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1991-03-13 第120回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月十三日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 野中 広務君    理事 川崎 二郎君 理事 園田 博之君    理事 原田 義昭君 理事 前田 武志君    理事 松浦  昭君 理事 上田 利正君    理事 武部  文君 理事 伏屋 修治君       赤城 徳彦君    小林 興起君       古賀 一成君    佐田玄一郎君       佐藤 守良君    鈴木 恒夫君       長勢 甚遠君    萩山 教嚴君       真鍋 光広君    森  英介君       山崎  拓君    秋葉 忠利君       上田  哲君    貴志 八郎君       田並 胤明君    山下洲夫君       鳥居 一雄君    菅野 悦子君       中井  洽君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 関谷 勝嗣君  出席政府委員         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政大臣官房人         事部長     渡邉 民部君         郵政大臣官房経         理部長     吉高 廣邦君         郵政省郵務局長 小野沢知之君         郵政省簡易保険         局長      西井  烈君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      原口 恒和君         郵政大臣官房首         席監察官    宍戸 成夫君         郵政大臣官房資         材部長     山口 憲美君         郵政大臣官房建         築部長     戸田 道男君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ───────────── 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   中井  洽君     小平 忠正君 同日  辞任         補欠選任   小平 忠正君     中井  洽君 同月十二日  辞任         補欠選任   赤城 徳彦君     三原 朝彦君   佐田玄一郎君     山下 徳夫君   長勢 甚遠君     住  博司君   秋葉 忠利君     嶋崎  譲君   中井  洽君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   住  博司君     長勢 甚遠君   三原 朝彦君     赤城 徳彦君   山下 徳夫君     佐田玄一郎君   嶋崎  譲君     秋葉 忠利君   大内 啓伍君     中井  洽君 同月十三日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     萩山 教嚴君   田中 昭一君     貴志 八郎君 同日  辞任         補欠選任   萩山 教嚴君     武藤 嘉文君   貴志 八郎君     田中 昭一君     ───────────── 三月八日  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出第六一号)(参議院送付)  郵政官署における外国通貨両替及び旅行小切手売買に関する法律案内閣提出第六二号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  郵便局の用に供する土地高度利用のための簡易保険福祉事業団業務特例等に関する法律案内閣提出第五一号)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出第六一号)(参議院送付)  郵政官署における外国通貨両替及び旅行小切手売買に関する法律案内閣提出第六二号)(参議院送付)      ────◇─────
  2. 野中広務

    野中委員長 これより会議を開きます。  郵便局の用に供する土地高度利用のための簡易保険福祉事業団業務特例等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。真鍋光広君。
  3. 真鍋光広

    真鍋委員 国有財産とりわけ国有地高度利用につきましては、かねてから臨時行政改革推進審議会さらにはまた国有財産中央審議会の累次の答申に見られますように、これを大いに推進していくべきだ、こういうことでございます。そういう中で我が郵政事業がその一番基本になる資源でございます土地というものを高度利用しよう、こういうことを率先やられようという法案でございまして、まことに結構な御趣旨である、こう思うわけでございます。  そこで、この法案に則しまして少し御質問申し上げたいと思うのですが、まず第一条の目的でございますけれども、目的のところに「郵政事業経営基盤強化に資することを目的とする。」こうなっておるわけでございますが、まずこの郵政事業、これは定義はどうなっておるわけでございますか。
  4. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  法案につきまして御評価いただきましてありがとうございました。本法律案の第一条の目的規定で申します郵政事業というのは、郵政事業特別会計法第二条に規定します郵政事業でございまして、郵便事業為替貯金事業簡易生命保険事業郵政事業中心とするものでございますが、そのほかに日本電信電話株式会社から委託された業務日本放送協会から委託された事務などを含んでございます。  また、郵政事業経営基盤強化に資するという意味は、郵便局土地高度利用を通じまして地代及び納付金簡易保険福祉事業団から郵政事業特別会計に入り、これが郵便事業為替貯金事業簡易保険事業に適正に分計されることによりまして郵政事業財政強化に資する、そういうことを意味いたしております。
  5. 真鍋光広

    真鍋委員 経営基盤強化ということでございます。いろいろ伺っておりましたら、現在二万三千の郵便局、その中で黒字局というのでしょうか、つまり収支率が一〇〇以下のところが四一%強ということでございますが、一方で収支率が一五〇を超える、つまり支出の方が収入の一・五倍を超えるというような局が二五%、四分の一ぐらいになるということのようでございます。一方でこのネットワークというのが最も大事な事業でございます。そういう中で経営基盤強化に資するということですから大変に期待をいたしておるわけでございますが、この高度利用を目しておられる適地と申しますか、どの程度場所数がありあるいは面積があるのか、そのあたりをちょっとお教えいただきたいと思います。
  6. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  全国郵便局のうち高度利用が可能な局、つまり対象局についてでございますけれども、平成二年の十二月末現在の全国郵便局数約一万九千のうち、東京都、政令指定都市十一都市それから県庁所在地四十七都市の駅前、繁華街などの商業地にございます集配普通郵便局等全国で合計百七十三局ですが、これらを中心といたしまして、あとそのほか都市部において土地高度利用が特に必要な郵便局、これらを対象として選定することといたしております。  この具体的な対象局の選定に当たりましては、その郵便局の建て直しの時期とか容積率などの建築制限郵便局局舎としての必要な面積事務所等施設需要動向を総合的に勘案して最も効果的に土地高度利用が実現するよう今後慎重に検討して決定していきたいというふうに考えております。  ところでスケジュール的に、平成四年度に具体的にどの程度の数の郵便局を選定して要求していくかということを決めていくわけでございますが、平成三年度予算案でそうしたことの精細なことを調査研究する研究費がついておりまして、予算が成立しましたら直ちに着手いたしまして、短期間にその辺のことを検討いたしまして来年度の予算案に要求する、その過程で今先生から御指摘ありましたようなことを詰めたいというふうに考えております。
  7. 真鍋光広

    真鍋委員 ちょっと今十分聞き取れなかったのですけれども、適地というのは一万九千のうち百七十三とおっしゃった、幾らとおっしゃいましたか。
  8. 小野沢知之

    小野沢政府委員 はっきりお示しできる数字が百七十三局なんですが、その他都市部でもって特にここは特殊事情があるとかというようなことでもって土地高度利用が必要だという局が出てくる可能性がございますので、そういったものを含めますと直観的に当初対象郵便局は約二百ぐらいじゃないか、そういうふうに考えております。その中から選定するということでございます。
  9. 真鍋光広

    真鍋委員 面積の方はどうでしょうか。それを足すとどのくらいになりますか。
  10. 小野沢知之

    小野沢政府委員 面積についてでございますが、今申し上げた約百七十数局の敷地面積をトータルで概算いたしますと約六十七万平米、こういうふうに考えております。
  11. 真鍋光広

    真鍋委員 地代等郵政事業特会に入ってくる、こういう話でございます。  それで、この高度化利用実施主体簡保事業団でございます。簡保事業団目的を見ておりましたら、簡保事業の健全な経営に資するために必要な業務を行うことを目的とするということでございますから、当然のことながら簡保事業そのものにとっても意味がなければならないということでございますから、地代など郵政事業特会に入った金が簡保特会であるとか郵貯特会に何らかの形で入ると申しますか、そのように収入となっていく、こういう仕組みがなければならぬと思うのですが、もう一度そこのところをしっかりと教えていただけませんか。
  12. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  先ほども若干御説明申し上げましたけれども、郵政事業経営基盤強化に資するということで郵便局土地高度利用を通じまして地代及び納付金簡易保険福祉事業団から郵政事業特別会計に入るわけですが、これが郵便事業為替貯金事業簡易保険事業に適正に分計されるということによって郵政事業財政強化に資するということですが、簡保事業団簡易保険事業と一体的な使命、業務、そういったものを持っておりますから、そのことがひいては同事業団の健全な経営それから発展につながるというふうに考えております。  それから、その点もう少し敷衍して申し上げますと、地代及び納付金郵政事業特別会計において郵便事業為替貯金事業簡易保険事業のそれぞれに適正に分計いたしまして、分計した金額はそれぞれの事業が本来分担する経費と相殺し、その差額分経費郵便貯金特別会計及び簡易保険特別会計の双方から郵政事業特別会計に繰り入れるということになっておりまして、例えば簡保事業で申しますと、これによって簡易保険特別会計が分担する経費が少なくて済み、それぞれの事業財政強化に資することができる。簡保事業全体のそういう経営健全化に資することがひいては簡保事業団の健全な経営につながるというふうに判断いたしております。
  13. 真鍋光広

    真鍋委員 要するに三事業に適正に分計する、こういうことであると承知いたしました。  いずれにしましても、とにかく事業別区分経理というものを厳格にやるということが当面一番大事な話でございまして、これが、何となく金額が少ないからということであいまいになったり、そこの区分が適正でないと、これまた新しい業務分野、今度はいよいよ森ビルと競争する、そういう話になってくるわけですから、どうかひとつ金額が多少スタートが少ないからといって緊張度を解かないように、きちんと適正に区分経理されるようにお願いをいたしておきたいと思います。  次に第二条でございますけれども、この高度利用対象となる土地都市部に所在するということになっておるわけでございます。都市部の御説明は、先ほど東京都であるとか政令都市であるとか、あるいは県庁所在地都市、こういったものなんだ、こういう御説明でございました。いわゆる大都市ということを頭に置いておられるわけでございますけれども、これが都市部でなきゃいかぬという理由はどういうところにあったか、お示しいただきたいと思います。
  14. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  実は、一昨年郵務局長に着任いたしまして、今まで各省庁が着手していなくてそれで重要な政策課題は何かということを何日か考えたのですが、その一つ大都市対策、それも当時地価高騰の真っただ中だったものですから、それに自分守備範囲についてどれだけ貢献できるかということを考えたわけです。  したがいまして、地価高騰の激しい大都市における土地問題の解決、この辺に自分の所管する事業特殊性も考えましてどう対応するかということが当初の発想念頭にございました。したがいまして、地価が高騰している大都市において、そういった土地問題の解決にどう資していくか、あわせて自分が所管する事業について、その健全な経営を図るためにどうそれをドッキングしていくか、これが発想のもとでございまして、最初から大都市対策というのが念頭にあったことは事実でございます。  そこで、今御指摘のありましたこの法案の第二条第一項第一号において都市部に所在する郵便局として限定した理由を整理してみますと、都市部に所在する集配郵便局等は、郵便物区分、差し立て業務中心とする、いわば郵便作業工場機能を有する郵便局でございまして、階高が高いなど建物構造が特殊であり、また、将来の郵便物の増加に伴って郵便局舎を拡張する必要が生じる可能性が高い、したがって、これに円滑に対応できるようにする必要があるので、このような郵便局は、その建物構造機能特殊性を考慮した仕組みのもとで土地高度利用を行う必要があるということが第一点でございます。  それから、この法律案は、土地有効活用という社会経済的要請にこたえて郵便局土地高度利用を行うものでありますから、その対象地域土地有効活用について社会経済的に必要性の高い地域に限定した、そういったところから都市部という限定の発想規定が出てくるわけですが、その都市部の具体的な対象先ほども申し上げたとおりでございます。
  15. 真鍋光広

    真鍋委員 大都市における地価対策ということが発想の大もとであったという御説明でございました。しかし同時に、郵便局合築される高層建築物が立つわけでございます。また、経営基盤強化に資することを目的としておる以上、おのずからそこにできます建物につきましては、郵政事業のために役立つということも十分考えておられることだと思いますが、先ほど、六十七万平米ということですから、割り算をすればわかるのですが、ちょっと計算機を持っていないのでわからぬのですが、都市部のそれは大体一郵便局当たりどのくらいの面積なんですか、ちょっとアバウトな感じをつかませていただきたいと思うわけでございます。
  16. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  全国平均で約四千平米ということで今試算しております。
  17. 真鍋光広

    真鍋委員 四千平米というと、かなりなものが建つな、こんな感じがいたすわけでございまして、御期待申し上げておきます。  それから、先ほど採算局と不採算局という話をさせていただきましたけれども、都市部都市部以外、分けるのが非常に難しいとは思いますけれども、三事業都市部における比重というのはどんな感じになっておるか、ちょっと念のために教えていただきたいと思うわけでございます。
  18. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  郵務局貯金局簡易保険局、いずれも経験しておりますのであれですが、私の体験的な実感から申しますと、三事業とも最近盛んに仕事をしておりますので、どこがどういうこと、何か表現しにくいのでございますが、例えば郵便事業について申しますと、全国全体の約三割を東京中心で受け持っているということでございまして、大都市において全国の各三事業の中で占める割合が非常に大きいということでございます。  一方、もう一つのお尋ねは、その各事業の中でどういう比率かということだと思いますが、その実験例として最近設けました施策が大都市型の簡易郵便局でございまして、大都市でもって地価高騰によりまして特定郵便局が設置しにくいということで、それで業務委託方式を実験したのですが、あの事務量を見ておりますと、やはり扱い数郵便が圧倒的に多いのですが、今どんどん貯金等業務もふえておりまして、これは始めて約四カ月ほどですが、近くこれをまとめます。そうしますとこういう都市部における三事業傾向等もわかると思いますが、そういう調査にこれから至急入りたいと思います。
  19. 真鍋光広

    真鍋委員 まあわかったようなわからぬような話でございますけれども、申しました趣旨は、普通局中心になると思うのですけれども、特定局の扱います郵貯が七三%ということでございまして普通局が二七%というふうに、当然数の問題がありますから低いわけでございます。こうやって、合築によりましてテナントもふえるわけでございますから、ひとつそれに資するところがあればいいがな、こんな思いで質問をさせていただいたわけでございまして、今後に期待させていただきたいと思うわけでございます。  次に、都市部ということになっておるわけでございますが、しかし同時に、いただきましたこの関係資料というやつによりましたら、やはりその趣旨の中に地域社会の健全な発展に寄与するんだ、こういういいことを言っておられるわけでございます。  ところで、その郵便局というものが大都会の、隣に十五階建てが建つところに、千坪ちょっとで恐らくそんな高いものは建たぬでしょうというんじゃ、余り目立つわけでもないし、まあ目立つところもあるでしょうけれども、そういう意味合いでいきましたら、やはり都市部だけでなくて、郵便局基盤ネットワークであり、地方に足腰があるわけですから、もう少しその幅を広げて、例えば都市部で三やるのであれば、地方のもっと県庁所在地でないところで一やるぐらい、まあこの法文ではそうはいきませんけれども、将来の課題として、順次これが順調に進むようになれば、そういうこともぜひ考えていただきたいというふうに希望をいたしておきます。  次に、この法文を見ておりましたら、新規郵便局用土地新規土地を購入して郵便局を建てるということに関してもこのような合築が不可能ではないということになっておるわけですが、当面既存のものを考えておるのかどうか、そのあたりを聞かせていただきたいと思います。
  20. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  本件郵便局用地高度利用でございますが、都市部に所在する集配郵便局の多くが比較的低層にとどまっている、そこで局舎上層部活用余地が大きい実情にある、そこに着眼したのが一つ理由でございます。そこで、当面は、これら既設郵便局の建て直しの時期に合わせまして、容積率などの建築制限郵便局舎としての必要な面積事務所等需要動向事業採算性等を総合的に勘案の上、逐次実施していくことにいたしております。  一方、郵便物集配事務を取り扱う郵便局、その他特殊な建物構造機能を有する郵便局を新設する場合におきましても、郵便物作業処理の都合上比較的低層建物を建設することになるのは既設郵便局の場合と全く同じでございますので、そのような郵便局土地高度利用が求められている地域に設置する必要が生じた場合におきましては、本法の適用を受けるということになるわけでございます。  新規に取得する土地高度利用を行う場合でありましても、郵便局業務実施していく上で必要にして十分な土地郵便局舎を建設した上で、なお活用余地のある郵便局上層部有効活用しようとするものでございまして、そういう意味で、本件郵便局用地高度利用におきましては、国が簡易保険福祉事業団郵便局用地を貸し付けるに当たりましては国有財産を総括する大蔵大臣と所要の調整を行う等してまいりますが、そういった過程、あるいはこの法律を施行した後に、先生指摘のような新規の場合についてどうかという問題点も恐らく出るだろうというふうに予測しておりまして、今勉強に着手したところでございます。
  21. 真鍋光広

    真鍋委員 この質問をいたしましたのは、大蔵省銀行行政とのかかわりがあるわけでございまして、御承知のように金融機関に関しましてはかねてから預金が不動産など固定的なものに固まってはいかぬ、こういうことで、厳しい不動産所有比率であるとかいろいろな規制を設けておるわけでございます。  このたびの話は、借入金とのかかわりが次に出てくるわけですが、借入金のあり方次第では、みずからの貯金固定資産に、不動産に回してしまう、こういう話にもなりかねない、誤解を与えかねないという話がございます。同時にまた、民間金融機関と厳しい競争下にあるわけでございます。そういった意味合いからも、ひとつ新規のものについては、現在民間金融機関については高層化を認められておりませんので、自分が使う以外は人に貸してはいかぬ、こういうことになっておりますので、そういった意味では少し慎重に、やめるという意味合いでは全然ございません、慎重にやらぬとせっかくスタートしたものが出だしから攻撃を受ける、出足が鈍る。いいことですからスムーズに進むように、ひとつそのあたり御配慮をされながら進むことを期待いたしております。
  22. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  これまで貯金問題、簡易保険問題等責任者の一人として処理した経験からいって、各界の御意見を聞きながら十分調整する、それが結局長い目で見ますと円滑な実施につながるという経験を積んでおりますので、本件の問題の決着に当たりましても大蔵省、これは主計局理財局のほかに銀行局とかそういったところとのコミュニケーションを図っております。前回のシティ・ポストのときもそうやって決着を図りましたので、役所の場合すべて予算編成でも法律案でも調整を終わりませんと実現しませんので、その辺を十分配意していきたいと思います。
  23. 真鍋光広

    真鍋委員 次に、事業主体でございます簡保事業団についてお伺いいたしたいと思うのですけれども、簡保事業団は税金の方はどんなぐあいに、支払っておられるのでしょうか、どうなっておるのでしょうか。
  24. 西井烈

    西井政府委員 お答えいたします。  簡保事業団政府出資特殊法人でございまして、税制の関係につきましては、固定資産税は払っておりますけれども、その他については払っておりません。
  25. 真鍋光広

    真鍋委員 つまり、法人税であるとか事業税事業所税、これは払っておらぬ、こういうことになる。当然のことだと思うわけでございますけれども、しかし同時に、いよいよ民業と競合する場面にこれもまた入ってくるわけでございまして、その分安く貸したなどと下手に誤解されるとたちまち問題になるということも出てきます。とりわけ大都市でございますから問題が生ずると思うのですが、どんな値段で貸すんだなんていう話までする気はないのですが、どんな基本的な物の考え方を持っておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  26. 小野沢知之

    小野沢政府委員 事務所等施設賃貸料についてでございますけれども、建設費、それから民間が行っております類似の業務のもの、そういったことを勘案しながら定めることとしておりますので、先生の御指摘のような御心配の点はほとんど排除できるのではないかというふうに考えております。
  27. 真鍋光広

    真鍋委員 当初、地価対策ということ、また事業用のスペースをしっかり供給しよう、こういう物の考え方でございますけれども、同時にまた一方で少し余裕ができ始めておるという情報もないことはないわけでございます。いわば簡保事業団が広くその利用者だけではなくて民間事業者と同じ分野に入ってくるものでございます。だから、余り需要の強いところばかりやっておるのでは、何か需要があるところをやる、商売じゃないかということが余り露骨に出過ぎると、簡保事業団事業としての意味合いとのかかわりもまた出てくると思うわけでございます。そういった意味合いではやはり地方もこれから目配りしていただきたい、繰り返しになりますが、お願いをいたしたいと思うわけでございます。  そういう意味合い簡保事業団がこのような高度利用に係る建物を建て、そして管理してまいるわけでございますが、その事業の性格に照らしましてもこの際何らかの工夫があっていいのじゃないか。さすがに郵政事業、そしてまた簡保事業団がやることだと世間の人あるいは地域住民、市民が思うような、そんな工夫が何かないかなと思うのですが、そのあたりについてちょっとお示しいただきたいと思います。
  28. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  あっと驚く秘策というのがひらめく癖がございまして、恐らく法案が成立いたしましたら来年度の予算要求に向けての過程でいろんなアイデアが浮かぶというような直観がいたしております。
  29. 真鍋光広

    真鍋委員 それでは御希望申しておきますけれども、いずれにしましても法人税その他の分は安くなっておるわけです。やはり、並みの値段で貸すので、その差額ぐらいは市民のためのスペースにとか、あいているスペースになるかもわかりませんけれども何とかその部分を活用されるようにひとつお願いを申し上げたいということでございます。  最後になりますけれども、大臣にお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  郵政省がずっと大変御苦労され、そして御苦心なさって、順次年を追って大きなデザインを一つ一つ実現し、一歩一歩前に進み出しておる。そしてこの法案もまたその大きな第一歩であるというふうに存じておるわけでございますが、それだけに、この合築に係る建築物というものは、何かひとつ、いい名称と申しますか、地域の方々から親しまれる、そんな名称にしていただきたいがなあ、こんな気がいたすわけでございます。  何か、六十二年度に官房の建築部が実施した「郵便局舎のあり方に関する調査研究」という中で「郵便局づくり十の視点」というのがあるんだそうでございますけれども、その中にいろいろいいことが書いてあるわけですね。例えば二番目は「郵便局の所在をよく知らせよう。」あるいは八番目には「周知宣伝を総合的に再検討しよう。」「地域へ貢献しよう。」こういう話があるわけです。  そういう意味合いで、高い建物が建ったらその上に、どういうマークか知りませんが、郵政省そのもののマークかどうかは知りませんけれども、簡保事業団建物ですからわかりませんが、やはりそういうことでよく見えるように何か工夫したらいいんじゃないか。愛称も一つあっていいんじゃないか。そんなことで大臣、何か建物の名称、これから全国あちこちに建つわけでございますから、これを公募するとか、何かひとつ工夫して、これからの壮大なスタートでございます、郵政事業の将来のために何かいいアイデアをお知らせいただきたいと思います。
  30. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 真鍋先生指摘の観点を考えますと、国民が郵便事業郵政事業に持っておりますイメージは、非常に温かくて信頼性の高いというものであろうと思うわけでございまして、今回の建物におきましても広く国民から公募してはどうかという御示唆でございますが、私もそのように思いますので、そういうような形で進めていきたいと思っております。  それから、先ほど先生指摘のいわゆる民間との関連につきましては、十分にそのことを頭に入れまして、それだけまたその地域の方々に御利用できる内容のものもまずその中に含んでいくということを考えていきたいと思っております。
  31. 真鍋光広

    真鍋委員 終わります。
  32. 野中広務

    野中委員長 次に、小林興起君。
  33. 小林興起

    ○小林(興)委員 それでは、真鍋議員に引き続きまして、この土地高度利用法案について御質問をさせていただきたいと思います。  先ほど局長の方から郵便局の数、一万九千ぐらいですか、その中から百七十三、およそ二百ぐらいを選んでこの高度利用を考えていくんだ、そういうお話があり、そして平成三年度においてはそのための研究費予算措置として考えているというようなお話を伺いましたけれども、もう少し具体的に平成三年度の予算の内容、それからいよいよこの二百ぐらいあります候補郵便局について次の年には具体的に何をしていくのか、この法案が通った結果でありますけれども、何年ぐらいたちますとこの法律に基づいて初めて高度利用が成った郵便局が姿をあらわすのか、それは最初幾つくらいなのかというような細かいスケジュールについて御説明いただきたいと思います。
  34. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘のありましたような事柄を踏まえまして、これからいよいよ具体的なスケジュールに入っていくわけでございますが、これから恐らく何年度間か予算要求の重要施策としての取り扱いが必要であろうというふうにまず考えております。  そこで、平成三年度におきましては、郵便局土地高度利用実施のための調査研究の結果を踏まえまして、郵便局土地高度利用対象局を選定し、当該郵便局局舎建設費に係る平成四年度予算要求を行うということで、今事実上作業に着手いたしております。  そういたしまして、平成四年度におきましては簡易保険福祉事業団との調整を図りながら郵便局及び事業所用ビルを設計するとともに、同事業団に対しまして土地の貸し付けを行い、建設工事に着手いたします。そういたしまして、平成五年度及び六年度におきましては、郵便局及び事業所用ビルの建設工事を行い、平成六年度じゅうには建物を完成する、そしていよいよ平成七年度に事業所用ビルを事務所、会議場等の施設として賃貸する業務を開始する、こういう具体的スケジュールを持っておりますが、このスケジュールの策定に当たりましては、現在省内で私を会長といたしまして官房建築部、簡易保険局など関係部局で推進協議会を設置しまして鋭意検討いたしております。これに先ほど先生のお話ございました調査研究をあわせて早期に実施しまして、その結果を反映していきたい、こういうふうに考えております。
  35. 小林興起

    ○小林(興)委員 私の選挙区、地元は練馬区、豊島区でございますけれども、まさに都市部でございますので、うちの方の郵便局も古くなって改造するときにはぜひ真っ先にこの高度利用に乗せていただきたいというふうに思っているわけでありますが、地元の郵便局を回っておりまして、確かに周りには非常に高いビルが並んでいるにもかかわらずちょっともったいないな、高度利用できたらな、そんなふうな感じを抱いていたわけでありますから、この法案が通ることによってそこに本当の意味での高度利用ができることは大変ありがたいと思っているわけです。  何といいましてもそういう中心部のいいところに、一等地にこれがあるわけでありまして、この高度利用といいましても、もう少し具体的に、その中身でありますけれども、皆さん方の郵便局で働いていらっしゃる方の宿舎に充てるということも一案でしょうけれども、ひとつできましたらとにかく区民の集会室とか、そういういかにも公共に役立つような、そんなものができればさらに非常にありがたいと思うわけです。  今のところ、もちろん収入も上げなければいかぬ、先ほどそういうお話もありましたけれども、どういうところに力点を置いてお貸しになるのか、そんな中身について詰まっているのか、お伺いしたいと思います。
  36. 小野沢知之

