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1991-02-18 第120回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年二月十八日(月曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 平沼 赳夫君    理事 尾身 幸次君 理事 大石 正光君    理事 田中 秀征君 理事 村井  仁君    理事 村上誠一郎君 理事 中村 正男君    理事 早川  勝君 理事 日笠 勝之君       浅野 勝人君    井奥 貞雄君       石原 伸晃君    岩村卯一郎君       衛藤征士郎君    狩野  勝君       久野統一郎君    戸塚 進也君       萩山 教嚴君    林  大幹君       細田 博之君    前田  正君       柳本 卓治君    山下 元利君       山本  拓君    小野 信一君       大木 正吾君    佐藤 恒晴君       沢田  広君    仙谷 由人君       筒井 信隆君    富塚 三夫君       細谷 治通君    堀  昌雄君       渡辺 嘉藏君    井上 義久君       宮地 正介君    正森 成二君       中井  洽君    菅  直人君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      大森 政輔君         大蔵政務次官  持永 和見君         大蔵省主計局次         長       小村  武君         自治大臣官房審         議官      遠藤 安彦君  委員外出席者         防衛庁防衛局防         衛課長     藤島 正之君         経済企画庁総合         計画局計画官  藤森 泰明君         外務大臣官房外         務参事官    野上 義二君         外務省北米局北         米第一課長   田中 信明君         外務省条約局法         規課長     小松 一郎君         文部省高等教育         局大学課長   泊  龍雄君         建設省住宅局住         宅建設課長   上野 公成君         自治大臣官房企         画室長     黒沢  宥君         大蔵委員会調査         室長      兵藤 廣治君     ───────────── 委員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   河村 建夫君     山本  拓君 同日  辞任         補欠選任   山本  拓君     河村 建夫君     ───────────── 二月十六日  欧州復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案内閣提出第三四号) 同月十八日  消費税法即時廃止に関する請願正森成二君紹介)(第一一八六号)  消費税廃止課税最低限度額引き上げに関する請願小沢和秋紹介)(第一二五〇号)  同(金子満広紹介)(第一二五一号)  同(木島日出夫紹介)(第一二五二号)  同(児玉健次紹介)(第一二五三号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一二五四号)  同(菅野悦子紹介)(第一二五五号)  同(辻第一君紹介)(第一二五六号)  同(寺前巖紹介)(第一二五七号)  同(東中光雄紹介)(第一二五八号)  同(不破哲三紹介)(第一二五九号)  同(藤田スミ紹介)(第一二六〇号)  同(正森成二君紹介)(第一二六一号)  同(三浦久紹介)(第一二六二号)  同(山原健二郎紹介)(第一二六三号)  同(吉井英勝紹介)(第一二六四号)  パート等課税最低限度額引き上げに関する請願古堅実吉紹介)(第一二六五号)  共済年金の改善に関する請願赤城徳彦紹介)(第一二六六)  同(井出正一紹介)(第一二六七号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一二六八号)  同(奥野誠亮紹介)(第一二六九号)  同(栗原祐幸紹介)(第一二七〇号)  同外四件(斉藤斗志二君紹介)(第一二七一号)  同(二階堂進紹介)(第一二七二号)  同外二件(丹羽雄哉紹介)(第一二七三号)  同(野中広務紹介)(第一二七四号)  同外二件(穂積良行紹介)(第一二七五号)  同(水野清紹介)(第一二七六号)  同(村上誠一郎紹介)(第一二七七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  国の補助金等臨時特例等に関する法律案内閣提出第八号)      ────◇─────
  2. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、国の補助金等臨時特例等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。筒井信隆君。
  3. 筒井信隆

    筒井委員 筒井信隆です。  まず、補助率の問題、補助金等の問題について大蔵大臣にお聞きをしたいと思います。  現行の、特に公共事業補助率負担率、これが余りにも複雑多岐にわたっていて整合性が全くない、こう言わざるを得ない現状であること、これは大蔵大臣もお認めになるかと思いますが、この責任大蔵省にあるのか、自治省にあるのか、あるいはそれ以外にあるのか、それはわかりませんけれども、余りにもその実態はひど過ぎるのではないか、この点に関する認識をまずお聞きしたい。  と同時に、現行補助負担率が一体何種類あるのか。物すごく複雑多岐にわたっていて、数が多いものですから、わけがわからない状況になっているのではないか。数が幾つぐらいあるのか、わかればその点をお聞かせいただきたいのと、せめて最低の率と最高の率、それから標準的な率として幾つかのものを挙げることができるのかどうか、挙げることができるとすれば、それを挙げていただきたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 後段のお尋ねに対しては、私も本当に正確にわかりませんので、事務方から答弁をさせますけれども、確かに、大変複雑であるという御指摘は、私もそのとおりだと思います。  ただ、私は一時期、党の行財政改革責任者をいたしておりまして、補助率問題というものについてもいろいろな論議の真っただ中に身を置いてまいりました。その場合に非常に感じましたことは、それぞれの制度がそれぞれの沿革を持ち、そ の中において、関係者合意を得た補助率の変更というのは、はた目で見るほど簡単には論議整序ができないものであるということでございます。これは自分自身本当に党の責任者としてやってみまして、過去の経緯を知らないために、予想以上に抵抗を受けました。これは公共事業ばかりではございませんで、それぞれの補助金というものについて非常に多かった問題点であります。  もう一つ感じましたことは、補助金整理統合といったようなものを進めます場合に、例えば政府部内の合意が取りつけられましても、その補助金を受けて事業をしていた事業者の中から猛烈な不満が出てきて、これはもう党派の壁を超えて、逆に委員から御注意をいただく、そういったケースも多々ございました。  今後、やはりこうした問題について考えてまいりますときには、国のみならず、省庁間の壁を超え、また国と地方公共団体、さらにはそれを受けて仕事をされる民間方々までを含めての合意を形成するということが非常に大事だということを自分自身の体験として持っております。  細部にわたりましては、事務方から御答弁をさせます。
  5. 小村武

    小村政府委員 御指摘公共事業補助率等につきましては、経済財政事情あるいは各事業における国と地方との機能分担費用負担あり方等を踏まえまして、事業重要度緊要度、受益の範囲、事業規模等を勘案して決められておりまして、先生指摘のとおり大変多岐にわたっております。最高は十分の十でございまして、以下四分の三、三分の二、二分の一、十分の四、三分の一、十分の三、四分の一等々に分かれておるわけでございます。  こうした多岐に分かれている補助率につきまして、やはりその体系化簡素化ということにつきましては行革審等にも指摘をされておりまして、今後こうした指摘を踏まえまして総合的に検討していかなければならない課題だと思っております。
  6. 筒井信隆

    筒井委員 今大蔵大臣からも複雑多岐にわたっていることはお認めになられたわけですが、それは大蔵省だけの責任ではない、それは確かに私もそうだろうと思うのです。ただ、類似している補助金同士においてはせめてバランスの保った補助率。同じような趣旨補助金であるのに全く理由がなくてそれぞれの補助金が全くバランスが保たれていない、こういう状態は避けなければならないと思いますが、現行ではそういう事態にもなっているのではないかという点について、また一言お願いしたい。  それから、今補助率の数が幾つかという点に関する答えはなかったわけですが、補助率の数はわけがわからないぐらいの状態答えることができない、そういう状態であるというふうにお聞きしてよろしいのでしょうか。その二点。
  7. 小村武

    小村政府委員 平成元年十二月二十日の臨時行政審議会答申にもございますように、「補助目的が同一あるいは事務事業の性格・内容が類似している補助金等については、原則として同一補助率とする。」ということで、そういった思想がうたわれておりまして、私どももそうした取り扱いをできるだけできるようにということでこれまでも努力をしてまいりまして、今後の補助率総合的見直しに当たりましてもそれが重要な課題であると心得ております。  それから、補助率の数でございますが、これは勘定の仕方によっては大変幾つもの勘定の仕方がございまして、一定のお考え前提を御指摘いただければ、後ほどまた計算をしてその数字をお知らせしたいと思います。
  8. 筒井信隆

    筒井委員 そういうふうな状態補助率体系補助金体系のうちの補助率体系でありながら、初めは昭和五十七年度からですか、暫定措置がずっと続いてきている。特に体系的には六十年度から補助率カット暫定措置がずっと続いてきて、結局十年ぐらいになってきてしまっている。そういうふうな複雑多岐にわたって整合性も保たれていないような状況の中で補助率カットがずっと続いてきているという状況、極めて異常な状況だと思いますが、その異常な状況であるという認識がそもそもあるのかどうかという点が一つ。  それから、そういう異常な状況をつくり出してきた理由財政赤字であるというふうに聞いているわけです。しかし、その財政赤字というのは、補助率カットされた当時においては、地方自治体においても財政状況がよくなかった時代。現在においては国の方は、地方自治体財政は好調であるというふうなことを言っておりますが、その当時においては少なくとも国も、地方自治体財政も非常にいい状況ではないことを認めていた状態である。そんな状態であるのに国の財政赤字のみを理由にしてそういう異常な暫定措置をずっと続けてきた。これについて、反省をしているのかどうかというのはおかしいですけれども、これが異常な状態であるという認識があるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  9. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員から異常な状態というお言葉が出ましたけれども、私は、少なくともこの補助率問題というものが国の財政再建のみから出てきているとは理解をいたしておりません。と申しますのは、たしか昭和五十六年の春に臨時行政調査会が発足したと記憶をいたしておりますが、臨時行政調査会が発足いたしまして以来、一方では補助金整理合理化というものが非常に強いテーマとして出され、これにつきましては民間からも地方自治体からも大変強い声が上がっていたと私は記憶しています。そうした中におきまして、それから今日までの間に補助金整理統合あるいは一般財源化等々、随分の補助金整理をされて体系づけられてきたと考えております。その移行過程がまだ完全に終了していないという御指摘であれば、これは私もそのとおりであると思いますし、これから先もなお私は補助金というものはただ単に補助率の問題のみならず、常に見直しを必要としていく仕組みのものであることは、委員の御指摘をそのままに受けとめたいと思いますが、財政再建のためのみにこの補助金問題があったという御指摘については、当時臨時行政調査会発足にかかわりました一人として、その御主張にそのとおりとお答えを申し上げるわけにはまいりません。
  10. 筒井信隆

    筒井委員 今の点に関して、自治省、どう考えておられるか、自治省のお考えをお聞きしたいと思います。
  11. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  私どもとしましては、補助金につきましてやはり、ただいま大蔵大臣お答えになりましたように、いろいろな観点から整理合理化をすべきであるという問題意識は持っておったわけでありますが、六十年以降とられた補助率カット措置につきましては、やはり国の非常に厳しい財政状況の中で補助金の暫定的な引き下げ措置が行われた、したがってそれに対する地方団体財源対策につきましては、各年度ごと交付税特例措置でありますとか地方債措置でありますとかそういった措置を講じて地方財政の運営に支障がないように措置をしてきた、こういうように理解をいたしております。
  12. 筒井信隆

    筒井委員 そういう状態がずっと十年近く続いて、今度一部戻すことにしたわけですが、五十九年度水準に戻すと約一兆円の財源が必要になってくる。しかし、そのうち今度は一千六百億円、約二千億円足らず措置を戻しただけ、つまり本則のうちの二割部分を戻しただけであるわけで、これでは地方公共団体の方が不満を持つのもやむを得ないというふうに考えておりますが、あるいは大蔵省の立場では現在よりもよくなったんだ、ベターであるというふうに主張されるかもしれません。確かにベターではあるけれども、しかし本則の二割足らず、十年近く今まで異常な状態を続けてきて、やっと戻したと思うと二割足らずしか戻してない。これじゃやっぱり不十分であると考えますが、その点について、大蔵省自治省のそれぞれ考えをお聞きしたいと思います。
  13. 小村武

    小村政府委員 公共事業等補助率等平成三年度以降の取り扱いにつきましては、関係省庁間 におきまして、国・地方財政事情、国と地方機能分担費用負担あり方公共事業に係る事業費確保要請等を勘案して幅広い角度から総合的に検討いたしました。今回の取り扱いは、関係省庁間の総合的検討のぎりぎりの結論として、依然厳しい財政事情あるいは事業量確保等要請を踏まえて、過去の経緯あるいは地方団体方々要望等にも十分配慮いたしまして、財政当局としては大変厳しいものでございますが、公共事業に係る補助率を六十一年度までに復元をしたということでございます。
  14. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 お答えいたします。  今回の措置につきましては、確かに御指摘のような点もあろうかと思いますけれども、私どもとしましても、地方団体基本的な考え方というのは五十九年度の率に戻してくれという背景があったわけでございまして、そういったものを背景にして鋭意関係省庁と折衝を続けてきたわけでありますけれども、やはり何といっても事業量を確保するということについての極めて重要な問題があったわけでありまして、これについては「公共投資基本計画」、今後十年間に四百三十兆行わなければならないというような問題も控えているわけであります。  したがって私どもとしましては、昭和六十一年度の補助率に戻すということが実現をできたという意味では一歩前進であるというようなことから、なお三年間の暫定措置に同意をしたわけでありまして、今回の措置についてはやむを得ないものというように理解をいたしております。  ただ、これから三年間にかけまして関係省庁も加えて検討会を行っていって、可能なものから実施に移すということになっておりますし、その中で私どもも鋭意検討に参加をして補助率あり方についての見直しをやってまいりたい、かように心得ております。
  15. 筒井信隆

    筒井委員 今のお答えですと、自治省のこの三年間の暫定措置を過ぎてあるいはその期間内の目標としては、これから五十九年度水準に戻すということを目標にされていると、覚書もそういう趣旨であるというふうに考えておられるのか、それとも五十九年度の水準に戻すかどうかはもう別の問題にして、補助率の別の見直し体系化をやることを目標にされているのか、この点をお答えをいただきたいと思います。それは、その後大蔵省の方にも。
  16. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 私ども、五十九年度の率というのは地方団体もかねて主張をしてきた、その主張原点であろうと思います。そういうものをベースにするわけでありますけれども、今回の決定に当たりましては、「行革審答申等を踏まえ、体系化簡素化等観点から、関係省庁間で総合的検討を進め、暫定期間内に結論を得るよう最大限努力し、」「可能なものから逐次実施に移す」という覚書が交わされているわけでありまして、これを受けて、そういった考え方基本にして、大蔵省自治省あるいは関係省庁も入ったところで適切な結論が得られるように検討を進めていくべきものというように理解をいたしております。
  17. 筒井信隆

    筒井委員 大蔵省答える前にちょっと今のをさらに……。どうもはっきりしないのですが、「可能なものから逐次実施に移す」というのは、五十九年度水準に戻すことができる部分を可能な限りやっていくという趣旨考えておられるのか、それともそれとは全然別個に補助率見直しの方を可能なものから実施していくというふうに考えておられるのか、その両方なのか、今の答えではわからないのですが、その点どうですか。
  18. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 地方団体主張、それから私どものこれまでの主張というのは原点でございまして、そういったものを意識しながら体系化簡素化等観点から見直しを行っていって、これは関係省庁関係があるわけでございますから、そういった議論の中で可能なものから実施に移していくということになろうかと思います。
  19. 筒井信隆

    筒井委員 全然はっきりしないのですが、その両方とも含む趣旨なのか、それともどちらかなのか、その点だけちょっと答えてくれますか。二本立てでいくのか、五十九年度水準に戻すということをやりながら同時に補助率見直しをやっていくという趣旨なのか、それともそうじゃないのか。その点、ちょっと今の答えでは全然はっきりしないので、もう一回答えてくれますか。
  20. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 自治省としては、各地方団体のこれまでの主張というのを頭に置いて、そして体系化簡素化等観点から見直しを行っていくという物の考え方でございます。
  21. 筒井信隆

    筒井委員 善解すれば、二本立てでいくというふうに今の答え解釈できるわけですが、相変わらずはっきりしない答えなんですが、大蔵省の方はその点、どうでしょうか。
  22. 小村武

    小村政府委員 将来の取り扱いにつきましては、補助率について体系化簡素化観点から総合的な見直しを進めていくというふうに取り決めをしております。  こういう観点からいたしまして、特定補助率、例えば単純に五十九年度水準に復元するというような前提で行うものではなしに、文字どおり総合的に検討を行っていくというふうに解釈をしております。
  23. 筒井信隆

    筒井委員 そうすると、可能なものから実施に移すという中には五十九年度水準に戻す場合はあり得ない、そういう答えになりますか。
  24. 小村武

    小村政府委員 「可能なものから逐次実施に移す」ということは、関係者間において合意を得られればそのような措置が講じられることは当然でありますが、特定補助率前提にして今そうした御議論をするということではなしに、その内容についても総合的に検討するという趣旨でございます。
  25. 筒井信隆

    筒井委員 両省とも全くあいまいでどちらなのかわからないという状況ですが、そればかりやっていても時間がなくなるので、補助率見直しの方の対応ですが、その対応としては、今まで審議会等で出されている簡素化簡明化幾つかの基準の率を決めてできる限りそれらに当てはめていく。もちろんいろいろな場合がありますから完全にその幾つかの基準に当てはめることはできないと思いますが、原則としてそういう方向に行く、そのような方向考えておられるのだと思うのですが、その点の確認をしたい。  それから、そういうふうに決まったこれから見直していく基準補助率を、一定基準を何らかの形で、例えば政令とか省令とかあるいは法律も含めてで結構ですが、基準を制定していく方向検討されているのか、その点をお答えいただきたいと思います。
  26. 小村武

    小村政府委員 公共事業等補助率の将来の取り扱いにつきましては、先生指摘のように体系化簡素化観点、これは重要な要素であると心得ております。こういったものを含めまして、今後総合的に検討を進めていくということでございます。
  27. 筒井信隆

    筒井委員 抽象的な答えですが、その政令化省令化、文書化して基準をつくる、こういう方向考えておられるのかどうか、その点はどうですか。
  28. 小村武

    小村政府委員 累次の行革審答申にも基本的な考え方は示されております。これをどういうふうに各事業について当てはめていくかということになりますと、その実施官庁等ともよく相談をしなければいけない。加えて、法律で規定されているもの等につきましては、その見直しに当たっては国会の御審議も得なければいかぬということで、一つ政令とかそういったものですべてのものを律するというわけにはまいらないと思います。ただ、基本的な考え方というものにつきましては、今後関係省庁間で総合的に検討を進める、あるいは累次の行革審答申等を参考にさせていただく、こういうことでございます。
  29. 筒井信隆

    筒井委員 今までの行革審答申等で出されているのが、例えば補助率は二分の一を基準にして、より高い補助率として例えば三分の二、より低いものとして三分の一、こういうふうな水準を想定することが適当ではないかというふうな答申幾つか出されているようですが、この二分の一 を基準にして高いのが三分の二、低いのが三分の一、これは補助事業に関しての答申であって直轄事業の方は別だというふうに解釈しているのですが、そうですね。
  30. 小村武

    小村政府委員 私ども補助率等ということを申し上げておりまして、そういった面での検討の対象の一つとして直轄事業負担率もこの補助率等の中に含まれていると心得ております。
  31. 筒井信隆

    筒井委員 そうすると、答申等で出されている二分の一が適当である、そういう答申は、直轄事業を含めたものとして解釈されているということですか。
  32. 小村武

    小村政府委員 平成元年十二月二十日に出されました国と地方関係等に関する答申、これは基本的な臨時行政改革推進審議会答申でございますが、この中にも「補助率等見直し」ということで簡素化の見地からの見直し等々について指摘がなされているものと理解をしております。
  33. 筒井信隆

    筒井委員 質問答えていただきたいのですが、二分の一を基準にするという答申、そして高いのが三分の二で、より低いのが三分の一という水準、これを想定している答申直轄事業を含めているというふうに大蔵省解釈されているのですかという質問なのです。そうしたら余りにも低過ぎるから、それで特に確かめたいのです。
  34. 小村武

    小村政府委員 私どもとしましては、この補助率考え方直轄事業についても当てはまるというふうに考えております。
  35. 筒井信隆

    筒井委員 私は、この答申補助事業についてだけの答申であって、直轄事業もこういう水準であるとするならば、まさに補助率見直し、簡素、簡明化というものは補助金カットという、地方自治体負担を転嫁する、そういう結果につながるというふうに考えます。実際にまたそういう意見もあるようで、簡明化とか簡素化というのは補助率の一律引き下げを結果する、こういう結果になってはまずいのだという意見もあるようですが、今のような解釈ですと、まさにそういう結果になるのじゃないでしょうか。つまり、簡素、簡明化を口実にして補助率カットする、その手段に使う、こういうおそれが非常に強くなってくるのじゃないですか。
  36. 小村武

    小村政府委員 先ほど来お答えしておりますように簡素化簡明化、これは補助率見直し一つの要素でございます。いずれにいたしましても、補助率等につきまして将来いかなる水準であるべきかということにつきましては、国と地方機能分担費用負担あり方、こういった基本的な検討を行い、幅広い観点から検討を今後加えていくということでございます。そういった中におきまして関係省庁間で検討する際に、簡素化を含め具体的な結論を得る、こういうことになっておるわけでございます。
  37. 筒井信隆

    筒井委員 そうすると、補助率の簡素、簡明化というのは、補助金総額を一律に引き下げるとか、そういうことを目的にしているものではないということがはっきりこれは言えるわけですね。
  38. 小村武

    小村政府委員 先ほど来御答弁した中にも補助率等につきましては、十分の十から四分の一以下まで区々のものがございます。執行に際してもあるいは予算編成に際しても、こういったものについて簡素合理化に努めていかなければならぬという要請はございまして、単に財政、国の負担分を削減するというものではございません。
  39. 筒井信隆

