○佐々木
委員 佐々木でございます。当
委員会では初めての
質問になりますが、よろしくお願い申し上げます。
私は、
北海道の最も寒いと言われる旭川市の生まれ育ちでございまして、子供のとき、少年時代というのは、私
どもの生活あるいは学校でも、暖房というのはもう石炭
一つでございました。石炭とは切っても切れないような生活をしてまいったわけであります。
申し上げるまでもなく、石炭はかっては黒いダイヤなどとも呼ばれたことがあり、戦争中はもちろんのこと、戦後も、我が国における最も重要なエネルギー資源として私
どもの生活あるいは産業に重要な役割を担ってきたわけであります。殊に国内の
炭鉱業というものが戦後の日本の経済復興について大きな位置を占めた、これももう間違いのないところだったろう、こう思われるわけであります。
炭鉱町などについても、旭川そのものにはございませんけれ
ども、戦争中とにかく石炭を多く掘り出さなければならないということで、戦争が激しくなるにつれて労働力が非常に不足する中で、私の亡くなった父親な
ども産業報国隊などを組織いたしまして、
歌志内の
地域に同僚とともにこの石炭を掘るのを手伝いに行った。そのさなかに、私も子供だったのですけれ
ども、慰問に行って炭住の
状況をかいま見たり、あるいはその活気あふれる
炭鉱地域の様子を見聞きしたことな
ども今思い出します。
そして、これはきょう特に
質問は予定しておりませんけれ
ども、実は私、今社会党の中で朝鮮人の方々などの戦時中の強制連行の問題についての
委員会の
事務局長をしておりますが、御案内のように戦前、日本の若い方々の労働力が軍隊の兵力になって、それを補完するものとして朝鮮あるいは中国の方々が物すごい数、強制的に日本に連れてこられて、それでさまざまなところで強制労働に従事せしめられた。その中では特に
炭鉱地域が多かったことは歴然とした事実でございます。
私は弁護士としての立場で今から十七、八年前にその強制連行
調査をやりました。
北海道あるいは
九州のさまざまなところで
炭鉱地域もお訪ねをして、そういう
調査に当たったのですけれ
ども、その中には当時まだ生きている
炭鉱もあり、あるいはもう既に廃鉱になったところもありました。ちょうど
九州のいわゆる軍艦島というのが廃鉱になることが決まって、もう整理の段階でございましたけれ
ども、あそこに参りまして、その規模の大きさに驚きながら、それがなくなったことについても非常に特殊な感慨を覚え、そしてまた、それがいかに惨めなものかということもつぶさに見た記憶がございます。
何にいたしましても、それだけ重要であり、栄えていた
石炭鉱業というものがこれほどまでにみすぼらしい状態になるということは当時だれも予測できなかったことではなかろうかと思います。そしてこうなったことについては、もちろん
昭和三十年代に至ってからのいわゆるエネルギーの流体化革命、これは国際的な潮流になっておりましたから避けられないことではあったかもしれないけれ
ども、しかしエネルギー
政策の転換については国としても重要な責任を負っていたわけでありますから、このような趨勢になったその
地域について、
地域としてどうするかということを
考えるために今問題になっている
法律がつくられ、これが一定の役割を果たしてきたということはいわば当然のことであったろうと思われるわけであります。そして、先ほ
ども事務方からもお話がありましたけれ
ども、この
産炭地域振興臨時措置法が当初の目的のもとでそれなりの成果を上げてきているのだというお話があったこと、これは私
どもとしても否定はしないわけですけれ
ども、しかし十全の
効果を上げてきたかどうかということについてはやはり
問題点が多々あるのではなかろうか。三十年たってまだこの
地域の指定の解除に至らない。今、
見直しの時期に来ているということだけれ
ども、
指定解除になったというのは、言ってみれば
昭和六十二年のいわき
地域ぐらいにとどまっているというあたりにも、それだけまだまだ
問題点が山積しているのだろうということになるわけであります。
そこで、今回のこの
措置法の
改正でさらに十年間の
延長を決められてこれを
活用していくということについては、私
どもとしても賛意を表するところであります。そしてまた、従来と違って今度の
改正点では、先ほ
どもお話がありましたけれ
ども、
地元の自主性を十分尊重する、関係の
地域の
市町村長の
意見も踏まえて、そして知事に
実施計画案をつくらせ、それに基づいて
通産大臣が
実施計画を決定される、こういうような
方向を打ち出されたということについても、私は大変前向きなものと
評価をするわけであります。しかしそうである以上、これは仏さんをつくって魂を入れなければならないわけですので、その点について若干の
質問をさせていただきたいと存じます。
まず、本法の
改正案の主要点であります
産炭地域振興実施計画の作成
手続の変更、これは第四条の一項、三項、四項ということになりますが、これによりますと、道県知事にあらかじめ関係
市町村長の
意見を聞いた上で
実施計画案の作成、提出をさせるというのですから、これを義務づけることになるだろうと思うのですが、これは
地方自治の
観点からも結構ですし、法の趣旨あるいは自主性の尊重、そして十分に
地元の意向に沿ったものにするという点では
評価できるのですけれ
ども、それにしても最終的な決定はやはり
通産大臣がなされることになる。
通産大臣はこれについても十分な、いろいろな御配慮をされるようになっておりまして、
審議会の
意見をこれまた聞いた上で決定をする、こういうことになっているわけですが、ここで言われている知事が作成し提出した原案に基づくということの意味内容ですが、これはどの
程度の意味内容になるのでしょうか。
結局、最終的には
大臣が決定されるわけですけれ
ども、そうなるとこれに拘束されるということではなかろうと思うのですが、ただこれを参考にするぞということなのか。しかし、何といっても、今度の
改正の建前からすると
相当程度に尊重されるものだろうとは思うのです。しかし、つくられ、出された
実施計画案というものがこれまでの
産炭地振興についての諸
施策の上で、あるいは現実にある諸制度との比較において、そこまではまだ制度的に無理だというような具体的な
計画な
ども入り込んでいる場合に、それについての変更の
手続、これはどうされるのか、事前にどういうような調整をされるおつもりか、その点についてひとつお尋ねをさせていただきたいと思います。