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1991-03-08 第120回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成三年三月八日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 中西 績介君    理事 岡田 克也君 理事 武部  勤君    理事 中川 昭一君 理事 宮里 松正君    理事 五十嵐広三君 理事 上原 康助君    理事 玉城 栄一君       新井 将敬君    今津  寛君       北村 直人君    町村 信孝君       松浦  昭君    伊東 秀子君       川崎 寛治君    前島 秀行君       藤原 房雄君    古堅 実吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      谷  洋一君  出席政府委員         沖縄開発政務次         官       仲村 正治君         沖縄開発庁総務         局長      造酒亶十郎君         沖縄開発庁振興         局長      水谷 文彦君         外務省北米局審         議官      川島  裕君  委員外出席者         総務庁行政監察         局監察官    山岸 親雄君         厚生省健康政策         局看護課長   矢野 正子君         林野庁指導部造         林保全課長   村田吉三郎君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 堀内 哲夫君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 小坂 英治君         気象庁地震火山         部地震津波監視         課長      内池 浩生君         郵政省放送行政         局業務課長   長澤幸一郎君         自治省行政局公         務員部能率安全         推進室長    石橋 孝雄君         特別委員会第一         調査室長    直江 鷹郎君     ───────────── 三月七日  北方領土問題解決促進に関する請願(上原康助紹介)(第一六五〇号)  同(森本晃司紹介)(第一六五一号)  同(柳田稔紹介)(第一六五二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  沖縄及び北方問題に関する件      ────◇─────
  2. 中西績介

    中西委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めることとし、谷沖縄開発庁長官所信に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮里松正君。
  3. 宮里松正

    宮里委員 私は、先ごろ行われました谷長官所信表明並びにそれに関連をいたしまして、さきに提出をいたしました質問要旨に従いまして、これから質疑を行いたいと思います。  まず最初に、谷沖縄開発庁長官には、大臣就任早々から沖縄現地を訪問され、県庁を初め県内各界各層との意見交換などを精力的に実施されまして、地元から大変な信頼といいますか、親近の念を集められておることをお聞きして、大変喜んでいるところであります。これからも時間の許す限り現地をくまなく訪問されまして、地元との交流、意見交換を深められながら施策を精力的に推進していただきたい、こう思います。  まず、大臣に対しまして第三次振興開発計画策定について御所見を承りたいと思います。  政府は、沖縄本土復帰後、一次、二次の振興開発計画策定いたしました。これに基づいて、平成二年度までにおよそ三兆円余りの資金を投じて沖縄振興開発推進してこられました。その結果、道路、港湾、空港等社会資本が急速に整備され、沖縄経済社会が年々着実に進展してまいりましたことは大臣御高承のとおりであります。しかしながら、大臣所信表明の中で指摘されましたように、沖縄にはまだ社会資本整備の問題あるいは産業基盤整備の問題などでなお一層強力に整備を進めていかなければならぬ部分がかなり残っております。また、米軍基地整理縮小の問題を初めといたしまして、早急に解決をしなければならない、あるいは精力的に取り組んで処理していかなければならない課題が山積しているのであります。  そこで、政府平成三年度の予算編成に当たりましても、平成三年度が第二次振興開発計画最終年度であるところから、従来から続けてまいりました継続事業を飛躍的に進展させることを図りますとともに、新たにたしか三十三本の新規事業を導入するなどのことをいたしまして、将来に向けた政府の意欲的な取り組みを示してきたわけであります。その結果、平成三年度の予算は、その額としても公共事業中心に約二千六百二十億円という、最近でほかなり立派な形のものが確保されました。  このような政府の態度を素直に見てまいりますと、特に平成三年度の振興開発事業費中身を見ますと、政府が現在の第二次振興開発計画に引き続いて第三次振興開発計画策定し、これを強力に推進していこうという気持ちが明らかであります。沖縄開発庁としても、そのような考え方のもとにこれまでさまざまな努力を重ねてこられたと思います。一方、ちなみに、海部総理も非公式にはそのことを表明しておられるのでありますが、残念ながら、担当の沖縄開発庁長官から第三次振興開発計画策定をしてこれを強力に推進していこうという決意が公式にはまだ表明されておりません。そのために地元では、ある種の疑念といいますか、これがありまして多少の動揺がないというわけでもございません。しかし、現実には県は振興開発審議会などを開きまして第三次振計に向けた準備を進めているところでありまして、また沖縄開発庁も、国の振興開発審議会などを開きましてこれから後の、第二次振計後の振興開発計画のあり方などをこれまで鋭意検討してきたところであります。  ところで、第二次振興開発計画平成三年度で終了いたします。平成四年度からは第三次振計に移行しなければなりません。そこで、きょうは冒頭に大臣から、第三次振興開発計画策定して第二次振計に引き続いてこれからも強力に大きな振興開発計画を進めていくのだという決意のほどをぜひとも御表明願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  4. 谷洋一

    谷国務大臣 お答え申し上げます。  昭和四十七年五月の本土復帰以来、第一次振興開発計画並びに引き続いての第二次振興開発計画をいたしまして、三兆二千億円近い金を投入して沖縄格差是正という大問題に取り組み、そして社会資本の充実を図ってきたということは、ただいま委員指摘のとおりでございます。もう十九年たちまして余すところ一年でございますけれども、今後の問題といたしましては、沖縄県並びに沖縄振興開発審議会意見を十分聞きまして、沖縄開発庁といたしましては前向きでこの取りまとめをしたいと考えております。  私は昭和四十二年十一月に沖縄県を初めて訪問いたしまして、当時、私は兵庫県の一町長でございましたが、摩文仁の丘の「英霊に水を捧げる会」というものをつくってその実現を図ったわけでございますが、その当時、ちょうど一週間沖縄本島をくまなく拝見させていただいて、当時の町村長皆さん方から本土復帰を願うという署名を私はたくさんいただきました。そのとき、今後本土復帰してどうなるだろう、大変なことだという実感があったわけでございます。確かに、本土復帰十九年にして沖縄発展ということは御指摘のとおりに非常にあったわけでございますけれども、しかし現実の姿としては、本土にいたしましても過去十九年二十年の間に飛躍的な発展をしたわけでございますから、格差是正ということはなかなか充実していないというのが今の姿でございますし、さらに水不足の問題、離島の問題、失業者の問題等々、産業基盤の非常に脆弱な沖縄県といたしましては幾多の難問題を抱えておりますので、私といたしましては、第三次振興開発計画というものを意欲的にしかもユニークな発想でつくることが最も望ましいものだと考えておりますので、庁を挙げて真剣にこの問題を、先ほど申し上げたとおり県並びに審議会意向を聞きながらやっていきたいと考えております。
  5. 宮里松正

    宮里委員 第二次振計の後の第三次振計はしっかりと取り組んで意欲的なものをつくりたいと力強く表明されたのは大臣が初めてでございます。非常に心強い限りであります。  そこで、第三次振興開発計画策定してこれを強力に推進していくということになりますと、復帰のときに制定をいたしました沖縄振興開発特別措置法をさらに十年延長をいたしまして、その中に規定をされております沖縄のための高率補助制度を維持していかなければならないと私は思います。そうでなければ、幾ら立派な第三次振興開発計画をおつくりいただきましても、これは絵にかいたもちにすぎないということになってまいります。そのことは恐らく大臣も同じお考えであろうと思うのでありますが、念のためにそのことにつきましても大臣の御所見を承っておきたい、こう思います。
  6. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいま御指摘のとおりでございまして、非常に難問を抱えております沖縄県の今後の振興計画からいいますと、言葉の上ではユニークな、飛躍的な、こう言いましても、なかなか実現は至難の問題だと思います。それにつきましてやはり高額の補助金ということは当然だろうと思っておりますので、そういう前向きな姿勢で努力したいと思っております。
  7. 宮里松正

    宮里委員 力強いお話伺いまして非常に意を強くいたしました。  第三次振興開発計画中身をどうするかということにつきまして、大臣先ほど意欲的にユニークなものをつくっていきたい、こういうお話でございましたが、手続的には沖縄県知事に原案の作成権がございますので、沖縄県当局協議を重ねていかなければなりません。しかし、これはまた最終的には国の計画として策定されるわけでありますから、政府といたしましても、とりわけそれを担当いたします沖縄開発庁におかれましては、沖縄県側の意向を踏まえられながらしっかりとした識見とビジョンを持って当たらなければならぬだろう、こう思います。  先ほども大臣は、第三次振計については従来の延長線上だけではなくてユニークなものを意欲的に取り組んでいきたい、こうお話しでございましたけれども、私もそのような考えに同感であります。ちなみに第一次、第二次の振興開発計画は、いずれも本土との格差是正でありますとか沖縄経済自立的発展基礎条件整備するというところに主要な目標が置かれておりました。しかし第三次振興開発計画の場合には、私はそれだけでは必ずしも十分ではないのではないかなというふうに思います。第三次振計のときには、間もなく到来いたします二十一世紀に向けて、まず、激動する世界の中で日本世界の平和を維持し人類の繁栄を図るためにどのような立場に立ってどのような役割を果たしていくかということがしっかりと踏まえられなければならぬと思います。その上で、そのような日本の中で沖縄ほどのような役割を分担していくべきかということを真剣に考えていかなければならぬと思います。具体的な中身あるいは柱立てにつきましてはこれから開発庁中心に国と県との間の意見調整をしっかりとしながらつくり上げていかなければならぬと思うのでありますが、今の段階ではそういう具体的なところまで議論をするにはまだ少し時期的に早いのではないだろうか、こういうふうに思います。そのことに関しまして大臣の御所見をお聞かせ願えれば幸いであります。お願いいたします。
  8. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいま御指摘のとおりに、過去第一次振計十カ年、そして第二次の九カ年を振り返ってみますと、これからの十カ年というものは過去の十九年の間よりも飛躍的に発展するということが我々期待されると思います。これは当然なことでございまして、ですから、第三次振計と申しますかそういうものを策定するに当たっては、過去の積み残しをやるんだという考え方でなしに意欲的に取り組む、というのはやはり積み残し以上に非常にすばらしいものをつくるという考え方をしなければならぬと思うのです。それには何よりもやはり県民皆さん方の盛り上がるものを期待しなければなりませんし、その盛り上がるものを沖縄県が酌み取っていただいて答申があろうかと思うわけでございます。その意味におきまして私は、実務的な問題はきょうはまだ早いと思いますけれども、そういうふうな考え方でやらなければ脆弱な産業基盤というものがかたいものにならないだろう、こう思いますから、委員指摘のとおりに第三次振計(仮称)というものはそういう意味での非常に強力なものでなければならない、こう考えております。
  9. 宮里松正

    宮里委員 大臣指摘のように、第三次振計を二十一世紀という新しい時代に即応できるように立派なものにするためには、まず沖縄地元側がその気持ちでしっかりとした取り組みをしなければならない、国がまたそれを受けて指導鞭撻をしながらそれを仕上げていく、こういうことになろうと思います。今具体的な中身についてはいろいろ私も考えがないわけではございませんが、きょうこの段階でその具体的な内容について実務的なところまで議論するのはいささかまだ早いと思いますので、また時間もそれほどございませんので、きょうは割愛をさせていただきたいと思います。  これと関連をいたしまして総務局長にお伺いをいたしますが、さき総合保養地域整備法関係沖縄県当局側から基本構想承認申請がなされているはずであります。私が承知しておるところによりますと、よその県はほぼ原則として一県一カ所という計画がつくられて、三県ほど今国土庁等々に申請手続がなされているはずであります。沖縄県の場合は、かねてからこの委員会でも議論してまいりましたように全県にわたってかなり意欲的なものを計画を立てまして、基本構想もそのような形で県から出ておるわけであります。したがいまして、国の側がそれを承認する場合にもよそに比べて若干の時間がかかることはいたし方のないことであろうと思いますが、今その承認手続はどのような状況になっておりますか、県内には若干その点に不安を抱いている向きもないわけではないようでございますので、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  10. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま総合保養地域整備法に基づきまして沖縄県が承認申請を行っております基本構想取り扱いにつきまして、その現状あるいは今後の見通しということについてのお尋ねでございました。  ただいま御指摘のとおり沖縄県は、主務省庁省庁ございますが、との事前調整を経まして、昨年十一月二日に基本構想承認申請を行ったところでございます。沖縄開発庁は実はこの基本構想承認する主務省庁ではございませんので、承認申請されました基本構想取り扱い進捗状況あるいは今後の見通しというものにつきまして責 任を持って御説明を申し上げる立場にないわけでございますが、今後、基本構想主務省庁から関係行政機関、環境庁、文部省、厚生省、防衛庁、それに私ども沖縄開発庁でございますが、に協議を行うこととされておりまして、関係行政機関との協議が終了しました時点で承認を受けることができるもの、かように考えているわけでございます。
  11. 宮里松正

    宮里委員 主務省庁省庁調整を終えまして、今沖縄開発庁を初め関係省庁との調整に入っている、こうお聞きしておりますが、そのことはどうなんですか。
  12. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 お答え申し上げます。  ただいま私、今後主務省庁から関係行政機関協議を行うことになっている、こう申し上げましたが、実は事実上の主務省庁の間での協議と申しますか調整と申しますか、これはほぼ終わったように私ども伺っております。ただ、関係行政機関の方でも事実上の協議段階には入っておりますけれども、正式の協議書と申しますのは大体事前協議がある程度済んでほぼまとまりがついてからということになりますので、さような意味合いで今後協議が行われるというふうに申し上げた次第でございます。
  13. 宮里松正

    宮里委員 総合保養地域整備法関係での基本構想、それに基づくプロジェクトの推進等は、沖縄開発庁所管をしておられる沖縄振興開発とも密接な関係を持つわけでございますから、法律上直接の所管省庁にはなっておらぬわけでございますけれども、沖縄に関する限り沖縄開発庁関係省庁協議をしながらこれを進めていくという了解事項もあるわけでございます。今後とも引き続きこれをフォローされて推進を図っていただきたい、このように御要望を申し上げておきます。  きょうは大臣せっかく御出席を賜りまして、大臣にこれからまだまだお尋ねしなければならぬこともかなりあるわけでございますけれども、きょうはほかの省庁にも来ていただいておりまして、若干確認をしたりお尋ねをしたりしなければならぬこともありますので、その点に移らしていただきたいと思います。  次に、自治省慰霊の日の取り扱いについてお尋ねをしておきたいと思います。  昭和二十年三月の二十三日から始まりました沖縄戦は、約九十日間に及ぶ激戦の末に、同年六月二十三日ごろに事実上終えんをいたしました。大方の方御承知のとおりであります。この昭和二十年六月二十三日に、沖縄の防衛に当たっておりました第三十二軍の牛島満軍司令官長勇参謀長が、島の最南端にあります摩文仁の岩頭で自決をいたしました。これによって沖縄戦は、事実上日本軍の組織的な抵抗が終わりました。  そこで、沖縄県では牛島軍司令官と長参謀総長自決をしたこの六月二十三日を慰霊の日として定めました。復帰前から毎年、沖縄戦で亡くなられた方々慰霊祭を行ってきたところであります。復帰の際に制定をいたしました県条例でも、そのことを明定をいたしました。復帰前から続いてきましたこの慰霊祭に、全国各地から遺族方々もお招きをいたしました。そして、県庁が全職員挙げてこれに参加ができますようにということで、県職員を休日扱いにした形でこれを実施をしてまいりました。  ところが最近、地方自治法改正をされました。この改正地方自治法規定されましたもの以外には、地方自治体が独自で条例をもって休日を定めることができなくなってしまいました。その結果、沖縄では六月二十三日の慰霊の日のこの取り扱いをめぐりまして、さまざまな議論が出てまいりました。  もとより沖縄県では、沖縄戦で多数の犠牲者を出しました。県内の全世帯が遺族会の会員といったような状況にありますし、県民の圧倒的多数が従来からの県条例規定を維持いたしまして、県職員も休日扱いにし、県庁挙げてこの慰霊祭参加できますようにしてほしいという意向が圧倒的でありました。そこで、沖縄県ではそのような地元意向を踏まえ、総理沖縄開発庁長官あるいは自治大臣等に対しまして、沖縄県が従来どおり六月二十三日にこの慰霊祭が実施できますように地方自治法を再び改正してほしいという要請が続けられてまいりました。昨年六月二十三日、歴代総理の中で初めて御参加をいただきました海部総理にも、慰霊祭の後で県当局あるいは自民党県連あるいは遺族会などからも要請がございました。総理もこれに理解を示され、お帰りになりましてから当時の砂田開発庁長官あるいは奥田自治大臣等にもお話がございまして、この問題が急速に政府部内でも協議をされるようになってまいりました。そのような結果、自治省当局も鋭意検討を続けてきたわけでありますが、最近に至りまして、これを議員立法の形で処理することにしようということになってまいりまして、次のような地方自治法改正案がほぼまとまってまいりました。  地方自治法の第四条の二の一項は、「地方公共団体の休日は、条例で定める。」こうあります。二項には、「前項地方公共団体の休日は、次に掲げる日について定めるものとする。」ということになっておりまして、限定的にこれが列挙されているわけであります。そして、その次に第三項を新しくつくります。   前項各号に掲げる日のほか、当該地方公共団体において特別な歴史的、社会的意義を有し、住民がこぞって記念することが定着している日で、当該地方公共団体の休日とすることについて広く国民理解を得られるようなものは、第一項の地方公共団体の休日として定めることができる。この場合においては、当該地方公共団体の長は、あらかじめ自治大臣協議しなければならない。 こんな案が最近ほぼまとまってまいりました。昨日の自由民主党の地方行政部会でもこれが承認をされました。そしてこれは、衆議院地方行政委員会野党各党の御賛同もいただいた上で、森田地方行政委員長から委員長提案の形で近々同委員会提案をされる運びになっているというふうに私は承知をしているのでありますが、その点、自治省はどのように今認識をしておられるか、そのことをお尋ねしておきたいと思います。
  14. 石橋孝雄

