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1991-05-14 第120回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年五月十四日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 渡辺 省一君    理事 魚住 汎英君 理事 北川 石松君    理事 萩山 教嚴君 理事 藤井 裕久君    理事 後藤  茂君 理事 時崎 雄司君    理事 北側 一雄君       粕谷  茂君    古賀  誠君       高村 正彦君    長谷川 峻君       阿部未喜男君    上田 卓三君       沢田  広君    長谷百合子君       東  祥三君    木島日出夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君         通商産業大臣  中尾 栄一君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   石附  弘君         防衛庁防衛局防         衛課長     藤島 正之君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第一課長   平野 正宜君         法務省刑事局刑         事課長     但木 敬一君         大蔵大臣官房長 斎藤 次郎君         大蔵大臣官房会         計課長     目崎 八郎君         大蔵大臣官房総         務審議官    濱本 英輔君         大蔵大臣官房審         議官      小川  是君         大蔵大臣官房審         議官      石坂 匡身君         大蔵省主計局次         長       田波 耕治君         大蔵省主計局司         計課長     設楽 岩久君         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         国税庁税部長 山口 厚生君         国税庁徴収部長 佐々木秀夫君         厚生省年金局年         金課長     江利川 毅君         通商産業大臣官         房総務審議官  高島  章君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       坂本 吉弘君         通商産業大臣官         房審議官    横田 捷宏君         通商産業大臣官         房会計課長   林  康夫君         通商産業省通商         政策局次長   麻生  渡君         通商産業省貿易         局長      堤  富男君         通商産業省立地         公害局長    岡松壯三郎君         通商産業省基礎         産業局長    内藤 正久君         通商産業省生活         産業局長    南学 政明君         資源エネルギー         庁長官     緒方謙二郎君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       向 準一郎君         資源エネルギー         庁公益事業部長 川田 洋輝君         中小企業庁計画         部長      渡辺  修君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部清算業務指導         課長      宮崎 達彦君         建設大臣官房会         計課長     小野 邦久君         建設省建設経済         局調整課長   櫻井 知能君         建設省建設経済         局調整課事業調         整官      土屋  進君         建設省河川局河         川計画課長   市原 四郎君         建設省河川局開         発課長     荒井  治君         自治省財政局指         導課長     中里 清敏君         会計検査院事務         総局第一局長  安部  彪君         会計検査院事務         総局第五局長  山本  正君         国民金融公庫総         裁       吉野 良彦君         中小企業金融公         庫総裁     井川  博君         中小企業信用保         険公庫総裁   片山 石郎君         日本開発銀行総         裁       高橋  元君         日本輸出入銀行         総裁      山口 光秀君         決算委員会調査         室長      小島  敞君     ───────────── 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   伊藤宗一郎君     高村 正彦君   水野  清君     古賀  誠君   小川 国彦君     沢田  広君   寺前  巖君     木島日出夫君 同日  辞任         補欠選任   古賀  誠君     水野  清君   高村 正彦君     伊藤宗一郎君   沢田  広君     小川 国彦君   木島日出夫君     寺前  巖君     ───────────── 五月八日  一、昭和六十二年度一般会計歳入歳出決算    昭和六十二年度特別会計歳入歳出決算    昭和六十二年度国税収納金整理資金受払計算書    昭和六十二年度政府関係機関決算書  二、昭和六十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  三、昭和六十二年度国有財産無償貸付状況計算書  四、昭和六十三年度一般会計歳入歳出決算    昭和六十三年度特別会計歳入歳出決算    昭和六十三年度国税収納金整理資金受払計算書    昭和六十三年度政府関係機関決算書  五、昭和六十三年度国有財産増減及び現在額総計算書  六、昭和六十三年度国有財産無償貸付状況計算書  七、平成年度一般会計歳入歳出決算    平成年度特別会計歳入歳出決算    平成年度国税収納金整理資金受払計算書    平成年度政府関係機関決算書  八、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  九、平成年度国有財産無償貸付状況計算書  一〇、昭和六十三年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書 (その2)(承諾を求めるの件)(第百十八回国会内閣提出)  一一、昭和六十三年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書 (その2) (承諾を求めるの件)(第百十八回国会内閣提出)  一二、昭和六十三年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書承諾を求めるの件)(第百十八回国会内閣提出)  一三、昭和六十三年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)(第百十八回国会内閣提出)  一四、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百十八回国会内閣提出)  一五、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百十八回国会内閣提出)  一六、平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)(第百十八回国会内閣提出)  一七、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)  一八、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)  一九、平成年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書承諾を求めるの件)  二〇、平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)(承諾を求めるの件)  二一、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)  二二、平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)(承諾を求めるの件)  二三、昭和六十三年度一般会計国庫債務負担行為調書  二四、歳入歳出の実況に関する件  二五、国有財産増減及び現況に関する件  二六、政府関係機関の経理に関する件  二七、国が資本金出資している法人会計に関する件  二八、国が直接又は間接に補助金奨励金助成金等を交付し又は貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十二年度政府関係機関決算書  昭和六十二年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十二年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和六十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十三年度政府関係機関決算書  昭和六十三年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (大蔵省所管国民金融公庫日本開発銀行日本輸出入銀行通商産業省所管中小企業金融公庫中小企業信用保険公庫)      ────◇─────
  2. 渡辺省一

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  昭和六十二年度決算外二件及び昭和六十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、大蔵省所管国民金融公庫日本開発銀行日本輸出入銀行通商産業省所管中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行います。  この際、橋本大蔵大臣中尾通商産業大臣及び各公庫当局等概要説明並び会計検査院検査概要説明につきましては、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡辺省一

