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1991-04-17 第120回国会 衆議院 大蔵委員会土地問題に関する特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月十七日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   大蔵委員会    委員長 平沼 赳夫君    理事 尾身 幸次君 理事 大石 正光君    理事 田中 秀征君 理事 村井  仁君    理事 村上誠一郎君 理事 中村 正男君    理事 早川  勝君 理事 日笠 勝之君       浅野 勝人君    井奥 貞雄君       岩村卯一郎君    衛藤征士郎君       狩野  勝君    河村 建夫君       萩山 教嚴君    林  大幹君       細田 博之君    前田  正君       柳本 卓治君    山下 元利君       上野 建一君    小野 信一君       大木 正吾君    佐藤 恒晴君       沢田  広君    仙谷 由人君       筒井 信隆君    富塚 三夫君       細谷 治通君    堀  昌雄君       渡辺 嘉藏君    井上 義久君       宮地 正介君    正森 成二君       中井  洽君    菅  直人君   土地問題等に関する特別委員会    委員長 太田 誠一君    理事 遠藤 武彦君 理事 狩野  勝君    理事 金子 一義君 理事 佐田玄一郎君    理事 前田  正君 理事 小野 信一君    理事 和田 貞夫君 理事 平田 米男君       井奥 貞雄君    古賀  誠君       佐藤 守良君    笹川  堯君       志賀  節君    塩谷  立君       星野 行男君    柳沢 伯夫君       山口 俊一君    伊藤 忠治君      宇都宮真由美君    筒井 信隆君       早川  勝君    細川 律夫君       山元  勉君    宮地 正介君       佐藤 祐弘君    伊藤 英成君       菅  直人君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 西田  司君  出席政府委員         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁大都市圏         整備局長    斎藤  衛君         大蔵政務次官  持永 和見君         大蔵大臣官房総         務審議官    濱本 英輔君         大蔵大臣官房審         議官      日高 壮平君         大蔵省主計局次         長       藤井  威君         大蔵省主税局長 尾崎  護君         大蔵省理財局次         長       田中  寿君         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         大蔵省国際金融         局長      千野 忠男君         国税庁直税部長 山口 厚生君         自治大臣官房審         議官      谷口 恒夫君  委員外出席者         通商産業省立地         公害局立地政策         課長      森本  修君         建設省都市局都         市計画課長   林  桂一君         自治省税務局固         定資産税課長  堤 新二郎君         土地問題等に関         する特別委員会         調査室長    吉沢 奎介君         大蔵委員会調査         室長      兵藤 廣治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地価税法案内閣提出第一七号)      ————◇—————
  2. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより大蔵委員会土地問題等に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出地価税法案を議題といたします。  本案の趣旨説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料により御了承願います。  これより質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上野建一君。
  3. 上野建一

    上野委員 土地税制の問題について、私は建設委員会のメンバーでございますが、連合審査に加えていただきまして、質問させていただきたいと思います。  本題に入る前に、橋本大蔵大臣に冒頭お伺いしたいのでありますけれども、先般、四月十一日の新聞に、新年度は税収が鈍化の懸念がある、それに九十億ドルで予備費が減少している、そういうようなことから歳出の一部を、新聞によっては一〇%と明確に書いてありますけれども予算の中から一部凍結をする、こういう新聞報道がございました。しかし、ことしはアメリカとの約束の四百三十兆円の公共投資の問題などを含めて、いわば大変重要な初年度だと思いますが、その初年度から政府が組んだその予算歳出から一部凍結というのは、どうも穏やかじゃない気がします。  そこで、この「歳出を一部凍結へ」とある新聞報道、どの程度真実で、大臣としてはこれに対してどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 平成三年度予算、先日両院におきまして通過、成立を見、現にこの予算が動き始めたわけであります。しかし、今委員が御引用いただきました報道は必ずしも正確ではございません。  まず第一点として、私が閣議におきまして各閣僚に御協力お願いいたしましたのは、行政経費についての節減留保お願い申し上げたいということでありまして、政策経費について留保あるいは節減といったお願いは申し上げておらないという点が第一点であります。あくまでも各省庁お願いを申し上げたいと考えておりますのは、行政経費についての節減留保でありまして、数字の点につきましてはこれから各省庁と御相談をしながら詰めてまいることになるわけでありますが、我々としてはできる限りの御協力お願い申し上げたいと思っております。  その理由につきましては、今委員がお触れになりましたように、湾岸平和回復活動に対する日本支援措置として、先般、平成二年度補正予算(第2号)におきまして、一兆一千七百億円の湾岸平和基金に対する拠出をお認めいただきました。そして、その財源措置につきましては、一部国民に新たな税負担お願いし、臨時的な税負担お願いしたわけでありますが、それと同時に、政府自身が努力すべきであるという本院を初め各界の御意見をも我々としても参考にいたしながら、平成三年度予算、当初三千五百億円の予備費を計上いたしておりましたものから、他の措置と合わせまして、予備費そのものを二千億円減額いたしたわけであります。  一方、確かに日本経済、非常に底がたい成長をなお維持し続けておりますけれども、一時のように安易に税収増が期待できるといった状況でないことも、また事実であります。さらに、税収見積もりを正しくしろという両院の御指摘に対し、我々としてできる限り精査をし、積み上げました税収をもって平成三年度予算そのものが構築されておるわけでありまして、こうした分野から考えましても、安易に税収増を見込める状況ではございません。  そうした中におきまして、この千五百億円という予備費におきまして、今後の財政需要の中で新たに発生する可能性のあるものすべてをカバーすることは、なかなか困難も多かろうと存じます。そうしたことを踏まえまして、閣議において、今委員が御指摘になりましたような趣旨お願いを私はいたしました。そして、閣議におきまして了承を得まして、今後節減留保措置を各省との間で御相談していきたい、そのように考えております。
  5. 上野建一

    上野委員 行政経費節減を図りたいという趣旨だそうでありますから、全体の重要な政策経費公共投資、特に私ども公共投資の問題を重視しておりますので、その点に影響が出ないようにひとつお願いしたいと思います。  続いて、本題地価税法案の問題に入らせていただきます。  まず、既に今までも指摘があったと思いますけれども税率が大変低い、こういうことが指摘をされ、極端に言う人は、こんな税率なら問題にならないので、ない方がいいという人すら、極言をする学者の人たちもおります。  そこで、この税率との関係において、早期見直しをすべきだという意見が出ています。例えば政府税調会長である加藤寛先生、それから小委員長石弘光さん、こういう方々を先頭に、早期見直しを図るべきだというふうに言っております。しかも、政府税調の最終的な答申の中でも、その点については、「その創設の趣旨に照らし、今後の地価動向固定資産税評価適正化等を勘案しつつ、機動的、弾力的に見直しを行っていくことが必要であり、再び地価高騰の窺える事態が生ずれば、総合的土地対策とあいまって果断に税率控除等見直し、本税に期待されている役割をまっとうさせるべきである。」平成二年十二月ということになっておりますが、これが税調の最終的な答申だと思います。  これは、政府が〇・三%の税率になりそうだということを前提にしての答申だと思います。税調としても大変な妥協をした上でのこの考え方だと思いますが、この法律によりますと、また大臣趣旨説明の中にもありますけれども税率について少なくとも五年以内に見直しをやる、そういう意味のことがございます。ただ、今日の情勢の中で五年というのは余りにも長いように考えられますし、少なくとも五年ということですから、そこに逃げ道があるような気もしますけれども、そうじゃなくて、まじめな意味で、この政府税調の念を押されている点についてこれを実行すべきじゃないだろうか、こう思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  6. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 御指摘でありますけれども、私どもはこの地価税に係ります税率というものにつきましては、土地有利性を政策的に縮減するという観点と同時に、我が国の経済に与える影響、また個々の納税者に対する負担に配慮するという点を総合的に考えながら、平成四年度につきましては〇・二%、以降〇・三%という税率を御提案申し上げておるわけでありまして、これ自体適正なものであると考えております。  さまざまな御意見が世上あることは私も存じております。しかし、そうした御意見の中には、この地価税というものだけで地価抑制効果をねらうという視点からの御論議も多く拝見できるように思います。そして、地価税以外の税制が動かないという状態でありますならば、私は当然のことながら、もっと大きな税率をという御議論にも正当性を与えるものと思います。しかし、今回固定資産税評価適正化などが行われていく。こうしたものと並列で政策的な価値を御判断をいただきますならば、私は、この税率というものが決して妥当性を欠くものではないと信じております。  そうした中におきまして、税制調査会、その御論議の中、そして最終にいただきました意見の中にも数字が入れられておらないということは御承知のとおりでありまして、政府として、今申し上げましたようなことも考えながらこの税率決定をさせていただきました。と同時に、税制調査会からの御意見の中にも、再び地価高騰がうかがえる事態が生ずればとか、あるいは機動的、弾力的に見直しを行うことが必要であるとか、こうした点の御指摘もいただいておるわけでありまして、そのようなことを考えました上で、所要の見直しを少なくとも五年に一度は行えるように、見直し規定を定めさせていただきました。  これにつきましては、その五年が長いか短いかという委員の御指摘でありますけれども、私どもは、平成四年に導入をされました後のその後の実施状況を見きわめる必要のありますこと、また、固定資産税評価適正化平成六年度の評価がえから三年ごとに実施されることになっておりますこと、さらに地価の中期的な動向を見きわめる必要のありますこと等を考えまして、五年という時期を一つの目安といたしまして、少なくとも五年ごとに見直すという考え方をこの中に打ち出したわけであります。
  7. 上野建一

    上野委員 私も、税制だけで土地高騰を抑えたり、地価を下げるというようなことは不可能だと思っております。もちろん総合的なものがありますが、その総合的な中にこの土地税制というのは重要な位置を占めているわけですから、その重要な位置を占めているこの土地税制で〇・三%、初年度は〇・二%というのはいかにも少ないじゃないか、こう思うわけなんです。  しかも、その点については、私どもが申し上げるだけじゃなくて、政府税調に昔からかかわっている加藤会長やあるいは小委員長である石さんとか、こういう方々がそういうことを申し上げているわけで、これはやはり尊重すべき意見だろう。この方々の言っていることは、私どもから言わせれぱ、どちらかというと政府寄りだというふうに今まで思っておりますし、そんなに住民の立場とか国民全体の立場に立っているとは考えられない、そういうふうに思っておるのですが、そういう方々が言っておるわけですから、私は、やはりこれはなるほど低いというのは本当だなということを強く感ずるわけです。  しかも、首都圏の周辺では三〇%ばかり地価公示価格が上がっている。これは国土庁長官が一番よく知っているわけですけれども、その上がっている場所は、職場から二時間くらい行ったところが上がっているのですね。ですから、これはやはり大変なことで、やっと土地が買えるかなと思っているところがまた上がっている、こういう実態がございます。  そんなことを含めて、税率のこの額は低い。これは低くないんだ、こういうふうにおっしゃっておりますが、私もそういう意味では総合的なものであることは間違いないと思います。ただ、いかんせんこれは低いということだけは、大臣の言うようにこれは適当だとは考えられない、こういうことであります。  そこで、総合的な国土利用政策推進をやらなければならぬわけですけれども、この点については、総合的な土地利用政策推進ということの中身として、国土庁長官、どういうふうにお考えになっておるか、中身をお聞かせ願いたい。  それから二つ目は、都市計画上の土地利用規制です。これがやはり再検討されてしかるべきだというふうに思います。  その次に、投資抑制のために土地取引に対する規制、それから土地関連融資規制というのが大事だと思いますけれども、この点についてはどのようになっておるのか。特にノンバンクの場合にどのような効果があらわれているのか。ノンバンクの場合は規制外に置かれているように思います。一定規制はもちろんあると私は思いますが、依然として貸付総額が大きい、こういうふうに見られておりますけれども、その点についてはどうだろうか。とりあえずその点お聞きいたします。
  8. 土田正顕

    土田政府委員 土地対策についての幅広い御質問でございます。とりあえず金融面につきまして御説明を申し上げます。  この不動産融資規制につきましては、私ども昭和六十一年以来、投機的な土地取引につながるような融資は厳に抑制するということで、指導、ヒアリングを繰り返してまいったわけでございます。その後昨年の四月から、いわゆる総量規制というものを導入をしております。この総量規制が相当な効果を上げておる、地価鎮静に役に立っておるというような認識は次第にいただいておるように思うわけでございます。  次に、ただいま御指摘がございましたノンバンクの問題でございます。このノンバンクが行う土地関連融資につきまして、金融機関に準じたような総量規制導入するというようないわば直接規制方法は、現在の貸金業規制法の制約上困難でございます。現在の貸金業規制法は、どちらかと申せば、資金需要者等利益を擁護するという消費者保護立法でございまして、この融資について、融資あり方を直接コントロールできるような規定にはなっておりません。しかし、私どもは、この土地問題の重要性にかんがみまして、その資金供給者の大宗は金融機関でございますから、その金融機関を経由する間接的な方法で、可能な限りその適正化を図るべく努めてまいったところでございます。  ただ、このような方法につきまして、さらに改善する余地がないかどうかということも研究課題になっております。ことしの一月の総合土地政策推進要綱という閣議決定などにおきましては、いわゆるノンバンクたる貸金業者土地関連融資についてもその実態把握し、より実効ある指導を行えるような方策のあり方について検討すべきであるとされているところでございまして、どのような方法がよろしいか、貸金業規制法などの法的整備を行うことの適否についても検討したいと考えております。
  9. 西田司

    西田国務大臣 地価税評価の問題につきましては、大蔵大臣から詳細御報告があったところでございます。土地政策全般にわたる観点から、私の方から考え方をお答え申し上げたいと思います。  お話にもありましたように、土地対策地価対策というのは、税制のみでその効果を上げるということはなかなか困難でございまして、これは総合的な対策の中で取り組んでいくべきものだ。土地税制以外の土地対策を含め、各般の施策を総合的に実施することが大変肝要である、このように考えております。このため、去る一月二十五日には、御案内のように、土地基本法を踏まえました今後の総合的な土地政策基本指針といたしまして、総合土地政策推進要綱閣議決定したところでございます。  今後におきましては、この要綱に従いまして、まず第一番目に土地神話の打破、それから二つ目には適正な地価水準の実現、すなわち、適正な地価水準への引き下げを目標としております。こういうことをやっていきますために、税制金融土地利用計画等について、構造的かつ総合的な対策というものを一層強力に展開を図っていく必要がある、そして、その目標を達していかなければいけない、このように考えておるわけでございます。
  10. 上野建一

    上野委員 土地というのは公共のために有効に利用されるべきものなのですけれども、それが資産保有の手段とかあるいは投機の対象になっている。土地ほど有利な資産はないというこの土地神話はやはり打ち破らなければならぬわけで、そういう意味では、今銀行局長お話ございましたが、総合的な規制も検討しているというふうに聞こえたのですが、一方で金融機関並みの検査あるいは土地融資に対する報告義務とか、これはノンバンクの場合はどうなのですか。できるのですか、またやる気はあるのでしょうか。
  11. 土田正顕

    土田政府委員 このノンバンクというものの位置づけでございますが、現在は貸金業規制法という法律がございまして、それで貸金業を営む者につきまして一定行為規制を課し、それから報告徴収及び立入検査の規定を設けてございます。ただし、規制法目的は「資金需要者等利益保護を図ることを目的とする。」というふうに書かれておりまして、その法律のねらいとするところは、例えば契約を書面によって条件を明示するとか、それから行き過ぎた取り立て行為を防止するとか、そのようなところに主眼があるものと考えております。  そこで、今後のあり方についてのお尋ねでございますが、実は金融機関並み把握をすることは困難であると考えております。と申しますのは、金融機関なり証券会社なり保険会社なり、いわゆる免許業種はその行います業務全般について一定の制限があり、その業務のすべてについて監督権が及ぶという構成でございます。ところが、貸金業を行っております会社は、確かに貸金業も行っておりますけれども、そのほかにいろいろな業務、例えばリースや信販のような金融関連業務もございますし、物品販売のような仕事をすることもできますし、いろいろな業務を幅広くあわせ行うことができるわけでありまして、そのような業務を総体として把握し、これをコントロールするということはできないのではないかと考えておるわけでございます。  それで、問題は、その業者貸金業を行うその部分について、どの程度規制が適当であるかというようなことであろうかと思っておりますが、その点につきましては、昨年来の土地融資問題の中におけるノンバンク融資位置づけをどのように考えるかというような問題を中心にいたしまして、その実態把握方法などとあわせていろいろ考えてまいりたいと思っております。
  12. 上野建一

