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1991-04-24 第120回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月二十四日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 石井  一君    理事 塩崎  潤君 理事 武村 正義君    理事 羽田  孜君 理事 穂積 良行君    理事 佐藤 観樹君 理事 山花 貞夫君    理事 河上 覃雄君       奥野 誠亮君    鹿野 道彦君       戸塚 進也君    野田  毅君       町村 信孝君    村田 吉隆君       小岩井 清君    仙谷 由人君       日野 市朗君    堀  昌雄君       松原 脩雄君    井上 義久君       東中 光雄君    中野 寛成君  出席政府委員         自治省行政局選         挙部長     吉田 弘正君  委員外出席者         自治大臣官房審         議官      田中 宗孝君         自治省行政局選         挙部選挙課長  谷合 靖夫君         自治省行政局選         挙部管理課長  牧之内隆久君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       井戸 敏三君         特別委員会第二         調査室長    岩田  脩君     ───────────── 委員異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   中野 寛成君     川端 達夫君     ───────────── 四月二十四日  小選挙制反対議員定数抜本是正に関する請願(東中光雄君紹介)(第三四二四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  公職選挙法改正に関する件(選挙制度改革等について)      ────◇─────
  2. 石井一

    石井委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  本日の委員会は、選挙制度改革等について、野党各党委員から十五分程度順次意見を述べていただいた後、委員間において自由な討議を行います。  それでは、まず日本社会党護憲共同山花貞夫君にお願いいたします。
  3. 山花貞夫

    山花委員 本日のテーマである選挙制度改革等に関しまして、前回、自由民主党より政治改革大綱に基づいて、そこでの選挙制度全体として改革する中で定数是正をも行うということについて御意見を伺いました。問題点については質問させていただきましたが、私はきょう日本社会党考え方基本について御報告をさせていただきます。  発言時間の関係もあるものですから、お手元資料を配付させていただきました。「「政治改革」にむけてのわが党の考え方(案)」となっておりますが、第一項、第二項などにつきましては既に党議決定した部分でありますけれども、全体として、三項、四項につきましては我が党内公職選挙法の部会で議論を進めてきたところをまとめたところであります。さらに、具体的には区割りの問題、線引きの問題等検討を進めて成案を得たいと考えているところであります。しかし、全体の流れとしては、こうした方向で我が党は議論を進めているということについて御報告を申し上げたいと思います。  私たちは、政治改革を進めるに当たりまして、それは国民の求める政治改革、すなわち、政治倫理確立して清潔な政治を実現し、民主主義を前進させること、そのために各党と協力して全力を挙げる決意であります。そのために取り組まなければならないテーマとして四つの問題を考えております。第一は、政治倫理確立政治倫理法制定。第二は、国会改革国会法改正。第三には、政治資金浄化政治資金規正法改正。第四に、選挙制度改正選挙制度改正につきましては、国政段階選挙だけではなく、自治体選挙についてもあわせ検討すべきであると考えています。  前半の部分はこの資料を引用させていただきたいと思っております。  まず、政治倫理確立につきましては、私どもはリクルート疑獄に端を発した今回の政治改革の最大の焦点は、金権腐敗の防止、政治浄化にあると考えています。ところが、自民党は、中選挙区制を小選挙比例並立制として、政党選挙政策で争う選挙になれば選挙に金がかからなくなるのですべてが解決できるかのごとくに主張しておりますけれども、緊急の議題である政治倫理確立のための努力を放棄していると言わなければならないと思っています。  この点に関し、既に私たちは、国会議員がその職務の遂行において廉潔と公正、公平を保持するために必要な倫理、及びこれを確保するための手続を定めた政治倫理法国会法の一部を改正する法律案衆議院規則の一部を改正する法律案野党の皆様とともに作成してこれを示しているとおりであります。こうした問題提起を受けまして、現在の政治倫理綱領がいかに守られていないかということについて与野党ともに反省した中で、そこでのよりよき改正について国会の真剣な議論を進めるべきであると期待するところであります。  第二番目に、国会改革の問題につきましては、議会制度協議会に対して、資料にありますとおりのテーマでの提案をしているところであります。項目としては五項目。第一、立法府と行政府の対等、独立の関係確立すること。第二、行政優位の政治を改め、政党会派基本とする国会運営に転換を図ること。第三、国会調査立法体制を強化すること。第四、国会審議抜本的改革を図ること。第五、国会情報公開徹底を図ること等々であります。  この問題につきましては議会制度協議会においてある程度議論が進んでいるようでありますけれども、各項目につきましての具体的内容についてはお手元資料に掲げてあるとおりでありますけれども、とりわけ第三項で国会調査立法体制強化に関しまして、委員会調査室衆参法制局国会図書館調査立法考査局等諸機構のスタッフ、予算充実を図るとともに、行政機関の保有するデータベースの国会への開放等、これは情報公開制度と絡む部分かもしれませんけれども、国会調査立法体制を強化するに当たりましては重要なテーマであると考えているところでありまして、新しい時代の要請にこたえる国会改革が緊要であると考えております。  第三番目、政治資金浄化政治資金規正法の問題。この点につきましても、中段資料に書きましたとおり、衆議院選挙の際の三百億円の政治献金問題、また自民党が今年度財界に対して百六十 億円の献金要請をした、こうしたことが当たり前と考えられている政治感覚に猛省を促さなければならないと思いますし、これまで選挙制度審議会の第七次に至るまでの基調でありました企業献金禁止方針を百八十度転換させ、より多額の企業献金を容認することが政治改革であるとしている自民党政治改革基本要綱は、国民金権政治批判に全くこたえていないものとして厳しく批判されなければならないと思っております。国政選挙につきましては政党中心選挙制度を実現するといたしましても、自治体選挙についてどうするかを問われなければならないと思っております。なお、二ページの最後から九行目のところ、「わが党は、すでに「企業献金禁止」の次に「政治家株取引禁止」というところがありますけれども、これはミスプリでありますので削除していただきたいと思います。これは政治倫理法の中身でありますけれども、若干混同しているところでございます。  四番目に選挙制度等改革につきましては、まず国政選挙について、選挙制度はその国の政治あり方仕組みそのものを決定するものであります。民主的な政治制度を理想として、あるべき選挙制度検討するに当たりましては、基本的視点として有権者である国民立場を尊重しければならないわけでして、政党の利害と都合を先行させ、選ばれる側の論理を優先させることは邪道であると考えています。  自民党基本要綱は、政治改革大綱有識者会議、第八次選挙制度審議会答申政治改革基本要綱素案政治改革基本要綱(案)の経過を持つものであると承知しておりますけれども、要するにこの自民党の構想だけを基本として政治改革議論したものと言わざるを得ません。今回の基本要綱は、資料に示したとおり、自民党にさらに有利に答申を変えた部分があるわけでありまして、自民党のための政治改革との批判も免れがたいものであると考えているところであります。  同時に総論として述べたいことは、自治体選挙についても、国政選挙について政策で争う政策中心選挙へという、衆参とも抜本的改正を行おうとするならば、小選挙区、中選挙区、大選挙区と混乱している現状をこのままにしてよいのかということについても検討すべきであると考えます。もし基本要綱に従って衆議院議員選挙区割りが行われれば、各地区において自治体議員選挙選挙区の方が衆議院選挙選挙区よりはるかに大きいという事例が多数生ずることになり、有権者理解に苦しむことになると思います。国政選挙だけ政策中心選挙自治体選挙はそうではないという現状を放置したことが抜本改正ということになるのか、あるいは選挙公営をめぐりましても、自治体選挙抜きでの議論ということは間違っているのではないかと思います。  選挙制度につきましては、第二番目に、選挙方法につきましても戸別訪問の問題、十八歳選挙権の保障の問題等がございます。  第二項として国会決議履行の意義と緊急性について述べました。この点につきましてはこれまで繰り返し主張してきたところでありますので、資料に書かれたところにゆだねたいと思います。  第三番目に、当面緊急に取り組むべき課題としての抜本的定数是正について意見を述べたいと思います。  まず、自民党基本要綱による定数抜本是正論につきまして意見を述べますが、自民党は、定数是正選挙制度改革と同時でなければできないとしています。しかし、考えてみると、定数是正も難しいテーマです。同時に、選挙制度改正はさらに難しいテーマと言わなければなりません。難しいもの一つでさえ困難としているところに二つセットにするということは、より難しくなっているということになりますと、定数是正問題について緊急不可避の問題であるという認識を欠いているということにならざるを得ないと思います。自民党方式配分、一名を均等配分するという方式は、答申以上に区割りが困難となります。一名配分自民党型選挙区を増員することになり、党利党略批判を免れがたいと思います。基本要綱による一対二を基本原則ということについては、事実上は多くの部分において困難が伴うものと思っています。  さて、それでは当面緊急の具体的是正方法として我が党の考え方を言いますが、既に第一項に書きましたとおり、我が党は既に前々回の公選特におきまして、定数是正問題につきましては、国会決議の趣旨を踏まえた上での定数是正検討項目を吟味しながら、具体的な是正方法として四つ方式佐藤理事が代表して提示をいたしました。  一つ人口比例配分方式一つは六十一年型増減同数方式、三番目は西ドイツ方式、四番目が全国都道府県一名配分方式ということでありますけれども、以上の方式についてはさらに十分な論議が尽くされるべきであると考えておりますが、さきに述べました選挙制度定数割りにつきましての原則に照らしますと、第一の人口比例配分方式が、一つ、公正公平な制度として国民理解納得を得やすい、第二番目、部分的手直しによって不利益を受ける議員批判にこたえられる、三番目、一票の格差を解消するだけでなく、原則として逆転区をも解消するものとして最も検討に値するものではないかと考えています。  定数是正については基本的な方針を打ち出すことが必要であると考えています。基本方針については一項から十項に挙げたとおりであります。国会決議を尊重し、格差を二倍未満、一選挙区の定数は三名ないし五名、総定数は五百十一名、人口に比例して各都道府県に対し総定数配分し、都道府県内の現行選挙区の形を尊重しながら人口に比例して都道府県定数配分することといたします。六名以上分区、二名以下につきましては合区ということになります。境界変更、合区等については、現状変更される選挙区の数ができるだけ少なくなるよう配慮した中で、選挙区域変更に当たりましては、従来当委員会において議論されてまいりました原則を尊重するということにし、人口は九〇年国調の要計表を用いるということにいたします。  人口比例配分によってどうなるかという具体案につきましては別紙に掲載いたしましたので、ごらんになっていただきたいと思います。  これによる変動規模の見積もりにつきましてはここに書いたとおりでございまして、確かに現行百三十選挙区のうち百以上が影響を受けるということにはなりますけれども、影響を受ける選挙区の四割余りは定数が変わるだけ、選挙区の区域として見れば、変動を生ずるのは現行百三十選挙区のうちのほぼ半数ということになります。そのうちのほぼ半数につきましては、二人区となったために合区されるもの及び二人区を合区するものであります。全県一区の選挙区もできたりいたしますけれども、これはいわば定数是正を行う上におきましては全く選択の余地がない区ということになるわけでありまして、全体として難しいのは、三十から四十の選挙区についての区割りが難しいということになると思います。自民党は三百の選挙区の全く新しい、従来なかった区割りをつくるとされておりますけれども、この是正案によれば約三、四十が難しいということになるわけでありまして、定数是正が難しいから全体の選挙制度改正でという自民党案は、三、四十どころか三百全体について難しい問題を抱え込むことになると思っております。  さらに、国会決議の実現に引き続いて検討すべき基本的な改革についても、この際付言して意見を述べておきたいと思っております。  先ほど述べましたとおり、あるべき選挙制度検討に当たっては、選ぶ側の論理に立たなければなりません。検討の対象となる選挙制度は、国民にわかりやすい制度であること、国民の声が正しく議席反映すること、できるだけ死に票を出さないこと、民主的な政治活動選挙運動が保障されること、公平公正のルールのもとでの選挙が行われることという観点からいたしますと、望ましい選挙制度比例代表制になると思います。比例代表制にもさまざまな形態があります。どの案の立場に立つかが明らかにされなければならないと思いますが、現在の段階におきましては、以下述べるとおり、全国を一区とする比例代表制ブロック単位比例代表制都道府県単位比例代表制西ドイツ方式比例代表制等について検討することがあり得るのではなかろうかと思っております。  この問題につきましては、例えば次の国会臨時国会で直ちに決着をつけるというテーマではなく、まず国会決議に基づいて国民が求めている格差是正を行うという、まず緊急になすべきことをやるということを前提といたしまして、引き続いてこれらの比例代表制度について検討を進めるということになるのではなかろうかと思っております。国会の当委員会だけではなく、多くの学識経験者、そして国民意見をも徴する中で、あるべき選挙制度について時間をかけても抜本的な改正を求めていくべきではなかろうかと思っております。現在の段階では、どれを選択するかということについては我が党としては検討中ということになりますので、並列してそれぞれの長短についてここに記載をした次第でございます。  最後に、ここに別表といたしまして、人口比例によって配分した場合にどうなるかということについて記載をいたしました。一番最後のページの注にありますとおり、全国人口を五百十一で除しまして配当基数を出し、定数都道府県単位でまず決めた中で、さらに都道府県選挙区を決めていく、こういう方式でございます。ここに、一番右の欄の全く注のないものにつきましては、従来どおり五から四になり、あるいは五から三になり、三から四になりという全く選挙区については異動がないということでございまして、なお要合区等その先につきましては、これからの各党議論ということになってくると思っているところでございます。  こうした問題につきましては、六ページの第三項の一番最後に書きましたけれども、憲法四十七条が選挙区制に関する事項は法律で定める原則をとっているところであります。各党はそれぞれ是正の原案をつくって提示すべきであって、我が党としても、この立場でこれまでの検討案のすべてについてさらに党内論議を尽くしたいと考えております。その際、各党ともによりよき選挙制度をつくるために共同努力を行っていきたい、こうした考え方であることを申し添えたいと思います。  二、三分時間がオーバーして恐縮でしたけれども、我が党の考え方基本について御報告をさせていただきました。以上であります。
  4. 石井一

