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1991-02-20 第120回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年二月二十日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 奥田 幹生君    理事 甘利  明君 理事 高村 正彦君    理事 佐藤謙一郎君 理事 額賀福志郎君    理事 竹村 幸雄君 理事 和田 貞夫君    理事 森本 晃司君       浦野 烋興君    尾身 幸次君       加藤 卓二君    木村 義雄君       小坂 憲次君    古賀 正浩君       斉藤斗志二君    田中 秀征君       田辺 広雄君    田原  隆君       谷川 和穗君    虎島 和夫君       中谷  元君    鳩山 邦夫君       深谷 隆司君    簗瀬  進君       山本  拓君    小澤 克介君       大畠 章宏君    小岩井 清君       渋谷  修君    須永  徹君       鈴木  久君    長谷百合子君       水田  稔君    安田  範君       吉田 和子君    東  祥三君       二見 伸明君    小沢 和秋君       川端 達夫君    江田 五月君  出席国務大臣         通商産業大臣  中尾 栄一君  出席政府委員         環境庁企画調整         局地球環境部長 加藤 三郎君         環境庁大気保全         局長      古市 圭治君         通商産業大臣官         房長      熊野 英昭君         通商産業大臣官         房総務審議官  高島  章君         通商産業大臣官         房審議官    横田 捷宏君         通商産業省立地         公害局長    岡松壯三郎君         通商産業省基礎         産業局長    内藤 正久君         資源エネルギー         庁長官     緒方謙二郎君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       向 準一郎君         特許庁総務部長 辛嶋 修郎君  委員外出席者         外務省経済協力         局調査計画課長 小島 誠二君         外務省国際連合         局経済課長   藤本  進君         気象庁観測部高         層課長     櫻岡  勉君         商工委員会調査         室長      松尾 恒生君     ───────────── 委員の異動 二月十九日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   中野 寛成君     川端 達夫君 同月二十日  辞任         補欠選任   加藤 卓二君     虎島 和夫君   佐藤 信二君     小坂 憲次君   渡辺 秀央君     簗瀬  進君   大畠 章宏君     長谷百合子君   加藤 繁秋君     須永  徹君   渡部 一郎君     東  祥三君 同日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     佐藤 信二君   虎島 和夫君     加藤 卓二君   簗瀬  進君     渡辺 秀央君   須永  徹君     加藤 繁秋君   長谷百合子君     大畠 章宏君   東  祥三君     渡部 一郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一八号)      ────◇─────
  2. 奥田幹生

    奥田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。簗瀬進君。
  3. 簗瀬進

    簗瀬委員 簗瀬進でございます。大変重要な法案について質問をする機会を与えられまして、非常に先輩、同僚に対して感謝を申し上げたいと思います。  さて、通産大臣中尾先生におかれましては、かつて芦田首相に大変熱血的な手紙を送って、それが政界入りのきっかけになったということでございます。今日の通産問題にいたしましても、あるいは地球環境の問題にいたしても、これはある意味では大いなるロマンというかあるいは感激というようなものを持って取り組まなければならない大変重要な問題でございますので、まずいわゆる通産行政地球環境の問題の整合性といいますか、その辺について大臣哲学について私は迫ってみたいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  最近、地球環境問題が大変世間注目を集めております。なぜそういうふうな傾向にあるのだろうということを分析をすると、例えば口の悪い人は、米ソ冷戦構造が終了した、それで先進国国際政治の中でおもちゃになるようなものがないから、特に地球環境問題をこれだけ熱心に取り上げているのだ、そんな評価をする方もいらっしゃるようであります。しかし、私はこういう見方は大いに間違っていると思います。むしろなぜ今地球環境問題がこれほど世界注目を集めているのか、まさに現在は文明史的な転換点に我々は立たされているのではないか、このように認識をしていかなければだめだ、私はこのように考えております。  ニュートンという物理学者がおりました。非常に機械的な世界観というようなものを彼は打ち立てたわけであります。どういうことかといいますと、生産は是である、発展はプラスである、能率がいいことは本当にいいことだ、こういうふうな前提の中で我々は産業あるいは経済というようなものの振興に邁進してまいったわけであります。しかし、どうもこのような思想を貫いていくことが不可能になりつつあるのではないかということを我々は感じつつあるわけであります。そこで、私は今大変影響を受けておりますエントロピーという考え方を皆さんに御紹介をすると同時に、大臣考え方を聞いてみたいと思います。  これは、ジェレミー・リフキンという人が書きまして、竹内さんという東大の名誉教授が訳しておる「エントロピー法則」という本でありますけれども大変示唆に富む本であります。この中でいろいろなことが言われておりますけれども、若干御紹介をさせていただきますと、まず、熱力 学の第一法則と第二法則というようなものが冒頭に出てまいりまして、エネルギー保存法則というのが一番大切だ、まずこうくるわけです。これはどういうことかというと、宇宙における物質エネルギーの総和は一定である、決してふえることはないということなのですね。でありますから、浪費をしたり変化をしたりすると、もうもとには戻らなくなってしまう、これがエネルギー保存法則の、我々産業に対して示している指針であるわけであります。  そして、この第二法則として、そこでエントロピーというのが出てまいるわけでありますけれどもエントロピーというのは難しい言葉でありますが、簡単に言えば、使い切ってしまって形を変えてしまったエネルギー、これがエントロピーという考え方なんですね。これはどういうことかといいますと、物質エネルギーというのは一つ方向のみに変化していくのだ。すなわち、使用可能なものから使用不可能なものへどんどん移っていく。そして、エネルギーを一たん浪費してしまった後、どんなに科学力を使ってもこれをもうもとに戻すことはできない、これがエントロピー法則の我々に意味している内容であるわけであります。  こういうことから考えてみますと、今まで我々は永遠に物質的な成長が可能だと思って産業振興に邁進してまいったわけでありますけれども、このような世界観は、これからはかなり変更やむなしという状況になるのではないか。例えば最近はリサイクルという問題が出てまいりますけれども、これも単なるリサイクルという、物をもとに戻すのだという次元での考え方ではなくて、有限な資源を保存するという、これはエントロピー法則から出てくる、我々が長く生きていくために当然やらなければならない、このような考え方に結びつくわけであります。  こういう中で大変私の好きな言葉がございまして、ガンジーというインドの大政治家がおるわけであります。この方がこんなことを言っております。文明本質というのは欲望拡大にあるのではないのだ、むしろ文明とは欲望を意図的に、かつ自分から捨て去ることにあるのだ。大変示唆に富む言葉であります。  まさに今オゾン保護フロンに対する規制という問題をこれから我々は検討していこうというわけでありますけれども、我々の科学力を大変駆使してつくったすばらしい物質であったはずのフロンが、有害な紫外線地上に、我々に振りかぶせる、そういう形で皮膚がん等の、生命、健康に対して非常な危険を我々にもたらすような、言うならば科学文明発展した結果、我々が自分自分の首を絞めている、こういう状況がこの法律の背後にあるわけであります。でありますから、私はそういう意味では、これからの産業施策というようなものは、このようなエントロピーというかやはり常にリサイクルを考えながら、そして地球環境は有限なんだ、使い切ったら絶対にどんな科学力を駆使してももとに戻らないのだ、このような発想が根底になければ、これからの二十一世紀の本当の意味での豊かな、幸せに満ちた生活はあり得ないのではないか、このように考えております。  この辺について、商工行政と大変密着した部分でありますので、通産大臣哲学を聞かせていただきたい、このように思います。
  4. 中尾栄一

    中尾国務大臣 簗瀬委員にお答えさせていただきたいと思います。  簗瀬委員は、本当に若いころから、そういう意味においては芸術的な道にも大変に造詣の深いということも承っておりました。それからまた同時に、環境問題につきましても大変な一家言をお持ちで、それを貫いておられる方とも承っておりました。それがまた、そういうお考え方思想哲学というものが、ある意味におけるガンジー哲学、すなわち、文明本質欲望を捨て去ることである――私もガンジー無抵抗主義というものには大変心深く打たれまして、青春時代に何回となく本も読み返したものでございます。そういう意味におきましては、今や相克時代対決時代あるいは世界観の相違はあるとしても、なるべくお互いに自分自己主張あるいはまた国家権力国家対立というものをエスカレートさせていくことによって、国益だけを大きく増長させることによって相手国に対し武力行使するというようなことは厳に戒めなければならぬ。現下もそのような状況にございますけれども、それだけに私どもはそれを心として次の、いわゆる何千年か続いた世界歴史観の中でその相克が絶えなかった、そういうことを踏まえましても、次の私ども対立あるいはまたある意味におけるチャレンジすべきは、大きな意味における環境問題である、大きな意味における人類そのもののレーゾンデートルの対決の問題である、こう考えなければならぬ、私は常日ごろそのように思っております。それだけに、委員のような造詣の深いそういう考え方をますます御延長なさって、もう私どもの年代はあと十五年、二十年という中にはこの世の中を去らなければならぬような時代になるでしょう、しかし委員はまだお若いのでございますから、ますますもってひとつそういうものに向かって鋭意努力を進めていただいて、次の大きな我々のチャレンジと課題はそこにあるんだというような哲学を十分に律していただければありがたいことだなと思っておる次第でございます。  さて、そういう中にあって、本問題の取り組みに当たりましては、世界規模における経済の安定的な発展、それからまた環境保全両立というものを確立していかなければなるまいな、このように考えるわけでございます。そのためには技術による現状打破というものが不可欠であると私は考える次第でございます。こうした考え方に立ちまして、現在通産省といたしましては、地球温暖化そのものを初めとする地球環境問題につきましては、まず第一点としましては国内的には昨年十月に決定いたしました地球温暖化防止行動計画に基づく二酸化炭素の排出抑制目標を達成するというそのために、省エネルギー、非化石エネルギーの導入を進める、このような総合的なエネルギー政策を実施していかなければなるまいと決意をしているわけでございます。また、産官学と申しましょうか、産学官でございますが、その協調もとに設立されました財団法人地球環境産業技術研究機構というものを中核といたしまして、地球環境保全に関する革新的な技術開発に取り組んでいるところでございます。この問題点に限っては、すなわち政党的な対決なんていうものはまあ小さなものでございまして、もう与党も野党もない、そういう意味においては本当に一律に我々の心をもってこの問題を律していかなければならぬ。これは私の思想体系でありコンセプトであると考えていただきたいと思う次第でございます。  国際的には、世界各国協調して温室効果ガス排出抑制であるとかあるいは削減を行うための行動をとることを地球再生計画として提唱しておりまして、この計画実現に向かって全力を挙げて努力をしていきたい、このように考えておる次第でございます。今後ともこれらの施策を通じまして経済の安定的な発展ということと環境保全という両立を図りながら地球環境問題の解決に向けまして積極果敢に役割を果たしていく所存であることをまず、フィロソフィーになるかは別といたしまして、私の考え方の一端を述べさせていただきました。ありがとうございました。
  5. 簗瀬進

    簗瀬委員 大変造詣の深いお話をいただきまして感激をいたしております。また、若い私に対しての激励の言葉までいただきまして本当にありがとうございました。  先ほど、エントロピー法則というようなものを言いましたけれども、あの中で大変おもしろいことが言われておりまして、人間エネルギー環境蓄積基盤としたものから流れ基盤としたものに移行しつつあることを知るべきである、このような指摘があるのですね。蓄積基盤としたエネルギーって一体何なんだろうということでありますと、蓄積は英語で言うと、もう中尾大臣、御堪能でございますからストックということになるわけでありますが、流れとは何かといいますとフ ローでございます。現実にエネルギー次元でどんなものが該当するかといいますと、ストックに当たるエネルギーというのは化石燃料である。流れとは何かといえば、太陽光線あるいは再生可能な資源、このように考えられているようであります。でありますから、先ほど総合的なエネルギー対策を講じていかなければならないと大臣おっしゃいましたけれども、まさにそれはこのエントロピー法則から出てくるエネルギー考え方にぴったりと一致している考え方であるということを指摘させていただきまして、時間がありませんのでオゾン層保護法の各論的な質問に移っていきたいと思います。  この保護法環境庁通産省との共管の法律になっております。すなわち、基本的事項は両省庁共同で告示する一方で、生産規制通産省が行う、それから排出抑制環境監視環境庁が行うというように、省庁間で権限が分かれております。どこでも言われている問題でありますけれども環境行政縦割り行政の谷間で呻吟をしているというふうなことが言われるわけでありますけれども、そんなことではなくて、先ほどの大臣の積極的な姿勢からいきますと、一体となって取り組んでいこう、そういう意欲が大変伝わってまいるわけでありますが、今後とも国際的な協調を図らなければならないし、環境庁とか通産省とか関係省庁地球環境保全という立場から軌を一にして施策の前進を図るべきだと思うわけでございます。  昨年実は自民党の中で、環境開発に関する国連会議というものがございまして事務局長のモーリス・ストロングさんという方をお呼びいたしました。そのストロングさんのお話の中で、大変今回の湾岸戦争の問題にも絡むお話をなさっておりまして、いずれ日本は軍事的な世界平和についての貢献というと憲法上のいろいろな制約がありますよ、むしろ日本貢献をすべき最も大切な分野は、また最も有効な分野環境分野ではないかということを言っているわけでありまして、これはそういうことではまさに世界日本政治の戦略的な部分環境にあるのではないかな、こういう認識を持つべきではないかと考えております。この点について、各省一致して地球環境のために頑張っていかなければならないという観点から、通産大臣の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
  6. 中尾栄一

    中尾国務大臣 これももう委員指摘のとおりでございまして、本法の施行に当たりましては何といいましても関係省庁が協力して着実にこれに取り組んでいなかければならないという感じがいたします。なかんずく、私はいつもそう思うのでございますが、これはどこどこ省の主管であるとか、これはあちらの方の主管であって我々の関与するところではないとか、いろいろこう言われておりますると一体になってやるべきブレークスルーがなかなかできないわけでございまして、そういう点では一つの大きな大事に至っては、これは先ほど私も多少大局的に述べましたけれども、もう一点集中主義的に全員でもって諮っていく、能知を絞る、こういう観点においてこそこの現状打破ができるわけでございまして、それだけに委員指摘のような形における我々自体の一体化というものも、そのスケジュール、マニュアルに従いましてもみんなで協調していくことが必要だという認識の上に立って考えていきたいものだ、こう思っております。私どももその点においては、イニシアチブをとるというと大げさな言い方でございますが、ある一点欠けるようなことがございましたらば我々の中からも一生懸命で取り組んでいくことにイニシアチブをとっていきたいということにおいては変わりはございません。よろしくどうぞ。
  7. 簗瀬進

    簗瀬委員 ありがとうございました。  次に、環境庁質問をしたいと思うのですが、このオゾン層の問題とフロンの問題ということに関してどうもまだ国民の成熟した共通認識が生まれてないのではないかということを私は心配をいたしております。すなわち、フロンがどのような形でオゾン層を破壊していくのか、またオゾン層を破壊されることによって有害な、例えば紫外線地上に降り注ぐ結果、人体にどのような健康上の影響をもたらすのか、こういう科学的なメカニズムというものについてまだ国民の間に十分な認識が生まれてないのではないかな、このような感じがするわけであります。  そこでお尋ねしたいのは、まず科学的な因果関係が本当にもう立証されているのでしょうか。その次に、もう一つ踏み込んだ問題として、そのような因果関係が立証されているのだったら、もっと明瞭に国民にこの問題をアピールする必要があるのではないか、このように考えるわけであります。そこで、環境庁に今の点について、二点御質問をさせていただきます。
  8. 古市圭治

    古市政府委員 第一点につきましては、先生承知のとおりかと思いますが、今回のモントリオール議定書の第二回締約国会議において、従来の規制では不十分であるということで規制強化が図られたわけでございますが、この根拠となりましたのが、これまで世界じゅうの科学者によるオゾン・トレンド・パネルというところで検討された結果が従来よりもフロンオゾン層の破壊をしているスピード、範囲が非常に大きいということについて世界学者の見解が一致したということに基づいたわけでございます。そういうことで、その反応につきましては、もう既に言われておりますように、フロンによりまして成層圏のオゾン層が破壊され、その結果オゾン層によって吸収され地上に至らない短波長紫外線領域が、量がふえる。それで人間の健康、植物の成長、またさらにはプランクトン等への悪い影響というものが恐れられているわけでございます。これが既に各地の観測結果や南極のオゾンホール拡大というものを通じて、これはもう周知の事実となったということでございます。  これの国民への知識の普及ということでございますが、各般の努力をいたしております。私どもはこのほかにオゾン層保護の週間、月間を設けたり、また各自治体を集めた研修会をやったり、いろいろな資料を流してその啓発に努力をしているということでございますが、今後ともさらにその努力を続けていきたいと思っております。
  9. 簗瀬進

    簗瀬委員 次に、生産観点から、通産省にお伺いをさせていただきたいと思います。  現在、例えば特定フロンに限ってどのような用途がなされているかといいますと、ハイテク関係洗浄剤が四七%、これはもしかしたら八六年ぐらい、ちょっと古い数字かもしれませんが、プラスチックの発泡剤が二四%、エアコン等あるいは電気冷蔵庫等冷媒、冷たくするものですね、これについて一八%、それから家庭用のスプレー、これについては九%、このような用途になっておるようであります。  特に私はハイテク洗浄剤、この辺について聞いてみたいと思うのですが、御承知のようにICはもう既に日本基幹産業になっているわけであります。産業の米というふうに言われているわけであります。そして、そのICを組み立てる非常に精度の高い作業をしながら日本エレクトロニクス産業というものはでき上がっていく。その精度の高さを担保するためには、フロンによって微細なごみでも洗い流してしまう、このような作業がぜひとも必要になってくるわけでありますし、言うならばフロンがきちんとごみを洗い流してくれていたから、エレクトロニクス産業日本世界に冠たる地位を築いた、このように考えることもできるわけであります。  こういう状況の中で今回の規制強化がなされるわけでありますけれども、これがIC産業に与える影響あるいはIC産業というよりもむしろエレクトロニクス産業になるわけでありますが、そういう観点からこの影響評価というものをどのようになさっているのか、御質問させていただきます。
  10. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 今先生指摘のとおり、フロン、三万三千のユーザーに各分野で使われておりますけれども、御指摘のとおりのエアゾール、発泡剤あるいは冷媒という分野についてはいろいろの代替等技術が進んでおります。  御指摘電子産業に使われます洗剤、洗浄用というところが非常にクリティカルな点があることは御指摘のとおりでございます。それで、現在使われておりますのはフロン113という非常に洗浄性の強い、無害のものが使われておりますけれども、その代替として今考えておりますのはフロン225という代替物がございます。ただ、これはまだ実用化に至りませんので、今後の毒性検査等が必要でございます。したがって、その間にどういうことをやるかということで、電子業界挙げて代替策を検討いたしておりまして、基本的にはフロンをできるだけ使わない技術、全廃の技術方向へ、九六年を目指して努力をしようということになっております。  その中身といたしましては、ちょっと技術的になって恐縮でございますけれども、松やにの樹脂でつくったフラックスというものを使っておりますけれども、それが要するに電子工業溶接部門の、さびを防ぐという効果で、それを洗い流すのにフロンが使われておるということでございますので、洗浄しなくて済む新たなフラックス開発するとか、水で流せるフラックスをつくるとか、あるいはそもそも洗浄を要しない技術工程を導入するとか、溶接の条件をいろいろ、空気中ではなくて窒素のようなところでやるとか、要するに代替品及び代替技術が今非常に検討をされております。したがいまして、九〇年代後半にはそれが実現をし、大企業実現をしたものが中小企業にも均てんされていくということで、電子産業の健全な発展両立していくように今関係者全員力を合わせて努力をしておるところでございます。
  11. 簗瀬進

    簗瀬委員 今いわゆる代替物質のお話が出たわけでありますけれども、これは環境庁にちょっとお尋ねをいたしますが、かわれば何でもいいというわけではもちろんないわけでございまして、このような代替物質の環境保全上の安全確認をどのように行っていこうとしているのか、この点について環境庁はどのような役割を果たそうとしているのか、簡単で結構ですから御答弁をお願いいたします。
  12. 古市圭治

    古市政府委員 先生指摘のとおり、代替物質といえどもオゾンの破壊能力というのは少しございます。また、地球の温暖化のこともございますし、健康への影響が一番問題でございます。そういうことで、急性毒性、漫性毒性、さらには発がん性、変異原性、こういう点から国際的な安全性の確認試験というのを現在行っております。また、これらの物質環境に及ぼす環境影響につきましても、同じように国際的な共同研究が行われております。  我が国は、これとはまた別に地球環境研究総合推進費に基づきまして各般の影響を検討しておりますが、この中にフロン代替物質の環境影響評価についてもその対象として、現在安全性の評価についてもチェックをしていきたい、このように思っております。
  13. 簗瀬進

    簗瀬委員 これは外務省の関係になるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、これから環境問題というのは日本世界にその存在をアピールしていく大変重要な問題になってくるわけであります。そういうことで、まず一番経済力が得意な我が国としては、この環境関係の基金に対して積極的に拠出をする姿勢というものは今後ますます強くしていかなければならない、このように考えております。  そこで外務省にお尋ねをいたしますけれども、基金に対して我が国は今後どのように対応するつもりか、基金への拠出以外にも我が国として各種の機会を通じて国際協力を求めていくべきだと考えておりますが、この辺についてどんなお考えでいられるのか、お尋ねをさせていただきます。
  14. 藤本進

    ○藤本説明員 お答えいたします。  地球環境問題につきましては、先進国のみならず地球的な取り組みが必要でございます。そのためには後進国も含めましてできるだけたくさんの国が参加できるような地球的なフレームワークをつくる必要があると考えております。  ただ、途上国におきましては資金力とか技術力がないものでございますから、途上国が安心して、経済発展を阻害させないような形で十分な環境保護措置がとれるような、それを支援するような措置が必要かと考えておりまして、このオゾンの関連につきましても、平成二年六月にロンドンで開催されました議定書の二回締約国会議におきまして途上国のための基金の設立が提案されたわけでございますが、我が国もこれに積極的な賛意を表明したわけでございます。この基金に対しまして我が国からも応分の負担をするべく現在予算に計上させていただいておるわけでございます。同時に、この基金におきましては、先進国と途上国おのおの七カ国によりまして執行委員会というものを構成してございます。そこで基金の適切な運用を図るということになっているわけでございますが、我が国もこのメンバーの国といたしまして積極的にこの運営に貢献を行っているわけでございます。  このオゾンの基金に加えまして、私どもとしましては二国間、多国間さまざまなチャネルを通じまして途上国に対する協力を行っているわけでございまして、例えば一九八九年度より三年間で環境分野に対する二国間、多国間援助を三千億円をめどとして拡充する、それから特に技術移転を促すためにUNEPの地球環境保全技術センターを我が国に誘致するというようなことで国際的に貢献を図っておるわけでございます。今後とも全力を挙げてこの面におきまして外交的な展開をしてまいりたいと思っております。
  15. 簗瀬進

    簗瀬委員 時間も残り少なくなってまいりましたので最後に一点、これは通産省にお尋ねをするわけでありますけれども、今回の規制強化をやってまいりますと現行規制との比較の中でかえって逆転現象になる部分が出てくるという指摘をさしていただきたいと思います。特に、一九九三年の七月一日から一九九四年の十二月三十一日までの期間については現行規制でいきますと八〇%に規制される。ところが、今回の新しいモントリオール議定書第二回の方の締約の内容によりますと、この期間はかえって一〇〇%でそのままに置かれる、こういうふうなぐあいになってくるわけでございます。今回全体的に規制強化ということでこのような逆転の部分が出てしまうのですけれども、この辺を運用で何とかすべきではないかな、そういう積極的な姿勢を示すべきではないか、我が国としても。この辺について通産省にお伺いをさしていただきたいと思います。
  16. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、現行における議定書では九三年から九四年、生産水準が八六年を基準といたしまして八〇%ということになっておりましたけれども、新議定書が一〇〇%になっておるという一部の規制緩和がございます。これに対する対応といたしましては、通産省は、環境庁とも十分に相談をいたしまして、旧議定書のラインで実施をしていきたいと思っております。今回から、従来フロン年度というのは七月から翌年の六月となっておりましたけれども、それが新議定書で一月から十二月になりました。したがって、現在出します告示は十八カ月間を対応したものになるわけでございますけれども、その規制の中で九二年の後半には既に八〇%のラインで運用したい。したがって、九三年を待たず八〇%ということで運用はむしろ強めていきたいというふうに考えております。
  17. 簗瀬進

    簗瀬委員 ありがとうございました。
  18. 奥田幹生

    奥田委員長 吉田和子君。
  19. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 今法案改正に当たりまして、私たちの地球環境が現状のままで推移を許していてはいかに深刻な破壊状況にあるかということを私は再確認をさせていただいたわけでございます。欧米諸国を中心といたしましてフロン使用の先進国と言われる国々の足並みがようやくそろったというふうな現状であると言われると思います。その時点でもはやフロンの全廃の目標に向かって全力で取り組まなければならない事態に及んでいるという事態を本当に国民の全体で確認をしなければならない問題ではないかというふうに、私はこ の法案改正に当たりましてまず最初に感じたわけでございます。しかし、私も暮らしの中を見回してみました。家の中でも本当にあれもフロンだ、これもフロンだというふうに私たちの現在便利な生活はかなりの部分フロンのおかげで成り立っているというふうに思われるわけでございます。その便利さゆえに事態の深刻さを遠回しに思いがちな、消費者の気持ちの中にも、そういう思いもあろうかと思われるわけでございます。一たん得た生活の便利さを失うのは大変つらいだろうし、地球の生態系を守るためにその新技術開発には大変なお金もかかるだろうし、大変なこれからも努力が要るわけでございますけれども、この地球の生態系を守り得たときの利益というのは、便益というのは莫大なものがあろうかというふうに考えているわけでございます。  そういう意味で、いろいろな立場で一つのコンセンサスを得ながら国民全員で努力をしていかなければならないと考えているわけでございますが、まず最初に、大臣もおられますので、今法案改正に取り組もうとする通産省の基本姿勢を伺いたいと思います。
  20. 中尾栄一