    石橋説明員 ただいま先生の方からお話がございましたように、現在、沖縄慰霊の日などの、地方公共団体におきまして特別な歴史的、社会的意義を有する日を当該地方公共団体の休日として定めることができることとするため、地方自治法議員修正案につきまして衆議院地方行政委員会の場において話し合いが行われているということを我々も承知をいたしておるところでございます。
  15. 宮里松正

    宮里委員 そこで、この地方自治法第四条の二の修正追加案というのは先ほど読み上げましたように、前段におきましては、その休日とする日が当該地方公共団体において特別な歴史的、社会的な意義を持ち、住民がこぞって記念することが定着している日であるという縛りが一つ。もう一つ、それを当該地方公共団体の休日とすることについて、国民理解が得られるようなものでなければならない。内容的にこの二つの縛りがある。その上さらに、地方公共団体条例でこれを休日とする場合には自治大臣との協議をしなければならぬという手続面での縛りがある。  こういう形で、今沖縄県側から要請のありました慰霊の日の休日、恐らくこれと広島、長崎の原爆の日、この三つぐらいに絞っていきたいような議論がなされておりまして、ほぼそのような方向で進んでおるというふうに聞いておるのでありますが、仮にそのような形でこれが地方行政委員会提案をされた場合、自治省としてもこれまでの経緯からいいまして異存はないものと思いますが、その点いかがでございますか。
  16. 石橋孝雄

    石橋説明員 本来、地方公共団体におきます休日に関する制度というものは、国及び他の地方公共団体と均衡のとれたものであることが必要でございます。このたび、極めて例外的といいますか特例的な措置といたしまして、この沖縄慰霊日等を休日として認める方向で、ただいま先生から法案についての御紹介もあったわけでございま すが、そういう方向で検討されていることを承知いたしておりますので、つきましては、我々といたしましても、この地方自治法修正案が速やかに成立をいたしまして沖縄において新しい休日条例を定めることができるように期待をいたしておるところでございます。
  17. 宮里松正

    宮里委員 次に、宮古八重山地域における民放施設整備計画について郵政省にお伺いをいたします。  沖縄は、御承知のように沖縄本島及びその周辺島部はNHK二つのチャンネルのほかに琉球放送及び沖縄テレビが放映をされているのでありますが、宮古八重山は、以前、当時の沖縄電電公社日本政府援助という形で宮古海底ケーブルを引きまして、それを使ってNHKだけが今は放送をされております。民放は全くございません。そこで、一昨年から昨年にかけまして、私ども宮古へ参りますたびごとに、幼稚園の子供たちからおじいちゃん、おばあちゃんに至るまで、一日も早く民放官古八重山でも放送してもらえるように、そしてその面での離島格差をなくしてほしいという要請を受けております。  そこで、昨年郵政省当局あるいは財政当局にもその旨の要請がございまして、できるだけ早目にそれが実現するようにしようということでございましたが、平成三年度の予算編成の際には、それがもろもろの事情によりまして、とりわけその直前に沖縄県で知事選挙がありまして、そして国と県との間の協議といいますか、予算編成以前におけるしっかりとした協議をする時間的余裕もなかった、そんなこともありまして、平成三年度の予算編成の際にはこれが見送られました。その後この問題がどうなっていくかということであります。  最近、NTTでは新たに平成三年度から平成五年度までの計画沖縄から宮古までの海底ケーブルの敷設計画があるというふうにも伺っております。それとの関連でこの問題がどうなってきているのか。恐らく関連があるだろうと思います。この問題は今どのような形で検討されているのか、見通しをお願いしたい。
  18. 長澤幸一郎

    ○長澤説明員 沖縄宮古八重山地区におきまして民放が見えるようにするというためには、本島と先島地区の間に伝送用設備が必要でございます。この伝送用設備としては海底ケーブルが適切だというふうに今のところ考えております。また同時に、宮古八重山地区にテレビ中継局を設置することも必要になってまいります。これらの建設には大変多くの経費がかかるということで、民放自身の力だけではなかなか難しいということで、どのような方法によれば効果的、効率的かということで検討を重ねてきております。このうち、海底ケーブルにつきましては、御指摘ございましたように、NTTが建設を計画しております海底ケーブルとの共同建設ということについて検討を進めているところでございます。  今後郵政省といたしましては、平成三年度以降郵政省が進めようとしております電気通信格差是正事業、この事業の一環として、宮古八重山地域のテレビ難視聴の解消について平成四年度にはスタートできますように精力的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  19. 宮里松正

    宮里委員 このことは宮古八重山方々にとって大変切実な願いでございました。平成三年度の予算からそれが漏れましたことを聞いてかなり落胆をしている向きもあるようであります。平成四年度の予算編成に当たりましてはぜひひとつ実現できるように御尽力を賜りたい、こう思います。財政当局との協議もまたこれからあるわけでありますから、これ以上のことは今の段階でお聞きいたしません。しかし、繰り返しになりますが、宮古八重山の人々のたっての願いでございますので、これをひとつぜひとも推進をしていただきたい、御要望を申し上げる次第であります。  次に、気象庁に対しまして、西表島における群発地震対策についてお尋ねをいたしたいと思います。  最近、一月の二十三日ごろから、西表島の租納地域を中心にいたしまして群発地震が発生をいたしました。島の人たちが非常に不安におびえております。今のところ、それほど地震は大きいものではない。私が気象庁からいただきました資料によりましても、マグニチュード四は二回ほどしかないようでございますが、小さいものでございましてもこれが一日に何回も来る、群発をするというところから地元に不安を招いているわけであります。  また、この八重山地域は実は明和の大津波という過去の事例がございまして、それが今なお語り継がれているわけで、ちなみにこの明和の大津波というのは、一七七一年、明和八年でございますが、四月二十四日の午前八時ごろ、八重山及び宮古両諸島に対しまして大きな津波が来襲をして未曾有の大惨害を引き起こしたということであります。牧野清さんという方がお書きになりました「八重山の明和大津波」という本によりますと、「地震の規模はマグニチュード七・四、震源地は石垣島の南南東四十キロといわれている。災害は石垣島、とくにその東面と南面で激甚をきわめ、波高は宮良牧中で八十五・四メートルに達し、石垣島は四カ所で東から西に怒濤が横断した。とくに宮良川・轟川方面から上がった大波は、島の中央部を突破して名蔵湾に達し、流路の山をすり切った。これから〈スリ山〉という地名を残した。」そして石垣島では八千四百三十九名が死亡された。周辺離島でも八百七十四人がこのための犠牲になった。八重山地域だけで合わせて九千三百十三人の人々が亡くなった。それはまた宮古諸島にも及びました。宮古でも二千五百四十八人が死亡した、こういう記録がございます。また現に地元にはこの話は伝えられておりまして、私もたまに参りますと、山のてっぺんの大きな岩が残っているわけでありますが、それを津波石と言うと地元から説明を受けたりもしているわけであります。  過去にそのような事例がありますために、西表島の皆様方は、今この群発地震を毎日のように体験をしまして大変な不安におののいているわけであります。特に地元の人々にとってその原因が何なのかはっきりとつかめない。最近、京都大学を初め地震研究室の皆様が現地に行かれまして調査を始めたようであります。国の所管省庁としての気象庁、この問題に対して今どのような対策をしておられるか、お伺いをしておきたいと思います。
  20. 内池浩生

    ○内池説明員 御説明いたします。  気象庁では、全国的に展開しております地震観測網によりまして日本及びその周辺に発生いたします大、中、小地震を観測いたしまして、津波予報とか地震情報を適時適切に発表するように努めております。沖縄気象台におきましても、当該地域の地震活動につきまして二十四時間体制で監視を行っているところであります。  今お話のありました地震でございますけれども、本年一月下旬ころより発生いたしました西表島付近の群発地震に際しましては、気象庁といたしましては、地震機動観測班を現地に派遣するなどいたしまして観測体制の強化を図りました。その後の地震発生状況は、西表島測候所に臨時に地震計を設置いたしまして、現在も注意深く監視しているところでございます。なお、平成三年度には沖縄気象台に地震津波火山監視センターというものを設置いたしまして、当該地域の地震活動の監視体制の強化を計画しているところでございます。  今後とも、関係機関と緊密な連携を図りまして当該地域の地震活動の監視に努めてまいりたいと思っております。
  21. 宮里松正

    宮里委員 この問題は先ほどお話しいたしましたように、地元にとっては大変な不安材料になっております。原因がわからないだけに地元が大変な不安を抱いているところでございますから、気象庁、これからも引き続き検討を願い、その都度適切な対処をしていただきたいと御要望を申し上げておきたいと思います。  次に、林野庁に全国植樹祭の問題につきましてお伺いをいたします。  平成五年に沖縄で第四十四回の全国植樹祭を開催しようという話が平成元年の六月ごろからありました。そのころ、沖縄県の農林水産部長から林野庁の造林保全課長に対しましてその旨の知事の意向を伝達したのがたしかこの話の始まりでありました。そしてその話が次第次第に進んでまいりまして、平成五年度の四十四回は、平成三年度の京都、平成四年度の福岡に続いて沖縄で実施しようという話がほぼまとまりを見せました。沖縄県でこれまでその準備を進めてきたところであります。  沖縄県では、知事から県の森林審議会などにも諮問をいたしまして、そして県の森林審議会の議を経て、県内でその誘致場所として立候補しておりました名護市北明治山、糸満市の米須海岸などを精査した上で森林審議会から県知事に対しまして答申があり、それを受けて沖縄県は平成二年四月四日の庁議で、第四十四回全国植樹祭の会場候補地として名護市の北明治山を決定いたしました。林野庁御当局も御存じのとおりだと思います。  そして、そのことが林野庁にも報告をされ、林野庁御当局におかれても県が内定をした名護市北明治山の現地を踏まれ、調査もされたというふうにお聞きをしておりますが、その点間違いないかどうか。そして、現地をごらんいただいて、県が当初予定しておった名護市の北明治山の場所は、全国植樹祭の会場としてこれまで全国で実施をしてきた先例などにも照らして適当な場所であったのか、それともここは不都合である、ここでは無理であるということであったのか、そのことも含めてお聞かせを願いたいと思います。
  22. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明をいたします。  先生から今お話がございましたように、第四十四回の全国植樹祭が平成五年に沖縄県で開催されることが決まっております。この会場につきましては、昨年の四月の段階沖縄県から、沖縄県森林審議会意見を聞いて庁議で名護市北明治山を候補地として決定したとの報告を林野庁で受けております。  この会場につきまして、林野庁から私が現地へ参りまして調査をいたしております。昨年の九月のことでございます。当初沖縄県では名護市の北明治山の県有地付近を予定しておったのでございますが、伐採の問題等がございまして、米軍基地内の黙認耕作地をその候補地として予定したというように承知をいたしております。この現地調査におきましては、会場の造成の問題あるいは造林する場合の技術上の問題等につきまして、沖縄県の担当者との意見等の交換を行ってきております。  以上でございます。
  23. 宮里松正

    宮里委員 北明治山のお話がございました。米軍用地として提供されている部分で、黙認耕作に使われておる。私は、米軍当局ともその点は話はされて返還が予定をされているというふうにもお聞きしておりますが、この北明治山の会場予定地になっております具体的なこの黙認耕作地をごらんいただいて、全国植樹祭の会場としてふさわしいものだったかどうか、これはどのように現地をごらんいただいて判断されましたか、そのこともお聞かせを願いたい。
  24. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明をいたします。  まだ沖縄県で候補地として選んだ段階の箇所でございますけれども、場所について私特に大きな問題というような意識を持って帰ってはおりません。
  25. 宮里松正

    宮里委員 慎重な言い回しながら、その場所は決して不適地じゃなかった、従来の例に照らしても会場として適当な場所であったという御判断をされたというふうに思います。  ところで、その後県当局は、森林審議会などにも何の諮問もせず、従来の手続を簡単にほうり捨てて、第四十四回の全国植樹祭会場を沖縄本島南の端っこにあります糸満市の米須海岸地域に最近指定がえをいたしました。お聞きになっていると思います。県がこのようなことを、いかに知事がかわったとはいえ、森林審議会の審議を経、かつその答申を経、庁議で正式に決定したもの、そして林野庁御当局にも報告をして現地視察などもしていただいたその場所を、何の手続も経ずに庁議で再び場所を糸満市の米須海岸に決定をしたということが報じられました。今地元ではそのことをめぐって大騒ぎをしているところであります。これに関する地元沖縄タイムス、琉球新報等の記事がここにございますが、これはもう大騒ぎであります。私は、けだし当然のことであろうというふうに思うわけであります。  そこで、林野庁御当局にお聞きをいたしますが、沖縄県が最近この植樹祭の場所を糸満市の米須海岸に変更するということにつきまして、事前に何らかの御相談がありましたかどうか、そして、それについて林野庁からその方がいいよとかいった指導でもされたかどうか、そのことをお伺いをしておきたい。
  26. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明をいたします。  変更に当たりまして林野庁が事前に相談を受けたというようなことはございません。  なお、先月、二月の下旬でございますが、沖縄県から全国植樹祭の会場候補地を名護市の北明治山から糸満市の方に変更したという報告は受けております。
  27. 宮里松正

    宮里委員 そこで重ねてお伺いいたしますが、最近県当局から場所の変更について報告を受け、林野庁としてはこれに同意を与えられたわけでございますか。その点までお聞かせを願いたいと思います。
  28. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明をいたします。  全国植樹祭の会場につきましては、開催県であります沖縄県が、国土緑化推進機構というのがございますが、この機関と協議の上選定をするということになっております。この国土緑化推進機構と沖縄県の協議といいますか選定手続は、まだ行われていないと理解をいたしております。
  29. 宮里松正

    宮里委員 時間がありませんので、あと一点だけ。  全国植樹祭は既に四十一回実施されておりまして、昭和二十五年から全県各地持ち回りで実施をされてきたことは御承知のとおりであります。そしてそれは、林野庁が政府としての所管をしておることによっても明白でありますように、戦争で荒廃した国土、とりわけ森林の造成、保全に主眼を置いてこれまで実施されてきたと私は承知しております。私も沖縄県の副知事をしておりましたころ、新潟県の植樹祭あるいは宮崎県の植樹祭に参加をいたしました。いずれも森林の造成に主眼が置かれておったわけであります。これは単なる都市公園をつくるとか都市緑化の運動とは異なるわけでありまして、都市公園をつくったり都市緑化をするのであれば、林野庁の所管ではなく建設省都市局の所管になるはずであります。  ところで、県が新しく場所を変えました糸満市の米須というところは岩盤地帯でございます。県の説明によりましても、表土が三十センチから五十センチしかございません。そこで、相当の資金をかけてそこに客土をするなどということが言われているわけであります。前に民主的なルールを踏んで正式に決定をし、しかも場所として森林資源の育成に最も適する場所、北明治山というのは明治天皇から御下賜いただいた御下賜林でございまして、北明治山、南明治山というのがございます。森林のすばらしく成熟したところであります。かといって、その森林を伐採してやろうというわけではございません。先ほど御説明がありましたように、その中の米軍に提供された場所で、黙認耕作地としてミカンなどがやられておる、したがって樹木の伐採がそれほど必要のないところであります。マスコミではそれがかなりミスリードされているわけであります。  そのようなことを考えまして、あと一点だけ。全国植樹祭というのは、天皇、皇后両陛下にお出ましを願い、全国各地から各界各層の代表者一方人から二万人の方々のお出ましを願う、みんながこぞって、みんなの賛同のもとに実施すべきものであります。恐らく今のようなやり方で、先に決めたところを変え、私から考えればとても樹木の 育成できないような、現にギンネムしかはえていないような岩盤地帯に新しく客士をして植樹祭を行うなどということは、私は好ましくないと思います。現にまた、恩納村から北の方、森林地帯でありますが、十一の市町村長を初め地域の人たちは大変に今怒りをぶちまけているところであります。そのまま糸満で強行されるということになりますと、北部の皆さんは恐らくそれに参加しないだろう、ボイコットするだろうと思います。現に今、緑の羽根の募金運動、全部ボイコットしましょうと。  それらを考えあわせて所管の林野庁として御意見があれば、あるいは御感想があれば承っておきたいと思います。
  30. 村田吉三郎

    ○村田説明員 御説明をいたします。  先生からお話がございましたように、全国植樹祭は、幅広い国民運動として国土緑化運動の一環として開催されるものでございまして、この趣旨に沿うように十分配慮をしますとともに、国民的な要望、開催地の都道府県の県民意向等を十分参酌をして計画し、実施をされるものでございます。したがいまして林野庁といたしましては、こうした趣旨を踏まえまして、共催団体であります国土緑化推進機構と十分連携を密にしながら、全国植樹祭が円滑に、しかも適切に開催されますように努力してまいりたい、このように考えております。
  31. 宮里松正

    宮里委員 時間がなくなりました。そのほかに新石垣空港の建設計画につきまして運輸省から御所見を承りたいと考えておりました。これも質問事項に入れてございました。それから、来年五月十四日をもって契約が切れます沖縄米軍用地の契約更新の問題、さらには最近外務大臣とアメリカとの間で調印をされました地位協定第二十四条の特別措置に関する日米協定の改定問題、従来は沖縄米軍基地で働きます駐留軍労働者に対しまして諸手当が支給されておっただけでありますが、今後これに対して本俸を含めてこれから最終的にはほぼ全額日本側が負担する、そういう段取りになったと承知をしております。そのことは恐らく今外務委員会にかかっているんだ思いますけれども、このことは後ほど恐らく同僚の上原議員からも質問があると思いますので、時間が参りました、私はこれで質問を終わりたいというふうに思います。運輸省に対しましては、新石垣空港の建設計画、ひとつぜひ御推進をしていただきたい、このことを申し添えて、私の質問をこれで終わります。  ありがとうございました。
  32. 中西績介

