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薮仲委員 きょうは結論だけ言っておきますけれ
ども、これは
大臣、いわゆる公共が、さっき
住宅局長がお答えいただいた公共が、借地もしくは借り上げ方式で
建設費補助等
住宅対策補助を入れればできるのです。しかし、民間が、
建設省が目的とするいわゆる年収の一五%もしくは二〇%の家賃で提供することができるかといったら、今の
地価高騰の折には東京圏ではできないのです。これはもう
大臣は
土地の御専門でございますから私はあえて申し上げませんけれ
ども。
こうなってまいりますと、この借地・借家法の何が問題かというと、これは
建設省の
平成二年六月二十二日の「経済社会の発展に対応したゆとりある住生活を実現するための
住宅・
宅地政策についての答申」、これは
住宅宅地審議会の答申ですね。ここに借地・借家法の見直しが書いてあるのです。「
土地税制や借地借家
関係の
制度的枠組みを」ここからです大事なのは、「
住宅・
宅地供給に寄与することとなるように改善していくことが重要である。」これは、今のあれでいきますと、
住宅宅地供給を民間がやろうとしてもできないのです。やれば何百万という家賃を取らなければできないのです。しかも、これは
平成三年一月二十五日の閣議決定の
総合土地政策推進要綱の中でも「借地・借家法の見直し」「
土地のより適正な利用及び優良な
賃貸住宅の
供給をも考慮して、」とあるのです。優良ということは、これは永井
審議官も、我々がやるときには公共だけではありません、民間も同じところでとらえて、これやりますと。そうなりますと、「優良な
賃貸住宅の
供給をも考慮して、」と言いますけれ
ども、これは高くて民間が
賃貸住宅を提供できないのです。ですから私は、この借地・借家法の
改正ということを十分慎重にやっていただきたいと思うのです。
なぜ私が言うかというと、選挙が終わって帰ってきまして、国会図書館に社会面でこの借地・借家法をどういう書き方をしているかというのをざっともらったのです。こういう書き方なんですよ。まず、法務
大臣がこの
法案提案のときにわざわざ説明して「「既契約除外」を明記」、わざわざ法務
大臣が記者会見でこんな説明するなどというのはおかしいのですよ。しかもこれに対して各紙がどういうとらえ方したか、きょうは時間ありませんから見出しだけ読みます。「貸主の権利強化盛る 定期借地権を創設」あるいは「膨らむ一途の立ち退き料 「正当事由」で一方通告も」、「正当事由に立ち退き料 紛争の増加招くか」、「定期借地権で
供給ふえるか 懐疑的
意見が大半」、「
土地対策に有効か 利用
促進は疑問視も」、「借地・借家法
改正案の波紋 貸し借り
バランスとったというが 高額になる?値上げ幅 借地人が攻められる」、「「今なら立ち退き料が…」
首都圏近郊で攻勢 早くも暗躍する”地上げ屋” 零細貸主側にも悩み」、「”追い出し”の不安いっぱい ある日突然、
土地売られ 風体よくない男が」、「
理由正当なら「立ち退き」 気の毒な「高齢化世帯」」、ずっと書いてあるのです。
それで
大臣、その中の
一つだけ私、読みますけれ
ども、これは読売新聞ですから、読売新聞がまさかいいかげんな記事を書いてあるわけじゃないのです。
「正当事由」に「
土地の利用
状況」を加えたことなどについては、「今まで判例で認められて来たものを具体的に列記したに過ぎない」という。
これは法務省民事局です。
しかし、実際には、要綱試案が公表された
平成元年以降、
首都圏では、高齢の借地、借家人に対し、地主側が建物の老朽化や
土地の高度利用を
理由に、明け渡しの調停を求めるケースが多発している。中には、代行の不動産業者などが「
改正されれば、そのまま住めなくなるんだよ」と、誤った説明をしているケースもある。
また、昨年からは、
法改正を見越し、今まで地主側がなかなか勝てなかった、他に行き所のない高齢の借地人に対しても、
土地明け渡しの訴えが出されるケースが増えている。「より影響力を強めるため、うちは簡裁でなく、地裁へ訴えることにしている」という地主もいるほどだ。
こうした
状況に法務省側も最近になって、「高齢者などが追い出される可能性は残る」(民事局参事官室)と説明を変え始め、地主側の攻勢についても「誤った説明をしないようPRを徹底する」という。
だが、こうした動きは予想されたこと。
改正が十分な
意味と効果を持つためにも、「これらの高齢借地、借家人が安心して入れる安い公営
住宅の受け皿作りが不可欠」という
指摘は、同省によると、
改正を決めた法務省の法制
審議会民法部会のメンバーの座談の席で出ていたという。
同部会には、こうした
住宅政策を担う当の
建設省が、幹事として出席していたが、試案以後、
改正に伴う老人世帯の動向についてのシミュレーションなどは行われていず、対応策は遅れている。逆に、
改正問題を担当して来た
住宅局では「法務省が「一切、影響は出ない」といったから、こちらも
対策を考えていなかった。それを今になって、追い出される可能性があるというのは、おかしい」と弁明する。
この新聞記事が全部正しいなどと私は言わないのです。ただ、今ざあっと読み上げたように、マスコミが、法務省が借地借家法と言った途端に、
一つもこれを好ましい方向で受けとめていない。これはやはり慎重でなければならないし、このことは私は非常に懸念しておるのです。
特に、今高齢者に対してと言ったのですが、これは
大臣も東京都ですから、東京都の政策を調べて、私、
大臣に申し上げます。「東京都
住宅政策懇談会報告」です。「生活の豊かさを実感できる住まいをめざして」、東京都がやったものですね。これは
大臣も御承知だと思うのです。ここの中で一番何が問題になっているか。影響を受けるのは高齢者なんです。高齢者が最も影響を受けるのです。きょう資料はやめますけれ
ども、このところだけ読みます。「居住継続の支援 高齢者世帯や障害者世帯は定住の希望が高いといわれるが、民間
賃貸住宅に入居している高齢単身世帯についてみると、最近五年間で住居を移転した世帯の比率が三割を超える。」というのですよ。「移転
理由も、「立退き要求のため」が他の
理由を大きく引き離し第一位であり、居住の不安定性がうかがわれる。」東京で一番困っているのは、お年寄りが三割なんですよ。ここに東京都の
住宅実態調査を私、持っていますから、これは
大臣も御承知だと思うのですけれ
ども、この数字から私が申し上げているように、一番影響を受けているのはお年寄りなんです。
こういう問題を考えますと、だったら私は、高齢者が入れるような
住宅対策や公営
住宅や――一番直近の
住宅宅地審議会の
大都市圏における
住宅対策はどうあるべきか、これは
平成三年三月二十五日の
大臣に対する答申です。ここの中に、
住宅宅地の提供に借地・借家なんというのは一行も書いてないのですよ。大
都市において、今
土地を借りて家を建てて商売になるということはないのです。ですから、この問題についてはパブリックの立場では
必要性を認めなくても、やはり良質で低廉な
住宅を提供するということについては、法務でおやりになる借地借家法のときには、これは
委員長にもお願いしておきますけれ
ども、私は
理事会で、連合審査をやっていただきたい。
建設委員
の我々の
意見もきっちりやってもらわないと心配でございます。
最後に、
大臣の御
答弁を聞いて終わります。