    小野沢政府委員 ただいま先生の御指摘がありましたように、この制度が本当に実現していく日が刻々と近づいているわけでございますが、恐らく私の直観では、それに従ってこれに対するいろんな御期待と御関心が深まるだろうというふうに、今までの例から感じております。  そこで、具体的に本件郵便局用地土地高度利用の仕方でございますが、やはり公共性の高い発想から公共性の高い制度を創設するわけでございます。また、大都市部中心としてニーズが強いということにかんがみまして、原則として事務所、会議施設に利用することといたしております。簡易保険福祉事業団は、郵便局上層部に建設した事業所用ビルを国または地方公共団体による公用、公共用のための利用、すなわち国の出先機関や地方公共団体の出張所などへの利用に配意しつつ、事務所、会議室として提供するものでございます。  そういう意味で、ここに今御指摘のありましたような区民の方々が集まれる会議場とかそういったものも含まれることになろうかというふうに考えております。
  37. 小林興起

    ○小林(興)委員 こういうものが完成いたしますと、場所がいいわけでありますから、また料金も結構安くできるという可能性もあるわけでありますので、恐らくいろいろな意味で周辺からぜひ入れてくれという話が出てくるだろうと思います。  そこで、入居の予定者について、これはこの事業団の方できちっと選定をされるのか、あるいは郵政省としてもその入居にかかわられるのか、いずれにいたしましても抽せんなのか何なのか、その入居の具体的な方法、やり方について既に何かお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  38. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  入居者選定に際しての基本的な考え方といたしましては、先ほどお示ししましたように、国及び地方公共団体の公用、公共用のための利用に配意しつつ、公平かつ適切にこれを選定することが必要だと考えておりまして、このことを簡保事業団に示しますから、これに基づいて簡保事業団がしっかりと運用してくれるもの、またそれだけの実績がある特殊法人だというふうに考えております。
  39. 小林興起

    ○小林(興)委員 今度のこの高度利用簡保事業団に行わせる、こういう話になっているわけでありまして、先ほど局長のお話の中にも簡保事業団の話が多々出てくるわけでありますが、簡保事業団というのはもともとはこうしたものをやるためにつくられた事業団ということではなくて、既に現在やるべきことをやっておられる事業団だと思うのですね。そういう意味におきましては、いま一度現在の簡保事業団というのは何をやるために設立された事業団なのかというその基本からお伺いしたいと思います。
  40. 西井烈

    西井政府委員 お答えいたします。  簡易保険事業におきましては、創業以来、本来の保険・年金給付に加えまして、加入者の健康の増進でありますとか、あるいは心身の保養の場を提供するという考え方で、そのことがまた事業の健全な経営に寄与するということで加入者福祉施設を設置、運営してきたところでございます。  当初は、この加入者福祉施設は国が直接設置して運営してまいりましたけれども、その後におきます社会経済の発展に伴いまして加入者のニーズが多様化してくるというようなこともございまして、新しい加入者福祉施設をより充実させる、あるいは機能的に効率的に運営するという観点から、昭和三十七年に特殊法人の簡易保険郵便年金福祉事業団を設立したところでございます。  事業団業務の内容でございますけれども、ただいま申し上げましたように、まず第一には加入者福祉施設の設置、運営ということがございまして、先生御案内のように、加入者ホームでありますとか、保養センター、そのほか総合健診センターというようなものも含めまして、こういった施設が現在のところ全国に百二十六カ所ございます。利用状況は毎年増加をいたしておりまして、平成元年度で見ましても、全体で一千百七十三万人ぐらい御利用をいただいておるという状況でございます。  そのほか、昭和六十二年度からでございますけれども、簡保資金のいわば有利運用をやるということで運用部門を担当いたしております。さらに、平成元年度からでございますけれども、これは特例業務ということで、郵便貯金特別会計の、いわゆる金融自由化対策資金から寄託されました資金の有利運用を行っておる、こういうことでございます。
  41. 小林興起

    ○小林(興)委員 今まで加入者のためのそういう福祉施設、保養施設をつくってこられたということのようでありますけれども、そうしますと恐らく全国的にやっておられるのだということになるわけでありますが、今度、都市部郵便局高度利用をするというときに、そこの場所に行ってやらなければいかぬわけでありますけれども、そういう全国的に展開できる体制が既に整っているということでございますか。
  42. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  幸いなことに、私、臨調問題で郵政省それから関係特殊法人等が検討課題になって激しい応酬をしたときの簡易保険事業団の監督を担当しておりました課長でございますので経験則を持っておるわけでございますが、その経験からいって大丈夫だろうというふうに判断いたしまして、そのことがこういった法律を構成する要素の一つに心理的になっております。  ところで、今簡易保険局長が御答弁いたしましたけれども、昭和三十七年に政府全額出資の特殊法人として設立されて以来、簡易生命保険の加入者福祉施設の設置、運営をその業務としてきたということで、全国で百二十六カ所に上っておりますが、これはかなり大変な実績だというふうに考えています。それもさまざまな態様の加入者福祉施設がございまして、保養センターかと思うとレクリエーション施設、それからスポーツセンター、さらには東京で申しますと、ちょうど担当課長だったのですが、五反田に「ゆうぽうと」というのがございますが、これはあらゆる機能を総合的に備えた施設ということで、まさに高度利用のはしりだったのではないかというふうに考えております。  そういう意味で、同事業団建物の建設や施設の運営に関して十分ノーハウを持っているというふうに考えております。そうしたノーハウを最大限活用するほかに、法律案でも規定を設けておりますが、事業所用ビルの管理業務については、できる限り民間に委託して、民間活力も活用するということで、さまざまな手法、発想を生かすことによって、今先生の御提言あるいは御期待にこたえることができるというふうに確信いたしております。
  43. 小林興起

    ○小林(興)委員 もう少しお伺いさせていただきたいわけでありますけれども、そうしますと、この簡保事業団というのは、もちろん本部があるわけでしょうけれども、全国に支店あるいは営業所みたいなものがある、そういう組織なんでしょうか。
  44. 西井烈

    西井政府委員 お答えいたします。  先ほど簡保事業団が設置、運営しております施設百二十六カ所ということで申し上げましたけれども、それは加入者一般に御利用いただく施設でございまして、御指摘施設の建設等につきましては、本部は東京にございますけれども、本部で全部やる、もちろん実際の工事その他は民間業者に委託しながらやるということでございます。
  45. 小林興起

    ○小林(興)委員 そうしますと、現在その本部で一括してやっていらっしゃるということでございますけれども、現在のこの事業団の総職員数というのはどのくらいいらっしゃるのですか。
  46. 西井烈

    西井政府委員 お答えいたします。  簡保事業団の定員でございますけれども、平成二年度末ということで、本部におきましては、役員が五名ございますけれども、そのほか四部二室ございまして、百十三名という状態でございます。施設の定員は別でございますけれども、二千八百七十三人ということになっております。
  47. 小林興起

    ○小林(興)委員 そうしますと、このスケジュールといいますか、もうどんどんやっていく、高度利用が始まるにつれて、現在の人員をやりくりして対応されるのか、それともこの高度利用発展してくるに従って、またそういう想定のもとに職員数をふやすとか新たな部署をきちんと設けるとか、今四部ですか、そういうことを言われましたけれども、その部体制も変えるのか、そういう組織だとか人員について何かお考えがあるでしょうか。
  48. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  私ども郵政省は今いろいろな仕事を手がけておりますが、必要最小限の要員でもってやろう、知恵を絞ってやろうということでございます。  本件につきまして要員についてでございますが必要最低限の増員を行うことといたしまして、初年度である平成三年度におきましては三名配置することを予定しております。実際に事業所用ビルの設計、建設、管理の業務が開始される平成四年度以降におきましてもさらに若干名の増員を予定しておりますけれども、可能な限り民間業務を委託することを検討いたしております。
  49. 小林興起

    ○小林(興)委員 わかりました。簡保事業団としても新しい事業になるわけでありますので、ひとつ総力を結集してこの大事な事業に向かっていただきたいと思っております。  まだ質疑の時間が多少残っておりますので、せっかくの機会でございますから、今郵便局の問題をやっておりますので、郵便局の管理につきまして関連質問をさせていただきたいと思います。  今郵便局というのはそもそも一つつくるのにどのくらいの予算規模が必要なんでしょうか。
  50. 戸田道男

    ○戸田説明員 平成三年度の予算案をもとにして御説明させていただきたいと思います。  郵政省の特別会計の建設投資のための予算である施設費は千五百五十四億円でございまして、前年度比六・二%増でございます。この中で郵便局の建設予算は積極的に増加を図っておりまして、歳出額で約千百十四億円となっておりまして、前年度に比べて一三・一%の増加でございます。  この総額でどのくらいの局舎をやるかということの中身でございますけれども、普通郵便局土地の買収が二十二局、建物の新増築が二十九局、特定郵便局土地の買収が五十五局、建物の新増築が六十五局、このような中身になっております。
  51. 小林興起

    ○小林(興)委員 最近、経済も非常に豊かになり、また情報も非常に大切な世の中になってまいりまして、恐らく郵便物なんというものは飛躍的に増大する傾向にあると思うわけでありますけれども、今郵政省としては、現在のその郵便局の局数の増大のテンポでもって、こうした郵便物をスムーズに国民の皆さんに届ける、あるいは郵政省としてのそうした仕事を責任を持って果たせるというような予算の規模あるいはそのスケジュールになっているんでしょうか。
  52. 戸田道男

    ○戸田説明員 私どもが考えておりますのは、やはりただいま先生がお話しになりましたように、全般的な郵便物数の伸び、それからそれぞれの地域発展の状況、それを踏まえまして、改善が必要な局舎については将来の業務量に備えた用地確保と局舎建設に努めているところでございまして、今後とも局舎改善のための予算確保には努力をいたし、郵便ネットワークの拠点となる郵便局及び大都市あるいはその近郊発展地に所在する郵便局中心に積極的に局舎改善を図っていきたいと考えております。
  53. 小林興起

    ○小林(興)委員 先ほど出ましたように、高度利用で上がってまいりますその収益があるわけですね。それは、具体的に郵便局局舎建設のお金に回るということと考えてよろしいんでしょうか。
  54. 吉高廣邦

    ○吉高政府委員 お答え申し上げます。  今、高度利用による収益ということとそれから建設というのは必ずしも直接的には結びつかないと思いますけれども、郵政事業特別会計財政健全化するということではそれなりの役割を果たすものだと思います。
  55. 小林興起

    ○小林(興)委員 重ねて伺いますが、その郵便局局舎改善のための予算は大半が借入金だというふうに聞いているわけでありますけれども、現在のその借入金の状況というのはどんなふうになっており、その償還計画はどんなふうになって、また順調にいっているんでしょうか。
  56. 吉高廣邦

    ○吉高政府委員 先生御案内のように、郵政事業は一般税収とはかかわりなく業務収入で運営されているところでございまして、したがいまして、郵便局舎等の改善につきましてもみずからの財源をつくっていくということになってございますが、そのために郵便局舎等の建設の財源と申しますのは、一つには、業務支出として前年度までの財産に対する減価償却費、それから、郵便局では貯金や保険の業務を運営しておりますので、郵便貯金特別会計及び簡易生命保険特別会計から繰り入れられる設備負担金というものを自主財源にいたしております。  なお、それに不足する財源を借入金に頼っているという実情でございます。先ほど建築部長平成三年度の数字で千五百五十四億と申しておりますけれども、それに関連しまして、借入金かかわり合いますので平成二年度ベースで申し上げますと、郵便局舎の建設そのものは平成二年度では千四百六十億程度でございますが、それに加えて、それに設置いたします機械、器具等の経費もございまして、全体で二千百九十五億というのが平成二年度の建設でございます。その財源といたしましては、減価償却費で九百五億、先ほど申しました貯金・保険からの設備負担金で六百六十三億、その余の六百億余りを借入金に頼っておりまして、約三〇%足らずになろうかと思います。  そういう状況でございまして、平成元年度末の借入金の残高は五千四百五十三億円でございますが、平成二年度におきまして償還額が三百十五億円、借り入れ予定額が六百四十三億円となってございますので、これによりまして、平成元年度末の借入金残高が五千四百五十三億円で、平成二年度の処理を経まして、平成二年度末借入金残高は五千七百八十一億円となる見込みでございますが、これはいずれも資産に化体しておるものでございます。  この関係での借入金の償還でございますけれども、この借入金というのが、三年据え置きで七年元金均等償還ということで、十年償還になっております。それで、その年度ごと、償還期が来るごとに償還をいたしておりまして、今後ともそのように措置していく予定でございます。
  57. 小林興起

    ○小林(興)委員 まあ順調にいっているようで何よりでございます。  私の地元の例えば練馬区でも人口がどんどんふえておりまして、その結果もちろん郵便物の数も大変ふえているんだと思うのですけれども、多分その結果だと思いますが、かつて練馬に局があり、それからもう一つ石神井に局があったわけでありますけれども、それでは足りないということで大泉に新しく郵便局ができて、そしてまた光が丘にも郵便局ができる。だんだんふえていっているわけでありますけれども、人口に比例して郵便局を新しく今までのやつを分離、独立させるのか、その郵便物の数みたいなもので何か基準があって、こう郵便局の数というのはふやしていっているのでしょうか。
  58. 小野沢知之

    小野沢政府委員 ただいま御指摘のありました人口の増加状況に伴う郵便物の増加状況とかあるいは地況とか、そういったことを限られた予算の範囲内で優先順位づけしながら決定いたしております。
  59. 小林興起

    ○小林(興)委員 恐らく全国でもいろいろな意味都市化が進んで人口がどんどんふえる、あるいは郵便物の数がふえる、そういう中にあって、強い住民からの要望があって、今局長言われましたとおり、優先的に幾つか予算の範囲内で郵便局をつくっていくということでしょうが、日本の郵便物は、御承知のごとく外国に比べて直ちに到着する、非常に正確だ。これはもう郵便局の数もしっかりとあり、またその質、配達をしてくださる人のレベルも大変高いというすばらしい制度だと、私は外国に比べて思うわけでありますけれども、しかし、それが今日のように、例えば土地の値段が上がったりしてまいりまして思うように新しい局がつくれない、あるいは人員もきちっとふやすことができないというようなことになりますと、今まで培ってまいりました郵便局の信頼が失われるということにもなりかねませんし、何か盗難事件なんというのも最近あったわけでありますけれども、郵便局の監督も十分にしていかなければいけない。今後いろいろな問題が出てくる可能性があるわけでありますけれども、そういうことを踏まえまして、ひとつ最後に大臣に決意を表明していただきたいと思いますが、これからの郵便局土地予算についても引き続き十分な措置をとるというようなことを、大臣からお話をしていただきたいと思います。
  60. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 まず最初に予算の件でございますが、先生指摘のように、この二万四千ございます郵便局は本当に国民の共有の財産と私は認識をいたしております。その局舎をあらゆる角度から地元の方々に有効に利用をしていただくという趣旨もあって今回の高度利用法案を出しておるわけでございますから、その予算につきましては今後鋭意努力をしてまいりたい、そのように思っております。  それと、先ほど指摘のございました盗難車等、あるいはその他の事故、事件などがるるございましてまことに申しわけないと思っておるわけでございますが、いわゆる内部の体制をきちっといたしまして、こういうようなことが再度起こらないように努力をしてまいります。
  61. 小林興起

    ○小林(興)委員 時間が参りましたので、今の大臣の力強い決意を伺いまして安心をいたしました。今後とも郵政当局の一層の御努力をお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
  62. 野中広務

    野中委員長 次に、武部文君。
  63. 武部文

    ○武部(文)委員 今回の高度利用法律の問題に入る前に二、三お伺いをしておきたいことがございます。  一つは、ついせんだって新聞に報道されました郵政省の外郭団体、逓信研究会の不渡り手形の問題であります。このことが新聞に大きく報道されましたが、実は私は寡聞にしてこのような逓信研究会というものが存在をしていることを知らなかったのであります。いろいろ調べてみますと、この社団法人逓信研究会というのは昭和三十九年に設立されたものでございますが、今回の不祥事の概要を郵政省はどのように見ておられるか、最初にちょっとその辺をお伺いしたい。
  64. 木下昌浩

    ○木下政府委員 お答えいたします。  ただいま委員指摘の逓信研究会の理事長による手形乱発事件ということで報道されておりますが、ただいま御指摘のとおり、逓信研究会は逓信事業の健全な発展に協力するということで昭和三十九年に設立された社団法人でございます。主な事業は研究会あるいは講演会等の開催、それから逓信事業に関する刊行物等の発行をいたしております。  本件につきまして、このたびの事案でございますが、逓信研究会の理事から報告を受けておりますが、理事長が法人の業務とは何ら関係のないプライベートな取引によりまして、総額三億数千万円に上る法人名義の手形を振り出しておる。しかもその一部が不渡りになっているということでございました。私ども、公益法人の代表者の行為としてあるまじき行為でありまして、まことに遺憾だと思っております。  今回の事態によりまして、逓信研究会が重大な不利益を被っておるわけでございます。省といたしましても逓信研究会に対しまして、役員が一丸となって最悪の事態の回避に努めていただきますように要請をいたしております。また、理事長に対しましては一切の手形の弁済等責任ある対応を求めておるところでございます。
  65. 武部文

    ○武部(文)委員 この事件を起こしました理事長は、大手の婦人服の社長のようであります。これが不動産業にも手を出すというようなことでございまして、理事名を見ますと現職の国会議員が数名おられますし、この中に我が党の議員も一人現職がおるわけで、実はこういうことは知らなかったのですが、この逓信研究会というのは職員がたった四名しかいないのですね。それでよく二十七年も仕事をやってきて、どんなことをしたのだろうかと思っていろいろ調べてみると、今ちょっとおっしゃったようですが、何か月刊誌を出しておるようですが、そんな月刊誌を見たことがない。「遊星人」という月刊誌だそうです。ユウセイジン、ほう、そうか、郵政関係があるのかと思ったら、遊ぶ星の人と書いた「遊星人」だそうでして、こういうまがいのものが我々の知らぬところでたくさん存在をしておる。  それならば一体郵政省に公益法人、外郭団体と称するものがどのくらいあるだろうかと思って一覧表をもらったところが、何と百四あるのです。これがいわゆる逓信関係の外郭団体と称するものであります。ざっと見ましたが、なるほど私どもがよく知っている名前の方、先輩の方がいらっしゃる。それはそれなりに存在価値のある法人がありますね。郵政弘済会、郵政互助会、これはけた外れに大きなもので、現実に大きな活動をしておるわけですが、こう見ると片仮名でいろいろ書いてありますけれども全く何だろうかと思うようなものがたくさんあるわけです。  その中の一つがこういう事件を起こした。しかも新聞を見ると「郵政省外郭団体の理事長」、こう大きな活字で出るわけでございまして、本当に私どもにとっては大きな迷惑だと思うのです。郵政、逓信関係に携わる私どもとしては大変な迷惑だ。国民から見れば何をやっておるんだということになるわけでございまして、百四、ここに一覧表がございますが、ぜひひとつ再検討してみる必要があるのじゃないかと思うのです。大臣の見解をひとつお伺いをいたしたい。
  66. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今後とも、公益法人の指導監督につきましては、より一層配意をしていきたいと思っております。また、最近五年間におきましては四法人がそういう意味におきまして解散をしておるわけでございまして、昭和六十一年度に一件、それから六十二年度に一件、平成元年度に二件の公益法人の解散を行っておるわけでございまして、先生指摘のように指導監督を今後とも徹底してやっていきたいと思っております。
  67. 武部文

    ○武部(文)委員 ぜひひとつその点は検討していただいて、いやしくもこのような不祥事を起こすような内容を持ったものは郵政省としては適切な処置をする必要があるのじゃないか、こう要望しておきたいと思います。  次に、先ほども同僚議員からお話がございまた、例の新東京郵便局の盗難事件であります。これはその後もいろいろと報道されておりまして、大変心配をしておる者の一人でありますが、その後の経過と後処理の状況についてお伺いをいたしたい。
  68. 宍戸成夫

    ○宍戸説明員 先生お尋ねの事件でございますけれども、この事件、去る一月二十六日、新東京郵便局構内で駐車中の神田郵便局あての郵便物を搭載した郵便物運送車両が盗難に遭ったという事件でございます。車自体は八時少し前に同じ江東区内の材木店の材木置場で発見されたわけでありますけれども、残念ながら車両の中の一部の郵便物が盗まれておりました。盗まれた郵便物は、東京郵政局管内及び関東郵政局管内で引き受けた書留郵便物が千五百四十一通ございました。  これら郵便物の盗難に関しまして、被害に遭ったお客様に大変多くの御迷惑をおかげしまして大変申しわけなく思っております。それぞれのお客様には個別に対応して損害賠償などの善処をしてきたところでございます。  損害賠償でございますけれども、被害に遭った書留郵便物千五百四十一通でございますけれども、これまで千五百二十四通、全体の九九%に当たりますけれども、その郵便物につきましてはお客様と損害賠償金の支払いが既に済んでございます。残りの損害賠償の済んでないものにつきましても、お客様に御理解をいただくように誠心誠意努めているところでございます。  また、捜査関係の状況でございますけれども、事件当日、関東郵政監察局に「新東京郵便局における郵便車盗難事件捜査本部」を設置して、事件発生以来警視庁とも緊密な連携をとりつつ捜査しているところであります。捜査本部では、現場付近一帯の捜索、また関係者からの事情聴取など、警視庁と分担を定めて捜査しているわけでございます。現在、盗難郵便物を早く見つけ出そうと犯人の検挙に向けて全力で取り組んでいるところでございます。
  69. 武部文

    ○武部(文)委員 犯人が見つかっていないということで大変残念に思いますが、考えてみればこの年末首は大変な年末首だったと思うんです。特に、人手不足の中で大量のアルバイトや非常勤の職員を各局が努力をして確保をして何とか年末を完全に乗り切った、これは大変評価をしていいと思うし、特に民間の宅扱い便が引き受け停止をした、その余波で六百万個に上る小包が郵便局へ流れた、こういうようなことを聞くだけに、やはり職員の努力は大変だったと思うし、困難をよく乗り切ったと思うんですが、それだけにこういうことが起きるとせっかくの努力が水泡に帰してしまう、一生懸命やっておる職員から見れば大変なショックだったと思うんです。現場へ行くとやはりそういうことを聞きます。  したがって、ぜひこういうことが起きないように防犯については特に意を用いて対策を立ててほしい。監察の方は防犯のいろいろなことをやっておられるようですけれども、まあ起きないにこしたことはないし、こういう一つ起きたことが信用を落とすことになる、せっかくの努力が水の泡になるわけですから、この点については特に強く要望しておきたいのであります。  そこで、この経過をめぐって盗難事件の補償交渉の内容が新聞に報道されておるのであります。一々申し上げませんが、今の賠償の額は省令によって決まっておる。したがって、申告のあった場合は一万円ということになっておるようですが、新聞報道では一万円だ、五十万だ、百万だといろいろな金額が載っておりますが、被害者との補償交渉はどうなっておるか。  もう一つ、これを契機に書留に関する制度改正、そういうものをやる必要があるんじゃないか。一万円というのはいかにも前時代的な金額でもあるし、時代にそぐわない、郵政省としてはこれを契機にそういうことを考え直し対策を立てる必要があるんじゃないか、このように思うんですが、この点はいかがか。  もう一点は、引き受けの際に窓口の応対者がもう一言親切に応対をするとか、聞くとか、そういうことによって、黙っておればどうにもならぬわけですから、この人は黙っておったそうですが、そういうちょっとした一言がそういうような問題の解決に、問題が起きたときにいい方向に向くんじゃないか、そんなことも私は考えておるので、これは指導の面でそういうことを考えていく必要があるんじゃないかな、こんなことを思っていますが、いかがでしょうか。
  70. 宍戸成夫

    ○宍戸説明員 まず、損害賠償のことで私の方から答弁をさしていただきたいと思います。いろいろな制度の改善あるいはお客様に対する接客の問題については、後ほど郵務局長の方から御答弁差し上げたいと思います。  先生指摘のとおり、郵便法あるいは郵便規則の規定では、書留郵便物が被害に遭った場合は、現金書留郵便物については最高限度二十万円、現金以外の書留郵便物については二百万円を限度として、差し出し時における申し出額を賠償するということになっております。そして、差し出し時に損害賠償額の申し出がなかったものについては、一万円を限度とする実損額を賠償するというようなことになっております。  こういうことで私ども、先ほどもちょっと数字を申し上げましたけれども、千五百二十四通については、この規定にのっとってお客様の御理解を得て既に損害賠償額の支払いが済んでおります。なお残り十七通ございます。この損害賠償の済んでいないもの、例えば差出人が長期不在で賠償金の支払いができない、そういうものもございます。それから、実損額がお客様と折り合わないといいますか、そういうことで賠償金の受領を留保している方、そういう方もおります。それから損害賠償額あるいは制度そのものに御不満があるという方もございます。  いずれにしても、私どもこの規定にのっとって今後ともお客様の御理解をいただくように誠心誠意努めていきたいというふうに思っております。
  71. 小野沢知之

    小野沢政府委員 第二点の書留郵便に関する現行制度の見直しの問題でございますが、今回の重大事件によりまして、書留郵便物のサービスのあり方がお客様に与える影響の重大さというものを私どもは改めて認識いたしました。  そこで、どの制度もそうでございますけれども、制度の内容が時代の変化を十分反映したものになるよう努力しなければいけない、そうしてお客様にとって一層便利な、かつわかりやすいサービスとなるように早急に改善方に取り組んでいるところでございますが、具体的なサービス改善項目といたしましては、現金以外の損害要償限度額の現行二百万円の引き上げの問題、それから、損害要償額のお申し出のなかった場合に適用される最低補償限度額の現行一万円の引き上げの問題、これの検討を考えておりまして、最近におきます利用の動向とか経済の情勢とか、それからそうした措置が郵便事業財政に与える影響、そういったことを踏まえながら早急に検討いたします。また、現金書留の損害要償限度額二十万円の引き上げにつきましては、四月じゅうを目途に結論を得るべく今検討に入っているところでございます。
  72. 武部文

