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1991-03-06 第120回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月六日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 桜井  新君    理事 金子 一義君 理事 木村 守男君    理事 北村 直人君 理事 笹川  堯君    理事 渡海紀三朗君 理事 木間  章君    理事 三野 優美君 理事 吉井 光照君       遠藤 武彦君    金子原二郎君       塩谷  立君    島村 宜伸君       高橋 一郎君    武村 正義君       東家 嘉幸君    中島  衛君       野田  実君    山口 俊一君       山本 有二君    石井  智君       上野 建一君    鈴木喜久子君       松本  龍君    目黒吉之助君       山内  弘君    伏木 和雄君       薮仲 義彦君    辻  第一君       菅原喜重郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 大塚 雄司君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 西田  司君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       八木橋惇夫君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁土地局次         長         兼内閣審議官  鎭西 迪雄君         国土庁大都市圏         整備局長    斎藤  衛君         法務大臣官房審         議官      永井 紀昭君         建設大臣官房長 望月 薫雄君         建設省建設経済         局長      鈴木 政徳君         建設省都市局長 市川 一朗君         建設省住宅局長 立石  真君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      林  正和君         農林水産省経済         局農業協同組合         課長      堀越 孝良君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     森永 正彬君         農林水産省構造         改善局計画部地         域計画課長   芳田 誠一君         自治省財政局地         方債課長    嶋津  昭君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  片山 正夫君         建設委員会調査         室長      吉沢 奎介君     ───────────── 委員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   石井  智君     新村 勝雄君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     石井  智君 同月二十七日  辞任         補欠選任   石井  智君     嶋崎  譲君 同日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     石井  智君 三月六日  辞任         補欠選任   瓦   力君     山口 俊一君   貴志 八郎君     目黒吉之助君 同日  辞任         補欠選任   山口 俊一君     瓦   力君   目黒吉之助君     貴志 八郎君     ───────────── 二月二十五日  生産緑地法の一部を改正する法律案内閣提出第五三号)  道路法及び駐車場法の一部を改正する法律案内閣提出第五四号)  下水道整備緊急措置法の一部を改正する法律案内閣提出第五六号)(予) 同月二十六日  精神薄弱児・者に対する有料道路通行料金障害者割引の適用に関する請願山本拓紹介)(第一四三五号)  同(上田哲紹介)(第一五二四号)  同(小野信一紹介)(第一五二五号)  同(片岡武司紹介)(第一六〇〇号)  同(金子一義紹介)(第一六〇一号)  同(金子徳之介紹介)(第一六〇二号)  同(河村建夫紹介)(第一六〇三号)  同(瓦力紹介)(第一六〇四号)  同(北村直人紹介)(第一六〇五号)  同(久間章生紹介)(第一六〇六号)  同(倉田栄喜紹介)(第一六〇七号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一六〇八号)  同(住博司紹介)(第一六〇九号)  同(田辺広雄紹介)(第一六一〇号)  同(近岡理一郎紹介)(第一六一一号)  同(長勢甚遠君紹介)(第一六一二号)  同(畑英次郎紹介)(第一六一三号)  同(増子輝彦紹介)(第一六一四号)  同(松田岩夫紹介)(第一六一五号)  同(宮路和明紹介)(第一六一六号)  同(村田吉隆紹介)(第一六一七号)  同(山本有二紹介)(第一六一八号)  公共下水道事業における管渠整備国庫補助対象範囲拡大に関する請願中島衛紹介)(第一五九六号)  公共事業予算拡大に関する請願中島衛紹介)(第一五九七号)  公共投資拡大による財政対策充実に関する請願中島衛紹介)(第一五九八号)  道路予算拡大に関する請願中島衛紹介)(第一五九九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農住組合法の一部を改正する法律案内閣提出第一四号)  農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第二一号)  特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第二二号)  都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)      ────◇─────
  2. 桜井新

    桜井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農住組合法の一部を改正する法律案農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案及び特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事片山正夫君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 桜井新

    桜井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩谷立君。
  5. 塩谷立

    塩谷委員 本日上程されました農住法等の一部改正案法律について、質問をしたいと思います。  我が国世界有数経済大国となって久しいわけであります。しかしながら、本当にそうなのであろうかという疑問がわくほど経済大国の名にふさわしくないさまざまな状況があるわけでありまして、特に生活環境の貧弱さが目につくわけであります。したがって、住宅社会資本充実が最重要課題であり、本当の意味で豊かな、潤いのある生活環境整備建設行政の本質であるということは言うまでもありません。  そこで、住宅政策についてでありますが、私も長い間東京サラリーマン生活をしておりまして、狭い賃貸住宅に住んでおって、いずれは家を持ちたいと購入計画を立てたりしましておったわけですが、あの異常な土地高騰により、また私自身の稼ぎも余りなかったこともありますけれども、時がたつにつれて実現可能性も薄くなって、結局は夢で終わっているわけであります。やはりサラリーマンあるいは庶民がせめて自分の家を持つ、計画的に手に入れたい、そのような社会環境をつくり出す政策を実行していくことが必要であると思います。その政策については今まで以上に大変な期待がされているわけでありますが、まず建設大臣に、平成三年度から第六期住宅建設五カ年計画策定に当たっての御所見をお伺いしたいと思います。あわせて計画概要もお伺いしたいと思います。
  6. 大塚雄司

    大塚国務大臣 お話しのとおり、国民我が国経済力にふさわしい豊かさを実感できる住生活実現することは我が国の最大の課題でございますし、海部内閣内政の最重要課題ということで取り組んでまいる決意であります。特に、ことしは住宅五カ年計画のスタートに当たるわけでございますし、また、日米構造協議を踏まえて、住宅平均床面積は一九九五年、五年後には一戸当たり九十五平米を実現するべく、総住宅建設戸数も七百三十万戸、そして、そのうち三百七十万戸は公的資金による住宅建設ということで五カ年計画策定をいたしまして、総合的な住宅政策を進めよう、こういう決意でおるわけであります。  その実現のためには、地価の安定や、また良質の住宅をつくるための建設労働者確保等々問題は多いわけでありますが、国民の皆様の期待にこたえられるように、全力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。
  7. 立石真

    立石政府委員 第六期住宅建設五カ年計画概要についてお答えいたします。  第六期の住宅建設五カ年計画におきましては、まず居住水準につきましては平成十二年、西暦二〇〇〇年におきまして全国半数世帯が、そしてさらに、その後できるだけ早期にすべての都市圏半数世帯誘導居住水準を達成すること。第二に、平成七年度、一九九五年、大臣から御答弁ございましたが、住宅一戸当たり平均床面積を約九十五平方メートルとすること。そして第三に、最低居住水準につきましては、すべての世帯が確保すべき水準として、特に大都市地域での最低居住水準未満世帯の解消に努めるということを目標としたいと考えております。また、この計画期間中におきまして、総住宅建設戸数七百三十万戸と見込みます。また、公的資金による住宅建設戸数といたしましては、三百七十万戸の建設を行いたいと考えております。  さらに、計画の実施に当たりましては、四点の重点課題を設定していきたいと考えております。その第一は、良質な住宅ストック及び良好な住環境の形成でございます。第二に、大都市地域住宅対策、第三に、高齢化社会への対応、第四に、地域活性化等に資する良好な居住環境形成、この四点を重点課題としていきたいと考えているところでございます。
  8. 塩谷立

    塩谷委員 ただいま大臣の御答弁にもありましたように、住宅社会資本充実等に関しましては、これを推進していくために重要なポイント土地問題であるということであります。最近、東京などは若干下がったということも聞いておりますが、大都市周辺部あるいは地方においてはまだまだ上昇傾向にあると思います。  そこで、国土庁長官に改めて、土地問題に取り組む決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。あわせて、諸施策計画、実行していく上で、当然地価動向見通しを立てていると思いますので、これから先地価がどのように推移していくかということをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  9. 西田司

    西田国務大臣 先ほど委員お話の中にも、私も住宅を持ちたい、その夢がかなえられない、こういうお話がございましたが、これは広く国民皆さん方が持っておられる願望でございまして、この夢を奪ったということは、今回の地価高騰、まことに重大なことだと考えておるわけであります。それと同時に、資産格差が広がっていくものでございますから、皆さん方不公平感を持っておられる、このことも大変大きなポイントだと思うわけであります。そして、経済大国経済大国と言われるわけでございますけれども国民皆さん方本当の豊かさの実感というものを持っておられない、こういうこと等を考えますと、当面地価対策ということは極めて重要な内政上の課題でございまして、政府を挙げて取り組んでおるところでございます。  このために、今回の地価高騰につきましては、従来から監視区域制度というものを十分に活用してまいりますし、住宅宅地供給策、こういうことを進めてまいりました。また、一極集中を是正して多極分散型、こういうことが言われておるわけでございますけれども大都市からの機能分散、特に東京からの機能分散ということをどうやっていくかということに現在取り組んでおるわけでございます。  去る一月の二十五日、委員も御存じのように総合土地政策推進要綱というものをつくりまして、これからの土地対策地価対策、そういうものの指針を閣議決定したところでございます。この内容につきましては、まず第一点として土地神話というものをなくしていこう、打ち破っていこうということ。それから、適正な地価水準というものに引き下げていかなければいけない。あわせて建設省ともいろいろな御協力をしながら、有効に高度に土地が利用できる、こういう政策というものを進めていこう、一層強力な展開を図っていこうという基本姿勢で取り組んでおります。
  10. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 最近の地価動向について御報告申し上げます。  実は、本年一月一日現在の地価公示を現在鋭意集計しておりますので、具体的な数字で御報告申し上げる段階にはございませんが、都道府県あるいは不動産鑑定士等の情報を総合いたしますと、昨年秋ごろから総じて鎮静化方向に向かっておるわけです。  やや具体的に申し上げますと、東京圏では東京都、神奈川県あたりが横ばいでありまして、地域によっては、わずかでございますが下落に転じている地域が出てきております。また、昨年極めて異常な高騰を示しました大阪圏では、秋から各地で急速に鎮静化が進んでおりまして、マイナスの状況を示しております。ただ、大都市圏周辺部地方都市ではまだ依然としてかなりの上昇を続けておるところがございまして、鎮静化に向かっておるとはいえ、まだ予断を許せる段階ではない、そういうふうに判断しております。  私どもとしましては、できるだけ地方に波及しつつあります地価高騰早期鎮静化させるとともに、大都市圏で一部下落の兆候を示しております地価の趨勢をさらに引き続き適正な水準に引き下げていく、そういう方向で努力してまいりたいと考えております。
  11. 塩谷立

    塩谷委員 さて、最初に申し上げましたように、私も自分自身の経験で家を持つという夢が果たせないでいるわけですが、大都市地域における住宅宅地問題について、この全般的な計画といいますか宅地対策に対する計画をお伺いしたい。特に、従来から問題でありました市街化区域内農地宅地化の問題についてどのように考えているか、お伺いしたいと思います。
  12. 鈴木政徳

    鈴木(政)政府委員 大都市地域におきまして住宅宅地供給促進を図ることは極めて重要な課題でございますが、宅地に関していいますと、近年停滞ぎみといいますか横ばいに推移してきているところでございます。このような状況に対処するために、さきの通常国会におきましていわゆる大都市法改正していただきまして、三大都市圏において、国が住宅宅地供給基本方針を、そして関係都府県供給基本計画を立てるということになっております。現在、国の基本方針につきましては今月中を目途に、そして地方公共団体供給計画につきましては六月を目途策定していただきますように、地方公共団体と打ち合わせをしているところでございます。そして、今後国と地方公共団体がこの共通の目標に基づいて、一体となりまして計画的、総合的に住宅宅地供給を進めていくことにしているところでございます。  具体的には、低・未利用地有効利用、それから市街化区域内農地計画的な宅地化、さらにニュータウン、新市街地開発を総合的に展開するということを基本に今後政策を進めてまいりますが、そのほかには、公的な宅地開発を前倒しに執行する、あるいは優良な民間宅地についても積極的に推進する、宅地開発交通アクセス整備を一体的に推進する、さらには地方公共団体におきます開発抑制方針転換地方公共団体に要請していくというようなことを、総合的に実施していかなければならないと考えているところでございます。そうした政策をさらに実効あらしめるために、ただいま御審議いただいております農住法案を含めまして、所要措置につきまして今後とも拡充、活用していかなければならないと考えているところでございます。  特に、その中での市街化区域内農地宅地化をどう進めるかという問題でございますが、市街化区域内農地が一定の緑地機能を有している一方で、やはり住宅宅地供給対策を進める上で極めて重要な空間であることはもちろんでございます。市街化区域内農地につきましては、平成四年末までに都市計画におきまして保全するものと宅地化するものとに明確に区分いたしまして、宅地化するものについては計画的な宅地化を図ることを基本として、今後施策を展開していくことにしているところでございます。  このために、保全する農地につきましては、生産緑地地区の指定あるいは線引きの見直し等によりまして適切に保全するとともに、宅地化する農地につきましては土地区画整理事業地区計画、さらには住宅地高度利用地区計画制度等を積極的に活用する必要があると考えております。このような都市計画上の制度とあわせまして、平成四年度以降宅地化する農地につきましては、税制を見直す一方、計画的な宅地化及び優良な賃貸住宅供給へ誘導するために、御審議いただいております三法案を含めまして所要措置を活用していきたいと考えておるところでございます。  なお、農地所有者自身土地を有効に利用しまして賃貸住宅等供給に充てていただくための支援体制整備も現在進めているところでございまして、こうしたことを含めて計画的な宅地化推進してまいる所存でございます。
  13. 塩谷立

    塩谷委員 市街化区域内の農地宅地化について、きょう上程されている農住組合法、これについて、まずは法律概要といいますか、それとこの法律は昭和五十六年から施行されて既に十年たつわけでありますが、これによっての具体的な実績といいますものをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  14. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 農住組合法の目的は、三大都市圏市街化区域内農地所有者が自主的な意思によりまして協同して、当面営農継続する農地とあわせて、住宅地の造成あるいは賃貸住宅等建設管理を行っていこうという組織設置法であります。五十六年に施行されましてから現在までに十五の農住組合が設立されておりまして、現在事業活動を行っております。また、現に準備中のもの、構想中のものも相当ございます。  これら十五農住組合において、現在までに約七十五ヘクタールの土地区画整理事業が実施されておりますが、賃貸住宅等五百戸程度供給されております。この七十五ヘクタールの最終的な住宅建設は、大体二千戸程度かというふうに予定しております。実績は必ずしも多くないわけでありますが、法改正を機に、さらに積極的にこの事業推進してまいりたいと考えております。
  15. 塩谷立

    塩谷委員 十年間で十五というのは、今御答弁にありましたように少ないと思います。これは見込みどおりであったのか、あるいは、いずれにしても見込み違いなのかわかりませんが、この少ない理由ですね。この法律の意図するところはまだ達成されてないと思いますし、大都市地域問題等も解消されてないと思いますので、その実績の少ない理由、それと今回改正ポイントですね。今までの十年間の実績を踏まえた改正になると思いますので、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 お答えいたします。  実績が十五組合にとどまった理由でありますが、一つには、長期営農継続農地制度がその後設けられまして、この制度のもとではあえて農地所有者が協同して計画的な土地利用転換を行うというインセンティブを与えるに至らなかった、足を引っ張るような結果になったのではないかというふうに考えております。  それといま一つは、農住組合制度に対する私どもの普及啓蒙なり、あるいは支援体制にも不十分なところがあったのではないかと反省しております。県市町村あるいは農協等連携をとりながら、これまでも会議あるいは研修会等の開催を通じて努力はしてまいりましたが、結果がそういう数にとどまっておりますので、この点は反省しなければならないというふうに考えております。  今回の農住組合法改正ポイントでございますが、一つは、この農住組合法に基づく組合設立認可申請期限法施行の日から十年間とされておりまして、その期限がこの五月十九日に参りますので、期限を十年間延長し、平成十三年五月十九日までとしていただきたいというのが一点であります。  第二点は、対象地域拡大でございまして、現在、農住組合を設立することができる地域首都圏近畿圏及び中部圏既成市街地近郊整備地帯都市整備区域、そういった都心から五、六十キロ圏に限られておりますが、さらに都市開発区域を加えることと、道府県庁所在の市及び人口二十五万以上の市も加えて、地方部人口が増加し住宅需給が逼迫しておるような地域でも、この組合事業をやれるようにしていただきたい。  その他、市街化区域農地の定義や農地利用規約に係る要件等についても、所要見直しをさせていただきたいと考えております。
  17. 塩谷立

    塩谷委員 今、改正概要を聞いたわけですが、この改正によってこれからまた十年間の予定、大体の見込みを見ていると思うのですが、現在、例えば東京圏で今市街化区域内農地がどの程度あって、この農住法の関連によってそれをどの程度宅地化を考えているのか、そこら辺の見通しをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  18. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 全国に十五万ヘクタールぐらいの市街化区域農地があるかと思います。そのうち、東京圏が三万四千ヘクタール程度であったと記憶しておりますが、今回の法改正によりまして対象地域を広げていただきますので、十五万ヘクタールのうち大体七万五千ヘクタールが一応農住組合事業を実施し得る地域というふうに考えております。  その中で、農住組合事業をどれだけ見込んでいくのかという御質問かと思いますが、現在まで十年間で十五組合ですから余り大きなことも言えないわけですが、ただ、そういう全国主要都市でもできるという改正をしていただいた暁には、大体そういった主要都市でも二年に一組合ぐらいは実施していきたい。また、三大都市圏では、より住宅需給が逼迫しておるところでございますので、各県一組合ぐらい。そうしますと、十年間で大体三百組合ぐらいが見込めるわけでございます。これまでの実績を見ましても、平均組合五ヘクタールの事業規模を有しておりますので、宅地供給はごく大ざっぱに申しますと千ヘクタールぐらいを目標とすべきかなというふうに考えております。
  19. 塩谷立

    塩谷委員 市街化区域内の農地宅地化について、今回の三法の改正等、今後その推進を進めていくわけでありますが、先ほども答弁にありましたように、やはりもっと広くこういった法律を知らせる必要があると思いますし、あるいは細かい指導とかそういうものが必要だと思います。そういう点で、具体的にこれからの推進の方策、それがあると思いますので、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  20. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 農住組合制度につきましては、今回の農住組合法改正及び関係制度もいろいろ改善する方向で努力されておりますので、そういう手法を使いながら、さらに積極的に推進を図っていこうと考えております。  また、具体的には、確かに援助、支援体制強化ということが重要でありますので、農協系統組織の御協力を得ながら国、公共団体における連絡体制指導体制強化を図りつつ、農住組合制度普及啓発対策、これは平成三年度予算におきまして新たに三千万円の予算要求もさしていただいておりますので、そういった対策費も有効に活用しながら、農家への普及啓発の徹底を図ってまいりたいと考えております。  特に、国では国土庁建設省、農水省等相協力して、連携を一層強化したいと考えておりますし、公共団体に対する連携も今まで以上に工夫を凝らし、強化してまいる所存でございます。
  21. 塩谷立

    塩谷委員 今、農水省との関連もちょっとお話ありましたが、過去においては、この市街化区域内の農地宅地化ということは大変農民あるいは農協から強い反発があったわけでありますが、今回のこの法案については農水省も当然所管でありまして、この農水省の連携あるいは農協等の取り組み方、これをお伺いしたいと思います。
  22. 堀越孝良

    ○堀越説明員 農住組合の設立につきましては、農家が協同して農地宅地化しようという合意ができます場合には円滑に進むわけでございますけれども、問題は、いかにして農家の合意を形成していくかということにあろうかと存じます。したがいまして、私どもといたしますと、農協が農家の合意形成を図っていくべきだ。このために、農協が農家の合意形成を図り、町づくりのマスタープランをつくりますための予算を今お願いをしておるところでございます。  今後、この予算大都市近郊農協土地利用調整円滑化推進事業と申しますけれども、この事業ども活用いたしながら、国土庁建設省とも十分連携をとりながら、宅地化すべき農地宅地化に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  23. 塩谷立

    塩谷委員 もう時間が迫ってきましたので、最後にちょっと全般的なお話をお伺いしたいのですが、両大臣にお願いしたいと思います。  建設・国土行政において一極集中から多極分散、国土の均衡ある発展ということが大きな課題でありますが、その中で、今回の農地宅地化というような大都市地域土地問題あるいは住宅宅地問題等の環境整備施策も大変重点が置かれているわけであります。これももちろん大切でありますが、これによってさらに一極集中が進んでくる、そういうようなことも考えられます。そういう意味では、大都市圏政策地方振興というもの、このバランスをどういうふうにとっていくのか、これが非常に大切なところだと思います。そういう意味で、やはり一極集中から多極分散というのは最終的な我々の、本当に豊かな国土形成を図るために必要なことでありますので、大都市地方振興のバランスのとり方というものをぜひともお伺いしたいと思います。
  24. 大塚雄司

    大塚国務大臣 お話のとおり、大都市地域の都市環境整備一極集中から多極分散型の国土形成との整合性については、御心配の御趣旨はよくわかります。  東京一極集中を是正しまして多極分散型の国土を形成するためには、都市産業機能を、いわゆる東京圏以外の地域にも移転を積極的にやっていく、そして高度の都市機能の集積を地方に図っていく必要がある。そしてまた一方で、東京圏の中におきましても、東京圏の中でいわゆる都心地域人口の空洞化を是正するために、都心地域での住宅供給やあるいは周辺の市街化区域内農地宅地化によって供給をし、さらにまた市街化調整区域内の中でも計画的な住宅供給をやる。バランスのとれた住宅政策を進めていくことによりまして、お話しの多極分散型の国土形成、国土の均衡ある発展という形につなげていくことができるものと確信をいたしておるところでございます。
  25. 西田司

