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1991-04-24 第120回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月二十四日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 桜井  新君    理事 金子 一義君 理事 木村 守男君    理事 北村 直人君 理事 笹川  堯君    理事 渡海紀三朗君 理事 木間  章君    理事 三野 優美君 理事 吉井 光照君       金子原二郎君    瓦   力君       小坂 憲次君    塩谷  立君       島村 宜伸君    高橋 一郎君       武村 正義君    東家 嘉幸君       中島  衛君    野田  実君       山本 有二君    石井  智君       上野 建一君    貴志 八郎君       須永  徹君    松本  龍君       山内  弘君    伏木 和雄君       薮仲 義彦君    辻  第一君       菅原喜重郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 大塚 雄司君  出席政府委員         国土庁長官官房         水資源部長   山内  彪君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省道路局長 藤井 治芳君         建設省住宅局長 立石  真君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   島田 尚武君         環境庁水質保全         局水質規制課長 久野  武君         厚生省生活衛生         局水道環境部計         画課長     荻島 國男君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課浄化槽         対策室長    佐藤 文友君         農林水産省構造         改善局建設部整         備課長     上田 一美君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     大関  親君         建設大臣官房技         術審議官    玉田 博亮君         建設省都市局下         水道部長    福井 経一君         自治省財政局準         公営企業室長  西川 一誠君         建設委員会調査         室長      吉沢 奎介君     ───────────── 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     古賀 一成君   野田  実君     武藤 嘉文君   上野 建一君     小野 信一君 同日  辞任         補欠選任   古賀 一成君     遠藤 武彦君   武藤 嘉文君     野田  実君   小野 信一君     上野 建一君 同月二十四日  辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     小坂 憲次君   鈴木喜久子君     須永  徹君 同日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     遠藤 武彦君   須永  徹君     鈴木喜久子君     ───────────── 四月十八日  精神薄弱児・者に対する有料道路通行料金障害者割引の適用に関する請願石田祝稔紹介)(第二六九四号)  建設省公共事業関係職員大幅増員に関する請願(辻第一君紹介)(第二八八四号) 同月二十二日  建設省公共事業関係職員大幅増員に関する請願木間章紹介)(第二九〇四号) は本委員会に付託された。 四月十七日  尾瀬分水反対に関する請願(第一八二一号)は、「佐藤隆君外一名紹介」を「伊東正義紹介」に訂正された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案内閣提出第五六号)(参議院送付)      ────◇─────
  2. 桜井新

    桜井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。貴志八郎君。
  3. 貴志八郎

    貴志委員 日米構造協議によりまして、四百三十兆円の公共投資が行われるようになったわけですが、ただいま議題となっております下水道法の改正につきましてもその一環であります。  建設大臣は、この日米協議の結果、公共投資が行われるというこの精神をどのように踏まえられているか、その基本的な理念。それから具体的な展開は、国土の均衡ある発展という点に基本的な考え方をお持ちになって提案をされておるのか、まず基本的にそのことについてお尋ねをしておきたいと思います。
  4. 大塚雄司

    大塚国務大臣 昨年の六月の「日米構造問題協議最終報告」におきまして、平成三年度に改定をいたします五カ年計画策定に当たっての目標といたしまして、計画期間中に普及率を約一〇%向上させるとともに、浸水対策等を推進しまして、健全な都市環境の形成を図るとされたところでございます。同時に、最終報告に盛り込まれました「公共投資基本計画」におきましては、「整備の遅れている中小市町村での積極的展開を図り、おおむね二〇〇〇年を目途に総人口普及率を七割程度とする。」とされたところでございます。  今回の下水道整備五カ年計画におきましては、これらを受けまして、平成三年度から平成七年度までに処理人口普及率を五四%に引き上げることといたしたわけでございます。この目標に向かいまして、建設省挙げて全力を挙げ、地方公共団体の皆様とも協力をいただきながら所期の目標達成いたしたい、このように考えております。
  5. 貴志八郎

    貴志委員 七〇年代の後半からゼロシーリングということで、公共投資の抑制がずっと続いて冬の時代を過ごしてきたわけでありますが、今度の公共投資建設省としては絶好の機会として、今おっしゃられたように長期構想を前面に出して、下水道普及率最終には七〇%まで引き上げたいというふうに出されたわけでありますが、この下水道の問題は、言ってみれば日米構造協議の結果の目玉の一つである、私はそういうふうに見ておるわけです。ですから、この普及率達成の結果がどのようなことになるかということは、日米協議の行方を見詰めておるアメリカ側にとっても関心の深いことであろうかと私は思います。  そうなってまいりますと、アメリカ日本との構造協議基本はやはり経済摩擦の解消ということにあったわけですから、この公共投資、特に下水道という問題に限って言えば、下水道がいかに普及するか、その普及日本国土の均衡ある発展ということをいかに基本に置くか、その成果がいかに上がるかということが、少なくともアメリカ側の大きな視点になってくるだろう、私はそう思うわけです。しかし今計画されておる五カ年計画下水道計画は、従来の進捗率普及率上乗せをする。どちらかと言えば、単純に一〇%ないし十数%の上乗せをするというふうな形になっておるのではないか。  それで、都市集中ということになってまいりますと、生産点の高いところへの行政公共投資集中というふうな結果になるとすれば、それは日米協議精神から外れてくるのではないか。おっしゃるように未着手中小都市、あるいは後で申し上げますが、大変おくれた地域レベルアップというふうなことを考えてやらないと、均衡ある国土発展ということにはならないし、日米構造協議精神にそぐわないことになるおそれがある、私はそういうふうに思うわけでありますので、まことに恐縮ですがもう一遍、そういう国土の均衡ある発展ということを基本に置いてこれから進めていくならいくということで、まず基本的な見解を賜っておきたいと思うのです。
  6. 大塚雄司

    大塚国務大臣 ただいま先生指摘のように、国土の均衡ある発展を図るためにも、この下水道事業を進める大きな柱があると思うのでございます。  特に、国民の快適な生活に不可欠であるこの下水道事業でありますが、七〇%達成はいわゆるナショナルミニマムでございまして、その整備に対する住民の声は、ただ大都市だけでなく、先ほど申し上げた中小市町村においてもこれを強力に進める。特に、生活関連重点化枠におきましても、公共事業を推進する上でいわゆる生活環境文化機能に密着した公共投資を進めていくという精神もございますので、この下水道事業の進め方につきましては、いわゆる中小市町村重点を置きまして進めていきたい、このように考えております。  特に、第七次の五カ年計画では、水質保全あるいはまた浸水対策はもちろんのこと、中小市町村が実施する公共下水道管渠補助対象範囲を見直すとか、あるいはまた下水道基本計画策定費補助制度の創設による計画づくり支援であるとか、また過疎地域にかかわる都道府県代行制度などの施策を実施いたしまして、普及がおくれている中小市町村下水道整備を進めていく、こういう考えでおるわけでございます。
  7. 貴志八郎

    貴志委員 お考えとしては基本的にそういうことであってほしいし、でなければいけないと思うのです。  ところで、具体的に今の大臣のお考え方がこの五カ年計画の中に生かされているかどうかということを、少し検討しなければならぬと思うのです。それで、平成二年ですかの国内における下水道普及率県別に見てみます。そうすると、全体としては四〇%ということでありますけれども、一けた台の普及率の県が三つある。一〇%台は十一県、二〇%以下というのは合わせて十四県ということでありますが、その低普及率のほとんどの県は国土軸から離れた県が多いわけです。しかも、それらの県下の市町村財政力は極めて弱い、そういう状態のところが下水道普及率がおくれているわけです。  理由はいろいろあるでしょうが、国土軸に直結する道路が欲しいとか、そのほか他の緊急な課題に追われて下水道に手が回らなかったというふうな点もあろうかと思いますが、そういうおくれた県がなぜおくれてきたのか、そういう調査をしないで、その県のレベルアップ考えないで今度の五カ年計画を立てておるとするならば、先ほど大臣の言われた精神からかなりそぐわないものになってくるのではないかという心配をいたしますので、その辺のところをひとつ説明をいただきたいと思います。     〔委員長退席木村(守)委員長代理着席
  8. 市川一朗

    市川(一)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の方から御指摘ございましたように、下水道普及率全国平均では四四%でございますけれども都道府県別に見ましてもかなり差があるわけでございます。これを都市ごと人口別に調べたデータもございまして、それで分析してみました場合に、やはり何といいましても顕著なのは、人口五万人未満市町村普及率が極めて低いということでございます。いわゆる大都市人口百万人以上の都市平均普及率は八九%からほぼ九〇%近い普及率であるのに対しまして、人口五万人未満市町村は、全国の総都市数三千二百四十六のうち二千八百を占めるわけでございますが、平均いたしまして八%の普及率でございます。しかもそのうちの二千に及ぶ市町村は、下水道が全く未着手という状況でございます。  第七次五カ年計画策定に際しましては、先ほど大臣も御答弁を申し上げておりますように、私ども全国普及率のアップということ、引き上げに関しまして最重点課題として取り組んでおるわけでございますが、中でもこうした未着手市町村も含めました中小市町村下水道普及率引き上げる、なかんずく未着手市町村における下水道事業への着手といったようなことが極めて重要な課題でございまして、これが動き出しませんと、ただいま先生からも御指摘がありましたように、本当の意味での下水道行政国民の期待にこたえることにならないという認識を、私どもも持っておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういった中小市町村下水道事業がこれから円滑にかつ強力に推進されるような対応策をいろいろ講ずる必要があるということで、先ほど大臣も代表的な例として補助対象範囲拡大等お話し申し上げたわけでございますけれども、私どもはそういった基本的な考え方に立っておるわけでございます。  幾つかの柱を考えておるわけでございますが、まず一つには、そういった中小市町村、何といいましても財政上の事情があるわけでございまして、財政上の手当てをきちっとやってやる必要があるという観点から、幾つかの点で財政的な手当てを講じることとしております。特に、平成三年度に導入されました生活関連重点化枠につきましては、おかげさまで下水道公共事業国費の中で絶対額で一番多い額を割り当てていただいたわけでございますが、それのすべてを中小町村に割り当てるという考え方をとっておるわけでございます。そういったようなことを含めまして財政的な手当てを講ずる。  そのほかに、やはり財政上の問題だけではなくていろいろと人的な制約その他もろもろな問題がございます。先ほど、どの程度の分析をした上でどういう取り組みをしているのかということに関しましての問題点もお触れになりましたけれども、私どもといたしましても、できるだけそれぞれの町村、県の実情をつぶさに検討いたしまして、またいろいろお話もお聞きいたしまして、それぞれの実情に的確に合うような形での政策展開を強力に進めてまいりたい、基本的にはそういうふうに考えておるところでございます。
  9. 貴志八郎

    貴志委員 今いろいろおっしゃっていただきまして、それは肯定的に私どもも受けとめるわけでございますが、全国ランクで一番下の和歌山県の場合を一つ例にとりますと、現在の普及率が四%であります。これが五カ年計画によって一〇%増しの約一四%ということで、結局はレベルアップにはならないのですね。同じ一〇%をふやすということになっても、もとが小さいものに一〇%ふやしてもそれは絶対金額としては小さいわけでありまして、しかもおくれた地域レベルアップという割には、全体としてびりはやはりびりということになってくるわけであります。こういうところはなぜおくれているか、今度の五カ年計画でこれのレベルアップに対する手だてを講じるための努力、またそのなぜおくれてきたかという調査、原因の上に立ったやり方、手法というものがあるはずではないかと思うのでありますけれども、数字に見る限りにおいてはそういった配慮がなされ ていないのではないかというふうに思います。  和歌山のみならず、下水道普及のおくれているようなところは、大体その県は行政投資の実績も大変低いようであります。そういう点を考え合わせますと、やはり国自体行政投資というふうなものをそこらのところでさじかげんをしてやっていかないと、全国のでこぼこを調整することにはならぬ。先ほど大臣も均衡ある国土発展ということを十分に考えてやっているんだというふうに言われましたけれども、例えばの話、そういうふうに大変おくれたところに対するレベルアップというふうなものについて何か特別な配慮考えて、だから四%を二〇%にするとか、そういうふうに他の府県より以上の進捗考えるというふうなことを考えなければ実効は上がらないと思うが、いかがでしょうか。     〔木村(守)委員長代理退席笹川委員長代理着席
  10. 市川一朗

    市川(一)政府委員 下水道普及率全国平均で見ますと、現在四四%を五年後には五四%に引き上げるということで一〇%の引き上げになるわけでございますが、それを和歌山にそのまま平均的な考え方として一〇%引き上げるというような、そういう考え方は私どもは持ってないわけでございますけれども、しかし基本的には、ただいま先生指摘がありましたように、それなら和歌山なら和歌山普及率拡大するためにどういう具体的な措置を講じておるのかというような問題意識につきましては、私ども自身も同じような問題意識を持っておるわけでございます。  先ほども、やや抽象的に大ざっぱなお話をして大変恐縮でございましたけれども財政事情等につきましていろいろな措置を講ずることによりまして、どちらかといいますと県単位というものの平均値は結果として出てくる、具体的にはそれぞれの市町村単位下水道普及ということを念頭に置いているというのが我々の基本的な考え方でございまして、もう既に平成二年度から導入してございますが、一つは、過疎市町村の場合、補助対象となる管渠範囲拡大を講じました。それから、下水道事業へは今まで認められておりませんでした過疎債の導入も図っております。過疎債は、通常の下水道事業債でございますと元利償還金の五〇%が交付税の算定に当たって基準財政需要額に算入されるわけでございますが、それが七〇%まで高められるわけでございまして、これを下水道にも適用されるようになっております。  さらに、平成三年度におきましては、中小市町村が実施する公共下水道管渠につきましてさらに補助対象範囲を見直すことといたしましたほかに、下水道着手市町村に対する基本計画策定費補助、これも制度を創設してございます。さらには、もっと非常に思い切った措置といたしまして、過疎地域に対しまして公共下水道都道府県による代行制度も創設していただいたわけでございます。  こういったような財政上の支援一つの柱といたしまして、中小市町村普及率拡大に努めるということを私どもやっているわけでございますが、私も各市町村実態等市町村長さん方とお会いした際にいろいろな形でお伺いしておりますけれども一つ言えますことは、下水道に非常に熱心な市町村長さんがおられる市町村はやはり普及率が非常に高まっているということはあるわけでございまして、私どもといたしましては、やはり首長さんの下水道に取り組む姿勢というものをぜひ支援してまいりたい、そういうことによって具体的な成果を上げていくようにしてまいりたい、こんなふうにも思っておるところでございます。
  11. 貴志八郎

    貴志委員 いろいろと工夫をされているということは、私は否定はしていないのです。ただしかし、何遍も和歌山県を引き合いに出して恐縮でありますが、この第七次五カ年計画でも、和歌山県の場合を見ますと未着手地区がやはりかなり多いわけです。ということは、今おっしゃられたいろいろな財政措置は、一般的にその網にかかるところはかなりあるでしょう。しかし、それでも網にかかれないと申しますか、それでも負担金それから起債の元利償還などについて、とにかくその財政負担におびえているという町村がやはりかなり、特に過疎地と言われる、人口減少傾向のある中小町村ではそういうふうなことになっているということは認識をしておいてもらわぬと、全体のレベルアップにはならないよということを強く申し上げたいわけなんです。  今、町村長行政の側の熱意の問題だというお話がありました。それはもちろんわかります。しかし、同じ小さな町でも、例えばぐるりが道路に取り囲まれて道路行政などでこれから新たな道路を特に必要としない地域と、広い地域過疎地をつなぐ道路が必要だ、それに資金をかけなければ町がもたないという場合があるのです。それで、和歌山なんかでも太地町という町は一番小さな町なんですが、そこでは下水道普及しているのです。それは条件があったと思うのです。条件がなければ、いかに熱意を持っていてもそれはできないということはひとつ理解をしておいてかかっていただかなければ問題がある、こういうふうに思います。  そこで、この問題についてこれ以上論議するというよりも、むしろ今申し上げたように財政負担にたえられない、現在の補助金なりさまざまな特典を活用してもなおかつ下水にまで財政的に手を出せない、そういう地域や、あるいは先ほど来言っているように大変おくれているところをレベルアップさせるための特別な、何というか加算積み上げ方式と呼ぶのでしょうか、そういうふうなものを財政的に考えなければ、いうところの全国の均衡ある発展にならない。仮に普及率全国が五四%になる、七〇%になるといっても、全然手のつかないところがまだ千も二千もあるんだということになってくると、これは日米構造協議精神からいっても問題がある。都市集中ということになってくると、生産点の多い都市集中だけをさらに促進させる役割をしたということになると、また新たな論議の火種になるんじゃないかという心配をするんですが、その辺の財政的な特別な措置財政当局に要求していくなり、全般としてレベルアップできるような方途を建設省としてどのようにお考えになっているかということをもう一遍、今考えられている制度はそれで結構なんです、それがいかぬというのじゃない、それは大いに結構。しかし、それ以上に財政的に考えていかないと、網にかからないところがあるし、おくれているところをレベルアップはできないというふうなことでお答えをいただきたいと思うのです。
  12. 市川一朗

    市川(一)政府委員 ただいまいろいろなお話をお伺いいたしたわけでございますが、私どもも現実に市町村長さん、なかんずく町長さん、村長さんとお会いしておりますといろいろなお話をお伺いするわけでございまして、先ほど私、熱意の問題を軽々に申し上げましたけれども、本当に熱意はあってもなかなか、その町の状況からいたしますと財政事情の問題がもちろん大きな問題ではございますけれども、それ以外にいろいろな自然的条件もあるわけでございます。  下水道でございますとどうしても水が必要になってまいりますが、その水源対策の問題から取り組まなければならないという問題もあるわけでございます。それから、もちろんそういう下水道行政を進めるに当たりまして、専門の技術者も含めました人的な資源の問題もあるわけでございます。もろもろの問題がございますので、一つや二つの対応策を私どもが用意したからといって、すぐ直ちにそれぞれの町村長が単なる熱意だけでもって着手できるとは限らないではないかということにつきましては、私ども大変痛感しておるところでございまして、まさに御指摘のとおりだと思っておる次第でございます。  いずれにいたしましても、先ほど冒頭に大臣も御答弁申し上げましたように、また先生からも御指摘がありましたように、下水道普及ということは一つ国民的課題になってまいっております。それを達成するためには、やはり未着手市町村下水道事業への取り組みをメーンといたしますそういう中小市町村対策をやらない限りは達成できないわけでございますので、ただいま私どもがるる御説明申し上げました施策だけでは不十分な部分もいろいろあろうかと思います。今後ともいろいろきめ細かく、財政事情だけではないいろいろな対応策を講じてまいりたいと思っておりますので、またよろしく御指導を賜りたいと思う次第でございます。
  13. 貴志八郎

    貴志委員 それでは、次に人の問題について質問をしておきたいと思うのです。  例えば今度の下水道の五カ年計画で大幅にふえた事業量に対して人的な配置、これは幾つかあると思うのです。建設省自身、それから地方公共団体、それから施工者、そういった面でそれぞれ人間配置技術者配置、養成、確保、そういったことが当然必要になってくるわけですが、そういう各方面について、まず財政的な面からそれは配慮されているか。また、今度の四百三十兆公共投資に対して建設省分がかなり多いわけですが、人間の定数の問題などについてどんどん減らしてきたわけですが、一体それを減らしたままで対応できるというのかどうか、その辺のところをお答えいただきたいと思います。
  14. 市川一朗

    市川(一)政府委員 人的な面につきましても、私ども下水道行政をこれから展開をするに当たって極めて重要な課題であると認識しておるところでございます。  基本的に、市町村におきましては下水道技術者は不足しておるわけでございますが、これに対しましては建設省都道府県におきましてまず積極的に技術的指導を行うということを基本にしておるわけでございますけれども、さらに日本下水道事業団におきまして研修制度を設けておりまして、その研修制度による技術者の養成といったようなことも行っておりますし、国及び地方公共団体間相互を通じまして人事交流によります技術者の交流等を行っておりまして、大体これまではそういったような形で対応してまいりました。  また、もう少し具体的な話といたしましては、地方公共団体の方から御要請がございました場合に、それに応じて日本下水道事業団が下水道施設の建設等を受託するというような形で、地方公共団体支援組織としての日本下水道事業団の活用ということもやってまいってきたところでございます。平成三年度からは新たに、先ほども申し上げましたが、過疎地域ではございますが、都道府県市町村にかわって公共下水道の根幹的施設の設置に関しまして代行する、都道府県がかわってやるといったようなことも取り入れられたわけでございます。こういったようなもろもろの手段を今までも講じ、これから新たに講ずることによりまして、下水道事業推進のための人的体制の充実というものに私どもは取り組んでいく必要があるというふうに考えておるところでございます。  また、こういったものを行うに当たりましては、当然御指摘のように市町村レベルにおきましての財政上の問題もいろいろ出てまいってくるわけでございまして、財政的な支援体制につきましても、先ほどもちょっと触れた面もございますけれども、いろいろと対応策を講じてまいろうと思っておりますが、特に技術者の養成という観点からの財政上の手当てという点で、ここで御報告申し上げるような特筆すべきものは、今御答弁申し上げた程度のところでございます。
  15. 貴志八郎

    貴志委員 この間の広島の大事故で、人の問題について改めて見直され注目をされておるわけです。あの事故だって、監督だとか施工者側の問題もあれば、いわゆる施工に対する制度、体制の問題がある。それから監督指導に当たる官庁側にだって、いろいろと人手不足というふうなものが基本になっていたということは、もうこれはだれも否定できない状況だったと思うのです。私は、きょうはまあ本題と違いますから、そのことについてあえて言うわけではありませんけれども、この広島の事故を一つの教訓とするならば、当然事業量のふえていく下水道事業にもやはり同じことを考えておかなければ、延長線上の問題として考えておかなければ、これはいろいろな意味でひずみが生まれてくると思うのですね。     〔笹川委員長代理退席委員長着席〕  今の業務委託の問題などの話がありましたけれども、ここ数年間に建設省の、特に各地建や工事事務所で一万人からの人員削減があったと聞いておるわけなんです。言うところのころころ配転というふうな形で、建設省の単身赴任率は、一般公務員の平均三・三%に対して八・二%もあるというんですね。それだけ建設省関係の仕事量、技術者の数、そういったものとの関連の中で大変な負担を職員にかけている。今までゼロシーリングであった時期に減らしてきて、今度ふえたときに減らしたままでやれというのは、大体そこから無理があると思うのです。  そこら辺のところをやはりきちんと押さえて、どうするかということを見ないと、机の上でその数字をいらっているわけにはいかぬ。その辺のもっと末端での仕事の量というものを考えてあげないと、この事業の円滑なる推進ということはない。もちろん設計の委託だとかそういうふうなことで、建設省の下部機構でもいわゆるアルバイトやそういう委託業務をやる人がどんどんふえて、それがもはや本職員の三〇%にも上っているというふうに聞くわけですが、そういったことでこれからの公共投資の円滑な事業展開というものがあり得るのだろうか、私は人の問題でそのことを非常に心配するわけなんです。  それで、地方公共団体の問題については後で聞きますが、まず建設省自体の人の配置、定数の問題について、事業がふえたんだから定数も見直さなければならぬというのが我々の常識でありますが、その辺のところをひとつわかるように答えていただきたいと思うのです。
  16. 望月薫雄