  33. 上原康助

    上原委員 谷沖縄開発庁長官、大変御苦労さまです。若干、今のお尋ねと重複する面もあろうかと思うのですが、最初に第三次振興計画についてお尋ねをさせていただきたいと存じます。  もうたびたび本委員会でも取り上げてまいりましたし、また沖縄県あるいは沖縄開発庁、その他の政府関係機関も御指摘をするなり見解を述べておられる面もあるわけですが、御承知のように二次振計も余すところ一年となり、国においても第三次振計策定に当たっての詰めの段階に入っておると思います。  先日、谷長官沖縄県を御訪問した際に、三次振計策定の基本として、先ほどもあったように思いますが、積み残した仕事をするのではなく、新しい時代に対応した新しい着想で県民のふるさとに対する熱情にこたえるべきと非常に意欲的な御見解を地元で述べておられて、三次振計の策定はそういう視点、立脚点に立ってやっていきたいと、今後の国における三次振計に向けてのお考えを述べたわけですが、その三次振計に向けてのスケジュールと、長官の今私が指摘をしたいわゆる地元でお述べになったことともあわせて、改めて御見解を聞かせていただきたいと存じます。
  34. 谷洋一

    谷国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、沖縄本土復帰以来十九年たちまして、第一次振計、第二次振計、もう余すところ一年ということになったわけでございますので、沖縄県民方々が今後の第三次振計と申しますか、どういう形で振興計画を立てていただけるかという期待を非常に持っていらっしゃると思います。私は、過去の十九年間というのは、何といっても本土との格差是正ということが大きな問題であったと思いますし、そのために社会資本の充実に全力を挙げてきたということが言えるかと思います。  私が、新時代にふさわしい着想ということを先般沖縄を訪問させていただいたときに申し上げましたのも、例えて言いますと、沖縄県全体が過疎地域ではございませんけれども、特に本島の北部並びに離島の、沖縄全市町村の四割が過疎地域と思うわけでございますが、過疎地域の過疎立法をつくりましたときに、緊急措置法というのが最初の十年でございました。その次は過疎地域振興措置法、そしてこのたび、昨年つくりましたのが過疎地域活性化と、それぞれの時代に合うた立場でその法律の名前も変わったと思うわけでございます。その意味におきまして、私は、沖縄の次の振興計画というものは、飛躍的に沖縄本土との格差是正することが大きな眼目でございましょうし、そのためには沖縄のあらゆる問題についての着想を変えていく必要があろう、こういうふうに思っておりますので、新聞記者会見でそういう意味合いのことを申し上げたわけでございます。  委員指摘のとおりに、沖縄県の県民方々の意欲を盛り上げていただいていろいろな着想をしていただく、そして沖縄振興開発審議会皆さん方におかれても、いろいろなユニークな着想を答申していただくということに私は非常に期待を持っております。
  35. 上原康助

    上原委員 その着想をどう変えていくか、あるいは新しい発想でやっていくか、確かに精神訓話としてはよくわかるわけですが、後ほどまた具体的にお尋ねをします。大臣は、過疎問題あるいは離島問題等々にも大変お詳しい方なんで、一次、二次とは趣を異にした、いわゆる二十一世紀の展望できる第三次振計というものをぜひ具体化をしていただきたい。  そこで、若干振り返ってみて、沖縄経済社会も、今もありましたように復帰後一次、二次振計を通して地元の地道な努力あるいは国の積極的な振興策などによって、おかげさまで順調に発展をし、社会資本の着実な整備とともに、県民所得も全国との格差も縮小されつつございます。しかし産業構造は、依然として製造業、農林水産業などの経営基盤が脆弱である、財政の移転出や基地関連収入に大きく依存する経済構造になっていることは御承知のとおり、これをどう改革をしていくかというのが今問われてきたわけですね。また問われるわけです。第二次振興開発計画は、平成三年度の県内純生産を二兆四千億円、これは昭和五十五年価格とした所得のフレームのようですが、これをその目標としているが、六十二年度における県内純生産は一兆六千百七十七億円、これは実質ですね、目標値とは相当の乖離がある。今指摘しましたように産業構造も第一次がだんだん少なくなって第二次は横ばい、こういう状況にある。また昭和五十五年度から六十二年度までの純生産の平均伸び率は三・八%で、第二次振計で想定をした伸び率五・八%を相当下回っておる状況。現計画は実績と相当の隔たりを残すというか、引き継いでいるというか、継続している状況にある。ですから新しい着想に基づくとなると、沖縄経済の基本的対策として、こういった県外受け取りの増加を県内生産の拡大パターンに転換を図る、活用していくということだとか、物的生産の状況だけでなくして内需、外需を開拓をして移輸出能力の増加を図る必要が私はあると思うのですね。  これまでも懸案であり課題となってきたわけですが、実績を照らしてみても、今若干数値で申し上げましたが、こういう状況であるということを考えた場合に、第三次振計でこれをどう改革、改善、前進をさせていくのかが中身として出てこなければいかないと私は思うのですね。これはもちろん県当局が出してくる三次振計の案とも密接不可分ではありますけれども、国としては、実態はこうであるということを受けて三次振計の構想、 今大臣お述べになったようなこの基本的な考えが具体化できるような中身を盛り込んでいかなければいかぬと私は思うのですが、御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  36. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御指摘は、第二次振興開発計画のフレームのうち、いわゆる経済的な分野につきましてはフレームの達成が計画どおりに進んでいないのではないか、そのため、これを是正するためには第三次振興開発計画と申しますか、次期振興開発計画の中で県内生産の拡大あるいは移輸出能力の増大を図る方策を考えるべきではないか、こういう御指摘であったかと思います。  確かに御指摘のように、沖縄経済社会は従来から零細な企業が多く、経営基盤は脆弱かつ不安定でございまして、財政支出に大きく依存する経済体質となっております。このような状況を踏まえまして、沖縄経済の自立的な発展を図りますために、産業振興開発が最も基本的な課題であるという認識のもとに、これまで一次、二次にわたります沖縄振興開発計画に基づきまして糸満市など十一市町村に工業開発地区の指定を行いますとともに、糸満工業団地、中城湾新港地区団地、浦添卸売団地の造成など、産業基盤整備を行ってまいったところでございます。また、沖振法等に基づきまして中小企業近代化計画策定いたしまして、中小企業の設備の近代化、経営の合理化等を図ってまいったところでございます。また、平成元年には百億円の補助を沖縄県に行いまして産業振興基金を設置いたしまして、その運用益を活用いたしまして情報産業などの戦略的な産業の育成あるいは人材バンクなどの人材育成のための事業などを行ってきているところでございます。さらに平成二年には、我が国の経済の高度化あるいはソフト化に対応いたしまして、いわゆる産業の頭脳部分の集積を図りますために沖縄県において沖縄地域集積促進計画というものを策定をいたしまして、頭脳立地法に基づく承認を受けたところでございます。  私ども、今後とも沖縄振興開発計画に基づきまして社会資本を地域の産業、経済の活性化に結びつくように整備するなど、自立的な経済発展が図られますように沖縄振興開発に全力を傾けてまいる所存でございますが、ただいま委員指摘の第三次振興開発計画と申しますか、次期振興開発計画の中でこれをどのように具体化していくのかという御指摘でございますけれども、二次振計後の沖縄振興開発のあり方につきましては、沖縄開発庁で昨年七月に総点検を実施いたしまして、これまでの二次にわたる振興開発の現状、課題等につきまして把握を行いましたほか、現在、沖縄振興開発審議会におきましても鋭意総合的な調査、審議が進められているところでございます。次期振興開発計画につきましては、こうした状況を踏まえましての検討結果あるいは沖縄県等の御意向に基づきまして今後判断されるものでございまして、ただいまの委員の御指摘の点につきましてもその中で明らかにされていくものである、このように考えている次第でございます。
  37. 上原康助

    上原委員 やっぱりというか、もちろん継続性がないといけませんからね、それはいろいろ二次振計の継続事業として引き継ぐものもあるでしょうが、冒頭で長官がおっしゃった着想の転換となりますと、もう少し新しい意欲というか息吹を吹き込むようにひとつ……。  そこで、格差是正論、自立的経済発展基盤というのが一次、二次も基本であるわけですが、この格差是正論が限界に来ていることは御承知のとおりだと思うのですね。もちろんそれは必要性はありますよ、必要はある。だが、地域の特性であるとか日本全体の東京一極集中問題、いろいろありますけれども、その地域特性を生かして各都道府県ともそれぞれ経済、産業というものは年々発展をしていくわけですから、私は、それだけでは三次振計の場合、必ずしも基本目標にしてはいけないと思うのですね。これはかねがね指摘をしてきたとおりです。現に県民所得にしても、国民所得の割合からいうと前年度においても七五・二%、なかなか所得格差は縮まらないですね。七五あるいは七六まで届かない。ですから、沖縄のこれからの振興計画というものは、格差是正論だけではなかなか縮まらない決定的な悪い条件というか、それだけではできない大きな要因があるということを一次、二次のこの二十年で証明していると思うのですが、これをどう克服していくかということだと思うのです。企業所得の面でもそうですし、あるいは雇用の問題もそうです。ただ数値的に全国の経済の伸びであるとか成長率ということだけを取り上げると、いや、沖縄も高いから伸びたのだということになるわけですが、実際に県民が、潤いというかゆとり、あるいは所得がふえたかというと、個々人にはそうはなっていないというところに大変難しさがあると思うのです。こういう面をどうしていかれようとするのか、ここを御見解があればぜひお聞かせをいただきたい。これが一点。  もう一つは、一次、二次の振興計画を通して目標達成できた、あるいは目標以上に伸びたのは人口増加だけですね。これは自然増、社会増あるいは沖縄の地域性というものが功を奏していると思うのです、これは別に悪いことではありませんが。人口の増加は、当初百二十万まではとてもいかないと言われておったのが、もう百二十万余り、百二十三万です。それともう一つ大臣、後で基地問題も聞きますけれども、沖縄の生活基盤ということを考える場合に、沖縄県民だけを対象にしてはいかぬということです。国勢調査で百二十二万六千ですか、百二十三万になっている。大体大分、宮崎、四国だったら香川、もう石川県よりはふえている。四十七都道府県のうちでも沖縄の人口というのは大体四十番以内、三十七、八位くらいにいっているのじゃないですか。衆議院の数だって、沖縄より人口が少ないところから六名もいる。これも不公平です。これはいろいろなフレームの誤算があるわけですが、こういうことも想定をするということと、沖縄県民が百二十三万おるが、あと六万近い米人軍人軍属がいるということ、したがって、交通の問題にしても水の問題にしても環境にしても、いろいろな面で県民生活に非常にインパクトを与えているというこの実態を三次振計の中に織り込んでいかなければいかぬと私は思うのです。基地の整理縮小、全面返還の問題はもとより、こういうことも含めて格差是正自立的発展基礎条件整備ということを、三次振計に向けて当然そういうことも県が想定をして今度はおやりになると私は期待をしているわけですが、そこらの点についても、政府としてももう少し前向きにこのポスト二次振計は考えていただかないといけない課題だと思うのですが、いかがですか。
  38. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御指摘は、格差是正だけでは今後不十分ではないか、自立的発展基礎条件整備にはもろもろの要素を考慮に入れて取り組むべきではないか、こういう御指摘であったかと思います。  二次振計は、一次振計の成果を踏まえまして、引き続き本土との格差是正それから自立的発展基礎条件整備二つを二本の柱といたしまして社会資本整備し、産業振興を積極的に進めるなど、経済の自立的発展を図ることに重点を置きながら各般にわたる施策を推進してまいってきたところでございます。現在までの進捗状況につきましては、これまで十九年間にわたりまして多額の国費の投入と県民方々のたゆまざる御努力によりまして、学校教育施設を初め、道路、空港、港湾などの交通通信施設、それから上下水道などの生活環境施設の整備が大変大きく前進をいたしまして、本土との格差も次第に縮小されてまいりまして、沖縄経済社会は全体といたしまして着実に発展をしてきたと思っております。  ただ、水の確保の問題など、生活、産業基盤の面ではなお整備を要するものも多く見られるところでございます。それから、委員指摘のとおり、物的生産部門が弱体でございますために財政支出に大きく依存する経済体質となっておりまし て、失業率につきましても全国平均の約二倍と、解決を要する多くの課題を抱えております。また、一人当たりの県民所得につきましても、委員指摘のとおり、全国格差復帰後次第に縮小はしてきておりますものの、その額は全国的にも最下位に位置しておるということなど、沖縄経済社会は依然として厳しい状況にございまして、自立的発展基礎条件整備につきましては必ずしも十分ではないと認識いたしておる次第でございます。  このため、沖縄開発庁といたしましては、沖縄振興開発にとりまして重要な課題となっております水資源の開発、交通体系の整備、農業農村の整備、生活環境施設の整備等に重点を置きまして、二次振計の最終年度沖縄振興開発に全力を挙げてまいる所存でございます。  なお、二次振計後の沖縄振興開発のあり方についての御指摘でございますが、これにつきましては、先ほどもお答え申し上げましたように沖縄開発庁で昨年七月に総点検を実施いたしましたし、また現在沖縄振興開発審議会におきましても御審議が鋭意行われておるところでございますので、ただいま委員が御指摘のような点につきましても、今後審議会の検討結果あるいは沖縄県等の御意向に基づきまして判断されることになろうと思っておりまして、その中で明らかにされていくことであろう、このように考えておる次第でございます。
  39. 上原康助

    上原委員 今の点については後で大臣の方からも聞かせていただきたいと思うのですが、人口の問題、米軍があれだけおるということも当然念頭に入れた土地利用、その他社会資本整備でなければいけない。それが一次、二次では抜けておるわけです。言葉の上でいろいろ書いておっても、それはだめです。  それからもう一つ大事な点は、第三次振興開発計画との関連における沖振法の補助率と復帰特措法の取り扱いについてです。これほどのようにお考えなのか。  国の補助率カットは、財政環境の悪化から歳出抑制の一環として抑制されてきた。国よりも相対的に財政状態がよいというその画一的な立場で地方自治体に負担増を求める、こういうことを八五年度からやっておる。特例で本土より補助率が優遇されていた沖縄も、三度にわたって補助率が削り込まれた。今まで私がそれを指摘したら、皆さん方は裏負担とかいろいろ言ってきた。その結果、現行の二次振計期間のうち六年間にわたって補助率はカットされたままとなっております。沖振法におけるこの高率補助を今後復活せず、あるいは三次振計においてそれを継続しないでは骨抜きの状態になっていくと思うのです。格差是正ができない、自立経済基盤の確立ができなくなる。ここは沖縄開発庁としてはもっと真剣に取り組まなければいけない問題だと思うのです、先ほど大臣はちょっとだけ述べられたけれども。八八年度から二年間暫定延長された補助率カットは九〇年度で期限切れとなって、沖縄の高率補助率も八七年度に実施されたカット分、直轄事業五%、補助事業二・五%は九一年度の予算からは復活するのか。高率補助の復元というのはこれは大変重要な課題なんですね。ですから第三次振計をおつくりになっていくという場合には、引き続き当初の沖振法で盛られておった高率補助というものをあくまで確保していくという前提でないと、先ほど若干指摘をしたような格差の問題であるとか社会資本の今後の充実化あるいは新しい事業であるとかいうのはなかなかうまくいかないと私は思うのですね。この点はどうお考えなのか、ぜひひとつはっきりこの点に対する見解を賜っておきたいと思いますし、大臣の方からもその決意を聞かせていただきたいと思います。
  40. 谷洋一

    谷国務大臣 お答えいたします。  先ほど総務局長の方から格差是正の問題についてはお答えいたしましたが、私も少々立場を変えてちょっとお答えしたいと思います。  私ども四全総をつくりますときに、東京一点集中を排除して国土の調和ある発展を期する、こういうふうに強く申したわけでございますけれども、やはり沖縄におきましても本島における那覇を中心とする一極集中というものが見られるじゃなかろうか、特に沖縄県は、長崎県と同じように県土の四五%、半分に近いものが離島であるという、四十の島に分かれておるということを考えますと、この沖縄県の所得格差というのは、やはり内容分析すれば離島の問題とまた本島の問題、別個に考えていかなければ真の格差是正ができないじゃないか、こういうふうに思うわけでございまして、そういう点もあわせこれからの第三次振興計画の課題ではなかろうか、こう考えております。  また、委員の御指摘の補助率の問題でございますが、国の財政再建という立場から、私どもやむなく過去六年間の苦しい立場を乗り越えてきたわけでございます。平成三年度予算におきましては昭和六十一年の線までやっと戻ってきたわけでございますが、私の立場から申し上げますと、第三次振興計画を立てる場合にはやはりもとの線から出発するというのが当然だろうと思いますし、現在の補助率カットしておるものを基礎にして考えることは、これはやはり沖縄振興計画という大きな立場からいえば邪道ではなかろうか。委員指摘のとおりに、私どもは沖縄の振興のためにはやはり従前の補助率を堅持することが大事だ、こう考えております。
  41. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 若干補足をさせていただきますと、沖振法に基づきます高率補助率の問題につきましては、大臣お話しいただきましたように現在いろいろの立場から検討させていただいておりまして、その検討の結果いろいろと判断させていただきたいと考えております。  それから、補助率の暫定カットの問題でございますけれども、これは大臣からもお話ございましたように過去三回カットされてまいりまして、それが平成三年度予算編成におきまして最後の一段が戻りまして六十一年度の水準にされているわけでございます。この問題につきましては、昨年末の閣議決定におきまして、さらにその水準で三年間、つまり平成五年度まで全体的に続けていくという閣議決定があってございます。そうした中で沖振法自体は来年切れるわけでございます。  その後の取り扱いの問題になりますけれども、この暫定カットの問題は、御案内のようにもともと厳しい財政事情の中でできるだけ公共事業の全体の事業量をふやしていこう、つまり補助率はカットしますけれども国費の総額は変えない、そうしてカットした分につきましては地方債で見て、その元利払いは交付税ですべて見ていこう、こういうことで決められております。したがって、個々の地方公共団体から見ますと、それに伴います効果というのは、一つにはそれによって全体としての公共事業の事業量が拡大をしている、それからもう一つは、それは起債でやっておりますけれども、元利払いはすべて交付税で措置をされる、つまり個々の地方公共団体すべて補てんをされているわけでございます。形式上はカットされておりますけれどもその地方債の元利払いのときにすべて国が措置をする、補てんをするという形でできております。したがいまして、そういったことも考えながら今後考えさせていただきたいと考えているわけでございます。
  42. 上原康助

