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1991-04-18 第120回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月十八日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 森田  一君    理事 井奥 貞雄君 理事 亀井 静香君    理事 小坂 憲次君 理事 福永 信彦君    理事 増田 敏男君 理事 谷村 啓介君    理事 中沢 健次君 理事 小谷 輝二君       石橋 一弥君    遠藤 武彦君       中谷  元君    中山 利生君       長勢 甚遠君    古屋 圭司君       星野 行男君    松田 岩夫君       簗瀬  進君    遠藤  登君       小川  信君    北沢 清功君       小林  守君    須永  徹君       安田 修三君    河上 覃雄君       草野  威君    吉井 英勝君       神田  厚君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     吹田  愰君  出席政府委員         警察庁長官   鈴木 良一君         警察庁長官官房         長       井上 幸彦君         警察庁刑事局保         安部長     関口 祐弘君         警察庁交通局長 関根 謙一君         自治大臣官房長 森  繁一君         自治大臣官房総         務審議官    紀内 隆宏君         自治大臣官房審         議官      二橋 正弘君         自治省行政局長 浅野大三郎君         自治省行政局公         務員部長    滝   実君         自治省財政局長 小林  実君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         環境庁大気保全         局企画課交通公         害対策室長   西尾 哲茂君         環境庁水質保全         局水質規制課長 久野  武君         大蔵省関税局輸         出保税課長   花井 伸之君         文部省体育局学         校健康教育課長 富岡 賢治君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   坂本 弘道君         農林水産省構造         改善局建設部整         備課長     上田 一美君         通商産業省機械         情報産業局総務         課長      伊佐山建志君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     仲津 真治君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     村上  健君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     松井 大悟君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ───────────── 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   塩川正十郎君     佐藤  隆君 同日  委員佐藤隆君が死去された。     ───────────── 四月十八日  暴力団員による不当な行為防止等に関する法律案内閣提出第九〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第三一号)  銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案内閣提出第七七号)(参議院送付)  暴力団員による不当な行為防止等に関する法律案内閣提出第九〇号)  地方財政充実強化等に関する件      ────◇─────
  2. 森田一

    森田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。草野威君。
  3. 草野威

    草野委員 私は、初めに低公害車の問題につきまして御質問を申し上げたいと思います。  現在、地球温暖化問題とか地球環境を守るとか、こういうことにつきまして非常に大きな関心が持たれているわけでございますが、そういう中で自治省が、自動車排気ガスを抑制する、こういうことで、本年度から地方自治体に対しまして低公害車を積極的に導入していこう、そういう方針を固められたわけでございます。財政的にも、地方交付税地方債、こういうもので積極的に応援していこう、こういう方針を決められたわけでございます。  そこで、自治省としましてこの計画についての具体的な措置内容、それから本年度の低公害車導入の目標、こういうことにつきまして、まずお伺いをしたいと思います。
  4. 小林実

    小林(実)政府委員 NOxを初めといたしまして、自動車排出ガス抑制対策の一環といたしまして、公害パトロールカーごみ収集車公営バスを重点に、地方団体におきます低公害車導入を促進するために財政措置を拡充することといたしております。特に大臣がこの問題に非常にお詳しいわけでございまして、御指示がございまして、自治省におきましては、平成年度からの財政措置といたしまして、一つ普通交付税に算入されております公害パトロール車車種電気自動車メタノール車に切りかえるとともに、台数をふやしたわけでございます。  二つ目には、ごみ収集車及び公営バスといたしまして低公害車導入する場合には、一〇〇%の起債措置とあわせまして、割り増し経費につきまして一部特別交付税による財源措置を講ずることといたしておるわけでございます。措置台数は、パトロール車の場合標準団体ベースで県二台、市町村一台といたしまして計上いたしておるわけでございます。ごみ収集車公営バスにつきましては、台数は特に定めてはおりませんが、地方団体から申請があればこれは認めることといたしておるわけでございます。
  5. 草野威

    草野委員 措置内容は伺いましたけれども、問題は、この低公害車は非常に価格が高いわけですね。それから性能についても、いろいろとまだまだ十分じゃないわけでございます。例えばごみ収集車の場合は、普通だと大体二トンのディーゼルで五百万程度、これが電気自動車になりますと二千六百七十万、五倍以上の価格、そのほかメタノール自動車にいたしましてもかなり価格が高い、こういう問題があるわけでございまして、性能価格、これを今後どのようにクリアしていくか。そういうことで恐らく自治省としても、まず地方自治体導入する、これを一つ起爆剤として今後民間レベルにも拡大していこう、こういうお考えではなかろうか、このように受け取っております。  しかし、今のお話を伺いましても、量的には本当に微々たるものなんですね。これではまるでプールの中にインクを一滴でも垂らしたような感じで、果たしてこれで起爆剤になるかどうか、こういうような気がするわけでございますが、いかがですか。
  6. 吹田愰

    吹田国務大臣 この低公害車問題につきましては先生も非常に御熱心にお取り組みになっておられますが、これは特にディーゼルエンジンを持っておる、いわゆるトラック中心でありますが、これがいわゆるNOx排出量が非常に大きいわけでありまして、五トン車から十トン車程度の車になってきますとおおむね普通乗用車の二十台分くらいの量を出しておりますし、超大型の十トン車以上になりますと一車で三十五台分くらいを出しておるという状況から、大都市にこういった車が入ってくるということを非常に問題としておるわけですが、今お話がありましたように直ちにこれを全面的に禁止するということもなかなか難しい問題で、都市に入ってくる車の時間の制限とか、あるいは地域制限とかという問題も環境庁でもいろいろ検討はしておりますけれどもトラックの場合は、主要目的でほとんど物流に関係してくるわけでありますものですから、極めて困難な問題を伴います。     〔委員長退席小坂委員長代理着席〕  そんなことで、この電気自動車あるいはメタノール車その他の問題として、最近はハイブリッドバス日野ディーゼルがつくり始めまして、これによってかなり新しい方向に動くと思いますが、それにいたしましても今量産をいたしておりませんものですから、手づくりのような形になってまいりますと、今先生のおっしゃるように数倍、五倍とかあるいは三倍とかという値段になってくるであろうと思うのであります。  したがいまして、これが量産できるように、少なくとも年間一万台に達成すれば値段は大幅に、機械的な製造に入れるということがいわれておるものですから、私どもも、年間製造量一万台に早く到達さすということに焦点を絞ろうとしますと、環境庁との関係において協議し合って、できるだけ十万以上の都市に、そういった事業を実施しておるところ、あるいはパトロール車、あるいは公営企業の実施しておるバス、そういったものに対して協力を、財政的な援助をするから、ぜひひとつ一台ずつでもまず入れていくというようなことで配慮したらどうだということを今呼びかけておるわけでありますが、幸いにも、せんだっても大阪の市長も来まして、うちにもハイブリッドバスをぜひ入れてみたいということを言っておりますが、今各地区でそういう空気、動きが始まってきたということからいたしますと、値段を下げていく時期はそう遠からずやってくるであろう。その空気は今盛んに各地域で燃え始めてきたというふうに私は思っておるわけであります。  環境庁と、そしてそれに対する自治省の財政的な協力というような行政的な面も含めまして、これをさらに徹底していきたい。そうして、機械的にこれが製造できるように持っていきたい。今の手づくり方法から機械製造へと移していけるような形をつくっていくように配慮しよう、これが今の私の考え方であり、恐らく環境庁もそういう考え方で今日施策を進めておるものだ、こう思っておるわけであります。     〔小坂委員長代理退席委員長着席
  7. 草野威

    草野委員 環境庁にお伺いしたいと思いますが、最近の大都市大気汚染状況、これについてお尋ねをしたいと思います。特に、大都市中心にしてNOxが依然として改善傾向が見られない、非常に厳しい状況になっている、このように我々も認識をしておりますが、特に東京大阪横浜、こういうところでは環境基準達成率が非常に悪い、このようにいわれておりますけれども、その状況だとか原因についてお尋ねをいたします。
  8. 西尾哲茂

    西尾説明員 御説明申し上げます。  大都市窒素酸化物による大気汚染状況でございますが、東京横浜川崎、それから大阪といったいわゆる大気汚染防止法総量規制地域という三地域について見ますと、経年的な傾向といたしましては、五十年代は横ばいから微改善ということであったわけでございますが、六十年代を過ぎましてからやや悪化の兆しさえ見せております。ここ二、三年はかなり高いレベル横ばいとなっておるわけでございます。  環境基準に対します適合状況につきましては、一般状況をはかる一般大気測定局では約半数の局で非適合ということになってございます。それから、特に自動車影響を見ますと、沿道にある自動車排出ガス測定局ではあらかたが非適合ということでございまして、例えば東京におきましては二十八局すべてが非適合横浜市等の地域におきましては十七局のうち一局しか適合していない。大阪におきましても大体似たような状況でございます。  このような状況の背景ということでございますけれども、基本的には自動車保有台数あるいは走行量というものが増加しております。しかもディーゼル化が進んでおるということがございまして、これまでの自動車排出ガス一台ごとの規制どもやっておるわけでございますが、そういうものの対策の効果が相殺されているということでございます。今後の交通量の増加などを勘案いたしますと、現在ディーゼル自動車につきまして、排ガス規制の一層の強化ということを中公審答申に基づきまして進めようとしておりますけれども、これをもっていたしましても、環境基準に対して十分に改善されるものではないというような厳しい状況にございまして、一層の新しい強力な対策が必要という状況になっておる次第でございます。
  9. 草野威

    草野委員 大気汚染状況、非常に厳しい、こういうお話でございますが、環境庁としても、低公害車の国内の普及ということについて非常に努力されているわけでございますが、現状を見ますと、電気自動車が八百五十台、そのうち自治体分が四十五台、それからメタノール自動車全国で百五十台、そのうち自治体分が四十六台、このようになっているようでございます。  今、大気汚染お話がございましたけれども東京NOx排出寄与割合というものを見ますと、環境庁では自動車割合が六七・二%、こんなような数字が出ているようでございまして、いずれにしても大都市における自動車排ガス影響は非常に大きい、こういうことでございます。  そこで環境庁にもう一点伺いたいと思いますけれども環境基準達成のためにこれからは強力な普及計画、こういうものが必要ではないかと思いますが、どのような計画を現在お持ちですか。
  10. 西尾哲茂

    西尾説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のように、低公害車普及は、このような現在の厳しい大気汚染状況改善していくための一つの大きな切り札として、私どもも期待をしているところでございます。  これまで電気自動車につきましては、例えば普及促進のための懇談会といったようなもので、関係省庁あるいは関係団体自治体とともにその促進策検討する、あるいは低公害車フェアというようなことをやりましてPRを大いに図っていく、また公害健康被害補償予防協会基金を活用しまして、試験的、先行的に導入されるところに助成をするというようなこともしてきたところでございますけれども、今御指摘のとおり、現在の低公害車、私ども都市内での一定のサービス業務には実用可能なレベルに来ていると思います。  問題は、御指摘のとおり価格の問題でございまして、やはり自治体中心とした大量普及ということをやりまして、政策的に需要をつくり出し、生産体制整備を促して価格も低減していくということはどうしても必要でございます。そういうことで、このたび吹田大臣の格別の御配慮で、地方財政上の措置が講ぜられるということは大変効果的なものと思っております。  環境庁におきましても、平成年度からは公害パトロール車に対する助成を六十台分、それから導入手法調査ということで二十二台分、計約一億円を計上しておりまして、またさらに、先ほど申し上げました基金による助成枠も五十台分ふやすということで、そのほかのものも合わせまして、平成年度だけで新たに合計百五十台程度新規導入を図るというようにしておるわけでございます。  こうした自治体におきます率先導入をきっかけにしまして、メーカーの生産体制整備を促していく、また各方面導入機運を盛り上げていくということが何よりも大事でございます。そういう低公害車普及拡大が図られますよう、一層大都市中心とした自治体との連携、いわばスクラムを組んでいくということ、あるいは関係省庁関係団体企業との協力関係をつくるという作業に目下取り組んでおるという状況でございます。
  11. 草野威

    草野委員 大臣がこの問題につきまして大変御努力をされている。私も敬意を表しているわけでございますが、先ほどのお話の中でも、現在のような手づくりから、早く機械製造方向へ持っていかなければいかぬ、現在は約千台程度でございますけれども、これを一万台という、大臣からも今お話がございまして、私も非常にすばらしいことだと思っております。ただ問題は、一万台まで、現在の十倍まで持っていくためにはやはり地方自治体が本当に起爆剤としての役割を果たしていかなければならない。そうなってきますと、ことしから始まったことだからやむを得ないと思いますけれども、もう少し年次計画というものを地方自治体として決めて導入をしていく、このくらいの強力な体制で進めていかなければ、一万台というのはいつまでたっても達成できないのじゃないか、このように思うわけでございます。  改めて物事を申し上げるまでもないと思いますけれども、いずれにしても地球温暖化対策は私は非常に重要であろうと思います。二十一世紀になって手をつけても間に合わない。今から取り組んでいかなければならない非常に重大な問題である。そういうためにも、自動車排気ガス、特にディーゼル車という問題をおっしゃっておられましたけれども、確かにディーゼル車の問題につきましては、大型トラックは当然でございますが、小型トラックの場合も、最近は二トン車、一トン車、ほとんどがディーゼル化していっております。これについてどうするかという問題、それから今ハイブリッドというお話もございましたけれども、確かにハイブリッドバス、これはフリーテスト中という話を聞いておりますけれども、数台ということでございます。大都市における公営バス、これももう少し積極的にハイブリッドバス導入なんかに踏み切っていかなければならない。  こんなことで、地方自治体に対する低公害車促進策、ひとつもう一踏ん張りお願いしたいと思いますが、年次計画ということを含めて、大臣のお考えを承りたいと思います。
  12. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいま先生おっしゃいましたように、大都市が問題なんですね。今環境庁からも言っておりますように、私が調査しておりますものからしましても、達成率、いわゆる排気ガス状況から規制をしておりますが、その総量規制の中での測定局が、東京で二十八局測定しておるわけですけれども、その二十八局がことごとくすべてもうそれをオーバーしておるということで、いわゆる違反になっておるということでありますし、横浜川崎方面におきましても、十七ヵ所の指定に対して十四ヵ所は違反である、あるいは大阪方面におきましての関係地域におきまして、二十六に対して二十一の局がそれぞれもうオーバーしておる、こういうことで、状況が非常に悪くなっているわけです。  私も党におりますころからこの問題は特にいろいろと研究してきたわけでありますが、東京都内におきましても、例えば首都高速道路というのが今七十五万台ぐらい一日に通っているわけですね。そのうちで、東京都には全く関係のない通過交通が約三五%、いわば二十六万台というものは東京都にかかわりない車が通過しておる。それがのろのろ運転で通過しておるということでありますから、それだけの排気ガスを出している。あるいは阪神高速道路におきましても、一日当たり六十六万台通過しておるわけでありますが、その三五%、二十三万台というものは阪神かかわりなく回っているというような状況等考えてまいりますと、一日も早く道路網整備もしなければなりませんし、今のディーゼル自動車というものも、この性能をやはり今の制度から副室式方法、さらにはそれにもう少し改良を加えていくという問題も必要でありましょう。  さらに、先ほど申し上げましたように、低公害車に切りかえていく。バスにおきましても、じんあい焼却をするために廃棄物を集めておる車なんかというのは、東京でもそうですが、バスでも、停車したり発車したり、停車したり発車したりという、この連続ですね。それが非常に大きな排気ガスを出しておるわけであります。これに一番いいのがハイブリッドであるということで、ハイブリッドというものを今私はむしろ奨励し、これにディーゼル関係焦点を絞るべきではないかということを言っておるわけであります。  計画問題につきましては、環境庁におきまして今後関係地域においての計画をいろいろとおつくりになるでありましょうが、それにできるだけ私どもは財政的な協力もできるように合わせていきたい。年次計画というもの、長期計画に合わせていける、そういう方法役所同士協力態勢というものが今や実に必要な状態になってきておるというふうに判断しておるものでありますから、環境庁が基本でありますから、環境庁考え方自治省もできるだけの応援と協力をして、地方自治体に率先垂範してもらえるような、特に大都市において率先垂範していただけるような、そういう方法をさらに進めていきたいものだ、こう思っておるわけであります。
  13. 草野威

    草野委員 排ガス抑制検討会というのがあります。中間報告が発表になっておりますけれども、これによりますと、一つは「工場、事業場に係る自動車排出ガス総量規制する方式」もう一つは「排出量の大きい車種の使用を規制し、より低公害車種への代替を促進させる方式」、その他ございますけれども、こういうことが中間報告に出ているわけであります。聞くところによりますと、これをことしじゅうには取りまとめて、来年の通常国会には提出される、こんなような話も聞いております。  そんなことで、今大臣に具体的にいろいろなお話を承りましたけれども、こういうものに対する対策、例えば大都市が今非常に問題であるということで、乗り入れ規制の問題だとか、また総量規制の問題、また時間規制の問題、いろいろあると思いますけれども、こういう問題に対しましてぜひともこれからも強力に取り組んでいただきたい、このことをお願いを申し上げたいと思います。  引き続き、この公害環境問題と関連したことでございますけれども放置自動車対策、この問題について若干お尋ねをしたいと思います。  現在、放置自動車の問題がいろいろと社会問題になっているわけでございまして、最近はマスコミもこの問題をいろいろな角度から大きく取り上げております。  町中に自動車放置されている、これがいろいろ問題になっているわけでございますけれども、例えば新聞報道などによりますと、埼玉県の和光市では百台以上放置されている。それから同じく朝霞市においても七十台以上放置されている。それから千葉県の松戸市でも、これもテレビで放映しておりましたけれども、ある時点で四百台ほど放置をされておる。また私の地元の横浜におきましては、昨年四月から十二月までに処理した放置自動車台数は四百七十四台に上っておる。そしてなおかつ現在三百四十台の放置自動車がある、こういうようなことも伺っているわけでございます。  そういう中で、放置自動車対策というのは非常に面倒な面がたくさんあるのですね。簡単に粗大ごみとして処理することはできない、いろいろな面倒な問題がたくさんあるようでございまして、後ほど厚生省にも、この放置自動車とは一体何なんだ、こういうことについてまたお尋ねをしたいと思っております。  確かに現在自動車台数は非常にふえておりまして、そういう中で年間約四百五十万台程度の車が廃車にされている。その廃車にされた車の中から解体に回される分がかなりあると思いますけれども、そこから出てくるダスト、こういうものだけでも年間百万トンにも上っている、こんなようなことも伺っております。そういうことで、地方自治体においても、この自動車解体とかそういうことは非常に大きな問題がたくさんあるわけでございますが、こういう放置自動車に限って見た場合に、例えば、一体これは道路に駐車されているのか、それとも放置されているのかわからない場合がいろいろあるのですけれども、警察で駐車違反ということで取り締まっている車の台数年間で二百数十万件に上がっているわけでございます。そういう中でこういう放置自動車対象になっているかどうかわかりませんけれども、恐らく対象になっていないんじゃないかと思いますね。  そんなことで、この放置自動車というものを一体どういう概念で押さえていったらいいのか、放置自動車の定義だとか、現在放置自動車というのが全国でどのぐらいあるのか、そんなようなことについてまず厚生省の方からお話しいただきたいと思います。
  14. 坂本弘道

    ○坂本説明員 廃棄物処理法等の法令におきまして放置自動車を定義したものはございませんが、一般的には、自動車のうち、道路等にそのまま放置されているものをいうのじゃないかと考えております。  一方、廃棄物とはどういうことかということでございますが、占有者がみずから利用しまたは他人に有償で売却することができないために不要になったものをいいまして、これらに該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案して判断することとなっております。  したがいまして、放置自動車廃棄物処理法の廃棄物に当たるかどうかにつきましては、道路等に放置されていることのみをもって判断するのではなく、所有者の有無それから自動車としての機能の有無等を総合的に勘案して判断すべきものじゃないかと考えております。また、廃棄物と判断される場合には、廃棄物として廃棄物処理法に基づき適正に処理されるべきではないかと考えております。  それから、全国放置自動車台数ほどのぐらいかというところでございますが、先ほど先生の方からもお話ございましたが、全国廃車台数というのが四百万台強というふうにお聞きしております。このうちどのぐらいが放置自動車になっているかに関する全国的な統計というものはございません。ちなみに、大阪市が平成元年に処理いたしました放置自動車というのを聞いておりますと九百二十二台というふうに報告されておりまして、幾つかの地方公共団体の処理状況等からいたしますと全国年間二、三万台が放置自動車となっているのじゃないか、かように思われます。
  15. 草野威

    草野委員 今のお話にございましたように放置自動車というのは定義なんか全くない。やはり問題は所有者、所有権の問題、それから機能がどうなっているんだ、こういうことからそれを粗大ごみとして扱ったりどうするか、こういうようなお話でございました。そういう中で現に全国の各地方自治体は、こういう放置自動車が年々増加する傾向にある、処理に非常に苦慮している面もございます。  そこでまず、自治省でも結構です、厚生省でも結構ですけれども、この放置自動車が現在どんな形で処理をされているか、取り扱い経路みたいなもの、これも自治省でおわかりでしょうか。
  16. 浅野大三郎

    ○浅野政府委員 具体の処理の経路につきましては、恐縮でございますが承知しておりませんので、担当の省の方からお聞きいただければ幸いかと存じます。
  17. 坂本弘道

    ○坂本説明員 放置自動車廃棄物としての認定が困難でございますが、廃棄物として認定できるものにつきましては、放置された場所の土地の所有者、管理者との調整を行いながら、現在市町村等が処理に要する経費を負担することなどによりまして適正に処理しているところでございます。市町村が処理する路上放置自動車のうち一定のものについては、自動車工業会等がその処理に協力する制度を検討中と聞いておりまして、厚生省といたしましては、自動車工業会等とも相談しながら、市町村等の地方公共団体における廃棄物としての放置自動車の処理が円滑にいくよう、対応を引き続き検討してまいりたいと考えております。
  18. 草野威

    草野委員 厚生省としては、放置自動車が粗大ごみである、このように認定されればこれはそのようなことで処理をする、こういうことだろうと思いますけれども、そこまでいくのが今なかなか面倒なわけですね。  そこで警察庁に伺いたいと思います。率直に伺います。  放置自動車というのは、大体放置する人は銀座のど真ん中で放置する人はないと思います。できるだけ見つからないところへ行ってそっと置いてくる、こんなことが多いと思います。しかし、最近見ておりますと、この間も、これは全国的ないろんな新聞で紹介されました。おとといの新聞でございますが、これによりますと、この写真を見ますともう住宅街のど真ん中なんですね。住宅街のど真ん中にこうやって自動車放置されている。ナンバープレートもほとんど外されている。これはよく見てみましたら私の家の近所なんです。だから、そんなわからないところじゃなくて、閑静な住宅街のど真ん中にこうやって並べられてあって、放置されっ放しなんですね。  警察庁にこれは伺いたいのでありますけれども、こういうことが住民から通報があって、どうしてくれるんだ、何とかしてくれ、こういうような連絡があった場合、警察庁、これはどうされるんですか。
  19. 関口祐弘

    ○関口政府委員 お答えをいたします。  町中等あるいは路上に放置自動車が発見をされた。まあそれは警察官が認知をする場合もあろうかと思いますし、また一般人の方から通報をいただくということもあろうかと思いますけれども、まあ警察官が放置の現場を確認をいたしまして、その通報者から細かく事情をお聞きするということがまず第一かと思います。そして、その自動車が置かれている状況等から何らかの法令違反、例えば道路交通法違反廃棄物処理法違反等の有無を調査した上で、所有者がだれかということで所有者の確認を行いまして、所有者が判明をした場合には検挙等その他の所要の措置を講じているところでございます。また、所有者が判明をしないというふうなこともかなりあろうかと思いますが、そうした場面では道路管理者等に連絡をいたしまして除去等の措置を促す、お願いをするということとしております。
  20. 草野威

    草野委員 昨年でもしおわかりになれば昨年の違反取り締まりの実績ですね、これをひとつちょっと教えていただきたいと思いますが、今お話ございましたように、こういう放置車両を発見したときに、例えば道交法でやるとか、それから廃棄物処理法でやるとか、また道路法なども対象になってくるんじゃないかと思いますけれども、どんな法律違反になるのか、またこの取り締まりの実績、こういうものについて数がおわかりであれば教えていただきたいと思います。
  21. 関根謙一