    上野委員 銀行並みには無理だと言う。それから、物販をやったりしておるしということなのですが、しかし、大きなところは、大筋はどうなのでしょう、銀行系列下にあると考えていいのじゃないでしょうか。また、銀行から流れていくから、一般の金融機関から行くから金が持てるので、そうすると、土地に対する融資についてだけは報告義務を何か持たせるようなわけにいきませんか。そこのところだけでも何かできませんか。
  13. 土田正顕

    土田政府委員 ただいま御指摘の論点は二つあると思います。  一つは、銀行系列下にあるのであろうかということでございます。それにつきましては、私どもも限られた情報しか持っておりませんが、銀行系列下にあるものも多数ございます。しかし、必ずしもそうとも言えないものの方がむしろ多数でございますし、それから、現実に大型ノンバンクの行っております貸付金の残高は、二兆円とか一兆円とかいうものに上っておるものがございます。このような大型会社について、銀行系列下にあり、銀行がコントロールできるようになっているということは、あながち申せないのではないかと思います。したがいまして、銀行を通じてその業務実態について報告をとるということは、私どもこれまでも及ぶ限りいろいろ試みてまいったわけでございますが、しょせん限界がございますので、より実態を明確に把握しようとすれば、貸金業者が行っております貸金業部分の営業の実態などについて、直接報告をちょうだいするというようなことも考えられるわけでございます。  ただ、先ほど申しましたような貸金業規制法目的からいたしますと、年一回報告をとる程度のことは現在も実効上やっておりますが、さらにこれを詳しく、例えば貸出先業種別とか担保別とか、そのようなところまで立ち入った報告をとることは、現在の貸金業規制法では困難ではないかと思っておりますので、今後この問題をどのように整理したらよいかにつきまして、最初に申し上げましたような法改正適否をも含めて検討しておるところでございます。
  14. 上野建一

    上野委員 今局長が最後に言われましたが、貸金業に対する法の改正をやらなければいかぬだろうというように私も思います。その辺のところはぜひ御検討いただいて、やはり土地対策というのは他の業務から切り離して、特別な一つのものとして対策を立てないといかぬのじゃないだろうか、こう考えられますので、そういう観点から法の改正もひとつお願いしたい、こう思っています。  そこで、総合的な対策との関連で、公共用地との関係もございます。特に今、遊休地、未利用地の問題がございますが、まず国有地の場合に、大蔵省が四月八日に発表されたのを見ますと、三大都市圏で七百カ所、全部では二千あるそうですけれども公務員宿舎用地その他利用されていないものがある。これから高層化のねらいもある、そういう発表を見ておりますけれども、この国有地の中で有効的な土地利用考える、そういう観点で今度の調査をされたのか。そうだとすると、この国有地の未利用地についてはこれからどのような対策を立てられるのか。その中で私どもは、この土地の問題あるいは公共用地住宅用地の確保のためには、地方自治体が非常に重要だと思います。したがって、地方自治体に優先的に払い下げあるいは貸し付けその他のことが考えられないかどうか、この点もお伺いしておきます。
  15. 田中寿

    田中(寿)政府委員 先般、四月九日の土地対策関係閣僚会議に、これまでやっておりました大都市地域における国有地使用状況の点検の結果を御報告をさせていただきました。これは、平成元年十二月の土地対策関係閣僚会議の今後の土地対策の重点実施方針の中で、大都市地域国有地につき点検等を行うという申し合わせがございましたので、それを受けて鋭意作業を進めてきた結果を取りまとめて御報告したわけでございます。  この点検の対象は、現に使用しております国有地、その使用状況が果たして効率的かどうかという観点から点検したわけでございますので、そういう意味では、現に使用しております国有地、行政財産の使用状況をねらいとしてやったわけでございます。ただ、その報告の際に、あわせまして大都市圏三圏におきますところの行政財産以外の普通財産の未利用地状況も御報告を申し上げました。特にその中の未利用地は、宅地及び宅地となる可能性の高い土地でありまして現に未利用地になっているもの、したがいまして、普通財産でも、米軍に提供しておりますものですとかあるいはいろいろ物納でありますとか、あるいは戦後引揚者等に住宅用に貸し付けたそういう意味での貸付財産になっておりますものでありますとか、地方公共団体に貸し付け中のもの、そういった現に使われておりますものを除きました未利用地を御報告したわけでございます。これが先生御指摘のとおり、三圏で七百十九・七ヘクタールということでございます。  さて、この未利用地につきましては、私ども国有地の利用の方針は、公用、公共用を優先してやっておりますので、そういう観点から、今後の利用あるいは必要な公共用地、公用地の確保という観点もにらみ合わせながら進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、先生御指摘の地方公共団体に積極的に払い下げるべきではないかという御指摘でございますが、公用、公共用を優先にしておりますので、これまでにおきましても、例えば平成元年度の未利用地大蔵省一般会計所属の普通財産の売り払い実績を見ますと、金額にいたしまして九九%、面積にいたしまして九七・五%が地方公共団体及び地方公共団体の関係する土地開発公社でありますとか住宅供給公社等に払い下げているところでございまして、今後ともこれまでのとおり、公用、公共用を優先にしながら、また公共用地の確保ということもにらみ合わせながら、この利用、処分等を図ってまいりたい、かように考えております。
  16. 上野建一

    上野委員 じゃ、この七百カ所についても公共の用地として地方自治体に優先的に考える、こういうことですから、大変結構なことだと思います。  そこで、未利用地については国土庁が調査をされたのがございますけれども、これは民間のも入っておりますね。たしか民間のも含めて調査をされていますが、この内容はどうなんでしょう。ただ、私どもの聞いたところでは、そのうちの民間で買った土地の五〇%は何かに使うという計画じゃなくて、資産として考えておる、そういうことだそうです。しかも、これは決して強制的な調査じゃなくて、アンケートで各企業にやってもらった。自主的に申告したものですが、それでも五〇%はいわゆる資産としての土地になっている、こういうことですから、大変膨大だと思います。この点について、国土庁はこれについてはどういうようなことでこの調査をされたのか。もちろん、ただ調査のための調査ではないでしょうから、この未利用地をどう活用しようとするのか、この点を聞かせていただきたいと思います。
  17. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 国土庁では企業の土地取得状況等に関する調査といたしまして、御指摘のとおり毎年企業を抽出いたしまして、アンケート方式によって土地の保有状況調査しているところでございます。この調査結果によりますと、昭和六十三年度に事業用の土地として取得、保有されているもののうち、全体で六%程度が未利用となっておるわけでございます。この六%の未利用の土地について今後の具体的な利用計画を問いましたところ、その八割程度が購入時から全く利用の計画を持っていないという回答であったわけでございます。ただ、平成元年度の調査によりますとこれが相当落ちておりまして、七割程度となっております。そういうことで、ここしばらく、やはり企業におきましても土地の有効利用に関して非常に関心が高まってきているのではないかというふうに理解しておるところでございます。  また、全般的に有効利用が望まれる大都市地域におきまして、遊休土地の存在というのは問題だと考えております。国土利用計画法におきましても遊休土地制度というのがございまして、一定規模以上の土地を取得後二年以上遊休地の状態で放置した場合には、私どもの方では調査、追跡いたしまして、利用計画の提出を求め、必要な指導助言を行いますとともに勧告等も行える、そういうことでございますので、こちらの方の制度も厳正、的確に運用してまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  18. 平沼赳夫

    平沼委員長 大蔵省、何か補足がありますか。
  19. 田中寿

    田中(寿)政府委員 ただいま売り払いの実績を申し上げましたが、普通財産の利用は公用、公共用を優先にしておりますが、その公用、公共用というのは、もちろん国・地方を通じた全体としての公用であります。地方でお使いいただく場合の、国関係者以外の売り払いの場合の実績を今申し上げましたので、あくまで国・地方を通じた全体としての公用、公共用であるということを御理解いただきたいと思います。
  20. 上野建一

    上野委員 時間の関係もありますので、未利用地についてこれ以上申し上げませんが、ただ、土地の問題について総合的な対策ということを考えますと、土地に関する情報の公開が重要じゃないだろうか。これはもう力でやるのじゃなくて、土地利用の情報を公開することによって相当な規制がかかる。これは企業についても企業としてのモラルの問題も問われますし、それから国なんかでは一体何をやっているんだという批判にも通ずるわけで、そういう意味では法律や何かで規制だけじゃなくて、こういう土地の情報についての公開をしていく。例えば国土庁で調査をされたあるいは大蔵省での調査をもっと大衆的に公開をしていく、そういうことにも通じてこの総合的な土地対策の一環を担うのじゃないだろうか。私はこの情報の公開というのは非常に重要だと思います。もちろん部分的には今も発表されていますけれども、本格的な公開を特に要望しておきたい、こう思います。  そこで、この土地基本法との関係で、それをある意味では補完するということにもなりますし、その内容を実態的に進めているのが静岡県掛川市の土地条例だと思います。これは土地憲法と言ってもいいぐらいの内容を持っております。大変自治体としての意気込みも感じられますし、それからもう既に今二百以上の自治体から参考にしたいのでというので問い合わせが殺到している、こういうことのようであります。まだ正式に市議会で決まっているわけじゃありません。この春に決まるようでございますけれども、そういう土地条例、私は大変立派なものだと思いますが、建設省とか国土庁、大蔵省はこの掛川市の土地条例についてどのようにお考えをされているのか。私は、国は協力してこの掛川市の土地条例の中身を生かしていくべきじゃないか。そのことによって土地基本法が補完される。もともとこの土地基本法というのは宣言法と言ってもいいぐらいのものですから、その内容については条例で補っていく。先ほども大蔵大臣が総合的なことが必要だと言われましたが、まさに総合的な中の一環だと思いますので、まずこの掛川市の土地条例についてどのようにお考えか、それぞれの役所にお伺いしたい、こう思います。
  21. 林桂一

    ○林説明員 御説明いたします。  掛川市の生涯学習まちづくり土地条例というものが提案されているわけでございますが、これは私どもの承知している範囲では、快適で良質な町づくりの観点から、市長が特別計画協定促進区域というものを指定いたしまして、その区域の中におきまして、住民あるいは地権者が主体となりましてまちづくり計画案を策定する。さらに、市長との間で当該計画案を推進するためのまちづくり計画協定というものを締結する。この協定が締結された区域内におきましては、その協定に基づきます土地利用が図られるように、市が規制、誘導を図っていくというような内容であるというふうに聞いております。  都市計画上の観点から申しますと、このようなある一定の区域におきまして住民、地権者に対しましてまちづくり計画案、まあ都市計画の案といいますか、そういうものの策定を義務づけているということと、それからさらに、まちづくり計画協定というものを地権者あるいは住民と市長との間で結ぶことによりまして、いろいろ土地利用規制がかかるということでございますが、その規制の内容が権利移動の届け出を含む非常に多様なものになっているというようなことが大きな特色ではないかというふうに考えているところでございます。  この条例に対しましては、土地利用規制上の種々の法制度上の問題もないわけではないというふうに考えておりますけれども、しかしながら一方で、地域住民の意見の反映など地域の特性に対応した新しい町づくりの手法として評価できる面もありまして、現在都市計画中央審議会に対し、建設省としましても経済社会の変化を踏まえた都市計画制度はいかにあるべきかという諮問をいたしておりまして、幅広く都市計画制度の検討をお願いいたしているところでございますけれども、このような掛川市の事例も参考にいたしまして、住民とのかかわりを含めた詳細な土地利用計画の策定推進方策といったものについても検討していきたいというふうに考えているところでございます。
  22. 西田司

    西田国務大臣 土地基本法におきまして、国及び地方公共団体は、土地についての基本理念を踏まえまして土地に関する施策を総合的に策定し、これを実施する責務を有するとされておるわけでございます。  そこで、御質問にありました掛川市の例に見られるように、最近幾つかの地方公共団体が条例の制定等を通じて土地対策への積極的な取り組みを見せておりまして、国土庁といたしましても、こうした地方公共団体の姿勢を高く評価をいたしておるところでございます。地方公共団体における土地関係条例の制定については、今後とも既存の法制度との整合性を図ってもらうとともに、地元住民や関係地方公共団体の理解を得ながら適切な取り組みが行われることを期待しており、国土庁といたしましてもこうした動きを積極的に支援をしてまいりたい、このように考えております。
  23. 上野建一

    上野委員 掛川市のこの条例については、今国土庁長官が大変高く評価をされておる、こういうことだけで結構なことでございます。どうか具体的にこの条例の趣旨が生きますように御支援をいただきたい、こう思います。そして、これをきっかけにして、全国的に住民の参加のもとに私的所有を公共のために利用する、そういうことになりますように御努力をお願いしたい、こう思います。  時間の関係がありますので、地価税について最後にもう一つ申し上げたいのは、大臣は先ほど税率については決して低くない、こういうふうにおっしゃいましたが、これは私は納得はできません。  もう一つ、基礎控除の額が十億円という非常に高い金額になっています。これも高くないとおっしゃるかもしれませんが、どうも社会的常識、それからせっかく地価税法を創設をされるなら、税率が低い、基礎控除が高い。しかも、おまけがついていまして、一平方メーター当たり三万円の基礎控除、こうなりますと税制効果が大分後退するんじゃないかと心配なんですけれども、その心配はないのか。  それから、この税法で税収を幾ら、初年度〇・二%では幾ら、来年度からは幾ら、この見込みをひとつ知らしていただきたいのです。
  24. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 基礎控除につきましては、御指摘のとおり金額で十億円、個人と中小法人につきましては十五億円ということになっておりますが、その定額控除と、それから、課税土地面積に三万円を掛けましたいわゆる面積比例控除のいずれか大きい方の金額を基礎控除するということになっているわけでございます。  この水準が非常に高いのではないか、それによって効果が減ぜられているのではないかというお尋ねでございましたが、しかし、この地価税目的が、土地資産としての有利性を縮減するという観点に立ちますほか、個々の納税者に対します負担でございますとか我が国経済に与える影響にも配慮する、それは税制調査会答申等でも指摘されている点でございまして、その両者を勘案いたしますと、このようなところの水準がよろしいのではないかというように考えたわけでございます。  それで、我が国の土地保有の状況考えますと、宅地が国土の大体四%程度でありますけれども、その宅地が価格の面でいいますと国土全体の土地価格評価額の八割程度を占めるというような状況でございまして、非常に限られた地域に高い土地がある。そこが一番の問題でございますので、このような水準の控除によりまして課税をいたしましても、そういう特性とあわせて考えますと、相当の効果を上げ得るものと考えております。  それで、税率〇・三%、それから〇・二%によりまして税収がどうなるかというお話でございますが、評価額、土地の利用状況、その他平成二年度の状況を前提といたしまして、平年度ベース〇・三%で三千億から四千億円ぐらいの税収ではないかというように考えております。したがいまして、〇・二%のときにはその三分の二、二千億から三千二、三百億というような水準のところであろうかというように考えております。ただし、これはあくまで平成二年度の状況を前提としていることでございまして、今後の評価水準等の変化あるいは土地利用状況の変化によりまして、また異なったものとなってくるという点はぜひ御了承をいただきたいと存じます。
  25. 上野建一