    ○望月政府委員 お説のとおり、公共事業を的確に実施していく上には、行政もあるいは企業も含めて人のあり方というのは大変重要であると認識しております。そういった中で、今お話しの建設省の定員のお話でございますけれども、御指摘のように、昭和四十二年と今日を比べますと、当時三万五千人程度おった職員が今では二万五千人程度と、約三割の定員が減となっております。これはもう先生も御案内のとおり、政府全体の累次にわたる定員削減計画によって、現在七次定削が実施中でございますが、その枠組みに沿って建設省も定員についてそういう削減をせざるを得なかったという経過がございます。  それはそれとして、今後の四百三十兆円問題を初めとする住宅、社会資本整備を進めていく上で、私ども当然のように行政全般を適切に指導していくという立場とみずから行う直轄の分野と、両方含めて業務が大変忙しくまた複雑になってくると思っております。そういった中で今後の定員管理はどうあったらいいかということは、私どもも大変重要な課題認識しておりますけれども、いずれにしましても七次定削後は、政府全体としてどういう方針で組み立てられるのか、これを着目しておるところでございますが、私どもとしましても建設省の仕事の実態というものを広く訴え、御理解を深めながら、しっかりとした定員管理に努めていきたい、かように考えておるところでございます。  それから、お話の中に単身赴任の率が高いというお話がございました。確かに統計として見ますると、そのこと自体否定できません。これは申し上げるまでもありませんけれども建設省の職場、現場というのは、全国に事務所、出張所をたくさん持っておりまして、またそういった中で国民の希望にこたえるきめ細かい行政サービスというものを展開しておるわけでございまして、どうしても職場が全国に散らばるというこの特性、こういった中ではっきり言いまして家族の御事情等々も含めて、最近ではまた学校問題等々も大変影を落としているわけでございますけれども、そういった中で単身赴任者というものがいささか多い数字になっておりますが、ともかく職員の皆さんが本当に生き生きとして頑張れるような職場づくり、こういった観点からも我々努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  17. 貴志八郎

    貴志委員 いずれにしても、事業量がふえるのに他の省庁と同じような逓減策というのはどうも納得がいきがたいわけです。それから、職場がたくさんあるから単身赴任も多い、そうでしょう。であればこそ、建設省に関する定数問題については他の省庁と同じようにはいかないんだということを、我々委員会もこれについてはかなりやかましく言わないと、日米構造協議の大事なことをやる建設省が他の省庁と同じように人員削減の対象で、そのまま今までの計画どおりやっていくというふうなことをのまされるということではお話にならぬと思うのです。これは議論するよりも、とにかく政府も我々も一体となって、そういったことについてはかなり強力にやっておかなければならぬことではないかということを、特に申し上げておきたいと思います。  そこで、地方団体についてでありますが、地方団体はそういう意味ではもっと深刻であります。地方の時代、地方分権というふうなことが叫ばれて久しいわけでありますが、どうも地方分権どころかどんどん中央集権の傾向にある。今度の業務委託に関するさまざまな地方のお手伝いということは非常に結構でありますけれども、それが中央へのもたれかかり、中央のいろいろな指導以外にもう何もできない、手も足も出ない、要するに地方の時代どころか中央集権というふうな形になるという、理念としての問題はありますが、きょうはそれはさておいたとして、つくった下水道の維持、管理、運用というものについては、市町村にもう全部やってもらうことになる。そうなってくると、構造上のトラブルが起こった、それっというふうなときだって、やはり市町村でそれなりの人手を確保しておる場合には市町村で解決できるわけです。一々事業団の方に申し出ていかなくたって、少々のことは市町村で片がつく。当然のこととして、そういうふうな体制をとっておくべきではないか。  そうなってくると、その市町村公共投資関連の人間の枠というのはやはり与えておかないと、実際には言うように対応ができない。そういう点を考えて、これは果たして建設省の役割になるのかどうか知りませんけれども、自治省に仮に関連があるとすれば、自治省に対してそういうことを建設省の側から、確かに必要な項目になってきておりますよということをしっかりと申し出を行って、その辺のところの対応ができるようにしておかなければならぬと思うのですが、そういうことについてのお考えを聞いておきたいと思います。
  18. 福井経一

    ○福井説明員 下水道の技術屋というのが全面的に少ないのは御指摘のとおりでございまして、この下水道事業をまず強力に進めるためには、下水道技術者の養成とか訓練というものが緊急の課題でございます。  こういったことから、地方公共団体下水道技術者を対象といたしまして、日本下水道事業団で昭和四十七年度から研修制度というのを創設しております。毎年相当数の研修を行いまして、平成二年度末までに一万九千六百名、おおむね二万人弱の研修終了者を送り出しておるわけでございます。この日本下水道事業団の研修は、講義とかあるいはまた演習、それから実習、こういったことに重点を置いておりまして、維持管理とか建設、そういったものにすぐに役立つような実践的な研修として非常に評価されておるわけでございます。  私ども第七次下水道整備五カ年計画を進めるに当たりまして、こういった普及のおくれております中小市町村下水道整備、あるいはまた未着手市町村の解消、こういったことを最重点として考えておるわけでございまして、地方公共団体支援組織としての日本下水道事業団の果たすべき役割というものが、今後ますます増大してくると考えておるわけでございます。こういった地方公共団体の意向を踏まえまして研修計画策定、あるいはまた受託事業への対応等を積極的に推進していくこととしておるわけでございます。
  19. 貴志八郎

    貴志委員 研修制度を持つようになったとか既にやっているということは大変結構なことでありますけれども、問題は定数を確保してやらぬことには、今ある他の仕事をやっている技術者がこっちで研修を受けてそれも兼務できるということで、結局はマンパワーに頼らざるを得ないというふうなことになるわけですから、建設省自体の定数もこれは確保してもらわなければいかぬが、同時に、これだけの仕事量をこなす市町村においても定数をやはり確保してやらないと、円滑な事業の進展は考えられないということはしっかりと念頭に置いてかかってもらいたい、強く要望をしておきます。  時間がないので、あと工場の排水対策について若干質問をいたしておきたいと思います。  工場排水の場合、今度の下水道都市下水ができてくればそれにつながれていくことになろうかと思うのですが、その放流の基準をどのようにしてチェックしていくか。下手をすれば、その基準をオーバーしたような放流水がどんどん下水道に流されていきますと、処理能力からいっても下水道自体の汚染ということが考えられるわけであります。こういう放流基準をどのようにしてチェックするか。私は、これは法律としてきちんとやっておかなければ、今後大きな問題が残るのではないかと思いますが、お考えを聞きたいと思います。
  20. 福井経一

    ○福井説明員 下水道法におきまして、下水道に工場排水を受け入れるというのが通常でございますが、これで重金属等、終末処理場で処理が非常に困難な物質を含む場合があるわけなんですが、そういった下水につきましては、水質汚濁防止法と同様な排出基準を設けまして、工場の責任においてその基準に適合させた上で下水道に受け入れるということにしております。  いわゆる悪質下水に対しまして指導監視の職員というものが、平成元年の三月末現在で全国で千五百三十六人おるわけなんですが、昭和六十三年度に下水道法十三条に基づきます立入検査というものを行っております。ここでは約六万回、一つの事業所に対しまして一年で大体一・三回の平均になっておりますが、六万回実施したという状況でございます。  こういった適正な排水を担保するに当たりまして、各事業者に対しまして十分な指導監督を行う必要があると考えておるわけでございますが、このため地方公共団体指導監督体制を一層強化する必要があると思います。私どもといたしましては、そういった観点から地方公共団体指導しているところでございますが、今後より一層指導を強化していきたいと考えております。
  21. 貴志八郎

    貴志委員 そういうことで非常に監視体制を強めるということは結構なことでありますが、別に企業を信頼しないというのじゃありませんけれども、どうも今までの経過からいいますと、よほどチェック体制をきちっとしておかなければ、少し目を緩めると二次公害を引き起こすおそれが十二分にある。ですから一つは、やはりチェックをどうするかということで、これは法律的に根拠をきちんと下水道法の中で考えるのか、そこら辺が一つ。それから監視、調査の結果をやはり公表して、社会的な規制を与えるということも一つの方法ではないかというふうに私は思うので、そういった面での配慮をどうするかという問題についてお答えいただきたい。  それから、ついでにもう一つ別な課題でありますが、工場排水を受け入れるということで下水道ができます。それだけのキャパシティーを持った下水道ができるわけですが、その工場が不意に休業になる、不意にやめるということになりますと、その施設は大き過ぎてむだになるというふうなことが十分起こり得るわけでございます。現在そこにあるけれども移転するということもあり得るわけですが、そういった遊休施設が生じてくるというふうなことについて、工場排水の受け入れという観点の中でどのようにお考えになっておるか、聞きたいと思います。
  22. 福井経一

    ○福井説明員 最初の御指摘、水質検査をしてそれを公表するかどうかという御指摘かと思いますが、水質検査をいたしましてそれを一般に公表するという制度は特にございません。ただ、私どもはそういった内容を十分検討して、その工場に対してそれぞれの改善命令を出すとかといったことは実施しておるわけでございます。  それから、もう一点の工場排水の受け入れという問題でございますが、下水道は通常の家庭下水と工場排水を受け入れるという前提で計画されております。ただ、それも工場の種類によりまして、工場が独自で処理をすることも間々あるわけでございますが、通常は工場排水を受け入れて実施するわけでございます。それも、将来計画を十分に配慮いたしまして計画しているわけでございまして、工場がやめるというようなときにはどうかという御指摘でございますが、それは一たんつくり上げてしまったものはなかなかそう簡単に変更できないわけでございますが、そういったものは将来計画というものを十分見越して計画し、建設されるものであるということでございます。
  23. 貴志八郎

    貴志委員 意見として申し上げておきますが、工場排水の問題は、原則的には私はやはり別途考えなければならないのではないかという意見を持っております。これは、検討課題として申し上げておきたいと思います。  最後の課題について質問いたします。これは少し変わった課題でありますが、下水道が今までなかったところにできますと、蚊が異常に発生するというふうなデータが私の手元にやってまいりました。本来言いますと、下水道都市の衛生、美化という観点からいいましても快適な環境づくりに役立つはずでありますから、そういう意味からいいますと、公共下水道ができたおかげで蚊の発生が多くなったというのは、極めて遺憾なことだと私は思うのです。  私の手元に来ております資料によりますと、和歌山市の場合、たびたび申し上げて恐縮でございますが、下水道普及率がほとんどゼロであったわけですから、ここ数年来急速に下水道がつくられておるわけです。そのつくられたところが蚊がふえた、こういうことです。かなり広範囲にわたってアンケート調査などをいたします。公共下水道ができたところで蚊がふえた、どういうわけかと思ってちょっといろいろと調べてもらいますと、公共雨水ますの底に泥だめという、約十七リッター入りの泥だめがあるわけです。この場合は合流式だったと思うのですが、雨が降りますとその泥だめに水がたまる、そして天気になる、水だけが泥だめに残る。蚊が卵を産むのはこの水でありますから、水たまりがなければ産めないわけですから、ここに卵を産む、どうやらこういうことになっておる。通常雨がたくさん降った年は蚊がたくさん発生するというのが常識でありますが、この場合は雨が降りますと流れますから、そのまま比較的泥だまりの水もきれいなわけですが、天気が続きますとそこの水がよどんでまいります。蚊の発生が盛んになる。天気になればなるほど蚊の発生が多いという極めて異常な現象であるわけですが、こういうふうな訴えが私どもの手元に参っております。  これは必ずしも和歌山のみならず、他都市でも同じような現象があるというふうに聞いておりますし、他の都市ではそれに対して泥だまりをかさ上げするとかいうふうな手段を講じた都市もあるやにお伺いをしておるのです。そういったことについて、もし仮にそれが訴えどおりの原因であるとするならば、建設省としては、これから特に地方の市町村中小都市などに下水をつくっていく場合には十分それを配慮しておかないと、蚊が絶滅していない地域では確かにそういう現象が起こる可能性が十分にある。ですから、全国一律の単一の規格というのではなしに、そういったこれからの地方の都市の下水の構造について再検討して、そういうふうな蚊の発生源にならないような工夫をすべきではないかと私は思うのです。  本来、時間がありますと、データもありますので、この問題について少し詳しく聞いてまいりたいと思っておったのでありますが、残念ながらもう時間もございませんので、概括的に以上のことを申し上げまして、お考えをただしておきたいと思います。
  24. 福井経一

    ○福井説明員 和歌山市の公共下水道は、昭和五十九年度に一部供用を開始いたしまして、現在その整備を促進しているところでございます。  御指摘の地区につきましては、昨年当初に新たに下水道が供用開始した地区で、特に真夏の暑いとき、その下水道の雨水ますから蚊が発生したという報告を、地元住民から和歌山市役所に寄せられたというふうに私どもは伺っております。ただいま御指摘の合流式下水道と申し上げますのは、雨水と汚水を一つ管渠で流す方式でございますが、この合流式下水道といいますのは、我が国では古くから大都市地域を中心に建設されてきております。例えば、東京都とか大阪市とか京都市とか、すべて合流式下水道でございます。しかしながら、その合流式下水道が原因で蚊が発生したという事例は、実は私どもこれまでにはそういった報告は受けていないわけでございます。  ただ、今御指摘のこういった蚊の発生原因がこの下水道の施設に起因するものかどうかという点でございますが、この辺につきまして、実は構造的な問題を含めまして現在和歌山市で調査をしていただいておるわけでございまして、この調査結果に基づきまして、私どもは必要な対処を考えていきたいというふうに思っております。ただいま御指摘の雨水ます、この下に泥だめというのがあるわけでございますが、これが発生原因だという御指摘でございます。そういったことも含めまして、これは下水道の構造基準というものがあるわけでございますが、この構造基準に基づいてつくられているものでございます。そういう点につきましてより調査をいたしまして対処していく、こういう考えでございます。よろしくお願いいたします。
  25. 貴志八郎

    貴志委員 以上、質問を申し上げてまいりましたが、特に私が申し上げたかったのは、先般のスーパー堤防、高規格堤防の問題のときもそうでありますが、あれも東京及び大阪というふうに都市対策のようなものであります。今回の下水道も、黙っていれば、まことに失礼でありますが、どうやらおくれたところ、いろいろ手順、手はずは整えていただいておりますけれども、一番おくれたところなどは格別の進展の気配が見えてこないというところが大変残念でありまして、まだまだこれからの運営なり計画の確定なり、そういう時期までにいろいろと工夫をしていただいて、地方の時代が均衡ある地方の発展地域発展国土発展というふうなことについて、格段の御配慮を特に要望いたしまして、終わります。  ありがとうございました。
  26. 桜井新

    桜井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  27. 笹川堯

    笹川委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上野建一君。
  28. 上野建一

    上野委員 下水道の本題に入る前に、先般の広島における新交通システムの建設中における大変な事故について二、三質問させていただきたいというふうに思います。  あの事故の発生後、私ども社会党議員が現地に参りまして調査をいたしまして、大変痛ましい、市民を巻き込んだ事故であるだけに、哀悼の意を表するとともに、再びこういうことがあってはならないという立場から、いろいろ私どもも検討をさせていただいております。そこで、まだ中間的段階ではございますけれども、そうはいいながらも日数も相当たっておりますので、ここら辺で一度、大臣を初めとする皆さんに考え方を聞いておきたい、こう思います。  まず、事故の起こった原因については、なお調査中だとはいいますけれども、どう考えましても、いわゆる工法に対する過信、したがって、過信した上でありますのでいろいろな悪条件がそこについて回った、こういうことをまず感じます。そこで、工法について安全だとはいいながら、実際に行う人たちの技術の面、それから実際に携わったメンバーの人たちの技術水準というものについて計算に入っていなかったのじゃなかろうか、こう思います。そして、特にこの事故で死亡された、重傷を負われた方を見ますと、いずれも元請であるサクラダという会社のメンバーではなくて下請、その下請も孫請、ひ孫請と言われる三次、四次の下請の人たちが犠牲をこうむっています。そういう意味で、サクラダが行う工法にいたしましても、実際に仕事を進めるその人たちは、技術的には大変問題があったのではなかろうか、そのことを計算に入れない工法というのは成り立たないというふうに私は思います。  そこで、第一には、今日のような孫請、ひ孫請みたいな工事をやる体制というのは、私は決して好ましい体制ではないと思います。下請ぐらいまで、あるいは細かい点で孫請ぐらいまでは理解ができるのでありますけれども、一番大事な仕事が孫請、ひ孫請によって行われているという事実、そのことについてやはり検討を要するのではないだろうか。実際に仕事ができるなら、責任を持たせる意味でも、分割をしてでも直接下請、孫請に発注したらいいはずでありますし、分割発注というのも考えられるわけでありますから、そういう点の検討を加える必要があるだろう、こう考えられます。その点、技術面も含めて、建設省としてはどう考えておられるか、まずお聞きします。
  29. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先般の広島新交通システムの事故につきましては、私どもも大変に申しわけないというか、心を痛めているところでございます。死者が十四名、負傷者九名という本当に大きな事故であったことは、まことに痛恨のきわみでございます。また、あわせてこのことが、あるいはこの事故を含めて幾つかの事故が相次いでいるという中で、建設業に対する国民の受けとめ方というものがだんだん厳しくなっているということについても、まことに残念でなりません。  そういった中で、私ども今後のこういうあり方というものについては真剣に取り組まなければならぬという問題意識を持ちますが、今先生指摘のように、この広島の事故に関しましては、現在広島新交通システム事故対策技術委員会という、専門の先生方を交えての研究会が持たれているところでございまして、こういったところで調査中という状況でございます。したがいまして、事故原因等につきましては、調査中であるがゆえに私どもこの場でコメントを差し控えさせていただきたい、かように思います。  そういった中で、今先生から一般論として、建設工事におけるいわゆる重層下請の関係がこういった事故の遠因としてあるんじゃないかという御指摘を承ったわけでございますが、私ども先生も御案内のとおり、基本的には建設事業は一種の総合的な組み立て産業である、言うなれば幾つかの専門的な得意とする業者たちが集まりながらある一つのことをなすという、そういった一つの特殊な生産システムだ、こう理解しているわけでございますが、それだけに、この関係をいかに合理的に組み合わせていくかということが大変重要と認識しています。  御案内のとおり、いわゆる元請、下請という言葉で言われるし、あるいは従前また私ども、そういった関係の中での指導をしっかりとしてきたつもりでございますが、今日いろいろなことを考えますと、元請、下請という概念でなくて、むしろ総合業者と専門業者の適正な組み合わせ、しっかりした役割分担、責任分担、こういった関係の確立こそ大事である、こんなふうに確信しておるところでございまして、私どもそういう観点から、去る二月には従来の元請、下請に関する合理化指導要綱というものを全面的に改めまして、いわゆる建設産業における生産システムの合理化指針をつくらしていただいたところでございます。  そういったことで、元請、下請関係あるいは重層下請関係というものが直ちに事故の原因かどうかということについては、くどいようですが私、コメントを差し控えさしていただきますが、ともあれ建設事業というものを本当に的確に、しかも市民に御迷惑をかけないように進めていくためには、おっしゃったような各事業者の総合的な、立派な健全な関係確立ということが大変重要であるという認識に立って取り組ましていただいているところでございます。  なお、工法等をめぐりましての御質問については、担当の技術審議官の方からお答えさしていただきたいと思います。
  30. 玉田博亮

    ○玉田説明員 御指摘の横取り工法でございます。この工法につきましては、一般的に申し上げまして、橋梁の架設工事で広く行われている実績のある工法であることは事実でございます。しかしながら、先生指摘のように、工法とそれに当たる技術者並びに熟練労働者、これが適切に組み合わさって初めて安全な施工ができるというふうに私ども考えております。その点におきまして、私どもも今回の事故を貴重な教訓といたしまして、現場の第一線の場でそういったことに十分対策を講ずるよう、今後とも努力をしてまいる所存でございます。
  31. 上野建一

