運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1991-04-25 第120回国会 衆議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年四月二十五日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 牧野 隆守君    理事 新井 将敬君 理事 園田 博之君    理事 中村喜四郎君 理事 浜野  剛君    理事 原田昇左右君 理事 上原 康助君    理事 高沢 寅男君 理事 遠藤 乙彦君       石原慎太郎君    田名部匡省君       福田 康夫君    二田 孝治君       柳本 卓治君    井上 一成君       井上 普方君    岡田 利春君       川崎 寛治君    川島  實君       松原 脩雄君    神崎 武法君       玉城 栄一君    古堅 実吉君       和田 一仁君  出席国務大臣         外 務 大 臣 中山 太郎君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      野村 一成君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省中南米局         長       瀬木 博基君         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省中近東ア         フリカ局長   渡辺  允君         外務省経済協力         局長      川上 隆朗君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合         局長      丹波  實君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部薬物対策課         長       鎌原 俊二君         法務省刑事局青         少年課長    古田 佑紀君         外務大臣官房審         議官      河村 武和君         大蔵省関税局監         視課長     本村 芳行君         大蔵省銀行局銀         行課長     永田 俊一君         厚生省薬務局麻         薬課長     齋藤  勲君         水産庁振興部沿         岸課長     渡辺 好明君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      柳田 幸三君         外務委員会調査         室長      市岡 克博君     ───────────── 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   伊東 正義君     二田 孝治君   山口 敏夫君     柳本 卓治君 同日  辞任         補欠選任   二田 孝治君     伊東 正義君   柳本 卓治君     山口 敏夫君     ───────────── 四月二十五日  朝鮮民主主義人民共和国との国交回復早期実現に関する請願(園田博之君紹介)(第三四五五号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  麻薬及び向精神薬不正取引防止に関する国際連合条約締結について承認を求めるの件(条約第一四号)      ────◇─────
  2. 牧野隆守

    牧野委員長 これより会議を開きます。  麻薬及び向精神薬不正取引防止に関する国際連合条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
  3. 高沢寅男

    高沢委員 初めに、これは外務省に対するお尋ねですが、国会がいよいよ終わる、こういう会期の終わるときになってこの条約承認してほしい、こう出されてきたその背景、理由は何ですか。
  4. 野村一成

    野村政府委員 この条約につきましては、一九八八年の十二月に作成されて以来、国際的に先進国サミット等の場で早期締結というのが強く求められておった、そういう案件でございまして、政府としましても、その早期締結のために国内法整備等のために最大限の検討を行ってきた次第でございます。  ただ、この条約は、従来の麻薬単一条約それから向精神薬条約規制を補完あるいは強化する、そういうことを目的としておりまして、まず向精神薬条約について締結する必要がございまして、日本締結していないということで昨年の国会で向精神薬条約についてまず御承認をいただいたということでございます。その後、この条約につきまして締結に全力を傾注してまいったわけでございます。  何分、この条約には広範囲そして非常に複雑な国内法整備が必要でございまして、関係省庁によってそのための法律案作成を精力的に行ってまいりました。今般ようやくこういった法律案作成を了したということでございまして、法案とともに条約提出し得る状況になったということでございます。  このような時期にという御指摘でございますが、全くそのとおりでございまして、私どもとしましてもそのようにしたかったわけでございますけれども政府関係省庁、懸命に努力をいたしました。その努力をいたしました結果をもちましてもこのような時期にならざるを得なかったというのが実情でございます。
  5. 高沢寅男

    高沢委員 外務省から急ぐ理由を聞かされた中で、サミットが行われる、サミット参加国ではもう日本だけだというような説明があったわけですが、サミット参加国でまだ締結していない国はどことどこがありますか。
  6. 野村一成

    野村政府委員 先進国サミット参加国のうちでアメリカ、カナダ、イタリア、フランスが既に条約締結しておりまして、未締結の国は日本のほかイギリスドイツでございます。英国につきましては本年六月までに、この次のサミットの場がロンドンでもございますので、締結するという見込みでございます。ドイツにつきましても、何分ドイツの場合には統一ということがございまして、その関係法律整備というのに困難が伴っているようでございますけれども、その中にありましても鋭意その締結に向けての国内法整備等を進めているというふうに承知いたしております。
  7. 高沢寅男

    高沢委員 これは厚生省かと思いますが、こういう条約をやるのに国内法整備が当然あるわけですが、国内法整備はどういうふうに進められて、どういう問題点処理されたか。
  8. 齋藤勲

    齋藤説明員 ただいまの御質問に対しまして、厚生省といたしましても関係省庁協力をしながら麻薬条約締結に備えるために法律整備をいたしてまいりました。法律につきましては二本用意をいたしておりまして、一つ麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律案でございます。もう一つは国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等特例等に関する法律案、この二本を準備いたしまして、先ごろ、四月二十二日になりますが国会提出をさせていただいたところでございます。  国内法内容といたしましては、一部改正法の中におきまして麻薬や向精神薬の原料となる物質について業者の届け出制を設ける等の規制を行うこと、それから国外犯処罰規定を設けることなどの規定を置いております。  また、新たに制定いたします特例法におきましてはコントロールドデリバリー、これは捜査のために密輸の麻薬が隠匿されていることを知りつつ通関させる手法でございますが、こうした手法のための特例手続を創設すること、それからマネーロンダリング、これは不正資金の洗浄でございますが、これを処罰する等の罰則規定を設けること、それから麻薬犯罪により得た財産の没収規定、そのための保全手続を設けるという規定を置くこととしているところでございます。     〔委員長退席園田委員長代理着席
  9. 高沢寅男

    高沢委員 我が国麻薬不正取引によって得られているであろう不当収益は金額的に言うと大体どのくらいになるのか、わかりますか。
  10. 鎌原俊二

    鎌原説明員 警察庁平成元年暴力団収入につきまして調査を行いました結果では、暴力団年間収入は一兆三千十九億円と推定しておりますけれども、その中で覚せい剤等の密売によるものは約四千五百三十五億円ということでございまして、暴力団収入全体に占める割合は三四・八%ということで、暴力団にとりまして最大の資金源になっているわけでございます。
  11. 高沢寅男

    高沢委員 そのお金を今度はマネーロンダリング規制をやろうというふうなことになるわけですが、これは具体的にはどういうやり方をするのか、説明願いたいと思います。
  12. 古田佑紀

    古田説明員 ただいまのお尋ねの件でございますが、マネーロンダリングと申しますのは、大体このような薬物取引などで得ました利益、これはそのまま持っておりますと大変危険でございますので、例えば仮名預金にいたしますとか、第三者名義にいたしますとか、そういう形で保存いたしまして、これをまた薬物不正取引資金などに使う、こういうようなことがしばしばあるわけでございます。  そこで、今回条約におきましてこういう行為処罰することとし、そしてそういうことが対象になった利益没収するというふうなことが義務づけられておりますので、ただいま申し上げましたような不正な収益を隠匿したりあるいは仮名預金にする、こういうふうな行為処罰するということを国内法に設けまして、かつこれの利益没収するという規定をつくってございます。そのような形で規制をするということを考えております。
  13. 高沢寅男

    高沢委員 これは日本の、これをやるとすれば金融機関窓口の機能が非常に大きな役割を果たす、こう思いますが、この種のことは金融機関窓口で今言われたような政策目的がちゃんと果たせるようなそういう処理はできるのかどうか。具体的にどういうふうな処理をするのか、もう一回聞きたいと思います。
  14. 古田佑紀

    古田説明員 あるいは大蔵当局からも御説明申し上げた方がよろしいような事項でございますけれども、今回の麻薬条約批准のための法案におきましては、金融機関等が、薬物取引などで得たお金預金等をするというような疑いが具体的にありました場合にはこれを主務大臣に報告する、銀行でございましたら大蔵省大蔵大臣になるわけでございますが、そしてそれを捜査機関が閲覧することができることにすることによりまして、こういうふうな不正収益の発見、それから薬物犯罪捜査端緒を得られるというふうな配慮をしてございます。これにつきましては、銀行関係その他金融業界からも御協力が得られる見込みでございます。
  15. 高沢寅男

    高沢委員 それから、今度は没収ということが出てくるわけですね。この麻薬による不正収益、これを没収するというようなことになるわけですが、さっきの警察庁の御説明で、全体のそういう暴力団資金というものの中で麻薬資金はこのくらいだというような説明がありましたが、この没収麻薬対象ということになると、他のそういうアングラマネーというものと麻薬による不当収益の金というものが没収対象になると、やはり一定識別をしなければいかぬじゃないか、こう思いますが、そういうふうな識別はどんなふうにやるのか、それをひとつお聞きしたいと思います。
  16. 古田佑紀

    古田説明員 ただいまの御質問は、現実にいわばどういうふうにして捜査をするかというようなことになろうかと思いますけれども、実際の捜査におきましてはいろいろな形態がございまして、薬物犯罪の大規模なものは、端緒をつかんでそれの捜査を進めていく過程で、当然ながらどこから金を手に入れてどれだけ売って、そしてその金をどうしたというふうな捜査をするわけでございます。  したがいまして、その薬物犯罪捜査過程預金通帳などがあることもございますし、いろいろな場面があるわけですが、そういう証拠を総合的に分析いたしまして、どれだけの収益薬物犯罪から得られたか、そしてそれがどこにどういう形で保存されているかということを捜査することによって明らかにしていくことになると思います。
  17. 高沢寅男