    ○関根政府委員 道路交通法違反関係の数字につきまして御説明を申し上げます。  道路交通法では、先生指摘のような放置自動車、これは自動車としての機能及び所有の意思があるような場合には自動車として扱いますが、そうでないような場合には物件として扱います。その物件が道路上に交通の妨害となるような方法で置かれた場合、これが道路交通法の七十六条三項違反ということになります。で、交通の妨害となるような方法で置かれるかどうかというところがポイントでございまして、そのようなまあ車両の形をした物件でございますが、それが置かれた場合に交通妨害となるような方法、例えば道路の半分以上をふさいでしまうとか、そういうような場合のみ検挙しております。  昨年は、町田市の管内におきまして五件十五台、道路交通法七十六条三項違反として検挙した事例がございます。
  22. 草野威

    草野委員 ちょっとよくわからぬところがあるので教えてもらいたいのですが、今のお話ですと、道交法第七十六条三項違反ということで十五台検挙した。それは交通妨害になるような方法でということで、道路を半分をふさぐようなそういう状態の場合にこの七十六条違反で検挙した、こういうことですね。そうすると、ちょっとおかしいのは、普通の場合だったら道路にちょっと車をとめておったってこれはもう駐車違反でどんどん挙げられる。この七十六条では「交通の妨害となるような方法で」ということで、道路の半分をふさぐような形の場合が検挙の対象、これはどういうことかな、このように思うのですね。  それからもう一つは、廃棄物処理法違反は検挙状況はどんなふうになっていますか。
  23. 関口祐弘

    ○関口政府委員 平成二年におきまして廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反として全国で検挙した数でございますけれども、五十四件、五十八人ということとなっております。概して申しますと、東京なり神奈川というふうな大都市圏での検挙というものが多くなっているという状況でございます。
  24. 草野威

    草野委員 道交法七十六条によりますと、自動車の機能を失った車両を道路上に放置した場合、こういう考え方ですね。それから廃棄物処理法の場合は、車両を放置した、その車両が廃棄物の不法投棄に該当する場合。これはどこがどんなふうに違うのでしょうか。
  25. 関根謙一

    ○関根政府委員 廃棄物処理法の方で廃棄物に該当するかどうかは担当省からお答えがあろうかと存じますが、道路交通法七十六条の規定は「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。」こういう規定でございます。自動車がこの規定にいう物件に該当するか否かということの判断でございますが、これは先ほども申し上げましたように、所有の意思の有無、それから自動車としての機能を有するか否かという二つの点から判断をしているところでございます。もし自動車としての機能を有するとかあるいは所有の意思があるというような場合でありますと、これは自動車を本来の用法として用いることができますのでまさに自動車に該当し、その場合には、もしその場所が駐車禁止の場所であれば駐車違反の車両に当たります。それから、駐車禁止でない場合でありましても長時間置かれた場合には、自動車の保管場所の確保等に関する法律第五条違反になろうかと存じます。
  26. 草野威

    草野委員 今の御説明を伺っておりましても、自動車の機能を失った車両だとか、それから廃棄物として不法投棄した場合、区別がわからないのですね。あいまいなんですね。問題はそういうところに一つあると思います。  それで、ちょっとここで伺いたいのですが、今の交通局長さんの御答弁の中で所有者の問題、それから先ほどのお話の中で自動車としての機能があるのかないのか、こういうことが、粗大ごみとして認定をするのかどうするか、そういうときの一つのポイントになっているようでございますけれども、まず、自動車としての機能があるなし、これはどういうところでどういう基準で決めておられるのですか。
  27. 坂本弘道

    ○坂本説明員 機能がどうかということではなかなか私どもの方では難しい問題でございますが、廃棄物とはどうかということにつきましては、先ほどお答え申しましたとおり、占有者がみずから利用しまたは他人に有償で売却することができないために不要になったものというようなものが廃棄物だということでございます。
  28. 草野威

    草野委員 私の質問に的確にお答えいただけなくて残念なんですけれども、要するに今の厚生省の御答弁は、機能のなくなった車は廃棄物なんだ、こういうことだろうと思うのですね。機能のまだ残っておる車、機能のある車はまた別扱いなんだ、それは廃棄物としてすぐ処理するわけにはいかないんだ、自治体としてそれを粗大ごみとしてすぐ処理してはいけないんだ、まだ所有権が残っているんだよ、こういう考え方厚生省は立っておられるんじゃないかと思うのです。  したがって、そういう放置されておる車を処理する場合に、やはり機能が残っているのか残ってないのか、まずこれを的確に判断をして、その次に所有者をどう突きとめるかという問題が起きてくると思うのです。その点もう一回お答えいただきたいと思います。
  29. 坂本弘道

    ○坂本説明員 機能が残っているか残ってないかというようなことにつきましてどうかということになりますと、なかなかややこしい話じゃないかと思います。ただ、この廃棄物処理法の廃棄物に当たるかどうかというようなことになりますと、先ほども申し上げましたように道路等に放置されていることのみをもって判断するのじゃなくて、やはり所有者の有無、自動車の機能、この辺をどう判断するかというようなところを総合的に勘案して判断すべきじゃないか、こういう難しい問題がございますということを申し上げておるわけでございます。
  30. 草野威

    草野委員 そんなに難しい問題じゃないと思うのですね。  具体的に申し上げますと、放置されている自動車にナンバープレートがついているのかついてないのか、まずこれが一つ基準になると思いますね。それから、車台番号が削り取られているというケースが最近多いようでございますが、その車台番号を故意に削り取るということはかなり悪質だと思います。だから、ナンバープレートが外されている、それから車台番号も削り取られている、少なくともこの二つに該当するような場合は、これはもう明らかに所有者が放置した、このように決めて、これは粗大ごみとして直ちに処理の手続をとってもいいんじゃないかな、そこら辺のところをきちっと決めればこの問題はもっと簡単に解決するんじゃないか、このように思うのですが、国家公安委員長としてのお立場で、大臣からこういう問題についてひとつ的確な御答弁をいただきたいと思うのです。  これはもう警察庁に言っても厚生省に言っても、自治省に言ったって、全然きちんとした答弁出てこないです。ですから、大臣からこの際、そういう放置されておる車についてナンバープレートが外されている、車台番号も削り取られている、こういうものについては、少しぐらい外観がきれいであっても、直ちにこんなものはごみだということで処理の手続に入る、いかがですか。
  31. 関口祐弘

    ○関口政府委員 先生指摘の点、率直に申してなかなか難しい問題があろうかと思いますけれども、やはり御指摘のとおりナンバープレートとかあるいは車台番号が削られているということも判断をする上での一つの大きなポイント、基準になろうかと思います。そしてまた、そのほかに車両の外観とかあるいはエンジン等のいろいろな構造上の問題、そうしたものがどんなふうになっているのかというふうなものをいろいろと考えていかなければいかぬということでございまして、その点では、私ども警察におきましても、第一線の警察官そしてまた市町村の関係の皆さん方とよく検討いたしまして、現在のこうした路上駐車問題というものが非常に大きな社会問題になっておるわけでございますので、適切に対処してまいりたい、かように考えているところでございます。
  32. 草野威

    草野委員 適切な対処はいいんですけれども、そんなことじゃ困るのですよ。大臣、どんなに外観がきれいな車であっても、ナンバープレートを故意に外したり車台番号を削り取った、これをやれば車の所有者はもうわからないのです。これは車を放置した人が明らかにもう要らないから捨てたんだ、非常にこれはけしからぬことですけれども、やはりそのようにこの際ぴしっと決めてやらなかったら、この問題はなかなか解決しないと思うのです。それはなぜかというと、所有権の問題が難しいからです。道交法においても遺失物法においても道路法においても、一定の期間は所有権が残っている、だからごみとして簡単に手をつけることができない、こういう問題があるわけです。したがって、今申し上げたような考え方でやれば放置自動車の問題はもっと簡単に解決することができるのじゃないか。これは車のユーザーのモラルの問題、これが第一だと思います。それから、警察の取り締まりももっともっと厳しくやってもらわなければならない。これはもう当然でございますが、その上に立って、今のような考え方はいかがですか。
  33. 吹田愰

    吹田国務大臣 私も先生お話はもっともだと受けとめて伺っております。こうしたことは地方公共団体においても非常にお困りであろうと思いますし、苦慮されておる大きな問題であろうと思うのです。ですから、一次的には今おっしゃいましたようにユーザーの問題がまず一つあります。そういったことで、そういった関係者の協力で対処しなければならぬという問題もありますし、さらにはやはり関係省庁、特に厚生省、こういったところでもこの辺をきちっとしていただかなければならぬと思います。いずれにしましても、警察庁が中に立ってこれをどうするこうするということが適当なのかどうかわかりませんが、自治大臣も兼ねております国家公安委員長としまして、道路交通関係というものの責任を持たされているわけでありますから、そういった意味で、関係省庁とひとつ協議をしまして、これは環境上からも悪いわけでありますし、総合的に大変なことであります。  エンジン関係がまだ使えるんだということになると、再生品だというふうなこの間の法律の問題も出てまいりますし、その辺がきちっと関係省庁でけじめがついていないんじゃないかと思うのです。私が政府の立場でそんなことを言うのは話が逆でありまして、草野さんが言われるところを私が言うような変な形になりましたが、いずれにしましても、これは政治家としても大事なことでありますから、行政的な面で早速関係省庁で御協議をしていただけるような方法をとりまして、現実に地方公共団体であるいは地域の住民の皆さんがお困りにならないような方法をとにもかくにもとるということにこれからひとつ配慮してみたい、こう思いますので、若干時間がかかるかもわかりませんが、その間だけは猶予を願いたい、こう思います。
  34. 草野威

    草野委員 自治省お尋ねいたします。  十五日に、全国の新聞に報道されておりましたけれども横浜市で放置自動車の取り扱いについて新しい考え方を発表されたようでございます。これによりますと、私もまだ詳しく中を見ておりませんが、物件の所有者を調査して、それが不明だった場合には、委員会をつくってそこで粗大ごみであるかを直ちに判定をする、市長がそれを廃物として認定をする。それで一定の告知をして、それから事業者に処分をさせる、こんな考え方のようでございますけれども、こういう考え方について自治省としてはどのように評価されておりますか。
  35. 浅野大三郎

    ○浅野政府委員 横浜市の方ではいわば条例案、その骨子のようなものをおつくりになっておられるようでございます。もともとこれが出てまいりましたのは、先ほど来委員指摘のように、放置自動車横浜市の場合は船も入れているようでございますけれども、その処理が現実問題として、法律的な問題その他もございまして非常に難しいというところから、実際に現場を預っている立場からやむにやまれぬところから出てきたものではないだろうかと思います。内容の詳細について逐一私どもも十分検討をしておるわけではございませんが、こういうような考え方が出てくるということはよく理解できるところでございます。
  36. 草野威

    草野委員 通産省にお尋ねをしたいと思います。  メーカーそれから販売業者、こういう方々の放置自動車に対する処理の体制並びにその回収システム、こういうものが近くスタートするということを伺っております。自工会が廃車処理協会のようなものをつくって五月から本格的に自治体協力を行う、こういうように伺っておりますけれども、その内容についてお尋ねをしたいと思います。
  37. 伊佐山建志

    ○伊佐山説明員 御説明申し上げます。  本問題につきましては、今まで御議論をいただきましたような関係省庁地方自治体等と連係プレーでやっていくということがまず基本的な対応だというふうに考えておりますけれども先生指摘のとおり、自動車をつくっている者あるいは関連して自動車の販売等に携わっている人たちにも、この問題は社会的にも非常に大きな問題であるということで、通産省といたしましても、そういった関係者の方々に協力を求めまして、積極的に対応してほしいということをやってまいったわけでございます。  それに対しまして、今先生御紹介いただきましたけれども、現在検討中でございますが路上廃棄車処理協力会で、自工でありますとか自販連といったような関係団体中心にいたしましてこの問題に取り組む。具体的には、廃棄希望車両の販売店等を通じまして回収体制整備する、あるいは路上等に放置されました廃棄自動車の処理に関する市町村に対しての財政的な御協力といったようなことについて前向きに対応したいということで、今その具体策を検討している最中でございます。五月にはこれが明らかになるということでございますので、それが明らかになった段階でまた御説明できればと思います。
  38. 草野威

    草野委員 ぜひお願いしたいと思います。  もう一つは、これはユーザー自身の責任は当然だと思いますけれども、現実に年間四百万台以上の自動車廃車をされている。そのうち解体に回されている台数は、推定でございますけれども、毎年三百八十万台ぐらいはあるのではないか。そうしますと先ほどもちょっと申しましたけれども、そこから出てくるダストだけでも百万トン。十トン車に積んでそれを処分地へ運んでいく。どんなことをしても一台当たり十五万くらい最近は費用がかかる。簡単に計算してみますとダストの捨て賃だけでも百五十億円もかかる。今通産省の方で、自工会が中心になって回収システムを五月から始める、こういうお話でございましたけれども、しかし今地方自治体がこういう廃棄物の終末処理ということで非常な難題を抱えながら取り組んでいるわけでございますけれども、メーカーの立場でもう一歩踏み込んで責任を分かち合うべきではないかな、このようにも考えるわけでございます。通産省、いかがでございますか。
  39. 伊佐山建志

    ○伊佐山説明員 基本的な考え方先生指摘のところと私ども大きな差があるとは思っておりません。メーカー側も、こういう問題につきましてある種の社会的責任として企業家としてきちっと対応してほしいということについて、極めて前向きに、嫌々ながらということではございませんで、どうやったら一番具体的にこの問題が解決できるのかということを、こちらの方からもいろいろとアイデアを出しておりますけれども、メーカーサイドからも率先して現実に即した形での対応策というものを今検討しておりますものですから、まずその彼らのコンセンサスを得られたものから始めまして、それで足りない部分につきましては私どももよく監視いたしまして、次善の、次にさらにやるべきことにつきましてまた検討してまいりたいというふうに考えております。
  40. 草野威

    草野委員 メーカーに対して嫌々じゃなくて前向きに検討させる、非常に結構なことであると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  最後に、厚生省一つだけお尋ねをしたいと思います。  今国会で審議中の廃棄物処理法が成立しますと九ヵ月以内に施行される、このように聞いております。厚生省全国自治体に対して放置自動車の処理のマニュアルを示す、こういう話も聞いておりますけれども、どういう内容考えておられるのか、そしてこういうことを実際にやられるのかどうか、この点についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  41. 坂本弘道

    ○坂本説明員 廃棄物処理法の改正につきましては今国会で御審議いただいておるところでございます。ただ、今先生おっしゃいました廃自動車のマニュアルの点につきましては、今の段階で私どもの方で検討しておるというわけでございませんで、この辺につきましてはまた通産省とも十分御相談しながら前向きの形でやってまいりたいと考えております。
  42. 草野威

    草野委員 質問を終わりますけれども、ぜひそういう方向で何らかのマニュアルを地方自治体の方に示す、これはこの際非常に大事なことではないかと思いますので、大臣におかれましてもひとつ特段の御努力をお願いして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  43. 森田一

    森田委員長 須永徹君。
  44. 須永徹

    ○須永委員 私は、公共投資の問題から始まって、下水道、そして農業集落排水事業の問題についてお伺いをしたいと思います。  公共投資基本計画四百三十兆円の問題はこれまで何回となく論議をされてきましたが、この四百三十兆円の公共投資、いわゆる公共事業地方自治体にどの程度の財政的インパクトを与えるのかが問題であろうと思っております。再び昭和五十年代前半のようにどしゃ降り的な公共事業の時代が来るのだろうか、こういうことでありまして、そのころと比較にならないほど大きくなっている公債費負担、すなわち地方債の元利償還金負担のもとで、新たな建設事業の負担に都道府県あるいは市町村はたえられるのかという問題であります。もっと言えば、地方負担が将来への過重な重荷になってのしかかってくるのではないか、自治体の自主的、自律的な事業を実施しようとするとき、公共事業の消化のために振り回されて不要不急の事業だけが実施されるということにならないのか、自治大臣にまずお伺いをしたいと思います。
  45. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいまの先生お話でありますが、この公共投資の四百三十兆の中は、これはいわば生活関連が中心でありますが、これからの十ヵ年計画でこれを進めていくということになっておりますし、特にその中でも公共下水等の問題を中心として生活に最も密接した問題が環境整備の問題で非常に多いわけでありますから、こういったことを推進するということになりますと、今お話がありましたように、地方公共団体にその負担分が相当かかってくるのではないかということですが、まさしくそのとおりでありまして、決算統計等によります推計としましても.地方公共団体の負担する経費の割合はおおむね六割程度になっているというふうに考えられております。  いずれにしましても、今後の計画を推進していく中で、住民生活に直結をいたしております事業の実施でありますから、この点につきましては地方公共団体がさらに大きな負担を持つというようなことになってまいりますし、住民もその負担が増大するということにもなってまいりますから、この点につきましては、我々地方負担の問題につきましては、できるだけひとつ地方財政計画の策定を通じて、国庫負担の問題と地方負担の問題について積極的な協力をしなければならぬと思っておりますし、また、単独事業で実施しなければならぬ問題が相当出てくると思うのです。そういう点につきましては積極的にまたこれについての地方債あるいはさらに地方債償還についての元利の償還について、交付税の問題、こういったことでこれから私どもも積極的に協力していきたい、こう思っておりまして、この事業が現実の問題として全国の各地域において生活関連、生活環境というようなことについての改善が図られることに自治省の役割として一層の努力をいたしたいと思うわけであります。
  46. 須永徹

    ○須永委員 確かに社会資本の整備また単独事業が相当ふえるということが予想されるわけであります。生活関連投資のことになりますと、その筆頭に挙げられるのが下水道事業であると思います。公共投資基本計画を見ても「下水道については、整備の遅れている中小市町村での積極的展開を図り、おおむね二〇〇〇年を目途に総人口普及率を七割程度とする。」とあるわけであります。  そこで、下水道の普及が大きな課題となっているわけでありますが、我が国において特に中小市町村の下水道の普及がおくれているといわれているわけであります。その人口規模別の普及状況についてお伺いをいたしたいと思います。
  47. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 我が国の下水道の普及率でございますが、平成年度末で全体として四二%になっております。これを今お話しのございました人口の規模別に申し上げますと、百万人以上の大都市では八九%でございます。また人口三十万人から百万人までの間の都市につきましては五一%、それから十万人から三十万人の間では四六%、それから五万人から十万人の都市では三一%になっておりますが、特に人口が五万人未満の小規模の市町村におきましては普及率が八%と低い水準にとどまっております。
  48. 須永徹

    ○須永委員 今も明らかになったように、五万人以下が八%。百万人以上というのは本当に東京都ですとか限られているわけでありますが、そういうところについての公共下水道というのは九〇%近くいっている。しかし、それ以外が三〇%ということでありまして、そこに何らかの原因があるのではないか。それは財政力の問題、あるいは効率の問題、あるいは技術力の問題等々あるというふうに思いますけれども、それはまた後ほどお伺いしたいと思います。  下水道全体として処理方式いろいろあるわけでありますが、公共下水道、あるいは特定環境下水道、農業集落排水事業、あるいは漁業集落排水事業、あるいはまたコミュニティープラントや最近合併処理浄化槽等があるわけですが、これら処理方式全部含めて全国普及状況というのはどうなっておるのか、お伺いしたいと思います。
  49. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 御指摘のように下水処理の施設といたしましては、公共下水道のほかに、農業集落排水施設でございますとかコミュニティープラント、あるいは通称個人下水道といっております合併処理浄化槽といったようなものがございまして、それぞれ地域の特性に応じて選択して推進していく必要があるというふうに考えておるわけでございますが、平成年度末におけるこういう公共下水道、農業集落排水、漁業集落排水、コミュニティープラント、合併処理浄化槽、これらをすべて含めました下水処理施設の普及状況ということで申し上げますと、四七%程度になっておるわけでございます。
  50. 須永徹

    ○須永委員 これは県別に見ますと、それぞれ進んでいるところ、あるいはおくれているところ等等もあると思いますが、特にその中で群馬県の状況というのはどうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  51. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 平成年度末の群馬県におきます下水道事業普及状況でございますが、まず公共下水道事業につきましては、県内の七十市町村のうち二十七市町村が実施をいたしておりまして、そのうち既に供用開始をいたしておりますのは二十団体でございます。下水道の普及率は二六%でございまして、全国平均、先ほどの四二%と比べますと、やや下回る状況にあるということでございます。  それから、この公共下水道以外にも群馬県では、農業集落排水その他の事業も行われておりまして、農業集落排水事業は十一団体で供用開始をいたしておるのが三団体、それからコミュニティープラントは八団体、合併処理浄化槽は五十四団体で実施をされておりまして、これらの処理施設の利用人口を全部含めて普及率を見ますと、全体で二九%という状況でございます。
  52. 須永徹

    ○須永委員 今いろいろな下水処理方式の話があったわけですが、それぞれいろいろな特徴を持っていると思いますし、あるいはまた仕組みの違いがあると思います。公共下水道あるいはまた環境下水道、農業集落排水事業、コミュニティープラント、それぞれの仕組みの違い、あるいは特徴、あるいはまた自治省として財政支援措置というものがどうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  53. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 下水処理施設といたしましては、公共下水道、農業集落排水、その他いろいろな仕組みがあるわけでございますが、これらはまず共通して言えますことは、いずれも、し尿及び生活雑排水を衛生的に処理するという意味で共通の機能を持っています。ただ、その制度の目的なり経緯が異なることもございまして、それぞれまた違う部分もあるわけでございます。  まず最初に、その設置主体あるいは施設の形態という面で申し上げますと、合併処理浄化槽を除くそれ以外の施設は、各家庭からのものを集合処理するということを目的とした処理場あるいは管渠から施設が全体できておりまして、公共施設として公共団体が設置、管理を行っております。これに対しまして合併処理浄化槽は、各家庭ごとに個人が設置する個別処理方式ということになっておりまして、設置主体は個人でございまして、公共団体はその設置費について補助金を交付するというやり方で整備の促進を行っておるわけでございます。  それから、それぞれの事業を行います対象地域が違っておりまして、公共下水道は主として市街地において行われますし、農業集落排水は、いわゆる農業振興地域というところで行われるわけでございます。それから、漁業集落排水は漁港の背後の集落において実施をされるということでございます。それからコミュニティープラントでございますが、これは一般的に団地等において整備がされるというところが、この事業が行われる地域の違いでございます。  それから、このそれぞれのシステムに対します地方財政措置でございますが、これにつきましては、私ども、近年それぞれのシステムの間で基本的に財政措置のバランスがとれるようにということを頭に置いて財政措置をいたしておりまして、公共下水道と農業集落、漁業集落につきましては、これはいずれも公営企業という位置づけをいたしまして、国庫補助金を除きました地方負担に対しまして下水道事業債という起債を起こしまして、その元利償還金の五〇%について地方交付税による財源措置をいたしております。それから、コミュニティープラントにつきましては、やはり国庫補助金を除きました地方負担について一般廃棄物理事業債という地方債を充当いたしまして、元利償還につきましてはやはり五〇%を交付税措置をいたしておるわけでございます。さらに、個人が設置いたします合併処理浄化槽について、地方団体が設置者に補助金を交付するというやり方になるわけでございますが、その場合地方団体に対して、その地方負担の一部について特別交付税により財源措置を講じておるというところでございます。  原則として、各処理施設に係る地方負担についておおむね均衡がとられるように、それぞれ担当の各省庁と協議をしながら財政措置を講じておるところでございます。
  54. 須永徹

    ○須永委員 今それぞれの違い、特徴等も伺ったわけでございますが、いずれにしても自治省としても交付税あるいは起債等で下水道にしてもあるいは農業集落排水事業にしても見ているわけでありまして、先ほどいわゆる中小の市町村での下水道の普及率が極めて低い、ある資料によれば、三千三百の自治体のうち二千弱の自治体でまだ下水道事業が進められていないというのもあります。こういう状況というのは、今申し上げましたように、技術力やあるいはまた財政力等々も含めて、そういう効率もあると思いますけれども、そういうところで克服しなければならない課題というのがあるというふうに思っています。  先般、過疎法の改正のときに、過疎団体、いわゆる小さい町村のところは県の代行制度というのが行われることになったわけでありますが、これはもうそういう意味でいいことであるというふうに思っています。確かに県が代行して下水道が普及されていくということはいいわけでありますが、しかし実際に公共下水道を進めていくというのは、事業も、大変長い間工事期間もかかる、二十年から三十年かかるという話も聞いておりますが、そういう状況、それから地形的な問題もあるというふうに思います。特に、町村、過疎団体等等では山ありということでございまして、一昨日自治大臣の話を聞けば、森と林の違いの話も聞きましたが、そういう山あり谷ありというところで公共下水といっても、なかなかそうもいかないというのが実態だろう。やはり公共投資をこれから十年間そういう意味で下水道を普及させていく、そして今の生活状況をさらに快適な住みやすい状況に持っていくということを考えれば、この農業集落排水事業、その有意性というのが評価されるのではないかというふうに私は思っているところであります。  そういう状況の中で、これらの処理システム、そういうものを、方策として自治省の指導というものはどのように考えておられるのか伺いたいというふうに思います。
  55. 吹田愰