    ○武部(文)委員 わかりました。あってはならぬことですが、いつ起こるかわからぬことですから、この改正については早急に協議をして対策を立ててほしいということを要望しておきます。  そこで、今度はこの法律関係についてお伺いいたしますが、今国有地なり公有地についてのいろんな有効活用の要望が強いわけでありますが、今回の郵政省が高度利用を決意をした、決定をした、決断をした、そのことについて、どういうような提言に基づいてそういう決意をされたのか、これを最初にお聞きしたい。
  73. 小野沢知之

    小野沢政府委員 今回の制度の創設は、私自身もかねてから必要な政策課題だということでひそかに勉強していたものでございますが、やはり各界の識者の御意見、御提言、そういったことが強い背景となることは常でございまして、そういう意味で申し上げますと、近年、特に地価が高騰している都市部におきまして、国公有地を含めた土地の有効利用が強い社会的要請となっておりまして、既に臨時行政改革推進審議会国有財産中央審議会の答申を初めとして、国公有地の有効活用指摘されまして、我が国の重要な政策課題一つとなっておりましたけれども、実際にこの突破口を開くという具体的な制度改正を実行する動きはなかったのが現実でございます。  そこで、私ども調査研究会を昨年度設けたのですが、その前に一昨年、予算要求の重要施策といたしまして土地高度利用というものを掲げまして、とにかく大事な問題ですから、調査研究が終わってから、できてから要求するということですととても間に合わないということで、私どもの勉強に基づいて、先ほど申し上げましたようないろいろな各界の御提言等御意見を踏まえて早急に手を打つべきだということで、重要施策として土地高度利用必要性を訴えて予算要求をしたわけでございますが、その結果、平成二年度予算におきまして、そのために必要な調査研究を行うようにということで調査研究費が認められたわけでございます。  そこで、それに基づきまして昨年初夏から郵政事業の運営基盤強化というものの一環として、郵便局用地高度利用化について、東大法学部の塩野先生を座長といたしまして各界の有識者をメンバーとする研究会を設けまして、こうした施策の必要性、それから、どういう手法でやっていったらいいかとかいう御提言をいただきました。  それに基づいて、それを武器として大蔵省関係省庁と折衝をいたしまして、昨年末の大臣折衝の結果認められたということで、先ほど申し上げましたように、各界の御意見、行革審だとかいろいろな団体の御意見、それから私どもが主宰いたしました調査研究会、その辺の御提言、また時代の要請もありまして、これらが背景となって力となって実現した、こういうことでございます。
  74. 武部文

    ○武部(文)委員 郵政省がそういうような提言に対して取り組みをされたという経過を御説明になったわけですが、そういたしますと、確かに三階と四階くらいの郵便局舎が駅前にございますが、そういうものの上にビルを建てる、合築する、郵便局舎と一体で建てるわけですから、国としてそれをやらなかった、やれない、あるいはやらない、そういう理由は何ですか。これをちょっと説明してください。
  75. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  郵便局合築します事業所用ビルの建設、管理にかかわる業務は、郵便局の用に供する土地という行政財産の有効な利活用として行うものでありますから、将来郵便局部分の拡張が必要となった際に円滑な対応ができるようにするなど、現在から将来にわたって郵便局業務に支障が生じないようにして行う必要がございます。また、公用、公共のための利用に配慮しながら実施いたしまして、これを通じて郵政事業経営基盤強化に資するという目的を有する極めて公共性の高い業務だというふうに考えております。  一方、高度利用業務は、多額の事業所用ビルの建設資金を必要とし、また業務のリスクも負わなければなりませんなど、その業務の性格上、企業的な経営も強く求められる、そういう側面を持っておりますことから、国みずからが行うよりも、予算、人事、給与等の面で弾力性のある特殊法人に行わせる方がより効率的な運営を確保できるというふうに判断いたしたものでございます。  また、郵政省は、郵便局合築する事業所用ビルの建設、管理に関しまして、特に管理業務については、これを効率的、効果的かつ確実に行うためのノーハウを有していないことから、加入者福祉施設の建設、管理について経験と実績を有し、郵政省所管の特殊法人である簡易保険福祉事業団に当該業務を行わせることが適当であると判断した、以上のような理由でございます。
  76. 武部文

    ○武部(文)委員 結局、資金上の問題あるいは企業性の問題、そういうことから、国がやらないで簡保事業団にやらせた方がいい、こういう結論になったような説明でございました。  そこで、先ほど同僚議員もこの簡保事業団の内容について質問がございました。私も聞いておりましたし、ここへ「事業のあらまし」というものをいただいておるわけでありますが、財政状態としては非常に堅実に運営されておるように思いますし、特に貯金の寄託金がどんどんふえてくる。簡保事業は、年金の方は非常に古い歴史を持っておるわけですから、そういう意味でも非常に多額の借入金があるようでございまして、運営も、ホームあるいはセンター、そういう多方面にわたる運営をされておるようでございますが、これからやられる局舎というのはどんどんどんどんふえていくわけでありますし、金額はホームやセンター以上の大きなものが必要になってくるわけでありますが、簡保事業団の今後の財政状況についてちょっと説明をしていただきたいと思います。
  77. 西井烈

    西井政府委員 お答えいたします。  事業団の設立の経緯なり事業の概要について先ほどお答えさせていただいたところでございますけれども、先生質問財政状況でございますけれども、先ほども申し上げましたが、事業団業務内容といたしましては、メーンの本来業務の加入者福祉施設の設置、運営、それに簡保資金の運用、それから平成元年度から始めました郵便貯金の運用、この三つがあるわけでございます。この三つの業務の経理につきましては、基本的には、それぞれ別々の勘定を設けて区分をいたしておりまして、これによりましてそれぞれの業務経営成績なり財政状態を明らかにする、そしてそれぞれの業務の効率的な運営と経営責任を明確にする、こういうことで対処いたすようになっております。  そこで、それぞれの業務財政の状況でございますけれども、まず、加入者福祉施設の設置、運営に関する勘定、これは一般勘定と申しておりますけれども、これにつきましては、近年におきます保養センターの増改築による設備の充実あるいはサービス内容の改善、経営努力によります利用者の増加、さらには、運営面におきまして民間委託を推進するというようなことで経営の効率化を図っておりまして、この勘定の経常利益につきましては年々着実に増加しているという状況でございます。ちなみに平成元年度の損益状況で申し上げますと、経常利益十四億円ということになってございます。  それから、運用勘定の一つの簡易保険資金の運用状況でございますが、これは簡易保険特別会計から借り入れました資金を有利運用を行いまして、損益計算におきまして利益を生じたましたときは、事業団内部におきまして準備金に積み立てまして、なお残余がある場合はこれを納付金として簡保特会に納めるという仕組みになっておるわけでございますが、これにつきましても平成元年度について申し上げますと、簡保特会から借り入れました借入金に対します利息その他一般管理費を除きまして、経常利益として平成元年度におきまして三百六十億円ということになっておりまして、このうち七十一億円を準備金として積み立てまして、残りの二百八十九億円につきまして納付金として簡保特会に納付をいたしておるという状況でございます。  それから、特例業務でございますけれども、郵便貯金の運用勘定におきましても、基本的には同様な仕組みになっておるわけでございますが、平成元年度、経常利益で二十六億円ということになっておりまして、これは法律規定によりまして全額を準備金として積み立てておるということで、それぞれ所期の目的を達成し、順調に推移しているというふうに認識をいたしております。
  78. 武部文

    ○武部(文)委員 この簡保事業団業務というのは、ここにも「事業のあらまし」がございますが、先ほど申し述べましたとおりですが、今度の土地利用でビルを建てるということは、今までの事業の形態から見ると全く違ったことをこの簡保事業団がやるということになるわけであります。したがって、センターとかあるいはホームとか、今までやってきた長い間の歴史を持った事業団とは全く違ったものがくっついてくるわけで、そういう点については、事業団についての不安というものはあなた方は全然お感じにならぬだろうか。  そういう点が私はちょっと心配だし、もう一つ言うならば、この高度利用には私どもは賛成であります。それなりに意味を持っておるわけですから賛成いたしますが、不動産屋まがいの、そういうようなことをやっているそしりを受けるようなことがあってはこれは大変だなあということを実は心配をするわけであります。まさか郵政省が地上げ屋をまねをするわけじゃないでしょうけれども、そういうそしりを受けるようなことのないように、この建設については運営については十分ひとつ配慮をしていかなきゃならぬ、このことを考えます。  そのために、コミュニティーセンターをそういうところに並立してつくって、そして地域の人との密着の場をつくるとか溶け込んでいくとか、そういうことが必要になるんじゃないか。そういう建物の中に今申し上げたような地域の人が自由に出入りをしていくというような場を並立すれば、併用すれば、そういう面についての心配もなくなっていくんじゃないだろうかな、そんなことを考えておるわけでございます。  郵便局舎が近ごろ新しいのがどんどん建ちますが、今地方では、非常に営業活動も活発ですけれども、例えば窓口の付近で催し物をやって利用者の方が始終そこへ出入りをする、こういうようなことが非常に多彩に行われておりまして好評を得ておるわけですが、ぜひこの新しい局舎、そういうものにはそういうスペースをとって、利用者の方が自由に出入りし、郵便局が本当に身近な存在になるような、そういうこともまた建設の中で考えていってもらわなきゃならぬ、こういうことを考えますが、いかがでしょうか。
  79. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  まず第一点の、本件業務が従来の簡保事業団業務とは全く異質ではないかという御指摘でございますが、たまたま三年間簡保事業関係しておりますのでよく承知しているつもりですが、私が初めて簡保局に着任したときに抱いた印象と三年後に抱いた印象とはかなり違っておりまして、昭和三十七年からかなりノーハウを身につけてきたなということで、関連諸施設の設置、運営に当たりまして、やはり事業団としては各界のいろいろな問題を勉強しておりまして、そうしませんとしっかりした運営ができませんので、特に本件の関連からいたしますと、五反田の東京簡易保険会館「ゆうぽうと」は、まさに総合的施設ということで共通性も随分あるわけですが、そういったことで、私自身の経験、それからくる感想といたしましては、類似した性格も随分有しているんじゃないかというふうに考えております。また、これまで蓄積した経験とかノーハウとか人材といったことが今度の新しい制度の創設によりまして刺激を受けまして、またその辺が光っていくんじゃないかという予感がいたしております。  それから次に第二点のお尋ねの、こういった制度創設を契機として、郵便局機能、特にその明るい面、地域社会の方々に親しまれていく、また地域社会の振興の役に立つ、そういう作用をするようにという御提言ですが、当初の段階では数も少ないですし、またいろいろな制約条件のもとで進めるわけですが、私の見通しの直観としては、当然そういった面がこれから脚光を浴びていくんじゃないかという予感がしておりますし、今私どもの郵便局自体が心がけておりますことは、地域社会の振興への寄与、コミュニティーセンターの役目を果たすということですので、先生の御指摘趣旨を一にするのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  80. 武部文

    ○武部(文)委員 私は、この経営の主体のことについてちょっと私見を述べてみたいし、大臣の見解も聞きたいのであります。  私は、この今回のは特例法としてということになっておるわけでありますが、簡保事業団にこれをやらせることは今の段階ではやはりやむを得ぬなという気がいたします。  というのは、当初、貯金は一体どういうことだろうかということを考えて、貯金振興会というものの内容を調べてみました。残念ながらこれは簡保事業団とは性格が違いまして、定款を見ましても貯金法を見ましても、これはこういう事業を直接やるというようなわけにはいかないということが性格上わかりました。したがって、特例法として簡保事業団にこれを当面は主体を移すことはやむを得ぬなということはわかりますが、将来の問題として、私は、事業団の問題と三事業の問題とを少し考えてみたいと思うのです。  行革審が郵政省の経営形態にしきりに手を伸ばして、郵政省の民営化ということを言い出し始めてきました。第一次行革審、第二次行革審の答申を比較をしてみますと大分後退をしてきておるようですから、三事業は一体だという大臣の答弁が歴代の大臣からもございましたし、大臣も恐らく同じ気持ちだろうと思いますし、当委員会では三事業一体の運営ということはもう基本としてどの政党も同じ考えだということは、この論議を通じて明らかになったところでございます。もちろん楽観は許しませんが、これからいよいよ第三次行革審でもまたこうした経営形態についての論議もあるいは引き続いて起こるかもしらぬ。  こういう中で、この簡保事業団の資金の内容を見ますと、簡易保険の借入金というのが合計で今年度末で約五兆五千五百億円という膨大な額になることがわかります。さらに、郵便貯金の寄託金、これが今年度末で約一兆五千億円。貯金、保険合わせて七兆を超す借入金とそれから寄託金が簡保事業団に入るわけでありますが、簡保事業団というそういうことではなくて、貯金事業もこの問題には相当多額の金が動いておるわけであります。残念ながら郵便にはそういうものはございませんが。  したがって、事業団簡保事業団ということではなくて将来は、これはもちろん仮称ですけれども、郵政事業団というようなものに改組をして、そして三事業は一体でこういうことをやっておるんだと、郵便局郵便事業の中に貯金も保険も金がみんな集まって、そうしてその運用の中でこうした局舎も建っていくんだ、こういう形のものが理想的なあり方ではないだろうかなということを考えておる者の一人でございます。  したがって、簡保事業団とはいいながらも、貯金の金がこの中に相当入っておるということを考えますならば、直ちには定款の、あるいは法律の改正はできないにしても、将来、三事業が一本で、一つが崩れたらみんな崩れるんだ、この私どもの基本というものはこういう面でも生かされていかなきゃならぬのじゃないだろうか、そんな気がしてならぬのであります。最初に申し上げましたように、全く簡保事業団とは異質のものを、今回この局舎の建設というようなことに手をかけなきゃならぬ、それしかないわけですから仕方がないとは思いますけれども、将来の郵政事業のあり方としてはそういう方向に向かって努力をする必要があるんじゃないだろうかなということを考えておりますが、ひとつ大臣の見解をお聞きしたい。
  81. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今回の先生の御指摘の内容にお答えをいたします前に、いろいろな委員会あるいはまた当逓信委員会におきましても、先般の充実法案におきましても、この機構法の中に追加するのが適当であるかどうかというような御意見も多々ございます。  そのように、いろいろ追加されます業務をどの事業団とかあるいは法律に追加をしていくかというような問題がいろいろな法律に関して出てきておるわけでございまして、そのように世間も大きく変わってきておる、それは一にこの郵便事業分野だけではないというようなことを最近とみに感じておるわけでございます。  そういうようなことでございまして、結論から申し述べますと、先生のおっしゃいますようにまたいずれかのときには郵政事業団というようなものに改組いたしまして、もっと窓口を大きなものにしておくということが必要でもあろうと認識をいたしております。  ただ、今回のこの土地の高度化の件でございますが、これは簡保が今日までも加入者福祉施設なども設置、運営をいたしておりまして、その点におきましては全然無関係ではないと私は認識をいたしておるわけでございます。したがいまして、今回の土地高度利用業務も、同事業団の一部としてもそう異質であるとは私は思っておりません。そういうようなことで今回こういう形で提案を出させていただいておるわけでございますが、今後事業団のあり方につきましては、先生御示唆をいただきましたが、総合的に検討を加えていきたい、そのように考えております。
  82. 武部文

    ○武部(文)委員 これは将来の問題ですから、我々も一緒になって考えていく必要があるだろうと思います。  そこで、簡保事業団がこれから大変大きなビルを建てるわけですが、資金調達をどうしてやっていくのか。恐らくこれは借金ということになるのでしょうが、多額の借金を抱えた場合に、借入金をした場合に、本来業務はどういうふうになっていくのか、影響というものはないだろうか、そんな点を心配するのですが、いかがでしょう。
  83. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  本件業務は極めて公共性の高い業務でございますから、その円滑かつ効率的な実施のために、事業所用ビルの建設資金につきましては公的資金を活用することが適当であると考えまして、この建設資金について、平成四年度において財政投融資計画に基づいて簡保資金を長期借入金として借り入れるということを要求していく考えでございます。  また、本件業務実施に当たっては事務経費が必要となります。例えば初年度だと約五千万円ですが、これは市中金融機関からの借り入れをもって措置し、収益が上がるのを待って返済する方針でございます。  そういったことで、この制度の創設に当たりましていろいろな配意をしていかなければならないのでございますが、今御指摘のありましたように、資金調達のために大きな借金をして簡保事業団の本来業務に影響はないのかということが御質問の本質の点だと思います。  その辺についてコメントさせていただきますと、本件土地高度利用業務を行うに当たりましては、私ども、それから簡保事業団も、事務所等需要動向容積率などの建築制限、そういった要素を綿密に検討いたしました上で確実に採算のとれると見込まれる場合に実施するということでございます。また、その業務を監督する郵政省においても、同事業団事業計画、資金計画等を大蔵省とも協議の上厳重にチェックしていくということでございます。そうしまして、事業所用ビルの賃貸業務を開始した後ある期間経過後に、当該業務に係る収支は相償うことになっていくものであるというふうに判断いたしております。そのほか、他の経理とこの仕事の関係の経理を区分して特別の勘定を設けてやるとか、あるいはこの実施が円滑にいくように早急に専門的かつ実務的な調査研究、これは予算で認められておりますからこれを実施していくとか、そういったあらゆる手法を駆使しながら円滑な実施を期したい、このように考えております。
  84. 武部文

    ○武部(文)委員 この点は事業団の将来の運営にも大変影響する問題ですから、慎重に、採算が大体とれるということでない限りはやはりやるべきではない、そんな意見を私は持っておりますし、ぜひ慎重な対処を願いたいと思います。  時間が来ましたのであと二つで終わりますが、このビルが建ちますと、郵便局舎民間とが同居するわけであります。したがって私は防犯上の心配をするわけであります。特に、一等地でありますから、そう駐車場に多くの面積をとれないから、車は民間郵便局もみんな一緒だというようなことになると、新東京郵便局のような事件もあるいはまたというようなことさえ考えられる。まして今、郵便車が非常に多くなってまいりました。しかも現金輸送、さらに書留、そういうものの車と民間の駐車場と一緒になって、そういうようなこと。今では考えられないような犯罪も起きるわけでありまして、郵便局のすぐ上には民間の会社が入っておる。今ごろは上から電気ドリルで金庫に目がけて穴をあける、そういう泥棒さえ出てくるような世の中ですから、そんなこともやはり頭の中に考えて、局舎というもの、多額の金を預かっているものですから、特にそういう点も十分な配慮をしてもらいたい。  例えば駐車場は郵便局の駐車場と同居の民間とは全く別だというようなやり方をしなければ、起きてしまってから騒いだって後の祭りですから、そういう防犯上の点にも十分な配慮をして設計もしてもらわなければならぬ。これは言わずもがなのことかもしれませんけれども、そういうようなこともぜひやっていただきたい。時間が来ましたので、これが一つ。  あともう一つは、局舎の新築に私どもも賛成です。どんどん建ててもらいたい。しかし、やはり今郵政省を動かしているのは人であります、職員であります。職員の住宅というものが完備されていない。どんどん努力をされて充足されつつありますが、現実に独身寮も不足をしておる。また世帯の人たちが入っている宿舎でも、子供がふえてもかわることもできない、相変わらず一間や二間のところに入っているというような人が、郵政省の資料を拝見してもまだあります。特に東京ではあるのです。そういう面の解消をこれとは別に、局舎の方は進むが職員の宿舎の方は一向に進まぬというようなことがあってはならぬ、このことを特に強く要望するわけであります。  ここ二、三日中に百人決まるそうですが、今度外務職の名簿が、東京ではなくなって、百人中途採用された。この試験応募者が何と二千百名あったということを聞いたのです。百人の東京の外務員に二千百人の応募がある。この人手不足の時代に郵便局にはそれだけの人がやはりまだ職を求めているということは、これは異例だと思いますが大変結構なことだと思うのです。ところが、定員百人採るところに二千百人、これが全国からやってきておる。そうなれば採用された方はとても自分でアパートに住んでというわけにはいかない。しかも外務職は十八歳から満四十歳まで募集しておるわけです。今の初任給からいって、十八歳で十四万七千八百円、四十歳で二十三万三千五百円の初任給ですよ。二十三万三千円で、四十歳といえば子供が二人、三人おる、こう思わなければならない。そういう人たちがこういう初任給でとても住宅を自分で探すなんということは不可能です。したがって、優先的にそういう人たちには宿舎を配備してあげなければならぬ。私はそういう点をこの局舎の問題と同時に並行してもっともっと力を入れて、職員が安心して業務に励むことができるような配慮が特に必要だということを考えるわけです。  この二つについて御意見を聞きたい。
  85. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お尋ねの第一点についてお答えしますが、防犯について意を配することの大切さ、今一番身にしみて感じている立場でございます。防犯面の対策を講じておくことの重要性は今申し上げたところでございますが、簡易保険福祉事業団事務所用ビルを建設するに当たりましては、郵便局事務所用ビルを峻別し、通用門を別個に設けて、防犯面で問題のないようにすることといたしております。また、同事業団の設置する駐車場の位置や出入り口についても問題のないように工夫していきたいというふうに考えております。またさらに、防犯対策を十分講じて郵便局業務に支障のないよう管理することを同事業団業務方法書においてもきちんと規定するなどして、郵便局の防犯上問題が生じることのないように万全を期したいというふうに考えております。  なお、二点目の職員宿舎の問題ですが、これは後ほど人事部長が答弁すると思いますが、今回の制度の創設がある意味ではこの問題に一石を投じたきっかけになるんじゃないかという気もいたしております。
  86. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 先生指摘のとおり、職員宿舎は郵便事業運営上の基盤施設として重要であると考えております。世帯用も独身用宿舎も両方とも現在のところ不足の状況にありますので、今後とも量的な面あるいは質的な整備というものを図っていきたいというように考えております。特に近年、大都市圏におきましては地価高騰によりまして宿舎事情というものは厳しい状況にあります。そこで、建てかえによる高層化や集約立体化を推進して積極的に対応しているところであります。  それから、郵便局舎上層部合築でございますが、それについては職員宿舎不足解消施策の一環といたしまして従来から積極的に取り組んでおりまして、今後とも一層地況とかあるいは当該地域必要性とかそういうものを考えながら、郵便局舎上層部に職員宿舎を合築できますように努力してまいりたいというように考えております。
  87. 武部文

    ○武部(文)委員 終わります。
  88. 野中広務

    野中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  89. 野中広務

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田利正君。
  90. 上田利正

    上田(利)委員 我が国は非常に狭い国土、しかも山林が七〇%以上も占めておりまして、その狭い国土の中に一億二千万人が生活をしておるというこういう状況にあるだけに、土地高度利用と申しますか、有効活用というのは非常に大切な要件になってきております。  そういう中で、特に国や公共団体の有する土地有効活用、こういうことが社会的あるいは経済的な大きな要請に今日なってきております。そういう立場から考えまして、本法律案はこれを郵政省が先駆けて取り組む、こういうものだろうと思うわけでございまして、私といたしましては評価をいたしております。  そういう中で、国公有地の活用に当たって郵政省がいち早く取り組んだわけでございますけれども、なぜ郵政省が他に先駆けてこのような法律案を出して実施しようとしておるのか、またその意義はどこにあるのか、この点について最初にお尋ねをいたします。
  91. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から先駆けというお言葉をいただいたわけですが、ここ数年間郵政省各部局とも先駆けて行政需要をつかみ取って実行しようという姿勢で臨んでおります。  その一環でございますが、まず一つは、先生指摘のような国公有地を含めた土地有効活用が、強い社会経済的要請というよりも我が国の重要な政策課題になっているという認識をしておりますことが第一点。  それから、私どもの郵便局が、その立地条件や建物構造機能特殊性から見て、受け皿としてこれに向いているんじゃないかというそこに着眼したわけでございまして、郵便局は、郵便作業処理を効率的に行う観点から建物構造低層にしておりますけれども、国民生活に最も身近な国の機関として全国に存在しておりますし、また市街地の中心部に位置するという有利な点を持ってございます。そうして、その上層部はまだ有効活用できるスペースも大きいことから、郵便局土地高度利用必要性は高く、かつ高度利用の効果も大きいということで、今回のような新たな仕組みを創設いたしまして、国有地有効活用という重要な政治テーマ、行政テーマに積極的に取り組むとともに、郵便局土地という経営資源の有効活用を図ることとしたものでございます。  それから、次のお尋ねのこの施策の意義についてでございますが、第一に、郵便事業運営基盤の整備充実に貢献するということでございます。第二点としては、土地の有効利活用という社会経済的要請にこたえて地域社会の振興に寄与するということでございます。これらの点につきましては、昨年十月三十日に示されました塩野東大法学部教授を座長とする郵便事業運営基盤の整備に関する調査研究会の報告書においても提言されているところでございまして、それを直ちに実行に移していったということでございます。  以上のように、本施策は国民生活に最も身近な国の機関である郵便局土地高度利用するものでありまして、国有地有効活用という重要な政策課題解決に対する有力な方策の一つとして、また郵政事業経営資源の有効活用を図る新たな方策として大きな意義を有しており、国有地有効活用についての新たな道を開き、先導的な役割を果たすものというふうに考えております。
  92. 上田利正

    上田(利)委員 次に、郵便局土地の利用の現状についてちょっとお尋ねをいたしたいと存じます。  都市部における郵便局局舎の階層別割合並びに建築基準法に規定するところの法定容積率、これに対する実際の活用度合いはどのくらいになっておりましょうか。
  93. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  東京都、政令指定都市十一都市及び県庁所在地四十七都市の駅前とか繁華街などの商業地にある集配郵便局等全国で百七十三局ございますが、それらについて調べてみました結果、郵便局舎は三階建てが約二九%と最も多く、四階建て以下が全体の約七七%を占めております。  二点目のお尋ねの件ですが、建築基準法で規定する法定容積率に対する実績容積率、これは実際に活用している容積率でございますが、その割合、平均容積活用度は二〇%台が最も多く、その平均は約四三%となっております。この数字は、平成元年十月現在でございます。  こうしたデータから判断いたしますと、郵便局土地はまだ高度利用余地が大きく、またその必要性も強い、したがって、こうした施策を講じる意義があろうかというふうに考えております。
  94. 上田利正