    筒井委員 この国と地方財政問題というのは、もちろん国と地方事務配分の問題と非常に関連をするわけですが、現在の補助金の支給の方法というのは、どこにその事務が帰属されるかだけではなくて、たとえ地方自治体が全面的に遂行する事務であったとしても、それを国がある程度利益を得るならば、メリットを受けるならば国が負担する、あるいは国が完全に遂行する事務であったとしても地方自治体がメリットを受けるならば、利益を受けるならば地方自治体が一部負担をする、そういうふうな関係になっているわけです。  しかし、これについての考え方をちょっとお聞きしたいのですが、事務責任が、各行政主体の責任が明確になる必要があると思うので、その場合には、例えば地方自治体がこの事務を遂行するのだけれども国が持つとか、逆の場合がある、これでは、住民から見た場合に一体行政団体のどこが責任を持つ事務であるのかはっきりしないということが出てくるだろうと思う。そういう意味では、行政責任をはっきりさせるためには、事務を遂行する責任主体も経費を負担する責任主体も全く同一にする、そういう方向を目指すべきではないかと思いますが、その点についてはどうでしょうか。
  40. 小村武

    小村政府委員 ある事業費用負担という場合にはその執行する権限の所在と深くかかわることは事実でございますが、ただ、その権限を持っている担当団体なり国なりがすべてその費用を持つかといいますと、必ずしもそうではないと考えております。その機能分担あり方あるいは受益の範囲あるいは地方制度のあり方等々も関連をしておりまして、必ずしもその権限と費用負担とは同一でないと心得ております。
  41. 筒井信隆

    筒井委員 国が実施する事務は国が全面的に経費を持つ、地方自治体実施をする事務については地方自治体原則として全面的に経費を持つ、こういう行政責任明確化の原則とでもいいますか、これはシャウプ勧告とか神戸勧告で主張した原則ですが、そうなると、補助金というのはまさに例外的な場合になって、ほとんどの場合全部が一般財源化現行の大部分補助金一般財源化して、一般財源によってそういう形にしている、ほんの例外的な場合だけ補助金を使用する、こういうシャウプ勧告とか神戸勧告の考え方は、現在は大蔵省とっておられないのでしょうか。
  42. 小村武

    小村政府委員 シャウプ勧告あるいは神戸勧告、答申、こういったものについては私どもも承知をしております。ただ、私どもとしましては、このような考え方をとるのは必ずしも実情にそぐわないというふうに考えております。
  43. 筒井信隆

    筒井委員 その実情にそぐわない理由を具体的にちょっと挙げてみてくれますか。
  44. 小村武

    小村政府委員 補助金制度の基本あり方といたしまして、やはり先ほど申し上げました国・地方機能分担あり方地方制度のあり方等と密接に関係してまいります。例えば、義務教育について地方公共団体事務だということになりましても、それがすべて地方公共団体負担をするということになりますと、その資金の配分を例えば一定の交付金という形で交付するにいたしましても、教育そのものの水準が確保できるかとかいろいろな議論がございました。シャウプ勧告のときも、平衡交付金の時代には義務教育国庫負担金はすべてゼロでございまして、地方負担とされておりました。ただ、実施の実情を考えてみますと、単にシャウプ勧告が示しておりますように奨励的な補助金を国が流すというだけでは、やはり国・地方を通ずる行政のあり方として問題があるのではないかというふうに考えております。
  45. 筒井信隆

    筒井委員 奨励的な補助金だけではなくて一定の行政水準を保つために必要な補助金、これも確かに例外的な場合として残ると思うのです。しかし、それは別にシャウプ勧告や神戸勧告の考え方と矛盾するわけではなくて、ただ原則として一般財源、自主財源でもって各団体が行う事務の経費を負担する、こういう方向を目指すべきであるというのがその考え方だろうと思うのです。それについて自治省の方はどうですか。
  46. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 お答えをいたします。  先生おっしゃるように、確かに地方公共団体がする事業については全額地方団体が経費を持ち、それから国の直轄事業はすべて国が経費を持って地方団体から負担を求めないという考え方もあることを承知いたしております。ただ、現在地方財政法等で考えております体系といたしましては、最終的には地方団体の仕事、機関委任事務ではあっても地方の仕事についてはその仕事をする地方団体が全額これを経費を負担するというのが原則でございます。  ただ、例外が二つございまして、一つは国と地方が、その地方がする仕事について国にあっても 大きな責任を持っているというものについては、私どもいわゆる負担金と申しておりますけれども、国がこれについて一定負担をする。その負担は、やはり国の責任の重いものはいわゆる負担率を高くして負担する、軽いものは軽いなりに負担をするという負担金の世界が一つございます。それからもう一つは、奨励的な意味で国が事務事業を奨励をする、あるいは財政援助的な意味で国が補助金を交付する。そういう二つの場合について国が負担をするあるいは補助をするということが地方財政法では決められております。したがって、ある意味では、最終的に事務を行うところで負担をするというのが一つ原則であろうかと思います。  ただ、私ども負担金、補助金の問題につきましては、やはり簡素合理化といいますか、そういった点からいろいろ検討を進めていかなければならないと思っておりますし、そういう意味で、地方に同化定着しているようなものについては、やはり財源の問題がございますけれども一般財源化していくとか、零細な補助金についてはこれを整理していくとか、そういった点で毎年度各省庁にも私どもの方から申し入れをし、簡素合理化あるいは整理といったような問題について進めていただくように要請をいたしているところでございます。
  47. 筒井信隆

    筒井委員 廃止した補助金はすべて一般財源化する、そういう原則でいっていただきたいと思うし、一般財源化しないで廃止だけというのは本当に例外中の例外だけにしてほしいと思うのです。私が今主張しているシャウプ勧告とか神戸勧告の考え方は、だから、事務配分の合理化とか適切な財源配分、こういうものと補助金の合理化、三位一体でやるべきだ。補助金の合理化だけによって財源の適切な配分をやらないとしたら、まさに一方的に地方公共団体負担が転嫁するわけですから、もう一度言いますが、補助金の合理化と事務配分の合理化と財源の適切な配分、これを三位一体でやった上で、十分に財源措置を保障した上で先ほどの行政責任明確化の原則が出てくるので、地方公共団体に配分された事務地方公共団体が全額原則として経費を負う、国が行うものは原則として国が経費を負担する、こういう原則現行の地財法でも認められていると私は思うのですけれども、地財法九条ですと、地方団体事務の経費は全額当該地方団体負担する、こういうふうな原則が明確に規定されているわけです。ただ、その例外としていろいろな補助金負担金が書かれている状態なもので、先ほどシャウプ勧告やあるいは神戸勧告の考え方をとらないというふうに大蔵省答えられましたけれども、それは地財法の現行原則規定とは合わない考えではないでしょうか。
  48. 小村武

    小村政府委員 国と地方機能分担考え、それから地方公共団体がその権限を持っておる、そういったところに基本的に事務実施主体が費用を負担するという原則は尊重していかなければならないと思います。ただ、地方公共団体事務であるからといって必ずしもすべてが費用負担地方公共団体がやるわけではなしに、例えば社会福祉施設の運営費をとりましても、これは国が二分の一を負担するというようなことになっておりまして、そういった観点から私は申し上げたところでございまして、今後地方公共団体の自主性にゆだねるべきものはゆだね、権限を付与し、かつ、その補助率見直し補助金見直し等々を含めて検討していかなければならないというのは、基本的な考え方は違っていないと心得ております。
  49. 筒井信隆

    筒井委員 さっきの聞き間違いかもしれませんが、じゃ、原則としてはそういう方向でやるけれども、しかし例外的にはやはり補助金等でそれぞれ経費の分担を考えなければいかぬ場面がある、そういうふうに今のお答えをお聞きしてよろしいでしょうか。
  50. 小村武

    小村政府委員 基本的な考え方は、先ほど来申し上げましたように、事務事業実施主体が費用を負担するという考え方については、私どもはそれを尊重していかなければならないと考えておりますが、現実におきまして今の地方公共団体事務多岐にわたっております。それに対して、国の補助金の約八割が地方公共団体に行っております。こういった補助金につきまして、極端な例として、かつての論議がありましたように、義務教育国庫負担金等につきましてこれを国の負担の対象にしないというシャウプ勧告のああいった大胆な考え方は現在私どもはとっていないということでございます。
  51. 筒井信隆

    筒井委員 大胆であるかどうか、そういう原則前提にした場合に、直轄事業負担金というのはどうでしょうか。これはまさに今の原則からいうと廃止すべきである、例外に入れる特別な合理的な理由がない、そういう場合にならないでしょうか。
  52. 小村武

    小村政府委員 直轄負担金につきまして、先ほど来申し上げておりますが、国・地方の役割分担、財政状況、地元の受益状況等を勘案してその負担率を設定し、御負担をいただかなければならないと考えております。およそ国がやるものはすべて国の負担地方がやるものは地方負担というふうに単純に分けられないということを申し上げていた次第でございます。
  53. 筒井信隆

    筒井委員 そうすると、直轄事業負担金に関して、私は廃止すべきだと思うのですが、国の財政事情とその事業について地方公共団体が受けるメリット、この二点からこれが必要である、今のお答え整理するとそういうことになりますね。
  54. 小村武

    小村政府委員 申し上げましたのは、国・地方の役割分担、財政状況、地元の受益の程度等、諸般の事情を考慮して合理的に決定すべきであるということでございます。
  55. 筒井信隆

    筒井委員 その合理性がないという主張をしているわけですが、補助金についてはこれまでにして、次に九十億ドルについての質問に移ります。  まず九十億ドルの財源について、増税部分と歳出削減と税外収入の三本柱で政府は決めたようでございますが、その防衛費の削減は結局次期防の総枠を削減したのでしょうか、それとも削減しなかったのでしょうか。
  56. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 次期防の総枠は削減いたしておりません。
  57. 筒井信隆

    筒井委員 公明党の石田委員長は、次期防の総額ベースの削減である、次期防そのものの削減であるというふうに言っているわけですが、これとは全く違う、次期防総枠の削減は一切しない。だから今度の政府の決定によりますと、来年度に契約する予定であったものを何年か後にただ引き延ばすだけ、結局何年か後に同じものを契約すれば全くの空証文になってしまう、そういう内容のものではないですか。
  58. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは大変簡潔な言い方をして失礼をいたしました。その平成三年度の防衛費、防衛関係費につきまして、今回の措置によりまして契約ベースでは一千億円以上の削減になります。この結果、当初の政府案に比べまして、今後四年間で支出されていくはずの経費が、平成三年度の予算編成という時点について見ると現実に一千億円以上減ることになる。見せかけだけということではございません。  同時に、この新中期防自体が五カ年間の事業と総額の限度を定めておるものでありまして、その実施に当たりましては、各年度ごとの予算の編成に際し、そのときどきの事情を勘案して精査した上で、一層の効率化、合理化に努めながら、極力経費を抑制するように努力しながら決定されるわけであります。  同時に、新中期防には、「三年後には、その時点における国際情勢、技術的水準の動向、経済財政事情等内外諸情勢を勘案し、この計画に定める所要経費の総額の範囲内において、」、「範囲内において、」でありますから上回ることはないわけでありまして、「範囲内において、必要に応じ、計画の修正を行う。」こととしているということでありまして、計画の修正そのものも新中期防の中にも実は入っております。  ただ、今回の部分についてのみの御指摘でありますならば、契約をしようと思っておりましたも ののいわば頭金に当たります初年度経費を削減いたすわけでありますから、それはそのまま次年度以降の歳出を削減する効果を持つということでありまして、それに新中期防そのものの枠の問題とは別のものと私はお答えをしたつもりでありました。
  59. 筒井信隆

    筒井委員 総額ベースは削減しないという先ほどのお答えの変更ではないですね。(橋本国務大臣「変更ではありません。少し丁寧に申し上げたわけです」と呼ぶ)三年度の契約を予定していた部分を一部削減する、その結果それが後年度負担になった部分を含めると一千億円になるという説明だと思うのです。しかしそれは、三年度に購入しようとしていたことをその三年度にはやめたということを意味するだけであって、四年度以降において買うことは当然予測されているし、また買うことができるわけですね。同時にまた、もしそのことを本当に削減したならば、中期防の総枠ベース、二十二兆七千五百億円ですか、これを削減したならば確かに総体として防衛費の削減ということにはなるかと思いますが、新中期防の総枠自体は全然変えていない、その変更はしないということも決定されているわけですから、三年度に買わないことにしただけであって四年度以降にまた買う、これを当然前提にしているわけではないですか。
  60. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これはそうではありませんと申し上げますが、技術的に非常に複雑な仕組みでありますので、私が細かく申し上げるよりも防衛庁の専門家からきちんとお答えをさせたいと思います。
  61. 藤島正之

    ○藤島説明員 御説明いたします。  今大蔵大臣からもお話がございましたけれども、中期防というものは総枠は定めてございますけれども、年々の事業あるいは年々の経費規模は実は定めてございません。その五年間にやるべきトータルとしての事業を定めておるわけでございます。  今回の削減は、平成三年度予算に実は当初計上されておったもの、これは昨年夏から鋭意一品一品どうしても必要だということで詰めたわけでございますけれども、今回また次元の違う観点から努力せよということで一千億円相当削減したわけではございますけれども、これは平成三年度について見ますとまさに事業としては削減されておるわけでございます。したがいまして、平成四年度以降どうなるかというのはまた別問題でございまして、これは中期防がそういう性格のものでございます。  例えば、四次防というのがございましたけれども、これは昭和四十七年から昭和五十一年までを定めたものでございました。この間に、四十八年に例のオイルショックがございまして、艦艇、航空機等、軒並みに調達ベースがダウンをしたわけでございます。しかし、四十八年度には、その際実は四次防というのは変えておるわけではございません。実は最終年度に、事業量がどうしても五年間のトータルで縮小せざるを得なかったということで一部主要項目について削減したといったようなことがございますが、私ども、そういうことで今回の措置と新中期防との関係は十分説明し得ると考えておるわけでございます。
  62. 筒井信隆

    筒井委員 新中期防の二十二兆七千五百億円というのを一千億円削って変更して二十二兆六千五百億円にしたならば、確かにわかるのです。しかしそうしないで、新中期防の二十二兆七千五百億円自体は変更しないという決定も同時にしておきながら、一千億円の削減と言っている。これは結局、平成三年度においてその一千億円分の契約はしないことにしますよ、しかし、四年度以降にそれをしますよということになるのじゃないかという質問なのです。だから、全く総額ベースにおいて、先ほど大蔵大臣が言われておりましたように、変更されていないし、防衛費の削減には全くなっていない。(橋本国務大臣「防衛費は削減したんだ」と呼ぶ)この五年間全体で見たらですよ。五年間全体で見たら防衛費の削減には全くなっていない。
  63. 藤島正之

    ○藤島説明員 繰り返しになるかもしれませんけれども、少なくとも平成三年度の事業におきましては一千億円削減したということでございます。  したがいまして、例えばどういうことかと申し上げますと、本年練習艦一隻を調達することにしておりますが、これは実は昭和四十一年に建造いたしました「かとり」という練習艦、これは毎年実習幹部がやっております遠洋練習航海、これに使うわけでございますが、これが実は平成五年度に除籍される時期に来ております。それに合わせまして、建造日数が三年間かかりますので平成三年度に措置をしたというものでございますが、本年それを削除したことによりまして平成五年度にこれができてくるというものではございません、来年度以降どうするかという問題は別にあるわけですけれども。したがいまして、平成五年度には入ってこないことになりますが、同時に「かとり」は除籍せざるを得ないわけでございます。そうしますと、平成六年度の初夏から多分遠洋航海に行くと思いますが、その際には練習艦なしの遠洋航海というようなことになるわけでございまして、私どもとしては事業ベースでそういうのを全部積み上げたのがこの一千億でございますので、御理解いただきたいと思います。
  64. 筒井信隆

    筒井委員 ちょっと重要なので厳密に聞きますが、削減されたという一千億円、これは五年間の新中期防では、その分は絶対に五年間では支出はされないのですか。それとも、される可能性があるのですか。
  65. 藤島正之

    ○藤島説明員 今回削減された一千億は、もし削減されないとすれば、この五年間以内に支出されるということになるものでございます。
  66. 筒井信隆

    筒井委員 いえ、そういう質問じゃなくて、今度削減したと言っているけれども、五年間の間にそれがもう絶対再び復活する可能性はないのか、それとも復活する可能性があるのかという質問なのです。
  67. 藤島正之

    ○藤島説明員 それはどちらとも言えないということでございます。これは、先ほどから申し上げましたように、新中期防というのは五年間のトータルを決めておるわけでございます。ですから、年々はそのときの財政事情、毎年の財政事情を見ながらどこまで予算化できるかということになるわけでございますから、その意味で現在、それじゃ全部平成四年度以降出てこないのかとか、あるいは必ず出てくるのかということは、この場で私どもがきちんと申し上げるといったような性質のものではないということでございます。
  68. 筒井信隆

    筒井委員 どちらとも言えないということですが、つまり、結局最終的に削減になるのかどうかわからないという答えになるかと思うのです。実際に、もし最終的に削減する意向がはっきりしているならば、二十二兆七千五百億円を二十二兆六千五百億円に変えなければならない。それを変えないでそのまま残っているのは、逆に言えば今度は、どちらとも言えないというよりも、五年間の間ではその一千億円をもう一度復活することが当然前提になっている。復活しなければ二十二兆七千五百億円の支出にならないわけですから。当然、どちらとも言えないというよりも、もう復活することを予定していると言えるのじゃないですか。
  69. 藤島正之

    ○藤島説明員 何回も同じことを申し上げることになりますけれども、中期防の性格と年度予算の性格との違いだというふうに御理解いただければよろしいかと思います。  したがいまして、平成四年度以降でもう一回それを計上できるかどうか、それは来年以降のまさに経済財政事情あるいは効率化、合理化をどんどん図っていくといった中でどこまで予算計上できるかといったようなことになるわけでございますので、ここでどう積まないのか、積むのかといったようなことをはっきりしろというようなことにはならないということでございます。
  70. 筒井信隆

    筒井委員 答えになっていないのですが、ただ質問観点をちょっと変えますが、公明党の石田委員長が、次期防総額ベースの削減である、次期防そのものの削減である、絶対にごまかされない し、今後の数字の突き合わせでチェックする、こう言っておられるようですが、これとは今度政府が決めたことは対立しますね、矛盾しますね。
  71. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 専門家に答弁をさせましてかえって混線を来しておりますようですから、私なりにもう一度申し上げたいと思います。  今回削減をいたしましたものは、確かに頭金としては十億円でありますけれども、この十億円と申しますものは、この中期防期間中の国の支出としては一千億円になる、一千億円を多少超えるかもしれません、の金額に当たるものの頭金であります。そしてこれは、ですから我々は確かに今回削除をいたしました。そして、公明党の石田委員長が述べられたと今委員が引用されましたものは、これが例えば機械的に次年度復活するといったようなことは許さないよという御指摘だと思います。そしてそういうことがないようにきちんと突き合わせをするよと言っておられるのだと私は思います。  同時に、中期防というものの全体は、今防衛庁側からも説明がありましたように、例えば何年に幾ら幾ら何に支出するというものを固定した性格のものではなく、あくまでも五年間の事業と総額の限度を定めている性格のものでありますから、仮に今回削除をいたしましたからといって総枠を直ちに変更するという性格のものではないということを私は事務的に申し上げたつもりでありました。  今後、しかも、今回の新中期防は従来のものと違いまして、ちょうど従来から引きずってまいりました歳出化経費がピークに達する時点以降において見直しをするということも申し上げておるわけであります。その辺が政府委員の側からいたしますと、また別な観点から必要になった兵器を正面装備として計上した場合、そこまでが今回の枠として影響を受けることは違うのではないかという視点でお答えをしておるようでありまして、その辺が専門家過ぎて、私も聞いておりまして、これはちょっと混線を生じるなと思って私なりに補足をさせていただきます。
  72. 筒井信隆

    筒井委員 三年後の見直しというのは、もともと今回の問題が起こる前から新中期防の中にも入っていたわけですから、公明党が目的に要求しているのはそんなことを要求しているわけじゃなくて、現時点において次期防総額ベースでの削減、全体の削減を要求しているし、先ほどの石田委員長の話もそれができたというふうに言っているわけで、それはしかしできなかったわけでしょう。その点はそうじゃないですか。総額ベースの削減は今回はできなかった、これが事実じゃないですか。
  73. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから、今回の措置によりまして新中期防の総額を変更しているかという御質問であるならば、総額は変更しておりません。私はそう理解をしましたので、最初委員にあのように御答弁を申し上げました。新中期防というものの性格は、最初から申し上げておりますように、総額、限度を定めておる計画だということであります。  そして、もしこういうことを申し上げることが許されますならば、平成三年度予算もごらんをいただきますと既に防衛費は実質的に減少し始めております。人件費、糧食費の部分、それから歳出化経費の部分、これは確かにふえております。しかし同時に、その他の部分を見ていただきますと、前年度と違いまして日米駐留軍経費の関係で増額を新たにいたしました部分がありますから、それを除きますと、前年度に比べて減っております。そして新中期防と現在の中期防の間に、ストックベースにおきましても、戦車にいたしましてもあるいは護衛艦にしても減少いたしておるわけであります。その延長線上において今回減額を政府として決定をし、削減をいたしましたものでありますから、それは素直におとりをいただきたいと思います。
  74. 筒井信隆

    筒井委員 素直にとれば、まさに次期防は一切変更されていないし、削減もされていない、防衛費の削減はただ年度が変わっただけにすぎない、こういうことが言えるわけで、公明党の委員長が絶対にごまかされないというふうに言われているのですが、今度の政府の決定は公明党の主張していたのとは全く違うし、これをもしそういうふうに誤解しているとしたらそれは事実と違うのじゃないかというふうに思うのですが、それを今追及しても切りがないですから、ちょっと横にずれますが、過去の次期防の当初の枠、金額が、結果として、実績としては丸々一〇〇%だったかどうだったか、そのことについて防衛庁の方、今わかれば。突然の質問でわからなければいいです。
  75. 藤島正之

