○正森
委員 大臣、お聞きになりましたように非常に膨大な額を、資金を調達しているんですね。それが新株発行とかあるいはワラント債とかそういうものですから、現在の時価が上昇したということによって発行できるものなんです。
ここに資料をちょっと持ってまいりましたけれ
ども、それを見ますと、一九八六年
段階は、新日鉄の株価は高値でさえ二百七十六円ぐらいですね。それが
土地が
高騰しましたときに、八六年、八七年というのはそういう利益を
企業としては生んでいなかったんですが、含み益に着目いたしまして、八七年には高値四百五十四円、八八年には高値九百六十九円、八九年には高値九百八十四円というように上昇しているんですね。約三倍から四倍に上昇した。その含み
資産等の、もちろん景気もよくなりましたですね、造船業界は。それらを反映して株価が上昇する。株価が上昇するから新株を発行しても非常に低利資金を入手することができる、社債等の発行
条件もよくなるということで、莫大な金を調達することができたわけであります。
これは必ずしも新日鉄だけではございませんで、九〇年十二月十一日の朝日新聞によりますとこう言うております。「
東京湾岸の江東区豊洲にある造船大手の石川島播磨重工業の元グラウンドで、三十七階建て賃貸ビルの建設が始まっている。総費用の三百億円は、同社が一九八九年に海外
市場でワラント債を発行し、調達した。無配を続けていた同社の株価は「
東京のウオーターフロントに
保有する
土地の
地価上昇」をはやす野村証券など証券業界のテコ入れで急上昇し、社債を有利に発行できたのだ。」こう書いてあります。
あるいは「鉄鋼大手のNKK(日本鋼管)も、時価発行増資で約四千億円を調達し、米国鉄鋼メーカーを買収した。京浜地区にある同社の
土地は、最高で簿価の四百十二倍。八〇年代後半の
企業は、
地価高騰のうまみをたっぷり味わった。」これは赤旗に書いているんじゃないんですね。朝日新聞ですら、すらなんと言うと記者がいれば怒るかもしれませんが、朝日新聞が書いているんです。ですから、
土地はまだ売ってないんだから未実現利益で、それに税金をかけるのはけしからぬなんというのは、これは、株の上昇とそれを利用した
企業の資金調達のメカニズムを多少知っており、その事実を多少とも知っている者については、通用しない議論なんですね。ところが、それであるにもかかわらず、
企業は
地価税に対して猛烈に反対した。
これも同じく新聞に載っていることですが、昨年の十一月三十日の昼、
自民党本部の幹事長室で小沢幹事長と次期経団連会長の平岩外四
東京電力会長、土方武経団連
税制委員長、斎藤新日鉄社長が向かい合った。それで
土地保有税について話し合った。財界は日本
経済がおかしくなるからやらぬといてくれと言ったときに、小沢幹事長が、いや、やらざるを得ないと言うたら、その会談の後で早速通産省へ行った。そして「同省首脳と協議の結果、「
税率〇・二%、
基礎控除に単価基準を設ける」などの”
条件闘争”に、財界の方針が切り替えられた。」まさにそのとおりにこの法案の
内容はなっているのですね。〇・二%というのは四年の暫定
措置で、本則は〇・三%だということになっておりますが、まさに小沢幹事長がやらざるを得ないんだと言う。その足でみずからの保護者である通産省へ行って、そして
条件を出し、まさにその
条件が受け入れられたのが、率直に言ってこの法案の主たる
内容であるというように言わなければならないと思うんですね。
ですから、私
どもは、できれば賛成多数で可決されることを希望しておりますが、修正案を出して、
税率のアップやあるいは平米三万円までの
単価控除ということについて、これは非常に
企業に優遇し過ぎるものではないかという問題を出しているんだということを申し上げたいんですね。
通産省、おりますか。手を挙げて。──はい。今通産省のことをちょっと悪く言いましたが、まあ気にせずに答えてほしいんですが、十二月の五日に、報道によりますと、通産省は新
土地保有税の
課税最低限を五億円と設定した場合に、全国の中小
企業の五割強が
課税対象となるとする試算をまとめ、
自民党商工部会に示した云々という記事があるんです。それで、それは本当かどうかなと思って、時間の節約のために事前に聞いたんですけれ
ども、中小
企業の四百四十地点の調査結果、だからわずかですね。そのサンプルによるものであるがということで、二十三区・政令指定
都市と全国とに分けておりますが、五億円未満ということに控除が決まった場合には、
課税対象を免れるものが全国では五九・四%、十億円未満にすると七七・一%、十五億円未満にすると八三・九%、三十億円未満にすると八七・五%。つまり、二十億円未満までを
控除額にすると、
課税対象になるのは一〇〇から八七・五を引けばいいんですから、全国では一二・五%である、そういう数字を出しておられます。ちなみに二十三区・政令指定
都市では、二十億円未満の場合には
課税対象にならないものが七七・五%、したがって、
課税対象になるものが二二・五%という数字が出ております。これは私があらかじめ言っていただいたものですが、この数字に間違いありませんか。あるいは説明することがあれば言ってください。