    上野委員 この地価税法については、先ほど申し上げました税率の問題、控除の問題をできるだけ早くぜひひとつ再検討いただきたい、このことを要望しておきます。  大蔵大臣が出席のいい機会でありますので、最後にちょっとお聞きしたいことがございます。  実は、私どもにこの「ドキュメント小糸製作所」という本を配ってまいりました。アメリカのピケンズという人が「これが日本株主総会の実態だ!!」という大変ショッキングな内容であります。株主総会の中身については、私どもも株については無縁の存在ですけれども、全然知らないわけじゃない。改めてこういうふうにやってみますと、日本の証券界というのはあるいは企業というのは、国際的な立場を強調されている中で大変古い体質を依然として持っている、そういうふうに考えられます。  特にこのピケンズ氏というのは小糸製作所で最大の株主で、二六%買ったとされています。ところが、この株を買う段階からかなり排除の体制が証券界ではあったというふうになっている。それはいわゆるグリーンメーラーという買い占めで、それで一定のところに来たら売ってしまうのだ、こういうふうに決めつけて対処したようですけれども、ところが、ピケンズ氏というのはそうじゃなくて、安定株主として日本の企業に参加したいのだ、こういう立場をとっているようです。したがって、それを定款に入れてもらってもいいとまで言っているわけですね。売らないのだ、こう言っております。そういう意味では古い体質というものが証券界に当初からある、こういうふうに考えられますけれども、これは自由経済といい、それから国際化という中では、どうもピケンズ氏の言う方が私は理があるように思います。  そこで、二月六日の新聞報道によりますと、証券取引審議会、大蔵大臣の諮問機関ですけれども、その審議会の中の不公正取引特別部会というのがあって、そこで証券会社業務規制強化、それから証券会社の誠実公平義務をこれから明記しなければだめだ、こういうふうに答申があったというのが報道されております。そうすると、この中身について一体どういうことになっているのか。この中にあるのは、一任勘定取引を制限するということになっておりますが、そのほかにもいろいろと証券界内だけの、いわゆる株を買う立場の顧客に対してよりも証券会社を守るといいますか、そういう立場の方が重視をされているように思うのですけれども、この審議会の答申との関連、このピケンズ氏との問題について、大蔵大臣、この本読まれたですか。——読んでないですか。それじゃ証券界の民主化といいますか、この審議会の問題だけで結構ですが、お聞かせいただきたいと思います。
  26. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 証券界の古い体質の問題について御指摘がございました。証券界、非常に大量の資金調達が行われる場に成長してまいっております。そういう証券界の役割を考えますと、いつまでも旧来の古い体質のままでいることは適当でないというふうに考え指導をしてまいっております。  お尋ねの不公正部会の問題でございますが、これは実は証券監督者が国際会議を持っておりまして、その国際会議の場で証券業者のいわば行為規範のようなものの議論がなされた結果、取りまとめが行われたわけでございます。その行為規範の中に、今御指摘ございました例えば証券業者の誠実、公平、公正の問題とか、あるいは顧客に対して十分情報を提供しろとか、あるいは顧客の資力を十分知った上で投資介入を行うべきだとかというような幾つかの原則が決められているわけでございます。  私ども、それを受けまして、証券取引審議会の不公正取引部会で、これを日本に適用するにはどういうふうにしたらいいのか。この行為規範というのは、あくまでも証券業者が投資家あるいは証券市場を利用する資金調達者、投資家を含めてそういう人に対して適正に仲介業務を行うという観点から決められたものでございます。それで、不公正部会で議論をいただきまして、幾つかの点については現在の法制上、法律に明記すべきではないかというような御指摘もございます。あるいは証券業協会の自主的なルールというようなものも活用するということも御指摘をいただいているわけでございまして、私ども、そういう不公正部会の報告を受けまして、証券取引法の改正の機会にぜひこの点についても明確に、法律に入れるべきものは入れていきたいというふうに考えているわけでございます。
  27. 上野建一

    上野委員 この株主総会のあり方などを含めて、ぜひ株主保護といいますか、株主にもいろいろありますけれども、例えば一株でも株主には違いないわけですから、そういう株主を保護するという立場が余りにも欠けているように思われますので、特に株主総会のあり方など、これは本当に私ども聞けば聞くほど不思議な社会といいますか、もう民主主義の民の字もないような状態がございますので、ぜひ改善をお願いしたいと思います。  そこでもう一つ、この問題で少し勉強さしてもらったら、実は株の取引の中に信用取引というのが、問題としてこれは大変重要な問題でしょうけれども、現物株を金が足りないときに信用買いをする、こういうことでありますけれども、これはどう考えましても、信用取引といいながらも裏づけとしては現物があるわけですね。なければおかしいわけです。それがない場合には日証金などの会社がそれをまた保管をする、こういうことになっているようですが、たまたま起こったのを聞きますと、実際これはあったそうでありますけれども、株が不足したので、せっかく買ってあって金を払おうとしても現物はくれない、こういう事態が、それは数多くあるわけじゃないでしょうけれども、あった。  ところが、それをカバーすべき日証金も手を上げちゃったという中で、ここで私が不思議に思うのは、信用売りといいながら担保のお金を取る。現金または証券でやるということなんですけれども、その場合に証券会社の方の都合で株を持ってこれない、現物と交換できないのに、それ以後も利子を取るというやり方が続いている。これはどちらかというと、現物を渡せない側がこれから逆に払わなければならぬと思うのですけれども、この点についてはどうでしょうか。  それから、その関係では、証券の場合も現金の場合も、信用買いをしてから利子を同じように取るのですね。一〇〇%取るのです。三〇%なり五〇%の金を担保に取っておきながら、それでその利子は証券会社に入りながら、残りの一〇〇%、保証金と全然関係なく一〇〇%利子を取る。これはちょっと不合理きわまりないと思うのですけれども、これが公然と行われている。しかも今度は、株を買えば、現物をくれといって現物が来ればもうそれで終わりのはずなのに、現物がないといって依然として利子は取る。ちょっと常識じゃ考えられないのです。株主の側から言わせるとこれはひどい、こう言っているのですが、これはいかがなものでしょうか。
  28. 松野允彦

    ○松野(允)政府委員 信用取引のお尋ねでございます。  投資家が信用取引で株を購入いたしまして、その投資家がその株を引き取りたいということになった場合には、証券会社は御指摘のありました日証金あるいは何らかの方法で株を調達をするということになっているわけでございます。通常の場合にはその調達は可能なわけでございますが、中には非常に小型の銘柄であって、かつ特定の投資家による買い集めが非常に急速に進むというような異常な場合に、株を調達できないというような事態が生ずるわけでございます。そういう事態を防ぐために、取引管理を行ったりあるいは信用取引規制を行ったりしているわけでございますが、急速に進む場合にはなかなかそういう事態を避けがたいということが現状でございます。  その場合に、証券会社が株を調達できないうちに信用取引の弁済期限が来てしまうというようなことも起こり得るわけでございまして、そういう場合に金利を取るというのはいかがかという御指摘でございます。個々の顧客の事情によって、証券会社と顧客との間の話し合いで基本的には解決すべき問題だろうと思うわけでございますが、一般論といたしましては、確かに御指摘のような不都合な点もあるわけでございまして、私どもとしても、そういう証券会社が株を引き渡せないということによって弁済期限が過ぎるという場合については、金利を取るのはいかがかというような考え方証券会社に伝えておりまして、それを踏まえて証券会社も各顧客とのお話し合いを進めているというふうに考えております。
  29. 上野建一

    上野委員 委員長、済みません。時間がなくて、最後にもうちょっとお願いしたいのですが……
  30. 平沼赳夫

    平沼委員長 もう質疑時間が終了しております。
  31. 上野建一

    上野委員 済みません。最後に、今の中で、株の取引の場合に、現品をくれと言った場合によこさないんだから、そこからもう既に利子の問題というのはストップしていいのじゃないでしょうか。それが逆でしょう。しかも日証金みたいな会社があって、これが調整するのが当たり前ですから、株がないならもう売らなければいいのですよ。だから、そこのところの日証金がやるべき仕事、しかも、今日のようにコンピューターその他がある時代に、そのくらいのこともできないというのはどう考えてもおかしいと私は思います。したがって、この点についてはぜひ改めていただきたい。私どもは、さらに少し勉強させていただいて、先ほど申し上げた株主総会その他の問題を含めて、改めて質問したいと思います。今、不合理な点もあるということを言っていましたから、その点を一日も早く改めていただきたい、こういうことで、とりあえずきょうは終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  32. 平沼赳夫

    平沼委員長 平田米男君。
  33. 平田米男

    ○平田(米)委員 まず、国土庁長官にお伺いしたいと思います。  土地対策というのは総合対策でなければならない、こういうふうに言われているわけでございます。今回、不十分ながらと申し上げたいと思いますが、地価税法案が提出をされておるわけでございますけれども、今後、都市計画法あるいは建築基準法の改正等、こういう問題の大改正土地政策の重要な柱になってくると思うわけでございますが、大臣として今後の土地政策の対応につきまして所見をお伺いしたいと思います。
  34. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 御指摘のとおり、土地対策は需給両面にわたる総合的な対策推進していくことが非常に重要だと考えております。その中でも今後、税制あるいは金融対策等を含めまして、土地利用計画の整備充実を図っていくことが良好な都市環境の形成やあるいは土地の有効・高度利用の促進、さらには地価対策にも資するという意味で、非常に重要だと考えております。  その整備充実の方向といたしましては、先般閣議決定いたしました総合土地政策推進要綱でも示しておりますように、大都市圏整備計画等の広域的な計画の充実や町づくり、地域づくりの指針となりますマスタープランの充実、さらには、これらを踏まえた都市計画の詳細性の確保等を図っていくことが非常に必要であると考えております。このため、マスタープランや地区計画の策定を積極的に推進いたしますとともに、用途地域制度や建築物の規制、誘導等について検討を進めまして、適正かつ合理的な土地利用の確保を図っていく必要があると考えているところでございます。
  35. 平田米男

    ○平田(米)委員 大臣からお伺いしたかったのですが、局長からお答えをいただいたということで、一応了解をしたいと思います。  具体的には私は今国会に出るのではないかというふうに思っておりましたところ、お伺いをするところによれば次の通常国会である、来年になるというお話でございます。建設省、おいでになるかと思いますが、その改正の概要あるいは今後の見通しにつきましてお伺いをしたいと思います。
  36. 林桂一

    ○林説明員 去る一月二十五日に閣議決定されました総合土地政策推進要綱にもありますように、土地問題の解決のためには、税制金融土地取引規制の施策とともに、土地利用計画の充実等、土地に関する各般の施策を総合的に実施していくことが重要と認識しておりまして、このような観点から、土地利用計画につきましても、これまでも経済社会の変化に合わせて適宜必要な施策の充実改善には努めてきたところでございますけれども、例えば都市計画法につきましても、施行後既に二十年以上経過しておりまして、高度情報化社会の進展による産業構造の変化とか、国際化等による社会構造の変化等の進展、あるいは土地基本法が成立するなど、現行法の施行当時とは取り巻く環境がかなり変化しているという認識を持っております。  こうした状況を踏まえまして、本年一月二十三日に都市計画中央審議会に経済社会の変化を踏まえた都市計画制度はいかにあるべきかを諮問して、幅広い検討を進めているところでございます。審議会の審議の経過を踏まえて適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えておりますが、現在検討している項目といたしましては、都市のビジョンの確立のための方策はいかにあるべきかということで、整備、開発、保全の方針等の充実についての検討、あるいは適正な用途規制のための方策はいかにあるべきかということで、用途地域制度あるいは地区計画制度の促進策等についての検討、あるいは土地の有効・高度利用を促進するための方策ということで、大都市地域を中心にします住宅宅地の供給を促進する観点からの土地の有効・高度利用の促進のための施策のあり方等々につきまして検討しているところでございますが、具体的な問題につきましてはこれからの審議会の御検討によるということもございますので、まだこの段階では明らかにできませんけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。
  37. 平田米男

    ○平田(米)委員 一点、建設省にお伺いをしておきたいのですが、今回の地価高騰のプロセスとしまして、商業地が大変な高騰をした、それが住宅地にまで波及をして住宅地の高騰を招いた、こういうふうに言われておるわけでございまして、その商業地等の業務系の地価上昇が居住系に波及をしない、こういう制度をきちっと打ち立てていくことが地価対策として極めて重要ではないかと思うわけでございますが、都市計画法等の改正に当たりましてその点が重要な柱になっているのかどうか、お伺いをできればと思うのです。
  38. 林桂一

    ○林説明員 先生の御指摘のように、近年、大都市の中心部におきます商業・業務系の混在を認めているような用途地域の中におきまして、住居系の土地利用が商業・業務系の土地利用に圧迫されるという事態、そのことによりましてコミュニティーの崩壊とか、学校等の既存公共施設の非効率化とかといった問題が生じていることは十分認識しておりまして、そういったことにうまく対応できるような用途地域等の土地利用規制あり方等につきましても、この審議会の審議の中で検討しているところでございます。
  39. 平田米男

    ○平田(米)委員 抜本的なその点での改正の方向でお願いをしたいと思います。  では、地価税の問題に入らせていただきたいと思います。  大蔵大臣にお伺いをしたいのですが、今回地価税導入されるということでございますが、端的に言って、どういうメリットがあるとお考えでございましょうか。
  40. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 メリットという視点からのお尋ねをいただいたわけでありますけれども、これも委員がよく御承知のように、土地基本法の理念というものを踏まえました中で、土地に対する適正公平な税負担を確保しながら、その資産としての有利性を縮減するという視点から、私どもはこの制度を組み立てたわけであります。  メリットとして、新税が土地資産価値に応じて新たに毎年負担を求めるという問題、また、国土資産額のかなりの部分が宅地に集中している、その宅地の相当部分を少数の者が保有しているという我が国の土地保有状況のもとにおきまして、新税が実質的に大規模な土地保有者に対して適切な負担を求めるという性格を有すること、さらに、新鋭の課税標準とされる相続税評価につきましては、地価公示価格に対する評価割合を引き上げまして適正化を図ることとされておりまして、地価税の実質的な負担水準というものは、今後逆に地価の下落がない限りにおいて、現行の評価水準を前提に、現在一般に想定されておりますものよりもかなり高まるということが考えられること、さらに、この新鋭の導入にあわせまして、固定資産税評価につきましても一層の適正化、均衡化というものが図られるということから、全体として土地の保有コストというものを非常に増大させる。これは有効利用の促進、住宅地の供給促進、さらに地価の抑制、低下などに相応の効果を上げるものと期待をいたしております。  同時に、見逃せないのは、この地価税導入を通じまして、今まで余り土地というものについて考えられていなかった一般国民の中に、保有コストというものについての認識が既に高まりつつあるということは、私は、今後の地価の抑制に資するものとして歓迎をしているところであります。
  41. 平田米男

    ○平田(米)委員 もう一つ、今回の地価税導入によりまして土地情報が大分国に吸い上がってくる、こういうことが一つ挙げられるのではないかと思うのです。その点を少し強調すべきではないかと私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  42. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 こうした点があることはそのとおりでありまして、つけ加えるとすれば、それは私もつけ加えても別におかしいことではないと思います。
  43. 平田米男

    ○平田(米)委員 それでお伺いをしたいのですが、地価税の課税の根拠でございます。今メリットという形でおっしゃいましたが、個人と法人で課税の根拠が違うのではないかという見方も一部あるようでございまして、その辺はどのようにお考えでございましょうか。
  44. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣からも申し上げた点でございますが、地価税は、土地基本法に定められた土地についての基本理念にのっとりまして、公共的性格を有します資産でございます土地に対しまして適正公平な税負担を確保するということ、それにあわせまして、土地資産としての有利性を縮減するという観点から、土地資産価値に応じた税負担を求めるということがその根拠になっているわけでございます。先ほども大臣からお話がございましたように、固定資産税評価適正化等と相まちまして、土地の保有コストが増大されることになりますので、保有コストに対する意識を高めまして、地価の低下、抑制、土地の有効利用の促進などに資することとなると考えているわけでございます。  そういう趣旨に照らして考えますと、保有する土地一定の水準以上のものでございますと、保有者が個人であるか法人であるかということを問わず、負担を求めることが負担の公平という点から見て適切なことであるというように考えている次第でございます。
  45. 平田米男

