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1991-03-15 第120回国会 衆議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月十五日(金曜日)     午前九時三十五分開議  出席委員    委員長 牧野 隆守君    理事 新井 将敬君 理事 園田 博之君    理事 浜野  剛君 理事 原田昇左右君    理事 上原 康助君 理事 高沢 寅男君    理事 遠藤 乙彦君       麻生 太郎君    井奥 貞雄君       伊東 正義君    石原慎太郎君       小渕 恵三君    奥田 敬和君       唐沢俊二郎君    坂井 隆憲君       田名部匡省君    福田 康夫君       穂積 良行君    与謝野 馨君       井上 普方君    岡田 利春君       川崎 寛治君    川島  實君       小林 恒人君    松原 脩雄君       森井 忠良君    神崎 武法君       玉城 栄一君    古堅 実吉君       永末 英一君    和田 一仁君  出席国務大臣         内閣総理大臣  海部 俊樹君         外 務 大 臣 中山 太郎君  出席政府委員         内閣官房内閣外         政審議室長   有馬 龍夫君         内閣法制局第三         部長      津野  修君         防衛庁参事官  内田 勝久君         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁長官 児玉 良雄君         防衛施設庁総務         部長      箭内慶次郎君         防衛施設庁施設         部長      大原 重信君         防衛施設庁労務         部長      竹下  昭君         経済企画庁調整         局審議官    土志田征一君         沖縄開発庁総務         局長      造酒亶十郎君         外務大臣官房長 佐藤 嘉恭君         外務大臣官房審         議官      野村 一成君         外務省アジア局         長       谷野作太郎君         外務省北米局長 松浦晃一郎君         外務省欧亜局長 兵藤 長雄君         外務省中近東ア         フリカ局長   渡辺  允君         外務省経済局長 林  貞行君         外務省経済協力         局長      川上 隆朗君         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合         局長      丹波  實君         食糧庁長官   浜口 義曠君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      高島 有終君         大蔵大臣官房参         事官      吉永 國光君         大蔵省主計局主         計官      細川 興一君         資源エネルギー         庁石油部石油企         画官      弘田 精二君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       岡本  巖君         資源エネルギー         庁石油部備蓄課         長       野津 研二君         資源エネルギー         庁石油部開発課         長       望月 晴文君         外務委員会調査         室長      市岡 克博君     ───────────── 委員の異動 三月十五日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     井奥 貞雄君   鯨岡 兵輔君     穂積 良行君   宮下 創平君     坂井 隆憲君   山口 敏夫君     与謝野 馨君   井上 一成君     森井 忠良君   岡田 利春君     小林 恒人君   和田 一仁君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   井奥 貞雄君     麻生 太郎君   坂井 隆憲君     宮下 創平君   穂積 良行君     鯨岡 兵輔君   与謝野 馨君     山口 敏夫君   小林 恒人君     岡田 利春君   森井 忠良君     井上 一成君   永末 英一君     和田 一仁君     ───────────── 本日の会議に付した案件  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件(条約第六号)      ────◇─────
  2. 牧野隆守

    牧野委員長 これより会議を開きます。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。
  3. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 きのうの理事会で、政府側から今度の湾岸戦争に出動した在日米軍の数について報告がありました。それは、主に海兵隊約八千、それから洋上展開が約七千、こういう報告がありました。  そこで外務大臣にお尋ねしたいのですが、高沢委員やその他の委員質問しましたときには、その数はわからない、こういうことでしたね。そうしますと、それは安保条約第四条の随時協議で、今度協議をして初めてわかった数字なんですか。どうですか。
  4. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 先般の当委員会での御議論を踏まえまして、米側外交チャネルを通じて聴取いたしましたところを御報告申し上げたものでございまして、今先生指摘のいわゆる随時協議ということではございませんで、通常の外交チャネルを通ずる外交的接触を通じて聴取したということでございます。
  5. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 昨年の八月、イラククウェートに侵攻したわけですね。そうすると約八カ月、その間、どれぐらいの米軍移動したかということについて事務的な連絡ということにしろ、在日米軍移動、これはもう新聞にもしょっちゅう出ているわけです。沖縄出身戦死者も出たわけですね。これはハワイの方からの出動ですけれども、出た。そうしますと、一万五千の在日米軍が動いておるのを今日まで、国会で、当委員会でやかましく、しかも相当理事会では激しい質問に対 してはいろいろな、どの項目がどういうふうにもめたか余り知りませんが、しかしいずれにしてもこれだけの数字を今日までやかましく言われるまでは調べようともしない、知ろうともしないということはどういうことだったのですか。
  6. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 従来から御答弁申し上げておりますように、在日米軍日本施設区域から他の地域移動するということは、安保条約及び地位協定が当然前提にしていることでございまして、現行の制度のもとではその都度米側日本に通報する、連絡するという条約上の義務を負っていないわけでございます。したがいまして私どもは、その都度通報を受けるという体制にもなっていないということは累次申し上げていたわけでございます。  しかしながら断片的に、これも従来申し上げていることでございますけれども沖縄海兵隊の一部、空軍の一部、それからこれは在日米軍ではございませんで洋上に展開している米軍艦船でございますが、横須賀に乗組員家族を居住させている艦船のうち一部、これは空母ミッドウェー以下六隻でございますけれども、こういうのが米軍の運用の都合により湾岸地域移動したということは承知していたわけで、これは累次御報告したとおりでございます。  ただ、全体像に関しましては、今般湾岸でのまだ正式な停戦が行われておりませんが、事実上停戦が行われて一段落したということもございまして、それから当委員会先生方から強い御要望がございましたので、それを踏まえまして、改めて米側接触をいたしまして、まさに先生が今御披露されましたように、在日米軍から約八千人、それから洋上展開している米軍艦船から合わせて約七千名が湾岸に赴いたということを聴取したものでございます。
  7. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 あなたは私が事前協議を聞くと思っているから、そんな長々としているのだ。そんなこと聞かぬですよ。もう同じこと繰り返して何年議論していますか。  外務大臣、四万六千ですね、在日米軍。約五万、五万と多く言っているが、四万六千。一万五千ですよ。一万五千いなくても極東の平和と安全にはこの八カ月間何ら差しさわりがなかった。そして米軍移動については何にも知ろうともしなかった。ということは、在日米軍から、四万六千の中から一万五千出ていっても、そのことは極東の平和と安全というものについては何ら支障がないという、安心感というのですか、それとも今日の、つまり日米安保条約というものの役割が変わっている。つまり在日米軍というものの役割が変わっている。極東の安全と平和ということについては、つまり四万六千のうち一万五千出ていっても何ら心配がない。だから問い合わせようともしないで来た。あなたは、北米局長はただ事前協議の問題としてだけ今ここで答えようとしたけれども、そうじゃないのですよ。  そうしますと外務大臣、四万六千のうちから一万五千というと約三割ですよ。三割出ていっても何ら差しさわりがない、そういう今の状況だということをどうお考えになりますか。
  8. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 ちょっと私から最初に御答弁させていただきたいと思いますが、在日米軍規模でございますけれども、これは先生指摘のように昨年九月末で四万六千でございますが、正確には四万六千五百九十三名ですが、このうちから参りましたのは今申し上げました約八千名でございまして、洋上展開しておりますのが一万六千名おりまして、このうちから七千名ということでございますので、四万六千から一万五千が出たということではございませんで、四万六千から出ましたのは八千名でございます。  いずれにいたしましても、先生指摘の点に関しましては、これらの部隊及び艦船はいずれ従来の状態に復帰するというふうに承知しております。私どもは、基本的にアメリカ日本に従来から展開しております前方展開態勢というものは、先生まさに御指摘抑止力という点から十分な態勢だったと思いますし、現在においてもその基本的な抑止力は損なわれてない、こういうふうに認識しております。
  9. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、これはどこまで減らしても大丈夫なのですか、あなた方の考えでいけば。つまり今両方合わせたら六万。その六万体制というのが今の状況ですけれどもつまり去年アメリカの国防省はアジアからの削減計画というのを出しております。韓国からも沖縄基地からも削減していく、こういう方向ですね。そうしますと、その削減計画方向というのは変わっていないというふうに理解してよろしいですか。
  10. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 先生言及されました昨年四月の東アジア太平洋地域戦略的枠組みの中で、まさに御指摘のように今後十年間の削減計画を打ち出しておりますけれども、そこで強調しておりますことは、アメリカコミットメントを維持するということをはっきり言った上で、他方、国防予算の緊縮とそれから国際状況変化、こういう二つの現実に対応していくのだということを述べております。したがいまして、このコミットメントを維持するという中には、アメリカが重視しております前方展開態勢も維持していくということが入っておりまして、片や国防予算削減という点とそれから国際状況変化、これはまさに東アジアでは欧州ほどの環境変化がまだ十分出ていないということを言っておりますけれども、この二点をにらみつつ今後削減していくという慎重な態度をとっているということを申し上げたいと思います。
  11. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 この在日米軍駐留経費特別協定協定目的に「合衆国軍隊の効果的な活動を確保するため、」こうあります。しかし、今触れましたように、在日米軍が何カ月か、半年以上出ていっても極東の平和と安全には何らかかわりない、こういうことになりますと、この目的、「活動を確保する」ということは、先般来高沢委員松原委員などからもそれぞれございますけれどもつまり在日米軍基地役割、それは日米安保役割にもなりますが、それは極東の平和と安全よりも、アメリカ世界戦略を進めていく上においてやることすべての活動を効果あらしめるための在日米軍であり日本基地であるという、まさにそういう方向に今来ておる、こういうふうに思います。大臣、いかがですか。
  12. 中山太郎

    中山国務大臣 アメリカイラククウェート侵略という一つの国際社会に影響を与える重大な案件について、グローバルな観点からこの地域の平和の回復のために努力をしたという中で在日米軍移動をするということにつきまして、私は日本安全保障という観点で、外務大臣としては日本の安全が危険にさらされている環境ではあるかどうかということを絶えず考えておりますけれども、昨年の夏以降、アジア太平洋をめぐる国際情勢は極めて平穏な状況の中で、米ソ関係も安定しておりましたし、私はそういう意味で日本をめぐる周辺の状況というものはさほど大きな不安を与えているものではないという認識を持っております。
  13. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 今大臣も言われましたように、アジア太平洋は安定している、平静だ、こういうことですよね。そうしましたら、この極東の平和と安全、その範囲はいろいろこれまで議論が重ねられてきております。いずれにしましても、この日米安保というものは極東つまりアジア太平洋、我々が考えておったアジア太平洋そのものよりも日本安全保障というのを非常に広げてしまっている。だから、つまりそれはアメリカ世界戦略かなめとしての在日米軍であり、また在日米軍基地であるということを、今の米軍移動というものに対して全く関心を示さずに自由な行動を許してきておるということの中に、今日の日米安保条約というものの性格あるいは位置づけ、そういうものは変わってきておると思いますね。  そうしますと、今北米局長から在日米軍アジアにおける削減計画についても、慎重に削減するだろうという話がございました。これは後ほど湾岸戦争の費用とも関連をして少しお尋ねをします けれども、要するにアメリカアジアから撤退をする方向にあります。日本はどこまで削減をしたらいいと思っているのですか。今の状況というものを維持したいのですか、それとももっと削減方向に、つまりこれは駐留軍経費の問題とも絡みますけれども、どういうふうに安保そのもの考えているのか。世界戦略かなめとしての日米安保の機能、つまりここで言う協定目的である合衆国軍隊の効果的な活動というものの確保ということは、極東の平和と安全というよりも、世界の平和と安全という考え方、そういうものに発展をしておる。これは、グローバル安保としていろいろ先日来も議論もございます。しかし、特別協定という形のこの活動の問題というのは、私はそういうふうに考えざるを得ない、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  14. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 先日も先生方から同様の御指摘がございましたけれども、その都度申し上げてきたことでございますけれども、私どもは、従来どおり日米安保条約は本来の目的を果たしてきておる。  より具体的に申し上げれば、まさに日米安保条約日本及び極東の平和と安全のために機能してきておる、そして、アジア太平洋の平和と安定の基本的な枠組みになっておるという認識を持っておりまして、これはアメリカ側も基本的に同様でございまして、この点は一月十四日に今回御審議いただいております特別協定中山大臣ベーカー長官の間で署名していただきました。そのときにプレスリリースを出しておりますけれども、この中で、日米安保条約東アジア太平洋の平和と安定にとって不可欠なものとして寄与してきておるし、今後とも寄与していくだろうということが日米両国の基本的な認識として述べられております。  それからさらに申し上げれば、今回の特別協定の前文におきまして、「日本国に維持されている合衆国軍隊は、日本国の安全並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与していることを確認し、」ということで、在日米軍日本及び極東の平和と安全に寄与しているということを日米双方で確認しておるということを改めて申し上げたいと思います。  先生質問在日米軍の適切な規模でございますけれども、私どもは、日米安保体制のもとにおきます抑止力を効果的なものにするために、信頼性を持たせるためには、アメリカが言う前方展開態勢というのは必要だと思っておりますが、どのくらいの規模が適切かということに関しましては、従来の在日米軍規模を見ましても、沖縄が復帰いたしました一九七二年に六万五千でございますけれども、それ以降は四万五千から五万一千の間を推移しておりまして、現時点では先生まさに御指摘のように、約四万六千でございます。これが今後三年間、具体的には九二年の末までに約四千八百名削減される、これは第一段階でございますから、さらに第二段階、第三段階を経てさらに削減されると思いますけれどもアメリカ側も先ほど御披露申し上げましたように、基本的に安全保障上のコミットメントを守っていく、そして前方展開態勢も維持していくということを強調しておりますが、あくまでもその枠の中での削減であるべきであると私ども考えております。     〔委員長退席園田委員長代理着席
  15. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ヨーロッパでは、CSCEに行った。柔軟反応戦略前方展開戦略というのは大きく変わってきたわけですね。そこで、日本の戦後体制というものを少し振り返ってみますと、やはり非常に変わってきているのですよ、アジアにおいても。ただ、日本の戦後体制というのは、不幸なことに朝鮮戦争というものを境にサンフランシスコ平和条約日米安全保障条約というもので戦後体制枠組みがつくられたということは、今日依然として朝鮮半島問題が解決できないでおるということを考えますと、ヨーロッパと比較しますと大変不幸な状況が今続いておるわけです。  旧安保というのは、いずれにしましても日本の再軍備を許さない、阻止をするというのが一番大きな目的でありましたし、そのためにフィリピンやあるいはオーストラリアニュージーランドANZUSやそういうものとの防衛同盟条約をつくって、締結をして、その上にサンフランシスコ条約体制というのができたわけです。ところが、この米比なりANZUSなりというのは、今読み直してみれば明らかに軍国主義、こういうことで日本軍国主義阻止をするという、あるいはそういう目的というものを前面に出していた。そうすると、ANZUSも非常に変わっちゃった。つまりオーストラリアニュージーランド非核ということを明確にしてきているわけです。フィリピン非核の問題ございますし、米比基地協定というのも非常に深刻な交渉を続けておる。  そういうふうに考えますと、日米安保をめぐっております状況というものも非常に変わってきておるのです。それから、アジア状況の中で非常に大きな変化ということで見ますと、非常に不幸なベトナム戦争がありました。SEATO、東南アジア防衛同盟条約というのは自然消滅をしたわけですね。そして、米華条約も、これはニクソンの訪中、米中の正常化、そういうものがあってこれが破棄をされたわけです。一九七七年に米華条約破棄をされてきておるわけです。そうしますと、そういう大きな変化の中で日本がどういうアジア軍縮を進めていくか、つまり日本が主体的にアジア軍縮を進めていくかということが今問われているのです。  ところが、日本外務省というのは大変冷戦構造が変わるということに対して恐怖感を持っているというか、その冷戦構造体制というものをそのまま維持していこうとしている。だから、明らかに今の日米安保──きょうは伊東先輩伊東外務大臣がいなくなったのでちょっと残念なのですが、鈴木内閣のときに、つまり鈴木さんが日米同盟、そのことで伊東外務大臣がやめた、それから高島外務事務次官がやめたということもあったわけです。  ところが、今の問題は、先ほど来議論しておりますように、明らかにこれはもう日米軍事同盟でしょう。だから、この湾岸戦争を通じて自民党の諸君は、とにかく自衛隊を出したい。つまり極東範囲をはるかに超えた中東に自衛隊を出したいということで、国連平和協力法案自衛隊派遣あるいは自衛隊機派遣、そしてさらに今また掃海艇というぐあいに、何が何でも自衛隊を出したい、こう今動いているわけですよ。つまり非常に純情な鈴木さんや伊東さんが、日米同盟ということを責められて辞任をされた。まさに状況は変わっちゃったんですよ。  そうなりますと、今、日米安保というものが日米軍事同盟の実態をまさに備えてきておる。そして自衛隊を出したい。それは、さらには小沢幹事長国連平和協力法案の前に、これはアマコスト大使にも唆されたのかもわかりませんが、集団安全保障という考え方考えていこう、集団的自衛権というものを超える集団安全保障というものに行こうという方向に今来ているわけです。しかし、そのことに対してアジアは反発をしているわけです。特に南北朝鮮中国というのは、これはもう切っても切れない関係ですね。そして、アジアの安全というものを考える場合には、極東の平和と安全というものを考える場合に、これらの南北朝鮮中国日本がいかに信頼を持つか、その信頼をどうつくっていくかということがアジア軍縮アジアの平和、そういうものの基礎だと私は考えます。だから、ワイツゼッカー大統領は、今回の湾岸戦争に際しまして言ったことは何かというと、我々の最大の関心事は、ヨーロッパの統一だということをワイツゼッカー大統領は明言しているわけです。  そうしますと、日本世界に、つまり第二次大戦で人類に惨害を与えた、そういう立場から平和憲法というものをこれまで守ってきた、その平和憲法に基づく外交というのを進めてきたわけです。そうしますと、今一番大事なことは、確かに 今、アメリカ日本に対して日の丸を湾岸に立てよ、小沢幹事長が中東訪問しようとしても米軍協力しなかったとか、そんなことがいろいろ報道されております。外務省としても私は非常につらい思いはあると思う。  私は、中山外務大臣平和主義者だと思いますよ。しかし、今度訪米するので何とかまた掃海艇を出すことをして、そしてアメリカに行こうとしておるのかもわかりませんけれども、そういう自衛隊を出そう、自衛隊を出そう、そのことによってアジアの国々からはそれぞれ不信の目で見られる、私はこれが一番いけないと思うのです。今非常に日米関係ではつらいところだと思いますよ。つらいところだと思うけれども、やはりそれを切り抜けなければいかぬ。例えば、湾岸についても機雷の問題もあります。しかし、原油の流出に対する対策とかあるいは海水の淡水化とかそういう日本の持っておる力、技術、資本、人間、そういうものを派遣することによって協力をする、そうした日本としての中で貫いていくということが私は大事だと思うのです。  この間もちょっと申し上げましたが、ECの大使の皆さんと話し合ったときにも、日本憲法の枠の中で自衛隊を出せないということについては十分我々はわかる、理解している、しかし戦後の復興については日欧十分な相談をし合ってひとつやろうじゃないかということを言っている。だから、今なぜ自衛隊派遣しなければならないのか。私は掃海艇派遣の問題についても、今日の日米安保を基礎にした極東の平和と安全というものを考える場合に、それはすべきことではない、そのことを焦ってはいけない。国民の合意はないのです。それはこれまでもずっと続けられてきた議論の中で明らかなのです。唐突としてそんなものを次から次に出してくる、それが日本外交を、つまり世界から見ますと混乱というふうに見られるし、私はここでそういう平和に徹底をした外交を貫くべきだというふうに思います。  だから、この特別協定にいたしましても、アジア太平洋の平和と安全ということから、さらにアメリカ世界戦略かなめとしての在日米軍基地だ、在日米軍だ、そういうふうに明確に規定ができる。そして、これは実質日米軍事同盟だと私は指摘をせざるを得ません。いかがですか、大臣。     〔園田委員長代理退席、委員長着席〕
  16. 中山太郎

    中山国務大臣 私は率直に申し上げて、現在のアジア地域日本の立場あるいは姿勢というものはかねて我々が申し上げているとおり、アジアの平和のために現在努力の最中である。  私は、アジアの問題は三つあると思います。御案内のように、カンボジアの和平問題、朝鮮半島の問題あるいは日ソの領土問題と三つありますけれども、この三つとも現実に日本外交は、外務省は今日の時点において一生懸命やっておる。一つは、北京に今川公使を出してシアヌーク殿下との間にもカンボジア和平についての日本の新しい提案を現在やっておる最中でございます。まだ詳細な報告は来ておりません。また、先日は北朝鮮の外交部の次官が来られて私もお目にかかりましたし、日朝の関係、何とか国交の正常化をやるということで、これはもう日本社会党の田邊副委員長を初め大変御苦労をいただいたわけですけれども、今本格会談、二回目が終わったところでありまして昨日報告を受けた。これも朝鮮半島全体の安定と平和のために北朝鮮と日本との関係正常化する。  こういうことを考えていただきますと、日ソの領土をめぐる問題も、今月末に入ってこられるベススメルトヌイフ外相と私との間の領土問題をめぐる日ソの外相会談、こういう今のアジアの三つの問題を日本外務省は同時と言ってもいいくらいにそれぞれ手がけている最中でございまして、これは野党の先生方も御理解がいただけると思うのです。  この三つが解決できるということになりますと、それぞれかかわり合いのある国々も、このアジア全体の安全保障という問題に一つの大きな展開が見出されるのではないか、私はそういうつもりでやっておりますが、そういう交渉の過程において、中国との間でも現在の日米安全保障条約の存在というものは否定されておりませんし、北朝鮮との間でも、この問題は北朝鮮政府が認識をした上で日朝の国交回復のための交渉をやる、ソ連もそうでございます。  日米の安全保障条約というものがアジアの平和と安定のために阻害になるかというと、私はそのような状況ではない。そういう前提を踏まえながら、このアジア太平洋の安定のために日米安保条約というものを安定化させていくということの中で、アジア全体の安全保障をどうするか、それには中国もソ連もあるいは朝鮮半島の二つの政府もそれぞれ関心のあることであろう、私はそのように思って、安定した状況の中でアジアの問題点の解決をしていくというために日本外交というものはただいま全力を傾注しているという状況ではないか、このように考えておりまして、決して日米の軍事同盟がすべての中心であるということではなしに、我々は安定したアジアをつくるために日本は努力をしているという認識に立ってやっていることを御理解いただきたいと思います。
  17. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 外務大臣は今、日米軍事同盟が中心ではない、こういうふうに言われた。まさに日米安保というのは日米軍事同盟だ、そういう認識ですよね。そうしますと、これは湾岸に出ていくいろいろな問題にしましても、つまり個別的自衛権から集団的自衛権集団安全保障、こういうふうに発展をしていくその方向づけを言われた。だから、日米安保条約日米軍事同盟だということについては、外務大臣の見解はそういうことですね。
  18. 中山太郎

    中山国務大臣 日米軍事同盟という言葉が、私はそれじゃ取り消さしていただきましょう、日米安全保障条約。しかし、これがアジア太平洋日本及び極東の安全と平和のために大きく貢献をしている一つの軍事的な機能を果たしているということだけは現実であろうと私は考えております。
  19. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 しかし、それは既に極東範囲を超えて、つまりアメリカ世界戦略と一体になって果たしておる、そういうふうに理解していいですね。
  20. 中山太郎

    中山国務大臣 私は、このような一つの大きな地球的規模での安全保障ということが現在国連を中心にいろいろと議論をされる状況が生まれてまいりますと、この日米安全保障条約目的は、その中に書かれている日本及び極東の平和と安定ということでございますけれども、局面局面での平和と安定に機能する組織がそれぞれございますけれども、全体的な目で見ると、それは一つの全体の中の部門、部面というふうに認識をしてもおかしくはないと考えております。
  21. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 アジアの問題について先ほど触れられました。そうしますと、それぞれの問題を考えるとそれぞれ、つまり米、ソ、中それぞれかかわり合っておりますね。去年の九月の、ニューヨークはやめておきます。今も三つのことを言われた。私もそれは一つの懸案だと思います。ドイツがCSCEに至る経過というのは後ほど少しやります。が、その前に、今外務大臣が言われたアジアのいろいろな問題、アジア安全保障の問題について触れられましたが、そうしますと、私は率直に言って日本の姿勢というのは非常に大事だと思うのです。だから、極端に言えば、日本が変わればアジア軍縮アジアの平和保障、そういうものの様子も変わる、こうまで私は思うのです。  つまり日本は日米の軸、私は日米は大事だと思いますよ。日米友好というのは基本だと思います。基本だと思いますけれども、その世界戦略あるいは地域紛争に対する対処の仕方、それについては私は異論があるわけですね。だから、日本は今そういう方向を求められているのですよ。そうしますと、今外務大臣が言われたそういうもの、米、ソ、中、日本というもの全部かかわっていますね。では、日本が、そういうアジアの、あるい は太平洋のそういう問題について、日、米、中、ソでひとつ話し合いましょう、そういう時期に来ていると私は思うのです。だから、そういう勇気を持ってほしいと思う。日、米、中、ソで話し合う、アジア太平洋の問題について率直に話し合う。個別の問題が片づかなければと言っておったら片づかぬわけです。全部時間がかかってくる。だから、個別の問題を解決するためにも私は、日、米、中、ソが話し合うべきだと思う。外務大臣いかがですか。  そういうことを提唱して日、米、中、ソが話し合う。日ソも日中も日米もそれぞれありますよ。それぞれありますが、今ヨーロッパの情勢とアジアとを考えました場合に非常に違ってきているわけです。違っているというか、違いを強調しているんだ、あなた方は。だから、その違いを強調するのでなくて、どうしたらアジアもそういうふうに持っていくか、そのためには、私は日、米、中、ソが率直に話し合うということが大変大事だと思う。そういうことを進める勇気がありますか。どうですか。
  22. 中山太郎

    中山国務大臣 私に勇気があるかどうかというお尋ねでございますが、私は勇気よりも信念を持っております。  その第一段階として、私は昨年の九月二十七日にアジア太平洋の外相会合というものを、みずからの決断でインドネシアのアラタス外相と協議の上でニューヨークで主催をして、アメリカ中国、ソ連の外務大臣を招き、さらにベトナムのグエン・コ・タク外相も入れてこういうところで十五カ国の外相が初めて話し合ったという一つの仕事を私は下敷きとしてやってきた。今年もそのような方向を求めながら、近く私も中国を訪れたいと考えておりますけれども中国ともアジア太平洋の平和問題については話し合う考え方を持っておりますし、ソ連ともそのような考え方を持っております。
  23. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 個別にはしているのですよ。しかし、大事なことは、私は、ニューヨークで十五カ国の外相が集まって話し合った、結構だと思います。しかしそこで、では全アジア安全保障という方向に行こうじゃないか、どうしたらアジアにおける信頼醸成ができるかということを話し合ったのですか。
  24. 中山太郎

    中山国務大臣 御案内のように、そこで集まった各国の外務大臣は、このような会合を続けてぜひやってもらいたい、こういう御要望が私に参っております。また、その会合を機会に韓ソの国交が、予定された国交開始の日よりもうんと早まってやることになったということを、その会談の明くる日、シェワルナゼ外相と韓国の崔外相との間の話し合いによって決まったということを、私はホテルで韓国の外務大臣から電話で知らされた。つまり、そういう一つのアジアの会合というものをつくっていくことによって、そこでいろいろな関係のない国、例えばベトナムのグエン・コ・タク外相とアメリカベーカー長官とは、その会合で隣同士で話し合って、その後、ベトナムのグエン・コ・タク外相はアメリカで約一カ月滞在して、帰りに日本に寄られて、私に、あの会談は極めて有意義であった、ぜひ事務局をつくるべきだ、こういういろいろなアドバイスをいただいておりますが、私が外相に在任中には一つの大きな方向性を求めていかなければならない、そのように思って努力をしている最中であります。
  25. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 韓ソ会談はそれで生まれたわけではなくて、ゴルバチョフ大統領が、つまりウラジオストクなりクラスノヤルスクなりでそういう演説をやり、そしてアジアへの方向を出してきた新思考外交というものが韓ソの国交正常化にもきたわけです。日本がそういう状況をつくったのじゃないのですよ。これは後ほど、ウラジオストク演説なりクラスノヤルスクなりの評価について当委員会でどんな議論がされたかを少ししますが、日本がそういう状況をつくってきたのじゃないのですよ。だから、会合を開いたからといって得意になったってだめですよ。
  26. 中山太郎