    ○藤島説明員 ちょっとただいま資料がございませんが、先ほど申し上げました四次防のケースでございますとかなり下回っていると思います。  また、これは基本的な考え方でございますけれども、それぞれの中期防とかは何年度価格ということを基準にしてございますので、五年後でき上がります数字は、その実勢価格の面と、あるいはデフレーターをどういうものを使って最初の年の価格に戻すかというような面もございますので、必ずしも一〇〇%正確になるといったような性質のものではないということでございます。
  76. 筒井信隆

    筒井委員 この九十億ドルを支出、拠出をすることが国際公約であるというふうに主張されておるようですが、ここでも確認したいのですが、国際公約であるかどうかということと、国際公約であるというふうに判断されているとしたら、どこで、いつ、だれが、どういうふうに約束したのか、その点について大蔵大臣お答えいただきたいと思います。
  77. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 国際公約であるかないかという点についてまずお答えを申し上げたいと思いますが、今回の九十億ドルの追加支援については、一月二十四日に開催をいたしました湾岸危機対策本部の第四回本部会議におきまして、湾岸における平和回復活動を行っております米国など関係諸国に対し、我が国としてその国際的地位にふさわしい支援を行うとの観点から、湾岸平和基金に対して、従来の拠出分に加え、新たに九十億ドルの拠出を行うこととする旨の決定が行われ、翌日の閣議におきまして同様の趣旨が了解されたものでございます。
  78. 筒井信隆

    筒井委員 国際公約であるというお答えですか、今のは。
  79. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 日本として閣議の了解を得たものが公表された以上、国際的な公約となっておることは事実であります。
  80. 筒井信隆

    筒井委員 よく新聞等で国際公約と言われているのは、あくまで閣議で決めてそれが公表された、だから国際公約である。もう一度厳密に確認しますが、そうですね。
  81. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 厳密に解釈されますならば、ちょっと私は専門的な知識を十分に持っておるとは申せませんので、これはちょっと外務省か何かに聞いていただいた方が、条約局か何かに聞いていただいた方が正確だと思います。  しかし、少なくとも、閣議において了解をされ、それが公表をされ、既に各国はそれを知っておるという意味においては、私は国際的な約束というものになるのではないかと思います。
  82. 筒井信隆

    筒井委員 閣議において決定して、それが公表されたから国際公約である。直接アメリカ等に、アメリカを含めて、日本政府は約束したものではないですね。
  83. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変失礼ですが、もうひとつ意味がはっきりしないのですけれども……。
  84. 平沼赳夫

    平沼委員長 もう一回。筒井信隆君。
  85. 筒井信隆

    筒井委員 済みません。じゃ、日本政府のだれかでもいいですが、直接、書面とか口頭等でアメリカ政府に対して約束した、そういう趣旨の国際公約ではないですね。
  86. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 日本政府は、このことを決定いたしました段階で、海部総理からブッシュ大統領に対し、日本としては今回の中東の状況の中で多国籍軍に対して九十億ドルの資金拠出を行う意思がある旨電話をされたと私は聞いております。
  87. 筒井信隆

    筒井委員 アメリカに対して海部首相が電話で約束した。それがアメリカに対する……。
  88. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 約束という言葉が大変誤解を生みやすい言葉だと思いますけれども、日本政府の意思を伝えたということであります。
  89. 筒井信隆

    筒井委員 そうすると、それがアメリカに対して直接伝えた一番最初であるということだと思うのですが、先ほどのお答えだと。その前には一切そういう意思は伝えていないということですか。九十億ドルを拠出するという日本政府の意思を、アメリカ政府にはその前には伝えていないということですか。
  90. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ちょうど一月に入りましてから、一度は、湾岸の情勢が非常に緊迫の度を深めておりますときに外務大臣が訪米をされ、その後、湾岸における戦闘行動が開始された後に、私がG7のためにアメリカに参りました。いずれの場合におきましても、相応の負担をするということは私自身も申しておりますが、金額として百億であれ九十億であれ五十億であれ、数字が出ましたのは、日本政府としての意思の決定を行いました後に、海部総理からブッシュ大統領に電話における会談の中で日本政府としての意思決定を伝えられたのが最初であります。そして、その後に行われましたアメリカの大統領報道官フィッツウォーター氏の記者会見の席上それが披露され、九十億ドルの多国籍軍に対する資金協力というものをその場で口にされたのが初めだと私は承知をいたしております。
  91. 筒井信隆

    筒井委員 今のお答えは、九十億ドルという金額が出たのは、直接アメリカ政府に日本政府の意思を伝えたのは、その海部首相の、閣議で決定後のものが最初で、それ以前は金額は一切伝えていないというふうにお聞きしてよろしいわけですね。  それが、閣議で決定されて公になったのが国際公約だというふうな主張なんですが、その場合の公約の拘束力というのはどういうふうに考えておられるのですか。単に、これを破ったら政治的に批判されるものと考えておられるのか。どの程度の拘束力というふうに政府は今これについて考えておられるのですか。
  92. 小松一郎

    ○小松説明員 御説明申し上げます。  国際法上の拘束力という観点からの御質問でございますが……
  93. 筒井信隆

    筒井委員 いや、法律的に限らない。政府がどういうふうな拘束力と考えて国際公約と言っておられるのかということです。
  94. 小松一郎

    ○小松説明員 国際法上の拘束力という観点からまいりますと、やはり政府が取り決め等を締結いたしまして、その時点で国際法上の拘束力が生ずるものだというふうに考えております。  ただいま大蔵大臣から御答弁ございましたのは、日本政府として閣議の決定を経て拠出の方針が対外的に発表された、こういうことが国際的に見ますと、国際法上の拘束力という観点からいいますと、そこで直ちに法的な拘束力を生ずるものではないと存じますけれども、一国の政府が閣議決定を行いまして、それを対外的に発表したわけでございますから、政治的にはそれなりに重みを持って受けとめられるということをおっしゃったのだというふうに理解いたします。
  95. 筒井信隆

    筒井委員 そうしますと、閣議で決定してそれを発表したわけですから、国際法上の法的拘束力が出てくるはずがないと私も思いますが、その法的拘束力はないけれども政治的な拘束力はある、今そういうふうなお答えというふうにお聞きしたのですが、政治的な拘束力の中身はどういうふうに考えておられるのか。できましたら大蔵大臣、どの程度のものとして認識されているのか、意識されているのか、それをお答えいただきたいと思うのです。
  96. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変恐縮でありますが、私は、委員がその点にどういう答えをお求めになっておるのか全くわかりません。大変失礼でありますが、どういう意味を持たせてお尋ねになっておるのか自体がよく理解できないのです。少なくとも、今政治的な拘束力という言葉が外務省から出たようでありますが、日本政府としての意思が表明され、そして多国籍軍に対する資金協力というものに日本政府が意向を示した時点において、我々はそれを全力を挙げて実施に移す責任があると考えております。  少なくともイラクという大きな国がクウェートという小さな国を侵略し、居座り、国際的な世論にもかかわらずその占領を解除しない状態の中で、国連の安保理における諸決議を受けて多国籍軍がクウェートの領内からイラクを排除する行動に出た。その中に日本は一人の人間の協力もしておりません。同じように日本と比較をされておりますドイツの場合には、明確にアメリカに対して五十五億ドルの戦費支援、イギリスに対して五億四千万ドルの戦費支援、そしてNATOのエリアの中で行動できるドイツの立場を生かし、トルコにまで戦闘機を中心とした作戦機を配備し、人間を送っております。それぞれの国がさまざまな行動をとっております。  日本は憲法のもとにおいて、兵力をもってクウェートからイラクを排除する行動に協力ができないわけであります。その場合に、資金協力を行うという約束までを日本が国内のさまざまな問題の中から廃棄せざるを得なくなった場合、果たして国際的に日本がどのような立場に置かれることになるのか、これは委員も御理解のいただけることであろうと存じます。
  97. 筒井信隆

    筒井委員 政治状況とか経済状況考えて九十億ドルを支出したい、あるいはするべきである、そういうことに関してはいろいろな見解の対立があると思うのです。しかし、国際公約と言えるかどうかというのは極めて重要な問題で、何の意味があるかというふうな、反論といいますか。それはかえって逆に意味がわからない。  例えば、本当に今の日本政府の国際的な公約であるとすれば、自民党政権がなくなって社会党政権になったってその社会党政権がやはり約束を守らなければいかぬ場合が出てくるわけです。国際公約の重要度によってはそういう場合もあるもので、どの程度の国際公約として考えておられるのか、実際にどの程度強いのか、その点は物すごい重要な問題なのでお聞きしているのです。
  98. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、今回のイラクのクウェート侵略から発した事態の中における多国籍軍に対する日本の資金協力というものは、海部内閣といわず自由民主党政権が崩壊し土井委員長を首班とする社会党政権ができましても、国際的には当然履行を迫られるだけの重みのあるものであると思っております。
  99. 筒井信隆

    筒井委員 だから、そこで法的拘束力はないと先ほど言われましたけれども、その政治的拘束力の中身、それの説明を求めたいということを聞いているのです。
  100. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変恐縮でありますが、私は専門家ではありませんから、国際公約と言われるものかどうかわかりませんと最初に申し上げました。ただし、閣議が了解をし、それが世界に了知された以上は国際的な約束に、そう申し上げておる。条約上の国際公約とは一言も私は申し上げておりません。それを国際公約という御見解の上に組み立てられることは、私としては不本意であります。  ただし、この九十億ドルの多国籍軍に対する資金援助というものは、私は、日本の政権が全く他の政党によって組織される場合においても、果たされない場合には国際的に極めて厳しい風当たりの中に孤立することを覚悟しなければならないようなものであると思っております。なぜなら、国連のたび重なる安全保障理事会の決議というものを受け、クウェートからイラクを排除しようとしている国際的な動きの中で、日本は人の協力も資金の協力もしないということを宣言することでありますから、私はこれは非常な事態を生ずると思います。
  101. 筒井信隆

    筒井委員 ちょっと誤解していたかもしれませんが、国際公約ということは、それは大蔵大臣の言葉ではないのですか。大蔵大臣はそう考えておられるのじゃないのですか。
  102. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は一番最初に、ですから、私は専門家じゃありませんから国際的公約とかそう いう条約上のことはわかりませんと申し上げております。ただ、日本政府が閣議で了解し、それが世界に知れた以上国際的な約束になっているということを事実関係として申し上げております。
  103. 筒井信隆

    筒井委員 この九十億ドルの積算根拠は、よく予算委員会等でも論議されていて、全然はっきりしない。総合判断というふうにただ言われているだけなわけですが、同じ質問をしてもまた同じ答えが返ってくるだけでしょうけれども、どこから一体九十億ドル、例えば八十億ドルとか七十億ドルではなくて、どこから九十という数字が出てきたのか。一番最初は一体どこで出てきたのですか。
  104. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 たしか二十四日であったと記憶をいたしますけれども、二十三日に私はG7を終わり日本に帰国をいたしました。そしてその帰国直後に総理に対し、ブレイディ財務長官との会談を含め、G7各国の財政当局責任者とのそれぞれの話し合いの内容というものは全部御報告をいたしました。その後政府・与党首脳会議が開かれ、政府・与党首脳会議においても議論が行われ、そして総理としての決断が下されたということであります。
  105. 筒井信隆

    筒井委員 それでもはっきりしないですが、その使途の点に関しても五つぐらい、海部首相は予算委員会等で、輸送、食糧、医療、生活、事務関連等を言っておられるようですが、しかし、その後十何日ですか、イラクがあの提案を出した後は、撤退費用もかかるし戦後の復興資金もかかる、こういうようなこともどうもプラスされて言われているようですが、その使途も、最初予算委員会で述べられていた五つの項目に限定されていない、場合によっては戦後復興資金とか撤退費用とか、そういうのに使われる可能性もある、まさにその点はわからない、こういうふうにお聞きしてよろしいですか。
  106. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 一昨々日の夜、私は当初の報道に接したとき、これで中東に和平が帰ってきたかと一瞬本当にほっとした気持ちを持ちました。しかし、その後正確にイラクの革命評議会の意思というものを確認いたします段階で、国連安保理決議六百六十を受け入れると言いつつ、それには非常にたくさんの前提条件がついていることを知り、本当にがっかりいたしました。  そして、今率直に私の気持ちを委員お答えいたしますならば、私は本当にその九十億ドルが平和回復のために使われる、まさに戦闘終結後の事態の中で改めて使途が議論される状況に一刻も早くなってもらいたいと思っております。私は本当にそう願います。しかし、現在遺憾ながらその状況になっておらない中におきまして、和平回復後のことについて私は云々するだけの知識を持ち合わせておりません。
  107. 筒井信隆

    筒井委員 和平回復後の日本政府の行動についてお聞きしているのではなくて、九十億ドルの使途に限定してお聞きしているのですが、海部首相は五つの項目について今まで説明していた。その五つの項目だけ、それ以外には九十億ドルは使われないのか、それとも場合によっては戦後復興資金とか撤退費用等にも使われる可能性があるのか、その点はわからないのか、そのことをお聞きしているのです。
  108. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 仮に平和が直ちにでき上がるということになりますならば、当然私はその経済復興に伴い必要な活動に対しての経費の中で充当されていく部分があろうかと思います。
  109. 筒井信隆

    筒井委員 そうしますと、これからの情勢の変更によっては使途は五つのものに限らずさらに広がるかもしれない、その点はまさにわからない状態で九十億ドルを支出する、こういうことになりますね。
  110. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変委員の御質問のされ方が、ビーンボールを投げられるものですから、バットを動かしかねない危険性がある御質問だと思いますが、戦闘状態というよりもイラクがクウェートから立ち退かない状態が続く限りにおいて、イラクがクウェートに居座っている状態が続く限りにおいて、総理が従来御答弁を申し上げている線から新たな目的がつけ加わることはないと思います。しかし、イラクがクウェートから撤退した、あるいは正式に撤退するとなりますならば、当然湾岸平和基金における役割というものは新たなものもつけ加わってくるでありましょう。正確に申し上げますけれども、イラクがクウェートに居座り、クウェートからイラクを排除するための行動が続いている限りにおいて、新たな目的が追加されるとは思いません。
  111. 筒井信隆

    筒井委員 だから、一定条件、一定状況前提にする限り五つであるけれども状況が変わればあるいは他のものがつけ加わってくるかもしれない。今のお答えはそういう趣旨である。状況によっては使途も変更になるかもしれない。現時点では、そういう変更があり得るかもしれない状態で九十億ドルをもう出すということになるわけです。
  112. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 外務省の専門家から補足してもらいますが、日本政府は湾岸の平和と安定の回復のために湾岸平和基金に拠出をするのであります。経済復興、委員が先ほど平和が戻った時点を想定されましたけれども、私は平和が戻りましたならば文字どおり湾岸平和基金がそのための働きができる状態が来ると思います。ですから、委員のおっしゃる目的の追加とか変更とかと言われる意味がどうもわかりません。日本政府は、湾岸の平和と安定の回復のためにこの資金を拠出する、この点を私から申し上げ、事務的な説明は外務省の職員からお願いいたします。
  113. 田中信明

    田中説明員 ただいまの委員の御質問につきまして、今回の追加支援九十億ドルは、予算委員会でも何度もお答えいたしましたように、湾岸の平和と安定の回復のために活動している関係諸国を支援する目的で行われるものであって、具体的使途については最終的に湾岸平和基金の運営委員会によって決定されるということになっております。そういう前提で私どもは予算委員会等におきまして申してございます。  そして、現段階では、政府としては、関係諸国が湾岸の平和と安定の回復のための活動に要する諸経費のうち、輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連等の諸経費に充てる方針であると申し上げてきた次第でございます。
  114. 筒井信隆

    筒井委員 それはもうわかっているので、輸送等の五つの項目について支出すると言っているから、だけれどもそれはまたさらに状況の変化によっては変わり得るだろうというふうに聞いているんで、その点は今の大蔵大臣答えでも結構なのですが、こういう形の積算根拠あるいは使途の限定によって予算を、しかも九十億ドルという巨額な資金を拠出をしてしまう、これは予算が本来持つべき一般的な原則からも外れるのではないかというふうに私は考えております。予算原則として、公開の原則とか明瞭性の原則があることはお認めになると思いますが、どういうルートで幾らの金が、予算が入ってきて、どういうふうなものに使うか、それを明瞭に国民に示す、国民にその審議の過程を含めて示す、これが明瞭性の原則であり公開の原則であると思うのです。こういう原則自体、大蔵省の予算編成に当たってその指導原則になっていると思うのですが、そのことをお認めになるかどうかということと、それから、それと今度の九十億ドルの支出の積算根拠と使途の説明、全く矛盾するのではないか、こういう点についてお答えいただきたいと思います。
  115. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 例えば、本院におきましてもまた本委員会におきましてもしばしば御議論をいただきましたテーマの中に基金の造成というものがございます。スポーツについての基金あるいは芸術文化振興についての基金、これは一定事業量というものを想定しながら基金造成を行うわけでありまして、基金造成の時点において積み上げ計算を行っているものではないと私は承知をいたしております。こうしたものがあることを申し添えたいと思います。
  116. 筒井信隆

    筒井委員 今言った基金、何の基金でしたっけ。
  117. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今私は、最近本委員会でも御論 議をいただきましたスポーツと芸術文化を例に挙げました。
  118. 筒井信隆

    筒井委員 それは国内での基金の話で、国内での基金に関してはもちろん政府の指導等々いろいろできると思うのですけれども、国外の湾岸平和基金に出す。運営委員会で決めると言っているし、あるいは使途の報告を受けるというふうに言っていますが、全く検収が担保されていない。そういう国際機関に、別の国の機関に出す。今の国内での基金の問題とは全然質が違うと思うのです。  今私がお聞きしたいのは、明瞭性の原則とか公開の原則はお認めになるのかどうか、それと矛盾するのではないか、その点の二つについてだけ。
  119. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 委員が質が違うと仰せられれば、それは日本国内の基金と海外の基金でありますから確かに違いはございます。ただ基金というものの性格を私は申し上げたわけでありまして、仮に今委員が述べられました、一般に、委員が御指摘になりましたような問題というのは、私ども自身が予算を精査して概算要求から厳しく切り込んでいる実態から見てもその御指摘は確かにあるわけですけれども、同時に基金というもの、ですから今私はスポーツ振興と芸術文化を例に挙げましたが、一定事業規模というものを想定して造成する基金というものの性格には違いがあろうと私は思います。  もし法律的な見解等が必要でありますならば専門家から答えさせますけれども
  120. 田中信明

    田中説明員 具体的な基金の使途についていかに国際的にも担保するのかという御質問であるとすれば、それは予算委員会でもたびたび答弁しましたとおり、まず第一に、従来湾岸平和基金への拠出に当たっては、同基金に対する拠出金は、交換公文上、湾岸の平和と安定の回復のため、資金協力または物資協力に使用される旨規定されております。また、その具体的な使途は、我が国政府及びGCCの代表から成る運営委員会によって決定されることとなっております。さらに、運営委員会は、日本政府の拠出金がこれらの使途に使用されるよう確保される旨規定されており、我が国の意図に反した使途というものには充てられないように確保されておりますし、我が国の意図に沿った使い方をするようにされております。さらに申し上げますと、我が国政府は、運営委員会を通じて資金供与後その使用につき報告を受けることになっております。  今回の九十億ドルにつきましても、基本的に以上のような仕組みに従うことによってその使途の確保という点については十分に国際的にも担保できるものと私ども考えております。
  121. 筒井信隆

    筒井委員 交換公文読んでおりますから、そういうものは別に説明求める前からわかっておりますからいいですが、この九十億ドルを多国籍軍に拠出をする、多国籍軍の行動を全面的に支援する、これは外務大臣がアメリカで武力行使に入る前、空爆に入る前から既にもうそういうことを言っているわけですが、アメリカがどういう行動をとろうが、あのイラクであるいはクウェートでどういう行動をとろうが多国籍軍を支援していく、そのために九十億ドルを出す、そういう考えに基づいて拠出をするのか、それとも一定の限度を超えたならば多国籍軍の行動を支持しないことがあるのか、その限度があるのかどうか。  例えば、今度国連の決議が出されましたけれども、国連の決議はあくまでクウェートからの撤退を目的にしている、その範囲の決議ですが、イラクがもし自主的に撤退した、それでもアメリカ軍がバグダッドまで進攻した、そういう場合でもアメリカ軍の行動を支援するのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  122. 野上義二

    ○野上説明員 御説明申し上げます。  委員指摘のとおり、国連安保理決議六百七十八は、クウェート政府に協力している加盟国が、累次の安全保障理事会決議を堅持かつ実施し、イラクのクウェートからの撤退、湾岸地域における国際の平和と安全を回復するために武力の行使を含むあらゆる必要な手段をとる権限を与えております。したがいまして、現在、米国、英国、サウジアラビアその他の多国籍軍が行っております武力行使というのは、この国連安保理決議六七八及びそれが引いております決議六百六十以下の諸決議の目的を実行するために行われているものと理解しております。  今委員の方から、例えばイラクの方に入っていっていろいろなことをとおっしゃいましたけれども、米国、英国等が累次の安保理ないしは、例えば米国の場合でございますと米ソ共同声明といったところで明らかにしておりますように、米国及び多国籍軍の行動の目的というのは、安保理決議の実施、それからイラクのクウェートからの安保理決議六百六十に基づく撤退、それから湾岸地域における国際の平和と安全の確保ということを目的としているものであって、以上私が申し上げましたようないろいろな通報とか米ソ共同声明等でも、イラクの破壊、イラクの占領ないしはイラクの分割といったようなことを目的としているものではないということを再三明らかにしておりますし、また、デクエヤル国連事務総長も、以上の点は国連の安保理の決議の枠内で行われているというふうに述べております。
  123. 筒井信隆

