運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1991-03-12 第120回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月十二日(火曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 森田  一君    理事 井奥 貞雄君 理事 亀井 静香君    理事 小坂 憲次君 理事 福永 信彦君    理事 増田 敏男君 理事 谷村 啓介君    理事 中沢 健次君 理事 小谷 輝二君       石橋 一弥君    遠藤 武彦君       塩川正十郎君    中谷  元君       中山 利生君    長勢 甚遠君       古屋 圭司君    星野 行男君       松田 岩夫君    簗瀬  進君       遠藤  登君    小川  信君       北沢 清功君    小林  守君       須永  徹君    安田 修三君       河上 覃雄君    草野  威君       吉井 英勝君    神田  厚君  出席国務大臣         自 治 大 臣 吹田  愰君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 西田  司君  出席政府委員         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  新野  博君         自治大臣官房長 森  繁一君         自治省行政局長 浅野大三郎君         自治省行政局公         務員部長    滝   実君         自治省財政局長 小林  実君  委員外出席者         総務庁行政監察         局監察官    堀江 正弘君         環境庁企画調整         局環境管理課長 的石 淳一君         文部省教育助成         局地方課長   小野 元之君         厚生省社会局庶         務課長     亀田 克彦君         自治大臣官房審         議官      松本 英昭君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ───────────── 委員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   小林  守君     串原 義直君   須永  徹君     佐藤 敬治君 同日  辞任         補欠選任   串原 義直君     小林  守君   佐藤 敬治君     須永  徹君     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出、第百十八回国会閣法第七〇号)  公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二五号)  過疎地域活性化特別措置法の一部を改正する法律案起草の件      ────◇─────
  2. 森田一

    森田委員長 これより会議を開きます。  第百十八回国会内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案及び内閣提出公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  地方自治法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  趣旨説明を聴取いたします。吹田自治大臣。     ───────────── 「地方自治法の一部を改正する法律案」     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  この法律案は、地方公共団体組織及び運営合理化を図るため、地方制度調査会の答申にのっとり、機関委任事務制度の見直し、監査委員職務権限の拡大、議会運営委員会設置等措置を講ずるとともに、公の施設管理委託制度の充実を図り、あわせて地縁による団体に関して規定整備等を行おうとするものであります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  第一は、地方公共団体事務に関する事項であります。  地方公共団体処理する事務の例示として、情報処理または電気通信に関する事務を加えることといたしております。  第二は、機関委任事務制度の改善に関する事項であります。  まず、機関委任事務について地方議会検閲検査権及び監査請求権を認めることとしております。  次に、職務執行命令訴訟制度を見直し、地方公共団体の長の罷免の制度を廃止するとともに、主務大臣は、知事処理する国の機関委任事務管理執行について法令もしくは主務大臣の処分に対する違反または懈怠がある場合、知事に対する勧告、命令及び不履行の事実を確認する内閣告示を経て、知事にかわって当該事項を行うことができるものとし、知事は、主務大臣命令について、内閣総理大臣への不服の申し出命令の取り消しを求める訴えの提起、その際の執行停止の申し立てができることとしております。なお、市町村長処理する国の機関委任事務管理執行に関してもこれに準ずることとしております。  また、監査委員が必要と認めるときは、機関委任事務について監査できることといたしております。  第三は、地方公共団体議会についての改正であります。  議会委員会は、調査または審査のため、参考人の出頭を求め、その意見を聞くことができるものとし、また、議会は、条例議会運営委員会を置くことができるものといたしております。  第四は、監査委員制度整備に関する改正であります。  まず、議員以外の者から選任される監査委員については、人格が高潔ですぐれた識見を有する者でなければならないこととし、その数が二人以上であるときは、少なくとも一人以上は、選任前五年間において当該普通地方公共団体の職員でなかった者でなければならないものとするとともに、都道府県及び政令で定める市にあっては、一人以上は常勤としなければならないこととしております。  次に、監査委員は、必要があると認めるときは、普通地方公共団体事務執行及び公の施設管理受託者の出納その他の事務執行についても監査できるものとしております。  第五は、地方公共団体が出資している法人地方公共団体との関係等に関しての改正であります。  まず、普通地方公共団体が出資している法人政令で定めるものについては、当該普通地方公共団体と請負の関係にある場合であっても、当該普通地方公共団体の長等が取締役等を兼ねることができるものとしております。  次に、普通地方公共団体が出資している法人政令で定めるものに対し、公の施設管理を委託することができるものとするとともに、普通地方公共団体が適当と認めるときは、管理受託者に公の施設の利用に係る料金を当該管理受託者の収入として収受させることができるものといたしております。  第六は、地縁による団体権利義務に関する事項であります。  町または字の区域その他一定区域において地縁に基づいて形成された団体のうち一定の要件に該当するものは、当該団体の申請に基づき市町村長認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し義務を負うものとすることといたしております。  第七は、複合的一部事務組合に関する改正であります。  公益上必要がある場合においては、都道府県知事は、関係のある市町村に対し、複合的一部事務組合を設けるべきことを勧告することができるものとすることといたしております。  最後に、別表の規定改正等所要規定整備を行うことといたしております。  以上が、地方自治法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 森田一

    森田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 森田一

    森田委員長 これより地方自治法の一部を改正する法律案及び公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案について議事を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君
  6. 長勢甚遠

    長勢委員 今回議題となりました両改正法案について質問をさせていただきます。  申すまでもなく、地方自治自由主義民主主義の基礎であります。中央集権一極集中の排除、また触れ合いのあるコミュニティーづくりということが叫ばれて大変久しいわけでありますが、地方自治の進展に向けて自治省役割は大変大きいと思います。幸い吹田大臣を迎えて、日夜御苦労されていることに対しまして心から敬意を表しますとともに、我々も一生懸命やりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  そこで、地方自治体住民の側に立った役割を果たしていく上でいろいろな制度上の問題があるということは、従来から種々提起をされてきたわけでありますけれども、今回の改正は、今趣旨説明がございましたけれども、それらにこたえるものというふうに私も考えますし、大変時宜を得たものとして賛成をする立場におります。そういう立場から私なりに少し聞いてみたい点がありますので、幾つかの点について質問をさせていただきます。  まず第一に、議会に関する改正内容についてでありますけれども地方議会住民の負託にこたえてその機能を十分に発揮していくことができるようにするということは、地方自治確保の上で極めて重要な点であります。ところが、いわゆる国の機関委任事務については地方議会検閲検査権が及ばないということから、住民に深いかかわりのある事項についても十分物が言えないということでもどかしい思いをしてきたという実態があったと思っております。今回の改正法案でこの機関委任事務についても地方議会検閲検査権が及ぶということにされたことでありまして、今後それが十分に、円滑に運用されることを期待しておるわけでございます。  そうはいいましても、機関委任事務につきましては国全体においてそれなりに定質的な運用確保されなければならない性格のものでもあろうと思うわけであります。そうしますと、この地方議会検閲検査権がいわば乱用されるようなことになっては趣旨に反するということも心配をされるわけでありまして、機関委任事務について国の指揮監督権というものがあると思いますけれども、そういう中で地方議会がどういう形でこの検閲検査権を行使していくのか。国の方針、制度に沿った運用がきちっとなされておるかどうかについてこの権限を行使していくということは、当然この法の趣旨に当たるところであり、必要なことだ、また十分やっていただかなければならぬと思うわけでありますが、一方で、国の制度、政策、それ自体に直接地方議会関与するといったような誤解を招くとか、運用がそのようになるというようなことになりますと混乱が起こるといったことも心配をされるわけであります。  そこで、今後適正な運用がなされるために、機関委任事務についての地方議会検閲検査権と国の指揮監督権というものの関係を明確にしておくことが必要であると思うわけでありますが、これについて御所見をお伺いいたしたいと思います。
  7. 浅野大三郎

    浅野政府委員 まず、今回機関委任事務について議会関与を一部認めようとするその趣旨でございますが、これは国の事務であることは当然なのでありますが、そうでありましてもやはり地域住民にいろいろな形でかかわり合いを持ちますものですから、住民代表である議会にいわば監視をしていただくというような立場関与をしていただいてよろしいのではないかという考えに立つものでございます。ただそういうことでございまして、あくまでもそれは仕事をやった後の、いわば事後的な監視機能とでもいうべきものだろうというふうにとらえております。ですから、議会機関委任事務処理権能そのものを持つようになる、あるいはそれにかかわってくるというようなことでは決してないと考えております。事務の適正な執行のためには当然国の指揮監督権は認められておりますから、そういう国の指揮監督権を前提といたしまして事務執行の適正を確保しよう、そういうものであると考えております。
  8. 長勢甚遠

    長勢委員 私自身が都道府県で勤務をさせていただいた経験がございますが、県議会議員先生の中には、国の制度そのものについてもいろいろな御意見がおありの方は当然のことながらおいでになるわけでございます。それは当然あってしかるべきことでございますが、そのこととこの権限の行使とを混同されるというようなことが余りにひどくなると制度自体がおかしくなることも心配されますので、その点明確にさせていただいたわけであります。  次に、議会に関しまして今回、地方議会参考人制度を設けるということが盛り込まれておるわけでございます。地方議会には今まで公聴会制度があったわけでありますけれども、これに加えてこういう参考人制度を導入しよう。これは、住民の意思を反映する上で、また、いろいろな意見を聞く上で重要なことだと思うのでございますが、その趣旨についてどういうお考えであったのか、お伺いいたしたいと思います。
  9. 浅野大三郎

    浅野政府委員 ただいま御指摘いただきましたように、現在の地方自治法公聴会制度というのを設けております。これは、重要な議案あるいは住民の利害に重大な影響を及ぼす事項などにつきまして、議会委員会が直接住民の要望、意見を聞くために設けられた制度でございます。ですから、この公聴会制度自体は非常に意義がある制度でございまして、今後とも積極的に活用することが必要であろうというふうには認識しております。ただ、御案内のとおりでございますけれども、この公聴会を開くにつきましては一定手続が必要だということになっております。議長の承認を得まして、日時、場所、意見を聞こうとする案件などを公示いたしまして、これに対する応募者の中から公述人を選定するという形をとることが必要になるわけでございます。そういうことでございますものですから、もう少し簡単な手続で民意を直接聴取する方法があってもいいではないかということで、国会でも参考人制度が設けられておりますものですから、それと同じようなものを地方議会においても制度としてきちっとおつくりいただいたらどうであろうかと考えた次第でございます。
  10. 長勢甚遠

    長勢委員 よくわかりました。今の参考人制度の導入あるいは先ほどの国の機関委任事務に対する検閲検査権、また、今度議会運営委員会も法制化されたようでありますが、ここら辺は私ども地方議会方々の長年の悲願と伺っておるところでありまして、近く統一地方選挙もございますが、ぜひ早期にこの成立を図っていただいて、新しい地方議会がこれらを踏まえて十分その機能が発揮されることを期待するものであります。いろいろな地方議会がありますけれども、今後一層その機能を果たしていっていただきたいという期待を込めております。  そういう意味で、今回の改正を踏まえた今後の地方議会のあり方について大臣所感がございましたら、その一端をお聞かせいただければありがたいと思います。
  11. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいま長勢先生おっしゃいましたように、地方議会出身、私もさような立場で今日あるわけでありますが、地方自治体というものは自主性主体性の確保というものが第一でありますし、同時に、本来は地方自治体というものは、精神からいきましても政党政治ではございませんで、あくまでも地域住民の福祉と地域発展を進めていくということで、超党派でやっていこうというのが基本的理念であります。これは御存じのとおりであります。そういった立場からいきますと、議会執行部というのは車の両輪でなければならぬということもよく言われるところであります。そういった意味で、議会が、執行権を持っておる行政に対して十分発言権を持ち、対等の立場議会活動というものができるような、そういう権能を、あるいは調査検閲やその他の検査等もできるということ等、活動を活発化するということは非常に意義のあることだと思うのですね。  そういう意味で、これからの地方議会というものの発展、それが車の両輪地方行政というものが推進されるということは非常に望ましい姿であり、今回こうして長年いろいろと懸案になっておりました問題がここに提起されたということは、私は非常にうれしく感じておりますし、ひとつ一日も早く議会で、委員会成立をさせていただいて、日の目を見ることを期待してやみません。どうぞ皆さんに私からもよろしくお願いいたしたい、こういう気持ちでありますので、一言先生の御質問に対しまして、所感を申し上げた次第であります。
  12. 長勢甚遠

    長勢委員 どうもありがとうございました。私も全く同感でございます。よろしくお願いいたします。  次に、今回の改正でいわゆる地縁による団体について権利義務を認めるということが内容になっておりますが、これについてお伺いをいたしたいと思います。  私の富山県におきましても、自治会活動というか町内会活動が大変盛んであります。清掃だとか美化などの環境整備だとか、あるいは集会施設維持管理運営、あるいは防火、防犯パトロール、あるいは寝たきり老人への慰問などなど、種種の活動を幅広くやっていただいておりまして、まさに地域の基礎的な役割を果たしていただいておるわけであります。今回の法案で、地縁による団体という名でこれらの団体について権利義務を認めようという趣旨になっておるわけでございますが、その改正趣旨というものはどういうものであるのか、この際少し明確にさせていただきたいと思います。
  13. 浅野大三郎

    浅野政府委員 お答えいたします。  ただいまも御指摘いただきましたように、自治会町内会といわれるものは日常生活におきましていろいろと意義ある活動を行っておる団体でございます。あくまでもそれは自主的に活動しておられるものでありますし、今後とも自主的に重要な活動をしていただければよろしいわけではございますが、ただ、現実問題としていろいろ困った問題が起きておるということを私ども聞かされております。それは特に財産不動産の面でございまして、不動産登記というのがその団体名義ではできないものですから、そこにいろいろなトラブルが起こっておる。したがいまして、そういう点を解決するというのが今回のこの改正を思い立つに至った契機でございます。
  14. 長勢甚遠

    長勢委員 私もいろいろな方々から不動産所有等をめぐってトラブルというか、どうしたらいいのだろうという相談を受けることもたまにあります。個人所有するわけにもいかないから近くのお宮さんの所有にしようとか、いろいろな苦労を考えたり、またそのことが原因でいろいろなトラブルが起きたりしたというようなことを聞いておるのでございますが、現実にどのようなことが問題になってきておるのか、もしデータ等がございましたら、資料等がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  15. 浅野大三郎

    浅野政府委員 実際にどういう点においてトラブルが生じておるのかということにつきまして、昨年四月一日現在で、これは直接そういう自治会等にお尋ねするというわけにもいきませんものですから、市町村を通じて、市町村の方に私どもが聞いて、市町村の方が実態を御承知でございますから、そういう実態を踏まえて回答してくださったわけでございますが、そういうことで調査をさせていただきました。その結果、そういう不動産などを持っておる団体、そういう町内会があると答えました市町村、そういう市町村のうち半数以上の市町村においていろいろなトラブルが生じたことがある、こういう報告を受けております。  では、具体的にどういうトラブルが生じたかということでございますが、幾つか例を申し上げますと、一つは、これは御承知のとおり今は権利能力なき社団ということでございますから、もし不動産登記しようと思いますと、代表者個人名前登記するか、あるいはもう総有ということになれば全部の名前を書かなければいけないということになるわけでございますが、代表者の方個人名義登記しておるというのが一つ考えられるわけですが、そういう場合には、その登記名義者の方が亡くなりますと相続人が出てまいりまして、一体これはその人本当個人のものなのか自治会のものなのかということで、相続人との間でいろいろその所有権の争いが生じた、こういうような例があるようでございます。  それからまた、そういう個人名義になっておる場合のことでございますが、たまたまその登記名義人となっている方が債務を持っていらっしゃるということで、債権者がその不動産を差し押さえて競売してしまった、こういうようなことも起こっておるということが報告されております。  それから、そのほか今度は多数人の共有ということで登記してある場合のことでございますが、そういう場合には、登記名義者が出たり入ったりいたしますと、その都度登記の変更をしなければいけない。それは非常に手続的にも煩雑である。  幾つかの例をピックアップして申し上げました。ほかにもたくさんトラブルの例がございますけれども、そういうような報告を受けております。
  16. 長勢甚遠

    長勢委員 ぜひそういうトラブルの解消にこの改正が役立つようになればということで評価をするものであります。  そこで、ちょっと細かい点になりますけれども、今特に不動産所有をめぐってのお話がございましたが、当然金銭、現金の処理をめぐってもややトラブルがあることも聞いておりますが、今回の改正でこの地縁団体権利義務主体となり得る権利義務範囲というものは、別に何か特別の限定があるものなのか。恐らくあらゆるものが今回の団体として、法人として権利義務主体になれるのだろうと思うのでございますが、その点ちょっと確認をさせていただきたいと思います。  それから第二に、権利義務主体となるこの地縁団体というものの範囲、あるいは基準というべきものでしょうか、こういう自治会というものは、私どもの方ですと校下単位にもありますし、いわゆる町内単位にもありますし、町内の中のまた班単位といったような中でも細分化をされて大変緻密に組織をされ、またそれぞれに活発に活動している実態があるように思うのでございますが、これはどの段階でもこの団体として認可を受けることになるのか、あるいはまた何か限界というか基準があるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。  三番目に、この認可を受けた地縁団体登記その他の財産所有ということになるわけでありますが、その税法上の取り扱いはどのようになるのか、この三点簡単にお答えいただきたいと思います。
  17. 浅野大三郎

    浅野政府委員 まず、法人格を取得した場合に、その法人としての財産取得等についての権利能力限定があるかどうかということでございますが、もともと法人になるのはそういう不動産登記をせんがためであるということはもとよりでございます。ただ、法人になった後その法人が、ある財産は持てるけれども、ある財産は持てない、そういうことはございません。  それから第二番目に、どういう範囲自治会というものを考えていくのかということであろうかと思います。政府案ではそこは条例区域を決めるということで提案させていただいておるわけでございますが、もともとの考え方といたしましては、要はそれは自治会として、あるいは町内会としてみずからの活動範囲というものをきちっとお決めいただいて、その適切なものが活動していただければよろしいのではないだろうかというふうに思っております。  それから三番目が税金の問題でございます。これは確かに税制上の問題はあるわけでございまして、現在の状態は、いわゆる権利能力なき社団ということでございますから、例えば法人税等の扱いにおきましては、税法でいう公益法人のようなものになっておるわけでございます。ところが、これがもしこの法律によって法人格を持つといたしますと、それは税法でいうところの普通の法人税法で普通の法人という言葉があるわけじゃございませんが、公益法人ではないという意味で普通の法人だということになってくるということになると思うのでございます。税法上の公益法人公益法人じゃないかということで、若干差が出てくる面があるわけでございます。今申し上げましたようなことに類する先例としましては、マンションといいますか区分所有建物、あれの管理組合法人というものが似たようなことがあるわけでございまして、任意団体であるときと法人になったときで違ってくるという話があるわけでございます。そういうものについては、今のマンションの管理組合法人につきましては税制上の手当てがされておりまして、自治会等につきましてもやはり人格を持つ前と後で同じ扱いになることが適当なのではないかというふうに私どもとしては考えております。
  18. 長勢甚遠

    長勢委員 その点よろしくお願いを申し上げます。  私は、この法制化、大変いいことだと思うわけでございますが、今御答弁ございましたように、とにかく財産をめぐるトラブルをなくするという方向での制度化というふうに伺うわけであります。しかし、これによって地域団体を何かの方向づけをしようとか、何かいろいろな役割をさせようとかというような誤解を持たれたのでは、これから本当のコミュニティーづくりの原点の自治会についていろいろな混乱も起きかねません。そういう誤解のないようにやはりはっきりしておいた方がいいのではなかろうか。そういう意味で、立法趣旨に沿った円滑な運用確保するためにも、今回の立法の目的、いわゆる不動産等の保有のためであるという立法の趣旨、また、こういう権利義務主体となる地縁団体というものが民主的な運営のもとに自主的に活動すべきであるというような方針といったようなものを、法文上も明らかにしておくことがいいのではなかろうかというふうに私考えておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。  ちょっと話題が変わるわけでございますが、六十三年の改正地方公共団体の休日の規定が設けられ、土曜閉庁制度が始められたわけでございます。そのときに、土曜閉庁とすべき日が限定をされたために、従来からあった沖縄の慰霊の日だとか広島の平和記念日といったようなものを独自の閉庁日として維持したままに土曜閉庁をやろうとすると制度上問題があるということになっておるそうで、このことで問題が生じておると聞いております。確かに、地方自治体の休日についても国あるいは他の市町村地方公共団体とのバランスというものが必要であるということで、勝手にいろいろなものを休日にされては困るという点はわかるわけでございますが、今申し上げましたような例につきましては、その地域で特別な歴史的、社会的意義を有して、また国民から見ても理解が得られるようなもの、こういうようなものについては独自の休日としていても土曜閉庁が認められるようにしてあげることがこの際必要ではないだろうか、こう考えるわけでありますけれども、これについて当局の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  19. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいまお話ございました問題は、確かにそういったことが言えると思っております。今日までもそういうようなことで、例えば沖縄における慰霊の日というようなものが定められておりまして、その地方公共団体で進めておるわけでありますが、これまでの経緯を踏まえまして、土曜閉庁の導入の際にも特例的に休日として存続することができるような方途を考えることは私は十分理解できる。したがって、議会の皆さん方のお考えというものに対して十分私は理解を示すつもりでおります。
  20. 長勢甚遠

    長勢委員 どうもありがとうございました。  次に、公害財特法について若干お伺いをさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、公害財特法は昭和四十六年以来公害防止事業の実施に大きな成果を上げてきたわけでありまして、私どもの富山県もかつては公害で大変有名になったというのは恥ずかしいのでございますが、しかし、その回復のためにこの公害財特法の適用を受けてずっと公害防止事業の実施に努めてきて、大変成果が上がった、高く評価をしておるところであります。そういう中で、今回十年の延長を政府の方で提案をされておられるわけでございますが、まず、これまでのこの法律の成果、取り組みの内容なり成果というものをどのように評価をされておられるのか、これは環境庁さんの方にひとつお伺いをいたします。
  21. 的石淳一

    ○的石説明員 お答えいたします。  政府におきましては、公害防止を図りますために、これまで各種公害規制や環境基準の設定、総量規制制度の導入など各種公害防止施策を講じますとともに、特に公害が著しく、公害防止施策を総合的に講じなければ公害防止が著しく困難である地域等につきましては、公害防止計画の制度及び公害財特法に基づく財政特別措置により公害防止施策の総合的、計画的推進を図ってまいったところでございます。結論的に申し上げますならば、環境庁といたしましては、公害財特法は公害防止施策の推進及び環境の改善に相当の成果を上げてきたものと考えております。
  22. 長勢甚遠