    中山国務大臣 日本がその端緒をつくったのではなしに、本来ならば今年の一月一日が韓ソの国交開始の予定日であったわけであります。しかし、その会合においてシェワルナゼ外相と崔外相が話し合いをされて、うんと早まった機会に韓ソの国交を開くことがその日に話し合われたということを私は直接聞いておりますから、先生には御理解をいただけないかもわかりませんが、日本が端緒を開いたのではなしに、日本がその速度を速めたというふうに御理解をいただきたいと思います。
  27. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それは事実が違うのですよ。それは日朝の国交正常化というのが共同声明された、その後韓ソのあれに動いていくわけですよ。だから、それはアジア変化に対する南北両方の考え方ですよ。それがそこにきているわけです。速めたというのは、それはまさに日朝の国交正常化への動きというもの、また韓ソの動き、そういうものが全部絡み合っているわけですから、その点については席を設けたからということで余り御自慢にならないように。それよりもう少し実質アジアの緊張緩和をどう進めるかということを進めるべきだと私は思うのです。  そこで、ヨーロッパのCSCEのパリ憲章というものに至る道というのは決して直線ではないと思います。しかし、これは七〇年代のドイツのブラント政権の東方外交というのが、つまりソ連、ポーランド、東ドイツとの間に国交関係正常化をし、さらに不可侵条約をやるなど進めてきたことがCSCEに至ったわけです。  そういたしますと、ドイツが進めてきた東方外交というものの基本は何かといえば、それはソ連の軍事的な対決姿勢というものをいかに下げるか、それをいかに下げていくかということにドイツの東方外交というものは眼目があったわけです。だから、西側の安全保障とかドイツの統一とかいうものは、西ドイツの東方外交というものがなければ、つまりハルシュタイン原則で東側とは交渉しちゃいかぬという原則を乗り越えて、ドイツ社民党のブラント政権が東方外交を進めてきたということがドイツの統一に至りますし、CSCEという敵のいない安全保障というものを議論をすることに至った、私はこういうふうに思うのです。その点、いかがですか。
  28. 中山太郎

    中山国務大臣 戦争によって国土を分割された西ドイツが、一つの大きな理想に向かって東方外交を展開してきたことは、委員のおっしゃるとおりだと私は思います。
  29. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 条約局長、お尋ねしますが、ワルシャワ条約というのは、これは余り読まないと思いますけれども、これは全ヨーロッパというものを展望しているのですね。ワルシャワ条約の前文をひとつ条約局長、読んでみてください。
  30. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 お答え申し上げます。  ワルシャワ条約の前文は次のとおりでございます。   締約国は、   ヨーロッパのすべての国が社会及び国家制度に関係なく参加することを基本とし、それらの国のヨーロッパの平和を確保するための努力の結集を可能にするヨーロッパにおける集団安全保障体制を樹立するの願望を再確認し、   同時に、再軍国化した西ドイツの参加の下における「西ヨーロッパ連合」の形における新たな軍事的共同戦線の結成及び北大西洋ブロックへの西ドイツの加入を規定し、その結果新戦争の危険が高まり、かつ、平和愛好国の国の安全に対する脅威が醸成されたパリ協定の批准によってヨーロッパに生起した情勢を考慮し、 云々とございます。
  31. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それは、全欧安保協力会議をヘルシンキで開いてくるイニシアチブをソビエトがとってきたわけですけれども、そういう方向で来たわけですよ。しかも、これがソビエトにしてみますと、今問題になっているように東ヨーロッパ自体を解体をするということにもなってきておりますけれどもヨーロッパの、全ヨーロッパのという方向を目指してきたわけです。  そこで、ゴルバチョフ大統領が日本に来るわけ でございますけれども、北方領土というものとソ連の安全保障というものを今考えた場合に、日本外務省がどういうふうに考えているか、少しお尋ねをしたいと思うのですね。  ゴルバチョフ大統領が日本に参りますということは、ソ連の最高首脳が日本に来ることは、ロシア皇帝のニコライ二世来日以来百年目ということですから、大変不幸な百年間だなということを痛感しますね。二度の戦争がありましたし、ノモンハンの事件もありましたし、三国干渉もありましたし、ようやく今日、ゴルバチョフ大統領の来日ということにもなるわけですけれども、北方領土の返還ということをめぐって、極東安全保障つまりソ連側から見た場合の極東地域全域の軍備管理と、ソ連側にしてみれば密接な関係を持っていると思うのですね。そうしますと、極東ソ連軍の北方領土における安全保障上の地位、そういうものを日本政府はどういうふうに考えていますか。
  32. 高島有終

    高島説明員 お答えを申し上げます。  現在、北方領土には約一個師団程度のソ連軍が配備されているというふうに見られております。このソ連軍がソ連の極東軍全体の中でどのような地位を持っているか、あるいはソ連の戦略の中でこの北方領土がどのような戦略的な価値を持っているかという点につきましては、ソ連の方でもいろいろな見解が表明されておりますが、その見解が必ずしも一つではなくて、かなり異なったものが多く表明されているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、これは日本側からそれをどう見るかということをコメントするような問題ではないんではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  33. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 先ほどドイツの問題を言いました。つまり、西ドイツはソ連の対決姿勢をどう下げるかということに全力を挙げてきた。それからヨーロッパの隣国との関係を、つまりドイツのヨーロッパではなくてヨーロッパのドイツ、そういうことを目指して大変謙虚に進めてきたわけですね。いろいろ努力をしてきたわけですよ。  そうしますと、北方領土の戦略的な価値というものを引き下げさせる。そのためには、日本は、つまりドイツがやったような形でいくと日本は何をすべきか。ソ連が変わったら、ソ連が変わったら、こう来ました。しかし、日本がソ連の対決姿勢を変えていく。つまり潜在的脅威というのは防衛白書から外しました。しかし、そういうソ連の北方領土の戦略的な価値というものを引き下げさせるために日本はどうすべきか、外務大臣の見解を伺います。
  34. 中山太郎

    中山国務大臣 北方領土の戦略的価値というものは、私は、北方領土の占める位置が日本に対して戦略的価値を持っているのか、それともアメリカに対して戦略的な価値を持っているのか、これはソ連の国防軍が考え観点で物事が決定されているものと思います。  それでは日本から見てどれだけの戦略価値があるのかといえば、日本から見て北方領土というものは、日本にとって大きな戦略価値はなし、むしろ北方領土にソ連軍が駐留していることが日本に不当な脅威感を与えていると言わざるを得ないと思います。
  35. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 つまりアメリカ日本か、こう言えばいいのですかね。そうすると、アジア太平洋戦略という面からいえば対ソですね。しかし対ソは変わってきたということになったら、北方領土の戦略的な価値というのは、つまり対米、ソビエトの対米という面から見ても下がったと見るのですか、それとも変わらないと見るのですか、それは北方領土の返還とも、つまりソ連側の意図とも関連しますが、どう見ますか。
  36. 中山太郎

    中山国務大臣 私は、ソ連の国内情勢が極めて不透明でございますから、ソ連が三月十七日に行われるような国民投票も踏まえてどのような方向をたどっていくのかということは、単に日本にとっての重大な関心事項というだけではなしに、恐らく主要先進国すべてが大きな関心を持っている重大な問題だと思っておりまして、これからのソ連の外交方針が、どのように現在の新思考外交が堅持されていくかにすべてかかっていると思います。
  37. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ゴルバチョフのアジアに関する二つの演説がある。当委員会でも当時いろいろと議論が行われたのを今読み返してみますと、例えば、  ○宇野国務大臣 クラスノヤルスクのゴルバチョフ書記長の七項目にわたるところのスピーチ、これに関しまして、日ソ間の関係は何とか改善したいものだという意欲、これは私たちは見えるのではなかろうか、こう思っております。   しかし、他に関しましては、やはり緊張が、先ほど申しましたとおり、アジア太平洋地域においてこれで解除されたとか、あるいは逆に安全保障体制が強化されるというふうな点が見受けられないのが遺憾である、従前のソ連の主張の繰り返しのごときものではなかろうか、かように私は思っております。 こう言っております。  ところが、この後中ソ会談が行われるのですね。つまり、新思考外交というのは演説の後進められているわけですよ。ところが、日本は、グラスノスチとかあるいはペレストロイカというソビエトのそういう変化に対して見誤ってきた。つまり、新しい事態をみずからが主体的に受けとめて、みずからも変えていくということが日本にはなかったわけです。これは端的にあらわしていると思うのですね。  そうしますと、今回ゴルバチョフ大統領が参りまして、アジア太平洋地域の安全強化のための新和平提案、そういうふうな形に発展をしてくると私は思います。日本政府がそれに対してどう対応しようとしているのか。今国民の目の前にゴルバチョフ大統領を迎えるに当たって──いや、国民投票がどうなるかとか経済がどうだとかいろいろな難問があります。本当に大変だと思いますね。だからそういうことばかりが強調されておって、本当にアジア太平洋軍縮平和というものに持っていくということのために、日本はそういう新提案に対してはこうしますよと国民の目の前にわかるものを示していない。だから、その提案されるであろう和平案あるいは今まで提案されてきているもの、そういうものに対して外務大臣の信念を伺いたいと思います。
  38. 中山太郎

    中山国務大臣 海部内閣でこの私が外交をお預かりして以来、日本政府の外交方針というもので特にソ連に関しては、ソ連のペレストロイカの正しい方向性の支持、また新思考外交を進められることに対する日本の評価、こういうものは今日も何ら変わったところはございません。  私は、ただ日本とソ連との力のバランスというものを考えてみたときに、どちらが強大でどちらが弱小かということを考えれば、残念ながら我々の力は均等ではなしに、我々の力ははるかに小さな力しかこの国は専守防衛としてしか持っていない。こういう観点から見、さらに領土が不法占拠されてそこに軍隊がいるということに対して、むしろソ連のゴルバチョフ大統領が、次にこのような日本に対する脅威となるような軍事的なプレゼンスをどれだけ削減するかという積極的な提案が行われるかどうか。これに私は最大の関心を持っております。
  39. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ドイツがそれぞれ一つ一つ積み上げてきたように、日本も冷戦構造をどう破っていくか。そうしますと、ヨーロッパのようなCSCEですね。アジアで言えばCSCAと言うのでしょうか、それをあなたは望ましいと思いますか。そういう方向にどこから手をつけようとしていますか、伺いたいと思います。
  40. 中山太郎

    中山国務大臣 ヨーロッパにおきますCSCEが成功したことは、領土問題が先に解決されてきたということが前提にあったと私は思います。我々はやはり、国境線をどのように画定するかということが日ソ間の極めて大きな問題でございまして、それがゴルバチョフ大統領の訪日を機に、一つの突破口が開かれていくということが、やが て委員のおっしゃるCSCAあるいはアジア太平洋安全保障という問題が相互に協議がし合える場がつくられていく一つの舞台ができるのではないかと考えております。
  41. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 時間が大分なくなりましたのであれですが、外務省の先輩というのも、外務省の中におるときは非常に冷戦思考なんですね。ところが、やめると割に伸び伸びと発言しておられる。私は、松永前駐米大使の発言もそういうふうに見ておるのですね。野村総研が中心になって、東京国際研究クラブというのがございます。  これは去年の十二月十五日、アマコスト大使も出ております。この東京国際研究クラブというのは、野村総研の社長の水口さんが理事長で、大蔵省出身の大場智満さん、通産省出身の福川さんが副理事長ということでやっているのです。これは非常におもしろいんですよ。「冷戦後の秩序を求めて」というのがあるのですが、この中で松永さんは、「私は、日本の隣国であり、」ソビエトですよ。「しかも超大国であるソ連が、安定して栄えることを願っています。」そしてずっと長く言っておりますが、これは省きます。そこで非常に弾力性のある発言をしているのです。  そこで、私がお尋ねをしたいのは、つまり東アジアというのが軍縮も一番おくれているのですよ。そして経済協力も、ソビエトの資源にしましても、中国の東北にしましても、南北朝鮮にしましても、今環日本海ということで動き始めておりますが、私は、この北東アジアという問題についてはもっと積極的にやるべきだと思うのです。そこで水口さんが、ちょっと時間がなくなりましたが、大事な点ですから少し読み上げてみたいと思うのです。  松永前大使も、ソ連は隣国であるとおっしゃいました。そこで、日ソ間の中・長期的な課題として、「北東アジア経済圏」ということを考える必要があるのではないかと思います。北東アジア経済圏といいますのは、日本海沿岸地方と中国東北地方、それからソ連の沿海州、それに南北朝鮮を含めた地域の経済開発を進めて、極東地域というよりは、アジアの北東地域に、東南アジアに匹敵するような力強い経済発展の地域を興していこうというひとつの構想です。ただ、日本国内ではまだ賛同者が少ない こう言っておるのですね。ちょっと省きますが、しかし、  将来への可能性、とくにエネルギー資源の開発を含めた可能性について考えてみると、日ソ両国に、信頼感とこれをやっていこうという強い意思があれば、そしてさらにもしアメリカが加わってくれれば、相当大きなプロジェクトとして成功するのではないかと思います。一緒に仕事をしていくことを通じて、日ソ関係は改善されるし、友好関係も固まることから、 ここが大事ですね。   政府間ベースの事業も始まると思います。いろいろな問題はありますが、まず民間同士でできる目標を定めてやっていったらどうか まあ金融の一つの事業団もつくっているわけですね。これについて、つまり東アジアの経済協力というのは私は大変大事だ。だから、この北東アジア軍縮もなかなか難しい。特に南北朝鮮の問題を考えますと、日本がもっと早くやるべき過程もあったのです。  これは私自身が携わった七〇年代の初めのこともきょうは触れようと思いましたが、時間がありませんから改めて機会を求めますが、この北東アジアの経済協力というものについてずばり、野村総研の水口さんやそういう人たちまでが非常に積極的な提言をしております。これは私は、アジアの、特に極東アジアの平和と安全のためには大変大事なことだと思いますが、外務大臣の見解を伺いたいと思います。
  42. 中山太郎

    中山国務大臣 北東アジアの経済を活性化させていくという委員の御指摘は、私はそれはそれなりに極めて重要な問題であろうと思います。問題は、この政府間の協力という問題をどのような形でやるのか。それは、今まで両国政府の間でいろいろな問題がございましたが、輸銀等を通じての協力も相当行われてきた歴史がございます。  私どもといたしましては、これからの日ソ関係において、北東アジア問題についてもいろいろな協議が行われると思いますが、政府としてはこの問題についてもよく相手の考え方を承って、我々政府としてどのように対応していくか考えていきたいと思っております。
  43. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そんな答弁というのはいつでもできるのですよ。もういつも変わらない。検討していきたいということだけなんです。だからどう変えていくか、どう変えていくかということは、日本がどうしようとするのかというのを聞きたいのですよ。ところが検討してみましょうと言うだけなんです。それは動かぬということです。検討しましょうということは、ちょっと足を上げておろすだけですよ。足を一歩前に出さないんだ。まあ、とにかく日本にとっての不可欠の朝鮮半島との関係、これも非常に不幸な歴史を通ってきているわけです。それで七〇年代のそういう問題も触れたいと思いましたが、これはいずれ後にします。  今、日本と朝鮮民主主義人民共和国との間で国交交渉が行われております。この間見えました、日本読みでは田(でん)というのですか、田英夫さんと同じ田ですが、その外務次官がそれぞれ記者会見もしておられます。そうしますと、関係の深い日本と朝鮮半島ですから日本国民は大変関心を持っております。今この日本と朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化というものの交渉過程、あるいは第三回が北京ということになっておりますが、そういうものの現状、あるいはこれをどう早く解決しようとするのか、時間がかかるということなのか、今日の状況を御報告いただきたいと思います。
  44. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 事実関係が中心でございますから、私からお答えさせていただきます。  先生からお話がございましたように、去る十一日、十二日の両日、東京におきまして第二回目の本会談を北朝鮮との間に行いました。そこで第三回目を、今仰せのように五月に北京でやろうということを合意して別れたわけでございます。話し合いの内容は、まだまだ二回目でございますから双方の基本的な立場を述べ合っておる段階でございまして、かつ残念ながらそれぞれの項目について大変大きな主張、考え方の隔たりがございます。  例えば、例示的に申し上げますと、北朝鮮側は、日朝間は戦争状態にあった、したがって賠償を支払うべきだという主張でございます。日本は別の考え方を持っております。また私どもは、やはり核不拡散条約上の義務である国際原子力機関との保障措置協定締結をぜひなさってはどうか、それがいろいろこの面での北朝鮮にかかわる日本の国内の心配を取り除くゆえんではないかということを強く要請しておるわけですけれども、これも北朝鮮側にとりましては受け入れるところとなっておりません。  その他幾つかの点でまだまだ基本的に考え方、立場の隔たりがありますけれども、ただ、交渉の雰囲気自体は実務的と申しますか非常に良好なものでございまして、そこに私どもは大変希望を見出しておるわけでございます。いずれにいたしましても、今後とも誠実に粘り強く、そして何よりも大切なのはやはりこうやって北朝鮮側と話し合いを続けていくこと自体が、先ほど来先生の仰せのような北東アジアあるいは朝鮮半島の平和と安定に少しでもプラスになる役割をそのお話し合いを通じて果たせればいいな、そういう気持ちも持ちながら話し合いを今後も進めてまいりたいと思っております。
  45. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 誠実に進めたいということ、それから新聞記者会見を見ますと先方の代表も中平大使に対して大変高い評価をし、好意を持っておるということは、私は結構なことだと思います。誠実にこの不幸な状態を、朝鮮半島全体、北東アジア全体を見通しながら進めてもらいたいと思います。  そこでカンボジア和平の問題について、中山外務大臣、大変熱心ですね。十二日の閣議後の記者会見で、中国訪問それからその後ベトナム訪問、こういうことを言っておるわけですが、この中で、これはちょっと事実を確かめたいのですが、「十三日から北京で開くカンボジア国民政府会合に池田駐タイ公使を派遣、国連安保理五大常任理事国が示した包括的和平案を補強する形で①国連が平和維持活動(PKO)の中で武装解除と軍人が市民に戻るまで監視②ポル・ポト派の大量虐殺再発を防ぐ監視機構を国連などが作る──との日本案を説明する。」ということが記事に載っておりますが、そのとおりですか。
  46. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 ただいままだ話し合いが北京で進行中でございますのでその結果を待たなければならないと思いますが、ただいま仰せの点につきまして、その前に若干の御説明をしたいと思いますが、カンボジアの当事者の間で今意見が合いませんのは一つは国連のいわゆる暫定行政機関……
  47. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いやいや、僕は事実関係を聞いているのだから、それだけ答えてください。それであと時間がないんだ。
  48. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 それでよろしゅうございますか。──はい、わかりました。  今のジェノサイドの復活の防止ということでございましたが、そこにつきましては、日本側は、そこにかかわる心配をどういうふうに救済するかという一つの考え方を公使は持ってカンボジア側と討論しております。
  49. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 外務大臣、あなたの記者会見で今の事実関係をそうだというふうに私は受け取ったのですが、「国連が平和維持活動の中で武装解除と軍人が市民に戻るまで監視」「ポル・ポト派の大量虐殺再発を防ぐ監視機構を国連などが作る」これは国連事務総長と打ち合わせの上の提案ですか。
  50. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 ただいまの点につきましては若干不正確でございまして、新しい機構をつくるということではございませんで、私どもが一つの考え方として示しておりますのは、今のこのジェノサイドの再来を防止するために、和平後例えば国連の人権委員会等の機関を活用してそこで防止のためのいろいろな方策を検討してみてはどうかということを言っておりまして、その点につきましてはもとより国連の事務当局と事前に打ち合わせをした上でそういうアイデアを持っていっておるわけでございます。
  51. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 さらに、こういう日本案を提案をする、こういうことですから、武装解除と軍人が市民に戻るまでの監視それからポル・ポト派の大量虐殺再発を防ぐ監視、そういうものについて、日本はPKOをそういうものに出すということを前提に日本案を提案をするというふうに受けとめてよろしいですか。
  52. 谷野作太郎

    ○谷野政府委員 お答え申し上げます。  この一々の武装解除の段階につきまして、例えばPKOという形でその中に日本が参加してこれを取り進める、そういうところまでは話し合いをしておりません。日本がその過程でPKOという具体的な分野でどういう役割をするということまで詰め切って持っていっておるわけではございません。
  53. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうしたら、外務大臣はそういう日本がどうするかということなしに、まだPKOの問題は国会はこれからですよ。ところが提案をするんだというんですから、日本もそれにそうする意思ありということでなければ提案にならないんでしょう。あるいは国連の事務総長に言います、こういうことですか。カンボジア、カンボジアと一生懸命言っているけれども、そういういいかげんなことをしてはいかぬ。だから、提案をする、こう言っているんですよ。武装解除と軍人が市民に戻るまでの監視、それからポル・ポト派の大量虐殺再発を防ぐ、こういうPKO、これは日本が出すということですね。そうでなければ、そういう提案できないでしょう。日本はやりません、しかし、そういう提案はします、口先外交というのです。どうなのですか、外務大臣。あなたが記者会見したのだから、局長が答弁すべきではないのです。あなたが答弁しなければならぬ。
  54. 中山太郎

    中山国務大臣 私は、一昨年のパリにおけるカンボジア和平会議以来、カンボジアの四派についてもそれぞれお目にかかって意見の交換をし、あるいはまたカンボジアの和平問題に今日まで御苦労をいただいたインドネシアのアラタス外相あるいはフランスのデュマ外相ともこの問題の解決の方途についていろいろと意見の交換をしてきた当事者であります。そのような立場に立って、今回、タイの政変がございまして、従来カンボジア和平に大きな関係を持っておったタイの古い政府との間の関係が今回のクーデターによって変わるという可能性もあるわけでございます。  そのような中で日本がかねて東京会議以来、このカンボジア和平問題にいろいろとタイの日本大使館を中心に連絡を取り合ってまいっておりますけれども、今回の提案に関して、日本がPKOを出すというような、日本単独の考え方ではなしに、日本が一つの考え方を提示して、この両派が、つまり三派とヘン・サムリン政権の方がこの案に同意をするような環境ができてくれば、国連が舞台となって、当然このカンボジア和平会議というものがこういうふうな考え方も踏まえて行われることと私は考えておりまして、その実現に努力をする。  そのようなことが行われるときに日本はどのような形でここの和平の構築に協力ができるか、それは委員お示しのように、日本のPKOの具体的な構図がまだできておりませんから、現在の段階日本がこのような形で参画するということは考えられませんけれども、しかし現状のままでも停戦監視とか選挙監視とか行政への協力といったようなことはできるわけでございますから、日本としては現在でもできることはある。しかし、今後国会でPKOの問題がどのような発展を遂げていくかは別といたしまして、我々はいずれにいたしましても、カンボジアのヘン・サムリン政権とシアヌーク派の三派が合意に達すれば、国連を中心にこのカンボジア和平のための国際平和協力というものに日本が応分の参加をするということは当然のことであろうと考えております。
  55. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 時間がなくなりましたから、これはいずれまたPKOの議論なりのときにしたいと思います。  そこで最後に、ODAの問題を少しお尋ねしたいと思うのです。  一つ一つお尋ねをしようと思っておりましたが、時間がございませんのでまとめてお尋ねをしますが、アジアの避難民を輸送しました。イラククウェートから脱出をしてきた避難民を輸送をした。しかし、送り返してもその国で、バングラデシュにしてもスリランカにしてもフィリピンにしてもベトナムにしてもなかなか生活できない、こういうことになりますね。そうしましたら、そういう雇用をふやすようなODA、援助の仕方、それは私ちょっと調べてみましたが、余り具体的にないのですね。労働省も職業訓練とか技術訓練とかそういうことはいろいろ努力しているようです。私はそれは結構だと思うのです。しかし、この八カ月間にそういう人たちに対してそれぞれの政府と雇用創出のために、具体的に何をやったか。それが日本の平和主義の立場で、つまり自衛隊を出さない日本としてのそういう関係国に対する努力の方向であったと私は思います。  それからもう一つは、武器をどんどん買う国にはODAをやらぬという見直しをやる、これは総理も外務大臣もお答えになっております。そういたしますと、日本のODAの関係は根本的に見直さなければいかぬと思うのです。アメリカとか北欧の国々などは、経済協力基本法というのをちゃんとつくってそういうものをやっておるわけですね。一兆円、そういう莫大な金が、国会のそういう法律に基づかない援助が行われているということは、これはいけないのです。ですから、援助の理念というものを徹底的にもう一遍検討し直さなければならない、こういうふうに思います。  そこで、ODAの見直しのためには、私はこれ は一つは外務委員長にお願いをしたい点でございますが、かつて外務委員会には多国籍企業小委員会というのがありました。マルコス問題のころにこれは自然消滅してしまっているのですが、多国籍企業小委員会というのがこの外務委員会にありました。ですから、ODAの見直し、つまりODAに関する小委員会、これをぜひつくってほしい、与党とも話し合ってほしいと思います。  それから政府は、経済協力基本法をつくるべきだ、私たち社会党は提案をしております、上程しております。それから、参議院の方では野党間で話し合いをし、また、案をつくりつつあります。公明党さんも案を出しておる、こういうふうなことでそれぞれ努力も進められております。ですから、経済協力基本法をつくるかどうかというのが一つ、それから見直しのために当委員会にひとつ小委員会をつくってほしいという二つです。後の方は委員長ひとつお願いします。
  56. 牧野隆守

    牧野委員長 ただいまの川崎委員の御意向、今までも聞いておりまして、当委員会で後刻理事会、また理事懇で取り扱いについて協議させていただきたいと思います。
  57. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のまず中東被災民の点でございますけれども、これにつきましては我々も周辺国支援のコンテクストで、各国の被災民、難民の発生によって当該国にもたらされました経済的、社会的コストの負担といったものにも商品借款というものが十分使用されるようにということで、例えばジョルダンやエジプトに対して行いました商品借款のクレディに当たりましてはその点についても強く言及いたしておるという経緯がございます。ちょっと付言させていただきたいと思います。  それから、援助基本法の点でございますが、これは従来からの政府答弁の若干繰り返しになって恐縮でございますが、基本的には我が国は援助というものを、相互依存と人道的考慮というものに基づいて、途上国の経済社会開発、民生の安定、福祉の向上というものに貢献することを目的として実施しておるわけでございます。このような基本的な経済協力考え方を踏まえまして、ODAをより充実していくために、第四次中期目標のもとで、活動の評価、援助実施体制の充実等に鋭意努力するとともに、例えば先般来も御議論いただきました膨大な軍事施設を有する途上国に対する援助のあり方といったような課題につきましても、現在これをどういうふうに扱うかということで検討をしているところでございます。  他方、我が国の経済協力体制というものは全体として順調に機能をしているというふうに考えておりまして、経済協力の一層の効果的、効率的実施のためには現行の関係法令等の枠内で運用、改善を図っていくということで、今後とも相手国の経済の持続的発展に役立てるような援助、国民に直接裨益するような援助というものを重視して、できる限り心のこもった援助にしていくということで全体的な努力を鋭意続けてまいりたいという基本姿勢でございます。
  58. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 答弁、大変不満ですが、時間ですから終わります。
  59. 牧野隆守

    牧野委員長 川島實君。
  60. 川島實

    ○川島委員 最初に、特別協定の内容について、素直な見方をするとあちこち疑問が出てまいりますので、その辺について若干お尋ねをいたしたいと思います。  最初の、日本側は負担を自主的に増加をさす、こういうふうに述べておるわけでございますけれども日本は今回の湾岸戦争で百三十億ドルの支援を行ってきているわけで、特に九十億ドルについては増税まで行ってこれらに対応して痛みを分かち合っているわけでございますが、こうした中で今ここで自主的に地位協定の中でこれらを増加をしていくというその理由をお伺いしたいと思います。
  61. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 今般の御審議いただいております特別協定の前文に、最近の諸情勢の変化とそれにかんがみという表現がございます。この最近の諸情勢の変化というのは私ども三点念頭に置いておりまして、アメリカの貿易赤字それから日米間の経済力の相対的変化、こういった経済情勢の変化、これが第一点でございます。第二点は、アメリカは財政赤字を抱えながらも国際の平和、安全維持のためにグローバルな役割を果たしておりまして、その中で国防費、在日米軍経費等の面で非常に苦しい状況に至っておるということ。それから三番目に、日本が国力にふさわしい役割を積極的に果たしていくということがますます求められている。  このような最近の諸情勢の変化にかんがみまして、日本といたしましては自主的に新たな措置を講ずるということを、昨年十二月、新中期防策定の作業の中で検討した上で決定したわけでございます。
  62. 川島實