    上野委員 官房長、総合的な合理化で対処していくということを、そういう時代だ、こうおっしゃるのですけれども、しかし元請、下請の関係はそんなふうになってないですよね。依然として元請があって、それに下で使われるという形。この広島の場合は、元請、孫請、ひ孫請という形での体制として契約がちゃんとできてあったのか、これをひとつ聞いておきたいと思います。  それから、その総合性という意味でわからぬでもないですけれども、しかし経済的な仕組みというのはそうなってないですから、そこら辺を考えるとおかしいというふうに思います。しかもこの下請、孫請、ひ孫請の中に、実は十六歳の少年が仕事をしている、こういうのがありまして、その少年が三カ月の重傷で、幸いにしてよくなっておるようでありますけれども、しかし明らかに十六歳という少年を使っておるというこの実態、とても総合的な体制なんて言えたものじゃない。しかもこれは三日前に雇い入れられておったということが、現地でも明らかにされていました。そういうことであったわけですから、その点ではやはり今の実態の中で、官房長が言われるような総合的な体制としての元請から下請の形ができているんだというわけにはいかないと思うのです。私はこの点も、この問題をきっかけにして改めて、これはもう過去において何百回、何万回と下請との関係は問題になっているのですから、その点はもっとやはり再検討されていかないといかぬのじゃないだろうか。現実には下請の技術の水準というようなものを確かめてはおらないし、現にこれだけの大工事をやっておる現地には、事業者である広島市の職員も立ち会ってない、こういう状態が現場にありました。したがって、そういう意味で、仕事の関係、下請、孫請の関係をひとつ改めて検討をしていただきたいと思います。  それから、工法については今私と同じことを答弁がありましたので、ぜひそこのところを含めて、工法には安全について絶対的なものはないはずでありますので、やっていただきたい。特に、この現場を見ますと、橋脚が坂になっているのですね。傾いているのです。カーブのところですから傾いていて、上の方から上げてずらしていくのですから、ずらすには便利なように見えますけれども、実際にはそこに雨が降ったり、今言った下請の技術のまずさからパッキングがひっくり返るような態勢で組み上げられていたとか、いろいろな悪条件があった。しかも見ますと、上に上がる鉄の箱が六十メーターぐらいなのが上がったというのですけれども、その箱が、これは美観上だろうと思うのですけれども、下の方が細くて上が大きいのですよ。だから、ひっくり返るときには本当にすべての点で悪条件が重なったという気はしますけれども、どうもその鉄の箱が橋脚から橋脚に渡るわけですけれども、そのものが、美観上だろうと思うのですが下が細くなっている。あれも、考えてみるとこの事故を起こした一つの原因だろう、ひっくり返りやすいようにできている。  それから安全対策の点で、これは警察庁の方からあわせて答弁いただきたいと思いますけれども、交通規制をしてない。車を通しながら工事をやっておった。それじゃ万一に備えた安全策があるのかというと、それがない。例えば、私ども素人が考えましても、重機で上に上げたわけですから、上げたときに鉄の綱で上げているわけですね。それがかかっているわけですから、上げていったわけですから、それをそのままつけておけば落ちなかったはずです。落ちたときでもそれが安全策になったと思われる、僕は素人ですからよくわかりませんけれども。ところが重機の方はリースの関係で、安く上げるためかどうか知らぬけれどもさっさと片づけちゃって、もう安全策というのは何もない。転がったときにそれを支えるものは何一つない。こういう状態があるのに、下は車を通しておる。これは交通規制からいうと、私はどうもいけないんじゃなかろうか。これは結果論でもありますけれども、交通規制をきちっとやるべきだった。  現地で警察の方に聞きましたら、我々も専門家じゃないので、専門家が市役所にいて、それが絶対安全な工法だから心配ないから車をとめないでやる。道路事情も必ずしもよくないこともあったようですけれども、そういう答弁がありました。しかし、これはあれだけの大工事であり、そういういろいろな条件考えますと、交通規制をしてあるいは夜間にやるとか、車が通らないときに車の規制をやってちゃんとやる。そのことがあれば、この工事関係者は事故に遭ったかもしれませんけれども、少なくともあの九名の市民が巻き込まれることはなかった、こう言わざるを得ないわけでありますので、交通規制についてやはりもっと、工事関係者の安全だと言うことに引きずられないで交通規制をきちっとすべきじゃなかったか、また、これからそうすべきじゃないかということなので、その点は交通規制課長にお伺いしたい。  それから建設省には、こういう安全対策というものについて万全を期すべきだと思うけれども、今後の問題として、この安全策についてはどういうふうに考えておられるか、それからこの事故以後、安全対策について建設省はいかなる指導をされておるのか、この点をお聞きします。
  32. 望月薫雄

    ○望月政府委員 広島の事故に関しましての十六歳の少年が働いていたことなどなど、私どもも新聞報道等あるいはその他を通じても承知いたしておりますが、実は詳細は、先ほど申しましたように現在関係当局で調査中あるいは捜査中ということでございまして、私ども建設業法に基づくいわゆる聴問等の行為を今できない状況になっておりまして、そういった意味でいましばらくその辺については御容赦願いたいと思います。  また、同じような理由でいわゆる元請、下請、あるいは下請から孫請等々の契約関係がどうであったか、具体的にどうなっていたかというふうな御質問でございますが、私ども少なくともこの元請、下請の関係につきましては、従前からしっかりした契約を結ぶことというのを、先ほど来申しているような指導要綱によって強く指示しているところでございまして、またそれこそ、先生もおっしゃるように、建設業の今後のことを考えますと一番大事なポイントであるという認識に立って行政を進めている今日でございますので、元請、下請との関係は当然何らかの格好の契約が結ばれていたもの、こう確信いたしておりますが、いずれにしましても、詳細がどうであるかについてはもうちょっと時間をいただきたい、かように思います。  お話しのように、この元請、下請関係というものを初めとする、あるいはひ孫請等まで含めてのもろもろの関係というものについては、私どもこの事故それ自体に即してというよりも、むしろ建設業あるいは建設現場というものを本当に健全にいい格好で仕事をしていただくということのためには最低限の要請である、かように考えておる中でございまして、私どもいわゆる元請と下請が力の強い者と弱い者の関係というような関係の中で、従前いろいろと言われますような好ましくない事象というものが繰り返されることだけは断ち切りたいということで、先ほど申したような指導要綱、指針を先般おつくり申し上げて、しっかりと指導しているさなかでございます。そういった中で、今後の建設業というものが本当に国民の期待にこたえられるような道筋をしっかりと定着させたい、かように考えておるところでございます。  また安全対策についての御質問でございますが、今申しましたようないわゆる新しい生産システムの指針におきましても、私ども安全問題を中心とするいわゆる従業者の雇用問題あるいは職場環境の問題を大変重視しているところでございます。これは元請も含めて責任ある対応をするようにということを軸とした指導に今入っているさなかでございますし、我々はこういった中で本当に元請、下請と従来言われている関係が、新しい生産システムという、物の考え方基本を変えた格好で一日も早く定着をしていくことを心がけながら、しっかりした行政指導をさらに強めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  33. 島田尚武

    ○島田説明員 本件事故は、三月十四日午後二時ごろ、広島県広島市安佐南区上安二丁目二十九番三号地、広島新交通一号線上部工事現場において、発注者広島市、受注者株式会社サクラダ広島営業所が橋げた工事中にこれを落下させて、下の道路を通行中の車両十一台を押しつぶし、同乗中の者九名、作業員五名の死者十四名、負傷者九名を出したものであります。余談でありますが、この死者の中には広島県警の警察官の夫人も含まれておったところであります。このような事故について、警察としてはその原因についてただいま厳正な捜査をしているところであります。再発防止のためにも、工事の事故そのものについての徹底した原因追及が第一に重要であるというふうに考えております。  ただいま御質問の交通規制に関しましては、発注元でありかつ本件道路の管理の責任者でもある広島市から、事故はあり得ないという説明のもとに通行規制を行わなかった、こういう報告を広島県警から受けております。しかしながら、その説明に反してまことに重大な事故が発生してしまったところであります。こういうふうな事故が発生しましたところから、同種工事が本当に安全に行われているかという原点に戻って、もう一度再点検を至急する必要があるということで、事故同日、全国に一斉の緊急点検を指示しまして、実は翌日私も現場に参りました。そして、私どもその後直ちに、原因が徹底的に究明されてこの種事故の再発防止と安全確保に確信が持てるまでの間は、夜間等において通行どめの措置をとることなどの方向で許可をするよう、全国警察に指導しているところであります。  また、その後三月十六日には立川市、三月十九日には品川区、三月二十日には神奈川県相模原、四月十五日には埼玉県和光市ということで、必ずしも道路上ではありませんが、工事に伴う重大な事故が多発しておることから、こういったことも勘案して、全国警察においては工事関係者に対して、万が一にも同種の事故が起きないように厳しく指導しているところであります。
  34. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先ほど私、御答弁漏れが一つございまして申しわけございません。安全対策として建設省はどう対応しているかという大事な質問を落としてしまいました。  これにつきましては、広島事故直後に、いわば道路上でのこの種の工事について、他の事故があってはならないということで、いわゆる総点検を各関係者に直ちに指示をいたしております。また同時に、関係業界団体を通じまして、業界に向けましてもその種の注意、指導を強く行ったところでございますが、さらに引き続きまして、先ほど来申していますような幾つかの事故が続いているというこの現実を踏まえながら、私ども、関係業界団体九団体ございますが、これを四月十九日に建設本省に招集いたしまして、きつく注意を求めているところでございます。  また、あわせてこの種の事故、一連の事故を見ますると、労働省との関係が非常に重要である、こういった認識の中で、両省協力してこの問題に取り組もうという観点から、建設省、労働省両省の審議官、課長クラスをメンバーとします建設業における労働災害、労働時間等に関する連絡会議というものを持たしていただきまして、四月二十二日に第一回会合を持っておりますが、省を超えて関係省庁とともにそういった面での取り組みも強めていきたいということで、関係業界あるいは公共団体、事業者さらに我々行政相互の間でも精力的な取り組みに入ったという状況でございます。今後しっかりとその辺を受けとめてまいりたいと考えております。
  35. 大関親

    ○大関説明員 労働省では、三月十四日の事故発生後直ちに広島労働基準局に、広島労働基準局長を本部長とする災害対策本部を設置するとともに、事故の重大性にかんがみ学識経験者による特別調査団を編成し、翌三月十五日の現地調査などを踏まえ、現在事故原因の究明のため作業を鋭意進めているところであります。  なお、同種事故の再発防止を期するための当面の措置といたしまして、三月十五日に、適切な作業計画の作成、足場などの点検、補修の徹底について安全総点検の実施を関係業界に要請するとともに、三月二十日から三月二十七日までの間、全国の労働基準監督官を動員して、同種現場に対する緊急の全国一斉監督を実施したところでございます。  今後、調査結果がまとまり次第、同種災害の再発防止対策について、関係業界などに対して必要な指導を行うことといたしております。
  36. 上野建一

    上野委員 ほかのことがありますので、広島の問題は以上で終わりたいと思いますが、今申し上げましたけれども元請、下請の関係にもっと近代的なやり方を導入しないことには、せっかくの工法とかいろいろな技術面の前進が安全につながってこない、あるいはまた、これからの仕事の面でも大きな問題を持っているだろうというように思います。したがって、その点にぜひメスを入れてやっていただきたいし、後で結構ですから、今度の場合の契約がどういう形になっておったか、これはぜひ後ほど明らかにしていただきたいと思います。  それから労働省の関係ですけれども、これはもう明らかに労働基準法違反、法律上も労働基準法に触れているわけですから、この点の処置がなされなければならぬわけですけれども、これは単にここだけの問題じゃなくて、労働基準法に触れる問題が至るところにあります。ですから、これも総点検をやらないといかぬのじゃないかと思うのです。私どもは労働基準局の知っている人に話を聞きますと、都市部においてはとにかく事業所が多過ぎてとても総点検ができるような状態じゃない、もう本当に問題があったところしか行けないというのが、そういう人たちの現場からの話として出ています。ですから労働省の方は、建設省も午前中に人員の合理化があって大変だという話がありましたが、特に人命を守る立場にある労働基準監督署、労働省が人手が足りなくて安全を守れないというようなことでは困りますから、この点ではぜひ人数をふやしてもらって、必要な人数だけは確保するという形をとってもらいたい、この点を要望しておきたいと思います。  そこで、本題の下水道の問題に入りますが、午前中も我が党の議員が質問をいたしたところであります。この下水道事業五カ年計画で一〇%前進をさせる、調整費を使えば一一%になるという説明がありました。そういうことなんですが、ただ問題は、今度の五カ年計画の中でも力を入れると言われておる地方公共団体の仕事、これはやればやるほど財政負担が多くなる、借金が多くなるという形なんで、いろいろな手当てはしているとは言うけれども市町村下水道が進んでないところはいずれも財政上の問題がございます。もちろん市町村長の感覚の問題もあるし、下水道を重視してない人もいるようですけれども、しかし今は下水道をやりたいということでは皆一致していると思うのです。ただ財政上の困難性がある、こういうことでありますので、それでは、力を入れると言うけれども、具体的に財政上の処置はどうするのか。借金がどんどんふえるようなやり方では困るわけで、どのような財政対策を行っているのか、その点をまずお聞かせいただきたいと思います。
  37. 福井経一

    ○福井説明員 第七次下水道整備五カ年計画におきます、特に中小市町村下水道整備の促進の方策でございますが、御指摘のように、平成元年度末で人口五万人未満市町村普及率は八%でございます。特にその中で、町村だけに限って言いますと六%と、著しくおくれている状況にあるわけでございます。また、二千近くの市町村下水道に全くの未着手という状況になっております。  こういったことのため、第七次下水道整備五カ年計画の初年度であります平成三年度から、特に中小市町村が実施いたします公共下水道管渠補助対象範囲を見直すということがまず一点でございます。それから、過疎地域市町村が実施いたします下水道事業都道府県が代行することができるという代行制度を実施してございます。これが二番目でございます。三番目は、下水道着手市町村の新規着手を促進するための基本計画策定に対します補助制度を創設いたしました。こういった三つの新たな施策考えておるわけでございます。  今後こういうような施策を着実に実施しながら、おくれておりますこの中小市町村下水道整備を図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  38. 上野建一

    上野委員 県が市町村の力の弱さを補って代行制度をやる、こういうことになっておりますけれども、そこで今の財政上の面からいいますと、管渠と処理場の補助率が違いますね。これはやはり一緒にしなきゃおかしいんじゃないですか。今度少しは上げると言っていますけれども、完全に一致したらどうなんでしょう。それはもう当然だろうと思うのですね。管渠がなきゃ処理場が幾らあったってしようがないんで、しかも管渠がやはり一番大変ですよね。処理場も確かに大きなあれですけれども、処理場は目に見えるしまだわかりますけれども、どうもこの管渠と処理場の補助率が違うというのは、私は納得がいかないのですが、この点がまず一つ。  それから、代行制度で気をつけなきゃならぬのは、市町村の仕事を県が代行するわけですから、その代行を通じて、市町村のいわば地方自治との関係で、地方自治を侵すことになる可能性もある。しかも下水道というのは市町村の固有の仕事ですからね。それができないということで代行する。それで、いつまでも代行というのじゃなくて、その後の管理とかなんかはもう当然市町村にやらせなきゃなりませんから、技術者の養成とかあるいは今言った財政上の手厚い対策とか、そういうことをやはり後に残るように、いつまでも代行するというのじゃなくて、代行した後には市町村が独自でいろいろなことをやれるような体制をつくるということがどうしても必要だと思うのですけれども、その点はどう考えておられるか。特に職員の技術面、これをどのように養成しようとするのか、この点お聞きします。
  39. 福井経一

    ○福井説明員 管渠と終末処理場の補助率の問題でございましたが、特に下水道は水質汚濁対策として非常に重要な施設である、そういうことから、終末処理場の中の処理施設だけが補助率が高くなっておるわけでございます。通常の管渠とそれから用地費、あるいはまた終末処理場でも例えばポンプ施設、そういうものは管渠並みの補助率、こういうことになっておるわけでございます。これは、ただいま申し上げましたように特に処理をするという施設でございます。これのできた当時にこういった補助率に差がありまして、現在でもそれをずっと援用しておるわけでございます。  それからもう一点、都道府県が代行するという制度でございますが、これは地方自治を侵すのではないか、こういう御指摘でございます。ただ、都道府県が代行する施設といたしましては、あくまで主要施設のみというふうに限定をしております。例えば主要幹線あるいはまた終末処理場、しかもその中で第一期分だけに限って実施をするというわけでございまして、二期以降の施設の増設とかあるいは面整備あるいはまた維持管理につきましては、それぞれ市町村が実施するということになっております。その間に技術屋を養成してもらって維持管理に励んでもらう、あるいはまたその後の増設等については市町村が独自で実施してもらう、こういうふうに考えておるわけでございます。     〔笹川委員長代理退席委員長着席〕
  40. 上野建一

    上野委員 だから補助率の違うのはわかっているんで、それをちゃんと処理施設と同じように補助率がならないかと言っているので、その努力をやはりしておく必要があると思う。今決まっていますから、今すぐ直せというのは無理でしょうけれども、次の機会にはそこまでやらなければなかなか進まないですよ。ぜひこの補助率についてはそうしていただきたい。起債とかその他の点は、これは借金ですから大変なんで、ぜひこの補助率の基本から改めてもらう、この点を申し上げておきます。これは、もう一度答弁してもらってもきっと同じようなことが返ってくると思うから聞きません。ただ要望だけやっておきます。  今言った技術者の問題は、ぜひ積極的な技術者の養成をお願いをいたしたい、こう思います。  そこで、今の補助率その他とも関連するのですけれども建設省の工事のやり方と県や市町村の工事の施工についての条件、いわゆる工事をやる立場の特に中小企業と言われるようなところの仕事の内容を見ますと、建設省の工事は大変きちっと行われている、これはわかります。まあ全部かどうかは別にして、基本的にはちゃんとした統一単価表あるいは積算基準、そういうものをもとにして基本設計が行われて、そしてその工事が行われた後で精算設計が行われる。したがって、場合によっては請負の契約の変更が行われるというやり方が、最近はかなり徹底して国の工事ではやられている。ところが、それが市町村段階になるとそういうふうにはなっていない。特に精算設計というのはほとんど行われていない。それでは精算設計はやらなくてもいいように、施工条件とか立地の条件とかいろんなことがやられているかというとそうじゃなくて、国の統一単価表とか積算基準をもとにして一律に行われているのですね。その点はもっと徹底させる必要があるのではないだろうか。  特に、例えば施工条件で見ますと、どういう重機を使ってやるのか、あるいはサイクルタイムと言われる時間的な順序というようなものはどうなっているのか、それから仮設工事などについてはどうなのかとか、こういうことは非常に大ざっぱに一般的にただ行われるだけで、この基準をもとにして、いろんな立地条件その他を考慮しないという状態がございます。そこから、小さいところは大変役所の仕事は損だというので、極端なところは工事をとらないために逃げて歩いているという現象も一部にはある。これもし必要なら後でお知らせしても結構ですけれども、それで役所が追いかけていって、おまえのところどうしてもやれ、こういうことを言っているところもあるそうで、そういうのは特殊なケースでしょうけれども、そういうことがある。  それには現場管理費とかいうものも少ないのです。例えば事務所を置いたり電話を置いたり、それから下水道工事なんかは特に住民対策が重要なんですよ。その住民対策は、本来は市役所なり県庁がやる仕事なんだけれども、請負業者におまえのところでやっておけ、こういうふうになる。私も、私のうちの前の下水道、ようやく工事ありましたからずっと見ていまして経験をしましたけれども、やはり説明から何から全部業者がやるのです。市役所は出てこない。それでは費用ぐらい見ておけばいいのに、費用は見ていない。費用とかその他含めて、そういう点がやはりあります。  だから、下水道工事だけじゃもちろんありませんが、特に下水道工事は、都市部においては狭いところでやらなきゃならない。広いところまでは資材その他はぱっと持ってきます。それを、小運搬といってさらに現場まで持っていく運送費がかかるのですね。それは見ていない。そういうのがかなりあるのです。その点で、正直言って大きいところは何とかやっていますけれども、小さいところは、本当の意味で表現するなら泣いているのが現状です。これも建設省指導しているはずなんですよ。そういうことのないように指導しているはずなんだけれども、徹底されていない。これはやはりちゃんとすべきじゃないか、ぜひ徹底したことをやってもらいたい。  それからもう一つ、これは大臣にひとつ骨を折ってもらいたいのですけれども下水道工事なんか補助金が大部分ですからね。そうすると、終わった後に会計検査院がやってくるのですよ。会計検査院がやってくると、困るのは役所の側なんです。いろんな条件考えて工事費に差がついたりしていると、これはおかしいじゃないかというのでいろいろやられる。そういうことがあるものですから、役所の方は一律の基準で、これは建設省の基準ですからというのでそういうのに当てはめて、特殊事情とかいろんなきめの細かい対策がない。これは会計検査院を恐れているわけですから、大臣の方からそこら辺のところは、もうちょっと会計検査院が合理的にやるようにしてもらわないといかぬじゃないか、こう思います。  それから、会計検査院が現場の検査に来たりするときは、あるときは二年後だったりするのですね。道路なんかだったら、使われてぼろぼろになっている場合だってある。それを検査に来るのです。そうすると、前に仕事をやった業者に掃除しておけとか、くいを打ち直しておけとか、いろんなことを言っています。前に私もこの問題を取り上げて、今は費用がつくようにはなりましたけれども、大した費用じゃないですね。そういうようなことを含めて、下水道事業を前進させようとするなら、仕事をやる人たちのことも考えなきゃならぬじゃないか。そういう意味で、指導を徹底させていただくのと、大臣などは会計検査院とかけ合ってそこら辺の対策もやっておく必要がある、こう思います。  それから、時間がありませんからもう一つ引き続いて質問しておきますが、労務費について年二回調査をされています。これについては、前は一回だったのが二回になったわけですからそれは結構でありますが、それでも十月と六月ですから、現実の労務費との差が出てくることは当然あり得ます。しかしそれはそれとして、問題なのは、例えば私は関東の場合を考えてみますと、千葉県でいうと東京に近い場所と房総の館山とかあっちの方も同じ基準なんですよ、労務費は一緒なんです。これは実際を調べてみますと、五千円から四千円くらい違いますね、差があるのですよ。だから、簡単に言うなら館山、あっちの方は大変得をしておって、都市部の東京に近い方は労務費が足りなくて困る、こういう現実が出てきています。したがって、平均的にやらないで、例えば千葉県を三つぐらいに分割をして調査するとか、このことがこれからの問題として必要なんじゃないだろうか、こう思います。この三省協定との関係もあるでしょうが、きめの細かい指導建設省はやる必要があるという観点から、以上の点をお聞きしておきます。
  41. 福井経一

    ○福井説明員 まず、下水道工事の積算の問題でございましたが、設計変更ができていない、あるいはまた積算漏れがあるんじゃないかという御指摘でございましたが、私ども機会あるごとに適正な積算を行うよう、また必要に応じて設計変更を行うようということを地方公共団体指導、徹底しているところでございます。今後とも、なお一層十分にこういったことを徹底するよう、機会あるごとに強く指導してまいりたいと考えております。  それから、下水道工事を実施するに当たりまして、住民に対する説明等を事業主体が行っていないという御指摘でございましたが、下水道工事を実施するに当たりましては、地域の住民の方々の理解を得ながら安全かつ効率的に行う必要があるわけでございます。そういったことで、当然交通の渋滞あるいはまた騒音等によりまして住民に迷惑がかからないような適切な誘導といいますか、あるいはまた工法の選択といったことに努めているわけでございまして、工事の着工前においては住民に対しまして、下水道整備による効果とか工事概要及び工事の実施方法についての説明を行っているわけでございます。住民の方々の御理解を得られるよう、事業主体が住民に対して必要な説明を行うよう指導しているわけでございまして、地域住民の御理解と御協力を賜りながら下水道事業を円滑に推進していきたいというふうに考えておるわけでございまして、私どもとしても十分にそういった指導を行っておるわけでございます。
  42. 望月薫雄

