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1991-02-21 第120回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年二月二十一日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 高村 正彦君    理事 大石 正光君 理事 高鳥  修君    理事 二田 孝治君 理事 宮路 和明君    理事 村上誠一郎君 理事 緒方 克陽君    理事 川俣健二郎君 理事 石田 祝稔君       岩屋  毅君    金子徳之介君       小坂 憲次君    古賀 一成君       鈴木 俊一君    住  博司君       虎島 和夫君    萩山 教嚴君       平田辰一郎君    星野 行男君       増田 敏男君    松浦  昭君       松岡 利勝君    光武  顕君       簗瀬  進君    有川 清次君       石橋 大吉君    北沢 清功君       五島 正規君    沢田  広君       鉢呂 吉雄君    山中 末治君       吉岡 賢治君    鍛冶  清君       薮仲 義彦君    山口那津男君       藤田 スミ君    菅原喜重郎君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 西田  司君  出席政府委員         国土政務次官  植竹 繁雄君         国土庁計画・調         整局長     長瀬 要石君         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         農林水産大臣官         房参事官    山田 栄司君  委員外出席者         科学技術庁研究         開発局企画課防         災科学技術推進         調整官     葉賀  史君         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全課防災環境         対策室長    漆原 英二君         外務省経済協力         局技術協力課長 横田  淳君         文部省教育助成         局施設助成課長 大澤 幸夫君         文部省体育局学         校健康教育課長 富岡 賢治君         厚生省健康政策         局指導課長   篠崎 英夫君         厚生省社会局施         設課長     松本 省藏君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課地域農業対         策室長     神村 義則君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     岡本 芳郎君         林野庁指導部計         画課長     田中 正則君         林野庁指導部治         山課長     弘中 義夫君         水産庁漁港部計         画課長     坂井  淳君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     倉重 有幸君         気象庁予報部予         報課長     櫃間 道夫君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      津村建四朗君         建設省河川局河         川計画課長   市原 四郎君         建設省河川局治         水課長     日野 峻栄君         建設省河川局防         災課長     加藤  昭君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      小川 祐示君         建設省道路局国         道第二課長   酒井  孝君         自治大臣官房参         事官      長澤 純一君         消防庁特殊災害         室長      原  純一君         特別委員会第三         調査室長    下野 一則君     ───────────── 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   村井  仁君     松浦  昭君 同日  辞任         補欠選任   松浦  昭君     村井  仁君     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ────◇─────
  2. 高村正彦

    高村委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮路和明君。
  3. 宮路和明

    宮路委員 私は、さきに当委員会で行われました災害対策に関する国土庁長官所信表明に関連いたしまして、自由民主党を代表して、長官並びに関係当局に若干の質問をさせていただきたいと思います。  最初に、西田長官お尋ねをいたします。  私は鹿児島の出身でございますが、例えば鹿児島について見ますと、御案内のように、台風の常襲地帯であると同時に、桜島の物すごい降灰地域住民が悩まされている、そしてまた、シラス等の土砂崩れを起こしやすい土壌が県土を広く覆っているといったような状況にございます。このほか、我が国は、地震豪雪あるいは集中豪雨など、極めて災害発生しがちな自然条件のもとに置かれているところでございます。そして、これに加えて、最近の我が国経済社会の目覚ましい発展なり国土開発の著しい進展は、災害を大型化させ、また多様化させるという側面を有しているところでございます。さらにまた、今日、あらゆる分野で国際化が進んでおるわけでございますが、そういう中で、地球環境保全ということが我々人類に課せられた大きな課題となってきておるわけでございまして、これに対応して国連におきましても、一九九〇年代を「国際防災の十年」と位置づけて、各国の連携と協調のもとに世界の自然災害大幅削減を目指しておるところでございます。  長官はかつて国土庁政務次官を務められ、中央防災会議事務局長として、当時、地震財特法期限延長の問題、あるいはまた国土庁によります「桜島火山対策についての提言」の取りまとめ等に敏腕を発揮されたと承知をいたしておるところでございます。先ほど私が申し上げましたような状況のもとで、長官はそうした御体験を踏まえてどのような基本的なお考えのもとに災害対策を推進されていく方針であられるのか、この点をまずお伺いいたしたいわけでございます。
  4. 西田司

    西田国務大臣 お答えをいたします。  今委員からも御指摘があったわけでございますが、我が国自然的条件の中から地震台風豪雨豪雪火山噴火という災害が非常に起きやすい国土でございますので、このようなことを基本的に認識しながら、まず災害対策防災というのは国民の生命と財産をどう守っていくかということが国の政の原点でなければならない、このように私は考えておるわけであります。  国土庁は、政府災害対策総合調整をしていく官庁でございます。お話がございましたように、かつて私も国土庁政務次官をさせていただきました。このたび、その最高の責任者になったわけでございまして、先ほどお話を申し上げましたように、国民が安心して仕事に取り組み、生活をしていただける、そのことを守っていく最大責任者であるということを考えたときに、その責任、使命を極めて重く感じておる次第でございます。  そして、これまた御指摘がございましたけれども、九〇年代、国際防災十年の年、こう言われておるわけでございます。国際環境が非常に急激に変化しております中で、この防災という問題を前面に掲げて国際協力をしていくということもこれからの日本が国際社会の中で進んでいくために非常に大事なことではなかろうか、こういう認識を深めておりますので、内政的にも国際的にも全力を挙げてこの防災対策災害対策に取り組んでいく所存でございます。よろしくお願いいたします。
  5. 宮路和明

    宮路委員 大変力強いお言葉を賜りまして、まことにありがとうございました。ひとつ、長官の強力なリーダーシップのもとに災害対策が大いに前進を見ますことを期待してやまない次第でございます。  次に、国土庁お尋ねいたします。  長官所信表明にもございましたように、昨年は台風が非常に多く襲来した年でございました。特に九月の半ばから十月の初めにかけまして、台風十九号、二十号、二十一号と立て続けにやってきたわけでございます。そのうち、私ども鹿児島に大きな被害をもたらしました台風の十九号、二十号の災害対策につきましては、既に昨年の十一月の中旬に、天災融資法を発動し、また、農地あるいは農業用施設等に対しましては、激甚災指定を行うなど、政府におかれては迅速な救済措置を講ぜられたところでございますが、一方、河川道路等いわゆる公共土木施設にかかわる激甚災指定は年を越したわけでございます。その後、この点の扱いはどのようになっておられるか、お伺いをいたします。
  6. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 明日の閣議におきましてその決定が予定されております平成二年のいわゆる局地激甚災害指定政令の案におきましては、平成二年に発生いたしました延べ百四十九市町村に係る二十四の災害につきまして激甚災害指定を行います。そして、あわせましてそれらの災害に対し適用すべき措置指定するということになっております。
  7. 宮路和明

    宮路委員 わかりました。それでは、この件は地元といたしましても首を長くして待っている状況でございますので、一日も早く予算の執行が行われますように、関係当局の御努力をお願いいたしたいと思います。  私は、災害対策の基本は、災害発生した後にいかに救済措置を講ずるかということではなくて、日ごろから災害発生しないように、いかにその防止対策を講ずるかということが肝心であると思っているところでございます。こうした考え方に立ちまして、水産庁に一点お聞きしたいと思います。  それは、私の地元でございます鹿児島薩摩半島は長い海岸線を有し、また広大な海域に恵まれたところでございます。このため、古くから漁業の盛んな地域でございまして、漁業発展なくしては地域社会の存立もあり得ないといったようなところが連担をしている地域でございます。しかし、この地域台風の常襲地帯でございまして、特に昨年は大型の台風が連続してこの地域を襲ったところでございます。  台風発生いたしますと、漁業者は魚をとることよりも、まず自分漁船をどうやって台風から避難させるかということに心を砕くわけでございます。ところが、数多くある漁港薩摩半島の外洋に面した漁港だけでも二十を超える漁港があるわけでございますが、その中で、台風からちゃんと避難ができる漁港は二、三の漁港に限られているわけでございます。したがって、台風発生をいたしますと、漁業者避難場所確保するため、先を争って自分の港ではなくて遠く離れたよその港に船を逃がさなければならないということでございます。このため、台風発生すると漁業者はかなり早目に魚をとることをやめて、避難しなければなりませんし、また、台風の通過後も接触事故がしばしば生じるほどひしめき合っております避難港から避難漁船を逐次出航させていくわけでありますから、非常にまた時間がかかるということになるわけでございます。したがって、台風が一回やってまいりますと約一週間は漁ができなくなるということになるわけであります。しかしながら、もし仮に自分の港に避難できるとするならば、漁を休む期間は半分の三日程度で済むのではないか、こう漁業者はみんな言っております。  こうしたハンディキャップを解消いたしまして、そしてまた台風災害防止を図っていくという観点からも、台風の常襲地帯漁港整備につきましては、特別な配慮をもって抜本的な対策を立てなければならないのではないかというふうに私は考えるところでございますけれども現状はこの点どうなっておるのか。また、今後これをどういうふうに打開していくお考えであるか、この点を水産庁にお聞かせいただきたいと思います。
  8. 坂井淳

    坂井説明員 宮路先生の御指摘のとおり、我が国台風冬季風浪等、総じて非常に厳しい自然条件にございまして、漁港整備も御指摘のように必ずしも十分ではなくて、荒天時には避難を余儀なくされているという実情にございます。  このような状況に対応するために、第八次漁港整備長期計画、これは六十三年度から平成年度までの六カ年計画でございますが、この中におきましても、漁港安全性確保ということを一つの課題といたしまして、地域実情に即して鋭意漁港整備を図っているところでございます。  特に鹿児島県のように台風襲地帯漁港につきましても、安全性確保のために努力しているところでございますけれども、まだ不十分な点がたくさんあると思います。今後とも皆様のお力添えをいただきまして、予算確保等最大努力を払ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  9. 宮路和明

    宮路委員 こうした地域はいわゆる僻遠の過疎後進地域でございまして、財政的にも大変恵まれていない地域であります。しかしながら、こうした地域の人々こそ、災害とも闘いながらしっかりと国土を守り、また領土を守っているわけでございます。したがって、そうした御苦労にこたえるためにも、ひとつ温かい特段の政策的配慮を今後ぜひともお願いいたしたいと思う次第でございます。  次に、桜島降灰対策についてお尋ねいたしたいと思います。  まず農林水産省にお伺いをいたします。御承知のように桜島火山活動は最近さらに活発化してきておりまして、昨年の降灰量平米当たり十二・三キログラムと、昭和六十年に次ぐ史上第二位の記録となったところでございます。そして、これら降灰による被害地域鹿児島本土全域に及んでおりまして、国が昨年四月に策定いたしました第六次の防災営農施設整備計画対象地域以外の地域におきましても、農作物に大きな被害発生をいたしておるところでございます。  中でも、鹿児島は静岡に次ぐお茶最大産地でございますが、その鹿児島の中でもお茶の主産地でございます頴娃町だとか知覧町、枕崎市といったようなところに降灰が多くございまして、このため、とれたお茶の製品の格下げ、あるいはまた、せっかく市場に出されたお茶が商品にならないということで返品されるといったような事態もしばしば生じておるところでございます。そして、これが農家経済に多大な打撃を及ぼしておるわけでございます。  私、つい先日も、地元で開催されました茶の振興大会出席をいたしたわけでございますが、灰のないお茶づくり最大のスローガンになっておりまして、対象地域指定を受けて洗浄機等施設整備を図ることが産地の喫緊の課題と今日なっておるところでございます。つきましては、これらの地域をも含めまして、防災営農施設整備計画対象地域拡大をぜひ図るべきだと考えるわけでありますが、この点どのような御方針かお聞かせいただきたいと思います。
  10. 神村義則

    神村説明員 先生承知のとおり、防災営農計画につきましては、現在第六次の計画を定めまして昨年四月より実施に移しているところでございます。ようやく一年を経過するところでございます。この計画につきましては、あらかじめ長期的に計画を定めて計画的に実施していくという点で災害復旧とは性格を異にするものでございますが、その計画期間を三年程度の機動的な期間をとりまして、その計画を策定する都度、地域拡大でございますとかあるいは事業種目追加ということで年々その拡充を図ってきたところでございます。  御指摘のとおり、昨年の計画策定以降、以降といいますかそれと前後いたしまして桜島火山活動が例年になく活発になり、かなり広範にわたりまして被害が生じておるということは私ども地元の方から重々伺っておるところでございますし、また御指摘のような要請についても承っておるところでございます。  ただ、こういう防災という性格上、またあらかじめ計画を定めてやるという性格上、きのうのことをきょうすぐにということにはなかなかまいらぬ点もございましょうが、いずれにいたしましても地元の方の被害情勢十分調査をさせていただきまして、御指摘のようなことにつきまして鹿児島県と重々連絡をとりまして検討させていただきたい、かように考えております。
  11. 宮路和明

    宮路委員 大変急を要するような情勢にございますので、ひとつ前向きに、大いに御検討を賜りたいと思います。  次に、桜島火山ガス対策について同じく農林水産省にお伺いいたします。  桜島噴火に伴いまして多くの火山ガス発生をいたしておるわけでございますが、この火山ガス亜硫酸ガスを含んでおりますために、ガスをかぶった果樹なりあるいは野菜が枯死するといったような事態、さらにはまたビニールハウス用のパイプの腐食によりまして、当該ハウス施設耐用年数の大幅な短縮をするといったようなそういう被害発生をいたしておるところでございます。昨年の台風のときには、強風からビニールハウスの倒壊を防ぐために農家の皆さんが被覆ビニールを除去いたしましたところ、その直後に発生した火山ガスによって今度は、ビニールがはがれたわけでございますから、ミカンやビワ等の木がさんざんそのガスによって被害を受けるといったような、農家にとっては泣くに泣けない事態も起こっているような次第でございます。国におかれましてもこの火山ガス対策検討は以前から進めておられるというふうに聞いておるところでございますけれども、その辺の進捗状況はどのようになっておるのか、また今後どういうぐあいにこれを進めていかれるお考えなのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 神村義則

    神村説明員 桜島火山によります被害につきましては、降灰以外に火山ガス亜硫酸ガスでございますが、これが御指摘のとおり、せっかく設置いたしました防災用営農施設の鉄骨なり鉄材の腐食を早めるという問題、あるいは露地野菜におきます生育障害ということを生じておることは私も現地で拝見をさせていただいたところでございます。これ自体の原因が明らかになりましたのは五十年代の後半であったかと存じますが、それ以後なかなかうまい技術開発も進まなかったという点がございますけれども農業用施設につきましては、木骨、木を使いましたハウスあるいは牛舎といったようなもの、これは当然亜硫酸ガスに強いわけでございまして、これで何とか施設をつくるという技術開発ができたわけでございます。第六次計画におきましては、これを新たに事業種目に加えさせていただきまして施設腐食防止に努めておるところでございます。  一方、露地野菜等に対しますガスの直接被害でございますが、これにつきましてはなかなか難しい点があり、鹿児島県の試験場等委託をお願いいたしまして技術開発研究を進めておるところでございますが、ちょうどこの火山ガス発生いたしますときに同時に適宜に散水をすれば、この被害が相当軽減されるということまで今のところ明らかになったわけでございます。したがいまして、例えばそのガス発生したと同時にこれを感知して水をまく、そういう施設開発なり、あるいはどの程度の量をまけばいいのか、そういうことについての最終的な詰めの試験を今国の委託によりまして県の試験場の方で実施をしていただいているところでございます。この成果が上がりますれば、当然のことながらこういうものにつきましてまた事業種目追加ということを考えていきたい、このように考えているところでございます。
  13. 宮路和明

    宮路委員 ただいまの木骨ハウス、これが補助対象に本年度からなったわけでございますが、これはそうした火山ガス対策という点でも非常に有効であると同時に、また山の間伐材利用促進という点からも大変意義のあることでございますので、ぜひともその普及にさらに努力を払っていただきたいというふうに思います。  また、ガス対策としての研究でございますが、それもまた一層力を入れてひとつ取り組んでいただきたい、このようにお願いをいたす次第でございます。  次に、文部省学校施設に関する桜島降灰対策についてお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、活動火山対策特別措置法第十三条の規定におきまして学校についての降灰防除施設整備がうたわれておるわけでございますが、この降灰防除施設整備現状はどうなっているか、この点をお伺いをいたします。
  14. 大澤幸夫

    大澤説明員 御説明いたします。  桜島降灰対策に関してのお尋ねでございますけれども公立学校に関しますいわゆる降灰防除施設整備につきましては、お話のございましたように、従前から活動火山対策特別措置法等関係の法令に基づきまして、降灰防除地域におきます防じん用窓枠等施設整備に要する経費に対しまして国庫補助を行っておるところでございます。この施策によりまして、これまで関係する地域のかなりのところで窓枠あるいは空気調和設備その他各種の設備整備に取り組んでおる、こういう状況にございます。
  15. 宮路和明

    宮路委員 この中におきましては、その政令に基づきまして、降灰防除地域学校についての窓枠整備あるいは空調施設整備がうたわれておるわけでございますが、それは具体的に鹿児島降灰地域についてはどういうぐあいに整備は現在進んでおるところでございましょうか。
  16. 大澤幸夫

    大澤説明員 御説明いたします。  お話ございましたように、降灰防除施設の中心的なものは窓枠等整備あるいはまた空調設備、こういうことになっているわけでございますけれども、この補助事業昭和五十三年度から発足を見ておるところでございまして、平成年度までの間で見ますと、関係する地域学校に関しまして、学校の数では百三十余り、その間の累計の国庫補助金額といたしましては三十九億余り補助実績を見ておるところでございます。
  17. 宮路和明

    宮路委員 もうちょっと具体的に話をお聞かせいただければと思っておるところでございますが、私が聞いておりますところでは、窓枠整備の方は被害防除地域では大体整備が進んできている。ところが、空調関係については、桜島にあります桜島町、そして鹿児島市の東桜島町、ここは空調施設整備整備が進んでおりますけれども、その他の地域はそうではないというふうに聞いておるところでございますが、この点はどうでございましょうか。
  18. 大澤幸夫

    大澤説明員 御説明いたします。  先生お話ございましたように、空気調和設備に関してでございますが、これまでに鹿児島市及び桜島町のいわゆる桜島地区につきましては既に国庫補助を行いまして、その整備がなされておるところでございますが、そのほかの地区につきましては、お話ございましたようにまだ整備を見てない状況にあるというふうに聞き及んでございます。
  19. 宮路和明