    中尾国務大臣 吉田委員にお答えさせていただきたいと思います。  一言一言がもうそのとおりでございまして、特に私どもがふと感じますことは、日常生活で使っておること自体がすべてフロンにつながっていくような、しかもそれがオゾン層が数十キロも先にあるとはいうものの、そこが穴があいてしまうというような形になりますると、特に人種的に物を申すとどうかと思いますが、白人社会の方々などは皮膚がんに一番に襲われてしまうというようなことさえも伺っております。これはもう人類に対する大きな挑戦になるわけでございますし、生活者にとりましてはこれはもう我々自身のレーゾンデートルの問題になってしまうということを考えますると、まあ統計で見まするとちょっと驚くのでございますが、一女性の使うスプレーでさえもフロンである、そういうようなことになりますると、フランスとかヨーロッパあたりが大変にその需要が多い、あるいはまた日本などは半導体などで非常に業績を上げているわけでございますが、その業績の半導体などの洗浄剤でも五十何%というくらいにこれまた大きな問題が包蔵されておる、こう聞きますると将来ともに不安材料が多いわけで、不透明部分が多いわけでございます。  そこで、本問題は地球的規模の環境問題であるということの認識が必要でございましょう。そこで国際的に協力して取り組むことがまず肝要である。一国だけが突出しても何の意味も持たないという感じでございます。我が国といたしましてもそのすぐれた技術力におきまして世界貢献する立場にあるという認識が肝要であろうかな。そしてまた、本問題におきましても最新の科学的知見というものを踏まえながら率先してこれに取り組むこの必要性を十分に感じ、なおかつその所要の対応を図ってきたところでございます。  すなわち、今回の議定書の改定交渉においても積極的に削減スケジュールというものの提案を行ってまいっておるわけでございまして、途上国支援のための基金の設立に関しましても中心的な役割を果たすということの対応を現在まで図ってきたところでございます。また、今回のモントリオール議定書の改定を踏まえまして、引き続き議定書に定められました規定内容、規制内容の着実な実施というものを図るためにオゾン層保護法というものの改正を含めまして今後とも適切なる対応を図ってまいるというのが私どもの心構えであり、また積極果敢に取り組んでいこうということを我々の誓いとして、また同時にそれに鋭意努力を図っておるということも認知を願いたいと思うわけでございます。御承知おき願います。
  21. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 ぜひ積極的に具体的に前向きに皆様と努力を進めていきたいというふうに私も思うわけでございます。  まず、私たち、また消費者を含めまして我が国の今のフロン生産そして消費の状況一体どうなっているのかというふうな把握が、認識が薄いというふうに考えるわけでございますが、まず我が国のフロン生産量は現在どのくらいであるか、また、一九八八年の法成立以後、量的にどのような努力がなされているか、量的にお示しをいただきたいというふうに考えます。
  22. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 特定フロンの一九八九年の生産量は十六万四千トンでございますが、特にオゾン層を破壊するという観点から申しますと、議定書でオゾンの破壊係数が決まっております。その数字で引き直しますと十四万七千トンでございまして、それに対する元フロン年度の生産が十一万九千トン、消費が十一万トンということで、いずれも規制の範囲内を下回っておるわけでございます。  それで、その消費は、先ほど来議論になっておりますように、洗浄、エアゾールあるいは冷媒、発泡等々に用いられるわけでございますけれども、その世界的なシェアにつきましては、日本が大体一三%のシェアを占めておるということでございます。なお、御参考までに、アメリカが三割弱、西欧が四割弱という数字でございます。
  23. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 消費量を同様に伺わせていただきたいと思います。十六万四千トン、十四万七千トンで、十一万トンというふうな使用量、消費量ということでよろしいんでしょうか。
  24. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 御指摘で結構でございます。特定フロンの消費量十一万トン、それは六十二年十三万六千トン、六十三年十四万七千トンということで上がってまいりましたけれども、元年度は十一万トンに低下したということで、フロンの消費も急速に下がっております。約二五%のダウンでございます。
  25. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 元年度に消費量が十一万トンに下がったということがわかりました。  今回の全廃に弾みがついたというふうな科学的な根拠、オゾン層に格別の新しい破壊があったとか何だとかいう事実はあるんでしょうか。
  26. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 お答えを申し上げます。  前回の議定書の段階では、オゾン層の破壊がフロンの原因によるものであるかどうかの因果関係、あるいは、オゾン自体が全体に減少しておるのかどうかということについての有意な判定というところについてはかなり不明確でございまして、推定でやっておったわけでございます。ところが、その後、一九八八年の三月にNASAが中心となりましてオゾン・トレンド・パネルという世界百人の学者を集めた検討がございまして、その結果、因果関係は明確である、かつ、全体としてオゾン量が減少しておるということが科学的に明確になってまいりました。その結果を受けまして、その後、八九年八月にナイロビでアセスメントパネルについて議論をいたしまして、その流れの後、一昨年の十一月にジュネーブでの議論等を経まして、結果的には、現在の規制では不十分である、全体としてオゾンの減少傾向が見られる、南極等において季節的にオゾンホールが発生するというふうな事態が確認されましたので、規制を改めて強化しようという検討が行われまして、その科学的知見の結果、合意をいたしましたのが昨年のロンドン会議における規制強化で、現在御提出しておる内容でございます。
  27. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 因果関係が明確になった、そしてオゾン層もかなり傷んでいるというふうなことがわかったということだろうと確認をさせていただきます。  八七年の秋のモントリオール議定書では、九〇年代末までに五〇%の削減というフロン規制強化の目標設定を決めたわけでございます。一〇〇%なくすのが理想だけれども、現実的には八五から九五%ぐらいだろうというふうなローランド米カリフォルニア大学教授の意見もあったようでございますが、今回の規制の科学的根拠、積算はどこに基づいているのかということをお聞きしたいわけでございます。
  28. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 現在の規制の基本的な考え方は、八九年十一月のジュネーブにおける会合でNASAのワトソン、プレーザー両博士が提案した論文がすべての根拠になっております。その根 拠で申しますと、大体七〇年代前半には自然の環境が非常にうまく循環しておった、その後、フロンから排出されます塩素の濃度が増大することによってオゾン影響が与えられる、それで、その後非常に多くの仮定を置き、かつ一番極端な、自然環境に最も悪影響が与えられるという前提でのシミュレーションになっておりますが、それでやりますと、八五年程度に三ppb、それから現時点で三・六ppb程度、それで、現在提案されております規制内容を実行いたしますと、二〇〇〇年で四・七ないし四・八程度のppbになってまいります。それを規制を実行いたしますと、大体二〇七〇年とか八〇年見当には一九七〇年代前半の自然の非常にいい環境であった水準、水準としては二ppbと言われておりますが、そこへ戻るということで、非常に精密な、世界の英知を集めた科学的根拠、それが前提になっております。
  29. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 なかなか難しい内容に入ってきているので、ちょっとわかりにくい点もあるわけでございますが、五〇%規制ではだめである、九〇%でも九九%でもだめである、そういうところの根拠をもう一度済みません、確認をさせてください。
  30. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 基本的に、塩素の大気中における濃度とオゾンの破壊とが因果関係があるということでございますので、その塩素濃度をどこに抑えるかというところがポイントになるわけでございます。その数字が先ほど申し上げたとおりでございます。それで、前回のように五〇%の規制にとどめた場合にはとても地球の環境が回復されない、例えば九であるとか一〇ppbというふうな数字になってまいりますので、それでは目的を達しないということで、全廃ということに合意をいたしたものでございます。
  31. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 この計画を確実に進めることによって、二十一世紀にオゾン層もとどおりになるのでしょうか。
  32. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 現在の科学的知見では、全廃を二〇〇〇年にいたしまして、かつ第二世代フロンとしてのHCFC、これも二〇二〇年ないし四〇年の間に全廃するということになりますと、二〇七五年以降程度に先ほど申し上げました二ppb以下、したがって一九七〇年代前半のいい循環をしておりました環境が再現するというのが世界的な共通認識でございます。
  33. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 この問題はまた後ほど触れさせていただきたいと思います。  次に、環境庁にお伺いをしたいと思います。  まず最初に、環境庁はどのような基本姿勢で臨んでおられるのかをお願いいたします。
  34. 古市圭治

    古市政府委員 オゾン層保護問題というのは、先生指摘のように、人類の生存基盤にかかわる地球環境問題として極めて重要なものと思っております。私どもの方は、昨年の六月にモントリオール議定書の第二回締約国会議におきまして、日本国政府全体として前向きに対応するということで、北川前環境庁長官を日本国政府代表として会議に臨み、今回の法案の改正に結びつきます規制強化というものを、国際的に積極的に参画して全会一致を見た、こういう経緯を持っているわけでございます。この法律が成立した暁には、これを適用いたしまして規制強化を進めますとともに、特定フロン等の排出抑制、また監視、調査研究というものを各省庁とも連携して進めていきたい、また、国民の理解、協力を得るための施策も実施していきたい、同時に発展途上国に対する先進国の役割分担というものを担っていきたい、このように考えております。
  35. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 観測、それから開発、研究などに取り組まれるというふうな内容でございましょうけれども、現在どのような観測、そして研究開発をなさっているか、お伺いをしたいと思います。
  36. 古市圭治

    古市政府委員 オゾン層の監視等につきましては、この法律に基づきまして年次報告を提出するということになっておりまして、平成元年度分につきまして平成二年三月に状況を報告させていただいたわけでございます。  この中におきましては、日本の気象庁で測定いたしました四カ所のデータ、さらには国際的に観測されました各地のデータ等を分析いたしまして、今まで説明させていただきましたように、地球全体でフロンというものがふえてオゾン層の破壊が進行している、殊に冬季ある成層圏の濃度でこれが顕著であるというようなことをまとめて報告させていただきました。  それからまた、調査研究の例といたしましては、私ども省庁とともに地球環境関係の研究総合推進費も利用いたしまして、例えば紫外線の増加が人の健康に及ぼす影響皮膚がん等の増加の疫学的調査、また植物に及ぼす影響、例えばキュウリ等の成長紫外線量の倍増によって半減するということ、それからまたオゾン・レーザー・レーダーを利用した高度別の分布等の研究をやっているわけでございます。
  37. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 フロン代替品開発というふうなものは環境庁の研究の中には入らないのでしょうか。
  38. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 フロン代替品開発につきましては、官民挙げて協力をして実施をいたしております。官の方では通産省工業技術院の傘下にございます化学技術研究所あるいは公害資源研究所等が中心になっておりまして、かつ民間との共同研究も新たな場を設定して推進しておるということでございます。  それと、さらに先行した形で、より近い形での開発企業ベースで検討いたしております。例えばフロン12、冷媒用に使われるものの代替といたしまして、フロン134aとか既存化学物質でございます142bでありますとか22でありますとか、あるいはフロン11の代替品として123、141b、非常に数字が並んで恐縮でございますが、これは一応炭素、弗素、水素、塩素等のバランスをこの数字で示しておる製品でございますけれども、そういう現実的な開発が進んでおります。  他方、先ほど議論になっておりましたような洗浄用フロン113につきましては、225というものの開発あるいは技術代替ということが進んでおりまして、官民挙げて代替品の研究開発は進んでおりますし、その中で政府としての役割も、先ほど申し上げました政府の研究所が一体になってやる研究のほかに、第三世代と申しておりますけれども、より害の少ない、害が皆無のようなフロンを新たに開発したい、第三世代を開発したいということで、通産省から補助金等を出しまして、内外企業が集まって研究をやっておるという例もございます。そういうことであらゆる努力を傾注しているというのが現状でございます。
  39. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 次に、もう一度環境庁にお伺いをしたいと思います。  影響評価の問題でございまして、一九八七年までに全世界で消費されたフロンガス、主に11、12、113というふうに聞いておりますけれども、どれくらい大気中に放出をされたか、おわかりになりますでしょうか。
  40. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 フロンは一九二八年に発明が行われまして、実用生産は一九三一年から行われております。フロンの寿命は非常に長うございまして、長いものは百五十年とか、短いものでは、もっと短いものもございますが多くのものは五、六十年ということで、非常に長いわけでございます。それがどれだけ大気中に出たかというのは観測不能でございますので、我々の観点は、生産されたものが即全部大気に出たということをとれば環境上は一番安全サイドをとることになりますので、それで考えております。それで推計をいたしますと、一九九〇年までの七十年間に二千百万トン程度のフロンが大気中に出たというのがマキシマムの数字でございます。
  41. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 放出をされた分量の破壊の状況なわけでございますが、フロンが大気中に上がってから十年後、二十年後または三十年後にオゾン層に与える影響、作用してくるというふうに聞いておるわけでございますが、そうしますと、例えば一〇%が破壊をしている今の状況と、残っている大多数はまだ対流圏にあるわけでございまして、これから十年、二十年、三十年の間にどんどん 破壊が進行することが予想されると考えるわけでございますが、その点に関してはいかがでございましょうか。
  42. 古市圭治

    古市政府委員 先ほども通産省の方から御説明いたしましたように、その科学パネルでいろいろ推計というものを出しております。今先生指摘のように、現在直ちに凍結あるいは削減にかかっても既に出たものの蓄積の量でふえていくということから幾つかのシナリオが想定されておりまして、今回の締約国会議による規制強化で二〇〇〇年に特定フロン、ハロン等を全廃、かなり厳しい線でいきますと、現在の大気中濃度が三ppb、容積で十億分の一の単位でございますが、これが次の世紀の間に少なくとも二から三倍となって、熱帯地方では一から三、四%、高緯度地方では四から一二%のオゾン層の破壊が進行する。このフロンの量は大体二〇〇〇年まで、今世紀内までは増加していきますが、規制が働いてきて、来世紀に入ってだんだんと落ちついてくる。先ほど申しましたような規制でいけば、来世紀の終わりの方では従前の位置まで戻るということを期待されているような規制値ということでございますので、しばらくの間は増加していくということかと思います。
  43. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 今すぐ全力で取り組んでいっても来世紀末まではオゾン層の破壊が続くということなわけでございます。一刻も早く関係各省庁そして企業、そして私たち消費者も努力をしていかなければならないと考えているわけでございます。  さて、通産省にまたお伺いをしたいと思いますけれども、今回の改正で規制の対象に入ります十二品目の新しい物質、どういう理由で選定をされたのかお伺いをしたいと思います。
  44. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 今回新たにつけ加わりました物質といたしましては、従来規制しておりました特定フロンといっております五品目のほかに、第一世代フロンというふうなことで、特に安定し、成層圏に行って分解するフロン、それをすべて対象といたしました。それから四塩化炭素及び1・1・1トリクロロエタン、これを対象といたしまして、これらをすべて規制対象物質としたわけでございます。それでこの物質全体を対象にして、先ほど来申し上げております科学的な根拠を積算した。したがって、先ほど申し上げました目標を達成するために必要な物質を今考えられる限り全部網羅をしたということで、従来の八規制物質から二十物質に増加をしたということでございます。
  45. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 規制効果はどのように上がると予測をなさっていらっしゃいますでしょうか。
  46. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 規制効果は各国すべてこの条約に基づいて実施をいたすということで期待しておりますので、先ほど来申し上げておりますような二〇〇〇年代末の二〇七〇年以降には、七〇年代の水準の塩素濃度に戻る。したがって、七〇年代前半の地球環境実現するというのは、現在対象になっている物質全体を今のスケジュールで規制をするということの結果がそういう効果でございます。
  47. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 なかなか内容が難しいということで、繰り返しまた後で御質問させていただくかもしれませんが、よろしくお願いいたします。  次に、今回削減の目標に向かって大変厳しい規制というか、現実問題としては厳しい規制がなされるわけでございますが、一体現場の努力としてこの規制に応ずる能力がどのぐらいあるのだろうか。産業に与える影響というものも大変多いと思いますが、実際、量を減らす、そういうふうなことに対して、具体的にどういう手だてが今なされようとしているのかを伺っていきたいわけでございます。  いろいろな手だてがあるというふうに考えております。例えば先ほどお話しいただきましたフロンにかわるものを開発する、そういうものに入れかえていくとか、使用量を減らすような努力というふうなのがあると思うのですけれども、まず使用量を減らすというふうなことに対して、現場では具体的にどのような努力がなされているのか、お伺いしたいと思います。
  48. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 お答え申し上げます。  使用量を減らすためには節減をするということが当面求められる内容でございます。さらに技術の動向等に応じまして、順次代替品に切りかえていく、あるいは製造工程等の代替生産工程を見つけ出していくというふうなことであると理解をいたしております。それでやはり関係者は当然のことながら大変努力をいたしておりまして、今の見通しでは現在の二〇〇〇年の全廃というスケジュールに間に合うような活動が実を結んでいくものだというふうに期待いたしております。  それで具体的には、分野別に申し上げますと、エアゾールの分野でございますけれども、既に化粧品等のエアゾールにつきましては、フロンはもうすべて使われないという形に急転換いたしておりまして、LPGであるとかあるいはジメチルエーテルのようなものが使われておりまして、エアゾール用で使われるのは非常に特殊なぜんそく治療剤のような医療品、これはもう無害であることが完全に不可欠でございますので、そういう分野のみが残っているという状況だと思います。  それから、冷媒用につきましては、カーエアコンの冷媒用のフロン回収というふうなことを非常に進めております。かつ、代替品への転換の技術開発も着実に進んでおると理解をいたしております。  それから、断熱用の発泡剤等をつくります際に、水あるいはブタンで発泡をするというふうなことがかなり広がってきておりまして、この分野でも使用量が相当に減ってきております。  それで、一番難しいのは洗浄剤分野でございますけれども洗浄用途ごとに、例えば電子工業の場合、例えば精密工業の場合、例えばその他クリーニング業の場合等々、その用途に応じた回収、再生利用装置の導入であるとか、あるいは水系の洗浄あるいは無洗浄化というふうなことの脱フロン技術が進んでおるという状況でございまして、挙げて努力をしておる、かつその効果が上がり始めておるがゆえに、先ほど申し上げました元フロン年度で消費量が二五%減ったというふうな状況になってきておると理解をいたしております。
  49. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 各業種によって、物によって大変な使用量削減の努力がなされているというふうに聞いているわけでございますが、ここ十年でもうあらゆる手だては尽くし切った、その二五%の削減である、これからが本格的な難しい時期に入るのではないかというふうに考えるわけでございます。内需拡大基調で相変わらず車はふえ続けておりますし、半導体や精密機械やさまざまな分野での洗浄剤としての需要もふえ続けているのではないかというふうに考えますけれども、ここ十年でそういう手だてをもう尽くし切ったのではないか、これからその全廃に向けての代替品開発に難しいものがあるのではないかというふうな論議も一方ではされているわけでございますが、その点に関してはいかがでしょうか。
  50. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 お答え申し上げます。  ここ一両年、規制が始まりまして一両年でございますので、その間の節約の主流は、むしろ節約ということで、いろいろなものが実はかなり価格が安いということでむだ遣いがあった。それを例えば密閉化いたしまして、大気に出ないという洗浄工程をとりますと非常に効果のあった極端なケース、むしろ過去むだ遣いをしておったということの裏返しかもしれませんが、五〇%削減したというふうな例も出ております。そういうことで、むだ遣いの防止による効果というのが今までの状況だと理解しております。したがいまして、今後はさらに、先ほど来申し上げておりますような代替品あるいは代替技術というふうなものが現実化してまいりますので、一部現実化してきておりますけれども、例えば代替品でも毒性検査等をやっておりますので、それが市場に出回るのは、早いものであれば来年とか再来年から出回ってまいりますので、そういう状況の中で二〇〇〇年までへの転換ということが可能であるし、かつやらなけ ればならないという考え方でございます。
  51. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 私もしゅっとやるのを使ったこともかつてございますけれども、今の消費者の動向というのは大変多様化をしておりまして、一言で言うとぜいたくになっているということで、そういうものに対する消費者の方の認識も深めていって、環境を優先に考えるというふうな方向に行かなければならないなと感じているわけでございます。  次に、先ほど来出ておりましたフロンの回収についてまたもう少しお伺いをしたいわけでございます。  回収できるものと回収できないものがあると思いますけれども一体何がどういうふうに回収可能であるか、どういうものが回収できない状態にあるかということを、今現在の状況で結構でございますので、お答えをいただきたいと思います。
  52. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 回収の容易性というのは使用の用途によって当然御指摘のとおり違うわけでございまして、発泡用あるいはエアゾール用というのは先ほど来申し上げておりますような形で代替あるいは使用をやめるという方向に進んでおりますので、回収、再生利用というのはとる方策ではない方向で動いておると思います。したがいまして、回収・再利用の中で特に問題になりますのは洗浄用冷媒用でございます。  それで洗浄用につきましては密閉をする、洗浄工程を密閉化するということで多くの回収が行われておりますし、あるいは冷却をする、あるいは吸着剤を使うというふうな技術的な方法を用いまして回収が進んでおります。それは電子工業等の分野において非常に有効な効果を上げております。かつ、そのための回収の装置の導入ということも各企業現実に行っておりまして、千五百台を超えるような回収装置も既に各所で利用されておると理解をいたしております。  それからもう一つ分野冷媒用の分野でございます。冷媒の中でカーエアコンにつきまして、これは整備業者等へ持っていきますと従来はとりかえてしまって、過去、現在使用中のカーエアコン中に残っておるフロン等が大気に出てしまうというふうな例があったわけでございますけれども、その辺の回収徹底を図るということで、その前提条件としまして昨年の十月に高圧ガス取締法の規制を変更いたしましてそういう扱いが整備業者等においても可能になるという新たな法的な条件を整えたものでございますから、それに応じて多くの回収装置が整備業者等に導入されておりまして、回収効果が今後非常に上がっていくのではないかということで考えております。  また、中小企業等がそれらの回収装置を導入するについて政府としても支援しなきゃいかぬということで、金融、税制上の措置も講じてお手伝いをしておるところでございます。
  53. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 技術的にかなり進んでいるというふうなお話でございました。この分野においては全く回収が不能というふうなものはないのでしょうか。
  54. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 例えばエアゾール、先ほど来フロンを使わない方向ということで申しておりますけれども、製品でなお残っておるようなもの、そこにはやはりフロンが入っておりまして、エアゾールというのはこれはもう間違いなく大気に行ってしまう、これは全く回収不能の典型的な例でございます。  それから断熱材で発泡ポリスチレンとかそういうふうなものをつくります段階では、やはり製造工程上大気に出てしまうというふうな回収不能の部分がございます。  それから自動車等あるいは家電等が完全な廃棄物として出てしまったといった場合に、その中からフロンだけを処理業者が抜き取るというのはコスト的にも合いませんし、現在の廃棄物処理業者にそれを求めることも無理であるということで、そういう分野のものからの排出はあるということが事実でございます。
  55. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 フロンの破壊技術というものが一方で開発をされている、これがフロンを使うというふうな前提というか肯定になるものではないというふうに考えているわけでございますが、この破壊技術というのは今どのような開発状況になっているんでしょうか。
  56. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 破壊技術でございますが、これは法律あるいは議定書上求められております理由は、破壊に見合ったものは生産の上乗せが可能であるという法体系に基づいております。したがいまして、基本的には先ほど来申し上げておりますように生産即放出であり、それがすべて成層圏に行って影響があるということで前提といたしておりますので、そちらの環境観点からはそこで十分な歯どめがかかっておるという実態でございます。そういう中での限定的な意味での破壊技術の研究でございますが、工業技術院の公害資源研究所、化学技術研究所等々で民間とも協力をしながら、例えば高周波プラズマで破壊をするとか、あるいはいろいろの触媒を用いまして分解をするとか、あるいは超臨界水法と言っておるようでございますけれども、非常に高温、高圧の水で分解をするとか、いろいろな化学的、物理的手法を使って破壊をするという技術が数年後の実用化を目指して進んでおるということでございます。  それでこういうふうな研究をやっております意識は、議定書の中で破壊技術を決めていこうということになっておりまして、昨年のロンドン会議でもそのための諮問委員会、研究会をつくろうということになっておりますので、そういうところへのいろいろコントリビューションをしていくという観点から環境庁でも委員会をつくっておられます。通産省委員会をつくっておりまして、そこでの勉強結果を踏まえ、それぞれの科学的知見を活用いたしまして国際的に十分に貢献をしていきたいということで、破壊技術についても十分な検討及び努力が行われておる状況でございます。
  57. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 おおむねいろいろな研究開発がなされていて、予定どおりにこの法案の改正によって目標を達することができるのではないかというふうな一連のお答えであったわけでございます。  大企業はむしろどんどん先駆けていろいろな研究開発など独自に行っているようであるわけでございますけれども、厳しい規制に遭いますと困る中小企業対策でございますが、先ほども少し出ていたわけでございますが、中小企業に対してどのような支援がなされる計画がおありか、お聞きいたします。
  58. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 中小企業、まず大企業の下請になっておる中小企業とその他、むしろ非常に数の多い独立した中小企業、両方あるかと思いますけれども、前者につきましては、大企業環境破壊に加担しない、環境問題には非常に全力を尽くしているという企業イメージがむしろプラスになるということで、いろいろな開発をいたしておりますので、そのでき上がる製品は下請も含めて同一の体系になっていなければなりませんから、技術開発も進むに従って着々と移転をしておるというふうな形でそういうグループは一つ進んでおると思います。  したがいまして、我々としては、独立の中小企業でそういう恩典に浴さないところがいかに効果を発揮していくかということに特にポイントがあると思っておりまして、我々としては、いろいろ開発される技術を集めましてマニュアルをつくって、それを中小企業の方々に配付をする、あるいは通産局ごとに講習会をするというふうなことで技術の伝播を図っております。これは通産省の例で申し上げましたけれども、建設省でありますとか運輸省でありますとか、それぞれの担当所管省庁でもそれぞれの努力をやっておられるというふうに承っておりますので、中小企業対策、十分なと言えるかどうか、我々としては可能な最大限の努力をしていきたい、かつ、それの設備等の導入のために税制、金融上の恩典措置についてもそれが利用されますように十分に広報を図っていきたいというふうに思っております。
  59. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 また、これらの対策につきましては、追ってしっかりと見届けていかなければ、 監視をしていかなければならないというふうに考えているわけでございます。  もう一点、先進国がつくり出したこのフロンによって、私たち、特に日本経済的にも大変大きな成長を遂げることができたわけでございますけれども発展途上国の対策についてさまざまな対応が対策としてなされているというふうに考えるわけでございますが、本当にこの環境問題は全地球的問題であるにもかかわらず対応が国によって大きく違いがあるということを確認をしたわけでございます。中国などはこれから二〇〇〇年までの間に二千五百万台もの冷蔵庫が自国でまだ必要とされている。本当に、フロンをつくり出して、そしてその上に経済発展をしてきた私たち先進国の責任でどういうふうな援助がとれるか、また同じ一つの歩み、足並みとしてどういうような途上国に働きかけをしているのか、その点についてもお伺いをさせてください。
  60. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 今御指摘のとおり、地球規模の問題でございますから、発展途上国にも十分に参加してもらい、効果を上げていく。他方、発展途上国が今度経済発展をすることについてもあわせて協力をしていくという両方の姿勢が必要であると思いますけれども、現在の観点からいえば、環境問題のためにいかに開発途上国も議定書へ参加してもらうかということが一つでございますし、それから、その参加が容易になるような枠組みづくり、特に金融上の支援措置でありますとか技術の移転、そういうことがうまくいくことが不可欠だと思っております。  それで、まずその支援国の枠組みづくりでございますけれども、昨年の六月のロンドン会議で基金の設置が決まっておりまして、当面九一年から九三年、三年間で一億六千万ドルを拠出するという基金が決まっております。その基金づくりに当たりましては日本が非常に中心的な役割を果たしまして、この基金をつくることについて先進国の中で反対をする国があり、発展途上国でぜひこれがなければ参加は容易ではないという国がある状況の中でその設立を決めた。しかも、その分担金につきましては日本世界で二番目の拠出をやるというふうなことで、そういう基金の設置及びその運営委員会にも日本から参加をするという形で積極的に実現をしていきたいということでございます。  それから、発展途上国へのまず知識の普及という観点が必要でございますので、これは日本政府挙げて行っておるわけでございますけれどもオゾン層保護アジア太平洋地域セミナーというのを平成元年にUNEP及び国連大学と共催をいたしまして東京で行い、三十人以上の人が世界から太平洋地域を中心に参加をするという状況の中で、いかなる問題点克服があれば参加してもらえるのか、我々としては何ができるのかというふうな議論をいたしました。  そういうふうな普及とあわせまして、技術の具体的な移転を政府ベース、民間ベースで行っております。政府ベースでは国際協力事業団、JICAの集団研修のコースを設定いたしまして、昨年環境庁の方がいろいろ指導されまして、オゾン層保護対策についての関係者の知識をより深めてもらうというセミナーもございましたし、通産省の方が協力しまして、特定フロン等の使用削減技術がどういうふうな開発状況になっており、どういうふうに移転される可能性があるのかという具体的な技術のセミナーなどもいたしております。それから、民間企業に対しまして技術移転が行われるのは、これはこれがよりワーカブルな現実的な対応でございますので、昨年七月に通産大臣から、四十八団体の代表を集めまして、そこで開発される削限技術が速やかに発展途上国に移転されるように協力要請をいたしておるところでございます。
  61. 古市圭治