    西田国務大臣 四全総の中で、一極集中を是正して多極分散型の国土を形成していこうということは、これはもう国土行政の憲法みたいなものでございまして、このことを踏まえまして、例えば交通体系の整備であるとか、通信、情報、そういうものの基盤を現在整備しておるところでございます。こういうことと相まちまして、例えばテクノポリス法、頭脳立地法、そのほかいろいろな法律がございますけれども、そういうものを活用しながら地方産業というものをどのように健全で活力のあるものに育てていくか、こういうことに今、意を注いでおるわけでございます。ただ、このことは国の行政だけでできるものではございませんで、地方地域の主導を待たなければいけないわけでございます。こういうことと国の行政とが一体になって、実現を図っていかなければいけないと思います。  委員御指摘のように、国土行政はバランスがとれていかなければいけない、全くそのとおりでございまして、一方では過密状態というものを地方へ分散させ、それからまた東京大都市圏というものは、住みよい、また新しい時代に向かっての活力、機能というものを待ち合わせた都市をつくっていかなければいけない、こういうことを基本認識として取り組んでおるところでございます。
  26. 塩谷立

    塩谷委員 終わります。ありがとうございました。
  27. 桜井新

    桜井委員長 石井智君。
  28. 石井智

    石井(智)委員 ただいま上程をされております農住組合法外三件について、御質問をさせていただきたいと思います。いずれも市街化区域内農地宅地化促進、こういう点で共通をしておりますので、関連する事項等それぞれありますから、それぞれ相前後して質問をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず、農住組合法を審議するに当たりまして、その前提となる都市計画がきちんとできているかどうかがやはり最も重要な事項ではないかというふうに思うわけです。そこでまず、市街化区域内農地についてどういうビジョンを持っておられるのかということをお聞かせいただきたいと思います。そしてまた、市街化区域といっても首都圏とそれ以外のところではいささか異なってくるのだろう、こういうふうに思うわけでございますけれども、それぞれについての未来像をお聞かせを賜れたらと思います。どうぞよろしくお願いします。
  29. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 市街化区域農地土地利用の基本的な考え方でございますが、近年、大都市地域を中心といたしましていわゆる住宅宅地需給の逼迫という状況がございまして、御案内のとおり地価高騰といったような状況がございます背景におきましては、やはり市街化区域内農地につきまして、積極的に住宅宅地供給の促進という観点から政策を進めていく必要があるというふうに私どもまず思っておるわけでございます。しかしながら、一方におきまして市街化区域内の市街化の進行も相当に進んでおりまして、例えば市街化区域内農地の現在の賦存量でございますが、生産緑地制度ができました当時と比べてみますと、東京都区部ではもう既に農地は半分に減少しておるといったような状況から、現在ある農地は都市の良好な生活環境の確保の上からむしろ非常に貴重な存在なのではないかというふうな指摘もあるわけでございまして、こうした両面の要請に都市計画としてこたえていかなければならないと私どもは思っておるところでございます。  翻って現状を見ました場合に、市街化区域内農地都市計画上の区分が果たしてしっかりとされておるかどうかということにつきましては、若干じくじたるものがあるわけでございまして、いろんな御議論の中で、この際、市街化区域内農地につきまして関連の制度もある程度改めるという観点も含めまして、今後計画的に宅地化するものと保全するものとを都市計画としてしっかりと明確化するという政策が必要であるということで、政府が定めました総合土地対策要綱でも位置づけられたわけでございます。私どもは、大都市地域市街化区域内農地につきましては、そのような観点で取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。  また、全国市街化区域におきましてもそういったような問題はいろいろあるわけでございますが、大都市地域ほど深刻ではないにいたしましても、それぞれの都市におきまして住宅宅地供給問題あるいは市街化の整備課題等いろいろ抱えておりますから、恐らく具体的なテーマといたしましては、都市ごとにいろいろときめ細かい配慮が必要かと思います。  ただいま大都市地域において考えておりますことを申し上げたわけでございますが、大筋におきましてはその線に沿いましてそれぞれの地方公共団体において配慮し、政策を展開していくことが妥当なのではないかと思っておる次第でございます。
  30. 石井智

    石井(智)委員 市街化区域、十年以内に優先的にかつ計画的に市街化を図っていこう、こういう精神のもとにこの法律が運用されていくのだろうというふうに思いますけれども、今市街化区域内の農地は大体半分くらいもう進んでいる、こういうお話でございました。この計画を実行する、この計画によって今後十年以内にその比率というものはどれぐらいになって、今考えておられる対象の区域では何%ぐらいそのことが進行できるでしょうか。
  31. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 先ほど東京都区部におきます農地の減少状況につきまして御報告申し上げた次第でございますが、今後どのようなペースで市街化が進んでいくかという観点につきましては、御指摘がございましたように、そもそも市街化区域はおよそ十年間で計画的な市街化を図っていくという目的から設定された制度でございますが、現実にはかなり期間がかかって徐々に市街化が進んでいるというのが実態でございます。  私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、市街化区域内農地につきましては、農地を持っておられる方の意向も尊重しながら保全するものと宅地化するものとを仕分けいたしまして、それで保全するものにつきましては、かなり長期間農地として保全していくことを今後積極的に評価していこうという考え方に立った政策展開を考えておりますので、農地宅地化がどのくらい進むかということにつきましては、ある程度これまでのペースからしますと、それは加速されるという状況よりは、仕分けはきちっとなされまして、今後のトータルとしての宅地の必要量につきましては、市街化区域、市街化調整区域の線引きの見直しも含めまして総合的に対応していく必要があるというふうに考えている次第でございます。したがいまして、農地がどのくらいのペースでどれくらいの割合で宅地化していくかということにつきましては、まだ必ずしも十分な試算ができていないわけでございますが、大ざっぱにいきますと、大体これまでのペースがより速まるということはないのではないかというような見通しを持っておる次第でございます。
  32. 鈴木政徳

    鈴木(政)政府委員 ちょっと補足をさしていただきたいと存じます。  東京圏だけについて私ども考えておりますところを御説明さしていただきますが、平成元年時点で約三万三千ヘクタールの市街化区域内農地がございます。今後十年間で、西暦二〇〇〇年までにどの程度住宅宅地が必要かという観点から、そしてそのために総合的な施策をいろいろかみ合わせて施行していく、そういうことによりまして今後十年間に約三分の一、現在約三万三千ヘクタールございますが、そのうちの八千ヘクタール程度を何とか宅地化できるのではないかというふうに現在見込んでいるところでございます。
  33. 石井智

    石井(智)委員 市街化区域内の農地について将来どういう方向へ持っていくのか、土地利用の仕方についてやはり明確なものが示されない限り、そしてまた、それが揺るぎないものでなければならないというふうに思うわけです。どんな政策もどんな法律も、国民の理解がやはり得られない限りは実効性は上がらない、こういうふうに思うわけです。  とりあえず市街化区域内農地についてお尋ねをしたわけですけれども、根本的にはやはり国土利用計画を具体的な形で明示すべきではないのでしょうか。そして都市計画についても、現行法の枠にとらわれることなく、将来の法改正も含んだ中でのある程度長期的な計画を立てて未来図をつくるべきではないかというふうに思うわけです。もちろんそれは、実現されるものとしての裏づけが必要であるということは言うまでもありませんが、いかがでしょうか、どういうものかをわかりやすい形で示すことはできませんか。
  34. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 十分なお答えになるかどうかちょっとあれでございますが、今後市街化区域内農地に焦点を当てまして、計画的な市街化を図っていくという観点で私ども考えております基本的な物の考え方といたしましては、やはりトータルとして都市が非常に快適で住みよい都市でなければならないというふうな基本的な視点に立っておるわけでございまして、そのためには必要な住宅宅地が確保されなければなりませんし、その前提としての都市基盤施設の整備も進まなければならない。一方で、緑あるいはオープンスペースといったものも確保されなければならないといったような観点から、生産緑地制度その他をいろいろと見直しまして、現在いろいろな政策展開の中で今国会にも法改正等いろいろお願いしておるところでございますが、国土の全体的な発展過程の中で、大都市地域地方都市との均衡ある発展、その他のいろいろな状況の中でこういった問題がスムーズに展開されるように、私どもといたしましては、先ほど大臣も御答弁いたしましたように、バランスのとれた国土利用、均衡ある発展を図っていくという観点から進めてまいりたい、基本的にはそういうふうに思っておる次第でございます。
  35. 石井智

    石井(智)委員 そういうことなんでしょうけれども、さらに具体的にというのか、例えば都市計画の内容について、きょうはもう市街化農地という限定の範囲の中ですからあれですけれども、それをもう一つ大きく国土利用という立場から、そして都市計画という立場から物事をとらまえる中でそのことが一つ一つ具体化をされて、そして国民がそのことを理解をして協力をしていただく、こういう状況がやはり必要なのではないかな、こういうふうに思っているわけです。  都市計画という立場からいけば、土地利用と社会資本整備というのがマッチングされて形づくられなければならない。土地利用は、現在、日本の土地利用の範囲というのかゾーンの設定の仕方と いうのか、地域地区制というのですか、第一種住専とかいろいろ八種類ほどあると思うのですけれども、その中できちっと整理をされて今運用されている部分といえば第一種、せめて二種の範囲、そして工業地域という範囲がそのことの目的だけに利用をされて、あとの五種類というのは枠としながらいろいろなことが混在をしていって、結局所によっては住宅政策だけが置いてきぼりを食って締め出しを食っていく、こういう形に今までやはりなってきたのではないかなというふうに私は思いますけれども、その辺の状況を、今の大枠で設定をするときに全国一律の状態というものが必要なのかどうかという今の区割りの仕方、それはやはり地方自治体それぞれのその実情に合った設定の仕方というものがより弾力的にあってもいいのではないかな、こういうような気がするのですけれども、いかがですか。     〔委員長退席、笹川委員長代理着席〕
  36. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 日本列島三十七万平方キロにつきまして、どういったような国土利用計画を前提とし、都市整備を進めていくかという観点からの御質問かと思いますが、都市におきまして都市計画を進める場合に、今私ども都市計画法で線引き制度を持っておるわけでございますが、まずこの線引き制度につきましては、主として大都市地域を中心とした制度ということで、かなり地方都市まで対象にはなっておりますが、基本的考え方は、人口、産業等が集中するおそれのある都市とそうでない都市とを分けまして、そのおそれのある都市につきましては線引き制度を適用する。その線引き制度におきましては、その都市の将来人口を想定いたしまして、その人口フレームに従いまして必要な市街地の面積を想定いたしまして、それを市街化区域と設定し、残りは市街化調整区域ということで当分抑制的に行う。  その市街化区域と設定されたところにつきましては用途地域制度を設けて、現在、御指摘のように八種類あるわけでございますが、そのうち第一種、第二種の住居専用地域と工業専用地域、これはかなり特化されておりますが、それ以外のところはわりかし混在型であるというのは、我が国土地利用の現況にやや沿った制度であるためにそういうふうになったわけでございますが、大筋そういうようになっておるわけでございまして、まず、大都市を中心とするそういう大きな都市とそれ以外の都市とでは、そういった線引き制度のあるなしという一つの違いがあるわけでございます。  次に、線引き制度が適用されたところでの土地利用計画のあり方といたしまして、用途地域等が全国一律ではないかという観点からのお尋ねでございますが、それにつきましては、将来の人口フレームの設定によりまして、相当の規模の人口の集中が見込まれる都市とそうでない都市とでは、現実の土地利用計画は詳細に比較いたしますと大分違ってきておることは事実でございます。ただ、用途地域制度そのものは全国ほぼ一律に適用されていることになっておりますから、その用途地域の設定の仕方はちょっと全国一律的過ぎるのではないかというような御指摘につきましては、法制度といたしましては、例えば特別用途地区とかそういうのがございまして、それぞれの都市の特性に応じて、個性に応じた設定の仕方ができるようにはなっておりますけれども、やや画一的ではないかという御指摘に対しまして、いや絶対画一的ではございませんと言い切るだけの自信のない現状であろうかなと思っておる次第でございます。
  37. 石井智

    石井(智)委員 今いろいろと御説明をいただいたわけでございますけれども、このゾーン制度というのですか、地域地区制というのか、区割り制度というのか、この土地利用の指定そのものが非常に現在何となく束縛をされる、拘束をされながら、そのくせこの町づくりというものがどうなるのかというイメージが住民にはわかないというのか、その辺がやはりもっと市街地像というのか、そういうものを住民全体がイメージ化できる状態までしていく必要があるのではないかな、こういう気がするわけですけれども、ひとつそういう点で御検討いただきたいというふうに思います。  ついでですから、社会資本整備の問題にも少し触れさせていただきたいと思いますが、住宅問題を論議するのに住宅だけ取り上げても片手落ち、こういう気がいたします。人が住むということは、それぞれ道路や交通機関が必要になりますし、公園も必要であります。ところが、これらの整備水準は、常に指摘されているように欧米に比べますと非常に大きな立ちおくれを来しておる、こういうふうに思うわけです。  例えば丸ノ内、銀座、日本橋といったところの都心部の道路は大体二五から三〇%の比率を占めておりますけれども、これについては一応の水準にあるのではないかというふうに思います。しかし、副都心というと、新宿で一九%、その他の地域は一五%、大崎地区に至っては一二%の道路の率でしかない。しかも、副都心は既定の計画実現をしても道路率が上昇する度合いが極めて小さい、こういうふうにされているわけでございます。  さらに、東京都区部の一般の既成市街地の道路整備状況はというともっと深刻でありまして、しっかりした街区の形成もされていないというのが実情ではないでしょうか。道路が四メートルにも満たないという狭隘なところがあるわけでございます。青山通りを行きますと、しゃれたオフィスビルが立ち並んでおります。高級ブティックやレストランが客を集めているわけですけれども、若者のファッションの町として活気にあふれておりますけれども、ここだって幹線道路から一歩入ると、狭隘な道路に入り組んだ低層の密集市街地形成しておる、こういう状況にあるのではないかなというふうに思います。そういう点で、道路のおくれが土地有効利用を大きく阻害しておる、こういうふうに思うわけです。  そういう点で、容積率の見直しについてまた別途議論をしたいと思いますけれども、少なくとも指定容積率を活用することができない現状が今日の東京のいろいろな問題を醸し出しているのではないかな、こういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  38. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 現在、東京都心部あるいは副都心、都区部等の状況につきましてお話がございましたけれども、それらの状況の中で、容積率との関係におきまして一番大きなテーマの一つが、やはり街路整備が進んでおらないということのために、前面道路との関係で考え方が整理されております容積率の概念からいたしますと、御指摘のように必ずしも十分な容積率が活用されないような実態が生じておることは事実でございます。  私どもといたしましては、そういった問題を解決するために、まず基本的にはやはり街路整備を中心といたしました都市基盤施設の整備が第一課題であるということで取り組んでおるわけでございますが、あわせまして、土地有効利用を進めるという観点から、いろいろな形で容積率が高められるような制度の提案あるいは施策の展開を行っているわけでございます。  既に御案内と思いますが、昭和六十三年度には再開発地区計画制度というものを設けさせていただきました。それから、昨年には用途別容積型地区計画制度というものも設けさせていただいております。そのほかに、総合設計あるいは特定街区というような形から、やや特定の区域に限りまして一定の公共施設の整備と相まちました場合には、周辺に比べまして、あるいは現在の用途地域で定まっておりますその場における容積率よりも、ボーナス的に容積率を上積みできるような制度もいろいろつくってございまして、それらを活用することによって土地有効利用を進めていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
  39. 石井智

    石井(智)委員 今そういう方向でのいろいろな方策も考えておられるということでありましたし、手も打たれているということであろうと思い ます。しかし、まだ実現可能容積と指定容積との幅には大きなギャップがあるわけです。そういう点では、やはり道路整備というものを真っ向から、今の既存のスタイルではなくして、新しく容積率をより有効あらしめ、そして都市機能が有効になるための道路計画というのかそういう街路計画というのか、そういうところへの思い切った英断が必要な時期に来ているのではないかな、こういう気がいたします。それから逃がれるために、今あいている農地を利用しようという形にこの市街化農地の問題に目がいって、ひとつ本願からそらしていこうとしているのではないかなという気がしてならないわけですけれども、それはそれなりにまた利用するということは必要なのだろうと思います。  都心の三区、これは大臣の選挙区になるわけですけれども大臣にとっても非常にこの市街化の土地の問題というのは深刻な状態にあられるのだろうと思います。ここで人口の流出というものが非常に大きな状態で進んでおりますね。そのことは、やはり住宅問題が原因なわけなんでしょうけれども、都心の中に住宅が確保できなくて、すべて住宅がオフィスにかわっていっているところ、そのあたりの状況もあるのでしょうけれども、そういう状況の中から今までの市街地開発、いろいろな面から、あわせて人口の流出というものについてどのように考えておられて、住宅供給はどういう見通しをお持ちになっておられましょうか。特に、都心の三区の大臣の選挙区あたりは、いろいろ大臣として構想しておられるのだろうと思います。いかがでしょうか。
  40. 大塚雄司

    大塚国務大臣 都心部の基盤整備のおくれの状況お話しをいただき、都心における住宅供給にお触れをいただきまして大変にありがたく思っております。  仰せのとおり、近年急速に業務施設が集中をした結果もございまして、いわゆる都心部における住宅が外に追い出される、速度を増して大変な人口の減少であります。このバランスをともかくつくり直すことが非常に大きな課題でございますから、先ほど局長からお話をしましたように、用途別容積型地区計画制度であるとかあるいは再開発地区計画制度であるとか、こういうものをフルに使いまして既成の容積率を割り増す方策を考え、あわせて公共施設の整備も進めながら思い切った住宅政策を進めていく。実際にまだ都心にはそういうことができる土地はあるわけでありますから、そのようなことで土地を有効に使うということを真剣にやっていく。  もちろん、総合的な住宅政策としては、市街化区域農地につきましても宅地化を進めるということは大事なことでありますが、それと並んで、都心区における住宅供給に力点を置いていこう。そのためにも、いわゆる経済社会の変動に伴う都市計画がどうあったらいいかということを、一月に私から都市計画中央審議会にも諮問をいたしまして、そういう手だてでもう少ししっかり見直していこう、こういう努力も今いたしておるところでございまして、全力で取り組んでまいる決意でございます。
  41. 石井智

    石井(智)委員 住民がこれほどの勢いで減少をしていく、こういうことは、今日まで必要だったものがその地域にとって非常にお荷物になってきている、こういう分野も非常に多いのだろうというふうに思うわけですけれども、その一番いい例が学校ではないかなというふうに思います。就学児童数が非常に減っていまして、小学校が統廃合をしなければならぬ。それに伴って地域の環境に大きな変化を来して、そのくせ住民が全部いなくなったわけではありませんから、なおそこには児童がいるわけです。その児童というのは、統廃合の結果、一番不自由な状態というのか、都心の中で、文化のレベルの一番高い東京で、小学校の子供が過疎地の小学校へ行っているような感覚というのか、そういう逆の作用というのも非常に出てきておるわけですね。  そういうところからいくと、住宅だけを論じるというのではなくして、地域一つの形態そのものを総合的に考えていく。それにはやはり、その地域にはどれだけの住宅が、昼間の人口はこれくらい想定をする、夜の人口はこれくらい想定する、そういうプランを持ってその地域計画というものをつくり上げないと、結果的には、何か必要だと思ってしたけれども、十年後にはこれが無用の長物になる、こんなことの繰り返しが今までなされてきたのではないかなというような気がしてならないのですけれども、そういう点では、地域的に全体の未来像を、こういう未来の市街化計画をつくり上げていくのだ、そういう都市計画をつくり上げるのだ、そういうものが今必要なのではないかな。特に、これくらいテンポの速い東京においては、そのことを先見していくというか先行していく、そのことが必要なのではないかなというふうに思うわけですが、そういう点での適正人口というのか、そういうところのお考えというのはお持ちなのでしょうか。
  42. 大塚雄司

    大塚国務大臣 東京の都心の、特に都心三区の例で申しますと、夜間人口は約三十万、その昔はその三倍近く、あるいは二倍半くらいあったと思いますが、約三十万。昼間そこに集まってまいります勤労者の数が恐らく二百四、五十万から七十万くらい、そういうことでありますが、例えば一例ですが、ニューヨークのマンハッタンなどへ参りますと、大体規模としても同じところでとらえますと、昼間人口がやはりほぼ二百七、八十万、夜間人口が約百四十万、大体百万人の差があるわけであります。それは、確かにニューヨーク等の建物の規制等は日本と若干違いますし、相当高層の住宅も建っておるわけであります。土地有効利用をしておる。  したがいまして、東京圏の全体の住宅供給の中でも、これから再開発等を中心にした宅地供給をやれば、都心区に三十万戸の住宅を建てられれば約百万人でありますから、東京の地区で働く人たちがその地区に住めるような誘導をすることによって、いわゆる東京圏の中でも職住接近も誘導できますし、また交通緩和にもつながるわけでありますから、そのような方向に進めていくのには、確かに土地有効利用のための手だてを、現在の容積型地区制度であるとかあるいは再開発地区計画制度であるとか、それだけでできるかどうかということをいろいろ諮問もいたしておるわけでありますから、今後の問題として、そういうものを総合的に判断をしながら適切な手を打って実現をしてまいりたい、こんなふうに考えておるわけであります。
  43. 石井智

    石井(智)委員 今日までの日本の形態というのは、すべてと言っていいのでしょうけれども、もう産業優先の政策の中から、東京そのものも産業という立場での分野だけがぐんぐん伸びたのだろうと思います。そのことの弊害が今あらわれているのだろうというふうに思うのです。そういう点で、これからより人間の豊かさを求めていこう、そういう方向転換をしていこうという機運が高まってまいります。そういう中で、やはり生活優先という思想が今取り入れられなければならぬ、こういう気がするわけです。そういう点で、今申し上げたように、人口というのか、やはり人というものを土台に置いた都市計画、そういうふうに発想の転換をしていかなければならぬのじゃないのか、こういう気がするわけです。  それは、マンハッタンを言いますと、私たちの地方へ行きますとみんな苦労して、一生に一代かけて立派な家を建てましたね。先代が建ててくれたその家を息子が利用できなくて、そこには立派な家が空き家で置いてある。これもみんな産業、経済政策の上から東京を中心とした大都市へ労働力人口として流れていかざるを得なかった、そのこととやはり相まっておるのではないかなというふうに思うのです。そういう点で、やはり生活を優先に考えれば、そこそこに合う形の産業の形態が生まれてくるのだろう。そうすれば、今国土庁が目指しておる多極分散型国土形成の根幹はそこにあるのじゃないかな、こんな気がいたしておるわけですけれども、いかがでしょうか。国土庁長官はどんなお考えでしょうか。
  44. 西田司

