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1991-08-02 第120回国会 衆議院 外務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年八月二日(金曜日)     午後一時三十一分開議  出席委員    委員長 牧野 隆守君    理事 新井 将敬君 理事 園田 博之君    理事 中村喜四郎君 理事 浜野  剛君    理事 上原 康助君 理事 高沢 寅男君       麻生 太郎君    甘利  明君       伊東 正義君    小渕 恵三君       奥田 敬和君    福田 康夫君       山本  拓君    岡田 利春君       川崎 寛治君    松原 脩雄君       玉城 栄一君    古堅 実吉君       和田 一仁君  出席国務大臣         外 務 大 臣 中山 太郎君  委員外出席者         防衛庁防衛局防         衛課長     藤島 正之君         外務大臣官房審         議官      竹中 繁雄君         外務大臣官房領         事移住部長   久米 邦貞君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省中南米局         長       瀬木 博基君         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省経済協力         局長      川上 隆朗君         外務省条約局長 柳井 俊二君         大蔵省銀行局保         険部保険第一課         長       北村 歳治君         労働省労働基準         局補償課長   出村 能延君         参  考  人         (国際協力事業         団理事)    中村 順一君         外務委員会調査         室長      市岡 克博君     ───────────── 委員の異動 八月二日  辞任         補欠選任   宮下 創平君     山本  拓君   山口 敏夫君     甘利  明君 同日  辞任         補欠選任   甘利  明君     山口 敏夫君   山本  拓君     宮下 創平君     ───────────── 五月八日  一、国際情勢に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国際情勢に関する件  国際協力に従事する要員の安全確保等に関する件      ────◇─────
  2. 牧野隆守

    牧野委員長 これより会議を開きます。  今般、国際協力事業団農業技術指導者ペルーにおいて犠牲になられました。まことに痛惜の念にたえません。  ここに、謹んで委員各位とともに哀悼の意を表し、御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願いいたします。——黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 牧野隆守

    牧野委員長 黙祷を終わります。御着席をお願いいたします。      ────◇─────
  4. 牧野隆守

    牧野委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として国際協力事業団理事中村順一君の出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 牧野隆守

    牧野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  6. 牧野隆守

    牧野委員長 この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。中山外務大臣
  7. 中山太郎

    中山国務大臣 本日は、最近のペルー情勢について申し述べます。  去る七月十二日、ペルー共和国首都リマから北北西約八十キロに位置するワラル所在野菜生産技術センターテロリストに襲撃され、国際協力事業団から派遣されている日本人専門家三名が射殺されました。まことに悲しく、かつ非道な事件であります。宮川清忠中西浩金良清文、三氏がこの残虐なテロリスト行為で亡くなられたことに対し、謹んで哀悼の意を表しますとともに、御遺族方々に対し、衷心よりお悔やみを申し上げます。  襲われた野菜生産技術センターは、ペルーにおける野菜生産技術の向上と安定供給に寄与することを目的に、我が国無償資金協力により建設され、我が国技術協力を行ってきた施設であります。このような施設を攻撃し、ペルー発展のため尽力されてこられた農業技術者方々殺害するという野蛮な行為は、天人ともに許さざるものであります。フジモリ大統領も、殉職専門家追悼式に寄せられた弔辞の中で、「たった一握りの集団が、卑劣な反逆行為を行った」と申されておりますが、まさにそのとおりだと思います。亡くなられた三名の方々に報いることはもはやできませんが、残された御遺族方々へのせめてもの策として、補償についてはできる限りのことをしてまいる所存であります。  この事件に引き続き、有力な日系人誘拐殺害という衝撃的な事件発生し、政府としても極めて重大なことと受けとめております。これらの事件の犯人はいずれもペルーテロ組織と見られていますが、このようなテロ組織が活動する背景には、ペルーの深刻な経済状況及び貧困の問題があります。すなわち、貧困解決なしにはテロを含めた社会問題の解決もないのであります。昨年七月二十八日、フジモリ大統領が就任したときに、前政権から引き継いだ経済状況はまさに危機的とも言い得るものでありました。昨年のインフレ率は対前年比七六五〇%、失業率潜在失業率を含めると約七〇%、対外債務残高は二百億ドルにも達し、貧困に起因する犯罪テロによる深刻な治安の悪化という、まさに惨状を呈していました。  この状況に対し、フジモリ大統領は敢然と戦いを挑み、国民には一時の耐乏を求めつつも、経済再建に向け思い切った経済安定化政策を実施し、また、毅然としたテロ対策及び麻薬問題対策を実 施してきました。フジモリ大統領のかかる努力の結果、現在では、インフレ収束は一応の成果をおさめ、財政の均衡も達成され、国際金融社会への復帰も軌道に乗りつつあります。また、テロに対しては、軍、警察による治安維持活動を進めるほか、農民自警団への武器の供与、テログループ大学からの一掃等対策を実施し、テロ組織幹部逮捕等成果を上げています。  我が国といたしましては、フジモリ政権の真摯な経済再建努力を高く評価し、昨年度はペルーへの無償資金協力を大幅に拡充いたしました。また、同国国際金融機関への延滞を解消し、また、国際収支均衡を達成するための対ペルー国際支援体制早期構築に向け、積極的に協力を行ってきております。  かかる中、今回のJICA専門家殺害事件が起きましたことは、まことに残念なことであります。今回の事件発生後、我が国は速やかに外務省及びJICA職員ペルーに派遣いたしました。その調査結果を踏まえて、安全確保の見地から、残念ながら今般、我が国経済協力関係者をとりあえず一時帰国せしめることといたしました。しかし、我が国としてペルー経済再建努力を支援していくとの基本姿勢には何ら変更はありません。ペルーに対し、人員の派遣を要する協力については当面慎重に対応せざるを得ませんが、これからもその他の形でできる限りの協力を行っていく所存であります。  本事件日系人誘拐殺害事件等背景は依然不明でありますが、近時、我が国ペルーで注目を引く存在になっていることもあり、同国在留邦人に対するテロの危険は遺憾ながら無視できません。外務省としても、かかる認識のもと、本事件発生後、本省においては在京ペルー大使に対し、また、ペルーにおいては在ペルー妹尾大使フジモリ大統領内務大臣に対し、在留邦人の安全のため最大限措置をとるよう、累次にわたりペルー側に強く要請してまいりました。  ペルー在留邦人社会は、従来からも大使館とも協議しつつ安全対策の強化に努めてきておられます。今次事件発生に伴い、在ペルー大使館では、改めて在留邦人社会と頻繁に連絡、協議を実施し、所要の注意喚起及び在留邦人おのおのの事情に応じたきめ細かな助言を行ってきており、おのおの在留邦人もその立場に相応した対応策をとっています。さらに、本省におきましても、現地進出企業の親企業に対し情勢説明会を開催いたしました。また、当分の間、同国への渡航は差し控えることが望ましい旨の渡航情報を発出し、一般国民に対する注意喚起も行っております。  政府といたしましては、平和で安定したペルーが実現し、我が国経済協力関係者同国発展のため安全に活動できる状況が一日も早く到来することを心から希望いたしますとともに、同国における在留邦人安全対策につきましては、今後とも万全を期していく所存であります。     ─────────────
  8. 牧野隆守

    牧野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新井将敬君。
  9. 新井将敬

    新井委員 このたびの七月十二日にペルー首都リマからわずか八十キロのワラルというところで野菜生産技術センター、そこでペルー技術協力に携わっていた日本人専門家三人を反政府ゲリラが、しかも特に日本人であるかどうかということを名指しをして、日本人を標的にして殺害をした。私は本当に犠牲になられた専門家皆様方や御遺族に心から哀悼の念を表しますと同時に、やはりこういうゲリラテロに対する怒りというものを本当に抑えることができない気持ちでいっぱいでございます。  まず最初に、在ペルー大使館あるいはJICA危険性認識というものがあったのかどうか。といいますのも、六月一カ月だけでペルーにおいて五百四十人の殺害事件が起きています。まさに現地の反政府ゲリラによる殺人が起きている。一日に二十人です。現地人フランス人観光客が現にゲリラによって殺されているわけです。そういう事態認識があれば、もう少し安全確保というものに力を注げたんじゃないかという気がするのですが、そのあたりを、危険性認識というものがあったのかないのか、そのことをまず外務省JICAの方にお聞きしたいと思います。
  10. 瀬木博基

    瀬木説明員 ただいま先生指摘のとおり、この七月十二日の日本人専門家殺害事件というものは、まことに悲しい、かつ我々としても憤激にたえない事件でございます。こういうことは二度と起こってはならない、まことに悲しい事件であったと私どもも考えております。  ただいま先生お尋ねペルーという土地についての危険の認識でございますが、これは当然のことながら大使館といたしましてもペルーという土地柄が決して安全でないという認識は持っております。事実、現在においてはペルーが二十四県から成り立っておりますが、そのうち十四県について政府としても危険であるという宣言をいたしておるわけでございます。しかしながら、この中でどういう地域テロの目標になっているかを判断するということは、これはテロの性格上非常に難しいものでございますし、またいついかなるときにテロに襲われるか、これは判断することは不可能と言えるのではないかと思います。  そこで、大使館及びJICAの事務所では日ごろからテロというものがあり得ることを考えながら注意するようにということを、大使館員はもちろん在留邦人方々JICA仕事でいらっしゃっておられる専門家方々に常日ごろから注意をしておったということでございます。
  11. 中村順一

    中村参考人 御説明を申し上げます。  私どもJICAといたしましても、私ども事業を推進するに当たりまして専門家方々安全確保ということは事業遂行の大前提であるというふうに認識しております。そういう観点から、従来から専門家を派遣するに当たりまして専門家等安全確保のために最大限努力を行ってまいったところでございます。本件プロジェクトについてもJICAとして安全確保についていろいろな配慮努力を行ってきたところでございますけれども、それにもかかわらず今度のような事件が引き起こされ三名の専門家が亡くなられたということにつきましては、JICAとしてまことに痛恨きわみという感じでございます。  ペルー安全状態についての認識という点につきましては、ただいま外務省瀬木局長から御説明のありましたとおりでございます。私どもも、ペルーというのが一九八〇年代の後半から経済危機というものに直面いたしまして、インフレ失業等による社会不安が増大し、盗難等のいろいろな犯罪が多くなってきていることから、安全対策上十分に注意を要する国であるということを認識いたしまして、JICA関係者注意を行ってまいったところでございます。今件の野菜生産技術センターの所在しますワラル地域につきましても、一般犯罪に対する安全対策が必要な地区であるということで認識しておりまして、直接テロの危険ということにつきましては、ペルー側の判断としては専門家が派遣できないほど差し迫ったテロの危険はないという認識でございます。私どももいろいろな調査を行ったわけですけれども日本側といたしましてもこのワラル地区につきましてはペルー側が示していたような認識と同じような認識を有していたということは申し上げられるかと存じます。
  12. 新井将敬

    新井委員 報道によりますと、要するに野菜生産技術センター非常事態宣言地域ではなかったが、危険なので昨年末まではちゃんとテロ対策警備員がいたというじゃないですか。その昨年末に予算がないということで警備員を削ってしまった。そのことについて、これは六十一年から十億円のお金をかけて、無償プロジェクトですよね、日本から毎年一億円無償ODAを出しているわけでしょう。それで警備員予算もないで昨年末に削ってしまった。そういうことは外務省等はこれ了解していたのでしょうか、知らなかったのでしょうか。
  13. 川上隆朗

    川上説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の点でございますが、ペルー側予算上の問題があって、当初武器を携行していた警備員を雇っていたにもかかわらず、その後警備員をいわゆる民間の警備員にかえた事実があるということは承知いたしておりました。  他方、我が方のペルー大使は、本件プロジェクトがまさに孤立した地域にございますものですから、数度にわたりまして安全対策を講ずるよう、これは基本的にはペルー施設でございますので安全の責任はペルー側にあるという観点から数度にわたって申し入れを行っておりまして、今例示的に申し上げますと、ペルー側も二カ所のチェックポイントに六名程度警備員を配置して不審者を入れないようにしていたというような措置をとっておりましたほか、鉄さく設置だとか警察によるパトロールを行っていたというふうに了解いたしております。鉄さく設置につきましては、これは我が国無償資金協力の一環としてこれを設置するということもやった経緯があるわけでございますが、にもかかわらずこのような不幸な事件が起きたということは、もう我々にとっても先ほどから御指摘のとおり大変痛恨きわみというふうに認識いたしております。
  14. 新井将敬

    新井委員 外務省を責めるわけではありませんけれども、これからやはり低開発国技術協力を行ったりするときに、こちらの善意はともかくとして反政府ゲリラ等から非常に敵扱いを受ける、そういう危険は伴っていると思うのですね。ですから、そういう無償援助を出したり、お金を出しているわけですから、やはり当然警備というものに対してはしっかりお金を使うようにこちらの日本からしっかり相手国政府に申し添える、それがなければもう引き揚げるというぐらいの強硬な考えでこれからやっていくべきだと私は思うのですけれども大臣どうでしょうか。
  15. 中山太郎

    中山国務大臣 委員指摘の点は、私は十分これから相手国政府援助国として申し入れを行うべきだというふうに考えております。
  16. 新井将敬

    新井委員 それではその次に、これは大臣からもJICA総裁指示があったということですが、何よりもやはりこの補償問題というものを真剣に考えなければ、善意で行っている最も義務感の強い良質な日本の若者や専門家が本当に無念残念で、家族を残したまま不幸に遭うという危険性を少しでもなくすためには、やはり補償問題を充足させていくしかないと思うのです。  これは大臣宮川さん、中西さん、金良さん、それぞれ奥さんもみんなおられて、宮川さんは三人成人ですけれども中学生が一人、中西さんはまだ五歳、三歳、おなかの中にまだ赤ちゃんがおられる、それから金良さんは一歳の子がおられる。それで突然御主人がこういう惨劇に遭われた、これで一体どれぐらいの補償がされているか、大体大臣御存じでしょうか。
  17. 中山太郎

    中山国務大臣 細部にわたりましては政府委員から御答弁申し上げますけれども、まず私は、今回の事件国際協力の中でも人的貢献を行うということが強く求められている日本立場として、今回のような発展途上国協力をするために派遣された日本方々相手国で不慮の死を遂げられるといったような場合に、残された家族たちがそれで生活が困るというようなことであってはならない。また、この仕事に従事される御本人も、自分がもしも事故に遭った場合には政府がそれなりの家族への補償をするといった基本的なことをこの際確立すべきであるということをJICA総裁に強く指示をいたしました。現在この方針に基づいていろいろと政府関係共済組合、あるいはまた労災適用問題等につきましても鋭意努力しているところでございますが、細部につきましては政府委員の方からお答えをさせていただきたいと思います。
  18. 新井将敬

    新井委員 政府委員の答弁の数字はわかっていますから私の方からちょっと申し上げますけれども、これはJICA職員であった宮川さんは海外共済から三千八百万円、一時金です。それプラス退職金がやはりその海外共済から三千万円出ますから、労災の問題はこれからとして、大体六千八百万円ですね。ところが、この中西さんと金良さんはJICA正式職員じゃないということで、海外共済からの一時金の三千八百万円は出ますが、この三千万円、宮川さんに支払われている退職金というのは出ないのです。  ところが、中西さんや金良さんの経歴を見ますと、この人たちはそれぞれ大学卒業後に、東京農大や琉球大学を出た後すぐに海外青年協力隊員として世界の低開発国を回り農業指導に当たってきた、本当に純粋に、職員であるとかなんかにかかわらずも長年鋭意海外の低開発国へ行って日本人の力で外国のために働いてきた人たちなんですね。それがたまたま、職員である、ないだけで三千万円という退職金が一方では出る、一方では出ない。これは余りにも大きな差があると思うのです。  この退職金について、これは残りの中西金良さんにもぜひ特別の措置をとって、最低でも退職金一千五百万、それぐらいのものは当然出すべきだと思いますけれども、どうですか。
  19. 川上隆朗

    川上説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のまずJICA海外共済会からの弔慰金としての三千八百万、この点でございますが、この点につきましては、今回の非常に特殊な……(新井委員「わかっていることはいいですから、退職金の方を言ってください」と呼ぶ)退職金につきましては、御指摘のとおりJICA中西金良専門家JICA職員ではないということのために退職金が支給されないという点で宮川専門家差異があるということは事実なわけでございますが、我々といたしましては、このような差異をできるだけ縮めるように手だてを考えるということで、今鋭意検討をさしていただいているところでございます。できるだけ早く結論を出したいと思います。金額についてはちょっとまだ結論を得るには至っておりません。
  20. 新井将敬

    新井委員 退職金は特例を要求していただけるということですね。
  21. 川上隆朗

    川上説明員 退職金ということでは支給されないかもしれませんけれども、なるべくギャップを埋めるような形での支給を検討してもらっている、これはJICAの方でございますが、そういう状況でございます。
  22. 新井将敬

    新井委員 それはよろしくお願いします。  その次に、これは一時金をもらっても生活はできないと思うのです。結局、残された遺族にとって必要なものはやはり年金だと思うのです。海外共済には、まずこの年金がないのですね。宮川さん、この人が、一応労災の話は後で伺いますけれども労災は抜きにして、一体年金幾らでこれから人生を送っていくのかと考えますと、これは厚生年金だけしかありません。すると、宮川さんの御家族奥さん一人、お子さん四人で、一年間百八十万円ぐらい、月十四万円か五万円足らずで生活をしなければいけない。中西さん、奥さん一人、これからお子さん三人、この方なんかは、細かい計算はわかりませんが、大体の私のもくろみですと一年間百二十万円、月十万円にも足りないお金生活するしか手がないのです。これは金良さんも同じなんです。厚生年金のわずか年間百二十万程度お金でこれから生活していくしかない。こういう年金の方の不備というのが目立つのですね。一時金の方も確かに少ないと思いますけれども年金不備が目立つ。これは海外共済の方での年金的支払いというような可能性は全くないのでしょうか。
  23. 中村順一

    中村参考人 御説明申し上げます。  海外共済会と申しますのは、JICAから派遣いたします専門家あるいは調査団員等々の勤務中病気になりましたりあるいは事故に遭遇いたしましたりする場合の医療費とか弔慰金とかいうものを手当てするという趣旨でつくられたものでございます。  現在、主なものは、医療給付弔慰金あるいは災害の場合の見舞い金等が主な内容になっております。海外共済会の中の仕組みとしては年金のようなものはないわけでございますけれども、先ほど来川上経済協力局長が御説明されているよう に、中西あるいは金良専門家の御遺族に対してはでき得る限り最大限努力配慮をさせていただくということで、私ども現在、外務省とも打ち合わせしながら考えているというところでございます。
  24. 新井将敬