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ─────────────    昭和六十二年度大蔵省主管一般会計歳入決算並び大蔵省所管一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算書に関する説明  昭和六十二年度大蔵省主管一般会計歳入決算並び大蔵省所管一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算書につきまして、その概要を御説明申し上げます。まず、一般会計歳入決算について申し上げます。  昭和六十二年度収納済歳入額は五十九兆三千九十八億六千七百七十九万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと三兆千九十五億七千六百三十六万円余の増加となっております。  以下、歳入決算のうち、主な事項についてその概要を申し上げます。  第一に、租税及印紙収入でありますが、その決算額は四十五兆二千六百八億五千二百六十五万円余で、これを予算額と比較いたしますと三兆六千八百五十八億五千二百六十五万円余の増加となっております。これは、法人税等において課税額の伸びが見込みを上回ったこと等によるものであります。  第二に、公債金でありますが、その決算額は九兆四千百八十一億二千六百九十五万円余で、これを予算額と比較いたしますと一兆千二百八億七千三百四万円余の減少となっております。これは、租税収入等見積りより増収となることが見込まれたこと等により、公債の発行額を予定より減額したことによるものであります。  以上のほか、官業益金及官業収入百三十五億八千四百九十万円余、政府資産整理収入千八百七億七千二百二十三万円余、雑収入一兆五千八百七十七億六千八百六十二万円余、前年度剰余金受入二兆八千四百八十七億六千二百四十万円余となっております。  次に、一般会計歳出決算について申し上げます。  昭和六十二年度歳出予算現額は十三兆四千七百二十五億三千二百七十九万円余でありまして、支出済歳出額は十三兆三千二百七十二億九千五百八十万円余、翌年度繰越額は四百九億四千三十八万円余でありまして、差引き、不用額は千四十二億九千六百六十万円余となっております。  以下、歳出決算のうち、主な事項についてその概要を申し上げます。  第一に、国債費につきましては、国債整理基金特別会計へ繰り入れるため十一兆八千五百十四億四千四百二十二万円余を支出いたしましたが、これは、一般会計の負担に属する国債、借入金の償還及び利子等の支払並びにこれらの事務取扱費の財源に充てるためのものであります。  第二に、産業投資特別会計へ繰入につきましては、同会計社会資本整備勘定へ繰り入れるため四千五百八十億千百七十八万円余を支出いたしましたが、これは、貸付け等及び事務取扱費の財源に充てるためのものであります。  第三に、政府出資につきましては二千五百十四億円を支出いたしましたが、これは、海外経済協力基金等への出資であります。  第四に、経済協力費につきましては七百六十三億千二百六十六万円余を支出いたしましたが、こ れは、開発途上国等に対する食糧増産等援助等のためのものであります。  この支出のほか、食糧増産等援助費につきましては、相手国国内事情等のため四百六億千万円が翌年度へ繰越しとなっております。  以上申し述べました経費のほか、国家公務員等共済組合連合会等助成費国庫受入預託金利子公務員宿舎施設費アジア開発銀行出資国際金融公社出資米州投資公社出資国民金融公庫補給金及び特定国有財産整備費として九百三十四億千百六十三万円余、並びに一般行政を処理するための経費として五千九百六十七億千五百五十万円余を支出いたしました。  なお、以上の支出のほか、公務員宿舎施設費につきましては三億三千三十八万円余が翌年度へ繰越しとなっております。  次に、各特別会計歳入歳出決算についてその概要を申し上げます。  まず、造幣局特別会計におきまして収納済歳入額は百九十九億六百三十三万円余、支出済歳出額は百九十八億八千四百三十七万円余でありまして、損益計算上の利益は七百八十五万円余であります。  この会計の主な事業である補助貨幣の製造につきましては、二十三億二千十二万四千五百十三枚、額面金額にして五百五十五億四千百三十万円を製造し、その全額を発行いたしました。  次に、印刷局特別会計におきまして収納済歳入額は八百十五億五千七百五十四万円余、支出済歳出額は六百九十一億三千七百五十一万円余でありまして、損益計算上の利益は百四十九億六千五百四十六万円余であります。  この会計の主な事業である日本銀行券の製造につきましては、三十二億四千万枚、額面金額にして十三兆七千七百億円を製造し、その全量を日本銀行に引き渡しました。  以上申し述べました各特別会計のほか、資金運用部国債整理基金外国為替資金産業投資、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計歳入歳出決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  最後に、各政府関係機関決算書についてその概要を申し上げます。  まず、国民金融公庫におきまして収入済額は三千八百十三億二千二百五十五万円余、支出済額は三千七百五十六億三千五十九万円余でありまして、損益計算上の損益はありません。  この公庫の貸付けにつきましては、七十五万件余、金額にして三兆九十一億四千七百八十七万円余を貸し付けました。  このほか、住宅金融公庫農林漁業金融公庫中小企業金融公庫北海道東北開発公庫公営企業金融公庫中小企業信用保険公庫環境衛生金融公庫沖縄振興開発金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算の内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  以上が昭和六十二年度における大蔵省関係決算概要であります。これらの詳細につきましては、さきに提出しております昭和六十二年度歳入決算明細書及び各省各庁歳出決算報告書等によって御了承願いたいと存じます。  なお、会計検査院の検査の結果、不当事項として税務署における租税の徴収に当たり、徴収額過不足があったこと等の御指摘を受けましたことは、誠に遺憾に堪えないところであります。これらにつきましては、すべて徴収決定等適切な措置を講じましたが、今後一層事務の合理化と改善に努めたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。    昭和六十三年度大蔵省主管一般会計歳入決算並び大蔵省所管一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算書に関する説明  昭和六十三年度大蔵省主管一般会計歳入決算並び大蔵省所管一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算書につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入決算について申し上げます。  昭和六十三年度収納済歳入額は六十二兆三千九百六十八億千八百六十六万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと二兆六千九百十二億八千六百八十四万円余の増加となっております。  以下、歳入決算のうち、主な事項についてその概要を申し上げます。  第一に、租税及印紙収入でありますが、その決算額は四十九兆二千二十五億七千八百九十八万円余で、これを予算額と比較いたしますと二兆七千六百三十五億七千八百九十八万円余の増加となっております。これは、所得税及び法人税等において課税額の伸びが見込みを上回ったこと等によるものであります。  第二に、公債金でありますが、その決算額は七兆千五百二十四億五千六百四十三万円余で、これを予算額と比較いたしますと八千百四十五億四千三百五十六万円余の減少となっております。これは、租税収入等見積りより増収となることが見込まれたこと等により、公債の発行額を予定より減額したことによるものであります。  以上のほか、官業益金及官業収入九十四億四千二百九十二万円余、政府資産整理収入千五百十四億四千五百七十三万円余、雑収入二兆二千二百三十二億六千六百五十九万円余、前年度剰余金受入三兆六千五百七十六億二千七百九十九万円余となっております。  次に、一般会計歳出決算について申し上げます。  昭和六十三年度歳出予算現額は十四兆四千八百九十四億八百五十八万円余でありまして、支出済歳出額は十四兆三千五百五十一億四千三十一万円余、翌年度繰越額は三百五十八億六千六百二十一万円余でありまして、差引き、不用額は九百八十四億二百五万円余となっております。  以下、歳出決算のうち、主な事項についてその概要を申し上げます。  第一に、国債費につきましては、国債整理基金特別会計へ繰り入れるため十二兆三百七億三千三百四十二万円余を支出いたしましたが、これは、一般会計の負担に属する国債の償還及び利子等の支払並びにこれらの事務取扱費の財源に充てるためのものであります。  第二に、産業投資特別会計へ繰入につきましては、同会計社会資本整備勘定へ繰り入れるため一兆二千七百十七億二千百八十一万円余を支出いたしましたが、これは、貸付け等の財源に充てるためのものであります。  第三に、政府出資につきましては二千五百三十五億円を支出いたしましたが、これは、海外経済協力基金等への出資であります。  第四に、経済協力費につきましては八百二十三億八千二百五十万円余を支出いたしましたが、これは、開発途上国等に対する食糧増産等援助等のためのものであります。  この支出のほか、食糧増産等援助費につきましては、相手国国内事情等のため三百四十五億六千六百六十九万円余が翌年度へ繰越しとなっております。  以上申し述べました経費のほか、国家公務員等共済組合連合会等助成費国庫受入預託金利子公務員宿舎施設費国際復興開発銀行出資国際金融公社出資米州投資公社出資、多数国間投資保証機関出資国民金融公庫補給金特定国有財産整備費及び特定国有財産整備諸費として八百四十四億八千四百七十七万円余、並びに一般行政を処理するための経費として六千三百二十三億千七百七十九万円余を支出いたしました。  なお、以上の支出のほか、公務員宿舎施設費につきましては十二億九千九百五十一万円余が翌年度へ繰越しとなっております。  次に、各特別会計歳入歳出決算についてその概要を申し上げます。  まず、造幣局特別会計におきまして収納済歳入 額は二百四十七億五千八百八十五万円余、支出済歳出額は二百四十七億二千二百一万円余でありまして、損益計算上の利益は千二百三万円余であります。  この会計の主な事業である貨幣の製造につきましては、三十億五千万枚、額面金額にして千四百二十一億円を製造し、その全額を発行いたしました。  次に、印刷局特別会計におきまして収納済歳入額は七百九十八億七千七百七十五万円余、支出済歳出額は六百九十九億三千七百五十五万円余でありまして、損益計算上の利益は九十八億九千六百十六万円余であります。  この会計の主な事業である日本銀行券の製造につきましては、三十二億四千万枚、額面金額にして十一兆九千九百億円を製造し、その全量を日本銀行に引き渡しました。  以上申し述べました各特別会計のほか、資金運用部国債整理基金外国為替資金産業投資、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計歳入歳出決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  最後に、各政府関係機関決算書についてその概要を申し上げます。  まず、国民金融公庫におきまして収入済額は三千五百六十三億二千八百三十八万円余、支出済額は三千六百三十八億五千七百八十万円余でありまして、損益計算上の損益はありません。  この公庫の貸付けにつきましては、七十三万件余、金額にして三兆七百九十四億四千二百九十三万円余を貸し付けました。  このほか、住宅金融公庫農林漁業金融公庫中小企業金融公庫北海道東北開発公庫公営企業金融公庫中小企業信用保険公庫環境衛生金融公庫沖縄振興開発金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算の内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  以上が昭和六十三年度における大蔵省関係決算概要であります。これらの詳細につきましては、さきに提出しております昭和六十三年度歳入決算明細書及び各省各庁歳出決算報告書等によって御了承願いたいと存じます。  なお、会計検査院の検査の結果、不当事項として税務署における租税の徴収に当たり、徴収額過不足があったこと等の御指摘を受けましたことは、誠に遺憾に堪えないところであります。これらにつきましては、すべて徴収決定等適切な措置を講じましたが、今後一層事務の合理化と改善に努めたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十二年度決算大蔵省についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十二年度大蔵省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項五件であります。  検査報告番号三号は、租税の徴収に当たり、徴収額過不足があったものであります。  これらの徴収過不足の事態は、課税資料の収集、活用が的確でなかったため収入金等を把握していなかったり、法令適用の検討が十分でなかったため税額計算等を誤っていたり、納税者申告書等において所得金額税額計算等を誤っているのにこれを見過ごすなどしていたりして、徴収額過不足を生じていたものであります。  また、検査報告番号四号から七号までの四件は、資金運用部資金の貸付額が過大になっているもので、貸付先の県市町において、貸付けの対象とならない事業費を貸付対象事業費に含めていたり、貸付対象事業の財源として受け入れた負担金を貸付対象事業費の財源に算入していなかったりしていたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。    昭和六十三年度決算大蔵省についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十三年度大蔵省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項一件であります。  これは、租税の徴収に当たり、徴収額過不足があったものであります。  これらの徴収過不足の事態は、課税資料の収集、活用が的確でなかったため収入金等を把握していなかったり、法令適用の検討が十分でなかったため税額計算等を誤っていたり、納税者申告書等において所得金額税額計算等を誤っているのにこれを見過ごすなどしていたりして、徴収額過不足を生じていたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────    昭和六十二年度業務概況                国民金融公庫  国民金融公庫昭和六十二年度の業務の概況についてご説明申し上げます。  昭和六十二年度のわが国経済は、これまでの円高の進展等により外需が減少したものの、個人消費が堅調で、民間投資、公的投資とも増加するなど、内需が引き続き増勢に推移し、回復から拡大局面へと移行しました。こうしたなかで、中小企業の景況は生産が回復し、設備投資も増加するなど総じて回復しましたが、内外の経済環境変化への対応がせまられるなど、中小企業をとりまく経営環境には厳しいものがありました。  このような状況のもとで、当公庫は、貸付限度の引き上げ、貸付期間の延長等により、中小企業金融の円滑化のために積極的に対処いたしました。  昭和六十二年度の貸付につきましては、計画三兆三千二百五億円に対しまして、三兆九十一億四千七百八十七万円余の実行をいたしました。  貸付種類別に貸付の実績を申し上げますと、普通貸付は、五十五万九千件余、二兆八千八百五十五億一千百四万円、恩給担保貸付は、十二万四千件余、九百十二億八千四百十七万円余、記名国債担保貸付は、五百九十四件、一億五千四百九十九万円余、進学資金貸付は、六万五千件余、三百三億七千六百八十五万円余となりました。  なお、普通貸付の貸付実績のなかには、生鮮食料品等小売業近代化資金貸付、商業近代化等資金貸付等の特別貸付が、一万三千件余、七百五十七億五千百四十五万円、小企業等経営改善資金貸付が、十三万件余、三千三百三十九億五千四百三十二万円含まれております。  一方、六十二年度において貸付金の回収が、二兆八千六百五十億七千二百四十九万円余、貸付金償却が、三十三億三千八百九十一万円余ありましたので、六十二年度末現在の総貸付残高は、二百十五万一千件余、五兆二千八百十七億八千七百二十万円余となり、前年度末残高に比べますと、一千四百七億三千六百四十五万円余、二・七パーセントの増加となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、六十二年度末において延滞後六カ月以上経過したものが、一千七百二十九億二百十七万円余でありまして、総貸付金残高に対する割合は、三・三パーセントとなっております。  昭和六十二年度の貸付に要した資金は、三兆三十億一千百二十四万円余でありまして、その原資は、資金運用部からの借入金一兆六千九百三十八億円、簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借入金一千九百億円、一般会計からの借入金七十六億円のほか、貸付回収金等一兆一千百十六億一千百二十四万円余をもってこれに充てました。  受託業務につきましては、環境衛生金融公庫からの受託貸付は、六十二年度における貸付の実績が、四万九千件余、一千六百十二億三千七十四万 円余、回収額が、一千八百八億九千二百二十八万円余となり、六十二年度末貸付残高は、二十九万八千件余、四千八百一億四千四百六十八万円余となっております。また、労働福祉事業団からの受託貸付の六十二年度における貸付の実績は、百三十九件、二億五百五十一万円となっており、年金福祉事業団からの受託貸付の六十二年度における貸付の実績は、百二十四件、一億二千七百七十三万円となっております。  最後に、六十二年度の収入支出決算及び損益の計算について申し上げます。  まず、収入支出決算について申し上げますと、収入済額は、三千八百十三億二千二百五十五万円余、支出済額は、三千七百五十六億三千五十九万円余となりました。  次に、損益の計算について申し上げますと、貸付金利息等の総益金は、三千八百五十八億八千九百二十六万円余、借入金利息、事務費、貸倒引当金繰入等の総損金は、三千八百五十八億八千九百二十六万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。  以上をもちまして、昭和六十二年度の業務概況のご説明を終らせていただきます。    昭和六十三年度業務概況                国民金融公庫  国民金融公庫昭和六十三年度の業務の概況についてご説明申し上げます。  昭和六十三年度のわが国経済は、個人消費の堅調な伸びや民間設備投資の増勢など、内需が堅調に推移したこと等から引き続き拡大局面にありました。こうしたなかで、中小企業の景況は総じて堅調な動きを見せましたが、円高定着下における貿易構造の変化や需要の多様化・高度化への対応など、中小企業をとりまく経営環境には厳しいものがありました。  このような状況のもとで、当公庫は、貸付限度の引き上げ、貸付期間の延長等により中小企業金融の円滑化のために積極的に対処いたしました。  昭和六十三年度の貸付につきましては、計画三兆四千七百十六億円に対しまして、三兆七百九十四億四千二百九十三万円余の実行をいたしました。  貸付種類別に貸付の実績を申し上げますと、普通貸付は、五十二万四千件余、二兆九千百八十七億三千八百六十四万円余、恩給担保貸付は、十一万件余、八百十六億六千七百九十万円余、記名国債担保貸付は、四百七十四件、一億一千三百八十二万円、進学資金貸付は、九万七千件余、七百七十億六千百三十八万円となりました。  なお、普通貸付の貸付実績のなかには、生鮮食料品等小売業近代化資金貸付、商業近代化等資金貸付等の特別貸付が、一万三千件余、八百二十三億三千六百五十五万円余、小企業等経営改善資金貸付が、十万九千件余、二千九百三億二千六百六十六万円含まれております。  一方、六十三年度において貸付金の回収が、二兆七千十五億六百二十八万円余、貸付金償却が、四十億二百一万円余ありましたので、六十三年度末現在の総貸付残高は、二百十万件余、五兆六千五百五十七億二千百八十三万円余となり、前年度末残高に比べますと、三千七百三十九億三千四百六十三万円余、七・一パーセントの増加となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、六十三年度末において延滞後六カ月以上経過したものが、一千六百四十二億九千五十六万円余でありまして、総貸付金残高に対する割合は、二・九パーセントとなっております。  昭和六十三年度の貸付に要した資金は、三兆七百三十八億二千五十六万円余でありまして、その原資は、資金運用部からの借入金一兆七千四百四十五億円、簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借入金二千四百億円、一般会計からの借入金七十一億円のほか、貸付回収金等一兆八百二十二億二千五十六万円余をもってこれに充てました。  受託業務につきましては、環境衛生金融公庫からの受託貸付は、六十三年度における貸付の実績が、四万二千件余、一千六百五十六億三千三百四十万円余、回収額が、一千五百五十八億二千七百六十三万円余となり、六十三年度末貸付残高は、二十六万七千件余、四千八百九十七億二十八万円余となっております。また、労働福祉事業団からの受託貸付の六十三年度における貸付の実績は、百三十三件、二億百七十二万円となっており、年金福祉事業団からの受託貸付の六十三年度における貸付の実績は、千三百十一件、十三億三千六百九十七万円となっております。  最後に、六十三年度の収入支出決算及び損益の計算について申し上げます。  まず、収入支出決算について申し上げますと、収入済額は、三千五百六十三億二千八百三十八万円余、支出済額は、三千六百三十八億五千七百八十万円余となりました。  次に、損益の計算について申し上げますと、貸付金利息等の総益金は、三千六百八十八億七千六百二十二万円余、借入金利息、事務費、貸倒引当金繰入等の総損金は、三千六百八十八億七千六百二十二万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。  以上をもちまして、昭和六十三年度の業務概況のご説明を終らせていただきます。     …………………………………    昭和六十二年度決算国民金融公庫についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十二年度国民金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。    昭和六十三年度決算国民金融公庫についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十三年度国民金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    日本開発銀行昭和六十二年度の業務概要  昭和六十二年度における日本開発銀行の業務の概要についてご説明申しあげます。  一、先ず、六十二年度の資金運用計画は、当初計画として一兆二千二百七十億円を予定しておりました。  これに対し、六十二年度中の運用額は、出融資実行額が一兆二千八百三十五億三千五百万円となっております。  これの項目別内訳は、資源エネルギー三千八百八十八億八千二百万円、技術振興一千九百二十億三千万円、海運・航空機九百十八億七千七百万円、都市開発二千三百六十四億百万円、地方開発一千四百九十八億一千八百万円、国民生活改善六百十三億二千万円、基幹鉄道整備八百三十二億円、産業構造調整二百九十五億円、その他四百六十九億七千六百万円、社会資本整備促進三十五億三千百万円であります。  以上の六十二年度の運用額の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金七千九百五十七億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金三百七十三億円と貸付回収金等四千五百五億三千五百万円をもってこれに充てました。  二、次に六十二年度の出融資運用の特色を申しあげますと、  (1) 資源エネルギーについては、原子力発電推進のための融資、水力発電・液化ガス発電等電源多様化をはかるための融資、石油産業集約化、石油及びLPG備蓄タンク等に対する融資、都市ガス原料の液化ガスへの転換に係る設備に対する融資、石油代替エネルギーの利用の促進のための融資の他、産業の省資源・省エネルギー等を促進するための融資を引き続き行ったこと  (2) 技術振興については、わが国における技術開発力の強化及び技術水準の向上ならびに経済社会の情報化の健全な発展をはかるため、産業技術 振興融資、情報化促進融資等を引き続き行ったこと  (3) 海運・航空機については、貿易物資の安定的輸送確保の観点から計画造船による外航船舶の建造に対し引き続き融資を行うとともに、航空事業の健全な発展に資するため航空機の導入に対し融資を行ったこと  (4) 都市開発については、都市交通の整備改善、市街地の開発整備、流通機構の近代化に寄与する事業等に対し引き続き出融資を行ったこと  (5) 地方開発については、九州、四国、中国、北陸の四地方の開発のため引き続き出融資を行うとともに、地方都市圏の機能整備、地方適地産業の育成、工業の適正配置の促進について特に留意したこと  (6) 国民生活改善については、公害防止推進のための融資、重度障害者の雇用施設等福祉対策に関する融資及び食品供給体制の近代化のための融資を引き続き行ったこと  (7) 基幹鉄道整備については、基幹鉄道の整備を図るために必要な安全防災対策、輸送力増強工事等に対し融資を行ったこと  (8) 産業構造調整については、特定事業者の事業転換及び特定地域の活性化を図るための出融資を行ったこと  (9) その他については、「輸入体制整備・対日投資促進」、「造船業経営安定対策」及び「航空輸送施設」等の出融資を引き続き行ったこと (10) 社会資本整備促進については、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用により、社会資本の整備促進を図るための融資を行ったことなどがあげられます。  三、次に六十二年度における既往貸付の回収は、一兆五百二十一億三千三百二十一万円余となっております。  なお、六十二年度は、貸付金の債権償却は行わず、この結果、六十二年度末における出融資残高は、八兆三百十三億九千四百六万円余となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、六十二年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は二百九十三億六百九十八万円余で、前年度末に比して八千七百十八万円余の増加となっております。  貸付残高に対する割合は、〇・四パーセントとなっております。  四、また、六十二年度において、新規の外貨債務の保証はなく、年度末保証残高は三百三十九億八千九百四十一万円余となっております。  五、最後に、六十二年度決算概要について説明いたしますと、五百十四億八千二十三万円余の純利益を計上し、このうち二百四十億二千七百七十五万円余を法定準備金として積立て、残額二百七十四億五千二百四十八万円余を国庫へ納入しました。  以上、六十二年度における日本開発銀行の業務の内容につきましてご説明申しあげた次第でございます。    日本開発銀行昭和六十三年度の業務概要  昭和六十三年度における日本開発銀行の業務の概要についてご説明申しあげます。  一、先ず、六十三年度の資金運用計画は、当初計画として一兆三千九百三十億円を予定しておりました。  これに対し、六十三年度中の運用額は、出融資実行額が一兆三千五百三十四億七千六百万円となっております。  これの項目別内訳は、資源エネルギー三千八百五十一億三千八百万円、技術振興一千九百四十六億六千万円、海運・航空機五百五十八億八千八百万円、都市開発二千五百八十九億九千七百万円、地方開発一千四百七十四億八千四百万円、国民生活改善六百五十六億一千万円、基幹鉄道整備一千百二十三億円、産業構造調整四百八十二億五千五百万円、その他四百四十六億八千百万円、社会資本整備促進四百四億六千三百万円であります。  以上の六十三年度の運用額の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金九千二百三十二億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金四百八億円と貸付回収金等三千八百九十四億七千六百万円をもってこれに充てました。  二、次に六十三年度の出融資運用の特色を申しあげますと、  (1) 資源エネルギーについては、原子力発電推進のための融資、水力発電・液化ガス発電等電源多様化をはかるための融資、石油産業集約化、石油及びLPG備蓄タンク等に対する融資、都市ガス原料の液化ガスへの転換に係る設備に対する融資、石油代替エネルギーの利用の促進のための融資の他、産業の省資源・省エネルギー等を促進するための融資を引き続き行ったこと  (2) 技術振興については、わが国における技術開発力の強化及び技術水準の向上ならびに経済社会の情報化の健全な発展をはかるため、産業技術振興融資、情報化促進出融資等を引き続き行ったこと  (3) 海運・航空機については、貿易物資の安定的輸送確保の観点から計画造船による外航船舶の拡充整備の推進のため引き続き融資を行うとともに、航空事業の健全な発展に資するため航空機の導入に対し引き続き融資を行ったこと  (4) 都市開発については、都市交通の整備改善、市街地の開発整備、流通機構の近代化に寄与する事業等に対し引き続き出融資を行ったこと  (5) 地方開発については、九州、四国、中国、北陸の四地方の開発のため引き続き出融資を行うとともに、地方都市圏の機能整備、地方適地産業の育成、工業の適正配置の促進について特に留意したこと  (6) 国民生活改善については、公害防止推進のための融資、重度障害者の雇用施設等福祉対策に関する融資及び食品供給体制の近代化のための融資を引き続き行ったこと  (7) 基幹鉄道整備については、基幹鉄道の整備を図るために必要な安全防災対策、輸送力増強工事等に対し融資を引き続き行ったこと  (8) 産業構造調整については、特定事業者の事業転換及び特定地域の活性化を図るための融資を引き続き行ったこと  (9) その他については、「輸入体制整備・対日投資促進」、「航空輸送施設」等の融資を引き続き行ったこと (10) 社会資本整備促進については、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用により、社会資本の整備促進を図るための融資を引き続き行ったことなどがあげられます。  三、次に六十三年度における既往貸付の回収は、九千五十億五千四百三十一万円余となっております。  この他、六十三年度は、貸付金の債権償却四千二百四十三万円余を行っております。  この結果六十三年度末における出融資残高は、八兆四千七百九十億七千三百三十一万円余となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、六十三年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は二百七十億六千五百三十二万円余で、前年度末に比して二十二億四千百六十六万円余の減少となっております。  貸付残高に対する割合は、〇・三パーセントとなっております。  四、また、六十三年度において、新規の外貨債務の保証はなく、年度末保証残高は二百六十二億七千八十二万円余となっております。  五、最後に、六十三年度決算概要について説明いたしますと、四百二十四億六千八十七万円余の純利益を計上し、このうち二百五十三億六千二百七十七万円余を法定準備金として積立て、残額百七十億九千八百九万円余を国庫へ納入しました。  以上、六十三年度における日本開発銀行の業務の内容につきましてご説明申しあげた次第でございます。     …………………………………    昭和六十二年度決算日本開発銀行について の検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十二年度日本開発銀行決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。    昭和六十三年度決算日本開発銀行についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十三年度日本開発銀行決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    日本輸出入銀行昭和六十二年度業務概況  一、昭和六十二年度における日本輸出入銀行の業務状況につき概要をご説明申し上げます。  まず、昭和六十二年度年度当初の事業計画において九千二百五十九億円の貸付を予定いたしました。  これに対し昭和六十二年度の貸付額および外国公債の取得額の実績は八千七百四十三億四千七百七万円余で、年度当初の事業計画における貸付予定額を六パーセント程下回りました。  なお、この昭和六十二年度の貸付額および外国公債の取得額を昭和六十一年度の貸付額六千九百十九億六千六十二万円余に比較いたしますと二十六パーセント程度の増加となっております。  以下、昭和六十二年度の貸付額および外国公債の取得額の内訳につきまして、金融種類別に前年度との比較において申し述べます。  まず、輸出資金の貸付は、千四百五十七億二千二百八十六万円余で、昭和六十一年度の千七百十一億四千二百五十八万円余に対し、二百五十四億千九百七十二万円余の減少となりました。これは、船舶の輸出に対する貸付、プラントの輸出に対する貸付がともに低調に推移したことによるものであります。  次に、輸入に必要な資金の貸付は、二千百九十五億四千四百七十五万円で、昭和六十一年度の千五百七十三億八千四百四十九万円余に対し、六百二十一億六千二十五万円余の増加となりました。これは、資源開発および製品輸入について大型案件の貸付があったことによるものであります。  また、海外投資資金の貸付は、二千二億二千八百四十四万円となり、昭和六十一年度の千百六十億八千六百十一万円に対し、八百四十一億四千二百三十三万円の増加となりました。これは、製造業投資案件に対する貸付が増加したことによるものであります。  このほか、外国政府等に対する直接借款に係る貸付および外国公債の取得は、三千八十八億五千百一万円余で、昭和六十一年度の二千四百七十三億四千七百四十二万円余に対し、六百十五億三百五十九万円余の増加となりました。これは、アンタイドローンの貸付額が増加したことによるものであります。  以上の結果、昭和六十二年度末の貸付残高および外国公債の取得残高は、五兆千七十億七千三百十七万円余となっております。  なお、この貸付残高のうち、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は、千百五十七億六千八百四十万円余となっております。  昭和六十二年度の貸付資金および外国公債の取得資金の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金二千九百四十八億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金二百二億円のほか、自己資金等五千五百九十三億四千七百七万円余をもってこれにあてました。  以上申し述べました業務の運営により昭和六十二年度の一般勘定の損益計算上における利益は、三千五百二十三億八千百四十二万円余、これに対し損失は、三千二百三十二億七千三百四十一万円余となりました。  この結果、昭和六十二年度の一般勘定利益金は二百九十一億八百万円余となりました。  一般勘定利益金は、法令の定めるところに従い、うち百五十二億三千九百七十四万円余を法定準備金として積立て、残額百三十八億六千八百二十六万円余を国庫に納付いたしました。  なお、既往のインドネシア債務救済措置の実施に関する業務につきましては、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律により一般の業務と区分して特別の勘定を設けて経理することといたしておりますが、昭和六十二年度の特別勘定の損益計算上、二億二千七万円余の利益金を生じ、法令の定めるところに従い、これを全額同勘定の積立金として積立てました。  二、以上、昭和六十二年度における日本輸出入銀行の業務の概況につき、ご説明申し上げました。    日本輸出入銀行昭和六十三年度業務概況  一、昭和六十三年度における日本輸出入銀行の業務状況につき概要をご説明申し上げます。  まず、昭和六十三年度年度当初の事業計画において一兆八百七十四億円の貸付および外国公債の取得を予定いたしました。  これに対し昭和六十三年度の貸付額および外国公債の取得額の実績は九千八百六十八億六千三百八十四万円余で、年度当初の事業計画における貸付予定額を九パーセント程下回りました。  なお、この昭和六十三年度の貸付額および外国公債の取得額を昭和六十二年度の貸付額および外国公債の取得額八千七百四十三億四千七百七万円余に比較いたしますと十三パーセント程度の増加となっております。  以下、昭和六十三年度の貸付額および外国公債の取得額の内訳につきまして、金融種類別に前年度との比較において申し述べます。  まず、輸出資金の貸付は、千百五十八億二千九百八十万円余で、昭和六十二年度の千四百五十七億二千二百八十六万円余に対し、二百九十八億九千三百六万円余の減少となりました。これは、プラントの輸出に対する貸付が低調に推移したことによるものであります。  次に、輸入に必要な資金の貸付は、千三百七十一億九千四百七十六万円で、昭和六十二年度の二千百九十五億四千四百七十五万円に対し、八百二十三億四千九百九十九万円の減少となりました。これは、製品輸入に対する貸付が低調に推移したことによるものであります。  また、海外投資資金の貸付は、二千八百十九億五千百九十五万円余となり、昭和六十二年度の二千二億二千八百四十四万円に対し、八百十七億二千三百五十一万円余の増加となりました。これは、製造業投資等に対する貸付が増加したことによるものであります。  このほか、外国政府・外国法人等に対する直接借款に係る貸付および外国公債の取得は、四千五百十八億八千七百三十二万円余で、昭和六十二年度の三千八十八億五千百一万円余に対し、千四百三十億三千六百三十万円余の増加となりました。これは、アンタイドローン等の貸付が増加したことによるものであります。  以上の結果、昭和六十三年度末の貸付残高および外国公債の取得残高は、五兆二千四百四億七千二百三十九万円余となっております。  なお、この貸付残高のうち、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は、千二百二億七千百十万円余となっております。  昭和六十三年度の貸付資金および外国公債の取得資金の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金六千七百四十億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金三百十億円のほか、自己資金等二千八百十八億六千三百八十四万円余をもってこれにあてました。  以上申し述べました業務の運営により昭和六十三年度の一般勘定の損益計算上における利益は、三千二百九十七億九千二百五十三万円余、これに対し損失は、三千八億九百七十六万円余となりました。  この結果、昭和六十三年度の一般勘定利益金は二百八十九億八千二百七十六万円余となりました。  一般勘定利益金は、法令の定めるところに従い、うち百五十六億三千五百二十八万円余を法定準備金として積立て、残額百三十三億四千七百四 十八万円余を国庫に納付いたしました。  なお、既往のインドネシア債務救済措置の実施に関する業務につきましては、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律により一般の業務と区分して特別の勘定を設けて経理することといたしておりますが、昭和六十三年度の特別勘定の損益計算上、二億七千九百四十八万円余の利益金を生じ、法令の定めるところに従い、これを全額同勘定の積立金として積立てました。  二、以上、昭和六十三年度における日本輸出入銀行の業務の概況につき、ご説明申し上げました。     …………………………………    昭和六十二年度決算日本輸出入銀行についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十二年度日本輸出入銀行決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。    昭和六十三年度決算日本輸出入銀行についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十三年度日本輸出入銀行決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十二年度歳入歳出決算概要説明書                 通商産業省  昭和六十二年度通商産業省所管歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入歳出決算につきまして、御説明いたします。  通商産業省主管の歳入につきましては、歳入予算額は八十億七千四百九十九万円余であります。  これに対しまして、収納済歳入額は百三十一億九千三百五万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと五十一億一千八百六万円余の増加となっております。  これは、アルコール専売事業特別会計から一般会計への納付金が予定より多かったこと等の理由によるものであります。  次に、通商産業省所管の歳出につきましては、当初予算額は六千五百六億一千二百九十一万円余でありますが、予算補正追加額四百九十九億一千六百五十二万円余、予算補正修正減少額七十四億一千九百五十六万円余、総理府及び文部省所管から移し替えを受けた額九十九億九千三百九十七万円余、前年度からの繰越額五十一億四千五百四十一万円余の増減がありましたので、歳出予算現額は七千八十二億四千九百二十七万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は六千六百三十一億九千六百八十一万円余でありまして、これと歳出予算現額との差額は四百五十億五千二百四十六万円余となっております。  この差額のうち、翌年度へ繰り越しました額は、四十二億三千二百十八万円余でありまして、不用となりました額は四百八億二千二十七万円余となっております。  六十二年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。  第一に、エネルギー対策費であります。その支出済歳出額は三千五億八千九百三十七万円余でありまして、その主なものにつきまして御説明いたします。  まず、石油及石油代替エネルギー対策費であります。  この経費は、エネルギー対策の緊要性にかんがみ、石油の安定供給確保の観点から、石油資源の開発及び石油備蓄増強等の事業並びに石油代替エネルギーの開発及び利用を促進するための施策の財源に充てるため、一般会計から石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計石油及び石油代替エネルギー勘定へ繰り入れるためのものでありまして、二千九百七十億円を支出いたしました。  次に、エネルギー技術研究開発費であります。この経費は、太陽エネルギー等の新エネルギー技術及び高効率ガスタービン等の省エネルギー技術の研究開発を行うためのものでありまして、二十六億六千七百四十万円余を支出いたしました。  第二に、中小企業対策費であります。その支出済歳出額は一千四百九十五億五千三百九十三万円余でありまして、その主なものにつきまして御説明いたします。  まず、中小企業事業団運営費であります。この経費は、中小企業構造の高度化を促進するために必要な指導、資金の貸付け及び共済等の事業を行うための出資金及び補助金でありまして、百七十一億二千二百八十一万円余を支出いたしました。  なお、同事業団が行った貸付事業の実績は、一般高度化事業資金二百四十四件、特定高度化事業資金二百七十件、繊維工業構造改善事業資金四十六件等であります。  次に、小規模事業対策費であります。その支出済額は四百八億二百八十万円余でありまして、この経費により商工会、商工会議所等が小規模事業者に対して、六百六万件余の経営指導、相談を行いました。  次に、小企業等経営改善資金融資制度であります。この経費は、小企業者等に対する経営指導を金融面から補完し、実効性を確保するため、商工会、商工会議所及び都道府県商工会連合会の長の推薦に基づき、国民金融公庫が、無担保、無保証人、低利による融資を行うためのものでありまして、貸付金として七十六億円を支出いたしました。  なお、同公庫が行った融資実績は十三万件余、三千三百三十九億円余に達しております。  次に、中小企業近代化促進費であります。その支出済額は八十四億四百十五万円余でありまして、設備近代化補助金六億六千二百六十四万円余、中小企業機械類貸与補助金十七億六千七百十五万円余等を支出いたしました。  次に、中小企業指導事業費であります。その支出済額は百億六千九百五十四万円余でありまして、診断指導、技術指導及び研究促進等の事業の一層の強化を図っております。  このほか、組織化対策費四十一億九千七百三十七万円余、信用保証協会基金補助金二十九億円、中小企業金融公庫補給金四百九十二億三千四百万円等を支出いたしました。  第三に、科学技術振興費であります。その支出済歳出額は七百九十六億八千百七万円余でありまして、その主なものにつきまして御説明いたします。  まず、大型工業技術研究開発費であります。この経費は、将来の技術開発の核心となり、技術的波及効果の大きい大規模な産業技術の研究開発を行うためのものでありまして、四十二億八百二十四万円余を支出いたしました。  次に、電子計算機産業振興対策費であります。この経費は、我が国電子計算機産業の技術力の向上並びに振興を図るため、新しい理論・技術に基づいた第五世代コンピュータの研究開発を行うためのものでありまして、三十九億八千八百四十九万円余を支出いたしました。  次に、次世代産業基盤技術研究開発費であります。この経費は、我が国が今後、技術立国を実現していくため、基礎的段階の産業技術の研究開発を行うためのものでありまして、四十七億二百六十七万円余を支出いたしました。  このほか、通商産業省の試験研究機関の特別研究費二十六億一千四百六十万円余、試験研究設備及び施設の整備費二百四十二億八千五十万円余等を支出いたしました。  第四に、公共事業関係費であります。その支出済歳出額は百八十三億九千百四十三万円余でありまして、その主なものは、工業用水道事業費補助であります。その支出済額は百八十二億七百四十九万円余でありまして、この経費により、地方公共団体において継続事業七十二箇所、新規事業七箇所の工事を、水資源開発公団において継続事業八箇所の工事を実施いたしました。  第五に、経済協力費であります。その支出済歳出額は百八十億四千四百八十八万円余でありまして、その主なものにつきまして御説明いたします。  まず、海外経済協力費補助金であります。この経費は、発展途上国に対する経済協力を推進するため、経済協力関係団体が行う海外技術者受入等研修事業等に対する補助金でありまして、六十二億五千七百九十三万円余を支出いたしました。  次に、海外開発計画調査委託費であります。この経費は、発展途上国における鉱工業、資源等の分野における開発計画を策定するための調査等を技術協力関係団体に委託して行うためのものでありまして、六十九億五千六百三十六万円余を支出いたしました。  次に、繰り越し及び不用について御説明いたします。  翌年度へ繰り越しました経費のうち主なものは、通商産業本省十五億一千八百二十九万円余でありまして、民間能力活用特定施設緊急整備費補助金等につきまして、計画に関する諸条件等により、年度内に支出を完了することができなかったため、経費を翌年度に繰り越したものであります。  また、不用額を生じました経費のうち主なものは、石油及石油代替エネルギー対策費二百八十億円でありまして、石油公団備蓄増強対策補給金等が少なかったので、石油税石油及び石油代替エネルギー対策交付金等財源の石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計へ繰入を要することが少なかったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、通商産業省所管一般会計歳入歳出決算に関する御説明を終わります。  次に、通商産業省所管の各特別会計昭和六十二年度決算につきまして御説明いたします。  第一に、電源開発促進対策特別会計であります。  電源立地勘定につきましては、収納済歳入額は一千九百六十三億二千八百五十万円余、支出済歳出額は六百十四億五千八百五十一万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は一千三百四十八億六千九百九十八万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は五百六十七億八千八百三十八万円余、剰余金は七百八十億八千百五十九万円余となっております。  六十二年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。  電源立地対策費でありますが、この経費は、電源立地地域における公共用施設の整備、電源立地促進のための特別対策事業、電源立地地域における安全対策等の推進等に必要な事業費に充てるため、地方公共団体等に対して交付するためのものでありまして、六百八億二千七百四万円余を支出いたしました。  電源多様化勘定につきましては、収納済歳入額は二千二百二十九億三千九百六十一万円余、支出済歳出額は一千六百二十六億六千六百六十二万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は六百二億七千二百九十九万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は二百六十六億四千五十二万円余、剰余金は三百三十六億三千二百四十六万余となっております。  六十二年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。  電源多様化対策費でありますが、この経費は、水力・地熱資源の開発、石炭火力発電所の公害防止技術の実証、太陽光発電などの新エネルギー技術開発、原子力発電推進のための技術開発等の施策を行うためのものでありまして、一千六百十七億四千六百七十万円余を支出いたしました。  第二に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計であります。  石炭勘定につきましては、収納済歳入額は一千四百五十八億四千三百五十二万円余、支出済歳出額は一千二百三十億六千四百五万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は二百二十七億七千九百四十七万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は百四十二億三千七百三十四万円余、剰余金は八十五億四千二百十二万円余となっております。  六十二年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。  まず、石炭鉱業合理化安定対策費であります。この経費は、新エネルギー総合開発機構が行う炭鉱の整理事業に対する補助及び同機構が行う経営改善資金の貸付け、貯炭管理制度のための補給並びに石炭鉱業の生産体制の改善、経理の改善、保安の確保等の施策を実施するためのものでありまして、四百十七億八千七百七万円余を支出いたしました。  次に、鉱害対策費であります。この経費は、石炭鉱害事業団に対する鉱害復旧事業資金の補助及び同事業団が行う鉱害賠償資金等の貸付けのための出資等を行うためのものでありまして、五百三十三億九千七百五十七万円余を支出いたしました。  次に、産炭地域振興対策費であります。この経費は、産炭地域において鉱工業等の振興に必要な業務を行う地域振興整備公団に対する出資、石炭鉱業の終閉山により財政状況が悪化している産炭地域市町村に対する交付金の交付及び産炭地域小水系用水の開発事業等の施策を行うためのものでありまして、七十二億三千五十二万円余を支出いたしました。  石油及び石油代替エネルギー勘定につきましては、収納済歳入額は五千三百五十六億四千二百八十六万円余、支出済歳出額は二千九百八十六億九千二百七十九万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は二千三百六十九億五千七万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は一千三百五十七億八千五百九十七万円余、剰余金は一千十一億六千四百九万円余となっております。  六十二年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。  まず、石油安定供給対策費であります。この経費は、石油公団が行う石油及び可燃性天然ガスの探鉱等に対する投融資及び公団備蓄事業等に充てるための同公団への出資、同公団に対する交付金の交付、石油備蓄の増強等の施策を行うためのものでありまして、二千四百九十七億四千四百四十五万円余を支出いたしました。  次に、石油生産流通合理化対策費であります。この経費は、石油の流通合理化及び生産技術の研究開発等を図るための石油備蓄技術調査、石油製品需給適正化調査及び重質油対策の研究開発等の施策を行うためのものでありまして、百四十一億八千二百六十五万円余を支出いたしました。  次に、石油代替エネルギー対策費であります。この経費は、新エネルギー総合開発機構が行う海外炭探鉱に対する融資等に充てるための同機構への出資、日本開発銀行が行う石油代替エネルギー利用促進融資の原資の一部に充てるための同銀行に対する貸付金、ソーラーシステム普及促進、石炭液化ガス化等の石油代替エネルギー技術開発等の施策を行うためのものでありまして、三百四十億七千三百二十一万円余を支出いたしました。  第三に、アルコール専売事業特別会計であります。収納済歳入額は三百二十三億六千二百八十一万円余、支出済歳出額は二百十八億二千四百九十八万円余であります。  この会計損益計算上の利益は百億四千百六万円余でありまして、期末資産の減少相当額一億六千二十五万円余がありましたので、合計百二億百三十二万円余を一般会計に納付いたしました。  第四に、貿易保険特別会計であります。収納済歳入額は三千百八十億七千四百二十三万円余、支出済歳出額は二千八百七十億三百四十一万円余であります。  六十二年度における保険引受件数は五十二万四千件余、その保険金額は七兆六千四百七億円余でありまして、前年度に対し三千二百七十三億円余の増加となっております。  第五に、特許特別会計であります。収納済歳入額は六百九十六億二千五百十九万円余、支出済歳 出額は四百九十三億四百六十五万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は二百三億二千五十四万円余をありまして、翌年度へ操り越しました額は十一億九千六十万円余、剰余金は百九十一億二千九百九十三万円余となっております。  以上をもちまして、昭和六十二年度における通商産業省所管一般会計及び特別会計決算に関する御説明を終わります。  最後に、会計検査院から、昭和六十二年度通商産業省所管決算につきまして、不当事項として十二件の指摘がありました。  これらの指摘された事項につきましては、直ちにその是正の措置を講じたところであり、今後は、この種の事態の発生を未然に防止するため、より一層の指導、監督を行う所存でございます。  何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。    昭和六十三年度歳入歳出決算概要説明書                 通商産業省  昭和六十三年度通商産業省所管歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入歳出決算につきまして、御説明いたします。  通商産業省主管の歳入につきましては、当初予算額は八十億二千三百七十二万円余でありますが、予算補正追加額十七億三千六百六十六万円余の増加がありましたので、歳入予算額は九十七億六千三十八万円余となっております。  これに対しまして、収納済歳入額は百五十一億八百六十四万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと五十三億四千八百二十六万円余の増加となっております。  これは、アルコール専売事業特別会計から一般会計への納付金が予定より多かったこと等の理由によるものであります。  次に、通商産業省所管の歳出につきましては、当初予算額は六千二百一億八千六百二十二万円余でありますが、予算補正追加額一千五百七十二億二千八百三十一万円余、予算補正修正減少額六十九億六百二十九万円余、総理府及び文部省所管から移し替えを受けた額九十九億五千八百三十三万円余、前年度からの繰越額四十二億三千二百十八万円余の増減がありましたので、歳出予算現額は七千八百四十六億九千八百六十六万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は七千六百五十四億五千六百八十五万円余でありまして、これと歳出予算現額との差額は百九十二億四千百八十一万円余となっております。  この差額のうち、翌年度へ繰り越しました額は、三十一億八百七万円余でありまして、不用となりました額は百六十一億三千三百七十四万円余となっております。  六十三年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。  第一に、エネルギー対策費であります。その支出済歳出額は二千九百三十億八千六百七十三万円余でありまして、その主なものにつきまして御説明いたします。  まず、石油及石油代替エネルギー対策費であります。  この経費は、エネルギー対策の緊要性にかんがみ、石油の安定供給確保の観点から、石油資源の開発及び石油備蓄増強等の事業並びに石油代替エネルギーの開発及び利用を促進するための施策の財源に充てるため、一般会計から石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計石油及び石油代替エネルギー勘定へ繰り入れるためのものでありまして、二千九百億円を支出いたしました。  次に、エネルギー技術研究開発費であります。この経費は、太陽エネルギー等の新エネルギー技術及び新型電池電力貯蔵システム等の省エネルギー技術の研究開発を行うためのものでありまして、二十一億七千六百七十九万円余を支出いたしました。  第二に、中小企業対策費であります。その支出済歳出額は一千七百七十七億二千七百三十二万円余でありまして、その主なものにつきまして御説明いたします。  まず、中小企業事業団運営費であります。この経費は、中小企業構造の高度化を促進するために必要な指導、資金の貸付け及び共済等の事業を行うための出資金及び補助金でありまして、百四十四億八千七百八十七万円余を支出いたしました。  なお、同事業団が行った貸付事業の実績は、一般高度化事業資金二百二十二件、特定高度化事業資金三百七十四件、繊維工業構造改善事業資金二十三件等であります。  次に、小規模事業対策費であります。その支出済額は四百二十一億五千五百七十八万円余でありまして、この経費により商工会、商工会議所等が小規模事業者に対して、六百万件余の経営指導、相談を行いました。  次に、小企業等経営改善資金融資制度であります。この経費は、小企業者等に対する経営指導を金融面から補完し、実効性を確保するため、商工会、商工会議所及び都道府県商工会連合会の長の推薦に基づき、国民金融公庫が、無担保、無保証人、低利による融資を行うためのものでありまして、貸付金として七十一億円を支出いたしました。  なお、同公庫が行った融資実績は十万件余、二千九百三億円余に達しております。  次に、中小企業近代化促進費であります。その支出済額は七十九億三千八百三十七万円余でありまして、設備近代化補助金五億七千六百六十二万円余、中小企業機械類貸与補助金十三億九千九百三十六万円余等を支出いたしました。  次に、中小企業指導事業費であります。その支出済額は九十九億九千九百五十八万円余でありまして、診断指導、技術指導及び研究促進等の事業の一層の強化を図っております。  このほか、組織化対策費四十六億百四十六万円余、信用保証協会基金補助金二十四億円、中小企業金融公庫補給金三百四十五億六千七百万円等を支出いたしました。  第三は、科学技術振興費であります。その支出済歳出額は五百八十五億百六十五万円余でありまして、その主なものにつきまして御説明いたします。  まず、大型工業技術研究開発費であります。この経費は、将来の技術開発の核心となり、技術的波及効果の大きい大規模な産業技術の研究開発を行うためのものでありまして、二十一億九百二十三万円余を支出いたしました。  次に、電子計算機産業振興対策費であります。この経費は、我が国電子計算機産業の技術力の向上並びに振興を図るため、新しい理論・技術に基づいた第五世代コンピュータの研究開発を行うためのものでありまして、三十七億三千五百三十六万円余を支出いたしました。  次に、次世代産業基盤技術研究開発費であります。この経費は、我が国が今後、技術立国を実現していくため、基礎的段階の産業技術の研究開発を行うためのものでありまして、二十八億八千五百八十四万円余を支出いたしました。  このほか、通商産業省の試験研究機関の特別研究費二十六億三千四百十七万円余、試験研究設備及び施設の整備費二十一億五百七十万円余等を支出いたしました。  第四に、公共事業関係費であります。その支出済歳出額は百五十八億五百七十三万円余でありまして、その主なものは、工業用水道事業費補助であります。その支出済額は百五十六億三千七百四十四万円余でありまして、この経費により、地方公共団体において継続事業六十一箇所、新規事業五箇所の工事を、水資源開発公団において継続事業七箇所の工事を実施いたしました。  第五に、経済協力費であります。その支出済歳出額は百八十六億九千三百六十五万円余でありまして、その主なものにつきまして御説明いたします。  まず、海外経済協力費補助金であります。この経費は、発展途上国に対する経済協力を推進する ため、経済協力関係団体が行う海外技術者受入等研修事業等に対する補助金でありまして、六十六億六千百七十七万円余を支出いたしました。  次に、海外開発計画調査委託費であります。この経費は、発展途上国における鉱工業、資源等の分野における開発計画を策定するための調査等を技術協力関係団体に委託して行うためのものでありまして、六十八億九千九十四万円余を支出いたしました。  次に、繰り越し及び不用について御説明いたします。  翌年度へ繰り越しました経費のうち主なものは、通商産業本省十三億八千九百十七万円余でありまして、民間能力活用特定施設緊急整備費補助金等につきまして、計画に関する諸条件等により、年度内に支出を完了することができなかったため、経費を翌年度に繰り越したものであります。  また、不用額を生じました経費のうち主なものは、石油及石油代替エネルギー対策費六十億円でありまして、石油公団が行う探鉱等投融資事業が予定を下回ったこと等により、石油及び石油代替エネルギー対策出資金財源石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計へ繰入を要することがなかったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、通商産業省所管一般会計歳入歳出決算に関する御説明を終わります。  次に、通商産業省所管の各特別会計昭和六十三年度決算につきまして御説明いたします。  第一に、電源開発促進対策特別会計であります。  電源立地勘定につきましては、収納済歳入額は二千三百三十一億五千百七十七万円余、支出済歳出額は六百三十九億六千百七十七万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は一千六百九十一億九千万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は六百三十六億二千五百十八万円余、剰余金は一千五十五億六千四百八十二万円余となっております。  六十三年度における経費の執行につきましてその主な事項の大要を御説明いたします。  電源立地対策費でありますが、この経費は、電源立地地域における公共用施設の整備、電源立地促進のための特別対策事業、電源立地地域における安全対策等の推進等は必要な事業費に充てるため、地方公共団体等に対して交付するためのものでありまして、六百三十三億二千九百三十二万円余を支出いたしました。  電源多様化勘定につきましては、収納済歳入額は二千二百七十七億九千二百二十三万円余、支出済歳出額は一千七百一億三千五百九十七万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は五百七十六億五千六百二十五万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は百九十四億八千五百七万円余、剰余金は三百八十一億七千百十七万円余となっております。  六十三年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。  電源多様化対策費でありますが、この経費は、水力・地熱資源の開発、石炭火力発電所の公害防止技術の実証、太陽光発電などの新エネルギー技術開発、原子力発電推進のための技術開発等の施策を行うためのものでありまして、一千六百九十億二千八百三十六万円余を支出いたしました。  第二に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計であります。  石炭勘定につきましては、収納済歳入額は一千三百五十三億五千三百六十八万円余、支出済歳出額は一千百四億二千六百三十八万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は二百四十九億二千七百二十九万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は百五十八億二千七百四十四万円余、剰余金は九十億九千九百八十五万円余となっております。  六十三年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。  まず、石炭鉱業合理化安定対策費であります。この経費は、新エネルギー・産業技術総合開発機構が行う炭鉱の整理事業に対する補助及び同機構が行う経営改善資金の貸付け、貯炭管理制度のための補給並びに石炭鉱業の生産体制の改善、経理の改善、保安の確保等の施策を実施するためのものでありまして、三百十八億一千九百十九万円余を支出いたしました。  次に、鉱害対策費であります。この経費は、石炭鉱害事業団に対する鉱害復旧事業資金の補助及び同事業団が行う鉱害復旧事業のための事務費等交付金の交付等を行うためのものでありまして、四百七十二億七千四百三十一万円余を支出いたしました。  次に、産炭地域振興対策費であります。この経費は、産炭地域において鉱工業等の振興に必要な業務を行う地域振興整備公団に対する出資、石炭鉱業の終閉山により財政状況が悪化している産炭地域市町村に対する交付金の交付及び産炭地域小水系用水の開発事業等の施策を行うためのものでありまして、七十一億四千五百七十二万円余を支出いたしました。  石油及び石油代替エネルギー勘定につきましては、収納済歳入額は五千四百二十億四千百八十六万円余、支出済歳出額は三千百三十四億三千二十万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は二千二百八十六億一千百六十六万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました額は八百七十二億三千六百四十七万円余、剰余金は一千四百十三億七千五百十八万円余となっております。  六十三年度における経費の執行につきまして、その主な事項の大要を御説明いたします。  まず、石油安定供給対策費であります。この経費は、石油公団が行う石油及び可燃性天然ガスの探鉱等に対する投融資及び公団備蓄事業等に充てるための同公団への出資、同公団に対する交付金の交付、石油備蓄の増強等の施策を行うためのものでありまして、二千六百九十二億四百六十五万円余を支出いたしました。  次に、石油生産流通合理化対策費であります。この経費は、石油の生産の合理化を図るための石油精製合理化対策事業及び石油の流通合理化を図るための石油製品需給適正化調査等の施策を行うためのものでありまして、百五十六億二千九百四十四万円余を支出いたしました。  次に、石油代替エネルギー対策費であります。この経費は、新エネルギー・産業技術総合開発機構が行う海外炭の開発可能性調査、ソーラーシステム普及促進、天然ガス導入促進、石炭液化等の石油代替エネルギー技術開発等の施策を行うためのものでありまして、二百七十九億一千四百六十九万円余を支出いたしました。  第三に、アルコール専売事業特別会計であります。収納済歳入額は三百二十四億四百八十一万円余、支出済歳出額は二百二十八億四千八百四万円余であります。  この会計損益計算上の利益は百十一億七千七十六万円余でありまして、期末資産の減少相当額一億三百九十万円余がありましたので、合計百十二億七千四百六十七万円余を一般会計に納付いたしました。  第四に、貿易保険特別会計であります。収納済歳入額は四千六百八十七億一千七百七十七万円余、支出済歳出額は四千二十一億五千六百四十六万円余であります。  六十三年度はおける保険引受件数は四十七万件余、その保険金額は八兆六千四百七十四億円余でありまして、前年度に対し一兆六十七億円余の増加となっております。  第五に、特許特別会計であります。収納済歳入額は六百七十億二百四十三万円余、支出済歳出額は五百九十二億八千百三十七万円余であります。収納済歳入額支出済歳出額との差額は七十七億二千百五万円余でありまして、全額剰余金となっております。  以上をもちまして、昭和六十三年度はおける通商産業省所管一般会計及び特別会計決算に関する御説明を終わりまず。  最後に、会計検査院から、昭和六十三年度通商 産業省所管の決算につきまして、不当事項として八件の指摘がありました。  これらの指摘された事項につきましては、直ちにその是正の措置を講じたところであり、今後は、この種の事態の発生を未然に防止するため、より一層の指導、監督を行う所存でございます。  何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十二年度決算通商産業省についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十二年度通商産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項十二件であります。  これらは、中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるものであります。  この資金の貸付事業は、都道府県が、国の補助金と自己資金等によって資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、設備の設置に必要な資金の額の二分の一以内を、五年以内の償還期間で、無利子で貸し付けるものであります。  六十三年次の検査におきまして、その貸付けの適否について調査いたしましたところ、 (1) 中小企業者が貸付けの対象となった事業費より低額で設備を設置しているのに、貸付対象事業費どおりの価格で設置したとして貸し付けていたものが六件、 (2) 貸付けの対象となる設備は、新品でなければならないこと、貸付金相当額を貸付年度中に支払うこと、貸付年度中に設置するものであることなどとされているのに、設置した設備が中古品であったり、支払いが所定の期限までに行われていなかったり、前年度に設置したりしたものが五件、 (3) 中小企業者が対象外の設備を含めるなどして貸付対象事業費を過大に計上していたものが一件 ありました。  これらはいずれも本資金の貸付けとして、適切を欠いており、ひいては補助の目的に沿わない結果になっていると認められたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。    昭和六十三年度決算通商産業省についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十三年度通商産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項八件であります。  これらは、中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるものであります。  この資金の貸付事業は、都道府県が、国の補助金と自己資金等によって資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、設備の設置に必要な資金の額の二分の一以内を、五年以内(公害防止設備は十二年以内)の償還期間で、無利子で貸し付けるものであります。  平成元年の検査におきまして、その貸付けの適否について調査いたしましたところ、 (1) 中小企業者が貸付けの対象となった事業費より低額で設備を設置しているのに、貸付対象事業費どおりの価格で設置したとして貸し付けていたものが六件、 (2) 貸付けの対象となる設備は新品でなければならないのに、中古品を対象に貸し付けていたものが一件、 (3) 貸付対象事業費より低額で設置しているだけではなく、同一設備を対象に国民金融公庫から重複して貸付けを受けていた中小企業者に貸し付けていたものが一件 ありました。  これらはいずれも本資金の貸付けとして、適切を欠いており、ひいては補助の目的に沿わない結果になっていると認められたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────    昭和六十二年度の業務の概況について              中小企業金融公庫  昭和六十二年度における中小企業金融公庫の業務について御説明申し上げます。 一、 当公庫の昭和六十二年度当初貸付計画は、二兆二千六百六十一億円と定められました。  これに対し、中小企業者に対しては、二兆二千三百七十七億八千六万円の貸付を行ったほか、設備貸与機関に対しては、二百三十二億四千四百五十五万円余、また、中小企業投資育成株式会社に対しては、五億円の貸付を行い、総額では、二兆二千六百十五億二千四百六十一万円余の貸付実績となりました。  中小企業者に対する貸付契約額のうち、設備資金は三十三・五パーセントに相当する七千五百七億五千七百五万円余、運転資金は六十六・五パーセントに相当する一兆四千八百八十九億二千九百八十万円余となっており、また、直接貸付は七十三・二パーセントに相当する一兆六千三百九十七億六千五百六十万円(二万八千七百六件)、代理貸付は二十六・八パーセントに相当する五千九百九十九億二千百二十六万円(三万一千二百四十一件)となっております。  なお、昭和六十二年度末における総貸付残高は、五兆八百五十九億五万円余となっております。  貸付金の延滞状況につきましては、昭和六十二年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は、千百二十五億七千九百九十九万円余でありまして、このうち一年以上のものは、千六十二億七千九百九十万円余、総貸付残高の二・一パーセントとなっております。 二、昭和六十二年度の融資に当たりましては、国際化の進展、ニーズの多様化といった変化の激しい経営環境の中におかれている中小企業者に対し、その事業基盤の強化に資する資金について積極的に対処してまいりました。特に、地域における産業を振興し地域経済の活性化を図るための貸付制度を新設したほか、国際経済調整対策等貸付制度等の拡充を図るなど中小企業者の環境変化に適応するための資金についてもきめ細かい配慮を払ってまいりました。  また、中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業に必要な資金、流通機構の近代化、合理化のために必要な資金及び産業公害の防止、産業安全の確保等のために必要な資金についても配慮してまいりました。  なお、昭和六十二年度におきましては、中小企業者の一層の利便に資するため、大阪西出張所を支店に昇格させました。 三、次に、当公庫の昭和六十二年度の収入、支出の決算及び損益計算について申し上げます。  収入、支出の決算について申し上げますと、貸付金利息等収入済額は、三千五百七十六億六百八十九万円余、支払利息等支出済額は、三千六百十三億二千二百五十七万円余となりました。  損益計算について申し上げますと、貸付金利息等の総益金は、三千六百四十一億七千四百四万円余、借入金利息、事務費、業務委託費等の総損金は、三千六百四十一億七千四百四万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。  以上をもちまして、昭和六十二年度における中小企業金融公庫の業務の概況について、御説明を終ります。    昭和六十三年度の業務の概況について              中小企業金融公庫  昭和六十三年度における中小企業金融公庫の業務について御説明申し上げます。 一、当公庫の昭和六十三年度当初貸付計画は、二兆三千三百四十一億円と定められました。  これに対し、中小企業者に対しては、二兆八百三十七億二千九百八十六万円の貸付を行ったほか、設備貸与機関に対しては、二百四十八億四千九百八十四万円余、また、中小企業投資育成株式会社に対しては、十一億円の貸付を行い、総額では、二兆千九十六億七千九百七十万円余の貸付実績となりました。  中小企業者に対する貸付契約額のうち、設備資金は四十一・一パーセントに相当する八千六百七十五億千九百三十六万円余、運転資金は五十八・九パーセントに相当する一兆二千四百十六億七千七百三十六万円余となっており、また、直接貸付は七十八・六パーセントに相当する一兆六千五百七十八億七千三百七十万円(二万九千七百一件)、代理貸付は二十一・四パーセントに相当する四千五百十三億二千三百二万円余(二万四千五百六件)となっております。  なお、昭和六十三年度末における総貸付残高は、五兆五千三百二十九億九千百四十五万円余となっております。  貸付金の延滞状況につきましては、昭和六十三年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は、千四十二億千五十九万円余でありまして、このうち一年以上のものは、千十五億五千四百六十七万円余、総貸付残高の一・八パーセントとなっております。 二、昭和六十三年度の融資に当たりましては、円高定着下において我が国経済の構造転換が急速に進展するといった変化の激しい経営環境の中におかれている中小企業者に対し、その事業基盤の強化に資する資金について積極的に対処してまいりました。特に、内需型の産業構造転換に資するための貸付制度を新設したほか、地域経済の活性化を図るための地域産業振興貸付制度等を拡充するなど中小企業者の新たな事業展開を図ろうとするための資金についてもきめ細かい配慮を払ってまいりました。  また、中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業に必要な資金、流通機構の近代化、合理化のために必要な資金及び産業公害の防止、産業安全の確保等のために必要な資金についても配慮してまいりました。  なお、昭和六十三年度におきましては、中小企業者の一層の利便に資するため、立川出張所を支店に昇格させました。 三、次に、当公庫の昭和六十三年度の収入、支出の決算及び損益計算について申し上げます。  収入、支出の決算について申し上げますと、貸付金収入済額は、三千三百六億七千百二万円余、支払利息等支出済額は、三千二百六十五億九百三十九万円余となりました。  損益計算について申し上げますと、貸付金利息等の総益金は、三千四百八十四億八千六百三十三万円余、借入金利息、事務費、業務委託費等の総損金は、三千四百八十四億八千六百三十三万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。  以上をもちまして、昭和六十三年度における中小企業金融公庫の業務の概況について、御説明を終わります。     …………………………………    昭和六十二年度決算中小企業金融公庫についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十二年度中小企業金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。    昭和六十三年度決算中小企業金融公庫についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十三年度中小企業金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────    昭和六十二年度業務概況            中小企業信用保険公庫  中小企業信用保険公庫昭和六十二年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。  昭和六十二年度におきましては、国の一般会計及び産業投資特別会計から中小企業信用保険事業の円滑な運営を図るための原資として、中小企業信用保険準備基金二百五十億円、信用保証協会の保証活動の円滑化を図るための原資として、融資基金五百四億円、合計七百五十四億円の出資が行われました。  まず、中小企業信用保険事業についてみますと、公庫が全国五十二の信用保証協会との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引受は、件数で九十五万二千件余、金額で六兆六千八百七十一億七千一万円余になっており、これを前年度に比較いたしますと、金額で二パーセントの増加となっております。  この結果、昭和六十二年度末の保険引受残高は、件数で二百二万五千件余、金額で十三兆三千二百六十六億五千百八十八万円余となっております。  なお、中小企業信用保険保険金の支払いは一千五百三十億六千三百十八万円余になりまして、これを前年度に比較いたしますと、一パーセントの減少となっております。  信用保証協会に対する融資事業につきましては、昭和六十二年度に国の一般会計及び産業投資特別会計から新たに出資されました五百四億円及び既往の貸付に係る回収金等二千八百三十九億六百万円、合計三千三百四十三億六百万円をもちまして、二千九百九億三千五百万円の貸付けを行いました。  この結果、昭和六十二年度末における貸付残高は三千五百五十五億二千九百万円となっております。  機械類信用保険事業につきましては、公庫が機械類のリース業者等との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引受は、件数で三十一万四千件余、金額で一兆三千七百四億三百九十一万円余となっております。  この結果、昭和六十二年度末の保険引受残高は、件数で百十三万六千件余、金額で六兆一千百八十四億九千九百三十八万円余となっております。  なお、機械類信用保険保険金の支払いは六十二億二千二百五十三万円余となっております。  次に収入支出及び損益の概況について申し上げます。  まず、収入、支出について申し上げますと、収入済額は一千八百九億六千二百七十六万円余、支出済額は一千六百三十五億五千九百三十九万円余でありまして、差し引き百七十四億三百三十七万円余の収入超過となっております。  損益計算につきましては、さらに支払備金等の整理を行いました結果、総利益は二千二百四億百二十万円余、総損失は二千二百三十三億五千四十五万円余となり、差し引き二十九億四千九百二十四万円余の損失金を生じましたが、これは機械類信用保険特別勘定の損失金によるものであります。  この損失金は、機械類信用保険法の規定に基づき、損失の繰越しとして整理いたしております。  以上、簡単ではございますが、昭和六十二年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げた次第でございます。    昭和六十三年度業務概況            中小企業信用保険公庫  中小企業信用保険公庫昭和六十三年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。  昭和六十三年度におきましては、国の一般会計及び産業投資特別会計から中小企業信用保険事業の円滑な運営を図るための原資として、中小企業信用保険準備基金百九十五億円、信用保証協会の保証活動の円滑化を図るための原資として、融資基金百四十五億円、機械類信用保険事業の円滑な運営を図るための原資として、機械類信用保険運営基金八億円、合計三百四十八億円の出資が行われました。  まず、中小企業信用保険事業についてみます と、公庫が全国五十二の信用保証協会との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引受は、件数で百一万件余、金額で八兆二百八十三億千四百九十七万円余になっており、これを前年度に比較いたしますと、金額で二十パーセントの増加となっております。  この結果、昭和六十三年度末の保険引受残高は、件数で二百十三万件余、金額で十五兆三千七百九十億九千二百八十七万円余となっております。  なお、中小企業信用保険保険金の支払いは一千百八十九億三千八百十七万円余になりまして、これを前年度に比較いたしますと、二十三パーセントの減少となっております。  信用保証協会に対する融資事業につきましては、昭和六十三年度に国の一般会計及び産業投資特別会計から新たに出資されました百四十五億円及び既往の貸付に係る回収金等二千九百九十四億円、合計三千百三十九億円をもちまして、二千七百三十六億七千百万円の貸付けを行いました。  この結果、昭和六十三年度末における貸付残高は三千七百三十一億七千百万円となっております。  機械類信用保険事業につきましては、公庫が機械類のリース業者等との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引受は、件数で三十万八千件余、金額で一兆六千九十七億九千四百六十四万円余となっております。  この結果、昭和六十三年度末の保険引受残高は、件数で百二十七万一千件余、金額で六兆六千二百五億五千五百六万円余となっております。  なお、機械類信用保険保険金の支払いは八十三億五千三百五十三万円余となっております。  次に収入支出及び損益の概況について申し上げます。  まず、収入、支出について申し上げますと、収入済額は一千九百九十九億四千二百五十九万円余、支出済額は一千三百十五億九千八百五十万円余でありまして、差し引き六百八十三億四千四百八万円余の収入超過となっております。  損益計算につきましては、さらに支払備金等の整理を行いました結果、総利益は二千五百九十七億一千三百六十四万円余、総損失は二千五百七十八億九千三百四十四万円余となり、差し引き十八億二千十九万円余の利益金を生じましたが、これは機械類信用保険特別勘定の利益金によるものであります。  この利益金は、機械類信用保険法の規定に基づき、繰越損失金の補てんに充てております。  以上、簡単ではございますが、昭和六十三年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げた次第でございます。     …………………………………    昭和六十二年度決算中小企業信用保険公庫についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十二年度中小企業信用保険公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。    昭和六十三年度決算中小企業信用保険公庫についての検査の概要に関する主管局長の説明                 会計検査院  昭和六十三年度中小企業信用保険公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────
  4. 渡辺省一