    上田(利)委員 全国に二万四千近い郵便局がございますけれども、この全国郵便局のうち土地高度利用が可能な局としましてはどんなようなところがあるのかというのが一つと、それからその高度利用できる対象局はどのくらいか、ちょっとお示しを願いたいと思います。
  95. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  本件高度利用を行う対象となる郵便局といたしましては、数字としては平成二年十二月末現在の全国郵便局数一万九千局のうち、まずは東京都、政令指定都市及び県庁所在地の駅前、繁華街などの商業地にある全国集配郵便局等合計百七十三局ございますが、またそれにこれから特殊事情等が発生して加わるものもあるかもしれませんが、そういったものの中から高度利用必要性の高い郵便局を選定する方針でございます。  なお、そうした対象となる郵便局につきましては、その建て直しの時期だとか、容積率などの建築制限とか、局舎として必要な面積とか事務所等需要動向、そういった制約があるため、特に制度創設当初は慎重に計画を進めまして、十分に検討を行った上で土地高度利用実施していかなければならないというように考えております。そのため当初はその対象局の数も限られると思いますが、経験、実績を踏まえていくうちに次第にその辺が充実していくだろうというふうに考えております。
  96. 上田利正

    上田(利)委員 それで、現在郵便局土地高度利用または合築、これらにつきましてどのような事例が今日あり得ましょうか。その点をちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  97. 戸田道男

    ○戸田説明員 郵便局の用地の有効利用を図るという意味での合築についてでございますが、まず、郵便局舎と職員宿舎との合築は、全国で二十四件実施しております。また、郵便局と宿舎以外の郵政部内の施設、例えば郵政局の体育館であるとかそんなものとの合築が三件ございます。さらに、地方公共団体との合築といたしまして、福島県の保原町の体育館との合築が一件ございます。
  98. 上田利正

    上田(利)委員 わかりました。午前中の質問の中にもありましたように、武部委員からもございましたように、宿舎との合築、二十四ということでございますが、そういう郵政職員の宿舎問題、さらに御努力を願いたいと存じます。  それで、実は昨年の十一月の中旬ごろだと思うのでございますけれども、郵政省が報道発表をした、郵便局と社会福祉施設との合築、こういうことで厚生省との間でこういう方針が報道されました。この報道によるところのいわゆる郵便局と社会福祉施設合築と今回の郵便局土地高度利用は、性格は違いますけれども同じようなものだと思うのです。社会福祉施設というのが限定されますけれども、そういうものと基本的には同じでございまして、この関係はどのようになっておるのですか。
  99. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  まず、郵便局土地高度利用の方でございますが、簡易保険福祉事業団郵便局上層部事業所用ビルを建設、管理することによりまして、公用、公共のための利用に配意しつつ、民間事務所等施設として利用して、郵政事業経営基盤強化に資するという制度ですが、その対象郵便局につきましては、その選定の考え方先ほど申し上げたとおりでございます。  一方、社会福祉施設との合築についてでございますが、これは身体障害者とかお年寄りとか、そうしたいわゆる社会的弱者の方が主として利用する施設であるという特色を有しておりますので、例えば通路や出入り口の設置についても、施設の安全管理面や防災面からの建物構造上の諸条件が必要となります。これらの点を考慮いたしますと、駅前とか繁華街商業地に位置して、郵便車両の出入りが激しい集配郵便局については、社会福祉施設との合築というのは適当でないケースが多いのではないかというふうに考えております。また、社会福祉施設は、その社会的、公共的な性格から安定性、継続性が重要でありますが、そして、頻繁に移転したり規模を縮小したりしてはならない、それが社会的に影響が大きくなるという点がございますが、集配郵便局の場合には、郵便物数の増加に伴いまして将来の局舎の拡張ということも見通しておかなければなりませんので、社会福祉施設との合築には非常に問題が多いのではないかというふうに考えております。  さきに発表いたしました郵便局と社会福祉施設合築でございますが、あのとき発表した内容のような郵便局は、今申し上げたような問題点が少ない、郵便局機能面や施設面から見ても比較的合築が容易だということで、小規模無集配郵便局三局をモデル局として選定して、社会福祉施設との合築を行うことについて厚生省と鋭意協議をしているところでございまして、また、これをさらに理論的、実証的に深めようということで、平成三年度には郵便局と社会福祉施設との合築のあり方につきまして調査研究を行う計画でございます。  以上申し上げましたように、本法案による郵便局土地高度利用と、郵便局と社会福祉施設との合築とでは、その実施対象とする郵便局が異なっている、こういうことでございます。
  100. 上田利正

    上田(利)委員 それでは、法案関係で二、三お尋ねいたしますけれども、この法案の第二条の二項、「公用又は公共の用のための利用に配意しなければならない。」こうあるのですが、これは具体的にどのようなものがあるのか、簡潔にお答えいただきたい。
  101. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  お尋ねの、公用または公共のための利用の具体例といたしましては、国の出先機関、地方公共団体の支所、出張所、地方公共団体が設置する集会所、図書館、こういった形の利用を想定いたしております。
  102. 上田利正

    上田(利)委員 そこで、今、国民の健康増進あるいはスポーツの振興ということは、地域あるいはその他のスポーツ団体などでもう盛んに行われてきておりますけれども、なかなかそういう施設がない。したがって、この法案に基づきまして体育館などができればいいのでございますけれども、御案内のように、体育館というと、建築高度そのものが一フロアでも三階も四階も高くしなければならぬわけでございます。あるいは鉄骨でやらなければならぬとか、基準が全部ございます。これはもうとてもできないと思うのでございます。  特殊構造のものはだめで、本格的な体育館はできないのでございますけれども、そういう中で、例えば地方公共団体が老人用のヘルス用具とか器具、こういうものを整えるあるいは設置をしたり、あるいはゲートボールが室内でできるようにするとか、あるいは女性がやっておりますエアロビクスですか、テレビを見るだけでよくわかりませんけれども、そういうふうな施設をこの法案に基づいてやるというような、そして多くの人が利用する、そういう点はどうでございますか、できるのでございますか。
  103. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  この法案の実際運用の問題に入っているわけですが、一般的な事務所、会議場の施設としての仕様とか規格に適合し、そして建物構造上特別な改修を行うことなく利用することが可能であれば入居をすることが可能だということでございます。したがって、先生の御指摘のような施設につきましては、このような条件に適合するケースが多いとうかがわれますので、原則として入居可能であると考えられますが、個々具体的に実際は判断されることになろうというふうに考えております。  また、公用、公共のための利用に配意することとしておりますので、先生の御指摘のような施設の運営を地方公共団体が行うということでありますと、これを優先的に入居させる、そういう配意をすることになっております。
  104. 上田利正

    上田(利)委員 今、局長から答弁がございましたけれども、ぜひそういう点にも配慮して、公共団体と一緒になりながら、そういう対応ができるように強く要望いたしておきます。  そこで、郵便局土地高度利用をした場合に、将来郵便需要、今非常に需要もふえてきておりますし、あるいは郵便小包なども、ふるさと郵便というようなことでどんどんふえて大型化してきております。したがって、これらの郵便需要の増加に対応して、郵便局舎が狭くなってしまってどうにもならない。ところが、高度利用をやっちゃっているからこれはあと使えません、上の方出ていってくれと言うわけにいかないということが起きる場合があると思うのでございますが、郵便局業務に支障を及ぼすようなことにならないかと思うのですが、この点どうでございましょうか。
  105. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  ただいまお尋ねのありましたような心配が生じないように、法令上もまた実際の運用上も配意していきたいというふうに考えております。つまり、将来郵便物数の増加によりまして郵便局舎を拡張することが必要となった場合には、国は簡保事業団から建物のうち必要な部分を買い取るとともに、買い取った建物に係る土地の賃貸借契約を解除することができる、こういうふうにしております。  また、将来郵便物数の増大によりまして郵便局舎へ転用する可能性の高い郵便局舎の直近階につきましては、会議場等一時使用のための施設といたしまして、そういう利用の仕方をいたしまして、またはその階高を高くしたりするなどして郵便局舎への転用が円滑に行われることを当初から確保していきたい、こういうふうに考えております。  さらに、簡保事業団と入居者との関係につきましても、賃貸借契約において、郵便局部分の拡張が必要となった際には明け渡しを求めることがある旨明記したり、簡保事業団が立ち退きを求めていくなどすることによって円滑な対応ができるように考えております。  この場合、同事業団と入居者との関係について借家法が適用されますが、事務所等施設の賃貸借契約の更新拒絶または解除の申し入れを行うのは、郵便物の増加などによる郵便局舎の拡張を図る必要から行うという公共性の強いものでありますことから、借家法第一条ノ二に規定します更新拒絶または解約の申し入れの正当事由として認められるというふうに考えており、これにより郵便局業務に支障が生ずるおそれはないというふうに考えております。
  106. 上田利正

    上田(利)委員 今の答弁で支障がないという基本的なことはわかりましたけれども、郵便需要に対応してこの拡張ができないなどということのないように、十分な配慮をぜひお願いをいたしておきます。  そこで、法案とはちょっと離れますけれども、郵政事業全般にわたる問題につきまして少しく御質問をしていきたい、こう思います。  最初は、福祉政策と申しますか、福祉の問題でございますけれども、私自身、国会へ参る前まで福祉の事業関係にも携わってまいりました。そして、身障者の立場に立ったこの福祉をどうしていくかというようなことで取り組んできたわけでございますけれども、特に、ここにも資料がございますが、全逓信労働組合、これは中央本部の資料でございますけれども、非常に全逓の本部が、これは全国的でございまして、地方本部の場合もあるいは地区本部の場合もそうでございますけれども、いわゆる政策を前面に出して郵政当局と折衝していくという制度、政策のそういう取り組みを、私が知っている限りでも十年ぐらい前からそういう形でやってきておる。昔は何か闘争一本というようなこともございましたけれども、制度、政策という、これが労使信頼関係のきずなにもなっていると思うのでございまして、非常に私は感心をいたしておるわけでございます。  そういう中で、郵政省と全逓と一致した問題の中で、最近郵政省におきましても、障害を持った人たちやお年寄りの利便を図る施策というものを次々と実施をしてきている。全逓が政策で、一九八六年ですか、「ふれあい郵便」などというのも私も見ておりますけれども、ひとり暮らしのお年寄りのところへ郵便を持っていって、そして往復はがきになっておりまして、それをまた例えば市役所に届けるとか、そういうような形の中で、非常にすばらしい、本当に社会的に価値ある労働運動というのを全逓は進めておると思うのであります。  そういうことの中で、今申しましたようないろいろな施策を次々と実施をしておること、私は郵政省に対しても非常に結構なことだな、こう思うわけでございます。特に最近は愛のある郵政行政というようなことを言っておられる。私も政治に愛をというキャッチフレーズで当選をさせていただいてまいりました。これは余計でございますけれども。愛のある郵政行政、これに積極的に取り組んでおる。私のキャッチフレーズを盗んだのかどうかわかりませんけれども、とにかくこれも結構なことだと思うのでございます。  先日、ここにコピーがございますが、私どもの十八万世帯ぐらいに入っている山梨日日新聞に、実は「小さなポスト便利です」ということで、NHKのテレビや民放でも放映をしました。言うならば、この身体障害者の施設あるいは特別養護老人ホーム、こういうところに、車いすで行って、そしてそのままポストに入れることができる、見出しは「小さなポスト便利です」、こうなっておるわけでございます。よく私も知っておる課長がにこにこしてこの写真にも載っておりますけれども、そして非常にこれがありがたがられ、好評だ。やはり愛のある郵政事業を本当に郵政省はやっているんだな、郵便局、やってくれているな、こういう形で、私もこれにつきましては、いやすばらしいことだ、こう実は感心をしておるわけでございます。  そういう中で、差し入れ口が二つあるあの郵便ポストがありますけれども、あて先板に点字の表示をしてもらうという、この前も本委員会の中で私も提起をいたしましたけれども、そういうことで、差し出し口が二つあるこの郵便ポストで、あて先板に点字がしてあるのがどのくらい現在ありましょうか、これをまずちょっとお尋ねしたいのです。
  107. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  ただいま、愛のある郵政行政、人と人との心の触れ合い、人の気持ちの温かさ、こういうものが実感できる施策の推進について先生のお話がありましたけれども、盗んだのではなくて、たまたま本当に軌を一にして関係者の気持ちがここに合一したということで、これは労働組合の幹部の諸君ともしょっちゅう意見交換しておりますが、そういう状況でございます。  そういうことで、愛のある郵便サービスの一環として、身体障害者施設や老人ホームの構内またはその付近に郵便ポストを設置するようなことを積極的に取り運んでいるわけでございますが、今先生から御質問のありました差し入れ口が二つある郵便ポストのあて先等表示板への点字表示についてでございますが、昭和六十年三月から五月にかけて、全国二万九千本の郵便ポストすべてに表示したところでございます。その後、差し入れ口が二つある郵便ポストを増設、更改した場合にも、その都度点字表示をしてきており、現在、三万一千本の郵便ポストに点字表示が行われてございます。
  108. 上田利正

    上田(利)委員 わかりました。  それで、私が昭和六十三年の三月だと思いますが、本委員会におきまして、一部の地域において郵便ポストへの郵便の取り集めの時刻を点字で示してほしい、点字を貼付してほしいということを御提起をしたことがございます。これは非常によい施策だということで喜ばれておるわけでございまして、そのときに、全国実施をやはり早くすべきである、こういうように昭和六十三年の三月の本委員会の中で御要望を申し上げ、指摘をしておきました。  その後ちょうど三年経過をしておるわけでございます。逐次拡大されているということは私も承知をいたしておりますけれども、どのような状況になっておるのか、そしてこれからどのように取り組もうとしているのか、この点をひとつお尋ねしたいのです。
  109. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  昭和六十三年三月二十三日の本委員会で、ただいま先生のお話のあったような御提案を受けたわけですが、その御提案を踏まえまして、目の不自由な方の御利用が多いと思われる視覚障害者施設付近に設置された郵便ポストに取り集め時刻の点字表示を行うことといたしまして、御提案の二カ月後の昭和六十三年五月、これに該当する全国郵便ポスト約三百本全部に取り集めの時刻を点字表示したテープを貼付いたしました。  それから、平成三年度におきましては、郵便事業関係予算重要施策である「愛のある郵便サービスの充実による社会福祉への寄与」という具体的施策の一つとして、全国すべての郵便ポストの取集時刻表示板に、取集時刻を点字表示したテープを貼付する計画でございます。
  110. 上田利正

    上田(利)委員 わかりました。そうすると、いよいよと全国にということですが、どのくらい郵便ポストはあるかわかりませんが、十万を超しているんじゃないかと思うのですけれども、全国というと何本になりましょうか。
  111. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  郵便ポストは、平成元年度末現在で全国で約十六万本ございます。さらに、平成二年度設置見込み数、それから平成三年度の設置予定数を含めますと、施策対象郵便ポストは合計で約十七万本になります。
  112. 上田利正

    上田(利)委員 それは、完了するのはいつごろになりましょうか。
  113. 小野沢知之

    小野沢政府委員 正確な数字を申し上げますと、平成元年度末現在で十五万八千三百九十二本、平成二年度設置見込数が三千八百九十二本、平成三年度予算成立予定数が四千六百三十二本、合計十六万六千九百十六本で、約十七万本と申し上げたわけですが、そういうことで平成三年度予算成立予定数ということですから、平成三年度内ということでございます。
  114. 上田利正

    上田(利)委員 わかりました。  次に、特定郵便局の制度関係を含めてお尋ねをいたしたいと思います。  最近、特定郵便局の中には、地域の文化あるいは地域の景観、そういうものを壊さないようにということでさまざまな、建築する場合に建築部がこれはお考えになっておるんだと思いますけれども、そういうものにマッチしたような形の中ですばらしい局舎がちらほら出てきております。全部じゃないのでございますが、出てきておるわけでございますけれども、今後ともこのような局舎の建設には積極的にぜひ取り組んでいただきたい、こう思うわけでございますが、これらの計画はどんなふうにされておるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  115. 戸田道男

    ○戸田説明員 今先生から御評価をいただきまして、大変光栄に存じておるところでございます。  特定郵便局は特に地域に密着した郵便局でございまして、私たちは、郵便局業務はもちろんでございますが、局舎建物そのものでも地域の振興なり発展に貢献したい、お役に立ちたい、こういうふうに考えております。したがいまして、ただいま先生がおっしゃいました地域の文化あるいは景観、あるいはもう少し細かいことで言いますと、例えば地域の特産物を採用するとか、あるいは地域独特の材料を使うとか、そういったことも含めて建築部の大変重要な課題だと考えておりまして、これからも積極的にそうした方向で進めてまいりたいと考えております。
  116. 上田利正

    上田(利)委員 昨年本院で北海道に視察を行いまして、本当にすべて地元でとれる木材で全部つくったのですよね、それを見せていただきましたけれども、いや、これはすばらしいな、そういう感じが非常にしたわけでございます。どうか、それぞれそういう創意工夫をしながら、今建築部長からもお話がございましたけれども、積極的にこれは、予算とのかかわりもありましょうけれども、やはりこれからはそういう形で進めていただくようにさらに要望いたしておきたいと存じます。  そこで、昨年の本委員会におきまして、郵政窓口の本来の使命と申しますか、やはり特定郵便局というのはその地域中心になって、そして親しまれる郵便局だ、こういう形で地域におきましては期待をされております。だから私は、普通郵便局はもちろんでございますけれども、特に特定郵便局を重視していかなければならない、こういうことを昨年の本委員会で申し上げましたけれども、今後とも特定郵便局の設置にはそれぞれ取り組んでいっていただきたい、こう思うわけでございます。そういう中で、特に大都市におきましては地価が非常に高騰している。それだけに郵便局の設置には御苦労をなさっておると思うわけでございますけれども、そうかといって、土地が高いからだめなんだということにはならないわけでございまして、特定郵便局の増置などはどのように考えておるのか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  117. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  大都市における特定郵便局の増置につきましては、ただいまの先生の御指摘と全く同一の認識に立っておりまして、着任以来私の取り組んだ最重要課題一つといたしておりました。  具体的なことを申し上げますと、郵便局が極度に不足していて郵政窓口サービスが十分でないという声が強かった東京などの大都市における郵政窓口機関の設置を強力に推進するため、とにかく本気で取り組もうということで、平成元年の八月に、郵政省内に郵務局長の私を会長とする大都市における窓口機関設置推進協議会を設置いたしまして、特に東京都心部において早急に対応することが求められていた地域が当時の計算で五十六カ所あったのですが、これを何とか解決しようということで挙省体制で取り組みました。  その結果について申し上げますと、実は予期した以上なのでございますが、それまでは設置箇所の決定、設置予定、折衝中のもの、全くなかったわけですが、皆無だったのですけれども、平成元年八月から現在までの約一年七カ月間で、既に特定郵便局を七局、ちなみにどういうところかを申し上げますと、新宿三井ビル内局だとか、日本橋二局だとか、銀座通局だとか、池袋グリーン通局とか、赤坂通局とか、七局を既に設置済みでございます。また、ATM等の機械コーナーを六カ所設置しました。さらに現在、五カ所について特定郵便局の設置箇所を決定いたしております。また、十六カ所について郵政窓口機関の設置を現在折衝中でございます。  こういうことで、当初関係者が不可能と思っていたことが予期した以上の成果を上げることができまして、これにかかわった関係職員、地元のお客様、地元の特定局長さん方は本当に喜びまして、こういう難しい施策でも本気でやればやれるんだなということで非常に自信を今持っております。よい例ができたと思っておりますので、これからこうした貴重な経験を踏まえまして、大都市における郵政窓口機関の設置につきましてさらに真剣に取り組みたい、こう考えております。
  118. 上田利正

    上田(利)委員 人事部長にお聞きをいたしますけれども、都市における特定郵便局の増置の問題、今局長から御答弁いただきました。非常に努力をされておられる。本当にこれからもさらに努力をしていただきたいと思いますが、そういう中で、とりわけ都市部特定郵便局は、私ども行ってまいりますと事務量が非常にふえてきている。それだけ信頼をされているということでございましょうが、しかし要員がなかなかそれに追いつかない。これは定員、現在員、定員法があるからなかなか難しいということも承知をしております。しかし、昨年も定員増をしましたし、ことしの予算を見ましても要員を一千名以上というような形になっております。これも努力の跡が見られるわけでございますけれども、その要員不足が、そうやっても著しく不足をしておる、こういう状況ですけれども、人事部長、どんなふうにこれに対応しようとしているのでしょうか。     〔委員長退席、松浦(昭)委員長代理着席〕
  119. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 お答えします。  職員の営業努力とか商品・サービスの開発、それから日本経済の順調な発展と相まって、郵政事業先生指摘のとおり非常に業務量が伸びております。円滑な業務運行を確保していくためには要員の確保の問題が重要な課題であるというふうに私どもも考えております。  先生指摘の、都市部特定郵便局業務の安全確保に対処するための要員の確保につきましては、一つは、無集配特定郵便局の新設に必要な予算定員の確保というのをやっております。それから二つ目は、業務量の減少している地域から業務量の増加している都市部への定員の移しかえをやっております。三つ目は、業務量の増加に伴う、先生御案内のとおり郵便等は波動性がございますので、非常勤の職員を雇用したりしております。  それから、郵便局の窓口の機械化というものも積極的に進めておりまして、例えば郵便物の計量だとか郵便料金証紙の発行を自動的に行うような機械の配備だとか、それから貯金保険端末機の配備などをやりまして作業の効率化をやっていきたい。今後とも業務量というものを的確に把握いたしまして、必要な要員の確保に努めていきたい、また作業の効率化というものも図ってまいりたいというふうに考えております。
  120. 上田利正

    上田(利)委員 建築部長にちょっとお尋ねしたい問題がありましたけれども、これは後日に譲ります。時間もございません。  そこで大臣にちょっとお尋ねしたいのでございますが、今日、各企業もそうでございますけれども、再生紙の活用、これは環境保全には欠かせないんだということで、ただちょっとコスト面で問題があるんですけれども、だからといってやはり環境保全を最重点に考えなければならない今のこの時代になっておるわけでございまして、いわゆる資源の有効活用の観点から、この再生紙の活用ということは今日的な最重要課題だ、こう私は思うのでございます。  郵政省のきょうのこの法案立派なものでございまして、どうもこれも厚くて再生紙じゃないようですが、よく見ましたら、今技術がよくなったから再生紙のようでございますけれども、しかし非常に立派なものをつくられている。余りこういう立派なものでなくて、ざら紙にちょっと色がついたようなものでもいいと思うんです、再生紙の。こう私は思っているんですけれども、やはり郵政省が先んじて局舎高度利用というこの法律案を出してきた中で、今度は各省庁全部再生紙を利用していくという、こういうことを郵政大臣は率先して閣議の中で、本委員会の中でも提起があったと言ってもらっても言わなくてもいいんでございますけれども、そういうふうにすべきだと思うわけでございますけれども、大臣としての所見をちょっとお伺いしたい。
  121. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 伺いますとこれも再生紙だそうでございますので、御理解をいただきたいと思います。(上田(利)委員「表紙もそうかな」と呼ぶ)表紙は違うそうでございます。中の紙は再生紙でございます。  先生指摘のように、自然環境の保全ということ、それから資源の有効活用ということは、これは国を挙げてのこれから対処していかなければならない、解決をしていかなければならない重要な課題でございまして、郵政省もそういうようなことで率先して努力をいたしておるわけでございます。また、御指摘のように再生紙も現時点ではまだいささかその量が十分でないわけでございますから割高であるわけでございますが、さりとて、いずれにしてもそれは越えていかなければならない一つ過程でございますから、今の時点から再生紙を利用するように努めてまいる所存でございます。
  122. 上田利正

    上田(利)委員 そこで資材部長、この間ちょっと伺いましたら、郵政省でも再生紙を最近は部内広報誌やその他については非常にお使いになっていただいておるそうでございますけれども、郵政省においては今日どの程度再生紙をお使いになっておるか、ちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  123. 山口憲美

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  ただいま大臣からお話ございましたように、森林資源の保護というふうな観点からこれまでも積極的に再生紙の利用推進を図ってまいりました。今お尋ねの現在における当省の再生紙の利用状況でございますけれども、比較的前から利用しておりましたものといたしましては郵政公報、それから各郵政局から郵便局に出しております郵政局報、それからまたごく最近では、御案内のようにふるさと小包等で段ボールの箱が利用されておりますが、これらにつきましてもすべて一〇〇%再生紙というふうなことでございます。  特に本年度、平成二年度から新たに使用を開始いたしましたものといたしましては、通信白書が大きなものでございますが、通信白書に再生紙を利用しました。それから各種の報告書がございますが、こういうものについても総計二百点ほどのものが一般印刷物として現在再生紙を使用しております。そういたしまして、本省の中で使っている各種の用紙がございますけれども、いわゆる省内で印刷用に使っている紙、それからコピーの用紙あるいはワープロ、パソコンに使っている用紙、こういうものはほぼ一〇〇%再生紙を使っているような状況でございます。  ただいま大臣からお話がございましたけれども、申し上げるまでもなく、再生紙につきましては、例えば価格的に問題があるとか、あるいは機械処理であるとか裏カーボンに使いにくいとか、長期保存にやや難があるとか、それからまだ量的に安定供給が得られてないとか、いろいろ克服すべき課題は多いわけでございますけども、冒頭申し上げましたように、資源の有限性でありますとかあるいは地球環境の問題等というふうな観点からいたしますと、これをぜひ進めていく必要があるというふうに認識をしておりまして、これを進めるためには多くの関係の皆さん方の御理解と協力がなければできません。そういったことも得ながら積極的に進めてまいりたい、こういうふうに考えておりますので、ひとつ今後ともよろしくお願いする次第でございます。
  124. 上田利正

