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1991-04-12 第120回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月十二日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 桜井  新君    理事 金子 一義君 理事 木村 守男君    理事 北村 直人君 理事 笹川  堯君    理事 渡海紀三朗君 理事 木間  章君    理事 三野 優美君 理事 吉井 光照君       井奥 貞雄君    遠藤 武彦君       瓦   力君    塩谷  立君       高橋 一郎君    武村 正義君       東家 嘉幸君    中島  衛君       野田  実君    平田辰一郎君       柳本 卓治君    石井  智君       上野 建一君    小澤 克介君       加藤 繁秋君    貴志 八郎君       鈴木喜久子君    松本  龍君       山内  弘君    伏木 和雄君       薮仲 義彦君    辻  第一君       菅原喜重郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 大塚 雄司君  出席政府委員         国土庁土地局長 藤原 良一君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設大臣官房総         務審議官    青木 保之君         建設省建設経済         局長      鈴木 政徳君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 藤井 治芳君         建設省住宅局長 立石  真君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   人見 信男君         警察庁交通局交         通規制課長   島田 尚武君         経済企画庁総合         計画局計画官  藤森 泰明君         大蔵省主計局主         計官      林  正和君         郵政省放送行政         局業務課長   長澤幸一郎君         建設大臣官房技         術審議官    玉田 博亮君         建設委員会調査         室長      吉沢 奎介君     ───────────── 委員の異動 四月十二日  辞任         補欠選任   金子原二郎君     井奥 貞雄君   島村 宜伸君     柳本 卓治君   山本 有二君     平田辰一郎君   上野 建一君     加藤 繁秋君 同日  辞任         補欠選任   井奥 貞雄君     金子原二郎君   平田辰一郎君     山本 有二君   柳本 卓治君     島村 宜伸君   加藤 繁秋君     小澤 克介君 同日  辞任         補欠選任   小澤 克介君     上野 建一君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  道路法及び駐車場法の一部を改正する法律案内閣提出第五四号)  河川法の一部を改正する法律案内閣提出第五五号)  下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案内閣提出第五六号)(参議院送付)      ────◇─────
  2. 桜井新

    桜井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路法及び駐車場法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田実君。
  3. 野田実

    野田(実)委員 きょうは、委員長及び理事皆さんの御好意で質問させていただく機会を設けていただきまして、大変ありがとうございます。また、建設大臣お忙しいところ御出席いただきましてありがとうございます。  道路法及び駐車場法の一部を改正する法律案に関しまして、関連しまして道路整備の問題あるいは財源問題を中心にしてお尋ねをしたいと思っております。  だれもが、どの方も言われることでございますけれども我が国大変経済大国になったということを言われております。しかしながら、またこれもだれもが感じていることでございますけれども、必ずしも日本は豊かさを実感できていないんじゃないかというように私も考えますし、皆さんも大方の方がそう感じていると思っております。  そこで、ヨーロッパアメリカと比べまして、一体どうして豊かさを感じられないのだろうかということを考えてみますと、やはり文化や芸術のおくれということもあります。しかしまた、住宅が狭いということもあります。しかしながら一番最大ネックヨーロッパアメリカに比べまして豊かさを実感できない最大ネックは、やはり社会資本整備がおくれているんじゃないかというように思います。ヨーロッパアメリカを旅行しましても、地方まで高速道路が延びております。そういう実態を踏まえまして、社会資本整備というものが大変立ちおくれたのではないかと感じておりますが、一言大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  4. 大塚雄司

    大塚国務大臣 我が国経済は、まさに経済大国と言われるようにまで発展をしてまいりましたが、今委員指摘のように、我が国国民生活を見ますと、どうもまだ豊かさが実感できない。その理由にはいろいろありましょうけれども、確かに社会資本整備がおくれているという点では、欧米の先進国に比べますとこれは否定できないわけでございます。  しかし考えてみますと、四十六年前の終戦のときには人口が七千八百万人、現在一億二千万人、国土は三十七万平方キロしかないわけでありますから、そういう中で工夫を凝らしながら、木造中心主義時代からいわゆるコンクリート時代に変わって、五十年で今日までやってきたわけでありますから、それを考えれば、経済力にふさわしいとは言いませんけれども、まあまあ整備は進んできたのではないかなとは思います。  しかし、やはり一人一人の立場でお考えになると御不満があるのはわかるのでありますが、車社会になって、今やはり道路一つを取り上げてみますと、なるほど高規格幹線道路もまだ五千キロである、あるいは一般道もまだ少しおくれているというようなことがありますから、不満が出てくるのではないだろうか。何しろ車の保有台数も五千七百万台、一人一台というようなアメリカやそういう国と比べれば確かにおくれをとっておりますが、でありますからこそ、これから駐車場整備であるとか道路整備を強力に進めて、豊かさが実感できるような日本にしていかなければならな い。その担い手はまさに建設省でございますので、総力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
  5. 野田実

    野田(実)委員 御決意のほどを承りましたが、そこで日本の戦後の繁栄あるいは現在の繁栄中心、あるいは貿易摩擦中心問題が自動車問題にあろうかと思います。この自動車保有台数も、日本アメリカに近づいたということが言えると思いますが、そういう中で今回改正法案を出されまして、駐車場完備していくという方向、それは大変結構なことだと思うのですが、その前に、先般の国会道路交通法保管法改正をされました。  きょうは警察の方にお越しいただいておりますので、簡単で結構でございますから、その後の状況を御説明いただければありがたいと思います。
  6. 人見信男

    人見説明員 お答え申し上げます。  平成三年三月末の駐車違反取り締まり件数は約七十万一千件で、昨年三月末と比べまして駐車違反取り締まり件数は約八万五千件、約一四%増加しております。また、放置駐車違反下命容認禁止規定を適用しまして背後の使用者等に対する取り締まりを実施しまして、現在までのところ十九法人二十四名を検挙しておりまして、放置行為下命容認理由として三業者六台について自動車使用制限を実施しておるところでございます。  なお、改正保管場所法につきましては、本年七月一日の施行に向けて現在準備中でございます。  以上でございます。
  7. 野田実

    野田(実)委員 取り締まりということは大変大事なことだと思いますし、しっかり頑張っていただきたいと思いますけれども取り締まりだけで違法駐車あるいは道路に何台も駐車しているという問題が解決するわけではないと思っております。  そこで、やはり駐車場整備していくあるいは完備していくということがぜひとも必要だと思っております。そこで今回の法改正になったと思うのでありますが、今回は予算措置としても大変少ない予算ではないかと思っております。今後どういう形でこれを拡大していく、あるいはどういう形で整備を図っていくのか、道路局長お尋ねしたいと思っております。
  8. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 従来も、有料融資事業あるいは道路開発資金等によってやってまいりました。その結果、平成二年度の予算は四百二十億、こういうことでございます。平成三年度は、先ほどお認めいただきました交通安全法改正によって駐車場補助制度もお認めいただきました。  今回、道路法改正を御審議いただいているわけでございますが、これらによって私ども平成三年度は一・三一倍でございますが五百五十億円の予算を用意させていただいております。平成三年度は、まだまだ実際の事業を実施するというよりも計画を詰めていく内容が非常に強いかと思いますので、そこでさらに今後、これからの五年に向けて一層公共駐車場整備計画的に推進するための財源も確保していきたいと思っております。
  9. 野田実

    野田(実)委員 ぜひ努力をしていただきたいのでございますが、駐車場整備の問題ということになりますと、どうしても都市中心にした問題であろうかと思っております。限られた財源の中から駐車場整備に割り当てる。それが拡大してまいりますと、やはり一定の限られた道路予算の枠内では、道路整備が若干おくれてくる可能性があるのではないかというような懸念もいたしております。  その辺のバランス考えながらぜひうまく進めていただきたいと思っておりますが、次の問題としまして、先般のアメリカとの交渉で、我が国もこれから多額公共投資を実施することになったことは御承知のとおりでございます。この中で下水道公園あるいは住宅河川、いろいろな公共投資がございますけれども、非常に重要な担い手として道路整備あるいは道路網完備ということが考えられるのではないかと思いますが、基本的な考え方について、建設省にお伺いをしたいと思っております。
  10. 青木保之

    青木政府委員 二十一世紀におきます本格的な高齢化社会、現在出生率は一・五七というようなことで高齢化社会が目前に迫っておるわけでございますが、二十一世紀国民がゆとりある豊かさを実感できる社会実現を図っていくためには、この十年間が非常に大事な期間であるという認識でございます。この十年間に、道路を初めといたします住宅社会資本整備を推進し、投資総額四百三十兆円に及ぶ公共投資基本計画達成を図っていくということが、必要不可欠であると考えておるわけでございます。  このため、建設省におきましても、平成三年度予算建設省関係一般公共事業について、同計画初年度にふさわしい規模を確保するとともに、本年度を初年度とする五本の新五カ年計画について、本計画達成等に向けて必要な規模を確保しておるところでございます。道路につきましても、道路の五カ年計画平成四年度までございますが、その期限到来の際、同様に五カ年計画拡大を図って、公共投資基本計画達成に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  11. 野田実

    野田(実)委員 官房お答えとしては総花的にお答えをいただくよりほかないのかと思いますが、私はいろいろ公共投資がなぜおくれたんだろうかということを、常々都会あるいは田舎を回りまして考えております。その中で一番基本的な問題――下水道にしましても公園にしましても豊かさを実感する問題として必要であるし、整備を図っていかないといけないのでございますけれども、一番基本的な問題が大変おくれてしまったのではないか。もっと早くやるべきだったもの、それが道路ではないかということをいつも感じております。  この十年間、これから公共投資を大いにやろうという時期に、なるべく早く道路問題を片づけてもらいたい、永久にエンドレスではありますけれども片づけてもらえないだろうか。企業誘致をするにしましても、文化のあれにしましても、あるいは地方開発にしましても、道路問題が解決しないことにはやはり何もできないわけでございまして、道路に対する期待といいますか、選挙区あるいは国民要望が非常に強いわけでございまして、そういう意味でぜひとも建設省も十分お考えをいただきたいということをお願いを申し上げておきます。  さて、道路ということになりますと、私は二つの問題があると思っております。一つは、道路整備を進めていく上に際しまして二つの問題があると思っております。一つ財源の問題であります。お金の問題です。もう一つは、土地をどのようにしてうまく取得できるかという問題に突き当たるのではないかと思っております。  まず最初に、予算の問題について若干お尋ねをしたいと思っております。ここのところ、ずっとゼロシーリングで参りました。ゼロシーリング予算で参りまして、なかなか公共投資もここ数年うまく増額ができなかったということも大変残念なことだと思うのですけれども、昨年初めて生活関連重点化枠というものが設けられました。建設省でもその中から多額の配分をされたと思うのでございますけれども、その基本的な概念の根っこに、経済企画庁がおつくりになりましたこういう公共投資基本計画というのがございますのは、御承知のとおりだと思うのです。その中で、生活環境文化機能という概念が初めて導入されました。生活環境文化機能という概念、これはどちらかといいますと、非常に厳格に解釈しますと下水道とか公園とかあるいはごみ処理とか、そういうような話に入ってくるんじゃないかという感じがいたします。しかし余り厳格に解釈しますと、私がお尋ね申し上げている、あるいは御要望申し上げている道路というのが入りにくくなってくるのではないか。そこで、希望としましては広範囲に解釈をさしてもらいたいと思っておりますが、経済企画庁のお考えをお聞きしたいと思っており ます。
  12. 藤森泰明

    藤森説明員 お答え申し上げます。  公共投資基本計画におきましては、道路などの交通基盤につきまして、豊かさを実感できる国民生活実現地域経済社会の均衡ある発展を図るために重要な役割を果たすものと認識いたしまして、その整備を推進することとしているところでございます。
  13. 野田実

    野田(実)委員 生活関連枠ということになりますと、大蔵省主計局のマターだと思います。  主計局お尋ねしたいと思っておりますが、生活関連枠というものを来年度も維持していく。きょうの新聞を見ますと、新聞報道が正しいかどうか存じませんが、来年度も実施していくんだということを書いておりました。そういうことを考えますと、来年度についてはさらに拡大できないものだろうか。あるいは、もしゼロシーリングベースで進めていくとすれば、こういう形で実施していくほかなかなか手がないんじゃないかということを考えます。ぜひ拡大をしてもらいたいということと、もう一点は、道路なんかを考えますと、生活関連重点化枠とともに産業関連といいますか、産業枠のようなものを設ける考え方がないのかどうか、主計局お尋ねしたいと思います。
  14. 林正和

    林説明員 二点お尋ねがございましたが、最初の、来年度の概算要求基準をどうするかということでございますが、あるいはその来年度の概算要求基準の中で生活関連重点化枠をどうするかということにつきましては、先生案内のとおり概算要求基準は、そのときどきの財政事情でありますとかあるいは経済情勢等を勘案して決めますものですから、今後慎重にこれらも見ながら対処していくという課題であろうかと存じております。  それからもう一つ生活関連以外の公共事業予算でございますが、平成三年度につきましては、御案内のとおり生活関連重点化枠一千七百五十億円を、公共事業を通じまして国民生活の質の向上に直接結びつく分野というものにできる限り配慮をしたわけでございますが、御案内のとおり公共事業には、直接生活環境向上に資するという下水道公園といった事業以外にも、国民生命財産安全確保に資する治山治水といったような事業、あるいは国民経済基盤整備と深くかかわりのあります農業、農村整備あるいは港湾等々、重要な政策的使命を有するものも多うございます。道路もこうしたものに当然含まれるわけでございます。こうした社会資本整備は、引き続いて強い御要望があることを勘案いたしますれば、これらの整備を進めていくことも当然要請されているところでございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、こうしたさまざまな社会資本整備に対する要請をも踏まえまして、全体としてバランスのとれた社会資本整備公共投資というものを進めていくことが重要だというふうに考えております。
  15. 野田実

    野田(実)委員 来年度予算要求に関連しまして、ぜひとも生活関連枠拡大、あるいは産業関連枠というような考え方、仮称でございますけれども、ぜひ検討していただきたいということをお願いしまして、次に移りたいと思います。  さて、道路について一番おくれているのは何だろうかということを考えてみますと、私は最もおくれておるのはいわゆる高速道路地方道整備、もちろん大塚大臣選挙区でございます東京都もおくれておりますが、これは別といたしまして、高速道路整備完備、それから地方道整備ではないかと思っております。  お聞きするところによりますと、今供用されている高速道路が約五千キロメーター、二十世紀末で九千キロメーターだそうでございまして、これではヨーロッパアメリカ並みの、地方まで高速道路を張りめぐらすというようなことはとてもできないのではないかということを心配しております。これから十年たったときに、なお高速道路日本じゅうに張りめぐらされていないというそういうことを考えますと、ほかの事業もできませんし、あるいは地方発展ということも考えられないと思っております。その点について、建設省のお考えをお聞きしたいと思います。
  16. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生承知のように我が国高速道路昭和四十四年に東名・名神が開通いたしました。三十二年に第一の施行命令が出て、約三十年の歴史しかございません。そのときに、もう既に諸外国では、アメリカでもイギリスでもドイツでもかなりの高速道路を持っていたわけでございます。その間、それから三十年の間に私ども、平均いたしますと年間約百七十キロのペースで高速道路をつくってまいりました。今回、昭和四十一年につくってから二十年後、一万四千キロという約倍増の計画をつくりました。  これを二つの手法、一つ国土開発幹線自動車道といたしまして道路公団施行主体として整備するもの、これが一万一千五百二十キロ、それから一般国道自動車専用道路といたしまして国みずからも関係しながらつくっていくもの、これが二千四百八十キロ余、こういうものでそれぞれ特色を持ちながら一緒になって競争しながらつくっていく、こういうような形になっているわけでございます。  そういう中で、先ほど申しました、実績的に言いますと従来は年間百七十キロ、最近では計画的に二百キロでございましたが、これからのスピードといたしましては、さらにこれを約倍増いたしまして三百五十キロということで今進めているところでございます。なかなか我が国の地形は急峻でございますし、土地問題その他いろいろと時間がかかりますけれども、この三百五十キロを少しでも上げるように努力しながら、九千キロそして一万四千キロの完成を、従来から三十年と言っておりましたのを早めるように努力をさせていただきたいと思っております。
  17. 野田実

    野田(実)委員 早めるように努力したいというお答えをいただきましたので、ぜひ努力をしていただきたいと思っております。  前回の国幹審が開かれて二年が経過しようとしております。やはりこの国幹審なんかで決めておりますことが足かせになっているのじゃないかという心配もしておりまして、大臣、ぜひとも早く国幹審を開いていただきまして、二十一世紀初頭で一万四千キロというのをなるべく二十世紀末で達成できるようにお考えをいただきたいと思っております。時間の関係がございますので、御答弁いただきたいのですが、次に参りたいと思っております。  私たち西とか南の方の国会議員にとりまして、大変関心のありますのが第二国土軸という考え方でありまして、この問題がありますことを大臣、ぜひ頭に置いておいていただきたいと思っております。そこで、この道路整備を進めていく上にとりまして地方道の問題もお聞きしたいのですが、その前に地方道につきましても一言私からお願いを申し上げておきたいことは、地方財源が豊かではございません。ぜひともこの国道昇格を進めていただきまして、国の力で地方道路整備お願いをしたい。お答えは結構でございますけれどもお願いを申し上げておきたいと思っております。  そこで、この道路整備を進めていく上にとりまして一番問題になりますのは財源問題だと思っております。私も過去の資料をいろいろ調べてみましたら、何回かいろんな税金の導入を図られております。三十一年に軽油引取税、四十一年に石油ガス税とか四十三年に自動車取得税、そして四十六年に自動車重量税がそれぞれ創設されました。その後、新しい財源というものが導入をされていないということも大臣承知のとおりだと思うのです。そこで、予算全体としてゼロシーリングというようなこと、あるいは生活関連枠ということを設けられましても必ずしも十分でないということになりますと、やはり特別の道路財源というものを考える必要があるんではないかというように考えております。  そこで、そういう新しい財源対策について、建設省検討をしておられるのかおられないのか、その辺をお答えいただければありがたいと思います。
  18. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生承知のように、我が国道路はいわゆる道路特定財源の税収をもってここまで整備をすることができました。しかし先生指摘のとおり、まだ道路整備も極めておくれております。都市には都市なりの問題、地域には地域なりの問題、また質の問題としての交通安全等々ございまして、さらにそのための財源強化を図っていかなければいけない、こういうことは私ども十分認識して、いろいろな形でお願いをしておるところでございます。  そういう中で、今後とも国民の理解と協力を得ながら、道路特定財源制度の適切な活用を含めてこの堅持をするということをまずベースに、さらにこれに対していずれ平成五年度からは新しい道路整備五カ年計画を策定させていただきたい、かように考えておりますので、それに向けて、そういう新しい計画達成するためにはどういうような財源をまた考えていったらいいか、こういうことも当然のことながら検討していかなければならないと思っております。そういう中でいろいろな観点から検討していく必要があろうかと思っておりますが、現在のところその内容について云々する状況ではないわけでございますが、結果だけ一つ申し上げますと、第十次五カ年計画におきましては、その全体の規模特定財源の比率が約八割、こういうことに相なっております。
  19. 野田実

    野田(実)委員 この湾岸危機に際しまして、石油税の上乗せをしております。これは一年限りということになっておりますので、これを特定財源に入れられないのだろうかと、これはお答えは結構ですけれども、私はひそかに考えております。ぜひ建設省でも検討材料にしてもらえないだろうかと思ったりしております。やはり従来の財源だけで対策を講ずるということはなかなか難しいんではないか、何か新しい発想、新しい考え方導入する必要があるのではないか。私もかつて公共投資予算を担当さしてもらったときに、重量税導入されたときにびっくりしましたけれども、ぜひとも大臣、新しい多額の税収の入るようなものを、ぜひお考えをいただけないだろうかということをお願いしたいと思っております。  一つとして、これは別に私がこれがいいというわけではありませんけれども道路整備され、あるいは完備されますと、周辺の土地が非常に値上がりをいたします。この値上がりしたものを、その土地を持っている人たちが享受するのではなくて、何か第三セクターのようなもの、あるいは道路公団でも結構ですけれども、それを土地の買収費と同じ価格で買収をしまして、それでそれを民間にまた売るというような、そういういわゆる開発利益の吸収、そういうことを考えられないんだろうかということも実際問題として考えてみたりしているのでございますけれども、これは国土庁になるんでしょうか。お答えをいただければありがたいと思います。
  20. 藤原良一

    ○藤原(良)政府委員 お答えいたします。  開発利益の還元の問題は、財源確保の観点からも重要でございましょうが、社会的公平の確保とかあるいは土地の資産としての有利性を減殺して適正利用を促進するという土地政策の観点からも、非常に重要な課題だと認識しております。したがいまして、私どもといたしましても、先般閣議決定いたしました総合土地政策推進要綱でもそういった趣旨の方向づけをしておりまして、現在、土地政策審議会におきまして、検討課題の一つとして御審議をお願いしておるところでございます。先生の御提言につきましても、十分それを体して詰めてまいりたいと考えております。
  21. 野田実

    野田(実)委員 五カ年計画も近々改定されるということ、あるいは新しく策定されるということでございますから、それに向けてぜひとも国土庁の方でも、開発利益の吸収の問題あるいはその何割かをいただく問題を検討していただければありがたいと思います。  最後に大臣に、時間も迫ってまいりましたので、道路整備の重要性、それに伴います財源対策について、御決意のほどを承りたいと思います。
  22. 大塚雄司

    大塚国務大臣 ただいま道路に対します数々の御示唆を含めての御論議を拝聴をさしていただきました。  私は常々、道路は人間の体でいうと血管に相当するものである。特に多極分散型の国土を形成し、均衡ある発展を保っていくためには、その血管に相当する道路がしっかりとしていなければならないことは言うまでもないわけでありまして、先ほど御指摘のあったいわゆる高規格幹線道路にしましても、二百キロペースを三百五十キロペースにいたしましてその整備を急ごうということであります。しかし、三百五十キロで十年やったんではまだ足りないわけでありますから、そこに何らかの創意や工夫をしなければならないということで、財源確保で特定財源で今日までやってまいりましたけれども、やはり税制改正等も含めていろいろな発想が必要であることもよくわかるわけでございます。  当面は、実はやや深刻な話で恐縮なんでありますが、地価高騰で用地費の負担率がふえることはそれだけ進捗率を落としますし、また最近の手不足などを考えますと、いわゆる工事を担当する建設業におきます厳しい展望もあるわけでございまして、そういうことを我々はやはりしっかり解決をしていかなければいけないのだろう。地価につきましては、総合土地政策要綱を一月の二十五日に定めまして、そして、これも地価を少しでも安くするように努力をしながら公共事業の進展を図る。それから、工事の平準化を進めることによって人手不足に対処をしながら、ともかく単価が上がらないようにしていく。  こういう心組みを一方でやりながら、できれば財源確保も拡大して、三百五十キロペースがもっとふえていくように、そしてそれが一般道、国道はもとよりでありますけれども地方道につきましてもそれぞれの自治体に御協力をいただいて、文字どおり毛細血管までとは申しませんけれども、ともかく道路が非常に重要であるという認識のもとに総力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えております。
  23. 野田実

    野田(実)委員 大臣の御決意のほどを承りましたので、安心をいたしました。  あと土地収用の問題をお尋ねしたかったのでございますが、時間がございませんので、またいずれの機会かにさせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。
  24. 桜井新

    桜井委員長 次に、山内弘君。
  25. 山内弘

    ○山内委員 駐車場整備を推進するためには、まず都市における慢性的とも言える交通渋滞、これを解消し、円滑な道路交通を確保した上で、また路上駐車に起因する交通事故、これを減らさなければならない。交通の安全を確保する上で、さらにモータリゼーションの進展に対応し、地域の活性化を図る上で非常に重要な社会的な課題になっておるわけであります。駐車場整備を進めるに当たって正しい現状認識、これがまず極めて大切であります。  そこで、まず現在の駐車場整備状況、これがどうなっておるのか、またこれについて建設省はどういう認識を持っておられるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  26. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 駐車場整備状況でございますが、広い意味で駐車場と言われておりますものの中には自動車の保管場所である車庫も入るわけでございますが、それを除きまして、目的地での一時的な駐車の用に供される駐車場、普通これを駐車場と呼んでおりますけれども、これはきちっとした統計は必ずしもないのですが、昭和六十年の道路交通センサスをもとに推計いたしますと、約五百四十万台分のスペースが確保されていると考えられております。このうち、駐車場法が対象としておりますのは、一定規模以上の一般公共駐車場と附置義務駐車場でございまして、これは平成元年度末現在で全国で約百五十九万台分ございます。十年前の昭和五十四年度末に比べまして一・八七倍の増加になっております。  また、これを自動車保有台数と比較して見てみますと、これも一般公共駐車場に限った数字でございますが、平成元年度末で自動車保有台数三 十五台当たり一台分の駐車場のスペースがあるということになっておりまして、これも十年前の五十四年末に比べまして、保有台数も相当伸びてはおりますが、一・二四倍の整備水準の伸びになっておるわけでございます。  このように、駐車場整備量は一応伸びてはきておるわけでございますが、今日の全国の都市におきます路上駐車の蔓延の状況、あるいは駐車場の不足も一つの原因となっております地方都市中心市街地の活力の低下といったような状況等から総合的に判断いたしまして、建設省といたしましては、駐車場整備はいまだ極めて不十分な状況にあると認識しておる次第でございます。
  27. 山内弘

    ○山内委員 そこで、今回の駐車場法改正の柱となっておる問題でございますけれども、これは総合的かつ計画的な駐車場整備の推進、このことがあるわけでございますけれども、従来の駐車場の行政、これは非常に総合性、計画性に欠けておる、こう言っていいのではないかと思うわけでございます。この法律案にあるように、今後総合的、計画的というこの駐車場というものが、どういう施策を展開していくべきであると考えるのか。これはこの改正法の基本であると思うわけでございますけれども、その点について建設省考え方をまず御提起願いたい、こう思うわけです。
  28. 大塚雄司

    大塚国務大臣 極めて大事な問題でございますので、私からお答えを申し上げたいと存じます。  先ほど都市局長から御説明を申し上げましたように、駐車場問題は大変深刻な状態であることはもう御存じのとおりであります。今回駐車場法改正お願いいたしますその根幹は、国や地方公共団体が駐車場の総合的しかも計画的な整備を推進すること、その責務を課するということに柱があるわけでございまして、この改正お願いすることによって、市町村にも駐車場整備地区における駐車場整備のマスタープラン、整備計画というものをつくっていただきまして、いろいろ所要の措置を進めていこう、こういうところでございます。  これらの措置を積極的に活用しまして、ともかく三十五台に一台という駐車場状況を少しでも解決をして、やはり国民の皆様方にも御協力をいただいて遺憾ない駐車場体制をつくってまいりたい、このように考えております。
  29. 山内弘

    ○山内委員 大臣の答弁で、三十五台に一台という極めて深刻な状態があるわけでございますけれども、これは今まで民間を中心としてやってきたわけだと思うわけです。しかし、駐車場の問題がここまで深刻になると、やはりこれは公的主体というものが一体どうなるのか、この責任の所在というものが非常に大きなウエートを持つのではないかと私は思うわけでございます。  そこで、今後この問題に対して、せっかくの大臣答弁でもあるので、民間事業者に対する助成、あわせてまた公的主体みずからがどう整備していく必要があると考えておるのか、その点に対して建設省考え方を出していただきたいと思います。
  30. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、駐車場整備を進める上におきましては、基本的には公共と民間が適切な役割分担のもとに進めていくべきものと考えておるわけでございますが、最近の地価高騰によりまして、民間における駐車場整備が困難となってきておる状況を踏まえますと、駐車場整備に関する公的主体の責務がより大きくなっているものと考えておる次第でございます。このため、今回の法改正におきましては、都市における駐車場整備計画の策定を初めといたしまして、駐車場の総合的かつ計画的な整備の推進に関する国及び地方公共団体の責務を明確化したところでございます。  また、これとあわせまして、国も含めた道路管理者による駐車場整備制度を創設するなど、公的主体による駐車場整備施策を一層充実することとしておるわけでございますが、民間駐車場への助成策の充実に努めることも含めまして、今後駐車場整備に関しまして、国及び地方公共団体が積極的に取り組む必要があるという認識を持っている次第でございます。
  31. 山内弘