    筒井委員 アメリカの一応の建前がクウェートからの撤退である。しかし、イギリスの国防相ははっきり、イラクの軍事力の壊滅が目的であるというふうなことを一度声明を出されましたし、アメリカの実際の動きを見ておりますと、単にクウェートからの撤退だけではなくて、イラク軍の、あるいはフセイン政権の体制自体の打倒、これをどうも目的にしている節があるということで特にお聞きしているわけです。  先ほど申し上げましたように、外務大臣は武力行使の前に、たとえ武力行使があったとしても全面的に支持しますというふうにアメリカで言ってきた。今度クウェートからイラクが撤退しても、バグダッドまでアメリカ軍が進攻してフセイン政権の打倒を目指す、そういう軍事行動さえも支援するのか、それともそれは支援しないのか、その点をお答えいただきたいのです。
  124. 野上義二

    ○野上説明員 イラクがクウェートから国連安保理決議六百六十に基づいて撤退し、湾岸地域における国際の平和と安全を回復するために必要としてとられる措置、言うならば、国連決議六百七十八に基づいてとられる措置に対して支援をするという意味でございます。
  125. 筒井信隆

    筒井委員 全く答えになっていないのです。そうなったら、イラクが自主的に撤退したらそのときに考えるという答えをあるいは予測していたのですが、しかし、先ほど何回も言っているように、外務大臣は武力行使が始まる前から、たとえ武力行使が始まってもそれを全面的に支持すると言っていた。私が今聞いているのは、今度イラクが撤退した後、それでもフセイン政権を打倒するためにバグダッドまで進攻した場合、それをも支持するのか、それは支持しないのか、どっちかということを聞いているのです。
  126. 野上義二

    ○野上説明員 委員のおっしゃられる、イラクが撤退するというお話でございますけれども、イラクが安保理決議六百六十号にのっとって撤退し、湾岸の平和と安全が回復した時点という意味かと了解しておりますが、そのときには決議は達成されるということでございます。
  127. 筒井信隆

    筒井委員 今度の武力行使に関して海部首相は、普遍的な武力の行使であるというふうな主張を予算委員会等でやっておられるようですが、それは集団的安全保障の行使だということを意味するのだと思いますけれども、しかし、これは集団的安全保障の行使では全くなくて、単に今度の多国籍軍の行動は集団的自衛権の行使にすぎない、国連決議によって容認された集団的自衛権の行使にすぎないというふうに私は考えているわけです。  そこでお聞きしたいのが、今度の多国籍軍の行動は国連の指揮下にないこと、これはもうはっきりしていると思うのですが、実質上国連の行動として考えているのか、それとも国連の行動じゃないというふうに考えているのか、その点をお答え いただきたいと思います。
  128. 小松一郎

    ○小松説明員 御説明申し上げます。  いわゆる多国籍軍によるイラクに対する武力行使の国際法上の根拠でございますが、これは私どもとしましては国連安保理決議六百七十八により国際法上正当化されるものである、そういうふうに考えております。  御案内のとおり同決議は、国連によるあらゆる努力にもかかわらず、イラクがクウェートからの即時無条件撤退を求めた安保理決議六百六十及び累次の関連諸決議の履行を拒否している状況の中で、イラクに対し、決議六百六十及び累次の関連諸決議を履行する最後の機会を与えるとともに、イラクが本年一月十五日以前にこれらの決議を十分に履行しない場合には、クウェート政府に協力している加盟国に対し、これらの決議を堅持し、かつ実施し、湾岸地域における国際の平和及び安全を回復するために、あらゆる必要な手段をとる権限を与えているわけでございます。それで、この決議六百七十八の主文第二項に言います「あらゆる必要な手段」というものは、イラクに対する武力の行使をも含むものと解されているわけでございまして、このことは、同決議採択の際の安保理での各理事国代表の発言等から明らかであるというふうに考えております。
  129. 筒井信隆

    筒井委員 六百七十八号決議等を読んでいるのですが、そんな読み上げてもらっても意味がないのです。私がお聞きしているのは、今度の多国籍軍の行動が国連の指揮下にないことははっきりしているし、国連が作戦上の権限を持っていないこともはっきりしている。これはデクエヤル事務総長自体がそう言っているわけですが、政府としては、この多国籍軍の行動を実質上は国連の行動として考えているのか。どうも普遍的武力の行使とか集団的安全保障という海部首相の言葉を見るとそういうふうに読めるのですけれども、それともそうじゃなくて、国連外の、国連の行動じゃないというふうに考えているのか、どちらなのかということを一言で答えてもらえばいいのです。
  130. 小松一郎

    ○小松説明員 御説明申し上げます。  このいわゆる多国籍軍による武力行使が組織としての国連自体の行動であるかという御質問であろうかと思いますが、これは累次予算委員会におきましても政府側から答弁いたしておりますけれども、国連憲章四十二条、四十三条において想定されているような国連軍では、この多国籍軍というものはそうではないというふうに私ども認識しております。しかし、先ほど申し上げましたように、この決議六七八は、主文の二におきまして、累次の関連諸決議を堅持し、かつ実施し、同地域における国際の平和と安全を回復するために、クウェート政府に協力している加盟国に対してあらゆる必要な手段をとる権限を与えている。この「あらゆる必要な手段」の中には武力行使も含まれている、こういう理解でございます。
  131. 筒井信隆

    筒井委員 どうも全然答えてないのですけれども、国連の行動であるのか、それともそうじゃないのか、その点を、どちらかということを私は質問しているので、答えておられないのですが、もし国連の行動であるとするならば、その行動というのは国連の経費になるのじゃないですかね。国連の経費になって、加盟国が総会で割り当てる。国連の行動であるというふうに考えれば、九十億ドルという形でもって各国にばらばらに出すのじゃなくて、総会において各加盟国に割り当てられる国連の経費になる、国連の行動として考えればそうなるのじゃないですか。その点どうですか。
  132. 小松一郎

    ○小松説明員 御説明申し上げます。  繰り返しになって恐縮でございますが、国連憲章第七章は、御案内のとおり憲章四十二条、それから四十三条というものを定めておりまして、そこで本来憲章七章が想定していたものは、いわゆる国連軍というものが想定されていたわけでございます。その場合には、四十三条に基づきまして安全保障理事会が国連加盟国各国と特別協定を締結いたしまして、兵力、便益、援助、こういったものの提供を受ける、こういうことが想定されているわけでございますが、この多国籍軍はそういう意味での国連軍ではない。これは先ほども申し上げましたとおり、予算委員会答弁申し上げているところでございます。
  133. 筒井信隆

    筒井委員 そんなことを聞いているのじゃない。憲章四十三条に書いてある特別協定に基づく、そういう意味の国連軍ではないという意味は、実質上の、要するに国連の行動ではないのかあるのか、その点だけ今聞いているのです。それで、もし国連の行動であるとするならば、経費も国連の経費になるんじゃないか。この二点だけ、ほかの説明はいいですから。
  134. 小松一郎

    ○小松説明員 お答え申し上げます。  安保理決議六七八号の主文第二項は、先ほど来答弁申し上げておりますような目的のためにクウェート政府に協力している加盟国に対して必要なあらゆる手段をとる権限を与えているということでございまして、行動の主体は加盟国でございます。その場合におきまして、この「あらゆる必要な手段」の中には武力の行使も含まれている、こういうことを御説明しているわけでございます。
  135. 筒井信隆

    筒井委員 行動の主体は各加盟国である、国連がそれに対して作戦上の権限がない、これは今お認めになったことだと思いますが、そうしますと、国連の行動ではない、国連外の行動である、こう答えられるんじゃないですか。
  136. 小松一郎

    ○小松説明員 繰り返しになって恐縮でございますが、加盟国の行動ではございますけれども、決議六七八に基づきまして国連の安全保障理事会が認めた、権限を与えた行動でございます。
  137. 筒井信隆

    筒井委員 それじゃ全然私の聞いていることに対する答えにはなっていないのですが、もう時間が来たようですから質問を終わりますが、最後に、これも海部首相がやむを得ざる最後の手段であるというふうに武力行使についていろいろ主張されているようですが、しかし逆に、これは決してやむを得ざる最後の手段ではなくて、早過ぎた戦争である。少なくともアメリカの民主党とか多くの人たちが主張しているように、もっと経済制裁を続けて経済制裁を見守るべきだったというふうに考えわけです。この経済制裁の効果は非常に出ていた。CIAの調査報告でもそういう結果が出ておりますけれども、この経済制裁の効果が非常に、イラクが予測していたよりも出ていたし、アメリカが予測していたとおりの経済制裁の効果が出ていた。戦争に入る前においてそういう状態だった。その点はどうですか。それを最後に質問します。
  138. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 外務省から経済封鎖について答えていただく前に、私は一点申し上げたいことがございます。  委員も多分お目通しでありましょうが、昨年十二月十九日、アムネスティーから拷問と殺害に終止符を打つような要請というものが出されておるのは委員も御承知でありましょう。クウェートがイラクに占領されてから多国籍軍がイラク排除の行動に出るまでに五カ月の時間が与えられていたことは委員が御承知のとおりであります。そしてその間、アムネスティー・インターナショナルの調査によれば、イラク政府に対し、何百人かの西側の人々の解放に続き、何千人にも及ぶクウェートの人々に対する投獄、拷問、殺害に終止符を打つよう呼びかけたというものがあります。  この中に書かれておりますことは、八月二日の侵攻後発表された最初のリポートでありますけれども、イラク軍がどのように彼らを拷問し、殺害し、何千人にも及ぶ人々を投獄し、またクウェート市内の少なくとも三つの主要な病院の未熟児の保育器を破壊し、略奪し、その結果三百人の未熟児を死に至らしめたかについて述べられております。こういう状態をなお延々と続けることが正しいことでしょうか。  先ほどからの御論議を伺いながら私が一点心にかかりますものは、クウェートの人々の運命というものはなぜ議論の対象にならぬのかということであります。議論としてはいろいろな議論が行われていることも私は承知をいたしております。早 過ぎた、遅過ぎた、いろいろな議論がありましょう。しかし、そのリポートの中ではイラク軍部が行使した三十八の拷問の方法をリストアップしております。犠牲者の舌や耳を切り取る、手足に銃弾を撃ち込む、電気ショックを与える、強姦するなど。こうした状態をクウェートの人々にいつまで耐え忍べと言うことができるのでしょう。すべての発端はイラクという大国がクウェートという小国を侵略し、占領したことから始まるのであります。  これだけは申し上げたいと思いますが、私は、クウェートからイラクを排除するための多国籍軍の行動というものが現実にクウェートの人々を救うものであると理解しているということだけは申し上げたいと思います。  経済封鎖については外務省から説明してください。
  139. 筒井信隆

    筒井委員 おっしゃることは確かに理解できるわけですが、しかし、クウェートの人たちが受けているそういう人命等に対する虐待、戦争を開始すればそれ以上にまたそういう人命に対する虐待とか損傷がもっと強くなる、そういうことが言えるから、戦争によって、そうしない形をやはり求めるべきだということが一つ。  もう一つは、クウェートのそういう人命等に対することをなぜ指摘しないのかというふうに言われましたが、もしそうだとするならば、ではイスラエルがパレスチナ人に対している物すごい虐待とか拷問、これについてもなぜ同じような行動をとらないのか。これは私、イラクの主張は全部認めわけじゃないですけれども、しかしアメリカの今までとってきたイスラエルに対する対応では、確かに基準が全く違うことは事実です。アジアでもインドネシアのチモールに対する併合と虐待あるいは拷問、これはやはり同じように指摘しなければならないわけで、この点も逆に特に主張しておきたいと思います。
  140. 野上義二

    ○野上説明員 イラクに対する経済制裁、国連決議六六一号に基づく措置でございますけれども、御承知のように八月二日にイラクがクウェートに侵攻し、八月六日、経済制裁の決議がなされたわけでございます。この経済制裁は、国連加盟国のみならずすべての国に対して要請された措置でございまして、その後、経済制裁の実効性を高めるために海域、空域等の封鎖を行っております。これも国連決議に基づいております。したがって、イラクに対しての経済制裁については一定の効果が上がっていたと思われます。実際問題、基幹食糧である小麦等について町から姿を消したとか、タイヤがなくなったとか、いろいろな工業原材料がなくなったとか、そういう形で制裁の効果は上がっていたわけでございます。  しかし、こういった制裁の効果が上がっていたにもかかわらず、実際問題イラクの国民が被害を受けていたわけですが、そういったことは一切無視して、国際社会が強く求め続けてきたイラクのクウェートからの撤退及び湾岸の平和の回復ということに、五カ月たってもサダム・フセイン大統領は何らの考慮を払おうとしなかった。御承知のように一月十五日の期限までの時点で国際社会はあらゆる努力をしたわけでございます。フランスが一月十四日に提案もして、十五日の審議も行われました。国連事務総長が十五日に声明も出しております。しかし、そういったものに対して、何ら前向きの姿勢をイラク側が示さなかったことから、一刻も早い平和の回復というためにやむを得ざる措置として多国籍軍が軍事行動をとったものと理解しております。
  141. 筒井信隆

    筒井委員 終わります。
  142. 平沼赳夫

    平沼委員長 井上義久君。
  143. 井上義久

    ○井上(義)委員 今回の補助金特例法案でございますけれども補助率を六十一年水準に復元するということで、完全復元ではないという意味で不満はあるわけでございますけれども、一歩前進である、このように受けとめているわけでございます。しかしながら、この補助率の問題は、単なる金銭の問題のみならず、国・地方間の権限の問題あるいは責任分担をどうするのかというような根本的な問題に深いかかわりを持っているわけであります。また、今後四百三十兆円という公共投資計画を推進するに当たって、地方負担がどうなるのか、地方に過重な負担がかかるのではないか、このような心配もされているわけでございまして、そういった観点から質問をさせていただきたい、このように思っております。  この補助金という問題、私も昨年の二月に当選したばかりでございますから、それまでは「補助金と政権党」なんという本を読みまして、この補助金というのは自民党の集票力の源になっているのかな、どうもこの辺にメスを入れないと政権交代というのはないのじゃないかな、このくらいに漠然と思っていたわけでございますけれども、今回この法案、せっかくのチャンスでございますので、いろいろ先輩方の議論、議事録を通してずっと読ませていただきました。そういう中で感ずることでございますけれども、この現行補助金基本的な考え方というものがどうもよくわからない。それから、先ほどもちょっと出ましたけれども、特に負担率の問題でございますけれども、これは例えば本則でも、河川でも三分の二あるいは四分の三、あるいは公共事業によっては十分の七とか十分の七・五とか、その負担率が非常にばらつきがある。どういう基準で、またどういう根拠でこういうものが決められてきたのかということがよくわからないわけでございます。  例えば、国の事業であれば、国がみずからのニーズで行う事業であれば、これは国が全額負担する、あるいは本来国がやるべきことなのだけれども地方に委託をしている事業、これもやはり全額国が出すべきだと思いますし、それから地方がやはり地方で、地方のニーズとしてやるような、そういう事業であれば、当然これはやはりそのニーズというものは地方が一番よく知っているわけでございますから、その地方が自主的に判断をしてやるような仕組みをつくった方がはるかにその地域の人たちのためになるのではないかなというようなことも思うわけでございまして、この補助金というものの基本的な考え方、またこの負担率というものがどのような基準、根拠で決められているのかということについて、まず御認識をお伺いしたい、このように思います。
  144. 小村武

    小村政府委員 社会資本の整備に関する費用を国と地方がどのように負担するかということでございますが、国・地方の役割分担あるいは財政状況あるいは地元の受益の程度等、諸般の事情を考慮して合理的に決定すべきであるというふうに考えております。このような観点から、直轄事業による社会資本の整備につきましても、地元の地方公共団体に便益が及ぶことを考慮いたしまして、その費用の一部について相応の負担地方公共団体に求めることとしております。  このような考え方は、現時点においても私どもは合理的なものと考えているわけでございます。
  145. 井上義久

    ○井上(義)委員 どうも説明を聞いても抽象的でよくわからないのですけれども、では、この負担率というのはどのように決められてきたものなのか、お答えをいただけますか。
  146. 小村武

    小村政府委員 公共事業補助率あるいは負担率というものは、各事業に応じましてその緊要度あるいは受益の範囲、事業規模等々がございまして、過去いろいろな経緯をもちまして、必ずしも一定負担率補助率等と定められているわけでございません。各いろいろな公共事業等におきまして、それぞれ歴史的な経緯をもちましてその率が定められているということでございます。
  147. 井上義久

    ○井上(義)委員 それでは、今回六十一年水準に戻す、こういう決定がなされておるわけですけれども、この六十一年水準に戻すという、そういう負担率を出してきたその根拠というのは、じゃどういう根拠に基づいて、考え方に基づいてなされているのかということをお聞きします。
  148. 小村武

    小村政府委員 先生御案内のように、昭和六十年度から暫定措置といたしまして、公共事業につきまして補助率負担率見直し等を行ってまいりました。これは各年度いろいろな事情がございますが、今年度、平成三年から五年までの暫定措 置として六十一年度までの補助率に戻すということは、一つは、厳しい財政事情のもとで、さらになおかつ事業量の確保をしなければいかぬということで、国・地方を通じたぎりぎりの選択として、六十一年までの水準としてまたお願いをするということでございます。     〔委員長退席、村上委員長代理着席〕
  149. 井上義久

    ○井上(義)委員 これは平成元年のやはり改正のときの議論をいろいろ読んでおりますと、例えば、当時主計局次長の篠沢さん、このようにおっしゃったんですね。「公共事業に関します補助率というものをどのように最終的なものとして決定をしていくかということにつきましては、今回、大臣間の覚書にもございますように、平成三年度までの間に省庁間の検討会を設けまして、ここで慎重審議をして決定をしてまいりたい」と。先ほども出ておりましたけれども、六十一年の行革審で既に行財政改革基本的な方向ということで、補助金については、「補助率については、今後とも国・地方機能分担及び費用負担見直し観点から総合的に見直す。」という答申が出ておるわけでございまして、その間かなりの期間があったわけでございますから、要するに今回この六十一年に戻すというような単純な議論ではなくて、補助金そのものについて抜本的な、ここにありますように総合的に見直すというようなきちっとした考え方に基づいて今回法案が出てくるべきじゃなかったのかなということを過去の議論から私は感じるわけなんです。ただ単に六十一年水準に戻すというような、財政事情が多少よくなった、だけれどもまだ苦しいから六十一年水準だというような議論というのはどうも余り釈然としないわけなんですが、その辺どうなんでしょうか。
  150. 小村武

    小村政府委員 補助率負担率につきましては、歴史的な沿革がございます。各事業において大変区々でございます。こういったものについて、臨時行政改革推進審議会答申等もございますように、先生指摘のように、簡素化等指摘もいただいております。理想的にはこういった形で検討を進めていくべきでございますが、我々も前回の延長の際にもそういった検討をするということで、今回関係省庁とも十分議論をさせていただきました。その結果、今回やはり依然として厳しい財政状況あるいは事業量の確保という強い要請がございます。過去の経緯地方要望等々も考慮いたしまして、財政当局としては大変厳しいものでございますが、公共事業に係る補助率等を六十一年までの水準に復元させていただく、これがぎりぎりの選択であったわけでございます。
  151. 井上義久

    ○井上(義)委員 財政事情事業量の確保である、こういう六十一年水準に戻した理由をおっしゃっているわけでございますけれども、この補助金カット、六十年度から始まりまして、最初はその年限りである、これは国の財政難ということが理由だったわけでございますけれども、それが六十一年、六十二年、六十三年というふうに続きまして、平成元年度から再延長されて今回に至っている。  今回六十一年水準に戻すわけですけれども、この水準が三年間続くということになりますと、六十年からちょうど十年、いわゆる暫定措置ということで来ているわけでございまして、十年間も暫定措置というのは、その間に、先ほど言いましたように行革審答申があって、総合的な見直しをするのだ、こういう答申があったにもかかわらず、十年間もそういう暫定、暫定ということで来ている。これはもう十年間ということになると、暫定というよりもほとんど恒久化ということになるわけでございまして、私はやはり今回完全復元するのが筋だったのじゃないかというふうに思うわけでございます。  今回なぜ五十九年水準に戻さなかったのか、この辺の理由をもう一度明確にお願いしたいと思います。
  152. 小村武

    小村政府委員 御案内のように六十年度からこの補助率暫定措置、いろいろな経緯がございまして講じてきておりますが、その中にありまして、例えば社会保障の分野におきましては、平成元年度におきまして恒久化措置をとらしていただきました。例えば、社会福祉施設の措置権等につきまして機関委任事務から団体委任事務へ移す、それに伴って財源措置を加えながら補助率の簡素合理化あるいは恒久化というところの措置を元年度において講じてきた、そういった分野があることも強調しておきたいと思います。  その他のものについて今日残っておりますのは、先ほど来申し上げておりますように、平成元年からまた関係省庁間で検討を加えられ、何回かの会合を持ちました。その結果、こうした財政状況のもとでなお事業量確保の要請が強いということで、地方公共団体との調整も行いながら、今回ぎりぎりの選択として六十一年水準にまで戻すということに相なったわけでございます。
  153. 井上義久

    ○井上(義)委員 今回もあくまでも暫定的な措置であるというふうに理解してよろしいわけですね。
  154. 小村武

    小村政府委員 今回の措置平成三年度から五年度までの暫定措置でございます。将来どうするかということにつきましては、行革審答申等を踏まえまして、体系化簡素化観点からさらに関係省庁間で総合的な検討を進め、暫定期間内に結論を得るよう最大限努力し、その上で経済財政事情、各公共施設の整備状況等を踏まえつつ、可能なものから逐次実施していくということになっております。
  155. 井上義久