    宮路委員 先ほどからお話し申し上げたように、昨年の降灰は非常なものがございまして、記録的な降灰であったわけでございます。加えて昨年は、御案内のように、夏だけでなくて、その夏の前後も大変な猛暑に見舞われたわけでございまして、そういう中で灰と猛暑の両方から攻められまして、学校児童生徒も大変な苦労をなめたということでございます。  鹿児島では、今やこうした降灰とそれから暑さの対策上、クーラー設置といいますものはもう必須ということになっておるわけでございまして、企業なりあるいはまた官公庁なりあるいは家庭においてもほとんど普及をしているという状況でございます。したがって、学校につきましてもぜひともクーラー設置してほしいという要請が強く出されておるわけでございまして、中には換気扇をつけているというふうなところもございますが、換気扇ではほとんどその効果がないという現状でございます。  したがって、今後こうした学校施設におけるクーラー設置についてどういうぐあいに取り組んでいかれるお考えか、この点を文部省に改めてお聞きをいたす次第でございます。
  20. 大澤幸夫

    大澤説明員 御説明いたします。  いわゆるクーラーといいますか、空気調和設備につきましても、先ほど申し上げました降灰防除施設の一環として国庫補助対象とされておるところでございますので、今後他の降灰防除地区につきましても、該当する自治体から空気調和設備に関します国庫補助の御要望がございましたら、文部省といたしましても、ただいまの先生の御指摘の趣旨を十分踏まえまして適切に対応していきたい、かように考えておるところでございます。
  21. 宮路和明

    宮路委員 そういうことでございますれば、私どももまた県や市町村、地方公共団体へも働きかけをしてまいることは当然でございますが、文部省におかれましても、こうした地方自治体と一体となって整備の促進にひとつ格段の御協力をお願いいたしたいと思う次第でございます。  次にお尋ねいたしますが、活動火山対策特別措置法第十三条におきましては、降灰防除のための施設整備対象といたしまして「学校、」と規定をいたしておるところでございます。しかし、同法の施行令第四条では、これを公立学校に限定をいたしておるわけでございます。ところが最近、鹿児島におきましても私立学校が増加傾向にございまして、それぞれのスクールカラーを出し、持ち味を生かした教育をこれらの私立学校は行っているわけでございますが、しかしながらこれらの私立学校は財政基盤が弱いという状況にあるわけでございます。  そこでお尋ねいたしたいのは、この活動火山対策特別措置法に基づきます降灰防除のための施設整備対象として、なぜ公立学校だけに限定され、私立学校はその対象外となっているのか、その理由をひとつ御説明いただきたいと思います。
  22. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 活動火山対策特別措置法を所管いたしておりますので、私から申し上げさせていただきます。  活動火山対策特別措置法十三条に基づきまして、降灰防除施設整備対象教育施設というのは、先生仰せられましたとおり、政令で定めるということになっております。したがいまして、私立学校を特段除外をするというようなものではございませんので、私立学校施設整備対象とするかどうかというのはひとえに政令にゆだねられているというふうに理解をいたします。
  23. 宮路和明

    宮路委員 今防災局長のお話のとおり、まさに政令で定めるというふうに、対象学校をどうするかは政令にゆだねられておるわけでございますけれども、しかしその政令において公立学校というふうに限定をされておるわけでございます。一方、医療施設につきましては、活動火山対策特別措置法第十四条で降灰防除のための資金の融通に関する措置が定められておりますし、また十五条では、中小企業者に対する資金の融通措置に関することが定められております。それから農業関係につきましては、先ほど来議論がございましたように、第九条においてその補助等の措置が定められているところでございます。  したがって、これらのもろもろの施設に対する助成措置に比べまして私立学校だけが政令によって法の外に置かれているというのは、私は桜島降灰対策上著しくバランスを欠いて法の予定せざるところではないかな、こういうふうにも考えるところでございますけれども、この点どうでございましょうか。
  24. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 教育施設を所管されます文部省の方からの御要請がございますれば、私ども取りまとめの立場でございます国土庁といたしましても検討させていただきたいというふうに考えます。
  25. 宮路和明

    宮路委員 時間も迫ってまいりましたので、この問題については追ってまた機会を与えていただいて御質問をさせていただきたいと思いますが、ひとつ前向きに御検討方をこの際お願いをいたしておきたいと思う次第でございます。  最後に、国土庁にお伺いをいたします。  活動火山対策特別措置法第十二条で、内閣総理大臣は降灰防除地域指定することができるとされておりますが、本県の場合、この降灰防除地域指定は、これまで昭和五十三年七月と五十四年の四月に二市三町が指定されました。ところがそれ以来、その後全く新規の地域指定がなされていない状況となっているところでございます。それで、先ほどから申し上げておりますように、桜島火山活動は特に昭和六十年以降活発化してきておるわけでございまして、こうした事態に対応して、例えば防災営農施設整備計画農林水産省から先ほど御答弁がありましたように、この方は対象地域拡大が進んでいるところでございます。ところが、基本となる降灰防除地域拡大につきまして、地元からも強い要請があるわけでございますので、ぜひこれを実現していただきたいというふうに私は考えるところでございますが、この点どのようなお考えか、国土庁お聞かせいただきたいと思います。
  26. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 先生仰せのとおり、五十三年七月、五十四年四月に、現在指定されております鹿児島市等二市三町が降灰防除地域指定されてございます。指定考え方というのは三つほどございまして、おおむね過去三年にわたって著しい降灰があって、指定の年の前三年間の年平均降灰量が一平方メートル当たりおおむね千グラム以上であること、二つ目、近い将来において降灰がやむ兆候が見られないこと、三つ、関係都道府県及び関係市町村において教育施設及び社会福祉施設降灰防除のための施設整備計画を有していること、以上の基準がございます。私どもといたしましては、二市三町の指定の後追加指定がなされてないわけでありますけれども地元自治体からの御要請がございますれば、その御指摘を踏まえまして、周辺市町村の降灰状況調査いたしました上で、関係省庁とも協議をし、検討してまいりたいというふうに考えます。
  27. 宮路和明

    宮路委員 私ども地元のそうした地域拡大要請を踏まえて、地方の関係自治体とも連携をとりながら、またこの点そうした実現に向けて対応を図るよう努めてまいりたいと思っておりますので、またその節はよろしく国土庁においても御検討賜りますようお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  28. 高村正彦

    高村委員長 有川清次君。
  29. 有川清次

    ○有川委員 今の鹿児島県勢の引き続きでございますが、同じく桜島につきまして課題を抱えております。後でまたこれは質問を申し上げることにいたしまして、当面、福井県の若狭湾沿岸で二月九日起きました関西電力美浜原発事故について、防災の立場から質問をしたいと思います。特にまた鹿児島県にも川内に原発がございまして、同じような原子炉でございますので、県民ひとしく心配をしておるところでございます。  新聞報道等によりますと、近くの主婦が昼過ぎに浜に出ていたら、ゴーゴーという大きな音がした。これが、十三時四十分、美浜二号機のタービン建屋三階の中央制御室、復水器のモニターの異常を示すランプが点滅をして、ブーブーと警報が鳴った、このようになっておるわけでありますが、緊急炉心冷却装置、ECCSが作動して起きた問題としては日本の原発史上初の緊急事態だったというふうに報道されておるところでございます。  さらに、関西電力が出した内容を見てみますと、十二時四十分ごろ、蒸気発生器ブローダウン水モニター指示値がわずかに上昇傾向、サンプリング指示。これは漏れ出した放射能が若干上昇しているのを発見した。それから、十三時二十分、サンプリング結果判明、再サンプリング指示。これは通常より二・五倍高いモニター値で、サンプリング再調、分析し直し中に警報が十三時四十分に鳴った。このように報告されておるところでございます。  さらに、美浜町長に福井県から第一報の知らせがあったのが十五時過ぎ。町長は関電や県に問い合わせをして、町役場の放射能測定器に異常はなかった、美浜原発から事故概要を聞いて、避難の必要なしという判断をやっとした、ということになっております。  ところが、美浜町と隣接する敦賀市には、関西電力から通報がなかった。高木市長は関電池永良和次長に抗議したけれども、関電の方は、美浜町での説明に追われて敦賀市への通報がおくれた、このように釈明したとなっております。  事故の発生、まあ事故と言わない言い方もされておりますが、あくまでもこれは事故だと思いますけれども、こうした発生時から連絡態勢をとるまでの間の経過の説明をまずお願いしたいと思います。また、緊急災害時の通報体制はどうなっておるのか、時間単位の状況あるいは原発での即時停止と通報のあり方について御見解をお聞かせください。
  30. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答えいたします。  今回の事象でございますけれども、美浜発電所二号機におきまして、二月九日午後一時四十分、復水器空気抽出器ガスモニターの警報が発信したわけでございます。その警報が鳴りましたということで、運転員は蒸気発生器細管に何らかのリークがあるという判断のもとに原子炉を手動で停止する最中に、同午後一時五十分、原子炉が自動停止し、またECCS、非常用炉心冷却装置が作動することになったわけでございます。その後、ECCS作動後、当該蒸気発生器隔離、それから炉心の冷却措置等を行いまして、現在、プラントは安全な状態で停止しているわけでございます。  それで、先生お尋ねの、十二時四十分ごろに運転員が蒸気発生器ブローダウン水モニターの数値が若干上昇しているということで、その前に予兆があったのではないかという御指摘かと思いますけれども、それにつきまして御説明申し上げさせていただきますと、十二時四十分ごろに今先生おっしゃいました蒸気発生器ブローダウン水モニターの数値が若干上昇しております。これは通常値、放射線でございますので非常にばらつきがあります。非常に高い値、低い値、非常にバウンドの中で推移しているものでございますけれども、通常値が約三十五CPMでございますが、それが約数CPM程度上昇しているということに気がついたわけでございます。この時点では、プラントの主要パラメーター、例えば加圧器の圧力ですとか水位とか、そういうものについては異常がなかったわけでございます。この若干上昇しているということで確認するために、二次側の水のサンプリングを行いまして詳細な分析を行うこととしたわけでございます。その一回目の分析の結果、十三時二十分に蒸気発生器の二次側の線量が通常のバックグラウンドよりわずかに高い――今先生二・五倍とおっしゃいましたけれども、通常十四CPMでございますけれども、わずかに高い十七CPMでございます。上昇としましては、約二割程度というふうに考えられますけれども、若干上昇しているということで、念のためもう一度確認するために二回目のサンプリング調査をしている最中に、十三時四十分、復水器空気抽出器ガスモニターの警報が発信し、またその四十五分には蒸気発生器ブローダウン水モニターの警報が鳴るということで、その後同午後一時五十分に原子炉が緊急停止、ECCS作動ということでございます。  経過としましてはそういうことでございまして、基本的にはその異常の、異常といいますか、若干上昇しているということに対しまして運転員のとった処置というものは基本的に問題がない、その時点の判断としては妥当なものであるというふうに考えております。  それから、敦賀市の件でございますけれども先生御存じのように、敦賀市は安全協定上、地元と安全協定を結んでいるわけではございません。従来、安全協定は立地町それから立地県、それから当事者である関西電力が結んでいるわけでございまして、そもそもこの安全協定の位置づけでございますけれども地元の理解と信頼を得るというために当事者間で話し合われて結ばれているものでございます。敦賀市は立地町ということではございませんので、その当事者になっておるわけではございませんが、自治体に対する連絡という面では、一部安全協定、今後その範囲とか等については地元の住民の理解と信頼というものが大事でございますので、そういう面では今後関西電力に対しまして、その連絡のあり方とか等につきましてよく当事者間で話し合って結論を得るように、必要に応じてまた今後指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  31. 有川清次

    ○有川委員 今、十三時二十分ごろサンプリングの調査の結果が若干ということでありましたが、これは新聞報道ですけれども、関電の発表では、午後一時二十分ごろ通常より二・五倍高い値が出た、こういうふうになっておるのですね。この辺の事情については、今後精密な調査をされながら原因をきちっとされていくことだろうと思いますので、これ以上は言いませんが、やはり分析し直しているうちに警報が鳴る、突然に問題が起こるということにならぬのかという心配が住民の中から当然出てくるわけでありまして、その辺を今後きちっとしていかなければならないというふうに理解をしておるところでございます。(発言する者あり)静かに聞きなさい。あなたに聞いているんじゃない。  それから、敦賀市の問題で今御答弁をいただきました。確かにおっしゃるように安全協定を結んでいないということは知っておりますし、通報の義務がない、こういうことにはなるのでしょうけれども、非常に近距離にある敦賀市が、新聞等で出されあるいはいろいろな問題があったときに、県は知っておって、そして隣の美浜は知っておるのだけれども敦賀市長は全然知らなかった、こういうことでは住民が、そんなことでいいのかという問題はやはり出てくるわけでありますから、単なる道義上の問題というだけにはならないのではないかと思うのです。そこで、原子力安全協定を結ぶ範囲、当事者間ということですけれども、これでよいというふうに今判断をされているのかどうか、この辺をきちっとお答えを願いたいと思います。  また、県がモニタリングステーションを設置し、放射能漏れを察知した場合防災行政無線で全体に連絡をとることになっておるようであります。今回の場合は放射能漏れがなかったということで、敦賀市に連絡がなかった、こういうことになっておるわけでありまして、どうしても道義的な責任だけでは済まないように思っておるわけでありますが、その辺の見解をもう一回はっきりお聞かせ願いたいと思います。
  32. 倉重有幸

    ○倉重説明員 まず私の方から敦賀市等の立地町以外の通報、連絡の問題につきまして答えさせていただきます。  先ほども私が申し上げましたように、原子力の開発利用に当たりましては地元住民の理解と信頼ということが大前提でございます。そういう面で、何らかの異常が生じた場合には地元への適切かつ迅速な連絡というものが必要かと思います。従来安全協定というのを当事者間で結んでいるわけでございます。その安全協定に基づいて連絡ということがなされておったわけでございますが、それ以外の方からの御要望等がありましたら、それは当然当事者間で御相談いただきまして、よく話し合いをしていただきましてやっていただくというのが基本的な考えかと思います。(「通産省の指導はどうなんだ」と呼ぶ者あり)  ですから、先ほど言いましたように、地元の理解と信頼が大事であるということでございますので、そのような方向で今後とも電気事業者を指導してまいりたいと考えております。
  33. 有川清次

    ○有川委員 あとの質問の関連がございますから一応お聞きしておきますが、次に避難態勢の訓練並びに指導の範囲はどのようになっておるのか、消防庁にお伺いをいたしたいと思います。
  34. 原純一

    ○原説明員 避難訓練のことでございますけれども、消防庁といたしましては、かねてより地方公共団体が地域防災計画に基づきその地域実情を踏まえた上で原子力防災訓練を実施するよう指導してきたところでございます。  御指摘避難訓練につきましては、住民または消防団員等の防災業務関係者が参加した避難訓練とか待避訓練を実施している地方公共団体もある状況でございます。今後とも、関係地方公共団体が地域実情も踏まえた上で原子力防災訓練の一層の充実に努めるよう指導してまいる所存でございます。
  35. 有川清次

    ○有川委員 私は鹿児島ですから桜島を抱えておりまして、ここが再噴火をいたしまして、いざ避難というときにはどうするかということで、県を挙げてすべてがかかわり合いをして全部避難をする、こういう訓練を行っておるわけであります。桜島の場合は、噴火をする状態が目でわかります。しかし、この原子力の場合は目に見えない。そして、一たん事あった場合に、訓練が一部の、町内会の代表とか消防団員とかそうしたごく一部の人に限られて百人程度やられておるのが現状じゃないでしょうか。もっと広い範囲内で、皆さん方がトラブルが起こらぬようにきちっと整然と避難ができていく、こうした訓練体制を鹿児島県の場合もとる必要があると私はつくづく思っておるわけでありますが、なかなかそれがとられない。原子力は安全だという神話が壊れる心配があるからそういう訓練をしないのじゃないかという疑いさえ出てくるわけでありまして、その辺の見解ですね、今後の対応をはっきりお聞かせください。
  36. 漆原英二

    ○漆原説明員 お答えいたします。  先生指摘の原子力防災訓練につきましては、原子力防災の特殊性、今先生が御指摘いただいた点でございますが、そういった特殊性及び一般防災との共通点に着目した上で防災業務関係者を中心に原子力防災特有の訓練を行うことが大切と考えております。しかしながら、具体的防災訓練の実施方法につきましては、それぞれの地域実情に応じ、実施主体である地方公共団体が判断して計画するものと認識しております。  なお、科学技術庁といたしましては、住民参加の防災訓練につきまして、防災訓練の実施主体である地方公共団体が防災業務関係者の訓練に加えまして住民参加の避難訓練を実施する場合には、これに協力しているところでございます。当庁といたしましては、従来からこうした地方公共団体における防災訓練が充実するよう指導してきたところでございますが、今後とも防災対策の充実に努めてまいりたいと考えております。
  37. 有川清次

    ○有川委員 県の自主性でそういう訓練をやるようにしておる、それには協力するという意味に今聞き取れたのですが、チェルノブイリの例を考えてごらんなさい。目に見えない。一たん避難した、ところがまた危ないといってまた避難をする、こういう状況があったわけでありまして、こうしたことを考えるときに、防災訓練というものは全体的な指導のもとにどこもきちっとやられていかないと取り返しのつかない事態を招くのではないか。そして、トラブルも起こっていろいろな事故も出てくるのじゃないかというふうに思うところでございます。今後の指導の要請をしておきたいと思います。  次に、災害対策基本法に基づいて現在の防災対策が行われておるわけでありますが、これは今言ったように主に自治体が対処しているのが現状でございます。石油コンビナートの場合は災害特別法がありますが、そしてその中で自治省が消防法の対象としてきちっと権限と責任を持って指導することができるようになっておるというふうに思います。しかし、原発の場合は実験炉は科学技術庁、そして稼働しておる炉は通産省、自治省は災害発生後の対処を災対法に基づいて行うだけ。国土庁も権限の外ですね。そういうふうになっています。そして、原発には国が権限と責任を一元的に持つ、そうした体制が今のところないのじゃないか。そこに今私が提起したような問題があって、なかなか自治省や国土庁、踏み込めないという状況があると思うわけであります。防災ということができません。原子力防災特別法、こういう制定がそういう意味では今どうしても必要だと思いますけれども、今回のような場合もどこがどの部分が責任を持つのか。その守備範囲で私が質問をする通告をいたしましても、それはうちの範囲じゃない、これならそっちの範囲だろう、こういう意見が出てきたように非常にあいまいであります。そのことが国民が非常に不安に思う問題点だというふうに思いますが、その辺の事の取り扱いについてどのようにお考えを持っていらっしゃるのか、担当者並びに長官の御見解をお伺いいたします。
  38. 漆原英二