    長勢委員 環境庁さんの方でもそれなりに評価が高いというふうに理解をさせていただきました。そういう中で、今後とも十年間延長するということでございますが、今地球レベルで環境問題がクローズアップをされておるところでありますし、この延長はまことに時宜を得たものである、このように思っております。  ところで、先般、自治省で低公害車の導入のための新しい制度をつくられたと聞いております。こういう施策というものは現在の環境問題に的確に対応する上で大変すばらしい、さすがは吹田大臣ということで敬服をいたしておるところでありますけれども、ひとつ大臣から改めてその内容考え方をお聞きしたいと思います。  また、今後公害対策の一層の推進というものが大変大事なわけでありますけれども、こういう公害対策を推進する際にやはり基礎となる重要な役割を果たすのは、何といっても地方公共団体であります。そういう地方公共団体の取り組みを円滑にしていただくという意味で、自治大臣として公害対策についての御所見をお伺いをして私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  23. 吹田愰

    吹田国務大臣 公害対策というのは今や国際的、地球的規模で推進しなければならないということで、我が国もこの公害問題には環境庁を中心に関係省庁一体になりまして頑張っておるわけでありますし、国内環境のみならず、また、地球的規模におきましても我が国が果たす役割というのは極めて大きな意義を持っておるわけでございます。そういった意味におきまして、私どもとしましても、公害問題に対して指定地域で財特法というものがさらに延長されて、そのことによって財政的な付与をすることで地域の改善が図られていくということを希望しますし、そういった意味からもさらにこれから十年間の延長というものをお願いするわけであります。  今お話がありました低公害車問題というのは、実は小委員長等を自由民主党で務めまして、この問題非常に強く打ち出してきておるわけであります。と申しますのは、特にNOxの問題が中心なんですけれども、固定発生源から出るCO2の問題とは別に、いわゆるNOx対策というのは移動発生源としての自動車であります。なかんずく、自動車でもディーゼル車に問題があるわけであります。ところがディーゼル車というのは、御案内のように物流にかかわっておるわけでありますから、これをとめるということはできません。そういった点からいたしますと、いかにして低公害車というものを開発するかということになってくるわけでありますし、コストができるだけ安く、しかも相当な量が物流として可能な条件を整えていくということに改善を加えていかなければならぬわけですけれども、なかなか今日の状態で簡単にそういう面がいきませんが、ようやくにして最近は、トラックあるいはまたバス、ごみ収集車、こういったようなもので常に一定の区間をもって停車したり発車したりというような大都市地域におきましては、その都度黒煙を出し、あるいはNOxを出すということで非常に問題がありまして、これに非常な重点を環境庁も置いていたわけであります。最近におきまして、そういうことに対しまして十分な改善が整ってきたような自動車を製作することになりまして、ハイブリッドといっておりますが、いわばかつての潜水艦と同じでありまして、ディーゼルでずっと行きますけれども、敵艦の近くになりますと、音がしますものですから、これを電気モーターに切りかえておりましたが、それを今度は手動でなしにコンピューターで操作するというのがハイブリッドだそうであります。私も現に乗車もしましたし、国会の中に入れて、特に許可を得て、各党出ていただいてこの自動車に乗ってもらったりしたわけであります。  こういったこと等で、これからは全国的に低公害車というものを普及していこうということで、私も自治大臣になりましてから早速幹部の皆さんとも協議をして、こういったところに対しての若干の経済的な援助を加える、財政的援助を加えるということでこれを普及しようではないかというようなこと等を話し合いまして、普通交付税の算入で公害パトロール車というようなものを入れる、あるいは電気自動車、あるいはメタノール車、こうした低公害車をどんどんと採用できるように、都道府県のみならず、ある一定の規模の市町村に対してこれを奨励し、またはそれに対しまして上乗せされておる割り増しの経費については財政的な援助を加えていこう。そうして、全国的に現在の自動車の、そうした低公害車の購入費が非常にかさばっておりますものが、普通の自動車を購入すると同じような料金になるまでは一万台と言われておりますが、その程度の量が量産できればそういう形になっていくのだというふうに言われておりますものですから、そういう形で環境庁は実際は実施をしておるわけですけれども、それに対して通産省あるいは自治省というような関係省庁、あるいは運輸省といったものが総合的に協力し合っていくということが必要であろうと思うのですね。  特に、我が自治省のような場合はとかく縦割り行政ということが言われておるのですけれども、横で、どの省庁にも財政的な援助を加えて、どの省庁でも、非常に国民的要望が強いという仕事にかかってくるものに対しては財政的な援助を加えながら、これを現実の問題として地方自治体に普及していく、あるいはこれが運用されていくという形をとりたいと思っておりまして、そういう意味で起債の問題や交付税の問題等での財政措置を講じようという話し合いをいたしましたところ、当局の方も、事務次官以下関係部課長あるいは局長も全面的に賛成してくれまして、今地方自治体に対して、これが普及するように今盛んに奨励をしておる、こういう状況でございます。
  24. 長勢甚遠

    長勢委員 ありがとうございました。大臣の熱意に心から敬意を表する次第であります。きょうは本当にどうもありがとうございました。  これで終わります。
  25. 森田一

    森田委員長 中沢健次君。
  26. 中沢健次

    ○中沢委員 まず、自治大臣関係の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。  実は、平成二年度の特別地方交付税の配分決定がきょう正式に公表になります。先月の委員会でも、初めて大臣にも、北海道、とりわけ産炭地財政を取り上げまして、いろいろ質疑応答をさせていただきました。それぞれの問題について大変前向きな答弁もございまして、今度の特交の配分を見ますと、北海道の二百十二の市町村、資料も既にいただいておりますが、前年度に比べて約五十億円、配分総額が五百五十七億円になりました。正直言いまして、各市町村としてはもう少し多く配分をしてもらいたいということはもちろんあると思いますけれども、いずれにしても、大臣関係者の特交配分に対するさまざまな配慮につきまして、冒頭まず心からお礼を申し上げておきたいと思います。  さて、いよいよ地方自治法審議、本当に久しぶりだと思います。各論の質問に入る前に、少しく地方自治法の提案をされてまいりました背景や経緯につきまして、お互いに確認をする意味質問もしてみたいと思います。御承知のように、今から五年前のちょうど六十一年の三月、国会地方自治法が提案になりまして、既にちょうど五年経過をいたしました。国会の数でいいますと、百四回国会でありましたから、今回は百二十国会でありますから、実に十七国会、若干の議論をしましたが、いずれにしても廃案あるいは継続という繰り返しでずっと来たと思うのであります。なぜそのように非常に難産をしているかというその理由につきましてはいろいろあると思うのでありますが、やはり一番大きな問題は、俗にいう裁判抜き代執行、正確には職務執行命令訴訟制度、これにあるのではないか。現在の地方自治法では、二回の裁判をやって、代執行問題については法的にそれぞれ定めておりますけれども自治省が出されました自治法の改正内容で言いますと、文字どおり裁判を省略をして代執行ができる。これはやはり地方自治の精神に照らして見逃すわけにはいかない。特に、私もそうでありますが、私どもの党の先輩の関係者もずっと長い間そういう立場で頑張ってまいりまして、それ以外にも若干の問題がありましたけれども、いずれにしても職務執行命令訴訟制度というものがなかなか各党間の折り合いもつかない、自治省と我々との間で若干の議論はするんだけれども、基本的に平行線をたどる、こういうことがあったと思うのであります。  もう五年来のことでありますから、正直言いまして、昔のことはどうも記憶が薄れてしまう、あるいは、いやそのことはようわからなかったという方もたくさんいらっしゃると思います。しかし、私はきょう午前と午後に分かれて約二時間、地方自治法の問題について質問をいたしますので、各論の質問に入る前に総論的に、この自治法を自治省として提案をしてきたその背景、今日までの経緯についてお互いにしっかりおさらいをする必要があるのではないか、こういう立場に立ちましてそのことをまずお尋ねをしておきたいと思います。
  27. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいま中沢先生お話ありました最初の特別交付税の問題は、きょうの閣議で決定いたしましたし、全国あまねく関係市町村及び都道府県に対しましてこれを交付することに相なったわけでございますが、最大限、積雪寒冷地帯等あるいはまたその他、先生さきにおっしゃったような炭鉱閉鎖の問題からくる特別な事情のある市町村、そういったところ等、災害を受けておるところを重点的にいろいろの項目に分けて、重点項目の中で適用されている市町村に対して交付をさせていただいたわけでありまして、確かに十分であるとは言い切れません。しかしこれからもさらに努力をして、そうした関係の特別な市町村に対して行政に支障のないように十分応援をしていかなければならぬ、こういうふうに思っておりますので、今回の場合は御理解願いたい、こう思っておるわけであります。  次に、今、地方自治法改正案でありますが、これは確かに六十一年からの問題でありまして、非常に長い期間を通して御論議を願っておるわけでありましたが、私も国対やその他にいましたものですから、こういう問題についても常に関心は持っておりましたが、なかなか日の目を見る、与野党で一致する、政府と議員の皆さんと協議しても一致するという線が非常に時間のかかった問題でありましたが、このたび非常な御努力をしていただいて、とにかくこの問題はお互いに地方自治体としての権能というものを十分生かして、地方自治という一つの精神を生かしていかなければならぬという大前提に立ってこれが推進されたことは、私も非常に喜びにたえないわけであります。したがいまして、ただいまお話がありました最も代表的な職務執行命令の訴訟の問題等につきましては、これは議員のおっしゃるような形で、議員の皆さんの御意見というものを我々も十分徴して、これに沿って一つの問題の解決に向かって進もう、今こういう意気込みでおります。  細部にわたりましては、関係の局長の方から答弁させますが、このたび大変こうした特別な御協力と御理解をいただきましたことについて私も心から感謝をし、お礼を申し上げて、以下政府委員から答弁させますが、よろしくお願いいたしたいと存じます。
  28. 中沢健次

    ○中沢委員 今大臣の方から、特交問題につきましても今後もいろいろ努力をしたい、こういう非常に責任感あふれる御答弁をいただきました。今後ともその問題も含めて、ひとつ自治体財政の充実に向かって、引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。  同時に、今、地方自治法改正審議をするその玄関口とでも言っていいと思うのでありますが、こういう段階で大臣の方からお答えがございました。いずれにしても五年がかりでようやく、自治省改正案は改正案としてもちろん真剣に議論はしますけれども、しかし、今大臣がおっしゃいましたように地方自治の根幹に触れる裁判抜き代執行につきましては、随分時間がかかりましたけれども、具体的には昨年来各党間でいろいろ話をいたしまして、もう何回もそのことを党内に持ち帰って党内調整をする、恐らく同じようなことが各党でもあったと思います。そして、ようやく各党間で話がまとまって、既にこの委員会の各委員のデスクの上に議員修正の要綱なんかも配付をされている、こういう状況でありまして、したがって、この間の関係者の御労苦に、私はともかくとして、その他の関係者の御労苦に私は心から敬意を表したいし、あるいは、議員立法でありますから法制局にも大変御苦労もいただきました。そのことも重ねてお礼を申し上げて、したがって自治省提案のいわゆる改正案と同時にやはり議員修正案についても私は念頭に入れまして、これから各論にわたりまして具体的にお尋ねをしていきたい、このように考えているわけであります。  さてそこで、具体的な質問の一番目でありますが、職務執行命令訴訟制度につきましても、御承知のように地方制度調査会でも、随分専門家が集まりまして議論をした経緯がございます。とりわけ昭和六十一年の二月三日、地制調の総会、この当時社会党あるいは公明党の関係委員が、地制調にはちょうど五名の方が参加をされていたようでありますが、この五名の関係委員が連名でこの案件につきまして意見書を出しているわけであります。しかし残念ながら、地方制度調査会としては余り例がないというふうに聞いておりますけれども、異例の採決によってこの関係者の意見書というのは採択に至っていない、こういうことを聞いておりますので、確認のみで、その経緯あるいはどういう意見が出されていたのか、具体的にひとつお答えをいただきたいと思います。
  29. 浅野大三郎

    浅野政府委員 ただいま御指摘をいただきました当時の地方制度調査会におきましては、機関委任事務制度全体の見直しが議論されておったわけでございます。その中で、機関委任事務の整理合理化機関委任事務に係る地方議会及び監査委員関与、そして職務執行命令訴訟制度の改革、これが一括して議論され、答申に至ったということでございますが、その間、ただいま御指摘のあったような経過がございました。  それで、意見表明されたその意見内容ということでございますが、簡潔に要点を申し上げますと、次のような三点であったかと思います。  一つは、機関委任事務の整理合理化、自治体の長の罷免制度の廃止等と職務執行命令訴訟制度の見直しは本来分離して議論すべきであり、後者については現状においては必要がない。これが第一点。  それから第二点目でございますが、職務執行命令訴訟制度を仮に見直すとしても、少なくとも、一つには、訴訟については国から提起するものとし、命令の裁判と事実確認の裁判を統合し、高等裁判所において取り扱うものとすること。それからもう一つ、制度適用の前提として、当該事務執行しなければ公益上重大な支障が生ずるおそれがあると認められる場合に限りという条件を明確に付記するの条件が保障さるべきと考える、これが大きい二つ目でございます。  それから三つ目が、長の罷免制度は直ちに廃止すべきであるということであったかと存じます。
  30. 中沢健次

    ○中沢委員 今お答えをいただきました。私自身も二月三日の意見書の全文を今手元に持っておりますが、お答えいただいた内容のとおりだと思うのです。つまり、当時、五年前、社会党と公明党の関係委員が共同して意見書として提案をした、そのことの問題はずっと今日まで引き継いでいる、私はそのように理解をしております。したがってそのことも一つの前提といたしまして、関係する部分についてこれからまた具体的にお尋ねもしてみたいと思います。  さて、政府の提案によりますと、百五十一条の二項になると思うのでありますが、機関委任事務に関しては、法令違反等がある場合に、「それを放置すことにより著しく公益を害することが明らかであるとき」、こういうことが制度運用の要件となっているというふうに理解をするのでありますが、これ自体はもちろん現在の地方自治法規定にはないわけであります。したがって、これはどういうことを意味しているか、具体的にどういうことなのか、あるいは、今想定されると思われる事例についてはどんなことが考えられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  31. 浅野大三郎

    浅野政府委員 まず「著しく公益を害する」ということでございますが、これは社会、公共の利益に対する侵害の程度が甚だしい場合であるという説明が一応申し上げられるかと思います。要は、その物の考え方としては、代行についてはできるだけ慎重であるべきである、こういう見地に立って、代行できる場合を限定しようとするものであるというふうに考えております。  それから次の問題でございますが、想定される事例ということでございますが、今回政府が提案いたしました改正というのは、いわば機関委任事務制度についての制度論の立場でどうあるべきかということを考えまして提案させていただいたものでございまして、特にその提案のときにおきまして現に起こっている、あるいは近く起こる可能性のある特定の事件、事例というようなものを念頭に置いたものではございません。
  32. 中沢健次

    ○中沢委員 いずれにしても代執行については慎重の上にも慎重にという趣旨でありまして、そのこと自体は私も同感であります。ただ、現に起こっている、あるいは近く起こるであろうということを余り予測はしていない、それはやや常識的なお答えだと思いますが、これは具体的な問題でもありますので、また別な機会に取り上げていろいろやってみたいと思います。  さてそこで、関連をすると思うのでありますけれども、今お答えいただいたことで、制度運用内容についても若干触れられました。百五十一条の二で言う制度運用の入り口と言っていいと思うのでありますが、勧告の問題でございます。これも現行法にはない。今度の改正法に出されている。問題は、この勧告の問題で言うと、事前に公式、非公式にいろいろな話し合いをしている、やはりどうしてもそういうお互い同士の話し合いがなかなかうまく進まない、それを第三者的に見て、そして初めて勧告というこの制度の入り口からずっと入っていく、このように理解をするのであります。しかし、それにしても、当事者同士が相当深刻に真剣に話し合いをする、これはもう十二分に尊重すべきであって、機械的にすぐ直ちに勧告をするなんということは絶対避けるべきだと思うのでありますが、その辺はいかがでしょうか。
  33. 浅野大三郎

    浅野政府委員 勧告というのは、いずれ職務執行命令訴訟につながるいわば最初の段階になるわけでございまして、実際にそれがどう運用されるか、これは結局個々具体的な事例に応じて出てくるわけでございます。一般論で申し上げますならば、これは機関委任事務ですから指揮監督権があるのは当然でございますけれども、それはそれとしても、十分そこは話し合いが行われる、いろいろ話し合ったけれどもそれが不調に終わったからそれから勧告というものが出るのではなかろうか、一般的には私どもはそう思っております。  いずれにしましても、勧告をするというのは、客観的に見ましてもこの制度に乗っかっていく以外には是正をすることが困難である、それから、あるいは先ほど御指摘いただきました著しく公益を害するかどうか、そういうことが前提になって出てくる話であるというふうに考えております。
  34. 中沢健次

    ○中沢委員 もう一つの問題は、先ほど私も申し上げましたし、地方制度調査会意見書にも明文化されておりますが、いずれにしても、裁判抜きの代執行ということ自体、その基本的な理念でありますとか現実的な手法については、絶対認めるわけにいかない。そのことはまた繰り返して申し上げておきたいと思うのです。  仮に今度の政府原案で言うと、全く裁判抜きということでありますが、実は議員修正の段階でもそこのところが随分いろいろ意見がありまして、やはり裁判はやるべきだ、関係者のそういう意味での話がまとまりまして、議員修正案では一回裁判という内容にいたしました。同時に、一回裁判にはいたしましたけれども、相当いろいろな意味での歯どめを必要とするのではないか。つまり制度の慎重な運用が必要である、こういう角度から、一つには、執行命令、訴訟提起の条件の制限を明確に規定する必要がある、二つ目には、先ほどちょっと議論をいたしましたが、大臣から知事への勧告の問題についてももっとはっきりする必要がある、三つ目には、代行する際の大臣から知事への通告についてももっと制限を規定すべきである、四つ目には、知事の原状回復の措置についても明確にする必要がある、五つ目には、言うまでもありませんが、知事を罷免するということについては文字どおり地方自治の否定であることはもう明白でありますから、これは絶対廃止をさせなければいけない、大体この五点ほど、細かい内容で言いますと、いろいろ議論の末、やはり議員修正にはそういう内容も含めて盛り込む必要があるのではないか、こういうことで今日まで来ているわけであります。  したがって、繰り返しませんけれども、そういうことによりまして、自治省の原案と議員修正の内容というのは、基本的にも具体的な中身も含めて大幅に変化をした。変化をさせたと言ってもいいかもしれません。変化をさせたと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、変化をしたと思うのです。したがって、議員修正という内容は、いずれにしても現在の地方自治法職務執行命令訴訟制度趣旨、あるいはその基本というのはしっかり維持をされている、このように考えているのでありますけれども、この法案について、例えば制度運用という運用の責任を持つ自治省としてもそういう両方の立場があると思いますが、政府側の見解を改めて聞いておきたいと思います。
  35. 浅野大三郎

    浅野政府委員 まず現行の職務執行命令訴訟制度考え方でございますが、これは昭和三十五年に最高裁判決の中で述べられておりますので、それを引用させていただきたいと思いますが、「地方公共団体の長本来の地位の自主独立性の尊重と、国の委任事務処理する地位に対する国の指揮監督権の実効性の確保との間に調和を計る必要があり、」その調和を図るためにこういう制度がとられている、こういうふうに言っております。  そこで、ただいまお示しいただきました案につきまして、あえてお尋ねでございましたので申し上げますと、執行命令、訴訟提起の発動要件を、著しく公益を害することが明らかである場合に限るなど要件を明確にし、しかも手続を慎重にするとともに、国が提起する一回の裁判を導入するということにしておられまして、地方公共団体の長の本来の地位と国の指揮監督権の実効性の確保との調和を図ったものであるというふうに私ども理解いたしております。
  36. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、今お答えの中で、昭和三十五年六月の最高裁判決を引用されましてお答えをいただきました。私もその要約については手元に持っておりますが、おっしゃるとおりだと思うのですね。したがって、それに関連してお答えをいただきたいと思いますが、過去の事例から言いますと、裁判が一回となっても、「それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるとき」か否か、あるいはこの指揮命令の適法性も含めて、今も若干御指摘がありましたけれども、裁判所の判断にゆだねられる、このように理解をしてよろしいかどうか、確認の意味でそのこともお答えをいただきたいと思います。
  37. 浅野大三郎

    浅野政府委員 これは裁判所の判断する事項ではございますが、さきに申し上げました昭和三十五年の最高裁の判決におきましては、ただいま御指摘の点に関連しましても、「職務執行命令訴訟において、裁判所が国の当該指揮命令内容の適否を実質的に審査することは当然」であるとしておりますので、この代執行権について裁判が行われる場合には、今回政府案でも入っておりますが、「著しく公益を害することが明らか」かどうかというようなことを含め、そういうところの判断は、これは裁判所で行うのではないだろうかというふうに思います。
  38. 中沢健次

    ○中沢委員 さて、大臣にお答えをいただきたいと思うのでありますが、今わずかの時間でありますけれどもこの問題についていろいろ政府委員とやりとりをやってまいりました。いずれにしても自治法という現在の法律、提案をされている自治省改正案、それから、くどいようでありますが関係の会派でまとまっております議員修正案を念頭に置いていろいろやってまいりました。いずれにしても職務執行命令の訴訟制度につきましては、裁判は一回にする、しかしこれは国から提起をする、そして非常に問題のありました首長の罷免制度というのを廃止する、それと同時に、制度の適切な運用を図るために幾つかの規制をやる、それについても政府側からそれぞれ考え方が示されたわけであります。まだ正式には議員修正案はもちろん本委員会には提案をされていません。しかしその資料は既にデスクの上に配付をされている、こういう状況です。まだ議論は各党からもいろいろあると思うのですね。しかし大臣どうでしょうか。今のようないろいろな質疑応答を聞いていただいて、いずれにしても自治省の出しました改正案についてはさまざまな問題がある。したがって、議員修正という形で後ほど正式に提案がされる。最終的に議員修正は私は可決していただけると思うのです。されると思うのです。そうなりますと今度は自治大臣として、その議員修正決定後の具体的な法律執行について責任があるわけですね。したがって、そういう立場で、新しい地方自治法の、最終的な法律決定後の運用等については自治大臣の責任でありますから、そういう立場でひとつお答えをこの段階でいただいておきたいと思います。
  39. 吹田愰