    石井委員長 ありがとうございました。  次に、公明党国民会議井上義久君にお願いいたします。
  5. 井上義久

    井上(義)委員 政治改革全般に対する公明党基本的な見解を申し述べたいと思います。  まず、基本的な考え方につきまして、第一に、政治改革に当たってはまず何よりも政治資金規制強化政治倫理確立定数格差是正に取り組むべきである。また、政党への公費助成制度創設国会改革についても緊急課題として取り組むことが重要である。選挙制度改革については中長期的課題であり、国民理解納得のもとに行われるべきである。  第二に、選挙は、国民国政に対する大切な意思表示の場である。選挙制度については、議会制民主主義にとって重要な意味を持つとともに、民主政治の根幹をなすものであり、あくまでも民意議席への正確な反映を第一義として、一票等価原則が貫かれたものでなければならないと考える。  第三に、我が党は、衆議院選挙制度は、将来的には衆議院政党本位政治立場から比例代表制導入することが望ましいと考えるが、当面の緊急課題定数格差抜本是正である。参議院政党化を抑制、人物本位とし、二院制にふさわしい制度とすべきであると思うが、逆転区解消を急ぐべきである。  次に、小選挙比例代表並立制について。  第一に、我が党は、小選挙比例代表並立制導入には断固反対である。  第二に、政府自民党導入を意図している小選挙比例代表並立制は、選挙制度基本とされる民意の正確な反映を軽視している。並立制は、その六割を占める選挙区で死票が多いなど、小選挙制度欠陥をそのまま温存したものである。  第三に、選挙区が小さくなることによって競争が激化すること、新人が出にくくなること、公認争いをめぐる水面下競争深刻化など、小選挙区制によって政策中心選挙、金のかからない選挙は実現できない。  次に、定数是正について。  第一に、平成二年国勢調査速報値によれば、衆議院における一票の格差は、最高裁が違憲状態とする三倍を超える選挙区が八つになるなど著しく拡大をしている。これは憲法に定める一票等価原則を逸脱するものであり、現行定数格差是正は待ったなしの状態にある。  第二に、衆議院選挙制度改革には十分時間をかけて検討すべきであり、緊急の最優先課題衆議院定数是正を行うことである。国民の一票等価原則に基づき、定数均衡抜本的是正現行制度のもとで直ちに行うことである。六十一年の国会決議において、六十年国調確定値定数抜本改正を行うとしながら今日まで放置してきたことは、国会の重大な責任である。  第三に、我が党は、定数是正については既に具体策を提示している。抜本改正基本原則としては以下の五点であります。  第一に、衆議院議員の総定数は、公選法本則に戻し四百七十一とする。  第二に、各選挙区の議員定数は、国会決議を尊重し、三人以上五人以下とする。  第三に、各選挙区間議員一人当たりの人口格差は、二倍未満とする。  第四に、各都道府県間の議員定数は、総定数の枠内で各都道府県人口に比例して定める。  第五に、選挙区は、都市の区域によるとともに、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に定める。  また、我が党として定数配分の不均衡是正するために、公選法の中に定数に関する基本原則を法定するとともに、公正確保のために中立的な機関として第三者による議員定数委員会設置を提案している。  第四に、総理みずから、本年四月十日の参議院予算委員会で、定数是正について、各党ができるからということで意見をまとめてくれれば本当にできるというふうに発言をしている。定数是正に当たっては、与野党間の合意が前提であり、我が党は、総定数公選法本則四百七十一を原則にしているが、必ずしもこれにはこだわらない。また選挙区間格差についても、我が党は二倍未満を主張しているが、各党間の意見の一致が最重要であると考えている。  次に、衆議院議員選挙制度改革について。  第一に、現在、選挙制度改正議論が行われているが、衆議院政党本位政治という立場から、我が党としては中長期的課題として、この論議に積極的に対応したい。  第二に、その際重要なことは、一、現行制度よりもより民意を公平に反映できる制度であること、二、一票等価原則が貫かれていること、三、政党本位政策本位選挙有権者に顔が見える選挙制度であることなどが前提でなければならないと考える。具体案としては、比例代表併用制等が考えられる。  次に、参議院議員選挙制度改革について。  第一に、参議院あり方は、二院制度を有効に機能させることが何よりも重要である。参議院機能充実させるためには、審議運営など全般的に改革すべきであるが、特に参議院選挙制度の大幅な見直しが必要である。  第二に、現在の参議院選挙制度、特に比例制度政党化を助長するなど大きな欠陥があり、廃止すべきである。衆議院とは異なった制度参議院にふさわしい制度改革する必要がある。我が党は、総定数二百、ブロック選挙区とする改革案を提案している。  第三に、当面の緊急課題としては、現行制度において逆転区を解消することであると考える。  次に、政治資金公費助成制度導入国会改革について。  第一に、政治資金については、政治資金公開制度徹底、個人による寄附の量的制限政治資金パーティーに対する規制を進めるなど、政治資金のガラス張りを実現するための政治資金規正法改正が緊急の課題である。また、企業団体献金については、将来的には禁止することが必要であると考える。  第二に、政治倫理確立に当たっては、議員等資産公開政治倫理委員会設置などを内容とする政治倫理法制定する必要がある。  第三に、公明党として、政党に対する公費助成制度創設は必要であると考えている。そのための前提条件は、金権腐敗政治を一掃し、金のかからない政治を実現することである。政党に対する公費助成制度導入に当たっては、規制的な政党法制定ではなく、公費導入のための最小限の規定をした助成法とすべきである。  第四に、国権の最高機関としての国会機能の発揮、議会制民主主義充実強化のための国会改革にも取り組む必要がある。  具体的には、一、国会法及び各議院規則抜本的改正等、二、本会議公開公聴会開催数増加等、三、参議院活性化、四、国会情報センター設置等、などを提案している。  以上が我が党の政治改革全般に対する基本的な見解であります。
  6. 石井一

    石井委員長 次に、日本共産党東中光雄君にお願いいたします。
  7. 東中光雄

    東中委員 選挙制度改革等について、日本共産党考え方を申し上げます。  我が党は、一昨日、四月二十二日に、お手元にお配りいたしました「最悪の選挙制度=小選挙制導入を阻止し、違憲定数格差をただちに抜本是正するために ——衆議院定数是正を緊急に実施するための日本共産党の具体的提案——」というものを発表いたしました。その内容を簡単に申し上げたいと思います。  第一番目に申し上げたいのは、現状において定数抜本是正国会政府の義務であるということを考えております。  昨年十二月に公表されました九〇年国勢調査速報によれば、衆議院議員定数格差は最大値一対三・三八にまで拡大いたし、全国三十五選挙区で格差二倍を超え、格差三倍を超える選挙区は八選挙区に上っています。これは、憲法の保障する選挙権の平等、一票の価値の平等、法のもとの平等の原則を著しく踏みにじるものであるということであります。  定数是正は、公選法の別表第一に、「本表は、この法律施行の日から五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」というふうに明記されているし、八六年五月二十一日の衆議院会議決議によっても、現状での速やかな定数抜本的是正を決めています。こういう国会決議立場から見ても、法律上の明文規定から見ても、今日の定数是正は速やかに行われなければならない、そういう基本的な見地に立っております。  二番目に、小選挙制導入定数是正の問題をすりかえることは許されないという、従来から申し上げている考えであります。  自民党政治改革基本要綱では、定数是正について、「従来の議員の増減による格差縮小では、いま都道府県間、選挙区間で生じている多くの逆転現象を解決することはきわめて困難であり、もはやこの方法は限界に達している。」とか、「抜本改正を実行するならば、」「相当数の選挙区に、大きな変動をきたさざるを得ない。」こういうことで定数抜本是正を拒否し、選挙制度の改悪をやって小選挙比例代表並立制導入を主張し、その上で定数是正をやるということが述べられていますが、これこそまさにすりかえだというふうに私たちは考えております。  そこで、小選挙区制の導入についてどう思うかという問題があります。  私たちは、小選挙区制はどう飾り立てても最悪の選挙制度であるというふうに考えております。ここに書いておりますように、「小選挙区制は、得票率はどうあれ比較第一党に絶対多数議席を保障することを主眼とし、それ以外の得票はすべて「死票」として切りすてるという、主権者国民の選択を国会に正確に反映できない最悪の選挙制度」だというふうに考えております。二大政党で小選挙区制をやっておるイギリスの経験で見ましても、毎回四ないし五割台の死票が出ております。イギリスに比べて多くの政党によって選挙が戦われる我が国では、自民党が圧倒的な議席を占める一方、イギリスの場合をはるかに上回る死票が出てくることは明らかであるというふうに考えられます。  自民党が提案している小選挙比例代表並立制であっても、選挙制度審議会が出した小選挙区制六、比例代表制四の割合による並立制であっても、発表されたときにマスコミや我が党も試算しましたが、いずれも自民党が四割台の得票で約八割の議席を占めるということになることは明らかであります。もし自民党政治改革基本要綱のように、総定数を四百七十一に減らし、小選挙区制三百、比例代表制百七十一の割合にすれば、自民党の獲得議席が多くなって、自民党になお一層有利な結果になるわけであります。  そういう制度でありますから、我が党といたしましては、選挙制度に小選挙区制を導入することには断固反対するという立場であります。  そこで、定数抜本是正のための具体的提案を二つ提起しております。  一つは、定数是正基本原則についての提案であります。  私たちは、ここに書いておりますように、定数是正の三つの基本原則公職選挙法本文に明記すべきではないかと思っています。定数是正の三つの基本原則といいますのは、一、定数是正に当たっては、各選挙区間定数格差を少なくとも一対二未満に抑えること、二、一・二・六人区を解消し、中選挙区制(選挙定数三ないし五人)を維持すること、三、国勢調査(少なくとも五年ごとに行われる)に基づく定数是正の実施を、国会政府に厳格に義務づけること、でありまして、先ほど申し上げたように、現在は別表で「更正するのを例とする。」というふうに非常にあいまいになっておりますから、明確に義務づけることが必要なのではないかと考えております。こういう公選法上の改正の提案をしているわけであります。  次の問題は、具体的な定数是正案の提案であります。  日本共産党は、定数抜本是正の具体的作業を促進し、速やかに実現させるための検討材料として、別表のとおり、具体的な定数是正案を提起しております。  ここでは、是正方法ですが、まず、一九九〇年国勢調査速報をもとに、総定数は五百十二ということで現行のままとして各都道府県人口に比例するように配分していく、この結果、各都道府県に割り振った議員一人当たりの人口格差、各都道府県間の定数格差は、現行の一対二・五九、鳥取対神奈川から一対一・三五、鳥取対徳島に縮小するということであります。次に、各都道府県配分した議員数に基づいて、現行選挙区割りをできるだけ尊重しながら、合区、分区、境界線変更による再編などの方法選挙区を再構成してみましたのが一応の試案であります。すべての選挙区を定数三ないし五人区として、例外はつくらないという立場で行なったわけであります。  そこで、是正内容と結果の概要でございますが、この結果を見てみますと、区割り変更のないものは現行百三十選挙区のうち五十四選挙区であります。そのうち、区割り変更がなく、かつ定数変更のないものが十七選挙区、区割り変更はないが定数増となるものが八選挙区、定数減となるも のが二十九選挙区であります。それから単純に合区となるものが三十選挙区で、十五選挙区となります。その他、四十六選挙区は合区の上、境界変更をし、そして分区をするということにしました。その結果、廃止となるのは長野三区、四区の二選挙区になります。それから新設の選挙区は十三ということになります。これは別表の内容を整理してみますとそういうことになります。  以上の結果、全体として選挙区の廃止が十七、新設が十三、トータルで選挙区数は現行百三十からマイナス四の百二十六選挙区ということになるわけであります。そして定数格差は、現行の一対三・三八から一対一・五〇に、分区後の新千葉六区の議員一人当たり人口十九万六千七百七十五人と定数減後の千葉三区、同じく二十九万五千五十人の対比ですね、一対一・五〇に縮小することができる。以上であります。  これは先ほど申し上げましたように、速やかに定数是正を実施するための検討材料として、我が党として提起したものであります。  それから、前回から申し上げましたように、総定数は五百十二という現行を、社会党は先ほど五百十一ということで試案を出されましたし、それから、五百一という選挙制度審議会答申もありますし、四百七十一ということで、いろいろと言われておりますけれども、私たちとしては本委員会調査室に調べていただいた結果、日本の一議席当たりの人口数というのは、ヨーロッパ各国と比べても非常に多い状態である。試みに申しますと、一九八九年のもので計算をして、日本は五百十二で、一議席当たりの人口二十四万一千人。ところがカナダは総定数二百九十五で、一議員当たりの人口数は八万九千である。イギリスは総定数六百五十で、一議員当たりの人口は八万八千である。フランスは五百七十七定数で、一議員当たり九万七千である。ドイツは六百五十六定数で、一議員当たり十二万。イタリアは六百三十総議席で九万一千になる、こういう点を見ますと、一議席当たりの人口は大体十万切れるか十万前後というところであり、我が国だけが二十四万一千になっているということは、総定数からいっても決して多くはない。それを何の根拠もなしに減らしていくというのはちょっとおかしいのではないかというふうに私たちは考えております。  こういう点で、現行を変える必要はないということで、五百十二ということで抜本的な定数是正を行うことを提起いたしておる次第であります。  以上です。
  8. 石井一