    ○平田(米)委員 この実態を見ますと、個人に対しては富裕税、そして法人に対しては法人土地保有税、いろいろな根拠で昨年議論されましたが、法人土地保有税という性格を持つのではないか、こういうふうなとらえ方ができるんじゃないかと私は思うのです。大蔵省説明としては、資産価値に根拠を持つというふうにおっしゃいますけれども実態としましては、現実問題としてそういうことになっているのではないかと私は感じてならないわけでございます。  時間がありませんので先に行きますけれども、今回税率を〇・三%、当初は〇・二%とされたわけでございますが、その根拠といたしましては、土地有利性を縮減する、もう一つは事業の継続性に配慮する、こういう二点から〇・三%が適当ではないか、こういうような御説明があるわけでございます。メリットの中でも、大臣がおっしゃいましたが、今回の地価税導入というのは、土地基本法十五条の税負担の公平の確保を図るということが大きなメリットであるし、また柱である、こういうふうな御説明があるわけでございますけれども、我が党は法人土地保有税というのを昨年来主張してきたわけでございます。  その根拠といたしましては、個人には相続税というのがかかっている。しかし、法人というのはもちろん死亡というのはありませんので、相続税という税はないわけでございます。しかし、死亡するとか死亡しないとかということではなくて、土地負担という意味では、個人は相続税という形で大変な税負担がある。それに対して、法人に対してはそれに見合う税負担というものがない。ここに個人と法人の税負担の不公平があるのではないか。これを是正する意味で法人に土地保有税を課す、こういう考え方を持っておるわけでございます。これにつきましては、基本的に同じ考えだろうと思いますが、国土庁もそういう案を出された経過もあるわけでございます。  ところで、委員長、この表をちょっと示して質問させていただきたいと思いますが、お手元に渡っておりますでしょうか。  これは私が大蔵省の資料等からつくったものでございまして、全部で各六年度の表でございます。一番左側が各年度、それからその次が、順次申し上げますと、その年度の相続税額でございまして、そして課税された相続財産における土地の比率でございます。その比率を掛けますと、相続税が課せられた土地に対する相続税の税額というのが出てまいります。  すなわち、平成元年でいきますと、相続税額が二兆三千九百三十億円、それに対して相続税がかけられた土地の相続財産における比率は六七・四%でございますので、それを掛けますと土地に対する相続税額というのが出てまいります。それが一兆六千百二十八億円でございます。では、そのときのその土地の財産価格、もちろんこれは相続税評価額でございますが、八兆五千七百二十三億円、こういうことになります。そうしますと、八兆五千七百二十三億円の土地財産に対しまして、相続税が一兆六千百二十八億円かけられたということになるわけであります。そうすると税率が幾らになるかといいますと、そこのB分のAということで一八・八%ということになります。これは一世代に一遍にかけられるわけでございますので、もしこれを毎年ならしてかけたとするならば一体幾らが税率になるのか。一世代が二十五年なのか三十年なのか議論がありますが、三十年という長い方で割りますと、一年間の税率が〇・六二六%ということになります。個人はこれだけの税負担があるわけでございますから、法人も同じように土地を持っていることに対して同様の負担をしてもらいたい、これが法人土地保有税の考え方でございます。  そうすると、税率を幾らにするかということになります。個人は〇・六二六%であるわけでございますが、法人の場合は損益通算というのがございますので、実効税率をこの〇・六二六%にするためには、この二倍の税率をかけるのが適当ではないかということになります。そうすると一・二五二%の税率が適当ではないか、こういうような計算になるわけでございます。  これは昭和四十一年から五十年、六十一年、六十二年、六十三年、それぞれ同じような計算をして出したものが一番右側の欄でございまして、六十三年には〇・九七二%、六十二年には一・〇六六%、六十一年には〇・九五二%、五十年には〇・八二〇%、四十一年には一・〇六〇%、ほぼ一%前後にまとまっておるわけでございます。確かに今回は〇・三%ということで税率を決められたわけでございますが、しかし、土地基本法の税の公平化、この精神からいくならば、個人にも実質一%毎年相続税という形でかかっておるのが実態なわけでございます。それを相続税というときにまとめて払うわけでございます。それに対して法人が〇・三%では余りにも不公平ではないか、やはり個人と同じように持ってくるためには、税率を一%まで上げて初めて公平と言えるのではないか、これがこの表の数字が示す事実なわけでございます。  そういう意味から、私は、今までなかった税制を急にぽんと高い税率で出すというのは、これは社会への大きな影響ということを考えますと、適当ではないという考え方も十分納得をするわけでございます。しかし、土地基本法というものを考えた場合には、将来的には一%まで法人に対する課税を上げていく。地価税というものが個人にもかけられておるならば、個人と法人の税率を将来的には変えるという方向性が土地基本法規定に基づく税制改正、あるべき税制ではないか、こんなふうに私は思うわけでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
  46. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、今委員がお述べになりましたその表、同時に、個人の土地というものが相続税対象であるにかかわらず、法人の所有する土地というものが相続税の対象にならないという御指摘、こうしたものが従来からあることもよく承知をしておるつもりであります。  しかし、同時に、法人の企業活動の収益あるいはその資産価値の上昇というものは、個人の保有いたします株式や持ち分の価値に反映するということを考えますと、株式などが個人段階で相続税の課税対象になっておる限りにおきまして、実質的には法人の所有する土地等につきましても、個人株主の相続段階において評価されると考えることができると思います。また同時に、例えば個人が事業を単に廃止なさったという場合におきまして、課税は何ら行われないわけでありますが、法人が事業を廃止、解散するという場合につきましては清算所得課税が行われるわけでありまして、土地の値上がり益も当然課税されるということになるわけであります。  いずれにいたしましても、法人というものが一定目的を持って集まった人の集団でありまして、集団という言葉が適切かどうか、結合体と申した方がいいのかもしれません、これを独立の納税主体として課税されることをもちまして、単に自然人としての個人と同等に扱うということには私はつながらないのではないかと思います。また、居住用地について、生活の本拠に対する配慮として原則として非課税にいたしておりますこと、また、個人や中小企業に対する基礎控除は十五億円、一般法人より割り増しをされていることなどを考えますと、地価税の納税義務者というものは、主として大規模に土地を有している法人が中心になっていると考えられるのではないでしょうか。  今、委員は、先ほどの御自身の計算をもとにされ、一%程度が適当ではないかという御論議から、将来的に個人と法人の税率を分ける、あるいは一%へという御意見を展開されたわけでありますけれども、私ども地価税に関しまして、この税率土地有利性を政策的に縮減するという観点と同時に、まさに委員も私自身の発言を引用されたわけでありますが、我が国の経済に対する影響あるいは個々の納税者に対する負担に配慮する、こうした観点を総合的に考えました結果、現在御審議をいただいている水準が適正なものと考えていることをどうぞ御理解いただきたいと思います。
  47. 平田米男

    ○平田(米)委員 大臣のお立場としては、今そういうふうにおっしゃられるのはわかるわけでございますが、今回も土地高騰の中で一番土地高騰の原因をつくったのはどこか。法人と個人というふうに分けますと、やはり法人だとだれもがおっしゃるわけでございます。  それで、固定資産税の課税をされております土地について統計がございまして、東京都の場合、評価額でいきますと、昭和六十一年度では東京都の土地の三一%が法人の土地であった。それが平成元年度には三五%にまでふえている。四%ふえておるわけですが、四%ということは、三一%に対する四%でございますので、一割以上法人の土地がふえている。相対的に個人の土地が減っているわけでございます。これは評価でございますが、面積でやりましても、昭和六十一年度には東京都の土地の二一%が法人の土地であった。それが元年には二三%、二%ふえている。一割ふえているわけでございます。やはり地価高騰の中で法人の購買力、それによって高い土地が法人にどんどん個人から移っている、これが実態なわけでございます。  たしかに経済の発展ということをおっしゃいます。しかし、日本経済もこれだけ随分発展をしてきているわけでございまして、これから重要なのは、国民の生活をいかに豊かにするか、そのために土地対策をどうしようか、これが政府国民考え方だと私は思うわけでございます。そうするならば、経済経済とおっしゃらないで、まず少なくとも個人と法人を対等にしてください、こういう考え方があるべき姿ではないかと私は思うわけでございます。  今、〇・三%で適正なものとお考えになってつくられたとは思います。しかし、これは見直しも五年以内にはやるということになっておるわけでございまして、では、五年後に何を基準に見直しをするのかと考えなければいけないわけでございますが、そのときには税制の公平というものを大きな柱に、基準にしなければいけないと思うわけであります。そのときに、やはり個人と法人の税負担の公平というものを達成すべき大きな目標として置くべきではないか。五年後に直ちに一%にできるかどうか、これは社会情勢等を考えなければいけないとは思いますが、しかし、〇・三%でとどまっていたならば、少なくとも税制の公平化というのは決して図れるものではない。個人はどこまでも法人から追い詰められていく一方である、この現実の転換はできないと思うわけであります。ぜひ大臣の英断をもって国民土地を取り戻させていただきたい、取り戻す税制をつくっていただきたい。少なくとも法人と対等の立場に置いていただきたい、このように強く希望申し上げたいと思います。いかがでございましょうか。
  48. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから、私は、委員の御議論を全く否定してかかっているのではないということをまず御理解をいただきたいと思います。その上で、個人と法人の性格の違い等を考えますと、私どもなりに、今御審議を願っておりますものにつき適正なものと考えているということを申し上げたわけであります。  同時に、これは日米構造問題協議のときに、アメリカ側と日本側との意見が最初なかなかかみ合わなかった一つの原因でもありますけれども、アメリカにおいて景気政策として使い得る手段は、まさに金利と税制という段階にあります。ところが、日本におきましては、今必死で整備を図り、そして相当充実してきたとは申しながら、社会資本の充実にまだばらつきがあり、欧米のラインから見ますとおくれておる部分がある。その結果として公共投資というものが非常に大きな額になり、一般会計予算等を含めまして、また、日本の景気政策の中に公共事業というものが非常に大きな役割を占めておる。この違いが実は構造協議の最初の段階でお互いに認識をされないままに議論をされましたところに非常に問題がございました。  そうした意味考えてみますと、税制というものは経済政策としても非常に大きなウエートを持つものでありまして、その中におきまして、もちろん個人と法人が不公平にならないという視点は大切なことでありますし、私どもも今不公平にしておるつもりはございませんけれども、その持つ性格というものがそれぞれにやはり相異なるものであることは、御理解をいただきたいと思うわけであります。  いずれにいたしましても、本院において、また参議院において税制について御論議をいただきますその論点と申しますものは、私どもは正確に政府税制調査会にお届けをいたしております。当然のことながら、今の委員の御提起になりました問題点につきましても、私ども税制調査会の方に正確にお伝えをするわけでありまして、今後の検討の中において、そうした観点をも踏まえながらどのような論議を組み立てていくか、私どもなりに今素直にそれを受けとめさせていただいております。
  49. 平田米男

    ○平田(米)委員 今回社宅が非課税になっておるわけでございます。それで、法人の購買力というのは、少なく見ても個人の二倍あるいは四倍程度ある、こういうふうにいろいろな方がおっしゃっているわけでございますが、今回社宅が非課税になるということになりますと、どんどん大法人等が社宅をふやす。そうなりますと個人が持ち家を取得するということが非常に困難になってくる。これも私は個人と法人の税制上の不公平を拡大するものではないかというふうにも思うわけでございますが、今回社宅を非課税とされた理由、また、今申し上げたような問題点につきましてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  50. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 地価税におきましては居住用地は非課税とされているわけでございますが、これはみずから居住する持ち家の敷地だけではなくて、他人の居住用に貸し付けられている貸し家の敷地も、同じお住みになっている方から見ますと生活の本拠であるわけでございますから、千平米を超えるような大きな敷地、その千平米を超える部分を除きまして非課税とするということにしたわけでございます。会社がその従業員に貸し付けている社宅も、従業員の居住の用に供されているわけでございますから、そこはほかの貸し家と同じように考えまして、敷地非課税としたわけでございます。  確かに御指摘になりましたように、会社の所有地でございますから、例えばしばしの間社宅として利用しておいて、いずれまた他の目的に利用するというようなことも考えられないわけではございませんけれども、しかし、今最大の問題が個人の住宅の問題、住宅用地の問題でございます。余り遠くに住まずに、できるだけ職住近接というようなことも求められているような状況でございますので、居住に対しての配慮という点からは、ほかの貸し家と同じように考えてよろしいのではないかというように判断いたしたわけでございます。ただし、その会社が所有しております家を会社の役員に貸し付けた場合には、非課税の対象としないということにいたしておりまして、そこに一線を画しているわけでございます。
  51. 平田米男

    ○平田(米)委員 個人と法人は不公平だという点についてはお答えがなかったようでございますが、やはり問題点として十分指摘すべきことだと思いますので、もう一度お答えいただけますか。
  52. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 法人と個人との公平、不公平の問題、先ほど来非常に示唆に富んだ御指摘を伺っているわけでございますし、重要な問題点として、大臣からお答えいたしましたように、税制調査会にも御紹介を申し上げたいと存じておりますが、今度のその社宅の問題につきましても、所有の問題だけではなくて、現実に供されている目的というのが個人の居住でございますから、そこに重きを置いて考えますとあえて差を設ける必要はない、公平上特に問題を生ずることもないのではないかというように考えたわけでございます。
  53. 平田米男

    ○平田(米)委員 その辺がまだ見解が違うわけでございますので、これをやっておりますと時間がありませんから、次に参りたいと思いますが、やはりもっと個人を大切にするという立場税制でも鮮明に打ち立てるような方向性に大きく変わっていただきたい、私は心からお願いを申し上げる次第であります。  附則の八条に移りたいと思うわけでありますが、平成二年十二月の政府税調答申、年度答申とおっしゃるそうですが、この中では、「とりわけ、土地保有税(仮称)については、その創設の趣旨に照らし、今後の地価動向固定資産税評価適正化等を勘案しつつ、機動的、弾力的に見直しを行っていくことが必要であり、再び地価高騰の窺える事態が生ずれば、総合的土地対策とあいまって果断に税率控除等見直し、本税に期待されている役割をまっとうさせるべきである。」こういう文章があるわけでございます。この附則の八条は文言等については大分違うわけでございますけれども、その規定趣旨は、この年度答申の今申し上げました内容と同一であるというふうに伺ってよろしいでしょうか。
  54. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 御指摘のような税制調査会趣旨を踏まえまして、附則の八条の規定が設けられているわけでございます。確かに表現に若干の相違はございますが、それはただいまお話のございましたような「地価高騰の窺える事態が生ずれば、」というような観点税調答申では強くあらわれておりますけれども、他方におきまして、税調答申でも地価動向のほかに「固定資産税評価適正化等を勘案し」ということもございまして、税率を決める際に、有利性の縮減とあわせて、その負担の問題も考えるというのが税制調査会立場でございますから、そういう面もあわせて考えまして、附則八条のような表現になっているわけでございます。基本的に税調趣旨に沿って書かれているものと御理解いただいてよろしいものでございます。
  55. 平田米男

    ○平田(米)委員 この答申には「地価高騰の窺える事態が生ずれば、」という表現なわけでございますが、私はこれでは不十分ではないかと思うのです。  先般、総合土地政策推進要綱が出されまして、適正な地価水準について述べておられました。「土地の利用価値に相応した適正な水準」であるべきだ、また「特に、住宅地については、中堅勤労者が相応の負担一定水準の住宅を確保しうる地価水準」にすべきだ、こういうふうにあるわけでございます。本来地価税が目指すべきものは、まさにこの要綱に言われた適正な地価水準を目指さなければならないわけでございまして、何も高騰がうかがえるときではなくて、現状のままで果たしていいのかどうか、この適正な地価水準を保っているかどうか、それを基準にして見直しをしなければいけない、私はそのように思うのですが、いかがでございましょうか。
  56. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 法文上は「固定資産税土地評価適正化等」ということで、「等」というのがかなり広い意味に理解されると思いますが、まさに御指摘のように、地価動向でございますとか地価の水準でございますとか、そのようなことをあわせて見直しを行っていくべきだと私ども考えております。
  57. 平田米男

    ○平田(米)委員 それはちょっとお答えになってないわけでございまして、地価動向を見るというのはその年度答申もおっしゃっているわけです。しかし、年度答申がおっしゃっているのは、「再び地価高騰の窺える事態が生ずれば、」というような、地価が安定さえすればいいというような考え方が非常に強くにじみ出ている。私は恐らくこの答申もそういう趣旨ではないとは思うのですが、やはりその辺、その推進要綱の適正な地価水準を目指していく。地価が適正な水準にあるかどうか、地価動向がそれに向かっているかどうか、そういうものを考え見直しをすべきであるとこの附則の八条を読んでよろしいのかどうか、これをお伺いしたいと思うのです。
  58. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 繰り返しでございますが、地価動向等とあわせまして、地価の水準につきましても当然見直しの際に考慮すべきものと考えております。そこは御指摘のとおりだと存じております。
  59. 平田米男

    ○平田(米)委員 それで、この適正な地価水準で、特に「中堅勤労者が相応の負担一定水準の住宅を確保しうる地価水準」とは一体どのくらいなのか、これが具体的に明らかにされなければいけないと思うのですが、これまでいろいろな議事録を見ますと、例えば首都圏では、国土庁の御答弁によりますと、通勤時間は都心から六十分、四人家族で広さは誘導水準の九十平米ぐらい、こういう話がございます。ところで別のところでは、建設省は通勤距離が九十分、広さは六十五から七十五平米、こういうふうにおっしゃっているわけでございまして、具体的な中身はまちまちなわけです。これは大変な違いでございまして、六十分と九十分、面積も九十平米と六十五平米なんというのは大変な違いでございます。この辺はどういうお考えでございましょうか。
  60. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 お答えいたします。  「中堅勤労者が相応の負担一定水準の住宅を確保しうる地価水準の実現」、これは言葉をかえて申しますと、勤労者の住宅取得能力に見合った地価水準とも言えると思うのです。  具体的な想定といたしましては、中堅勤労世帯が持ち家については平均年収の五倍程度、賃貸住宅につきましては月収の二〇%程度負担で、現在供給されている平均的な住宅がいずれの地域でも確保できるような地価水準だということが言えようかと思います。一番環境の厳しい首都圏を例にとってみますと、現在平均的に供給されております新規住宅の規模は、六十五ないし七十五平米程度のものが多いわけでございます。しかし、そういう程度の必ずしも住宅水準としては高くない水準のものでも年収の七・五倍ないし八倍ぐらい、非常に高い水準になっておるわけです。したがって、私どもとしては、とりあえず土地対策地価対策目標としては、現在平均的に供給されている程度のものができるだけ早く五倍程度で確保できるような水準に持っていくことが当面大切ではないか、そういうふうに考えておるわけです。  しかし一方、住宅政策の観点からは、誘導居住水準というのがございます。二十一世紀初頭を目指して、マンションで九十平米ぐらいの水準を確保したいという目標があるわけでございますから、いずれそういう政策目標に合致した住宅が年収の五倍程度で確保できるような環境をつくっていくということは、次の段階の目標として非常に重要ではないか、そういうふうに理解しておるわけでございます。
  61. 平田米男

