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山本参考人 御指名をいただきました
全国鉱業市町村連合会会長の
山本でございます。
まず最初に、平素から
産炭地域の
市町村に対しまして格別な御
支援をいただいておりますことに対しましてお礼を申し上げたいと思います。なおまた、本日は本
委員会で
意見を申し上げさせていただく
機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
私は、
産炭地域の
市町村の
立場から御
意見を申し上げさせていただきたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
そこで、大きく三つに分けて御
意見を申し上げたいと思っておるところでございます。今法案として提案されております
産炭法に対しての中身はいろいろなものがあると思いますけれ
ども、私
どもの
市町村の
立場から申し上げさせていただきますと、三つに大別できるのではないか、こういうふうに思います。
まず最初に、
産炭地域振興のための臨時
措置法の
期限の
延長と
振興施策の継続が必要であるということでございます。
その必要であるという理由なんですけれ
ども、先ほどからも他の
参考人の皆さん方からお話があっておりましたように、三十年間
産炭地域の
振興施策を続けてまいったのですが、その成果はそれなりに上がっていると思います。しかしながら、依然として
人口や
財政力などが極めて低い
水準にとどまっている
地域もたくさんあるということでございます。特にまた、第八次
石炭政策のもとで
炭鉱の
閉山や
合理化が生じた
地域については、その
疲弊が新たに生じまして累積がかなり高くなっておる、こういうことでございますので、このような
市町村に対しましては、一般的な
市町村並みに浮揚するためにどうしてもある
期間この
振興策が必要であると思います。そのある
期間というのは、少なくとも十年間が必要ではないだろうか、こういうふうに思いますので、法律の
延長をぜひ十年間
お願いを申し上げたいということでございます。
次に二番目に、
産炭地域の
指定の
見直しが
審議会でも
審議されまして
答申されました。この
見直しをどうしてもやらざるを得ないということであるならば、
地域の
実情を十分ひとつ
配慮することが必要であると同時に、また、
指定の解除などを行う場合は、その解除に対して十分なる
猶予期間を設けることが必要である、こういうふうに思います。
その理由といたしまして、この三十年間続きました
振興策は、先ほ
ども申し上げましたようにその成果はそれなりに上がっていると思っておりますが、この
見直しにつきましては、国会でこの
産炭法の法律が制定されました後、できるだけ早い
機会に
産炭地域振興審議会で
協議をしまして、これらの
指定の
見直しなどについての
協議が行われることになっておると思うのですけれ
ども、私
どもの
立場から申し上げるならば、できるだけ
現行の
指定のままで継続をしていただきたい、こう思っておるところでございます。どうしても
現行の
指定のままではその成果を見ることがないということであるとするならば、
見直しあるいは解除などについてはやむを得ない場合もあると思いますけれ
ども、その場合、
地域の
実態を十分ひとつ御認識をしていただいて、考慮した上で解除あるいは
指定の
見直しをすることが必要である、こういうことでございます。
なぜそういうふうに申し上げるかといいますと、同じ県の中で圏域が複数ございます。その複数ある圏域で余り
地域間格差がないのにもかかわらず、Aなる圏域は解除されるけれ
ども、Bなる圏域は解除されないまま、そのまま
指定が継続される、こういうような誤りの生ずるようなこともないとはいえない
実態下にあると思われるからでございます。その点、十分ひとつ御考慮いただければと思っておるところでございます。また、解除する場合に、もういいだろうといって解除されるわけなんですけれ
ども、解除されるのにはそれぞれの基準値がございますから、その基準値によって解除することになるということはもう言うまでもないのですけれ
ども、その基準値がすれすれの
市町村や圏域もあると思うのです。そういう場合には
猶予期間というものについて十分
配慮をしていただくことが必要ではないか、こういうふうに思っておるところでございますので、それぞれ十分御
配慮を
お願い申し上げたいということでございます。
三番目は、
産炭地域振興施策の
充実強化でございますが、
振興施策が何といっても目玉になっていくわけでございます。限られた
産炭法の
延長期間の中で
振興の目的を達成させなければなりませんし、またしなければならないと思います。そのためには、国と我々
市町村とが一体となって、できる限りの