    石井委員 次に、民社党の中野寛成君にお願いたします。
  9. 中野寛成

    中野委員 選挙制度改革に関する民社党の基本方針について意見表明をいたします。  まず初めに、その進め方についてであります。  政治改革の目標は、我が国の議会制民主政治活性化し、二十一世紀に向け、国民一人一人の豊かさを実現できる政治確立することにあります。  政治改革によって実現すべき課題は、一、一票の格差を解消し、より民意を公正に議席反映する選挙制度確立すること、二、政治家資産公開など政治倫理確立する制度をつくること、三、政治資金制度改革し、その公開性・透明性を高めること、四、政党への公的助成制度確立することなどであり、さらに国会改革立法府と行政府との関係改革、地方分権の推進なども含まれてくるでありましょう。  そして、これらの改革を実現して、国民政治への信頼を回復していかなければなりません。  そのためには、選挙制度改革のように各党の主張の隔たりの大きいものと、各党の主張で共通部分の多い一連の政治改革関連法案は切り離し、できる部分から実現していく段階的な改革が必要であります。一体的改革にこだわる限り、選挙制度改革が実現するまで他の改革は一歩も進まないということになりかねず、国民政治不信を増大させることにつながるのであります。  我が党は、既に他の野党共同で、政治家資産公開などの内容を含む政治倫理法案要綱、政治資金公開性・透明性を高めるための政治資金規正法改正案をまとめ、また独自に、政党に対する公費補助法案要綱をまとめております。これらの改革を早期に実現すべきであります。  言うまでもなく、民主政治にとって最も重要なことは、民主的な手続を尊重することであります。  選挙制度は、その国の議会制民主政治あり方を決する最も重要な制度であり、その改革は頻繁に行えるものではなく、また、行うべきではありません。改革に当たっては、長期にわたって安定した制度を考えるべきであり、国民及び国民を代表する各党各派間の合意を得つつ慎重に進めるべき課題であります。将来にわたって各党を拘束する制度であるがゆえに、現在の多数党一党だけで法案化し成立させるような方法はとるべきではなく、ましてや現在の政治状況のもとでこのような方法はとれません。  定数是正を含めた今後の進め方について、与野党で十分協議すべきであります。  また、前回総選挙において、各党選挙制度改革案を公約として掲げ、主権者たる国民の判断を仰いだ経緯もなく、次回総選挙から新たな選挙制度を採用することは、拙速に過ぎ、有権者、候補者双方に大きな混乱をもたらすことは明白であります。  したがって、抜本的選挙制度改革は次期総選挙後の課題とし、まず現行制度下での定数是正を優先すべきであります。  私も、たびたび議会制度協議会等におきまして今日まで申し上げてきたところでありますが、まず国会決議前提とし、その枠の中における定数是正あり方について、与野党が協議をして一致した、すなわち国会において了承された委員による選挙制度審議会において、まずその定数是正論議をしていただくということが本来あるべき姿であったと思います。しかし、この我々の主張は今日まで取り入れられることなく、むしろ政府・与党の一方的な人選による選挙制度審議会等が開催をされ、今日、その案が提示をされているわけでありまして、これらのことについては偏った方法だと言わなければならないと思います。  次に、以上のような考え方に基づいて選挙制度改革を進めることを前提といたしまして、第二段階としての我が党の選挙制度改革についての意見を表明いたします。  選挙制度の抜本改革を考える際には、我が国が二院制を採用している趣旨を十分踏まえ、衆議院参議院の果たすべき役割、機能の組み合わせを考慮し、それぞれの院にふさわしい人物が選ばれやすい選挙制度を採用すべきであります。有権者が膨大な数に上る大衆デモクラシーの時代には、その意見を吸収し、集約し、実現していく推進体が必要とされ、議会に議席を持つ政党がその中心となっているのであります。この意味で、現代の議会制民主政治政党政治であります。したがって、第一院である衆議院選挙制度については、政党政策中心選挙が行われることが望ましいと考えます。  参議院については、第一院たる衆議院政党中心政治を抑制、チェックするために、識見を持った人物が選ばれやすい選挙制度をとるべきであります。  そこで、第一院である衆議院選挙制度具体案を考える場合、さきに述べた政党政策中心選挙が行われるということ、及び選挙制度の大原則である民意を公正に議席反映すること、この二つの条件を満たすものは比例代表制を中心とする制度であると考えます。  選挙制度審議会答申では、比例代表制は多党化を招きやすく、連立政権は不安定であるとの先入観から、併用制ではなく並立制をとるとしていますが、連立政権が必ずしも不安定でないことは多くの政治学者の言うところでもあり、また欧州等において実態的にも証明されております。要は、政局、政治の安定というものは選挙制度によって人為的につくり挙げるべきものではなく、主権者たる国民が判断すべきものであります。もし 過半数をとる政党が出なかったとしても、政党は公約を掲げ選挙を戦っているわけでありますから、選挙後、政党同士の話し合いで連立政権をつくることは何の不都合もないと考えます。  次に、比例代表制と小選挙区を組み合わせる制度、すなわち今日、並立制、併用制と言われている制度についてであります。  現在の日本のように第一党と第二党以下の政党の得票率がかけ離れている状況のもとで、一部とはいえ小選挙区制を導入することは、第一党に圧倒的に有利となり、第二党以下を政治的に圧殺することにつながります。これは併用制であっても同様であり、小選挙部分がある限り、小選挙区で候補者を選挙区の大部分に立てられない政党は、比例部分でも得票は難しく、長期的には二つの政治勢力に絞られていくでありましょう。  小選挙導入論者には抜きがたい偏見があります。それは、二大政党制を理想とする考え方であり、政局の安定は二大政党でなければ達成できないとする偏見であります。現代の日本のように成熟した社会では、国民の価値感は多様化しております。また、社会を構成する諸団体の利害関係は複雑化しております。このような社会では、国民の多様な意見反映するために幾つかの政党が存在し、政党間の組み合わせで政権を構成し、異なった意見、利害を政治反映していくことが重要であると考えます。  この意味で、比例代表制こそこの要請に最もこたえる制度であります。比例代表制の弱点とされる候補者と有権者の結びつきの弱さ、顔が見えない選挙などと言われていますが、併用制は、この弱点を小選挙区を設けることによって解消しようとしているのでありますが、小選挙区を設けなくても、名簿作成の範囲、投票方式などで有権者と候補者の結びつきを確保する工夫はできるものと考えます。実際、多くの国でさまざまな方法で行われており、諸外国の事例にも学びながら、日本に最も合った方法を採用すべきであります。  我が党としても、現在、比例代表制を中心とするもろもろの選挙制度検討しているところであります。我々としても、現在の中選挙区制がベストであるとは思っておりません。選挙制度として原理的欠陥を持っております。しかしながら、その改革は拙速であってはなりません。最初に述べたように、民主的な手続をあくまで尊重すべきであります。  我が党は、次期総選挙までに国会決議に基づく衆議院定数抜本是正と一連の政治改革法案を仕上げ、次期総選挙現行制度下で是正した新しい定数のもとで行うべきであると考えます。  この選挙において、各党選挙制度改革案を公約として掲げ、主権者たる国民の判断を仰ぎ、次期総選挙後、抜本的選挙制度改革についての議論を進めるべきであります。  以上です。     ─────────────
  10. 石井一

    石井委員長 これより討議に入ります。  なお、討議の際は、議事整理のため、委員長の指名により発言されますよう、また、一人一回の発言は五分以内にまとめていただくようお願いいたします。  それでは、御意見のある方は挙手をお願いいたします。
  11. 羽田孜

    ○羽田委員 ただいま各党から、それぞれの政党がお考えになっております政治改革、なかんずく選挙制度改革等を含めてお話があったわけであります。その間にありまして、我が党が先ごろ提案いたしました要綱、これについての御批判もあったところであります。この点からまず申し上げてみたいと思うわけであります。  先ほど社会党さんの方からもお話があった中で、実は私ども特に申し上げておきたいと思いますのは、我が党が提案をいたしました要綱というもの、これが何か自由民主党の党利党略的なもの、これは今共産党さんの方からも御指摘があったわけでありますけれども、そういった中で進められたこれに対しては、我々としてはどうしても、というお話があったわけであります。しかし、我が党は別に党利党略ということでこういった問題を提起したのじゃないということをまず申し上げておかなければならないであろうと思っております。  我が党の党利党略であるということでありますと、過去の実績というものが示しますように、現状の中選挙区制であるならば私どもはこれからも永久に政権を続けることができる。共産党さんの方からも、どうも小選挙導入というものを加味したこの案というものはまさに自民党の永久政権をと言っておるのですけれども、少なくも片山内閣以後のあれを見ただけでも三十数年間も続いておるということは、まさにこれは我が党の永久政権であろうと思っております。そして、よその国から見たときに、こんな政権の交代のないもの、これはまさにあなたの国は民主主義の国なんですかということを実は指摘されているぐらいであります。そのことはおくといたしまして、いずれにしましても、我が党は現在の中選挙区制であるならば永遠に勝ち続けるであろう、これは過去の歴史が示すとおりでありまして、そういう意味で我が党の党利党略というものでないということをまず申し上げておきたいと思います。  だったらなぜなのかということは、この間細かく説明いたしましたから余り細かくは申し上げませんけれども、いずれにしましても、今の状況下というのは、我が党が余り複数で多くのものを、政権を確保するために過半数をとろうということのために、たくさん出てくるために余り政策の論争がないということ、しかも、与党と与党のぶつかり合う中で、ほかの政党をはじき飛ばしてしまっているという現実がある、やはりこういったことでは本当の意味でのあれにならぬなということと、もう一つは、十数%確保すればこれは当選してしまうということですから、実際に政策というものについての収れんがなし得ないということ、そして、今もお話がありましたけれども、どうも皆さんの御意見の中に断固反対であるという言葉がよく出てくるのですけれども、今までもいろいろな法案の審議の過程でも断固という言葉が出てくる。十数%とっていれば、御自分たちの主張だけを断固守っていれば何とかまた次も確保できるという中で、今度我が党とはあれを置いた場合に、各党も、三分の一政党、四分の一政党、五分の一政党に何か流されてしまっているのじゃないか、そこに安住してしまっているのじゃないのかということをつくづく感じ、そして、ここまで大きく国内であってもあるいは国外であっても一つの転換期にあるときにこういう状態では、私どもは本当の政治ができないなということ、これがやはりどうしても選挙制度というものにさかのぼらなければいけないだろうということであります。  第二点目は、これは金の問題というのは、残念ですけれども我が党などいろいろと問題を起こしたことも事実であります。しかしこの問題というのは、同じ政党の中で複数で争っているということになりますと、どうしてもサービス合戦になってしまうというのが実は現状でありまして、その意味でやはりこれを直すためには選挙制度そのものを変えていかなければいけないのじゃなかろうかというふうに思っております。  今御意見の中にも、腐敗行為防止法ですとかあるいは政治資金規正法ですとかあるいは政治家倫理の問題ですとか、こういった問題について正せば今の中選挙区の中でも何かうまくいくようにお話があったわけでありますけれども、過去においても、いろいろな事件が起こるたびに政治資金規正法ですとかあるいは公職選挙法ですとか、そういったものの手直しをやってまいりましたけれども、残念ですけれども、もうその手直しでは本当の改革につながっていかないのだろうということを私たちはみずからを反省しながら、ここで選挙制度、いわゆる根本にさかのぼってやっていかなければいけないであろうということでこの改革というものをしていこうということで、実は先ごろ来御提案をしておるところであります。  そして、そういう中でまとめられたものというのが、何か一方的に我々だけで、あるいは選ばれる側だけで考えたんじゃなかろうかという御指摘がありました。このことにつきましては、実は私どもが要綱をまとめるに当たりまして皆さんと議論したときにも、我々は、まさに選ばれる側だけの議論である、これではやはりならないんだということで、今社会党さんの方で、いろいろな日にちを追いながら、こういうことで自民党の要綱がまとまったものであろうというふうに書かれておりますけれども、これはあくまでも表といいますか公の場の問題だけでありまして、我が党としては、これは四十七都道府県あるうち二県だけはどうしても行くことができませんでしたけれども、四十五の都道府県を回ってまいりました。しかも、そのときには、これは我が党が主催するのですから我が党だけになってしまうんですけれども、そうでなくて、できるだけ多くの団体、組織、そういったところにも呼びかけてほしいということで、このことをお願いし、まあ我が党だけの役員だけの集まりみたいなところもありましたけれども、そうでない立場の皆さんも相当お集まりいただいたということであります。それから社会経済国民会議が主催をしていただきまして、私どもが出ていってお話をした場合には、そこにはその地域を代表する報道関係の皆さん、あるいは市町村等のいわゆる理事者の皆さん、あるいは議員の代表の皆さん、また経営者の代表の皆さん、それから労働組合の代表の皆さん、そのほか割合と幅広い範囲の皆様方の代表の方が実は御出席をいただきまして、率直な御意見をいただいたところであります。  その意味で、これは完全というわけにはいきませんけれども、私たちは選ぶ側の皆様方の意見というものをできるだけ反映すべきであろうということで、そういった意見というものを一つでも多く拾おうということで、我が党は、それこそ昨年の場合には夏休みとかそういったものをすべて返上しながら、そういったみんなの声を吸収するための、我々としては最大の努力をしてきたということを申し上げることができるであろうと思っております。そういう中からああいった要綱というものがまとめてこられたんだということをぜひ御理解をいただきたいと思っております。  それから、今御指摘のあった細かい点について、またそれぞれ皆さんから御質問があろうと思いますから余り数多く申し上げませんけれども、「自民党に有利な農村部の議席を増やし不利な都市部をカットしたこと」というんですけれども、私どもは国会決議の中に、公平であるということが大事であるけれども過疎・過密にも配慮しなさいという中で、確かに一名ずつ各都道府県にまず割り振って、あとを案分したということはありますけれども、これはまさに国会決議というものを尊重しながらやったんだということ、これについても申し上げておきたいと思っております。  それから「企業献金を認知しただけでなく、さらに例外とする政治家への企業献金の途をひらいたこと等」と書いてございますけれども、これにつきましても、我が党としても将来は企業献金というものについて考えていかなきゃならぬ。しかし我が党の中で、一方では企業といえども一つの社会的な構成の一員であるという位置づけをしながらも、しかし企業献金と言われるときにいろいろなことが言われる、また政治に対する不信というものが生まれてくるであろうということで、こういったものについては外していく方向でいくのであろうけれども、現実というもの、現状というものがある。そういう中で公開性ということ、あるいは透明性ということを大事にしながら、できるだけ大きなものではなくて小さなものにしていきましょうということで、政治資金についても考え、あるいはパーティーなんかについても透明性というものを重視しながら、今の現状より相当厳しくやっていこうということであります。  それと同時に、腐敗防止法という御指摘があったわけでありますけれども、こういったものも加味しましょうということで、公職選挙法でももし違反をした場合にはその選挙区から五年間ですか出られないというようにいたしましょうというようなことを一つ方向づけをしておりますし、政治資金の場合にも同様のことが実はうたわれておるということでありまして、私たちはやはり完全なものだなんということは言えるものじゃありませんけれども、大きく前に向かって前進したものであるということは認めていただきたいと思うし、そういったものについて理解をいただき、各党全部が一致してそれこそ理想的なものができるということはなかなか難しいんですから、やはり一歩一歩間違いない前進というものをするために、ぜひともひとつ皆様方の御理解をいただきたいと思うのです。  私どもも国会決議というものは重視している立場でありまして、何かその上を行ったことを、定数是正もやろうということを言っておるということでありますけれども、そうではなくて、定数是正というものを今度の選挙制度改革の中に含んでおるんだということでありまして、そういう中で実現しようということであります。定数是正、そして選挙制度を考えたらどうだという御指摘が各党からもありましたけれども、そして各党の皆さんも今の選挙制度にはやはり飽き足らないんだということを皆様がお認めになっておるように、私どもといたしましてもそういったことを考えたときに、定数是正には大変なエネルギーを必要とする、そういうことを考えたときに、やはりこの際選挙制度もひとつ一緒にやっていこうじゃないかというのが我々の提案であるということを、きょう改めて申し上げておきたいと思うわけであります。  そして、特に皆様に御質問をしてみたいと思いますのは、一点だけに絞りますけれども、私たちはこういった要綱を昨年の十二月にまとめたことはもう御案内のとおりであります。そして、これは我が党だけでやるべきものではない。やはり民主主義の土俵であるということであるのだから、各党ともできるだけ話し合っていこうということで、それまでの間、非公式な話し合いをしてまいりましたけれども、まとめた以上、やはり公式に議論していただきたいということで、この委員会でも発表させていただくと同時に、我が党の総裁から各党の党首の皆様方に対して、こういった制度の問題も含めて議論をする場をぜひとも国会の中につくっていただきたい、代表する皆様方によってつくっていただきたいということをお願いをいたしておるわけでございまして、こういったことに対して皆様から御理解がいただけるかということ。  そしてもう一つ。今、皆さんの御指摘の中にも定数是正、そして選挙制度、あるいは政治資金、公的助成というようなお話と同時に、国会改革なんということについても実は御指摘があったわけでございまして、こういったものを、やはりだれもがみんな問題があるという意識は持っているのですから、私はできるだけ早いときにこういった問題だけを専門に議論する、いわゆる政治改革国会といいますか臨時国会、こういったものを我々は今提唱しようとしておりますので、ぜひこの点について皆様方の御理解をいただきたいということ。そして、これについて、それぞれの委員の皆様方の意見を承れればありがたいなというふうに思っております。  長くなりましたが、以上です。
  12. 石井一