    高沢委員 今説明されたそういう捜査の段階で、この金は賭博によるものであった、あるいはこの金は売春によるものであったというようなことも明らかになってくるということは当然あるわけですね。そういうときに、これは麻薬ではない、賭博なら見逃す、売春なら見逃すということになるのか。これはいずれも刑法に触れる問題ですから、これら全体としての不正な金はやはり没収対象にするというような取り扱いは、麻薬だけではなくて全体にそういう扱いが必要じゃないか、こう思うのですが、これはいかがですか。
  18. 古田佑紀

    古田説明員 犯罪から得られました不正な利益を剥奪することが大事なことは委員指摘のとおりでございます。現在、刑法におきまして、犯罪から得られました不正な収益につきましては、一定限度没収または追徴ができることになっております。ただ、今回の麻薬条約につきましては、例えば預金債券でありますとか、こういうふうなものも没収をするというようなことが必要でございまして、その限度で現在の刑事法のやや足りない部分を拡大した内容を持つ法律案の御審議を願うことにしているわけでございます。  今先生指摘の件につきましては、さしあたりまず現行の没収または追徴規定、これを十分活用することが大切だと存じますが、犯罪が組織的かつ営業的に行われるというふうな傾向もだんだん強くなってまいっておりますので、今後ともその不正な利益の的確な剥奪のあり方について検討を続けてまいりたいと思います。
  19. 高沢寅男

    高沢委員 ほかの不正利益についても私はそういう措置が厳正にとられるようなそういう対策はぜひ進めてもらいたい、こう思います。  それから、今の御説明によれば、いずれも捜査の中でそういうことが明らかになってくる。とすれば、没収手続は、要するに特例法があるにしても実際のこの具体的な発動は刑事的な手続をとられるというふうに見ていいのですか、いかがですか。
  20. 古田佑紀

    古田説明員 そのとおりでございまして、刑事裁判没収をするということになります。
  21. 高沢寅男

    高沢委員 これは厚生省に対するお尋ねかと思いますが、そうやってまとめた国内法、これが今国会成立する見込みというものは厚生省はどういうふうに見ておられるか、お尋ねいたします。
  22. 齋藤勲

    齋藤説明員 法案提出している私どもといたしましては、できるだけ早期に御審議をいただきまして成立させていただけるようお願いを申し上 げたいと考えておるところでございます。
  23. 高沢寅男

    高沢委員 成立見込みはありますか、いかがですか。社会労働委員会審議日程等々から見て、この国会成立すると言えますか、どうですか。
  24. 齋藤勲

    齋藤説明員 社会労働委員会審議日程、大変タイトだというふうに伺っておりまして、残された期間内でこの法案を御審議いただけるかどうか、これから御検討いただけるのではないかというふうに考えております。
  25. 高沢寅男

    高沢委員 私は、我が党の社会労働委員お尋ねしたところでは、とてもこの国会では成立する可能性はない、こういうふうなお話であります。  そうすると、国内法というものは成立ができない、しかし条約の方は先行して成立するということになってくると、もともとこの種のものは条約と関連する国内法が一体の関係成立は同じ国会で一緒に成立していくということが当然あるべき原則だと思うのですが、そういう原則から今度の場合には違ってくる。条約先行国内法は後からいくというふうなことになるわけですが、このことについて外務当局は、そういうことでも支障はないというふうにお考えか、いかがですか。     〔園田委員長代理退席委員長着席
  26. 野村一成

    野村政府委員 先生今御指摘がございましたとおり、条約実施するために国内法整備が必要というような場合には、条約とその実施のための国内法案をあわせて同じ会期中の国会提出して御審議いただくということが適当と考えておるわけでございます。従来から通常条約国内法案とをほぼ同時期に国会提出審議をお願いしてきたところでございまして、この条約実施国内法案につきましても、今国会提出しておるわけでございます。  御審議の上、成立することを強く希望しておる次第でございますが、今回のこの時期に条約提出させていただいて御承認を求めているそのための事情というのは、先ほど、対外的な必要性ということで私説明させていただきましたけれども、このような事情があるとは申しましても、条約提出会期末直前、こういう審議日程のタイトなときに御無理をお願いしている結果となったわけでございまして、まことに恐縮に存じております。今後、条約提出につきましては日程的に余裕を持って行い得るようできる限り努力いたしたい、そういうふうに考えております。
  27. 高沢寅男

    高沢委員 こういう言うならば悪例を前例にしないということを私は強く要望したいと思います。  さてしかし、それにしても、条約先行国内法は後というふうになったとき、この条約締結手続は具体的にはどういうふうにやられるのか、サミットの前にそれができるのかどうかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  28. 野村一成

    野村政府委員 この条約締結を行いまして日本について発効させるためには、国会条約の御承認をいただくとともに、必要な実施国内法成立、施行されるということが前提となるわけでございます。この条約につきましては、国内法国会で御承認いただいてからさらに施行されるまでの間に行政事務的に一定準備期間が必要ということが見込まれておることもございまして、ただいま先生の仮定のあれでございますけれども国内法がまだ間に合わないという場合には、締結のために必要な文書承認書なり批准書の寄託をそれまでの間行わないということになろうと思います。
  29. 高沢寅男

    高沢委員 つまり、批准手続は行わないと今最後にあなた言ったけれども、行えないわけでしょう。すると、そのことは、先ほどあなたが大きな理由にしたサミットで何とか間に合わせたいということであったわけですが、さて、サミットのときに、まだ批准手続は完了していない、批准はできませんというような状態であるときに、この国際的効果というのは一体どうなるのですか。その点は外務省はどう考えているのですか。
  30. 野村一成

    野村政府委員 締結サミットまでに間に合わないということでございます。他方、先ほども説明いたしましたけれども、このサミット参加各国のうちまだ締結していないのはイギリスドイツ日本のみでございます。イギリスについてはまず間違いなく六月中ぐらいには批准を行うということでございまして、ドイツにつきましても、先ほどちょっと触れましたけれども、東西ドイツ統一ということで対外的には御理解をいただけるという状況にあろうかと思います。  したがいまして、そういう状況のもとで、ロンドンサミットまでに日本としましてやはり締結意思というのを示せるようにしておくということが国際的に極めて重要だと考えておる次第でございまして、この条約につきまして国会で御承認をいただくということは、今申しました我が国による締結意思の明確な表明というふうに受け取られることになりますので、対外的には非常に大きな意味を持つことであるというふうに考えておる次第でございます。
  31. 高沢寅男

    高沢委員 お気持ちは大変涙ぐましいというような感じがしますが、しかし、それにしても、国際条約国内法がこうやって、国内法がおくれるということは一つ前例にしないということだけれども、現に出てきたわけだ。とすれば、国際条約締結が非常に求められている、早くやってくれ、早くやるべきだ、こう言われている他のものがありますね。子供権利条約であるとか、人種差別撤廃条約であるとか、こういうものは今まで外務当局は、それはまだ国内法をやっておるから、そちらがまだ間に合わぬからということでずっとおくれていた経過があります。こういうものを、国内法は仮におくれるにしてもそれはそれで万全の努力をするということで、しかし、国際的にはこういうものは早く条約としては国会承認を得るというやり方も当然あるべきではないのかというふうに私は思いますが、どうですか、これは。
  32. 野村一成

    野村政府委員 一般的には条約締結に当たりましては、条約の解釈の確定とともに、国内法整備必要性ということからそれを含めて検討することとしておるわけでございまして、国内法整備の必要がある場合には、法律案といたしましてそういう形で政府として条約実施が可能であるとの判断が確実になってから国会条約提出させていただくこととしておるわけでございまして、法案準備ができてもいないのに条約だけ提出するということは避けておる次第でございます。
  33. 高沢寅男

    高沢委員 子供権利条約については、この国会丹波国連局長が、今国会か遅くとも来国会には出しますと、こう言っておりますが、これは国内法整備も含めてそこまでもう事態は進んできておる、こう確認してよろしいですか。
  34. 河村武和

    河村説明員 児童の権利に関する条約につきましては、丹波局長さらに大臣がこの委員会等で御答弁を申し上げておりますとおり、来年の通常国会までには御審議いただけるようにしたいということを述べているわけでございまして、その意味するところは、まさに国内法との関係も十分考慮した上で来年の通常国会までに御審議をいただけるようにしたい、こんなふうに考えております。
  35. 高沢寅男

    高沢委員 では、そのことはもうしかとそういうふうにしていただきたい。  あと、人種差別撤廃条約の方は見通しどうですか。
  36. 河村武和

    河村説明員 人種差別撤廃条約につきましては、これは従来から御説明しておりますところでございますけれども、同条約規定しております処罰義務と表現の自由と憲法の保障する基本的人権との関係をどのような形で調整するかという実施に関して困難な点がたくさんございますので、これらの点を含めて現在も検討中でございます。
  37. 高沢寅男

    高沢委員 これはもう長い間その説明だけで、いつまでたってもらちが明かぬということで来ているわけですが、これはもう一つ国内法のまとめ方も、やはり諸外国もやっているわけですから、日本国内法をしかとまとめるということをやって、今や締結に踏み切るべきときに来ている、私はこんなふうに思いますが、この点は大臣の御所見はいかがですか、急に大臣に飛んでいったけれども
  38. 中山太郎

    中山国務大臣 国内法整備にしばらく時間がかかっておりまして、鋭意この問題の解決に努力をしている最中でございます。その点御理解をいただきたいと思います。
  39. 高沢寅男