    ○山内委員 そこで、一層充実という局長の答弁でございますので、またあわせて駐車場整備を進めるに当たって民間事業者に対する国の積極的な支援、極めて重要であると私は思うわけでございます。同時にまた、駐車場整備に関する現行の助成策及び平成三年度における予算案に盛り込まれた新たな助成策について、一体どうなっておるのか、その点の御説明をお願いしたいと思います。
  32. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 駐車場整備に対しましては、従来から公共と民間の役割分担のもとに、融資制度を中心に助成を行ってきているところでございます。やや具体的に申し上げますと、道路整備特別会計から無利子融資、それからNTT株式の売却収入の活用による無利子融資が一つございます。それから低利融資といたしまして、民間都市開発推進機構、道路開発資金、日本開発銀行等から行ってございます。さらに補助といたしましては、市街地再開発事業等の面開発事業で、あわせて駐車場整備する場合にそれに対して補助を行っておるということを従来やってきたわけでございますが、主として無利子もしくは低利の融資が助成策の中心でございました。  平成三年度予算におきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、総合的、計画的な駐車場対策を一層進める必要があるという観点から、補助制度の拡充を中心に助成策の改善に努めてございます。これも具体例で二、三挙げてみますと、一つ道路特会におきまして、地方公共団体等の道路管理者が整備する駐車場を特定交通安全施設等整備事業として行うということでございます。これは極めて画期的なことだと理解しております。それから二つ目には、一般会計でございますが、商店街等におきまして民間の方々が共同で駐車場整備する場合に、共同駐車場整備促進事業として補助する制度を創設してございます。それから、これは従来からありました市街地再開発事業等におきます補助につきまして、補助対象となる駐車場の範囲を拡大してございます。さらに、集合住宅等における車庫の確保を図るために、公営住宅等において整備される駐車施設に対しましても補助を行うこととしたところでございます。
  33. 山内弘

    ○山内委員 地方公共団体の問題は非常に重要でありまして、後にまたお尋ねをしたいと思うわけでございますが、特に駐車場整備の政策としていろいろな補助、融資等の助成策を考えておることは非常に結構なことであるし、また適切な方策を考えたというふうに私は考えるわけでございます。  あわせて、問題は税制上の特例措置、この問題も考えてもらわなければならない極めて主要な事項であると思うわけでございます。駐車場整備に関して現在どのような税制上の特例措置があるのかどうか、また平成三年度における税制改正の問題をどう考えられておるのか、その点に対する御説明を願いたいと思います。
  34. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 駐車場整備に関します税制上の特例措置でございますが、従来は地下式の都市計画駐車場につきましてのみ一定の軽減措置が認められておりました。平成三年度におきましては、ただいま御指摘ございましたように、私どもは昨今の駐車場整備の緊要性と、駐車場整備することの困難ないろいろな問題を解決するためには税制上の特例措置を講じまして、特に民間事業者の方々が駐車場整備をしやすくなるような、いわゆるインセンティブを与えることが極めて重要だという観点から、かなり重点的に税制改正に取り組んでまいったところでございます。  一応平成三年度におきまして講じております税制改正内容を御報告したいと思いますが、まず今国会で既に成立いたしました税法の改正によりましてなされた点の第一点は、所得税、法人税におきまして、これは一定の要件を満たす路外駐車場に限定はしてございますが、割り増し償却の特例を創設いたしました。それから第二に、地方税でございますが、不動産取得税、固定資産税につ きまして、従来は先ほど申し上げましたように地下式の都市計画駐車場についてのみ特例が認められておりましたが、さらに立体式の都市計画駐車場につきましても特例対象に加えまして、軽減措置を講ずることといたしました。  以上は、既にそれぞれの税法でもって改正された分でございますが、さらにただいま御提案申し上げております本法律案の附則によりまして、地方税法の改正が盛り込まれてございます。これは、この法律の一つの柱になっております駐車場整備計画という制度が創設されますが、その中で、駐車場整備計画で主要な駐車場として位置づけられたものに関しましては、都市計画駐車場以外の地下式、立体式のいわゆる一般の公共用駐車場につきましても、不動産取得税、固定資産税の特例措置を講ずるということとしているわけでございます。
  35. 山内弘

    ○山内委員 また、公的な主体が積極的に駐車場整備を行うべき地区として、駐車場法駐車場整備地区というのがあるわけでございます。これについて余り活用されているとは考えられないわけでございますけれども、今回の改正においてその対象地域拡大し、その活用を図ろう、こういう姿勢が見えるわけでございます。今後駐車場整備地区はもっと積極的に指定すべきではないか、私はそう考えるわけでございます。  そこで現在、駐車場整備地区は全国でどのくらい指定されておるのか、また駐車場整備地区の指定について今後建設省はどのような考えを持っておるのか、出していただきたいと思います。
  36. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 駐車場整備地区は、公的主体が積極的に駐車場整備を行うべき地区であるとともに、いわゆる駐車場附置義務の対象となり得る地区ということでございますが、平成二年三月三十一日現在の資料でございますけれども、全国で七十九都市八十六地区が指定されております。  今回の駐車場法改正案で御提案申し上げております中に、このような駐車場整備地区につきまして市町村が駐車場整備計画を策定することとしておりまして、今後都市における駐車場整備計画的に推進していく上で、駐車場整備地区の指定の推進はなおさら重要な意義を持っておるというふうに認識しておる次第でございます。したがいまして、今後は公的主体の駐車場整備の予定のある都市、あるいは附置義務条例を制定または改正する予定のある都市中心といたしまして、駐車場整備地区が従来にも増して積極的に指定されるよう指導してまいりたいと考えております。
  37. 山内弘

    ○山内委員 それからほかには、総合的かつ計画的な駐車場整備の一環として、今回の改正によって駐車場整備計画を創設するということを法の中でうたっておるわけであります。駐車場整備計画の策定はどのように進め、また、この策定によって具体的にどのような効果を期待しておるのか、その考えを聞かせていただきたいと思います。
  38. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 駐車場整備計画は、ただいま御提案申し上げている改正案の柱になっているわけでございますが、私どもといたしましては極めて重要なポイントだと思っておりまして、法改正が成立いたしました段階におきまして、駐車場整備計画の策定に係る指針等を示して、駐車場整備地区を指定しているすべての都市においてこの計画が策定されるよう指導してまいりたいと思っておるところでございます。それから、いわゆる駐車場整備計画につきまして、従来からいろいろと任意に各都市において計画策定が行われておりますが、それに対しましては、街路交通調査に係る補助を行ってまいっておりますが、この補助制度の積極的活用もあわせて講ずることによりまして、駐車場整備計画の策定推進に努めてまいりたいと思っております。  それから、駐車場整備計画の策定の効果でございますが、基本的には総合的かつ効率的な駐車場整備の推進ということを期待しておるわけでございますけれども、具体的なものとして、まず一つは、各関係機関の協力のもとに市町村レベルで駐車場整備計画を策定していただきますので、駐車場の種類とかあるいは整備主体の間の適切な役割分担を明確にすることができます。したがいまして、その計画に従って各主体ごとに積極的な駐車場整備の推進が行われるのではないかと思っておりますし、その計画の中には、公的主体だけではなくて、民間事業者が整備するものも含めましてその地域全体の整備の目標量を示すこととしておりますので、民間事業者の方にとりましては、今後の駐車場の建設あるいは経営の目安となるという効果も期待できると思っております。  そういったようなことも含めまして、先ほど御答弁申し上げましたが、さらに固定資産税、不動産取得税の特例措置、整備計画を策定いたしまして、その整備計画の中で主要な路外駐車場として位置づけられたものに対して特に優遇措置を講ずるといったようなことも講じておりますので、そういった形での駐車場整備へのいわゆるインセンティブ的効果がかなり期待できるというふうに思っておる次第でございます。
  39. 山内弘

    ○山内委員 構想としては非常に結構だと思うけれども、これは竜頭蛇尾に終わらないようにひとつお願いをしたい、こう思うわけです。  さらに、駐車場問題を解決するためには、つくる方だけではなくて、駐車場が必要となる事態を生じさせる原因者の方に、駐車場整備に対する費用の分担といいますか、こういうことをもっと図ることが望ましいのではないかと私は思うわけです。こういう観点から考えますと、原因者に対して駐車場法で義務制度を課すべきではないかと思うわけです。附置義務制度といいますか、この問題に対して建設省は、地方公共団体の義務条例の制定に関して現在どのような指導を行っておるのか。これは駐車場をただつくるだけではなくて、つくらなければならない原因、発生源にやはり義務を課するということが、都市構成上の問題として極めて重要な要素ではないかと私は思うので、その点に対する建設省のお考えを出していただきたいと思うわけです。
  40. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 駐車場の附置義務の問題でございますが、ただいま御指摘ございましたように、これは駐車需要というものの発生が建築物ができますとそこで出てくるわけでございますので、現行の駐車場法の中でも、いわゆる建築物の建築主に対しまして一定の駐車場整備を義務づけておりまして、これを行うためには、地方公共団体の附置義務条例を制定することによって行うということになっておるわけでございまして、ただいま御指摘のとおり、私どもはこれは極めて重要な駐車場対策であり、また、こういったような考え方をまず基本的に徹底することが必要であるというふうに思っている次第でございます。  現在、附置義務条例は全国の百二十の都市で制定されておりますが、まだ県庁所在都市あるいは交通渋滞の著しい大都市で条例が制定されておらない都市も三十八都市、私どもの計算でございまして勝手な計算かもしれませんが、条例を早く制定すべきなんだけれどもまだ制定されてないと思われるのが三十八都市くらいございます。まず、とりあえずこれらの都市に対しまして条例の制定を重点的に指導しておるところでございます。それから、その他の都市におきましても、もちろんそれぞれの都市の実情に応じまして駐車場問題いろいろと発生しております。交通渋滞の問題も起きておりますので、駐車場附置義務条例の制定が小さな都市でもいろいろと行われておりますが、そういったことも含めまして、私どもも適切な指導を行ってまいりたいと思っているところでございます。
  41. 山内弘

    ○山内委員 今回の法の改正の中で、附置義務対象建築物の面積の下限が引き下げられるとともに、附置義務対象地域拡大されるということであります。今回の改正の目的、これは若干今申し上げたわけでありますが、何であるのか、これを明確に。また、今回の法の改正を含め、建設省はこの附置義務条例に関して今後地方公共団体をどう指導していこうとするのか、その基本方針をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  42. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 現行の附置義務制度ができましたのは昭和三十七年でございまして、当時に 比べますと現在ではモータリゼーションの進展は格段のものがあるわけでございますが、その中で、いわゆる附置義務のかかる建築物につきまして一定の規模で区切ってございました。したがいまして、現在の状況を見ますと、やはりまず附置義務の対象となる建築物の範囲を広げる必要があるという考え方に立ちまして、その対象となる建築物の面積下限を引き下げることを改正の第一点に掲げてございます。それから、附置義務対象地域ともなります駐車場整備地区の対象地域につきましても、現在ある一定の枠がはまっておりますが、その枠を広げる必要があるということで対象地域拡大も図ることにしてございます。  今後は、このような改正を踏まえまして、あわせましていわゆる附置義務条例の標準条例というものを私どもお示ししてございますが、それについても必要な見直しを検討いたしまして、それらをあわせまして、附置義務条例の制定が地方公共団体レベルにおきまして一層促進されるよう、適切に指導してまいりたいと考えております。
  43. 山内弘

    ○山内委員 そこで、具体的に地域の特性というものを関連づけながら、この問題についてお尋ねをしてみたいと思うのです。  例えば、私のふるさと青森市あたりは路上駐車が非常に多いわけです。今、雪が降れば除雪の支障にもなっておる。雪国においては、交通の安全確保をするためには、路上駐車というものを極力なくさなければならない。この路上駐車というのは非常に問題があるわけでありまして、この問題は何としてもいわゆる路外駐車場整備、これが必要であります。そこで、駐車場対策を進める上で、道路が凍結しやすい雪国、こういう地域の特性を配慮した対策、これを講ずることが必要であると私は思うわけですが、建設省は雪に対する対策はいろいろあると思うのでありまして、雪国に対する駐車場整備に当たってこれをどう考えておるか、この点ひとつ明快な御答弁をお願いいたします。
  44. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 いわゆる雪国におきます駐車場対策につきましては、先生の方がむしろよく御存じな点があろうかと思いますが、私どもも極めて重要な一つのポイントというふうに考えておる面がございますので、ちょっと御紹介したいと思います。  今さら言うまでもございませんけれども、雪国の場合は、屋外のいわゆる青空駐車場の場合でございますと、除雪の問題もございますし、また出入りの運転が困難であるといったような問題もいろいろあるわけでございまして、やはりできますならば、屋内駐車場や地下駐車場中心整備していく必要があるわけでございますが、その場合におきましても、計画面におきまして、車の走行通路となります車路の凍結の問題あるいは雪の吹き込みの問題など、いろいろ問題点があるわけでございまして、駐車場の位置、型式、設計を検討する必要があるのではないかと思っておるわけでございます。  今後、私どもといたしましても、いわゆる積雪地帯の都市におきます気象条件、交通条件等を踏まえまして駐車場整備を進めるとともに、駐車場の利便性、安全性等の向上を図るための技術の向上につきましても、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  45. 山内弘

    ○山内委員 雪の問題については、委員長も今の答弁は不満足なような状態に聞いておるようでありまして、私も全くそのとおりでございます。この問題については、なお一層格段の御配慮をお願いしたいと思うわけです。時間もなくなりましたので、いろいろございますが省略をいたしまして、雪の問題については、また今後機会を見てやっていきたいと思います。この問題については、やろうという意欲は市川局長からも十分感ぜられますので、研究されまして対応を考えていただきたいと思います。  せっかく立ったついでに、地元の問題を二つほどお尋ねをしておきたいと思います。第一に、津軽地方の中核都市である弘前市と県南部地方の中核都市である八戸市、これは自民党の木村守男君も非常に熱心でありますが、一般国道百二号の整備状況は一体どうなっておるのか、今後の問題にどう対応していくのか、これに対して建設省考え方をお聞かせを願いたい、こう思うわけです。次に第二は、青森県内の一般国道七号の現況と今後の整備の方針についてお聞かせを願いたい。  幹線道路整備とともに、全国的なネットワークを持つ高速交通体系の整備、これは地方の活性化はもちろんそうでありますけれども、今青森県の道路というのは極めておくれておると言えば、道路局長はそうじゃないと言うんだが、やはり活性化ということになると、道路がおくれておるというのが一つの大きな原因である。私は、地域格差の是正は道路からというのがモットーでございますので、そういうふうな点において、やはり格段の進捗率をお願いをしたい、こう思うわけでございます。これは建設大臣もその点は十分留意をされて、地域格差の是正、この問題の柱として今後対応していただきたいと思うわけでございますので、ひとつ御答弁をお願いをしたい、こう思います。
  46. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 それではまず、国道百二号の整備状況及び考え方を申し述べます。百二号は、先生指摘のように、弘前市から黒石市、十和田湖町を経て十和田市に至る約百二十キロの路線でございます。約七割が改良済みでございまして、現在、黒石市におきまして延長約三・六キロ、平賀町におきまして延長六・五キロ、十和田湖町におきまして延長七・六キロの一次改築の改良事業を進めております。そのうち、平賀町の温川から十和田湖町の子ノ口間の約二十二キロは、改良は進めておりますけれども、冬季交通の不能、私も現地に春除雪で伺ったことがありますが、すごいところだということは十分認識しております。こういう厳しい降積雪条件と急峻な地形、こういうことでございますので、ここをどうやったら冬季でも開放、開通できるか。これは今の除雪、こういう切り立った断面をつくらなければいけないところでございますので、そういう雪氷の障害の実態把握とスノーシェッドあるいは雪崩防止さく、いろいろな対策工法がなければ除雪してもかえって災害を招きますので、そういうものを今県とともに調査しながら、ここをどういうふうにしたらいいかという調査をさせていただいているところでございます。  それからもう一方、一般国道の七号でございますが、これのうち青森県の中だけにつきまして若干御報告させていただきますと、青森環状道路十六・六キロ、それから青森西バイパスから弘前市の石川バイパスに至る合計四十六・七キロの六つのバイパス、それを合わせますと六十三・三キロについて今整備を進めております。この平成二年度には、青森環状を約一・六キロ開通させていただきました。そのことによって、これまでに四十・七キロ供用したわけでございますが、残りの未供用区間の整備の促進とともに、特に供用中の弘前バイパス、これが四車化しないともうどうにもならないということ。それから青森市内においては古川跨線橋の六車線の拡幅事業、これも歴史的経緯を踏まえながら今一生懸命やらせていただいております。したがって、必要なところの四車化、そしてまだ未改良区間の事業化、これを調整しながらやらせていただきたいと思っております。
  47. 大塚雄司

    大塚国務大臣 十年前、私は国土庁の政務次官をいたしました。そのときに五六豪雪というのがございまして、桜井委員長の地元へ行って、四メーター道路に雪が積もっておるところを走らせていただきました。雪国は大変だなという実感でございまして、特にまた先生地域にもついこの間行かせていただきましたが、なるほど道路自動車がとまったまま積もってしまったら大変なことだ。ともかく、第十次道路五カ年計画もあと二年ございますが、地域の特性を踏まえて、自然条件あるいは地形の条件等を踏まえた道路づくりをしっかりやらなければいかぬなと、ただいま道路局長からもお答えをしたとおりでございまして、私もそういうことを踏まえて、しっかり寒冷地の 道路整備についても努力してまいりたい、このように思います。
  48. 山内弘

    ○山内委員 大塚大臣、国道でもひどい道路とかが国道ですね、青森県にありますので、在任中にぜひ一度、新潟ばかりじゃなくて青森県にもお越しいただきますようにお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  49. 桜井新

    桜井委員長 次に、上野建一君。
  50. 上野建一

    上野委員 道路法及び駐車場法の一部を改正する法律案、これは中身をよく調べさせていただきますと、大変結構な点が多いというふうに思います。ただ、今までも指摘がございましたが、問題はやはり本気になって実行するかどうか、さらに、これに予算がつくかどうかという点だというふうに思います。その点で、やはり大変金のかかる仕事ですから、これが実際に実行できるだろうか、この点で少し不安がございますので、まず冒頭その不安を解消していただけるように、建設大臣を先頭にして建設省当局の努力を要請しておきたいと思います。  そこで、幾つかの今後の進め方についての私の提言も含めまして、質問をしていきたいと思います。  まず、駐車場整備をやるということは、今日五千万台以上の車、しかもその不法駐車、東京では二十万台だそうですけれども、その不法駐車も含めて大量な膨大な車になっているわけですけれども、これに対処しようということですからこれは大変なことですが、この駐車場整備は一体どのくらいの台数をこの計画によって達成しようとするのか。特にこれから十年間、二十一世紀ぐらいまでの展望に立って考えるとどういうことになるのか、そこのところを最初に聞かせておいていただきたいと思います。
  51. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 駐車場整備、民間と公共とが手を携えて二人三脚でやるわけでございます。その場合に、公共の部分につきましての役割というのは、民間ができない非常に採算性の悪い厳しいところを補いながら、ともどもに結果として駐車場の全体量を確保する、こういう目標でございます。  そこで、私どものそのための一つの施策として、従来は融資制度等々、都市局長から先ほど御説明があったわけでございますが、今回の交通安全対策事業によって行う駐車事業規模というものは、二分の一による補助でもって県、地方公共団体、そして国みずからもやる、こういうことを加えております。そういう意味の交通安全対策事業等々によるものを入れてみますと、大体私どもこの平成三年度以降五カ年間に十万台ぐらいは確保できるのではないだろうかと思っております。  十万台というのはどの程度のものなのかというのは、非常にこれを少ないという見方もありますし、なかなかそれだけできるのかという見方もございますけれども、私どもあくまでも民間と私どもと一緒になってやっていく、こういう趣旨でございますので、これを一つの目安に、平成三年度は百億円余の事業費で行いますけれども、その際に考えておりますのは、平成三年度におおむね六千台を対象に事業及び計画を立てる、こういうことでございますので、初めての世界にこれから入ってまいりますから一生懸命、これはあくまでも見込みでございますので、さらに一層ふやすように、そしてその場合に少しでも安く公共空間をできるだけ使いながら供給量をふやす、こういうことも考えながらやってまいりたいと思っております。そういう意味で、計画量はあくまでも現時点での一つの見込みというふうに御理解をいただきたいと思います。
  52. 上野建一

    上野委員 資料を見ますと、「三大都市圏における瞬間路上駐車台数と違法駐車状況」というのがございます。それによりますと、東京は二十万台が駐車している、そのうちの八割が違法駐車、こういうことのようですが、そうすると五年間かかって十万台、これは全国ですからね。ですから、ある意味では焼け石に水みたいな感じも、率直に言って今の対策ではこの大変大きな、百億円ということですけれども、これだけの金を使っても実はなかなか焼け石に水的な感じを持つのですが、これはやることは結構なことで大いにやらなければなりませんが、したがって私も冒頭申し上げた、お金がどれだけ出せるかということでは少し不安があるというのは、この数字の比較でも少しございます。したがって、この辺は今後の努力お願いするしかありません。  そこで、先ほど駐車場の場合に、不法駐車という場合に一番困るのは、田んぼの中に違法駐車しようと何しようとこれはそれほど被害はありませんが、車が町の真ん中に入ってくる。そうなると人間生活の阻害になる。生産活動はもちろんですけれども、そういう状態になりますので、それが一番困るわけで、前に交通特で私は警察庁の局長の答弁をいただいておりますが、一つは町の中に車を入れないようにする、そのことが交通政策として大変重要なことだと思います。中に入りますと、これはもう駐車場がなければ違法駐車するしかないわけで、その点では、そういうことも含めてこの対策考えておられるようですけれども、しかしもっと積極的にやる必要がある。  そうなると、この駐車場というものの設置場所ですね。町の真ん中に設置するんじゃなくて、バスとか鉄道とかを利用できるところはその乗り入れるところに駐車場をつくるということでなければ意味がないわけで、それをやりますと非常に町の中に入る車が減ることになりますから、その点について、建設省と警察庁と両方にまずもう一度お伺いしたいと思いますが、そういうことに積極的な何か、この駐車場をつくる順位といいますか、その順位についてはどう考えておられるか、その点をお伺いします。
  53. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 十分なお答えになるかどうかわかりませんけれども、私どもが現在の駐車場不足問題に対応するために、特に都市の中で重点的に駐車場整備が求められておると認識しておるところにつきまして、まず第一は、商業・業務地区等で都市機能が集積しておりまして自動車交通がふくそうしている地区、この地区は、やはり地区内におきましてもある程度の必要な駐車場整備する必要があるというふうに考えております。  それから第二点は、いわゆる交通結節点でございまして、ただいま先生からも御指摘がございましたような観点から、パーク・アンド・ライド方式とか、あるいはフリンジパーキング用駐車場といったような整備も含めましていろいろな検討がなされておりますが、そういう例えて言いますと鉄道の駅の周辺をイメージいたしますような、交通結節点における駐車場整備の必要性といったものを認識しております。  それから三番目には、いろいろな区画整理事業その他、面的な整備事業が行われるわけでございますが、そういった場所は将来拠点的な都市機能の集積が見込まれるわけでございますので、あらかじめ計画的に駐車場を配置しておく。こういったようなことが、特に私どもとして重点的な場所であり、お言葉をかりて申し上げますれば、優先的に整備すべき場所というふうに理解しておるところでございます。
  54. 島田尚武

    ○島田説明員 御指摘のように、都心部に乗り入れる車をどうするか。いずれにしても、このまま放置をしておいては逼塞状態に陥る、こういう状況にあるわけであります。  こういう都心への車の乗り入れの問題について、いろいろな御意見があります。また、各国でも試行錯誤を繰り返しておりますが、必ずしも十分な成功は見ていない。こういった中で、警察の力をもって強制的に特定の車の都心部への乗り入れを阻止する、こういった手法が我が国において本当に国民のコンセンサスが得られるかどうか、これについてはまだまだ検討の余地があろうかと思います。当面重要なことは、都心部における車利用の需要をいかに抑制するかということにまず思いをいたすべきであろう。そういう面では、従来から先生方から御指摘のあります大量公共輸送機関の充実ということが、あわせて総合的に進められなければならないだろう。このことと、今 おっしゃいました郊外部における、あるいは結節点における駐車場整備ということがリンクをしていかなければならない、そのように考えます。  こうなりますと、いわゆるパーク・アンド・ライドあるいはバスレーン、こういった問題に絡んでくるわけでありますが、私ども警察の取り締まりはもちろんのことといたしまして、運輸行政あるいは建設行政、そしてまた重要なのは、バス事業者あるいは大量の車利用ニーズをつくり出している大手の業界、会社、こういったところが一体となって取り組む必要があります。  従来、この種の調査研究等が頻繁に行われてきましたが、往々にしてなぜうまくいかないかというふうなことについてのみ調べているのが多い。こういうのを幾らつくってもしようがありませんので、最近私ども建設省、運輸省、警察庁一体となりまして、学者を中心委員会等を設けまして、日本を見ましても、全国を見ると多くの都市で成功している例があります。自治体や、私今ここで具体的な県の名前は挙げませんが、成功している例が随分あります。なぜ成功しているのか――失敗している例を嘆き悲しんでもしようがありませんので、成功している例をいろいろ分析してみて、これはバスの低床式の乗りやすいものにするとか、いろいろな総合的な問題でありますが、そういったことについて、現在三省庁が力を合わせて調査研究を進めております。これがまとまりますと、自治体等が施策を進めるに当たっての参考資料としても十分生かせるのではないかということで、大いに活用して、一歩一歩確実に前進するように進めてまいりたい、こう考えております。
  55. 上野建一

    上野委員 その方面をさらに検討いただきたいと思います。  ただその場合に、もうすぐ始めなきゃなりませんから、今度のこの市町村がやる整備計画の中で、先ほど申し上げた、どこに駐車場をつくるのが一番総合的な意味での町づくりのために、そして今言ったこのパーク・アンド・ライドの考え方からいっても、そういう意味で、市町村がつくる計画なんだけれども、この計画については建設省が相当な指導性を持って、今申し上げたような観点から総合的な立場からやらないと、さっき言ったせっかくのお金も焼け石に水になる、こう言わざるを得ないので、その点、これは全体の問題ですから大臣にお伺いした方がいいと思いますが、これはぜひ積極的に、少し各省庁の縄張りを破ってやらないと、今の課長からの答弁にもありますように、一定の研究は進んでいるわけですから、その研究をもとにしながら各省庁協力してやればいいんだと思うのです。今のままで、ただ市町村長にこの計画をつくりなさいと言ったって、それはばらばらの、ある意味では、今申し上げたようなのに対応するところもあれば、あるいはできないところもあるということになるだろうと思いますので、ぜひこの計画の段階から指導性を発揮していただきたいと思うのです。  そこで、一つの例を挙げますと、実はたまたまきょう船橋の南口に駐車場ができたのですよ、第三セクターですけれどもね。ところが、その総工費は六十二億円かかっているのです。だから、二つできないですね、この三年度の予算では駐車場が。そんなものですよ、金の額からいって。それで、五百六十三台しか駐車できないのです。これは車で通う人には、船橋の駅でおりて電車に乗るわけですから、東京に通う人には非常にいい駐車場になるのですけれども、ただ問題は、これは国から金が出ているわけじゃないものですから、その周辺のデパート、銀行とかその他の企業の事実上の駐車場になってしまうわけです。だから、今この法律で問題になっているような意味での駐車場としての価値は非常に薄いのです。しかも、大体朝通勤しているところを見ていますと、奥さんを助手台に乗せて自分が運転して、それで車は帰りは奥さんが運転して帰る、送ってくるというケースが非常に多い。したがって、道路がもう込んじゃうわけですね。帰りもありますから、駐車場に車をとめれば片道で済むんだけれども、往復になっちゃうからなお込んじゃう、こういう状態です。  したがって、これはほかにもいろいろ例があると思いますが、このように地下に駐車場をつくるということになると大変な金がかかる。さらばといって、この法律と一緒にやろうとしている道路上に駐車場をつくるというのもそう簡単じゃないのですね。駐車場なんかつくれる道路というのは限られている。こういうことでありますので、やはりこの際、思い切った対策をやる。そのためには、今も答弁ありましたが、町の都心部には車を入れさせないような思い切った対策をやはりやる必要がある、こう考えます。そういう意味で、総合的な観点で、この問題の計画段階から特別な対策建設大臣のもとにやる必要があるんじゃないか、こういう意味で、大臣の答弁をいただきたいと思います。
  56. 大塚雄司