    吹田国務大臣 この下水問題というのは、いわば民族、一国の文化の水準と申しましょうか、そういったもののある程度バロメーターとしても使われている現状であることも私もよく認識しておりますし、戦後四十年以上たちましたが、食べる物のない荒廃した日本の立ち上がりでありますから、こうしたところまでの手の届く状態に持っていくのには非常におくれてきておるというのが現状だと思うのですね。ヨーロッパやアメリカにおきましては非常に普及率が高いわけであります。パリあたりの下水なんかというのはもう既に百年以上たっているということを考えてみますと、我が国ではまだ徳川時代であったというふうな感じがするわけであります。いずれにしましても非常におくれておりますが、最近は急速にこの下水という問題に関係地域におきましても、あるいは建設省が中心なんですけれども、これに非常に力が入ってきたということであります。  ただ問題は、一般大衆の認識というものが今から二十年ぐらいまで前はまだ十分でありませんものですから、県でも、都市下水というものをやればそれには上積みをするから、地元負担金を少しでも軽減してやるから、市で取り上げてくれないかというようなお願いを知事がしたものであります。それが全国的な状態だったのですね。ところが最近はもう当然なことであるという感覚になってまいりましたから、県の補助金なんかの継ぎ足しはやらないで、今審議官からも答弁いたしましたように、それぞれ起債起こし、あるいはそれの消化についての交付税問題というのを、我々の方でできるだけの協力を申し上げるということで、住民の負担を軽減していくということに努力をしておるわけであります。  都市の場合は今回の四百三十兆の中で相当大きな部分を下水が持っておりますが、さあこれが今の状態で完全に消化できるかなということさえ私は心配しておるわけでありますが、なぜかならば、都市でやる場合の下水というのは、家が建ちましてから後、道路がついたという格好になっていますから、中まで機械が入っていけないというようなことで、管を埋める場合に非常な苦労をして、かなりの単価を出さなければ管の埋め込みができないという状況があるわけであります。そういったことから単価の問題もかなりかさまる。そうすると個人的な負担も大きいというような問題等もありますから、こういった点での普及問題というのの、あるいはこれが完全消化というものについての心配が残るわけでありますが、こういった点について関係市町村が配慮するとすれば、それに対しては十分我々もこたえていかなければならぬ。そうしないと普及度が上がらない、こう思うわけですね。特に小さな町村におきましては、これは全く今日までそうした問題は、首長におきましてもあるいは関係議会におきましても手が届いていないわけであります。生活環境の中でおおよそ垂れ流しの形で、水田がそのろ過の一つの役割をしておるというようなことも考えられるわけであります。そういう意味で、今、集落排水というものを通して農林省が積極的にこれに取り組もうとしておるわけであります。  あるいはまた、集落排水に適応できない地域については白地として建設省が、これは農村であっても下水はやれるわけでありますから、下水は建設省の基本的姿勢でありますから、やっていくわけでありますが、その間もどんどんと、都市をやる間に農林省は集落排水としてあるいは漁村は漁村集落排水としてこれを推進する、こういうことで今力を入れておるわけでありますし、特に郡部が町村の主体でありますから、郡部と申しますと、河川で申しますと上流部になるわけであります。ですから、上流部からきれいにしていかなければ下流はとてもたまったものではないわけであります。  そういう意味で、私も実は土地改良連合会長も山口県でいたしておりますものですから、今、山間地域において特にこの集落排水を強力に推進して、川下にある都市部の河川というものの汚染を防止するということでやるのですが、最近になりましてまた建設省からもこの環境の問題についての管理でいろいろ問題が出てきまして、こういう集落排水を実施します場合に、最後の端末に浄化槽をつけるわけですが、小さな浄化槽をたくさん河川につけられると非常に環境が悪くなる、河川管理もぐあいが悪いというようなことで、建設省からも私の方に一言ありまして、できるだけ合併して、ある一定の規模のものをつくっていくようにしてもらうと河川の維持管理の上にも助かるというような話もありまして、もっともな話ですからそういう方向で今日は指導しておるのであります。  自治省もそういった面でこれから関係市町村とも協議をしまして、さらに、この下水問題はさっき審議官申しますような状況で財政的な裏づけをできるだけいたしまして促進を図っていきたい、こう思うわけでありまして、ひとつどうぞ御協力をお願い申し上げたいと思います。
  56. 須永徹

    ○須永委員 自治大臣、土地改良事業にも大変深い理解があるし、また経験も豊富だという話は伺っておりまして、今もお話ありましたが、私も実はそう思うのです。町村ですとかあるいは農振地域というのは全国四千万人の人口がいるというふうにいわれておりまして、そこの生活というものがどうよくなっているのか、農村の活性化という話も一昨日大臣されておりましたけれども、その農村を活性化していくときに、お嫁さんが来ないとか、あるいはそこにおける生活様式というのは、もう食べ物もみんなよくなっている、そこへ出てくる、一番汚れのひどいのは何かといえば家庭雑排水だ。そのことが河川を汚し、結果的には用水として使うときに非常に支障を来している。  そういう状況考えていけば、これから市街地における、いわゆる都市計画法の市街化区域は公共下水道でいいと思うのです。調整区域の中でとりわけ農振法の区域というのは、やはりこの農村集落排水事業というのが私は一番効果的じゃないかというふうに実は思うのです。それは単位としても千人以下ということですから、ちょうど一つの集落に一つの処理施設をつくる、これは住民の意識もやはり自分たちの出したものがどう処理されていくか、すぐそばにあるわけですから、これはごみも同じだと思うのです。産業廃棄物の問題にしても、一ヵ所で大きなところで処分場をつくるのだったらば、小さく、できるだけその住民の近くに処分場をつくった方が出す人の意識が変わってくるというふうに思うのです。やはりそういう意味ではこの集落排水事業についてもちょうどいい集落単位になるわけです。流域下水道の話もありますけれども、郡全体を流域下水道でこれをやるのはいいことですよ、しかし、工事期間も相当かかる、あるいはまた敷設する管の距離も、そこにおける建設費も相当かかるということから考えれば、効率面からいっても、私は農業集落排水事業というのをもっと推進すべきではないかというふうに実は思っている一人です。  そういう点で、先ほども下水道の整備状況あるいは大臣お話も聞いたわけでございますが、そこで、農業集落排水事業について伺いたいというふうに思います。  昭和四十八年に農村総合整備モデル事業の一工種として発足したわけでありますが、その後、昭和五十一年にミニ総合パイロット事業、そしてまた、昭和五十八年からこの農業集落排水事業を本事業として進められてきたわけでありますが、これまでの農業集落排水事業の実績というものについて、農林省の方も見えていると思いますが、伺いたいと思います。
  57. 上田一美

    ○上田説明員 農業集落排水事業の実績について御説明申し上げます。  農業集落排水事業は、農業振興地域におきまして農業用排水の水質保全あるいは施設の機能維持または農村の生活環境の改善を図りまして、あわせて公共用水域の水質保全に寄与することを目的として実施しておりますが、これまでにこの事業で採択をしました地区数は約千二百地区でございまして、この対象人口はおおむね百二十万人余りとなっております。このうち、平成年度末までに施設が整備完了しまして供用を開始しておりますのは約三百地区でございまして、対象人口は地区平均から推定しますと約三十万人となっております。  平成年度予算におきましては、生活関連重点枠を活用させていただきまして、前年度の二倍に相当します国費ベースで六百二十二億円の予算を計上しますとともに、新規採択総事業費につきましても前年度の二・二倍に相当します事業費ベースで二千億を確保することとなっております。
  58. 須永徹

    ○須永委員 今年度においても予算を含めて相当実績を上げられているというふうに思いますが、特に、この間もう既に完了をしたところもあると思います。その完了したところにおける効果といいますか、その事業の効果、いわゆる直接的な効果あるいは波及的な効果、いろいろあると思いますが、その点についてお伺いをしたいと思います。
  59. 上田一美

    ○上田説明員 農業集落排水事業の効果について御説明申し上げます。  先ほど申しましたとおり、直接農業用排水の水質保全等にも非常に貢献しておりますし、また、特に農村生活環境の改善に寄与するところが大でございまして、農村地域の活性化等についてさまざまな貢献があるというぐあいに報告を受けております。
  60. 須永徹

    ○須永委員 これからもそういう意味で農振地域、そこにおける下水道の普及ということで進めていただくわけでございますが、今後の事業量の予定というものをお伺いしたいと思います。これから向こう十年間でどのぐらい普及率がそのことによって上がるのか、特にいわゆる農振地域における普及率、そしてまた、全国的にそのことによってどのぐらい見込めるのかをお聞かせいただきたいと思います。
  61. 上田一美

    ○上田説明員 今後の見通しについて御説明申し上げます。  過去に行いました要望量調査によりますと、約六万五千集落、これは農業振興地域内の集落でございますが、早期に整備されることを希望しているというぐあいに統計をとっております。長期的な全国的な見通しといたしましては、今後十年間で農業振興地域内の集落につきましてこの整備率を現在の中都市の下水道の普及程度までに引き上げることを第一の目標として取り組んでまいりたいと考えております。
  62. 須永徹

    ○須永委員 中都市というのは人口十万ぐらいの都市かと思いますけれども、そこまで引き上げる。町村部分でいいますと、先ほど人口五万以下は八%という話もありましたから、相当頑張っていただかなければ普及率は上がっていかないのではないかというふうな心配もするわけであります。いずれにしましても、先ほど来話が出ておりますように、この下水道を普及させていくということを考えていけば、都市から農村部あるいは漁村部、そういうところにどうしても目を向けなければならない時期に来ているというふうに実は思います。先ほどの効果という部分から見ても、河川の汚れを解消したり、また自然環境を守る意味においても相当の効果がある。波及効果とすれば、お嫁さんが来るようになった、あるいは生活様式もよくなったということにもつながって、農村の活性化にもつながることだというふうに実は思うわけであります。  そういう点で、もっともっとその普及を推進していくべきだ。町村の段階でももっとやりたいというのが私は非常にあるのではないかというふうに実は思うのです。しかし、それが県の段階に上がり、そこでまたセレクトされて農林省に上がってくるというのが実態ではないかというふうに思いますし、一方では、自治省としてもそれぞれ地方団体に対して、先ほど来話がありますように、こういうところについては公共下水だ、こういうところについては農業集落排水事業がいいということも含めて、そういう指導をすることによって普及率を上げることにつながるというふうに私は思います。  そういう意味で、自治省と農林省、普及を進めていくという意味においての決意を伺いたいと思います。
  63. 吹田愰

    吹田国務大臣 これは私が先ほど申し上げましたように、私の県で実際に私が責任者として実施しておるものですから、自治大臣というよりは、実情をよく知っておるわけであります。これは農林省は非常に熱心に全国的な広がりをつくろうとして努力をしてくれておるわけであります、構造改善局が。ですけれども、こういう問題というのは、農村におきましてもなかなか認識の問題として広がっていかない。だから、一ヵ町村の一集落が実施しましたのを見まして、それを多くの方々が見学をしたり現地を踏査してみて、これはいいねということで奥さん方の口から口に伝わっていくのですね。そういった意味で今ようやくにして広がりを見せようとしておるときであります。  それから同時に、この問題については御主人の御理解が相当なければならないわけでありまして、奥様方は、御承知のように一日の眠っておる時間を別にしますと、起きておる時間だって家の中に、台所に生活しておる時間の方が男子よりは非常に長いわけであります。それだけに女性の方方は御理解が早いのですが、男性はなかなかそういう面に農村で弱いところがあるというようなことで、私は盛んにやるのですが、その面が一つあります。  それからもう一つは、一番問題点は、土地改良事業団体連合会に集落排水についての技術員がいないわけであります。これを今農林省の構造改善局は、毎年各県から一人ないし二人優秀なのを入れて研修をしながら一年間、二年間の研修期間を置いて実際の技術を持ったのを地方に帰すという形をとっておるわけでありますが、そういう技術員のまだ不整備な状態にあるということも、一つの農村の集落排水には問題点があるわけであります。  私は、この農村集落排水法の法律施行の際に建設省とやり合った一人でありますから、なぜ農村集落下排水としないのかということでやり合ったら、下の字だけはのけてくれ、建設省が下はうちだという縦割りの一番悪いところが出たのが農村集落排水の名称ですから、そういう意味で法律をつくるときから私はこれにタッチしておるものですからよくわかっているのですが、いずれにしましても、今のそれぞれの県における設計をしていく段階においての一番中心は土地改良連合会でありますから、ここに技術員が不足しておるということと、一つは口から口に伝わっていく時間が若干かかっておるという問題があるわけですが、ようやくにして農林省あたりの非常なるバックアップで前向きになってきたということは私は認めておりますし、それにあわせて財政的な裏打ちを、我々は市町村担当でありますから、市町村に十分――十分にいくかどうかはわかりませんが、できるだけの努力をしてこれが普及度の促進になるように協力しなければならぬ、こういう覚悟でおります。
  64. 須永徹

    ○須永委員 農林省の方ではどういうふうに考えておるのか、決意を含めて伺いたいと思います。
  65. 上田一美

    ○上田説明員 先生指摘のとおり、各市町村長から強い要望を受けておりますので、制度面、予算面また技術開発面において全力を挙げて対応してまいりたいと考えております。
  66. 須永徹

    ○須永委員 ありがとうございます。現在はこの農業集落排水事業も予算補助という形になっているわけでありまして、いろいろ今大臣が話されましたように、土地改良法の中にその排水事業をかちっと組み込むのか、あるいは別途法体系をつくるのか、いろいろな方法はあると思いますけれどと、これから推進していく上において、何といっても財政基盤、あるいは今話ありました技術的な問題等々を充実させていかなければ普及率というものは上がっていかないということになると思いますので、ぜひ自治省としても、この農業集落排水事業あるいは漁業集落排水事業等々の宣伝を町村にもしてもらって、推進方を要望しておきたい、このように思います。  さて次に、地域の国際化という問題に触れさせていただきたいと思います。  参加の時代というふうにいわれているわけでありますが、日本の国際化が大きな問題になっているわけであります。しかも、この国際化というのは、外務省あるいは政府だけではなくして地域においてもさまざまな問題を今生じています。私の地元群馬でも、群馬県の東毛といいますともう外国人労働者の問題で大変クローズアップされている地域でありますけれども、この外国人労働者の問題、あるいはまた研修生あるいは留学生等々を含めまして、自治体も今非常に苦慮しているというのが実態であります。昨年十月一日に国勢調査がありましたが、その折にも、私の事務所にまで実は日系ブラジル人から書き方がわからないというようなことで問い合わせがあったというぐらいでございます。  そのぐらいに、それぞれの地域の中ではこの国際化という課題、あるいは外国人労働者あるいは研修生等々の問題が大きく問題化されているわけであります。特に近年、地方の企業等の話を聞いていますと、研修生のビザの発給を円滑にしてほしいとか、外国人にとっても住みやすい環境づくりをしてほしいとか、帰国子女に対する教育の配慮、あるいはまた外国人労働者の受け入れをもっと拡大してほしいとかいうようないろいろな意見を聞くことが多いわけであります。  その中でも、実は税関業務の簡略化という問題が非常に多く聞かれるわけであります。確かに、国際化の進展によって人とともに輸出入というのも非常に増大しているというのが状況であります。しかも、昔は横浜ですとか羽田空港で税関業務というのが行われていればよかった時代もあったのだろうというふうに思いますが、今はそうではなくして、群馬の内陸地でも工業製品の出荷額というものも大変ふえておりますし、特に群馬県においては、昭和六十年には六兆二千九百四十七億円まで工業製品の出荷額がいっております。昭和五十年の一兆九千五百三十億円から見れば三倍に膨れ上がっているわけです。群馬県の太田市だけをとってみても、昭和六十二年の実績で三千六百十億円の輸出額を持っていますし、東毛全体では、県全体の六割から七割が東毛に集中しているという状況にあるわけであります。北関東地区全体を見ても、工業製品出荷額だけを見ても太田市では一兆一千六百億円、日立市では一兆四千六百億円、栃木県の宇都宮で一兆一千三百億円、こういう状況に実はあるわけであります。  そこで、この通関施設というものを実は群馬県東毛でも地元商工会あるいは市役所が県に陳情しているわけでありますが、この通関施設というものが内陸部で全国どこに幾つぐらいあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  67. 花井伸之

    ○花井説明員 先生お尋ねの内陸の通関施設ということでございますけれども、私ども税関業務を遂行してまいります上で、先生指摘のような内陸の通関施設とは一体何かということについて明確な概念といいますか定義を持っているわけではございません。したがって、具体的にどこに何カ所ということは申し上げられないわけでございますけれども、例えて申し上げますと、先生御出身の群馬県には前橋出張所がございます。それから、山形出張所あるいは宇都宮出張所、さらには長野県の諏訪出張所、こういったところが内陸の通関施設に該当する、こう私ども考えております。
  68. 須永徹

    ○須永委員 昨年の九月七日に群馬県知事から東京税関あてに群馬県東毛地域への通関施設の要望が出ているというふうに思いますが、その検討状況についてお聞かせいただきたいと思います。
  69. 花井伸之

    ○花井説明員 お答え申し上げます。  私ども、内陸の通関施設につきましてどのような場合にこの設置を認めるといいますか、設置すべきかどうかということを検討するに当たりましては、先生方御案内のとおり行政改革というものがございます、この趣旨も踏まえまして、輸出入貨物の増加などによりまして税関の業務量が増大しております地域において税関業務の適正、円滑な遂行及び行政サービスの維持向上を図るため、行政需要の動向あるいは私どもの行政効率、こういったことを勘案しまして適切に対応するということで参ったところではございます。  先生指摘のとおり、群馬県の東毛地域におきます通関機能を有する施設について、群馬県あるいは商工会議所からお話しのような御要望が出ていることは私どもも承知しているところでございます。現在、群馬県の方で東毛地区を中心としました県内企業の輸出入の実態を、今後の業務量の予測等も含めて調査を行って、その結果を取りまとめておられると聞いております。私どもとしましても、その結果を踏まえた上でさらに検討していくということでございますが、この場合に、先ほど申し上げましたように、前橋出張所というのが既にございます。そういった関連もございますし、ただいま申し上げましたような私どもの通関施設設置の場合の考え方といいますか、そういったものにのっとりまして引き続き検討していくということでございます。
  70. 須永徹

    ○須永委員 昨年五月ごろだと思いますが、新聞で見たのですけれども、山梨県の竜王町でやはり通関施設が開設されたという記事を見ました。そこにおける輸出入額は二千百十五億円ぐらいだというふうに伺っているわけでございますが、この山梨県竜王町における通関施設、今も話がありましたけれども、どのような理由で開設されたのかお聞かせいただければと思います。
  71. 花井伸之

    ○花井説明員 御指摘の山梨県の竜王町の件でございますが、山梨県におきましてもやはり最近地域の活性化あるいは国際化ということで、特にあの県内に進出しておりますハイテク関係企業等でかなりの輸出入の額が出てきている、また件数も出てきているということがございまして、私ども、出張所ということではございませんで、これは関税法の三十五条の規定に基づきます税関職員を保税地域に派出するという制度がございますので、この制度の中で昨年の七月から山梨県で通関業務を行っているということでございます。  それから、御案内のとおり、山梨県内には今まで全くそういったものはございませんでしたということも十分考慮した上でということでございます。
  72. 須永徹

    ○須永委員 地元からそういう強い要望があるということ、そしてまた昨年の十一月には東京税関長も群馬県に来県し、東毛地域での税関機能の設置要望が盛り上がっていることについて、どの程度の業務量が見込めるのか調査をしますというような話をされているようであります。そういう意味で、この間、東京税関の方でも業務量の見込みというものが、先ほどの県でやっている三百社のアンケート調査に頼っているのか、それも先ほど来数字で申し上げましたように相当量の輸出入額があるわけでありますから、当然相当な数字になるだろうと思っておりますが、東京税関としてもその業務量がどのくらい見込めるのかという話もございましたし、あるいはまた今後の見通し等もわかればお聞かせいただきたいと思います。
  73. 花井伸之

    ○花井説明員 税関におきます調査ということでございますが、私ども現在、先ほど申し上げましたように前橋出張所を設けているわけでございますが、この陣容で群馬県内、先生ただいまお話ございましたような三百社の実態について、私どもも並行して調査するということはなかなか難しいわけでございまして、基本的にはやはりそういった県の調査結果というものを私どもとしましても活用させていただくということではないかと思っております。それに、私どもでとりあえず調査し得る範囲というのは、税関の前橋の出張所に現実に輸出入の申告などがされるものについての実態、これはわかるわけで、それは税関内部で現在整理等をしているわけでございますけれども、やはりそれだけで今後の通関施設をどうするかということはできませんので、現在京浜地区等で取り扱われている東毛地区の貨物がどうなっているのか、それから今後の予測がどうなるのか、それはやはり県が現在調査していただいている結果などを踏まえて我々として検討していくということではないかと思います。  それから、見通しということでございますが、現段階において正直申しまして見通しを申し上げられるような状況ではございませんが、繰り返しになりますけれども、県の調査を踏まえまして、それから先ほど申し上げましたように既存の前橋出張所の関係も考慮して、と申しますのは、先生先ほど御指摘のように群馬県内の業務量といいますか、それの六、七割が東毛地区ということでございましたが、私どももそのように認識しております。そうしますと、群馬県内に二つということになりますと、前橋出張所の業務量に大変な影響もございます。そのあたりも考慮しながら検討させていただくということかと思っております。
  74. 須永徹

    ○須永委員 いずれにしましても、太田は自動車、電機を初め相当輸出が多い、そして今お話がありましたように横浜等で保税倉庫を持ってそこへ出しているという状況であります。桐生においても、織物産業で有名なところでありますが、輸出も相当量持っています。館林においても最近工場が大変進出してそういう状況にあるわけであります。前橋出張所があるわけでありますが、それの距離からいきますと、前橋と東毛は四十キロ近くあるわけでありますから、そういう意味では簡素化ということも含めて分室なり派出所的な施設ができるようにぜひ要望しておきたいと思います。  最後に、時間がなくなってまいりましたので、学校給食の調理員の配置基準についてお伺いをいたします。  現行定められている学校給食調理員の配置基準は、一九六〇年、昭和三十五年に出された文部省体育局の局長名による「学校給食に従事する職員の定数確保および身分安定について」の通知によって定められているわけでありますが、その後三十年も経過しておりまして、学校給食の内容も、その質、量ともに大変大きく変わっております。パンから米飯の導入あるいは献立の多様化等々、仕事量が大変ふえていることは御案内のとおりであります。ところが、文部省の調査結果を見てみますと、児童五百一人から七百人までは調理員四・三人、そして七百一人から九百人までは四・八人という調査結果になっているわけでありますが、交付税基準あるいは文部省の配置基準は昔のままでありまして、五百一人から九百人までが四人、こういう状況にあるわけであります。  既にこの間、ランチルーム等の話もありますし、先ほども言いましたように多様化ということから考えますと、この配置基準の改善というものが今求められていると思いますが、この点について、文部省にお伺いしたいと思います。
  75. 富岡賢治

    ○富岡説明員 先生指摘のとおり、学校給食の調理員の配置基準につきましては昭和三十五年の体育局長通知で参照すべき基準として示しているところでございます。しかし、先生御案内のように、その後、共同調理場の普及とか施設設備の近代化等いろいろ需要が変わってまいったわけでございますが、全体としまして地域のいろいろな事情等がございますので、従来から各設置者が当該基準を弾力的に運用するという形で対応してまいったわけでございます。  したがいまして、今後も全体としての基準につきましては改定するということは考えておりませんけれども、この基準をさらに弾力的に運用することにより対処してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  76. 須永徹

    ○須永委員 もう一点は、共同調理場、いわゆるセンター方式の問題でありますが、この全国状況、共同調理場方式でやっているところと単独方式全国状況についてお伺いしたいと思います。
  77. 富岡賢治