    新井委員 海外共済年金制度が全然整っていないことをカバーするというなら、やはり宮川さんも含めた一時金の三千八百万円、これの方もぜひ五千万円ぐらいに引き上げるように要求をしていただきたい。これは予算要求ですから、外務省、どうですか。
  25. 川上隆朗

    川上説明員 先生今御指摘の点につきましては、本件、今回につきましても相当程度、三千八百万円よりも増額するということでぜひ手当てさせていただきたいというふうに考えております。
  26. 新井将敬

    新井委員 これは我々もぜひ予算を応援して、やはりこういうことはぜひ実現したいと思いますので、外務省の方もしっかりこれをやってください。  それから、労働省にちょっとお伺いしますが、海外専門家やそういう方が災害に遭った場合に遺族から申請が出る。そのときに労災適用というのは非常に厳しい条件があることは存じ上げていますが、これは労災適用を受けないと年金が全然だめなんですよ。労災適用されないと厚生年金だけで、この中西さんや金良さんは年間百二十万円でしかないのです、子供三人も四人も抱えて。労災適用になりますと年金が二百四十万ぐらいつくそうですから、下の二人の方でも三百六十万、大体月に手取り二十万から二十五万ぐらいは入る。それなら何とかめども立っていくんじゃないかという気もします。労災の一時金は四百万円ぐらいだそうですから大したことありませんが、この年金はどうしても必要ですし、この場合、遺族から出た場合に、これは遺族の方から労災請求を出しますから、そのときに労働省として労災適用をするのかしないのか、それについてはっきり答えていただきたい。
  27. 出村能延

    出村説明員 請求書が提出され次第、私どもとして速やかに調査を行いまして、可能な限り現実的な対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  28. 新井将敬

    新井委員 これは課長さん、頼みますよ。七時二十分、まさに職務中の事件ですし、特別加入意味がこういうところに発揮されないと労災意味がありませんから、ぜひ全力で労災の認定はお願いいたします。  あと、これはきょうは実は関係者がだれかよくわからないのですが、個人で掛けている生命保険、これも戦争地域だとかいうことになって生命保険会社がこれをボイコットすることがあるのです。これは戦争地域に何も好んで行ったわけじゃなく、政府職員として行っていてたまたま反政府ゲリラテロに遭うなんてことは戦争でも何でもないので、民間生保の方もぜひそこを戦争やなんかという形で逃げないように、これはどなたについてもお答えいただくわけじゃありませんけれども、私の意見としてこの席をかりて申し上げておきたいというふうに思います。  それから補償についてもう一つ、この遺児の問題ですね。これは金良さんが一歳の子が一人。中西さんが五歳、三歳、これから生まれてくる子が一人。宮川さんは中学生がまだ一人未成年でいる。こういう海外共済の中に遺児育英金、遺児育英会、こういうものはやはりつくった方がいいんじゃないかと思うのです。子供がどれだけいるか、私のところだって四人もいますから何かあったらどうなるかわからない、そういう心配が常にあるのですね。やはり一般的補償じゃなくて、遺児の数において手当がふえる、年金が出る、そういう遺児育英会、そういうものを、委員長ともこの間お話ししたところなんですけれども、そういうものに向けてどうしてもつくっていただきたい。これについて御返事いただきたいのです。
  29. 中村順一

    中村参考人 御説明申し上げます。  ただいま新井先生指摘の遺児に対する育英資金でございますけれども、今回の大変残念な事件を契機といたしまして、私どももどういう形でそれができるか、海外共済会の中でどういう対応ができるかということを早急に検討いたしました。そして、でき得る限り海外共済会の中でそういった遺児育英基金制度というものをつくるということで現在詰めを行っているところでございます。
  30. 新井将敬

    新井委員 それはぜひ進めてください、これも我々も全力で応援いたしますので。  それにさらに、これは問題提起だけですが、これからもこういうことが起きますので、例えば国家公務員災害補償の中に、防衛庁ですと防衛庁訓令で賞じゅつ金というのがございます、特別な任務につくときに。これをやはり海外共済の中でもそろそろ、日本もこれくらいの経済大国になり、こっちが好意と思っても相手は敵だと思っているのもたくさんいる、こういう中を要するに生きていかなければいけない、経済協力技術協力をしていかなければいけない、やはり海外危険地域特別賞じゅつ金というようなものも海外共済の中につくっていって、危険地域—─テロ勃発の数とかそんなの簡単です、認定はそれは難しいというけれどもテロの勃発数とかを考えればある程度認定できますから、そういう特別な措置もつくっていただきたい。これはもう御返事要りませんけれども、そういうすべての見直し、これから危険な地域に向かわれるような善意協力者、専門家、隊員に対する、もう全力で日本国はあなた方のことは最後まで考えるんだよという意味で、ひとつ全力でこの機会に検討をお願いしたいというふうに思います。  それから、時間が来たようですので最後になりますけれども、最後は実は、ロンドン・サミットと米ソ首脳会談のことで一つだけまとめて大臣にお聞きしたいのですが、サミットと米ソ会談における対ソ支援と、日本の対ソ政策というのはやはり一線を画さなければいけないと思うのですよ。これは、北方領土問題がもう世界の世論であるということは、このG7プラス1でほとんどもう認知されたことなんですね。しかし、米ソ首脳会談で例えばブッシュ大統領がゴルバチョフ大統領と北方領土の討論をやろうとするとゴルバチョフ大統領は拒否する、要するにゴルバチョフ大統領のある意味では対日軽視、日本に対しての外交に十分な敬意を払っていない、これが欧米諸国に対するゴルバチョフ大統領の態度と見て、かなりこのアジア、特に日本に対する態度には一種の敬意を失ったものがあるという印象を私は避けることができないのです。  それは、この間四月にゴルバチョフ大統領が見えたときにも、シベリア抑留の六十万人の同胞に対するわびの言葉やそういうものは一切なかった。これはどう言いわけをつけても、私はずっと聞いていましたけれどもなかった。こういうことはやはり、スターリン時代の国内における過ちをすべて訂正していっているわけですし、それからポーランドにだって赤軍がやった犯罪行為をもう認めていっている。そしてドイツの統一にも手をかしていっている。ところが、事日本になるとシベリア抑留、戦争はもうやめましたといって国に侵略してきて、六十万人を連れていって六万人を殺してしまう、そして北方領土は侵略して取ってしまう。ゴルバチョフ大統領自身の責任ではないにしても、スターリンがやった拡張政策や侵略政策に対して、ゴルバチョフ大統領が日本国に対してしかるべき敬意を払わないことには、やはり日本国としてソ連と本当の意味で戦後の外交というものは私はスタートしないと思うのです。  北方領土問題は、大臣、ドイツの新聞なんかに、例えば小さい島のことにこだわるなとか書いておるところもありますけれども、これは小さな島にこだわる問題じゃなくて国家の名誉と正義が回復されるかどうかという問題なので、私は大いにこだわるべきだと思うのです。ここで世界がどうこう言うからこだわらない——対ソ支援から金融支援までは紙一重ですよ。このままぐるぐるといって、STARTも始まりましたし、来年のミュンヘンあたりには立派な金融支援メニューが 出てきて、おい、のめという話になりかねないのです。そのタイムリミットも余りないのです。  ですから、ここでやはり北方領土問題には外交を一元化して、私は対ソ支援策にあるように蔵相や通産相が余り簡単に、安易に訪ソをするというようなことはやめてもらいたい、これは必ず大きな失敗をするかもしれないのです。要するに、ここでこそ外交を一元化して北方領土問題について全力で解決すべき正念場に差しかかるだろう、そういうふうに思いますけれども外務大臣、どうでしょうか。
  31. 中山太郎

    中山国務大臣 北方領土問題は我が国の主権に関する問題でございますから、我が国の考え方というものは、国会におけるたび重なる決議も十分我々認識しておりますし、一貫して北方領土の一括返還ということを今後とも主張してまいる考えであります。  御案内のように、一九六〇年以降、ソ連は領土問題はもうないと言ってきておりましたけれども、昨年のヒューストン・サミットでドイツあるいはイタリー、フランス等の意見がありましたが、日本政府としては領土問題というものは未解決だということで、昨年のヒューストン・サミットではこれが国際的に初めて議事録に載せられた。今年はゴルバチョフ大統領の訪日の際に共同宣言において歯舞、国後、択捉、色丹、この四島が両国間の未解決の領土問題、こういうことを明記されたわけでありまして、私はここで改めて日ソの間には領土問題が存在するということをソ連が確認をしたという認識を持っておりますが、今回のサミットにおいても、日本政府がグローバルな観点で新思考外交を展開してもらうことが必要だ、こういうことを強く申し上げたのに対して、ブッシュ大統領を初め何人かの元首、大統領が北方領土問題を解決することが大切であることを主張されたということは、私ども日本国家としても我々の従来の主張が国際的な問題として解決を迫られる必要が出てきたと認識をしております。  私は、ソ連に対する金融支援の問題、日本は御案内のように公的機関には二十二億ドル、民間では六十四億ドルの中長期の金融を現在やっておりますし、人道援助もやっておりますけれども、原則として我々は政経不可分、こういう原則は崩しておりません。日ソ間の平和条約を加速度的に速度を上げて条約締結に向かって努力するとともに、拡大均衡で日ソ関係を拡大していく、こういう考え方でありますが、幸い日本国民努力によって戦後四十五年、我々の国家はG7の国の中では経済的には最も安定した国家に今日あるわけでありまして、日本の経済力というものを無視して国際的な経済の安定を図れない。資金の需要が逼迫すると言われているこれから年末にかけても、どうしても日本の経済、これを無視しての国際経済の運営はあり得ないと私どもは考えておりまして、お説のような考え方で交渉に臨んでいく方針であります。
  32. 新井将敬

    新井委員 終わります。
  33. 牧野隆守

    牧野委員長 上原康助君。
  34. 上原康助

    ○上原委員 私もまず最初に、去る七月十二日にペルーで起きました日本人御三名の大変不幸な射殺事件についてお尋ねをしたいと思います。  今、同僚委員新井先生からもいろいろお尋ねがありましたし、また先ほど外務大臣の方からこの件に関しての御報告もありましたが、余りにも痛ましい考えられない非道な事件であるということはだれしも否定できないと思うのですね。実は私、昨日、この金良清文さんの三七日に当たるということで改めてお宅を訪問して、焼香しながら遺族方々の気持ちも少し聞いてきたわけですが、その点も含めてお尋ねをしたいと思うのです。  そこで、まず最初に、国際協力をしていく国際協力事業団が、特に人的貢献ということでペルー野菜生産技術センター日本側援助でつくって、ペルー経済再建あるいは農業振興を図ろうということでやっておるのに、なぜこのような痛ましい事件が起きたのか、その背景、要因は一体どういう面にあると御認識なのか。ここにどうしても日本外交のあり方、経済援助等々を含めて真剣に再検証というか再検討してみなければいかない非常に根の深い面があるのじゃないのか。確かにテロリストの襲撃であって、けしからぬ、あってはならないということについては議論以前の非人道的行為であることは間違いないわけですが、なぜこの種の事件ペルーで起きたのか、その背景、要因というものを日本側として、特に外務省JICAがこの際十二分に掘り下げて原因究明をやって、今後どうしていくのかという対策を立てなければ、私は再発防止というのも大変難しいのじゃないのかという感がしてならないのですが、この点についての外務大臣の御見解とJICAのお考えを聞かしていただきたいと存じます。
  35. 瀬木博基

    瀬木説明員 今回の大変悲しくかつ非道な事件の真相はどこにあるかということは、犯人がつかまっておらない状態において正しく把握するということは残念ながら不可能でございます。しかしながら、この事件の背後にペルーにおけるテロリストの存在というものがあることは恐らく間違いないのだろうと思います。  ペルーテロというものは一九八〇年ぐらいから非常に盛んになりまして、現在までにおよそ二万人のペルー人、主にペルー人が殺されているという事実がございます。このテロリストは、主に政府機関を破壊する、また政府の要人またペルーの財界人等の生命財産をこれまで破壊し、また殺害してきたという事実がございます。このテロリストのねらいというものは、彼らなりに思想もあるのかもしれませんけれどもペルーの社会を崩壊させようというところにあるのではないかと思います。  これに対して、昨年七月の末就任いたしましたフジモリ大統領は、このテロの温床になっておりますところの経済的な崩壊そしてまた社会の不均等というものを是正すべく敢然たる施策を講じておられます。  そういう中で今回の事件が起こったわけでございますけれども、私、実は先週ペルーに参りましてフジモリ大統領にお会いし、また日系人方々にもお会いしたわけでございますけれどもペルーとしてはこのテロの根絶のために決して譲ることはしない、また日本人の方が被害に遭われたことに非常に心を痛めておるということでございまして、日本の皆様にぜひ心からのおわびをお伝えしてくださいということでありました。我々としては、ペルーが経済社会の再建を果たすことによってテロの温床がなくなっていくということをぜひ期待したいと思っております。
  36. 中村順一

    中村参考人 事件背景等につきましては瀬木中南米局長から御説明があったところでございますけれども、私どもJICAといたしまして、事件発生いたしましてちょうど五日後の十七日でございますが、外務省方々と御一緒にペルーに参りまして、フジモリ大統領それから内務大臣等々に対しまして、御遺族の強い希望ということで、ぜひとも一日も早く事態の解明を図るようにという強いお願いを申し上げてまいりました。一日も早く今件についての事態が解明されることを私どもとしても切に願っているところでございます。
  37. 上原康助

    ○上原委員 今、局長なりJICA理事さんからお述べになっている、これは一般論としてわかるわけですが、私が聞いているのはそういうことだけじゃないのです。その野菜技術センターにはどのくらいの方々が働いているのですか。
  38. 川上隆朗

    川上説明員 私どもの承知いたしております限りでは、日本人専門家、亡くなられた御三名の方々のほかに、ペルー側からも所長、所長はペルー人でございますが、それから技術者がやはり三人ほどおられて、そのほかに事務をやっておられる方等がおられるというふうに承知いたしております。
  39. 上原康助

    ○上原委員 ですから、そこで働いている職員はどのくらいかと聞いているのです。
  40. 川上隆朗

    川上説明員 職員の合計は、職員の数が百十一 名、それから常雇いと申しますか臨時雇いじゃない人たちが三十六名、それから臨時雇いが百十三名、合計二百六十名ということでございます。
  41. 上原康助

    ○上原委員 百十一名が正職員で、臨時を入れると二百十名余り働いているわけですよね。そのうちの日本人三名がターゲットにされたというこの事実は否定できない。そうしますと、十二日の朝の状況はどうだったのですか。テロ集団は何時にそのセンターに行って、どういうような状況のもとでこの射殺事件が起きたか、簡潔に説明してください。
  42. 川上隆朗

    川上説明員 お答え申し上げます。  本件の概要でございますが、七月十二日七時三十分ごろ、これは日本時間で二十一時三十分ぐらいでございますけれどもリマ北北西約八十キロ、ワラルにございますペルー農業省の野菜生産技術センターでございます。これに出勤したJICA専門家の方三名が現地スタッフとともに同センターの入り口付近で十五名ほどのセンデロ・ルミノソ、輝く道と見られるテロリストによって襲撃に遭いました。JICA専門家三名が管理棟の前で痛ましくも射殺されたということでございます。犯人グループは、その後、事務室、教育の器材、実験の資材、車両等を破壊して逃走いたしました。現在までペルー官憲による捜査にもかかわらず逮捕には至っていないというのが事件の概要でございます。
  43. 上原康助

    ○上原委員 これも既に報道されているとおりで、今十五人程度と言いますが、十八人から二十人だという見方がより有力ですね。  そこで、その当日あるいはその前後は、そのセンターは警備員はおったのですか。テロとかそういうものに対しての警戒態勢というか、監視をする要員配置とか、そういうのはどうなっておったのか説明してください。
  44. 川上隆朗

    川上説明員 センターの安全対策の問題でございますが、先ほどもちょっとお話が出ましたけれどもペルー側警備態勢につきましては、先方の予算の欠如、不足といった事態もございまして、事件の起きる前までの我々の承知しております状況は、民間の警備員六名をセンターの二カ所にそれぞれ配置して警備態勢に当たっていた、そのほか鉄さくを設ける等の措置はとっていたわけでございます。その六名の警備員事件当日もそこに勤務していたというふうに我々理解しておりますが、この点については事実関係をもう一度正確に現在調査中でございます。
  45. 上原康助

    ○上原委員 これは極めて重大だ。本当に六人警備員を配置しておったのですか。JICA、どうですか。二名程度の単なる監視員というか、ゲートの見張り人程度のものじゃないですか。何で今まで、六人配備しておったのかしないのかも確実な情報をとれないのですか、これだけ重大な問題なのに。はっきりさせてください。
  46. 川上隆朗

    川上説明員 実は、その点につきまして先方政府当局者にもいろいろ照会しているのでございますが、六名の勤務ぶり、その当日の勤務状況につきまして若干違った意見がございまして、もう一度そこのところを確かめるように訓令を打って調査中というのが今の状況でございます。
  47. 上原康助

    ○上原委員 なぜ私がそのことをお尋ねするかというと、冒頭のこととも関連するのだが、マスコミ報道で出ていることと実際の現場というのは大分違っているという見方もあるんですよね。遺族方々はその点について大変不信を持っていらっしゃる。これはぜひ解明せにゃいかない重大な問題点なんだ、今。  そこで、余り時間がありませんから、今の点はぜひ明らかにしていただきたいわけですが、先ほどもお答えありましたかね、新井先生のお尋ねに対しても、安全対策の面でペルー側予算が削減されたから手薄になった。一時的にはペルー政府施設ですから、こっちが無償譲渡しているわけで、向こう側がやらにゃいかないかもしらぬ、ペルーの国家がね。だが、現に日本の専門員が三人は働いておられる。JICAとして協力体制をとっているということであるなら、ペルー側がそういった予算措置安全対策ができないというのであるならば、そこで働いている職員を含めて、ペルー人を含めて、日本の専門員の本当の協力をさせる、生命の安全を守るという側で、JICA独自でももう少し警戒態勢というか自助努力というものはやるべきじゃなかったかどうかという問題もあるわけで、そこいらについてはどういう認識を持っていらっしゃるの。
  48. 川上隆朗