    大塚国務大臣 今回お願いをしております駐車場法道路法改正による駐車場整備でございますが、仰せのとおり、市町村に駐車場整備計画をつくれ、ただそう申しただけではできないわけであります。当然、総合的な判断あるいは都市計画上の配慮等々、万般の積み重ねの中でつくられていくわけでありますから、先ほど警察庁からお話しのように、関係三省庁が一体となって計画を練り上げていく。つくる方につきましては、もちろん都道府県も一緒にやるわけでありますが、それを管理し、さらにお金をかけないで駐車対策をやる部分ということも、いろいろあると思うのでございます。  今御指摘のように、都心に車を乗り入れさせないというのも一つの方法でありましょうが、しかし原則は、やはり車を持っている方は乗るためにあるわけですから、これを走らせてあげることも責任の一つでありますので、その辺の対策は大変難しいわけではございますが、こういう難しい時代になるとまたいろいろな御論議もあるわけであります。例えば、車を奇数と偶数に分けて走る日を変えたらどうかなんというようなお話まで出てくるわけでありますが、そういうふうにすると今度は自動車がふえてしまうじゃないかというようなことも、私の周辺ではいろいろな方が言ってこられます。  いずれにいたしましても、駐車場道路と密接な関係がありますし、都市計画というグローバルな見方から、幸いに私が就任しましてから、経済社会の変動に伴う都市計画のあり方をどうすべきかということも都市計画中央審議会にも諮問をさせていただいておりますので、その中でもこの問題は取り上げていただこうかな、こんなふうに考えて、しっかりとやってまいりたいと思います。
  57. 上野建一

    上野委員 その点は、これから難しい問題ですけれども、ぜひこの整備計画の段階から指導性を発揮してもらいたい、重ねて要請しておきます。  そこで、次の問題として駐車場の附置義務、これはこの法律で言うと二十条のようですけれども、延べ面積を二千平米以下に下げる、こういうことで、いわば大きな建物の場合には駐車場をつくらせるということだと思うのですけれども、率直に言って、マンションが随分建ちましたけれども駐車場をちゃんと持っているマンションというのは数えるほどしかないですね。これが路上駐車をやるし、いわゆる環境破壊につながるような駐車の仕方をやっている、こういうことなんですが、この二千平米ということは、これは何台ぐらいのことを考えているのか。何台ということは、その入ると予想される人たちの持つ車の何%をここに入れようというのか、そこのところをぜひ聞かしてもらいたいのです。  そこで問題は、特にマンションの場合に、条例で附置義務を積極的にやる必要があると思いますけれども、これは建築基準法との関係はどうなるのか。本来なら建築基準法で、建物の延べ面積との関係で少なくとも入居戸数の半分ぐらいはとりあえず義務づけるとか、そういうことが必要だと思うのですけれども、ここの二十条との関係で、そして建築基準法との関連ではどういうことになるのか、この点はどうでしょう。
  58. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 現在の附置義務条例に関しましては、国のレベルにおきまして標準条例ということで大体の考え方を示しておるわけでございます。通常、例えば三千平米以上の建築物の場合には四百五十平米ごとに一台分の駐車場を必ずつくってもらいたい、こういう考え方でまいっておりまして、二千平米以上の場合には三百平米に一台ということになるわけでございます。それで大体は、かなりの大きな規模の建築物ができますから、その建築物の面積に応じまして何台分以上の駐車場の設置を義務づける、そういったような考え方で附置義務条例は整理されておるわけでございます。  それで、私ども考え方といたしましては、その対象となる建築物につきまして、従来、特定用途のものは二千平米以上を対象にしてございましたけれども、いわゆる非特定用途と言われておりまして、その代表はマンションでございますが、マンションの場合は三千平米以上ということでございましたけれども、昨今マンションが建ちますと駐車場の問題というのはやはり出てまいりますので、これにつきましても二千平米以上と面積要件を下げる必要があるのではないかという考え方が最も基本的な背景にございまして、今回面積要件を引き下げ、結果として対象となる建築物がふえ、それに基づく駐車場整備も進む、こんな考え方で整理しておるわけでございます。
  59. 上野建一

    上野委員 これはマンションで何戸分ですか、二千平米で。
  60. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 二千平米でございますと、用途によっていろいろ違えてございますが、非特定用途の場合には四百五十平米に一台ということにしてございます。ですから、マンションの場合ですと、二千平米の場合に五台ということになるわけでございます。これは、最低限度必ず附置しなければならない駐車場という意味でございます。
  61. 上野建一

    上野委員 そうすると、五百平米というとこれは相当でかいうちですね。これは戸数にすると十戸分ぐらいじゃないですか。かなり大きい。四百五十平米で四十五平米、五百平米で五十平米だとすると、十戸に五台という割り当てになりますかね、大きいうちで。それはいいんですが、その点は標準としてはどうなのか、もう一度ちょっと聞かしてもらいたいのですが。それから問題は、建設省の指導下にある公団の場合は、この駐車場についてはどういうふうに指導しておられるのでしょうか。  それから、今答弁漏れがありましたのは、建築基準法との関連はどうなるのか、その点ちょっと聞かしておいてもらいたいです。この附置義務条例で、この建築基準法の代替の役割を果たすのかどうか、その点お願いします。
  62. 大塚雄司

    大塚国務大臣 たしか横須賀市でマンションを建てる場合に、一戸に一台なんというようなことをお決めになるという話を、これは仄聞をしたわけであります。今、都市局長お答え申し上げましたように、非特定建築物については三千を二千に下げるということでございますし、二千平米でマンションの場合五台というのは、もちろん通達で処理をしていることだろうと思いますけれども、仮に一戸に一台ということになったら、今度は住宅が建たないというようなことにもなってまいりますので、その辺のことが非常に難しいわけでございます。  しかも、先ほど私がちょっとお答えをしたように、都市計画のあり方を見直そうというので諮問をしているのは、やはり大都市駐車場整備するにしましてもあるいは中小都市でするにしましても、それぞれまた状況も違いますし、一体どのような対策をやったら駐車場対策ができるかということも含めて諮問をいたしておるわけでございまして、あるいは公団とか公営住宅も、最近では公営でも駐車場をつくろうというような御論議が出てまいりまして、東京都ではたしかそんなことをやっておるようであります。しかし、実際に一戸に一台という駐車場台数になったらこれは大変な数になるわけでありますから、その辺のところをこれから勉強をさせていただいて、可能な範囲でできるだけのことをしていきたい、こういうふうに考えております。
  63. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 お尋ねございました数字的な面につきまして、お答え申し上げます。  まず、先ほど申し上げました建物の大きさと駐車台数その他の問題でございますが、仮にそのマンションが二千平米といたしますと、大体私どもの附置義務としてどうしてもつくらなければならないのは五台になるわけでございます。これがマンションがもしかなり高級マンションとしますと、いろいろ共有面積等も入れまして一戸当たり平均百平米、これは専有面積だけじゃありませんで全体の面積ですから、一応百平米として計算しますと二十戸のマンションになるわけですが、二十戸のマンションで五台でございます。実際の需要からしますともっとたくさんの駐車場が必要だと思いますが、最低限備えなければならないものとして、少なくともこの場合は五台以上は備えなければならないということがその都市の条例で定められます。そういたしますと、建築基準法で建築物の建築確認がなされます際に、その附置義務条例に違反してないかどうかということは建築確認の対象になるわけでございますので、それで担保されるわけでございます。
  64. 上野建一

    上野委員 それじゃ公団の方は、住宅局長も答弁に頼んでありませんので、これは後でまたお願いすることにしまして、例えば百平米の家に住むとなれば車は二台から三台ありますね。したがって、これはいずれにせよ足りない。  大体今、マンションを建てるについてトラブルの一つになっているのが駐車場の問題であります。したがってこれは、これからの指導の方向としては、確かに駐車場を十分に持つと住宅が建たない、あるいは高いものになるという嫌いはありますけれども、しかしできたら、そこに車を二台も三台も持っているような人が入るようなマンションの場合は特にそうですけれども、これは大変なことですから、二千平米というのでも私は少し少ないと思うのですね。だからこれは、今後千平米なり何かまでやはり持っていってもらう。千平米に持っていっても、今局長の答弁では二十戸に五台だったわけですから、これは十戸に五台、ようやく戸数の半分、そういうことになりますから、ぜひこれはやはりふやす必要がある、こういうことであります。二千平米というのは、これはやはりもっと減らさなきゃだめだ、こういうことであります。  そこで次の質問を申し上げますが、この計画をやるためには公共的な、民間も含めて未利用地を活用する必要があると思いますので、未利用地の活用について何かいい方法がないものかどうか。建設省として、駐車場との関連でもっと未利用地をやる必要があるのじゃないか。やたらに地方自治体に払い下げるだけでもいけないので、払い下げるときに条件をつける場所もあるでしょうし、これも旧国鉄の用地については運輸省との関連がありますけれども、そういうことで、さっき申し上げましたが、この計画を有効に実行するためには、どうしても省庁の枠を超えた本格的なことをやらないとできないのじゃないかという意味で、未利用地についての民間も含めて活用の仕方については、大臣はどのような方針を持っておられるか、お聞きいたします。
  65. 大塚雄司

    大塚国務大臣 大都市内の未利用地につきましては、大変今後の都市整備の上では大事なものでありまして、その利用は、しばしば申し上げているように、有効しかも高度利用をするという方向で進めていかなければならないと思っております。しかしそれに至る間、未利用の状態であるとすれば、御指摘のとおり、少しでも活用をして駐車場として整備をしていくことも非常に大事でございます。たしか未利用地につきましては特別土地保有税の課税があるはずでございまして、特別土地保有税の課税がございますと、たしか駐車場をしっかり整備をしているような、青空駐車場であっても、単なる原っぱのような駐車場はだめですけれども、きちっとした体裁を整えれば特別土 地保有税を免れられるというので、大都市ではかなりの部分が駐車場として提供を受けているようにも思うわけであります。したがいまして、今後も公的な土地については当然いろいろな計画でやらなければなりませんが、民間の土地につきましても、なるべく駐車場として活用ができるように指導をしてまいりたいと存じます。     〔委員長退席、北村委員長代理着席〕
  66. 上野建一

    上野委員 最後の質問になりますが、駐車場との関連で、車の不法駐車も大変邪魔になり社会のために悪いのですけれども、今車のかわりに自転車が物すごく使われているのですね。したがって、駐車場をつくったら、面積はもちろん問題いろいろあるでしょうけれども、駐輪場も併設して、自転車からも多少なら金を取ってでも駐輪場も併設をする、こういうことをやってもらったらどうだろうかと思うのです。また、それはぜひやってもらいたい点なんですね。今はもう駅前、どこへ行ったってあふれているのですから。あるいは駅前だけではなくて商店街、特にデパートのでかいところはある程度駐車場はありますよね。ところが商店の中には駐車場というのはほとんどありません。それから駐輪場ももちろんない。したがって道路上に自転車が、人間が歩道も歩けないくらいある。そういうことですから、これはやはり駐車場をせっかくつくるなら駐輪場も併設をしてやっていく。そうすれば、管理人も仕事がふえますけれども、その分雇用の面でもプラスになるでしょうし、それから採算上もある程度プラスになるのではないか、こう思いますので、ぜひ駐輪場を併設してもらうという方向でやってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  67. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生の御指摘、私ども全く同じ考え方を持っております。  現在、我が国の自転車の保有台数六千六百万台ございます、二人に一台。自動車駐車場は当然でございますが、この駐輪場の整備も私ども道路事業でやっております。歩道等に放置される自転車によって交通の安全が阻害される、こういうようなことから交通安全事業によって整備を促進しておりますが、平成元年四月現在でございますが、全国で約百八十万台分の自転車駐車場を設置している状況でございます。さらに、そういう場合に高架橋の下であるとか、いろいろな工夫はその中でなされております。  平成三年度からの今回の自動車駐車場整備にあわせまして、この駐輪場もあわせて整備するように、私どもも今後計画の段階、実施の段階にあわせてできるだけ努力をさせていただきたいと思います。ただ、地域地域によってそれぞれの事情が異なりますので、その地域の住民の同意といいますか、地域の民意、合意の形成の中でこのような問題に対応させていただきたいと思います。
  68. 上野建一

    上野委員 答弁を大変丁寧にいただきまして、ただいろいろまだ残された問題はありますけれども一つ予算の面で、さらに来年度はこの予算を今の二倍から三倍ぐらいひとつ獲得していただきたいと思う点と、今最後に申し上げました駐輪場についても、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  69. 北村直人

    ○北村委員長代理 鈴木喜久子君。
  70. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 引き続きまして、この道路法駐車場法改正する法律案について伺いたいのですが、二十四条の二というところぐらいからお聞きしたいと思うのですけれども、これは道路管理者が駐車料金の徴収権能というものを与えられているわけですけれども、これについて、このことと駐車場を管理者が整備するということとの関連、こういうことによってその整備が促進されるということなのかどうか、その点をお願いいたします。
  71. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘の、まさしくそのことのために道路法改正を実はお願いした、こういうことでございます。  それはなぜかといいますと、自動車駐車場整備につきましては、今まで民間を主体にお願いしてまいりました。そうすると、どうしても民間の立場で採算性がとれるとか、やはり地域が限定してまいります。そうして、さらに私ども公共でも整備してまいりましたけれども、有料事業という形で償還主義をとるために、これもやはり土地代であるとかいろいろなことから限定がございました。そういう中で、現在の駐車場の実態が出てまいっております。  今後、私どもそれだけではどうにもならないということから、何とか公共でこういう部分を補うためには、やはり公共事業としてこの駐車場問題を取り上げなければいけない、そうなれば道路管理者がみずから事実を実施しなければいけない、こういう立場に立ちまして、しかしその場合に従来から整備されている駐車場との競争の公平性を保つ、これも大事でございます。利用者の負担の公平、こういうことも大事でございますし、公共だけですべてできるわけではございません。やはり民間の御協力、また積極的な参加も必要でございます。そういう意味から、自動車駐車場の利用者から適切な駐車料金を徴収することによって、公平性を保ちながら、今までできなかったところについては道路管理者が乗り出せる、こういう状況をつくり出すためにこの権能を付与する規定を設けたわけでございます。
  72. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 この問題、駐車料金ですか、これはその管理者であるところの自治体に入って、それがそのまま今度また駐車場整備するためとか、または維持するための費用に使われるという形での事業がなされていくということでしょうか。
  73. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この費用は当然設置、管理する道路管理者の収入となるものでございますから、国道にあっては、建設大臣が直轄で管理する区間については国、それ以外の区間については都道府県、あるいは都道府県道及び市町村道においては、それぞれ都道府県あるいは市町村の収入と相なるわけでございます。
  74. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 収入になるのはそういうふうな形で入ると思うのですが、それが要するにこれから駐車場をつくっていく、管理していってたくさん駐車場がふえていくというための費用として、特定なものとして使われていくのか、それとも一般的な収入に入って、その中から予算が割り振られるのかということなんですけれども
  75. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 この収入は、そういうことでそれぞれの収入になるわけでございますが、当然この収入よりも私どもが県、市町村へ補助していく額の方が多くなければ整備は進みません。そういう意味で、収入にはなりますけれども、これだけでやるのではなくて、さらにそういうものを含めた形での、言ってみればこれは一種の国庫収入、それぞれの収入でございますが、それを含めてもっと大きい額で整備を進めさせていただくことで、今後計画的な整備のための計画も立てさせていただきたいと思っております。
  76. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 わかりました。要するに、駐車場の料金そのものがそれほど大きなものではなくて、全体的な近隣との相場というような問題もあるので取るけれども、徴収権限を与えているけれども、それだけで済む事業では当然ないわけですけれども、直接入るということではなくて、しかもそれは国に入るということもそれほど意味のあることではないわけですね。ただそこに入れさせる、国の収入、自治体の収入になるという形で盛っているというだけのものだということなんですね。
  77. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 それほどのものでないという点だけを御訂正させていただきたいと思います。  私ども道路財源は非常に窮乏いたしておりますから、こういうものも大事に、駐車場は当然のことながら、今後さらに道路整備に使わしていただくという意味で大事なお金と理解しております。
  78. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 わかりました。  ではその次にいきますけれども、今言いますと、こうしたことで駐車場整備させる、そして権能を与えるということによって交通の混雑というものは緩和される、交通渋滞がなくなって人の 迷惑がなくなるということは、非常に回りくどいといいますか、なかなか大変な事業でないかというふうに思うわけです。交通渋滞等を解消していくということには、もう少しほかの意味での取り締まりも厳しくして、駐車禁止の区間もきめ細かく決めていかなければならないだろうし、また交通状態に合った通行区分等々も規制していかなければならないと思うし、それから先ほど上野委員からもお話がありましたけれども、車両の都心部への乗り入れの制限、そういったものにも精力を注がなければならないと思うのです。だから、この問題で非常に多くの交通難が解消するというような考えがまずできるのかどうか、その点を伺いたいと思うのです。そのほかの部分にむしろもっと精力を注ぐべきではないかというような考え方もあると思うのです。  それともう一つ、例えばバスレーンみたいなものを時間帯によっては講じているところがたくさんあるのですが、これがいまだに実行されていない自治体もあるというふうに聞いていますけれども、こういったことも交通難の解消の中では必要なことだと思うのですが、それも含めてお答えいただければと思います。
  79. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 私どもこの駐車場問題を考えた際に、やはり安全とか渋滞とか、こういうものが大きな引き金になったわけでございますが、駐車場整備することによってのみ現在の渋滞等々の問題が解決するというふうには考えておりません。今まで手がけていなかったいろいろな問題を全部手がけながら、都市における渋滞問題等々の大きな問題を解決していきたい、こういうことでございます。  まず大きく分けますと、幾つかございます。渋滞問題という点から考えますと、やはり需要にふさわしい道路ができているかどうか。しかもその道路は、一般街路のような形でどこにでも入っていくようなものではなくて、質の高い形でうまく配分しながらそういう計画及び整備ができているかどうか、その点からの追求といいますか方向づけが一点あろうかと思います。  それから需要の誘導という意味では、例えば例を申し上げますと、都心三区へ通勤をなさる方は九〇・六%が鉄道を利用しております。自動車は四・八%というのが六十三年の調査で得られております。ところが東京三十三区になりますと、鉄道が五六・八%、自動車が一三・二%と、かなりこれも変わってまいります。こういうような傾向は、都市の姿、地域、市街地の姿で全部変わってくるかと思います。大規模大量輸送機関というのは、採算性との絡みからなかなか導入が難しいわけでございますが、できるだけ私どもも駅前広場、結節点の整備あるいは鉄道立体というようなところで、道路事業といたしましても鉄道網が伸展するのに一生懸命協力をいたしております。そういうことで、総合交通という意味で、それぞれ得意わざが出せるところは得意わざを出していただきまして、そういう中で道路整備もあわせてやっていく、こういう点が二点目にございます。  しかし、そうは言うけれども、現実に道路を利用する場合には、不法駐車等々のことによって余計混雑が問題になってくる。こういうことに対しましては、適正な交通機関の分担だけでなくて、駐車場整備それから有効利用、それから適正な規制、取り締まり、あるいは利用者のモラルの向上といったような、あらゆる立場の方々に御参画いただきまして、みんなで手を携えてやる一種の国民運動的な対応をしなければ、都市生活のこういった大きな問題は解決できないというふうに考えておりまして、その一部を私どもも一生懸命分担させていただこうと思っている次第でございます。
  80. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 ぜひともそうしていただきたいと思いますけれども、今のように、一つの交通区分そのもの、これは規制するのが建設省ではなくて多分警察庁の方の関係だろうと思いますけれども、その警察庁の方にも伺いたいと思います。  現在、そういった形での規制のない自治体というのもあるのかどうか、バスレーンというものが認められていない、まだつくられていないところもあるのかどうかというようなこと。それから、現在の路上駐車の状況とか、なかんずく違法駐車の実態についてもう少し細かい、東京の中での問題も含めて実数をお知らせいただきたいと思います。
  81. 人見信男

    人見説明員 お答えいたします。  路上駐車の実態につきましてお答え申し上げます。最近の違法駐車の実態といたしましては、東京二十三区の場合、これは平成二年四月の調査でございますが、瞬間路上駐車台数は二十万百六十五台、そのうち八八・二%が違法駐車でございます。また大阪市の場合、これは平成二年八月の調査でございますが、瞬間路上駐車台数は二十万四千二十九台で、八五・七%が違法駐車であります。名古屋市の場合は、平成二年九月に調査いたしておりますが、瞬間路上駐車台数は九万三千八百六十二台で約五九%が違法駐車、こうなっております。  以上でございます。
  82. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 違法駐車というのが東京二十三区、大阪市のあたりでは九〇%近い違法駐車があるというふうな結果です。これは、私聞いたところによりますと、この瞬間路上駐車台数というものの調査というのは、時間帯が午後の二時から五時までぐらいの間に足で実際に歩かれて、その中で調査されたというふうに伺っておりますけれども、そういった中で、特に東京の場合をとりますと銀座、六本木、新宿といった繁華街においては、違法駐車の割合というのはかなりふえるのでしょうか、それとも今の平均からほとんど変わらないということなんでしょうか。
  83. 人見信男

    人見説明員 お答えいたします。  昨年の四月の時点でございますが、銀座を管轄する警視庁築地警察署管内の場合でございますが、瞬間路上駐車台数は四千九百十二台、そのうち七六・二%が違法駐車でございました。六本木を管轄する麻布警察署管内の場合ですが、これは瞬間路上駐車台数が三千四百五十六台、そのうち八三・六%が違法駐車であります。新宿を管轄する新宿警察署管内の場合、瞬間路上駐車台数が四千六百二十二台、そのうちの九一・二%が違法駐車でございます。前の年と比べましても、それぞれの管内で違法駐車台数が増加しておる状況でございます。  以上です。
  84. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 こういう非常に大きな、九割が違法駐車であるという状況というので、今の道路法の問題の中で、駐車場をある程度管理者がこうやっていくというような、非常にやわらかいソフトな形でやっていたのではなかなか実効性というものが上がっていかないんじゃないか、そんなにたくさんの台数のものができるわけじゃないし。聞くところによると、今まで幹線道路にはパーキングメーターというのがないから、幹線道路の中で交通渋滞を来さないちょっと幅の広そうなところにもう少しゾーニングを設けて、そのあたりにするというふうなお話を聞きましたけれども、そういうことをしたとしても、本当に一番駐車が必要とされる部分にそういった幅の広い余裕のある道路があるなどということは、そんなことは余りないんじゃないかというふうに思うわけですね。  そうすると、こうした形でやっていくということに、私は実効性の点で非常に疑問を感ずるわけなんですけれども、四十四条の二というあたりの規定のところに「違法放置物件に対する措置」、それから六十七条の二というあたりのところには「長時間放置された車両の移動等」、こういうものもこの道路法の中にあるわけですね。この両方の中を見てみますと、違法放置物件に対する措置というのは、何か転がっちゃった荷物が道路上にあると、それを持っていって保管して管理していて、それでだれも相手がいなかったらば、それについてはどこかに処分も可能であるし、それがもしお金で売れて換価されれば、ある程度のどこかの費用に充てることができる、こんなことがこの四十四条の二の中に突き詰めれば書いてあると思うのですよ。ところが、放置されている自動車に はこういうものが当てはまらないで、ただ単に六十七条というところで言っているのは、ちょっと道路工事やら除雪やらなんかのときに邪魔になったら、長時間放置されていたら横っちょの方に五十メートル以内で動かすことができる、またもとに戻しておきなさい、違法な状態にもう一回その自動車を置いておきなさいよというような規定になっていて、非常にその点でも、道路をきれいに一掃しましょうというならば、このあたりについてももっと一貫した、道路交通の渋滞を招くようなものについては一貫した立法がとれなかったのかなというふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  85. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 今、大きく言いまして三点のことをおまとめいただいて御質問いただいたと思います。  そこで、まずパーキングメーターと、いわゆる路上駐車場と私どもが言っておりますものとの点でございますが、私ども路上駐車場でもって解決する、こういうような気持ちはございません。やはり細やかにあらゆる駐車の対策を講ずる。その一環で、こういう路上駐車でできるようなところでそれができないというのでは困るから、できるような制度にしておく、こういう多様性を持たした物の考え方を入れた、こういうことでございます。  そこで、パーキングメーターとの違いは、パーキングメーターは、交通量の比較的少ない幹線道路以外の道路におきまして、車道に単に道路標示を設けるという構造によって設置されるものでございまして、また、その料金はパーキングメーターを作動させるための費用に見合う手数料、こういう性格であるのに対しまして、この道路法におきます路上駐車場におきましては、路外駐車場では対応できない短時間の駐車需要に対応するということのために、道路管理者が、主に交通量の多い幹線道路において、駐車車両が交通に支障を及ぼさないような車道と分離した構造、これがとれなければだめなわけで、これによって道路上の自動車駐車場整備するということでございますから、その駐車料金は、貴重な公共スペースを排他的に使用するということによって著しい利益を受ける者から徴収される使用料、こういう性格を持たしております。そういう点で、似てはおりますが、それぞれの性格をもってお互いに二人三脚をさせていただく、こういうものでございます。  もう一つ、違法放置物件に関する車両ということでございますが、例えば物件そのものにつきましては、確かに首都高速道路で豚が落ちてたとかリンゴが落ちてたとか、いろんな実態がございました。そういうものをどうやって、だれが、何の権能でどかすか、これは非常に厳しゅうございます。そこで一番困りますのは、ああいう宅配便の荷物が落ちてこれをどういうふうに保管したらいいか、後でその費用をどうしたらいいかというのを考えるだけで頭が痛くなるのでございますが、そういうものに対してきちっと一つの法秩序を与えていただきまして、どなたにも納得いただくような制度という形でこの四十四条の二をお願いしたわけでございます。  また、六十七条の二に規定する「長時間」というのは、これは本当はこういうところではいけないのかもしれませんが、(写真を示す)例えば雪の場合でございます。こういうふうに車があるために除雪ができないわけでございます。そうすると、二車線で除雪をした方が望ましいわけですが、一車線しか通せない、そのために渋滞どころか事故も起きる、こういうようなこともございます。そういうことで、こういうときには緊急性が求められます。そこで、長時間駐車するという意味もいろんな意味が出てくるわけでございます。例えば、この前上野駅のそばで大きな陥没がございました。こういうときにそばに自動車があれば、いろんな手続を経てどかすというよりもすぐにどかさなければだめだ。銀座の四丁目で水道管が破裂したときもすぐどかさなければいかぬ。こういうようなときに、警察と一緒になって、それぞれそのときにできる者がすぐ得意わざを出して対応できる、そういう場合に仲よく手をとり合いながらやれる仕組み、こういう意味でこの道路法にそのようなルールをお認めいただくようなお願いをした、こういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
  86. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 違法放置物件には豚も入るかどうかちょっとよくわかりませんけれども、違法放置物件というものの中には車両は含まないのか、または自転車はいかがなものなんですか。
  87. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 自転車も、その置かれた状況によってやはり解釈は若干変わってくるかと思います。相当古くなって人にとって魅力のないような状態の自転車と、かなり魅力満々の自転車とでは、おのずから変わってくるかと思いますが、それぞれその状況で御判断をいただくことになろうかと思います。
  88. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 私は、魅力のある自動車や自転車であっても、そこに置いてあったら同様に運び出しちゃったっていいというふうなぐらいの強い形をとらなければいけないんじゃないか。どうしてそういうふうに取り扱いを自動車と物件、物件だって金塊が落ちているかもしれないわけですから、ですからその物件だって高いものも魅力的なものもあるし、自動車だって魅力的なものもそうでないものもあるわけでございます。そこで、交通の通行ということから考えたらどちらも阻んでいるものには違いないわけで、そこでなぜ違いがあるのかということを、一言伺いたいと思います。
  89. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まず私ども、基本的には道路交通法によってきちっとしていただく、これがやはりベースだろうと思います。しかし、道路交通法によってもいろいろな体制その他においてなかなか対応できない状況、あるいは時間的制約、あるいはその物によって道交法でなくとも対応してもいいんではないか、そういうような物件、こういうものが出てくるのではないかということからやったわけでございますから、いわゆる車両、こういう概念である間は、当然のことながら道交法において適切に対処していただくことになると理解しております。
  90. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 それでは警察庁の方に伺いますけれども、こういった場合に道交法上に基づいてのお取り締まりをされていると思いますが、そこにおっこっている物件であるのとそれから自動車、こういうものについて同じような場合に、どのような処置をなさっているんでしょうか。
  91. 人見信男