    高沢委員 では、今の点もしかと要望して、次へ進みたいと思います。  きのうここで我が党上原委員から質問いたしましたが、掃海艇派遣の件です。いよいよ昨夜、政府安全保障会議それから臨時閣議掃海艇派遣を決定されたということになるわけですが、この派遣は、理由としては、今はもう戦時ではない、平時である、それから日本船舶航行の安全を図るということ、それからなお残存の機雷、やはりこれは清掃しなければいかぬ等々のことから、自発的にこの派遣を決めた、こういうことになっているわけですが、同じ名目が立てば将来も、例えばマラッカ海峡などは一番日本船舶の通るシーレーンであるわけですけれども、ああいうところに仮に異常な事態が起き、機雷が敷設されるというような事態があったというときは、それを掃海するために同じような掃海艇派遣を当然やるのだというふうな前提になるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  40. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。  昨日決定されましたペルシャ湾に対する掃海艇派遣につきましては、ただいま先生が御指摘になりましたような諸般状況を考慮した上で決定をしたわけでございます。その中には、あの地域において正式停戦成立していること、それから、敷設されている機雷がまだ多数残っておりまして、我が国船舶航行の重大な障害となっていること、それから、これらの機雷は海上に遺棄されたと認められるものであって、これを除去することが武力行使には当たらないということ、それからさらには、これがペルシャ湾という国際海運にとって重要な海域、またクウェートを初めといたします沿岸諸国の戦後復興等の観点からも、我が国としての貢献となり得るというような諸般事情を考慮して決定をいたしたものでございます。  それで、マラッカ海峡というふうな御質問がございましたけれども、やはり今後どういう事態がどういうところで起こるか、その場合どのように対処をするかということにつきましては、そのときそのときにその起こりました事態に即して種々の状況を勘案して判断すべきものと思いますので、一概にこういうときはどうということを申し上げるのは若干難しいかというふうに考えます。
  41. 高沢寅男

    高沢委員 今渡辺局長から説明されたいろいろな理由、特に国際的貢献というようなことも最後に加えられたが、私はペルシャ湾よりもっとマラッカ海峡の方が国際航路としての非常に重要性、だから、あの理由立てならば、マラッカ海峡でそういう事態が起きなければもちろん問題にならぬ、本当に起きたときは、あなたの理由づけからすれば、論理上当然そこも日本掃海艇は行くのだということになるのではないのか。これを心配するから日本の国民の中にも今度の派遣について非常に強い反対の意見がある、アジア諸国の中にも非常に強い反対の意見があるということではないのかと思うのですね。  それで、ここでお尋ねしたいのですが、今度の日本政府の決定に対して、例えば韓国外務省などは、そのことはわかった、今回限り、これは今回限りであるというふうに相手としては了解し、そしてまたそれを希望し、要望しているということですが、大臣、これは今回限り、こういうふうに見ていいですか、いかがですか。
  42. 中山太郎

    中山国務大臣 今回の掃海艇派遣は、湾岸戦争後の平和回復のための目的ということが一つ、それから国際的に航行の安全を確保するということが一つの大きな条件でございまして、そういうことで、韓国政府もその点を理解するということでございました。実は、けさ八時から日韓外相会談をやっておりまして、掃海艇派遣問題について日本政府として正式に韓国側に説明をいたしまして、韓国側もそれらのことで理解を示したということでございます。
  43. 高沢寅男

    高沢委員 それは私の聞いていることに対するお答えにならない。今回限りであるのかどうか、どうですか。
  44. 中山太郎

    中山国務大臣 今回限りかどうかというお尋ねでございますが、今先生からはマラッカ海峡の問題を具体的に挙げられましたが、いろいろな事態が起こった場合に、やはり安全保障会議あるいは閣議等で十分議論をして、そのケース、ケースで対応することが必要でありますけれども、基本的な原則としては、平和目的ということ、あるいは国際的に貢献ができるということ、我が国の国民の人命を尊重できるということ、こういうことの原則が幾つか確立されないと条件は満たされないと私は考えております。
  45. 高沢寅男

    高沢委員 大臣、今言われたことは、今後もこういうケースがあれば出しますというようなことに結局なると思いますね。殊に、邦人の人命尊重というふうな例を挙げられましたが、こうなってくると、もう機雷の掃海どころではなくて、ある国において、その国の中で何かの混乱が起きる、在留邦人の生命財産の危険が迫ったというときに、それを救済するというような理由で自衛隊が出て行くということにもつながっていくのではないですか。今、邦人の人命の安全と、こう言われましたけれども、そういうことにこれはつながるのではないですか。  あるいはまた、今度の掃海艇も、もともと自衛隊法の九十九条は日本の領海及びその近海というのがもう大前提であった。あの九十九条には言葉では書いてない、言葉では書いてないが、あの九十九条のできたいきさつからすれば、それはもう明らかです。それが一万三千キロまで行きます、あるいは相手の要望があればその国の領海にまで入ってやります、こういうふうなことになってくると、これは完全に九十九条とは全然性格の違う派遣になるということで私たちは批判してきたし、反対してきているわけですが、そういうふうに自衛隊法で規定されておる目的をこうやってどんどん踏み越えていくことになれば、今私の言った、今度はある国の紛争が起きたのに在留邦人を助けるために自衛隊を出しますということにもこのことはつながっていくというふうに心配するわけですが、そういうことは今大臣のお答えの中に含まれているのかどうか、いかがですか。
  46. 中山太郎

    中山国務大臣 含まれておりません。
  47. 高沢寅男

    高沢委員 そうすると、含まれていないということは、では機雷の掃海をしなければならぬという事態がもし起きたら、それはケース・バイ・ケースで判断する、こういうふうに理解していいですか。もう一度答えてください。
  48. 中山太郎

    中山国務大臣 先ほど申し上げましたように、平和であるということ、戦争状態でないということ、それから、そこを航行する船舶に危険がある、あるいはまた、周辺国がその掃海作業に反対をしないというような、いろいろな各種の条件が整備されている場合に限られるものというふうに理解しております。
  49. 高沢寅男

    高沢委員 渡辺中近東局長は、きのう上原委員質問して、この掃海艇は足が短い、したがって、一万三千キロのペルシャ湾まで行くのに途中で幾つか寄港しながら行くだろう、その寄港先はどうなっているかということに対して、きのうあなたは、まだ閣議の決定もないしというようなことでお答えがなかったのですが、この閣議決定がなされた今の段階で、その寄港していくところはどこどこというふうな予定がもうされているのかどうか、これはいかがですか。
  50. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 掃海艇ペルシャ湾まで参ります間に、途中寄港しなければならないというのは御指摘のとおりでございます。私、昨日は、若干諸般事情というふうなことを申し上げましたが、現在、寄港を考えております相手先との間で打ち合わせをいたしておるところでございますので、若干この相手との関係もございますので、現在、具体的にどこかということを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、相手国との打ち合わせも済みますれば、先方の了解も得た上で、これは当然公表するべきものというふうに考えております。
  51. 高沢寅男

    高沢委員 あした出航するのでしょう。あした日本の港を出ていくのに、まだ交渉中でございます、どこへ寄港するかまだ言えませんというふうなことが一体成り立つのですか。それなら、あなた、あしたになれば言えるのですか。あしたになればどこへ寄港するということが言えるのですか、どうですか。
  52. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 実態問題として現在幾つかの国と話し合いをいたしておりますので、これが昨日、政府として決定をいたしたところでございますので、これから正式に相手と話をして合意をするということでございます。したがいまして、明日か明後日かというふうな具体的な日にちは申し上げられませんけれども、私どもは合意ができ次第、発表ができるものは当然発表するということで考えております。
  53. 高沢寅男

    高沢委員 これは説明にならぬですよ。とにかくあした出航するのだ、あした港を出ていく段階で、まだどこへ寄港するか交渉中でございます、まだ合意はできません、交渉中であってしかし船は出ていく、こんなことがありますか。もしその交渉中であって寄港先が決まらなければ、あしたの出航はあさってに延ばす、さらにしあさってに延ばすということに当然なるのじゃないですか。出航させて海を走りながら相手と交渉して寄港地を決める、こうするのですか。どっちですか、どうですか。
  54. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 これまでも御答弁申し上げておりますとおり、この問題も含めまして従来から私ども内々に関係国と必要な接触等は行っております。ただ、どこの国に寄港するかということを公表するということにつきましては、やはり相手国との関係がございますので、そこは相手国ときちっと話をした上で申し上げたいということを先ほどから申し上げておるわけでございます。
  55. 高沢寅男

    高沢委員 では、相手国と了解がつかないうちにどこの国とは言えない、今のはそういうことですな。交渉中である、相手国と了解がつかない限りはどこの国とは言えません、これが今のお答え。  そうすると、あしたになればそれはつくのですか、あした出航なんだから。もしあしたになってその了解がつかなければ、あしたの出航はあさってに延ばすということにするのか、これはどうですか。出航の前には必ず相手国との交渉はつける、つかなければ出航は延ばす、あれかこれか、どっちかだ。いかがですか。
  56. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、ただいま申し上げましたように、幾つかの関係国とは既に内々の接触はいたしております。それで、私どもといたしましては、当然運航に支障のないような形で出発をしていただくということで取り運ぶように考えております。私が申し上げておりますのは、恐縮でございますが、どこの国へ寄港するということを発表することについて相手国との合意の上で行いたいということを申し上げておるわけでございます。
  57. 高沢寅男

    高沢委員 では大臣、今こういうやりとりがありました。ここで大臣お尋ねですが、もしあしたまでに寄港地の相手国と了解がつかないというときは、二十六日出発はつくまで延ばす、こう理解していいのか、これはもう大臣の御判断、いかがですか。
  58. 中山太郎