    渡辺委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。魚住汎英君。
  5. 魚住汎英

    ○魚住委員 自由民主党所属の魚住でございます。  原子力発電につきまして、関係の省庁からお話をお伺いいたしたいと思います。  本年の二月九日、土曜日、関西電力の美浜発電所二号炉で事故が発生したことは御承知のとおりでありますが、それを含めまして、国が今持っております基本的な発電の中に占める原子力発電についていろいろとお尋ねをしてみたいと思います。  まず第一番目に、原子力発電の必要性ということについては、一部の方々の反対はありますけれども、我々国民としては必要不可欠のものである、こういう認識に立って今度の質問をさせていただくわけでありますが、国におかれましては、エネルギー政策の中でこの原子力発電をどういう位置づけをされておるかということからお尋ねをしてみたいと思います。
  6. 緒方謙二郎

    ○緒方説明員 我が国のエネルギー政策の中における原子力の位置づけでございますが、エネルギーの需要が今後着実に増大をしてまいります。他方で、地球環境問題等最近のエネルギーをめぐる諸情勢というものを考えますと、エネルギーにつきましては安定供給を図ると同時に、環境問題に対する配慮からやはり非化石エネルギーへの依存率を上げていくことが必要であろうかと考えております。原子力発電はこういう面で供給の安定性あるいは経済性、そして環境負荷などの面で大変すぐれたエネルギーでございまして、電力需要が増大する中で、我が国にとって非常に重大な、必要不可欠なエネルギーであるというふうに私ども考えております。  そういう観点から、昨年の十月に閣議決定をいたしました石油代替エネルギーの供給目標の中におきましても、適切なエネルギーミックスを考えまして、原子力につきましては西暦二〇一〇年度の供給能力として七千二百五十万キロワットというものを発電能力として見込んでいるわけでございます。  御指摘のように、今後とも安全確保に最大限の努力を払いながら原子力の利用というものを着実に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  7. 魚住汎英

    ○魚住委員 お尋ねをしないところまでお答弁をいただいてありがとうございました。安全であるかないかというのは今から論議するのですが。  基本的に私どもは無資源国家日本であるということは国民ひとしく認めるところでありますが、原子力が安全であるかないかということについての国民の理解というのはそれぞれの立場においてかなりギャップがあるのですね。それも御承知だと思います。私は、今御答弁なさったような形で物事が進んでいってくれれば、しかも非常にスムーズに進んでいってくれれば非常にありがたいな、こういう気持ちを持ってここに立っておるわけでありまして、そういうようなことからいたしまして、今回の美浜の事故を起因として今いろいろ関係各機関で調査がなされておると聞いておりますが、どの辺まで進んでおって、どれぐらいの結論があって、新聞その他で報道されたようなことぐらいしかまだわかっていないのか。大体どれぐらいのところまで進んでいるか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  関西電力美浜発電所二号機の件につきましては、調査特別委員会を設置いたしまして審議を進めておりまして、現在、原因究明を鋭意やっているところでございます。これまでの調査によりましてほぼ判明した主な事項でございますが、放射線の影響評価、それから加圧器逃し弁の開不能の原因、それから振れどめ金具、AVBと言っておりますが、これの挿入状況、それから破断した伝熱管の破面の状況等につきましてほぼ判明したということでございます。  それで、伝熱管の損傷の原因でございますが、伝熱管の振動を抑える振れどめ金具が設計どおりの範囲まで入ってなかったということが確認されておりまして、このため伝熱管が疲労によりまして破断に至った蓋然性が極めて高いと判断しております。また、これまでの調査の結果から、破断に関係いたします応力腐食割れ、SCCと言っておりますが、これとか、あるいは粒界腐食割れ、IGAと言っておりますが、このIGA及びデン ティング等については認められなかったわけでございます。したがいまして、振れどめ金具、AVBが設計どおりの範囲まで入っていれば伝熱管が破断するようなことは極めて考えにくいと考えております。  振れどめ金具が設計どおりの範囲まで入ってなかったことから破断に至る、こういう具体的なメカニズムにつきまして現在調査特別委員会を中心に鋭意検討しているところでございます。
  9. 魚住汎英

    ○魚住委員 今お答えになった部分までは私どもも知り得ておるのです。  それで、今なさっておられて、大体そうではないかな、こういうところだと思うのですが、本当の結論というのが出るのは、調査結果というのが出るのはいつごろになるのですか。
  10. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  今申し上げました調査結果、随時まとめましてその節々に公表してきているところでございますが、できましたらなるべく早い段階にまとめて中間的な報告、できれば六月というふうに考えておりますが、できればそういうふうにしたいと考えておりますし、また、その結果を踏まえて引き続き最終報告に向けて最大限の努力をするということでございます。
  11. 魚住汎英

    ○魚住委員 皆さん方、それぞれのお立場で鋭意研究をされておるようでありまして、それは多とするものでありますが、今回のこれを引き金としていい方向へ物事が進んでいくように、ぜひひとつお取り計らいをいただきたい。  私がこの質問に立った最たる理由は、ある一部の無理解な方々が、また、ある一部の偏見を持った方々が、原子力ということについては極めてナーバスになって、必要以上に神経質になって、そして企業者側も役所側も、これは役所側は通産省も科学技術庁も同じですけれども、必要以上に国民に知らせまい、何かがあれば必要以上に過剰反応するものだから、そういうことだけを恐れて、エネルギー源として一番最初に長官お答えになったような形で、我々はそういう形になってくれればいいなと思うのだけれども、残念ながらそういう形になっていかない。  そこに何らかの、もう既に原子力発電が始まって三十年以上の月日がたつわけですから、そうであるならばそうであるだけのいわゆる積み重ねというものは、技術的にも内部管理その他についてもそれはあっているはずだけれども、残念ながら国民世論というのはそういう形になっていかない。そこに大きな原因は何なのかということをもっと解明をしていかなければならぬな、こういう気持ちで実はこの質問をさせていただいておるのです。その辺についてどうお考えですか。
  12. 緒方謙二郎

    ○緒方説明員 先生御指摘のとおり、原子力の利用に当たりましては何と申しましても国民各位の理解と御支援が要るわけであります。その意味で、原子力につきまして正しい理解をしていただくために、政府としてもいわゆる広い意味での広報活動を含め、情報の提供、判断材料の提供というものをこれまでもしてきたつもりでございますが、今回の美浜の件を教訓といたしまして、今回の美浜につきましては先ほど来審議官が御説明いたしましたように、技術的な観点での欠陥あるいは問題というものがいろいろあったわけでありますが、それについての原因究明はもちろん、徹底的な対策を講ずるわけでありますけれども、それだけではなくて、今回の件から学ぶべき点として、何かあったときに正しく理解をしていただくための努力というものをあわせて事業者、政府側でしていかなければならない、こういうことではないかと思っております。  私ども、今回の美浜につきましては、ある意味ではプラントは安全に停止をしたわけでありますけれども、そういう点も含めて、国民各位に原子力について安全設計の思想はどのようにでき上がっているか、そしてどういう点に問題があり、どういう点が安全なようにできているのかということを理解してもらう努力を一段と強化してまいりたいと考えているところでございます。
  13. 魚住汎英

    ○魚住委員 長官、皆さん方、そういういろいろな努力をされておることはわかるのですが、特に広報ということについて、皆さん方の努力は私の評価からすればまだ足りないと思うのです。それはなぜかというと、監督する側にもそういうような責任がありますけれども、企業者側にも、必要以上に国民を騒がせたくない、何かがあればそれに起因してまたいろいろな形で世間に誤って伝えられる、そういうことを恐れるがゆえに、余りにも秘密主義というか非公開主義、そういうのが横行しているのじゃないか、基本的な物事に対する考え方というのが秘密主義じゃないのか、こういう気がしてならないのですが、どうなのですか。皆さん方の今日までやってこられた広報ということについて少し説明してください。
  14. 緒方謙二郎

    ○緒方説明員 これまで政府が行ってまいりました広報につきましては、エネルギーの需給の状況でありますとか電源別のメリット・デメリット等、冒頭申し上げましたようなエネルギー全体の中で原子力の位置づけを明確にするということ、その中で、原子力発電の必要性、原子力発電の仕組み、そしてまた多重防護といったような安全設計、製作、設置の段階から審査等安全規制をやっておりますが、そういう状況、あるいは放射線管理の現状といった安全対策につきましていろいろな説明をしているわけであります。  そしてまた、万が一何か異常な事象が発生した場合の対策としてどういう安全対策がとられているのか。多重防護という考え方でやっているわけでありますが、その事象の発生を未然に防止する。それから、それでも異常が発生した場合、それを拡大させない。さらに、それが仮に事故になった場合でも、外部への影響を最小限にするような考え方に基づいて対応している、こういう仕組みについて説明をしているわけであります。  そのときに、原子力については安全なんだ、大丈夫なんだということで結論を押しつけるということだけではなくて、以上るる申し上げましたような多重防護の考え方というものに沿いまして、正確かつわかりやすい表現で広報をするようにこれまでも努力をしてきたつもりでございますが、なかなか不十分であるという御指摘を各方面からいただいておりますので、また反省をし、一段と努力をしてまいりたいと考えております。事業者についても、同じような観点から十分なことをするように指導しているところでございます。
  15. 魚住汎英

    ○魚住委員 広報ということについての基本的な考え方を変えていただいて、もっと平易でわかりやすくその必要性を説くということについて努力していただきたい。  これはもう監督官庁もそうたけれども、企業者としても当然のこと。電力というと何か暗いイメージがして、何か隠しているのではないか、何かうそをついているのじゃないか、こういうイメージがあるわけです。その辺のところを払拭していって、原子力発電なんというのは機械でやるわけだから、機械自体が、原子力にしろ火力にしろ、その他水力にしろ、完全な機械なんというのはないのですね。その前提に立って、企業者というのはもっと謙虚に物事をやっていかなければならぬ、監督官庁ももちろんやっていかなければならぬ、そういうようなことをぜひひとつ皆さん方にお願いをしたい。最後に大臣からその答えをいただきたいと思っておるわけであります。  企業者というと、これはもうその地域において独占ですね。全国的には寡占の状態、こういうような形の中でやっていくものだから、経営者側といわゆる受益者側である国民との間に非常に意識の差がある。これがこういう大きな事故や何かが起きた場合に過剰に反応している。  例えば、僕は過日ある県へ参議院の応援に行った。そうしたら、そこもやはり原子力問題で揺れておるところだった。そこの施設をされる当該地域の人たちは余り反対はない。ところが、その当該地域と違う選挙区の方がむしろ反対の声が多い。こんなのは、やはり広報自体のあり方が今まで間違っておった、その広報の効果たるものが正しく力が発掘されておらなかった、こういうことの見本じゃないかな、私はそう思うのです。  ですから、そういう観点からも、皆さん方がやってこられた広報というのは、その揺籃期の初期の時代であったならばよかったであろうけれども、もう既に三十年の月日がたっておる。そういうことになれば、三十年の月日の中で、じゃどう変わってきたかというと、恐らく電気事業についての広報と原子力発電と、そういうものに対する基本的な皆さん方の考え方というのは間違っているのじゃないか、こう思うのだけれども、まあ一言どうですか。
  16. 緒方謙二郎

    ○緒方説明員 ただいま御指摘の点につきましては、私はこのように考えておるわけであります。原子力の問題というのは大変難しい技術問題が根底にございます。正直言って、この技術的な問題を正確に理解し、議論するというのは、一般の人間にとってはなかなか大変なことでございます。難しゅうございます。したがって、従来はこれは専門家に任せて、専門家がそれをしっかり検討し、行政当局がきちんと責任を持って見ていればそれで大丈夫なんだ、したがって専門家が検討して、結論が大丈夫なんだから大丈夫なんだという、結論だけを広報で使うという傾向があったんだろうと思います。  しかし、先生御指摘のように、三十年たち、原子力についての国民各位の御理解というものも相当深まり、それからまた昨今の情勢の中では、従来のようなやり方では確かに問題があるわけでございまして、従来のように結論だけを申し上げるのではなくて、極力その過程なり前提なりというものを国民の方におわかりいただけるような形で提示申し上げて一緒に考えていただく、その思考のプロセス、判断のプロセスというものを考えていただく、これは大変難しいことでありまして、専門家ではない方々に対して同じようなことを御理解をいただくためにやるわけでありますから、全く全部専門家と同じレベルでやってもらうということはできませんけれども、そういう途中の過程を大事にするということを広報の中でも考えていかなければならないのではないか、そういう点で先生御指摘のとおりだと思っております。
  17. 魚住汎英

    ○魚住委員 それから、皆さん方が安全解析ということでモデル計算値が出ていますね。このモデル計算値についても、これはやはりもう各年次ごとに見直していかなければならぬだろうと思うのですね。  なぜかといえば、御承知のとおり、導入当初のものについてはアメリカからそのままのものを持ってきてつくった。しかし、それは第一世代と言われる初期の段階であったわけだけれども、今やっておるのはすべて国産の技術、国産の、いわゆる部品にしても百万以上を超す部品がある、こう聞いておるのですが、そういうようなことについても、最初の基本的なシステムは外国から買ったにしても、今既に設置されておるものについては、第二世代と言われるものはほとんど国産の技術でやっておられる。そうすると、安全解析と言われるようなことについてもそのモデル数値が果たして当初のものと違うのか、それとも毎年毎年技術革新とともにそれらの数値というものが変わっていくものなのか、そういうようなこともやはり国民には広く知らせておかなければならぬ、私はそう思うのです。  ですから、その辺のところについて、今度東京や大阪はもう美浜のことでわいわい毎日毎日騒いだけれども、私が福井県に敬意を表したいと思うのは、地元では極めて冷静であった、しかも地元自体として自治体が判断する、自分たち自身で判断ができる自治体の技術陣も持っておったし、またそういう研究機関というものも設置しておった、ですから、地域住民というのは非常に冷静であったという話を聞いて、私自身は今申し上げたように福井県に対して非常に敬意を表さなければならぬ、こう思うわけです。そういうようなことも、やはり近くにある人たちは広報のあり方ということについてしょっちゅう企業者とのキャッチボールができておる。  ところが、知らないがゆえに、言うならば、今までどちらかといえば秘密主義でやってきたがゆえに、知らないものに影におびえていろいろとこう、特にそういうことは報道機関その他の皆さん方の書かれる影響力というのは大きいわけですから、そういうことに基づいて大変な影響が出る、それが不安を増幅する、こういう形になっておるのだろうと思うのですが、その辺のところをこういう視点からも、ぜひ今までの安全解析なりモデル数値なりそういうものがどういう基準で、どういう形で改正をされ、国民に知らされておるか、こういうようなこともぜひお知らせをいただきたい。
  18. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  今先生御指摘のように、技術は進歩しております。それで、いろいろモデル計算も解析の式自身も進歩してきております。そういう意味で、やはり初期のころに比べまして最新の技術を使いました評価というのは絶えず原子力技術の中で考えていくべき必要な事項でございます。  それで、我々といたしましては、そういう最新の技術を駆使しまして技術基準に反映したり、先生御指摘の解析に反映したり、あるいは我々の検査等に反映したり、いろいろなことをしまして安全の維持向上ということに努めてきているわけでございます。今回の美浜二号につきましても、事象の発生と、それから我々の持っておりますモデル計算式によりましてシミュレートしまして、どのぐらい事象がよく表現できるかどうかということも解析で議論し、我々の調査とあわせてそういうのを公表して理解をいただくということもやってきているわけでございます。  そういうことで、先生御指摘のとおりそういう方向で今後大いに頑張っていきたいと考えております。
  19. 魚住汎英

    ○魚住委員 皆さん方、それぞれのお立場で努力をされておる、それに敬意を表すというのは最初に申し上げたとおりでありますが、そういう中において、やはり年々歳々技術が変わることにおいてそれを管理するシステム自体も、これは皆さん方の監督する立場もそれぞれ変わっていくわけでありましょうから、そういうことについても、毎年毎年であれば、毎年毎年やっておるのだ、隔年ごとであれば、隔年ごとでやっておるのだ、こういうようなことも地域の皆さん方に知らせて、なぜ安全なのか、ただ安全でございますと言ったって、うそつけ、こういうような話になるわけですね。  安全じゃないからおれたち心配しておるんだ、こういう話になるわけですから、基本的にこういうことについてはこういうことなんだ。例えば百万個の部品があったとしますね。百万個の部品だと、今度の事故の部分については取りかえようかなということで企業者としては議論がなされておったそうなのですね、聞くところによれば。ところが、たまたま事故が起きた。その事故が起きた原因というのは、今解明をされて、皆さん方で研究をされておる、調査されておるわけですから、今ここでは言いません。けれども、先ほどお話があったように、六月で結論が出るなり七月で結論が出ても結構ですが、しっかり研究、調査をしていただいて、結論が出た、そのときに本当のことをやはり国民に知らせて、何がゆえにこうなったかということをぜひお知らせをいただきたい。  まして、今度のは、我々はいろいろ聞いておりますけれども、大きな要因の中の一つに、今お話があったような取りつけ金具だ云々というのがあるわけですが、その前に内部の管理体制の中に、土曜、日曜日の夜に特に原子力の発電所の事故というのは起きる。例えばチェルノブイリにしてもスリーマイルにしても、金曜日の夜から土曜日にかけて起きているわけですね。今度のも土曜日の午後に起きておる。  こういうようなことを考えると、これは何らかの共通点、土曜日、金曜日ですから、そういう意味では共通点があるわけですが、そこに何らかの欠陥はないのか。これはいわゆる企業者側の管理の問題だと思うのですが、その辺はどういうぐあいに今まで知り得ておられるか、お知らせをいただきたい。
  20. 緒方謙二郎

    ○緒方説明員 先生の御指摘はいわゆるヒューマンファクター、機械の問題ではなくて人間の側の問題で、週末ということからくる気の緩みあるいは何か心理的な要因というものがあるのではないかという御示唆ではないかと思いますが、チェルノブイルの事故につきましては、報告によればそのようなことはあったようでございます。ある時間までに片づけてしまおうということで非常に無理をしたということが報告されておりますが、日本におきましても、事故におけるこういうヒューマンファクターの研究というものは、最近に至りましてそれぞれ非常に進んできておりますが、今回の件につきまして私どもは直接の関係は今のところないと思っておりますけれども、御指摘の点も含めまして真相の究明、原因の徹底的な追求というものをこれからも続けてまいりたいというふうに考えております。
  21. 魚住汎英

    ○魚住委員 これは何も外国のスリーマイルだとかチェルノブイリだけじゃなくて、東京電力の福島第二原発の事故も正月の元旦でしたね。そういうようなことから考えていけば、これはそういう要素というのは大変大きいと思うのです。ですから、皆さん方は監督する立場として安全基準というものをおつくりになっておるだろうと思う。しかし、それぞれの企業者はそれ以上のいわゆる安全基準というのをつくっていると思う。しかし、幾らやっても、その機械が仮に絶対完全なものであったにしても、いわゆる運営者がそういうような形で気を抜いて、今度のなんかは、早い話があけておかなければならぬものが閉められておったというのがその原因として一つありますね。そんなことがあれば、これは幾ら監督したって、管理したってうまくいきませんね。  それらのところに対して、これは電力事業というのは御承知のとおりの形態でやっていかれるわけですから、仮に人間の採用にしてもこれはより以上に――それぞれの採用云々については各社の事情があるでしょうけれども、やはりこういう重大な事故を起こすであろう、また、まさかの場合、事故が起きた場合には大変な被害が及ぶであろう、そういうようなところについての人間的な管理者の安全基準、こんなものはないのですか、どうですか。
  22. 緒方謙二郎

    ○緒方説明員 原子力の安全性について、最近は安全基準とかなんとかいう技術的な言い方ではなくて、セーフティーカルチャーという言い方をいたします。つまり、これは技術基準という問題ではなくて物事の考え方、手順、それから制度の仕組み、行動原理といいましょうか、すべてを規定するカルチャーが、要するに安全ということを基盤にして成り立っていなければならないという考え方でございます。  工学の世界では、もちろん工学上の安全設計をする際には、セーフティーカルチャーに基づいて行っているわけでありまして、運転員なり当直長なりなんなりのマニュアルというものは、すべてそういうことでできております。もちろん会社の経営者、重役について、では何かマニュアルがあるかといえば、それはちょっと私は詳細は存じませんけれども、これは書いたものということではなくて、今申し上げたようなセーフティーカルチャーに基づく企業人としての当然の判断基準というものがあってしかるべきだし、またそのようにされているものと思っているところでございます。
  23. 魚住汎英

    ○魚住委員 あなたに答えを求めたのは間違っておったのですが、これはお許しをいただきたい。そういうような面からも、皆さん方の方で、安全基準というものの中にヒューマンファクターがあってその事故があったという結論が出たとしたならば、これはまた、後刻その結論が出た段階でいろいろな専門的なことをお尋ねしたいと思いますけれども、きょうの段階ではやめておきますが、そういうような面にまでも皆さん方は責任あるんだ、これは何も事業者だけ、企業者だけの責任じゃないんだということをぜひひとつ心に銘記しておいていただきたいと思います。  時間がありませんので、大臣どうでしょう、原子力の必要性、我々も皆さん方も、大多数の国民が支持をしていただいておるのですが、やはりもう一歩、今まで三十年間やってこられた原子力に対する努力の積み重ね、これらのものを正しく国民に理解してもらうために何かいい方法を考えていかなければいかぬ。このままの状態でこれが続いていったとするならば、いつまでたっても企業者と監督官庁と国民との間のギャップというのは詰まっていかない。そのためには何らかの形で新たなる潮流をつくっていかなければならぬわけです。  御努力をいただいておることはわかっておりますけれども、どうぞひとつ、原子力発電というのは極めて泥臭くて、しかも地味な作業の積み重ねの上に今日まで来たわけですが、それらのものを、努力ももちろん認めていただく。それとともに、やはり安全についてもみんなが認識してもらう、必要性もともに認識してもらう、そういうような形で今後この電力事業というものをお進めいただきたい、こう思うのですが、大臣の御所感を。
  24. 中尾栄一

    中尾国務大臣 魚住委員にお答えさせていただきます。  先ほど来の御質問をずっとお聞きしておりまして、言うなれば、この必要性は認める、認めはするものの、なおかつ国民の理解を得られるように、その面においてはいろいろな多角的な分野において、例えばカルチャーのような問題においてまでもその点は深く造詣を持って対処しなければならぬ、こういう実に高度なお考え方もお示しになられました。同時にまた、かというて、さはさりながら、世界的な見地から見てもこの問題点の必要性というものは欠かすべからざるものであるから、国民により広く理解と協力を得られるキャンペーンこそが必要である、こういうお考え方をお示しになられたわけでございますが、私は、原子力発電そのものの推進に当たりましては、安全性の確保というものがまず第一である、このように認識をしております。そして、そのためには、先ほど来魚住委員が長い体験の中でお示しになられましたような、まさに国民の理解と協力というものが欠かすべからざる必須条件になるということを感ずるわけでございます。  このためには、通産省としましては、今般の美浜発電所二号機の件に絡みまして徹底した原因究明を進めまして、また、私自身も強くそれは事務当局にも下命申し上げた次第でございますけれども、原因究明に応じた、安全審査やあるいは検査方法の見直しをも含めまして必要な対策を講じていくとともに、国民の原子力に対するより一層の理解と協力が得られるようにしなければならぬ。また、それに応ずる適切な広報が必要になってくる、こういうことを率直に感ずる次第でございます。  原子力というとすぐに、言うなれば核爆弾というような軍事的な利用度というものに結びつけられていくような方向の中に、どうして国民的な合意とある意味におけるコンセンサスと協力が得られるかということを考えますれば、もう委員指摘のとおりだと私も思っておる次第でございます。  また、電気事業者におきましては、原子力発電の安全確保というものに万全を期しながら、国民の理解と協力を得るように努めることは公益事業の担い手として当然の責務でございますし、このような観点から、今後とも電気事業者に対しましては、みずから一層の安全確保というものに努めていきますように厳しく私といたしましては指導をしてまいりたいと考えておる次第であることを申し添えまして、お答えにかえたいと思う次第でございます。
  25. 魚住汎英

    ○魚住委員 時間でございますので、これでやめたいと思いますが、また次の機会にそれぞれお尋ねをしてみたいと思います。  なお、六月に長官から調査の報告がいただけるものだと思いますが、私たちは世界で唯一の核被爆国である、こういうことからしても、その問題とくっつけてより以上に過敏に反応する国民の皆さん方の気持ちも踏まえながら、いかに原子力発電は安全であるか、こういうことをしっかり知っ てもらうためにもいろいろな形で、まだまだ今までと違う視点でいろいろ努力をしていただかなければいけない。そういうことであるということを、ぜひ皆さん方と共通の課題としてやっていきたいと思いますので、よろしく今後とも活躍をしてください。  終わります。
  26. 渡辺省一

    渡辺委員長 沢田広君。
  27. 沢田広

    沢田委員 決算で御質問を申し上げるということも、六期やっていますが、初めてなんでありますが、その点はまた手続等十分でない点がありましたらお許しをいただきたいと思います。  それから、特に国民金融公庫、開発銀行、輸出入銀行、中小企業金融公庫の皆さん、大蔵委員会で私もずっときまして、先輩の諸士が御健康で御活躍の拝顔をいたしまして、心からお祝いを申し上げる次第であります。  今自民党さんの質問で、三分ぐらい許容限度として委員長もお認めになられたようでございますので、その点も十分勘案いたしまして私の方も質問させていただきたい、このように思っております。  最初に、大変恐縮でありますけれども、公庫その他の関係の皆様には、私以外の質問者があれば別として、なければ御退席をいただくこともあろうかと思いますので、若干、簡単なことでありますが、質問をさせていただきたいと思います。  輸出入銀行関係で、大蔵省にもずっとおられたわけでありますが、二期、損益計算を出しているという仕組み。これは昔の銀行はそうでありましたが、今銀行は年一回の決算にしているわけでありますが、それの功罪というものはどうなのか、これも簡単にお聞かせを――やはり輸出入銀行としては二期がいい、こういうふうにお考えでしょうか。
  28. 山口光秀

    山口(光)説明員 御質問のように、中間決算、それから最終決算というふうに二度締めておりますが、当然のことながら最終決算がその年度決算でございまして、例えば政府に対する納付金の計算もそこで最終的に調整されるということでございます。  中間決算につきましては、年度の途中で、その時点における仕事の状況あるいは収支の状況というものを把握する意味で有益なものと考えております。  いずれにいたしましても、こういう制度は政府のお決めになるルールに従ってやっているところでございます。
  29. 沢田広

    沢田委員 地方でも、地方財政でも十月にはいわゆる財政事情報告というものをするように言われているわけであります。ただ、金融機関は一回決算になっておりますから、中間で一回貸借対照表を出すということは、ある意味においては、事務的には非常に大変でしょうけれども、企業の健全性を強めるということにもなるのだろうと思うのであります。  ずっと大蔵省におられまして、やはり二回決算の方が効果的だ、こういうふうに御判断になっているものと推察いたしますが、その点ほどのようにお感じでございましょうか。
  30. 山口光秀

    山口(光)説明員 ただいまお答えいたしましたように、現在の制度も十分有益なものであると存じますが、この制度をどうするかという点につきましては政府の方でお考えになることであろうかと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  31. 沢田広

    沢田委員 今の答弁じゃ、仕方がないからやっているのだというようなふうにも聞こえますが、やはりその方が企業の診断をする上にはプラスであったと感じているのか、面倒の方が多いと感じているのか、その感覚はどうですか。
  32. 山口光秀

    山口(光)説明員 率直に申しまして相当の事務の手数も要るわけでありますけれども、中間段階で、先ほども申しましたが、仕事の進み方あるいは特に収支の問題、どのくらい益が出るだろうかというような点について一遍締めてみて把握できるという点については、私ども仕事を進めていく上で大変役に立っていると思います。  先ほど申しましたのは、政府の方でお決めになるというのは制度としてでございますからそう申し上げたわけでございますが、もしそういう制度がなくなりましても恐らく内部的には同じようなことをやるのではないかと思います。
  33. 沢田広

    沢田委員 輸出入銀行は貸し倒れ金もなくて成績が非常に優秀なのでありますが、その点、極めて御苦労いただいているという効果は十分我々も理解することができるわけでありますが、これだけの財政状況を運営しておられるわけでありますが、輸出入銀行が六十二年あるいは六十三年、それから今日のように日米の貿易摩擦等が非常に喧伝される中において影響をどのように及ぼしているか、六十二年、六十三年あるいは現在時点にどのように影響しているとお考えになっておられるか、その点、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  34. 山口光秀

    山口(光)説明員 ただいまお尋ねの六十二年、六十三年ごろで申しますと、六十年にプラザ合意ができまして、その後、円高への経過をたどってまいった。同時に我が国の経常収支も大変大きくなってまいりました。GNP比で申しますと四%を超えるようなものになってまいりまして、円高の進行、それから経常収支の黒字の増大というものに対しましていろいろな面で対策が講ぜられたことは委員御承知のとおりでございます。  一つは、当時の財政、今でもそうですけれども、大変厳しい情勢にありましたものですから、金融政策面で非常に低金利の政策をとったというのが国内的な事情であったかと思います。それからまた、経常の黒字がいわばたまってまいるものでありますから、これを世界に還流しなきゃいかぬという事情が生まれまして、いわゆる資金還流計画というものができたわけでございます。ちょうどそのころが第一のものでございました。したがいまして、輸出入銀行をめぐる環境としては、非常に大きな点としては今の二点であろうかと思うのです。  六十二年、六十三年ごろは国内の金融は大変緩慢でありました。それから、いわゆるエクイティーファイナンスというものもかなり増大してまいりました。そういう点から政府関係金融機関に資金を求めるという動きが鈍った時期でございます。片っ方で外国政府に対します資金還流の動きというのが芽を出しまして、私どもはいわゆるアンタイドローンと申しておりますけれども、それが伸びていったという時期でございます。  したがいまして、六十二年、六十三年ごろで申しますと、国内の企業に貸しますお金は横ばいとか、物によっては若干減るというような現象が起きていまして、外国政府等、等と申しますのは政府関係機関のようなものでございますけれども、そちらへ貸すお金がふえていったという時期でなかったかと思います。したがって、その当時は若干の不用額が出るというような情勢でございました。  昨今でございますと、国内金融の面は御承知のとおり引き締めに入りまして、それからまた株価の動向もありまして、エクイティーファイナンスということもなかなか難しくなってまいりました。同時に、BISの規制というものがかなり民間金融機関の貸し出し態度を慎重にしておりまして、したがって、国内の企業からの私ども政府関係の金融機関に対する資金需要は大変活発になってきております。それから、外国政府に対するアンタイドローン、資金還流の点につきましても依然として好調でございます。年度によって多少のでこへこはありますけれども、依然好調でございます。したがって、昨今ではむしろお金が足りないのでお客様に少し待ってくれないかという感じの方が多うございます。
  35. 沢田広