    ○漆原説明員 お答えいたします。  原子力発電所等原子力施設の万一の事故に対する防災対策につきましては、災害対策基本法に基づきまして国、地方公共団体等がそれぞれの責任及び役割分担のもとに、防災計画の策定等所要の措置を講じておるところでございます。すなわち、地方公共団体におきましては、原子力発電所等の運転開始に先立って、原子力防災対策に関する地域防災計画を策定いたしまして、緊急時モニタリング体制の整備等を行っているところでございます。また、原子力防災訓練を実施するとともに、防災業務関係者に対する研修、講習会の開催、緊急時連絡設備整備等の諸対策を講じております。国におきましても、中央防災会議決定及び原子力安全委員会決定等に基づきまして、地方公共団体に対する指導、助言等、支援体制を整備しておりまして、さらに必要な財政上の助成も行っております。  このように、原子力発電所等原子力施設にかかる防災対策につきましては、災害対策基本法に基づく現行の法体制下におきまして十分な措置が講じられておりまして、改めて特段の法的措置を講じる必要はないと考えております。なお、防災対策の内容につきましては、今後とも一層の充実に努めてまいりたいと思っております。
  39. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 ただいま科技庁の方から御答弁ございましたとおり、災害対策基本法の体系の中で、大規模な原子力災害はこれを対象として考えるという基本的な考え方になってございます。災害対策基本法の中では、ただいま御説明ございましたとおり、国の基本計画、そしてまた地方の防災計画の中でそれぞれ所管の立場から施策を講ずるということで、今役割分担を決めてこれに対処するということになっております。今後とも私どもといたしましては、関係各省庁と連絡連携を密にいたしましてこの対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
  40. 有川清次

    ○有川委員 今それぞれ御答弁をいただきましたけれども災害対策基本法でも第一条で「災害予防、災害応急対策」こういうふうになっていますね。二項目でも「防災 災害を未然に防止し、」こうなっております。それぞれ対応しておるとおっしゃるけれども、全体的に、後で災害が起こってから対応する省庁が、災害が起こる前の点検、管理、こういうのはできないんでしょう。そこを一元的に取り扱いをする、そうした法律をきちっとして、そして国民が安心して納得するような体制をとるということが今必要なんじゃないですか。あなたがおっしゃることはわかっておった上で聞くわけですから、これで万全だということは、十分な対策だということは理解をしませんが、重ねてお伺いいたします。
  41. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 ただいま先生から重ねてこの関係の特別立法をしたらいかがというような御趣旨の御質問だったかと思います。私どもといたしましては、災害対策基本法のもとに、関係責任各省庁がこぞりましてその対応を講ずるということで今日まで仕事をしてまいっておるわけでございます。今後ともこの考え方に従いまして対策の充実を図るように、さらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  42. 有川清次

    ○有川委員 再度答弁がありましたけれども、今のままで大丈夫というふうに理解をされているのか。既に原発がある、現場では何とかそうした体制を一元的にとってもらいたい、こういう要望があったでしょう。そうした体制を今後検討してみるという考え方もないのかどうか、もう一回お伺いしたいと思います。
  43. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 とにかく御心配を軽減いたさなければいけませんし、関係省庁こぞりまして一生懸命現在の法体制のもとに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  44. 有川清次

    ○有川委員 そうした答弁しかできない官僚のあり方に私は非常に不満を覚えますが、ただ、民意が安定するようなそうした対策をきちっととる方向でやはり今後考えていかないと、こうした新聞でちびりちびり変化が出てきて報道がされる、これはどうなったんだ、思ったよりもひどいな、あるいは日本で初めてのこれはそうした災害だ、こういうことでみんな身の毛のよだつ思いをする、こういう実態なんですから、長官どうなんですか、その辺今後検討する、検討してみたいとかそういう方向にもならないのですか。
  45. 西田司

    西田国務大臣 御指摘の点は大変重要なことだと考えております。先ほどからそれぞれ政府委員が御答弁いたしておりますように、中央は中央でそれぞれの役割分担を持って安全対策に取り組んでおるところでございますが、各省庁のいろいろお話を伺ってみたい、このように思っております。
  46. 有川清次

    ○有川委員 今後各省庁の意見を十分聞かれながら、あるいは現地周辺の住民の声も聞いて、あるいは自治体の御意見もよく聞かれまして、本当にみんなが安心するような状況に体制を、命の問題でありますし半永久的な課題だと思うのですよ、そういうことを対応を要請をしておきたいと思います。  時間もありませんので次に進みますが、もう一つは、この美浜の場合に福井県は異常はなかったということで事実上安全宣言をした。しかし、蒸気発生器の細管破損による放射能漏れを確認した後も運転を続けていた、こういう新聞報道ですね。それで、関電の運転手順書によりますと、蒸気発生器内で放射能漏れが発生した場合には直ちに原子炉を手動で停止することが定めてありますね。それが手順としては違反であるのじゃないかということが考えられますし、出力降下開始までの二十八分間運転を続けていたことになるのですが、実態はそうだったでしょうか。
  47. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答えいたします。  先ほど御説明をしましたように、十二時四十分ごろに蒸気発生器ブローダウン水モニターの指示値が若干上昇しているということで、二次側の水をサンプリングを行いましてその放射能を正確にはかるようにしていたわけでございます。それで、一回目のサンプリングの結果が出ましたのが先ほど言いましたように十三時二十分に、通常が十四CPMのところがわずかに高い値、十七CPMということでございまして、こういうわずかに高い値でございますので、念のためにもう一度チェックをするということで二回目のサンプリングをしていたわけでございます。  先生今そのマニュアルに違反ではないかという御指摘でございますけれども、運転マニュアルにはこのように書いております。「蒸気発生器ブローダウン水モニタ等の指示が上昇傾向にある場合は、その原因究明に努める。」その過程で、その結果リークが確定した場合、要するに漏れがあるということがはっきりした場合にはユニットの停止操作を行うということでございまして、そのリークの確定作業中に今回の十三時五十分に至ってしまったということでございます。
  48. 有川清次

    ○有川委員 ということは放射能漏れが発生した場合ですよね、発生しているわけでしょう。その途中で、そうした漏れたなといったときにはすぐ停止をしなければならなかったわけですから、やはり今あなたのおっしゃる理屈的なのでは、ここに新聞にも出されておりますが、吉田芳一ですか関電美浜原子力発電所原子力安全担当次長、これが微妙な値で分析をしようとしているうちにとか言われておりますけれども、非常に問題があったとは言われておるのですね。そこら辺をこれは今追及したってもうしようがありませんので、今後きちっと手順に従ってやっていただきたいと思います。  時間の関係もありますからちょっと次に進みますが、次に、二月二十日の毎日新聞ですけれども、関西電力の飯田副社長が十九日、東京大手町の経団連会館で記者会見をして、同省の指示に強く反発していることが明らかになった。いわゆる通産省資源エネルギー庁からの指示です。「原因究明に半年もかかるのではたまったものではない」、こういうことで安全よりも利益を重視したと受け取られかねない発言をしたということが報道されました。「原因究明に半年もかかるのではたまったものではない。本当は一カ月でやって欲しい」「結果的にたいしたことはないと言えば失礼だが、社会的影響は少ない」、こういう発言があるわけであります。  国民が非常に徹底した究明を求めておるところに、こうした利益追求で安全性を第二義的にとらえる発言がなされるということは非常に問題があるように思います。通産省資源エネルギー庁の指示との関連と、こうした飯田副社長の態度について今後どのように指導されようとしておるのか、安全性を含めて御見解をお願い申し上げたいと思います。
  49. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答えいたします。  今回の事象に関しまして現在原因究明中でございます。まだその原因、それから再発防止対策については立てているような状況にはございませんけれども、当面の対策ということで加圧水型原子炉を持っている会社に対して当面とるべき処置というものを通産省として決めまして、それを十九日に指示したわけでございます。  それで、五社になるわけでございますが担当副社長を集めまして指示しました。その後の記者会見で、今先生がおっしゃいました、関西電力の副社長が厳し過ぎる内容であるという、そういう不満を示したという報道がございました。報道があったということは、事実かと思います。  実は、その十九日に指示を行った際には、その副社長からは指示を真摯に受けとめる、そういう返答がございました。また、その報道がありました二十日に私ども資源エネルギー長官に本人から連絡がございまして、報道ぶりは発言の真意とは異なるという旨の釈明がございました。それから、これに関連しまして、その二十日に公益事業部長から関西電力の社長に対しまして厳重注意を行いました。関西電力の社長からは、陳謝し、また通産省の指示を徹底遵守するということを言明しております。通産省としましては、今後とも各社においてこの指示が確実に実行されるよう指導してまいりたいと思います。  それから、先生今御指摘のその一カ月云々ということでございますけれども、現在原因究明中でございまして、私ども毛頭一カ月以内とか時間を定めているわけではございません。私ども、徹底的に原因を究明し、またその再発防止対策を策定していきたい、このように考えております。
  50. 有川清次

    ○有川委員 これは、一応副社長はそうして陳謝されたということですけれども、やはりそれぞれ原子力を持っておる電力会社、そうした思想が根底にあるのじゃないか、ここが問題なんです。現実に陳謝をして、それなら守りましょう、こうは言っているけれども、二割程度は問題にならぬとか、しょっちゅうそういうのはあり得るのだということが出てきますと、ほかのところも問題が出てくるわけでありますから、今後の国としての方針をきちっと徹底した指導のもとにしていただくように強くこのことは要請を申し上げておきたいと思います。  それから次は、福井県の調べでわかったということなんですが、一次冷却水の加圧器逃し弁が二つとも作動しなかった原因と問題点についてはどうだったのか、お聞かせください。
  51. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答えいたします。  今回の事象の操作の過程の中で、加圧器逃し弁が二つとも動かなかった、作動しなかったということは事実のようでございます。現在原因を究明中でございます。  このことに関しましては、今先生、福井県の調査ということを言われましたけれども、通産省でもこれは知っておりまして、私、実は二月の十二日にプレスに対して発表した際にもその点には触れておるわけであります。
  52. 有川清次

    ○有川委員 次に、加圧型原発のアキレス腱だと言われる蒸気発生器、ここで事故が起こっておるわけですが、支持板の腐食などについては検査対象になっていない。支持板の腐食が進行して細管に減肉などの影響があった場合にだけ発見できる仕組みになっておるということを聞きますが、そのとおりなのか、そのような方法でよいのか、対処方針を含めてお聞かせください。
  53. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答えいたします。  蒸気発生器の検査の仕方でございますけれども、蒸気発生器の中には約三千三百本の細管がございます。一次冷却水の熱を二次冷却水に伝えるという役目を果たすものでございますが、その細管につきまして全数、全長にわたりまして今先生言われました検査を実施しているわけでございます。  この検査の目的は、細管に異常がないかどうかということでございまして、今先生指摘の支持板というものは細管の外側にございまして、その間に本来はすき間があるわけでございます。そのすき間の中に、これは仮の話でございますが、腐食とかそういうものによりまして、その結果によってそこに腐食生成物がたまりまして、細管の中に何らかの変化がございますと、その細管自体に変化が生じますと、今言いましたECTといいますか渦電流探傷検査でこれはチェック可能というふうに考えているわけでございますが、現在原因究明中でございます。  そういう面では、その検査の方法も将来的には、原因の究明の過程で出てくるかもしれませんが、その定期検査方法の見直しも含めて、必要性も含めて今後検討してまいりたい、このように考えております。
  54. 有川清次

    ○有川委員 時間が参るようでありますので、この関係については、情報公開の方向に従って細大漏らさず国民に知らせて、そして安全性を科学的に理解をしてもらう、そういうことが非常に大事だと思いますし、もし災害が起こった場合は国民に迷惑をかけないという防災体制をきちっとしていく、こういうことが重要だろうと思いますので、原因究明を徹底されながら、これからの格段の御努力要請を申し上げておきたいと思います。  最後に、まだ一分ぐらいありますが、桜島降灰対策について御質問申し上げるところでありましたけれども、特に防災営農の問題については、第六次計画平成二年から四年度まで実施をされることになっておりまして、努力をしていただいていることには感謝をします。しかし、あの灰神楽の中で、台風やいろいろな被害があったときにはビニールがはがれて苦労しておる、営農の意思が弱まっていく、そういう状況もあるわけでありまして、どうかそういう意味では、今後も特に激甚地域防災営農、労働意欲、営農意欲が出るような対処をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  55. 高村正彦

    高村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      ────◇─────     午後一時三十一分開議
  56. 高村正彦

    高村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石田祝稔君。
  57. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 まず、西田長官、同じ四国の出身といたしまして、おめでとうございます。お隣の高知県でございますので、今後ともひとつよろしくお願いをしたいと思います。  まず最初にお伺いしたいのですけれども、所信の中で、世界に貢献する日本として、防災の面から貢献をしたい、このような御決意も述べておられましたが、長官の御決意として、具体的にこういうことで貢献をしていきたい、今も予算委員会等で盛んに国際貢献、国際貢献といろいろな国際貢献がありまして、我が党としてもきな臭い方はお断りしたいと思っているのですけれども防災面はまさしく国際貢献としてもろ手を挙げて歓迎していただけるのではないか、その意味で、今までいろいろ培った日本の技術等を踏まえて、長官としては国際貢献をどのようにお考えなのか、御決意をちょっとお願いしたいと思います。
  58. 西田司

    西田国務大臣 先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、世界というか国際社会というか、大変な変革を遂げてきておるところでございます。今委員から御指摘もございましたように、国際貢献の仕方はいろいろな仕方があると思うのでございます。その中で、防災に対する国際貢献というのは、派手ではございませんけれども、しかし、テレビを見たり新聞を見たりしておりますと、開発途上地域の悲惨な状態などを考えてみると、ひとつ我が国としても防災という一つのテーマで国際貢献をしていくポイントがあるのではないかな、こんなことをかねがね考えておりました。  御案内のように、国連総会の決議で、これから国際防災の十年ということで、一つは国際的な協力を図っていこう、それからもう一つは国際的な交流を進めていこう、こういう動きが活発になってきておるわけでございます。そういうことを考えて、我が国災害対策というものを進めていくのはもちろんでありますけれども、ぜひ国際貢献にそのことの焦点を合わせてみたいというのが、私の考え方でございます。  具体的には、平成三年には国際地震サミットというようなことを我が国で開催するようになっておりますし、特に開発途上国の防災体制の整備であるとかそれからまた調査であるとかそういうあらゆる面に対して協力と国際交流を推進していく考え方でございます。そして、これらの活動を通じて、世界の自然災害というものに対して少しでも被害が少なくなるようなことに努めてまいりたい、このように考えております。
  59. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 大臣の御決意を伺いました。  さて、ちょっと具体的な問題でお伺いをしたいと思います。  昨年の十二月、覚えていらっしゃる方もおいでと思いますが、千葉県で竜巻の被害がございました。私は、公明党の災害対策の部会長といたしまして、後に関連質問に立ちます山口議員とともに早速行きまして、現地の状況をつぶさに見てまいりました。そして地元でのお声も聞きながら、竜巻の被害というのは初めて見たわけですが、大変なものでした。ずっと幅一キロくらい、長さ三・五キロにわたって、本当に何か大きなつめでひっかいたような形でやられておりまして、これは大変な被害だな、こういうふうな思いをして帰ってまいりました。  その中で、近年、非常に竜巻の発生というのがふえてきている。今までアメリカ等ではハリケーンとかそういうことであったわけでございますけれども、日本において最近竜巻がふえてきているということを聞いておりますけれども、その状況と竜巻発生に関する研究というものはどういうふうに今なされておるのか、このこともお伺いをしたいと思います。
  60. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 私から、近年の竜巻の発生状況につきまして報告を申し上げます。  過去五カ年で七十件、年間約十四件というのが発生状況でございます。昨年は、先生仰せられましたとおり千葉県の竜巻を含めまして二十件発生をいたしておりまして、最近の中でも特に大きな発生状況にございます。
  61. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 竜巻発生のメカニズムとその研究についてお願いします。
  62. 櫃間道夫