    上原委員 大臣大変力強い御発言ありましたが、基本はそれでいいのですよ。確かに今局長がおっしゃるように、公共部門については実質的には補てんされているという面はあるのだ。しかし、一々ここで申し上げませんが、中身をいろいろ検討するとそうではない。それはやはり、沖振法で盛られた当初の高率補助率というものがあってこそ沖振法の振計なんです。だからその点はこれから、これには何も与野党ないと思うのだ、県によって全部を挙げてそれはやるべきだと思うのです。意見が強くなると思うのでね。さっき長官おっしゃったようにもとの補助率からスタートをさせる、第三次振計策定に当たってもそれが前提にならなければいかないというこの基本だけは堅持をして——厳しいと思いますよ、大蔵省、全体 も。日本全国どこだってこれは高率補助もらおうとするから大変難しい面もあろうかと思うのですが、しかし、本当に沖縄の三次振計をやるということであるならば政府はそのくらいのことはやってもらわなければいかぬと私は思う。その点はひとつ開発庁長官として今後積極的に政治力を発揮していただきたい、我々もまた大いに応援もしたい。もう一度大臣決意を伺っておきたいと思います。
  43. 谷洋一

    谷国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、おっしゃるとおり沖振法そのものはやはり高率補助ということを建前にしておりますので、それを新しい三次計画では基盤にしてやる、当然だと思います。  ただ、先ほど局長がお答えしましたように、全国的に補助率のカットをしておる場合、沖振法の上においては高率補助ある、しかし全国的に補助率のカットをして、その補いをしておるということは事実でございますので、私は二段構えの考え方に立つ、立たざるを得ない。やはり全国的に補助率カットしておることは認めざるを得ない、しかし沖振法そのものをそれでは一歩後退するというわけにはいかない、こういうふうに私は考えて、これからの第三次振計そして沖振法の問題等々については考えていくべきだと思っております。
  44. 上原康助

    上原委員 いろいろ財政運営上というか、また行政手続とか事務手続としての手法があることは、私も専門ではありませんが理解をいたします。だが、念を押すようで恐縮ですが、基本はひとつぜひもとに戻す、そこからスタートをさせるということを開発庁全体として大いに御努力を願いたいと強く要望を申し上げておきたいと存じます。  そこで、これとも関連するわけですが、復帰特措法の今後の取り扱いですが、開発庁復帰に伴う特別措置法について、本来的な臨時的なものあるいは暫定的に復帰にかかわりのあった一時的な措置で既に一元化というか一体化されたものも多いわけですが、しかし、やはり復帰特別措置法がすべてなし崩しにされていくというと、制度創設の趣旨あるいは目的面から十分に機能をし得ない面もあるのじゃないかという気がするわけです。例えば観光戻し税制度あるいは県産砂糖に対する課税の免除措置、また、牛肉輸入化によって沖縄における輸入牛肉の割り当てなどがなくなったり、これらに対する経済効果、県内経済に及ぼした影響も少なくないと思うのですね。したがって、これらに対する手だてはどうしていくお考えなのか、また来年度に適用期限切れとなるものについてはどのような措置をとるお考えなのか、こういう点についても御見解を聞かしていただきたいと思います。  特に、復帰特別措置法のうち、平成三年度中に適用期限の一部が切れる青色申告者、法人の減価償却あるいは指定業種を営む中小企業者の機械などの割り増し償却、特定業種を営む中小企業者の機械などの割り増し償却に関する経過措置等、こういう三項目の措置取り扱いが今関係業者から大変関心を持たれておる。継続してもらいたいという要望も強いやに聞いておるわけですが、こういう面はどのようにお取り計らいなさろうと現時点でお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  45. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 お答え申し上げます。  沖縄復帰に伴います特別措置は、沖縄復帰に伴いまして本邦の諸制度沖縄県の区域内における円滑な実施を図ることを目的として制定をされたものでございまして、復帰に際してのいわゆる激変緩和措置と言われるものでございます。  この激変緩和措置は、復帰の当時総件数百四十三件を数えたわけでございますが、復帰後十九年近くの間に順次本邦諸制度への移行が図られておりまして、現在のところ税制関係事項が十四件、その他の事項が四十一件となっております。これらのうち、期限の定めのあるものが十八件でございますが、平成四年度中に適用期限の切れるものが十五件ございます。これにつきましては、今後沖縄県及び地元関係者の方々の御意見を聞きながら積極的に検討していく必要があるものと考えております。その主なものは、ただいま御指摘のような観光戻税制度、県産酒類にかける酒税の軽減措置等々でございます。  なお、委員指摘の、平成三年中に適用の期限が一部切れます直接税関係の三件がございますが、これは平成三年度の税制改正といたしまして五年間の延長を予定しているところでございます。
  46. 上原康助

    上原委員 まだ相当数残っておる、経過措置を今後もやっていかなければいけないものもかなりあるようですし、関係団体なり関係業者の意向等もごそんたくの上で、経過措置を継続をしていくべきものはぜひ引き続き御配慮を願いたい、強く要望を申し上げておきます。  そこで長官、先ほど来離島の問題あるいは過疎化対策等、大変お詳しい、造詣の深い大臣なんでわかるわけですが、やはりおっしゃるように、沖縄全体が離島であるけれども、また宮古八重山あるいは沖縄本島周辺離島というのは沖縄本島よりもかなり格差があるわけですね。ですから、離島振興ということで私たちも強くこれまでも要望をしてまいりましたが、最近の周辺離島の過疎化現象というものが人口減少を含めて大変心配されております。離島の人口が県全体の人口に占める割合は一四・二%にすぎないようですが、これがますます減少していく傾向にある。宮古の町においては一年間で一千名前後も人口が減ったとか、これはちょっと数字的に疑問もなきにしもあらずですが、やはり農業が衰退をしつつある、高齢化している、あるいはその地域に働く場所がない、したがって若い者はどんどん沖縄本島とか本土各県周辺に離れていく、こういう悪循環を来しているような感じがするわけですね。これを活性化していくためには、空港の整備であるとか架橋の問題であるとかいろいろやらなければいかない手だては多いわけですが、何といっても沖縄離島の活性化というか、自然も生かしながらやるということになると第一次産業、農業、水産業を含めての政策課題というのは大きいと思うのですね。  せんだって行かれて、北部の農家でキビ刈りを御経験なさった。これは大変大臣の人柄がしのばれるような感じもするわけで、いいことだと思うのですね。やはりサトウキビの収穫の問題、省力化の問題は、過去に何回かここで議論をしてまいりましたが、一向にうまくいかない。南大東あたりもオーストラリアから大きなハーベスターを入れてやっている。ああいうふうに農耕地の大きいところはまだしもわかるわけですが、大臣指摘しているように、過疎化の問題、農業問題等考えた場合に、そういった機械化の問題とかいろいろこれまでも議論はされてきたけれどもなかなかうまく改善されておらない。我々の努力も足りないと思うのですがね。大臣が今度キビ刈りを実際になさってみての経験を含めて、今私が指摘したような問題を第三次振計の中で、あるいは残っている二次振計の後半においてどう克服をしていったらいいのか、所見を含めてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  47. 谷洋一

    谷国務大臣 先般お伺いしましたときにキビ刈りをやりましたけれども、余りに短い時間でございましたので恥ずかしいようなことでございます。  私は、キビ刈りの現場を見まして、非常に機械化がおくれておるじゃないか、省力化、機械化ということを徹底的にやることがやはり今後の課題ではなかろうかと思いまして、いろいろと帰りましてからも調査してみましたが、大東の方が大型機械化されている、しかしそのほかは全く今の現状のままだということを聞きまして、やはりこれは、全国的にサトウキビの栽培が行われておったとしたなら私はもっともっと機械化、省力化が進んだと思うのですが、特定なところだけ、沖縄、奄美だけのサトウキビということでございますからきょうまでおくれたのじゃなかろうかというふうに思いまして、これはもう積極的に機械化のために補助金を出してどんどん研究してみたらどう だということも言ったのですが、たまたま鹿児島の方の農機具メーカーが相当いい品を来年から売り出すような計画があるということを聞いて、遅きに失したなという感じを受けております。  そういうことでございまして、やはり今、農業も転換しなければならぬといいましても、今のサトウキビの栽培を無視することはできないわけですから、その意味におきまして私、今申し上げたとおりに考えておるわけでございます。今後も、来年に販売されるものがそれで満足できるかどうかということは疑問だと思いますので、ますます新製品をつくってそして積極的に農家の労力不足に対応する必要があるのじゃなかろうかと思います。砂糖会社の方を一社見ましたけれども、四十名ばかりの臨時雇用の方ですらなかなかお願いすることができないということを聞きますと、これは沖縄県全体が労働力供給源というふうなイメージも今まではあったかもしれませんが、これからはそういう甘い考えでは難しかろう、こう思います。  次の離島問題、離島即過疎問題だと思いますが、私は過疎問題に取り組んでみて、決め手になるものはなかなかない。しかし、沖縄の場合、やはり気候風土というものを頭に描いて、その気候風土というものを基盤にして離島問題を考えていく必要があるのじゃなかろうか。そのためには、やはり空路の問題、航路の問題等々を抜本的に考えなければ、今のままで頑張れ頑張れと言ってみてもなかなかこれは至難なことでございますから、やはり空路というもの、これは離島独自の考え方で開いていかなければなかなか難しいんじゃなかろうかと思いますので、今後勉強させていただきたいと思います。
  48. 上原康助

    上原委員 きょうは農林省構造改善局を呼んでいないけれども、私はサトウキビの機械化の問題は何回か取り上げてきたのです。大臣、これはなぜやらないかといいますと、おっしゃるように沖縄と奄美しかサトウキビをつくっていないのですね。日本の今の技術水準からして、沖縄の地形なり栽培に合ったサトウキビ収穫機械ができないはずはない、つくれないはずはないと私は思うのですね。補助率も大臣がおっしゃるように八〇%というけれども、いろいろあると思うのですが、機械メーカーはなぜつくらないかというと、需要が小さいから、少ないからですよ。要するに、そういう機械をいろいろ工夫してつくっても、生産コストは高い、需要は少ないから売れない、もうけがない、だからやらないのですよ。この問題を政府全体として、あるいは沖縄農業関係者全体がこれをやらない限り機械化の問題はできないというのが私の結論なんですよ。だからだれもやろうとしない。  これは私は分科会で今度農水省構造改善局を呼んでやりますけれども、沖縄開発庁長官沖縄のサトウキビの省力化の問題で、今のような手さばきでは問題だとおっしゃったのは初めてだ。これは一番いいですよ。やってくださいよ、農林大臣とも話して。そこに問題があるということをぜひ御理解いただいて、我々も大臣の発言を聞いて、これはしめた、ぜひこの際やらなければいかぬ問題だと思っていますので、しり切れトンボにならぬようにひとつお願いをしておきたいと思います。だんだん時間が来ますので、この点は過疎化問題を含めてぜひお願いをしておきたいと存じます。  そこで、午後に赤土問題は取り上げるとして、第二次振計のことと第三次振計のことを関連をさせて、ここはちょっと苦言になるかもしれませんが、ひとつ政治家同士としてお聞きになっていただきたいわけですが、第三次振計における基地問題の位置づけというものを長官はどうお考えなのかということです。  私は、大臣の今までの御答弁なり御発言を聞いて、善意に解釈をしたい立場にあるわけですが、沖縄県は第三次振興計画の大綱策定に当たって、米軍施設、区域についてその全面返還を目指して整理縮小を促進するということを方針として打ち出しているわけですね。私はこれは当然だと思うのです。あれだけの基地がある、被害がある、また現に湾岸戦争にも直接出撃基地になっている、こういうことについて、どうもいろいろ開発庁側の、圧力めいたと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、発言がある。これは我々としても看過できない。沖縄視察後の記者会見においても、長官も政治の現実と理想を見ながらやってほしいとお述べになっている。大綱における全面返還の位置づけは、東西関係の緊張緩和あるいはこの湾岸戦争、過ぐる昨年の六月十九日に一千ヘクタール、その前の四月に、アメリカの新しい極東戦略に基づく基地縮小あるいは米軍縮小計画というものもある、こういうことを想定しますと、沖縄県知事が基地の全面返還、整理縮小を目指して第三次振計の中で県土利用を確保していきたい、確立をしていきたいと言うのは私は決して誤りでもないし、当然の帰結だと見ているわけですが、改めて何か圧力をかける意味でそういうことをおっしゃるのか、県の主体性というものもあるわけだから、そこは善意に解釈すれば、国との協調関係もとりながらひとつ沖縄の第三次振計やこれからの県政をやっていこうという気持ちでおっしゃったのか、やはり基地の全面撤去とか全面返還とか整理縮小はまかりならぬというお気持ちでおっしゃっているのか、この点は少し明らかにしておかないといかない問題でありますので、ぜひひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  49. 谷洋一

    谷国務大臣 私が記者会見で申し上げたのは、現実の姿を率直に申し上げたわけでございます。私は、もうあと一年で次期振興計画を立てなければならないという今重大なときでございますので、しかもその次期計画、十カ年というものの現実ということを考えてみますと、基地の全面撤回ということがそう容易なことじゃない、こう思いますので、そういう意味気持ちで申し上げたわけでございますが、これは所管は防衛庁の関係でございますから私がとやかく言うことじゃない。しかし、沖縄開発庁立場からいえば重大関心を寄せなければならぬ問題でございますので、その意味において私は、基地問題は我々の担当じゃないと簡単に申し上げるわけではございません。けれども、これは国の大きな見地から考えてみますと容易じゃない、こう思いますので、私はそういう意味で申し上げて、先ほど委員の御指摘の最後のくだりが私の気持ちでございます。
  50. 上原康助

    上原委員 余りぎすぎす言うつもりはありませんが、しかし政府高官の発言によって沖縄県民感情を逆なでするようなことは私は相互によくないと思うので、その意味で真意をお尋ねしているわけです。  もう一点だけ、これもお答えできれば見解を聞いておきたいわけですが、来年五月十五日、十四日までにいわゆる米軍用地の強制使用問題がまた出る可能性がある。そこで、米軍用地強制使用裁決申請書の公告、縦覧代行問題が今政治課題としてあるわけですが、この点については、またこれも防衛庁とか施設庁と言って逃げるかもしれませんが、大臣はどうお考えですか。知事の代行問題について見解だけ聞かしてください。
  51. 谷洋一

    谷国務大臣 基地問題については重大関心を持っておることは申し上げたとおりでありますが、今の御質問の関係は、まさにこれは防衛施設庁のことでございますので、私がとやかく申し上げることはいけないと思いますので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  52. 上原康助

    上原委員 ぜひ、とやかく言わないようにしていただきたいと思います、この件については。  そこで、もうお昼の時間ですから、時間どおりやりますが、問題は、狭い沖縄に米軍専用基地の七五%が復帰二十年になんなんとしてもあるということ、大変な基地被害を現在もこうむっているということ。そういう意味で基地の整理縮小をというか、もっと少なくしなければいかない、そういう観点、視点から沖縄振興開発はやっていかなければいかない、その点は同感できると思うのですが、それは間違いないというか、そういうお気持ちはあるのでしょうね。
  53. 谷洋一

    谷国務大臣 私が基地問題には重大関心を持っておりますということは、今おっしゃるとおりの 気持ちでございます。
  54. 上原康助

    上原委員 時間ですからあとのお尋ねは午後にさしていただきますが、ぜひ基地問題にも重大な御関心を持たれて、大田知事も非常に高潔な政治判断を持っておられるお方だし、国の政策と相入れない面ももちろん政治ですからあるわけですが、問題を拡大をさせていくとかそういうお気持ちはないと思うのですね。したがって、ぜひひとつ相互に十分な意思の疎通というか、協力、協調というものができるように特段の御努力を沖縄開発庁としてはやっていただきたい。場合によっては、防衛庁とかあるいはほかの省庁と政策協調できない面も、沖縄開発庁がむしろ積極的に中に入って調停役も果たすというぐらいのお気持ちを特っていただきたい。そうでなくして開発庁が逆に、何を言っているか、こうすると補助金もぶった切るよとかけしからぬというようなことになると問題はうまくいかないですから、その点は強く要望しておきたいと思います。  残りは後でやります。
  55. 中西績介

    中西委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩をいたします。     午後零時二分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  56. 中西績介

    中西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  57. 上原康助

    上原委員 大臣にもう一度強く要望と確認をしておきたいわけですが、先ほどのサトウキビの収穫機の問題です。  これは、恐らくあと四、五年で沖縄製糖業の合理化問題、いろいろ出てくると私は思うのですね。どうしても省力化、機械化というものを促進しなければいけない重大な転換期に立ち至っている。農業高齢者の問題、後継者の問題等を含めると、国務大臣として、沖縄担当大臣として、あれじゃいかぬ、省力化して機械化を促進せにゃいかぬということをせっかくおっしゃっているわけですから、タイミングとしていいと思うし、県民も農業団体も非常に関心を持っておられます。その意味で、これは改めて農林省にも構造改善局含めて強く我々も要求しますが、大臣の方からも農林大臣等と積極的に協議をしていただいて、相談をしていただいて、この沖縄の地勢に適合する機械化の問題を政府全体として積極的に推進を図るということをぜひやっていただきたいと思いますが、改めてこの点、御所見を聞かしていただきたいと思います。
  58. 谷洋一