    川上説明員 先生指摘の点でございますけれども、先ほどもちょっとお話が出ましたが、ペルーにおけるテロ行為等による安全上の問題ということにつきましては、我々も従来より十分承知いたしておりまして、邦人渡航者等に対しましてもいろいろな措置をとっていたわけでございますが、これらの措置に加えまして、ペルーに派遣されたJICA専門家、あるいは青年海外協力隊員につきましても同様でございますが、につきましては、JICAペルー事務所が作成いたしました安全対策マニュアルというものを配付して指導を行いますとともに、年二回、ペルー派遣の専門家、隊員等全員を集めまして安全対策会議を開催しておりました。また、電話連絡に困難があるという地域もございますので、こういう地域につきましては、専門家等に無線機を配置して毎日定時に連絡を実施してもらうというような指導も行っていたわけでございます。  他方、本件プロジェクト専門家につきましても、今申しましたような安全指導を行いますとともに、我が方より業務調整員の自宅に無線機を、それから各専門家にはウオーキートーキーを配備するというようなこともやっていたわけでございます。先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、在ペルー大使を通じましては、このプロジェクト自体が非常に孤立した地域にあるということがありましたものですから、数度にわたりまして安全対策を講ずるように求めておりまして、そのこともありましてペルー側は、先ほど来御説明申し上げました警備員の配備というものを行ったり、鉄さく設置したり、警察によるパトロールも行ったということでございます。  このような大変不幸な事件が起こってしまいましたのでその対策自体が十分ではなかったのではないかということがあるわけでございますが、そのような対策を講じていたという事実はあるわけでございます。
  49. 上原康助

    ○上原委員 私が聞いていることに答えなさいよ、あなた。孤立した地域にある、条件下にあるから、余計安全対策はやらにゃいかないことでしょう。通信網も全然ない、無線でしか連絡もとれない。だから事件当時も大変なパニックだ、センター等。私が聞いているのは、ペルー政府予算が削減をされて安全対策がとりにくくなった、だから不十分であったということは認めるわけでしょう、皆さん、逆に言えば。そうであるならJICAとして独自の自助努力はやるべきじゃなかったのか、考えられませんでしたかということを聞いているんだよ。
  50. 中村順一

    中村参考人 川上経済協力局長から御説明のとおり、本件センターはペルー政府の組織、施設であるわけで、第一義的な管理責任というのはペルー政府が責任を持って対応すべきものであるということはそのとおりでございますけれども、私どもといたしましては、専門家安全確保というのは私ども事業の遂行の大前提であるという観点から、やはり私どもとしてもでき得る限り任国内における専門家安全確保が図られるように、任国政府に対しまして適切な措置を講ずるように要請するということを続けておりますとともに、私ども自身、日本側といたしましても、JICA関係者に対していろいろ指導をし、説明をし、オリエンテーションをする。あるいはJICA関係者に対し先ほど御説明がございましたような無線機等の貸与、安全対策の教育等をしてまいったところでございます。  私ども、このワラル・センターの所在します地域についての状況認識でございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、一般犯罪を中心としてかなり治安に対して問題があるという認識はございました。それに対応して先ほど来申し 上げましたような措置というものはとってまいったわけでございますけれどもテロということにつきますと、ペルー側も含めて、当該の地域におきましてテロ危険性というものがどの程度あったかということについては、ペルー側としては危険性はまずあり得ないというような判断であったかと思います。そういう判断に基づいて、警備自身は十分意を用いたつもりでございますけれども、今回のようなテロリストの攻撃ということに対しましては、残念ながら私どものこれまで講じてまいりました警備態勢あるいは安全対策というものが効がなかったということは大変残念なことであると思っております。
  51. 上原康助

    ○上原委員 言わんとしているのは、安全対策治安対策については一義的にはペルー政府の責任なのでということで、何か失礼な言い方をすると、すりかえようとしているように受けとめられるが、私はそうあってはいかぬと思うのですね。もちろん、日本側だけでどうということではなくして、相手国政府とも十分話し合い、あるいはJICAとしてそういう国際協力をするならばペルー治安当局とか警察当局とよく話し合って、日本人もいるわけで、ペルー人もいるわけだから、そういうテロ集団の襲撃を受けないような予算措置というものもODAとかそういう面でもこれは考えてもらわぬと、大臣、非常に困ると思うのですよ。  私は、このことは皆さんはいろいろ言っておられるが、テロ集団は二十名ぐらいの集団で、その二、三日前から非常に不気味な動きがあったというのでしょう。いろいろ情報を聞いてみると、この技術センターを下検分をしているのですね、二、三日前から。何か、サトウキビ畑に隠れておって、相当周辺を検分をしておった。恐らくそのことについては警察当局もセンターも気づいておったのじゃないか。なぜそれなのに当日まで警備員とかそういうものも配備をしない、あるいはそのセンターの日本人専門家に対しても、これはどうも危険性がある、不気味だということをやって対策を、もう今さら取り返しのつかない結果論にしかなりませんけれども、それだけに非常に残念、だれにこの悲しみ怒りをぶつけたらいいのですかとみんな言っているのですよ。  その隣に大成建設が何かお仕事をなさっているようですね。そこはどうなっているのですか。今、私が言ったことについては皆さんどういう情報をとっておられるのか。
  52. 中村順一

    中村参考人 御説明申し上げます。  新聞報道を含めていろいろな記事、推測が行われておりますけれども、私どもペルー側政府関係者から聴取した限りにおいては、当日テロの襲撃が予見されたということはなかったという説明を受けております。もしそういう襲撃の可能性というものが予見されていたならば、当然ペルー側はそれに対応する措置というものをとられていたであろうというふうに私どもは思っております。
  53. 上原康助

    ○上原委員 そこいらがどうも、JICAペルー警察当局だけの情報を、もちろんそれは政府関係ですからそれをまず聞く、重要視をするということはわかるけれども、技術センター周辺のペルー現地方々はどういう見方をしておったのか。当然今後の対策としてはそこいらまでの努力はやらなければいかぬ問題じゃないですか。そういう動きはあった、前兆はあったと周辺の人は言っている、だのになぜこういう結果になるまで手を打たなかったかということの問題提起をしているということをしかと受けとめていただきたい。  それともう一点、午前七時三十分、現地時間でというわけですが、このテロ集団がセンターに入っていって、襲撃をして、すぐ御三名を射殺したわけじゃないでしょう。どのぐらいの時間があったのですか、それまで。
  54. 中村順一

    中村参考人 ペルー側説明によりまして午前七時三十分に野菜センターに侵入したという情報は確認されておりますけれども、その後ペルー側の同センターの所長の所在を探したとか、いろいろなことは言われております。現実に、七時三十分以降どのくらいの時点で不幸な事件が起こったかということについては、ペルー側の正確な確認はとれていない状況でございます。
  55. 上原康助

    ○上原委員 そういうのは確認する必要は皆さんお感じにならないの。
  56. 中村順一

    中村参考人 事態の究明というものは日本側大使館それから私どもも含めて鋭意強くペルー側申し入れてございますので、私どもとしてはペルー側からそういった点についてより正確な詳細な説明があるということを期待しておりますし、ぜひそのようにしてもらいたいと思っております。
  57. 上原康助

    ○上原委員 そんな漠然としたお答えでは納得しかねるね。大使館を通じてというから外務省もしっかり聞いていただきたいのだが、恐らく一時間近くのいろいろなやりとりというか、あったんじゃないかということを言われていますね。残念ながら御三名の方々が、英語は非常に堪能だったようですが、スペイン語については、三月ないし五月にしかペルーに行っていらっしゃらない、宮川さんは先だと思うのですが。そういう面でテロ集団はほとんど現地語しか話さない。だから、そこでの対話というかコミュニケーションが全然できずに結局最終的に射殺されたのではないのか。したがって、そういう面で、もう少し職員なりなんなりがスペイン語を解して、我々のやっているのはこうなんだという何かのあれがあれば、場合によっては生命は何とか防げたのではないのかという見方もあるわけです。  それだけにこの事件の全容についてはぜひ解明をしてもらいたいというのが関係者の強い願いなんです。心中なんです。これにこたえていただかなければいかぬと思うのですよ。そこいらについて、今後どうなさいますか。
  58. 川上隆朗

    川上説明員 先生指摘のとおり、事件の解明に関しまして、現地大使館を通じて先方政府にさらに督促する等いろいろな最大限努力を行って解明に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  59. 上原康助

    ○上原委員 今言ったこともどれだけの時間的なあれがあってなのか。警察当局だけの言い分を聞くのか。百名余りもペルー方々が働いている。当日の模様がどうなっておるのか、皆さん自体でも聞けるのではないですか。何でそういう独自な調査大使館はしない。  大臣、今までの件について何か御見解があれば御答弁ください。
  60. 中山太郎

    中山国務大臣 今回の痛ましい事件につきまして、私ども政府としては、当然のことながらこのテロの情報あるいは捜査活動の権限を持っているペルー政府に対して、事態の真相を究明するために強く要請をいたし、またその事態が判明し次第、当委員会におきましても詳細に御報告をさせていただきたいと考えております。
  61. 上原康助

    ○上原委員 私が今指摘をしたことについても、ぜひもう少し解明をしていただきたいと思います。ですからこういうことを含めて、御遺族方々が納得いく説明が欲しいと言っておられるのですよ。納得いく説明が欲しい。なぜそうなったのか、本当にこれは防げなかったのか。  そこで、先ほどもありましたが補償問題について改めて私も聞きたい、お尋ねしたいのですが、先ほどから聞いてみますと、できる限り最大限努力をするとか、先ほどの大臣の報告の中にも「できる限りのことをしてまいる所存であります。」大変抽象論なんですよね。もちろんそう言わざるを得ない面もあることはわかりますが、海外共済会の中からの遺族特別給付金は先ほど新井先生もお取り上げになったとおり。その他の弔慰金であるとか、遺族補償費であるとか、厚生年金退職金は先ほどもありましたように宮川さんの場合は正職員適用されるようですが、中西さん、金良さんは対象にならない。しかし、できるだけそのギャップを埋めるように特別の計らいをするということですが、今さら、無念の死を遂げてしまわれた本当に本人もそうでしょうが、残された遺族、親戚の心中は、これはもうどう表現し ていいかわからないほどです。私、きのうも、一歳二カ月になる駿一郎ちゃんが、お父さんが亡くなられたこともわからないでしょう、白い位牌の前で元気に動き回っているのを見て、本当に何でこんなむごいことに遭わなければいかぬのかと、改めて涙なくして座ってはおれませんでしたが、恐らくほかのお二人の奥さん家族、親戚の方々も同じようなお気持ちでしょう。  そうすると、今、国際協力だ、人的貢献だ、何だかんだと言っても、やはりこういうことに不幸にして遭った方々に対しての誠意あるというか、国としてのそれなりの十分な補償というものはやっていただかないと困ると思うのです、これは。ただ言葉だけで、できる限りとか、何とか制度に合わせてやるということでなくして、もし制度に合わなければ、この際新しい制度を適用する、導入する、そのぐらいの強い姿勢で、この問題についてはJICAも、外務省、これは外務省でしょうね、JICA予算だって外務省の方からODAはいくんだ。  大臣、この件については改めてひとつ、恐らくこのことについては、きょうの委員会の模様は遺族方々も聞いていらっしゃるでしょう。先ほどの御答弁だけでは私は納得しかねると思う。もう少し納得いく説明が早く欲しい、こうおっしゃっているわけですから、ぜひひとつ補償問題について労災適用を含めて、さっき労働省の方も前向きの答弁があったのですが、これは外務省としても労働大臣と相談をなさって、適用したい、そういう手続を早目にとりたいというぐらいの決断をしていただきたいと思う。
  62. 中山太郎

    中山国務大臣 委員の御指摘のとおり、私も全く外務大臣としては、日本国際協力の中での経済協力の一環として人的貢献するわけでありますから、今回の不幸な事件は初めての事件でありますだけに、これが後々先例となるわけでございまして、私は外務省及びJICAに対しても、今回のこのまことに残念な事件を契機に、安心して国際貢献ができるような補償制度を確立すべきであるということを事件発生後直ちに申しておりまして、現在関係各省と協議を進めております。必要な制度があれば新たに導入することもやぶさかでございません。その点は私どもも重大な決意を持って臨んでいることを御理解をいただきたいと思います。
  63. 上原康助

    ○上原委員 労働省に改めてお尋ねしておきますが、労災適用については労働省として可能な限り検討をしていきたい、そういう手続申請があれば速やかにというような先ほどの御答弁でしたが、もちろんそれは手続上はそうでしょうが、これはもう申請あるなしにかかわらず、ぜひ御遺族の御心中、お気持ちにこたえる意味でも、今外務大臣からもありましたが、労災適用というものは当然やっていただくべきだと私は思うのです。改めて御見解をひとつ聞かせておいていただきたいと思います。
  64. 出村能延

    出村説明員 今回亡くなられました三名の方々につきましては、労災保険の海外派遣特別加入に加入をしておられましたので、これが業務災害に該当する場合には労災補償がなされるということになるわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど新井先生にお答え申し上げましたとおり、本件につきましてはまだ請求がなされておりませんけれども、請求があり次第速やかに調査をいたしまして適切に処理してまいりたいというふうに思っております。
  65. 上原康助

    ○上原委員 これは立派に職務を遂行なさろうという、その職務遂行中に起きた災害事件でありますから、当然これは適用してしかるべきだと思いますので、ぜひひとつお願いします。  もう一つ、先ほどもありましたが、遺児育英会の新設問題ですね。これも御検討いただきたいということと、さらに、もちろんこの種の事件が繰り返されてはならないわけですが、残念ながら地域紛争あるいは国際テロの起きやすい環境というか情勢が各地で出てきている。ですから、外務公務員の場合は、不健康地域であるとかあるいは治安不安定地域であるという場合には、赴任する段階でのいろいろな特別手当的なものがありますね、等級制度を設けて。ですから、今後の国際協力事業団あるいは青年海外協力隊、そういう方々についても何らかのこういった新たな措置というものを検討してしかるべきだと思うのですね。その点もぜひひとつ、新年度もう概算要求も間近であります、これから予算編成をしようというやさきでありますから、ODAの再検討を含めてやるべきだと思うのですが、この点についてはひとつ大臣の方からお答えください。
  66. 中山太郎

    中山国務大臣 再検討いたします。
  67. 上原康助

    ○上原委員 これはぜひ検討していただきたいと思います。  もう一つ要望しておきますが、遺族方々のお気持ちとして、当時の衣服であるとか遺品、身の回り品が十分返っていない。そういう面で、いかなる状況であろうとも遺品については全部それぞれの遺族に速やかに返していただきたい、こういう強い要望もありますので、例えば当時履いておられた靴とか洋服であるとか、金良さんの場合は眼鏡も返ってきてないようですね。そういう遺品については、速やかにペルー政府と交渉して、ぜひ遺族の方に早くお返しをしていただきたいという強い要望がありますので、その点は要望として申し上げておきますが、ひとつお答えあればいただきたいと思います。
  68. 中村順一

    中村参考人 先生指摘の点につきましては、御遺族の強い要望もありまして、強く私どもそれから外務省の方からペルー側申し入れまして、一部と申しますか、ペルー側からの説明によれば大部分日本の方に渡りまして遺族の方にお渡ししたということでございます。ただ、先生指摘のように、例えば眼鏡とかまだ残されていたはずで御遺族のところに戻っていないものというものがございまして、そういうものにつきましては引き続きペルー政府に、鋭意捜して必ず遺族の方にお戻しするようにということで要請をし続けております。
  69. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつ、納得いく説明政府の姿勢といいますか対応措置を求めていらっしゃいますので、私の方からも強くそのことを要望しておきます。  最後に、もう時間がなくなりましたのでちょっと基地問題について、この間外務委員会も沖縄基地を視察をしたわけですが、最近米軍の海外施設が九五年までに三分の一以上縮小されるという国防総省筋の発表がなされたということやら、いろいろ動きが出ております。しかし、沖縄基地に関してはそれとは逆にますます強化の状況にもある。一向に基地の整理縮小は進まない。大田知事もとうとう直訴をなさった。だが、沖縄基地の整理縮小、返還というものは日本の国内問題である、こういう言い方をアメリカ側はしているわけですね。だから、やはり日本政府がどれだけ誠意を示すかが、基地の整理縮小、撤去ということは、皆さんは撤去ということは言いたくないから整理縮小、返還ということを促進する一つの大きな政治力になると思うのですね。アメリカ側が日本政府の問題であると言う以上は、沖縄側の希望にこたえてもらわなければいかぬ、皆さん。それについてどう思うのかということ。  もう一つ、この間、空軍の司令官の方からも幾分説明があって、ちょっと気になるわけですが、ピナツボ火山の影響でクラーク基地が閉鎖になる、アメリカ側もフィリピンに返す、こうなると、ただでさえ過密状態、騒音も激しい、基地被害を受けているのに、このピナツボ火山によるクラーク基地の閉鎖によって、沖縄基地によりインパクトを与えるのではないのかという懸念を持っておるのですがね。まさか外務省日本政府はそこまで沖縄にさらに基地を集中させるという考えはないと私は思うのですが、また米側もそういう否定的な見解と、なかなか今の段階では言えないという見方もあるようですが、この二点についてひとつ大臣の方から明確にお答えいただきたい。
  70. 松浦晃一郎