    中山国務大臣 この寄港地の相手国と了解ができれば直ちに公表するというのは、私の基本的な考え方でございます。
  59. 高沢寅男

    高沢委員 いや、私のお尋ねしたのは――今大臣のお答えは当然です。局長もさっきから、決まれば公表します、こう言う。ただ、あしたまでにもし決まらなかったら、あしたの出航は延ばすのか、これを聞いたわけです。いかがですか。
  60. 中山太郎

    中山国務大臣 本日中に相手国とさらに折衝いたしまして、了解を取りつける考えでございます。
  61. 高沢寅男

    高沢委員 では、きょうの午後本会議でこの問題の質問があることは御承知のとおり。少なくも本会議で、我が党は上原委員質問に立ちますが、そのときは大臣あるいは総理から今の点もしかとひとつお答えをいただきたい、こんなふうに要望しておきます。  それから、これもよくある議論ですが、出ていった掃海艇が、今や平時だという前提ですが、それにしても今何が起こるかわからぬ世の中ですから、もしもそれがいずれかの国の攻撃を受けたら、どういうふうな対応をされるのか。今度はそんなところへ行かないという昨年の秋の臨時国会のような答弁はあり得ないと私は思う、現にもうイラクの、クウェートの沖合へ行くのですから。もし何か攻撃を受けることがあったらどう対応するのか、いかがでしょう。
  62. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 今般のペルシャ湾におきます我が国掃海部隊による機雷の撤去につきましては、先般イラクと多国籍軍側との間に正式の停戦が成立したことを受けまして、この海域における我が国船舶航行の安全の確保という観点から、遺棄されたと認められる機雷を除去しようとするものでございます。このような活動に従事する我が国の掃海部隊に対しまして、武力による威嚇または武力の行使が行われるということは想定しがたいというふうに考えております。
  63. 高沢寅男

    高沢委員 それでは、こういうことはあり得るのではないですか。  機雷を除去する船が実は機雷に触れてしまって爆発して沈むとかあるいは死傷者が出る、あるいはこの掃海艇は非常に小さい船ですから、あらしが来て、あらしのためにこの掃海艇に事故が起き、人員の被害も出るというようなことになることは絶対ないとは言えない。そういうときの補償といいますか備えは一体どうか、この点はいかがですか。
  64. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 大変恐縮でございますが、今回の掃海艇派遣につきまして、必要な補償の問題についていろいろ検討を防衛庁でされていると思いますが、実は私、詳細を承知しておりませんので、まことに申しわけございません。
  65. 高沢寅男

    高沢委員 きょうは、防衛庁を呼んでいなかったのは私の不覚でございました。  もう一つお尋ねしたいことは、今度の掃海艇派遣ということの関連で、何か海部総理の談話の中に、今度はクルド族の救援というようなことなども、そのために自衛隊を出すというようなことも質問があった。そのときに、明確にそういうことはありませんという答えはなかった、何かあるかもしれないという含みを持ったような海部総理の答えであった、これはけさの新聞の報道ですけれども外務省としては、一体そういうこともあり得るのかどうかですね、いかがでしょうか。
  66. 渡辺允

    渡辺(允)政府委員 昨日の海部総理の記者会見で何か突然そういう話が出たようでございますけれども、現在のところそういう話はございませんし、私どもも別にそのような検討をいたしておるわけではございません。
  67. 高沢寅男

    高沢委員 海部総理という人は、やらないと言っていて後ですぐやるように変わる人だから……。その点は私の不規則発言として言っておきます。  それで、大臣、クルド族のことでこういうことが起きはしないか。これはもう日本の問題というよりは、アメリカを中心とする多国籍軍がクルド族の救援のためにイラクの国の中に一つの保護区をつくるということで、現に今イラクへ入ってそういう作業をしているわけですね。そして何か最近、そのクルド族の代表とバグダッドのフセイン大統領との間に一定の話し合いもできたというふうに報道されておりますが、そうすると、そのクルド族の安全を守るということから──ほうっておけばイラク政府は本来クルド族をやっつける立場ですね、そういう戦いもあったわけですから。それをさせないということになって、クルド族の保護区というものは一定の境界線をもって引かれる。となると、その中ではクルド族の自治が行われる、当然そうなると思います。  その自治というものは、これが一年、二年で解除されたらまたやられてしまう。そういうことに なってはいけないとすれば、そういう姿が今後ずっと続いていくとなると、イラクという国の中にバグダッド政権の管轄権の及ばない一つの区域というものができていく。それはクルド族自治区というふうになるのかどうか、そういうふうになる可能性が大きいと私は思う。そして、そうなるきっかけは、アメリカやイギリスや多国籍軍が入って、これはクルド族の保護区だといってつくったということが出発点になるわけですね。  私は、これは今までの国際法の関係で、形からいえば明らかに内政干渉、ある国へほかの国が入っていって、ここを一つの自治区にするんだぞ、ここへその国の中央政府の管轄権が及ばないようにするというようなことは、これは国際法上あり得ない、だけれども、ほっておけばクルド族がみんなやられてしまう、一つの人道問題としてはほってはおけない、この両者の関係の中で、今のようなケースは今までの国際法ではちょっと考えられない一つのケースとして出てきているのではないのか、こんなふうに考えますが、これは国際法上どう考えられるか、日本政府としては、それはいいのか悪いのか、どういうふうに御判断なさるのか、お聞きしたいと思います。
  68. 中山太郎

    中山国務大臣 国際法の問題になりますので、条約局長から御答弁させていただきます。
  69. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ただいま先生指摘になりましたとおり、このクルド族の問題というのは人道上大変に憂慮すべき事態であると考えております。聞くところによりますと、現地でいろいろな話し合いも行われているようでございますが、その帰結がどういうことになるかにもよると存じます。  ただ、この点も、先生の御指摘のとおり、ある国の中に何らかの保護区と申しますかそういうものを設ける、あるいは人道的な見地から、ある国の中に外国なり国際機関が入っていって、そこで救援活動を行うということにつきましては、人道的な理由ということが一方にございますが、他方におきまして問題になっておる国の領域主権との調整ということもあると思います。この点につきましては、まさに国際法の問題といたしましても非常に新しい問題でございまして、いわゆる人道的な干渉というものがどの程度まで許されるか、これがどういう状況であればできるかという点はまだ国際法の問題としても形成されつつある問題であろうというふうに考えます。  いずれにいたしましても、この領域国との調整の問題、明確な合意があれば一番よろしいわけでございますが、それに至らない場合にも、少なくともその領域国の黙認というようなもの、あるいは国際機関、特に国連でどういうふうに考えるかということが重要な要素になってくるのであろうというふうに考えております。
  70. 高沢寅男

    高沢委員 今の点はひとつ十分研究していただくということをお願いしながら、約束の時間でありますから終わります。
  71. 牧野隆守

    牧野委員長 玉城栄一君。
  72. 玉城栄一

    ○玉城委員 麻薬条約批准でございますけれども、この条約は過去のサミットにおいても数回、国際的に非常に重要な問題として話し合いされてきておるわけであります。とかく我が国麻薬対策というものが非常におくれている、そういう指摘もあるわけでありますが、そういう中で、今回この条約、まさに先ほどの御質疑もあったように、ぎりぎりの段階で出された。そのおくれた理由、そこがやはりみんな知りたいところでありますので、国内法整備がおくれた、そういうことだけなのか、どういうことで国会提出がおくれてきたのか、その点をまずお伺いいたします。
  73. 野村一成

    野村政府委員 国内法整備ということはもちろんございました。それから、やはり先ほど私答弁申し上げましたが、このたびの条約は、麻薬単一条約、それから向精神薬条約を強化、補完するという目的のものでございまして、我が国の場合向精神薬条約をまだ批准していなかったということで、まずそれを昨年の国会で御承認いただきまして、それでこの新しい条約に取り組んだということでございまして、そういう意味でいわば二年がかりのこの麻薬についての締結作業であった、そういうことでございます。
  74. 玉城栄一

    ○玉城委員 たしか十六回でしょうか、サミットが行われてきておりますが、どの時点のサミットでこの麻薬の問題が取り上げられたのか、その辺をお伺いいたします。
  75. 河村武和

    河村説明員 先生御案内のとおり、サミットにおきましては、その当時といいますか、国際情勢におきます重要な問題を適宜審議するわけでございまして、麻薬の問題についても従来から首脳国間で話の対象にはなっておりましたが、特に一九八五年のボンで行われましたサミット以降、毎回のサミットにおきましてその話し合いの結果が、例えば経済宣言でございますとか議長サマリーという形で発表されるようになってきているというのが状況でございます。すなわち一九八五年のボン・サミット以降毎年何らかの形で麻薬問題に取り組む必要性指摘されている、こういうことでございます。
  76. 玉城栄一

    ○玉城委員 それだけ麻薬の問題というのは非常に重要な問題として話し合われてきているわけでありますが、我が国の場合はこの条約ですらこのようにぎりぎりという段階で出されてきた。そのおくれた理由は、先ほどのお答えでは昨年の、それが唯一の理由なんですか。  それともう一つ。過去における二つの麻薬に関する条約がありますね。この条約と比べましてこの条約が持つ非常に特徴的な部分、それもあわせて説明をお願いします。
  77. 河村武和