    谷国務大臣 先ほども申し上げましたとおりに、我が国全体からいいますと沖縄県は、まだ奄美の一部というふうなところしか耕作していないサトウキビでございますから、機械化がおくれたということが現実の姿だと思います。しかしながらこれは、全国的に農業の省力化、機械化ということが強く叫ばれておりますし、沖縄の場合、特にそういう点、沖縄の農業後継者の高齢化ということが叫ばれておることもよく聞いております。そういう面から、機械化をできる限りしなければならない。ところが、沖縄の土質そのものが島々によって相当違うようでございますから、その土質とにらみ合わせた結果、大型機械が導入されるところもありましょうし、また中型機械でやらなければならぬところもあろうかと思います。そういう点で、ただオーストラリアの方が非常に機械化されておるからということで模倣するだけでなく、新しい機械をつくり上げてそして普及させることが必要だろうと思いまして、御指摘の点、農林大臣には申しておりませんが、農林省の方に私の方からも強くその点をもう既に指摘しております。そういうことでございますので、今後も追跡して、もっともっといいものにつくり上げることが必要ではなかろうか、こう思っております。
  59. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつこれは実現を図るように、我々も努力いたしますが、開発庁として積極的にお取り組みを願いたいと思います。  次に、赤土、赤土砂流出汚染問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、私も昨年の五月前後の連休のころから、余りにもひどいものですから、沖縄北部なり中部恩納村一帯などもじかに足を運んで被害を受けている現場も見て、また六月ごろでしたか、本委員会でも取り上げ、ほかの委員会でも取り上げた記憶があるわけです。幸い、砂田元長官も沖縄の赤土問題は大変重要な段階にある、何とかしなければいかぬという御答弁もあって、開発庁としても、あるいは農水省、環境庁、建設省も関連するかと思うのですが、防衛施設庁等々とも連携をとりながらいろいろ対策を講じてきたようであります。  振興局長の方から何回かにわたってその後の取り組み、現状等も説明をしてくださいましたが、ようやく機能的というか全体的な協調体制、ネットワークというか、沖縄県含めて、市町村含めておやりになるような状況に来ているようでありますが、昨年来どういう対策を講じてこられたのか、現状はどうなっているのか、今後は対策を講ずることによって赤土砂流出というものが防止できるのかどうか、まとめてひとつお答えを願いたいと存じます。
  60. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 お答えをいたします。  赤土の流出問題、これは沖縄の自然環境の保全とか観光面あるいは漁業資源の保存の面等から大変重要な問題であると考えております。特にこの問題は複合的な要因によるものでございまして、その意味では全県的な取り組みが必要であるかと考えております。  昨年来、私どもの方も国の中、県との関係、いろいろ調整をしてまいりまして、全体について具体的に御報告をさせていただきたいと思います。  まず、御指摘がございましたような全体的な連絡協調体制を整えよということでございました。これにつきましては、昨年の九月に沖縄開発庁を初め九省庁から成ります国レベルの、東京レベルの赤土流出問題に関する関係省庁の連絡会議を設けさせていただきました。また総合事務局におきましても、同様に局内の連絡会議を組成をいたしました。それから県におきましては、かねてからやはり県庁内の対策協議会が設けられておりました。国と県との間は、沖縄の出先におきまして総合事務局の農林水産部と開建部がそれぞれ県の組織との間で連絡協議会を持ちました。それから別途、これはとりわけ御指摘ございましたように土地改良の問題が重要であるということでございましたので、やはり農林省の方で構造改善局とそれから出先の総合事務局と県との間で担当課長による連絡会議を設けさせていただきました。これが協調体制、官としての取り組みの問題でございます。  それから大きく第二としまして、監視体制の問題がございます。とりわけ赤土の問題は、直接土に接する人たちの啓蒙を含めまして努力をお願いしなければいけないということでございますので、監視体制の整備ということに努めてまいりまして、これは末端で申しますとそれぞれの事業の現場がございます。国営事業、県営事業、市町村営事業、その他民間事業、そうした末端のいわば流出源からそれぞれの報告を市町村なり県なりにそれぞれの組織を通じて上げていただいて、かつそれは総合事務局にも上がり、また開発庁にも上がってくるという、いわば国も含めた全県的な情報あるいは監視あるいは報告といったことのネットワークをつくらしていただきまして、たまたま昨日、県においては市町村及び保健所等に説明をいたしております。いずれこれが稼働してくると思います。これによってお互いに、特に末端現場においてやはり赤土問題が重要であるという認識を深めながら、一歩でも進めさしていただきたいと考えております。これが第二点でございます。  それから、第三でございますけれども、御案内のように赤土の問題、いろいろまだ未解明なところ、わからないところがございます。したがいまして、かねてから調査研究ということでこの問題に取り組んできておりますけれども、開発庁におきましては総合赤土対策検討調査平成元年度から行っておりまして、これは三年度までかけたい と思っております。それからもう一つ、これは平成三年度における新規の事業でございますけれども、先ほど申し上げました九省庁の連絡協議会等の検討、それから出ました派生的な問題としまして、環境庁におきましても国立の研究所等を動員をいたしましてやはり赤土の発生機構の解明、防止技術に関する調査平成三年度から始めていただくことになりまして、平成三年度予算は三千万円というかなりまとまった金額が計上をされております。  それから、規制あるいは行政指導というのが第四番目に挙がろうかと思います。これにつきましては、私ども現地の総合事務局で行っておりますことだけ申し上げさしていただきますと、例えば講演会を建設業者、農業団体あるいは市町村の行政担当者等を対象として実施をするとか、あるいはマニュアル、パンフレット等を作成、配布をいたしまして、この問題に対する認識を深めたいと考えております。  最後に、国は公共事業の主体でございます。したがいまして、国としてもこれまでいろいろ努力をしてまいっておりますけれども、特に一つの昨年来の改善事項としまして、例えば土地改良事業で申し上げますと、沖縄県における土地改良事業計画指針の運用を改善いたしまして、例えば造成の勾配の角度、これは従来は八ないし九%でございましたけれども、さらにその傾斜度を三%程度まで緩めるとか、あるいは、毎年度予算をつけました後、実際に実行をします場合には実施計画というものを農林省に出します。その実施計画書の中に赤土の流出防止対策を具体的に書く、それを農林省がヒアリングするということをお願いをいたしました。さらに建設省関係におきましても、例えば国道工事に係る設計書の特記仕様書において赤土防止のための対策を義務づけるといった改善事項を行っております。  ただ、いずれにしましても赤土問題、大変広がりも大きく、根も深うございますので、即効性、つまり直ちに効果を上げるという点ではなお改善努力をしなければならないと存じますが、引き続き努力をしてまいりたいと思います。御支援をいただきたいと存じます。
  61. 上原康助

    上原委員 今、経過措置、現在の対策あるいはこれからの見通し等お答えいただいたわけですが、ようやく真剣にお取り組みなさろうとする姿勢を示していただいて、開発庁出先の総合事務局あるいは沖縄県、各市町村等を網羅した監視体制なり協調体制を組織したことについては評価をし、敬意を表したいと思います。私も沖縄開発庁に随分いろいろな注文をつけたんだが、一年ぐらいかかってはいるけれども、機構的にこれほど整備をしたというのは余り例がないので、これがうまくいけば大変結構だなと思っておりますので、これからもより見守りたいと思うし、また努力していきたいと思う。  そこで、仏つくって魂入れずでもいけませんし、私がいろいろ現場へ行って聞きますと、要するに赤土汚染してはいかないという気持ちはだれも持っている、農民にしても、県民も、工事をしている皆さんにしても。だが、一々赤土を出さないように仕事をしていると工事単価が引き合わないというわけですね。だから、もっと予算をつけてくれと言っている、土地改良にしても公共工事にしても。振興局長おっしゃるように、国の方はそれだけの厚みがあるかもしらないんだが、市町村末端に行けば行くほど単価は低いわけですからなかなかうまくいかない、こういう面もありますので、これを本当に効果あらしめるためには、総合赤土対策をやる上においては、土地改良であるとか公共事業等についての検査、検討とか対策だけの費用じゃなくして、実際の工事単価、予算にまで赤土流出防止というようなものを含めないと私は万全な対策にならないと思うのですね。どうもここがまだ欠落しているような感じがしてなりません。これは開発庁だけのことでないし、これから農林省や建設省、関係省庁にも強く注文をつけなければいけませんが、こういう点についてもより積極的に対策をとっていただきたい、また措置を講じてもらいたい。これは局長というよりも大臣の方、いかがでしょう。
  62. 谷洋一

    谷国務大臣 私も実は赤土の問題があるなんということは全く知りませんでした。私は、卑近な例が、関西新空港の埋め立てをするのに淡路あたりから船でどんどん運んでおりますし、全くはげ山にしておりますけれども、そういう状況は全くないわけでございますね。そして、現地に行きましたら赤土問題が切実だということをお聞きしまして、ああやはり土地がかわれば大変なことがあるものだなという実感を持ったわけでございます。  いろいろと詳しくお聞きしましたけれども、沖縄開発庁立場で言えば、建設省も農林省も防衛庁もやはりみんなが歩調を合わせてやらなければならない。特にこれは市町村、県の段階もございますから、我々は歩調を合わせて同じようにしなければならぬと同時に、また県の方もこの対策について積極的にお取り組みを願いたいものだ、こう思っております。  そこで、今の委員指摘の単価の増の問題でございますけれども、私そこまでは聞いておりませんけれども、もし単価が相当高くつくということであれば設計単価等の問題にも言及しなければならぬかもしれませんけれども、これから調査をしまして、工事請負者の方が負担していい程度のものであればこのままでいいわけでございますが、結局積算単価の問題だと思いますので、そういう点、十分検討させていただきたいと思います。
  63. 上原康助

    上原委員 ぜひ御検討を願いたいと存じます。  私は、この赤土問題は別に国だけ責めているわけじゃないのですよ。だから去年、おかしいと県条例も全部調べてみたのです。あるのですね、やろうと思えば。ようやく県も関心を持ち、市町村も関心を持ち、地域住民も関心を持ってきている。これは、おっしゃるように一朝一夕にはできませんよ、相当根は深いし。その意味では、複合汚染ですから一カ所だけ抑えればできるということじゃない。県民意識の改革も必要でしょう。だが、何といっても予算を伴わない場合はうまくいかないという点ははっきりしていますので、今長官おっしゃるように、そういう事情があれば検討していくということですから、ぜひひとつ開発庁全体として県内みんなと協議をしていただいてこれは前向きに解決をしていただきたい。強く要望しておきたいと思います。本当に死の海になりますよ、もう四月ころから梅雨どきですから、暴風雨どきの。もう見るも無残な状況というものがあるわけですし、せっかくここまでみんなで努力しているわけですから、ぜひひとつこぎつけていただきたいと思います。よろしいですね。  次に、那覇空港問題をお尋ねしますが、第三次振計の話を先ほどからやっているわけですが、私は非常に残念なことは、沖縄は観光立県とかリゾートと言います。それは結構。もちろん無条件ではありませんよ。いつも仕事で飛行機に乗るたびに思うことは、なぜ復帰二十年になってもああいう空港ターミナルしか沖縄県は持てないのかという寂しさと悲しさを持たざるを得ないのですね。議員の一人として大変残念に思う。これはやはり復帰のときに那覇空港は民間専用空港にするという目玉が抜かれたがゆえに——大臣行って御案内のように、あんなへんぴな空港ターミナルがありますか、日本全国を探しても。滑走路からはるか一・五キロも離れた隅っこにターミナルがせせこましく置かれている。私も随分日本のあちこちに参りますが、地方空港であんな空港ありませんよ。みんな立派に滑走路のど真ん中に歴と構えている。ひさしを貸して母屋をとられてしまった。自衛隊がどんどんどんどん進出をして、民間空港は運輸省も全部片隅に追いやられてしまった。こんな状態で一体何が観光立県かと言いたいぐらい、この空港問題というのは嘆かわしい状態。最近、余りせせこましくて何か台風があるとか飛行機の便が欠航する場合にどうにもならないから、今伸ばしているでしょう、ターミナル、暫定の暫定を。  そこで、これは沖縄県もこれまで努力が足りなかったと私は言わざるを得ない。ぜひ那覇空港 ターミナル整備というものを抜本的にやっていただきたい。きょうは時間がありません。後でどこかの分科会で取り上げてみますが、もう少し開発庁も運輸省も、防衛庁と検討して、歴とした本当の空港ターミナルをこの際沖縄県の観光立県にふさわしいような構想を出してやらなければいかないと思うのですが、この点に対する構想をひとつお聞かせいただきたい。
  64. 小坂英治

    ○小坂説明員 説明さしていただきます。  今先生指摘の点につきましてはいろいろ問題があることは事実でございまして、これは過去にもお答えしておりましてまだ実績が上がっていないところも事実でございますけれども、今非常に需要が伸びておりまして、そのために、特に旅客ターミナルビルでございますが、狭いだけでなくていろいろ分散してしまっておる、これをもう少し集中して、奥行きのある使いやすい空港にしようということを考えております。これは御指摘のとおりでございまして、防衛庁との共用ということになっておりますので、今の許される中で協調しながら、現在の国際旅客ターミナルがございますけれども、あの南側に本土線、島内線、これをまとめて使いやすい空港にしようということで今関係者と話を詰めておりまして、平成三年度の予算も入れていただきまして事業開始をしたいというふうに考えているものでございます。
  65. 上原康助

    上原委員 ようやく平成三年から手をつけるようになるようですが、大臣、これは政治の話ですよ。行かれておわかりでしょう。最近、自衛隊機が飛ぶ場合に三十分くらい待たされることがありますよ。しかもどうしているかというと、ジャンボのスポットが今は四つくらいしかないでしょう、ANAとJALで二つか三つくらい。そうしますと、皆さんも那覇空港に降りてから一たんスポット近くまで行って五分や十分待たされることはしばしばあるでしょう。なぜかというと、スポットから出発の飛行機が出ていくまで持っているんです、そこで。こういう状態というのは国としてもちょっとお粗末です。どうですか、大臣、これは平成三年からやるというのですが、私がきのう聞いたらあと五、六年かかるというのです。これじゃいけませんよ。もちろん来年いっぱいでやれとは言いませんが、空港整備の問題はもう少しスピードアップしてやっていただかなければいかないと思いますが、大臣所見を聞いておきます。
  66. 谷洋一

    谷国務大臣 先ほど委員指摘のとおりに、沖縄観光立県、結構でございますけれども、今御指摘のように玄関口がああいう状態であるということは大変嘆かわしいことだと思いまして、私も運輸省に問いただしたわけでございますが、今指摘がございましたように平成三年度から着工ということでございますから、でき得る限り早くこれが竣工するように努力したいと思っております。
  67. 上原康助

    上原委員 県も今まで、沖合展開とかなんとか大きなことだけ言って、全然足元をやっていない。そこをやっていただきたいと思います。  そこで、先ほども議論がありましたが、先島の民放放映の問題です。これはいろいろいきさつはわかります。これは別に昨年末に県知事がかわって予算折衝がおくれた云々じゃないんだ、この背景、理由は、私もよくわかる。  そこで、私が聞いているのは、平成五年までには実現が可能だ、そういう方向でNTTも協議をしてやるということだったのですが、それは間違いないですね。その点だけ明らかにしておきたい。
  68. 長澤幸一郎

    ○長澤説明員 NTTの計画そのものが、平成三年スタートの五年完成というのが今の計画でございますので、私どもできるだけそれと共同建設の方向で検討しておりますので、ケーブルの完成時期を今申し上げれば、五年度目標ということでございます。
  69. 上原康助

    上原委員 私は、来年は復帰二十年だから、復帰二十年の記念事業として間に合わせていただきたいということを強くこれまで要望してまいりました。物理的に厳しいようでありますが、その願望を持ちながら、おくれても平成五年度には完成を見る、こう期待をしておりますので、特に開発庁としても促進方を要望しておきます。  基地問題はちょっと時間がかかりますから省きます。きょうは失礼しますが、施設庁、いずれたっぷり聞かしていただきます。  あと一つは、西表の地震対策の問題ですが、けさも震度四の地震があったわけでしょう。沖縄は地震地域ではないとかいろいろ言う学者もいるんだが、実際には今、県民は地震の不安というのが非常に強いんだ。一月二十三日からもう既に三百何回になっているのか、三百五、六十回ぐらいになっているんでしょう。その間に震度四というのが五、六回ぐらいある。石垣を含めて西表の皆さんは、日常生活が不安定な状況に追い込まれておる。この点については政府全体として、不安除去のために今後の見通し等含めて、なかなか難しいと思うのだが、総合対策をもう少し今以上にやらなければいかぬと私は思うのです。どうですか大臣、これは。
  70. 谷洋一

    谷国務大臣 この問題も、島の皆さん方にとっては大変不安だというお話はよく聞いております。開発庁としましても、安心して島に住んでいただくように適切な処置を講ずるようにしたい、こういうふうに指示しております。
  71. 上原康助

    上原委員 これは、きょうは時間ありませんから、分科会で私はもう一度気象庁と国土庁を呼んで聞きますけれども、防災対策を含めてぜひ真剣にお取り計らいいただきたい。  最後に開発庁長官、きょう取り上げられない基地問題その他あります。御承知のように沖縄は来年復帰二十年です。だから我々も真剣に今いろんなことをお尋ねするし、また協力できる面は協力もしなきゃいかぬという責任感を持っております。  そこで、きょう取り上げられませんでしたが、八重山の戦争中のマラリア補償の問題、厚生年金格差の問題とか不発弾処理その他の戦後処理というもの、やらなければいかぬ極めて重要な戦後処理がまだ残っておるんですね。その意味で私は、厚生年金問題の格差とかマラリア補償というのはどうしても来年の復帰二十年までにはめどをつけていただきたい。戦後処理の重要な、その他もいろいろありますが、この点についてはぜひ厚生大臣なり関係省庁の責任者とも、これは沖縄開発庁の長官ですからやっぱり政治的に解決せにゃいかない課題なんですよね。そういう問題含めて、最後にこれからの沖縄の振興策、今申し上げた戦後処理等々どう解決をしていこうとなさるのか。ぜひ復帰二十年という大事な節目までに県民の期待にこたえてもらいたいという強い要望を含めて、改めて大臣決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  72. 谷洋一

    谷国務大臣 今御指摘になりました戦後処理の問題は、重要な問題が山積しておるというふうにはお伺いしておりますけれども、今後どう処理するか、これらの問題については各省庁と十分詰めて勉強させていただきたいと思っております。
  73. 上原康助