    ○富岡説明員 私どもの手元に持っておりますのは平成元年の五月一日現在でございますが、共同調理場方式で実施しております公立の小中学校は学校数で一万六千三百六十二校、約五三%でございます。それから、単独校方式で実施しております公立の小中学校は一万四千四百七十七校、四六・九%、こういう状況でございます。
  78. 須永徹

    ○須永委員 行政改革のときにこのセンター方式が取り入れられて全国的にふえていったわけでありますが、最近、逆にセンター方式から単独方式に変わっているというところもあるというふうに伺っています。最近センター方式から単独方式に変わっているところについて、わかりましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 富岡賢治

    ○富岡説明員 文部省といたしましては、個々の学校給食の施設の共同調理場方式と単独校方式の切りかえにつきまして特に報告を求めているということをしておりませんので、具体的な数字としてはわからないわけでございます。  ただ、一連、各年に報告を受けております学校給食実施状況調査を見ますと、例えば昭和六十三年度から平成年度にかけましては、共同調理場方式による学校が五十九校ふえるという実情がございまして、また単独校方式は八十二校減っているという数字はございます。個々にはその逆ということもあろうかと思っておりますが、具体的には承知しておりません。
  80. 須永徹

    ○須永委員 私、昨年十月二十日に発生した北海道の別海町における学校給食の中毒事件について現地調査を実施してまいりました。まずこの共同調理場の概要について申し上げますと、一九七〇年から開始し、一日当たり約三千三百食の給食の調理を十二名の調理員でやっておるわけであります。そして、この十二名の調理員はすべて嘱託という状況にありまして、給食の調理は朝七時半から開始をして、九時ごろには調理を全部終了して、配送車で配るわけでありますが、一コースの走行距離は片道四十キロから五十キロという状況だというふうになっているわけであります。したがって、調理をされて食べるまでの時間というのは三時間ぐらいかかるわけでありまして、そういう意味では中毒事件は起こるべくして起きたのではないかというふうに実は思っています。  この中毒事件を調査した中標津の保健所長は施設の改善を命じましたけれども、私、本来、学校給食というのは、家庭と同じように食堂と調理場というものが一緒の場所にあるべきだというふうに実は思っているのであります。そこで、共同調理場を順次単独方式に切りかえていくべきではないか、また、そのための財政的な面も指導すべきではないかというふうに思っているわけであります。その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  81. 富岡賢治

    ○富岡説明員 先生も御指摘のように、学校給食は大事な学校教育活動でございますから、その円滑な推進に合わせました方式につきましては、それぞれの地域の実情等に応じまして関係者がいろいろ慎重に考えていく必要があるわけでございまして、基本的な学校給食の形態につきましては、設置者が地域の実情等をいろいろ考えまして判断していただくものだ、こういうスタンスで考えておるわけでございます。
  82. 須永徹

    ○須永委員 時間も来ましたので、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  83. 森田一

    森田委員長 午後零時二十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ────◇─────     午後零時四十五分開議
  84. 森田一

    森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。谷村啓介君。
  85. 谷村啓介

    ○谷村委員 質問をいたしたいと思いますが、時間が若干、二十五分ですか、カットされましたので、私自身の質問も幾らか省略するということになりますけれども、御了承賜りたいと思います。  まず、元年度、二年度地方財政対策の論議において、交付税特別会計借入金返済や財源対策債償還基金を計上したことを挙げて大蔵省は、地方財政は財源余剰というふうに主張してきましたけれども、三年度地方財政対策においてはさらに法第六条の三第二項に基づき交付税率の引き下げを要求したと伝えられているわけでありますが、これに対し自治省は、借金返済に努力することがどうして財源余剰ということになるのかと反論したというふうなことを聞いておりますけれども、それだけではなく、地方自治体の社会資本整備のおくれと公共投資拡大などの財政事情について十分に大蔵に聞かせる、こういう必要があるのではないかと思いますが、大臣いかがでしょう。
  86. 小林実

    小林(実)政府委員 地方財政につきましての御質問でございますが、この二年ほど私どもは、地方財政対策を毎年度決めるに際しましては、地方団体が抱えております課題に対する財政措置を十分に講ずること、もう一つ地方財政の健全化を図るという視点から対策を講じてまいりました。  御指摘の点でございますが、例えば平成年度の場合でいいますと、多極分散型国土の形成、ふるさと創生関係財政措置を充実することに努力をいたしましたし、また、福祉関係につきましても、財政計画上の歳出の伸びを高めたり、あるいは地域福祉基金の創設を講ずるということにしたわけでありますが、その中でさらに、御質問がございました社会資本の整備につきましても特に公共投資基本計画、四百三十兆の計画ができましたので、この達成のために単独事業等につきまして大いに伸ばすということで、歳出の伸びを大きくいたしたわけであります。  借金返済に絡む話ばかりでなく、御指摘がございました点も含めまして努力したつもりでございまして、今後とも、御指摘の点は地方団体が抱えている大きな課題でございますので、それにこたえることができるように努力をしてまいりたいと思っております。
  87. 谷村啓介

    ○谷村委員 以下、そういった意味で下水道に集中をして質問いたしたいと思います。  下水道については第七次五ヵ年計画案が示されているわけでありますが、処理人口普及率は平成年度四四%を平成年度末に五四%にすることが考えられているわけであります。仮に達成できたとしても、なお普及率が半分程度にすぎないわけでございますが、もっと達成率を上げるということができないものかというふうに考えるわけであります。第七次計画はどのような考え方で進めようとしておるのか、その基本的な考え方をお聞かせ願いたいのであります。日米構造協議の最終報告書では、次期五ヵ年計画において普及率を一〇%向上させるほか、西暦二〇〇〇年における整備目標を七〇%程度というふうにされているわけでありますけれども、その点について基本的な方針をお伺いしたいのであります。
  88. 村上健

    ○村上説明員 平成二年六月に策定された公共投資基本計画におきまして、おおむね二〇〇〇年を目途に普及率を七割程度に引き上げるとされ、また日米構造協議最終報告において、計画期間中、一九九一年から九五年に普及率を約一〇%向上させる。さらに、平成二年七月の都市計画中央審議会答申においても、平成年度までに処理人口普及率を一〇%程度引き上げるとされているところでございます。  新しい五ヵ年計画におきましては、これらを受けまして平成年度から平成年度までに処理人口普及率を五四%、調整費を含む場合は五五%に引き上げることとしたものでございます。この整備目標は、現状の整備水準が相当低いこと及び公共投資基本計画での西暦二〇〇〇年における整備目標にかんがみまして、余り背伸びすることもできませんし、妥当な整備目標と考えておるところでございます。  五ヵ年計画の実施に当たりましては、以下に申し上げます施策は重点を置いて計画的な下水道整備の推進を図ることとしております。  まず第一に、普及がおくれている中小市町村の下水道整備及び未着手市町村の新規着手を促進する。第二に、浸水防除のための下水道事業を推進する。第三でございますが、水質環境保全のための下水道事業を推進するとともに、高度処理を積極的に実施する。第四でございますが、大都市等において下水道の機能を改善し、質的向上を図るための事業を推進する。第五でございますが、下水道の資源エネルギー、下水道施設等の多目的活用を推進する。  以上でございます。
  89. 谷村啓介

    ○谷村委員 今御説明をいただいたわけでありますが、まだ下水道の便益を受けていないという人たちが六割弱いらっしゃるわけであります。欧米においては極めて高い普及率になっていることは御存じのとおりであります。我が国がなぜこのようにおくれたのであろうか。この点につきましてはこれまでもいろいろな機会に指摘されて、関係当局も努力をされてきたものと思いますけれども普及率の上がらなかったのはどこに隘路があったのか、その点についてお伺いしたいのであります。諸外国の状況については申し上げるまでもないと思います。
  90. 村上健

    ○村上説明員 我が国の下水道普及率は、先生指摘のとおり平成年度末において二二%でまだ低い状況でございますが、毎年一ないし二%の割合で上昇しております。また増加処理人口で見ますと、毎年二百万人以上の人々が下水道をできるようになっておるところでございます。  普及がおくれた原因でございますが、我が国は、まず第一に、し尿の農地還元が行われたこと、第二に、急流河川が多く海に囲まれているなどの有利な自然条件を有していたこと、この二つの理由が主でございますが、これによりまして欧米先進諸国と比較して下水道の事業着手がおくれ、都市の形成にあわせて下水道整備が行われなかったことが下水道普及率が低い第一の要因でございますが、昭和三十八年度以降、五ヵ年計画に基づいて計画的な整備を図ってきたところでございます。  また、日本の中においても大都市において普及率が高く、中小都市が低いという格差が存在しておりますが、その主要因は下水道事業への着手時期の差にあると考えておるところでございます。  下水道はその整備に対する国民の要望も高く、都市の規模を問わず快適で文化的な生活に不可欠なナショナルミニマムと考えておりまして、今後とも普及がおくれた地域整備促進に重点を置いて下水道事業を推進していきたいと考えております。
  91. 谷村啓介

    ○谷村委員 今後未着工のところに力を入れることになるわけでありますが、下水道整備を進めていく上で懸念されるのは、一つは技術者確保の問題でありまして、先ほども須永さん御指摘のとおりであります。ことしは過疎法を改正し県の代行制度を創設いたしたわけでありますが、県でも、大規模なものは手がけても、八千人から一万人規模のものをやった経験があるわけでもないので、ともすれば過大な計画になりはしないか、こういうことが心配されるのであります。しかし、市町村には技術者はいないのでチェックする機能はない。したがって小規模団体の技術者、専門家を養成する必要があるわけでありますが、こうした点についていかがでしょうか。
  92. 仲津真治

    仲津説明員 市町村におきます下水道の技術者でございますが、確かに少のうございますけれども、かなり養成も進んできておりまして、昭和四十九年には約一万三千でございましたが、平成元年、最近の数字でございますが二万人を超えてございます。建設部門、維持管理部門それぞれに大体一万人強あるいは一万人弱の人間がございますが、漸次執行体制整備拡充を図っているところでございます。  また、下水道法では、有資格者と申しまして、これがないと下水の管理ができないという人々が要求されているわけでございますが、これも昭和四十九年六千二百人ぐらいから今一万四千人を超えるところまでふえてきております。さりながら、今後普及を拡大していかなければならない、あるいは未着手であるところの市町村におきましては技術者の確保というのが大きな課題になってございます。  そこで、各市町村におきましては日本下水道事業団等による研修あるいは技術検定というものを積極的に御活用いただきまして技術者の養成、確保に努めていただく。必要に応じまして下水道事業団の技術援助、これは人を派遣することを含めまして、さらに先進都市協力を要請いたしまして、下水道事業の執行に支障を来すことのないよう、建設省におきましてもそういう方向で強力に御支援また御指導してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  93. 谷村啓介

    ○谷村委員 昭和六十三年度地方公営企業年鑑を見ますと、同年度の汚水処理経費、つまり人件費、電気代、修繕代、薬品などの維持管理費と支払い利息、減価償却費などの資本費との合計は全国の公共下水道で総計八千五百九十億円であったのでありますが、一方、下水道使用料を徴収したのは約六十億立方で、料金収入は五千四百八十四億で、差し引き三千百六億円の赤字となっているのであります。これを一立方当たりにいたしますと、汚水処理原価百四十一円に対し使用料単価九十円であり、五十円の赤字であるということになるわけでありますが、この差はどのように補てんをされているのか、お尋ねしたいと思うのであります。
  94. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 六十三年度の決算の状況から、今御指摘のような汚水処理原価と料金収入の関係がそういう状況になることはそのとおりでございます。  下水道事業の財政の負担原則と申しますのは、基本的には各家庭から出る汚水の分はそれぞれの家庭の使用料で賄ってもらう、いわゆる雨水の処理につきましては公費で分担をする、こういう原則になっておりまして、今御指摘の汚水処理費の原価といいますのは本来使用料として各家庭で分担をしてもらうべき額ということになるわけでございます。  それでいきますと、先ほど六十三年度の数字をお挙げになりましたように、八千五百九十億に対して実際の料金では五千四百八十四億でございますから、回収すべきものに対して六四%、三分の二をやや下回る程度の回収にとどまっているということでございまして、その不足分につきましては現実に市町村の一般会計から繰り出し金として補てんをしているという状況でございます。
  95. 谷村啓介

    ○谷村委員 状況が明らかになったわけでありますが、さて、指定都市の汚水処理原価と使用料の平均単価の状況を見ますと、使用料平均単価は大きな違いはないようでありますが、汚水処理原価に差が出ているという問題があります。例えば、福岡市の汚水処理原価は大阪市の三倍以上というふうになっておるのでありますが、その内容を見ますと、維持管理費分は差がない。資本費で差が出ており、大阪市の三十二円に対し、福岡市は百六十円であります。そして資本費は起債利子と減価償却費でありますけれども、七〇%以上、全国平均でありますが、それが起債となっているのでありますが、その意味で起債利子をもっと手当てする仕組みを考えるべきではないのか、こういう気がいたしますが、いかがでしょう。
  96. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 個別の各団体ごとに見ますと、確かに御指摘のようにそれぞれ地域の自然条件あるいは建設改良の内容でございますとか、それから着手しました年度等によりまして、かなりの差が出てまいっております。今お挙げになりましたように、指定市の中でも福岡市と大阪市では資本費に相当な開きがあるということは事実でございます。この例えばの大阪、福岡との関係で申しますと、主な原因といたしましては、供用開始年度が福岡のは大阪に比べてかなりおくれておるといいますか、大阪の場合は供用開始が戦前から行われているということもございまして、比較的早目に建設が進められておる。あるいはそれぞれの水洗化率に差がございまして、水洗化率が高いと下水道の管に各家庭がつなぐ割合が多いものですから、使用料がそれに見合って入ってくる。あるいは一定の区域内で使われる有収水量が大阪の場合には福岡に比べて多いというふうな状況が重なりまして、例えば福岡と大阪ではそういう大きな開きになっておるということでございます。  これはやはり自然的な条件その他ございますので、団体によってそういう差が出てくるのは、ある程度やむを得ないというふうに考えられるわけでございますが、私どもといたしましては、この資本費が一定の基準を超えて高くなりまして、団体で経営の健全化のいろいろな努力をしておりましてもなおかつ高いというふうなところにつきましては、そういう後進の団体につきまして、例えば実際に供用開始してから二十五年間の間、高い資本費について、一般会計が分担をして、それに対して交付税による財源措置を行うというふうな形での資本費負担の軽減を行っているところでございますし、それから、これは供用開始までに相当時間がかかりますし、供用を開始いたしましても、全体つながりますまでにかなり時間がかかりまして、比較的最初の段階で割高になるということがございますので、その経費を期間を平準化してならすというふうなための平準化の起債というふうな措置も講じておるところでございまして、そういうふうな形で、できるだけ資本費負担の軽減あるいは平準化がされるように努力しておるところでございます。
  97. 谷村啓介

    ○谷村委員 本年一月に出された社団法人日本下水道協会の「下水道事業の基本的課題について第二次検討報告」でございますが、それによりますと、「事業費に対する国費の実質補助率は極めて低い」という指摘がされておるのであります。下水道の補助、例えば公共下水道の補助率では六十二年度―二年度臨時特例補助率が管渠は二分の一、処理場が十分の五・二五でございますが、政策的に定められた補対率というのがあるのですが、それによって弾力運用をされているという問題があるわけであります。つまり、「直接事業費を対象とするという前提に立つのではなく、一旦、補助金算定の対象とする事業費と対象としない事業費に大きく区分し、前者についてのみ補助率を乗じて補助金を算出するという制度である。したがって、事業費全体からみた場合、補助率は本来の意味の補助率ではなく、」というふうに言っておるのであります。その結果、同報告書の試算では公共下水道の総合的な実質補助率は、指定都市で〇・二〇九、二十万以上の都市で〇・三四四、二十万未満の都市で〇・三四八、町村で〇・三六一とされ、我々が思っているほど高いものではないことが明らかにされているのでありますが、この点についてどのような認識をお持ちになっているのか。いずれにせよ、実質補助率を引き上げるとともに、わかりやすい平易な補助率にすることが望まれる、こういうふうに私も思いますけれども、いかがでしょう。
  98. 村上健

    ○村上説明員 今の御質問に対するお答えの前に、先ほど私が答弁の中で平成年度末の普及率を二二%と申し上げたかと思いますが、四四%の誤りでございましたので訂正させていただきます。  今の御質問に対するお答えでございますが、公共下水道については従来から主要な管渠及び終末処理場の設置または改築に要する費用が国庫補助の対象であり、末端の管渠については地方単独事業ということになっております。先生の御指摘のとおり、補助事業対象とする範囲を限っております。また、国庫補助率につきましては、事業の重要性、緊急性、事業の性格及び規模、受益の範囲等にかんがみて設定されたものでございまして、公共下水道の補助率についても種々の補助率がございまして複雑にはなっておりますが、総体として考えますと、同種の他の事業と比較して遜色のない水準になっておると考えております。また、地方負担額については起債措置が講じられておりまして、その元利償還についても二分の一の交付税措置が講じられることとなっております。  なお事業促進のために、これら財政措置について今後とも関係省庁と協議してまいりたいと考えております。
  99. 谷村啓介

    ○谷村委員 そうはおっしゃいますけれども、この下水道協会の検討報告によると、やはりこの補助率というのが「実質補助率は極めて低い」という指摘があるわけでありますから、もう今までのようなことを踏襲するのではなくて、ぜひ力をもう少し入れていただきたい、こういうふうに思うのであります。  さて、また「国庫補助対象率の設定は地方団体の現状にそぐわない」ことも指摘されているのであります。  下水道の整備事業は、先ず終末処理場から順次上流末端へと進められるものであることから、概して、当初は補助対象となる事業中心となって補対率が高くなるが、事業の進捗にともなって次第に単独事業の比率が増加して補対率が低下していくというのが通常 というふうに指摘しているのであります。   しかし、地方公共団体レベルにおいては、できるだけ一定水準の事業費ベースを維持し、また、できるだけ高い補対率で少しでも多くの国庫補助金をという考え方が支配しがちである。   この結果、地方公共団体の事業計画においては、補助事業が過度に先行して基幹施設と支線等末端施設の整備に跛行を生じたり、あるいは、一定の補助率を維持するために必要な面整備を遅らせたりするという事例が生じる場合がある。 とされているのであります。したがって、一定比率の補対率が平準化して確保されることが望まれるわけでありますが、この点について何かいい考えはないのか、お伺いをしておきたいと思うのであります。
  100. 村上健

    ○村上説明員 公共下水道につきましては、先ほどの答弁で申し上げたとおり、主要な管渠及び終末処理場等の設置または改築に要する費用が国庫補助の対象となっております。国庫補助の対象となる主要な管渠の範囲は、都市の種別及び予定処理区域の面積ごとに管渠の口径または下水排除量等の基準に基づいて定められております。第七次五ヵ年計画においては、計画に見込まれている一般公共事業費及び地方単独事業費に整合のとれた事業が進められるよう、国庫補助の対象となる主要な管渠を定める基準を見直すこととしております。なお基幹施設と末端の面整備との整合がとれるよう、今後とも十分指導してまいりたいと思っております。
  101. 谷村啓介

    ○谷村委員 次に移ります。  平成元年八月に出されました総務庁行政監察局の下水道に関する行政監察結果報告書を見ますと、下水道に関する今日的問題の多くが指摘されているのでありますが、その一つは下水道類似施設との調整の必要ということが指摘されております。下水道類似施設というのは、地域し尿処理施設、先ほども須永さんの質問にございましたが、農業集落排水施設、合併浄化槽等でございますが、下水道計画区域に近接して整備された下水道類似施設の中には、整備後、下水道事業計画の拡大、変更等に伴い、下水道事業計画に取り込まれるものが多いほか、同事業計画区域への取り込みが予定されているもの等もあり、これら下水道類似施設の中には耐用年数未満で処理施設を廃止し、下水道に接続または接続を予定していることも多いことなど、効率的な整備、接続を図る観点から、これらの協議、調整の仕組みの確立が望まれていたが、この点はどのように進めるのか、この指摘についてどういうふうにお答えになるのか、お尋ねしたいのであります。
  102. 仲津真治

    仲津説明員 地域全体の生活環境の改善あるいは公共用水域の水質保全を図るためには下水道整備が効率的であると考えております。散在集落のような散らばった居住形態の場合を除きまして、そういうところにおきましては下水道整備は非効率なものでございますからそういうところを除いては、下水道の整備というものが最も基本である、この一元的な整備が望ましい、必要であると考えております。しかしながら、下水道整備にはやはり長年月を要する場合がございますので、それまでの措置としては、類似施設というものが設置されまして水質保全あるいは生活環境の改善に資するということも有効であろうと考えます。  そこで、下水道の整備とこういう類似施設の整備との間の調整が必要でございますが、主に調整のポイントはスケジュール面にあろうかと思います。下水道が間もなくやってくるのに類似施設がつくられてしまう、それで耐用年数がまだ来ないうちに撤去、こういうことでは非常に不都合でございますので、建設省におきましては、平成元年八月のこの行政監察の勧告等を踏まえまして、それぞれの整備が効率的に行われ、しかも下水道が行ったときにはスムーズに接続されますよう、まあ設計面での配慮もございますが、そういう点を踏まえて地方公共団体においてしっかりした計画づくり、調整をやっていくように指導する、これは結局下水道の部局と類似施設の担当部局との間の調整ということになりますが、そういう協議システムをつくりますように指導しているところでございます。今後とも双方の協議、調整が十分に持たれますよう、さらに指導を続けてまいりたいと考えております。
  103. 谷村啓介

    ○谷村委員 次に、下水道と下水道類似施設の建設コストを比較してみますと、処理人口一人当たりの下水道建設費は九十三万一千円、これに対し、地域し尿処理施設十八万一千円、農業集落排水施設四十五万六千円、合併浄化槽十五万円という試算が行われているのであります。  また、機能的にも地域し尿処理施設は、新興団地、既存の集落等、定住地域を施設整備対象地域としているために将来の開発見込み分の施設整備を行う必要がないこと、処理区域面積に比して処理対象人口が多く、管渠の整備を土地造成と同時に行うために事業費が節減できること、農業集落排水施設は用地費や仮設費が安く、また、雨水排水は既設排水路を利用することが多いこと、また、合併浄化槽は工場生産された施設を庭先に簡単に埋設できるというふうなメリットがあるというふうに指摘されているのであります。  今までは下水道施設でなければならないようにも考えられているように思いますけれども、このようなメリットがあるとすれば、下水道にこだわらず、下水道類似施設の建設をもっと推進すべきではないのか、特に建設コストの違いをどのようにお考えになっているのか、お尋ねいたしたいと思うのであります。
  104. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 ただいま御指摘の点は、これから特に中小規模の市町村の下水処理システムを普及させていくためには最も重要な点であると私ども考えております。  それで、この下水処理システムはいろいろございますので、それぞれの市町村の中でも、またそれぞれの地域ごとの特性に応じて施設を選択していただく必要があるわけでございまして、その場合の将来の使用水準等を考慮した長期的な財政見通しを立てた上で計画的な整備に努めていただきたいというふうに考えておるところでございまして、その際にはもちろん、この建設コストということも重要な判断の要素の一つになるだろうというふうに考えておるところでございます。それで、こういういろいろなシステムが特性に応じて進められますように、自治省といたしましては、原則としてこれらの施設相互間の財政措置のバランスがとれるようにということで配慮いたしておるところでございます。  それから、私どもといたしましては、昭和六十三年度に下水道財政モデルというものをつくりまして、これはそれぞれの、今お挙げになりました各種の下水処理施設ごとの標準的な建設費についてモデル計算を行いまして、その建設費によって地域の特性、施設の規模をそれぞれのところに当てはめるに当たって判断の材料にしていただけたらということで、そういうモデルもお示しいたしておるところでございまして、そういうことも考慮しながら、建設コストにも配慮して、下水の施設の整備が進むように、いろいろな形で私どももまた引き続き情報の提供、地方団体に対する指導に努めてまいりたいと思っております。
  105. 谷村啓介