    人見説明員 お答えいたします。  放置されているものが車両である場合には、道路交通法の五十一条第十項以下に定められております保管車両についての規定に基づいて処理されることになっております。最終的には、公示の日から起算して六カ月を経過しても所有者等が不明等で返還できない場合には、当該保管車両の所有権は当該都道府県に帰属する、こうなっております。また、車両と言えない状態の場合は、それが道交法の七十六条に該当する物件である場合、これは交通の妨害となるような方法で自動車の機能を失った車両を道路上に放置した場合でございますが、そういう場合は七十六条の三項、その移動の関係では八十一条に規定がございます。  以上でございます。
  92. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 現在、車の乗り捨てといいますか、もう既に使わなくなってしまったものを、下取りにはなかなかとってくれないし、廃車にする手続がもったいないからと置きっ放しにしてしまうというようなこともよく聞いています。公共の駐車場の中にもそういうのがあったり、または道にもそうして放置して、その車の中にまたごみを突っ込んでいくというようなこともよく新聞の中に出ています。こうしたものは車両とは認められないことが多いでしょうから、例えば今回のこの法の改正の中ででも、それをどこかにどかしてしまうということは可能かもしれませんけれども、そうでない車両であっても警察が道交法に基づいてこういうものができるということ。  しかし今回、道交法ではなくて、道路管理者としての権限を持たせて、それこそ仲よく警察と やっておられるんですから、いずれも同じ権能を持たせたところで、それが何か非常に強権的であり、個人の所有権を特別に侵害するということにはならないんじゃないかと私は思うんです。どうもその法律が、こちらは警察庁さんの方では道交法でやっていますから、道交法の縄張りですから、今度建設省の方で出された法律の道路法の方ではこういうことはやらないんですよ、余りそういった形でのセクショナリズムみたいのでやっていくと、そのすき間でやはり交通渋滞がいつまでたっても解消しない。警察庁がそれだけのことをやられているのであれば、同じ権限を立法によって付与するということについて、そのことについての当否はそこで議論するにしても、できないことはないというふうに私は思うんですけれども、ここばかりをかかずらわっていられませんので、その次の問題に行きたいと思います。  この点とともに、この六十七条の問題の中で「長時間」という言葉がありますが、「長時間」というのは一体何時間のことを言うのかということと、あわせて二点をお答えいただきたいと思います。
  93. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まず先ほど、もう一度改めて申し上げますと、私どもの今回の道路法の違法路上駐車の問題に対しましては、いわゆる放置車両が道路管理上必要がある場合、例えば先ほど申し上げました除雪あるいは事故、そこでいろいろな災害が起きる、こういったような道路管理上必要がある場合において移動等の措置をとることができる、ここに一つの大きな前提を設けております。したがって、一般的な意味におきましては道交法の網がかぶっておるわけでございますから、そこにおいて私どもも警察の方にお願いをいたしまして、一緒に二人三脚としてやらしていただく、こういう趣旨になっているわけです。  そういう中で、長時間置いてあるというのはどのような状況かということでございますが、車両が存置された状況等から判断いたしまして速やかに移動されることが期待されないような状態、まずこういう概念があろうかと思います。したがって、時間の具体的な長さにつきましては、道路工事や除雪など維持の緊急性、石が落ちてきた、その前に車が駐車していた、それがないとその岩をどけられるんだけれどもという場合の車の場合には緊急にどかしたい、こういう意味ではこの「長時間」は極めて短い長時間になろうかと思います。それから、そうじゃない一般的な意味で、例えばあしたそこを維持工事をやろうというときに、ずっと今まで車がとまっている、いよいよあしたになったときにそれをその前にはどかそう、こういう場合には、その状態は比較的長時間の長時間になろうかと思います。  そういう意味で、この長時間の具体的な時間というものは、それぞれ状況に応じて変わるものと思っておりますが、私ども要は、この規定が現場の第一線の道路における渋滞、事故等々において、適切にそういうものを防止できるための法律改正でございますので、それに役立つような「長時間」の利用といいますか理解の仕方を、今後事例を通じて確立していきたいと思います。ただ、非常に幅があるということだけ御理解いただきたいと思います。
  94. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 短時間の長時間と長時間の長時間というのがあるかもしれない、場合によってケース・バイ・ケースであるというお答えであろうと思います。御趣旨はよくわかります。こういった緊急避難的なものですので、緊急避難としてできないことはないのでしょうけれども、一応法文化されたという意義はあるとは思うんですが、非常に遠慮っぽい規定であるというふうに私は思うんです。せっかくならば、警察と仲よく連動してやられるなら、同じような権能を持ってもいいんじゃないかなということを最後に言いまして、次に進みます。  これで、こういった問題について非常に不十分な問題ではあるけれども、交通の円滑化に対しての姿勢というものはある程度うかがわせられるとは思うのですが、こうした問題の中で、今回の改正法の条文中でもいっぱい政令にゆだねられている部分というのがあります。それから、建設省令にゆだねられている部分というのも、二十四条の三、二十四条の二、四十四条の二の三項とかたくさん、六十七条の二にもあります。こうしたものについて、私はこんなことは聞きたくないのですけれども、この政令の内容というのについては具体的に一言、余りたくさんの時間がないので大変残念なんですけれども、言っていただきたいと思います。そうしませんと、いつこれが内閣で利用されて、ここからどんなことに利用されるか政令によってはわからない。特例政令という形でやられるというようなことは絶対にないのかどうかということを、一言お答えいただきたいと思います。
  95. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 まず、政令の内容につきまして、当該政令が改正法の委任に基づき制定されたものであるという前提でございますから、改正法の委任の範囲を超えることはございません。そういう中でやってまいります。また、その必要がないわけでございます。
  96. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 ないのですね。
  97. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 はい。  それで、あと各条につきましては、時間がございますので、もし必要があればまたお答えさせていただきます。
  98. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 どうもありがとうございます。  それで、今度駐車場の方なんですけれども、この特例の措置の中で市町村が駐車場整備計画というものを定めるわけですけれども、これと駐車場整備地区の決定権者というのが出てくるわけなんですが、それとの関係ですね。市町村が整備地区の決定もするのか、その上で自分の決定に基づいて整備計画を定めるというふうに解釈すればよろしいのでしょうか。
  99. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 お答え申し上げます。  条文上を見ますと、駐車場整備地区に関する都市計画が定められた場合においては、市町村は整備計画を定めなければならない、こういうふうになっておるわけでございますが、この駐車場整備地区に関する都市計画が、しからばだれがどうして定めるのかということは、実は都市計画法で一律的に都市計画の決定手続が決まっておりまして、この駐車場整備地区は市町村が定める都市計画とされております。したがいまして、合わせますと、市町村が駐車場整備地区の必要な区域につきまして都市計画駐車場整備地区を定めまして、それで今度の改正駐車場法に基づきましてその地区内で整備計画をあわせて策定しなければならない、こういふうになるわけでございます。
  100. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 今度は、こうしたねぐらの方の駐車場の問題だと思うのですね。今までは、出かけていって都心でどうこうするようなものを、路上で一時的に駐車するところをやるというのが最初道路法の方の問題であったと思うのですが、今度は帰ってきて夜、自動車を眠らせる部分の問題として考えられる、駐車場法の問題に近くなってくるのかなというふうに思うのですが、その中で駐車場のこういう整備計画を策定すると、どのぐらい駐車場というものが整備されてくるのか。一言で結構ですから、進展の見込み等について伺いたいと思うのです。
  101. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 今御指摘ございましたいわゆるねぐらとしての駐車場は、私どもはいわゆる車庫という概念考えておりまして、私どもが基本的に対象としております駐車場は、車庫の方ではなくて、ある目的地に行って駐車する場合のことにつきまして、いろいろ路上駐車場もございますが、基本的には路外駐車場整備する必要がある、こういう考え方でございます。  先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、いろいろな駐車場の形態がございますけれども、現在駐車場法で対象にしておりますのは、一定規模以上の一般の公共の用に供する駐車場でございます。これが平成元年度末で百五十九万台あるわけでございます。これを自動車保有台数当たりで見ますと三十五台当たり一台に相当するわけでございますが、五年後の目標といたしまして、 保有台数も伸びるとは思いますが、それも見込みました上で、自動車保有台数現在三十五台当たりを、三十台当たり一台には水準を高めたいというのが目標となっております。
  102. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 それで、この問題について今私、間違えましてごめんなさい。  それは駐車場、一定のところでやる、ねぐらでない方の問題だということでございますけれども、それではねぐらの方の車庫の問題についてちょっと伺いたいのですが、これは建築基準法上の問題と車庫法との問題にかかわると思います。ここの問題で、「自動車車庫に関する建築規制に係る通達について」というのが、昨年の十一月ですか出ているということなんですけれども、この中を見ますと、第一種住専の部分でも、本来ならば建たない独立の車庫、それもだんだんとある程度の基準に基づいて緩和していくというようなことがありますし、それから第二種ももちろん当然あるということでございます。こういうふうな形で、その通達を見ておりますとだんだんと駐車場がふえてくる。  これは、一つは大変いいことではあるかもしれませんけれども、第一種住専というのは非常に快適な住宅、その住宅地としてのものをつくらなければならない。そういうところに、非常に駐車場というものが個別に、しかも小規模なものがぽこぽこと空き地に出てくる。しかも建築基準法にひっかからないような形での機械式の二層みたいなものであれば、つくることが第一種住専でも可能であるとなると、採算の問題からいうと、アパートを建てていくようなことを考えるよりもそれの方が採算に合う、そういう状況が出てくる。そうすると、第一種住専で割と都内の周辺部分などでも、今度はなかなか住宅ができにくくなってしまうのではないか。そういうことについては、どのようにお考えでしょうか。     〔北村委員長代理退席、委員長着席〕
  103. 立石真

    ○立石政府委員 お答えいたします。  建築基準法では、例えば第一種の住居専用地域におきましては、建築物に附属しない独立の自動車車庫は建築が規制されているところでございます。ただし、良好な住居の環境を害するおそれがない場合には、都道府県知事等が許可した場合に建築は可能になるという措置が講じられることになっているわけでございます。  先生指摘のように、昨年の十一月にこの許可制度の積極的活用を図るための許可準則を定めたところでございます。この中で意識しておりますのは、例えば第一種住居専用地域におきまして、新開発住宅地等に見られることでございますが、一戸一戸の中に車庫をつくるのではなくて、例えば数戸ないし十数戸ぐらいが共同して団地の入り口にまとめて駐車場あるいは車庫をつくるということも考えられるというように考えておるわけでございますが、現在の建築基準法の規定におきましては、敷地の外につくるときには全部独立した駐車場という規定になりまして、できないことになってしまうわけでございます。そういうような状況考えまして、独立の自動車車庫を第一種住居専用地域の中でも設けるように考えていきたいと思うわけでございますが、しかしその場合におきましても、例えば周囲の土地利用の状況の中で自動車車庫を確保する必要があるかどうか、かつ周辺の居住者が保有する自動車の保管の目的で利用されることが確実であるかどうか、そういうようなことを考えて許可をすべきであるというように考えておるところでございまして、住民に関係のない不要な自動車車庫が多数建築されるというようなことはされないというように考えております。
  104. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 わかりました。  時間がありませんのでもう一つの問題、最近機械式の駐車場について事故がかなり発生しているということで、新聞紙上でも取り上げられている問題があるのですけれども、私に残された時間はあと二分しかありませんので、次の機会に駐車場の機械式の場合の管理についての問題は取り上げさせていただきたいと思いますけれども、今回のこの法律案について、駐車場整備ということの推進に関して、大臣、どういうふうな御決意でこれを推進されるかということをお願いいたします。
  105. 大塚雄司

    大塚国務大臣 ただいま先生、法律家のお立場から数々の御論議をいただきました。また、先生と私は同じ基盤でありますから、御指摘の六本木や新宿や盛り場の駐車の状況もよく承知をいたしております。  今回お願いをしている改正によって駐車場対策がすべてできるわけではもちろんございませんし、やはり一つは姿勢も大事である。三十五台を三十台に五年間でやろうということでありますが、車をお持ちになる方がみずから少し駐車する場所を確保していただくというような認識も持っていただかなければ、これは到底やっていかれないわけでございます。しかし一方でまた、車社会時代になったわけでございますから、車を持つなというような規制もなかなかし得ないわけでございまして、できれば従来の都市計画法の変遷を見ながらも、車というものは都市計画の中で一体どういう位置づけをされていくのだろうか。そういうようなことを考えますと、いろいろな手だてを今後抜本的にやっていかなければいけないだろう。  先ほど上野委員にもお答えをしたのでありますが、この一月二十三日に建設大臣から都市計画中央審議会に、いわゆる大都市における経済社会の変動に伴う都市計画がどうあるべきかという諮問もいたしておるわけであります。その中で、ただいま建築基準法のお話等も出てまいりましたけれども、住居地域の中の駐車場はどうあるべきかということも当然論議をしていかなければならぬと思いますので、この改正を機会に国民の皆様にも御認識をいただいて、公共的な駐車場もつくっていくと同時に、民間のお力もおかりして駐車場をつくっていただくような方向に進めてまいりたい。そして基本的には、抜本的に大都市のあり方というものをもう少ししっかり勉強させていただきまして、良好な環境の都市にしていくために全力を挙げていきたい、このように思っておるところでございます。
  106. 鈴木喜久子

    鈴木(喜)委員 時間がありません。ここで終わらせていただきますけれども、ぜひそのお気持ちで、この交通難の解消というのは非常に大変な問題であることは、私たち本当に都心に住んでおりますと非常にそれを感じます。ですから、余り遠慮がちでない、抜本的に非常に英断を持った対策をこれからも立てていっていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。終わります。
  107. 桜井新

    桜井委員長 鈴木喜久子君の質問を終わります。  次に、吉井光照君。
  108. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 私は、まず違法駐車の原因についてお尋ねをしておきたいと思うのですが、違法駐車の実態とその影響については、数字を挙げて今さら言うまでもなく第二次交通戦争、こういう標語に象徴されているわけですが、御承知のように、昭和三十二年には千人中二十人しか車を持っていなかった。これが三十年後の現在では千人中四百五十人、こういう数字が挙げられております。当然、自動車をとめる場所と保管場所の確保、これが必要となりまして、三十二年には駐車場法、そして三十七年に自動車保管場所法、俗に言う車庫法ですね、これがつくられまして、その他関連した法案もつくられたわけですが、にもかかわらずどうしてここまで深刻な事態になったのか、またこうなる前にどうしてこれが食いとめられなかったのか、その原因なりまたその背景、これについてお聞かせを願いたいと思いますし、また駐車場整備のおくれた原因についてもお聞かせを願いたいと思います。
  109. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 お答えいたします。  最近の都市におきます違法路上駐車の蔓延状況でございますが、昨年警視庁及び大阪府警で行われました実態調査は、先ほどもお話がございましたけれども、路上の瞬間駐車台数で見ますと東京二十三区内で約二十三万台、大阪府内で約三十七 万台に達しておりまして、その九割近くが違法駐車であるという状況でございます。これはやはりいろいろな問題点が考えられるわけでございますが、私どもは基本的には、適正な駐車場が不足しているというところが一番大きな原因ではないかというふうに思っているわけでございます。  駐車場整備状況は、最近の十年間整備ベースで見ますと約二倍近く増加はしてまいっておるわけでございますけれども、何といいましてもまず近年急速なモータリゼーションが進展したわけでございまして、自動車保有台数もふえておりますし、現実に走行しておる自動車のトリップ数もふえておるわけでございまして、そういった自動車の駐車需要が大きく増加しておるということが最大の要因であるというふうに思います。  一方で、駐車場整備に関しましては、そういう交通渋滞の激しい都市ほど大都市でございまして地価が高騰しております。地価高騰も一つの要因となりまして、そもそも駐車場用地が確保できないというようなこともあるわけでございます。したがいまして、駐車場整備しようと思いましてもなかなかその用地を確保することができない。しかもそういった高い用地を確保いたしましても、駐車場の経営という点では採算性が非常に問題になってくる。先ほども他の委員から御指摘がございましたが、現在地下駐車場をつくろうと思いますと一台当たりどうしても一千万円を超えてしまうというような実態もございまして、なかなか駐車場経営が困難である、こういったような状況が根本的な原因として浮かび上がっておるわけでございます。  さらに、これは私どもの反省でございますが、今回の駐車場法改正のポイントでもあるわけでございますが、駐車場整備に関しますいわゆる官民の役割分担が不明確であった。なかんずく、私どもも含めます公共側の駐車場整備に対する施策が従来必ずしも十分講じられてきていたとは言えない。こういったこともやはり私ども強く反省しておる点でございまして、今回駐車場法改正道路法改正関係法の改正も含めまして、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、駐車場対策に一生懸命取り組んでまいりたいと決意しておる次第でございます。
  110. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 そこで、国の駐車場の施設整備総合計画の策定についてお尋ねをしておきたいのですが、駐車場の施設整備計画につきましては、都計審及び公共投資基本計画にも、政府は中長期的にどう計画的に整備を進めていくのか明示をされておりません。今回の改正案でも、地方の総合計画策定はうたっているわけですが、国の総合計画というものが見当たらないわけでございます。公共投資基本計画の中に、例えば下水道は二〇〇〇年を目途に総人口普及率を七割程度にする、また都市公園は一人当たり十平米にする、また住宅は一戸当たり平均百平米を目標とする、このようにうたってあるわけですが、駐車場の施設整備については、二〇〇〇年を目途に公的な施設については何台、民間施設は何台つくるのか、またはその量、目標をきちっと明らかにしたところの総合計画をつくるべきではないか、このように私は思うわけですが、いかがでしょうか。
  111. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 御指摘のように、今回の法改正案におきましても、市町村レベルで必要となる駐車場整備計画の策定等を義務づけまして、それぞれの都市におきまして必要な駐車場を適切に配置していくというような考え方を御提示申し上げているわけでございますが、いわゆる全国的な長期計画の策定までは踏み切っておらないわけでございます。やはり民間の駐車場整備の占める割合が非常に高いという問題等いろいろ問題点もありますので、私どもいろいろ勉強しなければならないと思っておりますが、全国的な長期計画の策定につきましては、今後その必要性、内容、方法等、多角的に検討して取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。
  112. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 今回の改正によって、建設省はどの程度の量の駐車場の施設整備が可能だと考えていらっしゃるのか。例えば、今後五年間あるいは十年間で附置義務駐車場施設は現在の六十九・四万台から何台にする、また都市計画駐車場は六・五万台から何台にする、また届け出駐車場は六十七・五万台から何台におのおのするおつもりなのか。聞くところによりますというと、建設省では、民間自主駐車場整備は除外をして、平成三年から七年までの五年間で公的な整備が十万台分可能と見ているようですが、果たしてこれで間に合うのかどうか。また、民間駐車場整備促進についてはどのようにしていくのか、ここらあたりのお考えお尋ねしたいと思います。
  113. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 ただいまの駐車場整備台数につきましては、附置義務駐車場都市計画駐車場、届け出駐車場ごとにそれぞれ台数が把握されておるわけでございます。過去十年間の伸び率を見ますと、対前年で附置義務駐車施設が約七%、それから都市計画駐車場は四%、届け出駐車場は六%ぐらいの伸び率になっておるわけでございます。  私どもといたしましては、まず附置義務駐車施設につきまして増加ベースを引き上げたいということでございまして、とりあえず今の七%を毎年のペースとして八%程度にはぜひ引き上げたい、そういうふうに考えております。それから、都市計画駐車場、届け出駐車場に関しましても、これまで以上の整備ペースを確保することによりまして、平成元年度末現在で自動車保有台数三十五台当たり一台分であるものを、五年後には自動車保有台数三十台当たり一台分程度の水準になるよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  114. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 そこで、公共用地と専用駐車場の活用についてお尋ねをするのですが、駐車場整備に関する都計審によりますと、新たな用地取得の困難な既成市街地等の公共的駐車施設整備を推進するためには、道路公園、鉄道、校庭、河川等の公共公益施設の地下空間の活用が多くなることを指摘をして、そして積極的にその地下空間等の使用、占用の許可をすべきだ、このように言っております。この点に関しまして、今回の改正案ではどのようにこれが盛り込まれているのか。  また、公的駐車施設に関して、駐車需要が大きい地区では、専用・月決め駐車場等の専用的駐車施設であっても、可能な限り不特定多数の利用者が利用できるよう工夫することが望ましいとしまして、次の二点について検討を進める必要がある、このように言っております。第一点は、専用的駐車施設の需要が小さい曜日、時間帯を活用した管理運営方策、そして第二点は、公共公益施設の附置駐車施設等の休日開放の推進策、そしてこれを円滑に進めるためには、駐車場案内システムへの参加や駐車施設の統合運用方策との組み合わせを積極的に推進することが効果的である、このようにも言っておるわけでございます。こういったことが今回の改正案にどのように盛り込まれているのか。もし盛り込まれていないようであるならば、やはりこれは盛り込むべきではないか、このように思うわけですが、建設省のお考えお尋ねしたいと思います。
  115. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生の御指摘の、公共用地の地下等の占用による駐車場供給をより一層推進すべきではないか、こういう点でございますが、例えば道路地下空間で見ますと、現在全国で二十九カ所、約一万台の駐車場整備が図られております。例えば、先生方御承知の八重洲口の駐車場も、これは道路占用で都道に埋められております。あるいは新宿の東口にございます駐車場も同様で、都道でございます。また銀座の西銀座にございますものも、これも都道として約八百台の台数のものがございます。このように、地方におきましても、例えば岡山市の駅前あるいは徳山市の駅前等々、地下空間で駐車場が占用でかなりつくられてきております。土地利用が進んで、都市部では用地の値段が高いだけではなくて、空地そのものが非常に得にくい、こういうこともございますので、私ども公園あるいはその他使えるそういう公共的な施設につきましては、道路も一緒になって、道路の地下空間もあるいはそういう公共 用地の地下空間も一体となって使えるような工夫もしていかなければならないと思っております。  なぜそうなるかといいますと、道路だけで物を処理しますと、道路に車の出入り口が出ますから道路が絶対的に狭まってしまいます。それではまた道路の交通渋滞を招くということになりますから、例えば新宿や銀座でごらんになられるように、ビルから出入りをしております。そうなりますと、道路の幅は全部道路で路面上は使える、こういうこともございますので、やはりこういう公共用地の地下空間の利用を公的にも私ども計画をつくり、整備計画をつくり、その中で調整をしながらやっていくわけでございますが、占用につきましても、そういう趣旨で今後大いに行政指導していくことになろうかと思います。  そういう中で、やはり駐車場案内システム等既存の施設をうまく利用するという点につきましては、六十二年度から補助事業として整備を行っております。平成二年度までに五都市整備が完了しております。例えば、最初導入した横浜市の整備効果の調査を見ますと、整備前に比べまして二〇%程度利用者が増加し、約三〇%程度路上の駐車台数が減少しているというようなことも報告を受けております。平成三年度の予算におきましても一・四七倍の、金額としては二十二億でございますが、この駐車場案内システムを名古屋市等七都市事業を継続し、また秋田市等十三都市で新たに事業に着手するなど、二十都市でこういう案内システムを実施してみようと思っております。  さらに今後とも、これらを先生指摘のように計画的にやるために、長期計画どもども今後工夫して立てながら対応していきたいと思っております。
  116. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 次に、駐車場料金の確保の問題ですが、先ほどからいろいろとお話がございましたように、地価高騰それから駐車スペースの不足等を反映いたしまして、首都圏の住宅地の駐車場料金が急ピッチで値上がりをしております。市川―千葉間で月八千円から一万円、川口―大宮間で月八千円から一万三千円、平均で年間一〇%から二〇%の値上がりをしておる、こういうことでございます。中野、横浜それから千葉駅前、これはもう三万から四万が相場のようですが、それでもいわゆる空き待ち者、これがふえる一方だ、このように新聞でも報道しておるわけでございます。  さらに、昨年改正いたしました道交法と車庫法に伴いまして駐車場料金の値上がりが起きていることを考え合わせますというと、便乗値上げまた不当値上げを助長させる危険性が十分にあるわけですね。したがって、これを阻止するために何か料金値上げのルール化というものができないものか。でなければ、今回の改正で有料の公的駐車場ができるけれども、この料金というものはいわゆる近隣の民間並みになることから、不当に民間で値上げをされると、やはり公的駐車場にもこれはもう十分影響が出てくる、このように考えられるわけですが、いかがですか。
  117. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 ただいま御指摘がございました料金問題は、最近極めて重要な問題になってきておると私ども認識しております。先ほどもお話が出ておりましたように、地下駐車場整備しようとしますと、一台当たり大体一千万円以上を超えるというのが実態でございます。それを料金でもって回収してまいろうとしますと、どうしても料金が高くならざるを得ないという問題がございまして、利用者との関係におきましてはなかなか解決困難な問題があるわけでございます。  一応現在、駐車場法にも規定はございまして、公共の用に供する路外駐車場につきましては、その設置について都道府県知事に届け出を義務づけておりまして、その際、料金につきましても適正な原価及び利潤を超えない額とするよう規定されているところでございますが、仮に原価を回収しようという場合でも相当高い値段になるといったような点があるわけでございますし、ただいま先生の方から御指摘がありましたような便乗値上げ的な面もあるといたしますと、やはりかなりゆゆしき問題ではないかというふうに思う次第でございます。  私どもといたしましては、現在の駐車場を取り巻く環境といたしまして地価高騰の問題あるいは費用、設備設置のための原価が非常に高いものにつくといったような観点から、現在設定されております駐車料金は必ずしも不当とは言えないのではないか。しかし、高くなりつつあるというのも困ったものである、こういったような問題意識を持っておるわけでございまして、この点、今後とも抜本的な対応策を講じなければならないと思っておりますが、当面私ども考えておりますのは、先ほど来の御答弁でも申し上げておりますように、駐車場整備の費用に対しまして補助をする、あるいは低利、無利子の融資を行う、さらには税制上の優遇措置を講ずるといったようなことで、いろいろな形でかかります費用の低減に努めて、結果として料金が余り上昇しないで適正な料金の駐車場が供給されるようにというところに力点を置いて取り組んでおるところでございます。
  118. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 次に、パーキングメーターの見直しにつきまして、警察庁にお尋ねをしたいと思います。  東京都内では、パーキングメーターは一律六十分で三百円、六分間とめてもその十倍の六十分とめても料金は同じ、こういうことでございます。多くのドライバーが利用したいと思う場所のメーターも、ほとんどのドライバーが不便で利用したいと思わないような場所のメーターも、利用時間に差がなくて料金も三百円で変わらない、こういうことでございます。車を利用する人の側に立って考えるならば、公共性のあるパーキングメーターがそれを利用する人に不平等を生じさせるようなことがあってはならない。そうであるならば、利用したい場所に近い人は短時間で料金も高くし、遠い場所の人は長い時間で安くすべきではないか、パーキングメーターの運用を弾力的に行うべきではないかと思うわけでございます。  また、今回の改正で有料の公的駐車場整備されることになっておるわけですが、これとの関係は将来どうなっていくのか。公的駐車場がどんどん整備をされていく、良質なものがどんどんできていく、そうなった場合に、パーキングメーターというものは今までどおりずっと続けていくお考えなのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  119. 島田尚武