    ○松浦説明員 先生お触れになりました沖縄の地元の方々の沖縄におきます米軍基地の返還にかけます御期待は私どもも重々承知しております。今 先生お触れになりましたように、まさに大田知事がアメリカを訪問しておりまして、きょうお帰りになると承知をしておりますが、アメリカ訪問に当たりまして、鋭意米側の関係者、議会の関係者、それから行政府の関係者にお会いになられたことも承知しております。  そういう中に、先生、基地の問題を取り上げたときに米側の関係者が日本の問題であると言われたというふうに引用されましたけれども、私どもが承知しておりますのは、これは日米両国政府間で話し合っていく問題であると米側の政府関係者が言ったと承知しておりますけれども、いずれにいたしましても、私ども国会の場でも繰り返し御説明してきておりますが、他方におきまして、安保条約に基づきます米軍の駐留は日本及び極東における平和と安全の維持に必要であるというふうに考えております。同時に、沖縄におきます米軍の施設、区域の整理統合に関しましては鋭意努力をしていきたいということで、昨年六月にもまさに二十三事案の返還に関しまして基本的な合意を得ておりまして、これの早急なる実施のために、この一年間鋭意努力をしてまいりました。この二十三事案のうち、現在までのところ四事案に関しまして日米合同委員会の手続が終わっておりまして、残りの十九事案に関しまして今鋭意努力をしておるということでございます。  それから先生がもう一つお触れになりましたクラーク基地との関係でございますけれども、これは先生がお触れになりました火山の影響で当面はクラーク基地が使えなくなっているということもございますけれども、同時にアメリカとフィリピンの間の基地交渉がまとまりまして、アメリカはクラークの空軍基地は九二年九月をもってフィリピンに返還するという基本的な合意ができております。しかしながら、先生がまさにお触れになりました火山の爆発の関係で、クラークの空軍基地におりました、ここに配備されておりましたアメリカの二個飛行隊、F4二十四機の二個部隊で合わせまして四十八機でございますが、これは既にことしの六月までにアラスカ等アメリカの方に引き揚げております。  ただ、一般的に申し上げますと、このクラーク基地の閉鎖に伴いまして今後米軍がどうするかということに関しましては、私どもは現在米側において検討中であると承知しておりますので、とりあえず今申し上げたことで緊急避難はしておりますけれども、具体的にクラーク基地が従来備えていた機能をどういうふうに今後考えていくかということに関しましては、まさに鋭意検討中ということで、現段階では私どもは承知しておりません。  以上でございます。
  71. 上原康助

    ○上原委員 時間ですから終えますが、大臣、クラーク基地が今言うように返されるだろう、その代替を、よもや沖縄の嘉手納空軍基地とか、あるいはその他の基地ということは、仮にアメリカ側から相談があっても断ってもらいたい、これだけは。我慢なりませんよ、本当に。その点はぜひ大臣の見解を聞いておきましょう。
  72. 中山太郎

    中山国務大臣 現在まで政府といたしましては、米国からそのようなことを相談を受けておることもございませんし、現在そのようなことは考えておりません。
  73. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  74. 牧野隆守

    牧野委員長 高沢寅男君。
  75. 高沢寅男

    ○高沢委員 ただいま新井委員、上原委員からペルーの問題で集中的な御質問がありましたが、私は、きょうは若干アジア問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  と申しますのは、この七月十日から十八日まで、日本・ベトナム友好議員連盟というものがございまして、今櫻内衆議院議長がその会長をずっとお務めでありまして、櫻内議長に団長をお願いして、その代表団でベトナムあるいはカンボジアを訪問してきた次第であります。  この代表団には、ここにおられます浜野先生、あるいはまた園田先生、それから古堅先生、公明党ではつい最近まで外務の理事を務められた山田英介先生、それに私、こういうふうな構成で行ってきたわけでございますが、ベトナムにおります間は湯下大使を初めとして、ハノイの日本大使館の皆さんに非常にお世話になりました。また、往復ともバンコクを経由するわけでありますが、バンコクでは岡崎大使が御病気で、ちょうど当時日本へお帰りになっていた。あと池田公使あるいは今川公使に非常にお世話になった、このことをこの場をおかりして大臣に、あるいはアジア局長に心からお礼を申し上げる次第でございます。  そこで、カンボジアでございますが、御承知のように、今この四派の話し合いが非常に進行している。年内には一定の結論に達するというふうに私たちも行って、見たり、聞いたり、そのことを確信してきたわけでありますが、ちょうど行きましたときに、フン・セン首相は北京の会議へ行っておられて不在でした。それからチア・シム議長は日本へちょうど来ておられて、これも御不在でしたが、ヘン・サムリン大統領にお会いするということで、いろいろお聞きをしたわけでありますが、ヘン・サムリン大統領は、タイのパタヤの会議が非常に成功した、それから北京の会議も成功することは間違いないというふうな認識の上に、あと今度は八月にバンコクでまた国家最高評議会の会議があるが、ここで残った問題はすべて解決する、解決させるというような言い方をされておりました。  そこで、ここで残った問題というのが一体どういうことかということでありますが、これはけさの朝日新聞に、カンボジアのホー・ナム・ホン外務大臣が朝日新聞の記者と会見した、その記事が出ておりますが、その中では、次回のバンコクでのSNCの会議では、残されたポル・ポト派の虐殺問題、これが一つ、それからもう一つは軍事面の問題、それからもう一つはカンボジアの主権の問題、この三つの問題についてバンコク会議では議論するんだというふうなことをこのホー・ナム・ホン外相は言っているわけでありますが、この辺の、バンコク会議で議論される問題の認識は、我が国外務省としてもそういう認識をお持ちであるかどうか、それをまずお尋ねしたいと思います。
  76. 谷野作太郎

    ○谷野説明員 御案内のように十年を超える紛争でございますけれども、ただいま先生仰せのように、トンネルの向こうの平和の光がやっと見えてきたかなという感じがする昨今でございます。  そこで、何が問題として残されておるかということでございますけれども、ただいま御指摘の三つの問題でございます。  一つは、これから各派が武装解除をして、そして選挙をやって新生カンボジアに至るわけですけれども、その武装解除の段取りをどう運ぶかということ。それから第二点は、その暫定期間、選挙に至るまでの期間に国連が関与してくるわけですけれども、その国連の関与の度合いをどこまで認めるかという問題が第二点。そしてただいま仰せのジェノサイド、これの再来をどういうふうに防ぐか、この再来の防止策を来るべき和平の文書にどういうふうに書きとめるかということでございます。  いずれも難しい問題でございまして、それぞれの考え方、主張があるわけで、八月の末に予定されております四派の会合では、いよいよこの一番難しい残された問題に彼らは真剣に取り組み始めるという状況でございます。
  77. 高沢寅男

    ○高沢委員 このへン・サムリン大統領とのお話し合いで、我々も非常に強く印象を受けたことは、要するに四派の話し合いが進行していって、我々カンボジア人の話し合いで結論がつくということですね。そのときは、カンボジア人の話し合いで決まったことをそのままひとつ国際的に尊重してほしいという一種の民族自決、こういうふうな考え方が非常に強い、こう感じたわけです。  具体的には、今まで対立していた三派側のシアヌーク殿下、それからプノンペン側のフン・セン首相の両者の話し合いが非常に急速に前向きに進んで、その中から国家最高評議会の設置ということも順調にいく、そういうふうになっていく展望 の上に立って、自分たちカンボジア人が話し合いで決めて自分たちがそれを実施するということを国際的に尊重してほしい、こういうふうに受け取ったわけです。ただそこには、また国連が関与する、こういう一つの枠があるわけでありまして、この国連関与の仕方と、カンボジア人が話し合いで決めたことは我々がやりますという民族自決的な考え方との相互関連が、私はかなりデリケートなものがあるというように感じたわけでありますが、その辺の御認識はいかがでしょうか。
  78. 谷野作太郎

    ○谷野説明員 何よりも、私どももそういう感じを強く持っておりますのは、これはカンボジア人同士の紛争でございますから、彼らが到達する合意、コンセンサスというものはやはり国際的に尊重さるべきものであろうと思います。  しかしながら、その合意が実は難しいわけでございまして、ただいまの国連の関与をどこまで認めるかというのは、それぞれプノンペン政府の側、あるいはこちらのシアヌークさん、なかんずくクメール・ルージュの側の立場、考え方が非常に違いますものですから、仰せのように、そういう二つの主張がある中で、暫定期間において国連の関与の度合いをどこまで認めるか。逆に言えばプノンペン政府の各省庁の役割をどこまで制限するか、あるいは一部解体するのか、これはこれで彼らにとっては大変大切な深刻な問題をこれからバンコクで討議するということだと思います。
  79. 高沢寅男

    ○高沢委員 国連関与の仕方ということが非常にデリケートだと今おっしゃいましたが、それとの関連で当然我が国も国連加盟国、そしてアジアにおける重要な国として、このカンボジア問題が解決される、そこに国連が関与していく、その関与していく中に、日本も一定の役割を持って関与していくというようなことになるのじゃないかと思いますが、この辺の関与の仕方あるいは関与する範囲といいますか、あるいはどういう問題で関与するというふうなことがもう私はかなり目の前へ迫っておると思いますが、この辺のところは外務省としてどういうお考えをお持ちか、この機会にお尋ねしたいと思います。
  80. 谷野作太郎

    ○谷野説明員 国連局長が参っておりませんので、国連局長から御答弁するのがより適切かと思いますけれども、これから御審議いただくことになると思いますPKO法案、この帰趨を待っておのずからその枠組みの中で日本がどこまで何を果たし得るかということは、国会での御論議を経て決まってくるものだと思います。  常識的に考えて、高沢先生においても御異論がないと思いますのは、例えば選挙がございます。その段階で、選挙監視団の一員に日本としても人員を参加させるということについては、積極的に考え得るものだと思います。
  81. 高沢寅男

    ○高沢委員 今、アジア局長の御説明では、幾つか考えられる中の一つの例を挙げられたと思いますが、ただその場合の一つの前提は、さっき言ったカンボジア側の民族自決という考えの、それを結局、具体的に代表するのはシアヌーク殿下が今度は議長になる国家最高評議会、これが要するにカンボジア側の主権を代表するということになってくるわけですね。したがって、国連としての関与の仕方という問題があると同時に、このシアヌーク殿下を代表とする国家最高評議会が、例えば日本に対してこのカンボジア問題でどういう役割をしてほしい、こういうことをしてほしいということが恐らく相手側からも要望が出てくるということになるのじゃないのか。あるいはそれを裏返せば、今度はこういう関与はしないでもらいたい、それはひとつ勘弁してほしいとかいうふうなことも、相手側からはきっと出てくるのだろうと私は思うわけですが、この辺のころ合いをどんなふうにお考えになっているか、もう一度御説明願います。
  82. 谷野作太郎

    ○谷野説明員 仰せのように、どういう和平の仕上がりになりましょうとも、カンボジアの主権というものは絶対に尊重されなければいけませんし、その主権がどこに存在するかといえばSNCでございます。したがって、SNCが国連に授権する範囲内においてその種の国連の活動が可能であるということでございます。どういうふうな仕上がりぐあいになるかは、これから八月の末のバンコクの会議でまとまらなければさらなる会議を経て、だんだん姿かたちが見えてくるということだと思います。
  83. 高沢寅男

    ○高沢委員 私もやはり、八月二十六日からのバンコク会議の結果をもう一度見て、その中から今のような問題点の答えもおのずから出てくるだろう、こんなふうに思っております。  それで、私たちが行っておりましたとき、プノンペンにはフランスがカンボジアを統治していたときの元フランス総督の事務所があるのです。これは大変大きな立派な建物で、それは今プノンペン政府では迎賓館に使っておりますが、その建物が、SNCができればSNCの事務所はこの場所に設置するということももう決まっているわけですね。ですから、これができればシアヌーク殿下はプノンペンに帰られて、その元のフランス総督府の跡の建物の中で国家最高評議会の事務所を設置され、その主席ということになるわけですね。  それから、プノンペンにはシアヌーク殿下のお父さんがつくられた王宮がございますが、その王宮の一角にはそういう王様たちの私的生活をする建物がありまして、これも今盛んに改修しておりました。もう間もなくシアヌーク殿下が帰ってこられるということで改修しておりましたが、カンボジア側ではもう十月あるいは十一月には現実にシアヌーク殿下が帰ってこられる、そしてSNCが設置されるというようなタイムテーブルで準備しておるというふうに見られますが、そういうことになった段階で、我が国のこのSNC、シアヌーク殿下を主席とするこれとの外交関係、つまり我が日本政府はそのSNCを、シアヌーク殿下主席のこれを承認して、そしてこれと国交を結ぶ。具体的にはそこに代表部を設置するか、前に外務大臣のお話では代表部設置というようなお言葉がありましたが、そういうことになるのか、あるいはまた直ちに大使館設置というようなことになるのか、その辺の外交関係の設定の仕方はどうなるのか、これもひとつお聞きをしたいと思います。
  84. 谷野作太郎

    ○谷野説明員 この点は、先般クアラルンプールに大臣がASEANの外相会議でお越しの際に現地で明らかにされまして、日本の新聞にも一部報道されておったところでございますが、私どもは次のような段取りを考えております。すなわち、十一月とおっしゃいましたが、そうなれば私はよろしいと思いますが、いずれにせよ、秋プノンペンにSNCというものがきちんと設置され機能を果たし始めたならば、私どもはそこに常駐の大使級の者を派遣したいというふうに考えております。この点は先般大臣がクアラルンプールで明らかにされたところであります。  さて、その大使館かどうかというお話でございますけれども、当面は、SNCというのは考えてみますと暫定期間におけるカンボジアというものを対外的に代表するものというふうに私どもは観念しておりまして、したがって、そこへは常駐の大使級の者を張りつけることは考えておりますけれども大使館開設ということになりますと、やはり私どもは今のところは、来るべき総選挙を経て新生カンボジアがしっかりとでき上がって、新政権が発足して、そこで初めて本格的な大使を送るということになろうかと思います。それが最終点でございますけれども、もう時間がございませんので、近いうちにそのための準備も含めまして二名ほどの若い職員を近々プノンペンに準備のために派遣したいと思っております。
  85. 高沢寅男

    ○高沢委員 カンボジアから帰るときに、先ほど言いましたバンコクを通って帰ったわけですが、そのとき外務大臣、タイのアーサー外相とお会いしてこれらの問題で意見交換しましたが、そのときアーサー外相はこういう言い方をされました。  カンボジア問題の解決日本政府が水面の上であるいは水面の下で非常に貢献されているということを高く評価して私たちは感謝しております、 こういう表現をされまして、そしてさらに、カンボジア問題の解決を成功せしめるために、例えばフン・セン首相は病気治療等も含めて日本へ行かれた、それからチア・シム議長も今度日本へ行かれた、この段階で一度シアヌーク殿下を日本へお呼びになったらどうでしょう、これはシアヌーク殿下に対してもあるいは日本政府のカンボジア問題の解決に貢献されるという点においても非常に有効じゃないかというような意味のことをアーサー外相が言っておられましたが、その種のことを何か日本としてやるお考えがおありでしょうか。
  86. 中山太郎

    中山国務大臣 シアヌーク殿下を支援するという日本政府の考え方からいたしましても、シアヌーク殿下の外交日程、政治日程等も十分御意見を聞いた上で適当な機会にそのようなことを考えさせていただきたい、このように考えております。
  87. 高沢寅男

    ○高沢委員 それでは次に、今度はベトナムの問題になりますが、これは言うまでもなく、カンボジアへベトナム軍が侵攻して、一九七九年、それ以来日本の対ベトナム援助は凍結されて今日に至っております。それで、今度こういう形でカンボジア問題が一件落着というふうになった段階で、ベトナムに対する援助の凍結は当然解除されるということになるのじゃないのか、ベトナム側との話し合いでは非常に相手もそのことを期待しておりました。  そのことでお尋ねするわけですが、まず凍結になる前に我が国は対ベトナムの援助でどういうふうなことをやっておられたか、金額とかあるいは援助の中身とかいうことで、まずお尋ねしたいと思います。
  88. 川上隆朗

    川上説明員 ベトナム援助の問題でございますが、七五年のベトナム統一以来ということで、七八年十二月のベトナム軍のカンボジア侵攻までの間でございますけれども、これはいずれも無償でございますが、経済の復興と発展のための無償援助とうたいまして、七五年度に八十五億円、七六年度に五十億円、七八年度には四十億円、合計百七十五億円の無償供与を行っております。  この中身につきましては、基本的にはブルドーザー、トラック、掘削機といったような大型の商品と申しますか、そういうものが大宗でございます。そのほかにもセメントプラント用資材等々がございます。そういうものを含めました無償供与を行っております。  また、右無償供与に加えまして、七八年度には百億円の商品借款、これは有償でございますが、そういうものを供与いたしております。
  89. 高沢寅男

    ○高沢委員 今の御説明でよくわかりましたが、それらの援助協力を実施されるに当たってベトナムと日本との間でどういう外交取り決めというか、どういうものをなすってそれに基づいてやられたか、それはいかがですか。
  90. 川上隆朗

    川上説明員 無償資金協力及び有償資金協力、いずれも通常交換公文という形式で政府間の国際約束というものを締結して、それに基づいて供与するという方式でございます。
  91. 高沢寅男

    ○高沢委員 そうすると、先ほど言いましたカンボジア問題がめでたく解決してこれからベトナムに対するまたこの種の援助を始めるとすると、同じようにやはり交換公文というような形を経ておやりになるのかな、こんな感じがしますが、その辺の見通しはいかがですか。
  92. 川上隆朗

    川上説明員 ベトナムに対する今後の経済援助の方式についてのお尋ねと理解させていただきますが、従来どおり通常の交換公文の形式で行うことになると思います。
  93. 高沢寅男

    ○高沢委員 それから、従来はカンボジアへの出兵ということで凍結ということできたわけで、凍結といえば冷蔵庫へ入って凍らしてあるわけですから、冷蔵庫の中で凍らしてある金額というふうなものは一体どのくらいの量があるのか、そのことはいかがでしょうか。
  94. 川上隆朗

    川上説明員 ベトナムとの関係では、旧南越の債権の問題というものがございます。他方、我が国として今後ベトナムに対して新たな援助を行うという当時の考え方もあったわけでございますが、新たな援助をどういう形でどの程度行うかということにつきましては今後の検討課題ということになろうかと思います。  ちなみに我が国援助につきましては、先生指摘のとおり一部の人道援助災害援助等に限定する形で今実施いたしておりまして、先般の中山大臣の訪越に際しましても、我が国としては長期的にはベトナムの民主化につながり得る同国の開放化、ドイ・モイの政策を支援する、政策を称揚するという観点から人材の養成の面でも協力していくというようなことを表明したわけでございます。この点は、カンボジアにおきまして真の和平が達成されまして、インドシナ全体の復興と経済発展我が国として協力を行い得る日が一日も早くあらんことを我々は期待しているわけでございます。
  95. 高沢寅男

    ○高沢委員 これからそういうふうな援助をまたやるというふうになるとすれば、旧南ベトナムに対してした賠償のその債権問題等も絡めて協議する、こういうお話でしたが、たしかそういう協議をやった上に立って、あの七五年からカンボジアへ入る前のベトナムに対してやった先ほど来の八十五億、五十億、四十億の無償あるいは百億の有償ですね、これはたしか南ベトナムに賠償として払った、そのことの債権問題も統一されたベトナムとの間で話し合った上でこれをおやりになったんじゃないですか。その意味において、そういう協力の資金を出す枠組みというのは既に話し合いができておるんじゃないですか。これはいかがですか。
  96. 川上隆朗