    上原委員 終わります。
  74. 中西績介

    中西委員長 玉城栄一君。
  75. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣に初めて御質問させていただきます。  大臣沖縄開発庁長官に御就任されてちょうど二十五代目だということを伺っております。最初の沖縄開発庁長官は山中長官でありました。山中さんから数えましてちょうど二十五代目だということで、先ほどから大臣の御答弁を伺っておりますと、沖縄振興開発のためにさまざまな問題を大臣自身もお感じになっておられるようであります。  確かに、沖縄本土復帰して十九年、二十年になります。そのために沖縄開発庁という独自の役所を政府はつくりまして、沖縄振興開発のためにさまざまな問題に取り組んでこられておるわけです。いい面も非常にありました。ところがまた逆に、悪い面ももう端的に出始めておるわけですね。ですからこの三次振計、先ほどから論議されておりますが、これは非常に大事な問題です。  ただ、そこでやはり沖縄県民はこの二十年近い 政府の施策に対して大いに批判的なものも持っている。それは端的に去年の十一月の県知事選挙でその県民意思というものはあらわれております。御存じのようにその前は西銘さん、自由民主党の方が十二年間の県政を責任を持ってやるという立場であったけれども、それに対してやはり沖縄県民はノーだ、沖縄開発庁政府に対する批判も込めての県民意思が端的にあらわれた。しかも大幅に、三万余りという票差もつけながらということからしましても、やはり谷長官もそういうことをよく踏まえて沖縄の施策にこれから取り組んでいただきたい、このように思うわけであります。  それはやはり、私は何といいましても一つは米軍の基地問題、この問題から派生するさまざまなトラブルの問題、沖縄振興開発の障害になる問題等多くの問題をまだまだ引きずったまま沖縄はあるわけであります。それだけではありません、沖縄振興開発に基地の存在というものが発展の大きな障害になっているということもありますし、また経済的な面でも、例えば具体的に申し上げますと、製造業の問題なんかにしましてもまだこれといって本当に自立できる、そういう体制がされていない。先ほど局長さんの御答弁伺っておりまして、財政依存が非常に強い、なぜ財政依存が強いか、いわゆる中央の財政におんぶせざるを得ないような体制をつくっているというこのあり方は私は大きく反省をされなくちゃならない問題だ、こう思うわけですね。ですから、どうしても依存しなくちゃならぬ、そのことによって沖縄の施策をスムーズに国サイドでやりやすいような形に持っていく、そういうポイントとして、自立できないようなものがあったのかどうか、十九年経過しておりまして常にそのことを感ずるわけであります。  そこで、谷長官、早速沖縄現地視察もされまして、その記者会見を私は新聞で読みましたけれども、今の県政に対して、もちろん政治は理想、現実両方見ながらやるべきだという、そのとおりですね。そのとおりでありますが、例えばさっきちょっと申し上げましたように、沖縄振興開発の中でいわゆる実態の面においても米軍の基地の存在というものがその発展の大きな障害になっていたということからしまして、今の沖縄の県知事は、米軍基地の全面返還というものを言いたい、打ち出したい、沖縄振興開発、三次振計の中に盛り込みたい、そういう意向を表明しておられるようであります。私は、それは当然のことだと思うのですね。これはやはり現在の知事の政治理念として、あるいは理想の面かもしれませんが、沖縄の置かれている膨大な基地というものは何とかして撤去してもらいたいという意向を表明し、それをまた振興開発計画の中に盛り込みたい、これは当然だと思うのです。ですから、そこで理想と現実、今の政府立場からこれは非常に好ましくないかもしれませんけれども、やはりそこで理解し合って、あるいはまた協力し合うというものを持っていかないと、大臣がおっしゃっているようにいわゆる国と県との関係はぎくしゃくしたものになる。ぎくしゃくするということは、お互いに理解し合っていないままにそこのぎくしゃくという問題が出てくるのではないかと思うわけです。  そこで、三次振計、振興開発計画を、これから開発庁、その前に審議会、いろいろ議論されますけれども、もし大田沖縄県知事沖縄米軍基地は全面撤去してくれという趣旨のものを盛り込まれた場合に、沖縄開発庁としてはどういうふうにされるのか、まずその点をお伺いいたします。
  76. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの玉城委員の御質問の趣旨は、県が沖縄振興開発計画の案をつくる際に、その案の中に基地の全面返還ということを書いてきたらどうするのか、こういう御趣旨と理解してよろしゅうございましょうか。  沖縄振興開発特別措置法によりますと、沖縄振興開発の決定に至ります手続といたしましては、まず沖縄県知事が案を作成いたしましてこれを内閣総理大臣へ提出をいたします。そうしまして、その上で内閣総理大臣が、提出された案に基づきまして沖縄振興開発審議会の議を経るとともに関係行政機関の長との協議を経た上で振興開発計画を決定する、こういう手続を踏むことになっております。  御質問の点につきましては、仮定の問題でございますので現時点で明確なお答えをいたしかねるわけでございますけれども、今のような一連の手続の過程の中で検討されることになろうかと思います。
  77. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖振法の中には、今局長さんのおっしゃるとおりの手続的な過程があるわけです。私がお伺いしたいのは、国と県との関係がぎくしゃくしてはならないということを記者会見でわざわざおっしゃっているものですから、このぎくしゃくしてはならないということはどういう意味なのか、それをお伺いしているわけです。
  78. 谷洋一

    谷国務大臣 新聞記者会見におきます、前後の話があるわけでございますけれども、いずれにいたしましても私の気持ちは、次の振興計画をつくろうとする大事なときでございますから、十分国と県とが話し合いのできる、話し合いをしようという態度が一番大切だと思っておりますので、その意味を込めて申し上げたわけでございます。
  79. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほどの午前中の答弁でも、沖振法は来年延長しますね、それが高額補助の問題あるいは復帰特別措置の問題等含めまして、これについては記者会見でも前向きに取り組むというような長官のお話があったわけですが、そのとおり受けとめてよろしゅうございますか。
  80. 谷洋一

    谷国務大臣 前向きといいますのはそのとおりでございまして、次の計画は非常に県民の皆さんの立場から考えて、県民気持ちを十分に酌み取った立派なものをつくり上げたい、こう思っております。
  81. 玉城栄一

    ○玉城委員 これからも機会もあると思いますが、先ほどの御答弁からしまして、この第三次沖縄振興開発計画についてはユニークな、そしてまた地元県民の意欲的な新しい着想で、いわゆる一次振計、二次振計の積み残しをこの三次振計で解決するというのではなくて、そういうものと離れて独自の計画でなくてはならないということもおっしゃっておられたわけでありますが、例えば具体的にそれはどういうふうに我々としては受けとめればいいのか、その辺を御説明いただきたいのです。
  82. 谷洋一

    谷国務大臣 私は、沖縄県は気候風士というものから考えまして今でいえばリゾート的な地域として発展することが非常に大切だと思うのですけれども、十一年前に第二次振興計画をつくりますときにはそういう考え方は余りなかったのではなかろうか。今度はそういう一つの例とおっしゃいますから、国民保養の場として大いに活用されるというふうな、特に我々は、離島ということで、非常に過疎化現象が激しいというふうなことで今行政面でも苦労なさっていらっしゃるようでございますけれども、そういう点をこれからの十カ年では非常にユニークな着想で考えていけばいいんじゃなかろうか、こう考えております。
  83. 玉城栄一

    ○玉城委員 三次振興開発沖縄では恐らく向こう十年間、来年から十年間の期間で二十一世紀を目指す三次振興開発計画をつくろう、少なくとも私は、沖縄振興開発というものを計画的に、組織的に政府が取り組むというものは恐らくこの計画で終わるのではないかという感じもするわけです。したがいまして、いろいろなアイデアも出ていますし、いろいろな考え方も今の段階で出ております。二十一世紀に向かう沖縄のあり方の一つとして、いろいろな考え方がありますが、沖縄一つのポイントにして東南アジアとかいろいろなそういうところの発展考えるべきではないか、こういう大きな明るい展望もこの中に入れていかなくてはならないと思うわけであります。そのことはきょうはその程度にさせていただきます。  ちょっと質問を変えますが、自治省、来ていらっしゃいますか。午前中もちょっと伺いましたが、例の六・二三慰霊の日休日の問題です。これは自治省の方からも、こういう案で従来どおり沖縄の六月二十三日慰霊の日として休日にする条例 をつくるという内容のペーパーもいただきました。これは伺いますと、きょうは八日ですが、十二日の地方行政委員会で自治法の改正が行われるということも伺っておりますが、あの考え方からしますと、沖縄地元県民が望んでいる六月二十三日慰霊の日は休日にすべきだということは十分成り立ち得ると考えてよろしいですか。といいますのは、その前に皆さんが六十三年ですか、六十三年に改正したときに、我々にもちょっとまずい点があったかもしれませんが、見てびっくりしたのは、これで沖縄の従来の六月二十三日慰霊の日の休日がおかしくなったということがわかったわけですから、今度また、十二日地行で自治法の改正がされたときには、ちゃんと沖縄県民が望んでいたとおり慰霊の日が休日になるんだ、そういうふうに受けとっていいのかどうか、その辺をお伺いしておきます。
  84. 石橋孝雄

    石橋説明員 ただいま先生の方からお話がございましたように、現在、地方公共団体におきまして慰霊の日などの特別な歴史的、社会的意義を有する日を当該地方公共団体の休日として定めることができることとするために、地方自治法議員修正案衆議院地方行政委員会の場で話し合われておるわけでございます。  本来、地方公共団体の休日に関する制度といいますのは、国それから他の地方公共団体との均衡がとれたものであるということが必要であるわけでございますが、このたびは極めて例外的な措置といたしまして、沖縄慰霊日等を休日として認める方向で検討されているというふうに承知をいたしております。つきましては、地方自治法のこの修正案が速やかに成立されまして、沖縄において新しい休日条例を定めることができるように我々も期待をいたしておるところでございます。
  85. 玉城栄一

    ○玉城委員 今のこの六・二三休日の問題は、私らにもあの段階でちょっとわからなかったという問題点はありますが、皆さんもあれは、今三年目くらいですか二年目くらいですか、そういうふうにできないように改正して、そして今度またできるように議員立法改正をさせる、こういうあり方もまさに朝令暮改といいますか、その点で皆さん方にも大きな問題点はあっただろうと私は思うわけです。いずれにしてもこれが法的にもきちっとされるということでありますから、ああいう騒動にならないようにしっかりと事前によく検討していただきたい、このことを要望しておきます。どうもきょうはありがとうございました。  それから、今度は厚生省の方にお伺いをいたします。  看護婦の不足の問題です。この件はさき予算委員会でもうちの党の書記長市川さんの質疑もありました。拝聴させていただいておりますが、その看護婦の不足、またその深刻な問題というものは、全国的な問題と同時に、沖縄はまたさらにいろいろな深刻な問題があるわけです。この深刻というのは、労働過重から、いろいろな人員が足りないという問題もあります。  そこで、具体的には、今沖縄県の場合、看護婦、准看護婦さんも含めて総数は何名いらっしゃるのか、それに対して本来は何名必要なのか、その点をお伺いいたします。
  86. 矢野正子

    ○矢野説明員 今の先生の御質問の、まず現在の看護婦職員数でございますが、沖縄県につきましては、衛生行政業務報告、これは昭和六十三年末の数字でございますが、看護婦と准看護婦の合計が七千二百二十一名でございます。それに保健婦と助産婦を加えまして、合わせて七千七百三十六名という数字になっております。  これに対しまして平成元年五月に看護職員需給見通しというものを策定しておりますが、これは沖縄県の看護職員の需要数でございまして、この需要数は、当時六十三年で七千九百人でありますが、その後徐々に需要がふえるであろうということで、平成六年の数字は九千六百人というふうになっております。  以上です。
  87. 玉城栄一

    ○玉城委員 現在の看護職員の方々、七千三百三十六名、それに対して需要というのは六十三年で七千九百人ですね。ですから約六百人前後の不足ということになるわけですが、それで今度は平成六年には九千六百人は必要であろうということですよね。ですから、現在七千三百名余の看護婦さんでも約六百名ぐらいは不足だということでしょう。
  88. 矢野正子

    ○矢野説明員 先ほど申し上げました数字は七千七百三十六名でございます。六十三年末の数字でございます。
  89. 玉城栄一

    ○玉城委員 では七千七百で、そして需要が七千九百だから二百人くらい不足している。おおよその数字ですね。  これはこの前の予算委員会でも質疑がありましたけれども、現在の看護婦さんは、沖縄に限りませんが、沖縄に限って言いますと非常に負担過重であります。過重労働であります。夜勤もある。そういう非常に深刻な問題がある。ですから、労働条件とか待遇、いろいろな条件とかそういうものはそのままにした形での七千九百人の需要で、現在の定員が七千七百ということになるわけですね。例えば週休二日制なんかはどのような計算の中に入れて七千九百必要だというのか。そういうものは入れないまま、ただ計算で七千九百人必要だという意味ですか、さっきの六十三年度の需要数。
  90. 矢野正子

    ○矢野説明員 需要の増につきましては、今先生指摘のように労働条件の改善でありますとか、そのほか周囲を取り巻く環境、いろいろありますが、そういうものの改善を図って就業者をふやすということで、今申しました九千六百にしていきたいという数字になっております。  ただ、前回の市川先生の御指摘にもございましたように、現在の需給見通しでも、それ以降出てまいりました看護の需要といたしましてゴールドプランの問題でありますとか、それからさらに週休二日制、その他いろいろな問題を含めましてもっとふえるであろうということで、今見直しを考えている最中でございます。
  91. 玉城栄一

    ○玉城委員 いわゆる需給見通しの見直しを今考えているということですが、これはどういうふうに考えていらっしゃるわけですか。いつごろまでのものを今これから計算して出そうというのですか、沖縄県について。同じになりますけれども。
  92. 矢野正子

    ○矢野説明員 沖縄県につきましては、これは各都道府県と同じことになりますので、もし需給の指示をいたしますということになりますと、同一時期にやっていただくということになります。  先ほど申し上げましたようないろいろな労働条件の問題とかそういうものを踏まえまして、その見直しを急ぐべくということで今作業をやっておる最中でございまして、その時期につきましてはなるべく早くやりたいというふうに考えておりますが、おおむね年度内には何とか指示を出したいというふうに今考えております。
  93. 玉城栄一

    ○玉城委員 年度内にそれをつくって各都道府県に出すわけですけれども、これは何年後の需要数を出すのですか。五年後とかあるいは十年後は看護婦さんの数はこれだけ必要である、新しい見直し案に基づいて計算していってそれを各都道府県に指示するわけですが、何年後のことをこれから計算しようというお考えでしょうか。
  94. 矢野正子

    ○矢野説明員 先生指摘の点につきましても今検討している最中でございますが、ただゴールドプラン等が平成十一年という数字を出しておりますので、そういうものも踏まえながら年度につきましては考えたいというふうに思っております。
  95. 玉城栄一

    ○玉城委員 いずれにしても、新しく看護婦さんの需要の見通しというものは見直しながら出していく、こういうことでありますが、今さら私が申し上げるまでもなく、看護婦さんの方々の仕事の実態というものは本当にもう大変です。それは週休二日制、二・八体制だとか——二・八というのは、二人で一カ月に八回はいわゆる夜勤をするという、これは人事院が勧告したのですが、それすら守られていないということがたくさんありますね。夜勤手当にしても二千六百円ですか、それがやっと三千六百円になった。夜勤手当が十年にして初めて千円やっとアップした。看護婦さんだっ て家庭もあれば、また子供さんもいて育児とかいろいろそういうことがあるわけですから、また、面倒を見る相手は患者さんですからそれこそ大変なものだと思うのです。それに、これからそういうものを見直そうということ自体に、やはり厚生省は今まで何をしていらっしゃったのかな、こういう看護婦の不足の問題について大きな問題になっているときに、そのように思うわけであります。  それで、これから見直す、それはそれでもうしようがないのですが、現在の対策ですね。看護婦さんの数が少ない、あるいは確保する等の対策について、厚生省はどういうことを考えていらっしゃるのでしょうか。
  96. 矢野正子

    ○矢野説明員 御承知のように、まずは国民に適切な医療を提供していく、そういうためには資質の高い看護職員を十分に確保するということは言うまでもございません。このために、平成三年度の予算案におきましては幾つかの柱を立てておるわけでございますが、まず養成施設への助成の強化、それから離職の防止、さらに潜在看護職員の再就業の促進、それからもう一つは、看護のいろいろなイメージがございますが、できるだけ看護に対する理解を深めるための「看護の日」の制定ということで、それらを柱にしまして、一般会計ベースにおきまして約四割の大幅増を図ったところでございます。今後とも、現在から先を見通しましてできるだけ長期的視点に立ちまして、看護職員の確保対策に努力してまいりたいというふうに思っております。
  97. 玉城栄一

    ○玉城委員 今のお話だけでは、看護婦さんの方々の深刻な労働条件の問題、人員の問題、待遇改善の問題等、対策にしてはちょっとはっきりしないのですが、沖縄県の場合は御存じのとおり四十有余の有人離島を抱えている。離島、僻地が非常に多いわけですね。ですから、ほかの県にもそういう地域はあるだろうと思いますけれども、無医地区というのも沖縄にはあります。じゃ、せめて看護婦さんだけでもいらっしゃっていただいて、そういう点をカバーできないかという声も非常に強いわけです。そういう離島あるいは僻地の看護婦さんの不足という中で、そういう面でどういうふうに対策を持っていらっしゃるのか、お伺いをいたします。
  98. 矢野正子

    ○矢野説明員 僻地などの離島等を含めましたそういった看護婦の確保につきましては、その環境整備といたしまして、平成三年度から僻地診療所の建物の整備の補助対象といたしまして看護婦の住宅ということを新たに加えることにいたしました。これらのことを項目に入れましてその充実、対策等に努めてまいりたいというふうに考えております。
  99. 玉城栄一

    ○玉城委員 僻地、離島とかそういうところの診療所の看護婦さんの住宅、看護婦さんの専用住宅に厚生省として補助を出されるというのですか。これは何と言いますか、何という制度ですか。
  100. 矢野正子

    ○矢野説明員 今申し上げましたのは僻地診療所の補助ということになって、その項目の中の一部として——今までにありますのは、例えば診療部門を建築する場合にはその施設整備ということで出してきております。それからさらに、先生の御指摘の医師の確保の点も含めまして医師の住宅、それから今度新たに看護婦の住宅ということで、メニューと申しておりますが、一項目入れまして、ぜひ確保を図るという意味で看護婦の住んでいただくところをその中で出していただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  101. 玉城栄一

