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橋本国務大臣 外交全体につきましてお答えを申し上げる資格はございませんけれ
ども、私の守備範囲内における
問題点について述べさせていただきます。
近いうちにEBRD、
欧州復興開発銀行が発足をいたします。まさにこれは、東ヨーロッパの劇的な変化の中で、計画経済から市場経済への移行をたどろうとする
各国に対し
支援の手を差し伸べるためのものでありました。そして、この途中において、ソビエトをどう扱うかという
論議が出、初めの三年間はみずからの出資の範囲内という制限の付された形で、
欧州復興開発銀行は間もなくスタートしようといたしております。
財政当局の
立場からいたしますと、東ヨーロッパの各
地域というものに対し、我々は歴史的にもまた地理的にもそれほど緊密な連携を持っていたとは申せません。それだけに、この
欧州復興開発銀行というものを支えていくことにより、我々は東ヨーロッパの経済
復興に対して力を合わせていこう、
基本的にそういう
考え方を持っております。
それと同時に、昨年、そのヨーロッパの
大蔵大臣たちと話しましたときに、欧州
各国の持っておりますそれぞれの
地域に対するノーハウと
日本の技術力、資本とがうまく組み合わせられて
支援の形にできないものであろうか、こうした
論議も交わしてまいりました。そして、昨年九月のIMF・世銀総会の際、ワシントンで会いました東ヨーロッパ
各国の関係者にも、
日本政府としてそのような
考え方も持っている旨お伝えをしております。その中に、多少芽吹きつつあるものもあるようであります。
ソ連につきましては、多少問題の質が異なってまいりますのが、
一つは北方四島というものの存在でありました。そして、昨年のヒューストン・サミットにおきまして、対ソ経済
支援というのは非常に大きなテーマの
一つとなったわけでありますが、その結果、サミットの首脳の共通の意思として、ソ連の経済
情勢分析をIMF、世銀、OECDそしてEBRD、この国際四機関の作業によって行ってもらおう、それを見て対ソ経済
支援というものについては改めて議論をしようということになり、昨年十二月、この四
国際機関によりますソ連経済調査報告が出てきたわけであります。この内容につきましては、一般的な対ソ金融
支援というものは、経済改革の包括的なプログラムが存在し、また、連邦と共和国の責任関係が明確にされるなどの前提条件が満たされない限り有効ではないといたしておりました。
こうした一般的な問題がある中で、それでも相当積極的な対ソ経済
支援についての
考え方もG7
各国の中にはございましたので、本年一月に開かれましたG7では、対ソ経済
支援の問題は
一つの大きな論争のテーマたり得る、そういう想定のもとに私もニューヨークに参りました。
ところが、ちょうどG7の始まります約三十分前にリガにおける殺傷事件が
報道されまして、G7の空気は非常に大きく変わりました。そして、対ソ経済
支援に最も熱心でありました国までを含めて、現
時点においてソ連に対する経済
支援を議論する雰囲気ではないということから、一月の二十日、二十一日と開かれましたG7においては、四機関の報告が出されました後の最初の
財政当局の責任者の
会議でありましたが、対ソ経済
支援というものは、ソ連の国内
情勢がもうしばらく落ちつくまで見届けようという
各国の
合意とともに、先延ばしになっておるという
状況でございます。
我々は今、北方四島の問題を抱えながら、第二次
世界大戦後初めてソ連の大統領を迎えようとしている時期であり、ソ連との間のさまざまな関係というものを拡大均衡の形に持っていきたいという
気持ちはもちろん持っておりますけれ
ども、やはり金融
支援という問題になりますと、非常に慎重な
対応が必要でありますし、国際四機関の分析にも出てまいりますような
状況の中では、現在検討できる
状況にあるとは申せない、率直にそのような感じを持っております。