    河村説明員 先ほど高沢先生に対する御答弁の中で野村審議官が申しましたとおり、この条約との関係で重要でございました点は、条約の解釈を確定しますとともに、この条約実施するために必要な国内法整備というものが必要だったわけであります。特に新条約には非常に広範囲かつ複雑な国内法整備というものが必要でございましたので、関係省庁の御協力を得まして非常に精力的に法律案作成を行っていたということでございます。今般ようやくかかる法案作成を了しまして国会提出することができるということになりましたので、その法案とともにこの条約提出するということをさせていただいた次第でございます。  それでは、新条約と従来の麻薬単一条約及び向精神薬条約との違いといいますか関係について簡単に御説明させていただきますと、従来の麻薬単一条約及び向精神薬条約と申しますのは、いわゆる麻薬とか向精神薬の製造、輸出入、それから分配、使用等に関しまして、免許とか許可という形で必要な規制の措置を義務づけることによりまして麻薬及び向精神薬の利用を医療上または学術上の目的に制限する、かかる制限によりましてこれらの乱用を防止するということを目的にしておりました。  他方、この新しい条約は、現実に薬物不正取引というものが非常に頻繁に行われているという状況にかんがみまして、単なる学術上または医療上の目的に制限するというような規制措置にとどまりませずに、薬物不正取引防止及び処罰のための国際協力の強化が必要であるという認識のもとに作成されたということでございます。  したがいまして、この麻薬条約は従来からの麻薬関連の既存の国際約束による規制というものに加えまして、すなわちこれらの規制を強化、さらに補完し合うという性格を有する条約である、このように私たちの方では認識しております。
  78. 玉城栄一

    ○玉城委員 最初のおくれた理由ということ、いろいろおっしゃっておられますけれども、近いうちまたサミットにも間に合わさなくちゃならない。麻薬の撲滅に対する認識が我が国政府指摘されるように非常におくれている、弱いというか、そういう感じからこういうふうに条約提出そのものがおくれてきているという感じがするわけであります。早期批准というのは当然国際的な責務ですから、もっとそういう認識があればいろいろな手続というものは、その作業が当然されてしかるべきであったと思うわけであります。  それで、これはどちらの方にお伺いしようか、我が国麻薬などによる汚染の状況、これは今現在どういうふうになっているのか、お伺いいたします。
  79. 河村武和

    河村説明員 きちんとした答弁は警察庁の方からしていただくのが適当かと思いますけれども外務省の方で知っております限りの我が国におきます薬物乱用の現状について御説明させていただきたいと思います。  我が国におきましては、特に最近コカインの押収量が非常に急増しております。特に九〇年の押収量は八九年の押収量の約五倍に当たるという状況でございまして、これが非常に特徴的な傾向でございます。また、それに伴いまして検挙者数も非常に増加しているということでございます。他方、麻薬を全体的に見ますと、量的には覚せい剤というものが我が国薬物乱用の中心でございます。  覚せい剤、コカイン、大麻につきまして今申しましたことをもう少し具体的に御説明させていただきますと、まず覚せい剤でございますが、八五年以降九〇年まで押収量はほぼ横ばいと言ってよろしいかと思います。八五年に二百九十五キログラム程度、九〇年には二百七十五キログラム程度でございました。覚せい剤取締法違反検挙者の数でございますが、これは八五年二万三千人強、ほぼ同じレベルで推移しておりまして、九〇年には一万五千人という数を私たちの方で持っております。  コカイン及びヘロインについて申しますと、コカインは八五年の押収量は〇・一キログラムでございました。これが八九年になりますと十三・七キログラムにふえた。それから、先ほど説明いたしましたとおり九〇年の押収量は約五倍の六十八・八キログラムになっているということでございます。  ヘロインにつきましてはいろいろと数字に変化がございます。八五年約十六キロ、八八年十七キロ、八九年二十八キロ弱、九〇年九キロ。麻薬取締法のコカイン、ヘロイン関係の違反検挙者は大体百名から二百名のオーダーでございます。  大麻につきましては、これも八五年押収量百二十三キロ、八八年百八十二キロ、八九年四百三十七キロ、九〇年百三十九キロという数字でございます。大麻取締法違反検挙者は大体千二百人から千五百人の間で推移している、このように承知しております。
  80. 玉城栄一

    ○玉城委員 政府開発援助、ODAを積極的に国際的な麻薬の撲滅のために援助をするということは政府の方は決めてやっていらっしゃると思うのですが、具体的にはどういう援助をしてどういう効果が出てきているのか、その辺をお伺いいたします。
  81. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答え申し上げます。  麻薬対策につきましては、一つは従来、二国間の協力でございますけれども技術協力を中心として行っておりまして、具体的には麻薬犯罪取り締まりセミナー、犯罪防止セミナー、これは麻薬をテーマとするものでございますが、そういうものを開催したほかに、コスタリカにおきまして麻薬犯罪防止のための第三国の研修というものをJICAが行っております。また過去におきましては、麻薬鑑識用の器材、こういうものの供与を行った例もございます。  今後麻薬問題に対する取り組みの一環といたしまして、我が国技術協力の手段が有効である場合には麻薬対策に資する協力について積極的に検討してまいりたいということでございます。  また我が国は、農業分野におきます代替作物の研究、転作奨励等を中心とした協力可能性といったことで、ODAを通じた対応策を探るために昨年二度にわたりまして調査団をタイ及びラオスに派遣しまして、先方当局等と意見交換をいたしております。また、他の援助国がこの点に関しましてどういう援助を行っているかということについて先方と相談したり視察を行ったという経緯がございます。  今後はこの調査結果を踏まえまして、この分野における経験の深いほかの援助国や国際機関との連携も念頭に置きながら適切に協力してまいりたいと考えている次第でございます。
  82. 玉城栄一

    ○玉城委員 最近沖縄で、これは今一段落しておりますけれども、沖縄米軍関係、もちろん暴力団関係、そういうものによるいわゆる麻薬、先ほどこの麻薬等は暴力団資金源にもなっているという話もありましたけれども、これは警察の方いらっしゃいますか、警察がいらっしゃらなければ税関の方ですか、沖縄における麻薬等の今の状況を御説明していただけますか。
  83. 本村芳行

    ○本村説明員 お答えいたします。  沖縄の状況の前に、私ども税関でどういうことをやっているかということを先に御説明させていただきます。  麻薬等の不正薬物はほぼ全量が海外から密輸入されている、かつまた銃砲等も海外から入ってくるケースが非常に多いという状況がございまして、私ども税関におきましては国境におきましてこういう、社会悪物品と私ども言っておりますが、麻薬であるとか銃砲というものをきちんと取り締まることが極めて重要であると認識しております。  このため税関におきましては、情報収集の強化あるいは取り締まり機能の整備充実あるいは警察等取り締まり機関との連携を強化していきまして、重点的かつ効果的な取り締まりを今実施している次第でございます。  沖縄の場合には非常に広大な海域をあの地域に持っておりまして、我が国の近隣諸国地域から、例えば台湾であるとかフィリピンの方から麻薬あるいは銃砲等が入ってくるわけでございまして、税関におきましては、沖縄地域におきまして警察あるいは海上保安庁等々取り締まり機関と連携を深めておりまして、税関自身も三十メートル級の監視艇等を配備して同地域におきます麻薬及び銃砲の取り締まりに鋭意努力している次第でございます。
  84. 玉城栄一

    ○玉城委員 この条約によって、それは新しい取り締まり強化のための条項もあるわけでありますから、それに基づいて国内法整備されまして、ぜひそういう取り締まりを強化していただきたい。このことはまた米軍関係者も含めて厳重にそういう取り締まりを要望しておきます。  それと、最近尖閣諸島、いわゆる東シナ海、公海上で我が国の漁船がいわゆる国籍不明船によって襲撃を受け、金銭とか食料が強奪といいますか、そういう事件がたび重なっているわけであります。そのことを外務省はどのように、知っていらっしゃるのかどうか、その点をお伺いいたします。
  85. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 せっかく海上保安庁の方が見えておりますので、より詳しくは、事実関係はそちらの方から御説明することにいたしたいと思いますが、いずれにいたしましても、この最近起こっておりますことは公海上の出来事でございまして、大変遺憾なことでございます。特に我が国の漁船の安全操業の観点から私ども事態を大変憂慮いたしております。中には中国の国旗を掲げたり乗組員の中に中国の解放軍の制服を着た者がおるというケースもございまして、そういうことから私どもは中国側に事実関係の照会を行っておるところでございます。引き続きそういう努力をしたいと思いますけれども、事実関係についていま少し詳しいことは海上保安庁の方からお答えしたいと思います。
  86. 柳田幸三

    ○柳田説明員 まず、事件の概要でございますが、本年の三月十八日から四月二十一日までの間に東シナ海におきまして、六件の国籍不明船による我が国漁船に対する臨検事件が発生しておりまして、その概要は次のとおりでございます。すなわち、銃で威嚇された上に強行接舷され、船内を検査されたものが四件、強行接舷され、現金、食糧等を奪われたもの一件、銃で威嚇された上、強行接舷されそうになったもの一件でございます。  これに対しまして、海上保安庁といたしましては、四月六日に第二繁好丸が襲撃される事件が発生いたしましたので、現場海域に大型巡視船一隻を配備し、水産庁の監視船と連携の上、我が国漁船の保護に努めておりましたところが、四月二十一日になりまして、第二十一東海丸が強行接舷される事件が発生したことにかんがみまして、四月二十三日から新たに大型巡視船一隻を増強配備いたしまして、二隻による連携パトロールを実施し、現場での指導及び事案即応体制を強化いたしました。  さらに当庁では、出漁漁船に対する航行警報を頻繁に実施しております。また、水産庁に対しましては、出漁漁船に対する注意喚起並びに事件発生時の当庁への速報方を依頼いたしました。またさらに外務省に対しましては、一連の事件について中国側に事件の調査方、依頼もいたしております。今後とも関係省庁と連携をとりまして、対処してまいりたいと思っております。
  87. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほど外務省のお答えの中に、中国というお話が出てまいりました。その中国という特定はできるということなのですか。それとも台湾とかあるいはその他とか、その辺はどうなのですか。
  88. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 先ほどお話し申し上げましたように、中国の国旗を掲げ、海上保安庁の御観察でも中国の解放軍の制服を着た者が乗り組んでおったということでございまして、もちろんそれをもって直ちに中国というふうに断定しておるわけではございませんけれども、照会先としては、まず中国が妥当と思いまして、そういう手続を今とっておるところでございます。
  89. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですからとりあえず中国ですね。それから台湾とかあるいはその辺はどうなりますか。
  90. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 その辺についてのより明確なことが出てまいりますれば、もちろん台湾にも照会したいと思います。
  91. 玉城栄一