    ○川島委員 次に、締結の意義という形で、「日本国に維持されている合衆国軍隊の効果的な活動の確保に資するものと考えられる。」この「効果的な活動の確保」というのは、現在までずっと負担は行われてきて新たに効果的な確保と、こうおっしゃるわけですから、どういう任務を負わすのか、その根拠についてお伺いをしたいと思います。
  63. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 今御答弁申し上げました最近の諸情勢の変化にかんがみまして、特に財政面におきましてアメリカは苦しい状況に立ち至っているわけでございますが、他方、先般来外務大臣から繰り返し御答弁申し上げておりますように、日米安保条約は、現下の国際情勢のもとで、特にアジア太平洋におきまして新しい動きもございますけれども、引き続き不安定、不確実な要素がございますので、まさにこの日米安保体制がそういう中でアジア太平洋の平和と安定の枠組みとしてしっかり機能している、これからも機能させていく必要があるということを申し上げてきております。  そういう日米安保体制をまさに効果的に運用していくためには、今アメリカが置かれましたこういう財政的に苦しい状況を踏まえまして、今回御提案申し上げたような形で日本がまたその枠組みの中で自主的に在日米軍経費の負担をふやしていくことが日米安保体制の効果的な運用のために必要である、こう判断した次第でございます。
  64. 川島實

    ○川島委員 次に、「合衆国軍隊等が公用のため調達する電気等」とあるわけですが、この中で特に「(公益事業によって使用に供されるもの)」とあるわけですが、この公益事業というのは一体何を指すのですか。
  65. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 公益事業とそこで言っておりますのは、照明に関しますと電力会社、それからそのほかに水道局などが含まれております。
  66. 川島實

    ○川島委員 次に、防衛施設庁にお伺いしますけれども、我が国が負う負担金額の決定に至る積算根拠にかかわる各部隊の所属する中身が外務省に資料を要求しても、各駐屯地の部隊のいろいろな形の状況について配備だとか兵隊の内容だとか雇われている人たちの各箇所におけるそういうものが全然明らかになってこないわけでございますけれども、各基地ごとにそれらは積算して集められるのだろうと予測するわけでございますが、これらの積算根拠についてお伺いをしておきたいと思います。
  67. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 今般の光熱水道費の予算要求の積算に当たりましての必要な基礎データは、アメリカ側に資料の提出を求めますとともに、私どもの方としましても、各基地ごとの使用量、料金の調査をいたしまして、これをもとにしてつくったものであります。
  68. 川島實

    ○川島委員 時間がありませんので、先へ進ませていただきます。  では次に、協議ということで、本協定のすべての事項について日米合同委員会を通じて協議することができる、こうあるわけで、お話を聞きますと、通常毎週一回ぐらいやっている、月に四回は行われておる、こういうふうに見るわけでございますけれども、合同委員会の構成メンバーはどうなっているのか、お伺いをしたいと思います。
  69. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 合同委員会はおおむね二週 間に一回開いておりまして、直近では三月十四日に第六百二十二回目の会合を開催いたしました。  それから、御質問のメンバーでございますが、日本側代表は外務省北米局長でございまして、そのほか、外務省の北米局審議官、大蔵省官房審議官、法務省官房長、農水省構造改善局長防衛庁参事官防衛施設庁長官でございます。それから、アメリカ側の代表は、在日米軍の参謀長、それからそのほか在日米国大使館の公使、在日米軍司令部第五部長等でございます。
  70. 川島實

    ○川島委員 それで、今までの委員会議論を見てみますと、アメリカ側日本から中東湾岸へ出かけていくいろいろな軍事作戦についても、兵隊がどのくらい行っているのかも全然明らかにしなかったわけですけれども、このように週に一回協議が行われているというふうに言っているわけでございますから、これは明らかに事前協議に当たるのではないですか。
  71. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 今先生が言及しておられますこの合同委員会は、地位協定の第二十五条に基づいて設けられておりまして、その職務は地位協定の実施に関してでございます。それで、今先生指摘湾岸への在日米軍移動につきましては、これは累次御答弁申し上げておりますが、米軍が運用の都合によりまして在日米軍日本施設区域から他の地域移動するということに関しましては、安保条約上、地位協定日本側に連絡する、通報する義務を米側は負っていないわけでございます。  しかしながら、先ほど御説明申し上げましたように、今般のことに関しましては当委員会でもいろいろ問題提起がございましたし、湾岸におきましても、御案内のように事実上停戦が成立しておりますこういう状況を踏まえまして、外交チャネルを通じまして先ほど御説明申し上げました数字規模を申し上げた次第でございます。
  72. 川島實

    ○川島委員 そうすると、この日米合同委員会で行われている協議というのは、この協定に基づくいろいろな負担に関係をするもろもろの協議、例えば米軍移動して水道光熱費が大きく変動するとか、こちらの施設でふえ過ぎてこちらが減るとか、移動によって、配置によっていろいろ変わるだろうと思いますが、そのような形の変動をここでいろいろ協議をされておる、こういうふうに理解をしていいわけですか。
  73. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 今の日米合同委員会で大きな懸案になっております一つは、この委員会でもたびたび御質問がございますけれども沖縄におきます日本施設区域の整理統合問題でございまして、昨年六月、二十三事案、約一千ヘクタールに上ります施設区域の返還が基本的に合意を見ておりますので、この手続を進める、これはまさに合同委員会の職務でございます。  先生が今御指摘の点に関しましては、今回の協定との関係で申し上げれば、例えば在日米軍の従業員、特に日本人従業員の待遇改善の問題は、まさにこれは合同委員会で今回の協定を踏まえましてこの一月以来鋭意検討している、こういう問題を議論いたしますが、それから、今先生指摘の光熱水料等々は、今回協定を御承認いただきましたら、この協定を踏まえましてさらに検討していくということになろうかと思います。しかしながら、先ほどもちょっと御説明がございましたけれども、これは日本が自主的に、基本的なデータは米側からもらいますけれども、最終的には日本が自主的に決めていくということでございます。
  74. 川島實

    ○川島委員 ちっとも理解ができませんけれどもね。根拠にはならないのではないかと思います。  次に、大蔵主計局にお伺いをしますけれども、本協定の第三条に規定する具体的な金額について日本政府の方針が示されているわけでございますけれども、これだけの資料では積算が非常に困難だと思いますけれども、大蔵省はこの概算要求でこれらの予算の根拠をどのようにチェックしているのか。我々がこの委員会で聞きましても、データがちっとも集まってこないわけですけれども、大蔵省は我々が見ないような資料がお手元に集まってくるのですか、お伺いをしておきたいと思います。
  75. 細川興一

    ○細川説明員 お答えを申し上げます。  先ほど防衛施設庁の方から御答弁がございましたが、光熱水料等の基礎データにつきましては米側に資料の要求を求めて、それから防衛施設庁で調査をいたしまして、それに基づいて算出いたしております。  具体的には、平成三年の十月から負担を開始するものとしまして電気、ガス、水道及び下水道の六十二年度、六十三年度、平成元年度の第三・四半期、第四・四半期における平均使用量をもとに具体的に算出した額の二五%として、今回約二十七億円を計上いたしております。
  76. 川島實

    ○川島委員 次に、アメリカの戦略国際問題研究所議会情勢部長のJ・コリンズさんという方が、実はアメリカの議会が日本の批判を強めていることについて若干のコメントをずっとやっているわけでございますけれども、このコメントについて皆さんの、関係者の御答弁をお伺いしたいと思うのです。  日本の一兆円を超える血税の対米戦費支出が米国ではなぜ評価がなされていないのか。それには、「日本は最終的には湾岸危機対策に対して、二回の非常に気前のいい財政的貢献を決めた。しかし、それは誤った根拠に基づくものであり、日本は不幸なことにほとんど感謝も受けられなかった。日本の貢献は、新世界秩序の可能性を展望する総合的な枠組みを通して、十分に考えられ」なかった結果ではなかったか、「世界的な意味における日本の「国益」とは何なのか」こう問うておるわけでございますけれども、いかがでございますか。
  77. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 先生指摘のコリンズ氏の一文を私も拝見させていただきました。今先生指摘のように、なかなかの手厳しい批判が盛られております。私どもも反省すべき点は反省しなければならないと考えますが、ただ、私としては申し上げたいと思いますのは、日本の最初の多国籍軍への二十億ドル支援、それから今回の九十億ドル支援に関しましては、アメリカの中でも全体としては高く評価されている。特に行政府はブッシュ大統領、ベーカー長官を初め、公の発言におきましても、ここで一々引用することは控えたいと思いますけれども、これを高く評価するということを言ってきております。  しかしながら同時に、アメリカにおきまして、特に議会におきまして、日本に対しますいら立ちがあることは事実でございまして、このコリンズ氏も明示的には触れておられませんけれども、特に一般的な形で言えば人的な貢献、これは具体的なことは日本考えるべきであるということで、具体的には言っておりませんけれども、一般的な形で人的な貢献に関する批判も出ております。  ただちょうど、コリンズ氏がこれをお書きになったのはいつだか存じませんが、九十億ドルを政府として発表いたしましたのは一月二十四日でございまして、それから国会でいろいろ御審議を賜って、今回御承認をいただいて交換公文を締結し、もう湾岸平和基金に払い込みましたけれども、その過程におきまして議会ではかなりいら立ちが高まりまして、一体、日本は約束はしたけれども、本当に九十億ドル払ってくれるのかなという声が議会では大分出てまいりました。  私がこれを読みました印象では、恐らくその過程でお書きになったのではないかという感じが非常にいたします。つまり日本が約束をしていながら果たさないのではないかという感じが議会にあった時期の一文ではないかと思いますが、おかげさまで、これは今申し上げましたように、約束は果たしつつございますので、その結果、ぜひこういうような議会の雰囲気が改善されることを心から願っておる次第でございます。
  78. 川島實

    ○川島委員 次に、「日本は自主的には動かなかった。アメリカの圧力に反応したのである。」さらに「日本はワシントンでの政治工作に数百万ドルを費やしていると伝えられる。広報活動がこのような完全で全面的な失敗に終わったことは衝撃的である。」こう記載しているわけですけれど も、この件についてはいかがでございますか。
  79. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 今申し上げましたようなことで、このコリンズ氏がこれをお書きになられたときの、議会の厳しい対日雰囲気を踏まえてお書きになったと思います。しかしながら、私どもとしては国際社会日本に期待している国際的な役割をしっかり果たしていくと同時に、それを各国においてしっかり広報していく、PRしていくということは重要であると考えております。特にアメリカにおいてしかりでございまして、これは大使館のみならず、アメリカ全土にございます日本の総領事館を挙げてこのところ広報には力を入れてきております。  しかしながら、万が一にもコリンズ氏が指摘されるような広報努力がまだ不足であるということであれば、これはさらに私どもとしては力を入れて、アメリカ各界の理解を得るように広報努力をさらに強化してまいりたい、こう考えております。
  80. 川島實

    ○川島委員 さらにずっと続きまして、「日本は今や大リーグの一員なのだ、ベンチから出て、マウンドに立つべき時だ」こう言いながら「日本は「新世界秩序の中で果たすべき日本役割は何か」を自らに問う必要がある。」こう言ってコメントしているわけですけれども、これについてはいかがでございますか。
  81. 中山太郎

    中山国務大臣 新しい秩序をつくる中で日本はいかなる役割を果たすかということについては、日本政府としてはあくまでも国際的な平和を維持するために努力をするということが、私は、原則として一つ我々は国際社会に訴えていると思います。  もう一つは何かというと、いわゆる発展途上国に対する経済協力、これで日本世界一の拠出をしているわけでありますから、これは日本世界に、おれはこれをやっているということを明確に示すことのできる一つの大きな問題点であろうと思います。  それから、国際間の対決の最大の原因はやっぱり異文化による衝突でありますから、文化交流をやっていく。しかし、これに、国際的な地球環境の管理のために日本は独自の技術と経済力を使ってこれから貢献をしていくということを世界に強く訴えていくべきだ、私は現実にこれが日本が大変世界から評価を受ける独特の一つのあり方だと考えております。
  82. 川島實

    ○川島委員 次に、通産省にお伺いしますけれども日本アメリカの技術的基盤にとって不可欠な企業を買収するという具体的な心配に関心が今集まってきている、こう言ってコメントしているわけですけれども、いかがでございますか。──通産省来ていないようですから、じゃあ先に進みます。  大蔵省に。実は、日本が今回、昨年の九月と十月、この十年間の期間で初めてアメリカの証券投資で売り越しとなった。ニューヨークやワシントンでは日本アメリカの株式、債券市場から引き揚げてアメリカの景気後退を悪化させることを憂える人々が多くなっておる。このことについてのコメントをお願いしたいと思います。
  83. 吉永國光

    ○吉永説明員 お答えいたします。  米国経済は昨年第四・四半期から前期比、年率でいいましても三角二%というようなマイナス成長になっておりまして、景気後退局面にあることは事実でございます。しかしながら、この景気後退はアメリカ政府自身、本年後半から回復に向かうと考えてございます。  それから、先生指摘の我が国の対米証券投資でございますが、これは御指摘の九月、十月を含みまして一九九〇年中百六十一億ドルの売り越しということになったということはございます。この原因といたしましては、内外金利差が縮小したことあるいは国内におきます旺盛な資金需要あるいは投資先が多様化したといったような事情があるかと思います。こうしたことはございますが、我が国の投資家にとりましてはアメリカという国は依然として有利な投資先でございますし、今後とも投資は引き続き続くものと思っております。  ちなみに、本年一月、二月のデータ、これはまだ出てないわけでございますが、いろいろと市場から聞いたところでは、一月、二月は今度は買い越しに、もとに戻っているんではないか、転じているんではないかといった模様もございます。また、アメリカの債券相場、国債入札状況、その他を見ましても堅調でございますので、それほど御心配はないかと考えております
  84. 川島實

    ○川島委員 次に、これからの世界の武器がどのように取引されていくかについて見通しをお伺いするわけでございますが、今回イラクに対して供給が行われたカナダ、エジプト、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、アメリカ、ブラジル、中国、チェコスロバキア、南アフリカ共和国、スイス、ソ連と、ほとんど先進国が武器を売って、その武器で相手側とまた同じ武器で戦っている、こういう状況になっているわけでございますけれども、これからの我が国の世界のそうした武器の取引の関係の見通しについてお伺いをしたいと思います。
  85. 丹波實

    ○丹波政府委員 お答え申し上げます。  確かに今般の湾岸危機との関係イラクが非常に武器を長年にわたって集中させたということが背景にあることは先生のおっしゃるとおりで、国務省の資料によりますと、例えば一九八三年から八七年の間の累計ベースでイラクは約三百億ドルの武器を輸入しておるわけです。先生若干御指摘になられましたけれども、おっしゃるとおり大国が非常に武器を売っておる。一番売っているのはソ連で百四十億ドル、フランスが四十八億ドル、中国が三十三億ドルという数字で、この三カ国を合わせると七四%を占めているという状況でございます。  今後の問題でございますけれども、見通しはなかなか数字で申し上げるのは難しいことは御理解いただけると思いますが、今回のこのような危機の背後に先ほど申し上げたような武器の取引というものがあるということにつきまして国際社会は非常に問題意識を高めております。したがいまして、今後通常武器の取引を全面的に禁止するということは、これは各国の安全保障が絡みますので、あるいは各地域の軍事バランスの問題が絡みますので非常に難しいわけですが、とりあえず国連として今考えておりますのは、この通常武器取引の透明性、公開性というものを高めていこうじゃないかということで、現に専門家グループというものができておりまして、現在既に研究が行われておりまして、ことしの夏にも報告書が出るということになっておりますので、関係国は今後その報告書を見ながら今後の問題を検討していくということになろうかと思います。
  86. 川島實

    ○川島委員 それじゃ、我が国の国際援助、ODAを行っている相手国が武器の輸出を行っているときには、我が国はこれからの援助についていろいろ考慮をするというような報道もなされたわけでございます。最近の報道では核兵器についてはきちっと対応をする、こういうように言われておるわけでございますけれども、これらの武器輸出国には我が国のODA、中東問題では特に該当するのは中国になろうかと思いますけれども、どのような取り扱いを行うのかお伺いをしたいと思います。
  87. 川上隆朗

    ○川上政府委員 お答え申し上げます。  武器移転、それから先生の今御指摘になった核兵器の不拡散といった国際社会の平和と安定にかかわる問題に対する我が国としての基本姿勢を明らかにしていくということは、一般的に極めて重要なことであるというふうに考えております。今次湾岸戦争を契機としましてこのような要請がますます高まってきている。国会でも御議論いただいているということでございますが、我が国の対外貢献の重要な柱でありますODAにつきましても、こういう認識を踏まえまして考慮していく必要があるというふうに考えております。  例えば、基本的な姿勢の問題としてでございますが、みずからの国を防衛するという権利、これは当然尊重されるべきでございますけれども、国民生活を差しおきまして膨大な軍事支出を行った り武器を大量に輸入しているといったような国があれば、こういう国に対しましては経済協力を行うに当たり毅然とした態度で臨むべきであるというふうに考えております。  他方、経済協力は開発途上国の経済発展、飢餓と貧困の救済、国民生活の向上への貢献といった経済協力のいわば本旨というものがあるわけでございますので、このような本旨を損なうことがないように十分配慮していくことも必要ではないかというふうに考えております。かたがた、武器の輸出というもの、武器の実際の輸出入量の立証といったものはなかなか容易ではないという現実もあることは先生にも御賛同いただけるのではないかと思います。  御指摘の問題につきましては以上のような制約、問題点等も踏まえながら、またさきの国会の予算委員会における総理の御答弁なども踏まえながら今後の我が国の経済協力の基本的取り組みの中でどういうふうに反映させていくかということを十分検討してまいりたいと考えている次第です。
  88. 川島實

    ○川島委員 それで、我が国も考えてみると武器輸出三原則に従って輸出はしてないんですけれども、ここ三年を見てみましてもアメリカから大分武器を輸入しているわけですね。これは我が国はみずから平和憲法にのっとって武器の輸出もしない輸入もしない、こういう立場をとれないんでございますか。
  89. 関收

    ○関政府委員 お答え申し上げます。  防衛庁が必要といたします装備品の調達の形態といたしましては、先生が今御指摘になりました輸入、あるいは国内で生産をする、あるいは外国からライセンスをもらいまして国内で生産をするという三つの形態がございます。  それで、私どもとしては、装備品の効率的な調達という角度から具体的に配慮すべきことといたしましては、我が国における運用構想への適合性があるかどうか、あるいはまたその後の維持補給という観点からどうか、あるいはまた取得が確実に行われるかどうか、あるいは技術的なリスクといったような諸点を勘案して、最適な形態を選択しているということでございますので、今後もそういう観点から、適している場合には輸入という形をとることが装備の効率的な取得という観点から重要ではないかと考えておる次第でございます。
  90. 川島實

    ○川島委員 それでは、今のお話を聞いておりますと、少し辛抱すれば輸入を行わなくても日本の対応ができる、こういうふうに理解をしてもいいわけでございますか。
  91. 関收

    ○関政府委員 お答え申し上げます。  現在、我が国の防衛庁が調達いたしております装備品の約九割は国内で生産をいたしておりますが、一割弱輸入をいたしているものがございます。今後とも、先ほど申し上げましたような取得の確実性、技術リスクといったような観点から輸入に依存するというケースがあり得るというふうに考えております。
  92. 川島實

    ○川島委員 次に、中東湾岸戦争における我が国の原油の取引依存度がどのように変化をしておるのか、その現状についてお伺いをしたいわけでございます。  戦争以前の段階では、中東地域で約七一・一%、イラン、イラク、サウジアラビア、クウェート、中立地帯、カタール、オーマン、北イエメン、アラブ首長国連邦。ほかに南方地域のマレーシア、ブルネイ、インドネシア、ベトナム。それから共産圏地域中国、ソ連。中南米地域、メキシコ、ベネズエラ。アフリカ地域、アンゴラ、ガボン。その他合計で一〇〇%となっているわけですけれども、これらの依存度はどういうふうに変化をしていく、こういうお見通しを持っておりますか、お伺いをしたいと思います。
  93. 弘田精二

    ○弘田説明員 ただいまの御質問でございますけれども湾岸危機以後におきましても、今手に入るのは昨年の七月から十二月までの統計であるわけでございますけれども、その中東依存度がやはり七一・二%となっておりまして、余り特段の変化はないという状況にございます。  なお、これからの動向につきましては、私どもとしては非中東地域からの供給源の拡大、それから自主開発の推進、そういったことを進めておりまして、中東地域以外からの輸入についても鋭意進めてきているわけでございますけれども、何分にもその中東地域世界の可採原油埋蔵量の七割が集中しているというような状況でございますので、やはりその産油国との連携も強化しなければいけない、こういうことでございまして、私どもとしてはその両面の、すなわち、非中東の供給源の拡大とそれから産油国との連携の強化、そういった両面の政策を強化いたしまして、それで原油の安定供給の確保、これに努めていかなければいけない、かように考えている次第でございます。
  94. 川島實

    ○川島委員 今後の原油の値段の見通しについてお伺いをしたいと思います。  特に、日本の石油の備蓄は七十八日分を四日分カットせよとか、いろいろ指示が出たようでございますけれども、現在の備蓄量はどのようになっておるのか、そしてまた、今後の末端のガソリン等の価格についての変動の見通し、特に私どもが今危惧をいたしておりますのは、航空用の燃料は一向に下がらない、一遍値段を上げたものが一向に航空燃料は下がってないのが現状でございますけれども、これらについてどのような影響があるのか、お伺いをしたいと思います。
  95. 野津研二

    ○野津説明員 まずお尋ねの備蓄の現状につきまして、私から御説明させていただきます。  我が国の石油の備蓄といたしましては、民間備蓄、国家備蓄、二本立ての制度で実施してございますが、一月末現在の数字を申し上げますと、民間備蓄につきましては我が国消費量の八十八日分、国家備蓄につきましては我が国消費量の五十四日分、両方合計いたしますと百四十二日分の備蓄ということになってございます。
  96. 岡本巖

    ○岡本説明員 御説明申し上げます。  国内の価格についてのお尋ねの部分でございますが、まずガソリン、灯油、軽油、こういった国内の石油製品の価格につきましては、昨年の九月以降、私どもとしましては、原油の価格でありますとか、あるいは輸入する石油製品の価格の変動に伴うコストの変動というのを各社から毎月私ども報告をしてもらいまして、その確認を了したコスト変動の範囲内で値上げはするし、それから逆にコストが下がれば元売の仕切り価格を下げていただくという指導を行ってきております。その結果、今月の、あすから実施されます仕切り改定後においては、元売の仕切り価格は危機発生前のレベルを下回る水準に至ろうかと思っております。  今後どうなるかというお尋ねの点につきましては、まさに原油価格なりあるいは海外の製品市況との関係でございますので、今の時点で一定の見通しを申し上げることは難しゅうございます。  それからジェット燃料油の点でございますが、国内で生産したジェット燃料油と、それから海外から輸入した、いわゆるボンド物のジェット燃料油をそのままボンド輸出をするという形で供給する二つのタイプがございますが、ジェット燃料油は、先生御案内のように、昨年の秋以降、大変海外市況が暴騰した時期がございました。それで、ボンド物について申しますと、昨年の七―九月のレベルは三万一千円ぐらいでございますが、十―十二月にはそれが五万円前後に暴騰をいたしました。現在は四万一千円ぐらいのところに下がってきているという状況にございます。
  97. 川島實

    ○川島委員 次に、今全世界の石油の埋蔵量、それから採掘可能な推定量をどのようにつかんでおりますか、それをお伺いをしたいと思います。  そしてまた、これからの日本のエネルギーに対する石油の依存度というのはどのような変化が来されるか、その辺についてお伺いをしておきたいと思います。
  98. 望月晴文

    ○望月説明員 先生お尋ねの世界の石油の埋蔵量でございますけれども、既に世界で発見されている既発見の確認埋蔵量、可採埋蔵量と言われるも のが約一兆バレルございまして、これは今の消費量を前提とすれば、約四十六年分ぐらいの計算になるわけでございます。これ以外に、これから恐らく発見されるであろう埋蔵量というものがこれもまた国際的に推定をされておりまして、これが四千億バレルぐらいでございます。  以上でございます。
  99. 川島實

    ○川島委員 最後に、大臣にお伺いしますけれども日米安保条約が結ばれた時点の日本の国力と、現在のアメリカ日本の国力を比較いたしますと、日本がずっとアメリカに近寄ってきている、こういういろいろな経済的なデータが数そろっておるわけでございます。そこで、日本外交の自主性がないというような批判が出てきたり、アメリカに追随し過ぎるという批判もあるわけでございますけれども、今後、我が国は国連安保理事国になるためにどんな働きをしていくのか。さらにまた、議論が深められております敵国条項をなくすために、国連加盟国の各国に対してどのような働きかけを行おうとしておるのか最後にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  100. 中山太郎

    中山国務大臣 新しい国連中心の国際外交というものが展開されていくだろうと思いますが、その中で、日本がしかるべき評価を受ける立場につくということについては、私はこの国連への協力のあり方というものが一つ基本にあるだろうと思います。それは、国連を運営していくための資金的な拠出、これは、日本は御案内のように、世界で第二位になっておる、加盟国では第二位になっておりますから、資金的な協力の面では批判をされる立場にはもうないと私は思います。  それで第二に、国連における職員の中で、どの程度日本人の活動の舞台があるかというと、これは上位の部に入っていない。 それは、事務次長が明石さんというのがおりますが、あとは国連機関としてはWHOの中島事務総長、それから今度難民高等弁務官になった緒方先生、ここらが目立つところでありますが、私も国連へ参りまして、なぜ日本の人たちが国連で働きにくいかというと、まず給与の面でニューヨークの総領事館に勤める人の方が円高の結果国連職員よりもコストが高くなっている、これが一つあります。  もう一つは、この国連の世界というのは国際法を十分知っていなければならない。国際法を十分習熟した上でドイツ語、フランス語あるいは英語といったような三カ国語ぐらいを平気で専門的な知識について使いこなす能力を持った日本人がそれほど育っていない、こういうふうな本質的な問題が、私は日本の人的な、この中に入り込む一つの障害になっていると思う。これは率直に認めなければならない。それを早急に改善する方法は、人間の育成しか私はあり得ないと思います。かつては国連職員にみんななりたかったそうです。それは、ニューヨーク総領事館の人よりもうんと手取りが多かった時代があったそうです、円安の時代は。今円高になってこちらの方がよくなった、こういう一つの問題がある。それから、日本におって結構いい生活ができるということが一つ大きな問題があるのではないか、そこいらが人的な問題だと思います。  それから、国際貢献の国連協力の問題では、私は、例えば北欧の国連待機軍のような組織が日本にもございませんし、日本が参加したといえばナミビアとかニカラグアとかといったごくわずかないわゆる選挙監視団に参加をしたといったようなケースが考えられるだけでありまして、そこいらにはほかの国に比べると非常に弱いものがある。それから、安全保障の面では、国連安保理事会理事国に過去に六回当選いたしております。私も国連とかいろいろな国との外相との会談では、来年日本理事の再選になりますから、来年は日本が立候補しますよ、そういうことでひとつ協力をしてくれということで今いわゆる票の獲得に外務大臣としては努力をしている最中でございますから、そういうことから考えていきますと、理事国には来年当選をする可能性は出てきている、しかし、常任理事国になっていく問題は、なかなかハードルが高いのではないか。  この中で、委員も御指摘のように、旧敵国条項というものが憲章に載せられている。これを何とか廃止するように日本としては全力を挙げて努力しなければならない。これには対象国が幾つかあるわけです。だから旧敵国条項の中で旧敵国として羅列している国々とも連絡をとりながら、新しい国連の世紀を迎えるわけでありますから、旧敵国条項の廃止、それと常任理事国の数をふやしていく。たまたまECが統合するものですから、現在の常任理事国の中にフランス、イギリスといったEC加盟国が二カ国あるわけで、来年統合された場合にこの扱いがどうなるかという問題が一つございます。既にポルトガルとかブラジルとかといったような国の外務大臣は、日本は、イタリーもそうですが、常任理事国に立候補したらどうか、こういう話も私どもにやってこられますけれども、これにはそれ相応の準備をしていかないと、いわゆる常任理事国になりますと、いわゆる軍事参謀委員会、これの関連をどうしていくのか、ここいらの問題がこれからの国連外交を展開していく中で日本が名誉ある地位を占めようと思えばそれなりの準備と考え方を整備しなければならない、このように考えております。
  101. 川島實