    ○望月政府委員 労務単価に関する御質問承りましたけれどもお話のとおり設計労務単価の決定に当たりましては、私ども毎年関係三省で、全国おおよそ一万件の工事現場について十五万人の労務者の賃金台帳をつぶさに当たりながら実態調査をさせていただく。これを踏まえまして、新年度から適用すべきいわゆる設計単価をはじくわけでございますが、その間におきます時点修正も行わせていただいております。また、その調査に当たりましては、あるいは労務単価の決定に当たりましては、先生もおっしゃいましたが、いわゆる労働需給圏域というものを頭に置いておりまして、そういった圏域単位でもってグルーピングして調べ決定するという方式をとっております。  その際において、例えば今お話しの千葉県の南の方と北の方というふうなきめの細かい区域分けについて十分かどうかという御質問については、私どもも胸を張って十分やっていますというほどのものは持っておりません。ただ、これはなかなか難しい問題でございまして、やはり私どもとしては、基本的には県単位を中心とした需給圏域の設定ということで従前やらせてまいっていただいておりますし、今後もこういう方針で臨まざるを得ない、かように思っております。  最近の労務単価の急上昇傾向というものがある中でございまして、私ども十月の調査だけでは十分きめ細かい対応がなかなかできないということも現実ございます。そこで、昨年の場合にはあわせて六月にも調査をし、そこでまた設計単価の見直しを行ったということがございますが、これは実は昭和五十九年以来本当に久しぶりに行ったことでございます。本年の場合どうするか、最近の賃金動向等を我々注視しておりますが、必要な状況になりますならば、そのことも念頭に置いて取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
  43. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先生指摘の会計検査院の検査についてでありますが、会計検査は、予算の執行や事業の執行体制が適切に行われているか否かを検査するのが目的でございますから、少なくとも検査をする側も検査を受ける側も、それぞれの役割分担に応じて適正に処理をしているとは思いますけれども、仮に先生の御指摘のようなことがあるとすれば、これはやはりお互いに理解することが先でございますので、理解を求めてそのようなことにならないように努めてまいりたい、このように思います。
  44. 上野建一

    上野委員 質問の大きな最後の点で、東京外郭環状線の問題をお聞きしたいと思います。  実はこの東京外郭環状道路、これは御承知のとおり大変大きな道路でございまして、その中で千葉県の市川市の部分が今まだできておりませんし、これをやるということになってから既に二十年たっております。まだ一歩も進んでおらない。いろいろな案が出されていますけれども、強い住民の反対があります。どだいこの道路計画自体が、私は無理だと思うのです。二千戸移転しなければならぬというような大工事はまず無理ですよ。成田空港が三百戸ちょっとですよ。まだやっているんでしょう。二千戸動かすなんということはとてもできるはずがないんですよ。それを建設省は、一たん決めたものはというので、四十年ごろに最終決定をされたのですから、もう二十年もたてば条件が全然変わってくるのです。ですから、これはもう一日も早くあきらめてもらって、全然やるなと言っているわけじゃなくて、委員会では申し上げませんが、私は過去においても別のルートを提案したことがあるし、そのルートをとればそこは今でも可能だと思っているのです。  ところが建設省は、やはりかたいのですね。一たん決めたことは変更しない、鉄とコンクリートの心臓といいますか、そういうことでやっております。しかし正直申し上げて、条件はもっと悪くなるわけですから、どんどん過密化していく、人口はふえる。そういう中で、二十年かかってできないものをなおやろうということ自体が私はわかりませんが、まずその点でルートの変更を考えるべきではないのか。そして、まずルートの変更を考える場合は、やはり既存の道路がある、ある程度大きい道路があるということでなければ、それを拡幅する、場所によっては区画整理をやりながら進めていくとか、総合的なやり方をやらなければ、今都市部に巨大な道路をつくるということ自体がどだい無理ですよ。これだってもう大変な道路です、六十メーターとか七十メーター幅の道路ですから。  そういう意味で、時間がありませんから端的にお伺いしますけれども、ルート変更を行うべきではないか、その検討をすべきだというふうに思います。二千戸移転なんということは考えられない。代替地にしたって、もし要求されたらこれは大変な量になります。それから、千葉県には収用委員会というのが今ありませんから、皆さんが強制執行しようといったってできないのです。収用委員会は解散してないのですから、これはその点も頭に入れておかなければならない。もしこれを強引にやるにしても、まだ先二、三十年かかりますよ、この道路を完成しようと思ったら。だから、そんな無理なことをやらないでやめたらどうかというのが一点。したがって、ルート変更を考えよ。  それからもう一つ、もっとおかしいと思うのは、その外環道路を利用して下水道をつくろうとしているのですよ。しかもこれは江戸川左岸流域下水道、その幹線を松戸幹線と呼んでいるんですけれども、その松戸幹線を入れようとしている。道路が二、三十年先でなければできないような、二十年かかってもできない道路に入れようというのですから、これは少しおかしいんじゃないですか。やはり、明らかに道路下水道を分離すべきですよ。分離してやるべきである。  しかもこの新しい、きれいに絵がかいてありますけれども、(写真を示す)こんなきれいなわけにいかないのですけれども、これをしても、この大きな道路下水道を入れるわけですから、どっちかに入れなければならぬでしょう。どっちかに入れると、この道路の部分のこっち側の人が困るでしょう。こっちの水をこっちに流すには、大変ないろいろな工事をやらなければならぬ、そういう新たな困難性も出ています。それはそれとしても、とにかく見通しの立たない道路に、道路ができなければ下水道を入れてやらないというやり方を今建設省はとっているのです。下水道は主体はもちろん県ですけれども建設省が待ったをかけているものですから松戸幹線はいつになってもできない。これはやめるならやめるでいいんですけれども、やるというなら分離してやるべきだと思いますが、その点どうでしょうか。
  45. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 お答え申し上げます。  まず委員長に、ちょっと難しい用語を使いますので、その際パネルを使わせていただくことをお許しいただきたいと思います。
  46. 桜井新

    桜井委員長 どうぞ。
  47. 藤井治芳

    ○藤井(治)政府委員 まず外郭環状道路先生のおっしゃるとおり、この外郭環状道路は、東京周辺の非常に多くの方々がそこで生活をし、いろいろな社会的な営みをしております。その中で交通をうまく配分して、そしてその他域のための道路をつくりたい、こういう考え方から、東京を中心とする約十五キロの半径の位置に八十五キロの幹線道路として計画をされました。現在、練馬区、和光市、戸田市、浦和市、川口市、草加市、八潮市を経て三郷、さらに松戸までの間、約三十八キロが工事中、一部はもう使わせていただいておりますが、しております。  先生指摘の国道六号以南の約十一・五キロ、このうち市川市区間が十・二キロございますが、このルートについてルート変更ができないか、こういうようなお話でございます。先生御承知のとおり、四十四年五月に一応決定をされました。このときは幅員が四十メートルでございました。それに対して五十三年、千葉県知事から私どもの方に、抜本的な徹底的な検討をしてほしい、こういう御要望もいただきました。  そこで私ども、そのポイントとしては、環境保全の問題あるいは地域分断の問題、また先生指摘の移転者の問題その他もろもろの、地域において一番納得し得る計画にしてほしい、こういう御趣旨だということで検討させていただきました。その際、私どもが現在提示しておるルートのほかに、江戸川の左岸沿いのルート、あるいは市川松戸有料道路というのがございますが、これを活用するルート等も検討させていただきました。その際、地元の利用の利便性あるいは生活道路の機能回復、接続道路との連結、鉄道との立体、影響の世帯数をできるだけ少なくさせていただきたいというようなことを検討課題にしていろいろとやりました。  その結果、やはり現在都市計画路線として決定しておりますその位置において、構造については掘り割りスリット構造というもので、植樹帯等の環境保全空間を十分とらせていただいて、全長六十メーター。環境保全掘り割りスリット構造と申し上げますのは、先生は百も御承知だと思いますが、こういうスリットになっております。(図面を示す)ここに植樹帯、ここに地先道路として一車線の道路が、それぞれ地先のために一車線の道路をつくります。ここは自転車歩行者道も兼用できるような形になっております。そして専用道路は事実上地下にする。そして、いわゆる国道としての平面街路もないと不便でございますから、ここに二車のものを入れます。こういうもののもうちょっと前駆的なものは、今常磐自動車道の柏インターの前後にも若干似たものがありますが、あれをさらに発展的に直したものでございます。こういうようなことをもとに、私ども六十二年十月に千葉県にこういうものでどうでしょうかということを申し上げました。  確かに移転者問題もございます。そこで、移転者問題につきましては、移転先の確保につきまして関係自治体の御協力を得ながらあっせん、仲介等、あるいは代替地の確保も私どもできるだけのことをいたしますので、その点お含みおきいただいて御検討いただきたいということを申し上げたわけでございます。知事から市川、松戸市長に意見照会が行われました。その結果、市川市におきましては、市議会に特別委員会ができて現在四十六回にわたって審議をしていただいておりますが、まだ私ども最終的な意向は示していただいておりません。松戸市からは、平成元年十二月にこれでもって一応いいだろう、これを基本にしていいだろうという回答をいただいております。千葉県におきましては、知事が県議会においてこれを基本とする旨の、本道路についての必要かつ重要な道路認識し、地元市と十分調整を図りながら早期進展に努める旨の御発言があったと聞いております。  いずれにいたしましても、もう一度申し上げますと、環境保全の問題、地域分断の問題、移転者対策、それと関連事業との関係ということを十分配意しながら、私どもの案をもう一度さらに地元に御説明させていただいて、直せる部分があれば、技術の進歩は日々ございますので、そういうものを取り込みながら、少しでもよりよいものにしつつ地元の御理解をいただくように努めてまいりたいと我々も思っております。今の環境施設帯二十メートルの下が何にもない土の部分でございますから、ここに下水道あるいはその他都市施設の収容空間として御活用いただく場合には、私どもも最大限の協力をさせていただこう、こういう状況になっていることを御理解いただきたいと思います。
  48. 福井経一

    ○福井説明員 市川市及び松戸市の下水道を受け持ちます松戸幹線のルート、御指摘のように、これは計画時に種々検討いたしましたが、外環状道路に埋設するルートが最も適当であるということでここに決まったわけでございます。既存の道路は交通量が非常に多く、またカーブの多い、しかも狭い道路でございまして、ただいま道路局長が御説明申し上げましたが、直径四メートルの大幹線を埋設するのは非常に困難な状況にあるわけでございまして、千葉県といたしましても、このルートを今変更するという考えはないようでございます。  それから、何年も待たすではないかという御指摘でございましたが、この点につきましては、暫定的にこの江戸川幹線に一部取り入れるというようなことで、現在千葉県と市川市が協議をしてそういった処置を講じようというふうに伺っております。私どもといたしましても、千葉県がそういうような処置を講ずることについて、これを支援してまいりたいと考えておるわけでございます。
  49. 桜井新

    桜井委員長 上野君に申し上げます。  時間がないけれども、木間先生が後の時間を多少譲るそうですから、五分程度範囲でおさめていただきたいと思います。
  50. 上野建一

    上野委員 申しわけありません。大変重要な問題なものですから。もう質問はいたしませんが、意見だけ申し上げて要望しておきたいと思います。  まず外郭環状道路市川部分について、これは松戸は最初から賛成なんですから問題にならないのです。区間も短いですからそれはいいのですけれども市川の部分は御承知のとおり住民の相当な反対運動が二十年間続いている。決して衰えてはいない。このことがありますし、その基本になっているのは環境の問題があり、しかもこの道路のルートは、これは大臣も聞いておいてもらいたいのですが、できれば現地を見てもらいたい点もあるのです。本当に市川市の一番いい部分を縦断するのですね。病院あり、幼稚園あり、学校あり、松の木あり、大変な場所を横断します。だから、これは住民の賛成を得るということは無理だろうと思います。したがって、市会でもいろいろ検討している、特別委員会をつくってやっているようですけれども、それでも賛成という形はなかなか出てこないということでありますので、この点については余りかたい頭を持たないで柔軟に、もっと早く、しかもできる条件があればルートを考えるべきだと思うのです。何か検討したようなことを言っていますけれども、本格的な検討は現地にはなされていない。これはそういう検討を本気になってやれば他のルートで十分できるし、もっと早く、しかも喜ばれてできる可能性もある、この点を申し上げておきます。したがって道路局長、ひとつ頭のいいところで再度検討してもらいたい、この点を要望しておきます。  それから、下水道については、これは五十六年の八月十一日に市と県の合同調査をやって、現在ある道路にも埋められる、十分やれるという結論が出ているのです。ただ、その点を建設省に持っていくと、建設省はいろいろなことで別の意味で圧力をかけられる、こういうのが現地の市長とか県段階の意見であって、そういう点の問題があります。だから、今の道路でやれるのになぜやらないのだということにもなるわけで、この点は建設省としても指導していただいて、千葉県はもともとそんなに大きい道路なんかないですよ。六メーター以上の道路があればこれはやれるはずなんです。今は大体下水道は地下ですからやれるはずですから、これは変更してちゃんとやる必要がある。江戸川幹線に入れるといったって、それは限度があるはずですから、その点でのことをもう一度調査をして、一日も早くこの幹線を進めるように、特にこの五カ年計画をこれからやるということですから、それであればなおさら促進をしてもらいたい、このことであります。  最後は要望になりましたが、以上、申し上げておきます。大臣、ぜひ一度現地を御案内しますので、見ておいていただいて、その点も含めて本当の意味で喜ばれる、道路をつくってみんなに文句を言われるんじゃしようがないので、これから住民のための道路をつくるわけですから、喜ばれる道路をつくるように重ねて要望しておきます。どうもありがとうございました。
  51. 桜井新

    桜井委員長 次に、木間章君。
  52. 木間章

    ○木間委員 下水道整備緊急措置法の議論に参加をいたします。  私どもよくこんな話を聞くのですが、都会の子供たちが田舎へ帰ってトイレを使用するわけですが、おじいちやんのところのトイレは暗くて恐ろしい、こういう話をよく聞くわけです。また、私ども地方へ出まして一番要望の強いのは、下水道を早くつくってほしい、必要不可欠だ、こうおっしゃるのは七二・七%、あった方がいい二三・九%、まさに九六・六%の方々が下水道設置を求められておるのであります。今度の法改正、七次五計で大臣は当面一〇%を進捗させよう、二十一世紀には七〇%に達したい、こういうことでございますが、まず最初に大臣の決意をお伺いしておきたいと思います。
  53. 大塚雄司

    大塚国務大臣 今先生お話しのように、この第七次五カ年計画は十年間で一〇%、二〇〇〇年には七〇%を目標公共投資基本計画四百三十兆円のスタートの年にもなるわけでございますので、この五カ年計画策定さしていただきまして強力に進めていこう、こういう考えでございます。  午前中、貴志先生から和歌山県のお話も承りました。先生の富山県は二六%、福井県は三三%ということでありますが、要は全国国土が均衡ある発展を遂げていくためにも、いわゆる大都市における下水道整備はもう申すまでもなく高率でありますから、方向としましては、いわゆる生活環境文化機能の比率を高くして公共投資を進めていく。下水道も全く同じように、市町村下水道普及に力を尽くしまして、そして全体的にレベルアップをしていくということを一つの理念としまして公共事業を進めてまいる、そのような決意でおるわけでございます。
  54. 木間章

    ○木間委員 下水道事業は住民生活の改善と自然環境の改善、そしてそういった中で住民ニーズや自然環境を踏まえて都市事情に見合ったものでなければならないと思います。多額の費用がかかりますから、地方の財政状況も特に踏まえていかなければならぬのでございます。下水道は必要だといいながらも今日まで各自治体では着手できない悩みがあったろう、理由があったろう、このように考えるものでありますが、着手できなかった自治体の理由を建設省はどのように受けとめ理解をされておるのか、お尋ねをいたします。
  55. 市川一朗

    市川(一)政府委員 現在下水道着手市町村が、人口五万人未満市町村におきまして、全体で二千八百の市町村のあるうち約二千が未着手でございまして、この辺の状況は一番厳しい数字となってあらわれているわけでございます。一方で、人口の多い百万人以上の大都市につきましては平均値でも約九〇%の普及率でございまして、その辺の実態がどういう事情でそういう結果になっておるのかというお尋ねであるわけでございますけれども、いろいろな事情があったというふうに私どもは思っておる次第でございます。  基本的には、やはり大都市に市民がたくさん集まってまいりまして、下水道への要求というものがかなり早くから実態的にも生じておったところで下水道事業への着手が他よりも早く始まりまして、結果として現段階において普及が進んでおるといったようなことが一つあろうかと思うわけでございまして、その当時におきましては、下水道というものへの認識の問題もあったのではないかなというふうに思っておるわけでございますが、現在になりますと、ただいま先生の御指摘もございましたように住民ニーズの高まりも含めまして、市町村の段階ではいずれも下水道整備には非常に御熱心な市長さん、町長さんが多いわけでございますが、なかなか実態としては下水道事業着手するに至らない実態が先ほど申し上げた数字となってあらわれている、こういうふうに思っておる次第でございます。  このような状況をつぶさに検討してみますと、現時点で一番大きな事情はそれぞれの市町村の持っている財政事情が非常に大きな事情として出てくるようでございますが、そのほかに、それぞれの地域自然的条件もいろいろ異なります。また、そこへのいわば集落の展開の仕方の違い、これは自然的条件と申すのでしょうか、あるいは社会的条件と申すべきなのでございましょうか、そういった町や村によりまして集落の形成の違い等もございまして、この辺も下水道をネットワークとして整備するという場合の一つの差になってあらわれてきておるのではないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、現時点で下水道整備に早期に着手して、できるだけ早い段階で下水道整備したいという町村レベルにおきましてなお未着手状況における最大の理由は、人的資源の問題も含めましたそれぞれの市町村財政的な事情が一番大きな要因なのではないかと思っているところでございます。
  56. 木間章

    ○木間委員 住民ニーズも下水道に対する要望が非常に強いし、その促進の必要性は私も理解はできますし、賛意を表するわけでありますが、今の姿勢では促進のみが先行しておるのではないだろうか、こう思えて仕方がないわけであります。今局長からもお話がありましたが、自然環境を守っていく、あるいは地方財政に破綻を来さないようにしていく、こういうことなど計画の段階から総合的に取り組まなければならない、こう考えるわけです。そのためには公共下水道一辺倒じゃなくて、類似施設と申しますか、例えば地域し尿処理施設、農業集落排水事業、合併処理浄化槽設置整備事業などなどと総合的に取り組むべきだと思いますが、お考えをお尋ねします。
  57. 市川一朗

    市川(一)政府委員 今後の下水道整備の方向におきまして、いわゆる公共下水道一辺倒ではなく、他の類似施設も総合的に勘案して進めることについての考え方でございますが、私どもの立場で考えてみますと、下水道は法律上きちっとした接続義務を課せられておりますし、また放流水の水質が法令上担保されておるわけでございますが、それに比べますと、いわゆる下水道類似施設につきましては、主としてお手洗いの水洗化等を目的に、下水道整備が及ばない散在集落、あるいは下水道整備まで長期を要すると思われる地域におきまして任意事業として設置されておるものでございまして、建設省といたしましては、排水処理につきましては下水道整備で対処するということが基本ではないかと思っておるところでございます。  しかし、下水道整備には長い年月を要するわけでございますが、一方で、先ほど先生の方からお孫さんのお話が出ましたけれども、お手洗いの水洗化を望む住民の声に合わせまして、従来垂れ流しにされておりました雑排水等を処理していかなければならないという実態は現実に生じておるわけでございますので、そういう場合に下水道との整合性をとりながらある段階において類似施設を設置していくということは、やむを得ない、また有効な措置ではないかと思っているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、それぞれの地域におきまして下水道整備のスケジュールをきちっと明確にいたしまして、その下水道整備のスケジュールと合わせた形で下水道類似施設を設置していく、そういうシステムが極めて重要であると考えておりまして、下水道担当部局と下水道類似施設担当部局とが緊密な連携をとりまして、地域単位でしっかりと協議を確立してやっていくということによりまして、トータルとしての住民のニーズといいますか、国民の期待にこたえていくということが非常に大事であろうかと思います。  ただいま先生の方から自然環境への配慮お話もございましたけれども、そういったような面も含めまして、下水道自体におきましても、いわゆる流域下水道公共下水道とあるわけでございますが、その中で、地域実情に応じまして、特定環境保全公共下水道とか、あるいは簡易下水道といったような小規模な下水道も含めて、いろいろ事業を配慮している面もございますので、それぞれいろいろな組み合わせの中で、最終的にはすばらしい環境の中で国民すべてが快適な生活ができるような方向で考えてまいりたい、私どもはそんなふうに思っておるところでございます。
  58. 木間章

    ○木間委員 下水道財源のおおよそ六〇%は起債と聞いております。事業費の伸びは事業の拡大につながるわけですが、同時に、地方財政負担は膨らむばかりであろう、こう思っております。ですから、財政力を無視した過大な投資、過大な施設にならないように配慮しなければならないと思うのです。したがって、処理人口計画人口ではなくて、当面、現在人口計画をし、そして五カ年間で実施できるような範囲内でとどめるべきであろう、こう考えるわけですが、いかがですか。
  59. 福井経一

    ○福井説明員 下水道計画策定するに当たりましては、目標年次というものを定めておるわけでございます。これは、下水道の施設を建設するに当たりまして相当期間が必要であるという点、あるいは道路管渠が埋設されますと、それを敷設がえしたりあるいは簡単に増設することが非常に困難である、こういったことから、原則といたしまして目標年次を定めるわけでございますが、私どもは、それが通常の場合は二十年後というふうに定めておるわけでございます。  そういったことから、この計画人口の決定につきまして、それぞれの市町村の長期計画とか長期構想とかそういったものがあるわけなんですが、そのような上位計画を総合的に検討しながら、目標年次におきます将来人口を推定するというふうにやっておるわけでございます。その際、人口の伸びが見られないような地方の非常に小規模な下水道、そういったところは現在の人口計画するわけでございますが、それぞれの地域実情に応じました適当な計画となるように通常はやっておるわけでございます。したがいまして、人口の伸びないような非常に小規模の場所は、現状の人口で実施してよかろうということになるわけでございます。今後とも、こういった計画的あるいは効率的な下水道計画策定するに当たりまして、私どもも公共団体を指導していく所存でございます。     〔委員長退席笹川委員長代理着席
  60. 木間章

