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湯浅政府委員 今回
平成三
年度は、三年に一回の
固定資産税の
評価がえの年に当たるわけでございます。御指摘のように今回の
評価がえは、
土地が非常に高騰したということもございまして、
評価の
上昇率が通常の年に比べてかなり高いということでございます。そういうことを踏まえまして、一つには、特に
個人住宅の
用地につきましてはできるだけ
負担の急増が来ないように、そういうなだらかな
負担調整措置を講ずるということを一つとったわけでございますが、と同時に、この
固定資産税の
評価がえに伴う
増収分を一括いたしまして全額
住民税の
減税に充てるということにしたわけでございます。したがいまして、この
固定資産税とそれから
住民税を納税される
方々は当然のことながら違うわけでございますから、
個人を見た場合に
固定資産税を余計払っている方は
住民税の
減税が余計になる、プラス・マイナス・ゼロになる、こういう性格のものではないわけでございます。
個人住民税の
減税は、マクロとして
地方税の総体の
負担率がこのままでいくと上がってしまうのではないか、ですから、これを何とか
引き下げる必要があるだろうという
観点から、
地方税負担全体の
負担率を下げるという
意味でやるという
考え方。と同時に、それでは一体何の税目でその
負担率を下げるかということになりますと、かねてから
個人住民税につきましては非常に
負担感が大きいということが言われておりますので、この
個人住民税に
焦点を当てて
減税をしていったらどうだろうかということにしたわけでございます。
固定資産税の
評価がえに伴う
増収分の中には
個人以外に法人の
増収分がかなり入っているわけでございますが、その分をすべて
個人の
住民税に充てるということでございますから、マクロ的に見ても、大体
一般的に見ましても
減税の方が大きくなるということは言えようかと思います。しかし、御指摘のように、低
所得者の
方々で
資産を持っておられる
方々は
住民税を払ってないわけでございますから、そういう
方々に対しては
減税の恩典が受けられない、こういうような問題は確かにあろうかと思います。しかし、今申しましたように
住民税の
減税というものは、そういう別の
固定資産税の
負担増をプラス・マイナスで
軽減するんだという
趣旨でやるものでないということでございますから、そういう
意味でいきますと、
個人個人で見た場合にプラス・マイナスで多少のでこぼこが出るということはこれはやむを得ないんじゃないかなというふうに考えるわけでございます。
と同時に、御指摘の
地方団体間につきましても、地価が余り上がってない
地域につきましては
住民税の
減税の方が余計になってしまって増収よりも減収が大きくなるというようなことは、これは当然予想されると思います。こういう点は最終的には
地方財政全体の中で、具体的には
交付税による財源
調整ということによってこれを救っていただかなければしようがないのかなという気がいたします。いずれにしましても、
固定資産税の
評価がえによって出た
負担増を
住民税の
減税でプラス・マイナス・ゼロにするような、そういう
考え方でやる
減税ではないということをひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
それからもう一つの問題は、この宅地の
評価がえによりまして今回かなり高い
上昇率になりました。これを特に
住宅用地についてなだらかな
負担増になるように、従来は三年目には
評価額の
課税になるようにというそういう
負担調整措置を
基本的にとっておりましたけれ
ども、今回は三年になっても
評価額課税にならなくてもやむを得ないんじゃないかというぐらいの緩やかな
負担調整措置をとって、大体五年くらいをめどにして
評価額課税に達するようにしたらどうだろうかという案をお願いしているところでございます。したがいまして、そうなりますと三年を超えた四年目になりますと今度は、次の
評価がえが来るその段階ではまだ前の
評価がえのときの積み残しが残っているというようなことで、
平成六
年度以降の
評価がえについてはいろいろ問題が出てくるんじゃないかという指摘だと思います。
この
平成六
年度の
評価がえにつきましては、かねてから申し上げましたとおり、今度は
土地の
評価の
適正化、
均衡化というものをやはり総合的にやっていく必要があるんじゃないかということで、ことしの一月二十五日の閣議決定によりまして
総合土地政策推進要綱というものがつくられました。その推進要綱の中の一つに、
固定資産税の
土地の
評価につきましては、
土地基本法の
趣旨を踏まえまして、
地価公示価格の
一定割合を目標にして
評価の
均衡化、
適正化を図っていきたい、こういうことが今回の閣議決定でうたわれたわけです。これはかねてから言われております公的
土地評価、地価公示とかあるいは
固定資産税の
評価、相続税の
評価というものがそれぞればらばらに
評価されているのはぐあいが悪いんじゃないか、やはりそれぞれ相互間に均衡をとって
適正化していくべきであるということを踏まえて、この
土地基本法の第十六条においてその相互の
均衡化、
適正化を図るように、こういう規定が入れられたわけでございまして、それを踏まえまして
固定資産税におきましても、
平成六
年度の
土地の
評価がえにおきましては、
地価公示価格の
一定割合を目標にして
均衡化、
適正化を図ってまいる、こういう
考え方で今後やっていきたいと思うわけでございます。
そうなりますと、
評価がかなり高くなる
地域も出てこようかと思いますので、これをそのまま
税負担に反映させますと、これは大変な問題になってこようかと思います。特に
住宅用地につきましては、この
負担の急増というものをどういう形で和らげていくかという問題が当然出てくるわけでございまして、その際には、先ほど申し上げました
平成三
年度の積み残し分も含めまして全体の
負担調整措置をどういう形で持っていくか、その中には
住宅用地の特例
措置が今ございますけれ
ども、そういうもののあり方というものも当然視野に入れながら総合的に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。