    古市政府委員 環境庁関連での発展途上国援助で一つ追加させていただきますが、平成二年度より環境庁のODA経費を利用いたしまして開発途上国における排出抑制対策支援事業、これを実施しております。これは、現地の調査を各国の依頼に基づいて行って、その結果レポートを出し、その翌年には現地で数カ国集めたセミナーを行うということで、日本国内だけで会議をやるのではなくて現地でいろいろな技術協力についてのセミナーを開く、こういうようなことも予算化しておるわけでございます。  それからなお、昨年のロンドン会議におきまして発展途上国の基金の造成に日本が積極的な役割を果たしたというのはそのとおりでございますが、そのときの北川前環境庁長官は、中国、インドがこの規制強化には入るのをやや渋っていた、それはいかに先進国が基金をつくるかということの誠意を疑っていたところがあるわけでございますが、この中でライリー米国環境庁長官、またパッテン環境相、これはチェアマンでございましたが、依頼を受けましてこれらの国の批准へ向けての加入というものを積極的に働きかけ、議長からも謝意を表された、こういうようないきさつがございました。
  62. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 ありがとうございました。  以上、いろいろな方面からまとまりのない質問をさせていただいたわけでございます。私は、本当にこの問題に取り組ませていただくに当たりまして、どういうふうに計画的にやる、どういうふうに確実に努力をすれば確実に地球環境の破壊は免れるのだというふうなしっかりとしたこれからの計画国民に明示をする、そして、いたずらに地球破壊を、実情を怖がるのではなくて、正確に一人一人が事実を認識をし、そして自分がとるべき努力、そういうものを認識をすることがまず国民全体として今とるべきことではないかというふうに考えるわけでございます。そういう意味で、先ほどから出ております情報を的確に国民に流す、事業主の方の、製造に当たられる方だけではなくて一般の消費者にもきちっとその実態調査の内容、そしてこれからどういうふうな取り組みをすればいいかということを明示をすることがまず大事なのではないかというふうに感じたわけでございます。  最後にその点にだけ御所見をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  63. 中尾栄一

    中尾国務大臣 先ほど来吉田委員と政府答弁を私も聞いておりまして教わる面もたくさんございました。同時にまた、私自身がまだ認識しておらない点も幾つか感じた次第でございます。  今や、私どもは地球の中における各国の相克を超えて、まさに地球をいかに宇宙の体系の中で守っていくか、環境を守っていくか、そこにまた私どもの大きな意味における挑戦の時代を迎えた。恐らく二〇〇〇年の課題は、大きな課題としてこれがクローズアップされるであろうということは論をまたないわけでございます。したがいまして、ただ単に半導体の問題、自動車の問題、あるいはまた小さくはスプレーの問題に至るまで、日常茶飯事に私どもが使っていること自体が既に環境破壊の一環につながっているということも認識するためには、十分なる資料に基づいて正しい判断をする、そしてそういうことにおいても忠告、勧告を促す、そしてまた全地球人に対してこれを呼びかけていく、キャンペーンも行う、この作業も必要かと私は認識をする次第でございまして、それだけに私どもは鋭意その問題点についても努力しなければならないなという感じを深うした次第でございます。  吉田委員の今までのいろいろの御質問、非常に参考にさせていただいたことを心から感謝申し上げたいと思う次第でございます。ありがとうございました。
  64. 吉田和子

    ○吉田(和)委員 ありがとうございました。
  65. 奥田幹生

    奥田委員長 小岩井清君。
  66. 小岩井清

    ○小岩井委員 引き続きまして質問いたしたいと思います。  最初に、気象庁に伺いたいと思います。  オゾン層状況及び大気中における特定物質の濃度、この状況については本法律の第二十五条に「観測及び監視」として、その状況観測して「その成果を公表するもの」とあります。最近のオゾン層状況特定物質の濃度の状況はどうか、こ の点について最初に気象庁からお伺いいたします。
  67. 櫻岡勉

    櫻岡説明員 オゾン状況でございますけれども、北半球の中、高緯度におきましては全体といたしまして十年間で約一%、オゾン濃度の減少が指摘されているところでございます。気象庁におきましては、昭和三十二年以来全国四カ所でオゾン観測を実施してまいっております。そういうデータから、日本上空の状況につきましては有意な減少は見られておらないところでございます。  一方、南極地域の春季、九月から十一月に相当いたしますけれども、ここでは大規模なオゾン減少が発生しております。これはオゾンホールと呼ばれておりますけれども、これが一九八〇年ごろから毎年確認されております。一九九〇年、昨年度の春季におきましては、今まで最も減少が激しかった一九八七年に次ぎまして減少が見られております。その中の十月について、このオゾンホール現象が始まる以前の状況と比べますと約五〇%減少いたしております。  特定物質の問題でございますが、そのうちのフロンにつきましては岩手県綾里におきまして平成二年一月から観測をいたしております。そこでの観測値でございますけれども、これは気候変動に関する政府間パネル、IPCCで報告されている全球平均値とほぼ同じ値でございます。  なお、今回の特定物質として追加された四塩化炭素及び1・1・1トリクロロエタン、通称メチルクロロホルムと申しておりますけれども、これにつきましては平成三年一月から同岩手県綾里におきまして観測を開始したところでございます。
  68. 小岩井清

    ○小岩井委員 状況はわかりましたけれども特定物質の濃度の観測が昨年二月からというのは随分遅いけれども、これはおくれた理由は何ですか。この法律第二十五条に「観測及び監視」として気象庁の責務として出ていますね。これはまだ一年ぐらいしか濃度の観測をしていないということになりますね。おくれた理由は何ですか。
  69. 櫻岡勉

    櫻岡説明員 特定物質につきましては、大変微量な気体でございますので、その観測法なり観測の基準なりそういうものが明確にされませんとできませんので、若干気象庁といたしましても、それらの開発を進めまして対応したところでございます。
  70. 小岩井清

    ○小岩井委員 この法律の実効性が上がっているかどうか、これはきちっとデータの観測によって確認をされていくべきだと思うのです。もう観測を始めていますから結構ですけれども、おくれたということについてはちょっと奇異な感じがしたものですから伺ったわけであります。  続いて環境庁に伺いますが、この第二十五条の二項に「前項の規定による観測の成果等を活用しつつ、特定物質によるオゾン層の破壊の状況及び大気中における特定物質の濃度変化の状況を監視し、その状況を公表する」とありますね。これは環境庁ですけれども、最近のオゾン層の破壊の状況それから特定物質の濃度変化、これを環境庁としてはどういうふうに把握されているのか、伺いたいと思います。
  71. 古市圭治

    古市政府委員 前後逆になりますが、先ほどの気象庁の方の報告と合わす意味特定物質の濃度変化の方から先に申し上げたいと思います。  これは我が国におきましては東大理学部の方から、北海道の納沙布岬の方でございますが、文部省の大学でございますが、一九七九年からCFC11、12、113、メチルクロロホルム、四塩化炭素等の対流圏の測定をしております。かなり長い期間測定しております。また、環境庁では六十三年から同じ場所で測定を並行してやっております。その方での様子を見ますと、このデータでは、CFC11、12は年率で四%、また我が国で使用が急増しておりますCFC113では年率一〇から一二%の増加、こういうような傾向が得られているということでございます。また、気象庁の方は新しく三陸で測定を開始しているということでございます。  それから、法律に基づく調査研究でございまして、これは「平成元年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」というものを平成二年三月二十九日に出させていただいております。この中の主な点を申し上げますと、全地球的なオゾンの全量につきましてはUNEP、WMO等が中心になって科学パネルというので観測しておりますけれども、それと日本国内の測定値というものとはほぼ同じような傾向を示しておりまして、北半球中、高緯度地域において一九七〇年代以降オゾン全量の減少が継続しておる、またこの傾向は冬に著明であるというようなことでございます。それから、先ほどの日本の四地点、札幌、つくば、鹿児島、那覇でございますが、これにつきましては国内ではその大きな変動は見られていない。しかし、一九七〇年代末から八〇年代末の減少傾向というものは国内のデータには明瞭には出ておりませんが、季節的な変動で冬の終わりから春に最大値、それからまた秋から初冬にかけて最小値を示す。さらに、高度別の分布では、一九八〇年代から減少傾向が高度三十五キロから四十五キロの層に明瞭になってきている。これはまた全球的なデータと一致している。そういうようなことを報告させていただいております。  それからまた、これらにつきましての普及ということでございますが、私どもは、この報告を公表するとともに、また「フロンオゾン層微量ガス監視調査実施マニュアル」というものを地方自治体に配付いたしまして、その成果の普及に努めているという状況でございます。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
  72. 小岩井清

    ○小岩井委員 今、この法律の第二十五条の二項の環境庁長官の責務とあわせて、第二十六条で「研究の推進等」について「国は、特定物質オゾン層に及ぼす影響の研究その他オゾン層保護に関する調査研究を推進するとともに、その成果の普及に努めるものとする。」ということがありますけれども、今そのことについての御答弁をいただいたということでよろしいですか。この二十六条についての御答弁をいただきたいと思います。
  73. 古市圭治

    古市政府委員 失礼いたしました。ちょっと一緒に答えの中に含まれてしまいましたが、この二十六条の調査研究につきましては、平成二年度から地球環境研究総合推進費に基づきまして国立の試験研究機関、それからまた大学、広範な分野の研究機関、研究者が有機的な連携のもとに各種の調査研究を総合的に推進している、その中におきましてもオゾン層の破壊問題も研究対象の分野でございまして、そのオゾン層の変動の把握、それから変動機構、さらには代替物質の開発、それらの環境影響評価、こういうものも対象になっております。  それからまた、昨年の十月には国立環境研究所、つくばにございますが、その中に地球環境研究センターを発足しまして、そこでオゾンレーダー、それから人工衛星によるオゾン層の変化のデータの解析等を検討いたしまして、その調査結果については逐次公表するなり、関係機関に周知連絡をしているという状況でございます。
  74. 小岩井清

    ○小岩井委員 それぞれ気象庁と環境庁から御答弁いただきましたので、この法律の改正案についての内容について伺っていきたいというふうに思います。  今回、特定物質に、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書附属書Aに掲げる八物質、これに加えて附属書Bに掲げる十二物質、この八と十二加えて二十物質、これは議定書では規制物質というふうな名称になっているようでありますが、それに指定物質ですね、三十四物質が対象とされているというのがこの法律案の内容ですね。  この対象拡大によって、今それぞれ気象庁と環境庁から御答弁いただきましたけれども、追加された物質については平成三年一月から濃度の調査を始めているという話は先ほど答弁でありました。要するに、オゾン層状況と、特定物質を含めて濃度の変化がどうなっていくのか、この状況の変化をどう見ているのかということを伺いたいと思います。
  75. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 お答えいたします。  大気圏における濃度算定及びオゾン層の破壊状 況、その数値と、先ほど来申し上げておりました規制強化が根拠となりました数値とは当然違っております。後者の方はシミュレーションによりまして、最も厳しい形で、しかも当該年度にフロンが放出されますと、それがすべて成層圏にその年に着いてしまうという前提に立っておりますけれども、現実には二年とか三年とか経過をした上で成層圏へ上がっていくということで、影響はむしろ緩慢なわけでございます。したがいまして、品目の追加に当たりましては、環境保護ということが基本でございますので、一番厳しい形で算定をした。その結果、先ほど来御指摘のような八品目から十二品目に追加するということを前提として、かつ指定品目になっております三十四品目を二〇二〇年から二〇三〇年に規制の対象に加えるということを前提といたしまして、初めて二〇七五年から二一〇〇年の間に自然の環境に戻るということで、そういう計算上のあらゆるシミュレーションの結果に基づいた形で品目追加が行われた。そのときの扱いも、今のように追加された特定物質と新たに追加されました指定物質に、オゾン層破壊係数が違いますので、その影響度が違うということで、かつ現実的な対応の可能性も考えまして対応を図っておるわけでございます。
  76. 小岩井清

    ○小岩井委員 規制対象物質のことについて伺いますけれども、この物質の中に、代替品開発、そして、その開発技術として対応していくということ、これが追いつかない物質があるというふうに伺っているのですけれども、これはどの物質か。そして技術開発の見通しについて伺いたいというふうに思います。
  77. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 フロンの使われ方によってそれぞれ対応が異なってまいると思っております。  それで、まずエアゾール用でございますけれども、LPGへの転換あるいはジメチルエーテルへの転換が急速に進んでおりまして、ほぼ全廃が行われておるという状況でございます。したがいまして、エアゾールで用いられますものは、医療用に用いられます、例えばぜんそくを救う薬であるとか、そういう完全な毒性のないことが必要だというふうな分野に特定されてきておりますので、めどがつきつつある。  それから、発泡剤用でございますけれども、これはブタンでございますとか水とかによって発泡するということで可能な分野がございますが、発泡剤の中にフロンが入ることによって断熱効果を持つという種類のものがございますので、それについては今後代替フロン開発していかなければならないということでございます。  それから、冷媒用につきましては今開発が進みつつある。先ほど来申し上げておりますように、回収の促進が当面の方向でございますけれども、あわせまして代替物開発が進んでおります。  それから、一番難しい分野洗浄分野でございますけれども、これは電子工業、精密工業等で多用されるということで、それを使わなくて済む技術開発しようということで、フラックスという酸性化を防止する、要するにハンダづけをした部分の酸性化を防止するために用いられる溶剤の中に活性イオン等が含まれておりますので、それを含まれないような形でハンダが行われるような工程開発、あるいは水で流せるような工程開発というふうなことが進んでおるわけでございます。  それで、具体的な代替品といたしましては、フロンの11に対しましては123でございますとか141bというふうなもの、あるいは12でございますと134aでございますとか142bでございますとか、あるいはフロンの113でございますとフロンの225ということで、いろいろな数字を並べて恐縮でございますけれども、要するに炭素と弗素と塩素、水素、その結合状態をその数字で示しておるわけでございますけれども、そういう代替品開発が進みつつある。それで、早いものは毒性検査を終えて来年にも使用可能なものもございますし、142bでございますとかフロン22というのは既存化学物質でございますので、既に使われておるものもあるということでございます。したがいまして、非常に難しい分野洗浄分野については特に今努力をしておるということでございます。
  78. 小岩井清

    ○小岩井委員 代替品開発技術対応、この点については御答弁いただきましたが、脱フロンについての技術開発について、これは主として大企業を中心に進められておりますね。公的機関における技術研究、この点についてはどの機関で今どう取り組まれているか、この点について伺いたいと思います。
  79. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 代替フロン開発に関連いたしまして、通産省工業技術院の傘下にございます化学技術研究所、公害資源研究所、この二つがいろいろ関与をいたしております。  それで、やはり現実的な利用ということが必要になってまいりますので、例えば民間の企業十社程度、内外の企業を集めまして、害のない、いわゆる第三世代フロンと呼んでおりますけれども、全く新たな設計思想に基づくフロン開発しようというふうなことで既にプロジェクトを進めておりまして、来年度も十億円程度の資金投与をしたいというふうなことで予算でお願いをしておるところでございます。  したがいまして、そういう機関の成果というものを、おっしゃるとおりの、特に普及が必要でございます中小企業に十分に支援をいたしたい。それから、産業界が開発しましたいろいろいい技術につきまして、それをマニュアルにしまして中小企業に配付をする、あるいは中小企業の方々にお集まりいただいて講習会をするというふうなことをいたしておりますので、そういう中小企業者の方が十分にその技術を活用して、おくれをとらないで済むように最善の努力をしていきたいと思っております。
  80. 小岩井清

    ○小岩井委員 技術開発の成果について中小企業に支援をしていきたい、マニュアル配付とか講習会によって支援をしたい、今の答弁はこういうことでしたね。この法律の適用によって一番影響を受けるのは、大企業技術開発が進んでいますから、中小企業だと思うのですけれども、これは中小企業について、この技術開発の成果についてきちっと受けとめて、さらにその企業が存続できるように配慮し、指導していくべきだというふうに思うのですけれども、その点についてもう一度御答弁いただきたい。
  81. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 このフロン及びフロン代替技術企業活動にとって非常に重要な、場合によれば死活の問題になるような技術であるという認識を持っておりますので、中小企業に対して可能な限りの支援をしたいということで、先ほどのようなソフトの面での協力のほかに金融面、税制面でも支援をしていきたいということで、税制面では特別償却の制度を導入いたしておりますし、金融面でも特利融資を中小企業金融公庫、国民金融公庫等々から実施するという体制を整えてございます。ぜひ中小企業に対しての徹底を図っていきたいと思っております。
  82. 小岩井清

    ○小岩井委員 中小企業に対する技術研究のノーハウの普及活用とか税制面、金融面の支援について御答弁いただきましたが、先ほど吉田議員の質問にも関連がありますけれどもフロン等の回収・再利用について、このシステムの関発はどの程度進んでいるのか。それから、その研究開発の成果を積極的に実用化していく、それで普及に取り組んでいくべきだと思うのですけれども、具体的な対策について伺いたいと思います。
  83. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 回収・再利用が不可欠であるという点は御指摘のとおりでございます。したがいまして、この点についても十分な努力を払いたいということで、公的機関と民間機関合わさりまして、いろいろの回収装置の開発等に当たっております。それで、特に回収につきましては、洗浄用冷媒用、この部分が特に回収が求められる部分でございます。  洗浄用につきましては、活性炭を利用いたしまして、溶剤蒸気を吸着いたしまして、それを水蒸気あるいは熱風等によって脱着後、冷却をして回収をするというようなことが活性炭吸着方式ということで一つ技術として確立しつつございま す。それから、冷却凝縮方式ということで、活性炭ではなくてむしろ冷却によって液化をするということで、フロンの高濃度な排ガスを圧縮冷却によって再生する方式というふうなものが一つの重要な方式として定着しつつあるように理解をいたしております。それからさらに、吸収液方式ということで、弗素オイル等の蒸気圧の低い吸収液にフロンの排ガスを吸収させて、加熱、減圧によって再生するというふうな方式があるように伺っております。いずれにしましても、いろいろな方法を利用して、洗浄について回収装置が開発されておるというふうに承っております。  それから、冷媒用につきましても、同じように圧縮をして液化するとか冷却をして液化するということで、いずれにしてもそういうふうな活性炭、冷却、圧縮というふうな物理的プロセスを経て装置開発が行われておるというふうに理解をいたしております。  それで、その回収装置の普及でございますけれども洗浄用につきましてはおおむね千五百台ぐらいの回収装置が既に普及しておると理解しておりますし、カーエアコンにつきましては今四、五千台程度、近く一万五千台程度の回収装置が自動車整備工場等に配備される見通しと聞いております。それで、自動車整備工場の場合には、それを可能にいたしますためには高圧ガス取締法の規則を改正することが法的に不可欠であったものでございますから、昨年十月改正をいたしましてそういう条件も整えたということで、装置の普及の障害になる条件は排除するという、当然のことでございますが、いたしております。  それから、先ほど来申し上げておりましたような税制、金融上の措置による支援もあわせて行っておるという実態でございます。
  84. 小岩井清

    ○小岩井委員 洗浄用冷媒用について回収・再利用システムの開発が進んでいるということですね。具体的な開発の内容について御答弁いただきましたけれども実用化、普及について、洗浄用については千五百台と今おっしゃいましたね。それから冷媒用については五千台、近く一万五千台になるという御答弁でしたけれども、というと千五百台というのは全体のどの程度になるのですか。それから、冷媒用の五千台というのは全体のどの程度の率になるのか、この点について伺いたいと思います。
  85. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 今委員指摘の具体的なデータを実は持ち合わせておりません。ただ、全体として三万三千の業者がある中で半分ぐらいが洗浄用に使われておるということで、企業数は本来その半分より多いと思いますけれども、一万五千ぐらいの企業があるという中で洗浄用千五百台程度というのは普及率は非常に高いとは言えない状況かと思います。したがって、今後なお必要でございますが、ただ基本的には脱フロンという方向に進んでおるものですから、先ほどのような製造工程を変えることによって進もうということで、今回収装置を入れるよりは、むしろそれを必要としない工程に移行していこうというふうなことがあるように思っております。それからカーエアコンにつきましては、一万五千台という普及になりますとこれはかなりの普及をしますし、かつ独立系の整備工場につきましても、承っておりますところでは運輸省の方で秋に非常に規模の大きな講習をおやりになってさらに普及を徹底していただけるというふうに思っております。  そういうことで、まだ胸を張って完全に十分でありますというふうなことを言える状況ではございませんが、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
  86. 小岩井清

    ○小岩井委員 ということは、洗浄用についての回収・再利用システムについては、開発は進んでいるけれども実用化、普及はまだ余り進んでいない、これは、余り進んでいないのはコストの問題ですか、その理由は何ですか。基本的には脱フロンでいくからというふうに御答弁がありましたけれども、その点についてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  87. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 御指摘のとおりでございまして、先ほど来のフラックスというのが洗浄の対象になる最大のポイントでございます。したがいまして、その松やにでできた、酸性化、さびを防止するための溶剤の開発というところが現在非常に進みつつありますし、それでございますと何も洗浄は必要でなくなる、あるいは水で洗浄してもいいということになってまいりますと、そちらに最大の注意力を注ぐことによって重複投資を避けていくという状況かと思います。  したがって、現在での状況は、まず密閉化するということによって五割ぐらいの使用を削減したというケースもたくさんございますし、それから従来洗浄が必要であったような電子工業の新工場につきましては、ほぼそれがそういう洗浄の必要のない形で実現してきておりますので、新たな回収設備を導入して既存の生産方式を完全撤廃まで維持するのか、あるいは代替物で一挙にフロンの使用が不必要な方向に飛躍するのか、そこはいろいろの企業選択でございまして、我々としては、その結果として規制どおりの生産数量削減が需給の混乱なく、価格の高騰も及ぼすことなく実現できていけば目的を達していくというふうに思っております。
  88. 小岩井清

    ○小岩井委員 状況は大体わかりました。基本は脱フロンではあるけれども、回収・再利用システムの開発と普及については積極的に指導をし努力をしていただきたい、これを要望いたしておきます。  続いて、今回の法改正の中で、指定三十四物質がありますね。これは過渡的物質と位置づけられていますね、議定書では。ただしオゾン層保護上、やがては特定物質に、議定書では規制物質になっておりますけれども、加えられるのではないか。とすれば、開発された代替物質が規制物質として加えられるとすれば、開発意欲が減退をする、あるいは喪失をするということになるのではないか。ですから、代替物開発と将来のオゾン層保護上の規制強化の関連についてどう見通しているのか、この点について、極めて重要な問題ですから伺っておきたいと思います。
  89. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 委員指摘のとおり、先行き代替されるものを今一生懸命開発するという意欲がなくなるのが一般論であることは御指摘のとおりでございます。ただ、現在のフロンに関連して申しますと、第二世代フロン開発というのが既にいろいろ進んでおりまして、製品ができておりまして、毒性判定をしておるというふうなものが数多くございます。しかも、それを見越しまして、設備投資のタイムラグがございますので、既に設備投資を始めておる企業というのが内外にたくさんございます。したがいまして、それを途中でとめるということもございませんので、そういう開発及び生産は進んでいくものだと思っております。  それから、今のところでは、二〇二〇年から二〇三〇年にそれを転換すれば地球環境上の問題は回避できるというのが現在の科学知見に基づく統一見解でございますので、したがいまして今から三十年とか五十年とかというふうな期間がございますから、その間に投資回収も十分に可能であるということで、本件について言えば、将来の事情を見渡して今急速に開発意欲が衰えてしまうという実態ではないのではないかというふうに思っております。いずれにしましても、必要不可欠の物質でございますので、その暫定期間における供給が安定的に確保できるような量の供給というふうなものにつきましても、当然の環境の前提はございますけれども、その中での両にらみというふうなことも考えてまいりたいと思っております。
  90. 小岩井清

    ○小岩井委員 三十年ないし五十年期間があるので投資回収は可能である、したがってこれについての代替技術開発意欲が減退したり喪失したりすることはないとかなり楽観的ですけれども、これはもちろんオゾン層保護しなければいけないという前提ですけれども、しかし中小企業の、あるいは今これを生産をしている企業との存立の関係もありますから、それはそういうふうに見通されているということで念を押しておいてよろしいですか。もう一度。
  91. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 その間における中小企業への影響というのは、御指摘のとおり我々も非常に重要な問題だと認識いたしておりますので、先ほど来の企業――大企業環境問題に協力しておることが企業イメージとして非常にプラスであるというのが世界的に定着し、日本企業も特に最近そういう意識を強めておりますので、それは非常に結構なことだと思っております。そうなりますと、その使用が減るということで、中小企業には価格の高騰もなく回るといううまい需給関係が続いていくことを予想しておりますし、期待もいたしておるところでございます。いずれにしましても、中小企業に決定的な悪影響が及ばないということについては、十分に配慮をしていきたいと思っております。
  92. 小岩井清

    ○小岩井委員 代替物開発についてのことはわかりましたが、特定フロン等の破壊技術ですね。先ほど吉田委員質問にもありましたけれども、これの実用化について、国の研究機関における技術開発、そして実用化についてその現状と見通し、これを伺いたいと思います。
  93. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 破壊技術につきましては、政府、工業技術院傘下の研究所等も一体になりまして研究をいたしております。それでかなりの成果を現在上げつつあるというところでございます。  それで、技術的になって恐縮でございますけれども、例えば公害資源研究所では、一万度Cで高周波プラズマによる熱分解をするという研究を進めております。それから、やはり公害資源研究所で酸化チタン、ゼオライト等の触媒を用いれば何も一万度まで温度を上げなくても五百度程度での接触分解で化学反応が可能であるというふうな研究も進めております。他方、化学技術研究所で、非常に酸素の富んだ状態をつくり上げましてそこで燃焼をするという熱分解という方向も検討をされております。同じく化学技術研究所では、超臨界水法ということで非常な高温、高圧で加水分解をしてしまうという研究を進めております。それから京都大学で還元分解法あるいは法政大学で紫外線分解法というふうないろいろな分解法がございまして、この分解技術に関する研究は日本が非常にまじめに対応しておるということで、アメリカの環境庁世界の破壊技術についての報告書をつくっておりますけれども、それらの報告書の中にも日本の研究はいずれも紹介をされております。そういうことで、数年後の実用化ということ、今すぐに実用可能ではございませんが、そういうタイムレンジで考えておるところでございます。  したがいまして、それらの科学的知見を踏まえまして、第二回の昨年のロンドンの締約国会議で破壊技術に関する技術諮問委員会が国際的に設置されまして、日本もその委員の一名になりたいということで今推薦をしております。議長国カナダというのが決まっておりますが、カナダとも相談をしながらそういう技術をぜひ国際貢献ということで理解を求め、議定書における承認された技術というふうなものの実用化を進めていきたいというふうに思っております。
  94. 小岩井清

    ○小岩井委員 日本がこの研究が進んでいるということについては御答弁いただきましたけれども実用化は数年後ということで、今そういう御答弁でしたね。もう一度。
  95. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 この破壊の技術というのは、議定書及び法律上の位置づけは、生産の数量を制限しておりますけれども、完全に破壊するものであれば地球環境影響がないからその破壊した数量に見合ったものは生産数量を増してよろしいということの運用規定でございます。したがいまして、その限りにおいて現在技術が国際的に決まっておりませんので、その条項は発動されていないということでございます。  他方、その破壊技術を用いて回収されたフロンを改めて破壊するかという、議定書と離れた世界の話があるかと思いますけれども、そこのところはむしろ再生利用をする、精製をするということは一つ方向かと思っておりますので、破壊の議論は専ら生産規制との関係というふうに今は理解をいたしております。
  96. 小岩井清