    吹田国務大臣 これはいわゆる国の委任事務にかかわる問題なのでありますが、確かに当時の、当時のというのは六十一年前後の事情から、その当時の考え方とその後においていろいろと地行の皆さん方との御協議、政府と議員の皆さん方との御協議、あるいは与野党の協議というようなことからの進展なり客観的な時代の変遷というものも含めて、地方自治体というものの健全な歩みというようなものも、また実績等も見ながら、こういった改正が進められようとしておるわけでありますし、特に今お話がありました議員提案でこれがさらに修正をされるんだというのは配られておるが、おまえも知っているかということにつきましては私も承知いたしております。したがいまして、議員提案として修正が可決決定すれば、それはそれに従って政府としては忠実にその法律の精神に基づいて今後執行していく、あるいはまたそういうことで自治体というものとの協調をしていく、こういうことになっていくのは当然でありますし、このことにつきましては御意見に沿ってまいりたい、かように考えております。
  40. 中沢健次

    ○中沢委員 今大臣の方からそういうお答えがありました。ぜひまたそういうことでしっかりやっていただきたいと思うのであります。  さて、次の問題に移りたいと思いますが、地縁による団体権利義務規定、かなり各論、詳細にわたってお尋ねをしたいと思います。また、大臣にも幾つかその関連でお尋ねもしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  先ほどもこれについて若干のやりとりがありました。いずれにしても現在の地方自治法ではこういう規定は全くありませんでした。今度の改正案に初めて出てきたわけであります。私は北海道の夕張の出身でありますから、夕張の町内会が各町内会ごとに集会所を持っていたりいろいろな財産を持っていたり、全部網羅してはよくわかりませんけれども、散発的にはその実態なんかも承知をしております。先ほど来ありましたように、財産を持っている、しかし、それは法人格がないから登記ができない、会長の名前登記をするだとか副会長の名前登記をするだとか、それが時間がずっと重なってくるといろいろトラブルの原因になっている、そうかなという感じもするし、しかしその辺はしっかりやっているところはやっているのではないかなとは思うのです。しかし、いずれにしても今度自治省の方で考えられております地縁団体権利義務規定ということについて言いますと、出された法の内容からいってもうさまざまな意見、疑問がたくさんあるわけですね。党内でもたくさんありました。随分議論もしました。大分解明をされまして、結果的にきょうに至っているのでありますけれども、いずれにしても趣旨から言いますと、先ほどの答弁にもありましたが、財産保有上のトラブルを回避するためにやるんだ、この法というのは一般的に地縁団体に社会的な地位を与えたり一般的な法人格を与えるということではないんだ、こういうことでありますけれども、改めてそのことを確認の意味でお答えをいただいておきたいと思います。
  41. 浅野大三郎

    浅野政府委員 今回、地縁による団体につきまして法人格を認めようというのは、まさに現行制度のもとでは団体名義での不動産登記等ができませんので、財産上種々のトラブルも生じておりまして、そういう制約を除去し得る道を開くためであるというふうに考えております。
  42. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、そのことに関連をしてもう少しお尋ねをしておきたいと思うのです。  従来はこの種の法律がなかった。今度つくる。その目的は、今局長からありましたように財産保有上財産登記をする、その一点に限定をしている、こういうお答えがあったわけです。ですから、私はどちらかというと素直でありますからなるほどなと思うのでありますが、そうはいいましても、全国的に町内会がどういう財産を持っているか、あるいはどんなトラブルが起こっているか、あるいは今度の法の改正によって懸念される問題がやはり全国的にはさまざまあるわけでありまして、そういうことを一つのベースにいたしまして、以下、少し細かい内容になって恐縮でありますけれども、お尋ねをしてみたいと思うのです。  まず、不動産登記を目的とする、こういうことでありますが、これはもう少し具体的にそのことについて、手続だとかその他のいろいろな手法もあると思うのでありますけれども、そのことを、間違いないんだ、そのことなんだということを再確認する意味でも、手続だとか手法だとか、そういうことをもっとはっきりさせておく必要があるのではないか。一般的に財産といえば不動産もあるし動産もあるわけです。今度はいわゆる登記のできる不動産、僕は専門家でないからよくわかりませんが、土地だとか建物が中心だと思うのです。しかし、町内会でも動産という現金を持っていたり、その他のいわゆる不動産以外の動産の財産を持っている町内会自治会はたくさんあると思うのです。そこのところをきちっと線引きをして、あくまでもこれは不動産登記に必要な法人格の付与なんだ、さらに明確になってお互いに誤解や疑問が解けるように、もう少し具体的にそこのところを明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  43. 浅野大三郎

    浅野政府委員 私どもは、ただいまここでお答え申し上げます場合には、一応政府提出案を前提として申し上げることになるわけでございますが、考え方としては、もともと財産上のトラブルを避けるためであるということは間違いございません。先ほど来申し上げているとおりでございます。  あと実際の運用におきましては、いろいろこれは可決されました法律に従って私どもは、適切な運用あるいはそういう指導をしてまいらなければならないと考えておりますが、その場合にはいろいろ行政的に、仮にそれが不動産等の登記、それが主たる目的でそういうものとして運用すべきであるという場合には、もちろんそういうような運用もすることに相なるのでありましょうし、いずれにしてもそれは可決、成立した法律案に従ってしっかり指導もしてまいりたいと思います。
  44. 中沢健次

    ○中沢委員 今の局長の答弁は、立場上至極ごもっともだと思うのでありますけれども、私は冒頭、やはり修正案も念頭に置いて質問するということを申し上げました。もちろん修正案を出したのはそちら側ではありませんから、自治省の方としては、あくまでも修正案決定後を前提とした運用の問題でお答えをいただく、その辺やや間接話法だとは思います。しかし、それはお互いに立場がありますからやむを得ないと思いますけれども、もう少し問題点が明確になるように、私も具体的に指摘するし、局長も具体的に、それは運用上の問題としてはこうです、こういうことでまた以下お答えもぜひお願いしたいと思います。  そこでもう一つ、似たようなことになると思うのでありますけれども、私は北海道の夕張だし、北海道というのは比較的、開拓の歴史もまだ二世紀ちょっとくらいしかたっておりませんから、いわゆる町内会自治会といっても歴史はそんなに古くないのです。しかし、ほかの先生方の自分の選挙区だとか自分のふるさとのことを考えたら、やはり大変な歴史を持っているのじゃないでしょうか。それだけに、持っている財産も多種多様だと思うのです。私もいろいろ話を聞きましたら、ある町内会は山林という一つの財産を持っていて、キノコを取ったりタケノコを取ったりしている。しかし、古い会員はただでやっても、新しい会員は、入林料というのですか、少しお金を出してもらっているという話も聞きました。私自身はそのことは確かめておりません。あるいは、ある町内会自治会ではゴルフ場の土地の一部を持っている。そうなってくると、これは権益というのでしょうか、利益の関係も含めると一体どういう実態なのか。つまり私の言いたいことは、全国押しなべて町内会自治会は一つのものではない。さまざまな内容になっている。もっと言うと、町内会でも古い会員の皆さんと新しい会員の皆さんが実際はちょっと違う扱いになっているところもあるのではないか。あるいは町内会自主性で古い人も新しい人も一緒ですということで運営をしているところもあるとは思うのです。  そこで我々が心配したのは、そういうところもありまして、今度の改正、あるいは議員修正にも関連をするのでありますが、地縁団体の法制化をするということ自体、従来のかなり自主的にやってきたそういう町内会活動を法的に規制する、こうすべきだ、こうあってはならない、こういうやや権力的な、指導という名の権力的な一つの縛りをやられるのではないか、恐らくそういう心配をお持ちの町内会の役員だとか個別の会員もあると思うのです。そういう方々におこたえをする意味で、今私が幾つか具体的な例を申し上げましたけれども、こういう問題についてはどのように考えているのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  45. 浅野大三郎

    浅野政府委員 まず基本的な考え方といたしまして、先ほど来申し上げておりますように、不動産等をめぐるトラブルを避ける道を開くためだということでございます。したがいまして、地縁による団体法人格を得るようにする、しない、それはまさにその団体の自主的な判断で、そうした方がいいか、その必要はないかという全く自主的な判断でやっていただければいいことではないかと思います。  お示しのような形で、いろいろな形で財産を持っておると思います。それは物によってはあえて法人格を取得してその財産にしない方がかえって関係方々の都合がいいという場合もあるだろうと思います。それはもうそのままにしておいていただければよろしいと思います。ただ、やはりこの際きれいにして将来にわたって円滑に運営するために法人化して登記もした方がいいじゃないかという御判断のところはそういう形で法人化をしていただければよろしいのではないだろうかと考えております。  それから、先ほどの御質問に関連しての話でございますけれども、これは不動産の取得が目的で法人になるのだよという場合に、実際にそういう目的を持っているかどうかということについては、例えばこれは申請手続の中に、現在保有している資産を明らかにする資産保有目録、あるいはこれから保有しようとする資産を明らかにする保有予定資産目録の添付、こういうものも規定するというようなやり方はあるのではないかと思いますし、現金だとか単に動産だけを持つために法人化することはもともと意図するところではないということは申し上げられるかと存じます。
  46. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、局長、今の最後のところでお答えいただいたことにも関連をするのでありますけれども、政府提出の内容を見てみますと、「その区域住民相互の連絡を行う等良好な地域社会の維持及び形成に資する活動を行うことを目的とし、」ということで、一応法文ではそういう規定になっている。しかし、実態的には不動産登記が主たる目的だ、しかしそれ以外にもこの法文の目的に沿っての内容を含んでいる、こういうことがありましたから、であれば、もう少し地縁団体の性格についてより具体的に理解がいくように、例えば「住民相互の連絡」ということだけではなしに、環境の保全、整備だとか集会施設維持管理、こういう例示を示して、法の精神から言うと地域的な共同活動体であるということなんでしょうから、そういうことの必要もあるのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
  47. 浅野大三郎

    浅野政府委員 地縁による団体、具体的にどういう活動をやっているかということを若干私どもも調べさせていただいておりますけれども、確かに集会所の維持管理でありますとか、清掃、美化、あるいはスポーツ、レクリエーション活動、敬老会行事とかいろんなことをやっているわけでございます。それで、この地縁による団体がどういうものであるか、幾つかの活動の例を法律上も示して理解をより得やすくすべきではないかというお考えについては、私どもも理解できるところでございます。
  48. 中沢健次

    ○中沢委員 もう一つは、提案をされております二百六十条の二項、これはいわゆる地縁団体区域について明文規定をしているわけでありますが、この二百六十の二項を見ますと、「その区域市町村条例で定められていること。」こういうことになっているのであります。私は、後でも触れたいと思いますが、実態的には市町村条例町内会の線引きを決める、あるいは決めている、これはちょっとどうかなと思うのでありますが、地縁団体区域を「市町村条例で定められていること。」そのようにあえて明文規定したことの趣旨、どういう趣旨がおありなんでしょうか。
  49. 浅野大三郎

    浅野政府委員 地縁による団体がどういう団体であるかということとも若干かかわりがあるわけでございますけれども、やはり一定地域を基礎にしておるというのがほかの団体と違う一番大きなポイントであろうと考えております。したがいまして、区域がどうかということはその地縁による団体にとりまして非常に大事なことになりますものですから、そういう重要な要素である区域の問題は、これは住民の意思決定機関とでもいうべき議会でお決めいただくのがいいのではなかろうか、こう考えた次第でございます。
  50. 中沢健次

    ○中沢委員 今お答えをいただきましたが、私は逆にそのことに危倶を抱きますね。地方議会もいろいろあると思うのですよ。一番いいのはやはり町内会が会員の意思で、自分たちの町内会はこういう地域ですよ、それに議会にしても行政にしても事実上は関与をしない、これはやはり民主主義の原則ではないでしょうかね。逆に言うと、そうではなしに行政議会関与をするということは、悪く考えますと、地方議会のいろんな体質がありましてそういう思惑でもって町内会地縁団体が線引きをされる、こういうこともちょっと危倶をするわけですね。ですからそこのところは修正案のところでもいろいろ問題になりまして話をしたのでありますが、どっちにしても大体、自然発生的とは言いませんが、現在のいわゆる町内会自治会というのはもうちゃんとおさまるところにおさまって、その町内会がダブっているなんということはめったにないんですよね。つまりそれはあくまでも町内会の会員の皆さんが自主的に判断をして、自分たちの町内会はここまでです、私のところはここまでです、それで特別問題は起きてないのです。だから、行政だとか議会関与する、タッチをすること自体、逆に町内会の性格を官製の町内会にしてしまうんでないか、そういう誤解を与えかねない。これは非常に大事な部分でありますけれども、あくまでも行政議会関与すべきではない、線引きは自主的に決めるべきである、それは常識の範囲だ、私はこのように考えるのです。運用上の問題だと思いますが、その辺ひとつお答えをいただきたいと思います。
  51. 浅野大三郎

    浅野政府委員 先ほどかなり舌足らずに申し上げまして、条例で決める場合にも当然「当該地縁による団体が相当の期間にわたって存続している区域の現況によらなければならない。」ということも入れてはおるわけでございますが、物の考え方といたしまして、基本的に地縁による団体区域をどうするかというのは、その団体で決めていけばいいことであるということについては、私どもそう思っております。ただ、一方で、そういう重要な要素でもありますからというようなことで先ほど申し上げたわけでございますが、そこの政策的な判断の問題等を別にして考えますれば、じゃ実務的にどうかということでありますれば、例えば区域が町、字あるいは道路、河川などの明確で客観的な基準によって設定されておれば、その団体においてそれで決められておれば、それは実務的にはそういうものに基づいて認可を行うということは、そう問題はないと思っております。
  52. 中沢健次

    ○中沢委員 かなり共通する部分があると思います。いずれにしても、あくまでもやはり基本は町内会自主性を尊重する、こういうことでやるべきだと思うのです。  そこで、今度の改正によりますと、いずれにしても地縁団体市町村に申請をして、市町村長が許可をする、こういう手法になっているわけですね。私は、地縁団体が申請をして市町村長が許可をする、手続や手法で言うと当たり前だと思うのです。ただその際に、今の質問にも関連するのでありますが、市町村長あるいはそこの地方公共団体の意思で、いろいろ申請が上がってくる、場合によってはひとつあなたのところとあなたのところは一緒の町内会地縁団体になったらどうだ、つまり合併を誘導すると言いましょうか、裏返しをすると、分割を誘導するということも考えられると思うのですね。考えようによっては、二つを一つにするだとか一つを二つにするというのは、それはやはり町内会自主性から言うと非常に問題になる。だから、手続、手法としては、申請を出して許可をもらう、これは当たり前だとは思うのです。当たり前のことを自然体でやることが一番いいことであって、いたずらに行政の恣意で町内会の合併を誘導したり分割を誘導したり、そういうことは絶対あってはならないと思うのでありますが、その辺はいかがでしょうか。
  53. 浅野大三郎

    浅野政府委員 あくまでもそれは自治会町内会の自主的な判断でどうするこうするということはお考えいただくべきことで、市町村長がそれに関与することではないと私ども思っております。法律上も地縁による団体はこういうものだという要件を掲げておりまして、一方でその要件に合致するときには認可しなければならない、こういう規定も入れておるわけでございます。あくまでも考え方としましては、法人格を持つ一つの手続として現在の法律体系の中でどうしてもそういう手続を踏まなければいけないので、その限りにおいて認可という手続をとっているんだ、そういう考え方でございます。
  54. 中沢健次

    ○中沢委員 今のお答えのように、それはあくまでも町内会自主性を最大限尊重する、こういうお話でありましたから、それはそれでひとつ理解をしておきたいと思うのです。  いま一つ関連をするのでありますけれども、実はかなり前の委員会地縁団体問題について議論をされております。表現は別にいたしまして、地縁団体を法制化をする。目的は不動産登記である、そのことは理解しながらも、年配の方と言ってはあれかもしれませんが、やはり戦争体験のある人にとりましては昔の隣組ということがずっと頭の中にも体の中にも残っておりまして、昔の、戦前の隣組の復活ではないか。町内会を法制化をする、それはやはり国や地方の行政の末端組織としてつくろうとしているのではないか。戦前に回帰をする危険性がある、こういう指摘をされた議事録を私も読みました。私自身は戦中派みたいなものでありまして、戦争の体験は直接しておりませんが、しかし先輩の皆さんから、戦場のことやあるいは日本の国の悲惨な戦争体験をいろいろ聞いております。夕張はB29の空襲を直接は受けませんでした。飛行機の通った音は今でも耳に残っておりますけれども、同じ衆議院議員であっても、それぞれ自分の体験の違いからこの問題についてはもう大変な危機感を持っている方も実際いらっしゃると思うのです。私はそのことはひとり国会議員だけではなくて、国民の中にもそういう非常にシビアな見方をされている人もやはりいらっしゃるのじゃないか。この自治法の審議を通じて、そのことについてはやはり明確な回答を示す必要があるのではないか。こういう角度から、少しく関連してお尋ねをしたいと思うのです。  先ほど来のやりとりを聞く限りにおいては、今度の地縁団体の法規制というのは目的はもう不動産登記である。しかも、それは町内会自主性地縁団体自主性というのを最大限尊重する、町内会の線引きにしてもいろいろな問題にしても行政関与しない。そうすると、隣組ということで戦前に回帰をするのではないかということを危惧をしている皆さん、そのことを真っ正面から受け取った場合は、ああそうではないんだな、こういうことだとは思うのでありますけれども、それにしても何かこの法文上の明確な規定、つまりそれは心配されなくても結構だ、こういう法文上の規定は必要だと私は思うのです。各党間でも随分そのことを話をしましたが、やはりその必要性はある、せっかくこの法案議員修正をするに当たっては国民の大多数の理解がどうしても必要だ、そういう非常に厳しいとらえ方をされている向きについては、そうではない、心配されなくてもいいんだ、そういうことを明確にすべきではないかということで、先ほどちょっと、地縁団体が申請をされる、市町村長が許可されるときに、分割だとか合併だとかということは一切関与すべきではない、やるべきではない、そんなことはしませんというお答えがありましたけれども、それとやや次元は違いますけれども、同じように地縁団体自主性、そしてそれは決して昔のような隣組ということを考えてやっているんではない、そこのところは私どもとしては一定の明文規定を盛り込もうとしておるのでありますが、それに対する自治省側の見解、改めて聞いておきたいと思います。
  55. 浅野大三郎

    浅野政府委員 先ほど来いろいろ申し上げているところからも、これがあくまでも任意に組織された私的な団体であるということは言えようかとは思うわけでございますが、確かにただいま御指摘のような点から、これが市町村に準ずるものではないし、あるいは市町村組織の一部でもないというようなことをさらに明確にしたらどうかということも、私どもとしては理解はできるところでございます。
  56. 中沢健次

    ○中沢委員 まだ地縁団体について関連質問が残っておりますけれども、大体午前中いい時間になったと思いますので、午前の質問は以上でとりあえず終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。
  57. 森田一

    森田委員長 この際、休憩いたします。  なお、本会議散会後直ちに再開いたします。     午前十一時四十六分休憩      ────◇─────     午後二時十二分開議
  58. 森田一

    森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中沢健次君。
  59. 中沢健次

    ○中沢委員 午前に引き続きまして、同じ問題について質疑を続行させていただきます。  午前の最後のところでは地縁団体が昔のような隣組になりはしないか、そういう危惧の念が全国にもやはりあるじゃないか、こういう指摘をして、それはもう全くそういう懸念がない、こういう明確な答弁がありました。さて、それにもまた若干関連をいたしますが、あと地縁団体関係について三つほど質問をしたいと思います。  午前中の議論の中では、地縁団体そのものはつまりは極めて民主的で自発的な活動をする組織である、そして市町村などの行政が権力をもって介入をしたりいろいろな行政機関の下請みたいなことは一切やらないのだ、部分的にはそういうことがいろいろ浮き彫りになってきたと思うのです。もう一つ別な角度からそういうことを一つの前提にしてお尋ねをしたいと思いますが、どこの町内会自治会もそうだと思いますが、お祭りだとかお盆ですとか、つまり厳密に言うと宗教に関係のあるそういう地域の行事に対して寄附金を集めたり、あるいはボランティアも含めてさまざまな協力をする、これがほとんど全国の町内会に共通する活動内容の一つではないかと思うのです。したがって今度の法改正においては、かたいことで言うと憲法で保障されております思想、信条の自由の問題、あるいは信教の自由の問題、人権の擁護、人権の確保の問題等々について、町内会の内部でその種の不当な差別あるいは何かについて強制的なことを求める、例えば寄附についてもほとんど強制力は事実上今までは持っていないと思うのですね。しかし法制化をしてしまうと、えてしてそれを背景にして町内会の役員が一つはやや権力的な志向になりまして、今までは自主的に民主的にやっていた例えばこの種の寄附が町内会の役員の判断によって強請にわたるという懸念もやはりあるのではないかと思うのですよ。ですから憲法上の問題、思想、信条の自由、宗教の自由の問題も含めてそういう具体的な一つの例を今指摘をしましたけれども、これについてはいかがでしょうか。
  60. 浅野大三郎

    浅野政府委員 総括的に申しますと、これは地縁による団体が構成員に対して不当な差別的取り扱いをしてもいないと思いますし、また、認可を受けたからといってそんなことをしてはならぬということはいわば当然のことだろうと思っております。特に寄附のことについてもお触れになられたわけでございますが、本来地縁による団体は自主的、自律的な組織でございまして、その中で寄附をやるというのは、これはもう構成員の全くの自発的意思によって行われるべきことも当然であろうかと思います。  その他いろいろ地縁による団体運営について御指摘いただきましたけれども、まさにあるべき姿をお示しいただいているものと受けとめております。
  61. 中沢健次

    ○中沢委員 今まで、今度の地縁団体についての組織の問題あるいは運営の問題、さまざまな角度からいろいろ指摘をして、そして自治省の方からもお答えをいただきました。  あと二つ、ちょっと別な角度で少しお答えをいただきたいと思います。  民法四十四条の第二項を準用する、こういう政府案自治省案になっているのです。これは一一解説は必要はないと思いますけれども、今までいろいろ答弁がありまして、地縁団体というのは自然団体的な性格が非常に強い、自主的で民主的なそういう団体であるということがずっとやりとりの中で明確になっておりましたから、民法第四十四条の第二項の準用ということについて私は疑問を持つのです。やはりこの規定の準用というのはやめるべきではないだろうかと思うのです。どうしても準用するということであれば、なぜ準用しようとしているか、改正案を提案された立場と、それから私がそういう必要性がないということについての見解があれば、お答えをいただきたいと思います。
  62. 松本英昭

    ○松本説明員 法技術的な問題でございますので、私の方から御説明させていただきたいと思います。  ただいまの御質問は、認可を受けました地縁による団体と民法の規定の準用のことかと存じますが、今回の改正案は先ほどから御答弁申し上げておりますとおり、自治会等団体名で不動産等が所有できるように権利能力を付与するというためのものでございます。そういう観点から種々民法の規定の準用につきましても検討をいたしたわけでございますが、法人に関する基本法たる民法の中で必要な規定は準用する、こういう考え方で臨んだわけでございます。  御指摘の民法第四十四条第二項の規定は、法人が目的外の行為をしたときに他人に損害を与えたときには、それに賛成した構成員も連帯責任を負うという規定でございますけれども、この規定につきましては、他の医療法人とか社会福祉法人、そういう法人の立法を見ますと同規定を準用しているということで、これを考慮いたしまして準用したものでございます。ただ、これを準用しないとした場合に特に問題があるかということになってまいりますと、これは特段に問題になることを具体例として想定いたしているわけではございません。
  63. 中沢健次