    ○平田(米)委員 もう時間がございませんので、最後に国土庁長官にお伺いしたいのですが、今申し上げましたが、委員会によっては、国土庁の今おっしゃっておることとそれから建設省のおっしゃっておることが食い違っておるわけです、適正水準ということで。これはやはり政府として具体的に、首都圏の場合は通勤距離はどれだけなのか、通勤時間はどれだけなのか、誘導居住水準に達するのか達しないのか、できればそれはいつまでに実現をしたいと思っておるのか、こういうことは具体的に明らかにしていただきたいと私は思うのですが、そういうお考えはおありでございましょうか。
  62. 西田司

    西田国務大臣 ただいま委員が御指摘になりました点は、大変重要なポイントだと受けとめております。しかし、現時点におきましてなかなか、通勤時間的なもの、それから広さの問題、建設省の考え方、国土庁の今持っております考え方、こういうものをきらっとそこで数字の上で調整をするという段階に至っておりませんけれども、そのことにつきましては鋭意今後両省庁間で検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  63. 平田米男

    ○平田(米)委員 自治省に来ていただきまして、時間がなくなりまして質問ができないことをおわびいたしまして、以上をもちまして質問を終わります。
  64. 平沼赳夫

  65. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今日の異常な地価高騰を招いた原因につきましては、東京一極集中あるいは規制緩和の政策、不動産業向けの過剰融資の問題でありますとか土地投機、いろいろな点が昨年来議論をされてきたところであります。問題は、こういう状況をどう正していくのかということでありまして、いろいろな原因に対する対策の強化と同時に、国民の多くは土地税制論議に大変注目をしているということだと思います。しかし、今回提出されました地価税法案は、私たちは大変不十分なものだというふうに考えております。  まず、大蔵大臣にお聞きしたいのでありますが、政府税調での論議の過程で、やはり〇・五%から一%が必要だということが広く伝えられましたし、たしか党税調の塩川会長の私案でありましたか、少なくとも〇・五%というようなこともあったと思います。それが〇・三%、初年度は〇・二%、大変大幅に引き下げられたといいますか、低い税率になってきたわけでありますが、なぜそうなったのか。先ほどからそれが適正な税率だということがありましたが、なぜ適正と言えるのかという点と、これで果たしてどの程度地価引き下げの実効があるとお考えになっておられるか、この二点についてお伺いをしたいと思います。
  66. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 政府税制調査会の審議が新聞紙上等に報道されました際に、御指摘のとおりいろいろな税率水準が出たりしておりました。しかしながら、税制調査会答申といたしましては、御承知のとおり税率につきまして具体的な数値は示されておりませんで、土地有利性を政策的に縮減するという観点と、それから経済状況でありますとか納税者負担状況でありますとか、それらを勘案して適正に税率を決めなさいというのが税制調査会答申であったわけでございます。  それから、自由民主党におきます論議におきまして、これも御指摘のように塩川会長案といたしまして〇・五%という案も示されたわけでございますが、いろいろな討議を経まして、土地資産としての有利性縮減のためというその目的を果たしながら、個人の負担経済に対する影響等も考え合わせて、結局総合的に勘案して〇・三%というようなことになったわけでございます。  それが地価の引き下げにどの程度影響を与えるかということでございますが、御承知のとおり、地価の水準あるいはその変動の状況を定めてまいりますのには、これは税だけではございませんで、いろいろな要素があるわけでございます。よく指摘されますように、金融の情勢、それから土地の利用の状況、それからいろいろな将来の値上がりに対する期待の状況、その他もろもろのことがあろうと考えるわけでございますが、それに対しましてこの土地保有課税だけで問題が解決できるとは私ども考えてはおりません。しかしながら、恐らく御指摘の背後にあるのは、そういう効果を持つためには保有課税の税率が高ければ高いほど効果を持つであろうということであろうと存じますが、しかしながら、それは他の負担その他についての影響もあるわけでございますから、ほかの施策等と相まって〇・三%というような水準でかなりの効果を持ち得るものと私どもは期待をいたしているところでございます。  定量的にどのぐらい引き下げ効果を持つかということにつきましては、学者の検討等いろいろございますが、これは極めて単純なモデルで大胆に割り切ってなさっておる試算でございまして、その土地の価格の状況に対して与えるいろいろな要素を考えますと、なかなか政府として単純化されたモデルでその影響を論ずるというわけにもまいらないところがございます。  しかしながら、私どもは、この〇・三%という税率で他の施策と相まって、特に固定資産税評価につきまして適正化が図られるということもございますから、それらと相まって相応の効果を上げるものと期待いたしているところでございます。
  67. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 総合的にとかいろいろおっしゃっておられるわけだけれども、しかし、現に先日大蔵委員会に参考人として出られた政府税調土地税制委員長の石先生も、答申を出された方ですが、当然両方の要素は勘案した上で答申は出ているわけですね。なおかつ、税率は低過ぎる、政治の舞台で土地を持つ側の声が強く出たというような状況指摘されて、やはりなおかつ少なくとも〇・五%から一%が妥当だと思うという意見を今もおっしゃっているわけですね。当の土地税制委員長がですよ。だから、今のような御答弁だけでは私たちは到底納得できません。やはり土地を多く持っている大企業でありますとかそういう人たちへの配慮といいますか、それを優先させたものだと言わざるを得ないというふうに思うのです。  具体的にお聞きしたいわけでありますが、大蔵省でどの程度把握をしておられますか。産業界の中でも鉄鋼業界というのは非常に広い土地を持っているということで知られておるわけですが、地価税額どのくらいになるか。もっとも、路線価の問題、非課税の問題、控除の問題等いろいろありますが、企業は自社の保有地については当然掌握しているわけでありますし、大蔵省としても何らかの調査をしておられることと思いますが、どのように把握しておられますか。
  68. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 前半の石小委員長の御発言についての御指摘でございますけれども政府案が固まりますときに政府税制調査会から、平成二年十二月十九日に「平成三年度の税制改正に関する答申」というのが出ておりまして、その中でこのように書かれているわけでございます。「当調査会における審議の過程において、特に、土地保有税(仮称)に関し、税率が低いことに加え、基礎控除の額が高い等、その負担水準が土地資産としての有利性を縮減する上で不十分ではないかとの強い指摘がなされたところである。一方、個々の納税者に対する負担や実体経済に与える影響等を総合的に考慮すれば、新税の導入当初において、ある程度納税者負担に配慮することについてやむを得ない面もあろう。」ということでございまして、「いずれにせよ、新たな土地保有税(仮称)は、固定資産税及び特別土地保有税の見直しとあいまって公共的性格を有する資産である土地の保有に対する税負担を引き上げるとともに、土地の保有コストに対する意識を高める上で必要不可欠であり、資産価値(時価)に応じて毎年税負担を求める新税の創設の意義は極めて大きいものと考える。」というのが税制調査会評価でございまして、これは当然のことながら、石先生も起草に当たられているわけでございます。先般の大蔵委員会におきます参考人としての御発言も、この線であったかと私どもは承っているところでございます。  それから、鉄鋼業についてのお尋ねでございますが、私ども、実はこの法律が成立いたしますと、法律の中に、各市町村から固定資産課税台帳等を見せていただけるような規定がございまして、それによりまして実態調査に当たりたいと思っておりまして、私ども独自に把握している数字はございません。業界側の方から税調等におきます審議の過程におきまして示された数字はございますが、私どもとして正確に把握している数字はございません。
  69. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 しかし大蔵省は、大変アバウトな数字ですが、地価税収入について三千億から四千億ということも一方で言っておられるわけだから、当然何らかの調査はしておられるのだというふうに私たちは思っておるのです。  ここに、経団連が昨年の十月に出しました新保有税負担実態調査結果の概要というのがあります。これによりますと、鉄鋼五社で相続税評価額の一%として七百九十九億円、約八百億円の税負担になるというような数字も出されておるわけです。それが今回の法案では、〇・二%または一平米三万円以下非課税とかいうようないろいろなことがありますから、それがぐんと少なくなりまして、単純計算で百六十億円になるわけですね。それからそういう要素を引いていくと本当に少なくなって、ほとんど痛みを感じないというように言われておるわけです。しかも、損金算入ができるわけですから、本当に少なくなってしまうわけですね。  時間が非常に少ないものですから、ずばり新日鉄の問題でお聞きをしたいのですが、これは国土庁にお聞きします。  新日鉄は一番土地の保有も多くて、税額もいろいろ言われています。この新日鉄につきまして、新日鉄と関連会社が千葉県の木更津、君津、富津で広大な土地を買い占めているという事実を御存じでしょうか。
  70. 斎藤衛

    ○斎藤(衛)政府委員 今、先生のお話につきましては、私ども承知しておりません。
  71. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 国土庁は、遊休地調査とか相当やっておられるわけですね。ここは大変評判にもなっているところですから、調査もしていない、本当にそうであれば、私は怠慢だと言わなければならぬというふうに申し上げたいと思うのです。  御承知と思いますが、この地域は東京湾横断道路、その建設で地価が非常に高騰している地域です。私たちの調査では、新日鉄の一〇〇%出資の日鉄不動産あるいは筆頭出資者になっておりますジャパンデベロップメント株式会社、こういうところが木更津市の矢那とか草敷とかそういう地域だけで約二百ヘクタール買い占めている、こういう事実があります。  木更津市の固定資産税課の説明では、大体一九七二年ごろから買い占められて、取得価格は坪当たり五千円から六千円だ。それが現在は、地域によって多少違いはあるわけですが、おおよそ二十五万円前後になっておるということです。そういたしますと、坪でいいますと六十万坪ですから、単純計算で約三十億円で取得した。取得時は三十億円です。それが現在は千五百億円、そういうようにもはね上がっているという状況があるわけです。しかも、この地域で今上総研究都市というのを中心にしまして宅地開発が進んでいるのですね。さらに、横断道路が開通すればまた相当な値上がりになる、これは必至です。大変なぼろもうけ、大変な利益を得るということになるわけですね。  こういう状況についてどう対応するのか。いわゆる土地神話を容認して、ぼろもうけを認めていく、今のままでは。今度の地価税でもほとんど痛みを感じない、そういう結果にしかならぬのじゃないでしょうか。大蔵省はどうお考えでしょうか。
  72. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 個別具体の例は、私どもまだ今後把握に努めてまいりたいと考えている段階でございますが、御指摘のとおり地価の上昇がございますと、それは毎年行われます相続税の評価額にはね返ってくるわけでございますから、それを課税標準といたしまして税率が掛けられるということで、より高い税負担を求めていく結果になるわけでございます。
  73. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 それでは全く答えにもならないし、本当にこういう土地投機によるぼろもうけが野放しにされてきたというのは大問題なわけですね。こういう点では本当にもっと思い切った対策が必要だということを私は申し上げて、次に、東京一極集中問題でぜひお聞きしたいと思っております。  これは、さきの知事選挙でも大きな争点になりました。特に東京湾の臨海副都心、この臨海部の開発あるいは東京駅周辺、旧国鉄の汐留駅跡地、これを三大プロジェクトとして政府・自民党がいわば一体となって進めてこられた。詳しい経過は省略いたしますが、一九八八年の三月に、国土庁、運輸省とか郵政省、建設省あるいは東京都などが加わりました東京臨海部開発推進協議会というものが、東京臨海部における地域開発及び広域的根幹施設の整備等に関する基本方針というのを策定されて、それを基本にして東京都で具体化が進んでいくという経過になっているというふうに思います。  私が国土庁にお聞きをしたいのは、こういう計画が現に東京一極集中を進めるということで大問題になっているわけですね。もう一方で、政府は多極分散型国土形成ということを言っておられる。これは明らかに矛盾するのじゃないかというふうに思うのですが、長官、いかがお考えですか。
  74. 西田司

    西田国務大臣 委員も御存じのとおり、四全総の中で、一極集中を是正して多極分散型の国土を形成していこうというのは大きな方向であり、流れであるわけでございます。しかし、反面におきまして、それじゃ首都圏というのをどのようなもの、望ましいものにつくり上げていくかということも大変重要な役割を持っておると考えておるわけでございます。  そこで、国土庁の考え方といたしましては、業務都市の整備による多核多圏域型の地域構造を実現していこう、一方、既成市街地におきましては諸機能を選択的に分散していこう、そして今後に向かって、東京が国際金融あるいは国際情報等の面で世界の中核都市としての役割を果たしていく整備を進めていかなければいけない、これが東京圏における一極集中を是正しながら東京圏の整備に対する政府考え方でございます。  御指摘になりました東京臨海部開発はこのような考え方で、ただいまお話しにもなりましたけれども、昭和六十三年三月に、国土庁等の関係省庁と東京都が一緒になって、東京臨海部開発推進協議会なるものをつくったわけでございます、そしてこの基本方針に基づきまして東京都において計画具体化、事業化が進められておるのが臨海副都心構想である、このように考えております。  そこで、御指摘の問題点でございますけれども、ただいま述べました基本方針の中に「今後必要に応じ見直しを行う」、こういうことが言われておるわけでございます。今後、事業主体である東京都において計画の見直しが必要であるという判断をされた場合には、国土庁といたしましては関係省庁と協議をして適切に対応していきたい、このように考えております。
  75. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 実際選挙の過程あるいは選挙が終わった後も、東京都知事自身が見直しをしたいという発言もしておられるようでありますから、そういう場合には国土庁としても適切に対応するという御答弁であったと思います。ただ、多極分散に矛盾しないという大筋の御答弁であったわけですが、まさにそこが問題だというふうに私は思うのです。  通産省来ていただいていると思いますが、新聞報道によりますと、十一日、臨時行政改革推進審議会の豊かなくらし部会というのが開かれまして、そこに出られた通産省の岡松立地公害局長が、東京湾岸の臨海副都心計画などの大規模プロジェクトが東京一極集中につながっているというような観点から、事務所ビルについて何らかの規制が必要だと意見を述べられた、こう報道されているわけであります。事務所ビルの何らかの規制が一極集中問題では一つのかなめだと私は思っておるわけですが、通産省はそういう方向で検討される意思がおありなのかどうか、お聞きしたいと思います。
  76. 森本修

    ○森本説明員 お話のように、先般の十一日、行革審の豊かなくらし部会におきまして、東京一極集中是正と地方の活性化ということで当省としてのヒアリングを受けたところでございまして、その場において私どもとしては、広く一極集中是正でありますとか地域活性化のために今後どういうことを検討すべきであるかということをお話し申し上げました。その検討事項の中に、例えば事務所の立地抑制というものについて言及したことは事実でございますけれども新聞報道にありますように、そういうことで立地規制をすべきであるということで是非をその場で申し上げたわけではございません。
  77. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 何だかちょっとあいまいな、どこかに気兼ねしているような答弁だったように思いますが、事務所立地規制というのは当然のことだろうというふうに私は思っているのです。その発言が大変着目されて、部会長の細川さんも紹介をされて新聞記事にもなったという経過だろうと思うのですね。  ここに、通産省関東通商産業局で去年の五月にまとめられた東京一極集中問題検討報告書というのがございます。これは通産省の方では出すのを嫌がられる資料なんですが、これを拝見しましても、事実東京一極集中問題について検討がされているわけですね。かいつまんで申し上げますと、東京は臨海部副都心計画等の大型プロジェクトを初め、活力ある都市形成のさまざまな努力が行われている、そういうふうに言われた後で、「しかしながら、こうした工夫や努力は、市場メカニズムの中で遂行されているものであるが、更なる集中を促し、東京の事態を一層悪化させるおそれがある。」と書かれておるわけです。私は、これはまさに一つの大事な面をついたものだというふうに思いますが、こういう点についてはさらにどう研究、検討を深めておられますか。
  78. 森本修