    上田(利)委員 今、資材部長からもお聞きしまして、非常に取り組んでおりまして、再生紙をできるだけ使おう、こういうことは非常に結構なことであります。先ほどもちょっと大臣にも申し上げましたけれども、再生紙の一層の利活用の促進、こういう立場でまた閣議などで御努力をいただきたい、こう思います。  最後になりますが、大臣にひとつお尋ねをしておきたいと思います。  冒頭にも申しましたように、郵政事業というのは国民に非常に信頼をされてきておる、そして高い評価をいただいてきているわけでございます。それは何といっても労使の信頼関係の中で安定した労使関係というものがこの数年来ずうっと築かれてきたことも信頼されておる大きな要素であろうと思うわけでございまして、やはり労使というのはそれぞれ相互信頼の中で、そして事業は人なり、こう言われるわけでございますから、そういう点で今後とも健全な労使関係、労使の信頼関係というものを、ひとつ大臣を中心にしながら築き上げていただきたい、そう思うわけです。  そういう中で、郵便事業に携わる職員、本当によりよいサービスを提供しよう、労働組合みずからもその政策を提起をして、そして国民の郵政事業にしよう、こういう形で御努力をされているわけでございます。雪の日も雨の日も風の日も、そして一年じゅう休むことなく職員はサービスを提供しながら努力をして汗を流しておるわけでございます。一生懸命頑張っておるわけでございますから、そのような職員の努力に報いる。愛ある郵政事業というけれども、職員にも愛を与えなければ、その職員が愛をもってまた愛を与えていくということになるのですから、そういう立場ではやはり処遇の改善というものが非常に必要だろうと思うのでございます。この点について最後に大臣の所感をお尋ねをしたいと思います。
  125. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生指摘のように、昨年の大変な年末の繁忙期におきましても、お客様に迷惑かけることなくすべての仕事を達成することができたわけでございます。それは職員の皆様方の努力以外の何物でもなかったわけでございまして、この点に関しましても私は非常に誇りに思っておるわけでございますが、そのようなことを達成することができますのは、これは労使関係が信頼で築かれているという基本的なものがあってのことでございますので、先生指摘のように額に汗をする職員に対しては十分に報いるという手当の新設あるいは改善、こういうようなことは給与特例法、この精神を踏まえまして適切に処遇をしていきたい、努力した者が正しく報われるというその考え方で進めてまいります。
  126. 上田利正

    上田(利)委員 大臣に期待をいたしまして、質問を終わります。
  127. 松浦昭

    ○松浦(昭)委員長代理 次に、山下洲夫君
  128. 山下八洲夫

    山下(八)委員 土地高度利用のための法案審議でございますが、それに入る前に、できましたら先に二点ばかり、お願いと申しますか確認と申しますか、若干質問をさせていただきたいと思う次第でございます。  そのうちの一つは、何といいましても郵便局舎になろうかと思いますが、局舎の新築あるいは改築、普通局あり特定局あり、いろいろとあるわけでございますが、そういう中で、私が頭の中で想像いたしますと、例えば特定局でもあるいは普通局でも、全国各地で毎年かなりの量が多分あるのではないか。私は東海でございますから、それが東海の郵政局である程度整理をされ、本省に上がってくる。また本省でも整理をされてくる。何点になるのか別にしまして、その中から大蔵省の方へ予算要求をしていくという形になっていると思うわけでございますが、その前段としまして、一つは、もしおわかりになりますれば、全国的に毎年どれぐらいの要望があり、そして、最終的に毎年何件ぐらいの予算要求をなさっているか、おおよそで結構でございますから教えていただきたいと思います。
  129. 戸田道男

    ○戸田説明員 平成三年度の予算の中で、郵便局の局数や何かで御説明申し上げたいと思いますが、普通郵便局で申しますと、土地の買収が二十二局、建物の新増築が二十九局、特定郵便局土地の買収が五十五局、建物の新増築が六十五局、こういうことになっております。
  130. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今一つ落ちたわけでございますが、その中で大蔵省への予算要求は毎年平均しまして大体何件くらいなさっていらっしゃいますか。
  131. 戸田道男

    ○戸田説明員 ただいま申し上げましたのが大蔵省への予算要求でございます。
  132. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私の尋ね方が悪かったのでしょうけれども、大蔵省予算が認められるのはその中で大体どの程度になってまいりますか。
  133. 戸田道男

    ○戸田説明員 ただいま申し上げました数字は平成三年度の予算案の中に認められた数字でございまして、その前の段階で要求いたしましたのは、平成三年度、普通局で六十七局でございます。
  134. 山下八洲夫

    山下(八)委員 きょう大蔵省に御出席をいただいているわけでございますが、今お話を聞きまして、ある面では少しはほっとして、私の予想以上に予算要求に対してこたえていらっしゃるというふうにも理解をいたしますけれども、正直申し上げまして、郵政事業郵便にしましても貯金にしましても保険にしましても、それこそ労使の皆さん方の大変な努力の成果だと思うわけでございますが、この間ずっと黒字態勢に来ている、そういう意味では大変立派な事業運営の展開をしているというふうに私は判断をしているわけです。  そういう中で、ぜひ大蔵省に強くお願いを申し上げたいわけでございますが、特に局舎でございますとか、あるいは宿舎の建設でありますとか、このような要求が郵政省から来ましたら、特段の配慮をしてほとんど認めていく、このような姿勢をとられる時期にもう来たのではないかというふうに思うわけです。  と申しますのは、これが過去のように赤字であればこういうことは申し上げませんけれども、黒字で、本当にみんなの努力で一生懸命運営をなさっている。そして、それぞれ局舎にしましても、昔と違いまして、また後ほど触れたいと思っていたわけでございますが、町づくりに適したようないろいろな局舎ができてきておりますし、またそういう中で働く職員の皆さん方は、都市部中心にしまして住宅には大変苦労なさっているわけです。そういう中で、どこにも迷惑をかけずに行うわけでございますから、そういう意味では、局舎建設でありますとか職員宿舎の建設に対します郵政省からの要求に対しては、先ほど申し上げましたようにぜひ特段の配慮で認めていく、このような姿勢を出していただきたいと思いますが、その点につきましてお尋ねしておきたいと思います。
  135. 原口恒和

    ○原口説明員 お答えいたします。  今御指摘のありました局舎等につきましては、毎年度の予算編成に当たって、郵政省の方から要求の内容、緊要性等について逐一伺った上で、その必要性の高いものについて所要額を計上しているところでございます。三年度の予算案につきましても、局舎その他施設費全体では、対前年度一九・五%増の二千六百二十二億八千六百万円となっておりまして、それなりに相当増額をしているということでございます。また、最近の業務量の増加とか、そういう事情はよく伺っておりますので、その辺は十分しんしゃくしてまいりたいと思っております。  ただ、郵政事業につきましても、黒字ではございますけれども、黒字幅というのも限られておりますので、このような施設の建設等に充てるために、やはりその財源の相当部分を借入金でもって賄わなければいけない部分も出てまいります。また、その借入金の累積額というのも六千億円くらいに達しておりますので、この辺の状況等とその整備の緊急性というものを勘案しながら、できるだけ御要望にこたえるように措置していくというのが現在の対応でございますので、よろしくお願いいたします。
  136. 山下八洲夫

    山下(八)委員 特に郵政省の場合、土地の先行取得というのが正直申しましてできないのですね。これは私の選挙区の例を出して恐縮なんですが、可児市というところがありまして、ここは名古屋の大変なベッドタウンでございまして、この十年間くらいにとにかく人口が倍くらいになってしまったのですね。現在でも多分全国の人口伸び率のベストテンの中には入っているのじゃないか。今資料を持ってませんからはっきり覚えてないのですが、局舎ができましてまだ十年たつかたたないかくらいなんです。  それで五年くらい前、これは人の不幸を喜んではいけないのですけれども、たまたま隣に弱電の電気屋さんが店を張っていまして倒産しました。どっちみち局舎はすぐ手狭になるのだから、倒産したこのチャンスに、地続きだし、角地になっていて、将来のために大変いいから買いなさいよと言って、当時東海郵政局の方にも、何とか買う方法はないのだろうかというお話を申し上げたことがあるのですが、とうとう買うことができなかった。これも第三者に買われてしまった。今は局舎が狭くて狭くて大変苦労しているわけです。  そういうことを考えますと、大蔵省お見えになっておりますので、その辺についても、今御答弁必要としませんが、ぜひ大蔵省としても土地の先行取得について、土地というのはチャンスがないとなかなか、そのチャンスを見逃してしまいますと、ビルを建てるのと違いましてなかなか取得しにくいという点がございますので、なお一層検討していただきたいと思いますし、郵政省も検討をしていただきたいと思います。  それから、ちょうどいい機会でございますから大蔵省も耳を傾けておいていただきたいと思うのですが、実は、私は八日の日に名古屋の逓信病院を視察をさせていただきました。ここで病院長さんとか事務長さんとかあるいは薬剤の責任者とかまた労働組合の委員長さんとか、いろいろな関係者からのお話も聞き、そして病院の施設も見させていただきました。  それで、ことしの一月三十一日付で人事部長さんと建築部長さんあてに、名古屋の逓信病院を建てかえていただきたいという要請、要望書が出されたと思うのです。この要請書の中身を見てまいりますと、しかも郵政省の職員の署名だけを集めまして、それも短期間で七千八百四十人もの、これは一般の方ではなくて郵政省の職員の署名で出されているわけですね。これは、出されました関係者は、全逓信労働組合の愛知地区本部の委員長さん、静岡地区本部の委員長さん、岐阜地区本部の委員長さん、三重地区本部の委員長さん、それをくくります東海地方本部の委員長さんと、東海が一つになって要望書を出された。  それで、私も率直にあそこへ行きまして見させていただきましたら、一つは個室というのがないのですね。それからもう一つは、今六人室で入院なさっているこの部屋が、普通の病院でいいますと多くても四人室ぐらいのところが六人室になっている。特に重病の方だけ二人室にして少しだけ部屋がとってある、こういう状況でございました。それから、今日的に見ますと廊下も随分狭くて、普通の廊下の三分の二ぐらいの程度しかないんじゃないかな、最近のアパートの廊下と同じような感じが率直にしたわけです。それから、全体的に狭いと思ったわけですが、階段の横あたり、医療機器なんかが、簡単に言えば倉庫がわりに置いてある。ああいうところに本当に置いていいんだろうか、あるいは消防法から見たらどうなんだろうか、そのような心配もいたしました。  それで、いろいろとお話を聞かせていただいたわけでございますけれども、そういう中で、それこそ今のあそこの名古屋の逓信病院につきましては大変評判がよろしゅうございまして、もう毎年毎年患者さんが大変伸びてきている。六十年で十五万九千七百三十八人でございましたのが、毎年毎年一万以上の患者さんがふえまして、もう平成元年度には二十万を超えてしまう、大変な伸び率であるわけです。  そういう中で、一つは逓信病院でございますから、郵政省の職員の皆さんが大体このうちの四割ぐらいだろう、あとの六割ぐらいは地域医療として地域の皆さんの医療にも携わっている。だけれども、この六割の中には郵政省のOBの皆さんもたくさんいらっしゃいますから、このOBの皆さんはどれだけこの六割の中にいらっしゃるか、これはちょっと確認はとれないというようなお話等も聞きました。  そういう中で、私は率直に申し上げまして、逓信病院が全国十四カ所あるそうでございますが、この逓信病院の皆さん方は、オール郵政省の職員の皆さん方のそれこそ命と健康を守る仕事を健康診断を初め一生懸命なさっているわけですね。その上に立ちまして、そして職員の皆さんが、また先ほどのお話ではございませんが、愛のサービスで一生懸命職員が健康で行う、それがまた住民にサービスしていく、そういうことを考えますと、私は、この逓信病院の任務というのは大変重要な任務を持っているのではないか、そのように思うわけです。  そういう中で病院長さんなんか、どうも逓信病院というのは光が一番当たりませんよ、このようなお話等もなさっていたわけでございます。まず、そういう一番皆さん方の大切な命を支える、ここに向かってもっと愛の光を与えていただきたい。そのためには私は、結論を申し上げますと、ここはなるべく早く改築した方がいいんじゃないか、そのように思いますので、その辺につきまして郵政省の考えをお聞かせいただきたいと思います。
  137. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 お答えします。  逓信病院は職員及び家族の医療、健康保持という観点から設置をされまして、地域医療にも協力するというので一般開放を進めて、地域の皆さんにこの御利用をいただいておるわけであります。  先生指摘の名古屋逓信病院は、庁舎の狭隘化といいますか、それから経年による老朽化などがありまして新築が必要であるというふうに私ども考えておりまして、今後ともその方向で取り組んでいきたいというように考えております。
  138. 山下八洲夫

    山下(八)委員 この問題はこの辺で終わらせていただきたいと思いますが、大蔵省も聞いていただいているでしょうから、ありがとうございました、もう結構でございます。  それでは、先ほど同僚の武部理事の方からも質問があったようでございますが、一月二十六日の新東京郵便局の盗難のことについて少しだけ触れさせていただきたいと思います。  私も、この、特に在日朝鮮人作家の李恢成さんの問題が新聞に記事として出まして、若干この問題につきまして心配をしたわけでございます。  まず、その心配をしまして、ざっくばらんに申し上げたいと思うわけでございますが、李さんに私も電話をしましていろいろとこの経過を聞きました。経過を聞きまして、何と申しますか、郵政省の考え方と李恢成さんの考え方にやはり違いがあったとも思いますし、あるいは話の中で、ボタンのかけ違いみたいなずれもあったというような気も率直に私はしているわけでございます。これはどちらが正しいとかどちらが悪いとか、そういうことではないと思います。電話でいろいろとお話を聞いておりますと、かなり感情的になっていらっしゃるなということも率直に言って察知をいたしました。  もちろん、冒頭、このような事故というのは好きでやっておるわけじゃないのです、最大限事故をなくすことに努力なさっていますから、この起きた事故がいいとかけしからぬと、もう今さらそういうことを申し上げても仕方がありませんから、あえてそういうことには触れたくありませんが、私は、ただここで一つ一番気になりましたのは、何といいましても、郵便法でいきますと李さんの場合は一万円の補償しかできない、それが郵政省の本省で、あるいは関東郵政局でいろいろ何回もお話し合いをしているうちに、だんだんと五十万になり百万になる、そしてこれを公表しないでいただきたい、このようなところが一番のこの事件の大きな問題点ではないかと私は思うわけです。あくまでもやはり法に乗っかって、きちっと一万円なら一万円、そして、仮にその一万円ということで問題解決しなきゃしないでオープンに解決をしていく、このことが大切だったと思うわけです。  ですから私は、この問題につきましては、いろいろと苦労されて、そのような原稿ですから、なかなか価値というのは難しいと思うわけです。また自分で苦労されて、二週間ですか、かかって、大体同じようなものを書かれたりされているわけですから、補償問題というのは大変精神的、慰謝料的なものになってきまして難しい問題があろうと思うわけですが、何といいましても私は、せっかく皆さん方も努力なさっている、だけれども、ああいう新聞記事が出ることが、全体の郵政職員に不信感を与える、あるいは全体の国民に対して、せっかく現場のそれぞれの職員の皆さんが努力しているのに不信感を与える、ここが一番心配の種であったわけです。  ですから、こういう問題、なぜこのような、一万円が五十万、百万になったのか、その辺について簡潔に教えていただきたいと思いますし、それがまた白紙に戻しましたということは、なぜ白紙に戻してしまったのか、その辺を教えていただきたいと思います。
  139. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答え申し上げます。  まず、今回の事件を通じまして反省点の一つは、長く定着していただけに、また信頼を受けていただけに、この書留郵便物の損害賠償制度が、かえって信頼の裏返しとして周知の徹底について最近怠っていた点があるということで、この点改めて周知徹底しているわけでございます。  それから、私どものこの損害賠償制度につきましての方針は終始変わっておりませんでして、現行法令制度の枠内できちんと処理するということで臨んできているつもりでございます。恐らく現地等のやりとりで、原稿料の換算その他のいろいろなやりとりの中でそういう話が出たことと思いますが、私どもとしては終始、現行法の運用についての考え方は変わっていないつもりでございます。ただ、時代の変化に即応しまして現行制度を見詰め直す必要は常にありますから、そういった点はまた別として、今検討を始めているところでございます。
  140. 山下八洲夫

    山下(八)委員 現行制度の見直し、午前中にもそのような答弁がございましたが、ぜひ見直しをしていただきまして、あのようなことが二度と起きないように、とにかく、盗難よりああいう問題というのはまた違った意味で信頼を失いますので、ぜひそのようなことがないようにしていただきたい。常にガラス張りになる、このような状況をつくり出していただきたいということを要望しておきたいと思います。  それでは、本論でございます高度利用のことにつきまして若干お尋ねをさせていただきます。  特に、理由の中に、国公有地の有効な利用、活用が強く求められているわけでございますし、また郵便局の多くは市街地の中心部、一等地と言った方がいいと思いますが、にありながら比較的低層建物になっておりまして、そういう中から簡易保険福祉事業団郵便局の用に供する土地高度利用のための業務を行わせるとともに、郵政事業経営基盤強化に資する措置を講ずるということで、この法律が出されております。  私も率直に申し上げまして、この法律案につきましては賛成でございます。いい法律であると思うわけです。特に日本の国土は狭いわけですし、また都市部が集中しておりますから、なお有効利用していただく、大変すばらしいことだと思います。ただ、一方では、何といいましても国有財産でございますから、その点の兼ね合いもあろうかと思うわけですが、この法案の第二条に、簡易保険福祉事業団合築を行う場合「郵政業務との調和を確保する」とありますが、この意味がもう一つちょっとわからないものですから、それを一点お尋ねしたいと思います。  時間がなくなるといけませんから、ちょっと早目に進めていきたいと思います。  それから、これまでに、過去と言った方がいいですかね、これまでに郵便局地方公共団体なんかとの合築例があるのかないのか、その辺もわかりましたら教えていただきたいと思います。
  141. 小野沢知之

    小野沢政府委員 第一のお尋ねの点についてお答えいたします。  土地高度利用業務におきまして、現在及び将来にわたって郵便局業務に支障が生じないようにすることが必要でございますが、それを確保するために、本法案第二条三項におきまして、「郵政業務との調和を確保するための基準として郵政省令で定める基準に従って行わなければならない。」と規定して、将来の郵便物数の増加に対応して郵便局舎の拡張が必要となった場合に、建物郵便局舎に円滑かつ確実に転用できるようにすることなど、現在及び将来にわたって郵便局業務に支障がないようにすることとしているわけですが、それを法律的に書いてみますと、関係者一同工夫した結果、内閣法制局とも相談した結果、こういうふうになったということでございます。  なお、先ほど申し上げました郵政省令で定める内容でございますが、具体的に申し上げますと主なものが三点ございまして、一つが、郵便局の直近階を会議場の用に供する施設その他郵便局の庁舎への転用が容易に行われるものとすること。第二点が、郵便局の直近階の階高を高くすること。第三点が、郵便局上層部建物の管理に関し、管理規程を定めること。こういったものを予定しております。
  142. 戸田道男

    ○戸田説明員 郵便局地方公共団体の施設との合築の例は、福島県の保原町の体育館と保原郵便局とを合築した例がございます。
  143. 山下八洲夫

    山下(八)委員 一件だけですね。そうしますと、この問題で若干触れていきたいと思うのですが、今回の法律案に基づいていきますと、簡易保険福祉事業団が建設をします事務所ビルの対象地域は、私が個人的に判断しますと、オフィス事情が特に大都市は足りない、そういうところからの発想もあるのではないかなと思うわけです。そういうことを考えますと、東京でありますとか大阪でありますとかあるいは名古屋、このようなかなりの大都市にオフィスビルとしては限られてくるのではないかなというふうに判断するわけです。  私は岐阜県の出身でございますから、岐阜の中央郵便局というのは駅から本当に近いところにあるわけです。あれがたしか四階建てくらいだと思うわけですが、あの上に仮にオフィスビルをでんと建てましても、私は、今の県都岐阜市のあの駅から歩いて十分もかからないようなところでも、テナントで入る方がいらっしゃるだろうかと思うと、正直言って疑問を感ずるのです。きっとまだそこまで需要はないだろうということも一方では感じます。  そういう中でいきますと、大都市部におきましてはこのようなオフィスビルということも需要関係から可能であろうと思いますが、もう一方、ある程度地方へ行きますとなかなかそれは難しいだろう。そういたしますと、今一例あったようでございますが現行法でもできるわけでございますから、今度の土地高度利用のこの法律が成立しますともっともっとその環境はよくなってくると思うわけです。そのことを考えますと、地方都市と言っては言葉は悪いようでございますが、なるべく公共団体等との合築ということも私はいいのではないか。そういう立場からも、事務所ビルの方ばかり力を入れるのではなくて、もう一方はやはり地方公共団体等の各種施設との合築、このこともぜひ前向きに検討をしていただきたいと思いますが、その辺の考え方はいかがでしょうか。
  144. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生指摘地方自治体との公共施設としての合築の問題でございますが、これは郵政というものが持っております今日までの歴史的な流れも含めまして、地域振興等の観点から極めて私は重要な課題である。言葉をかえますればまた前向きで検討をしたいと思っておるわけでございますが、ただ、合築をいたしました場合に、今後何十年先におきまして円滑な業務の運営を行うために、また郵便局自体を大きくしたいというようなときに、さて契約の時点でどのような対策がとれるであろうかというようなことも検討をしていかなければならないと思うわけでございますが、私は、そういうようなことを凌駕していくことができれば前向きで検討したいと思っております。
  145. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それから、郵便局を新改築するときには、多分これからは都市部普通局等におきましては特に高度利用する場合が多くなってくると思うわけです、せっかくの法律でございますから。その辺につきましては当然郵政省もお考えだろうと思いますが、大切なことは何といいましてもそこの地域社会の健全な発展に寄与することが大事でございますし、あるいはまた周辺の環境とマッチする、このようなこともやはり大事だと思います。また同時に、都市の再開発、仮に今高度利用しようという計画がなくても、あるいは自治体等で都市の再開発等がありましたら、そういう中にある面では積極的に組み込んで、そして公共的なプロジェクトなどと一緒にやっていくということも大変大事だと思うわけです。  私はそのような立場から一方は進めていくべきだと思いますし、また当然お考えだと思いますから一方で安心もしているわけでございますが、同時に、これから若干話がちょっぴり横へ行くわけでございますけれども、あの車庫法が昨年の夏ですか成立をしまして、今駐車場問題というのは大変な問題になってきているわけです。当然、高度利用いたしますと上の方に今度は民間企業なんかのオフィスビルが入られる、それから郵政省の分、それぞれ車がより一層集まってくると思うわけです。そういう中で駐車場確保というのも大変大きなウエートを持って力を入れてこの際確保していくべきだというふうに思うわけです。最近は、地下でも一々運転手が入れるんじゃなくて、少しでも密度を高く利用するために機械で入れるようになっていますし、それから立体でも上へどんどんたくさん利用できる、このような形になってきておりますから、ぜひそのようなものも力を入れて組み込みながら取り組んでいくというふうに考えるべきですが、その二点につきまして、あえて申し上げなくたって当然のことでございますから、わかり切った話だろうと思いますが、決意をお願いしたいと思います。
  146. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘のありました二点、私どもがこの法律を実現した暁に留意していく場合の最重点の留意事項に数えているうちの二つでございます。  一つは、やはり私ども郵政省がいろいろな経験をしまして施策を展開していく場合に、地元の方々、地方公共団体との連携、この辺を抜きにしては立派な計画も立てられないし、推進できないということを身にしみて感じておりまして、そういう意味で、本件実施に当たっても市町村の都市開発計画との調和とか、そういったことに配意していきたいと思っております。  それから第二点ですが、駐車場需要への対応ということが時代の進展とともにこれからますます配意すべき点になるだろう、常識になっているだろうというふうに考えておりまして、本件高度利用では、簡保事業団郵便局上層部事務所、会議場等の施設を設けまして事業所用ビルの建設、管理を行うわけでございますが、駅前とか繁華街等の商業地に立地することを予定しておりますから、恐らく利用者も相当に上るであろう、またしたがって駐車場需要も生じることが考えられるということで、このため同事業団は、事業所用ビルの建設に当たっては駐車場の規模、位置などについて、郵便局業務に支障のないように配意しつつも、予想される駐車場需要に十分こたえるよう、先生指摘の点を十分踏まえて対処したいというふうに考えております。
  147. 山下八洲夫

    山下(八)委員 時間がありませんのでちょっと飛びまして、職員住宅のことで若干お尋ねしておきたいと思います。  郵政省からいただいた資料によりますと、東京の赤坂郵便局のように郵便局上層部に職員宿舎を建てまして利用している例があるわけでございますが、一つは、これまでどのような考え方で職員宿舎建築については考えて進めてみえたのか。その辺をひとまずお尋ねしておきたいと思います。
  148. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 お答えいたします。  職員宿舎は、事業運営上大切な施設であるというふうに考えておりまして、私ども、現在宿舎が不足しておりますので、この解消に向けまして積極的に計画的に取り組んでいるところでございます。特に、大都市圏については重点的に整備していきたいというふうに考えております。先生御案内のとおり、大都市圏においては地価が高騰しておりますので、宿舎用地の取得というのは困難であるというような状況にありますので、既設の老朽宿舎の建てかえによる高層化一つ進めております。それから、郵便局舎との合築などを行って積極的に宿舎の不足解消に努めているような次第であります。今後とも努力していきたいというふうに考えております。
  149. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今のお話のとおり、特に東京のようなところは職員住宅というのは入居の希望者もきっと多いと思いますし、そういう中で大変な不足をしているというのが率直なところだと思います。また一方では、家族用の職員宿舎だけではなくて独身寮にいたしましても相当やはり足りないんではないか。これは昨今、量だけでなくて質も相当求められていますから、昔のように独身寮に二人入居ということは今日では不可能でございますでしょうし、そういうことを考えますと、何といいましても質の問題というのはかなりまた比重が高くなってきておると思うわけです。  そういう中で、私は気持ち的に言いまして、こんなぜいたく言えるかとおっしゃるかもわかりませんが、独身寮につきましては、集合住宅で例えば百世帯あるあるいは二百世帯ある、これは割といいと思うのです。だが現実に家族の一緒に住みますあの職員住宅、今日的判断から申しますと、ここに五十世帯入っている、この職員住宅は百世帯入っている、そうしますと、家族もいらっしゃいますから、奥さん同士も友達になるわ、子供同士も友達になるわ、今度は勉強で競争になるわ、今度はけんかをするわ、プライバシーは余りない。職場から住宅に戻っても、うちの隣は課長さんがいるわ、うちの隣は部長さんがいるわ、なかなか窮屈な思いを奥さんはされる。ある面では、住宅難でそんなことは飛び越えて我慢をしろよというようなこともあろうかと思いますけれども、私はそのプライバシー問題で、割と質のいいのをつくりましても、利用される職員の皆さんはだんだんとそういう傾向が強くなってくるんじゃないかと思うのです。  そのことを考えますと、先ほど高層化というお話があったわけですが、高層化をやりましたら、あるいは家族用とあるいは独身用とミックスしてバランスがとれて皆さんが楽しく住みやすい、このような環境の職員住宅の建設が大事だと思うんですけれども、今高層化というのはそのような判断のもとで行われているのでしょうか。
  150. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 お答えします。  今、大都市圏では宿舎が不足しておりますので、まずそれを解消していかなければならぬなあというふうに考えております。それから、先生指摘のとおり宿舎の狭いところもありますし、大分古くなったところもありますので、そういった質の面の改善というものもしていかなければならないわけであります。土地が広ければいいわけですけれども、そういうところを大都市で見つけるというのはまた大変なことでありますので、宿舎不足の解消とか、ミックスしたもの、以前世帯用を下にして独身宿舎を最上階にしたというようなところもございます。いろいろと参考にしながら考えてまいりたいというふうに考えております。
  151. 山下八洲夫