    ○谷村委員 下水道類似施設の建設工期はおおむね、地域し尿処理施設が二年、農業集落排水施設が五年、合併浄化槽が二、三日と比較的短期間であるわけでありますが、下水道の普及が先ほどもおっしゃいましたが年に一%程度の伸びにすぎない、川などの水質汚濁解消は遅々として進んでいない、そういう現状を考えれば、河川、湖沼の環境悪化を食いとめるために建設工期の短い施設を拡大する必要がそういう観点からありはしないか、こういうふうにも思いますが、いかがでしょう。
  106. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 ただいまも申し上げましたように、下水道の処理施設の整備に当たりましては、地方団体においてそれぞれの地域の特性に適合した施設の選択をしていただくことがまず何よりも必要であると思っております。その際には、今お話もございましたように工期ということにつきましても、もちろんそれぞれ地方団体が判断されるに当たって判断の材料になるわけでございますが、建設費あるいは維持管理の効率性でございますとか、それからその地域において確保されるべき水質の基準でございますとか、さまざまな要因を総合的に考慮して処理システムを決めていく必要があるだろうというふうに思っております。  いずれにいたしましても、こういうシステムの選択につきましては、地域の実情に詳しい市町村がみずから自主的に判断するということ、これは極めて当然のことでございますが、そういうことでなくてはいけないと思っておりますので、私どもといたしましては、財政措置のバランスでございますとかあるいはそういう選択をするに当たっての情報の提供について努めてまいりたいというふうに思っております。
  107. 谷村啓介

    ○谷村委員 次に、流域下水道の問題についてお伺いしたいのであります。  規模の大きい流域下水道の整備は、完成までの事業期間が長期にわたることは避けられない、こういうことでございますが、それにしても行政監察が示しているように、第一種流域下水道の事業認可から十五年以上経過している四十四処理区のうち、処理区域内の全市町村が供用開始となっているのは十七処理区にすぎない、四処理区は全区域にわたって供用が開始されるに至っていない、そういうことであります。どうしてこのようにおくれるものなのか、その理由をお伺いしたいのであります。
  108. 松井大悟

    ○松井説明員 お答えいたします。  流域下水道事業が一部の地域においておくれていることは事実でございまして、その理由といたしましては、一つは、流域下水道の処理場の用地の取得でございますが、どうしても他市町村の汚水が入ってくるということがございまして関係者を説得するのに時間がかかったということが一つの原因でございます。次に、下水処理場からの放流の水質につきまして放流先の関係者の同意がなかなか得られない地域があったこと、この二つが、流域下水道事業の着手がおくれまして必然的に事業全体がおくれておるということだと思います。  それからもう一つ先生が御指摘のように、流域下水道事業が広域的でございますので、下水道事業がどうしても処理場の建設から始まりまして処理場の周辺の市町村から順次整備をしていくということから、終末処理場と遠い、我々末端市町村といっておりますけれども、その地域の供用がおくれるということも事実でございます。
  109. 谷村啓介

    ○谷村委員 このおくれを何とか克服しないと、末端まで供用が開始されるということが非常に長期にわたる。岡山県でも流域下水道をやっておりますが、なかなかどうして進まないという現況がございます。むしろ市がやりましたもう一つの処理区域の方は、もう既に供用を開始しておるという現状を見ましても、そういう感を現実に私どもも感じるわけでありますので、その点については、いろいろと理由はございましょうけれども、何とか早い供用開始を全体にできますようにぜひ努力をお願いしたい、こういうふうに思っているわけであります。  さて、流総計画承認のおくれも実は問題になっております。これまで策定済み三十二流総計画のうち、二年以内に建設大臣承認を受けたのは一計画のみ、一つだけ。十二計画、三七・五%に当たりますが、これは十年を超えて承認を受けておるわけであります。中には水質環境基準設定から十六年二ヵ月を経て承認を受けているものがあるなど、平均でも九年間を要しているということでありますが、なぜこのように大臣の承認に時間がかかるのか、大変疑問を持つのであります。埼玉県の中川流総計画のように、四十八年六月に申請し、十四年六ヵ月を経過しても承認されていないというふうなものもあるのでありますが、こうした点についてどのように認識をされておるのか、あるいはこの計画についてどのようにするのか、ちょっとお尋ねしてみたいと思うのであります。
  110. 松井大悟

    ○松井説明員 お答えいたします。  流域別下水道整備総合計画の一部の調査区域の承認がおくれていることは事実でございます。この最大の原因は、下水道整備がされることによりましてその水系の水の利用状況が変わってくる、それに対してどのような配慮をするかということ、河川部局との調整が一番おくれている原因でございます。これは、特に日本の河川の将来の流量のあり方につきまして下水道がどのような影響を与えるか、それに対してどのような調整をするかということの調整が一番時間がかかっております。次の原因は、終末処理場というものをある程度想定して計画をしなければいけませんので、その終末処理場の位置に関しまして関係市町村のなかなか御理解が得られないという、この二つが主な原因でございます。  しかし、最近、私どももこのおくれにつきまして行政勧告等も受けておりますので、河川部局と積極的な調整を図ってこの承認が進むように努力をしているところでございます。
  111. 谷村啓介

    ○谷村委員 また、勧告によりますと、「流域下水道について、早急な下水道整備が要請されている末端市町村に対する過渡的なつなぎ措置として、小規模な処理場の設置等機動的な事業方式導入、施設整備の段階施工の積極的活用など幹線管渠の到達促進、供用開始の早期化を図る観点から事業実施方式等の見直しを行う」べきだ、こういうふうにされておりますが、この点はいかがですか。
  112. 松井大悟

    ○松井説明員 お答えいたします。  流域下水道、先ほど申しましたようにどうしても構造的に処理場から遠い市町村の整備がおくれますので、いろいろな手法を用いまして対処しているところでございます。一つには、幹線管渠の工事費を安くするために、最初に管を二系統に分けまして、まず一系統で供用開始を行い、その後流量の増加に合わせてもう一本の管を入れるという二条管方式を必要に応じて指導しております。それともう一つは、それよりさらにおくれる場合におきましては、中間的に処理施設を設けることも考えておりまして、これは下水道フレックスプランといっておりますけれども、既に流域下水道におきまして二ヵ所この計画を採用いたしまして末端の市町村の供用の促進をしております。  それからもう一つ先生指摘のように、流域下水道の計画それ自体を見直したらどうかという御指摘がございました。流域下水道は、時代とともにあるいは社会情勢において下水道計画そのものを見直すことは当然でございます。流域下水道につきまして、事業を実施しております都道府県の方から、現在の流域下水道について抜本的な見直しをしたいというところはまだございません。と申しますのは、現在流域下水道自体が非常に順調に推移をしておりまして、先ほど申しましたように約二百万人の処理人口が毎年増加しておりますが、そのうち百万人以上が流域下水道の恩恵でふえておりますので、まずこの事業を積極的に推進することが一番早い下水道整備方法であるということで、都道府県の方で事業を進めておるというぐあいに聞いております。
  113. 谷村啓介

    ○谷村委員 今おっしゃるように計画自身は進行しておるというお話ですが、そもそも第二河川的な流域下水道の整備それ自体を見直すときではないかと私は思うのであります。先ほども言いましたが、岡山でもやっておるのです。これは児島湖という淡水湖ですね。締め切りをやりまして淡水湖になっておるところでありますが、もう水質が大変悪い、まさにワーストスリーかというようなところであります。そういったこともあって流域下水道を計画いたしましたけれども、なかなかこれができ上がりませんから、何十年もかかりますから、したがってその効果は一向にあらわれない、ますます水質は汚濁しておる、大問題になっているわけであります。そういうことを見ましても、流域下水道オンリーというような考え方というものはやはり是正されなければならないのじゃないかというふうに思うのであります。  下水道は、下水道類似施設を含めて処理技術が格段によくなっておるわけでありまして、水質も優秀なのでありますが、公共下水道でも、処理施設と管渠を比べると後者が七〇%の金を使っておる。処理水を随時河川に戻すようにすればいいのではないかというふうに思うわけであります。したがって、地域に応じた方法地方自治体が選択し、これに県や国がこたえていく、先ほどもちょっとそういう御主張がありましたけれども、私もそう思うのでありますが、いかがでしょう。
  114. 松井大悟

    ○松井説明員 お答えします。  下水道計画をつくるときの問題だと思いますけれども、下水道計画は、その河川の流域でいろいろな都市が混在しておりますので、いろいろな手法で整備することを調査しております。その中で、広域的な整備が行える地域、あるいは単独の公共下水道で行う地域、あるいは小規模な下水道で行う地域、そういったものを総合的に検討いたしまして、都道府県あるいは関係公共団体と調整をしまして、その地域地域あるいは水域に応じた下水道計画を推進しているようになっておりますので、現況においてその地域において最善の計画がなされている、そういうぐあいに理解しております。
  115. 谷村啓介

    ○谷村委員 また、さっきの日本下水道協会の「下水道事業の基本的課題について」の報告によりますと、第二種流域下水道の建設費に対する国庫補助率の格差是正について望まれているのであります。すなわち、第二種流域下水道の建設費に対する国庫補助率については、現在、第一種と同等とされておりますが、処理場については一ランク下の公共下水道並みとなっておる。公共用水域における水質保全を、広域的な観点から、処理場についてのみ格差が設定されなければならないとする合理的根拠は乏しいと考えられるので、これを廃止し第一種並みにアップすべきである、こういうふうにされているのでありますが、この点についての御意見はいかがでしょう。
  116. 松井大悟

    ○松井説明員 お答えいたします。  第一種流域下水道と第二種流域下水道について、それぞれについての補助率の差がありますけれども、これにつきましては、事業の広域性、事業効果の公共性等において判断をしております。  その理由の一つといたしまして、第一種流域下水道は計画人口が十万人以上ということで、第二種流域下水道に比べましてその広域性、事業効果が非常に大きいというように考えております。第二種流域下水道は同じく三万から十万人未満の広域的な下水道でございます。このことから、第一種流域下水道と第二種流域下水道におきましては、公共用水域の水質保全効果等の公共性と広域性が異なるというぐあいに認識しております。そのような差があると思っておりまして、この補助率は妥当なものと理解しております。  さらに、第二種流域下水道事業そのものの補助率につきましては、河川、道路等他の事業に比べて遜色のない補助率だと考えております。
  117. 谷村啓介

    ○谷村委員 大分時間が経過をいたしましたが、大臣にちょっと質問をしてみたいと思うのであります。  内閣総理大臣官房広報室の平成二年二月の世論調査でございますが、「社会資本の整備に関する世論調査」というのがある。これの中で「雨水や生活水の排水及び汚水の処理などに不満があるか」ということを尋ねておるわけであります。これによれば、六七・七%が「(一応)満足している」という答えであります。「不満がある」の二九・四%を引き離しているが、約三割の人間が不満というふうに考えていることについて、やはり重視する必要があると私は思うわけであります。しかも過去の調査では、例えば昭和四十七年一月時点では「(一応)満足している」が七六・一%、「不満がある」が一七・八%であったわけでありますが、この間の二回の調査を経て次第に「不満がある」という回答をする数がふえておるのですね。これはやはり注意しなければならぬと思うわけでありますが、特に「不満がある」と答えた者についてどういう点が不満が強いかという質問をしているわけですけれども、それに対しては、「公共下水道がない」、これはつまり水洗トイレがつくれないという意味のようですが、そういったことを挙げた者が六四・三%を示しているわけですね。  大臣としては、今までにいろいろな議論がございましたけれども、そういう議論も踏まえながらこの世論調査の結果をどう受けとめられるのか、御所見があればひとつお伺いしたいと思います。
  118. 吹田愰

    吹田国務大臣 先ほどから建設省の担当との御議論を伺っておりまして、建設省は建設省なりに下水の担当として鋭意努力をしておるわけでありますが、まだまだ国民の、本当に文化水準の高い状態にまで到達していないということで、相当の地域関係市町村におきましてもいらいらのあることも承知しておるわけであります。特にこういうふうに衣食住というような姿からだんだんと水準を上げていく場合には、どうしても終末の処理の問題がこれは人間生活におきまして最も大切な問題として考えられてくるわけであります。したがいまして、そのことに非常な不満があるであろう。特に山間地、あるいは過疎地域化するというのは、そこに生活環境の整備が不十分であるという問題があるわけですね。  ですから、そういう中における生活環境の中で下水道と申しましょうか、し尿処理と申しましょうか、こうしたいわゆる生活の最終段階の処理問題が不十分であるということは非常に残念なことであり、それが不満として出ておるだろうと思うのです。特に郡部においてそれが非常におくれておるということは、先ほどの委員の御質問にも、私は他の委員にお答えしたのですけれども、郡部というのは主として河川の上流部が多いわけであります。そこがきれいになりませんと河川の清浄な流域というものを保つことはできないわけでありますから、河川をきれいにするということからいたしましてもそうした浄化槽をきちっと整備して、処理施設をして、そして川に落としていくということが大事でありますし、なかんずくその中で――今児島湾の話が出ましたが、私は先生のおっしゃることはよくわかるのであります。この閉鎖性水域、私も瀬戸内海を持っておりますが、瀬戸内海は別に閉鎖性水域ではありませんけれども、最近工業汚水が非常に少なくなってきまして、生活の雑排水による汚染度の方が高くなってきたという状態等を考え、この近郊におきましては、あるいは四国部におきましては閉鎖性水域が非常に多いわけであります。ため池とかその他の湖沼が多いわけでありますが、こういったものが汚れるということは極めて環境的にまずいわけであります。  ですから、そういう点からいたしましても、今後はそういう閉鎖性水域に対しての処理問題、浄化槽の設置問題について自治省も鋭意財政面での検討を始めるということになりまして、今環境庁との協議をしておるわけであります。このことは、いろいろと協議しましたが建設省でもなかなか方法がない、あるいは農林省でもなかなか方法がないということから、結局は環境庁自治省との協議で、環境整備という立場でこういった単独事業をそれぞれの関係町村にやってもらおうというようなことに今進めようとしておるわけであります。余りにも大きな地域になりますと府県の担当でこれを執行する、ある一定の規模の町村にまたがる場合はそういうような形でやっていくというようなこと等も今検討を始めておるわけでございまして、私は、やはりそういうものを含めて、日本の一番おくれておる最終処理の問題を一日も早く一〇〇%の状態にまで持ち上げるように、これからこれは鋭意努力しなければならぬ、そのことは、関係省庁が一体になって御期待に沿えるような方法で努力しなければならぬ、こう思っておるわけでございます。
  119. 谷村啓介

    ○谷村委員 たくさんの質問項目を用意してまいったわけでありますが、時間の関係で大分はしょりましたけれども大臣がお感じのように、冒頭にも申し上げましたように、つまり、一方で今の自治体が大変裕福であるという言い方があるわけでございますが、例えば下水道だけを取り上げてみましても数々の問題がありますね。これに対する、例えば交付税措置をもっと厚くするとか、補助金についてもっと考えるとか、そういうことは下水道だけを見ましても本当に深刻な強い要望だ、もっともっとたくさんのニーズがあるぞという点の認識は大臣と私は一致していると思うのでありますが、冒頭に申し上げましたように、地方自治体の社会資本整備という問題のおくれですね、下水道に限りませんが、下水道に焦点を当てて実は質問いたしましたけれども、そういう観点で、大臣がせっかく張り切っておられるわけでございますから、大いにその点について私は頑張っていただきたい、そういうふうな実は強い気持ちがあるわけであります。私自身も二十七年間地方議員でございましただけに、大臣もそういう御経験がおありですからそのお考え方は全く一致するのではないかと思いますけれども、ここでもう一回大臣のそういった面でのお気持ちをお聞かせ願いたい、こういうふうに思うわけであります。
  120. 吹田愰

    吹田国務大臣 えてして、よく地方公共団体は非常に富裕団体になったのではないかなどというような話が出ますが、私は、それは確かに財政力の指数から申しまして、一・〇以上のところもないわけではありません。しかし、非常に財政力の弱い府県並びに市町村が多いわけであります。特に〇・三〇以下という町村も非常に多いわけでございますから、そういう町村が基準財政需要額にこれから複雑な要素を端から含めていきますと需要額は増大すると私は思うのですけれども、それに対応できるような財政的な裏打ちをしていかなければならぬ。しかし、それかといって、そういう地域の町村というのは立地条件も必ずしも良好ではないというようなことから、それをどうしてもある一定の条件に持ち込まなければ過疎が進むということになれば、逆に社会資本の投下率というものを高めなければならぬという環境整備があります。  こういったこと等を考えまして、これから自治省の果たすべき役割というものはそういう面に極めて大きなものがあると思うのですね。ですから、そういう点で、これから財政当局とよく協議をしまして、交付税等も適正な確保をひとつきちっとしまして遺憾ないようにいたしたい、こう思っております。
  121. 谷村啓介

    ○谷村委員 いよいよ時間が迫りました。私が社会党の中では最後の質問になっておりますので、締めくくりとして二点だけぜひ質問をしておきたいと思うのであります。  私どもは、今回政府が行った交付税の特例減額の不当性を追及をしてまいりました。今回仮に政府提案をやむを得ないものとするとしても、このようなことは今後軽々に行われてはならぬ、私はこう思うのであります。今後の附則第三条の取り扱いについて、地方財政の立場に立った自治大臣の見解を終わりに聞いておきたいと思います。このことはいろいろと後の処理の問題についても関係がございますので、お尋ねしておきたいと思うのであります。
  122. 吹田愰

    吹田国務大臣 非常に大事な話でございますが、今後はこの交付税の総額の安定的な確保に資するということについて、法律の規定に則しまして適切に対処していくということで、御期待を裏切らないような方法で頑張っていこう、こう思っております。
  123. 谷村啓介

    ○谷村委員 補助率の暫定措置については、早急に検討を進め、可能なものからその実行を進めるべきものと考えるわけであります。三年を待たずに、この暫定措置の問題についてはできるところから詰めていって実行に移す、これがその趣旨であろうというふうに思うわけでありますが、自治大臣の決意を最後にお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。
  124. 吹田愰

    吹田国務大臣 これは、たびたび私も御答弁申し上げておりますが、直ちに五十九年度の補助率にバックできなかったことは非常に残念に思いますけれども、とにもかくにも、これから三年間に十分検討する、そうしてできることから早くそういった方向で鋭意努力するということで話し合いができておるわけでございますから、この点についても、我が省としましても関係省庁とよく協議をしましてそういった点に一歩一歩近づけてまいりたい。そして、関係市町村の不平不満のないような状態をつくらなければならぬ。よしんばそういうことが直ちにできないにいたしましても、それに対する財政的な裏打ちが、市町村のそうした単独事業がまた実施できるように、あるいは補助事業にいたしましても、それに対する十分な裏打ちがされていくような方法を財政的な面で配慮しなければならぬ、こういうふうに思っておりますので、私ども全国の都道府県及び市町村を担当しておるそういう関係の省でございますから、鋭意努力することをここではっきりと申し上げておきたいと存じます。
  125. 谷村啓介

    ○谷村委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  126. 森田一

    森田委員長 吉井英勝君。
  127. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 日本は、今日GNPは世界で第二位ということですが、国民の豊かさの実感というものは非常に乏しい。それはなぜかといいますと、やはり社会資本の整備が非常におくれているということにあるわけであります。昨年六月に政府の方では、公共投資基本計画を決定されました。これは、構造協議の結果出てくるというものじゃなくて、本来的には自主的に考えてこういうものが出てくるべきものだと思いますが、いずれにしろ十年間で四百三十兆円、これは過去十年間の二百六十三兆円に比べても一・六倍と非常に拡大されるわけであります。  そこで、まず最初にお伺いしておきたいのは、この過去十年の二百六十三兆円について、地方負担の割合はどれぐらいであったのかということと、いま一つは、今後、生活環境、文化機能の公共投資をふやすとなりますと、当然これは地方の負担もふえていくということになるわけでありますし、この点については相当な配慮というものがまず求められると思うわけでありますが、まずこの辺のところから伺いたいと思います。
  128. 小林実

    小林(実)政府委員 公共投資基本計画四百三十兆は、今後の公共投資に関する枠組み及び基本方向を総合的に示すものでございます。個別分野の具体的な姿につきましては、各種公共事業関係長期計画あるいは毎年度の予算等で示される、こういうことでございます。そういうことで、事業内容等につきましては詳細なものがないわけでございまして、地方負担がどうなるのかというのはお示しすることができないわけでございますが、過去十年につきましての内容につきまして決算統計等によって推計いたしますと、地方団体が負担した経費の割合はおおむね六割程度、こういうことになっておるわけであります。  公共投資基本計画におきましては、生活環境、文化機能に係るものの割合を高める、こういう方向を示しているわけでございまして、地方団体に期待される分野が大きいわけでございます。私どもといたしましては、そういったことでふえてまいります地方負担につきましては、十分な財政措置ができるように最大限の努力を重ねてまいりたいと思っております。
  129. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 公共投資の大体七五%が地方自治体が実施主体となってやっていくというのが大体これまでの例でありますし、そのうち、今おっしゃったようにこれまでの例でいきますとおおむね六〇%ですね、場合によっては六〇%超えるわけですが、それが大体地方負担。これがこの六割の負担でいくと、単純計算でいきますと今後一・六倍にふえるわけですから、絶対額としても地方の負担も随分ふえるわけなんです。  そこでまず、地方負担がふえるのはやむを得ないということで扱うのか、それとも地方負担の軽減についていわゆる特段の財政措置というものを考えていく、そういう検討を進めたり努力をするのかという点は、これは今後の公共投資基本計画を進めるに当たって非常に大事な点だと私は思うのです。  いきなり大臣にお伺いして申しわけないのですが、この点で地方負担はやむを得ないということで、仕方がないということでいくか、何とか地方負担の軽減についてあらゆる検討をしたり努力をしようという立場でいくか、まずここの大臣の基本的なお考えをしょっぱなに伺っておきたいと思います。
  130. 吹田愰

    吹田国務大臣 公共事業についての一番頭を持っていかなければならぬことは、地域の住民負担というものをとにかく最小限度にする、これだけはきちっと基本的な考え方を置かなければならぬと思うのですね。それが、例えば農道とか林道というような、特定地域の住民が、特定な人だけが利用するという場合は、これまたある意味においてはその利用者、受益者が負担するということもあり得るのですけれども、少なくとも公共的な色彩を持っておるものについては、住民負担というものをまず軽減していく、これは最小限度の姿にしなければならぬ、こう思うのですね。  それから、その次に、地方の公共団体の負担をできるだけ軽減していくということで事業量を拡大していく、こういうことが大切な要素ではないかと思っております。そういう面で、自治省の役割と申しましょうか、自治省の地方公共団体との関係からいきますと、極めて大きな意義を持っておる省庁であるという認識に立って努めておるつもりでありまして、これからもそういう意味での基本的なスタンスをもって事に当たりたい、かように考えます。
  131. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 そこで、少し具体的な話に入っていきたいと思うのですが、「第七次下水道整備五ヵ年計画(案)及び平成年度下水道事業関係予算概要」というのを読ませていただきました。この中で、まず第一の柱として挙げておられるのが、「普及が遅れている中小市町村の下水道整備及び未着手市町村の新規着手を促進」ということで挙げているわけでありますが、まず、これを第一に持ってきておられるその理由はどの辺にあるのかという、まず初歩的なところから伺いたいと思います。
  132. 村上健

    ○村上説明員 下水道は、良好な生活環境を確保するとともに公共用水域の水質を保全する上で必要不可欠な施設であり、これまで、六次にわたる下水道整備五ヵ年計画に基づき、その整備を積極的に進めてきたところでありますが、平成年度末見込みの下水道の普及率は約四四%にすぎず、いまだ国民の要望に十分こたえるには至っておりません。こうした中で、平成年度末の人口五万人未満の市町村の普及率は八%、町村の普及率は六%であり、非常に立ちおくれた状況にございます。また、二千近くの市町村が下水道事業に未着手となっております。  しかしながら、ナショナルミニマムとしての下水道整備の促進、拡充を望む声は都市の規模を問わず高まっており、このため、平成年度を初年度とする第七次五ヵ年計画を策定し、おくれている中小市町村の下水道整備を促進することとしているわけでございます。
  133. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 人口五万以下がおくれているとか、この部分の普及に力を尽くさぬと全体が上がらない、これは当たり前といえば当たり前のことなんですが、人口十万以下も多くはおくれているのですが、とりわけ人口五万以下のところはなぜこういうふうな普及率が低い状態のままに推移してきているのかということ、それについてはどういうふうな見解をお持ちなんですか。
  134. 村上健