    ○井上(義)委員 六十一年水準に戻すのは当面平成五年までの三年間、そういうお話でございますけれども、では、その後五十九年の水準に戻すのかどうか、あるいはまた、さらに言いますと、平成六年にどういう環境、条件であれば五十九年の水準に戻るというふうに考えていいのかということをお聞きしたいと思います。
  156. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、五十九年度水準に戻すというお約束はいたしません。と申しますよりも、私は、その間にむしろ積極的に、社会保障、福祉の分野において行いましたと同様に、公共事業等につきましてもそのあり方から基本的に議論をしていただきながら、より簡素な形態をとる努力を事務方にさせたいと思います。そして、補助金整理統合という視点からももう少し私は議論を深めてもらいたいと思っております。  ちょうど第二次臨時行政調査会が発足をいたしました直後からこの補助金整理合理化というものは非常に大きな問題になってまいりました。そして行政改革の中におきまして、財政再建という視点とはまた別の視点からも、統合メニュー化、さらに簡素化という努力が払われてまいりました。今日、ある意味ではその時期にクリアできなかった問題が皆残っております。そうしたことを考えますと、ただ単に五十九年水準に戻せばいいというものではないと私は思います。この三年間という時間にそれぞれについての必要性、責任の所在等々から分析をし直し、よりよい体系を目指すことが必要であろう、私はそう考えております。
  157. 井上義久

    ○井上(義)委員 私も別にこの五十九年度水準が理想の水準であると思っているわけじゃないわけでございます。ただ、六十年からこの暫定措置が始まった経緯を見ますと、やはり一たん五十九年水準に戻すのが筋ではないか、少なくとも地方にとってこの五十九年水準を下回らないところに戻すのが筋であろう、こう思うわけでございます。今総合化、簡素化というようなお話がございましたけれども、結局十年間、暫定、暫定ということでここまで来た。補助金という問題は地方にとりましては大変重要な問題でございまして、地方税、交付税補助金地方債、これが地方財政の主要な項目でございますけれども補助金というのは地方財政の基幹財源一つになっているわけでございます。それが、負担率が削減されたり復元されたりというようなことでは、地方から見てもこれはいかがかなと思うわけでございます。  そういう意味からいいますと、では、いつまでにそういう簡素化、総合化というような基本的な線が出されて、それに対して今回はこうなんですという説明がなされるのであればこれは十分納得 できるのじゃないか。ただ五十九年水準に戻すという考えはありませんよ、ただ将来そういうことは考えますよということでは、地方としては十年間、一体全体何をやってきたんだ、これでは不信感が増すだけなんじゃないかなというふうに思うのですけれども、どうなんでしょうか。
  158. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは大変申しわけありませんが、この間に随分整理されてまいっている、一方で各種の補助金が随分統合化され、あるいはメニュー化され、さらに非常に複雑な補助体系でありましたものが整理をされてきたという事実が一つございます。それと同時に、国と地方との間の事務の分担というものにつきましても随分論議が進められてまいりました。そしてその実施主体も都道府県であるのか市町村であるのか、それぞれの場合を含めまして随分その体系が変わってきております。私は、そういう努力はなお今後とも続けていく必要があると考えておりますし、先ほど正直に、今回問題になりますものは皆その論議が決着をしなかったものという正直な答弁を申し上げたわけでありますが、そういう努力をさせていきたい、また、していきたいということを率直に申し上げたわけでありまして、そういう視点からまいりますと、むしろ早く論議のまとまりましたものは三年間を待たずに実施のできるものもありましょうし、単純に五十九年水準に戻すということだけを考えるつもりはないということを申し上げたつもりでありました。御理解をいただきたいと思います。     〔村上委員長代理退席、委員長着席〕
  159. 井上義久

    ○井上(義)委員 それでは、今回のこの暫定措置期間であります三年の間に少なくとも、公共事業というのは地方にとっては大変大きな問題でございますし、今までお話がありましたように、福祉関係等整理をしてきた、残されたのがこの分野である、そういうことでいいますと、ではこの三年の間に少なくともこの公共事業の分野についても補助率ということについてきちっとした考え方を決めるというふうに理解してよろしいのかどうか。それとあわせて、少なくともそのときの基本的な考え方としては、この五十九年水準を下回らないような国の負担、そういうものが前提になるというふうに私は思うわけですけれども、その辺はどうでしょうか。
  160. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは、私は三年間で全部決着をしてみせると申し上げるまでの自信は到底ありません。今までにもやってみまして、過去の経緯とか事業の実態とか大変複雑な議論に巻き込まれまして、党の行政改革の責任者の時代にも大変てこずったものばかりでございます。しかし、できる限りの努力をしたいと考えております。と同時に、国・地方といいましても、都道府県あるいは市町村という実施主体について言及をいたしましたのは、私は必ずしも五十九年水準というものを何が何でも下回らないということではないと思うのです。その事業責任主体によりまして、それよりふえるものもありましょう、そのまま据え置かれるものもありましょう、あるいは下回るものも理論的には当然あり得るわけでありまして、そうしたこと全体を踏まえながら真剣な検討をさせていただきたいと思います。
  161. 井上義久

    ○井上(義)委員 それでは、三年、暫定期間中に抜本的な補助金見直しをぜひやっていただきたい。確かに「補助金と政権党」などという本を読んでおりますと、これは大変な仕事だな、大変な仕事だけにぜひやっていただきたいなというふうに思っておるわけでございます。  続いて、この問題に関連して、四百三十兆円の公共投資との関係を少しお聞きしてみたいと思います。  四百三十兆円の公共投資を決定しているわけでございますけれども、見通しはなかなか困難かと思いますが、大体どのくらいの伸びを見込んでいらっしゃるのかということ、それから、この財源の問題でありますけれども、これに見合うような十分な税収が見込めるのか、また見込めなければ当然国債の発行ということが課題になるわけでございますけれども、その辺の財政の姿というものをどのように考えていらっしゃるのか、当局の御見解をお伺いしたいと思います。
  162. 小村武

    小村政府委員 平成二年六月の閣議了解におきます「公共投資基本計画」におきまして、「各年度の計画の運用に当たっては、インフレーション、景気過熱を招かないよう留意しつつ、各時点での経済・財政情勢を踏まえ、機動的、弾力的に対処する。」ということになっておりまして、特定の平均伸率は想定されておりません。いずれにいたしましても、この計画に定められた公共投資総額の達成には今後とも最大の努力を払っていかなければならないと考えております。  それから、この四百三十兆円の財源手当てはどうなっているのかということでございますが、我が国の財政状況は先進国の中でも最高水準の国債残高を抱えておりまして、確実に到来する高齢化社会へ大きな負担を残さないようにするために、公債残高の累増の抑制を図っていかなければならないという重要な課題がございます。このような観点から、特例公債発行下において続けられてきた建設公債を発行限度いっぱい発行するという財政運営は早急にこれを是正し、社会資本整備の財源として税財源を充当して公債依存度を引き下げていく、こういう基本的な考え方に立っております。  先般お示しいたしました「財政改革を進めるに当たっての基本考え方」、平成三年一月にお示ししたものでございますが、これにおいても明示しておりますように、今後「「公共投資基本計画」に沿って、社会資本の整備を着実に図っていく必要がある。」と考えておりますが、各年度の具体的な公共投資の水準やその財源をどうするかということについては、各年度の予算編成過程において、歳入歳出両面にわたる財政事情や経済事情等総合的に勘案して適切に対処いたしたい、こういう基本的な考え方でございます。
  163. 井上義久

    ○井上(義)委員 各年度ごとにというお話を伺うのですけれども、この十年というトータルで見たときに、例えば公債発行については、財政中期展望によりますと五%を下回る水準に抑えたい、こういうふうにもおっしゃっているわけでございます。そうすると、税収というのは来年度予算編成の段階でもかなり厳しいというようなことが実際あるわけでございまして、国債発行をしっかり抑える、税収も余り見込めないということになると、財源をどこに求めるのか。どうも地方の側から見ると地方負担が増大するのではないか。これまでも補助金暫定措置でそういう経緯があったということでございまして、この辺の心配はないのでしょうか。
  164. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 「公共投資基本計画」の中で地方の所要の財源をいかにするかという御質問かと思いますが、その点につきましては、やはり個別個別の年度で地方団体がいかなる事業をするかということは今の段階では決まってない話でございます。これは各年度において、予算なり地方の単独事業なりの規模が地方財政計画の上で決定をされてくるわけでございますので、補助事業に対します地方負担あるいは単独事業の展開が可能な地方財源の確保、そういったものにつきましては、各年度の地方財政計画において適切に所要額を確保する措置を講じてまいりたい、かように思っております。
  165. 井上義久

    ○井上(義)委員 私がお伺いしているのは、要するに国債発行を何とか抑えたい、一方税収もなかなか厳しい、そうすると、今度地方に大きな負担がかかってくるのじゃないか、そういう心配はありませんねということをお尋ねしているのです。
  166. 小村武

    小村政府委員 四百三十兆円の達成のためには、地方の役割についても大変大きなものがございます。このため、地方公共団体が地域の実情に応じまして必要な施策を総合的に講じられるよう、地方単独事業を含め地方公共団体による社会資本の財源の確保について適切に措置をしてまいる所存でございます。ただいまの遠藤審議官の御答弁もそういう趣旨として私ども理解をしております。  今回の補助率暫定措置の延長につきまして は、それによって財源をあるいは地方にしわ寄せをするという趣旨ではございません。地方におかれましても、今後の四百三十兆円の達成には地方単独事業をふやしていただくということでその役割は極めて重要なものと認識をしております。
  167. 井上義久

    ○井上(義)委員 それでは、この四百三十兆円の公共投資、十年間でやるわけでございますけれども、そのうち国と地方事業主体の面からどの程度の割合になるのか、またその場合の経費の負担というのはどの程度と見ていらっしゃるのか、この辺も少しお伺いしたいと思います。
  168. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 四百三十兆円の中で、公共事業と単独事業事業量及び国と地方の経費負担の割合がどの程度になるかにつきましては、この基本計画自体がその事業主体や事業部門ごとの内訳を示しておりませんので、的確にお示しすることはできないわけでございますが、地方公共団体の過去十年間の決算統計によって大まかに推計をいたしますと、これまで十年間に地方公共団体が国庫補助負担金を受けて実施いたしました補助事業費が約百兆円ございます。それから一方で、単独事業費が約百十兆円程度あるわけでございます。同様に、決算統計等によって推計をいたしますと、過去十年間の公共投資の中で地方公共団体負担した経費の割合、おおむね六割程度と見込まれるところでございます。
  169. 井上義久

    ○井上(義)委員 六割程度、これは今後十年間どういう見通しを持っていらっしゃるのでしょう。それがふえるのか、あるいは負担割合が減っていくのか、この辺はどうなんでしょうか。
  170. 小村武

    小村政府委員 「公共投資基本計画」におきまして、「豊かで活力ある地域経済社会を形成するためには、地方公共団体が地域に密接に関連する社会資本整備に自主的に取り組み、その役割を果たしていくことが一層期待される。」という表現がございまして、定量的に幾らどの部分地方公共団体が受け持つという内容については、その中身までは定められていないということでございます。
  171. 井上義久

    ○井上(義)委員 私がいろいろこの問題を通して、一つ自治省の行政投資実績、先ほど十年間のお話をされましたけれども、例えば六十三年度構成比で見ますと、国が三二・五、都道府県、市町村合わせて六七・五というふうになっているわけなんですけれども、その中で特に生活関連資本、生活基盤投資ですか、これが国が二一・一に対し地方負担分は七八・八。今後十年間、特に生活基盤、ゆとりある生活を確保していくという、どちらかといいますとこの生活基盤投資というところが大幅にふえてくるのではないか、こういうふうに思うのですね。そうしますと、これまでの割合に比して地方自治体が行う事業というものは非常に大きくなってくるのではないか、このように思うわけでございます。そうしますと、それにふさわしいような財源措置というものをやはりしていかないと地方負担がますます大きくなってしまう、こういうふうに思うのですけれども、いかがでしょう。
  172. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 お答えいたします。  お示しのとおり、地方実施する事業というのは相当なウエートになるわけでございまして、その財源といたしましては、国からの補助金負担金、それから地方の自主財源をそれにつけ加えて補助事業をする、あるいは単独事業を単独で実施する、こういうことになるわけでございまして、それらにつきましては、各年度の地方財政計画で所要額を見積もりまして適切に財源確保をし、地方団体財政運営に支障を生じることがないように適切に対処してまいりたいと思います。したがって、そのために、最も重要であります地方の税財源あるいは地方交付税財源の所要額の確保につきましては、最善の努力を傾けてまいりたいというように思っております。
  173. 井上義久

    ○井上(義)委員 現在の国・地方財源の配分、これは大まかに国が六に対して地方が四というふうになっているわけでございますけれども、逆に、支出から見ますと国が四で地方が六というふうに六十三年度決算では逆転しているわけですね。それで、今後地域特性を生かして、特に高齢化社会に対応してきめ細かい施策を行っていかなければいけないということになりますと、要するに、支出に見合った財源配分にもともとした方が事業を進める上で非常にいいのではないか、そういう意味で地方と国の税財源の配分を支出に見合った形で抜本的に改正した方がいいのではないかという議論があるわけなんですけれども、これは大蔵省自治省、どうなんでしょうか。
  174. 小村武

    小村政府委員 地方公共団体がその事業を行うに当たりまして、単独事業を含めまして地方公共団体の社会資本の整備の財源につきましては、先ほど来御答弁がありますように、各年度の地方財政計画を通じて支障のないようにその措置を講じてきているわけでございます。財源配分、税源配分等の問題にまでさかのぼりますと、さらに地方制度そのものあるいは過去のその事業緊要度等々にさかのぼって議論をしていかなければいかぬということで、まさにそうした複雑な問題を抱えて今総合的な検討をしておるわけでございます。いずれにいたしましても、私どもとしては地方財政計画の策定を通じまして支障のないように措置を講じていくということではなかろうかと考えております。
  175. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 御指摘のとおり、地方と国の財源をどう分けるかという問題は、一つには事務配分をどうするかということによって決まってくると思います。そういった意味で、自主的な財源である地方税の配分等を重視するという考え方は十分に傾聴に値するお考えでありますが、事実問題といたしましてはやはり三千三百に及びます個々の地方団体財政力といいますか税源が偏っているわけでありまして、やはりそこには地方交付税という財源調整制度がないと個々の地方団体に対する財源保障というのがうまくいかない。地方税のウエートをふやしましても弱小団体の税源が十分でございませんので、税自体で当該団体が単独事業を十分にするだけの財源が行かないといったような現象が生ずるわけでございます。したがって、現在の交付税制度それから地方税の国と地方の税源配分のあり方は、現在の事務配分に一応見合ったところで調整されていると思っておりますが、御指摘趣旨も十分理解できるところであり、私どもといたしましても、そのような地方税あるいは地方交付税財源の充実といったことにつきましては今後とも努力をいたしてまいりたいと思います。
  176. 井上義久

    ○井上(義)委員 先ほどの四百三十兆円の問題にちょっと戻りますけれども、いろいろな前提がございますが、六十一年ベースに今回戻す、暫定的に三年間。それ以降ずっと六十一年ベースを公共投資の十年間の最終年度まで続けていった場合と、それから三年後に五十九年ベースに戻した場合の国・地方負担の違いということを、いろいろな前提を置いてちょっと計算してみたのですけれども、そうすると九兆円ぐらい違うのですね。要するに、五十九年ベースに戻すと地方負担が九兆円くらいこの四百三十兆円の枠の中で、これまでの大体の事業割合それから負担割合を延長して考えますと、相当大幅に違ってきているということを考え、それでなおかつ、これから地方自治体、特に生活関連の事業が四百三十兆円の中で非常にふえていくということを考えますと、少なくとも地方が行う生活関連のさまざまな公共投資、これに対しては補助率を大幅にアップするような措置考えませんと非常に苦しいのではないか、達成できないのではないか、こういうふうに思うわけでございます。簡素化、総合化という中で、これらの分野に対する補助率というものを大幅にアップするということ、これはぜひともやっていただきたい、こう思いますけれども、いかがでしょう。
  177. 小村武

    小村政府委員 今後の公共投資の基本計画におきまして、生活環境・文化機能、こういった面における公共事業の支出が望まれている、その比率を上げていかなければならないという要請はございます。そのためにも事業量の確保が必要であると同時に、地方におきます財源措置も十分にとら なければならない。こういったことで現在こういう暫定措置を講じておりますが、その地方財源といたしましては臨時財源特例債によっております。その臨時財源特例債の元利償還費は地方財政基準財政需要にカウントされておりまして、その元利償還に当たっては交付税措置によって一定額を加算するという制度になり、地方公共団体財政運営に支障のないように配意をしているということでございます。
  178. 井上義久

    ○井上(義)委員 権限の移譲という問題で、今の財源の問題に関連しておりますけれども、先ほどもお話ありましたけれども、「公共投資基本計画」の中で、「二十一世紀に向けて、国民生活の質の向上、多極分散の促進と国土の有効利用、経済・社会の長期的な発展の基礎固めを行っていくためには、公共投資による社会資本整備を計画的に推進する必要がある。」そういう基本認識のもとに、直接的に国民生活の質の向上に結びつく事業を重点的にやる、こういうふうに計画の中では出ておるわけでございまして、直接的に国民生活の質の向上に結びつく事業ということになりますと、やはり地方の自主的な判断に基づいて推進するのが一番いいのではないか。要するに、例えば補助事業ですと、どうしても補助がつくからということでその事業を推進する、必ずしも地方のニーズに合っていないということもございます。ある程度財源の枠があればそれぞれ地方のニーズに従って順番にやることも可能なわけでございまして、この四百三十兆円の公共投資については、そういう権限の問題、それから財源の問題、できるだけ地方に移していくというスタンスはぜひ必要ではないかと思うわけでございますけれども、それについての基本的な認識をお伺いしておきたいと思います。
  179. 小村武

    小村政府委員 御指摘のように、公共投資の推進に当たって地方の役割というのは大変重要なものでございまして、地方公共団体が地域に密接に関連する社会資本整備に自主的に取り組み、その役割を果たしていくことが一層期待されているというところはそのとおりでございます。そのためにどういう財政措置をとるかということにつきまして、事業量の確保あるいは地方財政に支障のないような措置を講じてきているということでございます。
  180. 井上義久

    ○井上(義)委員 ちょっと話題を変えまして、先般、地方活性化の目玉として地方公共団体に交付された一億円、いわゆるふるさと創生交付金というのがございました。本年度も予算化されておるようでございますけれども、このふるさと創生について、一年たちましたし、それぞれどのように評価をされておるのか。これは大蔵省自治省、それぞれお伺いしたいと思います。
  181. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ふるさと創生と申しますものが、日本人一人一人がみずから住む地域というものを、その地域の自主性と責任によって、ふるさとと感じることができるような充実した生活と活動の基盤をつくり出す、それによって真の豊かさを目指すものという理解をいたしております。  この一億円事業というものの実績を見てみますと、随分さまざまな活用のされ方がありまして、私は、各市町村が自主的、主体的な村づくり、町づくりに大変意欲的に生かしていただいているという感じがいたしております。やはり何といいましても、それぞれの自治体がこうした一つのきっかけをつくって地域住民の心を一つにまとめていく工夫をされることは非常に望ましいことだ、私はそのように評価をいたしております。
  182. 黒沢宥

    ○黒沢説明員 お答えします。  私ども、御案内のように昭和六十三年度及び平成元年度にかけまして、みずから考えみずから行う地域づくり事業、いわゆる一億円事業を推進いたしまして、豊かで活力のあるふるさと、あるいは誇りと愛着の持てるふるさとづくりに支援をしてきたわけでございますけれども、この一億円事業、全市町村に一律一億円を措置するということから非常にわかりやすい事業であったこと、それから大きな都市も小さな町村も同じスタートラインに立ちまして、みずからの創意工夫によりましてそれぞれの歴史、伝統、文化あるいは産業等の特性を生かした地域づくりをやるというふうな仕組みがとられたことから、御指摘のように町村の自主性、主体性を高める上で大きな効果があったと評価をしております。  そのやっておる事業につきましても、ソフト事業、ハード事業、いろいろな部面にわたりまして、それぞれの地域の特性に合った、真にニーズにこたえるような事業が行われたわけでございます。特に、多くの市町村におきまして、この事業内容の決定や事業実施の段階におきまして住民の参加が図られておりまして、地方自治の観点からも大きな成果があったと考えております。
  183. 井上義久