    ○玉城委員 水産庁の方にちょっとお伺いします。  その我が国の漁船というのは沖縄船籍に限らないわけで、山口県とか宮崎、いろいろな船籍がそういう被害に遭っているわけであります。水産庁としての漁船の安全操業に対する対策ですね、それはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  92. 渡辺好明

    渡辺説明員 御指摘の問題でございますが、私どもも大変深刻なものとして受けとめております。あの海域には、今先生が御指摘になりましたように各県から底びき網漁業、それからまき網漁業、はえ縄等いろいろなものが出漁いたしております。私どもそれぞれ関係県、それから関係漁業者に対しまして監視を強化せよ、それから極力集団で操業してもらいたい、危険水域には近寄らないようにしてもらいたい、それからさらに海上保安庁の方からも御答弁ございましたけれども、非常時のための連絡体制を十分整備する、常時連絡を密にできるようにする、そういったことをまずやっていただいております。  さらに、海上保安庁にも大変御努力をいただいておりますが、警備を強化していただく。私どももこの四月から取り締まり船を派遣いたしておりますが、まだ漁業の時期がこれから先も続きますので、五月、六月と当庁の、水産庁の取り締まり船を現場に派遣いたしまして、海上保安庁と連携プレーで、操業秩序の維持と申しますか、未然にこうした事態防止できるような、そういう努力を続けていきたいと考えております。
  93. 玉城栄一

    ○玉城委員 極めて優秀な漁場、海域でありますので、こういう脅威にさらされるという状態になると、これは我が国の漁業に関する死活の問題にもなってくるわけです、荒れる尖閣諸島といいますか、これは特に最近非常に顕著にこういうふうになってきております。ですから、これは外務省の方とされては中国かどうかは別にしても、台湾かどうかは別にしても、この海域の、しかも公海ですから、その辺の安全についてきちっと関係諸国と話し合いすべきだと思うのですが、いかがですか。
  94. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 いずれそういうことも必要かと思いますけれども、ただ、尖閣列島の問題がございますので、その辺の話し合いを始めるにつきましては、いろいろ関係方面で立場の違いがあり得るかと思います。もちろん日本のこの問題についての立場は明確ではございますけれども、やはりあの海域における操業の安全を確保するために、将来的に今少しく工夫をすべきことがあるような気がいたします。
  95. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間が参りましたので、ぜひこの点は、私が沖縄選出だからという意味ではなくて、我が国にとっても非常に重要な問題でありますので、こういう事件がもう二度と起こらない、起こさせないという対策をちゃんと政府自体がしてもらわないと非常に困るわけでありますので、ひとつその点をよろしくお願いして終わります。
  96. 牧野隆守

    牧野委員長 古堅実吉君。
  97. 古堅実吉

    ○古堅委員 昨日、本委員会ペルシャ湾への掃海艇派遣問題について質問をいたしました。とうとう政府国会における論議も十分なさないままに、憲法にも反し、自衛隊法にさえも明らかに反する形でその派遣を決定してしまいました。怒りを込めて抗議すると同時に、それを撤回するよう強く求めます。  議題となっております麻薬条約ですが、この麻薬条約批准を求める手続、今回に限らず常におくれてきた、そういう事情があるように思います。しかも、今回は会期末、もうここまで来ておるし、国内の関連法規との整合性を持たせるという面でもなかなか進まぬ。参議院の審議日程などに考慮を払えば、こういうやり方というのは非常識なやり方ではないか、このように指摘される一面があると思います。だからこそ、立たれる同僚議員全部からこの問題についての厳しい指摘があったと思います。あえて重ねて、今後そういうことがないよう強く求めておきたいと思います。  ところで、この条約締結することによって、現在の政府麻薬・向精神薬取り締まり条約が著しく強化改善される点は、ずばり言ってどこですか。
  98. 河村武和

    河村説明員 簡単に要点だけをお答えいたしますと、この条約はそもそも麻薬等の不正取引防止のための国際協力を強化するということを目的としております。こういう観点から強化改善の点を申しますと七点ぐらいあろうかと思います。  まず第一点は、マネーロンダリングと言われておりますような行為を含めまして、処罰対象とする行為の範囲を拡大した、これが第一点でござます。  第二点は、いわゆる国外犯処罰というものを可能にするような裁判権の設定を条約締結国に義務づけるということでございます。  第三点は、麻薬取引不正取引によって得られました不当な収益等の没収対象範囲というものを拡大した。  第四点でございますが、没収対象となるような財産の保全制度というものをきちんと確定した。  第五点でございますが、外国での裁判等に基づく没収に関する国際的な共助というものを実施するということを規定しているという点でございます。  第六点は、監視つき移転、英語ではコントロールドデリバリーといっておりますけれども、こういう監視つき移転を利用して不正取引防止を行うという点を規定しているという点でございます。  第七点は、これは規制対象の物質でございますけれども麻薬または向精神薬の不正な製造に頻繁に使用され得る原材料物質の規制というものについて新たに定めた。  いろいろな点ございますけれども、主な点を挙げますと今述べました七点ぐらいかと考えております。
  99. 古堅実吉

    ○古堅委員 次に、問題となり続けておりますPKO問題について、特に昨年の臨時国会以来、にわかにその問題についての論議が活発になってきたこともありますので、それについてお尋ねしておきたいと思います。  政府は、昨年十月五日に国連が作成した国別地域別訓練ガイドラインと題する文書を入手し検討しておられると思いますが、どういう性格の文書ですか。
  100. 丹波實

    丹波政府委員 お答え申し上げます。  この文書は、昨日一部の日本のプレスで報道されましたけれども、一昨年八九年の十二月の国連総会決議というのがございまして、この決議は国連の事務当局に対しまして、各国及び地域の訓練計画のためのPKOの訓練ガイドラインというものを作成するようにという趣旨の決議であったわけですが、それに沿ってできたマニュアル、ガイドラインというものが昨日報道された文書、そういう性格のものでございます。
  101. 古堅実吉

    ○古堅委員 外務省は、PKOへの要員派遣前提として国連からこの文書を入手されたのですか。
  102. 丹波實

    丹波政府委員 これはただいま申し上げましたとおり、国連が、モデルガイドラインということで、関心ある政府に配付しますということでございましたので、日本政府といたしましても、将来の問題といたしまして勉強のために取り寄せたということで、日本政府としても持っておるということでございます。
  103. 古堅実吉

    ○古堅委員 その中身についてお尋ねしますが、PKOの法的根拠として、国連憲章第七章四十条、安保理による必要暫定措置及び第五章二十九条、補助機関の設置を採用すると書かれておるのですか。
  104. 丹波實

    丹波政府委員 このPKOの憲章上の根拠でございますが、これはかつて国際司法裁判所でも争点になって、勧告的な判決が出ておりますけれども、特定の条項に根拠があるということではございませんで、国連憲章の第六章、第七章の全体から出てくるということで、俗にPKOは六章半だということが言われておりますけれども、PKOはそういうことで第六章、第七章の精神からそのプラクティスを通じてできてきたというのが大体の国連の考え方でございます。     〔委員長退席、浜野委員長代理着席〕
  105. 古堅実吉

    ○古堅委員 今回のこのガイドラインにもそれに関しては特に言及はされてないのですか。
  106. 丹波實

    丹波政府委員 憲章のいろいろな条項が各所で言及はされております。
  107. 古堅実吉

    ○古堅委員 先ほど言ったように、具体的な条文を引用しての言及はないのですか、PKOの法的根拠についてです。
  108. 丹波實

    丹波政府委員 いろいろな、例えば三十三条その他の条文が言及されておりますけれども、実は先生のところ、あるいはほかの関心のおありになられる方からこの内容につきまして資料の要請がございましたので、昨日、国連に問い合わせました、果たして出していいかどうか。これに対しまして国連から回答が来ておりまして、これはあくまでも国連の内部文書であるので中身は公開の席上では議論の対象にしていただきたくないという回答が来ておりますので、それ以上のことは差し控えさせていただきたいと思います。
  109. 古堅実吉

    ○古堅委員 この中身にかかわることはもう一切国会での答弁はできないという態度ですか。今からいろいろと質問を続けたいと思うのですが、質問をしても答えられませんよということですか。
  110. 丹波實

    丹波政府委員 お答え申し上げます。  余り細部ということでございましたらあれでございますけれども、概略的なことでございましたらできるだけお答え申し上げる努力はしたいというふうに思います。
  111. 古堅実吉

    ○古堅委員 事実を確認したいのですけれども、この文書によればPKOは監視団、平和維持軍、その混成団、その三つに分類されておりますか。
  112. 丹波實

    丹波政府委員 この点は従来から私たちも政府として御説明申し上げておりますけれども、いわゆるPKOと申しますのは平和維持軍、それから監視団、それからそういうエレメントと申しますか、それがまぜ合わさったもの、例えば典型的にはナミビアで一昨年行われた平和維持軍の中には監視的な活動もございますし、選挙監視団的な活動もございましたけれども、そういうものが混成されている、そういうことはこの文書の中にもそういう記述がございます。
  113. 古堅実吉