    ○中沢委員 今審議官の方から法律解釈あるいは医療法人等々という具体的な事例を示してお答えがありました。私は、やはり今度の地縁団体というのは、あくまでも自発的、民主的組織でありますから、言われるような医療法人云々ということとは少し団体の性格も違うし、とりたてて民法四十四条の二項を準用するということになってくると、今度は会員自体に別な意味での何か、そこまでして最終的に連帯責任を問われるということについてのためらいみたいなのを、これは誤解であると言えばあるかもしれませんが、普通の人はそういうことも恐れるのではないかと思いますから、そこのところは一つそういう問題があるということを特に指摘をしておきたいと思うのです。  さて、地縁団体の最後の質問になると思うのでありますが、これは先ほどもちょっと触れられたと思いますけれども、今度の法案税法関係ですね。先ほどもお答えがありました。簡単に言えば、マンションの管理組合と同じような位置づけに税法上の扱いをする、こういうことだと私は理解をするのでありますが、そういうことでよろしゅうございますか。
  64. 松本英昭

    ○松本説明員 ただいま先生御指摘のとおり、今回の認可を受けました地縁による団体というのは、建物の区分所有等に関する法律に申しますいわゆるマンションの管理組合法人と同種のものと理解をいたしていいのではないか、税法上は少なくともそういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、従前の権利能力なき社団であった団体一定の要件のもとで法人格の取得を認めるというものでございますから、課税関係につきましても同様に、ということは権利能力なき社団であった場合と同じくするということでございますが、そういうように取り扱うことが適当ではなかろうか、かように考えております。
  65. 中沢健次

    ○中沢委員 以上で私は地縁団体関係する質問は終わりたいと思います。  そこで、大臣の方に少しく、今までの議論を聞いていただいて、お答えもぜひお願いをしたいと思うのです。  今度の自治法の改正というのは、地縁団体権利義務を新しく規定をする、それだけに、先ほど来いろいろありましたように、もろ手を挙げて賛成をするという人ももちろんいると思います、しかしこれはどういう理由があってもやはり問題が大き過ぎると言う人もいる。しかし、私は今まで個別の問題を取り上げて、いろいろ指摘をしてお答えをいただきましたが、いずれにしても、地縁団体法律趣旨で言うと不動産登記をする、そういうことを限定的な目的として、それ以外にもいろいろありますが、ひとつ法人格を与えていこうではないか、そうしてさまざまな懸念についてはそれなりに解明ができたと私は思うのですね。これからもまだ議論が続くと思います。したがって、関係の各党間でそういうこともいろいろ議論をした上で、くどいようでありますが、この問題についても議員修正で若干の手直しもさせていただいてやろうじゃないか、こういうふうになっているわけです。したがって、原案は原案、政府原案は政府原案として私は一〇〇%否定をしたつもりはありません。不十分さを補う意味関係政党間で議員修正の作業をやって、そしてそれなりの解明がされた、私はそのように受けとめておきたいと思います。  したがって、大臣に、そういう今までの議論の経緯を含めて、やはり初めて地縁団体権利義務を明確にする、明文規定をする、全体としてはこれは議員修正を含めてということで決定をいただけるとは思いますけれども、先ほど裁判抜き代執行のときにも御答弁をお願いしましたように、この問題についても大臣の見解、所見も改めてお伺いをしておきたいと思います。
  66. 吹田愰

    吹田国務大臣 中沢先生の御意見、ずっと政府との意見交換をなさいます状況も伺っておりまして、我々の方は、御案内のように財産問題につきましてのことから起きておる地縁関係の問題の改善を図ろう、こういうことなのでございますが、確かにお話がありますように、やはり表だけを見ての話では、ときにその運用に間違いが起きると大変なことになってくる、過去そういう隣組制度があったではないかという御指摘もありまして、私もそういう点については全く否定するものではありません。したがいまして、いろいろの御意見があると思いますが、国権の最高機関である議会が御意見としてまとまった意見が決定されれば、我々政府はそれに従うということはこれはもうきちっとしておりますから、決して提案権を持っておるからといって、その提案権をかたくなに振り回すというような考え方でおるものではございませんし、特にこの法律なんかというのは、非常な御苦労をかけて今日テーブルに上げていただいたわけでございますから、十分ひとつ各党で御論議をいただきまして、適当な結果をいただくことができればと、かように考えておる次第でございまして、決定されましたことにつきましては、私どもはこれは国権の最高機関で決定したんだという前提に立ちますものですから、忠実に執行していく、こういうことでございます。
  67. 中沢健次

    ○中沢委員 今、自治大臣の方から地縁団体問題についても見解が示されました。法律運用その他につきましても、いろいろ御苦労が多いと思いますけれども審議趣旨をまたしっかり踏まえていただいて、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて、別な問題に移りますが、法改正として出されております複合的一部事務組合の問題でございます。これは複合的事務組合というのはどんなものかというのは、もう釈迦に説法ですから言う必要がありません。これは市町村がそれぞれいろいろなごみだとかし尿だとかそういうことを公益的にやるためにつくる複合的な事務組合でありますから、これはもう純然たる地方公共団体地方公共団体に準ずる、言うまでもないと思うのです。  ところが、自治省の案では、そういう複合的な一部事務組合関係でいいますと、知事が勧告をすることができる、これは自治省はそういう考えではないのかもしらぬですが、人によっては、市町村よりも都道府県を同じ地方自治体でも上に置いている、上に置いているから、市町村のそういう複合事務組合に対して勧告する権限を与えるのではないかという意見も、私も聞いています。私はそうではないと思うのですね。しかし、そういういたずらな誤解を与えておくのもどうかなと思いまして、これも各党間でいろいろ話をしたら、これは別に勧告の権限を与えても与えなくても、同じ都道府県市町村では、もう日常不断にいろいろな連携をとってやっているから、改めて勧告の必要はないのではないか、こういう意見もあるのです。したがって、法案を提出をした自治省立場と今私の言いましたような修正の作業を経験をしてきた立場からいって、これに対してどういう見解をお持ちであるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  68. 浅野大三郎

    浅野政府委員 都道府県市町村、二層制の地方自治制度をとっておりますけれども、それはもう地方公共団体という意味において両者に上下関係があるわけではないことはもとよりでございますが、ただ一方で都道府県というのは広域的な地方公共団体という性格を持っておりまして、いろいろ市町村の連絡調整、そういうこともお仕事の一つとしてはあるということも事実でございます。決して上から勧告するという意味ではございませんけれども、いろいろとそういう組合設立がなかなか利害が折り合わないで進みにくいという場合に、何かちょっとこうきっかけを与えるというようなことも意味としてはあるのではないかというようなことも考えたわけでございます。確かにまた一方で、御指摘のようにこういう規定があろうがなかろうが、常時いろいろと連絡をしながら協力して行政をやっているということもまた、それは実態としてまさにそのとおりであろうと思っております。
  69. 中沢健次

    ○中沢委員 今お答えがありました議員修正の中身で言えば、あえて触れませんが、やはりこれは改めて勧告をするということの明文規定はない方がいいんじゃないか、こういう結論にもなっておりますから、そのことも念のために申し上げたいと思います。  次の問題は、機関委任事務に係る地方議会権限強化の問題です。  これは、自治法が五年前に提案をされたその前後から、地方議会の皆さんはぜひこれを早く法律としても成立させてもらいたい、こういう意向が非常に強くあるわけでありまして、今でも私ども、恐らくほかの委員の皆さんもそうだと思いますが、地方議会関係者に会いますと、自治法の中でもこれは非常にいいことだから早急に成立をしてもらいたい、こういう陳情を受けるのではないかと思うのです。これを取り上げて具体的な問題も含めてお尋ねをしたいと思います。  自治法の改正案では、言われるように地方議会検閲あるいは検査権の対象に機関委任事務が含まれるということになっているわけですね。特に改正案の九十八条の一項で言いますと、機関委任事務でも政令で定めるものは除くということにもなっている。一般的には機関委任事務についてもその対象にするということになっておりますが、しかしもう一方では、政令で定めるものは除くとなっているわけです。つまり、無原則ではない、無制限ではない、一定の制限をつけて地方議会権限強化を図る、こういう趣旨だと思うのです。なぜ、政令で定めるものは除くということを、限定的にここの部分だけはだめですよと、こういうことをしたのか。その辺の趣旨なり具体的な中身を一つは示してもらいたいと思います。
  70. 浅野大三郎

    浅野政府委員 まず、私どもが提案させていただきました改正案におきまして、機関委任事務について地方公共団体議会関与を認めることとしているゆえんのものでございますが、これは、機関委任事務といえども地域住民と多かれ少なかれかかわり合いを持っておるわけでございますから、地域実態を把握して事務の適正かつ効率的な執行確保するという見地から議会検閲検査権の対象とすることが適当であろう、こう考えたからでございます。しかし、事務の性格を考えますと、機関委任事務というのはあくまでも国の事務でございまして、知事なり市町村長等が国の機関としての立場執行するものでございますから、やはり一定のものについては検閲検査権の対象となることがそういう事務の性格からいっても適当なのではないか。  具体的には三つばかりのものを考えておるわけでございますが、その一つは、個人の秘密を害することとなるようなものでございます。二番目には、争訟の裁決あるいは決定というふうに準司法的手続処理されるようなもの、それから三番目には、国の安全を害するおそれが生じるもの、こういうものは政令で除かせていただいたらどうだろうかというふうに考えております。
  71. 中沢健次

    ○中沢委員 政令にゆだねるということで言いますと、この案件については結構だと思うのです、自衛隊機を飛ばすなどということは違いますから。そして、今三つほどの適用除外の基準について明示がありました。プライバシーだとか司法関連だとか国の安全だとか、私はこういうことはそれはそれで結構だと思うのです。ただ、いたずらにそういう基準範囲を広げないように、運用上の問題でありますけれども、その辺は指摘をしておきたいと思いますから、ぜひまた運用の問題でもよろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて次に、公の施設管理委託の問題についてお尋ねをしたいと思います。この問題については、関係がありますので厚生省と文部省の担当課長にも出席をしていただきました。大変忙しいところ出席をいただきまして、ありがとうございます。  まず最初に、法案提出をされております自治省側に基本的な問題について少しお尋ねをしたいと思います。  いわゆる管理委託の問題で言いますと、これは労使問題にも関連をすることもありまして、自治省の担当の方とも関係の労働組合ともいろいろ話をされている、あるいはこれからも必要に応じて話をされる、これは私どももよく承知をしております。今度の法改正によっては──最近、地方においては第三セクターというのが一つの時の流れみたいなもので、いい悪いの話をすればいろいろあると思いますけれども、全体として、行政の効率化あるいは民間の活力を行政とタイアップして引き出していくという観点で第三セクターというのがどんどんつくられている。これは時の流れだと思うのです。私はそのことについては基本的にとやかくは言いませんが、問題は、今度の法改正で第三セクターに対していわゆる公の施設管理委託の道を開こうとしている。これはどういうことなのか、その辺の基本的な趣旨と言いましょうか、法改正を提案した自治省側の基本的な考え方をぜひお示しいただきたいと思います。
  72. 浅野大三郎

    浅野政府委員 ただいま御指摘もいただきましたように、特に地域振興というような面からつくられる場合が多いのではないかと思いますが、第三セクターというものが活用されております。これは、うまく使えば企業性と公共性の調和を図りつつ活動をしてもらえるということになるわけでございます。こういうものの設立趣旨考えまして、公の施設としてやっておるいろいろな仕事、その中にはそういう第三セクターに委託することが適当だというものもいろいろあるのではないかということからそういう道を開くことにしようと考えたものでございます。  管理委託という場合に、どんな仕事を委託するかという面と、それから委託先としてどういうものまで認めるかという二つの側面があるのではないかと思うわけでございまして、今回の改正は、どんなものを委託するのが望ましいか望ましくないかという部分ではございませんで、むしろ委託する相手としてどういうものを認めるかという意味でこの第三セクターを対象に加えさせていただきたいという提案をしておるものでございます。
  73. 中沢健次

    ○中沢委員 そうしますと、大体公の施設を例えば民間団体に委託する場合、さまざまな全国的なケースがあったと思うし、これからもあり得ると思うのです。今の局長の答弁では、とにかく業務の範囲は別にして、第三セクターを新しい委託先ということでの道を開く。そうすると、法的な関係で言うと、何というのでしょうか、一般法とでもいうのですか、問題は、どういう業務を委託するかということは個々の個別法でいろいろ制約があったり、これはだめだとかこれはいいとかという個別法の制約があると思うのです。改めて、そういう理解でよろしいのですか。
  74. 浅野大三郎

    浅野政府委員 地方自治法は一般的な制度を決めておりまして、別途いろいろな法律がありまして、それぞれの事業といいますか事務を担当する立場から、あるいは所管する立場からその法律がいろいろ規制しているものはあると思います。公の施設の中でもどういうものを委託するのがいいかということについては、それは政策の判断の問題もありましょうし、それから、いろいろな個別の法規で制約があるものももちろんあると思います。そういう個別の法規の制約のあるものは、当然自治法のほかそういう法規の制約に従うことも、これもまた当然であろうかと考えております。
  75. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、公の施設管理委託のケースで言いますと、やはり厚生省関連と文部省関連がいろいろあるものですから、今の局長答弁を一つの前提として両省にそれぞれお尋ねもしたいと思うのです。  特に、厚生省で言えば、地方自治体の持っている公の施設関連で言うと、例えば保育所あるいは養護老人ホーム、最近は老健施設などの社会福祉施設が厚生省関連で一つは考えられますね。文部省関連で言えば、公の施設というのは学校そのものも公の施設、これはだれが考えたって管理委託なんかできないとは思います。しかし、普通考えると、公の施設は学校になるし、文部省関連で言うと自治体が持っている施設というのはたくさんあると思います。図書館もあれば青年の家だとかさまざまなものがあると思うのです。こういうものに対して、もう一度念を押しますけれども管理委託先としては第三セクターということは認める、しかし、委託できるかどうかについては自治法には直接関係をしないで、別な法律いろいろありますから、そういう法律に準拠をしていくのだ、こういう考え方で自治省も明確にお答えできますか。その辺、いかがでしょう。
  76. 浅野大三郎

    浅野政府委員 他の法律で特別の規定が置いてある場合に、それに従うべきことは当然であると思います。それと、当該地方団体としてもちろん法律には従うということは前提でございますが、法律がない場合においても当該地方公共団体としてどういうものを委託したらいいかという判断は、これは適切にしなければならないものはもちろんあると思います。
  77. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、厚生省と文部省の担当者に具体的にお尋ねをしたいと思うのです。  厚生省の方にお尋ねをいたしますが、今申し上げたことにももちろん関連をしますが、個別の施設ごとについての見解を聞きたいわけですね。先ほど申し上げました例えば保育所、養護老人ホーム、老健施設などの社会福祉施設、それから公立病院もそういう点で言うと一応公の施設でありますから入ると思うのでありますが、こういうものについて第三セクターへの管理委託をやることができるかどうか、明確に法的な根拠も含めてお示しをいただきたいと思います。
  78. 亀田克彦

    ○亀田説明員 今回の改正につきましては、公共団体あるいは公共的団体以外の株式会社形態等の営利法人にも委託の道を開いたというふうに承知をしているところでございます。それで、御指摘のございました社会福祉施設でございますけれども、これにつきましては、現在、施設経営の効率化が図られる場合には、公益法人でございます社会福祉法人、これに委託をしてもいい、こういう取り扱いにしておるところでございまして、当面、営利法人にも委託するというようなことは考えておらないところでございます。  それから、次の公立病院でございますが、これは御承知のような医療の特性ということから、営利法人に病院の委託管理をするということは適当ではないというふうに考えております。したがいまして、今回の自治法改正を契機といたしまして、申し上げましたようなこれまでの取り扱い、これを変更するということは考えておらないところでございます。
  79. 中沢健次

    ○中沢委員 自治省にちょっと事前の話はしておりませんでしたが、今お答えありましたように、厚生省は従来どおりの方針で、変える考えはない。ただ、社会福祉法人は従来の経緯から見て委託ができるわけですね。問題は、第三セクターが社会福祉法人の資格を持っているかどうかということで言うと、全国的に調べたことがありますか。あるいは概念的に第三セクターというのはそういう社会福祉法人という資格を持つことはないのではないかというふうにお考えですか。ちょっとその辺、専門家の方から明らかにしてください。
  80. 浅野大三郎

    浅野政府委員 社会福祉法人というのは、私は公共的団体に当たるのではないかと思っておりまして、現在の地方自治法でも公共的団体には委託できるということがございます。ですから主として問題になりますのは、株式会社形態の第三セクターに今道が開かれることになるということではなかろうかというふうに思っております。
  81. 中沢健次

    ○中沢委員 大体基本的には問題の所在なんかは明確になりましたけれども、もう少し実態的には私どもも十分また全国的なことなども調べながらやっていきたいと思いますが、きょうはこの問題では、もう時間がありませんからその程度にしたいと思います。  関連をいたしまして、文部省に同じようなことでお答えをいただきたいと思いますが、公立学校などの学校施設、あるいは公民館、図書館、博物館、青年の家などのいわゆる社会教育施設、これについてはやはり同じように第三セクターへ管理委託ができるかできないか、お答えをいただきたいと思います。
  82. 小野元之

    ○小野説明員 お答え申し上げます。  学校や公民館、図書館、博物館といった教育機関につきましては、それぞれ個別の法律、例えば学校でございますと学校教育法、それから社会教育法、図書館法等々が制定されておるわけでございまして、委託できる事務範囲も、これらの法令の規定趣旨に照らしまして慎重に判断をしなければいけないというふうに考えておるところでございます。特に学校につきましては、学校教育法によりまして設置者が限定されておるわけでございますし、それから学校教育法の中には第五条で、設置者管理主義というのが定められておるわけでございます。そういったことから、学校教育についての全面的な管理委託というのはなじまないのではないか。ただ、委託できますのは、例えば夜間などの警備等の委託でございますとか、施設設備の保守とかあるいは清掃といった特定の事項については委託するということも可能ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  83. 中沢健次

    ○中沢委員 ありがとうございました。  時間があればもう少し具体的な問題もやりとりをしたいのでありますが、それでは、厚生省と文部省の関係者、大変ありがとうございます。これで結構でございますから。  さてもう一つは、首長の兼職問題について自治省の方にお尋ねをしたいと思いますが、地方自治法では、御承知のように、地方公共団体の長がその当該団体に対する請負が業務の主要部分を占めている法人取締役等になることを一般的に禁止をしている。これは百四十二条、いわゆる首長の兼職禁止であります。ところが、今回の法改正では、それを少し緩めまして、第三セクターに対しても条件つぎで兼職について認めよう、こういうことで出されておりますけれども、その法改正趣旨、あるいは条件つきであるけれどもということは政令にゆだねるということだと思いますが、どういう法人について兼職を認めようとしているのか、具体的な基準ですとかあるいは範囲について、改めて聞いておきたいと思います。
  84. 浅野大三郎

    浅野政府委員 現在、地方公共団体に対する請負が業務の主要な部分を占めている法人につきましては、その地方公共団体の長などが役員になることを禁じております。これは、そういう取引関係がある場合に両方の役職を兼ねておりますと、とかく不明朗なことが起こるのではないかという懸念もあるからだと考えております。  ところが、そういう請負関係がある法人の中にもいろいろございまして、いわばその地方公共団体の仕事を、主として効率よくという理由でございましょうが、いろいろな理由からいろいろな法人をつくりまして、そこが地方団体と取引が生じるというようなこともあるわけでございます。そういうように、別法人といいましても、地方公共団体がイニシアチブをとっていわば地方団体のかわりに仕事をやっているというものにつきましては、むしろそういう団体の外部に対する信頼を高める、あるいはその地方公共団体の意思というものをよりよく反映させるという点から、むしろ地方団体の長等が兼務することがいいものもあると考えられますので、そういう道を開こうというふうに考えたものでございます。そういうような趣旨でございますから、政令で指定する法人というのは、当該地方公共団体が資本等の二分の一以上を出資している法人、こういうふうに定めればいいのではないだろうかと考えております。
  85. 中沢健次

    ○中沢委員 いずれにしても、第三セクターもいろいろありますが、今局長がおっしゃるように二分の一という一つの線でもって兼職を認める、認めない、こういう物差しを考えているようでありますから、ひとつ運用上の問題も含めてぜひまたよろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて次に、休日制度につきまして簡単に質問をしたいと思います。  先ほども質疑がございましたが、今度の法改正では特別なものは出されておりません。おりませんが、議員立法という作業の過程の中では、いずれにしてもかなり限定はされるけれども、そういう地方の特別の休日ということがあってもいい、そこからいろいろ議論がずっと詰まってきているわけです。  そこで、前提条件みたいなことについて少しく聞いておきたいと思いますが、さかのぼって、昭和六十三年十二月の地方自治法改正によって地方公共団体の休日制度が設けられました。四条の二だと思うのですね。それに基づいて地方公共団体が土曜閉庁制というのを制度的に導入する。しかし問題は、そのことによって従来は可能であった独自の閉庁日である休日というのが逆に設けることができない、こういうことになっているというふうに聞いてはいるのですが、その辺について確認の意味でお答えをいただきたいと思います。
  86. 滝実

    ○滝政府委員 おっしゃるように、現行の改正後の地方自治法の四条の二の条文によりますと、職員の休日を新たに条例で整理し直す、こういうことでございまして、その際には、従来から独自にそれぞれの地方公共団体がつくっていた休日に関する条例がある場合には、その条例を廃止しないと新しいこの土曜閉庁も含めた休日条例ができない、こういうような法律の建前になっておるわけでございます。
  87. 中沢健次

    ○中沢委員 そこでもう一つお尋ねをします。  沖縄全県に及んでいるわけでありますけれども、我々も承知をしておりますが、六月二十三日が慰霊の日で、今までずっと特別の意義のある休日ということで、地方公共団体としてはいわゆる閉庁日にして休日になっていた。同じような角度から広島におきましても八月六日が平和記念日ということで、同じような取り扱いをされている、このように聞いているわけです。ところが、今部長がおっしゃいましたように、六十三年十二月の法改正によって逆に、沖縄の慰霊の日にしても広島の平和記念日にしても、今まで長い間県民や市民の願いで特別な休日にしていたことができなくなった、あるいはそれが可能であれば、逆にそれが一つのブレーキになって土曜閉庁制度が導入されない、こういう非常に現実的な問題があるのではないかということも聞いております。特別な休日ということを認める、そうすると土曜閉庁がだめになる。特別な休日をやめてしまうと土曜閉庁は入るけれどもそのリアクションも当然考えられる。これはやはり、地方とはいいながら国政レベルでも何とかしなければならない非常に大きな課題ではないかと思うのです。そこのところについて自治省側の見解を聞いておきたいと思います。
  88. 滝実