    ○井上(義)委員 今回のこのふるさと創生はばらまきという批判もあったわけでございまして、私もその一面もあったかと思いますけれども、ただ、地方分権化の方向に根差した財源というものが確保された。これまでの交付金、補助金は言うなれば中央省庁のコントロールのもとにあったわけですけれども、初めて地方が自主的に使うことができる資金が確保された。それから二つ目は、使い道が非常にガラス張りで、地方に一任されておる。それぞれの地方の知恵が非常に生かされて、それぞれの地方の住民が自分たちの自治体の行政府といいますか首長なりそれぞれ議会なり、そういうところが果たしてどれぐらいの能力を持っているのかということを自主的に判断する材料になったという意味で非常に画期的だったと思います。それから、特に一律にしたということで、財源規模の小さいところは非常に効果が大きかったわけでございまして、そういう観点から、一つの画期的な試みだったというふうに思っておるわけでございます。  私はそういう観点から、補助金よりも、ひもつきでない、自主的に裁量できる財源地方自治を育てるという一つの例証ではないかと思っておるわけでございますけれども、いろいろ大蔵省なり各省庁の皆さんと話しておりますと、三千三百の自治体が、自由に使える金を渡して果たしてどれだけきちっとした使い方ができるのかということが非常に疑問であるというような趣旨のお話が多いわけでございます。私は、これまでどちらかといいますと中央でしっかり縛って使い道もかなり細かく決める補助金のシステムをもうちょっと緩めて、それぞれ地方が自主的に判断できる、自分たちに必要な事業を自分たちの責任のもとにやるというような方向にもう少し日本の国は行かなければいけないのではないかと思っておるわけでございますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
  184. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、ここまでは非常にうまく進んできたという感じを全体としては持っております。ただ同時に、今私の脳裏にありますのは、実は私が厚生大臣のころに障害者福祉都市構想というものがございました。また、その後に生きがいと創造の事業費といったものをつくった時期がございます。実は、こういう全くひもつきでない、新しい発想を求めます事業というものは、初めの一、二年は非常におもしろい試みが出てくるのです。ところが多少時間がたちますと、よその町を見て私のところもあのようにとかということで、いつの間にかそういう新しい芽が消えてしまい、周辺を眺めながらの事業になってしまう。大変残念な思いを持ったことがございます。  それだけに、私は、今、それぞれの地方公共団体が本当に知恵を絞って地域の活性化に取り組んでいかれるきっかけをつくったという意味で、これは非常によかったと考えておりますし、その意義は大いにあったと考えておりますが、これから先、国としてこうした芽生えをどうサポートしていくかということについては、非常に難しい検討を必要とするのではなかろうか。それがまたお隣の町を眺めて、お隣の村を眺めてということにならなければいいがという気持ちを過去の経験の中から持っておりまして、今後こうした芽を国としてどう支援していくかにつきましては十分な検討が必要だな、そのように感じております。
  185. 井上義久

    ○井上(義)委員 大臣の今の危惧もわからないで はないのです。  ただ、今回の場合もそうですけれども、一億円それぞれ自由に使えるということで、それぞれの使い方をなさって、話題にもなりました。これの一番よかったところは、やはり使い道がガラス張りだった。ということは、要するにその地方の例えばある町のその金の使い方について町民がそれを判断することができる。果たしてうちの町長はちゃんと使える町長なのかどうか、うちの町役場はちゃんと使える町役場なのかどうか。これは非常に大きな意味があるわけでございまして、どうもこれまで、はっきり言いますと、市町村長は中央なり県なりからどれだけお金を持ってこられるかというようなことが選挙なんかの判断の材料になっていたわけでございまして、そういうところから、本当の地方自治という意味からいいますと、私は、そういう自由にお金を使える範囲というものを拡大して、そこでおのずからトレーニングして、それを地域住民がしっかり見ていく、そこに初めて自治というものが生まれてくる、このように思うわけでございます。  もう一歩積極的な対応をぜひお願いしたいな、こう思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  186. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 委員の御指摘になることはよくわかるのです。  ただ、実例をもって一つ私の危惧を申し上げたいと思うのですが、実は障害者福祉都市構想が出ましたときに、これを実に見事に活用いたしましたのは所沢市でありました。そしてこれは、お金としてはそんなに大きなお金ではありませんでしたけれども、駅を中心にしてそのお金で整備をし、障害者が、これは車いすの方も視力障害の方もあるいは聴覚障害の方も含めて行動できるようにすると同時に、それを実績として民間鉄道との交渉によって駅そのものを改良させ、車いすでその駅に上りおりができる、そしてその線路の延長線上のメーンの駅にも同じような設備をつくらせることを実施されたわけであります。これは大変見事な例でありました。  しかし、往々にしてそのときございましたのは、例えばこの機会にその予算で、道路の舗装の中に足の裏で踏むとわかります視力障害者のためのタイルがございますが、道路予算でやっていたのは足りなかったのでそれを延長しようとか、歩道の角を削ろうとか、それも意味のあることではあります、意味があることではありますけれども、横並びのことだけになってしまいまして、結果としてはしりすぼみになってしまった。大変残念な思いでありました。と同時に、私は、ですから所沢市がやられたことをそのとき非常に高く評価をいたしました。  今回のこの一億円事業というものにつきましては、そのときとは違いまして非常に積極的に、評価すべき試みが各地で行われているということを、私はそのとおりに認めます。ただ、これが同じような形で毎年毎年続いていくという中でまたいつか惰性になってしまいはしないだろうか、国としての支援のあり方はこういう形だけなのだろうか、これは私の心の中に、過去の自分の失敗からひっかかるものがありまして、なお検討を必要とするものだという意識は消えておりません。
  187. 井上義久

    ○井上(義)委員 私は、何か突発なといいますか、去年やったからことしも、じゃそういう形でやりましょうということではなくて、これは一つの自治体に自由な裁量権を与えるという趣旨で申し上げているわけでございまして、要するに財政の仕組み全体を、やはりできるだけ地方に裁量権を与える。どうせ補助金という形で来るのであれば、地方のニーズに応じて行政がその使い道を判断できるという仕組みをつくっていかなければいけない。それがやはり自治を育てることになる。その一つのきっかけがこのふるさと創生ということじゃないかなというふうに申し上げたわけでございます。  私の住んでおります世田谷に区立の美術館というのがございまして、砧公園という非常にいいところにあるのですけれども、たまたま隣に清掃工場がございます。清掃工場というのは、御案内のように高い煙突が建っていますから、この煙突というのは航空法によりまして赤と白のまだら模様になっておるわけですね。非常に立派な美術館ができて、緑が非常に多い、すばらしいところなんですけれども、その煙突だけが非常に違和感がある。これを何とかしなければいけないということでいろいろやりましたところ、要するに航空法上まだらにしておかなければいけない。何回かかけ合ってようやく、一番上に点滅する標識をつけることによって煙突そのものは今、行っていただくとわかりますけれども、白とグレーとブルーの非常にきれいな煙突になっているわけで、周囲に非常にマッチしているというようなことを、たまたまこの前区長と話をしていましたらそういう話が出まして、要するにいかに規制が多いかというような話になったわけでございます。  現状はそういう現状であって、どうもいろいろ官僚の皆さんとお話をしておりますと、要するに何をしでかすかわからない、だから何となく規制をしておかなければいけないというような、どうしてもそういう発想が根強くある。そこがやはり非常に大きなネックじゃないか。もっと任せて、多少失敗してもいいじゃないかぐらいの大きな気持ちでこれはやりませんと、失敗したら大変なことになっちゃうわけですけれども、日本の現状は変わらない。財源の面、権限の面、特にこれから、豊かな暮らしといいますかゆとりのある暮らしといいますか、そういう地域社会というものを築いていくために、地方に大きな権限を持たしていかなければいけないというスタンスをきちっと政府として持ってもらいたいということでございますけれども、再度……。
  188. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員が御指摘になりました見地というのは、なるほどという感じで拝聴しておりました。  ただ、煙突は、元運輸大臣といたしましては、航空法上これはちょっと法規に反するんではないかという感じは一瞬いたしたことも事実であります。  御指摘になりました意味は、確かに私もわかりました。そして、国と地方との関係において、地方の自主性にお任せをした方がいい分野があることは、私は委員の御指摘のとおりだと思います。  と同時に、殊に公共事業に関連する補助金というものにつきましては、特定の地域のみの発想で行動されては困るものがあることも十分御理解がいただけると思います。これは河川改修一つをとりましても、その川の流れに沿った地域、同じ考え方で同じように事業を進めていかなければ意味がない。あるいは道路にしてもそうでありますし、鉄道等につきましても同じような問題が言えます。複数の行政区画を経由いたします種類の公共事業というものにつきましては、やはり私は、横を眺めながら国としてのルールを進めていく必要のあるものが多くあるな、委員の御指摘の分野と同時に、双方の面があるという感じを今率直に持っております。  要は、国と地方、その地方におきましても都道府県と市町村、そのそれぞれの守備範囲をしっかりとお互いが守ることではなかろうか、そのように、今の御意見を拝聴いたしておりました。
  189. 井上義久

    ○井上(義)委員 ですから、最初にも申し上げましたけれども、本来国がやるべき仕事は要するに全額国でやればいいんじゃないか。国がやるべき仕事を地方自治体に委託している場合も、これは全額国が負担をしてやるべきであって、本来地方のニーズで地方が行う事業については、できるだけ地方の裁量権で行えるような補助金のシステムというものをぜひつくった方がいいのじゃないかというのが私の視点でございます。  これは一朝一夕にはなかなかできないと思いますし、当面、いわゆる補助金改革ということはずっと言われ続けてきたわけでございまして、そういう抜本的な改正の一つの前段階になろうかと思いますけれども、自治体が自由に裁量できる範囲を広くするために、今の規制の厳しい補助金制度というものをいわゆる包括的な補助金にすると いう検討がなされていると思いますけれども、この包括補助金にしていくという方向についてはどうなんでしょうか。
  190. 小村武

    小村政府委員 地域の主体性を高めるには、まず先生指摘のように、国と地方機能分担見直し、できるだけ地域住民に密着した行政等々につきましては権限の移譲を行う、それに伴い費用負担地方で行う、こういう御見地からの御指摘だと思います。確かに補助金というのは地方公共団体の自主性をややもすれば害することもございますが、一定の行政水準確保等々の見地から、その必要性もまたあるわけでございます。できるだけ補助金の弊害を排し、行政水準一定のレベルを保つ、そうした機能も生かしつつ、かつ零細補助金だとかあるいは細々とした採択基準等々合理化いたしまして、メニュー化、統合化といった手法を用いまして、その政策目的の実現のためにやはり補助金というものが必要ではないかというふうに考えております。
  191. 井上義久

    ○井上(義)委員 あと一つ、ちょっと具体的な問題で、地方団体財政力というのは非常に千差万別であると思います。特に、財政力の弱い市町村、これから生活基盤整備ということを四百三十兆円の中でかなり重点的にやっていくことになろうかと思いますけれども財政基盤の弱いところ、こういうところをどう手当てしていくのか。特に、例えば下水道一つとりましても、東京は八〇%ぐらいになっているわけですけれども、例えば和歌山、島根なんというところは一〇%以下、和歌山なんというのは二%ぐらいだったと思いますけれども、非常に格差があるわけでございます。現状ですと、十年間たってみるとこの格差というのは非常に大変なものになってしまっているのじゃないかという危惧を抱くわけでございまして、特にそういう財政力の弱い地方自治体に対してどのように手当てをして、なおかつ生活基盤整備という意味で、日本全国どこにいても同じような生活水準を享受できるというような観点から、どのようにこれを推進していくおつもりなのか、確認しておきたいと思います。
  192. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 財政力の弱い自治体が非常にたくさんあることは事実であります。これに対しましては、現在地方交付税制度によりまして、財政力の弱い、いわゆる地方税収入が十分に入らない市町村がございますので、そういった市町村には地方交付税をもって一般財源財源保障するというシステムになっているわけであります。その際、地方交付税の算定におきましては、財政力の弱い団体に対して傾斜的に交付税が配分されるような算定方法というのをいろいろ講じているわけでございまして、そういったことによって個々の団体の財源を保障し、事業が十分にできるような交付税制度を使っての財源保障をしてまいってきているところであり、今後もそういったことで進めてまいりたいと思います。  なお、具体的な建設事業の方につきましては、特に近年、単独事業地方団体における需要というのは非常に高くなってきておりますので、私どもの方では地域づくり推進事業と呼んでおりますけれども地方債交付税をうまく組み合わせた制度、システムをつくりまして、財政力の弱小な地方団体でも十分に単独事業ができるようなシステムをいたしております。  また、特に財政力の低い団体が多いわけでありますけれども、いわゆる過疎団体、辺地の団体につきましては、過疎債、辺地債を充当し、これの元利償還につきましては、非常に高率の算入によりまして地方交付税を傾斜配分していくというようなことを講じているところでございます。
  193. 井上義久

    ○井上(義)委員 最後に、家賃補助制度についてちょっとお伺いしておきたいと思います。  昨年の国会でも家賃控除、家賃補助制度ということについていろいろお話し申し上げましたけれども大蔵大臣は、東京一極集中がますます進む、これ以上住みやすくしちゃいけないみたいな趣旨の話をされまして、非常に厚い壁に遭っておるわけなんですけれども、今回、来年度予算で初めて、間接的でありますけれども、家賃補助制度が建設省から出てまいりまして、これが実現したようでございますので、ちょっと内容を、建設省、来ていただいていると思うのですが……。
  194. 上野公成

    ○上野説明員 御説明いたします。  この家賃補助制度につきましては、先生今御指摘のとおり、一般的な家賃制度ではございませんけれども、二つの面で間接的な家賃制度があったわけであります。一つは借り上げ公共賃貸住宅でございまして、これは、従来からも民間の住宅を公的主体が借り上げるということをやってきたわけでございますけれども、この従来からやっている制度を大幅に拡充いたしまして、新たに共同施設整備補助もする、それと家賃補助をする、そういうふうに大幅な拡充でございまして、ちょっと新設とは違うと思いますけれども、これが一点でございます。  もう一つは、木賃住宅というのがございますけれども、この建てかえがなかなか、従前居住者の方々が新しい住宅に入るときに、新しく建てた住宅に入るということが家賃が高くなるということで大変であったわけでございますけれども、こういった建てかえを推進するという見地から、従前の家賃と新しい家賃、この差額の三分の一を国と公共団体で持つ、残りの三分の一は地主さんに持ってもらう、残りの三分の一は入居者が、新しくなってきたということでございますので持つということで、この二つの制度が来年度の予算に盛り込まれておるわけでございます。
  195. 井上義久

    ○井上(義)委員 まだまだ部分的でありますけれども、ともかく制度として家賃補助というものがスタートしたということについては我々も高く評価しているわけでございます。  東京も含めて全国の地方自治体で、やはり国の対応を待ち切れないで家賃手当制度、家賃補助制度に類するものがあちこちにできておりまして、それがやはり現実だろうと思うわけでございます。私は、今回のこの家賃補助制度というものを一つのきっかけにいたしまして、例えばドイツの住宅手当制度、これはすべての賃貸住宅を対象として、家族構成に応じて、所得に対して家賃負担が適正水準を超える場合には家賃補助を給付する、こういう制度でございますし、それからフランスなんかもいわゆる応能住宅援助制度、これもやはり負担が過大な世帯に対しては適正な家賃を超える額を直接補助している。こういう国としての制度があるわけでございまして、今回部分的ではございますけれども、全面的な家賃補助制度、その人の所得に応じてある程度の家が確保される、こういう家賃補助制度をぜひとも実現していただきたい、このように思うわけでございます。  家賃控除につきましては別な機会にまた議論したいと思いますので、この家賃補助ということについて大蔵大臣、前向きの答弁をいただきたい、こう思います。
  196. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 昨年も頑迷固陋だったという御指摘をいただきましたが、私は基本的に依然として頑迷固陋でありまして、この点について私は、一般的な家賃補助制度というものについてなお自分の考え方は変えておりません。むしろ私は、事務方の諸君がよく申しますいろいろな理由以上に、実際上本当に大都市居住者に対する補助というものになってしまうんじゃないのか、それはむしろ人口の分散というものの妨げになりはしないのか、多極分散型の国土形成というものにマイナスになりはしないだろうかと、率直にその疑念が本当に消えません。むしろ、国会の移転決議等も行われる状況の中におきまして、いかにしてこの巨大な東京という都市に集中する人口を分散させるかということが大きな問題になっておりますときに、私はどうも逆に作用する政策になりそうな気がして仕方がない、これは率直な私自身の気持ちであります。
  197. 井上義久

    ○井上(義)委員 相変わらずの御答弁なので、別な機会にこの問題については本格的にまた議論をしたいと思います。  ただ、やはり各自治体が自主的な判断で家賃補助制度というものを実施せざるを得ない。これはやはり地域住民のある意味でうめきにも似た現実 の声があるわけでございまして、今大臣がおっしゃったような議論、確かに一方である議論だと思います。ただ、それは今現在住んでいる人たちが、では自分たちはどういう居住条件が確保されるのかということをセットで言いませんと、お金のない人は出ていきなさいという議論にも等しくなってしまうわけでございまして、やはり今住んでいる人たちにある意味では安定したゆとりのある住宅を供給するという政策が前提でなければならない議論である、このように思うわけでございます。最後にこのことを申し上げまして、また別の機会にこの問題をしっかりやりたいと思います。  以上でございます。
  198. 平沼赳夫

  199. 正森成二

    ○正森委員 本法案は、第一に、公共事業補助率を一部復元するとはいえ、完全に復元せず延長をしており、かつその復元も二割程度にすぎないこと、第二に、義務教育費国庫負担金の共済費追加費用等の補助率暫定措置という名で復元されず、現行のままで延長されていること、第三に、本来国が負担すべき補助金地方の共有財産である交付税地方の借金で補てんし、国の責任地方に転嫁する従来の姿には変わりはないこと、第四に、議会制民主主義の建前からいいましても、七省庁と国会の十委員会関係する三十四法律を一本の法律にして一括処理するなど、数々の問題点を持っております。  しかしながら、本法案は、我が党が従来反対してきた過去三回にわたる削減一辺倒の同種法案とは若干異なる面があります。本措置により、いろいろな事業に対して、現行制度に比べ今後三年間毎年一千三十七億円以上の国庫補助が、地方公共団体に対し補助金が増額されることになり、自治体と住民への被害の減少が図られることもまた確かであります。我々としましては、これらの点を総合勘案して法案に対する態度を決めたいと思っております。  そこで、本日は時間が非常に短うございますので、二、三の点に絞って質問をさせていただきたいと思います。若干技術的な問題がございますので、そのときには事務当局が答弁をしてください。  まず第一に伺いますが、公共投資でございます。九一年度の公共事業の伸び率は、国の関係では五%と思っておりますが、地方の単独事業や財投はそれぞれ何%の伸びで、総計として何%の伸びになっているか、お答えください。     〔委員長退席、大石(正)委員長代理着席〕
  200. 小村武

    小村政府委員 平成三年度の予算におきます公共投資の額でございますが、一般会計の公共事業費につきましては御指摘のように六・〇%の伸び、NTT事業を含めますと五%、それから財政投融資におきまして、公共事業実施機関につきまして九・六%の伸びとなっております。なお、地方単独事業につきましては、一〇・〇%を見込んでいると聞いております。
  201. 正森成二

    ○正森委員 そこで、日米構造協議との関係で伺いたいと思いますが、従来社会資本整備の大もとである公共事業では、国、地方、利用者の負担比率がおおむね三五対四五対二〇の割合であるというのが経済企画庁の総合計画局の出しました「社会資本整備の新たな展開」という昭和六十二年度に出ましたものに書かれておりますが、おおむねその数字は間違いありませんか。
  202. 藤森泰明

    ○藤森説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の国、地方、利用者負担の比率につきましては、おおむね三・五対四・五対二というふうに「社会資本整備の新たな展開」の中でも記しているところでございます。
  203. 正森成二

    ○正森委員 ここに資料がありますが、それを認められたと思います。  そこで大蔵省に伺いますが、日米構造協議で今後十年間に四百三十兆の投資を行うということで、今経企庁がお答えになりました総体を一〇でなしに一〇〇としますと、三五対四五対二〇という割合になるわけですが、それをもとにしてずっと数字を延ばしてみますと一定の数字が出てまいります。今年度の場合は、今お答えになりましたように、国それから地方公共団体の単独事業あるいは財投ということですが、それを合わせますとおおむね六・三%ぐらいの伸びになるというように思いますが、それは間違いありませんか。
  204. 小村武

    小村政府委員 公共投資の四百三十兆円の額は、これは各実施機関のいわば出口ベースの金額でございます。私が先ほど申し上げました公共投資、公共事業関係費、財政投融資あるいは地方単独事業分、これはいわばその財源措置としての額でございますので、必ずしもそれが食いつかない、あるいはその実績等は各実施機関の事業計画を見ないと計数が把握できないということでございます。
  205. 正森成二

    ○正森委員 私は十年先のことまで全部聞いているんじゃなしに、九一年度は結果としてそうなったのではないかと、こう聞いているのです。新聞にも出ているじゃないですか。一般会計と地方の単独事業と財投と合わせれば、おおむね六・三をやや上回るぐらいの伸びになったというように書いてあるじゃないですか。
  206. 小村武

    小村政府委員 各実施機関は、当該年度及び各実施機関のそれ以前の、前年度以前の出資金あるいは補助金負担金、借入金、料金収入等々の財源を合わせまして、それを収入として事業全般についての支出を行うわけでございます。したがいまして、特定の公共投資についてどの程度の財源が使われ、全体として出口ベースでの計数を把握するにはなお時間がかかるということでございます。九一年についても同じでございます。
  207. 正森成二

    ○正森委員 いや、公共投資の伸びが幾らで、そうすれば全体として幾らになるかということは、主な実施部門が三つあるわけですから、それを合わせれば数字が出てくるじゃないですか。新聞でも出ているし、あなた方は一般にも言っているんじゃないですか。
  208. 藤森泰明

    ○藤森説明員 一九九一年度の公共投資額につきましての見通しはまだ作成をしておりませんので、その割合についてはお答えできかねるということでございます。(正森委員「何年度のが決まってない」と呼ぶ)来年度の値でございます、一九九一年度。公共投資の見通しは作成しておりません。
  209. 正森成二

    ○正森委員 経企庁はそういうことを言うけれども、九一年度予算案は提出しているんじゃないですか。九一年度予算案は現に提出しているでしょうが。そして地方財政計画もちゃんと立てているでしょうが。ここに持ってきておりますけれども地方自治体は、この間財政課長が内簡というのを出しましたけれども、それを見ますと、地方単独事業は一〇%ふやしたといって数字を挙げているじゃないですか。
  210. 藤森泰明