    ○島田説明員 大変難しい御質問でありまして、私どもとしては、現在の法制のもとにおいては基本的には駐車場は路外にあるべきである。今でも窒息をしそうなほどに交通量が多いわけでありますから、その上走行道路駐車場として使う、駐車スペースとして使うというのは本当に例外的なことでなければならない。そういうことで先ほど来、先生昭和三十二年以来のお話がありましたけれども、この間に車の駐車ニーズに合った路外駐車場整備ができてきていたならば、道路上に駐車スペースなどというのをつくる必要は本来なかったのであろう。しかしながら、現在のように行った先でとまらなければならない車についてそういうスペースがないことから、万やむを得ず、ある意味では長い時間の中で見れば臨時的な措置として、現在の法制は道交法四十九条以下でありますが、規定が設けられているものと認識をしております。  その考え方としては、より多くの人たちに順次回転をしてもらって、短時間の駐車需要に応ずるということが考え方の基本でありまして、道路をいわば駐車営業、駐車場の営業をするような形で、ある意味で言いますと市場メカニズムのような形で道路を使う、こういう発想には基本的にはないというふうに言わざるを得ないと存じます。そうしますと、より多くの方に短時間回転しながら、やむを得ない短時間の駐車場に使っていただくという観点からは、可能な限り時間を短くして、そしてその料金というのは土地代とかそういった問題ではなくて、機械を作動させるあるいはそれをメンテナンスする人の人件費、そういう 意味の実費ということで、市場メカニズムとは別の観点から決めざるを得ないのかな、これが現在とっておる措置であろうかと思います。  そして、建設省の交通センサスによりますと、大体短時間の路上駐車というのは、一時間以内で七〇%ぐらいの方が移動しておるというふうな状況のようでありますので、一応大体三十分ぐらいから、全国的に見ましても長くても百二十分ぐらいの範囲で時間については決めておりますし、また手数料の方については、地方自治法の第二百二十七条に基づきまして都道府県の条例で、管理委託であるとか維持費等の実費を勘案して決められている、こういうのが実情だろうと思います。  今後のある意味での立法論として考えた場合に、今建設省さんを初め民間の方々も路外の駐車場をどんどんつくろうという機運が盛り上がっている中で、その路上のパーキングメーター等について同じような並びで競争する、商売をしていくという発想が果たして国民のコンセンサスとしてとり得るのかどうか。そもそも道路というのは一体何なのかという基本的な部分の御議論もあろうかと思いますので、慎重に検討してまいる必要があろうと考えております。
  120. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 時間が参りましたが、最後に有料道路におけるところの統一カードですが、この導入をどのように考えていらっしゃるのか、またどのような段階でこれがスタートするのか、いわゆる導入の見通しについてお尋ねをしておきたいということ。  それから、道路評価の調査結果の改善ですが、総務庁の「平成二年度さわやか行政サービス改善評価調査結果」というのがありますが、これを見ますと、JR駅を利用した者が最も多く回答者の六〇%を占めて、次いで一般国道五二%、道路公団高速道路四七%の順となっているわけです。そして、利用したときの印象で悪いとする者の割合が最も高かったのが、全体で一般国道三三・五%ということになっております。利用者の道路に対する評価については、案内標識等の整備の適否やそれから混雑時の利用者の誘導等の対応、待ち時間の情報提供、こういったものが重要な要素になっているわけですが、こうした点について改善をされていくお気持ちはあるのか。  それと、最後に大臣に、これは本当に素朴な質問でございますけれども、これはだれもが経験をすることでございますし、道路がたびたび掘り返されるという問題。電話工事、ガス工事、そういうところを回って、この前掘り返したのにまたそれを掘り返していく、こういったものがもう渋滞の大きな原因になっている。こういったものはもうずっと数年前から全然変わらない。したがって、どこに行ってもこういった苦情、本当にこれは素朴な地域皆さん方の質問、感情となってあらわれてきておりますが、これは何とか統一できないのか、何とかこれをきちっとできるような方策はないのか。ひとつこれを、効率的な工事化等について、最後に大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  121. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 それでは、まず二点にわたりましてお答えさせていただきます。  まず、先般の総務庁での一般国道の管理サービスが悪い、こういうさわやか行政サービス運動のアンケート調査の改善評価調査、その中でそのような報告が出ております。  実は私ども基本的に見ますと、ハードな施設のサービスとソフトなサービス、これを同じレベルで評価をされておられますので、やはり若干そこに私どもなりの理解の仕方があるわけでございますが、印象が悪いというものの、一般国道が印象が悪いとするものの中の悪い理由を見ますと、道路案内標識の不備、これが全体の三二%になっております。さらに、情報提供が不足している、このようなものが国道におきましては二〇%になっております。さらに、混雑時の誘導が悪い、こういったようなものがさらにそれに続いております。ところが、今度は印象がよい、比較的多くないわけでございますが、悪いと答えた者が千二十九名、一般国道はまだいいと答えた者が五百六十九名おりまして、そのよいというふうに言った者の内容の五八%は案内標識がいいんだ、全く同じものをいいと言った人と悪いと言った人がいる。ということは、逆を言えば、その案内標識の出し方、道路標識の出し方の内容そのものがやはり大いに反省しなければいけない、こういうことの示唆だと私どもは受けとめさせていただいております。  そこで、具体的には道路標識週間、標識ボックス等を活用した道路案内標識の一層の整備道路交通情報センター等による情報提供、あるいは道路全般にわたって道路利用者の意見を直接聞く道路モニター制度の拡充等々、今までもやってまいりましたけれども、このような結果を踏まえて一層内容の分析と内容の拡充強化をさせていただきたいと思っております。そして、いい方が今度は逆転するように努力させていただきたいと思います。  次に、カードシステムを有料道路に共通して図るべきではないかという点でございますが、有料道路において利用されているカードとしては、別納プレートとハイウエーカードがございます。別納プレートは、現在高速自動車国道及びそれに接続している一部の一般有料並びに本州四国連絡橋道路で使われております。これは大口・反復利用の定着化、大量利用の促進等を目的に、道路審議会の答申を踏まえて採用されているものでございます。一般的に使っておりますハイウエーカードにつきましては、六十二年十月に導入されたばかりでございます。現在、高速自動車国道、本州四国連絡橋道路あるいは京葉道路等の一般有料道路で利用しておりますが、平成元年三月から阪神高速の一部の料金所、平成二年四月から首都高速の一部の料金所で一緒に使えるようにするというようなことも工夫をいたしております。  しかし、いずれにいたしましても、その利用状況が浅いものですから、いろいろな問題点が出てまいっております。こういうものを一つ一つ解決しながら、今後有料道路が一万四千キロの高規格幹線道路を初めとしてどんどんネットワーク化されますから、共通利用に対するニーズが増大すると予想されます。そこで、カードの共通利用の可能性について道路関係公団、公社、建設省との間で現在検討を進めさせていただいております。いずれにいたしましても、こういう共通のカードシステムのあり方等について、できるだけ早急に取りまとめたいと思っております。
  122. 大塚雄司

    大塚国務大臣 御指摘道路の掘り返しの問題につきましては、基本的には共同溝あるいはキャブシステム等を整備していくことによって完全にできるわけでありますけれども、なかなかそう思うようにできないわけでございます。しかし、電気、ガス、水道等の公益事業事業者と道路管理者が十分打ち合わせをして、たびたび掘り返しをしないような方策につきましては指導をいたしておるわけでございますけれども、一方、五年以内にもう掘り返しはしないというようなことで沿道の消費者の方々には御協力をいただいておりますけれども、また人がかわってしまったりするときにやむを得ずという例もなしとはいたしません。やはり今後そのような協議をしっかりやって、掘り返しが余り起きないようにさらに指導を強化してまいりたいと存じます。
  123. 吉井光照

    ○吉井(光)委員 終わります。
  124. 桜井新

    桜井委員長 次に、辻第一君。
  125. 辻第一

    ○辻(第)委員 与えられた時間が十五分でございます。恐縮ですが、できるだけ簡明にお答えをいただければありがたいと思います。  現在、路上駐車場は九カ所、千四百二十四台分ということでございますが、政府は、交通安全施設整備事業一つとして路上駐車場設置をさらに広げる方針であります。この路上駐車場設置の方針は歩道を削ることとなり、言うなら人より車を優先する立場であるという声が出ております。政府はこれに対し、歩行者や周りの様子、地元の人の協議に基づいて合意が得られるものしかつくらない、このように説明をし、地元からつくってくれと言ってくるものに限定する、このように方針 を示しておられますが、この点について、路上駐車場設置工事の道路法上での扱いは一般道路工事と同じ扱いとされますので、歩道の確保については特段の配慮が必要ではないかと考えます。政府の考えておられる路上駐車場設置計画の予定地や具体的内容について明らかにしていただきたい。  また、歩道の確保、歩行者の安全確保、地元住民の合意を条件とする、こういう点について政府の見解を伺います。
  126. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 駐車場の需要に対する対応として、基本的には路外駐車場整備でございますが、沿道の土地利用の特性や駐車目的等によって、やむを得ず短時間の駐車需要が多く存在することから路上駐車場の設置を行うわけでございますが、これは当然のことながら安全で円滑な道路交通の確保、そして秩序ある駐車を誘導する、こういうことでございますので、車道と分離した構造で道路上に設ける、こういうものでございます。  具体的には、まず基本的な問題としては、その道路状況、交通の状況、交通事故の発生状況、沿道状況、それから周辺における路外駐車場整備状況、こういうものをまず前提に判断をいたします。そして具体的には、市街地内の多車線の道路を対象とし、沿道に商業・業務施設が立地している区間において路肩、車線及び中央帯などの幅員を削減してスペースを生み出しても交通の支障とならないような箇所、こういうようなところにおいて十分な歩行者空間を確保することを前提に、設置場所を選定する考えでございます。したがって、歩道を削って設置する、こういう考え方は基本的にございません。前後の関係から万やむを得ずそういう箇所が部分的に含まれるというような場合であっても、それは基本が地元の合意形成ということでございますので、できるだけ歩行者空間は確保して痛めつけないようにする、これが前提でございます。  平成三年度は、一般国道の指定区間の中からモデル的な箇所を選定いたしまして、そして路上駐車施設の効果、影響等を把握するために、試行的に事業を実施して、その結果をもとにまた判断をしてまいりたいと思っております。
  127. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、駐車場整備地区の対象区域の拡大についてお尋ねをいたします。  今回の改正で、住居地域、準工業地域が追加されます。この住居地域の特別用途地区は、小売店舗地区や事務所地区などであって、一般的には駐車場整備を必要とする地域でございます。また、実際に整備地区に指定するか否かは自治体が決めることで、自治体が不要と判断すれば指定しなくてもよいということであります。  ところで、大規模駐車場が住居地域の特別用途地域につくられることになりますと、周辺の住環境が破壊されるおそれもございます。現行建築基準法の制限を受けて、住居地域には原則として立体駐車場はだめとされ、面積制限もありますが、それ以上のものをつくるには建築確認制度の上では特例許可事項、公聴会を開いたり建築審査会の同意が必要というふうにされておりまして、環境面で大丈夫とされる場合のみ許可されるとなっております。したがって、住居地域に大規模駐車場をつくるときには、周辺の住民に対する環境対策について特段の配慮が必要だ、このように考えます。駐車場整備地区の対象区域を住居地域にまで拡大するに当たって、住民の住環境を守るためにどのような対策で臨まれるのか、お尋ねいたします。
  128. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、今回、駐車場整備地区を従来の商業系から住居地域及び準工業地域拡大するわけでございますが、その場所は、あわせまして一定の特別用途地区が指定された場合に限られております。特別用途地区は、都市計画法の手続に従いまして定めるわけでございまして、しかもさらに、駐車場整備地区を定める際も都市計画法の手続によるものでございますので、町づくりの一環といたしまして、当然のことながら周辺の住居の環境保全といったようなことは、それらの都市計画決定の際にまず議論がなされるべきものと考えております。それから、これも御指摘ございました建築基準法上の規制もございますので、それらをあわせまして、住環境には十分配慮されるようなことになろうと私どもは思っておるわけでございますが、基本的にそういう方向で指導してまいりたいと思っております。
  129. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、附置義務対象となる建築物の面積下限を三千平米から二千平米に引き下げるという改正点がございますが、駐車場整備のおくれの一つの原因がこの点にあったのではないか、このように考えています。今回の改正は当然必要な改正だと思うのですが、二千平米以上の非特定用途建築物については、非特定用途に供する部分については一台四百五十平米、ちなみに特定用途については一台百五十から二百五十平米と計算して附置を義務づけておりますが、この改正で、現行に比べて三分の一は駐車場がふえる見通しというふうに聞いています。  ところで、車一台当たり単位床面積の基準は、現在五千七百万台の車、六千万人を超す免許人口という、今日の車社会の現状に合わない古い時代の物差しではないかと考えます。昨年六月の標準条例案の改正で、特定用途に供する部分の車一台 当たりの床面積を、それまで三百平米とされていたものを百五十から二百五十平米と引き下げたものの、非特定用途に供する部分については、昭和三十八年当時のままの基準を用いております。この点では、面積下限の一層の引き下げ、車一台当たり単位床面積の引き下げなどによる駐車場整備の促進が必要と考えますが、建設省の見解を伺います。
  130. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 現在、附置義務の基準につきましては、ただいま御指摘があったとおりでございます。従来私どもは、特定用途につきましては、二千平米以上の建築物に対しまして三百平米につき一台、それから非特定用途は、三千平米以上の建築物に対しまして四百五十平米につき一台、こういう基準を持っておったわけでございますが、昨年標準条例を改正いたしまして、新しい基準を設けたわけでございます。  そのうち非特定用途、特定用途以外のものといいますと代表はマンションでございますが、マンションの場合を想定いたしますと、これは法律で三千平米以上と書いてあるものでございますから、法改正を待たないと基準の引き下げがならなかった。今回、三千平米を二千平米に引き下げるべく御提案申し上げたわけでございますが、特定用途につきましては対象を、おおむね人口五十万人以上の都市につき千五百平米以上、それからおおむね人口五十万人未満の都市につき千平米以上と、まず対象面積を拡大いたしまして、それから駐車施設の規模につきましても、人口規模百万人以上、それから百万人未満五十万人以上の都市、それから五十万人未満の都市と三段階に分けまして、それぞれ整備しなければならない基準も、従来三百平米に一台でございましたのを、最低では百五十平米につき一台というところまで改めたところでございます。  ただし、これらはすべて特定用途に関してでございまして、非特定用途つまりマンションでございますが、それにつきましては対象の建築物の規模を引き下げさせていただくわけでございますが、その際の、それでは何台このマンションには最低限必要かという点につきましては、御指摘のとおり四百五十平米につき一台ということでございますので、先ほども御答弁申し上げましたが、二千平米以上のマンションでございますと、二千平米でございますと約五台ということになるわけでございまして、少し基準が緩やかなのではないかという御指摘等につきましても、今後法改正後の課題として検討してまいりたいと思っております。
  131. 辻第一

    ○辻(第)委員 附置義務強化に対応して、中小企業者の駐車場設置に無利子資金の貸し付けなど助成策を、中小企業者には特段の配慮が必要だと考えます。この場合の駐車場設置については、中小企業者に対する助成措置として、無利子あるいは 低利子の資金の活用などの対策が必要だと思いますが、これは要望だけをして次に移ります。  今日、大都市中心部における駐車場不足の最大の原因は、駐車場法で附置を義務づけられていない大企業の事業所、オフィスビル、商業ビルなどが大量に存在をするという点にあります。大都市中心部における駐車場需要の最大要因が、こうした大企業の事業活動にあることは明白であります。大企業者は、駐車場法で附置を義務づけられていないからという理由駐車場整備を怠ってきた。  例えば都心のあるデパートの場合でございますが、売り場面積が六万二千平米、お客様用の専用駐車場は五百台分のパーキングビルがありますが、ピーク時に一日十万人のお客さんが来店するのに対し、これで果たして十分なのか。また、多品種少量販売のデパートにとって、ジャスト・イン・タイムの品ぞろえこそ一番の関心事となっており、納品業者のトラックは、デパートの一階のプラットホームに次々と到着をいたします。こうした大企業者の事業活動に伴う駐車需要が、大都市部の駐車場問題で大きな問題となっております。また、ある都心のデパートでは、売り場面積六万五千平米で、ピーク時は一日七万人のお客さんですが、駐車場は百四十四台分であります。  こういうことに関連して、運輸政策審議会物流部会の昨年の十二月の答申「物流業における労働力問題への対応方策について―二十一世紀に向けての物流戦略―」、この中で「ジャスト・イン・タイムサービスの問題点と見直しの必要性」を強調し、このままでは「道路混雑がますますトラックの輸送効率の低下を招き、」「環境に与える負荷の増大等を通じ、物流が我が国経済社会の健全な発展の阻害要因ともなりかねない。」このように指摘をしております。  このように、デパートの例を示して問題提起をしたのですが、私の指摘したいことは、大企業の事業活動が道路の利用と駐車場需要に大きな比重を占めているのですから、政府は、こうした大企業の事業活動に伴う駐車場需要に対して、大企業の責任で駐車場整備を急ぐよう指導すべきではないか、このように考えるのですが、建設大臣の御所見を伺いたいと思います。
  132. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 私ども駐車場の設置義務につきまして、附置義務条例というシステムを持っておるわけでございますが、これは建築物が建ちました場合に、そこからどうしても駐車需要が発生するという考え方でございますので、どれくらいの規模の建築物が建つのか建たないのか、その規模に応じましてどれくらいの台数の駐車場が必要かという観点からの規制をしているわけでございまして、企業の大小といった観点からは必ずしも取り組んでおらないところでございます。それで、私どもが先ほど来御説明申し上げております標準条例という形で持っております基準でございますと、今百貨店の例で御指摘がございましたような問題にも、かなりの程度対応できるような形になっていると思います。  ちょっと申し上げますと、人口五十万人以上の都市の場合は千五百平米以上の延べ面積のある建築物、人口五十万人未満の場合には千平米以上となっておりますので、大体のものは該当するわけでございますが、まず基本的にそういった条例そのものをまだ定めてないところ、これが県庁所在都市と人口二十万人以上で合わせまして三十八都市ございます。それから、百二十都市で定められておりますけれども、定められているものの中で新しい標準条例にまだ改正してないところもございます。そういったようなところではただいま御指摘のような実態があるわけでございますが、私どもといたしましては、そういう新しい基準に則しました条例の制定を促進することによりまして、また今回この法改正実現いたしますと、非特定用途につきましても対象が拡大するわけでございますから、そういった面も含めまして、附置義務としての駐車場整備は格段に改善するというふうに思っておる次第でございます。
  133. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  134. 桜井新

    桜井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  135. 桜井新

    桜井委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  道路法及び駐車場法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  136. 桜井新

    桜井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  138. 桜井新

    桜井委員長 この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大塚建設大臣
  139. 大塚雄司

    大塚国務大臣 道路法及び駐車場法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
  140. 桜井新

    桜井委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  141. 桜井新

    桜井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出河川法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本龍君。
  142. 松本龍

    ○松本(龍)委員 本法に入ります前に、私は広島の三月十四日に起こりました橋げた事故、さらにクレーンの横転等々、相次ぐ建設現場、土木現場におきます事故のことについて触れたいと思います。  私は、昨年の四月の十八日、この委員会で当時、「六十三年度の全労働災害による死亡者のうち、建設業の占める割合は四三・四%と極めて厳しい状況に置かれております。これは、建設労働者が全産業の一割ということに関して見ても非常に大きな数字ではないかと思っております。」というふうに質問をいたしました。当時の綿貫建設大臣は、この災害防止を、一生懸命取り組み、「今後もさらに一層取り組んでいきたいと考えております。」というふうな御答弁をいただいたわけであります。そして、一年たたないうちにあの三月十四日の広島の事故が起きたわけであります。先般の委員会でも申しましたが、九人の民間の方々を悲惨な死に招き、五名の方々の労働災害による死亡と、言語を絶する死亡事故であったわけであります。それからクレーン事故が死亡事故を伴って相次ぎ起きてきた。私は、この広島の事故はとりわけ複合的なさまざまな悪い要因が複合して起こってきたというふうに考えております。なぜ交通規制を行わなかったのか、なぜクレーン等で安全の措置をとらなかったのか。さらに社会 的な背景としては、工期の問題もあるでしょうし、また総合建設業者、また専門工事業者が大変厳しい思いをしている。安全というものが、非常に経費がかかるものですからないがしろにされてくる。市町村も、また事業主体もそうであるということをかんがみますと、これは非常に大きな出来事であるということでお尋ねをいたしました。  私は、むしろ建設省がほかの省を押しのけてでもこの事故解明に取り組んでいく、その決意を先般お聞きしたのですけれども、不十分な回答でしたので、もう一度、省としてのこれからの取り組みについて、事故原因を徹底的に究明するんだ、社会的な背景をなくしていくんだというふうな決意を、もう一度お聞きしたいと思います。
  143. 玉田博亮

    ○玉田説明員 お答え申し上げます。  広島の事故につきましては、ただいま広島市が設置いたしました事故の調査委員会で事故の原因について調査中でございます。しかしながら、この委員会で明らかになってまいります原因は直接的な原因であろうというふうに私ども考えております。ただいま先生から御指摘のありましたとおり、この事故の背景には幾つかの社会的な要因が重なっているのではないかということに関しましては、私どもの認識も全くそのとおりでございます。  そこで、どのような問題があるかということでございますが、私ども考えておりますのは、一つは熟練工が不足をしているというふうな問題もあるのではないか。さらに、熟練工の皆様方が高齢化しているという問題もございます。それから、工事を取り巻きます施工環境も著しく変化しているのではないか。それから、全体として仕事がふえているというふうな問題がございます。このような事態に対しまして、事故の基本的な課題についてはもっと幅広に根本的に検討し直す必要があるのではないかということでございます。  このことは、発注者におきます工期の設定あるいは積算が適切であるかどうか、そういった問題も含めて建設省といたしましても、これまでの事故のデータを詳細に集めまして、さまざまな関係機関の権威者にもお集まりをいただきまして、これら全体を総体的に、総合的に、抜本的に安全の問題を検討し直すというふうに考えておるところでございます。具体的には、私ども大臣の諮問機関でございます建設技術開発会議の中にその専門の部会を設けまして、精力的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  144. 松本龍

    ○松本(龍)委員 ともかくもこの大きな一連の事故を肝に銘じていただきまして、大きな決意でこれからも臨んでいただきますことを強く要望をいたしておきます。  それでは、河川法の一部を改正する法律案について質問を行ってまいりたいと思います。  この高規格堤防、従来の堤防ですと、当面時間雨量五十ミリメートル相当の降雨による洪水被害を防止するという整備目標があるわけでありますけれども、このいわゆるスーパー堤防におきまして、この高さなり強度なりが従来の目標と同じなのかそれとも違うのかということを、まずお聞きをしたいと思います。
  145. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 従来から河川改修計画を立てるに当たりましては、中小河川では時間雨量五十ミリというのを一つのめどにしておるわけでございますが、それぞれの河川の大きさによって、例えば一時間ぐらいで洪水になってしまう河川、あるいは利根川みたいに一日、二日と大集中豪雨が続いた場合に洪水になる場合とかいろいろなことが想定されますので、いわばその流域の大きさによって計画の基準は違うわけでございますが、基本的に言いますと、中小河川は三十年に一回とか五十年に一回ぐらいの洪水に耐えるような計画を策定しております。大河川になりますと、百年から二百年に一回ぐらい、利根川、淀川クラスですと二百年に一回ぐらい発生する洪水を一応の対象としておるわけでございます。  こういう計画に基づいてそれぞれ堤防を築造し、河道をしゅんせつし、また上流ではダムを建設することにしておるわけでございますが、現在まで我々が通常設置してきました堤防は、これらで設定された計画目標に対して、計画目標である計画高水流量を一応安全に流下させるということを前提に、その基準に基づいて設置しておるわけでございます。ただ、百年、二百年に一回と言いましたが、例えば三百年に一回とか五百年に一回というような規模の洪水もいろいろなケースには起こり得るわけでございますが、そういう状態ですと、そのまま河道を流下してきた洪水は堤防からあふれてしまうわけでございます。いわば従来の計画を超える超過洪水が発生した場合には、堤防の上を越えた水流によって堤防が浸食を受けたり、あるいは浸透水によって堤防が湿潤状態になってしまって破堤する危険がどうしても避けられないという問題がございます。  この高規格堤防は、計画高水流量以下の洪水、従来の計画高水流量はもちろん安全に流下させるわけでございますが、それを上回った洪水が仮に発生した場合に堤防からあふれることになりますが、そのあふれたこぼれ水によっては我々の住んでいる家の中に若干のくるぶし程度の堤内浸水というのは仮に発生するかもしれませんが、少なくとも堤防が破堤して川の水が全量住宅地の中にどっと流れ込むような被害、特に大都市圏でありますと大変稠密な市街地がございまして、また我が国の中枢機能が大変集積しておるわけでございますが、そういうものに被害が及び、我が国に甚大な被害を及ぼし、結果的には中央経済をも巻き込んだ大きな被害が及ぶことを防止しようということで、いわば破堤をしないような目的で整備しようとするものでございます。それで、この場合に、大変厚みを持って、また堤防の上も緩やかな勾配によって、河道の中からあふれてきた水によって堤防が絶対に破堤しないという構造を持って築造するという目的を持ちまして、昭和六十二年度からこの事業に着手しておりまして、現在利根川、淀川等六河川において事業を進めておる段階でございます。
  146. 松本龍

    ○松本(龍)委員 それでは、スーパー堤防になることによって堤内側にずっと土が盛られるわけでありますけれども、そういった場合、川からの圧力に対していわゆる破堤が起こらないためにそこのスーパー堤防の部分は強度がさらに増すのかということを、簡単にお答えください。
  147. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 堤防総体としては十分な強度を持つことになります。
  148. 松本龍