    ○玉城委員 何か厚生省の方では僻地医療の基準があるようですね。半径四キロ以内に五十人以上の住民がいて、そこにそういう医療施設がないというような全国的な統計があって、そして沖縄はそういう地域が幾つあるというふうな話をちょっと伺ったのですが、詳しく説明していただけませんか。おたくの管轄ではありませんか、これは看護課とは違いますか。
  102. 矢野正子

    ○矢野説明員 設備関係につきまして、今ちょっと調べておりますのでお待ちいただきたいと思います。
  103. 玉城栄一

    ○玉城委員 看護婦さんの問題は先ほどから申し上げておりますように全国的に大変な問題で、急に不足分をカバーできるという性格のものでもないわけです。しかも夜勤というような非常に労働過重の仕事が常にあるという状態です。しかも、看護婦さんの等級といいますか、公務員の行政職六級で抑えられているようですね。六級は三十七、八万ですか、四十万に足りないですね、最高に行ってもそれぐらいしかない。そういうさまざまなものが今まで放置されて、だからどんどん看護婦さんはやめていく、後はいわゆるパートの看護婦職につくというような、いろいろな問題点は常々指摘されているわけですから、そういうものを改善して、本当に魅力のある、魅力といいますか使命感に燃えて看護職に当たるという方々が来れるように制度としてどんどん改善もしていかなければいかぬ、こう思うわけですね。ですから、その点も含めまして、本当に今の深刻な問題について厚生省考え方をお伺いいたします。
  104. 矢野正子

    ○矢野説明員 まず最初に先ほど御質問のことを申し上げますが、無医地区の定義でございます。  これは、医療関係機関、医療機関のない地域で、当該地域の中心的な場所を基点としておおむね半径四十キロメートルの区域内に人口五十人以上が居住している地域であって、かつ容易に医療機関を利用することができない地域ということで無医地区を指定してございます。
  105. 玉城栄一

    ○玉城委員 それは全国に幾つありますか。そして沖縄は幾つありますか。
  106. 矢野正子

    ○矢野説明員 全国の数だけ先に申し上げますが、昭和四十一年ごろは二千九百二十でございましたが、五十九年になりまして、その間いろいろ数字がございますが、五十九年で一千二百七十六、それから平成元年におきまして一千八十八というふうな数字になってございます。  それから後の方のことでございますが、先ほど申し上げましたように看護婦確保対策ということで、今処遇のお話がございましたし、それから給料の表の話もございましたが、そういうものを含めまして、ことしにおきましても随分努力をいたしまして、例えば人事院勧告等におきましても、看護職については四・五%の上げをいただいたとか、そういうふうなことも含めまして、今後とも対策は強化していきたいというふうに思っております。
  107. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、養成機関もどうしても必要だと思うのですね。私たちの党の政策では、一県一看護大学はこれからぜひ実現していくべきであるという主張もしておるわけですが、沖縄開発庁の方にもお伺いしますけれども、厚生関係もやっていらっしゃるわけですから、沖縄県の看護婦さんの不足の問題含めて、含めてというよりも、養成してその不足を少しでもカバーしようというようなこと、そういう点について沖縄開発庁はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  108. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 お答えをいたします。  開発庁の方はいわば病院、診療所、看護婦養成学校等の施設整備を担当させていただいておりますが、お尋ねの看護婦の養成施設につきましては、直近の例で申させていただきますと、平成元年度から二年度にかけまして、かつてのコザ看護学校と那覇の看護学校とを統合いたしまして、県立の沖縄看護学校というのを新しく新営をさせていただきました。これがたしか先月完成をいたしました。定員が、正看百八十人含めまして二百二十名でございます。それから平成三年度、つまり来年度からまた新たに那覇市の医師会立の看護専門学校、これは正看、准看含めまして定員二百名でございますけれども、この施設整備に着工をいたしました。  いずれにしましても大変重要な問題でございますので、今後ともこういった施設の整備については十分検討させていただきたいと考えております。
  109. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、御存じのとおり沖縄県は非常に長寿社会ですね。高齢化社会です。沖縄に限らず、看護婦さんとかそういう問題は抜本的に改革していかないと、とてもじゃないけれども追っつかない。追っつかない中で働いていらっしゃる看 護婦さんは大変な状況に追い込まれている。何とかして政府側は行政的にきちっとしていかないと、大変な問題になるわけですね。沖縄の場合は特にそういう傾向が非常に強いわけでありますけれども、大臣、ひとつそういうことについてどういうお考えをお持ちであるのか、お伺いいたします。
  110. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいま看護婦不足という問題を御指摘でございますけれども、全国的に確かに看護婦不足は著しいわけでございます。特に沖縄県につきましては不足が多い、こう聞いておりますし、さらに離島におきましては医師不足、しかも外国人の方でおいでいただいておる方も高齢になっていらっしゃるというふうなこともお聞きしておりますので、地元の大学の方に県の方が委託生というふうな制度を積極的におつくりいただいて医師不足の解消をねらうと同時に、看護婦不足もぜひとも取り上げていかなければならない、こう強く考えております。
  111. 玉城栄一

    ○玉城委員 どうも厚生省、私は終わりましたから結構です。  次に、総務庁来ていらっしゃいますか。ことしの一月十何日かに、総務庁の沖縄行政監察事務所がいろいろな点を調べられて、そして改善すべき点を関係機関に勧告されているわけですね。「観光客受入施設等の改善に関する調査の結果」という題名で報告書をまとめて公表されて、関係機関にその改善方を勧告しているわけです。その概要をちょっと御説明していただけますか。
  112. 山岸親雄

    ○山岸説明員 ただいま先生から御紹介をいただきました調査でございますが、まず、沖縄県では国際観光モデル地区の指定を受けるということで質の高い観光サービスの実現推進しているという状況、それから私ども総務庁の方におきましても、国民立場に立った行政を実現するためということで全国的にさわやか行政サービス運動を進めているところでございます。このようなことから、沖縄行政監察事務所で、昨年の十月から十二月でございますが、空港、道路その他の観光施設等につきまして、観光情報の提供、観光施設の維持管理あるいは救急災害対策の状況について調査したものでございます。  調査の結果でございますが、やや細かくなりますけれども、次のような問題点が認められました。  まず観光情報の提供に関しましてですが、例えば、観光地におきます道路の案内標示が地名が不統一などで内容に一貫性がない、あるいは標示に連続性を欠いているというような不親切な状況が認められました。それから観光施設の維持管理についてでございますけれども、国営沖縄祈念公園等、公園を初めとしまして道路等におきまして施設の維持管理が十分でないというものが見られました。また、道路の防災ということになりますが、建設省の指示によりまして道路の防災点検が行われております。その点検の結果、落石の危険性があるというふうに指摘された箇所、危険箇所でございますけれども、これらの箇所について防災工事が実施されていないものが認められました。  それから空港の関係でございますけれども、台風の影響によりまして航空便が欠航いたしました際に空港ロビーに観光客等が滞留するわけでございますけれども、この人たちの応接についての対策がない、あるいは再開後に空席待ちの整理券を航空会社が発行するわけでございますけれども、この発行の方法が航空会社によっていろいろ異なっている、そのために再開時において空港で混乱が起きるというような、言うならば空港におきます旅行者なり観光客のサービスに立ちおくれが認められました。さらに空港の関係で、空港における救難救急に関してでございますけれども、空港管理者と地元医師会等との救急医療協定等が締結されていない、あるいは締結されているけれども中身がなかなか進んでいないというようなものがございました。さらに空港の消防でございますけれども、那覇空港の場合はそのような問題はございませんでしたけれども、そのほかの空港におきましては、国際的な努力基準とされる国際民間航空機関の基準がございますが、この基準から見まして十分でないものが認められました。  以上のような問題点がございましたので、昨年の十二月末になりますけれども、沖縄総合事務局、それから運輸省の那覇空港事務所及び沖縄県に対しまして、所要の改善を行うよう求めたものでございます。
  113. 玉城栄一

    ○玉城委員 関係機関、沖縄開発庁はそれに応じてどういう改善策を講じたのか、皆さんに関する分だけちょっとお答えをいただきたいと思います。
  114. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 ただいま行監からお話がございましたように、昨年末に勧告がございました。その内容は、ただいまお話しになりましたように非常に詳細にわたるものでございます。例えば、どこどこの何番地のところの標識が破損しているとか、そういった非常に詳細にわたる、かつ膨大なものでございます。それに対しまして、総合事務局といたしましては去る二月四日に回答をいたしております。  それの内容を見させていただきますと、大変項目が多うございますので一概に申し上げられませんけれども、直ちに対処対応したもの、あるいは本年度内に整備を終わるもの、あるいは四年度に予定しているもの、もう少し検討させていただきたいもの等々、区々でございますが、私ずっと通観をいたしますと、できるところからかなり積極的に対応をしてくれているように思います。いずれにしましても、こういった標識等の問題は、正確でかつわかりやすく、つまり利用者の利便本位ということではないかと思います。  そういったことで、もし必要でございましたらさらに詳細に御説明をさせていただきたいと存じますけれども、いずれにしましても、総合事務局の方に対しましては今後とも積極的に対応するように指示をさせていただきたいと思います。
  115. 玉城栄一

    ○玉城委員 たくさん御説明がありましたが、私もこの報告書を見まして、盛りだくさんで、これはよくわかります。しかし、大事なものがあるのですね。いわゆる災害とか救急とかそういう対策だとか。これは運輸省ですか。運輸省の方いらっしゃっていますね。運輸省の方はどうなんですか、この改善勧告を受けてどういう対策をとられておるのか、お伺いします。
  116. 堀内哲夫

    ○堀内説明員 昨今におきます航空利用客の増大、機材の大型化に伴いまして、不測の事態が発生した場合には甚大な被害が発生するわけでございまして、その被害を最小限にとどめるためには、空港内の消防、救急医療体制を整備するということは極めて重要なことだと私ども認識しているところでございまして、現在その方向に沿いまして空港消防能力の強化、あるいは救急医療体制の整備を進めているところでございます。  まず、救急医療についてでございますが、昨年の秋に救急医療の体制の関係地元医師会と空港管理者との医療協定につきましてのモデル案を作成いたしまして、全国にこのモデルに従って各空港ごとに協定を結ぶように指示したところでございまして、現在各空港におきまして順次整備を進めているところでございます。那覇空港につきましても近々整備される予定でございます。  それから空港消防能力につきましては、ICAO基準にのっとりまして整備を順次進めているところでございまして、国の設置、管理する空港につきましてはおおむねこのICAO基準を満たしているところでございますが、第三種空港につきましても同様の基準に準拠いたしまして整備するよう指導してきているところでございます。那覇空港につきましては既にICAO基準を満たしておりますが、沖縄県内の三種空港につきましてはまだICAO基準を満たしておりませんので、今後とも基準を達成するように指導してまいりたいと考えております。
  117. 玉城栄一

    ○玉城委員 この中に指摘されておりますけれども、宮古島の宮古空港、それから下地島の下地空港、ここはどうなっていますか、その空港が指定されて、特定されて、そういうものが全然されて いないという指摘がありますけれども。
  118. 堀内哲夫

    ○堀内説明員 御説明申し上げます。  宮古空港につきましては、空港内の消防能力につきましてはICAO基準を満たしておりません。ただし、近隣の自治体消防能力を入れますとICAO基準を達成することになります。  それから下地島につきましては、空港内の消防能力につきましてはICAO基準を達成しておりませんが、また空港外の自治体消防を入れましてもまだ完全には達成していないという状況にございます。
  119. 玉城栄一

    ○玉城委員 指摘されたとおり早急に、これは災害、救急、いろいろな、お客さん、お客さんといいますか、医療に関することですから万全な体制をきちっとやっていただきたいと思うのです。  その中にまた、先ほどもお話ありましたとおり、那覇空港の場合、先ほども上原先生からもお話がありましたけれども、台風のときには本当に二日か三日飛行機がとまりますね、飛べないわけですから。そのときのお客さんなんか、あのロビーでたむろしていらっしゃるわけです。そういう点で常に言われていることですけれども、また行政監察事務所から指摘をされていますけれども、このあたりはどういうふうに改善されているのですか、そういう場合にどうするのか。
  120. 堀内哲夫

    ○堀内説明員 台風に伴います欠航によりまして空港内に混乱が生じるというようなことは、利用者サービスにとっても極めて問題であるというふうに私ども考えております。この問題を解決するためには、ターミナル事業者あるいは航空会社等関係者が一致協力して対応すべきものだと考えておりまして、先般、既に運輸省といたしましても、ターミナルビルの管理運営あるいは空席待ち整理券の発行方法等につきまして、関係者に対しまして改善方を指示したところでございます。その結果を待ちまして、必要があればまた所要の措置を講じたいというふうに考えております。
  121. 玉城栄一

    ○玉城委員 いやいや、だからこれは前から、台風は今に始まっているわけじゃないのですから、今から指示してその改善を待つというのでは非常に遅いわけですね。だからそういうことはきちっとしていただきたいわけですよ。  時間もあと五分余りしかありませんので、これは沖縄開発庁の方にお伺いいたしますけれども、先ほど私ちょっと、製造業に関してはほとんど見るべきものがないじゃないか、この二十年近く振興された割にはというお話を申し上げたのですけれども、いわゆる沖縄県の物産すべての、工業関係のものもあれば、農作物、食料関係、いろいろなものがあります。こういう沖縄産業祭りというのを沖縄は年に一回やっております、那覇市の奥武山球場で。しかしこれも一過性で、その後これがどう沖縄産業にプラスするように結びついたかというきちっとしたものがない、一過性ということになっているわけです。ですから、産業祭りをした、それが持続的に沖縄の県産品を、よく言われておりますいわゆる沖縄本土行き、そういうものを具体的に本当に沖縄開発庁理解して、それをバックアップしていくというシステムをつくり上げていかなくてはいけない。だから自立できる基礎条件整備、私はそういうことじゃないかと思うのです。  ですから、そういう沖縄の物産を本土紹介し、これは流通もあります、卸、小売、いろいろなネットワークの問題もあります。けれどもそれには、それに対応できる、それを推進していける組織も必要になりますね。ですから、そういうものを今沖縄ではつくろうと、関係者が、産業界も含めて、もちろん沖縄県も、前の西銘さんのころにもそういう構想があったようですが、これは遅いくらいですね。それにはいろいろなのがありますよ。今、部分的にやっておりますが、これを組織的にずっとやっていく公社といいますか第三セクターといいますか、あるいはいろいろ形としては考えられると思うのですが、そういうことについて沖縄開発庁としてはどうお考えになるのか。勝手にやれ、できるならやってみろ、そういう調子でいらっしゃるのかどうか、その辺お伺いいたします。
  122. 造酒亶十郎

    造酒政府委員 沖縄自立的発展基礎条件整備する、それからまた活力ある地域社会をつくっていくといいますためには、やはり特色ある産業の振興を図っていくということが私ども何より肝要であろうと考えております。沖縄におきます特色ある産業の振興を図りますためには、例えば亜熱帯農業の確立でございますとか、それから観光の振興と不可分の関係にございます陶器、漆器、琉球ガラス、あるいはリゾートを中心といたします観光関連産業、いろいろ幅広いものが考えられるかと思います。  ただいま玉城委員の御指摘の点につきましては、沖縄県の方でかねて御努力をなさっておられると私どもも伺っておりますが、よく沖縄県と連絡を密にいたしまして、私ども必要に応じて助言なり指導なりをさしていただきたい、かように考えている次第でございます。
  123. 玉城栄一

    ○玉城委員 連絡の取り合いということは当然なことなんですけれども、やはりそれをやっていくには、個人あるいは一企業という段階でやっていくには非常に難しい問題があるわけですから、それは公のいわゆるバックアップがどうしても必要です。それにはやはり資金もかかるわけですから、その資金的な支援をどういう形でやるかとかいうものを含めて、せっかくできたものが成り立つようにぜひこれはしていただきたいですね。ひとつよろしくお願いします。  どうですか、開発庁長官、沖縄本土復帰して二十年近くなりました。本当に沖縄県が自立していける、そういう体制をつくり上げるというのがやはり振興開発の目的なんですね。ですから、その経済面あるいは商業の面、いろいろな面から特にバックアップしていかないと、とにかく沖縄県の市場はどうしても本土になりますから、今のところは、その市場でその産品が売れるようなシステムといいますか、そういう場をちゃんとつくってあげなくちゃいけないわけですね。沖縄も、本土からどんどんいろいろな商品が来ます。それと同じくらいにまた沖縄の、いわゆる沖縄本土行きのいろいろな商品を、それは工業製品も先ほど申し上げましたようにいろいろありますので、そういうことを開発庁、真剣にやってもらいたいということなんですが、どうですか、長官。
  124. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいま御指摘のとおりに、産業の振興ということが沖縄にとっては欠くことのできない重要な今後の課題だと思います。特に第一次産業、いわゆる農産物の確保ということも大事じゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、やはり一村一品運動なんということがよく言われますように、その地域の特色を出すものをつくってそれを育てていくということが最も必要じゃなかろうか。やはり沖縄でなければつくれないような気候風土に適したものを育てていくことが大事じゃなかろうかと考えておりますので、沖縄県とよく話し合いをさせていただきたい、こう思います。
  125. 玉城栄一