    西田国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、多極分散型の国土形成を進めていく上において、やはり非常に重要な問題が幾つかあると考えております。  御質問の趣旨からちょっと外れるのでございますけれども、例えば地方の県におきましても、例えば県庁所在地、そこは人口も非常にふえてきますし、いろいろなことが起こってくるわけでございます。ところが、その周辺というのは極端な過疎状態が起き上がっておる。だから、一極集中というのは東京だけでなくて、地方でも既に起こっておるじゃないかというような指摘をたびたび受けるところでございます。  しかしながら、私どもが考えておりますのは、もしその地方の都市というものが現在のような地方の中核都市としての発展というものを遂げてこないというと、さらに人口の流出、都道府県別の人口の流出というのは非常にふえておったであろう。だから、そこを核にして、そして地域振興なり発展なりというものをつくっていくべきではないか、こういう考え方でおるわけでございまして、国土利用の面におきましても、今後ひとつ我我も十分にその実態というものを見誤らないようにして取り組んでまいりたい、このように思っております。
  45. 石井智

    石井(智)委員 突然の質問をさせていただいて申しわけありませんでした。これからさらに、日本の国土全域がより均衡のある発展を目指していこうというのがみんなの願いだろうというふうに思うわけですので、あらゆる施策もその前提の上に立って、ひとつ対症療法ばかりでなく、その方向での議論を積み上げていただきたいというふうに思います。これからもまたいろいろと御提言をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、昭和五十五年十月二十二日の議事録で、井上普方委員質問に対しまして、時の山岡国土庁土地局長は、十年間に相当な組合ができるというふうに想定をされておりました。その成果として、四千ヘクタールぐらいの供給ができるのではないかとの見通しを述べておられるわけであります。さらに、これを目標にすると。それから十年、四千ヘクタールを目指したその目標から今日までもう既に十年がたちました。農住組合の設立、事業実施状況について、簡単に今日までの状況と、四千ヘクタールを目指したその当時の十年前の意気込みと今日の実態との御報告をいただく中で、なぜこれだけの乖離が生まれたのか、そういう点についてどんな感想をお持ちなのか。また、それに対してどういうお考えをお持ちなんだろうかなというふうに思います。  さらに、先ほど塩谷委員質問に、長期営農政策がこのことを阻害をしてきたのだ、そういう意味であったのかどうかわかりませんが、そういう農水省側の立場との乖離みたいなところが原因だったような言い方をされたように思いますけれども、このことについて、農水省の側からはどういうふうにお考えになっておられるのでしょうか、ひとつお願いします。
  46. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 まず、私の方からお答えさせていただきます。  法律制定のときの国会の審議で、時の山岡局長からそのような答弁がなされているというのは、私も議事録を調べまして確認いたしておるわけですが、やはり当時は相当意欲的に、この組合事業によって宅地化を促進するという希望が、意欲が強かったんだと思います。  その後、私どもも鋭意努力をしてまいったわけでありますが、先ほども塩谷委員に御答弁申し上げましたように、現在七都府県で十五組合が設立されまして、事業を展開しておるわけでございます。区画整理事業による宅地開発の面積は七十五ヘクタール、住宅建設は大体五百戸ぐらいでして、七十五ヘクタールが全部造成されました暁には、二千戸ぐらいの住宅供給がなされるという見通しであります。ただ、非常に数は少ないですけれども供給された住宅につきましては、周辺で一般に供給されておりますものよりも質もいいですし家賃も安い、そういうことで喜ばれておるようであります。  おくれました、実績が上がらなかった理由でございますが、先ほど、いろいろ原因がある中の一つに、長期営農継続農地制度のもとで農地所有者が協同して計画的な土地利用転換を行う意欲がなかなか出てこなかったのではないかという趣旨のことを申し上げたわけですが、長期営農継続制度のもとでは固定資産税農地並み課税、相続税も徴収猶予という制度がございましたので、やはり当面営農を継続しておこう、それで営農継続に支障が生じた場合、例えば主たる従事者がお亡くなりになるとかお金が急に入り用だ、そういうときにその都度考えればいいじゃないか、切り売りとか宅地としての転用をそのときそのときに判断すればいい、そういうふうな土地利用の選択が多分に行われてきたんじゃないか。そのベースには、農地所有者側に当面は営農を継続したいんだ、そういうお気待ちも強かったかと思いますが、そういう意味で、そういう気持ちと相まってこの長期営農継続農地制度がやはり多少はブレーキになったんじゃないかな、そういう気がしております。  それと、先ほど来申し上げておりますように、我々の普及啓発努力、支援、援助体制がもう一つ強くなかった、そういう反省も同時にしております。さらに、例えば宅地化したいけれども当面基盤整備が整っていないので宅地化あるいは事業化ができなかったとか、いろいろそういう要因もあったかと思いますが、大きく言えば二つかな、そういうふうに認識しておるところでございます。
  47. 石井智

    石井(智)委員 いろいろ今原因についてお聞かせをいただきました。  この十五組合ができたうちの六つが三重県にあるわけです。私の県ですので、その組合の方にちょっとアンケートをしてみました。要望が出ておりますのでひとつ参考にしていただきたいということと、あわせてお考えをお伺いさせていただきたいと思います。  この農住組合をつくったメリットというのは、他人任せでなく個人が一緒にたって考えて行動をしたために住みよい団地ができたということで、非常にそのメリットを評価をしておられます。そしてまた、土地有効利用に対する農民という立場からの考え方そのものが大きく変わった、こういうことでこの問題を大きく理解をされて、その必要性というのか、いいところは伸ばしてほしいという意味のお考えを述べておられます。  しかし、その問題点として、補助金も大切であるけれどもこの農住組合を設立するそのメリットは非常に少ない、こういうふうに言われておるのです。その例が税金、それから決議事項、それから区画整理事業が別会計なので資金の流用ができない、その点でこの農住組合のメリットがない、こういう言い方をされております。  それから、全国的にこの数少ない原因、何でだろうという思いが自分らしながら、やはり六つ三重県ではできながら、全国でなぜそれが広まっていかないのだろう、そういう思いでこれをしたことに対する何か疑問が逆にまたわいてきておる。こういう思いと相まって、いろいろ矛盾した御意見が出てきておるわけですけれども農住組合の目的は住みよい住環境つくりであり、その一つの手段としての区画整理事業であるけれども、この事業が最終的な目的になってしまっていないのか。いわゆる土地区画整理をして、この農住組合はそれをしていくことそのことがもう目的で終わってしまっていて、自分たちが地域都市計画とマッチングをさせて社会に寄与するんだということではなくして、自分たちの土地宅地供給をして自分たちが農業と借家業というのですか、そういうことへの転換だけが目的のような形で、地域の人からそのことの歓迎を受けないというのか、自分たちの営利のためだけに何かうまく制度を利用しただけだ、そういう見方をされているような思いがどこかに感じられるように思ったわけですけれども、ひとつそんなあたりはどういうふうに、十五の組合がどういう思いで、この実行してきた過程での問題点というのか、それを今後の十年間にどう生かしていってその組合を設立しようという機運をつくり上げていくのかなというところに少し疑問、問題点があるのではないかなという気がいたしております。  そしてもう一つ、一般の土地区画整理事業と相違がない、こういう感じでおられます。そのことは、自分たちがこうしながら地域の実情に合ったものにしていこうという思いがありながら、何かそのことが全然考慮に入れられないというのか、その制度を活用することが地域とのマッチングしたそういう自分たちの思いを生かした状況ができていかない、こういう歯がゆい思いをされながらこの設立をされたという感想を漏らしておいでになられます。それで、非常にこの組合を設立するのに手間がかかる、それから設立条件が非常に厳しい、こういうようなことがあって非常に面倒というのかな、自分たちがもう一度そのことに取り組もうと進んでしようという気持ちがどうしても、もうあんな煩わしい思いをするんならという思いの方が先になって、次の人から相談が来たときに、大変だに、はだてたらえらいこっちゃにという言い方しかしょうがない思いがどこかにあるというんですね。  その辺が緩和されていかないと、実施者が、それぞれ新しくする人はやはりそこへ聞きに行くと思うのですけれども、そのあたりの、その人たちがやはりやってよかったなという思いが次の人はできるような、そういう設立の過程からの、従来のこの補助金をもらうための判こをもらうというのか、そういうシステムと少し変わった形のいわゆる農住組合の設立というものを生かしていく道をつくってあげないと、今の二つの条件以外に、実施者の感じからしてそういう気がするわけですけれども、そんなあたりはどういうふうにお考えになりますか。
  48. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 今後、改正後の農住組合事業をより積極的に推進していく上で、非常に有意義なアドバイスをちょうだいしたような気持ちでお聞きしておりましたが、確かに農住組合事業と申しますのは、区画整理事業に加えまして賃貸住宅建設管理あるいは利便施設等につきましても建設管理をしたり、当面営農地区も残りますので農業関係の施設も整備管理する、非常に多角的な事業を行います関係上、やはりこれは農地所有者全員の合意により自発的な意思で協同してやっていくというのが基本になっておりますので、それだけに大変強制加入のような組合と違って煩わしいといいますか、手間暇がかかる面が多いと思います。  この十五組合実績の中でも、特に三重県では六組合と非常に多い実績を上げていただいているのですが、その原因としては、やはり一つ組合ができますとそれをモデルに周辺でも、まあ自分らもやってみようかという機運が高まるということが一つと、地方自治体や農業団体等の関係者におきましても、一度設立されますといろいろなノーハウが得られる、蓄積される、そういう蓄積を活用してさらに前進するというふうな点で、実績を積み重ねていけたのじゃないかと思っております。しかしながら、御指摘のとおり、非常に関係者にとっては苦労の伴う問題が多いものですから、やはり公共団体、それと農協に立派な熱心な指導者を得ておるところはかなり順調にいっておるようでございます。そういう点で我々の方も、公共団体や農協の方と今後十分連携を密にしながら、積極的な支援の方策をさらに考えていきたいというふうに考えております。  それと、都市計画の中での位置づけでございますが、一応組合設立認可をちょうだいする際に事業基本方針というのを決めまして、市町村長と十分相談し、知事の方に提出するということになっております。その過程で地域づくり、町づくりとの調整を図るということになっておりますので、その段階で、やはり必要な場合には公共団体側から積極的なアドバイスをしていくということが非常に重要だと思っております。そういう点でも、支援、援助体制の一環として十分考えていきたいというふうに考えております。
  49. 石井智

    石井(智)委員 今いろいろな方策を講じたい、こういうことなんでしょうけれども、来年度の予算書を見てみますと、この制度普及啓発対策費として三千万円が計上されているのだろうと思うのです。その内容は、手引書をつくったりパンフレットをつくったり、そういうものを配付するとか研修会を開く、こんな程度のことが予算上は措置をされているのです。今いろいろ申し上げて、その対応の重要さというのか、その方向を何とかやってみたいというお話をいただきました。予算上そのことがこれで可能というのか。そういう点からいくと、やはり農住組合そのものをつくって住宅供給していただこう、こういう意気込みというのかお願いをして、住宅提供に皆さんの力をかしてくださいという形の制度の運用をしていこうという形には、予算上はなっていないんじゃないかな、こういう気がするわけですが、いかがでしょうか。
  50. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 できるだけこの組合制度に理解をいただきまして、広く御検討をいただく、そういうふうな環境整備をすることがまず大切だと思っております。さらに、そういう環境づくりの中で具体的な取り組みを進めていただくということだと思うのです。もちろん一般的なパンフレットその他の啓発、PR活動はやろうと思いますが、ただそれだけでは確かに不十分だと思っております。農協の関係者や市町村の関係者の方との会合、その会合にはできるだけ先進地域のいい実績を残しておられる方の経験談等もお聞きしながら、研修を深めるとか実のある啓発支援活動といいますか、そういうものを考えていかないといけないなというふうに思っております。単に通り一遍の会議や研修やPRパンフレット、それだけじゃいけないなと考えておるところでございまして、その辺は御指摘の趣旨を体して、さらに具体的な実りのある方策を詰めていきたいというふうに考えております。
  51. 石井智

    石井(智)委員 この法律の第一条の「目的」を定めた文言の中に「必要に応じ当面の営農の継続を図りつつ」、こういう形の文言が出ておるわけですが、この「当面」というのはどういう範囲を意味しているんでしょうか。そのあたりでこの構想の立て方自体も非常に変わってくるんだろうと思いますし、将来は営農ができなくなるということも想定をした「当面」なのか。そういう展望の中で、この農住組合をつくられる方に営農の継続をしていただけるんですよというその意味合いですね。  そのあたり、この「当面」という言葉の持つ意味というのはどういうことなのかということと、逆に農水省側には、その農地を生かしていく上にその営農はどういう農業をモデルとしてお考えになられるんでしょうか。そしてまた、今までの長期営農政策、いろいろな問題から考えてこのことに農水省側としてはどういうタッチの仕方をされているんでしょうか、お願いしたいと思います。
  52. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 この制度は、所有者が協同して農住組合という組織を設け、当面営農の継続を図りつつ市街化区域内農地住宅地等への転換を図るという事業でございます。  この当面営農継続の意味でございますが、期間のことをお聞きになっておるかと思いますが、我我、面積的には一応運用上は全事業地区の七割程度宅地化、三割程度を当面営農と考えておるわけです。これは、農住地区全体が今後、市街化区域内農地が保全される農地宅地化すべき農地に二分することになっておりますが、これは原則としては宅地化すべき農地に入る、そういうことですから、一応市街化区域内はおおむね十年間に市街化を図るべき区域ですので、当面といいましても十年ぐらいが一応のめどじゃないかというふうに考えております。  ただし、その中でも都市整備上の観点から、将来とも末永く保全されるべきだという部分が出てこようかと思います。そういう部分については、生産緑地地区への編入というのも考えられるというふうに理解しております。
  53. 森永正彬

    ○森永説明員 ただいま国土庁の方からお答えございましたように、あくまで市街化区域農地の 問題でございますので、おおむね十年程度で市街化を促進すべき地域という性格でございます。そういった地域につきましても、当面の営農というのは行われておりますので、従来から当面の営農おおむね十年ということを想定いたしまして、それに必要な農業施策,例えばいろんな普及指導でございますとか、病害虫防除対策でございますとか、それからそれほど効用の長くないいろんな機械施設の整備でございますとか、そういうものにつきましては、従来からも助成対象なりにしてまいっておりますし、そういった一般の農政のもとでの助成等は今後とも存続させていく必要があろうかと思っております。  特に今回、例の三大都市圏につきましては、いわゆる保全すべき農地というものを都市計画上明確にしていくという方向で検討されておりまして、保全すべき農地ということになりました場合におきましては、まさにある程度長期的な営農ということを考慮した支援といいますか、そういったことを考えてまいりたいと思っております。例えば、特に都市との調和のとれた営農ということで、先般、市民農園法というのもできておりまして、そういった市民の方にも御活用いただくような農地利用といいますか、そういったことも含めまして適切な営農、農地利用が行われるよう指導援助してまいりたいと思っております。
  54. 石井智

    石井(智)委員 時間ですのであれですけれども、もう一点だけ御容赦いただきたいと思います。  農住利子補給法で、今回この利子の補給制度の対象住宅の範囲を拡大していく、こういうことが新たに加わったわけですけれども、その新たに拡大をされた対象というのか、ひとつ具体的にお示しをいただきたいと思います。  というのは、この農住組合法、そのことが範囲を拡大されて中間的な役割を担う人にまでその範囲が、この利子補給が拡大を——農住組合とこれと別個ですね。利子補給の制度拡大をされていくということになると、本当の農民の目指すことと、それを利用する側の立場の中間的な役割の人がこの利子補給を受けられるということになると、もう業者の援助にしかなっていかないのではないかなというような気がするわけですけれども、その辺の中間的な対象になる層というのは、そしてまた、そういう従来の目的から拡大をした分野というのは何を意味しているんでしょうか。
  55. 立石真

    立石政府委員 お答えいたします。  今回、対象枠を拡大するということは、一括借り上げ方式あるいは社宅一括借り上げ方式の創設を行うこととしている点でございます。具体的には、政府が利子補給契約を締結することができる賃貸住宅は、賃貸住宅の経営あるいは管理に関し、今回、賃貸住宅の経営管理に関しましてすぐれたノーハウを有する者が賃貸住宅を一括して借り上げ、そしてみずから居住するため、あるいは社宅として利用するために住宅を必要とする者に賃貸するものを加えるという拡大でございます。農地所有者賃貸住宅を経営いたそうとする場合には、賃貸住宅の知識がない、あるいはまたリスクがあるというようなことから、どうしてもちゅうちょする場合があるわけでございますが、その間にすぐれたノーハウを有する者を挟んで的確な賃貸経営がしやすいようにしていくという促進措置と考えておるところでございます。
  56. 石井智

    石井(智)委員 時間ですので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  57. 笹川堯

    ○笹川委員長代理 上野建一君。
  58. 上野建一

    ○上野委員 三つの法律改正案の審議が続いておりますけれども、私からも住宅政策全般についてのお考えをこの際ただしておきたい、こう思いますので、質問させていただきたいと思います。  最初に、本論に入る前に、実は大塚建設大臣にちょっとお聞きしたいのは、前の委員会でも例の住宅公団の問題でいろいろございました。それと同時に、政治家の政治姿勢との関連でリクルートの問題が出まして、これが依然としてまだ何か尾を引いているような感じがいたします。大臣も、たしか百万円についてはお認めになったようでございますけれども、これが六十年の十二月二十八日ということだというのですが、さらにその後、六十一年にも入っているはずだ、それから六十一年は二度にわたってある、あるいは六十二年にも六十三年にも献金があったというふうに、一部にそういう話が出回っておるのですけれども、これ合計すると四千万になるのですね。ですから大臣、こんな話は早くけりをつけてもらいたいと思うのです。我々、大臣が認められた百万だけであろうと思っておるのですけれども、こういう事実はどうなのか。  私どもに出てくる文書などを見ますと、日付まで明確に書いてあるのです。だから、何か信憑性がありそうな気がするのですけれども、そういうことはないだろうと思うのですが、この際、この六十一年の三千万、同じく十二月に三百万、六十二年には三百万、六十三年にも三百万、前の認められた百万を入れると合計四千万になる、この事実はあるのか、ないのか。また、大臣はそんな覚えはないとおっしゃるなら、この際みずからその点については明確な資料を出して否定をされた方が、私どもにもいいし、また大臣大臣になられた立場から考えてそうすべきじゃないかと思うのですが、そういう意思があるか。その二点についてお伺いいたしたいと思います。
  59. 大塚雄司

    大塚国務大臣 お話しのことにつきましては、この日曜日の朝刊に一部報道されたものでございます。この新聞は東京だけに出たものでございまして、私自身もその新聞を見まして大変に驚いて、早速調査をいたしましたが、今お話のあった最初の百万円は、これは私は政治資金規正法で届け出ているものでございまして、それ以外の五つにつきましては全く該当するものがないということで、参議院の予算委員会におきましても御答弁を申し上げ、昨日もそれぞれお答えをいたしたわけでございます。  したがいまして、このことにつきましては官房長官が調査をする、そして報告をするということになっておりますので、私も官房長官の調査にもちろん協力をして態度を明らかにする、真実を明らかにするつもりでおりますので、御了承をいただきたいと存じます。
  60. 上野建一

    ○上野委員 今大臣答弁で、私も大体そういうことだろうとは思いますけれども、その際調査に積極的に協力されるということですから、この際ぜひお願いしたいのは、銀行の名前もそれから名義番号も出されているんですね。ですからそれも、通帳なども官房長官にはっきり見せられて、あるいは予算委員会でどういう処理をされるかあれですけれども、積極的に大臣の方からそういう証拠を示して明らかにしていただきたい、そのことはお願いできるかどうか、もう一点だけお願いします。
  61. 大塚雄司

    大塚国務大臣 銀行は大和銀行の衆議院支店ということで、昨日も予算委員会で番号までお読みになった委員もおられました。私は、番号までは覚えていなかったのですぐお答えはできませんでしたけれども、ともかく口座はございますから、それらのものを一切官房長官に報告をし、出しまして、そして誠実に対処をしたい、このように思っております。
  62. 上野建一

    ○上野委員 それでは、本題に入りたいと思います。  まず、今度出された一部改正法律案については、内容的には私どもそう問題があるというふうには思いません。ただ、問題はこれらのいろいろな法律、前にも大臣も言っておられましたが、地代を下げる、それによって住宅を大量に建設をする、そういう総合的なものの一つだと思いますので、その意味でまず幾つかお聞きしたいんですけれども、この農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法が今度一部改められて、さらに一括借り上げ者も含めて転貸しもできるようにしたいということのようであります。  これらを見て、一つは、それでは一体こういう措置をとることによってだれがその居住者になるのかということが、これからの問題としても今ま での問題としても問題だろうと思うのですが、これを見ますと事業主が借りるという例もこれからさらにふえそうだということでありますので、そうだとするとこれはやはり、今人が足りない、あるいは特に人が来ないというので困っているのが中小企業です。中小企業が積極的に借り上げて、いわゆるそういう対策に、自分のところの従業員の福祉その他を含めた前進になるようにすべきだと思いますけれども、その点でこの事業主が借りる場合に、何かこういう中小企業の事業者がこの住宅を積極的に借り入れる、そして低家賃で従業員を住まわせるという意味でも効果を上げる方向はできないだろうか、こう思いますけれども、その点はどうお考えなのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  63. 立石真

