ─────────────  電波法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  146. 関谷勝嗣

    関谷国務大臣 電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約附属書の一部改正の発効に備え、義務船舶局等の無線設備の条件及び遭難通信責任者の配置について定め、並びに船舶局等の運用に関する規定を整備する等のため所要の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  まず第一に、無線設備を設置しなければならない船舶局には、遭難通信及び一般通信を行うための所要の機器を備えることとしております。  第二に、無線設備を設置しなければならない船舶局には、それが故障した場合に備え、予備設備の設置等所要の措置をとることとしております。  第三に、新たな海上安全システムで用いる無線設備については、郵政大臣の行う型式についての検定に合格した、信頼性の高いものを施設することとしております。  第四に、国際航海に従事する旅客船等については、遭難通信を確実に行うための無線従事者を配置することとしております。  第五に、最近の無線設備の自動化の進展等に伴い、船舶局については、人を配置して義務的に運用しなければならない時間を撤廃することとしております。  第六に、遭難通信の確実な疎通のため、船舶局等が聴守すべき周波数及び時間に関する規定を整備することとしております。  以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律の施行期日は、平成四年二月一日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
  147. 野中広務

    野中委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、明十八日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十一分散会