    ○玉城委員 終わります。
  126. 中西績介

    中西委員長 古堅実吉君。
  127. 古堅実吉

    ○古堅委員 長官への初めての質問をさせていただきます。  先ほど長官から、沖縄の祖国復帰五年前、長官が町長のころに沖縄へ行かれて、そのときのことを思い込めて語られたことに対して、胸の熱くなる思いがいたしました。申すまでもございませんが、沖縄問題というのは、言ってみれば我が国の政治の縮図のような形であらわれてくる、そういうたぐいのものが多いように思います。そういう状況の中で、沖縄にそういう思いを込めて長官が頑張っていかれるか、それとも、政府の言うことを聞け、このような行政的な、上からの立場で問題を処理しようとされるか、その分かれ道というのは、沖縄問題が沖縄の心をとらえて解決されていくかどうかが重大な岐路になろうかと思います。幸いにして、沖縄問題については実に長年担当してこられました藤田さんが事務次官になられ、同僚議員であります仲村さんも政務次官を務められることになりました。さらには、沖縄の文 化問題について大変御造詣の深い造酒さんが局長もしていらっしゃる。こういうスタッフをそろえてのことですから、県民の願いにこたえて大事な時期に頑張られる、そういう面ではいろいろと大きな事業もしていただけるのじゃないか、成果も上げていただけるのじゃないか、そういうことからも期待をしております。  それで、あえてこういうことを持ち出してまいりますが、沖縄振興開発特別措置法、それが提起されたときの趣旨説明にこう書かれました。  沖縄は、さきの大戦において最大の激戦地となり、全島ほとんど焦土と化し、沖縄県民十余万のとうとい犠牲者を出したばかりか、戦後引き続き二十六年余の長期間にわたりわが国の施政権の外に置かれ、その間、沖縄百万県民はひたすらに祖国復帰を叫び続けて今日に至ってまいりました。祖国復帰現実のものとなったいま、われわれ日本国民及び政府は、この多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖縄県民方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると考えます。 思いを込めて、まさに思いを込めてこの趣旨説明がなされています。この初心を思い起こして長官が沖縄問題に当たられることが大事ではないか、こう思いました。御所見を承りたい。
  128. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいま御指摘のとおり、四十七年に本土復帰いたしまして、政府としましては第一次振計、第二次振計を通じ沖縄格差是正沖縄の振興ということに努力したわけでございますし、今後も初心を忘れず頑張らなければならないというふうに思っております。
  129. 古堅実吉

    ○古堅委員 きょうは最初にソフトな面について質問させていただきますが、沖縄の伝統芸能の発展にかかわる問題です。  多くは申し上げるまでもありませんが、第二次世界大戦の末期にあのような地上戦となり、本当に山容改まるというのはそういうことかと思われるような状況になってしまいました。沖縄に国宝級の文化財が二十二もあったものがみんななくなるというふうなことなどを思い起こすだけでも、本当に残念の至りです。  こういう中でアメリカの占領下に置かれ、捕虜収容所で缶詰の空き缶を箱に、寝台の骨組みの棒をさおに、そしてあの電線を糸にして三味線が始まりました。伝統芸能を愛する方々が、そういういち早く戦場と化した沖縄の中で、どのように人々を激励し本来の県民の心を取り戻すか、願いを込めて、いろいろな努力の中で戦後四十六年、今日を迎えました。その中で、復帰の年に、沖縄の伝統的な芸能であります組踊、これが国の指定無形文化財となりました。この沖縄の伝統芸能をどう発展させていくか、これはひとり芸能人だけのものではございません。  ところで、願っております国立劇場などについての国と県の側の気持ちというのは、長い間、こうだということでぴったり呼吸が合うというところになかなかまいっていません。そういう現状を踏まえて、この問題を何としても解決しなくちゃいかぬ、こういう気持ちを込めての何点かにわたる質問をさせていただきたいのですが、南島文化圏という地域的な問題においても、多数の島嶼を背景に多種多彩な文化が保持されているという面でも、沖縄の伝統芸能というのは全国一般にはない大変独得なものを持っておるように思います。長官がこの沖縄の伝統文化の問題について基本的にどう受けとめていらっしゃるか、そこをお聞かせいただきたい。
  130. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいま御指摘になりました組踊を初め、数々の伝統のある文化財が沖縄にはある、こうお伺いしております。  さきに竹下内閣でふるさと創生という言葉が使われ、本日朝も、活力ある地域づくりという会議を早朝にいたしましたけれども、私はやはり、沖縄の特色のある芸術というものを伸ばしていくことはより大切じゃなかろうか。それはまた、沖縄県民の方ももちろんでございますし、国の立場から考えても大切なことだと思いますので、今後、これも国立劇場というお話を聞いておりますけれども、どういう方法で解決したらいいのか、また伝統のあるスポーツといいますか、もあるわけでございます。そういう点の絡みもございましょうし、沖縄県と十分打ち合わせをして前向きで取り組みたい、こう考えております。
  131. 古堅実吉

    ○古堅委員 沖縄総合事務局は沖縄県と共同で沖縄の伝統文化による地域振興調査、それを実施されました。平成元年三月、その調査結果が発表されましたが、その中で、「本調査の結びとして、解決すべき問題点としては、沖縄古典芸能を正しく継承・発展させていくためにはどうすればよいか、また、県内外の観客に鑑賞する機会を供給するにはどうすればいいか—の二つの点に集約されよう。」として、組踊や古典芸能の正しい発展を目指すためには、「後進の研修に役立つような稽古場や仮舞台のある施設を設置し、そこで古典芸能が流派を超えて、一流の講師の指導を受けられるようにすることが望ましい。」そういうことなどを述べております。  開発庁としてはこの調査結果をいろいろ検討していらっしゃるかと思いますが、どう受けとめておられるか、お聞かせいただきたい。
  132. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 ただいまの御指摘は総合調査でやっております沖縄の伝統芸能の保存に関する調査でございまして、これは平成元年度から三年までの三カ年を予定しておりまして、ただいま御指摘いただきましたのは、初年度のいわば中間報告的なものであったと理解します。  この問題は、先ほど御指摘いただきましたように、沖縄の伝統芸能、大変重要でございます。それはいろいろな立場から見られているんだと思います。一つは文化財保護的な純粋に保存という側面もありましょうし、あるいは県民一般への普及という側面もありましょうし、あるいは観光振興といった側面、あるいは村おこし町おこし、つまり地域振興あるいは活性化といったようないろいろな角度からの見方があるんだろうと思います。ただいま御指摘いただきましたようなこともございまして、私どもは平成二年度、三年度と調査を進めまして、その結果を見ましていろいろと検討さしていただきたいと考えております。  この問題、当面県としましては、例えば沖縄県のコンベンションセンター劇場が昨年八月に完成するとか、郷土劇場が昨年十月にオープンするとかといったことでございますが、いずれにしましても、今後私ども、その総合調査の進度を深めますとともに、県民の多くの方がどんな御意向であるか、そうしたものも酌み取りながら、文化行政でございますのでかなりのものが文化庁等の他省庁にお願いしなければならないものが多いんだろうと思いますが、積極的に働きかけてまいりたいと思っております。
  133. 古堅実吉

    ○古堅委員 昭和六十三年六月に、沖縄開発庁、文化庁、沖縄県、さらには専門家などで沖縄の無形文化財の保護に関する連絡協議会という名称で発足せられ、伝統芸能の実態把握と保存、伝承のあり方を調査研究されるということになりました。これが発表されますというと現地沖縄では大変な反響を呼びました。確かに、その目的、運営などについて直接その協議会が国立劇場の建設に結びついているということにはならない、読めばすぐわかります。しかし、願っておるそういう方向にこの協議会が発展する可能性が大きいと受けとめて、大きな前進だと現地の新聞なども社説にも出して、いろいろそういうことが評価的な立場から出てきたものであります。  その協議会の設置の問題を開発庁として、開発庁だけの問題ではございませんけれども、どう受けとめ、これをどのようにこれから運営、発展さしていかれるおつもりか、簡単に。
  134. 水谷文彦

    ○水谷政府委員 この協議会は、文化庁と私どもと県の教育委員会が、三者で連絡し合って開催をしているものでございます。御指摘がございましたように、国立劇場そのものではなくて、芸能関係一般につきましての検討を行っておるものでございます。したがいまして、先ほど申し上げました総合調査とかなりの面ダブる面があります。し たがいまして、総合調査の成果も得ながら、かつ、ここでの検討も深めてまいりたいと思っております。  いずれにしましても、総合調査の方が三年度いっぱいかかるわけでございます。そうしたことで、県としまして、ここで検討しております伝統芸能の保存、育成のための箱物と申しますか、ハード、それもございますし、また別途、例えば美術館の問題とか博物館の問題とか武道館の問題だとか、そういった横への広がりの施設整備の問題も抱えておられる、あるいは県民がそういったものも望んでおられますので、いずれもかなり大きなプロジェクトでございますので、その関係調整とかあるいは優先順位とかといったものもございます。したがいまして、今後の問題としてそういったものについての検討を深めなければならないと考えます。
  135. 古堅実吉

    ○古堅委員 昭和六十二年四月に、当時の西銘沖縄県知事が直接政府を訪ねられて要望書を提出されました。このコピーでありますが、国立組踊劇場(仮称)についての要請であります。「沖縄の組踊は、我が国の優れた伝統芸能の一つとして国の重要無形文化財に指定されておりますが、その適正な保存・伝承活動を推進するため、本県に国立組踊劇場(仮称)を設置していただきたい」というのが要望の趣旨です。  引用ばかりして申しわけないのですけれども、その「理由」のところをちょっと朗読させていただきますので、お聞き願いたいと思います。   本県には、組踊の伝承活動や公開等を行う専用の施設がないため、民間の施設や多目的ホールなどの使用を余儀なくされております。また、伝統組踊保存会の研修も民間の稽古場を借用して行っており、さらに総合的・体系的な記録保存や調査研究が困難であるなど、さまざまな制約を受けざるを得ない状況にあります。   このような状況では伝承者養成もままならず、組踊そのものの存続さえ楽観を許さないものがあり、組踊の拠点となる専用の劇場の設置が不可欠であります。   一方、我が国の国指定伝統芸能の国立施設は、昭和四十一年十月に国立劇場本館、昭和五十四年二月に国立劇場演芸場、昭和五十八年八月に国立能楽堂、昭和五十九年一月に国立文楽劇場がそれぞれ完成しております。   したがって、国立組踊劇場(仮称)が設置されますと、我が国の国指定伝統芸能のすべての劇場機能が整備されることになります。   また、本県には組踊のほかに、古典音楽、古典舞踊、沖縄芝居など、組踊に関わる芸術上価値の高い伝統芸能があり、これらの育成にも大きく寄与するものであります。 以下省略いたしますが、そういう趣旨のことが書かれております。  確かに沖縄開発庁は国立劇場などというふうになりますと直接担当の庁じゃありませんから、開発庁立場からこうしますということはずばりおっしゃりにくい面があろうかと思います。しかし、これまでのその経過について、長官を初め皆さんがよく御存じのように、予算その他とのかかわりにおいてなかなかこの問題が発展させにくいという要素もございます。開発庁がこの願いにこたえる立場で問題の発展にひとつかめば、あるいは門戸が開かれるかもしらぬ。沖縄の側は強くこのように熱い思いを投げかけています。私があえて西銘知事の先ほどの要請書、これを引用し申し上げるのも、この問題、日本共産党の古堅実吉が言っておるということでおわかりいただけるように、何も保守、革新とか与党とか野党とかいう問題ではございません。こういう問題についてはまさに与野党なく、保守革新なく沖縄の宝にかかわる問題をどうしていくか。ただ形式的に、制度に照らしてできませんというつれない、そういう立場でこの問題を見るのか、あるいは何らかの形で問題を解決していこうということでできる方法をいろいろ苦心惨たんして考えていくか、そのいずれをとられるかの問題も沖縄担当の大臣としては大変重要なことではなかろうかと思います。来年、復帰して二十年目を迎えます。そういうことなども節目にして、ぜひ何らかの形で県民の願いにこたえられるような方向での政府の態度が決められるように、そういう真剣な受けとめを願いたい、こういう一心で本日も取り上げさせていただいたものです。もう一度長官の御所見を承りたい。
  136. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいまの組踊の問題につきましては、委員指摘のとおり、超党派で考えていくべきだ、こういうお話でございますが、私が長官に就任しまして最初に自民党の沖縄選出の方々がおっしゃったのが組踊の問題でございましたので、確かに皆さん方全員がその熱い郷土芸能に対する熱意を込めていらっしゃるということはよくわかるわけでございます。文化庁の関係でございますから国立劇場の問題を私がどうこう言うことはないわけでございますが、仄聞いたしまして、国立劇場ということになりますとなかなか方々で火の手が上がっておるようにもお伺いするので、私はむしろ国立劇場という名前がいいのか、それとも沖縄県自身がお取り組みいただいて開発庁としての責任で御支援申し上げるのがいいのか、そのあたりの関係があろうと私は思っておりますので、この問題も沖縄県と十分にもう一度新しい立場で話し合いをしてはどうか、こう思っておるわけでございます。
  137. 古堅実吉

    ○古堅委員 検討の過程でいろいろ出てまいりましょう。しかし、国指定の無形文化財にふさわしい形で国立の伝統芸能劇場をつくってほしいというのが県民の共通の願い、趣旨でありますから、それに見合う立場での御努力を開発庁に文化庁とも相提携してぜひお願いしたい、強い要望を申し上げておきたいと思います。  次に移ります。時間がちょっとございません、大急ぎで参りますが、沖縄振興開発特別措置法は、県民への償いの心をもって事に当たるという先ほども最初に引用しましたような精神でつくられた。この背景には、従来の地域開発の諸立法とは根本的に異なった理由、存在がございます。また沖縄開発庁設置法では、国は沖縄の現状をつぶさに把握し、沖縄の実情に即したきめ細かな施策を策定する、このような趣旨もうたっています。沖縄振興開発計画を作成する上で大切なことは、沖縄の実情に基づいて県民の願いや要望をその計画に正しく反映させる、それは当然のことだというふうに考えています。  三次振計、本当に目前に参りました。先ほど来同僚議員からの御質問もございましたが、今申し上げたようなそういう立場で積極的な三次振計を県民の願いにこたえるようなものにしようという立場での意気込みを持っていらっしゃるかどうか、最初にその一点をお伺いしたい。長官、お願いします。
  138. 谷洋一

    谷国務大臣 本日もそれぞれの委員の方からお話が出ましたので私の気持ちを率直に申し上げておいたとおりでございまして、もうあと一年で第二次振計が終わる、次の計画をどう組むか、大変大切なときに長官に就任いたしましたので、その責任の重大さを感ずると同時に、その次の計画の内容をいかにするかということについて慎重に、しかも県民方々がより積極的に参加していただくようなものをつくるのが当然だと思いますので、そういう意味合いで頑張っていきたいと思っております。
  139. 古堅実吉

    ○古堅委員 沖縄米軍基地の問題が沖縄振興開発関係で最大の障害になっているというのは、与野党を問わず、県、政府を問わず、みんなの共通の理解になっています。それにかかわる問題がまたきのう飛び出しました。  あの御存じの読谷村で落下傘の降下訓練が年じゅう行われておりますが、そこは大変狭い地域、周囲は住民地域で、保育所などもございますけれども、そういう危険なところでしょっちゅう高高度からの落下傘降下訓練なども平気で行われています。随分抗議が続いてまいりました。きのう朝行われたこの演習で、四人の降下訓練の米兵が演習場外にはみ出して大騒ぎになりました。早速村長その他からの抗議を受けています。  まあ直接の基地担当じゃないですから防衛庁などが答えられるようなストレートな話にはなりにくいかと思いますが、しかし基地一般ではございません。こういう危険きわまりない、欠陥演習場となっているところでのこのような事態というのは、沖縄振興開発という立場から見ても避けて通れない重大な問題だというふうに考えて、開発庁の側としてもこんな問題が許せるかということでの御意見もあってしかるべき内容のものではないか、このようにも思います。今申し上げた今回の演習は直ちに中止されなければならないということも、現地での施設局に対する強い申し入れともなっております。長官、どうお考えか、お聞かせください。
  140. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいま御指摘の問題につきましては、私ども開発庁立場からいえば基地問題として重要関心を持っておりますけれども、防衛施設庁の管轄でございますので、私の方から申し上げることは差し控えさせていただきます。
  141. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間が参りましたから、最後に申し上げます。  先ほども同僚議員からもございました。いろいろと新聞で、やれ長官が沖縄の三次振計についてどう言われたとかいうふうなことなどについて現地の新聞にもいろいろと書かれております。確かに関心の強い問題ではありましょうが、振興開発の原案を沖縄県知事がつくるというふうな現在の仕組みになっておるという建前からも、知事が公約した政策を三次振計に盛り込んで何とかその方向に進展させよう、また、基地が沖縄振興開発についての最大の障害となっておるということもだれ一人否定できないようなものではあるだけに、当然そのようなことにもなろうかというふうに思います。そのようにつくられてきたものを政府としてどのように最終的な結論を下すか、それは政府の権限に基づいていろいろとできることです。そういう手続的なことを経ずして、現地で嫌がらせとか脅迫に相当するものだとかいうふうな形で受けとめられるような御発言というのは、やはりどこから見ても好ましいことではないというふうに考えております。  それで、お尋ねしたいのですが、やれ基地の全面撤去というものを削除しなければとか、今大問題となっております軍用地の強制使用、その縦覧、国の委任事務を知事が受け入れなければとか、関係のないものを三次振計など国の沖縄向けの施策と絡ませて、やってあげぬぞというふうなことになっちゃいかぬというふうに思うのですね。仮にもそういうふうなことにはなっちゃいかぬと思いますが、長官どうですか。
  142. 谷洋一

    谷国務大臣 私が記者会見をやりましたけれども、おどしとかいうふうな不穏当な言葉は言っておりません。話の前後があればいいのですが、新聞は私の発言そのものを速記録したわけじゃございませんので、そういう点では誤解をされている向きもあるんじゃないかと思います。  ただ、手続上では沖縄県が作成し、そして審議会にかけて決定するということになっておるわけでございますが、私ども沖縄開発庁立場からいえば、どうしてもやはりユニークなすばらしいものをつくりたい、そのときに現実離れをするような目標をつくってみてもこれも困るんじゃなかろうか、そういう意味合いで、私は県と開発庁とのすり合わせを十二分にしなきゃならぬなということを常々思っておりますので、今後県と十分な対応をしていきたいと思っております。
  143. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わります。
  144. 中西績介

    中西委員長 以上で、谷沖縄開発庁長官所信に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  145. 中西績介

    中西委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  沖縄及び北方問題に関する件調査のため、本委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選及び日時等について委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 中西績介

    中西委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三分散会