    ○川島委員 どうもありがとうございました。
  102. 牧野隆守

    牧野委員長 玉城栄一君。
  103. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、特別協定についてお伺いをいたします。  大臣、御存じのとおり、この協定、今度三回目ですね。あれはたしか昭和六十二年一回目、それから二回目が六十三年、平成三年と、いわゆる地位協定二十四条から派生するこの協定が、それぞれの協定は全部五年、五年、五年なんですね、この協定も五年なんですけれども、六十二年の場合は、もう六十二年に締結して、五年度の翌年また二回目、そしてこれが三回目。その都度、この協定は暫定的なものである、あるいは限定的なものである、あるいはまた特例的なものである、これはひとつ御了解をいただきたいというふうな趣旨のお答えをされてきたわけですが、この協定もそういうことになっているわけですが、非常に説得力がないのです、そういうものの積み重ねになりますと。もっとやはり説得力のあるきちっとした御説明をしていただかないと、今回は三回もこれが続いている。また次どう来るか。いわゆる見通しが立っていらっしゃってこういうふうにお話もされているのか、その辺がはっきりしないわけです。その辺、この協定を、きょうですか委員会でも決めようという段階ですから、きちっとやはり責任を持っておっしゃっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  104. 中山太郎

    中山国務大臣 日米安保条約が改定されてから既に三十年たったわけでございまして、その間に地位協定の原則に基づいて運用がされてきたわけでございますが、今委員指摘のように、この特別協定というものを過去につくってきた。それは、私は、率直に申し上げて日本の経済力が想像以上に大きくなっちゃった。我々日本自身もこんなに大きくなる、強い経済国家になるとは想像していなかったと思います。  一方、アメリカは膨大な累積債務、対外債務だけでも六千億ドル持っておりますし、財政の累積債務が三兆ドルを超えているわけでありまして、貿易も赤字、こういった中で日米の安全保障というものの基軸をなす安保条約の効率的な、円滑的な運用をやっていこうと思えば、やはりこの同盟関係にあるアメリカが経済的な困難に到達した場合に、日本として経済力が過大に、過大と言ってもいいぐらいに大きくなってきたわけでありますから、それに応じたような財政の負担を日本がこの際自主的に考えて決めていくということで、暫定的、限定的、特例的な形で、五年を単位にこの特別協定を結んで国会で御審議をいただく、このような形になっておりますが、日本の経済力も果たしてどのような形で今後推移をしていくのか、これ、全くだれも明確に保証できるわけではございませんので、我々はあくまでも今回の措置は限定的、暫定的で特例的なものでなければならな い、このような考え方を持って御審議をお願いしているわけでございます。
  105. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、六十二年から最初の協定、ことしでちょうど五年になりますか、その五年で三回もこういう協定を、ある意味で私は異常じゃないかという感じもするわけです。ですから、いわゆる暫定的だとか限定的だとか特例的だという形だけでしていくには相当無理が来ているのではないか、このように思うわけです。それで、この協定を結ばれるに当たって、アメリカ側が、今我が国の経済力がそれだけの力を持ったからというお話がありましたけれども、その交渉、アメリカは一体どういうものを強く要求しているのか。いわゆる基本給、ありますね。それから光熱水費、それ以外にもアメリカは要求しているのかどうか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  106. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 今回の御審議をお願いしております特別協定は、基本的な枠組みを定めるものでございますけれども、従来から申し上げておりますように、在日米軍経費の負担に関しましては、日本側としては自主的にできる限りの努力を払っていくということで対応してまいりましたし、今回も、今回の協定を踏まえ、基本的にはもちろん地位協定の基本原則を踏まえてでございますけれども、自主的にさらに努力をしていきたいということでございます。  この点を申し上げた上で、今先生質問の具体的に米側がどういうことを要求してきたかということにお答えしたいと思いますけれども米側も、今私が申し上げました日本側の基本的な考えをよく承知をしております。私がここで米側と申し上げておりますのはアメリカの行政府でございまして、したがいまして、アメリカの行政府は在日米軍経費の負担につきましての日本側の今までの努力を非常に多としておりまして、さらにできるだけ日本側の負担をふやしていただきたいということでございまして、具体的にどの項目をどういう形で負担していくかということはまさに日本側が決めていただく問題で、アメリカ側としてお願いしたいのはできるだけふやしていただきたいということでございました。
  107. 玉城栄一

    ○玉城委員 それは、アメリカ側はできるだけ多く持ってくれという要求もされているということですが、しかるに、その中から今回の協定は、今回については米軍基地日本人従業員の基本給は全部我が国が持ちましょう、あるいは光熱水費、電気代、水道、下水、ガス、その代金は全部持ちましょう、五年間、平成三年から七年まで、こういうことですが、しかし、過去の経緯から見まして、もう既に五年もたたないうちに三回も協定を結ぶということになりますと、やはりできるだけたくさん、もっと負担してくれというアメリカ側の要求からすれば、こういうたぐいの協定というのはまだまだ来る可能性があるのじゃないかという感じがするのですが、いかがでしょうか。
  108. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 今回の協定に関しましては、アメリカ側は基本的に高く評価しております。  これは協定締結以前にさかのぼりますけれども、昨年の十二月に新中期防を策定しました段階で、この中で新たな措置をとるということを決めたわけでございますけれども、その関係で十二月二十一日にホワイトハウスはこの日本側の新たな措置を評価するという声明を出しておりますが、同時に、一月十四日に外務大臣ベーカー長官とこの協定に署名されたわけでございますけれども、その際にベーカー長官より今回の協定を非常に高く評価するという発言もございました。これは同時に共同新聞発表という形でも発表されているわけでございます。それから、最近国務省のソロモン次官補がアメリカの下院において証言しております。これは三月六日でございますけれども、今回の協定アメリカ側としては満足しているということを言っております。  その前提は、先ほど申し上げましたように、今回の協定は基本的な枠組みをつくるものでございますけれども、五年後に日本側が在日米軍の従業員の基本給等の全額それから光熱水料等の全額を見るという方針でおりますけれども、そうなりますと、在日米軍経費の負担が日米でほぼ半々になるということでございますが、それを踏まえまして今申し上げましたようにソロモン次官補はアメリカ側としても満足しているという証言を下院の外交委員会東アジア太平洋委員会でも述べております。つい先日ソロモン次官補が来日いたしまして、昨日、私会談いたしましたけれども、私との会談におきましても同様に非常に満足しているということを述べておりました。
  109. 玉城栄一

    ○玉城委員 この協定が平成三年から平成七年度で、この協定のとおり我が国の負担がされれば、大体在日米軍経費日本側が五〇、アメリカ側が五〇、とんとんだからというお話なのですが、そうしますと、これでこれ以上の新しい協定はもう結ばれないという意味のお話のようですが、そのように受け取っていいのですか。これっきりなのだ、平成七年で大体日米双方とんとんなのだからということで、こういうたぐいの協定はこれっきりなのだという意味のお話ですか、御答弁なのですか。
  110. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 今回の特別協定は、先ほど外務大臣が述べられましたけれども、暫定的、限定的、特例的な性格のものでございまして、現時点におきましては、今回の協定考えておりますこの基本給等及び光熱水料等に関します経費以外の経費を対象といたしましてさらなる措置をとるということは検討しておりません。
  111. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほど局長さん、米側としてはできるだけ多く負担してもらいたいというお話がありましたけれども、その中身は、例えば光熱水、電気代、水道料、下水、ガス代とか、次にこれに電話代とか、そういうものの要求もあったのでしょうか。
  112. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 繰り返しになりますけれども日本側としては自主的にできるだけ努力するという基本姿勢を従来からとっておりまして、アメリカ側もその点はよく理解しております。したがいまして、非公式な形でいろいろ折衝はいたしましたけれどもアメリカの基本的な姿勢はできるだけ日本側が負担する項目をふやしてほしいということに尽きるわけでございまして、具体的にどういう形で日本側が負担をしていくかということに関しましては、米側から一々注文をつけるという姿勢はとっておりませんでした。
  113. 玉城栄一

    ○玉城委員 過去の協定でもそういう似たような御答弁でわかったようなわからないようなことで来たわけですけれども、その辺が外務省とされてこの見通しあるいはこの場はこういうふうな形でごまかしておけ、悪い言葉で言いますと、そういうことで行くとなると非常に問題だと思うのですね。ですから、その辺ははっきりおっしゃっていただいて、それはできませんか、あくまでも暫定的なのだ、限定なのだ、特例的なものであって、平成七年以降はそういうものはない、考えてはいないということではなくて。
  114. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 私は、できるだけ正直に従来からのやりとりをお話ししているつもりでございまして、アメリカ側は、これは議会が大変厳しい対日要求を突きつけているということは御案内のとおりでございまして、議会の要求は、上院、下院共通しておりますけれども在日米軍軍人の給与を除きます直接経費をすべて日本側に負担させるべきであるという要求を従来から突きつけているわけでございますが、そういう国内の厳しい対日雰囲気を踏まえて行政府の関係者が日本側の私どもといろいろ非公式に話し合いをしてまいりました。したがいまして、先ほど申し上げたようなことでできるだけ日本側の負担をふやしてほしいということは言ってはおりましたけれども、具体的な点に関しましては、日本側で自主的に判断するということに関しましては基本的に異存を唱えていなかったということは先ほど申し上げたとおりでございます。  それから、今後の点に関しましては、これは繰り返しになりますけれども、今回の措置はあくまでも限定的、暫定的、特例的なものであるという ことでございまして、現時点ではこれ以外の措置をとることは検討していないということを改めて申し上げたいと思います。
  115. 玉城栄一

    ○玉城委員 いろいろ新聞報道等読みますと、電話代だとかごみ収集の委託料だとかあるいは艦船の修繕費だとか、そういうものも日本側がひとつ負担してくれという要求もあったやに新聞等で我々も承知しているわけですけれども、現行協定はあと一年ありますね。その一年を待たずに平成三年でこの協定をどうしても締結しなければならないという理由、それをお伺いいたします。
  116. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 先ほど外務大臣から日米両国を取り巻いております最近の諸情勢の変化に関しましてかなり詳しく御説明がございました。まさに外務大臣が御説明申し上げましたような最近の諸情勢に着目いたしまして、私どもとしては先生指摘のような状況がございますけれども、今回新たな特別協定締結することにしたわけでございます。  この諸情勢と申しますのは、まさに大臣が申し上げられたことでございますけれども、日米間の経済力の相対的な関係変化、それからアメリカが膨大な財政赤字を抱えながらもグローバルな国際の平和と安全の維持のための役割を果たしてきておりまして、その結果、国防費、在日米軍経費等の面で苦しい状況に直面していること、それから三番目に、日本が国力にふさわしい役割を積極的に果たしていくことがますます求められている状況になっていること、この三点を踏まえまして、先生指摘のような状況もございますけれども、今回、新しい特別協定を限定的、暫定的、特例的な措置として締結することにいたしまして、国会で御審議をお願いしている次第でございます。
  117. 玉城栄一

    ○玉城委員 だから、来年、一年待ってそれから新しく協定を結ぶということについては、大蔵省とか防衛庁も一年早めに協定締結するということについては反対、異論を言っていたということ、これも新聞で承知しているわけですけれども、現行協定の期間はあるにもかかわらず一年前倒し、前倒しという言葉が使えるかどうかわかりませんが、事前にこのように締結しなくてはならぬ、それほど急がなくてはならぬ。まあ、我が国は自主的に協定は結んでいるとおっしゃいますけれども、それほどアメリカ側は急いでいる、あと一年待てない、これが実際のところじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  118. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 先ほど来外務大臣、それから私から申し上げておりますように、ここ二、三年の国際情勢変化は非常に急激でございます。そういう急激に動いてまいりました国際情勢の中での日米両国をめぐります経済情勢、アメリカがますます経済的に苦しくなってきている、他方におきまして日本は、いろいろ問題を抱えておりますけれども国際的に見まして非常に大きな経済力をつけた国になってきている、そういう中で日本がますます国際的に大きな役割を演ずることが求められてきておる、こういうことがこの二、三年急激に進行したと私どもは思っております。  そういう中で、先ほども触れましたけれどもアメリカの議会は在日米軍経費の問題に関しましても、全般のバードンシェアリングという見地からでございますけれども、厳しい対日要求を突きつけているという状況は御指摘のとおりあるわけでございます。そういうような全体を踏まえまして、私どもとして自主的に新しい措置をとる必要性があると考えまして、昨年新中期防を策定しました段階で新たな措置をとるということを決定した次第でございます。
  119. 玉城栄一

    ○玉城委員 これ以上お伺いしても、もうそれ以上の御答弁はされないと思います。  大臣、そこら辺が非常にすっきりしないわけですね。その協定を今回締結する、平成七年後については検討していない。本当にそれをしないというのであれば、これはまた逆戻りしまして、地位協定二十四条に基づいて米側の負担ということになっていくわけですね。そういう事態も考えていらっしゃいますか。
  120. 中山太郎

    中山国務大臣 現在の時点でアメリカの経済がこれからどのような変化を遂げるのか、私どもとしては責任を持って申し上げる立場にございませんけれども、今の状況、先ほどから申し上げましたように、日米の貿易収支を見ても大体三百億ドル以上の黒字、日本側の一方的な黒字はなかなか変わらない。アメリカの財政赤字の累積は三兆ドルを超えている、また財政の赤字を消すためにグラム・ラドマンの法律でやって六百億ドルくらいに来年は縮めようかと思っておったものがことしは二千二百億ドルぐらいにふえていく。  こういうふうな財政赤字それから貿易赤字、さらに対外債務の累増、こういうことを見てまいりますと、私どもは、同盟国としてこの国との安全保障条約を結んでいる立場を考えると、これだけの財政の苦しさの中でグローバルな平和の維持をやっていっている立場を考えますと、日本として経済大国となった今日、同盟国の負担を少しでも軽くしてやるというような観点から、日本は自主的にこの判断をして今回特別協定をお願いするようなことになりましたが、五年後に果たしてアメリカの経済がどうなっているかということにつきましては、ただいま日米構造調整協議等におきましてもアメリカの赤字の原因というものを日本は八十ポイントぐらい指摘しておりますから、私はこれからのフォローアップによってアメリカも財政の再建に努力をしていくだろうと思います。そういうことで、五年後の機会にまたどのような観点からかは、そのときの状況に応じて判断をしなければならないと考えております。
  121. 玉城栄一

    ○玉城委員 過去のデータといいますか、これまでの例からしますと、五年も待たずにまたということも考えられるわけですが、それはひとつ……。  この協定で我が国が負担する額といいますか、基本給は七年まで全部持ちますし、それから光熱水費も持ちますと、その全体の金額、そして沖縄県は七五%在日米軍基地があるわけですから、その本土の分と沖縄の分、これを概略御説明いただきたいのです。
  122. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 私から全体像につきまして最初に御答弁申し上げたいと思います。  今回の協定は基本的な枠組みを定めるものでございまして、在日米軍の従業員の基本給等それから光熱水料等に関しまして全部または一部を負担することができるということになっておるわけでございますが、この協定のもとで日本側がどのように経費の負担の増加を図っていく方針であるかということでございますけれども、私どもが今考えておりますのは、とりあえず防衛庁の方で新たな追加的な負担ということでございますが、来年度の予算案には約百二億円を計上しておられますが、これは全体の新たな負担増をこれから二五%、五〇%、七五%、それから最終的に一〇〇%という形で持っていくに当たりまして、来年度半年予算で二五%の半分ということでございますが、平成四年度ではまさに二五%、それからその次は五〇%、それから七五%、それから五年後に一〇〇%というとりあえずの方針で対応することになっております。  それでこれは昨年新中期防作成の、決定の際にも発表しておることでございますが、日本側が追加的に負担いたします総額は約二千二百億円ということになっておりますが、これはあくまでも追加的な負担額でございまして、まず全体がどうなるかということに関しましてはちょっと私どももまだ確たる数字を持っておりません。全体に関しましては、平成二年度は、これは防衛庁が中心でございますけれども、そのほか若干の各省も入っておりまして、全部で四千四百五億円でございます。それから平成三年度が四千七百七十一億円でございます。この中には今申し上げました百二億円が入っておりますが、平成四年度以降どうなるかということはちょっとまだこの全体に関しては見通しが立てにくい状況でございます。  それから先生が言及されました本土と沖縄との関係に関してちょっと私は今手元に資料がございません。なかなかちょっとそこは算出できにくい のではないかと思いますが、もし防衛施設庁の方で何か追加的なことがございましたらお願いしたいと思います。     〔委員長退席、新井委員長代理着席〕
  123. 玉城栄一

    ○玉城委員 じゃ、防衛施設庁の方からお願いします。  今申し上げましたように、平成三年から平成七年の五年間のいわゆる従業員の基本給、そしてまた光熱水費、これをどういうふうな計画で七年まで負担するのか。それは本土のものと沖縄のもの、それから施設数、本土は何十なら何十、沖縄何十に対してこれだけの金額あるいは料金がかかっているんだというようなことを御説明いただきたい。この協定によって負担する額ですから、お願いします。
  124. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 お答えいたします。  今北米局長からお答えございましたように、この協定に基づきまして新たに負担する光熱水料費それから従業員の基本給につきましては平成三年度予算では合わせて百二億でございますが、最終的に総額二千二百億円の中で最終年度が八百四十億程度になる。このうち基本給が五百五十億、光熱水料が二百九十億という大まかな数字はございます。  それで今これを本土分と沖縄分に分けてというお話でございますが、平成三年度の予算に計上しております基本給、光熱水料、特にこの光熱水料の方につきましては各基地ごとに六十二年度から三年間に使用した電気、ガス、水道、下水道の料金について使用量とその支払った金額を資料として持っておりますけれども、これから先それがどういうふうになっていくかということについては、これから先の使用状況などを見て年々御審議いただくということになっておりますので、全体がどういう姿になるかちょっと今申し上げかねる次第でございます。  ただ、今予算に、審議をお願いをしております平成三年度分に計上しております百二億の内訳を本土、沖縄別で分けてみますと、労務費につきましては合計七十五億でございますが、そのうち本土が五十億、四十九億五千九百万、沖縄二十五億七千四百万となっております。それから光熱水料の方は合わせて約二十七億でございますが、本土が十三億五千万、沖縄十三億五千四百万、合わせまして本土六十三億九百万、沖縄三十九億二千八百万という姿になっております。
  125. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほどの五年間のトータルで基本給も光熱費も合わせて二千二百億ですね、この協定によって我が国が負担が予想されるものは二千二百億。今各年度ごとには平成三年までは言えるけれどもというお話ですけれども、大体この協定によって我が国が負担すべきものは、過去のデータもあるわけですから、これは当然はじいておいて委員会できちっと説明をしていただきたいわけですよ。わからぬというだけでは、要するにお金を負担しようという協定ですから、これは困るのですね。  それでこの協定の二条に、「公益事業によって使用に供される電気、ガス、水道及び下水道」それから(b)項の「(a)に規定するものを除くほか、暖房用、調理用又は給湯用の燃料」こういう協定になっているわけですが、さっき申し上げましたように、その「電気、ガス、水道及び下水道」「暖房用、調理用又は給湯用の燃料」、これは総額でこの五年間幾らぐらいを予想しておられますか。
  126. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 暖房用などの燃料の使用量、経費につきましては、まだ資料がそろっておりませんので、平成三年度の予算にも計上しておりません。調査をしておるところでございます。
  127. 玉城栄一

    ○玉城委員 平成三年度は資料がないので予算も計上してない。そうすると平成四、五、六、七というのはどうされるのですか。
  128. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 今調査中でございますが、資料がまとまれば平成四年度の予算には、これらは今度の新たな負担の対象になっておりますので計上できるものは計上をするという考えでおります。
  129. 玉城栄一

    ○玉城委員 じゃ、ちょっと質問を変えますが、長官、沖縄県には膨大な米軍基地があるわけですね。そこにアメリカの兵隊さんを含めて家族の方々、いわゆる貸し住宅と言われています。沖縄米軍用貸し住宅の実態、それをお伺いいたします。
  130. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 貸し住宅の実態につきまして最近調査したのは平成元年でございますので、今からいたしますと時点が約二年経過しておりますので変わっておるかもしれませんが、貸し住宅総数、登録済みの戸数で見ますと約五千九百戸、そのうちでアメリカ軍人等が入居しております戸数が三千八百十一戸ということになっております。
  131. 玉城栄一

    ○玉城委員 それは平成元年とおっしゃいましたね。現在はその五千九百という貸し住宅の実態は幾らになって、そしてアメリカさんは何戸に入っているのか、そこを御説明いただきたいと思います。
  132. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 先ほどのは平成元年度の数字でございますが、ことしの一月、これは全般的な調査ではございません、概略のものでございますが、先ほどの五千九百に当たるものが五千二百戸になっておりまして、そのうち米軍人等が入居しておりますのが約三千百戸でございます。
  133. 玉城栄一

    ○玉城委員 実は前回のこの協定の際に私は本会議でこの問題について質問申し上げまして、前から思いやり予算で米軍基地内でいわゆる米軍用の住宅を建設したためにその基地の外につくられていた米軍用貸し住宅が皆空き家になってしまっておる。この救済をどうするかということを申し上げたわけですけれども、これはその後もたびたび防衛施設庁に申し上げているのですが、この対策はどういうふうにとっていらっしゃるのか。現在は五千二百戸あって、その五千二百戸の中の三千百戸が入居している。二千百戸はいわゆる空き家ですね。この対策をどういうふうにしていらっしゃるのか。  これはいろんな要因があってこうなったとは思いますが、基本的にはやはりその米軍の需要があるから、まあお互いの話し合いといいますかそういう要請もあって、当時の沖縄県も、ぜひひとつ基地外の住宅を協力する意味でつくってくれという要請があってつくった。さあ思いやり予算でじゃんじゃん住宅ができた、そこへ入っていく、空き家になる。それについて、いやあこれは私たちは知りませんじゃ済まされない問題がいろいろたくさんあるわけですね。ですから、その対策をどういうふうに防衛施設庁としてはやってきたのか、現在やろうとされようとするのかお伺いいたします。
  134. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 沖縄県内におきます民間の貸し住宅の事情については今先生指摘のとおりかと思っております。そこで、私どもの方といたしましてはかねてから米軍に対してできるだけ貸し住宅を使ってもらうように申し入れをしております。これが一つでございます。それから、今お話しになりましたような事情が背景にあるかと思いますので、平成二年度から米軍基地内に新たに家族住宅をつくることをとめております。
  135. 玉城栄一

    ○玉城委員 平成二年から基地内に新たに住宅をつくることを禁じておりますですか、はっきり聞こえませんでしたので。
  136. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 平成二年度から沖縄県では米軍基地内に新しい住宅をつくらないようにしております。
  137. 玉城栄一

    ○玉城委員 それはわかりますよ、つくらない、平成二年度からですね。ところが現実に二千戸余り空き家があるわけですね。それに対して何らかの救済策を講じないと問題の解決にはならぬわけですね。その救済策は何か考えていらっしゃいますか。
  138. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 私どもとしましては、民間の貸し住宅の事情、その背後にはいろいろな事情があろうかと思いますし、また住宅政策全体について何かをし得る立場にはないと思っておりますが、私どもでできる範囲でできることといえば、先ほども申し上げましたように、米軍にできるだけ使ってもらうということと、新しい家族住宅を基地内にふやさないことだということで、先ほど申し上げたようなことを今しているところでござい ます。
  139. 玉城栄一

    ○玉城委員 アメリカさんにできるだけ基地の外にある貸し住宅用でつくったアパートなりそういう貸し住宅を使ってもらいたいということを一生懸命勧めているというお話だと思うんですが、ここで、これは外務省の方になりましょうかね、この協定の二条に電気代、ガス代あるいは上下水道代、料金ですね、これは我が国が負担する、こうこの協定にはなっているわけですね。ですから米軍さんの使う、まあ住宅ですから当然使うわけですが、その電気代とかいわゆる光熱費は我が国が持とう、こういう協定ですけれども基地の中にあるそういう住宅だとか諸施設それからさっきから申し上げている基地の外にある住宅、そういうものの光熱費、電気、ガスとか水道料金とか、こういうものはこの協定から読みますと別に基地の中だけとも書いてないし、基地の外のものは負担しませんとも書いてないし、その辺がどうなるのか。その辺をまず外務省の方からお伺いしたい。
  140. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 先生まさに御指摘のように、基地の中、外では協定上区別を行っておりません。私どもがその協定考えておりますのは、対象にしておりますのは、公用のために調達を行う場合にということで、これは具体的には米軍またはその公認調達機関が適当な証明書を付して公用のために調達をするということをはっきりさせるということでございます。したがいまして、このような措置基地の外に住む在日米軍人についてとられますれば当然この協定の対象になるということでございます。  しかしながら、その裏返しでございますけれども施設区域の外に居住します在日米軍人は現在のところはみずからこの電気、ガス等の契約の当事者になって、米軍から支給される特別手当で料金の支払いを行っておりますので、そういう制度であれば残念ながら今申し上げました要件を満たしていないので、対象にならないということになります。
  141. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、この協定によってそういう光熱費ですね、これは我が国が負担する、米軍基地の中。ということになりますと、基地の外にいるアメリカさんは、ああそれはみんなただになるんだからというので、どんどん基地の中へ入っていく。そうすると基地の外はますます空き家になるという、理屈としてはそういうことも成り立つわけですよ。それで、この協定上からしますと基地の外とか中とか書いてないし、アメリカさんが使うそういう公益事業によって使用に供される電気、ガス、水道及び下水道については云々とありますから、基地の外であっても米軍自体がこれを契約していけば、まあ水道は水道公社なり、電気は沖縄電力とかと契約していけばこの協定とは別に抵触も何もしないわけですね。そういうふうな解釈も成り立つと思いますが、いかがでしょうか。
  142. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 私が今申し上げましたように、この協定上は施設区域の中に住んでいる米軍人とそれから外に住んでいる米軍人は区別することはしておりませんので、先生指摘のように、外に住む米軍人につきましても、米軍またはその公認調達機関が公用のための調達であるという証明書を出す、これは具体的には米軍等が直接電力会社等と契約をする、そしてその上で今申し上げたような証明書を出すということでございますが、そういうことであれば当然この協定の第二条の負担の対象になります。ですから、この点はさらに、先生今御指摘の点も踏まえましてアメリカと話をしてまいりたい、こう考えます。     〔新井委員長代理退席、委員長着席〕
  143. 玉城栄一

    ○玉城委員 この協定はいろいろ問題がある。今局長さんがおっしゃったように、これは沖縄に限定してだけでなくて在日米軍基地の家族、その関係の方が使う光熱水費については我が国が負担してあげようという、こういう協定ですから、だから沖縄について言うならば、さっきのお話のように三千百戸ですか、これは基地の外ですね、三千百戸の方々、米軍人が使用しているその光熱費、それは向こうさんにとってはもう相当ある意味では助かると思うんですよね。そういう意味で、ある意味では貸し住宅の方々も非常に安定的な――これはまあ光熱水費ですけれども、住宅手当はどうしますか。住宅費、これはこの協定とはまあ別でしょうけれども、防衛施設庁。
  144. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 ちょっと御質問の趣旨を理解いたしかねておりますが、住宅に関する費用を持つかというお尋ねであれば、基地内に建設するものは従来どおり提供施設として整備いたしますが、外の住宅については現在のところ米軍からも要望がございませんので、実態としては私ども起こり得ないのではないかと思っております。
  145. 玉城栄一

    ○玉城委員 いやいや、これは関係者から強い要望があるのですよ。在沖米軍人の基地外居住手当助成措置をぜひ講じてもらいたい、防衛施設庁の方にですね。ですからこの協定によって、今外務省の方はそういう光熱費については負担できる方法もあるということもおっしゃいましたので、今度は対策の一つとして基地外貸し住宅、住宅の問題、光熱費についてはそういうふうにできるということでありますから、今度は住宅についても何らかの救済措置考えていくべきではありませんか。二千余りの空き家の方々はほっておけというんじゃなくして、できる限りのそういう措置を講じてもらいたい、こういう要望です。
  146. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 空き家をできるだけ少なくするようにするためには、先ほどのような努力を今後とも続けていかなければならないと思っておりますが、それ以上のことにつきましては私どもでできるかどうか、今の御意見を参考にいたしまして今後の施策をしていきたいと思っております。
  147. 玉城栄一

    ○玉城委員 とにかくしっかり、防衛施設庁の方にさっきも私申し上げているわけですけれども、その問題も含めて今後の対策の一環として十分検討していただきたいのですね。  質問を変えますが、今度は外務省ですね。この協定によって、いわゆる在日米軍基地日本人従業員、この方々の雇用というものは安定の方向に行くのかどうかですね。時々沖縄にもあるんですが、雇用という面で、これから日本政府が持つんだから米軍側としては金がかからないからという形で雇用は安定するのかなという逆の面で、今度は日本政府としては、防衛施設庁ですね、この金は日本政府が払うんだからとにかくむだなものはという感じでやられたら、これはまたえらいことになるなということを憂えておりますので、その点、これは防衛施設庁になりますかね、お伺いします。
  148. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 従業員につきましては、今回のこの協定によりまして新たに基本給等各種手当を負担することになりますが、これまでの協定によりまして従業員の雇用の安定にはかなり大きな効果があったと思いますが、今般のこの協定によりまして基本給そのほか手当を負担することと、それからさらには、従業員の労働条件などに関して種々の改善を図ることを計画しておりますので、その意味でより一層、この協定による新たな負担によりまして、雇用の安定を図る上で効果を出していくことができると思っております。
  149. 玉城栄一