    ○古堅委員 三つに分類されたPKOの主体は軍人であるということを改めて確認する、そういう内容になっておりますか。
  114. 丹波實

    丹波政府委員 この点は従来から申し上げてございますとおり、いわゆる平和維持軍の本体、それから軍事監視団の監視要員というものは軍人で構成されておりますし、そのことはこの文書にもそういう言及がございます。
  115. 古堅実吉

    ○古堅委員 選挙監視団はどういう扱いになっておりますか。
  116. 丹波實

    丹波政府委員 選挙監視団についても言及がございますけれども、これは、軍人が行う活動ということでの記述はございません。
  117. 古堅実吉

    ○古堅委員 監視要員について文書は、六年以上の軍歴と大尉以上中佐までの身分を要求しているということが報道されておりますが、これは事実ですか。
  118. 丹波實

    丹波政府委員 まさに中身の詳細にわたる御質問でございますけれども、基本的にはその趣旨の表現がございます。
  119. 古堅実吉

    ○古堅委員 いずれにしても、全体として文民は、監視団、平和維持軍、その混成団の主体にはなれないという趣旨のガイドラインだと思われるが、どうですか。
  120. 丹波實

    丹波政府委員 この点は従来から御説明申し上げてきておりますとおり、平和維持軍の本体及び軍事監視要員の本体、これは過去ほとんど例外なく軍人が担っておる任務でございます。そのことと同様の趣旨の記述がこの文書にもあるわけでございまして、その点は新しいということはございません。
  121. 古堅実吉

    ○古堅委員 いわゆる後方支援部隊なんですが、それについても基本的に軍事部隊で編成し、仕事もこの軍事部隊を基本として実施する、そういう原則が打ち出されているようでありますが、そのとおりですか。     〔浜野委員長代理退席、園田委員長代理着席
  122. 丹波實

    丹波政府委員 この点も従来からお答え申し上げてきてございますけれども、平和維持軍のいわゆる後方支援、ロジスティックスと申しますか、後方支援部門につきましては、従来は各国の軍事要員、軍隊によって賄われてきております。監視団のロジ部門につきましては、基本的には国連の職員によって賄われてきております。そういう意味では、平和維持軍のロジ活動、繰り返し申し上げますけれども、その点は従来は軍人によって賄われてきているというのがこれまでの例でございます。
  123. 古堅実吉

    ○古堅委員 第一章の序文では「国連加盟国は事務総長が準備する以下の訓練マニュアルに従って、参加する軍人、文民に対する国家による訓練計画を行うこととする」とありますが、監視団、平和維持軍、その混成団の主体である軍人だけでなく、文民に対しても文書にある訓練マニュアルで訓練するということになりますか。
  124. 丹波實

    丹波政府委員 この点は、念のため国連に問い合わせましたけれども、この訓練の部分のガイドラインはあくまでも軍人の訓練のためのマニュアルであるというのが国連の考え方であるという回答でございます。
  125. 古堅実吉

    ○古堅委員 昨年九月十八日のデクエヤル国連事務総長の報告となっておりますPKOにおける文民使用、そういうものが出された後に、今回の十月五日の国別地域別訓練ガイドラインというものが作成されました。当然文民の使用という課題も念頭に置いた作業だったと思われますけれども、結果としては、この文書はPKO、国連平和維持活動に文民が入る余地がほとんどあり得ないというようなことになってしまったと思うのですが、どう思われますか。
  126. 丹波實

    丹波政府委員 先生おっしゃいますとおり、昨年の九月十八日に事務総長報告といたしまして「国連の平和維持活動における文民の活用」という報告書が出ておりますが、この報告書は、平和維持軍の本体、停戦監視団の軍事要員、この二つの活動を将来文民に置きかえていこうということを検討している報告書ではございません。この報告書で言っておりますのは、例えば先ほど申し上げました平和維持軍のロジ部門、これが従来軍人によって賄われてきたけれども、将来はその一部があるいは文民の活動の場になる余地があるということを検討するということの報告書でございまして、繰り返しますけれども、平和維持活動の本体、平和維持軍の本体、それから監視団の本体そのものを文民によって置きかえるという考え方でできている報告書ではございません。
  127. 古堅実吉

    ○古堅委員 いずれにしても、PKOに我が国が何らかの形でかかわりを持つということになれば、その前提として今回のガイドラインの内容を十分検討する、そういうかかわりを持たなければ結論が出せない、そういう重要なガイドラインという文書だというふうには思われますか。
  128. 丹波實

    丹波政府委員 私がここで政策の問題を議論するのは必ずしも適当だと思いませんので、事実関係ということで御説明させていただきますと、先ほどから繰り返し申し上げておりますとおり、平和維持軍の本体、停戦監視団の本体に参加するためには、いわゆる括弧つきの軍人というものを送り出さなければ国連は受け付けない。もしそういうものを送り出すに当たっては、昨日報道された訓練のガイドラインというのは、それなりに参考になるガイドラインとして受けとめていくのが国連加盟国の一つの考え方ではないかというふうに考えます。
  129. 古堅実吉

    ○古堅委員 この問題は、政府としては当然のこと、この国会においてもこれからこの問題についての中身をきわめなくてはいけない大事な政治的課題にもなっているというふうに思います。政府が国連とも相談して国会提出できるように、そういう検討ができますか。
  130. 丹波實

    丹波政府委員 お答え申し上げます。  先ほど冒頭で申し上げましたとおり、昨夜大至急の訓令を日本の国連代表部に出しまして、代表部から国連の事務局に対して、もしそういう要請が国会あるいはプレスからあった場合に外に出していいかどうか問い合わせをいたしましたけれども、国連側は残念ながら、これは国連の内部文書であって外には出していただきたくないという回答が来ておりますので、やはり国連のそういう要請というのは守っていかざるを得ないというふうに考えます。しかし、先ほど申し上げましたとおり、概略のことはこういう質疑応答を通じて私たちはできるだけ御答弁申し上げる努力はいたしたいというふうに考えます。
  131. 古堅実吉

    ○古堅委員 これは、国会において必要な論議がなされる前提が提供されないという重要な意味を持つものであるだけに、理事会で後ほど検討されて、適当な委員会としての方向を出していただきたいと要望申し上げます。  終わります。
  132. 園田博之

    園田委員長代理 和田一仁君。
  133. 和田一仁

    ○和田(一)委員 麻薬条約の各国の批准状況等についてお尋ねしたいと思います。  この七月にロンドンサミットが予定をされております。最近のサミットでは、グローバルな重要課題といたしまして地球環境問題、麻薬の問題というものが大きく取り上げられてくるようになりました。先ほども御答弁ございましたが、八五年のボンにおけるサミット以降、回を重ねるたびにこの問題が次第に重要視されてきておるのではないかと思います。  その理由は、やはり一つは人間を外側から、もう一つの方は内側から侵食するような大変深刻な問題である。大臣、苦笑いされたようですが、これは人類生存の外的要因としての地球環境、それからまた一方は、人の肉体と精神をむしばんでいく薬物、こういう人類共通の重要課題は力を合わせて協力することが必要である、こういうことからサミット等で大きく取り上げられるようになってきたわけですが、麻薬問題につきましては、日本は比較的他国に比べてまだ汚染されている度合いが少ないというふうにも思います。深刻さが少ないからといって、やはりこれは放置はできない。日本も先進国の一員としてそれなりの国際的な役割を果たしていかなければならない、こう思うわけでございます。  今度の新条約は、一九八八年にウィーンで採択をされて、そして昨年効力を生じた、こういうふうに聞いております。各国の批准状態等も先ほど来御質問ございまして、既に三十七カ国、また、サミットに参加する国でいまだ批准が行われない国もイギリスドイツ日本というように承知をいたしました。こういう国々の中で、先進国としては、早急に批准しなければいけないだろうと思われる国でまだ残っている国があるかどうか。例えば、今度の中身の中で、やはりマネーロンダリング等の対応を考えますと、スイス等の国などは急いで批准をしていただかなければいけない国ではないかということも私は感じます。そういった大事な国がまだ残っているかどうか。  それからもう一つは、例えば、コロンビアやペルー、タイ、ブラジル、こういった麻薬の産出国の国々がこの新条約に対して今どういう姿勢でおるかをお聞きしたいと思います。
  134. 河村武和

    河村説明員 お答え申し上げます。  現在までの締結国が三十七カ国及び欧州経済共同体でありますことは、先生も御承知のとおりでございます。  その中で、まず先進国でございますが、サミットの先進七カ国のうち、締結をしておりません国が、我が国イギリス及びドイツということでございます。さらに、他の先進国でございますけれども、参考までに、今先進国と言われているところで締結をいたしておりますのが米国、カナダ、スペイン、イタリア、フランスでございます。かかる観点からも理解していただけますとおり、例えばいろいろと汚染状況が進んでいると言われるようなオランダでございますとかベルギー、北欧の国々がまだ参加していないということでございます。  スイスにつきましてもまだ参加をしていないということでございますけれども、スイス政府が現在本問題についてどのような対処をしているかということを私たちの知っておる限りで申しますと、いわゆる批准に向けて現在政府部内で検討を進めているということでございまして、具体的な批准時期がいつになるかについては、スイス政府としてまだわからないというのが状況であろうかと思います。  それでは、麻薬の主たる生産国の関係で話をさせていただきますと、いわゆる黄金の三角地帯と呼ばれますタイとかミャンマー、アジアにおきますそれらの国々、それから、黄金の三日月地帯と申しますイラン、パキスタン、アフガニスタン、これらの国々、中南米の主要な生産国でございますコロンビア、ペルーというような国はまだ締結をいたしておりません。     〔園田委員長代理退席委員長着席〕  最も主要な生産国として、この条約を既に締結しておる国もございまして、ボリビアでございますとかインドというところが既にこの条約締結をしているという状況でございます。ペルー及びコロンビアにつきましても、特にペルー政府の方は政府としてはぜひ批准したいということで、国会の方と話をしているそうでございますけれども、具体的な時期がわからないということでございます。コロンビアについては、特に現在政府として積極的に動くという気配は見られないというぐあいに聞いております。
  135. 和田一仁