    ○松本(龍)委員 それでは、スーパー堤防ができることによって、ずっと連続的にできればいいのですけれども、ある部分がスーパー堤防になった、それから五百メートルなり三百メートルなりその向こう側にまたスーパー堤防ができた、いろいろな阻害要因でそこの部分だけ抜けるわけですね。そういった場合に、例えば川からの圧力に対して今まで均等に力が加わっていたのが、そのスーパー堤防ができてない部分が相対的に堤防の機能が弱まるということが考えられると思うのですが、どうでしょうか。
  149. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 相対的にとおっしゃいましたので、まず絶対的というか基本的な強度としては従来の堤防が弱くなることはございませんが、ある堤防のところが普通ですと破堤してしまって、そこにそれだけの流水の作用が及ばない時点で、例えば対岸が破堤したのでこちらの堤防が助かったという事例は昔からよく聞くわけでございますが、そういう事例で言えば、スーパー堤防、いわゆる高規格堤防を建設しているところは少なくとも破堤いたしませんから、未整備の箇所の破堤の危険が相対的に高まったということが言えないこともないと思いますが、ただ、従前から超過洪水のような洪水の場合には、やはり水防団の皆様が出て対応してきたわけでございますが、少なくとも高規格堤防を設置した箇所についてはそのような心配はないわけでございますので、水防団の皆さんの力も未整備の箇所に集中できるということで、あるいは危険箇所も限定されてくるという意味で、総合力としては非常に安全になってくるのではないかと思います。  それからもう一つ、利根川とか淀川とか、いず れにしても非常に連続しているところでございますから、例えば上流の方で破堤するか中流で破堤するか、どこで破堤しても東京、大阪にはその破堤した結果の洪水が来てしまうわけでございますので、被害を受ける方は、結果的にはやはり常に破堤の危険がある場合には被害に遭う危険がついて回るわけでございますから、そういう目で見ますと、被堤の危険箇所がどんどん減っていくということは、被害軽減の上からも大変安全度が増すということで、重要な意味があるというふうに考えております。
  150. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今申し上げましたように、相対的に安全かどうかと言えなくもないというふうなことをおっしゃったと思うのですけれども、何らかの要因でそこだけスーパー堤防ができない、しかもその後背地に人口が集積しているということがあった場合、やはりこれからは何らかの措置を講ずるべきだ、私はそういうふうに認識をしております。  次に移りますけれども、いわゆる五水系六河川の問題ですが、そこに人口が集積をしている、資産が集積をしていることで多分選ばれたと思うのですが、そうなのか。それがまず一点。二点目は、現在実施されている地区、また完了した地区がどうやって選ばれてきたのか。三点目が、淀川の出口地区ですか、そこの工事概況を簡単に、これもお願いいたします。
  151. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 まず、一点目と二点目をお答えして、三点目はまた後ほど資料をもとに御説明させていただきたいと思います。  まず、いずれにしても東京圏あるいは大阪圏というところは大変人口稠密で、かつ我が国の中枢機能があり、一たんこれが、利根川、淀川等が破堤した洪水が流れ込みますと、恐らく想像を絶するような壊滅的被害になるのではなかろうか。我々は、利根川、淀川については二百分の一という計画目標に向かって懸命にその安全度を高める努力はしておりますが、やはり不幸にして、自然現象でございますからその堤防を越えるような洪水が発生した場合には大変なことが考えられますので、まずはこの河川の沿川において現在、市街地の再開発だとか区画整理事業だとか各事業が行われている。あるいは土地の、従来低層住宅が高層ビルになりつつあるという現状において、この土地利用高度化が始まる前に事前に手を打って、ある一定の幅の区域については地盤を盛り土することによって高規格堤防化を進めたいということから着手したわけでございまして、そういう意味で言いますと、大河川であって大都市を貫流するという一つの目標設定、なおかつ、その沿川が現在どんどん土地利用が高度化しているという条件を考えまして、この五水系六河川を採択したわけでございます。  当然ながら、その施工の優先順位ということになりますと、このまま土地利用高度化が進められてしまった後では、我々は地盤の盛り土といってもなかなかやりにくいわけでございますので、手戻りをできるだけ防ぐということで、この沿川地域でただいまいろいろな開発計画がありますので、それらの情報を速やかにキャッチしまして、その計画、構想のあるところについて即座に対応したいということで、それぞれの箇所を選んだ次第でございます。  出口地区でございますが、これは大阪府枚方市のところにあるわけでございます。施工延長百八十メーター、施工幅九十メーター昭和六十二年度に着手しまして、六十三年十一月に完成したものでございまして、これは一応そのスーパー堤防、高規格堤防の上は民間の住宅建設事業でございましたが、これと一体となってこの盛り土事業を実施したものでございます。盛り土面積は一・五ヘクタール、大体こういうような事業を、できるだけ情報をつかみながら手戻り防止のために対応しているというのが現在の実情でございます。
  152. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今お話をお伺いしますと、五水系六河川の場合は、いわゆる人口集積、資産の集積が大きい、一たん決壊をすると致命的な打撃を受けるということでありました。今、淀川の話をされましたけれども、ここはいわゆる民間デベロッパーの土地にスーパー堤防をつくって、その上にマンションができてきた。二百五十戸から二百六十戸のマンションができたわけですけれども、これが六十平米から百二十平米で三千万から七千万の分譲住宅ができてきたわけです。つまり、民間デベロッパーの宅造、いわゆる造成を国のお金でやったと言えないこともないと私は思うわけですけれども、そういうふうに事業がやりやすいところから行われているのが非常に問題ではないか。  情報をキャッチしてと今言われましたけれども、一番危険区域、本来的な意味での洪水危険区域というのはやはりほかにあるんじゃないか。つまり、人口が一番集積をしているところは、言ってみれば地権者が一番多いところなわけです。建設大臣も住都公団で地権者との合意形成やいろいろな用地買収のことが大変困難な事業であるということがありまして、人口集積が多いところほど地権者が多い。したがって、そこはスーパー堤防の事業がおくれてくる。これは必然的にそういうふうになると思います。つまり、優先順位はむしろそこから始めるべきなのに、やりやすいところからしかやられてこない、そこは私は非常に問題だと思います。そしてもう一点は、やはり本来的に危険な区域というのは、同じ流域の中でもあると思います。そういったのが優先をなぜされないのか。つまり情報をキャッチしてやっていくというところと、いわゆる優先順位をつけていくというところが非常に相反するというか、矛盾がある。行け行けどんどんで宅地ばかりつくってくる、住宅ばかりつくってくるというやり方じゃない、もっと本来的な治水の目的に合致したやり方が必要ではないかと私は思うのですが、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  153. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 河川改修は基本的には下流からというのが従来基本とされてきまして、堤防築堤もしゅんせつも下流からというのがその基本としてきたところでございますが、ただ淀川にいたしましても利根川にしましても、一定の従来言われました堤防というのは、ほぼそれに近い形で全川ができているというのが現実でございます。それで、今度はやはり破堤防止という立場でございますので、その強度を高めるということは総合力の問題でございます。上流が破堤しても下流が破堤してもやはりつかるところは同じじゃないでしょうかと申し上げたわけでございますが、淀川それから利根川、江戸川、荒川等でいうと大体そういう状況にございますので、また事業を着手して間もないということもありまして、事業箇所で現在土地利用が高度化して、今直ちに、放置しておくと将来大きな手戻りとなるところを優先したというのを先ほど申し上げたわけでございます。  それから、やはり人家が密集しているところが結果的におくれていくのではないかということでございますが、やはりこれらの事業はその上の町づくりと一体となるべきものだと思いますので、私どもはそれぞれの各県レベルで都市行政の皆さんと十分連絡調整をしながら、秩序ある町づくりの中で、また我々河川の改修の立場の必要性についても十分意見を申し述べながら、必要な箇所、優先順位についても十分配慮して今後も対応してまいりたいと考えております。
  154. 松本龍

    ○松本(龍)委員 今お答えをいただいたわけですけれども、やはりこの事業に際しまして、私は本来の河川法に基づく治水の事業、また河川改修事業がおろそかにならないように、そこのところを強く言っておきたいと思っております。  それでは、この事業はいわゆる中小河川にも適用されるのですか。
  155. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 今回提案いたしました背景には、大都市を貫流する大河川が破堤すると致命的な被害になる、壊滅的被害になって国土の将来に大変不幸なことであるという観点から提案し、六十二年度からもそういう観点に立って事業を進めております。ただ、今回の河川法改正には、大都市だけに限定するとかそういう観点ではございません。河川法一般として、高規格堤防整備が 可能なように法改正お願いしているわけでございます。  それで、今後中小河川といいますか、どちらかといえば大都市圏に対して地方のいわゆる骨格となる河川についてはどうかという立場からいいますと、今後はやはり地域発展も極めて重要な課題でございましょうし、どういう河川を着手するかにおきましては、一応河川法の中では工事実施基本計画河川審議会で御決定いただきまして、その決定の中で進めていきたいと思っておりますので、どのような河川を採択するかにつきましても、これらの事業の進展あるいは地域における水害の発生状況、資産の集積状況等を見ながら、河川審議会の御意見を承りながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  156. 松本龍

    ○松本(龍)委員 雨や洪水によるいわゆる典型的な都市災害型被害として、私は昭和五十七年の七月二十三日、長崎の大水害を思い出すわけですけれども、あのときは死者が二百九十九名、さらに被害総額三千億とも言われています。降雨量が一時間当たり百八十七ミリというふうな、想像を絶するような被害があったわけですけれども、これもまた土石流や山崩れと相まって大変な被害になってきたわけです。つまり、こういうところが今非常に整備がおくれているということも言えると私は思います。つまり、中小の河川といいますと流域面積が狭いわけですから、それだけ集中的な豪雨が来ると流域全体で莫大な被害、激甚が起こってくるということが考えられるわけです。ですから、中小河川がおろそかになるような行政は決してやってほしくない、こういうところにもしっかりこれからも目を向けていただきたいと思っています。  さらに、これからの事業費も大きく伸びてくると私は思うのですけれども、そういった限られた河川改修の予算の中で、今〇・六ぐらいですか、これが例えばその予算の五%を占めたり一〇%を占めたりすると、やはりそういう意味で大きくそちらの方の改修が後回しになってくるということも考えられないわけではない。ですから、しっかりとそこのところをもう一度御認識をしていただきたいと思っています。  つまり、私はこのことで言いたいのは、いわゆる大都市河川に集中をしている。ある意味では一極集中をまた呼び込むような形にひょっとしたら、スーパー堤防の上に住宅を供給するとか言っておられますので、そういうことの要因になってくるのではないかということを非常に懸念をしますし、また住宅宅地供給に資することばかりに目がいって、今言いましたように中小の河川や本来的な意味で危険な区域がおろそかになる、そういうことがゆめゆめないようにこれからもお願いをしたいと思います。もう一度決意を。
  157. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 大変貴重な御意見でございます。  私どもは、この事業は、現在の普通の堤防が破堤することのないように、その周辺地域を盛り土することによって地盤をかさ上げして丈夫な堤防にしたい、なおかつ、その上は通常の土地利用が可能なようにすることによって、地域全体として川と町とが一体となった安全な町づくりをしたいということを念頭にこの事業を進めておるわけでございます。したがって、その背景には、結果的にはなるかもしれませんが、住宅宅地の供給ということをこの事業は目的としているわけではございません。  それから、先ほど長崎水害のお話もありまして、時間雨量百八十七ミリという自然現象で、集中豪雨で我々も大変びっくりしたわけでございます。実はその周辺には諫早の水害を既に経験しておるわけでございますが、なぜか長崎ではそういう事態が起こらなかったということで安心していたら、やはり天災は忘れたころにやってくるということでああいう大災害になった。したがって、全国の中小河川整備率はまだ極めて低い状況にございますので、我々も河川投資の中の大部分を特に中小河川にも投資して従来も進めてきましたし、この姿勢は変わるわけでございません。治水投資が現状でそのまま推移するとは思えませんので、今後は治水投資のさらに拡大を図りつつ、大都市においては壊滅的被害を防止するとともに、地方生活河川におきましては生活基盤の安全を図るという意味で、双方ともに重点を置いて大いに頑張ってまいりたいというふうに考えております。
  158. 松本龍

    ○松本(龍)委員 私は利根川の矢口地区の写真を見せていただいたわけですけれども、そのとき、いわゆる矢口地区では田んぼや畑があって、それが土地区画整理事業で工場用地か何かになったと思うのですが、私は一つだけ懸念がありますのは、いわゆる田んぼや畑には保水能力、貯水能力が極めて大きい。今までの河川事業といいますのは、明治以来やはり直線河道にしていくとか、例えばの話、コンクリート護岸にして、河道粗度が減少して流速が大きくなるようないわゆる弊害もなきにしもあらず。つまり堤防ができることによって、今度は堤内地から川へ流れる水の排水を困難にしていくようなこともあるわけであります。つまり、市街化されることによって、また、堤防ができることによって逆にそういうふうな弊害も出てきて、内水はんらんを助長させてくるような懸念がないかと、私は今ちょっとこのことに関して考えています。  流域の市街地化は水害を激しくするということが言われておりますけれども、その三点をちょっと申し上げますと、雨水貯留能力の低下、つまり田んぼや畑が宅地や関連施設に変わると、流域の雨水貯留力が大きく低下をするということがまず一点。二点目が不浸透域の増大、つまり舗装されたりすると、雨水が浸透しない、あるいは浸透しにくくなるということがあるでしょうし、また、表面粗度の減少ということも考えられるわけです。つまり、市街化をされることによって内水の浸水あるいははんらんがふえてくるということは、やはり河川の言ってみれば運命みたいなところもあると私は思っています。  この間の生産緑地法案でも、つまりあれは、少なくとも緑がこれ以上なかなかふえにくい要素があるわけです。緑が減ってくるでしょう。つまりそういう意味で、都市計画サイドとかいろいろなそちらのサイドからは、そういうふうな内水のはんらんとか浸水がなかなか見えてこない、あるいはすっぽり抜け落ちてくるということが考えられると思います。ですから私は、大きな教訓を得てきた河川の側からこれらをつまりどこかで誘導していく、あるいは知恵を出していくような方法がこれから考えられないか、そういうお考えを今お持ちなのかということをお聞きをしたいと思います。
  159. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 大変貴重な御意見でございます。  流域の田んぼが数十センチ水につかっていても、これは内水とも認識しておりませんし、ましてや被害とも認識してないわけでございますが、その地域都市化すると、また床下浸水というような現象になるわけでございまして、そういう意味では、従来の保水、遊水機能が市街化によっていろいろな問題を引き起こすということはあるわけでございます。私どもは、こういう問題については、都市化とともに、あるいは都市化に先行して私ども河川改修をすることによって、安全な都市として開発していただくということが重要課題であろうと思います。  そういう意味では、私ども省内には総合治水対策協議会というものを設けまして、各局同じ机の上で連絡をとりながら、それぞれの地域に応じた治水対策あるいは町づくりを展開するように努力をしておるところでございます。また、それぞれの河川流域におきましてもそのような対策をとっておるわけでございまして、現在十七河川におきまして総合治水対策特定河川という指定をいたしまして、その地域におきましては、町づくりの担当者、治水の担当者が連絡をとりながら安全な町づくりができるように配慮しているところでございますし、私どもの方も、それに見合って内水あるいは不浸透域における遊水等を、適切に河川に 排水できるような事業をできるだけ優先して進めておるところでございます。  こういうような観点で、決して河川だけで、あるいは宅地行政、土地行政だけが先行することのないように絶えず連絡をとりながら進めておるところでございます。
  160. 松本龍

    ○松本(龍)委員 非常に難しいことだと思いますけれども、これからも取り組んでいただきたいと思っています。  「高規格堤防整備の効果」というところで、局からいただいた三番目に「河川沿いの低湿地等の低未利用地において整備する場合には、」という言葉があるわけですけれども、「低湿地等の低未利用地」、つまり湿地は低・未利用地なのかということをまずお聞きをしたいのと、さらに、今まで完了した事業、また事業中の地区、さらにはこれから計画中の地区でいわゆる環境アセスメントを行ってきた経過があるかどうか。その二点をお聞きいたします。
  161. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 低湿地が直ちに低・未利用地かというところについては、それぞれ個々の事例によっていろいろ議論があるところだと思いますが、一般論として、従来低湿地のまま放置されていたようなところで、これが盛り土されることによって利用価値が出てくれば、そういう意味では結構なことだろうと思います。ただ、低湿地なるがゆえにいろいろな自然環境が保全されているというようなものについては、我々も、そういう意味では環境調査を進めることによって対応してまいりたいと思います。  現在まで行われた事業について、河川事業の立場から環境調査をしたところはまだないとは思いますが、自然環境保全上重要なものについては、今後その都度必要に応じて調査をし、その保全には努めてまいりたいというふうに考えております。
  162. 松本龍

    ○松本(龍)委員 いわゆる低湿地とか堤内地にはいろいろな生物が生息をしている。ザリガニがいたり、タンポポがあったり、ススキがあったり、サギが飛んできたり、ツルが飛んできたり、いろいろな意味で大変な貴重な財産であるということもありますし、また自然の教室であるということも考えられると思います。ですから、そういう意味で、どうしても必要な遊水地とか霞堤なり、あるいは文化財があったりするところは十分な御配慮をいただいて、これからもそういう意味で環境のことに関しては鋭意努力をしていただきたいと思っています。  さらに、河川敷の問題ですけれども、堤内地といいますか堤防のすぐ際に住んでいる人たちは、言ってみれば厳しい状況に逆にあるわけです。つまり、そこに住んでいる人たち、あるいは在日朝鮮人・韓国人たちが不法に建てた部分は私は福岡市でよく知っていますし、また、同和地区の方々もそこに住まわされている、余儀なくされている、そういうこともあることは私はよく知っています。それらが、この事業に当たってそれらの人々、いわゆる生活弱者、いろいろなそこの立ち退きをしていかなければならない、あるいは引っ越していかなければならない、代替の住宅に住まなければならないということがあると思うのですけれども、そういった生活弱者に対する財産権や居住権、あるいは生活権の問題ですけれども、それらが十分にこのスーパー堤防のことに関して配慮されているかどうか、お聞きをします。
  163. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 従来からも私ども公共事業を進めるに当たっては、用地取得等に当たりまして、いろいろ生活弱者と言われる方たちも対象になった事例はたくさんありますが、それらにおいても、その方たちが公共事業の対象になったことによって将来とも御迷惑のかからないように、あらゆる方策を関係機関と協議しながら進めてきたわけでございます。  具体的には、関係権利者に対しては補償基準に基づく適正な補償を行うとともに、特に地方公共団体の協力を得ながら、住宅のあっせんや再開発住宅の活用等を図って、関係権利者の生活に十分配慮して進めてまいりたいと考えております。
  164. 松本龍

    ○松本(龍)委員 この方たちに対する十分な御配慮をこれからもお願いしたいと思っております。  それでは、最後に大臣お尋ねをいたします。私は、今まで大まかに言いますと三点のことを申し上げました。本来の治水の目的であるいわゆる危険区域の除去、そういうものが、この高規格堤防ができることによって、目がいわゆる住宅供給やそういうものに移ることになって、本来目的の危険区域がないがしろにされる、中小河川も含めましてそういうことがあり得る、その危険性を一度指摘をいたしました。二番目は、環境アセスメントのことを指摘をいたしました。三番目は、今言いましたように、立ち退かざるを得ない人たちの居住権、財産権、生活権の問題、それらに対する十分な配慮を行うようにと申し上げたわけですけれども、そういう問題に対する、そしてこれからの河川行政に対する大臣の決意を最後にお聞きをしたいと思います。
  165. 大塚雄司

    大塚国務大臣 今それぞれ御指摘をいただきましたが、治水のための事業といわゆる町づくりの事業を一緒に兼ね合わせて本来の目的を達成しよう、当然のことながらどちらに偏ってもいけないわけでございますから、きめ細かい配慮をしながら本来の目的を達成したい。二番目の環境保全のことでありますが、これはもう言うまでもなく、当然環境に配慮をした計画を進めるわけでございますし、住民の皆様方の意見を尊重して、特に地方自治体との連携も密にしてやっていくべきでありますし、三つ目の適正な補償も、ただ単に補償基準によって補償するだけではなくて、心を込めて、その方の立場になって、弱者の立場になって配慮をして事業を進めていく、このような指導をしっかりやってまいりたいと思います。
  166. 松本龍

    ○松本(龍)委員 ありがとうございました。終わります。     〔委員長退席、笹川委員長代理着席〕
  167. 笹川堯

    ○笹川委員長代理 貴志八郎君。
  168. 貴志八郎

    ○貴志委員 従来、河川の堤防というものは線で、要するに治水、防災という観点から見られてまいりましたけれども、今度はスーパー堤防という、高規格堤防という形で、地域整備それからウオーターフロントというふうな観点からも、エリアとして、面として、あるいは立体的な観点でとらえられるという新しい発想でありまして、そういう発想は国土の有効利用という意味では実にすばらしいことだと、私も高くそれは評価をさせていただくわけでございますが、問題は、ただいま松本委員からもお話がありましたが、この事業によりまして新たな価値が生まれるということになるわけであります。その価値が新たに生まれるということによって生ずる問題点がやはり出てくるだろうというふうに思うわけです。  そこで、まずお尋ねをしたいのは、特定の個人や法人に利益を提供する、そういう結果になる場合がしばしばあるのではないか。それはどのような形でそれを防止していくのかということが問題になるのではないかと思います。説明の必要がございませんけれども、従来堤防があるおかげで川と敷地の間が閉ざされて、景観上も問題があるし、日当たりの問題もあるし、眺望の問題もある、風通しの問題もある、話があったように、低湿地の場合もある。ところが、このスーパー堤防ができることによってそれらの問題は一挙に解決されるということになりまして、そういう意味ではにわかに眺望が開けるし、ウオーターフロントとしての快適な環境ができ上がるわけです。その価値は、もとの堤防時代、堤防の下にあった地域と生まれ変わった価値が生まれるわけでありまして、そういう意味では、今まで住民も足を踏み入れていなかった場所に明るい町が変貌してでき上がって快適なマンションが建つ。こういうことになってまいりますと、先ほど来お話がありましたように、民間のデベロッパーと呼ばれるそういうところに利益が提供をされる。要するに、もちろん後背地の住宅、資産、住民の生命を守るということになるという目的は片一方では達成しながら、片一方には特段に特定の業者を利するということになりはしないか、この懸念についてまずお 尋ねをしたいと思います。
  169. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 高規格堤防の整備は、盛り土を行うことによって治水対策のための堤防を整備することを本来の目的としているわけでございます。そもそもは宅地整備を目的とするものではございませんし、基本的には従前の土地利用をそのまま前提として地盤のかさ上げを行おうとするものでございます。  ただいま先生がおっしゃいましたように、日当たりとか景観とか風通しとか、確かによくなる面と、またそれによってあるいはいろんな議論もあるところだろうと思いますので、直ちにこれが特定の方に利益になるかどうかは大変議論のあるところだと思いますが、この事業は、人口、資産が高密度に集積した地域を破堤による極めて甚大な被害から守るということで、まさに公共事業本来の目的のために、その関係地域におられる皆さんにぜひ御協力をいただいて進めていくべき事業であるというふうに考えております。河川改修によって、例えば浸水被害がなくなったではないかとか、いろんなことによって特定、不特定受益はあるわけでございますが、やはりこれは大きくは公共の目的ということでぜひ御協力をいただきたいと思っておるわけでございます。  この高規格堤防の整備の結果によって、今おっしゃいましたような副次的な効果が出てくることも考えられると思いますが、これが直ちに特定の法人や個人へ利益が特定してあるということを断定するのは困難ではないかなと私ども考えております。
  170. 貴志八郎

    ○貴志委員 建設省関係の出されておるいろいろな御意見などを拝見いたしますと、この堤防はやはり今言われたようにただ単なる治水のためだけではない、これは周辺整備を含めて大変有効な手段であるということを、かなり自画自賛をされているわけなんですね。ですから私は、そういう観点で大変すばらしいと言っているのです。それはいけないと言っているのじゃないのです。それも大いにやってもらったら結構だ。けれども、その大いにの部分が特定の人に偏っては困る。先ほど具体的な例として淀川の出口地区の問題も出されておりましたが、あれが延長が百七十メーターですか、一・五ヘクタールの土地ができる。そこへもう既にマンションが建設中で、二百五十五戸ですか、できつつある。そういうことになってくると、一体その背後地の人が、その水防のために役立ったであろうかもしれないけれども、同時に、それを提供した民間のデベロッパーがそのことによって大変利益を受けるという結果が生まれてくるじゃないか、そこに計画する側、実施する側、それから実施をしてもらう側との間に何かの関係が生じてこないか、そういうところが問題だということを私は言っているわけなんです。  時間の関係もありますから、一つ一つ聞いていったらいいようなものですが、あわせて申しますと、私は、本来的にこういうふうなものはなるべく当該の地方公共団体と連携をして、そうして区画整理のようなああいうやり方、手法でもって、なるべくそういう個人の関係に、まあ個人の利益が供与されるというふうな形にならない程度のやり方というものはやはり配慮していかないと、これから先、後で申し上げるような懸念が実際に起こってくるとちょっと社会的な問題になるのではないかと思いますから、あえてもう一遍聞いておきたいと思います。
  171. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 基本的には、おっしゃるとおり地方公共団体等と十分連絡をとりながら、できるだけそういう形で地域皆さんも望む方向の町づくりにこの事業は寄与できることを、我々も期待するものでございます。  いずれにしても、これらの所定の河川の全延長を将来はこのような形で結びたいと思っておりますので、いろいろな事業機会のある皆さんには接触をしながら、できるところからやっていきたいとは思っております。しかし、できるだけそういう先生の御懸念のないように、極力公共団体との連絡の中から事業を進める努力をしてまいりたいと考えております。
  172. 貴志八郎

    ○貴志委員 そういう懸念のないようにしたいということでありますが、先ほど来の御答弁を聞いておりますと、例えば既に施工された淀川の部分にしても、あれは一番やりやすかった。件数もないし、相手は一社であったのかどうか知りませんけれども、それでおおむね済んで、その上へ建物が建てられて、一つのモデルとして見える、でき上がったものとして見れる、そういうところとして選んだのではないかと邪推をしたくなるような箇所であったように思うがゆえに、同じようなことがこれから先起こってくると困る。  例えば、財団法人リバーフロント整備協会ですかというのを建設省の外郭団体でこしらえているようでありますけれども、そこの関係者の話によりますと、既に例えば河川の荒川なら荒川で、この地点、この地点、この地点と図面ができて、どことどことにできるということが図面の上で出されておる。私は、そういったところに対して地上げ、土地の先行買収、そういうふうなことが民間で仮に行われて、その計画の事前に、本来そこに住んでいた人の条件がよくなるそういう住居になるかもしれなかったのに、そういう民間デベロッパーが出てきて、それを先行買収などというふうなことによって、本来その地で快適な住まいになるであろうところの者がその利益を受けられないというふうなことになりはしないかということを心配をしているのです。ですから、そういうことは一体どのようにして防止をしていくのかという点と、それからこの計画を決定して、いつからどうしていくかということの決定権を持っているのは当然建設省だと思うのですけれども、その建設省が知らないのか知ってか知りませんけれども、どんどん計画が表に出ていくというふうなことについて一体どういうふうにお考えになっているのか、その点もあわせてお伺いをしておきたいと思います。
  173. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 リバーフロント整備センターは私ども関係の機関でございます。そこで調査を進めておるというのは、実はこの事業昭和六十二年度から着手したところでございまして、全延長から見れば大変微々たるものでございます。したがって、まだスタートしたばかりでございますので、この延長区間の中で事業計画のあるところの情報をキャッチしているというのが先生のお目にとまった図面ではないかと思っておりまして、これらの計画はかなり地域の中では具体化しているという状況でございますので、できればそういう機会に盛り土をさせてもらうことによって、その土地利用が高度化し、固定化する前にこの高規格堤防の整備をしたいということから情報を集めている状況でございます。したがって、そういう事情の中ですから、情報が一番私どもに入りやすいのは地方公共団体等関連する機関でございますので、そういう機関で計画中のものについて、現在できるだけ優先的に整備に着手したいということで構想を練っている段階でございます。
  174. 貴志八郎