    ○玉城委員 これも防衛施設庁になりましょうか、自衛隊の方々の年間使う光熱費、実質的には十五万人のこの光熱費とアメリカさんのいわゆる五万人の使う光熱費。それともう一点は、水道料金にしても電気料金にしても、米軍との契約形態というのは特殊な契約なのか、非常に安いんだという話がありますので、そうであるならそうである、形態はこうなっている。そうではないんだというならその御説明をいただきたいのです。
  150. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 初めの御質問自衛隊米軍の光熱水料費の経費と伺いましたが、時点が少し違いますが、最近の年度の数字を申し上げますと、自衛隊が約百九十億円、米軍は約二百四十億円でございます。(玉城委員「これは光熱費ですか」と呼ぶ)光熱水料費でございます。  それから、電気、ガスなどの光熱水料の契約に当たりましては、現在米軍がそれぞれの供給者と契約をしておりまして、その契約の内容についての調査をしておりますが、現在までわかっている 範囲では、一般の利用者と比較して米軍が特別に割安になっているというような例はないと聞いております。
  151. 玉城栄一

    ○玉城委員 今の御説明で、自衛隊さんは百九十五億、アメリカさんの方が二百四十五億。さっき申し上げたように、人員でもアメリカ日本で全然違いがありますよね。いわゆる十八万体制が今実質十五万ですか、それの使われる光熱水費と、アメリカさんは家族も含めて約五万内外でしょうか、そこは二百四十五億というのは、どうしてこんなに、使い方に違いがあるんでしょうか。その辺はどうなんですか。
  152. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 米軍自衛隊両方ともについてでございますが、電気、ガスなどの使用量が、何にどのくらい使ったのかということがわかりませんので、なぜそういう違いが出てくるかつまびらかでございませんが、一つは、米軍基地そのものが部隊として必要な施設を持っておるほかに、一つのいわばコミュニティーとして米軍人軍属の家族が生活をしており、そのほか生活に必要な種々の施設があるのに比べまして、自衛隊の方は営内隊員はおりますけれども、それ以外には通常の部隊としての機能を持っているだけで、米軍におきますコミュニティーに当たるような施設が全部外にあって、別になっているかあるいはないか、そういうような施設の内容、あるいはその運用の仕方に違いがあるからこのような結果になるのではないかと思いますが、いずれにしましても、内容を具体的に調査した上で出した結論ではございませんので、今のような感じを持っておるわけでございます。
  153. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、さっきもちょっと申し上げましたように、この協定そのものは外務省の所管なんですが、具体的なそういう作業という面では非常に防衛施設庁に関係する協定なんですね。ですから、やはりそういうことをきちっと調べられて、きょうでこの協定をこの委員会でも本会議でも決めよう、採決しようという段階ですから、そういう御答弁ではぐあいが悪い。  例えば沖縄の場合に、水について言うならば、沖縄は夏場というのは非常に断水、いわゆる水不足でそういうことになるわけですけれども米軍さんの使っている芝生であるとかそういうところは非常にふんだんに水をかけて、一般の住民、県民というのはそれを眺めているだけだ、こういうこともあるわけですね。ですから今のように、例えば自衛隊の使い方と米軍さんの使い方と違いがあるからこういう、水道に関して言うならば、結果として数字が出てきているわけです。ですからその辺を、全部我が国が持つんだからどんどん使いなさいじゃ、これはまたたまったものじゃないわけですね、これも国民の税金なんですから。その辺をどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  154. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 光熱水費の負担につきましては、上限調達量を設定して、この協定が有効期間中は、各年度の年間調達量がこれを上回ることのないように、年々、それに先立つ三会計年度の使用量などをもとにして算定をするようにしております。
  155. 玉城栄一

    ○玉城委員 私、終わりますけれども、ほかにいろいろお伺いもしたいのですが、大臣も所用で出られたようでありますので、最後に御要望申し上げたいのですが、この協定、さっきも冒頭に申し上げましたとおり、わずか五年にもならないうちに三回もこういう協定を結んで、しかも暫定的、限定的、特例的だという言葉そのものはそういうふうな、我々は何かわかったようなわからぬような形で議論されていくことには非常に問題があると私は思うのです。しかも今後のことについては考えてはいないということですけれども、しかしその時点で、さっき申し上げましたとおり、アメリカ側が強い要求というのはもう電話代も負担してくれ、艦船の修理、ごみの収集委託費等についても日本がぜひ持ってくれ、恐らくそう来る可能性がアメリカの今の状況からしますとあると思うのですね。ですから、そういうことをやはり何でもかんでも、日本アメリカじゃありませんから、その辺を踏まえてきちっとやっていただきたいわけであります。その点、要望して質問を終わります。
  156. 牧野隆守

    牧野委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  157. 牧野隆守

    牧野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  この際、各質疑者に申し上げます。  質疑時間につきましては、理事会申し合わせのとおり厳守されるようお願い申し上げます。  新井将敬君。
  158. 新井将敬

    ○新井委員 湾岸戦争も事実上の終戦、停戦ということになりまして、湾岸紛争の間、日本国というのはなかなか人的貢献ができない、本当に汗を流した仲間ではない、そういう非難というのが非常に強まっていると思うのです。現在アメリカでも、ワシントン・ポストの調査ですと、日本湾岸の敗北者だというのですね。これは結局、調査によりますと、湾岸戦争での日本に対して敬意を失ったと答えるアメリカ人が三〇%に達した、イラク、ヨルダン、イランと並んで湾岸戦争の敗北者だ、こういうきつい非難というものがあります。百三十億ドルという多大な貢献というものが一つは認められていない。また、米議会においても対日法案のラッシュというものがございまして、これは、例えば真珠湾攻撃の日を指定するんだ、あるいは湾岸貢献不足国からの輸入品に二〇%の課徴金をかけるのだ、こういう非常にエキセントリックな非難というものがございます。  こういう非難というものはさておきましても、やはり我が国が今後の湾岸地域の平和回復そして経済の復興、それに対して、国際社会にやはり真に貢献したと認められる、こういうことをやっていかなければいけないのではないかというふうに思うわけであります。  それで、総理にお伺いしたいのでございますけれども、現在、掃海艇という問題が俎上に上っております。これは、あの地域に千から二千個ぐらいの機雷が放置されたままになっているという状態、ほうっておきますとことしいっぱい撤回作業に時間がかかる、こういう問題が上がっておりまして、これに対してどう考えればいいのかということの中で、まず私は総理に、第一に、昭和六十二年八月二十七日の中曽根総理の答弁というものに対して、この法的見解に対して変更がないのかということをお伺いしたい。  この答弁は、重要ですからちょっと簡単に読ませていただきますと、ここにおられる理事和田先生質問にお答えして、   機雷を除去するという行為は武力行使ではないのです。   例えば日本海、舞鶴の沖で、公海上でそういう障害が起きた場合に海上自衛隊が除去する、こういうことはもちろん合法であります。公海上においても合法でありましょう。   では、ペルシャ湾においても、公海上で日本のタンカーが来るというのに危ない、そういうところで除去するのは法的にどうかと言えば、法的にそう差があるとは思わない、同じ日本の船舶の安全のために障害を除去するということであります。ですから、私は、法的には武力行使にも当たらないし、遠いところに行ったからといって海外派兵という、いわゆる派兵というものに当たらないものであろう、そう解釈されます。   しかし、国際紛争の場所に今なっておる、そういう場所に日本自衛隊をはるばる派遣して、そしてそこに巻き込まれるようなおそれのある場所に行くことは必ずしも適当でない、そういう政治判断から、私は今、やりません、 こういうふうに総理が答えておられます。  この前段階になると思うのですが、この総理答弁というものに対して、現在の政府として特に変 更するところがないのかどうか、そういうことをお聞きしたいと思います。
  159. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 冒頭にお触れになった問題について私の考え方もここで率直に申し上げさせていただきたいと思いますが、今回の湾岸に起こった一連の出来事は、私は、戦後初めて国連というものが有効に機能して、平和の枠組み、平和の秩序というものをきちっと守っていくための役割を果たしつつあった、また、結果として武力による侵略、併合ということは新しい時代に許されない野蛮な行為であるというので、平和の破壊者として指摘をされ、そして侵略が排除され、結果としてクウェートが解放されたのでありますから、私はそのことに対して大いなる敬意を表する次第でございます。  今一部だけ、議論を新聞の引用でお読みになりましたが、日本はこの湾岸では敗北者である、イラクやヨルダンとともに敗北者であるというようなこと、それは極端ないろいろな意見の中にはあるかもしれませんが、私もたくさんの新聞を、ヨーロッパのもアメリカのも見ておりますけれども、しかし日本はそういうひどい扱いをされるというだけではなくて、例えばクウェートの在外資産凍結に関する反応、対応は日本が一番早かったわけでありますし、またイラクに対する経済制裁も、ここに正義に反するものがある、経済制裁によって反省するなればそれには積極的にまず加わるべきである。私の記憶に誤りなければ、国連が経済制裁を決める前の日に日本の政府は、当時二十万バレルからの石油が日本へ入ってきておったイラクでありますが、しかしよくないことはよくない、政治的に立場は明らかにしようというのでイラクに対する経済制裁を決めて、政治的な立場を明らかにしたということ。このことについても、いち早く政治的な立場を日本が明確に示したことは評価できる、我々の仲間である、そういった趣旨の論評があったことを私は記憶いたしております。  また、今回のやむを得ざる措置として最後に武力の行使に入りましたが、そのときもやはりアメリカを初めとする二十八にも及ぶ国の指導者たちは、それぞれの国がそれぞれ厳しい経済状況を抱えておるにかかわらず出兵をして多国籍軍に参加をする。その国の前途有為な青年男女の生命の犠牲というものを顧みないで、国際社会の大義を守るために行動を起こす。それは国連決議に従った平和回復活動であり、やむを得ざる措置としての武力の行使だったわけですから、いろいろな制約で武装部隊、武力部隊が参加することができないという日本のこの立場を、それらの国々に理解を得るためにも日本は今できるだけの協力をしなければならないというので、九十億ドルの支出の問題も自主的に判断をし、そしてこれの提供を決めたわけであり、それらの行為に対してはブッシュ大統領を初めいろいろな人々が日本のそういった行動に対して評価をしてくれているということも、これは報道で知っておるところでありますから、余り私は、報道はたくさんあるでしょうけれども日本の評価はイラクやヨルダンとともに、戦いに敗れた国と同じ評価しかもらっていないというようには受けとめたくない、率直な私の気持ちをもってできるだけのことをした、こう考えております。  なお、今後あの地域がどうなるのか。今、きょう現在でもイラクのその後の情勢というものは何か非常に混乱しております。特に西側の報道陣が全部外へ出てしまってからは余り映像を通じても入ってこなくなりましたが、依然として今度は国内の他の要因による混乱が続いておるようであります。これらの問題が一日も早く平和的に安定的に解決されることを強く願いますとともに、国連決議に従った無条件撤退ということをイラクが受け入れたのですから、停戦交渉の方も具体的に世界の人々が受け入れることができるような明確なけじめ、基準をつくって、それが実現されていくことをこれは強く願っております。  最後にお触れになりました中曽根総理大臣の当時の公海上に遺棄されたと認められる機雷云々の問題でございますが、これについてのお考え方そのものは私も承知いたしておりますし、これは今もそうであろう、こう受けとめております。
  160. 新井将敬

    ○新井委員 そういうことですと、現在停戦、事実上戦争が終わっている、そういう地域に人道的な立場あるいは日本の国益、中東の復興、国際社会での貢献、すべて考えまして、掃海艇というものを派遣することは憲法違反でもない、また自衛隊法に規定もある、こういう当時の中曽根総理の答弁というもの自体に変更はない、こういうお答えをいただいたわけですが、第二に、これは新聞紙上でもちょっと散見しているのですが、アメリカ政府からこういう掃海艇を出してほしいという要請があったのかどうか。そして、これも新聞報道で読んだだけですが、昨年八月にブッシュ大統領から海部総理に電話があった、そのときにペルシャ湾に掃海艇を出してほしいという話があった、そのときに、海部総理はどういうふうにお答えをされたのか、この二点をお伺いしたいな、こういうふうに思っております。
  161. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 具体的に申し上げますと、ブッシュ大統領と私とは時々電話でお話をしましたが、御指定の昨年の八月に、具体的にそういう要請があったということはございません。当時全般的の視野の中で、日本に対しても、いろいろな制約のもとでなし得る限りの協力、貢献をしてほしいということでありますから、私の方もできる限りのことは御協力をしますというやりとりはあったと記憶しておりますけれども、具体な問題はございません。
  162. 新井将敬

    ○新井委員 そうしますと、昨年に具体的な掃海艇派遣というような要請というものはなかった、また現在もない、そういうふうな理解でよろしいでしょうか、現時点で。
  163. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 そのような御理解で結構ですし、日本にまたそういういろいろな制約があるということ、それを踏まえて日本は資金協力に踏み切ってくれたことに対して感謝をするという、そういった内容のブッシュ大統領の、アメリカでどこかの最近の演説の報道も、これはアメリカの機関からなされておるわけでありまして、その問題についての原則的な理解は一致しておると思います。それから、具体的にはそういった要請を受けたことはありません。
  164. 新井将敬

    ○新井委員 一部には、今やはり対米関係、非常に重要ですが、アメリカ政府がそういうことを要求してこないのは、むしろもう言ってもむだだという色彩が強いのではないかという面がございます。それは一つには、やはり医療チームの派遣とか、あるいは平和協力隊の問題とか、また難民救済の自衛隊機派遣とか、一応日本政府としてやるぞと言って手を挙げた、こういう人的貢献策は全部空約束に終わってしまった。そういう中でもう言っても仕方ないじゃないか、こういうふうにアメリカ政府が判断しているのじゃないか、こういう意見というものも非常にあると思うのですが、総理のお立場からどのようにお考えなんでしょうか。
  165. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 結果を見ますと、確かに医療チームのときも努力をいたしました。第一回の貢献策で昨年八月からお呼びかけをして、有志の方に集まってもらって参りました。私も現地のサウジアラビアでもその医療チームの第一班の方とお目にかかりましたし、またヨルダンの難民キャンプを私自身も訪問して、そこへ先遣隊の方は調査に行ってもらったわけでありますけれども、いろいろな細かい条件の食い違いその他があって、大規模な医療調査団が実現しなかった。そのことの経緯については、御必要ならば外務省の方から後ほどお答えをいたさせます。  また、自衛隊の輸送機の問題ですけれども、これは非軍事的な面で、そして人道上の問題ですから、国連から委託を受けたIOMという機関から関係各国に要請がございました。要請を受けた以上、日本はそれに協力しようという態度をとらなきゃなりません。中には民間機と軍用機とともに要請がありましたから、要請をお受けしたわけです。  まず最初は、それは大量輸送もできるし、あの地域の航路にもよくなれているし、民間機に頼んだらカイロまでの往復ならばすぐにでも引き受けられるということでありましたから、困難な事態を乗り越えて民間機に輸送協力をお願いしました。その後、避難民がクウェート周辺諸国に出てくるであろうという予想が、予測と外れておりますせいか、あるいはIOMに対して日本が初動の資金の三千八百万ドル、これはどうぞ使ってくださいといって拠出してありますから、そのお金であの地域の民間機で運ぶこともできる、日本からは日本航空を四機カイロまで送りましたから、民間で例えばベトナムへの難民輸送なんかは実施いたしました。ただ、それは自衛隊機が出動するに至る前の状況でございますので、政府としてはその対応のためにこれは口だけじゃなく政令を政府の責任できちっと決めて、具体の要請があっていろいろな角度から検討して必要な場合には輸送機を輸送業務のために派遣することができる、こういう準備を整えたところでありますから、それらのことに関しては何もしなかった、何もできなかったのではなく、できる限りのことをしているところであります。  なお、平和協力法のことについてはこれは御指摘のとおり国会で議論もさせていただきましたが、結果として審議未了、廃案ということに相なりました。そのとき民社党、公明党、自民党の三党合意覚書ができて、やはり国際社会に対する協力のあり方というのは、今かかっておるこの法案ではいけないけれども、この三党合意で覚書をつくって新しい角度から何ができるかを真剣に議論すべきだという覚書をつくられたわけであります。政府としてはそれに従って調査をしたり、鋭意成案を得るべく努力をいたしました。今問題点も残しながら、これはまた党との間の関係を深めて成案を得るべく努力をしていきたい、こう思っております。
  166. 新井将敬

    ○新井委員 国連の要請を受けて人道上の配慮から自衛隊機を難民輸送に使うということは政府として決意したわけですね。すると、今度国連の要請があれば、海上自衛隊掃海艇を人道的な立場というものからペルシャ湾に派遣して機雷の除去作業を行う、そういうことは可能だ、こうお考えでしょうか。
  167. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 今あの地域は実情がどうなっておるのか、おっしゃるように機雷がどんな状況であるのか、あるいはそういったことに対して本当に不可能な状況になってしまっておるのか、いろいろなことがわかりません。したがいまして、そういった情報を外務省が今真剣に集めておりますし、政府としてはそういったことを全部踏まえながら、どうするかということについては今後慎重に対応いたしますが、今それに対してどうのこうのということを結論づけておるわけではございません。
  168. 新井将敬

    ○新井委員 私は、総理が近いうちにアメリカ訪問をされるというようなことを伺っておりますし、また外務大臣ももう二十日の夜には伺われる。このときに、総理はそうおっしゃっても、多分その外務大臣との会談の中においてもこの問題が出てくる可能性はあると日本政府は判断しなければいけない。そのときに、何も考えていません、そういうことで果たして外交というものが成り立つのだろうか。国連の要請や、あるいは米政府の要請がなくても、この問題は少なくとも憲法違反ではなく、自衛隊法に規定もある。規定もあるということは、難民輸送よりは、変な言い方ですけれども少し筋がいいようなレベルの問題である。そういう問題の中で、自衛隊法の九十九条や八十九条に、長官が命令ができる、総理の承認をとる、日本政府のまさに自主判断でできる問題だと思います。そういうことについて要請がある、ないというより、自主判断に基づいて、やはりこの際協力するんだ、掃海作業をするんだということを総理の方からブッシュ大統領あるいは国連に対してみずからリーダーシップをとる、そういうお考えはないでしょうか。
  169. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 前回の国会の御議論等を振り返ってみても、一国が行動を起こすというときに、周辺国の意向とか事情、国際機関からの要請とかいろいろなものを抜きにして一国だけで行動するということについてはさまざまな角度から御議論があったことを私は覚えておりますが、まさにおっしゃるように、いろいろなことは要請があったら決めるというのではなくて、この間の九十億ドルのときのように、日本は最終的には自主的な判断で額を決めて、協力しようと決めるわけでありますが、今回のことについても、そのさらに前提となるあの地域の実情、そのような必要性が本当にどういう状況になっておるのか、それらのことがまだ情報として詳しくございませんので、それらのことを正確に把握して、そして慎重に対処していきたい、こう考えております。
  170. 新井将敬

    ○新井委員 総理、地域の実情と言えば聞こえはいいかもしれませんが、現実にイラクアメリカに対して、千二百から五百個の機雷をペルシャ湾に流している、こういうことをはっきり言っているわけであります。現実に、アメリカ、それからイギリス、ベルギーの掃海艇は作業をしている最中なんです。現在まで二百個ぐらいの機雷を片づけているわけですね。ドイツ政府も、アメリカ政府の要請を受けたと言って、掃海艇派遣する、そういう発表をしたわけでございます。  そういうときに、日本だけがどうして、現地の事情も何もわからないということだけで済まされるのだろうか。少なくとも、我々もその用意があるのですと言ってから、掃海艇を送るといったって、あの木造船があそこまで行くのですから一カ月以上かかるのですね。その間に現地の状況ぐらいは、もう現実にやっている船がいるわけですから、だれもやっていなければ事情はわからないですけれども、もうやっているわけですから、事情は彼らが知っているわけです。少なくとも必要なのは、事情を調べてからというような言い方ではなく、まずそういうのに協力させていただきますと言うのが現実の状態じゃないでしょうか。そう思いますが、どうでしょうか。
  171. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 先ほど来の御指摘のように、できることを決めてやる、やると言った以上はできなければなりませんし、その状況がきちっとわからないのにやみくもにやるやると言うだけではこれは無責任にもなると思いますから、その地域の実情をきちっと調べて、その必要性とか対応するときの能力、あるいは国内における問題点とかいろいろあると思います。それらについては政府は対応しなければなりませんが、それらのことを踏まえて決めなければなりませんので、今ここで委員の御指摘の、直ちにここでまずやると言えとおっしゃいましても、それは慎重に対処しなければならぬ問題だと思っております。
  172. 新井将敬

    ○新井委員 もう戦争が始まって半年以上になりますし、戦争が終わってからももう大分時間がたちます。今検討、検討とおっしゃいますけれども、何を検討する必要があるかということを私も項目的考えてみました。  第一点は国益ですね、やはり日本国のためになるかどうか。これから考えて、これはもうためになることは間違いないじゃないか、私はこう思っております。第二は、法的に可能かどうか。これには問題がないと出ております。三番目は、能力があるかないか。これは防衛庁が能力は問題ないんだ、こう答えておられるわけです。  そうすると、あとはリーダーの決断というものだけじゃないのでしょうか。現地の事情と総理はおっしゃいますが、まさに今の状態において、現にもう掃海作業をしているわけですね、そこに連絡をとればわかるわけです。米政府はいろいろな理由があって要請はされてないということですけれども、しかし事情はすぐわかる。そんな今から時間をかけてというようなものでもないと思うのです。やはりここは、ドイツもドイツ基本法の中ではNATO外に出れない、出れないのにドイツは受けたわけですね。それはやはり自分の、ドイツの国益というものを考え、しかもあの地域は、日本は七割の石油を頼っていますけれども、ドイツは一五%ですよ。それでもドイツ政府は発表し て貢献している。貢献するという態度を決めたのです。なぜそれが今、これからまだまだ検討する余地があるというのは何なんでしょうか。私は、総理はここはやはり国を守るリーダーとして、これは前向きにとにかくやるんだということを宣言して訪米されるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  173. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 湾岸地域の平和回復活動について日本が貢献できる幅というのは随分たくさんあると思います。そして、既にできるものについてはやると宣言もし、動作も始めておるわけです。例えば原油の流出作業その他についての機材供与とか、今度日本で開きますミサイル関連輸出防止に関する国際会議とか、五月に武器輸出あるいは武器の移転をもっと透明にもっと公開性を強めることによって今度のような根本的な問題が起こらないようにするにはどうしたらいいか、なし得ることについてはそれぞれ発表もし、努力も始めております。  ただ、この問題については、前国会の議論を踏まえても、なし得るかどうかの能力の問題についても、あるいはなさなければならない必要性の問題についても、いろいろな点について政府がこれに対してはきちっとした事情を調査してそれに対して対処していくわけでありますから、まだ、このようにするとか、このようにできないとかいうような結論をここで申し上げる段階には至っておりませんが、そのことだけが日本のすべき道とも思っておりませんし、日本はいろいろなことを、できるものはできるものからきょうまで対処をし続けてきておるわけでございますから、あの地域の様子というものをよく見きわめて、よく実情を知ることも大切なことだと御理解をいただきたいと思います。
  174. 新井将敬

    ○新井委員 時間もございませんので、そのことは私の意見といたしましては申し上げましたとおり、ドイツは基本法というものの枠を超えてまで、しかもドイツ最大の野党の社会民主党は人道的配慮から特に賛成する、こう言って五隻の掃海艇を出しておるわけですね。そういうこともひとつ配慮した上で、私の方からはよくお願いしたいと思います。ぜひ掃海艇の早期派遣というものを総理のリーダーシップによってひとつ決断していただきたい、そういうふうに思っております。  時間になりましたのでこれで最後といたしますが、ウルグアイ・ラウンドのことについて。自由貿易の利益を日本が最も多く得ている、これは間違いのないことでございます。また、ガットという体制が保護貿易主義によって非常に揺らぎ出している。その中で、ウルグアイ・ラウンドというものにおいて現在難航しているわけですね。  ウルグアイ・ラウンドは、農産物の問題になっておりますけれども、本当はサービス業、それから投資とか知的所有権あるいはアンチダンピングというようなものに対する公平なやり方を――今度のラウンドで問題となる四兆ドルぐらいの世界の輸出の中で農産物というのは実は一割なんですね。ところが、農産物の問題がクリアできないためにラウンド全体が座礁して乗り上げている。現在アメリカもファストトラックの承認をめぐって、議会筋は、もうアメリカもおりたらどうだ、そんなラウンドでみんなにいい目をさせることないじゃないか、おりて二国間でたたけばいいじゃないか、こういう二国間の管理貿易の方に移行しようとする動きが非常に多いわけですね。  こういうときにいつまでも食糧安保論というようなことで、米は一粒たりとも入れないというようなことで、本当に日本が自由貿易の担い手として血を流していくことができるのだろうか。ミニマムアクセスというようなものをやはり積極的に受け入れて、結局アメリカとECの交渉の中で押し切られるのではなく、積極的に受け入れて、日本がウルグアイ・ラウンドの米の問題を一歩乗り越えてウルグアイ・ラウンド全体の妥結を図って、我が国の自由貿易の利益というものを守るべきではないか、そういうふうに考えておりますけれども、それについてお答えをいただきたいと思います。
  175. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 日本が自由貿易の中で、世界の秩序の中できょうまで成長してくることができた。また、日本のような体質の、資源のない貿易国家になれば、この自由貿易の体制というものは何よりも大切にしなければならぬ、間違っても管理貿易に持っていってはいけないということは、私は恐らく委員と同じ認識を持っておると思います。ですから、ヒューストンのサミットのときも、私は、このウルグアイ・ラウンドを皆が努力をして成功させなければならない、この前提に立って、そして十五の分野においていろいろ交渉が行われておりますが、特に食糧問題について、これはアメリカにも御承知のとおりのウエーバー条項の問題がいろいろある。ECはECで、可変課徴金の問題を初め複雑な問題を持っておる。  私は、そこで、日本世界で、サミット参加国では最大の食糧純輸入国であって、しかもカロリーベースで当時は四九%でしたが今は四八%、そういう日本の実情も話し、そして食糧安全保障というものを大切に考える立場に立って、日本はその中で日本の立場を各国共通の理解を得るように努力をしていきたい、各国がそれぞれ知恵を出し合ってウルグアイ・ラウンドを成功させるように努力をしていかなければならぬということを述べてきました。過日のウルグアイ・ラウンドの閣僚会議でも、それらの問題についてそれぞれの国が持っておる固有の難しい問題があるわけでありますから、それはいきなり二国間の問題へ引きずり出してやれどうのこうのというのじゃなくて、ウルグアイ・ラウンドそのものを基本的に成功させなければならぬという立場に立って、今各省にはそのような方向の指示がしてございます。日本の立場を十分に説明して、共通の理解を得るように努力をすること、この基本で今後とも対処してまいります。
  176. 新井将敬

    ○新井委員 終わります。
  177. 牧野隆守

    牧野委員長 上原康助君。
  178. 上原康助

    ○上原委員 海部総理、きょうは大変御苦労さまでございます。  懸念されておったというか、あるいは海部内閣として非常に問題になるのじゃなかろうかと言われておった補正予算、九十億ドルを突破して、昨日はまた平成三年の本予算を衆議院を通過させて、海部総理も少しほっとなされておるのじゃないかと思うのです。しかし、余り息は抜けませんね。五月政変説もちまたで言われておりますが、海部総理の今後の政局展望についてまずお聞かせを願いたいと存じます。
  179. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 皆さんの御理解のおかげでおっしゃるとおり、平成三年度の予算も衆議院では成立をさせていただき、来週から参議院で始まるわけであります。これをぜひ通していただくように今後は参議院の予算審議に励みますし、また、衆議院では残っております法律に取り組んで全力を挙げなければなりません。さらに、地方選挙もいろいろ目の前に控えております。政治改革の問題もあります。これらと全力を挙げて取り組んで、微力ではありますけれども努力を続けていきたい、こう思っております。
  180. 上原康助