    ○和田(一)委員 やはりそういう国々も批准して、力を合わせてこういうものの撲滅を図らないといけないと思うのですけれども、昨年はASEANの外相会議等で、外務大臣はこういったことに対して対策会議をやろうという積極的な姿勢を示されたと思うのですが、やはりそういう姿勢をこれからもきちっととり続けていただきたい。  先般、ペルーからフジモリ大統領が見えられましたが、ペルーもコカの最大の産出国であります。そして同時に、こういったものに大変依存する経済体制だとも聞いておりますが、フジモリ大統領来日の際に、この問題についての何らかの話し合いがあったかどうか。これから日本の経済援助等も、そういう意味で有効に活用されるものでなければならないと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  136. 瀬木博基

    ○瀬木政府委員 先生御案内のとおり、ペルーは現在大変な経済困難に遭遇してございます。そこで、フジモリ大統領が今般、海部総理、中山外務大臣にお会いいただいたときには、ペルーの経済困難をどうやって克服するか、なかんずく、大変な債務を抱えておりますので、その問題をどうするか、また、最近起きましたコレラの問題であるとか地震の災害であるとか、そういう今非常に深刻に悩んでおります問題が専ら話し合われたということでございまして、麻薬の問題は確かに非常に難しい問題でございますが、今回の会談では出ておりません。
  137. 和田一仁

    ○和田(一)委員 先ほども日本はまだ汚染度がさほどでないということを申し上げましたが、何か最近は日本が中継点になっているということも聞くわけで、経済大国である日本が中継点であるということは、ここは麻薬の新しい、何というのですか、これからいいターゲットにねらわれているのではないかという感じもするわけでございます。最近、特に押収量の推移を拝見すると、コカインの量が非常にふえている、こういうふうに受け取られるのですが、こういった麻薬問題の現状をどのようにとらえられておりますか。簡単で結構です。御答弁いただきたい。
  138. 齋藤勲

    齋藤説明員 我が国におきます薬物乱用問題の最大の問題は覚せい剤の問題でございまして、平成二年で約一万五千人の検挙者を出しております。この覚せい剤乱用問題、まだ根強く継続していると見られております。  もう一つは大麻でございますが、大麻取締法違反で検挙されました者の数は、平成二年、約千六百名でございまして、近年増加の傾向にございます。  一方、麻薬につきましては、平成二年に麻薬及び向精神薬取締法違反で検挙された者は二百四十名と、前二者に比べると少数でございますが、先生指摘のように、最近世界的に乱用が広まっているコカインにつきましては、我が国におきましても密輸、密売される事例がふえつつあります。平成二年には百十名余りが検挙されるとともに、およそ六十八キログラム、この量は前年の約五倍で、史上最高の量に上っておりますが、コカインが押収されているわけでございます。これは、南米の麻薬犯罪組織が我が国を欧米に次ぐ新たな市場として販路を確立しようとしていることに由来するというふうに思われております。  このため、厚生省といたしましては、国内及び国外の麻薬取り締まり諸機関と情報交換を密にいたしまして、水際での取り締まりの徹底を図るとともに、国民に対し薬物の乱用の危害について正しい知識の普及を図りまして、薬物の乱用を許さないという社会環境をつくるため、積極的な啓発活動を実施してまいりたいと思っております。
  139. 和田一仁

    ○和田(一)委員 我が国の青少年の大変大事な時期、こういう薬物で侵されないようにするためには、ひとつ一層努力していただきたいのですが、そういう取り締まる体制が何かまだ非常に不十分じゃないか、麻薬Gメンと言われるようなそういう取り締まり体制もまだまだこれからではないかという気がいたしますが、それはさておきます。  今度のこの新条約とあわせていろいろ国内法整備されなければいけないのですが、先ほど来、そちらの方の進行がまだだというのに、条約承認だけ先になるわけですけれどもマネーロンダリングについて、大蔵省はこれをどのようにお考えになっているのか、これは個人の秘密の保護ということとあわせて大変大事な問題だと思うのですけれども、どういうふうにお考えかを聞かせていただきたいと思います。
  140. 永田俊一

    ○永田説明員 お答えいたします。  マネーロンダリングに関します規制につきましては、一つは、マネーロンダリングを行う者に対する規制がありますし、もう一つは、金融システムがマネーロンダリングに悪用されないようにする、そういう金融機関等に対して課す規制とに分けられると思いますが、先生指摘のとおり、秘密保持とかそういう問題も当然念頭に入れながら、御案内のとおり、現在、麻薬条約締結のために国内法整備といたしまして国会特例法の形で提出されているわけですが、最初に申し上げましたマネーロンダリングを行う者に対する規制につきましては、犯罪としてこれを処罰するとの規定がその法律で設けられ、手当てがなされることになっておりますので、先ほどお答えいただいた厚生省初め関係当局において今後適切な処理がなされると思っておりますが、金融機関を通じる悪用の問題につきましては、既に昨年の十月に行政措置といたしまして、本人確認等につきまして実施済みでございます。  それから、このほかに薬物犯罪関係しているとの疑いがあります取引については、金融機関等から関係の当局に報告させる、すなわち疑わしい取引の報告の制度を今回の法律で創設を求めているところでございまして、今回の法整備の一環として、特例法の中で関連規定を置いていただくことといたしております。こういう形で今回国会提出法案成立し施行されますれば、国際的に求められておりますマネーロンダリング規制につきまして法制的な整備は整うことになると考えております。  麻薬等の不正取引防止するためにマネーロンダリング規制する必要があることは国際的にも広く認められていることでございますし、当省といたしましても、この観点から今後さらに金融界及び国民各層の理解協力を求めながら適切な運用をしてまいりたい、そのように考えております。
  141. 和田一仁

    ○和田(一)委員 時間が少ないので、この機会に大臣一つお尋ねしたいのですけれども、昨日国防会議そして臨時閣議を経て掃海艇ペルシャ湾への派遣を決定されたようでございますが、この国防会議並びに臨時閣議にお出になっていて、この掃海艇派遣をお決めになる間に、これに出動していく自衛隊の隊員は非常に危険な作業をしていただくわけなんですが、そういったことを配慮して、手当であるとかあるいは補償等について何らかのお話があったかどうか、あったとすれば、どういう方向でのお話があったかをお聞かせいただきたいと思います。
  142. 中山太郎

    中山国務大臣 昨日の安保会議におきましていろいろと議論がされましたが、内容は公表させていただくわけにはまいりませんけれども、今般派遣されます自衛隊員の手当及び補償につきましては、できる限りの配慮をするのが政府の方針ということでございます。詳細は防衛庁にて大蔵省と協議をいたしております。
  143. 和田一仁

    ○和田(一)委員 大臣、話題にはなったと理解してよろしいのですね。
  144. 中山太郎

    中山国務大臣 さようでございます。
  145. 和田一仁

    ○和田(一)委員 掃海艇派遣は、この前もここで私御質問させていただきましたけれども、過去の実績もありますことを踏まえて、ぜひひとつそういう手当等についても配慮をいただかないといけない、こう思うわけでございます。  それからもう一つだけ最後にお伺いしておきたいと思います。  先般のゴルバチョフ・ソ連大統領の来日の際、共同声明がございました。その中で、領土及び平和条約締結交渉の項でいわゆる四島が列記されて、さらにこれらの諸島の住民との間に交流を広げていこう、こういうことがございました。そのために無査証の枠組みを設定するという提案がございまして、これらの問題について今後さらに話し合うことということで合意されたようでございますけれども、このことをこれから話し合っていく基本的な日本の姿勢について明確にひとつお示しをいただいておきたいと思います。
  146. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 仰せのとおり、共同声明の交渉の過程の中でソ連側の方からこの提案がなされたわけでございます。  この問題に対します基本的な政府の立場は、四十五年間ソ連側によります不法な占拠が続いている、事実上の施政を及ぼしている、しかし我が方の法的な立場というものはいささかなりとも害するような行動をとらないという方針でまいったわけでございます。そういう方針を貫きましたからこそ、一時期墓参ができなかった、あるいは昆布がとれなかった時期があったわけでございます。  私どもの基本的な方針といたしましては、交流という時代の要請は理解できるところでございますので、日本政府の堅持してまいりました法的な立場というものをいささかも害することのない何らかの具体的な実際的な取り決め、合意というものは何とか達することはできないか。例えば墓参に関しまして御存じのような方式を日ソ間で合意したわけでございますけれども、ああいう方式を念頭に置いた何か知恵を双方で出していってその方式を考えてみたいという所存でございます。
  147. 和田一仁

    ○和田(一)委員 この問題はすぐの話ではございませんので、またの機会にもっと伺いたいと存じます。  時間がなくなりましたので、終わります。
  148. 牧野隆守

    牧野委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  149. 牧野隆守

    牧野委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  150. 牧野隆守

    牧野委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 牧野隆守

    牧野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  152. 牧野隆守

    牧野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十二分散会