○井上(普)
委員 日本外交というのは、将来を予測して
外交をやるのが、
外交ありき、先取りしてやるべきだと私は思う。
先日、上原
委員の質問に対しまして
外務大臣はヘルシンキ宣言、これが
欧州統合の基礎になるのだということをおっしゃられた。私はそのとおりだと思う。しかし、あのヘルシンキ宣言が出されたときに
日本の
外務省はこれをどのように
評価していましたか。何ら
評価してなかったではありませんか。
欧州統合が進むにつれてあの基礎にはヘルシンキ宣言があるのだということを知り、最近になってヘルシンキ宣言ということが言われ始めておるのであります。私はそのときに外務
委員でここにおりました、そのときにそのことを申しましたら、一笑に付すというようなおざなりの答弁であったのであります。
私は海外へ折々旅行させていただいております。そうすると、在外公館は我々国
会議員に対しましては過剰な接待をいたします。過剰と言っていいほどです。それは、国
会議員の中には妙なのがおりまして、飛行場へ大使以下迎えに来なかったからといって、大使館の中で一列に並ばせてお説教をしたというような人もある。それが自民党の中では偉いのだから。こういうような人もおるから、それは
外務省の諸君もなかなか難しいとは思うけれども、我々に対しては過剰サービスだと私は今までも言い続けてまいった。しかし、行ってみるというとどうも我々が失望することが多い。
特に、私は
ポーランドのグダニスクで問題が起こったときに、実はフィンランドに入り
ポーランドに入ったのであります。まだ新聞記事には出てなかった。
ポーランドへ入ってどんどん大きくなったのですが、そのときに、フィンランドの国
会議員の情報というものは、実に正しい情報を我々に示したのです。なるほど、フィンランドという国は、西欧と
大国ソ連との間に挟まっ
てこれほど
外交的に気を使い情報を集めているのだなと感心をいたしたのであります。そういう経験があるから、私はヘルシンキ宣言というものは将来重要なものになるのではないかといっ
てここで質問した覚えがございます。
しかし、どうです。在ヘルシンキの
日本の大使館は今人数は幾らおりますか。この間も、去年の八月にもブッシュ大統領はヘルシンキの大統領に頼んで、そしてゴルバチョフをヘルシンキに呼んで湾岸戦争、湾岸対策について
協力を呼びかけ、あそこで会談いたしておるじゃありませんか。ところが、
日本の
外務省というのは、あのフィンランドの大使館というのはそれほど地政的にも重要な大使館であるにもかかわらず、ブルガリアあるいはルーマニア、小国と言ったら失礼になるかもしれませんが、その
国々と同じような人員配置しかできていないのが今の
外務省の姿ではございますまいか。
さらに言えば、こういうようなことを考えると、一体
外務省というのは何を考えているのだろうというのが私二十四年間国会に籍を置いての感想なんです。これは何とかしなければいかぬ、常々思いましたら、昨今になりまして、湾岸戦争に際して
外務省の情報不足というのが余りにも明確になり、
日本の
外務省は一体何しているんだというのがマスコミあるいはまた世論として沸き起こっている。ために、このたびも、行革審は
日本の
外務省のあり方、
外交のあり方、それについて審議を始めるということが言われ始めておるのであります。ここにおる
外務省の諸君、もう少しともかく関心を持ってやっていただきたい。
だからもう
外務省、外務高官には
外交は任せら
れぬ。交通手段あるいはまた情報の伝達が非常に速い時代になっておりますから、こういうように
政治家が第一線に立って首脳
会議等々が行われ、あるいはまた
外務大臣同士が話し合うというようなことになってきた。それもありましょうが、ひとつ
政治家同士で話し合って、
日本の将来は話し合おうじゃないかという、先ほども
川崎さんの提言が行われるようになるのは余りにも
外交官が秘密主義で、秘密主義ということは自分が知らぬから秘密にしておるのだろうと私は思う。こういうように甚だ情報不足と言わなければならない実態を―─私は、間違ってもらっては困る。
日本はこういうような国です、平和憲法を持っておる国です。しかも、
経済力が豊か、強くなった国です。
外交の重要さというものは重々存じておる。
日本でどの省が一番大切かと言えば、私は
外務省だといつでも言っている。二番目にどこだと言ったら、私は文部省だと言っているんです。ところが、この
二つの役所がどうも我々から見ると何かだらしない役所になっているから、あえ
てこういう質問を私はいたすのであります。
この間も、湾岸戦争の情報、一体どこから出ているんだ、
アメリカからもらわなければしょうがないというような姿でしょう。ほかにもあの付近には
日本の大使館がたくさんある。昔は大使館と言えば、
日本の大使と言えば戦前では十四、五人だ。ところが、今では百五十人も大使がおる。ところてん式にキャリアの諸君は大使になっておる。ここらあたりに気の緩みもあるんじゃないか。これがなければ、私の杞憂に終われば幸いだな、こう思っておるのです。
これはともかくといたしまして、情報
一つでも
アメリカからもらわなければ
日本の
外務省は何ら知らない、少なくともこの間の湾岸戦争については。まことに残念に存じておるのであります。これらに対しまして、ただいま申し上げたことにつきまして
中山外務大臣の御所見を承りたいと思うのであります。