    川上説明員 私の認識といたしましては、当時の債務問題の先方との話し合いは、この問題とは、新規の経済協力の問題とは切り離した形で我々は理解しておりますし、そのような御説明を申し上げたというふうに理解しております。
  97. 高沢寅男

    ○高沢委員 それじゃわかりました。我が国政府の態度、方針としては、これから再開する場合は新規の問題としてまたベトナム当局とそういう援助のやり方を話し合うということですね。そしてその話が当然ついた段階でそれを実施する、こうなるわけですね。そう理解していいですか。
  98. 川上隆朗

    川上説明員 そのように理解していただいてよろしいと思います。
  99. 高沢寅男

    ○高沢委員 次に、これはちょっと私も新聞で見てのあれで、どういうことかひとつお尋ねしたいのですが、今度ブッシュ大統領がモスクワを訪問されて、そしてゴルバチョフ大統領と会談されて、STARTの妥結もできた。あの会談の中でブッシュ大統領が日本の北方領土問題を取り上げてソ連に解決を呼びかけたというようなことが新聞で報道されたわけです。それからフィッツウォーター・アメリカ大統領報道官が、会談後の記者会見で、キューバ支援や北方領土問題は対ソ経済支援の条件ではない、こういうふうに語った、これも新聞にそういうふうに報道されているわけです。それからけさの、きょうの毎日新聞の記事によれば、ブッシュ大統領はその言い方として、北方領土問題は米ソ間の問題でもある、日ソ間の問題であるが、しかしまた同時に米ソ間の問題でもあるとブッシュ大統領は言ったというふうなこともこの新聞の報道にはあるわけですが、この辺のところの、まずブッシュ大統領はどういう言い方をされたのか、それからフィッツウォーター報道官はどういう言い方をされたのか、こう言われたというそのこと自体を正確に知りたいと思いましてお尋ねいたします。
  100. 兵藤長雄

    ○兵藤説明員 ブッシュ大統領のモスクワにおきます発言は、公的な発言が二つあるわけでございます。それと、実際の米ソ首脳会談の中において私どもが今の時点で承知しておりますのは、北方領土問題もブッシュ大統領は提起されたということでございますが、まだ詳細この米ソ会談の内容については、明日米国の高官が来るということでございます、そこで伺うということになってございます。  前半の公的な発言というものは二つあるわけでございます。一つは、米ソ首脳会談が始まります 前のブッシュ大統領歓迎式典におけるゴルバチョフ大統領とブッシュ大統領の短いスピーチの交換がございました。その中での御発言が一つと、それから三十日に国際関係大学におきまして演説をされたわけでございます。その中で触れられたのがもう一つでございます。もし要しますれば、その中の発言を御紹介いたします。(高沢委員「お願いします」と呼ぶ)  それでは前者でございますが、前者はブッシュ大統領の短いスピーチの中で、今や米ソは共通の価値観を共有できるようになってきた、これは人類の将来に希望を与えるものだという趣旨のことを述べました後で、次のように述べておるわけでございます。  もちろん、私たちには相違がある、しかし、この希望が私たちの相違に取り組むことを可能とする、相違とは、キューバ、バルト諸国の将来及び日本が北方領土問題と呼ぶものである。こういう言及でございました。  それから、もう一つのモスクワの大学における演説でございますけれども、これはかなり長いものでございました。その中で最初米ソ関係の肯定的ないろいろな発展ということについて述べました後で、まさに新しいパートナーシップの積極的なサインがある、しかし障害もまだ残っている、これを克服できるかどうか、これが新しい関係の力を試す試金石、テストともなり得るという趣旨を述べました後で次のように述べておるわけでございます。  「多くの場面で、五十年前に戦われた世界戦争に起源を有し、それに引続く長い冷戦によって凍結されていた紛争や争いに我々は直面している。例えば、日本の北方領土返還要求─我々はそれを支持する─」という挿入句を入れておられますけれども、「日本の北方領土返還要求のような紛争である。この紛争」これは北方領土問題でございますが、「この紛争は、貴国の世界経済への統合を妨げ得るものであり、我々は双方がそれを解決することを助けるために我々が出来ることなら何でもしたい。」これがブッシュ大統領のスピーチの該当部分でございます。  しかるところ、フィッツウォーター米報道官の記者会見でございますが、これは記者団の方からブッシュ大統領のキューバ問題、北方領土問題、バルト三国問題の指摘はソ連への経済技術援助の条件と解釈するのか、こういう質問でございました。  これに対するフィッツウォーター報道官の答えは、これらは条件ではなく、両国の関係の発展し成熟したことを示している。我々は、我々の間で困難となっている問題を提起できるし、それらを率直に話し合うことができる。ブッシュ大統領は、キューバ問題につき今日午後の講演の中で言及した。我々は確かにソ連と見解の相違をもっているが、しかしそれらは両大統領が内々の会談の中で率直に話し合われるものである。そしてそれは、極めて健康的な関係である。というのが、この記者団の質問に対するフィッツウォーター報道官の答えでございます。
  101. 高沢寅男

    ○高沢委員 どうもありがとうございました。  委員長、もし何ならば今局長がお読みになったその文章の部分を後でいただくことができますか。─—じゃ、それはひとつよろしくお願いします。  それから、お名前は忘れましたが、きょうアメリカの高官が来られて、たしかあした外務大臣とお会いになりますね。そしてモスクワの会議の御報告がある。その中できょうお読みになった以外の北方領土問題に触れたブッシュ大統領の言葉の部分があれば、差し支えなければ後でそれもいただければ、これは出せませんと言われるならばやむを得ませんが、差し支えなければひとついただきたい、こんなふうに思います。
  102. 兵藤長雄

    ○兵藤説明員 あしたの米高官のいわゆる日本への説明と申しますかディブリーフィングでございますが、従来より原則としてこれはあくまでも政府限りということでのブリーフということになってございますので、私は本席にその内容を提出するということはお許しいただきたいと存じます。概要を御報告するということはあるかと思いますけれども、そのものをここに提出するということは御容赦いただきたいと存じます。
  103. 高沢寅男

    ○高沢委員 それでは今ここで読んでいただいたものをひとつ後でよろしくお願いします。  それから、もう全く時間がわずかになりましたが、朝鮮の問題でひとつお尋ねをしたいと思います。  今、日本と北朝鮮の交渉が行われておりますが、その交渉はいろいろの課題でかなりハードルがあるようですが、いずれそのハードルは越えられて妥結される、そして日本と北朝鮮の関係がちゃんと回復されるときが来る、こんなふうにも私は見ております。  その過程で何といっても一つは日本がこの朝鮮を植民地支配をしたということに対する謝罪の問題、これはあの日韓条約ではそういう謝罪の表現は一切入ってないのです。したがって、今度の北朝鮮とのそういう交渉がまとまって協定が妥結される段階では私は必ずこのことは入るべきであるし、また相手もそのことを要求すると思いますが、それが一つ。  それから第二は賠償問題。その戦後の償いというのは一応別にしましょう、これはもう両国政府の大変な争点になっています。これは別において、戦前の植民地支配に対する賠償という問題は当然北朝鮮との関係でも処理しなければいかぬ、こう思いますが、ただ、日韓条約では賠償とはっきりなってないのですね。請求権と経済協力というような形で処理されているのが日韓条約であって、北朝鮮との関係で賠償という形になったときに、これと韓国との関係はじゃどうなるのかということは当然出てくると私は思います。  それからもう一つは、唯一合法の規定でありますが、日韓条約では、朝鮮半島における唯一合法の政府が韓国の政府だ、これは国連の決議を引用して入っているわけであります。これは私の理解では、恐らく北朝鮮の方も我が政府は朝鮮半島における唯一合法の政府だというような態度でずっと来たのじゃないかと思いますが、最近の新聞報道では、それをいわば改めて、自分たちの国の政府の管轄権の及ぶのは軍事境界線から北の部分であるということを認めたということは、実際上唯一合法の主張をやはり取り下げたということではないかと私は思います。  そうすると、北朝鮮と我が国との間に結ばれる条約の中には唯一合法の規定は当然入らない、しかし日韓条約には唯一合法が入っている、この関係の処理をじゃどうするんだという問題が当然出てくると私は思いますが、きょうは考えられる限りで、謝罪の問題と賠償の問題と唯一合法の問題、これらが北朝鮮との間で結ばれたときに、それを今度は日韓条約との関係の整合性をどうやってつけるのかという日本と韓国の問題がまた当然出てくる、こう思いますが、一体その辺の見通しなり処理はどうされるか。  それからもう一つ、最後で済みませんが、ここで、ことしは韓国も北朝鮮もともに国連に加盟するということになってまいりますが、これは恐らくともに国連加盟は認められるというふうになったときに、あの南北朝鮮の間がその後どんなふうに発展する可能性があるのか、日本政府の見通しとして国連加盟の場合はどうかということをお尋ねしたいと思います。  三つずらずらと言って済みませんが、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  104. 谷野作太郎

    ○谷野説明員 お答え申し上げます。  まず、この不幸な過去についての認識の問題でございますけれども、これは歴代総理が国会等で御答弁申し上げておりますように、不幸な過去という場合に何も韓国だけではございませんで、朝鮮半島全体との関係で不幸な過去を持ったという認識でございまして、これに対する厳しい反省の念と遺憾の意というものは国会等で表明されております。いずれ北朝鮮と正常化に至ります場合に、そのような認識をどういうふうに日本政府として改めて明らかにするか、文書に認めるのかと いうことも含めてそのときにきちんと処理しなければならない問題だと私どもは考えております。  第二点の賠償の問題でございますけれども、これは私どもの理解は、一般に賠償といいますのは、戦争状態にあった国家間の関係をいわば平和条約に基づいて処理するときに使われる文言でありまして、戦敗国と戦勝国の間のいわゆる戦時賠償を普通指すというのが専門家の意見でございます。したがいまして、北朝鮮との関係ではそのような関係ではなかったわけでございますから、韓国との間で処理しましたように相互の請求権の問題ということで処理されるべきものだろうというふうに考えておりますし、既にそのような日本政府の考え方を三次にわたります正式の先方との会談で申し述べておるところでございます。  第三点の、唯一の合法政府云々というお話でございますが、これは当委員会でも高沢先生からお尋ねを何回かにわたっていただいた記憶がございますけれども、文言は繰り返しませんが、要するに日韓基本条約の第三条というのは大変用心深い書き方になっておりまして、あのような書き方がしてある以上、あのことが北朝鮮との間で、北朝鮮との関係はいわば白紙に、どういう関係を構築するかということが白紙のまま残されて将来にゆだねられたわけでございまして、その作業を今やっておるわけでございます。したがいまして、第三条のあのように用心深く書かれたあの文言というのはそれなりに何ら変更なくそのまま残されるべきものであろう、条約の安定性ということからいってもそれがあるべきことであろうと思います。  最後に、南北の、北朝鮮及び韓国の両者の国連への加盟ということにつきましては、私どもは、これが北朝鮮の側から発表されました時点におきまして大変歓迎すべきことであるという談話を官房長官がお出しになったことを記憶いたしておりますが、いずれにいたしましても、これが最も望ましい選択でありますし、その意味におきまして北朝鮮のこの面での大変な決断というものを歓迎いたしたいと思いますし、南北両方が国連に加盟する、もちろん将来統一の暁にはこれは一つの議席になるべきものでありましょうけれども当面は両者がそれぞれの議席を持って加盟するということは、やはり私どもは一番大切と考えております朝鮮半島の平和と安定というものに大変大きなプラスの効果を持つというふうに思いますし、その意味において大変歓迎しておるところでございます。
  105. 高沢寅男

    ○高沢委員 終わります。
  106. 牧野隆守

    牧野委員長 玉城栄一君。
  107. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、このたびのペルー共和国におけるJICA派遣の日本人技術者の方が三名亡くなられたことについてお伺いをしてまいりたいと思いますが、この事件発生をして、極めて衝撃的な事件として受け取られておるわけでありまして、この委員会が始まる前にも全員で黙祷をささげる、そしてこの委員会でこれに関する決議もしよう、また大臣もこの間の合同葬儀のときには出席しておられる、非常に痛ましい事件であります。  まず大臣から、なぜ日本人並びに日系人がそういうふうにねらわれているのか、ねらわれたのか、こういう事件になったのか。今後もこういうことからすると起こる可能性も出てくる。その点について大臣の御所見を承っておきたいと思います。     〔委員長退席、新井委員長代理着席〕
  108. 中山太郎

    中山国務大臣 まだペルー側政府の捜査当局からこの事件背景について詳細の説明を受けておりませんので、ここで政府としての責任のあるお答えを申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、現在のペルーの厳しい国家再建の中で、大統領は日系の大統領であられるということ、また日本も経済支援をするために積極的な貢献をしている、そういう中で反政府ゲリラ活動が行われておるというふうに私は感じております。そのために、引き続き同じような惨事が行われないためにも、現在残っているこの国際協力事業団方々には日本への引き揚げを指示したようなことでございまして、私どもといたしましたら、今回のこの犠牲になられた方々に本当にお気の毒に存じておりますけれどもペルー社会が抱えている複雑な社会問題が基本的に事件の大きな引き金になっているのではないか、このように認識をいたしております。
  109. 玉城栄一

    ○玉城委員 これも報道では、ゲリラの書き残した言葉に、いわゆる「日本帝国主義に死を」というような文句が書かれているということで、今回の場合、いわゆる我が国の経済協力というものに問題があるのか、そのやり方に問題があるのか、この原因究明、これをきちっとしていただきたいし、また、その対策に抜かりがあったのか、再発防止という点ももちろんですが、それから遺族補償の問題ですね。ですから、今ペルーの国内的な問題もあるとおっしゃいました。日本の姿勢といいますか経済援助、これはこのままでいいのかどうか。もちろん協力することは当然として、そのやり方、その辺はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  110. 中山太郎

    中山国務大臣 ペルー経済再建のために日本だけがいわゆる帝国主義的にやっているということではございませんで、日本以外の先進国もこのペルー経済再建、民生の安定に経済協力をやっているわけでございますから、その点はひとつ御理解をいただきたいと思いますし、どのような国が行っているかにつきましては政府委員からお答えをさせていただきたいと思います。
  111. 川上隆朗

    川上説明員 ただいま大臣から御説明がございましたように、各国の援助機関はペルーリマを中心に活動を行っておりまして、現在ペルーに派遣されております経済協力の関係者は、アメリカは現地スタッフを含めまして約百九十名と非常に多うございます。イタリア、オランダ、ドイツ、フランスといったような国々からも、それぞれ数十名の規模で経済協力の要員が派遣されているというのが現状でございます。
  112. 玉城栄一

    ○玉城委員 ペルーには日系人を含めてどれぐらいいらっしゃいますか。
  113. 瀬木博基

    瀬木説明員 日本から参りましてペルーに住んでいらっしゃる方は、このJICA専門家が全部いらっしゃった時点で四百三十名というふうに計算されております。日系人の方、これは正確な数字は、もう何世にもわたっていらっしゃいますからわかりませんが八万人、一番多い数字は十万人とも言われております。
  114. 玉城栄一

    ○玉城委員 この十万人の方々日系人。向こうから見れば日本人日系人も同じようなゲリラのそういうことになるわけですから、この日本側のそういう十万人の方々が現実に危険にさらされている、これからもこういう極めて不幸な事件が起こり得る可能性も十分あるということからしますと、この再発防止という問題は非常に大事な問題だと思うのです。  それで、この援助のあり方ですね。これはいろいろな、本当にペルーの国に役立つような援助お金の高は確かに多いかもしらぬけれども、実際には、例えばペルーは貧富の差がもう天と地ぐらいに開きがある。そういうすき間、すき間というかその格差にやはりゲリラが活躍するそういうものができているのじゃないかということもあるわけですね。ですから、その援助は、もちろん当然経済協力はする。しかし、そのやり方は検討していらっしゃるんですか。
  115. 川上隆朗

    川上説明員 本件プロジェクトは、先生も御案内のとおり野菜生産技術を向上させるというプロジェクトでございまして、我が国無償資金協力及びプロジェクト方式の技術協力で、今般の専門家方々も含めまして種々の形態の技術協力を行ってきた、こういうプロジェクトでございます。これは現地のプレス等におきましても、品種改良等により、土地所有者だけではなくて農民一般にその恩恵をもたらしたというふうな、プロジェクトそのものについて押しなべて大変好意的なコメントをいただいているという事実がございます。  我々といたしましては、援助の実施に当たりま しては相手国と十分協議して、相手国国民全般に神益するといったような観点から慎重な検討を重ねた上で援助を実施しているわけでございまして、ペルー政府外務省の声明におきまして、三人の日本人技術者の活動はペルーが本当に必要とする食糧源の開発を提供するために全面的に向けられていたといったようなコメントをしているわけでございます。  全体として我々としては、我々の援助のやり方が今回の不幸な出来事の引き金になった、あるいは原因になったというふうには考えていない次第でございます。
  116. 玉城栄一

    ○玉城委員 この機会に援助というもののあり方についてはぜひ真剣に、どういう形がペルーにとって貢献度としていいのかということをやはり考えていただきたいと思うわけであります。  それで、この補償の問題では大臣も、今回が先例となるから、今後のこともあるということで、補償の現行制度を乗り越えてでも、新しい制度の導入も必要があれば考えていこう、そういうふうなお考えで、ぜひ手厚い補償をしていただきたいわけであります。  それで、先ほど補償の件でお話もありました。一つ具体的に労働省の方にお伺いしますが、JICA労災適用の問題で、この三年間JICAに関してどういう適用が、あるいは適用されなかったもの、適用されたもの、その例をちょっと教えていただきたいのですが。
  117. 出村能延

    出村説明員 JICAから派遣をされました専門家及び海外青年協力隊員災害につきまして、昭和六十三年度から平成三年度までの三年間労災補償の請求があった件数は四十三件でございます。そのうち業務上と認定をされました件数は三十九件、業務外が一件でございまして、残り三件が現在調査中のものでございます。  それから請求件数四十三件につきまして災害の内容を見てみますと、交通事故が三十四件、疾病が五件、その他負傷等が四件でございます。  以上でございます。
  118. 玉城栄一

    ○玉城委員 今のお話からしましても、四十三件中三十九件は適用されているということでありますが、今回の場合も、これは外務省の政策ですね、経済協力というのは。政策じゃないのですか、この件。ペルーにこの御三名の方がJICAから派遣されましたですね。これはやはり外務省の政策のもとにJICAとしてはそれを派遣しているわけでしょう。政策じゃないのですか。国の政策ですよね。
  119. 川上隆朗