    ○小岩井委員 再生利用をする場合もあるということでしたけれども、再生利用の研究、実用化は進んでいるんですね、どうですか。
  97. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 回収いたしましたものを再生利用するというのは一般的には可能でございますし、現実に利用されております。ただ、一部不能なもの、非常に難しいと言われておりますのは、例えば電気冷蔵庫、これは密閉状態でございますので電気冷蔵庫を壊さない限り出てこないわけでございますけれども、それは十年とかいろいろ使用いたしますので、その間に非常に摩耗する、あるいは潤滑油と混合してしまうということで品質が劣化いたしますので、そういうものの再生というのはコスト的に合わないと言われておりますけれども、一般には再生利用を行っておるという実態だと理解いたしております。
  98. 小岩井清

    ○小岩井委員 先ほど御答弁もいただいておりますけれども、財政上、税制上、金融上のことについて伺いたいと思います。  今回特定物質が十二物質新たに加えられましたね。それから指定物質は三十四物質が加えられているわけです。対象物質を使っている企業に対して財政上、金融上、税制上の措置について、先ほど部分的には御答弁いただきましたけれども、この点について少し具体的に御答弁いただきたい。  それで、平成三年度のオゾン層保護対策関連施策について、税制上の措置で継続のもの、拡充のもの、あるいは金融上の措置、税制上の措置についても継続のもの、拡充のものがあるわけですけれども、新たにこの特定物質十二物質を加える、指定物質三十四物質を加えるというこの法律改正に当たって、新規に財政上の措置をするあるいは金融上の措置をする、税制上の措置をするということは今回お考えになっていないですか。お考えになっているとすれば具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  99. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 お答え申し上げます。  税制につきましては、洗浄装置に係る法人税及び所得税についての特別償却制度、これは初年度一九%の特別償却でございますが、それがございます。それから同じ対象施設につきまして、固定資産税の課税標準を取得後三年間五分の三に軽減するという固定資産税の軽減がございます。この二つの税制上の恩典がございますが、先生指摘の、今度の法律改正で新たに何かつけ加えたのかという御質問の点につきましては、従来は省フロンだけを対象にしておりましたけれども新たに1・1・1トリクロロエタンの省使用化に関連します設備につきまして従来と同じようなものの対象に加えたということで、法律強化に伴いました支援措置も並行的に拡充をお願いいたしております。  それから金融上の措置につきましても日本開発銀行の特利融資、これにつきましては省フロン型以外に脱フロン型をつけ加えておりますし、同様なことが中小企業金融公庫、国民金融公庫あるいは中小企業の近代化資金貸し付け、いずれのところでも同じような考え方をとっております。したがいまして、規制強化に伴う支援措置の裏打ちも同じような形で整備をしているというのが実態でございます。     〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
  100. 小岩井清

    ○小岩井委員 金融上、財政上、税制上の措置についての御答弁をいただきましたが、この点についてはオゾン層保護していくという前提で脱フロン、省フロン、いずれにしても環境対策をしていかなければいけないわけであります。しかし中小企業についての存立の問題にも関係してきますから、この点については万遺漏なきようにしていただきたいと思います。  続いて伺いますが、オゾン層保護のためのウィーン条約あるいはオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書、これについての加盟国は今何カ国になっていますか。そして主要な国、主要な国という言い方はおかしいかな、主要な国について未加盟の国があるということについても伺いたいと思います。
  101. 藤本進

    ○藤本説明員 お答え申し上げます。  モントリオール議定書に加盟しておりますのは、本年二月二十日現在で六十五カ国及び一機関、この一機関といいますのはECでございますが、加盟してございます。  それで、主に先進国につきましては現在、改正されました議定書につきましても前向きに加入の措置をとっていると了解してございます。その中で、特に後進国の中で中国とインドは非常に重要な国であるわけでございますが、これは昨年六月のモントリオール議定書第二回締約国会議におきまして、先ほど御説明もありましたように、なかなか自分の国に資金力、技術力がないからということでちゅうちょしておったわけでございますけれども、この国際基金ができるということになったことを踏まえまして前向きに検討するということを表明いたしております。私どもといたしましてはこういう重要な国ができるだけ早く加盟してくれることを期待しているわけでございます。
  102. 小岩井清

    ○小岩井委員 ちょっと今、私主要国と言ったが、あなた後進国と言った。取り消しておいた方がいいのじゃないですか、後進国という言い方は。  要するに、二月二十日現在、六十五カ国、一機関ということで、まだかなり少ないですね。特に主要な国、世界影響を与えているような中国とかインドという国が入ってないということですから、これは地球規模の環境保護の問題からも積極的に加盟を働きかけていくべきじゃないかと思うのです。これは大臣、答えていただけませんか。
  103. 中尾栄一

    中尾国務大臣 小岩井委員にお答えさせていただきたいと思います。  私もこれをいろいろと研究いたしますと、少ないなという感じはそのまま委員と同じに否めない事実でございまして、発展途上国も含めましてやはり段階的に六十カ国から、少なくとも今日国連に加盟している国ぐらいはせめて入っていただく。そうでないと、これは全地球的な問題でございますから、一カ国だけこれに非常に熱意があり、中国、インドの例をとらえてみればさほどの積極果敢に今取り組んでいる姿勢には見えないというようなお言葉を反映いたしますれば、やはりこれは全地球的に呼びかけていくというキャンペーンも必要であると私は切実に考えておる次第でございます。
  104. 小岩井清

    ○小岩井委員 今積極的に働きかけていくということですから、そのように進めていただきたいと思います。  それで、発展途上国に対する国際的な代替技術の指導、それからその提供や財政支援の枠組みについて伺います。  先ほどの質問者の答弁の中で一億六千万ドルの基金を創設したという話がありましたね。これについて日本の拠出金は幾らですか。そして、この基金に参加をしている国が何カ国になっているのか。そして今の活動状況を伺いたい。これは財政支援ですね。それから、先ほど申し上げました国際的な代替技術の指導、提供についても伺いたいと思います。
  105. 藤本進

    ○藤本説明員 お答え申し上げます。  モントリオール議定書強化、改定及び基金の創設ということが決まりましたのが昨年の六月でございます。それ以降、現在加盟しておりますのは先進国だけで二カ国でございますが、そのほかの先進国もすべて前向きに検討中ということでございます。途上国からは、現在のところまだ改正されたものについては加盟したということにはなっておりません。  それから、基金の運用でございますけれども、この基金につきましては総額一億六千万ドル、そして先ほど申しましたように、中国、インドが前向きな表明をしたわけでございまして、それを踏まえまして、仮にその二カ国が入れば二億四千万ドルという規模でこれを発足させようということで合意されてございます。その中で我が国の負担分といたしまして、平成三年度予算に約十億七千五百万円を計上いたしております。これは、先ほど申しました一億六千万ドルまた二億四千万ドルは三年間の全体の額でございます、そのうちの一年分のそのうちの日本の負担額ということで平成三年度予算に十億七千五百万円を計上いたしてございます。  今どういう具体的な支援をやっているかということでございますけれども、この支援のフレームワークでございますが、大まかに申しますと、まず国連環境計画というのがございます。これはUNEPと言われているものでございますが、環境の面における専門機関でございます。このUNEPと、それから国連開発計画、それは国連の技術援助を担当している機関でございます。それに加えまして世界銀行、この三つの機関がそれぞれの特色を生かしまして、協力いたしまして運営するということになってございます。  それぞれの中身について申しますと、まず開発途上国のこれに対応するための国家計画といいますか、対策を立てるための人的支援を行わなければならないということで、研修及びセミナー等をまずUNEPが中心になってこれを支援していくということになっております。それに基づきまして、具体的にそれでは各国でどういうプロジェクトといいますか、支援すべきプロジェクトがあるかということ、そしてそのプロジェクトが本当に可能であるかというような、いわゆるフィージビリティースタディーというものをやっていくものといたしまして国連開発計画がそれを担当するということになっております。それを踏まえまして、実際に大きいプロジェクトに融資をしていくというのが世界銀行というぐあいに、一応分担をいたしましてこれを進めることになっておるわけでございます。  ただ、具体的にどういう種類のプロジェクトにどういう形で金をつけるのが一番効率的であるかということにつきましては、この基金の執行委員会というものが設けられておりまして、ここに先進国それから開発途上国、各七カ国によりまして代表が出ております。我が国もその中の一国に入っておるわけでございますが、ここにおきまして基金の管理方法、そしてどういうぐあいの執行が一番望ましいかということにつきまして検討しているところでございます。この基金の本格的な活動は本年の後半より行われる見込みであると考えております。
  106. 小岩井清

    ○小岩井委員 基金の執行について今検討しているということでありますけれども、先ほどこのモントリオール議定書に加盟をしているのは六十五カ国一機関ということでありましたけれども、これはもちろん基金の執行に当たっての対象になる国――これは加盟国ですか、それとも加盟国以外も対象になるのですか。
  107. 藤本進

    ○藤本説明員 六十五カ国、その中の開発途上国と言われているところで、しかも一人当たりのフロンの使用量が〇・三キログラム以下というものがこの支援の対象となってございます。
  108. 小岩井清

    ○小岩井委員 今の基準で言うと、具体的には対象は何カ国になりますか。  それとあわせて、本来この基金の執行に当たって、対象になる国が未加盟ということは極めて大きな問題ですけれども、それは加盟を積極的に働きかけていくということでありますから、今後の努力に待ちたいと思うわけでありますけれども、その点お答えください。
  109. 藤本進

    ○藤本説明員 現在援助の対象になります途上国は三十六カ国ございます。
  110. 小岩井清

    ○小岩井委員 積極的な発展途上国に対する働きかけ、そして代替技術の指導、提供、財政支援について取り組んでいただきたい、このように要望いたしておきたいと思います。  それでは次に移りますけれども、地球規模の環境保全の問題としては、地球温暖化防止、CO2の排出削減問題があります。これらを初めとして、人類生存のための地球環境保護という視点から、オゾン層保護についても極めて大きな国際的な高まりがあるわけですけれども、これは、特定フロン等を全廃するそのスケジュールを繰り上げようという動きが出ていると聞いています。この点について現状はどうなっているのか、この点について伺いたいと思います。
  111. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 特定フロンの全廃時期を繰り上げるかどうかという点が前回のロンドンでの締約国会議でも、その前の作業部会で議論になったことは御指摘のとおりでございます。それで、大枠としては現在の方向でほぼ固まっておりますが、九二年に改めて見直しの議論を行う、かつ四年ごとにそのときの科学的知見に基づきまして見直しを行うということになっております。それで、大宗は現在の規制スケジュールが適切であるということであり、結論としてはそれで合意をしたわけでございますが、一部の議論の中に先ほど来の議論の九三年、九四年というものの規制水準をどうするのかという問題、それから全廃を二〇〇〇年より少し前に繰り上げてはどうかという議論がございますので、今後そういう議論が行われますが、あくまでもその根拠は科学的知見に基づいて最も適切な時期というところが、判定が出てきますので、それを踏まえての対応ということが基本的な方向だと思っております。
  112. 小岩井清

    ○小岩井委員 この点について大臣から御答弁いただきたいと思いますけれども、九二年にもう一度議論するということになっているということでありますが、日本国としてのこれに臨む立場、この点について大臣から御答弁いただきたいと思います。  それから、さっき後進国と言ったのを訂正しておいた方がいいんじゃないかと言って、まだ訂正ありませんよ。そのまま会議録に残るよ。その点、どうですか。
  113. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず、訂正問題としても御進言賜りましたが、これは即座に私の責任においてもさせたいと思います。  それから、今までの政府答弁の中で財政の問題も出ましたけれども、これもちょっと付言させていただきますと、指定物質につきましては今後しかるべき措置といたしまして積極的にこれは取り組んでいくこともお約束を申し上げたいと思っております。  さらにまた、今の地球環境の高まりの中で特定フロンの全廃繰り上げの動きがあるということを聞いているが、この現状と見通しということでございますので、率直にお答え申し上げたいと思います。  今回の議定書の改定におきましては最新の科学的知見及び現在見込まれておる技術開発の進捗状況をベースにいたしまして従来の規制スケジュールを見直したところでございますが、このスケジュールは、まず第一に世界各国が対応できる最も厳しい規制内容であるということも現実でございますが、第二点はオゾン層保護のために十分な水準のものである、こう私ども承知つかまつっている次第でございます。しかし、一層の規制強化の可能性、なかんずく二〇〇〇年より早い時期の全廃というものを求めまして、一九九二年に再度議定書を見直すことになっているところでございます。この際、我が国といたしましては、今後の新たな科学的知見及び新たな技術開発の成果等を踏まえながら、積極的な対応を図っていく心算であることをまずもって御報告を申し上げたいと思っておる次第でございます。
  114. 藤本進

    ○藤本説明員 先ほどの後進国と申し上げましたのを開発途上国に謹んで訂正させていただきます。
  115. 小岩井清

    ○小岩井委員 時間が参りましたので、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  116. 奥田幹生

    奥田委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ────◇─────     午後一時三十一分開議
  117. 奥田幹生

    奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鈴木久君。     〔委員長退席、佐藤(謙)委員長代理着席〕
  118. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 私は、オゾン層保護に関する法律質問に入る前に、一昨日大臣に対する所信の質問におきまして原子力発電所問題についてただしてまいりました。重大事故であるという認識の上に立って通産省サイドでもしっかり対策をしていく、そういう意味での回答がなされたわけでございますけれども、実は、きょうの新聞を見てちょっと唖然といたしたのであります。通産省が今回の事故で緊急対策として指示をした事項について、通産省に来たときには了解をしていったにもかかわらず、帰っていってああいう反発するような発言をするというのは、まことに行政指導に従わないような発言でございますから、特に、ECCSが働かないように、できるだけ早くマニュアルを改善して、放射能レベルが二〇%ぐらいになったら炉をとめよう、こういうような皆さんの指導を不満であるというふうなことが一つ。もう一つは、原因究明が半年もかかってしまったらとんでもない、一カ月くらいでやったらいいんだ。  これはまさに、一昨日の皆さん方のこれに対する対応、とりわけ今度は東電の第二原発の再循環ポンプの事故と同じように調査委員会をつくって原因は徹底的に究明をいたしますということをこの場でお約束している、その問題に対してそれを全く否定するような発言を関電の副社長がやるというのはまことにゆゆしき事態です。これは通産省の指導を真っ向から否定する発言というふうに言わざるを得ませんので、この発言に対する通産省考え方、態度、今後の方針、これは大臣にぜひしっかりとした指導指針も含めて考え方を聞かせていただきたいと思います。
  119. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず一般論から申し上げまして、それからこの問題に対する推移あるいはまた背後事実、そういうことについてもお話し申し上げたいのでございますが、私も実はきょう新聞を読んだことでございますので、驚きまして早速聞いてみたというところでございます。その聞いておる範疇においては、決して決してそのような形だけで報道されている姿だけではないという感じもしますので、その点はまた政府委員で補足答弁みたいな形になるかもしれませんが、お許しをまずもってお願い申し上げたいと思います。  まず、関西電力株式会社の美浜発電所二号機の自動停止の件につきましては、一昨日当面の対応方針を取りまとめまして、今後原因究明を進めていく上で専門的、技術的な立場から御審議をいただく調査特別委員会の設置等の措置を講ずることにいたしたわけでございますし、今後はまた調査特別委員会の御意見をも伺いつつ、徹底した原因究明を行うことにより原子力発電の一層の安全の確保に最大限の努力を払ってまいりたい。これは私どもの基本方針であることは一貫しておるわけでございます。  そこで、美浜発電所二号機の自動停止等につきましては、通産省として現段階においてとるべき対応につき方針を取りまとめて、昨日十九日に加圧水型炉を有する各社の副社長を招集いたしまして、各社のとるべき措置について指示を行ったばかりのところでございます。この指示に対して、関西電力を含めた各社から、指示を厳粛に受けとめて確実に実行していきたいとの返答を受けているところでございます。  当省としましては、今後とも各社において指示が確実に実行されるよう指導していくとともに、本事象について徹底した原因究明に努めまして、再発阻止対策の確立を図りまして原子力発電の安全確保に万全を期したいと考えておる次第でございます。  その後の記事として発表された問題点につきましては、私自身も報告を受けている事情もございますけれども政府委員から答弁をいただいた方がなおかつ明快になろうかと思いますので、その点もお願い申し上げたい、こう思う次第でございます。
  120. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 それでは、大臣のお答えを補足して御説明させていただきます。  新聞報道につきまして関電の発言をした副社長からけさ電話がございまして、自分の真意が必ずしも正確に伝わっていないということで釈明のおわびの電話がございました。そして、同副社長、けさ十時から真意について説明するための別途の記者会見をやったそうでございます。その中で真意 は説明されておると思いますので、それをごらんいただきたいと思います。  いずれにいたしましても、今大臣が申されましたように、私ども今回の徹底的原因究明を行うわけでありますが、原因究明が完了し、対策が明確に打ち出されるまでの当面の対策といたしまして、緊急に安全運転に留意をする、そのやり方について各社に指示をしたわけでございます。具体的には、昨日加圧水型の原子炉を扱っております五社の担当の副社長クラスを集めて指示をしたわけでありまして、関西電力を含め各社これを厳粛に受けとめ、慎重に管理をしていくということの約束をいただいているわけでありますので、そのように私どもは理解をしております。  それから、御指摘のもう一点の原因究明に半年かかる云々のくだりにつきましては、私どもの方は、一昨日も御説明しましたように専門家から成ります調査特別委員会を発足させ徹底的な原因究明をやるわけでありまして、これは進めてなるべく迅速に行いたいとは思っておりますけれども、原因の徹底究明が優先課題でございますので、今の段階でいつまでにということは申し上げられる状況ではございません。  なお、委員会につきましては、東京大学の飯田國廣名誉教授委員長といたします十八名の委員会を発足させまして、本日一時半、先ほどでございますが、通産省の中で第一回の会合を開いているところでございます。そういうことでございますので、どうぞ実情を御了解いただきたいと思います。
  121. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 通産省が今この経過を踏まえておやりになろうとしていることは私にもわかるのですよ。ただ、皆さんがきのうそういう指導をした、帰っていって、まあいろいろ釈明をしているようでありますけれども、私は、むしろここに出たのが関電の本音かな。だとすると、重大事故が起きて周りの住民が物すごく不安を感じている、そして原因の徹底究明をしてほしい、そういう強い願いがあるし、これは原子力発電所の指導をする通産省としても、これからの原子力問題について国民に信頼を得る立場からいえば、このようなことを勝手に言って皆さんの指導に従わないような状況というのは、言ったらすぐあるなどということはもう到底考えられないことだ。そこの点については、私は、むしろ安全よりも経済優先というか運転優先の姿勢が、本音がちらり出たのではないかという気もしてならないのです。ぜひ大臣から、こういう態度が出たことについて一体どういうふうに考えているか、これだけはしっかり御回答いただきたいと思います。
  122. 緒方謙二郎

    ○緒方政府委員 大臣からお答えがあります前に、一点だけ御説明させていただきます。  昨日、副社長を集めて指示をいたしましたときに、その中身は、暫定的な措置として、二次冷却水水質等のパラメーター、放射能濃度でありますが、これに有意な変化が認められた場合には原子炉の運転を停止する措置を直ちに講ずることという指示をしております。そして、私どもは、先般来御説明しておりますように、有意な変化をどうやって認めるかといいますと、これはブローダウン水モニター、いわゆるR19ですが、およそ一分間に一つずつくらい計測値をドットの形で打ってまいります。したがいまして、当然、それにはばらつきがあります。このばらつきはある程度まとめてみませんと傾向が把握できません。したがって、それである程度の傾向を把握して、それが有意な変化であるかどうかという判断をするわけであります。そこで、実際には今回の事象では、十二時四十分くらいに、一分間に一つずつくらい出てくる点が全体の傾向として少し上がっているなということを運転員が気がついたわけであります。上がった水準がおよそ二〇%くらいであったわけであります。したがって、私どもはそういう程度の段階でとめてくれということを言ったわけでありますけれども、仮に二〇%上がった場合には直ちにとめるという字義、言葉だけをとらえて非常に厳格にやりますと、データ自身は一分間に一つずつ出てきて、放射線でありますから現象的に非常にばらつきがあります。したがって、そういう技術論が若干、これから具体的なやり方について手順を決めていかなければならない点である。こういう点は技術問題としては残っているのではないかと思います。そこがあの発言の裏にあったのかどうか真意は正確にはわかりませんけれども、一応御参考までに御理解をいただきたいと思います。
  123. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず私も技術的な内容について、レベルが二〇%以上上がったら云々ということは私自身も技術者ではないからよくわかりません。しかし、いずれにせよ、ここの委員会は言うに及ばず国民全体にわたって、原子力発電所の問題等々の問題点というのはある意味における皮膚感覚的に非常に深刻に受けとめ、なおかつちょっとでもこれに問題点があるとするならば、これはもうゆゆしき問題だということにおける認識国民一様、だれしもが考えている問題でございます。したがいまして、それを真剣に考え、真剣に受けとめておるがゆえに、一昨日の討議におきましても、この委員会を通じてありとあらゆる角度からこの問題点については慎重であってもらいたい、また慎重であるべきだ、また慎重でなければ次の拡張にもつながらないぞという御忠告も受け、なおかつ我々も厳粛に受けとめておるわけでございますから、この点の認識においては私どもも全く変わっておりません。それだけにどういう記者会見の内容か、私の手元に片言隻句、全部が来ておるわけではございませんから私も言いようがございませんけれども、かりそめにもそのような誤解を与えるようなことがあっても相ならぬと思いますので、厳重にこれも注意して受けとめ、なおかつ、私もこれをフォローしていきたい、こういう気持ちで考えておった次第でございます。なおかつ、鈴木委員にもその点は個人的にもまた報告させたいと思っております。
  124. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 申し上げたいことはたくさんあります。でも、きょうはこれが主題ではありませんからこれ以上申し上げませんけれども、少なからず原子力の安全確保という立場からいっても――きのうの発言は新聞記者会見ですからね。これは一社だけじゃないですよ、たくさん書いているのですから。そんな、後から釈明しても済まないような重大な発言をしておることは間違いないので、こんなことが再び起こるようであっては、とてもじゃないですが、この事故問題について真剣に関電が考えているというふうには受けとめられませんので、絶対にそのようなことのないような指導をきちっとしていただきたいということだけ最後に申し上げて、本論の方に入らせていただきたいと思います。  午前中からいろいろ質問をいたしておりますけれどもオゾン層問題については、文字どおり、モントリオール議定書が締結され、地球レベルの環境問題として国家や体制をはるかに超えた意味で、地球に生きる人間すべての共通のテーマという形での議論が出てまいっております。極端なことを言えば、病める地球をどうするかというふうなテーマが文字どおり今大きなテーマになっていると思っております。宇宙に行かれた方々の発言というのは、みんな宇宙から地球を見て共通して言っているのは、地球は汚れて危ない、地球の保全を真剣に考えなければいかぬということを言っております。せんだって、ジャーナリストとして初めて宇宙に飛んだ秋山さんのレポートにもそういうことを言っておられるようでございました。その意味では、真剣に我々も受けとめなければならない課題だと思っております。  その代表的な一つにこのオゾン層問題があり、あるいはまた酸性雨の問題、熱帯雨林がどんどん減少していくこと、砂漠化をする問題、あるいは海洋汚染や有害物質が国境を越えているというふうなこと、それでこれから最も大きな問題になろうと思われているのが地球の温暖化の問題であろうと思っております。しかし、これらを全部見てみますと、どう見ても、先進工業国が大量に消費している石油問題を含めて、大体、その辺が一番大きな汚染源になっている。あるいは先端技術産業などにいろいろな生産過程でかかわっている化 学物質ども大きな汚染源になっているということからいえば、我が国のようなそういう汚染源を大量に使っているところは責任が重いなということを、私は本問題をずっといろいろと勉強させていただいてみて、よくそういうことを痛感いたしました。したがって、オゾン層保護に対して国際的に協力関係が結ばれて、議定書が締結されて、いわゆる各国がそれに対する規制に乗り出したという点では、国際協力では一番前へ行っているものだなと思っております。ですから、これをしっかりと一層前進させるという立場で私ども本問題については議論をさせていただきたいと思っているわけでございます。  その中で、私は、これから特に日本の役割としては、国際協力の問題についてまず最初に質問したいと思うのです。特にこの議定書の中でも、いわゆる開発途上国などへの援助という問題についてはかなり重要なテーマとして取り上げられておりまして、国際基金も積み立てて、そういう技術レベルの低いところには進んでいるところが援助をしようという形での相互協力関係も打ち立てられております。そこで、もちろん、そこには代替品なんかの技術開発の問題や観測の問題やいろいろな角度での援助の内容というのはあるわけでございますけれども、そういう問題について、特に私はこの議定書が結ばれる過程を見ますと、いまだかつて中国が入っていない、あるいはインドも入っていない、韓国も入っていないという理由が、やはり開発途上国で規制をやったならば大変国内問題でまだ難しい問題があるということから、多分そういうふうになっているのだろうと思うのですね。そういう意味で中国や韓国やインドがまだ入っていないというふうなことと、入っていない中身の主だった点というのはどういうふうにまず把握をされているのか。そして、将来これが加盟する方向に今向かっているのかどうか。同時に、これらの開発途上国に対する援助の国際基金というのは一体今どういう状況で積み立てられているのか。これは三つになりますけれども一緒にお答えいただきたいと思います。     〔佐藤(謙)委員長代理退席、委員長着席〕
  125. 藤本進

    ○藤本説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、先進国が今まで工業化、産業化の過程で行った活動が現在の地球環境に大きな影響を与えているということは事実でございまして、そういう観点からもこの取り組みにつきましては先進国、途上国すべてを動員した取り組みが必要なわけでございますけれども、その中におきましても、先進国が率先して必要な措置をまずとっていくということが必要でございます。それとともに、先進国としましては、御指摘のとおり途上国が必ずしも十分な対応力を持っていないのではないかということでございますので、そういう途上国の努力を促すような、可能ならしめるような種々の措置をとっていく必要があると考えております。具体的には、資金協力、そして同時に技術移転ということが大事だと考えております。その観点から、モントリオール議定書に昨年六月の締約国会議におきまして国際基金が設定されたわけでございます。現在この議定書に加盟しております途上国は三十六カ国でございます。この三十六カ国がこの基金による支援を受けることができるということになるわけでございます。その支援の受け方でございますけれども、これは現在、具体的なその対応につきまして検討が行われているところでございます。  大まかに申し上げますと、まず途上国の国内対応を可能ならしめるような人的な資源開発するという観点から、セミナーとか研修会を開くということが必要かと存じます。その次に、各国別の対策のプログラムをつくってもらうということが必要になってまいります。そして同時に、そのプログラムの中に入っております具体的なプロジェクトを推進する。こういう三段階といいますか、三つの分野で必要性が出てくるわけでございますが、その各分野におきまして、現在国連の関係機関でございます国連環境機関といいますかUNEPというのがございますが、これが最初の技術移転といいますか、セミナー、そういうものを担当しております。二番目の国別の計画作成というような技術協力につきましては、UNDPといいます国連開発機関というのがございますが、これが担当して推進しております。そして、具体的な最終的なプロジェクトの推進につきましては世界銀行が担当することにいたしておりまして、この三つの機関が協力いたしまして推進することとなっております。  具体的な細かい、どういうプロジェクト、どういう形で資金を回すか、こういうことにつきましては非常にテクニカルな問題がございまして、現在その基金に組み込まれてございます委員会でその詳細について検討がなされておるところでございまして、この基金はことしの後半ごろから具体的に動き出すことになる、こういう具合に考えております。  以上でございます。
  126. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 基金の総額というのはどのぐらいになるのか。それで、現在日本はそれにどのぐらい積み立てていらっしゃるのか。それから、今中国や隣の韓国、そういうところが未加盟ですね。こういうところが入ればその基金はもっと積み増しをするという約束もできているようなんですね。それらについても少し具体的にお示しいただきたい。  同時にもう一つは、これは外務省かどうかわからないのですけれども、現在中国、韓国、インドなど未加盟国から実はフロンの製品というのが日本に輸入されている。未加盟国からそういうフロンが入ってきているということについては、ほとんどその規制をできない。例えば私のところにもらった資料からいえば、家庭用冷蔵庫でいえば韓国から九万五千台も今現在輸入している。それから乗用車などについても、韓国から三百台も輸入している。ここにはみんな一定の冷却用のフロンとかそういうものが入っているわけですね。そういう規制というものを含めて将来考えていかなければならないことなんでしょう。ですから、いわゆる未加盟国の問題とあわせたそういう対策についてもお示しいただきたいと思います。
  127. 藤本進