    ○村上説明員 下水道整備の進捗度合いに差が生じるのは、下水道事業への着手時期のほか、地域の自然的、社会的条件、公共団体の財政状況等さまざまな要因があると考えております。しかしながら、一般的に申し上げまして、人口五万人以下の市町村で非常におくれておりますのは、財政力が弱く組織体制が不十分であること等により、下水道事業の着手がおくれ、整備水準が低くなっているものと考えております。  第七次五ヵ年計画におきましては、これら市町村の財政制度及び組織体制の充実を図り、下水道整備を推進してまいりたいと考えております。
  135. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 今おっしゃったようなことは、この第七次を始めるに当たっての一大発見というものじゃないと私は思うのですね。  都市人口ランク別下水道実施状況というのを、この数年来、ずっと見せていただいたのですが、人口五万人以下というのは特におくれているわけです。なぜおくれているのかというのは、今おっしゃったようなお話は別段大発見じゃなくて、わかっているのです。特に、組織的な整備も必要だ、私もそれはあると思うのです。例えば下水道の職員の方を採用して、卒業した人が初めて土木を学んですぐ仕事ができるかといったら、図面を読むのからしてできないですからね。五年やそこらかかるわけですから、やはり先を見越して、今おっしゃったような組織整備も図ってこないことには、今七次始めましょう、それで一遍に新採の人を集めて、じゃ土木の図面が一遍にミスを犯さずに読み切れるかといったら読めないのですよね。やはり四年、五年という訓練が必要です。  だから、組織的準備ということもそうだし、財政力が弱いというのはもう昔からわかっているわけですから、そうすると、どういうふうに手だてを尽くすかとか、人口密度が低いからなかなか効率的なことはやりにくいとなれば、旧来の流域下水道方式、一本やりと言ったら御不満をお持ちかもしれませんが、建設省ですと大体そういう考え方が強かったのですが、それに対して、そういうところに見合ったやり方として何が必要かということを国として今まで随分考えてきておられて当たり前だと私は思うのですが、この点は、どういうふうに考えてどういう取り組みをしてこられたのですか。
  136. 仲津真治

    仲津説明員 御指摘の技術者の養成の点でございますが、大変重要な課題でございまして、確かに一朝一夕ではまいらぬということでございます。  とりわけ私どもが力を入れてまいりましたのは、下水道事業団という団体を通じましての養成の支援ということでございまして、十数年の歳月が既に流れておりますが、着実なる研修、技術検定等の制度を活用してまいりまして、これらの技術者の養成を行ってきているところでございます。未着手の市町村、それから実施段階を経てまだ日が浅いというような市町村を含めまして、全国各地の職員の方が参加してこの研修を受けてこられ、また検定も受けられて、次第次第に技術者層の充実を図ってきているところでございます。先ほども御説明申し上げましたが、昭和四十九年一万三千人であったものが、今二万人を超えているというところまで来ております。  また、財政面では、現状ではいろいろ不十分な点が多いということで、補助対象あるいは補助率、いろいろな面でも中小市町村への重点的な配慮をいたしますとともに、例えば計画づくりが大変ということであれば、平成年度からは計画づくりの段階から支援していこう、それを人口五万人未満の市町村について考えていこうという制度も今動かしつつございます。また、市町村ではなかなか動かないというときには、これは過疎地域についての制度でございますが、都道府県による代行を根幹的施設について行うというようなことも制度化されまして、これを実施に移してまいりたいと考えております。
  137. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 二万人ほど技術者を養成されたというお話ですが、ただ、その方たちがどこに戻って仕事をされるかといったら、主として人口の多いところなんですね。肝心の今おっしゃったような人口五万人以下のところは、実は人員の面では、行革ということでかなり削る方をずっとやってきたものですから、養成が追っついてないのですね。ですから、そういう点では今後非常に大きな問題を残しているということを一つ指摘しておくとともに、私が申し上げておるのは、組織的な問題だけじゃないのです。財政面での配慮とか人口密度が低いというその地域の特性に合った配慮について、これまでの建設省の取り組みが十分なされていなかったということをきちっと踏まえて、今何が大事なのかということでやっていっていただく必要があると思うわけです。  次に、第六次の下水道整備五ヵ年計画の実績について、進捗の状況それから財源内訳、とりわけ地方負担がどうであったかという点を伺いたいと思います。
  138. 村上健

    ○村上説明員 第六次下水道整備五ヵ年計画は、昭和六十一年度を初年度として平成年度までを計画期間とするものでございまして、平成年度までの五ヵ年間の投資額の実績は十一兆五千七百七十七億となる見込みでございます。これは第六次五ヵ年計画計画投資額九兆九千八百億に対しまして約一一六%、調整費を含む計画総額十二兆二千億円に対しまして約九五%の達成率となるものでございます。  また、処理人口普及率につきましては昭和六十年度末三六%を平成年度末までに四四%に引き上げることを目標に、雨水排水整備率につきましては昭和六十年度末三五%を平成年度末までに四三%に引き上げることを目標としておりましたが、いずれも達成できる見込みでございます。  なお、第六次五ヵ年計画期間中におきます地方負担額は、地方単独事業として実施されました約四兆七百億円及び一般公共事業費のうち国庫補助金を除いた額の約三兆六千三百億円の合計約七兆七千億円と見込まれております。
  139. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 結局、大方七割近いものが地方の負担ということになっているかと思うのですが、大変な負担を地方は持っていると思うわけです。  「日本の下水道」という建設省さんのものによると、これでは国費、国の負担が一九八四年には三五・四%、一九八六年には二九・九%で一九八八年には二八・七%と、これは真ん中の数字を入れたっていいのですが、毎年国庫補助金の割合がどんどん落ちているのですね。それは公共下水道の場合ですが、流域下水道についても同様に一九八四年の六五・一%が一九八六年で五六・六%、一九八八年は五一・九%と、今、国の補助金というのはどんどん低下してきておる。これからいよいよ事業をやろうというときに、この傾向でいきますと、国の補助金がどんどん減るわけですから、それをだれがかぶるかといったら、供用開始後の使用料負担金は一部あるにしても、地方がかぶっていくということはこれまでの数字でちゃんと出ているわけなんですね。私は、この点は非常に大事な一つの点だと思うのです。  それから、「地方公営企業決算の概況」によりますと、これは「下水道事業における建設投資額及び地方債・国庫(県)補助金の推移」というので、一九八八年度地方債割合が五八・一%、国並びに県も一部ありますが、その補助金が二四・〇%、これが八九年度になりますと地方債割合が五六・九%で国、県の補助の割合が二三・九%と、いずれにしてもかなり地方債に頼って、国の補助金は決算額で見てもやはり減ってきているのですね。つまり、これは建設省の方で「日本の下水道」で出された補助金をこれだけ出しておりますよというその割合と比べてみても、実は地方公営企業決算で見ますと国の補助というのはさらにうんと少ない。ですから、これは建設省の方はかなり出しておられるようでも、実態は地方では補助金がさらに少なくなっておる、国が全体として、傾向として減っている上に決算で見ると地方の方はさらに補助金が少ない、こういうのが具体的事実として数字の上では出ているわけなんです。  この点については、建設省の方はどのように見ていらっしゃるのでしょうか。
  140. 村上健

    ○村上説明員 五十九年から国庫補助率の引き下げがございましたので、それに伴って五十九年から六十二年度まで補助率の国費の割合が下がっております。  それから、先生がおっしゃった決算と国の予算との相違でございますが、これは地方単独事業の量の違いでございまして、当初の予算で想定をしていた以上に地方単独事業を実際にはおやりになったということで、決算では地方費の割合がふえているわけでございます。
  141. 吹田愰

    吹田国務大臣 先ほどからの吉井先生の下水問題について、五万人以下の市町村が非常におくれているではないか、進捗率が悪いということで御指摘ありましたが、そのとおりなんですが、いわゆる小さな市町村におきましては、特に市におきましても三万前後の市あたりになりますと、都市計画というものがまず組まれていなかった、これが非常におくれたという現状も一つあるわけでしょう。都市計画のないところに公共下水は行われませんから、そういう点があります。  それから、町村の町村行政をやっているところでは、わずかな集中性を持った都市化を進めておる町村は都市計画を持っておりますが、そうでないとほとんど白地なのです。そういうことで、さっき私が他の先生にもお答えしましたように、農林省の集落排水ということで今、事を進めつつあるわけでありますが、なかなかまだ農村まで手が回らない、それが現状だと思うのですよ。実質的には認識も、その地域で自然流下して農地やその他で浄化されるというような、自然的環境というものがこれを消化しておるという意味も含まっておるというようなもろもろのことで、技術、財政の問題だけでなしに、そういうもろもろの問題が弱小市町村をおくらしめてきた、こう思うのですね。  それで、今の負担の問題ですけれども、この下水問題というのは、本来からいえば受益者負担の姿ですよ、不特定多数じゃありませんから。受益者負担の建前をとれば、下水というものはお世話になる人たちが負担するという建前なんですが、最近は、そうじゃないんだ、地域環境というものと生活環境というものに大きなウエートを置くんだということになってきたわけですね。  そういう関係からしまして、私ども自治省もこういった面にもひとつ大幅に頭を持ち上げて配慮してやらなきゃいかぬな、それは受益者に余り大きな負担をかけるということでなしに、市町村がそれをカバーするものですから、市町村に対してある一定の財政的な援助を加えていかなきゃならぬな、それは当面は起債を起こすということにしていかなきゃならぬな、そして起債の償還については、先ほどから審議官も言っておりましたようなことで配慮しなきゃならぬ。こういうことになるのでありまして、これから前向きの形にだんだんとなっていくのだということで御理解願わないと、今までのものはどうだということになりますと、話が非常にややこしくなるわけで、ある一定の方向考え方が、環境という問題が出始めてから非常に変わってきたということも配慮の一つに入れていただきたい、こう思います。
  142. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 実はその都市計画のないところだけじゃなくて、あるところでも、人口規模の小さいところで実は問題があるのです。それは後ほど私はそこへ入っていきたいと思いますので、そのときにまた議論させていただきたいと思うのです。それから、完成後はもちろん下水道負担金という形で受益者負担という、これもかぶっているわけでありますし、その辺はまた後ほど議論したいと思うのです。  私は、今建設省との間で補助金のことでお話をしておったのですが、実際の予算段階と決算段階での補助金の率に乖離があるということについて、今いろいろ御説明もあったのですが、具体的な事例として、実は東大阪市の方でこの五ヵ年度分を調べてみたのです。そうすると、実はもっと乖離があるのです。  東大阪市では、国庫補助対象額の一九八六年以来の五年間分、これをトータルして、その五年間の公共下水道事業費の総額に対する比率でいきますと、その対象になるのは五九・五%、大体六割は一応対象になるのです。ところが、掛ける二分の一ですからね。結果としてこれは二九・八%なんです。松原市の場合には、同様に調べてみますと実は一〇・〇四%なんです。これは一つには、いやそれは予算段階と違って単独がふえておるということもあるのですが、お話もありましたが、実はまた逆に、枝管も後でもう少し議論したいと思いますが、枝管をどんどん敷設していかないことには、何ぼ幹線を入れたって普及率は上がらないのです。枝管になりますと補助の対象にならないものも随分ありまして、これが結果的に、せっかく幹線が近くまで来ているのにいよいよ事業をやろうと思うと補助金が入ってこない、そういう問題が今現実にあるわけです。  そこで、今の件に関して、実は下水道の場合は、契約をするに先立って、設計をやり、契約をやり、同時に補償、補てんとかいろいろな現場折衝もやり、いよいよ着工して竣工検査というのには、契約からでき上がるまでに大体二年くらいかかることが多いのですね。それで、ある市なんかは二年の債務負担行為でやっているのです。そうすると、これは二年間にまたがるからということで、補助の対象から外されているところがあるのですね。私は、建設省が必ずしも全部を補助の対象から外していらっしゃらないとは思うのですが、これはどうなんですか、二年間の債務負担の場合になりますと、補助対象にしないということを原則にしていらっしゃるのですか。
  143. 村上健

    ○村上説明員 二年間にわたる工事は補助対象にしないということはやっておりません。下水道の終末処理場、ポンプ場、幹線管渠等、工事の大規模なもの、大きなもの、あるいは特殊なもの等については、工事期間が二年度以上にわたるものを一括して契約を行う必要がある場合がございます。このような二年度にわたる契約は、事業主体である地方公共団体としては、当該年度の最終予算以外に債務負担行為の予算措置を行って契約を結ぶことになります。このような場合、国の予算制度としては、国庫債務負担行為による交付決定を行って事業を行うことができるとされておるところでございます。今後とも円滑な下水道整備の実施に支障がないよう、この制度の積極的な活用に努めてまいりたいと考えております。
  144. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 ですから、今おっしゃったのは、終末処理場、ポンプ場、幹線の話なんですね。実際に普及率を高めようと思ったら、この近くまで来た幹線に二百五十ミリから五百ミリくらいの枝管をどんどん延ばしていかなければつなげないわけですから、普及率が上がらないのです。ところが、その分については、特に大都市部になるとその枝管を工事するにしても、御商売をなさっていらっしゃる方との時間の問題だとか補償の問題だとか、やり合っているだけで結構時間がかかるのですね。だから、二年くらいの債務負担を組んでやらないと、現実にはなかなか進まないということがあるのですね。そうしたら、今おっしゃった中には、この二百五十ミリから五百ミリくらいの枝管であっても、その債務負担、二年にまたがってやるものについても補助をするということでいかれるのかどうか、この辺ちょっと確認しておきたいのです。
  145. 村上健

    ○村上説明員 基本的には債務負担行為は大規模工事等に限っておりまして、枝線等については、実際に二年度にわたるものがもしあるとしても単年度ごとに区切っていただいて契約をしていただいて、単年度事業として扱って補助対象としているのが実態でございます。
  146. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 実は私も地方自治体で随分詳しく聞いてみたのですが、大臣、これはすごく細かい話のようで大事なところなんですよ。というのは、確かに工区を短くぶった切ればいいじゃないかという今の議論なんですが、それでやりますと結局人件費の方で実際にはかなり地方自治体としては食われてくるのですね。伝票の枚数がたくさんふえたり、大阪府下でいいますと、府へ上げて建設省へ上げるという分で、それから細かいことに至るまで一々建設省に行ったり来たりとか、そんなので、そういう人件費その他で食われるぐらいだったら、いっそのこと債務負担を組んだ方が、また単費でやった方が経済効率を考えたらまだましではないかという発想に立っている自治体も実はあるのです。  私は、こういうところは大規模な事業だけではなくて、実際にいよいよ普及率をふやそうではないかと言っているとき、やはりその実態に合わせたことを考えてもらわなければいけないと思うのです。この点特に建設省さんの方にやっていただいておりますから、建設省としても実際に普及率をふやそうというお考えであれば、ここのところは今突破しなければいけないと私は思うのですよ。これはこの場で課長さんが直ちにぱっと答えるというのは難しいとするならば、少なくとも枝管など普及率を高めるものについても、二年間の債務負担で進める事業について補助金を見ていくのだということをやはり検討してもらう必要があると思うのですが、どうですか。
  147. 村上健

    ○村上説明員 先ほど大規模工事に限ると申し上げましたけれども、一番最初のときに特殊なものについても債務負担を認めていると申し上げましたので、ケース・バイ・ケースに応じてできるだけ努力してまいりたいと思っております。
  148. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それでは、事細かな具体の例までやっていますと委員会が変なぐあいになりますから、私は具体の例についてまた改めてお話ししますから、それはケース・バイ・ケース、特に個々特殊なものについてはというお話ですから、そういうことでやはりこれはちゃんと対処していただいて、普及率が本当に進むようにしていただきたいと思うのです。  あわせて、六百ミリの幹線の場合、幹線の事業は終わっても面的整備普及率上昇のためには枝管の整備が必要なんですが、実は今、建設省のやり方では人口規模と流量条件によって補助金がつく市、つかない市があるのですね。実際には二百五十ミリから四百ミリというのが枝管では一番多いのです。これをどんどん拡大しないと、何ぼ幹線を広げてみたって全然意味がないのです。ところが、面整備に必要なこれについては、実はかなりの市で補助金がついていないのです。やはりこの機会に二百五十ミリ以上でも無条件で補助金をつける、町村の場合は百ミリ以上で無条件で補助金をつけるということについても検討していただく必要があると私は思うのですが、この点どうでしょう。
  149. 村上健

    ○村上説明員 下水道事業の場合は末端の管渠は単独事業でやるということになっておりますので、すべて補助対象の範囲とするということはできない状況になっておりまして、先生指摘のとおり、都市の規模によって、例えば指定都市一般都市甲、乙というような区分に応じましてどの程度の大きさの管渠まで補助対象にするということが決まっております。これにつきましては、第七次五ヵ年計画においては一般公共事業費及び地方単独事業費それぞれ決まっておりますので、これに整合がとれるよう、国庫補助対象となる主要な管渠を定める基準を見直すこととしております。
  150. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 大体政令市の場合は多くのところはもうほとんど終わってきておるわけですね。今、一般市でも進んでいるところもあるのですが、一般市でおくれているところはどこがおくれているかというと、かなり幹線は入ってきた、いよいよ枝管をつけなければいけないというときですから、そのときに今見直すというお話なんですが、本当に根本的に見直していただいて、二百五十ミリ以上であっても無条件で補助金をつけるというふうな方向を打ち出さないと、普及率は全然進みませんよ。私はそのことを申し上げておきたいと思います。  次に、地方の要望として、今、決算ベースで補助率と同じ割合になるようにしてほしいとか、公共下水道の補助率を流域下水道並みに引き上げてほしい、こういう要望が非常に大きいわけですが、七次五ヵ年整備計画では要望にこたえてこれを引き上げるという方向でいかれるのですか。
  151. 村上健

    ○村上説明員 補助率につきましては、第六次五ヵ年計画の補助率と同じ考え方で第七次五ヵ年計画計画がされております。ですから、第七次において特に助補率を引き上げるという予定はございません。  ただ、補助対象の範囲につきましては、先ほど先生指摘になった予算でセットしたものと決算が違うじゃないかということにつきましては、先ほどから補助対象範囲の基準を見直すと言っております中で、できるだけ改善を図りたいと考えておるところでございます。
  152. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 そこで、一度また中間的に大臣に御意見を伺っておきたいのですが、やはり普及率を本当に急速に向上させるというためには、補助対象、これをさっき挙げておりました二ヵ年にわたる債務負担でやるようなものについても国庫補助の対象に、ケース・バイ・ケースということではなくてやはり原則的にそれをつけていくとか、それから二百五十ミリ以上のものでも、町村ですと百ミリ以上の口径の下水管についても補助の対象にするとか、対象の問題と、それから、実態に合わせたものに近づけるためには補助率そのものを、補助金カットを三年間の暫定措置でという問題はありますけれども、やはり早期に補助金カットを廃止して復元するとか、これをやらないことには、せっかく機運が今大分普及率を向上させようじゃないかと言っているのに、実際には進まないと思います。  私はこの点で、対象問題と補助金カットの復元問題についての自治大臣のお考えというものを、今後どう取り組まれるかについて伺っておきたいと思います。
  153. 吹田愰

    吹田国務大臣 さっきもちょっと触れましたが、対象の問題は、いわゆる特定な方に対して、ある一定の方々に対して利益を供給するのだという場合は、受益者負担というのがそもそもは基本なのですよ。ところが、最近のように、いや、それは都市の環境問題もありますよ、地域環境もありますよ、総体的な汚染度を薄くしなければならぬという問題もありますよということになり、そういうことになってまいりますと、下水問題もできるだけの補助金をつけてこれを普及しよう、促進しようということで普及率を上げるという建前もここに一つあるわけでありますね。  それともう一つは、やはり生活環境を上げることが文化水準が上がるという一つの政治、行政の基本ですから、そういう一つの目標に向かって事が進んでおるというふうに考えなければならぬと思うのであります。  ただ、今の枝につきましての問題は、ある一定の密集地域におきましての枝は割合と短くて負担が少ないのですけれども、これが、人口がかなり広範囲にわたって薄く広くという地域になってきての枝線になりますと大変なんですね。そういう意味では条件がそれぞれ違うものですから、建設省もそれについての検討を今いろいろな面からされている、また、住民の皆さんの負担もできるだけ軽くしようということで、先ほどからケース・バイ・ケースとして考えていくのだということをおっしゃっておられますが、私どもは私どもでまたそれなりに十分市町村の立場を配慮していくという建前を常にとっていくというのが大前提であります。  まあ私もこういう席で変なことを申しますと怒られますから言いにくいのですけれども、あえて言えば、そうけちな補助金へ頼らないで単独事業で市町村はやるんだというぐらいの前向きの姿勢を持ってやる、それに対してどうだ、こう自治省に対して来てくださる方がまだそれはやはり自治体一つの基本的姿勢として私は立派じゃないかと思うのですけれどもね。そういう意味で私どもは受けとめていけるような体制をこれからつくるように努力いたしますから、御理解を願いたいと思います。
  154. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 自治体がどかんとやるときにはそれはもう交付税でどかんと見ましょう、そういうことも含めておっしゃっておられるのかなというふうにも思いながら聞いておりました。  次に、昨年の九月十日に近畿管区行政監察局の方から「大和川流域の水質保全対策に関する実態調査結果」というので報告書が出ているのです。  実はこの大和川というのは私の方が大体汚れる源で、公明党の小谷先生のところは、向こうは下水道整備が進んでいるのですね。ところが一番水質の悪い大和川の横に住んでいただいているという、何か私の方が発生者側みたいなもので向こうが被害者側みたいな感じなんですが、そういう問題で、この大和川というのは今全国一、二を争う水質汚濁の最もひどいということで、この二十年来大問題になっているのですね。実は下流側にある堺市というところなんかは、二十年ほど前までは大和川から水道水の取水をやって大体二〇%ぐらい、あとは八〇%ぐらい琵琶湖から買ってやっておったのですね。ところがもう今、大和川が一、二を争うひどい河川ということで取水ストップ。ですから二重にも三重にも経済効率も悪い、そういう問題を起こしているわけです。  それに対して行監の方は、「大和川下流流域下水道事業は、事業の着手から二十年弱経過した昭和六十三年度末現在における幹線管渠の敷設実績は、全体計画の三七・七パーセント」、二十年たっても三七・七%だ、ひどい。それから「大和川下流流域下水道全体計画区域内で市町村が整備を実施する流域関連公共下水道事業における昭和六十三年度末現在の下水道普及率は、一七・八パーセントに過ぎず、」これはもう極めて低い水準にとどまっておる。いわば二十年間何をしてきたんだというこれは行監のきついおしかりなんですね。「流域下水道及び流域関連公共下水道以外で国が助成する生活系の排水処理施設整備事業として」、けさほど来議論もありましたが、「特定環境保全公共下水道、コミニティ・プラント、合併処理浄化槽、農業集落排水施設等があるが、大和川の大阪府下流域内市町村では、これら下水道類似施設整備事業を積極的に導入しようとしているところは見受けられない。」  そういう中で、実は二十年やってきて今なお下水道普及率〇%というところが、自治体で見ますと河南町、太子町、千早赤阪村、大阪にも村が一つあるのですが、それから八尾市、こういうとこは整備率〇%なんですね。ですから二十年やっても幹線が延びてこない。ですからつなぎようがないものですからやりようがないのですね。これは先ほど、確かに都市計画がないようなそういう人口の少ないところもあるのですが、都市計画もある、あるいは流域下水道計画もある、二十年やってきたが全然進まない、今なお整備が〇%、その結果大和川汚染が進んでいるんだ、人口はどんどんふえていますから。こういうことについてやはり抜本的に考えなければいけないというこれまたきついおしかりなんです。「改善所見」として、「今後とも相当の長期にわたって公共下水道の整備が見込めない地域が予想される場合は、生活排水対策を推進するうえから、それぞれの地域の実情に応じて、厚生省所管のコミニティ・プラント、生活排水処理施設及び合併処理浄化槽、農林水産省所管の農業集落排水施設などの、下水道類似施設の導入について検討する余地がある。」こういうふうに大和川問題について厳しい指摘が出されているのですが、私はこの点で、まず最初に建設省に伺っておきたいのです。  建設省は、大和川工事事務所という立派な事務所も置かれて、規模の大きな一級河川ということでやっておられるわけですが、この大和川がこれだけ日本で一、二を争うほど汚染が進んでいる中で、やはりこれは大阪府にどんどんやってくださいというだけじゃなくて、建設省としてもここまで行監から指摘を受けたら、地域の実情に合った汚水処理法を選択するようにとか、この建設省所管の、とにかく流域下水道が延びてそれに公共をつないで、それまで待ってくださいということだけではもう済まないところへ来ていると思うのです。私はこの点についての建設省の御見解をまず伺っておきたいと思います。
  155. 松井大悟