    山下(八)委員 大臣、ちょっとお願いがあるんですけれども、せっかくこの土地高度利用、これでオフィスビルが、特に二十三区あたりですと、大体二十三区で集配普通局郵便局で二十六ありまして、比較的、四階以下の低層といいますと六六%ぐらいでございますね。その中で一部職員住宅に使っているところがありますけれども、かなりのところは低層局舎でございます。多分二十三区内ですから、これは大体東京の事情からいきますと、オフィスビルを建てましてもすぐテナントとして入る希望者は多数いらっしゃるんではないか、素人考えでもそのように思うわけです、さっきの岐阜の例と違いまして。  その場合、東京の二十三区というのはすべて人口は毎年毎年減少しているんですね。都市の中の過疎化になっているのです。この国会のあります千代田区は、夜間人口、住民登録者数は多分五万人を大きく割ったと思うのです。そんなに小さくなっているんですね。だから千代田区長さんにいたしましても港区長さんにいたしましても、いかに自分のところの居住をされる住民を確保するかというのはいろいろと苦労をなさっていらっしゃるんですね。特にビルを建設しますと、その上に住宅を確保してほしい、かなり要望もなさっているわけです。そのことを考えますと、私は二十三区とは限りませんけれども、いろいろこのようなオフィスビルを建築をした場合、その最上階には必ずある程度質のいい家族用の職員住宅を確保していく、このことは大変いいことではないかなというふうに思うのです。  それは何かといいますと、一つは、この二十三区のうち、人口が減少するところにおきますと、区長さんを初めその区に大変協力をするわけでございますし、そこでまた一定の住民が確保される。また、先ほど申し上げましたとおり最上階だけ一階を職員住宅にする、あるいは家族用のにする。ただ、二十も五十も百もつくれないですよね。多分その大きさによるでしょうけれども、多くても十世帯か二十世帯、そういう小規模になってくると思うのです。そうしますと、プライバシーの問題なんかもかなり守られていく、そのようなことも考えられると思うのです。  そのことを考えますと、この高度利用をされた場合、必ず最上階は郵政省の職員住宅を確保する、このことを組み込むべきだ。そうしますと、一石二鳥とか一石三鳥ぐらい、将来どんどんいい場所に職員住宅もじわじわと確保できるというふうに私は思いますが、それにつきまして大臣の考え方はいかがでしょうか。
  152. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 御指摘のことでございますが、郵便局舎の最上階を職員宿舎として利用するというようなことも職員宿舎不足の解消の施策としての一つであるということは私も理解をすることができます。そういうようなことを頭に置きながら、周辺地域の状況あるいは郵便局舎としての必要面積であるとか、当該地域におけるその住宅の必要性の強弱等々、そういうような環境をチェックをいたしまして検討する必要はあるだろう、そのように認識をいたします。
  153. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今御答弁いただきまして、私自身もほっとしたところでございます。また、冒頭申し上げましたとおり、この高度利用というのは大変いい法律案だと私は思いますし、せっかくこの法律案が実行されていく、その場合には大成功をおさめていただきたいと思います。また、この法律が通ったからには、全国一斉にわあっとあちこち高度利用されるわけではございませんし、一年に一つずつどこかで高層ビルを建設するといっても大変な作業でございますから、一方では息の長い大事な法律であり、また郵政省にとっても大事業であると思うわけでございます。それだけにみんなで大切に育てていかなくてはいけないだろうというふうに判断いたしております。  その上に立ちまして今、最上階に職員住宅をということを申し上げたわけでございますが、特に何といいましても、もうたびたびいろいろなところでも出ていますとおり、都市部になればなるほどもう個人では住宅を確保するということができないわけでございますから、そのことを考えますと、このような形で少しでも職員住宅を確保すれば、都市部でも住宅を確保できて安心して働くことができる、働いていらっしゃると安心して家族はそこから学校にも通うことができる、このような環境づくりがなお一層必要になってくると思うわけです。そういう意味で、そのようなことを踏まえながらこの事業をぜひ成功させていただきますことをお願いしまして、ちょっと時間が五分ぐらい余っておりますが、新しいのに入りますと今度は足りなくなりますので、五分余らせて終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  154. 松浦昭

    ○松浦(昭)委員長代理 次に、鳥居一雄君。
  155. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 郵便局土地高度利用法案につきまして御質問を申し上げたいと思います。  法案を前提にいたしまして有識者の調査研究会が行われたようでありますけれども、この調査研究会で郵便局土地高度利用のための手法として三つ例示をされていたと思います。今回この法案を作成するに当たりまして、この三つのうちなぜこの方式に絞られたのか、そのあたりを御説明いただきたいと思います。
  156. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  昨年の六月に東京大学の塩野教授を座長とする調査研究会を設けまして、昨年十月三十日に報告書をいただいたわけですが、その報告書では、郵便局土地高度利用を積極的に推進すべきであること、郵便局上層部活用して建設する建物の用途について広く一般用としての利用の道を開くことが適当だという御指摘を受けたわけですが、その際に、新たな手法によってその実現が可能となるよう手法の選択肢を広げるべきだという御提言をいただきました。  そこで、今御指摘にありましたように三つの方式がその中で選ばれて提言されたわけですが、一つが、全額地代定期借地型合築方式ということでございまして、これは土地の貸付契約時に借地権利金を授受しないかわりに、地代を通常よりも高く設定して土地を貸し付け、郵便局郵便局と一体となる建物区分して所有し、借地期間終了後は借地権を無償で返還するという方式でございます。  それから第二の方式といたしまして、事業受託方式でございますが、郵便局と一体となる建物の建築の企画、設計、施工監理、テナント募集等の個別契約を一括して委託契約するという方式でございます。  第三番目の方式が、郵便局土地の一部を普通財産化し、その部分の土地を信託して民間等と郵便局との区分所有建物を建築する郵便局区分所有型土地信託方式、この三つが提言されたわけでございますが、なお、その際に指摘事項がございまして、今申し上げたうちの全額地代定期借地型合築方式と事業受託方式につきましては、特殊法人が国にかわって土地高度利用業務を行うことについてもこれは有効だという御指摘を受けております。  そこで、御審議を受けておりますこの法律案で用いております手法は、さっき申し上げましたうちの全額地代定期借地型合築方式の考え方に即しているわけでございます。すなわち、現在及び将来にわたって郵便局業務に支障を及ぼさないことを確保しながら、郵便局上層部建物を広く一般の事務所等の用に供するため、特殊法人である簡保事業団郵便局土地高度利用のための業務を行わせ、郵政省は、同事業団への土地の賃貸借契約に当たってはこうした方式をとることとしたということでございまして、これによりまして、権利金の授受を通じて地価を顕在化させ周囲の土地取引に悪影響を及ぼすこと等を避けられるということで、三手法を比較考量した上で、いろいろな点から見てこれが最も好ましいだろうということで、選択肢のうちの一つとしてこれを採用した、こういうことでございます。
  157. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 高度利用のあり方につきまして種々検討したその背景は、いわゆる国有地、公有地の有効活用をぜひすべきだという社会経済の要請、こういうのが背景にあって、そして郵便局用地高度利用にということだったと思うのですね。それで第二の方式、第三の方式、これは調査研究会では(注1)、(注2)、(注3)と、こうあるわけですけれども、この事業受託方式なり郵便局区分所有型土地信託方式、これは選択肢を持つ必要性、あるいは局によってはケース・バイ・ケースで対応する、そういう意味で(注1)、(注2)、(注3)があったんだろうと思うのですけれども、相当、この国有地の管理という意味からいって制約された形で、高度利用は確かに高度利用かもしれないけれども、いわゆる民間活力というのを活用し切れる形の高度利用ではちょっとないんじゃないか、こう思えてならないのですけれども、この事業受託方式、だめですか、あるいは(注3)方式、だめですか。
  158. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  昨年の今ごろの状況を想起いたしますと、全くこうした国有地郵便局用地高度利用ということは制度的にできなかったわけですが、そういう意味で、いよいよ各界の御支持を得ながら突破口を開いたということで、これが活路になって、ヒントになって、また選択肢はいろいろ工夫が生まれてくると思います。  そういう役目を果たしたいというふうに考えておりますが、今具体的にお尋ねの事業受託方式につきましてですが、これをいろいろ検討したのですが、郵政省が事業所用ビルを郵便局舎と一体的に建設、管理することを前提として民間に一括して委託するものですけれども、国みずからが事業所用ビルの建設、管理を行うことにつきましては、国の従来の事務の範囲を超えるものであるということのほか、国の会計手続との関係等についてなお整理する必要があるということで、これに相当時間がかかってしまいますから、そういうことで当面これをとらなかった、こういうことでございます。
  159. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、例えばテナントとして、御説明によると、かなり地方公共団体というような公共性を大事にするんだ、こういう前提での法案だと思うのですね。  それで、合築の話が先ほどありました。端的に伺いますが、これは、事業団が計画をし、事業団が建設主体で建設した後、でき上がったスペースをこの指とまれ方式に公募をする形、要するに、これは極めて狭い活用の仕方だと思うのですね。もう一つは、非常に広い活用の仕方というのは、合築をしようという段階で、設計の段階で、こういう使い方をしたいという民間かあるいはそれよりも優先順位の高い公共団体か、それが計画に加わってくる、合築の一部資本を投下する、こういう道はあるんでしょうか。
  160. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  私がいろいろな案を考えたり、いろいろ折衝した中で一番心がけた点は、本件につきましては、基本は郵便局機能を失ってはいけない、やはり郵便事業中心として郵政事業を行うために郵便局舎があるんだ、そこを損なわない範囲内でできる限りいろいろなお役に立てないかということで判断いたしたものでございますから、そういう意味で、当初から計画する合築方式とまた少し性格が違うということで、そういう難しい中をかいくぐりながらこういう手法を編み出した、こういうことでございます。
  161. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、例えばNHKが放送会館を今、名古屋で建設中ですね。これは民間のプロジェクトを計画段階で加え、そして毎年地代が入り、建設勘定をつくって、そこへこの地上権がどんと入った形になるわけですね。これは極めてオープンな形の入り方だと思うわけです。  今、御説明を総合して判断するところによると、簡易保険事業団が建物の計画をし、スペースを確保し、そして将来に向けて、郵便事業が困るようなことがあってはなりませんから、ある程度の見通しを持って将来拡大ができるスペースは確保しておく、なおかつ、余る部分について、これを民間のテナントあるいは地方公共団体に向けてスペースを開放する、こんなふうに極めて制約されてくるわけですけれども、そんなところが限度なんでしょうか。
  162. 小野沢知之

    小野沢政府委員 具体的な御質問ですから具体的にお答えいたしますと、まずNHKですが、民間ということで、これを国有財産法上できないということになっていますので、国有財産法上の体系の中で許される範囲でできるだけ有効活用を図る、高度利用を図る、こういうことでございます。  なお、こういったシステムを改正しまして運用しますと、いろいろな御意見、いろいろなケースがどんどん頭の中へ入ってくると思いますが、そういったことを踏まえて、なお運用上いろいろな問題を検討していきたいというように考えております。
  163. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 簡易保険事業団が郵便局の上に建設する建物の用途につきまして、二条でありますが、「事務所、会議場等の施設」、こう規定されておりまして、あとの細目事項については政令にゆだねると。この「等」という意味なんですけれども、事務所、会議場、このほかに今お考えになっていることはどういうことでしょうか。
  164. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  事務所、会議場以外に対象となる施設としては、例えば駐車場それから店舗が考えられます。これらは、ビルの機能性を高めるために、一般の事業所用ビルの例のように、その一部が入居者、来訪者用の駐車場や食堂、喫茶店等の店舗として利用されることが必要であるというふうに考えて、そうお答えしたわけです。  そのほかの施設につきましては、郵便局の用途とか目的を妨げないことや事務所、会議場としての建物構造、規格に変更を及ぼさないことを条件として、これからいろいろ御要望のあった案件について個別具体的に検討していきたいと思います。
  165. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 局舎高度利用、これはもう大変結構な時代の流れに沿う今回の法律整備だと思うのです。しかし一方においては、将来にわたって郵政事業に支障を来さないようにしなければならないという要請がありますが、この点について大臣の基本的なお考えを伺っておきたいと思います。
  166. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 今回の場合、将来にわたってその郵便局業務に支障を生じないということを一番私は大切に考えていかなければならないと思っておるわけでございまして、そういうようなことにおきまして、郵便局業務に支障を生じないような法的措置を行っているところでございまして、一つが、郵政大臣が監督する特殊法人である簡易保険福祉事業団郵便局土地高度利用業務実施をするということ、二つが、簡易保険福祉事業団は、郵政業務との調和を確保するために郵政省令で定める基準に従って業務実施をするというふうにきちっとやっておりまして、その先生の御心配のことが起こることは絶対ないように対処をしてまいります。
  167. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、郵政職員の皆さんの勤務時間短縮問題について伺ってまいりたいと思います。  昭和六十三年の四月に労働基準法が改正されまして、当分の間は週四十六時間、しかし週四十時間制を目標にして整備をするということになりました。  郵政職員の勤務時間につきましては、給与の決定と同じように、勤務条件その他の事情を勘案いたしまして労使間の団体交渉で決めるんだ、こういう前提になっておりますが、一方におきましては、昨年の八月七日、人事院におきまして、週四十時間勤務制の試行を早期に実施する必要があると。なお、閣議におきましては、従来からの時短という目標については現行の予算、定員の範囲内で実施するんだ、こんな了解のもとで今鋭意進められているわけですけれども、郵政省の郵政事業の中で四週六休、また一週四十時間、これを目標として進めていらっしゃると思うのですが、現状はどうなっておるのか。事実上四週七休までいっているように伺っておりますが、現状いかがでしょうか。
  168. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 お答えいたします。  私どもも勤務時間の短縮とか週休二日制につきましては時代の趨勢であるというふうに認識しております。そういう方向で努力をしております。現在、基本的には一週四十二時間、四週六休制の週休二日制を実施しておりますが、平成元年二月に貯金・保険の窓口業務の休止を行いました。これに伴いまして平成三年一月から、貯金・保険関係の現業職員でございますが、こういう職員については一週四十時間、四週八休制を試行しております。
  169. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 人事院では、まず公務員が完全週休二日制を早期に実現すべきである、そして週四十時間勤務制に移行をした場合における問題点の把握と対応策の検討を実地に即して行うため、四月から逐次試行を実施に移しているんだ、こうありますね。郵政省の現場として、試行はどういうふうに今進んでおりますか。
  170. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 ただいま申し上げましたように、一般会計の交代制勤務、監視員とかそういうところは四十時間制で試行しております。また、特会の方の監視員等についてもそういうふうな形になっておりますが、郵便局の職員につきましては先ほど申し上げましたように一週四十二時間、四週六休制を基本にしておりまして、貯金・保険関係は一週四十時間、四週八休制を試行しております。したがいまして、四十二時間制をとっているのは郵便関係の職員あるいは共通部門の職員、こういうふうな形に相なっております。
  171. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、いわゆる指摘郵便関係普通局の共通・郵便、集配特定局、この時短というのが課題だろうと思うのですが、またそれぞれの事情が違うだろうと思うのですけれども、今後の時短の進め方、どんな工夫を考えていらっしゃるのでしょうか。
  172. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 お答えします。  普通局の共通とかあるいは郵便、集配特定局の時短の問題でありますが、いずれもこれは郵便事業における事情と関連をしておりまして、郵便物が増加しているわけでありますが、サービスの維持改善というものをやっていかなければならない。一方では、完全週休二日制を実施していくためには、交代制勤務というので土曜、日曜日もサービスを提供しておりますので、この郵便事業でどういう形でサービスを提供していくかというようなことが一つございます。  それからその問題、当然のことなんですが、要員問題が最大の課題でございます。今後、業務処理システムの見直しだとか、集配特定局の内務外務の相互応援の問題だとか、作業の機械化等の効率化施策を一層積極的に進める中で、郵便事業財政の健全性というものも考えていかなければならないわけでありますし、そういうものにも配慮しながら週休二日制の実現に向けて努力してまいりたいと考えております。  それから非現部門の時短でございますが、これらについては、勤務の形態あるいは勤務の内容等が一般の国家公務員とほぼ同一の事情にあるというようなこともありますので、一般の国家公務員の時短と同様な考え方により推進していく必要があるだろうというように考えております。
  173. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 時短問題につきましては、労働組合の方の立場で非常に前向きに今取り組もうとされているわけでありますが、郵政省の立場としてどんなスタンスで労使間の話し合いに臨むのか、基本的な考え方をお聞かせいただきたい。
  174. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 時短をするに当たっては、職員の勤務条件の改善という側面があるわけであります。一方、ただいま詳しく申し上げましたように、国民へのサービスのあり方というものが一つありまして、それから将来の財政事情というものもございますし、要員の見通しというものもございますので、そういう点から検討する必要があるだろうというように考えております。早期に実現するよう今後努力してまいりたいと思います。労働組合との関係においても、こうした考え方に基づいて十分話し合って、それから組合の理解と協力を得るような、そういう努力をしていきたいというふうに考えております。
  175. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それから、人事院の指摘では年次休暇の完全消化、それからもう一つは夏季休暇、これを強く推進したい、こう言っているわけですが、郵政の現場ではいかがですか。
  176. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 お答えします。  今郵便局では、年休は大体十七、八日ぐらいとっているかなというように思っております、二十日でございますが。
  177. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 労働時間、年間労働時間あるいは今目標にしている週四十時間労働時間、これは諸外国ではどんなような郵政の状況になっているでしょうか。郵政事業に関して、民営であるところ、さまざまな状況だろうと思うのですけれども、郵政省どういうようにつかまれていますか。
  178. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 お答えします。  諸外国におきます郵政職員の勤務時間については、各国の事情、経営形態とかそういう違いがございます。勤務時間の制度とか形態も一様ではないというように思いますが、そういう意味で厳密な比較は困難かと思います。ただ、各国の現状として承知しているものについて申し上げたいと思います。  アメリカでございますが、一週四十時間、四週八休制。それからイギリスでありますが、一週四十一・五時間、四週六休制。フランスでございますが、一週三十七時間、四週八休制。それからドイツでありますが、一週三十九時間、四週四休制。こういうふうに承知しております。
  179. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 経済摩擦、こういう深刻な事態を考えましたとき、ヨーロッパにしろアメリカにしろ、日本に対する労働時間の、年間労働時間二千百数十時間であるとか、こんなような指摘のされ方をして久しいわけです。公務の中で率先をして週四十時間制の確立を図っていく、これはもう極めて大事な側面だろうと思うんです。取り組むお考えを大臣に伺っておきたいと思います。
  180. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生指摘のように、やはりいい環境でもって意欲を持って働くということが理想でありますから、四十時間体制に向かって努力をしていきたいと思います。
  181. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、平成三年度の郵便関係予算案の重要施策というのがありますけれども、重点目標を見ますと、大都市から辺地まで幅広く地域振興というのに力点を置きまして努力をされようとしております。どういう考え方で臨まれているのか、まず伺いたいと思います。
  182. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  平成二年度と平成三年度の郵便関係予算案の作成に責任者としてかかわったわけでございますが、その最大の柱として地域社会の振興への寄与ということを掲げました。そこに根っこがあるわけでございますが、多極分散型国土の形成と豊かで魅力ある地域社会の実現は我が国の重要な政策課題であり、また強い社会的な要請となっているわけですが、そのために特定の地域に偏ることなく、それぞれの地域で社会経済の急激な変化に適切に対応した活力と魅力のあふれた地域社会づくりを推進することが必要だと考えたわけです。  特に郵便事業について申し上げますと、ことしが明治四年の創業以来百二十年の記念の年に当たるわけですが、この長い間、全国郵便局ネットワーク活用して利用者国民の日常生活に必要不可欠なサービスを提供してきた。このことは今申し上げた国の政策課題である均衡ある国土づくりに最も合致する実績を持っている仕事だというふうに考えております。  そのような観点から、平成三年度の郵便関係予算の要求に当たりましては、郵便局中心郵政事業の根幹、郵政行政の基本である郵便事業地域社会の振興へ貢献するとともに、郵便事業の運営基盤を整備充実し、郵便局を国民にとって安心のよりどころとなるようにするという基本認識に立脚いたしまして、全国二万四千の郵便局ネットワークを最大限活用して、辺地から大都市までを視野に入れた地域社会の振興のために、郵便事業が果たすべきすべての課題を実現しようという決意で諸施策を掲げ、そのすべての項目について一定の決着あるいは見通しを得たということでございます。
  183. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 愛のある郵便サービス、この充実を図ろうということで、郵便配達のときに高齢者に励ましの声をかけるんだ、あるいは点字の読める職員を養成していこう、こういうねらいで郵政事業がその事業を進めていく上で社会福祉に貢献できるようにしていこう、非常に結構なことだと思うのです。もし新年度予算平成三年度予算が成立したとすれば、この愛のある郵便サービスとしてこういう事業をやりたいという内容について御説明いただきたいと思います。
  184. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  平成三年度の予算要求におきまして、愛のある郵便サービスの充実ということを重要施策項目の一つに掲げました。それは今先生の御指摘になりましたように、こういった社会福祉政策的な視点に立つということがあらゆる行政施策を通じて必要なことだという判断に立ったわけでございます。  そこで、具体的にどういうことが政府案に盛り込まれたかということですが、幾つか例を申し上げますと、一つが今お話のありました郵便配達時における高齢者に励ましの声かけということで、過疎地域にある全国千百四十三の市町村のひとり暮らしの高齢者に郵便局の職員が郵便物を配達する際に「郵便です」といったような言葉をつけ加え励ましの声かけを行う。具体的には、その推進のために手引書を調製して関係職員に配付することといたしております。  次に、点字が読める職員の養成ということですが、体の不自由な人の立場はよくわかりますので、目の不自由な方が気楽に郵便局を利用していただけるように、全国の普通郵便局職員のうち千三百人を対象といたしまして、点字が読める職員を養成するための講習会を開催いたします。  次に三番目ですが、お年寄りあての郵便はがき、名称を「はあとめーる」とつけましたが、これを発行するということで、心と心を結ぶ手紙を通じてお年寄りが喜びを感じ生きがいのある生活を送っていただくために、ことしの九月上旬に、今工夫しておりますが、特別な意匠による料額印面の四十一円の郵便はがき「はあとめーる」を約一千万枚発行いたしまして、敬老の日九月十五日を中心として子供さんたちからお年寄りへ励ましの手紙を書く運動を展開する考えでございます。  それから次ですが、郵便ポスト及び郵便切手・はがき発売機への点字表示ということでございまして、目の不自由な方が郵便を利用しやすくするために、全国約十七万本の郵便ポストの取集時刻表示板に取集時刻を点字表示したテープを、またそれから、現在点字表示をしていない全国約五百台の郵便切手・はがき発売機の操作面に現金投入口、販売品目、購入枚数を点字表示したテープを張る予定でございます。  それから今度は、世界的にもそういったことをアピールしたいということで、社会福祉の増進を寄附目的とする寄附金つき郵便切手を発行いたします。具体的にはことしの七月上旬、東京で第十一回の世界ろう者会議が開催されますが、その際に十円の寄附金を加算した料額六十二円の寄附金つき郵便切手を発行いたします。  それから、例示の最後にいたしますが、郵便局と社会福祉施設との合築に関する調査研究をがっちりと進めて本格的な実施に備えたいというふうに考えております。  これらの施策につきましては、予算が成立後速やかに実施し、社会福祉の増進に寄与したい、こういうように考えております。
  185. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ふるさと情報提供サービス、これは最近における一つの傾向としてふるさと志向というのがあるわけですけれども、郵政事業の中で地域社会の振興策としてどういうふうにとらえて進められますか。
  186. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  ふるさと情報提供サービスと申しますのは、郵便局が市町村や地元団体との連携をとりながら、ふるさとを離れて生活する人々、都会に生まれ育ちましたけれども第二のふるさとを求めていらっしゃる方々などに、ふるさとのニュースとか物産とか観光、イベント情報等を盛り込んだ情報誌を郵便を利用して定期的に提供するという施策でございまして、ふるさととその出身者などとの交流を促進して地域の振興に寄与するとともに、ふるさととの触れ合いを求めている人々へのニーズにこたえよう、こういう施策でございます。このサービスですが、初年度である平成三年度におきましては全国二十市町村で実施する計画で、その後逐次発展させていくつもりでございます。  そういう観点からいろいろな施策を講じているわけですが、そのほかに例えば、全国の過疎地域千百四十三市町村のうち、ふるさと小包がまだ未開拓である三百五十六市町村を対象といたしまして、ふるさと小包開拓市町村というものを九十市町村程度指定し、地方公共団体等と連携しながらふるさと小包開拓協議会を設置し、ふるさと小包の開拓により地場産業の振興に寄与する施策であるということで、今この辺を周知しておりますが、早くも非常に好評を得ておりまして、恐らく成功するだろうというふうに考えております。  それから、これも初めて着眼したんですが、宝の持ちぐされというようなところがありまして、それは切手類の販売所なんですが、これが全国に十一万九千カ所あるのですが、これはやはり郵便局ネットワークの一環としてとらえる必要があるんじゃないかということで、切手類販売の手数が増加したこと等から販売手数料を約二〇%引き上げる。これで張り切っていただいています。  それから、ゆうパック取次所を兼ねる切手類販売所に掲出するサイン、看板のことですが、これは何十年と同じようなもので古めかしくなっておりますが、これを一新して七千八百カ所に配付するというふうにして、郵政省の全国ネットワークを生き生きとさせていきたいというふうに考えております。
  187. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大変結構だと思います。  なお、大都市型の簡易郵便局ですけれども、平成二年度におきまして、昨年の十一月、全国の四大都市に既に設置をされた。大都市における郵政窓口の不足に対応するための一つのアイデアだと思うのですが、そこで、この大都市型の簡易郵便局、その後、現在の利用状況はどのようになっているのか、今年度どういうふうに増強していくのか、お考えを伺いたいと思います。
  188. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  大都市簡易郵便局、愛称をシティ・ポストとつけておりますが、昨年の十一月初旬に予算で認められました十カ所のうち九カ所を設置したのですが、その残りの一カ所を去る三月一日、新宿のステーションビル(MYCITY)に設置いたしました。これで平成三年度分は終わりました。  その利用状況ですが、まず、お客様からどういう評判かと申しますと、買い物のついでに郵便局の用事も足せるので大変便利であるとか、午後七時まで開店しているので便利で助かるとか、郵便局が開店していない日曜日でも利用できるので助かるというような声が寄せられております。  それから、利用状況を数字で申し上げますと、一局当たり一カ月平均で書留、小包の引受件数は約一千件、郵便貯金の受払件数は約二千件となっております。これらの取扱件数ですが、大都市部の無集配特定局の一カ月平均の約三分の一でございまして、これは無集配特定郵便局全国平均と同程度ということでございまして、スタート直後ですから、恐らくこれが利用者の皆様方になじんでいきますと、さらに利用の増加が見込まれるというふうに考えております。なお、来年度の予算案では十五局の増置が認められております。
  189. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 地域振興という課題に取り組む、これをさらに推進させていく、大変重要な役割だと思うのです。今日的な意義を考えますと、大変大きな意味があると思います。これを進めていくのに、組織体制の整備というのをどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  190. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  私の職業人生三十年以上の経験で見ますと、大事な新しい仕事を一気に進める場合に、やはりそこに集中的に人材を投入する、予算をつける、それから組織体制を強化する、これがそろわないとなかなか一気には大きな仕事はできません。そういう経験に立脚いたしまして、先ほど先生の御指摘がありましたように、地域振興施策は本当に大事だと考えておりますから、組織体制の整備につきましても全力投球をした次第でございます。  その結果でございますが、質的にも量的にも増大した地域振興施策の現状を的確に踏まえまして、関係省庁の理解も得まして、平成二年度には、昨年六月でしたか、切手文通振興課を設置して、それが考え方のはしりなんですが、振興という字をつけた課を初めて郵務局で設置いたしました。これを伏線といたしまして、来年度におきましては地域振興サービス企画課の設置を要求いたしまして、その設置が認められております。  そのほかにおきましては、昨年末の予算編成事務次官折衝で認められました住民票の取り扱い等郵便局の窓口サービスの多様化だとか、愛のある郵便サービスの実施だとか、ふるさと小包などの重要な地域振興施策の展開に積極的に取り組む方針でございます。  なお、この地域振興サービス企画課というのが新設されたわけでございますが、郵務局として新設されたのは昭和四十一年四月の集配課以来でございまして、実に二十五年ぶりということで、今お話のありました地域振興施策の重要性が認められた一つの証左であるというふうに考えております。
  191. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 続きまして、新東京郵便局構内における郵便運送車両が盗難に遭った事件につきまして、概略その他につきましてもうさまざまな角度から議論があったところでありますが、損害賠償という点に限ってどんな処理がなされたのか、お伺いをしたいと思います。
  192. 宍戸成夫