    ○木間委員 恐縮なんですが、私どもも皆さん方も、過去に流域下水道などでいろいろ経験してきた経緯があります。例えば、処理人口を数次にわたって見直したこともあったわけです。確かに、各自治体は町や村の活性化のために努力されておりますから、おっしゃるように二十年後、三十年後を展望しながら計画を立てられることは一理はあるだろうと私は思っておりますけれども、残念ながら、我が国に過疎過密現象が起こりまして、いろいろ施策を講じてきたところでありますが、その流れはいまだにとまっておりません。ですから、やはり過大投資になることだけは何としてでも避けなければならない、後々に負担になってはね返ってくるわけでありますからそのことを厳に慎んでもらいたい、こう私は申し上げたいのであります。  次に、自治省が来ておいでると思いますけれども先ほどからも論議になっておるわけでありますが、この事業を進める場合に、自治体は十分な執行体制が必要であります。ところが、これも先ほどの議論の中でお聞きしたところでありますが、、事業団への委託が一つの窓口になっておるようです。となりますと、市町村の固有の事務事業が形骸化されるのではないだろうかと危倶するところです。  したがいまして、実施しようという自治体においては、計画段階から設計、建設、さらに管理の問題についても調整機能を持つべきであろう。したがって、下水道の技術職員を採用する、あるいは専門的技術職員の養成を図ることが極めて急務であろう、こう私は考えるわけであります。うがった見方になるかもしれませんけれども、当該自治体のノーハウの貧弱さにつけ込んで、委託を受けた事業団ベースでやられた日にはかなわぬわけでありますから、ぜひそういう点で考えていくべきであろう。  先ほどから行政改革の御発言もありました。私は、行政改革というのは人を減らすことだけが行政改革であろうかとかねがね疑問と、皆さんのお考えについて不満を持ってきました。新たな事業については、人をふやすことは当然であります。そして、不必要な部分については切り下げていくことも当然でありますから、ですから改革と言うのでありまして、何でも削るなら、改革という言葉は使われません。したがいまして、大臣のお言葉にもあるわけでありますから、これから文化生活のバロメーターを高めよう、ぜひそういった考え方でこの問題について皆さんの熱意をお聞かせいただきたいと思うのです。
  61. 福井経一

    ○福井説明員 市町村の執行体制、特に技術屋不足というものは、先生指摘のように私どもといたしましても、その技術者の養成が急務であるということは全く御同感でございます。  現在、市町村におきます下水道技術者数といいますのは、昭和四十九年に一万三千人であったものが平成元年にはおおむね二万人にまでふえている、こういう状況でございます。逐次、こういった執行体制が強化を図られてきておるというふうに考えておるわけでございます。下水道法の第二十二条に定められております有資格者数につきましても、昭和四十九年に六千二百人であったものが平成元年では一万四千六百人、同じように相当の増加を見ているわけでございます。  しかしながら、これから中小市町村の事業を実施するに当たりましては、決してこれで十分とは言いがたい状況でございまして、私どもといたしましても、この技術者を確保することが今後の大きな課題というふうに受けとめているわけでございます。現在、日本下水道事業団等におきまして、研修あるいは検定試験といったものを実施しておりまして、この技術者の確保、養成に努めておるわけでございまして、私どもといたしましても、今後、下水道事業の執行に支障を来すことのないように強力に指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  62. 西川一誠

    ○西川説明員 下水道技術者の問題でございますが、公共下水道の管理につきましては市町村が行うことが原則でございます。今後下水道中小市町村拡大をしていくという状況考えられるわけでございますが、各市町村が業務を適切に執行するためには、必要な組織体制を確保していただくことが非常に重要な課題であるというふうに考えております。  市町村におきましては、技術者計画的な採用あるいは養成、また事業団の研修あるいは都道府県との人事交流の活発化によりまして、専門職員の充実、資質の向上に務めていただく必要があるというふうに考えております。また一方、市町村によっては行政組織の規模も小さいとか、あるいは専門職員の採用にも一定の限界がある、こういうことも考えられるわけでございます。市町村実情に即しながら、都道府県あるいはまた事業団に対して計画策定であるとかあるいは執行等につきましての専門的な助言指導を求めたり、あるいは技術者の派遣等を求めるなど、市町村に対する技術的な支援を充実する必要があると考えております。  なお、市町村事業を実施するに当たりましては、経営上の観点から、民間委託等も活用して業務の効率化を図っていただくことも重要かというふうに考えておるところでございます。
  63. 木間章

    ○木間委員 三月末に過疎法の一部改正が行われまして、知事の代行制度が確立をいたしました。建設については代行制度でおやりになるのでしょうが、維持管理についてはそれぞれの自治体でやるべきだと思いますが、その点について一点だけお尋ねしておきます。
  64. 市川一朗

    市川(一)政府委員 代行制度でございますけれども都道府県が代行する範囲は幹線管渠等に限られております。したがいまして、末端管渠整備と、それから幹線管渠等も含めました供用開始後の維持管理は市町村が行うということにされております。
  65. 木間章

    ○木間委員 過疎自治体といえども維持管理は市町村がやる、こういうことでございますから、やはりノーハウを持った職員を配置することが極めて大事でありますから、その点ひとつ抜かりのないように万全を期していただきたい、こう思っております。  それで、下水道を設置をする場合に、それぞれ自治体では都市計画決定で行うのが基本となっておりますが、都市計画決定もないまま下水道を設置するケースがあります。都市計画決定があれば都市計画税の徴収はできるわけでありますが、ない場合には自治法上の受益者負担金のみになっていくわけでありまして、当然のことながら財源問題に四苦八苦の状況に相なろう、こう思うわけでありますが、この点いかがでしょうか。
  66. 福井経一

    ○福井説明員 都市計画区域内におきましては都市計画税というものが徴収できるわけでございますが、都市計画区域外におきましては、都市計画税というのは通常は徴収できないことになっております。したがいまして、都市計画区域外で行われます下水道事業については当然都市計画税というのは徴収できないわけでございますが、都市計画区域外で行われます下水道というものは、特定環境保全公共下水道ということで私どもが実施している事業でございます。この事業につきましては、国庫補助対象範囲というものを定めまして、今国の補助の面で少し有利になるように実施しているわけでございます。また、予算の配分面におきましても、生活関連の重点枠等を利用しながら、特定環境保全公共下水道に大幅な伸びを見て実施することとしておるわけでございます。
  67. 木間章

    ○木間委員 どんどん各自治体が下水道事業をやられる場合に、下水道の使用料のばらつきが見受けられるわけです。ある労働団体の調査でございますが、二十立方メートル当たり月額、少ないところでは六百円、多いところでは四千七十円とデータが出ておるわけです。もちろんこれらはそれぞれの自治体の条例で定められておるところでありますが、この使用料のばらつきについて平準化をそろそろ考えるべき時期に来ておるのじゃないだろうかと私は考えるわけでありますけれども建設省の方のお考えはいかがでしょうか。
  68. 福井経一

    ○福井説明員 下水道の使用料金が全国的に見て非常にばらつきがある、二十立米当たり六百円から四千七十円という御指摘がございました。全く御指摘のとおりかと思いますが、公共下水道管理者は、下水道法第二十条に基づきまして、条例で定めるところによりまして使用料金を徴収することができるということになっておるわけでございます。この基本的な考え方といたしまして、これは「下水の量及び水質その他使用者の使用の態様に応じて妥当なものであること。」あるいはまた価格的に適正なもので原価を超えないものとか、そういうようなことが定められているわけでございますが、私ども調査いたしましたところによりますと、昭和六十三年度で、全国平均で一カ月に二十立米使用する場合に千五百七十四円という数字が出ております。一立米当たり七十八円、七十八・七円という数字になっておるわけでございます。  御指摘のように全国的に見て非常にばらつきがあるわけでございますが、これはそれぞれの地方公共団体ごとに条例で定められておるわけでございまして、しかも建設に着手した時期あるいはまた供用開始した時期あるいはまたその経過年限、そういったものがそれぞれ異なっておるわけでございます。今後、この使用料金の平準化につきましては、実態を十分に調査した上、適切に判断してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  69. 木間章

    ○木間委員 次に自治省にお尋ねをしたいと思いますが、住民は、都市部であれ村部であれ、先ほどから意見交換をしておりますように、下水道整備については極めて強い要求があるわけです。それで、都市部は連檐をしておりますが、村部は集落そのものも離れておりましょうし、個々人の住宅も点在をしておるわけです。特に私の選挙区でございます砺波地方の山漁村、これはいろいろ伝統的なものもあるわけでありますが、そこにいざ下水道を設置しよう、こうなりますと、大変な財政負担が求められていくわけです。それで、自治体が財政負担の能力があるのかどうか、自治省でどのような見通しを持っておいでましょうか。あるいは、そうした特異な自治体が下水道整備に踏み切ったときに自治省としてどのような財政支援考えておられるのか、私は考えていただきたい、こう思っておりますが、自治省の御見解を承りたいと思います。
  70. 西川一誠

    ○西川説明員 特に小規模あるいは立地条件上いろいろ問題のございます団体についての下水道整備、あるいはその財源の問題でございます。先ほどからいろいろ御意見賜っておりますように、下水道につきましては都市、農村を問わず、住民生活に密着した社会資本ということで要望も強うございますし、今後積極的に整備を図る必要があるというふうに私ども考えております。  平成三年度から開始いたします第七次の下水道整備五カ年計画でございますが、御案内のように、その事業量全体の伸びは前期の第六次の五カ年計画に比べますと三五%の増というふうになっておりまして、前期の比較的伸び率の低かった五計に比べますと、はるかにこれを上回る大幅な増加という状況でございます。一方で、平成二年度に終了することになりました前期、第六次の五計でございますが、実績で見ますと、国費が四兆円に対しまして地方負担は七兆五千億円余ということで、地方負担が全体事業の三分の二を占めておる、こういう実情にあるわけでございます。  さらに今後、次期の第七次の下水道整備五カ年計画におきましては、考え方としては、特に普及がおくれております中小団体の下水道整備を積極的に進めると同時に、未着手団体の新規着手を促進する、こういう方向でございまして、こうした意味での市町村における地方負担が増加することが見込まれるところでございます。  こうした状況を受けまして自治省といたしましては、建設省等とも御相談をいたしながら、平成三年度の地方債計画におきましては、地方団体の所要額を、補助、単独を含めまして積極的に地方債計画上、計上をいたしております。九・七%の増になっております。そして、今後その元利償還につきましては、交付税措置を行うというふうに考えております。  また、特に将来資本費が非常に高くなるという団体がございますので、こうしたものについては従来から資本費負担の先送りといいますか平準化措置を一方で講じておりますし、立地条件等から結果として非常に高い資本費になる団体がございますので、こういう団体に対してはこれを公費負担をするということで、公費の方の対策を加えておるわけでございまして、また低金利の資金を融通するという意味での金利負担軽減対策も行っているところでございます。  それから、今回特に第七次の五カ年計画期間中でございますが、普及率を積極的に上げようという団体に対しては一定の、住宅周辺の環境に係る面整備単独事業でございますが、これについて実施団体に対しまして交付税措置の現行制度より割り増しをした措置を講ずる、こういうことを考えているところでございます。  なお、先ほども御指摘等ございましたが、下水道施設の整備につきましては、地域の実態あるいは建設コスト等勘案いたしまして、下水道法下水道はもとよりでございますけれども、そのほか集落排水事業とかあるいはコミュニティープラントあるいは合併浄化槽等の中から適切な処理法を選択するように、またそうしたことを選択された場合には、バランスのとれた財源措置を講じさせていただくというふうに考えておるところでございます。
  71. 木間章

    ○木間委員 自治省の、今後とも努力をしよう、したいという決意のほどをお伺いしました。ぜひこれから町部、村部、特に集落まで拡大をされるわけでありますから、ぜひ前向きにさらなる御努力を賜りたいと思います。ありがとうございました。  次に、未設置の自治体は水道水源区域にも多いわけであります。これからそうした地域にも下水道整備がされていくわけでありますから、公共用水域の水質保全のために排水の高度処理が特に求められていくだろう、徹底されていかなければならないと思うのです。上水道の水質基準は三ppmと聞いておりますが、下水道の水質基準は二〇ppmだということでありますが、この整合性についていかがお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。  あわせまして、これらの高度処理については、私は事業費を含めて国費で賄うべきであろう、こう思うわけでありますが、お尋ねしておきたいと思います。
  72. 福井経一

    ○福井説明員 公共用水域の水質につきましては、水利用の観点から水質保全行政目標といたしまして、水質環境基準というものが定められております。この水質環境基準の維持達成のために、水質汚濁防止法によりましてそれぞれの特定施設からの排出水の規制がなされております。下水道の終末処理場につきましても、この規制の対象になっておるわけでございます。通常の水域では、この下水道の放流水の水質基準、今先生指摘の二〇ppmというもので現在のところ十分対応できるものというふうに考えておるわけでございます。ただいま水道水源は三ppmだというふうにおっしゃいましたのは、水道水源として利用できるのが多分環境基準が三ppm、それに対応して、下水道の放流水というのは終末処理場からの放流水でございますので、川に流れますとそれが三ppmになる場合にはこれで十分だ、こういうことだろうというふうに考えております。  しかしながら、この閉鎖性水域あるいはまた高度な水利用が必要だという場所においては、当然この高度処理というものが求められるわけでございます。この高度処理につきましては、平成三年度から特定水域高度処理基本計画策定に対しまして補助制度ができたわけでございまして、今後、高度処理が必要な水域につきましては積極的にこの導入を図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。  なお、この高度処理の建設にかかわります費用につきましては、従来の下水道事業の補助の体系で行っておるわけでございますが、維持管理にかかわりますこの費用負担につきましては、これは地方公共団体の負担ということにされております。しかし、その一部につきましては特別交付税措置が行われているというわけでございます。
  73. 木間章

    ○木間委員 さて大臣、ここまで議論をしてきたわけでありますが、いずれにいたしましても下水道事業は多額の財政投資を要する事業である、こういうことでございます。そして、その町や村の事情に見合った事業でございますから、当然のことながら、着手するかどうかはそこの自治体の判断となるでありましょう。政府は、先ほど大臣がおっしゃったように、二〇〇〇年までには七〇%をぜひ整備をしたい、こういう御決意でございますけれども、そういった意味で国費の計上もこれから順次されていくわけでございますが、自治体が、そうはいっても大変財政負担にたえられない、このように困難視をする場合が出てくるだろう、こう私は思われて仕方がないわけです。そういったときに皆さん方はどのような方策をお考えなのか、ぜひ一点お尋ねしておきたいと思うのです。
  74. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたように、二〇〇〇年に七〇%。先進国に比べますと、やはり日本の社会資本整備というのは何としてもおくれをとっておるわけでありますから、ともかく四百三十兆円の公共投資基本計画もスタートをすることでございますし、また同時に、生活重点化枠の制度もことし初めてでありますが取り入れて、いわゆる国民に密着した豊かさが実感できる公共投資といえば、もちろん下水道あるいは都市公園その他もろもろのものがございますけれども、なかんずく国土の均衡ある発展を図り、地方の振興を進めるという観点からしますれば、やはり道路下水道というのは非常に大事な公共投資である。  御指摘のように、地方の自治体の中には財政力の大変乏しいところもございますし、そういうところにきめ細かく配慮をしながら、先ほど県別普及率も聞かせていただいたわけでありますが、均衡ある発展を図るために全力を投球してやってまいりたい。生活重点化枠の推移は今後また大蔵省等とも話をしなければならぬと思いますし、一方で税源の確保につきましてもいろいろ論議のあるところでありますが、やはり世界のそれぞれの国にまさるとも劣らないような公共投資をしていかなければならぬという観点からしまして、関係省庁ともよく連絡をとり、緊密な連携をとりながらこの公共事業を進めてまいりたいと思います。
  75. 木間章

    ○木間委員 ちょっと角度を変えて一、二、お尋ねをしたいと思いますが、下水道事業は地中で行われるわけです。昨年一月、JR御徒町トンネル工事で陥没事故が発生いたしました。その後の調査では、地固めのための凝固剤の手抜き工事があった、こういうことでした。また、昨年八月には、足利市の下水道幹線工事で同じく凝固剤の注入不足が新聞等に取り上げられたわけであります。  そこで、言うまでもなくこれらの掘削作業には地盤凝固剤注入は欠くことができない工事でございますが、埋め戻せばあとはわからない、こういうことにもなる可能性がございます。ですから、これらの二つのことを見ましても、手抜きの温床になる場合が非常に多いということが指摘されるわけです。それは、人手不足もありましょうし、工期の短縮ということもありましょうし、そして経費の安上がりをねらった、こういうものであろうと思いますが、一たん作業中に地崩れが起こりますと、労災事故を初め大惨事になることも極めて高いわけです。  そこで、凝固剤注入のための諸経費の計上は、なっておろうとは思いますけれども、十分に計上されておるのかどうか、そしてその基準があればお示しをいただきたいと思いますし、いま一つは、凝固剤を注入したかどうか、この確認がどのようにされておるのでしょうか。あるいは現場に立ち会いの職員を派遣をするとか、あるいは道路の舗装の場合にボーリングをしてコアを調べるわけですが、そういった注入がされておるかどうか、十分であるかどうか、ボーリングなどの調査をされるのかどうか、こういう点をお尋ねしておきたいと思います。
  76. 福井経一

    ○福井説明員 この下水道工事用の薬注を設計するに当たりましては、土質の条件、そういったものに応じまして、注入量や作業日数を適切に積算することができるようになっております。また、主要な工法につきまして標準歩掛かりを作成しておりまして、これらについて地方公共団体は妥当な経費を算出しているというのが実態でございます。  この薬注工事は、完成後なかなか目で見ることが困難な場合が非常に多いわけでございます。したがいまして、その注入した材料の数量、あるいはまたその品質の管理、あるいはまた注入深度の測定、あるいはまた注入中の注入流量、あるいはまた注入圧の自動計測器によります記録、こういったものによりまして適切な施工管理を行って、十分にその効果が発揮できるように実施しているというわけでございます。  なお、試験注入あるいはまた本注入した後におきまして、その規模とか目的を十分に考慮して、必要に応じて、ボーリング等の適切な手法によりまして薬液注入の効果の確認というものが行われているというわけでございます。
  77. 木間章

    ○木間委員 部長さん、ある作業員から聞いた話でございますが、注入の記録書とか日誌とかなんとかいうものは、夜中に宿舎へ帰ってから改ざんをするという話は間々ある、そう実は聞いておるわけですよ。ですから、イタチごっこで大変難しい判定だろうと私は思うのですけれども、やはり抜き打ち的にボーリング調査をすることが極めて大事じゃないだろうか。一たん事故に入っていきますと、せっかく埋めた管も台なしになるでしょうし、ましてや作業員がその中に巻き込まれるわけでありますから、その点をぜひ注意していただきたいと思うのです。  最後に、同僚議員からもありましたし、先般の審議の中でも出てまいりましたけれども、私どもは、十年間に四百三十兆円の公共投資事業を果敢にやって社会資本の充実を図ろう、こういう入り口に今立っておるわけです。しかも、予算委員会や建設委員会で随分と論議を呼びましたこの公共投資事業のさなかに、広島やあるいは立川や、各地で相次いで建設工事にまつわる大惨事が発生をいたしました。私は、犯人捜しをしようという気持ちは毛頭持っておりませんけれども、今、過去十年のトータルで一・六二倍の公共投資をやろう、これも国民の貴重な税で賄うわけでありますから、ぜひそういった、単なる工程のミスやあるいはうっかりでは済まされないことであります。とりわけこれからやられていくであろう各種事業は、近郊のみならず都市部でむしろ行われていくのは、民間投資であれ公共投資であれ私は盛んになっていくもの、こう考えたときに、やはりこれらのことについて、何を私たちは学んで、二度と再び起こさないためには何をなすべきか、このように強く感ずるわけです。それで、先ほどからも対策などの御答弁があったわけですが、安全対策の上にも安全に、さらに教育その他をやっていく。  私は広島へも調査に行ってきましたけれども、地元の県警の皆さんのお話では、工期が三月一日から三十一日まで一カ月間の工期だったから交通規制ができなかった、こうおっしゃるわけでありますが、我が党の松本龍先生はその道のオーソリティーです。クレーンでつり上げて、そして定位置に定着させるまで、おおよそ時間は三時間ないし四時間程度でできるんじゃないだろうか。何も私たちは、一カ月丸々一日一万二千台の交通量を持つ幹線道路をとめなさいではないんですよ。わずかその間、なぜとめられなかったか。やはりうっかりじゃないんだろうか。お互いに信頼の上に立つと官房長はおっしゃるわけでありますけれども、私はそのことを否定するものではございませんけれども、お互いに、わずか三時間か四時間を見過ごしたばかりに十四名の皆さんを死なせてしまった。その結果、交通量をとめられなかったとおっしゃるのですけれども、交通量規制を解くまでに、手順はここに持っておりませんけれども、およそ二十日間かかっておるわけですよ。  だから、二度と再びこういうことをやっちゃいかぬ、このことを強く要望申し上げまして、それぞれ御意見を聞こうと思っておりましたけれども、時間も迫っておりますから、強くこのことを申し上げて、私どもも反省いたしますが、ぜひ公共事業を担当される皆さん方においてもしかと受けとめていただきたい。このことを要望いたしまして、終わらしていただきます。
  78. 笹川堯

