○下条国務
大臣 ただいま議題となりました
戦傷病者戦没者遺族等援護法及び
戦傷病者等の妻に対する
特別給付金支給法の一部を
改正する
法律案について、その提案理由及び
内容の概要を御説明申し上げます。
戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回、年金等の支給額を引き上げるとともに、
戦傷病者等の妻に対する特別給付金の支給範囲を拡大することとし、
関係の法律を
改正しようとするものであります。
以下、この
法律案の概要について御説明申し上げます。
第一は、
戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部
改正であります。これは、障害年金、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げるものであります。
第二は、
戦傷病者等の妻に対する
特別給付金支給法の一部
改正であります。これは、
昭和五十八年四月二日以後に
戦傷病者等の妻となった者に対し、その特別な労苦に報いるため、特別給付金として
額面十五万円、五年償還の国債を支給するものであります。また、
昭和五十八年四月一日から
昭和六十一年九月三十日までの間に、夫たる
戦傷病者等が平病死した場合、その妻に特別給付金として
額面五万円、五年償還の国債を支給することとしております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその
内容の概要であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
次に、
救急救命士法案について、その提案の理由及び
内容の概略を御説明申し上げます。
救急医療につきましては、受け入れ側の医療機関の体制はおおむね整備されてきておりますが、病院または診療所に搬送されるまでの間の傷病者に対する救急救命処置については必ずしも十分でなく、その確保が重要な課題となってきております。
そのためには、医師が救急自動車等に同乗して必要な処置を行っていく体制を確保するとともに、医師の指示のもとに、搬送途上において必要性の高い救急救命処置を行うことができる新たな資格
制度を設けることが必要であります。
このような現状にかんがみ、新たに救急救命士の資格を創設し、この
制度を活用することにより消防機関の救急
業務等の向上を図り、もって搬送途上の医療の
充実を図ることとし、この
法律案を提出することとした次第であります。
以下、この
法律案の主な
内容について御説明申し上げます。
第一に、この
法律案において、救急救命士とは、厚生
大臣の免許を受けて、救急救命士の名称を用いて、医師の指示のもとに、救急救命処置を行うことを業とする者をいうこととしております。
第二に、救急救命士になるためには、救急救命士国家試験に合格し、厚生
大臣の免許を受けなければならないこととしております。
第三に、救急救命士国家試験につきましては、厚生
大臣が行うこととすることとしております。また、国家試験を受験することができる者として、高校卒業後、二年以上救急救命士として必要な知識及び技能を修得した者並びに一定の実務経験を有する救急隊員であって所定の
期間救急救命士として必要な知識及び技能を修得した者等を定めることとしております。
第四に、救急救命士の登録に関する事務及び国家試験の実施に関する事務につきましては、厚生
大臣の指定する者に行わせることができることとしております。
第五に、救急救命士は、医師の具体的な指示を受けなければ、高度の救急救命処置を行ってはならないこととし、また、救急救命士は、原則として救急用自動車等以外の場所においてその
業務を行ってはならないこととしております。
第六に、救急救命士は、その
業務を行うに当たっては、医師その他の医療
関係者との緊密な連携に努めなければならないこととするとともに、救急救命士以外の者は、救急救命士という名称またはこれに紛らわしい名称を用いてはならないこととしております。
なお、この法律の施行期日につきましては、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその
内容の概要であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、
老人保健法等の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案の理由及び
内容の概要を御説明申し上げます。
本格的な高齢
社会に向けて、国民が健やかで安心して老後の
生活を送ることができるよう、お年寄りの保健、医療、福祉全般にわたる
施策の
充実を図っていくことが重要な課題となっております。
このため、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を策定し、その推進を図っているところでありますが、老人保健の分野においても介護に関する総合的な体制づくりを行うとともに、老人人口の増加に伴い老人医療費の増大が見込まれる中で、国や地方も、お年寄り自身も、
制度を支える現役世代もその費用の負担を適切に分かち合い、
制度の長期的安定を図ることとし、この
法律案を提出した次第であります。
以下、この
法律案の主な
内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、老人訪問着護
制度の創設であります。心身の機能の低下した状態にある在宅のお年寄りに対する総合的なケアの体制を整備するため、在宅のお年寄りが都道府県知事の指定する老人訪問看護事業を行う者から看護サービスを受けたときには、老人訪問着護療養費を支給する
制度を導入することとしております。
第二は、国及び地方公共団体の負担割合の拡大であります。現在、国及び地方公共団体は、老人医療に要する費用の三割を負担しておりますが、今後の老人問題の中心的課題である介護の重要性にかんがみ、介護に着目して公費負担を
拡充することとし、老人保健施設の療養費及び特例許可老人病院のうち政令で定める看護、介護体制の整った病院に係る入院医療費について、その割合を五割に引き上げることとしております。
第三は、一部負担の見直しであります。現在、一部負担の額は、外来の場合一月八百円、入院の場合一日四百円となっておりますが、老人と若人のバランスや、他施設や在宅のお年寄りとのバランス、前回改定以来四年以上経過していること、高齢者の
生活実態等を勘案し、定額負担制を維持しつつ必要な受診を抑制しない範囲でこれを改めることとし、外来については一月千円に、入院については一日八百円に改定することとしております。また、将来にわたり、老人医療費に占める一部負担の
水準を維持して、老人と若人との間の負担の公平が確保されるよう、外来、入院それぞれ、一件当たり外来医療費及び一日当たり入院医療費の変動に応じて一部負担の額が改定される仕組みを法定することとしております。
さらに、初老期痴呆により痴呆の状態にある方も老人保健施設を利用できることとし、この場合の療養費の支給に関する規定を整備するため、健康保険法等の
改正を行うこととしております。
以上のほか、老人の心身の特性に応じた医療サービスの提供が行われるよう、看護の方法や介護用具の研究開発に努めること、また、医療の質の評価方法の研究に努めること、医療に要する費用の額の算定のあり方についての検討等を行うこと、病院における付添看護に関する
施策の推進に努めること等についての規定を設けることとしております。
なお、この法律の施行期日は、本年七月一日からとしておりますが、老人訪問看護
制度に関する事項、老人保健施設の利用者の拡大に関する事項等は
平成四年一月一日から、その他の事項は公布の日からとしております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその
内容の概要であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。