    立石政府委員 お答えいたします。  今回の一括借り上げ制度の導入につきましては、その一部は事業者に貸して、それが社宅に使われるということも予測しているところでございます。社宅につきましては、大企業におきましては自社保有の社宅を持ってそれを従業員に貸す場合が多い、あるいはその力があるところが多いというように認識しておりますが、中小企業におきましては、自力で社宅を確保することが困難であるという事業者も多いというように認識しておるところでございまして、最近の動きの中では、そういう面から借り上げ共同社宅等に対するニーズが高まっているというように認識しているわけでございます。今回の一括借り上げ制度、こういうようなニーズにこたえるために導入しようとするものでございまして、この制度を導入いたしますれば、中小企業の社宅を確保する機会が増加していくというように認識しているところでございます。
  64. 上野建一

    ○上野委員 今答弁がありましたように、確実に中小企業を主体にするということの何か保障みたいなものを指導の中でぜひやっていただきたいと思うのですが、その点はまずどうなのか。何かそういうものは具体的にないのか、その点が一つです。  それから、農住賃貸住宅の家賃を聞いてみますと、余り安くないのですね。せっかくこういうふうにしてやるのだから、問題は家賃が安くなければいかぬので、まあ建物を見たわけじゃありませんから、全部見る時間もありませんでしたからできないのですけれども、例えば私どもよく知っている場所では、県内の佐倉というところに佐倉農住団地がありますけれども、これはなかなか比較的には立派な建物ですけれども、それにしても家賃が七万五千円から七万九千円なのですね。こういう高い家賃、ほかでも家賃が、これは場所にもよるのですけれども、神奈川県の川崎市なんかの場合には、二DKで八万四千円から九万円。周辺から見ればそれでも少し安いよということのようでありますけれども、しかしせっかくこれだけの法律をつくってやる、しかも利子補給をするということであるのに、余り安くないということは、これはやはり再検討されるべきことではなかろうか、こう思いますが、その点についてはどうお考えか。何とかもうちょっと安くすることを考えられないのか。余り安くないとすれば、ある意味ではこの法律の効果は余りないと言うしかないので、その点はどうでしょうか。
  65. 立石真

    立石政府委員 お答えいたします。  まず第一点でございますが、中小企業向けを優先するための何らかの保障はないのかという御質問でございます。現在の制度の中におきましては、一括借り上げ者が次にだれに貸すかということについては、制度的な保障というものは触れておらないところでございますが、先ほど申し上げましたように、やはり農住のような場合には細やかな住宅供給になるわけでございますので、細やかなまた事業者が借りるということが多く予想されるところでございます。そういうような面から、中小企業に対する枠が非常に多くなるんじゃないかというふうに思っておるところでございますが、なお今後とも中小企業の従業員に行くようにできるだけの指導をしてまいりたいと思っております。  また、第二点の家賃についてでございますが、先生御指摘のように、佐倉市の農住団地におきましては、面積が四DK六十三平米ないし六十六平米の住宅が、七万五千円から七万九千円で供給されているというように私たちも押さえているところでございます。現在供給されております農住賃貸住宅につきましては、農住利子補給制度に基づく利子の補給期間中の家賃につきましては国からの利子補給をいたしますので、その援助に見合った適正な家賃となるように、一定の方式によって算出される家賃額の限度額の中において家賃を定めるというように、家賃の最高限度を決めておるわけでございます。  六十三年度の実績を見てみますと、家賃の限度額は平均十一万四千円程度になっているところでございますが、現行の家賃は周辺の家賃水準に影響される場合が多いところからこれより大分低く、実際の家賃といたしましては平均六万二千円余というようになっているとデータをつかんでいるところでございます。農住の場合には、やはり制度的にまず限度額を抑えながら、かつその中でも市場の中で決まっていく家賃に応じて決めているというのが現状でございまして、全体としては面積の大きい世帯向けの賃貸住宅が市場より安い家賃で決まっているというように考えております。
  66. 上野建一

    ○上野委員 それから、このいわゆる農住利子補給法、余り長いので短くすると農住利子補給法と呼ぶのだそうですけれども、これでいきますと、実は私どもから見ますと、農協に金を貸すのですね、利子補給するわけですね。そして、融資機関が農協なので、その農協というのは今や金融機関でもあるのです。といっても、特に住宅を必要とするところというのは都市部ですから、都市部の農協というのは今や大体金貸しになっているのですけれども、そこへわざわざまた金を貸さなきゃならぬというのがちょっと腑に落ちないといいますか、そんなことをしなくても農協で十分金が貸せるじゃないか、自分たちの組合員に貸すのだから安く貸せるはずだ、こう思うのですけれども、そこら辺についてはどうなんでしょうか。  安い利子で借りられればこれにこしたことはないから、かなりこれは利用されているようですけれども、しかし農協というものの今日の実態から見ますと、農協にさらにお金を貸すということについて多少私は疑問を持つ。もちろん全部の農協がそうだと言っているわけじゃないのですけれども、簡単に言うと、金持ちの農協にはこういう必要はないのじゃないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  67. 立石真

    立石政府委員 お答えいたします。  今回の制度は、国が農協等の融資機関に利子補給を行って、この融資機関が農地所有者等に低利の融資を行うという制度でございます。したがいまして、農協の方は原資としては相当のお金を持っているというように私たちも思っておりますが、それを貸すに当たりまして、国が利子補給をして安い金利の住宅建設資金を融資するというような制度でございますので、それらを通じまして農地所有者等が住宅建設しやすくなるというように考えておるところでございます。
  68. 上野建一

    ○上野委員 そこで、なかなかそれぞれ持っている条件が違いますから一概に適用できませんが、どうもやはり今日の政府法律の中では、金のあるものもないものも、簡単に言えば一緒くたにして対策を立てているという感じをいろいろいたします。お年寄りに対する福祉政策なんかにもそれがあらわれていますけれども、もっとやはりきめの細かい区分をやる必要があるのじゃないだろうか、こう思いますので、その点もぜひ、これから新たにこの法を施行していくわけですから、しかも今度のものは平成十二年までの延長なんですね。大変長い間ですから、これはぜひ先ほどの中小企業との関連の問題、そして今日の金のある農協に対してまでやらなければならぬのかという問題、そこら辺のところはぜひ再検討をしていただきたいし、きめの細かい法の実施を希望するものでございます。  そこで、次のもう一つ特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案、これも随分長い法律の名前ですけれども、この法律と同時に今度、先ほどからも答弁がありましたが、平成四年末までに宅地化するもの、保全するものとを区分する、宅地化する農地については計画的な宅地化を図る、こういう方針を出されておりますが、これは実際の問題として区分ができるのでしょうか。それぞれの農地について、今から将来のことまでそういうことができるのかどうか。そういう区分が今まで難しかったからいろいろな問題が出ておったわけで、将来のことは正直言ってわからない。  それから、遺産相続の問題もありますし、いろいろなことがあると思うのですが、その点ではどこら辺までこれを確実な点としてつかもうとするのか、何年間ぐらいの先を見越してこの区分をやろうということなんでしょうか。例えば、一年過ぎたらもうまた変更があるということも当然出てきますね。そうすると、これから平成四年末までかけてやるということなんですけれども、先はどこら辺のところまで明確にしようということなんでしょう。
  69. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 ただいま御指摘ございました市街化区域農地宅地化するものと保全するものとの区分の基本的考え方でございますが、一つには、現在市街化区域にございますけれども、市街化調整区域に線引きの見直しを行うという方法と、もう一つには、現行の生産緑地法改正していただきまして、新しい生産緑地制度によって区分する、この二つの方法で保全する農地というものを位置づけてまいりたいと思っておりますが、そ際期間的な考え方といたしましては、一応線引き制度はおおむね十年以内において市街化を図るというのが市街化区域でございまして、市街化調整区域につきましては、かなり長期間そういう調整区域のままで存続するということになるわけでございます。  それから、生産緑地制度につきましては、現在は五年とか十年とかというところで買い取り請求権が生じたりするような制度になっておりますが、これをかなりの長期間保全する農地として生産緑地地区として位置づけてまいりたい、こういうことでございまして、そういう長期間にわたる選択がこの時点で可能なのかどうかという先生の御指摘でございますが、やはり私どもといたしましては、関連する固定資産税あるいは相続税等の税法の改正等も絡めまして何とかひとつ、平成四年の十二月三十一日がとりあえずの期限でございますが、それまでの間、制度改正も含めまして、農地所有者の方々に真摯な態度で自分たちの農地の今後のあるべき姿等も検討していただくことによりまして、私どももまたそれに対していろいろと御協力申し上げることによりまして、区分ができるように持っていきたいと思っておる次第でございます。
  70. 上野建一

    ○上野委員 そうしますと、今農業をやっているのに、簡単に言えば、おまえはこれからも農業をずっとやる気か、早いところやめた方がいいじゃないか、こういうことも含めていわゆる職業の選択の自由その他について考えると、一つの規制をかけることになりはしませんかね。そういう意味では、少し個人的な人権の問題も含めて考えると、余計なことをやるという感じもするのですけれども、その点では市街化区域内にあろうとも、農業は農業としてやれるわけですし、これはかなり前から大変論争のあるところで、農地を保全することが重要だという点では一致していると思うのですけれども、そうするとこの法律でいくと、農地をなるべく少なくして宅地化を図りたいというのが基本になっているように思いますが、その点は間違いないかどうか。その場合に、農業をいつまで続けるのだというような、宅地化をするために農業に対して、たとえ小さな農業であろうとも、現在やっている農業に圧力になりはしないか、この点はどうでしょうか。
  71. 鈴木政徳

    鈴木(政)政府委員 市街化区域内の農地が、環境保全あるいは生産的な緑地として機能していることは当然でございます。しかしながら、現在のサラリーマン住宅が持てないという現在の住宅宅地の逼迫した状況を考えますと、やはり何らかの整理は必要なのではないか。その手法といたしまして、都市計画の手続をもって公認されたといいますか、住民の意向も入れた都市計画の手続をもって客観的に宅地化すべきところは宅地化し、また客観的に緑地として保全すべきところは保全するというのが今回の農住三法であり、また後ほど審議をお願いします生産緑地法の精神かと思います。  そこで、私ども宅地化をしていただく方につきましては、いろいろな面で十分な措置をとらなければいけないというふうに考えております。今後国会で審議されます税制改正におきましても、宅地化する場合、そこに優良な賃貸住宅を建てる場合にはいろいろ優遇措置を手厚く講ずることにしておりますし、私どもも今後関連公共施設整備等の投資を進める上でも、そういう点に十分配慮していかなければいけないと思いますし、また現在、農水省、国土庁あるいは農協等々一緒になりまして都市農地活用支援センター、仮称でございますが、そういうものをつくる作業に入っております。こういうところで、宅地の方に向かおうという農民の方には十分いろいろ御相談しながら、手厚いことをやりながら必要な宅地供給を図っていくというのが基本姿勢でございます。
  72. 上野建一

    ○上野委員 やはり答弁を聞きますと、緑地が大事だということは言いながらも、今の状態ではサラリーマンのために住宅地をどんどん農地を減らしてでもやりたい。そうすると、住宅政策の今の政府の主たる目標はこの農地に置いていると考えていいのでしょうか。
  73. 鈴木政徳

    鈴木(政)政府委員 宅地の面から答弁させていただきますが、これからいろいろな点で宅地住宅供給を図っていかなければいけないという御指摘のとおりでございまして、もちろん都市内の農地の問題もございますが、そのほかに大都市内の低・未利用地、これにつきましても積極的に手法を講じていかなければいけませんし、また、新市街地でのニュータウンの建設も進めていかなければいけない。そのほか、私どもも鉄道と一体となった宅地化推進であるとか、あるいは民間の優良な宅地についての助成策であるとか、さらには地方公共団体開発規制を住宅供給のために緩められないかというようなもの、そうした手法をあらゆる面で総合的に動員しながら宅地供給を進めていく考えでございます。そのために、前通常国会で成立さしていただきました大都市法改正によりまして、国と地方公共団体とで一体になって住宅宅地供給計画を進めようということを現在進めているところでございます。     〔笹川委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 上野建一

    ○上野委員 今の問題は、また後でもうちょっと突っ込んでお願いしたいと思います。  今との関係で、住宅の問題として公的住宅、公共住宅、これをもっと本気になってやらないとなかなかできない。今出されている法律も確かに一定の効果はあるにしても、そう大きな効果を求められるわけじゃないので、問題はやはり公的住宅、特に公共住宅が重要だと思うのです。  これは、私は大分前から当委員会において申し上げてきたのですが、市街化調整区域内でも市営住宅建設をすべきだ、こう言ってきたのですが、その問題について現在どう考えておられるか。県営住宅については既に市街化調整区域内に建設をしているところもあるようですし、そういう動きが広がっているようですが、県営住宅はいいけれども市営住宅はだめだというのも、これはどう考えても理屈として合わないですから、この点については同様に取り扱うべきだと思いますけれども、今までの経過も含めて明確にしていただきたい。
  75. 鈴木政徳

    鈴木(政)政府委員 ただいま御指摘のございましたように、市町村が行います公営住宅建設につきましては、現行法上開発許可の対象になっているということでございます。  この問題につきましては、昭和六十年三月に先生からやはり建設委員会で御指摘もございましたし、また、市町村営の公営住宅につきましても、当然住宅対策上非常に重要な役割を果たしているところでございます。しかも、市町村という責任のある地方公共団体が主体となっているということもございまして、昭和六十一年の八月に局長通達を出しまして、一定のものについては市街化調整区域におきましても開発を認めるように、開発許可の弾力的な運用、そういう点から地方公共団体指導しているところでございます。その結果もございまして、六十二年度から平成元年度までの三カ年間ですけれども、調整区域内の公営住宅の許可件数が十八件、約十ヘクタールにわたっております。  大変難しい問題は、私ども法の厳正な執行ということもございます。しかしながら一方で、御指摘のございますように、地域の特性あるいは地域の発展動向、そういうものを踏まえて現実的な運用も図るということも、これも考えなければいけない大変重要な問題でございます。一応都市計画法上は、先生御承知のとおり三十四条の十号のロによりまして、市街化を促進するおそれがない、あるいは市街化区域内ではつくることが困難だ、そういうものにつきまして調整区域で開発審査会の議を経て許可することができるという体制になっておりますので、いろいろ苦慮しているところでございます。しかしながら、今後とも実情のよくわかった県とこの点につきましては勉強を続けていきたいと考えております。
  76. 上野建一

    ○上野委員 確かに六十一年の八月二日に通達を出しておられる。ただこれは、公営住宅もよろしいということにはなっているんだけれども、問題は、この近辺の人たちを入れる場合に限るということになっているのですね。例えば市営住宅というのは、市の中の一つの町の人たちだけを集めて入れるわけにこれはいかないです。そうすると、一つ地域の人たちしか入れてはならない住宅しか許可しないとなれば、これは許可しないということと同じことなんです。だからやっていないです。やれない。  それからこの通達も、必ずしも県段階には明確に受けとめられていないですね、あなたが今答弁したような形では。県庁に聞いてみたのです。そうしたら、ああそんなことがありますかねというようなものですよ、簡単に言えば。表現は悪いですけれども、そういう状態なんです。それはやはり、この法律がかなり明確に書いてあるものですから、「開発行為の許可」第二十九条ですね。「都市計画制限等」の項の中にある。大臣、これはやはりどう考えたって、県営住宅はいいけれども市営住宅が悪いというのは理屈に合わないですよ。しかも、今出ている法律にもよるように、農地をどんどん住宅にしなければならぬほど住宅事情というのは一定の変化があるわけです。土地高騰もある。  そうすると、大臣が今度の住宅計画でも言っておられるように、公共住宅、公的住宅をかなり力を入れなければならぬと言っているわけですから、それでいながら一方では、調整区域内には市営住宅はだめだ、県営住宅ならまあよろしい、そんなことではいかぬのではないだろうか、こう思いますので、大臣、これは法律をとりあえずは弾力的にもっと積極的に運用してもらって、多少拡大解釈したからといって、これは余り怒られる問題ではないと思うのです。それをまずやりながら、できるだけ早くこの法の改正をやるべきだと私は思いますが、大臣の御所見をお伺いしたい。
  77. 大塚雄司

    大塚国務大臣 先ほど局長から通達の趣旨も含めまして御説明を申し上げたとおりでございますが、御趣旨は私もよくわかりますので、早速に勉強さしていただいて努力をしたいと存じます。
  78. 上野建一

    ○上野委員 それで、局長にはこの際もう一度、きょうのこの大臣答弁ども含めて通達を新しくつくってもらって、やはり市町村段階でも、全部がいいと言っているわけではないけれども、問題によっては例えばこういうところがあるのです。調整区域ぎりぎりのところに、市街化区域ですけれども、今そこに市営住宅が建っている。市営住宅の要求に応じてこれをふやそうとして隣に移ろうとすると、もう隣は調整区域なんです。もう本当に現実の住んでいる人たちにしてみれば、市営住宅をなぜもっと増設できないんだ、しかも土地は比較的安く手に入るのにやらないんだ、当然こう疑問が出てきます。  これは、聞くところによると全国市長会でも問題提起があったそうで、私はこれは当然のことだと思いますが、そういう現実があるわけです。法律というのはやはり人間のためにあるわけですから、そういう意味で、この法の改正も含めて今検討してもらうことにして、とりあえずは局長、通達をもうちょっと積極的な通達にかえてもらって徹底さしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  79. 鈴木政徳

    鈴木(政)政府委員 六十一年の通達もまだ徹底されていないということをお聞きいたしまして大変残念に思いますが、今後とも趣旨の徹底等につきましてはよく指導をしていきたいと思います。  御指摘の問題、大変難しい問題でございます。先ほども申し上げまして重複になって恐縮でございますけれども、やはり私どもも法の厳正な執行ということが行政府の義務でもございますし、しかしながら、御指摘のような現実的な対応というものもまたこれは行政の一環として努力していかなければいけないという、まさにはざまの問題ではないかと思います。なるほど御指摘のように、二十九条を見た限りではもう該当しないものでありますが、三十四条、御承知のとおり都道府県知事が包括的に総合判断をした上で許可をできるという十号のロに該当しないかどうかという運用上の問題でもあるのではないかということが考えられますので、運用でいける問題、あるいはどうしても法改正しなければいけない問題、そういうものに該当するかどうかも含めまして、地方公共団体の実情をよく聞きながら私どもも勉強を続けていきたいと考えております。
  80. 上野建一

    ○上野委員 ぜひ今申し上げた点をお願いしたい。特に、公益上必要なものは許可できるということになっていますから、これは余り難しいこと言わなくても公益上の問題として今や住宅問題は十分考えられるわけで、しかも市町村の研究所とか事務所はよろしいということになっているんですから、そうなりますとなおさら問題がないはずで、ぜひ余りかたく考えないで、憲法さえ疑義に思われるような拡大解釈を平気でやるところもあるわけですから、こういう国民のため、庶民のためになる問題についてはぜひともひとつ実行してもらいたい。ぜひこの通達を改めてお願いしたいと思います。  そこで次に、もうちょっと大きい問題を聞きたいと思いますが、実は土地税制はこれからの土地政策住宅政策で非常に重要だと言われていますが、それにもかかわらず今度の土地税制は骨抜きになったと言われていますが、国土庁長官、率直にその問題点とは何ですか。骨抜きにされたと言われる土地税制の問題点、国土庁長官としてどうこれをお考えになるか、お伺いしたいと思います。
  81. 西田司

    西田国務大臣 いろいろと骨抜きになったとかならぬとかいうような御議論もあることを承知をいたしております。しかし、私どもが考えております土地対策といいますのは、これは単に税制だけの問題でこれができ上がるとは考えておりません。先ほど私の方の局長が御説明をいたしておりましたが、昨年十月ぐらいから今日にかけて、大都市圏におきましてはかなりの地価が下がっておるわけでございます。その最大の理由というのはやはり金融対策であった、私はこのように思っておるわけでございます。また、今御論議をいただいております土地利用、こういうものが総合的に出てこなければいけない。  そこで、御質問の骨抜きでございますけれども、今回、委員も御存じのように国税で新しい土地保有に対する税の枠組みができた、このことに一つ大きな意義があるのではなかろうか、私はこういう理解をいたしております。それと同時に、土地税制につきましては、単に地価税という問題だけで論ずるべきではないので、例えば固定資産税の問題であるとか、あるいは大都市農地課税の問題であるとか、特別土地保有税の問題であるとか、そういうことの総合的な評価の中で土地に対する税というものの力が発揮できるのではないか、私はこういう理解をいたしておるわけであります。
  82. 上野建一

    ○上野委員 そうすると、国土庁長官に改めて聞きたいのは地価高騰の原因、今下がっているところもあるとおっしゃいましたが、あれは問題にならないです。まだそんな問題にするほど土地は下がっていませんよね。だから、この際改めて地価高騰の原因は何だと思われるか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  83. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 今回の地価高騰の原因につきましては、先生も既に御案内のことと思いますが、大都市圏の都心部における業務用地の需要が急増したこと、これが発端になったと思います。また、都心部等の業務地化に伴う住宅地の買いかえ需要の増大によりまして、高騰が周辺住宅地さらにはその外周部に波及していった。その過程で投機的な取引とかあるいは不要不急の仮需要が増大し、上昇に油を注いだということだと思いますが、その背景には低金利、金余り状況、そういうのが強く作用していた、そういうふうに理解しております。
  84. 上野建一