    石井委員長 ただいまの羽田理事の総括的な答弁と申しますか、質問も最後にありましたが、また自民党としての見解もありました。どの問題でも結構ですから、自由にひとつ。  それでは、続いて武村理事
  13. 武村正義

    ○武村委員 羽田理事発言にも関連するわけでございますが、私はきょう四党の御発表を伺いまして、特に共産党を除く三党の政治改革全般に対する姿勢を伺って、大変うれしく思いました。うれしく思いましたのは、確かに一部には、表現としては小選挙区制断固反対とか小選挙区制は最悪だとか大変ラジカルな表現もありましたが、そういうことは余り気にしないで素直に伺っておりますと、むしろ非常に一致点が多いということでほっとしているわけであります。  各党おっしゃった中で、政治倫理、これは資産公開法が中に入っているわけで、あと倫理綱領とか政治倫理規程等々の改正にかかわる論議でありますが、これは我が党も既に昨年両院協議会に提案をいたしております。これは詰めればきっと詰まるだろう。倫理法にするかしないかは別として、詰まっていくものだろうと私は期待をしておりますし、国会改革についてはかなりうなずける点も多うございました。  資産公開につきましても、基本的には透明性、公開性を高めていくというのは私どもも賛成であります。企業献金については論議がありますが、私どもも個人への企業献金については、答申を受けて大きく制約していこうということで踏み切ろうとしているわけでありますから、答申どおりではありませんけれども、そういう姿勢としてはかなり近いと見ております。  そして、最後選挙制度改革につきましても、少なくとも共産党は、現行選挙区制が一番よろしいというふうな感じのお話でございました。断固中選挙区制堅持のような感じに受けとめましたが、これは共産党の党利から考えたらうなずける面もあるわけでありますが、世界でたった一つしかない制度であり、いろいろおっしゃっても、選挙制度審議会の英知を集めていろいろなことをおっしゃる中でも共通しておりますのは、やはり現行選挙区制には問題あり、これは新聞の論調も全部一致しております。  そういう点では、共産党を除く三党さんは、すぐに取り組むべきか、少しおくらすべきか、中長期という表現もございましたし、あるいは国会決議が先だという前後の表現もございましたが、そういう前後とか短期、中期の違いはありましても、少なくとも現行選挙区制は変えるべきである。民社の中野委員からも、ベストとは思っていないという表現もございました。社会党からは四つの比例制を提案をいただきました。公明党さんも併用制を一応御提案をいただいたように伺いましたが、そういう意味では、現行制度は矛盾があるから直していこう、抜本改革をしようという点では一致したわけであります。等々を申し上げましたが、そういう点で、政治改革全般としては、共産党を除く各党はかなり、目指す方向、道はちょっと違いますけれども、変えようという方向だけは一致しているなというふうに受けとめたので、私は大変うれしいと申し上げたのであります。  そこで、ちょっと三党にお伺いしますが、現行選挙区制がなぜいけないのか、この認識については余り語られませんでした。将来としては併用制だとか比例制だとか、こうおっしゃいましたので、現行選挙区制の問題点としては社会党さん、公明党さん、民社党さんはどういう問題を認識されているのか、なぜ直さなければならないと認識されているのか、この辺をお伺いをさせていただきたいと思います。
  14. 石井一

    石井委員長 質問が続いておりますが、ひとつ野党の皆様方には十分お考えになっていただいて、固めてお答えいただくことにします。
  15. 戸塚進也

    ○戸塚委員 永久政権論については、先ほどの羽田理事の考えと私全く同じなんですけれども、私は、現行制度だと自民党の永久政権に近いような形が確かに今後も続くのじゃないかなというふうな感じがいたします。私は、それは野党さんにとっても決していいことではないし、民主主義社会の中でもいいことではない、こう思います。  それから、二大政党論については、私は、今でさえも野党さんの中にも政界再編成論もおありになるように、やはり理想的には二大政党というのはいいことじゃないかと思うのですが、しかし中野先生がおっしゃった、そうなると少数政党が抹殺されるということじゃなくて、むしろ二大政党の中でまた健全な少数政党があって、その少数政党がキャスチングボートを握って国をリードするということも随分各国にあるわけでございますから、私は、二大政党になっちゃって少数政党が埋没してしまうというような事態が、それは多少はそういう可能性もあるけれども、むしろ健全な方向になっていくのじゃないかな、そんな感じを持っております。  それから分区、合区の関係のことでございますけれども、民社党さんが先回のときに定数是正で画期的に非常に御意見を出され、きょう各党がああやっていろいろ具体的に出されて、本当に敬意を表するのですが、その中で共産党の委員さんが、私の住んでいるところを一区から三区に変えてくださって、私としてはこんなうれしい案はない、これでやれば絶対うれしいと私は思っているのですが、ということは、今度はもう目がつり上がって、そんなことをされたらおれはどうしてくれるというような人が余りにも多過ぎるのじゃないかな。つまり、自分の選挙区のことを考えて、一人のことを考えるだけでも、私は喜ぶけれどもほかの人は目がつり上がる、そういったようなことを合区、分区でもって果たして現実問題として実際にやっていけるのだろうかということになると、非常にいい案だなというふうな感じはするんだけれども、現実論ではなかなか進まないのじゃないか、こんなような感じが私は率直に言っていたします。  それならば、やはりこの際思い切って、政党政策本位の小選挙区に、死に票をできるだけ少なくする比例代表というものを加えていくという考え方の方がより現実的ではないかな、こんな感じがいたします。  最後に、お金との問題でございますけれども、なぜこれほどこの問題が議論されたかといえば、やはりお金の問題だと思うのです。お金の問題が与党だけの問題かというとそうじゃなくて、野党の先生方だって、口ではおっしゃらぬけれども、自分の国会活動じゃ本当に大変だと思っていらっしゃる方が多いと思うのです。ある野党の先生で弁護士さんでございましたけれども、わしは今度選挙で落ちりゃ弁護士やった方がよっぽど収入になっていいわい、こういうことをおっしゃっていましたけれども、実際問題として、弁護士さんなんかの場合だったらきっと本心はそうじゃないかなと私は思うのです。しかし、別に金だけがすべてじゃないから、本当に奉仕をするつもりで一生懸命頑張っていらっしゃるんだろうと思うのですけれども、それにしても最低にかかるお金というのは要るわけで、現実の場合には、これは与党でも野党でも国会現行のものだけじゃとてもじゃないがやっていけない。そういう中に無理があるからいろいろなことにまた無理が出てきて社会問題にもなる。  一方、国の審議会の方では、つまみ食いはだめですよ、公費負担だけをやるようじゃだめですよ、こういうことになっているので、選挙制度の抜本改革があって初めて公費負担もあるということになってまいりますと、単なる少しぐらいの定数是正じゃ、とてもじゃないが公費負担が難しい。そうなると、お金の問題については、現行制度を少しぐらい変えただけじゃとても抜本的にやっていけない。そうなるとまた、お金の問題の社会問題は、まだこれからも継続される問題になる。そうなると、何のための改革だったのかなということになるので、やはり公費負担制度というものもぜひペアでやれるような、そういう抜本改革をしていただきたい、私はこう思います。  以上です。
  16. 塩崎潤

    ○塩崎委員 もうたくさん質問が出ましたが、各党にお答え願いたいのは、今武村さんが言われました、中選挙制度をどのように各党は評価されているのかということについて、殊に政権獲得との関係でどのように考えていかれるのか、この点だけまず、委員長、質問に対して各党からお答えを願いたい。
  17. 石井一

    石井委員長 それじゃ、自民党側の委員からかなりの問題提起がございました。  一つは、塩崎理事の言われる、中選挙区制の弊害についてどういう見解を持っておられるかということ、さらに羽田理事から指摘のありました、各党国会改革政治資金その他全般にわたって改革を進めようとする意欲が十分意見の開陳の中にあったので、それに関して党首会談なりあるいは臨時国会を持って本当に真剣に取り組もうじゃないか、これに対してどうか、こういう問題についても御見解があればひとつおっしゃっていただけたらどうかと思います。
  18. 山花貞夫

