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五島委員 各保険に対して拠出されます一千億の財政援助につきましては、これは保険
制度を守っていく上において国として当然やられなければならない処置でございまして、そのことは必要な処置だと
考えています。
ただ問題は、
患者の立場に立った場合、先ほど計算のあれが違うとおっしゃいましたが、年間に千百八十億円自己負担がふえることは間違いございません。一方、国庫の負担が二百六十億円の増加になるということも間違いない。この辺を
考えてみますと、懐からお金を出す国民の立場に立って見た場合に、国が出す費用の四・六倍ぐらいになるということに対して不満を持つというのは当然だと
考えているわけでございます。この点は、時間がございませんので、次に進めさせていただきたいと思います。
今、定額制という問題、そしてその定額制が将来の
医療費の伸びの中で云々という話があったわけでございますが、お年寄りが自己負担をする費用というのは保険診療における自己負担分だけではございません。例えばよく老健
施設あるいは特養の自己負担との比較において、
老人病院に入っているお年寄りの費用負担あるいはお年寄りの入院
患者さんの費用負担が少ないという説もあるわけでございます。確かに養護
老人ホームにおきましては平均二万七千円程度の自己負担あるいは
老人保健施設では平均五万円ぐらいの自己負担があるわけでございます。それに対して
老人病院に入っている人の
老人保健における自己負担の負担額は、これまで一万二千円でございました。しかし、そのほかに全国平均いたしまして、
厚生省の出されました資料においても二万二千五百円の保険外負担というものがある。これは付添料とかあるいは差額ベッド料というものを含んでいない内容でございます。しかも、この保険外負担というものにつきまして見てみますと、非常に
地域的なばらつきもございまして、例えば高いところを見てみますと、東京を
中心とする関東
地区では、
老人病院に入っておられるお年寄りの自己負担が一月平均四万四千六百円、一番少ないところが四国地方の八千五百円という数字でございます。このように
地域的に非常にばらつきがありながらも全国平均で二万二千五百円の保険外負担がある。さらに加えて付添料の負担あるいはせめて老健
施設並みの療養環境を
確保しようとするならば、差額ベッド料が月々に三万とか六万とか払わないといけないという実態がございます。そうした保険外負担の問題を含めて
考えますと、
老人病院における本人の自己負担というものが他の
施設に比べて過大ではないというのは全くでたらめでございまして、実は
老人病院における負担というのはかなりきついものになってきている。そこへもって今回の
医療費の改定で負担を増加させようということになってきますと、逆に
老人保健施設等に比べて
老人病院における負担というのは極めて厳しいものになってくるというふうに
考えるわけでございます。
そこで、定額制ということで
お話しになるとするならば、最初にも申しましたように、アメニティー部分におけるそういう療養
関係における費用というものは別といたしまして、純粋に治療や療養生活に必要な費用、介護品費といったようなものを
中心として
基準を設け、そして保険における自己負担と保険外負担の総額は他の
施設と比較してみて
格差がないというふうな配慮、それがまずされていく。お年寄りが財布から出すお金は、これは保険用、これは保険外負担用、それによって苦しみが変わるわけじゃない、総額でございます。したがいまして、この総額を問題にしてどうなのかということでやっていかないといけない。その辺の視点が定額制といいながら全然ないわけでございまして、そうした問題を
一体どうしていくかということについて、ぜひ老健審あるいは中医協を開いて
検討させるということが必要かと思うわけでございますが、その点についてどのようにお
考えでしょうか。