    ○櫃間説明員 お答えいたします。  竜巻は、台風とかあるいは非常に発達した低気圧、顕著な寒冷前線、そういうものに伴った積乱雲に付随して大気の状態が非常に不安定なときに起きることが多いわけですけれども発生のメカニズムなどについてはまだ必ずしもよく解明されておりません。しかし、今までのところ次のように説明されております。  すなわち、積乱雲に伴ってゆっくり回転している大きな渦があります。その渦が何らかの原因で収縮した場合に、ちょうどフィギュアスケートで手を広げて回っている人がスピンをするとき、きゅっと体を縮めますけれども、ああいうぐあいに急速な回転になります。そういうときに強い上昇流もできまして、その上昇流の中の水蒸気が凝結して竜巻特有の漏斗状の雲ができます。そういうふうなメカニズムが今のところ考えられております。
  63. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 竜巻の状況についてはまだ余り詳しくわからない、こういうことでございましたけれども、それで、この被害に遭われた方の救済のことでちょっとお伺いをします。  実はこの茂原市というところは、その前の年がたしか水害ですか、そしてその前の年が地震ということで、三年続けてやられておった、こういうふうなお話もそこで聞きました。そして、幸いにもと申しましょうか、本当に大変だったわけですが、災害救助法が適用された。そしてその災害救助法がどういう形になっているかということを私も遅まきながらずっと見させていただきました。  その中で救助内容というのがございまして、ちょっとこの救助内容が今の時代に合っているかというと、特に私は、金銭的な面で今の時代に合っていないのじゃないか、こういうふうな気がしますから、この点でちょっとお伺いをしたいと思います。  例えば措置の一覧、これは私が国土庁の方からいただいたものですから、内容はまだ変わっていないと思います。いろんな被害の実費弁償という項がございまして、例えばお医者さんはどうか、お医者さんにどれくらい出ていただいたときに払うのかというので、お医者さんと歯科医師、一万一千五百円以内、こういうようになっております。薬剤師が七千八百円以内、そして保健婦、助産婦、看護婦六千九百円以内、そして土木技師、建築技術者一万一千四百円以内、大工、左官、とび職一万一千四百円以内、こういうふうに書いておりますが、まず、この数字の金額の確認についてこれでいいのかどうか、ちょっとお伺いします。
  64. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  今先生数字の確認ということで幾つかの金額を申されましたけれども、年々その費用の限度額というのは改正をいたしております。先生お話ございました数字もそれぞれ少しずつ上がっております。  改めて御説明申し上げますと、医師、歯科医師につきましては費用の限度額が一万四千四百円以内、薬剤師が九千八百円以内、それから保健婦、助産婦、看護婦、これが八千六百円以内、それから土木技術、建築技術者が一万四千二百円以内、それから大工、左官、とび職、この方々が一万四千二百円以内、かように改善が行われております。
  65. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 私の持っていた数字がちょっと古かったようで新しい数字を言っていただきましたが、現実にこの数字で例えばそういう場合に人がお願いできるでしょうか。私の素朴な疑問です。現在いろいろ人が足りないとか労働力不足だと言われているときに、災害救助ですから、一挙にある意味ではわっとやらなくちゃならない。そのときに、やはり大変だから助けてあげよう、お互いにこういうときは手を携えてやるんだ、こういう気持ちはもちろんあると思いますけれども、そうそうそういう御好意に甘えておってもいかぬと思うし、それなりの金額というものをちゃんと出すべきではないか。特に最近、大工さんとか建築、左官、とび職一万四千二百円とおっしゃいましたが、この数字が果たして妥当かどうかということ、これについてさらに今後、一挙に二万、三万ということはもちろん無理だが、ある意味でいえば世間並みと申しましょうか、そういう相場に近づけていくようなお考えがあるのかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  66. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたように、費用の限度額につきましてはできるだけ全国的な実勢を見ながらやっているわけでございまして、年々世の中の実情に合わせる方向で改善をしていきたい、かように考えております。
  67. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 一つ聞き忘れましたのでお伺いしますが、これは地域によって差別は設けておりますか。例えば首都圏と、極端に言えば、私は高知県の出身なんですが高知においては金額に差があるのかどうか。はっきり言って、今給料とか一日の大工さんを雇う費用というのはこれは大分差がございます。そういうのでやはりそのあたりをどういうふうにお考えかな。全国一律にやって、どこに合わせるか知りませんけれども、ちょっと実情と合わないのじゃないかな。やはり公務員の方の旅費なんかも甲地、乙地というふうに分けておりますから、そういうふうなお考えもあるかどうか、ちょっとあわせて、済みませんがお聞きします。
  68. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  先ほどのお医者さんその他の費用の限度額でございますけれども、今のルールは全国一律という形で定めております。どの程度地域性なりを勘案するか、いろいろと判断の要るところだろうと思います。ただ、今全国一律でやっておりますのは、災害救助法というのが極めて臨時応急的に、市町村が対応できないような規模で災害が起こったときに国と都道府県でやっていくという仕掛けになっておりますものですから、一応必要最小限度というようなことで一律の形になっているということでございます。御理解いただきたいと思います。
  69. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 そこのところもまた今後の一つの検討課題としてぜひお願いをしたいと思います。  それから、国民防災意識の件でちょっと簡単にお伺いをしたいと思います。  大体、言われていることは、天災は忘れたころにやってくる、使い古された言葉でありますけれどもまさしくそういうことでして、実は私の郷土も昭和五十年、五十一年と大変な水災害になりまして、そのときにはやはりそのことを覚えている方は危ないところに家を建てないとかいろんなことをやっておりますし、子供たちもそれなりに注意をしております。しかしながら、そういうのがしばらく来ないとなるともう気が緩んでしまうというか、そういう面も多々見られますが、防災教育という観点から、例えば学校教育の中で、日本の国土というものを考えた場合にやはり防災教育というものがどうしても私は必要だと思います。その観点で、学校教育の中でどういう形で防災教育というものをやろうとされておるのか。きょうはせっかく来ていただいておりますので、文部省の方からお答えいただきたいと思います。
  70. 富岡賢治

    ○富岡説明員 先生指摘いただきましたように、学校におきます防災教育は大事な問題だという認識を私ども持っております。  御案内のとおり、大きく分けて二つあると思います。一つは、火災や地震等の緊急時におきます危険について理解して安全な行動ができるようにするということが必要なわけでございますが、これにつきましては、学校避難訓練の学校行事とか学級活動におけるいろいろな実践的な指導を行っておるわけでございます。  それから二つ目でございますが、教科の教育ということで、子供の発達段階によって多少違いますが、例えば社会科では災害から安全を守るためにいろいろな工夫や努力がなされている様子とか、我が国の気候と地理と災害関係などについて教えるようになっているわけでございますし、例えば理科では地震のメカニズムを指導する際に災害についての心構えとか理解を深めるような配慮の指導をするようになっているわけでございます。  こういうことを合わせて指導をしていくわけでございますけれども文部省といたしまして特にそういう安全指導の充実ということは必要でございますので、小中学校それぞれ安全指導の手引というのを作成しておるわけでございまして、研修会等で先生方の理解を深めているわけでございますけれども、特に現在改訂作業を進めております小学校の安全指導の手引ではそういう災害安全に関します、火災、地震、風水害等におきます安全行動の仕方ということに重点を置いた内容の改善作業を進めておるところでございます。
  71. 石田祝稔

    ○石田(祝)委員 では、関連で山口委員がやりますのでよろしくお願いします。
  72. 高村正彦

    高村委員長 関連して、山口那津男君。
  73. 山口那津男

    ○山口(那)委員 私の方からは、大臣の所信にも、南関東地域の直下地震に備えた今後の震災対策の推進方針の検討をする、こう述べられておることについてお伺いをいたします。  この南関東の地域については、従来から観測強化地域には指定されておりますが、対策の強化地域にはいまだ至っておりません。この関係について、大規模地震対策特別措置法によれば、この対策強化地域指定の要件について大きく二つ規定しておるわけであります。それは、同法の第三条におきまして、「大規模な地震発生するおそれが特に大きいと認められる」ということ、これが切迫性の要件、こう言われております。もう一つは、「大規模な地震発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがある」、これを被害の甚大性の要件、このように言っておるようでありますが、この二つの要件に限られるのでしょうか。
  74. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 要件としては先生仰せられるとおりでございますが、この法律の立て方が、まずもってその地震の原因となるところが予知できるという、予知ということが一つ大前提になっております。
  75. 山口那津男

    ○山口(那)委員 その予知の可能性について法律上の位置づけはどのようになっていますか。
  76. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 ただいままで同法に従いまして、東海地域におきましては地震発生の仕組みが明らかであるというような前提に立ちまして、同地域についてこの法律の対象といたしておるところでございます。
  77. 山口那津男

    ○山口(那)委員 私が伺いたいのはこの法律上の関係でありまして、三条で要件は二つしか規定されていないわけであります。しかし、予知が大前提となる、それはそれで理解はできるわけでありますけれども、そんなことは三条のどこにも書いてないわけですね。この予知の可能性というものはなぜ指定に当たって重要な役割を果たすのか。それは法律にどう書いてあるのですか。
  78. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 この法律によりますと、地震発生のおそれをあらかじめ予知できるという前提で、いろいろ計数、観測の数値等に異常の発生が見られた場合に警戒の宣言というものをまずもって発することになっております。その警戒宣言を発し、いろいろ社会生活も制限を受けざるを得ないというようなことにもつながってまいりますので、そこで仕組みとしてどうしてもこの予知というものが大前提にならざるを得ないというふうに考えるわけでございます。
  79. 山口那津男

    ○山口(那)委員 言わずもがなのことかもしれませんが、同法の四条におきましては、「地震発生を予知し、もって地震災害発生防止」する、こういう規定があるわけですね。ですから、防止対策実施するためにはその予知が大前提になるということで、これも実質的な要件というか前提になるという意味で理解できるんじゃないかと私なりに思っておるのですが、いかがでしょうか。
  80. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 私もそのように理解いたします。
  81. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そこで、この南関東地域における直下型の地震については何種類かのタイプがあるように言われておりますけれども、それらのタイプについて、それぞれ発生の切迫性があるのかどうか、またはその予知の可能性があるのかどうか、この二つの点について御説明いただきたいと思います。
  82. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 六十三年六月に、中央防災会議地震防災対策強化地域指定専門委員会、座長は萩原尊禮先生でございますが、中間報告を出しておられます。南関東地域におきまして地震発生が予想されるということで三つのケースについてそこでは検討されております。  まず相模トラフ沿いの地震というのが一つございます。マグニチュード八クラスの巨大地震でございますが、その発生の可能性は百年か二百年先というふうにその報告ではされております。  それから二つ目は南関東地域の直下の地震でございます。この地震はマグニチュード七クラスと言われておりますけれども、この地域におきまして、大陸プレート、フィリピン海プレート、太平洋プレート、これらが互いに接しまして大変複雑な応力集中がこの地域にあるというようなことから、ある程度その発生が切迫をしていると考えられるというような報告をいただいております。  それから第三番目は、房総半島沖の地震でございます。これにつきましては、マグニチュード八クラスのものでありますが、観測の資料が不足をいたしておりますし、発生の可能性について考慮しておく必要があるというふうに報告がなされてございます。
  83. 山口那津男

    ○山口(那)委員 その二つの直下型の地震について、昭和六十三年の中央防災会議の中間報告があるわけでありますが、その後約三年近くたちまして、この予知の可能性について具体的にどの程度技術が進んだか、科学技術庁にお答えいただきたいと思います。
  84. 葉賀史

    葉賀説明員 お答え申し上げます。  防災会議の中間報告でございますが、御指摘のとおり、前兆現象が把握困難であって、その予知は非常に困難だと指摘されています。  現在の状況でございますが、南関東地域地震予知に関しまして、科学技術庁の防災科学技術研究所及び政府関係機関が各種観測研究実施して予知を可能にすべく努力しているところでございます。しかしながら、現在の観測なり研究進捗状況におきましては、南関東地域に関する知見も徐々に蓄積されてきているということでございますが、直下型地震の予知につきましてはいまだに非常に困難な状態にあることは変わらないという認識でおります。
  85. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この直下型タイプについて実際の観測体制はどのようになっておるか、これは場所と、どのような観測の特徴があるか、これについてお答えいただきたいと思います。
  86. 葉賀史

    葉賀説明員 お答え申し上げます。  我が国地震予知は、測地学審議会の建議しました第六次地震予知計画に基づきまして、また内閣総理大臣が決定いたしました防災に関する研究開発基本計画に基づきまして、地震予知推進本部を通じまして政府関係機関及び国立大学等の緊密な連携協力のもと、その推進に努めておるところでございます。  御存じのとおり、南関東地域は極めて重要な地域であるということでありまして、地震予知連絡会におきましても観測強化地域指定されております。  現在の観測体制でございますが、南関東地域を主要な対象としまして、特に地殻変動や微小地震等を観測するために、防災科学技術研究所、気象庁、国土地理院等の約百八十の観測施設設置されてございます。特に、科学技術庁の防災科学技術研究所におきましては、埼玉県の岩槻市、千葉県東葛飾郡沼南町、東京都府中市の三点におきまして三千メートル級のいわゆる深層観測井によりまして高精度の微小地震観測と傾斜観測を実施してございます。  以上でございます。
  87. 山口那津男

    ○山口(那)委員 その最後の、特に三つの観測地点、沼南それから岩槻、そして府中ですか、これらの配置を見ますと、いずれも、例えば武蔵野台地ですとかあるいは下総の洪積層の上ですとか、ある程度の地盤のあるところのように思われます。しかしながら、大きな災害が予想される地域というのは、もう一つ、河川の河口域である大沖積地帯が人口集中、施設等の集中しているところでありますから、予想されるわけでありますが、この地域について今の三つの点では観測が十分ではないというふうに私は思うのでありますが、この点の観測体制について施策をぜひ進めていくべきであろうと思います。何かお考えはありますでしょうか。
  88. 葉賀史

    葉賀説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおりでございまして、南関東地域は、いわゆる地表が厚い堆積層に覆われておりまして、かつ人間活動によるノイズが大きいということの悪条件等が重なっておりまして、十分な精度で観測するのは難しい状況にございます。このため、一応、御指摘の微小地震を測るということで、三千メートル級のところで三カ所でやっておりまして、一応今までその三カ所の設置しております成果といいますか、首都圏直下型のこれまで不明であったプレート構造の解明の手がかりや地震発生機構の一部解釈等が可能になってきた、そういう成果が上がってきておるわけでありまして、御指摘のとおり、これは東京湾で言いますと岩盤の表に上がっているところでございますから、より洪積の厚いところ、そこにということでやることはこれから大事なことでありまして、一層の観測整備が必要ということでありまして、平成年度より広域深部観測施設整備に着手しようということで考えておりまして、まずは東京湾北部地域に三千メートル級の観測施設整備する予定でございます。  以上でございます。
  89. 山口那津男

    ○山口(那)委員 南関東地域と言われているわけでありますが、この地理的範囲については必ずしも明確ではないわけでありますね。大きく言えば、東京都あるいは周辺の神奈川、千葉、埼玉ということは予想されるわけでありますが、この地理的範囲について、ある程度の限定というものをお考えでしょうか。国土庁、いかがでしょうか。
  90. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 一般的に申し上げることになろうと思いますけれども、南関東の直下の地震ということになりますとマグニチュード七程度ということになります。関東大地震のマグニチュード八級の海溝型の巨大地震と比べまして規模は小さいわけでありますけれども、震源が陸地の直下ということになりますから、震度で見ますと局地的にはマグニチュード八級の地震と同程度の強い揺れを感じるおそれがあるわけでございます。  このため国土庁では、現在中央防災会議地震防災対策強化地域指定専門委員会にお願いをいたしまして、直下の地震発生した場合に影響を及ぼす範囲を明らかにいたしまして、防災対策を推進すべき対象地域検討しようといたしております。震源として特定ができないというふうに申しながらも、おおむね南関東一都三県、これを中心とした地域の直下のいずれかのところで地震発生をするということを想定をいたしまして、影響の範囲をただいま検討していただいております。
  91. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今地理的範囲についておよその説明があったわけでありますが、もう一度科学技術庁に伺います。  これらの地域について、先ほど既にある三つのポイント、それからもう一つ予定をしておるポイント、この四つの観測地点だけで十分カバーできるのかどうか、観測体制としてそれで十分なのかどうか、それとももっと広げるお考えがあるのどうか、この点について簡潔にお答えください。
  92. 葉賀史

    葉賀説明員 一応順次これから広域観測網を、三千メートル級というわけではございませんが計画をしてございます。
  93. 山口那津男

    ○山口(那)委員 さて、先ほどからこの直下型地震の予知は大変難しいという説明がなされておるわけでありますが、予知が難しいからといって対策を怠るというわけにはまいらないと思います。切迫性があるということであれば、いつ来ても大丈夫なように対策を講じなければならない。その意味で、この南関東地域は、対策を講ずるといっても非常に複雑かつ広大な地域でありますから、時間を要することは確実であります。また、それに伴う経費も膨大であろうかと思いますが、今後予知が必ずしもできないにもかかわらず、切迫性の要件が満たされておることから、この対策に時間と経費をかけてやるお考えがあるのかどうか、この点について大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  94. 西田司

    西田国務大臣 南関東地域というのは、委員も御存じのとおり、人口とかあるいは諸機能の集積が極めて大きい地域でございます。そういうところで一たび大震災が起き上がったということになりますと、これは予想することのできないような大被害が出てくるものだ、このように考えております。そういうことを踏まえながら、この南関東地域地震対策というものは極めて重要なことであり、それなりの取り組みをしていかなければいけないという認識を持っておるわけでございます。  このため、政府といたしましては、従来から地震予知の実用化に向けての努力とともに、関東大震災やそのほか外国でもいろいろ地震発生をしておりますが、そういう経験というものを十分に生かしながら今後の地震対策に取り組んでいきたい、このように思っております。特にこの南関東地域におきましては都市の防災化の推進ということが非常に大事になってくるだろう、こう思っております。それから発災後の広域的な応急活動体制の整備がこれまた非常に重要になってくると思うわけでございます。さらに三つ目は総合防災訓練の実施防災意識の高揚でございますね、こういうことをこれから、先ほど文部省学校教育に対するいろいろな御質問もあったわけでございますけれども、そういうことを含めて非常に重要に取り組んでいかなければいけない、私はこのように思っております。  そこで、平成年度におきましては、新たに南関東地域直下型の地震に備えた今後の震災対策の推進方針をどのように持っていくかというようなことの大綱をひとつ検討してみたい、このように考えておるわけでございます。関係各省庁とよく連絡をとりながら、御心配のような問題に積極的に取り組んでいく考えでございます。
  95. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今大臣の方から大綱を作成していくというお話がありましたけれども、従来、対策としては、昭和四十六年に大都市震災対策推進要綱、また五十八年には当面の防災対策の推進ということで具体的な対策が考案されてきたわけでありますが、今の大綱というお話は、またその延長としてより対策を強化していこう、こういう御趣旨であろうと思います。この大綱は具体的にどのような検討課題をもって、いつごろまでに作成し、そして具体的にどう実施していくか、この点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  96. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 先生仰せられましたとおり、南関東地域におきましては、これまで大都市震災対策推進要綱あるいは当面の防災対策の推進についてというような指示に従いまして、そしてまた地方公共団体の地域防災計画震災対策編等に基づきまして、関係省庁、関係地方公共団体挙げて取り組んでまいったわけでございますが、さらに同地域の震災対策を一層充実強化していくために、当面する直下の地震に焦点を当てまして、政府全体として取り組むべき対策の推進方針を策定いたしまして、その強力な推進を図る必要があるというふうに考えております。  大綱と申しましても、現在考えておりますのは、課題抽出型の政策の方針という形で策定したいと考えておりまして、これからその具体の内容について関係省庁とも詰めてまいりたいというふうに考えておりますが、検討に当たって、一つはやはり対策を講ずべき地域の範囲の考え方をどうするかということ、そして二つ、ライフラインの被害というような、例示にありますような都市型地震災害防止、軽減方策をどのようにしていったらいいかというようなさまざまな問題について議論を深めていきたいというふうに現在考えております。大綱の策定時期につきましては、できれば平成年度中を目途に鋭意取りまとめをさせていただきたいというふうに考えております。それが終わり次第、盛り込まれた各種の課題につきまして対策の具体化、そしてまた推進というものを図ってまいる考え方でございます。
  97. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ぜひ積極的な対策の推進をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  98. 高村正彦