    沢田委員 大体四総裁の回答分ぐらい回答していただきましたので、後の分は残念ながら省略ということになるかと思うのですが、ただ、中小企業金融公庫の井川さんに、なぜこう退職者が急にふえて倍にまで退職金を支払わなければならなかったかという、これは六十三年度の事情だと思うのでありますが、特にそういう原因は何かあった と記憶がありますか。総裁になるとそういうことまで気にしてないかもしれませんが、記憶があったらお答えいただきたいと思います。
  36. 井川博

    ○井川説明員 大変残念でございますけれども、今先生に指摘をされましてそういうことがあったかということで、早速調査をいたさせます。特にそういう理由として考えられることはないと思うわけでございますが、ただ、推測をいたしますと、当時、先ほど山口総裁も申されましたけれども、超金融緩和の時代でございます。そういう時期に、一方民間では人材に対する需要も非常に強いというふうなこともあって、例年よりは退職者が多くなったということもあるのかな、それは今先生の御質問を伺って考えたような事情でございまして、正確なことは実はまだわかりません。
  37. 沢田広

    沢田委員 四総裁とも、これは中小企業金融公庫ばかりじゃなくて、やはり楽で給料の高いところというのが今の時代の傾向ですから、余りそのまましらばっくれておるとそういう現象が起きる可能性もあるわけでありますから、十分に給料の改善等については、民間等と比較しても貸し倒れなんかも全然ない企業だから安心している企業なんですが、十分そういう点は配慮してやっていただきたいと思うのです。それは四総裁にお願いをして、急に楽になっちゃったからというのではなくて、ひとつ十分に御配意をいただければ幸いだと思います。  ついでにと言っては申しわけないのですが、これは山口さん言ったから今度吉野さんにちょっとお伺いしますが、こういう貸借対照表と損益計算書を地方団体なり国の財政に適用するとしたならば、どういうプラスがあり、どういうマイナスがあると、直観的で結構です。調べてどうのというのじゃないんです。やはり地方団体などもこういうものをつくっていけば、借金して土地を買った市長、それから土地ばかり売り払っちゃってうんと浪費した市長、あるいは給料だけうんと高くしちゃって給与率がうんと高くなった市長、そういう診断が損益計算書なり貸借対照表をつくれば明らかになっていくわけですね。  そういう意味におけるプラスというものもある。ただ、面倒だというマイナスもあるかもしらぬ。あるいは今まで五月三十一日まで適当にやってこられたものが、今度は三月三十一日で締める、こういうこともある。その辺、若干私が説明したわけですが、受けて地方団体等においてはこういうものを国民の前に出すというのはやはりいいことじゃないか。税金は幾らなんだ。で、取れた税金と滞納された税金は幾らなんだということを含めながら市民に審判を仰ぐというのが筋道じゃないかというのが私の年来の主張なのであります。  委員長も市会議員、県会議員と歩んできて、私と同じように歩んできた委員長ですから、質問された方もそのようですから、恐らく私の意見に賛成するんじゃないかと思うのでありますが、吉野さん、いかがでしょうか。大蔵をひとつ代表してお答えをいただきたいと思います。
  38. 吉野良彦

    ○吉野説明員 先生もお話しのように、本来政府側からお答えがあってしかるべき事柄かと存じますが、あえて感想をということで申し述べろということでございますので申し上げますが、確かに国であれ地方団体であれ、言ってみれば時々刻々自分が管理をしている団体の財政の状況あるいは収支の状況というものを的確に把握していくということは極めて大事なことでございます。そういう意味で、今先生がおっしゃいました決算というような形で一遍締めてみるというのも確かに一つ大切な方法かと存じますが、しかし、これもあえて申し上げますと、国であれ地方団体であれ、公式にそういう書類をお出しする以上は一円の間違いがあってもならぬわけでございます。そういう意味では、これは想像でございますが、かなり大変な手数がかかるということも容易に想像されるわけでございます。  そこで、そういったそれに要しますコストと、それから今先ほど申しましたメリットと両方、総合勘案してどっちをとるかというような選択になろうかと思います。さらに、あえてつけ加えさせていただきますと、そういった決算というような形をとらなくても、例えば毎月々必要な数字だけは管理者が十分把握をしてチェックをしていくというような方法もあろうかというふうに思うわけでございます。  不十分ではございますが、感想はそういうことでございます。
  39. 沢田広

    沢田委員 これで四総裁、ひとつ今後ますます健康で、たまにはまた国会の方へ出てきて物を言うということもいいんじゃないかと思うのでありますので、今後の御活躍を祈念して、私の方の質問は四総裁についてはそれで終わります。  自治省の方来ておられると思いますが、今の問題について、今のコストということは、これはコストじゃなくて能力だと思うのですね。コストじゃない。三月三十一日で締めてそのままで、いわゆる仮受金であれあるいは仮払いであれ、それぞれ三月三十一日午前零時を期して締めればいいのでありまして、民間企業も皆それでやっているわけでありますから、自治省も、そういうことで地方団体がそういうものを年に一回とかあるいは三月三十一日で出すとか、ひとつお考えになれないかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  40. 中里清敏

    ○中里説明員 地方団体の決算の形式についてのお尋ねでございますが、決算を含めました地方団体の普通会計の財政分析に企業会計方式を導入する、今の貸借対照表ですとか損益計算書などでございますが、これにつきましては、従前より地方団体の関係者の間で研究が行われてきたところでございます。  ただ、このような企業会計方式の導入につきましては、減価償却費の取り扱いをどうするかとか、あるいは債務負担行為の取り扱いなど、いまだ検討の余地が多くあるというふうに考えられておるわけでございます。したがいまして、現行の普通会計決算制度に直ちに貸借対照表ですとか損益計算書などの企業会計方式を制度自体として導入することにつきましては、現状では十分なる研究が必要ではないかというふうに考えているところでございます。
  41. 沢田広

    沢田委員 これは前に一回私も申し述べた経緯があるのであります。今言われた例えば耐用年数、ちょうど購入価格をもって、これは土地でも何でも簿記価格がその資産台帳に載っているわけでありますから、そのことは何ら支障ないはずなんですね。また、仮受金であれ、あるいは長期借入金であれば長期借入金で処理すればいいのでありまして、そのことは何ら――だから当面全部するとなると、町村になるとなかなか大変だというのはこれはわかります。  しかし、市以上になれば少なくともそういう能力と人員はいるのだろうと思うのですね。ですから、そのことによってどれだけ欠損処分が出るか、あるいはどれだけ滞納があって収納率があるのか、そういうものが明確にされていくということによって、内部だけのものじゃなく市民に対する開示というか公開というものに対する親切さというものがあるのじゃないか。  例えば、これは言葉がちょっと適切であるかどうかわかりませんが、特別会計にも交際費がある。いろいろな特別会計にたくさん交際費を盛って本会計の交際費はわずかにしておいて、そして合わせてみたらこれだけになった、こういう形もなしとしないのですね。  ですから、そういう意味において一つの形をつくれば一応全部明確になっていく。そういうことの前進を図っていく。交際費も今訴訟の対象になっているくらいでありますから、そういう意味においてこれが開示されていくということは大変大切なことだろうと思うので、ひとつその点においての前進を図ってもらいたい。あるいは特定の市を各部道府県に一カ所くらいずつは決めて発表してもらう。それがラスパイレスであるとかいろいろなものの一つの、人数を書いてもらえばほとんどそれで公開制度につながっていく、こういうことにもなるわけですから、そんな消極的な答弁でなくて、もう一歩前進して、地方団体の権威をよ り高からしむるためにもそのことが必要だ、こういうふうに思いますから、余り首下げてないで堂堂と天井を見ながら答弁してください。お願いします。
  42. 中里清敏

    ○中里説明員 再度のお尋ねでございますが、たしか昭和六十三年に地方団体の関係者が集まりまして先ほどのように研究をしました。それに基づきまして熊本県でそれをモデル的に実施したという経緯もございます。それにつきましては、地方団体の間でも、関係者の間でもかなりな関心を集めたというふうに承知しているわけでございます。  ただ、実際にこれを決算制度あるいは財政分析ということで正規なものに適用といいますか、実施するということになると、先ほど申し上げましたようにいろいろな問題点があるということでございますので、それを今後の研究課題として私どもは研究してまいりたいというふうに考えているわけでございます。その中におきまして、ただいま御指摘のような、ブロックごとにモデル県を設けてやるとか、そういったことも一つの勉強の素材といいますか、研究の素材として考えていきたいというふうに考えております。
  43. 沢田広

    沢田委員 質問の時間を大分とりましたので、若干はしょってまいりますが、どこまで行けるかわかりませんけれども、大体この発言者の順序に従ってやっていってみます。  最初に大蔵大臣、お願いしたいことがあるのです。この前の大蔵委員会でも旅費規程を身分別格差で――大蔵大臣も長年大蔵あるいは各大臣もやられて、非常に経験も豊富なのでありますが、そういう立場に立って、三級以下の一番下なんですが、あえて言えば、今六段階になっているわけですが、六段階になっている一番下の職にある者は日当が千七百円、それで、甲地方であったとして宿泊が八千七百円、食卓料が千七百円、これは日当は二日として一泊二日とすると一万三千八百円ということになるのであります。実際に甲地区に列車に乗っていって、それで一万三千八百円でツーペイにしてこいということは非常に困難じゃないか、私は困難だと断定してもいいと思っているのですけれども、一般的なあれですから困難ではないかというふうに思うのです。  ですから、当面、全部改定というのは困難だとしても、三級以下はなくしてせめて八級以下四級以上というその中に包含して、そうすると甲地で一万七千五百円になるわけです。それでもビジネスホテルぐらいかという状況だと思うのです。これは、今一千七百円で全部一切、夕飯、朝食も食卓料ですから入るとしましても、とてもじゃないが八千七百円で泊まれといったってなかなかないですよね。これは甲地ですから、乙地で行けば七千八百円になるのですから、せめてこの一番最下位だけは上のランクにつなげてやるということぐらいは必要なんじゃなかろうかと思うのです。これは職員が泣いていますよ。それは大臣と随行すれば一番上のランクで行けますから、これはいいですが、随行はその限りにあらずですから。しかし、お前自分で行ってこいといったときに、この人はオーバーローンなりオーバー支出になってしまうのですね。  ですから、この点は、恩情深い大臣だから私は言うのでありますが、改善していただけるのではないか、こういう予想をして、この三級以下についてだけは上のランクにつなげる、こういうことだけぐらいはせめて決算委員会の花として添えていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  44. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 せっかくおだてていただいたのですけれども、なかなか花になりにくいのです。  と申しますのは、これも委員がよく御承知のように、この旅費法の制定当時、級別が十一段階に分かれておりました。それを今まで努力を重ねながら六段階にまで圧縮をしてきたわけであります。そして、委員はその経緯をよく御承知で御質問になっておられるわけですが、私ども、昨年、旅費法の改正をいたしまして、旅費支給額を現行の時点にまで引き上げ改定をいたしました。私は、現時点において、これはより適正なものになったと考えておりますけれども、今後ともに実態に即して考えていきたいと思います。  ただ、今委員がお述べになりましたように、低い部分を上げろという御議論と同時に、むしろ、職員の体面というものを考えるとき、例えば局長クラスとか、こうした人々をもっと高く考えてあげるべきだという御議論をこの旅費法改正の時点で衆参両院で私はちょうだいいたしました。こうした点につきましても、必ずしも考え方は一つにはなっておらない、これが国民の国家公務員のこの旅費規程というものに対する見方であろうと私は思います。私は、国民の目が国家公務員の勤務というものに、この面だけではなく、より温かく注がれることを期待いたしますけれども、そうしたことを考えますとき、昨年改正いたしました内容というものは現時点において適正なもの、そのように考えております。
  45. 沢田広

    沢田委員 ここは大蔵委員会じゃないですからこれ以上言いませんけれども、決算としての旅費の収入の不用額等を決算書の中でずっと拾い出しましても、年度末出張というものを大体各省庁部門、出先でも組むのですね。年度末で旅費が余りますから、それまでは忙くして追い詰められていますので、その結果そういう形になるので、大臣の答弁は答弁として、もちろん上の方も上げれば世間並みにということがあればいいのですけれども、しかし、なかなかそういかないので、一番苦しい側の立場を考慮してほしい、こういうことでお願いを申し上げたわけでありますので、それはまた御検討をいただきたいし、いずれ次の国会あたりでまた御要請申し上げますので、それぞれひとつ御勘案をいただきたいと思います。  続いて、資源エネルギー庁、先ほど御質問がございました、その耐用年数と原価についてまずお伺いしたいのです。原子力発電による一キロワット当たりの単価、それから水力、石炭、石油、それぞれの一キロワット当たりの単価についてまずお示しいただきたいと思います。
  46. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の、それぞれの発電所の建設単価あるいは発電原価につきましては、いろいろな情勢が、その個別発電所ごとの事情がございますので、一概には申し上げられないのでございますが、私どもでモデル的にとりまして算定したもので御説明を申し上げます。  まず建設単価でございますが、原子力につきましてはキロワット当たり三十一万円、石油火力十九万円、石炭火力二十三万円、水力六十四万円と相なっておりまして、キロワットアワー当たりの発電原価にこれを出してみますと、原子力につきましては九円、石油火力につきましては十一円、石炭火力につきましては十円、水力につきましては十三円、こういうことになっております。  これはモデル計算のうち一番新しいものを御説明申し上げたわけでございますが、先ほど申しましたように、個別の発電所についてはそれぞれの事情、状況がございますので、ただいまのはモデル的に試算したものを申し上げたところでございます。
  47. 沢田広

    沢田委員 そこで、特に危険が伴います耐用年数の計算に当たっては、今あなたも健康そうに見えますが、しかし、肝臓の方が悪いかもしれないし、あるいは胃の方が悪いかもしれないし、少しやせているから心臓の方も悪いのかな、こういう気もするし、人間にはそれぞれ部分的に耐用年数の短いものと長いものがあるわけですね。我々、心臓はちょっと長いだろうと思うのですが、ほかのものはあるいはもっと少ないかもしれぬ、こういうことがあります。  ですから、特に原子力発電については、例えば福島のように海風を受けているところではボルトとかそういうもののさびは恐らく倍以上の速度で耐用年数が少なくなると思うのですね。ですから、そういうようなことを考えて、それぞれ分野別に耐用年数を決めていって相乗計算をするというのが、総建屋の建物の計算ではなくて部分的な耐用年数、ボルトなら六年なら六年と置いて、五 年でも六年でも置く、あるいは屋根とかそういうものについては七年ぐらいでやり直さなければならぬ、そういうような部門的な耐用年数というものを設定していく緻密さが必要なのじゃないか。アバウトに二十五年とか三十年とかで原価計算をすることには間違いがあるのじゃなかろうか、そう思いますが、いかがですか。
  48. 川田洋輝

    ○川田説明員 御指摘の点が厳密な意味での耐用年数ということでございますれば、これはもう先生十分御承知のように、減価償却資産の耐用年数等に関する大蔵省令ということで、設備等の物理的寿命に技術進歩による経済的陳腐化を加味して定められておるものがございます。それによって実際計算をしていくわけでございますけれども、実際の使用年数ということになりますと、いろいろ安全審査とかあるいは定期検査で必要な部品の取りかえをやるとかいうようなことで、かなり長目に実際は使用できるということに相なっておりますので、御指摘のように、実際の発電原価を見ていくような場合には、税法上の耐用年数は見ながらも、全体としての、今申し上げましたような、どれくらい使い得るだろうかということは加味すべきであろうと思います。
  49. 沢田広

    沢田委員 答弁と質問との間にずれがあるのですが、私の言った趣旨もわかります、こういうことですね。それがどう実際に適用するかどうかは別としても、その言った趣旨はわかった、こういうことは言えますね。首を縦に振っているから、それで了解したということで、そういうことで計算をしていけば電力計算も変わってくると思うのですね。  これは修繕費は――いや、後ろ向かなくたって大丈夫。修繕費は当然年々の経費で落ちていくわけです、いわゆる修理費は。それから新たな設備については、これは当然資産勘定に入ってくる、そういう中での原価計算をしている、こういうことになるわけですよ。ですから、そういうボルトなりあるいは屋根なりその他の部分的なところにチェック機能をきちんとしていけば、そういうものは恐らくないというふうに思うのです。  建設省来ているから、建設省、ガードレールの耐用年数は何年ですか。答えられたら答えてもらいたい。――じゃ、いいです。後でいいです。  もう一つ、なぜガードレールは外側をすべすべにして後ろにボルトをくっつけているのか、その理由も答えてもらいたい。なぜ自動車の方が白く塗ってすべすべして、裏側のがたがたしたボルトがなぜ人が通る方にくっつけてあるのか、あれはどういう理由なのか、ちょっと説明してください。
  50. 小野邦久

    ○小野説明員 突然のお尋ねでございまして、道路局の担当の方が来ておりませんので、後刻会館の方へでもお答えさせていただきたいと思いますけれども、私の方でも、ガードレールは交通安全対策上いろいろな道路等につくっていくわけでございますけれども、ちょっと御質問の御趣旨を後で専門的な見地からあれをいたしましてお答えさせていただくようにしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  51. 沢田広

    沢田委員 こういうのは常識でしょうね。何十年きているのだ。あれで振りそでなんか正月に女の人は随分破っている人もいるのですよ、ボルトのために。何もボルトの方を人間通させなくたっていいじゃないか。逆に、すべすべした方を人間が通ってボルトのある方に車を通すのが当たり前じゃないか、そう思うのです。あなた、建設畑にいてそういう疑問を持ちませんか。これは常識として、普通の人間として答えてください。
  52. 小野邦久

    ○小野説明員 ガードレールをボルトで締めるあれでございますね。着物のお話が出ましたけれども、道路側にそういうものがあるということはそういう事故にもなるわけでございまして、恐らくは交通安全施設の設置基準でそういうような形で道路側の方で十分締めろというようなことは書いてないと思いますけれども、なおよく調査をいたしまして、今後そういうことのないように十分関係の局にも伝えてまいりたいと思っております。
  53. 沢田広

    沢田委員 その程度の能力だということで……。  続いていきます。土地買収をするのですが、いろいろなバイパスであるとか国道の土地買収をするのですが、買収後、いつになっても進んでいかない。ある意味においては、どうせ行きどまりになってしまうのだから今設備しても損だということなのか。あるいは私は、それが子供の遊び場であってもいい、あるいは一時駐車場であってもいい、買ったものは買ったように活用していくのが善良な管理者としての義務だ、そういう信念を持っている。そのまま五年でも十年でも放置して、田んぼをつくる者はつくっている、畑をつくっている者はつくっている、そして漫然としてやっている。  これはどんな会社だってこんなことをやっていたらつぶれてしまう。それをお役所であるから税金で賄っているからということでそのまま放置しているのだと思うのですが、恥ずかしくないですか、買ったものが漫然とそういう状態に放置されている。すぐにでも整地して一時駐車場にする、子供の遊び場にする、そういうことを考えませんか。大臣にそういうことを言いませんか。大臣だったら恐らく政治家だから、そういうことを言うだろうと思う。お葬式のときの車置き場――お葬式じゃ縁起が悪かったら結婚式のときの車置き場というふうに考えるぐらいの知恵があったっていいじゃないですか。どうですか。
  54. 小野邦久

    ○小野説明員 これは担当の課長が来ておりますので、担当の方からお答えをさせていただきます。
  55. 櫻井知能

    ○櫻井説明員 先生御指摘のございました公共用地として買収した土地につきましては、事業者の心づもりといたしましては、事業が起きてきましたときにできるだけすっきりした形で使いたいということでございますが、また一方で、先生御指摘のございましたような事業が大分先になるというようなものにつきましては、実際に御指摘のような地方公共団体に貸し付けをいたしまして地域の方に使っていただいているという例もございます。そういう意味で、一般論としてはそういうことでございますが、個々の具体の土地についての判断ということになりますと、事業が起きましたときにすぐお返しいただけるだろうかというような心配もございますし、また安全の面で施設の管理責任がどうなるかというようなこともございまして、それぞれの土地につきましてはなかなか難しい判断もございます。  そういうような問題につきましての取り扱いにつきまして、先生のただいまの御指摘も念頭に置きまして、具体的な例を調べながら検討させていただきたいと思っております。
  56. 沢田広

    沢田委員 それでは、自分のところの目の先にありますから申し上げるのですが、例えば二五四の所沢インターの手前にあります埼大通りからいわゆる五号線につなげますね。いわゆる東松山から来ている有料道路を延長して高島平へ抜けるという二五四の延長線、あれも相当買収が進んでいるだろうと思うのですが、全然手をつけない。もう五年か七年くらいになりますね。これも極めてむだ金を使ったというのか、財政の放漫というか、ともかくけしからぬことだと思うのですが、その点は今答えは求めません。ひとつ検討してそういうことを言われないように――僕もそういうことまで言いたくはない、言いたくはないのだけれども、そういうような答弁をするから、それではあれはどうなんだ、こう言いたくなるので、早急に対応してください。特に警察も来ていますが、駐車違反がどんどん厳しくなってくる昨今ですから、幾らかでもそういう場所を提供することを考えてください。  ついでに、これは建設省ですが、地下水について、これは農林省と同じなんですが、もう少し地下水の保全、保護、そして地下水を守っていく。こういうことについて、何か今度は農林省は地下水を水資源公団にやって渇水対策に使うんだというふうに新聞の報道では出ておりましたけれども、地下水の保全も、これは関東ですが、東京都がどこかへ行ってしまえばまた話は別なんです が、関東砂漠により一層拍車をかける、こういう懸念がありますが、その点、お答えをいただいて次に行きたいと思います。お願いします。
  57. 市原四郎

    ○市原説明員 地下水というのは非常に有効な水資源でございまして、我々もその保全をいうことにつきましては十分気を使っていかなければならないと考えておりますし、またそのためにいろいろ地不水の実態につきまして調査をしておるところでございます。  特に建設省におきましては、水資源という観点からと、それから地下水を例えばくみ上げますと地盤沈下等の障害が出ますので、いろいろ河川管理施設等に支障が出ますので、そういった観点から見詰めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  58. 沢田広

    沢田委員 これは特にまた今後もいろいろな機会を通じて基本的な問題として述べていきたいと思います。  次に、検察庁と警察庁両方でありますが、警察庁ですね、イトマン事件の捜査の進行状態、これは特に大蔵に対しまして述べれば、経済犯罪というものに対して今後どういう方向で対応していったらいいのか。こういう極めて国民不信の高い時期でありますので、捜査の状況とあわせて、これらの事件に対します大蔵省の姿勢、こういうものについてひとつお答えをいただきたいと思います。
  59. 石附弘

    ○石附説明員 お答え申し上げます。  お尋ねの事件につきましては、現在大阪府警におきまして捜査中の事件と承知しております。大阪府警におきましては、去る四月二十四日、イトマンの元企画監理本部長伊藤寿永光に係る特別背任容疑で関係する会社七カ所の捜索を行っておるところでございまして、現在鋭意事件の解明に努めておるところでございます。  また、金融機関をめぐる不正融資事件につきましては、社会的な関心も大変高い、またその公共的な性格から、国民の経済生活に影響を与えるとともに経済秩序を乱すなど社会的影響が大変大きいという認識を持っておりまして、警察といたしましても、これらの犯罪に対しましては適正に対処をしてまいりたい、こういうことでございます。
  60. 沢田広

    沢田委員 大蔵省として、この銀行、こういう融資をした担保としては、どういう割合において何を担保としてとってこういう貸し付けを行ったのか、そのところだけひとつお答えをいただきたいと思います。
  61. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 大変申しわけありませんが、事前にそうした御質問が出るといる御連絡をいただきませんので、関係の部局の者を呼んでおりません。  いずれにいたしましても、個別行の個々の融資について私どもが国会の場において御説明をすることはいかがかと存じますけれども、私は、各金融機関それぞれに企業としての経営責任というものは今日までも守ってきてくれていたと信じております。しかし、その中におきまして、たまたま今特定の商社名を委員がお挙げになりましたけれども、その商社に関連して金融の体制が問われていることも私どもよく承知をいたしております。今後ともに監督当局としての立場で厳正にチェックをしてまいりたい、そのように考えております。
  62. 沢田広

    沢田委員 これは言うならばイトマン事件というふうに言ったつもりなんでありますが、問題は、一般の場合の担保については、一般的には更地であっても九掛けぐらいしかしない。一般の市民が例えば銀行から借り受けをするという場合でも、そのぐらい、一割ぐらいは公示価格でいっても差があります。これはきょうは要望だけにとどめておきます。そういうぐらい厳しくしているのに、こういういわゆる財産で、資産勘定でいきましても若干むちゃだと思えるような貸し付けが行われるということは、どこにその一般との違いを見ているのかなということを深く感じますもので、いわゆる銀行における貸し付けのルール、そういうものがやはりこういうルーズな面、同じような言葉ですが、中身は大いに違うわけで、ルールをきちんとしていない、それでルーズになっている、こういうことなんだろうと言わざるを得ないのでありまして、これは人の問題なのかあるいは規律の問題なのか、とにかくゆるがせにできないものであると思いますので、特にこの点は決算の場を通じてお願いを申し上げておきたいと思います。  これはまた大蔵省関係に入ります前に、ちょっと舞台ががらりと変わるのですが、厚生省、年金の関係でボーナスはなぜ対象に入らないのか。ボーナスも対象に含めて、バブル現象のときにはたくさんもうけていたところもあるぐらいでありますから、それにはボーナスも何らかの掛金の対象としてやはり年収に応じて掛金を決めていく、こういうことに考えていくのが、企業のでこぼこといいますか、そういう波があるわけですから、その方が妥当なのではないのか、こういうふうに思いますが、厚生省としては、これの決算その他を見ていきまして、今裕福ですからその点感じていないのかもわかりませんが、いわゆる年収に応じて対応する、この考えについてはどのように考えておられますか、お答えいただきたい。
  63. 江利川毅

    ○江利川説明員 厚生年金におきましては、保険料の対象あるいは給付額の算定に当たりましてはいわゆる月給を対象にしておるわけでございます。月給は月々の生活を支える基本でございます。年金もまた月々の生活を支える基本でございますので、そういう性格を共通にするものを指標にしておるわけでございます。ボーナスはそのときの経済事情あるいは企業の収益状況によりて大きく変動がございますので、そういうことから、長期的に見ていろいろ変動のあるものを基準にして年金額を算定するのはいかがかということで現在のような仕組みをとっておるわけでございます。
  64. 沢田広

    沢田委員 時間ですから、時間がたちますから言っておきますが、変動があるからこそ入れるべきだというのが私なんです。それは、例えば相撲さんなんかだってそうです。景気がいいときは副収入もうんといっぱい入って年収も多いだろうけれども、景気が悪くなればそれは途端に少なくなる。プロ野球も同じですよ。あるいはサービス産業も同じですよ。  そういう波があるからこそ多くもらえるときで老後の安定を言うならば保障する。事によれば退職金まで掛金掛けていいのじゃないか、そしてそのことによって老後の保障を考えていく。退職金そのものがそういう目的に払われるものなんですから、だから一時年金とかそういう方法もあるわけですね。だから、そういうことで御考慮をいただきたいということをお願いしますが、いかがですか。これは一応検討してください。
  65. 江利川毅

    ○江利川説明員 先生の御提言は一つの御提言ではないかと思いますが、いわゆる年金は月々の生活を支える給付であって、それの指標には、月々の生活される給与、月給というものが適当であるといるふうに考えている次第でございます。  また、年金額の算定もこれをもとにしておりますので、お話しのような形になりますと、額の算定から基本的に変わってくるような形になる。今の仕組みで五年ごとに財政再計算をして、その水準に見合いながら給付水準を変えたり保険料水準を変えたりしているわけでございますが、もうこういう行き方で一応これからもいけるのではないかというふうに思っている次第でございます。
  66. 沢田広

    沢田委員 私の予告時間にはなりました。だけれども、さっきの分が延びていますから、六分まだあるのであります。それで五分前にということで大体つけたわけですから、まだ五分あるので、これは私の許容時間ですから、オーバーしたのじゃないのですから、念のため申し上げておきます。五分前と今通知が来ました。  国税庁の統計によると、六十二年度、六十三年度合わせて滞納処分になるものが二兆円、法人で七千億、相続税で四千億、物品税で欠損二十六億、二千七十五億ですか、滞納が。揮発油税千八百十四億、国税庁としてはこれらについてどのよ うに御理解いただいておるかお伺いをしたい、このように思います。
  67. 佐々木秀夫

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  滞納整理につきましては、徴収決定済み額といいますか、申告あるいは更正等で納付していただく額が年々非常にふえておりまして、元年度で申しましても対前年一一〇・三%とこのところ一〇%前後伸びております。その中で、やはり私ども新規の発生滞納を何とかしておさめていきたい。と同時に、発生した滞納につきましては個々の事業者、納税者の実態を十分踏まえながら実態に即して厳正に処分を執行してまいりたいと考えているところでございます。
  68. 沢田広

    沢田委員 そういうのは当たり前の答弁というので言わずもがなのことなのでありますが、今ここまで来て私らがこういう問題を取り上げているという理由は特に――じゃ、もう一つ別な次元で質問しますが、かくあるべきだという徴定額については、結果的にはこの決算書では一応滞納額がある。それから、例えば相続税四千億の中には法定延期分もあるはずですね。いわゆる今後分割して納めますというものもあるはずですね。それはどこにも表示されていませんね。それは当然各徴収しなければならぬいわゆる徴定額の中には入ってなければならぬものでしょう。それが帳面上抜け出ているというのはどういう決算の理解をしているのですか。
  69. 佐々木秀夫

    ○佐々木説明員 いわゆる延納につきましては、その納めるべき時期が参りますと、そのときに徴収決定額の方になりまして、その段階で徴収といいますか納付をしていただくことになります。その中の何%といいますか、非常に数は少のうございますが、滞納になる場合もございますということで、数字は一応発生等から出てまいるわけでございます。
  70. 沢田広

    沢田委員 だから我々、貸借対照表なり損益計算書をつくった方がいいというのは、いわゆる債権として確保していくべき税というものは当然徴定額の中に含まれるべきものなんだというふうに思うのですね。それが法定延納になっているということだと思う。例えば物品税は対物税ですか、それともその物品税の納入者税ですか、どちらです。もし物品税といったらもう既になくなっているものもありますね、もう現在では。そうすると、これは欠損が二十六億挙がっています。それで滞納が二千七十五億挙がっていますが、これは自然消滅ということになるわけですか。
  71. 佐々木秀夫

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  物品税その他の税も同じでございますけれども、私ども徴収部の方には、その納めるべき額として申告あるいは納付催告等を行ったものについて徴収決定という数字がまず確定いたします。それに対しまして、どの税目もそうでございますが、期首にもそれなりの残高の滞納がございますので、それを合わせたものが年度間の要整理額になると思いますが、その要整理額を各税目を合わせて事業者、納税者ごと、個人なら納税義務者ごとにそれぞれ滞納整理をしていくわけでございますので、その滞納整理をやっていく過程におきまして、滞納処理済み額と申します中には、私どもが納付を具体的にいただくものもございますし、それからいろいろな事情で、納税者の方の調査を尽くしまして、どうしても財産等が今後も発生する見込みもないというようなことがございますと、そのものがいわゆる不納付の状態になりますので、それを未納の、何といいますか、一種の未払いとしてそのまま整理してしまわざるを得ない金額が残るという流れになってまいろうかと思っております。
  72. 沢田広

    沢田委員 結論的に言うと、この決算書のつくり方には、地方団体であろうとどこの団体であろうと若干そういう疑念がつくり方にある。いわゆる本来令書の発行したものは徴定額にすべて計上されなければならぬ。それで欠損処分にするなりあるいは減免措置を講ずるなり、それはまた別のものとしても、当然これだけ納入しなければならないという国の機関として、組織運営として決めた金額が明示されるべきである。このことの原則は守ってもらわなければ、これはこの表それ自身が意味をなさなくなってしまうと思います。ですから、ぜひこれは各徴収しなければならない額と実際に徴収――これは予算との対比で書いてあるのですね。これは極めてけしからぬ書き方だと思う。予算なんというのは大体年度のつくっていく数字ですから、いわゆる本人の債権として、国の債権としてこの数字はこれだけですとやはり明示するのが決算書の方式ですよ。これはその点は画然と法的にも区分されなければならぬ、そういうふうに思います。  最後に大臣、この間ノンバンクの法律も通りまして、世上では何か金利の下げとか上げとか議論しておりますけれども、法律が施行しないうちに、結婚しないうちに子供ができたようなもので、法律が施行しないうちに金利が下がるなんていう話が通産省あたりからも出ているのかもわかりませんが、そんなことのないように法の施行を急いでもらうことと、まあしかし、三カ月とか五カ月で産んじゃうわけにもいきませんから、やはり法は法としてある程度の成果を示した上でバンク現象の解消のために御努力をお願い申し上げまして、ちょうど時間となりましたという通知ですから、以上で終わりますが、大臣、一言おっしゃっていただいて終わりたいと思います。
  73. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 金利そのものはというか、公定歩合は日銀にお尋ねをいただくべき事項でありますが、今委員から御注意のありましたようなことも十分念頭に置きながら政策運営に当たりたい、そのように考えます。
  74. 沢田広

    沢田委員 以上で終わります。
  75. 渡辺省一

  76. 長谷百合子

    ○長谷委員 まず初めに、さき国会で見直し法案が成立いたしました消費税について伺います。  消費税は、導入以来その逆進性ということが指摘されてまいりましたけれども、今回の改正では、人間の生活、生存に最低限必要で、かつ、消費税の対象としてはなじまないような出産、埋葬、老人介護、こういったものに対して非課税となったこと、これは評価ができるというふうに思っております。  しかし、逆進性という不公平については、根本的な解決というものは、そういういわゆる社会的な弱者と言われる低所得層、そして年金生活者、お年寄り、こういった方々の所得税の軽減、それから社会保障制度の充実、こういったものとあわせて行われなければならない、こういうふうに思うわけですけれども、税の目的と申しますのは、ここで私がわざわざ言うようなことではございませんけれども、所得の格差の是正とそれから社会的機能を充実させる、こういった目的があるわけですから、そのような意味でも税制全体をさらに公平なものにするように検討を進めていく必要があるだろう、こういうふうに思っております。  そういうことをまずお願いいたしまして、この消費税が導入されますときに、消費税というものを福祉の目的に使うというような議論があったかというふうに記憶いたしておりますけれども、その後、この消費税、徴収されました消費税はどういったふうになりましたでしょうか。福祉の目的に充てられている、こういうふうになっているんでしょうか。
  77. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 御質問の趣旨がもう一つ私はつかみ切れていないかもしれませんけれども、御承知のように、我が国の社会保障関係諸費は、予算書をごらんいただきましても消費税税収をはるかに上回るものになっております。当然のことながら、消費税として国民からお預かりさせていただく財源だけで日本の社会保障関係費を賄える状況ではございません。その限りにおきまして、一般財源として使わせていただいております消費税、国がお預かりをいたします部分について、当然のことながら福祉の目的に充当されております。
  78. 長谷百合子