    川上説明員 我が国の経済協力は、当然のことながら相手国と十分協議の上、まさに経済協力でございますので、相手国との国際約束に基本的に基づいて派遣する、JICA事業団法もそういう仕組みになっておる次第でございます。
  120. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、これはやはりそういう立場ペルーに行かれてこういう不幸な目に遭われているわけでありますから、労務災害というものは当然適用はされるというふうに私たちは考えるわけです。  あれは請求が来ますね。どれぐらいの期間でこれは適用、あるいはこれは適用されないということはわかるのですか。まあ物にもよると思いますけれども、こういう場合の、殺害ということですからね。
  121. 出村能延

    出村説明員 個々の事案によって、かなり期間がかかるものもございますけれども、平均しますと一カ月ぐらいの調査等の期間を要するのが通常でございます。
  122. 玉城栄一

    ○玉城委員 JICAが請求するんですね。JICAですか。それともいわゆる請求する方は、どの立場でなさるのですか。
  123. 出村能延

    出村説明員 請求人は御本人かもしくは遺族の方でございます。
  124. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほどの質疑の中でちょっとわからないといいますか、奇妙な感じがしたけれども、今委員長席に座っていらっしゃる新井先生のお話の中で、いわゆる生命保険がこれには該当するのかしないのか、まあしないこともあり得るかのごときお話でもあったのですが、これはJICAの方でも外務省の方でも結構ですが、この生命保険の適用はどうなりますか。
  125. 北村歳治

    ○北村説明員 先生指摘の生命保険の適用の問題でございますが、保険会社といたしましては、本件のような場合、保険金支払いの請求があれば保険金を支払うことに問題はないのではないかというふうにしていると私どもは理解しております。
  126. 玉城栄一

    ○玉城委員 監督官庁である大蔵省の方が生命保険は問題なく適用されるというお話ですが、この件で私が外務省申し入れたときに外務省の方は、ゲリラとかそういう問題で殺害された場合は免責事由ということで該当しないのではないかというお話があったのですが、そういう認識で今もいらっしゃるのか、外務省の方にお伺いします。
  127. 川上隆朗

    川上説明員 生命保険の基本的に私的契約になると思いますけれども、その中身につきましては私自身もつまびらかにはいたしておりませんが、先生おっしゃったような認識ではございません。戦争等についてはそういうことがよくあるというふうなことを聞いたことはございますけれども、私はそういう認識ではございません。
  128. 玉城栄一

    ○玉城委員 とにかくその認識はきちっとしていただかないと、そういうあやふやなことでは非常に困るのです。  それでは大蔵省の方にちょっとお伺いしておきたいのですが、確かに免責事由ということで、戦争その他の変乱という言葉そのものの使い方によって解釈があいまいになっていますので、この際、生命保険の約定の中にきちっとわかるようにはっきりしておかないと、こういうあいまいな、同じ政府部内でも違いが出てくると思うわけであります。どうですか、その辺。
  129. 北村歳治

    ○北村説明員 先生の御指摘された点は大変重要な点だと思いますが、この戦争その他の変乱ということにつきまして、従来の学説といたしましては、保険料算定の基礎とされております通常の危険を超えるような戦闘行動あるいは戦争あるいはまた人為的攪乱、そういうふうなものによって社会の安寧秩序が乱されて異常な状態になることをいうものとされているわけでございます。そういうふうな学説を持っておられる学者の意見をお伺いいたしますと、具体的には内乱とか役とか暴動とか、そういったような問題が該当するのではなかろうかというふうなことでございますが、いずれにいたしましても、その他の変乱の適用につきましては、保険会社の判断等それぞれの状況におきまして慎重に判断しなければならない問題か、こういうふうに理解しているわけでございます。
  130. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから今回のような場合、明らかに変乱とかそういうものには該当しないということですから、ぜひ外務省の方もその辺きちっと考えていただきたいと思います。  大臣、今回の件で御三名の方に、政府としてあるいは外務省としてでも結構なんですが、見舞い金かそういうものは差し上げられないのですか、どうなんでしょうか。
  131. 中山太郎

    中山国務大臣 海外で殉職をされた政府関係職員について過去に政府がお見舞いを差し上げたというケースがございまして、現在検討をいたしておるということでございます。
  132. 玉城栄一

    ○玉城委員 いわゆる、そういう制度といいますか、そういう措置をすべき方向で検討していらっしゃるのでしょうね。
  133. 中山太郎

    中山国務大臣 制度としてそのようなものがあるということではございませんけれども、過去に、海外で働くボランティアを対象にした総理大臣の褒賞制度がございまして、そのようなことが適用できるかということで現在検討させていただいている段階でございます。
  134. 玉城栄一

    ○玉城委員 いずれにしましても、亡くなられたわけですから、今さらどういう補償制度を手厚くやるにしても、これは人の命にはかえられないし、遺族の方については本当に言葉もないくらいに非常に悲惨な事件だと思っておるわけであります。せめてやはりその補償の問題、そして再発を 二度とさせない。日系人も含めて十万人も向こうは危険にさらされているわけですから、これはもう本当に真剣にひとつ取り組んでいただきたい、このように要望を申し上げておきます。  それからちょっと私も米軍基地の問題をお伺いしておきます。  沖縄に四軍調整官、司令官という方がいて、先月転勤されたのですが、スタックポールという少将が、沖縄の繁栄は要するに沖縄に過去四十五年間米軍が駐留していたために繁栄しているのだというような趣旨の発言をして物議を醸しているわけですが、そのとおりでしょうか。大臣、どのようにお考えですか。
  135. 中山太郎

    中山国務大臣 沖縄は米軍が駐留しているから特別に繁栄をしているということではないということを私は明確に申し上げておきたいと思います。我々日本政府としては、第二次世界大戦中に沖縄県民が大変な戦闘の惨禍を受けられた。そういった中でこの沖縄の地域方々が受けられたあの戦争の傷跡というものに対して、日本政府としては、いわゆるほかの地域国民とともに、この地域方々の環境整備または地域の振興のために沖縄振興特別法というものが法律で制定されて、今年はたしか第三次の改定時期に当たっていると私は考えております。政府の基本的な考え方はそのような考え方でございます。
  136. 玉城栄一

    ○玉城委員 防衛庁の方、この件で池田長官のコメント、米軍が沖縄に駐留している、確かにマイナス面もある、プラスの面もある、その言葉に同調したようなそういうコメントがあったのですが、やはりそのとおりですか。プラスの面がある、マイナスの面がある、どうなんでしょうか。
  137. 藤島正之

    ○藤島説明員 防衛庁長官がこの件を聞きまして、記者会見のときに一部そのような感じのことをお話ししたというふうには聞いております。
  138. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、プラスの面というのはどういうことでプラスということをおっしゃったのですか。
  139. 藤島正之

    ○藤島説明員 私その場におったわけではございませんので詳しくは承知していないのでございますけれども、雇用その他の面で沖縄経済に寄与している、そういった面もあるというようなことを話したようでございます。
  140. 玉城栄一

    ○玉城委員 今、外務大臣もおっしゃいましたように、プラスということは決して言えないです、これは。もう極めてマイナスの状況が大きいわけですから。  そこで、ここでちょっと質問を変えますが、いわゆるフィリピンのクラーク基地、来年九月に撤退する。このクラーク基地について防衛庁は戦略的にはどういう位置づけをしていらっしゃいますか。フィリピンにある米空軍のクラーク基地についての戦略的な意義を防衛庁としてはどのように考えていらっしゃいますか。
  141. 藤島正之

    ○藤島説明員 米軍のアジアにおける存在の中の一部ということでございますが。
  142. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、そこが来年の九月にはなくなるわけです。クラーク基地がなくなるということになるわけですね。そうなると、その穴があきますね、なくなるということは。その部分の、クラーク基地が、あんな大きな米軍の空軍基地が撤退するわけですから、それは我が国についてどのような影響があると考えていますか。
  143. 藤島正之

    ○藤島説明員 クラークの米空軍基地が撤退した場合その後どうなるかということは実は私どもまだ聞いておりませんので、その辺の影響については今ここでどうなるんだというふうにはちょっと申し上げられないと思いますけれども
  144. 玉城栄一

    ○玉城委員 我が国の防衛庁として、そういう戦略的な、日米安保条約でお互いに条約まで結んで、アジア、我が国を含めて、そういう安全を両国ではしようという、ああいう大きな基地がぽっとなくなる。それについて、これははっきりしていることですから、まだ考えていないというのは、防衛庁はそれでいいのですか。
  145. 藤島正之

    ○藤島説明員 なくなることに伴いまして、それをどこにどういうふうにまた持っていくかといったような問題でございますが、全般的にアジアにおける米軍の存在、それが大変な影響を受ける、我が国にそれが直接的な影響を受けるというようなことにはならないのではないかというふうに考えております。
  146. 玉城栄一

    ○玉城委員 大きな影響にはならない、ならないという根拠をちょっと説明していただきたいのですね。影響しない、どういう理由でそういうふうに影響しないという認識を持たれるのかですね。
  147. 藤島正之

    ○藤島説明員 米軍の再配備の状況、その辺が実は私ども詳しくわからないわけでございますけれども、いずれにしても全体的な米軍の存在の中の再配備ということで、我が国にそれほどそういう意味で大きな影響のない形がとられるのではなかろうかというふうに考えております。
  148. 玉城栄一

    ○玉城委員 では、これは外務省の方に、クラーク基地の機能の一部を移設する場所、それはグアムであるとかシンガポールとかあるいは沖縄も、そういう発言も向こう側から出ているわけですが、そのとおりでしょうか。
  149. 松浦晃一郎

    ○松浦説明員 先生今御質問のクラーク基地についてでございますけれども、この七月十八日にチェイニー国防長官がアメリカのテレビインタビューにこういうふうに答えておられます。クラーク基地は、例えばカリフォルニアからペルシャ湾への中継基地としても重要であった、クラーク基地は太平洋に存在する米国の軍隊が利用した重要な訓練地域である、我々は今後これらの機能をどこか別の場所へ再配置しなければならない、多分グアムのアンダーソン空軍基地あるいはかかる事態を穴埋めできる別の地域となるだろう、こういう発言をしております。  私ども米側から従来説明を受けておりますのは、まさにクラーク基地を来年の九月に閉鎖することになりましたので、ここが持っております機能をどこに移すかということはまだ鋭意検討中であるということで、まだ結論を出していないというふうに承知しております。  ただ、先ほど上原先生の御質問の関連でお答えいたしましたように、クラーク空軍基地の中核でありました四十八機のF4はとりあえずアラスカ等に火山の爆発もございまして緊急避難はしている、現時点において既にクラーク空軍基地は従来の機能を果たせなくなっているわけで、そういう形で緊急避難をしているということはございます。
  150. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、沖縄に一部が移駐してくるという可能性も、そんなことは全然ないというふうに否定はできないわけですか。
  151. 松浦晃一郎

    ○松浦説明員 先ほど先生もおっしゃられましたように、どこに移すかということに関連して、私は沖縄という名前が出ているとは承知しておりませんけれども、具体的にどこに移すということにつきましてまだ鋭意検討中で結論が出てないというふうに承知しているわけで、ただチェイニー国防長官の先ほどのテレビインタビューでも、まさにグアムのアンダーソン空軍基地をまず明示的に挙げておりますので、そこなどは有力な候補地であろうとは思っておりますけれども、それ以外に具体的にどこを今検討しているのか、そこまでは残念ながら承知しておりません。
  152. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは非常に大きな問題です、我が国にクラーク基地の一部が機能を移転されるということは。特に沖縄に、沖縄の嘉手納基地に移ってくるんじゃないかという懸念が非常に大きいわけです。ただでさえ御存じのとおり沖縄にアメリカさんの専用施設が七五%集中しているわけですから、過密な状態で、その上にクラーク基地の機能がここに加わってくるとなりますと、これは本当に大変なことなんです。ですから、仮にそういうことで米側からの我が国に対する申し入れがあったにしても、これはだめだということをぜひ言っていただきたいのです。どうでしょうかね。
  153. 松浦晃一郎

    ○松浦説明員 先ほど来申し上げていることの繰り返しになりますけれども、まさに米側で鋭意検討中ということでございまして、先ほどちょっと 詳しく申し上げたことを繰り返すのは恐縮でございますので繰り返しませんけれども、今まさにアメリカが鋭意検討中であるということで、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  154. 玉城栄一

    ○玉城委員 理解しなさいと言ったって、それは無理ですよね。先ほどの質疑にもありましたけれども、そういう沖縄の抱える基地問題を何とか打開したいということで、沖縄の県知事がアメリカ本国に行って関係要路に訴えて、先ほどきょう帰るというお話もありましたけれども。ですから、外務省は今回の沖縄の、あれだけ基地を抱えて、その問題の打開を何とか図りたいということで訪米した、そのことについて外務省の方は余りバックアップもなかったというような感じなんですが、どうなんでしょうか。
  155. 松浦晃一郎

    ○松浦説明員 今回の沖縄県の大田知事の訪米に関しましては、私どももいろいろお手伝いをさせていただいたつもりで、特にアメリカの行政府関係者とのアポイントに関しましては私どもお手伝いをさせていただいたつもりでおりますし、全体としてできるだけのバックアップをさせていただいたつもりでございます。  それから、これは先ほど上原先生の御質問について申し上げたことでございますが、大田知事が行政府の関係者のみならず議会の関係者にも精力的にお会いになられたということに関しましては私どもも大変敬意を表したい、こう考えている次第でございます。
  156. 玉城栄一

    ○玉城委員 そのときに、さっきも質疑がありましたけれども、沖縄の基地問題、米軍基地の問題というのは、これはあくまでも日本の国の問題であるというような感じの発言が向こう側からあった。あるいはそういう面もあると思うのですね。ですから我が国は、特に安保条約を所管する外務省が、沖縄にある米軍基地というのは非常に過密なんだ、非常に過重負担であるんだ、そういう認識を持って、これは何とか減らしていこうという努力をしていただかないと、今さっきのクラーク基地の移駐、もし仮にそういう事態があったにしても、これはだめだ、これ以上そういう基地を強化させるようなことは無理だということをきちっと言っていただかないことには、これはどうにもこうにもならぬわけですね。どうでしょうか、局長さん。
  157. 松浦晃一郎

    ○松浦説明員 これは私ども繰り返し御答弁申し上げておりますけれども、まさに先生指摘のように、沖縄に米軍の駐留が集中しているということで、その結果沖縄の方々に大変御迷惑をおかけしているということに関しては私どもも重々承知しておりますし、またそのことに関しましては米側も重々承知しております。私ども、そのことから生じます問題点に関しましては機会あるたびに米側にまさに指摘している点でございます。  今回の大田知事と米側政府関係者との話し合いの中で、この基地問題を知事が提起されましたときに米側の関係者が申しましたことは、これは基本的に両国政府の間で話し合って解決されるべき問題であるということでございます。これはまさに私どももそういうふうに考えまして、先生方を初め地元の方々の御要望も念頭に置いて、まさに鋭意努力をしてきているところでございます。  これは先ほど上原先生の御質問に対してもお答えいたしましたが、この二十三事案のうちの四事案については結論が出ましたけれども、残り十九事案がございます。これに関しましては、地元の土地所有者及び関係者の御理解をぜひ賜りたいと思って今いろいろ調整を進めているところでございますけれども、この十九事案に関しましてはそういう地元の関係者との調整をできるだけ早く了しまして一日も早くこの返還を実現させたい、こういうふうに私どもは強く希望している次第でございます。
  158. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほど牧野委員長も向こうの理事会室で、御存じのとおり外務委員会が沖縄の基地視察もやったわけですね、沖縄の何であんな小さなところで実弾射撃の、どうして本土に全部ああいう基地を移転させないのかというような冗談、本気か、話しておられたのですけれども。いわゆる過密ですよね、その認識は持っていらっしゃる。ですから、そういう新たな基地の強化ということは絶対にさせない、それは基地の薄いところに分散させるというようなことをしていかない限り、これはどうにもならないと思うのですね。  それできょうですか、防衛施設庁の方で返還処理問題に関する関係省庁連絡協議会を設置したという報告がありますが、十一省庁の関係機関が入っているわけです。その中に外務省も入っているわけですが、この協議機関で外務省はどういうことをされるのですか。ちょっと申し上げますと、先ほど沖縄の基地返還の問題がありましたけれども、一たん返還された基地も未利用期間、いわゆる利用されない、十七年六カ月とか十六年三カ月とか十四年とか利用されないままある。返還はされても、これだけの空白期間があるというようなことなんですね。ですから、そのためにも今申し上げました連絡協議会が必要だという認識のもとに防衛施設庁は関係機関でこういう協議機関を設置されているわけですが、外務省はどういう態度で臨むのですか。     〔新井委員長代理退席、委員長着席〕
  159. 松浦晃一郎

    ○松浦説明員 御指摘のように、外務省は今回設置されました関係省庁の連絡協議会のメンバーになりまして、私どもも積極的に貢献をしていきたいと思っております。  今先生指摘のような跡地利用の問題等、この協議会で検討していくことと承知しておりますけれども、そういうような問題に関しましては、沖縄開発庁さらには防衛施設庁等が中心になって検討していくことと思いますけれども、やはり米側特に米軍との連絡調整ということも当然出てまいりますので、こういう米軍との連絡調整ということに関しましては外務省として積極的な役割を果たしていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  160. 玉城栄一

    ○玉城委員 その基地が使用されていること自体も問題なんですが、またこれが返されても、こういうふうに使えない状態のまま相当期間ほったらかされているというのが現状なんですね。これが沖縄振興開発の非常に大きな問題になっているわけですから、ひとつ外務省も返還する場合、とにかくおかしな話で、提供するという論理があるのですね、いわゆる米軍、アメリカに基地を提供する。ところが、返すという論理がまたないのですね。だから、防衛施設庁なのか外務省なのか、いやこれは沖縄開発庁、開発庁は、これは外務省いや防衛施設庁と、こうたらい回しされてきたのが今までのこういう米軍基地の問題なんですね。これを今回こういう協議機関を持って政府としてきちっと計画的に有効利用をしていこうということですから、外務省もそれだけ、いわゆる安保条約に基づいて米軍に提供した、そのために地域の振興に非常に障害になった、これがそうならないように、それを有効に活用されるように外務省もぜひ頑張っていただきたい、こう思うのですね。  もう一つ、委員長もお行きになったように、外務委員会で離島まで視察に行っていただきましてありがとうございました。その中に、尖閣列島にいわゆる漁船の避難港、これは何も我が国だけではなくして近隣諸国の入れるような避難港をぜひ設置してもらいたいという地元先島の要望があったのですが、この件はどうなんでしょうか。
  161. 竹中繁雄