    ○滝政府委員 ただいま沖縄の慰霊の日の問題と広島市の平和記念日の問題について御指摘がございましたけれども、いずれにいたしましてもそういうような問題を抱えている、それが現地で大変大きな問題となっている、こういうことで承知をいたしているわけでございます。
  89. 中沢健次

    ○中沢委員 事実、恐らく自治省にもそういう意味での関係のところからの陳情なども寄せられているのではないでしょうか。私どもの方にもそれぞれそういう趣旨でのお話などがされております。ですから、自治省の法改正ではそのことが全く触れられておりませんが、何回も繰り返すようでありますけれども議員立法のまとめの作業の中では、やはりこれは国政の問題としてしっかり受けとめて解決策を講じる必要があるのではないか、こういうことで議員修正案の中には大臣と協議をするということを一つの手法として考えましたけれども、とにかく国民全体の理解が得られる、そしてそこの地域住民の長い間の、一つの歴史と伝統とでも言っていいと思うのでありますが、そういうものが定着をしているということから考えますと、私は、沖縄の慰霊の日、広島の平和記念日もそうでありますが、これに加えて長崎の平和記念日も含めて、議員立法の中に盛り込んでやりたい。恐らくそういう修正案の提案になってくると思いますが、それに対する運用上の問題とでも言いましょうか政府側の考え方、自治省考え方、もしあれば大臣の方からもお答えをいただいておきたいと思います。
  90. 滝実

    ○滝政府委員 ただいま先生から、ごく限定した形で条件を整えた上で例外を認めるような方策はいかがだろうか、そういった場合に運用上の問題として、そういうものが仮に自治大臣の協議となった場合に自治省で承認ができるだろうか、こういうようなお尋ねでございました。  この問題につきましては、先生の御指摘のように、現在の休日条例というのはそれなりの法的な意味を持っているものですから、全国足並みをそろえる、こういうことが必要であったわけでございますけれども、ごく例外的に、しかも限定ということであれば、それはそれとして私どもといたしましても対応できる道があるのではなかろうか、こういうふうに理解をいたしておるところでございますし、そのような観点からの条文整理がなされた場合の運用につきましては、この委員会におきます趣旨あるいは検討の経過を踏まえた運用をさせていただくということはもとより当然のことと考えております。
  91. 中沢健次

    ○中沢委員 それでは、地方自治法改正の最後の質問になろうかと思いますが、法改正としては示されておりませんが、これも議員修正の作業の段階でいろいろ話をして詰まってきておりますのは、地方公営企業職員の在籍専従期間の問題でございます。  今どういうことになっているかというと、国の公営企業つまり国営企業の職員については、労働組合の専従期間は七年以内、このように明文規定がされております。しかし、地方公務員の現業関係で言いますと、地公企労法の関連で言いますと、七年ではなくてその上限が五年というふうになっているわけです。ですから、これは国と地方がバランスを欠いている、だれが見てもそういうふうに思う。そんなことが一つきっかけになりまして、いずれにしてもそういう具体的なアンバランスはこの際是正をした方がいいと関係者の間に話がだんだん煮詰まってまいりまして、そういうことを盛り込んだ議員修正を用意しているのです。その際に、自治省提案ではもちろんございませんが、あくまでも国と地方のバランスをとるということが私どもの主張の根拠でありますから、五年を七年にするということについて、そういう内容の問題も含めて、自治省側の運用の問題ということでのお答えもぜひ聞かせていただきたいと思います。
  92. 滝実

    ○滝政府委員 先生のおっしゃいますように、現在の地方公営企業職員につきましては、国営企業の職員の場合と比較いたしますと在職専従期間について違いが出ているという御指摘はそのとおりでございます。したがいまして、このアンバランスを解消することについていかがだろうか、こういう御指摘でございますし、そのような方向での体制検討作業についてどう思うか、こういうお尋ねだろうと思うのでございますけれども、国営企業職員の場合と同じような定めをいたした上で、それぞれの地方公営企業の実態に応じて労使間で労働協約というものを結ぶことによって在職専従期間を七年まで延長するということであれば、その趣旨については私どもとしても十分理解できる、こういうふうに存じておるところでございます。
  93. 中沢健次

    ○中沢委員 大分時間がなくなってまいりましたので、自治法に関連をする質疑は以上で終わりたいと思います。  最後に、提案になっております公害財特法につきまして二点に絞ってお尋ねをしたいと思います。  その一つは、この特別措置法そのものが、これから十年間自動延長をする、私はそれはそれで大変いいことだと思います。問題は、過去十年間この財特法によって具体的な効果がどうなっているか、つまりこの公害財特法の対象の地域幾つあって全国的な事業が幾らあって、そのうち財特法で言うところの国庫支出補助金のかさ上げがどれだけあるか、そういう実績を一つは聞きたいし、関連をして、十年間の自動延長ということは全体の効果の測定から言うとどの程度のことを測定をしているのか、この二つ、ちょっと関連がありますからお答えをいただきたいと思います。
  94. 小林実

    小林(実)政府委員 公害財特法の過去十年の実績でございますが、公害防止計画をつくりました地域を中心に、かさ上げ等、それから起債の特例交付税措置を行っているわけでございますが、補助金につきまして申し上げますと、総事業費といたしましては約四兆二千億ございまして、この補助率のかさ上げ額は十年間で二千四百億ということになっておるわけでございます。公害防止区域で申し上げますと、現在のところ三十九地域でございまして、三十都道府県、四百三十七市町村に及んでおるわけでございます。  この法案につきまして十年間延長をお願いいたしておるわけでございますが、各地域につきましては今後どうなりますか、卒業してくるところもあるかもしれません。また、公害防止計画が十年間のものができているわけでございませんので、これからどうなるかというのはなかなか申し上げにくいわけでございますが、平成二年度の見込み数値を基本にいたしますと総事業費でやはり四兆五千億程度、かさ上げ額でいきますと二千四百億程度になるわけでございます。これは、しかし過去十年というのは公共事業が伸びておりません時期でございましたので、今後そういった関係の国の予算が伸びるということになりますと、かさ上げ額も伸びてくるということになろうかと思います。
  95. 中沢健次

    ○中沢委員 今局長の方から十年間の実績、それから今後十年間の一応の予測についてお話がございました。  そこで、大臣、先ほど低公害車について非常に見識のあるお答えがあったわけでございます。余り時間が残っておりませんから簡単に大臣にもお尋ねをしたいと思います。  この公害財特法というのはかなり限定された財政的な措置である、そのことは私も承知をしながら、いやそうは言いましても公害問題というのは、もう日本国内もそうでありますが、地球規模で非常に大きなテーマである、そう考えますと、中東戦争はああいう状態で終わりましたけれども、しかし原油の流出、環境テロなんという言葉もあるわけでありますが、地球環境の汚染という問題、それが日本に対してはいずれ酸性雨だとか異常気温だとか異常気象だとか、日本に限らず地球全体に大変な環境被害を与えている。国内的に言えばそれにも当然連動しますが、別な角度で言えばごみ公害の問題が自治体レベルではこれからの非常に大きな政治的なと言っていいくらいのテーマになるのではないでしょうか、もちろん委員会は違いますが、廃棄物の関係法案が社会労働委員会で議論がされようとしている。私どもの党としてはそれをもっと抜本的に廃棄物問題を解決するために、社会党の内部で今一生懸命新しい立法作業をやっている最中なんです。そうなってくると、ごみ公害とりわけ産業廃棄物問題というのは大変厄介だと思うのですね。ほとんどのところが処分地をめぐっていろいろなトラブルが起きている。自治体も困るし住民も困る、こういう問題だと思うのですよ。  ですから、私は公害財特ということに限定的に考えながらも、もっとそれを大きく広げまして、地球全体の環境汚染、国内的にもそれに連動する問題、とりわけ自治体の非常に焦眉の急になっておりますごみ問題、産業廃棄物問題等々をいろいろ考えますと、所管は厚生省だとか建設省だとか環境庁だとかさまざまでありますが、先ほど大臣答弁されましたように、自治省は横断的にすべて関係している。こういう角度から言いますと、私の結論としては、今度の法案は結構だと思うのですよ、十年間延長するのでありますから。しかし、そういう具体的なテーマがどんどん後ろから追いかけてくる。この法案についても十年黙って見過ごさないで、やはり必要なときには来年でも再来年でもこの公害財特についても手を入れて、そういう緊急性のある、あるいは非常に大事な問題については財政的にも対処をする制度の充実ということが非常に大事ではないかと思いますが、その辺についての大臣の御見解をお尋ねしておきたいと思います。
  96. 吹田愰

    吹田国務大臣 ただいま公害の問題について御意見ございましたが、私も、公害問題等地球環境という問題につきましては私なりに関心を寄せておるわけでありますし、また、今日までも党でそういう仕事に携わってきたわけであります。したがいまして、そういう点につきましても今後も熱心に取り組んでいかなきゃならぬ、こういう気持ちでおりますが、さっき申し上げたことは自動車の排気ガスについて申し上げたわけでありますが、これは繰り返すようでありますけれども、私の手元に持っております、環境庁が持っております自動車排気ガスの測定局につきましての数字を見ましても、現在実は東京都なんかというのは二十八ヵ所の測定地がありますが、全部それをオーバーしておるわけですから、いかに悪い条件になっているかということがはっきりしておるわけであります。あるいは横浜とか川崎、横須賀、そういったところでも十七分の十四ということですから、ほとんど大部分がもう限度まで来ておる。大阪もそうでございます。  そういうこと等から考えまして、この自動車の排気ガスの規制というものが移動発生源として非常に大事な問題であるということで、規制区域と総量規制の問題というものもぜひ環境庁にお願いしたいということで私も進めておるところでありますし、あるいはまた車種の問題でも、これは自治省の問題じゃありませんが、私なりに考えるのは、車種の問題だって、先ほど申し上げたディーゼル問題も、低公害車との複合的な自動車をつくっていくということの必要があるのではないか。あるいは、こういう大阪とか東京とかという大都市に今ディーゼル車が自由に町に出入りをしておるわけですが、その乗り入れの規制をある程度するとか、あるいは時間制限をするとか、そういうような問題等も考えていかないと、これは大変になるのじゃないか。今、卸売市場なんかというのが非常に特定な地域にあるものですから、そこへ向けて走っていくとか、そういういろいろな問題等もありまして、こういう点も今環境庁でも研究されておるということを伺っております。  そういった点がいろいろな角度からそれなりに進んでくるということになれば、自治省も、地方自治体を担当しておる立場からいきますと、こういった点に協力できることは協力しなければならぬということで、低公害車に対する融資の問題あるいは交付税における配慮の問題ということを申し上げたわけでありますが、今お話がありましたような特にごみの問題というのは非常に大きな問題でございます。このことにつきましては過般来厚生省とも協議いたしておるわけであります。これは地方公共団体の仕事として、責任として実施する、こういうことになってくると思いますが、その場合におきましても、地方公共団体が第三セクターを持ってそういう施設をつくるという場合は、それはそれなりにそれに出捐するわけでありますから、結構なことであります。その第三セクターに我々が協力するということは財政的にはできませんから、少なくとも地方公共団体が出捐するもの、それに対する裏打ちとしてはある程度の協力を申し上げて、そういう施設が随所に、各県各地域に設置されて、そして、そこでごみの処理という問題をきちっと整理されるべきではないか。そういう意味におきましては、とかく縦割り行政という批判を受けております我が国の行政の中で、自治省はまさに横割りで、どの省でも結構ですから、一つの地方公共団体を通して進めていく善政については応援していかなければならぬ、こういう気持ちでこれからも進めていくつもりでおりますので、ひとつ御理解と御協力は願いたい、こう思っております。
  97. 中沢健次

    ○中沢委員 長時間大変ありがとうございました。以上で質問を終わります。
  98. 森田一

    森田委員長 河上覃雄君。
  99. 河上覃雄

    ○河上委員 時間に限りがございますので、端的に御質問をしたいと思います。私、今回の自治法改正における代執行の問題と、そして地縁による団体の二点に絞って御質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点目に、昭和二十二年の自治法改正に伴いまして、地方自治法で定めました国の機関と地方自治体の長との間に職務執行命令訴訟制度が導入されました。当時の制定の目的並びに意義についてお尋ねしたいと思います。
  100. 浅野大三郎

    浅野政府委員 戦前の旧憲法時代には、こういう職務執行命令訴訟のような制度はなかったわけでございます。これは当時知事がいわゆる官選知事であったというようなこととも関連があろうかと思いますが、ともかく、ただいま御指摘いただきましたように昭和二十二年にこの制度が導入されたわけでございますが、その導入の理由につきまして、当時の提案理由説明等によって申し上げますと、要は、国政の運営地方自治行政との間の調整を図る上において特に必要がある、こういうことから、司法裁判所による公正な事実認定を基礎として国政事務の遂行を強制し確保する措置規定する、こういう組み立てになっておったということでございます。
  101. 河上覃雄

    ○河上委員 いわゆる裁判抜き代執行制度につきましては、百四そして百七、百八、百十七国会におきまして継続審査、そして審議未了、廃案、こうなって成案に至らなかったわけでございますが、自治省としては、この問題点がどこにあったのかと認識なさっておりますか。
  102. 浅野大三郎

    浅野政府委員 今日に至る過程におきまして、実は昭和六十三年の百十三回国会におきまして当委員会で一度この自治法の改正案を御審議いただいたことがあるわけでございますが、そのときに各委員から御意見をいただきましたのは、特にありましたのは、この職務執行命令訴訟制度の見直しをめぐってでございました。そのときに御意見として私ども伺いましたのは、現在の地方自治法では職務執行命令の裁判等二回の裁判を経て代執行ということになるのに対しまして、私どもの提出法案では、これは内閣総理大臣の判断と内閣告示という行政内部手続、もちろん不服がある場合に一次から訴訟を起こすことができるという規定も入れておりますけれども、そういう手続を代行している、主体としておるという点につきまして、地方自治の観点から問題であるという御指摘が各委員からあった、こういうふうに認識をいたしております。
  103. 河上覃雄

    ○河上委員 この問題は、地方自治の本旨に基づく地方自治制度の上から極めて重要な問題だと考えるわけでございますが、改正案が、一方で、国の機関委任事務につきまして地方議会の介入権を強化する、監査委員の監督権を認めた点、さらに公選による知事市町村長の罷免等これを削除する、これらの点については地方自治体主体性の強化を図る上から一定の評価はできるわけでございますが、他方、機関委任事務に関して従来の執行命令訴訟制度を廃止して、いわゆる裁判抜き代執行を導入することは大きな問題が残るのではないかと私は考えます。そういう観点から、裁判抜き代執行制度と言われるものを企図した理由は何かを御答弁いただきたいと思います。
  104. 浅野大三郎

    浅野政府委員 この代執行の問題につきましては、行政改革推進審議会あるいは地方制度調査会でもいろいろと御論議をいただきまして、そこでの御論議を踏まえて私ども改正案として提案させていただいたのでございますが、これは行革審では昭和六十年、それから地方制度調査会では昭和六十一年に答申されておるのでございますが、当時、機関委任事務制度全体の見直しということが論議をされておりました。全体の見直しでありますから内容的にはいろいろあるわけでございまして、機関委任事務の整理合理化という問題ももちろんございますし、それから地方議会及び監査委員権限の拡大ということもございます。あわせて、この職務執行命令訴訟制度の改革というのがあったわけでございます。  それでは、なぜこの職務執行命令訴訟制度についてこういう形で見直しをしたのかということでございますが、これは地方制度調査会の答申でも述べておるところでございますけれども、我が国の現実というものを見た場合に、この職務執行命令訴訟制度をつくったその「立法時に想定された迅速な処理が期待し難く、緊急な処理を必要とする場合にも制度として動かない」というような批判がやはりあるのだとした上で、「地方公共団体の長の意見を十分尊重しつつ慎重かつ適切に機能し得る制度として、」こういうふうにしたらどうだというようなことを答申をいただきまして、それを踏まえまして、提出法案として政府としてはまとめさせていただいたというのが経緯でございます。
  105. 河上覃雄

    ○河上委員 今申し上げてまいりました観点から若干具体的な側面に入らせていただきたいと思います。  例えば、今回百五十一条の二で代執行の発動要件を、他の手段によりその是正を図ることが困難であるという点、またもう一点、放置することによって公益を害することが明らか、この二点に集約されるのではないかと思います。特に、二つ目に挙げました「公益を害することが明らかである」とあるこの点ですね。知事機関委任事務執行管理が「著しく公益を害することが明らかである」としているわけでございますが、公益という概念が極めて抽象的であり、あいまいもことしているのではないか。その意味では政治的に解釈されるおそれもあるのではないか、私はこのように考えますが、この点いかがでございましょうか。
  106. 浅野大三郎

    浅野政府委員 「著しく公益を害することが明らか」という規定考え方でございますが、私どもとしては、社会公共の利益に対する侵害の程度が甚だしい場合のことを意味しておる、それから、こういう規定を設けました趣旨は、国による代行はできるだけ慎重であるべきだ、こういう観点から入れさせていただいたつもりではございます。  ただしかし、じゃ実際、具体の事案についてそれをどう判断するんだという問題は確かにあるわけでございますが、その点につきましては、あくまでもこれは将来代執行につながるステップの第一段として主務大臣知事に勧告いたします場合の要件でありますけれども、それは同時に、将来訴訟になって知事から政府案では訴訟を起こすようになっていますが、しかしそれにしても、最終的には訴訟という道があるわけでございますが、そのときにも裁判所で認められるようなものでなければいかぬだろうというふうに考えておりまして、そういう意味では、最終的には裁判所の判断ということをしていただく規定になっておるというふうに考えて入れさせていただいたものでございます。
  107. 河上覃雄

    ○河上委員 若干いろいろとお尋ねしたいところもあるわけですが、時間もどんどん進みますので、次の質問に移ります。  さらに百五十一条の二の三から二十まで、不服の申し出に係る手続規定されておるわけでございますが、私思いますが、その中で総理とその内閣の位置が極めて強い仕組みになっているのじゃないのか。総理大臣が各大臣の任命権を持っておるわけでございますので、主務大臣の請求を違法として棄却するわけには多分まいらないし、もし行われれば、それは政治的なまたいろいろな展開につながる要素になるであろうと思います。したがって政権の意思と意向が直接的に地方に反映する行政手続になりかねないのではないか、こんな感想を持つわけでございますが、これでは地方自治の理念に対するあり方が私は損なわれてしまうのではないか、こういう見解を持つものでございますが、この点いかがでございましょうか。
  108. 浅野大三郎

    浅野政府委員 まあ内閣総理大臣関与すると申しましても、それは国の機関であるわけでございますから、ただいま御指摘のような御意見も確かにあろうかと思いますが、私どもがこういう仕組みをつくらしていただきました気持ちは、やはりこれは国と地方との関係に関する非常に重要な争いに至るわけでございますから、単に主務大臣というだけでは足りないのではないか、いわば行政の最高責任者としての立場にある内閣総理大臣関与していただくことによって、そこで地方自治の問題も含めた大所高所からの判断も求めることができるのではないだろうかというふうに考えて私どもとしては提案させていただいたということでございます。
  109. 河上覃雄

    ○河上委員 制定時の目的、意義、先ほどお伺いさせていただきました。また、これまで審議未了、廃案になった要因等も確認をさせていただきましたし、今若干の議論をさせていただいたわけでございますが、私はこの法律の持つ本来の目的、こうした観点から、職務執行命令訴訟制度というものがあくまでも、先ほどの理由にありましたように国の指揮監督権地方自治の本旨を害さないためのものでもあり、そして地方はわかるものでもあるんだ、こうした目的であるならば、私は当然この制度というものは残すべき制度であろう、こういう見解を持ちますが、いかがでございましょうか。
  110. 浅野大三郎

    浅野政府委員 地方自治の本旨ということを大事にしなければいけないということにつきましては、私どもも基本的にそういう立場を常に堅持しておるつもりでございますが、先ほど御答弁で申し上げさせていただきましたような、例えば地方制度調査会でああいう指摘があるわけですが、そのような事情もありまして、何か職務執行命令訴訟制度を見直してはどうかということで提案をさせていただいたわけでございます。それで私ども法案を提出した立場でございまして、それなりに、例えば著しく公益を害することが明らかである場合に限ろうとか、いろいろ手続も慎重にやろうとか、それから、これは知事の方からの訴訟にはなりますけれども、国とその機関である知事との間で争いがある場合には最終的には訴訟にも持ち込むようにできるようにしようとか、いろいろ考えたつもりではございますけれども、これまた一方で、先ほど御答弁申しましたそういういろいろな御意見、御批判があることも私どもとしてはよく承知はいたしております。
  111. 河上覃雄

    ○河上委員 この際、あと二点ばかり具体的な問題を確認しておきたいと思います。  その一点は、議会検閲、検査及び監査委員の監査の対象となる機関委任事務につきまして、いずれも「政令で定めるものを除く」、このように留保条件があるわけでございます。この「政令で定めるものを除く」というもので現在想定しているものは何なのか。そして、大幅な例外を定めてしまうと結局「政令で定めるものを除く」という中で骨抜きになるおそれがある、私こんな感想を持ちますが、この点いかがでありましょう。
  112. 浅野大三郎

    浅野政府委員 政令で定めるものは何かというお尋ねでございます。これは地域住民にも非常に関係のあることでございますから、機関委任事務といえども議会なり監査委員関与をできるようにしようという提案をさせていただいておるわけでございますけれども、一方で、機関委任事務そのものはあくまでも国の事務でありまして、知事なり市町村長が国の機関としてこれを行うということでございますから、そういうような見地に立ちまして、一つは個人の秘密を害することとなるもの、第二番目には争訟の裁決、決定などの準司法的手続処理されるもの、三番目には国の安全を害するおそれが生じるもの、こういうものにつきましては、限定的に議会なり監査委員の監査の関与の対象外と決めさせていただきたいと考えているところでございます。
  113. 河上覃雄

    ○河上委員 先ほどの御答弁の中にもございました審議会の答申等を踏まえながら、代執行の議論もさることながら、私は地方に対します権限移譲の強化の必要性に基づき、この際、機関委任事務についての積極的な整理統合という問題、これを今後図るべきであろう、このように考えますが、御所見を伺いたいと思います。
  114. 浅野大三郎