    ○上野委員 そうすると、今金融の問題が出ました。確かに全体、総合的といえば総合的には間違いないわけで、ただ、総合的だと言って何かどこに中心があるのかわからないような話では対策がとれないわけで、やはりきちっとした原因をつかまなきゃならぬ。この点については建設大臣は、中曽根民活も一つの原因だということをどこかで言われているわけで、そうすると建設大臣は今の問題について、今局長の方から答弁がありましたが、それでいいのかどうか。  特に、金融の問題もございますけれども、投機の問題ですね。その中には企業の未利用遊休地がかなりあるというふうに言われていますが、国土庁はこれはもう調査をされているということですけれども、どういう実態でしょうか。企業の未利用地、七万六千ヘクタールぐらいあるという話ですけれども、この点はどうでしょう。
  85. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 国土庁平成元年に実施いたしました、これは首都圏における大規模低・未利用地の調査でございますが、この調査は首都圏既成市街地及び二十キロ圏内の二千平方メートル以上の土地について、その利用状況あるいは法規制の状況等をもとに土地利用転換可能性を検討したものでございます。調査対象になりました土地は約二万三千六百件ございまして、面積も合計約一万七千ヘクタールぐらいあったわけですがそのうち未利用地、農林地等比較的容易に利用可能と思われる土地が約二千六百ヘクタール、工場、倉庫等一部が土地利用転換可能と思われる土地が約三千七百ヘクタール、より高度利用を図ることが望まれる土地が約二千ヘクタールということになっております。
  86. 上野建一

    ○上野委員 首都圏だけで二万三千件ですね。ただ、これは国土庁、こういう問題はやはり情報公開の建前からもっと明らかにすべきだと思うのです。今役所のいけない点は、調べたのにそれを公開してない。ですから、これは情報公開の一環として明らかにして、その明らかにすることによってまた本当に未利用地がまだありますよ、あるいは内容が違いますよということにもなる。そういうわけですから、そこのところをまずもっと公開して明らかにすべきだと思いますけれども、そういうことは考えないのかどうか、聞いておきたいと思います。  それから、この中でもっと分類しなきゃならぬのは、開発利益あるいは含み資産と言われるようなものが相当含まれているわけですけれども、その還元を一体どういうふうにしようとされるのか。国土庁長官は、土地税制では骨抜きにはなっていないのだ、いろいろ言われているけれども、総合的な判断でいくしかないというお話でありますが、その総合的な対策で結構ですけれども、この土地税制の対象になるようなところのいわゆる開発利益、含み資産、含み利益、そういうものを還元することを考えなければならぬと思うのですね。それが一つは税制の問題でもあると思うのですが、そのほかにももちろんあると思いますが、その点については長官はどうお考えでしょうか。
  87. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 土地に関するさまざまな実態調査あるいは調査検討結果につきましては、私どもも御指摘のとおりできるだけ一般に公表していくことが望ましいと考えておりまして、毎年公表しております土地白書等におきましても、そういう点に十分留意しながら今後とも取り組んでいきたいというふうに考えております。  それと、一般的に土地の含み資産に対する社会還元のあり方の問題ですが、これは一般的には税によって対応されるのが通常じゃないかというふうに考えております。今回の税制改正案におきましても、地価税の創設が考えられておりますし、また固定資産税も、これは従来から三年ごとに評価の見直しが行われておりますが、そういう中で適切な還元が図られていくべきだというふうに思いますし、また未利用状態になっております土地につきましては、大臣からも御答弁申し上げましたように、特別土地保有税を強化いたしますし、また既成市街地内につきましては、建設省の方から御提案になっておりました遊休土地転換利用促進地区につきましては、古くから保有されておる土地であっても該当するものについては新たに特別土地保有税が課される、そういうふうな体制になっておりますので、そういった保有課税を通じて主として還元されていくのだろうと思います。  なお、譲渡に際しましても、これはできるだけキャピタルゲインを抑えていくという趣旨から、今回の税制改正では法人については一〇%、個人につきましても五ないし一〇%の強化を行うということで、土地税制の見直し全般として土地の資産としての有利性を減殺して、できるだけ高騰を二度と再来させない、そういう視点から対応されようとしておる、そういうふうに私ども理解しております。
  88. 上野建一

    ○上野委員 土地税制についていろいろ言っても、直ちにいい回答が返ってくると思いませんので、余り深くは申し上げませんが、ただ何といっても、今言ったように税制というのはかなり重要な位置を占めているということは間違いないので、そうだとすればその土地税制について、その重要な土地税制をもっと税率を税調が出したぐらいまでは持っていかなければこれは効果が薄い、こう言わざるを得ないわけで、そこら辺もひとつ答弁でごまかすのじゃなくて、何としてもやりたいという、それをやらないと私は効果はないと思いますが、どうなのでしょうか。どうもそこら辺のところが、国土庁長官はもうちょっと腹を据えて、内閣の方向とは多少違ってでも、やってみたらやはり税率を高めなければだめだとか、そのほかもっと土地開発利益とか含み利益とかいうものに課税しなければだめだとか、そういうことがお聞きしたいと思うのですが、それをひとつ聞かせていただきたい、こう思います。  それから、土地住宅とはまさに一体のものなんですけれども平成三年度を初年度とする第六期住宅五カ年計画、これがございますね。ただ、この第六期住宅五カ年計画については、どうも消極的な形と受けとめざるを得ない。なるほど住宅の戸数はふえています。六十万戸ふえている。ただ問題は、ふえたといっても、七百三十万戸を五年間でつくるというのですけれども、その中の公的資金によるものは三百七十万戸しかないのです。この点は、外国の例を見ますと、公共住宅の占める割合というのは非常に高いですね。日本はわずか八%、ところが日本よりも今経済的に厳しいと言われる、国家財政も大変困難だと言われるイギリスが三割、オランダ、ドイツに至っては四割も公共住宅があります。もちろんこれは歴史的な問題もありますから、そっくりそのまままねしろとは言いませんが、しかしいずれにせよ、せっかく立てられた五カ年計画公的資金による戸数が少ない。私は、公共投資という中には住宅建設が非常に大きいと思いますので、この点についてはやはり五カ年計画の中では欠陥の一つだと思いますが、大臣はどうお考えか。  それから、達成率も各計画ごとに下がっている。九〇%の第二期、それでだんだん八〇%になり七〇%に下がってしまっています。達成率まで下がっているというのはどう考えてもおかしいので、したがって、今度の場合は達成率を一〇〇%にする自信があるのかどうか、この点もあわせてお聞きしておきたいと思います。
  89. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 創設が予定されております国税としての地価税について、より重い税率を設定すべきではないかという御意見だと思いますが、やはり国民生活、国民経済への影響、あるいは先ほど来申しておりますように固定資産税適正化その他税制見直しとの兼ね合い、そういったことが総合的に勘案されてあのような案になっておると私どもは理解しておるわけです。  なお、現在の固定資産税を例にとりますと、非常に評価が低いものですから、地価公示価格に対比しますと、実効税率では全国平均で〇・一三%ぐらいではないかと思います。そういうぐあいに非常に低くたっております。それに対しまして、今回の地価税というのは〇・二ないし〇・三ということですが、現行固定資産税に比べましてもかなり厳しい税率という見方もできないことはないというふうに考えております。  それと、私どもも税の方、専門ではございませんが、税の改正についていろいろ検討する過程で、例えば再評価税や増価税の道がないかというふうなことも勉強したことはございます。しかし、これは現実にはいろいろ難しい障害がございまして、とてもこれでは対応できない。そういうことで、私どもとしても、国税としてそういった新保有税の創設を念願してきた立場でございます。そういう意味で、提案されております改正案が円滑に軌道に乗ってくれればなというふうに希望しておるわけです。ただ、これにつきましても、少なくとも五年以内にはさらに見直すというふうな御方針と聞いておりますので、実行した後、実態を見ながらさらにその辺の検討を深めていっていただければというふうに考えております。
  90. 立石真

    立石政府委員 五カ年計画関係についてお答えいたします。  まず、第六期の五カ年計画におきましては、この五カ年間に全体で七百三十万戸の住宅建設見込みまして、そのうち公的資金による住宅は三百七十万戸を建設を予定しているところでございます。これを第五期の五カ年計画平成二年度まででございますが、それと比べますと、総建設戸数におきましては六十万戸増、約九・〇%の伸びでございます。また、公的資金による住宅といたしましては四十万戸増、伸び率にいたしますと一二・一%というように、公的資金による住宅の比率を伸ばしたところでございます。なお、全体の住宅建設の予測戸数のうち、公的資金による住宅が二分の一を超えたのは今回が初めてであるというように考えております。  第二番目に達成率についてでございますが、これまで公的資金による住宅関係につきまして第一期からの達成率を見てみますと、第一期九五%、第二期八一%、第三期一〇四%、第四期九二%、そして平成二年度で終わる第五期が九七%を現在予測しているところでございます。こういうような形で、第六期の五カ年計画は前期の計画をかなり上回るものとし、かつ公的資金による住宅供給をふやし、また内容的にも実のあるものにしていきたいということで考えておりますので、よろしく御理解をお願いいたします。
  91. 桜井新

    桜井委員長 上野君、時間が来ましたから。
  92. 上野建一

    ○上野委員 それでは、先ほどから聞いている点を含めて、建設大臣国土庁長官答弁をいただきたいと思います。
  93. 大塚雄司

    大塚国務大臣 ただいまお話をしましたように、公的な住宅建設につきましては、五期から比べますと今のような一二%を超える伸び率であるということでございますし、達成率も五期は九七%ということでありますから、それを上回る達成率を目標に全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。
  94. 西田司

    西田国務大臣 私どもが現在、土地対策に取り組むに当たって、二つの基本的なことを考えております。一つは、当面の地価をどのように引き下げていくかということ。それから一つは、三十五、六年それから四十七、八年、五十八年、過去三回にわたって地価高騰を来したわけでありますが、二度と地価高騰を起こしていかないようにやっていかなければいけない。こういうことで、各関係省庁とも連携をとりながら、先ほど来御指摘やお答えをいたしましたようなことを総合的に進めて取り組んでまいりたい、このように考えております。
  95. 上野建一

    ○上野委員 終わります。
  96. 桜井新

    桜井委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  97. 笹川堯

    ○笹川委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  98. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、本委員会に付託されております農住組合法の一部を改正する法律案等三法に関連しまして、何点か大臣並びに関係の省庁にお伺いをいたします。私は、この三つの法律案等を含めまして、これからの国土利用といいますか土地利用万般について質問をさせていただきたいと思うのでございます。  このように農住組合法により、都市計画区域の中の市街化農地に対して適正な計画ある宅地化が進んでいく、こういうことも出てまいりますし、あるいは今問題になっております三大都市圏の市街化農地固定資産税を何とか適正化していこうというようなことも具体化してまいります。そうなってまいりますと、いわゆる都市近郊のそういう農地というものがだんだん宅地化されていく傾向にあるわけでございます。やはり日本の国土利用、土地利用の中で一番大事なのは、建設省の持っていらっしゃる都市計画、あるいは農水省が農村計画をどうお立てになるか、これによって国全体の好ましい土地利用というものが進んでくると思うわけでございます。特に大事なのは、好ましい都市化あるいは最も国民が要求しておる低廉、良質な住宅用地としてそれが提供されてくればもっと好ましいんだ、そういう思いがあるわけでございます。  私は、やはりこの中で一番大事なことは、一九六八年、昭和四十三年でございますが、旧都市計画法が新都市計画法に変わったわけですね。両大臣とも御承知のように、あのときの一番根本的な問題は何が論議されたか。我々も絶えず耳の奥に焼きついて離れないのは、計画なきところに開発はしませんよ、してはいけません、まず大事なのは計画をしっかりしなさい、こういうことが真剣に論議されて、市街化区域と調整区域、いわゆる整備開発または保全の方針をしっかり固めなさいということを言われて、計画が進んできたわけです。それから今日に至っているわけでございますが、私は今ではもっと具体的に、都市基盤整備がしっかりしてなかったら開発はやめた方がいいんじゃないかなという思いすら持っておるわけです。ですから、道路とかあるいは下水道、特にこれは都市基盤の最も基幹となる整備でございますので、このようなきちんとした都市基盤、これを建設省そして農水省としっかり協議をして、国土庁が主務官庁でおられるわけでございますが、三省庁で、農住組合法等も含めましてきちんとした計画の上に宅地化を進めていくということが一番大事だと思うのでございます。  まず、この計画なきところに開発はしない、もっと進んで、都市基盤がなければ開発はしないというぐらいのかたい決意で、この宅地化が進んでくる農地に対してきちんとした方針をお持ちいただいた方がいいと思うのでございますが、御意見をお伺いしたいと思うのでございます。
  99. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、昭和四十三年に新都市計画法を制定いたしました際、市街化区域、市街化調整区域の線引き制度が新しく導入されたわけでございますが、この基本的理念は、都市の将来の発展につきまして将来人口フレームを定めまして、その都市が将来どの程度の規模に発展する都市であるかという見通しをしっかり立てまして、その都市の中で開発するところ、保全するところというものを都市計画で明確に区分して、計画的な市街化を図るところにつきましては都市基盤施設の整備をきちっと計画的に行いまして、それに合わせまして宅地化を図り、市街化を図っていく、こういったような制度理念で導入したわけでございます。  私どもは、その都市計画法の精神が、現在各都市におきまして線引きが実施され、基本的にはその方向に従って進んでおるという認識を持っておるわけでございますが、なお現状を見ますときに、いろいろ問題を抱えていることも事実でございます。都市計画法改正基本的理念に則しました都市計画といいますか、都市政策推進に努めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  100. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは大塚大臣にお伺いします。  今申し上げましたように、いわゆる農地宅地化が進んでくるわけでございます。建設省としても非常にこのことを重要視いたしまして、五十四年十二月に「長期的視点に立った都市整備の基本方向についての答申」を受けていらっしゃるのです。それから、もう一つ建設省は、六十二年一月に「都市近郊集落の計画的な整備を図るための方策についての答申」、この二つの答申があるわけですが、きょうは時間の関係でこれは細かくはやりません。ただ、この中で大臣一つだけ、大臣としてしっかりこれを何とか進めていただきたいと思うことがあります。  この両方の答申は、五十四年の答申もそうでございますが、「都市農村計画への展望」ということで書かれているわけです。これはもう大臣御承知のように、「都市と周辺農山漁村を一体的な圏域的広がりの中でとらえることにより完結する。」いわゆる都市と農村というのは一体的にしなければいけませんねということです。  中心都市とそこに大きく依存する周辺市町村を一体とした都市圏整備の重要性が増すことになる。また、農村既存集落においても、ナショナルミニマムとして快適な生活を享受していくためには、今後、計画的に下水道、公園、生活道路、河川等の生活環境整備するほか農村住宅の立地を誘導する必要があり、農業の生産基盤をつくりあげる点からは既存集落の再編成ということも必要となろう。   このような都市化社会の諸条件を反映して、二十一世紀に向けては都市と周辺農山漁村を一体的に計画する、いわば「都市農村計画」が必要です。もう五十四年の段階で答申が出ているんですね。このことは、同じように六十二年の答申でも重ねて出てきているわけです。  何を申し上げたいかというと、もうこれからは建設省と農水省、もちろんそこに国土庁がいらっしゃるわけでございますけれども本当にこの関係省庁がしっかりと協議をして、都市化してくる農村と都市計画とを一体化しなければ、好ましい日本の国土利用というのはできませんよ、こういうことを言っているのです。  六十二年の答申も、  市街化調整区域内の都市近郊集落について、その計画的な施設の整備及び適正な土地利用の誘導を行うため、現行の都市計画の体系と整合性を保ちつつ、新たな都市計画上の制度的枠組みを創設する必要がある。   なお、区域区分制度が適用されている都市計画区域外の集落についても、都市的ニーズが一定の段階に達している場合には、その状況に応じて、適切な対応を図ることが都市計画の新たな展開を図るうえで重要であり、将来的には、都市と周辺農山漁村を一体的に計画するいわば「都市農村計画」についても検討すべきである。 同じことを二回答申されているのです。  私は、農住組合法等のこういういわゆる農村との接点が広がってきますと、この辺で、都市計画あるいは農村計画あるいは農住組合法という部分的な話ではなくて、大臣と農水省とが本格的な協議を図っていただいて、都市農村計画都市計画と農村計画の一体性、その中に最も好ましい日本の国土のある発展の姿を計画していただきたい、こう思いますので、大臣の御決意を伺っておきます。
  101. 大塚雄司

    大塚国務大臣 大変に貴重な御論議をいただいたわけでございます。  先ほどお答えをしたように、昭和四十三年に新都市計画法が発足し、住宅建設ももちろん都市計画の線に沿って建ててはまいりましたものの、やはり地価問題等もございまして大都市周辺にスプロールをしていくような傾向が続き、その間におきまして、地方自治体の関連公共施設の負担の増高によりまして、これらに対しての対策もしなければならない。それぞれそういうような大変に混乱した状態の中で、宅地並み課税の猶予制度というようなものも設けてまいりました。そのねらいは、やはり無秩序に都市が広がっていって、都市と農村が大変にスプロールによって好ましくない開発が続くことはよくない、こういう理念から今の制度等がずっと発足をしてきた。先生の御指摘のとおりであります。  これからの住宅供給都市計画のあり方、あるいは農村の計画というものにつきましても、まさに御指摘のとおり農林水産省と建設省がよく協議をしながらやっていくという大きなグローバルな視点の中で、今お願いをしている三法をお願いをして、具体的にそれでは保存をする農地とそれから供給をする住宅はどうするかというものをこれから積極的に調整をしながら進めていこう、こういう趣旨であろうと思いますので、御指摘の方向に従って努力をしてまいりたいと思っております。
  102. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは申しわけないのですけれども、農水省にもお見えいただいていると思うのですが、せっかく建設大臣からそういうお話もあったわけで、私はやはり農水省側も我々国民の側に立ってお考えいただきますと、建設省と真剣な御協議をいただいて、我々国民に快適な居住環境を提供していただきたい、こう思うわけでございますが、農水省の御意見をお願いします。
  103. 芳田誠一

    ○芳田説明員 地域計画課長でございます。  今、建設大臣の方から御答弁がありましたが、全く私どもも同様に考えております。農林水産省の立場からいたしますと、国民に食糧を安定的に供給するために集団的な優良農用地をできるだけ保全確保するということが大事であるわけでございますが、同時に、住宅宅地等に対する需要というものも国民的な強い要望でございますので、地域におきまして合理的な土地利用が図られるように配慮していくことも大事だと思っております。  こういう観点から、先ほど言及ございました線引きについてもよくよく建設省連携をとって調整しておりますし、また、市街化区域外で、いわば先ほどおっしゃいました都市と農村の接点に当たるようなところでは農業集落整備法というようなものを活用して、生活環境と生産基盤と一体で整備するというようなことを考えておりまして、現実にもう既に愛知県の豊田市、福岡県の久山町といったようなところで実績が上がっておりますし、これからも見込まれている、こういう状況でございます。
  104. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか農水省のお立場で、いろいろ生産基盤の問題もあろうことかと思いますが、市街化されてくる農地につきましては建設省国土庁本当に真剣な論議をして、好ましい計画を進めていただきたいことをお願いいたしておきます。  それから、ここから具体的な話になりますから局長に見解をお伺いし、最後に大臣にお伺いいたしますけれども、私は今も申しましたけれども、何が大事かといえばやはり計画であり、都市基盤というものをきちっと整備して、これからもせっかく出てくる、今これは両大臣とも御承知のように、我々が都市計画をやるときにいつも苦しむのは何か。例えば今までの西ドイツ、今やドイツですけれども、西ドイツとか欧米の話が出てまいります。あの欧米の国々は都市計画については原則禁止です。自分土地自分で自由にするんじゃなくて、いわゆる原則禁止のところへ、例えば今まで、Bプランと言いますけれども、Bプランをかければそれはいわゆる開発が許可される、緩和の方向へ働いているわけです。しかし、日本の国は行為規制ですから、いわゆる都市計画法をイギリスから導入して持ってきて今日やっていますけれども、いざそれに規制をかけよう、Bプランと同じような地域計画をかけよう、西ドイツに見習って、こうやりますと、これは規制の強化になってくるわけですね。ですから、どうしても住民の賛成を得るのに非常に苦労する。  しかし、私が何を言いたいかというと、これは両大臣にいろいろこれから御協議いただきたいのですが、今残されているのは一種住専、二種住専、それから市街化の農地というのは原則、いわゆる一種住専というのは簡単に言えば低層の絶対高度が十メーターか十二メーター、しかも庭つき一戸建てというイメージで我々が聞いている程度の、いわゆるそこでの用途については厳しい規制がかかっています。非常に使いにくい土地であります。ということは逆に、これからそこをきちんとした計画のもとに開発していいですよと誘導すれば、我々国民にとって最も好ましい都市づくりができるんじゃないか。そうなってまいりますと、やはりここで私は、これから出てくるであろう大事な土地を本気になって建設省計画をつくってほしい。無計画な、スプロール化するようなことだけはやめてほしい。  そこで私は、この都市計画に対するお願いでございますけれども、日本の国は、総理のあの本年度の施政方針演説にもありました。何回か総理はおっしゃいました。いわゆる産業優先から国民生活優先の方向へと政治を転換すべきときが来た、まさに豊かさを実感できる時代をつくろう、こういうことを総理もおっしゃっておられますけれども、私も、もう産業優先から生活する人優先、こういう都市計画に変えられないものか、こう思うわけです。ですから、生活する側の立場からいうと、例えば都市計画も、生活する人にとって生活しやすい、生活の質がいい、いわゆるよく言われますように、質のよさ、クォリティーという表現をよく使われます。それから、やはり生活には快適さが必要だ、アメニティーという言葉も使われます。クォリティー、アメニティーという言葉も使われますけれども、やはりこれと同じように大事なのは、町全体がきれいだな、美しい町だな。昔、日本に来た人はきれいだと言ったかもしれません。しかし、現在日本に来て、本当に美しい国ですねという言葉はなかなか聞かれなくなったと思うのです。やはりこれから東京も、全国各都市が美しい町であろう、そういう都市計画の中に人間が暮らしやすくて美しい町で、そしてお年寄りや子供に対しても親切である、そういう人間の生活を重視した都市計画に私は変えていただきたい。  きょうはちょうど、いつも情熱的な御答弁をなさる藤井道路局長がおりませんから、そのけいがいに接せられなくてほっとしておりますけれども、私は、都市というのをぱっと言ったときに、例えば大塚大臣でも外国なんかへ行って一番イメージに思うのは道路だと思うのですよ。道路がきれいだなというイメージがあると思うのです。私も青山通りを通っていますけれども、決してあそこがいいとは思いませんけれども、例えば道路があってグリーンベルトがあって、そしてそこにちょっと駐車帯があって歩道があってうちがある、こうなってくると本当に町並み、家並みがきれいに思えると思うのです。やはり、本当に藤井さんいなくてよかったですけれども、かっかかっか燃えて道路第一だなんてやられたんじゃ一時間ぐらいしゃべられますからやめておきますけれども本当に都市基盤の中で道路をきちっとまずつくる、そうしたらまず町がきれいに見えると思うのですよ。本当に、この間も駐車場でやりましたけれども、道路は走るだけじゃない。ちょっとグリーンベルトを入れば車をとめてうちへ行けます、道路にすぐ連檐するなんというこんなうちのつくり方は新しい町ではやめた方がいいのじゃないか、排ガスで非常に困るわけですから。やはりこれから新しい町は、道路をきちんとして、そこからグリーンベルトもあって歩道もあって家並みが並ぶというような、そういう生活の質のよさ、快適さ、生活する人間を主体の都市計画に変えていただいていい時期じゃないかな、こう思うのでございますが、いかがでございますか。
  105. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 ただいま大変高いお立場からの御指摘があったわけでございますが、私ども都市計画を進める場合に、都市計画法第二条に基本理念というのが掲げてあるわけでございまして、健康で文化的な都市生活の確保ということが基本的な目標でございます。これが、御指摘ございましたように、都市に生活する人々が住みやすく親しみを持ち、また、その都市を訪れる人々にとりまして魅力を感じるような、美しく個性豊かな都市に整備するということが今日的な課題になってきておるのではないかというふうに思っておるわけでございますが、翻って現在の都市の状況を見ます場合に、なおまだ都市基盤施設の整備がおくれている面もございます。どうしてもその整備に力を注がなければならない部分はございますが、逆にその都市基盤施設の整備を進める過程におきまして、ただいま先生から御指摘ございましたように、街路づくりその他の施設づくりの際にも、美しい町、人にとりまして住みやすい町にするような都市づくりを進めていく必要がある、そういうふうに認識しておる次第でございます。
  106. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一点、今度私は、今度の地価高騰大塚大臣はもう土地特の委員長で篤とこの土地問題は御専門でございますけれども、昨年の暮れからずっと土地問題をやったときに、やはり都市計画というのは大事ですね、税制だけじゃなくてやはり都市計画も必要ですよ、都市計画というのは土地利用ということをきっちりしないとだめですね。  そこで問題になったのは、例えば今八つの用途地域があるわけでございますけれども、住居系あるいは近隣商業、商業、こうなるのですが、例えば近隣商業とか住居系のところへ、特に近隣商業なんかは、住居系が追い出されていわゆるオフィスビルがどんどんと入ってきた。このように収益性の高いビルに住居系が追い出されて人が住めなくなる、こういう問題が指摘されました。やはりこれからの都市の中に人間が住みやすい、住める町、そうなりますと、今の都市計画の中で、簡単にいわゆる業務系に追い出されないような都市計画、町づくりというために、住居系についてはやはり新しい概念で都市計画をやっていく必要があるんじゃないか。用途地域の純化とかいろいろございますけれども基本的に大臣は、都市の中におけるこの住居系、私は非常に重要だと思うのでございますが、いかがでございますか。
  107. 大塚雄司