    笹川委員長代理 吉井光照君。
  79. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 私は、本題に入る前に一言大臣の御決意を伺っておきたいのですが、御承知のように、去る四月十八日に歴史的な日ソ両首脳のたび重なる会談の末に、両国間に十五の公文書が調印、合意されたわけでございます。その中に、ソ連における市場経済移行のための改革に対する技術的支援にかかわる協定があるわけですが、日本政府は、法令及び予算の範囲内での技術的支援を実施するよう努力すると約束をし、ソ連政府の方も、技術的支援が円滑に実施されるようあらゆる可能な便宜を与える、このように誓ったわけでございます。協定の内容につきましては、円滑な流通を確保するための措置策定及び実施など九つの分野で、三年間にわたって政府による専門家等の派遣と受け入れ、それから公の機関の専門家等による会議の開催等の形で行われるようですが、日ソ友好条約早期締結のために、建設大臣としてはこの日ソ技術協定を初め建設行政に関連する公文書に対して今後どのような決意でお臨みになるのか、まず御決意をお伺いしておきたい思います。
  80. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先生お話しのように、今般ゴルバチョフ大統領の訪日に際しまして、ペレストロイカへの技術的支援に関する協定が結ばれたところでございます。同協定におきましては、ただいまお話しのとおり、経済計画財政政策等九項目の協力分野が定められているところでございますが、今後技術協力の内容が具体化してまいります中で、建設省といたしまして協力すべき分野につきましては関係省庁と十分調整を図りながら、所要の協力をしてまいりたいと考えております。
  81. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 それでは本題に入りますが、今朝来いろいろと議論がされたところでございますが、まず日米構造協議を受けて生活関連重視の公共投資ということで、その代表格であるところの下水道事業というものが大きくクローズアップされてきたわけですが、それがいわゆる三年度予算にも反映されていることは、これはもう申すまでもございません。ところが、問題はこの二〇〇〇年を目途に下水道普及率七〇%を達成するために、現在四四%、これは元年度の統計でございますが、この普及率の最大の原因となっているところの中小市町村整備をどれだけ進めることができるか、これはもう非常に難しい問題だろうと思います。政府もこの点に重点を置きまして、七次計画を初めあらゆる施策を積極的に進めていく、こういうことでございますが、推進をしていく上で特に問題となるのが、やはり財政力の弱いところの中小市町村に対する財源措置であろうかと思います。このことにつきましては先ほどからいろいろと答弁も伺ったわけでございますが、この点については補助率の大幅な復元や補助率の個別化、それから交付税措置の増等々、これは参議院でもいろいろと論議があったわけでございますが、私どもは少々異なった視点からちょっとお尋ねをしておきたいのです。  これは元年七月、総理府が下水道に対するところの国民の意識調査を行いました。その結果を見ますと、現在自宅で下水道を利用していない人に下水道を利用したいと思うか、このように聞いたところが、利用したいと答えた人の割合を都市規模別で見ますというと、大都市が八八・二%、それから中小都市で八五・七%、町村へ参りましても七九・七%、いわば規模が小さくなるに従って低くなっているわけです。また、下水道を利用したいと思わない人が二〇・三%いるわけですが、この理由を聞いたところが、必要を感じないから、このように答えた人が最も多くて六五・五%に上っております。それから、費用が高いから、これが二八・八%、工事が面倒だから、これが一二%という結果でございます。つまり地方に行けば行くほど、費用や工事面よりも下水道の必要性を感じてない人が結構いるという統計ではないかと思うのです。  また、建設省市町村別の下水道マップ策定状況、これは平成二年度の調査でございますが、これを見ましても、全国の三千二百四十六市町村のうち二千八百四十五都市、全体の八八%ですが、これでマップの策定をしているわけですが、このうち下水道事業を実施している都市が千百七十一都市、四一%にすぎないわけでございます。こうした実態は、これから進めるところの中小市町村に対する下水道整備目標、これに大いに影響がある、このように思うわけですが、こういった点についての建設省サイドの考え方をお伺いしたいと思います。
  82. 市川一朗

    市川(一)政府委員 下水道整備の長期目標でございますが、ただいまお話がございましたように、私ども日米構造協議最終報告、あるいはそれに基づきまして定められております公共投資基本計画等におきまして、おおむね二〇〇〇年を目途に普及率を七割程度引き上げる、それから今後五年間におきまして普及率を約一〇%向上させるということで、現実には、現在四四%の普及率を五年後には五四%に引き上げるという内容の第七次五カ年計画考えておるわけでございますが、さらに長期的な課題といたしましては、二十一世紀のなるべく早い時期に普及率を九割程度にするよう、都市計画中央審議会より答申をいただいているという経緯もあるわけでございます。     〔笹川委員長代理退席委員長着席〕  私どもは大体その辺をにらみながら、現在第七次五カ年計画策定等も含めましてこれに取り組んでいるわけでございますけれども、ただいま御指摘ありましたように、それを達成するために最も大きな課題となりますのは、やはり何といいましても、現在下水道事業着手市町村が二千ございますが、いわゆる中小市町村への普及といったようなことが大きな課題であろうと思っておるわけでございます。  ただいま先生の方から、国民の意識調査等を踏まえまして、町村によっては下水道の必要性を感じていないといったようなところもあるのではないか、そういったようなところを踏まえてどういう取り組み方をするつもりなのかというお尋ねであったかと思うわけでございますけれども、私どもは、下水道整備の必要性につきましては建設省として申し上げる以上に、ただいま申し上げました普及率論議をやる過程におきまして、かなりの国民的レベルで下水道整備の必要性についてのコンセンサスが高まってきておると思っておる次第でございます。いわゆる山村部におきましては、伝統的に下水道等で処理しない、もう少し自然的な処理方法等も歴史的にずっと続いておったわけでございまして、そういったようなところでかなりの財政負担を伴います下水道整備をやるかやらないかといったような問題は、なかなかその気があっても難しい問題でございますし、なおかつこういった意識の問題も背景にあるということでございますと、かなり困難な問題を伴うというふうに思うわけでございますけれども、やはり国民各位が望む方向で行政展開していくという観点に立ちまして、それぞれの地域レベルにおきます住民の方々の御要望に的確にこたえるというところから、順次下水道の未着手市町村における着手といったような問題に取り組んでいく必要があると思っているわけでございます。  したがいまして、長々御答弁申し上げてしまったわけでございますけれども、現時点におきまして、下水道の必要性についての感じ方の差というものはやはりあることも否めない事実だと思います。その辺はまた長期的な課題という観点の中で、十分地域レベルでの話し合いを通じながら、建設省といたしましてはできるだけ下水道整備が促進するように努めると同時に、また、地域における御要望にむしろ積極的に協力していくという観点から、地域レベルでのそれぞれの自主性も尊重しながら取り組んでいくといったようなことで、ステップ・バイ・ステップで取り組んでいくことによりまして長期的な目標達成も可能なのではないか、こんなふうに思っているところでございます。
  83. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 先ほど申し上げました統計、総理府の調査でございますが、これは平成元年度ですから、いわば随分昔の話でございます。この下水道に対するところの地域住民の皆さん方の認識考え方というものがここ数年非常に変わってきているんじゃないか、私はこのような気がするわけでございます。したがって、今までは下水道なんて必要ない、このように思っておった人が、やはり町の形態、都市の形態がどんどん変わってくる、これはなるほど下水道を完備しないと本当に文化的な生活なんかはもうほど遠い、こういう認識も急激に広がりつつあると思うのです。  先ほどからの御答弁を聞いておりますと、熱心な首長さんも非常に多いし、そういったところから積極的にやっていかなければいけないというような御答弁もあったやに聞いておりますけれども、逆に首長の皆さん方の考え方というものが、例えばうちもうちもという傾向になっているんじゃないかというような気もするわけでございます。そうなったときに国の方で、いやこれは予算が決められておりますから、ここではもう少し待ってくださいでは困るわけでございまして、結局先ほどからのいろいろな論議の中で、一番のネックはやはり財政的な問題だろうと思うわけでございますから、そうなったときに待ってくれということのないように、将来をよく見きわめて予算措置等も考えていただきたい、このように思うわけでございます。  次に、生活排水の取り扱いについてでございますが、下水道整備されていない地区におきましては、家庭の生活排水のうちトイレからのし尿については、これは家庭浄化槽や処理施設での処理が義務づけられているわけでございます。台所とかふろ、それから洗濯、こうしたものから出るところの生活排水については、原則として規制がないわけでございます。これに一々規制を加えるというのは非常に難しい面があるということは承知をいたしておりますけれども、最近は御承知のように、テレビのコマーシャルをごらんになってもわかるように、例えば洗剤でも、今までのはもう古いんですよ、今度の新製品はもっともっと汚れが早く落ちますとか白くなりますとか、そういう宣伝が行われているわけでございます。今までよりも早く白くなる、それからまたよりきれいになる、汚れが早く落ちる、こういうことになりますと、これはやはりそれなりにいろいろな物質を加えるとか、そういったものが考えられるわけです。そうなってまいりますと、こういった生活排水というものについての規制が当然今からは必要になってくるんじゃないか、私はこのような気がするわけでございますが、そういう点について環境庁としてはどういうお考えをお持ちなのか、お聞かせを願いたいと思います。
  84. 久野武

    ○久野説明員 ただいま先生指摘のように、生活排水の問題は非常に重要でございます。生活排水の発生源というのは申すまでもなく家庭でございまして、かつ日常生活に伴い排出されるものであるということでございますので、生活排水対策を推進していくためには下水道等の生活排水処理施設の整備がまず基本となりますし、さらに調理くずだとか使用済みの食用油の適正処理、あるいは洗剤の適正使用、そういった家庭内対策、生活排水対策に対する国民の自覚と協力が不可欠であるということは先生指摘のとおりでございます。  私ども、こうしたことを踏まえまして昨年六月に水質汚濁防止法を改正いたしました。それまでの水質汚濁防止法では、いわゆる生活排水対策の位置づけというのはまるっきりなかったわけでございますが、昨年六月の改正で、この法律の目的に生活排水対策を加えたということでございます。さらに、行政及び国民の責務を明らかにしたということでございまして、国民の責務といたしましては、家庭内対策に心がけなければならない、それから国、自治体による生活排水対策の実施に協力しなければならない、それから生活排水を排出する者の努力ということで、生活排水による汚濁負荷低減に資する設備の整備に努めなければならない、そういった努力規定を設けたところでございます。  さらに、生活排水対策の計画的推進に対する規定も整備したところでございまして、内容といたしましては、都道府県知事が特に必要な地域については生活排水対策重点地域として指定する、また重点地域に指定された市町村生活排水対策推進計画をつくるということで、その中で生活排水処理施設の整備あるいは一般住民に対する啓発、そうしたものを計画的に推進していくというような制度にしたわけでございます。  環境庁といたしましては、この改正水濁法に基づきまして、生活排水対策の総合的推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  85. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今の御答弁を繰り返すようになるかもしれませんが、厚生省の試算によりますと、排水の汚染度を示すところのBODで見ますと、住民一人が一日に出す汚濁物質の量は、し尿の十三グラムに対しまして雑排水は二十七グラム、このように二倍に達しております。この汚染物質をたっぷり含んだところの雑排水が、法規制のない、いわば野放しのまま直接河川や湖沼それから海に流れ込んでいる、これが現状でございます。こうした現状に何とか歯どめをかけるために、先ほどお話がございましたように昨年の六月に水質汚濁防止法が改正されたわけでございますが、この中身が努力義務であるとともに自治体の自主判断になっているために、これは実際のところ現地では、選挙にかかわるところの首長が規制すべき地域を指定するということは甚だ疑問な点があるわけで ございます。  そこで、改正された水質汚濁防止法の適用状況先ほど少し述べられたわけでございますが、同年の九月の施行以来どうなっているか、その実効性についてはどのようなとらえ方をしていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
  86. 久野武

    ○久野説明員 改正水濁法では、先ほど申し上げましたとおり、生活排水対策の重点地域を指定して、さらに重点地域に指定されたところでは生活排水対策推進計画を定めるという規定を設けたところでございます。この重点地域の指定でございますが、現在十五府県、十七地域、九十一市町村というのが既に指定されております。これはことしの一月から逐次指定が進んでおりまして、ついきのうも指定が一個あったところでございますが、他の都府県においても鋭意検討、調整が進められておりまして、今後順次全都道府県において指定されるのではないかというふうに見ておるところでございます。  また、環境庁といたしましては、この生活排水対策を推進するために、平成三年度の新規といたしまして生活排水対策推進計画策定、それから水質浄化施設の整備、そうしたものに対する補助制度を創設したところでございます。これらの施策によりまして、今後各地域において各種生活排水処理施設の重点的な整備あるいは普及啓発活動の活発化といったようなことで、実効性が上がっていくものというふうに考えているところでございます。
  87. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 では次に、合併処理の浄化槽についてお尋ねをしておきたいと思いますが、厚生省は、この合併処理浄化槽は生活排水による河川、湖沼等の水質汚濁防止のため極めて有効な手段である、このように位置づけをされまして積極的な普及を図っていらっしゃるようですが、現状は極めて厳しい状況ではないかと思います。元年度におけるところの全国の浄化槽設置基数は、合併が約一五・三万基、それから単独が約六百三十七・八万基、このように圧倒的に単独の処理浄化槽が多いわけです。全体に占める合併処理浄化槽の割合は二・三五%。したがって、補助制度がスタートした六十二年度、これが一・五九%と言われておりますから、この三年間で〇・七六%しか伸びていないわけですね。  これはどういうところに原因があるのか、またこうした状況を踏まえた上で今後どのような普及策をとっていくのか、さらにどの程度普及目標を持っていらっしゃるのか、この三点について厚生省の方から御答弁を願いたいと思います。
  88. 佐藤文友

    佐藤説明員 ただいま先生指摘のように、浄化槽の大多数はし尿だけを処理する単独浄化槽となっております。これは、従来家庭用の小型の浄化槽につきましてはし尿を処理する単独浄化槽しかありませんで、トイレの水洗化が急速に進む過程でこの単独処理浄化槽も急速に普及して、数多く設置されたことが原因になっております。しかしながら、最近になって家庭に設置できる小型で高性能のいわゆる合併処理浄化槽が開発されましたので、厚生省ではこれを生活排水対策の柱の一つとして位置づけて、六十二年度から国庫補助制度を創設してその普及に努めております。  そういうことで、この事業創設以来今年度で五年目ということでまだ新しいのですけれども生活環境あるいは水環境に対する関心の高まりの中で、この事業を実施する市町村も急にふえてきておりまして、それに伴って合併処理浄化槽の設置基数も、浄化槽全体から見ますとまだまだ少ないのですけれども、着実に増加してきております。そういうことで、厚生省といたしましては引き続き合併処理浄化槽の普及推進を図っていきたいと思っておりまして、平成三年度の予算につきましては、平成二年度の予算の三十二億円から五十億円と、かなり大幅に増額しておりますし、この事業を実施する市町村の数も六十二年度は約五十程度でございましたけれども、今年度は千百を超える見込みとなっております。  そういうことでこの事業を引き続き推進していきたいと思いますし、ただ、今後の目標でございますけれども、この事業が始まりましたのが六十二年度ということでまだ新しいので、どの程度目標にするかということにつきましては、現在検討を進めております第七次の廃棄物処理計画の中で所要の事業量を確保することを通じて計画的な普及を図りたい、その過程で今後の目標を決めていきたいと考えております。
  89. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 厚生省としても、この合併浄化槽の普及につきましては相当思い切った考え方でもってスタートされたと思うのです。そこで私は、もっと思い切った補助制度の見直しをやっていかないと、合併浄化槽の大幅な普及などというものはちょっと見込みが薄いのではないか、このような気もするわけです。  そこで、見直しの一点目として新規の合併浄化槽の設置、これは七十万ですが、これについては設置者への補助額三十万、この国庫補助率は市町村の補助額の三分の一ですから十万円、これの引き上げによって設置者の負担額四十万の軽減を図ったらどうか。二点目は、既存の単独槽を合併槽に変える、いわゆる変則合併処理浄化槽、これについても、実際の現場では新規に合併槽を設置するのと大差ない経費がかかるわけですから、新規の場合と同様に設置者への補助制度を設けたらどうか、このように思うわけですが、この二点についての厚生省のお考えはいかがですか。
  90. 佐藤文友

    佐藤説明員 合併処理浄化槽の整備事業につきましては、個人の負担分については、いわゆる単独処理浄化槽の負担分は個人で負担してもらうということで進めてきておりまして、確かにそこの部分は個人の負担になるわけですけれども、それにもかかわらず制度創設以来急速な伸びを示してきておりますので、今後厚生省といたしましても、この事業を進める中でどのような補助の仕組みにしていくか、検討しながら進めていきたいと考えております。  それからもう一つは、既存の浄化槽対策でございますけれども、確かに先生先ほど指摘のように、既存の浄化槽は大多数が単独処理浄化槽でございまして、それにどういうふうに対応していくかというのは非常に大きな問題と考えております。そういうことで、厚生省といたしましても、既存の単独処理浄化糟にくっつけた形で何か浄化槽をくっつけまして、それで合併処理浄化槽と同じような機能を果たせないかという、いわゆる変則合併処理浄化槽というものを補助対象とはしております。しかしながら、この変則合併処理浄化槽というのは構造基準が新規の設置の合併処理浄化槽と余り変わらないということで、建設省の構造基準の認可も受けていないと聞いておりますし、そういうことで普及するには至っておりません。厚生省といたしましても、既存の浄化槽対策というのは非常に重要だと思いますので、今年度の予算におきまして、変則合併処理浄化槽の技術改善についての予算も計上しておりまして、その普及する方向でさらに検討していきたいと考えております。
  91. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 次に、一元化の意味、考え方、それから検討機関の設置について建設省にお尋ねをしたいのですが、生活排水の処理事業に関しまして、建設省下水道事業、それから厚生省の方ではいわゆる合併浄化槽設置事業、コミュニティープラントと言っていますが、農水省は農業集落排水事業といったぐあいに、各省庁間で共通した事業にもかかわらずおのおのの省庁でばらばらに実施がされているわけですが、各事業の整備が進まない原因がこうした縦割り行政の弊害にあるのではないか、こういうことがかねがね指摘をされているところでございます。したがって、こうしたことを改めて、各省庁個別の事業でも共通するものについては将来一元化していこうと言われているわけですが、建設省、これはどういう意味なのか、これを確認しておきたいことが一点。また、一元化に対する考え方及び一元化のための検討機関の設置について、厚生省それから建設省はどのような意見をお持ちなのか、あわせてお尋ねをしたいと思います。
  92. 市川一朗

    市川(一)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、下水道のほかにいわゆる生活排水処理施設といたしまして、合併処理浄化槽あるいは農業集落排水施設あるいは地域し尿処理施設など、いわゆる私ども下水道類似施設と呼んでいるものの整備が行われているわけでございますが、私どもといたしましては、地域全体の生活環境の改善あるいは公共用水域の水質保全等を図るためには、やはり原則的には下水道整備することが基本であろうというふうに考えておるわけでございます。下水道の場合には面的な整備がなされますし、法律上も接続が義務づけられ、処理水質につきましても法令上担保されておるわけでございます。町づくりの一環として行うという意味においてもそれが基本であるべきだと思っておるわけでございます。  したがいまして、下水道が場所によりまして明らかに効率的でないと思われる場所もあることは事実でございますから、そういった場所は除きまして、基本的には生活排水の処理のためには下水道による処理が不可欠であると考えておるわけでございますが、しかしながら先ほど来御議論もいろいろございますように、下水道整備にはかなりの金もかかります。整備達成するためにはある程度の時間が必要になってくるわけでございまして、下水道整備するまでの措置としていろいろな形での下水道類似施設による整備も、地域あるいは時期に応じまして必要な場合も出てくる、そういったようなところで、実態としてただいま話題になっておりますようなことがいろいろと必要上の措置としても出てまいっておる、そういう認識を持っているわけでございます。  したがいまして、いわゆる生活排水対策といたしましては、基本的には下水道整備基本といたしまして、将来の下水道整備計画のスケジュールとの整合性をとりながら合併処理浄化槽等、下水道類似施設との整合性をとっていく必要がある、こういうふうに考えておるわけでございまして、この辺のところをわかりやすく一元化といったような意味で私どもも表現しておると理解しておるところでございます。
  93. 佐藤文友

    佐藤説明員 生活排水対策の事業につきましては、それぞれいろいろ歴史もございますし、それからまた生活排水対策の処理施設については、いろいろ特徴もございます。したがいまして、生活排水対策を市町村において進めていくに当たりましては、やはり地域実情に合った対策を進めていくことが必要ではないかというふうに考えております。  そういうことで、厚生省におきましては市町村に対しまして、生活排水対策を実施するに当たっては、関係の事業と十分調整を行って計画的に事業を進めていただきたいということをお願いしております。また、建設省ともいろいろ協議を重ねているところでございます。
  94. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 では次に、下水処理水の循環利用モデル事業についてお尋ねをしたいと思います。  建設省は五十四年度からこのモデル事業を実施しているわけですが、私は先日、新宿副都心のリサイクルセンターを見学させていただきました。このモデル事業は、御承知のように水需給の逼迫する都市において、その都市内に豊富に存在するところの貴重な水資源である下水処理水を水洗トイレ等の雑用水としてリサイクルするために、所要の処理を施して、そして業務ビル等に供給するものでありますが、現在十一カ所でこれが実施されているわけです。  まず、このモデル事業の収支状況はどうなっているのか、お聞かせを願いたいと思います。また、実施しているところの自治体のすべてが赤字となりますというと、その分は自己負担していることになるわけですが、この赤字の主要な原因はどこにあるのか、これもあわせてお尋ねをしておきたいと思います。
  95. 福井経一

    ○福井説明員 下水処理水の循環利用モデル事業につきましては、ただいま先生指摘のように既に現在十一カ所実施しておりまして、七カ所が供用開始しております。これの収支状況でございますが、これは事業規模とか、あるいはまた需要の状況とか資本費の大小によりましてかなり変わっておりまして、一概にはなかなか申し上げにくい点があるわけでございますが、資本費を除きます維持管理費はおおむね収入によって賄い得ている状況であるというふうになっておりますが、全体的な収支を見ますと、これは赤字の状況になっております。  それで、その赤字が一体どういうところに原因があるのかということでございますが、これは現在の供給水量が計画水量になかなか満たないという点がまず第一に挙げられようかと思います。それから二番目は、これは利用促進のために処理水の給水単価を上水道の給水単価と同じか、あるいはまたそれより低く設定しているというのが通常でございます。そういったことが原因となっているというふうに伺っております。
  96. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今御答弁をいただいたわけでございますが、これは非常に難しい問題が内在していると思うのですね。この間のいわゆる新宿のリサイクルセンターの収支を見ましても、平成二年度で累計約一億八千四百万の赤字だ、このように言われておりました。今御答弁をいただきましたように、普通の水よりも二割程度安く供給をしなければならない、それを各地方自治体で補てんをしていかなければいけない。果たしてこういうやり方がずっと続いていいのかどうかという問題と、また逆に考えれば、これは非常に公共的な仕事だから少々は税金を使ってもそれは当たり前だ、こういう理論も片方ではあるわけです。したがって、この問題は、こうしたそれこそ上乗せ上乗せ状況がずっと今まで続いて、今からも続いていくという行き方が果たしてどうなのか、そこには何ら改良すべき点はないのか、こういうことも考えられるわけですけれども、この点、先ほど申し上げましたように非常に難しい問題ではないかと思います。  しかしながら、やはり東京都のように水資源が非常に乏しい、いつも夏になりますと渇水、渇水で制限が加えられたりするところでは、どうしたってこうしたリサイクルというのは必要になってくるわけでございまして、今からこうしたものというのはどんどんやはり普及をされてこなければならないものだと私は思います。  こうした現状を踏まえまして、国及び地方公共団体はこのモデル事業推進のためにどのような施策を施しているのか、そういう点でございますが、そこにはやはり税制上の優遇措置であるとか、日本開発銀行によるところの低利融資制度であるとか、それから容積率の緩和であるとか、地方におきましてもそれぞれ工夫を凝らしているわけでございますが、ひとつ建設省の方からも御答弁をいただきたいと思います。
  97. 福井経一