    浅野政府委員 国と地方との事務の配分のあり方にかかわる大事な問題でございます。私どもといたしましても、機関委任事務については、適切な機能分担という観点からその数というものは必要最小限にとどめるべきであろうと考えております。これまでも機関委任事務の整理合理化につきましては、いわゆる一括整理法というのを二度提案させていただきましてその整理の努力をしてきたところでございますが、私どもとしてもこれをもって十分だと考えているわけでは決してございません。今後ともさらに一層の整理合理化を図る必要がある、そういう考え方に立っております。
  115. 吹田愰

    吹田国務大臣 この機関委任事務の問題ですが、これは私も就任当初から所信を申し上げておりますように、少なくとも地方公共団体の独自性、自律性というものを尊重していくという建前からいきますと、地方分権の姿を少しずつでも明らかにして、そうして地方自治体の確立を図っていく、こういうことにつながっていかなければならぬと思うのです。そういう意味におきましても、この委任事務の問題につきましても極力、今局長が申しましたようなことで、私も自治省の内部においてさらに検討を加えて少しずつでもできることから進めていく、こういうことに配慮していきたいものだと思っております。
  116. 河上覃雄

    ○河上委員 大臣の力強い御答弁をいただきましたので、その次の、地縁による団体について質問をしたいと思います。  現在、全国におきまして自治会町内会と称される団体は二十七万五千ほどあるようでございます。一団体当たりの構成世帯、これは全世帯に対するものでありますけれども、平均何%程度なのか、これはおわかりになりますでしょうか。
  117. 松本英昭

    ○松本説明員 御説明申し上げます。  いわゆる自治会町内会等の一団体当たりの加入状況についてでございますが、平成二年四月一日現在で都道府県及び市町村を通じた調査、これは個々の自治会等ごとには調査がなかなかできませんのでこういう調査をいたしたわけでございまして、その点はお許しいただきたいと存じますが、その調査によりますと、約九割の市町村におきましてほとんどすべての、九割以上の世帯が加入しているという報告を受けているところでございます。
  118. 河上覃雄

    ○河上委員 これはすぐ出ないと思うのですが、私が欲しいのは二十七万四千団体のものでございまして、今の回答は三千二百六十八の市町村団体における数字でございますのでちょっと趣旨が違いますが、これはまた今後ぜひとも調べていただきたい。一市の中に団体が何ぼあるかということでございまして、一市の中に一団体しかなくとも今の数字は計上されているわけでございますから、ちょっと趣旨が違うので、これは今後調べていただきたいと思っております。  この団体の加入は原則的に自由であると考えられます。これらの団体に非加入の理由を大きく二点に分けて申し上げますと、魅力がない、これが一点でありまして、もう一点は具体的にメリットがない。町内会あるいは自治会に入ってない方々の御意見をいろいろ聞いてまいりましたけれども、この二点に集約されるように思っております。特に単身者等はなかなか加入される方が少ないわけでございまして、こうした傾向はさらに続くのではないかと私は思いますが、自治省としては加入率は今後増加すると思われますでしょうか。
  119. 浅野大三郎

    浅野政府委員 今後の見通しをどうつけるかということはなかなか難しゅうございます。私どももこうであろうという確たる見通しまで申し上げることは困難でございますが、確かに、特に大都市部にそういうところが多いのではないかと思いますけれども、なかなか自治会とか町内会の加入率が低いというところもあります。十分な調査ではございませんが、市町村に対して、あなたの市町村ではどれぐらい自治会に加入しているでしょうかという形で聞きました。間接的なものでございますからもちろん不十分なものですが、そういう聞き方をいたしましたときに、加入している世帯は三分の一以上、三分の二未満ぐらいだろうという答えをされたのが三十市町村ございまして、確かにそういうところはございます。それから、社会的な人口の移動状況が今後どう進むかということがありますが、頻繁に出入りが行われるということになりますと比較的加入状況が悪くなるという面もあるのではないかと思います。なかなか見通しを申し上げることは困難でございます。
  120. 河上覃雄

    ○河上委員 今実態の側面を伺っているわけでございますが、では、この二十七万四千団体のうち、町内会かあるいは自治会か、施設を持つ団体は幾らぐらいあるのか、そしてまたこの施設所有形態についてあわせてお尋ねをしたいと思います。団体所有に係るもの、つまり平たく申し上げれば自前の会館あるいは借り上げ、借用している会館、これはどんな比率になりますでしょうか。
  121. 松本英昭

    ○松本説明員 御説明申し上げます。  これも御質問趣旨に沿うかどうか大変恐縮な んでございますが、まず第一点の会館等の施設を持っている自治会町内会団体の数でございますが、平成二年四月一日現在において、先ほどと同じように都道府県及び市町村を通じまして調査した結果によりますと、五割以上の自治会町内会等が不動産所有しているという報告を受けております。なお、平成元年四月一日におきまして、いわゆるコミュニティー、これは自治会町内会等のかなりのものが市町村におきましてコミュニティー施策を行っているとして位置づけられているそのコミュニティーでございますけれども、このコミュニティーについての調査という形で行いましたものでは、十三万六千六百五十八団体中七万二千九百七十五団体、これも五三%が不動産所有しているとの報告を受けております。また、その際の調査でコミュニティーは九万五千八百余の集会施設等を有しているという報告を受けているところでございます。  次に、その所有形態ほどうなっているか、みずから所有しているか、借用のものかということでございますが、実は自治会町内会等を直接対象といたしまして不動産の借り上げの状況を調査いたしたものはございません。さきに述べましたような平成元年四月一日現在のコミュニティーについての調査におきましては、市町村所有集会施設四万八千二百十七ヵ所のうち約六割、二万八千五百二十五ヵ所の管理を委託いたしておるという報告を受けておりますが、その委託先の大部分は自治会町内会等と考えております。これらは実質的に自治会町内会等が借用しているというように見ることもできるのではないかと思っておるわけでございます。  以上でございます。
  122. 河上覃雄

    ○河上委員 この実態も後ほど順次調査をお願いしたいと思いますが、今申し上げましたようなことに基づいて、今回新たに地縁による団体、この規定を導入する目的とその必要性についてお尋ねいたします。
  123. 浅野大三郎

    浅野政府委員 この地縁による団体自治会町内会等でございますが、これは権利能力なき社団に該当すると考えられます。したがいまして、現行制度のもとではその団体名義での不動産登記等ができませんものですから、さまざまなトラブルも生じております。そのため、このような問題を除去し得る道を開くため、法律措置を講じたいということでございます。
  124. 河上覃雄

    ○河上委員 今、地縁による団体法律権利能力なき社団、任意団体というわけでございますが、PTA、同窓会あるいは趣味、嗜好をともにする団体、政党もそうであるわけでございますが、いろいろと権利能力なき社団は存在しているわけであります。なぜ今回町内会自治会という地縁による団体限定してお考えになったのか、この点についてお伺いします。
  125. 浅野大三郎

    浅野政府委員 確かに御指摘のように権利能力なき社団といえばほかにもあるわけでございますが、私ども自治会町内会等の地縁による団体について取り上げましたのは、現実に全国的に見まして、主として財産面でのトラブルでございますが、それが生じておるというような実態があったからでございまして、関係の方から繰り返し、何とか制度的な解決を図ってもらいたい、こういう御要望がございました。それからまた、国会におきましても従来から何か考えられないのかというような御指摘もいただいておりまして、それで関係機関ともいろいろ相談いたしまして、こういう形でなら何とか制度化ができるのではなかろうかというようなことでございましたので、御審議をいただくことにしたわけでございます。  確かに全体の権利能力なき社団についてどうすべきかという一つの大きな問題があるわけでございますが、これにつきましては関係の審議会でもいろいろ御検討をされたようでございますが、結論が出ないまま今日に至っておると伺っております。
  126. 河上覃雄

    ○河上委員 具体的にお伺いします。  二百六十条の二の二項一号に「その区域住民相互の連絡を行う等良好な地域社会の維持及び形成に資する活動を行うことを目的とし、」こうございます。特に、「住民相互の連絡」、この内容、あるいは「良好な地域社会の維持及び形成に資する活動」、この点が極めて抽象的であり、具体的に何を意味するのか不明のところでございます。「資する活動」、これは具体的に何に当たるのか、御見解をお願いします。
  127. 浅野大三郎

    浅野政府委員 これは現に自治会町内会等がやっておる主要な活動をとらえてそういう文言で表現したつもりでございますが、具体的にどういうことがあるかと言いますと、例えば、住民相互の連絡ということで回覧板を回したり会報を回したりという活動、これはほとんど全部のところでやっておるようでございます。それから、多いものといたしましては、集会施設維持管理、清掃等の環境整備活動、スポーツ大会、文化レクリエーション活動、こういうようなところをやっているところが多うございます。そのほかにもございますが、代表的なものを申し上げますとそんなところであろうかと思っております。
  128. 河上覃雄

    ○河上委員 ここは目的に相当するところでございますので、先ほどの御説明でも財産面に関する問題が多い背景等お伺いしました。その意味でやはり、限定的、特定的に目的を明確に置いておかないとならないのではないか。抽象的な表現ではいろいろな解釈が出てしまう。だから、財産面の問題についてきちっと、これを目的とするんだ、このように盛り込むべきではないかと考えますが、いかがですか。
  129. 浅野大三郎

    浅野政府委員 私どもがもともと地縁による団体を法制化しようと考えたのは、不動産登記ができない、そこをできる道を開こうというところにあるわけでございます。それから、実際にあるそういう地縁による団体をとらえて、その活動内容に変更を加えるとかなんとか全く考えませんで、ただそういう道を開こうということでございますが、その意図は意図として、法文上もっと適切な表現方法があるではないかという御指摘については私どもも理解はよくできます。
  130. 河上覃雄

    ○河上委員 町内会自治会所有財産問題に対してさまざまな知恵を出して行政としてもその対応に努力をしている例も少なくないと私は思っております。例えて言えば、神奈川県の川崎市では、こうした問題がもともとございまして、これを解消するために、川崎市と川崎市町内会連合会が協力いたしまして、町有財産を預かる財団法人、これを市民自治財団、こう名づけているそうでございますが、昭和五十四年に発足させておりまして、約十年を経過したわけでございます。この機能はいろいろあるわけですけれども、各町内会から会館用地や会館の寄附を受け入れてそれを地元の町内会に無償で貸し付ける、こうした性格、機能を持つものでございまして、その際、手続名義変更料もすべてこの財団が負担する、こういう仕組みになっております。こういう側面、余り全国的には多くないと思いますけれども、現存しているわけでございます。今回の地縁による団体の新たな規定に基づいた場合、この財団、今申し上げたような性格でございますが、これはどう今回の地縁による団体との規定とリンクするのか、関連するのか、どういう関係になるのか、御説明願えますでしょうか。
  131. 浅野大三郎

    浅野政府委員 川崎市の財団の例を御引用になっての御質問でございます。私も中身をちょっと勉強させていただきました。いろいろ今まではそういう自治会等で討議ができない、そういうようなことも踏まえていろいろ工夫をされた仕組みであろうと思っております。それで、今回御提案しているような形で地縁による団体権利能力が認められるようになった場合にどうなるかということでございますが、これはもう私は全くそれぞれの自治会町内会の御判断の問題かと思います。今までどおり財団にしておいてそれがいいということでございますればそのままでございましょうし、それから別のお考えがあればそのお考えでやっていただいてもよろしいし、この財団をどうするかということは関係は直接はないと私は思っております。
  132. 河上覃雄

    ○河上委員 もう一点お伺いしたいと思います。  地縁による団体が歴史的に国の行政の末端組織としてその機能を持っていた不幸な時代がございました。昭和十八年の地方制度改正によりまして従来法的規制が全くなかった地縁による団体規定ができました。ちなみに、このときに三つできたわけでございますが、「市町村長は、町内会、部落会等の財産及び経費の管理並びに区域の変更に関し必要な措置を講ずることができる」というのが第一点でございました。第二点は、「市町村長の許可を得た場合に町内会、部落会等は自己名義財産所有できる」ということ。それで第三点目に、「市町村長町内会長、部落会長等に対して市町村長事務の一部を援助させることができる」、こういう法律が十八年にできたわけでございます。いろいろさまざまな抵抗もあったようでございまして、旧内務省等も反対をしたそうでございますが、最終的には大政翼賛会の下部組織として利用されたというのが歴史上の事実であります。  この地縁による団体法人格を付与するということが、行政組織の一部と、こういう考え方を持ってしまう疑念も全くないわけではない、こう考えるわけです。この点もやはり明らかにすべきでないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  133. 浅野大三郎

    浅野政府委員 今回の地縁による団体は、たまたまこれは法人格を付与するということの必要において市町村長関与して認可というような手続もいたしますけれども、これは全くの私的な団体であるということは変わらないわけでございます。そういう意味で、行政組織の一部でももちろんないわけでございますが、お尋ねの趣旨は、それを明らかにする必要があるのではないかということでございます。そういうお考えにつきましては、私どももよく理解できるところでございます。
  134. 河上覃雄

    ○河上委員 時間も間もなくでございますが、最後にもう一点だけお伺いしたいと思います。  二百六十条の二の七に「認可を受けた地縁による団体は、特定の政党のために利用してはならない。」こうあります。例えば、例を二点ぐらい申し上げますので、これは該当するのかしないのか、回答をいただきたい。  町内会の会合に主催者の了解を得て政治家があいさつする行為、これはここの条項に該当するのか、あるいは、政治家個人がこれらの団体に土地建物を無償有償にかかわらず提供して町内会館、自治会館等に利用させている場合、これに該当するのかしないのか、そして、この規定は「認可を受けた地縁による団体」と限定されておりますので、これを新設するかしないかは自由裁量でありますので、認可をしない団体は今の行為等はどうなるのか、この三点、あわせて質問いたします。
  135. 浅野大三郎

    浅野政府委員 まず第一点でございます。具体的な事実に即して判断するというのが基本でございますけれども、あえて一般的な判断ということで申し上げさせていただきますと、これは個人の政治家がそこであいさつをするというような話だと思いますが、それは政党利用には当たらないだろうと私どもは思います。  それから次に、今度は政治家個人が自分の土地を貸しておられるという場合でございますが、これも、政治家個人がそういう形で土地を貸しているということがにわかに政党利用ということに当たるとは私は思いません、一般論でございますけれども。同時にそれは、認可がある、ないで別に変わりが出ることではないと思います。ただ、今の御質問でちょっと私、気になりましたのは、無償でというお言葉があったと思うのでございますが、御案内のとおり、公職選挙法で寄附禁止という規定がございますものですから、これは認可のある、なしにかかわらず、もし無償で貸しているということになると、そこはまた別のあれがあるかもしれません。
  136. 河上覃雄

    ○河上委員 まあケース・バイ・ケースでやはり判断していく以外にないのではないかと思います。  全体的にいろいろな観点から御質問させていただきましたが、間もなく時間でございますので、私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。
  137. 森田一

    森田委員長 吉井英勝君。
  138. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 戦後の憲法の中で大事な柱の一つが地方自治というものですね。これはやはりいろいろな歴史的経過もあって、地方自治体というのは国の下請であってはならない、地方自治体というのは独自の団体なんだというところから、極めて厳しく地方自治というものを保障していく、さまざまな制度的保障と申しますか、こういうことが今設けられているというふうに思うわけです。私はそのことについて質問を進めていきたいと思うのですが、まずそういう中で、機関委任事務ということについて伺いたいと思うのです。  現在総務庁の方で各省庁が所管している機関委任事務規定している法律政令、府省令の数は各省庁ごとに一体幾らであるのか、まずこのことから伺いたいと思います。
  139. 堀江正弘

    ○堀江説明員 お答え申し上げます。  総務庁では、各省の協力を得まして、地方公共団体に対します国の関与ということで作業をやっておりますけれども、この関与として把握しておるものの中には、もちろん御指摘のように機関委任事務にかかわるものもございます。しかしながら、私どもは、それぞれの関与、いろいろなものがございますが、総件数、各省庁何件というところまで把握しておりますけれども、それがさらに内訳といたしまして機関委任事務について各省庁幾らというところまでは整理はしてございません。国の関与ということで総数幾ら、機関委任事務あるいは団体事務を含めまして、全体の関与ということの数は把握してございますが、機関委任事務だけに限ってどうかということになりますと、そこまでの作業はいたしておらない状態でございます。
  140. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 八二年九月二十四日の閣議決定で、「今後における行政改革の具体化方策について」という中で、国の機関委任事務については、「二年間に全体として少なくとも一割程度の整理合理化を進めることとし、」「各省庁において昭和五十七年度末を目途として総点検を行い、所要の調整を経て政府全体としての整理合理化計画を定める。」こういう方向を打ち出しているわけですね。そうすると、やはり関与関与として調べられる。同時に、各省庁ごとに機関委任事務について現在の数はどうなっておるのか、これをどうするのかということでやっていくには、これをつかんでいただかないことには最初から話が進まないのではないでしょうか。どうですか。
  141. 堀江正弘

    ○堀江説明員 御指摘のような考え方もあろうかと思いますけれども、私どもが各省庁の協力を得ましてと先ほど申し上げましたが、これは各省の協力を得なければできない作業でございますから、閣議決定で各省の協力を得てやるということでいたしておりますのは、国の関与ということでございます。国の関与といいますのは、それはそれでいろいろと御議論がある、また国としてもいろいろな観点からこれの合理化ができないかというようなことで取り組んできた問題でありまして、これは単に機関委任事務に係るものだけではございません。したがいまして、そういう広い観点からこの作業をやれということで、閣議決定でもそのことは決められておるわけでございます。  今委員機関委任事務、各省庁に幾らということをおっしゃいましたけれども、私ども機関委任事務が幾らということを把握しておるわけではございません。機関委任事務に係る国の関与というのが、国の関与という範疇でひっかかってくるもの、我々が把握しようとしているものであるわけでございます。機関委任事務であろうと団体委任事務であろうと、地方公共団体がいろいろなことをやる場合に国が関与する、それが一体、全体でどのくらいあるのだろうかということで把握しておるのが私どもの作業でございます。したがいまして、繰り返しになりますが、各省庁ごとに機関委任事務が幾らというような作業はやっていないということでございます。
  142. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 大変不思議といいますか、おもしろい話だなと思っているのです。それは機関委任事務について調べることができないのか、それとも取りまとめて調べようというお気持ちがないのか。これは一体どっちなんですか。
  143. 堀江正弘

    ○堀江説明員 私どもは、閣議決定をもとにこの作業をやってございます。閣議決定でございますから、各省との相談、了解の上でこの作業をやっておるわけでございます。機関委任事務それ自体をどうするかということは、また実はもう一つ別個の問題であるわけでございまして、私どもが閣議決定でもって取りまとめの作業をやれということを決められておりますのは、たびたび繰り返しになって恐縮でございますが、機関委任事務であろうと団体委任事務であろうと、地方公共団体がやることに対して国のかかわり方というのはどうなのか、現状はどうなっているのか、それを把握しろという作業でございます。したがいまして、あくまで私ども国の関与ということでその数を把握しているということを繰り返し申し上げさせていただきたいわけであります。  おっしゃいますように、機関委任事務、一体幾らあるのかということを把握する必要があるのではないかということでございますが、もしそういうことが必要であるということに政府の中でなりますと、それはそれでどこがそういうことをやるのがいいのかということは、それはそれでまた別の話としていろいろと相談がなされるのではないか。あるいは、私は正確には承知しておりませんけれども、どこが適当であるというような形の話になっていくのではないかと思うわけでございます。ただいま申し上げましたのは、国の関与はどうかということでこの作業が行われているということでございます。
  144. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 八九年の六月に「地方公共団体に対する国の関与実態把握結果の概要」をまとめられましたね。そこで、事務の性格別内訳という中では、機関委任事務について権力的関与と非権力的関与を区別され、また、混在事務についても同様に区別をされ、この結果、権力的関与については三百五十、非権力的関与は六百十七、合計九百六十七とまとめられたわけですが、これが昨年十一月発表になると、この機関委任事務の数がわからなくなっているのですね。これは一体なぜなんですか。
  145. 堀江正弘

    ○堀江説明員 先ほど委員が引用されました前回の調査結果での数、これは、まことにたびたび繰り返して恐縮でございますが、機関委任事務そのものの数ではなくて、機関委任事務に係る国の関与ということでございます。ご指摘のとおり、前回そのような数を取りまとめております。  それから、今回そのような取りまとめの作業、間に合っておりませんでしたけれども、これはひとつ委員御理解いただけると思いますけれども、国が地方公共団体のいろいろな行為にかかわる場合に、一つの省のみがかかわる場合と、複数の省庁がかかわる、いわゆる共管の事項というものがございます。そこで、我々、この作業を始めたばかりでございますので、試行錯誤しながら各省と相談いたしまして、最初第一回というのが先ほど委員が引用されたものでございますが、そのときには国と地方公共団体ということだから、各省庁共管のものであってもそれは国一つ、一件ということで数えるのが適当ではないだろうか、そちらの方を表に出して集計をしたわけでございます。  今回は、いや、しかし待てよと、複数の省庁がかかわっている場合には、地方公共団体にしてみれば幾つかの省庁に、例えば承認を求めなければいけない、それはやはり単独省の所管の場合と違うのではないか、したがって、そちらの方を表に出してやるべきではないかということで、共管は複数の省庁が共管しておるわけですから、それはそれなりの複数で件数を教えるという作業をいたしました。その結果が昨年の十一月でしたか、取りまとめたものでございます。その際には、しかしながら試行錯誤しながらやっておる作業でございまして、御指摘の機関委任事務に係るものは幾らかとか、団体委任事務に係るものは幾らかとかというところの作業まではまとめられなかった、これは時間的な問題もございます、非常に量が多うございますので、そこまでは至らなかったということでございます。
  146. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 大臣にはよくお聞きいただいて、機関委任事務について二年間で全体として少なくとも一割程度を減らそうという、これは一九八二年の話ですね、この調子ではとてもじゃないが一向に進まないなということを、まずお感じ取っていただいたと思うのです。  私、今、少ししつこいようにこういう議論をしておりましたのも、やはりこれ、各省庁からそういうデータを出していただかないと、もちろん総務庁もつかめなかったわけだし、それをつかんだ上で八九年六月には出されて、権力的関与、非権力的関与という分け方とともに機関委任事務、混在事務についての整理もされて、それによると、機関委任事務という見方ですれば五百十件とか、混在事務で百七件とか、いろいろな見方でとにかく整理されているのですね。ところが、去年の秋になると、この整理がないものですから、一体、機関委任事務がふえたのか減ったのか、総務庁のデータによってもさっぱりわからない、こういうふうな状態がまず実態だということを、私は見ておいていただきたいと思うわけなんです。こういうやり方では結局、機関委任事務はどうなっているかということが、国民にとってはよくわからない。  私は、国の、政府のあり方というものは、地方自治体もそうですが、やはり国民、地方自治体住民によくわかるものにしなければいけないと思うのです。そういう点では、今の総務庁のお話なんですが、とてもじゃないがこういうことでは本当に困った問題だ、この点を指摘しておいて、それでは、自治省の方は、二度の機関委任事務の整理合理化などがあって、一度は自治省関係では減っている、自治省のつかんでおられるのでは減っているわけですが、また今ふえているようですね。この点はどのようにお考えなのか、これを伺いたいと思います。
  147. 浅野大三郎