    ○長谷委員 日本は大変脱税が多い。年がら年じゅう新聞では、大きな脱税事件というものが後を絶たないわけで、こういった報道が後を絶ちませんけれども、やはり私は、本当にこれは情けないと思うのですけれども、要するに払う方からしま すと、税金に対して十分な払う気持ちになるような説得力がないんじゃないか、こういうことを思うわけですね。私たちも一般の市民としての感覚でいきましても、この税金を今大臣がお答えになりましたように一般の国庫の中で大蔵省が決めているんですけれども、必ずしもその使われ方というものがよくすっきり見えない。それから、あんなことに使われてはならないというようなことに使われている。こういったようなことが、非常に納税ということに対して否定的な国民性といいますか、そういうことを引き起こしているんじゃないかというふうに思うわけです。  と申しますのは、今の時代ですと、例えば安全な食べ物、これは非常にお金がかかるわけですね。一般のスーパーで買うものに対して高いもの、こういったものに関しても、例えばこれは大変すぐれた食べ物、納得する食べ物だ、こういうことになれば、それに対しては余分なコストを使う、こういった時代になっておるわけでございます。ですから、納得のいく税、私がこのお金を出すことによってこういうことが充実される、こういうことがあれば、やはり税に関する感覚、考え方、姿勢というものもおのずと変わってくるんじゃないかというふうに私は思うのですけれども。  ですから、消費税は福祉目的に充てる、あるいはガソリンですね、こういったガソリン税というのは環境保全税に充てる、こういったような目的税といったスタイルをこういうものに対して導入をしていく、こういうことに対するお考えはどうでしょうか。
  79. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 たまたまその福祉目的税というお言葉が出ましたけれども、私は、大蔵大臣になりましてまだ間もないころ、御党の伊藤政審会長の御質問に対して同じことをお答えをしたことを今思い起こしました。そして、そのときの議事録を今もう一度見返してみました。  その上でお答えを申し上げたいことでありますが、実は私は、福祉目的税というのを真剣に考えた時期が一回ございます。それは、自分が担当者ではありませんでしたけれども、売上税で非常に国会が混乱をいたしました時期、何とかその混乱を収拾するために福祉目的税というものにこれを切りかえていくことができないだろうかと、御党も含め野党の方々と真剣な御相談をいたしました。  ところがそのとき、肝心のその福祉関係の方々の中から、目的税をつくることによって、自分たちの必要な財源というのがその目的税の中に全部押し込められてしまうのではないかという不安感が大変強く述べられました。同時に、逆にその福祉目的税というものをつくってしまったとき、高齢化に伴ってその税率はとめどもなく上がってしまうんじゃないかという懸念を示されました。結果的に、御相談をかけました野党の皆さんも含めて、我々は、福祉目的税というものをつくることによってその混乱を収拾することを断念したことがございます。それ以来、福祉目的に使用させていただくことと、福祉目的税として税制を固定してしまうことについては、私自身非常に懐疑的な面を持ちながらこの仕事に私はつきました。  そして、改めて就任直後福祉関係の方々にもう一度お集まりをいただきまして意見を伺いましたとき、同様の御意見とともに、それまで全く私が気がついておりませんでした御意見がその場で、たまたま重度の精神薄弱のお子さんをお持ちの親御さんの代表から出てまいりました。それは、たまたま御本人が難病の方からも同じ声が出たのですけれども、その福祉目的税という特別の名称を持つ税を財源として自分たちに対する対策がなされたとき、私たちが心に負う重荷というものを御理解がいただけますかという言葉だったのです。  むしろ、自分たちのために特別の目的税がつくられ、その目的税を国民に負担していただいている、それを我々は、自分たちに対する対策によってほかの方々みんなに負担をさせているという心の重荷をむき出しで背負う、そういうことに気がついていただけませんでしたかという御質問を受けて、冷水を浴びせられたような思いがいたしました。  一般財源の中から自分たちの対策をしていただくことでも何となく私たちは気が重いものがある、しかし、社会保障、福祉という面からその手助けを受けなければ我々は暮らしていけない、それが目的税というときに、自分たちの心にかかる重荷というものをわかってくれ、これは私に大変強烈な言葉でありました。  御承知のように、消費税は、国がお預かりをいたしました中から地方に配分をいたしますものもございます。その地方に配分をいたしますものを目的を固定できるかという、これはまた別途の問題もございます。しかしそうしたこと以前に、私は、関係の方々、福祉関係に携わっておられる方、こうした方々から福祉目的税というものに対して非常に強い心配が私どもに浴びせられたということを今でも忘れることができません。目的税というものが必ずしもよいことばかりではない、私は今日そのように考えております。
  80. 長谷百合子

    ○長谷委員 今大臣が福祉目的税のことで話された中身ですけれども、私は、目的税をつくったときに、それだけで充てるというようなことは考えておりません。  それと、今、福祉を受けられる方の方から、それは大変ちょっと抵抗があるというお話でしたけれども、その中身は、大臣、それは否定的に聞かれるのはいいのですけれども、やはり今の行政のやり方が福祉は施しだというような発想でやられているからそういうような反発が出てくるんじゃないか、私はこのようなことも含めて申し上げておきます。  今お触れになりませんでしたけれども、環境税ですね、環境税に関しては、やはり限りある資源、限りある環境の保全、環境の問題を、私たちがそれを損なっていく、使っていくとしたら、それを使った量によってある程度それは負担していかなければいけない、私は、こういう考え方も必要だ、こう申し上げているわけでありまして、じゃ、環境税、こういったものを、ガソリンをたくさん使うんだったらその分をその人間に負担させる、こういった発想に関してはどうでしょうか。
  81. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 環境税に対するお答えの前に、一つ私は委員に申し上げたいことがございます。  政府の行っております社会保障、福祉行政に施しというような観点はございません。そしてまた、衆参両院における、現時点におきまして社会労働委員会が新たに改組されつつありますけれども、これらの委員会審議に当たってこられた与野党の委員も、社会保障や福祉行政というものを施しという視点で論議をしてこられた方はないと思います。厚生大臣経験者として、この点は、大変失礼でありますが、明らかにさせておいていただきたいと思います。  そこで、今たまたま環境税というお言葉が出ました。実は、公害健康被害補償制度をつくります時点、与野党の当時の公害環境特別委員会におりました者の中で、原燃料賦課というものが真剣に論議をされたことがございます。ところが、これは政党政派の論議ではなく、ある意味では院内における委員会同士の意見の食い違いになり、この議論が十分煮詰められないままに公害健康被害補償法というものはスタートを切ることになりました。そして、それ以来、実は原燃料賦課といった考え方は余り取り上げられてこなかったわけであります。  昨年の七月、ヒューストン・サミットにおきまして、地球環境問題が主要テーマの一つとして論議をされ、また環境問題に対する意識の高まりの中におきまして、OECDの租税委員会や環境委員会でも、いわゆる環境対策に関連する税制を重視する、そうした必要性についての議論が行われていることを私も承知をいたしております。しかし、実は問題は、環境に対する税制といいましても、その定義は大変明確ではないわけでありますが、各国におきまして、例えばオランダで昨年二月から各種の燃料に対し、それぞれのCO2排出量に応じた課税が行われておりますし、スウェーデンでも同様の税制が今年一月から導入されるこ とになりました。  大蔵省といたしましては、いわゆる環境対策に関連する税制というものにつきましての国際的な動きにつき、当然のことながらこれまでも適宜調査を行い、関心を持っておりますが、今後とも地球環境問題の重要性にかんがみて、その必要な調査を行い、各国の例も参考にしていきたいと思います。  日本の場合は、委員も多分御記憶でありましょう。昭和四十五年に公害国会と言われるような、本当に臨時国会で十数本の法律を制定しなければならないという高度経済成長時代の一つの悲劇がございました。そして、そうした中におきまして、エネルギー環境変化対応投資促進税制あるいは公害防止用設備の特別償却、特定の公害防止施設等に係る固定資産税の軽減、こうしたような措置をとって今日までまいっております。発生源に対して重課するという観点からの制度は設けられておらないわけでありますが、今後の国民の関心の持たれ方等も我々としては十分注意を払ってまいりたい、そのように考えております。
  82. 長谷百合子

    ○長谷委員 ただいま大臣が福祉のあり方について大変厳しい表情でお答えになりました。私たち一人一人のことだという観点でやっておられる、少し安心した次第でございますけれども、税金は、その四百三十兆円、今度は公共投資という形でことしは初年度、こういうことでございます。  本来、公共投資の目的は、私たちの国が基幹的な、社会的な共通資本を形成する、それでそのことによって、国民の一人一人か安定した豊かな生活を営むことができる、こういった状況をつくり出すことが目的だと考えておるわけですけれども、そのためにはそういった公共投資の内容、額、それからそれによって変わってくる経済状態、こういったことを含めて、国民とともにやはり慎重に決めていくことが私はもう何があっても必要だ、こういうふうに思うわけです。この四百三十兆円の額も出ている公共投資ですけれども、これが日本とそれからアメリカの政府官僚ですかね、そういった方との間で決まってしまっている、こういったことは日本の政治、行政のあり方を象徴しているのではないかというふうに思います。そして、何とも四百三十兆の中身、使われ方、これはどうなのだろうかというようなことを私たちも点検しようとするのですけれども、なかなかよく見えてきません。  私たち国民の多くは、四百三十兆も今まで日本がやってきた公共投資、つまり箱物行政というような、橋ができた、建物ができた、ダムができた、そういうような形の公共投資をイメージしたときに、これは大変不安に思うわけです。四百三十兆といえば大きな額でございます。これが一気に日本じゅうをずっとローラーをかけていったら、日本は一体どうなってしまうのか。今、環境の問題、大変深刻な状態になってきておりますので、そういう環境はどうなのかといった不安があろうかと思うのです。  この四百三十兆という公共投資の中にも、環境保全の問題あるいは福祉の問題といった生活関連の部分ということも項目に書いてあるようですけれども、この辺は一体どういうものを具体的に目指してつくっていかれるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  83. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 まさかそういう角度からの御質問とは考えておりませんでしたが、まず第一点、明らかにいたしたいことは、この四百三十兆円を今後十年間の公共投資総額として決定をいたしましたのは、日本政府の意思であります。正確に申し上げますならば、総額四百十五兆円、それに我我が今日予測していない新たな公共投資の必要性が生じました場合を想定しての弾力枠が十五兆円、合計四百三十兆円であります。  そして、その中には、今委員は橋とか道路とかお挙げになりましたが、下水道もありますし、上水道もありますし、さらには福祉施設あるいは学校施設、さまざまな分野にこの投資は行われます。自然保護のための投資もございます。  そしてその内容は、国民生活の質を向上させるための投資であり、今高齢化社会にまさに突入している日本が、なお余力を持って国民生活の質の向上のための投資を行えるのは今世紀中であろう、来世紀に入れば社会保障負担というものが非常に大きくなって、基盤整備に充てる費用というものはおのずから制約が出てくる。そうした中で、この十年間において思い切って国民生活の質の向上につながる投資をしようということで、これは決したものであります。  そして、どんな分野にということでありますが、これは固定した計画で対応すべきものではございません。これは委員がよく御承知のように、公共投資の主軸を占めます公共事業というのは、我が国の経済政策の中で、経済運営の中で非常に大きな力を持っております。そのときどきの景気動向に応じ公共事業を追加し、あるいは縮減する、そうしたことによって我々は国内経済の調整をも図っておりますから、一部で言われましたような頭割りにした年額を定めて、これをもって進めていこうとするものでもありませんし、毎年の経済情勢を見ながら適時適切に対応していくべきものであります。  細部にわたりましての御説明が必要でありますならば、事務方から細かい御説明をさせますけれども、どうぞ大きく誤解をしないようにしていただきたいのは、我々自身が今世紀中にお互いの生活基盤を整備しておきたい、しかも多極分散型の国土形成をしていく上で、今東京に一極集中が問題にされておりながら、なお人が集まってくる状態を改善しようとするならば、交通アクセスも含め、またそれぞれの地域社会における生活基盤の質を向上させておく必要もある、こうしたこと全般を考えて計画を決定しているものだということだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。
  84. 長谷百合子

    ○長谷委員 そういった総論的なことと、具体的にどうも私も伺ったところ、例えば病院だったら建物、福祉だったら研修所、そういうふうに伺っているわけですね。今、社会的に非常に問題になっているのは、例えば病院もかなり立派なものができていても、そこで働く看護婦さんがいなくてサービスが低下しているとか、あるいは福祉の問題をやるといったって、実際にやってくださる方がいない。これが非常に大きな問題になっておるわけです。  私は、その公共投資という中身にぜひそういったソフトの部分といいますか、マンパワー、こういったものも公共投資の対象になっていかなければならない。それはそういうふうにされているのかどうか、それをお伺いしたいと思うわけですけれども。
  85. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 この公共投資基本計画を策定いたします段階におきまして、当然のことながら、私たちもそのマンパワーというものは心配をいたしております。そして、これは公共投資の中から支払うべき経費ではございませんけれども、別途「高齢者保健福祉推進十か年戦略」というものを厚生省が中心になり立案をされ、そのための経費というものは別の予算として厚生省に計上されつつあります。既に昨年から動き始め、平成年度は二年目に入るわけでありまして、このマンパワーをどう確保していくかということは、公共投資の基本計画とは別の分野において、まさに「高齢者保健福祉推進十か年戦略」という名のもとに推進が図られております。
  86. 長谷百合子

    ○長谷委員 大臣が一つ一つお答えいただいて大変光栄なんですけれども、ちょっと私たくさん、幾つか質問させていただきたいと思いますので、事務方とおっしゃいましたか、幾つか簡単に答えていただく部分はそのように対応して、後でまとめて大臣の御意見をぜひ聞かせていただきたい、こういうふうに思います。  それから、先ほど大臣が公共投資の中で下水道というふうに胸を張って言われましたけれども、下水道は大変大きなお金が使われておりまして、そのことをよく知っておるわけですけれども、多くの金が使われてもなかなかきれいにならない。この実態については私もある案を持っておりますので、後日そのことも質問させていただきたいと いうふうに思っております。  続きまして、地球環境関係予算というようなものがあるかと思いますけれども、それを拝見いたしますと、環境庁からずっとありまして、外務省、通産省、それから科学技術庁、こういうふうに振ってあるわけです。通産省が一千二百億、そして科学技術庁が二千九百五十億、それに比べまして環境庁は三十七億、こういったバランスになっておるわけですけれども、やはり地球環境予算ということであれば、環境庁が主導してやっていけるような予算的なバランスということが私は大変必要じゃないかと思うのですけれども、これはどういうことになっておるのでしょうか。
  87. 田波耕治

    ○田波説明員 地球環境対策予算の件でございますけれども、一口に地球環境対策と申しましても極めて範囲が広範にわたっているところでございます。現実の予算のベースで考えてみますと、関係省庁は十七省庁にわたっている。これは事柄の重要性あるいは範囲が極めて広い範囲にわたるという観点から当然出てくるところでもあるわけでございますけれども、そういった十七省庁の地球環境保全関係予算につきまして環境庁が取りまとめられた数字によりますと、三年度は四千八百億円を超える数字になっておるわけでございます。  その中の内訳の点について御質問ございましたけれども、そういった広範な問題に取り組んでいくためには、ある意味で政府が全体として総力を挙げて取り組む必要がある。具体的な方法につきましては、各省庁におきまして、それぞれの分野におきまして得意な点について推進をしていくということが必要であるということは御理解いただけるのではないかなというふうに思っております。  そこで、それを総合的に推進する必要があるではないか、これはおっしゃるとおりでございまして、政府といたしましては、元年の五月に地球環境保全に関する関係閣僚会議というものを設けまして、そういった総合的な施策の推進に努めているところであるわけでございます。
  88. 長谷百合子

    ○長谷委員 つまり、私はいろいろな新技術開発をしていく、そういったことで環境を保全していくということに関して、もちろんやらなければいけないと思うのですけれども、あくまでバランスでありまして、日本が先ほど言いましたように開発優先、箱物だというのと同じように、やはり環境保全に関しましても非常に技術優先というようなふうになっているのではないかということを申し上げたいわけですね。  友人でもCO2の固定化装置を非常に一生懸命研究している人間がいるわけですけれども、そういう人間なんかがやっておると、非常に矛盾というか、また、それをやっていくけれどもまた新たに別の環境問題が出てくる可能性があるんだ、そういうこともあるので、浪費社会、使い捨て社会、それからそういったものを新しい違う社会に循環していく、資源を穏やかに使っていく、こういったふうに変えていく、このようなソフト面に対してもっともっとたくさん研究費なり人なりという形でやっていくべきじゃないか、そしてそれを統合するのはあくまで環境庁がやるのがいいのではないか、私はそのように思っております。  こういったことで次に進ませていただきますけれども、この前の国会で九十億ドルの援助というものが行われました。この具体的な拠出、これは一人一万円というふうに言われているようなお金で、大変大きなお金なんですけれども、これはどういうふうに拠出をされたのか、そしてそれは具体的にどこに出して、新聞には出ていたかと思いますけれども、使用目的はどうか。それで国債を発行されたというふうなことも聞いておりますけれども、そういった場合の金利というのは幾らになるのか、お答え願いたいと思います。
  89. 田波耕治

    ○田波説明員 いわゆる湾岸戦争に対する日本の自主的ないわば貢献をするという観点から、今の委員の言葉によりますと九十億ドルの支出が行われたわけでございますけれども、この支出はいわゆるGCCという湾岸諸国で構成される、あるいはそれに関係する諸国の協力のもとで構成されておる組織がございまして、そこに対して日本が拠出をする、それがそれぞれの国に分配される、そういう仕組みをとっているところでございます。具体的な点、支出目的については、いわゆる湾岸諸国の平和と安定の回復に資するかなり広範な範囲の経費に充てられているところでございます。  それから次に、九十億ドルの財政支援を行いました。これは基本的には税でもって負担をしていただく、それから政府もいろいろな角度から予算を絞りに絞って対応していくという方法がとられたわけでございますけれども、当面はやはり国債でもってそこをしのいでいかなければいけないということで、いわゆるTBを発行することによって対応したわけでございます。  その金利がどうなるかというお尋ねかと思いますけれども、これにつきましては、これはいわゆる臨時の特別公債でございますけれども、一種の割引債でございまして、発行価格と額面との間に差額が出てまいります。これが利子分に当たるわけでございますけれども、これは国債整理基金特別会計法の規定によりまして、一年おくれで平成年度一般会計から国債費という形で特別会計に繰り入れられるという形をとっておるところでございます。  これはいわゆるつなぎの国債でございますけれども、最終的な償還を全部するまでかなりの期間がかかります。具体的には平成年度までかかるわけでございます。その間はこの特別公債の一部を借りかえあるいは再借りかえをしていく手続が必要であるわけでございます。それにつきまして利子がまた出てくるということがあるわけでございますけれども、この利子相当額についても、将来の一般会計からの国債費の繰り入れあるいは臨時の税収が徐々に入ってまいりますから、それの運用益等をもって対応する予定にしているところでございます。
  90. 長谷百合子

    ○長谷委員 そういうことだけじゃなくて、金利が幾らか。だから、非常に私たちは政治がわかりにくいと言っているんです。だから、金利が幾らかかるんですかと、大まかに計算してくださればいいんです。いろんな前提、今いろいろ話されたことほとんど必要ありませんので、金利が幾らか教えてください。
  91. 田波耕治

    ○田波説明員 最終の再借りかえ分まで含めまして大体八百億円というふうに御了解いただければよろしいかと思います。
  92. 長谷百合子

    ○長谷委員 掃海艇の派遣ということも行われましたけれども、これらのことについては時間もありませんのでいろいろ言いませんけれども、私はやはり、日本は国際的な貢献を積極的に果たすべきだ、こういう考えは持っておるわけです。さきにも、新聞にもいろいろ、ペルシャ湾で油にまみれた鳥を救助する日本人、油の回収をしている国際緊急救助隊、こういう活躍が伝わってきて、大変私は喜ばしい、すばらしいことだというふうに思うのですけれども、こういった民間の活躍というものも、私は本当に国際貢献、国際協力に対して大きな役割を果たすだろうというふうに思うのです。こういうことに対して積極的にやはり援助をしていく姿勢を貫いていかなければいけないと思うわけです。  しかし、NGOの方々が、具体的に日本の代表がいろいろなところで会議をやっていらっしゃる、会いたい、こういうようなことがあったときに、なかなか日本は会ってくれない、こういうような苦情や陳情というものが私のところにも上がってくるわけですね。ついせんだっても、バンクーバーのアジア開発銀行の会議のときに、ほかの国は全部会ってくれるんだ、ところが日本だけ会ってくれないじゃないか、こういうような苦情なんですね。これは、国際的な信頼というものを得ていくためにも、やはり市民の皆さんの声をきちっと聞いていくということが私は大いに必要じゃないかと思うのです。そうでもなければ、ナルマダ・ダム等、外務省が非常に苦慮しているものですけれども、こういったことも私は起こってくるのじゃないかと思います。こういう対応、NGOの方々に対する対応ということに対して、やはり 私は積極的に対応してほしい、こういうふうに思うわけですけれども、どうでしょうか。
  93. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 私は、国会のお許しを得て、ぎりぎり、アジア開銀の総会には一日だけ出席をすることができました。そして数カ国、会いたいと言われる各国の方々にもお目にかかってまいりました。しかし同時に、今委員は具体的なケースをお持ちのように言われましたが、私がバンクーバーに滞在するその丸一昼夜の間、会いたいと言われる方々にはほとんどお目にかかったと思います。
  94. 長谷百合子

    ○長谷委員 それから、掃海艇を出されたということですけれども、これはどのくらいの経費がざっとかかるものなんでしょうか。わかりやすく、ちゃんと答えていただけたらと思います。
  95. 藤島正之

    ○藤島説明員 お答えいたします。  掃海艇の派遣につきましては、実はいつまで派遣するかということが決まっておりませんので、正確な数字は申し上げられないわけでございますが、一応八月末ごろまで現地におるという一つの前提でございますが、そういう仮定を置きまして試算を行いますと、油の購入費あるいは糧食費あるいは諸手当等が考えられるわけでございますが、全体で約十一億円程度と見込まれます。
  96. 長谷百合子

    ○長谷委員 それから、クウェートの油井、油田の火災というものも伝えられていますけれども、こういったものに対しては、日本はどのくらいの拠出をしているのでしょうか。
  97. 田波耕治

    ○田波説明員 油井対策というものだけに限った方がいいかどうか、委員の御質問の趣旨があれでございますけれども、広い意味で、いわゆるペルシャ湾の環境回復のために今まで日本が何をやってきたかという観点から簡単に御説明をさせていただきたいと思います。  一つは、いわゆる原油が流出したわけでございまして、それに対して応急対策としてオイルフェンス等の油防除用の資機材を送付しております。これはサウジアラビア等の関係諸国へ送っている。それから、同じような諸国に対しまして、海水の淡水化プラント等の保全のために専門家を派遣する、あるいは原油回収のための国際緊急救助隊を派遣するというようなことをしておるところでございます。  さらに、クウェートに対しましては、油井火災による大気汚染に伴う健康影響等を調査する調査団を派遣している、そういった数々の努力をしておるところでございます。さらに、国連環境計画等、国際機関が実施する環境汚染対策にも拠出をしておるというところでございます。必要があれば、時間をいただければ数字を御説明したいと思います。
  98. 長谷百合子

    ○長谷委員 そういう項目なんかは幾つか出ていたから一応知っているのですけれども、例えば油井とか、お金を使うのはそんなに大ざっぱではないかなと私たちは理解しているものですから、例えば今燃えていてなかなか消えないのだけれども、これに対してはどうか、こういうことが聞きたかったのですけれども、ちょっと、非常に私も時間がありませんので、幾つか聞かせていただきます。  今度は数字で具体的に答えていただきたいというふうに思うわけですけれども、今度は建設省の関係で、リゾート法が施行されましたけれども――ちょっとリゾート法の前に、先に、長良川の河口ぜきですね、この問題で、これは一九八八年着工ということですけれども、これに費やされた建設費の総額と、それからアセスメントに使った金額、これは金額だけで結構です。お願いします。
  99. 荒井治

    ○荒井説明員 長良川につきましては、古くから洪水に再三苦しめられておりまして、長良川河口ぜきは沿岸住民の生命財産を守り、中部圏の将来の発展のための水資源を確保するというような点において欠かせない施設でございます。  さて、御質問の点でございますが、長良川河口ぜきにつきましては、現在、十三本のせき柱のうち既に五本が完成しております。平成年度に八本完成予定でございます。(長谷委員「済みません、数字だけで結構です」と呼ぶ)わかりました。  長良川河口ぜきの事業費は約一千五百億円でございまして、平成年度末までの進捗は七百四十一億円でございます。進捗率四九%、平成年度まで入れますと六一%でございます。  次の質問でございますが、アセスメントでございますが、これにつきましては、今までに要した費用につきましては、建設省及び水資源開発公団、合わせまして約十七億円でございます。  以上でございます。
  100. 長谷百合子

    ○長谷委員 十七億円、これはアセスメントとして使われているのですね。
  101. 荒井治

    ○荒井説明員 そうでございます。  内容といたしましては、環境調査、動植物の環境調査、それから人工種苗技術の開発、漁場対策及び魚道開発改良、こういったような内容でございます。
  102. 長谷百合子

    ○長谷委員 アセスメントのそういう仕組みができた以前からやられているというふうにも聞いておりますけれども、それはアセスメントに準ずる、こういうふうに理解するべきでしょうか。
  103. 荒井治

    ○荒井説明員 正確にお答えいたしますと、この事業につきましては、環境アセスメントに関します閣議了解の以前の事業でございますので、環境アセスメントに準じた措置といたしましてこのような調査を行っているということでございます。
  104. 長谷百合子

    ○長谷委員 ということは、アセスメントということではないわけですね。  あと、どうしようかな。じゃ、建設省もおいでいただいているので、リゾート法が成立して四年になりますけれども、非常に難しい質問になるかもわかりませんけれども、ざっとリゾート法にはどのくらい国としてはお金が投入されるのか。もしわからない、難しいというのだったら、その一言だけで結構です。
  105. 土屋進

    ○土屋説明員 御説明をいたします。  大変御質問が難しいということで先生もおっしゃいましたが、リゾート区域の中でどれだけ事業をやるかという区分をしておりませんで、河川ですと河川の上下流のバランスを考えながら事業をしたり、道路ですと道路網の中で部分的にリゾートの中の事業をやるということがありまして、リゾート法に基づく中での事業費の区分けというものは現在しておりません。
  106. 長谷百合子

    ○長谷委員 これから国際貢献という話がいろいろ出てくると思いますけれども、やはり日本が期待されているのは金だけというような、あるいは言われたら幾つか出すというふうに非常に受け取られがちなんですけれども、こういったことに関して日本がどういうことを主体的に哲学を持ってやっていくのか、こういうことのために私はやはり熱帯雨林問題や、それからチェルノブイリの問題や、いろいろな問題があると思うのです。これからも環境問題、世界的な規模での環境問題というのが大きく起こってきます。こういうことに対してやはりどんどん積極的、主体的、しかもわかりやすくやっていかれることを財政当局としてぜひお願いいたします。  続きまして、ちょっと通産省の方に、この間リサイクル法案が出ましたけれども、私たち具体的にリサイクル運動を地元でやっている者といたしましては、なかなかこれがよくわからない。例えば、今ちょっと持ってきませんでしたけれども、空き缶がありますけれども、この空き缶を捨てるとしますね、この議員会館で捨てる、どういうふうにしてリサイクルのシステムに乗るのか。済みません、本当に申しわけないのですけれども、簡潔にお願いいたします。
  107. 内藤正久

    ○内藤説明員 空き缶、アルミ缶とスチール缶がございますけれども、アルミ缶でいいますと約十四万八千トンの生産の中で約四〇%が回収されております。鉄缶につきましても同様な回収率でございまして、約四〇%回収したものは資源として再利用されておりますが、残りの六〇%は埋立地等に活用されるというのが実態でございます。
  108. 長谷百合子

    ○長谷委員 そういう実績、私もよく知っておりますけれども、本当に指導するとかそういうことはあるのですけれども、具体的にどういうふうに 変わっていくのかな、私たちやっている者としては非常に難しい。缶の問題も混合缶、これも回収が困難なわけですね。こういうものが出てきている状況とか、瓶もワンウエー化が大変進んできておりまして、七〇%がワンウエーで、一升瓶やビール瓶というようなリサイクルシステムがもともとあったようなものが減っていってしまっている。  そうしますと、ワンウエー瓶がいっぱい出てくるとガラスの色がまた複雑でございまして、これを全部分けなければいけないわけですね。こういうことを実際やっているのは結局地元の子供であったり主婦であったり、こういうことが実情なんです。こういうことが法案でどういうふうに変わっていくのかなということが大変疑問があるわけです。  そのことと同時に、やはり私たちやりながらいつも思うのは、川上といいますか、つくるところで何ら、これからはちょっと法案の中にも少し指導するとかいうようなことがあるのですけれども、指導とかいうようなレベルではなくて、やはり複雑で回収困難なものをつくっていく業者に対しては、出荷、製造に対してペナルティーをかけるというようなことも含めて検討していくべきじゃないか、こういうふうに思うわけです。  そうしないと、本当にむなしいのです。幾らやってもやってもどんどん流れてくるという感じがします。西ドイツなんかでもそういうことは既に企業の責任ということで、包装紙なんかも回収していくというふうに動いております。  それから、ペットボトルですけれども、これも大変お金がかかるのです。一本処理するのに大体五十五円というようなこともあるのですけれども、こういうことに関してやはり今言ったようにペナルティーをきちんととっていく、こういう方向に関してはどうでしょうか。
  109. 岡松壯三郎

    ○岡松説明員 今、瓶、缶等の例を引きながらメーカーの段階、川上の方での責任というお話がございましたが、再資源化を進めるに当たりまして、消費者、製造業者あるいは流通の段階、国、地方公共団体、それぞれの段階で役割分担をして進めていくということが大事であるというふうに考えておりまして、さきに成立させていただきましたリサイクル法案におきましてもそのような考え方になっているわけでございます。  しかしながら、製造段階においても、具体的にリサイクルを頭に置いた設計をするということも大事であるということも認識いたしておりまして、法案の中にも、第一種指定製品の考え方というのはそのような考え方に立っているわけでございまして、事前対策を講ずるということを決めておりますし、また第二種指定製品という制度を設けましたが、ここでは分別回収しやすいように、消費者が識別しやすいようにマークをつけていく、表示をつけていこうということも入れているわけでございまして、ここらも含めて、製造段階も含めた対策を考えていく、総合的に取り組んでいくという所存でございます。
  110. 長谷百合子

    ○長谷委員 本当にいろいろ、ちょっと押しておりますので、ちょっと原発の問題、この前の決算委員会でもいろいろ質問をさせていただきました。きょうもそれで幾つか質問を用意しているのですけれども、時間がありませんので、この中で申し上げておきたいのです。  また次回にやりますけれども、大切なタービンバイパス系をいきなり使えなくしてしまう、こういった状態にするのはかえって原発を危険な状態にするのではないか、こういうことを一つ申し上げておくのと、それから、世界は今、全体に脱原発、こういう方向に向かっておるようなときでございますけれども、日本は柏崎、これは新聞にありますけれども、柏崎の原発増設許可へという見出しが出ております。安全委員会が許可したんだと思いますけれども。本当に美浜だけではなくてあちらこちら、浜岡、それから大飯、こういったところでも事故が起こって、本当に多発してきておる状況でございます。こういった状況に対しまして、やはりこれは逆行するのじゃないかというふうに私は思うのです、この新聞記事を見たときに。これに対して一言お願いいたします。
  111. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  今お話のございました原子力の問題でございますが、原子力発電は、エネルギー需要の着実な増大、それから地球環境問題等の最近のエネルギーをめぐります情勢を考えますと、供給の安定性、経済性、環境負荷の面ですぐれておりまして、我が国にとって必要不可欠なエネルギーというふうに我々認識しております。このため、原子力発電につきましては、その設計、建設、運転の各段階におきまして厳正な審査を行いまして、安全性を確認しつつ原子力の開発を進めているところでございます。  それで、今御指摘のございました東京電力の柏崎刈羽原子力発電所の六、七号機につきまして、増設でございますが、昭和六十三年五月に原子炉等規制法に基づきます設置許可変更申請がなされまして、通産省によります一次審査、それから原子力委員会、原子力安全委員会によります二次審査を経まして基本設計に関します厳正な安全審査が終了しております。総理大臣の同意を得まして設置許可を行うという段階でございます。  以上でございます。
  112. 長谷百合子

    ○長谷委員 そういう公式見解、どう答えられるか、よく私も知っております。そういうことではなくて、私は今、ちょっと時代に逆行していないか。この、しているかしていないかということで、じゃ大臣、一言でどちらか答えてください。お願いします。大臣に答えていただきたいのですけれども……。
  113. 向準一郎

    ○向説明員 お答え申し上げます。  やはり我が国のエネルギーを考えますと、原子力の必要性というのは、先ほど申し上げましたように、エネルギーの需要増大とかあるいは地球環境問題を考えますと必要不可欠であるということでございまして、先ほども御指摘ございましたように、安全性の確保というのが大前提でございます。そういう意味で設計段階、建設段階、運転段階、厳正な安全の審査を行いまして、安全性を確認しつつ原子力開発を進めていきたいというふうに考えております。
  114. 長谷百合子

    ○長谷委員 それでは、次にJR東日本の株売却に関する質問、これは同僚の時崎委員にしていただきますので、これをもちまして私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
  115. 渡辺省一

    渡辺委員長 この際、時崎雄司君から関連質疑の申し出があります。長谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。時崎雄司君。
  116. 時崎雄司

    ○時崎委員 長谷委員の関連質問をさせていただきますが、運輸省の方、おいでになっておりますか。できれば一番マイクに近いところにお座りいただきたい、時間もございませんので。  五月十日の読売新聞の報道、さらにはまた五月十三日の毎日新聞の社説にも触れられておりますように、JR東日本が東京証券取引所一部上場に伴って既に一株百万円、額面が五万円だそうですが、それを大量に機関投資家に購入の依頼をしている、こういうことが報道されており、なおこの件について運輸省は調査するというのか事情聴取をするというのか、こういう報道がなされておりますが、調査をされたのかどうか。されたとすれば新聞報道どおりなのか、違うのか、お答えいただきたいと思います。
  117. 宮崎達彦

    ○宮崎説明員 新聞の記事が出ました当日にJR東日本の総務部長より事情を聞きました。  それによりますれば、その前提としてでございますけれども、JR株式につきましては、平成元年の十二月十九日の閣議決定におきまして、平成年度にはJR株式の処分を開始する方向で検討、準備を行う。これは政府側に対する閣議決定でございますが、かつ、株式を保有しております国鉄清算事業団におきまして、平成年度予算に所要の計上をしたというような背景を踏まえまして、JR東日本会社が、近い将来自社の株式が清算事業団より売却され、それに対応して同社も上場するという方針のもとにいろいろ準備を進めているということでございます。  その一環といたしまして、そういうことが具体 化されてまいりました昨年末以来、日ごろつき合いのある機関投資家に対しまして、売却をされますときでありますとか上場後市場からといったようなことで、株式を適宜保有していただくようなあいさつを行い、その意向を打診したものというふうに聞いております。ただ、新聞報道に一株百万円とありますが、幾らで何株を購入してほしいといったようなことは、一切言っていないということでございます。  当方といたしましては、一株幾らといったようなことにつきましては、今後、売却方針につきまして何らかの形で入札等によって市場価格を聞くという手続が必要になってまいりますので、そういったことに予断を与えるようなことのないように慎重な行動をしてもらいたい旨注意したところでございます。  以上です。
  118. 時崎雄司