    山花委員 初めに羽田委員の方からの四つのポイントについての御意見と、それからこれからの議論の仕組みについての御質問がありました。  まず第一に、党利党略じゃないというお話でありましたけれども、これはその党の立場での評価があります。この点については議論が尽きないと思います。国民が評価することだと思っております。  中選挙区制の問題については後に触れたいと思います。  また、十数%で議席を得るという御意見もありましたけれども、それが多数代表制なのか比例代表制なのかという問題点ということになるわけでして、この点についてはそれぞれの党の見解が違っているところです。私たちは、例えば別のテーマで出る、五%以下切り捨て、三%以下切り捨てということは少数意見を封殺することではないか、こういう考え方でありますから、十数%で議席を取ることがよい悪い、悪いということにはならないというように考えています。  二番目に、中選挙区ですとどうしてもサービス合戦になってだめではないか、こういうお話がありましたけれども、これは実は、中選挙区でも小選挙区でも、議員倫理確立していないところでは同じ問題がいつでも出てくるということではないでしょうか。小選挙区にしても、じゃ一体その小選挙区のその政党の一人の候補、だれがなるかというときには、予備選挙になるか、その他の方法があると思いますけれども、今の体質が変わっていなければ同じ問題が残ってくるということだと思います。きょうの文書の中にも書きましたけれども、イギリスでも、小選挙区にしたら腐敗選挙がなくなったということでは全くなかった事情については御承知のとおりでありまして、選挙制度の問題だけではないというように考えております。  三番目に、議論の手続についてお話がありました。御努力については敬意を表しますけれども、しかし振り返ってみれば、なおそうした御努力はあくまでも自民党側からのいわば仕掛けといいますか、そういう中ででき上がった。自民党の誠意ある姿勢につきましてはお話しのとおりだと思いますけれども、だとしても、有識者会議以降全部自民党が人選をした。市民の立場を聞かれても、マスコミ界その他の人が多かった等々、選挙制度審議会からその後の地方における会合を含めて、あくまでも自民党の人選による人たちの集まりの中で意見を聞いたということではなかったのかということについては、指摘をしておきたいと思います。  四番目に、定数是正の問題を選挙制度に含んでいるということについてはきょうも意見で出しましたけれども、昨日の新聞にも掲載されており、依然として違憲の判決の流れが続いている現状の中で、最近では国勢調査、さらに格差拡大ということは司法の立場からもそうだし、また国勢調査それ自体は、今度も書きましたけれども、違憲の事実は本当にさっきお話がありましたとおり待ったなしの状態で、緊急性ということが指摘されている、そのことにこたえていないのではないかという反論を提起しておきたいと思います。  そして、羽田委員の方は、さらにこれからの協議の場についてお話がございました。確かに、昨年暮れの党首会談におきまして問題提起があったことについては存じております。たしか私たちはその際にも、そうした政治改革ならば、当時起こっておりました稲村元環境庁長官のあの事件を一体どう考えるのか等々の議論もあったりして、全般的な政治改革について我が党の土井委員長の方から意見を述べたというように記憶をしているところであります。いわば、すぐにそうした形での御提案、新聞を通じて知っておりますけれども、あるいは前回の委員会でもお話がありましたけれども、そうした狭い機関に閉じ込めるのではなく、こうした公選特などのオープンな議論を積み重ねるという努力が、まだ必要なのではないだろうかと私は思っております。この点については、御提案につきまして党内に持ち帰りまして相談はしたいと思っておりますけれども、私のきょうの時点における個人の意見としては、なお、例えば前回の委員会におきまして衆参セットで政治改革をなさる、こういうお話がありました。その後中西先生の方から党の方に対して推薦制ということで、答申にもありました極めて抜本的改正に近いという提案もあったと伺っております。  では一体それがどうまとまるんだろうか。そうした本来皆さんが抜本的と考えている推薦制まで含めてセットで出てくるのか、そうではなくて、第八次答申にありました逆転区解消と個人投票も含めた程度で出てくるのか等々、全くその点がまだはっきりしていない状況ということなどからすれば、まだセットについての御提案はできておらないのではなかろうかと思います。とりわけ、最大の関心である三百の定数区割りの問題につきましては一体どうなるかということについて、具体案が提示されていないわけであります。一応きょうの私たちの提案では、それぞれの党がおよその方向について具体案の一歩手前のところまでは示しているわけでありますけれども、そうした問題についてやはり出てこなければオープンな議論にはならないわけですね。そうなってくると、従来の流れからするならば狭い、密室的な議論になる心配があるんじゃなかろうか。もっともっとオープンにすべて出し合って議論するという姿勢が必要なのではないかというように考えているところでございます。しかし、御提案については党内でよく検討さしていただきたい、こう思っております。  それから、戸塚先生の方から二大政党論についていろいろ御意見がございましたけれども、ただ私たちは、選挙制度によって無理やり二大政党をつくるということなんだろうかということについて基本的には疑問を覚えます。私たち野党に対する御批判も十分わきまえているつもりです。しかし、だからこそ我々野党立場としても、どうやったら野党政策の調整ということができるか等々を含めて、野党側の努力、そういった実体的な政党間のさまざまな動きの中でそういう方向が志向され、そのことについての国民の支持等々がやはり前提になるのではなかろうか。選挙制度を変えることによって無理やり二大政党をつくるという方向については、根本的な疑問を持っているところでございます。  合分区の問題につきましては今御質問を伺いながら、実は東中先生にちょっと伺いたいと思ったのですが、まださあっと見ただけですけれども、合分区については、一つ原則というものについてもう一つ基準を出さないと各党の合意ということにはならぬし、各議員納得は得られないのではなかろうか、こういうように思うわけです。  先生の文書を見ると、既存の選挙区の区割りというものを尊重しながらというように、かがみはそうなっていますけれども中身はそうじゃないのですね。かなり算術的にやっておる。これは中身を細かく言えば出てきますよ。今の御指摘だってそうですね。極めて事務的に算術的にやっていますけれども、これはある程度合分区につきましてのこれまでの議論の経過があったのですから、それと各議員納得を得るとするならば、一応既存の選挙区割りということをある程度尊重した中で、既存の選挙区というものはかつての、古きいにしえの時代からの地区割りその他を土台にしているわけでありまして、そのことを抜きにして算術的にやるということはなかなか難しいのではなかろうか。この点については先生の方からちょっと御意見を伺いたいと思った次第でございますけれども、そういった意味では既存の選挙区を尊重した中で各党意見を調整するということはあり得るのではなかろうかと思っている次第です。  それから、お金の問題についてもいろいろ議論がありましたけれども、私は羽田委員のお話から戸塚委員のお話まで伺った中で、やはりお金の問題については、おっしゃった建前論は受けとめることができると思うのです。ただ現実にはただいまるる申し上げました稲村元環境庁長官の事件とか、最近では石橋元文部大臣の事件、自民党はこれにどう対応しましたか。総理は重く受けとめると言っただけだったんですね。辞表を出されておしまい。では、その次の事件はどうだ。大きな不正事件があったんだけれども、政治倫理から自民党内がどういう規律をしたのか。あるいは自民党内が政治倫理審査会に申し立てたかどうか等を含めて、今あるそうした政治倫理綱領にのっとって、あるいは政治倫理審査会にのっとってこういう事件に対してけじめをつけるということがなければ、幾らきれいごとをおっしゃっても信用することができないということについては、どうしても指摘しておかなければならないと思っております。  中選挙区制の問題につきましては、今あるままで永久によろしいとは私たちは思っておりません。ただ、大正時代から長く続いて、戦後の一回の例外があったとしても、そのことが国民になじんでいるということについては、取ってかわる新しい選挙制度について国民納得していただけるような合理性、納得していただけるだけの説明がなされなければならないと思っているわけであります。その場合には、お話がありましたとおり、中選挙区制の功罪について特に議論することが必要だと思っております。  功の点につきましては、前々回の委員会でしたでしょうか、我が党の委員から主張しましたとおり準比例代表という内実は持っているわけでありまして、その意味におきましては、よく言われている価値観の多様化した中でのそれぞれのグループの意見の代表者ということになれば、準比例代表的な中選挙区制の少ないパーセンテージでも議席を、全体として多い少ないはあったとしても、取るということ、その意見というものが議会で述べられること、そうした少数意見尊重という意味におきましては、私は功の部分として評価する点があるのではなかろうか。最高裁の判決におきましても、従来問題にいたしましたのは、選挙制度を問題にしたというところは一つもなかったと思います。最高裁が違憲だと言っているのは定数是正の問題、そして中選挙区についてはそうした準比例代表としての特色と特徴を持っているんだから、だからこういうように定数是正しなければいけませんよというのが、最高裁の判決の流れであったと私は記憶している次第であります。  しかし、現在の中選挙区のもとにおけるさまざまな問題点につきましては、では一体そのことが解消できるのかできないのか。まず政治浄化ができるのかできないのか。しかし、建前だけじゃなくて、現実に政治倫理綱領をつくって各議員が自覚しながらやればどこまで克服できるのか等々については、やはり一応議論した上でなければその次の問題に入れないのではなかろうか。そういう問題を抜きにして、では一体どういう比例代表がいいかということになれば、我々が言っている比例代表の諸制度につきましても、前提を欠いておれば政治浄化という国民の期待にはこたえられないのではなかろうかと思っております。  したがって、私たちも、きょうの提案の中にありますとおり、中選挙区でまず国民的緊急の課題について解決するとしても、改善すべき点はこれとこれとこれがあるということを提案しているわけでありますから、そのことをもってお答えにさせていただきたい、こういうふうに思います。  以上でございます。
  19. 井上義久

    井上(義)委員 幾つか御意見がありました中で特に三点についてお断りしておきたいと思います。  中選挙区制に対する評価でございますけれども、私どもも中選挙区制が完壁な選挙制度であるというふうには考えていないわけでございます。やはり一番大きな問題は、選挙制度というのは民意議席への正確な反映ということを第一義にすべきだろう。こういう観点からいいますと、例えば四〇%台でほぼ六〇%以上の議席自民党さんはずっと獲得されてきているわけでございまして、選挙の結果から見ますと必ずしも民意反映していない、やはりここが一番大きな問題であろうというふうに思うわけでございます。ただ、選挙制度というのはそれぞれの国の歴史を踏まえているものでございますから、国民に相当なれている選挙制度である。これを変えるということについては、国民的な議論というものはやはりしっかりやらなければいけないというふうに思うわけでございます。  ただ、やはりここで考えなければいけないのは、この中選挙区制、既に制度として定着しているわけでありますが、この前提となる定数に非常に不均衡を生じている。これは、民主主義のルールからいいますと、どんな選挙制度であってもその制度が生かされるためにはその前提である原理原則というものがきちっと踏まえられていなければいけない、そういう意味で、この定数というものが非常に不均衡であることは放置できないというふうに思うわけでございます。新しい選挙制度というものをつくるにしても、これは当然国会議論して決めるわけですから、その前提となる今の議員の選ばれ方、これが非常な定数均衡前提にして選ばれてきている。したがってこの定数是正をきちっと一回やって、その上で、じゃどういう選挙制度がいいのかということを国民的な議論を踏まえて国会でも議論すべきである。この前提部分が非常に大きな問題だというふうに私は思うわけでございます。  この定数是正ということについて、現実論としてなかなかできないというお話がございました。私は、この問題は確かにそのとおりだと思います。ただ、そのことについて、今政治家の見識が非常に問われている、国民はそこを注視している、本当にできるのかできないのかということを注視している。現実的に定数是正ができないから、そういう不均衡を正して、今ある制度をとにかくきちっとした上で選挙制度についても抜本的に考えましょう、これができなければ非常に厳しいというふうに私は思うわけでございます。  それから二つ目に、これは先般の委員会でもお話ししたところでございますけれども、政治資金あるいは政治倫理の問題とこの選挙制度がセットであるというふうに私は必ずしも思わないわけでございます。先ほどもちょっとお話がございましたけれども、例えばイギリスの腐敗防止法、要するに小選挙区制だから政治倫理確立されたということは決してないわけでございまして、小選挙区制、それで余りに腐敗が激しいので腐敗防止法ができた、こういう経緯を見ますと、選挙制度と切り離して政治倫理政治資金という問題についてはまず手をつけるべきである。リクルートの問題で国民が問うたものはまさにそこにあるわけで、そこをきちっとすべきであるというふうに私は思うわけでございます。  これとあわせて、いわゆる公費助成という問題につきましても、必ずしもこれは選挙制度とセットじゃないわけでございまして、やはり政治資金政治倫理というものがきちっとなされる、しかも、我が党が主張していますように、企業団体献金、これを禁止して個人献金に限る、こういう前提であれば公費助成ということについて国民の十分な理解が得られるというふうに考えておるわけでございます。  それから三つ目に、今後の進め方ということについてお話がございました。  選挙制度というのは各党間の意見が一致しないとできません。一つ政党だけが決めてやるということはできないわけでございますから、当然そういう協議をしていくということは必要だろうと思いますけれども、やはりそれについては、ただ選挙制度ということだけじゃなくて、先ほどからお話ししていますように、政治資金なり政治倫理の問題、公費助成を含めた政治改革全般について協議をする。しかも、選挙制度についても、初めに小選挙区ありきということではなくて、私どもが主張しておりますように、例えば比例代表というものがやはり民意反映ということを第一に考えると一番ふさわしいということも含めて、選挙制度全体についても白紙の状態で協議をするということであれば意味があると思いますけれども、初めに小選挙比例代表制ありき、これについてどうするかというような議論であれば、今の段階与野党協議をしても余り実質的な意味がないのではないかというふうに考える次第でございます。  以上でございます。
  20. 東中光雄