    ○藤森説明員 公共投資の総額につきましては、各省庁からのヒアリングによりまして、各公共投資実施機関の事業実績を把握した上で、GNP統計あるいは地方財政統計年報等の諸統計を勘案して作成することといたしております。したがいまして、公共投資総額の九一年度の見通しを作成するためには、同様にヒアリング等の膨大な作業が必要でございますし、仮に作業を行うといたしましても、計数が明らかになるのは当該年度の年度末近くになると見込まれますので、見通しを作成する意義が乏しいということから、見通しはつくれない、つくらないということにしておるところでございます。
  211. 正森成二

    ○正森委員 しかし、そんなことを言うておっていいんですか。ここに昨年の七月四日付の朝日新聞がありますが、その中で名前のよく知られているヒルズ米通商代表ですね、これは日米構造協議の問題でこういうぐあいに言っております。「日本側は公共投資を国民総生産(GNP)比で年約〇・一%ずつ引き上げ、(十年後に)七・三%にすることを約束した、と我々は信じている」というように語って、四百三十兆円という絶対額でなしに、GNP比での増加を日本政府の公約ととらえていることを明らかにしております。  四百三十兆円というのは公共事業費ですが、これは原則として用地費の見込み額が入ると思うの ですね。それを引いたものを十年間の名目成長率四・七五%ということで計算しますと、六・三%程度ずつふえていくと、まさに十年後の公共投資のGNP比はヒルズ代表の言う七・三%になるわけであります。したがって、インフレなどで名目成長率が予想より高まったり、今地価が上がっておりますが、用地買収費が高くなったりすると、四百三十兆円というのではヒルズ代表の言う七・三%に達しないという事態が起こってくるのでしょう。だから、そういうことを勘案して今聞いているんですよ。  それで、あなた方はいろいろ予測を立てたんでしょうけれども、四百三十兆円で用地費を幾らに見込んでいるのですか。一三%ですか、一五%ですか。
  212. 藤森泰明

    ○藤森説明員 公共投資に対します用地費、補償費等の比率につきましては、現在決算額が確定しております一九八七年度までの計数を見ますと、おおむね一三ないし一五%でございます。四百三十兆円の作成につきましても、それらの値を勘案しながら定めておるところでございます。
  213. 正森成二

    ○正森委員 今それだけはやむなく認めましたが、それで私どもが計算すると、大体用地費が五十六兆から六十三、四兆の間になる。そして、それを引いて公共事業事業費はどのくらいか。つまりIGですね、インベストメント・ガバメント。それで計算するとヒルズの言うような数字になるのです。だから私が聞いているのです。それをすったらもんだら言うて、今年度が済んでみなきゃわからぬとかなんとか、何を考えておるのか知らぬけれども、初めから防御して、数字を言わなきゃ怒られぬで済むかというような、そんなこと言うたってちゃんと底が割れているんだから、答えることは答えたらどうですか。     〔大石(正)委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、その用地費というのは、一三%や一五%で済まない面が実際上は出てくるんじゃないんですか。東京都では用地費がどのくらいになるか知っていますか。——東京都のことだからわからなければ、こちらから言いましょう。  ここに東京都の企画審議室が出しました「東京の土地一九八九(土地関係資料集)」というのがあります。質問の前にあらかじめ調べてきましたが、そこにはこう書いてあるのです。「東京都一般会計の投資的経費に占める用地費の金額及び割合をみると、昭和六十二年度当初予算では用地費は約二千二十二億円で、投資的経費に占める比率は二九・七%であったが、」これは国の一般の平均よりずっと高いんですね。「平成二年度には約七千二百七十七億円と三・六倍に増加し、用地費の占める割合も四〇・八%と一〇ポイント以上上昇している。」ということで、過去数年間の数字がここに書いてあります。  これは東京都の企画審議室が出したもので、日本共産党が出したものではありません。だから、そういうように見ると、用地費が一三%だ一五%だといって計算して、これでIGがこのくらいの数字になるからアメリカ側を納得させられると思っておっても、実際は違ってきて、大いに増大しなきゃならぬという面もまた起こってくるのではないのですか。私はそのことを指摘せざるを得ないんですね。それがやはりこういう補助金の問題とも重大な関係があります。  時間の関係でさらに進みますが、経企庁、ちいとはきはき答えないかぬよ、あんたら。じゃ、初めから趣旨を言うとこうか。ここに平成二年六月に経済企画庁が出した「公共投資基本計画」というのがあります。これはあなた方もよく御存じでしょう。これを見ますと、これは日米構造協議の最終報告書にもこのとおりが載っているのですけれども、「公共投資の機能別分類」というのがありまして、生活環境と文化機能を重視する、こういうぐあいになりましたね。それで、一九八一年から一九九〇年度の平均は五〇%前半であった。その他、投資的経費等が四〇%台後半。全部で一〇〇ですから、そうなりますね。それを、一九九一年から二〇〇〇年度は生活環境・文化機能を六〇%程度にふやす。したがって、その他は四〇%程度になるというように書いてあるのですね。これはそのとおりですな。
  214. 藤森泰明

    ○藤森説明員 ただいまの先生の御指摘はそのとおりでございます。
  215. 正森成二

    ○正森委員 出所を示すと、しょうことないから認めるね。それじゃ、今度も出所を示して言うよ。  平成元年八月八日、同じく経済企画庁が平成元年度年次経済報告というのを出しております。これを見ますと、公共工事着工額の一人当たり金額の推移ということで、総額は幾らか、生活系投資が幾らか、あるいは産業系投資が幾らかということで分類をしております。数字を見ますと、全体的な一人当たり金額は、例えば昭和六十三年度で見ますと十万五千五百円、それに対して生活系投資は三万七千四百円、率で言いますと三五・五%であります。同じ資料で約十年間を見ましても三四・五%で、五〇%台というような数字にははるかに及ばないというのがあなた方の同じ資料から出てくるのです。  ただ、あなた方が答弁するだろうと思われることを私が前もって言うておきますと、生活系投資と産業系投資の合計をいたしましても、全部で十万五千五百円にならないのですね。つまり、約四割ぐらいがどちらにも分類できないのであろうということで、書かれていないのですね。だから、恐らく答弁してもそういうぐあいに答えると思うのです。つまり、約四〇%ぐらいは、生活系投資とも産業系投資とも明確に分類できないグレーゾーンがあるのですね。そのグレーゾーンを、アメリカによく見てもらおうと思ったか何か知らないけれども、無理やり生活系と産業系というように分けて、それで将来生活系を六〇にする、産業系を四〇にするというように言うているのですけれども、実際にそうなるのですか。ここに書いてある数字と「公共投資基本計画」とでは余りに違うのじゃないですか。
  216. 藤森泰明

    ○藤森説明員 「公共投資基本計画」の中で、生活環境におきまして生活環境・文化機能という新しい概念の整理をしたところでございます。  この考え方は、従来事業ごとに、例えば生活環境、交通・通信、国土保全、農林漁業等に分類する例があったわけでございますけれども、近年いわゆる生活環境部門以外の部門におきましても、例えば地下鉄の整備でありますとか、農山漁村におきます集落排水設備の整備でありますとか、河川、港湾、漁港等におきます緑地整備といった形で、直接的に国民生活の質の向上に結びつく事業が各事業ごとに行われておりまして、さらにそれが増加してきておるということでございます。したがいまして、こうした状況から、従来の分類にとらわれることなく、社会資本整備の果たす機能に着目をいたしまして、今回生活環境・文化機能という値を定めたものでございます。
  217. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣、お聞きになりましたか。従来の分類にこだわることなく、こう言うたでしょう。それが重要な問題点で、そう答えられるだろうと思って、平成元年度年次経済報告のいわゆる生活系と今度の「公共投資基本計画」、アメリカにも重大な関係のある、それの生活環境・文化機能と分かれたものとどこが違うかということも私が点検しておきました。  それを見ますと、前には廃棄物処理施設というのは入っていなかったんです。それが入っているとか、今も言いました地下鉄が入っているとか、あるいは河川、港湾、漁港などというのは産業基盤整備だったのですね。それの緑地整備というのをわざわざ入れまして、それをこちらへ入れるとかいうような操作をしているのです、  それはなるほど生活環境・文化機能に入るものもあり得ると思います。しかし、それにしても、今まで三五・五ぐらいだったのを今までも五〇%台だったんだと言い、そして今後十年間には六〇にすると言うのは、グレーゾーンのうち相当問題のあるものを生活環境・文化機能の方にほうり込んで、アメリカ側に対して顔をよくするようにしたんじゃないかという疑いを払拭できないのです、余りにも数字に差があり過ぎますからね。そ の点を私は指摘しておきたいと思います。  時間の関係で次に行きます。  自治省に伺いますが、地方自治体では、内部留保と言うたらいいのか貯金と言うたらいいのか、積立金ですね、財政調整基金や減債基金その他の特別目的基金というのが最近急速にふえておりますね。最近何年間かをとって、それがどういうぐあいにふえてきたかという数字を言ってください。
  218. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  基金残高の推移でございますが、十年前と五年前で申し上げますと、十年前の昭和五十四年度末現在高は総額で約三兆円でございます。五年前の昭和五十九年度末の現在高は約五兆一千億でございます。(正森委員「現在は」と呼ぶ)現在は、平成元年度末の数字、現在決算額を取りまとめ中でございますが、総額ではおよそ十三兆四千億程度になると見込んでおります。
  219. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣、今お聞きになりましたように、十年前は三兆円ぐらいで、五年前も五兆一千億といったのが、現在では十三兆四千億を超えている。  さらに、この間全国の財政課長会議が行われました。そこで自治省財政局長はこう言っているのです。「さらに、地方団体の基金積み立て額は元年度は十三兆円にのぼり、」つまり十三兆四千億円ですね。そして「このままでは来年度は十七兆円を超える。」こう言っているのです。「もちろん、各目的に沿った積み立ては問題ないが、ただ漫然と積み立てている基金は、単独事業財源として取り崩してでも事業量を確保してほしい。」つまり、もっと金を使えということを言うているのです。ここで重大なことは、財政局長でさえ「ただ漫然と積み立てている基金は」というようなことを言うて、金が余って、漫然と積み立ててるかのようなことを前提にして言っているのです。  なぜ十年前は三兆円しかなかったのが現在は十七兆円にもなるのかといえば、時間がないから言いますが、公共事業はどんどん上げる、税収は景気がいいからふえる。ところが、福祉だとか教育だとか医療だとか、住民が真に必要とするところは地方行革と称して金を出さない。入るものはどんどん入ってくるけれども、出すものを出さなきゃ金がたまるのは当たり前じゃないですか。  そういうことをやっているのが今の地方自治体の多くの現状で、それを結局、この財政局長の言明でもわかるように、認めるだけでなしに追認して、そしてもっと金を使って公共事業をやれということを言うているとすれば、それは日米構造協議を実行するためにこういうように金をためておるのであって、本当に地方自治体の本来の業務である福祉だとか教育だとか、そういう方向には金を出さない結果、こういうぐあいにとっとこ金がたまっていくというように見られても仕方がないんじゃないですか。
  220. 遠藤安彦

    遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  地方団体の基金残高が増加しているわけでありますけれども一つには、やはり最近の税収状況が、一時的な要因も多分に含まれているわけでありますけれども、法人関係税を中心に順調に推移してきたということで、自然増収があったということであろうと思っております。そういう場合には年度間の財政調整としまして、地方団体には地方交付税の変動が予想されますので、私どもはそういう年度間の調整財源として基金に積み立てることを指導していることが一つあります。  それからもう一つは、病院とか図書館だとか、それから道路、河川等のかなり大きな建設計画を将来持っていまして、そのためのあらかじめの財源を確保したいという、私どもこれを特定施設の基金と呼んでおりますけれども、そういったものがあります。  それからもう一つは、公債費負担比率、地方債の元利償還金が非常に多額になっておりますので、それを計画的に縮減するというようなことで、公債費負担の軽減を図ることの目的などのために減債基金を使っているわけでありまして、特に平成元年度、二年度、また来年度の地方財政でも予定いたしておりますが、財源対策債などの償還のための基金を予定いたしておりますので、現在は膨らんできているというようなことが言えるわけであります。  こういうことでありますが、やはり地方団体においては税等による財源を効果的に、有効に住民に対して使うということが趣旨でございますので、先月の総務部長会議あるいは財政課長会議において、私どもの方から、委員質問のような趣旨で、基金を計画的に取り崩して事業を行うよう指示したところであります。
  221. 正森成二

    ○正森委員 ちょうど時間が来ましたので、いろいろ言いたいことがありますが、省略します。  今の答弁でも、自治省から、税収が非常に好調で、金がぎょうさんあるんだという意味のことを答えざるを得なかったのですが、そのほかに財源債等の借金、それに積み立てるというように言われましたが、ここに自治省の出した書類があるんです。そこでどう書いているかというと、「地方財政の健全化等に資するため、平成元年度に限り財源対策債償還基金費を設けること」こう書いているんです。これは当然みたいに見えるでしょう。ところが、そうじゃなしに、財源対策債として基金を積み立てなければ地方交付税で見てやらない、基準需要額に入れてやらない、こういうことなんです。  だから地方自治体は、二年先、三年先に返す分も含めて、私の計算では二兆円を超える額を積立金として積み立てる。積み立てなければ、将来返すときになっても需要額に入れてくれないから、これは不交付団体になってしまうというようなことまでやって、今は金が余っているのを見せないように積立金をふやすということをやっているんです。だから十三兆円が十七兆円になり、十年前は三兆円しかなかったのがどんどんふえるわけなんですよ。そういうことまでやっているというようなことは、今地方自治体が本来やるべき福祉、教育等々について、あるいは医療等について取り立てられる額が非常に多過ぎるといって困っているときに、決して許されることではないというように思います。  残念ながら時間が参りましたので、先ほどの自治省の役人の答弁が非常に長かったこともありますが、私の質問はこれで終わらせていただきます。
  222. 平沼赳夫

    平沼委員長 中井洽君。
  223. 中井洽

    ○中井委員 法案の審議に入ります前に、既に報じられ、話し合いが行われておりますいわゆる九十億ドルの援助拠出、政府あるいは自民党さんが大変な決意をもって公明党さんや私ども民社党の要求をおのみになって、増税一本やりじゃなしに、みずからの歳出削減等を含めて増税額を減らしていく、こういう決断をされて、補正予算あるいは予算の修正すら行われようとされておること、大変歓迎をいたします。また、大蔵大臣以下の御決断に心から敬意を表するところでございます。  それらの法案が出されましたらまた審議をさせていただきますが、出される前に一つだけ御確認をさせていただきたいことは、あの修正の中で予備費の減額二千億という項目がございます。これは、私どもが思い切った経費の削減、特に国会議員の給料を含めて経費の削減で対応しろ、こういうことを要求してまいりました。現時点でどの経費をどう削減するということができないということで、予備費の削減をしてということで対応して、そして予算の中で経費の削減で賄っていく、こういう形で話が決まったやに私ども理解をいたしますが、大蔵大臣、そういうことでよろしゅうございますか。
  224. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず、今委員から国会議員の歳費というお言葉がございましたけれども、これは私どもは決定をいたしておりません。私どもがお互いに確認をいたしましたのは、閣僚歳費につきましては二月以降、この増税をお願いする期間内に一割を国庫に返上するということでありまして、この点は誤解のないようにお願いをいたしま す。  ただ、今委員から御指摘がありましたように、私どもは当初基本的に、この多国籍軍に対する資金協力というものは、新たな税というものを担保とし、短期間のつなぎ国債を発行させていただくことにより、その財源を賄うつもりでおりました。そして、予算案御審議の途中において、その予算を減額するという考え方はとっておりませんでした。しかし、本院また参議院における御論議等を承りまして我々なりに考え、こうした決断をいたしました。  予備費の縮減と申しますことは、ある意味では私どもにとっては今後予見しがたい事態を切り抜けていく場合に大変重い決断でありますけれども、三年度予算が通過成立いたしました後において、それぞれの予算に対しましてもできる限りの節減合理化をお願いしながら、この予備費の残りました千五百億円の範囲内において、財政運営を全力を挙げていたす決意であります。
  225. 中井洽

    ○中井委員 もう一つこの九十億ドルの援助についてお尋ねをいたします。  かねてからもいろいろな議論の中で日本とドイツと比較をされ、議論がなされております。確かにドイツにおきましては日本とよく似た面がありまして、憲法上の制約がある。また、両方とも経済大国として、世界の平和のために当然国際的役割分担を真っ先にやっていかなければならないし、また求められる。同時に、日本もドイツも石油が出ない、そして中近東地帯から多くのエネルギー源を供給されておる、こういったところでよく似ているわけであります。九十億ドルを交渉された大臣として、交渉の中でドイツとの金額の比較といったものが実際出てきたのかどうか、あるいは大臣の頭の中に、こういう交渉あるいは金額決定の中にドイツとの数字の比較といったものが常にあるのかどうか、この点についてはいかがですか。
  226. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 まず第一に申し上げたいことでございますけれども、私は、金額の交渉といったものはいたしておりません。と申しますよりも、確かに多国籍軍に対する資金協力について、相応の負担をするつもりだということは私は申してまいりました。ただ、その時点においてアメリカ自身が、一体この湾岸の紛争の中においてどれだけの資金を必要とするかについて試算はできておりませんでした。これは今日もないようであります。そうした中でありますから、当然その金額といったものはその席上で出しようがなかったと思いますし、また出ておりません。  ただ、その論議の中におきまして、ドイツ及び日本に対して国際的な風当たりというものをいや応なしに感じさせられたことは事実であります。また、G7の席上におきまして周辺国支援の議論が出ました瞬間に、ドイツの代表者から、昨年九月の時点とは違い、我が国は今回トルコに作戦機を既に出しておる、人員も出しておる、既にそういった形で協力をしていることをカウントしてほしいという発言が出ましたことも事実でございます。私自身の脳裏に、その論議とはまた別に、各国の多国籍軍に対する支援措置というものの中で、ドイツを含む各国が内々議論をしております数字というものをその席上つかみましたものは、判断の材料になったということは事実でございます。
  227. 中井洽

    ○中井委員 違った意味からお尋ねをいたします。  私も余りわかりませんが、ドイツ自体大変なソビエトに対する援助、特に西ドイツが東ドイツと合併をしたときにかかわったお金あるいは統一後の経費の増大、さしも経済大国ドイツといえどもなかなか大変じゃないか、こういう思いを抱いております。同時に、ドイツ自体がそういう中で、例えばお話のあったトルコへ空軍機をNATOの防衛範囲の中でお出しになっておる。同時にまたイスラエルとの格別の関係、またイスラエルの感情、これを考えて援助もお出しになった。あるいは仄聞するところによれば、湾岸戦争が始まった直後に、ドイツ軍がお持ちになっておる武器弾薬を即刻アメリカに提供した。  こういったことをトータル的に考えたときに、私自身は、ドイツと日本という同じような立場であるけれども、日本に対する要求あるいは日本自身がドイツよりもたくさん出していかざるを得ない国際環境かな、こんなふうに考えておりますが、大臣はいかがお考えですか。
  228. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは、最終的に御判断をいただきました総理がお答えをされるべきことかもしれませんけれども、G7の席上、各国がそれぞれに自分の国はこういう行動をということを述べられる中において、日本として人的貢献の全くできない状況でその席に座っておりました者の気持ちは、御理解がいただけると思います。  その会議の席上、またコーヒーブレーク等の際に交わしました各国の考え方というものは、率直に帰国後総理に対し、また政府・与党首脳会議に対し、私は報告をいたしてまいりました。やはり人的貢献のできない日本として、せめて資金協力だけでもできる限りのことをしたいという気持ちは、率直に私の脳裏にもありましたことは委員お感じのとおりであります。
  229. 中井洽

    ○中井委員 しつこく聞くつもりはありませんが、ドイツと日本とどうだろうということに関して、率直にどうお考えですか。
  230. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 当時、と申しますのはちょうどG7前後、G7前でありますが、日本のマスコミの皆さんが流しておられましたのは、まさに今後必要とする経費のうちアメリカは二〇%を日本に要求する、ドイツに対して一〇%を要求する、そのようなことが伝えられておりました。そういう雰囲気の中で現地に参りまして、そのような状況でなかったことは私自身としてほっとした一瞬もございました。しかし、結果として、ドイツは作戦行動可能な機材をトルコに送りつつ、アメリカに対しては五十五億ドル、イギリスに対して五億四千万ドルの資金協力を申し入れておられる。その比率が一体どれが望ましいものなのか私にはわかりませんけれども、日本として九十億ドルという資金協力の金額を多国籍軍に提供するという意思は、そうした情勢の中で比較いたしまして必ずしも誤りではなかったのではないか、今そのように感じております。
  231. 中井洽

    ○中井委員 それでは、法案のことについて幾つかお尋ねをいたします。  私どもの党も、率的に五十九年の率に戻っていないということでいろいろな議論がございましたけれども、今回出されました補助率見直し、これらについて賛成をいたしました。しかし、思いは各党一緒であります。先ほどの答弁から、覚書の問題等いろいろ出てまいりまして、検討を総合的にやられる、こういうことでありますが、その総合的に検討をする中に五十九年の率に戻すということも当然入っておる、これは間違いのない事実でございましょうか。
  232. 小村武

    小村政府委員 公共事業の今後の補助率取り扱いにつきましては、関係省庁間でさらに総合的な検討を行う、その際、累次の行革審答申、こういったものも踏まえ、さらに体系化簡素化という観点も加え検討を進めていくということに相なっております。暫定期間中にどういう結論が得られるかということについては、これからの協議でございますので定かでございませんが、五十九年度水準に当然戻るということは前提ではございません。
  233. 中井洽