    ○福井説明員 近年水需要が着実に増大している中で、渇水のないような豊かな潤いのある社会を形成するということが通常望まれておるわけでございまして、そういうことから、この水の有効利用に対します要請というのが非常に高まってきておるわけでございます。  そういったことから建設省といたしまして、昭和五十四年度からこの処理水を再利用して供給することを内容といたしました循環モデル事業というものを実施いたしてきたわけでございまして、平成二年度から、またさらに従来の地方公共団体が実施いたしますこういったもののほかに、新たに第三セクターが実施するというものについても補助として加えていこうということになっております。これは公共下水道としての汚濁の負荷量が軽減するわけでございますので、そういったこととあわせて、この水需給のための再利用施設というものが当然水資源として必要である、こういう観点から、私どもとしてはぜひともこの事業を将来とも実施していきたいという考えを持っておるわけでございます。
  98. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 そこで、東京都では新宿のリサイクルセンターの計画利用量、これを現在の日量四千立方メーターから二倍の八千立方メーターにする計画、それから別のリサイクルセンターの設置計画もあるようでございます。それで、その対象地域を一気に拡大をしたり、また一気に広域的かつ大規模なリサイクルセンターをそう簡単にこれはつくれるものじゃありません。そのためには、やはり手順というものがあると思うのです。  例えば、個別及び地区循環方式を積極的に導入して、そして広域循環方式への移行を容易にするための呼び水となるような計画的な施策も必要じゃないかと思うのです。そのためには、やはり個別及び通常の地区循環方式もぜひこのモデル事業の対象にこれを加えていただいて、そして国庫補助制度を導入すべきではないかとも思うわけでございます。また、民間に雑用水利用施設を積極的に設置できるよう、やはり国それから地方双方で行政指導の強化を行うこともあわせて行うべきではないか、このように思うわけですが、いかがでしょうか。
  99. 福井経一

    ○福井説明員 個別循環とか地区循環、こういうものが水資源の確保に非常に有効であるということはどちらも同じわけでございますし、また下水道へ排出されます負荷量が削減されるということにつきましても双方とも同じわけでございまして、その両者を促進するということは非常に重要なことであるというふうに考えておるわけでございます。このため、建設省といたしましては、下水道の処理水の再利用を促進いたしますために、民間が行っております個別循環あるいはまた地区循環につきましては、日本開発銀行によります水資源有効利用の融資制度があるわけでございますし、また一方では税制上の優遇措置もあるわけでございます。  ただいま御指摘の国庫補助対象事業の拡大につきまして、私どもといたしましては、処理水の再利用の促進を図るためにも非常に大きな研究課題というふうに考えておるわけでございます。
  100. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 最後に、下水処理水のリサイクルについてお尋ねをしたいのです。  昨年七月の下水道整備に関する都計審の答申を見ますと、「当面の整備目標」として五つ挙げられているわけですが、そのうちの一つ下水道の持つ資源の有効利用がございます。今回の改正も当然これを受けてのものであると思うのですが、この下水処理水の再利用につきましては、いわゆる都市部においてその必要性が長年強く叫ばれてきたにもかかわらず、現状としては余りリサイクルが進んでおりません。  六十三年度におけるところの全国の七百三十八の下水処理場からのいわゆる下水処理水量は、年間約八十三億立方メーターに達しているわけですが、このうち、処理場外の再利用は年間約〇・六九億立方メーター、全体の一%にも満たないわけでございます。今後、この下水道整備というものは、中小市町村を中心に進められる一方で、大都市では下水処理水の再利用の推進がどうしても中心的な存在になってくると思うのです。であるならば、この下水道事業と同じように、数量的に当面の目標及び二〇〇〇年を目途とする中長期的な計画目標、これを明確に掲げて、そして着実に実施していくべきではないか、このように思うわけですが、いかがでしょうか。
  101. 市川一朗

    市川(一)政府委員 水需要は着実に増大しているわけでございまして、渇水のない豊かで潤いのある社会を形成していくためには、水の有効利用が極めて重要であるということは先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、そういう観点から、下水処理水の再生利用といった問題は私どもにとりましても大変重要な課題でありますことは、ただいま先生からも御指摘いただいたとおりでございます。考え方といたしまして、まことに私どもも同感だと思っておる次第でございます。ただしかしながら、先ほど来これまた御答弁申し上げておりますように、この再生利用につきましていろいろモデル事業等も行っておりますが、いまだにコスト面あるいは技術面に関します課題が残っておりまして、いわゆる町づくりとしてのかなり広い、面的な広がりとしてこれを実施していくという段階には、まだいま一つ到達しておらないという状況なのではないかと私どもは思っているわけでございます。もちろん早急にこういった問題にも取り組みながら、ただいま御指摘ございましたように、できるだけ早い時期に国としての中長期目標を明確に定められるような段階まで高めてまいりたい、こういうふうに私どもも念願しておる次第でございます。
  102. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 水の問題は確かに大きい問題になってくると思います。私のうちの近くも佐波川という一級河川があるわけですが、いつもそこを通りながら、大量の水がどんどん海へ流れておる、一面考えれば非常にもったいないような気もするわけです。  そこで、いわゆる中水道法の制定についてのお考えをお伺いしておきたいのですが、都計審の答申を尊重し、また間近に迫りつつある超高齢化時代を前に生活関連型公共投資十カ年計画、こういう願ってもないチャンスをぜひとも生かしていかなきゃならないと思うのです。そのかぎを握っている大きな課題一つがこの水の再利用の問題だと思うのですね。この課題に取り組むに当たっては、まず基本法の整備がぜひとも必要ではないかと私は思うのです。既に公明党といたしましては、六十一年の十一月に衆議院に中水道整備促進法を提出しているわけですが、この点についてどうお考えでしょうか。
  103. 市川一朗

    市川(一)政府委員 中水道に関する立法につきましては、私どももこれは非常に大きな問題点ということで、かなり真剣に取り組んでいる課題一つでございます。今後の大きな課題であると認識しておるわけでございます。先ほど来、下水道再生利用という観点からいろいろ御説明も申し上げてございますけれども、この中水道法を制定するということになりますと、やはりそういった再利用に関する義務づけの是非、この辺をどういうふうに考えていくべきかというような問題がまず基本的にございまして、さらには、先ほど来話題になっておりますコスト面の問題それから需要の問題、安全性の問題、そういった技術的課題がいろいろとあるわけでございます。こういったような課題の解決が先なのか立法が先なのかといったような行政としての取り組みの問題もるるあるように私どもは思っておるわけでございまして、こういう基本的な取り組みの姿勢も含めまして、関係各省庁と十分調整を図りながら、なお一層今後の大きな課題として取り組んでまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  104. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今御答弁があったわけでございますが、協議機関の設置ですけれども、今おっしゃったように、水のリサイクルについてはコスト面を初め需給、用途の拡大、技術開発それから国の補助、法整備等々、多種多様で複雑な問題が絡んでいることもこれは事実でございます。しかし、政府がこの問題に本気で取り組む決意があるのであるならば、今こそ徹底的にこれを検討し、そして総合プランの作成等をしていく、地方自治体、民間を含めたところの関係する各省庁合同の協議機関を設置されたらどうか、これを私は提案したいと思うのです。  例えば、雑用水利用に関する各省庁の単なる情報交換の場として、五十五年から雑用水利用促進関係省庁協議会、この名称のもと、事務局であるところの国土庁を初め厚生、通産、建設の各担当課長クラスで必要に応じて会議が開かれてきたようでございますけれども、この際これを発展、強化させた協議会にしたらどうか、こういうふうに思うのですが、国土庁、厚生省そして最後に大臣の御決意をお伺いして、終わりたいと思います。
  105. 山内弘

    山内政府委員 今後とも安定した水需給を確保するためには、ダム等の水資源開発施設の建設を進めますとともに、こういった雑用系の用途に再生水等を利用する、いわゆる雑用水利用の促進を図るということが、水資源の有効利用を積極的に進める意味からも極めて大切なことであるというふうに考えております。  雑用水の利用に関しましては、現在関係省庁がそれぞれの分野、観点から必要な推進施策を実施しているところでございまして、今先生からもお話ございましたように、従来から雑用水利用促進関係省庁協議会などを通じまして、関係省庁間の情報交換等を図りながら推進してまいったところでございます。国土庁といたしましては、今後とも関係省庁とのより一層の連携を図りながら、この雑用水利用の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  106. 荻島國男

    ○荻島説明員 御案内のように、大都市では水道水の需給が大変逼迫をいたしております。そういう観点から、節水対策という観点からも雑用水道の整備が必要ということでございまして、昨年十一月に生活環境審議会の答申をいただきました。その中でも、水需要の増加抑制を図るために、水の循環利用等による雑用水道の整備を図れ、こういうふうな御指摘をいただいているところでございます。厚生省は保健衛生上の観点から、これまで水洗トイレにつきまして雑用水の水質基準をつくってまいったところでございますが、雑用水の用途が拡大をしておりますので、新しい水質基準の策定等について現在研究を行っているというところでございます。  こういうことで、雑用水利用促進関係省庁協議会などを通じまして関係省庁とも一層連絡を緊密にいたしまして、この雑用水利用の促進に水道行政という観点からも努めてまいりたいというふうに考えております。
  107. 大塚雄司

    大塚国務大臣 経済大国と言われる日本の首都東京で、昨年の夏も実は給水制限をするという状況でございました。先生から数々の御指摘をいただき、中水道法を初め、御提案を含めて御論議を拝聴させていただきましたが、将来の水需給の長期的な展望の中で大変にありがたい御指摘でもあり、また敬意を表したいと存じます。  実は私は東京でございまして、先ほど新宿のリサイクルセンターも御視察をいただいたそうでありますが、この委員会には高橋一郎議員もおられますが、東京都は特に水需要が高まる一方でございまして、水資源開発が追いつかないということもありますから、長期的にはやはり中水道というのは本格的に取り組まなければならない課題だというふうにも考えておるわけであります。いわゆる警視庁であるとか、あるいは青山にツインタワービルというのがございますが、このように特定街区とか大型のビルのときにも実は第三次処理水、中水道の施設を持っておりまして、これも私も勉強させていただきましたが、いわゆるこれからの再開発等には恐らくこの中水道事業は、義務づけるところまでいくかどうかは別としまして、積極的にやるように進めて指導をしてまいりたいと思います。  また、先ほどからお話しのように、コストや技術面等で問題がなしとはいたしませんが、将来の構想を今から準備をして進めるためにも、御指摘のありました協議機関等も充実をさせていただいて、今後前向きに検討をさせていただくように取り組んでまいりたい、このように考えております。
  108. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 終わります。
  109. 桜井新

    桜井委員長 吉井光照君の質問は終わりました。  次に、辻第一君。
  110. 辻第一

    ○辻(第)委員 今日、下水道の重要性は言うまでもないことでありますが、各国の下水道普及率は、イギリスが九五%、西ドイツが九一%、カナダが七四%、アメリカが七三%に対して我が国は、平成元年度末でございますが四二%と大変おくれております。政府は、昭和六十年以降補助率カットを行いまして、政府の資料によりましても、昭和六十二年から平成三年までの五カ年で六千九百八十七億という巨額のものが、この間地方負担の増加分となっているのでございます。したがって公共下水道の建設事業費を見ますと、国費の占める比率は昭和五十九年度に三五・四%でしたが、六十二年度は三〇・一%へと低下しております。流域下水道の建設事業費で見てまいりますと、国費の占める比率は昭和五十三年度は六六・八%でしたが、六十二年度は五二・五%とかなり大幅に低下をいたしております。こうした国の補助率カットが、それでなくてもおくれている地方自治体の下水道整備事業をおくらせているのではないか、このように考えるのですが、建設省の見解を伺います。     〔委員長退席金子(一)委員長代理着席
  111. 市川一朗

    市川(一)政府委員 公共事業にかかわります補助率につきましては、昭和六十年度以降暫定的に累次引き下げが行われてきたわけでございまして、これは国の厳しい財政事情の中で社会資本整備を着実に推進していくためには、事業費を確保する必要があるという観点に留意しつつ行われてきたと私どもは理解しているわけでございます。この点につきましては、平成三年度以降の取り扱いといたしまして、今国会既に成立を見ております法律に基づきまして、平成三年度から平成五年度までの暫定措置といたしまして、昭和六十一年度に適用された補助率等に復元されるということで、一つの改善がなされておるわけでございます。  こういったような経緯の中で、下水道も補助率カットの対象になったわけでございますが、翻って考えてみました場合には、やはり国の厳しい財政事情の中で下水道事業の事業費の確保は辛うじてなされた、ただし、その結果といたしまして事業費に占める国費の割合が減ってきた、こういったような経緯であろうかと思うわけでございまして、国の財政事情、地方の財政事情との兼ね合いの中で、いろいろ苦心惨たんしながら事業費そのものの確保に努めてまいってきたといったような認識を私どもは持っておるところでございます。
  112. 辻第一

    ○辻(第)委員 私が尋ねたことに具体的にお答えいただいていないのですが、まあ結構です。  来年度は第七次下水道整備五カ年計画の初年度ですね。これは、九一年から九五年度まで総額十六兆五千億円、前期比三五%増、普及率五四%を目指す、こういうことでありますが、この第七次下水道整備五カ年計画の進め方の上で大事なことは、今後の事業の展開がより中小市町村に移っていく。そうなりますと、財政力の弱い市町村の負担をいかに軽減するかということが非常に重要だと思うのですね。  例えば、下水道は下水管施設が全経費の七〇%以上を占めるというふうにも聞いております。特に町村地域においては、管の延長のために膨大な費用を要するということでございます。また、全国人口が一%増すごとに下水道施設にかかる費用は一兆五千億かかるというふうにも聞いておるのです。これが郡部地域まで拡張すれば現在の二、三倍ですね。現在一戸当たり約四百万と聞いているのですが、一戸当たり一千万前後になるというふうに言われております。建設費は町村地域に行けば行くほど単価アップということでございますから、維持管理費でも大都市に比べて割高になるというのは避けられないと思うのです。  そこで、次期五カ年計画に当たって財政力の弱い市村町への補助率の引き上げあるいは補助対象拡大というのですか、どのようにやっていかれるのか、政府の見解を伺います。
  113. 市川一朗

    市川(一)政府委員 補助率の観点でございますが、下水道事業の補助率につきましては、事業の種別ごとにその緊急性あるいは公共的役割の高さ、それから広域性等を総合的に勘案いたしまして決定されておるわけでございますが、一般的に見まして、他の公共事業と比較いたしましても補助割合といいますか補助率そのものといたしましては、遜色はないのではないかというふうに一応考えているところでございます。  しかしながら、先ほど来御答弁も申し上げてございますが、第七次五カ年計画の最重点課題といたしまして、下水道整備がおくれております中小市町村普及促進が極めて大きなテーマとしてございまして、それを達成するためには、やはり中小市町村財政負担の軽減ということがこれまた重要な課題であるというふうに考えております。過疎市町村が実施する下水道事業の場合には都道府県代行制度を導入いたしますとか、下水道着手市町村の新規着手を促進するための下水道基本計画策定費補助制度制度創設も図っておるところでございます。  さらに、ただいま御指摘ございましたいわゆる国庫補助の対象となります範囲の問題につきまして、主要な管渠についての基準を改善いたしまして見直しを行っていきたいと考えておりまして、その際第七次五計といたしましては、見直しに際しまして中小市町村重点を置いた見直しを図ってまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  114. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ十分な対応をいただきたいと思います。  また、下水道事業は維持管理も非常に大きな費用がかかります。下水道料金を負担する住民にとっても大変重要な問題でございます。例えば、東京都多摩市の団地に住む五人世帯では、下水道料金は年間およそ四万五千円というふうに聞いておるのです。これに消費税が上乗せされるわけでございます。快適な生活ができるし、環境も保全できるのですから、年間四万五千円の負担は当然といえばそのとおりでありますが、それなりに大変な負担ということも言えるわけでございます。維持管理費は施設の維持管理費と起債元利償還費とから成り立っておりますが、その財源は一般市費及び下水道使用料で賄うこととされ、この下水道使用料は条例で定めることとされております。  ところで、下水処理原価は下水道事業の初期段階においては極端に高く、事業の進展に伴い逓減する傾向にあると聞いておるわけです。町村での下水道使用料の設定についても、それぞれの町村の実態に配慮したようなものを、さらに言えば下水道利用者の負担が過大にならないようにぜひ配慮していただきたいと思うのですが、御見解を伺います。
  115. 福井経一

    ○福井説明員 下水道整備されますと生活環境が改善されますし、また便所が水洗化されたりいたしまして、未整備地区と比較いたしまして著しく快適性が向上されるわけでございます。  下水道の使用料金といいますのは、下水道を使用した者に対して適正な負担を求めるというものでありまして、具体的に申し上げますと、下水道管理者であります地方公共団体が、下水道法第二十条に基づきまして条例で定めるということになっておるわけでございます。ただいま先生から、当初のうちは少し高くとも、後でだんだんペイするのではないか、こういうお話、御指摘がございましたが、そういう点もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、そういうことを十分勘案して条例で定めることになっているかと思います。  それで、下水道そのものが家庭排水の汚水全般を受け持つというものでありますので、先ほどちょっといろいろ比較されたかと思いますが、くみ取りとの比較がよくあるわけなんですが、そういうものと単純に比較することもできないのではなかろうかと考えておるわけでございます。現在、私ども調査した内容によりますと、昭和六十三年度で全国平均といたしまして、一カ月二十立米使う家庭におきまして千五百七十四円である、これは一立米にいたしますと七十八・七円ということになっておりますが、私どもといたしましては、今後とも下水道の利用者の負担が適正であるように各公共団体を指導していく所存でございます。
  116. 辻第一

    ○辻(第)委員 適正といいますか、過大にならないように、ひとつぜひよろしくお願いします。  私の地元の奈良県下水道計画課の話によりますと、県の下水道普及率平成元年度末で三一%ということでございます。第七次五カ年計画で一〇%アップを図るということでございます。当面の最大の課題は、生駒、平群、三郷など第三次区域を大和川上流流域下水道事業の第一処理区に編入をするということでございまして、これはいろいろ難しい問題でございましたが、関係住民の皆さん方や県当局の関係の皆さん方の御努力で合意をいただいたということで、今この第三次区域の事業採択を建設省に出されておるわけでございますが、どうかひとつよろしくお願いをしたい。これはこうやって言うだけで終わりますが、よろしくお願いをしたいということでございます。そのときのお話でございますが、やはりできるだけ国の負担をふやしていただきたい、地方の負担率を軽減していただきたいというのが要望でございました。  それからまた、これはお尋ねするのですが、県の代行制というのがございますね。町村によっては事業をやる能力がないので県が代行するということでございますが、これも県の負担ということが非常に問題になってくるわけでございます。県の代行事業が財政的に大きな負担にならないように、これも補助率のアップという希望がございます。ぜひやっていただきたいと思うのですが、見解を伺います。
  117. 市川一朗

    市川(一)政府委員 今回過疎地域におきまして、都道府県下水道代行制度が創設されたわけでございます。この際、私ども都道府県財政負担の問題につきましても取り組みまして、その結果といたしまして、財政力指数が〇・四六に満たない都道府県につきましては、その財政力に応じまして、いわゆる後進特例ということで現在行われております補助率のかさ上げ措置と同様の補助率のかさ上げ措置が講じられることとなっております。したがいまして、一番最大限では、〇・二五でございますから四分の一の補助率のかさ上げがなされるような内容の、いわゆる後進特例並みの補助率かさ上げ措置都道府県代行制度にも導入したところでございます。
  118. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、近畿の一千三百万人の水がめと言われております琵琶湖で、毎年赤潮が発生し、プランクトンの死体によって水が生臭い、そういう臭気を放つということもございます。こうした事態を重視して、地元では滋賀県の努力や地元住民の皆さん方の努力で、県民一体となって琵琶湖浄化努力が続いております。琵琶湖には四百六十本の河川が流れ込んでいる。県内の排水はこの湖に集中しておる。湖西、湖南のJR沿線では、この十年間に三十五万人の新住民がふえている。ところが、県全体の下水道普及率は、これも平成元年度末でございますが二三%で、全国平均よりはるかに下回っている。この下水道整備が琵琶湖の浄化にとって非常に重要だということは言うまでもありません。琵琶湖の水が完全に入れかわるのは十九年かかると言われております。飛躍的な水質改善に直結する下水道整備を何としても急がなくてはならないと思うのです。  ちょうど五年前のこの委員会で、当時の私どもの瀬崎議員の質問で、当時の牧野都市局長さんは、第六次五カ年計画の中で重点的に事業をやる、六十六年度の計画達成が可能なように鋭意頑張る、こういうような趣旨の御答弁をいただいているのですね。このとおり進捗しているのかどうかということと、もう一つ、次期五カ年計画における琵琶湖総合開発関連下水道、これは四つの流域下水道と七市十五町の公共下水道で、整備面積が六千九百十二ヘクタール、区域人口四十二万二千六百人の予定、こういうふうに言われているのですが、この琵琶湖総合開発関連下水道整備の見通し、この二点についてお尋ねいたします。
  119. 福井経一

    ○福井説明員 琵琶湖総合開発事業に関します下水道事業につきましては、琵琶湖総合開発計画に伴いまして実施しているわけでございます。四十六年に策定されて既に五十七年に一度改定されているわけでございまして、ただいま先生指摘のように流域下水道といたしまして、湖南中部、湖西、彦根長浜、高島、この四処理区でございまして、七市十五町の公共下水道を対象にしているわけでございます。  平成二年度末現在の進捗状況でございますが、この進捗状況によりますと、流域下水道におきましては、計画下水量二十六万一千トンあるわけなんですが、この計画下水量二十六万一千トンの中で八万八千七百トン、約三四%ができ上がっております。幹線管渠につきましては、百六十七キロのうち百二十六キロ、これは約七五%ができ上がっております。また、公共下水道につきましては計画面積六千九百十二ヘクタールあるわけなんですが、この中で五千三百五ヘクタール、約七七%が進捗しているということになっておりまして、全体のできぐあいといたしましてもまあまあできているのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。  ちょっと余計なことかもしれませんが、実は昭 和五十九年度末滋賀県全体の普及率が一一%であったわけなんですが、これが平成元年度末には二三%、全国の順位からいきましても、前回の五カ年計画の初年度では四十位だったものが今は二十五位まで上昇してきた、こういうことでございますので、一応の成果を見ているのじゃないか。これから第七次下水道整備五カ年計画を実施するわけでございますが、もちろんこの琵琶湖の水質保全を図るためにも積極的に事業を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  120. 辻第一