    ○時崎委員 もう一度確認をさしていただきますが、一株百万とか、それから何株購入してほしいとか、そういう要請はしてない、こういうことで理解してよろしいですか。  したがって、そうだとすれば読売新聞は誤報だ、誤った報道をしている、こう理解してよろしいですか。
  119. 宮崎達彦

    ○宮崎説明員 東日本から聞きましたところ、一株幾らで何株購入してほしいというようなことは言っていないということでございます。  読売新聞の誤報ということかどうかということでございますが、新聞の記事によりますれば、金融筋によればということでございますので、その金融筋がどのようなことからどのような取材をされたのか当方が知るところではございませんので、いずれにしろJR東日本が一株幾ら、何株といったような具体的な要請はしていないということでございます。
  120. 時崎雄司

    ○時崎委員 金融筋によればというのは、これはあなたの読み違いじゃないですか。新聞をよくごらんになっていますか。機関投資家は戸惑っているということを、金融筋によればと、こう言っているのですよね。そうじゃないですか。  もう一度お尋ねしますが、一株百万円、そして機関投資家の企業名まで挙げて――挙がっている会社は九社ですね。そして、四社ほど企業名まで挙がっておりますね。とすれば、これが事実かどうか。当然、機関投資家側からも同じようなことの事情を聞かれたのですね。この点についてお尋ねします。
  121. 宮崎達彦

    ○宮崎説明員 機関投資家の方からは聞いておりません。
  122. 時崎雄司

    ○時崎委員 百万円で購入を持ちかけて、そしてある会社については九万、金額にすると九百億という膨大な金額ですね。  それで、今言われたように、新聞報道が誤っている箇所は一株百万、それから株数を具体的に九万とか三万とか、こういうところが誤っている、こういうことですが、新聞が誤報だとすれば、なぜJR東日本だけから事情を聞いて機関投資家の方から聞かなかったのですか。少なくとも、私が冒頭言いましたように、毎日と読売、二つの新聞が同時にこのことを指摘しているわけですから、当然、調べるならば厳正を期すためにも機関投資家から事情を聞くべきではなかったか、私はこう思うのですが、いかがですか。
  123. 宮崎達彦

    ○宮崎説明員 この事実関係を調べて、何らかの法令違反でございますとかそういったことにどうも当たるというようなことでありましたら、またいろいろ証拠固めというのでしょうかというようなことによって相手方からも聞くということもあるのでございましょうが、当面、東日本会社がそういうことをしたかどうかということにつきましてとりあえず東日本会社から事情を聞いたということでございます。
  124. 時崎雄司

    ○時崎委員 今回のこのことが事実だとすれば大変重大な問題だと私は思うのですね。これは、運輸省もそう考えて、入札を行うということを前提にしてJR株式基本問題検討懇談会というのをつくってそちらで検討していただいている今さなかだ、こう思うのですね。そういうときに一株百万円とかというようにして特定の会社にその引き受けを要請するというのは、私は、これは競争入札を有名無実にしてしまうような大変重要な問題をはらんでいる、こう思うので、お尋ねをしているのですよ。  それから、これは大蔵省の管理になると思うのですが、株を上場する際には、一定の条件に合致すれば届け出を出すことになっておりますね、これはあなたに聞く内容ではないと思いますが。証券取引法でそういうふうになっておるはずですよ。そういうことからも考え合わせますと、もう少し重大視をしてよろしいのではないか、こう思うのです。  さて、もう一つお尋ねしますが、この株はJR東日本の所有なのですか。私は清算事業団所有だと思っているのですね。権限もない人がどうしてこんなことをやるのですか。運輸省は何でやらせておいているのですか。
  125. 宮崎達彦

    ○宮崎説明員 一般的に、発行企業体が取引関係の中で関係事業者に自社の株式を、自社が保有して――自社の保有そのものは禁止されておりますけれども、一般市場なりから、またどなたか他の人から買い取ることを要請するというようなことは一般的にはあり得ることだと考えております。
  126. 時崎雄司

    ○時崎委員 今現在、いまだ株が市場に売却されておらないわけですね。確かに閣議では平成年度ということでその準備を進める、こういうことですけれども、そういうさなかにJR東日本はなぜ機関投資家に株を保有していただくような要請をする必要があるのかよく理解できないのです。  もともとこの株は清算事業団のもので、JR東日本といえども一株百万にするとか、あなたに何万株持っていただくなどと、全くの権限のないところの話でしょう。なぜ必要なのですか。
  127. 宮崎達彦

    ○宮崎説明員 企業の事情といたしましては、NTTとJRの場合は違いまして、一〇〇%株が市中と申しますか公開されることが国鉄改革の既定方針になっております。それも、かつ徐々に、逐次放出するということではございません。徐々に放出するということではございませんで、早期に、できるだけ短期間でということも使命となっております。したがいまして、一般企業のように徐々に安定株主にお願いするといったようなことがJRの場合は非常に難しくなりましょうが、そういったことも踏まえまして、かつ、先ほど申し上げましたように平成年度にも株式が一般に公開されるといったような状況も踏まえて、JRとしましては機関投資家等に一般的なお願いをしたものというふうに考えております。
  128. 時崎雄司

    ○時崎委員 もう時間がございませんので、質問は終了させていただきますが、少なくとも新聞報道が誤報だと言うには、それ相当の調査をして、できる範囲で精いっぱい調査をしてから発言をしていただきたいなということをまず一つ申し上げておきますし、JR株上場については今後の推移を見守る、こういうことで私の質問を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
  129. 渡辺省一

    渡辺委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ────◇─────     午後一時三十一分開議
  130. 渡辺省一

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。後藤茂君。
  131. 後藤茂

    ○後藤委員 通産大臣に最初にお伺いをしておきたいと思います。  大臣はこの連休中にイギリスとカナダとアメリカの方に行ってこられ、またヒルズ通商代表あるいはモスバカー商務長官、クエール副大統領とも懇談をしておられる。湾岸戦争の後、国際的に日本を見る目というのが相当厳しくなってきているのではないか、そのことを恐らく今回の三国訪問の中で体で感じてこられたんだと思うのですけれども、最近の世界経済秩序形成に対して日本がどういう役割を果たしていけばいいのか、そのことを、今回の訪問の中で感じてこられたことをひと つ率直に冒頭お伺いしておきたいと思います。
  132. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず後藤委員にお答えをいたしたいと思いますが、御質問の冒頭の中に、湾岸戦争以降、欧米並びにその他の国においても大変厳しい気持ちを持っておるのではないか、こういう御質問でございましたが、この点に関しては私も実は委員と同様な気持ちで強く思っておりました。  といいますのは、いろいろのパーセントを見ましても、湾岸における貢献度が日本は低いのではないかというようなことをいろいろと報ぜられてもおりましたし、そのようなテレビあるいはマスコミ報道等もるる見られたものですから、そういうふうに感じておりましたが、実は一番先に私はイギリスに渡りましてサッチャー前首相とお会いいたしましたときに、ある意味において大変な感動を受けたことがあったのです。  それは一時間半ほどの会合の冒頭に向こうが開口一番言うたのは、まず、私は日本の国に何と言って感謝をしていいかわからない、二十八カ国軍が多国籍軍としていろいろと協力をしてはおったけれども、少なくとも日本のように増税をしてまでこれだけの、九十億ドルという、しかも細かい数字まで挙げまして、なおかつその後におけるクルド族の一億ドルの援助、あるいはまた一億円のブランケット等の援助等にまでわたって言っていただきました。そして、こんな援助をしてくれた国があるだろうかということを考えたならば、私は本当に日本の国民に向かって感謝をささげたいと思いますということが開口一番の文言でございましたから、うれしく、なおかつ力強く、しかもパートナーだなという感じで受けとめたものでございました。  アメリカにおきましても、その点においては、それほど強い言葉で返ってこないまでも、その言葉でありがとうという言葉を秘めてくださった方方はたくさんおります。なかんずくマンスフィールド前大使は、大勢のアメリカの居並ぶ高官の前で、日本の今回果たした役割というのを他の国が一体まねができると思っておるのかということを強く訴えてくださったことは今でも強く印象に残っておるくらいでございます。私は出かける前に、当初後藤委員と同じような考え方に立っていた、その考え方をむしろいい意味において打ち砕いてもらえたような感じさえも受けたわけでございます。  しかしながら、今後の対応云々ということになりますると、これはいろいろ大きな局面を迎えておるなということは、今回の三国訪問の目的そのものが湾岸危機における日本の対応に係る米国の意識というものの改善を働きかけるということが一点、ウルグアイ・ラウンドの成功裏の早期終結について当方の考え方を訴えるということが第二点、あるいは輸入拡大のための一層の協力の推進を図る、基盤強化を図るということが第三点、またエネルギー分野における協力関係の強化を図るということが第四点、このように大きく考えまして幾つかの点に分けましたが、各国の十分な理解が得られ、私としては大いに有意義な会合を持ちつけたなと考えておる次第でございます。さらに今後とも日米及び日欧間の個別通商案件の解決に努めつつ、ウルグアイ・ラウンドの成功裏の早期終結に向けまして一層の協力強化あるいはまた関係緊密化にいそしみたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  133. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣の今の御答弁を聞いておりますと、湾岸戦争あるいはその後に対応する日本の対処の仕方について理解を示しておるというお話があったわけであります。しかし、最近は国際経済の景気が必ずしも上昇局面ではなしに下降局面に入り始めているのじゃないか、またアメリカの国際収支等を見ましてもいわゆる双子の赤字というような問題も抱えておりまして、首脳はそういうような理解を示していると思いますけれども、議会なり国民なり、さらにまた半導体あるいは自動車、鉄鋼その他のメーカーなり、そういうところから見ますと、これからそういう理解だけでは済まない課題が出てくるだろうと思います。  そして、そういった問題の解決を日本に迫られてくる。もちろん理解が十分に行き届かない、誤解に基づく発言なり意見なりというものもあると思いますけれども、よほど性根を据えてこうしたEC諸国、ヨーロッパの問題、あるいはアメリカとの日米構造協議からずっと懸案になっている問題等に対して――どうも私は、最近保護主義の方向が出始めてきている。それは日本の製品の品質が高いとか非常にすばらしいとかということは一応捨象いたしまして、アメリカなりヨーロッパ等の日本を見る目というものが非常に変わり始めてくるのではないかという心配をしている。  こうした保護主義の動きというものがこれからどういう方向をたどっていくのか、日本の対応いかんによりましてはこれがより悪い方向に行くということも考えられるものですから、その点を今回の三国訪問の中で、お帰りになりましてこれからの政治にどう反映させていくかということを大臣からもう一言お伺いしておきたいと思います。
  134. 中尾栄一

    中尾国務大臣 全く後藤委員の言われることは、私は先ほどは冒頭の印象として、私の思っていたほど――首脳関係はよく御理解いただいておるなということでございまして、確かに御指摘ございますように、しからば首脳以外の議会あるいはまた議会を問わずまた国民、一般大衆ということになりますると、これはまた後藤委員のおっしゃられるとおりの見解で考えていただいていいんじゃないかとむしろ思っておるのでございます。かつてはそれをシンボリックイシューという格好で日本のアイテムを厳しく言っておりましたアメリカ、欧米諸国というものが今パーセプションといいましょうか、もう思い込んじゃっているというようなことも多々見受けられました。  そこで、先ほどブロック経済化の問題等々の委員の関心、と同時にまたおそれをそのまま感じたかどうかということの問いもございましたので、率直に述べさせていただきますると、日米間の経済関係はこれまで良好には推移してきていると思います。しかし、現在、米国景気が確かにリセッションに入っておるということでしょうか、後退局面にあるということを背景にいたしまして、議会の一部を中心に保護主義的な動きがあることはこれは否定できません。  そこで、米国が保護主義の導入に走るということは世界経済が目指している自由貿易の実現をまず妨げる、また深刻な影響を与えるということも事実でございましょうから、全くこれは不適切であると考えて、そして米国政府にもこれに反対の立場を明らかに私もし続けてきたつもりでございます。しかし、我が国としましては、管理貿易の動きに対する米国政府の断固たる言うなれば対応を促しながらも、米国と手を携えてウルグアイ・ラウンドの成功等を通じましたより自由で開放的でしかも世界経済システムの実現に向けまして最大限の努力を傾注していかなければならない責任を感ずるものでございます。  また、半導体問題等の両国間の個別通商案件の解決並びにまた日米構造問題協議の着実な推進等を通じまして、我が国にとりまして最も重要な二国間関係である日米関係の発展に向けて努力していく私どもの大きな責任を感じ取ったということもこれまた委員指摘のとおり事実でございます。  したがいまして、冒頭言うたのは、あくまでも私の会った範疇の印象と、またその裏にあるところの議会あるいはまた民衆というものの差というものも見せつけられたということもこれまた事実であったということも付言しておかなければなるまいと思うのでございます。
  135. 後藤茂

    ○後藤委員 今話が出てまいりました自動車なりあるいは半導体。まあ自動車は一九八一年から三年間に限って自主規制をやって、それから何回か延長延長で今日まで来ているわけでありますが、そうした中で、最近のこの実態を見てみますと、九〇年度二百三十万台と言われた自動車、これが実績では百八十五万台というように承知をしているわけでありますが、そういたしますと、実態論 として自主規制の枠組みを下回っているというのがここ二、三年来続いてきているようであります。で、こういった状況を見ておりますと、一体、今自主規制というのがどういう役割を果たしてきているのか、もう少しそうした自主規制を外してもっと自由な競争に入っていっていいんではないかという意見もあるわけでございます。  それからもう一つは、これはまだ交渉中ですから、あるいは答えにくい面があるかと思いますけれども、仄聞しているところによりますと、半導体の新協定には日本市場に外国製品をシェア二〇%ぐらいは明記していくべきではないか、こんなことも聞いているわけでありますけれども、私は、思い上がるわけではございませんが、日本の半導体技術、製品の質のよさ、強さ、こういったものを見てまいりますと、日米の逆転現象は構造化してきているように思うんですね。  ですから、ただ単に市場を閉鎖的だというようなことではなしに、もっとお互いがパートナーとして、アメリカと日本のこういった半導体あるいは自動車、鉄鋼その他こういう分野においてお互いが技術的な足らざる面あるいはすぐれた面を協力し合う中で、特にアメリカ国民全体を考えていくと私はそう卑屈――卑屈と言ったら言葉が適当ではございませんけれども、自主規制をするとかあるいはシェアを幾らにしていくとかということでなしにもっと自由にお互いが、こちらも門戸を開放していく、向こうにも門戸を開放さしていくという中で将来を見ますと、お互いの技術が高まっていく、そしてまたそれぞれの国民、国際経済の上でいい方向になっていくんではないかと思うわけです。  まあ交渉中の点等もございますので答えにくい面があるかと思いますけれども、どうも安易な、まあこういうことをやっているからほかの日米摩擦の問題はひとつさわらないようにしていこうじゃないかというためにこうした問題が、例えば自主規制の問題等にいたしましても、シェアをどのくらいにしていくという問題にしても出てきているのではないかというように思うのですけれども、大臣、いかがでございましょうか。
  136. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まず質問が二点あったと思います。なぜ自主規制を設けておるのか、こういうのがまあ簡潔に言えばその質問の一義だと思いますが、米国の自動車産業が困難な状況に直面しているとの認識に立ちまして、通産省は従来から節度のある輸出を心がけるように所要な注意喚起を行ってきたところではございます。なお、情勢を見ますると、日本からの対米乗用車輸出は、昨年度は前年度比が五・四%減の百八十五万台になりまして、またそのうち本年の一から三月につきましては前年度比から見ますると五・二%減、こうなっておるわけでございます。  輸出自主規制につきましては、米国向け乗用車輸出の減少傾向が定着をしつつあることを踏まえまして規制の取り扱いにつきまして検討いたしましたが、自動車をめぐる諸般の状況を統合的に考慮いたしました結果、引き続き輸出の減少傾向の定着状況を慎重に確認することが必要である、このように判断をいたしまして同一の措置を現在は継続しておるところでございます。  また、第二の問題といたしまして御指摘賜りました半導体の問題の基本的な考え方は一体那辺にあるのか、こういうような問題でございますが、現行の日米半導体協定というものは本年七月末をもって期限切れとなるわけでございます。それ以降も現在軌道に乗っている日本と外国の半導体関連企業間の協力関係を継続、発展さしていくことは重要である、こういう重大認識からかかる協力関係の推進に資するような新たなフレームワークづくりというものを目指して、現在、日米両国政府間で話し合いを続けているというところでございます。  その点におきましては、決して決して日本の国が、こちらの側がすべてを譲りながらアメリカ側の主張のある程度言いなりになっているというよりは、むしろ半導体の問題点でもこちら側の意見が相当に強く向こうにも反映されておりまして、私の現在までの報告を受けておる段階の中では歩み寄りはずうっと詰まってはおりますけれども、まだ大筋合意の段階には至ってないというのが現時点の事実であろうかと私は思うわけでございまして、内容にわたってはまた政府委員からも答弁さしたいと思います。
  137. 後藤茂

    ○後藤委員 まあ交渉中その他でまだ答弁がしにくい面もあるかと思いますけれども、今大臣がおっしゃったようなことを十分踏まえてこの問題には対処しておいていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、ちょっとエネルギーの問題、電力の問題について二、三お伺いをしておきたいと思うのです。  私は、実はことしの夏もまた大変心配をしているわけです。通産省あるいは業界は何とか乗り切っていけるのではないかというように見ているようでありますが、そうはいかないのではないだろうかという気がいたしてなりません。もしことしの八月、平年並みの気温だった場合でも最大の電力需要が一億四千百三十三万キロワット、こういうように言われております。そうすると予備供給が千三百七万キロとか言われておりまして、予備率九・二%、これは平年並みの気温であった場合に大体予備率八%から一〇%ということになりますとその中に入ってくるわけでありますけれども、この夏、昨年のような状況も想定をしながら、電力の供給に対して支障を来すというようなことがないというように確信を持っていらっしゃるのかどうか、そのところからまずお伺いをしておきたい。これはエネ庁長官からお答えいただきたいと思います。
  138. 緒方謙二郎

    ○緒方説明員 ことしの夏の電力、大丈夫かという御質問でございますが、数字は先生お示しになりましたように、九電力全体の最大電力で一億四千百三十三万キロワット、供給予備率九・二%という想定をしてございます。御指摘のように電力の需給見通しをつくります需要想定をいたします場合に前提になりますのは、経済成長率あるいは気温の要素、それから家庭電化製品等の普及状況などが前提になります。経済成長率については政府の経済見通しを前提にし、気温は一応平年度ベースで想定をいたします。そして、電気製品などの普及状況等は最新の動向を勘案をして個別に積み上げをしてそれをマクロ経済フレームでチェックするというような手法でやっているわけでございます。  そしてこの夏の電力の見通しでございますけれども、電力の安定供給を図るために昨年の秋から各電力会社で休止火力の復活をいたしますとか、夏季補修の調整をやりますとか、試運転電力の活用をする、あるいは電力会社間の融通調整等を最大限に見込むというような努力をしておりまして、その結果が先ほど申し上げた数字になっているわけであります。したがいまして、これは計算の前提は経済成長率、気温等については申し上げたとおりでありますけれども、仮に景気が予想よりも好調のうちに推移する、あるいは仮に気温が平年よりも高い、昨年のように非常に高いのが続くというようなことになりますと、供給予備率は九・二で見込んでおりますが、この分を食ってまいりますので、供給予備率九・二の範囲内において私どもはこれが適正なところで管理できるものというふうに見ているわけでございます。
  139. 後藤茂

    ○後藤委員 ちょっと細かいことになって恐縮でございますけれども、今長官からお話がございました。その自信で進んでいければ大変結構だと思うのですけれども、幾つかの私たちの予測できなかった要因が最近出てきているのじゃないか。一つは、民生用の電力が予想しているよりも高い伸び率を示していると思うのですね。  例えば、この前もある方と話をしておりますと、自動販売機、これはもうあらゆる場所に設置されております。単にお店屋さんの前ということではなしにもう路上どこにでもある。一体この自動販売機が全国にどのくらい設置されているのか。そしてその自動販売機一台当たりの電力消費がどのくらいなのか。一台当たりはごくわずかだ と思いますけれども、そういった調査がなされているのかどうか。これは、私どもは輸送用、民生用あるいは動力用というようなところだけを大づかみにしておりますけれども、生活構造が非常に変わってくる。産業におきましても二十四時間操業、そしてまた生活も二十四時間生活という方向に出始めてまいりますと、去年、おととし、さきおととしの民生の電力消費というようなものだけでの推定ではいかない面が最近出てきているんじゃないだろうか。  それが昨年異常気象だと言われておりますけれども、単に異常気象を超えて電力需要がピーク時に大変な状況に入ってきたということになっているのですが、もしそうした資料がなければそういう細かい調査というものもこれから必要になってくるだろうというように思います。もうファックスが家庭にも入り始めてきているというような状況でありますし、一台一台の電力消費というものは大変小さいにいたしましても、そのトータルは相当な数字を出し始めてきているんではないかと思いますので、この点、長官、もしおわかりの点がありましたらお答えいただきたい。
  140. 川田洋輝

    ○川田説明員 電気の専門的なことでございますので、私から御説明をさせていただきたいと存じます。  先生最初にお触れになりました自動販売機につきましては、私どもが今手元でとり得る数字をちょっと調べたものがございますが、飲料用、食料用、たばこその他合計で五百三十七万台という台数が今あるようでございます。そしてこれで消費します電力、これはいつも一〇〇%使われるかどうかわかりませんので、一定の稼働率的な考え方を入れて調べてみますと七十四万キロワットという試算数値がございます。したがって、これだけ見るとそう大きな数字ではないわけでございますけれども、御指摘のようにこのところ非常に多く町には目立つようになってまいりましたし、あれだけの大量のものを入れておるわけですから、これからあの動向もよく見ていく必要があるだろうというように思っております。  そのほかお挙げになりました幾つかのアイテム、御指摘のとおりだと思っておりますので、電力需要想定、現在までは比較的ヒット率の高い、よく当たってきた需要想定だと関係者はどうも自慢をいたしておりますけれども、これからは、御指摘のように民生用需要が非常に大きな伸びを示していくということになりますと今までの手法で十分かどうか我々もよく考えていく必要があるだろう。そしてそれに基づいた的確な調査をしてよく把握していく必要があるのではないかというように思っております。
  141. 後藤茂

    ○後藤委員 例示的に自動販売機の問題を提起したわけで、このものにこだわる必要はないし、それでも、七十四万キロワットというのは小さいと言いましたけれども、今原子力発電所のキャパシティーは大体百万キロ、百万キロに近いものをあの小さなといいますか自動販売機が必要としているということは大きいし、それからまた、これからますますふえていくだろうというように考えておりまして、今までそういった需要想定等に対して、こういうものをすべて織り込み済みだと言われるかもわかりませんが、案外そういうことをしっかりと把握してないままに需給計画が策定されているというように私も聞いておるものですから、例示的に申し上げたわけであります。  私も、実は今長官からお話がありました以上に電力の供給体制に対して大変心配しているわけです。これはヨーロッパでもそうでありますけれども、景気の若干の陰りが出てまいりましても、その電力化率というものは非常に高い勢いで進んでおりますし、またGNPに対する弾性値も一時省エネルギーで相当下がってまいりましたけれども、今は高い水準にまた戻り始めてきているわけです。  そうした中で、先般、二〇一〇年には四千万キロの原子力発電をやっていかなければならぬ、数字としてはそう出てくるわけでしょうけれども、この十年間を見ましても、どうですか、今開発しているので約千五百万キロができればいい方だと思うのです。毎年電力の消費が六%も伸びていくということになりますと、五百万キロ前後の開発を毎年毎年進めていかなければ間に合わぬという状況が出てくる。ことしあるいは来年、再来年ぐらいは今長官も言われたようにそれを克服することができるでしょうけれども、なかなかそういかない事態がもう早晩訪れてくると思う。  そこで、大臣、お伺いしたいのですけれども、美浜なりあるいは昨年の福島なりでああいう事故もございまして、定期検査のサイクルを早くしていこうとかあるいは休止に追い込まれていくというような事故による事態も想定していくということになってまいりますと、これはなかなか容易でない事態が早急に訪れてくると思うわけです。したがって、こうした供給体制を将来一体どのようにしていくか。すぐそこまで電力を買ってくるというわけには実はまいりませんで、十五年から二十年の期間を要して百万キロあるいは百二十万キロの電源をつくり上げていくということになるわけでありますから、今からしっかりとそうした対策を講じておかなければならない。  もちろん分散型エネルギーに対しての対応策であるとかあるいは省エネに対する対応策であるとかということも進めていかなければなりませんけれども、これからの電源開発に対しまして、基本的に今からしっかりとどう対応していくかという基本認識をひとつ大臣からお伺いをしてみたいと思うわけです。
  142. 中尾栄一

    中尾国務大臣 電力需給変動への対応のためと申しましょうか、従来より電気事業者間の電力融通というものが行われておりまして、必要な高圧送電施設等が全国的に整備されてきたところでございますが、本年四月に電気事業者から届け出られました平成年度の電力施設計画におきましても、電力融通を一層円滑に推進するために電力会社間の連系線の新設というものが強力に推進されるということになっておるわけでございます。  今後、電力需給の地域間アンバランスあるいはまた電力需給変動等に対応するために、電気事業者間の広域的な運営を一層推進することが重要であると認識しておる次第でございまして、このためには、電気事業審議会のもとにおきましても、送電線網の整備拡充あるいは広域運営の推進方策について現在検討が行われておるところでございます。
  143. 後藤茂

    ○後藤委員 広域運営の問題について私が質問をさらに深めていこうと思う前に、大臣の方から答弁をちょうだいしてしまったわけでありますけれども、投資計画を見ますと、九一年から九三年の投資計画で約十三兆円の投資計画が考えられているわけですが、そのうちの送電、配電など流通設備が約五兆円というようにされているということは、やはり電力の流通設備に対する意欲を私は感じております。ただ、電力会社個々の中における電源と消費を結びます送電網の整備というものは相当進んでいるようではありますけれども、これからは融通問題がもっと積極的に取り入れられていかなければ、全体的に供給予備率はあったといたしましても、そううまくいかないと思うのですね。  最近では、東電と中部電力が東清水に能力三十万キロの周波数変換設備の新設を図ろうとする。御案内のように周波数が東日本で五十ヘルツ、西日本で六十ヘルツでありますから、すぐに融通が簡単にいくというわけじゃない。ここでは二つの問題がありますね。一つは、変換設備をもっと積極的に取り組んでいかなければならない。東清水に対しては単に東電と中部電力だけではなしに、関西電力も、これまでは関西電力は融通をしておった立場にあるわけでありますけれども、これからは受けなければならないという状況が訪れてくるというようなことで、本来ならその周波数変換設備に参加をしなくてもよかったのが、今度は参加していかなければならないということで、共同運営の申し入れもしておるということがあるわけでございます。  こうした周波数変換設備を早急に進めていくと いうことが一つと、それからもう一つは、この融通をよりスムーズにしていくためには高圧送電網を整備をしていかなければならぬ。五十万ボルト、二十七万五千ですか、というようなところがうまく融通されていないと、こうした緊急の融通に間に合わないわけですから、変換設備をやっていくということと、そしてバイパスというのですか、高速道路と同じような高圧送電網というものを広域にしていかなければならないというふうに、大臣、もう来ていると思うのですね。  今まではそれぞれのサービスエリア、消費地に対するサービスエリアだけで賄っておって、本当に緊急のときだけわずかに融通をもらっておけばいいという状況であったわけですけれども、九電力体制に入りまして、ことし五月一日で四十年を迎えるわけです。ちょうど私は、こうした全国ネットにおきます高圧送電の融通電力が十分にできるようにということを進めていく必要があるだろう。  ただ、ここで一つ問題になりますのは、どうしても電源開発の場所というものが僻地に行っている。ただ巨大な発電所だけをつくって、その地域に全くメリットもないではないか。高圧送電ができていけばいくほどその一極集中といいますか、東海道沿線のところだけが利益を受けて、私どものところは依然として過疎地域というままに放置されるということもあるものですから、この点が非常に難しい問題はございます。ございますけれども、やはり全国を高圧送電で大量に広域運営ができるような、そういうエネルギーのパスをつくり上げていくということがこれから大切ではないかという、この二点についてひとつ大臣から、これからの考え方、今ちょっと答弁にございましたけれども、積極的な対応策をお聞きしておきたいと思うわけでございます。
  144. 緒方謙二郎

    ○緒方説明員 大臣のお答えになる前に、一言事務的にお答えをさせていただきますが、先生御指摘のとおりでございまして、これから電源の安定確保を図るためには、それぞれの電力会社がそれぞれの中で努力をすることはもとよりでございますけれども、それに加えて相互間の融通を図ることが必要でございます。相互間の融通、広域運営をしていくためには、そのためのインフラストラクチャーを整備しなければなりません。その一つが周波数変換装置でございまして、現有能力は六十万キロワットの能力でありますけれども、これを今後十年間にさらに六十万キロワット、つまり倍増させる計画で現在プロジェクトが、先生御指摘のものも含めて進行中でございます。  それから、高圧送電線網につきましても、既に西の方については相当整備されつつございますけれども、これらについてさらに整備をするための検討が、現在、電気事業審議会の中の基本問題検討会においてそういう広域運営をいかにすれば円滑に運営できるか、そのための整備の条件は何かという観点からいろいろ議論をしているところでございます。いずれにいたしましても、それぞれの電力会社の努力に加えて、さらに総合的な広域運営体制を整備するように私ども検討しているところでございます。
  145. 後藤茂

    ○後藤委員 今申し上げました状況は、これは相当性根を据えて早急に対応していかなければならぬし、今大蔵大臣もお見えになっておりますけれども、このエネルギーの、特にこういう電力流通の設備のためにはやはり相当な資金も要るわけであります。  そこで、私は大臣に申し上げておきたいのですけれども、百四国会で行政事務の簡素化のための法律案が一括で商工委員会でも審議をいたしまして成立いたしました。そのときにこういう附帯決議を実はつけているのです。「電源開発株式会社の国策会社としての機能を一層発揮させるため、同社の活性化策を実効あるものとするとともに、電気事業の健全な発展を期する見地から、同社に広域電源等の開発を積極的に行わせるよう指導すること。」というのを昭和六十一年の委員会における附帯決議でつけたわけであります。  私は、先ほど申しましたように、九電力体制になりまして四十年、それぞれが努力をして、立派な安定した良質の電力を供給する体制ができた。これがこれからは大変難しい時代に入っていく。つまり、電力の需要に対する供給が足りなくなってくる事態が起こりはしないかということを想定いたしますと、今の広域運営のための送電網の整備等については、こうした電発等にもこれをしっかりとやらしていくような方向をとっていっていいのではないだろうか、そういう状況に今来ていると思います。この附帯決議をつけたまま、今日そのままに来てしまっているのですけれども、大臣、ひとつ積極的な取り組みについて御答弁をいただきたい。
  146. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ただいま委員から御指摘賜りましたような、昭和六十年度でございますか、一年度でございますか、附帯決議がそのまま生きているわけでございますから、これはちょうど九電力、こういう格好で活性化して四十年、まさにその時期に来ていると思いますので、そのような方向で尽力をすることが至当かとも思いますし、また、その方向に努力しなければいけないと私は認識するものでございます。
  147. 後藤茂

    ○後藤委員 もう時間がなくなってまいりまして、これだけで終わってしまったのでは困るのですが、もう一つ要望を申し上げます。  エネルギーをずっと見ておりまして、今までの公益事業法から電気事業法に変わりました。電気事業法あるいは石油業法とかガス事業法とか、幾つかの縦割りのそういう事業法がある。それはそれなりにその範囲の中で努力していく。しかし、これからは今の融通の問題、広域運営の問題とあわせて、多様な電源を分散型に、そしてコジェネでやっていかなければならぬということになりますと、ガス、電気、それから石油というようなものにかかわってくる部分が非常に多くなる。  これは将来の問題ですけれども、ぜひひとつエネ庁等におきましても、こうした、将来どのようにエネルギーをうまく、しかも低廉に良質の安全なエネルギーを確保していくかということになってまいりますと、私はそれぞれの法律にかかわってくる部分が多くなると思う。これはひとつぜひ検討していただきたい。将来誤りないエネルギーを確保していくための法整備というものがこれまた早晩訪れてまいると思いますので、その点について一言で結構ですから、大臣から。
  148. 中尾栄一

    中尾国務大臣 まさに先ほど来先生の述べられておりますことは、大変に正論と申しましょうか、この面においては私どもも日ごろ危惧し、なおかつまた、いそしまなければならぬ問題としてとらえていかなければならぬ必然性を感じますので、そのつかさつかさにおいても考えなければなりませんが、それぞれのつかさつかさでやることもまたハーモナイズさしていくことを強調いたしまして、そしてまた、その意に沿って頑張ってみたいものだ、こう考えておる次第でございます。
  149. 後藤茂

    ○後藤委員 これもエネ庁のかかわりですけれども、非鉄金属にかかわる問題について、これは私、一言要望をしておきたいと思うのですが、いろんな資料を見てまいりますと、銅、鉛、亜鉛あるいはレアメタル等におきましても、これからも需要がどんどん伸びていっている。全体的には、国際商品ですから乱高下が非常に激しいので、みすみす閉山をした鉱山たくさんございまして、私もいまだにその鉱石が目にちらちらする鉱山が幾つかございます。早く閉山にしてしまって惜しいなと思うところが幾つかあるわけでございますけれども、数少なくなってまいりました国内鉱山の維持発展のために、ぜひひとつ努力をしていただきたい。  それはなぜそう申し上げるかといいますと、これからは海外鉱山の確保、開発あるいは技術指導等が必要になってくるわけで、現に行われているわけでありますけれども、やはり国内鉱山というのはそのための技術者の学校でありますし、それからまた優良な鉱山を開発するためには国内鉱山は大切な一つの場所でありますから、このことを申し上げるわけであります。これに対するお答えをいただきたいのが一つ。  それからもう一つは、データを見てみますと、世界の非鉄金属の需要見通しを見ますと、アメリカとか日本とかのこれから十年間ばかりの伸び率を見ますと、それほどの動きはございません。ところが、アジアを見ますと、銅で八十五万一千トンが二〇〇〇年には百八十五万九千トンくらいになってくるわけです。そういたしますと六・七%の伸び率になってくる。亜鉛にいたしましても五%の伸び率になるわけであります。こういうように見ますと、毎年二十万トン規模の鉱山を開発していかなければならないというような状況の中で、我が国がこうした非鉄金属、メタルの資源確保のためにこれからどのような対応をとっていったらいいのか。  もちろんODA等も利用していくということもあるでしょうけれども、先ほど電力の問題で申し上げましたが、これは大切な資源です。その大切なメタル、レアメタル等の資源確保というものに対して、どうもなまぬるい感じがいたしてなりません。国内鉱山の、これは減耗産業でありますから鉱石がなくなってしまえば閉山していかなければならないんですけれども、品位が少々悪くても、これを開発していくためにひとつ徹底的な努力をしていただくということ。それから随伴鉱、非鉄金属関係の銅、鉛、亜鉛等に対していろんなコバルトだとかマンガンとか、レアなメタルが随伴するわけですから、こうした技術を開発することによって品位の悪いものもコストに合うという状況にもなってくるわけでございます。  したがって、こうした非鉄金属の安定確保について、国内鉱山と海外鉱山の開発等に対して、ひとつエネ庁としても積極的な対応策をとるべきではないか。もちろん海底のマンガン鉱等の開発等も課題ではございますけれども、それ以上にこれからの海外の鉱山開発のために、あるいはまた日本の非常に高い、鉱害に対しても非常にすぐれた技術を持っております製錬技術等を生かしていくためにも、こうした金属鉱山の開発と発展のために今後どのように進めていくかということについてお答えをいただきたいと思います。
  150. 緒方謙二郎