    ○森本説明員 御指摘報告書は、通産局内部で内部検討を行ったものでございまして、私ども別途通産省として九〇年代の通商産業ビジョンというものをつくっておるわけでございます。そこでも、臨海部プロジェクトを含めまして、先ほど国土庁からお話がございましたように、東京の中の業務機能の分担という意味では一つの大きな機能を果たしているというふうに考えておりますが、他方において、それ以外の地域から見ますと東京への集中を加速しているのではないかという批判もあることは事実でございます。  そういう意味で、東京自身をどう持っていくかという一つのビジョンが必要であると同時に、もう一つは、その東京圏に対抗するような業務機能を備えた地域づくりというものをやっていく必要があると考えておるわけでございます。その意味で、私ども、テクノポリスでありますとか頭脳立地構想ということをやっておるわけでございますが、そういう多極型の受け皿というものをつくっていくことが必要であるというふうに現在考えておる次第でございます。
  79. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 問題は、東京一極集中を何とかしなければならぬ、多極分散型国土形成が必要だということを言われながら、現実には東京一極集中をさらに進めるような施策がやられているということなんですよ。臨海副都心でも、自民党の当初の民活緊急提言以来、霞が関ビル八十棟分を建てるというようなことから始まっているのです。業務ビル中心の計画なんですね。若干ほかのものがつけ加わっておりますが、結局そういうことです。ハイテクを含めて業務ビルをいかに確保していくかというような発想なんですね。もともと異常な地価高騰一つの発端として、国土庁が事務所ビルの過大な需要予測を発表して、あおったというような経過もあったわけです。この事務所ビルの抑制という問題に真剣に取り組まなければ、この問題は解決できないと私は思うのです。  長官の御意見をお聞きしたいので、よくお聞きいただきたいのですが、もう一つ御紹介したいものがあるのです。それは、現在建設大臣をやっておられる大塚雄司議員でありますけれども大臣になられる前の御意見ですが、大臣になられる前といいましても去年の十一月ですからほんの少し前ですね。雑誌の「世界」でこういうふうに言っておられるのですね。「都心に住宅を増やすためには、いろいろな手立てをしなければいけない。ウォーターフロントの話が出ましたが、」これは対談でやっておりますので、そういうやりとりがあるのですが、「これを東京都知事が進めようとしているけれども、私はこれには全く反対なんです。これ以上なぜ集中させるのか。多極分散型の国土形成をしようと言っている一方で、一極に集中させるようなことをやっている。こんな矛盾した政策はない。」こういうふうに現建設大臣がつい昨年の十一月明言をされているのですね。私はこの指摘は重要だというふうに思うのです。本当に多極分散型ということを決まり文句のように言いながら、実態として進んでいるのは東京一極集中なのですよ。さらに加速されようとしている。汐留だってそうでしょう。先日も運輸で法案の審議がありましたけれども、あそこだって霞が関ビル五棟分というようなことも言われている。だからこういうものについて本当に、抜本的に見直すということが私は必要だというふうに思うのですが、長官、いかがですか。
  80. 西田司

    西田国務大臣 建設大臣の発言を引用されて御質問があったわけでございますが、基本的には建設大臣考え方と私の考え方と相違のあるものではございません。ただ、私が短い時間で御説明を申し上げたものですから、私の考え方は、今後東京を、集中をさせていこう、そのことの条件整備をするのではないか、こういうとられ方をしたと思うのでございますけれども、そうではないわけでございまして、現在例えば政府におきましても、先ほど申し上げた多極分散型の国土形成をしていこうということでいろいろな基盤整備をやっております。交通問題については、高速道路、空港、港湾、そういうものを地方にできるだけ整備をしていこうとしておりますし、それからまた通信情報網というものも整備をしていこうということで取り組んできておるわけであります。  そういうことを一方でやりながら、地方分散を図りながら、さてあとの東京をどうするか。東京はもう仕事の機能的にも生活の機能的にもどうなってもよいということではいけないわけでございまして、それはまさに自治体である東京都というものがこのことだけは必要であるということであるなら、そのことを国は支援をしていくという考え方、その中で秩序正しく一極集中を是正して、さらに多極分散型の国土形成、国土政策というものを推進していくということは何ら私は矛盾をしてない、このように考えております。
  81. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 全く納得ができませんが、時間になったので終わりますけれども、地方の基盤整備ということをおっしゃいましたけれども、飛行場その他の問題にしましても、いかに東京へのアクセスが短くなるかというようなことになっているのですよ、現実には。結局東京を情報都市だとかいろいろなことを言って高価値のものをどんどん建てていく、これは集中の条件をまさに強化しているということなのです。だから、そこのところに本当にメスを入れないと問題の解決にはならない。抜本的な見直しを求めて、質問を終わります。     〔平沼委員長退席、太田委員長着席〕
  82. 太田誠一

    ○太田委員長 伊藤英成君。
  83. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 地価税法案について質問をいたしますけれども、私は、この地価税法案趣旨説明に対する本会議での質問におきまして、固定資産税地価税との関係について質問を行いました。そのときに回答が必ずしも明確ではなかった、こういうふうに思っております。  そこでまず質問をするわけでありますけれども地価の抑制に資する税制あるいは保有税強化ということで固定資産税は極めて重要な意味を持っているわけであります。今回の地価税は、広く薄く課税することによって地価を抑制することを理念としておりますけれども、現実には極めて限定的な課税というふうになっております。地価税固定資産税を政策的に補完する税制であるというふうに私は考えるわけでありますが、この考え方について大蔵省並びに自治省にまず見解をお伺いをいたします。
  84. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 地価税は、土地という公共的な性格を有します資産の保有に対しまして適正公平な税負担を確保するということが一つ目的、それから、土地資産としての有利性を縮減するという観点から土地資産価値に応じた負担を求める、これがもう一つ趣旨でございまして、その基本といたしまして、土地基本法の基本理念等がございますから、それを大きな意味で政策的な税制というようにおとりいただけば、それはおっしゃるとおりだと思います。  ただ、政策税制という言葉が時々誤解を受けますのは、例えば法人税に対しまして政策税制として租税特別措置法があるというような意味での政策税制ではなくて、土地政策というような非常に基本的な大きな政策に資するという面を持っている点での政策税制というように御理解いただけるのであれば、それはそのとおりであると存じております。
  85. 谷口恒夫

    ○谷口政府委員 地価税は、土地資産としての有利性を政策的に縮減する観点から国税として創設しようとするものであるというふうに理解しております。このため地価税は、納税者単位に、それらの者が保有するすべての土地評価額を全国的に合算する、その上で課税最低限を上回っている場合に課税するというものでもございますし、また居住地等について比較的幅広い非課税措置が講じられているものでございます。  一方、固定資産税は、御承知のように資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在する受益関係がございますが、その受益関係に着目して土地保有一般に対して広く毎年継続的に課税される税でございます。  こういうことで、地価税固定資産税というのはその趣旨、性格を異にするものでございまして、そういう意味固定資産税地価税というものは別の性格の税であるというふうに認識してございます。
  86. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今回、土地という資産に対する保有税を強化しようという話からこの議論になり、そして地価税が出てきたわけでありまして、今回のようなこういう案になっているわけです。当初広く薄く課税をするということから出てきたわけでありますけれども、その中で地価税がこういうふうになってきたその意味は、固定資産税見直しをするということが前提になってこういう形になっていると思うのです。そういう意味で、この固定資産税見直しというのがいわば決定的な重要さを持っている、こういうふうに思うわけであります。  それで自治省にお伺いいたしますけれども、まず第一に、固定資産税評価適正化を行うというふうになっておりますが、この評価がえでどういう水準、引き上げの目標はどれくらいにする予定ですか。
  87. 谷口恒夫

    ○谷口政府委員 固定資産税におきます今後の土地評価の問題でございますが、公的土地評価相互の均衡と適正化が図られるよう努めるべきである、土地基本法第十六条でございますが、この規定趣旨を踏まえまして、さらに相続税評価との均衡にも配慮しながら、地価公示制度の改善とも相まって、その一定割合を目標に、平成六年度以降の評価がえにおいて速やかに評価の均衡化、適正化推進しなければならないというふうに考えているわけでございます。  さてそこで、その一定割合でございますが、地価公示価格には将来におけるある程度の期待価格も含んでいるというのが一点。また、昭和五十年代の地価安定期には固定資産税土地評価額が公示価格のおおむね七割であったということを踏まえますと、例えば公示価格の七割程度の水準とするということも考えられるわけでございますが、七割にするかどうか、これは今後の推移等、具体的にはなお検討をする必要があるというふうに考えておるところでございます。
  88. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今、例えば公示価格の七割というような言い方をされましたけれども、私は、当初はかなりはっきりと、おおむね七割程度ということを自治省も言っていたと思うのです。資料なんかにもそういう形で出されていたと思いますし、したがって、そういうことを受けてマスコミでもそういうふうにずっと報道されていたと思うのですが、何かその後若干トーンダウンしたのかなという印象を受けますが、そういうことではなくて、やはりそれはおおむね七割程度目標にするという考え方であるというふうに考えていいのでしょうか。
  89. 谷口恒夫

    ○谷口政府委員 七割という数字は、先ほど言いました例えば昭和五十四年度の固定資産税評価がえあるいは五十七年度の評価がえ、こういう地価の安定していた時代においては全国平均でおおむね七割という時期がございました。ただ、今あるいは今後の評価がえにおいてそのような比率がとれるのかどうか、それを今決めるにはいろいろ不確定要素があると思うわけでございます。そういう意味で、例えば七割、過去にあった七割というふうに申し上げたわけでございまして、今後その地価公示制度の方がどのように改善なり運用がなされていくか、あるいは地価そのものの動向がどういうふうになっていくか、そういうことも勘案しながら決めるべき割合である、そういうふうに考えているところでございます。
  90. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ぜひ適切な水準に、そして私は、七割程度というのは過去の例からしても当然考えるべき話だろうというふうに思いますので、ぜひ実行していただきたい、こう思うわけでありますが、最近の各地域の状況を見ますと、公示価格固定資産税評価額との比率をとってみますと非常に大きなばらつきがありますね。それは、各市町村、地方自治体考え方等によってこういう結果になってきたのだと思うのですが、どういうふうにしてこれをほぼ均一に、一定水準に持っていこうとするのか。そしてそのときに、例えば富裕団体等ですとなかなか上げにくいというようなことになりはしないだろうか、そしてその結果として各地方自治体の間で非常に不均衡が生ずることにならないだろうかということを懸念するわけでありますが、その辺どのようにして各地方自治体の間の均一化を図るつもりでございますか。
  91. 谷口恒夫

    ○谷口政府委員 固定資産税評価の権限は、個々の市町村長が個々の地目についてあるいは地積についてするわけでございますが、それが御指摘のようにアンバランスがあってはならないということで、地方税法上、自治大臣が告示する固定資産評価基準というのがございます。各市町村長はその評価基準に基づいてまず評価をしなければならないわけでございますが、さらに、個々の市町村の評価がアンバランスにならないように自治大臣は例えば最高路線価の調整をする、あるいはその結果を踏まえて指示平均価額というものを指示いたします。そういう作業を通じて、個々の市町村がその自治大臣の指示に基づいて個々の評価を行っていくというふうに固定資産評価基準上その手続が定められておりますので、その手続に沿って各市町村は評価をしていただく、そのことによってアンバランスがなくなっていくものというふうに考えておるところでございます。
  92. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 国土庁長官に伺いますけれども、私は、固定資産税の自治省の今までの公約はほぼ七割という意味だ、こう思っておりますが、もしもその公約どおりに引き上げられなかったならば今回の保有税強化という話は骨抜きになってしまう、こういうふうに思いますが、国土庁長官はどのように考えますか。
  93. 西田司

    西田国務大臣 お答えにつけ加えて恐縮でございますけれども、私は、今回地価税という一つの国税で土地に対する枠組みができたということは、土地対策上も地価対策上も高く評価をいたしておるところでございます。そこで、土地資産有利性を縮減していくことは先ほど来いろいろお答えがあったところでございますが、これはもちろん土地の保有コストを引き上げることが重要でございます。その意味では、固定資産税を強化する方向で見直すことは土地の選好を弱める効果が期待でき、土地対策上有効であると考えております。  固定資産税評価につきましては、総合土地政策推進要綱におきましても、「速やかに、地価公示価格一定割合を目標に、その均衡化・適正化推進する」こととしておりまして、今後税務当局において税の性格を考慮しつつ着実に見直しがなされるものと期待をいたしておるところでございます。
  94. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今国土庁長官の方からもお話がありましたけれども、私は、今回固定資産税評価がえがどういうふうにされるかということは今回の保有税強化という意味での取り組みに対して決定的な意味を持つ、こういうふうに思っています。したがいまして、もしもこの固定資産税見直しが適切に行われなければ、今回の地価税の問題についてもその内容面で大きな見直しをしなければいかぬという話になると思うのです。そういう意味で、この地価税の問題というのは固定資産税の今後の推移と全く同じものとして考えなければならない、こういうふうに思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。  次に、この地価税導入するとしたときに、実際に納税者となる企業が地価税の計算をしようとするときにちょっと厄介になります。一つは、評価方法もなかなか難しいし、それから固定資産税のように賦課決定方式ではなくて、申告納税方式になっていますね。そういうところで、これを固定資産税と同じように賦課決定方式にするというのはいかがですか。
  95. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 御指摘のような点は実は税制調査会においても議論された点でございますけれども、結局税額の確定、納付につきましては、ほかの国税における一般的な納税方式の例に倣い申告納税方式によることが適当であるというのが税制調査会の結論でございました。その趣旨を踏まえまして、自分の土地の保有状況把握している土地保有者みずからがその保有する土地の価額を評価して申告するという申告納税制度を採用することとしたわけでございます。
  96. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 そういうふうに申告納税方式によるというふうにいたしますと、これもなかなか大きな問題があるのです。  一つは、非常に限られた企業に対して課税をすることになりますし、そこに地価税の対象箇所が、結構たくさんあるでしょう。限られた企業に対して地価税の対象箇所がたくさんあるということですね。  それから、そもそもこの対象箇所に対して相続税評価額の算定というのはなかなか大変であります。現在のやり方で見ますとなかなか大変でありまして、相続税の路線価が決まっているのは都市部が中心でありますし、路線価のない場所の方が圧倒的に多いわけですね。したがって、郡部ですと固定資産税の倍率方式を適用しております。また路線価があるところでも、実際にはその面積の実測をしたり不整形地の補正をしたりというようなことでなかなか大変でありまして、だからこそ今行われている相続税評価額の算定では、聞きますとほとんどが税理士にやってもらっているということのようです。したがって、今回大蔵省は相続税評価額の算定において企業が税理士にやってもらうことを前提にしているんだろうかということをお聞きしたいのですよ。そして同時に、企業にそんなに税理士に計算をしてもらわなければというようなやり方をするといたしますと、これは大変な労力、コストになってくるわけであります。そういう意味で、先ほど申し上げた賦課決定方式というようなことにすることができないなら、その評価方法をもっと簡便なものにする、あるいはいろいろな方式を任意に選択できるようにするとか、そういう工夫をすべきだと思いますが、いかがですか。
  97. 山口厚生

