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寺前委員 そんなあなた、安全だという結論を先に出しておいて、心配することございません。心配するさかいにそれをあえて言いはんのかもしれませんで。だけれども、やっぱり改良しなかったらあかんということが事実になったのははっきりしておるでしょう。だから改良型にかえているんや。金をかけてまでかえなければいかぬのや。そしたら、古いものは少なくとも改良型にしていかなかったら大変なことになるでと予想せにゃいかぬわ。予想して手を打つというのが指導性やんか。予想もせんといて結果は土壇場まで待とうかというのは指導性じゃあらへんがな。それでは不安でしゃあないということになりますやろ。だからそういう意味では、とりわけ古い原発などについては、私はやっぱり改良型にぱっと指導するという指導性を発揮してほしいというのが感じておる一つです。これは後で大臣にも聞きますからね。
それからもう一つは、調べてみたら、スリーマイル事故のときに五十二項目にわたるところのいろいろ検討する
事項というのをおやりになっていました。ところが今回、私も現地へ二日ほど後でしたかに行きましたけれども、ともかく、あの事故が発生したときに、みんなばっと総立ちになって何をしたらいいのかわからぬという瞬間が生まれるわけでしょう。通報がおくれるというのも、そういう結果の中で起こっている一つの事実ですよ。だから、それは大変なんだ。ところが、スリーマイル事故のときに、いろいろ検討しなければならないという
事項が載っていますが、その中で私が気になって仕方がない一つに、事故当時、
運転員は炉内の
状況を的確に判断できるような
状況にあったのかどうかという問題なんです。
いろいろな先生の論文を読んでいますと、炉内の
状況がわからなかったら対応できないのは当たり前だと書いているのですね。例えば藤本陽一さんという早稲田大学理工学
研究所の教授が、「スリーマイルでもチェルノブイリでも、要するに事故における重要な問題なんですが、異常が発生した時に、まるで
状況が分からなくなる、ということです。正常な時にはすべてがちゃんと作動しているわけですから、炉心がどういう状態になっているかなどがよく分かっている。ところが異常時に、
運転者が事故の
状況下での
運転をどれだけ把握できているのか。これは非常に重要なことなんです。」という指摘をしているのです。だから、この炉内の
状況がわかっていたのだろうかということが私も関心
事項なんですよ。
それで、現地へ行きまして、その問題を聞きました。確かにはっきりしないんですね。スリーマイル事故時、
運転員のミスで緊急炉心冷却装置をとめた。このために炉心が露出して溶融したというふうになっていくわけですが、その
状況把握というのが緊急事態におけるところの非常に重要なことだ。
安全
委員会は五十二項目を挙げて、炉内の
状況をわかるようにということが、その中の指摘にありましたよ。そして、その一つに、炉心水位計新設プラントにおける実現可能性の
研究開発に加え、改造の技術的可能性等も勘案し、検討した結果を反映させるというような項もわざわざ入っていましたわ。それはそうやと思う。炉内の事態が、水位がどうなっているのかわからぬままではどうもならんやないかというのがそのとおり出ているんです。
ところが、
原子力安全年報の
平成二年版を読んでみると、そこには、そういう五十二項目を設けて「
原子力安全確保対策に反映させているところ」であります、こう書いてある。反映しているんだったら、炉内のそれが見えるようになっているのか。現地へ行ってみたら、そんなのはわかりませんのや、だから総立ちになりましたんや、こう言っているわけです。そうすると、
原子力安全年報に書いてあるのは、安心しなさい、もうちゃんと反映できてますと書いてある。反映できてますといって、現地へ行ったら反映できてません。どないなっとるんや。そんないいかげんな
報告を出してもらって、これは責任を果たしているということになりますのかいな。
さっきもマニュアルの話を聞いてはりましたが、こういう事態に対応するところのマニュアルなんて、内容がつかめないものに対するところのマニュアルなんてあり得ないです。内容が把握できる状態をつくっておくということは、これは外国の例から
研究から五十二項目まで挙げて積極的な役割を果たされた安全
委員会ですよ、安全
委員会がそのことの責任を最後まで、反映されているところでありますで済ましておくというわけにはいかぬのと違うやろか。私は、これは安全
委員会は責任をあいまいにしていると思いますよ。そんなもの
通産省の責任ですと言うわけにはいかぬがな、
報告書にそこまで出ているんだから。だからあなたたちは、それでちゃんと中の水位がわかるようになっているというふうに分析しておられるのか、あるいは炉心の中の温度がどういうことになっていっているのか不安でかなわない問題について、どういうふうに現状なっているというふうに認識をしておられるのか。
この温度の問題一つについても、私は現地に行っていろいろ聞いてみましたよ、専門家でないけれども。専門家でない人間が聞くのはなかなか難しいんです。それを向こうで話を聞いておりましても、こう言っていました。炉内の水の位置をはかる装置がついていないというのは事実だ。炉心の真上の温度を計測しているわけでもない。温度をはかっているのは出口の高温側配管温度を測定しているんです。だから炉心の温度との間には差があります。だから今回の事故は
原子炉内の水が沸騰していたのか沸騰していなかったのか、それが大問題になります。だから現地におる私たちは、その当時何もわかりません、わからない事態において操作を、よくぞあれでおさまったことだ。僕は安全
委員会として、これは責任ある問題だと思いますよ。私らみたいな人間が言うのと違って、大専門家の
内田先生が現地にぱっと飛んでいかれたのは、私はそういうところからだったのだろうと思うのですよ。
ところが、福井新聞で、先生が言われたことが問題になっておるわけですな。安全
委員会には責任ないとおっしゃったというような、こんなもの、大体新聞というものは断片をとらえて書くもんやと言うてしもうたらそれでしまいか知らぬけれども、そうはいかぬのですわ。現状、あれだけのパニックに近い状態があそこで起こった。外では連絡が来ない。こういう事態というのはただごとでない。それは五十二項目が正確に今に生きていない。そこのところの問題を生かすように、すぐに
研究調査をしていただきたい。私は要望したいのですが、いかがなものでしょうか。