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中村参考人 主婦連合会の
中村でございます。
大店法改正法関連五
法案について
意見を申し上げたいと思います。
最初に、
大店法が
法律どおりの適正な
運用に戻ることによって、実態として
規制緩和に向けて
改正されるという基本的な点については賛成でございます。このことによって、小売市場において公正で自由な競争が行われ、ますます多種
多様化していく
消費者の
ニーズにこたえてその
利益が守られることを期待しております。
これまでの
大店法をめぐる問題の焦点は、現在の我が国には二つの
大店法があるということだと思います。
一つは、
法律としての
大店法でございます。そしてもう
一つは、事前説明、地元
商業者との利害
調整、
商業活動
調整協議会の
審議など、これには、事前
商調協、正式
商調協、事々前というのもあるところがございますが、行政庁の指導による
大店法の
運用という
大店法でございました。この
商調協が
法律に根拠がないものでありながら、
出店調整について決定的な判断をするという現在の
運用は極めておかしいと考えます。合理性、客観性を欠いたものであり、ある時点の
地域
の利害
関係の
調整ということになると考えております。
私ども
主婦連合会は、
大店法に明記してある規定のみで手続を行い、それ以外の
法律にない
運用部分をすべて廃止せよと主張してまいりました。
法律に基づかない
大店法の
運用の部分を修正することによって、今提起されております問題の多くは解決することになると思います。
ここにございます
商工委員会調査室でおつくりになった資料の三ページに、その前段は
法律改正のことが書いてございますけれども、「備考」というところに、「
法律改正事項ではないが、
出店調整処理手続の
迅速性、明確性、
透明性を
確保するため、①
商調協を廃止する、②
出店調整処理期間を一年以内とする、」などなどが書かれておりますが、こういうものがきちっと実行され、法の
運用を適正化することが一番緊要なことではないかと考えております。
そして、その場合、法の
運用をきちっとするということでは判断基準をきちっとしなければならないと思います。相対で
話し合いで
調整がされるということではなく、
大店法は届け出た大
規模店舗の
事業活動がその周辺における
中小小売業の
事業活動に相当程度の影響を及ぼすおそれがあると認めるときに
調整が行われるとしております。現在、五十九年三月決定の
審査要領の
見直し、検討が行われていると伺っておりますが、この際、今日的な状況、今の
流通業界、そして
地域的な問題、交通問題、いろいろな状況が大きく
変化しておりますときに、
地域の小売市場において公正で自由な競争秩序を維持することを
目的とした判断基準をきちっとつくることが大事だと思います。
そして、それを厳格に適用することが手続の明確化、透明化につながるというふうに考えております。そしてまた、その判断基準を公表することによって、
出店者はそれを予測して、その範囲内の申請ができるのではないかと考えます。そして、通産大臣や都道府県知事の責任で行う勧告等の措置を中心に据えて、それに対して
大店審による公正な
審議とその答申を組み合わせる仕組みを確立することが大事だと考えております。
そういう
意味では、
大店審、そしてこれからは
地方府県
大店審もできてくると思いますが、その人員増を図り、
委員構成は
消費者代表を含めて広い視野に立ち公正な
審議を行える人を選ぶ。
大店審の
審議について、
審議内容の公開等、一層の
透明性の向上に努める。
大店審が直接地元
関係者から
意見聴取する場合は、
消費者、住民からの
意見聴取を十分に行うこと、この場合、
消費者団体、
消費者の
選定が行政の恣意的な
運用とならぬよう
配慮してほしい。また、公示というのが一番最初にございますが、これは広く一般住民に周知するという
意味で、例えば区報とか市報とか町内の掲示板とか、一般住民がわかるような形で広くそういうことが行われるのだということを公示して、そして一般住民の
意見を希望者は発言できる
意見反映の場の
確保をするということが大切だと思います。
それからもう
一つは、
商調協の復活を許さないということが大切だと思います。法的裏づけがないにもかかわらず、行政指導により
出店調整の事実上のかなめとなって長年運営してまいりました
商調協が廃止されるということになったわけですが、
地方の商工行政が手不足である、実態としては非常に大変だというようなことを理由にしたりその他のことで実質的に
大店審の
審議を代行するような事態が予測されております。法的性格がないままに従来と同じ弊害を生じないよう厳重に
運用を改めてほしいと思います。
次に、
特定商業集積の
整備の
促進に関する特別措置法について申し上げたいと思います。
大店法改正の場合に、
街づくりに
配慮した措置をという希望は、私どもの会員からも一般の主婦たちからもたくさん出されております。多くは交通の問題、駐輪場の問題、駐車場の問題、
環境の問題、そして
自然環境の緑を残すという問題、それからごみ、廃棄物問題などいろいろなことがたくさん出ておりました。しかし、
経済立法である
大店法にそこまで入れるということは疑問があるということで、
都市計画などのかかわりの中で取り入れるということを私どもは希望しておりました。
都市計画は、その
地域における土地利用についての計画を中心にして、
地域住民の
生活の場としての
都市のあり方とその具体化の仕組みについて
地域住民の意思を中心として組み上げることが必要であると考えております。この
法案のうたう
商店街の
整備や
中小店と
大型店の共存共栄による
中小小売商業の
振興を考えたハイアメニティーマートを核とした
街づくり構想は、
消費者の
ニーズの
多様化、
高度化、ライフスタイルの
変化に対応する
商業集積をつくり上げていくために、通産、
建設、自治の三省が連携して
施策を進めるとしてあります。公共施設の
一体的
整備もあり、補助金、出資、融資、債務保証、税制措置など各種の
支援措置がそろっておりますが、この構想どおり
消費者にとって快適で魅力的な計画的
街づくりに本当に寄与するのか、いささか不安を持っております。
この
法案で
市町村が基本構想を作成することになっておりますが、その場合、「商工
会議所又は商工会の
意見を聴かなければならない。」とあります。しかし、住民についてはその項がありません。
街づくり構想は住民の参画なしには成り立たないということを考えております。計画の構想段階から実施段階まで住民意向の反映の仕組みをぜひ組み入れてほしいと思います。そのためには計画の早期公表も必要ですし、ガラス張りの実施を行うことも大切だと思います。
最近もいろいろな公園づくりが進められております。ところが、母親たちにとって、今までの雑木林があり、そして小さな山があり、お砂場があるような自然に囲まれた公園の方がよかった、いたずらにきれいになって、造園業者がもうかるような、木を全部切ってしまって立派な木が植わる、そしていろいろな階段ができて、いろいろな遊具が据えられる、そういうものを果たして望んでいるのだろうかという声がよく出ます。私たちの声を聞いてくれたら本当に子供が喜ぶ公園をつくるのだがという声がたくさん出ております。
そういう
意味で、
商店街というのは、
商業者の方たちだけがこうすれば
消費者が喜ぶだろう、来るだろうということでこういう集積を多額の税金を使ってつくるのではなくて、住民が何を希望しているか、今多様な要求がございますから、いろいろな形の住民の意向を吸収してつくらなければ、一時的な繁栄はあっても、長期的に見てその
商店街を本当にみんなが愛し、そしてそこへ出かけていって、そこでいろいろの
買い物をするものになるかどうかということは、大変疑問であると思います。
そういう
意味で、非常に大切な
街づくりを含めたこの
法案に対して十分な御
審議をしていただいて、そして、これの予算が生きて私ども国民に返ってくるような、本当に実効あるものになるような御討議を
お願いしたいと思います。
ありがとうございました。(
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