    東中委員 最初に、羽田委員の方から党利党略ではない、中選挙区制でこそむしろ鳩山内閣以来ずっと自民党政権が永続しておるじゃないかという趣旨の発言がありましたが、これについては私は根本的に異論があります。  この方針を決めるについて国民各層、全国四十何府県回った、こう言われましたけれども、この選挙制度の問題について言えば、一番根本は小選挙区制を導入してそれを中心にする制度確立するかどうかということについてでありますが、それを決定したものは大綱ですね。大綱で、小選挙区制の導入基本とした選挙制度抜本的改革に取り組む、その際少数世論も反映されるよう比例代表制を加味することも検討する。この方針を決めるときは自民党政治改革委員会でやられたので、それがずっと一貫しているわけですからね。その後でいろいろ聞いたことを言われたってそれは違うじゃないかというふうに思います。  それから、中選挙区制だったから自民党がずっと永続政権的にやっているということを言われましたが、それは中選挙区制だからではなくて、日本の選挙制度はいろいろ問題があると私は思っています。中選挙区制でいっても、定数が非常に不均衡だと今指摘された問題もあります。  そのほかに、選挙運動についての規制ですね、言論規制戸別訪問禁止。これは世界に例のないようなべからず集なんですね。政策や言論で訴えることをいろいろ規制する。そして、金の面はどうかといったら、これはよく言われますような金権選挙になっている。というのは、昨年の総選挙でも自民党の幹事長が、本当かどうか知りませんが三百億円財界に要請をした。要請したということまではどうも本当のようであります、何ぼ入ったか、どういう形で入ったかは別としてですよ。そういう金が使われる。そこからいわゆる金権選挙企業ぐるみ選挙あるいは官庁ぐるみ選挙という言葉さえ出てくるぐらい異常な選挙のやり方がやられている。そこらに非常に問題があるんだ。だから、そういう点で金の規制の問題をきちっとしなければいかぬ。そして、営利を目的として活動している社会的存在である企業が、政治活動選挙に対して金を出している。営利を目的とする会社が出した金によって、選挙の結果に影響を及ぼしていくような制度というのはやはり間違いである、私たち基本的にそういうふうに考えています。そこに問題があるんだということを申し上げたい。  しかも、中選挙区制でこそそういう自民党の長い間の政権維持がされておるというのではなくて、中選挙区制ではどんどん脅かされていっているわけですね。これは大阪の例を見たら非常によくわかるのですよ。大阪は今二十七議席がありますけれども、ここ九回の総選挙を通じて見て自民党の獲得している議席は、七選挙区ですけれども、六あるいは七議席ないし八議席というのが最近の状態ですね。私の選挙区であります大阪二区でいえば、公認するかしないかは別として、自民党はとにかく五人区で二名立候補しています。しかし、それで一名しか当選しないというのが大体ですね。例外的に過去九回のうち三回自民党が二名当選しているだけです。そういう状態ですよ。だから、過半数なんかないですよ。兵庫一区だって、もう少し自民党議席が多いかもしれませんけれども、過半数に達していない。中選挙区制ではそういうふうに国民の意思が反映されていくのですよ。  ところが、これを小選挙区制にしますと、自民党は第一党ですから、全部自民党が通ってしまうのですよ。そういう格好になる。自民党の得票率が二十数%、三〇%近くある、だから一名か、よくて二名、こうなんですね。それで、一〇%台あるいは二〇%そこそこと、ほかの党がそうですから、小選挙区制にしたら全部自民党が独占しますよ。こういうことになるから、制度として、そういう力関係のところでは制度としてはぼろっと自民党の永続政権を保障していくことになるんだ、我々はそのことを言うておるわけですね。だから、そこに目を向けていかなければいけない。やはり小選挙区制はいけませんというふうに日本共産党が主張しているのは、先ほど申し上げたのはそういうことなので、だから中選挙区制はいいと言うておるんだというふうに武村さんが曲解をして、あるいはそう感じて共産党だけは別や、そういう言い方というのはアンフェアですね。私が言うたのは、中選挙区制が一番いい制度だとは一言も言うてないのです。
  21. 石井一

    石井委員長 いやいや、共産党以外はと言っていたよ。
  22. 東中光雄

    東中委員 いやいや、共産党はいいというふうに感じたという言葉で言うたので、だからその感じていることは間違いだということを僕は指摘しておるわけだ、そうでしょう。むしろ小選挙区制になれば金を使いやすくて、金の効果が強くなって腐敗するんだということは、日本で小選挙区制がやられた六回の経験から、小選挙区制をやられて中選挙区制に変わるときに、そのときに時の加藤高明首相が言うていますわね。金がかからぬということはうそであります、だから皆さんよく御承知のとおりだ、こういう制度はやめるんだというふうに言うていますよ。だから日本で経験したことで、時の総理大臣がだめだと言うたものを、今金のかからぬ選挙にするのに役立つような装いにして出してくるということは、これはもう歴史的事実に反するということであります。  それから、山花さんから言われました区割りの問題につきましては、私たち先ほど申し上げたとおり、現行区割り制度を基準にして考える。そのほかに歴史的な条件とか、それから経済的な条件とか、そういうものを考慮して、ただ何とはなしにぽんとやっておるというわけじゃない。ただしこれでなければいかぬというのじゃなくて、第一歩、一つの判断材料としてこういうものはいかがであろうかという提案をするということは、先ほど申し上げたとおりであります。小選挙制導入は断固反対です。しかし区割りについては判断材料として具体的に提起をする、そうでなければ進まない、こういうことで出しておるわけでありますから、決して押しつけるものではございません。
  23. 中野寛成

    中野委員 羽田委員から指摘をされましたことから、順次幾つかの我が党の見解を申し上げます。  十数%でも当選、それでもよいのか、中選挙区ではサービス合戦になるという御指摘がありました。しかし、私は十数%で当選でもいいんだ、逆に言えば五〇%の投票率を得た政党はそのかわり二名なり三名なり四名なりの当選者を出すわけでありますから、言うならば最下位当選者が十数%で当選する場合には、それだけの率の代表しかできないわけでありますから、そのことはむしろ当然のことではないかと思います。むしろその発想は、逆に言えば死に票が出てもいいということの発想につながるのではないかというふうに思います。  それから、中選挙区ではサービス合戦になる、こういうことでございますが、しかし、ある意味では超党派で地元のために努力しましょうという協力関係もあったりいたしますように、サービス合戦といいましても、それぞれの政党一つ政策判断の中で、調和のとれた地域サービスということも当然あり得るわけであります。私は韓国の例で申し上げますが、小選挙比例代表制、これは並立制ですが、その場合にどうでしたかとその体験談を、戸塚先生も御存じだと思うが、金大中氏や金泳三氏等々にお聞きしたことがあります。そうしますと、小選挙区はむしろ金がかかる、何しろ一人しか通らないのですから、こういう答えが返ってきました。それから、これこそ一人しか通らないのですからサービス合戦になります。ゆえに地域政党化いたします。そして、結局一人だけの議席ということでその地域においては現職議員の功績として評価をされるというケースがどうしても出てまいりますから、現職有利ということになります。こういうふうにして、小選挙区制というのはまさにサービス合戦、しかもそれは与党に有利であります。そして、一人しか通らないわけですから金がかかる。もちろんそれは公職選挙法その他で厳しい縛りをかけるということがセットで行われるという御主張に自民党の方は当然なるだろうと思いますが、ならば、結局金がかかる選挙制度をつくって公職選挙法で縛りをかけるということは、犯罪人をつくるということにしかならない、こういう結果が生まれてくると考えます。  それから、中選挙区制では、しかし完壁とは言えない、ベストとは言えない、なぜ中選挙区制はだめなのかということについて述べよという武村委員と塩崎委員のお話でございました。  先ほど申し上げましたように、衆議院の場合はその名のとおり大衆の代表、そういうことになりますと、言うならば有権者の投票の比率に応じて議席が決まるということが一番理想であります。そういう意味では比例代表制が一番理想的であろう、私どもはこう考えておりますが、その場合、それと比較した場合、中選挙区は比例代表に比べてある程度の死に票が出ます。完全に一票の重さを平等にすることができません。そういう欠陥がありますが、しかし、小選挙区制に比べれば中選挙区制は地域的比例代表に近い、こう申し上げることができると思います。ゆえにベターである、こう申し上げているわけでありまして、中選挙区制は、小選挙区制を加味したものに比べれば少なくともベターであります。しかし、比例代表制に比べればなお欠陥がある。しかし、その比例代表制各党の候補者の選び方、その選び方に国民がどう関与していただくか、アメリカで言う予備選挙等々の方法もあるかもしれませんけれども、その候補者の顔が見えるように、候補者と国民有権者との関係をより密接にする方法論につきましては、比例代表制といえどもこれは十分に加味されなければならない、検討課題だ、こういうふうに思います。そういう意味では、そういうものが解決されるまで、現行選挙制度のもとにでき得る限りの定数是正を行うことが現在我々がなすべき一番の方法ではないだろうか、こういうふうに思うのであります。  なお、協議の場でございますが、先ほど羽田委員から提唱されました各党協議につきましては、いかなるレベルであろうと我が党は拒否するものではありません。むしろいろいろな形で論議をすることはいいことであると思います。また、国民の目の前で協議することも当然大切であろう、こういうふうに思います。  なお、その意味での協議の場とは違いますが、現行選挙区制で当面やるとした場合の定数是正あり方について我が党も案を出しました。しかし、これにこだわるものではありません。これは、石井委員長も御存じのように、議長のもとに議運の理事によって構成されている議会制度協議会があります。私は、そこで数年にわたって選挙制度審議会を発足させてくださいということをたびたび提言いたしました。これは二十数年間、田中内閣以来眠ったままになっておりましたから、それを復活させてください。そして、その選挙制度審議会委員国会の承認人事にしていただきたい。与野党が同意した人事にする。そのもとにおいて、あの国会決議前提として定数是正をそこで協議をしていただきたい。いわゆる第三者機関として選挙制度審議会で御協議いただきたい。言うならば、選挙区の線引き及び定数について、国会決議前提として、その枠の中で選挙制度審議会が、候補者一人一人の利害得失に関係なく、あるべき地理的条件やその他の要素を加味して線引きをしていただくということが一番望ましいシステムであろうということを提案をいたしました。今なお遅くない、これからでも遅くない、そういうシステムをぜひつくっていただいて、国民の目の前で、政党や候補者個人の利害得失ではなくて地理的条件やその地域の歴史やいろいろなものを勘案しながら、国会決議前提とした定数是正をそこで協議をしていただく、このことを提言をしておきたいと思います。  なお、戸塚委員から二大政党が理想的だと言われました。二大政党が理想的であるという根拠は示されませんでした。むしろ私は、二大政党のもとでも小さな政党が存在し得るし、それがキャスティングボードを握って、そして一つの存在価値を発揮できるではないかと言われましたが、それは明らかに論理の矛盾であると思います。二大政党論のもとで小政党が存在し得るとは思えませんし、また存在し得たとしても、二大政党の対決の図式の中で埋没をされてしまう、存在すること自体が極めて厳しい状況に陥る、こういうふうに言えると思います。二大政党がなぜ理想的なんでしょうか。その理想的だとする論拠をむしろ示していただきたい。例えば今、中東諸国の自由化、民主化の論議の中で、いわゆる複数政党化、それは決して、一党独裁よりも二党がいいけれども二党に限るという論理ではないはずであります。多数化こそむしろ民主化のシンボルだというふうに考えられてもいいのではないかと思うのであります。  そういう意味では、国民の価値観も多様化している今日、多党化することを意図的に制限をするということはいかがであろうかと思います。しかし、この場合にも、例えば西ドイツでとられておりますような三%条項とか五%条項とかというふうなことは、日本でも泡沫候補が立候補することをできるだけ抑制するために供託金制度がありますように、この方法については、憲法論と同時にその方法論について論議することについてはやぶさかではありません。  さて、最後に、政権交代可能な状況をつくるのだと言われます。しかし、一方で政権の安定、政治の安定と言われます。これは明らかに矛盾していると思うのです。そういう意味で本当の目的は一体何なのかということがそれぞれもう一つはっきりしないというのが、現在の提案されている内容ではないだろうかと思います。
  24. 山花貞夫

    山花委員 東中委員に伺いたいのですけれども、総定数を五百十二名としておりますね。それで、かつて八増・七減の国会決議は総定数についての見直しということがありました。当時、先生もよく御存じのとおり、あの八増・七減ということは、五百十一から五百十二にふえたからこれはやはりもとに戻さなければいかぬ、こういう意識だったと思うわけですが、この点についてどうお考えでしょうか。  第二番目に、公明党に伺いたいのですが、四百七十一ということですけれども、本則に従ってということですが、そこに拘泥しなければならないのかどうか。やはりいろいろな基準があるのじゃなかろうかと思うのです。国会決議の流れとしての五百十一があったと思われますし、あるいは国民にわかりやすいということならば五百という、そういう決め方もあるかもしれません。あるいは何人が国民の代表かということからすれば別のあり方があると思うのですけれども、本則に拘泥する必要はないのではなかろうかと思うのですが、総定数についての御意見を伺いたいと思います。
  25. 東中光雄

    東中委員 国会決議ができたときの八増・七減の改正案につきましては、改正の経過は繰り返しませんが、我が党としては強く反対をしたものであります。主張としては八増・七減ではなくて抜本的改正をやるべきだという主張を、二対一未満にせいという主張をしておったのが、選挙制度協議会ですか、議長のもとでやられて非常にもめた経緯がありました。私たちはあの国会決議には御承知のように反対をしています。もとが反対であったのですから反対をしています。しかし、そこで言われておること自体は、国会決議で二対一未満にする、あるいは抜本的是正をやるということ 自体は前から主張しておったことですから、そういう点で主張しているので、その主張段階で五百十一にこだわる必要はない。多少の増減があったっていいという主張をしてきました。今五百十二をもとへ、五百十一に戻さなければならないということには別にあの決議でなっているわけでもありませんし、ただ私たちは見直しをするという点で、先ほど申し上げたように、公選法ができたときの一議席当たりの人口割りは十五万何がしだった。今は二十四万一千になっている。  それから、ほかの外国と比べても日本の定数衆議院、下院としての定数は決して多いわけではない。むしろ唯一例外的にアメリカの大統領制下における連邦での下院とは違いますけれども、我々は納得していない。見直しをやって、そしてこれを変える必要はないというような立場でおるわけであります。なぜ一議席減らすことが必要なのか、決議自体にはそういうことは書いておりませんから、もとへ戻せとは書いているわけではありませんから、そういうふうに考えます。
  26. 井上義久