    ○藤本説明員 お答えいたします。  まず基金の額でございますが、ことしから三年間にわたりまして、全体で一億六千万ドルを前提として計算してございます。ただ、前回の締約国会議におきまして、インドと中国がこの基金ができたことを評価いたしまして、前向きに検討するということで加盟の意図を表明しておりますので、中国とインドが入ればということで二億四千万ドルまで拡大するという形になってございます。その中で日本の持ち分でございますが、これは最初の一年分になるわけでございますが、来年度予算におきまして十億七千五百万円を計上させていただいております。中国、インドにつきましては、そういう前向きの表明が既に正式にあったわけでございます。その他の国につきましても、例えば韓国、これはまだ未確認でございますけれども、韓国におきましても前向きの検討が進んでいる、こういうぐあいに聞いております。
  128. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 今委員が後段で御指摘の韓国、中国、インド等からのフロンを含む物質の輸入でございますけれども、御指摘なさいましたとおり家庭用冷蔵庫につきましては、最近の統計では韓国九万五千台、中国からは三台、インドからはゼロ、乗用車では韓国からは三百台、中国から十台、インドから四台、エアゾールにつきましては分類が通関上ございませんので把握できませんが、量としては多くはございませんが、入ってきておることは事実でございます。  それで未締約国がフロンを増産し、それ自身を輸出する、あるいはそれを使った製品を輸出するということになると、本来の地球環境保護という目的を達しないことになりますので、それらを含む物質の貿易取引についてどう扱うかという点については、今締約国の中で議論をしておる最中でございます。  それで現在の方向として決まっておりますことは、規制物質そのもの、フロンそのものの輸入は 九〇年一月から、附属書Aにございます八品目については禁止されております。それから附属書Bの新たに規制になりましたものにつきましては、九二年末までに禁止になります。それから規制物質を含んでいる物質先生指摘の冷蔵庫、自動車等でございますけれども、これにつきましては、附属書Aに記載しております品目につきましては一九九一年末までに規制リストをつくりまして、リストができてから一年以内に輸入制限の措置をとるという一致行動が検討されております。それから附属書Bにつきましても同じように九四年までに検討をし、その後リストができましてから一年以内に実行というふうなことで、非締約国がフロン生産し、それを利用して商品をいろいろ締約国にも輸出をしていく、抜け穴をつくるということは、ぜひ穴を埋めたいということで議論をいたしております。
  129. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 そうすると、基金の話ですけれども、今お答えになりました一年分として十億七千万というのは大体この三倍というふうに考えていいのかどうか、ひとつそれは後で確認をしていただきたい。  それで、私は冒頭申し上げましたけれども日本の役割としては、こういう環境問題に対する援助というのは大変技術的にもしっかりしているものを持っているわけですから、どんどんやるべきだろうというふうに思うのです。これまでも公害対策にかかわる経験や技術援助というものもいろいろとやってこられたと思います。特に、このオゾン問題を考えたときに代替品開発の問題あるいは回収装置の問題あるいは破壊、分解の技術の問題、いろいろな対策のノーハウを含めた専門家の育成や研修の受け入れ、そういう問題については特に低開発国に対してどんどんやるべきなのではないだろうか。私は、その中でこれまでODAとしてこれらの問題についてどのような援助をしてきたのかということをひとつ回答をいただきたい。これは、その中に入るのかどうか、私よくわかりませんけれども,具体的にお伺いしたいのは、竹下さんが中国へ行かれて、日中の間で約束をしております日中友好環境保全センターの設立という問題があって、これが天安門事件などいろいろあって一時中座をしておりましたけれども、また再開しておるというふうに伺っております。これは、こういうオゾン対策なんかを含めてどんな役割を日中友好環境保全センターというのは果たすことになるのか、この点をお伺いしたい。同時に、これはタイについても環境研究研修センターというのをこれまた二十五億くらいで建設援助をいたしております。これらも今多分御回答になった研修セミナーの問題やそういう問題が主になっていると思いますけれども環境モニタリング等々いろいろな意味でこれが果たす役割は大きいだろうと思うのですけれども、このタイの研修センターの中身についてもこの際お示しいただきたい。  それから今度は、日本にこういう技術者の研修などで受け入れて専門家を育成するというふうな意味で、今日までもいろいろな実績があろうと思うのです。その実績と同時に今後の方針といいましょうか、これも改めてお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、高村委員長代理着席〕
  130. 藤本進

    ○藤本説明員 まず多国間の件について申し上げます。  先ほど申し上げました額につきましては、これは今年度分でございますので、大体三倍ぐらいとなると私どもは見込んでございます。ただ、プロジェクトがだんだん後になるほどふえてまいりますので、一遍に毎年同じ額というよりは、だんだん上がっていく形になるのではなかろうか、こういうぐあいに考えております。  それから先生指摘技術移転の問題でございますが、こういう国際基金を通じてやる援助に加えまして、私どもとしましてはUNEPという先ほど申し上げました国連の環境機関の地球環境保全技術センターというものを我が国に誘致いたしまして、そこを拠点に国際的な技術移転を図ってまいりたい、こういうぐあいに考えてございます。  あと二国間の援助がございますので、それはまた答えさせていただきます。
  131. 小島誠二

    ○小島説明員 お答え申し上げます。  まず環境保全のための我が国の協力、政府開発援助につきまして基本的な私どもの方針を申し上げます。  私どもは、環境保全のための政府開発援助に積極的に取り組んでおるところでございまして、八九年のアルシュ・サミットにおきまして、八九年から九一年までの三年間に、二国間さらには多国間援助を三千億円程度、これをめどにいたしまして拡充強化するという方針を明らかにしております。ちなみに、八九年度の実績がございますけれども、もう既に約千三百億円程度を実施しておるということでございます。この基本的な方針は、私ども今後とも維持をしていきたいと考えておるところでございます。  次に中国の関係でございますけれども、ただいま御指摘がございました日中友好環境保全センターでございますけれども、これは昭和六十三年八月、当時の竹下総理が訪中されましたときに、環境のモニタリングでございますとか、研究、人材育成、こういったことを目的に設立するということでございまして、これに対して支援をするという約束をしたわけでございます。具体的には、無償資金協力によりましてセンターを建設するということ、それから、私どもプロジェクト方式の技術協力と言っておりますけれども、それによりまして、人材の養成でございますとか技術移転を行うべく、累次にわたりまして調査団を派遣しておりまして、本年の一月に、詳細設計に関しますENを締決済みでございます。したがいまして、私どもといたしましては、非常にスムーズに協力を進めておるところでございます。  オゾン対策との関連でございますけれども、今のセンターの目的の中に直接オゾン対策ということは入ってございません。ただ地球環境問題ということについては、対象にするということにいたしております。  それからタイでございますけれども、タイにつきましては、これもいろいろな多方面の協力をしておるわけでございます。研究訓練センター、これも協力の一環でございます。ただ、この訓練センターの目的も直接にオゾン層についての対策ということは含まれておりません。  それから研修員受け入れ、専門家派遣等、オゾン層保護に関連する政府開発援助の現状がどうであるかということでございますけれども、これにつきましては、専門家の派遣でございますとか研修員の受け入れを実施しておるところでございます。専門家の派遣につきましては、韓国に八八年度に、オゾン観測機器管理、補修の専門家、一名でございますけれども、派遣したところでございます。また九〇年にマレーシアでUNEPのオゾン層保護セミナーが開催されたわけでございますけれども、ここに講師を一名派遣しております。さらに研修員の受け入れといたしましては、今年度、オゾン層保護対策セミナー、もう一つございますけれども特定フロン等使用削減技術、これは二つの集団研修コースと私ども言っておりますけれども、そういう特別のコースを新設いたしております。  私どもといたしましては、この部分は比較的新しい分野でございまして、今申し上げましたように必ずしも実績が多いわけではございません。今後とも、この方面での技術協力というものにつきましては重視をしてやっていきたいと考えておるところでございます。
  132. 加藤三郎

    加藤(三)政府委員 先生冒頭に触れました地球環境問題の重要性につきましては、環境庁も全く先生のおっしゃったような認識と同じ認識に立ちまして、途上国に対する環境協力も含めまして、オゾン層あるいは温暖化の問題等々につきまして対策を強化いたしているところでございます。特に昨年の七月に環境庁の中に地球環境部というのを設けまして、この問題に一元的に当たっておるところでございます。  今先生からお尋ねありました例えば日中友好環 境保全センター、あるいはタイの環境研究研修センターにつきまして、先ほど外務省の方からお答えがございましたが、私ども環境庁といたしましても、いわば専門的な立場から外務省のこのプロジェクトに対しまして協力をさせていただいておるということでございます。  それから研修につきましても、環境庁が発足いたしましたのが昭和四十六年度でございますが、その二年後の四十八年度から途上国の研修員の受け入れを開始いたしまして、日本で苦い経験をいたしました公害問題、それを克服するための制度面あるいは技術面でいろんなことをやってまいりましたので、そういったものを途上国にお伝えをすべく、先ほど申しました四十八年度からやってまいりましたが、最近は非常にそのコースがふえてまいりまして、四十八年度の時点ではわずか一コースで開始いたしておりますが、現在環境庁がお手伝いをしておりますコースが全部で十五コースというぐあいにふえてきております。それから、環境分野で我が国から途上国に派遣する専門家の数もかなりふえてきておりまして、最近は全世界的な地球環境問題の高まりの中で需要がふえておりまして、私どもいわば大わらわでそういったものの対応に追われているところでございます。  いずれにいたしましても、先生がおっしゃいましたように地球環境問題を克服していくためには途上国の協力なくしてはあり得ないということでございますので、外務省が中心になってやってくださっております資金面、それから環境庁は、私どもが持っている技術面で御協力を申し上げたいというふうに思っておる次第でございます。
  133. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 そのほかESCAP等の問題についても通告をいたしておりましたけれども、時間がありませんから申し上げませんけれども、いわゆるODAを含めた環境援助問題というのは日本にとって、先ほどから議論されておりますように、開発途上国に対する援助としては極めて有効な援助だろうというふうに思いますので、積極的に進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。  次に、オゾン層観測あるいはまたオゾン層状況といいますか状態の影響問題について気象庁を中心にお伺いをしたい。先ほどもちょっといろいろと質問がありましたから多少ダブることになるかもしれませんけれども、現在のいわゆる南極や北極などのオゾンホール観測等の問題、これは人工衛星やその他南極にある各国の観測所などがしっかりとおやりになっているようでございます。あるいはまた、日本も気象庁を中心にずっと、札幌、つくば、鹿児島、那覇などで観測をされているというふうにお伺いをしております。総体的に言って、オゾン層がどういう状況に推移しておるのかということが一つですね。それから、これからの観測体制の問題で、例えばアメリカでは人工衛星等でもかなり観測をやっておるわけでございますけれども日本が今やっている以上、新たにどういう観測上の協力というのを強化ができるのか、その点をまずお伺いしておきたい。
  134. 櫻岡勉

    櫻岡説明員 お答えいたします。  オゾン層状況につきましては、北半球の中高緯度におきましては全体として十年間で約一%のオゾン濃度の減少が指摘されておりまして、気象庁においては三十二年以降全国四カ所でオゾン観測を行っておるわけでございますが、日本上空につきましては有意な減少は見られていないところでございます。一方、南極地域につきましては、御存じのとおりオゾンホールといいまして春の大規模なオゾンの減少が一九八〇年以来確認されているところでございます。一九九〇年の春期におきましては、今まで最も減少が激しかった一九八七年に次ぐ減少が見られました。また、その十月につきまして、オゾンホールが始まる以前の値と比べますと約五〇%の減少となっております。  それから、気象庁におきます観測体制でございますけれども、御存じのとおり、全国四カ所で三十二年以来観測を継続しております。昭和基地においても実施しているところでございますが、さらに平成二年以降、オゾン層の破壊に直接関連いたします紫外域日射量につきましての観測を定常的に、同じ四カ所で逐次開始したところでございます。  気象庁については以上でございます。
  135. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 アメリカのNASAで行っている人工衛星等のこういう、これは気象庁じゃないのでしょうけれども日本技術レベルからいったらそういう貢献というのをこれからもう少し、今やっている気象庁の観測以上の新たなオゾン層に関する観測という問題に取り組む、そういうふうなことについては何か新たな方針を持っているようなことはございませんか。
  136. 古市圭治

    古市政府委員 人工衛星における測定値というものもアメリカ等から得られたものを分析しておるわけでございますが、我が国におきましても、ADEOS、地球観測プラットホーム技術衛星ということでございますが、これによりまして一九九五年からこういうような各種の測定にも取りかかりたいというふうに考えております。
  137. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 次に、新たに規制物質を追加して今回提案されている法律の中身について少しお伺いをしたいのですけれども、これまで、新たに追加される以前にもこの法律はいわゆる指定物質等で一定の規制をしたりしてまいったわけでございますが、そこからまずお伺いをしたいのです。  これまでハロンあるいはフロンに関して、私のところに生産量その他の数字を通産省からいただいたのですけれども、ハロンについては数量が、これは製造量も消費量もどちらも業界調べという数字しか挙がっていないのです、私のところに報告になっているのは。ところがこの法律、六十三年五月に制定された法律からいえば、フロンもハロンも生産量を全部報告をしてちゃんと許可をするということになっている。この法律の附則からいっても、附則の第二条で、「通商産業大臣は、第三条第一項第一号に規定する生産量及び消費量の算定を行うため、昭和六十一年に特定フロン又は特定ハロンの製造、輸出又は輸入を行つた者に対し、その数量の報告を求めることができる。」こうなっている。にもかかわらず、どうしてこういう実態なのかなということを、私資料をもらって改めて感じたのですね。皆さん方がこれまで特定フロンやハロンのそういう報告を受けて、しっかりした数字をもうとっくに把握をして、それに対する対応をやっていらっしゃるのだろう、私はこういうふうに思ったのですけれどもフロンについてはこれは皆さん方の調べた数字でしょう。ハロンについてはこういう資料しかないというのは一体どういうことなのか、その辺のところから、どういう取り組みをしたかも含めてちょっとお示しいただきたい。
  138. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 お答え申し上げます。  現在特定フロン規制に入っておりますけれども、現在の法制上は、規制をした場合に数値がとれるという状況になっております。したがって、ハロンにつきましては九二年から規制になりますので、それからとれるということでございます。それで、そういう態度でいいのかという御指摘でございますけれどもその辺正確な数値を役所としてとるべきであるということで、今回新たな法律改正をいたしまして、生産量、輸出量等々を法律に基づいてとるという改正をお願いしておるわけでございます。
  139. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 前の法律でもそのことはとっくにやっておらなければならぬのではないですか、これは。附則からいっても、六十一年の段階でその数量を報告しなさいというふうに言っているのですよ。ちょっと今の発言はおかしいんでして、では、附則はどういうふうなことなんでしょうか。これからの新しい問題も含めて、まあそんなことを言ってもしようがないので、やってないのはやってないんでしょうから、しっかりその辺からわからないんじゃ、この法律は何とも、生産量、蛇口を締めようというのですから、生産量が把握できない、業者も把握できないというのじゃ問題があろう、こういうふうに思うのですね。新たに追加された問題を含めてどのような形で調査をやろうとしておるか、ちょっとその辺確認をしておき たいと思います。
  140. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 まず数量の把握ですが、ちょっと付言させていただきますと、例えばハロンでございますと製造メーカーは三社でございます。それからフロンでございますと五社でございます。したがいまして、それぞれの企業から十分なヒアリングは実はやっておりまして、そういう意味の把握はいたしております。法律に基づく罰則担保の徴集をやっていないという意味で業界調べと言っておるわけでございまして、役所がみずからそれぞれの企業生産実績を事実上は押さえておるということが実は実態でございます。  それで製造の許可等でございますけれども、それにつきましては、供給の安定性あるいは公平性、需要者が従来のルートから可能な限り受け入れられるようなというふうなことを考えまして、規制の基準になる年次の各社ごとの生産量等を中心にいたしまして割り当てをやるという考え方でございまして、フロンについてはそういう形で既に実施をいたしております。一部実態における修正はございますが、基本的考え方はそういう運用でございます。
  141. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 その問題は、新しく追加された四塩化炭素やメチルクロロホルム等についてもしっかり把握をしていただきたいと思うのですけれども、そこで、特に新しく今度規制物質に指定追加された四塩化炭素やメチルクロロホルムについては、国内生産と、どう見ても輸入がかなりあるのですね。これは通関統計の部分も合わせて、国内製造量の、例えば四塩化炭素でいえば、消費量が倍になっているということからいえば、かなり多くの輸入をしているだろうと思うのです。この輸入問題については、なかなか業者が多いのだろうと思うのですけれども、どういう対応をする考え方ですか。特にその輸入先がどういう国かということも含めて、概略で結構ですからちょっとお答えいただきたい。
  142. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 新たに規制の対象となりますトリクロロエタン、四塩化炭素でございますけれども、まずトリクロロエタンにつきましては、製造量が十六万三千トン、八九年の工業統計でございます。それから消費量が十八万トンでございますので二万トン余りが輸入をされておるということでございます。それから四塩化炭素でございますけれども、製造が、同じく化学統計で五万七千トン、消費量が十万一千トンということで五万トン弱のものが輸入をされております。輸入は、多くは米国あるいは一部ヨーロッパということで、先進的な工業国における大化学企業が製造したものを輸入しておる、そういう実態でございます。
  143. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 そのほかいろいろ通告をした代替品開発の問題等々については、午前中の質問でわかりましたので割愛をさせていただきたいと思うのです。  時間もなくなりましたから、最後に、いわゆる環境保護に対する法律の問題といいましょうか、特に国際法と国内法、日本の国内法の環境保護のあり方の問題について少し、これは通告してない部分もありますけれども、お答えをいただきたい、こんなふうに思うのです。  このオゾン層保護に関する法律というのは、文字どおり、先ほど冒頭申し上げましたように、まさに地球環境規模での国際協力、そして国内法の制定、こういう格好になっております。ところが日本の国内法、環境政策の基本法と言われる法律を見ると、公害対策基本法、これは昭和四十二年、それから自然環境保全法、昭和四十七年、これが大きな柱になっております。これらの法律の内容を見る限り、例えば公害対策基本法においても、大気や水質、地盤、土壌、これらに対する事業者や人の活動によって物理的、化学的な影響をもたらしたものに対する一定の汚染源を防止する、そういう法律の内容になっていると思うのですね。汚染源以外の原因による環境への影響とかそういう問題については、この法律では限界になっておりますね。特にこれから、CO2の問題あるいはまた温暖化の問題ということを国内法的に見ても、あるいは国際協力をする立場から見ても、日本環境政策の基本法というのはこれになじむような法律になってない。地球環境汚染という大きな枠組みからいって、私は日本環境の基本法というのを改めるべき時期に来ているんじゃないかというふうに思うのです。  そういう意味で、さきに、これは昭和六十一年に中央公害対策審議会と自然環境保全審議会の議を経て策定された「環境保全長期構想」というのがございますね。これは皆さん方がおやりになった、制定されたものですけれども、この中でも、地球保全への国や地方公共団体、事業者、国民の役割について統合的、総合的な環境政策の基本法の検討が進められるべきである、こういうふうにはっきり言っていらっしゃいますね。  私は、このオゾン層の問題というのは、オゾン層保護というレベルで国際法があり、日本の国内法がある、この限りではそれの一定の役割というのは果たすかもしれませんけれども、これから、オゾン層だけではない、今申し上げましたようにいろいろな国際協力が環境では必要になってきているというときに、今の日本の法体系というのは極めて不備だ。結ばれたものにまた国内法をやる、こういうやり方ではなくて、もう少し環境全体に対する基本的な法律の制定というふうな問題が必要になってきていると思うのです。  これは環境庁かもしれませんけれども、今後の考え方についてお示しをいただきたい。
  144. 加藤三郎

    加藤(三)政府委員 先生、先ほどまさにお触れになられましたように、例えば私ども公害対策で基本といたしております公害対策基本法は、昭和四十二年にできた法律でございます。現在からもう二十数年前の法律でございます。もちろん、その後何回か改正はしてきております。特に昭和四十五年、一九七〇年に大改正を行っておりますが、その後そういう状況でございます。  ただ、確かに先生お触れになられましたように、その後いろいろな地球環境問題が出てきております。例えば海洋汚染の問題、あるいは今御審議いただいておりますフロンによるオゾン層の問題、あるいは廃棄物の越境移動の問題等々が出てきておりまして、そういったものは条約ができるに即しまして国内法をつくりまして、例えば海洋汚染対策につきましても国内法等々によって対応してまいったところでございます。  しかし、先生もお触れになられましたように、熱帯林の問題あり、温暖化の問題あり、さまざまな問題が起こってございます。特に、来年の六月には国連としても非常に大きな会議が、ブラジルで国連環境開発会議というのが開かれることになっておりまして、それに向けて新たな条約、例えば気候変動に関する条約をつくろうという動きで今努力がなされております。私ども、そういう国際的な動きをじっくりと見据えまして、先生お触れになられましたように、国内的な法体制がおくれをとらないようによく検討してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  145. 鈴木久

    ○鈴木(久)委員 大臣、通告しておりませんでしたけれども、今お答えになっていただいたようなこととの関連で、大臣からもぜひ前向きの御見解を示していただきたいと思うのです。  日本のこれまでの環境汚染の規制に関する法制度というのは、先ほども申し上げましたけれども、例えば化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、これなどを見ましても、健康を損なうおそれがある物質生産や使用の規制というのは可能なんですけれども、まさにこれからオゾン層の問題とかCO2の問題というのは、極めて予見的な問題、将来こうなるであろう、今すぐこうならなくても将来こうなるであろうという予防的な意味を含めて環境対策が迫られてきておりますね。こういう問題に対する規制や法体系というのは日本はできていないのですよ。そういう意味では、オゾン層が、いわゆる国際法があって国内法という形での整備が初めてに近いのじゃないだろうかと私は思っているのですけれども。  ですから、これから通産省にも関係ある、環境 庁にも関係ある、特にCO2等々NOxの問題、温暖化の問題ということを考えますと、こういう観点でのいわゆる予防措置として考えていかなければならぬ、先見的に見て考えなければ、規制をしなければならない、こういう問題をも含めた環境保護の基本法といいますか、そういうものについての必要性というのはどんなふうにお感じでしょう。
  146. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず第一に、先ほど来鈴木委員お話を聞いておりましてもひとしく感ずる点ではございますが、もうこれは一つの国だけが突出するような問題ではない。すなわち、各国が協調し合いながら同じコンセプトに立ち、哲学に立ち、そして守るべきものを守っていくというからには、先進国あるいは発展途上国を含めまして、先ほど委員が申されました韓国を初めインド、中国ともそれに参画すべきである、これももう本当に傾聴すべき御意見でございまして、それだけに私どもも、そういう点においては相コーディネートしながらやっていかなければならぬ、これは申すまでもない考え方だなと思っておる次第でございます。  また同時に、これは規制とかそういう形だけで踏み込んで考えていく問題よりも意識の問題ということで、私ども全体が目覚めていかなければならぬ問題だなと思いますと、本問題は地球的規模の環境問題でありますために、国際的に協力して取り組むことがまず必要である。我が国にとりましては、すぐれた技術力をもって世界にこれまた貢献をするという絶対的な立場であるという認識もとに、本問題については最新の科学的知見を踏まえつつ、まず率先してこれに取り組むということの所要の対応を図ってきたわけではございます。すなわち、今回の議定書の改定交渉におきましても、積極的に削減スケジュールの提案を行うということを優先いたしまして、途上国支援のための基金の設立に関しましても中心的な役割を果たす等の対応を今日まで図ってきたつもりでございます。そしてまた、今回のモントリオール議定書の改定を踏まえまして、引き続き議定書に定められた規制内容の着実な実施を図るために、オゾン層保護法の改正を含めまして、今後とも適切な対応を図っていくべきである、このように確信するものでございます。  以上でございます。
  147. 高村正彦

    ○高村委員長代理 東祥三君。
  148. 東祥三

    ○東(祥)委員 公明党の東でございます。  質問内容については昨日、質問主意書ということで十二点にまとめさせていただいております。まだ新米議員でございますので言動に非常にまずいところがあるかわかりませんが、前もって御容赦願いたいと思います。それでは質問させていただきます。  御案内のとおり、昨年の秋の南極のオゾンホールは史上最悪であったと報道されております。また、北極圏でも昨年の初冬、二月ぐらいに塩素濃度が上昇して、成層圏でオゾンが減少して、オゾンホールが発見されたと言われておりますが、何か地球全体として急激にオゾン層の破壊が進んでいるのではないでしょうか。具体的な数字を示していただいて、まずオゾン層破壊の現状について説明していただきたいと思います。
  149. 古市圭治

    古市政府委員 人工衛星等によって得られました一九七八年から八九年までのデータに基づきまして、全地球的全球的なオゾン全量の長期的な傾向を見てみますと、ほとんどすべての地域で減少傾向にある。殊に北半球ではシベリアの北部、カナダ北部海上などで減少傾向が大きくなっているほか、南半球では南極に近づくほど減少傾向が大きいということがわかってまいりました。殊に南極のオゾンホールでは、一九八〇年代以降オゾンホールが出現したわけでございますが、年ごとに消長がございましたが、長期的には発達する傾向がうかがわれておりました。今までの観測によりますと、破壊は偶数年に比べて奇数年に大きいという傾向でございましたが、先ほど気象庁からもお話がございましたように、一九九〇年のオゾンホールは過去最大級のものとなってきたということでございます。  こういうことから、現在のフロン等の規制状況ということでいった場合には、モントリオール議定書に基づいて設置されました科学パネルの予測によりましても、大気中の塩素濃度は二十一世紀の後半には現在の約三倍に増加して、南極のオゾンホールも極めて大きくなる、また北極でも著しいオゾンの減少が起こる、こういうことが予測されて、この規制強化の必要性が言われているわけでございます。
  150. 東祥三

    ○東(祥)委員 二十一世紀には現在の三倍以上になっちゃうというふうな御答弁があったわけですけれども、もうちょっと短く考えますと、十年後、二十年後にはオゾン層はどのような状況になることが予想されているのでしょうか、同じく具体的に数字を挙げていただければ幸いです。
  151. 古市圭治