    浅野政府委員 まず、私ども機関委任事務の項目数の把握の仕方でございますが、これは地方自治法に別表というのがございまして、そこで整理させていただいているものですから、それをベースにカウントいたしております。そこでこの項目数というのは、昭和四十九年において五百二十二でございましたものが、一括法で五百八に減り、さらに四百九十七に減ったわけでございます。これは整理によって減らしたのですが、一方で新たな行政の対応の必要ということがございまして、そのために仕事がふえておるということでございます。いろいろございますけれども、例えば、公害環境対策でございますとか高齢化対策あるいは消費者保護、そういうような見地からどうしても新たな仕事が出てくる。それに対応するために機関委任事務というものも出てくるというような関係があるということでございます。
  148. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 また、自治省さんの方から予算委員会への資料としてもいただいておりますが、それを比較すると、一九八八年には法律に基づいて四百八件各省庁の機関委任事務があった。これが九〇年度には四百十八と十本ふえているのですね。今の地方自治法改正時の別表によっても、一九七四年当時よりも今回の方がさらにふえているわけであります、一度減りましたけれども。全体としてふえているというのが今の機関委任事務実態だというふうに思うわけです。  これまでの国会論議を通じても、また臨調、行革審の議論の中でも、方向としては整理合理化、縮小の方向でしたね。自治省のお考え方としては、これは一九八八年十二月十六日の当時の梶山自治大臣の御答弁の中でも、本来原則的に機関委任事務を廃止すべきじゃないかという質問に対して、「基本的にはこの概念を廃し、国の責任において処理すべき事務は国の事務地方公共団体の責任において処理すべき事務地方公共団体事務と端的に考えるべきでございます。」これは当時の大臣の答弁なんですが、吹田自治大臣の場合も、機関委任事務というものについてはこの当時の考え方、本来原則的には廃止する方向で考えるべきだ、こういう点ではお考えは一緒なのかどうか、この点少し確認しておきたいと思います。
  149. 吹田愰

    吹田国務大臣 先刻からお答えを申し上げておりますように、機関委任事務の問題につきましては、できるだけ地方に渡すべきものは渡し、そして国がやるべきものはやるということで、その辺の関係はぴしっと整理していかなければならぬ、こう思っております。その点は基本的な概念から申しますと、梶山元自治大臣が答弁しておりました趣旨と何らの違いはありません。  ただ、常に申し上げておりますように、いずれにしましても国と地方公共団体というものは車の両輪です。そして、やはり持ち場持ち場、地方自治体地方自治体としての基本的な自主的な立場というものを我々はひとつ認めていくという前提だし、国には国の地方に対していろいろと要請しなければならぬこともございます。そういった持ち場持ち場におきましてのぴしっとした整理はしていかなければなりませんが、そうした委任事務関係についてはできるだけ地方に許可をしていくように、許可というか渡すように、地方分権の確立ということに向けて配慮していかなければならぬ、こう思っております。
  150. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 方向は極めてはっきりしていると思うのです。政府の方針としても整理合理化、縮小の方針ですし、今の大臣のお話でも廃止ないしは縮小という方向を示しておられる。ところが問題は、現実には機関委任事務はふえていっているというのが自治省のお示しの資料でも出ております。どうも私は、総務庁がまとめるのを、言葉を変えられたのは、結局総務庁で取りまとめてしまうと機関委任事務がふえているという現実が出てしまって、一九八二年の当時の閣議決定の方向からしても随分逆の方向に行ってしまっているものですから、だんだんわかりにくくしているのじゃないか、そういうことを懸念するわけです。機関委任事務などの公表を総務庁は避けていらっしゃるように思うのですが、私は、国民にわかりやすい形で取りまとめて公表するようにという方向でひとつ大臣の方からも総務庁の方に対して発表の仕方の改善を要請していただきたいと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  151. 吹田愰

    吹田国務大臣 御趣旨を体して関係省庁と協議をしてみたいと思います。
  152. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 次に、機関委任事務というのは地方自治体住民にとって非常に大事な問題でありますが、例えば、神奈川県逗子市の池子弾薬庫跡地に米軍住宅を建設する問題で、市長選挙、市会議員選挙合わせて六度にわたって市民の反対の意思が示されました。この点では国の目指している方向とは違うわけですね。国は計画を強引に進めていこうと今さまざまな作業を進めているわけですが、市長の方は国に対して、住民の声を聞いてほしいと機関委任事務執行を拒否しているわけです。それからまた、今沖縄県の方では、米軍用地の強制使用の公告縦覧を、那覇市、宜野湾市、沖縄市、読谷村、北谷町などがこれを拒否して、そこで沖縄県の方がどういう取り扱いをするかということが今焦点になっているわけです。逗子の場合は市長が建設計画撤回を掲げて三度市長選挙を戦っていずれも市民の支持を受けているわけだし、その市民の声を尊重しての市長の姿勢であるわけです。沖縄の場合も、県民の命と日常生活の安全を脅かされているという基地を目の前にしての、しかも長年の苦難、経験の中で基地の撤去や返還跡地の平和利用という切実な願いがあるわけです。私はこういう県民の気持ちが沖縄では公告縦覧の拒否という形であらわれていると思うわけです。  そこで、今の大臣は、政府のお立場というのがありますから、政府の立場ということになると答え方にいろいろ難しい面があるかと思うのですが、政府の立場を離れてと申しますか、長年地方自治体の首長を務めてこられた御経験者でもありますし、地方の本当に現場で住民とともにやってこられた、そういう政治家でいらっしゃるわけですから、こういう沖縄の市長さん、町長さんのお気持ちというものも市民、県民の声を体して公告の縦覧拒否という形に出ておられると思うのですが、この点について、大臣は、大臣というより長年そういう首長の経験を持ってこられた方として今どういうふうにお考えか、この点も伺っておきたいと思うのです。
  153. 吹田愰

    吹田国務大臣 政治家として考えます場合は、やはり住民の意思というものはその地域社会において一番大きな要素を持っておる、これはもう基本的なスタンスの問題として考えるべきであると私も思います。ただ、あとは住民の理解と協力、国家という立場もやはりちゃんと踏まえなければなりませんから、そういった国家の立場とその地域社会における環境の問題やその他の問題を加味して、理解と協力が住民に得られるか得られないかという問題になってくると思うのです。そういう意味において、すべての仕事をしていく場合には平和裏に問題の解決をしていくというのが基本的な立場でありますから、できるだけ理解と協力を求めながら推進していかなければならぬ、こう思いますが、これは一般論として申し上げることでありまして、ただ、さっきからいろいろと例を挙げてのお話しの問題につきましては、特にこれについて私の意見として申し上げるということは差し控えたいと存じます。
  154. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 現行の制度でいきますと、町民の方、市民の方、その声を体して首長というのはそういう態度をとれるわけですね。それは最高裁の職務執行命令訴訟制度についての判決の中での考え方も、地方公共団体の長に対する国の指揮監督を役所内部の上意下達のごとく行うことは自治体の自主独立性を侵すものであり、憲法で定めた地方自治の本旨にもとるおそれがある、一方、国の指揮監督の実効性確保との調和を図るということからとられた制度が今日の制度だと積極的に評価しているわけですが、最高裁が評価する現行の職務執行制度というのは、首長が機関委任事務を拒否した場合、国から裁判を提起し、命令の裁判、命令違反確認の裁判と二度の裁判を経なければ代執行ができない。ところが、今回の政府案というのは国と地方の立場が逆転して、これで、裁判を起こすのは地方、内閣総理大臣知事からの申し出理由がない旨の通知をし、不履行の確認を告示すれば国による代執行がまずできるということになるわけですね。ですから、地方からの一回の裁判はあるにしても、代執行が始まってからつまり事態の進行を食いとめることができないというものになるわけですね。私はこの点で、政府提出の法案というのは国による代執行を容易にすることが最大のねらい、この点では戦後憲法原則にある地方自治の原理に背くものであるというふうに思うわけですが、この点についての大臣の見解を伺いたいと思います。
  155. 吹田愰

    吹田国務大臣 私は、吉井先生の御意見、必ずしもそういう気持ちで提出しているものではございませんが、ただ、皆さん方の方でのお話し合いの中での修正案等も出ておりますから、そういう点は、それなりの決定がされればそれをよしとして、この国会の決定でありますから我々はそれに基づかなければなりませんが、我々が提出しておりますのは、必ずしも今先生の考え方どおりの考えで提出しているわけではございませんので、ここはひとつ御理解いただかないと、誤解を受けますと我々も非常に迷惑するわけでありますから、御了解願いたいと思います。
  156. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 最高裁判決の方は、調和をとって現行制度がある、こう言っているわけですね。ところが、当時の自治省の大林行政局長は、機関委任事務の適正な執行確保する手段として職務執行命令訴訟制度の見直しを提言した、こう説明しているわけですね。つまり、国の指揮監督の実効性の確保という観点からのみの見直しであって、自治体の自主性、独立性というのは全く忘れ去られてしまっているわけです。行革審の関係者は、代執行手続を簡素化し、いつでも運用できる状態にしておく、そのことが、代執行そのものを発動するケースは少ないにしても、自治体に対する心理的効果は極めて大なり、こういうふうに言っているわけですが、政府提出案による今回の職務執行命令制度の見直しというのは、いずれにしろ、地方自治体に対する心理的効果大なりということも含めて、やはり地方自治体自主性、独立性というものを脅かすものだと思うのですが、この点についての大臣の見解を重ねて伺っておきたいと思います。
  157. 吹田愰

    吹田国務大臣 先ほどから申し上げますように、地方自治体地方自治体としての立場を十分我々は尊重し、またその立場を踏まえていかなければなりませんが、やはり国は国としての存立という問題もありますし国の仕事もありますから、そういった意味からもここが、いわゆる一つの委任事務の問題についての解決ということになってまいりますと、それなりの手続その他の問題もあることは当然でありますから、詳細にわたりましては当局から答弁させますが、私は一概に吉井先生の考え方にはどうも賛成できない、こう思っておるわけであります。
  158. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 このときに、ちょうど八六年一月十六日の地方制度調査会第十一回総会議事録というのを少し見てみると、機関委任事務に関する地方議会関与監査委員関与を「答申に盛り込むことが決められた段階で、非常に各省の反対が増幅してまいりました。審議会としましても、それぞれの各省のヒアリングを行ったのでありますけれども、やっぱり地方議会関与なり、監査委員関与については、ほとんどの省庁が消極的であったわけであります。で結局、それは地方議会、あるいは監査委員関与を認めるということになりますと、従来の機関委任事務の適正な執行確保できないのではないかという危惧から生じておるわけでありまして、結局、行政改革推進審議会としては、そういう各省の反対を踏まえて、機関委任事務の適正な執行確保する手段として、職務執行命令訴訟制度の見直しをまた提言を行ったわけであります。」このせっかく議会関与監査委員関与とか地方自治を前進させる方向へ向かっているときに、やはりそれに対する内部的な各省の抵抗があって、その抵抗の中で、これは前進させるかわりに機関委任事務執行については執行命令訴訟制度を見直すから、一方では渡すが一方ではこっちの権限を強くするから、だからこれでやっていくんだ、つまりそこには先ほど指摘したような問題がちゃんと読み取ることができると私は思うわけなんです。  機関委任事務が廃止されるならともかく、先ほど来議論いたしましたように現在ふえているわけですね。その現在機関委任事務がふえている中でですから、一層のこと地方の自主性とか独立性の確立、このことに随分力を入れなければいけないんですね。これまではこの制度で、機関委任事務の問題をめぐって国と地方との間では、地方に対してはその自主性、独立性を担保するものとしてこれまで制度があったわけですね。これを政府案ではもう全部やめてしまおうというわけでありますが、これは全く方向が逆転してしまう、そのことを申し上げておきたいと思うのです。  時間があと十数秒となってまいりましたので、残念ながらちょっと質問できなくなりましたが、そういう中で、私はやはりこの修正案につきましても、政府案よりは改善されているわけですが、しかし機関委任事務がふえて自治体に対する国の統制が強まる状況のもとでの現行制度の中での地方の自主性、独立性を担保する、このことを考えたときには、政府案より前進はあっても、やはり裁判を一回にするということは後退をする面があるんだ、こういう点で、私は今改めて憲法原則に立ち返って地方自治を拡充する方向でこそ考えていかなければならないという点を申し上げて、残念ながら時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
  159. 森田一

    森田委員長 神田厚君。
  160. 神田厚

    ○神田委員 地方自治法公害財特法について御質問を申し上げます。  まず、昨年十一月二十六日付の新聞によりますと、北海道幌延町の動力炉・核燃料開発事業団の貯蔵工学センター誘致問題をめぐりまして、隣町の豊富町において二人の議員に対する解職請求の住民投票の結果、有効投票の過半数を得まして二人の議員は失職をしました。このような問題は、昭和六十一年の三宅島の飛行場誘致のときも発生しました。確かに地方自治法七十六条以下は住民投票による地方議会の解散、議員及び首長の解職を認めております。しかし私は、議会の解散や首長の解職には問題はないものの、議員の解職には大変問題があると思っております。地方議員の大部分が、小選挙区、一人区ではなくて、数名から数十名が同じ選挙区から同時に選出されている、そういう形で選ばれております。このように選出された議員住民投票により解職することは、豊富町の例にもあるように容易に可能であります。その結果、議会での少数意見の圧殺が可能となり、議会政治の精神に反することになるのではないかと考えています。加えて、国会議員については憲法第五十一条におきまして議院で行った演説、討論、表決について院外で責任を問われないという規定があり、地方議会での議事運営についてもこの精神が妥当であるというふうに思っております。  このような観点から、自治法七十六条の地方議員の解職については一人区、小選挙区のみに限定し、それ以外については一定の制限を付加すべきだと考えますが、自治省はどういうふうに考えておられますか。また、今後どういう対応を考えておるのかお聞かせをいただきたい。
  161. 浅野大三郎

    浅野政府委員 地方議会議員の解職請求は、これはいわば一つの直接民主主義ということで制度化されておるわけでございます。制度自体乱用があってはいけないということも意識はしております。ですから、議員の就職の日またはその解職投票の日から一年間は解職請求ができないこと等の規定も設けておるわけでございますし、また、解職請求に当たっては選挙権を有する者の三分の一以上の連署が必要である、あるいはまた実際の解職は、選挙人の解職投票において過半数の同意が必要であるというようなことも規定しておるわけでございます。  ただ問題は、御指摘ありましたように、いわば十人の方が選挙区から選出されている場合に、非常に簡単に言えば、それは有権者の十分の一票でも当選はしておるわけでございます。小選挙区の場合は、それは実際はいろいろあるでございましょうけれども、それは一応過半数の支持を得て当選しているんじゃないか、そういう前提を置きました場合に、小選挙区の場合はなるほど過半数でもいいかもしれないけれども、そういう複数の者が選出される場合に一体過半数という要件がいいのかどうかということであろうかと思います。  解職請求をどう考えるかということはなかなか難しい問題がございまして、基本的には私はその住民方々が適切な運用をしていただくということが大事だとは思いますが、一体制度としてどういうことが考えられるのか。実はかつて地方制度調査会でもいろいろ御論議があったのですけれども、そのときの御論議は、どちらかと言いますとむしろ今の要件が厳し過ぎやしないかという意見が結構出ておったようでございますが、私どももさらによく研究をさせていただきたいと思います。
  162. 神田厚

    ○神田委員 地方自治法の今回の一部改正におきまして、機関委任事務について議会検閲検査権及び監査請求権並びに監査委員の監査権を認めることになっております。住民行政への参画の推進、情報の公開等の観点からは好ましいことでありますが、一定の歯どめも必要だというふうに考えております。例えば、建築確認は知事が行うが、防衛施設検閲も可能ということになりますれば国際国家として多くの問題が発生することも予想されております。このような観点から、議会検閲等について一定の制限が必要というふうに考えておりますが、自治省としてはどのような制限を考えており、どういう対処を行っていくつもりなのか。
  163. 浅野大三郎

    浅野政府委員 このたび、議会の検査検閲権あるいは監査委員の監査の対象に機関委任事務を加えようという改正案の御審議をお願いしておるわけでございますが、これらの事務住民にいろいろかかわり合いがありますから、そういう形での関与はお認めいただく一方、しかし事務の性格そのものはこれはもうまさに国の事務でありまして、それを機関に委任しているわけでございますから、そこから一定のものについてはこれを検査、検閲あるいは監査の対象外にするということを予定して条文を組み立てております。  具体的には三つばかり政令で定めるものを考えておりまして、その一つは、これは個人の秘密に関するようなことでございます。それから二番目は、争訟の裁決などのように準司法手続によるものでございます。そして三番目に、国の安全にかかわるようなもの、こういうものについては検査検閲権あるいは監査の対象外にしたいというふうに考えておるところでございます。
  164. 神田厚

    ○神田委員 地方自治法改正につきましては、多くの国民から早急にその対応が求められていたことでもありまして、当該改正案は今国会会期中に成立させるべきであるというふうに考えておりました。当該改正案を成立させるため、昨年より各党の意見調整により修正事項について合意が図られつつありますが、私は、地方公営企業職員の在籍専従期間の延長、五年から七年については、この点でいろいろ問題もあるかというふうに考えております。  まず、地方公営企業職員の在籍専従期間の延長については、地方公営企業労働関係法を改正すべき事項であり、地方自治法改正と連動して改正する理論的整合性は非常に少ないと思っております。したがって、専従期間の問題は地方公営企業労働関係法の改正として単独で行うべきであるというふうな意見がありましたが、自治省はどういうふうに考えておりますか。
  165. 浅野大三郎

    浅野政府委員 法改正のあり方につきまして私どもが御意見を申し上げるのが適当かどうかということ、必ずしもよくわからないところもあるのでございますが、あえてのお尋ねでございますから私の考え方を申し上げさせていただきますと、政府が御提案申し上げております改正法案は、地方公共団体組織及び運営合理化を図るためのものでありまして、地方自治法のほか地方公営企業法などについても所要の改正を行うこととしているところでございます。したがいまして、御指摘の地方公営企業労働関係法の一部改正につきましても、あわせてこれを行うことができると考えております。
  166. 神田厚

    ○神田委員 質問通告しておりました二番はカットします。  国営企業の在籍専従期間が昭和六十三年に延長される際に自治省は反対をしておりましたが、当時ほどのような理由で反対をしたのか、説明をしてください。
  167. 滝実

    ○滝政府委員 昭和六十三年の国営企業労働関係法の改正の際に自治省がどういう形で意思表示をしたのか判然としない点が多いわけでございますけれども、少なくともその際自治省内においては、地方公営企業についてはさまざまな実態がございまして、国営企業と同様の扱いを直ちに行うことはいかがだろうか、そういうような議論があったことは事実でございます。しかし現段階で考えてみますと、地方公営企業についても国営企業と同様の規定を置く、こういうようなことによって地方公営企業の実態に応じた取り扱いをする必要がある面がある、こういうような認識をいたしておる次第でございます。
  168. 神田厚

    ○神田委員 行政改革が国民の多くから切望されている今日、公務員の組合専従期間を延長するこ とに対して、国民の間から地方行政のあり方に対し一定の疑念が起こることも予想されております。地方公務員の健全な労働組合運動を一層進め、活力ある地方自治住民に信頼される地方自治を確立する必要があると考えますが、このような問題に対して自治省はどういうふうに取り組んでいくのか、お聞かせいただきます。
  169. 吹田愰

    吹田国務大臣 この問題につきましては、我々の方は従来の五年というものを改正するという意思を持ってはおりません。いわゆる労使関係というのは、特に地方公共団体におきましては、常に私が申し上げておりますように、政党の争いとしての地方公共団体ではないのでありまして、あくまでも地域住民の福祉と地域発展というものが基本的な理念になってくるわけですから、そういう点からいきますと、地域住民の理解と協力の得られるような、十分地域住民から理解されていくということが大切じゃないかと思うのですね。ただ、余り専従職員というものが長くなるというのは私はいかがであろうかと思うのですね。そういう意味では私は意見を異にするわけであります。しかしこれも国会の皆様方の御意見によって決定されることにつきましては、私どもは別にこれに差し挟むものではございませんが、提案者という、現在の提案しております案から申しますと、この点については我々の意見は現状でいきたい、こういう気持ちであります。
  170. 神田厚

    ○神田委員 我々も話し合いの結果、七年に延ばすことで賛成をしておりますので、大臣が現状でいきたいと言っておりましてもそういうわけにはなかなか、御意見は伺いましたが、納得するわけにはいかない。  それから、町または字の区域その他一定区域における地縁に基づいて形成された団体は、市町村認可を受けたときは規約に定める目的の範囲内で権利義務主体となることができるものとするとなっておりますが、この際の団体に対する制限は少ない方が好ましいと考えておりますが、自治省当該団体認可基準をどのようなものにするか、また、政令事項で定める場合もあるのかどうか、お答えいただきます。
  171. 浅野大三郎

    浅野政府委員 地縁による団体権利能力を取得するために市町村長認可を得ることが必要なわけでございますけれども、その認可の要件は、法律幾つか、認可の要件と申しますよりも、地縁による団体がどういうものであるかということを法律で定めておりまして、その法律で定めておりますような要件を備えておるものは、これは市町村長認可しなければいけない、こういう条文の立て方をいたしております。これはまさに市町村長の個別の判断が入るのじゃなくて、地縁団体として法律の要件を調えているものは、これは必ず認可するんだ、そういう考え方をそこにあらわしておるつもりでございます。法律に書いてありますこと以外に別途政令等で特段の定めをするということは考えておりません。
  172. 神田厚

    ○神田委員 それでは公害財特法をお聞きをいたします。  現在、地球の温暖化、熱帯雨林の減少、オゾン層の破壊などに見られるように、環境問題に対する国民の関心は極めて高くなっております。公害防止計画は公害対策基本法第十九条に基づき、現在三十九地域において策定され、あわせて自治大臣の指定に基づき、平成二年度まで六十事業が実施されて関係地域環境改善に大きく貢献をしてきたと考えております。  そこで、公害防止対策事業の実績は昭和五十六年から平成元年までの間、三兆七千六百三十一億円ありまして、そのうち下水道事業は二兆五千八百十八億円、六八・六%を占めております。にもかかわらず、終末処理場の国庫補助金を見ますと、公害財特法によりまして特例補助負担率は二分の一であるのに通常の補助負担率が三分の二、四分の三であり、特例補助負担率を上回っており、特例の必要がなくなっているような状況だと思っております。当該特例補助負担率を二分の一から三分の二、四分の三へアップさせた方が地方自治体事務の効率化の観点からもベターだと考えますが、どういうふうにお思いになりますか。
  173. 小林実