    ○松井説明員 お答えします。  まず初めにお断りしておきますが、建設省は流域下水道を所管しておりませんので、流域下水道の事業主体は大阪府でございます。  大阪府の中におきます大和川流域の流域下水道が大阪府のほかの流域下水道に比べましておくれていることは事実でございます。この一つの大きな理由が、終末処理場の用地の取得に長年月を要したことがその原因でございます。そのような状態のもとに近畿行政監察局からいろいろな御指摘を受けました。これにつきまして昨年、大阪府が近畿管区行政監察局にそれに対する措置を出しております。その措置によりますと、先ほどの終末処理場の用地問題も解決して現在事業が推進する方向にございますので、大阪府としても今後下水道整備を積極的に促進する方針ということで回答をしておりますので、建設省も積極的に支援をしていきたいと思っております。
  156. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 それで、大阪府の支援をするということですが、私はこの際あわせて伺っておきたいのですが、この行監の指摘していること、つまり、今後二十年はかからないかもしれないが、まだ千早赤阪村の、今、太平記の現場ですが、そこまでいくのにはまだ十年じゃとても無理だというのですね。それじゃその間汚れておったらいいのかということにはならないわけで、私は、やはりこの行監が言っておるように、下水道類似施設の導入をも含めてとにかく河川の浄化という観点で、これは相当思い切ったことをやらなければいけないのじゃないか、その点の指摘については建設省はどういうお考えを持っていらっしゃるかということです。
  157. 松井大悟

    ○松井説明員 お答えいたします。  下水道事業と下水道類似施設の整備方針につきましては、基本的には下水道事業整備することが基本でございますけれども、その間いろいろな、ある地域におきまして下水道事業が長年月にわたります場合には、そういった施設と調整をとりながら地域環境や水質改善に努めることが基本の方針でございます。  この大和川の汚染対策におきます下水道類似施設の整備指針につきましては、先ほど私が申しました大阪府の土木部長から近畿管区行政監察局に既に回答がなされておりまして、「下水道類似施設については、下水道計画との不整合を生じることのないよう関係部局との調整を図り、管下市町村に対し適切な指導を行う所存であります。」と回答しておりますので、今後ともこの方向大阪府と調整をしてまいりたいと思っております。
  158. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 建設省にその際一つ改めて伺っておきたいのですが、流域下水道ということで大阪府は事業をもともと進めてきたんだ、それに対して国も補助金をつけていろいろな面で面倒を見てきたんだ、途中で事業がおくれているから類似施設も合わせてとりあえずの間をやっていこうかという場合に、途中からの計画変更はだめだよということでいってしまうのか、そこもよく調整しながら考えて進めていきましょう、こういうことでいかれるのか、この点も大事なのでひとつ伺っておきたいのです。
  159. 松井大悟

    ○松井説明員 大阪府の大和川流域におきます大阪府の基本方針は、最終的に流域下水道事業と関連公共下水道で整備をしていくという方針で進んでいると聞いております。その間、類似施設との調整をしながら最善の方法をやると聞いておりますので、現在はそういった方向は聞いておりません。
  160. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 ですから、大阪府から類似施設を考えているという報告はまだ来ていないということですね。だから、大阪府の方から、調整をして、類似施設も含めて、まだ長年月を要するところでやろうという場合には、これは途中で計画変更は認めないということじゃなくて、柔軟に対応するということで理解しておいていいですか。     〔委員長退席小坂委員長代理着席
  161. 松井大悟

    ○松井説明員 流域下水道計画区域におきまして、類似施設の調整を図りながら、いろいろな方法をとることについて指導していきたいと考えております。
  162. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 次に、「下水道に関する行政監察結果報告書」というのが一昨年の八月に出ておりますが、その中で、今問題になっております下水道と下水道類似施設の担当部局間の協議、調整が必要だという指摘がなされておりますが、これは国の方ではその後どのように担当部局間で調整をしておられますか。
  163. 仲津真治

    仲津説明員 下水道整備は、生活排水対策を含めまして汚水対策の基本でございますが、なかなか時間がかかる場合がある。そういう場合に下水道類似施設が活用されて、生活環境の改善や汚水対策に資するということも十分考えられますので、そういった点でのスケジュール面、それから下水道ができた場合の接続、設計面での調整、そういった点を含めてよく調整するようにということで、これは具体的には結局、関係市町村の中で下水道を担当している部局とそれ以外の施設を担当している部局との調整になりますので、その間でよく調整するようにということで、関係省庁と相談、協議いたしまして、これらの市町村の指導を行っているところでございます。それによって関係市町村における協議体制が整いましていろいろ調整が行われるということのようでございますので、私どもその方向で今後とも指導してまいりたいと考えております。     〔小坂委員長代理退席委員長着席
  164. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 次に、下水道財政モデルというのが出ております。下水道事業の経営のための財政モデルの作成に関する研究委員会、これには建設省の関係の方とともに自治省の財政局準公営企業室長さんも出ておられて、自治省も参加しておりますね。建設省は直接じゃありませんで、間接的な形になろうかと思います。そこで、公共流域下水道一本やりでなく、実態に合わせて多様な方法の選択で早期に普及率を高めていくように、こういう考え方が示されております。ここで先ほど来の建設省のお考えを聞いておりましても、大和川の例で見ておりましても、実態に合わせてという、大体その方向のお考えのようなんです。そこで、自治省としても、この多様な方法の選択で努力する自治体に対してさまざまな形のバックアップを積極的にやっていただきたいと思うのですが、この点についての大臣のお考えも伺っておきたいと思います。
  165. 吹田愰

    吹田国務大臣 特におくれております関係市町村、特に弱小町村といったところに対しましてはそれなりの努力をしていかなければならぬと思いますが、下水を推進する場合に、まず第一に基本的な要素として上水というものがなければ下水はできませんから、上水道の整備、簡易水道の整備ということをまず進める。これもできていないということになりますと下水にはなりませんので、そういう意味からもこれから進めていかなければならぬということ等もありまして、これからそういった弱い、環境に恵まれていない関係市町村に対しましては、いろいろな面から調査検討をして、それなりの方法で次々と条件整備をしていかなければならぬ、こう思います。
  166. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 今大臣いみじくもおっしゃったのですが、水道の場合は、水道拡張事業計画というのをずっと都道府県は持っているのですね。水道を引いたら当然下水が必要になるから、給水を例えば一日二百万トン送ればそのうち何万トン分の下水が必要かとか、深い浅いの問題とかいろいろな問題がありますが、本来水道とワンセットでそういう計画を立てるべきなのに、それを立てないで、余りにもひどい乱開発といいますか、開発だけが先行したというところに今日の都市部における問題があるということは、あわせて指摘しておきたいと思うのです。  今年度から自治省の下水道普及特別対策というのを示しておられます。環境整備に対する財源措置の充実はもちろん必要なわけですが、それについて一五%の交付税の算入ということで今なっているのです。これは一五%にこだわらず三〇%であっても五〇%であっても多い方がいいと思うのですが、なぜ一五%なのか、この点、お考えを少し伺っておきたいと思います。
  167. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 平成年度から今お話のございました普及特別対策事業を行うことにいたしておるわけでございます。この趣旨は、先ほど来各委員から御指摘がございましたように、補助事業がある程度進んでまいりましても末端の環境とつながらないと最終的に下水道の効果は上がらない、ひいては下水道財政が安定しないということにございますので、ある程度補助事業が進んだところで単独事業がまだおくれておるというところに対して普及特別対策事業をしていただこうということで考えたものでございます。  この財政措置のやり方でございますが、基本的には、下水道の財政措置のルールというのは、先ほど来も御説明申し上げましたけれども、汚水と雨水というものが下水の処理にはございますので、各家庭から出る汚水の部分については、先ほど来大臣から基本的な考え方で申し上げておりますように、汚水者負担ということが原則でございますので、そういうことに基づいて財政措置がとられております。今回の普及特別対策事業につきましては、そういうことも考慮いたしまして、今の一般財源で措置するものと下水道事業債を起こしてそれに対して元利償還の五割を財源措置するものと合わせまして、全体として五五%には特例的になるようにということでこういうような財源措置考えたものでございます。
  168. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 将来の元利償還においても起債については五〇%の交付税措置考えるということで、それでいくと起債の方がよいのかなという感じもするわけですが、いずれにしろ今回の措置というのは将来の財政負担を考慮した上で出してこられたと思うのです。それならば思い切って交付税の算入率をもっと引き上げるということが大事なことだと思います。特に、国庫補助の増額か、または次善の策として交付税でその財源を見るということになりますと、交付税の算入率をもっと高めていくことが今大事ではないかと思うのです。特に今回五千億の特例減額の措置とか、ほぼ同額の繰り越し問題などがあるわけですから、財政的にはこれは見ることができますし、こういうところへこそ交付税をもっと配分すべきではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  169. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 交付税で算入をいたしておりますのは、先ほど申しましたように、事柄の性質上公費で分担をすべきもの、まあ環境ということも考慮して公費で分担すべき雨水の処理分、これが七割あるということで、それを地方財政計画に計上して交付税でその七割を交付税措置をしておる。残りの三割は交付税以外の一般財源で財源措置をしていただくということで現在の財政の仕組みができておるわけでございます。この七割という数字は、いろんな事業が交付税の算定でございますけれども、そういう中で比べましても比較的高い割合でございまして、妥当な数字ではないかというふうに考えておる次第でございます。  なお、その補助対象の範囲の問題でございますとか、あるいは市町村によりましては、やった結果非常に高資本になるとか、いろんな個別の問題がございますので、そういう問題につきましては関係省庁とも協議をしながら引き続き改善に努力していきたいと思っております。
  170. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、やはり特例減額の措置とかそういうことよりも、今本当に社会資本の整備充実ということで進めていくならば補助を実態に合わせてさらに改善されるとかいろいろお話ありました、もちろんそれを進めていただくとともに、やはり財政面では交付税措置をもっと充実させていくということで交付税算入率を高めるとか、そうしてこそ本当にこの下水道整備が進むんだということで、そういう取り組みを要望いたしまして質問を終わります。
  171. 森田一

    森田委員長 神田厚君。
  172. 神田厚

    ○神田委員 交付税法案の審議に際しまして五項目についてお伺いいたしたいと思っております。  まず第一点は自治大臣にお伺いいたしますが、地方の時代という言葉が唱えられて久しいわけでありますが、最近は特に、これまでの官指導、どちらかといえば中央集権型であった意思形成や資源配分のパターンを、個人、地域が主体的に参加して決定していくものに改め、自由で幅広い選択を可能にする社会の構築が求められております。ところが、産業のサービス化、情報化、国際化などを背景に東京への一極集中が激化しております。このように東京へ集中している諸機能を分散し、地域経済社会の均衡ある発展を実現する必要があると考えております。昨日も参考人に対してこの点について質問をいたしましたが、大臣は、現在の東京一極集中、現状をどういうふうに考えておられるか、またその是正策はどういうふうにお考えになっておられますか、お聞かせいただきたいと思います。
  173. 吹田愰

    吹田国務大臣 このことはもう国を挙げて一極集中を排して多極分散ということで、日本列島全域にわたって、国民がいずれの場所に生活しても極めて国の行政や恩典に浴することのできる、享受できる体制をつくろうということが多極分散だと思うのですけれども、非常に機能が東京にすべて集中しておるということで、国会の地方移転問題まで決議されておるという状況等を見ましても、これをどうしても排さなければならぬということであります。  特にその中で土地、住宅問題、そうしたことを中心とする環境整備の問題が一極集中によって非常に大変な事態になり、迷惑を多くの地域の皆さんにかけている、こういうことだと思うのですね。一方では過疎化が進む、そうして国土が荒廃するというような問題も起きているわけでありますから、早くこういった点の均衡ある状態をつくっていくということが一極集中を排して多極分散だと思います。  特に、地方の時代をつくるということは、中央からの情報を受けるということでなしに、地方の情報というものが中央に上がってくるという一つの前提条件も必要になってくるわけでありまして、そういうことで中央はこれを受けて立つということに常に考え方を置いていくということも地方の時代を促進する一つの大きな手がかりであるというふうに思いますし、これからの地方公共団体の自主性、主体性というものを確立していく、そして、それぞれの地域において地域の若者が活力ある地域社会をつくり出せるような、そういう工場分散を初めとする職場の分散というものを図っていこうというのが今日の大きな課題ではないか、こう思っておりまして、私ども自治省といたしましてもそういう点にこれから鋭意努力して、関係省庁お話し合いを進めていき、これを促進していこう、こう考えております。
  174. 神田厚

    ○神田委員 次に、地方財政対策であります。  平成年度の固定資産税の評価がえと、これに伴う増収見合いの個人住民税の減税についてお伺いをいたします。  平成年度の固定資産税の土地の評価がえは、近年の地価の動向等を反映して大幅に上昇しており、これに伴う固定資産税の増収も相当の規模になるものと思われております。しかしながら、この増収分は今後五年にわたって徐々に増収となるわけで、個人住民税の減税相当額の全額が平成年度の収入となるわけではありません。今回固定資産税の評価がえに当たって増減税同額としておりますが、実際には減税先行になっております。まず、なぜそのようにしたのかを、その理由をお尋ねいたします。  第二に、このことにより地方財政はどのような影響が出るとお思いですか。  さらに、増減税同額といいますが、これは日本全国トータルの話であって、個別の団体で見れば同額とはなっておりません。地価の上昇しない地方においてはむしろ減税となり、自主財源がさらに減ることになります。この点問題があると思っておりますが、いかがでございますか。
  175. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 御指摘のように、今回の固定資産税の評価がえにおきましては、最近の地価高騰を反映いたしまして大幅に上昇いたしております。これに伴いまして固定資産税の増収も相当の規模になると見込まれますので、住民の地方税負担に配慮する必要があると考えられまして、この税についての調整が必要だというふうに考えたところでございます。  この際何をもって調整をするかということでいろいろ検討したわけでございますが、やはり最近の個人住民税に対する国民の負担感というものが非常にあるということ、こういうものに配慮いたしまして、個人住民税の減税にこの増収分を充てるのが適切ではないのかということで、固定資産税の増収分の全額を個人住民税の減税にしたわけでございます。  その際、固定資産税については負担の急増を避けるために段階的な負担調整措置を講じたわけでございますから、御指摘のように増収は徐々にしか上がってこない。しかし、これに合わせまして個人住民税の減税を徐々にやっていくということにいたしますとやはり減税の実感が非常に希薄になる、いわばこの減税効果が非常に薄くなるということで、この際は平成年度に一挙に前倒しにこの減税をしたいということで、関係方面にお願いをいたしましてそういう措置をとらせていただいたものでございます。  これに伴う財政的な影響につきましては、後ほど御答弁があろうかと思いますが、税務当局といたしましては、このことによりまして、固定資産税の増収と個人住民税の減収とでは税目が異なるわけでありますから、当然のことながら、納税者ごとに見ましてもあるいは市町村ごとに見ましても、プラス・マイナス・ゼロになるということはこれはないわけでございまして、トータルは合いますけれども、個々の納税者あるいは個々の市町村で見た場合におきましてはこれは増減収ゼロということはないわけでございます。こういう点につきましては、全体といたしましては、基本的に地方交付税の制度によりましてこれをならしていただくということによらざるを得ないと思うわけでございますが、今後ともそれぞれの税の性格などをよく考慮しながら運営をしてまいりたいと思っているところでございます。
  176. 小林実

    小林(実)政府委員 平成年度における個人住民税の減収額は五千五百五十五億でございます。平年ベースでは六千五百億といわれておりますが、平成年度におきましてはそういう数字になるわけであります。一方、土地の評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税の増収額は約二千六百億円と見込んでおるわけでございます。これらにつきましては、全体といたしましては平成年度地方財政計画の策定を通じまして収支のバランスをとっておりまして、地方財政の運営には支障が生じることのないようにしておるわけでございます。  それから、個別団体への影響につきましては、個人住民税の減税と固定資産税の評価がえだけに着目いたしますと、今回の措置は、市町村によりましては減収超過になる場合もあると考えられるわけでございますが、基本的には地方交付税制度の仕組みを通じまして補てんされておるわけでございます。
  177. 神田厚

    ○神田委員 次は、土地税制に関連しましてお伺いいたします。  ことしの税制改革の大きな焦点は、地価税の導入を初めとする譲渡課税の強化、農地の宅地並み課税、固定資産税の評価の適正化など、土地税制全般を改めたものになっております。  そこで、地価税は国税となる予定でありますが、従来土地に関する課税はすべて地方税でありました。なぜ今回地価税は国税となったのかを自治省にお伺いいたします。
  178. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 今回の土地問題に関連いたしまして土地税制について全般的な見直しが行われたわけでございますが、その議論の過程におきまして、土地の資産としての有利性を政策的に縮減する必要があるんじゃないか、こういう議論が強く出たわけでございまして、今回予定しております国税でございます地価税は、この土地の資産としての有利性を政策的に縮減するという観点から国税として創設しようとするものであるというふうに私どもは理解をいたしております。  そして、この税制そのものの仕組みは、土地の所有者単位に、この人たちが持っているすべての土地の評価額を全国的に合算した上で課税最低限を上回っている場合にそれに課税をするという仕組みで、いわば土地の所有者単位に課税をするという仕組みになっているわけでございます。そういう形にいたしますと、これは個々の地方団体ごとに課税するという地方税の仕組みにはなかなかなじみにくいという問題もございまして、この点については国税としてやらざるを得ないのではないかというふうに考えているわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、固定資産税というものが土地の保有に対する基本的な税制であるということには変わりないというふうに私どもは理解をいたしております。この固定資産税は、シャウプ勧告の際に市町村の基幹的な税として位置づけられているものでございまして、今後とも適正化に努力いたしまして市町村の基幹税目として運用してまいらなければならないというふうに考えているところでございまして、この地価税ができることによって固定資産税の運用に支障が出てくるというようには考えていないところでございます。
  179. 神田厚

    ○神田委員 この地価税については、私どもは大変問題のある税制だというふうに指摘をしております。ただいま大蔵委員会で地価税法案の審議が行われておりますが、今のような政府の原案でこれをやりますと、地価も下がらないし宅地も供給できない、そういうような状況になり、ただ単に大蔵省の税の増収にだけ寄与するような状況になってまいります。したがって、我々としましては、これに対する早期の見直しを主張し、さらに、その見直しの中で問題があればこの法案そのものについての問題提起をしていかなければならない、こういうことでやっております。そういう観点もありましてちょっとお伺いしました。  次に、三番目でございますが、地域福祉問題についてであります。  高齢者保健福祉の増進を図るためには、地域においても在宅福祉の向上、健康づくり等の課題につき、民間活動の活発化を図りつつ、地域の特性に応じた高齢者保健福祉施設を積極的に推進する必要があると考えます。このため自治省は、平成年度地方交付税の算定において地域福祉基金措置することとしております。  そこで、地方団体は当初予算で地域福祉基金をどの程度積んでいるのか、なかなかわかりづらいでしょうが、わかる程度で結構でございます。また、今後とも地域福祉を推進するためにこの地域福祉基金を充実するべきであると考えますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  180. 小林実

    小林(実)政府委員 これからの高齢化社会の進展に対応いたしまして、国におきましては高齢者保健福祉推進十か年戦略をつくりまして、保健福祉の増進を図っておるわけでございます。これに呼応いたしまして、在宅福祉の向上、健康生きがいづくり、ボランティア活動の活発化等の課題につきまして、民間活動の活発化を図りながら、地域ぐるみで高齢者保健福祉を積極的に推進するために、平成年度におきまして地方団体地域福祉基金を設置できますよう、地方財政計画をお願いし、交付税措置を講ずることといたしておるわけでございます。都道府県七百億、市町村千四百億、合計二千百億ということでお願いをいたしておるわけでございます。  お尋ね地方団体平成年度の当初予算におきます地域福祉基金に関する予算の状況でございますが、本年度は統一地方選挙もございまして、現時点におきましては都道府県、市町村を含めました全地方団体状況につきましては把握しておらないわけでございますが、通年予算を編成いたしました都道府県、指定都市について見てみますと、都道府県は三十三団体中三十一団体で約四百二十二億円、指定都市におきましては九団体中七団体で約五十八億円、合計三十八団体で約四百八十億円の予算措置が行われているというふうに承知をいたしておるわけでございます。  今後の地域福祉基金につきましてのお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたように都道府県で七百億、標準団体で申し上げますと十一億程度になるわけでございまして、これは果実によりまして仕事をしていただくということを予定しておりますので、果実でいいますと毎年五千万から六千万ぐらいの金額が出てくるわけでございます。また、市町村につきましては千四百億、標準団体ベースでいいますと八千万ということでございまして、果実にいたしますと四百万から五百万ぐらいの金額が出てくるわけでございます。 いずれにいたしましても初めての試みでございまして、これで十分かどうかにつきましては、平成年度におきます地方団体の取り組み、それから基金の活用状況を見ないと何とも申し上げかねるわけでございます。しかし、このような基金につきまして実績とかあるいは地方団体の御意見、それから、これからの各年度の財政状況を踏まえながら今後の取り扱いにつきましては検討してまいりたいというふうに思っております。
  181. 吹田愰

    吹田国務大臣 今後の問題でありますが、三年度に入りましてまだ予算の執行すらわずかしかいたしておりません状態でございまして、四年度以降の問題をここで論ずるということは、私としては軽率な発言になりますし、しかし、それかといって、こうした制度を始めたということは今後に大きな意味を持っておるわけでありますから、その辺につきましてはこれからさらに検討を進めてまいりたい、こう思っておりまして、現時点ではっきりしたお答えになりませんがお許しをいただきたいと思います。
  182. 神田厚

    ○神田委員 次は、ゴールドプランの問題であります。  在宅福祉、施設福祉等の事業について今世紀中に実現を図るべき十ヵ年の目標を掲げ、これらの事業の強力な推進を図ることとしておりまして、平成元年十二月に作成されたのが高齢者保健福祉十か年戦略、ゴールドプランであります。その目標を達成する上で地方団体が果たす役割は非常に重要なものであると考えております。  そこでまず、ゴールドプランの平成年度の地方負担額はどの程度か、また、その地方負担額についてはどのように財源措置をされたのかをお伺いいたします。
  183. 小林実

    小林(実)政府委員 十か年戦略につきましての十ヵ年の所要額は約六兆円強というふうに見込まれておりまして、このうち地方団体が負担することとなる額は約二兆円強といわれておるわけでございます。平成年度事業費は約四千二百億でございまして、このうち地方負担額は千二百億であるわけでございます。この地方負担につきましては、投資的経費につきましては地方債で、残りの額につきましては地方交付税ということで、その全額につきまして財源措置をすることといたしております。
  184. 神田厚

    ○神田委員 次に、地方公務員の給与問題でございます。  今日、国・地方を通じて行財政改革の推進が緊急かつ重要な課題と位置づけられており、このような中で地方公務員の給与、退職手当についてのあり方に関心が持たれております。また、現下の地方財政は国の財政と同様に、累積した多額の借入金残高を抱えるなど引き続き厳しい状況であります。我が党におきましても、地方自治体自身の行革を進め、ばらまき福祉や職員の高額給与等に見られる無秩序かつ放漫な行政運営を徹底的に見直し、地方公務員の高額給与、退職手当の是正、給食、施設管理、清掃などの民間委託の積極的推進などを提言しております。  そこでお伺いしますが、まず、平成年度地方団体の給与改定の実施状況はどうなっているのか、また、国の基準を上回って給与改定を実施した団体は幾らあるのか、お教えをいただきたいと思います。
  185. 滝実

    ○滝政府委員 まず平成年度におきます給与改定の実施状況でございます。平成二年中、十二月末までに給与改定を行った団体がほとんどでございますけれども、年を越えた団体が約八%ばかりあるように承知をしております。そのほとんどは市町村でございますけれども、年を越えて給与改定をやっている、こういうところが八%程度ある、こういう状況でございます。  それから、国の基準を上回って給与改定をしているところがどうか、こういう状況の問題でございますけれども、私ども現在把握しているところにおきましては、おおむね国の基準に準じて改定をしている、こういうふうに承知をいたしておりまして、基準そのものが国を上回っているということはまずないものというふうに考えております。  これを都道府県の例で見ますと、国と同じような率で給与改定を行った団体が約二十団体、ちなみに申しますと国の昨年の勧告での給与改定率は三・六七%でございますけれども、これと同じ率で改定をやっているのが、若干の上下はありますけれども、二十団体、やや低い率になっているものが二十五団体、それから、やや高いかな、こういう団体が二団体でございます。これはどうしてこういうことになるかと申しますと、昨年の改定の場合にはやや給与の低いクラスに引き上げ率が高くなっているものですから、地方団体によってその職員構成の違いがございますので、全体としてのトータルの給与改定率に差が出ている、こういう状況でございます。  そういう面から言いますと、市町村の方は、まだ分析が進んでおりませんけれども、国の改定率よりもやや高い団体が若干は多目に出ているという感じを持っております。と申しますのは、市町村の場合には国と比べますと給与の低い職員の構成がやや高い、こういうことでございますので改定率は若干上がっている、こういうことだろうと思っております。
  186. 神田厚