    古市政府委員 UNEPの科学パネルにおきまして、いろいろなデータから将来のシミュレーションを行いましてシナリオをつくっております。その中で、これだけの規制をやった場合にはどうなるのかということを長期モデルでやっております。そのシナリオ一で示されておりますのは、現行モントリオール議定書規制、これは現在二十世紀末で五〇%削減ということで言っているわけでございますが、このレベルでいきますと、西暦二〇五〇年には大気中の塩素濃度が約八PPbへ増加することによりオゾン全量は、熱帯地域では一から四%、高緯度地域では四から一二%減少する、南極のオゾンホールは極めて大きくなり、また北極でも著しい減少が起こる。先ほど申したことをこのシナリオ一では数字を入れて言っているわけでございます。  また、今回、第二回の締約国会議によって規制強化の線でいくのに一番近いシナリオ三というところでいきますと、二〇五〇年には大気中の塩素濃度が約三・五ppbへと増加することによりオゾン全量は、熱帯地域ではほぼ変化しないが、高緯度地域では三%程度の減少を示す、南極のオゾンホールは小さくはならないが、北極では著しいオゾンの減少が進行する可能性は低くなる、こういう形でいろいろ予測をしている。これはあくまでも一つのモデルでございまして、現在の科学的知見でございますから、絶えずまた検証していかなければいけないということでございますが、そういうようなシナリオが報告されております。
  152. 東祥三

    ○東(祥)委員 今回の改正オゾン層保護法の目的というのは、私が理解しているところによりますと、今回の規制強化を通じて二十一世紀中にオゾン層を、先ほどの御説明にありましたとおり南極オゾンホールが発見されたのが一九八〇年初頭ですから、それ以前の状態に戻すために必要とされるフロン等の全廃の時期を科学的な予想される知見に基づいてコンピューターでシミュレーションされている、それに基づいてモントリオール議定書規制スケジュールが決定されているのだろう、このように理解をしております。  それを踏まえた上で次の質問に入らせていただきます。  現在の世界フロン生産の累計というのは、新聞紙上の報道によりますと一千二百万トンあるいは一千五百万トンとか言われておりますけれども、実際のところどうなんでしょうか。
  153. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 フロンは一九二八年に発明をされまして、商業生産が始まりましたのは一九三一年ごろでございます。その後急速に需要がふえましたのは、電子工業の発達に伴う洗浄用の増加でございます。したがいまして、その発明後現在に至るまでの累計を考えますと、二千百万トンないし二千二百万トンというものが製造されたと考えられます。それで、環境対策上は、それがすべて大気に放出されたという仮定に立つのが一番の安全サイドでございますから、そういう考え方を前提にしながら今議論が進んでおると理解いたしております。
  154. 東祥三

    ○東(祥)委員 二千百万トン以上。驚きの数字でございます。  ある科学者の知見によりますと、オゾン層を破 壊しているのは全体の、放出されたフロンの一割あるいは二割であると指摘されている科学者もいらっしゃいます。フロンの寿命というのは、フロン11が五十年から六十年ぐらい、あるいはフロン12が百年から百二十年、大体百年ぐらい続くと考えていい。オゾン層は成層圏にあるわけですから、フロンが放出される、そして成層圏まで達するにはそれなりの時間がかかる。そうすると、この科学者の知見に基づきますと、一割あるいは二割だと、放出されているものが、つくられたものが二千万トンだとすると約一千六百万トンぐらいはまだ余っていて、現在大気中に放出されているか潜在予備軍となっている、これが今後約百年前後にわたってオゾン層を破壊するための予備軍に化してしまう、そういうふうに理解することができると思うのです。  さらにそれに加えて、モントリオール議定書に盛られている規制スケジュールに従って新たなフロンがまだ生産されていくわけでございます。この生産量というのは、はっきりした形では出ておりませんけれども、ある人によれば七百万トンから八百万トンあるいは千万トンぐらいに達してしまうのではないか。そうすると、これを合わせますと何と二千数百万トンのオゾン層破壊の予備軍が存在するということになる。先ほどの環境庁の御説明によりますと、あくまでも科学的なシナリオに基づく、科学的知見に基づく推測であるけれどもという形でしたけれども、二十一世紀になればこの地球が、僕にとってみればある意味で非常に破壊的な状況になっていくのではないのか、地球は本当に守られるのか、このような危惧をせざるを得ないのですけれども、いかがでしょうか。
  155. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 先ほども申し上げましたように、生産即空気中への放出、その寿命は、おっしゃいますとおり、品物によっては六十年、百二十年という非常に長期間にわたる影響が与えられるという前提での議論の場合に、放出されたものが即すべて成層圏に到達しておるというのが一番安全サイドをとった考え方で、要するに、二年ないしは三年、あるいは五年十年をかけて成層圏へ上がっていけばピークが非常になだらかになるわけでございますけれども、それが急速に上がる、要するに生産即放出、そうなりますとピークが急速に上がります。それを前提にして今規制を考えておるわけでございます。  その場合の大前提は、その後の科学的知見の結果、塩素濃度とオゾンの破壊との間に因果関係があるということで、塩素濃度で問題を議論しておるわけでございます。そういたしますと、先生指摘の、地球の普通の自然な循環が行われる水準というのは、一九七〇年代初頭のころの塩素濃度で二ppbぐらいでございましたので、そういう状況に持っていくというのが現在のシナリオでございますけれども、先ほどの大変な生産量、かつ七百万トンとか一千万トンとかいう量が確かに今後さらに放出されるという前提に立っておることは事実でございます。それをやった上で、なおかつ二〇〇〇年に四・七とか四・八ppbという塩素濃度になる。それで、それが二〇〇〇年代の後半、二〇七五年ごろには二ppbに段階的に下がってくる、自然が回復するということで七十五年なり八十五年なりの間に回復するというシナリオを描いておるわけでございます。  したがいまして、現在、成層圏に行かないフロンが地球の周りをめぐっておるというのは、そのピークをより低くして後ろへずらせるということでありまして、技術的で恐縮でございますけれども、要するに、ピークを前提とした二一〇〇年までの影響量を積算いたしますと同じでございますので、したがって、今言っております議論は生産即放出で、それが即成層圏に影響を与えるという一番厳しいシナリオで行っておるのが現在の知見である。ただ、この知見は現在の科学的知見でございますので、今後また学問の進歩等によっていろいろ変化はあると思いますが、現在はそういう理解になっておるわけでございます。
  156. 東祥三

    ○東(祥)委員 多分、根拠にされている科学的知見というのは、私の知る限りではワトソン・プレーザー論文だろうと思いますけれども、このワトソン・プレーザー論文というのは、例えばハロンとか、フロン以外にオゾン層を破壊するすべての物質を盛り込んだ正確なものであると言えるのですか。
  157. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 現在の規制の前提になっておりますのが、先生指摘の八九年十一月のジュネーブにおいてワトソン、プレーザーが計算をしまして出した論文が根拠でございます。したがいまして、それですべての方向が決まってきたわけでございますが、その前提は、新たな規制物質を含めてすべてのものが対象に計算をされておりますし、HCFC、第二世代フロンの、将来何らかの方向を考えよう、二〇二〇年ないし二〇四〇年に考えようというものもあわせてそのシミュレーションの検討の中に入っております。
  158. 東祥三

    ○東(祥)委員 ありがとうございます。  既に成層圏に届いている量が、はっきりした数字はわからないわけですけれども、製造されたうちの何割かで現実にオゾンホールが発生してしまっている。また、南極の成層圏の、場所によっては九五%ものオゾンが破壊されたという報告も出ておりますし、そういう意味におきましては、確かに今おっしゃられたような科学的な知見を引用せずとも極めて危機的な状況にあるということは我々素人でもわかるんじゃないか、このように思います。もう一度繰り返しますけれども、危機的な状況であることには間違いないのですか。
  159. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 非常に深刻に受けとめるべき事象と考えております。初めの、前回の議定書の段階では因果関係あるいはその及ぼす影響という点については推計でございましたけれども、現在はその因果関係あるいはその影響というものが現実にあるという科学的認識もとに、深刻であるがゆえに規制強化し、先ほどの厳しい仮定に基づいた規制を実行すべきだという、現在の厳しさを感じております。
  160. 東祥三

    ○東(祥)委員 先ほどお示しになってくださった二千百万トンという量の中に、モントリオール議定書に加盟していない国々で生産されているフロン生産量、これは入っているのですか。
  161. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 フロン生産国、大量に生産しておるものはかなり限定されておりますので、それは網羅されております。ただ、非常に微々たる生産量のところ、それもすべて完全に網羅しているかということになりますと、そこはまだ十分ではないと思います。
  162. 東祥三

    ○東(祥)委員 基本的には科学的知見もまだこれから発展の余地がある。また、データ面においてもまだ不足しているものもある。しかしながら、そういった状況を踏まえた上でも、既にオゾン層の破壊という現実も見られる、極めて深刻な事態であることは間違いありません。そういった視点におきましては、我が国としてはフロン並びに規制対象となっている物質というのは、一グラムでも多く削減して、一日も早く全廃するよう最大限の努力をしていく、こういう方向をとるべきなのではないか、このように思えてなりません。そういった意味におきましては、その率先垂範の実績を根拠として、今モントリオール議定書に加盟していない国々に対して早く加盟ということがある意味で我が国の国際貢献への大きな実りとなるのではないか、このように私は考えますが、大臣いかがですか。
  163. 中尾栄一

    中尾国務大臣 大変にお若くして国際派として知られております東先生のことでございますから、大変に国際的視野に立ってのお言葉だと受けとめておりますが、ただ、私どもは全廃を決定していくんだ、こういう決意を固めておりますその背景の中には、モントリオール議定書策定後の科学的知見の蓄積に基づきまして、現行の議定書の規制内容では十分なオゾン層保護が図れないということが一般的な認識と相なっておるというわけでございます。かかる状況の中で、我が国を含めた世界各国によりまして議定書の規制内容の見直しのための検討が進展してまいったわけでございます。我が国といたしましては、このような科学的知見の進展並びにまた技術的実行可能性に対 する評価を踏まえまして、昨年一月に我が国としての規制案を策定しました。国際的にただいま話題になっておりますような提案をしてまいったわけでございます。その結果、昨年六月、この案に沿った形で特定フロンの二〇〇〇年という中で全廃を内容とする議定書の改定案が採択された、このようなプロセスがあったということを御理解願いたい、こう思うわけでございます。
  164. 東祥三

    ○東(祥)委員 昨年六月にロンドンで開かれたモントリオール議定書締約国会議におきまして、御案内のとおり、北欧、オーストラリアあるいはニュージーランド、多くの国々が一九九七年全廃を強く主張いたしました。にもかかわらず、米国と日本がこれに反対して、結局二〇〇〇年全廃に落ちついたと報道されておりましたが、何ゆえ日本は二〇〇〇年全廃という形になったのでしょうか。
  165. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 昨年の六月の会合で、御指摘のような議論があったことは事実でございます。その背景といたしまして、フロンがどういう実態的な使われ方をしているかということによって、国々によって削減の可能性の余地が違うわけでございます。例えば、かなり多くの国ではエアゾール用のフロンというのが結構多うございます。それで、割と早い時期からエアゾールの排出を抑制するために使用を抑制するのだということを主張したECで見てみますと、八六年水準でなおすべてのフロンのうちの四〇%がエアゾールに使われておるという実態でございます。ところが、日本はその時点で七%ぐらいまで落ちておりました。日本は抑制をするということを言いますと本当にそれを実行するわけでございますが、必ずしも実行しない国もあるということで、エアゾールなどは転換が非常に容易なわけでございまして、LPGとかジメチルエーテル等への転換が容易にききますので、そういう消費構造を抱えておる国というのは、言葉は悪うございますけれども、そういう国は削減を非常に前向きの強いことが言えるという実態でございます。  ところが、日本の消費構造を見ますと、産業構造の反映といたしまして、要するに精密機械あるいは電子分野における洗浄用に使われるというところが世界の構造上非常に多い、五〇%を超えるというところでございます。それで、それについては代替がきかないということで、いろいろな努力をしておるわけでございますけれども、そういうことでできてくる製品が世界を裨益し、あるいは日本経済の利益になっておることは事実でございます。したがいまして、その消費構造に応じた実現可能性ということをあわせ考える必要がある。ただ、事は地球環境問題でございますから、科学的知見がすべての前提でございますので、先ほど来の先生の御指摘のワトソン・プレーザー・モデルのようなもので環境のところはしかるべきところは、抑えるべきものは抑える。したがって、それは当然の前提でございますが、その中で生産との調整というふうなことも考える。  アメリカの立場は、冷媒用が非常に多うございます。これも数年後に転換、代替可能物がどんどん出てくるということでございますけれども、今すぐにそれを踏み切るわけにはいかないということで、その議論の違いというのは各国のフロンの消費構造の反映であると理解いたしておりますが、基本的には、るる申し上げておりますように、科学的知見に基づいてさらに前倒しが必要であるというふうな議論が出てまいりますれば当然それを優先して考えていくということで、九二年に改めて見直しが行われますが、現時点に立ってみますと、我々は、現在やれるぎりぎりのことで、しかも地球環境上の対応としての十分な科学的知見に基づいた対応が現在のスケジュールであるというふうなことで考えておりますので、それが国際的合意に最終的に達したと理解いたしております。
  166. 東祥三

    ○東(祥)委員 昨年七月に酸性雨の調査で当時の西ドイツとスウェーデンに行ってまいりましたけれども、ドイツなどでは九五年までにフロンを全廃すると当時からも言っておりました。宣言しておりました。また、アメリカでも、フロンなどの規制法律である御案内のクリーン・エア・アクト、いわゆる大気清浄法によって議定書よりも前倒しの規制を行うことが決定しておりますけれども、我が国も議定書のスケジュールより早く全廃することをぜひとも宣言すべきなんじゃないでしょうか。いかがですか。――済みません、時間が限られております。まだどんどん質問していきたいですので、簡潔にお答えください。
  167. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 あくまでも科学的知見に基づいて確実に実施したい。それで、アメリカの法案等早めるように見えておりますけれども、例えばスケジュールでいいますと九三年七五%ということを言っております。そういう方向一つ方向だと思いますので、我々は明確に八〇%は実現するという運用で今運用方針を決めておりますので、国際的な流れ及び先ほどのような消費構造を踏まえて適切に対応してまいりたいと思っております。
  168. 東祥三

    ○東(祥)委員 八〇%ということは運用で二〇%前倒し削減していくということですか。
  169. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 さようでございます。九二年の後半から八〇%に落としたいということで、現在の議定書よりは強めの運用を実行するということでございます。
  170. 東祥三

    ○東(祥)委員 その点について今回の法律改正案に具体的に盛り込んだらいかがなんでしょうか。
  171. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 そういうスケジュールにつきましては、法律では基本的事項という中で告示で発表をされることになっております。したがいまして、政府部内の運用といたしまして、環境庁通産省相談をいたしまして、そういう方針で運用する、したがって、公示も明確に出すという基本方針を決めておるところでございます。
  172. 東祥三

    ○東(祥)委員 政令に盛り込むこともできませんか。
  173. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 現在の法律の仕組みがそういう形で法律体系を既につくっていただいておるものでございますから、かつそういう形で基本事項が非常にワークしておりますので、その方針の流れの中で実施をしていきたい。いずれにいたしましても、政令も告示も政府の意思を鮮明に広く関係者に御理解いただく手段でございますので、法律の規定で決められたままに素直に実行していきたいというふうに考えております。
  174. 東祥三

    ○東(祥)委員 従来のように例えばフロンメーカーに対する生産の割り当てといったような仕組みでは、ある意味でメーカーが販売促進に励んで枠を消化するようになるのではないか、私はそういう危惧を持っております。使用事業者の削減努力とは別に、規制物質の製造業者の中で不心得なものが得をすることがないような有効な対策をとらなければならない。何らかの有効な対策ありますか。
  175. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 製造業者の割り当ての基準につきましては、フロンの場合八六年基準で生産規制をすることになっておりますので、八六年の生産実績、一部その後の議定書の採択が八七年の九月に至ったということでその間の事情も勘案しておりますが、実績でやっております。他方、最近の企業の意識というのは、公害をまき散らすあるいは公害に加担するということは企業の製品対策上非常に大マイナスであるという意識が非常にありがたいことに徹底してきておりますので、販売促進をして生産規模を維持するというふうな動きはないと我々は理解いたしております。
  176. 東祥三

    ○東(祥)委員 今回の改正法案では従来どおりフロンなどを使用する事業者に対しても指針を示すことになっておりますけれども、この指針の内容は従来とどのように異なってきますか。
  177. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 「排出抑制・使用合理化指針」、今の内容をその後の技術的な状況発展に応じて必要があれば修正をしていきたいと思っておりますが、基本的には周知徹底を図り、かつその合理化の状況をより広めるという意味では、方向性としては同じだと思っております。なお、指定物質につきまして、改めてそういうものをつくることによって周知徹底を図りたいというふうに考えております。
  178. 東祥三

    ○東(祥)委員 それは基本的におかしいのではあ りませんか。今までは、従来はフロンを半減させるという、そういう前提になっていた。今は二〇〇〇年に全廃するということが前提です。そもそも前提が根本的に変わっているわけですから、その論理自体がおかしいのではないのか。これ読まさせていただきましたけれども、例えば具体的な対策というところで気密性の向上等、当該設備について必要な改良を行うこと等が書かれているわけですが、まさに今局長が説明してくださったとおり、全廃を前提としていないわけですね。例えば、フロン一キログラム製造する、そしてそれを使う、そして今までは半年もったものを一年間もたせよう、つまり全廃を前提にしていない。基本的におかしいんじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。     〔高村委員長代理退席、額賀委員長代理着席〕
  179. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 基本的には全廃を前提にして代替物開発を行い、かつ代替技術開発を着実に行っておるというのが現状でございます。それで大手メーカーについて申しますと、九五年ないし六年には全廃を目標にして動いておるという実態がございますし、それを中小企業等にも含めていくというのが既に方針でございまして、したがいまして、今回改めてその動きをさらに叱咤激励し、あるいは政府が必要であれば支援をして促進するという方向はあるわけでございますけれども、基本的な方向自体は既に全廃の方向で動いておるという方向でございます。したがいまして、指針の内容の中でなお改定すべきものがあればもちろん改定をいたしますけれども、この指針の動きの心の中にあるもの、それが既に実効として動いているということを我々は評価をし、今後さらにそれを実施していきたいと思っております。
  180. 東祥三

    ○東(祥)委員 具体的な提案をします。  例えばアメリカのクリーン・エア・アクトでは、カーエアコンでの回収の義務づけ、あるいは意図的な放出の禁止を決めているわけですけれども、指針にはこれらを盛り込むべきではないでしょうか。御答弁いただきたいと思います。
  181. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 先生指摘のとおり、昨年成立いたしましたアメリカの大気浄化法、そこでカーエアコンあるいはリサイクルの問題、あるいは特定の分野における販売規制等が入っておることは事実でございます。それでその中身でございますが、その中身をごらんいただきますと、まずカーエアコンについては、修理サービス業者が承認されたリサイクル装置を設置して、それを利用しなければ整備業者として認可しないというふうな形になっておるわけでございます。ところが、日本の場合には既に四、五千台の回収装置がむしろそういう規制なく入っておりまして、かつ一万五千台ぐらいは今後普及をするという受注に既になっております。それから、独立系の整備サービス業者について十六万人を対象にして運輸省の方で今後講習も行われるというふうな形で進んでおりまして、むしろ実態は日本の方が先行しておるというのが例えばカーエアコンの話でございます。  それから一般論として、放出抑制等を言うというのは、アメリカの法律に基づきますと生産規制――ヨーロッパも今までは生産規制だけをやっておりました。ところが、日本法律生産規制のほかに排出抑制、使用合理化というもう一つの柱を立てて法律をおつくりいただきましたので、その運用で実態上やっておるということで、実態から申しますと、アメリカのやっておることを既に先取りしておるという考え方でございます。  それから禁止品目というふうなことを考えますと、競技用のノイズクラッカーであるとか、あるいはアメリカの場合には非常に家庭用の塗料が発達しておりますので、塗料の洗浄剤として使わないとか、非常に局限したことを言っておるということで、政治的なアピールとして議員立法、アメリカの場合の方向が出ておるというふうに思っておりますが、日本国内では既にそれが実行されておりますし、先生の御提案、非常に建設的な御提案でございますので、我々さらにその方向で指導してまいりたいと思っております。
  182. 東祥三

    ○東(祥)委員 基本的には業者の努力に任せるということで、また日本の業者の方が通産省の指導に基づいてそれなりにちゃんと動いていらっしゃるというすばらしい答弁なわけですが、基本的に事は地球全体の問題です。そういった意味におきまして素人ながらにもこういう発言をさせていただいておるわけですけれども、業者の努力に任せていては、日本では起こらないのかもわかりませんけれども、コスト的に合わないだとか面倒だとかいう理由で、装置を買ってもフロンの放出を続けることが十分予想できるのではないでしょうか。この点に関してどうですか。
  183. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 このフロン規制法の実効上の担保、これはまさに生産即放出ということで生産で抑えておりますので、むだ遣いをして、あるいは意図的にどんどん放出する人がありますと、当然需要がタイトになってまいりまして価格が上がるということで自分の方に返ってまいりますから、ユーザー側もそういう運用をやるということは、経済メカニズムとしてなかなか起こり得ないと思っております。ただ、そういう人が皆無だとは当然申し得ないものでございますから、政府広報を通じたり、あるいはフロン月間ということで毎年七月一カ月間、そういう意識の徹底をいたしておりますけれども、そういう作業についても今後引き続き着実に継続していきたいと思っております。
  184. 東祥三

    ○東(祥)委員 酸素あっての地球、またオゾンあっての生命である、私はこのように思っておりますので、通産省並びに環境庁は本当にオゾン層を守るのだという視点で動いていただけることを心から望みます。  さらにまた、関連している問題ですけれども、アメリカのクリーン・エア・アクトではフロン使用に関する表示の義務づけも決められております。指針にはぜひともこうした規定を盛り込んで、消費者に正しく理解していただけるようにすべきなのではないか、このように思いますが、いかがですか。
  185. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 るる申し上げておりますように、フロン規制生産段階で生産数量を抑えるというところがまず基本でございます。そこで最大の歯どめをやっておるということでございますけれども、さらに、あわせて使用の合理化をやるということがもう一つの大きな柱でございますので、おっしゃるとおりの理解が深まることは非常に必要であると思っております。  ただ、その表示の問題についていいますと、その物自体が人体に影響を与えるというときには、法律上、一般的に規制を強制しておりますけれども、これは、総量抑制のところで環境に対する担保は既に行われておる、そういう中で使用の合理化が行われることが好ましいということでございますから、そういう表示が任意的に行われるというのは非常に歓迎すべきことでありますが、それを強制するということは、環境対策上からはそこまでいくのはいかがなものかということで、自主的な表示、例えばエコマークのような表示が行われることについては非常に歓迎をするところでございます。
  186. 東祥三

    ○東(祥)委員 問題が問題ですから私はあえて言っているのです。私は法律の専門家ではありませんけれども法律用語で不作為という言葉があります。やらなければならないのにやらない。これに当たる問題が多分今のオゾン層の問題なのではないか、このように思います。  先ほど局長は、日本ではエアゾール等に関して、は代替フロンが大変進んでいる、そういう御指摘がありましたけれども、先日、ある電気製品を取り扱っている方に、ただ単にごみをとるためだけにフロン一〇〇%のエアゾール缶を使っている、このように教えていただきました。実物を持ってきました。これです。業者名、銘柄等は控えさせていただきますけれども、一〇〇%です。これは衆議院の売店で売っていたのです。衆議院の売店です。この問題に対して私たちがいかに問題を認識していないのかというのがよくわかるのではない か。要するにこれは風で吹き飛ばせば足りることです。昔、手押しポンプみたいなものを使って、それで十分足りたはずの分野でなぜまだフロンが使われているのか。  さらに調べたところ、絵の具を吹きつけるスプレーだとか、果てはおもちゃのピストルだとかエアガンにまでフロンが使われております。おもちゃのエアガンを持ってこようと思ったのですけれども、情勢が情勢ですから控えさせていただきましたが、少なくとも、不必要な分野での使用は即座に禁止すべきなのではないか、また、フロンを使用している旨の表示は義務づけるべきであると私は考えておるのですけれども、いかがでしょうか。
  187. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 基本的に、生産抑制、排出抑制、それによる環境保全というところを科学的知見に基づいて完全に歯どめをかけておるわけでございます。したがいまして、環境問題に対する対応はそれで十分な歯どめがかかっておる。さらに、抑制のところで先生指摘のような使用が行われておるということは非常に残念なことでございますので、政府広報を含め、あるいは民間の団体を通じて、例えば毎年五十数団体を呼びまして、大臣からそういう問題についての徹底も常に依頼をいたしておりますので、そういう地道な対応についてもあわせ図っていきたい。  したがいまして、法律での規制ということになりますと、環境問題からいえば歯どめがかかっておるにもかかわらず規制をするということで、数年前によく言われました規制緩和とむしろ逆行して過剰規制ということになると思いますので、そこは、それぞれの自覚をさらに進めるという認識の勧め、それから、エコマークのような、いいことであるということを大いにPRすることの勧めということが適切であると思っております。
  188. 東祥三

    ○東(祥)委員 酸性雨の問題でもそうなんですけれども日本は科学的な知見は行政になかなか反映されないのです。人体に被害が出るまでなかなか動かない。イタイイタイ病でも同じ問題です。オゾンの減少と人体の健康への影響、この量的な分折も今進んでおるというふうに聞いております。オゾンの減少と皮膚がんの関連性、あるいは白内障との関連性、あるいは農業の収穫高との関連性、こういったものも徐々に徐々に早く出てくることを私は希望しておるわけですけれども、既に御案内のとおり、これも正確なデータではありませんが、ニュージーランドでは皮膚がんの発生が増加しておるという話も聞いております。やがて我が国も含めて被害が出始めたときにはもう遅いのだ。そのときには、不作為ではありませんけれども、結局、刑事訴訟の対象となる可能性があるのではないか。そういう意味では、オゾン層保護対策だけできるだけ努力を惜しまずに実行すべきである、このように私は思っております。  時間の関係で先へ行きます。  資料要請に基づいて得た情報によりますと、一九八六年度の規制フロンの製造実績は十二万トンでございました。規制開始の前年、一九八八年には十四万八千トンで、何と二三%も増加しております。規制開始年、一九八九年の中ごろから始まっておりますけれども、通年で十四万七千トン、千トンしか減少しておりません。一九八九年においては前期、後期のデータはありますか、もしありましたら紹介していただきたいと思います。
  189. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 八九年上期の数字でございますが、オゾン破壊係数を掛けた数字で八万九千四百九十九、下期で五万七千百という数字でございます。
  190. 東祥三

    ○東(祥)委員 破壊係数でやっておりますから生のデータより若干低い数字だと思うのですけれども、御案内のとおり前期において八万九千、これは駆け込み製造が行われておるということですね。局長が業者さんに対して信頼度が極めて高いということはよくわかりますけれども、このデータはそれを見事に裏切っておるということです。これは潜在需要がどうこうという話ではなくて、私は単に行政の怠慢であるとしか言いようがない。なぜフロンメーカーに対して十分な行政指導をやらなかったのか、このデータが見事に証明しておると思うのですが、いかがですか。
  191. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 三万三千というユーザーがございますので、すべてのユーザーにその行動を徹底するわけには必ずしもまいりません。そうなりますと、やはりそのプライスメカニズムの中で、需給が逼迫するということになれば買いだめをするというようなこともよく起こるケースでございます。したがって、規制後は全くそういう事実は行い得ないし、しかも、その結果といたしまして、価格的にも非常に安定しておる、しかも必要なところには回っておるということで、前回御審議いただきましたときに価格高騰等を防止しろ、指導しろという御指摘をいろいろいただきましたけれども、そういう流れの中で何とかうまく泳いでこれたというふうに思っております。
  192. 東祥三