    ○上原委員 一番私が聞きたかったことは触れませんでしたが、これからお尋ねの中であるいは出てくるかもしれませんから、限られた時間ですので、率直にお尋ねをさせていただきたいと思います。  そこで、きょうは日米関係に非常に重要な、影響のある駐留経費の問題についての審議ですが、こっちの方で多くを話す時間がありませんので、端的に申し上げて、けさの理事会でも委員長初め与党の理事の皆さんにも強く念を押したのですが、これは施行日が十月一日でありますので、こんなに短期間で議了しなければいけない理由というのは余り見当たらない。私たちは、今日の日米関係あるいは在日米軍基地の実態、日米安保の変遷、変革等々についてもっと掘り下げた議論をしたいと思っておったのですが、なかなかそのゆとりがないことは非常に遺憾であり不本意であるということを改めて申し上げておきたいと思います。  そこで、先ほどの与党委員の御質問にもありましたが、聞くところによると、外務大臣が今月の二十日以降に訪米をする予定、日本側の願望のようですね。これはどうなっているのか。また、海部総理も、来月のゴルバチョフ・ソ連大統領の来日を控えて、今、日ソ関係の問題にも大変御配慮をしなければいけないお立場で、重要な外交案件だと思うのでありますが、従来ですと、それが終われば連休を利用してASEANを御訪問なさるという外交日程だったと聞いておったのですが、ブッシュ大統領が来れなくなった。これもおかしいですね。日本は片思いだけしているのじゃないですか。本当のパートナーシップならブッシュさんが来るのが当たり前だと私は思う。それがどうなって来ないのか。ASEANを御訪問なさる前に何か外務大臣が行かれて、今月末から四月の初旬にでも訪米をなさるという報道さえ今あるんだが、そういう外交日程について一体どうなっているのか明確にしておいていただきたい。
  181. 中山太郎

    中山国務大臣 まず私の訪米につきましては、先般ブッシュ大統領が停戦という宣言をされた、その直後と申しますか、ベーカー国務長官と私との間でこの湾岸戦争後の中東問題、また国際問題についていろいろと意見を交換するということで、ベーカー長官が中東及びソ連を回った後、帰国後に話し合おうということが、私とベーカー長官との間に話がございまして、そういうことで国会のお許しが得られれば近く訪米をしてベーカー長官とお目にかかっていろいろ話をいたしたいと考えておりますが、総理の訪米につきましても、私が訪米時にできれば総理の訪米の日程等も設定をして帰ってまいりたい、このように考えております。
  182. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、外務大臣が早目にアメリカに行きたい。もちろんそれは、外交案件はいろいろ積もっておることは私どもも理解はいたしますが、アメリカに行くんだから何かお土産を持っていくためにこんなに急いでこの協定をやらねばいかない、そうも受けとれて余計残念なんです。  総理の訪米というものはこれから米側と話し合うのですか。ブッシュ米大統領が今春、三月ですか、来れなくなった。これは日米間でどういう状況になっておったの。来れなくなった理由、背景。訪日するという外交的なスケジュールはどうなっておったのですか。
  183. 中山太郎

    中山国務大臣 ブッシュ大統領の訪日につきましては、既にブッシュ大統領御自身から海部総理にぜひ日本を訪問したいということをさきの日米首脳会談で、私も同席して承っておりましたが、イラクのサダム・フセイン大統領が国連の安保理決議六百七十八を遵守して撤退しておれば二月中に既にブッシュ大統領は日本に来られておったと私は思います。しかしあのようなサダム・フセイン大統領の問題がいわゆる湾岸戦争という形になって火を噴き、さらに停戦に至るというような事態で、大統領御自身の政治日程が相当大きな変化を起こした、このようなことで当初の考え方というものが少し日程的にずれはいたしておりますけれども、ブッシュ大統領の訪日については大統領の御意思そのままでございまして、先般の海部総理との電話会談でも早急に日本を訪問したいと思っているというお話がありますから、私は前提は全然変化はないと考えております。
  184. 上原康助

    ○上原委員 来れなくなったことまで六百七十八号の云々、フセイン大統領の、もちろん戦争をしでかしたのは悪いです。これはそういうことではないんじゃないでしょうかね。我々側がじっくり冷静に見ますと、日米関係は非常に大事だ、重要視をしている、イコールパートナーと言いながらも、やはりアメリカ日本に対する姿勢というものは、何か単なる人的貢献をしないとかするとかということではなくして、日本外交の大きな通常からの欠陥というか、努力の十分さでないことに今日の事態があらわれたと見ざるを得ない。この点はこれ以上触れません。  総理にお尋ねをしますが、そうしますと総理御自身もASEANとか中国とかそういうのは後にしてでも、ブッシュさんが来なくなったから今度出かけていく、そういうおつもりですか。
  185. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 ブッシュ大統領とこの前の首脳会談のときに、今度は日本へ行く、私の方からはぜひ来てほしい、こういう招請をいたしました。ことしに入ってからも、五回いろいろな重要案件については電話で話もいたしておりますけれども、最後のときにも、日程を調整したい。ただ、これはイラククウェート侵略、侵攻というこの事実が大変な突発的な事項を首脳の間に忙しさとして与えた。したがいまして、当初の日程、予定が狂ったのは、湾岸危機のためであった、私はこう受けとめておりますし、そういったようなことでできるだけ早く日本訪問を実現してほしいという希望は外交ルートを通じて、あるいは前回の電話のとき、たしか二十八日にも直接私から伝えてあります。それらについての日程は調整しようというのが向こうの返事であります。  また私としては、日米関係というのは日本外交の中で一番大切な二国間関係だと思っております。そのことは自由と民主主義という基本的価値が同じだとか、あるいは市場経済の価値をともに共有しているという土台の上に立って、アメリカ日本の二国で全世界の総生産の四〇%近くを占める、荒っぽく言うと二十兆ドルの世界のGNPの五兆ドルがアメリカで、五兆ドルがECくくって、そして三兆ドル余りが日本ということになりますと、自由と民主主義と市場経済の価値が普遍的な世界の価値になりつつあるときには、この二国間関係は最も大切なもので、大事にしていかなければならぬと私は思っております。  そういった意味で、日米の間に対して、今御質問のときに、余り何か日本の態度が悪いから見放されたのではないか、湾岸関係ないのではないかというようなそういう誤解を持っていただくことも非常によくないことでありますし、絶えず問題点は出会って話し合いをしながら解決していくのがいいことでありますので、中山外務大臣、今度派遣しますときには、それらの点についても率直な意見を交換して、日程等の調整をしてくるように、またアジアに対しては、これはアジア外交というものも重要に考えており、早い機会に訪問をしたい国である、この考えには変わりはありません。
  186. 上原康助

    ○上原委員 別にお言葉を返そうとは思いませんが、私たちは何も日米関係が大事でないとか、日米の首脳が頻繁にお話をすることにとやかく言うつもりはないのです。これはない。何か言うと政府は、重要視しているからよくやっているのだということですが、しかし外交というのは対等の立場でいろいろおやりになるなら、先方さんが来ると言った以上は来るのが礼儀であって、来ないからこっちから出かけていって、行くたびに大きな荷物を背負ってくる、日本の総理というのは。もう海部さん、失礼ですが、また大きな荷物を背負ったのでは本当にどうなるかなという心配もせざるを得ないわけで、そういう国民の見方もあるということ、また世界各国も、ASEANやアジア近隣諸国は、やはりアメリカか、対米追随じゃないのかということがこれ以上大きくならないように、ひとつ十分御配慮を願いたいと思います。  そこで、議論しているうちに忘れては困りますので、この協定の件ではいろいろ資料もある程度出させていただいたので触れたいわけですが、問題は、これほど日本側の負担というものが年々増加されてきている。特例とか限定とか暫定とかいいながらも、本質は決してそうではない。ある面においては理解しない分野もないわけではありませんが、明らかに米軍自体が負担をしなければいけないことも、どんどん日本側が負担しているというこの日米安保の運用の問題あるいは地位協定の解釈、適用の問題等々、非常に疑問だらけなんです。その点はたくさんあるということをぜひひとつ政府も、単なる国会で法案を通せば何とかなるということじゃなくして、真剣にお受けとめいただきたいと思うのです。  そこで、駐労雇用のことでちょっとだけ念を押しておきたいわけですが、これだけ日本側が段階 的に基本給を九五年までに一〇〇%持っていく、また諸手当も既に負担をしておるということになると、雇用主は日本政府である、施設庁長官、あるいはその該当の都道府県に委任をしている。しかし、使用権は御案内のようにアメリカ側にあるわけですね。少なくとも雇用の安定確保ということと、米軍基地で働く労働者の生活の不安とか、あるいは使用者としての権利乱用とか、そういうものについては十分な歯どめと、日本側が財政負担をするだけの権利行使というか、こういうものはきちっと歯どめをかけていただかないと、単にお金を出して、あとはアメリカ側が恣意的に使用権を基地の運用権という面で排他的にやるとなると困ると思うのです。そういうことについてはどういうお考えでなさろうとするのか、大変重要な点でありますので、ひとつきちっとお答えをいただきたいと存じます。
  187. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 米軍基地の従業員の雇用について申し上げます。  在日米軍基地従業員の雇用の安定を図っていくことは、雇用主としての日本政府として立場上当然であると考えております。また、これが米軍の駐留を円滑ならしめる面からも重要であると思っております。今の特別協定目的として在日米軍従業員の雇用の維持を図ることを掲げておりまして、今回の特別協定におきましても、現行協定がこのような目的を持って締結されたことを想起するとされております。したがいまして、今回この特別協定によりまして新たに基本給その他の手当を負担することに伴いまして、この協定締結を機に、今先生言われました従業員の各種の勤務条件等のさらなる改善を図ることとしておりますので、この面から従業員の雇用はより一層安定が図られるものと考えており、またそのための努力をしていかなければならないと考えております。
  188. 上原康助

    ○上原委員 それともう一点、施設庁長官がお答えしてから外務大臣、総理からお答えをいただきたいわけですが、今雇用の安定については極力努力をなさる、当然でしょうね、ぜひやっていただきたい。  他面、政府の負担が大きくなる、それだけまた政府の雇用主としての権限も、ある面ではアメリカ側に対しても強く出られる面もあるし、一方、働く労働者に対してもにらみをきかすというのか、権限行使というのができるということなんです。したがって、準公務員的性格にあるいはなっていく可能性がありますね。しかし、これは労働三法の適用ですから依然として法体系は別です。そういう面で、労働基本権であるとかあるいは労働者の既得権、そういうものに新たな制約を加えるとか、そういうことはよもや考えてはおらないと思うのですが、その点もお答えをしておいていただきたいと思います。
  189. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 今従業員との間の雇用関係につきましては協約その他の話し合いで各種のことが決められており、また慣例化されたものもございますが、今考えております先ほど申し上げました従業員の勤務条件のさらなる改善は、現在の枠の中でその運用の仕方、それから勤務条件の内容の改善を考えておりまして、今先生が言われたことは念頭にございません。
  190. 上原康助

    ○上原委員 それとあと一点、この新協定でもそういう取り扱いになるし、現在もそうなんですが、今後も諸機関、いわゆるIHAを区別するとか別に扱うとか、そういうことは一切ありませんね。
  191. 児玉良雄

    ○児玉政府委員 特段区別して考える理由が基本的にはないものと思っておりますので、同様に考えております。
  192. 上原康助

    ○上原委員 そこで、外務大臣でも結構ですが、総理であればなお結構ですが、米軍基地というのは極めて不安定な状況に置かれているわけですね。国際情勢アジア状況変化によってはいつでも、大量解雇ということは今日までもありました。そういう前提でいろいろな政策、制度変更がなされてきたわけで、その点は私は理解する面もありますが、やはり日米間の単なる安保の運用を軍事的な面でどうこうというのではなくして、こういった施設で、基地で働いている従業員の人権とか身分とか雇用とか保障ということについても機会あるごとに米側に重大な関心を促す、同時に理解を求めるという外交の一つのテーマとして位置づけていかなければいけない点、課題、テーマだと思うのですけれども、そのお気持ちは十分持っていらっしゃると思うのですが、ひとつお答えをいただきたいと存じます。
  193. 中山太郎

    中山国務大臣 雇用の安定等につきましては、政府といたしまして絶えず重大な関心を持ちながら米側とも協議をいたしてまいるつもりでございます。
  194. 上原康助

    ○上原委員 ぜひ御努力を願いたいと思います。  そこで、せんだっても同僚の高沢理事あるいは松原委員からもいろいろお尋ねをさせていただいたわけですが、我々の日米安保条約への認識、あるいは地位協定等含めて、六〇年の安保改定あるいは七〇年代の沖縄返還、そして八〇年代、もう今九〇年代に入って非常に大きく変化をしてきている。政府側が、外務省なり防衛庁がこれまで統一見解として出してきたこと、また運用は、解釈はこうだああだと言ってみたってどうしても納得しがたい面が多いわけですね。三十年余たっても事前協議は一遍もない、アメリカ側から申し入れがないからないなんて、こんなばかな話があるか、本当に。こういう議論をしているのは恐らく日本の国会だけだと私は思う。だれが聞いたっておかしいとみんな思っている、マスコミだけじゃなしに一般の人だって。  それを十分議論するゆとりはありませんが、なぜ我々がそういうことを強く今の時点で申し上げるかといいますと、この間も指摘いたしましたが、三月の一日に発表された米国の新しい国防報告を見ましても、日本関係で、極東に駐留する米軍は今後より広い地域的な、さらには地域を越えた役割を負うことになるだろう、それは今回のペルシャ湾岸戦争日本基地とする海兵隊、海軍部隊を派遣させたことで明らかだ、こう明々白々にアメリカ側は言っているわけですよね。しかも、八千名海兵隊を主に、そして洋上展開、これは洋上展開といっても横須賀を母港とする第七艦隊でしょう、これが七千名出ていったということは渋々認めた。そうなりますと当然一般論としても、常識的な判断からするとこれは事前協議の対象になり得ると我々は思う。しかしならないと今まで言い張ってきている。  ですから、きょうは十分な時間がないので大変残念なんですが、少なくともこういう新たな米側からの指摘、また現に在日米軍基地が今回の湾岸戦争でどう作動したかというものを実態論として実態的に考えても、これまで政府が言ってきた見解では納得しがたい、こう思うのですけれども、総理の御認識はどういうものなのかお聞かせを願いたいと思います。
  195. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 今後いろいろ新しい国際情勢変化に対応して我が国が平和と安全を確保すべく外交を鋭意推進してまいりますが、日本外交の目指すものはやはり日本の平和と日本の繁栄でありますから、そういった意味で日米安全保障条約というものが有効に日本の平和確保のために働いておることは、これは言うまでもないことであると思います。  同時にまた、基地の問題に具体にお触れになりましたが、米軍の運用上の都合により艦船及び部隊を我が国から他の地域移動させること、これは安全保障条約上問題はありませんし、また、おっしゃる事前協議の主題となる「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」に言う「戦闘作戦行動」は、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものである。したがって、我が国の施設区域から発進する際の任務、態様がかかる行動のための使用に該当する場合には事前協議を行いますが、最初に申し上げたように、運用上の都合により艦船及び部隊を他の地域移動させるということは事前協議の対象となるものではない。この考え方は従来から一貫しておるものだと受けとめております。
  196. 上原康助

    ○上原委員 それが納得しがたいというのです。何が移動ですか、あなた。外務大臣が総理官邸に行くのに歩いてこようが地下鉄に乗ってこようが車で行こうが、官邸に行ったら同じなんだ。はるか一万キロ、一万マイルも離れたところに、これはどこにも立ち寄らずには行けないでしょう。明らかに戦闘作戦行動を展開したのだ。それを今のような事前協議の対象にならないというこのあり方というものは、私たちは到底納得しがたい、この点を強く改めて指摘をしておきます。  私は、英語はノーしかわからないのですが、皆さん、安保条約第六条、これは英文を読むと非常によくわかるのですよ。「フォー ザ パーパス オブ コントリビューティング ツー ザ セキュリティー オブ ジャパン」なのですよ。むしろ英語の方は日本の安全に貢献する目的というふうになっているのだ。日本の安全に寄与するあるいは貢献する目的米軍在日米軍基地を使用できるというふうになっているのだ、極東と。そうであるならば、どこにペルシャ湾まで行って戦していいという話になるのですか。間接的には日本極東ということに触れるかもしれませんが、厳密にこの条約をあるいは地位協定等を解釈するならば、そういう見解は出てこないというのが我々の従来からの指摘であり、また実態なのですよ。この違いについてはいずれ統一見解を書いていただかねばいけないことだと思いますので、きょうは強く指摘をしておきたいと思います。  そこで、次に──今の件についてももしお答えがあればいただきたいのですが、どうなのですか、ちょっと──局長はいい、きょうは外務大臣か総理から答えてください。
  197. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 申しわけありませんが、私から御答弁させていただきます。  先生引用されました第六条は、先生指摘のように、まさに「日本国の安全に寄与し、」ということが書いてございますけれども、同時に「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」ということも書いてございます。まさにこの二つの目的のために日本米軍に対しまして日本施設区域を提供しているわけでございます。  これは繰り返し申し上げていることでございますけれども日本におります米軍はまさにこれらの目的のために日本に駐留しているわけでございまして、そのような実態がしっかりとあるということでございまして、そういう実態があるからには、そのような、米軍が軍の運用上の都合により極東の外に移動していくということ自体は安保条約上何ら問題がないということは、繰り返し従来から申し上げているとおりでございます。
  198. 上原康助

    ○上原委員 それは、どう考えても皆さんの方に分が悪いですよ、そういう詭弁は。それと、やはりもう少し外交の問題、先ほどからありましたが、ぜひ外務省、とっくにいろいろ御研究はなさっていると思うのだが、今度の国防報告の原文の九ページなんか見てくださいよ、日本のことに触れてあるところ。安保ただ乗り論なんと言う米議会の議員とかアメリカ人がおったら、こっちに連れてこい、実際。どれだけ日本がホスト・ネーション・サービスをやっておるかということが国防報告にもちゃんと書いてある、アメリカの国防報告にも英文で。そういうことはもう少ししっかりアメリカ側にも物を言ってもらいたい。さっきのような解釈をするからアメリカになめられるのだ。だから勝手気ままに自由に使えるということになってしまう。今の統一見解というか、そういう政府の見解についてはとても納得できません。恐らく近い将来変えざるを得なくなるでしょうね。  そこで次に、私も掃海艇派遣問題についてもう少し聞かしていただきたいわけですが、先ほどの与党委員の新井先生のお尋ねについては大変言い回しは慎重なような気がして、総理のいつもの癖がよく出ているなと思ったのですが、改めて端的にお尋ねします。  総理、余り難しいことはお互いよしましょう、禅問答みたいなのは。総理は掃海艇派遣には賛成ですか、反対なのですか。やるのですか、やらないのですか。海部内閣としてそれをはっきりすれば一番いいのですよ。
  199. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 先ほど来お答えしておりますとおり、いろいろな情勢を十分にきちっと把握をして調査をし、また必要性とか、またやるべき立場とかいろいろなものがございます。政府はそういったものを含めて慎重に対処したい、こうお答え申し上げておるところでありまして、今の段階でそのような考えをまとめておるわけではありません。
  200. 上原康助

    ○上原委員 私は、総理のその姿勢は評価します。ただ、それを守り得るかどうかの問題なのです。国連平和協力法案で随分あの第一委員室で一緒に頑張ったじゃないですか、とうとう廃案になりましたが、危ないところには自衛隊を行かせません、武力行使の伴うところにはだめだと言った、自衛隊は海外派遣しないと言いながら、やろうとしてできなかった。  その後はどうしたかというと、人間もよう二、三カ月でこんなに強くなったり、うまくなるのかなと思ったのですが、今度、自衛隊機を政令改正、特例でやろうとしたでしょう。これもパアですね。三度目の勝負と言われている。私が冒頭、五月政変もあるがというのは、これは今の新聞のいろいろな報道を見てみると、海部総理が何とかそういった平和憲法の理念の、十分じゃないけれども何とか維持したいという気持ちを言うと、官邸の気持ちと、党の偉いというのか強いというのかわからぬが、いつの間にかぐにゃぐにゃなって、中曽根元首相の国会答弁は生きているということになると、結局、慎重に調査をしてみながらと言うのだが、結果的にはまた自衛隊掃海艇をそのまま派遣するという海部内閣の決定になりはしないかという懸念を持つから、こういう聞き方をするのですよ。これはぜひひとつ明らかにしていただきたい。  先ほど憲法上も自衛隊法上も問題ないというようなお話もありましたが、私は大いに問題があると思う。なぜ問題がないのか。本当に憲法上も自衛隊法上も――自衛隊掃海艇だけでは行かないでしょう、補給艦も行くでしょうが、場合によっては巡洋艦もつけなければいかぬかもしれない。停戦はしたけれども、あくまでペルシャ湾地域湾岸は、あなた、いまだに紛争地域ですよ。その点はまた同じことをやろうとするのかと、こっちの方がひやひやするよりも、こういうことはあきれますよ。もう少しきちっとした一国の宰相としての指導力というか見解というのをはっきり出していただかないと、やはりいつの間にかまただんごになってしまうという危険性もありますので、この点についてはもう少し明確にしてください。
  201. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 先ほども申し上げましたとおり、国際社会に対する協力の中で、日本はお金だけを協力をするのではよくない。国際社会の一員として人も出してでき得る限りの協力をしなければならない。ただ、武力の威嚇、武力の行使を伴うものがあってはならないということは、前回の国会でも御議論したとおりでございます。その点は少しも変わっておりません。結果として法案はだめになりましたが、非軍事面の人道的な面をとらえて政令は内閣の責任で制定をいたしました。  同時にまた、前回の国会の法案廃案の結果を踏まえて自民党、公明党、民社党三党の共同の政党の覚書というものもございます。それを踏まえて、今いかなる形でこういった事態に、国際社会に対して人の面での協力ができるかということを、国連の平和維持というものに対してどの点までが協力できることであるのかということについて、今鋭意作業をしておる最中でございます。成案を得るべく努力を続けているさなかであります。そのことは何回も申し上げました。そして、御議論をいただいて、政府としてはこれは慎重に対処しなければならぬ問題でありますから、いろいろ検討をしておるというところでございます。イエスかノーか言えと言われても、まだ考えを固めておるわけではありませんから、今この場でそ ういったことを申し上げるのはかえって無責任かと思います。
  202. 上原康助

    ○上原委員 私がお尋ねしているのは、法的に問題ないと言うのだが、何を根拠に法的に問題ないと言うのか、それはだれが答えるのか、答えてごらん、責任持って答え得る人。
  203. 津野修

    ○津野政府委員 お答えいたします。  自衛隊法九十九条による機雷の除去に関しましては、従来答弁いたしておりますのは、浮遊しているか停止されているかを問わず、遺棄されたと認められる機雷について、それが我が国船舶の航行の安全にとって障害となっている場合に、その航行の安全を確保するためにこれを除去する行為は武力の行使に当たるものではなく、自衛隊法上可能であるということでございます。  それで、一般に機雷の除去が武力の行使に当たるか否かは、それがいかなる具体的な状況のもとで、また、いかなる態様で行われるか等により判断されるものでありまして、一概に言うことは困難であります。自衛隊法第九十九条に基づく海上自衛隊の機雷等の除去の権限は公海にも及び得るが、具体的にどの範囲にまで及ぶかについては、そのときどきの状況等を勘案して判断されるべきであり、一概には言えないということでございます。  それから、中曽根総理が以前御答弁されましたことで、今言いましたのは憲法上の問題でお答えしたわけでございますが、自衛隊法九十九条に基づき、遺棄された機雷を除去するために自衛隊派遣することができるかという自衛隊法上の問題につきましては、自衛隊法第九十九条は、我が国の領海内における航行の安全確保並びに公海における我が国船舶及び国民の安全確保を図るための一種の警察活動を定めた規定であります。同条は、海上自衛隊の機雷の除去の任務の地理的範囲については明文の限定をしていないけれども、警察活動としての性格に基づくおのずからの限界があり得るものと考えるが、具体的にどの範囲にまで及ぶかについては、そのときどきの状況等を勘案して判断されるべきであり、一概には言えない。  今回のケースにおいては、海上自衛隊を機雷の掃海のためにペルシャ湾に派遣することができるかどうかについては、同地域状況、特に我が国船舶及び国民の安全を確保するための必要性があるかどうかを十分見きわめて判断すべきものと考えているということでございます。
  204. 上原康助

    ○上原委員 何が法的に問題ないか。問題あるじゃないか、あなたの答弁を聞いていると。法律というのは、幾ら内閣法制局だろうが、皆さんがそんな勝手に解釈してはなりませんよ。あなた、自衛隊法九十九条で問題ないと言って、自民党さんの中にもいろいろな、いろいろなと言って失礼、防衛族と言われる方が言っているのだが、自衛隊法第九十九条「機雷等の除去」、条項は確かにある。「海上自衛隊は、長官の命を受け、海上における機雷その他の爆発性の危険物の除去及びこれらの処理を行うものとする。」確かにある。どこにペルシャ湾まで行って機雷を除去していいと書いてありますか、これに。  確かに、今言ったように、これはあくまで領海内の警察行為としての範囲なんだ、立法した段階では。それを、法律上問題ない、ないと言われると、何か聞いている国民も、ああ、ないのかと錯覚起こしますよね。大いに問題ありなんだ。その点はもう一遍、これは総理からお答えいただきたい。  我々が問題にしているのは、自衛隊の任務というのは一体何かということなんです、総理。私は、あなたがあの平和協力法案をあんなに無理せぬで、それと自衛隊機を政令改正をして特例でやろうとしたり、こういうふうにしなければ五月政変なんかないし、その先の十一月も大丈夫と思う。自衛隊の任務というのは、自衛隊法の第三条にちゃんと書いてあるんだ。「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」ペルシャ湾岸まで行って機雷を除去するとか、あるいは特例政令でやるというようなことは、この任務からは出てこないのですよ。  だから、今大事なことは、何が何でも自衛隊派遣ありきじゃなくして、危機管理状況について国内の法律整備をどうするか、人的確保をしっかりと法的に裏づける根拠を日本国としてつくらなきゃいかないのです。それが先なんですよ、総理大臣。一連の国連平和協力法案から今日にかけてのこういう議論というものは、そのことがぴしっとできていないからいつも問題になっている。手っ取り早く行けるのは自衛隊だから出そうというが、法律的にはこれは無理なんですよ。これでは国民的合意は形成できない。私たちは、そのことをしっかりしていただきたいと言うのです。  三党合意、三党合意と言うが、社会党だって案も出しているし、私たちだって今いろいろ勉強していますよ。四カ月余り進んでいないじゃないですか。やっぱり社会党が入らぬとあれはだめかもしらぬね。今指摘したことについてどうお考えですか。
  205. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 今御指摘になりましたとおりのことがございまして、国会の議論を顧みましても、この前の平和協力法案でも、武力の行使を伴わないということを大前提にうたっておりましても、すぐに戦争か平和かという議論になりますと、まさにこれは接点のない不毛の議論になると私は受けとめました。  そして三党合意のことについて御指摘がございましたが、社会党さんの方からも国連平和協力機構といったものを提唱されたことは私もよく承知いたしております。その中に書いてあります支援活動、支援業務その他の問題については、重ね絵のように合わせてみますと交わる部分が極めて多いということも私はよく理解いたしておりますけれども、残念ながらまだ社会党がその話し合いの中に入っていただけるという積極的な意思表示があったとは承っておりませんので、きょうの御意見なんかは党の政調会長にも伝えまして、もう一回上原委員を通じて、このような考え方を三党合意でまとめようと思っておるが、社会党も入っていただければそれよりもなおいいわけですし、国民的合意が得られるわけで、私は、初めに何ありきとか、やるかやらぬか言えということじゃなくて、日本の国のこの立場、先ほど来委員からも御心配いただきました日米関係外交の太い、強いきずなを大切にしていくためにも、日本日本の国として果たし得る役割、その限度それからやるべきこと、そういったことについて、まさにおっしゃるように、法案をつくり、そして国会を通していただき、御理解ある人に集まってもらってそういった行動ができるようにしたいという点は強い願いでございますから、その意味で、今政府は三党合意の覚書を念頭に置いて、それを踏まえて成案を得るべく鋭意作業を続けておるさなかである、こういうことを申し上げた次第でございます。御理解をいただきます。
  206. 上原康助

