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海部内閣総理大臣 私が自由民主党で総裁に指名されましたときに、党の先輩方から受け継いだものが党の政治改革の大綱でありました。同時にまた、自由民主党にとっては極めて厳しい
参議院選挙の結果を受けてのスタートのときに、やはりこれは、
国民の
皆さんのために政治はあるのでありますから、政治改革はやるべきであるということを私
自身も強く決意をして、そのことを党の
皆さんにお誓いをして前進をしてまいりました。
政府は選挙制度審議会から答申等も既にいただきました。自由民主党に対しては、昨年の暮れに党議で決定もしてもらった政治改革の基本要綱があります。それは、党首
会談をお願いして
各党党首の
皆さんにもその
考え方を率直にお伝えしました。政治倫理の確立とか政治とお金の
関係、これをもう少しわかりやすくしていくためにはどうしなければならぬかという
議論が行われ、それにすべて盛り込まれてきましたが、簡単に結論を申し上げますと、今の選挙の仕組み自体の中に問題があるのではないか。したがって、もう少し選挙のときに政党本位、
政策本位の選挙はできないものか。お金も、政治家個人が、候補者個人が選挙にかかるお金とか日ごろの
政策宣伝活動のお金などを個人で集め、個人で
責任を持つというよりも、公の仕事ならば、そういう仕組みをつくったときには、諸外国でそうであるように、
日本も公費による政党活動の支援というものを
考えてはどうか。そのためには、根本的には制度、仕組みの問題になってくる。したがって、今のような中選挙区の制度でいきますと、同じ政党の同じ
政策のもとで複数の人が競争をする選挙というものは、これはやってみないとわからないと言うと大変言い過ぎでありますけれ
ども、同じ選挙区にいる複数の同じ党の議員の争いというものは、やはり
政策以外のところにも特色と魅力とを発揮しなきゃならぬというような大変厳しい状況が生まれることも、これは御
理解を賜りたい、こう思うわけでありまして、そういったことから、できるだけ少しでも
政策本位、政党本位のものに移行することはできないだろうか,こういったことをみんなで
議論もいたしましたし、選挙制度審議会ではそういったことを踏まえて、先進工業国の中でこういう中選挙区制というあり方をやっておるのも
日本だけでありますから、もう少しわかりやすい普通の国になって、どうも
日本の民主主義とか
日本の自由というのは我々とは違うのじゃないかというような批判を受けないようにするためにも、どうしたら
政策本位の選挙制度になるんだろうか、こういうことを
考えて選挙区制度というものの改革も織り込んでありますし、また一票の格差の問題で最高裁判所からいろいろな違憲判決をも受けました。けれ
ども審議会は、もう一歩前進して、衆議院の選挙では選挙区ごとに一対二以内にせよという答申も盛り込まれております。
この答申は、学者の
皆さんや有識者の
皆さんやあるいは報道
関係の
代表の
皆さんや、あらゆる
立場の
国民の
皆さんによって構成された審議会の結論でありますから、
政府はそれを最大限に尊重してこれに対する
努力をしなければならぬと受けとめております。したがって、党首
会談で党首の
皆さんにはこれらの
考え方は率直にお伝えしてございますが、そのときにも、これは政党のよって立つ基盤、議員の基本に関する問題ですから、いろいろな
レベルで
各党各会派の御
議論もいただかなければいかぬということで、そのことについてはまた改めていろいろな場での御
議論を
期待いたしておりますし、また衆議院の公職選挙特別
委員会では何回かにわたって
各党の御意見交換も承っておるということでございます。
今、自民党でいろいろな
努力も続けて大詰めに近づいておるようでありますし、また
政府としても積極的に不退転の決意でこの政治改革の問題には取り組んでいかなければならない、こう
考えておりますので、どうぞ御
理解といろいろな御協力をお願いしたいと思います。