    ○東(祥)委員 次に、新しい規制物質について質問いたします。  メチルクロロホルム、トリクロロエタンでございますが、これについて、近年生産量が急増しております。このまま放置すれば一九九三年の規制開始までにまた大幅増加となる危険があります。即座に生産量を凍結あるいは削減を実施すべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
  193. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 1・1・1トリクロロエタンにつきましては、その後最近に至って生産能力が増加したことは事実でございます。これはトリクロロエチレンあるいはテトラクロロエチレンというふうなものが同じような用途で使われておりましたけれども、それが化審法の体系の中で規制をされるということのためにトリクロロエタンに流れが移ったというふうなこともございます。しかし、それがオゾン法の対象になる規制物質であるという場合に、今後ふえることは好ましくないと思っておりますので、昨年の七月に関係業界を五十四以上集めまして、そこで生産数量を増加させない、むしろそれを今後削減していくということを指示しておりますし、あわせてこの代替フロン113の代替技術がそのまま使える形でございますので、今後それは着実に対応が図っていかれるものと期待をいたしておりますし、努力いたしたいと思っております。
  194. 東祥三

    ○東(祥)委員 四塩化炭素については規制開始が九五年からとなっておりますけれども、この物質フロンよりもオゾン層を破壊する力が大きいことが明らかになっております。調べさせていただきましたが、四塩化炭素のODP、オゾン破壊係数は一・一です。フロンは一・〇から〇・六ぐらい。そういう意味で、オゾン層を破壊する力が大きいことが明らかになっておりますけれども、即座にこれも凍結すべきなのではないか。
  195. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 四塩化炭素は、大部分、八、九割が他のフロンの製造原料になっております。したがいまして、フロンの11とかフロンの12の原料になっておるわけでございます。したがいまして、四塩化炭素単体で使われるものというのは、塩素溶剤あるいは塩化ゴム等で使われるわけでございまして、今後フロンがああいう規制の段階でどんどん減っていくということでございますので、その流れはどんどん生産が落ちていくことに自然になっていくと思いますし、それから塩素溶剤として使われております部分につきましては、その他のクロロホルムのような他の代替物を使っていくということで、あわせてその四塩化炭素が伸びるというふうなことはないと思っておりますし、十分にウオッチをしてまいりたいと思っております。
  196. 東祥三

    ○東(祥)委員 時間が迫ってきてしまいましたので、ちょっと飛ばします。  代替フロンが、早いものはことしから、遅いものでも先ほど御説明ありましたとおり二、三年で本格生産される見込みになっておりますけれども規制フロンの一日も早い全廃が必要な状況であって、若干の猶予期間を置いて代替フロンができた分野での規制フロンの使用禁止を実施すべきではないのか、このように思いますけれども局長いかがでしょうか。
  197. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 代替フロンが出てきました 場合、例えば既存物質でございます22であるとか142bというのは既に使用が始まっておりますけれども、一般的な123とか134a、それが来年以降御指摘のとおり出てまいります。それで、それがオゾン破壊係数が少ないということも事実でございますので、当然そちらが使われるべきだと思いますけれども、ただ価格についての差がございますので、経済計算との関係ということがございます。したがって、基本的には先ほど来から申し上げておりますように環境問題でございますから、環境に対する世界で決まった科学的知見のことはとにかく実行する、それでなお可能な限りオゾンへの影響がよりやさしいものを使用していくということでございますので、そこのところはそういう方向企業に要請していきたいと思っておりますが、それを規制するという強権的な行動については、経済のメカニズムの中で動いていくのが適切かと思っております。
  198. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、前の御指摘の中にもありましたけれども代替フロンというのは軒並み、規制フロンより値段が基本的に高いわけですね。それを通産省の運用に任せていたら、まじめな企業が何か高いものをつかまされる、一部の不心得な企業規制の枠に守られて安いフロンをふんだんに使えるというような事態になるのじゃないですか。これに対して有効な対策はあるのですか。
  199. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 そこは分野ごとによって違うと思います。例えば先ほど来申し上げておりますように、エアゾールのような部分につきましては、LPG、ジメチルエーテルというものは安いわけでございますから、そういう形に転化いたしますし、それから値段が高い安いという議論が確かにございますけれども、ただ、その絶対水準で考えますと、キログラム三百円か千五百円かというふうなもので、しかも使われる量がカーエアコンでいいましても数百グラムということでございますから、非常に決定的な影響のものではないということで、他方、そういう企業というのが環境への影響ということに非常にセンシティブになってきた、これは非常にいいことだと思っております。自分のところはそういう破壊係数の高いフロンは使っていないとか、そういうことも宣伝の要素の一つになってまいりますので、日本の社会全体がそういう受け入れの方向になってきている流れの中で、かなりうまくいくというふうに期待をいたしております。
  200. 東祥三

    ○東(祥)委員 代替フロンとして既に工業化されているフロン22、あるいはことしあたりから販売されるだろうと報道されておりますが、フロン134aについては、炭酸ガスの数千倍の温室効果があることがIPCCのレポートによって報告されておりますし、このまま放置すれば、年間数億トンから数十億トンの炭酸ガスを放出することと同じ結果をもたらすわけでありまして、使用業者への指針として、回収・再利用を義務づけるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  201. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 代替フロンにつきましても、排出抑制、使用合理化ということをぜひ徹底していきたいと思っておりますので、そういう基準を策定し、関係者の理解を求めたいと思います。  ただ、第一世代フロンに比べますと、第二世代フロンは十分の一とか数十分の一という温暖効果でございますので、従来のものに比べると非常な改善があるという点が一つ挙げられますし、それから発泡材等に使いますとそれが断熱効果を持ちますので、冷凍庫、冷蔵庫あるいは冷蔵倉庫等が非常に効果を発揮いたします。といいますことは、そこに消費されるエネルギー量が少なくなりますので、排出炭酸ガスが少なくなるという結果になります。冷媒についても同じような効果がございますので、そういうトータルで計算をするということもあわせ必要かと思っております。  いずれにいたしましても、第二世代フロンについても使用の合理化が図られるように指針を策定いたしたいと思っております。
  202. 東祥三

    ○東(祥)委員 最後になりますけれどもフロンによるオゾン層破壊を防ぐ上で、使用済みフロンをどのように分解し、また無害化するか、こういう技術が極めて重要な意義を持っていると考えるわけですけれども、こうした技術の普及のために速やかな国の支援措置あるいは使用済みのフロンを円滑に分解、無害化するための社会システムの整備と言ったらいいのでしょうか、そういったことに向けてどのような努力をなされているのか、またなされようとしているのか、この辺について簡単に御答弁ください。
  203. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 基本的な方向については後で大臣が御答弁なさいますが、技術的な観点だけを申し上げますと、使用済みのフロンを分解して無害化するという技術につきましては、通産省の公害資源研究所、化学技術研究所等を中心にいたしまして、民間との協力のもとに種々の技術開発をいたしております。その実用化も数年後には可能になると思っております。ただ、この技術自身は議定書及び法律で決まっております製造の上乗せが可能になるための技術という観点がございますので、今の議論はそういう方向でございますが、それを有効利用するというふうなことは非常に重要なことかと思っております。
  204. 中尾栄一

    中尾国務大臣 東委員の種々にわたる詳細にわたる質疑応答を私も聞いておりまして、大変に参考にさせていただきました。伺って、我々の中における足らざる点はひとつ補わせていただきたい、そのように思いますし、同時にまた、そういう中にあって考えていくことが私どものこの問題に対する一つの大きなソリューションの道である、こういうふうに考えるわけでございます。  特に、これは単なる私たちの国だけで考えていてもせんないことであることは先ほど来申し上げましたが、やはり地球的な人類的なキャンペーンも必要なのではないかなという感じがするわけでございます。一国だけがこれに一点集中的にやるよりは、やはり全国レベルの国民運動のように世界運動のような形でキャンペーンが行われていって初めてこれは全体的な完成への道、またある意味における理想的なこの問題に対する解決法が生まれてくるのではないかなという感じがいたします。  さらにまた、どういう点においての支援あるいはそういう問題が必要になるか、こう申し上げますと、国といたしましてもまず技術開発の問題、税制、金融上の措置などの適切な支援を行わなければいけない、これは切実に感じます。そのような対策の実施が円滑に進むように、また関連する広範な産業界における協力体制の整備、こういうものを含めまして適切なる対応を図っていきたい、このように感じもし、またそのような方向に持っていくようにお誓い申し上げたいと思います。
  205. 東祥三

    ○東(祥)委員 ぜひ大臣のその人類的な視点に沿った大キャンペーンを通産省主導でやっていただきたい、このように私思います。  大気は我々人類のごみ箱ではないと私は思っております。そういった意味で今大臣の御指摘になったことを踏まえて考えますと、日本人あるいは地球人として世界じゅうの人々あるいは地球上の全生命を守るためにできることはすべて一刻一秒でも早く完全に実施しなければならないのだろう、このように私は思います。最高のレールが敷かれれば、これが究極の行政であると言われるようなことをぜひともやっていただきたい、このように心から希望いたします。  ちょうど時間になりましたので、これで終わらさせていただきます。ありがとうございました。
  206. 額賀福志郎

    ○額賀委員長代理 小沢和秋君。
  207. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 まず、大臣にお尋ねをしたいと思います。  南極などでオゾンホール拡大していることが確認をされ、一方ではオーストラリアとかニュージーランドで皮膚がんの患者の増加が認められる、こういう深刻な事態が出てきているわけであります。今すぐフロン生産、利用をとめても、このフロンオゾン圏に達するのに十年から二十年かかるという。そうすると、もう今までに我々が使ってしまったもののそういう破壊的な影響は、 今すぐとめてもずっと今後まだまだ進行していく、こういうことを考えてみますと、私は本当にこれは大変な問題だということを痛感するわけでありますし、日本のようにフロンの一〇%以上を使用している国はその汚染についての責任も大変大きいと思うわけであります。  それで、かけがえのない地球を本当に守っていく上でそういうような我が国が今日までやってきたことを考えますと、それだけに非常な決意でこの問題に取り組まなければならないのじゃなかろうかと考えますが、担当大臣としての決意をまず伺いたいと思います。
  208. 中尾栄一

    中尾国務大臣 小沢委員にお答えいたしたいと思います。  全く御指摘のとおりでございまして、これは全地球的な問題。考えてみますると、私どもの幼いころ、全地球的な問題として漫画やあるいはまた昨今においてはテレビ等で宇宙人の襲来とかなんとかいうような形で私どもが、地球がそれに防衛線を張る、それにまた地球をどうやって守るかというような劇画がよくございます。まさにこれは地球一体論として考えていかなければならない問題になってきたのだな、一国一国の対決世界から地球がどのように対応するかという問題になってきたな、昨今の情勢などを判断してそのように感じます。特に本問題は地球的規模の環境問題でありますために国際的に全く協力し合いながら取り組むことがまず肝要である、このように認識いたします。  我が国といたしましても、そのすぐれた技術力をもって世界貢献する立場にある、こういう認識もとに、本問題におきましても最新の科学的知見を踏まえつつ率先してこれに取り組み、所要の対応を今日まで行ってきたところでございます。すなわち、今回の議定書の改正交渉においても積極的な削減スケジュールの提案を行うとともに、途上国支援のための基金の設立に関しましても中心的な役割を果たす等の対応を図ってきたところではございます。また、今回のモントリオール議定書の改定を踏まえまして、引き続き議定書に定められました規制内容の着実な実施を図るために、オゾン層保護法の改正を含めまして、今後とも適切な対応を図ってまいる所存であることを申し上げたいと思う次第でございます。  以上でございます。
  209. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今大臣は、いわば諸外国にもう率先してこの問題に我が国として取り組んでいきたい、こういう決意を表明されましたし、ぜひそうでなければならないと思いますが、私、質問をするために今までの経過というのを若干調べてみましたが、どうもそういうふうな余り格好のいいことではなかったのじゃないかという感じがするわけであります。  どういうことかといいますと、一九八五年にウィーン条約が結ばれましたけれども、その当時は我が国は、この問題はまだ科学的に十分解明されていないとか代替品が難しいとかいうような理由を挙げて署名をしなかった、それでその後、議定書が調印をされたときにですか、一緒にこの条約も署名をしたというように私は資料では見受けておるわけです。そうすると、そういう同時に署名をしたということで二年もおくれたということは、やはり我が国の当時の姿勢などについては十分反省するというところから今後の我々の施策を進めていかなければならないのじゃなかろうかということを感じますが、いかがでしょうか。
  210. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 委員指摘のとおり、八五年に条約につきましては署名を行わず、八七年の議定書のときにあわせて行ったという事実、そのとおりでございます。  それで、率直に申しますと、それまでの日本のとってきた立場というのは、消費構造あるいは代替ということを考えまして、経済の問題と環境の問題ということを、実行可能性ということをまじめに踏まえて考える考え方でございますので、その点少しいろいろ議論があったかと思いますけれども、一度始めますと日本が一番まじめであるというのがその後の実態でございまして、現在の状況におきましても、例えば法律の中身をごらんいただきましても、やっとアメリカが昨年になって使用合理化というふうなものに手をつけ始める、ECは全然手をつけていないというふうな状況でございますし、エアゾール一つとりましても、日本の場合にはほぼ全廃までいっておる。ところがヨーロッパはなお四〇%近く使っておるということで、企業の品質管理と似たようなところがございまして、やり始めればまじめだということで、今は非常に最先端をいっておる。その結果として昨年のロンドン会議の取りまとめの前提となりましたスケジュールの問題あるいは基金の設置の問題、そういう全体の規制方向及び発展途上国への取り込みの努力というふうなことでは日本が先駆的な役割ということで、まじめな前向きの対応になっておるというのが実態だと思っております。
  211. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 日本がかつてはそうやって足を引っ張る役割であったということに対する反省から、ぜひ今後は大いに頑張っていただかなければならないと思うのです。  私、資料を見せていただいてびっくりしたのは、平成元年の生産量が、消費量も同じでありますが、十四万七千トンであった特定フロンが、いわゆるフロン年度というのですか、これで見ると一挙に十一万九千トン。十一万トンに減っておるわけですね。この暦年とフロン年度というのは半年ずれがあるようですけれども、それにしても物すごく減っている。今本当にやる気になったら大したものですというふうに言われたことがこの辺にあらわれているのかもしれませんが、私は日本技術力をもってすればこれだけのことができるというのであれば、ぜひその決意に立ってさらに今後の取り組みを進めていけばもっともっと減らせもし、全体をこの面でリードしていけるのではなかろうかとこの数字を見て思うのですけれども、その点について、今後の見通しも含めて説明をいただきたいと思います。
  212. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 委員指摘のとおり、平成元年に十四万七千トンの生産であったのが、フロン元年で十一万九千トンということで大幅に減になっておる。その中身が、御指摘のとおりフロン年度は七月から六月ということで半年ずれておるということでございますし、したがって当然の結果でございますが、フロン年度の半年前であったときには生産が多くて、その後フロン年度に入った途端に生産が減ったということが実態であることは御指摘のとおりでございます。これはやはり過渡期の段階で前倒しで製品を確保しておきたいという経済界の実態もございますので、今後のまじめな対応を考えるために、かつ需給逼迫による価格の混乱を起こさないために、経済実態としてそういうことが起こったものだと思っております。それでその実行後は、るる申し上げておりますように、使用削減、代替物開発あるいは代替技術開発を含めまして使用削減が非常に進んでおりますので、今後も全力を挙げていきたいと思っております。  ただ、そういうことが非常に実行可能だというところは、前倒しで可能だというところは主として大企業分野にまず出てまいりますので、大企業と関係のない中小企業の方々がまさに生産活動も続けられるというところをあわせ配慮することが必要でございますので、当然の環境保全という大前提のもと中小企業の方々に対する配慮も十分に考えてまいりたいと思っております。
  213. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 このフロンの問題での技術開発一つに、いわゆる破壊技術の問題があります。先ほど伺っておりましたら、今後数年のうちには実用化できるだろう、そしてこれが破壊できるようになった分だけ、生産、消費などの面でその減らせられる分だけまた緩和をするようなお話だったようにちょっと聞こえたのですが、そうであるのかどうか、改めてお尋ねをしたいと思います。  もしそういうことになるというと、これはその破壊技術が進めば、そして大規模にそれが可能だということになったら、全廃なんかしなくてもいいじゃないかというような極端な議論が出かねな いのじゃないだろうか。私は、どんなにこの技術が進歩をしても、今廃止をするという明確な方針を掲げた、これを前倒しをすることはあっても緩めるようなことはあってはならないのじゃないかというように考えるのですが、いかがでしょうか。
  214. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 フロンの破壊技術につきましては、議定書及びそれを受けました法律で通していただきました内容は、現在の生産規制に対して、破壊したものは上乗せ生産ができるという位置づけのもとの破壊が議論をされておるわけでございます。その考え方は、破壊をしてしまえば大気圏、環境への影響が全くないということで、その破壊の技術開発し、それを確認しようという流れで今議論が実は進んでおるわけでございます。ただ、その破壊が技術的に確立し明確に確認ができなければ、破壊をしたと称して大気に流しておるような者があれば言語道断でございますので、その技術の議論、特定するための議論が進んでおるというのが現在の議定書及び法律の体系でございます。  それをより有用な形で転用をする、まだフロンが入っておるけれども他の不純物も混合しておる、それを再生するのもなかなか難しいというふうな場合に破壊という技術を使えるかどうかということは今後の検討課題だと理解をいたしております。したがって、もしそういう技術が確立して、経済的にフィージビリティーがありそういう使用が可能であるということになれば、そういう有用な使い方ということがそこで一つの選択肢として出てくると思っておりますが、基本的に、るる申し上げておりますように環境観点からいえば、現在の生産即全部が放出、それが環境に与える影響ということを一番厳しい形でシミュレーションをして規制の内容を決めておるのが現状の内容でございますので、そこの歯どめは、環境保全に対する歯どめは十分にかかっておるというふうに理解をいたしております。
  215. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いや、だから私が理解しているように、たとえ破壊技術というのがどんなに進んでも、廃止をするというこの姿勢、そしてできれば前倒しをしていかなきゃならぬという考え方には変わりはないというふうに私は理解しているが、それでいいわけでしょう。
  216. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 おっしゃるとおりでございます。破壊の技術に関係なく全廃をしていくということでございます。
  217. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それから、その技術問題でもう一つお尋ねしたいのは、第二世代のフロンの問題です。これに切りかえれば影響は大幅に減るというふうに言われておりますけれども、これも塩素を含んでいる以上やはり好ましくない。今のところは届け出をさせたりして監視をしていくという感じのようですけれども、やはり私はこれに対して過大な期待をしてどんどん生産がまたふえていくというようなことになってはいけないし、だからもっと厳しい規制をしていかなければならないのじゃないかというふうに考えますが、その点はどうでしょうか。
  218. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 第二世代フロンにつきましても、塩素原子を含んでいるものが大部分でございますので、その限りにおいてオゾン層破壊の効果が、非常に軽微であるとはいえあるのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、その使用が野方図に行われるということは好ましくないと我々も考えておりますので、排出抑制・使用合理化指針をつくりまして、その指針に基づきます使用の合理化を十分に徹底をしてまいりたいと思っております。  それから、それを完全に規制するかどうかという点につきましては、国際的な科学的知見に基づいて国際的な協調もとに判断をしていくということで、現在は二〇二〇年から二〇四〇年の間にそれを全廃をするというふうな方向で議論が出ておりますので、科学的知見を踏まえてぜひそれに沿った対応を図っていきたいと考えております。
  219. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それから、先ほどの答弁の中にもちょっとありましたけれども、大企業はこういう問題について自力でどんどん対応していけるけれども中小企業開発もできないし、あるいはそういう情報にも乏しい。それから、やりたいと思ってもお金もない。そういう点についてはさっきから議論をされておりますし、答弁の中で中小企業に対しては講習会などをやるとかあるいは設備投資についてもそういう融資なども考えていくというようなお話がありまして、それはそれで納得できるのです。しかし、私もう一つ突っ込んでお尋ねしたいのは、こういう地球環境を守るというような要請から起こってきた今回のような問題については、大企業同士が技術開発競争などをやってお互いにそれを囲っておくというようなことは、もうこの問題については許されない。お互いにどんどん最新の情報を公開もし、お互いに利用もさせていく、こういうような関係も、そもそも一番開発力のある大企業のあたりからその辺をきちっと確立をさせないと、中小企業に対して講習会をやるといっても本当に極めておざなりなものしかノーハウは伝達されないので余り役に立たないのじゃないだろうか。その辺どういうふうに今指導というか、あるいはちゃんと体制ができているならできている、こういうふうにできているという辺もお尋ねしたいのです。
  220. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 委員指摘のとおり、大企業が囲いをつくって隠し合うという種類の技術でないというのはおっしゃるとおりだと思います。したがって、我々、関係団体、需要業界も含めまして五十五団体を糾合いたしまして、オゾン層保護対策産業協議会という組織をつくっておりまして、そこで研究開発あるいは使用の合理化、すべての情報交換をいたしておりますし、海外調査などもいたしておるわけでございます。そういうことで、情報は開発の問題も含めましてかなり広く公平に透明に広がるというスキームを国内でつくっております。  それから、開発に関連しまして、第二世代に続きますさらなる第三世代フロン、その開発に当たりましては、世界企業も含めまして十社で共同研究開発を今いたしておりまして、それに対する政府補助もいたしておりますが、開発段階においても広い公開性というふうな方向で検討をいたしております。
  221. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 先ほどからこのフロン対策についての国際的な援助の体制をつくっていくということが大きな問題になりまして、私もいろいろ伺っておって大部分のことはほぼ理解をできたわけでありますけれども一つだけお尋ねしたいと思います。  日本が出すお金が基金全体の中で一三%ぐらいの比率だというふうに伺いましたけれども日本の今の経済力あるいは世界的な経済大国としての影響力というようなものを考えますならば、一三%というのはむしろ私は少ないのじゃなかろうか、この点でもっと貢献するために出すべきではなかったろうかということを、一つは考えるわけです。  それから、技術的な援助をしていくという点では、国際間の競争についても、さっき私が大企業同士でもこれについてはそういう企業競争を超えた問題として位置づけてやらなければいけないと言いましたが、国際間でも私は、先進国同士でもやはりこのことについては同じ立場で対処しなければならない、そういう立場から、開発したものを先進国同士はもちろんのこと、そういう発展途上国に対してもどんどんそれを提供していく、この辺もやはり同じ考え方で対処されるものと思っておっていいでしょうか。
  222. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 初めの基金の出資金額でございますけれども、それを設立段階における交渉で確定したということでございます。それで、内情をちょっと申しますと、国連の分担金見合いということで各国が合意した分担金が一三・三九%でございますので、それで各国が合意した、それに見合った拠出をしているという考え方でございます。  それから、国際的な協力関係でございますけれども、先ほど来の、今も議論になりましたオゾン層保護基金の設立自身に日本が非常に努力をした ということが一つございますし、それから国内的にも日本企業が海外に出ていきます場合に十分に確立したフロンを使わない技術あるいは使用合理化した技術を移転していくべきであるという考え方もとに、大臣から関係企業、業界団体に直接要請をいただいておりまして、その徹底が図られておりますし、企業もそういう意思表明をいたしております。  それから、政府ベースでもアジア・太平洋地域のセミナーを開きましたり、経済協力事業団体に環境庁あるいは通産省それぞれ主催をいたしまして、外国から人を集めまして技術移転にいろいろ努力しておるということで、いろいろなレベルで十分な公開、規制の原則のもとに協力をしていきたいというように思っております。
  223. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それでは、もう一遍大臣にお尋ねして、私の質問を終わりたいと思うのですが、二点あります。  全体として、私さっきもちょっと言ったことですけれども、この種の問題について日本は非常に消極的だということが国際会議などのニュースを読むとよく出てくるわけですね。私はぜひ日本が積極的にリードするというぐらいの立場で取り組んでいただきたいということを強く考えるわけです。  その点で二点というのは、一つは、来年フロン規制の前倒しのための会議が予定されている。ここで今言いましたような積極的な立場から我が国が対応していただきたいと思うが、どういう姿勢で臨むか。  それから、これはフロンではないのですが、大気汚染という点ではやはり大きな問題であります二酸化炭素、この規制についての第一回の枠組みをつくるための会議が今月の四日からワシントンであったというふうに伺っております。この記事もやはり読むと熱心なのはヨーロッパ各国で、日本やアメリカはそういう規制の基準などを設けることに反対している。これまた足を引っ張っているような印象の記事なのですね。だから、どうもそういうことではぐあいが悪いのじゃないかと思うのですが、どういう姿勢で臨んだか、今後どういうふうな考え方か、このことをお尋ねして、終わりたいと思います。
  224. 中尾栄一

    中尾国務大臣 お尋ねは二点ほどあったと思います。  まず第一に、日本がリーダーシップをいかようにとっていくのかと。先ほど一三%の話も出ましたが、私も全くある意味においては同感でございまして、この点には、私も今業界各位にその問題を一番強く訴えておるときだけに、その枠においてもある一種の、委員の御指摘のとおりの共感を持って考えていくべきだったかという感じはしております。     〔額賀委員長代理退席、佐藤(謙)委員長代理着席〕  それからまた同時に、我が国といたしましては、今回の改定交渉におきましても積極的に削減スケジュールの提案を行うとともに、途上国支援のための基金の設立に関しても中心的な役割だけは果たしてきた、こう私は認知しておるわけでございます。  一九九二年に予定されている議定書見直しにつきましては、我が国としては今後の新たな科学的知見及び技術的可能性というものの評価等を踏まえながら積極的な対応をしていかなければならない、このように考えておる次第でございます。  あと一点、CO2についての規制の枠組みなどの条約の問題でございますが、どういう姿勢で臨んだか、こういうことになりますと、当然この問題は私ども真剣に構えておりますので、同会議が今月四日より十四日まで約百カ国の参加を得まして、まあ国連並みにだんだん大きくしていきたいと思っておりますが、ワシントンにおいて開かれた。我が国は、二酸化炭素の排出抑制を図る国際的な取り組み方を進めるに当たりまして、一つは、まず条約に対する広範な国々の参加の確保を確立したものにしなければいかぬ、第二点は、経済の安定的発展環境保全との両立を図るための積極的な技術開発の推進を図るべきである、第三点は、おのおの異なる事情のもとにある各国が最も適切な戦略及び対策を行っていくべきである、こういう問題点についての基本方針ではございますが、姿勢をもって会議に臨んだところでございます。来年六月に予定されております条約締結に向けましても、今後とも積極的に取り組んでいくことは当然のことであると私も考えておる次第でございます。  以上でございます。
  225. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  226. 佐藤謙一郎