    ○中井委員 前提ではないけれども、戻るということも検討の中の一つであることは間違いありませんか。
  234. 小村武

    小村政府委員 先ほど大臣の御答弁にもありましたように、検討の結果五十年水準を上回るものあるいは五十九年水準のものあるいは下回るもの、その結果によっては出てくるであろうということでございまして、いずれにしても今後の検討をまち、関係者間での意見の調整を図らなければならないと考えております。
  235. 中井洽

    ○中井委員 その検討はどういうところで、どういう形で検討をしていくのですか。
  236. 小村武

    小村政府委員 公共事業につきましては事業官 庁がございます。まず、実施官庁及び地方財政を預かる自治省、それから国庫大臣としての所管の大蔵省、こういった省庁の協議になろうかと思います。
  237. 中井洽

    ○中井委員 先ほどからいろいろな議論を聞かしていただきまして、特に公明党さんの井上先生の御議論なんかは、私ども従来から主張しておりました補助金制度の見直しあるいは仕組みがえ、こういったことに触れられまして、大変共感を覚えるものであります。日本全体が同じような水準で、同じようなレベルで生活をしていただく、このために補助金制度あるいは補助金の率、こういったものが必要である、このことについては私ども認めるにやぶさかではありません。しかし、先ほど橋本大蔵大臣お答えになりましたように、いろいろな弊害も出てくる。使い方によっては目的と違う、こういった形になってくるのも事実ではないか、こんなふうに考えております。  例えば、この率とは直接関係ありませんが、私なんかはどう考えても、四国—本州間に橋を三つ何でつくるのだろうと思うわけであります。私は三重県でありますが、東京、神奈川、静岡、愛知、三重、岐阜、奈良、京都、滋賀、大阪、兵庫、旧の東海道や今東海道線が走っている地域に一番人口が集中しておる。また、経済的にもかなり発達しておる。そういったところは自分でやりなさいよ、よそは補助金でどんどんいきますよ、それはそれで結構でありますが、やってみたら飛行場のないのは東京から大阪の間の県ばかりになりました。補助金でおやりになっているところは全部飛行場があるのであります。私どもから見たら四国に橋三つはどうだろう。結局、四国の人はみんな物流は飛行機でおやりになって、日本じゅうの老人クラブの人たちがいいなと見に行くだけじゃないか。そういうことを考えると、同じ補助金でももうちょっと使い方があるのじゃないか。  私が初めて国会に当選しましたときに、地方行政におりましたから、離島対策のことで、名前は申しませんが、ある島へ視察に参りました。その島には七つの町村があるのです。離島対策と過疎対策の二つが重なるものですから、老人ホームが五つあるのです。入っている人はみんなその御近所の方です。どうしてと言ったら、いや、土曜、日曜は家へ帰るのだとおっしゃるのであります。そんなことありかと、大変おかしなことだなという思いがいたしました。その補助金がそれぞれ目的にきちっとかなって、地域の振興に使われておるならいいけれども、なかなかそうはいかない。現実に補助金をおもらいになっていらっしゃる都道府県、都は関係ありませんが、東京の一極集中というけれども、そういう補助金でおやりになっておるところは全部県庁所在地に人が寄って、過疎化しておる。先ほど申し上げた東海道沿いの地区あるいは東海道新幹線の地区なんかは、わりかし県内バランスよくいろいろな町があって発展しておる。  こういったことを考えると、補助金の目的、これは役所だけじゃない、国会にも各政党にも責任があると思いますが、もう少しチェックをして有効な使い方をすべきだ。私は率の問題よりも、そのチェック体系というものをどうするのだろう、常に国会も行政府も考えていかなければならないと思うのです。決算委員会もあれば会計検査院もある。しかし、財政当局としてこういう補助金を本当に総合的に見直す、こういう検討委員会をやられるなら、当然そういったチェック機能、統廃合、廃止といったことを前提として思い切った検討をされるべきだ。  五十九年から今日までずるずると来たわけでありますから、それを見直される、総合的にやられるというのならやられるべきだ。しかし、役所でそんなことはできるわけがない。私は役所に任せておいたら、また一律でわけのわからない数字のつじつま合わせになるのじゃないか、こういう思いを抱いております。そういう意味で、大臣として、思い切った補助金補助率、そういった制度全体の見直しに叱咤激励をされるお気持ちがおありかどうか、お尋ねいたします。
  238. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 どうも本四架橋から話が始まりまして、私の郷里もそのうちの一本を抱えております場所でありますだけに、大変お答えのしにくい気分で今立っております。  ただ、私は必ずしも委員とこの架橋ということについては意見を一にするものではありません。むしろ、例えば青函トンネルが完成をいたしましたことにより、完全に分断されておりました北海道と青森県が、いわゆる青函経済圏という視点のもとに一つの地域経済圏をつくり上げ、今動こうといたしております。この本四架橋の架橋結果と申しますものは、四国という一つの島でありました地域が、近畿並びに中国と一つのエリアをつくり上げることによって、従来とはまた違った夢のかける場所になったと私は感じます。  ただ、その部分を除きまして、私は委員が御指摘になりましたような問題点補助金にないとは決して申しません。そして、第二次臨時行政調査会が発足をいたしました時点から、補助金についてしばしば臨時行政調査会あるいは行革審答申指摘をし、その整理合理化に対して厳しい視線を向けてこられました。そして、その中において統合メニュー化がある程度進み、また、補助体系の整備がある程度行われた分野も出てまいりました。今日、今御審議いただいております法律案中心に大きな問題を残しておるということについては、私はそのとおり委員の御指摘認めます。そして、先ほど次長から御答弁をいたしましたように、今後三年間に私どもはできる限りの努力を払ってまいり、より合理的な体系をつくり上げていきたい、そのように考えております。
  239. 中井洽

    ○中井委員 大臣が国鉄の改革あるいはNTTの民営化で大変な御努力をされたことを私も承知をいたしております。それゆえに余計この補助金補助率といった問題で、大蔵大臣としてお立場はおありでありましょうが、思い切った決断をされることを熱望いたしておきます。  余談でありますが、私はいつもこれはなかなか自民党さんは難しいだろうな、こういうふうに見ております。といいますのは、歴代自民党の総理大臣を見させていただきますと、鳩山内閣総理大臣以外はさっき言いました東海道からだれも総理大臣が出てこない。今の海部さんと宇野さんのお二人はそうでありますが、これは特別に出てきた人たちであります。派閥の長と言われる人たちですら、この日本の人口の一番過密な、しかも経済的に一番発展をしている誇るべき地域からだれも出てこられない。みんな補助金をもらっているところからしか出てこられない。ここに対外交渉なんかをやってもうまくいかない根幹がある、私はこういうふうに見ております。したがって、補助金の制度を変えろとか統廃合をやれと言ったって、政権交代をしなければなかなかできないかなと思っております。しかし、そういうことをやっておったのでは行き詰まりが来る、悪平等が進み過ぎる、こういう意見もあるということを考えて、御処理をいただきますようお願いいたします。  最後に二つだけお尋ねいたします。  一つは、先ほどから御質問がいろいろありました公共投資、生活関連の公共投資四百三十兆、十年間ということで、ことしから既に始まっております。これは何をやるのか、どういう区分けを国と地方あるいは各事業を行うところとで割り振りをするのかということがなかなか理解をされないままにスタートをしておる。この補助金も率も大いに関係はしてくる、こう思うのであります。今の形でいけば、何年間かはやってみて、そして途中で四百三十兆に達するかどうかの計算をしながら合わしていこうか、こういうおつもりなのかなという観測を私どもはいたしておりますが、どんなところなのか。本当にきちっと十年先の問題を見詰めて項目を絞り、振り分けを考えながら予算のスタートを切られておるのか、この点が一点であります。  それからもう一点は、この覚書等見せていただきましたが、自賠責の事務費のカットが五十七年から続いて、今回も引き続きカットをされており ます。この覚書の中で総合的に見直しの中にカットが入ってくるのかどうか、あるいはこのままカットを続けるのか、続けるとしたらどういう発想でこれをおやりになるのか、その点を含めてお答えをいただきます。
  240. 小村武

    小村政府委員 今後の十年間に四百三十兆円の公共投資を行うという際に、生活関連等につきまして重点的にその充実を図っていくということ及びその際に地方公共団体についても重要な役割を果たしていただくということになっております。計画では「豊かで活力ある地域経済社会を形成するためには、地方公共団体が地域に密接に関連する社会資本整備に自主的に取り組み、その役割を果たしていくことが一層期待される。」というふうになっております。その際、今後とも地方公共団体が地域の実情に応じて必要な施策が総合的に講じられるよう、地方単独事業を含めまして地方公共団体による社会資本の整備の財源につきましては、各年度の地方財政計画の策定等を通じて適切に対処してまいりたいと考えております。  それから、自賠責等の事務費の件でございますが、これは臨調答申等に基づきまして、社会保険等の事業事務費につきまして、一般会計からの繰り入れを暫定措置として停止をしているということでございますが、これにつきましては、経過期間経過後またそのときの財政状況等を勘案しながら三年後検討していきたいということでございまして、来年度から三年間の暫定措置として、一般会計からの繰り入れを停止するということでございます。
  241. 中井洽

    ○中井委員 自賠責の保険の方の事務費のカット、これはあと三年このまま続きますと約百億になろうかといたしております。自賠責保険の方はかなり財政的には、六十年度の値上げ以降自動車もふえておりますから、安定はしておるかと思いますが、つくられた経過やあるいは国が事務費を負担する理由というのは、今何も当時と変わっていないわけであります。財政状況の事情だけでカットをした。戻すかどうか一向きちっとしていないというのは大変残念なことであります。そういった意味で、十分検討課題の中で御検討いただき、五年度以降もとへ戻る、こういう形がとられるように強く要望して、質問を終わります。
  242. 平沼赳夫

    平沼委員長 菅直人君。
  243. 菅野悦子

    ○菅委員 今、補助金等の特例法の議論が進んでいるわけですが、大臣に一つだけちょっと考え方について御意見を聞きたいのです。  この間、国と地方財源配分の問題で、六対四とか七対三とかいろいろ言われてきているのですが、基本考え方として、すべての財源を一たん地方税で取っておいて、そしてその中から逆に、例えば市町村で取っておいたのを一部都道府県に上納というのか分担金を出して、さらにそこから一部を国に分担金を出す、こういう考え方もあると思うのですけれども、そういう考え方について大臣はどんなお考えをお持ちでしょうか。
  244. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 大変ユニークなお考えだと思います。
  245. 菅野悦子

    ○菅委員 明治以前は多分藩がほとんどの財政を握っていて、直轄領から得た費用で幕府は運営していたのじゃないかと思いますが、地方分権の時代にそういう大胆な、まさにユニークな発想もぜひ検討していただきたいというふうに思います。  この特例法のもともとの原因というのは、いわばゼロシーリングにあるわけですけれども、ゼロシーリングによって各省庁画一的に財政カットした結果、予想を超えたいろいろな問題が出ているわけでして、きょうはその中でちょっと独特の問題を一つだけ取り上げて理解をいただきたいのですけれども、今お手元に二つの資料を大臣にもお渡しをしておきました。  一つ、たくさん字が書いてある方は、表だけ見ていただければいいのですけれども、これは国立大学の工学系大学院の充足率であります。例えば一番上の欄の東京大学、二百六十七人の日本人枠がある中で百三十四人しか在籍をしていない。五〇%となっております。ここに主な大学が幾つか並んでおりますけれども、ドクターコースに行く人の数が定数の五割を大幅に割っている大学が多くなっているわけです。  近年、こういった問題でいろいろ話を聞く機会がありまして、一体どうしてこういうことになったのか、幾つかの原因があるわけですが、その一つがもう一つの資料であります。例えば文教施設費の推移も、昭和でいいますと五十五年あたりが千五百億でピークに達しておりますが、その後七百八十八億なんというところまで下がりまして、ことしは少し伸びてきているというデータになっております。これはゼロシーリングのために人件費に食われて、こういう設備費がどんどん少なくなって、今や民間の研究機関に比べて大学の研究機関というのは、財政的には決して魅力がないということになってきているのが実態であります。  また、ここには資料がありませんけれども、例えば卒業した後の給与水準ですね。大蔵省関係をされている金融とか証券という分野は大変一般的に給料が高い。しかし、ある意味では日本の経済を支えている自動車とか電機とか、そういうものは産業としては強いけれども、決して平均給与あるいは技術屋さんの給与はそう高くはない。そのために、技術系で卒業しても金融機関の、いわゆる何といいましょうか調査部などに行ったり、さらには若い人の中で、少し面倒な勉強をしなければいけない理科系なんかもうやめておこう、そういう傾向も大変強くなっているというふうに聞いております。  文部省に来てもらっておりますけれども、文部省はこういう実態をどういうふうに理解をしているか、まずその見解を聞いておきたいと思います。
  246. 泊龍雄

    ○泊説明員 お答えいたします。  大学院、特に博士課程における定員の充足率の状況が低いのではないかというお尋ねであろうかと存じます。  これがどういう背景でこういうことになってきているかということ、なかなか一概に申し上げることは難しい点がございますが、一般的に申し上げますと、最近でも、試みに申し上げますと、昭和六十一年度時点で大学院の工学系の入学定員の充足率を見ますと、当時四二%でございます。そして平成二年度で申し上げますと六五%ということで、少しずつではございますけれども充足率は高まってまいっております。ただ、いずれにいたしましても、まだ工学系で六五%という状況考えますと、これは一つには大学院自体の教育・研究体制、条件整備が民間の研究所等に比べて立ちおくれてきている面があるというような指摘が一点あろうかと思います。  それからまた、今お話のございましたように、そこにおける研究条件あるいは大学院のドクターコースを出た後の処遇の問題といったような点も、その一つの要因ではないかと思われます。また、御案内のとおり、大学院自体も課程制大学院ということで、まだ戦後の歴史も浅いというようなこともございまして、社会のニーズに的確にこたえ得るような教育内容なり指導方法をとっていないという反省すべき点もあろうかと思います。  いずれにいたしましても、こういったもろもろの背景を総合的に考えながら、大学院における教育・研究体制の整備あるいはそこに学ぶ大学院学生の処遇の改善といったようなものに対応してまいりたいというふうに考えておりますが、こういった点につきましては、ただいま私どもの大学審議会におきましても、諸般の角度から検討いただいているところでもございます。これらの審議の動向等も踏まえながら、大学院の果たす役割の重要性ということに配慮いたしまして適切な対応を図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  247. 菅野悦子

    ○菅委員 今の数字は留学生を含んだ数字ですか、含まない数字ですか。
  248. 泊龍雄

    ○泊説明員 留学生も含んだ数字でございます。
  249. 菅野悦子

    ○菅委員 いいですか、さっきお渡しした資料には、わざわざ留学生と日本人枠を分けて書いてあるわけですよ。もちろん日本の大学がたくさんの留学生を受け入れることは、それはそれとして非 常に好ましいことだと私も思います。しかし、日本人のいわゆるドクターコースに進む人の数というのが、ここでいえばこの多くの大学において五〇%を切っている。何か文部省は、そんなことはない、四二から今六五までふえたんだと言わんばかりの答弁をされるけれども、そういうことが実態を見落としているのじゃないですか。結局、留学生は留学生として、もちろん日本に残って研究や開発に携わる人もおられるでしょうけれども、自分の国へ帰って、自分の国の発展のために仕事をされる人も多いと思うわけです。  そういう点で、今そういった日本の大学が非常にドクターコースがないということは、大臣、どういうことかといいますと、助手になる人のベースがなくなるわけです。助手になる人がなくなるということは、もちろん助教授や教授になる人も決してそう多くないということになるわけです。今、日本は湾岸問題などで、これから二十一世紀に向かってどうなっていくのかという議論をやっているわけですけれども、私は率直に言いまして、日本にあるのは、ある意味では勤勉な国民と技術しかないのではないか。決して資源があるわけでも、大きな軍事力があるわけでもない。そういう中にあって、こういった予算の問題だけではないにしても、非常に今や大学の研究室というものが魅力がないものになっている。  先日、東工大の学長をお招きして、何人かの超党派の議員で話を聞く機会があったのですけれども、大体同じような規模のアメリカのMITなどに比べると、予算規模でおよそ四分の一程度だというふうなことも、そういう方からの話で聞いているわけです。今や日本とアメリカは、経済的には決して劣らないという状況にあるわけですけれども、トータルの予算規模でいっても四分の一、ましてこういった研究費あるいは設備費、聞きますと、留学生が入ってきても、もう机を置くスペースが研究室にないなんというのがあちこちで起きているという話も、実際に現場の皆さんから聞いております。  そういった意味で、例えば一つ考え方として、これは政府がやることか民間がやることかちょっとわかりませんけれども、例えばかなりのファンドをつくって、それでドクターコースなどに行かれる人の奨学金を相当の規模で補てんをしていく。そして、そのドクターコースやマスターコースを終わった後に、ある一定年限以上いわゆる製造メーカーとかあるいは大学に残って研究をする、あるいは国の研究所で研究をする、そういう分野で仕事をした人には奨学金を返す必要がないという、ちょうど教員養成のようなそういう考え方一つ考えていいのではないか。これはある意味では、優秀な研究員を育てる上でも、そういった技術系離れ、技術系のメーカーに対する就職離れをある程度改善していく上でも一石二鳥になるのではないか、こんなことも考えておりますけれども、これは大蔵大臣という立場だけではないと思いますが、日本の将来を担われる有力な政治家として、ぜひ大臣のこの点に対する見解を伺っておきたいと思います。
  250. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今改めてこの表を拝見をいたしまして、私自身も少々愕然といたしました。と同時に、委員が御指摘になりました問題について、私なりにちょっと考え方を申し上げてみたいと思います。  私は、日本の国立大学にとって最も不幸な出来事というのは、大学紛争であったと思います。そして、ちょうど国立学校特別会計が法として制定をされましてから、国立大学に対する投資というものは急速度に伸びていた時期があったはずです。ところが、大学紛争以降、国立大学そのものが研究・教育機能を喪失する時期があり、その間の中断が非常に大きなダメージを国立大学の研究体制に与えたと私は考えております。  今、一生懸命になって考えても思い出せないでいるのですが、たしか昭和四十七、八年ごろであったと思いますが、無医大県解消ということで全国に医科大学をつくるという動きが出ましたとき、私はその当時調べた結果として、そんな乱暴な計画はないという論文を出し、大変あちらこちらでおしかりを受けました。しかし、そのころ既に基礎医学の分野においては、例えば公衆衛生学あるいは解剖学、こういった分野には教授、助教授の定数を満たすだけの大学院生は存在しておらなかったのであります。そして、その当時大変おしかりを受けまして、その後どんどん全国に国立の医科大学というものは設置をされていきました。しかし、それは国立医科大学だけではなく、国立の他の学部も同じような傾向があったことは否めません。  そして、今委員が御指摘になる問題について、例えば大学院大学構想とかあるいは重点大学構想とか、さまざまな角度から意見が何回か出されながら、国立大学の中においても必ずしも意見の一致を見ることができないままに、いたずらに時間が経過してきたという思いが私にはいたします。それだけに、実は今たまたま委員は国立大学を御指摘になりましたが、大学院を志望する学生の数が必ずしも十分でないというのは、私学についても同じ問題が存在をいたしておりますし、大学教育というものが非常に普遍的になった反面、より高度の研究に従事しようとする人々の数が減っておるという事実は、私は極めて大きな問題だと思っております。それだけに、私はどういう形であれ、文部当局とし、あるいは国立大学の方々から一致できる青写真を描いていただけるのか、そんな思いは今日も持っております。  平成三年度の予算編成に際しましても、私学の代表の方々の御意見も伺いました。また、東大あるいは東北大学等、部分的にではありますが、国立大学の御意見も一部は拝聴いたしました。そして、大変失礼な言い方でありますけれども、教育・研究機能というものにもっとシフトした概算要求そのものがあっていいのではないかという気持ちは、率直に私は持っております。
  251. 菅野悦子

    ○菅委員 大臣はこの問題にも大変関心をお持ちで、最後の話などはかなり積極的な答弁だと受けとめさせていただきました。この問題は一朝一夕で変わる問題ではありませんけれども、きょうはそういった問題があるということの問題を指摘をさせていただくことにとどめて、時間ですので、質問を終わります。
  252. 平沼赳夫

    平沼委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  253. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  国の補助金等臨時特例等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  254. 平沼赳夫

    平沼委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  255. 平沼赳夫

    平沼委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、田中秀征君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。日笠勝之君。
  256. 日笠勝之

    ○日笠委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提案者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。     国の補助金等臨時特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、左記の諸点について配慮すべきである。  一 本法律に盛り込まれた措置のうち、公共事業等に係る補助率等については、平成五年度末までに、体系化簡素化等観点から、総合的検討を進めること。  二 当該措置について、補助・負担制度の趣旨及び従来の経緯を踏まえ、地方財政運営に支障を生ずることのないよう適切に措置すること。  三 国の補助負担金の整理に当っては、その事業の性格及び国と地方との費用負担の在り方を十分に勘案すること。  四 国と地方との役割分担・費用負担見直し基本として、補助金等整理合理化については、地方の自主性に委ねるべきものについては一般財源への振替等を行うよう努めること。 以上であります。  何とぞ御賛成を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  257. 平沼赳夫

    平沼委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  258. 平沼赳夫

    平沼委員長 起立多数。よって、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。橋本大蔵大臣
  259. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。ありがとうございました。     ─────────────
  260. 平沼赳夫

    平沼委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 平沼赳夫

    平沼委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  262. 平沼赳夫

    平沼委員長 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  先刻の理事会におきまして協議いたしましたとおり、小委員十五名よりなる金融及び証券に関する小委員会を設置することとし、小委員及び小委員長委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  263. 平沼赳夫

    平沼委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。  なお、委員の異動に伴う小委員及び小委員長補欠選任並びに小委員及び小委員長辞任の許可及びそれに伴う補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  264. 平沼赳夫

    平沼委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十五分散会