    大塚国務大臣 私が就任のときにも各方面でお話をした中に、日本の住宅というのは木造中心で今日まで参りまして、いわゆる鉄筋コンクリート造の住宅が建てられるようになったのはそう古い歴史ではない。そういう中で、法整備も後から追いかけながらいろいろ直してやってきたことは御承知のとおりです。  したがいまして、例えば今お話しの第一種、第二種の住居専用もありますが、住居用地というと、それこそ住居もあればいろいろな施設があって、おっしゃるとおり、都市の景観を損なうようなものはもう目の当たりにするわけであります。また準工業というところに、本来でしたら工業系ですから住宅が建つというのはふさわしくないのかもしれませんが、そういうところにも住宅が建っていく。そういう意味では用途地域の純化が必要だということもありますし、また住居専用と申しましても、実際に平面的に住居専用というのがいいのか、あるいはこれから近代化を進めていく上では階層別住居専用が必要であるだろうか。これからの住宅のニーズにこたえていくためには、土地を有効に使わなければならないとなれば、今までの、今お話しの八種類でいいのかどうかということもございます。  その辺のところを踏まえまして、経済社会の変動に伴う都市計画は一体どうあるべきだろうかというので、一月に都市計画中央審議会にこれらの問題を含めて諮問をさせていただいたわけでございます。その答申が出てくるのを待ちながら、我々も一生懸命勉強させていただきながら、また委員会の諸先生の御意見をいただきながら、あるべき都市の姿というものを求めていきたい、二十一世紀初頭の大都市というのはどうあるべきか、そういうことをしっかり研究をして進めてまいりたい、このように思っております。
  108. 薮仲義彦

    薮仲委員 大塚大臣に続けて二つお伺いしたいのですが、これは局長さんに聞くより大臣に聞いて御意見を伺いたいと思うのです。  私は、今大臣もおっしゃったように八つの用途地域があるわけでございますが、まあ今大臣もおっしゃいましたから、住居系、住居地域あるいは近隣商業、商業あるいは準工業、こうなってくるわけですが、例えば今出てきた住居地域、近隣商業、商業、この三つの用途地域の中で、じゃ何が違うのですか、一言で言ってくださいというと、これはもう大臣も——建設省のこのパンフレットによく図柄が出てきますように、何が違うかといえば劇場とか映画館、演劇場がつくれるか、つくれないかの差じゃないですかと、我々口の悪いのはそう言うわけです。それほどイメージがわいてこないのですね。どういう町になるんだろうか。この都市計画というのを読んでみても、例えば、こうちゃんと用途地域の指定をしました、あるいは特別の用途規制もちゃんといたしました、でも私の町がどういう町になるのかという全体像が浮かんでこないわけですね。ですから、さっきから美しい町ということを言いましたけれども、やはり町のイメージを全体像としてこれからつくっていいんじゃないか。何回も言うのは嫌ですけれども、例えば西欧を回ったって、町ごとに何となく美しいと思う、個性があるわけです、オリジナリティーが。  私は、ですから大臣に、これからの都市計画の中で、全国、例えばローカル線で一駅一駅旅行したときに、駅をおりたときに百の出会いがあっていいと思うのですよ。今、残念ながら、どの駅をおりても駅前の商店街とかなんとか、町づくりというのはそう変わらない。昔は雪国には雪国のよさがあったかもしれない。あるいは東北には東北の、杜の都仙台には仙台のよさがあったかもしれない。そういう一つ一つの個性があって何とも言えない町づくりというのがこれからはあってほしい。ですから、百の駅をおりたら百の出会いがあっていいような個性のある都市計画、都市づくり、そういうものに二十一世紀は——もうどこへ行っても同じだ、コンクリートのビルが建っていますよというのではなくて、百年、二百年という、あるいは三百年のタイムスパンの中に、日本の国が本当に美しい町になったねというような基礎を、私は大臣に、今百の出会いと言いましたけれども、それぐらいの個性のある町づくりを何とか取り組んでいただけないかと思いますけれども、いかがでございましょう。
  109. 大塚雄司

    大塚国務大臣 近年、地方自治体、都道府県あるいは市町村それぞれが都市計画の指定に従ってというよりは、将来の都市像を描きましていろいろなマスタープランをおつくりになって計画を進めておるということは、もうほとんどの市町村で進めておるわけであります。そういうものについて建設省一つの指針を示しておるわけでございますけれども、そういう中に、例えば車社会になった今日の日本を考えますと、今までのように駅前広場を中心とした盛り場がいいのか、あるいは町のもっと中心になるようなところが盛り場になっていくのがいいのか、それぞれの自治体でやはりおっしゃるとおりいろいろ特性を持っておるわけでありますから、そういう特性を導入できるような自治体の理想をなるべく尊重をしながら、日本列島全体がいい都市像を求めていくように我々は指導していくべきだ、こう認識をいたしておりますけれども、しかし今日まで一つの流れに沿ってできた都市でありますから、これを改造していくということも非常に大事な問題であろう。  したがいまして、そういうような諸法制を整備して、それぞれの自治体が特色のある都市をつくっていくための手だてを、建設省としてはできるだけのノーハウを駆使して援助をし、そして、おっしゃるような町をつくっていくように努力をしてまいりたい、このように思います。
  110. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣はたまたま東京でございますので、東京の将来の町づくりあるいは今問題になっております副都心の問題とかに、だんだん東京を中心にちょっと都市計画に焦点を移したいと思うのでございますが、大臣に、これも大臣はもう東京のことはよく御存じですから、これからのあり方として御意見を承りたいのです。  私も、「東京の新生 —二十一世紀社会の東京都心— 首都機能調査研究会報告」という東京都のこの研究を読んでみました。私はこの中に、今問題となってくる都市計画であるとか都市構造とか、いろいろなことが集約されているような気がするわけです。  この冒頭、第一章に、「一極集中の是正と分散型社会の形成」「二十一世紀社会における東京基本的性格」、二十一世紀、東京はどういう性格を持つべきだろうか。「東京の三つの顔」、一つ東京は生活都市であります、それから首都であります、三つ目は世界都市という三つの顔を持っております、これは将来ともに大きく変わることはないでしょうと。これは、私もそうだと思うのです。  その次に、先ほど来都市計画の中で生活ということを言いましたけれども、これは大臣にさっき、都市計画の中で住居系をというお願いをいたしました。この中でやはり同じような指摘があるもので、私は読み上げてみたいと思うのですが、   都市はまず、何よりもそこに人が住んでいなければならない。生活者が居ることの最も大きな意味は、そのことによって、その地域の文化が存続し、かつ創造されることである。東京都心部には江戸時代以来の生活文化があり、それは博物館のなかにある文化とは性格が異なり、日々生成する文化である。また新たにそこに住む人々が創造する最先端の都市文化は、東京東京らしさを創造するものであろう。そうした大都市の文化にはもちろん企業文化もある。しかし、世界の人々がニューヨークやパリに固有の文化の存在を認めるのは、それがニューヨークやパリの住民によって生み出されたものであるからであり、そこに立地する企業の事務所から生まれたものではないからであろう。 これは、やはり都市というのは人がいなきゃだめだ、そこに住んでいる人が、パリの住民がパリの文化を、そしてニューヨークの文化をつくったんだろう。人がいない都市というのは文化が育ちません。私は、まさに都市というのは人がいてほしい、東京に人が住めなくなるような住宅政策だけは大塚大臣のときには絶対あってほしくない。  また、「都心部における人口流出が居住機能の喪失を意味するのであれば、その地域の基礎的自治体である特別区は存立の基盤を失いかねないという問題も生じる。」「都心部の居住人口回復は今後の大きな課題である。業務機能の都心周辺への際限のない浸み出しを断ち切り、良好な居住環境をしっかりと確保できる職と住のバランスのとれた都市構造を」つくりたい。やはり職と住がこの東京にバランスしてほしい、この指摘も私は非常に感銘深く受けたわけです。  さらに、ここも私は非常にすばらしいと思うのですが、「都市の健全な発展のためには、」「そこに働く人、そこを訪れる人、そこに住む人すべての生活が十全に展開されてはじめて「まち」といえるのであり、世界都市といえどもその活力を生みだすのは、そびえたつ高層ビルではなく、そこで生活し、働いている人々にほかならないからである。世界に誇れる都市として、住みやすく働きやすい環境をつくるためには、都心部に集中・集積する業務機能を再編成し、都市構造をバランスよく組み替える必要がある。」こういう指摘もあるのですね。  それから、これも非常に大事だ。この辺、私は去年から都市の成長管理、成長管理ということをずっといろいろなところで、委員会でも質問しましたけれども、その成長管理ということが私は大事だと思うのですが、同じような指摘がここでもあるのです。「都心部の都市基盤は、道路、公園、鉄道など、比較的高水準整備されているが、こうした都市機能の水準を維持しつつ都心機能の高次化を進める必要がある。そのためには、地域によっては民間の都市機能更新の動きを全体的にコントロールして業務機能の総量の抑制を図り、都市基盤への過度の負荷が掛からないよう計画的に整備を進めていくことが必要である。」例えば下水処理であるとかごみであるとか、この都市基盤に人口が過度に集中しますとオーバーフローするわけですね。この辺のこの総量の抑制ということもこれからは東京都では必要なのかな、そういう指摘ですね。「そこでの計画原理は無秩序な業務機能の立地規制であり、都市アメニティの向上と居住機能の保全が基本にすえられなければならない。」すなわち、職住のバランスをとりつつ、新しい都市をつくっていかなければならない。そして、この都市機能のあり方でここにあるのは、非常に大事だと思ったのは、「従来の建築自由を原則として規制を例外とする考え方を逆転させる必要がある。」とか、あるいはダウンゾーニングの話とか、いろいろなことが出てくるのです。  しかし、最後にちょっとここのところは私は非常に大事だと思うので、大臣にお願いしたいのは、やはり都市というのはもっといろいろな意味で大事だと思うのですけれども、このことは私は非常に重要だと思うのです。「世界都市として形成されるべき都心部において、今後一層重視しなければならないのは文化機能の維持と拡大である。」「本来それら文化の担い手は、都民である。しかし今日の状況では、行政が積極的にかかわらなければ、その維持・拡大実現し難い場面も多多ある。」「都心部には、江戸以来、そこに住む人人によって、継承されてきた伝統文化がある。これらの伝統的な江戸、下町文化の継承は、居住機能の維持と表裏一体である。地価高騰や業務機能の無秩序で際限のない進出によって居住機能が失われることは、居住人口のみならず、伝統的な生活文化がこの地域からなくなることをも意味する。また、日本橋・神田・築地などに住み続けてきた人々によって受け継がれてきた江戸・東京文化の名残りを絶やすことは、単に一つの伝統的な価値を失うにとどまらず、今日の東京文化の重要な一角を崩すことにもなる」という指摘があるのです。  事ほどさように、私は、この都市計画というのは本気になって大臣がつくっていただく。そこに文化も栄え、すばらしい町ができる。人が住み、文化が育ち、業務系と居住系とのバランスをどうするか。やはり私は、ここで言うように、業務系だけが際限なく入ってくるということについては、何らかの管理をしなければならないんじゃないか。これはもう大臣も先刻御承知の海外の例を言うまでもなく、例えばロサンゼルスなどは、浄化槽の能力が間に合いませんといえばビルの総量規制をしましょうとか、このような形で考えなければならない。  そうなってきますと、後ほど質問いたしますけれども、ビルの林立する東京副都心なんというのももう一度考えていただかなければ困るかなという考えはあるのですが、やはり私は、東京に江戸の庶民文化が栄え、人が住んで本当に快適な東京をつくっていただきたい。そのための一つは、成長管理だと思うのです。この物すごい成長のエネルギーを、国土庁長官は国会移転ということで、ガス抜きと言ったら悪いですけれども、エネルギーをよそへ持っていきましょう、分都、展都、いろいろな形でやるのも一つの方法です。同じように私は、都市計画の中でその成長を適当に抑制する。どんどん成長すれば生活がクォリティーになるんじゃなくて、ある程度の適正な管理の中に質のよさが出てくるように思えてならないのですが、大臣のお考え、いかがでしょう。
  111. 大塚雄司

    大塚国務大臣 大都市の成長管理の最も大事な要点は、お話のとおり適正な都市計画である、まさにそのとおりであります。ただいま万般にわたって御意見をいただきまして、まさに傾聴すべき御意見をいただきまして、私もただいまのお話にもう大部分同感のものばかりでございます。  大東京という都市が成長する過程では、余りにも業務施設の集中も速ければ、また人口の集中も東京全体では集中をしてまいりましたので、その間に都市計画そのものが後追いになった。例えば道路の整備につきましても、東京でとらえますと都市計画街路の半分に満たない整備率である。あるいはまた、都市公園の面積にいたしましても、とても欧米の諸国には及ばない。あるいはまた、下水道、水道の問題もかなり供給をするようにし、下水道の整備も進めてまいりましたけれども、バランスしない。場所によっては夜間放流しか認めないというような場所もございましたり、ともかくアンバランスであることは間違いのないことであります。これを直していくことが東京問題でありまして、お話しのように国会移転を含むいわゆる多極分散型の国土形成に沿う、いわゆる業務施設を外に移転するということも大事でありますから、七十九機関の隗より始めよということで、政府機関の移転も今遅々としておりますけれども進めつつあるわけでございまして、そのようなことから、先ほど午前中の石井委員の御指摘もございましたけれども、例えば大都市が空洞化して、そこに業務施設が集まっている、勤労者はますます郊外に追いやられて長時間の通勤時間に耐えていかなければならない、これもアンバランスの姿の一つであります。  目標は何かといえば、やはり業務施設が集中しないようにこれを規制する。自由主義社会の中で、先ほどニューヨークのお話もありましたけれども、建築の規制をするというのはなかなか困難な問題ではありますけれども、その辺を都市計画で誘導しながら、先ほど申し上げたような見直しも含めて、都市構造をつくり変えていく努力を精力的にやらなければいけない。また一方で、道路の整備が足りないところへもってきまして、自動車が大変にあふれまして、環状七号線以内の路上駐車が二十三万台、そのうち違法駐車が十八万台、こういう姿もまさにアンバランスでありますから、都市改造をしっかりやっていかなければならない。できれば、先ほどの石井議員との論議でございましたが、この都心に住宅をもう一度しっかり建て直して、そして勤労者が都心に戻ってくるような施策を講ずるために最大の努力を払っていこうか、先ほどの諮問をいたしました都市計画のあり方の答申も相まちまして、強力な政策推進してまいりたい、このように思っております。
  112. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一つの面から、これはちょっと御答弁は結構ですけれども大臣にそういう点でも、私は非常にクライシスといいますか危機意識を持っているわけでございますけれども、これは開発銀行の「調査」というデータバンクの資料ですね。これは細かいことは抜きますけれども東京というのは非常にもう限界まで来ていますよ、これ以上やったら大変ですよと幾つかの問題点が出ているわけでございますが、一つは、もう大臣御承知のごみの問題ですね、廃棄物の問題。廃棄物がもう大変ですと言ってここで指摘されているのです。これはほかの角度からいかに大変かということで御認識いただきたいのは、「首都圏における廃棄物処分の限界」、「首都圏における廃棄物処理の現状と見直し」   首都圏の各県においても廃棄物処分が困難になりつつある。   平成元年十一月の六都県市首脳会議東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、川崎市、横浜市で構成)で示された資料によると、昭和六十一年度の六都県市の一般廃棄物の処理量が合計で一千百三十八万一千トン、埋立量が三百七十二万九千トンとなっている。 これが将来どうなるか。これは細かいことは数字が長いですから飛ばしますけれども、将来現有処理場が不足する年度を六都県市別にみると、平成四年度には埼玉県が、平成五年度には東京都が、平成七年度には神奈川県、川崎市、横浜市が、平成十年度には千葉県がそれぞれ容量不足となる。さらに六都県市でそれぞれの処理場を融通しあったとしても、平成六年度には六都県市合計では容量不足となる見通しとなっており、深刻な事態を迎えているといえよう。 というのですね。ですから、平成六年度になってくると、首都圏のごみはもう大変ですよという状態が出ているわけです。  また、これ細かいのは抜きますけれども東京都がいわゆる水に強いか。これは大臣御承知のように、水の賦存量、これは東京全国で一番低いのですね。特にここに指摘されている結論だけ言いますと、「二〇〇〇年までの水資源開発計画によれば、二〇〇〇年の首都圏の給水可能人口は、現行の水系を前提とすれば、三千三百万人である。一方首都圏人口は自然増や社会増から増加しており、二〇〇〇年には三千五百万人に」なるのですね。もうここでオーバーヒートしているのです。それだけの人に水を供給できません。そうなってきますと、どうしても成長管理ということを考えざるを得ない。  もう一つは電力なんです。電力も東電の予備電力量というのは非常に低いのです。もう時間の関係で結論だけ言いますと、  予備率は、首都圏の電力需要の増加などを反映し九電力平均を下回っている。しかも六十二年度の場合、予備率は五・八%まで低下しており、適正予備率といわれる八〜一〇%の水準を下回っている。このように首都圏においては、需要増加に対応した電力の供給が次第に困難になりつつある。   一方今後についても、順調に電源開発が進捗したとしても、平成三年度や七年度の供給予備率は八・一%と、適正予備率の最低水準となることが見込まれている。   以上のように、首都圏における需要増加に対応した電力供給が困難になりつつある。 このように、水も電力もごみ処理もできないのです。こうなってまいりますと、もうこれは悠長なことを言っていられないのじゃないか。やはりきちんとした都市計画、都市基盤、そして業務系の事務所についてきちんとした見通しを立てた建設省計画がそろそろ要求されるのではないか。  ここで国土庁長官にお伺いしたいのは、もう長官のところもただ計画を練っているだけじゃなくて、私はもう国会を追い出した方がいいと思うのです。大臣のところで首都機能移転問題に関する懇談会をおつくりになって、国会を、国会決議があるわけですから国会どこかへ行っちゃいなさい、どうぞ静岡の浜松あたりに来ていただけば私は大変うれしいのですが、そこへ移すなんてきょう答弁していただいたら、私はさっきの塩谷さんじゃないですけれども、あそこは塩谷さんの地盤ですけれども、あの辺あたりでもいいですからね。今言ったようにオーバーヒートしていますから、どうか国会をすとんと持っていって、東京をもっとすきすきする、さっき大塚建設大臣が言ったように東京都心にうちも建ちますから、国会移転、そろそろ本格的に追い出してやったらどうですか。いかがですか。
  113. 西田司