    小林(実)政府委員 下水道の終末処理場につきましての補助負担率につきましてのお尋ねでございます。  この法律をつくるときにも大議論になったわけでございますが、この法律の対象事業といたしましては下水道とごみの廃棄物処理施設が大きいわけでございます。それで当時を考えてみますと、当時におきましては下水道も終末処理場もたしか十分の四の補助率であったと思います。ごみにつきましては四分の一というような状況でございまして、そういう中で公害防止計画をつくる地域は比較的に財政力のあるところでございまして、そもそもこの財特法が必要であろうかどうかということが大議論になったわけでございます。そういう中で、少なくとも二分の一未満のものは二分の一まで引き上げる必要があるのではないかということでこの法律が制定された経緯がございます。この法律が契機となりまして、これが四十六年にできたわけでございますが、下水道につきましては四十九年に当分の間ということで全国的に水質汚濁防止をする必要があるということで、御質問にもありましたように三分の二とか四分の三と定められた経緯があるわけでございます。  現在は私ども下水道につきましては、国民の要請というものは、むしろ事業量の拡充にある、早く汚水を処理していただく必要がある、こういうところにあろうかと思いまして、私どもといたしましては、そういう意味で今回の提案におきましても延長ということでお願いをいたしております。下水道につきましてはそのほか、来年度におきましては単独事業につきまして普及率向上に資する管渠の整備事業につきまして交付税措置を高めるようなことも考えておりますし、また、議員提案で、過疎地域につきましては都道府県の代行制度等も考えられておるようでございまして、そういう事態にあるわけでございまして、事業量の拡大というところに力点を置いておりますので、御了解をいただきたいと思うわけでございます。
  174. 神田厚

    ○神田委員 環境庁にお尋ねいたしますが、近年の公害問題としてNOx、生活排水等の都市型、生活型の公害環境問題がクローズアップされております。一つは、公害防止計画策定地域における大気汚染、水質汚濁の環境基準達成状況はどうなっているのか、お示しをいただきたいと思います。
  175. 的石淳一

    ○的石説明員 お答えいたします。  公害防止計画は、昭和四十五年十二月に承認されました第一次地域以降、昭和五十二年一月に承認されました第七次地域まで順次策定されまして、その後計画の見直しを経まして、現在全国三十九地域で策定されております。これら公害防止計画地域におきましては、公害防止計画に基づきまして諸施策が講じられてまいりました結果、硫黄酸化物による著しい大気汚染は改善されておりまして、昭和五十七年度以降環境基準の達成率はほぼ一〇〇%となっているのを初めといたしまして、河川に係る水質汚濁、地盤沈下、土壌汚染等につきましては改善の方向にございます。しかしながら、委員御指摘のように、窒素酸化物NOxによる大気汚染につきましては、公害防止計画地域全域で見ますと、一般環境大気測定局の環境基準の達成率は平成元年度で九二・一%となっておりますが、総量規制の行われております東京都、神奈川県、大阪府の大都市部、いわゆる総量規制地域環境基準の達成率は五二・九%でございます。また、平成元年度におきまする公害防止計画地域内の河川BODの環境基準達成率は六三・五%、湖沼CODの達成率は二八・六%、海域CODの達成率は七七・七%となっておりまして、これらにつきましてなお改善の努力を要する状況にあるものと考えております。
  176. 神田厚

    ○神田委員 自治省にお尋ねします。  大気汚染、水質汚濁の大きな原因としてNOx、生活排水が言われております。したがって、現在当該対象事業として八項ありますが、それにNOx、生活排水を加え、事業の質的充実を図るべきと考えておりますが、公害財特法の趣旨に照らし、どういう点が望ましいと自治省考えておりますか、御答弁をいただきます。
  177. 小林実

    小林(実)政府委員 今回公害財特法の単純延長をお願いしておるわけでございますが、これに至るまでにおきましては、政府部内においてもいろいろ御意見がございました。特に行革審等からの御指摘もございまして、この種といいますか次期財特法につきましては延長期間はなるべく短くする、それから内容につきましても、その際に見直しをする、こういう指摘がされておりまして、そういう観点から内部でいろいろ議論があったわけでございます。しかし、環境問題につきましては非常に関心が大きいわけでございますし、現行の公害財特法の内容を後退させることはできないということで、単純延長ということでお願いをいたしておるわけでございます。対象事業は、公害防止計画区域等で広く実施されております典型的な公害防止事業、しかも地方団体の責任とされている事業について対象といたしておるわけでございます。ここに書いております事業は、大体財政負担が大きいかあるいは国庫補助負担制度がないものを掲げておるわけでございます。  御指摘がございましたNOx問題も重要な問題でございます。この点につきましては、大臣の御指摘もございまして、公害パトロール車につきましての普通交付税措置とか、ごみ収集車あるいは公営企業におきますバスにつきまして低公害車を導入することを進めるために、財政措置を強化いたしたわけでございます。  生活排水対策事業ということになりますと下水道が中心でございますが、ここ数年の経緯を見てまいりますと、農水省が扱っております農業集落排水事業あるいは漁業集落排水事業等につきましても、下水道と全く同じ財政措置を行うことといたしました。それから、厚生省所管になりますコミュニティープラントにつきましては、この公害財特法の適用にもなるわけでございます。また、合併処理浄化槽事業につきましては、これは特別交付税で地方負担分につきまして措置をするというようなこともいたしておるわけでございまして、私どもといたしましてもでき得る限りの措置はしておりますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  178. 神田厚

    ○神田委員 最後に、環境庁にお尋ねをいたします。  公害対策基本法第十九条に基づき公害防止計画が作成されておりますが、現在、環境問題は地域環境にとどまらず地球環境にまで発展していっております。特に、二十一世紀は公害の世紀などと呼ばれておりますが、地球環境の改善という視点を踏まえ、公害防止計画の策定を全国規模に拡大してよい時期に来ているのではないかと考えております。環境庁としては、地球環境という観点を踏まえて、指定地域の大幅な拡大を行い、環境改善に資すべきであると思いますが、今後どのような対策を講じようとしておりますのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  179. 的石淳一

    ○的石説明員 公害防止計画は、公害対策基本法に基づきまして、現に公害が著しく、かつ公害防止施策を総合的に講じなければ公害防止を図ることが著しく困難であると認められる地域などを対象に、公害防止施策を総合的に推進するための計画でございまして、地球規模で生じております環境問題に直接的に対応するものとはなっておりません。しかしながら、例えば、公害防止計画に基づき実施されます硫黄酸化物対策であるとか、窒素酸化物対策、また緑化推進施策、あるいはリサイクルの促進等々は、酸性雨問題や地球温暖化問題の改善に資するものでございまして、先般計画承認が行われました第六次地域公害防止計画におきましては、こうした施策の推進を図りますとともに、地球環境問題も含めました環境教育の推進を図ることといたしているところでございます。  一方、公害防止計画のフレームではございませんが、環境庁におきましては、地域に即しました地球環境対策の計画的推進方策といたしまして、平成三年度予算案におきまして地球温暖化防止対策地域推進モデル計画策定調査費を計上いたしておりまして、モデル的な地域計画の策定を進めることといたしております。  こうした取り組みを通じまして、昨年十月に政府において策定されました地球温暖化防止行動計画を、地域に即し円滑かつ着実に推進してまいりたいと考えております。
  180. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  181. 森田一

    森田委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  182. 森田一

    森田委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、地方自治法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  この際、本案に対し、増田敏男君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係る修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。増田敏男君。     ─────────────  地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  183. 増田敏男

    ○増田委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨内容を御説明申し上げます。  その一は、職務執行命令訴訟制度についてであります。  政府原案におきましては、主務大臣は、知事処理する国の機関委任事務管理執行について、法令、主務大臣の処分に対する違反または懈怠があり、他の方法でその是正を図ることが困難で、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかである場合に、知事に対する勧告、知事に対する命令及び知事の不履行の事実を確認する内閣告示を経て、知事にかわって当該事項を行うことができるものとし、他方、知事は、主務大臣命令について内閣総理大臣に不服の申し出ができ、内閣総理大臣から当該申し出理由のない旨の通告があったときは、主務大臣命令の取り消しを求める訴訟を提起することができるものとし、その際、あわせて執行停止の申し立てをすることができるものとするほか、知事の罷免の制度を廃止することとされています。また、市町村長処理する国の機関委任事務管理執行に関しましてもこれに準じたものとするとされています。  本修正案におきましては、職務執行命令地方公共団体の長に対して行われるものであることにかんがみ、代行は国が提起する訴訟を経て行うものとし、この場合、裁判は現行の二回裁判を一回の裁判とすることとするとともに、地方公共団体の長に対する勧告、命令は著しく公益を害することが明らかである場合に限ること等とし、あわせて罷免の制度を廃止することといたしております。また、市町村長処理する国の機関委任事務管理執行に関してもこれに準じたものとすることを規定することといたしております。  その二は、地縁による団体権利義務についてであります。政府原案におきましては、町または字の区域その他一定区域において地縁に基づいて形成された団体のうち一定の要件に該当するものは、当該団体の申請に基づき市町村長認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し義務を負うものとするとされています。 本修正案におきましては、今回の法改正趣旨を明確にする観点から、当該地縁による団体は、地域的な共同活動のための不動産等を保有するため認可されるものであること、及び、認可は、当該認可を受けた地縁による団体を公共団体等の行政組織の一部とすることを意味するものと解釈してはならないことを法文上確認的に明記するとともに、当該認可を受けた地縁による団体は、民主的な運営のもとに自主的に活動するものとし、構成員に対し不当な差別的取り扱いをしてはならないこと等を規定することといたしております。  その三は、複合的一部事務組合に係る知事勧告権についてであります。  政府原案におきましては、公益上必要がある場合においては、知事は、関係のある市町村に対し、複合的一部事務組合を設けるべきことを勧告することができるものとするとされています。  本修正案におきましては、今後広域行政のあり方とも関連してなお検討を要するとの観点から、この規定を削除することといたしております。  その四は、特別の休日制度についてであります。  現行法におきましては、地方公共団体の休日は、「日曜日及び条例で定める土曜日」、「国民の祝日に関する法律規定する休日」並びに「年末又は年始における日で条例で定めるもの」とされており、これ以外の日を地方公共団体の休日とすることはできないものとされています。しかしながら、例えば沖縄県の慰霊の日や広島市の平和記念日など、その歴史的、社会的意義等にかんがみ、地方公共団体の休日とすることに広く国民の理解を得られるようなものもあり、これら一部の地方公共団体に対する配慮が必要と考えられます。  そこで、本修正案におきましては、さきに述べたような日に限り限定的に当該地方公共団体の休日として定めることができるものとする規定を設けることといたしております。  その五は、地方公営企業職員の在籍専従期間についてであります。  現行制度におきましては、地方公営企業の職員が労働組合の役員として専ら従事する期間の上限は五年とされています。  本修正案におきましては、国営企業の職員に係る取り扱いと同様に、当分の間、七年以下の範囲内で労働協約で定める期間とするとの規定を設けることといたしております。  その他、所要の規定整備をすることといたしております。  以上が本修正案の趣旨及び内容であります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手〉
  184. 森田一

    森田委員長 以上で修正案についての趣旨説明は終わりました。
  185. 森田一

    森田委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。中沢健次君。
  186. 中沢健次

    ○中沢委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました地方自治法等の一部を改正する法律案につきまして、修正部分を含めまして賛成の討論を行います。  政府提出の地方自治法改正案は、一九八六年の地方制度調査会において、発足以来三度目と言われる異例の採決により決定され、第百四国会に提出されて以来、廃案、継続が繰り返されてきた重要法案であり、その最大の焦点は、職務執行命令訴訟制度改正問題でありました。  我が党は、地方制度調査会において、公明党推薦委員と共同で修正意見書を提出いたしましたが、その概要は、機関委任事務の整理合理化の徹底的推進を前提とし、制度見直しの最低条件として、裁判抜き代執行ではなく、訴訟については国から提起するものとし、制度適用の前提として、当該事務執行しなければ公益上重大な支障を生ずるおそれがあると認められる場合に限る、また、自治体の長の罷免制度は直ちに廃止するというものでありました。したがって、我が党は当初から、自治体議会権限充実など改善案も含まれている本案に対して、与野党間の現実的な妥協案を提示してきたものであります。  改正案は、昨年の総選挙後、地縁団体に関する権利義務規定など新たな改正点を追加した上で改めて国会提出されましたが、今般、与野党間で修正案について合意が成立し、採決されるに至ったものでありあます。  修正案については、提案されたとおりであり、与野党共同で責任を持つべきものであります。マンデーマス・プロシーディング問題については、地方制度調査会における少数意見が立法府で妥当なものと評価されたと判断しており、本修正によって現行制度趣旨は尊重、堅持され、首長の罷免制度が廃止されることは妥当であると考えます。政府においては、修正と委員会質疑の趣旨に基づき、本制度運用に当たっては慎重を期すとともに、地方自治の本旨を尊重し、引き続き機関委任事務の整理合理化等を推進されるよう強く要望いたします。  また、地縁団体への法人格の付与問題については、古くから我が党議員等が主張してきた共有財産登記問題がこれによって解決され、また、危惧されていた地縁団体の政治的行政的利用等については、改正案中の目的規定の明記や、認可要件、自主民主運営原則の明確化など、大幅な修正によって歯どめがかけられたものと判断いたします。ただし、本制度については、ひとえに地域における運用地縁団体の日常の民主的、自主的な活動にかかっているものであり、住民が構成する地縁団体活動地方自治の健全な発展地域における良好なコミュニティーの形成に資するよう望むものであります。  さらに、修正によって自治体の定める特別の休日制度が復元されることとなりましたが、これは前回の地方自治法改正自体の不備を回復するものであり、立法府の責任を改めて果たすものとして高く評価いたします。  このほか、政府原案は、長い時間をかけて与野党間で協議が続けられてきた結果として、抜本的な修正、現行制度の改善が施されており、また、機関委任事務に係る監査規定その他の改正規定につきましても、その運用について政府の確認答弁が行われております。  したがって、立法府の機能は十分に果たされ、審議権は遺憾なく発揮されたと評価をいたしますとともに、修正案提案会派として、今後の運用についても引き続き重大な関心と決意をもって臨むことを改めて表明し、私の賛成討論を終わります。
  187. 森田一

    森田委員長 小谷輝二君。
  188. 小谷輝二

    ○小谷委員 私は、公明党・国民会議代表して、ただいま議題となりました内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案及び四党共同提出の同法修正案につきまして、賛成討論を行います。  地方自治は、住民生活に密着した行政推進の場であり、民主主義の基盤をなすものであります。その意味からも、今回の地方自治法の一部改正案及び修正案が地方自治発展に資するものと考えるものであり、以下、その主な賛成理由を申し述べます。  理由の第一は、国の機関委任事務についてであります。  今回の政府案による職務執行命令訴訟制度の見直しは、いわゆる裁判抜き代執行と言われているものであります。この制度については、これまで継続と廃案を繰り返してきましたが、四党の修正案によって裁判が一回とされたことは、地方自治発展及び国の機関委任事務のあり方からも妥当な措置であると考えます。また、この制度とあわせて地方自治体の長の罷免制度を廃止し、機関委任事務に対する議会検閲検査権及び監査請求権などを認めることについても、地方自治の本旨に基づき議会制度を充実強化するものであり、我が党の主張を盛り込んだものとして評価するべきものと考えております。  第二の理由は、地方自治体の特別休日制度についてであります。  四党の共同修正案で提案しております地方自治体の特別休日制度については、沖縄県の慰霊の日を初め、各地方においてそれぞれ重要な意義を持つものであります。したがって、地方自治体に特別休日の制定権を認める今回の修正は妥当であると考えるものであります。  第三に、地縁団体権利義務についてであります。  地縁団体権利義務については、いわゆる町内会の保有する資産に関して、これまで規定がなかったことから、今回の改正案において法整備ができることは評価するものであります。今後、地縁団体が仮にも行政の下部組織となったり、また、地縁団体へ加入する意思のない住民に対し不当な差別が行なわれないよう申し添えるものであります。  第四に、これまで地方議会団体などから要望が寄せられていた議会参考人制度及び議会運営委員会制度の創設や地方自治体とその地方自治体が出資する関係の深い法人との関係についての改正案など、おおむね妥当なものと考えるものであります。  以上、地方自治法の一部を改正する法律案及び四党共同修正案について賛成の主な理由を述べてまいりましたが、地方自治は、我が国の均衡ある発展と豊かな国民生活実現のために重要な役割を担うものであり、さらに充実に努めていくことを申し述べ、賛成討論を終わります。
  189. 森田一

    森田委員長 吉井英勝君。
  190. 吉井英勝

    ○吉井(英)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方自治法の一部を改正する法律案及び自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党の四会派共同提出の修正案に対して反対の討論を行います。  まず、政府案についてであります。  反対の第一の理由は、国による裁判抜き代執行を可能にし、自治体に対する国の統制を強化するものであるからであります。  砂川事件の最高裁判決は、機関委任事務執行に当たって国の行政機横内部の指揮監督の方法と同様の方法を採用することは、自治体の長の地位の自主独立性を害し、憲法の地方自治の本旨に反するとした上で、自治体の長の地位の自主独立性の尊重と国の指揮監督権の実効性の確保との間に調和を図るために職務執行命令訴訟制度が採用され、裁判所が国の指揮命令内容の適否を実質的に審査することによってその調和が保たれるとしました。ところが、改正案は、現行制度の根幹をなす職務執行命令の裁判、命令違反確認の二つの裁判を省略するばかりか、訴訟の提起を国から地方へ百八十度逆転させているのであります。これは国の指揮命令が適法かどうかは裁判所の判断が必要とした最高裁判決の趣旨にも反し、専ら国の判断で代執行を可能にするものであり、自治体の長の自主性、独立性を全く無視するものであります。  第二は、自治会町内会などに対する行政の介入を強化するものだからであります。  改正案は、自治会町内会に対する市町村長認可制度を導入することによって財産上のトラブルを防ぐというものでありますが、新たな認可制度の導入は、本来自主的自律的な地域組織である自治会町内会行政の下請機関とすることにもなりかねません。戦時中、町内会や部落会が市町村の末端行政組織に組み入れられ、市町村長の指揮監督のもとに国家総動員体制に協力させられましたが、そのときの改正内容に今回と同じ内容のものがあったことは銘記すべきことであり、こうしたことを再び繰り返してはなりません。  第三は、一層の民間委託と料金引き上げを促進するものだからであります。  公の施設管理は、本来地方公共団体が行うべきであります。改正案は、公の施設管理委託の対象を株式会社形態の第三セクターにまで拡大するばかりか、使用料を利用料金といいかえることによって料金決定に関する議会関与をなくし、管理受託者による自由な料金引き上げを容認しているのであります。委託された施設の料金の引き上げは必至であります。  第四は、国による市町村合併に道を開くものだからであります。  第二臨調以来、行政の広域化を理由市町村の合併が政府や財界から唱えられてまいりましたが、住民はもとより、圧倒的な市町村の反対でほとんど進んでいないのが現状であります。こうした中で昨年十二月の新行革審答申が、合併に向けての関係市町村の合意形成のために必要な役割を果たすことを都道府県に要求し、地方制度調査会答申は、一部事務組合の複合事務組合への統合と都道府県知事の勧告制度の設立を提言しました。改正案は、こうした答申を受けたもので、上からの合併促進が市町村の反発を受けたことを考慮して、都道府県に合併促進に向けての積極的な役割を果たさせようとしているものであります。  なお、監査委員に関する事項については賛成できるものでありますが、かねてから政府が改正を約束していたもので遅過ぎたくらいのものであります。  次に、修正案についてであります。  修正案の特別の休日制度に関する部分については積極的に賛成を表明します。また、地方公務員等の在籍専従期間に関する部分についても、七年という上限を設定することには問題がありますが、改正内容には同意できるものであります。これらの部分は政府原案にはないものであり、別途の処理成立させることを要求いたします。  他の修正部分については政府案より改善されており評価するものでありますが、最大の焦点となっている職務執行命令訴訟制度について、制度の根幹である二つの裁判を一つに省略し、現行より後退することは明らかであり、反対いたします。
  191. 森田一

    森田委員長 以上で討論は終局いたしました。     ─────────────
  192. 森田一

    森田委員長 これより採決に入ります。  地方自治法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、増田敏男君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  193. 森田一

    森田委員長 起立多数。よって、増田敏男君外三名提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  194. 森田一

    森田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につて採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  195. 森田一

    森田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 森田一

    森田委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  197. 森田一

    森田委員長 次に、過疎地域活性化特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来各党間において御協議を願ってまいりましたが、協議が調い、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得た次第であります。  この際、委員長から本起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。下水道は生活関連社会資本の中でも最重要の位置を占め、今やナショナルミニマムとなっております。しかしながら、過疎地域における公共下水道整備につきましては、地域の活性化を図るために必要不可欠であるにもかかわらず、千以上の市町村において未着手の状況であり、公共下水道の普及率はわずか二%となっております。このため、過疎地域の活性化を図るとともに、自然公園、上水道水源地域等の広域的な整備の必要性の観点に立って、次のように、都道府県が公共下水道の根幹的施設の建設を行うことができる制度を創設することといたしております。  すなわち、過疎地域における市町村管理する公共下水道のうち、広域の見地から設置する必要があるものであって過疎地域市町村のみでは設置することが困難なものとして建設大臣が指定するものの幹線管渠等の設置については、都道府県計画に基づき都道府県が行うことができるものとし、都道府県が行う当該公共下水道の幹線管渠等の整備事業に係る国の補助の割合は、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律規定の例によるものとすることといたしております。  本案は、平成三年四月一日から施行することといたしております。  本案施行に要する経費としては、平年度約六十億円の見込みであります。  以上が、本案起草の趣旨及びその内容であります。     ─────────────  過疎地域活性化特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  198. 森田一

    森田委員長 この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。西田国土庁長官
  199. 西田司

    ○西田国務大臣 本法律案の提出に際しての議員各位の御協力と御熱意に対し、深く敬意を表するものでございます。  本法律案につきましては、過疎地域の現状にかんがみ、政府としては異存はございません。御可決いただきました暁には、その御趣旨を体して適正な運用に努め、過疎地域の活性化を図るためなお一層の努力をしてまいります。
  200. 森田一

    森田委員長 お諮りいたします。  過疎地域活性化特別措置法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  201. 森田一

    森田委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。  なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 森田一

    森田委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十二分散会