    佐藤(謙)委員長代理 川端達夫君。
  227. 川端達夫

    川端委員 大臣、御苦労さまでございます。  今ほど地球を守ろう、守らなければ大変なことになるという議論、意識が強まってきた、そしてその行動を具体的に迫られてきた時期はないと思います。地球は、申すまでもなく、私たち人類にとっての代わりのない、スペアのないものでございます。今生きている者が後世に少なくとも今よりひどくしない、可能ならば今よりももとに戻して引き継がなければならない責任を有しているということは非常に大きな問題だと思っております。  今回の法案、オゾン層の破壊の進行を可能であれば食いとめたいといういろいろな世界的な動きの中で、改正が、一歩前進をさせるという意味では評価をしたいと考えておりますが、我々人類が生きてきた間にとにかくもっと便利な、快適な、豊かな生活をしたいということでどんどんと頑張ってきた結果どんどん地球が破壊をされてきた。これではいけないということで考えるときに、可能な限り現状の便利さとかいうものは維持しながら、可能ならもっと便利になりながら、地球は余り汚さないようなというふうな欲張った部分でどうしても考えてしまう。しかし、この地球環境の問題に関しては、その概念は否定をされなければいけないのではないか。多少不便、かなり不便でも守らなければいけないことがある。その一つがこのオゾンだというふうに思います。と口で申し上げるのは非常に正論でありまして、どなたも御異論ないし、簡単なんですが、現実に、今そうしたらオゾン層に対して、フロンあるいはその特定物質、いろいろ考えられるものは悪いというのはわかっているわけですから、全部やめる、直ちにやめるということが現実にはできないという意味で、私たちも、そして当局も含め、国民も含めてこれは本当に難しい問題だなという悩みも持っているのが正直なところだというふうに認識をしております。  そういう中で、御努力、少しずつの努力というのが、程度が、もっとやるべきだという部分もあれば、それは行き過ぎだというふうなことの中での議論が多いと思いますけれども、今回こういう法改正を取り巻く環境の中で、総括的な部分として一、二お尋ねをしたいというふうに思います。  申し上げましたように、まさに経済発展という部分と表裏一体なというか裏腹な部分の問題であります。そういう部分で、よく言われますいわゆる先進国、今までのそういう利便性を追求し経済発展をそこそこ遂げた先進国、逆に言えば、どんどんその先進国としての経済性の利便を享受しながら地球を非常に汚してしまった方の先進国と、これから頑張ってそういう生活に追いつきたいというときにいろいろ制限法をやられて阻害をされてしまう途上国という部分が、よくいろいろな意味で摩擦というかギャップが出てくるということで、地球を全体で守ろうというときに、国際的にみんなが力を合わせてやっていくというときに、いかにそういう途上国に対して理解を得られるか、そして共同行動がとれるかということが一番大事なことではないかなというふうに考えるわけです。  そういう中で、今回、先ほどからも議論になりましたけれども、議定書の中の途上国の特例にさらに追加をして暫定的にでもすぐにやろうということで多数国間基金というのが設けられたということを伺っておりますが、ごくごく簡単で結構でございますので、概要を御説明いただきたいと思 います。
  228. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 とりあえずの三年間、九一年から九三年のとりあえずの期間ということで一億六千万ドルの基金の拠出が決まりまして、かつ、将来、中国あるいはインドと、特定の名前はメンションしておりませんけれども、大国が入ってきました場合にはさらに八千万ドルの追加資金が可能というふうな規模で考えております。  それで、その中身といたしましては、発展途上国がフロンの使用を転換するとか、そういう必要のある個々のプロジェクトをケース・バイ・ケースに判断をいたしまして、それに対する資金供与を行う、その実行は世銀、UNEP等の共同のもとに行う、かつその管理といたしまして、十四カ国から成る発展途上国と先進国半々の構成の委員会で基本方針を決めていくというふうな基金でございます。
  229. 川端達夫

    川端委員 そういう途上国にいろいろなことでバックアップをしていこうということで、その趣旨は非常に結構なんですが、一方、今回の改正でもいろいろな物質を新たに追加をし、規制強化していこう、そのかわり代替品あるいは代替技術というのを開発をしていこう、途上国に対してそういう部分がおくれた分にはいろいろな援助をしてあげましょう、こういうことだと思うのですが、そのときに、その代替品開発する、あるいは代替技術開発していくという部分には相当なコストがかかる。これは主には民間の企業それから国の研究所等々おやりになるわけですから、そういう部分で、そのできてきた技術を結果的に途上国に供与していこう、設備的に援助をするということは、ある部分ではハードな部分というのはかなりお金という部分で助かると思うのですが、そういう開発コストを相当かけてでき上がった技術というものを途上国に供与するという部分に関して、こういう基金の額との見合いということで言うと負担にたえられるのかな、その開発した企業側の論理で言いますと。そういう部分で言うたときには、いわゆる新しい技術を途上国に、皆さんこういう技術を使ってくださいというときのそういう額といいますか負担の支払いという部分で言うと、そういうものが可能なのかなという疑問を感じるわけです。  それと同時に、しかし地球の問題だからそういう技術ができたら供与しなさいよというふうにかなりな指導をしないと出ていかないという部分もあると思います。せっかくうちでつくった技術なのにということがあると思います。そういう部分に関してかなり強い指導でやりなさいということまで考えておられるのかどうか。そんなことまでするのだったら、コスト負担――先ほどもほかの委員質問で、そういうのは大きな企業がやって、どんどんやるべきだ、提供すべきだという御議論がありましたけれども、総論的にそういうことかなというときに、そのコスト負担はだれがするのだろうということも含めて考えると、なかなか難しい問題をいろいろ含んでいるのではないかというふうに思うわけです。  そういう意味で、「世界貢献する日本」という意味でいいますと、そういう部分、実際の研究開発とかいう部分企業技術力というのを当然利用しないといけないと思うのですが、そういう部分開発のコストであるとか、それから途上国にはこの基金以外にも相当なバックアップというのを、日本技術移転する場合にはその開発のコストに関して日本政府として負担をするということを考えていかないと、現実にはできないのではないかなというふうに思うのですが、そういうことに関して総括的にどういう見解、御姿勢なのか、これから先の問題ですけれども、お聞かせいただきたいと思います。
  230. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ちょうど今からもう既に四年も前のことではございますが、世界の中における日本、あるいは世界の中における日本の役割、こう言った方がいいでしょうか、私も経済企画庁の長官をやっておりますころに、この問題を――この問題といいますよりも、今の発展途上国、この経済の問題を相当強くその中にうたったつもりでございます。五カ年計画でございまして、もう既に四年もたっておりますけれども、まさに委員指摘のとおりでございまして、経済と、ある意味における二律背反といいますか、経済が伸びてはもらいたい、伸びてもらうと同時にそういう問題点も加増するということになってしまう。かといって、現時点で考えてみますると、フロンの問題などは、例えば日本で五一%か二%か、半導体等の洗浄剤が一番多い。フランスあたりは、美容の国でございますから女性のスプレー等々で何十%かのシェアを占めておる。アメリカ等は、やはり大型の冷蔵庫、そういうようなものが非常に多い。これは全く御指摘のとおりでございまして、そういう問題点は多岐にわたりますが、しかし途上国に発展していただきませんと、同時に経済の問題が大きく存在する。かといって、途上国も将来はそういう任務も担わなければならぬ。現時点で担っていただく場合には、途上国には余りにも現時点では協力できるだけの内容を伴わない、こういう矛盾を幾つかはらむわけでございます。  そこで、国際的に協力してオゾン層保護を図っていくというためには、開発途上国の議定書への参加が何といっても必要である、こういう認識でございます。このために、開発途上国の議定書参加を促すべく、我が国を初めとした先進国オゾン層保護のための技術の移転を行うことが肝要である。このためには、我が国としましては、発展途上国におけるオゾン層保護対策を支援するための国際的な基金の設立に関しまして、私どもは積極的な役割を果たしてきたつもりでございます。また、我が国独自の措置として、産業界における技術移転の申請の実施等の措置を講じておるところでございます。  通産省としましては、今後とも、そういう意味地球環境問題であるオゾン層の一層の保護を図るために積極的役割というものをいかなる角度でも果たしていこう、こういう心算でおることをお伝え申し上げておきたいと思う次第でございます。
  231. 川端達夫

    川端委員 現実に技術移転をしていく場合に、総論的には大臣のおっしゃるとおりだと思うのですが、果たして本当に技術開発という部分の移転がスムーズにできるのかなというのが、若干というか相当危惧を持っておるわけですので、またいろいろお考えをいただきたいと思うのです。  例えば、半導体とかいう大企業がかなり占める部分以外の部分で、ちょっと観点を変えてお伺いをいたしますと、いわゆる1・1・1トリクロロエタンは主には用途としてどういうところか、簡単にお聞かせをいただきたいと思います。
  232. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 1・1・1トリクロロエタンは洗浄用に使われております。したがいまして、電機あるいは精密機械あるいはその他機械類の洗浄用に使われている部分が非常に多うございますし、それから、量的には必ずしも大宗ではございませんけれども、数多くのクリーニング業等の洗浄用にも使われておるというような重要な品目であると理解をいたしております。
  233. 川端達夫

    川端委員 そういう部分で、我々が今着ているワイシャツのクリーニングもこの対象になるわけでございますけれども、そういう部分代替品というものが今至急に求められるという状況だというふうに思うのですが、その開発状況といいますか、めどとかそういうものについてはどのような御認識でしょうか。
  234. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 トリクロロエタンの主要な使用先が洗浄であるということでございますので、113と同じような代替技術が適用可能かと思っております。したがいまして、電子用でございますと無洗浄化あるいは水洗浄というふうなことが可能になるようなフラックス開発いたしますとか、あるいはハンダづけ工程における低活性ガス等でやるとかございますが、繊維の件につきましては確かに、トリクロロエチレン等も規制されておりますのでなかなか難しいということで、現在使われております石油系のもの、そういうふうなものにだんだん大宗が、現在も大宗でございますが、今後さらに移っていくということかと思って おりますが、ただその間においては、機械工業において他の代替品代替技術開発をされてそれに移ってまいりますので、クリーニング業等については、その間なお時間的余裕がトータル規制の中であるという状況かと思っております。ただ、その先の流れといたしましては、石油系のものに移っていくという方向が、過去から見れば逆戻りでございますけれども、自然の流れかと思っております。     〔佐藤(謙)委員長代理退席、委員長着席〕
  235. 川端達夫

    川端委員 お聞きしましたように、いわゆる機械それから半導体を含めた洗浄という、工業ベースのものに関してはいろいろな代替技術、先ほどからのさびどめの松やに系のものを使わなくするとか水でかえるとかいうことで、これは非常に大きな影響を与えるということで、企業も相当な研究費を投入して必死の開発をする。そういうすき間にあって、しかし実際には我々日常生活を含めて非常に大きな分野で、周りで仕事をしておられるクリーニング業に関しては、代替品が今見つかっていない。トータル的にそういう大きなところが使うのが減れば多少使えるんじゃないかと言うが、いずれ使えなくなるというのははっきりしているし、そういうクリーニングの洗浄にどういうようなものがいいんだろうというのを、根性込めて大枚投じて研究開発をするというところが果たしてあるんだろうかというと、余り期待できないのではないかな。  今まさにおっしゃいましたけれども、昔、ベンジン系のものがよくないということでかえてきたものから、そうしたらまたもとに戻るということが果たして許されるのだろうか。そういう部分で現実に、昔に戻って普通の石けんでみんな洗濯しようではないかということに果たしていくのかというと、やはり難しいなという意味で、これは一例を取り上げましたが、ほとんどがそういう中小零細の業界が専門的に使っている用途、あるいは大企業と同じ用途で使っていても、それを代替するときには、当然ながら開発した方はコストを負担しているという部分で値上がりがする、それから新たな設備投資が要る、そういう部分に関して、先ほどからも議論があったと思いますが、相当きめ細かなバックアップをするということをしてあげないと、総論で地球を守るために協力しろということで路頭に迷うということであってはいけないと思いますので、これは冒頭申し上げましたように、やはり国としての関与というのは相当な負担というものをしないとうまくいかないのではないかなというふうに私は思っております。  そういうときに、例えば代替品ができたというときに、ある企業開発をした。そうすると、当然ながら特許という問題が出てまいります。こういう部分に関してやはり特段の配慮というものをしないと、周辺開発力がない、あるいはある一社が独占的に使うという部分では、対外的に使用という部分では負担をかけてしまう。それから昨年ですか、日米構造協議のいろいろな議論の中で、当委員会でもいわゆる知的所有権というものを議論し、法案もできました。知的所有権に関して言えば、日本はそういういわゆる技術ノーハウの蓄積みたいなものが非常にルーズになっている、そういう権利が保護されていないではないかという部分できっちり法整備をしたわけですけれども、逆に今度は、こういうもので本当に地球を守るためにということでいろいろな技術ができたときに、使わない人たちにどんどんいわゆるノーハウを開示するということで、また今度は知的所有権からいったら逆ではないかという、何か裏腹にまたこんな問題も出てくる、そういう問題を今回は、大きく言えば地球を守るという中で抱え込んでしまうというのがやはり現実の問題だと思うのです。  この特許の問題、知的所有権の問題に関して、ほかも含めてですが、特にこのオゾン層保護という部分でのこれからいろいろな新しいものをつくらなければいけない、新しい技術開発しなければいけないというときに、やはり明確な指針を持たないと非常な混乱を来してしまうというふうに考えるのですが、いかがでございましょうか。
  236. 辛嶋修郎

    辛嶋政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、特許権の問題というのは非常に難しい問題がございます。特許法では、発明を保護し、そして利用を図るということによって発明を奨励する、こういう機能が与えられているわけでございますが、他方で公共の利用のためにどうするかという問題が出てくるわけでございます。そのために、特許法の第九十三条では、特許の発明の実施が公共の利益のために特に必要であるときは、その特許発明を実施をしようとする者は、特許権者に対して通常実施権の許諾について協議を求めるということができるようになっております。それで、協議相調わないときには通産大臣の裁定ができる、こういうような規定がございまして、特許権という私権の保護の制限を最小限度にとどめつつ公共の利益の実現を図っているというのがこの規定でございます。具体的にこういう裁定の請求が来た場合には、この制度の趣旨を十分踏まえまして、法令の定めるところによりまして、工業所有権審議会の意見を聞きながら適切に対処してまいりたいと思っております。
  237. 横田捷宏

    ○横田政府委員 知的財産権の問題は、特に国際的な場でも、その制度の確立、調和ということでウルグアイ・ラウンド等の場でも行われておるわけでございますが、先ほどからお話もございました発展途上国への新たな技術の普及促進といいます際には、資金面とかあるいは技術面の援助等と並びまして、民間ベースの技術移転を円滑に進めていくという観点から、より基本的な制度の確立、普及という点も大変重要だということで、国際的な場でも日本としてさらに積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  238. 川端達夫

    川端委員 従来決めてある特許法における協議を申し入れるという、いわゆる公共の部分の性格を有するものということで、いわゆる私の企業と私の利用者という部分で、問題ですから使わせてくださいよというふうな位置づけの枠を超えた次元でこういうものを整理していかないといけないのではないか。  それから知的所有権に関しましては、これはさらに含めて、今おっしゃいましたいわゆる国際的な概念として、日本で今まで非常にあいまいであった部分を国際的に合わそう、しかし、今度また海外に、途上国に技術供与していこうという部分で言うと、今度はそれをどういうふうに整理をしていったらいいのか。今、各国と考え方を整理していかれる、それは結構なんですけれども、そういう部分に関してはやはりきちっとした方針をお考えにならないと、特許の問題に関しても果たしてどこか違う企業が使いたいということで済ますような話なのか、そういう観点で考えますと、私は、こういうものの技術開発に関して、しかもそれで特許権の権利が余り有効に保護されないということであれば、開発するコストなんて余りかけたくないやということで、使う方ではなくて、そういう素材をつくる側の研究開発というのが余り意欲がわかないという可能性がある。これはメーカーは少なくて使うのが多いわけですから、使うところと専門レベルが違うという部分で、やはり本当にそういう化学物質をつくるという立場の研究によるところが多いわけですから、そういう部分では、こういうものに対する研究開発というものをかなり国が独自で、あるいはそういう部分に関しては委託をする、要するに国と連携をとって、資金も相当バックアップするというふうな体制をとる中で権利を国民のものとしていく、あるいは国際的に世界のものにしていく、そういうことの御議論と姿勢というのをぜひともに考えていただきたい、こんなことを思います。御所見をお聞かせいただいて、終わりにしたいと思います。
  239. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 御指摘のとおりの公的な機関の関与につきましては、化学技術研究所あるいは公害資源研究所等を中心にいたしまして新たな開発の芽探しという研究の段階をいろいろいたしております。それをさらに民間との協力の中で新たな開発体制をつくるという意味で、いわゆる第三世代フロン開発と申しておりますけれども、 現在の代替フロンのさらにその先をいくフロンにつきましては国がかなり重要な役割を果たすということで、来年度につきましては十億円の一般財政資金を投入するということで予算をお願いいたしておりまして、その中では、公的な機関のほかに十社ぐらいの世界企業が協力して開発をするということで、そういう開発がむしろ意欲的に進むように、政府の段階でも支援を講じてまいりたいと思っております。
  240. 川端達夫

    川端委員 どうもありがとうございました。終わります。
  241. 奥田幹生

    奥田委員長 江田五月君。
  242. 江田五月

    ○江田委員 長丁場で御苦労さまでございます。しかし、もう最後の質問ですのでよろしくお願いします。  どうも最後になりますと、もう大体論点は全部出尽くしているようなことでございますが、このオゾン層保護法改正案、議論をするよりも、とにかくできることを最大限やっていく、まさにやるっきゃないということだと思います。大変な事態になってしまっておるわけですが、モントリオール議定書改正の議論の中で、削減スケジュールについては一九九二年にさらに早める目的をもって見直しを行うとされたということですね。この見直しについて、これも既にもう質問がありましたが、重ねて我が国の基本的な態度を伺っておきたいと思います。  見直しは本当にさらに早める目的である、しかもできる限り実際にも前倒しで早めていくんだという覚悟を聞いておきたいわけです。例えば今度のこの改正によりますと、九三年七月から九四年七月ですか、この部分については改正前よりも削減のプランは緩和されるというようなことにさえなる。しかし現実にはそうではなくて、前倒し前倒しでいくんだというように伺っているのですが、そのあたりの覚悟を大臣に伺っておきたいと思います。
  243. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 九二年の見直し、二点あるかと思っておりますが、今委員指摘の九三年、九四年というのが旧来の議定書に比べて八〇%削減から新たなものの一〇〇%になっておる、そこのところの見直しが一つのポイントでございます。それで、我々の運用といたしましては、旧来の議定書の線に沿って、したがって一〇〇%に緩和するのではなくて八〇%の運用を九二年の後半から実施をいたしたい、したがいまして、九三年を待つことなく八〇%の規制を実行いたしたいという考え方でございます。  それから、全体の見直しでございますけれども、EC等一部に九七年ぐらいに特定フロンの全廃時期を繰り上げてはどうかという議論がございますけれども、これは消費構造も片目で見ながら、基本的には地球環境における実効をいかに上げるかという科学的知見の蓄積が前提でございますので、その段階における知見とあわせ考えながら、基本的には知見に沿って対応を議論をしていきたいと思っております。
  244. 江田五月

    ○江田委員 科学的知見に沿ってということでもありますでしょうが、しかしわかったときにはもう遅いというようなこともあるわけですから、科学的知見についてある程度の先見性を持ってやっていかなきゃならないという気はいたします。  その見直しをモントリオール議定書締約国の会議の中でやられるわけですね。そこで、国際的にどのようなイニシアチブを見直しという段階に果たしていかれようとするのか、これを伺います。
  245. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 国際会議の通例といたしまして、その前に実務段階の作業部会が何回か開かれることになると思います。この段階で先ほど来のあらゆる知識を十分に議論をし、かつ可能な限りの前向きな、実態に即した対応を図ってまいりたい。その結果がまさに締約国会議で結論として合意に至るということで、基本的な方向としては積極的な対応を考えております。
  246. 江田五月

    ○江田委員 ひとつ頑張っていただきたいと思います。  それで、できることはすべてやっていかなきゃならぬということだと思うのですが、国際協力については基金をつくってやるんだというお話でした。それで、私はオゾン層保護に関しても債務・自然保護スワップ、これをやってはどうかというようなことをきのうちょっと環境庁の方と議論してみたのですが、債務・自然保護スワップの研究がまだ十分できていない、手をつけたところであってというようなお話なので、ではそれは質問はやめておきましょうと言ったのですが、地球温暖化防止行動計画にちゃんと入っているのですね。これは「第五 講ずべき対策」の「七 国際協力の推進」の中の「五 民間レベルでの国際協力の推進」のところに入っていまして、勉強に着手したばかりだというのにこの関係閣僚会議で決まった地球温暖化防止行動計画に入っているというのでは、どうもこの計画自体もまだ十分練られていないものがどんどん入っているのじゃないかという気もしたり、あるいは質問されたら困るから適当に言われたんじゃないかという気もしたり、ちょっとうろうろしているのですが、しかし、これはきのう質問しないと約束しましたから質問はしませんが、できることは何でもやってほしいと思います。  そこで、できることは何でもやるということの中で、国内に既に出回っているフロンガス等々がいっぱいあるわけですね。冷蔵庫にもあるしあるいは自動車のクーラーにもあるし、これはもう出回ったものは出回ったものとして、大気中に排出されたものとして計面を立てているから、だから何もしないのだということではなくて、これを回収する努力は最大限やらなければいけない。既にいろいろなされていることもあると思いますが、国民に対する啓蒙という意味でもいろいろな努力をしなければいけないと思いますけれども、先ほどもちょっと質問がありましたが、どういう覚悟でおられるのか。既に出回っている特定物質の回収についてどういう覚悟を持っておられるのかを聞かせてください。
  247. 内藤正久

    内藤(正)政府委員 出回っております製品の中に含まれておるフロンの回収ということで議論になりますのは、車の回収及び冷蔵庫の回収ということになるかと思いますけれども、まず車のカーエアコンの中に含まれておりますフロンにつきましては、現実に車が使われている限りは回収をし再生利用する、あるいは大気中に放出しないで不足分だけを補充するという形を可能にするように高圧ガス取締法を改正いたしまして、昨年の十月来そういうことが実施されております。機械も相当に普及が始まりまして、来年度じゅうには一万五千台ぐらいの普及になると思いますし、それから系列系でない企業につきましても普及が急速に広がるということで、運輸省等で指導をしていただいております。  それから冷蔵庫でございますけれども、これについては冷蔵庫が使われている限りフロンは外へ出ないという完全密閉方式になっております。したがいまして、これが廃棄されました場合にはその回収の方法が難しい、廃棄処理業者がそれを粉砕いたしますと大気中に出てしまうという問題点がございます。したがいまして現在は新たな、まずフロン代替品を早急に使おうということで、141b、142bのようなもの等々を九四年ぐらいから製品化するということで、まず代替フロンの使用について急速に業界が動いておりまして、かつその場合も、廃棄されたものも回収が可能なような可能性を検討していこうということでございます。  したがって、そういう方向で自動車あるいは冷蔵庫両方ともに努力をいたしておりますので、今後その方向でなお検討を続けていきたいと思っております。
  248. 江田五月

    ○江田委員 これはおっしゃるように廃棄物、自動車の場合ですと廃車、冷蔵庫ですといよいよ廃棄されるときのことで、廃棄物というと厚生省と、こうなって、また縦割り行政がここでもという感じがするのですが、いろいろと努力はされていても実際には野放しになっているというのが実態じゃないかという気がするのですね。例えばPCBなんかでも、コンデンサーなんかはちゃんと取り外して廃棄をしなければならぬということに なっても、現実には全部ごちゃまぜでやっているわけで、そこまできちんと目の届いた行政をやらないと、少なくとも国民の啓蒙ということにはなっていかないわけで、これはぜひ努力をしていただきたいと思います。  さて、このオゾン層破壊の問題は、もう本当に手おくれかもしれない。しかし、手おくれだと言っていてはだめなんで、やはり努力をして地球環境というものを守る最大限の知恵を働かせていかなければいけないということだと思います。このフロンなどによるオゾン層の破壊だけでなくて、私たち人間の活動によって自然環境が今本当に危機に瀕しているということがいっぱある。GLOBEという組織がありまして、GLOBEというのはGはグローバル、Lがレジスレータース、Oはオーガナイゼーション・フォー、Bがバランスト、Eがエンバイロンメント、バランスのとれた環境のための地球規模の議員の組織、こういうのがありまして、これはアメリカとECと日本の国会議員が参加をしておるのですが、去年は春にブリュッセル、秋にはワシントンで会議があった。そこで、コロンブスという話が出まして、コロンブスは別にアメリカ大陸があることはわかっていて出たんじゃないんで、すべてがわかってでなきゃ行動を起こせないというようなことをやっていたらアメリカ大陸も発見できなかっただろうし、今はそうじゃなくて、すべてがわかっていなきゃ行動できないと言っておったら地球環境はだめになってしまうかもしれないわけですから、とにかくこちらは危ないという方向が出たらそちらへ行かないようにあらゆる努力をしなければいけないというときだと思うのです。  これは余談ですけれども、例えばそういう国際会議に行こうと思うと、環境問題など、票にならないのは余り気にしないけれども、金になりませんで、出ていくのに全部自分の金でなんということになると、私なんぞは年二回も外国で会議されるととてもとても出席できないというお粗末な日本の状態というのがあると思うのです。それは余談ですが、こういう人間の活動あるいは人間の知恵について余りにも私たちは傲慢であり過ぎたんじゃないか、過信し過ぎたんじゃないか。もっと謙虚にならなきゃいけない。フロンの場合は、製造企業が五社ですか、ですから蛇口で閉めることができるけれども、もうかなり手おくれになっていることがほかにいっぱいあるんですね。そうしたことについて、環境問題ということについての大臣の、これは大所高所の議論で結構ですから、お考えを聞かせてください。
  249. 中尾栄一

    中尾国務大臣 私は、江田委員の先ほど来のお言葉に大変感動を受けております。  ある意味においては、人間のなせる力、わざというものは限られたものでございまして、やはり人間おのずから生きる上に、自分はオールマイティーなものだと思い上がった場合には確かに権力的思考になるでしょう。そしてまた同時に、それがいろいろの悪も生ずる起因にもなる、原因にもなる。その中にあって、人間には絶えず自分よりも偉大な大きな社会とか国家とか地球とか、そういうものがあるという存在感、これを知り得るところにおののき恐れる恐怖感というものがあるべきものだ、このように私も思います。  そういう点においては、先ほどのGLOBEの話ではありませんが、今まで我々の体験の中にないエンバイロンメントというこの言葉そのものがもう既に我々自体の今密着した問題になってきたと言っても差し支えはございません。それだけに、私どもは、我々自身が今まで我々の人力において未踏であったこのエンバイロンメントに対してチャレンジをしていかなければならぬ、この点においては、あらゆる環境問題として含めまして考えていくべき問題かなと先ほどからお話を聞いて感じました。
  250. 江田五月

    ○江田委員 環境問題、オゾン層以外にも熱帯雨林の問題であるとか酸性雨の問題であるとかさまざまあります。さらに、地球環境問題はそれでも政府は力を入れておられると思いますが、日本の足元の環境問題はどうも政府は随分後ろ向きだという気がいたしますね。 国立公園の中にゴルフ場をつくるとか、無制限な開発で海を汚すとか、環境保護団体の意見には耳をかさないとか、そうした態度も無視できないと思うのです。ぜひ足元の日本国内の環境問題にも目を向けてくださいますように心からお願いをして、私の質問を終わります。
  251. 奥田幹生

    奥田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  252. 奥田幹生

    奥田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  253. 奥田幹生

    奥田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 奥田幹生

    奥田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  255. 奥田幹生

    奥田委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前十時三十分理事会、午前十時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会