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上野(寿)
政府委員 国際比較の中で
我が国の料金がどうなんだという御質問に対しまして、先進国数カ国を比較したデータで先生に少し申し上げて御了解いただきたいというふうに思いますが、単純に比較いたしますと、
平成二年の十一月のこれは為替レートを中心にして比較するということになりますけれ
ども、書状あるいははがきの比較を申し上げますと、
日本に対しましてフランス、西ドイツ、この辺は
日本より若干高いのではないかというふうに思われます。それから、イギリスあたりは大体
日本と同じ。料金が低いかなというのはアメリカ。こういったところがうかがわれますけれ
ども、これに対しましては、基本的に国内の
郵便料金といいますものはそれぞれの国におきまして
郵便サービスを提供するのに要する費用を償うということでございますので、それぞれの
各国の
事情によるところが大きいということで一概には申せないのかなというふうに思っております。
それと、為替レートで比較をするということになりますと、そのときの変動が非常にあるものですから、例えば円高というふうなことで、諸
外国の
郵便料金が上がっても、円高がそれ以上の割合で上がるというふうなことになりますと、単純に絶対値で比較した場合は
日本の料金はなお高いというふうな、非常に矛盾した形も出てくるというふうな実情にございます。ともあれ、いずれにいたしましても国内のそれぞれの
事情で国内料金は決まっておるということでございまして、私
ども日本の料金にいたしましても適正な料金で今後ともサービスを提供してまいりたいというふうに思っております。
それから、黒字が出ておるのでそれをお客様方に還元をしたらどうだということでございますけれ
ども、正直言いまして、ようやく
郵便事業につきましては黒字に転化することができております。昭和五十五年の段階で申し上げますと約二千五百億円の累積欠損金を抱えておりまして、それが五十六年の料金改定以後、まあ大体九年あるいは十年近く、その後は料金を
改正しないで事業を続けてまいりましたけれ
ども、その間に
職員の努力もございましたしあるいは利用者の方々の
協力もいただきまして、ようやく六十二年の末に黒字に転化をいたしまして、料金も、この累積欠損金を解消することができたという
状況でございますが、その黒字の部分につきまして単年度で
平成元年度の割合を申し上げますと、一兆六千九百九十六億円の収入に対しまして黒字が百六十六億円と申しますのは、ちょうど一%ということでございます。また累積の黒字の額につきましても、五百五十九億円といいますのは、その収入に対しましては三・三%というような
状況でございまして、とても今の段階でそれをもってお客様方に直接還元をできるというような
情勢ではなかろうというふうに思っております。
なお、
郵便事業につきましては、人件費に依存する度合いが非常に大きいという構造的なものを持っておりまして、今労働力不足だとかあるいは
郵便物数が非常に伸びておるというふうな
情勢の中で、私
どもなかなかこの事業を今の状態を維持するというふうなものも大変知恵を要するというふうな
情勢でございますので、御理解を賜りたいというふうに思うところでございます。
なお、還元につきましては、この
郵便の私
どものサービスの中で精いっぱいの努力をやってまいりたいというふうに思っております。