    井上(義)委員 山花理事から質問がございました点で、先ほど示しました政治改革全般に関する基本見解の中でも示してありますように、我が党としては、定数是正に当たっては総定数公選法本則四百七十一が原則でありますけれども、与野党間の合意が必要なことでありますから、必ずしもこれにはこだわらない。したがいまして、現行五百十二でも結構ですし、あるいは選挙制度審議会が示していますように五百でも、与野党の合意ができればそれでいいのではないかというのが基本的な考えです。
  27. 武村正義

    ○武村委員 意見でありますが、政治改革のこれからの論議の中で、いろいろ発言しましたが、断固反対とか絶対反対とか、あるいは一歩も譲らないとか、これは最初から言ってしまうとそれこそ民主主義原則に反するというか、話し合いが進まないということになってしまう。そういう意味では協議はともかくとして、各政党考え方の一致点を見出す努力をしていきたいというふうに自民党としても思っております。  それから、民主主義に共通して、野党の先生方、民意反映ということを一番重視をされて主張されました。これはうなずけるわけでありますが、民意反映だけでいいのかどうかというのが私どもの主張であります。民意さえ鏡のようにきちっと反映すればそれで選挙はいいのか。やはり国民の意思を反映してしっかり政治意思を決定していく、安定した政権をつくって堂々と政治意思を決定していくということがあるわけでございますから、そのことと両輪で考えていく必要があるのじゃないかと思います。  少なくとも民主主義のもう一つ原則は多数決の原理でありますから、とことん民意反映を言えば、議院内閣制もおかしい、多数決で決めるのはおかしい。共産党も民社党もみんな比例どおり内閣に入って内閣を構成すべしということになる。極論すればそうなっていくわけで、国会では各法律にしろ首班指名にしろ一票差で過半数で事が決められていく。民主主義の先進国の多くが小選挙区制を百年、二百年続けているという現実も、何か一刀両断で小選挙区制は最悪の制度であるかのごとくおっしゃいますが、共産党が支配している国でも小選挙区制の選挙制度の国はあるわけです。ですから、そう一刀両断におっしゃってしまうと議論はかみ合わないわけであります。また、一長一短があるという姿勢で、我が自民党の案も百点滴点とは思っておりません。そういう意味では、変えていくなら変えていくということで一致をしながら、共通の道を見つけるためにこれから努力を続けるべきじゃないかと思っております。
  28. 堀昌雄

    ○堀委員 ずっと聞いておりまして、どうも論理に矛盾がある。さっきから、今の武村さんのお話で、比例代表になると政権の安定性が保たれないのじゃないか。しかし、三十年も安定しているのですから、一遍安定性が保たれないようなシステムにすることが今求められているのであって、それをまた安定していくような小選挙区にするなんというのは選挙制度改革の意味はないです。だから、そういう認識を論理的にきちんとしてもらわない限りこの問題は論議が進みませんから、そこらは少し整理をして、そういう言い方をされるからみんなが自民党本位だと、こうなるのですから、自民党という問題を一遍離れて民意に一回聞く時期があっていいじゃないか。だから私は、比例代表併用制を三回やったらどうですか、要するに、四年ごととして三回で十二年やってみて、そこで安定性が見られるならまた考えたらいいじゃないか。これまでの三十何年の一党独裁みたいな形を一遍不安定にすることが今の民主主義確立の最大の要件だ。三十年やってきているのですから、そこはひとつ皆さんの御理解をいただきたいと思います。
  29. 羽田孜

    ○羽田委員 堀先生はいろいろな問題をよくおわかりになってお話しになっていると思いますけれども、私たちが言っている安定、不安定という問題は、この間、ハンガリーの方とお会いしたのですが、そのときにも、ハンガリーの場合には大体四%でしたかの条項を持っているのです。その理由は一体どういうことかと言いましたら、五十二党ぐらい出てきたと言うのです。これじゃどうにも不安定になってしまう。それで、国会衆議院、要するに下院の場合には間違いなく内閣をつくらなければいかぬ。内閣をつくるときに、本当に少数だけが集まって、要するに余り国民が望むものじゃないものができてしまったら大変なことになる。そういうことで、こういう非常に高い何%条項というのをつくったのです。やはり不安定というものを恐れているのですね。  私たちの言っているのは、それこそこの間の都知事選挙を見たって相当な数の人が出ていますが、そういうものが変なふうに不安定になってしまったのじゃ危険だなということで私たちは安定をということを言っているのであって、何も我が党が続けていくとか何とかということじゃない。二大政党とかそういったものになってきますと、だんだん、今でも政策は少しずつ収れんしつつありますが、そうなってくれば、何も我が党が長く続くということじゃなくて、すぐ交代できる政党が生まれてくるだろうということで申し上げておるわけであります。  それから、先ほど共産党さんの方から、小選挙区になったら今の現状からいったらやはり自民党が圧倒的になるという話がありましたけれども、小選挙部分なんというのは、まさに、スキャンダルを起こしたり、ちょっと政策国民に不理解のまま、生煮えのまま出してしまったら、それこそ我が党は一挙にひっくり返ってしまう。ともかく二十六の選挙区で二十三負けてしまっているのですから、そういう現実の中で政権交代できるということだと思うのです。それより何より、私は、野党さんの方では、まず第一段階定数是正からやろうという話があるのだけれども、堀先生から御指摘があったように、今これだけ長いこと政権が続いているわけですよ。これは、自分たち政策は決して悪くなかったのだけれども、今の選挙制度に問題があるから我々は政権をとれなかった、そういう言葉が野党の方から出てくるのが当たり前だと思うのですよ。だから、二段階とか三段階ということを言っているのじゃなくて、私たちは何も、この並立というのは我が党の案なんですから、むしろ皆さん方の方から、これでひとつ議論しようじゃないかというので徹底した議論が生まれてきてしかるべきだと私は思うのです。それがないのがむしろ危険だなと思うのです。  それからもう一つ、先ほどから死に票というお話があるのですが、この間、どこかのフォーラムか何かでお話ししたときにも、これは東中さんもたしか御一緒しておったと思いますけれども、ある方から死に票という言い方はやはり問題があるのじゃないかという指摘がありました。確かに、例えば五一%で当選してしまうということになると四九%は死に票になるということになりますけれども、しかしむしろ、死に票というよりは四九%の批判があるということ、そのためには五一%で政権をつくった政党は四九%の声も考えていかなければいけない、そういう中でそれを吸収しようとする、吸収しようとする努力がなかったとすればこの次の選挙でひっくり返ってしまう可能性があるのであって、死に票という言い方よりも、むしろ一つの違った大きな意見があるよという存在を示す票であろうということは割合とはっきりしてくるのじゃないかというふうに私は思っております。
  30. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 羽田さんから今お話がありましたけれども、この前、定数是正の問題で各党とも共通していることは、それなら比例代表をやりましょう。過日、私もデータを出しましたように、我が党の左右合同以来、最近十回をとってみても、自民党が得票数において五〇%を超えているというのは、後で公認した人を含めてやってみても二回しかないわけです。ですから私は、比例代表をそれならしましょう、自民党が政権交代する制度というならば比例代表をやりましょう。ただ、きょう山花委員からお話があったように、比例代表にはいろいろやり方がある。それは詰めればいい。ですから、自民党が政権交代ということが日本の政治のために本当に必要だというのだったら、ひとつ比例代表の方を本格的に考えたらよろしい。ただ、国民の中に、そうは言ってもそれ以前にとにかくまず定数是正をやれ、これはやるべきだ、国会でも決議しているからやるべきだという声もあるわけです。したがって、私たちの方は、とにかくまず定数是正をやって、選挙制度の問題については比例代表でひとついきましょうというふうに言っているわけで、ですから、提案が全然ないわけじゃないので、自民党さんも恐れずにひとつ比例代表でやってみたらどうでしょうか。比例代表だっていろいろな悪い点、顔が見えないとか難しい問題もありますから、それはそれなりに、いいところも悪いところもあることを承知の上で、しかし、政権交代ということで言うならば、私たちは比例代表を最も民意反映する制度だと思う。そこでハンガリーのように五十二も政党ができるかどうか。これは、参議院比例代表制が今入っているわけですから、そのうちにおのずからいろいろな国民の良識というものが発揮されてくるでしょうから、悪い点だけあげつらって今言っているように並立案などという全く変な制度を、木に竹に接いだような制度を入れるということではなくて、野党は共通して比例代表なら最も正確だというのですから、それなら比例代表にひとつ乗ってみてはどうでしょうか。
  31. 羽田孜

    ○羽田委員 今、国民はまず定数是正との声、国会決議があるからそういう声だということを言われたのだけれども、別に国民はそんなことを一度も、ほとんど声なんか聞こえてこない。(「それは冗談だ」と呼ぶ者あり)いやいや冗談じゃないですよ。むしろ私の方は、間違いなく選挙制度改革もやりましょうということを前回の選挙で公約して、我が党は勝利しているのです。だから、もし国民の声とするのだったらそっちの方が本当の声であって、少なくとも我が党は提案したのですから、だから、私はそれはちょっと詭弁だなという感じを申し上げざるを得ないということです。
  32. 堀昌雄

    ○堀委員 今の点だけ。  民主主義というのは手続が大切なんですよ。いろいろ理屈はあるでしょうけれども、手続が大切。国会というのはその手続を守った上で物事が進まなければ、国会決議という全党が責任を持って決議をしたことを棚に上げておいてさあ次に行きましょうというのは、民主主義の原点である手続を無視している。だから、私はこの間、各党がきちんと出し合って論議をして、その結果についてどうなるか、それはまた別な話だから、それをやらないで素通りしようというのは、要するにこの選挙制度のような民主主義を一番大切にしなければならぬ場所としては適切を欠くということで提案して、各党からお出しいただいた、こうなっているのですから、羽田さん、そこのところは、手続を尊重して処理した後で次に移ることに私は反対しているわけでも何でもないのです。
  33. 羽田孜

    ○羽田委員 先生、素通りとおっしゃったけれども、素通りじゃなくて、まさに中に入っているわけです。しかも、きちんと……(「それはだめだ」と呼ぶ者あり)何で。それはだめという言い方になってしまうと、それこそ、手続というのは話し合いなんだから……。
  34. 東中光雄

    東中委員 今の問題で言えば、国会決議は二人区、六人区ともなくして定数是正と言っているのだから、自民党のやっているのは、その問題を素通りして問題をすりかえていることは、これはもう事実だと思うのです。  私が言いたいのは、先ほど死票の問題を言われましたね、私が最初に発言したことに関連してだと思うのですが、死票というのは次の選挙影響してくるのですということを言われましたが、普通死票というのは、投票したけれどもそれが議席反映しないものが幾らあるかというのを死票として計算するわけですね。それが小選挙区制の場合は非常にふえるということを我々は言っているわけです。  それで、九〇年選挙と八六年総選挙のときの一人区、二人区、三人区、六人区それぞれの死票の割合を私調べてみました。そうしたら、九〇年選挙でいえば、一人区では四九・六%が死票です。奄美大島ですけれども。それから二人区は三六・二%、三人区になると二五・一%、それから四人区は二三・六%、五人区で二〇・七%、六人区で一一・七%。だからもう中選挙区制でいけば大体二割前後しかない。八六年選挙でいえば、一人区は四八・八%、二人区が三一・四%、三人区が二五・一%、四人区は二二・四%、それから五人区が二〇・七%、六人区は一一・七%。議席につながらない投票をするのは、有権者は嫌がるんです。だから小選挙区制になると有力な候補へずっといってしまうんですよ、第一位がうんと多くなってしまう。そういうことになるから、この制度民意を公正に反映するものではない。  我々日本共産党としては、中選挙区制が絶対だとは言っているわけじゃないんです。民意を公平に反映できるような制度としては比例代表制だ。ただその場合に、全国一区ということがいいかどうかということになれば、日本の今までの選挙の経過からいって、経験からいって、それから顔が見えるかどうかということ、選挙区の人との結びつきというようなこともありますので、私たち都道府県単位比例代表制をやるべきだという考えですが、今その選挙制度改正が問題なのではなくて、今一番中心なのは定数是正をやるかどうかということが大切なんだという立場で、あえて選挙制度のことを言うことは控えておるだけであって、武村さんが言うように、中選挙区制礼賛論者かのような感じを受けたと言われるから、そうではないということだけ申し上げておきます。
  35. 松原脩雄

    ○松原委員 私は、中選挙区制については、さっきから話を聞いていたけれども、これを積極的にする根拠というのは非常に薄いと思います。あくまで選挙制度というのは、いわゆる並べてどれがいいかなという話でありますから、そういう点からしますと、比例制と言われるものがあるべき選挙制度として、これは今の野党全部それで出てしまったみたいですから、あるべき選挙制度というものはやはり比例制だ。その比例制のありようについてはいろいろ詰めるべきだと思いますが、私個人は併用制のありようがいいと思います。  問題は、今この選挙制度改革をやるべきかどうかというところで、その前に定数是正をやるかどうかということだと思うのですね。私は、あるべき選挙制度というものについて本当に、今佐藤さんがおっしゃったようにあるべき選挙制度としての並立制対比例制、そういった議論をやはりどんどんやらなければいけないというふうに一つは思っているのです。  それからもう一つは、中選挙区制については、政策本位政党本位選挙システムという考え方からいうと、やはりこれは十分なものとは言えないというふうに私は思っています。社会党も、そもそもこの中選挙区制、前の大選挙区制から中選挙区制へ変えるときにこれはだめだと言うて、国会で最初の乱闘国会をやったのは、実はこの問題のときにうちの党がやったわけですよ。そのとき の批判は、大選挙制度に比べて中選挙区制に変えるということは、これは小選挙区制の導入により近いからだめなんだというふうな論議の立て方をしておるわけです。ですから私は、本来からいうと、私たち社会党の立党の原点というのは選挙制度については比例制だ、そういうありようになっていると思っています。  それからもう一つ。こうやって定数是正案が出てまいりました。我が党案でも、百三十選挙区中、とにかく数え切れないです、百以上は影響を受けるのですよ。あとは分区をしたり、合区をしたり、線引きを変えなきゃいかぬとか、こんな仕事私は初めての一年生議員だからまだやったことないですけれども、こんなごつい仕事が本当に現実にできるのかな、そこにどれだけのエネルギーを集中できるのか、そういうところを徹底的に、これはまさに徹底的に各政党、各議員にこういうものをよく見ていただいて、そして各政党の中で果たしてこれができるのかということを周知徹底して、そして議論をもう一回巻き起こしていく方策をとっていただきたいということを、私は希望しておきたいと思います。
  36. 羽田孜