    ○竹中説明員 お答えいたします。  尖閣諸島が我が国固有の領土であることにつきましては、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、現に我が国がこれを有効に支配しているところでございます。  今先生から御指摘のございました漁業の避難基地の建設を含めまして、具体的にどのようにこれを利用するかという点につきましては、外務省としてはこれに対してとやかく申し上げる立場にはございませんけれども、ただ、尖閣諸島の領有権については、中国側にも中国側の主張があることにかんがみまして、かかる施設の建設が我が方の尖閣諸島を有効に支配しているということを誇示するがごとき刺激的、宣伝的なものと映りかねないものについては慎重たらざるを得ないと考えて いる次第でございます。
  162. 玉城栄一

    ○玉城委員 慎重とおっしゃいますけれども、ちょっとこれを読ませていただきます。「尖閣海域は、沖縄県有数の漁場として本県のみならず、九州各県、遠くは中国、台湾等の漁船が操業をしているところであります。古来、同海域は近海漁場として極めて生産性が高く、漁民の漁業生産の拠点として利用されております。ところが、同地域は、天候が急変しやすく、これまで天候急変による船舶の遭難事故が多発し、安全操業に支障をきたしている状況であり、船舶の避難施設や船員の避難施設設置が強く望まれております。」とあります。だから、慎重にということで、こういう施設はつくれないということなんですか。
  163. 竹中繁雄

    ○竹中説明員 先ほど申しましたように、国内行政上の必要に基づき、国内行政官庁がこれについて具体的にどういうふうに利用するかということについては、我々は外務省として特に御意見を申し上げる立場ではございませんということを申し上げたわけでございます。
  164. 玉城栄一

    ○玉城委員 だから、中国側にいろいろな言い分があるので、外務省としては、この施設設置ということについては、慎重という綱をかぶせてしまうと、漁船ですから水産庁ですか、これはもうできないわけですよね。その心境というのは、実際に避難をしたい、船員も含めて漁船も、これは日本だけではない、台湾も中国も韓国も、こういうことを要望として言っているわけですね。どうなんでしょうか。
  165. 竹中繁雄

    ○竹中説明員 慎重といいますのは慎重としか申し上げようがないわけでございまして、私も技術的なことはよくわかりませんけれども、その島に例えばどういうものをつくるか、物によっては、先ほど申しましたように我が方の尖閣諸島を有効に支配していることを誇示するがごとき刺激的、宣伝的なものに映りかねないということで、それに対しては慎重たらざるを得ないということでございます。
  166. 玉城栄一

    ○玉城委員 あなた方がそういう勝手に、いや、実際に人命の立場からも必要だ、船の遭難も、台風も非常に襲来する数も多い、そこで漁港、避難場所をつくるということが、何で慎重にということを言わなくちゃいかぬのかという大きな問題がありますので、ぜひひとつこれは前向きに検討していただきたい、このように思います。  終わります。
  167. 牧野隆守

    牧野委員長 古堅実吉君。
  168. 古堅実吉

    ○古堅委員 ペルーにおける邦人殺害事件について質問させていただきます。  ペルーでは、七月十二日に三人の邦人がゲリラの襲撃で殺害され、七月十六日には日系人に対する誘拐と襲撃が相次ぎ、七月十三日には再び日系人が襲撃を受けて殺害されるという事件が起きています。昨日の新聞によれば、ペルー国家警察テロリズム捜査局の高官は、三人の邦人殺害事件について、極左ゲリラ、センデロ・ルミノソの中央委員会が対日テロ作戦を決定し、首都地域の武装部隊に実行を指示したものだと述べた旨、報道されています。  質問に当たりまして、日本共産党は、終始一貫いかなるテロ行為も断じて許さない立場であることを明確にしておきます。同時に、残念にもその犠牲にされた方々と御遺族の皆さんに対して心から哀悼の気持ちを表明するものであります。  最初に、殺害された三人の方々の生命、身体の安全確保の問題について具体的にお伺いします。  この三人はJICAから派遣され、ペルー政府の運営する野菜生産技術センターで働いておりました。その地域にも昨年九月には非常事態宣言が発せられています。したがって、それに見合う警備態勢の強化が当然必要でありました。それにもかかわらず今回の事件発生するということになったのであります。適切な対処策がとられてなかったというふうに思わざるを得ません。重ねて、そこらあたりがどうであったか見解を明確にお伺いしておきたい。
  169. 川上隆朗

    川上説明員 まず、非常事態宣言が出されているということとの関係でございます。  今次事件が起きましたリマワラル郡は、技術協力及び無償資金協力を開始した時点では、すなわちそれぞれ八六年、八八年の十二月でございますが、総じて治安上の問題はなく、テロの心配はないと考えられていたわけでございます。昨年九月にはワラル郡を含むリマ全県に非常事態宣言が出されましたが、右宣言が発令された地方の県の状況と異なりまして、ペルー当局では治安を軍隊ではなく引き続き警察で担当させることが可能と考えていたという事実がございます。また、首都圏を除くリマ県のその他の地域というものは、テロ発生件数で見ましても比較的平穏であったというような事実がございます。ペルー政府首都圏からその他の地域テロが拡大するのを防ぐためにむしろ非常事態宣言を全県に発令したというふうに承知しておるわけでございまして、実際にワラル郡にはカナダの専門家も派遣されておったような事実もございます。  このようなペルー当局及び諸外国の動向を種々考慮いたしまして、我が方といたしましては十分注意して、先ほどから申しましたようないろいろな安全措置も講じておったわけでございますが、十分注意していれば安全に職務を遂行し得るという判断のもとに経済協力の関係者を派遣していたということでございます。  先ほどの治安対策ということにつきましての種々の措置につきましては、繰り返しになりますので、また御質問があればお答え申し上げますけれども、控えさしていただきます。
  170. 古堅実吉

    ○古堅委員 先ほど来同じような御説明を続けておられますが、そういうことでは御遺族を初め関係者は納得できないのですよ。だから繰り返し今質問を続けるということにならざるを得ないのです。  ペルーでは一九八〇年代からゲリラによる反政府テロ事件が頻発しました。毎年二、三千人の犠牲者が出ているというふうに言われております。また日系人フジモリ大統領就任、これは九〇年七月二十八日でありますが、その後は、昨年十一月に日本人殺害され、殺害された現場の状況からして、日本人だから殺したということがわかるような、そういう状況もあったというのです。さらに、昨年十二月とことし四月には日本大使館に爆弾が投げ込まれたというふうに言っています。さらに、ことし七月には現地日本企業にも三回のテロ行為が続くなど反日テロの兆しが顕著にあらわれておりました。しかも、ペルー政府自身が非常事態宣言も出したのであります。この非常事態宣言について、そのような簡単な意味で出したんだなどという形の説明はだれも納得できるものじゃないのです。しかるに、ペルー政府の判断の甘さもあってか、警備の確立その他とるべき対策も十分になされないまま今回の事件発生に至ったのです。これは経過を見ればはっきりしております。ペルー政府の責任は当然問われるべきものがあったんじゃないですか。
  171. 柳井俊二

    ○柳井説明員 国際法の関係もございますので、私の方からまずお答えさしていただきたいと思います。  自国の領域内に滞在する外国人の安全に関する国家の義務でございますが、一般論を申し上げれば二点あると思います。第一は、国際法上、国家は自国の領域内におります外国人の権利、利益が私人によって侵害されないように相当の注意をもって防止する義務を負っているわけでございます。そして第二に、このような相当な注意を用いたにもかかわらず加害行為が実際に発生したという場合におきましては、加害者の処罰等適切な措置を講ずる義務を負うものとされているわけでございます。したがいまして、国家がこれらの義務に明確に違反した場合には、その国家の国際法上の責任を追及することができるというものでございます。  そこで、今回の大変痛ましい事件につきましてどうかということを考えてみますと、ペルー側がとりました措置につきましては、先ほど来経済協力局長の方からも答弁がございましたので繰り返すことは避けさしていただきたいと思いますが、 一定の措置がとられてきたということでございまして、ペルー側としても安全には注意を払ってきたと承知している次第でございます。にもかかわらずこのような痛ましい事件が防止できなかったことはまことに残念でございます。しかし、このようなテロ事件の予測あるいは防御というものには大変困難な面があるということも事実であろうと思います。  そこで、先ほど申し上げましたような一般原則に照らしてみますと、現時点におきましてはペルー政府が明らかに先ほど申し述べましたような相当な注意を怠っていたということは言えないというふうに考える次第でございます。また、事件発生後の措置につきましてはペルー政府として一貫して誠意ある対応をしてきているというふうに承知しております。  以上にかんがみますれば、我が国としてペルー政府に対し先ほど申し上げたような義務違反があったとしてペルーの国際法上の国家責任を追及して補償を求めるということは現時点では困難と考える次第でございますけれども、ただ、いずれにいたしましてもこの事件の全容が解明されているわけではございませんので、ペルー当局の捜査の進捗状況も見つつさらに調査をしていきたいというふうに考えております。
  172. 古堅実吉

    ○古堅委員 外務省JICAは、この事件発生以前、ペルー当局に治安強化の問題、警備強化の問題についての申し入れを何回かにわたってなされたような先ほどの御返事があったと受けとめております。どういう内容の申し入れをされたのですか。警備は一般的な意味合いにおいて求められる程度のものはなされておるのだが、念のためにそれ以上のことをやれというふうなことを言ったのですか。
  173. 川上隆朗

    川上説明員 先ほどもちょっと御説明申し上げる機会がございましたが、まずプロジェクトの専門家に対しましてJICA側のいろいろな措置を講じていたということは御説明申し上げたとおりでございますが、それに加えまして、大使から数度にわたり、本件プロジェクトに関する安全措置をできる限り高めるようにという申し入れを行っておったわけでございます。そのこともございまして、先ほども説明申し上げましたが、ペルー側は非武装ではございますが警備員を六名程度配備いたしまして、これは常時でございますけれども、二カ所のプロジェクトサイトのチェックポイントに配置いたしまして不審者を入れないようにしていたということのほか、鉄さく設置あるいは警察によるパトロールというようなことを行っていたということでございます。
  174. 古堅実吉

    ○古堅委員 先ほども申し上げたように、反日テロの兆しというものが非常に顕著にあらわれておった。しかし、そういうさなかに、金がないからといって、かつてはなされておったような警備程度さえも維持しないようなことになったのじゃないですか。武器を携帯する警備員が配置される、そういうようなかつての警備から、そうでないような態勢に変わってしまった。進行しつつある状況に全く逆行するような警備、そういうことにしかなってなかったのじゃないですか。それが今回の事態と結びついているということは当然のこととして考えられる問題だと思うのです。そこらあたり皆さんの認識自体はどうなのですか。
  175. 瀬木博基

    瀬木説明員 事実関係として申し上げたいと思うのでございます。これは、この事件が極めて悲しい悲惨な事件であるということはもう当然のことでございますけれども、事実関係として申せば、反日テロが続けて起こってきているということはちょっと言い過ぎではないかと思います。  先生が御指摘になりました昨年起こりました日本人の殺人というのは、山の中でテロが起こることが非常に見えている、外国人はほとんど立ち入ることが許されていないようなところへ入っていった方が殺されたということでありまして、これが日本人であるがゆえに殺されたということはほとんど言えないのではないかと思う次第でございます。また、本件の場所につきましても、川上局長から先ほどございましたけれども、全国のテロ事件が起こる中で一番事件が起こっているのはリマ市でございます。それに比較いたしまして、この事件が起こりましたワラル郡、リマの県の中に十一郡があるわけでございますが、その中の一つであるワラル郡というところでは、去年の中でテロで起こった事件は一回しかないのでございます。そういう意味ではワラル郡が非常に危険な地域であったということは考えられなかったというのも無理はないのではないかと思います。  他方、日系の方が引き続いて殺された、誘拐されたということも事実でございますが、これが日本専門家が殺されたことと関係あるのだろうかどうかということについてはいまだにわからない。関係は全くないのではないかという見方もあるということでございます。
  176. 古堅実吉

    ○古堅委員 あなた方のこういう逃げの御説明にかかわらず、それを聞いている人々はだれも納得をしようとしないのですよ、できないから。現地から伝わってくる人々の声というのは、フジモリ大統領就任後、いわゆる邦人、日系人、そういう者に対するテロのあり方、そういうものについて前々からいろいろな心配が語られておったのです。そういうことを全然抜きにして、あたかも警備を重視すべき要素も余りなかったかのごとく装って説明されますと、私は亡くなった方々遺族の皆さんというのは本当に納得できぬ、そういう気持ちにされると思いますよ。  それじゃ、皆さんのそういう考え、それに基づいて進んだ。結果はどうですか。皆さんの考えが正確で情勢認識が正しかったから起きなかったのですか、起きたんですか。結果に照らしてどうなんです。
  177. 川上隆朗

    川上説明員 結果について申し上げれば、もう言うまでもなく非常に不幸にして悲しい痛恨きわみの出来事が生じたということでございます。
  178. 古堅実吉

    ○古堅委員 そういう結果に照らしても、心配されるような事態がなかったなどとかいうふうな説明は、こういう場ではできないはずなんです。皆さんのそういう説明というのは絶対受け入れるわけにはいかぬ、納得のいかない問題です。  時間がございませんので次に移りますが、私も補償の問題です。  先日、北谷町におられる亡くなられた金良さん宅を訪問いたしました。私もお焼香してまいりました。三十歳になったばかりの奥さんの美八子さん、まだ一歳の長男駿一郎君を初め御両親、御家族の皆さんを前にし、その悔しいお気持ちを察するにつけ、まことに忍びがたい、そういう気持ちで私も帰ってまいりました。宮川さんや中西さんも小さなお子さんもおられるというように聞いています。中西さんのところは奥さんが妊娠中だということさえも伺って、本当にショッキングな話だというふうな思いにも駆られました。  JICA仕事にみずからの生きがいを求めて精魂を打ち込んで頑張っておられた三人の命は、憎むべきゲリラによって奪われました。その命はもはやよみがえらすことはできません。であれば、今大事な点は、一家の大黒柱を失い、悲嘆のどん底に置かれている御遺族の皆さんに対して、誠意を尽くして十分な補償をしてあげること、そこにあると思います。  先ほど新井議員、上原議員、玉城議員から具体的な御質問がありましたから繰り返すことはいたしませんが、大事な点は、現行制度の範囲内で事務的に対処するか、それとも御遺族立場に立って十分納得のいく補償ができるように抜本的な対応策を決断するかというところにあると考えます。もう一度大臣の御所見を賜りたい。
  179. 中山太郎

    中山国務大臣 今回の事件はまことに残念な事件でございます。海外における国際協力で初めての犠牲者が出ましたが、今回の犠牲になられた方々の御遺族に対するいわゆる遺族補償の問題、こういったような問題につきましては、現行制度はもちろんのこと、労災保険の適用も含めてできるだけのことをやらなければならない、そういうことによって、引き続き日本国際協力に対する 国民の御理解と、国際協力に御尽力いただいている方々が安心してその仕事に専心できるような制度を確立しなければならないと考えております。
  180. 古堅実吉

    ○古堅委員 亡くなられた方々というのは一私人ではございません。国際協力事業団という政府関係機関の要員がペルー政府の運営する事業所でペルーの要請に基づいて活動していたものであります。そのペルー政府は、邦人保護という第一義的責任を果たし得なかった。この二つからして、ペルー政府補償についても日本政府側は当然のこととして求め、考えていかなくちゃいかぬ、こういう課題があると思います。それについてのお答えを求めても、先ほど既にそういう立場にないということを説明しておりますから繰り返しては申しませんが、そのことは指摘はしておきます。  直接の補償の問題にかかわってはJICAがいろいろと担当するでありましょうけれども、しかし、その監督官庁は外務省です。国際協力事業団がどういう思い切ったことをやれるか、それは外務省の意向にも大きくかかわってくるものだと思います。そういう面からの指導上の思い切った責任ある対処の仕方が今また何よりも強く求められている、そういう問題でもあるというふうに考えます。JICAが行おうとしているいろいろの対処策についてどういう指導をされようとするのか、もう一度そこらあたりからの御見解も念を押して承っておきたい。
  181. 川上隆朗

    川上説明員 先ほど大臣からも御答弁がございましたように、本件は今後の国際協力というものを考える上に当たって大変大きな事件でございましたし、それをベースにしまして今後の制度をいろいろな角度から検討してまいりたいというのが我々の基本方針でございます。  具体的な補償の点につきましては、先ほど来お話が既に出ておりますけれども、特にJICAが有しております共済制度による弔慰金というものをできる限り増額するように指導してまいりたいということが一点。  それから、先ほども御答弁申し上げましたが、退職金ということで差が出てくる場合があり得る、お三方の専門家の中で職員じゃない方と職員の方との間に差が出る、このギャップを少しでも埋めるように措置してまいりたいといったような方向で、我々として最大限のことをやりたいと思っております。  それから労災の認定に関しましても、先ほど来労働省の方からの御答弁もございますが、当然のことながら外務省といたしましてもその点の認定がおりるような方向でできる限りの協力をしてまいりたいというふうに考えております。
  182. 古堅実吉

    ○古堅委員 もう時間が参りました。最後に具体的なものとしての質問は、十年前に、中曽根首相のころですけれども、褒賞金という形で百万円の公金を出した事例がございます。今回の重大な事件に照らせば額の面ではそういう小さいものではなしに、しかし政府からも直接何らかの形で出すということも含めて考えてほしい、そういうものだと考えています。先ほどその事例にかかわる御答弁であったのかなというふうに思ったのですが、大臣がおっしゃった先ほどの御質問に対する御答弁はそういうことにかかわるものであるのかどうか、そういうことであれば額についても思い切ったことも含めて対処してほしいと考えますが、いかがですか。
  183. 川上隆朗

    川上説明員 まさに先生指摘のとおり、先ほど玉城議員の御質問に対しまして大臣から御答弁がございました。このようなケースの場合に政府が見舞い金を出すという制度は残念ながら存在しないわけでございますが、海外で働くボランティアを対象といたしました総理大臣の褒賞制度というものがございますので、この制度が適用できるかどうかということを今関係部局で額の点も含めまして検討していただいているところでございます。
  184. 古堅実吉