    西田国務大臣 昨年の十一月に、衆参両院におきまして、各党派の御同意によって国会移転が決議されたことは御承知のとおりでございます。私は、このことをとらえて、一極集中、多極分散型の国土ということが言われておりますが、この持っておる意味は、国会が率先して、今お話しの東京一極集中というものを是正していこう、こういうことを先駆けてやっていただいた、このように理解をいたしておるわけでございます。  国土庁といたしましても、従前より東京一極集中の問題については何とか是正を図っていこうということで、先ほど建設大臣も御答弁になりましたけれども、まず行政機関の機能を地方へ移していこう、七十九機関移していこうということで現在取り組んでおるところでございます。  私、国土庁長官に就任いたしましたときに、一体これいつまでにやるんだ、こういう話をしましたら、今までは大体五、六年くらいでやっていこう、こういうことでございました。こういう話でございましたので、今のようなピッチでやっておると、それは五年が十年たっても機関の移転はできないよ、こういうようなことを冗談まじりにお話をしたようなわけでございます。  ここで一つ、私どもが国会移転という問題を考える上で非常に大事に取り上げていかなければいけないことは、これだけのことをやってまいりますと、国民生活というものに非常に大きな影響を与えるものでございますから、もちろん先ほど来お話しのように、緻密な計画と実行案、そういうものを立てるということも必要でございますが、また一面において、国民とのコンセンサスをどう形成していくかということも必要だ、このように考えておるわけでございます。私といたしましては、何らかの方法を講じて国民皆さん方の御議論をいただく、そういうこともつくっていきたい、このように考えておるわけでございます。  特に、委員も御承知のように私の手元に懇談会をつくっておるわけでございます。先般来、この機能をひとつ十分に動かしていこうじゃないかということで、具体的に取り組んでおるところでございます。また、総理が持っておられる有識者会議、こういうところへもひとつ大所高所からの的確な御判断のいただけるような材料を提起をしていかなければいけない、こういうことで前向きで取り組んでおるわけであります。
  114. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか国土庁長官、蛮勇を振るっても結構ですから、我々国会決議にしたということは賛成ということでございますから、どうか国会議員はみんなどこか浜松あたりへ持っていっていただくように、よろしくお願い申し上げます。そうすると、東京大塚大臣が非常に喜ぶようなことになるんじゃないかと思います。  そこで、大塚大臣にお伺いしたいのは、最近問題になっております臨海副都心、この問題で、これは東京都の問題なんですが、私は事ほどさように東京都にこれ以上集積するということについて、まじめな意味で懸念を持っているんです。というのは、この東京副都心というのは、きょうは要点だけ言いますと、三十八の超高層ビルが建つこの計画は、どう見ても交通手段や上下水道等の基盤整備が全く間に合わない、都内外から批判の的になっております。計画どおり実行すれば、全国から建設労働者や資材を短期間に集めることによって人手不足を増長し、人件費等が上がり、これが民間住宅建設コストにはね返って家賃の高騰を招き、都民にしわ寄せが来るのは間違いありません。これは、この間私、建設労働者の問題を指摘しましたけれども、非常にこれは重大問題なんですね。こんなに短期間にやるということについて、非常に懸念いたしています。  きょうは問題点だけでやっていきますけれども、「東京ベイエリアにみる大規模開発プロジェクトとその問題点」というのがあるわけですね。ここに、  東京湾とその臨海部(東京ベイエリア)は、あたかも〃ビッグプロジェクト乱立地帯〃の様相を呈している。今年三月にまとめられた環境庁の「大都市圏における環境資源の保全創造に関する懇談会」専門部会報告によれば、一九八八年四月時点での東京ベイエリア(東京湾に面する市、区及び千代田区)にみるプロジェクト群は、比較的熟度が高い事業中ないし計画段階のものだけで三十九件、その他、まだ熟度は低いが構想中のもので三十四件、計七十三件にのぼっている。これを開発の対象面積という点からみると、上記三十九件の合計だけで六千六百九 十五ヘクタール これは、都心三区、千代田、中央、港区の行政面積四千百五十六ヘクタールの一・六倍強に相当します。目下構想中の三十四件合わせると一万ヘクタール、物すごい膨大なことになるんですね。この指摘はこう書いてあるんです。これは東京都の問題かもしれないけれども、  今後の二十一世紀における首都圏全体の将来像をも決定的に運命づけることになるのは必至であろう。それだけに、いま、その是非や具体的な開発のあり方をめぐって、多方面から総合的な批判的検討が求められているといわねばならない。 細かいことは飛ばして、ここにこういうことが書いてあるんです。大塚大臣御承知のように、昔はこれはテレポートという計画だったんですね、就業人口三万人ぐらいの。それが現在は、  就業人口十一万人、居住人口六万人という形で全体としては約五倍近くにまで膨れ上がってしまった。現在の「臨海部副都心開発」が今後そのまま推進されていくならば、その開通直後の段階で確実に交通マヒが発生してしまうという計画上の致命的な不整合問題が起こっているのである。 この間、私は道路問題もやりました。きょうはもっと細かいことはやめますけれども、事ほどさように、私は我が党の、都議会で、これはやはり大臣も御答弁あったそうでございますけれども住宅系に変えていく方がよろしいんじゃないか、こういう意見が都民の間から出ておるわけでございます。  そこで、私は住宅局長にお伺いしたいのですが、ここに住宅計画があるわけでございます。公共主体で一万三千戸、民間主体で七千戸、計二万戸、いわゆる公共が六五%ということになっているわけでございます。新聞の記事に、「都の臨海副都心開発住宅 基準家賃二十万円に 高額批判は必至」という新聞のどかっとした見出しがあるわけですが、我が党は都議会においてもまた、昨年来ずっと住宅政策を言ってまいりました。公営、公共、こういう住宅をもっと充実すべきじゃないか、いろいろな形で住宅対策をしっかりやらないといけませんね、特に中堅サラリーマン住宅は必要です、これを言い続けました。今の公営住宅に入れない階層、公団に入りたくても公団が家を建てられない階層、どうするか。やっぱりそこにはパブリックが出ていくしかないでしょう、これを主張し続けて、我が党は公営住宅の重要性と、もう一つは公共住宅、我が党はどちらかというとコミュニティーを残そうというのでコミュニティーパブリックと言ったのですけれども建設省はそれはだめよと、中堅サラリーマン対象のファミリー向けという名前で地域特賃A型、B型の拡充をしてくださいました。私は、これは非常によかったと思っています。そしてまた、いわゆる高齢者のためにも借り上げ住宅をつくりましょうという政策建設省は入れてくださいました。  東京都において、あの臨海副都心に公営住宅でどのぐらいの家賃で、また、いわゆる中堅サラリーマン向けのファミリー住宅、我が党で言えばコミュニティーパブリックという住宅ですけれども、どのぐらいの家賃で、また、高齢者にはどのぐらいの家賃で今建設省政策的には提供できる、本年度の事業計画の中でならこれぐらいでできるという家賃設定をちょっと数字的におっしゃっていただけますか。
  115. 立石真

    立石政府委員 お答えいたします。  初めに、臨海副都心の住宅のうち公共住宅の比率についてでございますが、おおむね二万戸建てるうち、大体六五%が公共主体によって供給される住宅であると私たち聞いているところでございます。ただ、中堅勤労者への住宅対策等の重要性にかんがみまして、東京都におきましてもいろいろな見直しを行っているというように聞いておりますので、私たち、都の方針の検討を待ちながら積極的に対応、支援していきたいと思っているところでございます。  そして、そこで供給される賃貸住宅について、どの程度の家賃になるかという御質問でございます。まず、東京圏におきます平成三年度の公営住宅につきましては、三DK程度というふうに考えておりますが、第一種公営住宅の家賃は六万円程度、第二種公営住宅は四万円程度、また先生触れられました地域特別賃貸住宅につきましては九万円程度になるだろうというように見ているところでございます。臨海副都心における住宅は、平成六年度から供給ベースになるわけでございますが、それぞれの住宅の入居収入階層のその当時の収入に応じまして、現在のところからそういう伸びの中で決定されるのではないだろうかと見ておるところでございます。  公営住宅系以外のものにつきましてはまだ検討段階でございますが、公団住宅につきましてはやはり平成六年度からの供給が予定されていると聞いておるわけでございますが、その家賃は三DK六十五平米程度のもので二十万円未満とするということだけがはっきりしておりまして、実際どういうような建物が建ち、また最終的にどういう家賃決定がされるかはまだ明らかにできない状況でございます。  さらに民間住宅についてでございますけれども東京都が民間の事業主体と住宅計画内容について現在まだ協議している段階でございますので、家賃の額については未定であると聞いております。
  116. 薮仲義彦

    薮仲委員 高齢者の家賃もどうか、御答弁ありませんでしたけれども、私は建設省ならば三万円か三万五千円程度でやっていただけると期待しておりますから。これは時間がないから結構ですけれども。  大臣、やはり住宅政策中心に見直してほしいという期待が都民の間にあるのです。都議会でもこれはまじめな論議をしているわけであります。私も建設行政をずっとやってきて、まじめに、今のままではちょっと懸念もございます。臨海副都心を住宅系にしてくれという意見に対して、大臣はいかがお考えでございますか。
  117. 大塚雄司

    大塚国務大臣 私が大臣に就任する前から、東京の政治家の一人として、このプロジェクトには多大の関心を持ってきたところであります。お話のとおり、業務施設が集中をして夜間人口が追い出されている都心の現状、あるいは東京の将来の住宅供給の姿、若い人たちに住宅の所有について希望を持たせるということ等を考えながら、ぜひ東京の臨海部におきましては住宅をもっとふやすべきだということは、主張をしてまいりました一人であります。  六十二年九月の段階での基本方針では、就業人口たしか十一万五千人、住宅四万四千ということでありましたが、建設省もこのことには大変関心を持ちまして、いろいろと東京都とも協議をいたしまして、現在お示しの六十三年三月の基本方針では十一万人と六万人、こういうことになったわけでありまして、東京都におかれましても、建設省住宅をふやしてほしいという要望を取り入れてまいったわけであります。  しかし、さらにもっと住宅をふやすべきだというような御要望が強いことは、東京都の議会でも御論議のあることは十分承知をいたしておりまして、実際にこの基本方針の中でも、人口のフレームは今後東京圏及び東京全体での業務床や住宅等の需給動向等を勘案して必要があれば見直すものとされているわけでありまして、東京都の方でこの見直しが検討されるという場合には、建設省といたしましてもその協議会等の場を通じて適切に対処をしていくということでございまして、望ましい方向をみんなで協力をして見出してまいりたい、このように思っております。     〔笹川委員長代理退席、委員長着席〕
  118. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかその方向で御検討いただきたいと思います。  もう時間が参りましたので、本当はきょう借地・借家法や生産緑地の話を質問したかったのですが、法務省の方、申しわけございません。  最後に、生産緑地の方でせっかく大蔵省と自治省がお見えでございますから、問題点の中で、私 は転用制限をきちっとしてほしいということがあるわけでございますが、転用制限もさることながら、一番大事なのは財源措置でございます。地方自治体が宅地並み課税によって出てきた農地をしっかりと買えるような財源措置を、自治省並びに大蔵省当局に何とかやっていただけると安心できるわけでございまして、最後に自治省と大蔵省の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  119. 嶋津昭

    ○嶋津説明員 お答えいたします。  生産緑地の買い取りに関する経費につきましては、平成三年度に法律が成立しますと直ちにそういうことが出てくるということではないかもしれませんが、平成三年度の地方計画におきまして公共用地先行取得等事業債というのを計上しております。それの取り扱いの中で、新たに生産緑地法に基づきますところの買い取り請求があった場合には、その事業費の一〇〇%を地方債の対象にしようというふうに許可方針なり運用通達を改正して措置をする、こういう方向建設省さんとも協議を進めております。
  120. 林正和

    ○林説明員 ただいま自治省の方からも御説明がございましたが、私どもも、公共用地の先行取得等の事業、これにつきましてその対象にするというような方向で現在検討しているところでございます。
  121. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  122. 桜井新

    桜井委員長 辻第一君。
  123. 辻第一

    ○辻(第)委員 法案質疑に入る前に、建設大臣にお尋ねをいたします。  三月三日の産経新聞に、建設大臣に四千万円のリクルート社の献金というような疑惑が報道されました。けさの質疑にも少しあったようでございます。また、昨日参議院の予算委員会で私どもの上田副委員長がお尋ねをいたしました。口座があるということはお認めになりました。事実は否定をされました。その後、坂本官房長官が調査をし報告をされるというふうなことでありたようでございますが、私はぜひ事実を積極的に明らかにしていただきたいと求めるものでありますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
  124. 大塚雄司

    大塚国務大臣 午前中にもお答えをいたしましたが、今先生がおっしゃったとおりでございまして、私も誠実に官房長官の調査に協力をして解明をさせていただきたい、このように思っております。
  125. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、法案質疑に入りたいと思います。  まず第一に、いわゆる農住利子補給法であります。今回の改正で、農地所有者等が建設した賃貸住宅をいわゆる一括借り上げ者に一括して貸し付ける場合も、利子補給契約の対象に加えられました。賃貸条件等を定めた農住利子補給法第八条の第二項は、「対象融資を受けた者は、当該融資の利率が指定利率である間は、当該融資に係る賃貸住宅を賃貸するときは、家賃の額その他賃貸の条件に関し建設省令で定める基準に従つてしなければならない。」と規定し、法施行規則では賃借人の募集方法、賃借人の選定、家賃などについて定めて、法第一条にあります、住環境が良好で家賃が適正な住宅供給を促進することといたしております。法律では、このことが義務づけられるのは対象融資を受けた者とされており、一括借り上げ者については何も触れられておりません。この法律の趣旨からすれば、一括借り上げ者といえども、対象融資を受けた者と同様に賃貸の条件に関する基準に従って賃貸すべきであることは言うまでもありません。その点の法改正なしに、一括借り上げ者に対しどのような基準に従わさせるのか、お答えをいただきたいと思います。
  126. 立石真

    立石政府委員 お答えいたします。  今回の法改正による一括借り上げ者に対しましては、農住利子補給法第八条第二項における賃貸条件の基準といたしまして、一括借り上げ者と賃貸人との間において、家賃規制等の現行の規制と同様の内容を一括借り上げ者と賃借人との関係において契約の内容とすることを義務づける予定でございます。
  127. 辻第一

    ○辻(第)委員 第八条違反があった場合、法第十四条による罰則が設けられております。一括借り上げ者が賃貸の条件に関する基準を守らなかった場合、一括借り上げ者に対する措置はどうなるのか、このままでは法的に責任が追及されないことになるのではないか。一方、融資を受けた者に対する第十四条の適用はどうなるのか、法的には融資を受けた者の責任になるのではないか。そうなると、融資を受けた者が責任をとり切れるのか。また、責任がないということになりますと、だれも責任をとらなくてもよいということになります。第八条の法改正が行われないために、どうもこの辺があいまいになっているように思うのでございます。このことは、賃借人にとっても、融資を受けた者にとっても問題が生じるのではないかと懸念をいたします。建設省としてはどのように対処をされるのか、お答えをいただきたい。
  128. 立石真

    立石政府委員 農住利子補給法の第八条に違反をした場合におきましては、現行法の罰則、法の第十四条に定める罰則でございますが、それの規定を一括借り上げ者に適用することにつきまして、農住利子補給法は、利子補給金を受けた者に当該利子補給金に見合った一定の義務を付加をするという考え方に立っておるものでございまして、現行法上、直接利子補給金の給付を受けていない者に対しまして規制を実施したり、あるいは罰則を適用している例はないということから、そういうようなことをするのは適当でないと考えまして、法令上は直接的な罰則の適用は予定していないところでございます。  しかしながら、第十四条の罰則にかわる措置といたしまして、一括借り上げ者の違反行為を防止するために、第一に、先ほど申し上げましたが、一括借り上げ者と賃貸人の間において、家賃規制等の現行の規制と同様の内容を一括借り上げ者と賃借人の関係において契約の内容とすることを義務づけますとともに、第二に、この一の内容を契約の内容としなかった場合には、法第十一条の規定に基づき利子補給金を支給しないことを予定しているところでございます。
  129. 辻第一

    ○辻(第)委員 適切な対応をしていただきたいとお願いをいたします。  次に、農住組合法についてお尋ねをいたします。  この第一条でその目的を定めております。「大都市地域市街化区域内農地所有者等が協同して、必要に応じ当面の営農の継続を図りつつ当該市街化区域内農地を円滑かつ速やかに住宅地等へ転換するための事業を行うために必要な組織を設ける」というふうになっております。当然のこととして、農住組合は農民の自発的意思で組織されるものであり、この法律が直接的に農住組合の結成を農民に求めるものではないと思いますが、いかがですか。
  130. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 御指摘のとおりでありまして、農住組合法市街化区域内農地所有者等の自発的な発意により設立されるものでありまして、協同して事業を実施していくということであります。したがって、農地所有者等に組合の設立を義務づけたり強制したりするものでは全くないということであります。
  131. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、これまでの農住組合の設立状況事業完了状況事業施行中の状況について説明をいただきたいと思います。
  132. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 お答えいたします。  農住組合法の施行以来、これまでに設立されました農住組合は十五組合でありまして、これらの組合で既に土地区画整理事業につきましては六組合事業が完了しております。現在五組合で施行中であります。なお、区画整理済み地に建設されました賃貸住宅、その他の住宅は五百戸程度になっております。また、現在準備中、構想中のものにつきましては十を超える地域で検討が進められております。
  133. 辻第一

    ○辻(第)委員 長期営農継続農地制度の廃止や、市街化区域内農地を改めて宅地化する農地と保全する農地に区分する今回の土地税制の改定などは種々問題があるわけですが、結果としてミニ開発の増加等が発生するのではないか、このように懸念をされます。この農住組合制度はミニ開発を抑制する効果があるのではないか、このように考えるのですが、国土庁の見解はいかがですか。
  134. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 私どももそのように考えておりまして、組合市街化区域内農地所有者等が協同して、当面、一部地区について営農を継続しつつ、その他の地域については住宅地等への転換をするため、住宅宅地の造成とかあるいは賃貸住宅建設等を行うものでありまして、組合設立を通じて農地所有者等がお互いの土地利用についての話し合いを行いまして、そういう組合の場を通じて合意形成を図っていける、そういうメリットがあろうかと思います。  こういう過程を通じまして、先生御指摘のように農地所有者間の土地利用の調整が行われ、基盤整備を伴った計画的な土地利用転換が進められると考えておりますので、いわゆる虫食いとかミニ開発、これはほうっておきましても年々三%ぐらいずつ減少しておりますが、その現象は都市整備の上でもあるいは営農を継続する立場からも非常に不幸なことだと思うのです。そういう意味で、この組合事業の施行を通じて、そういった無秩序なスプロールの防止に資するところが多いのではないかというふうに考えております。
  135. 辻第一

    ○辻(第)委員 この事業については、いずれにいたしましても農地所有者等が協同して事業をやるわけでありますから、関係農民の自発的な意思と民主的な意見の一致が何よりも必要であります。国土庁が今後この事業推進していく上で、この点を十分念頭に置いて事業を進めていただきたい、要望いたしまして、次に移ります。  次に、いわゆるあめ法についてお尋ねをいたします。今回、宅地並み課税にかかわって、平成四年度から長期営農継続農地制度を廃止する地方税法の改正が行われようといたしております。都市においても、農地が果たす緑地機能でありますとか防災機能、生野菜の供給機能などから見てまいりまして、大変大きな問題でございます。関係する農民の皆さん方こぞってと言うほど反対しておられるのが現状ではないかと思います。私は、偽装農地はとにかく、まじめに営農している農地宅地並み課税を行うことには反対の立場であることをまず申し上げるものであります。  さて、この法律で規定されている特例措置である住宅金融公庫の資金の貸し付けの特例、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給法のみなし適用については、それ自体は賃貸住宅建設する者にとってはその負担軽減につながり、賃借人にとって居住環境が良好で家賃が適正な賃貸住宅となるということだと思うのですが、御見解を伺います。
  136. 立石真

    立石政府委員 お答えいたします。  宅地化促進法におきます特定土地担保賃貸住宅は、貸付金利が三十五年間、法定の上限四・五%というように、一般の住宅金融公庫の貸し付けに比べましてかなり低いものとなっております。宅地化促進法における農住利子補給法の特例につきましても、水田要件の撤廃等特例の適用対象が拡大しているところでございます。  先生御指摘のとおり、これらの制度によりまして、賃借人にとっては負担軽減になりますし、また、供給者にとっては家賃が適正な賃貸住宅供給の促進につながるものと考えているところでございます。
  137. 辻第一

    ○辻(第)委員 これまでの賃貸住宅供給実績はどれぐらいでしょうか。
  138. 立石真

    立石政府委員 特定土地担保賃貸住宅につきましては昭和四十八年に制度が発足しておりますが、平成元年度までに五万一千五百五十二戸、また農住利子補給制度の特例につきましては、昭和五十四年度以降平成元年度までに四千百七戸の供給実績を上げてきているところでございます。ちなみに平成元年度の実績でございますけれども、特定土地担保賃貸住宅は四千八百十五戸、農住賃貸住宅の特例の対象となったものは千十三戸でございます。
  139. 辻第一

