○小野沢政府
委員 お答え申し上げます。
ただいま
川崎先生が御指摘いただきましたこと、全く私同感でございまして、肝に銘じております。ことし、
郵便創業百二十年という節目を迎えるわけですが、それだけに、今御指摘のありましたような点を踏まえて、心を砕きながら
事業運営に当たらなければならないというように考えております。
先ほど御指摘がありましたけれども、かつて
郵便事業の苦悩を象徴するものとして、赤字だとか、それから
小包の減少があったわけでございますが、御指摘のような経緯を踏まえて、ただいま順調に推移しておりますが、油断してはならないというふうに考えております。
そこで、その
努力の跡づけ、
意味づけ、それから、それをこれからどういうふうに持っていくかということについて、簡単に御説明させていただきます。
先ほど御指摘のありましたように
郵便事業財政は堅調な推移をたどっているわけでございますが、最新のデータといたしまして、
平成元
年度決算におきまして約百六十六億円の利益を計上いたしまして、
平成元
年度末において約五百五十九億円の累積利益金を保持しております。
また、
年度の途中でございますけれども、まだ不確定要素を抱えておりまして明言はできませんが、
平成二
年度につきましても、前
年度に比べて利益金は減少するものの
黒字を保持する見込みであります。これはもちろん規模からいって、先生の御指摘のような、油断すると極めて危険な
状況に陥る要素もありますので、その辺は考慮いたしますが……。
そこで、今私どもの
郵便事業の
環境を整理してみますと、近年におきます
経済社会環境の激しい
変化の中で、
郵便事業は今でも
小包の
分野で
民間宅配便と熾烈な
競争を行っておりますし、また信書の面でも、高度
情報化によりまして急激に
発展している
電気通信メディア等と競合
関係にありまして、非常に厳しい
環境のもとに置かれているということを再認識しなければいけないというふうに考えております。
こうした
郵便事業を取り巻く厳しい
経営環境の中で
郵便事業財政が
改善されましたのは、その理由を分析してみますと、
我が国の
経済の好況が持続してきたことや
労使関係を安定させてきたことを背景といたしまして、全
職員が力を合わせて
お客様ニーズにこたえた
各種の
郵便サービスを
開発、提供し、積極的な
営業活動を
展開するなどの真剣な
経営努力の積み重ねを行ってきた
成果であると考えておりますが、逆に、反面、この辺を油断しますと、また大変な事態に陥りますので、気をつけたいというふうに考えております。
そこで、こうした
状況をいかに続けていくか、定着させていくかということが大事な私どもの
使命でございますが、先ほど先生から御指摘ありましたように、今大事な区切り、節目に当たっておりますので、そこでこれまでの経験則を踏まえていろいろなことを考えて、それを内外に示していくということが非常に大事だということで、今それを
努力をしております。
例えば、私どもがどういう
経営方針で臨むのかという
経営方針を毎
年度作成いたしまして、
職員にも示し、部外にも説明し、御批判を仰ぎながらリファインしておりますが、
郵便事業を取り巻く厳しい
経営環境の中で、
郵便事業が二十一
世紀に向けてその未来を切り開き、
地域住民の利便の
向上と
地域社会の
振興に寄与していくためには、広い視野からの中期的な展望に立って、次のとおり
各種施策を実行していくという方針を今固めております。七点に集約して御説明させていただきますが、これを確実に実行していきたい、これが五、六年の中期
計画の基本になるものというふうに考えております。
第一点といたしましては、
全国二万四千の
郵便局ネットワークを最大限
活用し、辺地から
大都市までの
地域社会の
振興に
貢献することをまず
基本方針とするということでございます。
第二点は、
時代の進展により
多様化、
高度化する
お客様ニーズに対応した
郵便サービスの
開発、
改善を図り、効率的な
営業活動を
推進し、
郵便の量的拡大を図るということでございます。
第三点は、
郵便物数の増加に対応する要員の配置、
施設の
充実を図るため、
平成二
年度、
平成三
年度予算編成において相当の増強をしてきたところでございますけれども、厳しい要員事情等の中ではおのずと一定の限界がありますため、今後とも要員の効率的配置や作業の部外委託を
推進するとともに、
郵便事業の機械化、
情報化を図り、効率的な
事業運営に一層努めてまいるということでございます。
第四点は、
社会経済の
変化に対応して
郵便事業の二十一
世紀に向けた新たな
展開を図っていくため、
事業経営の基本的な
課題について幅広い視野
に立って
調査研究を実施し、その
成果を
活用するということでございまして、特に
平成三
年度におきましては、「
郵便事業の長期展望に関する
調査研究」を初め、十テーマもの多くの
調査研究を実施すべく今諸準備を進めております。
第五点は、やはり
郵便事業は本来、体質として労働力への依存度が高いため、本省、
郵政局、
郵便局など各段階において
各種の訓練、研修を一層
充実させ、
事業のかなめである
職員の能力の
開発、
向上に一層努めるということでございます。
それから第六点ですが、先ほど御指摘もありましたが、今後とも
労使関係の安定、
相互理解を図っていくとともに、各省庁や
関係団体等との間において緊密な連携をとるということでございます。私の経験からしても、やはり
郵政省外の人とおつき合いしていろいろ幅広いいい意見をいただくということが大事だということを痛切に感じておりますので、特にこの辺、留意したいと思います。
それから最後の七点目ですが、現在、日本の
郵便事業は国際的に高い評価を得ており、
郵便先進国として、今後ともさらに国際化
時代に対応した
各種施策を
推進することによりまして、
国際社会の安定と調和ある
発展に
貢献したいというふうに考えております。
以上、基本的な中期的な観点からの姿勢について申し上げましたけれども、やはり
郵便事業の将来について明るい展望を切り開いていくためには、このような
郵政省みずからの真剣な
経営努力を続け重ねてこそ、初めて活路を見出せるということをこれまでの経験からも肝に銘じておりまして、
郵便事業の
経営に当たっては、直接
最高責任者として決してやすきや低きにつくことなく、理想を求めつつも現実的な有効な
施策を果敢に実行してまいりたいという決意を固め直したところでございます。