    ○古堅委員 政府の誠意の問われる問題だというふうに考えます。検討します、努力しますという範囲にとどまらないで、本当にそれだけの犠牲を受けた御遺族の皆さんに十分納得のいく措置を思い切ってとっていただくよう強く要望申し上げて、終わります。
  185. 牧野隆守

    牧野委員長 和田一仁君。
  186. 和田一仁

    ○和田(一)委員 去る七月十二日ペルーにおきまして我が国国際協力事業団職員の方、専門家三名の方が大変非道な事件に巻き込まれまして逝去されましたことに対して、心から哀悼の意を表する次第でございます。  この悲しい事件につきましては、今まで同僚議員がさまざまな角度から質問をされまして、私の伺いたいと思っていること、また申し上げたいと思っていることについてはそれぞれ触れていただきましたので重複は避けたい、こう思うわけでございます。多くは申し上げませんけれども、どうぞ二度と再びこういう悲惨な事件が起こらないように、十分な手だてをぜひお願いしたいと思う次第でございます。遺族への手厚い補償ということ、これもぜひひとつ遺漏なきように対処していただきたいとお願いを申し上げておく次第でございます。  ただ、いろいろな御質問ございまして答弁も伺いましたけれども、一つ二つ別の角度からちょっとお伺いをしておきたい、こう思うわけでございます。  今回のこの事件によりまして、ペルーにおられたJICA方々は一時帰国ということになりましたけれども、これはこういう事態であれば当然の措置だと思うのですが、一時帰国というこの一時というのをどれぐらいにお考えになっているのか。再開するというときにはまたペルーの方からの大丈夫だよという、そういう合図があって再開をされるのか、それとも自主的な判断の中で大丈夫だという判断で再開をされるのか。その辺をどういうふうにお考えになっているか。なかなかこれは長引きそうだということであるならば、ペルーへのせっかくのこういう協力の体制を、かわりにその間どういう協力の仕方を考えておられるのか。この辺について今お考えがあればぜひお示しをいただきたい、こう思います。
  187. 川上隆朗

    川上説明員 先生御質問の前段の方でございますが、一時引き揚げ、再開のめどという関連でございますけれども、これは当然のことながら、先ほど来いろいろな先生方からも御指摘のありましたペルーにおけるテロをめぐる状況というものが鎮静化して安全が十分確保されるようになるということが必要だと考えておりまして、再開の時期につきましては今後のペルーの国内治安情勢、安全の情勢というものを十分勘案しながら、当然これは先方政府と十分協議しながら検討していく、最終的には決めるということになろうかと思いますけれども、そういう方針でございます。  ペルーに対する経済協力のあり方につきましては、ただいまも先生から御指摘がございましたように、残念ながら今回の措置によりまして人員の派遣を要するという意味での我が国の経済技術協力というものは一時的にせよ後退するということになるわけでございますが、我が国としましては、先ほど中南米局長からも指摘がありましたが、フジモリ政権ペルーの非常に困難な経済情勢を乗り切るために特段の努力をしているフジモリ政権を支持してこれを協力していくという基本的な姿勢には何ら変更がないという考えでございます。  したがいまして、御指摘専門家の派遣にかわるような援助という点から見ますと、例えば技術協力の点で見れば、相手の専門家を今まで以上に我が方に受け入れるといったような形での技術協力可能性というものも十分頭に置きながらやりたいと思いますし、それから、大臣の冒頭の御陳述にもありましたけれどもペルーに対する金融支援といったようなものに対して我が国として今後とも積極的に対処してまいりたい、かように考えております。
  188. 和田一仁

    ○和田(一)委員 ぜひ再開するときには再びこういうことの起きないような情勢をきちっと把握した上で再開をしていただきたいと思いますし、また空白になる期間は今度は向こうから逆に人を呼 んで協力の体制を強化していく、これも結構だと思うのです。しかしながら、やはり私たちの協力が、国の方針として現地へ行ってそして現地の人と一体になって汗をかいているという姿が非常に大事だと思うので、これはいろいろな意味で、ぜひ再開の時期は慎重に検討しながらも、出せないときにはそういう代替の、かわりのやり方は十分やっていただきながらも、やがてまたぜひ行って、皆さんの専門家の指導をしていただけるように心からお願いをしたいと思うわけでございます。  ただ、ここで私一つ、先ほど同僚議員からもいろいろ指摘されておりましたけれども、この事件だけではない、似たような事件が幾つも継続して起きている、こういうことを考えますと、これはやはりその背景にあるものは一体何なんだということを考えてみないといけないと思うのですね。一つは一体日本JICAのやり方そのものに反省するところはあるのかないのか。また、日本の外交そのものに対してそういった反発を受けるような何かがあるのかないのか。ペルーに対して協力している国はたくさんある。さっきもアメリカ初めオランダ、イタリア、ドイツ等の協力があると聞きました。そういう国で同じようなこういう悲惨な事件があったかどうか。反政府テロであるというならば、政府協力をするよその国でも同じような事件があるかもしれない。今回の事件に限って見るならば、これはどうもやはり我々日本立場にターゲットを絞ってやっているのではないか、こういう感じがいたします。  あの悲惨な事件の実態をいろいろ同僚議員が聞いておりましたけれども、まさにそこにはあの犠牲になったお三方以外の人もいたわけです。いて、そういう人たちには何ら傷害がなかったけれども、まさにそこにいた専門家の三人の方々だけが犠牲になっておる。これはもう的が絞られていたと考えていいのではないかと思うのですが、そういうことを考えましたときに、一体この事件を起こした背景、こういうものの中に反省すべき点があるかないか、この辺はいかがか、お聞きしたいと思います。
  189. 川上隆朗

    川上説明員 今回の事件背景がどうかという点につきましては、先ほど来のいろいろな御議論の過程でも、なかなか現在の真相究明の捜査の段階では一概にこれというふうに結論を出すのは難しいということにつきましては大臣からも御答弁がございましたが、今先生指摘になりましたその背景としての事実関係の点でございますけれども、不幸なことに今回のような事件は必ずしも日本だけのケースではございませんで、各国の経済協力の関係だけを見ましても、我々が調べた限りでは、最近カナダのこれは現地のスタッフでございますが四名の方が殺害されるという痛ましいケースもございましたし、二年半ほど前でございますが、フランスの協力隊員の方が、これはNGOの協力隊員のようでございますが、やはり二名、センデロ・ルミノソと言われておりますけれども、のテロによって殺されているというような事件がございます。さらに、アメリカのピースコー、平和部隊の隊員が殺害されたといったような痛ましいケースがいろいろ生じてきているということでございますので、ペルーにおけるその原因、これらのケースがいずれもテロだったのかどうかということは必ずしもつまびらかでないわけでございますが、テロ可能性が高いと思いますけれども、そういう事実関係も総合しながら先生指摘の経済協力のあり方といったものも見直しを必要に応じて行いつつ、いろいろ今後とも適切な対応を考えてまいりたい、かように思っております。
  190. 和田一仁

    ○和田(一)委員 なおペルーには在留邦人がさっきのお話では四百三十名、これはJICAを含めて、こういうお話でしたが、全部引き揚げておらない。残っていらっしゃるのですね。その方々は大体都市にいらっしゃるのだろうと思いますけれども、先ほどの御答弁を聞いていますと、こういういろいろな事件が起きたのはワラル郡よりは、ワラル郡は余りなかった、むしろリマに一番多かったんだ、こういうお話を聞きますと、恐らくリマ周辺にいる在留邦人の安全というものをこれからどう対処していかれようと考えておられますか。これひとつお聞きしたいのですよ。
  191. 久米邦貞

    ○久米説明員 ペルーにおきます在留邦人対策につきましては、これは実は一九八七年にも東銀の支店長が襲撃をされて重傷を負うという事件がございまして、また同年の年末にはペルーの日産工場が襲撃されるという事件もございまして、当時から現地企業関係者の間には安全対策というのは非常に意識は徹底しておるわけでございます。したがって、今回の事件に当たりましても現地在留邦人は比較的事態を冷静に受けとめ、さらに従来行ってきた安全対策を強化するということをやっております。ただ、当面事態を少し見きわめるために、現在ちょうど休暇シーズンでもあり、何人かの方が、四百三十八名とさっき申し上げましたけれども、このうちの百名を超える方が現在家族を連れて一時的に国外に休暇の旅行をして、それでしばらく事態を見きわめるということをやっておりまして、これは現在大使館現地日本人会、企業の集まりでございます三水会というのがございますけれども、そことの間で緊密な連絡をとりつつ、従来とってきた安全対策をさらに今後も強化していくということで今種々検討をしているところでございます。
  192. 和田一仁

    ○和田(一)委員 在留邦人の保護についてもひとつ十分御配慮をいただくことをお願いして、次の質問に移らしていただきます。  先月のロンドン・サミット以後の国際情勢について大臣にいろいろお伺いしたいと思いますが、ロンドン・サミットというのは湾岸戦争以後初めてのサミットでもございましたし、従来のサミットと違ったのは、巷間言われるようにG7プラス1というような歴史的にも非常に意味の深い会議ではなかったか、こう思うわけでございます。宣言、議長声明等を拝見いたしまして、特に今回のサミットに対する日本の対応の仕方というものは、言うべきことはきちっと言った、毅然とした姿勢を貫いて日本としての立場が守られたし、また日本の提言も取り入れられた、こういう意味では私はなかなか評価すべき結果ではなかったか、こう思うわけでございます。まあ、その結果なんですね。その結果、日本もまた国際的に大変な責任をしっかりと果たしていかなければならない、こういう大きな課題も同時に発生している、こう思うわけでございます。  それで、今度の宣言を拝見しますと、一口に言えば「国際秩序の強化」ということがこの政治宣言の大きなテーマであった、こう私は思うわけでございます。このタイトルを拝見して、さらに細かく読んでまいりますと、ソ連の持っている新思考外交というものは、「国際協力の新しい精神が、アジアにおいても欧州におけると同様に十分に反映されることを希望する。」こういうような日本立場として非常に大事な表現が出てきておりますし、このことを踏まえて地球規模で適用さるべきものではないか、こういう位置づけもされているわけですね。  こういうことを踏まえまして、特にその後の議長宣言の中で北方領土の問題にも触れております。議長声明では、「北方領土問題の解決を含む日ソ関係の完全な正常化は、このこと」つまり、いわゆる新しい国際協力の精神というもの、これがもっと大きく寄与されるものであるというふうに、はっきりとこの議長声明では表現をされているわけです。私どもはこういうことを考えますと、確かに今度のサミットには日本というものの立場が非常によく出てきている、こういう感じもいたします。したがって、これからはこのサミットを踏まえて我々が対処していかなければならない国際協力の責務というものは、これは本当に腹を据えてかからないといけない、私はこう思うわけでございます。  そこで、一つだけ特にお聞きしておきたいと思うのは、この宣言の中に、「国際の平和及び安全の回復並びに紛争解決のために行動するという自らの役割を果たすこと」ができたと先般の湾岸戦 争の対処を評価しております。そして、これからは、「国際連合にとって、その創立者の希望と夢を完全に実現するための条件が存在しているものと信ずる。」非常に国連の当初の精神が生かされる時期が来ている、こういうようなことをうたい上げまして、「再活性化された国際連合は、国際秩序の強化において中心的な役割を果たすこと」になるのであろう、こういうふうにしております。そして、「平和維持における国際連合の役割は強化」されなければいけない、強化さるべきである、非常にはっきりとこういう宣言をしております。  そして、クウェートに対する今度の湾岸戦争に触れながら、「一つの小国に対する武力併合を覆すため国際社会が示した圧倒的な反応は、次の原則が広く受け入れられていることの証左」であるということを言いまして、「平和に対する脅威に対抗し、侵略を鎮圧するために集団的措置をとること」と、はっきり宣言の中でうたい上げております。  私は、この国際連合の精神というものはここではっきりしているな、同時に、これから日本が国際社会の中で寄与し、貢献していくという、そのことがここで問われているな、こういう感じがするわけでございます。そういう意味では、この集団的措置ということに対して、大臣、これから日本の外交が問われている一番ポイントではないかと私は思うのですけれども、この宣言を踏まえて、これからの国際貢献に対し、平和に対する脅威に対抗して侵略を鎮圧するためには集団的措置をとる、この宣言に同意された日本として、これからの外交の中でこの集団的措置に対する対応はどういう対応ができるか、このことをぜひひとつお聞きしたい。今すぐは難しくても、将来はこうなるであろうという展望でも結構でございます。ひとつお聞かせいただきたい。
  193. 中山太郎

    中山国務大臣 現在のこの日本の憲法のもとで、この国連を中心に日本が国際的な協力を集団的に行うといったような場合に、おのずから言い得ることは、憲法の枠内で物事を考えなければならないということが言い得ると思います。それでは憲法の枠内とは一体何かといえば、一方では憲法九条に書かれております武力による威嚇または武力によって国際紛争を解決する手段としないというこの日本の独特の憲法の条文と、あわせてさらに憲法九十八条でございましたか九十九条、私今記憶定かでございませんけれども、確立された国際条約を遵守する義務を国家が負っているわけでありまして、国連との間に条約を結んでいる日本国といたしましては、国連に対する義務を我々が果たさなければならないということでございます。  このような考え方の中でさらに整理をして考えていきますと、それは現憲法下で国連を中心とした国際協力とすれば、いわゆる国際平和の維持、これについて日本はこれからどのように貢献をしていくのか。そういうことになりますと、さきの国会でも御議論をいただきました、いわゆる国連協力、平和協力について三党間で覚書の交換がされておりますけれども、私は今回召集されます臨時国会においても各党間でこの新しい時代の要請といいますか、この国連を中心とした日本の外交を集団的にどのようにやっていくかということについて私ども真剣に議論をし、日本が信頼される国家として今日の国際的な地位を得たわけでございますので、それにふさわしい応分の協力をしなければならない、このように考えております。
  194. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私は、日本国憲法はもちろん、その前文に書かれておりますように国連精神と全く合致するものだ、こう考えております。したがいまして、こういう国連の宣言を踏まえて、我が国は憲法のこの精神を生かして積極的に協力すべきだ、こう思うわけです。また、それでなければこれからの日本の国際的な立場はあり得ない、こう思うのでありまして、前文の最後は、今九十八条をおっしゃったのでポケットから出しましたけれども、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」こういうふうに世界平和への貢献のための精神をうたっているわけなのですから、このための協力ということは積極的にひとつお考えをいただかないといけない、こう思うわけでございます。  今PKOのお話に大臣触れられましたけれども、目の前の臨時国会でPKOに対する法案が出てまいりますが、この中でもPKFに参加をして対応するということ以外に実効性のある協力というものはあり得ない、私はこう考えている一人でございまして、そういう点ではぜひひとつその点をお考えいただきたい。私が今ここで御質問したのは、それよりもう一歩進んだPMOについてもやがては何とかしなければいけない時代が来る。その長期の展望について日本外交路線をどういうふうに置いていくか、そのことを実は大臣にお伺いしたかったわけでございます。  憲法のお話が出ましたので、私は日本の憲法はそういう意味で、前文を読む限りにおいてまさに世界平和への貢献を積極的にやることを誓っている憲法だ、こう思う次第でございまして、ぜひひとつ、非常に大事なときにかかっただけに、世界の歴史が大きく変わっていこうという、こういうときのサミットで日本はしかるべき地位をだんだんとつくり上げているわけですから、ぜひそれに見合うような対応をしていただきたい、こう思います。  もう時間がございませんので、一つだけ大臣にこの臨時国会を絡めてお聞きしておきたいのは、PKOはそういうことで結構でございますが、先般のASEAN外相会議の中で、国外の自然災害救援について大臣おっしゃって、今現にある国際緊急援助隊法、これに触れて、自衛隊もここに参加できるようなことをお考えになっている、そういう新聞記事を拝見いたしました。私は、この国際緊急援助隊法を審議したこの外務委員会で、どうして十六省庁の中に防衛庁が入らないんだということを当時強く指摘して要請いたした記憶がございます。そういうことを踏まえながら、この国際緊急援助隊法の改正案、これは自衛隊法の改正も同時にしなければいけないかと思いますけれども政府としていろいろお考えになっているようですが、この臨時国会にお出しになることになりますかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  195. 中山太郎

    中山国務大臣 国際緊急援助隊法の改正につきましては、政府はこの来るべき臨時国会において提案できることも含めて検討をいたしておると申し上げたいと思います。
  196. 和田一仁

    ○和田(一)委員 時間が来ましたので終わりますが、これはPKOと違って、要請あるなしにかかわらずもう出ていける態勢の法案ですから、ぜひひとつ早急に国際協力の一環としてお考えいただき、成立させていただきたいとお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。      ────◇─────
  197. 牧野隆守

    牧野委員長 ただいま委員長の手元に、浜野剛君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党及び民社党の五派共同提案による、国際協力に従事する要員の安全確保等に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。浜野剛君。
  198. 浜野剛

    ○浜野委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党及び民社党を代表して、提案の趣旨並びに内容につきまして御説明申し上げます。     国際協力に従事する要員の安全確保等に関する件(案)   今般の在ペルー国際協力事業団農業技術指導者に対する反ペルー政府ゲリラによる襲撃は、日本国民にとり大きな衝撃であり、誠に遺憾な事件であった。   かかる事件の再発を防止し、我が国国際協力に従事する要員が安心してその任務を遂行し得るよう、政府は、左記事項について最善の措置を講じられたい。       記  一 政府は、ペルーを初め政情不安定な国において国際協力に従事する政府関係機関の要員の生命、身体の安全につき施設等の安全確保も含め、相手国政府とも協力しつつ、万全の措置を講ずること。  二 政府は、海外国際協力に従事する政府関係機関の要員が不幸にして事件に遭遇し、生命、身体に係る事態にいたった場合には、その補償につき最善の配慮をすること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  199. 牧野隆守

    牧野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  浜野剛君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  200. 牧野隆守

    牧野委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決定いたしました。  この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。中山外務大臣
  201. 中山太郎

    中山国務大臣 ただいまの御決議に対し所信を申し述べます。  我が国国際協力に従事する要員の安全確保は、国際協力推進の前提ともいうべき重要な問題であり、政府といたしましては、ただいま採択された御決議の趣旨を十分に尊重しまして、我が国の要員及び援助プロジェクトの安全対策について、相手国政府とも協力しつつ、一層の強化を図っていく所存であります。同様に、殺害された三名を含めた要員の補償につきましても、最大限配慮を行う所存であります。
  202. 牧野隆守

    牧野委員長 お諮りいたします。  ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 牧野隆守

    牧野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会