努力を払うことが必要であると思います。すなわち、私
どもの
立場から申し上げるならば、自助
努力を最大限に発揮することが必要だということでございますと同時に、国の方もその
施策については
充実強化をしていただくように
お願いを申し上げたいということでございます。
二番目に、そういう意味から、今度の
改正の案といたしましては、
道県知事が
市町村の
意見を聞いて
実施計画を
作成することになっておると思います。これは、国の
施策の
充実強化と自助
努力というものをうまくドッキング、合致させて実効を上げていこうという大きな意味を持っておるということでございますので、私
どもとしては、その点については十分な認識と理解をしているところでございます。したがって、先ほどからもお話が出ておりましたけれ
ども、この
産炭地域というのは
基盤整備が非常におくれております。これが解決をしない限り
産炭地域の
振興はある意味では不可能ではないか、こういうふうに思いますので、
計画をつくりますが、その
計画が
計画だけに終わらないように最善の
努力をすることが大変必要であると同時に、国の方においてもそれに十分な
配慮をしていただくことが必要ではないか、そういうふうに思っているところでございますので、
計画を立てられたものは必ず国の方で採択をしていただき、できるだけ
実効性を高めていただくということに国の方の
配慮を
お願い申し上げたいということでございます。
次に、問題は、
市町村の
意見を聞いてこの
実施計画をつくることになると思いますけれ
ども、ところが、
実施をする
産炭地域の
市町村というのは
財政力が極めて脆弱でございます。したがって、
産炭法の中には
財政的な援助をするもろもろの
措置が盛られておりますけれ
ども、それは
事業を
実施してから後、その援助をする、
支援をするようになっております。ところが、その
事業を
実施するためには、
市町村に義務負担の財源が必要でございます。
市町村の
財政が脆弱でございますから、
事業を
実施したいけれ
ども実施をするための義務負担にたえ得ない
財政状況もあると思います。これらについて、交付税等の特別なる
制度の拡充を
お願い申し上げたい、こういうことでございます。
すなわち、今、交付税の中に
産炭地補正というものを設けていただきまして交付税の別途の
措置をしていただいておりますが、これが
平成三
年度でなくなってしまうことになっております。そうしますと、先ほど申しました
財政力の脆弱な
市町村はその
事業を
実施するだけの義務的負担の財源を失ってしまうことになると思いますので、十分な御
配慮をいただけるよう
お願い申し上げたいということでございます。もちろん、
市町村のそれぞれが自主的な最大の
努力をしなければならないことは言うまでもございません。
さて、その次は、旧
産炭地におきましては今、
石炭後遺症と言われているものをたくさん抱えております。
まず最初に、
炭鉱の住宅の不良住宅でございますが、全部で一万八千二百ほど今ございまして、その中でどうしても改良を必要とする住宅が一万千七百八十五あると言われております。また、
炭鉱の遊休未利用土地もたくさんございます。これらが
市町村に容易に入手ができるということになると
市町村の
振興計画もまた変わってくると思うのですけれ
ども、現在の
時点では意に任せないところが多うございます。その次は、
鉱害でございますが、
鉱害のない
産炭地もございますけれ
ども、まだ膨大な
鉱害量が残存しておる
状況でございます。そのほかに、ボタ山が二百五十三カ所もあると推定されておりますが、これらの処理もまた必要でございます。
これらが、
石炭後遺症と今呼ばれておりますけれ
ども、これらをたくさん抱えておるところと、さらにその上に、失対
事業の就労者の皆さんたちが、直接のものが六千人くらいおられるということでございます。これらのもろもろの問題を抱えて悩んでおるのが
産炭地域の
市町村ではないかと思いますので、これらの後始末ともいうべきものが十分に解決されることによって
地域の
振興というのはさらに増進していくのではないだろうかというふうに思っております。この問題の解決が極めて重要であるということでございますので、これらの
対策についても十分な御
配慮を
お願い申し上げたいと思います。
終わりになりますが、五番目でございますが、今後の
産炭地域の
振興対策の
推進のためには十分なる、しかも安定的な財源が必要でございます。この財源の
確保のため、格別な御
配慮を
お願い申し上げたいということでございます。
要点だけを申し上げさせていただきましたが、どうぞ御
審議の御
参考にしていただければ幸甚でございます。
以上でございます。(
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