    高村委員長 藤田スミ君。
  99. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 先ほどからの質問の中でも強調されておりました昨年から始まりました国際防災の十年、いよいよ災害のより少ない二十一世紀を目指しての出発であります。その取り組みは、もう既に政府の方も総理を推進本部長にしまして、そして基本方針とそれに基づく施策も行っておられるというふうに聞いておりますが、私は、きょうは政府が決めた国際協力と国際交流の推進、もう一つの柱である我が国災害対策の推進という、ここのところが防災年の中でまず何よりも我が国が進めなければならない重大な課題だと思いますので、そういう立場から、具体的に国民の暮らしに最も影響のある、そういう諸課題についてお伺いをしていきたいと思います。  そこで、まずお伺いをいたしますが、建設省は河川整備あるいは土石流、急傾斜、雪崩対策など、二十一世紀に達するまでに現状をどこまで引き上げようと計画をしていらっしゃるのか、林野庁にも同様に治山対策についてどういう取り組みを進めようとしていらっしゃるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  100. 市原四郎

    ○市原説明員 お答えいたします。  まず、河川、土石流でございますけれども、現在河川及び土石流におきます整備率は、平成年度末におきまして、大河川対象を戦後最大洪水にいたしまして約六〇%の整備率、中小河川につきましては時間雨量五十ミリメートル降雨強度に対しまして三一%、それから土石流につきましては同様に時間雨量五十ミリメートルの降雨強度に対しまして一八%の整備率でございます。河川事業とか土石流対策の治水事業は、現在第七次治水事業五カ年計画に基づきまして計画的に整備を進めておる段階でございます。西暦二〇〇〇年におきます目標といたしましては、第四次の全国総合開発計画では、大河川につきましては戦後最大洪水に対する整備を概成して、中小河川及び土石流に対しましては時間雨量五十ミリメートルの降雨強度に対します都市部の整備を概成する、こういうことになっております。西暦二〇〇〇年に向けまして、平成年度を初年度といたします第八次五カ年計画を策定する予定でございまして、第四次全国総合開発計画の目標を達成するべく計画的に推進してまいりたいと考えているところでございます。
  101. 小川祐示

    ○小川説明員 御説明申し上げます。  がけ崩れと雪崩についてお尋ねでございますが、がけ崩れの対策につきましては、とうとい人命をがけ崩れの災害から守るということで、急傾斜地崩壊対策事業を鋭意推進しているところでございます。がけ崩れすなわち急傾斜地崩壊の危険箇所というのが、建設省の昭和六十二年の調査によりますと約七万七千カ所ございまして、その整備状況平成二年三月末現在におきまして約二〇%という数字でございます。建設省におきまして、がけ崩れ災害という国民の生命に直接影響を与えます災害につきましては、その重要性を十分に認識いたしまして、昭和六十三年度を初年度とします第二次急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を策定いたしまして、事業の計画的な推進に努めているところでございます。今後も来るべき西暦二〇〇〇年に向けまして、四全総にも示されておりますように重要度の高いものから計画的かつ重点的に整備の推進に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。  また、雪崩につきましても、積雪地帯のとうとい人命を災害から守るということでございまして、昭和六十年度から雪崩対策事業を実施しておるわけでございます。雪崩の危険箇所につきましては、建設省の昭和六十二年の調査によりますと全国で約一万五千カ所ございまして、その整備に重点的に取り組んでいるところでございます。この雪崩対策事業につきましては、比較的歴史の浅い事業でございまして、整備状況平成二年三月末におきましていまだ一%にも満たない状況でございます。西暦二〇〇〇年に向けまして、がけ崩れの対策と同様重要度の高いものから重点的に整備の推進に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  102. 弘中義夫

    ○弘中説明員 治山事業につきまして御説明申し上げます。  治山事業は、現在、第七次の治山事業五カ年計画昭和六十二年度から平成年度までの計画でございますが、これに基づき、国土保全、水資源の涵養及び生活環境の保全を図ることを基本方針として緊急かつ計画的に実施しているところでございまして、平成年度末の進捗率は八四%程度となる見込みでございます。しかしながら、平成年度末におきます山地災害危険地区に対する治山事業の着手率が三六%であるなど、現在の整備水準はいまだ低位な状況にございます。  近年の国土開発、経済社会の急速な伸展等に伴いまして、山地に近接した保全対象拡大、水需要の増大、生活環境の悪化等が進行しております。このような中で、森林の有する公益的機能の高度発揮に対する国民要請は一層高まっておるような状況でございます。このため、二十一世紀へ向けて、安全で潤いのある国民生活の実現に資するため、山地災害危険地区対策の拡充、森林の水源涵養機能の拡充強化及び森林による快適な生活環境の保全形成を図るべく、今後とも治山事業の適切な推進に努めてまいりたいと考えております。
  103. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 皆さんの御答弁を聞いていますと、私は防災年ということで、そういう非常に意義のある、皆さんに関係する意義のある年を迎えて、より積極的な計画という意味でどういうこれからの計画を持っているのかということをお尋ねしているわけですが、今の答弁では、これまでどおりの流れの中で要するに四全総による整備目標に向けて進めていくんだ、こういうことだけであります。  しかも、私はここで特に大河川の問題でお聞きをしておきたいと思うのですが、一九八六年、昭和六十一年の八月に当委員会で我が党の安藤当時議員がこの大河川整備率についてお尋ねをしています。そのときは、現在の整備率はどうかと聞いたら六〇%と答えていらっしゃった。そして今、約六〇%。約というのは小さくもあり大きくもあります。しかし六〇%という限り、当時六〇%という限り、今は六一%か六二%か、それを約というふうに言っていらっしゃるのかなというふうに思いますが、この点についてはっきりしてください。  それから、戦後最大の大洪水に対する整備の概成あるいは次の中小河川、土石流も整備の概成、この言葉は大変まやかしでして、概成というようなのは日常我々国民は使わない言葉です。だから概成というのはどういうことかなといったら、要するにこれはおおむねそういう方向に向かってならしめるようにしていく、こういう意味でしょう。だから、このテンポで今までどおりに進んでいくと、二〇〇〇年になって約六〇%が七〇%にはなっているかもしれません。七〇%になれば、これを概成というふうに言うんでしょうか。
  104. 市原四郎

    ○市原説明員 お答えいたします。  大河川につきましての整備でございますけれども、我々大河川といいますのは、国の直轄でやっております一級水系が二百水系ございますが、そういう大きな河川について、それから都道府県がやっている中でも比較的……(藤田(ス)委員「わかっています、そういうことは」と呼ぶ)  それで、どのような視点でもって整備率をどうかということでございますけれども、六十一年から余り変わってないんじゃないかということでございますけれども、年間に大体一%くらい伸びておるというようなことで約六〇%と申し上げたところでございます。それから西暦二〇〇〇年に概成ということでございますけれども、特に重要なところから整備をしていくということでございますので、数字的には先生指摘のようにまだ九十何%とか、そういうところまではまいりませんけれども、重要なところから整備していくということで概成と言っているわけでございます。
  105. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣がいらっしゃらないのでまことに残念ですが、実際こういう現状なんです。雪崩対策もおっしゃいませんでしたが、歴史が浅い。歴史が浅いと言うけれども、六年前からやっているんです。それで一%未満です。大河川の方も、今おっしゃったように前は六〇%、今度の約六〇%というのは一%くらい足が出たかなというような感じの約でしょう。本当にお粗末なんです。これでは防災年だと言ってその表看板だけ派手にしても、中身はちっとも進まない、だから私はこの問題を取り上げているんです。後で大臣の御答弁をいただきますけれども、局長でも政務次官でも結構ですが、こういう実態をよくとらえて、防災年こそこれを前進させる特別の整備計画を立てていくべきだ、私はそのことを前も申しましたが、改めて申し上げたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  106. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 先生指摘のとおり、災害対策の基本と申しますのは幾つかございます。一つは、やはり事前の対応として科学技術研究、例えば地震予知等を進めていく、そしてまた二つは、災害の予防策といたしまして防災施設、観測、通信施設整備を行うというようなこと、そしてまた三つ目、これが大きいわけでありますが、国土保全の事業というものを治山治水等を通じまして推進をしていくということであろうかと思います。そしてまた、運悪く災害に遭った発災後の対応といたしましては、もちろん応急の対策、復旧対策、これを講ずることであろうと思います。そういう視点で事前の対応、国土保全事業というものが大変災害の予防のために重要であるというのは先生の御指摘のとおりでございまして、かねてからこの国土保全の取り組みを一生懸命進めてまいったところでございます。  一つの例として申し上げてよろしいかとも思います。がけ崩れによる死者が最近ふえている。全体の災害による死者というものはここ数年百名を切るような状況にあるわけでございますけれども、その中で運悪くがけの崩れによりまして命を失う人がふえてきているというような状況にもございます。そういった最近の国土利用の状況等にかんがみまして、主要な必要な対策というものをこれから重点的に講じていただくように、私ども関係省庁を取りまとめの立場からも、各省庁にお願いをしながら連携して進めてまいりたいと考えております。
  107. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは、もう少し身近な問題でため池問題に移りたいと思いますけれども、さきの問題はぜひ目標をきちっと決めて、そして成果を目指して進めていただかなければならないということを一言つけ加えておきたいと思います。  ため池というのは、ここに大臣がいらっしゃったらよく御存じだと思いますが、主には瀬戸内海の周辺に集中しております。農業用の水利施設としても、また、治水上遊水、保水の機能を持っておりまして、地域住民が水と親しむという点でも非常に大きな役割を持ち、同時に歴史を持っています。しかし、これが老朽化いたしまして水害の源になるというような、そういうこともあり得るわけです。老朽ため池の整備というのが非常に重要な課題になっています。私はこのため池の非常に多い大阪に住んでおりますが、現在一万二千個ため池があるのです。全国で二十一万個です。大阪には一万二千個あります。昭和の二十八年にこのため池の中で改修をしなければならないと言われたのが二千八十個あったのです。もう四十年近くたって、その中で今日一体何%整備が済んでいるかといったら、これがまた大変お粗末でして六七%しか終わっていません。四十年たって二千八十個を改修しなさいよと言われていたのに六百八十個まだ残っているのです。ここでも進捗率は一%、年に三十五カ所ずつ、こんなありさまであります。このままではため池そのものが本当に災害の源になる、こういうふうな心配もあります。  そこで、農水省の方もこういうことに十分関心を持ってお取り組みになっておられるということを知っておりますけれども、しかし、やはり農水省の範疇では、農業用施設というその面での役割では光を当てられていても、治水、防災上の観点あるいはまた環境という点では非常に苦しいところがあるのじゃないかと思うわけです。農水省は八九年にため池の全国調査をやられたそうでありますけれども、ため池の現状をどういうふうにとらえ、特に防災上の役割あるいはまたため池整備の必要性についてどういうふうに考えていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいわけです。
  108. 岡本芳郎

    ○岡本説明員 ため池についてお答えいたします。  ため池の整備と農地、農業用施設にかかわる防災事業につきましては、第三次土地改良長期計画、これは五十八年度から平成年度までの計画でございますが、この計画に基づきまして進めておるところでございます。  御指摘のとおり、農林水産省におきましては、平成年度にため池の現状を把握するための全国的な調査を行ったところでありますが、今後のため池等の整備につきましては、この調査結果をも活用しつつ次期土地改良長期計画に盛り込んでいくべくその計画的な推進を図っていきたいと考えております。  さらに、御指摘のとおりため池は、農業用水源としてのみならず、流出水の一次貯留や地下水涵養などの多様な機能をあわせ持っております。さらに近年はため池の水辺空間を地域住民の憩いの場として活用することも行われております。このようなため池の果たす役割にかんがみ、ため池の整備事業を平成年度では全国で約千二百地区実施しておるところであります。平成年度からはため池が数多くある地域対象とした直轄事業を創設するとともに、危険な小規模ため池の改修につきましても補助対象とすることとしております。今後ともため池の重要性にかんがみまして、関係する農家ばかりでなく、ため池の水辺空間の整備等を通じまして、広く地域住民に周知しながら事業の積極的な推進を図っていきたいと考えております。  以上でございます。
  109. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 小規模なため池も整備対象にし、かつ国自身がため池の整備に直接直轄事業として乗り出していくというようなこともおっしゃったわけでありますけれども、そうですね。そういうような今年度から進んだ取り組みが行われ、予算も若干ふえているということを、私はそれはいいことだというふうに思っております。  しかし、先ほど言いましたように二十一万個、それがしかも瀬戸内海を挟んで数県に集中しているというのは、上から見たらまるでお月さんの顔みたいな感じに見えるのかなというふうに思うのですね。だから、そういう点では大地の保水力という点でも非常に重要なことになってくるというふうに考えるわけです。私自身、ため池をつぶしてしまって埋めてしまって、思いがけない地域災害をもたらされたという経験を何度も見ておりますし、そういうことですので、老朽ため池については今後計画的に整備を進めていく。これは防災白書にも余り出てこないのですね。全国のため池は幾つあってどうなっているのかというのがなかなか防災白書にも取り上げられない。それぐらいレベルの低い存在になっているのです。だから私は強調しているわけですが、防災局長もこのため池にぜひ注目をしていただきたい、このことでお願いをしたいわけです。御答弁をお願いいたします。
  110. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 ただいま先生から篤とため池のことをお話しいただきまして、大変勉強させていただきます。これから一生懸命そのようなことも含めまして、防災対策に全身全霊を尽くしたいと思っております。
  111. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは、ため池の問題の最後に一つ要望だけをしておきたいど思いますが、この整備はなかなか上の方から、行政側からだけの思いでは進まない性質のものを持っています。そういうことから考えても、このため池の、これからの整備を促進させる上でも、また保全をさせ、地域の環境に生かしていくというような上からも、私はいろいろな歴史や物語を持つため池は、ひとつぜひいろいろなロマンも込めてPRを政府の方も取り組んでいただきたい。全国調査ということを行われた農水省のお仕事に期待をして、私は要望を申し上げておきたいと思います。  それでは、時間がありませんので、次の問題に移ります。非常に限られてきておりますが、先ほどからも防災局長は、国際防災年で果たすべき役割として気象行政の問題についてお話がございました。日本の活火山が八十カ所ある。にもかかわらず観測点、観測体制を持っているところはまだ十九カ所しかない。これが今日の実態であります。  そこで私は、三宅島の、今非常に要求されている問題に絞って二、三お伺いをしたいわけですが、昭和に入りましてから二十一、二十二年ぐらいの間隔でかなり規則的に活動している三宅島火山、この地殻活動を克明に観測をすれば、必ず噴火の予知をすることができるというふうに言われております。しかし、八三年の噴火の際の避難が、人々が噴火を目撃したことによって初めて知るというふうなことで、大変危険をはらんでおりました。したがって、最良の災害防止方法は全島カバーできるような複数点に観測計器を設置して迅速に警報を出すことだというふうに、これは東京都の防災会議が出しました報告書の中で厳しく指摘されているわけです。そういう点で三宅島の村長さん、議会議長さんも実はその旨の要望書を出しておりまして、地震計を少なくとも三点から五点ふやしてほしい、常時観測を強化してほしいというふうに要求をしてきております。気象庁としてどういうふうにお答えになりますか。
  112. 津村建四朗

    ○津村説明員 現在気象庁では、三宅島につきましては島内の北部及び南東部に高感度の火山性震動観測装置を設置いたしまして、三宅島測候所にテレメーターして常時観測を行っております。それから、定期的に噴気の状況や地中温度の測定、地下水、温泉の温度測定等の現地観測を行っております。今後とも関係機関とも連絡して監視を続けて、遺漏のないよう対処してまいりたいと考えております。
  113. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この三宅島の常時観測をやっているところは一カ所でしょう。これは神着というところ一カ所ですよね。あと坪田というところは、いろいろおっしゃっていますが、これは臨時のそういうものです。だから、畜産試験場の隣にありますけれども、何か牛が動いたら響くそうですよ。大変なことです。それから防災センターや東大の地震研究所、ここにも観測点は確かにあるけれども、測候所のモニターにつながってないでしょう。何かとても整備されてたくさんあるようなことをおっしゃいますが、整理したらそういうことじゃないですか。
  114. 津村建四朗

    ○津村説明員 気象庁が観測しております二点については、三宅島測候所で連続的に観測しているものでございます。先生先ほど指摘の、噴火がありました際に設置して、その後引き続き南側の観測点は連続観測を続けております。ですから、臨時的と申しましても連続的に観測しているものでございます。それから関係機関は、測候所にはテレメーターされておりませんが、それぞれの機関にテレメーターされておりまして、それらの機関、大学等とも緊密に連絡をとり合っております。
  115. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 はっきりおっしゃった方がいいと思うのです。今確かに四カ所でいろいろな形で測定をしているけれども、測候所のモニターに来て常時観測しているのは一カ所なんだ。神着、違いますよ。坪田というところにある臨時の観測器は測候所のモニターにもちゃんとつながったものじゃない。だから村の方から、たった一カ所しかないんだ、きちんとしたもので三点から五点設置をしてもらいたい、そういうふうに言っているんじゃありませんか。そして東京都の方からもそういうことが防災会議の中で指摘されているのじゃありませんか。
  116. 津村建四朗