    ○宍戸説明員 先生指摘の新東京郵便局郵便車盗難事件、これで被害に遭ったお客様に大変御迷惑をおかけして大変申しわけなく思っております。それぞれのお客様にはお一人お一人対応しまして、損害賠償など善処してきているところでございます。被害に遭った郵便物はすべて書留でございます。千五百四十一通でございましたけれども、これまでに全体の通数の約九九%に当たります千五百二十四通について既に損害賠償金の支払いが済んでおります。まだ損害賠償の済んでいないものもございます。お客様に御理解いただくように誠心誠意現在努めているところであります。損害賠償を支払った今までの総額でございますけれども、約一千五百八十万円に上っております。
  193. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 もう一つお伺いをしたいと思います。  豊島郵便局におきまして発生をいたしました書留小包郵便物の盗難事件、多額の郵便切手類が被害に遭ったといいますけれども、こういう場合の国の損害についてはどういうふうに処理をされていますでしょうか。
  194. 宍戸成夫

    ○宍戸説明員 先生お尋ねの豊島郵便局における書留小包郵便物の盗難事件でありますけれども、事件が発生したのは昨年七月二十日でございます。東京都の豊島郵便局において書留小包郵便物二個が盗難に遭いました。その後ずっと捜査をしてきた結果、ことしに入りまして二月十四日、被疑者は男の人ですけれども、二十三歳、この被疑者を検挙しました。被害額は、切手類の額面価額で約一億四千万円でございます。この額につきましては、国の債権として管理し、最終的には犯人に弁済させるというふうにしております。
  195. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これは伺っておきたいのですが、犯人が逮捕されない場合に、一億四千万円というのはどういう処理のされ方をするわけですか。
  196. 宍戸成夫

    ○宍戸説明員 この豊島事件の場合には犯人は捕まっておるのですけれども、仮に犯人が捕まらないという場合は、債務者不明のままその被害額を債権額として管理していくということで、こういった事件、やはり必ず捕まえるという私どもの意気込みでございますから、捕まったときにはきちっと犯人に債務者として弁済させるというふうに考えております。
  197. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 どのくらいの期間、債権管理するわけですか。つまり時効というのはあるはずなんですけれども、犯人が逮捕されないまま、管理期間というのはどういうふうになりますか。
  198. 宍戸成夫

    ○宍戸説明員 この場合、損害賠償請求権というのが国にございます。不法行為のときから二十年を経過したとき時効により消滅するということで、時効は二十年でございます。
  199. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 盗難の場合には、何といいますか、市中に出回る可能性という点が考慮されるのだと思うのですね。もし仮に焼却、滅却したという場合の扱いはどういうふうになりますか。
  200. 吉高廣邦

    ○吉高政府委員 焼却された場合にも、こういう犯罪の場合にはなくなっているかどうか確認ができませんので、先ほど席監察官が申し上げましたように、債権を引き続き管理していく、こういうことになります。
  201. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いろいろなケースが考えられるわけですけれども、仮に局舎が火災に遭ってしまったという場合には焼失してしまうわけですね。滅失ということだと思うのです。滅失は、何かもう二度と使えないような形になるわけですから、泥にまみれてしまって滅失をした場合、いろいろありますけれども、局舎が仮に不幸にして火災に遭ってしまった、この場合にはどういうことになりますか。
  202. 吉高廣邦

    ○吉高政府委員 先生の今の御指摘の場合でございますと、これは犯罪ではございませんので、局舎が滅失するあるいはその他の場合でも、職員が管理中に亡失をした、それが明らかに焼けてしまったといった場合には、職員の責任といいますか、これは過失はあるとは思いますけれども、額面価額ではなくてその調整費を基準にして定める額について弁償することになるわけであります。  今の局舎が焼失した場合ということになりますと、それはもう責任者がどういうふうな形の場合があるかわかりませんけれども、仮に類焼とかそういうことでありますとまたその出火元との関係が出てこようかと思いますけれども、郵便局の管理という職員との関係では、職員に過失が軽いというような場合でございますと、今申しましたように調整費を基準にして定める額を弁済することになるわけでありますけれども、局舎の場合にはもう、ちょっとそういうことが不可能ではなかろうかという気がいたします。
  203. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 なるほど。そうすると、管理職員の責任が問えるか問えないかという点ですね。それで、問える場合には物品管理上額面どおりの責任を負ってもらう。  調整費なんですけれども、現在どういうふうになっていますか。
  204. 吉高廣邦

    ○吉高政府委員 職員の責任による場合には額面どおりを請求するというのがありますが、今申しましたように、調整費を基準にして定めます場合には、三年に一遍ぐらい考えておりますけれども、例えば通常切手の場合でありますと、この単片でございますともう一円でございます。それから千円の収入印紙でありますと二円といったような額でございます。
  205. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大変勉強になりました。ありがとうございました。  法案についていろいろな角度から伺ってまいりましたが、私の質問、以上で終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  206. 松浦昭

    ○松浦(昭)委員長代理 次に、菅野悦子君。
  207. 菅野悦子

    ○菅野委員 郵便局建物高層化して有効に活用するということについては反対するわけではないのですけれども、この法案は、民間向けのオフィスビルがつくられて貸しビル業が出発するということになるのではないかと懸念するわけです。  一方、今、東京とか大阪を初めとして都市部では、どこも公共施設のための土地がなくて本当に困っているのですね。それにもかかわらず、都市部に残った国有地民間向けのオフィスビルにするというのは、国有地は公用、公共用を原則とするという国有財産法に照らしてもいかがなものかというふうに思うわけです。  先ほど来のやりとりの中で、ぜひ公共利用にもというふうなお話がたくさんありまして、その点でも配慮するという御答弁だったわけなんですが、私はむしろ、郵政省として公共施設での活用をこそ考えるべきではないか、ぐっとそこへウエートを置くべきだというふうにも思うのですけれども、その点はどういうふうなことをお考えなのか、ぜひお伺いしたいと思うのです。
  208. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  まず基本的な考え方について申し上げますと、近年、特に地価が高騰している都市部におきまして、国公有地を含めた土地有効活用が強い社会経済的要請となっているわけですが、この点は相当前から、臨時行政改革推進審議会国有財産中央審議会の答申等を初めとして指摘されてきて我が国の重要な政策課題一つとなっていたわけですが、その現実の打開の施策というのは打ち出されていなかったわけで、その突破口を開くことがそうした世の中の需要、趨勢に合致する、こういう決意で臨んだわけでございます。  ところで、郵便局は、郵便作業処理を効率的に行う観点から建物構造低層にしておりますけれども、国民生活に最も身近な国の機関として全国に多数存在し、しかも市街地の中心部に位置するものが多く、したがって、郵便局用地高度利用必要性が高く、かつその効果も大きい。このようなことから、郵便局用地は、郵便局業務に将来にわたって支障を生じないことを確保しながら、その高度利用を積極的に推進すべきであるというふうに判断したわけでございます。  特に、都市部に所在する集配郵便局等いわば郵便作業工場機能を有する郵便局は、規模が大きく、上層部に大規模な建物を建設することができるものですが、他方、階高が高いなど建物構造が特殊であり、また、将来郵便物の増加に伴って局舎上層部にまで拡張する必要が生じる可能性が高い、これに円滑に対応できるようにする必要があるという特殊性を持っている。これらの点がいろいろ要素が合致いたしまして今回の制度のスタートになっているわけでございまして、もしこの制度がスタートしていないとすれば、公共、公用あるいは民間活力の活用も含めてそういう活路が開かれなかったということでございまして、公共、公用それからあわせて民間活力の活用、その両方に裨益するというふうに考えております。
  209. 菅野悦子

    ○菅野委員 民間それから公用もというふうなことでございましたけれども、この法案の二条の中に、簡易保険福祉事業団施設の賃貸業務を行う際に、「国又は地方公共団体による公用又は公共の用のための利用に配意しなければならない。」というふうにあるわけですね。この公共優先という原則を明記するならまだしも、配意する、要するに気を配ればいいというだけでは、ちょっとこれは困るというふうに私は思うのです。  地方自治体などの公共施設郵便局合築させてほしいというふうな要望がもしあった場合、それが優先されるのか、それとも民間向けのオフィスビルが優先されるのかということを一点お聞きしたいということと、あわせて、郵便局地方自治体の公共施設などとの合築というのは、新法をつくらなくても現行法でも可能であるはずなんですが、これまでにそうした施設をつくったケースというのが、先ほどの御答弁の中でも、福島県の保原町で体育館と郵便局合築された、この一件だけだというふうに聞いているわけなんですね。このことが可能なのに一件しかそれがやられていないというふうなことを、どうしてなのかなというふうに率直に疑問に思うのですが、その二点お聞きいたします。
  210. 戸田道男

    ○戸田説明員 郵便局舎地方自治体の施設との合築についてお答えしたいと思います。  地方自治体の施設との合築は、保原町の例がありますように制度上は可能でございます。しかしながら、郵便局にそうした施設合築する場合は、合築しても本来業務である郵便局業務に現在、将来とも支障を与えないこと、あるいは将来郵便局の拡張が必要となった場合に増築等が円滑に行われるかどうか、あるいは合築した自治体の施設を管理運営していくに当たって郵便局の円滑な業務運営に妨げにならないか、そういったことを具体的に個別にその施設なり敷地に即して検討して、合築が可能かどうか、こういうことを判断していかなければならないと思っております。保原町の場合は幸いそういったことがクリアされた、こういうことでございます。
  211. 小野沢知之

    小野沢政府委員 第一点のお尋ねにお答えする前に、ただいまの建築部長の答弁を補足いたしますと、郵便局の事情と地元あるいは公共団体との事情とが合致しないとできませんものでして、そういう意味から申しまして、今郵政局は関係団体に積極的にそういうことを働きかけている方でございます。それから、そういう調査研究も来年度予定しております。  それから、第一点のお尋ねでございますが、公用または公共の用のための配意ということですが、これは、具体的に想定している業務形態というのは国の出先機関、地方公共団体の支所・出張所、地方公共団体が設置する集会所、地方公共団体が設置する図書館ということで優先させる考えでございます。  それから今この活用について御質問がありましたけれども、私も郵政関係法律、随分手がけてまいりましたが、この規定はかなりの規定だというふうに考えております。この法律の第二条で事業団業務の特例を掲げておりますが、その第二項でもって、「事業団は、前項第一号に規定する施設の賃貸の業務を行うには、当該施設の国又は地方公共団体による公用又は公共の用のための利用に配意しなければならない。」というふうに明確に書いてありまして、相当の重みのある規定だというように受けとめております。
  212. 菅野悦子

    ○菅野委員 「公用または公共の用のための利用に配意」というのを相当重く受けとめていらっしゃるということで、非常にありがたい話だなというふうに思うわけなんですけれども、そこで具体的なことでお聞きしたいと思いますが、今、静岡の中央郵便局の移転新築に対して、静岡市の方から文化ホールなどの市の施設合築させてほしいという要望が出ているということなんです。ここは駅前で、かつ国道一号線に面しているという一等地なんですけれども、ことしの一月十四日付で市長名で要望書が出ています。そこでは「新中央郵便局移転建設地は再整備される静岡駅前に位置し、本市としましては単に中央郵便局舎だけでなく、県都の玄関口にふさわしいシンボリックな複合施設の建設を期待しており、断念することはできません」ということで、非常に、いいものをという立場で要求が強いわけですね。文化ホールやコンベンション機能等を備えた複合施設合築させてほしいというふうにしております。  当然これは郵政省御存じだと思いますけれども、どんなふうに対応されるのか、もし決まっておられましたらお伺いしたいと思います。
  213. 戸田道男

    ○戸田説明員 ただいま先生からお話しございましたように、本年の一月に市の公共施設、文化ホールというふうに書いてありますが、そういうものとの合築の要望は承っております。したがいまして、私たちといたしましては先ほどと同じように、郵便局の将来の姿、あるいはホールという特殊な建築物を維持管理していく上で将来とも郵便局業務に差し支えないか、そういったことについて具体的に敷地に入れてみたり、そういうことまでして合築可能性を今検討中でございます。
  214. 菅野悦子

    ○菅野委員 前向きというふうな御答弁だったので、ぜひ率直にそのことについてはお願いをしておきたいと思うのですけれども、先ほど一カ所だけという合築のあったケースがやりとりになっているわけなんですけれども、率直に言ってこれまでは公共施設との合築郵政省は積極的であったとはちょっと言えないと思うのですね。そういう点で今度の法案ということが出ているわけで、ですから、この静岡市の要望にどう対応するのかというのはやはり初めてのケースとして注目されるところだというふうに思うのです。  郵政省が公共を優先させて市民の要望にこたえるのか、それとも公共優先をお題目で終わらせてしまうのか、ということにもなりかねないと思うわけです。ですからぜひこの点では、一体どっち向いてんのやというふうに言われないように、勉強中ということでしたけれども、問題をあげつらってだめというふうにするのではなくて、どうしたら合築ができるかということで市とも詰めていく、そういう前向きの姿勢でぜひ対応していただきたいというふうに思うのですけれども、この点で大臣、もしお考えがありましたらお聞きしたいのですが。
  215. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 この件につきましては各担当のものが答弁をいたしましたが、決して前向きでないという意味ではないわけでございまして、公共施設との合築ということも重要な課題であると私も認識をいたしております。  ただ、各担当のものが答えましたように、何といいましても郵便局の円滑な業務運営を確保する、また、何十年先でどのような需要になるかもわからないというようなこともございますから、そういうようなことを考えて、今日まではこういう法律もなかったもので、制度上は可能であったけれども数が少なかったということが現実でございます。我が郵政の善意を信じていただければ回答になると思います。
  216. 菅野悦子

    ○菅野委員 では続きまして、住宅との合築についてもお聞きしたいなというように思うのです。これは、大都市で非常に地価が高騰しているということで、勤労者の住宅難というのが大変な事態になっているわけなんですけれども、そういう点で、数少ない公共の用地をぜひ住宅ということでお考えいただきたいわけですね。ですから、オフィスビル、この法案では「事務所、会議場」というふうなことが前面に出ているわけなんですけれども、どうして住宅でないのかというふうなことを率直に疑問に思うわけなんですが、その点はどうでしょうか。
  217. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  郵便局用地は国民生活に必要不可欠な郵政事業サービスを提供するための基礎でありますから、その高度利用に当たりましては、現在及び将来にわたり、郵便業務の運行に支障が生じないようにするというこの点を私ども忘れてはならない点だと認識しております。このような郵政事業との調和の確保という観点から、これをきちっと押さえた上でもって、簡保事業団郵便局土地上層部に建設する建物の用途についても一定の制約を設けているわけでございます。  本法案対象郵便局でございますけれども、都市部に存在する集配郵便局などの大規模な郵便局でございまして、その上層部に建設する建物につきましては、郵便物数の増加に対応して将来郵便局舎として転用することが想定されるわけですが、この場合、仮に上層部を住宅といたしますと、例えば水回りとかバルコニーとか、建物構造が複雑になります。また、郵便局舎への転用が容易でなくなったり、また居住者の立ち退き問題が円滑にいかないとかということで、本来、郵政事業実施という郵便局舎の設置目的を円滑に行う上で支障が生じるおそれが多い。やはり私ども事業運営責任者としてこの点を忘れてはならないわけで、そういった郵便局の本来の行政目的を達成する範囲内でできる限り国の施策に貢献していく、こういうことでございます。  したがいまして、地方公共団体の指導要綱によりまして住宅の付置すべきこととされている場合を除きますと、郵便局上層部を住宅として利用することは極めて困難だというふうにお答えせざるを得ない、こういうことでございます。
  218. 菅野悦子

    ○菅野委員 この点で、郵便局と住宅の合築という問題では、職員用の宿舎が合築してやられているというのが全国で二十四カ所で既にありますし、二カ所で計画中ということもあるわけです。  それと、郵便局が将来上に伸びるかもわからぬから、そのときに使えるようにというふうなお話でしたけれども、先ほどもおっしゃっておられましたが、相当高い十数階のもの、あるいはそこまでいかなくても相当高いものをつくるというふうなことも想定しておられるようですので、例えば今使う局舎の上、それを二、三階今後のことで使えるような、例えばおっしゃっておられるような会議室とかいうふうなものをつくっておいて、その上、将来的な展望で考えてみても、もっと上は住宅というふうな形で相当乗せてもいけるんじゃないか。  これは先ほど同僚議員のやりとりの中でも、その辺、最上階を住宅にしたらどうだというふうな話もありましたが、私もそういうことを当然考えてもいいんじゃないかな、できるんじゃないかなというふうに思うわけです。ですから、構造上も将来にも備えるということも含めて、もっと上を住宅ということでできないのかどうかについてもぜひ御検討いただけたらということをお願いしておきたいと思います。  それからあわせて、これも先ほどから出ておりますが、郵政宿舎のことについてもお伺いをしたいと思うんです。今郵政宿舎も大変不足しているのではないかというふうに思います。東京、大阪などの不足数ですけれども、それぞれどれだけ不足しているのか。これは簡潔に数字だけで結構ですから、お伺いしたいと思います。
  219. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 お答えします。  東京でございますが、世帯用が九百四十戸、それから独身用が六百六十五戸。それから大阪市でございますが、世帯用が三百二十三戸、独身用が五十九戸と承知しております。
  220. 菅野悦子

    ○菅野委員 これは昨年の本委員会でもやりとりしたわけですけれども、郵政省は大都市部での郵便物の急増に人員が対応できていないということもありまして、都市部へ職員の移動というのを考えておられるかと思っております。しかし、その大きな障害になっているのが住宅ではないかというふうに思うんですね。しかも郵便事業というのは年々夜間の仕事がふえているということがあるわけで、その面からも職住接近といいますか、職場に近い宿舎が求められているというふうに思うわけです。今お聞きしますと、東京と大阪だけでも約二千戸宿舎が足りないということなわけですから、そういう点では職員が待機している状態があろうかと思われます。だから、それを後回しにしてまで郵便局をオフィスビルにという理由というのは一体何かなと思います。  ですから、そういう点でぜひお聞きしたいんですが、宿舎の不足、これはこの法案が動き出すまでの数年間に解消することができるんでしょうか。その辺の御計画もちょっと聞かせていただきたいと思います。
  221. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 お答えします。  郵政の宿舎につきましては、事業運営上重要であるというように考えておりまして、不足しておりますので不足数を解消したい、それから量的な問題と質的な問題に充実強化を図ってまいりたいというように考えております。  そこで、大都市が特に不足しているわけでありますが、老朽宿舎というものを建てかえるときに立体化、高層化ということもどんどん図っていきたいし、それから郵便局舎との合築、建設中も含めまして二十六カ所にあるわけでありますが、そういうところを利用してこの不足数の解消に計画的に取り組んでいきたいなというふうに考えております。
  222. 菅野悦子

    ○菅野委員 もうちょっとお聞きしたいんですが、例えば東京、大阪の二千戸ですけれども、これは大体いつごろ解消できるんですか。
  223. 渡邉民部

    ○渡邉(民)政府委員 例えば大都市でありますが、平成三年度予算では新設が三百七十一、建てかえが百三認められておりますので、今後の予算事情との関連もございますが、ことしも、平成三年度予算案においてもこのような形で大都市圏だけでもそういうことを認められております。
  224. 菅野悦子

    ○菅野委員 具体的な御答弁の数を聞いても、やはりこれは足りないわけですから、ぜひこの法案の中でいろんな宿舎の合築の問題についてもお考えいただけたらというふうに思うわけです。  そこで、もう一つお聞きしたいんですが、郵政省は本年度予算郵便局と社会福祉施設との合築、これを調査研究するということで予算もとっておられますけれども、これはどういうことをいつごろまでやろうとしていらっしゃるのか、ぜひ教えていただきたいと思います。
  225. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  来年度の予算要求を編成するに当たりまして、一つのポイントとして社会福祉に郵政事業がどう貢献できるかということを一つ考えたわけですが、その一つの施策でございます郵便局と社会福祉施設との合築につきましては、高齢化社会の進展とか御婦人方の社会進出とか核家族化による社会福祉施設の充実が求められてきているわけです。  そうした社会福祉の増進に寄与するという立場から、現行国有財産法上合築可能な範囲内でこれを推進するということでございまして、この合築に当たりましては、実際問題の解決として、郵政省と社会福祉施設の設置主体の双方にとって望ましい施設としないことには実現いたしません。そこで、来年度予算政府案におきまして、郵便局と社会福祉施設との合築のあり方に関する調査研究費が確保されまして、そのあり方につきまして予算成立後速やかに多角的な調査実施したいと考えております。  現在、私どもが考えております調査研究の内容でございますが、部外有識者等で構成する調査研究会を設置いたしまして幅広く研究したい。その調査研究項目としては、例えば社会福祉施設の現状と今後の動向、社会福祉施設と他の公共施設との合築例の実態、建物の安全、管理、防災上の問題解決のための技術的方策等を考えております。  一方、先ほどちょっとお話し申し上げましたけれども、そうした今後の本格実施に備えるため、何か、しかも早目に講じなければいけませんので、局舎改善が必要な郵便局機能面や設備面から見て比較的合築が容易な小規模無集配郵便局三局をモデル局として選定いたしまして、昨年十一月から厚生省、関係地方公共団体にその案を提示いたしまして、その具体化に向けて鋭意協議を行っているということで、以上申し上げましたような調査研究とモデル局の試行の結果を十分に踏まえながら、郵便局と社会福祉施設との合築の本格実施を進めていきたい、時代の要請に合致している案だというふうに考えております。
  226. 菅野悦子