    ○緒方説明員 昨年でございますが、鉱業審議会におきまして「九〇年代の非鉄金属鉱業の将来展望」というものをまとめていただきました。この中に、先生ただいま御質問されました点の中の何点か答えが書いてございます。  第一に、世界の需要でありますけれども、先生御指摘のとおり、先進国での需要の伸びはそれほど大きくはございませんが、NIES、ASEANを中心に非常に高い伸びが見込まれております。そこで、そういう需要の中で日本が安定的に資源を確保していくためには、海外における資源開発への積極的参加等世界における資源供給の拡大に貢献していくことが必要である、こういう位置づけをいたしまして、そのために海外における資源開発あるいは途上国への技術移転等に積極的に取り組むとともに、国内鉱山につきましても、資源の最も安定的な供給源であり海外において資源開発を行うための技術涵養の場として国内探鉱の推進等によりその維持、存続に努めることが望まれるというような位置づけをしてございます。つまり、今後世界的に拡大していく需要の中で、日本が資源安定供給に貢献をしていく、そのための足がかり、いわばベースとして日本の国内鉱山というものがあるのだという位置づけになってございます。  それからさらに、鉱山経営の安定化につきましては、先生御案内のことと存じますけれども、金属鉱業経営安定化融資制度というものがございまして、金属鉱山の経営がある一定の価格帯を下回った場合に低利の融資を行い、逆に好調なときにある一定の基準で拠出を求めて鉱山企業の経営の安定を図り、国内、国外での活動の円滑化を図るというような制度が既にとられているところでございます。これらを活用して今後とも非鉄金属鉱業の安定のために努力をしてまいりたいと思っております。
  151. 後藤茂

    ○後藤委員 あと幾つか御質問申し上げたい点があったわけですが、一つは、LPGの確保が今度の湾岸戦争で大変心配をいたしておりました。民間備蓄が五十日、こういうふうになっているわけでありますけれども、私は、国家備蓄を考えていっていいのじゃないか。仄聞するところによりますと、その検討もなされているようでありますけれども、これはひとつ要望を申し上げておきたい。国家備蓄に対する努力をしていくべきではないかということが一つ。  今大蔵大臣もお見えになっておりまして、決算でございますので、民活法にかかわる問題を御質問申し上げたかったわけでありますけれども、この民活法が昭和六十一年にできまして大方五年たっているわけでありますが、この決算書を見ますと、大臣、これはほとんど使用されていないのです。民活法にかかわる民間能力活用特定施設緊急整備費補助金、これが毎年相当額計上されているわけでありますけれども、ほとんど使われていないのです。これは私どもも審議をする過程では成立のために実は大変努力をしたわけでありますけれども、一体見通しが誤っておったのか、あるいはどういう状況であったのか、この点を最後にお聞きして私の質問を終わりたいと思うのです。  例えば六十一年度決算を見ますと、不用額が一億八千三百八十万円ですか、こういう不用額。それから六十二年度におきましても六十三年度におきましても不用額で処理されている金額が非常に高い。実はこれからだというような御答弁になるかわかりませんけれども、予算の執行状況を見ておりますと、不用額がこれほど高い比率にあるということは、やはり政策に見通しの間違いがあったのか、あるいは積算の基礎が十分でなかったのか、その他いろいろな要因もあるだろうと思いますけれども、大臣、この点は、これまではともかくといたしまして、これからどういうようにしていこうと考えているのか、お答えをいただきまして私の質問を終わりたいと思います。
  152. 横田捷宏

    ○横田説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、これまで民間能力活用特定施設緊急整備費補助金、いわゆる民活補助金に毎年度相当額の不用を計上せざるを得なかったということは事実でございます。これは先生も御指摘ございましたように、いわゆる民活法の対象プロジェクトが経済社会の充実に資する新しい施設、それも多くの場合、大規模かつ我が国では実例が全くないか少ない施設ということでございますし、また一般に第三セクター方式ということで官民の協力を十分図って進めるということでございましたものですから、例えば民間と地方公共団体との出資の調整とか施設の規模、内容の計画の詰め、さらには地域振興計画との関係等々で時間がかかったという点が一番大きな理由でございます。  しかしながら、通産省関係で申し上げますと、民活法施行丸四年を経過いたしまして、ようやく二十七件のプロジェクトが動いてまいっておるわけでございまして、ようやく軌道に乗ってまいったというところでございます。  今後は、これらのプロジェクトにつきまして、従来にも増しまして進行管理を関係の事業者、自治体等と密にいたしますとともに、本年度から例えば大店法の重要な一環といたしまして高度商業基盤施設等々の追加もいただいたところでございますので、これまでの反省に立ち、また二十七件の経験に立ちまして、不用が生じないように最大限の努力をしてまいりたいと存じております。
  153. 後藤茂

    ○後藤委員 終わります。
  154. 渡辺省一

    渡辺委員長 北側一雄君。
  155. 北側一雄

    ○北側委員 公明党の北側一雄でございます。  まず最初に、私きょうは製造物責任制度についてお聞きをしたいと思っております。  製造物責任制度については今非常に議論がなされておるのですが、実を言いますと、相当昔からこれは議論をされております。たしか私が学生時代でございますので、もう二十年近く前にも、私自身この製造物責任について勉強した覚えがございます。総理大臣の諮問機関でございます国民生活審議会でもこれまで何度も取り上げられておりますし、二十年近くこれまで議論はされているわ けでございます。そういう意味で、古くて新しいテーマでございます。  この製造物責任制度がなぜ必要か、少し例を示して簡単に説明をしたいと思うのですが、ある電気製品に欠陥があったとします。その欠陥が原因でその電気製品の使用中にその電気製品が発火をして家が燃えた、例えばこういう事例で申し上げますと、被害者がその損害をメーカーに請求したいような場合には、メーカーとの間では契約関係がございませんので、契約責任は追及できない。ですから、メーカーには民法七百九条の不法行為責任で損害賠償を求めていかねばならない。ところが、不法行為責任ではメーカーの過失、また過失と損害との間の因果関係について被害者である消費者側が立証責任がある。先ほどの例でいいますと、電気製品のどこどこの部分に欠陥があること、そしてその欠陥があったことが原因でその電気製品が発火をしたことなどを被害者が立証しなければいけない、こういうふうになります。  しかし、現代の商品というのは家電製品であれ自動車であれ医薬品であれ食料品であれ多くの商品、製品が、高度の科学技術や専門知識によってそうした製品がつくられていることが多いために、こうした立証を消費者が行うのは非常に困難が伴う。そこで消費者保護の観点から、まず第一番目に欠陥があればメーカーの過失を問わない無過失責任である。これが一つ。二番目に、欠陥の存在について消費者がある程度の事実を立証したならば欠陥の存在を推定する、この欠陥の推定規定。そして三番目に、欠陥と損害との因果関係についても消費者がある程度の事実を立証したならば因果関係の存在を推定する。こうしたものを内容とした製造物責任制度というものを創設する必要があるということでございます。  このPL法の必要性については、またこの後、私、述べさせていたださますけれども、このPL法、製造物責任制度創設に向けて現在どのように取り組んでおられるのか、まず最初に聞かせていただきたいと思っております。通産省、また大臣にも後で最後にお聞きしたいと思いますけれども、一番最初に、この問題では一番長い研究をされておられます経済企画庁の方からまずこのPL法について現在どのような取り組みをされているのか、お聞きをしたいと思います。
  156. 平野正宜

    ○平野説明員 御説明させていただきます。  先生御指摘のように、実は私ども事務局をやらせていただきます国民生活審議会というところで昭和五十一年、それから昭和五十六年ですか、二回中間報告をいただいておりますが、私ども経済企画庁といたしまして、今先生御指摘製造物責任制度については現在欧米諸国を中心に無過失責任立法が整備されつつあるという国際的な状況を踏まえて、こういう国際化の進展に対応した制度の調和を図るという観点からも総合的な検討が必要だというふうに考えております。  したがいまして、昨年の十二月に発足をいたしました十三次の国民生活審議会の消費者政策部会の中に製造物責任制度等に関する委員会というものを設けさせていただいて、現在、具体的な検討を進めているところでございます。この進捗状況でございますが、国民生活審議会の任期は二年でございますので、おおむね二年後に最終報告をいただくということで御議論はいただいておりますけれども、本件の重要性にかんがみまして、中間的な審議結果について本年中に消費者政策部会から御報告をいただくように事務局としてはお願いをしているという状況でございます。
  157. 北側一雄

    ○北側委員 経企庁の方、今お話しなされたように、この製造物責任についてはもう大分前から国民生活審議会で何度もテーマに取り上げられておるわけですね。これまで何度これがテーマに取り上げられたか、もう一度御答弁いただけますか。
  158. 平野正宜

    ○平野説明員 繰り返しになりますが、昭和五十一年に消費者政策部会で最初の報告をいただきまして、その後五十六年ということでございますが、その後、実を言いますと、具体的な製造物責任ではございませんが、前回、十二次の国民生活審議会で輸入品の急増に伴う消費者政策としてどういうことを考えるかというときに部会の中で相当の御議論をいただきまして、消費者代表の方方、入っておられる先生方は製造物責任制度を導入すべきではないかという御意見に対して、五十六年の御報告以降、例えば企業の消費者対応の窓口の整備とか、国民生活センターあるいは県の消費生活センターを通じたそれぞれの調停といいますか間に立って仲介の作業をするそういうシステムも随分機能している、そういう日本的な制度の利点を活用した形での対応もあり得るのではないか、こういう御議論がございまして、実は前回の十二次の国民生活審議会の消費者政策部会では御議論がまとまりませんで、継続審議という形で十三次に本格的な検討をしよう、こういうお宿題をいただいたというふうに理解をしております。
  159. 北側一雄

    ○北側委員 今のお話からもわかりますとおり、これまで、昭和五十一年ですから今からもう十五年前、相当長期間にわたって何度かこの問題について政府の部内でもこのように検討されておるわけなんでございます。  今、十三次の国民生活審議会で委員会を設けて検討がなされておるというお話があったのですけれども、もう少し具体的に、今どういうことを検討しておられるのか、御説明いただけませんか。
  160. 平野正宜

    ○平野説明員 中身に入って恐縮でございますけれども、十二次のときに、導入を審議会の報告で書くべきだという御意見に対しまして、今も御説明申し上げましたように、企業あるいは行政サイドでの対応が五十六年当時の報告、実はそういうことをすべきであるという報告をしているわけですが、その報告を受けて随分社会的な環境も変わってきたという御意見がございました。  したがいまして、私ども、現在、今先生が御指摘になられました民法七百九条の前提あるいはいろいろな制度、慣行がございます。それから民間企業の対応の仕方がございます。日本の企業の対応の仕方というのは非常にクレームに対しては前向きに対応しているという実績もございます。そういうものを含めまして、果たして現在の状況で立法化というものがなければ救済できない被害が本当にあるのか、あるいはそれによってどういう問題が起きているかということをまず集中的に御審議をいただきたいということで、審議会のペースとしてはかなりハードなスケジュールでございますけれども、今問題点の洗い出しということをやっている段階でございます。それを受けまして、果たして立法化が必要なのか否かということを今年の後半においてまた御議論をいただける機会があるのではないか、そういうふうに考えております。
  161. 北側一雄

    ○北側委員 先ほどもお話がございました中間報告がこの国民生活審議会の委員会において出される、年内のいつごろに中間報告を出される予定でございますか。
  162. 平野正宜

    ○平野説明員 これはあくまでも委員会でお決めいただくことでございますので、私どもとしては、とにかく年内ということでお願いをしているところでございます。ただ、最終的に委員会の御議論が一つの方向に、つまり中間報告を御発表いただけるようにまとまってくるのがいつなのかというのは、これは事務局としてはなるべく早くというお願いをいたしておりますが、今、私の口から申し上げることは難しいと思います。  ただ、今後、先生御質問の中でいろいろ出てくると思いますが、製造物責任、製造物といったときに、製造物によって非常にいろいろな性格の違うものがございます。例えば、薬のように被害が副作用という形で次の世代にかかわるような非常に長い期間を見なければわからないものと耐用年数の非常に短い工業製品みたいなものと、恐らくこの製造物責任制度を考える場合は大分違ってくるだろうということで、製造物の性質によってそれぞれの議論を深めていかないと最終的な報告にはならないという理解をしておりますので、実を言いますと相当の回数の御議論をいただくように私ども今考えているところでございます。
  163. 北側一雄

    ○北側委員 その中間報告でこの製造物責任についての方向づけといいますか、ある程度の議論が 出てくるものであるというふうに私は期待をしております。  それで、この製造物責任につきましては、大臣もよく御存じかと思うのですが、これは日本だけではなくて、アメリカではもう三十年も前から製造物責任に関する多数の判例法が集積をされております。また、ECでも一九八五年にEC指令が出まして、来年の九二年のEC統合までに加盟国の制定を義務づけている。今イギリス、ドイツを初めとしてECの中の九カ国でもう既に法律がこのPLについて制定されて、そのほかの国でもこれに間に合うように現在審議されている。さらには、北欧諸国を初めとするEFTAの諸国でも同じように制定されたり、また審議もされている。このように、アメリカや欧州、このPL法の制定というのは今世界の大きな流れにもなっているのじゃないかというふうに私は思います。  二番目に経済のグローバル化。貿易が非常に急速に、輸出も輸入も拡大をしております。この経済のグローバル化の流れというのは、恐らくこれからもますます急速に進んでいくのではないか。経済の相互依存がますます強まっていく、深まっていくでしょうし、またそうでなければいけないとも私は考えます。アメリカやヨーロッパではPL法があるのに、世界のナンバーワンの貿易立国とも言われております日本でこの製造物責任法、PL法がないというのは、このような時代の流れの中で制度の整合性が果たしてあるのか、これが二点目です。  三点目に、今やはり時代が生産優位から大きく消費者優位、また生活者優位の時代に入ってきて、こういう生活者優位、消費者優位という考え方が定着しつつございます。そうした流れの中でもこのPL法というのは位置づけられるのではないかというふうに私は思います。  こうした中で、我が公明党も去年の二月に、大臣も御存じのようにPL法の法案要綱を発表させていただきました。その後も消費者団体の方々とか弁護士会とか学者の先生や、また関係省庁の方方、保険会社、業界の方々からも御意見を賜りまして今一生懸命勉強をしておるところなんですけれども、現在、衆議院の法制局の方で法案の作成を一生懸命詰めているところでございます。  何とか次の国会には公明党の方からこの製造物責任法案をぜひ提出させていただきたい、そう思いまして、今一生懸命やっているところなんですが、通産省も九〇年代の通商産業政策のあり方、九〇年代のビジョンですね、ここでこのようにこのPL法について述べておられます。「製造物責任制度は、」「基本的に消費者保護の充実に資するものとして評価し得るものであり、既存の安全規制との関連、消費者救済の実効性、保険制度等の履行確保制度のあり方、産業に及ぼす影響等に配慮しつつ着実かつきめ細かな検討を行っていく。」というふうに九〇年代通産ビジョンでもPL法について触れておられます。  通産省がこのPL法について今どのような取り組みをなされておられるのか、御答弁をお願いいたします。
  164. 坂本吉弘

    ○坂本説明員 製造物責任制度につきましては、通産省におきましても、消費者保護という観点を一歩進めるものとして大変重要な制度であるというふうに認識しております。また、国際的な動向につきましても、ただいま委員指摘のような状況にあることを考えながら、本問題の持つ大変複雑な問題ということにも一方において配慮しなければならない。民法の重大な例外をつくるということに踏み切るに当たりましてのいろいろな問題点を整理しようということで、ただいま財団法人日本産業協会に消費者代表また産業界の代表という方々に集まっていただきまして、昨年の夏から製品安全対策研究会というものを発足させたところでございます。  これにつきましては、製造物責任制度のみでなく、いわば製品によってその使用方法あるいは品質によって消費者に被害が及ぶというようなことのないよう、そのほかの安全対策についても議論をいたしているわけでございます。私どもといたしましては、この研究会の報告を六月ころには得たいというふうに考えて今取り組んでいるところでございます。
  165. 北側一雄

    ○北側委員 今その研究会での審議、研究がなされておる、これが六月ごろにまとまる予定ですか、これは発表はなされるわけでしょうか。
  166. 坂本吉弘

    ○坂本説明員 発表いたします。
  167. 北側一雄

    ○北側委員 大臣、今るる必要性を述べておるのですけれども、例えば従来のカネミ油症事件とかスモン事件のような大規模被害の場合でも、最終的には裁判である一定の被害請求が認められたわけなんですが、非常に多くの時間と労力と費用とをかけまして、本当に十年単位の時間をかけてやっとかち取っている。大規模事件であれ、こうなわけですね。ましてや小規模な単発の被害についてはメーカー側に損害を求めるのは非常に困難であるというのが実情でございます。また、国民生活センターの方にはこの十年間で毎年約二千五百件の危害情報の届け出、これは恐らくごく一部じゃないかと思うのですけれども、そういうのが届いておるという状況にもございます。  私はやはり、今まで述べましたさまざまな必要性の観点から、今この製造物責任制度、PL法制度、これを我が国でも積極的に前向きに取り入れていくべきときじゃないかなというふうに痛感をしておる次第でございます。大臣の御認識、御見解をぜひお聞かせ願いたい。
  168. 中尾栄一

    中尾国務大臣 先ほどから北側委員の御意見、いろいろ拝聴いたしまして大変感ずるものもございますが、私どもも決してこれをおろそかにしているわけではございませんで、まず、通産省としましては、消費者被害の救済の充実と消費者の安全の確保というものを図る観点、この問題点を極めて重要視しておりまして、製造物責任制度が有する意義について認識をしておるつもりでございます。  欧米における制度の状況等を中心とした調査研究をまず行っているところでございます。本制度は、民法の原則に対する重要な例外をなすものではございますが、基本的には消費者保護の充実に資するものとして評価し得るものである、こういう認識に立っております。  制度のあり方については、まず消費者救済の実効性、あるいはまた、ただいま委員指摘保険制度等の履行確保制度のあり方、これは、いろいろ諸外国を調べますると、例えば現在、確かに委員指摘のとおり、ECなどにおきましては、一九八五年のECの指令を受けまして、加盟各国の法制度の統一を図るべく各国で立法化が進展中でありまして、平成三年五月現在にはEC指令によるところの対応を図ったのは、イギリス、ギリシャ、イタリア、ルクセンブルク、デンマーク、ポルトガル、ドイツ、オランダという八カ国でありますが、片方、米国におきましては製造物の責任訴訟件数の増加、賠償額の高騰によりまして保険制度が破壊してしまっておる、ある意味においてはいわゆる製造物責任危機と呼ばれる状況にもなっておるということもこれは勘案しなければなりません。  これに一定の制限を課すべく連邦法の提案、いずれも廃案となっておりますけれども、この州法の改善等がなされてきているところであることも勘案しながら、関係各界に及ぼす影響を十分に踏まえながら、ただいま先生の所属いたしまする公明党におきましてもその点を大変に御努力を賜っておるということも認知しておる次第でございますけれども、どうぞ今後とも着実、なおかつきめ細かな検討を行っていく必要があるかな、このように考えておる次第であることを述べさしていただきたいと思います。
  169. 北側一雄

    ○北側委員 今製造物責任危機のアメリカの話をされたわけなんですけれども、これはアメリカでは弁護士制度にしても、それから法制度も大分日本と違っておりまして、弁護士の報酬にしても非常にばかでかいとか訴訟がしやすい法制度になっておるとか懲罰的な損害賠償制度があるとか、日本とは大分違うのですね。日本では、そのように アメリカで起こっているようなクライシスは恐らく起こってこないと私は思いますし、大方の方はそういう意見を持っております。  さまざまな問題点、幾つかの課題があるということは私も熟知しておるわけですけれども、ぜひ今の大きな時代の流れというものを御理解いただきまして、前向きに御検討を、積極的な御検討をお願いしたいと思います。  それでは次に、大蔵省に御質問をさせていただきたいと思います。  相続税の土地の評価の問題でございますけれども、相続税につきましては、相続税の資産評価については時価によるというのが大原則でございます。ところが、その土地の評価につきましては、現実にはなかなか、地価の高騰という事象もあったこともありまして土地の時価と相続税の土地評価とがかなり乖離があるということが言われております。  先般、土地の有利性を縮減する地価税が成立いたしましたけれども、同じ趣旨で土地の有利性を縮減するためにも、また相続税の本来持っている資産の再配分機能を全うさせるためにも、また土地とほかの財産、特に金融資産との間で評価の違いから節税対策が可能であるなんということを防止するためにも、私は相続税の土地評価についてできるだけ時価に近い評価がなされるようにしなければいけないというふうに考えております。この点、大臣、いかがでしょうか。
  170. 山口厚生

    山口(厚)説明員 極めて実務的な話でもございますので、私の方から回答させていただきます。  委員指摘のように、地価税法案に対する附帯決議におきましては、「地価税の課税の基準となる相続税評価の水準等については、公的土地評価の均衡化、適正化の観点を踏まえ、平成四年分の評価替えに当たり、所要の適正化を行うものとする」、こういうことが決議されたところでございます。また、このような相続税評価の適正化につきましては、昨年十月に政府税制調査会の答申、これは土地税制のあり方についての基本答申ですけれども、それから本年一月には総合土地政策推進要綱、これがございました。ここにおきましても指摘されているところでございます。  国税庁といたしましては、この附帯決議等の趣旨に沿いまして評価割合の引き上げについて検討しているところでございますが、具体的な引き上げ幅を決定するためには、今後、実際の土地取引におきます取引価額と相続税評価額との関係等につきまして調査をして検討する必要がございます。そのため、評価割合の引き上げ幅を明らかにするまでには、土地の取引価額等の実態について平成二年分の譲渡所得事案を整理した上で相続税評価額との関係等を分析、検討する必要がございますので、今後数カ月程度の期間を要するものと考えているところでございます。
  171. 北側一雄

    ○北側委員 公示価格との関係での評価割合についてあと数カ月ぐらいで結論が出るということでございますね。  前にも少し質問をさせていただいたのですけれども、今回地価税が創設されました。今度は相続税とは別に地価税の評価の基準にもこの路線価がなってまいります。路線価地域の拡大をしなければいけないのではないかということを私は質問させていただきまして、その際は、現在、宅地の中で三割ぐらいの路線価評価の地域があるんだけれども、これを一・五倍にするんだ、また標準地の数を、現在十七万あるのを二倍を目指していくんだというお話がございました。これはいつごろまでになされるのか、その辺の御答弁をお願いいたします。
  172. 山口厚生

    山口(厚)説明員 御指摘になりました路線価地域の拡大と標準地の増設についての具体的な今後のスケジュールでございますけれども、先生御承知のとおり、鋭意地価税におきます土地等の評価につきましては相続税評価を活用することとされているところでございます。  ところで、現在の相続税評価の実施というのは、これは偶発的で、また個人にかかる税であります相続税及び贈与税を対象にしているものでございますので、他方、地価税の方は経常的でまた個人、法人を問わず課税されるという、そういう特性がございます。ですから、この地価税に活用するには必ずしも十分ではございません。したがいまして、地価税の導入に当たりましては、御指摘のように標準地の増設、路線価地域の拡大等により評価制度の一層の向上を図る必要がございます。そのため平成四年分につきましては現行の標準地、今大体十七万地点ございますが、これを約二倍程度に増設をいたしますとともに、現在約四十万ヘクタールの路線価地域、これを約五割程度拡大をしていく必要があると考えているところでございます。  そのための具体的なスケジュールにつきましては、今後各国税局ごとにそれぞれの管内の地価の実情に応じて標準地の増設等を決定してまいることになりますけれども、平成四年分の土地の評価から評価時点を一月一日とすることといたしております。したがいまして、その時点での評価に間に合うような標準地の増設等を決定してまいりたいと存じます。
  173. 北側一雄

    ○北側委員 最後に一問だけ質問させていただきます。  大蔵大臣、地価税の税収の使途の問題、これは附帯決議でも書かれておるのですけれども、だから、これから検討がなされるところであるというふうにはよくわかっているのですけれども、ひとつ私の提案をぜひ聞いていただきたい。  今、地方自治体が公共用地を拡大するための財源がなかなかございません。御存じのように先ごろの国会で農地の宅地並み課税の問題に関連いたしまして生産緑地法が改正されまして、従来の長営制度が廃止されまして、これが都市計画上の生産緑地の方に移行されるような形での改正がなされました。生産緑地に都市農地が指定されますと、処分についても、それから使途についても制限がされるわけなんですけれども、この生産緑地の場合は、その所有者が一定の要件のもとで地方自治体に買い取り申し出ができるのです。まずそれをやらないと処分ができないような法制度になっております。  だから、今回そういう生産緑地がふえますので、これからそういう申し出が恐らくたくさん出てくるであろうと思いますので、地方自治体としては買い取り申し出があった場合に、将来のインフラ整備のためにもぜひ買い取りたいんだけれども、実際はなかなか地価の高騰とそれから財源がなかなかないために、もう本当に買いたいんだけれども買えないというのが現状でございます。  それで、この地価税の税収の使途、さまざまな議論があるかと思いますけれども、私はぜひこういう公共用地拡大のための財源、特に地方自治体のそういう財源に使えるような、また補てんできるような、そういうことに資するような使い方ができないものかどうか、御検討をお願いしたいと思います。大臣、この税収の使途についてどのようなお考えか、ぜひ聞かしていただきたいと思います。
  174. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 私ども平成年度予算編成、税制改正内容を確定いたしますまでにこの問題について結論を得ると申し上げてきておるわけでありまして、今具体的に御提案がありましたことそのものにお答えをするには不適当な時期と、その点はどうぞ御理解をいただきたいと思います。  その上で、今委員が御提起になりましたようなお考えも含め、私は本院また参議院におきまして、地価税の使途についてさまざまな御提言をいただきました。そしてまた、非常に有益な議論も闘わせていただきました。これは非常に、私は地価税の使途というものを考えていく上で意味が大きかったと考えております。そしてその御論議というものは、政府税制調査会の方にも税制調査会そのものの御審議の資料としてお使いをいただくようにお届けをするということをお約束をいたしてまいりました。今委員が御提起になりましたようなお考えも、同様に私としては取り扱わせていただきたいと考えております。  いずれにいたしましても、その中から我々は最 善の道をこれから探さなければなりません。そうした中における一つの御提言として拝聴をさせていただいた次第であります。
  175. 北側一雄

    ○北側委員 ありがとうございました。     〔委員長退席、魚住委員長代理着席〕
  176. 魚住汎英

    ○魚住委員長代理 東祥三君。
  177. 東祥三

    ○東(祥)委員 公明党の東でございます。  本年二月にも商工委員会でオゾン層の保護法について質問させていただきましたけれども、地球環境を守る危急存亡のときという視点に立って引き続き質問させていただきます。  二月に私がワトソン・プレーザー論文について言及いたしましたとき、内藤局長の方から、その前提はフロン以外の新たな規制物質を含めてすべてのものをもとに計算されており、また第二世代フロンや将来のものも含んでいるとの御答弁をいただきました。  さて、先月、四月四日、アメリカの環境保護庁、EPAが、アメリカ上空でのオゾン層の破壊の状況について発表いたしまして、従来の予想より二倍も進行していたという発表をいたしました。詳しくそのもとの部分を伺いますと、現在の規制の前提となっている、コンピューターで計算しているいわゆるワトソン博士の研究であるとのことでしたけれども、通産省はその事実関係をどのように見られているのか、お答えください。
  178. 内藤正久

    ○内藤説明員 今委員指摘の四月十六日にアメリカ上院の科学技術宇宙小委員会でNASAのワトソン博士が発表された論文につきまして、現在、我々検討中でございます。  それが今御指摘の新聞等に一部報道されたものでございますけれども、その内容、現在、我々理解しておりますところでは、成層圏のオゾン層の状態につきまして、気象観測専門衛星でございますニンバス七号に搭載されましたオゾン全量広域分布測定スペクトロメーターという装置によりまして測定が行われていた。それで、従来特に北半球の中緯度圏において測定に偏りがあると言われておりました。これは地上からの測定によっておったわけでございます。  したがいまして、従来は北緯三十度から六十四度までしか探査ができなかったわけでございますけれども、今度は宇宙衛星を通じてやっておりますので、南緯六十五度から北緯六十五度まで全体をカバーできるようになった。それで、北半球におきます中緯度のところの偏りというものが従来推定されておりましたものを観測値で出したというのが今回の結論だと思っております。その中で北半球の中緯度地域、特に冬季におきます三十度から四十五度北緯の点について、従来の報告では三ないし五%の減少と言っておりましたのが九プラス・マイナス三%の減少ということで、約二倍ぐらいの減少があるという結論が出てきたものだと思っております。  ただ、これの今後の評価でございますけれども、このワトソン博士、世界の第一人者でございまして、明年には環境科学アセスメントパネルでその結果を取りまとめまして、その結果、今後対応する必要があるかどうかということをなお検討することになっております。したがいまして、塩素濃度との関係で現在の体系ができておりますけれども、塩素濃度との関係についてはまだ解明が今後なお行われるというところでございます。  したがいまして、今回の結論につきましては、我々とりあえずの専門家の意見を聞いてみますと、偏りがあるということは理論的にわかっておったものであるから、特に目新しいものではない、かつ衛星観測のデータによる偏りが補正されたという点あるいは九〇年の最新データがとれたという点、そういう点が新規なものであるということで、それのオゾン層保護対策に対する意義につきましては今後なお検討が行われるものと理解いたしております。
  179. 東祥三

    ○東(祥)委員 現在の規制に関しての科学的な根拠というのはまだ十分なものではないようですけれども、事実として既にこれも先般の二月に申し上げたことでございますが、二千百万トン以上に上るフロンがもう放出されている。そのほとんどのフロンがこれからいよいよオゾン層破壊の予備軍になって、正規軍に多分なっていくんだろう。こういう事実を考えたときに、今我が国がなさなければならないことは一体何なのか。  それは、短絡的な言い方をいたしますと、まさに日本のフロンの消費構造の特殊性というのを技術力によって克服していかなければならない、一日も早くフロンを全廃することではないのかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  180. 内藤正久

    ○内藤説明員 委員指摘のとおりでございます。したがいまして、まず科学的知見に基づいていかなる削減対策をとっていくことがオゾン層保護のために必要であるかという科学的知見がまず基本だと思っておりますが、それを前提にいたしまして技術開発による対応を図っていく。要するにフロンを使って生活の糧を得ておる中小企業の方々等たくさんございますので、そういう意味で必要最小限の使用は環境と同調し得る限りにおいてやはり必要だと思っておりますので、技術開発をやる。それから地球環境、地球全体での問題でございますから、発展途上国を含め同一歩調をとるように、みんなで協力するよう心がけていくという説得あるいは国際的な場における取り込みというふうなこともあわせ必要だと思っておりまして、基本的にオゾン層保護の観点からそれの全廃の時期を可能な限り早める。当然、環境が大前提でございますけれども、そういうことが必要だという認識については、委員の御認識と一緒でございます。
  181. 東祥三

    ○東(祥)委員 NASA、米国航空宇宙局の科学者の発表によりますと、現在のオゾン層消失の結果引き起こされる皮膚がんによる死亡者数は二倍に増加して、今後五十年間に米国で二十万人が死亡するだろうという衝撃的な情報を発表しておりますけれども、今局長おっしゃるとおり、科学的な知見に我々依存しなければならないわけですが、今後新たな科学的な知見を待っている間にもし数多くの人が皮膚がんで亡くなってしまったならば、問題は、今ではなくて未来の世代に何と我我の先祖は愚かだったのかと非難されないのでしょうか。そういう意味では、まず現在手に入る科学的知見に基づいて断固としてフロン全廃を実行することが重要であると私は考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  182. 内藤正久

    ○内藤説明員 全廃の必要なことは先ほど来るる申し上げておるとおりでございますが、その前提として、科学的知見、それぞれ進歩はいたしますけれども、現在の科学的知見でいいますと、塩素濃度とオゾン層の破壊ということの相関関係の中で見られております。  それで、委員御案内のとおり、生産されたものが即排出されるということで、一番影響が強く出る形でシミュレーションをいたしております。かつ、現在想定されております削減計画を、削減を実施しないという前提でのシミュレーションがこの前から議論になっておりますワトソン・プレーザー・モデルでございます。したがいまして、非常に余裕がある、現在の知見から見れば安全度を非常に見た推計でございます。それに基づいて、現在のスケジュールでの撤廃ということで、二十一世紀末には十分に回復し得るということになっておるわけでございます。そういう意味では、地球環境問題についての現在の科学的知見における歯どめは十分にできておるものだと思っております。  したがって、今おっしゃるように、早急に全廃するというのは一つの理想論でございますけれども、他方、それを使って製造等に当たっておる中小企業、そこで働いておられる方々という現実の生活者が多数おるわけでございますから、科学的知見の許す範囲内ではその使用は認めていくということが現実的にとり得る策だと思っております。したがいまして、理想として全廃すべきだという点については委員の御指摘と同感でございます。
  183. 東祥三

    ○東(祥)委員 諸外国の規制スケジュールについて調べてきました。もちろん内藤局長のお持ちのデータの方が正確だと思いますけれども、幾つか 例を挙げさせていただきます。  ニュージーランドの場合ですと九八年までに全廃、オランダは九八年までに全廃、カナダは九七年、ECとしては九七年七月までに全廃、ドイツは九五年までに全廃、スウェーデンも九五年までに全廃、オーストラリアは九四年から実質的に全廃、このように決定ないし手続中ということでございます。また、これ以外の多くの先進国も今後次々に前倒し規制を決定することが見込まれている中で、世界のフロン消費、フロン需要の一割強を占める技術先進国の日本がなぜ前倒し規制、早期全廃を正式に宣言することができないんでしょうか。  法律を読みますと、第三条に、基本的事項として生産量、消費量の基準限度を公表することになっているわけですけれども、この中にはっきりと全廃、前倒しを国民並びに世界に宣言するつもりはありませんか。ぜひとも前向きな御答弁をお願いいたします。
  184. 内藤正久

    ○内藤説明員 委員指摘のように、各国、国際的な約束よりも前倒しをして全廃という国があるわけでございますけれども、それぞれの国の消費実態における違いがあると理解をいたしております。要するに、日本の産業構造上エレクトロニクスの分野が非常に高いわけでございまして、そこに用いられる洗浄用のフロンというのが日本では大きなウエートを占めておるということでございます。他方、外国の場合には、エアゾール用等に用いられているものが多い。それは、日本の場合には既に過去ほぼ使用しない方向に持ってきておりますし、比率としては非常に低いものになっております。  したがいまして、現状から幾ら削減していくかといった場合に、使用実態に応じてやりやすい国と構造上やりにくい国とがあるということでございます。日本の場合には、そういう産業構造からいって、お挙げになられましたニュージーランド等に比べてやりにくいという面がございます。  ただ、そうだからといって放置していいわけではございませんで、例えば電子工業の大企業というのは九五、六年までにはフロンを使わない製造工程を一般化するということで非常に努力をいたしております。したがいまして、そういう分野はかなり早い段階で全廃に踏み切っていくものと期待をいたしております。  ただ、何度も申し上げておりますように、中小企業、例えばクリーニング屋さんでございますとかそういう方々、まさに生活の糧でございますので、それも含めて全廃というのはいかがかというふうに思っておりまして、例えばドイツの最近の発表をごらんいただきましても、許可を得てクリーニング業等は使えるということで、表向きは全廃と格好のいいことを言っておりますけれども、その実態は、やはり実態に合った形で対応がとられているものと理解をいたしております。
  185. 東祥三