    ○津村説明員 東京都の報告書は存じております。ただ、一点だけ、先生の御質問の中で明らかに事実とは異なっておりますので、その点だけは確認しておきたいと思います。  南側に置いている地震計は測候所にテレメーターされておりまして、測候所でモニターできております。
  117. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 その南側というのが、つまり具体的に言うと坪田のことですか。おっしゃりたいのはそういうことですか。三宅島の噴火で非常に危険なのは、生意気に私が言う必要もないと思いますが、人々の住んでいるところでも、割れ目噴火といって、出てくるのですね。だから怖いわけですよ。だから、非常に求められているわけです。そういうことですから、このままでは、万が一のことがあれば国の責任が追及されることになります。ぜひ、東京都の報告に基づいて測候所の観測点を強化するように要望をしておきたいと思います。  大臣がお見えになりましたので、大臣の質問の方に移ります。  きょうは、私は、国際防災年の、二十一世紀を目指す災害のより少ない世界をつくろうというこの取り組みの中で我が国の取り組みが非常に大事なんだということを強調するために、大臣がいらっしゃる前にいろいろと質問をしてまいりました。  しかし、大臣、実態は非常にお粗末なものだと言わざるを得ません。例えば、大河川整備率も、今のままでいくと年率一%くらいしか伸びておりませんから、これからまだ四十年はかかる、こんな話になっているのです。中小河川整備率はまだ三一%です。土石流、がけ崩れ、これも二〇%に満たない状態です。雪崩対策に至るや、六年かかって一%です。そして、土砂災害の危険地域整備率も三六%です。大臣は愛媛の御出身ですからため池について御理解があると思いますが、このため池が二十一万個あるわけです。この二十一万個のため池について、防災の観点からもっと整備を進めていかなければ、せっかくのため池の保水力を利用し国土保全を図るということもできないだけではなく、ため池そのものが災害の源になるという危険、こういうことも、今大臣がいらっしゃるまでに、私は議論をしてまいりました。したがって、どうしてもこういうところに特段の力を入れていただきたいわけです。  ところが、日米構造協議で四百三十兆の公共投資をするのだと約束をした、この巨大開発推進にねらいを定めた公共投資に対して、私どもは財源問題から考えても重大な問題点があるということをこれまで指摘してまいりましたが、そういうことで政府がこれからやろうというのは、臨海部の開発、大深度の地下利用、大規模プロジェクト、こういうところに相当のお金をかけるということはおっしゃいますけれども、実際の防災関係で生活関連と呼ばれるものを見ると、これまた河川事業も、スーパー堤防など背後地の開発とセットしたものが過分に評価されておりまして、本来行うべきそういう国土保全河川改修、がけ崩れというところが非常におろそかにされておる。おろそかにされておるから、これから二〇〇〇年に向けてどうするのですかとお尋ねしても、特段に防災年にふさわしい、意欲を持った取り組みがちっとも聞こえてこないわけです。だから、私は大臣に、この防災年の担当大臣として、これから河川の改修、がけ崩れ、そういう国土保全のための、本来これまでやってきた、そして本当にやっていかなければならない事業に対してぜひ計画的に整備を進めていただきたい、このことをまず要望するものであります。いかがでしょうか。
  118. 西田司

    西田国務大臣 世の中がだんだんと進歩して変化してまいります。そのためにはいろいろな社会資本の充実を図っていかなければならないことは、委員も御存じのとおりでございます。  そこで、ただいま四百三十兆円に伴う公共投資に対する防災に視点を合わせた御質問だと承ったわけでございますが、昨年六月、二十一世紀に向けて着実に社会資本整備の充実を図っていこうという指針が策定されたわけでございます。これが、すなわち公共投資基本計画でございます。その中で、一つは、豊かさを実感できる国民生活の実現や地域経済社会の均衡ある発展を期していこう、こういうことでございまして、委員指摘の点については、まず基本的にそのことをこれから防災対策にいたしましてもとらえておるわけでございます。  それから、第一点といたしましては、人々の日常生活に密接に関連した生活環境あるいは文化機能、こういうものに着目して、そこに重点を置いた行政というものもやっていかなければいけない、このように考えておるわけであります。もう少しお話をさせていただきますと、四全総の基本的目標である多極分散型国土の形成に向けて、そして地域間であるとか地方間であるとか、そういうところの交流ネットワークや経済基盤の整備を施策の一環として充実を図っていこう、こういうことがうたわれておるわけであります。それで私は、一つは、防災という仕事は国民の皆様方の人命や財産というものを守っていく大変大事な仕事をやっていかなければいけないところでありますから、まず安全で、そして潤いのある国土をつくっていこう、国土保全施設等の整備を着実に進めてまいろう、このように思っております。また、このための主要な施策としての基本的方向として、快適で潤いのある生活環境をつくり上げていく、それから生活に密着した関連施設の充実等を進めていこう、このように思っております。  特にその中で、山地災害であるとか洪水それから海岸侵食等の自然災害を未然に防止していく、先ほどため池のお話がございましたが、そういうことも含めて未然に防止していく、そして安全な国土を構築していく、良質な環境をつくり上げていく、こういうことに配慮しながら、治山治水、砂防、急傾斜地崩壊対策、海岸保全等にかかわる施設の着実な整備を掲げてまいりたい、このように思っております。今後の公共投資に当たり、安全で潤いのある国土づくりのため国土保全事業を着実に推進していくことが大変重要であると認識をしておるわけでございます。
  119. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 人命を守り、財産を守っていく、そのために安全で潤いのある国土保全づくりということは、私もまたそのとおりだと思うのです。しかし、それは本当に看板だと思うのです。少なくともこのままいけば看板になってしまう、そして二〇〇〇年になれば、振り返って防災年て何だったんだということになってしまう。だから、物事は計画的に定めて、目標を立ててこれまでとは違った取り組みをしてこそ、文字どおり安全で潤いのある国土をつくっていくために力を入れているのだなということがはっきりするわけであります。うなずいていただきましたので御理解をいただいたと思いますけれども、ひとつそういうことをやってもらいたい。ずっと五カ年計画は立てておりますけれども、しかしそれが、本当に確実に進めていき、ここまではやらなければいけないというラインを決めた取り組みにはこれまではなっていないということを私は考えておりますので、特に申し上げておきたいと思います。  最後になりますが、ことしは国際防災年の二年目に当たって、皮肉にもそこで最大災害である戦争が始まってしまいました。そして今湾岸戦争がエスカレートする中で、アメリカなどでは核兵器の使用はあり得るということも言っています。大変心配して、今実は、超党派の女性議員の代表が、デクエヤル国連事務総長にアピールを携えて向こうへ行っているところです。国際防災年の提唱者である全米科学アカデミーのプレス博士は、この地球上で最大災害は核戦争だ、こういうふうにおっしゃったことがあります。被爆国の国民として、私はそのとおりだと大変感銘を受けてこのプレス博士の言葉を受けとめました。それにしては何と皮肉なことになったと思わざるを得ないわけですが、どうぞ防災担当大臣として閣議でもっと声を上げ、政府が積極的にアメリカ政府に、どんなことがあっても人類への犯罪である核兵器の使用はしないよう申し入れを行うように働きかけていただきたい。また、デクエヤル事務総長に対してもそういうことをもっと働きかけていただきたいというふうに考えるわけであります。最後の御答弁をお願いします。
  120. 西田司

    西田国務大臣 私も人類に甚大な被害を与える核戦争というものは絶対にあってはいけない、このように考えておる一人でございます。  今、アメリカにというお話でございましたが、そのことは世界の人に訴えたいものだと考えております。
  121. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますが、世界の人々に訴えるということはもちろんですが、アメリカ政府にこの際、日本政府としてはっきり物を言うということは被爆国の責任であるということを申し上げて、終わりたいと思います。
  122. 高村正彦

    高村委員長 阿部昭吾君。
  123. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今も湾岸戦争の問題のお話が出たわけでありますが、国際緊急救助隊という組織、機構、活動、これが今どのようになっておりますのか、お聞かせを願いたい。     〔委員長退席、二田委員長代理着席〕
  124. 横田淳

    ○横田説明員 お答え申し上げます。  先生が御指摘になったのは国際緊急援助隊のことだろうと承知いたしますが、この国際緊急援助隊は、その派遣に関する法律が昭和六十二年に施行されました。昭和六十二年に施行されて以来、例えば昭和六十二年度におきましては、援助隊チームを三件派遣し、昭和六十三年度には三件、平成年度には二件、今年度平成年度でございますけれども、二件というふうに各国におきます災害に派遣いたしてまいりました。  そのほか、人を派遣するだけでなく、人を派遣しないで単に緊急援助物資を送るということもあわせて考えますと、合計約三十件の発動実績がございます。
  125. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 この緊急救助隊の組織、人員というのはどのようになっておりますか。
  126. 横田淳

    ○横田説明員 お答え申し上げます。  緊急援助隊は常設の組織があるわけではございませんで、例えば開発途上地域等におきまして大規模な災害が起きまして、被災国政府から援助の要請があるわけでございます。そのときに、その援助の要請の内容に応じまして緊急援助隊法の第二条に三種類の活動が規定してあるわけでございますけれども、その三種類の活動のうちのどれを発動するかを考えまして、そこで外務大臣が関係の各省庁と御相談申し上げながら人間をそろえまして、それで派遣するという仕組みになっておるわけでございます。
  127. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私が承知をしているのでは、この救助隊に登録をしているメンバーというのは、例えば警察庁が五百人であるとか消防庁が五百人であるとか海上保安庁もまた五百人というようなぐあいに、調べてみるとこれは全部シビリアンなんですね。相当登録をされて、この救助隊のメンバーというのが準備をされている。この皆さんはある意味で言うと、今もお話の中に、戦争は最大災害だというお話がありました。我が国は言うまでもなく憲法を持っておるわけであります、平和憲法を持っておる国であるわけであります、したがって、戦争の撃ち合い、殺し合いをやっておる最中にこの救助隊を出すことができるかどうか。私はそれはもう不可能だろうと思うのでありますが、戦争のはるか背後あるいは戦争がある段階を超えて戦後のいろんな始末をつけなければならぬ、こういう場合に、この救助隊というのはそこに出ることができるのかどうか、お聞きしたいのであります。
  128. 横田淳

    ○横田説明員 お答え申し上げます。  例を考えまして、現在戦争の惨禍を逃れて避難民がいろいろな国に流出しているわけでございますけれども、そのような避難民に対する支援策というものを考えてみます場合に、緊急援助隊法を審議いただきました国会の議論から考えまして、もし緊急援助隊の派遣を検討するのが可能といたしますれば、それは避難民について、その避難先などにおいて新たに何らかの大規模な災害発生し、または発生しようとしているような場合だと考えられます。  いずれにいたしましても、具体的に検討するような場合には、避難民の医療ニーズ、それから被災国等からの要請の有無、それから非常に大事なことでございますけれども、派遣される要員の安全の確保など諸般の情勢の推移を見きわめつつ判断する必要があると考えておるわけでございます。
  129. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 役人の答弁というのは持って回っていろいろ継ぎ合わせてみないとよくわからぬ感じがするのですが、現実に湾岸戦争、私はさっき申し上げましたように、ドンパチ撃ち合い殺し合いやっておる中にこの救助隊が出るわけにはいかぬでしょう。しかしその後方、今の避難民の問題も含めてです、あるいはこの戦争の後の始末の問題でも、例えて言えば国連の平和維持活動のようないろいろなものが必要になってくるだろうと思うのであります。こういう場合に救助隊はそこに出ることができるのかどうかということを聞いたのです。端的に、いやそれは不可能だとか、いやそれはこうこうこういう条件がそろえば可能だとか、明快にお聞きをしたい。
  130. 横田淳

    ○横田説明員 こうこうこういう条件がそろえばというふうにお答え申し上げたつもりでございますけれども、この緊急援助隊法を御審議いただきました国会におきまして、法律の第一条に規定しております大規模な災害とは何かというふうなことが何度も問題になったわけでございます。そのときにおきまして当時の倉成外務大臣が答弁申し上げましたのは、この法律は内乱とか武力紛争など戦闘地域における直接の武力紛争による被害には適用することを想定しておりませんというふうに答えたわけでございます。したがいまして、例えば戦後のことで申し上げますとすれば、戦闘の直接の結果であります爆弾によって傷ついた人々とか兵士など、それに対しましては緊急援助隊を、この法律を発動することは困難ではないかと考えております。  ただ、先生がおっしゃいましたような戦闘の地域から離れておりますような避難民とかそういうようなものにおきましてニーズがありますれば、これは戦闘中であろうが、もちろん派遣要員の安全の確保という問題はございますけれども、すなわちそこにおいて災害が生じているというようなことが言えるのであるとすれば、それはこの法律の発動が可能なのではないかというふうに考えております。
  131. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そういたしますと、救助隊の今登録されておるメンバーというのはたくさんいるわけですけれども、これは全部シビリアンですね。
  132. 横田淳

    ○横田説明員 シビリアンという言葉の定義でございますけれども、消防庁の職員ですとか都道府県警察の職員それから海上保安庁の職員でございまして、自衛隊でないという意味においてシビリアンかと思いますけれども
  133. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そうしますとこの皆さんが今の御答弁では、湾岸は戦争なんですね、戦争で傷ついた人が後方に例えば医療を求める、あるいは戦場の地域から避難民というのが大量に出てきておる、この皆さんをいろいろ対策措置を講じていかなければならぬ、こういう活動の中には、シビリアンであるこの緊急救助隊の活動というのはそこへ出ていくことは可能だ、こういう理解をしていいのですね。
  134. 横田淳

    ○横田説明員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、国際緊急援助隊法が発動できるような事態になりますとすれば、それでしかも第二条におきまして緊急援助隊は三種類の活動をするというふうになっておるわけでございますけれども、その三種類のいずれかの活動を被災国政府等から要望されて行うような事態になりますとすれば、例えば医療活動であればJMTDRという組織によりましていろいろな民間のお医者さんとかそういう方を組織しております。それから救助活動であるとすれば、先ほど申し上げましたように警察とか消防とかにお願いしましてある程度の人員のめどをつけているわけでございます。そういう人たちが出ていくということはもちろん考えられるわけでございます。
  135. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣、この組織は、調べてみると実際は総務庁がこの全体の、ある意味で言えば窓口のような役割をやっておる様子なんですね。そうですか。
  136. 横田淳

    ○横田説明員 お答え申し上げます。  窓口という意味でございますけれども、この法律の第三条におきましては、外務大臣が被災国政府などから派遣の要請があった場合に、緊急援助隊法の目的を達成するために適当であると認めるときは関係の各行政機関などと御相談申し上げるというふうに書いてございまして、その関係行政機関は何かということはその法律の別表に書いてあるわけでございます。その別表の中には、警察庁を初めとして科技庁、環境庁、その他いろいろございますけれども、総務庁は書いていないところでございます。
  137. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 総務庁はこれには関係しておりませんか。  大臣にお伺いしたいのでありますが、私は、いずれ国連の平和維持活動に対して日本はいかなる人的な貢献をなし得るのか、当面、そんなに遠い時期じゃなくて日本の明快な態度を準備していかなければならぬのだと思うのです。今、あの湾岸戦争にしゃにむに自衛隊の飛行機を出そうとした、しかしそれはなかなかまとまらぬという状況になっておる。しかし、いずれ、今この湾岸戦争の大きな終局が見え隠れし始めてまいりました。世界はこの一点を今注目しておるというときに、日本が一体国連の平和維持活動に対して人的にもいかなる貢献をなすかという場合に、この今日の国際緊急援助隊という活動が私は大変重要な意味を持ち得るのではないか、こういう認識を実は持っているのであります。そこで私は、災害全体を統括する立場にある西田大臣の方から御見解を聞いておきたいと思うのであります。
  138. 鹿島尚武

    鹿島政府委員 外務省の方の御担当からかねて答弁がございましたとおりでありますけれども、この援助隊の派遣の法律は、三条によりまして外務大臣がおまとめになる、そしてまた被災国の要請に応じて第六条で外務大臣がその活動の調整をなさるということで、ひとえに外務大臣、外務省の方で窓口を務めるということに実はなってございます。それで、目的が第一条にございまして、海外、特に発展途上にある海外の地域における大規模な災害発生ということに着目をいたしまして援助活動を要請に応じてしようということでございますので、この法律の目的を受けて外務省の方で御判断をむしろちょうだいしたらいかがかというふうに事務的に考えるわけでございます。
  139. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私が今お聞きしたいのは、政治家としての大臣として、今の国連の平和維持活動に対して日本はいかなる貢献をするのかというのは、ひとり外務大臣ではなくてすべての政治家が直面しておる、問われておる問題だろうと思うのです。そういう意味で、私はいろいろやってみましたところが、この国際緊急援助隊という、これを派遣する法律というのがある、メンバーはシビリアンと思われる方々がたくさん登録しておる、これはみんな公務員であります、ほとんどが。ということになってみると、この法律に基づくいろいろなものを今度の国連平和維持活動というものに対して人的貢献ということは極めて具体的に考えていい課題ではないか、こういう認識を持ったのであります。  そこで、所管は何か外務大臣の方がいろいろやるということのようでありますけれども、政治家として、閣僚として、特に災害担当の大臣としての御見解をぜひ聞かせてもらいたいと思います。
  140. 西田司

    西田国務大臣 私の認識といたしましては、大災害というものは、国内であろうが国外であろうが、それはいつどういうようなものが出てくるかわからないわけでございます。もちろん先生がおっしゃった湾岸地域の現在の問題としてお話をするわけではなくて、これからの日本の国際貢献という問題が非常に大事になってまいりました。その中で特に災害という問題については、我々も最大限の気配りをしてやっていかなければいけない状態になってきたと思っております。  御指摘になりました今の湾岸情勢につきましてはいろいろ法律や規則や窓口やそういうことがあるようでございまして、突然のお話でございますので私が的確にお答えをすることができませんが、基本認識としてはただいま申し上げたような考え方を持っておるわけであります。     〔二田委員長代理退席、委員長着席〕
  141. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 外務省にもう一遍お聞きしておきますけれども、現在登録メンバーを相当一定のものを持っておる。従来は紛争地には出すことがいろいろ問題があった、そういう答弁も既にしておるというふうに聞いておるのです。それ以降、日本が国連の平和維持活動のようなものに対してどのように対応ができるのか。例えば難民の救済であるとか輸送であるとかあるいは通信であるとか医療であるとか、こういう問題についてはこの緊急援助隊の活動が対応していいのではないかという意見が大変強まっておると私は聞いておるのでありますけれども、現時点でこの援助隊をある意味で言えば、外務大臣が指導的な役割を持つということのようでありますけれども、私が今まで言ったような対応の仕方が可能なのかどうかということをひとつお聞きしておきたい。
  142. 横田淳

    ○横田説明員 お答え申し上げます。  端的に申し上げて、国連におきます平和維持活動として要求されるものに国際緊急援助隊というものをもって対応可能かといえば、それは非常に困難だろうと思います。先ほど来申し上げておりますように、国際緊急援助隊法というものは自然災害を主として想定してつくられた法律でございまして、それなりの体制でやっているわけでございます。したがいまして、活動分野もその法律に医療分野等三分野というふうに限定されておるわけでございます。したがって、先ほど来例えば難民について申し上げましたのは、端的に言ってしまえば、国際緊急援助隊法の発動できる状態があるとすればそれは適用も可能かもしれないということを申し上げているのでありまして、国連におきます平和維持活動そのものをとらえまして、それに対して緊急援助隊法で適用可能かといいますと、それは非常に困難ではないかというふうに思われます。
  143. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 この法律の第二条で、第一に「救助活動」、第二は「医療活動(防疫活動を含む。)」、第三が「前二号に掲げるもののほか、災害応急対策及び災害復旧のための活動」、この活動に途上国を中心としてこの援助隊は対応する、こういう枠組みになっておると思うのであります。したがって、私は、今の湾岸の状況がどのように展開していくのかありますけれども、いずれ具体的な段階での状況に国連の役割というのがいろんな意味で出てくるのだろうと思うのであります。そういう中にこの国際緊急援助隊の組織、機能というものを私はやはり大きく役立てていくべきではないかという認識を持っておるのであります。  これにつきまして、ぜひひとつ西田大臣におかれても、何でもかんでもしゃにむに自衛隊をやってしまえ、こういうことはもはや不可能になりましたけれども、私はやはり現実可能な――日本は平和憲法を持っておって、ドイツも同じようにトルコまでは行けるけれどもその先には出ない。日本もそれは法治国家でありますから、憲法を持っておって、それはそのままで、自衛隊はあそこにちゃんと行きましたでは逆に世界の信頼を失うことになるだろう。こういう緊急援助隊の派遣のような、実質的にこれはシビリアンなんであります、こういう対応の仕方が現実に可能ではないか、こういう問題に閣僚としてぜひひとつ前向きに対応してもらいたい、こういう希望を申し上げておきますが、一言大臣の見解をもう一遍だけ伺っておきたい。
  144. 西田司