    ○貴志委員 言えば切りがないのでありますけれども、十分注意をしてやっていただきたいということを申し上げたいと思います。  それから、少し関連して、これは質問になるのかどうか、姿勢としてお伺いをしたいのですが、水辺空間整備事業融資制度を拡充して、日本開発銀行の貸付条件の改正住宅金融公庫からも融資ができるようになったということであります。本来、土地の価格の問題によって土地融資についてはかなり厳しく、やかましく言われておるわけでありますけれども、このウオーターフロント、スーパー堤防の場合はこういう融資関係がかなり緩和をされるという。一個人に対しては結構でありますけれども、そこに住んでおる地権者に対しては結構でありますけれども、法人なりデベロッパーなりの地権者に対しても同じように、結局マンションが建てられるということになりますと、そこに住む人が公庫を利用できるということで買いやすくなるということもこれありますね。そんなことを総合して考えていきますと、これはもうとにかくよだれの出そうなほどおいしい話だとい うことになってきて、民間が先行取得するというふうなことになるおそれが、先ほど来繰り返して言うわけですが、なるおそれがある。私は、そんなところは計画で少し後回しにするぐらいのことがなければ、やはりそれがもう構わないというふうなことであれば、今の地価対策を片一方でとりながら、片一方ではそれは野放しだというわけにはいかぬという意見を持つのですが、いかがでしょうか。
  175. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 これらの事業は、いずれにしても基本的には大都市を貫流する大河川の破堤によって壊滅的被害を防止という観点から、関係地域の地権者の皆さんの御協力を得たいということからこれらの制度を仕組んでおるわけでございまして、単にいろいろな住宅宅地問題という一側面ではなくて、基本的には治水対策という大きな課題の中で、関係の皆様の協力を得てこれらの事業が円滑にいく、その過程において住宅宅地の関係、いろいろな関係の御協力も得たい、あるいは地方公共団体の御協力も得たいということで、さまざまな知恵を働かせておるところでございますので、ぜひその点については御理解を願いたいと思います。
  176. 貴志八郎

    ○貴志委員 では、次の問題に移ります。  治水対策ということが主であるということを何回もおっしゃられておるわけですが、先ほども長崎水害の問題が出されましたが、過去十一年間で水害、土砂災害で百四十二万戸が被害を受けたという数字が出ております。これは一体、東京圏や大阪圏がどれだけあって、地方がどうだったか。私は、今その数字を聞いて、だからと言うつもりではありません。けれども、そういう観点から見ると結果は明白であって、もちろん気象条件やいろいろなことがあったと思いますけれども、やはり地方が多いのですね。地方が多いのです。にもかかわらず、スーパー堤防は、先ほどは地方都市でもやろうというのは拒んではいませんよということであって、進んで今の計画に入れようという姿勢にない、一体それはどういうことか。  これは大臣お尋ねをしたいのですけれども、日米構造協議で公共投資をふやして、豊かさをもっと実感できるような日本の均衡ある国土づくりというものをやらなければならぬということが基本的にあると思うのです。そういう点からいうと、今度のスーパー堤防は都市の六河川だけで地方には今のところは計画がない。言ってくれば検討するということで、拒否はしてないのですよというふうなことでは、そもそもこの公共投資の四百三十兆の中の金を使う計画としてはいささか問題があるのではないかというふうなことを思いますが、その辺についての基本的な考え方というものをぜひお伺いをしておきたいと思うのです。
  177. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先ほど来お話を申し上げておりますように、とりあえず六河川を対象河川として事業を着手をしたばかりでございまして、なるほど先ほど来御指摘のように、考えてみれば、四百三十兆円の公共投資の基本計画の将来を見据えますと、地方にこそ力点を置けという御趣旨はよくわかります。しかも、いわゆる多極分散型の国土形成という観点からいたしますと、地方河川におきましてもそのような対象としていくことは非常に大事なことと思いますので、今後、まだ前向きなお答えをするまでにはまいりませんけれども、心組みとしましてはそのようなことをしっかり踏まえて検討してまいりたい、このように思います。
  178. 貴志八郎

    ○貴志委員 心組みだけと違って、ぜひ検討をしていただきたいと要望をいたしておきたいと思います。  それから、私どもの地元で紀の川大ぜきだとかそういう計画があるわけなんですが、こういう計画に合わせて、その上流に当たる部分がいろいろな意味で堤防の破堤というようなことについて危惧を持つわけなんです。こういうところにこそこの法律を適用して、広い視野に立った計画、総合計画というふうなものを立てて、そうして地元の協力を得ていくというふうな考えを持ってもらいたいものだ。これは時間の関係もあってあえて答弁を要求いたしませんけれども、そういうことも一つぜひ考慮に入れた今後の運用の妙というものを、本当に地方を忘れないでくださいよということを繰り返し申し上げまして次の問題に移ります。  若干本論と外れるわけでございますけれども、紀伊丹生川ダムの建設につきまして、少しだけ質問をいたしておきたいと思います。  紀の川分水については和歌山県と大阪府との取り決めが行われまして、分水による必要水量を確保するために、要するに水質源開発のために紀の川総合開発の一環として紀伊丹生川ダムが計画をされまして、建設省の調査事務所が既に設置をされました。その調査事務所発行の「紀伊丹生川ダム」というパンフレットの中に「自然は生きている ダムは、地域の飛躍を見つめ、新しい姿を創り出そうとしている。」まことに高らかにうたい上げておるわけであります。  ところが、このパンフレットに地域の飛躍を見詰めている、こうあるわけですが、見詰めているだけで具体的に何をしようということは出されておらないわけでありまして、地域の住民は、まず十分に説明を受けていないということでかなりの不満が噴出しそうになっている、いや噴出していますね。その地域住民の、中身がわからないという不満、それから、地域はそれで発展するんだ、発展するんだとかけ声はいただくけれども、一体どう発展するんだ、道路はどうなるんだ、ダムの周辺整備はどうなるんだ、町全体としてはどうかというふうなことについてさっぱり青写真が見せてもらえないということについて、かなり不満を持っております。一体どういうふうなことになっておるのか。この間ちょっとお伺いいたしますと、直接の責任者は建設省でございますということでありますから、責任者としての立場から、説明が不十分であったり全体の整備計画がまだ出されていないということについての説明を願いたいと思うのです。
  179. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 紀伊丹生川ダムは、紀の川水系の工事実施基本計画に基づきまして、紀の川及び紀伊丹生川沿川の洪水被害を防除して沿川住民の生命財産を守るとともに、流水の正常な機能の維持、大阪府あるいは下流都市への都市用水の供給を目的として、建設省が直轄で多目的ダムとして建設をしようとしているものでございます。このダムは平成元年度から実施計画調査に着手した段階でございまして、現在、測量、水理・水文調査、地形・地質調査等の各種調査を行っているところでございます。  建設省としては引き続き鋭意調査の進捗を図りますとともに、県、市、町等を初めとする関係機関と連携をとりつつ、まずは水没される移転予定者あるいはその権利者、地元関係者、この皆様の御理解を得て、御協力を得て、その上で地域整備計画その他を策定し、早期に建設着工できるように努力してまいりたいと考えているところでございます。当然ながら、地域整備計画というのは、水没される関係の市とか町の御意向が最重要課題でございますし、その前に水没する皆様のお気持ちが一番大事でございますので、我々としては、水没関係者、水没関係市、町とのお話し合いを進めるということが最重要課題と考えておりまして、そのお話し合いの中から地域整備計画が生まれてくると思いますが、そういう手順を踏んで進めていこうと考えておりますので、御理解願いたいと思います。
  180. 貴志八郎

    ○貴志委員 そういうふうに説明をいただいたのですが、実は余り納得をいただいていないような経過になっているわけです。話では順々に手順を追ってやっていくということでありますが、点の問題を解決するために面の問題を一緒に解決、同時進行をやっておかないと、点の人たちが納得して引き下がろうにも引き下がれないというふうなところが出てくるわけなんです。町全体としてもこれに協力をしたいけれども、全体計画も出てこないし、その水没地域の人のしたがって了解も得られない、相互にそういう関係が生まれてきて、ますます問題を難しくしているのではないかとい うふうなことが大変心配をされるわけなんです。  そこで、平成二年一月十九日付、内閣総理大臣海部俊樹さんから衆議院議長田村元殿ということで、質問に対する答弁書を送付いたしております。これによりますと、   紀伊丹生川ダムの建設に伴う環境への影響については、必要に応じ事前に調査及び検討を行い、自然環境に十分配慮していく考えである。また、住民の生活への影響については、今後十分に意見を聴取した上、その実情に応じ、生活再建のための措置等により対応してまいりたい。 このように公式の総理大臣の文書でもって回答を寄せられておるわけであります。私は正直言いまして、この回答から一年有余を過ぎた今日、この回答に近い状態にもまだ至っていないということを指摘せざるを得ないわけであります。  答えやすいと思いますので具体的に言いますと、例えば国道三百七十一号線というのがあるわけでありまして、計画ではこれがちょうどダムの上を横切ってあるわけですが、それがこのダムができることによって切れてしまう。この道は一体どこに行くのかということもわからない。土地の人もわからない。町もわからない。議会で審議してそれはどうなるのかと言っても、それもわからない。九度山町という町でございますけれども、その九度山町でも、道のつけ方によってまた計画がいろいろと生まれてくる。また、その町を包む伊都郡なり近接の橋本市なり、和歌山県という単位でも、これは大阪との関連の中においても次にどうあるべきかということを考えなければいかぬ。そういう大きな構想を立てていかなければならぬのに、その動脈となるべき部分ですらまだ明確にされない。そして、点の部分だけ一生懸命――一生懸命とは言えない程度でありますけれども、六回ほど行ってくれているわけなのですが、一例ですが、そこへ話に行っても、そういったことについてもわからないようでは話が全体としてなかなか進行しない。どうもその手順が、住民の合意と参加というふうなものを得られないで、建設省としてこういう線を引いて、こういうダムの建設計画がある、これは承知しなければならないというふうな感じで下々は受け取っているのです。これを、そうではない、これは本当にバラ色の将来があるのだったらあるというそのバラ色を見せないで、あるのだ、あるのだと言ったってそれは納得はできませんよということになるので、一遍その辺のところもあわせてお答えをいただきたいと思うのです。
  181. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 国道三百七十一号線のつけかえ道路計画については、直接まだお答えできる段階でございませんが、一般論で申し上げますと、まず水没関係者が今後生活再建としてどちらへ移転されるのか、できれば水没される市なり町の中に残存していただくことがやはり地域発展のためには最重要であろう、そういう形になろうと思います。  そこで、水没関係市、町の理事当局の皆さんあるいは水没者の皆さん、今後はどこに代替移転地を設けるのかとか、それを契機にどのように将来の生活再建計画を立てるのかとか、そういったお話し合いの中で、もしこの道路計画がお役に立てるならば、あるいはこういうふうな道路計画であれば町の振興計画にも非常に都合がいいとか、そういうお話が水没者の関係者あるいは水没市、町とのお話し合いの中で生まれてくるということを私は期待しておりますし、そういう過程の中で、地域振興計画のためには最もいい道路つけかえ計画なりいろいろな移転計画なりが出てくるのだろうと思います。そういうお話し合いを現在進めておる段階だと思っておりますが、先生のたびたびの御指摘もございますので、その話し合いができるだけ円満に、迅速に進むように私どもとしても督促してまいりたいと考えております。
  182. 貴志八郎

    ○貴志委員 地元の声を十分生かしてやろうということでありますから、私が申し上げたように、点だけを解決するとか順序があるとかいうことでなしに、やはり面としてとらえていろいろ考えていくという姿勢でぜひ積極的に話し合ってもらいたい。でなければ、仮にこのままでいざ着手ということに強引に進んでいくと、これは大変なことになると私は見ております。  特に、この下流の河根というところはかなりの人口集積があるわけです。ここに住んでいる人たちは、とにかく目の前の自然が失われるわけです。県の自然公園に指定されておりまして、玉川峡という美しい峡谷なんです。年間大体二十万人の人がリゾート客として訪れるわけです。これは近在の大阪圏だけではなしに、遠くからもやってくるというふうに、非常にすぐれた景観と美しい環境、美しい水を持ったところなんです。ですからここの下流の人たちは、一体これはどうなるのだということについても全然わからないわけです。わからないということが不満になってとにかく反対になっているということはぜひ知ってもらって、それに対してわかるようにひとつしてもらいたいということですね。  それから、町全体としては、大阪分水という、建設省が立ち会って県が取り決めたことについて、ひょっとしたら自分たちはダム建設というデメリットだけをしょい込むのと違うかという懸念をかなり強く持っておる。これもやはりわかってもらって、そういう懸念は必要ないのだったらないというあかしをやはり立ててもらわなければいけないと思うのです。  そこで、余り議論ばかりしていても仕方がございませんので、あとちょっとだけ聞いておきたいことがあります。それは、この発電所、高低差百二十メーターあるというのですね。そうすると水力発電をここで行わないはずがないと地元では思い込んでいる人があるのです。かつて昔の話ですが、明治時代に、やはりその高低差を利用した発電所があったわけですというふうなことから考えて、これは発電計画がかんでいないはずがないというふうに思い込んでいる人があるのですが、これはどういうことになっておるか、ぜひ明確にしておいていただきたいと思います。
  183. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 現時点では、発電事業者のダム事業への参画の予定はございません。今後各種調査を進めていく上で、発電計画可能性についてもあわせて検討を行っていきたいと考えておりますが、いずれにしても、発電事業者の方からの申し出はございません。
  184. 貴志八郎

    ○貴志委員 それはそういうことということで受けとめておきますが、はっきりした段階で、これも決まったら早く知らせる、情報の公開という立場で要望をしておきたいと思います。  それから、もう最後になりますが、例えば内水面漁業者の皆さん方、権利者ですね、これは権利者でございますから土地の所有者、地権者などと同じように、一等早く話をしなければならぬ当該当事者ではないか。それから上水、農業用水の取水権、取水者ですね、そういったところに対する協議もやはり同時並行で行うべきではないかと思うのですが、その辺のところがどうも。私は農業用水の方の関係は当たっておりませんが、内水面漁業の方は聞いてないというふうなことであります。そういう権利者に対する同時並行の話し合いというふうなものをこれからどうするのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  185. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 内水面漁業者も水道用水取水者もそれぞれ関係者でございますから、それらの方に御説明をして、それぞれ所要の対策をとる必要があると思っております。  ただ基本的に、先ほどからも申し述べましたけれども、まず、水没される方が一番生活が根底から揺るがされるわけでございますので、その人たちの十分御納得を得ないと、ほかの方から話を固めるというのはいかがかという判断から、水没関係者、水没関係の市、町との話し合いを優先しておるわけでございますので、同時といいながらも若干時差があるのは御了解願いたいと思います。
  186. 貴志八郎

    ○貴志委員 以上、幾つかの問題について質問いたしましたが、スーパー堤防については、特定の者が利権を受けるというふうなそういう懸念のないように注意をしてもらいたいということと、地 方を忘れないでもらいたいということ、これは強く申し上げます。  それから、紀伊丹生川のダムの問題につきましては、局長から答弁がありましたけれども、やはり説明に対する努力が、現場では一生懸命やってくれているんでしょうが、受け取る方ではそうは受け取っていない。それからまた、いろいろ手順があるというけれども、やはり小さな町でございますから、町全体がこんなによくなるんだから我々も辛抱のしどころがあるぞという場合だってあるわけなんです。また、あの人らが自分たちのためにそうしてくれるのかというそういう空気もあるわけなんです。だから、大都会東京で考えているようなことではない、地方はもっと人間的にもお互いにパイプがあるし、お互いの心の交流もある。そういうことですから、点が狂えば全部が狂う、全体が狂えばまたその点も狂う、こういうことになるわけですから、十分心して取り扱いをいただきたい、このことを要望いたしまして終わります。ありがとうございました。
  187. 笹川堯

    ○笹川委員長代理 薮仲義彦君。
  188. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、河川法の一部を改正する法律案、この河川法に関します質問をさせていただきたいと思います。河川法に関します質問は今国会この時間が最後だと思いますので、何点かお伺いしたいわけでございます。非常に重要な事柄があるわけでございますが、きょうは時間がございませんので、そのうちの幾つかに絞って建設省のお考えをお聞きしたいと思っております。  本日審議されます河川法の中で、一つは超過洪水に対してスーパー堤防はどうするかという課題ですね。同じように私は、この超過洪水も大事でございますけれども、我々国民として非常に関心というよりも気にかかりますのは異常渇水です。超過洪水も大変ですけれども、異常渇水はどうなっているのか。現在建設省は、渇水に対しては十年に一度の確率といいますか、その異常渇水に対する対策を立てておられます。四全総のフレームでも、ちょうど西暦二〇〇〇年の時点で東京圏を例にとりますと、人口フレームを大体三千三百万、人口の構成比率を全国に対して二五・二%というフレームをつくっております。では現在、平成二年度の時点で四全総のフレームどおり人口の推移が行われているか。これがフレームどおりいけばいいのですけれども、前に私ちょっと指摘しましたように、調査結果の中で三千五百万ということになりますと、約二百万人の水が足りませんということはこの間申し上げました。現時点、平成二年におきましては二五・七と、二〇〇〇年の予定するフレームを上回っているわけです。これが異常であるということは私申し上げませんが、そこに向かって努力をなさるということは承知いたしております。現時点において、確かにこの東京都の水がめであります利根川水系七ダムの貯水量は、局長も御承知のように平年貯水量を上回っております。現時点においては非常に安心かなという期待を私は持っております。しかし、またことしの夏異常渇水が起きて、取水制限や給水制限などということになりますと、本日論議しておりますこの超過洪水と同じように都民にとっては心の痛む問題ですので、きょうは御答弁は結構ですが、やはりこのことも超過洪水と同じように私は非常に関心を、持っておる。時間があれば事細かに一つ一つただしたいのでございますが、きょうはやめておきますけれども国民の一人として異常渇水にも非常に関心が深いということだけは心にとどめおいていただきたい。どうかことしの夏、今は十年に一度ではなくて十年で二番目か三番目の渇水に対しても非常に利水安全度が下がっておりますので、不安定取水に頼っておりますこの状況に心して対処していただきたい、これをお願いしておきます。  さて、本論に入るわけでございますが、いわゆる超過洪水、スーパー堤防について質問させていただきます。  我が国は約一〇%の洪水はんらん区域に五〇%の人口が集中し、その区域に全資産の七五%が集積している。我が国河川の治水の整備目標は、基本的に時間雨量五十ミリの降雨に対して災害を防除するという形になっているわけでございます。しかし、中でも大河川については、三十年もしくは四十年に一度の発生するであろう大降雨に対しても整備していこうということになっておるわけでございますが、現在整備の進捗率は六〇%程度と承知いたしております。     〔笹川委員長代理退席、委員長着席〕  日本と欧米とを比べますと、アメリカなどは、ミシシッピー川は五百年に一度の洪水、フランスのセーヌ川は百年に一度の洪水、特にセーヌ川などでは整備が完了しておると言われておりますし、イギリスやオランダは、千年に一度の高潮に対する対策、これも完成しているわけです。日本は、確かにこの治水の計画を立てて着実にやっていらっしゃる河川局の御努力に私は敬意を表します。しかし、それならば絶対安全かというと、きょう河川法で論議しますように超過洪水というのは当然来るわけでございますから、安全なのかと言われれば、私はやはり建設委員の立場として言うならば、心にかかるものがございます。  ですから仮に一〇〇%整備をしても、今日論議しますように計画高水位を超えれば、超過洪水になれば、大都市においては非常に大きな災害が発生することは予測されるわけです。ですから私は、この河川法改正の中で言っておりますスーパー堤防、これは基本的に重要であるという認識に立っております。特に、計画を立てられる荒川などは、二百年に一度の確率でやろうとしておりますけれども、これも全体、全水系では治水安全度はまだまだ十分とは言えません。このスーパー堤防は、建設省が今までおやりになった淀川の出口あるいは守口地区、利根川の矢口地区、そういうところの経験を踏まえていよいよ法律の改正に踏み切られたと思うのです、地権者の権利をどうするか等々。ただし私は、今までおやりになったところは背後地が非常にやりやすかったのではないか、やりやすかったということを仄聞いたしております。しかし、これを成功させるかさせないかは、一にかかって、これからおやりになる人口の集積度の高い、人口密度の高いところにきっちりとこの事業が遂行できるかどうか、私は大変な難事業であり、また、非常に重要であろうと思っております。  そういう意味において、今まで経験したことのない都市計画であるとか住宅政策であるとか、あるいは道路構造であるとかいろいろな問題が一遍に出てくるわけでございますが、私が局長お願いしたいのは、何としてもこの困難を乗り越えて成功させてほしい。と申しますのは、確かにこのことによってテラスの部分ができますと、親水性のすばらしいオープンスペースもできます。人間として非常に水に親しみのわくようなこともできますし、また、河川のしゅんせつや、あるいは現在問題になっております建設残土の処理、こういうものが一挙に解決できるわけでございますから、私はこの持っている意味合いはプラスの面も非常に大きいと思うのです。しかし、困難も多々あって、初めての事業でございますので、私は基本的にこのことの必要性と重要性を認識した上で、河川局長としてこの事業だけはどうか都市部における超過洪水の安全のためにこれからが正念場であり、しっかり取り組んでいただきたいと思いますが、その決意をちょっとお伺いしておきます。
  189. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 薮仲先生には、日ごろから大変高い見識で治水行政、防災行政について御示唆いただいていることに心から敬意を表するものでございますが、とりわけ今、高規格堤防に関連する超過洪水対策、また渇水対策も含めて大変貴重な御意見をいただきました。もとより、この河川法に関する改正案がお認めいただけましたら、私どもはこの事業の推進、他の河川事業もあわせて一層の充実、推進に努力してまいりたいと考えております。
  190. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか、これは非常に重要な堤防だと思っておりますので、しっかりと取り組んで、見事な成果を上げていただきたいと期待いたして おきます。  それでは次に、関連する問題について幾つかお伺いしたいわけでございますが、私はやはり海岸侵食、このことも非常に心を痛めております。最近いろいろな方に伺ったり海洋工学の本を読んでみますと、代表的な日本の二十二の海岸での海岸侵食についていろいろと書かれておりました。私はすべてを論ずる時間もございませんので、その中で特に私が日ごろ見なれている駿河湾、この駿河湾の海岸侵食を中心にお伺いしたいわけでございますが、特に私はこの駿河湾の中でも、自分がいるからということではなくして、直轄の海岸もあります、富士とか蒲原とか吉原工区もそうですが。補助海岸になっております静岡とか清水とかあるいは駿河海岸等で汀線の後退が著しい、これを私非常に懸念いたしておりますけれども最初に伺いたいのは、この三つの海岸で結構ですから、最大の汀線の後退量、どのぐらいになっておるか、現状をちょっとお示しください。
  191. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 駿河湾地区の海岸は、その前面に駿河湾トラフが食い込んでおりまして、大変海底が急傾斜なところでございますので、ある意味では大変不安定な海岸でございます。静岡海岸及び清水海岸については、静岡市平松及び清水市蛇塚周辺の延長約九キロにわたりまして侵食が特に顕著でございまして、過去十年間最大三十メートルから三十五メートルの汀線後退を見ております。現在も侵食が東側に広がっているという状況でございます。
  192. 薮仲義彦

    薮仲委員 今質問した中で駿河海岸もあったのですが、これは今ちょっととまっているようですね。最大汀線後退量は九十メーターというような物すごい汀線後退をしましたけれども建設省の御努力で汀線の後退はとまっておるということは、私は非常に好ましいと思っておるのですが、ただここで、大臣、私も国会に籍を置いて十数年になるのですけれども、私が初めてこの清水、静岡を車でドライブしたときに、あそこはまだ海浜があったのですね。砂浜があったのです。そこで海釣りの方が久能海岸で砂浜から釣りざおを海へ投げておった。ところが、それがここ十年間で今局長が御答弁のように急激に来て、もう道路の際まで来てしまったのですね。道路ゼロメーターまでほとんど波が押し寄せてきている。それを辛うじて、離岸堤やあるいは根固め工をやって何とか消波して、道路を守っておるわけでございますけれども、私は、この海岸が非常に残念なことに、テトラの林立する中に走っておるわけですけれども、私はいろいろな意味から海洋工学というのは難しいと思うのです。  しかし、今おっしゃったように駿河トラフがあって、東海大地震の発生もいろいろな意味で論じられておりますけれども、やはりこれだけ十年間で三十メーター、中には九十メーターという汀線後退がありますと、やはり我々住民としては大丈夫かなという不安もございます。そういう意味で、難しいことはあるかもしれませんけれども、どうか基礎調査をしっかりやって、何とか原因の究明の努力をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
  193. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 基本的には、富士山からいきなり駿河湾までという大変急勾配な中にこの海岸があるわけでございますので、先ほども言いましたように大変不安定な状況であるわけでございます。個々の現象につきましては、大変いろいろな現象が組み合わさっておりまして、どれが一つの原因かということは大変解明しにくいと思いますが、今後は関係する波浪や潮流、その他風向、風速、波高、潮位等の基礎的な調査から始めまして、原因を解明し、有効な海岸保全対策を確立するよう努力してまいりたいと考えております。
  194. 薮仲義彦

    薮仲委員 この百五十号線は今――ちょっと委員長、済みません。これを大臣にお見せしたいのですが、よろしいですか。
  195. 桜井新

    桜井委員長 どうぞ。
  196. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、済みません、これ。あと河川道路局長はよく知っていると思いますけれども。  今大臣にお渡ししましたけれども、それは五十七年災のとき私が現地で写真を撮ったやつです。百五十号線の、今局長がおっしゃったように、駿河トラフのエネルギーは物すごいのですね、急深になっていますから。それで、五十二年ごろから非常に災害が多くなりました。一番ひどかったのは五十六年、五十七年災で、破壊した復旧の総延長でいきますと、五十六年災は三千六百三十四メーター、五十七年災は二千五百八十一メーター、いわゆる二キロ、三キロという海岸堤防がずぼんと吹っ飛んでしまうわけですね。  私も災害は、きょうお見えの委員長と同じようにずっと災害をやっておりました。普通、災害というと我々は大体再度災害を防止する、こう言うのですが、この久能海岸は再度災害じゃないのですね。再度災害防止のために復旧をやって、また三度、四度とやられているのです。これを何と言うのかわかりませんけれども、これほど三度、四度とやられまして、私は、海岸の護岸というものは非常に重要度が増しておる。  なぜ私がこう言うかといいますと、これはまた道路局長がすばらしい意見をおっしゃると思うのですが、今我々静岡の県民にとっては清水それから浜松の間をアクセスしている道路は、国道一号線それから東名、この百五十号と、この三本なんです。いわゆる国道なんですね。確かに県の管理区間ですけれども、国道であることは間違いない。一号それから東名も、今非常にこれは道路局長も心を痛めていらっしゃるように、第二東名と言われるように交通量はふえております。そのもう一本の百五十号が台風シーズンのたびに崩れるわけです。もう静岡海岸は大体百億、清水海岸も三十数億という巨費を投じておるのですが、いまだに安定した状態にはございません。  私は、ここを直轄海岸にしてもらいたいなというぐらいの思いがあるわけでございますが、この中で、今お渡しした新聞記事の中で、これは河川局長道路局長もかっとこないで、新聞の見出しをちょっと読みますけれども、怒らないで聞いてください。「ズタズタ久能街道 打つ手なし」、こういう見出しなんですね。「浜幅四十メートルないと危険」、これは新聞記事ですが、確かに打つ手はないと我々も思ったのです。しかし、建設省のすぐれた技術能力で、今では安定した道路、海岸というものは維持されておりますけれども、私はやはり、この状態で国道がいるということについては非常に問題あり。  私は河川局長お願いしたいのは、ここはやはり補助海岸であるかもしれませんけれども、国道百五十号、今写真でごらんになったように、道路の際がもうテトラで守られている。ちょっと波がエネルギーが強ければ道路が破壊する。こうなってまいりますと、この護岸については河川局長、一段と御努力いただきたいと思いますし、道路局長お願いしたいのは、私、この問題、当選した最初に渡邊修自道路局長のときに、このことを提言したのです。何とかこの道路を安全にできないか、交通渋滞の問題もあるし。そのときに、渡邊道路局長検討したいというお話がございました。それから、亡くなられた田中局長あるいは萩原局長のときにずっと言い続けてまいりました。それでようやく道路局も、これは都市計画決定させればこれをきちんと対応してまいりましょうというところまでいろいろ進んでまいったわけでございますが、河川局には護岸と同時に、道路局には新しい道路をという気持ちがございます。  これは大臣、なぜ私が言うかというと、当時、最初申し上げましたように、浜辺があって道路があったのです。ですから私は、道路の設計やこの堤防の設計も、それだけ強大なエネルギーがあるという設計にはなってなかったと思うのです。ですからずたずたになったと思うのです。そこで私は、これだけの波のエネルギーに耐えられる道路をつくっておかなければいかぬじゃないか。これが国道ですから、主要幹線なんですから、東西の交通の大事な道路であるならば、私はやはりきちんとした今のエネルギーに耐えられるだけの高規格の道路を海岸線ゼロメーターにつくることが、 生活や民生やその安定の上から大事であるということを言いたいわけですね。ですから、河川局長には海岸の保全と、道路局長には、高規格の新しい道路をようやく都市計画まで持ってまいりましたので、それを完成させていただきたいと思いますが、両局長の御答弁をお伺いしたい。
  197. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 先ほどから申し上げますように、大変ここは急勾配な中にある海岸でございまして、海岸としては大変不安定な中でございますし、全国でも大変厳しい条件下にあるわけでございます。そこへ太平洋の荒波が直接この海岸を洗うわけでございますので、その対策の工法についても、いろいろなものを検討し、その中から効果のあるものを選んでいかなければならないと思っておりますし、従来もそういう意味でさまざまな工法を検討し、あるいは実験的に進めてきたところでございます。  直轄海岸というお話もございましたが、この駿河湾内だけで既に二海岸、直轄として富士海岸と駿河海岸を取り上げておるわけでございまして、全国十一のうち二地区が静岡にあるというような状況でございます。ただ、この静岡・清水海岸につきましても、昭和四十二年に特定海岸に指定しまして、そういう意味では、負担率も他の補助海岸よりはかさ上げした状況で重点的に進めているところでございます。今後もさまざまな調査の上で、できるだけ有効な対策をとるよう努力してまいりたいと考えております。
  198. 藤井治芳