    ○菅野委員 この社会福祉施設の用地確保、これも本当にみんな苦労しているところなんですね。特にそういうふうないろんなお年寄りの施設とか障害者の施設を含めて用地がなくてなかなか建たないということが本当にみんなの悩みの種ですから、そういう研究はぜひ進めてほしいわけですが、ただ、今お聞きしましたら、社会福祉施設の方は予算もつけてこれから研究調査するという段階なんですね。そういうときに民間のオフィスビル、こういうものだけは先行するということがこれの今の姿なら、ちょっと問題ではなかろうかというふうに思うわけです。地方自治体の公共施設との合築あるいは郵政宿舎との合築なども考えれば、今回の法案だけが先行するというのはちょっと納得できかねるということです。  結局、本来の国有地の使い方の原則である公用、公共優先ということをもっと重視していただくことが必要ではなかろうかというふうに思うわけです。最初に申し上げましたように、この郵便局の上を有効に活用しようということであれば、まずこういうことをきちんとやっていただきたいなというふうに思うわけで、それもせずにもしそれが民間のオフィスビル先行ということになるのであれば賛成いたしかねるということでございます。  最後に、先日来委員会でもありましたし、きょうもるる論議になっております郵便車の盗難の問題なんですが、これは時間がないので私一つだけお聞きしたいのですけれども、盗難の中にあった書留、これに作家の李さんの原稿の問題があったわけなんですね。問題はそれへの郵政省の対応だと思うのです。  実は三月八日付の新聞の報道によりますと、五十万とか百万とかの弁償をこのケースだけする、そして、そのことは他の被害者には内密にというふうに要請されたということが新聞で報道されたのです。もしこの報道が事実であれば、ちょっとこれは問題だなというふうに思うのです。  といいますのは、私の地元でも実は郵便小包がなくなりまして、その中に三万円程度のものが人っていたということで、地元の局とかけ合った結果、規定どおり四千円の弁償しかできないと言われた。こんなん、これでええんかということで言ってきたのですね。いや、しかし、私の方では、規定規定なので、おたくに言われたからいうて、私が逓信委員であってもそんなこと特別扱いできませんよということで、やはり規定どおりなんですからということで答えて、納得させて帰ってもろうたんです。ところが、その後この報道だったのですね。何や、そんな言われたからそうかいなと思って帰ったのに、実は相手によっては、五十万とか百万とかで内密にとか、こんなことをやるのかというふうにねじ込まれまして、だからそういう点では、私どもの方も非常に困っているというか、えらい迷惑な話なんです。  こういうことになれば、私どもだけに限らず職員の皆さん方も相当困るのではなかろうかな、これは郵政省としてきちんとけじめをつけられた方がいいのではないか、国民の皆さんにも本来はこうなんだということで周知徹底などもなさった方がいいのではないかなというふうに思うわけですけれども、その点どうでしょうか。
  227. 小野沢知之

    小野沢政府委員 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどの御質問ですが、このたびの法案が社会福祉施設との合築との関係で先行しているというお話ですが、そうではございませんでして、先ほどるる御説明しましたように、もう既に厚生省等との折衝を行いまして実施に踏み切っておりますし、それから、調査研究費も明確に要求して、予算政府原案に盛り込まれていることを添えさせていただきます。  それから、第二のお尋ねの点でございますが、先日の新聞記事は、郵便関係法令に定められている損害賠償額以上の賠償を行っているような印象を与えたおそれがありますけれども、そのような賠償を行った事実は全くございません。私自身、相手方によって態度を変えるなどというごときはございません。
  228. 菅野悦子

    ○菅野委員 もう時間がございませんのであれですが、この法案がもうすぐ動くわけで、福祉施設との関連というのは今から調査研究と今おっしゃいましたが、実際進行状況が全く違うという事実ははっきりしているわけですから、ただ、いろいろ御苦労があろうかと思いますが、そういう点でぜひ私どもの要望の方向も踏まえて努力をしていただきますように重ねてお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。
  229. 松浦昭

    ○松浦(昭)委員長代理 次に、中井洽君。
  230. 中井洽

    中井委員 今回の法案に関しましては、私ども、行政改革やらあるいは都会における公有地の売却、有効利用、こういったことを提言し続けました党としては、郵政省、よく風穴をあけた、結構なことだ、大いに実効ある方法で運用してほしい、こういう立場で賛成をし、その立場からまた幾つかの点で質問をさせていただきたいと思います。  最初に、国民にとって郵便局というのは大変なじみがあるのですが、郵政省あるいは郵政局というのは余りなじみがありません。ところが中央の郵政省、大変立派なビルになりました。それぞれのところにあります、東海郵政局とか、古ぼけたところもありますが、大変いい場所に立派な建物が建っております。しかし国民の人は、それが郵便局だとはだれも思っておりませんが、やはり一番目につくのは東京駅の真ん前の、一番お客さんの多い東京中央郵便局、大阪梅田の駅前にあります大阪中央郵便局であろうかと思います。こういう新しい発想法案ができるのですから、本来なら真っ先にシンボル的な東京駅前、大阪駅前、本当にあれは周りから見ても利用客が物すごく多いのに汚いビルになってしまっております。思い切ってこういったところから第一号に適用すべきだと私は考えております。  順番は違うようでありますが、大臣、率直に言って、そういう思い切った形でシンボル的なものをつくっていく、同時に、そういうことができることによって全国三十万近い郵便局の職員さんが、日本の一等地にすばらしいのができるのだ、できたのだ、こういうことでプライドを持ってまた働いていただける、こういうふうに考えるわけにはまいりませんか。
  231. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 まず、このたびの法案でございますが、高度利用の具体的な対象の局としては、いずれにいたしましても、平成四年度以降の予算編成過程大蔵省関係省庁と協議の上で決定されるということでございますが、郵便局の建て直しの時期であるとか、あるいは事務所等需要の動向、その場所の需要の動向、あるいは周辺地域の再開発計画との整合性であるとか、郵政業務との調和、あるいは建物構造上の問題など、総合的な問題をいろいろ勘案して、慎重に選定をしていくということが基本の考え方でございます。  そういうことを考えましたときに、東京の中央郵便局であるとか大阪の中央郵便局がどうなってくるであろうかというようなことでございますので、今ここで明確な答弁はできないということが正直のところでございます。
  232. 中井洽

    中井委員 利用の仕方については、公共的な利用を大いに考える、こう書いてありますが、一方では利益を郵政財政の中へ戻していく、こういうことも書いてありますから、もちろんこれは土地高度利用と同時に利益全体が増大をする、こういった目的で当然やられなければならないと思いますが、いかがですか。
  233. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  世の中で大事な言葉として肝に銘じている言葉に、トータルバランスという言葉を私は信念にしているわけですが、今先生指摘のように、公共性と企業性の両方にバランスよく配意して、ベストをぎりぎり追求したいと考えております。
  234. 中井洽

    中井委員 利益面ということを考えたときに、今回の法案を見させていただきますと、こんなので本当に利益が上がるのだろうか、こう思わざるを得ないような法案になっております。将来の利用を考えてテナントビル等としてどうだろうかというような建て方をせざるを得ないということもございます。あるいは、本来なら郵政省そのものがおやりになればいいことを、簡保事業団というところをかませておる、このことはどうなんだろうという感じもいたします。  その二つの点から、この利益性の確保、こういったことについてお答えをいただきます。利益を上げないと郵便の値上げにつながるわけでありますから、私どもとしては、本当に精いっぱい郵便値上げをせずに今黒字体質を続けていただいておる、このことに敬意を表します。同時に、こういったことが、予算の制限もあるでしょうが、幾つも幾つも早急にやられて郵政事業全体の利益増大に当然つながっていくべきだと思いますが、どうですか。     〔松浦(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
  235. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  先生御評価いただきましたように、この分野で初めての手法を導入して突破口を開いたわけですが、法律上の仕組みあるいは運用の工夫として、将来後輩たちが知恵を絞ればいろいろなことができる、そういう配意をしているつもりでございます。  それから利益の観点ですが、例えば、今世の中で需要の多いものとして駐車場があるわけでございますけれども、本件のビルは大体駅前とか繁華街とか商業地に立地することとなると思いますけれども、そういう意味利用者が相当数に上ると想定されますが、そういった利用者による駐車需要が生ずることも予想されますので、郵便局の本来の業務に支障がないように配意しながらこういった駐車場需要にこたえる、そういう視点も必要かなと今頭の中に、念頭に浮かんだわけでございまして、こういうふうにいろいろな経験を積み重ねるうちにいろいろなアイデアがひらめき、それがまた実行策につながっていくというふうに考えております。
  236. 中井洽

    中井委員 私の申し上げているのは、ビルのテナント事業というのはなかなか利益を上げるのが難しい事業でございます。郵便局は一等地にありますし、郵便局と同じビルに入れるということで、そこのテナントさんのグレードアップになりますから、需要はもちろんあろうかと思いますが、私どもがいただいた絵やら説明では、こんなことでもうかるのかなという思いを強く抱いております。そういうテナント業なんてやったことのない簡保事業団さんやら郵政省さんが、本当にもうけるということで柔軟な発想でおやりになれるのかどうか、これが一つ。  それから二つ目は、どうして簡保事業団を通すんだ、郵政事業郵政省の建てかえの中で法律改正をして、郵政省みずからがテナント、土地をやっていけばいいじゃないか、それの方がよっぽど利益は率直に入ってくるじゃないか、こういったことはどうなんだ、こう聞いたのでありまして、駐車場はその次に聞くつもりでございます。
  237. 小野沢知之

    小野沢政府委員 お答えいたします。  今の駐車場の問題はみずからの発想としてお答えしたわけですが、まず、そのテナントについての郵政省あるいは簡保事業団経験不足等についての御指摘ですが、これは身にしみてわかっておるわけですが、やはり需要が非常に多いところ、ここをねらえばそれで随分解決につながっていくな、選べるなという感じがいたしております。  それから、昨年の十一月初旬からシティ・ポスト、大都市簡易郵便局を設置したのですが、これは本当に世間の方々が知るに従って、シティ・ポスト、大都市型の簡易郵便局自分の店舗内に置くと非常にいい意味でのPRになるとか、そういう引き合いがその後随分急増しております。そういったことで、この制度がスタートいたしますと案外私が当初予想したよりも反響が多いんじゃないか、こういう感じがいたしております。  それから次の御質問の、なぜ郵政省自身ではなくて特殊法人である簡保事業団が行うことになったのかという点でございますが、この土地高度利用業務は、郵便局業務に支障のないことを確保しつつ実施するものでありまして、また国有地有効活用一つとして国有財産法の趣旨に沿って公用、公共用のための利用に配意して行うものであって、公共性の強い業務でございますが、さっき先生から御指摘がありましたように企業的な経営が強く求められるという側面を持っておりますから、そういう意味で国みずからが行うよりも、予算、人事、給与面等で弾力性のある特殊法人に行わせる方が効率的な運営が期待できるというように判断したわけでございます。  それと、簡保事業団の特質といたしまして、昭和三十七年に設立以来長年にわたりまして、加入者福祉施設の設置、運営をずっと行っておりまして、そういう意味で、ほかの特殊法人と類を異にいたしまして、その経験やノーハウを十分に生かすことができる。  以上のようなことを勘案して、国みずからが行うという手法ではなくて特殊法人簡保事業団が行うことにした、こういうことでございます。
  238. 中井洽

    中井委員 簡保事業団全国で数十カ所の保養施設やらいろいろなのをお持ちで運営をされておるのを承知いたしておりますが、簡保事業団そのものには、そうしますと、こういう貸しビル業をおやりになって、もうけていく、そういう専門家はおられるわけですか。
  239. 西井烈

    西井政府委員 お答えいたします。  簡保事業団は、御案内のとおり、その業務一つといたしまして、全国各地に保養センターあるいは東京の五反田にありますような会館、それから加入者ホームといったような施設を百二十六カ所持っておりますけれども、ただいま先生指摘になりました施設そのものを貸すというようなことは、現在のところやっておりません。
  240. 中井洽

    中井委員 専門家はいるのですかと聞いているのです。
  241. 西井烈

    西井政府委員 そういう、テナントを募集したり、テナントとして貸すための専門家というものは、現在のところ配置をいたしてございません。
  242. 中井洽

    中井委員 平成四年度ということですから、そういったテナント業というのはなかなか難しい、また、テナントだけに貸すならいいのですが、公共の利用という一項が入っていますから、公共の利用に貸したらもうかるわけはないのですから、ひとつぜひそこのところも含めて十分、赤字になったりあるいはテナントが空っぽであったりというようなことのないように準備をされて運営をしていただきたい、このことを強く要望いたしておきます。  ついでに、簡保事業団の方にお尋ねいたします。  今、百二十六経営をしておる、こう言われましたが、その百二十六のうち、個々に、黒字が幾つで赤字のところが幾つだというのはおわかりになりますか。
  243. 西井烈

    西井政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、簡保事業団におきまして、全体で現在百二十六カ所の施設を持っておりますが、その個々の施設につきましての収支というとらえ方はいたしておりませんで、全体といたしまして損益、収支状況を独立した会計といたしまして把握をいたしておりまして、例えば平成元年度について申し上げますと、施設の設置、運営に関する勘定におきましては、経常利益として十四億円の利益という状況になってございます。
  244. 中井洽

    中井委員 激励の意味で言っているわけですから、別にしかっているわけではありませんが、要するに、個々に計算したことがない、トータルで黒字だ、こういうことは、個々に赤字がいっぱいあるということであろうと思うのです。  例えば、民間で百二十六施設を持っているところが、そんなずさんな経理もやっていない、あるいは経営もやっていないと僕は思うのです。トータルで黒字であればいいじゃないか、それじゃ、今度の貸すテナントのビルのやつをやっても、簡保事業団のこの百二十六と合わせて、トータルで黒字で郵政事業の中へ繰り入れさえできればいいじゃないか、こういう発想ではだめだと私は申し上げているのでございます。  そういった意味で、一つ一つ本当に黒字にしていくんだ、こういうつもりで運営をすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
  245. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 どんぶり勘定的なものはいいとは決して思いませんので、またそういう角度から指導をしていきたいと思います。
  246. 中井洽

    中井委員 私も何回かこの簡保事業団施設を利用させていただいたことがございます。大変サービスもよく、おいしくいただきましたけれども、これは現実に黒字を出すということも大事だし、もう一つは簡保に加入いただいた皆さん方にサービスをする、そのサービスの面もあろうか、このように思います。  この簡保事業団施設の運営について、現場で簡保を勧誘し、そして簡保の加入者をふやすために頑張っておる現場の皆さん方から、簡保施設の運営についてあるいはサービスについて自分たちにも物を言わせてくれ、自分たちが一番お客さんと接触してサービス面についての不満やら注文を聞いておるんだ、こういう要望が私どものところへ上がっております。既に労働組合を通じても郵政側へ伝わっていると思うのでありますが、これらの点について、簡保事業団郵政省だけじゃなしに、現実にそれを利用している組合員、これらの人たちの声を聞くお考えはおありですか。
  247. 西井烈

    西井政府委員 お答えいたします。  事業団施設の具体的な運営に当たりましては、事業団本部に利用者代表等からなります運営審議会というようなものを設けまして、意見を聴取しながら、反映しながら実施いたしておりますし、なお先生指摘郵便局等の関係につきましても、できるだけ必要に応じまして連携を密にしながら、郵便局の方の意向も反映しながら運営に当たっておる、今後とも十分配意してまいりたいと思います。
  248. 中井洽

    中井委員 ちょっと申し上げたことと違うお答えで、はぐらかされたような気もしますが、ひとつそういう声があるということを十分理解をしていただいて、きめ細かいサービスになるように御対応をお願いいたします。  もう一つ簡保と関連をいたしまして、よくこの施設を使うために各地に旅行団が結成されて、バスで行かれております。私の家族なんかもときどきお誘いいただいて行っているようでございます。年間どのくらいの数、サービスの一環としてのそういう旅行団、バス旅行等が行われていますか、おわかりになりますか。
  249. 西井烈

    西井政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御質問の簡保の旅行団の関係でございますけれども、これは簡易保険に加入している方々が自主的に団体をつくりまして、その一定の割引料をもって団体旅行に出かけているというものでございまして、具体的な数については今手元に資料がございませんので、また別途お知らせをいたしたいと思います。
  250. 中井洽

    中井委員 この間、簡保のときにちょっと御質問申し上げようと思ったのですが、時間がなかったものできょうになってしまいましたが、大いにおやりいただいて大いにサービスしていただいて、簡保の加入者をふやしていただくのは結構なんですが、実はこの旅行団のときに、ときどき選挙運動に使われておる。あるいはそのスタートのときに、私どもお互い選挙になったら候補者になりますが、候補者があいさつをしたりする。こういったことは余り好ましくないことであろうかと考えております。そういった意味で十分御注意を賜りますようお願いを申し上げます。民間の方がグループをつくって割引を利用して行かれるのだから、こういうことかもしれませんが、行く人はみんな簡保の旅行、こういうふうに考えておりますので、その点を十分御注意いただきますようお願いいたします。  戻りまして、駐車場の問題に入ります。  郵便局が建ちますときに、あるいは建っております今の郵便局を見ましたときに、私ども一番奇異に感じますのは、いい場所におありなんだけれども道路に面して郵便局が建っておる。このごろは車いすなんかが入れるように道路からスロープ等がつけられたりして、少し道路からあいておりますが、駐車場が全然真ん前にない。駐車場が全然ない。これは少しおかしいのじゃないか。郵便局というのはもう当然、あるいは郵便局だけじゃなしに、きょうびお客さんに来ていただくという商売、駐車場がなかったらもう全然成り立たない、これはもう常識であります。裏手へ行きますと駐車場があってお客さんが御利用になっているのかもしれませんが、大半が局の車というような感じでございます。なかなか車で郵便局を利用するということができにくいのが実態ではないかと思います。  町のど真ん中にあって電車やらバスやら自転車で郵便局というのは来ていただくんだという発想で、いい場所につくるということでスタートされましたけれども、今の時代はもう、いい場所というのは駐車場のある場所がいい場所だというのが車社会の発想であります。歩いてくるなとか、そんなことを言っているわけじゃない。もう少し、郵便局をつくるときにあるいは改築するときに、駐車場というものは当たり前だという発想でつくることができないのか。この点いかがですか。
  251. 戸田道男

    ○戸田説明員 郵便局の駐車場の件でございますが、特にお客様の駐車場についての御指摘だろうと思いまして、そういう考えでお答えさせていただきたいと思います。  お客様の駐車場の確保につきましてはただいまもお話がありましたが、例えば都市部で敷地の狭いところもありまして、なかなか一律に申し上げることは難しいのでございますが、一般的には、お客様の窓口利用の状況や郵便局敷地の広さ等を勘案して、窓口付近に第一義的に設けております。それができない場合は構内の一部に専用スペースを確保するように努めてきたところでございまして、現在のところ、普通郵便局のお客様駐車場の確保状況は平均で一局当たり八台程度となっております。ただし、その中でも平成元年度、平成二年度の新築局につきましては平均で一局当たり十五台ということでございまして、幾らか改善されてきているのではないかと思っております。  しかしながら、あくまでも平均でございまして、御不便をおかけしている局がございます。こうした局につきましては、局舎の改修の時期をとらえまして、例えば局の前にある植え込みを移設するとか、囲障を移設するとか、そういったことを考えながら、今後とも一層整備に努力してまいりたいと思っております。
  252. 中井洽

    中井委員 私が見させていただいている郵便局というのは、そんなに駐車場あるんかなという感じであります。その駐車場は大半局舎の裏にあるんじゃないですか。そんな表に平均八台も駐車場があるなんというのは、僕はちょっと、郵便局あちこち見ておりますが、他の委員の方はどうかしれませんが、私は記憶ありません。もう一度、本当に局の正面の入り口に近いところに、駐車場は平均八台あるのですか。
  253. 戸田道男

    ○戸田説明員 今の平均八台と申しますのは、先ほど申し上げましたように、局前の場合とそれから構内に取り設けた場合を含めまして平均八台でございます。
  254. 中井洽

    中井委員 郵便局へ行きまして一番思いますのは、裏方へ、本当にほとんど裏が駐車場であります。裏の駐車場へ車を置いて、またぐるっと回って表へ出てくる。こんな不自由な駐車場をつくっているサービス機関というのはないのじゃないか。裏なら裏でそこから局内へ入れるかといったら、絶対入れません。窓口へは入れません。お客さんみんなぐるりと回るのであります。そういった意味で、少し駐車場をおつくりになる場合に、裏にしかつくれないのだったら駐車場から直接窓口へ行ける通路をつくるとか、お考えになったらどうだろうか。  あるいは道路から少し外れて後ろへおつくりになって、前を駐車場にする。そして、商店街の一番いいところやら本当に利用の多いところにありますから、土曜日、日曜日は休みですから、前につくられた駐車場を商店街なんかに開放されるあるいはお貸しになる、そういった形での土地の利用の仕方というものを、上へばかりの利用の仕方で新しい発想じゃなしに、平面でもっと考えられないのか、このように思います。駐車場をつくるのに裏じゃなきゃいけないということはないと思うんです。その点含めてもう一度お答えいただきます。
  255. 戸田道男

    ○戸田説明員 第一義的には局前につくりたいというのがやはり基本的な考え方でございます。前の方、窓口に近いところでございます。どうしても取り設けられないときに裏の方にやむを得ずつくる場合もあります。それから、最近できてきている郵便局の中には、窓口の配置を工夫いたしまして、局の前からもあるいは後ろからも入れるような窓口になっているものもございます。そういったことで少しずつ改善をしているところでございます。
  256. 中井洽

    中井委員 最後に、例えば裏方の、要するに郵便物を運び出してもらうプラットホーム、いろいろと御工夫を狭い敷地なりあるいは制限のある建物の中でなさっているわけでありますが、民間の運送業者のホームの使い方なんかと比べて、随分郵政省は違うなという感じがいたします。  もちろん、はるかに大事なものを預かり、金品をきちっと配送しなきゃならないというところから、安全面の確保等難しいこともあると思うのです。しかし、土地の利用の仕方というのはいろいろある。例えば地下にそういったものをつくっても僕は構わないと思うのです。あるいは郵便の作業所というのを下にしてしまっても、上の使い方はある。駐車場の使い方を含めて、せっかくこれ官公庁で初めて穴をあけて、土地を高度に官公庁のものも使っていこう、こういう御努力もいただいたわけでありますから、このことだけじゃなしに大いに発想を拡げて、そしてみんなから使いいい、また働いている職員の方も本当に働きやすい、そういった郵便局をつくっていただく、このことを要望いたしまして、質問を終わります。
  257. 野中広務

    野中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  258. 野中広務

    野中委員長 本案に対し、日本共産党から討論の申し出がありましたが、先刻の理事会で協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、さよう御了承願います。  これより採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  259. 野中広務

    野中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  260. 野中広務

    野中委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、前田武志君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。前田武志君。
  261. 前田武志

    ○前田(武)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     郵便局の用に供する土地高度利用のための簡易保険福祉事業団業務特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項についてその実施に鋭意努めるべきである。  一 郵便局土地高度利用を行うに当たっては、地域社会との調和に配意するとともに、将来にわたって郵便局業務に支障を生じないようにすること。  一 郵便局土地高度利用業務の公共的性格及びその目的にかんがみ、公的な資金からの資金調達により建物の建設が円滑に実施できるようにするとともに、郵政事業財政強化に資するように実施すること。  一 郵便局土地高度利用に当たっては、地域社会の振興に貢献するよう、コミュニティーセンターなど公用、公共の用のための利用に配慮すること。  一 業務の円滑な遂行のため、簡易保険福祉事業団業務実施体制を十分整備するとともに、必要に応じ民間の能力を活用して効率的に実施すること。  一 郵便局以外の土地高度利用についても、本法の趣旨に準じて積極的に検討を進めるとともに、近年における職員宿舎事情にかんがみ、大都市圏の職員宿舎の高層化、集約立体化等を推進すること。 以上であります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、質疑等を勘案して作成したものでありますから、御理解いただけるものと存じますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  以上であります。
  262. 野中広務

    野中委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  263. 野中広務

    野中委員長 起立多数。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、関谷郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。関谷郵政大臣。
  264. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 ただいま郵便局の用に供する土地高度利用のための簡易保険福祉事業団業務特例等に関する法律案を御可決いただき、厚くお礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を推進するに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  265. 野中広務

    野中委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 野中広務

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  267. 野中広務

    野中委員長 郵便貯金法の一部を改正する法律案郵政官署における外国通貨両替及び旅行小切手売買に関する法律案の両案を議題といたします。  順次趣旨説明を聴取いたします。関谷郵政大臣。     ─────────────  郵便貯金法の一部を改正する法律案  郵政官署における外国通貨両替及び旅行小切手売買に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  268. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 最初に、郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金の預金者の利益を増進し、貯蓄の増強に資する等のため、貯金総額の制限額の引き上げを行うとともに、進学積立郵便貯金の貯蓄目的を拡大し、その名称を変更する等の改善を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一に、郵便貯金の一の預金者の貯金総額の制限額を七百万円から一千万円に引き上げることとしております。  第二に、進学積立郵便貯金について、貯蓄目的対象を進学に必要な資金から在学中の資金も加えた教育を受けるために必要な資金に拡大し、その名称を教育積立郵便貯金に改めることとしております。  第三に、定期郵便貯金の利子の計算方法を月割りから日割りに改めることとしております。  第四に、預金者に対する貸し付けの担保とされた定期郵便貯金が継続預入される場合において、貸し付けを継続することができるよう規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、貯金総額の制限額の引き上げに関する規定については平成三年十一月三十日までの間において政令で定める日、進学積立郵便貯金の貯蓄目的の拡大等に関する規定については公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日、その他の規定については公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  次に、郵政官署における外国通貨両替及び旅行小切手売買に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、住民及び旅行者の利便を図るため、郵政官署において外国通貨両替並びに旅行小切手の受託販売及び買い取りを行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  まず第一に、郵便局において、両替を行う外国通貨及び買い取りを行う旅行小切手の種類は、郵政省令で定めることとするものであります。また、受託販売を行う旅行小切手の種類については、郵政大臣が公示することとするものであります。  第二に、郵便局における外国通貨両替及び旅行小切手の買い取りに適用する換算割合は、郵政大臣が定めて公示することとするものであります。また、受託販売を行う旅行小切手に係る換算割合等は、郵政大臣が公示することとするものであります。  第三に、郵便局において行う外国通貨両替及び旅行小切手売買については、外国為替及び外国貿易管理法の適用があることとするものであります。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日からとしております。  以上が、これら二法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  269. 野中広務

    野中委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  次回は、来る十五日金曜日午前八時四十分理事会、午前八時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十一分散会