    西田国務大臣 国際的にいろいろな問題がこれから起こってくると思います。委員が御発言になりましたようなことも十分に我々も検討をしてみたい、このように思います。
  145. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 次の質問に移ります。  私は長い間農山村のいろんな問題に実はぶつかってまいりました。その中で、日本の森林というものが、山林というのが将来どのようになっていくのか、こういう問題を実は今痛切に私の肌身で感じ取っておるのであります。  いろんなことがありますけれども、例えば山をやっていくということになると、五十年たたなければ投資をした結果は収入としては入ってこないのであります。しかし、昔は例えば間伐をやってもこれ全部収入になりました。今は間伐材などというのはほとんど収入にならぬのであります。だから、五十年後に皆伐をやってそのときにのみ収入が入る。五十年間ほとんど投資の連続なんであります。ですから、最近の若い新しい世代の皆さんは、五十年先でなければ収入が入ってこない、収益の上がらない林業というものからどんどん手を引いていく、こういう時代に変わってまいりました。私は、我が国の山元というのがしっかりと植林をされて固められていくということは我が国災害というものを非常に抑えていく、同時に水の問題、空気の問題、環境の問題、いろんな意味で山、山林というのは重要な役割を持っておる。この山からどんどんどんどん手が抜かれつつある。最近林野庁の方では林政審答申というものを踏まえて具体的な動きをされようとしておるのでありますけれども、私は、今の日本の林業というのは、まず外材がふんだんに入ってくるわけでありますが、一体将来、未来永劫外材がふんだんに入ってくるのかどうかということも議論になり始めておる。世界的には酸性雨であるとかあるいは砂漠化であるとか、山林、林業をめぐっていろいろな問題が入り組んでまいります。こういう中で、御案内のように林野庁は今まで独立採算制でやってまいったわけでありますが、だんだんだんだん、独立採算と言いながら、その地域のいろいろなことに今まで金を出さざるを得ませんでした。国有林の採算制のためにのみ林野庁は投資をやってくるという立場ではなくて、地域のいろいろな分野にもたくさんの投資をしなければなりませんでした。今は相当莫大な二兆何ぼと言われるような赤字を抱え込むという状況になってまいりました。そんな中で、山と山林、林業というものと防災というものとの認識を、西田大臣は一体どのように持っていらっしゃるか、これを一言お聞きしておきたいのであります。
  146. 田中正則

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  先生おっしゃるとおり、森林には相当の機能があります。特に、木材生産のみならず国土保全あるいは水源の涵養といったような機能がありまして、これに対する国民要請といったようなものも大変期待が大きくなってございます。そういう意味では、水源涵養あるいは国土保全といった、災害をどう防止していくかということになりますと、やはり森林そのものを活性化させておくことが非常に重要でございます。ただ、先生がおっしゃるように、林業は大変もうからなくなっております。五十年先を見通さなければならないということであります。そんなことから、林野庁といたしましては資源基本計画というようなことで、日本の森林資源の行く末について四十年あるいは五十年のビジョンを描きながら、それを実践するための全国森林計画といったようなものを準備いたしまして、計画的に森林を整備してございます。特に災害という観点からは保安林という制度がございまして、保安林は現在日本の森林面積の約三分の一を占めておりますけれども、こういった保安林の指定とあわせまして、森林資源を活性化し、災害防止に一歩でも寄与しようというふうに努力しているところでございます。
  147. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今、例えば林野庁に限定してという立場とそれから民有林という立場があると思うのでありますけれども、林業にとって今から考えておかなければならぬ最大の問題は何ですか。
  148. 田中正則

    ○田中説明員 森林資源そのものを災害ということも頭に入れながら整備していくということになりますと、森林の担い手はやはり山村であろうかと考えております。そういう意味が一つ。それからもう一つは、やはり林業経営なりあるいは森林の手入れといったようなことになりますと、林道等の基盤整備といったようなものも大変重要でございます。そういったことから、労働力の確保あるいは養成あるいは林道等の基盤整備、そういうことを通じた山村の振興といったようなものが森林、林業を活性化させる基本ではないかというふうに認識してございます。
  149. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今我が国で林業に従事をしておる人たちは何人ぐらいいますか。
  150. 田中正則

    ○田中説明員 現在最新の統計でございますと、約十二万人というふうに承知してございます。
  151. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 十二万人で、人工林はどのぐらいございますか。
  152. 田中正則

    ○田中説明員 約一千万ヘクタールございます。
  153. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私と共通の認識でありますが、一千万ヘクタールの人工林、そのうち国有林が大体四分の一弱、二百五十万ヘクタールくらいですね。この十二万と言われる林業に従事をしておる皆さんが、現場を歩いておる私の感じでは非常に高齢化が進んでおる。次の後継者は入ってこないのです。したがって、先ほども労働力の問題が一つの大きな課題だと指摘されましたけれども、これから林業に従事をする働き手はどのようになっていくというふうにつかんでいらっしゃいますか。
  154. 田中正則

    ○田中説明員 先生おっしゃるように林業労働力は大変急激に減少し、かつ高齢化が進んでおります。また、新卒者といいますか新規参入といったような者が大変少のうございまして、将来的に見ますと相当減少するだろうと思われます。そういったことではありますけれども、やはり森林、林業を活性化させるためには担い手の育成強化あるいは生産性の向上といったようなこととかいろいろなことを通じて労働力の確保努力しなければならないというふうに考えてございます。  特に、森林、林業をうまく活性化させる手段といたしまして、今回、流域管理というような思想をとりながら、上下流が共同してみんなで森林資源を育成強化しようというようなことで流域管理システムというようなことをうまく定着させるような仕組みを現在考えているところでございます。
  155. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 我が国の林業、山林というものが災害対策の上でも非常に重要である。日本の場合酸性雨という問題がまだそれほど重大な問題になっておりません。しかし、じわじわとこの問題も次第次第に提起され始めておる。こういう中で、林業の持つ役割は我が国の緑豊かな発展のために非常に重要だという認識を持っているのであります。  その意味で、国有林あるいは今後の林業というものに対して、林政審議会は一つの答申を出したようでありますけれども、これが果たしてそのとおりに実行されていけるのか、これが完全に実行されたとしても果たして大丈夫なものなのかという意味については、私が山元を歩き回っておる感じでは、これもまだまだ十二分じゃない、こういう認識を実はしておるのであります。したがって、ぜひひとつ災害対策の最高責任者であります西田大臣におかれましては、林業の問題になると、これは言うをまたず林野庁、農林水産省であります。しかし私は、やはり山元対策というものを相当しっかりやっておかないともたないという実感を実は長い間山元を回り歩いて今肌身で感じておるのであります。私は長い間、この林業に従事をしておる皆さんのいろいろなグループ化をやってまいりました。その皆さんの中で、世代交代をして次の世代がまた山をやるという人はまるっきりいないのであります。恐らくこの数年間で山元から林業をやろうという人はほとんど姿を消すだろうというふうに思います。  そういう意味で、林野庁のあり方も、また林業全体のあり方も、この林政審議会の答申はもちろんのこと、これだけでも私は非常に不十分だという認識を持っております。ですから、災害対策は山元をしっかりと安定させていくことが土台だと思いますので、この答申の趣旨がしっかりと実行されていくように、これでもまだ不十分なのでありますけれども国土庁長官というお立場でもひとつ努力をしてもらいたいと思うのでありますが、大臣のお考えを一言伺いたいと思います。
  156. 西田司

    西田国務大臣 私も委員と同じように山が大好きであります。この間も山奥へ入ってある年寄りの人と話しておるときに、今山が泣いているな、こういう話をしましたら、年寄りの人が大変深くうなずいてくれたわけでございます。  御指摘のように、国土保全をやっていく、国土保全ということは、それはすなわち直接的に災害防止につながっていくことでございます。しかし、今、日本林業の前面に立ちはだかっておる問題は、数々難しい問題があるわけでございます。これから山をどうしていくかということは、先ほどいろいろとお話ございましたけれども、そういうことを含めて真剣に考えていかなければいけない、また行政の取り組み方を、転換しなければいけないことは思い切って転換をしていかなければいけない、そういうことにおいて一番大事な山を保全していく、また発展させていく、こういうことが期待されるところでございます。
  157. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 最後に、私は、提案なんでありますけれども、国有林野の方は、これはほかのものを全部ここにおんぶさせてしわ寄せをするということをやめていかなければいけない。国有林野はまた、いわば木材を供給するという立場以外に、ある意味で言うと、水とか空気とか、そういう収益とは無関係のことに相当たくさん役割を果たしておる。ところが、この林野事業に対しては全部ほかのものもぶら下がっていくということを長い間続けてまいりました。林政審議会の答申はそこを非常に遠慮しながらしか物を言っておらないと私は見ておるのであります。したがって、この林野というものをどのように成り立たせていくようにしていくのかということを大胆にしてもらいたい。  それから、民有林の問題につきましては、五十年先でなければ収益の上がらぬものに打ち込もうという者はだんだん減ってきます。だから間伐などをやる労働力が非常に不足しておるのであります。だから私は、山は大体見ておりますと、五十年後に皆伐ならば三十年間は全く投資の連続なんです。それ以降しばらくの間、皆伐やるまでの間若干投資の率は減ってくるというのが用材林、杉などの場合の一般的な姿であります。この山が、例えば五十年後に皆伐をやったならば十億円するという場合に、三十年間の最初の金のかかる間、半分の五億なら五億、一年間一千六、七百万くらいずつうんと低利の融資をやってやる。そして皆伐をやったときに、前半の三十年間の間に低利融資をやったものを清算払いで償還をする、こういう新しい制度かなんかを大胆にやっていかないと、山からはどんどん若者は去っていくことだろうと思います。このことは提案だけを申し上げておきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  158. 高村正彦

    高村委員長 吉岡賢治君。
  159. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 災害対策特別委員会の中で初めて質問をさせていただきます。議員の皆さん、あるいはまた大臣を初めとするスタッフの皆さん方の今後の御指導をいただきたいと思っておるところでございます。  今、私の手元に緊急の情報が入ってまいりました。それは、昨年九月二十八日に初稼働した東京電力柏崎刈羽原子力発電所二号機、これは沸騰水型、定格出力百十万キロワットがけさ六時二十四分、自動停止した、こういう情報が入っておるところでございますが、大臣はお知りでございましょうか。
  160. 西田司

    西田国務大臣 先ほど防災局長から報告を受けたところであります。
  161. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 東京電力の方からの情報ということで入っているわけでございますが、タービンの軸受けの潤滑油の圧力が下がった、そのことによって、油の量は二十八立方、これの〇・五立方が下がる、言うならば二十七・五立方で警報が鳴るようになっており、そのことで警報が鳴った十二分後に自動停止した、このように聞き及んでいるところでございます。  まず一つは、原因が何であったのか、このことについてお聞かせいただきたいと思います。
  162. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答えいたします。  東京電力柏崎刈羽原子力発電所二号機、定格出力百十万でございますけれども、定格出力で運転中のところ、きょうの朝でございますが、先生指摘のように六時二十四分に主油ポンプ吐出圧力低の警報が発生し、蒸気タービンが自動停止、引き続き原子炉が停止という事象が発生いたしました。  この事象でございますけれども、この主油ポンプと申しますのは、今先生指摘のように、タービンの軸受け油を供給するためのポンプでございます。その主油ポンプに供給される油をためておくタンクが手前にございまして、そのタンクの容量が、今先生言われました二十八立米あるわけでございまして、その油が二十七・五立米、〇・五立米減ったときに警報が鳴るようになっております。その警報が鳴ったとき、これは六時十二分ごろでございます、その後六時二十四分に、この油ポンプの吐出圧力が低ということで、供給する油が少なくなるという警報が出まして、それでタービンがトリップ、要するにタービンが自動停止したというわけでございます。  これによる、まず放射能の環境への影響ということでございますが、主排気筒のモニターは変化がないというふうに聞いております。  では、なぜこのポンプの吐出圧力が低くなったのかということでございますが、それの原因は今究明中でございます。  以上でございます。
  163. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 緊急停止をしたということになりますと、炉内の圧力等が上がる、そういうことで蒸気が発生しておるという可能性もあるのではないか。あるいはまた、冷却水の中に放射性物質が流れ込むというようなこと等がなかったのか、言うなれば放射能の流出がなかったのか、改めてお聞きします。
  164. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答えいたします。  タービンがトリップすると同時に原子炉が停止いたします。原子炉で蒸気をつくるわけでございますので、もとを断つといいますか、そもそも蒸気を発生するところがなくなる。しかし、時間のおくれみたいのがあって瞬間的に蒸気圧が上がることはあるかもしれません。今回の場合にどの程度まで圧力が上がったか、現在詳細調査している最中でございますけれども、原子炉の中にはたくさんの水がございますので、燃料が破損するというようなことは考えられないわけでございまして、先ほど申しましたように主排気筒のモニターに全然変化が見られないということでございますので、放射能のこれによる放出というのは考えられないということでございます。
  165. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 これは沸騰水型というように聞いているところでございます。同型機といいましょうか、そういうものがかなりあると判断いたします。この機械が、先ほど申し上げましたように昨年九月二十八日に稼働を開始したという最新鋭機であるというところに私は非常に問題を感じているわけでございますけれども、そういう立場から、同型機等で同様の事故というものが、あるいは同様な形での停止というものがあったのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  166. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答えいたします。  まだこれは詳細に調べておりませんので、非常に丸めた数字でございますけれども、タービンが自動停止するというトラブルは過去に約三十件ぐらいあるというように聞いておりますが、その原因が、今申しましたように油を供給するラインの何らかのふぐあいによるものかどうかというのは、まだ過去のトラブルの原因をよく詳細に調べてみないとわからない状況でございます。
  167. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 先ほどの弁によりますと、原因がわからない、調査中、こういうことであろうかと思います。万全の調査をされたいと思います。そして、その結果は公開をしていただきたい、我々の方にも資料をいただきたい、このように思うと同時に、安全性についての追求をきちっとしていただくようにお願いしたいと思いますけれども、大臣、いかがでございますか。
  168. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答えいたします。  私ども、原子力発電所でトラブルが起きたとき、事象が発生したとき、それから、当然でございますけれども、原因を究明して再発防止対策を確立したときには、通常発表しております。今回も当然、その例によれば、原因が究明され、対策がはっきりした段階できちっと公表をするということを考えております。
  169. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ともすると、今日までの状況の中では情報を公開するということが欠けている、このように思うわけであります。そういう状況の中で、我々自身が不安になり、あるいは国民がさらに不安を感ずる、こういうこともあろうかと思いますので、もう一度この点について、しっかりと公開をするということについて、確かめておきたいと思います。いかがですか。
  170. 倉重有幸

    ○倉重説明員 お答えいたします。  原子力発電所の安全性に対しまして国民の根強い不安があるということは私ども承知しておりまして、そういう面で、この安全性に関しまして、私ども従来からトラブルが起きたときの情報等々をなるべく国民にわかるような形で出しているつもりでございますけれども、今後さらに一層の改善を進めていきたい、このように考えております。
  171. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 よろしくお願いを申し上げたいと思います。  先ほど入ってきた情報だけに、私どもも緊急に質問をさせていただきました。予定になかったことだったので戸惑いもあったかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。それほど重要な問題というふうに認識をしましたので、冒頭に質問させていただいた次第です。  さて、西田国土庁長官の就任を、国土保全国民の生命と財産を守る、あるいはそのことが国政の基本であるという立場で御奮闘いただける、こういうふうに思いながらお祝いを申し上げたいと思います。所信表明で、昨年は観測史上最も多い台風の上陸や梅雨前線あるいは秋雨前線等の活動等に伴う暴風雨及び豪雨による被害が全国各地に生じた、政府といたしましては、これらの災害に対処するため、関係省庁連絡会議の開催などで迅速かつ適切な災害応急対策に努めるとともに、復旧事業等の促進を図っていくということで所信表明をいただいたわけであります。  私は、昨年九月の秋雨前線と台風十九号の豪雨による被害についてお尋ねをしたいと思うのであります。  全国につめ跡を残した台風でしたが、兵庫県でも被害総額七百二十二億円と史上二番目の規模になり、とりわけ、私の選挙区でございますが兵庫五区、但馬地域では三百九十億円の被害額に上りました。被災地をつぶさに見て回りましたが、まさに過疎地を直撃し、国民生活に甚大な災害をもたらしたものであり、国土保全のあり方の見直しを迫られるような惨状でありました。  兵庫県の被害の内訳は、死者二、重傷者二、軽傷者五人のほか、家屋の全壊四棟、半壊十一棟、床上浸水二千五百三十四棟、床下浸水一万三千七百十二棟、また田畑の流出、埋没が百二ヘクタール、同冠水は八千三十ヘクタール、道路決壊千四百七十八カ所、橋の流出二十六カ所、河川破損七百六十一カ所、がけ崩れ八百三カ所などとなっており、公共土木が四百二十一億円、農林水産が二百五十四億円、商工業の関係が二十六億円、衛生環境施設十三余億円というように、まさに国の財政措置を要望せざるを得ない状況であります。早速建設省や農林省あるいは厚生省など、現地に赴かれ査察あるいは査定などをしていただくなど緊急な対応をしていただいたことに、あるいは迅速な復旧への諸施策を県当局とともに行っていただいたことに敬意を表するものでございます。  そこで、お尋ねしたいのであります。  先ほど申し上げますように、但馬というのは過疎地域でございます。各自治体は財政力の非常に弱いところであり、国、県へ対する財政措置の要望はまさに厳しいわけでございますが、国の対応について、どのような措置をとられたのか、大要を大臣にお伺いしたいと思います。
  172. 西田司