    藤井(治)政府委員 先生指摘の百五十号は、清水市から浜松市に至る太平洋岸の海沿いの幹線道路でございまして、ここからは海の景観も山の景観も、そして地域文化も同時に享受できる極めて重要なネットワークだと認識しております。私もここを通った経験がございます。本路線は一応一次改築済みでございましたけれども、大崩海岸とか、先生がおっしゃいましたように、断崖が海にそそり立つ部分あるいは早急に災害対策の必要な区間等もろもろ抱えておりまして、一方で東海地震の災害対策地域でございますから、そういう意味でも、地震にも海にも強いそういう道づくりという意味でのいろいろな計画を立てなきゃいけないということで、従来は、通常の災害防除あるいは橋梁補修事業というようなことを清水市において行ってまいりました。  また、特に混雑が著しい交通の隘路となっておる静岡市においても二次改築を進めておりますけれども、この今御指摘の清水市駒越から静岡市の中島までの区間の十一・八キロ、これはおかげさまで六十二年の三月に四車線道路として都市計画決定を行わせていただきました。このうち、特に静岡市内の二・三キロについては、平成元年度から事業着手して、用地買収を進めるとともに、一部工事にも着手させていただいております。さらに、清水市内の二・五キロにつきましては、道路が海岸堤防と隣接いたしますので、現在実施されている海岸保全事業の進捗状況を踏まえる必要が当然ございますし、また、それをもとにいろいろと地形との関係を踏まえてどういうような形で整備計画を固めていったらいいか、これを今年度から現地の測量を含めてまとめてまいりたいと思っております。  道路の規格は、スピードを速く通れるだけではございません。安全であるということも規格の重要な要件でございます。そういう意味で検討をしていくわけでございますが、この百五十号は、先ほど拝見させていただきました五十七年の十号台風、これによって決壊して、こういう厳しい越波等のある条件だということは承知いたしております。したがって、こういう海岸保全事業道路事業を一緒にやるという意味で、今まで以上に、単にそれぞれの事業がそれぞれで全力を尽くすという形ではなくて、一緒に全力を尽くすというようなこともこれから工夫の必要なところではなかろうかと思っております。  いずれにいたしましても、ここはもう一本、静岡清水大規模自転車道、こういうものもございます。大勢の人方がここに集まってまいります。昨年二回ほど、ここでは交通規制が行われております。八月でございましたかと九月と、二回にわたってここは通れなくなっております。そういうこともございますので、せっかく大勢の方々が来られたのに安心して通れないようでは、全国に名を広めたシーサイドラインとしての役割が果たせないわけでございますので、そういう意味も含めて、第二東名、第一東名といったような大きな物と人が動くラインとあわせて、人がゆっくり走れたとしても楽しめるラインとしてのこの路線の安全性を高めるために、これから関係者とも一層知恵を絞ってまいりたいと思っております。
  199. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか、今おっしゃられた河川道路局長の御努力によってすばらしいシーサイドラインができますように、あそこには全国に名の知れた、まあ家康さん以来ですけれども、久能のイチゴというすばらしい特産品もございますので、全国の皆さんが楽しく親しめるような地域にしていただきたいと心からお願いをいたしておきます。  その次の問題に参りますけれども河川局長そこからちょっと参りますと、いわゆる歌にも歌われた羽衣の松、三保の海岸に行くわけでございます。あそこは白砂青松ということが言われまして、万葉の時代から非常に有名なところでもありますし、日本の六カ所の名勝の松がかかっておりますが、一番古く大正十五年に名勝の指定をされたところでもございます。私は、三保の海岸というのは、決して地域文化財ではなくて、これから後世の人々に、今生きる我々がきちんとした形で残しておかなければならない大事な海岸であり、松の木であろうと思うのであります。私は文化庁に対して、あの松の木が、当初十二万本とも九万本とも言われておりますのが、現在は四万本近くに減っております、昔の面影は今いずこです、これを何とかしなさいと文化庁を督励して、海岸線の保護育成をしっかり言わせているのですが、松の保護育成も、これはきょう、あすにできるわけではございません。五十年、百年、三百年と、ようやく昔に返るか返られないかという大事なことでございます。  この白砂という砂浜も、さっき局長がおっしゃられたように、だんだん静岡海岸から蛇塚、増を通って駒越へそして三保の海岸へと汀線の後退が始まっているわけです。しかしあそこには、地びきをなりわいとしている漁業者の方もいらっしゃいますので、いろいろな工法でおやりになると思うのです。先ほどもちょっとお話ししましたけれども、いろいろな工法の中に、ヘッドランドだとか養浜工という事業があるわけでございます。特に一部の専門家の中には、ヘッドランドや何かだけでは砂の絶対量が、河川からの供給が少なくなっていると思われます、ですから、養浜工事を数万立米で入れていかないとあの三保の海岸の保存ということも大変でしょうという御意見も私承っております。  しかし私は、専門家でございませんので、これは河川局長の方が御専門のお立場でございますので、養浜あるいはヘッドランドを入れていかに砂の流れというものを最も好ましい形にするかは、一にかかって建設省の御努力にかかるわけでございまして、私がお願いしたいのは、どうかこの三保の海岸を、あの歌に歌われたような、子供にとって夢とロマンがあって、そこに昔は天女が舞いおりたという物語があったんだということを思い起こさせるようなきれいな砂浜にしていただきたい。あそこに建設省は、コースタル・コミュニティー・ゾーンとして親水性のリゾートを築こう、人間がそこへ集まって文化と出会い、あるいは自然と出会い、あるいは歴史と出会って新しいときめきをそこで感ずると思うのです。これは建設省も、海辺の触れ合い、こういう表現を使っていらっしゃいますけれども、私はやはりこういう砂浜と松と、そこに文化があり、伝説が息づくようなレジャーリゾートをつくっていただきたいと思うのです。  それにふさわしいようなリゾートをつくると同時に、私は海浜の養生というのか、砂を供給しながらこの三保ノ松原のあるべき海岸保全をやって いただきたいと思うわけでございますが、特に海岸については海水浴場を一生懸命守ってきた方もいらっしゃるはずです。ですから、海水浴場の皆さん努力も無にしないようなことを考えながらすばらしい地域を築いていただきたいと思いますが、河川局長と建設経済局長の御意見を伺いたい。
  200. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 清水海岸の中ではこの三保真崎地区というのは大変風光明媚な地域でございますし、そういう特性を生かしまして海岸保全事業にも努めてまいりたいと考えておるところでございます。後ほど答弁があると思いますが、コースタル・コミュニティー・ゾーン整備計画の中にも海岸事業として参画いたしまして、美しい海岸づくりに努めておるところでございます。  その中には養浜工というものもあるわけでございますが、これは基本的には安全な安定した海岸づくりとなることが必要でございますし、そういう意味では単に養浜工のみならず、ヘッドランドあるいは離岸堤その他のいろいろな工法を組み合わせつつ、静穏で安全で安定した海岸づくりができるような場をつくり、その中で地域がこの海辺と触れ合いの場ができるように努力してまいりたいと考えております。
  201. 鈴木政徳

    鈴木(政)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、この地区は三保半島と羽衣伝説の郷をテーマにしまして、「海と羽衣伝説の郷」をテーマとしたCCZとして昭和六十三年度に認定をさせていただきました。これまでお話のございましたように、当該地域文化庁の名勝指定地でもございますし、また日本平県立自然公園内の地域でもございまして、既存の松原と、これから私ども建設省事業をいろいろここに集中いたしまして、海辺の触れ合いゾーンですか、このテーマどおりに人がレクリエーション地区として楽しめる地区を一生懸命やっていきたいと思っております。
  202. 薮仲義彦

    薮仲委員 河川局長にちょっと確認でお伺いしたいのですけれども、今申し上げた三保の真崎の海岸は、あそこに外港防波堤を運輸省がつくっているわけです。あそこに小型船舶航行のために二百五十メーターの水路があけてあるわけです。この二百五十メーターの水路が干満のときにちょうど川のようになるわけですね。ですから海辺が洗われたのです。そのことによって、砂浜ではなくて砂利浜になっているわけです。今CCZをかけて海水浴場をやっているその海の真ん前が、砂浜が砂でなくて砂利浜になってしまった。ですからやはり、今まで市はそこに市の予算で砂を入れていたのです。これでは非常に少ないものですからもたない。やはりこの砂浜の養生のためには、本格的な養浜事業というものがなければならない。これについて建設省は、三保半島全体の養浜にどういう形で砂を供給していくか。  また、申し上げましたように、あそこで海水浴場組合の皆さん方が努力していらっしゃる。今その地域の問題でいろいろ苦慮していらっしゃる。全体計画の中で、やはりその方々のなりわいも、本当に守ってきた生活を、人生を支えていくような思いやりのある行政を考えていただきたいと思いますが、その辺、重ねて河川局長の答弁をお願いします。
  203. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 おっしゃるとおり、砂浜から砂利浜になったということで、その原因にはいろんなものが考えられると思います。また養浜工というのは、砂を人工的に戻すという意味では大変有効な手段だと思います。ただ、これはいわば輸血みたいなものでございますから、輸血した後に健康な体にならなければ意味がないわけでございますので、基本的には今後、侵食機構等解明するための漂砂調査等を地元で実施していると聞いておりますので、これらの結果を待ちつつ、安全で安定な海岸をつくり出すのにどういう工法が有効かということを早く見出して、そのために有効な対策をとっていくということが基本だろうと思っております。  それから、この地域内において、三保真崎海水浴場観光事業協同組合の資材小屋が国有地内にあるということでございますが、これらについても関係者と十分調整を図るよう、地元静岡県を指導してまいりたいと考えております。
  204. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかこの海岸侵食が、基礎調査、いろんな経験や技術を駆使してすばらしい海岸になりますように、重ねてお願いをして次の質問に移らせていただきます。  これは、ちょうどこういう委員会で質問するのが私にとって最後になると思いますので、進捗状況を確認させていただきたい、そういう意味で質問させていただきますけれども、前の建設委員会で私は、台風シーズンまでに何とか国民の家庭のテレビに、全国の御家庭のテレビに災害情報をアクセスできないか。特に、前にも申し上げましたように、台風でとうとい人命が失われるのは、一つは土砂災害です。もう一つは堤防越波、いわゆる洪水により人命が失われるというこの二つのケースが大きなケースです。そこで、何とか河川情報を国民の皆様にわかりやすく提供していただけないか。私は前にも言いましたけれども、ちょうど十二時からのNHKのテレビ放送というのは、一つの静止画像の中で音楽が流れているわけでございますが、あそこの中で、私はやはり河川のすばらしい情報を流してほしいということを申し上げました。  全国の情報がなぜ必要か。あの台風十九号のときにありましたように、早い的確な情報は被害を最小限に食いとめたわけです。ですから、早い的確な情報を流すということで全国の情報が流れれば、今、九州地方かな四国かな、あるいは東海かなということで、自分の地域がこれかなという用意をするわけです。ですから全国の情報も必要であり、地域の情報もあってほしいと思っております。その後、河川局ではいろいろ御努力なさって、これはちょっと大臣に渡していただけますか。委員長、よろしゅうございますか。
  205. 桜井新

    桜井委員長 はい。
  206. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは河川局の方で御努力をなさって、春先の雪崩、地すべりに備えるということで富山県、山形県、長野県、新潟県ですばらしい情報を流してくださいました。私は、これは大変その御努力を多といたします。こういうことが一歩一歩進んで、ことしの台風シーズンに少しでも前進した形になるように、最後に郵政省並びに建設省の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  207. 長澤幸一郎

    ○長澤説明員 放送を通じまして防災情報を提供するということにつきましては、昨年五月以降、関係省庁等による打ち合わせを繰り返し開催しておりまして、先月も六日に開催しております。視聴者に有益でわかりやすい情報を出したいというふうに考えておりまして、関係機関で勉強しておりますが、なかなかわかりやすくて有益というものを一朝一夕につくり出すということはできないわけでございまして、現在、建設省中心といたしまして、いろいろ熱心に御検討いただいているというふうに承知をしております。  昨年は、先生からのアドバイスなどもいただきながら、実験的な形ではございますけれども、一部情報を提供するということをしたわけでございますが、ことしも台風シーズンまでに何とか一定の形、進捗ができますように、郵政省といたしましても関係機関の御協力をいただきながら精いっぱい努力していきたい、かように考えております。
  208. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 国民生命財産を守るために治水施設の整備が基本ではございますが、一方で、災害時において的確な河川情報、土砂災害に関する情報をお伝えして警戒避難体制に資するということも極めて重要な問題だと認識しておりまして、この点につきましては、たびたび先生から御指導いただいていることに深く敬意を表するわけでございます。  前回、二月二十日の建設委員会におきまして先生から御指摘いただいた後、関係省庁とも連携を図りつつ、河川水位情報については静岡県と富山県をモデル地域といたしまして、提供画面についてNHKの支局等と調整を進め、県内の一級河川主要地点における水位の状況をあらわす県全域の 一覧図、それからそれぞれの主要地点における水位を河川横断図に表示した地点水位図、また水位の時間的変化をあらわした地点水位履歴図の三種類の画面について、今年の出水期に提供できるよう努めておるところでございます。全国的な問題というのもございますが、まずモデル地域における情報提供の効果を見極めつつ、今後関係機関と十分連携を図りつつ検討してまいりたいと考えております。  また、土砂災害情報につきましては、ただいま資料を先生から御提示あったわけでございますが、去る三月にNHK富山放送局から「地すべりに備える」というテーマで、春先の融雪期に集中する地すべり災害の防災上の注意点について放送をしていただいたところでございます。今後も国民の防災意識の高揚に資するためにも、河川情報、土砂災害情報について的確に国民に届くように関係機関と協議を進めて、努力してまいりたいと考えております。
  209. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わりますが、最後に大臣、いろいろ申し上げました。大臣考え一言聞いて終わりたいと思います。
  210. 大塚雄司

    大塚国務大臣 海岸の問題を初め、示唆に富んだ御指摘をいただきました。特に最後の災害情報につきましては、まさに情報によってとうとい生命が救われることはもうしばしばでございますから、御意見を体しまして、関係省庁との協議をしてできるだけ努力をしてみたい、このように思います。ありがとうございました。
  211. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。ありがとうございました。
  212. 桜井新

    桜井委員長 薮仲義彦君の質疑を終了します。  次に、辻第一君。
  213. 辻第一

    ○辻(第)委員 高規格堤防についてお伺いをいたします。  まず、高規格堤防の整備の目的についてお答えをいただきたい。
  214. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 高規格堤防は、昭和六十二年度から実施している事業でございますが、背後地に人口、資産等が高密度に集積した低平地を抱える大河川において、計画高水流量を超える洪水による破堤に伴う甚大な被害を回避することを目的として築造する堤防でございます。
  215. 辻第一

    ○辻(第)委員 大都市地域河川において超過洪水にも耐え得る堤防の建設というのは、本当に必要なことだというふうに思います。この堤防は、盛り土部分の所有権関係はもとのままとする点が従来の堤防と違うわけでございます。当然その地権者の同意、納得、合意が必要なことは言うまでもないと思うのですが、明確にお答えをいただきたいと思います。
  216. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 高規格堤防の整備につきましては、地権者等の理解と協力が不可欠でございます。事業実施に当たりましては、地元自治体の協力を得つつ、高規格堤防整備事業の御理解、御協力を得るよう積極的に進めていきたいと考えております。
  217. 辻第一

    ○辻(第)委員 ちょっと表現の違いがあると思うのですが、地権者の同意、合意が本当に必要だというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。  高規格堤防整備事業を実施中の河川、利根川、江戸川、淀川など、いずれも河川周辺に市街地が形成をされている河川でございます。その一定部分は土地区画整理事業など市街地再開発と一体的に行われるものと思いますが、高規格堤防の整備に当たって、当面は合意のできた地点から整備が進むとしても、将来整備が進んだ時点で、残された区間で関係住民の意向を無視するといいましょうか、そういう形で都市計画決定で事業が強制されることを心配する声がございます。現に、都市計画事業等で零細地権者、住民の権利が損なわれている事例もございます。再開発と一体的に行われる場合においても、地域の実情に即して、地域住民との合意の上で進めることは当然というふうに思いますが、いかがですか。
  218. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 もとより、地権者の御理解があって初めて成立する事業でございます。したがって、高規格堤防の整備に当たっては、地権者の理解が得られるよう十分PR、説明を行っていきたいと考えております。ただ、どうしても理解を得られない地権者がいる場合にということでございますが、まず、当該地域全体の整備は行えないまでも、全体の整備に支障を生じない限り、地域の実情に応じましてあるいは段階的に部分的な整備を行うことも必要であろうと考えております。  なお、高規格堤防は一連として整備することが不可欠でございますので、整備状況に応じて、今後さまざまなケースが考えられると思いますが、関係地方自治体の協力を得ながら、また零細地権者というお話もありましたが、こういう皆さんの御理解も得られるよう努力してまいりたいと考えております。
  219. 辻第一

    ○辻(第)委員 高規格堤防の整備に当たって、堤防の幅を高さの三十倍にするというふうに聞いております。堤高が七メートルですと約二百メートルですね。九メートルですと二百七十メートルですか。そういうことで、最終的には一律的に二百メートルから三百メートル幅の整備ということになるのでしょうか。  またあわせて具体的に、江戸川では利根川分岐点から河口まで約百六キロメートルで整備事業が進められているようですが、堤防の幅はどのくらいになる計画か、お尋ねいたします。
  220. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 高規格堤防は、その堤防の上を通常の利用に供しても超過洪水による破堤を防止できるという観点から、越水及び浸透に対して十分な堤体の幅と厚みを持つ構造として設定することにしておりまして、一応堤防の高さの約三十倍程度の幅で整備することが必要であると考えております。  江戸川における堤防の高さは、地点、地点で実情が違いますが、低いところは五メーターから高いところは十一メーター程度になります。この幅は、計算いたしますと、場所によって百五十メーターから三百三十メーター程度になると考えております。
  221. 辻第一

    ○辻(第)委員 江戸川沿いの葛飾区、有名な柴又帝釈天のあるところでありますが、そこで山本工場の跡で、今あれはどういうことになるのでしょうか、スーパー堤防を目指して部分的にやっておられるのか。私、ゆうべ実はちょっと見てきたのですけれども、そのあたりうろうろしてきたのですけれども、やられておりますね。今はその譲り渡された地点ですね、工場の跡地の範囲での計画範囲でやられているというふうに見ているのですが、現在の江戸川のあのあたりの堤防高は、私の認識では七・三三メートル、計画の堤防高は九メートルというふうに聞いているのです、これは合っているかどうかなんですが。そうしますと、三十倍にしますと大体二百十メートルから二百七十メートルになるんですね。  一つは、そうなりますと柴又帝釈天、ここのところの真ん中ぐらいで二百メートルになるんでしょうか。それで、二百七十メートルということになりますと、もう本堂などがきっちり入ってしまうということになるんですね。こういうこともあるんですね。今後、住民の皆さん方の合意というようなことがあって、具体的に事業が広がった場合に、こういうような歴史的建造物や史跡をどのようにされるのか、いろいろ難しい大事な問題であろうというふうに思うわけでございます。その点、どういうふうにされていくのかということですね。これは一例でございますが、一般的にこういう歴史的な建造物、史跡に対してはどのようにしていかれるのかなということが一点ですね。  それから、このことで現地の住民の方が大変な御心配をされておるわけですね。殊に、昨年いろいろ御心配があって、建設省や区の方とも御一緒に話し合いというのですか説明会というようなものも開かれているわけですね。住宅がたくさんございますね。その範囲二百メートルとか二百七十ということになりますと、もうたくさん住宅にかかるわけであります。それから道路の問題とか、いろいろ道路がありますね。都道というのです か、その堤防の横を走ったりしておりますし、いろいろなことがあるので難しい問題もあるようでありますが、あのあたりに住んでおられる方にとっては大変な御心配、あるいはもう絶対そんなことは許せぬというそういうようなお考えの方もおられるようでありますし、あるいは、そんな言うてもこんなものはなかなか僕らがうんと言わへんのやったらできへんというようなことで落ちついておる方もおられるようであります。いろいろな悩みがあるようでございます。  また、その御指摘の中には、建設省は本当に住民に理解を得る、合意を得る、そういうことに対する姿勢が十分でないのではないかというような御批判もあるわけですね。先ほどの山本工場跡、そこは地権者の合意が得られているわけでありますから、そこから進められておるとも言えないことはないのですね。合意のあったところからスーパー堤防を目指してつくられていると言っていいではないか、こういうふうにも思うのですね。そうすると、先ほど来申し上げておりますように、その周辺部の居住者は大変な心配があるわけであります。そして、地権者の了解が得られたからそこはすぐ盛り土ということではなく、周辺住民の意向も十分尊重して事に当たられるべきではないか。繰り返すようでありますが、いかがですか。
  222. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 今お話のあった件は東京都葛飾区の柴又地区でございますが、私どもの現在まで把握している限りにおきましては、この付近は堤防も七メーターを若干切っておるようでございますし、付近の微妙な地盤の高さ等の関係もありまして、話題の柴又帝釈天については対象とはならないと考えております。(発言する者あり)
  223. 桜井新

    桜井委員長 お静かに願います。
  224. 近藤徹

    ○近藤(徹)政府委員 それから、昨年いろいろありました件では、この盛り土にかかわる都道のつけかえ等に関しまして、地域皆さんから道路がいろいろ生活環境に影響があるのではないかということの御懸念があったと聞いておりまして、この関係につきましては区役所担当者等と十分説明し、地域の周辺住民にも御説明して御理解をいただき、現在つけかえ工事中だと聞いております。  また同時に、この柴又公園構想計画等を含めて地域整備計画等についても、地元の皆さんと一緒になって検討しておるところでございまして、この整備によって、地域は治水上も安全にして一段といい町づくりができることを期待している次第でございます。
  225. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、建設大臣お尋ねをして、終わりたいと思います。  超過洪水に耐え得る堤防整備が必要だということは、高規格堤防は長期的な治水対策として本当に重要なものでございます。今回の河川法改正が、新たな盛り土部分に限って河川法の規制を緩和をし、地権者の権利を保護するものであり、必要な改正であり賛成できるものでございます。  同時に、質問の中でも繰り返してきたようでございますが、住民の意向を無視して事業が進められることがあってはならない、このように思います。高規格堤防を押しつけることなく、地域の実情に即して、住民の合意のもとに行っていただきたいと強く要望するわけでありますが、この点について大臣の御所見を伺って、終わります。
  226. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先ほど来の御論議にもお答えをしてまいりましたように、この治水の目的を持ちましたスーパー堤防でありますが、あわせてその地域の町づくりにも資するという観点もございますので、どちらを優先するというのではなく、もちろん治水が目的でありますけれども、当然この事業をやりますためには地域の住民の皆様方の御協力がなければできないことでありますから、当然のことながら住民の方々の御意向を尊重しながら、地方公共団体と力を合わせまして目的を達成してまいりたい、このように考えております。
  227. 桜井新

    桜井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  228. 桜井新

    桜井委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  河川法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  229. 桜井新

    桜井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  230. 桜井新

    桜井委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、木村守男君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党及び民社党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。木間章君。
  231. 木間章

    ○木間委員 ただいま議題となりました河川法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党及び民社党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     河川法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 高規格堤防の整備に当たっては、当該事業の実施により一時的に移転を要する住民の意向を十分に配慮し、その推進に努めること。  二 高規格堤防の整備においては、緑地空間を確保するとともに、親水施設の設置に努めること。  三 高規格堤防の整備に当たっては、地方公共団体の意見を尊重し、協力体制の確保に努めること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  232. 桜井新

    桜井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  233. 桜井新

    桜井委員長 起立総員。よって、木村守男君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大塚建設大臣
  234. 大塚雄司

    大塚国務大臣 河川法の一部を改正する法律案につきましては、大変に御熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  235. 桜井新

    桜井委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  237. 桜井新

    桜井委員長 次に、内閣提出参議院送付、下 水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。大塚建設大臣。     ─────────────  下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  238. 大塚雄司

    大塚国務大臣 ただいま議題となりました下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  下水道は、良好な生活環境を確保するとともに公共用水域の水質を保全するために必要不可欠な公共施設として広くその整備が望まれており、政府におきましても、これまで六次にわたる下水道整備五カ年計画を策定し、積極的にその整備の推進を図ってきたところであります。  その結果、我が国下水道の普及率は、平成二年度末で約四四%に達する見込みでありますが、いまだ国民要望に十分にこたえるには至っていない状況にあります。  このため、良好な生活環境の確保を図り、真に豊かな国民生活実現に資するとともに、公共用水域の水質の汚濁を防止するため、下水道整備を推進することは、現下の急務であります。  このような状況にかんがみ、下水道の緊急かつ計画的な整備を促進するため、現行の第六次下水道整備五カ年計画に引き続き、平成三年度を初年度とする第七次下水道整備五カ年計画を策定することとした次第であります。  以上が、この法律案を提出する理由でありますが、次にその要旨を申し上げます。  建設大臣は、平成三年度を初年度とする下水道整備五カ年計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないことといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  239. 桜井新

    桜井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。      ────◇─────
  240. 桜井新

    桜井委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  住宅に関する件、住宅都市整備公団の家賃変更申請に関する問題調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十四分散会