    ○東(祥)委員 通産省が真剣に頑張られているということは私はよく理解をしておるのです。そしてまた、日本が閉鎖された社会であれば全く問題ないと思います。局長の言われるとおりだろうというふうに思います。  しかしながら、残念ながら日本がこれだけ経済大国になってしまった、また世界全体が相互依存体制にますます踏み込みつつある、そしてまた、今出てきている問題というのが国境を越えてしまう地球環境の問題であるというところに最大の問題があるわけです。日本が一国で一生懸命努力している、また産業構造も他国と比べた場合全く異なる、よくわかります。しかし、だから日本はまだいいんだ、そういうことにはならないような状況になってしまったところに問題があるわけです。  前回、局長の方から運用を前倒ししていくことはできる、こういう御発言もありましたけれども、この運用のみならず、国民に宣言していく、また世界に向かって宣言していくということが今の状況下において大切なことなんだろう。そういう意味で、まさに国際社会における日本の姿勢そのものが問われているんだ、こういう意味でぜひとももう一度御発言願いたいと思います。簡単でよろしいですから。
  186. 内藤正久

    ○内藤説明員 現在のスケジュールを早めて削減をいたしたいということで、改定前、前回のモントリオール議定書会合前には九三年、九四年というのは基準年次に比べまして八〇%の生産ということになっておりましたけれども、その九三年を待たず九二年の後半から少なくとも八〇%ということを前倒し実行したいと思っておりまして、それを通産省公報で国内で宣明をいたしております。したがいまして、単なる指導ということではなくて、政府の姿勢として、方針として公表をいたしておりますので、その点、委員の御指摘のとおりの宣言をさせていただいております。  かつ、それを国際的に十分に理解を求めるべきではないかという点についてもおっしゃるとおりでございますので、我々はことしの六月に行われます締約国会議等でもその方針を踏まえて十分に対応いたしたいと思っておりますし、PRの観点で、例えば「ニューズ・フロム・MITI」という英文のパンフレットをいろいろなところへ配っておりますけれども、今度、オゾン層保護対策、日本の対応というのを広く世界にもばらまきたいと思っておりまして、日本の努力、かつ、その正確な評価を得べく努力をしていきたいということでございます。
  187. 東祥三

    ○東(祥)委員 もう一歩踏み込んでいただいて、運用の前倒しだけではなくて、要するに二〇〇〇年以前に全廃していいわけですから、そこまで踏み込むことができないとするならば、一体なぜできないのか、具体的な理由を言ってください。
  188. 内藤正久

    ○内藤説明員 可能な限り二〇〇〇年を待たず可及的速やかに全廃したいという理想は我々も持っております。したがいまして、昨年七月に通産大臣から四十八団体を集めましてそういう指導をしていただきましたし、ことしの七月にも改めて大臣からそういう指導をしていただきたいというふうに思っております。  ただ、それを具体的に、例えば九七年に全廃しますということを今宣言できるかということになりますと、代替物の技術開発の状況でありますとかあるいは科学的知見の実態でありますとか、そういうところによって今後なお流動する要素がございますので、現在は、形としては、国際的な形で決められたものは誠実に実施するのみならず、可能な限り実態的に前倒しをしていく、それを大臣みずから業界の指導に当たっていただくということを今後とも続けてまいりたいと思っております。
  189. 東祥三

    ○東(祥)委員 フロンの場合、規制開始前の二、三年の間、大幅に需要が伸びているということは前にも指摘したとおりでございますし、このような失敗を繰り返すべきではないということを申し上げましたけれども、トリクロロエタンとそれから四塩化炭素について現在どのような状況なんでしょうか。最近の三カ月間の実績はないというふうに言われているのですが、手に入るデータに基づいて、この点についてお伺いしたいと思います。
  190. 内藤正久

    ○内藤説明員 委員指摘のとおり、新たに1・1・1トリクロロエタン及び四塩化炭素が今後規制の対象になるわけでございますので、既に昨年七月に通産大臣からその使用の合理化に着手するよう業界に要請したところでございます。  それで、1・1・1トリクロロエタンでございますけれども、これは電子の洗浄用に用いる場合、トリクロロエチレンあるいはテトラクロロエチレン、これが発がん物質であるということで使用を制限することになってまいりましたので、その代替物という形で使用がむしろシフトするという方向にあったわけでございます。それで、化審法の第二種特定化学物質にもトリクロロエチレン等を指定いたしました。それから、フロンの113の規制が前倒しされるというふうなことで、シフトが非常に起こり得る状況であったにもかかわらず実は安定的な動きになっておるということで、むしろ努力が行われておるものだと理解しております。  それで、今具体的な数字のお尋ねでございますけれども、1・1・1トリクロロエタンの十二月の前年比が九六・八、一月が一〇二・五、二月が九五・三ということで、前年に比べて減少傾向が明確に出始めております。四塩化炭素につきましては、同様に、十二月が九六・一、一月が九三・七、二月が八二・一ということで減少傾向がございますので、この傾向をぜひ定着させていきたいと思っております。
  191. 東祥三

    ○東(祥)委員 これはできれば大臣にお答えしていただきたいのですけれども、時間の関係で質問要旨を一つ一つ質問できませんので飛ばします。重要な部分だけ聞きます。  新聞等で報道されておるのですけれども、代替フロンの134aがいよいよ本格的に生産される、このように言われております。しかし、これも前回指摘しましたとおり温室効果が非常に大きいものでございますし、もし業界各社が一斉にプラントをつくり出すとどのようなことが起こるのか、今までのパターンで考えてみますと、過剰生産が行われる、価格の低下が起こる、そして市場が拡大していくというのが今までのパターンでございます。そうすると、温室効果という視点から考えますと、このフロン134aというのは、私の手にある資料に基づきましても、炭酸ガスの一キログラム当たりの温暖化効果を一といたしますと、このフロン134aというのは何と三千二百倍です。そのような温室効果を持った数万トンのフロン134aがもし生産されるということになりますと、数億トンの炭酸ガスを放出するということになってしまう。まさにこれは地球環境にとって致命的な活動になってしまうわけです。  そういった意味からしまして、今後続々工業化されるでありましょうこの代替フロンも含めて、プラントをつくる前に、プラントを立ち上げる前に、行政指導でも、あるいは行政指導できない場合は別の手段でもって集中生産あるいは委託生産の措置をとって、とにかく無秩序な市場原理あるいは過当競争を防ぐことはできないのでしょうか。御答弁お願いします。
  192. 内藤正久

    ○内藤説明員 委員指摘のとおり、第一世代フロンから第二世代フロンへの移行の過程で、第二世代フロンの製造設備が過当投資されるのではないかという御指摘でございますけれども、実は、実際上のフロンの使用を全く行わない製造工程に変える、あるいはフロンを使用しないで発泡する断熱材をつくるというふうな方向が主流になっておりますので、フロンあるいは第二世代フロンを含めましてその使用というのは、二〇〇〇年水準を見ていきますと四〇%ぐらいに使用分野が限定されていくのではないかと思っております。  かつ、それを使用する企業というのは、公害防止に協力する企業というのは企業イメージとしても非常にいいということで、ユーザー側企業においての努力が非常に進んでおりますので、実際上はその供給に必要な設備投資が十分に行われるのかどうかというふうな懸念も一部であるわけでございます。したがいまして、その辺のことを両にらみしながら、必要な量の供給は行う、ただ不必要な過当競争は行わせないということを基本的に今後とも考えていきたいと思っております。  なお、今炭酸ガスとの比較で温暖化効果をおっしゃられましたけれども、比較の問題でございまして、現在のフロンから第二世代フロンに代替された場合には、例えばフロン12が134aに振りかわりますと十分の一の温暖化効果でございますし、11が123にかわりますと約五十分の一の温暖化効果である。あるいは、そういうふうなものを冷媒用あるいは発泡用として用いられた冷蔵庫、冷凍庫あるいは住宅というふうなものと、他のエネルギーを使っておって炭酸ガスを排出したであろうということによって生ずる温暖化効果とを比べますと、むしろこれを使った方が温暖化効果は少ないという分析もございますので、その辺、総合勘案しながら対応を図っていきたいと思っております。
  193. 東祥三

    ○東(祥)委員 その点については、基準の問題ですから、もっとより専門的に研究していただいて結論を聞かせていただきたい、このように私は思います。  ただ、先ほど局長が言われましたけれども、その点で考えていきますと、指定物質、要するに代替フロン三十四種類ある、この指定物質の事後通告というのはなされているようにお伺いしますけれども、事前の通告というのはなされないわけですね。事前の通告がなされないということは、どのように代替フロンが生産されていくのか、あるいはその代替フロンが別の悪い影響を持ってきたときにどのように規制するのか、こういう問題が生じたときに、またフロンと同じような問題をここで惹起させることになってしまうのではないのか、この点についてはどうですか。一分でお願いします。
  194. 内藤正久

    ○内藤説明員 例のワトソン・プレーザー・モデルで、第二世代フロンも含めて二〇二〇年ないし四〇年に廃止をすればいいということになっておりますので、それに見合った形で対応を図っていくのが当面の形でございます。  ただ、それの使用削減をやる、合理化をやるということが基本でございますので、その指導は今後とも強めてまいりたい。かつ届け出につきましては、事前に我々情報はとっておりますけれども、正式の法律上の届け出は、この前の法律改正でやっていただきましたように事後の届け出ということでございますので、適切な法運用を図ってまいりたいと思います。
  195. 東祥三

    ○東(祥)委員 最後に一つ提案させていただきますが、昨日、通産省の方にここにあるレポートをお渡しさせていただいたわけです。これはイギリスのとそれからフランスのレポートでございますが、プロパンガスを使った小型の冷凍機の開発に関する報告書がこれでございます。家庭で使うエアゾール製品にもLPGというのが使われているわけですけれども、それよりも少ない量で安全にすることが十分に可能であるとこのレポートにおいては結論しているわけです。  そうしますと、日本の場合、ルームエアコンだとかあるいは小型冷蔵庫に使われているフロンのかわりにプロパンガスを使うことができると私は思うのですけれども、我が国ではこのような総合的に環境等に配慮した技術を研究しているのか。また、もし民間企業ができないとするならば、国が何らかの形でやるべきだと私は思うのですけれども、具体的にそのようなお考えはありますか。また、このプロパン利用技術を検討される意思はあるのかどうか。この点についてお伺いしたいと思います。
  196. 内藤正久

    ○内藤説明員 委員から昨日御提示いただきましたフランスのコンファランスでワン博士等が出された論文、勉強を今後していきたいと思っております。したがいまして、それに書かれておるような可能性の検討ということはぜひ勉強をしてみたいと思っております。  ただ、我々の現在理解しておりますところでは、冷媒として従来用いておりますのはアンモニアでございまして、このフロンができる前の冷媒はアンモニアでございまして、昔ガス冷蔵庫というのがございましたけれども、それは燃料としてガスを用いておる。したがって、現在、欧米等でありますLPGを用いております冷蔵庫等というのは、燃料としてLPGを用いて、冷媒はアンモニアでございます。したがいまして、LPGそのものが冷媒になっておるというものは今まで製品としてはございません。したがいまして、LPGがそのまま冷媒に使えるのかどうか、基本的な検討が今後必要だと思っておりますが、一つのまじめな検討レポートでございますので、我々も勉強をしてまいりたいと思います。
  197. 東祥三

    ○東(祥)委員 よろしく検討をお願いいたします。  大臣がせっかくいらしてくださっているのですから、一言言っていただかないと気が済みませんので。  このような地球、生命、これがまさに危急存亡である。間違いなく、来年の六月にブラジルの環境サミットがありますから、またその前に四月の 二十二日、アジアを中心にしたアースデーというのが開かれますから、そのときに日本がどのようにこの地球環境問題に向かって取り組んでいくのかというのがまさに焦点になってきます。そういった視点から、オゾン層を、あるいは大気を、あるいは地球を、あるいは生命を守るために日本は今何をやろうとしているのか、個々の技術ではなくて総体としてどのように取り組もうとしているのか、こういう点についてぜひとも大臣の御決意と御抱負を願いたいと思います。  それで終わります。
  198. 中尾栄一

    中尾国務大臣 ずっと御質問を聞いておりまして、大変に御熱心な御研究を賜っておりますので、また、詳細にわたりましては内藤局長からも詳しく述べましたので、通産省の見解はほとんど尽きたかと思いますけれども、決意のほどをと、こういうことでございますから、私も前向きに取り組むという決意の結論だけを先に申し上げておきたいと思いますが、かというてそれだけでもいかがかと思いますので、オゾン層の保護問題そのものは地球環境問題でありますから、当然のこと、途上国を含めました世界各国が協調して取り組むことが極めて緊要である、こう思います。  途上国のモントリオール議定書への参加を促すためには、途上国支援の枠組みづくり、あるいはまた途上国に対する啓蒙及び技術移転が最重要なものではないか、このように思います。  このような観点から、昨年六月の議定書締結国会合におきましては、途上国たる締約国におけるオゾン層保護対策の推進を支援するための基金が設立されたところでございます。かかる基金の設立に当たりましては、我が国といたしましても中心的な役割を果たしてきたと自負しているところではございますが、この基金に対する我が国の拠出金は世界第二位であるということも申し上げておきたいと思う次第でございます。  また、これに加えまして、国際協力事業団の集団研修のコースの活用による普及啓発、あるいはまた産業界に対する削減技術の途上国への移転というものについての指導等の取り組みも図っているところでございます。  いずれにしましても、我が国はそのすぐれた技術力、経済力をもちまして世界に貢献すべき立場にあることから、このオゾン層保護の問題におきましても今後とも積極的な対応を図ってまいりたい。先ほど委員が御質問の中にもございましたように、二〇〇〇年までの全廃という考え方はないのか、こういう考えでございます。我が国としましても、そのような従来からのオゾン層というものを保護を図るためには、先ほど申し上げましたように前向きな取り組みを図ってきたところではございますけれども、今後とも、最新の科学的知見というものを踏まえまして積極的な対応を図っていくということをお誓い申し上げたいと思っておる次第でございます。  以上でございます。
  199. 東祥三

    ○東(祥)委員 ありがとうございます。
  200. 魚住汎英

    ○魚住委員長代理 木島日出夫君。
  201. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫です。  私は、きょうは、社会的に大きな問題になっております中堅商社イトマン問題についてお伺いをします。  最初に、法務省、警察庁を呼んでおりますので、本年四月二十四日、大阪地検と大阪府警がイトマン疑惑について強制捜査に着手をいたしました。最初に法務省にお伺いいたします。  四月二十四日の被疑事実の要旨並びに今回の強制捜査の端緒が何であったのか。お答え願いたいと思います。
  202. 但木敬一

    ○但木説明員 お尋ねの件につきましては、大阪地検におきまして本年四月二十三日、イトマン株式会社及び同社の子会社であります株式会社エムアイギャラリーから、伊藤寿永光に対する特別背任罪、許永中に対する特別背任、私文書偽造、同行使罪、高和彦及び福本玉樹に対する私文書偽造、同行使罪の告訴を受理したところであります。  告訴に係る特別背任の事実の要旨は、イトマン常務取締役等である伊藤及び許が共謀の上、イトマンが富国産業等から絵画百九十四点を購入する際、適正価格より三百四十億円余り高い価格で購入し、イトマンに同額の損害を負わせた。次に、エムアイギャラリーの代表取締役の伊藤及び許が共謀の上、エムアイギャラリーが関西新聞社から絵画二十五点を購入する際、適正価格より四十八億円余り高い価格で購入し、エムアイギャラリーに同額の損害を負わせたというものであります。  また、告訴に係ります私文書偽造等の事実の要旨は、許、高及び福本が共謀の上、絵画に係る株式会社西武百貨店作成名義の鑑定評価書合計百四十五通を偽造した上、イトマン名古屋支店においてこれを行使したというものでございます。  なお、捜査の端緒についてお尋ねでございますが、先生御案内のとおり、捜査の端緒といいますものは種々のものがございまして、不定型であり、捜査を開始する前に蓄積している情報のようなものでございます。これにつきましては、捜査の密行性ということから答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  203. 木島日出夫

    ○木島委員 告訴・告発があったかどうか事実だけ、中身は結構です。答えてください。
  204. 但木敬一

    ○但木説明員 告訴の点につきましてはただいま申し上げましたとおり、一つは、イトマン株式会社及びその子会社であります株式会社エムアイギャラリーから一つございます。またもう一つは、株式会社西武百貨店から福本玉樹に対する有印私文書偽造、同行使罪の告訴を受理しております。
  205. 木島日出夫

    ○木島委員 続いて、警察庁に同じく被疑事実の要旨、それからついでに捜査の端緒を、特に告訴・告発の事実についてお伺いいたします。
  206. 石附弘

    ○石附説明員 お答えいたします。  大阪府警においては、四月二十四日、イトマンの元企画監理本部長伊藤寿永光に係る特別背任容疑により、同人の関係する会社、事務所等七カ所の捜索を行うなど、鋭意事件の解明に努めているところでございます。  お尋ねの被疑事実の要旨でございますが、イトマン株式会社の不動産関連貸し付けの責任者であった元企画監理本部長伊藤寿永光が、不動産会社の再建支援を行うため手形決済資金等を融資するに当たり、確実、十分な担保を徴取するなど会社の損害の発生を防止するための措置を講ずべき責務があるにもかかわらず、平成二年三月上旬、その不動産会社の担保が不足しているのに、自己の利益を図りイトマンに損害を加える目的で、その任務に背き、あらかじめ不動産会社に対し、同社の手形決済資金は二十数億円であるのに、自己の取り分として架空手形決済資金等として約十億円の水増しをした三十数億円の融資申し入れをするよう指示し、平成二年三月中旬ごろ、イトマンをして指定する銀行口座に振り込み入金させ、イトマンに対し三十数億円相当の財産上の損害を与えたという商法の特別背任容疑でございます。  お尋ねの捜査の端緒また捜査の経緯でございますけれども、現に捜査中の事件でございまして、その具体的内容にわたる事項でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。  それから告訴・告発の有無でございますが、現段階で関係者から告訴・告発が出されたという報告は受けておりません。     〔魚住委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 木島日出夫

    ○木島委員 現在マスコミ等で連日のように取り上げられているイトマンの経営にかかわる問題については、今被疑事実が述べられましたが、それはまことに氷山の一角であります。この捜査を一つの端緒として、事件の全貌について検察、警察当局が徹底した調査をされることをこの場所から私からもお願いしておきたいと思います。  問題は、イトマンの経営の問題だけではなくて、このイトマンのメーンバンクである住友銀行の融資のあり方こそが問われていると思うわけであります。  そこで、ついでに法務省にお伺いをしておきます。直接イトマンとの関係ではありませんが、昨年十月五日、住友銀行の山下元青葉台支店長が逮捕され、十月二十六日に起訴されております。その 被疑事実の要旨を簡潔に答弁していただきたい。
  208. 但木敬一

    ○但木説明員 お尋ねの山下に対する出資法違反事件につきましては、平成二年十月五日、同人を逮捕し、同月二十六日、公判請求しております。  お尋ねは被疑事実ということでございましたが、既に起訴されておりますので、公訴事実の要旨を申し上げますと、まず第一に、住友銀行青葉台支店長の地位を利用して、被告人及び株式会社光進等の利益を図るため、昭和六十三年四月から同年九月までの間、三回にわたり同支店の顧客三名と光進との間の合計約百十四億円の金銭貸借を媒介し、第二、同支店長の地位を利用して、被告人らの利益を図るため、平成元年六月ごろ、同支店の顧客一名と他との間の十億円の金銭貸借を媒介し、第三、他と共謀の上、住友銀行大塚支店長の地位を利用して、被告人ら及び株式会社東成商事等の利益を図るため、平成二年三月ごろから同年六月ごろまでの間、三回にわたり同支店の顧客二名と東成商事との間の合計百億円の金銭貸借を媒介し、第四、他と共謀の上、同支店長の地位を利用して、被告人ら及び東成商事等の利益を図るため、平成二年六月ごろ、四回にわたり青葉台支店の顧客四名と東成商事との間の合計二百億円の金銭貸借を媒介し、第五、大塚支店長の地位を利用して、被告人及び東成商事等の利益を図るため、平成二年七月ごろ、同支店の顧客一名と東成商事との間の十五億円の金銭貸借を媒介したというものであると承知しております。
  209. 木島日出夫

    ○木島委員 もう一度だけ伺います。  昨年十月二十六日、住銀の西丸文雄に対して公訴が提起されています。その公訴事実について御答弁していただきたい。
  210. 但木敬一

    ○但木説明員 お尋ねの西丸に対する公訴事実の要旨は、他と共謀の上、住友銀行青葉台支店長の地位を利用して、被告人ら及び株式会社東成商事等の利益を図るため、平成二年六月ごろ、四回にわたり顧客四名と東成商事との間の合計二百億円の金銭貸借を媒介したというものでございます。
  211. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございました。法務省、警察庁は退席していただいて結構でございます。  住友銀行に対しては、昨年九月二十五日、大蔵省が銀行法に基づいて検査を行いました。本年二月十四日、主任検査官から講評が行われております。さらに本年三月二十六日に示達がなされております。金融機関、私企業といいながら、最も公共性の強いものであります。  そこで、大蔵大臣に最初にお伺いいたしますが、金融機関に対する監督権を持っている大蔵大臣として、最近の一連のこうした事態についてどのような認識をされているのか、まずお答え願いたい。
  212. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 金融機関というものが、その業務の公共性にかんがみ、社会的な責任を自覚した業務運営を求められておることは申し上げるまでもありません。第一義的には、みずからが業務の健全かつ適正な運営のために努力をすべきものだと考えております。しかし、当局としても、その公共性の適切な発揮の実を上げて社会の期待にこたえるよう、引き続き厳正な指導並びに奥深い検査の実施に努めてまいらなければならない、現今の情勢を見ながらそのように考えております。
  213. 木島日出夫

    ○木島委員 銀行法に基づく検査が昨年の九月二十五日に開始されたというのは、私はまことに遅きに失したのではないかと思わざるを得ないわけであります。既に本年の三月十二日の予算委員会の分科会におきまして我が党の正森議員から、昨年五月の段階で既に銀行局長に対していわゆる内部告発が行われ、かなり詳しい具体的な事実が五回にわたって指摘をされたという事実が明らかになっているわけであります。  昨年の五月の二十四日の段階で既に日本経済新聞では、「中堅商社の伊藤万と主取引銀行の住友銀行は伊藤万の過大な保有不動産の処分と負債削減を急ぐことになった。」という形で新聞報道も出ているわけであります。  先ほど指摘をいたしました本年の三月十二日の予算委員会第二分科会におきまして、銀行局長は、昨年の「五月よりもおくれることがない、もう五月ごろからは住友銀行にいわば適切な対処方を要請しております。」明確にこういう答弁をしております。  ところが、その直後の昨年の六月三十日の日経新聞には、昨年の三月期決算報告がなされたときのイトマン幹部と住友の幹部の発言が載っておるわけであります。住友銀行の首脳の発言として指摘されているのは、「イトマントータルハウジングは不動産会社で資金がいるのは当たり前だし、イトマンファイナンスもそうだ。この二社で借入金が約四千六百億円になっているが、どちらも事業に必要な資金。資産についても不良なものはないと聞いている。貸し付け態度も変えるつもりはない」。まことに居直った発言が日経新聞に住銀の首脳として出ているわけであります。  昨年五月から九月まで大蔵省は一体何をやっていたのか疑問に思わざるを得ないわけであります。その点、どうですか、大蔵省
  214. 土田正顕

    ○土田説明員 御指摘のような御質問に対しまして、私もそのような御説明を申し上げたかと思います。  一般的に申しますと、私ども日々の行政を通じまして、いろいろなマスコミの情報ないしはその特別な苦情や情報などを活用いたしまして厳正な調査を実施する、さらにはこの内部管理体制や事務管理などに問題が認められるような場合には、その改善について厳しく指導していく、そういう考え方で執務に当たっております。  そこで、住友銀行の検査のいきさつでございますが、これは御案内のように昨年の九月二十五日に着手をいたしました。その前に昨年の五月から八月ごろにかけて私どものところにイトマン従業員一同という差出人名義により数回にわたって投書があったことも事実でございます。また、マスコミの情報につきましてもしかるべく注意を払っておりましたつもりでございます。そのような投書や情報を入手いたしました場合には、通例金融機関の健全性確保などの観点から事実関係を調査しているところでありまして、御指摘の投書につきましても住友銀行に対して同様の措置をとったところでございます。  検査が九月になったのはいかがなものかという御趣旨のお尋ねでございますけれども、検査の時期につきましては、第一に、前回の検査からの経過期間、私ども検査周期と言っておりますが、その経過期間がどのくらいになっておるか、それから第二に、情報収集の度合いはどのようになっておるかというようなものから見て検査の緊急性を判断いたします。そのほか当局の検査体制、順繰りに各方面に金融検査に出ておるわけでございまして、その検査体制の人繰りなども総合勘案して決めるものでございますが、この本件の場合に、当住友銀行の特定取引先の実態把握のめどが立つということも考慮に入れて、しかもその中で最も早い時期を選びまして検査に着手したつもりでございます。
  215. 木島日出夫

    ○木島委員 通例よりかなり長い検査が行われ、講評が行われ、示達が行われたわけですが、その検査結果でどういう問題点が指摘されたのか、それとどういう示達をしたのか、明らかにしていただきたい。
  216. 土田正顕

    ○土田説明員 検査の結果につきましては、これは通常よりも長い期間を経ましただけにいろいろな情報を収集し得たと思うわけでございますが、この検査結果を踏まえまして、着手いたしましてから半年後の本年の三月二十六日に示達を行っております。  その内容につきましては、これは個別金融機関に関する問題でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、やはり一般論的に申し上げますならば、その示達におきましては、銀行経営の健全性の確保及び公共的機能の発揮の観点から、経営管理、営業姿勢、融資の審査管理などについて問題があれば指摘を行い、改善を指導するのが通例でございます。  もう少し立ち入って申しますと、やはり内部管理に厳正を期するないしは審査の充実を期する、それから、収益面、計数面のみを重視するよう な、そういう管理体制の行き過ぎはないかどうか、そのような点についてさらに見直してもらいたいというようなあたりにつきまして、私どもの気づきの点を示達をいたしました次第でございます。
  217. 木島日出夫

    ○木島委員 個別金融機関にかかわるから内容は答弁できない、そういう言い方でかつては平和相互銀行に対する示達についても、国会の方から、議員から質問が出たにもかかわらず全部拒絶しているのですね。今まさにそういううみが指摘されているわけです。住友銀行がどういう融資をイトマンに対してしたのか、イトマンがその金でどういう融資が行われたのか、まさにそれが指摘されているわけです。それを全部国民に、国会に明らかにして、うみをただすことなしに金融機関に対する国民の信頼というのは生まれないと思うわけであります。まことに私は、それを明らかにしないというのは不満でありますが、では具体的に一つ聞きます。  昭和五十七年四月一日付の大蔵省銀行局第九〇一号通達がありまして、「普通銀行の業務運営に関する基本事項等について」と題する通達であります。その中に「不祥事件等報告」というところがあります。「役職員による不正行為又は業務上の事故等が発生した場合には、直ちにその旨を当局に連絡するとともに遅滞なく事件の経緯、てん末等を銀行局長に報告するものとする。」そして、同じく同日付の「留意事項等について」と題する事務連絡銀行課長発の通達につきますと、その不正事件というのはどういうものかについては、その中に、一つは出資法違反の場合及び預金等に係る不当契約の取締に関する法律に触れるような行為があった場合には不祥事件として報告しろとあるわけであります。  昨年の九月から長い間にわたって検査、まさにこういう不祥事件があったのかなかったのか。かなりメスが入ったと私は思うのですが、こういう不正がなかったでしょうか、端的にお伺いします。どうですか。
  218. 土田正顕

    ○土田説明員 当局へ報告を要する不祥事件と申しますのは、通達の上で役職員による不正行為が発生した場合としておりますが、具体的には「銀行業務に関連し詐欺、横領、背任及び財産管理上の不正行為等一般刑事法規に触れるような行為」、それからさらには、ただいま御指摘のありましたような出資法その他の法律に触れるような行為が発生した場合を対象としているわけでございます。  この御指摘の住友銀行のイトマンへの融資につきましては、現時点でただいま申し上げた行為に該当するとは承知しておりません。いずれにいたしましても、ただこのイトマン問題に関連するいろいろな問題につきまして現在司法当局が捜査中のものでもございますので、行政当局としてのコメントは差し控えさせていただきたいと考えております。  なお、あえて補足いたしますと、青葉台の方につきましては、これは公訴が提起されるような法令違反の行動があったわけでございまして、これにつきましては不祥事件の報告を受理してございます。
  219. 木島日出夫

    ○木島委員 現時点では報告を要するような不祥事件がイトマンと住銀との関係ではないという答弁ですが、昨年の十一月二十九日付の朝日新聞によれば、住友銀行が無担保で二百五十億円を岐阜県の関市のゴルフ場造成にかかわってイトマンを通じて貸し出された、それが担保がとられてなかった、そして担保がとられたのが大蔵省検査が入った後の昨年の十月末でしかも仮登記であったという記事があります。  これが事実だとすれば、まさに報告を要する不祥事件であり、出資法違反であります。私、岐阜県のその当該の物件である土地の謄本をとってみました。まさにそのとおりであります。住友銀行が根抵当権設定仮登記をとったのは平成二年十月二十五日受け付けに登記上なっていますから、この登記を見れば朝日新聞の記事のとおりであります。もし朝日新聞のとおりに融資が住銀からなされていれば、まさにこれは出資法違反ですよ。  それから昨年の十一月十七日、同じく朝日新聞に、東京銀座の一等地の問題でありますが、住友銀行から三百億円を二社を迂回して融資が行われた、この融資は昨年の四月に行われたが、やはり無担保のままであった、そして担保がとられたのが大蔵省検査が入った後の去年の十月十九日であった、しかも仮登記であったということが出ています。私、東京銀座一丁目の当該土地の登記簿謄本をとってみたらそのとおりであります。住友銀行が担保をとったのは平成二年十月十九日であります。根抵当権設定登記のしかもこれは仮登記であります。本登記じゃないわけです。この融資がもし事実であれば、これもやはり出資法違反ですが、これは調査していますか。昨年の九月からの検査でこれ調査していますか。
  220. 土田正顕

    ○土田説明員 ただいまのその具体的な報道につきましてちょっと明確な記憶はございませんが、ただ、ただいまの委員の御指摘のようなことであるといたしますと、その担保の徴求なり、それから債権の保全措置について手続がおくれたのではないかというようなお話であろうかと思います。そのこと自体が直接にいわゆる一般的な刑事法規なり、それから経済関係の刑事法規なりに違反するというような問題が直接的には発生しないのではないかと考えておるわけでございます。  それから出資法の問題でございますが、これは実は浮き貸し等の禁止その他についての御質問であろうかと思いますけれども、この浮き貸し等を禁止しておりますのは、いわゆる出資法の第三条でございますが、これはやや立ち入った話でございますが、大蔵省が所管しているわけではございませんので、コメントは差し控えたいと存じます。
  221. 木島日出夫

    ○木島委員 今の答弁は昨年の九月からの調査で具体的に融資が行われたのかどうなのか、担保はどうであったのか、それを住銀の関係者にただした上での答弁でしょうか。それとも推測ですか。まだ調査してないのですか、大蔵省としては。どうですか。
  222. 土田正顕

    ○土田説明員 検査の詳細について申し上げることはできませんが、検査官はかなりの人数を動員し、かなりの期間にわたりまして検査活動を行いました。したがいまして、その当時目にすることができた材料はこれを適切に利用したものであるというふうに私は考えております。  なお、いずれにいたしましても、個別銀行の個別取引にかかわる事柄でございますので、恐れ入りますがコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
  223. 木島日出夫

    ○木島委員 もう残念ながら時間がないので、次の質問に進みますが、本年の二月二十六日にイトマンと住銀が新再建計画を発表したとマスコミ報道にも出ておりますから、結論だけ言いますと、一兆円の負債のうち不良分が約五千億円ある、その五千億円の不良はすべて住友銀行が抱きますという中身なんですね。これは大変なことです。住友銀行の融資総額約三十兆円ぐらいというわけですから、それは大変なことであります。  本年の二月八日付の新聞は、昨年の八月以来各金融機関からイトマングループに対する融資がとまったということで、その段階で融資総額が金融機関から一兆一千百億円あった、そのうち住友銀行が千三百六十億円だった、それがほかの銀行が手を引き始めて、結局住友銀行が肩がわりをどんどんしていったということで、昨年の十二月には銀行からの融資が一兆五千百億円、そのうち何と住友銀行だけで五千百億円の融資残高に膨れ上がっていったという記事が出ております。  こういう住友銀行が、もうかなり経営が破綻して債権が回収できないような状況に立ち至っているイトマンのほかの銀行からの融資を肩がわりする、そして再建計画でもしょい込むような話がある。これに対して大蔵省としては相談を受けていますか、あるいはどういう態度ですか。
  224. 土田正顕

    ○土田説明員 イトマン問題につきましてはいろいろな見方はあろうかと思いますが、ただいま御質問の点に関連して申し上げますと、このイトマ ンという会社は住友銀行のいわゆるメーン先ではございますが、独立した一部上場の会社でありまして、イトマン問題をすべて銀行の責任とするのは適当ではないと思います。また、銀行といたしましても、イトマンの経営の健全化のため種々の努力を行ってきておるという事実は認められると思います。  ただ、その住友銀行自体反省すべき点がなかったとは言い切れないのでございますので、そのため同行、住友銀行は種々の改善措置を講じてきているものと理解しております。私どもとしましては、その銀行の自主的な努力を尊重しつつ適切に指導してまいりたいと思います。  なお、やや具体的に申しますと、ただいま御質問がございましたところに出てまいりましたように、イトマングループのいわば再建計画の問題でございますが、それの骨子はグループの経営の重荷となっております不動産投融資をイトマン本体から切り離した幾つかの受け皿会社に集中させましてイトマンの経営改善を図るという方針であるというふうに聞いております。私ども、一般企業であります商社の経営についてコメントをする立場にはございませんけれども、金融機関の資産の健全性という観点から見ますとこれは前進したものであると受けとめております。
  225. 木島日出夫

    ○木島委員 もう時間が来ましたから終わりますが、かつても同じような問題が平和相互銀行にありました。平和相互銀行が債務をしょったわけですね。そのときに日銀の方から特別に超低利の融資がなされたということを聞いております。もし今回、住友銀行に対するいろいろな銀行法の問題、あるいは法的なメスが加えられないで責任の所在があいまいなままそういう形で特別措置が行われるようであれば、それは国民は納得するものではない。救済も必要かもしれませんが、救済するからこそ、徹底して住銀が持っているうみを明らかにして、国会にも国民にも知らせていただきたいと思うわけであります。  そこを希望いたしまして、時間が来ましたから質問を終わります。
  226. 渡辺省一

    渡辺委員長 次回は、明十五日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十分散会