    ○上原委員 私たちも国際貢献に関与できる日本の人的政策というか貢献策というか、かかわり方というものは必要性があると思いますよ。それはあくまで憲法自衛隊法というものの原則あるいは解釈というものは厳格にした上で、非軍事、非武装の人的貢献は何ができるのか、まずそれをやりつつ、それがいろいろ弊害があればまた次のステップを踏むというような手法はあるんじゃないですか。さっきから言うように、危機管理に対する法的整備、制度的面、それをやった上での人的確保をやるものが整っていないからこういう議論になるのじゃないですか。だから三党で文書をまとめてもなかなか進捗しないんじゃないですか。まずは、自衛隊をどうしても行かしたいという人々の意向だけ聞くのじゃなくして、国民がこういう問題をどう受けとめているかということも考えながら政府がやってみたらどうでしょう。まあきょうはある程度わかったので……。  そこで、さっき法的に問題ないと言うけれども自衛隊法上も。私は自衛隊法上も、九十九条 とかそういうものをストレートに解釈してというか運用して、掃海艇派遣ということには短絡的に結びつかないと思うのです。その点は疑問のあることについては認めますか。簡潔に言ってください。
  207. 津野修

    ○津野政府委員 以前、中曽根総理が御答弁された際に、それにつきまして国会に対する質問主意書で内閣の方から答弁書を出していますが、この場合に言っておりますのは「公海上に遺棄されたと認められる機雷について、それが我が国船舶の航行の安全にとって障害となつている場合に、その航行の安全を確保するために、これを除去する行為は武力の行使に当たるものではなく、自衛隊法上可能である旨を答弁」しているということでございます。したがって、自衛隊法九十九条に基づく海上自衛隊の機雷等の除去の権限は公海にも及び得るというような、具体的にどの辺まで及ぶかについては、いろいろとそのときどきの状況等を勘案いたしまして政策的に判断さるべき問題であり、一概には言えない、こういうふうに言っているわけでございます。
  208. 上原康助

    ○上原委員 そんな苦しい答弁しなくてもいいですよ。公海上に及ばないと僕言っていないですよ。公海もそれは幾分あり得るでしょう。しかし、どの範囲までやるかはそのときどきの状況判断ということがついているわけでしょう。そういうものを、何かあたかも法律も整備されて問題ないんだという解釈は、これは総理の方がむしろ一歩進んでいる。そういう疑問点が出たということを十分御認識の上で、この掃海艇派遣については海部内閣としての拙速な結論は出すべきでない、こう思いますが、改めて総理の御決意を聞いておきたいと思います。
  209. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 同じことの繰り返しになって恐縮ですけれども日本は今こういう事態に立って国際社会にどのような協力をするかということについて、きょうまで率直に言って法律も体制も制度もできておりませんでした。国連が平和維持の中心として機能したのが戦後初めてのことだと私は思いますので、初めての事態に対してどう対処するかということが前回の平和協力法案であったわけでございます。それの議論を踏まえ、反省を踏まえ、また三党合意を踏まえて今政府は鋭意、どのようなことがなし得るか、成案を得るべく法律作成への努力もそこで続けておるわけでございます。  具体的に今言われた掃海艇の問題については、先ほど来何度も申し上げておりますように、具体的な必要性とか能力とかその他問題点を政府はいろいろ正確に把握をして、これに慎重に対処していかなければなりませんので、今のところ、ここでどうするこうするという結論を申し上げる段階ではございません。
  210. 上原康助

    ○上原委員 そういえば総理の国会答弁哲学は、同じことを何回でも繰り返す、聞かれても間違っておってもたじろがずにやる、こういうことのようですから、困りましたね。そこで、いつごろまでに結論を出すのですか。
  211. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 これは各政党のお立場も踏まえながら、それをできる限り受け入れたい。先ほど申し上げたように、願わくば上原先生を通じて、社会党もこの三党合意に案を出すとおっしゃっておりますから、社会党の案を早くお出しいただいて協議に加わっていただきますことを私は心から期待をいたしますし、それがあるないにかかわらず、できるだけ早く政府としては成案を得るべくいろいろな努力を続けていく作業の最中でございます。
  212. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、今の総理のお答えを聞いていると、PKOというか国連平和維持活動への包括的な中でこれも考えていくというふうにも受けとめられますが、そういうふうに理解していいですか。
  213. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 国連が定型的に決めておりますPKOというものとこれとは、難しい法律の理屈上の問題はよく存じませんけれども、平和維持活動とか停戦監視団とか、PKOはいろいろございます。だからそういったことも踏まえて、一たん行った以上はそれがきちっとしなければなりませんから、私は慎重に対処していく。また、どのような作業があるのか、どのような状況になっておるのか、あるいは今ここで議論になりましたような問題についてもどのような反応が出るのかということについては、私がここで物を申し上げるだけの材料を十分持ち合わせておりませんので、それを今いろいろな角度から検討をしておるところであります。
  214. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、少なくとも米側から要請が来たとかクウェートから要請が来て出すとか、そういうことじゃありませんね。
  215. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、我が国の政府としてどのようなことができるかということは、政府が判断をするわけであります。
  216. 上原康助

    ○上原委員 これは国民は見ておりますので、主体的とか自主的と外務省も総理もたびたび強調なさるんだが、余り強調すればするほど、何かアメリカ側の御機嫌をうかがってやっているような気がして仕方ないですね、大変厳しいかもしれませんが。  最後に沖縄のことについてちょっと聞いておきますが、せんだって、去年の六月二十三日、慰霊の日に総理が行かれて、きのうは地方自治法の一部改正が衆議院を通過して、ようやく県職員の週休二日、あるいは慰霊の日の新たな休日としての条例制定ができる見通しが立ったわけですが、その点は心から敬意を表しておきたいと思います。  そこで、第三次振計が来年スタートをいたします。いまだに全国の七五%米軍の専用基地が存在をする離島県である、あるいは戦後処理も厚生年金であるとかその他諸問題が残っておる、そこでどうしても引き続き第三次振計というものはぜひ継続して策定をしていかないといかぬと思っているのですね。県側も鋭意今案をつくって、今年の秋ごろには政府、開発庁を通して出てくると思います。  その場合に、国の財政状況もいろいろありますけれども、やはり格差の是正であるとか自立的経済発展ということを考えた場合には、引き続きの高率補助を含めた振興開発計画、特措法の存置というものは必要不可欠だと私たちは思って、自分たちも努力をしながら、国の方にも強くそういう求めをお願いしているわけですが、せっかくの機会ですから、総理の方から、今後の沖縄基地問題、第三次振計の策定、今言いました高率補助の問題等を含めて、御見解を聞かせていただきたいと存じます。
  217. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 昨年六月二十三日に参りましたときに、記者会見でも沖縄県から多くの要望を受けましたが、その第一の二十三日そのもののことはあのときのお約束を果たしてありますし、また、基地の問題については、その整理統合についての御要望も受け、また、確認されました二十三の事案については現在までにいろいろと努力をし、そのうち牧港補給地区補助施設、陸軍の貯油施設及びキャンプ瑞慶覧の一部の三つの事案については既に返還のための日米合同委員会の手続を終了いたしておりますけれども、残るものにつきましては今後とも地元の御理解と御協力を得てできるだけ早く返還できるように作業を進めてまいりたい、こう思っております。  また、沖縄振興開発計画のことにつきましては、現在第二次振興開発計画終了後の振興開発のあり方について調査審議中であります。また、きょうまでの第一次、第二次の振興開発政策によってどのような発展の足跡が出ておったのか。復帰のときに本土に対して五九・五%という格差がございましたのが今七三・二%まで上ってきておる、これは二次にわたる振興開発計画の成果であったと思いますが、しかしまだ格差があることも率直に認めなければなりません。そういったことを踏まえて、今どのように対応していくかということについては判断をしてまいりたいと思っております。
  218. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  219. 牧野隆守

    牧野委員長 玉城栄一君。
  220. 玉城栄一

    ○玉城委員 総理、最初にちょっと一点だけお伺いいたしますが、来月の十六、十七、十八、ソ連のゴルバチョフ大統領来日予定ですね。けさの新聞に、外務省の兵藤欧亜局長さんのある会合でのお話で、そのゴルバチョフ大統領の来月の来日は困難ではないかということをおっしゃっていらっしゃるわけです。一つは連邦制の維持の問題での国民投票の件、それから炭鉱ストの問題、エリツィン・ロシア最高会議議長等の問題で難しいのではないかというふうなことが新聞ではありましたけれども、総理はどのようにお考えになっていらっしゃるかお伺いいたします。
  221. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 私がきのうある会合で完全なオフレコということで若干のお話をさせていただいたのが新聞に報道されておるわけでございますけれども、私は、ソ連の困難な国内情勢についてお話はいたしましたが、ゴルバチョフ大統領の来日が困難になるであろう等々のお話は一切いたしておりません。ゴルバチョフ大統領は予定どおりお見えになるという大前提でお話をしたつもりでございますので、ゴルバチョフ大統領がお見えにならないとかなるとか、あるいはその来日が困難になったとかなるであろうというようなことは一切申しておりませんので、ここで改めてはっきりさせていただきたいと存じます。
  222. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 私への御質問でありましたから、お答えさせてください。  新聞に局長がどう言った、こう言ったと出ておったかもしれませんが、それは私は一喜一憂すべき問題ではない、また本人自身がそうではないということをここで申しているわけです。また私自身も、ゴルバチョフ大統領の四月十六日からの来日を非常に大切に考えておるということを、先回別件でありましたが去る二十四日にゴルバチョフ大統領自身から電話がかかったときに、用件が済んでから私から四月の来日を国民こぞって期待して待っておるからぜひ来てほしいと、必ず行く、自分もそのことを大いに期待しておるというやりとりがあったばかりですし、またきょうこの委員会へお呼びをいただいて来る直前に、ラビョーロフという副首相が今日本へソ連の科学技術展覧会の代表で来ておりますが、彼が表敬訪問に来てくれまして、出発前にゴルバチョフ大統領と会ってきたけれども、海部首相に会ったらぜひ伝えてほしい、自分は四月の日本訪問を楽しみにしておるし、そして抜本的な改革になるように海部首相は突破口をあけたいと言っておるが、自分の方も両国の間でいい関係ができていくような節目にしたいという伝言すらつい先ほどもらったばかりでありますので、十六日の来日は私は期待をして、そのつもりで待機しておるのです。そのための努力も随分継続して続けております。
  223. 玉城栄一

    ○玉城委員 この件は、そういう危惧もあることは事実です。ですから外務省の担当の局長さんの発言ということが報道されれば、あれ、あるいはそうかなということを当然考えるわけです。領土問題を含めまして、日ソ間の多くの懸案をあれする最高のチャンスですから、ぜひこれを成功させていただきたい、このことを要望いたします。  それから、先ほど来いろいろと質疑もありましたけれども、去年の秋、例の国連平和協力法案が廃案になりました。この廃案になった、いわゆる国権の最高機関である国会で内閣がわざわざ出した法案がだめだというふうに廃案になったという事実、これは私は総理自身は相当重きをもって強く認識していただかなくてはならない問題だと思うわけです。どうでしょうか、昨年秋のこの廃案になったという事実について総理はどういう御認識をお持ちですか。
  224. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 あの法案を提出しますときに私ども考えましたこと、それは、憲法の禁止する武力による威嚇または武力の行使を伴わない、そういった面における協力をしたいというので法案をお願いしたのでありますが、残念ながらあのような結果になりました。提出しました法案が廃案になったということは厳しく受けとめております。  ただ、廃案になったと同時に、もう少し姿かたちを変えてといいますか、国際社会にお金だけ出して済ましてしまおうという態度でいることは、これはよくない、人の面での貢献もすべきであるという考えが各党にございまして、これは公明党、民社党そして自由民主党の三党でその新しい国際協力のあり方に対する合意の覚書もいただきましたし、また協力すべきだ、金も人の協力もどんどんやったらいい、社会党の方からも平和協力機構というものを提案されたことは私もよく承知をいたしております。  そういったところでおおよそのコンセンサスというものは、協力はすべきである、この法案は廃案になるけれども引き続いて国際社会に対する人の面の貢献はすべきであるという御認識が強まってきたものだと政府は受けとめさせていただいて、あの三党合意の考え方を踏まえて今鋭意成案を得るべく努力を続けておるさなかでありますが、これはやはり政党間のこの前のああいった経緯がございますから、各党間の御意見等も十分尊重してまいりたいと思って今作業をしておるさなかでございます。
  225. 玉城栄一

    ○玉城委員 その三党の合意ということは常々総理がおっしゃっていらっしゃいます。そのとおりだと思います。問題は、三党合意ということになりますと、合意ですから、いわゆる自民党さんもその合意には当然拘束はされるわけですね。それで私たちは、おっしゃるPKO、いわゆる人の面の貢献、そういう貢献の仕方において自衛隊はだめですよ、これは昨年秋のあのいきさつからいっても自衛隊はできませんよという、これも公明党の意思としてその合意の中に入っているわけです。ですから、最近何かその辺を、それぞれ立場によって抜け穴のようなものを見出して、何とか自衛隊の海外への道を開こうとするかのごとき動きがあちこちに散見される。ですから、自衛隊はだめですよというその毅然としたスタンスは、これは総理自身もそういうことできちっとしておいていただかないと、さっきも指摘がありましたようにあっちふらふらこっちふらふら、そういうふうに映ってはぐあいが悪いわけですね。その点もう一回確認しておきたいと思います。
  226. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 まだこの問題については成案を得るべく努力しているさなかでありまして、どっちへ行こうということを思いを決めたり考えを具体的にお示しするまだ前の段階でありますから、三党合意の問題につきましても、鋭意その点については三党の共通の認識と理解を得る、固まったものを得るということを前提に今後も作業を続けていきます。
  227. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、その三党合意で、我が党は、自衛隊を海外に出すことはだめですよ、これは昨年の秋のそのいきさつからいって、また憲法上の立場からいってもそのことはできませんよというきちっとしたスタンスを持っているわけですね。その点はどうお考えになりますか、総理は。いわゆる自衛隊を外に出すということについてはだめですよという考え方について。
  228. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 三党合意の中に自衛隊と別個の組織だということが書き加えられております。きょうまでのいわゆる国会の合意というようなものは、自衛隊の海外派兵はいけない、それは武力の威嚇、武力の行使を伴って他国の領土、領海、領空へ出すことは海外派兵でいけない、そしてその他のものは自衛隊法に書いてあるところに従ってきょうまでは海外派遣として認められてきたものもあったというふうに理解しております。  ですから、今度の三党合意についてもそういった海外派兵はいけない、そういう考え方を三党の責任者は集まって合意をしたものと受けとめておりますが、さらに今後ともそれらのことについては、御相談を詰めるときに自衛隊と別個の組織というのはどういうことですかという点についても、これは当然お話を詰めていかなければならぬ大切な問題点だと受けとめております。
  229. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、掃海艇というような話も出てきておりますので、やはり根っこのところをきちっとしていただかないと、どこかの抜け穴を探していわゆる外に出ていこう、こういう姿勢が 非常に問題だと私は思います。  それで、なぜ昨年の秋の廃案になったかというこの事実を厳粛に受けとめていただかなくてはならないと思いますのは、あれからまだそんなに長くはなっていません。内閣もそのまま、あの当時の内閣のまま、それで三役もかわっていませんし、外務大臣も総理大臣もそのままです。ですから、ああいう経過があって、それを何かしら変えようというようなことになりますと、これは当然国民にきちっと信を問うた上でないとできないと思います。どうでしょうか。そういう自衛隊関係するような問題が出てきたときに、やはり信を国民に問うてきちっとしてから物事は進めるという態度は、総理としてはおとりになるつもりかどうか、お伺いいたします。
  230. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 問題を分けてお答えさせていただきますけれども、この前の廃案の結果を厳しく受けとめて、それを踏まえて、廃案になったのですから、あのとき私たちが構想してお願いをした政府原案というものは院では審議未了、廃案になった。ただ、その院を構成される政党、三党で合意を得ることができて、それに従って今度は法案をつくるべく努力をしておるわけでありますから、その新しい国際社会に対する協力のあり方というものの法案がまとまりましたときは、これは国会の御審議をいただくということは当然のことでございます。  また、自衛隊の問題につきましては、これは今いろいろな場合が想定されていろいろな議論がなされてまいりました。三党合意の中にはそれと別個の組織ということが表現されたこともよく承知しております。そういったことを大切にしながら成案への努力を続けておるところであります。
  231. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういう廃案になったという、いわゆる多くの国民が絶対だめなんだという意思に基づいて国会で廃案になったということをきちっと受けとめていただいて、そういう危惧の起こるようなことはもう絶対にしてもらいたくない、これは当然だと私は思います。  それで、今度はまた質問をちょっと変えますけれども、軍備の縮小の問題なのですけれども、いわゆる冷戦構造、これは終わりました。再びああいうことが起こらない限り、世界の軍備はどんどん減らしていくという方向に持っていくのは当然だと思うわけであります。世界軍縮方向ですね。同時に、それは我が国もそれに並行して、並行というよりも我が国も当然軍縮方向に向かって行くために、そういう軍備は縮小していくという方向、これは私当然だと思いますが、総理はどういうふうにお考えになっておりますか。
  232. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 世の中の問題を力で解決しようということは間違いである、力でもって他国を侵略、併合するようなことは許さないというのが今回の最も大きな教訓であったと思いますし、また、冷戦構造の発想を乗り越えて世界が平和と繁栄に努力していこうというなれば、その方向世界じゅうが力を合わせていかなければならぬわけです。ただ、今回のようにとてつもない無法者があらわれたから、そういった我々の願いとか大きな希望というものが打ち砕かれたわけでございます。  したがって、今後、世界の平和と安定を本当に確保していくためには、軍備の縮小、軍備管理ということは今後大きなテーマになってくるものと思います。言葉をかえて言いますと、イラン・イラク戦争の前後からあのようにイラクを強大にしてたくさんのミサイルを持たせてしまったのはだれだということになってくれば、おのずからそこには、そこを今後はとめていかなければならぬという問題も出てくるはずでございます。しかし、たくさん国がある中で特定の国だけを真空地帯にして、特定の国だけが軍縮をやってということでは、その地域の安定にはかえっておかしな刺激要因になることも考えられないわけではありません。したがって、これはあくまで国際的な理解と国連等の国際機関というものが大きな役割を果たす場所で行わなければならぬと思っております。  私ども日本はそういった意味で、ミサイルの関連輸出規制の国際会議は近くやりますが、五月には軍備管理、軍縮問題等に関する国際会議を開いて、そこで、これまでの経緯を踏まえて各国の識者やあるいは各国の考え方を代表できる人々にいろいろそこで討議をしてもらう。今後とも世界軍縮という問題、軍備管理という問題については、日本はみずからの経験やよって立つ理念を踏まえて積極的なイニシアチブをとっていかなければならない、こう考えておるところであります。
  233. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がちょっとございませんので、それで九十億ドル、我が党は賛成しました。その九十億ドルを賛成した、そして平成三年度から防衛予算を一千二億削減しました、話がついてですね。新中期防計画総体としては二十二兆七千五百億のうちから、二十二兆六千五百億になりました。三年後この見直しがある、こうあります。そのときにこの一千二億を復活するというようなことはもうないと思います、そんなことがあっては、これはごまかしですから。あくまでも現在のところ新中期防計画の総体としては二十二兆六千五百億だと理解しておりますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
  234. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 第二次補正予算に賛成していただきましてありがとうございました。改めてお礼を申し上げておきます。  同時に、そのためにすべてを国民の皆さんの負担に任せてはいけないという御主張も十分踏まえて行いましたのが、その一つとして防衛関係費の削減の問題がございましたが、これは一千二億ということでございまして、そして一千億円余りのこの問題は、平成三年度の初年度では小さいものでありますが、その後、後年度負担の分が絡んでふえていくわけでありますから、三年後の見直しとの関係においては、これは政府としては誠実にこれを措置してまいります。
  235. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、総体としての新中期防の総額の予算についても、さっき総理がおっしゃったように世界的な全体の軍縮方向からするとこれがふえていくということは逆行ですから、そういうことではなくて、額の問題は別にしましても、これは縮小の方向にぜひ行ってもらいたい、このように思います。  時間がありません。  実は、総理のODAの見直し発言、非常に前向きに私たちも受けとめて、この委員会でも決議をすべきではないか、委員長にも申し上げたわけです。ところが、外務省の方から物言いといいますか、いわゆる総理の発言についても、そんなことできるわけがない、中国だってブラジルだって、どんどん武器輸出、そこにODAやらないというわけにはいかぬ、ケース・バイ・ケースいろいろあるのだからという、何か消極的な反応が来ているわけですね。ですから、総理がそういう意図があっておっしゃっていること、その総理の意図についてはやはりぜひそれが反映されるようにされるべきだと私は思いますが、総理、どう思いますか。
  236. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 それは反映させるように指導いたします。
  237. 玉城栄一

    ○玉城委員 非常に大事な問題でありますので、ぜひお願いしたい。  最後に、第三次沖縄振興開発というのが来年から始まります。恐らく私は、沖縄の振興開発というものはこの三次計画が最終段階ではないかと思います。先ほども上原先生からありましたとおり、高率補助の問題であるとかぜひ続けていただきたいいろいろな問題がありますが、その中で、多くの基地を抱えている沖縄で、この三次振興開発計画の中にいわゆる全面基地返還という文言を入れようか入れないかで今大もめしているわけですね。これまでの沖縄の振興開発で非常に大きな障害になっているのはこの基地の問題ですね。ですから、多少この文言は修正して今回の沖縄県の三次振計の大綱には出てきておりますけれども、私は、沖縄側がそういう要望があるというのは、国とまた調整しますから別に入れても構わないのじゃないかと思いますが、総理、どのようにお考えになりますか。
  238. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 質問の御指摘のあったものは、全部資料もとり、調べて勉強してまいりましたが、その具体的な御質問ございませんでしたし、また手元に持っておりませんので、どういうことが書き込まれるのか、今までの問題のこと知りませんので、よくチェックしてから御答弁したいと思います。
  239. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、だから沖縄というのは米軍基地が非常に多い、長い間それが振興開発の障害になっている、だから米軍基地はできるだけ一つもない方がいいというのが地元の要望だ、私もその通りと思う、総理はどうお考えになりますか、これだけですよ。
  240. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 私ども安保条約に基づきます米軍の駐留は、日本の安全、それから極東における国際の平和と安全の維持に寄与しておりまして、沖縄におきます先生指摘米軍施設区域も同様でございまして、したがいまして、沖縄におきます米軍施設区域の円滑かつ安定的な使用を確保いたしますことは、安保条約目的達成のためにぜひとも必要であると考えております。  しかしながら、先ほど来御指摘ございますように、沖縄県におきます米軍施設区域の密度が非常に高く、その整理統合につきまして、沖縄県民におかれまして強い要望があるということも十分承知しております。したがいまして、施設区域の整理統合問題につきましては、従来どおり引き続き米側と鋭意調整していく所存でございます。
  241. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間が参りましたので。
  242. 牧野隆守

    牧野委員長 古堅実吉君。
  243. 古堅実吉

    ○古堅委員 在日米軍駐留経費の負担増とペルシャ湾への掃海艇派遣の問題について総理にお尋ねしたいと思います。  在日米軍駐留経費日本負担は、基地従業員の本給や光熱水料まで広げる今回の特別措置によって駐留経費全体の五二%、米軍人軍属の給与を除けば日本の負担は実に七割にも大きく拡大されることになります。これは、海部内閣の対米従属の姿勢がもたらした結果と申せます。同時に、海部内閣は、圧力をかければどんな負担にでも応じるものだとアメリカ側に受け取らせるようなことになったんではないかというふうに思われます。御所見を賜りたい。
  244. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 私は考え方を異にしておりまして、従属ではなくてこれは協調である、圧力をかければ何でも言うことを聞くというような自主性のない態度をとりたくはありませんし、これからもとっていかないつもりでございます。
  245. 古堅実吉

    ○古堅委員 一九八七年に成立した現行協定の期間は一九九二年三月三十一日までであります。まだ一年ございます。それなのに、一九八八年の改定についての論議のときに、この五年間の協定期間中は基地従業員の本給に手をつけないと当時の宇野外務大臣が国会で約束をされたんです。そういうことを前提にしながら、今回このような形で国会への約束まで踏みにじって、アメリカへの要求どおりの日本政府の思いやりを果たしていこうということになるわけですから、対米追従の姿勢ではないか、こう指摘をせざるを得ないわけなんです。  しかし、アメリカは、こういうことをしてもこれで思いとどまる、そういうつもりなどございません。例をとって申せば、アメリカの国防授権法や国防歳出法で明記されておるように、米軍人軍属の給与以外は日本に負担させるということがアメリカの最終目標そのものになっているからであります。  総理、ここで明らかにしていただきたいのですが、日本の負担は今回が限度、これ以上負担は拡大しないということを言い切ることができますか。それを言い切ることができるならば、対米追従の姿勢ということについての汚名もそれなりには晴らされるでありましょう。
  246. 中山太郎

    中山国務大臣 今回の特別協定の御審議をお願いいたしておりますのは、あくまでも日本が、政府が自主的に判断をいたしまして、限定的、暫定的、特例的なこの協定を結んで、地位協定そのものを変えるというようなものではございません。  その背景にありますものは、日米間の貿易不均衡によって日本が恒常的に黒字を膨大に計上している、アメリカは対外債務の累積額も六千億ドルに近づいておる、また、財政赤字の累積も三兆ドルを超えている、こういうような厳しい財政事情の中にあって、米国は世界の平和を維持するためにグローバルな努力をしておる。こういう関係の中で、日本は同盟国として自主的に今回の特別協定をつくり、そして米側の負担を少し軽くする、そして、日本アメリカとの負担が均衡するような形でいくことが極めて好ましいという判断をいたしたわけであります。
  247. 古堅実吉

    ○古堅委員 外務大臣、そういうすれ違いの御答弁をお聞きしたいというつもりなどさらさらないんですよ。  今の御説明からしますというと、日本側の負担というのは今回で拡大の方向というものを終わりにはならないんだということを御説明しておられるというふうに承っていいんですね。念を押してお聞きします。
  248. 中山太郎

    中山国務大臣 いずれにいたしましても、現時点においてこの協定に定める措置以外の措置をとる考えはございません。
  249. 古堅実吉

    ○古堅委員 現段階におけるそういう態度というのは、来年にはどうなるかわからぬということをも含めて、はっきりおっしゃれないということは、やはりアメリカの圧力が加えられれば日本の負担というのはこれからもどんどん拡大させられるんだ、アメリカにそう受けとめられている、そういうことをみずからも門戸を開いて受け入れようとしている姿勢にほかならないと指摘されてもやむを得ないんじゃないですか。  次に、ペルシャ湾とのかかわりでお尋ねします。  最近自民党内で、ペルシャ湾に浮遊している機雷を掃海するために、自衛隊掃海艇派遣させようという動きが強まっていることが新聞などで大きく報道されております。自民党の総裁でもあられる総理は、そのことを承知の上での自民党内での動きなんでしょうか。
  250. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 そのような意見が自民党の中にもあるということは、報道を通じて承知をしておりますが、政府としては、今これらの問題について考え方を固めたものではありません。先ほど来、それは再三ここで委員の御質問に答えたとおりでございます。
  251. 古堅実吉

    ○古堅委員 私もお聞きしておりました。他党の委員の御質問であろうと、答弁なさる総理の御答弁が明確ですっきりしたものであれば、私はあえて何も重ねてお聞きするなどという必要はないと考えます。しかし、何回にもわたる質問をされるその御答弁に、ちっともすっきりしたものが出てこないから、あえてお聞きせざるを得ないのです。  ペルシャ湾への掃海艇派遣の問題は、一九八七年、レーガン政権からの強い要請にこたえて、当時の中曽根首相が自衛隊派遣に踏み出そうとしたけれども、国民の強い反対の声がありましたし、当時の後藤田官房長官からも、おれの目の黒いうちは許さない、そういう反対もあってつぶれた経緯があることは、総理もよく御存じのとおりです。後藤田元長官もまだ目は黒々としていらっしゃいます。  機雷の掃海はれっきとした軍事活動であり、総理としては自衛隊掃海艇派遣に反対の意思を、昨年の臨時国会のこともある、今国会における自衛隊派遣ということにかかわってああいういきさつもある、今度三度目ですよ。何を今さら逡巡されて、これだけ質問されても態度をあいまいにするようなこと、そういうことに総理の立場を求めようとされるのですか。明確な御答弁を求めます。
  252. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 先ほど来お答えしましたように、あの地域の実情がどうなっておるのか、それはだれがどうしておるのか、いろいろなことがまだ、正確な情勢も何もわかっておりませんし、政府としてはそのようなことをしようという考え を固めたわけではございません。
  253. 古堅実吉

    ○古堅委員 外務大臣にお尋ねしますが、あの湾岸地域における機雷は一千個以上にも及ぶという御答弁をされたようでありますが、その情報はどこからのものでありますか。
  254. 中山太郎