    ○辻(第)委員 今お答えをいただきましたそのような数字を見てまいりますと、必ずしも多くありませんね。このことはいろいろな側面を持つと思うのですが、一面では、農家の方自身が農業の継続を願われる、農地宅地化を望んでおられなかったということであり、農民の意思の反映でもあると思います。  我が党は、今回の長期営農継続農地制度の廃止の措置に反対であります。これまでから、本法案宅地並み課税との関係で反対の態度をとってまいりました。その態度は現在も変わるものではありませんが、同時に、この法律による具体的な優遇措置の内容そのものは、その適用を受けていた農地所有者にとっては優遇措置であり、賃貸住宅建設のコストを下げるものであります。また、賃借者であります国民の皆さんにとっても、良好な環境、適正な家賃になるというような優点がございます。そういう立場で今回の改正に賛成をすることになりました。このことを申し上げて、次の質問に入ります。  これは、建設大臣国土庁の長官にお尋ねをすることになります。私の地元の奈良県における市街化区域内農地一つ例に引いてお尋ねを申し上げたいと思います。  昨年の九月二十九日の朝日新聞に、「市街化区域には篤農家が少なくない。農薬や化学肥料を減らし、遠くから落ち葉などを運んでたい肥をつくる。」そのような努力をしながら、「年間フルに農地を使う。まわりから常に白い目で監視されているだけに、農業地帯よりむしろ忠実に農業の基本を守っている。」こういう報道がされておるわけです。市街化区域内に篤農家が少なくないということでございます。こうした篤農家たちに対しまして、政府宅地並み課税を強めて農業から撤退をさせ、宅地あるいはオフィスビルの土地にさせようとしていることであります。このことによって、また逆線引きで調整区域へ戻すとか生産緑地に指定すれば解決をすると政府は言っているのですが、市街化区域内農地の実態は、簡単に逆線引きで調整区域へ戻せば解決をするというような単純なものではありません。都市というものは長い年月の歴史を経て成長をしてきたものでございます。この歴史の中で、市街化区域内農地農地として生き残ってきたものであります。これらの農地は今後も歴史とともに、宅地化されるものもあるでしょうが、農地としてなお生き残っていくものを私たちは大事にしなければならないと思うわけでございます。  ところで、宅地並み課税強化による都市農家の被害について、私は奈良県の農協の役員さんといろいろお話をして御意見を伺ったのでありますが、その中で、奈良県内の長期営農継続農家は五千十三戸であります。そして、県内の市街化区域内農地の八〇%から八五%が長期営農継続農地でございます。そして、奈良では専業農家が多いというふうなことでございます。奈良の市街化区域内農地は非常に水田が多い、立派な水田農業が行われているということでございます。また、大阪に近いということで、いわゆる都市近郊農地ということで野菜でも十分採算がとれる、そういう農地でもございます。こういうところが宅地並みに課税をされますと、農地固定資産税平均で三十八倍になります。奈良市の大宮通りなどというところでは六十倍になるようでございます。こういうことになりますと、農業を続けたい農家、この水田のような農地宅地並み課税をやればもう農業がやっていけないという事態になるのでございます。そういうことになりますと、先ほども触れましたが、農地が切り売りをされる、そしていわゆる虫食い状態になったり、小さい住宅あるいはミニ開発、こういうことが出現をし、環境も悪化をするのでございます。こういう御意見がいろいろあって、結局都市農家の皆さんは、宅地並み課税を言うのなら農家が安心して農業をやっていけるような制度をきちんとつくってからにしてほしい、このように訴えておられます。こうした奈良県の都市農家の実態や、奈良のような状況にある市街化区域内農地の実態と、農家の皆さん方の要望についてどのように受けとめられるのか、建設大臣国土庁長官の見解を伺って、きょうの質問を終わりたいと思います。
  140. 市川一朗

    ○市川(一)政府委員 市街化区域内農地の問題につきましては、先生も御承知のとおりと思いますが、昭和四十三年に新都市計画法が成立いたしまして線引き制度ができました際に農地法もあわせて改正いたしまして、市街化区域につきましては農地転用が届け出制で済むということになりました。その基本的な考え方といたしましては、市街化区域につきましては計画的な市街化を進めていく、それにつきまして農地についてもそれに協力していただくという基本的な考え方であったわけでございますが、都市における農業の実態等から見まして、やはりもっときめの細かな施策の展開が必要であろうというところから、御案内のとおり生産緑地法制度等ができ、あるいは農住組合制度ができました。  一方で、五十七年に固定資産税制度といたしまして長期営農継続制度ができまして、ただいま奈良県の例がございましたけれども東京圏におきましても八〇ないし八五%の市街化区域農地が長期営農継続制度の適用を受けておるという実態でございまして、昨今の大都市圏におきます住宅宅地供給の厳しい状況にかんがみまして、やはり現在の制度では一つ大きな問題があるんではないかという御指摘がございまして、私ども改めて市街化区域農地につきまして、将来にわたりまして保全していくものと今後宅地化するものとを都市計画で明確に区分する。その際、保全する農地につきましては、かなり長期的に都市計画の中で保全し得るような位置づけを明確にいたしまして、農家の方々が、言葉が適切かどうかわかりませんが、安心して農業が続けられるような状況もつくっていく必要があるだろうというようなことで、やや長期的に都市計画上も農地を保存していくという制度に変えていこうということを今、私ども検討しているところでございます。
  141. 大塚雄司

    大塚国務大臣 ただいま局長からお話を申し上げたとおりでありますが、ことしいっぱいで切れますいわゆる猶予制度のできましたいきさつは、先ほど薮仲議員にもお話をしたように、都市近郊の市街化区域、市街化調整区域の郊外で住宅がスプロールをする、公共施設が伴わない、そういうようなことが次々にありまして、急速に宅地化が進むことを抑える意味もございますし、またもちろん農地を保存するという目的もございますし、それなりに効果を発揮して今日に至ったものと思います。  今お話しのように、安心して農業をやっていける制度が欲しいということはよくわかりますし、実は私は東京の都心ですから農地のない政治家でありますけれども、グローバルに大都市全体を見ますと、その制度で緑地を保全しておく、緑地というより農地が緑地的な役割をするという意味でも、この制度を支持してきた一人でございます。そういう立場からも、これからは宅地化するものとあるいは農地として営農が続けられるものを都市計画の上できちっと定めて、それぞれ対応をして適切な都市環境をつくっていくというためにも、今回このようなお願いをいたしておるわけでございます。
  142. 西田司

    西田国務大臣 お答えいたします。  建設大臣と同様な考え方でございますけれども市街化区域内農地につきましては、その有効な利用ということが土地行政の目標でございます。今も説明がございましたが、都市計画におきまして保全する農地とそれから宅地化するものと、これを明確に区分をしてまいるわけでございまして、住宅地への転換というものがなされ、さらに適正に農地が生産緑地として保全がされるということになれば両方よいのではないか、このように考えております。
  143. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう時間が参りました。これで終わります。ありがとうございました。
  144. 桜井新

  145. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回、一括提案された三法案のうち、最初に農住組合法の一部を改正する法律について質問いたします。  この法律は、御承知のように大都市地域のバランスがとれた合理的かつ健全な形態での土地利用の実現のため、市街化区域内農地を円滑かつ速やかに住宅地等へ転換するための事業を行う組織化かつ住宅供給拡大を目的として、昭和五十五年に制定されたわけであります。  今回の改正案によりますと、東京二十三区及び全国八百十四市町村と極めて広範囲にわたっております。私は、農住組合法地区計画制度のように地域アメニティーの向上に有用であり、理性的な法律で、当該法の存続価値は積極的に肯定するものでございます。しかし、農住組合の設立状況を見ますと、昭和五十七年から現在までわずか十五組合にしかなりません。しかもそのうち三重県で六組合、埼玉県で四組合を占め、全国的に全く普及しておりません。この間におきます事業の進捗状況を見ますと、土地区画整理事業が完了した施行面積が二十六・一ヘクタール六組合、施行中が二十三ヘクタール五組合、合わせて施行面積が四九・一ヘクタール十一組合、賃貸住宅建設戸数は二百六十七戸五組合となっております。東京圏全体で市街化区域内農地は三万三千ヘクタールあり、このうち宅地に転用されているものは毎年千五百ヘクタールから二千ヘクタール程度ありますので、これから見ますと農住組合実績はまことに小さいわけであります。農住法制定当初の見通し実績には相当の乖離があると推測されますが、どうであったか、また、農住組合として事業を行う場合に障害になるようなものは何であったか、また、計画予定数よりも実績がかなり下回るとすれば、今後具体的にどのような対策を講じようとするのか、まずお伺いいたします。
  146. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 御指摘のとおり、農住組合法施行以来これまでの実績は、現在事業を行っておりますものを含めまして十五組合にとどまっております。幸い、現在準備構想中のものはふえてきておりますけれども、それでも国会審議等の記録を見ますと、当初七百組合目標にしていたと伺っておりまして、その当初の意気込みからいたしますと相当実績は微々たるものと言わざるを得ないわけであります。その原因としてはいろいろ考えられますが、一つには、午前中も御答弁申し上げたのですが、長期営農継続制度のもとで農地所有者等が協同して計画的な土地利用転換を行う機運がなかなか高まらなかったというのも一因だと思っております。また、農住組合制度に対する普及啓発の不十分さ、あるいは支援、援助体制の弱さ、そういった点についても十分反省しないといけない面が多いと思っております。  ただ今後は、今回の農住組合法改正によりまして、三大都市圏以外に、人口が増加し、住宅宅地が逼迫しております主な地方都市においても事業が実施できることになります。こういう地方都市でも市街化区域内に相当農地が残存しておりまして、かつ関係者の間で住宅宅地整備を熱望しておる、そういう声も強いわけであります。また、関連諸制度改正も行われますので、確かに今までは農住組合に対するメリットはそれほど多かったとは言えないわけですが、今回それらの改正によりまして、税制上あるいは金融上の援助体制をより強く講じていくことができるというふうに考えております。また、これまでの十年の反省の上に立ちまして、支援体制、援助体制につきましても、あるいは普及啓発につきましても、農地所有者等はもちろんのこと、農協組織あるいは関係地方公共団体や国の関係省庁等とも一層連携強化しながら、強力、円滑に進められるように一層工夫してまいりたいと考えております。
  147. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 当初の計画が七百組合ぐらいを見通して予測されたようでございますが、それがこの数字から見ますと、本当にこの法は全く空法のようなそういう実態になっております。この農住法の趣旨を浸透させ、法を円滑かつ計画的に適用する意味でも農地所有者の意向調査なども必要かと思いますが、これまでこのような調査をした経緯があるのか、あればお示しいただきたいと思います。  あわせて、市街化区域内農地所有者数とその営農区分について、最近の数字があればお伺いいたします。
  148. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 関係者に対するアンケート調査の実績があるかどうかということでございますが、少し古くなりますが、六十二年に国土庁で、市街地縁辺部農地利用意向調査というのを実施しております。これは三大都市圏地方都市都市計画区域内の農地所有者七千五百戸を対象にした調査であります。この調査によりますと、農地所有者土地利用の意向を大別しますと、三大都市圏だけを申し上げますが、今後全部の農地で農業経営を継続したいという意向は三四・四%でありました。その他は、何らかの形で売却をするなり一部転用していきたいという意向であります。  それと、農地所有者数でございますが、長期営農継続農地制度を適用しております農地所有者数は、三大都市圏で二十一万三千七百五十五名、これは六十三年の実績でございますが、このような実績になっております。
  149. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回長期営農継続農地制度平成四年から廃止されることになり、これと連動して積極的に農住組合の設立を働きかけていかなければならないと思いますが、今回の設立組合目標数はどう把握しているのか、また国土庁としてどのようにPR活動を行っていくのか、お伺いいたします。
  150. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先生御案内のとおり、農住組合は、農地所有者等の自発的な発意に基づいて、みずからその土地利用や住宅経営について、そのときどきの地域の社会的な状況を勘案しながら計画し、事業が実施されていくものでありますから、具体的な農住組合の設立目標数につきましては、先ほど来も話題になっておりますが、公的主体が計画的に行うものと性格が異なりますので、なかなか明確な数を設定することは困難でありますけれども、やはり私どもとしては、努力目標なり、あるいは期待する数字として何らかの数字を掲げていきたいというふうに考えております。そういう性格の数字でございますが、私どもとしては、農住組合法改正していただき、また関連諸制度の改善も相まって、今後十年間で三百組合くらいを目指したいと考えております。やや具体的に申し上げますと、三大都市圏で大体百十組合くらい、その他の三十六道県で百八十組合くらいを一応の期待数として、努力してまいりたいというふうに考えております。
  151. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 PR活動の中心に、今までの実績を見ますと、やはり農協の協力というのが非常に重要ではないかと思っているわけでございます。そういう点でもひとつこの農協問題にもやはりPRの必要があるわけでございますが、今回のこの農地の面積要件の廃止、設立の際の面積要件を二ヘクタールから一ヘクタールに引き下げておりますが、この要件に合致する箇所は東京都に幾らくらいあるのか、また全国的には何カ所くらいなのか、一応推測されておりますならばお伺いしたい。  さらに、農住組合を設立した方が好ましい地域は、都市計画との関連から国土庁なり建設省なり農水省で積極的に示すべきではないかと考えております。また、政府の示した地域のこの農協への働きかけには何か特別な対策強化方法を考えているのかどうか、お伺いいたします。
  152. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先ほどPR活動等について答弁漏れがありまして失礼いたしましたが、今後さらに積極的にこの組合事業を展開していくために、私どもとしてもいろいろな普及啓発活動あるいは農協、国、地方公共団体の連絡、指導支援体制、そういうものを強化してまいりたいと考えておりますが、普及啓発につきましては平成三年度予算におきまして三千万円の新規要求をさせていただいております。こういった予算を活用しながら、研修会、パンフレット作成等によるPRはもちろんですが、より実効性のあるようなPRの方法をさらに検討してまいりたいというふうに考えております。  それと組合設立の際の市街化区域内農地の面積要件ですが、従来政令によりまして二ヘクタール以上を要件としておりましたが、今回法律改正いただきましたら、適当な時期に政令で一ヘクタールまで引き下げるよう改正したいと現在検討しております。  それぞれこの要件に該当する団地数、面積でございますが、現在のところ手持ちは三大都市圏市街化区域内農地の賦存状況しか持っておりませんので、三六都市圏だけで御容赦いただきたいと思いますが、団地数で申し上げますと、二ヘクタール以上が昭和五十四年度は七千四百十三団地あったわけですが、六十三年度にはこれが五千三百四十団地に減少しております。やはり、一つ一つの団地規模が細分化、小規模化しておるわけであります。また、一ヘクタール以上二ヘクタールの団地をちなみに見ますと、五十四年度は六千八百六十五団地でありましたが、六十三年度は六千九百十九団地というぐあいにややふえております。そういうわけで、面積要件を一ヘクタールに引き下げることによって、一ないし二ヘクタールぐらいの小規模な団地についてもこの農住組合事業で積極的に計画的な土地利用転換推進していこうと考えております。  なお、面積も少しつけ加えさせていただきますが、面積では二ヘクタール以上がやはり多うございまして、五十四年は四万一千八百ヘクタールでありましたが、六十三年は二万八千九百六十四、まあ減っているとはいえまだ規模的には大きいわけでございます。一ないし二ヘクタールが、五十四年九千百九十六ヘクタールから六十三年八千九百六十ヘクタール、以上のような状況になってございます。
  153. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 あめ法の関連でございますが、大都市圏地価高騰は異常でありまして、建設省によれば、西暦二〇〇〇年までに東京圏の場合、新規住宅供給として二百三十万戸可能としております。そのうち三分の一の七十万戸を市街化区域内農地から供給可能としておりますが、農地宅地化をどのようにこの計画に沿うて推進するのか、また農家の理解をどのようにして得ていこうとしているのか、お伺いいたします。
  154. 立石真

    立石政府委員 お答えいたします。  現在検討中の首都圏大都市地域における住宅及び住宅地供給に関する基本方針におきましては、市街化区域内の農地宅地化によりまして七十万戸程度住宅供給を見込んでいるという一つの試算があるところでございます。市街化区域内農地につきましては、先ほどからのお話のとおり、保全するものと宅地化するものとの区分の明確化を図るわけですが、宅地化するものについては、計画的な宅地化を図ることが基本であるというように考えております。このため、土地区画整理事業農住組合地区計画住宅地高度利用地区計画等を積極的に活用しますとともに、農地所有者自身賃貸住宅建設を促進するため、農住利子補給制度についても改正をお願いしているところでございますし、こういうものとあわせまして公庫融資活用あるいは税制の特例等、こういうもの全体といたしまして良質な住宅供給の促進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  155. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 農住利子補給制度の拡充として一括借り上げ者との賃貸契約も認めることになるわけですが、この一括借り上げ者はどの程度あると予測しているのか、供給がどのくらい増加すると見込まれるか。さらに、当該制度の指定利率の社宅分を六・五%と、一般の五・五%より一%高くしている理由は何かをまずお伺いします。
  156. 立石真

    立石政府委員 今回の改正で一括借り上げ方式の普及あるいは中小企業等の新たな社宅の需要ニーズに対応しまして、一括借り上げ業者を通してみずから居住する者または社宅として利用する者に賃貸する場合についても利子補給の対象に加えることとしているわけでございますが、この改正によりまして、市街化区域内農地における賃貸住宅供給が一層促進されるものと期待しておりまして、他の施策の効果と総合して農地所有者賃貸住宅建設化が活発化することを期待しているわけでございますが、平成三年度の事業計画におきましては、農住賃貸住宅建設戸数を平成二年度事業計画の四千戸に対しまして一・五倍の六千戸を予定しているところでございます。  また、指定利率を社宅分について六・五%にしている理由についてでございますが、最近の社宅の需要動向を見ますと、大都市地域における地価高騰を背景に、中小企業を中心に個別に条件に合う賃貸住宅を探して借り上げ社宅として利用する形態が望まれてきているわけですが、今回の改正はこういうようなものに対応するものでございます。社宅につきましては、一般の賃貸住宅と異なりまして、広く国民大衆に居住の機会を与えるものではないというようなことから指定利率を六・五%とし、一般分の五・五%とは一%高くすることとした次第でございます。
  157. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 特定市街化区域内農地の中には、本来の農地としての役割や都市計画の観点を外れて、単に節税対策上農地を持っているものも存在しています。このような節税対策上の農地と本来の意味を持つ農地とをもっと厳密に区分すべきだとも思われます。しかし、都市農地は、市民に生鮮野菜等を供給するという農業生産面のみならず、公害、災害の防止、緑とオープンスペースの提供、生活環境の確保、市民と緑、土地との触れ合いの機会の提供等、多様な役割を果たしておりますので、都市市街化区域内農地の保全については適切な配慮を行われるよう要望いたしますし、私はかねがね、宅地供給もさることながら、やはり近代的町並みをつくっていくことも重要でございます。こういう点では、この市街化区域内農地には都市計画法に基づく街路設定をするように地方自治体首長を督励すべきだ、都市首長を督励すべきだ、このように主張しているわけでございます。スプロール化のならないうちに、この街路計画を地図の上に設計して落としておく、これがまず宅地の造成と同時に非常に大切なことだと思いますので、この点にも十分な配慮をしていただきたいと思うわけでございます。  それでは最後に、この法案施行に取り組む大臣の所信をちょっとお聞かせいただきまして、私の質疑を終わりたいと思います。
  158. 西田司

    西田国務大臣 いろいろ御指摘をちょうだいいたしましたが、そういうことを参考にしながら、今後一生懸命進めてまいります。
  159. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 終わります。
  160. 桜井新

    桜井委員長 これにて質疑は終局いたしました。     ─────────────
  161. 桜井新

    桜井委員長 これより各案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、農住組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  162. 桜井新

    桜井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  163. 桜井新

    桜井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  164. 桜井新

    桜井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  165. 桜井新

    桜井委員長 ただいま議決いたしました各法律案に対し、木村守男君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党の四派共同による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。木間章君。
  166. 木間章

    ○木間委員 ただいま議題となりました農住組合法の一部を改正する法律案農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案及び特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     農住組合法の一部を改正する法律案農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案及び特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 土地基本法の精神に沿った総合的な地価対策を強力に推進するとともに、市街化区域内農地宅地化のための施策推進に際しては、勤労者のための世帯向けの良質な賃貸住宅が低廉な家賃で供給できるよう努めること。  二 土地区画整理事業等を積極的に活用し、市街化区域内農地計画的な宅地化推進に努めること。  三 国及び地方公共団体は、農住組合制度の普及、啓発に努めるとともに、組合が行う事業に対して積極的に助言・指導等をすること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  167. 桜井新

    桜井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 桜井新

    桜井委員長 起立多数。よって、木村守男君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、西田国土庁長官及び大塚建設大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。西田国土庁長官
  169. 西田司

    西田国務大臣 ただいま農住組合法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会において熱心な御審議の上、全会一致をもちまして御可決いただきましたことを深く感謝申し上げます。  本日の委員各位の御意見につきましては、これを十分尊重してまいるとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、御趣旨に十分沿うよう努力してまいる所存でございます。  本法案の審議に関し委員長初め委員各位から賜りました御指導、御協力に対し深く感謝の意を表しまして、私のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
  170. 桜井新

  171. 大塚雄司

    大塚国務大臣 農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案及び特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたしま す。ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  172. 桜井新

    桜井委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  174. 桜井新

    桜井委員長 次に、内閣提出都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。大塚建設大臣。     ─────────────  都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  175. 大塚雄司

    大塚国務大臣 ただいま議題となりました都市公園等整備緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  都市公園等は、災害に対する都市の安全性の確保、活力ある長寿社会の形成国民の健康の維持増進等に資する基幹的な公共施設であり、政府におきましても、これまで四次にわたる都市公園等整備五カ年計画策定し、積極的にその整備推進を図ってきたところであります。  しかしながら、我が国における都市公園等の整備はいまだ著しく立ちおくれている状況にあり、他方、急速に進展する都市化と人口の高齢化、国民の意識の変化などを背景に、都市公園等の整備の要請は一層強くなっております。  このような事態に対処するため、現行の第四次都市公園等整備五カ年計画に引き続き、平成三年度を初年度とする第五次都市公園等整備五カ年計画策定すること等とした次第であります。  以上が、この法律案を提出する理由でありますが、次にその要旨を申し上げます。  第一に、建設大臣は、平成三年度を初年度とする都市公園等整備五カ年計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないことといたしております。  第二に、国は、平成三年度以降五カ年間は、一定の公園または緑地の設置に要する費用に充てる資金の一部を、無利子で貸し付けることができることといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  176. 桜井新

    桜井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明後八日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会