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薮仲委員 大臣はたまたま
東京でございますので、
東京の将来の町づくりあるいは今問題になっております副都心の問題とかに、だんだん
東京を中心にちょっと
都市計画に焦点を移したいと思うのでございますが、
大臣に、これも
大臣はもう
東京のことはよく御存じですから、これからのあり方として御意見を承りたいのです。
私も、「
東京の新生 —二十一世紀社会の
東京都心— 首都機能調査研究会報告」という
東京都のこの研究を読んでみました。私はこの中に、今問題となってくる
都市計画であるとか都市構造とか、いろいろなことが集約されているような気がするわけです。
この冒頭、第一章に、「
一極集中の是正と分散型社会の
形成」「二十一世紀社会における
東京の
基本的性格」、二十一世紀、
東京はどういう性格を持つべきだろうか。「
東京の三つの顔」、
一つは
東京は生活都市であります、それから首都であります、三つ目は世界都市という三つの顔を持っております、これは将来ともに大きく変わることはないでしょうと。これは、私もそうだと思うのです。
その次に、先ほど来
都市計画の中で生活ということを言いましたけれ
ども、これは
大臣にさっき、
都市計画の中で住居系をというお願いをいたしました。この中でやはり同じような指摘があるもので、私は読み上げてみたいと思うのですが、
都市はまず、何よりもそこに人が住んでいなければならない。生活者が居ることの最も大きな意味は、そのことによって、その
地域の文化が存続し、かつ創造されることである。
東京都心部には江戸時代以来の生活文化があり、それは博物館のなかにある文化とは性格が異なり、日々生成する文化である。また新たにそこに住む人々が創造する最先端の都市文化は、
東京の
東京らしさを創造するものであろう。そうした
大都市の文化にはもちろん企業文化もある。しかし、世界の人々がニューヨークやパリに固有の文化の存在を認めるのは、それがニューヨークやパリの住民によって生み出されたものであるからであり、そこに立地する企業の事務所から生まれたものではないからであろう。
これは、やはり都市というのは人がいなきゃだめだ、そこに住んでいる人が、パリの住民がパリの文化を、そしてニューヨークの文化をつくったんだろう。人がいない都市というのは文化が育ちません。私は、まさに都市というのは人がいてほしい、
東京に人が住めなくなるような
住宅政策だけは
大塚大臣のときには絶対あってほしくない。
また、「都心部における
人口流出が居住機能の喪失を意味するのであれば、その
地域の基礎的自治体である特別区は存立の基盤を失いかねないという問題も生じる。」「都心部の居住
人口回復は今後の大きな
課題である。業務機能の都心周辺への際限のない浸み出しを断ち切り、良好な
居住環境をしっかりと確保できる職と住のバランスのとれた都市構造を」つくりたい。やはり職と住がこの
東京にバランスしてほしい、この指摘も私は非常に感銘深く受けたわけです。
さらに、ここも私は非常にすばらしいと思うのですが、「都市の健全な発展のためには、」「そこに働く人、そこを訪れる人、そこに住む人すべての生活が十全に展開されてはじめて「まち」といえるのであり、世界都市といえ
どもその活力を生みだすのは、そびえたつ高層ビルではなく、そこで生活し、働いている人々にほかならないからである。世界に誇れる都市として、住みやすく働きやすい環境をつくるためには、都心部に集中・集積する業務機能を再編成し、都市構造をバランスよく組み替える必要がある。」こういう指摘もあるのですね。
それから、これも非常に大事だ。この辺、私は去年から都市の成長管理、成長管理ということをずっといろいろなところで、
委員会でも
質問しましたけれ
ども、その成長管理ということが私は大事だと思うのですが、同じような指摘がここでもあるのです。「都心部の都市基盤は、道路、公園、鉄道など、比較的高
水準に
整備されているが、こうした都市機能の
水準を維持しつつ都心機能の高次化を進める必要がある。そのためには、
地域によっては民間の都市機能更新の動きを全体的にコントロールして業務機能の総量の抑制を図り、都市基盤への過度の負荷が掛からないよう
計画的に
整備を進めていくことが必要である。」例えば下水処理であるとかごみであるとか、この都市基盤に
人口が過度に集中しますとオーバーフローするわけですね。この辺のこの総量の抑制ということもこれからは
東京都では必要なのかな、そういう指摘ですね。「そこでの
計画原理は無秩序な業務機能の立地規制であり、都市アメニティの向上と居住機能の保全が
基本にすえられなければならない。」すなわち、職住のバランスをとりつつ、新しい都市をつくっていかなければならない。そして、この都市機能のあり方でここにあるのは、非常に大事だと思ったのは、「従来の建築自由を原則として規制を例外とする考え方を逆転させる必要がある。」とか、あるいはダウンゾーニングの話とか、いろいろなことが出てくるのです。
しかし、最後にちょっとここのところは私は非常に大事だと思うので、
大臣にお願いしたいのは、やはり都市というのはもっといろいろな意味で大事だと思うのですけれ
ども、このことは私は非常に重要だと思うのです。「世界都市として
形成されるべき都心部において、今後一層重視しなければならないのは文化機能の維持と
拡大である。」「本来それら文化の担い手は、都民である。しかし今日の
状況では、行政が積極的にかかわらなければ、その維持・
拡大を
実現し難い場面も多多ある。」「都心部には、江戸以来、そこに住む人人によって、継承されてきた伝統文化がある。これらの伝統的な江戸、下町文化の継承は、居住機能の維持と表裏一体である。
地価の
高騰や業務機能の無秩序で際限のない進出によって居住機能が失われることは、居住
人口のみならず、伝統的な生活文化がこの
地域からなくなることをも意味する。また、日本橋・神田・築地などに住み続けてきた人々によって受け継がれてきた江戸・
東京文化の名残りを絶やすことは、単に
一つの伝統的な価値を失うにとどまらず、今日の
東京文化の重要な一角を崩すことにもなる」という指摘があるのです。
事ほどさように、私は、この
都市計画というのは本気になって
大臣がつくっていただく。そこに文化も栄え、すばらしい町ができる。人が住み、文化が育ち、業務系と居住系とのバランスをどうするか。やはり私は、ここで言うように、業務系だけが際限なく入ってくるということについては、何らかの管理をしなければならないんじゃないか。これはもう
大臣も先刻御承知の海外の例を言うまでもなく、例えばロサンゼルスなどは、浄化槽の能力が間に合いませんといえばビルの総量規制をしましょうとか、このような形で考えなければならない。
そうなってきますと、後ほど
質問いたしますけれ
ども、ビルの林立する
東京副都心なんというのももう一度考えていただかなければ困るかなという考えはあるのですが、やはり私は、
東京に江戸の庶民文化が栄え、人が住んで
本当に快適な
東京をつくっていただきたい。そのための
一つは、成長管理だと思うのです。この物すごい成長のエネルギーを、
国土庁長官は国会移転ということで、ガス抜きと言ったら悪いですけれ
ども、エネルギーをよそへ持っていきましょう、分都、展都、いろいろな形でやるのも
一つの方法です。同じように私は、
都市計画の中でその成長を適当に抑制する。どんどん成長すれば生活がクォリティーになるんじゃなくて、ある
程度の適正な管理の中に質のよさが出てくるように思えてならないのですが、
大臣のお考え、いかがでしょう。