    西田国務大臣 お話にもございましたように、昨年は、相次ぐ台風の襲来や梅雨前線等の活動によりまして、全国各地で多大の災害発生いたしました。政府といたしましては、これらの災害に対処するため、今お話がございました関係省庁連絡会議の開催、担当官の派遣、政府調査団の派遣等を通じ、迅速かつ適切な災害応急対策に努めてまいりますとともに、激甚災害指定を行ったところでございます。また、河川、道路、農業用施設、特に学校等の公共的施設及び農地等の復旧については、民生の安定や、再度災害の起こらないような防止を図るため、それぞれ関係各省庁において早急に復旧をするように現在鋭意取り組んでおるところでございます。  今後とも政府といたしましては災害対策に万全の注意と、それから努力を払ってまいりたい、このように考えております。
  173. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 私は、台風通過後十余日間にわたり現地を見て回りました。特に、一級河川である円山川水系では、豊岡、出石、日高、あるいは養父、この自治体が、さらに日本海岸の方面では特に浜坂、香住の自治体が厳しかったようでございます。  そこでまず、円山川水系の被害河川改修のあり方についてお尋ねをしたいと思います。  下流に位置する豊岡市は水害の常襲地帯、こうなっております。昭和四十六年から平成二年まで、この間でも住家への浸水が十二回ある、こういう状態で、内水位の上昇で、災害復旧事業あるいは財政措置外の、例えば畳だとか布団、冷蔵庫、ガス、ふろ、冷暖房、家具、こういう家具備品類、いわゆる市民生活を直撃する被害が年々拡大をしておりまして、市民から苦情が相次ぎ、抜本的な治水対策が求められていたところであります。昨年の十九号台風でその被害拡大をし、まさに住民の気持ちというのは、不満が頂点に達した、こういって差し支えないのであります。  それは九月十八日、秋雨前線の豪雨により、豊岡市内の円山川水系の水位観測地点で危険水位を超えて七メートル十三センチに達したのですが、それに至る間に二時間で三メートルも水位が上がったという現状があるわけであります。こういう現象のために、先ほど申し上げましたように、家財道具等を上げる、あるいは畳を一枚はがそうとしているうちにどっと水が来て、つかると同時に避難場所へ行く道もふさがれてしまう、こういうことが起こったのであります。水防団の活動により堤防の決壊、こういうものが防がれただけに大惨事には至らなかったのでございますが、水位の上昇により一般市民の生活に対する被害拡大をし、そしてまた水道事業所にも浸水をし、水道がストップをする、あるいは水が来ますから内水のポンプが稼働停止しなければならぬ、こういう状況にまで至ったのであります。市民の不安はまさにその極に達したといって間違いございません。  そこでお聞きをしたいと思うのでございますけれども、まず一つは、今までに見られない水位の上昇は一体何が原因なのか、このことをお聞きしたいのであります。私が感ずるところでは、上流の河川改修と下流の改修の整備がバランスがとれていないのではないか、あるいは先ほど阿部先生もおっしゃっておりましたが、森林の関係の針葉樹林化といいましょうか、人工造林の進むということの中で灌木がなくなっていって、保水力が全体になくなっているのではないだろうか、あるいは治水事業のおくれではないのか、このような感想を漏らさざるを得ません。その点についての見解をお聞きします。  二つ目に、円山川の治水事業についての方針をお聞きいたします。下流から直すべきだと思うが、どういう方針でもって円山川水系の整備をなさろうとされるのか、このことについて二点目にお聞きします。  三点目に、一級河川円山川直轄改修事業の大幅な促進が望まれるところでございます。現在、出石町のショートカットだとか、あるいは城崎町の簸磯島あるいはワダカ島のしゅんせつ、こういうことが計画に上っているというふうに思いますけれども、ぜひその点について明確にしていただきたい。  そのことと、それからもう一つは、堤防の決壊寸前までに至らしめた国道四百二十六号円山大橋のかけかえの件について、これは十九号台風で橋の上まで水が流れたわけでありますから、その点についてもお聞きしておきたい。  さらに内水対策先ほど言いましたように、市民生活に直結をする形で水位が上がってくる。それに悲願であるポンプがなかなかつかない。昭和四十六年ごろには九十トンのポンプでいいのではないかというように言われておったのですが、その点についてのいわゆる六方排水ポンプの増設についての見通し、このことについてお聞かせいただきたいと思います。  それから、かつてJRでありましたけれども、現在第三セクター、北近畿タンゴ鉄道、これが円山橋梁を持っておりますが、その下十三センチのところまで今回達したわけでございます。もしそれに水が当たっておれば、鉄道でなくて堤防の方が決壊したというふうに専門家も言っているところでございます。この件についてのかけかえの考え方についてもお聞かせいただきたいと思います。  以上、とりあえずお願いいたします。
  174. 日野峻栄

    ○日野説明員 御説明を申し上げます。  円山川の改修の方針でございますが、円山川の改修は現在直轄事業で行っておりますものと補助事業で県にお願いをしてやっていただいている二つがございます。  まず直轄の河川改修事業の方でございますが、これは先生案内のようにもう大正時代からやっておりまして、本川が二十七キロ余りそれから支川が十二キロ余り、合計で四十キロ余りの直轄河川管理区間の中で、昭和六十三年の三月に改定されました工事実施基本計画に基づきまして、計画高水流量が五千四百トン毎秒でございますが、この目標に向かって今整備を進めているところでございます。現在やっておりますのは、人家が多数集中をいたしております区間とか、そこの築堤それから護岸、これらを優先的に計画的に実施をしております。また、六方川の内水対策といたしまして、小野川の放水路の整備を今進めているところでございます。合わせまして二十八億円程度の事業費で現在鋭意促進を図っているところでございます。  一方、補助事業の方でございますが、中小河川改修事業で二河川、それから小規模改修事業で三河川、それから局部改良事業で七河川予算的に申しますと合計十八億円程度の事業費をもちまして、上下流のバランスを図りながら計画的に実施をしているところでございます。  お尋ねの六方川の内水対策でございますが、六方川の流域、結構広うございまして七十三平方キロほどございますが、そのうちの上流部の約十八平方キロの山水を直接出石川に放流いたしまして、流域の内水被害の軽減を図る小野川放水路という、この放水路事業を現在促進をしているところでございます。  それから国道の四百二十六号線の円山大橋につきましても、現在橋の管理者でございます兵庫県と調整を進めているところでございます。  それから堤防の強化のやり方でございますけれども、御案内のように軟弱地盤の上の盛り土になりますので、段階的に堤防をかさ上げしたり、あるいは裏腹づけを実施中でございます。  これらの改修事業を今鋭意促進しているところでございますが、昨年九月のあの大きな出水の被害にかんがみまして、限られた予算の中ではありますけれども、早期に効果が発現できるよう努力しているところでございます。
  175. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 住民の不安も限界に来ておるというふうに申し上げました。そういう立場から、先ほど申し上げますように、一つは何といっても不整備の堤防のかさ上げ、これをぜひお願いしたいということと、内水対策としてのポンプの設置をぜひお願いしたいというように思いますので、重ねて質問しておきたいと思います。
  176. 日野峻栄

    ○日野説明員 ポンプにつきましては、ただいま御説明申しましたように小野川放水路を今鋭意、力を入れてやっておりますので、それらの進捗状況を見まして、その手法とか規模を検討してまいりたいというふうに考えております。
  177. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 一日も早いという形でポンプの設置を要望しておきたいと思います。  次に、浜坂町の被害についてお聞かせいただきます。  ここも大変でございまして、とうとう死者が出てしまう、あるいは負傷者が出てしまう、こういうようなこともあったわけです。加えて、浜坂病院、保育園、し尿処理場、保健センター、デイサービスセンター、生活改善センター、こういうふうに町の主要な機能が、市民サービスの機能が全部やられてしまう、こういうことになったわけでございます。原因は久斗川のはんらんということになったわけでございますけれども、この久斗川の改修の方向というものをどのようにお考えになっているのかお聞かせいただきたいと思います。  それと、この久斗川の改修ということになる場合に、JRの下を川が通っております。そこが短いのでネックになっておりまして、このJRとの関係、広げてもらわないと水が十分流れない、こういうことになるのですが、その点についてもお聞かせいただきたいと思います。
  178. 加藤昭

    ○加藤説明員 久斗川の災害復旧についてお答えさしていただきます。  昨年九月十七日から二十日にかけまして、台風十九号による豪雨のため二級河川岸田川支川久斗川は、各所で洪水によりましてはんらんをしているところでございます。そのため、先生が申されましたようにして、市民サービスの機関であります公立の浜坂病院等々の施設とかあるいは住宅、田畑等が大きく浸水をしたというようなことでございます。破堤箇所は直ちに応急復旧をしております。また本復旧に当たりましては、久斗川の被害が極めて大きかったことから、再度災害防止するための災害復旧助成事業を採択したところでございます。助成事業総額四十六億円という事業費で岸田川の合流点から上流五キロメートル及び支川久谷川約〇・九キロメートルの区間について、被災流量に見合う計画流量で本年度から平成年度までの四カ年間で改良復旧を行うことにしているわけでございます。また久斗川にかかりますJRの山陰線対田川橋梁につきましては、全面的に改築するよう現在JRと協議をしているところでございます。  なお、久斗川の助成事業が促進されますよう引き続きまして県を指導してまいりたいと考えておりますので、ひとつよろしくお願いする次第でございます。
  179. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 よろしくお願いいたします。  次に、厚生省にお聞きしたいと思うのです。浜坂病院の被害についてでございます。  この病院は、昭和三十三年に創立されまして、かつては公立豊岡病院組合浜坂分院、こういうことであったわけですが、昭和四十八年に公立浜坂病院に改組され、そして五十六年に現位置に移転されたという経緯を持っており、診療科目六科、百十ベッドの地方公営企業法財務規定等の適用の医療機関、こういうことで、河井院長を中心に地域の医療のかなめとなって住民の命と健康を守っていただいているということで、大きな貢献を果たしていただいているわけであります。今回の久斗川の突然のはんらんによりまして入院患者百人の移送を行う、あるいはまたCTスキャン等の高額医療機械、こういうものが全部水につかってしまう。医薬品あるいは事務のいろいろなもの、カルテまでつかってしまうということで、病院の機能が全くなくなってしまうという現状を生んだわけでございます。そういう中で河井院長を先頭に全スタッフが緊急、適切な判断と、そして不眠不休の措置を講じられ、被災後の仮診療所の開設など、中井浜坂町長の対応とあわせて称賛に値するものであったと思い、心から敬意を表しているところでございます。  そこで具体的なことについてお聞きしたいと思います。  病院が台風等で災害を受けた事例がないと聞いておるのであります。昭和三十四年の伊勢湾台風のときに新潟で建物のみが被災したということがあったようでございますが、具体的にこのようなケースはなかったと聞き及んでおります。厚生省の方に現地もお願いし、私も電話をしたりした経過がございますけれども、総理府及び厚生省所管補助施設災害復旧費実地調査要領、これに基づいてしか病院のことはできないだろう、言うなればその要綱を準用するということでございました。そういう中で、被災地では財政力は弱いし、自治体の病院で年間約二千万ないし二千三百万円の赤字をずっと出している、こういう病院であるだけに、再開に向かって途方に暮れるというようなありさまであったわけであります。  そういう中で、大蔵省と厚生省の協議による特例補助をするというような意向が聞こえてまいりまして、非常に奮闘していたところでありますけれども、どのように具体的な措置をされたのか、今後かかる病院の被災というものが起こった場合に、具体的に自治体なりそういうところに、こういう措置をしますよということが言えないような状況があったと聞いておりますので、その点について今後のこともありますから、お聞きをしておきたいと思います。
  180. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり総理府及び厚生省所管補助施設災害復旧費実地調査要領というのがございまして、これによりまして今般の場合も復旧をいたしておるわけでございますが、お尋ねの浜坂病院につきましてはこの要領に基づきまして実地調査を既にいたしました。その結果、医療施設、建物の復旧費につきましては六千六百万円が認められまして、その二分の一を補助することとして事務手続を進めているところでございます。また医療機器につきましては、同じく実地調査をいたしました結果七千七百万円の申請額が認められまして、その二分の一を同様に補助することといたしまして、建物補修と同様事務手続を進めているところでございます。  また、今後につきましても、今先生が御指摘のような、この要領に基づきまして医療施設及び設備の復旧をいたしたい、このように考えておるところでございます。
  181. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 ぜひひとつ要綱の整備の万全を期していただきたい、このようにお願いをしておきます。  ただ、そういう中で、どんな要綱をおつくりになったのかわかりませんが、病院というのは普通の災害の様態でないのです。どういうことかといいますと、まず汚物が出ていくわけであります。大変な量であります。汚物の中に細菌がおるとしたらそれが蔓延しているわけであります。伝染病が発生しないか、病原菌がどうか、医者ですからよくわかります。非常に真剣にそのことに気を使いながら、町長さんも大変気を使いながら、防疫にずうっとかかっておられた。その上汚物を処理するところがなかなかない。大量であり、異臭を放っておるわというような現状であったわけです。  さらに、先ほど申し上げましたように、入院患者の移送は百人に及んでおります。仮設診療所を体育館等の方に県の認可を受けて開設されていく。それと同時に、復旧するまで病院の閉鎖ということによっていわば収入が上がらない、こういう現実もあるわけであります。運営赤字が出るのは当然ということになります。この辺について厚生省として考えが及ばないんだろうか、このように思いますので、そういう点も含めた形での要綱の作成になっているのか、お聞きしたいと思います。
  182. 篠崎英夫

    ○篠崎説明員 現在の、先ほど申し上げました要領におきましては、建物及びそれに附属する医療機器の復旧費ということでございまして、先生の御指摘のございました運営費の補助的なものは含まれておりません。
  183. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 それなら先ほど言っておりました総理府及び厚生省のという準用にしかすぎないので、病院の要綱はできてないじゃないかということになりますよ。おかしいですよ、それは、私が言っている質問……。  ならば聞きます。自治省の準公営企業室、この病院の設立を認可されたところでありますから、そこに、どういう考えをお持ちか聞かせていただきます。
  184. 長澤純一

    ○長澤説明員 公営企業の病院、企業につきましては、担当が自治省の準公営企業室になっておりまして、今こちらの方には参っておりませんけれども、病院に対します災害復旧といたしましては、お話のありました機械器具や仮設診療所等、起債になじむものにつきましては公営企業災害復旧事業債の対象といたしております。この起債につきましては、充当率が一〇〇%でございまして、元利償還金につきましては特別交付税の算入措置がございます。  それから、その他お話のありましたように清掃とか消毒などの防疫対策とかあるいはもろもろの経費がかかるわけでございまして、そうしたものにつきましては特別交付税の算定の中で措置をいたしておる、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
  185. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 具体的に特別交付税と言われたら、そうかななんて思うのですけれども、そうはいきませんで、やはり病院のことですから、しかも病原菌等がということで、初めてのケースなんですから、この際きちっと検討していただく、こういうことを厚生省並びに自治省にお願いしておきたい、こう思います。  もう一項ございますのでお願いをいたします。  国道百七十六号鐘ケ坂峠におけるのり面崩壊による交通遮断が起こりました。これは兵庫県氷上郡柏原町上小倉にあります。実は、これは以前にも崩壊を起こしております、大変急斜面でございますから。トンネルを出たところ、危ないのですが、九十度で回って大変な急斜面のところでございますが、平成二年五月二十日に最初の地すべりがあったのであります。県の管轄国道でございますから、一般国道ですので、一億七千万円を投じて、もたれ擁壁でこの一月末にやっと全開をした。それもつかの間、二月十一日に二回目の崩落が起こりまして、その近くであります。そういう状況が起こっているわけであります。これは丹波層の砂岩、粘板岩の風化が原因で少量の雨でも危険だというふうに言われている部分であります。しかし、この国道百七十六号線というのは、多紀郡あるいは三田市、大阪、神戸への唯一の幹線でありまして、交通量もかなりあり、本当に人命が失われなかったというのが不思議だというふうに言われているところであります。  そこで、お尋ねをしたいと思います。県の手で復旧にかかっておられるので、ひとつ補助金の方を早急にお願いしたい、こういうことが一つ。  それから、国道百七十六号線について、そのトンネルのところで、急カーブということもあって、冬季になりますと凍結しますので物すごく危ない状態がございます。そういう状況の中でございますので、できればこの区間の難しい地層の中と今申し上げる危険な状況のところ、こういう前提に立って、建設省の方で権限代行、直轄事業ということでやっていただけるような方法があるのかないのか、聞かしていただきたい、こう思っているところであります。
  186. 酒井孝

    ○酒井説明員 吉岡先生の御質問にお答えいたします。  国道百七十六号鐘ケ坂トンネルの柏原町側の改修の問題でございますけれども、一般国道百七十六号の鐘ケ坂トンネルの柏原町側の上小倉地内で二月の十一日の夜半にのり面崩落壊が起こったということは御指摘のとおりでございまして、これは二月の十日から十一日にかけての降雨により、御指摘のように風化したのり面の一部が、約十メーターでございますけれども崩落したというものでございます。おかげさまで、ロックネットとかあるいは落石防止さく等の施工をしておりましたので、道路上での特段の被害は免れることができました。  それで、のり面の崩壊後全面的に交通をとめまして、直ちに崩土等を取り除くための復旧を行いまして、翌二月十二日の夕方には片側交通で開通いたしました。ただ、現地を見たところ、その十メーター幅の崩れたところじゃなくて、もう少し全幅四十メーターくらいについて防災工事を早急にやった方がいいだろう、こういうふうに判断いたしましたので、二月二十日に県の方で契約を行いまして、現在、復旧工事に着手しております。そのためにこの片側通行は引き続き継続しまして、三月の終わりまでに工事を完成させて全面開通に持っていきたい、かように思っております。  今の急カーブあるいは凍結等に対応するためのいわば道路改良の問題でございますけれども、これにつきましては、兵庫県が中心になりまして、地形とか地質あるいは前後の道路の整備状況というようなものを総合的に勘案して早急に調査を詰めたいということになっておりますので、それも見守って検討してまいりたい、かように思っております。
  187. 吉岡賢治

    ○吉岡委員 善処方をお願いし、質問を終わります。ありがとうございました。
  188. 高村正彦

    高村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会