    山口(厚)政府委員 お答え申し上げます。  御質問の趣旨は、地価税評価について、例えば税理士でなければできないような複雑な方式じゃなくて、例えば企業の会計担当者が簡単にできるような評価方法とすべきじゃないか、こういう趣旨かと存じます。  委員御承知のように、地価税におきましては原則として納税者がその所有する土地等の価額すなわち時価を評価して申告することとなります。この場合、実務におきましては納税者の便宜等を考慮しまして、一つは相続税の評価において定められている路線価をもととして申告していただく方法によるか、または固定資産税評価額に対する所定の倍率をもととして申告していただくか、このような方法になることと考えられます。なお、路線価または所定の倍率につきましては、路線価図等に掲載されて全国的に公開されているところでございます。  このように、路線価または倍率によって土地等の価額すなわち時価を評価する方法というものは、既に個人に対して課税されておる相続税において定着しているところでございますけれども、したがって、個人及び法人の双方に対して地価税は課税されますが、この地価税においても実施できるものと考えられますけれども、御指摘趣旨を踏まえまして、適正な土地評価を維持しつつ必要に応じて簡便化を図ることについても検討を重ねることといたしたいと考えております。  なお、土地等の評価に関する相談、指導等の体制につきましても所要の整備を図り、円滑に評価ができるよう対処してまいりたいと存じます。
  98. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のお話は、各企業の担当者でも計算できるように簡便な方法を検討するということでありますので、ぜひ今申し上げたような趣旨で具体化を図っていただきたい、このように思います。よろしくお願いいたします。  次に、地価税見直しの問題についてお伺いいたしますけれども、三年後に固定資産税評価がえをすることになっておりますね。したがって、今法案では少なくとも五年後に見直すというふうになっていますが、私は、少なくとも三年後には見直すということを実際にやっていただきたい、こう思うのです。これは、今回のこの地価重要性にかんがみて、もちろん政府税調答申の中にも、そしてまた平成三年度の税制改革の中にも見直しの重要さについていろいろ触れられているわけでありますけれども、この法案の重要さから考えればぜひこれは実行していただきたい、少なくとも三年後ぐらいには見直しをしていただきたい、こういうふうに思います。  それからもう一つ、この見直しをするために政府税調のもとにフォローアップ小委員会のようなものをつくってその評価をすべきだ、このように思いますが、いかがですか。実はこの点は、最初に私が固定資産税地価税との関係の問題について触れましたけれども、例えば固定資産税公示価格の七割くらいまで上がるというふうに考えますと、ちょっと試算してみますと法人の固定資産税は四倍ぐらいになるだろうと思うんですね。そして、そういうふうに考えたときに、一つ地価税をどういうふうにした方がいいだろうかという話にもなるでしょうし、そもそもそこで状況次第によれば地価税の必要性はなくなるかもしれないということだってあると思うんですね。そういう意味で、先ほど申し上げたように政府税調のもとにフォローアップ小委員会も検討してはいかが、こう思いますが、いかがですか。
  99. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先刻来御答弁を申し上げておりますように、私どもとして少なくとも五年以内にというこの見直し規定を設定いたしました内容は、まさに固定資産税評価がえが平成六年度にということも脳裏にあったわけでありますし、地価税そのものの実施状況を見きわめる必要も当然のことながら私どもなりに考えました。また地価そのものの中期的な動向というものに意識があることも間違いありません。ですから、少なくとも五年ごと見直しということでありますから、仮に見直しの緊急性が考えられるような場合に、当然のことながら、税制調査会にお諮りをしながら機動的、弾力的にその見直しを行っていく必要があるということは私ども自体認識をいたしております。ただ、三年という時間を委員は提起をされたわけでありますけれども、私は、やはり明年度スタートをする、そして本格的な税率は五年度になるということを考えますと、三年というのはちょっと短いんじゃないのかなと思います。  また、委員が述べられましたように、地価税そのものが要らなくなるという事態になればこれは大変すばらしいことでありますけれども、我々それほど楽観をいたしておりません。フォローアップ小委員会の問題は、今後税制調査会としてお考えをいただくべきことであろうと思いますけれども、いずれにしても、やはり動き出し、そしてその税がどのような役割を果たすかの過程において御検討をいただくものではなかろうか、そういう感じがいたしております。
  100. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次に、金融面のことについてお伺いをいたしますけれども、今景気の減速の兆候とかいうことが言われて、公定歩合の引き下げとか金融緩和の声も一部に出たりしているわけでありますけれども、私は、この金融引き締め政策や土地関連融資総量規制の問題は今回の地価の鎮静化には非常に大きな役割を果たしている、こう思うのですね。それで、今後この地価動向を確実なものにするためにも、現在の政策を持続させることが重要ではないかと私は思っているわけでありますが、この間、四月十四日でしたか、ロンドンでG7に大蔵大臣が出席をされて、いわゆる景気後退とインフレ懸念の問題がいろいろと争点になったというふうに聞いております。そして、新聞報道によりますと、大蔵大臣も景気対策にやや比重をかけられているというような見方が新聞報道されたりしているわけでありますが、この間のG7での議論と今後の金融政策について大蔵大臣考え方をお伺いいたします。
  101. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず第一に、G7という御指摘でありましたが、十四日の夜、欧州復興開発銀行の設立総会を前にいたしましてG7関係大蔵大臣たちが集まりました会合は、中央銀行の総裁を欠いておる会合でありまして、正式にG7という位置づけではございません。また、この内容につきましては、各国公表せずという約束をいたしておりますので、その内容そのものについてはどうぞ御容赦をいただきたいと思います。  そこで、今委員が御指摘になりましたような報道が出ました原因は、その会合の前にブレイディ・アメリカ財務長官と一時間余りいろいろな話をいたしました。その中において、たまたま過去のG7の声明の話が出ましたときに、アメリカとしては、インフレのリスクと成長のリスクとまさに両建てで前回コミュニケが書かれたわけでありますが、我々としては多少のインフレというものよりは成長鈍化のリスクの方が非常に今問題だと思っているというアメリカとしての考え方の開示がございました。そして、それについて日本はどう思うという話でありましたから、我々は基本的に成長のリスクとインフレのリスクと両にらみという条件は変わっていないよ、しかし、どちらかと強いて言うなら、それは成長のリスクの方がウエートはあるのかな、しかし、日本として今金融政策を含めたマクロな政策について中立型の考え方を変えるつもりはない、同時に、現在国会で新たな土地の保有についての税制の審議を願っているところだが、我々としては今この地価を抑え込むということが非常に大きな政策課題になっており、これは昨年の日米構造問題協議の中で日本側が意図を表明した今後の四百三十兆の公共投資のそのあり方にもかかわる問題だけに、我々はどんなことがあってもこの目標を達成したい、こうしたことを私は発言をいたしました。そして、そのとおり記者の方々には御説明を申し上げたつもりでありますが、記者の方々がおまとめになりました記事がさまざまな思いを込めたものであった結果、いろいろな御心配をかけたようであります。  今私が申し上げましたように、我々はあくまでも成長のリスクとインフレのリスクというものの両にらみというのが基本姿勢であります。強いて問われるならば、我々とすれば多少成長のリスクというものの方に関心はあるのかな、しかし、金融政策を含めたマクロの政策運営において中立型というものを変える意思はない、これが私の発言の要旨であります。
  102. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、この地価の問題における金融の与える影響あるいは今の効果は極めて大きいと思いますので、大臣、よろしくお願いをして、終わります。
  103. 太田誠一

    ○太田委員長 和田貞夫君。
  104. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 今次の法案の提出に当たって、非常に期待しておったわけでございますが、果たしてこれでいいのかどうか、これは私だけではなくて、余りにも骨抜きになっておるという法案の内容であると思うわけであります。もちろん土地政策というのは税制面だけではなくて、金融面において、確かに、今も伊藤委員の発言がございましたように、金融総量規制というのは非常に効果を上げておるということでございますが、第二弾としてのこの地価税、期待するような効果が上げられるのかどうかということを非常に疑問視するわけであります。  もちろん税制面だけで土地政策というのは解決できないわけであります。全般にわたって、あらゆる角度から土地高騰を防いでいくだけではなくて、土地の価格を引き下げる努力、そして勤労者の皆さんが自分の土地を取得してささやかな家が建てることができる、あるいはマンションを購入するに当たっても勤労者が自分の収入の範囲内で取得することができる、究極的にはそのところまでしていかなければならないのですが、何としても税制面というのは一番大きな柱であるわけですが、申し上げましたように、私が心配するようなことではなくて、いやこれで十分だ、これでも十分事足りるのだ、大きな成果を上げることができるのだ、大きな効果を上げることができるのだ、こういうふうに思っておられるのかどうか、まず大臣、お伺いしたいと思います。
  105. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは、お言葉を返すつもりはございませんけれども、私は土地政策の基本はまさに都市計画から始まると考えております。例えばドイツのような都市計画あり方でありますならば、そもそも金融緩和が起きました場合でありましても、これほど異常な地価高騰はあり得なかったと私は考えております。その意味におきましては、基本というものはやはり都市計画というものにある、私はそのように考えております。  しかし、その上で今日地価税というものを御審議をいただくようになりましたのは、土地神話を何とかして崩していかなければならないという条件の中で、土地の保有コストを高める、そしてその有利性を縮減するという視点で新たな工夫としてこれが誕生してきたわけであります。しかしこれも、地価税というものだけで対応しようとするならば、これは全く違った内容のものを御審議願わなければならないと私は思います。  しかし、今回、固定資産税評価がえが適正に行われていくといったことをも含めまして考えてまいりましたとき、今委員は骨抜きというお言葉をお使いになりましたが、私はそのようには考えておらず、その他の土地政策、私どもの役所でありますならばそのほかに金融があるわけでありますが、こうしたものと相まって適正な効果を生じてくれるもの、そのように期待をいたしております。
  106. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 もちろん今大臣のおっしゃったとおりでございまして、私たちも土地特の方でこれから別の面で議論をしていかなくてはならないというように十分承知をしておるわけであります。  しかし、この法案を提出するに当たって、ややもいたしますと土地の利用価値よりも土地を持っている方が将来的には得をする、損をしっこがないという資産価値の方が我が国の一人一人の国民の脳裏に備わっておるということもまた事実なんですね。そういう神話を、その考え方というものを新しい地価税によって払拭するという一つの手というか、一つの手段としてこの地価税の提案ということも、これはそのことが認められると私は思うわけなんです。したがって、そういうことに立つならば、この法案におけるところの税率の問題や基礎控除の問題等の内容でいいのかどうかということをお尋ねしておるわけなんです。
  107. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 税の分野に限りましても、さきに租税特別措置法の改正によりましてお認めいただきました譲渡課税の適正化でございますとか、農地の相続につきましての手直しでございますとか、いろいろな点で見直しが行われているわけでございます。あわせまして固定資産税評価適正化も図っていただけるということでございまして、税制全般といたしまして、土地問題の解決、御指摘土地神話をなくしていくということに向けての改正が行われているということに御理解を賜りたいと存じます。  御指摘のございました税率の問題につきましては、やはり土地資産としての有利性を政策的に縮減するという観点からいえば、税率は高ければ高いほどいいということになるわけでございますが、他方、経済に与えます影響でございますとか、個々の納税者の現実の負担というような点も総合的に勘案いたしますと、〇・三%程度が適当なのではないか、また、激変緩和という意味初年度〇・二%というように決定したものでございまして、税制全般の改正を総合的にお考えいただきますと相応の効果を上げ得るものと私どもは期待をいたしております。  そのほかに、各般の施策をもちまして土地政策推進していただくということは、私どもも期待いたしておるところでございます。
  108. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは、よく適正な地価という言葉、あるいは適正な地価水準という言葉が出てくるわけなんですが、適正な地価水準というのは一体どういうように考えておられるのか、ひとつお答え願いたい。
  109. 西田司

    西田国務大臣 現在の地価は、大都市圏、特に東京圏を中心といたしまして異常に高いものだ、こういう認識をいたしておるわけでございます。そういうことを踏まえて、土地基本法をもとに、去る一月二十五日に総合土地政策推進要綱なるものを閣議決定をいたした次第でございます。その土地政策推進要綱の中にも触れておりますように、その一つとして掲げておりますことは、土地の利用価値に相応した適正な水準にまで地価を引き下げていこう、こういうことでございます。先ほど大蔵省からお答えがあったわけでございますが、保有、譲渡、取得、各段階における土地有利性というものを縮減していくためには、税制一つ取り上げましても、地価税だけではなかなかできないわけでございまして、土地関連税制というものが総合的に機能をして初めてこの効果ができるものだ、このように思っております。  そこで、御質問の、適正な地価というのは幾らか、いつごろまでにできるか、こういうことをよく御質問を受けるのでございますけれども、これを定量的に今ここでお答えをするということはなかなか困難なわけでございます。しかし、特に住宅地、住宅という問題が大きな問題でございますから、私ども考えております勤労者の方々、こういう方々が、年収七百三十万とも七百六十万とも言われておりますけれども、これを大体東京圏内で五倍程度で取得のできるようなものにまで地価というものを引き下げていく必要があるのではないか、このように考えております。ちなみに、現在一体どうなっておるのかということでございますが、東京圏域におきましては七・五倍あるいは八倍を超えておるとか、そういうことが言われておるわけでございます。そういうものを平均年収の五倍程度に引き下げていくということが当面の私ども目標でございます。
  110. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 今御答弁がございました点で私は理解はできると思いますが、そうであれば、土地の保有者からこの際やはり地価税によって放出される期待というものを持たなくてはならぬと思うのですが、そのことを考えたときに、三万円というライン、これはいかにも基礎控除としては高過ぎるのではないかというふうに思うのですけれども、一体この三万円というのはどこからどういうように割り出したのか、ひとつお聞かせ願いたいのです。
  111. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 地価税はやはり土地資産価値に課税をするわけでございますので、基礎控除につきましては金額で決定するのが適当だというのが税制調査会考えでございました。そこで、一つには十億円、中小企業、個人等につきましては十五億円でございますが、定額の基礎控除を設けたわけでございます。もう一つは、課税土地面積に三万円を掛けて得られる額も基礎控除とできるということにしたわけでございます。  そこの御指摘でございますけれども、結局今回の地価税創設の趣旨といたしましては、土地資産価値に応じて税負担を求めるということでございますので、例えば地方におきまして、ほとんど土地の値上がりもない、土地の価格の水準も低い、そういうようなところ、つまり土地資産価値の低いところにおきましても課税を行う必要はないのではないかという議論が一つございました。そのために、地域を限って、課税する地域と課税しない地域に分けたらどうかというような御議論もあったわけでございますが、先ほど申しましたように、ある納税者につきまして、その保有する土地をすべて総合いたしまして全体としての土地資産価値に課税をするという税の考え方からいたしますと、そこに総合が行われるわけでございますから、地域を限るというようなやり方は望ましくない。しかしながら、他方におきまして、資産価値の低い土地についてまであえて地価税をかける必要もないという議論もまた一つの議論であろうというように考えられますので、この課税土地面積当たりに三万円を掛けるというような措置がとられたわけでございます。  なぜ三万円かということでございますけれども、平米三万円というのは坪にいたしまして約十万円ということでございますから、その水準の地価であればその資産価値についてあえて課税を問う必要がないというように考えたわけでございます。
  112. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この地価税法が成立することによって一体何を期待されるわけですか。
  113. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 現在国内におきます最大の問題の一つといたしまして土地問題というのに遭遇しているわけでございますが、それに対しまして土地基本法が制定されまして、国の政策の基本的なスタンスが示されたわけでございます。その中におきまして、税制はどのように対応すればいいかということを考えてみました場合に、土地の譲渡、取得、保有各面におきます課税を見直しました場合、この土地の保有税の水準が低いということが土地の保有コストを低めている、それが現在の土地問題を生み出している一つの重要なファクターになっているのではないかという御指摘でございます。  したがいまして、このような地価税のようなものを設けまして、現実に高い資産価値を持っております土地を対象といたしまして課税を行うことによりまして、総合的な土地政策の中におきまして税制が相応の役割を果たすということを私どもは期待いたしているわけでございます。
  114. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これはどうしても意見が少し違うわけですけれども、〇・三%の税率が低過ぎる、基礎控除が高過ぎる、これは政府税調自体もそのことを言っておるわけですし、これは新聞論調を見ましても、期待をしておった消費者の立場に立ちましても、今まで答弁をされておるようなことを聞かされて、その疑問を持っておる人たちが果たして、なるほどそうか、それはそうやなというように感じられるとお思いですか。
  115. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 今回の措置、今回の仕組みにつきまして「平成三年度の税制改正に関する答申」、昨年の十二月十九日の答申でございますが、そこにおきましても「新たな土地保有税(仮称)は、固定資産税及び特別土地保有税の見直しとあいまって公共的性格を有する資産である土地の保有に対する税負担を引き上げるとともに、土地の保有コストに対する意識を高める上で必要不可欠であり、資産価値(時価)に応じて毎年税負担を求める新税の創設の意義は極めて大きいものと考える。」というように評価されておりまして、個々の仕組みの要素につきましていろいろ御意見はあろうかと存じますが、ここにございますように、新鋭の創設の意義が極めて大きいということはお認めいただけているものと私ども存じております。
  116. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 余りにも課税対象者が少なくなり過ぎておるからこそ私は言っておるわけなんです。それでも繰り返されますか。
  117. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 我が国の土地状況考えてみました場合、一つの特色といたしまして、まず宅地が国土全体に占める割合が約四%でございまして、その少ない割合を占めております宅地を評価額で見ますと八割になっているということでございます。保有の状況を見ましても、例えば東京都の資料等によりますと、法人の例でございますが、数にいたして一・七%程度の法人がその法人の所有する土地の全体の半分を占めているというようなことでございます。したがいまして、納税義務者数、確かに御指摘のとおり私たち大体五万人、あるいは五万社と言ったらよろしいのでしょうか、というように現在見ておりますが、限られたものではございますけれども、そういう我が国の土地状況、保有の実態等をあわせて考えてみますと、これはやはり相応の効果を持つというように言えるのではないかと思います。具体的に言いますと、恐らく目抜き通りといいますか、土地の非常に高いようなところ、しかも大量に土地を持っているような方々、そういうところに課税が行われるわけでございますので、その影響は相当大きいものということが言えると存じております。
  118. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 あなたの方は提案をしているのですから、やはりそれなりの理由はお持ちでなかったらいかぬわけですから。しかし、繰り返して申し上げますけれども、期待をしておったからこそ地価高騰によって悩んでおる国民の皆さんが、余りにも骨抜き法案だということでがっかりしておるということですね。そのことを肝に銘じてもらいたい。ないよりある方がましだということであればいざ知らず、期待をしておった国民の側、消費者の側に立ってみれば余りにもがっくりしておるという内容のものであるということを私は自覚してほしいなと思うわけであります。  さらに非課税問題で、居住用の土地が非課税ということはわかるわけなんですが、企業の社宅にまで非課税の枠を広げていく、こういうことになりますと、企業が施設として当然のことながら経費として福利厚生費で落とす。そしてさらに社宅までが非課税ということになると、二重の税負担の軽減ということになりはしないか、こういうふうに思うわけでございますが、一定の歯どめというのは何か考えておく必要がありはしないかという気もするのですが、そのことについてひとつお答え願いたいと思います。
  119. 尾崎護