    ○辻(第)委員 我々近畿の人間にとってはかけがえのない一千三百万人の水がめでございますし、日本で一番大きい、すばらしい湖でございますので、どうかこれからも下水道事業の推進に積極的な御対応をいただきたい、お願いをいたします。  既に整備の進んでいる都市部では、河川環境の悪化を防ぐために下水処理施設を高度なものに変え、処理後に魚がすめるようなそういうものにする必要があると思うのですが、下水道事業における高度処理、これが非常に重要だと思うのですね。琵琶湖流域下水道では湖南中部浄化センター、湖西浄化センター、東北部浄化センターなどでこれらの高度処理が実施をされているというふうに聞いております。そして、近畿知事会の平成三年度の近畿圏整備に関する予算重点要望書、これは平成二年の十二月のものですが、第七次下水道整備五カ年計画策定に当たっては現行五カ年計画を上回る事業費を確保されたい、また補助対象事業の拡大、補助率の復元、高度処理の推進を図ること、このようにも要望をされております。  そこで、既に整備の進んでいる都市部における下水道の処理施設、それの改築やあるいは高度処理について次期五カ年計画ではどのように位置づけられているのか、お尋ねをいたします。     〔金子(一)委員長代理退席委員長着席〕
  121. 福井経一

    ○福井説明員 第七次下水道整備五カ年計画におきましては、普及がおくれております中小市町村下水道整備、さらにはまた未着手市町村の新規着手促進、こういったものを実施するわけでございますが、それ以外に浸水対策事業あるいはまた高度処理事業など、こういった下水道の質的向上対策につきましても重点的な課題として実施することとしておるわけでございます。この下水道の機能とか役割を果たすためには、やはり適正な維持管理を行うことによって施設を良好に保つことが必要であるわけなんですが、そういった意味合いから、老朽化いたしました施設の改築というものが当然必要であるということも、私ども十分認識しておるわけでございます。  あるいはまた高度処理の事業につきましても、閉鎖性水域や主要な河川、こういうところにつきまして、下水道の処理水の再利用を含めて高度処理を実施していきたいということを考えておるわけでございます。これから進めていきます第七次下水道整備五カ年計画につきまして、もちろん、今申し上げました老朽化施設の改築事業あるいはまた高度処理事業、こういった下水道の質的向上事業につきまして、今後とも積極的に進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  122. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、既に整備の進んでいる都市部でさらに人口の急膨張地域では、従来の管の大きさでは処理できなくなって大きな管に取りかえなくてはならないというところが出てきております。こうしたケースについても国の補助が求められておるのですが、建設省はいかがお考えでしょうか。
  123. 福井経一

    ○福井説明員 ただいま御指摘の、人口が急増いたしまして管渠の容量がふえた点について補助がされるかどうかということでございますが、これは私どもといたしましては、当然のことながら従前と同じような補助体系で進めていきたいと考えております。現在でもそのような姿勢をとっております。また、今後とも積極的に進めていきたいと思います。
  124. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に建設大臣に所見を伺いたいのですが、私先ほど来るる申し述べてまいりました、要請をしてまいったのですが、今日、下水道事業というのは本当に極めて重要な事業でございます。この下水道事業の推進に対する大臣の所見といいましょうか、お伺いをして、終わりたいと思います。
  125. 大塚雄司

    大塚国務大臣 ただいま下水道部長からお答えをしましたように、百万人以上の大都市でも従来どおりその拡充を進めていくと同時に、今回五カ年計画策定いたしました大きな目標は、いわゆる未普及中小都市に力点を置いて普及をしていこう、こういうところにあることは先ほど来各委員にもお答えをしてまいりましたとおりでございます。しかも、いわゆる中小都市財政力が非常に低い。こういうことにつきましても、今回都道府県代行制度を創設いたしまして、特に財政力指数が〇・四六以下の都道府県につきましては補助率をかさ上げをする、こういうような措置もいたしていくわけでございまして、文字どおり国民の皆様方が豊かさを実感できるような国土の形成を図っていくために全力を挙げてまいりたい。  先ほど滋賀県のお話がありまして普及率二三%、先生の奈良県は三一%でございまして、まだシングルの四%というのもきょうございましたので、ともかく均衡ある国土の形成を目標にやってまいりますので、関係省庁並びに地方公共団体としっかりと提携をしながら進めてまいりたいと考えております。
  126. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。ありがとうございました。
  127. 桜井新

    桜井委員長 次は、菅原喜重郎君。
  128. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私も下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  経済優先の公共投資から国民生活の質的向上を図る公共投資として、下水道整備は極めて重要な意義を持つものであります。昨年六月に経済企画庁の発表した公共投資基本計画によれば、経済力に見合った豊かさを実感できる社会資本の整備の必要性を述べており、私も公共投資生活環境文化機能にウエートをシフトさせていくことは同感であります。  ちなみに各国の下水道普及率を見ますと、イギリス九四%、旧西ドイツ九一%、アメリカ七三%、フランス六四%、これに対し日本は四四%と、欧米諸国と比較し著しく低位にあります。第二次下水道整備五カ年計画では四四%を五四%に引き上げることが予定されております。また都市計画中央審議会答申では、西暦二〇〇〇年に七〇%、二十一世紀初頭に九割程度目標としておるようでございます。  しかし、他の先進国と比較して考えた場合、普及率引き上げるスピードを速める必要があるわけでございます。特に、国際的に地球環境問題がクローズアップされている今日、下水道普及率が著しく低いことが新たな国際批判の要因ともなりかねません。下水道普及率のスピードをもっと速めることができないのかどうか。日米構造協議で十年間四百三十兆円の国内投資を約束しているわけでもありますので、関係省庁が連携してこの予算行使の企画に当たるなら可能だとも思うのですが、いかがですか、お伺いいたします。
  129. 市川一朗

    市川(一)政府委員 私どもが掲げております下水道整備目標は、ただいま御指摘にございましたとおり、先進各国の普及率と比べまして必ずしも高いものではないと言わざるを得ないと思います。しかしながら、一応現在四四%の水準を五年後には五四、五%に高め、十年後には七〇%に引き上げるという具体的な目標を持っているわけでございまして、七〇%台になりますと、先ほど先生も御指摘ございましたように、現在のアメリカ並みの水準になるわけでございます。さらに都市計画中央審議会の答申にも、長期的な課題として二十一世紀のできるだけ早い時期に九割に達するといったようなことも目標として示されておるわけでございまして、これが達成されますとイギリス、西ドイツ並みのレベルになるわけでございます。  現状の整備水準が欧米諸国に比べましてまだまだ低い状況でございますので、御指摘のとおり、先進各国の普及率との比較論においては非常に心もとない面があるように思われますけれども、しかし現状をかんがみますと私どもといたしましては、一つの妥当な整備目標考えているわけでございまして、これらの目標達成に全力を挙げて推進してまいりたい、こういうふうな考え方でおるところでございます。
  130. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 下水道普及させるのに、建設省と並んで、農村では農林水産省が行っている農業集落排水事業が極めて有効に機能していると聞いております。しかし現在、都市近郊の一部また農村地域において、都市下水道と農村下水道を連絡し、終末処理場を既存の都市下水道のもので対応しようとする場合、問題もあるわけでございます。今後、下水道普及率をアップさせていくには、建設、農水両行政の連携を図り、都市、農村下水道の連絡なども容易にできるようにすべきと考えるわけでありますが、建設省、農水省それぞれ、その対応についてお伺いいたします。
  131. 市川一朗

    市川(一)政府委員 私どもといたしましては、いわゆる排水処理につきましては、先ほども御答弁してございますけれども下水道によることが基本であると考えているわけでございますが、現時点におきましては、いろいろな状況の中で、ただいま御指摘ございました農業集落排水事業と下水道事業とでは、その対象とする地域と規模を分けまして、それぞれ分担して事業を進めておるところでございます。  今後の下水道整備の進展に対応いたしまして、こうした農業集落排水施設を下水道に接続する必要が出てくる場合が考えられるわけでございますが、こうした点につきましても所要の調整を進めることとしております。下水道担当部局と農業集落排水担当部局とで密接に連絡をとりながら協議するよう、指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  132. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 農水省の方ではどういう対応でございますか。
  133. 上田一美

    ○上田説明員 御説明申し上げます。  農業集落排水事業は、農業振興地域において農業用用排水の水質保全、施設の機能維持または農村生活環境の改善を図り、あわせて公共用水域の水質保全に寄与することを目的として、農業振興地域内の集落を対象として実施しております。先生がただいま御指摘のような事例の場合には、市町村及び都道府県の関係部局の間で十分に協議、調整を行うこととしておりまして、当省としても効率的な事業の進捗を図っていく所存でございます。
  134. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この下水道普及率都市人口別に見ますと、百万人以上が八九%、十万人から三十万人が四六%、五万人未満が八%、過疎地域は二%となっております。また、全市町村の五〇・六%に当たる千九百三十六市町村において下水道事業が未着手となっております。  下水道普及率にこのような著しい地域間格差が生じているわけでありますから、下水道事業を行っていない地域では、市町村職員が下水道事業に対するノーハウを全く持っていない市町村もあると考えられます。このような地域間格差をどのようにとらえているのか、どのように是正するのか、お伺いいたします。この点についても、建設省と農林省が連携して、先ほど私が言いましたような、十年間に四百三十兆円の投資が一応約束されているわけでございますから、この予算行使の企画も今のうちから連携して当たるべきではないかと思うわけでございますが、この点についてもお答えをしていただきたいと思います。
  135. 市川一朗

    市川(一)政府委員 下水道普及率人口規模によりまして都市ごとに異なっておりますことは御指摘のとおりでございまして、私どもも今回、第七次五カ年計画策定に際しまして、下水道普及率引き上げを、日米構造協議でもお約束いたしました一〇%の引き上げを図るという観点から、現行四四%を五四、五%に高めるということを掲げておることは先ほど来御答弁申し上げたとおりでございますが、その際に最も肝要なものは、やはり何といいましても、下水道普及のおくれている中小市町村、なかんずく下水道事業の未着手中小市町村への下水道普及ということであろうというふうに思っておるわけでございます。  こういった中小市町村において下水道整備がおくれてまいりました原因は、いろいろあろうかと思います。地域の自然的な条件あるいは社会的条件等もるるあるわけでございます。そもそも下水道というものは都市的施設として意識されておったという面もあったのではないかと思うわけでございますけれども、現時点におきましては、全国ほとんどの市町村において下水道整備の必要性につきまして、ひとしくコンセンサスが得られておるというふうに思っておるわけでございます。  しかしながら、実態を見ますと、なかなか下水道整備が及んでこないといいますか、下水道着手がなかなかできないところが出てまいることも事実でございまして、そういったようなところでは、特にトイレの水洗化ということをとりあえずの目標といたしまして、いわゆる下水道類似施設といったようなものがいろいろ考えられておるわけでございますが、特に農山村につきましては、先ほど先生からも御指摘ございました農林省におきます事業も行われているわけでございます。  私どもは、こういったようなものを総合的に勘案しながら、トータルとして国民の要望に的確にこたえていく必要があるというふうに考えておるわけでございまして、御指摘ございましたように農水省、建設省それから都道府県市町村レベルの関係部局間におきまして緊密な連携をとりまして、トータルとしての下水道整備普及に努めてまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。
  136. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 下水道の機能としてトイレの水洗化、浸水防除、水質保全等が主なるものとして挙げられます。特に水質保全は、美しい河川、湖沼、海岸を維持するため一層強化する必要があると考えますが、そのため今後終末処理場の処理機能を、窒素、燐酸等を含め除去の高度化を図るべきと思います。  そこで、建設省、環境庁にお伺いいたしますが、高度処理のレベルアップをどのように推進していくのか。建設省でもバイオ技術実用化への総合技術開発に取り組んでいると聞いておりますが、実態はどうなっているのか。さらに、バイテクの生物ろ過膜、限外ろ過膜、逆浸透膜、これらはウイルスを除去することもできる技術だと聞いておりますが、この実用化、普及のめどなど、こういう点についてお伺いいたします。
  137. 福井経一

    ○福井説明員 公共用水域の水質保全を図るために、通常の二次処理によりますこの処理区域の拡大を図ることがまずは必要でありますが、湖沼や閉鎖性水域あるいはまた水道水源を持っております主要な河川等の水域におきましては、高度処理を推進いたしましてさらに処理水質の向上を図ることが必要となる場合が多いかと思います。このために、必要な水域におきましては高度処理を実施しているところでございます。  第七次下水道整備五カ年計画におきましても、霞ケ浦とか琵琶湖等の湖沼、あるいはまた東京湾、伊勢湾、瀬戸内海等の閉鎖性海域、あるいは利根川、多摩川、淀川等の主要な河川等におきまして、高度処理を積極的に推進していくこととしておるわけでございます。この高度処理を推進するために、平成三年度からは、湖沼あるいはまた閉鎖性海域あるいはまた主要河川等の特定水域におきます高度処理の基本計画策定に対しまして、補助を行うこととしておるわけでございます。  それから、この高度処理に関しましてのバイオテクノロジーを活用した処理技術の開発でございますが、建設省といたしまして昭和六十年度から総合技術開発プロジェクトといたしまして、バイオテクノロジーを活用いたしました新排水処理システムの開発というものを実施しております。これは省エネルギータイプ、あるいはまた非常に安いコストで、あるいはまた面積が少なくて済むような、それでいて処理水質を向上させるといった非常に有利な特徴を持っておるわけでございますが、こういった下水道の処理技術の開発を行っておりまして、これは民間との共同研究で実施いたしました。こういった共同研究の成果を踏まえま して、平成二年度から三カ所でこれらの新技術を活用した事業に着手したわけでございます。今後におきましても、この新技術の研究開発を進めますとともに、これからの研究成果を積極的に活用いたしまして、より効率的な下水道事業の推進を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。  それから、膜を利用した再生水の高度化に関する研究でございますが、この研究につきましても、現在土木研究所で研究活動を行っておるテーマでございます。高度処理に関しますこういったテーマは、非常に重要なテーマでございます。特に平成三年度において、このテーマを積極的に実施していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  138. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、日進月歩のこの技術開発でございますから、ひとつ新しい技術は積極的に取り入れていくように対応すべきだと考えております。  また現在、単独、合併浄化槽の普及も図られているわけでありますが、下水道と浄化槽の普及のバランスはどうあるべきと考えているのか、この点についてお伺いいたします。
  139. 市川一朗

    市川(一)政府委員 建設省といたしましては、やはり生活排水の処理は下水道によることが基本であるべきだというふうに考えておるわけでございますが、場所によりまして下水道ではどうしても効率的な処理ができない場合もあろうかと思います。また時期的な面も含めまして、下水道整備が及ばない時期がある場所もあるわけでございまして、そういったようなところにおきまして、便所の水洗化あるいは雑排水の処理というようなところで、単独あるいは合併の処理槽というものが普及していることも事実でございます。私どもは、そういったところで将来下水道整備されるまでの間の措置というようなところを一つ基本として考えておりますので、それぞれの地域がどういうスケジュールで下水道整備されるのか、そういった明確な目標もはっきり定める、お示しすることによりまして、相互の整合性を保っていくことが可能であるし、またそうあるべきであると考えておる次第でございます。
  140. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、この単独、合併浄化槽の普及もされているわけでございますので、ひとつこの整合性も十分考えていっていただきたい、こう思うわけでございます。(発言する者あり)
  141. 桜井新

    桜井委員長 御静粛に願います。
  142. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 あわせて環境庁にお伺いしますが、下水道普及率と水質との相関関係はどのように把握しているのか、またどのように解明されているのか、この高度処理の処理レベルについてもお伺いしたいと思います。
  143. 久野武

    ○久野説明員 人の一日当たりの発生負荷量、これはBODで約四十三グラムと言われております。下水道を通しまして公共用水城に排出される場合には、そのうち九割が削減されるということでございます。高度処理になればさらにこの削減率が高くなるわけでございまして、下水道はそういった意味で水域の水質保全、水質改善に極めて大きな役割を果たすものであろうというふうに認識してるわけでございます。しかしながら、下水道普及率と近傍の河川等の水質との関係というのは、対象となる地域だとか水域の自然条件、社会条件によっていろいろ変わってまいりますので、一概には言えません。  ただ、身近な例として申し上げますれば、東京都の隅田川の下流、これは両国橋付近でございますが、例えば昭和四十七年時点ではBODで一三ppmございました。この時点での都区部の下水道普及率は約五〇%、それが平成元年度では水質が三ppmと顕著な改善を示しておりますし、一方下水道普及率が今九割に達しているという状況でございます。こうした観点からも、下水道普及率の向上は水質の改善に大きく寄与しているというふうに考えていいのではなかろうかと考えているところでございます。
  144. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 第七次五カ年計画では投資総額が十六兆五千億円ということですが、これで普及率が四四%から五四%に上昇するという算出根拠がどうなっているか、お示しいただきたいと思います。  さらにあわせて、このような下水道整備を行う場合、道路の掘り返し等により交通渋滞、騒音等について地域住民の間からいろいろな苦情が聞かれるわけですが、どのように対処をされるのか、新しい工事工法など開発されているのかも、あわせてお伺いいたします。
  145. 福井経一

    ○福井説明員 第七次下水道整備五カ年計画整備目標は、普及率を四四%から五五%に引き上げる、これが一番大きな目標になっておるわけでございます。また、市街地の浸水防除やあるいはまた公共用水域の水質保全のための事業費についても積算されているわけでございますが、こういった算出根拠につきましては、第六次下水道整備五カ年計画の実績等も踏まえながら、これらの施策を実施するために積算されておりまして、第七次五カ年計画の総投資額十六兆五千というのが策定されたわけでございます。今後とも、この五カ年計画につきまして、さらにはまた長期的な整備目標達成されますよう、下水道事業を積極的に進めてまいりたいと考えておる次第でございます。  それから、下水道事業を行う際の交通渋滞とか騒音についての御指摘がございましたが、下水道工事の実施に当たりましては、地域住民の御理解を得ながら安全かつ効率的に事業を進める必要があるかと思います。この下水道工事の着工に際しましては、地元の説明会等によりまして、事前に地域住民に対しまして工事の概要あるいはまた工事の実施方法を説明して、地域住民の御協力を得ながら事業を進めていくということになっておるわけでございます。  また、道路上で工事を行う必要がある場合には、道路管理者及びその所管の警察との協議の上、安全に工事を実施するというわけでございまして、道路を開削しないで管渠を敷設するような推進工法とかあるいはまたシールド工法等、こういった工法の選択というものもあるわけでございまして、いずれにいたしましても適切な交通の誘導によりまして、できる限り交通渋滞が生じないように努力しているわけでございます。  また、居住地域等で行います工事につきましては、騒音を低減するために低騒音の建設機械の選択とかあるいはまた非常に音の出ない、あるいはまた音を遮断するような施設を設置するなど、こういった配慮を行っているわけでございます。今後とも、地域住民の御理解を得ながら下水道事業を実施するように努めてまいるよう、地方公共団体を強力に指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  146. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、下水道計画的な……
  147. 桜井新

    桜井委員長 もう少しですから、静かにしてください。
  148. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 整備促進については地域住民の関心が高まっているわけでありますので、この件について建設大臣の決意のほどをお伺いいたしまして、質問を終わります。
  149. 大塚雄司

    大塚国務大臣 貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。  先ほど来お答えを申し上げておりますように、四四%の下水道普及率を十年後五四%、二〇〇〇年には七〇%の目標で、今回五カ年計画もお願いをするわけでございます。ちなみに、先生御出身の岩手県を中心にした東北六県を見ますと、残念ながら、先生の岩手県は四番目か五番目でございまして、仙台市という大きな都市を抱えた宮城県は四〇%、仙台市は七五%。今日まで下水道整備大都市を中心に、また百万人以上の都市を中心に進めてきたわけでございますが、全体的に見ますと、人口五万人以下の都市ではまだ八%、二千の市町村が未着手。こういう観点に立ちまして、日本列島三十七万平方キロの国土の均衡ある発展を図っていくためには、道路もそうでありますが、下水道普及国民に豊かさを実感していただくためにも大変に重要なものと考えておるわけでございます。  先ほどお話をしておりますように、今後の五カ年は、特に中小都市下水道普及にも力点を置きまして努力をしてまいりたいと思いますし、また財政力の大変乏しい市町村のために都道府県代行制度も創設をいたしましたし、また都道府県財政力が〇・四六以下というようなところには、言葉が余り適切ではないと思いますが後進特例、補助率のかさ上げ等も行いまして、この事業の推進に全力を挙げてまいりたいと思います。関係省庁、地方公共団体との連携を密接にとりながら、御期待に沿う下水道事業を進めてまいりたい、このように考えております。ありがとうございました。
  150. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 終わります。
  151. 桜井新

    桜井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  152. 桜井新

    桜井委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  153. 桜井新

    桜井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  154. 桜井新

    桜井委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、笹川堯君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党及び民社党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。木間章君。
  155. 木間章

    ○木間委員 ただいま議題となりました下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党及び民社党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 第七次下水道整備五箇年計画の完全達成を期するとともに、地方公共団体財政負担の軽減に配慮すること。  二 特に普及の遅れている中小市町村下水道整備を促進すること。    このため、必要な財源の確保、執行体制の整備及び職員の養成、確保に努めるとともに、下水道利用者の負担が過大にならないよう配慮すること。  三 地域の排水処理を進めるに当たっては、下水道整備基本としつつ、地域実情に応じ、類似施設の整備との合理的調整を図るとともに、小規模な集落に適した下水道整備方式の開発、執行に努めること。  四 公共用水域の水質保全及び処理水の再利用を促進するため、高度処理を積極的に実施するとともに、下水汚泥等の資源・エネルギーとしての有効利用を図るための技術の開発及び実用化を推進し、あわせて下水道施設の多目的活用を推進すること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  156. 桜井新

    桜井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  157. 桜井新

    桜井委員長 起立総員。よって、笹川堯君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大塚建設大臣
  158. 大塚雄司

    大塚国務大臣 下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして御熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  159. 桜井新

    桜井委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  161. 桜井新

    桜井委員長 次回は、明二十五日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会