    ○羽田委員 今松原さんの方からのお話があったのは、私も全くその点は同感でして、私たちが並立ということを出していく。ただ、これは急に出てきたものじゃなくて、やはり相当古くからこの議論があって、政権を安定させながらも交代していく、そういうことができるのはやはりこれじゃないのかなということで実は我が党は出しているわけです。しかし、これはいつも私、冒頭にも申し上げましたとおり、選挙制度というのは民主主義の土台なんだから、自民党だけが勝手なことを言ってそれで通る、通してしまうなどということはあり得るものじゃないし、また今の現状の中で、残念だけれども、衆議院を強引に通したとしても参議院の方でぶつかってしまって、今絶対にだめだと理解を得られないとしたら絶対だめなんですから、そんなことはできるものじゃないのですからね。私は、やはり率直にお互いに話し合っていくということが本当に大事だと思うのですよ。ですから、並立制についても今大体一応議論はしているようですけれども、もう少し本当に並立制でどこがいけないのかということを真っ正面からお互いに話し合うということ、それから、併用ではどうしてもだめなのかどうなのかということを我々だってお互いに議論し合うということは一向に構わないので、その意味で、先ほど堀先生が手続と言われたこの言葉を今度ちょっとほかの方に変えても、やはりいろいろなところの段階で話し合っていくというこの手続が大事だと思うのです。先ほど私の方からも申し上げたのは、いわゆる国会の中における協議会をつくってほしいというのはそのことを申し上げたのであって、確かにここでも割合と自由に話せるのですけれども、ただ、これだけたくさんの人数では本当に詰めた話というのはなかなかできませんよ。だからその意味で、そこからも代表していただくような人たちで、もう本当にひざを突き合わせながら、相当時間かけながら制約もなしに話し合っていく機関というものをつくったらどうだろうか。  それともう一つは、政治改革というのは選挙制度だけじゃない、先ほどから皆さんのお話があったとおりですから、またこれはこの委員会だけで議論すべき問題じゃないものもあります。そういうものも含めて、政治改革についての協議会というものをぜひひとつつくる。先ほど中野さんは、これについていついかなるときでもというお話があった。また井上さんの方からも、選挙制度だけで話すというのはおかしいよ、全体を話すのだったらというお話があったのでありますけれども、そういう意味で、やはり全体のことを話し合う場としての協議機関というものをつくっていただきたいということを、ぜひきょう私は皆さんの方にもお願いを申し上げたいなというふうに思っております。
  37. 小岩井清

    ○小岩井委員 今松原委員発言で羽田委員にお答えいただきましたけれども、自民党の案は比例制ではないのですね、率直に言って。
  38. 羽田孜

    ○羽田委員 小選挙区です。
  39. 小岩井清

    ○小岩井委員 そうですね。今比例制というふうに発言ありましたけれども、比例制ではない、あくまでも小選挙区制なんですよ。ですから、比例制という形で同じ土俵に乗れる案じやないのですね、率直に言って。
  40. 羽田孜

    ○羽田委員 いや、土俵に乗せられるとかなんとかじゃなくて、今松原さんからお話があったのは、並立も一つの案でしょう、併用も、私は併用を逆に支持したいのだ。またそのほかにも案があるでしょう、選挙制度というのはどれがどうのというのじゃなくて、やはり幾つかのものを並べて、そしてお互いにどれが一番いいのか、これを求めていくことが大事なんじゃないのかというお話だから、私はそのことに対して同意するということを申し上げたわけです。
  41. 小岩井清

    ○小岩井委員 それで、その前にやることがあるでしょうというのが我が党の考え方なんですよ。
  42. 羽田孜

    ○羽田委員 いや、それはわかっているのです。
  43. 小岩井清

    ○小岩井委員 手続きに従って、国会決議に従って現在の中選挙区制で定数是正をやる、それであるべき選挙制度については、これは各党一致して求心的に論議を詰めていく、こういうことじゃないかと言っているわけです。ですから、小選挙比例代表並立制は比例制とは認められないというふうに思うのです。それはもうそういう認識でいいのですね。
  44. 羽田孜

    ○羽田委員 それでいいのです。  ですから、私の方も、今の私の方の考え方は、まさに比例ということじゃなくて小選挙区というもの、結局並立というのは小選挙区を中心にしたものであるということ、これは間違いありません。ただ、選挙制度についてはお互いに話し合っていくことだろうと思う。  それから、今の定数是正というものの手続をという話、私もこれはわからないことはないんですよ。しかし、皆様方だって先ほどからの御論議の中にもあったようによくおわかりになっているように、これは大変な作業なんですよ。私自身も六増・六減案から八増・七減になっちゃったときにこの委員会理事をやったり、各党の代表の中の座長みたいなことをやっておりましたけれども、実際に皆さんの政党の中でも、こんなことをやるんだったら私は今の役職やめてもいい、そんな声まで実は出たくらいなんです。ですから、分区だとか合区なんてものが入ってきたら大変なことになるので、それだけのエネルギーを費やすのだったら、それだけのエネルギーを費やして、やってみたら今の複数のいろいろな問題点を全部残したままだったらこれはどうにもならぬじゃないか、これだけのエネルギーを費やすのだったら、こういった問題をただす意味で選挙制度そのものにも踏み込むべきじゃないのかということを、要するに我が党の中でも今あなたと同じような意見というのは相当たくさんあったわけですよ。そういうものをみんなに納得していただきながら、一応要綱という案にまとめたということでありまして、しかしまだこれからも我が党の中でもいろいろな議論というのをする場というものを私たちは設けておりますから、まだまだ今のような議論というのは我が党の中でも出てくるであろうということは、私は実は承知しておるということです。  ただ問題は、例の決議をした、そしてこれをしなければならない。しかしその後に、残念ですけれどもいろいろな事件が起こってきちゃったということなんですよ。ですから、そういう意味でも一緒にやっていくべきであろうということなんです。
  45. 小岩井清

    ○小岩井委員 今、分区、合区をするエネルギー、そこまでやるなら選挙制度そのものを抜本的に変えていくというおっしゃり方でしたね。ということは、では小選挙区に区割りするエネルギーなんてもっと大変ですよ。全部御破算にして選挙区を組み直すんですから、もっと大変ですよ、それは。
  46. 羽田孜

    ○羽田委員 そのことは十分承知しておりまして、ただ、そのことを進める場合には全部の議員たち影響を受けるわけですよ。何十人の人かわからないが、全員が影響を受けるということですよ。そういう中でお互い納得できるのかなということがあると思いますし、それからもう一つは、要するにこの定数是正を本当に一対二未満でやっていくということになりますと、私どものところの県なんというのは四人も五人も減っていくんですよ。一人とか二人減るなんてものじゃないんですよ。そういうものをやるんだったら、それだけの大きな荒療治をやるんだったら、やはり問題を残さずに一つの方向というものを求めた方がいいんじゃないのかということなんです。
  47. 山花貞夫

    山花委員 今の経過についてのお話を含めて、きょう提案している各党野党の案は六十一年方式、同数で増減じゃなくて、そこで人口比例で全部一緒でやろうということになって、そこは根本的に違うわけでして、六増・六減から始まって八増・七減のときにはやはりおれのところだけ不利益を受けるのは耐えられない、こういう格好で全体を一緒にやってくれ、こういう意見もあったりしたわけですけれども、とにかく比例でわかりやすく、それを覚悟しようというところは、流れとしては違ってきているということについてちょっと申し上げておきたいと思います。
  48. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと委員長に提案。この国会、五月八日に終わりそうですね、よくわかりませんけれども。そこで、要するに今各党がせっかくここに定数是正の提案を持っているわけですから、松原さんの提案のように、時間を限って、五月いっぱい各党ひとつ十分党内論議をして、これならいいかどうかという結論を持って、それでもう一遍この公職選挙の閉会中審査でやってもらって、そしてそこで各党、自分の党は自分が党の案をつくったけれどもこれで結構ですということなのか、やはりこれはちょっと手続としてやったけれども、ちょっとこれは無理だなということかがはっきりわかる、それをここの公式の場で各党が、今の松原さんの提案のように一カ月間党内論議をきっちりやって、あなたの選挙区こうなりますよ、いいですか、それをやって、そうすれば今の問題の一つ手続がそこで一応、どういう形になるかは別としても一歩前進するわけですから、だから閉会中審査で一カ月後に委員会を開く、そして今の各党、自民は自民党案、我々は我が党案を皆各党お出しになったんですから、論議をしてその結果を持ち寄るということで、きょうの話し合いを締めくくっていただいたらどうでしょうか。
  49. 石井一

    石井委員長 ただいまの堀委員の、大長老の御提案は、まことに建設的なものだと思いますので、各党ともひとつ今の意見を頭にとめていただきまして、今後委員会運営をやっていきたいと思います。
  50. 山花貞夫

    山花委員 一つだけ、お手数をかけて大変恐縮ですが、お配りした資料にちょっとミスがありましたので、二カ所ほど直させていただきたいと思います。  六ページの初めから二行目なんですけれども、「現行一三〇選挙区中」の中身で「定数変動のないもの三〇区……うち現に二人区であるもの三区」とありますけれども、「現に二人区等であるもの」と「等」を入れていただければと思います。これは新潟四区、石川二区、奄美を想定したものです。  それから別表の、これは見ていただければわかるのですけれども、一番最初の、上から北海道、青森、岩手、宮城とあるその宮城県一区のところです。五名が七名になる、「要分区」ということがここだけ落ちておりますので、ひとつ「要分区」ということを入れていただきたいと思います。
  51. 石井一

    石井委員長 今後も閉会中議論を進めていきたいと思いますが、私はちょっと最後に、委員長立場を逸脱しておるかもわかりませんが、きょうの議論の中で現実的な問題で一部感じたことを申します。  一つは、こういうことを言うと、野党を加勢するようなことにもなるかもわかりませんけれども、いわゆる自民党の永久政権論、中選挙区制のもとで十分やってこれたんだと言われるが、これは農村で戦っておられる万と都市で戦っておられる方との非常に大きな落差があるように思うのです。要するに十三万、十五万とっても落選し、五万、六万とって当選する。そして、我々十万とって落選したことがあるから負け惜しみで言うわけじゃないのですが、田舎の方は七〇%、八〇%の投票率があり、都会の方はもっともっと低い。しかも都会の方はそれの二倍、三倍とっている。そういうことになると、単なる一対三の落差でなくもっと大きな、都会のそれだけの票をとるのには金がかかるというか努力が要るというか。そういう中に常に自民党は四十数%の得票率をとって議席を六〇%占めたというのは、自民党の政権というのは虚構の上にあった虚像であって、現実には選挙には勝っていなかったわけです。言うなれば、中選挙区のメリットを最大限に生かしながら、常にアンバランスを維持しつつ過半数議席でこれをマヌーバーしてきたというかマネージしてきた。こういう面が一つはやはり否定できないと思うのです。  我々は本当にくやしいなということを常々感じてきました。しかしながら、これで自民党が助かっているんだなということも感じたのは事実です。これは羽田先生とか塩崎先生と私の立場とは大いに違うと思うのです。私は身近に、堀先生が隣の選挙区、中野先生もその隣、その南に東中先生がいらっしゃる。この辺の周辺は自民党はマイノリティーに落ち込んでいるわけですね。  例えばごくごく最近起こりました神戸の市会の例を申し上げますと、こんな地方のことを言って恐縮ですけれども、わかりやすい話として申し上げるのですが、議席が七十議席の中で、自民党は二十二、三、社会党が十五、公明党が十四、共産党が十三、民社党が十二、こういうふうなことになりまして、これはプロポーショナルな比例代表制の投票と一致しています。地方議会の方がよほど先行しまして、常に定数是正をやっていますから、出てきている票と議席というのは非常に一致しています。それが住民の感情であるということも言えますね。それは民主主義で、正しいと言えますけれども、今度はその中で起こっておる政治というのは、妥協ですよ。行政はあっても政治はなくなってしまいます。自民党から社会党まで全部妥協して、一致しなければ何もできないのですから。だから、中選挙区制をここから先また自民党は変えるようですが、定数是正だけやって、民主的な政策中心政治ができるかと言ったら、これまたできない。だから、そこでやはり羽田君なんかの言っている抜本的な問題に取り組むという必要はあるが、今言っておる意見は両方とも確かに傾聴に値するし、その置かれている立場によって物すごく違う、こういう問題があると思うのですね。  これは、歴史的な大事業ですから、ひとつ委員長としても真剣に取り組みますので、御協力をお願いします。(拍手)  本日は、この程度にいたします。  次回は、来る五月八日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十一分散会