    ○尾崎政府委員 地価税趣旨、さらにその基盤となっております土地基本法の理念等から考えまして、人々の居住する場所、つまり生活の本拠にまで課税することはその趣旨に沿うものではないのではないかということで、居住用地を外したわけでございます。しかし、一千平米を超えるような大きなものにつきましては、その超える分を課税するということにいたしております。その居住用地という場合に、自分が所有している土地だけではございませんで、他人が居住している、他人が居住するために貸し付けているというようなものにつきましても、借りて住んでいるその方にとっては生活の本拠でございますので、そこも課税の対象から外すということにいたしております。  社宅につきましても、その従業員から見ますと、自分が居住するために借りているところでございますから、そこの土地につきましても同様に非課税とするという考えに立ったわけでございます。ただ、御指摘のとおり、企業の場合にはそこで建てました社宅につきまして減価償却が行えるとか、あるいは場合によっては、社員でございますから、それをどかして後から事業用に利用できるとか、いろいろそういうこともあるではないかという御議論もございました。しかしながら、今回におきましては、やはりそこに居住している社員の方々の生活の本拠であるというそのサイドを重く見まして非課税としたわけでございます。  ただし、お住まいになる方が会社の役員でございますと、これはちょっと話が異なってまいろうかと存じまして、役員が居住する場合にはこれを非課税としないということで一つの線引きを行っているわけでございます。
  120. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その点はこの辺でおきますが、見た目としては、どうも損得からいえば二重に得しておるじゃないか、個人的な視野からこういうことは言えるわけですね。けれども、そういう理由は理由として一応あったとしても、これは拡大解釈をしていって、結果的には企業が持つ不用な土地をそのようにしむけていくということのないように、ひとつ歯どめをかけてもらいたいというように思います。  政府税調の方で「土地政策の総合的推進についての要望」というのが出ておって、先ほど来国土庁長官の方から、あるいは大蔵大臣の方から、税以外の土地政策土地対策ということをお述べになったわけでございますが、土地の有効利用の促進を行う必要があるわけですが、一体政府としては、具体にその内容をどのように講じようと考えておられるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  121. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 お答えいたします。  さきに閣議決定いたしました総合土地政策推進要綱におきましても、宅地の供給とあわせて土地の有効利用を促進するというのを非常に重視しておるわけでございますが、まず一つは、既成市街地内にございます工場跡地等の低・未利用地の利用を促進していくことが一つの課題だと思います。それといま一つは、三大都市圏の特定市にございます市街化区域内農地について計画的な整備を推進する、そういった課題もあるわけでございます。  まず、工場跡地等の低・未利用地につきましては、昨年末建設省の方で、都市計画法及び建築基準法を一部改正されまして遊休土地転換利用促進地区制度というのを決めておられます。こういった制度を積極的に活用しながら遊休地の高度利用を図っていくことが必要だと考えております。  また、市街化区域内農地につきましても、改めて都市計画上保全する農地と計画的に宅地化すべき農地を区分いたしまして、そして保全する農地につきましては転用制限強化等を図りながら末長く保全していく。また、宅地化すべきものについては、地区計画の策定あるいは区画整理事業等の推進、そのための税制上の優遇措置、そういったものを措置しながら、また国、公共団体あるいは農業団体等とも連携をとって積極的な支援をしながら、土地の計画的な利用を図っていこうとしているところでございます。
  122. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ここで余りこの議論をしようとは思いませんが、例えば今の宅地並み課税の問題についても、私はもっと微に入り細にわたった、現実を直視して考えていかなければいかぬと思うのですよ。単に、農地、農地といっても、都市近郊の農地というのは、その集落に隣接しておる農地が非常に多いわけでしょう。そうすると、確かにいいところに農地がある。しかし、その農地を仮に宅地にして利用しようと思ったら、そこに行く場合の進入路がないというのが割に多いのですよ。進入路があったとしても、耕運機が行くのが筒いっぱい、自動車も入ることができないというようなところがやはりあるわけですよ。そうすると、農地を論ずる場合には、都市近郊の農地をただ宅地並み課税だとかどうとか言う前に、集落を含めた耕地整理をやる、あるいは区画整理をやるとかいうようなことで、政府の方が金を出して、そしてなるほどと言われるようにして考えないと、ただ機械的に、農地は宅地並み課税したらいいんだということでは事は済まされぬわけです。  さらには、公共用地の取得に至りましても、土地収用法が不十分なんです。時間がかかっていくわけです。その土地収用法というものも、やはり財産権を持っておる土地の所有者あるいは借地者、そういう者の意見を十分に聞きながら、しかも粘って粘って、ごててごてたら得だというような、そういう観念がないようにするような内容に土地収用法というようなものを抜本的にいらい直していく、民主的な方法にしながらその内容をひとつ検討していくというような具体な内容を持ってやらないと、ただ機械的に言っていたところで事は運びませんよ。そういうような土地政策考えておったら現実にそぐわぬわけです。そこらをもう少し、これは国土庁じゃなくて建設省かもわからぬけれども、横の連携をとりながら具体な対策を立てていくということでなければいかぬと思うのですよ。ここでは余り議論はいたしませんが、そういう点を私はこの機会に言っておきたいと思うのですが、ひとつ国土庁長官お答え願いたい。
  123. 西田司

    西田国務大臣 良好な都市環境の町づくりをやっていくということは全く御指摘のとおりだと受けとめております。そのためには、土地の有効・高度利用というものを図っていかなければいけないと思っております。こういうことが、ひいては地価対策にも資するものだと考えておるわけでございます。土地利用計画等の整備等を充実し、土地対策上重要な手段の一つとして進めていかなければいけない、このように思っております。  その整備充実の方向といたしましては、先ほど来お話をいたしておりますように、総合土地政策推進要綱でも示しておりますように、大都市圏整備計画等の広域的な計画、またお話のありました町づくりの指針となるマスタープランの充実、さらにこれらを踏まえた都市計画の詳細性の確保等を図っていく必要があると心得ております。このため、マスタープランや地区計画の策定を積極的に推進するとともに、用途地域制度、また建物の規制、誘導等についても検討を図っていかなければいけない。  今土地収用法のお話がございましたが、まさに建設省サイドで御検討をいただくわけでございます。今、町づくりをやっていく上においても、あるいは各公共事業をやっていく上においても、土地取得ということは大変困難性をきわめておるわけでございまして、今後も建設省を中心として関係省庁と検討していきたい、このように思っております。
  124. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 微に入り細にわたった中からひとつ対策なり政策を立ててもらいたいと思います。  土地関連融資規制、確かに効果があったと思うのです。効果があったのだけれども、まじめな住宅産業の業者の方がそのあおりを食らって倒れてしまう。十把一からげで、悪質な不動産業者もあれば優良な住宅を提供するという住宅産業もあるわけなのです。あるいはまた、買う側の消費者の立場に立って、ローンを組んで、それが固定型から変動型に変わっていったことによって消費者がいつまでたっても元本さえも返済することができない、そういう被害といえば被害、悩みといえば悩み、それを受けておる側もこの金融措置によって出てきておるわけですね。だから、私は画一的には言いませんが、やはり土地を投機してしこたまもうけた、そういう悪質な不動産業者じゃなくて、まともに建設省の住宅政策に呼応して、あるいは協力して優良な住宅を提供する、そういうような住宅産業の業者の皆さん、あるいは小さな業者が大きな業者のあおりを食らって倒れていってしまうというような現実の姿をどのように解決するかということを、この機会にひとつお聞かせ願いたい。
  125. 土田正顕

    土田政府委員 今のお尋ねの中の金融面の話につきまして御説明を申し上げます。  私どもは、昭和六十一年以来、いわば金融機関土地関連融資について通達の発出その他で指導をしてまいったわけでございますが、その考え方は、投機的な土地取引などに係る不適正な融資は厳に排除をする、他方、当時は、内需拡大の見地から、必要とされる都市再開発、住宅建設などに係る土地取引には円滑な資金の供給を図りたい、こういうことでやってまいったわけでございます。  ただ、その後、いろいろと地価動向を見ますと、地価上昇が地方に拡散するというような傾向もございましたので、昨年の四月以来いわゆる総量規制を行っておるわけでございます。その総量規制の眼目となりますものは、不動産業向けの貸し出しについて総貸し出しの伸び率以下に抑えるように調整を願いたい、こういうものでございます。そのときに、建設業につきまして頭から何%までというようなことは言っておりません。また、不動産業でありましても、この総量規制の内容といたしまして、公的な宅地開発機関などは除くという定め方をしておるわけでございます。その後、不動産業、建設業の中身につきまして私ども不案内でございますので、そちらの方の当局からの御説明もあろうかと思いますが、私どもの方から見ておりますと、倒産件数などが不動産業で増加傾向にあることは承知をしております。しかしながら、これは環境条件の変化もさることながら、個別企業の経営のあり方に原因が求められるところも多いと聞いておりまして、一概に総量規制の直接的な結果とも言えないのではないかと思っておるところでございます。
  126. 西田司

    西田国務大臣 国土政策上の立場から、今御質問の趣旨につきましてお答えを申し上げます。  御案内のように、昨年秋以降全国的に地価の鎮静化傾向が見られておるわけでございます。その要因の一つといたしまして、今回の地価上昇の背景となっておりました金融状況が、お話がありましたように引き締め基調に変化をしてきたこと、それから不動産関連融資総量規制の実施により、不要不急の投機的取引等の仮需要がおおむね姿を消したということではなかろうか、このように思っております。  しかしながら、公定歩合の引き下げを中心とする金融緩和措置に関する政策決定につきましては、景気や物価、国内の経済情勢、また大きくは為替、国際収支等の国際的な金融情勢を総合的に勘案していかなければいけない大きな問題だ、このように考えております。そういう意味からいたしまして、土地対策観点からだけ論ずるわけにはまいりませんけれども、一方で当面する地価動向というものが全く予断を許さない状況にございますので、政府といたしまして、適正な水準まで地価を引き下げることを政策の目標に掲げておるわけでございますから、地価にも十分配慮をし、慎重な対応が必要ではなかろうか、このように考えております。
  127. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 現実の問題として、小さなまじめな業者もあるわけです。そして、まじめに優良な住宅を提供するという業者もあるわけです。だから、そこらあたりはやはり種別をして考えてやってほしいなという気持ちがございますし、また住宅ローンの問題についても、消費者の立場に立ってひとつ検討してもらいたいなという気がします。時間がありませんので、ひとつ希望だけを申し上げておきたいと思います。  大手の都市銀行というのはどえらい悪いやつでございまして、イトマンとか光進関連などはもちろん目に余るものがあるわけでございますが、土地高騰の原因はここにあると言っても言い過ぎではないと私は思うのですよ。私らが知る範囲で、まさにそのための情報源、貸しても借りてもとにかく銀行は損をせぬわけですから、ここに物件があるということを、顧客に情報を提供する、その金を貸す、買わす、もういいかげんに売りなさい、情報をまた別の者に提供する、金を貸す、これをやってきたわけなのですよ、大手の都市銀行が。こんなことはできるはずがないのにやってきておる。そういう大手の都市銀行に対する行政指導というのは甘過ぎるのじゃないかと私は指摘したいわけであります。少なくとも、そのような不祥事を起こした銀行に対してどのような厳重な措置を講じてきたのか、あるいは講じようとするのか、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  128. 土田正顕

    土田政府委員 金融機関の基本的な業務運営のあり方につきましては従来からいろいろと指導してまいったところでございますけれども土地あるいは株式資金などへの融資につきまして世間から大変厳しい御批判を受ける状況になっておりますことは私ども十分承知をしておりますし、また大変残念であり、遺憾に思っておるところでございます。  金融機関は、当然その業務の内容の公共性にかんがみまして、社会的な責任を自覚された業務運営が求められているわけでございます。その業務運営というのは、これは第一義的にはやはりみずからが業務の適切かつ健全な運営のための努力をすべきものであると思っておりますけれども、当局としても、公共性の適切な発揮の実を上げ社会の期待にこたえるように、引き続きまして厳正な指導、それからさらには奥の深い検査の実施に努めてまいる所存でございます。  それからまた、不幸にして適正ならざる事件が生じ、それに銀行関係しておるというようなときには、それはもちろんケース・バイ・ケースでその事案の内容に即しまして、それぞれの銀行に責任をとるように求めておるところでございます。
  129. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 銀行には銀行の言い分があると思いますけれども、やはり消費者と結びついた機関ですから、そのことをおろそかにしておると消費者の銀行に対する、金融機関に対する不信というのが生じてくるわけですから、ぜひともそのようなことが再び起こらぬように厳重な指導をひとつ要請しておきたいと思います。  そこで、時間もなんでございますから、大蔵大臣にお聞きしておきたいと思いますが、つくらぬよりもつくった方がましやというのが私はこの法案じゃなかろうかというように私なりに思っております。小さく産んで大きく育てるという言い分もあるでしょう。しかし、この国会で、今社労の方で審議をいたしております児童手当、これも小さく産んで大きく育てる、なかなか今度の法案の内容を見てみたら、大きく育てるどころか、児童が乳幼児に小さくなっていっていますよ。だから、そういうようにならぬように、地価高騰によって大きな被害を受けた消費者、国民の側に立って、この期待に寄せた運用をぜひともやってもらいたいと思います。これは早晩検討をしてもらわなくちゃなりません、税率の問題とか基礎控除等の点を含めまして。少なくとも三年向こうにぜひとも検討をしてもらいたいと思います。その点が第一点。  第二点といたしましては、この法律が成立いたしまして、何回も繰り返して恐縮でございますが、不十分だというように私は言っておるわけですが、そこで仮に、近い将来に地価高騰が再び起きたというような場合には、どのような対応をしようと思っておるのか。  第三点としては、念のためにお尋ねしておきたいと思いますが、一部にはこの法案は臨時的な立法というように言っておられる方もあるように仄聞するわけでございますが、私としてはこれは恒久立法であらねばというように思っておるわけです。この地価税を恒久立法として考えていくのかということについて。  この三つの点について、大蔵大臣の方からお答え願いたいと思います。
  130. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 順番を逆さに申し上げて恐縮でありますけれども、御審議をいただいておりまして委員御承知のとおり、この法律につきまして適用期限を特に設けておりません。そういう意味でこれはもう恒久的な税制であります。ただ、議論しますと、税制というのは常に見直していかなければならないし、ときどきの社会経済情勢の変化に対応していかなければならないものでありますから、私どもは必要があれば機動的な運用、弾力的な見直しというものに心がけていかなければならないということば当然のことであります。  そうした意味からまいりますと、委員が最初に指摘をされました少なくとも三年後にというお言葉でありましたが、むしろ、そのような必要が生じますなら当然のことながらその見直し規定が発動されるものになると心得ております。  それから、真ん中でお尋ねいただきました、再び地価高騰が起きたらどうするんだ。これは我々は、地価高騰を起こさないために今必死で土地神話というものを破壊することに努めているわけでありまして、過去二回の地価高騰というものが結果として土地神話を破壊していなかったために今回の事態を招いたことを思いますと、我々はこの機会に土地神話というものを打破しなければならない。それによって、地価高騰というものに対する一番の武器を我々自身が手に入れたい、そのように考えておるところでありまして、この上ともの御協力を賜りたい、そのように思います。
  131. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 せっかくの法案でございますから、成立いたしましたらぜひとも国民の期待にこたえた運用を図ってもらいたいと思うわけでございます。勤労者の皆さんが期待をしておるような、先ほど国土庁長官がお述べになりましたように、勤労者が手に入れられるような地価水準に一日も早く持っていくように政府挙げてひとつ頑張ってほしいということを最後に申し上げまして、議事進行に協力させていただきまして、この辺で終わります。
  132. 太田誠一

    ○太田委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後一時十九分散会