    中山国務大臣 日本外交関係を持っておりますクウェートを初め、関係各国からの情報を集めたものであります。
  255. 古堅実吉

    ○古堅委員 外務大臣は、運輸省がこれまで、あの地域が危険だとして航行の制限をしておったものを、去る三月一日以来、その航行についての解除が行われ、日本の油送船もあの地域を航行し始めておるという事情はおわかりですか。
  256. 松浦晃一郎

    松浦(晃)政府委員 私どもが承知しておりますのは、先生がまさに御指摘のように、自粛しておりました航行制限を取りまして、現在のところサウジアラビアのバハレーン、ジュベール等に日本のタンカー等が行っているということは承知しております。
  257. 古堅実吉

    ○古堅委員 機雷の除去という名目で掃海艇派遣するということになれば、これはまさに自衛艦そのものの派遣なわけですから、自衛隊の組織的な海外への派遣ということになると思いますが、総理、そう思われますか。
  258. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 海外派兵というのは、武装部隊が武力行使の目的を持って他国の領土、領海、領空へ行くことを言う。その他の問題でいろいろ提起されたもので、たとえば自衛隊法の百条の四や百条の五に掲げられておりましたようなものを、これを海外派遣と言う。私は、従来の国会の議論を踏まえてそのように受けとめ、理解をしております。
  259. 古堅実吉

    ○古堅委員 自衛隊の海外派遣ということについてお尋ねしたのです。機雷の除去という、確かに武力の行使を伴わないものであるけれども自衛隊の組織的な海外への派遣ということになるんではないか、総理もそう思われますかということを質問しておる。派兵について聞いておるのじゃないです。派遣です。
  260. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 一般論として言えば、部隊がそろって出ていくことは海外派遣になると思います。
  261. 古堅実吉

    ○古堅委員 この自衛隊の海外派遣について、自衛隊法九十九条があるから云々して、ペルシャ湾であろうと地球の裏側であろうとどこであろうと、自衛隊が組織的に組を組んでどこにでも、機雷の除去であればということで、派遣して何ら差し支えないというお考えが仮にもおありですか。総理、お尋ねします。
  262. 津野修

    ○津野政府委員 従来から質問主意書等でお答えいたしておりますけれども自衛隊法九十九条に基づく海上自衛隊の機雷等の除去の権限につきましては公海にも及び得るが、具体的にどの範囲にまで及ぶかについては、そのときどきの状況等を勘案して判断されるべきであり、一概には言えないというようなことで従来から答弁しております。
  263. 古堅実吉

    ○古堅委員 イラク問題は確かに戦闘行為は終わってはおりますけれども、まだ法的には戦争継続の地域であることははっきりした状況であります。三月二日の安保理六百八十六号決議によれば、イラクが地雷、機雷といった爆発物などの所在の情報や援助の提供など、終戦に必要な措置をとり、それを国連事務総長と安保理に報告しなければ、敵対行動の完全な終えんとならないことになっております。実際、安保理は終結宣言も出しておりません。となると、このペルシャ湾は、安保理決議からいっても、いつ武力行使があるかもしれない、そういう可能性を持ったいわば準戦争地域であるというふうに理解しておりますが、総理もそう理解されますか。
  264. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 安保理決議によりまして、現在この問題の地域におきましては、幸いにして戦闘が停止した状態にございます。  ただ、交戦に参加いたしました両当事者間の最終的な停戦合意というものは現在交渉をされておる、そういう状態にあると思います。ただ、事実上戦闘行動は停止しているというのが現状であるというふうに認識しております。
  265. 古堅実吉

    ○古堅委員 先ほど申し上げたことを繰り返しませんが、ということは条件が整わなくなったら、言っておりますように多国籍軍は戦闘を再開することもあり得る、そういう状態下にあの地域というのは現在置かれているということについては確認できますか。
  266. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 現在、最終的な停戦に向けての当事者間の話し合いが行われておるという状況にあるわけでございます。見通しとしてどうかということになりますれば、恐らくはそのような最終的な停戦に近く到達するであろうというふうに考えております。
  267. 古堅実吉

    ○古堅委員 こういう地域での機雷の除去という直接武力の行使を伴わないようなことであっても、自衛隊派遣し、掃海艇で除去するという作業は、明らかにまだそういう準戦争地域におけるところの軍事行動そのものというふうに断ぜざるを得ないですよ。総理、そう思われませんか。
  268. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 安保理決議六百八十六号にもございますとおり、この地域あるいはこの水域と申し上げた方がいいかもしれませんが、この水域における機雷等の除去につきましては、イラクに対しましてこの決議が、ちょっとそこだけ読ませていただきますと、隣接水域における地雷、仕掛け爆弾及びその他の爆発物等につきまして、それらを特定するためのすべての情報及び援助を提供するということを義務づけているわけでございます。したがいまして、その前提には、この水域において航行の安全等のために残った機雷の除去をするということが想定されているわけでございます。
  269. 古堅実吉

    ○古堅委員 新聞報道によりますと、アメリカ側から日本掃海艇派遣してほしいという申し入れがあったとか、いやなかったとかいろいろ言われているようであります。念を押してお聞きしますが、アメリカからそういう要請が日本の側にもたらされておるのですか、ないのですか。
  270. 中山太郎

    中山国務大臣 そういう要請は来ておりません。
  271. 古堅実吉

    ○古堅委員 そういう要請がないにかかわらず、あった場合にはこたえようということで、この問題について日本政府が自主的に準備を始めるなどということが断じてあってはならぬというふうに思いますが、総理、もう一度御意見を聞かせてください。
  272. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 外務大臣が申し上げたとおり、具体的にそういう要請を受けたことはありませんが、受けたことがあるかないかにかかわらず、政府としての考え方は、そういったことをやろうと腹を決めたわけでもありませんし、ただ、あの地域状況を正確に知っておくことが、累次あの地域に出入りする日本の船員にも情報として提供しなければならぬし、国の安全保障の上からいっても、いろいろな面で検討すべきことはたくさんあろう、こういうことでございます。
  273. 古堅実吉

    ○古堅委員 ペルシャ湾内の掃海という大義名分を立てれば、今度こそ自衛隊の海外派遣への突破口をつくれるのではないかといういろいろな動きがあるように思いますが、かかるいかなる策動も断じて許すことのできないものであることを厳しく指摘して、終わらせていただきます。
  274. 牧野隆守

  275. 永末英一

    永末委員 湾岸戦争は実質的に終わりました。甚だ喜ばしいことでございます。  今月の九日と十日、私はシドニーへ参りまして、そこで社会主義インターナショナル加盟の政党が集まった首脳会議に出席をいたしました。そこで、湾岸危機と中東の将来という決議案が全会一致で成立しましたが、その決議案が湾岸危機のあり方について次のように申しました。国連決議をイラクに承諾させ、イラククウェート侵略を打ち破るため、国際社会は断固として団結して武力を用いたことは、遺憾ではあるが必要なことである、そういう旨の決議でございました。私も民社党を代表して賛成の手を挙げました。つまり、これは国際社会が団結してやったんだという思いがあったわけでございます。  先ほど海部総理は自民党の新井君の質問に答えて、日本が負けたなんという報道があるが、そんな負けた方と同じようには思われたくないという旨のことをそこで言われたようでありますが、全世界的に頒布されております週刊雑誌にも、この戦争における勝者、ウイナーはアメリカとかイギリスとかフランスとかを申し述べ、負けた方はイラクやヨルダンやイエメン、かてて加えてPLOのアラファトと我が日本国の首相である海部さん、あなたの写真が掲げられて、負けた、敗者だと言っている。これはびっくりしましたね。これは国際的、つまりアメリカの雑誌でございますが、そういうぐあいに日本は見られておるのか、これは事実ですね。なぜこんなに見られておるとあなたはお思いですか。
  276. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 私は先ほどそれと似たような御質問でしたからそうではないんだということを申し上げましたし、当時の日本の立場というものは、国際社会の中において何が守られるべき国際的な大義であるかということ、これは国連決議に従ってイラクが無条件でクウェートから撤退することである、それに従って日本は政治的立場をはっきりして、そしてできる限りの協力をすべきであるということで、国連決議に先立ってイラクに対する経済制裁にも日本は参加しましたし、いろいろなことを続けて行ってきております。  そういった意味で、一つの報道がそういったことを言われたかもしれません。それは報道というものはそういうことがあるでしょう。けれども、ほかの報道の方では、日本も政治的な立場をいち早く表明してこのような行動をしてくれた、九十億ドルの支援というのは団結に対するそれぞれの国の貢献であるという評価も報道の中にはあるわけでありますから、私は必ずしもそれは日本が団結の中に入らなかったとか敗者であるとみなされたようには受け取っておりませんし、これからもそういうアメリカを中心とした二十八にも及ぶ多国籍軍の首脳が決断をして、みずからの国のそれぞれの厳しい経済状況も乗り越えて、国際社会の大義のために血を流す犠牲まで払って参加をし、国連決議の目標を結果として果たしたということに対しては評価もいたしますし、日本としてはできるだけの支援をしていかなければならない、こう考えて行動してきたつもりであります。
  277. 永末英一

    永末委員 海部さんが主観的に努力をされたことは私もそうだろうと思いますよ。その努力にもかかわらず、どうしてそれが外国に映らないかというところに問題がある。外交というのはわかってもらわなければわかりませんわね、わかるはずだなんて言っておったってそれは何にもならぬのであって。この新しく今かかっております新協定というのは中山さんが一月十四日ベーカー国務長官とともに調印をされました。そのときは既に一月十七日に砂漠の嵐作戦が発動することはアメリカ側で決定していた時間帯でございますが、これであの日に調印するということで、湾岸戦争日本協力した、こういうお考えを総理はお持ちですか。
  278. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 日米関係というのは湾岸戦争が全く予想されない戦後日本のスタートのときから極めて大切な二国間関係として持ってまいりましたし、これからも日本アメリカとの二国間関係というものは極めて大切だと思っておりますから、まるっきりこれは別の次元の基本でございます。  それから湾岸の危機に対して平和回復活動日本は武力でもってお役に立つことはできない、今おっしゃった社会主義インターの決議でも、やむを得ざる武力の行使と皆が認めても、その武力の行使に日本が武力でお役に立つことはできませんので、せめてでき得る限りのことをして協力をしていこうという態度をとったのは、この間の第二次補正予算でお願いをいたしましたあの九十億ドルの資金協力でございます。そして、今回のこの地位協定に関する特別協定でもお願いというのは、日米安保条約が円滑に運営されていくことが日本の安全のためにも、日本のためにもこれは大切なことであるという認識に立って処置をしたものでございます。
  279. 永末英一

    永末委員 この協定は今回の湾岸戦争関係ありませんわね。私の見るところでは、アメリカが冷戦後その軍事体制を変える、いわば軍縮方向に持っていく、同時にまた恒常的な赤字、財政赤字を削減するためには、そういう国際情勢に対するアメリカの対処だから当然国防費を削減する、軍人の数を減らし、基地削減していこう、要するに費用を削減しよう、その一環として、湾岸の危機が始まる前から日米間には交渉があったものでございまして、そう考えますと、一九八七年以来いろいろなことがございましたけれども、こっちがもう具体的には全額労務費を持つのは五年という限定した年限がつけてあるから限定的だと答弁をしておりますけれども、五年後も続くでしょう。一九九六年三月三十一日、それはこの協定本文には書いてございますが、それ以降も続くでしょう、どうですか。
  280. 中山太郎

    中山国務大臣 この委員会においてお願いをいたしております現特別協定の期限が五年間ということになっておりますが、五年間の国際情勢変化、またアメリカの財政状態、また日本の経済状態というものを踏まえまして、私ども協定の期間内においてこの期限が切れた後にどのような新しい協定を結ぶかどうかということは、その時点で改めて政府としては考えなければならないと思っております。
  281. 永末英一

    永末委員 そのころあなたが外務大臣である保証はございませんし、海部さんが総理大臣であることも保証されない。しかし五年間は実質的に地位協定二十四条を変更しておるわけですわな。安保体制と言われるアメリカ日本との費用持ち分というのは、労務費に関する限り完全にこれを変えてしまったということが続くのであって、この速記録に残りますから、どうなるかわからぬというような態度で実質的に二十四条の内容を変更するものを海部内閣が出したということは歴史に残りますね。  さて、この湾岸危機の勃発以前には日本とドイツとがやがてその地域の経済的超大国になって、政治的にも力を得るであろうというような評判がございましたけれども、この湾岸危機の七カ月が過ぎました結果、評価が落ちました。それは海部総理もこの場で言っておられるように、金だけではだめなんだということがあそこに実動部隊を派遣した国々を中心としてそういう側からの国際的世論になってきておる。したがって、ドイツは慌ててゲンシャー外相、ベーカー会談を行いまして、アメリカの議会筋では、ドイツは、しかしながらトルコまで航空部隊を送り地中海まで船を送ったというので多国籍軍三十三カ国の一つに含まれておる。日本は全く武力行使、武力を提供しませんからその中には入っていない。そういう姿が今のような評判を落としたということで、ゲンシャー・ベーカー会談の結果掃海艇をペルシャ湾に送るということで送っておるわけですね。掃海艇問題というのはそういう問題なんですよね。  したがって、私どもも、日本掃海艇を送るかどうかについては政治家としての海部さんがしっかり腹を決めて判断をしてかかっていかなければならぬ問題だと思います。必要かどうかを調査してからだと言いますが、必要としているところがありますね。例えばこの海域に日本の船に乗ってやっております海員組合の方々も、ここは食糧もないだろうから、日本には食糧関係の船があるからそれを持っていきたい。トロール船などは水がつくれるから水をつくる船も持っていったらどうだろうか。それから電力は不足である。モジュール船等を送ったらどうか。こんなのは賛成されますか、海部さん。
  282. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 まさに、前回の国会でそういった生活物資や人道的なものの輸送、その他についての案をまとめて御理解と御協力をお願いしようと思ったのでありますが、そのようなことについてはやはり手続的に、平和協力法案のあのような結果を見ましたので、それはできないことに相なりました。  今三党合意に基づいて新しい国連協力のあり方 について議論をしておりますけれども、その問題と今回の方々で出ております掃海艇の問題とはまたちょっと次元の違ったところから出てきた問題でありますから、政府はそれについては今まだ何も考えをまとめていないということでありますが、具体的にお示しになったあの地域に対して必要な水とか生活物資とか、そういったものが届けることができたら、それはやはり全く非軍事面の人道上の問題でありますから、できれば考えたいと思っておるケースの一つでございます。
  283. 永末英一

    永末委員 あの三党合意とかそんなことを聞いているんじゃないですからね。聞いたことだけ返答してください。あと七分ぐらいしかないものですからね。  さて、そういう船を持っていこうとすると航行の安全がないと行けない。機雷がどうなるかわからぬということでは行けない。機雷は除去されねばならない。機雷の掃海は必要である。したがって、アメリカもイギリスもそれからスウェーデンも、ベルギーまで掃海艇を送り、ドイツもまた送ろうとしておるわけですね。ドイツなどはNATO地域を越えて送ろうとしておる。そこまでやろうとしておる。それがいわゆる戦闘が終わりました後での中東貢献策。そして何が必要かといえば、物を持っていくためには航行の安全が必要である。したがって、機雷を除こうということでみんなが努力をしている。したがって、これは今必要なんでしょう。
  284. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 あの地域にいろいろ人道的な救援が必要だということはそのとおりでございます。
  285. 永末英一

    永末委員 機雷の除去が必要なんでしょう。人道的な救援をしようとすれば船が行かねばならぬ。安全に行かすためには機雷があったら危ないじゃないですか。
  286. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 もし機雷がたくさんあって危ないというときには、除去することは当然必要でございます。
  287. 永末英一

    永末委員 そこへ各国が、今申し上げました国が掃海艇をやっていることは、そこに機雷があるから行っておるのであって、機雷がなければ行きやしませんよ。機雷があるからそこへ行っている。しかし、そのどこに機雷があるかなんです。だから掃海艇をやるのであって、初めからわかっておったら別の手段で措置ができますよね。私は、あなたがまず必要だということを調査してと、必要だからほかの国は動いておるんだ。能力も調査して──あなたは日本の海上自衛隊掃海艇は能力がないと思いますか。
  288. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 掃海の能力及び長距離の航行の能力は備わっているところでございます。
  289. 永末英一

    永末委員 能力についてはだから調査する必要はないですね、総理。
  290. 畠山蕃

    ○畠山(蕃)政府委員 我が国の掃海の能力は十分でございますけれども、先ほど来調査を要するというのは、それ以外の点についていろいろと運航の問題でありますとか、どうやってあれするとかいう問題でございますが、いずれにいたしましても、私ども防衛庁といたしましては、現段階でまだ検討するような段階に至っておりませんので、詳細についてはどういうことを考えているかということについては、お答えする立場にございません。
  291. 永末英一

    永末委員 八月二日にイラククウェートに侵略しました。日本政府が最初にこれに対するいわば貢献策を出したのは八月二十九日。結論なしなんだな。医療部隊の先遣部隊調査をやる。行って、結局湾岸危機は終わりましたが、医療部隊は実質的には行かないで終わった。それが調査なんだよ。そんな調査やめてくださいね。実効のある調査をやる。それは腹が決まらなければやらないですから。やろうと思って調査するのとやってもやらぬでもどうでもよくわからぬから調査という名前で時間待ちをしよう、これは政治じゃない。そんな態度では日本に対する信頼感は得られない。  海部総理、あなたはさっき中曽根さんの考え、見解は今もそうだと受けとめておると申しました。中曽根さんがあのときに申しましたのは、一つには掃海をするということは武力行使ではないということ。公海上でやることはこれは日本海であろうとペルシャ湾であろうと法律的に差はないということ。それから、いわゆる派兵ではないということ。今は戦時中でございませんから、戦闘に巻き込まれるという当時の状況判断で行かなかったことはもうなくなっておる。したがって、あなたが決断されれば法律的には問題がないのではないですか。
  292. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 先ほど来お答え申し上げておりますように、私も憲法上の海外派兵には当たらないとこのことは申し上げました。同時に、武力の行使というものとそれからそういった機雷の除去については、このとき中曽根総理の答えられたように、公海上に遺棄されたと認められる機雷について、それが我が国船舶の航行の安全にとり障害となっている場合に、それを除去する行為そのものは武力の行使には当たらないということは、私もそうだとお答えを申し上げておるわけであります。
  293. 永末英一

    永末委員 この国連の安全保障理事会の決議六百八十六号は、最終的な、法律的な意味での戦争というものはまだ終わっていないかもしれませんが、実質的な戦闘は終わっておるし、イラクにそれを再開するつもりもない。  さて、調査調査と総理あなたは言われるが、いつから調査をやるのですか。既にやっておるのですか。それとも、六百八十六号によってまさに国連があの地域の危機は、イラクの行為によって起こったものは終わったと言うてから調査するのですか。お答えを願いたい。
  294. 牧野隆守

  295. 永末英一

    永末委員 条約局長じゃないよ、総理の決意の始まる時期じゃないか。
  296. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ただいま先生指摘のとおり、安保理決議によりまして現在事実上、戦争、戦闘行為は停止の状態にございますが、最終的な停戦というものは当事者間の合意を待っているという状況がございまして、遠からずそのような状況になるというふうに期待しておるところでございます。
  297. 永末英一

    永末委員 そんなことを答弁して時間を食わないでくださいよ。総理、僕が聞いているのは、ああいうことだからあなたは調査をしなければわからないとおっしゃったが、それは全く五分五分の姿勢で、何か調査というものをやってからでないと腹は決まりませんというのか。これは掃海しなければならぬというあなたの意思を持って調査をしているのか。その調査も、あのように形式的な停戦が成立していないからなんというと、それを待ってやるのか。そうじゃなくて、もう戦争はありゃしませんよ。  それならば、今から機雷の掃海ということで、海上自衛隊日本の政府機関がそういうことをちゃんとやるのだというつもりで、あなたが調査をさせているのか。一体いつあなたは調査をするのか。既にしておるのか、国連の形式的決定を待つのか、その辺は国民に言うてくださいよ。外務大臣アメリカへ行って機雷のことを聞かれたら言うことありませんわな、これ。
  298. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 先ほどからお答えしておりますが、これは機雷がまだ浮いているか浮いていないかの調査だけではありません。その他いろいろな状況を正確にとらえて、それに慎重に対応していかなければならぬわけでありますから、日本の新しい行動としてそれがどのようなことになるのかということを今政府としては腹を決めるという前の段階でありますから、やれとかやるなとかいうことを断言しろと言われても、今あの地域状況がどうなっておるのか、必要性があるのか、あの地域だけでまだ終わっておらぬのかといういろいろな問題があろうと思います。それを今調査をしておるところであります。
  299. 永末英一

    永末委員 もう終わりますが、アメリカ軍の軍艦は二杯触雷をしておる。したがって、大体のことはわかっておる。わからないのはいろいろな作戦等の関係上、その必要性のなかった海域はわ かっておらぬかもしれません。だから掃海艇が行っておるのです。だから調査といったって、わからぬものを調査に行ったってわかりませんよ。しかし、これは掃海をしなければならぬといって調査をするのと、わけがわからぬで調査といって時間を待っておるのとは違う。だから、日本国総理大臣として、この機雷というものは、ペルシャ湾における危険物は日本政府として除去すべきだ、掃海艇を送るべきだという方針で調査をするのかどうか、もう一遍お答えください。
  300. 海部俊樹

    ○海部内閣総理大臣 日本にはいろいろな制約がございます。ですから、機雷がたくさんあって除かなきゃならぬということは、私は申し上げたとおりです。しかし今いろいろ議論しておる。この前の国会のやりとりやあるいは三党合意をめぐっての御議論やいろいろな世論の中で、自衛隊の海外派遣ということについての何回も異なる角度からの御議論も願っております。ですから、三党合意とこれとは私は別の問題だと思いますけれども、そのときに民社党は、自衛隊と別個の組織でいけということが今後の方針としての三党合意に出てきておる問題。それと、今回のこれとをどのように御判断、御理解いただくのかということなんかももっと詰めてからいきませんと私はいけませんから、正確に実情を把握して、そして判断の基礎を集めてこれから調査をして考えます。
  301. 永末英一

    永末委員 終わります。
  302. 牧野隆守

    牧野委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  303. 牧野隆守

    牧野委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。園田博之君。
  304. 園田博之

    園田委員 自由民主党を代表して、ただいま議題となっております日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、賛成の討論を行いたいと思います。  現在の国際社会は過渡期に特有の不確実性と不安定性を内包しており、地域紛争が発生する可能性も少なからず存在しております。昨年八月のイラククウェート侵攻により発生した湾岸危機は、まさにこのことを象徴的に示す事態といえましょう。  日米安保条約はこのように引き続き不透明、不安定な国際情勢の中にあって、日米関係の基礎をなす強固なきずなであり、抑止と対話による平和の追求を可能とするとともに、我が国を含むアジア太平洋の平和と安定にとって不可欠な枠組みとして機能していくものであります。  我が国としては、我が国の平和と安全の確保にとり不可欠な日米安保体制信頼性の向上と円滑な運用の確保のために我が国としてなし得る努力を行うことが極めて重要であり、在日米軍がその駐留の目的を円滑に達成できるよう在日米軍経費の問題についてできる限り積極的に取り組んでいく必要があると考えます。  特に、日米両国を取り巻く最近の諸情勢には、米国の抱える膨大な貿易赤字と日米間の経済力の相対的関係変化といった経済情勢の変化、米国が膨大な財政赤字を抱えながらも国際の平和と安全の維持のためグローバルな役割を果たしており国防費、在日米軍経費の著しい逼迫に直面していること、さらに、我が国が国力にふさわしい役割をみずから積極的に果たしていくことがますます求められているといった変化が生じております。  このような状況を踏まえ、我が国としては、在日米軍経費の我が国負担増加に関する新たな措置をとることが必要であり、このため新たな特別協定締結することにより、在日米軍従業員に対する基本給等及び米軍等が公用のため調達する電気、ガス、水道及び下水道並びに暖房用等燃料に係る経費の全部または一部の負担を行うことは極めて適切なものであると考えます。  このように、本件在日米軍駐留経費特別協定締結は、我が国の安全に不可欠な日米安保体制の効果的運用を図るゆえんであり、これを承認することにつき積極的に賛意を表するものであります。  以上で、賛成討論を終わります。
  305. 牧野隆守

    牧野委員長 川島實君。
  306. 川島實

    ○川島委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題になっております在日米軍駐留経費特別協定締結について承認を求める件に反対の立場から、その主な理由を申し述べます。  第一に、アメリカ合衆国は、ソ連の脅威がなくなり、東西冷戦が終わった、今後はアジア地域の駐留米軍を三年間で六千人縮小すると発表しているにもかかわらず、我が国はこれに逆行し、地位協定に特例まで設けて逆行した対応をしていること。  二つには、条約第六条の実施に関する交換公文があるのに、米軍日本国内における配置、装備の重要な変更がこれまでたびたび行われているのに事前協議が行われてないこと。  三つ、日米地位協定第二十四条第一項に駐留米軍経費は米国負担の原則が明記されているのに、我が国のこの経費の特例的な負担は地位協定の改変そのものであることなのに改定がなされてないこと。  四つには、今後我が国の負担割合は駐留経費総額の五割に増加していく、これでは我が国の安全保障政策上において駐日米軍の位置づけがますますあいまいになっていること。  最後に、日本の独立国としての歩み、各国と親善を深め独自外交を展開する道筋から、今回の特別協定によってなお遠のいてしまうこと。  以上、私は、在日米軍駐留経費特別協定の反対理由を申し述べ、私の討論といたします。(拍手)
  307. 牧野隆守

    牧野委員長 古堅実吉君。
  308. 古堅実吉

    ○古堅委員 私は、日本共産党を代表して、日米地位協定第二十四条についての新たな特別協定に対する反対討論を行います。  反対理由の第一は、この新たな協定によって、在日米軍経費日本負担は、総額に占める割合が五二%、米軍人軍属の給与を除けば七割にまで大きく拡大されるからであります。米軍地位協定によってさえこれらの経費アメリカが負担すべきものであります。  第二は、現行協定の有効期間は一九九二年三月であります。八八年の改正の折には、当時の宇野外相が、この協定期間中は従業員の本給には手をつけないと繰り返し言明してきたにもかかわらず、一年も前倒ししたことであります。国会をだまし討ちにする政府の態度は議会制民主主義の点からも断じて許せません。  第三は、この一年前倒しが湾岸戦争支援の一環として実施されたことが明白であるからであります。アメリカは、イラク問題を利用して、年来の在日米軍駐留経費の劇的負担を迫りました。湾岸戦争でブッシュ政権に表明した全面支持の一つとして本協定締結されたことは否定できない事実であります。  第四は、アメリカ米軍人軍属の給与以外は日本に負担させる明確な目標を持って日本に負担拡大を迫っているにもかかわらず、また、在日米軍日本防衛を第一義的任務としていないことが明白になっているにもかかわらず、政府は今後も日本負担を拡大していく姿勢をとり続けていることであります。  日本国民の生活関連予算を犠牲にして、日米安保条約地位協定にも違反して行われる本協定に反対して、討論を終わります。
  309. 牧野隆守

  310. 和田一仁

    和田(一)委員 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっておりますいわゆる在日米軍駐留経費特別協定締結について承認を求めるの件について、賛成の討論を行います。  日米安保条約締結から三十年が経過しました。我が国の平和と安全にとって日米安保体制が果た した役割にははかり知れないものがあるわけでございます。また、今後の我が国外交考える上でも、日米安保体制の効果的運用を確保することは極めて重要な課題であります。  しかしながら、在日米軍駐留維持費はアメリカが負担し、日本はその施設等の提供をするに限るとした日米地位協定二十四条を踏まえるとき、日本人従業員の労務費や光熱水料のすべてを日本側が負担するということは、その原則に抵触するとの感を強く抱かせるものであります。  政府は従来、日本側の負担増につき、地位協定上の限界があると言いながらもその抜本的見直しには手をつけずに、また、明確な原則を示すこともなしに、このような措置を暫定的であり、限定的なものであり、特例として実施するとして、過去段階的に我が国の負担増を図り、当面を糊塗してまいりました。このような手法は必ずしも広く国民の理解を得るものでないことを改めてここに指摘し、今後政府の新たなる対応を求めるものであります。  同時に、新しい国際情勢のもとでの日米関係について、真のパートナーシップとは何であるかを見きわめ、その維持発展のために誤りなき政府の対応を強く求め、私の討論を終わります。
  311. 牧野隆守

    牧野委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  312. 牧野隆守

    牧野委員長 採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  313. 牧野隆守

    牧野委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  314. 牧野隆守

    牧野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  315. 牧野隆守

    牧野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十八分散会