    ○神田委員 次に、近年のラスパイレス指数、退職手当の高い団体の改善ほどのように進んでいるか、お示しをいただきたいと思います。
  187. 滝実

    ○滝政府委員 ラスパイレスの指数は、都道府県、市町村合計した数字で申しますと、この十五年くらいの間で七・六くらいのマイナスになっている、こういうことでございます。昭和四十九年にラスの全国平均が一一〇・六でございましたものが、平成元年で申しますと一〇三・〇ということでございますので、全体として非常に下がってきている、こういう状況でございます。  ただ、市町村におきましては若干のばらつきがございまして、区々に分かれておりますけれども、それでも、四十九年当時相当高く、批判の対象になりました団体も、現在ではかなり給与水準が下がってきて全国平均に近づいてきている、こういう状況でございます。
  188. 神田厚

    ○神田委員 次に、権限移譲問題についてお伺いいたします。  八〇年代は地方の時代といわれ、地方がみずからの権限と責任を持って行政を行っていく地方分権を推進しようという機運が高まってまいりました。しかし実態はその逆であります。行政改革が強く叫ばれているにもかかわらず、事務権限と財源は依然として中央の手に握られておりまして、地方自治は大きく阻害されたままになっております。地方は何千何百という国庫補助金の網の中でがんじがらめに縛られたままになっており、町づくりに関する重要な許認可権とか、地方自治体の組織、定員に対する必置規制もそのままに残されております。臨時行政改革推進審議会等において、地域経済の振興、地域づくりや住民生活に密接に関連する行政分野等において、国から地方への権限の移譲を推進するという答申がなされましたけれども、現実はほとんど見るべき改革がありません。そこで、地方団体へ権限を移譲するための一括法、行政事務に関する国と地方の関係等の整理及び合理化に関する法律が現在国会に提出されておりますが、その内容はどのようになっておりますか。地方に対する権限移譲をさらに進めるべきだと考えますが、自治大臣のお考えをお聞かせいただきたいのであります。二点であります。
  189. 浅野大三郎

    ○浅野政府委員 まず私の方から一括法案の内容について御説明をさせていただきたいと思います。  これは、第二次行革審の「国と地方の関係等に関する答申」において指摘されました権限移譲あるいは国の関与、必置規制の緩和等を進めるということを一つ内容としております。なお、許認可等臨時措置法を廃止して民法等の各個別法に権限移譲の規定を設けるための改正もあわせてやっております。  そこで、権限移譲等の関係につきましての内容でございますけれども、農地法等五つの法律につきまして六項目の権限移譲を御提案いたしております。それから、国の関与、必置規制の緩和などの関係におきましては都市計画法など十三法律の一部改正を行うということを内容としているものでございます。
  190. 吹田愰

    吹田国務大臣 このことは地方自治法の精神からいきまして極めて大事なことであります。したがいまして、特に自治省がこういう点について積極的な姿勢を進めていかなければならぬと思いますが、特に住民の選良として選ばれた議会、さらには選ばれた首長、こういった方々によって地域の発展と住民の福祉を推進していくために、その行政事務の問題あるいはまた権限移譲の問題が拡大されていくということは非常に望ましいことであります。特に、すべてを東京の中央省庁に陳情しなければならないというような旧態依然としたそういう体質は一日も早く解消していかなければならぬ、そしてできるだけ地方自治体で、県や市町村でやれる権限を行使さす、こういうことで我々もこれからも研究を進めていかなければならぬと思いますが、何と申しましても国会の皆さん方の御理解ある御協力をいただかなければそういったことは、長い伝統を持っております行政でありますから、容易に実現するものでもありません。したがいまして、やれることから少しずつ進めていくのですけれども、特に国権の最高機関である国会において御協力を賜りたい、このように存じます。
  191. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  192. 森田一

    森田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  193. 森田一

    森田委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。須永徹君。
  194. 須永徹

    ○須永委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、賛成の討論を行います。  我が党は、昨年、平成年度地方交付税法案におきまして、本法附則の修正と単独決議の採択をもちまして賛成の態度をとりました。その後、我が党が賛成したことにつきましては自由民主党から御批判をいただき、また、今年度においては、決議に盛り込まれた地域福祉基金は創設されましたが、国庫補助負担率の暫定特例廃止の決議は、暫定措置が一部手直しをされ延長されることをもって決議不履行となりました。  国会における特別決議が政府によって守られないという事態は極めて遺憾であり、私どもは立法府の権威の問題として憂慮いたします。そして実は本交付税法においても過去の国会審議と附帯決議の趣旨に反することが行われようとしているのであります。  今回の交付税の特例減額は附則三条によるとされていますが、この附則三条は昭和五十九年度に政府が制度改正であるとしたものであり、それまで毎年度の財源不足額を、本来は、地方交付税法第六条の三第二項に基づき税率を引き上げるか、あるいは、その他の行財政制度の改正、例えば税源の再配分や事務事業の配分の見直しなどの措置をとるべきであったにもかかわらず、特会借り入れでその場しのぎをしてきた。しかし、借入金も十一兆五千億円を超え、看過できないので、既住の借入金は国が全額返済するという約束は国と地方の折半とするように変更するが、今後、財源不足が発生した場合には借り入れではなく、その年度の交付税額に特例加算する、したがって制度改正なんだと政府・自治省は説明してきたわけであります。では、なぜ本則に基づき改正しないのかという点については、それは議論が広範に及び大変だから当面の措置として行うのだから本則はあくまで生きている。同時に、減額もあり得るのかという質問に対しても、あり得るがそれはあくまで理論的な意味だとされてきたわけです。したがって、この改正案採決に当たっての附帯決議においても、今回の地方交付税の総額についての特例措置はやむを得ずとられた暫定的な措置であることにかんがみ、今後、地方交付税法第六条の三第二項の本来の趣旨に沿い、恒久的な措置を講ずるよう努力することとされたのであります。この決議文を見れば当時の政府・自治省の姿勢と説明は明らかであり、今回の特例減額などは想定されていないのであります。  しかも、地方財政計画が現実の地方団体の歳出の実態や財政需要を反映していない、基準財政需要額の算定方法を改めるべきだ、現実に自治体が持ち出している国保や公営事業、さらに地域福祉充実のための施策の財源保障を行うべきだ、国庫補助負担率の削減はやめてほしいという声は自治体から聞こえても、財源が余っているから減額してもよろしいという声はないのであります。  今回の特例減額は、安易な貸借の悪例を重ねる呼び水となり、これを認めることは本則をも危うくすることにつながります。したがって、我が党は、かかる措置につきましては賛成できません。ただし、今回の特例については、百歩譲れば、先ほど申し上げた特会借入金の繰り上げ返済という性格を持っております。したがって、今後かかる措置が安易にとられたり、交付税制度や地方財政対策に重大な後退がないという何らかの担保が得られるなら、また、平成年度からの交付税措置等について現状からの積極的な改革が図られるという約束が得られるなら、譲歩して今回限りの特例とすることもやむを得ないと判断いたしました。  幸い、自由民主党を初め各党の本委員会理事委員の皆さんの地方自治、地方財政を大切にしようという熱意によりまして、後退に歯どめし、前進を図る内容の単独決議が採択される運びとなりました。自民党の理事さんも大変御苦労さまでした。したがって、我が党は、本案に賛成いたします。  そして、来年度以降の交付税制度の運用、地方財政対策がこの決議に沿って進められるよう見守りたいと存じます。決議の案文については、若干、表現が政治的に配慮されている部分もありますが、こうした案文にまとめる議論の過程については各党各会派十分御承知のとおりでありますし、思いは同じであると信じます。  交付税制度と地方財政計画の趣旨と基本を守り抜くこと。国庫補助負担制度の充実を図ること。地方の財政需要を反映した地方財政計画とするよう内容の充実を図ること。高齢者保健福祉の増進等のため、保健医療福祉関係職員の充実、処遇改善を図ること。給与水準の引き上げや公務員制度の一環としての実効ある育児休業制度の確立を図ること。国民健康保険事業に対する財政措置改善を図ること。昨年の委員会の決議によって生まれた地域福祉基金を大きく育て、地域福祉の充実のため財源措置の充実等を図ること。下水道等の公共施設の整備のための財源措置を充実させるとともに上下水道、交通、病院事業に対する一般会計からの繰り出し金の充実を図ること。  これらは、二十一世紀の地域にとって、また地方自治、地方財政の発展に不可欠なことであり、ぜひ確実に推進させることを求めて、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  195. 森田一

    森田委員長 河上覃雄君
  196. 河上覃雄

    ○河上委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました政府提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、賛成の討論を行います。  今回、政府から提出されている平成年度地方交付税法等の一部を改正する法律案は、その内容に問題点を含んでおりますが、地方公共団体への影響、ひいては住民生活の充実の観点から、本改正案に賛成するものであります。  以下、その主な理由を申し述べます。  賛成の第一の理由は、本年度の交付税において創設されました地域福祉基金であります。この基金の創設は、我が国の地域社会における高齢化の進展に対応したものであるとともに、我が党の主張に沿うものであり、評価すべきであると考えます。この基金については、今後さらに財源の充実強化に努めるべきであります。  第二の理由は、地方の単独事業費の大幅増であります。これまで地方の公共事業費は抑制されてきましたが、今後、我が国の地域社会の発展に当たって、社会資本整備が急務の課題であることから、今回の措置は当然行われるべきだと考えます。  理由の第三は、土地開発基金の増額であります。近年の土地の高騰によって、地方公共団体の土地の先行取得が困難になっております。今後十年間に社会資本の整備を重点的に促進するためにも、地方公共団体による土地の先行取得を推進することは重要であり、今回の基金の増額は評価すべきであると考えます。  最後に、地方交付税は地方の固有財源であるとともに、地方財政において重要な役割を担っております。このような観点から、特例措置による五千億円の減額は認められない措置でありますが、今回の特例減額措置を先例としないとともに、今後交付税の税率引き下げなどを行わないことを強く求め、賛成討論を終わります。(拍手)
  197. 森田一

    森田委員長 吉井英勝君。
  198. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対の第一の理由は地方交付税法附則第三条による交付税の減額をしているからであります。  今回の改正では、交付税法附則第三条に基づく四千五百二億円の減額が行われ、八四年度に特例制度が導入されて以来初めての減額が行われました。間接課徴形式による地方税と呼ばれることもあるように、もともと地方団体固有の財源というのが交付税についての自治省の見解です。地方財政は、地方団体固有の財源であるといわれる交付税を減額する状況にあるのでしょうか。地方財政には余裕があるとの批判に対して、地方財政は三千三百の地方団体の総体であり、財政事情も異なり、財政力の弱い市町村が大多数を占めており、とても財源に余裕のある状況にないというのが自治省の反論であります。そうならばなぜ、地方団体の固有の財源とまでいう交付税の減額に応じたのか、全く理解できません。  また、自治省は、減額が附則第三条の特例措置であることは認めますが、特例制度導入の理由である、地方財政が交付税法第六条の三第二項の規定の状況にあるということは認めようとはしません。これは、附則三条が六条の三第二項の規定に基づく制度改正であるという従来の自治省の解釈にも反するものであり、一貫しない態度であります。交付税法第六条の三第二項の事態にないというなら特例減額そのものをやめるべきであります。  反対の第二は、本来国が負担すべき交付税特別会計借入金や財源対策債の返済に、地方団体固有の財源である交付税を充てていることであります。七五年度以降地方財政の財源不足を補てんするために借りた交付税特別会計借入金は、交付税法第六条の三第二項に基づきしかるべき措置を講じてこなかった政府の責任であります。また、財源対策債や調整債の発行は国庫補助負担金のカットによるものであり、本来国が負担すべきものであります。交付税特別会計借入金返済に一兆七百十九億円、財源対策債や調整債の将来の償還に一兆九千四百六十億円を、地方の固有財源である交付税で行おうとしていますが、こうしたやり方は地方財政に対する国の責任を放棄するものと言わなければなりません。  特に、八五年度から八八年度にかけて発行された財源対策債や調整債の償還について、今年度基金に積み立てなければ交付税措置しないという方法は、使途を特定しないという交付税本来の趣旨にも反するものであります。  第三は、財政需要を的確に算入していない問題であります。交付税の基準財政需要額の算定が実態と乖離して、あるべき財政需要を措置するものとの政府の説明でも到底納得できない事態にあることは、当委員会でたびたび指摘されてきたところであります。特に、臨調行革路線のもとで地方財政全体を圧縮する攻撃がかけられ、乖離が是正されるどころか、拡大さえする傾向にあります。政府は昨年公共投資基本計画を策定して、今後十年間に四百三十兆円の公共投資を行うことを決定しましたが、これまでの実績からしてその多くが地方自治体によって行われることになります。下水道、住宅、都市公園等、生活に密着した社会資本の整備が進められることになりますが、それらに要する地方財源の確保が不可欠です。また、高齢化社会に対応して、地域住民の新しいニーズに対応する行政需要の増大が予想されています。こうした財政需要にこたえて、財政需要を的確に算入する抜本的な改正を行うべきでありますが、残念ながらそうした措置が極めて不十分であります。  地方の固有財源である交付税を、特例減額ではなく、地域住民の求める財政需要に充てることを要求して、討論を終わります。
  199. 森田一

    森田委員長 神田厚君。
  200. 神田厚

    ○神田委員 私は、民社党を代表し、ただいま提案のありました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、賛成討論を行うものであります。  民社党は、活力ある地方自治を目指し、「九〇年代・新地方の時代」の施策を推進してまいりました。その中でも地方自治の確立のために、地方財源の確保を最重要課題として真剣に取り組んでまいりました。我が党は、省庁あって国家なしといわれる現在の交付税の配分方法考え直す必要があると主張してまいりました。しかし、地方財源の安定確保と日本経済の混乱回避のため、この地方交付税法等の一部改正はやむを得ないものと考えます。  当該法案は、交付の算定方法及び借入金の償還額の改正という交付税の歳出のルールを改正するものであり、交付税のあり方とは別の問題であります。また、交付税の歳入のあり方については、消費税廃止関連法案、見直し法案のとき議論をすべきであると考えております。  同名法案については、平成元年十二月給与関連、全会一致、さらに平成二年三月補正予算、共産を除き一致の経過もございます。  いずれにせよ、地方交付税法等の一部を改正する法案は、あくまでも地方財源の安定確保と日本経済の混乱を回避するためのその場しのぎ的な性格を持つものでありまして、真の地方自治の確立のための法案ではありません。  地方自治の確立のための地方財源の確立のため、地方交付税のあり方を今後真剣に討論することを求めて、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  201. 森田一

    森田委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  202. 森田一

    森田委員長 これより採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  203. 森田一

    森田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 森田一

    森田委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  205. 森田一

    森田委員長 次に、地方財政に関する件について調査を進めます。  この際、小坂憲次君外三名から、四派共同提案に係る地方財政充実強化等に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。小坂憲次君。
  206. 小坂憲次

    小坂委員 この際、地方財政充実強化等に関する件について決議をいたしたいと存じます。  本件につきましては、理事会等におきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四党間で協議が調い、お手元に配付してあります案文がまとまりました。  案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。     地方財政充実強化等に関する件(案)   地方行財政の長期的な安定と発展を図り、高齢化社会への的確な対応と国際化に応じた地域の振興と福祉の増進を図るため、政府は、次の諸点について善処すべきである。  一 地方交付税は、国と地方の事務分担、経費負担区分に基づき国、地方の税源配分の一環として設けられている地方団体の固有の財源であることにかんがみ、国の財政事情の都合によってその税率の変更等を行わないこと。  二 地方交付税法附則第三条に基づく特例措置については、昭和五十九年度改正の経緯及び地方交付税制度の趣旨にかんがみ、地方交付税総額の安定的な確保に資する観点から、その慎重かつ適正な運用に努めること。    また、地方交付税法第六条の三第二項の運用に当たっては、従来の政府見解を遵守し地方交付税総額の長期的安定確保を図ること。  三 今後における公共事業の拡大とそれに係る地方負担の増大にかんがみ、国庫補助負担制度の充実を検討すること。    また、公共事業に係る国庫補助負担率の暫定措置については早急に総合的検討を進め、速やかに結論を得るとともに、補助金等の整理合理化を推進すること。  四 地方財政計画については、地方団体長期計画及び具体的施策に伴う財政需要の動向等の反映に努めるなど、より地方の実態に即したものとなるよう内容の充実を図ること。  五 高齢者保健福祉の増進等のため、保健、医療、福祉関係職員については、地方財政計画等における人員の充実や処遇改善検討し、必要な人員確保が図られるようにすること。    また、地方公務員の給与水準については、他の地方団体等と比較し著しく水準の低い地方団体についてその改善に努めるとともに、公務員制度の一環としての実効ある育児休業制度の確立を図ること。  六 国民健康保険事業における住民負担の現状にかんがみ、国保財政の在り方の改善を図ること。  七 地域福祉の充実のため、地域福祉基金については、その財源の充実を検討するとともに、その運営については、地方交付税法第三条第二項の趣旨を尊重すること。    また、地方団体が自主的に地域福祉の充実に取り組むことができるよう財源措置を充実するとともに、よりきめ細やかな地方交付税措置検討すること。  八 下水道等の公共施設の整備のための財源措置の充実を検討するとともに、上下水道、交通、病院事業に対する一般会計からの繰出金の充実を図ること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  207. 森田一

    森田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  これより本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  208. 森田一

    森田委員長 起立総員。よって、地方財政充実強化等に関する件を本委員会の決議とするに決しました。  この際、吹田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。吹田自治大臣
  209. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。  ありがとうございました。
  210. 森田一

    森田委員長 お諮りいたします。  ただいまの本決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 森田一

    森田委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。      ────◇─────
  212. 森田一

    森田委員長 次に、内閣提出参議院送付銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案及び本日付託になりました暴力団員による不当な行為防止等に関する法律案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。吹田国務大臣。     ───────────── 「銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律   案  暴力団員による不当な行為防止等に関する法   律案」     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  213. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  この法律案は、最近におけるけん銃使用犯罪の実情にかんがみ、新たにけん銃の銃身等の部品の所持及び輸入を規制し、並びにけん銃等の密輸入の予備等を処罰することとするとともに、猟銃の操作及び射撃に関する技能の向上等に資するため練習射撃場の指定等の制度を設けるほか、社会情勢の変化等に応じた銃砲及び刀剣類の所持に関すの規制の見直しを行い、あわせて、刀剣類の製作の承認に関する規定を整備すること等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  まず、第一に、けん銃部品の所持及び輸入の禁止についてであります。  これは、摘発を免れるため、けん銃を部品に分解して所持し、または密輸入する事案が発生していることにかんがみ、けん銃の銃身等のけん銃部品の所持及び輸入を、一定の場合を除き、禁止することとするものであります。  第二に、銃砲及び刀剣類の所持に関する規制の合理化についてであります。  これは、国際化の進展その他の社会情勢の変化等を踏まえ、新たに、芸能の公演、博物館での展示等に供するための銃砲または刀剣類については、けん銃等を除き、その所持について許可をすることができることとするものであります。  第三は、練習射撃場の指定等についてであります。  これは、猟銃の操作及び射撃に関する技能が低下していること等に起因する事故の絶無を図るため、猟銃を所持する者がその技能の維持向上のために射撃を行う機会を拡大する等の見地から、都道府県公安委員会は、猟銃に係る指定射撃場のうちから練習射撃場を指定することができることとし、猟銃の所持の許可を受けた者等が練習射撃場に備えつけられた猟銃を使用して射撃練習を行うことができることとするものであります。  第四に、美術品としての価値ある刀剣類の製作の承認についてであります。  これは、行政改革の一環としての国から地方への権限移譲を進めている観点から、現在、文化庁長官が行っている美術品として価値のある刀剣類の製作の承認に関する事務を、一定の場合を除き、都道府県の教育委員会に行わせることとするものであります。  第五に、罰則の強化についてであります。  これは、最近、大きな社会問題となっている暴力団犯罪において使用されるけん銃のほとんどが海外から密輸入されたものであることにかんがみ、けん銃等の密輸入の予備行為をした者及びけん銃等の密輸入に対する資金等を提供した者を処罰することとするとともに、けん銃等の密輸入の未遂罪及び予備罪の国外犯を処罰することとするものであります。  その他、この法律案では、都道府県公安委員会は、銃砲または刀剣類の所持の許可を受けた者がこの法律の規定に違反した場合等において、その者に対し、危害予防上必要な措置をとるべきことを指示することができることとすること、手数料の額を実費を勘案して政令で定めることとすること、罰金額を引き上げること等所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました暴力団員による不当な行為防止等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。  この法律案は、最近における暴力団員の不当な行為によって市民生活の安全と平穏が脅かされている実情にかんがみ、国民の自由と権利の侵害を防止するため、構成員等が集団的にまたは常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれが大きい暴力団を指定する制度を設け、この指定された暴力団の暴力団員の行う暴力的要求行為等を禁止し、その違反に関する所要の措置を定めるとともに、暴力団の対立抗争等による市民生活に対する危険を防止するため必要な措置を講ずるほか、暴力団員による不当な行為の防止及びこれによる被害の救済に資するため暴力追放運動推進センターを指定する制度を設けること等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  まず、第一に、指定暴力団等の指定等についてであります。  これは、都道府県公安委員会が一定の要件に該当する暴力団を指定暴力団または指定暴力団の連合体として指定することにより、規制対象となる暴力団員の範囲を一義的に明確にするものであります。  この指定に当たっては、都道府県公安委員会国家公安委員会の確認を求めなければならず、この確認は審査専門委員の意見に基づくものでなければならないこととするとともに、聴聞及び不服申し立ての制度を整備すること等により、指定処分の適正を最大限確保することとしております。  第二に、指定暴力団員の暴力的要求行為規制等についてであります。  これは、暴力団員が暴力団の威力を示して一般市民や事業者に対して不当に金品等を要求する行為を行っている実態にかんがみ、暴力団員が行う典型的な不当な要求行為規制するものであります。  その一は、指定暴力団員が、その所属する指定暴力団等の威力を示してみだりに金品等の供与を要求する等の暴力的要求行為を行うことを禁止し、その違反に対しては、公安委員会が、当該違反行為の中止を命じ、または再発防止のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。  その二は、指定暴力団員に対して暴力的要求行為を依頼する等の行為を禁止し、その違反に対しては、公安委員会が、再発防止のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。  第三に、暴力団員の不当な要求による被害の回復等のための援助についてであります。  これは、暴力団員による不当な要求による被害の回復または防止を図るために、公安委員会が一定の援助を行うものであります。  その一は、指定暴力団員による暴力的要求行為の相手方からその被害を回復しようとするに当たって援助の申し出があったときに、公安委員会が、その申し出人に対し、当該指定暴力団員への連絡その他必要な援助を行うこととするものであります。  その二は、事業者に対し、暴力団員による不当な要求による被害を防止するための措置が有効に行われるようにするため、公安委員会が、資料の提供その他必要な援助を行うこととするものであります。  第四に、対立抗争時の指定暴力団等の事務所の使用制限その他の規制についてであります。  これは、暴力団の事務所の使用及びその事務所に係る行為並びに暴力団への加入の勧誘等の行為について一定の規制を行うことにより、市民生活の安全と平穏の確保を図ろうとするものであります。  その一は、指定暴力団等の間に対立抗争が発生した場合に、その事務所が多数の指定暴力団員の集合等の用に供されているときは、公安委員会が、その事務所をこれらの用に供すること等を禁止することを命ずることができることとするものであります。  その二は、指定暴力団員が、少年に対して指定暴力団等への加入を勧誘すること、人を威迫して加入を強要すること等を禁止し、公安委員会が、その違反行為の中止を命じ、または脱退妨害の防止等のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。  その三は、指定暴力団員が、その事務所等において付近住民等に不安を覚えさせるような行為をすること等を禁止し、公安委員会が、その違反行為の中止等を命ずることができることとするものであります。  第五に、暴力追放運動推進センターの指定についてであります。  これは、暴力団員の活動による被害の予防等に資するための民間公益活動の促進を図るため、都道府県ごとに暴力追放運動推進センターを指定し、これらのセンターに民間の活力を発揮して暴力団追放運動、暴力団員による不当な行為に関する相談に応ずること等の事業を行わせることとするものであります。  その他、仮の命令、不服申し立て、審査専門委員、罰則等について所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
  214. 森田一

    森田委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。  次回は、明十九日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十七分散会